内閣委員会 第3号
- 発言数
- 267 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1990/04/17
会議録
○岸田委員長 これより会議を開きます。 この際、人事院総裁より発言を求められておりますので、これを許します。弥富啓之助君。
○弥富政府委員 貴重なお時間をちょうだいをいたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。 このたび国会の御承認をいただきまして、人事院総裁を拝命いたしました弥富啓之助でございます。 国家公務員法の掲げております公務の民主的かつ能率的な運営の保障という目的を実現いたしますため、人事院総裁として新たな決意を持って人事行政に取り組み、人事院の使命達成のために全力を傾けてまいる所存でございます。 委員長初め委員の諸先生には、何とぞよろしく御教示をいただき、御鞭撻をいただきますよう心からお願いを申し上げます。 なお、私、本院に在任をさせていただきましたときに御在席の先生方には数々の御指導、御鞭撻をいただきまして、本席をかりて厚く御礼申し上げまして、ごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いを申します。(拍手) ────◇─────
○岸田委員長 次に、内閣提出、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案の両案を議題といたします。 趣旨の説明を求めます。坂本内閣官房長官。 ───────────── 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案 即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案 〔本号末尾に掲載〕 ─────────────
○坂本国務大臣 ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 まず、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案でございますが、改正点は、内廷費の定額及び皇族費算出の基礎となる定額を改定することであります。 内廷費の定額及び皇族費算出の基礎となる定額は、皇室経済法施行法第七条及び第八条の規定により、現在、それぞれ二億五千七百万円及び二千三百六十万円となっております。これらの定額は、昭和五十九年四月に改定されたものでありますが、その後の経済情勢なかんずく物価の趨勢及び国家公務員給与の引き上げにかんがみ、内廷費の定額を二億九千万円、皇族費算出の基礎となる定額を二千七百十万円にいたしたいと存じます。 次に、即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案についてでございます。 即位礼正殿の儀は、天皇陛下が御即位を公に宣明されるとともに、その御即位を内外の代表がことほぐ儀式であり、国事行為として、平成二年十一月十二日に行われます。 本法律案は、即位礼正殿の儀に際しまして、国民こぞって祝意を表するため、この儀式の行われる日を休日とするものであります。 なお、附則において、この法律に規定する日は、他の法令の規定の適用については、国民の祝日に関する法律に規定する日とする旨を規定しております。 以上が、両法律案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いをいたします。
○岸田委員長 これにて両案についての趣旨説明は終わりました。 ─────────────
○岸田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細田博之君。
○細田委員 一昨年以来、昭和天皇の御病気そして御崩御そして改元、即位、大喪の礼、そして本年には即位の礼、大嘗祭、さまざまな大きな激動があるわけでございますが、その間、内閣、総理府そして宮内庁、警察庁その他の御関係の方々の大変な御尽力があったわけでございます。質問に先立ちまして、国民の一人といたしまして深甚なる敬意を表させていただく次第でございます。 本日は、両法案につきまして一括して御質問をさせていただきたいと思います。 まず、皇室経済法施行法の改正の点でございますが、その改正の具体的理由について、もうちょっと詳しくお伺いしたいわけでございます。 それからもう一つ、この皇室の経費に関しては、宮廷費、内廷費あるいは皇族費というような仕分けがあるようでございますが、どういう考え方でそういうふうになっているのかという点について、第一点、御質問をさせていただきます。
○宮尾政府委員 最初にお尋ねがありました今回の皇室経済法施行法の改定の理由でございますが、内廷費及び皇族費につきましては、その定額が定められておりまして、この定額をどのように定めていくかということにつきましては、物価上昇とかあるいは公務員の給与の改善に伴いまして算定をされます増加見込み額が、現行の定額の一定割合、一割を超えるような場合に改定をお願いをしよう、こういうことで、昭和四十三年に皇室経済に関する懇談会というものが開かれまして、そこでそういう基本的な考え方が御了承になっております。 そこで、現在の内廷費、皇族費についてでございますが、現行の定額は五十九年度に改定が行われまして、自来六年間そのまま同額で据え置きということで推移をしてきております。一方、この間物価上昇率を見ますと、東京都の区部消費者物価指数につきましては九・七%、それから国家公務員の給与改善率は一九・七五%という状況になっておりまして、こういったものを要素といたしましてどのくらい内廷費、皇族費全体で所要経費が増加をする見込みとなっているかということを算定してみますと、その増加率というのは内廷費で一二・八%、それから皇族費で一四・八%というふうになっておるわけでございます。したがいまして、内廷あるいは各宮家ではいろいろ経費の効率的な使用というものを一層御工夫を願いながら現在までいろいろお願いをしてまいっておるわけでございますが、内廷及び各宮家の職員につきましては国家公務員に準じた給与改善を行う必要がありますし、また、皇室の御日常の御活動とかあるいは御生活に支障のないように、やはり物価上昇等による支出の増加にも対応していかなければならぬということがございますので、平成二年度から定額改定を行っていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 それから、内廷費あるいは宮廷費、皇族費といったようなものがどういうものかということでございますが、天皇陛下並びに皇后陛下、皇太后陛下等を含めまして、あるいは皇太子さん、天皇陛下のお子さんである各親王、内親王方を含めまして、いわゆる天皇陛下を中心とするあれを内廷といい、これについての内廷費ということであります。それから皇族費につきましては、内廷外の宮家の皇族方についてのものでございます。それから宮廷費というのは、これは陛下あるいは皇族さん方のいわゆる公的な儀式、諸行事等に関連して必要になる経費を宮廷費という形で処理をいたしておるわけでございます。
○細田委員 大体概略わかりましたけれども、諸外国においても王室というものがイギリス初めたくさんあるわけでございますが、国会との関係あるいは予算についての国会なり政府の関与の仕方についてどのようになっているのか、概略で結構でございますから、参考までにお教え願いたいと思います。
○宮尾政府委員 外国のいわゆる王室といいますか皇室関係の現状については、なかなかこれはわかりにくい点が多うございまして、私ども十分その正確な把握というものはいたしておりません。ただ、手元に若干古いものでございますけれども英国王室のものがございますので、これを一つの例として若干申し上げてみますと、我が国の内廷費に相当するものにつきましては、これは女王の私有財産というものがございまして、そこで全部賄われるという形になっているというふうに聞いております。それから、そのほかに当然国庫から支出される経費というものがあるわけでございますが、それは王室費と公的活動費というようなものがあるようでございまして、王室費というのは人件費等が大半のようでございますし、公的活動費というのは公的な御旅行とか王宮の維持管理費等がございまして、こういうものはまた、各省庁に予算計上されておるというような状況のようでございます。何分外国のことでございますし、事柄の性質上正確なことがよくわからないで恐縮でございますけれども、非常に大ざっぱなことで申し上げますと、そういうことになっております。
○細田委員 次は即位の礼についてお伺いしたいわけでございますが、即位の礼というのは全体としてどのような儀式あるいは行事というものがあるのかという点が第一点。 第二点が即位礼正殿の儀はどのように具体的に行われるかという点でございます。 それから第三点でございますが、今回予定されております即位の礼の儀式というものは、例えば大正天皇それから昭和天皇のときにどのように行われていたのか、それと違いがあるのかどうかという点についてお伺いいたしたいと思います。 それと関連して、即位礼関係の予算の概要が大体どういうものであるか、この四点についてまとめてお答えをいただきたいと存じます。
○多田説明員 即位の礼につきましての儀式でございますが、皇室典範の二十四条におきまして「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」というふうに規定されておりまして、これは天皇陛下の御即位に伴いまして、国事行為たる儀式として即位の礼を行うということを予定したものだと解釈しております。既に今上天皇の御即位の直後に、即位の礼の一環といたしまして剣璽等承継の儀及び即位後朝見の儀という儀式が行われたところでございます。 今後行われる即位の礼につきましては、即位の礼委員会における慎重な協議を経まして、去る一月十九日の閣議で国事行為たる儀式として次の三つの儀式を行うことを決定しております。まず第一に即位礼正殿の儀、これは十一月の十二日宮殿において行う。それから祝賀御列の儀、これも十一月の十二日即位礼正殿の儀の終了後、宮殿から赤坂御所までの間の御列ということで実施をする。それから三番目に饗宴の儀、これは十一月の十二日から十五日までの四日間、宮殿で饗宴を催す。こういう三つの儀式を即位の礼として今後実施するということを決定しておるところでございます。 なお、正殿の儀がどんなふうに行われるかという御質問でございますが、内外の代表大体二千五百名というのを予定しておりまして、参列をしていただきまして、宮殿の正殿松の間におきまして天皇陛下が御即位を内外に宣明するお言葉を述べられ、そして内閣総理大臣がお祝いの言葉を述べるということが中核となる儀式でございまして、具体的な式次第につきましては、今後即位の礼委員会の協議を経て内閣総理大臣が決定する予定になってございます。 なお、ほかの御質問については他の政府委員から。
○荒田政府委員 即位礼関係予算の概要いかんというお尋ねでございます。 ただいま申し上げました即位の礼に必要な経費といたしまして、総理府本府におきまして三十三億八千五百万円を計上しております。即位礼の正殿の儀につきましては十四億三千五百万、それから祝賀御列の儀につきましては一億二千万、饗宴の儀につきましては四億三千三百万円、その他いろいろ、記録ですとかその他の関係、広報等の関係で十三億九千七百万、合わせて三十三億八千五百万円を本府予算として計上してございます。
○細田委員 このたびの即位の礼に関して特に外交的な重要性というものがあるような感じがいたしますが、この外国からの招待といいますか、お客様に対してどういうふうな対応ぶりであるかということをお伺いいたしたいと存じます。 それからもう一つは祝意奉表ということがありますけれども、これは主体はだれであるのか、そして具体的にはどういうことが行われるのかという点についてお伺いいたしたいと思います。
○宮尾政府委員 その前に、先ほどの御質問で先例をお聞きになりましたが、お答えをしてございませんので、ちょっと答弁させていただきます。 先例でございますが、昭和の例といたしましては昭和三年十一月十日に京都御所の紫宸殿におきまして即位礼当日紫宸殿の儀というものが持たれました。それで、そのやり方といたしましては、内閣総理大臣初め約二千二百名が参列をして、天皇陛下が高御座にお上りになり、勅語をお読みになり、続いて内閣総理大臣が寿詞を奏した後、万歳を三唱し、諸員がこれに唱和するというようなことが主体になっております。 それで、今回とどう違うのかということでございますが、これは今後即位の礼委員会の協議で内閣総理大臣が決定をすることになると思いますので、先例との違いというのは今ここで申し上げる段階でないというふうに思います。
○多田説明員 外国からの招待者でございますが、先ほど申し上げましたように、宮殿の収容能力その他いろいろ勘案いたしまして全体で二千五百名ということでございますが、外国について何名ということがまだ確定しているわけではございません。外国からの代表の参列ということになりますと、外国要人の外交日程といったようなことの関連もございまして、国際儀礼上相当前もって参列に関する考え方を御連絡をしておく必要があるということで、先般概要についての通報を行ったところでございますが、正式の招待ということにつきましては、本年度の予算について国会の承認が得られた後に行うということを考えているところでございます。 祝意の奉表に際しての考え方でございますが、即位の礼正殿の儀当日の祝意の奉表ということにつきましては、成案を得次第閣議決定をして決めていくという予定でございます。 今のところ、国の措置としては、まず第一に国旗の掲揚を行うこと、それから二番目に、地方公共団体、一般の方々においても上記と同様の方法により協力方を要望するということを予定しております。また、即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案についても現在御審議をお願いしている、こういった状況でございます。
○細田委員 やや主体についてわからなかったのですが、国民がこぞって祝意を奉表するのか、あるいは政府が何か音頭をとって政府の行事として行うのかというようなことがちょっとあいまいなような気もいたしたのでございます。 この即位の礼について憲法第二十条というのが最近議論になっておりますのでちょっとお伺いしたいと思いますが、憲法二十条三項「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」という規定があるわけですが、特に即位の礼に関してこの憲法との関係がどうなっているのか、お伺いしたいと存じます。
○大森政府委員 即位礼正殿の儀がどのように意義づけられておるかということに絡む問題でございますが、本年一月十九日に閣議了解されました即位の礼の挙行に関する大綱におきましては、天皇陛下が御即位を公に宣明されるとともに、その御即位を内外の代表がことほぐ儀式である、このように意義づけられております。そして、この儀式の内容には宗教上の儀式としての性格を有するものは見られませんので、ただいま御指摘の憲法二十条三項が禁止する宗教的活動には当たらないことは明らかであり、何ら問題はないというふうに考えております。
○岸田委員長 続いて、光武顕君。
○光武委員 ただいま即位の礼について細田委員から質問のあったところでありますが、即位の礼については国事行為としての儀式として明確に規定されております。したがって、国民にはそれなりにわかりやすいことなんでありますけれども、これとまた一連の皇室の行事として行われます大嘗祭については、私もそうでありますけれども、国民全般についてなかなか理解が行き届いていないのではないか、このように考えまして、この際、関連のある大嘗祭について御質問を申し上げたいと思うわけであります。 質問の第一点であります。即位の礼については、ただいま十一月の十二日ということで御報告がありましたけれども、その後行われると予定されております大嘗祭の期日はいつになっておりましょうか。
○宮尾政府委員 大嘗祭が行われる期日でございますが、大嘗祭の中心的な儀式でございます大嘗宮の儀は、悠紀殿供饌の儀と主基殿供饌の儀というのがあるわけでございます。悠紀殿供饌の儀は本年の十一月二十二日に、また、主基殿供饌の儀はその翌日の十一月二十三日に行われる予定といたしております。 また、これに引き続きまして大饗の儀がございますが、これは十一月の二十四日及び二十五日の両日に行われる予定といたしております。
○光武委員 今の大嘗祭の日取りについてはわかりましたが、しからばなぜそのころにと申しますか、その日が選ばれているのか、根拠はどういったところにあるのか、その辺についてお示しいただきたいと思います。
○宮尾政府委員 大嘗祭は、先生御承知のように非常に長い伝統があるものでございまして、それによりますと、古来、大嘗祭は諒闇後の十一月の卯の日、下の卯の日でございますが、それに行われるのが常例とされておりまして、今回も十一月の二十二日が下の卯の日に当たりますので、大嘗祭の期日を十一月二十二日、二十三日に中心的な儀式を行う、こういうふうにいたしたいと考えておるわけでございます。
○光武委員 大嘗祭は皇室の非常に重要な伝統的儀式でありますけれども、伝統的儀式ということについては異論があるやに伺っております。その一つには、これは途中で中断をしたといったようなこと、あるいはまた律令制度の時代と武家時代あるいは明治になりましてからいろいろ挙式の仕方についても変革がある、したがって、伝統的行事であるのかどうかということについてはいろいろ議論があるので、そこのところをちょっときちっと説明をしていただきたいというふうに思うわけであります。
○宮尾政府委員 大嘗祭は皇室の長い伝統に基づく非常に重要な儀式だというふうに考えておるわけでございますが、それは例えば日本書紀などによりますと、天皇が即位をされた後、大嘗祭を行われたというような記録が見えるわけでございます。ただ、この時期は、大嘗祭と新嘗祭というものの区分はまだ必ずしも明確でなかったようでございます。その後、践祚、即位後のものを践祚大嘗祭、略して大嘗祭といい、それから毎年行われるものを新嘗祭というふうに区別をするようになったわけでございますが、その区別が初めてなされたのは天武天皇のときであったというふうに言われております。 自来、御即位のたびに一世一度の大事といたしまして大嘗祭というものが行われてきたわけでございますが、そういうことをうかがわせるものとしましては、平安初期に制定をされました貞観儀式に、まず即位の年、悠紀、主基の二国を卜定をして、そこからとれた新穀を神饌に供するというような形で大嘗祭を行うということが具体的に記述をされておりますし、またそれがずっと江戸時代まで続きまして、さらに、そういうことを踏まえて旧登極令の中にもそういう大嘗祭について具体的な規定というものを設ける、こういうことになっておったわけでございます。 そこで、一時中断があったではないかという御議論が確かにあるわけでございますが、この中断というのは、一つには第八十五代の仲恭天皇が御年四歳で践祚されて、御在位二カ月余りで退位をされたというようなことがありまして、この方は即位礼も大嘗祭も挙げられなかったわけでございます。それからその後、百四代の後柏原天皇から百十二代の霊元天皇に至るまでの九代の方と、それから百十四代の中御門天皇のときには、これは兵乱相次ぎまして、大変皇室も御衰微というような状況にありまして大嘗祭を挙げられなかったわけでございまして、これはそういった特殊な事情による非常に異例のことであろうというふうに考えております。 したがいまして、そういう異例な事態は別といたしまして、大嘗祭というものは皇室の長い伝統的な儀式であり、即位儀礼の一つであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○光武委員 今のお話でありますと、特別異例のことであって、精神としてはとにかく今日まで連綿として続いているという御説明であったと思うのであります。 今お話が出ました登極令についてでありますが、戦前におきましては皇室典範とそれから登極令と二つありまして、その基本的な大綱あるいはまた具体的な儀式については明確にされていたわけですね。ところが、戦後この登極令は廃止されたわけであります。したがって、大嘗祭というものについては皇室の行事、公的な行事であるということでありますけれども、我々国民から考えますときに、一体今日的なその意義というか、新憲法下にありましてこうした大嘗祭についての意義についてはどのように考えればいいのか、その辺もひとつお示し願いたいと思います。
○宮尾政府委員 大嘗祭について規定がありました旧登極令というのは、新憲法が施行されると同時にその根拠を失って廃止になったわけでございますが、先ほども伝統ということについてお答えをいたしましたように、これは皇室の非常に長い伝統的な儀式であり、皇位継承に伴う重要な儀式であるというふうに考えておるわけでございます。 それで、大嘗祭の意義でございますが、これは政府の即位の礼準備委員会においてその考え方が示されておりますように、私ども、大嘗祭は、稲作農業を中心とした我が国の社会に非常に古くから根づいた収穫儀礼、そういうものに根差しているというふうに考えておりますし、その大嘗祭の中心的な行事というものは皇祖、天神地祇に新穀をお供えをしたり、陛下御みずからお召し上がりになって、皇祖及び天神地祇に対して、安寧とそれから五穀豊穣を感謝されるとともに、今後とも国家国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念される儀式というふうに考えられますので、そういう意味で登極令というものについての法律的な根拠というのはもちろんありませんけれども、これはその登極令が現在の憲法に違反をしているからではありませんで、その根拠を失ったということは、旧憲法下におきましてはいわゆる皇室典範を中心とする宮務法の体系というものが独自の体系をなしておりまして、それが新憲法の施行と同時に、今の憲法のもとではそういう独自の法体系というものが認められないということで法律的な根拠だけを失っている。ただ、その内容につきましては、現在の憲法に反しない限りその考え方というものは十分継承できる、こういう考え方に立っておるわけでございます。 そういう意味で法律的な根拠はありませんけれども、その基本的な旧登極令等に規定をされております皇室の長い伝統的な行事というものは、今日においても十分重要な皇位継承儀礼として行い得るというふうに考えておるわけでございます。
○光武委員 根拠については明確でないわけでありますが、この点については後ほど法制局の方にも関連してお尋ねしたいと思います。 次の質問については、この大嘗祭の費用、おおむねどの程度かかるのかということが一点。それからまた、これと同じ行事でありますが、毎年行われております新嘗祭については、これは内廷費で賄っていると伺っているわけですね。そうしますと、大嘗祭が宮廷費として支出をされなければならない、あるいはするのであるという根拠が何か特別あるのか、その点をあわせてひとつお尋ねいたします。
○宮尾政府委員 大嘗祭の費用を宮廷費から支出する理由でございますが、大嘗祭は、先ほどもお答えいたしましたように、皇室の行事として行われることにいたしておりますが、それは皇位が世襲であることに伴います一世に一度の極めて重要な伝統的皇位継承儀式としての公的な性格があるということでありまして、そういう意味からこの費用は宮廷費から支出をすることが相当であるというふうに考えておるわけでございます。 そこで、新嘗祭との関係でございますが、新嘗祭というのは毎年皇室の行事として行われるものでございまして、一世に一度皇位継承儀礼として行われる大嘗祭とは基本的にその性格は異なるというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で新嘗祭は現在内廷費で支弁をされておりますが、大嘗祭については公的な性格があるから、その費用は宮廷費から支出をすることがふさわしく、かつ、相当、適当であるというふうに考えておるわけでございます。
○光武委員 それでは最後に一点だけ内閣法制局にお尋ねいたします。 その前に、今の大誉祭に要する費用の概要についてのお答えがありませんでした。それを補足していただきたい。 法制局にお尋ねするのは、先ほど大嘗祭については法的な根拠というものはないというお話がございました。それが一点。それから、この費用を宮廷費から支出するということについても憲法上問題がないのかどうか、そこを法制局にひとつお尋ねしたいと思います。
○宮尾政府委員 どうも失礼をいたしました。 大嘗祭に要する費用の概要でございますが、皇室行事としてこの秋行われます儀式、行事の中には即位礼、大嘗祭両方に関係するものもございまして、大嘗祭だけを純粋に取り出すということはちょっと困難な面もあるわけでございますが、その中心をなします大嘗宮の儀及び大饗の儀などに要する経費は、二十二億四千八百万円を予定させていただいております。なお、そのほか斎田抜穂の儀とかあるいは山陵御親謁などのことも予定をされておりまして、そういった皇室行事として行われる儀式、行事に必要な経費を含めますと、全体では二十五億六千七百万円余を予定いたしておるわけでございます。
○大森政府委員 委員お尋ねの第一点でございますが、儀式の挙行につきましては、それが国民の権利を制限したり、あるいは国民に義務を課するということのない限りは法令の根拠を必ずしも必要とするものではないということでございます。 次に、第二点でございますが、まず大嘗祭経費を宮廷費によって支弁できる法律上の理由づけにつきましては、その概略について先ほど宮尾次長から答弁があったとおりでございます。そして、そのような理由によりまして宮廷費で支弁するということの憲法上の問題は、憲法二十条第三項との関係、そしてまた八十九条との関係が問題になるわけでございます。今までの答弁であらわれておりますように、大嘗祭と申しますのは宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定できないところでございますが、大嘗祭はあくまで今回は皇室の行事として行われるものでございます。そして、しかもその挙行のために必要な宮廷費の支弁による費用の支出といいますものは、この大嘗祭の公的な性格という面に着目いたしまして支出するものでございますので、国がそのような観点に着目してそのような限りでの財政的なかかわりを持ちましても、その支出の目的が宗教的意義を持たない、そしてまた特定宗教への援助、助長等の効果を有する行為であるということは到底言えないと思います。これは、よく引用されます地鎮祭判決、最高裁判所の津地鎮祭事件に関する判決の趣旨に照らしましてもこのように言えるものであると考えられます。したがいまして、国が大嘗祭のための費用を支出いたしましても、憲法二十条第三項との関係でも、また八十九条との関係でも、いずれも抵触する疑いは何らないというふうに考えている次第でございます。
○光武委員 質問を終わります。
○岸田委員長 続いて、山元勉君。
○山元委員 私は議題に入ります前に、労働組合のいわゆる春闘も大きな山を越したところですし、新しく就任された人事院総裁も出席いただいておりますので、この際、公務員賃金について二、三お伺いをしておきたいと思います。 去る十二日に山岸会長を初めとする連合の代表と海部総理の会談及び公務員共闘など三団体と政府、人事院との交渉が持たれました。特に、連合と総理のトップ会談は二十六年ぶりのものでございました。正しい労使関係をつくっていくという上で、社会的にも経済的にも大変評価される画期的なことであったというふうに評価をしているところでございます。私は労使双方のこの努力に敬意を表しますと同時に、今後ともこのような努力を重ねていただいて、よき方式をつくり上げていただきたいというふうに期待をしています。 ところで、その中で話がありましたけれども、昨年度末に公務員の三月分給与及び年度末手当が大変支給がおくれたという前代未聞の事態が起こりました。公務員の生活設計に大きな影響を与えたわけですけれども、これは明らかに給与法の九条に違反しますし、政府の使用者責任の放棄だとも言えるわけです。あの場合に、法案ははっきりと通過をしていたわけでございまして、財源が措置されておればこの問題は起こらなかったわけであります。そういう意味から、このようなことが二度と起こらないためにも、当初予算に一定枠の財源を計上すべきだというふうに思うのです。そういうことが今年度の予算案にはされていませんから、私はこのことを強く求めて、なぜされないのか、二度と起こさないということを遺憾の意を表明していらっしゃるのにされていないことについてお尋ねをしたいというふうに思います。
○藤井(威)政府委員 先般の政労トップ会談で給与改善費の問題について御要望があったことは、我々財政当局も承っております。おっしゃいましたとおり、給与改善費については、従来から毎年度の財政事情を勘案してかつて一定率を計上してきたということがございましたけれども、厳しい財政事情のもとでその計上率というものを順次引き下げてまいりまして、結局六十一年度以降は計上が行われていないという状況になっておるということも御指摘のとおりでございます。 今おっしゃいます、もし給与改善費を当初予算に計上しておけば、今回のような極めて異例な状況のもとであっても分割支給というようなことにならないで済んだのではないかという御提案でございますけれども、もしそういうふうにしようといたしますと、人事院勧告がどの程度の率になるかということを予算編成期においてある程度正確に見込むということが必要になるわけでございますが、これは実際問題として非常に困難であるというのが現実であろうと思います。 実際に、かつて給与改善費を予算に計上していた時代におきましても、給与改善率を見込んで計上していたわけではなくて、一定率を毎年度の財政事情を勘案しながら計上するということにとどまっていたわけでございまして、実際に人事院勧告が実施されました際には、やはりその給与改善費計上では足りなくて、補正予算でさらに財源の措置をとるということが毎年のように行われてまいりました。給与改善費の計上が必ずしも今回のような事態を防ぐ手だてにはならないのではないかというふうに思います。 ただ、給与改善費をどうするかということにつきましては、いずれにしましても、政府としてこれは給与改善費があるから、ないからということで人事院勧告の取り扱いを左右していたことは一回もございませんで、人事院勧告尊重の基本姿勢に立ち対処してきたことでございますから、今後ともこの方針を変更するつもりは毛頭ないということでございます。
○山元委員 毛頭ないというような答弁では困るわけです。過去、たしか五%だったと思いますが、組んであって、そして財政事情が厳しいという理由で削られていった、これはおっしゃるとおりですけれども、今の財政状況は、厳しいということではなしに、財源隠しとまで言われるような状況になっているわけですから、給与法の九条違反を再び起こさないということからも、あるいは人事院勧告完全実施を早期にするという立場からも、やはりこれは積まれるべきだというふうに思うのです。ぜひこれはもう一回検討をしていただきたい。少なくともそのことで、いわば公務員の給与を人質にとって他の政策を進めようというようなことが絶対あってはならないというふうに思うのですね。そういうことを戒めるためにも、官房長官、このことについて、先ほども申し上げましたように公務員の生活設計にかかわることを引き起こしたわけですから、どのように考えていらっしゃるのか、もう一回しっかりとお聞かせをいただきたい。
○坂本国務大臣 給与の分割払いが行われたということはまことに遺憾なことでありまして、今後こういうことの起こらないように、内閣を初め関係各方面にも御協力を願いたい、そう思っております。 それで、当初予算に給与の改善費を盛り込んでおけばよかったではないかという委員の質問に対しては、ただいま政府委員が答弁したとおりでございます。
○山元委員 大変不満ですし、今後ぜひ過去にあった形をとられるように努力を要望しておきたいと思います。 次に、人事院も政府も人勧制度については公務員の労働基本権制約の代償措置として尊重する、さらには人勧についてはその立場に立って早期に完全に実施するように努力する、これは毎年おっしゃっていることなんです。けれども、実態は結果的にそうなっていないわけです。私は過去にあった人勧の凍結案のいろいろについてきょう論じようとは思いませんけれども、差額の支給について、これが毎年年末ぎりぎりに支給をされているわけです。四月分からの給与の一部が十二月のぎりぎりに支給をされる。年末の買い物にも当てにできないような実態が続いているわけです。先ほども言いましたように、いわば生活実態に大きな影響を及ぼす事柄だと言えますが、民間の企業では、こんなことは考えられぬわけです、倒産寸前の会社であれば別ですけれども。四月分の給料の一部がこういうふうに年末になる。この給与差額支給までの手順は、人事院勧告が行われて、関係閣僚会議があって、閣議決定されて、そして法案がつくられて、審議をされて、成立して支給、こういうふうになっているわけですね。大変たくさんの段階があるわけですけれども、その各段階で本気になって努力すれば、早期に実施をしますという方針は実現できるというふうに私どもは思う。そこで、ここで一番大きなネックになっている、ネックの一つと言いますけれども、関係閣僚会議の座長をしていらっしゃる官房長官に、特にこの場合本気で取り組んで、ことしは一カ月ぐらいは早く年末の生活設計に役立つような精算をするということをお約束していただきたいと思うのですが、ぜひとも早期に実施をするといいますか、差額を精算するということについてのお考えをお聞かせいただきたい。
○坂本国務大臣 政府といたしましては、従来から人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立って勧告をできるだけ早期に完全実施するよう努力してきたところでありますが、一方、国民の理解を得て公務員の給与改定を行うためには、国政全般との関連を各方面から検討する必要があります。このため、給与関係閣僚会議において十分議論を尽くした上で政府として方針を決定してきたところであります。 このような取り扱い方針を決定し、関係法案を国会に提出するまでにはある程度の日時を必要とすることは御理解をいただきたいと思いますが、政府としては今後ともできるだけ早期に結論を得るように努めてまいりたいと思っております。
○山元委員 努力を約束していただいたわけですけれども、国政全般との兼ね合いということが少しわかりにくかったのですが、私が先ほど申し上げましたように、人事院勧告というのは代償措置である、最も優先されなければならないわけです、労働基本権のかわりですから。そういう意味から、給与法の第九条もこれありで、国政全般との兼ね合いという問題について具体的にもう少しおっしゃっていただきたい。
○勝又政府委員 人事院勧告の取り扱いそれ自体は影響するところが極めて大きいところでございますので、かねて政府といたしましては、人事院勧告の取り扱いを決定するに当たりましては、追加財政需要などの財政事情であるとか、あるいは地方財政に与える影響であるとか、納税者である国民世論の動向であるとか、公務を取り巻く諸般の状況など、そのときどきの国政全般との関連について種々検討してきているところでございまして、今後とも同様に検討してまいる必要があるだろうというふうに考えておるところでございます。
○山元委員 よく理解はできないのですけれども、官房長官が早くする努力をするということをおっしゃっていただきました。私は、これから、先ほど申し上げました幾段階でもの手続の中で誠心誠意されることを期待いたしますし、見守っていきたいというふうに思います。 それでは次に、人事院総裁にお尋ねをいたしたいと思うわけです。 先ほどごあいさつをいただきましたけれども、新しく就任された人事院総裁は、新聞記事によりますと、衆議院事務総長として長年お務めになって、大物総長とかあるいは知恵者とか大変高い評価がされている総裁でございますが、私ども先ほども申し上げましたように、ぜひ公務員の暮らしを守るという立場で御奮闘いただきたいわけです。今、公務員の賃金の問題を初めとして時間短縮の問題や人材確保の問題が数多く山積しているわけですが、こういうときに人事院総裁につかれる、そのことについての決意を聞かせていただきたいなというふうに思います。
○弥富政府委員 ただいま思いがけなく過分なお言葉をいただきましてありがとうございます。 人事院行政というものは、御承知のとおりに行政運営の基礎となるものでございます。一方、最近の内外の情勢の変化、これはもう著しいものがございます。時代の激しい変化に対応した行政の機動性というものが求められているところでございます。こうした国民の声におこたえをし、効率的、かつ、的確な行政運営を図る上で、まず公務員にはすぐれた人材を確保しよう、それから適正な勤務条件を絶対に維持していこう、職員の士気を高めていこう、また、それによって安定した労使関係の維持に努めることなど、人事院のこれから果たす役割は重要であると考えております。私といたしましては、国家公務員法の目的でございます「国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障する」、そうして「人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護」という国家公務員法三条に書いてあります人事院の使命、これの達成のために全力を挙げてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○山元委員 ありがとうございました。 先ほども申し上げましたように、ぜひ公務員の暮らしや権利を守るという立場で御奮闘いただきたいというふうに御期待を申し上げます。 次に、民間における求人難は景気の動向の影響を受けて深刻な状況になっていることは御案内のとおりです。この影響からも、公務員の新採時での公務員離れ、このことが引き起こされています。例えば東京都の例で、ことし三割ほどの辞退があって民間に流れたと聞いているわけです。人材確保の点からもゆゆしい事態になっていると理解をしますが、この最大の原因は、民間の初任給と公務員の初任給との較差の問題、それから労働条件の悪さだ、こういうことが明白になっています。私も一年生というかつい先日まで現場にいたわけですけれども、そういう状況は大変深刻です。初任給の較差の問題では人事院もはっきりと認めていらっしゃるし、各県人事委員会も大幅に較差があるということは認めているわけです。今年度人勧に向けて前向きに検討して、思い切って改善をするという方向を出さなければ、こういう人材確保での事態は打開できないと思うわけです。 そういうことで、これから始められるわけですけれども、初任給の改善、この問題は長い間論じられているわけですから、今年度思い切って改善をするということをしていただきたいと思いますし、そのことについての現時点でのお考えをお尋ねしたい。
○森園政府委員 民間におきましては、今次の長期景気拡大局面での旺盛な採用需要を背景に初任給の顕著な伸びが見られるところでございます。公務員におきます人材の確保につきましても、先ほど総裁が申し上げましたとおり人事院の重要な任務でございまして、このような民間の事情を踏まえまして、人事院といたしましては、ここ数年特に初任給につきましては重点的に対処をしてまいりました。特に、昨年度は、行政職で言いますと、一般の俸給表改善率が三・二%でございましたけれども、大卒、Ⅰ種試験の初任給は四%、それから高卒、ⅠⅠⅠ種試験の初任給は四・三%というように、およそ二五%ないし三四%増しの改善をいたしたわけでございます。しかしながら、先生御指摘のとおり、なお民間の初任給と開きがあるのも事実でございます。今年度は、今まだ民間給与実態調査の準備を進めているところでございます。したがいまして、その結果を踏まえた対処ということになりますけれども、初任給の改善問題につきましては、私ども、重要な課題であるという認識を持って取り組んでまいる所存でございます。
○山元委員 近年の人勧が初任給部分で配慮されているということは確かなのです。しかし、昨年末も私現場で言っていたのですが、このペースでいけば、十年、十五年かかっても現在ある大きな較差というのはなかなか解消できない。とりわけ今民間で、先ほど申し上げましたように、景気の動向で人が得られないという状況になっていますから、初任給はなお開くということが予知できるわけです。そういう立場から、私が申し上げているのは、思い切って初任給については格段の配慮をする、改善をするということを言っていただきたいわけですが、重ねてお聞きします。
○森園政府委員 ただいま申し上げましたとおり、初任給改善問題というのは給与問題の中で極めて重要な課題だという認識を持っておりまして、取り組む具体的方法論につきましてはこれから十分検討を進めてまいりますが、重要な決意を持って臨みたいと考えております。
○山元委員 次に、即位の礼のあり方についてお尋ねをいたします。 即位の礼は、憲法に定める国事行為として、正殿の儀、祝賀御列の儀、それから饗宴の儀というふうに三つの儀式が行われるとされています。しかし、国民には非常に理解しにくい状況になっていますし、国会にきちっと提示されていないわけです。その概要について説明をしていただきたい。
○多田説明員 即位の礼は、先生御指摘のように今後行われる儀式としては三つの儀式を予定しておるわけでございます。 第一の儀式、即位礼正殿の儀と称しておりますが、これは「即位を公に宣明されるとともに、その即位を内外の代表がことほぐ儀式」というふうに規定しておりまして、具体的には、場所は宮中正殿松の間というところで実施されることを予定しております。参列者数が内外の代表大体二千五百名というようなことで考えておるところでございます。 それから第二番目の祝賀御列の儀でございますが、これは「即位礼正殿の儀終了後、広く国民に即位を披露され、祝福を受けられるための御列」ということで、同日に宮殿を御出発になって赤坂御所までパレードをされるということになっておるわけでございます。 それから三番目に饗宴の儀ということでございますが、「即位を披露され、祝福を受けられるための饗宴」ということで、これは、宮殿におきまして出席者数およそ三千四百名程度を予定して実施をするというふうに考えておるところでございます。
○山元委員 一月十九日に発表されました大綱によりますと、各儀式の細目については、今詳しくないわけですけれども、総理大臣が決定する、また、総理府に即位の礼実施連絡本部を設置するとされているわけですが、今おっしゃられたような本当の概要でなしに、そういう連絡本部やあるいは総理大臣の細目の決定の作業がどのように進んでいるのか、内容についてもお聞かせをいただきたい。
○多田説明員 先ほど申し上げましたような趣旨に沿って、具体的にどういうふうにやるかということを今事務的にいろいろな角度から整理、検討をしているところでございまして、まだ非常に時間のかかる作業でございますので、まとまるまでにはやや時間がかかるだろうと思っております。
○山元委員 時間がかかるだろうというだけではなしに、それでほどういうふうにこれから日程的に進められていくのか。今内容的には申せないということだろうと思いますけれども、それでは今後どういうふうに日程的に組み立てられているのか、お聞かせをいただきたい。
○多田説明員 現在鋭意検討しているところでございますので、現段階でいつというようなことを特に確定したスケジュールはまだできておりません。
○山元委員 政府はこの即位の礼を国事行為というふうに決定をして、予算にまできちっと計上しているわけです。しかし、その内容について速やかに詳しく国会に、そして国民に知らせようとしていない、そういう批判をされても仕方がないと思うわけです。本当に合意を得て国事行為としてやろうとしていらっしゃるとはなかなか今の時点で思えないわけですね。私どもはこのことについて大変遺憾だと思いますし、今までに決定をされた事柄、私どもは新聞で決定されたというふうにしか聞かないわけですけれども、決定された事柄やこれから決定されようとする事項についての資料の提出を求めたいわけですが、委員長、計らっていただきたい。
○岸田委員長 後刻また、理事会で諮らせていただきます。
○山元委員 当局の姿勢も、考えも聞かしていただきたい、用意があるかどうか。
○多田説明員 大変細かい、いろいろな角度からの検討を必要としておりますので、具体的な資料というふうに考えてもなかなかこういう資料だなというイメージがわきませんで、私どもとしてはもう少し考え、整理させていただいた上でというふうに考えております。
○山元委員 私が申し上げていますのは、国事行為として決定している、あるいは予算が計上されている、しかし、その中身についてなかなか国会に説明がされない、したがいまして、国会の了解、同意だとかあるいは国民の合意というものをつくろうという努力がないのではないかということを指摘しているわけです。そういう意味で、速やかに詳しく資料を提出をされたい、こういうふうに申し上げているわけです。私ども、今の状況でいいますと、事務局が案をつくって閣議決定されて、新聞発表で見る、これでは国会軽視に当たるというふうに考えるわけです。そういう点で、もう少し作業あるいは国会に対する対応についてお考えを聞かしてもらいたいと思うのです。
○多田説明員 いずれにいたしましても、私ども日夜鋭意どういうふうにしていくかということについて検討をさせていただいておりますので、もう少しお時間をいただきたいと思っております。
○山元委員 それで私が申し上げていることは理解はいただいているのだろう、そのことのなには別にして。ですから、今委員長がおっしゃいましたように、理事会で検討していただいて、措置をしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。 次に、即位の礼は、先ほどもありましたけれども、憲法に定めた象徴としての天皇の皇位の継承を国の内外に明らかにする儀式だというふうに考えます。そこで、私は、それは日本国が平和国家である、民主国家であるということを国の内外に強く表明する最高の機会でなければならぬ、こういうふうに思います。そして、こういう憲法を持っている国の象徴たる天皇の即位の儀式として国民が納得をする、合意をする、こういうことが最も大事なことだと思います。そういう意味では、形式や内容について十分論議がされるべきだと思います。例えば、旧憲法下で行われました昭和天皇の場合、君主制や神道的な色彩の濃いものでございましたけれども、そういうものでなくさなければならないというふうに私は思います。そのことについての当局の見解と、そして今進められていることの中身でのそのことへの配慮についてお聞かせをいただきたい。
○多田説明員 私どもといたしましては、先般閣議決定いたしました方針に従いまして、憲法の趣旨に沿って、かつ、皇室の伝統等を尊重したものにするという見地で、現在鋭意検討をさせていただいておるところでございます。
○山元委員 今申し上げました憲法の精神、幾つかありますけれども、例えば主権在民の精神を侵してはならない。そういう形式、内容についての配慮が要ると思うのです。今具体的な儀式のプログラムが明らかにされていない中で論議することは難しいわけですが、例えば君主と臣というような形はとられないと思いますけれども、総理大臣がお祝いの言葉を述べる。寿詞というのだそうでございますけれども、形式、内容についてどのように今考えていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○多田説明員 先ほど申し上げましたように、現在鋭意検討中のものでございますので、具体的には申し上げられませんけれども、いずれにしても、憲法の趣旨に沿って、かつ、皇室の伝統等を尊重したものという基本線を踏まえて儀式立てを行っていくつもりでございます。
○山元委員 憲法の精神と皇室の伝統という言葉が今も使われましたし、新聞発表等でも使われているわけです。新しい憲法の精神と皇室の伝統というものについての違いですね。矛盾するところがあるわけです。伝統というのは、旧憲法下で行われた即位の礼の伝統であります。したがいまして、今簡単に二つ並列しておっしゃいますけれども、いずれが優先されなければならないのかということについては、明確に立場をとらなければならぬと思うのです。その点についてどうですか。
○多田説明員 憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重するということでございますから、憲法の趣旨に沿わないものについては当然にそれはできないということでございます。
○山元委員 どうも、最初に申し上げましたように、具体的なものが提示されていませんから論議しにくいわけです。今のような答弁では、それぞれの判断によって憲法の趣旨に沿う、かつ、伝統に従う、個々の判断によって違うわけでございまして、これは先ほども申し上げましたように、資料の提出によって具体的に一つ一つの儀式が憲法に照らして誤りがないかどうか、国民が納得できるものであるかどうかについては論議をするということで、ぜひ積極的に提示をしていただくことをお願いをしておきたいと思います。これでは論議ができないということです。 天皇が記者会見などで、国の最高法規である憲法を守るという理解を示しておられるのですけれども、しかし、今の状況はどうも政府や宮内庁が古い慣習あるいは伝統というものにとらわれていて、大事な憲法の立場ということを忘れがちになっているのではないか、そういうことでは必ず国民の心は離れていくということを銘記をしていただいてこれからの進行を図っていただきたいと思います。 次に、大綱に、国民の当日における祝意奉表は、別に定めるということになっています。その内容についてどのように考えておいでになるのか、お聞かせをいただきたい。
○多田説明員 祝意奉表につきましては、成案を得次第閣議決定をしていくというつもりでございますけれども、その内容につきましては、現在のところ、国の措置としては国旗掲揚を行うこと、それから地方公共団体一般においても上記と同様の方法により協力方を要望することといったようなことを基本的には考えておるわけでございます。
○山元委員 具体的にまだ少しわかっていない部分があるのですけれども、少なくとも基本的な立場で、国民の合意の中でという立場からも、この際に君が代や特別な行事について強制があってはならないというふうに思います。特に、君が代の問題については、国論が現に分かれていることでもあり、また、真の愛国心というのは強制や押しつけでできるものではない、そういうものではつくられなくて、本当に民族としての誇りやあるいは美しくて平和な祖国、郷土を愛するという、おのずとはぐくまれるような、そういうものでなければならないというふうに愛国心について思います。そういう立場からすれば、この際に君が代やあるいは特別の行事というものが強制されてはならないと思いますけれども、どういう判断をしていらっしゃるか、お聞かせをいただきたい。
○多田説明員 祝意の奉表ということになりますと、天皇陛下の御即位をことほぐ祝賀の意の表明という性格のものでございますので、これは強制ということは当然毛頭考えていないわけでございます。
○山元委員 今のお答えで、強制については毛頭考えていないというお考えです。それでいいわけですけれども、今までの例からいいますと、どうしても地域末端にいきますと、そういう特定の行事が強制をされたりあるいは行事の中身についての強制があるわけです。そして、そういうところでトラブルが起こっていて、要らざる国民感情のあつれきといいますか、そういうものが起こっているわけです。そういう強制というようなことは毛頭考えていないという立場の指導をぜひこの祭徹底をしていただきたいというふうに要望をしておきます。 それからもう一つですが、この即位の礼を政治的に利用したり、あるいは賛美するがごときことがあってはならないし、豪奢にわたってはならないというふうに思うのです。その立場は政府もとろうとしていらっしゃるというふうに聞きますけれども、饗宴の儀が四日間にわたって三千四百名の宮中における饗宴というふうになっているわけです。これは国民の感情からいって、大規模、豪奢にわたる、こういう感情が出てくるというふうに私は思うのです。三千四百人、四日間の饗宴ということについて予定された基本的な考え方というのはどうして決められたのか、お聞かせをいただきたい。
○多田説明員 饗宴の儀の参列者につきましては、宮殿の収容能力等も勘案しながら、天皇陛下が御即位を披露され祝福を受けられるための饗宴という儀式の性格から、数多くの方々をお招きすべきだという考え方でおりまして、両方兼ね合わせて三千四百名程度ということが妥当かというふうに考えた次第でございます。
○山元委員 私が申し上げているのは、できるだけ多くということよりも、多過ぎはしないか、国民的な感情からいって、大規模にわたって豪奢なものになるのではないかというふうに考えないか、そこのところについての配慮はいかがだということをお尋ねをしているわけです。数多くという姿勢だから私が申し上げているのとは全く逆なんですけれども、そこについての配慮はあったのかどうかということをお尋ねしているわけです。
○多田説明員 私どもとしては、数多くなるたけ来ていただくという格好でというふうに考えて対処をしておるわけでございます。
○山元委員 以上で終わります。
○岸田委員長 続いて、山中邦紀君。
○山中(邦)委員 最初に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について質疑を行います。 まず、本件法律案の作成、提出経過について御説明をいただきたい。特に、法の定める皇室経済会議の経過それからこれを受けた提案者である政府の検討経過、それからこの改正法律案の要点は額にあるわけでありますけれども、その算定の根拠を御説明いただきたいと思います。
○宮尾政府委員 まず、お尋ねの第一点は、皇室経済会議での結論といいますか、その議決の内容ということだったというふうに思っておりますが、昨年の十二月二十二日に皇室経済会議を開催いたしまして、そこで内廷費、皇族費の改定問題について御議論がありまして、結論といたしまして、「前回の定額変更後の経済情勢の推移にかんがみ、内廷費及び皇族費の定額をそれぞれ増額することが必要である。」という決議がなされて、内閣に法律の規定に基づいて提出をされたわけでございます。政府としましては、これを受けて、最近の経済情勢にかんがみ、内廷費の定額及び皇族費算出の基礎となる定額を改定する必要があるという考え方に立ちまして今回の法律案を国会に提出をいたした、こういう経緯になっておるわけでございます。 それから第二の点は、改定の基本的な考え方ということだったと思います。今回の内廷費、皇族費の改定の基本的な考え方でございますが、施行法で定められております内廷費及び皇族費の定額につきましては、これは法律の規定でございますから、そのまま据え置くと固定をいたしてしまいます。そこで、当然年が経るごとに物価が上昇するとかあるいは公務員給与が改善をされて上がっていくということがございますので、そういう要素も勘案をしまして定額の一割を超えるような状況が出てくればこれは改定をすべきではないか、そういうことで、昭和四十三年に皇室経済に関する懇談会でそういう基本的な考え方が打ち出されました。 そのことを踏まえて、これまでも一割を超えるような事態が出てきた場合には改定をお願いするということをしてまいったわけでございますが、現在の内廷費及び皇族費の定額というのは、御承知のように五十九年度に改定が行われただけで、六年間そのまま据え置きになっているわけでございます。そこで、その間、東京都区部の消費者物価指数で見ますと、物価上昇率が九・七%になっている、国家公務員の給与改善率も一九・七五%になっておる、こういうことで、これらを総合的に見ますと、定額の増加率は内廷費で一二・八%、皇族費で一四・八%という状況になったわけでございます。そこでこの間、内廷及び各皇族さん方におきましていろいろ経費の効率的な使用等をかねがねお願いをして、御工夫を願っておったわけでございますけれども、こういうような状況のもとで内廷及び各宮家が抱えておる職員につきましても国家公務員に準じて給与改善を今後も続けていかなければならないし、また、それぞれの御日常の御活動、御生活に支障のないような、物価上昇に対応した措置というものも必要があろう、こういうことで、私どもといたしましては、平成二年度から定額改定を行っていただきたい、また、その必要がある、こういうふうに考えておるわけでございます。 それから、積算内訳という御質問がございました。どういうふうにそれを積算して出しておるのか、こういう御質問かと思いますが、先ほど御説明をいたしましたように、物件費的な面は物価上昇率、それから人件費的な面は国家公務員の給与改善率というものを基本としまして、どの程度前回の改定以来諸経費が増高するということになっておるか、こういう積算をしておるわけでございまして、内廷費、皇族費を通じて、積算の基礎としましては、まず物件費と人件費とに区分をいたしまして、御服費とかあるいはお食事費それから御用度費などの物件費については前回の改定時以降のいわゆる東京都区部の消費者物価上昇率、これは先ほども説明したように九・七%、これを乗じます。それから内廷あるいは各宮家でそれぞれ雇っておる人々の人件費については先ほど申し上げました前回改定時以降の国家公務員の給与改善率一九・七五%、これを人件費の額に乗じましてその増加見込み額を算出をし、そしてそこで算出された額の合計額の一割を、これはこれまでの例に倣いまして予測できない支出に充てるための予備的な経費ということでこれに加算をして算出をする、こういうことにいたしておるわけでございます。 ちょっと長くなりましたが以上です。
○山中(邦)委員 今度の改定案も同様であろうと思いますが、従前、数字あるいは時期に関しましては、皇室経済会議の決議がそのまま法律案として提出されて審議を経ている、こういう経過と思われるわけですね。それで皇室経済会議はいろいろ実質的な審議、議論をなさっていると思うのです。もちろん法案提出責任者たる政府はまたチェックするのかもしれませんが、実質の議論は経済会議でなされておる、このように推察しますけれども、そのとおりでしょうか。
○宮尾政府委員 皇室経済会議は御承知のように皇室経済法の中に規定がございまして、その職務権限は内廷費及び皇族費の定額の変更、それから皇族が初めて独立の生活を営むことの認定、皇族がその身分を離れる際に支出する一時金額の認定、こういう具体的な審議事項といいますか所掌事務といいますかそういうものを掲げておりまして、内廷費及び皇族費の今回のような定額の変更については必ず皇室経済会議の議を経る、こういうことが法律上も要件となっておるわけでございます。そういう意味で私ども政府といたしましては、皇室経済会議の議を経て内閣に報告されましたその決議を尊重して、今回、経済法施行法の改定を国会にお願いをしておる、こういうことでございます。
○山中(邦)委員 わざわざ皇室経済法がこの経済会議を設けているのでありますから、これを尊重するというのは当然だと思います。それからいいますと、実質的な審議経過は経済会議にある、このように思うわけであります。この内容について明らかにしていただきたいと思います。
○宮尾政府委員 皇室経済会議の議決の結果につきましては、先ほど申し上げたように平成二年度から改定をすることが適当である、すべきである、こういうことでございます。 お尋ねは、恐らくその審議の中身等を公にできないか、こういうことでございますが、皇室経済会議は両院議長、副議長あるいは総理大臣、大蔵大臣といったような関係の方々八人の構成メンバーによりまして合議制の機関として設置をされておるわけでございまして、そういう合議制の機関であるという性格からいたしまして、各議員の自由な発言を保障するという観点から、その審議内容につきましてはこれまでも公開をしない、公表をしないという取り扱いにいたしておるわけでございますので、御了承をいただきたいというふうに思うわけでございます。
○山中(邦)委員 そうすると政府は、経済会議が提出してきた結論についてどういう方法でそれをチェックしているのか、専らその結論を尊重して法律案に直して提出名義者になっている、こういうことなのであるか、この一点。 それから、経済会議については皇室経済法に規定があるわけでありますが、内部のその他の会議の運営とかいうようなものを決めた規則のようなものがあるのでありましょうか。 この二点をお伺いしたいと思います。
○宮尾政府委員 皇室経済会議で御審議をいただいてそこで得ました結論につきましては、この皇室経済法の中にも規定されておりますように、まず内閣にその意見が提出をされるわけでございます。内閣にその意見の提出がありますと、内閣はその内容をなるべく速やかに国会に報告をする、こういうことになっておりまして、国会にもその決議内容というものは御報告になっております。 政府が経済法の改正法案を提出するに当たりましては、そこに経済会議から提出された内容というものを判断し、それから、そういう改正をする必要というものを認めた場合には、これは当然法律案ということで閣議決定を得まして国会に御提出しておる、こういうことにいたしておるわけでございます。 それから、もう一点の経済会議の会議規則的なものがあるのか、こういうことでございますが、そういう会議規則というようなものは特に定めておりません。
○山中(邦)委員 ただいまのお答えについて端的に結論をもう一回お伺いしたいわけであります。 政府は皇室経済会議から決議の理由と結論、これは国会に報告されたもの、これを受け取って、これを尊重してそのまま法律案として提案をしてくる、こういう経過になりますか。もちろん提案者としては、改定の必要があるかとか、金額について妥当であるかとかいうような判断はするでありましょうけれども、実際論として経済会議の結論に従う、こういう実情にあるわけですね。
○宮尾政府委員 皇室経済会議にどのようなことがお諮りになられるかということは、当然事務的なことも担当いたしております私ども宮内庁においてもお手伝いをいたしておるわけでございます。そういう中で、この会議で議長から御提案になる内容については、十分いろいろな事務的な検討というものは私どもとしても当然いたしておるわけでございます。 それで、皇室経済会議での結論というものは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、理由として述べられておりますように、「前回の定額変更後の経済情勢の推移にかんがみ、内廷費及び皇族費について、それぞれその定額を増額することが必要である。」そういう具体的な改定理由もつけられておりますので、そういうことを踏まえまして、政府としては、この改定をすることの必要性というものを十分判断をしながら考え方を決めて国会に法案を出す、こういうことにいたしておるわけでございます。
○山中(邦)委員 長い御説明で、結論的な部分ははっきりおっしゃっていないわけでありますけれども、要するに、宮内庁の皆さんは経済会議には相当の資料を提供される、経済会議はいろいろな観点で公開性はない、そして、結論を内閣へ伝え、内閣は自分の責任においてそのままの法律案を国会に出す、こういう経過と伺っておきます。それでよろしいかどうか。 それから、先ほど算定基礎についてのお話がございました。物価指数あるいは公務員の給与の上昇率、これを片方に置きまして、他方に内廷関係の物件費、人件費の割合を出してまいりまして、そして上昇率を出す、こういうことでございますね。内廷費の場合はわかりますけれども、皇族費の場合は算出基礎の定額ということになっておりますから、これについても同じ経過をたどるものであるのか。 それから、実際に今回の改定案について物件費、人件費の比率はどういうものであるのか。お聞かせを願いたいと思います。
○宮尾政府委員 先ほどの御答弁に関連をしましてお尋ねがありましたが、これまでの皇室経済会議と法案との関係につきましては、政府としてもその検討をした結果、同じ必要性があるというふうに認めて、皇室経済会議での御結論どおりの改正をこれまでもお願いをいたしておりますし、今回もそういう形になっておるというふうに御理解をいただければありがたいと思います。 それから、皇族費については人件費とか物件費とかというようなことをあれするのかということでございますが、皇族費については皇族お一人のいわば定額ということが基礎になっておりますが、想定といたしましては、親王並びに内親王という御夫婦の単位というものを一つの設定といたしまして、そしてそれを基本にして、一つのいわば家庭といいますか世帯といいますか、そういうものでございますから、人件費もそれなりにかかるし、物件費もお一人の場合と違っていろいろな物件費がある。そういうような設定をいたしまして、それぞれの物価上昇率、あるいは人件費といいますか、公務員給与の改善率等をそれにかみ合わせながら定額の算定をする、こういうことにいたしておるわけでございます。これは先生も御承知のように、親王一という場合に親王妃についてはその二分の一ということになっておりますから、そういう条件もそれに加味をして計算をしていくということになります。 それから、人件費、物件費の割合ということだと思いますが、内廷費につきましては約三分の一、三四%程度が人件費の要素を占めておりまして、残りの約三分の二、六六%程度が物件費ということになっております。 皇族費については、細かい数字は今手元にありませんが、これは各皇族、宮家ごとに違いますけれども、物件費が大体四八%程度、人件費が五二%程度、こういうのが現在の割合であると考えております。 先ほど親王と内親王と申し上げたようですが、親王と親王妃でございますから、ちょっと訂正させていただきます。
○山中(邦)委員 基準として昭和四十三年十二月二十六日皇室経済に関する懇談会決定を引用されましたが、これを見ますと、物価の趨勢、職員給与の改善その他の理由に基づいて算出される増加見込み額が、定額の、これまでも定額でありましょうが、一割を超える場合に改定を実施するという決定でございます。増加見込み額が一割を超える場合というのは、ちょっと理解に困難な点がございます。一割を超えないでずっと経過をしておった場合は、これまでの定額に照らして俗に言えば赤字が生ずる状態が続いているのか。この辺はどういうことになっているのでありましょうか。
○宮尾政府委員 昭和四十三年にそういう懇談会の基本的な考え方というものをお決めいただいて、それ以降は人件費あるいは物件費のアップ率等を勘案しながら、いずれも一割を超えて改定をお願いしているというのがこれまでの経緯であります。 そこで、一割に届かないでずっと継続すれば赤字が続いてしまうじゃないかという御趣旨の御質問だと思いますが、一つには、この定額算定の積算基礎の中には、先ほどもちょっと申し上げましたように、不時の支出による予備的な経費というようなものも若干見込んであります。確かに七%とか八%、九%というような時代がずっと長く続けば、各内廷あるいは宮家の経済状況は大変苦しいことになるわけですが、これまで一割を超えるまでできるだけ待ってということでお願いをしておりますのは、それぞれにいろいろ御工夫を願って、赤字を出さないようにできるだけ御節約願うところは願うということも時にはあったわけでございます。そういうことで、私経済のことですから現実に赤字が出たのか出ないのかということは我々ちょっと具体的に申し上げることはいかがかと思いますが、赤字の出ないような御工夫も大変なさっていただいておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○山中(邦)委員 これまで伺っておりますと、これら内廷費及び皇族費の算定の基礎定額は、大分以前に決めた数額を物価上昇率その他を用いてスライドをさせて現在に至っている、このように理解されるのでありますけれども、法律の改正経過を見ていきますと、恐らく昭和二十二年あたりに決めた数字をスライドさせているのではないかと思われるわけであります。これは、数十年のいろいろな社会生活上の変動などを考えますと、こういうことでよろしいのかという気がしてならないわけであります。 そういう観点でさらにもう少しお伺いをしたいわけでありますけれども、内廷費を例にとって、内廷費の場合は専ら毎年支出される内廷費の定額のみによって収支が賄われているのであるのか、それから内廷職員あるいは各皇族の職員の方々の給与体系は国家公務員の給与体系に従っているのか、そして公務員の給与改定に従って条件が変わっているのか、それから、物価の上昇率に比例をして内廷費中の支出の物件費、公務員の給与の上昇率に従って人件費が増加をしてきているのか、この点はいかがでしょう。
○宮尾政府委員 一点目の御趣旨は、定額というものは据え置かれるわけですから、物価や賃金、公務員給与が上がれば当然その分が経済に影響を与えてくるわけです。そういう中でいろいろなやりくりをして御節約を願うような御工夫もいろいろなさっていただいておるわけですが、そういうことでいわゆる赤字とかなんとかというようなことにならないような経済運営といいますか、そういうことをしていただいておるということでございます。それから我々の家庭でもそうでございますが、我々の収入を全部使うというようなことでなくて不時の出費等に備えた貯蓄というようなものは当然するわけでございますが、内廷の場合にも、例えば支出の残があるようなときには、それと同じような考え方で、人件費、物件費等が相当上がってまだ改定をされないような時期にそういうものを工夫してお使いになるというような工夫は当然なさっておるわけでございます。
○山中(邦)委員 今の点についてもう一つお答え願いたいのですけれども、内廷費、毎年国から支出される範囲内だけでの収入ということになるのか、これはいろいろな工夫をなさって、国から支出されるもの以外の収入というのもあるのかという点も含めてお答えを願いたい。 それから、物価と人件費の上昇指数を用いて改定率を算定しておられるわけでありますけれども、実際に例えば内廷費の中の人件費、物件費はその数字によって上昇しているのか。指数的なことはわかりますけれども、実額はどういう関係になるのか。その一例として、内廷職員などの方々の給与体系は国家公務員の給与体系に従っているのかという点をお尋ねしたわけであります。
○宮尾政府委員 今の第一点目につきましては、先ほど申し上げたようなことで、何分これはそれぞれのプライバシーの問題にもわたってくる問題でございますので、詳細な点は、先ほどのようなやりくりというような中で処理されているというふうに御理解いただければありがたいと思います。 それから、人件費、物件費というのは、例えば公務員給与が上がったり物価が上がったりするのにスライドして、現実にそれぞれそういうふうに上がっているのかということでございますが、人件費につきましては内廷あるいは宮家いずれにおきましても国家公務員の給与体系に準じた措置を行っております。したがいまして、人事院勧告に基づく公務員の給与改善が行われれば、それと見合ったものをきちんと給与を改定して上げているというやり方をしておりますので、これは確実にそれだけの所要経費は必要になってくるわけでございます。それから、給与以外の、例えば保険だとかその他もろもろの体系に属するものにつきましても、公務員と全く同じような形で運用をいたしております。 それから、物価が上がったらそれだけ物件費の支出が同じようにふえるのかということでございますが、この物件費につきましてはいろいろな御工夫があり得ると思うわけでございます。例えばことしのものを来年に延ばすということも我々の家庭の中では十分行われることでございますし、あるいは若干経済に応じた物の購入をするというような御工夫もあり得るわけでございまして、そういう意味では御工夫によってそういうもののしのぎはいたしておりますけれども、標準的な考え方をすると、物価が上がれば物件費は当然上がると御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○山中(邦)委員 この改定方式は、昭和二十二年、皇室経済法施行法の発足当時は、それぞれの関係の方々の実生活上の数字に合っておったのでありましょうか。そして、その後スライド方式でずっと改定を加えながら現在に来た、こういう経過でありましょうか。以前とは社会状況は大きく変わっているわけでありますから、皇室経済法の定める日常の費用などあるいは品位保持の資に充てる費用という観点から、そういうスライドとかいうようなことでなしに、実際面から考えて改定の数字を出していくべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○宮尾政府委員 御質問にありましたように、内廷費について言えば、制定当時、これは昭和二十二年にそういう制度をつくったわけでございますが、事柄ごとにいろいろな項目を設けて積み上げ算定をするというような方式は確かにとられておったわけでございます。 ただ、その後の経緯を見ますと、例えば内廷にあります皇族の御結婚あるいは皇孫の御誕生とかいうようなことによって、現実に構成員そのものにも相当変動がございました。それから、そういうことをその都度細かく算定をしていくことは非常に大変で複雑なことをしなければならないということが一つあります。 それからもう一つは、我々の家計でもそうでございますが、どれだけ支出が必要となるから収入をこれだけということにはなっておらないわけでございまして、やはり入るをはかって出るを制するというような、言ってみれば経費の効率的使用ということはどこの家庭でもいたしますし、内廷あるいは各宮家等においてもそういう御工夫というものはそのときどきに応じてあってもよろしいわけでございます。ただ、絶対的に足りないという状況が続くようでは困りますけれども、標準的なものを設定して、そしてその基礎となるものに、その後の変動要因というものを物価と人件費、こういう考え方で補正をしていこうという考え方が出てまいりまして、昭和三十九年度の改定あるいは四十九年度の改定というところでだんだんそういう考え方をやってまいりました。またそういう考え方については、先ほどの皇室経済に関する懇談会でも、そういう考え方に従いまして、物価上昇率あるいは公務員給与改善率等を勘案して、その伸びを計算して、それが一割を超えた場合には改定を検討してしかるべし、こういう基本的な考え方をお立てになって、お示しになったわけでございます。私どもは、こういう経過を踏まえ、またそういうやり方が一番現実的なやり方に合っていると考えておるわけでございます。
○山中(邦)委員 ただいまのお話によりますと、昭和二十二年の当時は、生活上の項目に従って実情を勘案して額を決めたように伺いました。またその点も国会の審議の対象になったと考えられるわけであります。そういう観点に立って、実際の内廷費あるいは皇族費がどういう額で使われているか、大まかな項目で、概数でもよろしいわけですが、二十二年当時の考え方に従って委員会に出していただけますか。そのような御用意があるか。きょう出していただけるのであれば、概略でもいいから述べていただきたいと思います。
○宮尾政府委員 皇族費、内廷費の中身といいますか、そういう御質問だと思います。 これは御承知のように経済法にもそういうふうに規定をされておりますが、内廷費は国庫から支出をされますと御手元金ということになりまして、宮内庁の経理に属する公金ではなくなるわけでございます。したがって、内廷費の例えば支出の具体的な中身を申し上げるというようなことになりますと、内廷の御日常の生活の細部にわたっての内容を述べるようなことになりまして、それはいわゆるプライバシーの問題にも触れるというふうに考えられますので、これまでもそうでございますが、御質問ではありますけれども、それを公にすることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。 ただ、それでは審議ができないではないかという御議論も確かにあろうと思いますが、これまでもこの定額改定の際に御質問があった場合には、参考としまして最近の内廷費の支出状況の目安をつけていただくという意味で、近い数年間の平均的な支出の状況を比率で申し上げておるわけでございます。今回もそういうふうな意味で、割合がどんなふうになっているかを申し上げて、その状況、概況を御判断いただければというふうに思っておるわけでございます。 そこで、まず内廷費について申し上げますと、内廷費の人件費と物件費の割合は、先ほどもちょっと触れましたように三四%と六六%、こういうふうになっております。 それで、人件費は何か、こういうことですが、これは例えば宮中祭祀を預っておる掌典職員だとか、あるいは御生研、生物学御研究所で勤めていただいておる職員だとかいうような、内廷で給与を払い内廷職員としての身分を持っておる者が二十五人おりますが、これについては先ほど申し上げましたように国家公務員とほとんど変わらない、それに準じた処遇をいたしておりまして、そういうものに必要な経費であります。 それから物件費の方ですが、これは全体で約六六%と申し上げましたが、その内訳を申し上げますと、御服装とかお身回り用の御用度の経費として一八%程度、それからお食事、御会食、厨房器具等の経費が一三%程度、奨励金、賜り金その他御交際上の経費が九%程度、御研究、御教養関係の経費が七%程度、百中祭祀の関係の経費が八%程度、その他雑費が一一%程度、こういうふうになっておるわけでございます。 概略でございますが、内廷費の関係は以上でございます。
○山中(邦)委員 前回改定以来六年以上もたっている、また、その間物価の上昇などあったということはよくわかるわけであります。一般論としてでありますが、ただいまのお答え中の支出されれば公金の性格を失う、これもよくわかります。しかし、改定について国会が審議をし、議決をするということが条件になっておりますと、差し支えない範囲での実額の審議資料の提示というのは私は必要ではないかと思います。割合だけの問題ではなかろうと思います。割合からあれこれ回りくどい計算をしながら大分上げなければならないという結論を出すこともできましょうけれども、端的に、概数でもいいから実額で検討するのが最も簡明であろうというふうに思うのであります。 そういう意味で、きょうは法制局の方もお見えのようでありますから、一体この皇室経済法施行法の審議について他の法案の審議と違った独特の何か制限があるのか、この点についてどう考えておられるのか伺いたいと思います。
○宮尾政府委員 先ほども申し上げましたように、例えば内廷費であれば御内廷のいわば台所に首を突っ込むような話になってくるわけでございまして、私ども、そういう意味では、今御要求のありましたような具体的な内容を申し上げるということは、これはプライバシーの問題ということもありましてぜひ差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。 ただ、一方、その中身がわからないとよく審議ができないではないかということも、これはまた国会のお立場からいえば当然のことでございます。非常に板挟みになって苦しいわけでございますけれども、やはり直接的なそのことを申し上げるということは差し控えさせていただいて、先ほど申し上げましたような概略の比率というもので、やや間接的なお答えかもしれませんけれども、そういうことで御理解をいただければ大変ありがたいというふうに思っているわけでございます。
○山中(邦)委員 ただいまのお答えは、法制局とも打ち合わせ済みのお答えですか。
○宮尾政府委員 宮内庁の立場で申し上げたお答えでございます。
○山中(邦)委員 法制局の方は、今の点について。
○大森政府委員 ただいま宮内庁の宮尾次長からの答弁につけ加えることは余りないわけでございますが、ただ一般論を申しまして、委員会あるいは国会審議の方法とか程度いかんというお尋ねにつきましては、私どもの方からあれこれ申し上げるのはいかがかというふうに一般的には考えます。ただ、あえて申し上げますれば、ほかの法案と一般的には審議の方法、程度について違いはないというふうに考えている次第でございます。
○山中(邦)委員 私もただいまのお答えが当然だというふうに思っております。皇族費について、男女の差別を問題にしなければいけない時期も来るかもしれないわけであります。また、身分によって皇族費の算定基礎の定額より少ない給付を受ける方もおられます。これは、皇室経済法の問題ではありますけれども、そういう問題もやはり国会の自由な議論の対象にしなければならないと思うわけであります。支給を受けたそれぞれの方々のプライバシーの問題、もちろんこれはあるでありましょう。しかし、金額について国会の議決を要するとなっているのは、これはどこかで良識のある線を引く、できるだけ改正案の審議に役に立つような実際上の資料を出していただく、これが大事ではないかと思います。今のように昭和二十二年の数字をもとにスライド、スライドでやっていって実際に合うのかということは大変疑問だと思います。提案者におきましても、今後はもっと内容を委員会に出していただくように要望をしたいと思います。 皇室経済法の施行法の関係ではその程度の質疑にとどめさせていただきたいと思います。 次に、即位の礼の関係で、先ほど山元委員から詳細な質問がありましたけれども、私も補足させていただいて、さらに大嘗祭関係についてお尋ねをしたいと思います。 即位の礼の中心になります正殿の儀の具体的な構想いかんということの質問が盛んにあり、検討中ということで終わったわけでありますけれども、私どもは、即位の事実をどういう方法で宣明をするのかということについては非常に関心があるわけであります。検討中というお話でありますから、こういう点についてはいかがでありますか。 戦前は、新天皇が高御座に上って、笏を持たれて、「朕惟フニ我カ皇祖皇宗」に始まる勅語を下されて、首相が寿詞を奉答し、万歳を三唱する、こういうやり方であったようであります。これはこれまでの皇室の伝統の一環をなすと言えば言えるわけでありますから、こういうやり方を構想しておられるのか。こういうことでありますと、前後の諸儀式とともに考えますと、神である祖先から天皇の地位を継承し、万世一系の神の子孫としてわが国を統治する、こういうやり方の儀式になるわけであります。 憲法の趣旨に沿い、皇室の伝統を尊重しというのはどういうことを考えておられるのか。具体的な構想が別であれば、理念的なことで今の点をポイントにしながらお答えをいただきたいと思います。
○多田説明員 具体的な儀式立てにつきましてはもう少しお時間をいただきたいと思いますが、基本的な考えとして、神の子あるいは神の子孫として私はここに即位したというような流れは当然あり得ないだろうと考えております。
○山中(邦)委員 例えば、天皇が象徴たる地位についた旨を国民にあいさつをされまして、憲法を遵守して国事行為に当たる旨をお述べになれば、これが正殿の儀のポイントではないかと思います。昨年八月四日の記者会見におきましても、現天皇は大体これに沿うような感じで、憲法に従って行動なさる旨をおっしゃっているわけでありますから、こういうことは考えられないのか、またこの点について天皇御自身のお考えはどうなっているのか、お尋ねを申し上げます。
○多田説明員 再々申し上げておりますが、憲法の趣旨に沿ったものにするという考えでいろいろ考えておるところでございますので、そこでいろいろお酌み取りをいただきたいと思います。 具体的にどんな形でやるかということは今申し上げるまで詰まっておりませんので、御容赦をいただきたいと思います。
○山中(邦)委員 繰り返しになりますけれども、憲法は、前回の即位の礼の後になってできているわけでありまして、これまでの皇室の伝統は皆現憲法の前のもとにあった伝統であります。その辺を私どもは指摘をしているわけでありまして、伝統というけれども、殊に即位の礼でありますから、やはり主権の所在に関連して伝統が形成されているわけであります。一体伝統のどの点をどう尊重されるか、いろいろお考えだということでありますけれども、理念的にはもう方向は出ているはずではないか。そうでなければ、国事行為として即位の礼を行うも、あるいは予算措置を講ずるも、実施本部をつくるも、できないはずではないかということで申し上げているわけであります。一体伝統のどの部分をどう尊重されるか、抽象論でよろしゅうございますから、いかがでしょうか。
○多田説明員 日本国憲法が象徴としての天皇というものを位置づけております。したがって、その天皇というのはほかならぬ今までずっと流れてきた天皇の系といいますか、そういう形で憲法が認めていることは事実でございますので、憲法に抵触しない範囲内で過去の流れを生かしていくというか、伝統を生かしていく、そういう考え方は、基本的な考え方としてやはり必要ではないかというふうに考えております。したがって、憲法の趣旨に沿わないものは絶対にやらないということでございますが、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したという基本的な姿勢で儀式立て等を考えておるところでございます。
○山中(邦)委員 今のお考えに従ってなるべく早く案を公表され、国民全体の意見を参照されて決定に至る、こういう経過をたどっていただきたいというふうに思うわけであります。 ところで、政府の即位の礼関係の準備状況は、検討委員会、準備委員会それから即位の礼委員会と経過したようでございますけれども、特に大嘗祭関係で公にされた見解は、準備委員会が平成元年十二月二十一日にまとめた「「即位の礼」の挙行について」これがそのまま現在でも政府の公式な見解と伺ってよろしゅうございますか。
○多田説明員 そのとおりでございます。
○山中(邦)委員 もう一つ確認さしていただきたいのですが、これらの委員会に対応して宮内庁では、大礼検討委員会、準備委員会、委員会と設けて表裏一体となって審議を重ねてきた、こういうことのようでありますが、大礼というのは何を指すのか。宮内庁が本年一月十九日に明らかにした「大礼関係諸儀式等(予定)について」を見ますと、即位の礼と大嘗祭が一体となって大礼として構想されているように見えますけれども、そのとおりであるのか。もし一体として構想しておられるのであれば、その理由は何かをお尋ねします。
○宮尾政府委員 昨年の十二月に政府が示した見解の中では、大嘗祭の取り扱いについては、国事行為として行わない。即位の礼の範囲というものを定め、それ以外の大嘗祭その他の問題についてはこれは国事行為として行われないわけでございますから、皇室の行事として行うということになるわけでございます。 皇室の行事といたしましては、大嘗祭関係の諸儀式も当然ありますが、即位礼に絡む諸儀式というものも、例えば期日奉告の儀というものは既に先般行われましたが、これは即位礼と大嘗祭の期日をあわせて奉告する、こういうことになりますから、これは皇室の行事として行われておるわけでございます。そうしますと、そういう意味では、宮内庁の立場といたしましては皇室行事全般についてお手伝いをしなければならないということになりますので、簡潔な表現でそれを言うとすれば、即位礼、大嘗祭関係の皇室の行事としてのものを検討する、こういうことになるわけでございますので、それをいわば過去の使い方として大礼という使い方がありましたのでその文字を使っておるわけでございます。即位礼と大嘗祭を一体としてやるという意図のもとにそういう大礼というような名前をつけておるというようなことでは全くございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
○山中(邦)委員 大礼という用語は、旧憲法時代から即位の礼と大嘗祭を一緒にしたものとして起源をもっと以前にさかのぼるようでありますけれども、これはそういう概念であろうというふうに私は思うのであります。実際にも、ただいま引用しました儀式等の予定については平成二年一月二十三日から恐らく本年の年末に至るでありましょう。最初に賢所に期日奉告の儀、最後に大嘗祭後大嘗宮地鎮祭、数々の儀式が連ねられておりまして、その中に即位礼正殿の儀などが国事行為として入っておる。前段階の儀式を引き継いで即位の礼に入り、国事行為としての即位の礼を終えて、さらに大嘗祭につながっている、こういう考え方でとらえられているというふうにしか私には思えないのでありますけれども、どうでしょうか。
○宮尾政府委員 ただいま御質問の中にありました大礼関係諸儀式等の予定というのは私どもが作成をした資料であろうと思いますが、例えば、先ほど申し上げました期日奉告の儀というのは、即位礼と大嘗祭の両者の期日を奉告するわけでありまして、そういう両方に絡む諸儀式というものも幾つかあります。しかも、十一月十二日に即位礼正殿の儀は行われる、こういう御決定をなされ、それから大嘗祭は十一月二十二日から、こういうことになっております。いずれにいたしましても、こういう国事行為として行われる即位の礼関係の行事、それから皇室行事として行われる大嘗祭を中心としたそのほかのもろもろの行事というものは、皇室のいろいろな伝統的なやり方に従いますと、非常に期日を接して諸行事がいろいろ出てまいります。これを一覧性があった方がよかろうという意味であえて国事行為として行われる即位の礼関係のものもこの中に便宜入れまして、例えば報道関係等にもこういう資料で説明をしたり、国会の先生方にも、御要望があれば、即位礼関係を込みにした表としてそこに印をつけて理解の便に供するためにそういう資料を作成しておるわけでございますので、その点は、最初から宮内庁は即位の礼も大嘗祭も合わせて、ずっと一括して、同じようなやり方で昔どおりいくだろうというような御理解はなされないようにぜひお願いいたしたいと思います。
○山中(邦)委員 ちょっと真相から離れたお答えではないかと思っておりますけれども、大嘗祭の政府の見方、これについて平成元年十二月二十一日の「「即位の礼」の挙行について」の文章を検討しながらお尋ねをしたいわけでありますけれども、儀式の位置づけに関しましては、宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定することはできない、結局、宗教上の儀式としての性格を有する、こういう御判断だと思いますが、これはどういう観点からでありましょうか。
○大森政府委員 先般も、大嘗祭の趣旨、目的については宮内庁の方から答弁があったわけでございますが、大嘗祭の中核と申しますのは、神事をつかさどる掌典職の関与のもとに、大嘗宮におきまして天皇が新穀を皇祖及び天神地祇にお供えになって、みずからもお召し上がりになる。そして、皇祖及び天神地祇に対し安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに、国家国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念される儀式であるというふうに説明されておりまして、これを前提といたしますと、社会通念上、神に対する信仰に基づくものであると評価せざるを得ないと考えられますので、大嘗祭が宗教上の儀式としての性格を有すると見られることはこれを否定することができないと考えた次第でございます。
○山中(邦)委員 そうしますと、宗教性とは神道の性格を帯びておる、こういうことでありましょうか。 それから、皇祖といいますのは具体的にはどなたを指すのでありましょうか。
○宮尾政府委員 第一点は、宗教上という意味でのあれは神道か、こういう御質問かと思います。大嘗祭は皇室の伝統的なやり方に従って行われるということを考えておりますが、皇室は御承知のようにいろいろな祭祀を行っておりますけれども、それは長い伝統に基づいた皇室の独自のやり方といいますか、正確に言うならばそういうことであろうと思います。 ただ、神道かどうか、こういうのが質問のポイントかと思いますけれども、仏教形式か神道形式かキリスト教形式かというようなそういう大きな流れの中で言えば、それは神道という形式の分類に入るだろうというふうに考えておるわけでございます。 皇祖は何かという点でございました。この中にも「皇祖」という言葉が出てまいりますが、皇祖はアマテラスオオミカミを指すというふうに考えております。
○山中(邦)委員 それからさらに「「即位の礼」の挙行について」の中では、その儀式の「態様においても、国がその内容に立ち入ることにはなじまない性格」だというふうに述べております。これは、具体的には儀式のどういう態様を指して言っていることでありましょうか。
○宮尾政府委員 儀式の態様といいますのは、大嘗宮での中心的な儀式におきまして、その儀式の進行というのは、これは天皇陛下が御みずから皇祖及び天神地祇に対しまして御親供をなされ、それから御みずからも召し上がり、そして皇祖、天神地祇に対して安寧と五穀豊穣などを感謝をする、そして、将来とも国家国民のために安寧と五穀豊穣をさらに祈念をされる。天皇御みずからがおひとりで御主宰になるそういう儀式の性格といいますか態様、こういう意味であります。 そういう儀式の態様というものは、そういうことを考慮して、内閣の助言と承認というような形で行われる国事行為にはなじまない性格がある、こういうふうに述べておるものというふうに理解をいたしております。
○山中(邦)委員 そういう認識に立てば、大嘗祭が、殊に戦前は、我が国を支配する神の子孫であるという建前で、万世一系の天子の地位につかれるという即位の礼の一環をなすという建前で伝承され、慣習となってきたということも考えられるわけであって、これは新嘗祭と同性格であるというふうに考えられ、内廷の仕事として終始するというのが当然ではないかというふうに思うわけであります。殊に、旧皇室典範にあった大嘗祭が新典範ではこれが除去されている。これは新憲法のもとで大嘗祭の位置づけを行ったものだと考えられるのでありまして、新嘗祭と性格が異なるというのは当たらないというふうに思います。新嘗祭の大規模な同性格なものだというのが実際ではないかと考えますが、どうでしょう。
○宮尾政府委員 新嘗祭も、お説のようにその年の五穀豊穣を感謝し、また、国家、国民のために安寧を祈願をする、こういう点については同じというふうに言えることは確かでございますが、いずれにしても大嘗祭は、毎年の要するにそういう皇室が行っておられる祭祀とは違いまして、これは即位がありたときに必ず一世一度の非常に大きな皇位継承儀式としてこれまで非常に長い間伝統的に受け継がれてきておる、こういうものでありますし、憲法に定められておりますように皇位というものが世襲制ということになっておりますからには、そういう伝統的な皇位継承儀礼というものを新嘗祭とは違った性格づけとして位置づけることは当然のことであると考えておるわけであります。したがいまして、要約して言えば、毎年行われる新嘗祭と大嘗祭の違いというものは、そういう皇位継承儀礼という点において大嘗祭は違っておる、こういうふうに考えておるところでございます。
○山中(邦)委員 大嘗祭について公的性格があるという評価をなさって、これが費用を宮廷費から支弁することの理由である、こういうことでありますが、公的性格というのは法律用語としては余りなじまない言葉だと思います。どういう要件を備えたら、どういう法律的な効果を持つのが公的性格であるのか、この辺はどういう検討をしておられますか。天皇の公的行為とは別に、公的性格ということで公費の支弁を理由づけておられるということですので、そこを明らかにしていただきたいと思います。 〔委員長退席、鈴木(宗)委員長代理着席〕
○大森政府委員 委員御指摘のとおり、従前から天皇の行為につきましては、国事行為、公的行為及びその他の行為というふうに三つに大分してきているわけでございますが、そのうちのその他の行為、すなわち国事行為、公的行為以外の行為の中にも、純粋に私的なものと公的性格ないし公約色彩があるものとに区分されるであろうという考えをとっているわけでございます。 そこで、しからばその公的性格ないし公的色彩というのはどのような意味であるかということがお尋ねのポイントであろうと思いますが、それを天皇及び皇族の行為に限定して申し上げますと、天皇及び皇族のある行為がその行為の趣旨、性格等からして純粋に私的な行為にとどまらず、国として、ここが要点でございますが、国としてその行為を行うことについて関心を持ち、人的または物的側面からその援助をするのが相当と認められる側面を有することを公的性格がある、ないし公的色彩があると言っているわけでございます。
○山中(邦)委員 納得できない御説明でございます。公的性格があるということの法律的な効果が宮廷費を支出するということになってきているわけでありますから、国が関心を持つということと実際は同じことを言っているわけで、循環論法だと私は聞きます。 それから、この公的性格は大嘗祭についての評価でありまして、これに従事する天皇の行為の性格そのものを言っているわけではないというふうに思うわけであります。その根拠として、皇位が世襲であること、一世に一度の極めて重要な伝統的儀式であるということ、これは公的性格を裏づけるものではないというふうに申し上げておきたいと思います。 皇位が世襲であることはそのとおりでございます。しかしながら、旧憲法下の世襲と、新憲法のもとにおいて国民が天皇に象徴である地位を認め、そうしてその世襲を容認したということは大いに違うわけであります。これまでの旧憲法に至るまでの経過において、なるほど一世に一度の重要な皇位継承の儀式として皇室が位置づけたではありましょうけれども、これを新憲法のもとにおいても国が深い関心を持つべきだ、持っているんだというのは、これは当たらないというふうに考えるわけであります。宗教的な性格を認め、なおかつ、国事行為として行うのが困難であるということであれば、この大嘗祭は新嘗祭と同様、天皇の私的行為の性格を持つとしか考えられないというふうに思うものであります。公的性格があるとして国費を支弁するというのは、こういう大嘗祭の認識のもとでは不当であるというふうに申し上げておきたいと思うわけであります。 実際は、政府においては大嘗祭について宮廷費を予算に組んでいるわけですから、その内容を質問したいと思いますけれども、大嘗祭にかかわる費用一切、大嘗官の設営その他、これが宮廷費に算定されている、こういうことでございますか。
○宮尾政府委員 大嘗祭に関係する諸経費はすべて宮廷費でお願いをいたしておるわけでございます。
○山中(邦)委員 これは内廷費の中で処理をするということも考えられ、そういう意見も現にあったわけでありますけれども、そういう方針をとらなかったのはどういう理由ですか。
○宮尾政府委員 お説のように、大嘗祭に要する経費を内廷費で支弁したらいかがか、こういう御議論もあったことは承知をいたしておるわけでございますが、しかしながら、大嘗祭は皇室の行事ではありますけれども、先ほどからるる御説明を申し上げておりますように、皇位が世襲であることに伴います一世に一度の極めて重要な伝統的皇位継承儀式としての公的性格があると考えられまして、その費用は宮廷費から支出することが相当である、こういうふうに政府としても昨年の末にそういう見解を示されておりますので、内廷費という支出ということは考えておらず、宮廷費でお願いをいたしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○山中(邦)委員 いずれ大嘗祭の費用を国費から支弁するというのであれば、宮廷費から支出をしなくても即位の礼と同様に総理本府の費用から出しても大同小異というふうに私は思います。百歩譲って国費を出すとしても、内廷費から出すのがこの大嘗祭の性格からいって当然ではないかと思うからでございます。 大嘗祭におきましては、ただいま言った大嘗宮の宮殿の設営その他諸行事については、宮内庁の職員が公務員として参加をされるのですか。
○宮尾政府委員 大嘗祭は皇室の行事ということで行われる予定とされておりますから、宮内庁法の定めるところにより宮内庁としてはそれを全面的にお世話を申し上げ、お手伝いをしなければならぬ、こういう立場にございますので、そういうことになるわけでございます。
○山中(邦)委員 宮内庁は「皇室関係の国家事務及び政令で定める天皇の国事に関する行為に係る事務を掌り、」これが第一条の規定でございます。第二条には、細分して、「皇族に関すること。」「儀式に関すること。」などの記載もございますけれども、公務員として参加をするというのは、単に大嘗祭の行事を国が手伝うということ以上の公的な行事、国家事務に該当する取り扱いだというふうに考えますが、どうですか。
○宮尾政府委員 宮内庁職員がお手伝いをすることについての法律的な根拠といいますか、そういう点のお尋ねではないかと思うのです。先ほど申し上げましたように、大嘗祭は国事行為ではなく皇室の行事として行う、こういうことでありますが、宮内庁法では、宮内庁は「側近に関すること。」とかあるは「儀式に関すること。」こういうことが事務として掲げられております。これは宮内庁法第二条の第八号あるいは第六号でございますが、そういう「側近に関すること。」あるいは「儀式に関すること。」を宮内庁法第一条に規定をいたしております「皇室関係の国家事務」として宮内庁は所掌をしておるわけでございますから、大嘗祭の実施については宮内庁がお世話を申し上げる立場にある、そういうふうに考えております。
○山中(邦)委員 「側近に関すること。」の規定のもとに大嘗祭の諸事務を宮内庁の職員の方がなさるとすれば、これは側近という意味合いにおいて私的な行事の性格を意味するのではないのか、「儀式に関すること。」ということになりますと、これは内廷の儀式を意味するわけではないわけでありますから国家の儀式ということではないのか、矛盾するお答えではないかというふうに思います。 大嘗祭は、これまでの御答弁の中からも明らかでありますように、神道の形式に従って天皇が主宰して神に対する儀式である。以前はむしろ天皇が神となる儀式だというような観点で見られておったものであり、なおその性格は払拭されていない、むしろ内廷の儀式である新嘗祭の延長上にあるというふうに考えられます。そういうことでありますと、国事行為でないのはもちろんでありますけれども、同じ理由によりまして、公的性格があるとは到底言えないと思います。譲って国が費用を出すとしても、これは宮廷費から支出をするというのは筋が違っている。内廷費の従前の予算の中から、あるいは特に費用がかさむということで単年度の増額を行うというような形で現憲法の趣旨に合わせる、これこそが大事であるというふうに思います。憲法の趣旨を尊重し、かつ在来の伝統を生かすということは単純なことではないわけでありまして、これまでの諸儀式が主権の存在に関連して形が整えられている、これをどう尊重するのか、もっと詰めた立場で検討していく必要があるというふうに意見を申し上げまして、私の質問は終わります。 〔鈴木(宗)委員長代理退席、委員長着席〕
○岸田委員長 続いて、山口那津男君。
○山口(那)委員 私は、即位の礼、大嘗祭等についてお尋ねするものでありますが、その前提として、次の点を確認しておきたいと思います。 まず、公明党は、党の綱領で日本国憲法を守るということを規定した唯一の政党であり、象徴天皇制も是認すると同時に、国民主権及び信教の自由を初めとする基本的人権を擁護する立場に立っております。私は、日本国憲法のもとで生まれ育った者として初めて即位の礼を迎えるわけでありますが、主権を有する国民の一人として、この憲法の趣旨を最大限に尊重する立場で御答弁をお願いしたい、このように思います。 さてそこで、即位の礼に対しては、旧皇室典範及び登極令等に詳細な規定が置かれてありますが、このたびの即位の礼は、国事行為として行う範囲として、即位礼正殿の儀、祝賀御列の儀、饗宴の儀、この三つに集約されました。この儀式の範囲を定めるに当たって、憲法の趣旨に沿ってどのような点を配慮したのか、具体的に述べていただきたいと思います。
○多田説明員 皇室典範の二十四条で「皇位の継承があつたときは、即位の礼を行う。」という規定がございまして、その即位の礼というものが具体的にどういうものを指すかということについては、各方面からいろいろな意見がございましたので、準備委員会で慎重に検討いたしまして、そして先生おっしゃったとおり憲法の趣旨に沿って、しかも皇室の伝統等を尊重してという基本路線で各儀式等を検討して整理をしていった結果、この三つは即位の礼ということで国事行為として行うことに非常にふさわしい儀式だというふうに判断をいたしまして、この三つに具体的には決定させていただいたということでございます。
○山口(那)委員 その際、旧登極令に細かな規定があるわけですが、それらのすべての儀式のうちからこの三つに絞ったということは、例えば宗教性の伴う儀式等を外したということになるのでしょうか。
○多田説明員 おっしゃるとおり、宗教の問題のほかにも現行の憲法から考えるとどうもふさわしくないという性格のものもかなりございますので、そういうものは全部外させていただいたということでございます。
○山口(那)委員 その宗教的性格のほかに、現行憲法のもとでふさわしくないとお考えになった具体的な基準を幾つか述べていただきたいと思います。
○工藤政府委員 若干申し上げますと、今首席参事官の方から政教分離原則のお話がございましたけれども、それ以外にも、まず国民主権の原則に反しないかどうかというのが一つございます。それから、憲法一条に規定してございます象徴たる天皇にふさわしいものであるかどうか、こういった基準があろうかと思います。
○山口(那)委員 次に、さきの御崩御の際の内閣総理大臣の謹話にもありますように、天皇陛下におかせられましては国民とともに歩む皇室を念願されておられる旨が表明されておりますが、即位の礼はその陛下の念願を国民に示される非常によい機会であろうと思われます。この儀式のほかに何か具体的な方策をお考えでしょうか。
○宮尾政府委員 ただいま御質問にもありましたように、天皇陛下には国民とともに歩む皇室ということを絶えず念願をされておられまして、折あるごとにそのような機会を持つように努められておるわけでございます。 それで、具体的に即位礼等に関連をして何かあるかということの御質問でございますが、今回の一連の行事の一つといたしまして、御質問の趣旨に沿うような意味合いをもちまして一般参賀というものを新しく設けることといたしております。それから、京都、関西方面への御親謁も予定されておりますので、その際、ゆかりのある京都におきまして茶会を催し、関西方面の方々とも直接お会いして祝意を受けられ、陛下としてもお会いする機会を設けるというようなことを新しく考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 そのほかに、例えばマスコミ等を通して国民に対してお言葉を述べられるような機会はお考えですか。
○宮尾政府委員 一般参賀では当然陛下も参賀においでになられた国民の方々に親しくお言葉をおかけになります。それから茶会等におきましても、これはまだ今後どうするかということでありますけれども、何らかのお言葉というものがあるのではなかろうか、こういうふうに考えられます。そしてそういうものが一般参賀なり茶会に取材にお見えになる報道関係等の方々を通じて国民に紹介をされるわけでございますので、御質問のような趣旨というものはそういう機会を設けることによって生かされておると思っております。 今、特別の形で何らかの予定がそれ以外にあるかという点については、考えておるものは特段ないわけでございます。これは一つの機会をつかまえてという御趣旨であろうかと思いますが、陛下のお気持ちというものは今後長い間の陛下のいろいろな機会における国民に対する接触の仕方、お言葉等の中で十分あらわれていくと考えておりますし、私どももそういう意味でいろいろなお手伝いをしていきたいと思っておるわけでございます。
○山口(那)委員 次に、日の丸・君が代についてお尋ねします。 文部省の学習指導要領で、入学式、卒業式における国旗の掲揚並びに国歌の斉唱を義務づけたと言われておりますが、即位の礼に際して学校行事の中で日の丸あるいは君が代を取り扱うようなお考えはあるでしょうか。文部省の方にお尋ねします。
○近藤説明員 即位の礼につきましては、政府内に設けられた即位の礼委員会において検討が行われていると承知をしているわけでございます。文部省といたしましては、政府全体としての方針を踏まえ検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○山口(那)委員 入学式、卒業式ですら義務づけているわけですから、象徴天皇制のもとではまさに国旗というものも象徴制を理解させる上で一つの役立つ道具になると思いますけれども、即位の礼に際して例えば国旗の掲揚等を義務づけることを推進すべきであるという考えもあろうかと思いますが、この点について文部省はどうお考えでしょうか。
○近藤説明員 先ほど申し上げましたように、即位の礼につきましては現在政府全体として検討しているわけでございますから、文部省におきましても政府全体としての方針を踏まえて検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○山口(那)委員 それでは、政府の側としてはこの日の丸・君が代についてどのようにお取り扱いになるか、お考えを聞かせてください。
○多田説明員 祝意の奉表につきましては、成案を得次第閣議決定をして決定をしていくつもりでございますけれども、現在のところ、国の措置としては国旗の掲揚を行う、それから地方公共団体一般においてもこれと同様の方法により協力方を要望するという考え方で検討をしているところでございます。
○山口(那)委員 政府としては、その全体の方針の中で文部省に対して学校教育の場で国旗・国歌を取り扱うように要請するようなお考えはありますか。
○多田説明員 先ほど申し上げたような方針ということを今詰めているところでございまして、具体的にそれをどういうふうにブレークダウンするというところまではまだ検討は進んでおりません。
○山口(那)委員 義務づける用意はございますか。
○多田説明員 現在のところ一般的に祝意奉表を国民に強制しようという考え方はございませんけれども、具体的にどんな呼びかけをしていくかということにつきましては、これからの検討課題というふうに考えております。
○山口(那)委員 学習指導要領で国旗の掲揚並びに国歌の斉唱を「指導するものとする。」というふうにこのたび改訂されたわけです。いわゆる義務づけたというふうに言われておりますが、この「指導するものとする。」というふうに改めた理由は何でしょうか。
○近藤説明員 今回学習指導要領の改訂をした趣旨でございますが、世界のどこの国におきましても自国や他国の国旗・国歌を大切にし敬意を表するということは国際的な常識となっている、かように考えている次第でございます。これからの国際社会に生きる児童生徒が国旗・国歌に対して正しい認識を持ち、それを尊重する態度を身につけることは極めて大切なことと理解しております。 それで、新しい学習指導要領におきましては、そのような資質を育てることを国民として必要とされる基礎、基本の一つとして考えまして、入学式や卒業式において国旗掲揚、国歌斉唱をすべての学校で行うこととしたものでございます。文部省といたしましては今後ともさまざまな機会を通じまして国旗・国歌の適切な取り扱いについて指導してまいりたいと考えております。
○山口(那)委員 卒業、入学だけではなくて、社会科の教育の中で国旗や国歌の指導というものはどのようになされるおつもりでしょうか。
○近藤説明員 社会科における取り扱いでございますが、小学校の現行の社会科の第六学年で国旗について指導することにしておりますが、今回の改訂では、第四学年で国土の位置を指導する際に、我が国や諸外国には国旗があることを理解させるとともに、それを尊重する態度を育てるようにするということで指導してまいりたいと思っております。また第六学年では、国際理解に関する指導の際に、我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てるようにしてまいりたいと考えております。 また、中学校の現行の社会科では国旗・国歌について指導することに触れていないのでございますが、今回の改訂では、公民的分野で、国際社会と平和に関する指導の際に、国旗・国歌の意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ、それらを尊重するような態度を育てる、こういうふうに改めたところでございます。
○山口(那)委員 今の御意見を伺っていますと、国際化ということが非常に意識をされておりまして、国際社会の中での国旗や国歌の取り扱いというものがこの改訂の主たる理由になっているようでございますが、それでは諸外国では国旗や国歌について教育上どのように取り扱っているのでしょうか、文部省にお尋ねします。
○近藤説明員 お尋ねの諸外国の国旗・国歌の学校段階の指導でございます。必ずしも詳細には承知しておらないわけでございますが、例えばアメリカでは学期中は国旗を掲揚し、一般に毎朝国旗に対してアメリカ国民として忠誠を誓う儀式を行っているようでございますし、国歌は一般に音楽の授業で指導されている、このように承知をしております。また、国旗・国歌の制定、成立について取り扱っている教科書もあるようでございます。それからイギリスにおきましては、普通、国旗は歴史の授業、あるいは国歌は音楽の授業で指導をされておるようでございますし、フランスにおきましては、国旗・国歌はフランスの歴史そのものということで歴史の授業の中で指導が行われている、こういうような状況にあると承知をしております。
○山口(那)委員 今、アメリカ、イギリスの例を挙げられたわけでありますけれども、独立国は百六十七カ国あろうかと思います。それら各国の取り扱いについてお調べになった資料というのはありますか。
○近藤説明員 学者の先生などがいろいろ調べられた資料もあるようでございますが、私ども、今手元に詳細な資料は持っておりません。
○山口(那)委員 それでは文部省以外の役所で、例えばこの日本の学習指導要領の場合は文部省告示という法形式で国旗・国歌を取り扱っているわけでありますが、外国では法的にどのような取り扱いをしているのかお調べになったことはあるでしょうか。総理府、外務省、いかがでしょうか。
○公文政府委員 国旗・国歌の取り扱いについて、各国ではどういう法制をとっておるかということでございます。きょう外務省が参っておらないと思いますので、政府部内でどういう扱いになっているか承知しておりませんけれども、私ども内閣の立場ではそういう調査について今把握をしておりません。
○山口(那)委員 学習指導要領では以前は、国旗の掲揚及び国歌の斉唱が望ましいというふうに表現されていたわけですが、それをあえて「指導するものとする。」このように改訂をして義務づけたわけでありますから、その理由が先ほどのように国際社会の国旗・国歌の尊重の姿勢というものを配慮したというのであれば、やはり諸外国の国旗・国歌の取り扱いというものを十分な裏づけを持ってこの指導に努めるべきが筋だろうと思うわけです。今伺った限りでは、文部省はもちろんその他のお役所でも何らの資料が存在しない、こういうお答えのようでありますけれども、それでは非常に説得力を欠くのではないかというふうに思われます。その点について政府としてはどのようにお考えになりますか。
○坂本国務大臣 今役所で各国の細かい事情を調べていないというようなお話でありましたが、これはお望みならば調べさせて御報告をさせても結構でございます。 しかし、百六十七もあるとおっしゃいましたが、それだけの国、独立国であるならば、自分の国を尊重する、愛すると同時にまた他の国民もみずからの国を大切にしておる、これはもう万国共通の自然の情ではなかろうか、私はこう思うがゆえに、一般的にもやはり自分の国を愛する、そうすれば他国の人も自分の国を愛する、そのお互いの気持ちはもう世界じゅう同じではないかなというふうにも私は考えておるわけでありまして、そういうような意味において文部省が学校においても国旗・国歌を指導しておるのではなかろうかなと思います。しかし、おっしゃるように世界じゅうたくさんの国があることでございますから、その国々の実情を調べて報告せよといえば、また後刻報告をいたさせます。
○山口(那)委員 教育の現場で小中高の児童生徒に対してそういう精神を涵養していくわけでありますから、そのような裏づけあるいは他国の取り扱い等の、尊重する姿勢を養う意味でもぜひとも調査を遂げられて説得力のある御指導をいただきたい、このように思います。 私が国旗・国歌について調べたところでは、十九世紀の自由主義の典型と言われるベルギー憲法というのがありますが、これは我が明治憲法も非常に影響を受けた、このように言われております。そのベルギー憲法を初め、西ドイツ、フランス、ソ連あるいは中華人民共和国等、憲法上国旗や国歌の規定を置いている、こういう国が多数あるようであります。日本においてその法的根拠を明確にする、そのような必要性はないでしょうか。
○工藤政府委員 確かに今先生御指摘のように、国旗・国歌につきまして我が国におきましては明文の規定はございません。ただ、明治以来と申しますか、長いこと国民の間に定着してまいりまして、それなりに国民のいわば法的確信であるとかいうふうなものにまで高まっていることもございます。これは前々他の委員会で私の先輩、前あるいは元法制局長官が申し上げたこともございますが、そういうふうな扱いになっております。現在直ちにこれを法制化しなければならないというふうなところまで考えているわけではございません。
○山口(那)委員 海部総理が先週十三日の予算委員会で述べたところによりますと、国旗・国歌は歴史、文化、伝統の中に基礎があるのであって、法律があるとかないとかという議論はもうなくなったんだ、そのような趣旨の答弁をされておりますが、もしそうだとすれば、国によって歴史、文化、伝統が異なるように、この日本の国内においても地域によってこの日の丸や君が代に関する歴史的、文化的、伝統的基礎が異なるのは当然であろうと思います。そこで、このような歴史的、文化的、伝統的基礎が地域によってどのような差異があるのか、調査をされたことがありますか。
○公文政府委員 突然のお尋ねでございますが、現時点で私のところでそういう調査のデータは持ち合わせておりません。残念でございます。
○山口(那)委員 文部省においてこの国旗・国歌の実施の度合いというものを昭和六十年及び平成元年において調査をされたと伺っていますが、いかがでしょうか。
○近藤説明員 委員御指摘のように、卒業式、入学式における国旗・国歌の取り扱いの状況につきまして、昭和六十年と平成元年にそれぞれ調査をしておるところでございます。
○山口(那)委員 その調査の中で、この地域的な差異というものについて分析はされているのですか。あるいは分析することが可能な調査なんでしょうか。
○近藤説明員 各都道府県から実情を聞いておりますから、各県別での実施状況の差異というものは私ども把握をしております。
○山口(那)委員 そうすると、このたびの学習指導要領は「指導するものとする。」というふうに改訂されたわけですが、今のように当然に地域的な差異があると考えられる状況の中で、この「指導するものとする。」ということの理解をどのように各地方的差異を考慮して取り扱うおつもりでしょうか。
○近藤説明員 先ほども述べましたように、今回の改訂の趣旨は、これからの国際社会に生きる子供たちにとって、自国のあるいは他国の国旗・国歌に対する正しい認識とそれを尊重する態度を身につけるということが学校教育において国民として必要なものとして指導すべき基礎、基本の一つであろう、こういうふうに理解をしておるわけでございます。今回、新しい学習指導要領の改訂によりまして入学式、卒業式における国旗掲揚、国歌斉唱をすべての学校で行うことといたしましたのは、児童生徒がこれらの体験を通しまして国旗・国歌を尊重する心情や態度を育て、国際社会において信頼され、尊敬される日本人の育成を期したものでございます。したがいまして、各県、各学校で国旗・国歌についての適切な取り扱いがなさるべきものと考えております。
○山口(那)委員 旭川学テ事件というかつて最高裁判所の大法廷判決が出た有名な判決があるわけですが、その中で中学校の指導要領について判示した部分があります。そこでは「右指導要領の下における教師による創造的かつ弾力的な教育の余地や、地方ごとの特殊性を反映した個別化の余地が十分に残されており、全体としてはなお全国的な大綱的基準としての性格をもつものと認められる」というくだりがあります。そしてこれは、教育に関する地方自治の原則を考慮すべきものである、このように述べられているわけでありますが、国旗・国歌についての指導に当たって、これらの趣旨を尊重して、先ほど言った地方的差異をどのように考慮するか、改めて答弁を求めます。
○近藤説明員 学校教育は公の性質を有するものでございますから、全国的に一定の教育水準を確保し、全国どこにおいても同水準の教育を受けることのできる機会を国民に保障するということが要請されているわけでございます。このために、国が、文部省が学校教育法に基づきまして学習指導要領を定め、学校において編成、実施される教育課程についての基準を定めているわけでございます。そして、先ほどからるる説明を申し上げておりますように、国旗・国歌を尊重する心情あるいは態度を育てていくということは、学校教育において国民として必要な基礎、基本の一つである、こういうふうに理解をしておるわけでございまして、全国のどこの学校においてもこの学習指導要領の趣旨に従いまして適切な国旗・国歌の取り扱いがなさるべきものと考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 新聞報道によりますと、ある都道府県の教育委員会では文書で国旗の掲揚、国歌の斉唱を指導する予定だが、歌の方は当分無理であろう、このような調査結果が報道されておりますが、そのような教育委員会に対して文部省はどのように指導されるおつもりですか。
○近藤説明員 詳しく各県の実情をまだ承知をしておらないわけでございますが、もしそういう県があるとすれば、国歌の適切な取り扱いについて指導してまいりたいと思っております。
○山口(那)委員 やや観点を変えまして、小学生と高校生では発達段階においてかなりの感受性の違いがあると思われますけれども、これらの違いについてどのように御指導されるおつもりでしょう。
○近藤説明員 先生御指摘のように、小学生と高校生では児童生徒の発達段階には差があるわけでございます。そういうことも十分配慮しながら日ごろから学校教育の展開がなされておるわけでございますが、例えば入学式や卒業式におきまして小学校の低学年の児童が国歌を歌ったり、あるいは上級生などの歌うのを聞いたりすることは、これらの児童に国歌について親しみを持たせることになるわけでございます。そういう意味で、国歌を尊重する態度を養う上で大切なことでもあると考えて指導しておるところでございます。
○山口(那)委員 「指導するものとする。」と改めたことによって現場で混乱が見られるという報告もあるわけですから、ぜひとも実際の指導に当たっては、そのような地域的差異あるいはその発達段階における感受性の違い等を十分に尊重しながら柔軟な姿勢での指導を望みたいと思います。 次に、大嘗祭についてお尋ねします。 大嘗祭の伝統的意義についてもう一度確認をしたいと思います。いかがですか。
○宮尾政府委員 大嘗祭の伝統的な意義という御質問でございますが、これは日本書紀等にも記述がございますように、古くから大嘗、新嘗という区分は必ずしもその時代はなかったようでございますけれども、大嘗祭というものが御即位に伴って行われておる、こういう記述がございます。 それから、奈良時代に入りましては大嘗、新嘗の区別がなされまして、一番最初にその区別が行われて大嘗祭をとり行われたのは第四十代の天武天皇のときからであると言われております。 以来、御即位の都度、皇室にとりましては一世一度の非常に重要な即位儀礼という形で行われてまいりまして、そういった点は貞観儀式等にもきちんといろいろ書かれておるわけでございます。そういう意味からいたしまして、大嘗祭は皇室で長い間続いてきた伝統的儀式でありますが、これは一世一度の皇位継承儀礼であると私どもは重く考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 大嘗祭の歴史的伝統に照らして、これは天皇個人に関する儀式という性格が強いのでしょうか、それとも皇室というある意味での集団に関する儀式という色彩が強いのでしょうか。
○宮尾政府委員 これを歴史的にどういうふうに申し上げるかというのはなかなか難しい話かもしれませんが、少なくとも現在の憲法では天皇は象徴的な地位、国民統合の象徴である。そういう象徴的な地位というお立場に立っておられます。古くから皇室が国内的にどういうお立場であったのか、こういうことはいろいろ難しい、難しいといいますか、一口に言うことはできないかもしれませんが、少なくとも、抽象的に申し上げれば今の憲法に明記されているようなお立場にあったと私ども考えておるわけでございます。 そういう意味で、天皇個人のということではなくて、御主宰になるのは天皇がお一人で御みずからなされますけれども、それは皇室にとっても非常に重要な儀式でありますし、それから現行の憲法のもとにおきましても、あるいは往時のいろいろな歴史的なものをたどってみましても、日本の天皇という意味でそういう行事をとり行われることは大変国家的な意味でも重要なことであったというふうに考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 この大嘗祭は宗教的な性格を帯びているということが指摘されておりますが、どのような点で宗教的な性格があるとお考えでしょうか。
○宮尾政府委員 政府が昨年取りまとめました見解の中にもその点は記述をしてあるわけでございますが、大嘗祭の中心的な儀式としましての大嘗宮の儀というのは、陛下御みずからその年とれました新穀を皇祖、天神地祇にお供えになり、また、御みずからも召し上がって、そして安寧と五穀豊穣を感謝する。そういう儀式の趣旨、形式等からいたしまして宗教上の儀式としての性格を有することは否定しがたい。こういうふうに言われておるわけでございます。
○山口(那)委員 その際、宗教的な儀式というその宗教というのはどのような御理解をしておられますか。
○宮尾政府委員 これは皇室の伝統的な方式によりましてとり行われてきておるものでございまして、皇室におきましてはいろいろな祭祀を日常行っておられますし、事あるごとに皇室の伝統的な方式によりまして行っておられるわけでございます。大嘗祭もそういう意味では皇室の伝統に従った儀式のやり方で行われるだろうと理解をしておるわけでございます。
○山口(那)委員 その皇室の伝統的な方式というのは、神式で行うことを指しているわけですか。
○宮尾政府委員 いわゆる神式というのは、私どもそういう教学的な素養も十分持っておりませんし、間々世の中には誤解を招くような使い方もありますので注意をしなければならぬと思いますが、大きく分けて仏式だとか神式だとかキリスト教の方式だとかいろいろな方式というものがあるとすれば、そういう大きな意味での神式という考え方による方式であると言って差し支えないと思います。
○山口(那)委員 天皇が現人神とされた旧憲法のもとでは、学校教育の現場で、アマテラスオオミカミと天皇が御一体とおなりあそばす御神事であって、我が大日本が神の国であることを明らかにするものである、このように修身の教科書には書かれてあったわけですが、この大嘗祭というのはアマテラスオオミカミと天皇が御一体となる神事である、このように理解していいわけですか。
○宮尾政府委員 昭和十八年から終戦までの国定教科書にそのような記述があるということは私どもも承知をしておるわけでございますが、それをちょっと調べてみましたところ、これこそ実にオオミカミが天皇と御一体におなりあそばす御神事であって、我が大日本が神の国であることを明らかにするためというふうに書いてあるわけですね。昭和十八年から終戦までというのは日本にとっても非常に大変な時代でありまして、そういう中で、我が国は神の国だというようなことで戦意高揚を図ったという特殊な事情によってそういう記述がなされておるものではないかというふうに思うわけでございます。 天皇が神と一体となる儀式であるとか、神性を得る儀式であるかといういわゆる説、考え方を大嘗祭に関してはとられている向きがありますけれども、私ども理解しているところでは、大嘗祭は、何度もくどくど申し上げるようでございますが、天皇が御即位の後、初めて大嘗官において、新穀を皇祖、天神地祇にお供えになって、御みずからもお召し上がりになる、そして皇祖、天神地祇に対して安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに、今後とも国家国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念される儀式というのが正確な理解であると思っておりまして、その式次第とかお告げ文等を先例等で見てみましても、そこには神と一体となるとか神性を得るとかいうことを見受けられる点はございません。したがいまして、宮内庁としてはそのような説には賛成いたしかねると考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 大嘗祭が伝統的な皇室の姿に照らしてとり行われるわけでありますから、先ほどの修身の教科書の神事であるという記述はその時代の特殊な理解であって、現行憲法のもとでは皇室の伝統というものはそのような神事という側面を含まない、このように理解するわけですか。
○宮尾政府委員 戦争中の教科書の記述で特殊な事情によるものだと私が申し上げておりますのは、我が大日本が神の国であることを明らかにするためにそういうことが行われるということが書いてあるわけですね。まさに日本は神国であるという意識高揚を盛んに図った時代の特殊な考え方であろうと思うのです。 それで、神と一体になるという説は、私自身も専門外でこんなことを申し上げてはいかがかと思うのですが、いろいろな学説等をたどってみますと、折口信夫さんがそういうことを昭和の初頭に「大嘗祭の本義」というものに記述をされて、大嘗祭というものはそういうものだと一定の方々が唱えておられる。ところが、これについては、専門の学者の中でも、そういうことは全くない、折口さんが私人としての発想からそういうことを申されたのだということを最近の国学院の雑誌等に掲載されている先生もあるわけです。ですから、そういう意味で、特殊な学説で、これは完全に定着をしている学説ではないと御理解をいただきたいと思います。 それから、神事をするのではないかということでございますが、先ほど申し上げましたように陛下が安寧と五穀豊穣を皇祖並びに天神地祇にお祈りをするということでありますから、お祈りをするということはいわゆる神事的なことだと言われればそれを否定することはできないと考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 学説のせんさくはともかくとして、私が一番聞きたいことは、天皇が神になるという側面を含むのかどうか、この点なんです。もう一度はっきり言ってください。
○宮尾政府委員 我々の立場と天皇陛下の立場を単純に比較していいかどうかわかりませんけれども、我々も神様にお祈りをする、仏様に手を合わせることがいろいろな折々にあるわけでございます。それから、我々が農民であればことしの五穀豊穣を祈ることはいろいろな形であろうと思うのです。そういうことがありますが、それによって大嘗宮の諸儀式の中に、天皇が神になるんだ、陛下が御みずから神様になるんだ、そういうことが見受けられる部分はないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 それでは、憲法二条で世襲を規定しておりますが、これは大嘗祭を当然に予定したものとして理解していますか、それとも大嘗祭は憲法の枠外のものだと理解していますか。
○工藤政府委員 大嘗祭が憲法二条で書いてございます世襲というのに非常に結びついているということは事実だろうと思います。 ただ、いわゆる皇室典範におきまして、先ほどもお話がございましたけれども、これは二十四条「即位の礼を行う。」というふうに書いてございまして、「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」ということは国事行為たる儀式として即位の礼を行うことを予定したものだと考えておりますが、大嘗祭の中核は、今も宮内庁次長からお話がございましたように、大嘗宮において天皇が皇祖及び天神地祇に安寧と五穀豊穣を祈念されるというふうなこともございますし、そういう趣旨、形式等から宗教上の儀式としての性格を有するんだ、そういうことは否定できないであろう。したがって、大嘗祭を七条で言う国事行為として行うとすれば、やはり憲法の二十条三項に言う宗教的活動を国が行うということになるのではないか、そういう疑いはなお消し切れませんので、そういう意味で大嘗祭を国事行為として行うべきではない、かように考えているわけでございます。
○山口(那)委員 大嘗祭をとり行う費用を宮廷費で支出するということですが、これは憲法二十条三項及び八十九条の趣旨と調和するのでしょうか。
○工藤政府委員 ただいまも申し上げましたように、大嘗祭は、皇位の継承があったときは必ず挙行される、一世に一度の儀式として古来から行われてきた、極めて皇位継承に結びついたあるいは皇位の世襲制と結びついた、即位に伴う儀式の一環である、こういうことだと思います。そういう意味で、いわば皇位とともに伝わるべき由緒ある儀式、こういうふうに性格づけられるだろうと思います。 皇位の世襲制、先ほども御指摘のように憲法二条にございますが、そういう世襲制をとる日本国憲法のもとにおきまして、その儀式の挙行について国として関心を持つ、人的あるいは物的な側面からその挙行を可能にするような手だてを講ずる、こういうことは当然であろうと考えられます。そういう意味で、大嘗祭は公的性格があるというふうなことを従来から申し上げてきているわけでございます。 ただ、大嘗祭が宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは今申し上げたように否定できないわけでございますけれども、例えば津の地鎮祭判決などに照らしましても、大嘗祭は皇室の行事として行われるものでございまして、国の機関の行事ではない。それから、その挙行のために必要な費用は、今申し上げたような大嘗祭の公的性格に着目いたしまして、宮廷費あるいは一部は宮内庁費から支出されるものでございます。そういう意味で、その支出の目的が宗教的意義を持たない。いわゆる津地鎮祭で言われます目的・効果論に照らしまして、支出の目的が宗教的意義を持たない、また特定宗教への助長、介入等の効果、その効果を有する行為を行うことになるとも言えない。そういうことで、国がこういうような面でかかわり合いを持ちましても、大嘗祭のための費用を公金から支出するということは憲法二十条三項の宗教的活動を国がするということにはならないし、また、そういうような公金の支出というものは、津の地鎮祭判決等に照らしましても憲法八十九条が禁止いたします宗教上の組織、団体に対するものというふうには言えないと思います。憲法八十九条の面からも問題はない、かように思っております。
○山口(那)委員 少なくとも法的な理解からすれば、世襲ということは血のつながりということを規定しているわけであって、当然に即位の儀式とそれに伴う大嘗祭までも予定しているものと理解するのは困難だろうと思います。また、憲法及び皇室典範二十四条に照らして言えば、皇位の継承というのは即位の礼に限られるわけであって、法律上は大嘗祭というものはそのらち外にあるというふうに理解すべきであろうと思います。 その上で、この大嘗祭は公的性格があるというふうに盛んに述べられておりますが、公的性格があるなしということは、例えば私的な事柄として内廷費で賄うにはそぐわないという趣旨で述べるのであればそれは理解できますけれども、大嘗祭に国が宮廷費をもってお金を出すということは、まさに国家と宗教とのかかわりは否定できないわけで、それを合憲的にもし説明をするとすれば、もっと説得力のある理由を考える必要があろうかと思います。 そこで、先ほどおっしゃった津の地鎮祭の事件の判決でありますが、原則的に行政当局としてはこの判決の意義をどのように理解されていますか。
○工藤政府委員 津の地鎮祭判決につきましては、いわゆる憲法の二十条あるいは八十九条、八十九条については比較的触れるところが少ないわけでございますが、そういう意味でそれの解釈の基準になるもの、かように考えております。
○山口(那)委員 行政府としてもその基準を尊重するというお立場かと思いますけれども、いわゆる目的・効果説と言われて先ほどお述べになりました。これは非常に抽象的な表現であったわけですが、大嘗祭とのかかわりにおいて具体的にその目的及び効果についてもう一度述べていただきたいと思います。
○工藤政府委員 今の御質問でございますが、具体的にと申しますと、まず第一に大嘗祭は皇室の行事として行われるもので、国の機関の行為ではないということでございます。その挙行のために必要な費用というものは、大嘗祭が皇位の世襲制と結びついて、一世に一度の儀式として古来から皇位の継承があったときは必ず挙行される、こういうことで行われてまいりました極めて重要な儀式である、そういう面に着目して、宮廷費からあるいは一部は宮内庁費から支出をいたしましても、その支出の目的がその宗教的意義に着目して支出をするものではないということが一つでございます。そういう意味で、目的・効果論のうちのまず目的の部分でございます。 それから効果としましても、これが特定宗教への助長、介入という津地鎮祭判決で述べておりますようなそういう効果を有することになるとは到底言えないであろう、かように考えているわけでございます。
○山口(那)委員 今の御答弁は非常に抽象的でわかりにくいわけでありますけれども、大嘗祭が人的、物的な一体の宗教的性格を帯びる儀式として行われる以上、それを経済的に支えるということは、その目的において宗教的意義を持つことになりませんか。また、その効果において、特定の宗教かどうかはともかくとしても、それが宗教的儀式にかかわる、それを支持する人々に対してその援助、助長の感覚を覚えさせ、また、他の信仰を持つ人に対して圧迫感を覚えさせる。現に多数の宗教団体でこの大嘗祭の宮廷費支出については反対を述べているところもあるわけですけれども、その点について、今のような御答弁では到底納得しがたいものがあると思いますが、いかがですか。
○工藤政府委員 地鎮祭判決のその部分でございますけれども、「憲法二〇条三項は、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と規定するが、ここにいう宗教的活動とは、前述の政教分離原則の意義に照らしてこれをみれば、およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、そのかかわり合いが右にいう相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであって、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうものと解すべきである。」というふうなことでございまして、私どもはこれに照らして、「かかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、そのかかわり合いが右にいう相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであって、」ということで目的・効果諭を解釈しているわけでございます。
○山口(那)委員 時間が少なくなりましたので、もう一点だけ伺います。 宮中三殿、これは皇室の私有財産として理解され、皇室経済法における「由緒ある物」、こういうふうに理解されているようですが、この宮中三殿の修繕あるいは建てかえ、この費用はどういう費目でお出しになるのですか。
○宮尾政府委員 宮中三殿は皇室御所有の財産でありますが、先生おっしゃったように、皇室経済法第七条に定める「皇室とともに伝わるべき由緒ある物」、こういう特殊な性格もあるわけでございます。したがいまして、これは国有財産ではもちろんありませんで、皇室が御所有の財産であるといたしましても、皇室経済法に特に「由緒ある物」として規定をされておるという意味におきまして公的な色彩を持つ財産というふうに考えられますから、建てかえということまでは申せませんが、その保存上必要な営繕等については宮廷費からこれを支出できると考え、また、そういうふうにいたしておるわけでございます。
○山口(那)委員 この宮中三殿の中に神殿というものもあるわけでして、やはりお金を出すということは宗教とのかかわりを否定できないわけですが、この点についても先ほどの目的・効果説のような御説明をされるわけですか。
○工藤政府委員 さようでございます。
○山口(那)委員 それでは最後になりますが、天皇陛下といえども私的生活の部分では信教の自由を当然享受されるわけでありまして、また、主権者である国民各位も同様であると思います。これらの行事の挙行に当たっては、そうした国民とともに歩む皇室を標榜されるわけですから、この信教の自由に対して十分な配慮をした上で行っていただくよう要望して、私の質問を終わります。
○岸田委員長 続いて、三浦久君。
○三浦委員 私は、大嘗祭の問題について御質問をいたしたいと思います。今まで予算委員会で質問をいたしておりまして、前の質問者の質問を聞いておりませんので、重複するかもしれませんけれども、それは御勘弁いただきたいと思います。 もともと大嘗祭というのは、天皇が皇祖から統治権を継承して皇位につく際にアマテラスオオミカミなどを祭る宗教上の儀式であって、現憲法の立場とは全く相入れないものであると私は考えております。戦前の旧皇室典範には第二章の「践祚即位」の中に大嘗祭の規定がありました。しかし、戦後制定された現行の皇室典範からは践祚の際の神器の継承などとともに大嘗祭の規定を廃止されたのですね。 その理由について、法制局長官は、四月十三日の予算委員会で我が党の東中委員の質問に対して、単に法体系が変わっただけだ、こういうふうに言われました。しかし、私は、それだけではないだろうと思います。根本的には、現憲法が施行され、それまでの主権在君から国民主権となった、政教分離などの民主的な規定が設けられたためにそれに反する諸規定が廃止をされたということ、またそういうものが規定できなかったということだと私は思いますが、いかがでしょうか。
○工藤政府委員 四月十三日の予算委員会におきまして、私は登極令についての御質問をいただきまして、登極令につきまして、これは旧憲法下の法律とは異なる法体系に属する、いわば独立した宮務法の体系に属する、したがって、その内容が新憲法の規定に違反するものかどうかにかかわりなく、およそ法体系自身が認められなくなったことで一律的に廃止された、したがって、旧皇室典範あるいは旧登極令に規定されていた内容がすべて現行憲法に違反するということになるわけではなくて、現行憲法に違反しているかどうかは、その内容ごとに具体的に判断する必要がある、かようにお答えしたわけであります。
○三浦委員 それではお尋ねいたしますけれども、旧皇室典範に規定してありました践祚の際の神器の継承また大嘗祭の規定、これは、いわゆる国民主権、政教分離を決めた現憲法のもとで、皇室典範に規定をすることができるのですか。
○工藤政府委員 まず践祚という言葉自身がなくなりましたことはもう御承知であろうと思います。現在ございますのは、「皇位の継承があつたときは、即位の礼を行う。」ということでございます。「即位の礼」の中にいかなるものが入るか、これは当然憲法の七条の国事行為を予定したものと思いますが、それに含まれるかどうかは当然、先ほど申し上げました新憲法の政教分離原則あるいは天皇の象徴たる地位あるいは国民主権原則、こういうものを判断して行われるべきものと考えております。
○三浦委員 大嘗祭の規定を皇室典範の中に規定することができるのですか。
○工藤政府委員 大嘗祭につきましては、まず先ほどから問題になっておりますように、「趣旨・形式等からして、宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定することができず、また、その態様においても、国がその内容に立ち入ることにはなじまない性格の儀式である」、こういう位置づけをしているわけでございます。国事行為として行うことは困難である、かように考えております。
○三浦委員 国事行為として行うかどうかということを聞いているのではなくて、現憲法の下位にある法律である皇室典範に規定することができるかどうかと聞いているんだから、質問にそのまま答えないとだめじゃないですか。もういい、そんなこと規定できないに決まっているんだから。 それで、今あなたたちが行おうとしている大嘗祭というのは、法的根拠が全くないだけでなくて、国民主権また政教分離を決めた憲法の趣旨からして公的には絶対に行ってはならない儀式であると私は思っております。 政府は昨年の十二月二十一日、「「即位の礼」について」、二番目に「大嘗祭について」、一定の見解を発表されておられますね。 「大嘗祭について」はいろいろあって、全部読むと長いから、ちょっと見ておってください。「天皇が皇祖及び天神地祇に対し、安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに、国家・国民のために」云云、こうあるのですよね。この皇祖と天神地祇というのは何ですか。
○宮尾政府委員 お尋ねの皇祖というのはアマテラスオオミカミでございます。それから天神地祇とは、まず天神とはいわゆる天つ神をいうということでございまして、地祇とは国つ神という意味であると言われております。したがいまして、天神地祇というのは天つ神と国つ神という意味ですべての神々、通俗的な言い方をすればやおよろずの神々というふうに理解をいたしております。
○三浦委員 そうすると、大嘗祭というのはアマテラスオオミカミや、やおよろずの神に感謝をささげるという儀式なんですね。政府はこの大嘗祭について、この十二月の見解では「この趣旨・形式等からして、宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定することができず、」云云、「国事行為として行うことは困難である」という非常に回りくどい言い方をしている。宗教的儀式であるというふうには言ってない。「宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定することができず、」言い方が非常に回りくどいのですね。何でこんな言い回しをしなければならないのだろうかと思って私も相当頭をひねってみたのですがよくわからない。それで端的にお尋ねいたしますけれども、大嘗祭というのは宗教上の儀式なのですか。
○宮尾政府委員 法律の専門家ではありませんので、少し粗雑な御答弁になるかもしれませんが、大嘗祭につきましては、その政府のまとめた見解の中に述べておりますように、農耕儀礼といいますか農耕民族である日本古来の収穫儀礼というような民俗学的な立場からの考え方もありますし、あるいは皇位継承儀礼であるとかいろいろありますが、五穀豊穣を感謝して、あるいは国民の、国家の安寧のために神に祈る、こういう意味においてはいわゆる宗教上のものであるかないか、こういうような観点から見れば、それは宗教上の儀式としての性格を持つことは否定できないというふうにそこでは述べておるわけでございます。政府の見解というのは、国事行為とすることができるかできないかということについてのいろいろな検討をし、判断をしておるわけでございまして、そういう意味において、そういう宗教上の儀式としての性格を有することは否定できない、こういうところで判断をいたしておるわけでございます。
○三浦委員 あなたたちが一体宗教上の儀式と見ているのかどうかということを本当ははっきりさせなければいけないのですね。まあいいでしょう。宗教上の儀式と見られることは否定できないというのですが、じや、その宗教というのはどういう宗教ですか。いっぱいありますね、宗教というのは。キリスト教もあれば、マホメット教もあれば、そして仏教もあれば、いろいろあります。どういう宗教ですか。
○宮尾政府委員 宗教上の儀式であるかないかということは、やはりいろいろ典型的なそういうものと、この大嘗祭が持ついろいろな性格、意味というものを踏まえて正確に判断をしなければいけないというふうに思っているわけでございますが、そういう意味で、そういう性格を有するということは否定できない、こういうふうに考えておるわけでございます。 どういう宗教か、こういうお尋ねにつきましては、それは皇室が皇室独自のいろいろなお祭り、祭祀というものを行っておるわけでございます。これの性格といいますか、どういうことかといえば、皇室独自のそういう伝統的な方式のものであるというふうに言わざるを得ませんが、例えば今のように、仏教であるか、キリスト教であるか、神道であるかというような大きな分類からいけば、それは神道という大きな中に入っている、こういうふうに申し上げておきます。
○三浦委員 端的に結論の部分だけ言っていただければいいのですけれどもね。でないと時間がないものですから、失礼ですが、よろしくお願いします。 そうすると、皇位を継承するに際してアマテラスオオミカミや、やおよろずの神に感謝をする宗教上の儀式ということになるわけですが、このような宗教上の儀式に国の公金を支出していいのかどうか。憲法第二十条は、国はいかなる宗教的な活動もしてはならないというふうに規定しておりますけれども、これに違反をしているのではございませんか、法制局長官。
○工藤政府委員 先ほどもお答えしたところでございますけれども、大嘗祭の意義、性格づけというところから見まして、大嘗祭は皇位の継承があったときは必ず挙行されるところの一世に一度の儀式であり、古来から行われてきた極めて重要な儀式であるというふうなことを申し上げました。そうして、皇位の世襲制をとる日本国憲法のもとで、その儀式について国として関心を持ち、人的、物的側面からその挙行を可能にする手だてを講ずることは当然ということで考えられております。そういう意味でいわゆる公的性格がある、かように考えているわけでございます。 今の御質問は、多分、津の地鎮祭の判決等からのお話もあろうかと思うのですが、やはりあそこでは、かかわり合いを一切許さないとするものではなく、その相当の限度を超えるもの、こういうふうな表現が、先ほども申し上げたところでございます。そういう意味で、皇室の行事として行われるものでございまして、国の機関の行為ではない、あるいはその挙行のための費用は、今申し上げましたような大嘗祭の公の面、公的な面に着目して支出するものであるというふうなことから見て、先ほどの津の地鎮祭判決の目的・効果論、こういうものから見まして決して憲法の二十条三項あるいは八十九条に違反するものではない、かように考えております。
○三浦委員 これは即位の礼に際して必ず行われているものだというのは歴史的な事実に反しますね。それは官房長官、どうですか。 これを決めた後の記者会見で石原副官房長官は、「確かに大嘗祭をやらなかった時期もあるが、これは皇室が経済的に困窮していた時期で、やる余裕がなかったということであり、そうでない時は大嘗祭をやるのが伝統になっている。」こういうように答えられておりますね。ですから、歴史的にはやってないのが何百年も続いているのです。ですから、こんな大嘗祭などという儀式をやらなくたって皇位の継承には何の関係もないことなんです。それは一言言っておきます。 今の津の地鎮祭の目的・効果論、この問題をあなた援用されて、そして違憲ではないと言われましたけれども、私も調べておりますよ、津の地鎮祭の判決は。 この判決はこういうことを言っているのです。確かに国家と宗教のかかわり合いを全く否定するものではなく、そのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いが信教の自由の保障の確保という制度の根本的目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないものと解すべきである、こう述べておりますね。そして、続いて、国が禁止される宗教的な活動というのは、当該行為の目的が宗教的な意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長ないしは圧迫等々になるような行為をいうと解すべきだ、こういうふうに述べておりますね。 その上に立って、この津市の地鎮祭の問題について、最高裁は、宗教とのかかわり合いを持つものであることは否定できないが、その目的が工事の安全を願い、社会の一般的慣習に従った儀礼を行うという専ら世俗的なものと認められ、その効果は神道を助長し他の宗教を圧迫するものとは認められないから、憲法第二十条で禁止されている宗教的活動に当たらないというものだったのですね、そうでしょう、どうですか。
○工藤政府委員 今おっしゃいましたところでございますが、同じく津の地鎮祭判決でございますが、「ある行為が右にいう宗教的活動に該当するかどうかを検討するにあたつては、当該行為の主宰者が宗教家であるかどうか、その順序作法が宗教の定める方式に則つたものであるかどうかなど、当該行為の外形的側面のみにとらわれることなく、当該行為の行われる場所、当該行為に対する一般人の宗教的評価、当該行為者が当該行為を行うについての意図、目的及び宗教的意識の有無、程度、当該行為の一般人に与える効果、影響等、諸般の事情を考慮し、社会通念に従って、客観的に判断しなければならない。」というところでございます。
○三浦委員 私、広辞苑を引いて、見てきたのですよ。そうしたら、「大嘗祭」というのが出ていましたよ。これはいわゆる天皇の即位に伴う最大の神事である、神事の最大のものであると書いてありますね。なぜですか。それは国家権力が挙げてやるからですよ。だから最大の神事なんですよ、これは。いいですか、最大の神事。この最大の神事と言われている宗教的な儀式に公金を支出する目的は何ですか。今の津の地鎮祭の目的・効果論に照らして、目的は何ですか。
○工藤政府委員 その目的は、先ほどの繰り返しになりますけれども、やはりこのように過去からずっと伝承されてきましたそういう一世に一度の皇位継承に伴う儀式、それを国として象徴天皇がやられるについて、公的な側面があるので、それを人的、物的側面からお手伝いをする、こういうことでございます。
○三浦委員 それは理由をあなたが言われただけで、目的は、このあなたたちが書いた「第二 大嘗祭について」「一 意義」「二 儀式の位置付け及びその費用」のところに書いていますね。要するに、「その儀式について国としても深い関心を持ち、その挙行を可能にする手だてを講ずる」その目的なんですよ。そうすると、皇室の宗教的な儀式、個人的儀式ですよ。そういう宗教的な儀式を円滑に挙行ができるように金を出す、これが目的です。そうすると、その金を出す目的というのは、まさに宗教的な意義があるじやありませんか、あなた。宗教的意義そのものでしょう、金を支出するということは。宗教的な儀式を円滑に挙行するために金を出すのだから、その金を出すということは宗教的意義があるというのが常識じゃありませんか。それが、意義がないとか宗教的意義を持たないなんて、そんなことがどうして言えるのですか。
○工藤政府委員 たびたび津の地鎮祭判決を引用して恐縮でございますが、例えば津の地鎮祭判決の中でも「例えば、特定宗教と関係のある私立学校に対し一般の私立学校と同様な助成をしたり、文化財である神社、寺院の建築物や仏像等の維持保存のため国が宗教団体に補助金を支出したりすることも」もしそういう分離を完全に貫こうとすれば「疑問とされるに至り、」というふうな部分もございまして、例えば神社、仏閣等に対して、その文化財の面に着目して補助金を支出したりというふうなことは当然許されるということでございます。
○三浦委員 それは詭弁ですよ、あなた。そんなばかげた答弁がありますか。いいですか。私立学校振興助成法とか文化財保護法というのは、そんな特定の宗教をどうこうするという、そういう法律じゃないでしょう。憲法第十四条の法のもとの平等に基づいて当然なことじゃないですか。例えば私立学校にいろんな助成をする、その私立学校の中にたまたまミッションスクールがあったとか、仏教大学があったとかいう場合に、そういうミッションスクールに、じゃ私学助成をやった、仏教大学にやった、そういうことまで禁止していないというのは当たり前でしょう。それは法のもとの平等ですよ。社会生活上だれでも同じように享受できるような、我々国民がだれでも享受できるようなことは、宗教団体であろうと特定の宗教の信徒であろうと、そういう利益を享受できるというのは当たり前のことじゃないですか。そんなことを理由にして大嘗祭を正当化しようなんというのはとんでもない話だ。 文化財保護法だってそうですよ。六法全書を私、ちゃんとここに持っている。あなた専門家だから一々読み上げませんけれどもね。これは歴史上または芸術上価値の高いものを保存するということが主たる目的でしょう。それからまた、日本人としての昔の伝統的なさまざまな生活、そういうものを探るために必要なもの、そういうものを保護していこうというのであって、仏像を保護するためのものじゃないのですよ、あなた。たまたまその中に仏像が入っていても、それは文化的な価値、芸術というものを保存するという普遍的な目的を持ってこういう法律がつくられているんだ。それを大嘗祭などという、全く皇室の行事でしょう。そういう大嘗祭などというものに金を出すことと全く意味合いが違うということぐらい、あなたわかりませんですか、どうですか。
○工藤政府委員 私は、そういう意味で今の大嘗祭には公的性格があるというふうに申し上げたわけでございます。
○三浦委員 全然それは答えになっていないじゃないですか。じゃ、公的な側面がちょっぴりでもあれば、それで公金を出していいということですか。主たる側面は何ですか。大嘗祭の主たる側面は宗教的な行事じゃないですか。宗教的な儀式じゃありませんか。 文化財保護法は、主たる側面は文化財の保護です。私学振興法の場合には、私立学校の援助なんです。これが主たる側面なんです。その主たる側面と従たる側面というものを全く混同して、そしてその大嘗祭を正しいものだ、大嘗祭に公金を出すことが正しいことだと言い張るということは許されないことですよ、そんなことは。あなたも法律家であったら、ちょっと恥ずかしい思いがするんじゃないですか、どうですか。
○工藤政府委員 どうも委員のおっしゃられるところと私、必ずしも立場を同じくしないわけでございますけれども、先ほど文化財保護のお話を申し上げましたけれども、例えば仏像が文化的に価値があるということで、その文化的側面に着目して支出をする、仏像は仏像でございますが、その日本が背から維持保存してきた仏像というものの文化的な側面に着目している、こういう意味でございまして、私は別段、委員のおっしゃるような趣旨で理解できません。
○三浦委員 じゃ、文化財保護法というのは仏像だけを保護するのですか、そうじゃないでしょう。芸術的に価値のあるもの、また歴史上価値のあるもの、そういうものすべてを保護していくんですね。その中にたまに仏像が入っているという場合もあります。それはそうでしょう。そういうものと、その宗教的儀式そのもの、そして最大の神事と言われているそういう宗教的な儀式に対して国の金を出すということとは全く異なった性格の問題じゃありませんか。そんなことはちょっと区別を判断してもらわないと困りますよ。時間がなくなってきたようですから次に移ります。 あなたたちもこれを参考にされているようですね。「別冊歴史読本」。これに「大嘗祭…大嘗宮の儀」というところがあります。ここに主基殿とか悠紀殿とか回立殿とかいろいろ建物を建てるそうですね。この建物はどこに建てて、費用は幾らぐらいかかるのですか。
○宮尾政府委員 大嘗祭を行う場合の大嘗宮をどこにつくるかということですが、皇居内ということでございまして、具体的には皇居内の東御苑に予定をしておるわけでございます。 大体の規模としましては、いろいろな建物がありますのであれですが、全体の総床面積は三千三百平方メートルぐらいになろうかと思います。これは当然参列幄舎とかそういうものを含めての数値でございます。 大嘗官そのものの設置費につきましては約九億円余というふうに一応考えておるわけでございます。
○三浦委員 主基殿とか悠紀殿、こういうものは何日間ぐらい使うのですか。使った後はどうするのですか。
○宮尾政府委員 悠紀殿、主基殿におきましてはそれぞれ儀式が行われますが、悠紀殿の儀は十一月二十二日、主基殿の儀は十一月二十三日というふうに予定をいたしておるわけでございます。 使った後どうするかということでございますが、これは大嘗祭の場合の長いしきたりといいますか伝統的な方式でございますが、何分大嘗宮の建物というのは極めて質素なものが本来であります。そしてそれは皮つきであるとか生のものを使う、こういうことが伝統となっておりますので、それを長期間、何らかの違う形で使用するというようなことには耐えがたいものでございますので、これは伝統的なやり方といたしまして焼却あるいは取り壊しというようなことにするのがこれまでのしきたりでございます。
○三浦委員 九億円もかけてわざわざつくる。そしてそれは別に皇位継承の要件でもない。それに我々の税金をつぎ込む。九億円ですよ。そして一晩で消えてなくなってしまう。こんな税金のむだ遣いはないと私は思うのですね。 大体、そういうことまでして何で天皇を賛美しなければならないのかということは私は問題だと思う。今は主権者は国民なんです。天皇は何ら政治的な権能を持たない象徴にしかすぎないのです。そして、そういう天皇制とか君主制というものは世の中が発展するに従ってだんだんなくなっているんです。減少しつつあるというのが現実ですよ。 私、ちょっと調べてみましたら、今世紀の初めには、共和制下で暮らしていた人々は人口の一一%にしかすぎませんでした。あとはみんな八九%が王制で暮らしていたのです。ところが現在はどうなっているかといいますと、君主制が残存しているのは人口のわずか八%です。一億以上の人口のある国で君主制をとっているという国は日本だけでしょう。そういう意味で、そういう世界の趨勢というものも考え、また、天皇の憲法上の地位というものも考え、国民が主権者であるということも考えて、それにふさわしい即位の礼並びに大嘗祭をやるように強く要望して私はこの質問を終わりたいと思います。
○岸田委員長 続いて和田一仁君。
○和田(一)委員 昭和から平成にかわり、今上陛下になってからの即位の礼が行われることになりまして、その即位の日を休日にしようという法案でございますけれども、これにほぼとんど国民は異論ないと思っております。ただ、即位という大変な行事の中で支出されるいろいろな費用あるいは持たれ方に対して今まで論議が続いてきたと思うのですが、私もいろいろなことを伺いたいと思いながらも与えられた時間が少ないので、簡単明瞭にお答えいただき、今国民が考えている疑点を明らかにしていきたいと思っております。 初めに、この即位という行事に対して、私はこれは皇位継承の儀式として必要な践祚の儀、即位の礼、大嘗祭という一連の儀式が全部終わらないと皇位の継承にはならないと理解しておりますが、それでよろしいのでしょうか。それとも即位の礼があれば日本の皇位は継承された、そう思ってよろしいのか。この三つがなければ皇位は継承されないんだ、三点セットだという言い方はおかしいですが、践祚の儀から始まって、即位の礼を行い、そして最後に大嘗祭という儀式を経て初めて日本の皇位は継承された、完了された、儀式が終わったと認識していいのか、それとも即位の礼だけあればいいのか、その辺の御見解をお伺いいたします。
○多田説明員 「即位の礼を行う。」というふうに法律には書いてございます。したがって、法律で行わなければならないとされているのは即位の礼だというふうに理解をしております。
○和田(一)委員 官房長官、国政を担う大事なお立場で、特に内閣の枢要な地位におられる方として、こういう国事行為として大変大事な皇位継承というもの、これは今法律で決められているのは即位の礼だけ、しかし伝統行事は大事にするんだということを再三再四さっきから伺っております。そういう中で、法律で決まっているのだから即位の礼だけでよろしいと思いますか。
○宮尾政府委員 宮内庁としての考え方を申し上げますが、先ほど御答弁のありましたように法律的はは確かに即位の礼というものだけが規定をされておりますが、これは法律制度のことであります。宮内庁としては大方の国民感情といいますか、あるいは日本の長い伝統の中で、あるいは皇室の伝統の中でやはり即位の礼を挙げられ、いわゆる践祚という言葉はありませんが、お代がわり直後の剣璽等承継の儀、朝見の儀というものが直ちに行われたわけでございます。そして、さらに皇室典範に規定があります即位の礼というものがこれから国事行為として行われますけれども、やはり長い日本の伝統あるいは皇室の伝統というようなものから見ますと、大嘗祭というものは皇位継承儀礼として行われてきておるという実績がありますから、そういう伝統に照らしても、あるいは大方の国民の感情といいますか、そういう考え方に照らしても、大嘗祭もきちんと行われる必要がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
○坂本国務大臣 即位の礼、それは憲法上、法律上今政府委員が申した結論で結構だと思います。しかし、国民の象徴ですから、やはり長い伝統の上にはぐくまれてきた要素が大嘗祭は強いのですから、その大嘗祭で天皇がお示しになることというのは、憲法に規定する宗教的な側面というよりも、安寧と五穀豊穣を祈るというお気持ちで大嘗祭に臨まれると私は思っております。決して神道を助長する意図もなければ、そのほかの宗教に対してこれを圧迫する、そんな気持ちはいささかもない、それは日本国民の常識において認められることだと私は思っております。専ら国家国民、そして世界の平和をお祈りされるという意味で、そういう即位の礼プラス大嘗祭というものがあった方が国民的な気持ちにも非常にマッチする、そういうふうに私は考えております。
○和田(一)委員 今官房長官のお話を伺っておりますと、これは二十条のいわゆる制度的な信教の自由を保障している、これに全く触れないという御見解のように思います。大嘗祭が宗教上の儀式であるかどうかということで今まで随分議論を重ねてまいられました。法制局の見解、政府の見解は、さっきも言っておりましたが、これは宗教上の儀式としての性格を否定できないという大変面倒な言い回しの中で宗教的な儀式であるということを認めておられるわけなんですね。認めれば、これは本当に矛盾するのです。これは国民はわからなくなっちゃうんですよね。これは本当に、いわゆる宗教上のものなのかどうか、この点をもっと吟味した上で見解を出していただかないと困ると私は思うんですね。 今官房長官がおっしゃっていました象徴としての天皇、世襲制の天皇制というものを憲法は認めております。その世襲の大事な行事として大嘗祭はやはりおやりになるべきだ、こう官房長官はお考えになっている。私もそうであろうと思うわけですが、であるならば、これをやめるわけにいかない、省略するというわけにはいかないならば、これはやはりきちっとした見解の上で、あいまいもことしてやるのではなくて、国が大事だと認めたなら国事行為でやれないのかどうか、なぜ政府はこれを国事行為とし得なかったかをもう一回伺いたいのです。
○工藤政府委員 これは先ほどから時々引用されますペーパーの中に書いてある「儀式の位置付け」のところでございますが、二点書いてございます。一つは「趣旨・形式等からして、宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定することができず、」これが第一点であります。第二点として「また、その態様においても、国がその内容に立ち入ることにはなじまない性格の儀式である」、こういうことを挙げまして、「大嘗祭を国事行為として行うことは困難であると考える。」こういうことになっております。
○和田(一)委員 七条で天皇のいろいろな国事行為を規定されておりますけれども、三十四年三月の参議院の予算委員会での質疑応答の中でこういうことがございます。これは現陛下が皇太子のときの御成婚の儀ですが、これが国事行為として行われました。国事行為です。そのときに答弁は、「その行い方につきましては、その家の方式で行う、その信ずるところで行うことが、むしろ憲法の精神に沿うのではないか。」という御答弁がございました。これは宇佐美宮内庁長官の御答弁でございます。賢所御前で成婚の儀はとり行われているのですね。形式からいえば、これはさっきから言っている神道形式ですよ。これが国事行為として認められておりながら、今回、今法制局長官はそういう性格を否定できないからというだけのことでこれを国事行為になじまないというのがどうもよくわからないのですが、その辺、官房長官どうでしょう。
○工藤政府委員 確かに、今上天皇が皇太子であられたとき、皇太子結婚式の結婚の儀、これが国事行為として行われております。 若干その違いと申しますか考え方を御説明申し上げますと、皇族の婚姻の場合には、婚姻の儀式の挙行によって成立するというふうに解されておりまして、しかも我が国のいわば社会通念ともいうべきものからいえば、婚姻の儀式の中核は婚姻の当事者が婚姻を誓う、しかもその誓いは婚姻当事者が望む方式によって行うべきもの、かように考えられていると思います。 それで、今の御指摘の婚姻の儀式でございますが、神の前で婚姻の誓いをするという宗教上の儀式であり、かつ国事行為として行われましたけれども、それは今申し上げましたような婚姻当事者の意思に従った、こういうことでございまして、その方式の決定につきまして国は間接的、受動的に関与したわけでございます。そういう意味で、婚姻の儀式の特殊性、こういうふうなものを考えますと、やはり特定の宗教への助長等の効果を持つものとまでは言えないということで、憲法二十条三項に違反するものではない、かように考えたわけでございます。 他方、大嘗祭は、法的な見地から申し上げれば天皇が即位されるための法的な要件ではないという意味で、先ほどから申し上げておりますように即位に伴う儀式のうちの一つでございます。大事な儀式ではございますけれども、大嘗祭を国事行為として行うことができるかどうか、そういうのはやはり政教分離の趣旨の観点から慎重に検討する必要がある、かように考えまして、今申し上げたような結論になったわけでございます。
○和田(一)委員 どうもよくわからないのですが、政教分離の原則というのがそこで出てきたわけですけれども、私は、国家が政教分離をうたうというのは、国民の心の問題には立ち入らないのだ、つまり特定の宗教についてその自由を阻害したりあるいは援助したりそういうことをしない、そういう意味合いから政教分離ということを言っていると思うのです。国教を持っている国家は別ですよ。国の宗教を持っている国家は別。しかし、日本は無信仰の国家ではないと思うのです、信仰の自由を認めているのですから。だから、信仰をしてはならぬということを言っている国家ではないですね。 それで私は伺いたいのですけれども、天皇陛下には信仰の自由はあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○宮尾政府委員 あるというふうに理解をいたしております。
○和田(一)委員 これは大変なことだと私は思います。天皇陛下に信仰の自由があるのですか。回教を信仰しても、キリスト教を信仰しても、陛下は自分の信仰を自由にお持ちになれるのですか。
○宮尾政府委員 若干答弁が行き届かない点がありましたけれども、天皇は日本国民の統合の象徴である、日本国の象徴であるという立場で、これまでも天皇陛下は皇室の長い伝統の中で皇室としての祭祀といいますか、そういうものをお続けになっているわけでございます。先ほど私は極めて一般論として申し上げたわけですが、いわゆる信教の自由といいますか信仰の自由といいますか、そういう国民の権利的なものが法律上一般論としてあるのか、こういうようなことで御答弁を申し上げたつもりでございますが、当然天皇陛下は長いこれまでの皇室の伝統に従った皇室の祭祀というものを大変大事にしておられると考えております。
○和田(一)委員 官尾さんのおっしゃることもわかります。要するに、陛下個人としてのお心の中をどんな法律であろうが何人であろうが左右することはできない、しかし公人としての天皇は信仰の自由は与えられていない、私はこう思うのです。これは当然だと思うのです。 この象徴というものはそういう意味では、今御説明を聞いていると無色透明のものだな、私はこういう感じがするのです。日本は宗教を信じてない唯物国家ではないのです。そういう体制の国ではありません。そしてまた一つの教義を持った、国教を持った国家でもないのです。広く宗教の自由を認めているからこそ政教分離というものが出てきているのでしょう。天皇は、そういう中で一人の個人として信仰を自分で持って、そしてそのための宗教行事をやっているのじゃないのですよ。だとすれば、全く無色透明なんです。僕は、神道神道と言うから神社神道のような――さっき長官も宮尾さんもおっしゃっていたように、広く言えばキリスト教、仏教、神道という形式を踏まえているから、宗教上の儀式を否定するわけにはいかないというような妙な言い回しの格好になるわけですけれども、神社神道と皇室神道という言葉があるかどうかわかりませんが、それは私は一緒にはできないと思う。それを、俗に言う宗教上の儀式である、こう認定してしまったら、これにはお金なんて出せませんよ。ここが一番あいまいもことしていてはいけないところだと私は思うのです。日本の憲法で世襲制の天皇制を認めているのですから、その世襲行為としての即位というものが大事だという認識を政府は持っているのですから、それを堂々とやれるような格好にしないで、何やら言いわけをしながらやらなければならないというような見解はおかしいと思う。これは本当に宗教上の行事だったらやったらいけませんよ、そういうことになってしまうのですよ。いや、そうじゃなくて、私はもっとおおらかな、さっきも言っていたけれども、祈るというのでしょう。象徴というのは一体何ですか。象徴ということは何をやったら象徴になるのですか。何もしないことですか、国民の象徴というのは。国民の統合の象徴、国家の象徴、これは国の、国民のために平和や安全や豊かになることを願ったり祈ったりするということだ。その行為があっていけないということになったら象徴というのは一体何をやるのですか。そこが非常に大事だと私は思うのですが、宮内庁、いかがですか。
○宮尾政府委員 大嘗祭は、政府の見解の中にも記述してありますように、また、私どももそういう認識をしておるわけでございますが、一世一度の重要な皇位継承儀式であると私どもは基本的に考えているわけでございます。ただ、政府の見解の中でいろいろ記述をしておりますのは、それを国事行為としてやれるかどうかということをその中で記述をしておりますけれども、そこには先ほど法制局長官の方からお述べになったように、宗教上の儀式としての性格を有することを否定することができないという考え方が一つと、それから国事行為といいますか、態様において国事行為として行うことになじまない、こういう二つの理由によって国事行為としては今回行われない、こういう考え方を打ち出しているわけでございます。 ただ、今申し上げましたように、私どもはそれは皇位継承儀礼の非常に重要なものである、皇室としてはこういう重儀をなさらないようにすることはできない、こういう考え方に立って、皇室の行事として、伝統的なものも踏まえながらこれをなさっていくようにされたいと思っておるわけでございます。 それから、今の宗教の問題ですが、御質問が宗教は何かとか、神道であるかとかというふうな御質問でありますので、それは宗教的、宗教上の儀式としてそのものずばりではないと私は思いますけれども、盾の表と裏というように、皇位継承儀礼である、しかし、宗教上の何らかの性格を持っておるのかという観点からいえば、宗教的な性格なり色彩というものを先ほどのように御答弁せざるを得ない、こういうふうに考えているわけでございます。
○和田(一)委員 私の宗教観というのが普通の人と違うのかどうかわかりませんけれども、宗教というのは教義があって、そのことを唯一絶対のものと信じる人がそれを広く広めるという行為があって宗教というものはあるのだと思うのですが、宗教的行事とおっしゃるけれども、どうも私はそれがそういうものに該当するものなのかなという感じがしてなりません。確かにお着になるものやらそれをお助けする周りの人たちの服装やらやり方やら音楽やらそういうものがあるとすれば、そういうものが今の神社神道で行われている儀式に似ていたり、あるいは同じものをお使いになったり、そういうことが形の上ではあるかもしれませんけれども、宗教という一つの内容からいえば、これが宗教になるのかなという気がしてならないのですけれども、その辺が私の宗教観と違うのかなという気がいたします。 いずれにいたしましても、大事な国としての皇位継承、新しい憲法になって初めてこれを扱うわけでございます。休日というのは行事に対して国民が祝うので、そういう意味でこれを制定しようという趣旨だと思います。したがって、私も賛成したいと思っておりますが、であるならば、それに関連して行われるすべての行事がすべて国民の理解の上で、国がお助けすることも結構なんですから――私は国家行事にしろと言っているわけではないのですよ。するとかしないとかの議論の中であいまいもことなっているものをきちっとした方がよろしい、こう言うだけのことですから、それをぜひひとつこれから十一月十二日の休日になるときまでに理解を求めていただきたいと思うのです。 官房長官、昔はお休みの日を旗日と言ったのです。祝祭日と言ったのです。国を挙げてお祝いをする日等には昔は国旗を掲げたという記憶がございますが、最近は少なくなりました。そういう意味で、先ほど御質問ありましたけれども、政府としてこの休日に国旗を掲揚したりするというようなことを国民にお勧めになるか、それともこういうお祝いの日、国民挙げてのお祝いの行事を何かお考えになっているか、そういうことも含めて、せっかくやられる即位の礼及び皇位の継承という一つの大事な儀式が国民こぞってのお祝いの中でやれるような方策をぜひお考えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○坂本国務大臣 あなたの御意見については非常に共鳴するところが多うございます。この即位の礼に際しての祝意のあらわし方については、成案を得次第、閣議決定をすることとしておりますが、その内容は、一つ、国の措置としては国旗掲揚を行うこと、二つ、地方公共団体一般においても上記と同様の方法により協力方を要望するということを予定しております。
○和田(一)委員 もう一ついいですか。何か国家的な地方行政への指導とか学校教育に対する指導ということはお考えになっていませんか。
○多田説明員 基本的な構えは先ほど官房長官からお答え申し上げたとおりでございますが、具体的にどんな格好で呼びかけていくかという形については、もう少し詰めた格好で決定していきたいと考えております。
○和田(一)委員 時間になりましたので終わります。
○岸田委員長 次回は、来る十九日木曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三分散会