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118回国会衆議院1990/05/29

土地問題等に関する特別委員会 第4号

発言数
102
登壇者
17
会派数
5
開催日
1990/05/29

会議録

工藤巖自由民主党

○工藤委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。  土地問題及び国土の利用に関する件について調査を進めます。  本日は、本件調査のため、参考人五名に御出席をいただき、参考人に対する質疑を行うことになっております。  ただいま御出席願っております参考人は、横浜国立大学大学院教授成田頼明君及び東京大学社会科学研究所教授稲本洋之助君の両名であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  両参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  両参考人には、土地問題及び国土の利用に関する件につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げますが、成田参考人、稲本参考人の順序で御意見をお一人十五分程度お述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て発言をしていただき、また、委員に対しては質疑できないことになっておりますので、御了承ください。  それでは、成田参考人にお願いいたします。

成田頼明横浜国立大学大学院教授

○成田参考人 ただいま御紹介賜りました成田でございます。  本日は、当特別委員会に参考人としてお招きいただきまして、大変光栄に存ずる次第でございます。何分時間がございませんので、細かい点は後ほど御質問がございましたときにお答えするといたしまして、限られた時間を有効に使いまして、一般的なお話を申し上げたいと存じます。  まず最初に、昨年末に土地基本法が成立いたしまして、これに基づく施策の具体化と政治、行政による本格的な取り組みが現在期待されているところでございます。  このところ、しばらく土地税制をめぐる論議が非常に活発でございます。それはそれで大いに国民各層で議論をしていただきたいというふうに思うのでございますけれども、税制改革に関連いたしまして、これだけやれば確実に地価が下がる、こういった予言者の宣託のような提案が最近新聞紙上等にかなりセンセーショナルな形で掲載されておりますけれども、戦後四十五年間の日本の土地病に対しまして、これをやれば効くという唯一の特効薬というのは、私の見解ではないのではないかというふうに思います。日本の土地病を治すためには、まず第一に計画、規制、それから税制、助成誘導、この四つが整合性を持って作動される必要があるというふうに考えます。しかも、ステップ・バイ・ステップで手順を踏みながら、いわゆる時間をかけて治療に当たるということが必要であろうかというふうに考えております。  第二に、これからの対策の具体的な方向は、やはり土地基本法がせっかくできたわけでございますので、そこに示されております土地に関する四原則にのっとり、その十一条から十八条に示された方向、これを粘り強く制度化し、実施することではなかろうかというふうに思っております。  当面の施策を総合的に打ち出し、内外に日本の土地問題に対する本格的な取り組み姿勢というものを示すために、かつての公害国会のような土地国会とでも言うようなものをお開きいただきまして、集中的に審議されることを希望したいというふうに思っております。     〔工藤委員長代理退席、桜井委員長代理着席〕  次には、土地利用計画について若干お話を申し上げます。  我が国には土地基本法十一条で申します土地利用計画という総合的、統一的あるいは一元的な計画制度はございません。国土利用計画法に言う土地利用基本計画、これは知事がつくるわけでございますけれども、これも個別法に基づくばらばらな規制計画の寄せ集めでございます。土地基本法は土地についての公共の福祉優先ということをうたっておりますけれども、これは言いかえますと土地の計画に従った利用であり、計画なければ開発なしという原則を実現することであろうかとい うふうに考えております。  そこで、土地政策の第一歩は、これは大変難しい課題ではございますけれども、土地利用計画の制度を確立するということではなかろうかというふうに考えます。  それでは具体的に申しますと、一つは、やはり法律をなるべく整理して、しかも各省庁の権限争いというものを総合的に調整するような強力な仕組みが必要だということでございます。これに関連をいたしまして、沿革、しがらみ等々があって大変難しいことではあると考えますけれども、土地利用基本計画を中心とした統一的な計画制度というものを確立し、これに一元的な開発許可あるいは計画許可というものを連動させてコントロールすることが大事であろうというふうに思っております。  それから第二は、現在、土地投機あるいはゴルフ場、リゾート開発等々で問題になっておりますけれども、全くの無規制、無指定地域というものがたくさんございます。こういうところを、やはり土地利用計画を制度化することによって無指定、無規制の地域をなくすということも肝要であろうかというふうに存じます。  それから第三は、都市計画法、建築基準法上の商業地域、住居地域のように混在が非常に広く認められておる粗い地域制を厳格にいたしまして、用途地域制というものをより詳細化すべきであろうというふうに思っております。土地利用計画の詳細化ということは土地基本法にも書かれておるところでございますけれども、具体的に申しますと、用途別容積型の地区計画制度をつくるとか、あるいは点で特別のゾーニングをしていくとか、あるいは立体的な用途規制のゾーニングをする、こういったことが大事であろうかというふうに思われます。  それから第四は、これと並びまして土地利用計画の広域化ということをうたっておりますけれども、これにつきましては今後の課題ではございますけれども、自治体による連合土地利用計画あるいは市町村、都道府県による連合制度が今後検討されるはずでございますので、そういう仕組みを利用しながら連合した土地利用計画というものを広域的につくるということが必要であろうかというふうに考えるわけでございます。  それから第五に、土地利用計画は規制の計画であるわけですけれども、やはり規制の計画だけではなくて、プロジェクト対象地、こういうものを先行的に決めるような土地利用計画も必要ではないかというふうに思うわけでございまして、これは西ドイツで申しますと、各市町村がつくりますFプラン、イギリスで申しますとストラクチャープラン、こういった一般的な将来構想を示した基礎になるマスタープランというのが土地利用計画と並んで必要であろうかというふうに思っております。  それから第六に、規制権限はやはりできるだけ自治体に分権化するということが望ましいわけでございますけれども、他面、自治体はモンロー主義に陥ることなく、周辺自治体との共通政策をとったり、あるいは相互の調整に心がけるというふうな努力が必要であろうかというふうに考えます。  それから第三は、この計画を実現するための規制手法でございますけれども、規制の手法につきましては、単に現在のように消極的に開発や土地利用を抑制する、あるいは許可にしたり不許可にしたりするというだけではなくて、計画内容を積極的に実現するための多彩な手法をもっと導入すべきであるというふうに考えております。  例えば、計画収用というふうな制度がございますけれども、これは既に西ドイツにございますが、これは地区計画等で決められた内容を実現するための収用でございまして、古典的な点や線の公共的な事業の収用では必ずしもございません。計画を実現するための収用というふうなものが将来ひとつ考えられていいのではないかというふうに思われるわけでございます。特に低利用地、未利用地等につきましては現在保有課税等で問題になっておりますけれども、例えば一定期間、提出された計画に従った利用がされない場合には、利用すべきことを命令してそれに従わない場合には収用するとかあるいは逆に買い取り請求を与える、こういった建築命令のような積極的な義務を命じる制度、これも計画収用に連動して適用する必要があろうかというふうに存じます。  それから第二は、先買い権の発動でございますけれども、これは単なる協議先買いだけではなくて法定先買い権、いわゆる強制力を持った法定先買い権というものを強めていく必要があるのではないかというふうに存じます。これはフランスのザックという制度ではかなり広範に先買い権が使われているというふうな先例がございます。  それから第三には、小規模な強制力を持った土地の交換分合、言いかえますとこれはミニ区画整理でございますけれども、そういうものも考えるべきではないかというふうに存じます。これは、木造住宅が密集した地域などを新しい住環境のよい土地に更新する場合に非常に有効な手法になるのではないかというふうに考えるわけでございます。  それから第四は、義務づけ制度の導入でございまして、先ほど未利用地の利用義務というもののほかに、例えば駐車場とか住宅の附置義務、こういったようなものも将来考えていく必要があるのではないかというふうに存ずるわけでございまして、要するに、計画の内容を具体化するためにいろいろな多様な規制手法あるいは誘導手法というものを考えていく必要があるだろうというふうに思うわけでございます。  それから第四に、これはちょっと的外れなお話になるかもしれませんけれども、私は、土地問題は特に東京等の大都市圏では住宅問題であるというふうに考えております。大都市の庶民が土地問題で一番苦しんでおりますのは住宅問題でございます。特にサラリーマンにとりましては、東京には住めない、通勤一時間半、二時間というところに家を持っておるわけでございますけれども、これはまさに人権問題ではないかというふうに私は思います。同時にこれは、世界でGNP第二位というふうな超大国にとっては非常に貧弱な居住条件であり、国際化する東京の住居条件が悪いということは一種の国際問題でもあろうかというふうに思われます。そこで、今東京都に必要なのは適正な家賃で、つまり地価上昇の値上がりを反映しない適正な家賃で、しかも居住水準というものを満たした質のよい快適な住宅をかなり大量に供給する、こういう課題に取り組まなければならぬわけでございまして、この三つはお互いに両立しません。非常に難しい課題でございます。私はトリレンマと申しておりますけれども、こういう難しい課題に今全力を挙げて取り組まなければならぬのじゃないかというふうに思っているわけでございます。  具体的には、サラリーマン等の住宅取得を民間市場だけに放任をする、公共は公営住宅の建設管理や住宅の融資だけで十分である、こういう従来の住宅政策システムを改めまして、やはりもう少し公共なり行政なりが前面に出て新しい形の住宅政策を展開すべきときじゃないかというふうに思われます。  第二は、住宅の建設、住環境という住宅を重視する考え方を都市計画の中に取り込むということが必要でございまして、例えば各市町村あるいは都道府県ごとに住宅マスタープランというふうなものをつくったり、あるいは住宅重視型のゾーニングあるいは用途別の容積率、例えば高層住宅専用地区というふうなことを考えて、都市計画に住宅を盛り込んでいくということが必要かと存じます。  それから第三に、低・中所得層向けの借り上げ方式による賃貸住宅の提供を図るということも必要でございまして、これは借り上げるときの価格と貸すときの価格とは差額が生ずるということになるかと存じますけれども、そういう形で少しでも地価を反映しない安い賃貸住宅を提供すべきであろうというふうに思います。都民住宅というふ うに言われております構想がこれでございます。  それから第四に、木造賃貸住宅等密集地域や住商混合地域、この都市更新を住宅供給型に誘導するということが必要かと存じます。こういった地域は大量の住宅宅地資源の眠っているところであるというふうに考えております。ある意味では、市街化区域内の農地の宅地化よりも有効ではないかというようにさえ思われます。ただし、これはお金と労力が必要であります。そのために行政の積極的な介入あるいは行政の積極的な支援というものが必要になるのではないかというふうに思われます。  大体私に与えられました時間が参りましたので、大変簡単ではございますけれども、これで一応の陳述を終わりたいと存じます。どうもありがとうございました。(拍手)

桜井新自由民主党

○桜井委員長代理 ありがとうございました。  次に、稲本参考人にお願いいたします。

稲本洋之助東京大学社会科学研究所教授

○稲本参考人 東京大学の稲本洋之助でございます。今御発言なさいました成田先生は、行政法、公法の御専門でございますが、私は、私法、民法の分野の者でございます。  まず、土地基本法の制定の意義ということについて多少意見を述べてみたいと思います。  御承知のように、憲法二十九条第一項は「財産権は、これを侵してはならない。」と定めておりますし、それから第二項で「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」としています。しかし、この規定は、これまでどちらかといいますと、財産権は公共の福祉によって例外的に必要とされる場合以外は制限してはならない、財産権は安易には制限してはならないという趣旨に解されてまいりました。他方、土地所有権は重要な財産権の一つにほかなりませんから、結局今の理屈を当てはめますと、土地所有権に対する制限は例外的にしか許されないという解釈が、従来、憲法二十九条のもとでとられてきたと言ってよいと思います。つまり、公共の福祉という条項が憲法にあるにかかわらず、この条項は現実には制限を制限するという方向で働いてきたことを否定することができません。つまり、我が国におきましては土地所有権については、土地所有者は原則として自由である、例外的に禁止されるというルールがあったと言ってよいと思います。その結果、土地の所有や利用または土地の取引について立法上の施策が問題とされるたびに、先生方もうよく御承知のことではございますけれども、このような立法上の施策が問題とされるたびに、憲法二十九条に反するおそれがある、または触れるおそれがあると言われまして、慎重な判断が求められてきたと思います。各省庁が、特に法制局との協議におきましてこのような慎重な対応を求められるという経験を数多くしております。このようなぐあいでありました。  これに対しまして今回の土地基本法は、我が国の法律制度に二つの重要な事柄を初めて導入したのではないか。この法律を御審議いただいた先生方はよく御承知かと思いますが、あえて申し上げたいと思います。  第一は、土地所有権は財産権一般とは同じではない、むしろ法律上その取り扱いを異にしてしかるべきであるという考え方をこの法律が明らかにしたと思います。土地については公共の福祉が優先するという規定がそれを如実に示していると思います。土地所有権は財産権一般と同じに扱ってはならないのだということが第一点です。  それから第二は、土地所有権を具体的に規制する個別の立法があります。都市計画法や土地区画整理法や、また土地収用法上もそのような配慮がございますので、これらのさまざまな個別の立法との関係において、この土地基本法は憲法二十九条を補完する、すなわち補う役割を与えられたのではないか。すなわち、この土地基本法によりまして、土地所有権の内容は法律で定める範囲内で初めて認められるという、制限を基本とする考え方に立つようになったのではないか。従来は、憲法二十九条と個別の立法の間に何もありませんでしたから、とかく慎重な対応が求められまして、憲法二十九条に触れない範囲でということで立法せざるを得なかったのでありますけれども、これからはこの関係はむしろ逆の方向で発展していくのではないかというように思われます。言うならば、少し大げさな言い方かもしれませんけれども、これからは土地所有権について適切な制限を定めない立法は、憲法二十九条に触れるおそれがあるという逆の評価をなされることにもなるのではなかろうか。このような二つの点で、土地基本法は新たな考え方を導入したと思います。  では、そもそも土地は他の財産とどう違うのか。これは私が言うまでもありませんが、土地はそれ自体人の手によって生産することができないばかりか、絶対的な意味で消費することもできないのであります。したがって、土地は常にだれかの独占物といいますか、独占の対象となり、また経済的に見ましても需給の均衡の保障がございません。他方、土地は人の生活と生産のための不可欠な基盤であることは確かでありまして、そのために生活と生産のための私的な利益を保護する必要がございます。しかし、この保護に当たって、他の財産一般に対すると同様の所有権を認めることはできないのではなかろうか。なぜかといいますと、土地は非常に特殊な財であるからであります。土地については、不断にこの社会的配分の観点から利用の調整を効率的に行う必要があります。そのためには第一に、成田先生も言われましたが、計画ということが非常に大事でありますし、それからもう一方では、社会的公正を担保するための諸制度、例えば開発利益の還元や受益者の負担などでありますが、これらを必要といたします。土地基本法は、これらの事柄も明らかにしていると思います。  土地所有権に関するこのような法律制度上の特別の配慮は、実は我が国よりも欧米諸国においてよく見出されると思います。これは案外知られていないことかと思いますのであえて申し上げますが、イタリア憲法というのがありまして、これは一九四七年、我が国の憲法とほぼ同時のものでありますけれども、このイタリア憲法は財産一般についての条項をまず設けています。四十二条の二項で、「私有財産は、法律により認められ、保障される」ということをはっきりと定めまして、このような規定を置いた上で、土地所有権については別個の条文、すなわち四十四条という条文を設けました。そこでは「法律は、土地の合理的開発を行い、衡平な社会関係を樹立するために、私的土地所有権に対し、義務および制限を課す。」というように定めています。このイタリア憲法の規定は、ほかならず土地所有権は財産権一般とは違う扱いをしなければならないということを憲法上明らかにしたものであります。  我が国においては憲法二十九条しかございませんでしたので、この関係がそれほど明確ではなかったのでありますけれども、今回の土地基本法は両者の関係を明確にしたと思います。そういう意味で、土地基本法は憲法二十九条を補完して、個別の立法につなげる役割を果たすことになると申し上げたのであります。  ところで、私も最近に開催されました土地政策審議会の一員でありますが、第一回の会合で海部総理が、特に土地神話を打破しなければならないということを強調されました。このような言い方は既に各方面でなされておりますので、特段に新しいことではないと思いますが、要するに、土地は持っていれば必ずもうかる、かつ土地は財産として目減りしないという考え方がありまして、これが不幸なことに事実によって裏づけられた思いがいたします。すなわち、このような土地神話は非常に広く国民に普及しています。また、株式相場の暴落のうちには、土地はやはり例外であった、土地を持っていた方がよかったという声すらあります。これらを含めて土地神話というのでありましょう。こういう考え方が広まっておりますと、どうも自分で使わない土地を持っていても、それを売りに出さない、人に貸さない、すなわち供給を抑えるという気持ちになりがちで、これが地価高騰の真の原因と私は思いませんけれども、 それをやはり助けた一つの要因じゃないだろうかと私は思います。  このような土地神話を打破するということは大変結構なんですが、私は、単に土地神話を打破せよと言うだけでは足りないので、もう一つ根本に戻って、我が国における土地所有観念を見直そうではないかというように思いまして、まだ甚だ少数意見ですが、学者として少し今までにないことを考え始めています。  そもそも我が国においては、土地は先祖代々のものという考え方がありまして、これは農村においてはごく自然ですけれども、この大都市においてもまだこういう考え方がありますが、これは欧米的な感覚から見ると非常に奇異に感じられるそうであります。欧米におきましては、都市自体が一つの公共的な社会的な施設であって、もう何百年も前から人々の共通の利益のためにつくられてあるんだという気持ちがありますから、都市における土地はそれ自体、本来公共のものだという観念があります。  しかし、その都市において住んでいるのは生身の人間でありますから、幾ら公共、公共といったって、生身の人間の生活や生産活動が保障されなければ困りますので、その上で初めて私権による保護が考えられなければならない。土地は基本においては公共だが、その上に私的な利益を保護する制度があるということになりますけれども、この点について考えてみますと、もう一つ、次の点で日本と諸外国が決定的に違う。  我が国では、土地と建物は別個の不動産であります。ところが、このような制度をとっておりますのは、かつて我が国の影響下にあった韓国や台湾においても現在ではとられていないのであって、世界で唯一、土地と建物が別個の不動産であるという法律制度をとっている甚だ例外的な国であります。そのため、例えばですが、やや脱線しますけれども、借地法などという面倒くさい法律が我が国だけある。諸外国においては、土地の賃貸借というのは農地の賃貸借で、みんな小作関係ですが、我が国だけは宅地の賃貸借が成り立つ。このような国は全世界にここしかございません。このこと自体、私はいいとか悪いとか言っているのではありませんが、それがもたらす一つの結果については無視できないものがあろうかと思います。  というのは、土地と建物が別物で、土地は先祖代々のものだから後生大事に持ち続けるけれども、建物の方は男一生のものである。今、男という言い方は余りしてはいけないのですけれども、仮に昔の言い方ですから、土地は先祖代々、家は男一生のものである、一生に一度家を建てかえられないような男はかい性がない。うだつが上がらないというのはここから来た言葉でありますが、要するに、土地はずっと持ち続けて建物は別個に考える。そのような考え方が依然として残っている日本におきまして、急に都市が膨張し地価が上がってきますと、今度は土地所有権自体がいわば暴走を始めるというように言っていいのでしょうか、利用からかけ離れたものとして見られてきます。それは、土地は決して目減りしないとか必ずもうかるという土地神話になるのだろうと思います。ですから我が国では、土地所有権というのは、土地そのものを保有して独占するための権利というような感じがありまして、土地のイメージは常に更地、更地が最も完全な完成された商品としての土地で、建物が建っているとそれだけ価格が下がるという妙な考え方が我が国にございます。     〔桜井委員長代理退席、工藤委員長代理着席〕  これに対して欧米ではどうかというと、土地というのは建物と常に一体不可分でしか考えられていませんので、具体的には、土地というと建築された空間のことをいうのです。その空間が建物の二階部分、五階部分に仮にあっても、その地盤の土地の共有持ち分と一体不可分のものとして土地資産と考えられている。土地と建物は切り離して考えることがもう到底できないのでありまして、こういうことができるというのはよっぽどすぐれた頭脳の持ち主であろうかと欧米では思われます。したがいまして、土地に対する利益を保護する私権は、土地と一体となった建築空間の利用を保護するために認められるものでありまして、土地そのものを裸で観念するということはないのであります。  我が国におきましては今土地問題が深刻化しておりますので、このような諸外国の考え方に多少とも学んで、土地神話を打破するべきではないだろうか。都市においては、土地所有権は建物と一体の関係においてとらえられるべきであります。それで、もしそのような考え方が今後だんだんに支持されていくとしたら、むしろ土地所有権というのは空間的にも時間的にも制限され、限定されたものであってよいのではないかというようにも私は考えております。時間的に限定された土地建物の利用を保障するために土地所有権が認められる、このような考え方をとることができないだろうか。今こんなことを言ったら、おまえは気違いではないか、例えば五年物の土地所有権なんというのはおかしいじゃないかと言われるかもしれませんが、土地の利用の側面においてそれを保護する権利は、空間的にも時間的にも調整可能なものであってよいという考え方を私は述べるために申し上げているのであります。  例えば外国ではどうかといいますと、イギリスでは、ロンドンを初めとする大都市において土地所有権のほとんどはこのような時間的に、また空間的に制限された所有権であります。この時間的、空間的に制限された所有権を英語ではリースホールドといいますが、リースという言葉が災いして賃借権と訳している方々がいますけれども、これは間違いで、むしろ端的に言って土地所有権であります。ロンドン市は数人の底地所有権者がいて、これは大部分が大貴族であります。それ以外はほとんど定期の、また何階から何階まで、何メーターから何メーターまでという範囲を限定された建物一体の土地所有者でありまして、その上にロンドンの経済的な繁栄や政治や文化の発展があります。短いものは三年、十年、二十年、長いものは七百五十年という、甚だ長短定かではございませんけれども、基本的に利用を中心とした土地所有権は制限されてしかるべきだというものです。我が国でも多少ともこういう方向で物事を見直したらどうか。  以上が総論でありますが、各論にわたることは御質問の中で機会がありましたらまた申し述べることにいたしまして、与えられました十五分の時間がほぼ経過しますので、これで初めの意見開陳を終わります。(拍手)

工藤巖自由民主党

○工藤委員長代理 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ─────────────

工藤巖自由民主党

○工藤委員長代理 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。

小杉隆自由民主党

○小杉委員 まず成田先生にお伺いいたしますが、土地基本法に盛り込まれた四つの理念がございますね。つまり、土地についての公共の福祉の優先ということ、それから二番目が適正利用と計画に従った利用、それから三番目が投機的土地取引の抑制、四番目が価値の増加に伴う利益に応じた負担、こういう理念をどのように具体的に立法に生かすか、あるいはまた具体的な施策に生かしていくか、これが今後の課題だろうと思うのですね。  そうしますと、従来の法律には、もう都市計画法から建築基準法から、土地建物に関する法律は幾つあるかわかりませんが、とにかく多数あると思うのですね。そういうものをこれからこの四つの理念に基づいて、土地基本法に基づいて手直しをしていく、そういう場合の手法ですけれども、先生は、特にどんな点から手をつけたらいいのか、あるいは先ほど公害立法の問題を出されまし たけれども、こういうものはやはり一括して全部関連して改正した方がいいというふうにお考えなのか、あるいは優先してどこかから先に手をつけるというふうにお考えか、その点まずお答えいただきたい。

成田頼明横浜国立大学大学院教授

○成田参考人 お答え申し上げます。  現在日本の土地問題を考える場合に、やはり法律が多過ぎるのじゃないかということを感ずるわけでございます。現在、建設六法と国土六法というのがございますけれども、これ一冊だけで昔の六法全書に相当するぐらいの厚いものになっております。私は、法律が余り多過ぎるということは、ぶつかり合って結局は複雑になって、法律がないに等しいことになるのじゃないかというふうに思うので、これはなかなか難しいと思いますけれども、例えば西ドイツのようになるべく法律を一本化していく。西ドイツは、従来ございました都市計画法に当たるような法律、それから再開発法に当たるような法律、そういうものを全部一本化いたしまして、千九百八十何年かに建設法典というのをつくりました。これはやはり国民にわかりやすい法体系にするということ、それを使う市町村のレベルですぐにわかるようなものにする、同時に規制を緩和するというふうな目的でできたわけでございますけれども、やはりできればそういう形で計画法制というものを考える、これが一番優先だろうと思います。  もう少し国民にもわかりやすい法律にすべきじゃないかというふうに思うのです。これはいろいろなしがらみがございますから、そう簡単にはできないかもしれませんので、やはり都市計画関係の法律だけでも少し簡単に、コンパクトにまとめていくというふうなことが当面考えられるべきことじゃなかろうかというふうに考えております。

小杉隆自由民主党

○小杉委員 稲本先生に伺います。  先生は今回の土地基本法の意義を強調されましたが、今と同じ質問をしたいと思うのですが、これを具体的に法律にどう生かしていくか、その手法について先生のお考えを伺いたいと思うのです。

稲本洋之助東京大学社会科学研究所教授

○稲本参考人 法律の数が多いということは今成田先生がおっしゃいましたが、しかし法律の中にも特に重要な意味を持つものがあります。例えば都市のあり方を決める都市計画法でありますけれども、この法律が昭和四十三年に新しくつくられたときには土地基本法はもちろんありませんし、土地についてこのような深刻な経験をしていなかったので、割におおらかなときであった。すなわち、地図の上に線を引いて区画を決めて、ここはこのような方向へ誘導する、ここはこのような行為はしてはならない、このような計画でありましたが、土地基本法のもとでは、土地を効率的に、有効に、そして社会的な公正を考えて利用しなければならないということになりますと、まず平面的な都市計画では不十分だということが言えると思います。  私は、先ほど土地建物一体の所有権観念ということを言いましたが、この考え方に基づいていきますと、都市計画は今後は立体的でなければならない。立体的であるために必要なことが幾つかあります。  その第一は、何々してはならないという法律のつくり方をやめて、何々すべきであるという、否定型から肯定型にしなくちゃいけない。今日用途地域の制度がございますけれども、例えば工業地域においては学校はつくってはならない、病院はつくってはならないということを定めて、それ以外定めてないので、そこに住宅をつくるのですね。住宅はできるけれども、子供の通う学校もなければ困ったときに行く病院もないような都市計画というのはおかしいと思います。むしろ、ここには住宅を優先的に建てろ、ここには商業的な施設を建てるという積極的な都市計画を立てるべきです。  この一つのお手本は、成田先生が先ほどちょっと触れたと思いますけれども、西ドイツのBプランなどであります。立体的に物事を考える。我が国でもこういう方向で若干の制度がございます。例えば地区計画制度がいろいろありますが、一昨年つくられました再開発地区計画制度などもそうですし、今恐らく御審議中だと思いますけれども、郊外部における中高層の住宅のための地区計画制度などもあります。これはどのぐらいの高さの、どういう人たちが住む、どのような利用に供されるものをつくるかということまでを含めた都市計画でありまして、積極的なものであろうかと思います。また他方では、土地区画整理法などですと立体換地という規定があるのですが、これはほとんど今まで使われていませんけれども、このようなものを活用していくということもあると思います。  それから他方で、経済的な利益や負担に関する問題がありますけれども、我が国の制度ではこの点やはり非常に慎重でありまして、負担金制度でも、下水道その他若干のものについては制度化されていますが、一般的には、理論的には正しいけれども具体的には無理だ、または制度があってもそれは自治体の判断で適用しないということがほとんどであります。しかし、そのために結果的に、よく言われておりますけれども、便利なところに前から住んでいる人と非常に遠いところで新たに住宅を見つけなければならない人々のより大きな経済的な負担の差が出てきておりますが、こういうことを正面から見据えようというのが土地基本法の考え方ではないか。したがって、規制の面もさることながら、経済的な均衡、公正という点で、我が国の立法、非常に欠けているところがあります。これを早急に埋める必要があろう、税制などはそのための一手段ではないかと思います。

小杉隆自由民主党

○小杉委員 ちょっと個別問題に入りますが、今借地・借家法の問題が検討されておりますけれども、今度の借地・借家法というのは今までの法律をできるだけ合理的にしよう、あるいはまた非常に多様化して、例えば長期と短期に分けた借地権というような考え方とか、あるいは金銭による解決も認めるというような新しい方向性が出ているのですが、恐らくこれは借地人と貸している人との間で相当利害が錯綜しておりますから、相当議論が展開されると思うのですが、先生は、検討されている借地・借家法についてどういう御見解をお持ちか、稲本先生お願いいたします。

稲本洋之助東京大学社会科学研究所教授

○稲本参考人 借地・借家法の改正事業に着手されてからもう五年になりますけれども、まだ最終的な結論に至っていないようであります。できれば来年の春には成案を得たいということを法務省側で言っております。  重要な法律の改正でありますので、慎重に審議はしておると思いますけれども、かなり難しい問題がある。  その第一は、既存の借地・借家の処理の問題と新規の借地・借家のあり方の問題が常に二重に重なってしまっていて、その一方だけを考えるわけにはいかないということです。本来、この議論が出てきたときには、土地の供給を増大させるために新規の借地を大いに出させよう、すなわち貸しても返ってこないという現在の借地制度でなくて、貸しても必ず返ってくる借地にしたら土地所有者は出すのだろう、これで出発したのですけれども、ほどなく最初の土地の高騰の過程で、言葉は適切でないかもしれませんが、むしろ都市の再開発の邪魔になる借地人、借家人に出ていってもらうには、今の法律ではだめだということになってきたと思います。  この第一の、将来に向けてのあり方を論ずる点では、大体学者を初め関係者の意見はまとまってきたと思いますし、私自身としてもそれに賛成するところがたくさんあります。例えば定期借地権という考え方でありまして、土地の利用は一定の期間を定めて、その期間中の保障は可能な限り与える。すなわち利用の安定を図るけれども、期間の満了によって終了する。そのときの経済的な諸関係は清算をする。こういうような考え方は今まで我が国にはありませんでしたが、先ほど言いましたイギリスのリースホールドの日本版として活用できると思います。ただ、余り地主側の貸しや すきを考えまして、期間は制限する、借地人の権利は弱めるというだけではいけないので、期間の制限はもっともだが、期間中の利用の保障はしてやらなければいけない。例えばきちんと登記をして第三者に対抗できるようにしたり、その期間中の財産として譲渡ないしは担保に入れることも、一定の条件のもとで認めていいと思います。  問題は、既存の借地・借家関係の処理をこの法律に期待することができるかということです。今、小杉先生御指摘になりましたが、金銭的な解決を図るということは、現実策として私はかなりよくわかります。ただそれは、次のような考え方を一つ前提にしてなのです。  現在の、借家はちょっと別にして、特に借地は、御承知のように現行法のもとで非常に強い保護を与えられているために、借地権割合とか借地権価額という観念が公然と用いられているところにも言えますように、れっきとした一つの財産権であって、東京の都心で例えば百坪の借地を持つ者は八十坪の更地というか土地を持つ者と経済的に全くイコールの価値を保有しているということになりますから、その一方の百坪の借地人に対してだけ期間が満了したからこの際出てくれというような法律改正を行い、八十坪の土地所有者については何も手を触れないということが果たして社会的に妥当かという大問題があります。  ですから、借地法を改正して既存の借地関係を解消しやすい方向にもしするとしたら、これはよほどの覚悟が必要だろうと思います。その覚悟というのは、地主が自分の持っている所有権も社会公共のためには手放すことを強いられても文句を言わないというくらいの覚悟で、借地人の既存の借地権の解消を要求するということになりましょう。しかし、これは一挙にできることではありませんので、例えばですが、話が飛躍しますけれども、固定資産税の見直しのようにかなり年月をかけて所有権観念自体を変えていくということの中で、既存の借地関係を解消していく。合意が成り立てば即刻解消してよろしいのでありますから、金銭による解決であってもこれは当事者が満足するならそれでいいじゃないか。また、お互いに多少不満はあるけれども法律でそういうものを用意して当事者がそれを選択するのであれば、当事者の合意によるものですからよいのではないかと思いますので、私は金銭による既存借地・借家関係の合意解消にはもちろん異論はありませんけれども、それを何か、この際一気に、長年返してもらえなかったものを千載一遇の機会のようにして返してくれというのは、経済的にはもちろん、政治的な観点からもやや妥当性を欠くのではないかと思いますが、多少、私、自分の専門の意見というよりも、やや一国民としての感想を交えて申し上げました。

小杉隆自由民主党

○小杉委員 ちょっと新たな質問をするには時間が余りにも限られてしまったので、成田先生、借地・借家法について一言、何か御感想があれば聞かしておいていただきたいと思います。

成田頼明横浜国立大学大学院教授

○成田参考人 借地・借家法は私は専門ではなくて、今稲本先生が専門の立場でいろいろお話しになりましたけれども、最近特に普通財産の有効利用というようなことで、特に公有の普通財産を信託に出したりしております。それからまた最近は、さっき申しましたように、都民になるべく安い家賃の住宅を供給するという意味で借り上げ住宅などを提供しておりますけれども、そういう場合にかなりいろいろ問題になりますのは、借地法、借家法ではないかというふうに思うのですね。これは、この制約がなければもっといろいろなことが大幅にできるんじゃないか、特に住みかえなどもかなり自由にできるんじゃないかというふうに思われるのですけれども、我々、公法の立場から見ましても、やはり借地法、借家法というものは時代の流れに合ったように合理化していただきたいというふうに思っておる次第でございます。

小杉隆自由民主党

○小杉委員 それでは、以上で終わります。ありがとうございました。

工藤巖自由民主党

○工藤委員長代理 次に、井上普方君。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)委員 稲本先生にお願いいたします。  土地基本法で公共の福祉を優先させるということは明確にいたしましたが、これは先生方御存じないかもしれませんが、実は政府原案には入ってなかったのです。それを野党が交渉して、要求して入れたということはひとつ御理解願いたいのであります。これがまず第一番。  それからその次に、土地は公共の福祉を優先させなければならないというのは、昭和四十九年につくりました国土利用計画法には明確に申しておるのであります。このことを学者先生も、あるいはまた一般の方々もお忘れになっているというよりは御理解になってないところがある。この国土利用計画法というのは、これまた議員立法でつくった法律なのであります。これは、こういうことを考え、土地について公共の福祉を優先させるということは、国土利用計画法、すなわち昭和四十九年につくられた「基本理念」というところで明確にうたっておるのであります。これは「公共の福祉を優先させ、」ということを明確にここに書いてあるのであります。土地基本法ができたからできたんじゃないのです。これは議員立法でございますから、しかもこの利用計画法というのは、一面、地価抑制法という意味合いも持っておったのであります。しかし、行政がこれらに対しましてサボタージュをしておったがために今日の現状が出てきたのだと私は思います。  そこで、稲本先生が今御論議になりましたことは、実はこの国会におきましてもその後余り論議になっていないのであります。憲法二十九条と所有権との関係、土地というものの特性についての制限を受けるのだ、公共の福祉を優先させるのだという考え方、すなわち土地所有につきましては制限があるのだぞという考え方で、昭和四十九年に、これは反対しましたのは実は共産党だけなのでして、ほかの政党は全部賛成したのです。ところが、これにつきましてサボタージュをしてきておるのが現状なのです。このたび土地基本法というような法律ができましたけれども、この政府原案にも入ってなかったのを野党の要求によってできたということはひとつ十分に御理解の上で、これからも御論議願いたいと思うのです。  そこで問題になりますのは、利用権と所有権との考え方をいかにすればいいかということなのです。釈迦に説法でございますが、法律上におきましても日本の土地所有というのは、明治初年に行われました、ちょっとど忘れしましたが、あの法律からですな。都市においてはちょっと違った形態をとっておったけれども、やはりそういう考え方で、先祖伝来と申しましても大体の土地というのは地租改正以来だと私は思っていますが、所有権と利用権とを明確に分けていかなければならない。その利用権というものを一体どうして公共の福祉と結びつけていくかということが今後の土地政策上の大きな問題ではないだろうか、このように私は思うのですが、いかがでございますか。  特にこれは一例として私は申しておるのですが、今日本に農地法という法律があります。農振法という法律がある。その法律によりますと、土地の売買、すなわち所有につきましては、耕作する者でなければ所有してはならないという法律が片方にある。ところが、それが都市計画法に入ってしまうと途端に利用権というものはよそにいってしまって、全部所有権や利用権という問題はなくなってくる。すなわち、土地というものは自由売買してよろしいという形になっておるのであります。  日本の土地立法というのは、そういうところにおいて戦後の自作農創設という考え方からいった、すなわちこのときには農地に関しては利用権というものが公共の福祉に適合するのだ。公共の福祉のために利用権というものを中心に土地所有というものを農地においては考えてまいったのでありますが、四十三年につくりました都市計画法によると、市街化区域になってくるともうおとぎ話になってしまった。ここらあたりに、日本の土地所有に対する利用権というものを中心に考えた農地政策が、町家へ帰ってきたら変わってくる。 ここに日本の政治のなにがあるのでございますが、これは皆さんも御存じのとおり、昭和三十二、三年ぐらいにはもう既に、いつも私は言うのですが、笠信太郎さんが「花見酒の経済」ということを言いました。金本位制ではなしに土地本位制によって日本経済というものが成長してきたのです。それに関しまして全部がともかくそういう考え方でまいったのであります。  しかし、今稲本先生おっしゃいますけれども、この土地法律というものを一本化しろあるいは集約しろというお話でございますけれども、果たしてこれをやってもできるのでしょうか。縦割り行政あるいは役人の抵抗というものが非常に強い。私も、この間も韓国の土地公法あるいは台湾の土地法を、特に台湾の土地法を見てまいりましたが、いかにも今まで成功したようなことを言っておるけれども、台湾では、現在では全部崩れてしまっています。一本化しましても、しっかりした政府あるいは施策が十分に行われないと、そのときそのときは立派ですけれども、崩れてしまう。それはやはり基本的に所有観念と利用観念とここで区別する。先ほど稲本先生がおっしゃいましたが、英国あるいはそういうような狩猟民族と農耕民族との違いかなと実は私は感じを持っておるのでございますけれども、どうもそこらあたりの、所有権と利用権というものを明確に考えながら、しかも利用というところについては、公共の福祉といえば日本では行政権が独走するおそれがあるのです。  例えて言いますと、戦災復興都市計画事業というのがあります。この計画によりますと、私権は全部制限しているのです。しかし四十何年たってもまだ完成していないのですね。私権を制限せられたままになっておるのです。所有権を制限せられたままになっている。あるいはまた、都市計画法という法律はつくった。これで道路敷地ということになりましたら永久建築物はつくれない。私権の制限をやっているのです。  そこで一体どうするか。公共の福祉という名のもとに行政権が独走するのを一体どのようにして歯どめするか、ここが私は公共の福祉の大きな問題ではないかと思うのでございます。土地基本法という法律をつくりましたけれども、これはともかくこれからの問題でして、こんな法律をつくったからといって大した効力はない。稲本先生にこの点をひとつお伺いいたしたいのであります。

稲本洋之助東京大学社会科学研究所教授

○稲本参考人 井上先生から御指摘をいただきまして、この法律の制定過程で優先するという条項を入れたのはむしろ野党の方の提案である、また四十九年、昭和五十年の国土利用計画法の第二条にもそういうのが入っているが、これは議員立法によって入ったのだと言われ、そのことを知らないのではないかとおっしゃいましたが、よく存じております。また、今回の土地基本法案は野党の側の努力が相当ありまして、一昨年からやっておりますし、伊藤政審会長に招かれて私は詳しくお話をいたしてまいりました。ただ私は、そういうことで、だれが提案したということではなく、こういう情勢のもとで昨年末に国会が可決成立させたこの法律ではっきりとうたわれたということは、やはり今後に向けて非常に大きな前進だろうと考えるものであります。私たちはそれを知らないというのではなく、むしろ事実は、野党の側からこういう修正案が出たということは、もうその日のうちに私たちは検討しておりますし、勉強させていただいております。     〔工藤委員長代理退席、桜井委員長代理着席〕  次に、本論といいますか、土地の利用権と公共の福祉の問題でありますが、最後に井上先生が指摘をされましたいわば行政権の独走という事柄については、これはどちらかというと公法、行政法の問題なので、できましたら成田先生にお話を伺うとして、私はまずこの利用権と公共の福祉をどのようにしてより具体的に組み合わせていくか、制度化していくかということについて若干考えてみたいと思います。  議員立法によって成立した国土利用計画法を一例にとりますと、今届け出制度、そのもとで監視制度がありますが、この届け出られた事項について、行政庁は何を審査するか。この二十四条一号、二号、三号と列挙されておりますけれども、今までは価格が適当であるかどうか、妥当であるかどうかということだけを審査をしてきていますが、これは実はこの法律の精神から見ますとまだ中途半端なのでありまして、この法律ができたときから、利用目的を審査しろということを第二号でうたっているにもかかわらず、利用目的の審査は現実にはなかなかできない。それどころか実際に届け出書を見ますと、利用目的のところに資産保有のためと書いてあるのが多々あります。資産保有は決して利用ではありませんので、これは利用目的なしということにつながるのではないだろうか。また、昨年の、国土庁のごく最近発表された調査結果によりますと、御承知のように法人が取得をした土地で、特定の利用目的を考えていないで取得したものがちょうど五〇%に達したというようなこともあります。すなわち、土地の利用権を公共の福祉との関係で正しく位置づけようというときに、何のために、どのような用途に当てるために土地を取得するのか、土地を保有するのか、こういうことが我が国では実ははっきりしていない。私はこういう面でのコントロールは行政権の独走にむしろつながらない事柄だろうと思いますので、まず国土利用計画法の諸制度をきちんと適用していけるような行政の体制をとるべきだろうと思います。  それから、次に農地に関して、農地については利用権の統制があり、農業者でなければ土地を保有することができない、特に所有することができないという制度が農地法上あります。このような制度を都市部の宅地においてとることができないだろうかということを考えてみた場合に、これは結論的には難しいことでありますが、同じような考え方がどうして都市計画区域の中に入るとおよそ変わってしまうのか。逆に言えば、農村部においてなお農地の移動統制などが維持されている、他方では都市部においては全く、利用はもちろん取引においても自由に任されている。これについてどう考えるかでありますけれども、やはり戦後の農地法、これは言うまでもなく農地改革の結果でありますが、それ以前の農村の社会関係を大きく変えるためにつくられたものであって、今日いろいろ批判はありますけれども、そのようにして農業者以外の土地所有権の取得を制限する特別の理由があったわけですが、宅地については先ほど御指摘がありましたように、地租改正のときにその問題は解決済みであるという法律上の前提があるために一度も制限的なことができない、むしろできたのは、これはちょっと古くなりますけれども、戦時中の戦時統制立法によるものと、それから先ほど戦災復興のお話がありましたが、それを引き継ぐ諸制度において制限が設けられたというように思います。  新たな所有権レベルの、要するに私権そのものをどう制限するかということよりも、その制限はやはり公共的な計画の中でつくっていかざるを得ないし、また、そこにおいてはある程度は地域の自治と判断にゆだねて、それによってコミュニティーづくりの一環としてやっていかざるを得ないだろう。むしろ上から一律に規制をすることによって利用権を公共の福祉に結びつけたということは、それは理念としてはよいのかもしれませんが、それだけでは足りないので、地方による何らかの、住民参加と言うと多少語弊があるのかもしれませんけれども、そういう要素も取り入れた、コントロールのソフトな柔軟な仕組みをつくるべきではないだろうか。  ただ、この点では今度の土地基本法ではまだ明確ではないことが多いのです。なぜかといいますと、そういう場合には一つの核心となる土地の公的な取得といいますか、公共目的での土地の取得について明確な位置づけができていない、これは今後この土地基本法を展開していく上でひとつ検討しなければなりませんが、土地の公共的な取得と、それをばねにした地域の開発なり発展なりを 考える仕組みをこれからつくり出さなくてはならない、それを私は申し上げたいと思います。

桜井新自由民主党

○桜井委員長代理 井上委員に申し上げます。持ち時間が終了いたしました。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)委員 稲本先生が成田先生のお話を……。

桜井新自由民主党

○桜井委員長代理 成田先生の答弁を聞くわけですか。成田参考人。

成田頼明横浜国立大学大学院教授

○成田参考人 今先生のお話の中で、一つ所有権と利用権のお話が出ましたけれども、私も、基本的には土地というのは利用されて初めて意味がある、持っている者は自分勝手なイニシアチブで建築の自由といいますか、自分の土地を焼いて食おうと煮て食おうと自由じゃないか、こういった考え方は根本的に改めなければならぬと思うのですね。  そういった意味で、政府の土地臨調でも、土地の所有には利用責任を伴うというのを土地五原則の一つとして挙げていたわけでございますけれども、これはいろいろ論議していった過程で、所有よりも利用が優先するということになると、借地・借家法の方は一体どうなるんだという議論がありまして、最終の土地基本法をつくるための政府の国土庁の方の委員会では、それはやはり計画による利用ということだろうというので、その五原則の一つが変わったということがございました。しかし、これはいずれにしても非常に大事なことだろうと思っております。  それからもう一つは、先ほども法律の一本化は非常に難しいというお話でございました。確かにいろんな各省庁の縦割行政のしがらみがあることはよく存じておりますけれども、ただ今度の都市計画法では、地域地区制の中に都市計画法以外のいろいろな個別の法律の地域地区制をなるべくあの中に取り込むような形にしたわけでございます。ただしかし、既成計画のすべてが入っているわけではまだありませんので、そういうものをなるべく取り込んでいくような工夫というのを凝らしながら、完全な一本化は難しいでしょうけれども、なるべく統一的な土地利用計画に持っていくということが好ましいと思われます。  それから、先ほどもう一つ行政権の独走というのをどうするのかというお話がございました。これは計画をつくる場合に、計画をつくる行政にはかなりの大幅な裁量権というのがあるわけで、これを計画裁量というふうに申しますけれども、それをどう統制するのかというのが欧米先進国も含めての共通の課題でございます。  この統制方法にはいろいろございますけれども、一つは、やはり行政手続、特に計画をつくる手続をはっきり決めていくということではないかというように思うわけでございまして、その中には先ほどお話のございました住民参加の問題、環境アセスメントの問題あるいは利害関係者の意見の表明、こういったものが入る形でいろいろな人が意見を述べ合いながら、合意を形成しつつ計画を確定していく、こういう手続の保障が必要だろうと思われます。  もう一つは、これは裁判所による審査でございまして、これは計画に対して裁判所がどの程度審査をするのがいいかという問題、これはいろいろ考え方がございますけれども、現在日本の行政訴訟制度では、持っていっても大体門前払いを食ってしまいます。司法裁判所の審査というものを受ける機会は全くないわけでございまして、そういった意味では計画それ自体の裁判というものをどういう形で認めるのか、どの時点で認めるのかということを、計画手続の整備と並んで検討する必要があるだろうというように考えておりまして、この二つの方法によって行政権の独走をコントロールするというのが民主主義国家の姿じゃないかと思っております。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)委員 これで終わりますが、一言申し上げておきます。

桜井新自由民主党

○桜井委員長代理 簡潔にやってください。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)委員 はい。この土地基本法におきましても、住民参加を入れなければならないと我々野党は主張したのであります。そこで入ったのが、利用計画は住民の意見を反映しなければならない、せめてそこいらで歯どめをかけようと思ったのですが、まだまだ十分じゃない、これらはひとつ学者先生方がお考えになっていただきたい。ここらあたりをやらなければ、これはいつまでたっても所有権、利用権というものの関係が明確になりませず、また住民といいますか、国民の間で何か相克が起こってまいりますので、ひとつこの点なお御勉強になっていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

桜井新自由民主党

○桜井委員長代理 次に、平田米男君。

平田米男公明党・国民会議

○平田(米)委員 まず、稲本先生にお伺いをさせていただきたいのです。  土地所有観念の見直しということでお話がございました。日本も明治に所有権概念を民法の中で明確に打ち立てるまでは、土地に対しましてはいろいろな権利が錯綜してきたわけでございまして、近代国家を形成する中で、所有権概念というものを欧米の考え方を取り入れてつくったと言われているわけでございますが、それが先生の御指摘によりますと、西欧諸国の土地所有権概念とは大分かけ離れてしまっているのだ、このような御指摘があったわけでございますが、そのようになってしまった歴史的背景または社会的背景、また西欧諸国がそのような土地所有権概念を持ってこられた歴史的、社会的な背景を御説明をいただければと思います。  また、公共の福祉が優先をするのだという基本的な考え方の転換が土地基本法においてなされたという御指摘があったわけでございますけれども、今リースホールドのお話が出たわけでございますが、底地権と利用権の分離といいますか分割というようなことまで、公共の福祉の優先という範囲内で行けるのかどうか、含まれるのかどうか、この点についてもお願いをしたいと思います。  もう一つ、結局、今私ども土地利用あるいは都市計画の問題を考える、また土地高騰の抑制あるいは地価の引き下げ、こういうものを考えたときに、私権制限というのはどうしても乗り越えなければならない課題ではないか、最重要の課題ではないかというふうに認識をしておるわけでございますけれども、現法律の枠内でどこまでその私権制限というのができるのか、所有、利用あるいは移転といいますか、そういう範囲においてどこまでできるのか、この辺もお願いをしたいと思います。

稲本洋之助東京大学社会科学研究所教授

○稲本参考人 簡潔にお話しすることをお許し願いたいと思います。  我が国では、欧米の制度を取り入れて明治期に法律制度をつくりましたが、今日かなり違った方向に向かってきてしまっている、これは私先ほど述べたとおりですが、この歴史的背景を簡単に言うことは難しいのですけれども、かなり都市そのものに対する考え方が違うのではないか。先ほど触れましたけれども、都市というのは都市に住む人のためではなくて、そのあたり一帯の人たちの共用の集団的な施設設備という観念が強くて、あるところでは大学都市として、また商業都市として、宗教都市として、そのあたり一帯の便益を集中的に果たさせるところとして発達してきましたから、周囲一帯のもの、共同のものという意識が非常に強い。もちろん建物の構造なども違うことも影響しておりますけれども、そこに住む都市の住民はせいぜいが三十年から五十年、やがては自分の出身の町や村に帰るということが常識となっているような、それがヨーロッパ諸国だと思います。  我が国においても、実はそういうことは全く無縁ではなくて、今日でもかなりの地方都市においてはなお所有と利用のバランスは実際にはとれているのです。ただ、東京を初めとする大都市と、それから東京の影響を直接に受けている地方中枢都市においては、今急激な異変が起きていることは事実でありまして、我が国においても欧米といわば場合によっては匹敵するような、都市はみんなのためというような観念がもともとあったのですが、それがこの二十年非常におかしな方向へ来 てしまっているのではないかというように思います。一言で言うならば、都市についての公共の観念にやはり違いがあったが、我が国ではこの違いがずっとあったのではなくて、特にこの二十年、十年の問題であり、そこには非常に、普通からいえば異常な原因があったように思います。  それから、底地権、利用権などを分離してというなお話で、どこまで公共の福祉の考え方でできるのかということでありますけれども、この底地権、利用権の分離は、余り二つの物権というようにはっきり分けて対立し競合させるような考え方は今後はとるべきではないというように私は思います。むしろ、なるべくならば土地の利用は土地所有権に根差したものにして、その上で土地所有者が建物を建て、それを建物の利用権という形で人々の需要を満たすべきだというように私は考えています。土地所有者がただ土地を所有して何も使わないのが一番よくありませんが、何もそこに手を加えないで人に貸して地代を得るということも今後は自明の方法ではなくなり、土地所有者もそれなりのリスクを負って都市的な開発を行って、その空間をいわば需要者に、ユーザーに提供していくべきである、こういう方向で都市計画も行われるならば、それが公共の福祉に沿った利用権の尊重ということになるのではないか。  最後に、私権の制限ということはどう考えたらよいかでありますけれども、いきなり土地の利用権をいかに制限するかという観点から一昨年話が始まったので少し混乱があると思います。むしろ利用につながらない土地所有の移動、取得、保有、これらについてまずメスを入れるべきではなかっただろうか。すなわち、土地を取得するに当たって何ら利用目的を持たないで取得するということは、今日の国土利用計画法上の届け出審査制度でかなり重視されるようになってきましたが、まだまだであります。このように、利用をむしろ阻害するような土地所有権の移動や取得をまずはっきりとコントロールをして、その上で低利用、未利用の問題に目を向けていくべきではないだろうかと思います。  時間の関係でこの程度にさせていただきます。

平田米男公明党・国民会議

○平田(米)委員 土地所有観念の見直しについての歴史的背景、社会的な背景、都市の公共観念の差なのだというふうにおっしゃったわけでございますけれども、しかしそれだけですと、西欧諸国では都市以外の土地についてはそういう観念がないと理解してよろしいのでしょうか。また、そうであるとするならば、今後の方向性として、都市の土地とそして都市以外の土地というものを区別して考えていくという方向になるのかどうか、その辺をお願いしたいと思います。

稲本洋之助東京大学社会科学研究所教授

○稲本参考人 私はフランスについて多少研究をしてきておりますけれども、フランスの例を挙げれば、はっきりと農村において純粋な土地所有権の観念があります。私権としての所有権意識が非常に強くて、それを収用等によって公共の手に移すということについては農民の非常に激しい抵抗があるのに対して、都市部においては我が国とは反対で、例えばTGVという新幹線を通すときに、パリ市とその近郊が一番最初に用地問題を解決した。我が国では東京—上野、それから大宮の間が一番最後までてこずったのと全く正反対の現象で、都市における土地所有というのは、そこに今までつぎ込まれた社会的な資本、投下された資本を我がものとするという考え方でありませんので、その部分がもともと公共の手によって、その上で自分が利用する空間を得ている、それを場合によっては新幹線の建設などに提供するということでこちらは理屈が通るのですが、農村部においては逆でありました。  我が国においてはどうしたらいいかというのはまだよくわかりませんけれども、やはり農村と都市をはっきり分けるという場合にも、それはどのような目的に利用するかということで分けるべきであって、都市部と農村部において土地所有権の観念をもとから異にするとかというような考え方は望ましくないと思います。むしろ、農村部における都市的な施設が今後どんどんふえていきますし、都市の要素が持ち込まれて混住化が進んでいくことがむしろ望ましいと私は考えますと、今都市においては、極度まで行ってしまったものをもう少し手前で、妥当な範囲での都市的な土地利用をもう一度考えて、それを農村部に移していくということの方がよい。そういう観点からしますと、都市と農村ではっきり区別することに私は多少疑問があります。

平田米男公明党・国民会議

○平田(米)委員 ありがとうございました。  次に、成田先生にお願いをしたいのですが、今、地価抑制あるいは地価を引き下げようという考え、目的のもとに強く主張されているのは、どうも土地を供給すれば抑制または引き下げをすることができるのではないか、こういう考え方のもとに農地を宅地に転換するとか、あるいは未利用地を高度利用化する、こういうことが強く言われておりまして、どうも政府あるいは学者の先生方の土地問題に対する考え方の主流になっているのではないのかな、こんな印象を、私受けておるわけでございます。  しかし、これまでの土地問題の状況を見てまいりますと、供給をすればかえって地価が上がってしまう、これが現実であったのではないか。また、先ほど御指摘がございましたが、土地というのは本来生産されたものでもないし、また絶対的に消費できるものでもない、まさに自由取引が本来成り立たない、市場原理が成り立たないものではないかと私は認識をしておるわけでございまして、そういう視点から考えますと、この土地供給論は非常に危険なものではないか、こういうふうに思うのでございますが、先生はどのようなお考えでございましょうか。

成田頼明横浜国立大学大学院教授

○成田参考人 ただいま御指摘の点でございますけれども、確かに土地を供給すれば地価は下がるのじゃないかというふうなことは言われております。これは主として経済学者によって言われていることであろうかというふうに思うわけでして、経済学者はやはり需給関係で価格を決定するというふうな観念が非常に強いものですからそういうふうにおっしゃるのだろうと思います。  しかし、土地を供給するということは、一面で全く必要がないとは申しませんけれども、それだけで地価を下げようということは、冒頭に申しましたように、それはできっこない話でありまして、いろいろな施策が同じように整合的に行われなければならないということでございまして、その一環として、土地の供給というものを、臨海部の埋め立てであるとか、あるいは先ほど申しました木賃密集地域の更新であるとか、そういうものを通じて供給をふやしていくということを考えてもよろしいかと思いますけれども、それだけでは地価は決して下がらないわけでして、むしろ現在地価問題が起こっておりますのは、そういう市場原理にゆだねてきた、その市場原理自体が破綻したというところにこの根源的な問題があるのではないかというふうに思うわけでございます。  むしろ、経済的な側面から申しますと、これは私の専門ではございませんけれども、土地の保有のコストがほかのものに比べて非常に安いということに問題があるんじゃないかというふうに思うわけでして、それは税制とかそういう問題で総合的な対応をしなければいけないというふうに思っております。

平田米男公明党・国民会議

○平田(米)委員 一つの要素ではあるけれども、大きな要素ではないというふうに理解をさせていただいてよろしいかと思います。  最後に一点。都市における賃貸住宅の大量供給の話がございます。私も、都市における土地問題というのは住宅問題に集約されていると言っても過言ではないと思っておるわけでございまして、これまでの公共住宅、公営住宅の供給が非常に二次的、三次的といいますか、住宅問題に対する取り組みについては非常に弱いというふうに私は思っておりまして、今あります公営住宅法を抜本的に改正して、単に低所得者向けの住宅を供給するということではなくて、まさに都市においてどういう暮らし方をするのか、住み方をするのか、また、都市の中においてはどういう住宅があるべ き姿なのか、そういう観点から、政府が、行政が積極的に取り組んでいくべきではないかというふうに思うのでございますが、先生はどのようなお考えでございましょうか。

成田頼明横浜国立大学大学院教授

○成田参考人 まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、地価の上昇を反映しない適正な家賃、少なくとも十二、三万から十五万程度の家賃に抑えた形での賃貸住宅の大量供給をやらなければならないというふうに思っております。そのために一々土地を買って公営住宅をつくるというのでは、もうとても東京ではそんなことはできっこありませんので、民間のつくったビルの一画を借り上げるとか、あるいは東京湾の臨海の埋立地にできるビルの一画をそれに充てるとか、いろいろな形で民間の力でつくったものを借り上げて、その差額は公共が負担するという形で幾らか家賃を安くするというふうな工夫が必要だろうというふうに思われます。  ただ、その場合に、どの辺まで安くすればいいのかという問題もございましょうし、かえってそれがまたそういうところにも入れない人との間で不公平が生じるんじゃないかというふうな問題もございますので、いろんな角度から総合的にそういった問題を検討しなければいけないのではないかというふうに考えております。

平田米男公明党・国民会議

○平田(米)委員 終わります。

桜井新自由民主党

○桜井委員長代理 続いて、佐藤祐弘君。

佐藤祐弘日本共産党

○佐藤(祐)委員 成田、稲本両先生にお聞きをしたいと存じます。  何といっても今早急に解決を求められておりますのは地価の高騰、異常な高騰だというふうに思うのです。土地神話の打破というようなことも言葉では言われておりますけれども、そういう状況ではありません。御承知のとおりでありまして、地上げ、土地転がし、投機的なそういうことをやられてきた。そのもとにいわゆる中曽根民活、国公有地の売却とかいろんな規制緩和、そういうものが大きな引き金になったと私は思っておりますし、金融緩和がかなりそれを支えたといいますか加速したといいますか、という点につきましては先日、日銀のレポートでも出ておったと思います。こういう問題、地価の異常高騰の原因について、先生方のお考え、どう考えておられるかお聞きしたいというのが一点であります。     〔桜井委員長代理退席、工藤委員長代理着席〕  それから、この異常高騰した地価を下げることはできないのだろうかという問題ですね。現在の施策ではせいぜい高値安定といいますか、という状況だと思うのですね。安定ともいえない。最近大阪圏が上がりましたし、地方に波及している。東京圏でもじり高といいますか、そういう状況ではないかと思っておりますが、これを引き下げなければいろんな問題が解決できないと思うのですね。そういう点で、引き下げることはできないのかどうか、何か思い切った措置が必要なんだろうと思うのですが、どういう方法が必要か、可能かといったあたりについてお聞きしたいと思います。

成田頼明横浜国立大学大学院教授

○成田参考人 地価の異常な高騰はたしか昭和五十八年から九年ごろに東京都心部に起こったというふうに存じますけれども、それは、言われておりますのは、オフィスビルに対する需要が情報化、国際化という中で非常に高まってきたというふうなこととかいろいろなことが言われております。しかし、これは、例えば税法上の買いかえ特例というものが周辺部の住宅地の地価を上げたということの大きな原因になったということは否定できないところでございまして、それが都心部の急激な地価の上昇を郊外部及び周辺県に広げた大きな原因だろうというふうに思っております。これは、現在、地方都市でもどうも同じようなパターンが繰り返されておりまして、それを防止するために監視区域の発動などいたしますけれども、それもなかなか効果を上げないというので、かなりの地方都市にまで現在波及していっている現状ではないかというふうに思うわけでございます。  地価高騰の原因が一つは中曽根民活だったということは、これは国会でもたしか当時の国土庁長官がお認めになっているということがありますので、それが一つの原因であったということはそのとおりであろうというふうに思うのですけれども、その基本的な異常高騰を生じました原因の中には、先ほどからお話出ておりますいわゆる土地神話、土地を持っていればとにかくもうかる、しかも保有コストが安い、株は上がったり下がったりいたしますけれども、土地の場合には下がることは絶対ない、こういった考え方が背後にあって、この金余り現象の中でかなり投機買いに走ったということが大きい原因なのじゃないかというふうに思います。  これは、いろいろ地価の高騰の原因を分析いたしましても、なかなかそれだけで対策がすぐ立つわけではございませんで、当面、地価をどう引き下げるかということでございますけれども、これはなかなか一発で効くような妙手というのはないのじゃないかというふうに思うのですね。いろいろな政策、施策を総合的に講じまして、土地神話というものの考え方を変えていかなければならないというふうなことではなかろうかというふうに思います。ですからなかなか、これをやればすぐに地価が下がるというふうな手は、私に関する限りはちょっと考えつかないということでお許しをいただきたいと思います。

稲本洋之助東京大学社会科学研究所教授

○稲本参考人 経済、金融のことは専門ではありませんが、あえて勇気を出して答えてみますけれども、私ははっきりと、金融緩和が最大のファクターであったのではないかと思います。私は都市的土地利用研究会という会合を持っていまして、そこではいろいろな方面のいろいろな政治的な立場の人も加わってこの問題を常に検討していますが、おおよそ意見はそういうところにまとまってきたのではないだろうかというように思われます。  したがって、地価を直接にすぐに下げるということのみを考えるとしたら、恐らく金融引き締めを一層のことをして、既存貸し出し分についても金利の見直しを行い、かつ税制でもう一つ縛りをかける。そのようにしますと、緩和された金融情勢のもとで取得された土地のかなりの部分は市場へもう一度放出されるだろう。それは下げるという方向に行くかどうかはわかりませんけれども、少なくとも上げるという方向には到底行くまい。これはいわば対症療法的なものでありますけれども、こういうこと自体はいずれも人為的なことであって、本当の地価問題の解決はこれだということはなかなか言えないと思います。  私は、成田先生と同じように、地価を下げるということ自体については特効薬がない、または悲観的な見通しをせざるを得ないのでありますけれども、地価が上がったことによって国民がどのように困っているかという観点から地価の高騰問題を仮に考えるとすれば、むしろ国民は、そこら辺の土地がどんどん上がっているから、買えなくなったから困るのでは恐らくなくて、自分の住まいの条件が非常に悪い、なかなか自分の住む家を手に入れることができないという、恐らくその一点で困っているというように考えたら、そういう問題を解決するための住宅政策のかなり思い切った長期的な見直しが必要だろうと思うのです。  割に最近、先月発表された東京都の臨海部の開発の中間報告書などを見ますと、あれには多々問題があるという指摘もありますけれども、あそこで都は、一世帯二十万円以下の家賃で——もっともこの二十万という数字を聞いて私自身もびっくりするのですが、ほかと比べたら安いということで評価するならば、二十万円以下の家賃を実現するために平米三十九万円というように地価を設定したというのです。これは、東京都は三十九万円持ってきた人に売りますよと言っているのでは全然なくて、三十九万円という観点で都の住宅政策をこの際推進したいがいかがかということでありまして、この下方修正は大変よかったというように思うのです。  地価を本当に下げることができるかどうかというのは私はよくわかりませんけれども、地価の高 騰で最も困っている人たちに最も早く援助の手を差し伸べるとしたら、まずは住宅だろうというように思われるのであります。

佐藤祐弘日本共産党

○佐藤(祐)委員 今の住宅政策といいますか、公共住宅の大量建設とも絡んでくるのですが、成田先生、先買い権の問題をおっしゃいました。これは、自治体の先買い権を法律で定めていくということだろうというふうに思います。具体的にそのためにはどういう法整備が必要かといった点を、もう少し詳しくお聞きしたいなと思うのです。  私も現在の状況を考えますと、先買い権の確立が不可欠だと思うのですね。先日来、企業保有の未利用地、かなり莫大な未利用地がある問題、それが当面利用計画がないとか、当初から利用目的なくて取得した、土地投機ですね、明白な投機なんですが、そういうことがあって、それに対していかにそれを吐き出させるかということとの絡みでも、資産課税、保有税問題の議論もあるのですけれども、しかしそういうことだけでは、また別の大きな力を持ったところが所有するにすぎないのであって、良質な公共住宅用地の確保という方向にはなかなかいきにくいという状況じゃないかと思うのですね。そういうことからもやはり先買い権の確立が本当に大事なことになっていると思うのですが、その点につきましてもう少し詳しくお話しいただけるとありがたいと思います。

成田頼明横浜国立大学大学院教授

○成田参考人 先買い権につきましては御承知の二つの制度が現在ありまして、一つは強制先買い権とでもいうべきものでございまして、都市計画法の計画施設区域とか事業区域について適用されるものでございます。この場合に、売ろうとした予定対価で売買契約が成立したものとみなす、こういう形になっておりますけれども、この制度の弱みは、売ろうとした予定対価で買い取らなきゃならぬということですので、地価が高いときにはこれはなかなか発動しにくいわけですね。  もう一つは、協議売買、協議先買いというのは公拡法にございますけれども、これは強制権はないかわりに事業の範囲がやや広いということと、買い取りの協議の際に公示価格を規準にするということになっておりますので、かなり安く買える。その二つが現在ございますけれども、いずれもちょっと中途半端な制度でございまして、この二つをうまいこと組み合わせた制度にした方がいいのじゃないかというように思うのです。  ただこれにつきましては、ヨーロッパ諸国ではかなり先買い権を広く認めておりまして、例えば西ドイツの連邦建設法では、一般的な法定先買い権というのと特別の先買い権というのがありまして、一般の法定先買い権は、日本と同じようにBプランの適用地域、区画整理地域、再開発地域というようなところにございますけれども、もう一つは条例によって地方公共団体が先買い権を随時行使できるという制度でありまして、その対象になるのは保全地区とか未利用地あるいは代替地、こういったものの先買い権が条例でやれるという仕組みになっております。日本ではなかなか条例で先買い権の行使を認めるという制度はございませんけれども、自治体がそういうものの中心になるということであれば、また公有地を拡大するということであれば、自治体にもう少しそういう権限を与えた方がいいのではないかというふうに思うのです。  ただしかし、いずれにしましても先買いの制度は収用と違いますので、相当膨大な資金が必要であるということになります。強制先買いの場合には相手方からの買い取り請求があった場合に応じなければならないということになりますので、やはりお金が必要であります。ですから、そのお金をどうつくるかということが大きな課題でございまして、例えば土地保有税を新設するというようなことをもしお考えになる場合には、その全部なり一部なりを買い取り資金に充てるとか、あるいは開発利益の吸収をしてそのお金をこういった公有地拡大の資金に充てるとか、いろいろな仕組みをこれからお考えになっていただきたいというふうに思いますが、要するに金がないとこれはうまく進まないという制度だろうと思います。

佐藤祐弘日本共産党

○佐藤(祐)委員 もう時間が余りなくなりましたから、今のことに関連して先生に伺います。  どんどん地価は上昇していますから、いわゆるそれに見合った公示価格とかということになりますと莫大な金額になるわけですよね。そういう点を考えまして、私たちとしてはもとの取得価額、それと、維持費といいますか、これまでにかかった経費といいますか、その範囲で認めて、その範囲で価格を決めて買うというようにしないと、事実上自治体などは取得が困難だろうというふうに思うのですが、そういう考え方をとっているところは諸外国の例などでありますでしょうか。

成田頼明横浜国立大学大学院教授

○成田参考人 私の知っている例ではそれほど極端な例というのは余りないようでございますけれども、ただ、西ドイツでは地価公示制度というのが都市計画法という中に入っておりまして、地価の公示の際には非常に異常な地価というものを全部捨ててしまって、評価自体をかなり客観的な適正な価格でやっております。それで先買い権を行使いたしますから、日本の場合のように地価が上がっていないという状況ももちろんあるわけでしょうけれども、先買い権の制度は割合にドイツでは動いているという話を聞いております。

佐藤祐弘日本共産党

○佐藤(祐)委員 時間が参りましたので終わります。どうもありがとうございました。

工藤巖自由民主党

○工藤委員長代理 次に、菅原喜重郎君。

菅原喜重郎民社党

○菅原委員 稲本参考人にお伺いします。  土地に対する所有権の観念の改革を強調されておりましたが、私も全く同感でございます。長いこと地方自治行政に従事した人間といたしまして、本当にこのことの必要性また緊要性を感じているわけでございます。つきましては、私も、土地はやはり一般財産とは区別いたしまして、欧州先進国並みに私有財産権を認めつつも別個に土地に対する規定を設ける、そういう必要を本当に感じております。  それで、参考人が、今日本の政府としてどのような立法化が必要であるのか、またこういう土地に対する観念の改革をさせるために教育面でもどのような手を打っていったらいいのかお伺いしたいと思います。

稲本洋之助東京大学社会科学研究所教授

○稲本参考人 先ほど、日本人の所有権観念はかなり特殊なもので、これが現在においてはむしろマイナスの面として作用しているということを申し上げました。ですから、これを是正、改革しなければならないということになります。  まず、教育ということを最後におっしゃいましたので思いつくまま申し上げますと、例えばアメリカのかなりの州では、もう小学校の高学年、中学校において、ハウジングということとそれから環境、エンバイロンメント、この二つを教えるのだそうです。そして、ハウジングということからは、いかにその土地を使い、庭を手入れし、建物はどのようにして買いかえていくか、場合によってはその買いかえに伴う法律問題まで、まだ未成年の子供たちに徹底して教える、これができますと公民教育の基礎の一つができるので、あと環境問題、コミュニティー論が中学校の後半、ハイスクールで教えられる、こういうことを聞いて、我が国とは相当違うなという印象を持ちました。これは教育の面においてであります。  立法の面で、私にこういう法律をつくったらいいという考え方が今あるわけではありませんけれども、土地所有者がその上で建築を行う、上物を建ててそれを人々の利用に供することを極力推進、推奨するような制度をあれこれつくることができないであろうか。もちろん税制の面でそういうことが言えます。現にかなりの土地を持っている個人の地主さんがおられますけれども、そういう人たちに強制的に土地を提供せよ、売れと言うことはできないことではないのですが、これまた社会的な公正というか、負担の均衡ということからして短期的には無理と思います。  例えば、固定資産税を宅地並みにしてということは、私はそのこと自体に反対ではないけれども、しかし、そのことによってその土地がどういう人々の手に渡るのかということを考えるとそう簡単には言えない。むしろ、宅地並みをするとし たら利用計画を同時に示し、提供してアドバイスを与え、そのようにしてこういう利用をすればこのような税負担が可能である、また固定資産税の負担を多少とも軽減することができるが、そうでない場合には更地並みといいますか、未利用地並みのものを払ってもらうというような、やはり税制改革でもかなりきめ細かいことをすべきである。上物を実現するということは非常にリスクを伴うのでありまして、よい貸借人、テナントが長い間いてくれなければ採算が合わない。しかし、このようなリスクを負って初めて所有者の所有者たる社会的な責任が果たせる、また利益もあるというように考えます。こういうことを極力推奨するような司法上の措置をとることができないだろうか、あわせて行財政上の援助をすることができないだろうかと思います。  先ほど申しましたので繰り返し言いませんが、都市計画などをできるだけ立体的に詳細的に、積極的な、ここはこう使うべきだという用途を特化したようなものにすべきでありますし、またこれも先ほど申し上げましたが、土地取引に関する届け出、場合によっては規制という制度も発動をすることを考えながら、利用に直接に結びつかないものは認めないか、または認めるとしても後回しにするというようなことができないだろうか。私は国土利用計画法がつくられたときから多少意見を述べる立場におりましたので、このことに重要な関心を持っております。

菅原喜重郎民社党

○菅原委員 次に、成田参考人にお伺いいたします。  我が国の土地暴騰、それに関連するところの住宅問題、参考人は人権問題であり国際問題だと主張されておりますが、これもまた同感でございます。つきましては、家賃の適正問題とかサラリーマンの住宅政策のためには、公共が前面に出て改めることに対する指摘もございましたが、住宅マスタープラン等も含めまして、また都市計画に住宅問題を持つことをも含めまして、どのような立法への御提言があるのか、さらに遊休地の活用のためにこれまたどのような立法化が必要なのかお伺いいたしたいと思います。

成田頼明横浜国立大学大学院教授

○成田参考人 住宅問題につきましては、先般東京都の方から一応知事に答申をいたしまして、その中にいろいろ詳しく書いてございますけれども、これは東京だけでもいろいろな、自前で固有の財源を使ったりしてある程度の施策を展開できます。しかし、やはり土地問題と連動いたしますので、どうしても国の立法をまたなければ、本当の画竜点睛を欠くということになるわけでございまして、例えば公営住宅法などにつきましても、現在一種、二種というような区別がございますけれども、これでいいのかどうか、その辺を御検討いただきたいと存じますし、都民住宅という半ば公共的な住宅をつくった場合に、それを公営住宅法との関係でどう考えるのかというふうなことでもやはりいろいろな問題がございます。  ですから、そういった意味では住宅関係の立法というものをある程度改正していただくという必要がございますし、同時に、都市計画の中に住宅の要素というものを入れるということになりますと、マスタープラン程度はこれは運用でもできるかもしれませんけれども、特別のゾーニング、用途別の容積率というものを決めた新しいゾーニングをつくるのですと、これはやはり建築基準法なり都市計画法を改正していただかなければなりません。  そういう関係と、そういう場合の税法上のいろいろな優遇措置、これもやはり連動して発動されませんとうまくまいりませんので、そういった施策については国と自治体とが一緒になって今後法律も改正をするし、自前でやれることをやっていくというふうな形で進めていくのが好ましいというふうに考えております。

菅原喜重郎民社党

○菅原委員 以上をもって質問を終わりたいと思います。

工藤巖自由民主党

○工藤委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  参考人各位には、御退席いただいて結構でございます。  午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十分休憩      ────◇─────     午後二時三十分開議

野呂田芳成自由民主党

○野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいま御出席を願っております参考人は、明海大学教授石原舜介君、元国土庁事務次官宮繁護君及び早稲田大学法学部教授内田勝一君の三名であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  各参考人には、御多用中のところ御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  各参考人には、土地問題及び国土の利用に関する件につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げますが、石原参考人、宮繁参考人、内田参考人の順序で、御意見をお一人十五分程度お述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て発言をしていただき、また、委員に対しては質疑できないことになっておりますので、何とぞ御了承ください。  それでは、石原参考人にお願いいたします。

石原舜介明海大学教授

○石原参考人 ただいま御紹介いただきました石原でございます。  私、専門は都市計画をやっております関係上、きょうお話しいたします内容も、主として土地利用計画的な側面を中心にしてお話し申し上げたいと思っております。  現在の土地問題に関します根本的な原因は何かということ、いろいろ言われておりますけれども、私自身は、土地に対します制約がほとんど働いていない、自由放任的な自由市場に任せているというところに大きな問題があろうかと思っております。特に、取得、保有、譲渡等の各段階にほとんど何らの強制的な力が働かないに等しい環境にございます。  これまでの三回ありました地価の高騰期に、それぞれそれに合わせて対策が練られてまいったわけでございますが、特に四十三年の税調におきましては、地価の高騰、特にこの影響によりまして個人が住宅を取得することが非常に困難になったということに着目をいたしまして、何とか宅地供給を主力に考えまして、いろいろ譲渡所得税の軽減措置が行われたことは御承知のとおりでございます。しかし、この軽減措置が、実は土地は個人から法人の方に移動をいたしましただけで、実質的な供給増に結びつかなかったというところに大きな問題点がございました。  また、そのときに、保有についても何らかの手を打つべきであるということで、空閑地税なども考えられたようでございますが、これは議論はしたものの成案を得ず、見送られたようでございます。  なぜこういうように見送られたかというふうなことを見てみますと、いろいろ理由があろうかと思いますけれども、やはりこの空閑地という定義が非常に難しいということが最終的には大きな問題であったように拝察いたします。  都市計画の方におきましても、この四十三年ごろには新都市計画法が制定されまして、市街化区域、市街化調整区域の区域指定があったことは御承知のとおりでございます。  その次の大きな地価の高騰期といいますと昭和 四十七、八年でございますが、このときには国土全体に地価が狂乱いたしまして、国民総不動産屋というようなことも言われるぐらい大変な状態であったことはまだ記憶に新しいものがございます。  このときに一番問題視されましたのは、何といいましても、法人の土地投資というものが放置しておくわけにはいかない、目に余るものがあるということで、この法人に対しまして何らかの手を打たなければいけないというふうなことがいろいろ議論されたわけでございまして、税制調査会におきましても、特に土地増価税及び土地再評価税というようなことを検討されましたが、しかし、この未実現のキャピタルゲインに課税するということにいたしますと、古くから本来の事業用に供していた土地の税負担の方が、最近投機的目的で取得した土地の税負担よりも重くなるというようなことで、必ずしもこのような再評価税というようなことはなじまないんじゃないかというようなことから見送られ、そのかわりとしまして特別土地保有税が制定されたことは皆さんも御承知のとおりだと思いますが、これは、利用促進というふうな側面が大きかったというふうに思います。またそのときには、市街化区域内農地の宅地並み課税問題も議論されたようでございますけれども、やはり見送られております。  しかし、この後オイルショックがございましたので、この高騰も非常な鎮静化をしたということもありまして、施策がその後何らとられておりませんでした。しかしそのときに、国土庁の設置並びに国土利用計画法の制定が行われまして、取引の届け出制というものが行われるとともに、大規模な土地取引後の土地利用がうまくいかないような遊休地に対しましては、これを利用促進を図るというようなことが設けられたわけでございます。  しかし、今回の土地騰貴の状態を踏まえまして、昭和六十一年に、緊急措置といたしまして、監視区域制度並びに居住用資産の買いかえ特例の廃止あるいは金融の引き締め等いろいろな措置が緊急措置として、特に譲渡あるいは取得の面での対応がなされてまいりましたけれども、これはあくまでも緊急措置でございました関係上、保有に関します手当てはほとんどなされませんでした。  さらに、六十三年に、土地神話を何とか崩壊すべきであるというようなことから、総合的な土地対策要綱が示されまして、取得の面では、東京への一極集中抑制等を踏まえましての需要の抑制、あるいは金融措置等が考えられ、保有面では、利用の義務化といいますか、所有は利用の義務を有するというようなことで、低・未利用地の利用促進、保有税の強化、こういうことがうたわれたわけでございますし、それから譲渡面では、監視区域制度の強化、短期譲渡所得の重税、それから開発利益の還元等の措置が提示されました。  これらの措置は、その後土地基本法の中にも精神が盛り込まれ、土地対策に対します体系が整ってきたわけでございますが、このような総合的土地対策というもののおぜん立てが一応はでき上がっておりますので、ぜひひとつこれを強力に実施する体制をつくることが急務であろうというふうに思います。言い方をかえますと、一応の施策はほとんどこの中に包含されているといってもよろしいのではないかと思うわけでございます。  しかし、これらの方策というのが、どちらかといいますと宅地供給の拡大ということに主眼が置かれておりまして、その他の、今日いろいろ新たに起こってきた問題に対します対処という点では若干物足りない点があろうかと思うわけでございます。  それでは、今日いろいろ問題になっている点ということを申し上げますと、一つは土地を持つ者と持たざる者との間の資産格差が拡大して、社会的不公平感が充満しているということでございます。  それからまた、二番目といたしまして、個人と企業では税制上の差が非常に大きい。個人には特に相続税があるのに対して企業にはそういうものがないし、また企業では土地取得のための借入金に対する利子が損金として計上できるというような、いろいろ個人と企業との間の差というものが問題視されていることは御承知のとおりでございます。  そのほか、日米構造問題の協議に関しましてもこの土地問題というものがクローズアップされてきておりますし、また国際的ないろいろな土地投資、特に不動産投資に関しましての問題惹起というようなことも新たに生まれてきているようなことでございます。  このような新たな問題点というものはいろいろございますけれども、やはり土地問題及び国土の均衡ある発展を図っていくには、基本は何といいましても土地に対します総合的な施策を施して、自由放任的な今日の環境を改善しながら、しっかりとしたある程度の抑止力の働く方策を考えていかなければいけないのではないかと思うわけでございます。  そこでまず、取得関係に関しましては、これは保存の問題とも関係が深いわけでございますけれども、私は東京一極集中是正ということをより効果あるものにしていくためには、どうしても東京に立地します都心三区の企業に対しましてある程度の負担金を課すことが必要ではないかというふうに思っております。  この点に関しましては、固定資産税等の変形というようなこともあろうかと思いますけれども、私は、できれば就業者人頭割的な形でかけるべきではないかというふうに考えております。これはパリの交通税の関係がこういうような形をとっておりますので、健康保険証等を対象にしながらこういう個人の人頭割でやることがかえって適正な課税ができるのではないか。こういうことによって需要の集中を抑止していくということも考えられますし、さらにこの都心三区での用地取得等に関しましては特に融資制度を極力抑止するような方向で指導していくことも非常に大きな問題点ではないかというふうに思っております。  特にこの地域では監視区域、現在東京は百平米以上というふうになっておりますけれども、ここでは全部の取引を届け出をしていただくような措置ができないだろうかというふうなことも考え、そしてその取得及び取得しようとしている価格等につきまして公開するというようなことを行っていくべきではないかと思います。  次に、保有に関してでございますが、今回いろいろ議論がなされる中では、特にこの土地保有税関係の要請というものが非常に高まっていることは御承知のとおりでございますし、低・未利用地の利用促進のための課税等いろいろこの保有税関係に関しましては考えられておりますが、さきにも申しましたように、何が低・未利用かというような定義あるいは空閑地かという定義が非常に難しいということがございます。これらにつきまして、やはりその前提となる詳細計画というものを設けなければいけないのではないかというふうに考えております。  そのために、この詳細計画を行っていくということになりますと、これを一度に全部の地域に詳細計画を行っていくということは事実問題として不可能に近い事柄でございますので、開発が予定されるような地域あるいは土地利用の大幅な変更が期待されるような地域、こういうような地域を重点的にまず詳細計画をつくり、そしてその土地利用を誘導していくような措置を考え、そういう中で保有税の強化等をあわせ行うことによってこの実効性を上げていくというようなことが必要かと思われるわけでございます。  そのために、農地の宅地並み課税問題にいたしましても、市街化区域内農地全域について一度に宅地並み課税というのは、そういう意味で私は余り賛成ではございませんで、やはりある特定地域の計画を前提としながらこういうことをしていくべきではないかというふうに考えております。  それからまた、法人と個人との間の保有税に対しますいろいろな格差を設けないと余りにも法人の方が先ほど申しました相続税の問題だとかいろ いろな点で有利であるというふうなことから、こういうような格差を設ける必要性があると私も思います。  そこで、ドイツの財産法の中で、個人では〇・五%、法人は〇・七%の課税をするというふうになっておりますが、こういうふうに諸外国におきましても法人と個人に税率の差を設けて、そして相続のない法人に対しては保有税を強化していくというような措置が講ぜられているということでございます。  こういうようなことをいろいろ考えてみましても、宅地供給という立場から考えましても、過去にいろいろ政策シミュレーションをやりましたが、そのときに、地価を上げないで供給量を最大にするためには、保有税の強化と計画的開発を組み合わせた方式が最も適切であるというふうな結果を得ております。  次に、譲渡にかかわる問題でございますけれども、譲渡の点に関しましては、短期譲渡の重税はもちろんではございますけれども、何といいましても個々の開発利益の帰属問題というのが非常に大きな課題でございます。この点に関しましては、前にいろいろ英国におきましてアスワットレポートで開発権の国有化ということが行われ、開発許可制度というのがとられまして、それによって開発利益の吸収が一九四七年のタウン・アンド・カントリー・プランニング・アクトによりまして一〇〇%行われるというようなことがございましたが、しかし、これは余り過酷ですとむしろ開発を減少させてしまうというような逆効果が実はこのときも生じております。  いずれにしましても、こういうようなことで、現在いろいろな方策を行っていく場合に、土地利用というのは非常に重要な一つの柱になるわけでございますが、これを行っていくのに地方自治体の協力というのが非常に重要でございます。ところが、地方自治体は、それぞれの地域に密着している関係上、この利害があります地域に大変負担を重くするような土地利用をかけていくということは自治体としては非常に難しい問題がございまして、これはちょうど猫に鈴をつけるというのと同じようになかなか難しい問題がございます。ここら辺をどうするか。考え方としてはこういうふうな土地利用計画等を、詳細なものを適用してやっていくということはわかりますけれども、現実問題としては自治体がこれに協力できるような体制というのは、ほかの別の裏づけが必要でございます。そのための財源措置等を考えていかなければいけないのではないかと思うわけでございまして、どうか土地対策というものにつきまして今後よろしくお願いしたいと思います。(拍手)

野呂田芳成自由民主党

○野呂田委員長 どうもありがとうございました。  次に、宮繁参考人にお願いいたします。

宮繁護元国土庁事務次官

○宮繁参考人 ただいま御紹介をいただきました宮繁でございます。  最初にお断りをいたしたいと思いますが、私は過去のある時期に土地行政に携わった者でございまして、現在は道路の建設、管理の仕事をしておりますので、土地行政から離れましてかなりの日時もたちまして、専門家ではございませんので、いわば専門家でない普通の人として御意見を申し上げたいと思います。  一つは、今日の土地の高騰は戦後これで四回目でございます。その間いろいろな土地対策が講ぜられてまいりまして、地価が上昇し始めますと新しい制度を導入したり、また既存の制度を改良したりというようなことをそれぞれ各省庁でやっておられますけれども、各省庁はそれぞれの政策課題の中で一番適切な手を打っておられると思います。しかし、そこには有機的な連携と申しますか、総合的な施策の展開というのが必ずしも十分でないように思います。そういう意味で、私はこれからの土地政策は、一つは総合的でかつまた各省庁が総がかりで取り組まなければいけないと思います。  二つ目には、それらの施策が後手に回らないように適切な時期に素早く展開されるような仕組みが必要ではないかと思います。  そして三つ目には、政策を展開する場合に、一つは機動的にやらなきゃいけないのではないか、それから二つ目は政策展開のスタンスをきちっと決めておかなければいけないのじゃないか、こんなふうに考えておるわけでございます。  まず第一番目の総合的な政策をということでございますが、これはどんな政策でもすべてそうでございますけれども、現在国土庁の方では地価の上昇、いわば非常に高い熱を出しておる病人の熱を一生懸命下げようということでいろいろな手だてをやっておられます。しかし、それだけでは極めて不十分、やはりこういうふうに異常な高熱の場合は、その病人には集中治療室へでも入っていただいて総がかりで施策を展開しなければいけないことは当然のことでございます。  そういった場合に、税制とかあるいは金融政策、これが非常に大きな意味合いを持つと思います。政府におかれましても、閣僚協議会をおつくりになるとかあるいは総合的な土地対策要綱等を発表されておりまして、そういう意味では総合的にやっておられると思いますけれども、なおこのことについて私は一段と努力が必要ではないかと思います。  そういった新しい総合的な施策を展開する場合に、それが時期を失しては何もならないわけでございまして、最近、経済学者の方々からもいろいろ政策についてのお話もございますけれども、私は、今日の政府のいろいろな政策は、政策に欠陥があるとは余り思いませんけれども、政策を発動する時期におくれの欠陥があるんじゃないかということを考えるわけでございます。そういう意味では、後手に回らないように迅速適切な時期に政策を発動する。  そのために考えられますことは、一つは関係者が合意した指標を何かつくりまして、そして一方では地価の動向を常時監視する。この監視の制度につきましては、国土庁や各府県でそれぞれ地価調査をやっておられますので、ある程度今日では整備がされてまいったわけでございますけれども、一定の指標を設けまして、例えば地価がその水準を超えたような場合には具体的な総合的な施策を展開するような仕組みがつくれないだろうか。御承知のとおり、例えば国の経済の長期見通しもございますし、毎年の経済の予測につきましては、企画庁におきましてGNP、設備投資、住宅投資あるいは物価指数等につきましても見通しを公表されておりますけれども、そういうことが土地についてできないのだろうか。  例えば全国の土地の平均がいいのか、あるいは戦略的にやるためには大都市の土地しかも商業地域でつかまえるか、あるいは住宅地で調査するか、いろいろあろうかと思いますけれども、そういったような物価指数と類似の地価指数を予測いたしまして、それを公表する、そして許容される範囲を定めておきまして、その範囲を超えるような場合には施策を強力に展開していく、こんなことが考えられないかと思うわけでございます。  そして、この予測と許容範囲を決めるということが不可能であるとするならば、例えば公示価格が一五%以上上がるような場合とかそういうことも考えられるのではないか。異常に地価が高騰する場合に、例えば年間何%ぐらいという目標値を置いておきまして、それを超えるおそれが強いような場合には直ちに総がかりでいろいろな施策を展開していく、こういうことが考えられないかと思うわけでございます。  その次に、この施策を展開する場合、機動的にやらなければいけないと思うわけでございます。実は昭和四十八年でございますか、列島改造、過剰流動性のもとに全国の地価が津々浦々まで上昇した後、土地税制というのはかなりの重課税を課したわけでございますけれども、それも一つの原因。それから金融公庫の融資枠が広がった等の原因がありまして、それが昭和五十五年の住宅地の逼迫、宅地の高騰を招いたように思います。ですから、そのときにはそういった重課税を改善したわけでございます。  そういうことを考えますと、今日のように経済社会情勢が急激に変化する、しかも情報化時代でございまして、いろいろな情報が直ちに全国に伝わる、そしてそれに対応して皆さん方が行動されようとするような時期に、どうも税制にいたしましてもその他の制度にいたしましても、やはり法律で決められますと、なかなかそれを今度は直すという場合には手間と時間がかかります。これは大変難しい問題でございますけれども、例えば税率につきましても、ある程度の幅を法律で決めていただいて、そしてその幅の中で税率を適用するような機動的な対応ができないだろうか。その場合は法律でいろいろな要件等もお書きいただいて、そして、そういうことを政府が政令で決めたような場合は直ちに国会に報告するとか、そういうような手だてをやりまして、これは税だけではないと思いますけれども、機動的、弾力的な政策の展開が今後必要になってくるのじゃないかというようなことを考えるわけでございます。  それからもう一つ、施策を展開する場合のスタンスでございますけれども、法律でかちっと決めなければいけないものもございますけれども、また同時に、いわゆる行政指導、今日行政指導という言葉は余りいい印象を持たれなくなりましたから、行政指導というのが悪ければ行政府による調整と言ってもいいわけでございますけれども、そういうことをかなり思い切って地価対策ではやる必要があるんではなかろうか。そういう意味でも、二番目に申し上げました何か指標をつくりまして、その指標を超えるような場合は直ちにいろいろな施策を展開する。  その場合に、私が申し上げたいスタンスといいますことは、先ほども石原先生からお話がありましたけれども、日本の経済は自由主義経済で市場のメカニズムを尊重して今日まで発展してまいったわけでございますけれども、土地はそれで一体いいんだろうか、土地は市場のメカニズムに任す、あるいは市場万能論でいいんだろうか、こう考えますと、私は必ずしもそうではないんじゃないかと思います。  特に、地価が今日のように異常に高騰しておるような場合には、もう少し踏み込んだやり方が必要じゃないか。もちろん現在も土地の利用とか開発につきましては法律的にも規制がございますけれども、そういったような異常な地価の高騰の場合には、もう少し踏み込んだ行政指導、行政指導という言葉がもし今日歓迎されない言葉であるとするならば、公正とか公平を維持するために国民のコンセンサスを得た上で、大きな政府ではなくて利口な政府が調整を図る必要があるんではないかと私は思います。そして、そういうことが必要だということであれば、一定の指標を超えて地価が上昇するような場合にはかなり踏み込んだ調整を強くやれるんではないか、こんなふうに考えます。  例えば、私は金融の専門家ではございませんけれども、一般的なインフレの場合は資金の供給量をチェックしますでしょうし、また利子で調整をするでしょう。しかし、地価というように経済の一部門の病的な現象についてはそういうことはできませんので、きめの細かい対策が必要であろうと思います。きめの細かいことをやるとなりますと、やはり行政指導といいますか、あるいは調整が必要でございまして、しかも、それは同時に強い調整が必要ではなかろうかと思います。そういった意味で、強い調整を展開するためには、一定の指標を超えた場合にはこういうことをやるんだという合意のもとに行う必要があるんではなかろうか、こんなふうに考えるわけでございます。  大変素人論議かと思いますけれども、私が体験いたしました、何回か土地対策に携わってまいりました私として最近こんなことを考えておることを申し上げまして、御参考になれば幸いだと思います。ありがとうございました。(拍手)

野呂田芳成自由民主党

○野呂田委員長 ありがとうございました。  次に、内田参考人にお願いいたします。

内田勝一早稲田大学法学部教授

○内田参考人 ただいま御紹介いただきました早稲田大学の内田でございます。  私は大学で民法の講座を担当し、土地法の講義をいたしております。したがいまして、昨年の末に成立しました土地基本法をこれから補充し、その内容を充実あるいは一層強化していくという場合に考えねばならないポイントとしてどういうことがあるのかということについて、欧米の土地、住宅法制との比較の中で考えてみたいと思います。  法律以外の税制とか経済的な方法によるいろいろな手段というのも大変重要でありますけれども、私は法律的なポイントということで、とりわけ三つに絞ってお話をしたいと思います。  第一のポイントは、土地利用規制の詳細化、とりわけ土地の開発権を所有権と切り離すこと、そして開発についての自治体の計画権限の強化が必要だということが第一であります。  それから第二番目は、開発利益の公的還元の原則を明確にし、その公的還元の手段を具体化し確立していく、そういうことが必要だということです。  それから第三番目は、今回の地価高騰、そして土地問題の深刻化の中で最大の問題となったのは住宅問題であるわけですので、土地に関する基本法と同じように住宅政策に関する憲法とでもいうべき住宅基本法というものを制定することがこれから必要になるのではないかということであります。  まず第一は、土地利用規制の詳細化、開発権の所有権からの切り離し、さらには自治体の計画権限の強化、財政的基盤の確立というようなことであります。  我が国におきましても諸外国と同様、土地所有権というものは憲法とか民法など多くの法律によってこれまで規制されてきました。そして、昨年成立しました土地基本法は、その第二条で土地の有する特性からして土地については公共の福祉を優先するというふうに定めまして、三条から五条でこの土地基本法の四つの原則を定めております。適正な利用、計画に従った利用、投機的取引の規制、価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担というものがそうであります。  もっとも、この土地基本法の原則に関しては若干の問題点も残っております。例えば、公共の福祉という概念があいまいであること、土地所有権は内在的に制約されているんだという考え方に乏しいこと、さらには絶対的所有権という考え方が残っているというような問題点も指摘されていますけれども、ここではより基本的な問題点について考えてみたいと思います。  外国の状況と比べた場合に最も明らかな相違というのは、土地の開発権の制限の問題だというふうに思います。御承知のように、外国法ではゾーニングという手法によりまして土地利用計画が住民参加をもとにして自治体によって詳細に定められております。そして同時に、土地の具体的な開発行為については、開発許可を与える自治体の裁量権というものが広く認められているわけです。  例えば、先ほど石原先生も御紹介されましたように、イギリスの都市計画法は開発許可のことを計画許可と言いますが、計画許可を与える場合に、その地域の計画に従っていることは当然でありますけれども、さらに地域の関連する一切の事情を考慮しなければいけないというふうに定めております。そして、現実には、土地の開発に関しては、さまざまな条件をつけた条件つきの計画許可とか、あるいは開発主体、デベロッパーと自治体との間で合意がなされるわけです。具体的に言いますと、我が国の宅地開発指導要綱に見られるような開発負担金を徴収するとか、あるいは宅地開発をする場合にはその住宅にはその地域の公営住宅入居希望者から入居者を選ぶというような条件をつけるということも行われるわけです。このように開発権付与ということのいわば対価としてそういう拘束を課しているわけです。  そして、この計画許可が不許可の場合に、異議の申し立てというのはできますけれども、補償の請求というのはできないわけです。つまり、言いかえますと、開発権というものは補償なしで制約 できる、あるいは開発行為についての自治体の権限が強いということであります。我が国でも、都市計画法では開発行為について開発許可が必要とされ、開発行為が不許可とされて損失が生じたとしても原則としてこれに対する補償の必要はないというのは、同じような考え方に基づいているわけです。  ただ、我が国の都市計画制度の中で欠けているのは、開発権は所有権には属していない、所有権とは切り離されているという考え方が十分ではないということであります。このイギリスの計画許可制度というもの、これはイギリスでは開発権を公有化したというふうに呼びますが、そういうものでありますし、また、フランスのPLD、法定上限密度という制度は、床面積の敷地面積に対する比率で示されるわけですが、これが例えばパリでは二倍でありますけれども、それを超える部分の建築権というのは公共団体にあるというふうに考えられているわけです。  このような開発権を所有権から切り離すということを我が国でもこれから考えていくことが必要だと思います。例えば、容積率を半分程度に引き下げ、それを超える開発行為について自治体の規制というものを与える、自治体の裁量を与えるというようなやり方であります。これがまず第一のポイントであります。  第二番目のポイントは、開発利益の公的還元の問題であります。  土地基本法は第五条で「価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担」というものを規定しております。御存じのように、いわゆる土地臨調の答申及び総合土地対策要綱では土地についての五つの理念というものを示しておりました。その第四が、開発利益はその一部を社会に還元し、社会的な公平を期するという原則でありましたし、第五は、土地の利用と受益に応じた社会的な負担は公平に負うという原則でありました。土地基本法はこの二つの原則を第五条に一本化し、さらに第十四条で「社会資本の整備に関連する利益に応じた適切な負担」という表現で、開発利益の社会的還元にも触れているわけであります。  ところで、この点につきましては土地臨調がその答申の中で的確に表現していますように、「社会資本の整備等、当該土地が所在する地域の社会的、経済的条件の改善により土地について利益を受ける場合に、土地所有者からその利益を還元する」こういう開発利益の公的還元と、それから道路、公園、上下水道等の利用にあずかる者が施設建設の費用を分担する受益者負担の原則というのはやはり区別されるべきであり、この土地基本法においても五条において一本化されておりますけれども、この開発利益の公的還元というものはもう少し強調されるべきではなかったかというふうに思います。  といいますのは、この開発利益の公的還元という考え方は、公的主体によって行われる社会資本の整備、都市基盤の整備、開発に起因する地価の上昇というものは土地所有者の正当な努力に由来するものではなく一種の不労所得であって、土地所有者はそれを保有できず社会に還元すべきであるという考え方に基づくわけであります。  このような考え方というのは、十九世紀から二十世紀にかけてのイギリスやアメリカでの土地改革、あるいは二十世紀初頭のドイツの土地改革の中で生まれた考え方であるわけです。そして、その欧米諸国の土地政策の基礎にはこのような考え方があるわけです。つまり、地価の上昇分というのは一種の不労所得であり、それをそのまま土地所有者に帰属させれば社会的な不公平を招く、そしてまた開発利益を財源にしない限り都市の基盤整備は行き詰まってしまうということもあるからであります。  土地基本法制定以降、宅地の供給を進めるということが強調されてきているわけですが、その場合はやはり開発利益の公的還元の原則というものをこれから明確にすることが必要だと思います。さもなければ、偶然その土地を所有する者に都市基盤整備による地価上昇の利益が吸収されてしまうということになります。  さらにまた、公的な主体が道路、公園、鉄道などの社会基盤整備を進める際には、土地取得のための特別の権限を付与することが必要であろうと思います。例えば先買い権の付与とか土地買収の価格あるいは代金の支払い方法についての規制というものであります。さもなければ財源のほとんどが土地の買収費に充てられ、社会資本の充実にとって制約となってしまうからであります。つまり、その公共的な事業が行われる地域での地価上昇というのは、社会資本整備計画が存在する、あるいは公表される、あるいは事業の実施ということによって生じるものでありまして、土地所有者の努力によって生まれたというものではないからであります。  そういう意味では、開発利益を公的に還元するという原則を明らかにすることが必要だと思います。その上で、いかなる方法によって、例えば税なのか負担金なのか、だれが例えば事業主体なのか自治体なのか、それから、どのような事業についてという事業の範囲について開発利益の吸収がされるのか、そしてまた地価上昇に占める事業の寄与度、あるいは因果関係の判断基準、あるいはさらにどの程度の負担を求めるかという負担率等について、各国の経験というものを参考としつつその具体化する方向にこれから力を注ぐべきであろうというふうに思います。困難があるからといってこの点についての努力というものを放棄すべきではないと思います。  最後は住宅基本法というものの制定であります。  土地基本法は、地価高騰の結果生じた都市、とりわけ三大都市圏に住む住民の住宅取得の困難というものを解決しようとして制定されたわけです。その究極的な目標というのは住宅問題の解決にあると思います。したがいまして、土地問題解決の手段として、いわば土地憲法として土地基本法が制定されたように、住宅政策についての憲法ともいうべき住宅基本法というものを制定することが今後必要ではないかと思います。  既に建設省の住宅宅地審議会は、昭和五十年、五十五年の答申の中でその必要を述べておりましたし、また国会でも社会党の住宅保障法案あるいは公明党の住宅基本法案というものが提出されたことがあります。この意味では、住宅基本法の制定ということについては一定のコンセンサスが存在するというふうに思われます。そしてまた外国でも、アメリカの連邦住宅法あるいはイギリスの住居法というような例もあるわけであります。  都市の中堅所得者の住宅取得が困難になったということはそのとおりでありますけれども、同時に、より所得の低い人々、高齢者、障害者の方々というのは住宅については一層深刻な状況にあるわけです。したがいまして、まず適切な水準の住居を良好な環境のもとで供給する責任というものが国あるいは自治体にあるという原則を立てた上で、まず第一に適切な住居水準の確保というものを原則とすべきだと思います。  と申しますのは、昭和六十年までに解消するとされていた最低居住水準未満の世帯というものが、六十三年の住宅統計調査でもまだ九%も残っているわけです。それゆえ、まず第一にその最低居住水準未満の世帯を解消し、誘導居住水準を実現していくということが必要だと思うわけであります。  第二番目は住居費負担の適正化についてです。例えば借家における家賃補助制度あるいは持ち家における住宅金融制度の充実というようなものがその中に入ると思います。  それから第三番目には、住宅政策に関する権限というものを区市町村などのいわゆる基礎自治体に置き、中央政府はその自治体の行う計画の策定、実現に助力をするというような方向に変える。そしてこの自治体の権限の実効性を高めるための財源の確保をするというような考え方が第三に必要ではないかと思います。  そして第四には、その前提としての住民参加手続を保障するということであります。  このように、戦後の経済成長によって、我が国の経済というのは大変強くなったわけです。しかしながら、国民の生活の質というものは、欧米諸国と比べた場合に見劣りしているわけであります。この九〇年代というのは社会資本の整備あるいは生活の質というものを高める時代であるわけです。そういう意味では、住宅というものが社会資本の中で最も重要な要素だというふうに思いますので、住宅基本法の制定というのもその点から必要になってくるのではないかというふうに思います。  以上で私の意見を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

野呂田芳成自由民主党

○野呂田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ─────────────

野呂田芳成自由民主党

○野呂田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜井新君。

桜井新自由民主党

○桜井委員 参考人の皆さんには大変御苦労さまでございました。  午前中もお二人の方においでをいただいていろいろお話をお伺いしたのでありますが、皆さんからそれぞれ細かい御指摘をいただいて、なるほどなという面もありますけれども、先ほど宮繁さんからお話がありましたように、日本の行政もなかなか立派なもので、おっしゃるようなことについてはかなり細かくいろいろ勉強もし対応もしてきたのであります。宮繁さん、その点でタイムリーでなかったというお話がございましたけれども、そういう面は大いにある、またその責任の一端は私ども議会側にもあるのかもわからぬと思っております。しかし、それにしてもかなりそういったことにはそれなりの対応をしてきておるのでありますけれども、しかし、土地の問題、土地と住宅は一体だ。午前中のお話では、日本だけが土地と住宅を切り離して所有権や賃貸という仕組みになっておる、こういうお話で、ヨーロッパは全く一体に取り扱われておるというお話がございました。いずれにしても、いろいろな施策はやってきたけれども、今回ぐらい土地の値上がりが大きかったことはないと思う。  それから、これも宮繁さんのお話ですが、列島改造のときも大変な高騰があったわけでありますが、その要因は、今先生方お話しのような手を打っただけではなかなか抑え切れないのではないだろうかというふうに私は思われてならぬわけであります。根本的なことは、いろいろ今の皆さんのお話の中にも多少触れられておりますけれども、問題はやはり金融ですね、金融。それから税制に抜け穴があり過ぎる。何か全く自由だというような表現も、これは石原さんですか、されておりましたけれども、金融制度と税制度が根本的に抑え切れない仕組みになっておる、特に部分的な面だけを直しても思うようにいかない面があるのではないだろうか、こう思っております。  そこで、今度の土地基本法というのができたために、午前中の先生のお話でもそういうことに触れておられましたが、今までは憲法二十九条で「財産権は、これを侵してはならない。」という大原則があって、本来、土地も財産であって持つのは自由だという建前がある。そのことが今までいろいろな障害になってきた。これは井上普方先生が午前中そんなお話をしていましたが、私も常日ごろそう思っているのですけれども、日本の国は徳川時代から土地というものがキャピタルゲインの対象、つまり担保の対象になっておるというところに根本的な仕組みがあるのかもわかりませんが、そのもっと先をたどれば、農耕民族と遊牧民族の生活習慣あるいは土地に対する価値観の違いというのがこういうことになってきたのかもわかりません。  いずれにしても絶対的な土地の財産権というのがなかなか思うようにいかない。だから、例えば公共用地でも、土地収用法というのがあってそれをやろうとするけれども、現実にはなかなかやれない。私の地元にもいわゆる主要地方道のど真ん中にたった一軒倉庫が、大した倉庫じゃない、小さい車庫くらいの大きさの倉庫なんだけれども、何年も土地収用もできないで、そこだけが工事ができないでネックになっている。  例えばの話が、これは極端な話だけれども、そういうことになって、そういうことが大きな障害になっておるのですが、このたびの土地基本法ではそれが特別の例外でなければ公共の福祉優先ということをうたったところに大きな変化がある。このことがかなり効果的に働くのではないか。したがって、そうだとすればそのことをどういうふうに徹底できるように担保をしていく仕組みをつくるか、こういうことになるのだろうということを言われたのですが、私もそう思いますけれども、石原先生はそのことについてどうお考えか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

石原舜介明海大学教授

○石原参考人 お答えします。  この問題は、私は、土地利用の明快な詳細化といいますか、そういうことの設定ができ上がるかどうかということに関連している問題があろうかというふうに思っております。  それで、特に公共性というもののよりどころは、結局そういう土地利用が皆さんで認められ、こういうふうな方向に行くべきであるというコンセンサスが得られて初めて公共性というものが確立されるのではないかというふうに思っております。現在の我が国の土地のいろいろな計画の中では余りにもその点がルーズでございまして、明確な措置自体がとられておりませんので、そういうことで土地収用法にいたしましても、お話のようにこれを発動することが今非常に困難な状態にございます。フランスなどのお話を聞きますと、ディファンスという有名な一つの再開発地区がございますが、あそこで収用の対象になった地権者が全体の約四割であるというふうに言われております。それだけのことが一応発動できるというのは、土地利用に対する全体的なコンセンサスができ上がっているからではないかというふうに思います。  そういうことで、公共性ということはそういうところによりどころを求めていかないと、単にうたい文句だけではちょっと難しい問題があろうかというふうに思っております。

桜井新自由民主党

○桜井委員 まことにごもっともなお話でありまして、私もそう思うのです。  そこで、お呼びしておいて聞くだけではなくて宿題をお願いするなどということは勝手な話かもしれませんが、公共の福祉というものについて国民的合意をどういう形で求めていくかということは、これは一番大きな問題だろうと思う。それができれば、もう八割解決すると言ってもいいぐらいだと思うのです。その根底には土地と金融との仕組みをどう切り離すかということも大いにあるかと思うのですが、ぜひまた御研究をして教えていただければありがたいと思います。  それから、これもおもしろい話を聞いて参考になるなと思ったのですが、金本位制という話がありますね。日本の国は土地本位制だと井上先生がおっしゃっているのです。まことにうまい表現だ、当を得た表現だと思っているのですが、このことをかなり重視をしながら、先ほど宿題をお願いしたようなことも考えていただきたいと思うのです。  私は、そういう中で特に今度の土地高騰の結果を統計的に見てみますと、最初、出だしは個人であったのですけれども、先ほどのお話にもありましたけれども、個人の規制をやったものですから、特別土地保有税をかけて規制をやったものですから、今度はそれが一挙に法人の抜け穴へ飛んでしまって、このことが今度の高騰に一層拍車をかけて、そして次々と波及効果を三大都市圏の周辺まで及ぼすようなことになってしまったのです。  この点について宮繁さん、現場を担当された経験として、両先生からもお話がありましたけれども、この法人の抜け穴、この差をあなたとしては どういう取り組みをすべきだとお思いか、ちょっともう一度聞かせていただきたいのです。

宮繁護元国土庁事務次官

○宮繁参考人 大変難しい問題でございますけれども、きょうも何か土地白書というのが発表されまして、法人の所有地で未利用地が大変多いというような結果が出ておるやに聞いております。法人、その方からいたしますれば自由に土地は買えるわけでございまして、株主に対する責任あるいは土地の値上がりの利益を期待する、こういう行動に出るのはいわば当然のことかと思います。  しかし、先ほども私ちょっと申し上げましたように、土地について、特に地価高騰とか、あるいは今おっしゃるような未利用地の問題につきまして、すべて市場メカニズムに任せておいていいのか、見えざる神の手に任せてそれで一体うまくいくのかといえば、私はどうもうまくいかないのではないかと思うわけでございます。  例えば法人がそういった未利用の土地をたくさん持つということであれば、やはりこれは我々の資本主義の仕組みですから、税制とか金融でこれに対応するよりほかにやり方はないのだろう。そういたしますと、例えば保有に対する税金をもう少し適正化するとか、そんなことが考えられるのかなと。あともう一つは、やはり企業自身も社会的な存在でございますので、そういった社会的な責任について、いま少し自覚、自粛といいますか、それは我々国民みんなも持たなければいけませんけれども、そういうことも私どもは申し上げていいんじゃないかというふうに思うわけでございます。

桜井新自由民主党

○桜井委員 ありがとうございました。大いに私らも参考にしながら、この委員会で勉強させていただきたいと思っております。  それから、最後に内田さんに、いろいろお話をいただいて、土地の開発については、やはり条件規制をきちんとして諸外国もやっているので、我が日本もそうすべきだというような話なんですが、今まで恐らく建設省、国土庁もそういう方針に沿ってそれなりにやってきたと思うのですが、私は、そのこともなんですけれども、一番の問題は、土地が投機の対象になっているというところに、制度的にそのゆとりを与えているというところに問題があるんだろうと思うのです。  やはり開発行為をして実際にそれに労力を費やしたこと、その分ぐらいの付加価値を上げることは、これは当然だと思うのですけれども、労せずしてその利益を取ろうという、いわば不労所得を取ろうという仕組みが残っていることが一番の問題だろうと思うのですが、そのことについて先生はどんな考え方を持っているのか、対応としてこうすべきだ、諸外国はこうだというようなことがあったら教えていただきたいと思うのです。

内田勝一早稲田大学法学部教授

○内田参考人 ただいまの御質問なんですけれども、一つは土地投機が一番の問題であるということでありますけれども、なぜその土地投機が行われるかといいますと、土地を保有しておって開発をする、その開発した場合に、その開発したことによって得られる利益というのはすべて自分のものになってしまう、あるいはその開発をする際いろいろな公共的な事業が行われる、その利益というものがすべて自分のところに吸収されるということだろうと思うのですね。土地神話というものが残っている一番の問題というのは、開発というものをいつでも自由にできる、そういう意味では開発というものは所有権の一部であるというふうに考えられているというところが恐らくポイントなのではないかというふうに思います。  そういう意味で、開発をするという場合には、その開発に対する規制が必要であるわけですけれども、同時にそのことは、それまで土地を保有している場合に、それに対しての一定の規制というものも必要だと思うわけです。ですから、開発の規制ということをきょうは強調申し上げましたけれども、同時にそれは保有している段階についての規制は要らないというわけではないということです。

桜井新自由民主党

○桜井委員 ありがとうございました。  時間になりましたので、これで終わらせていただきます。

野呂田芳成自由民主党

○野呂田委員長 和田貞夫君。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)委員 石原先生と内田先生に御質問したいのですが、先ほどもお話がございましたように、確かに公共福祉優先という原則に立って土地の利用計画をおぜん立てするということが一番いいんじゃないかと思うのですが、この手段方法なんです。少なくとも、今の例えば都市計画審議会のように、役所の方の主導型でだれが審議委員かわからぬというような中で、審議会の決定だということで線引きをされると、かえって土地の所有者が、おれの土地の上に勝手にいつの間にこの線を引っ張ってしまったというような感情問題だけが残るわけでございますので、どういうような方法でそのような土地利用計画というのを立てていったらいいのかというお考え方を、両先生の方からひとつお聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕

石原舜介明海大学教授

○石原参考人 ただいまの土地利用計画の我が国の制度、これは現在公聴会制度等がございますけれども、必ずしも適切な方法であるとは言い切れない問題がございます。  諸外国の方法が必ずしもいいというわけではございませんけれども、いろいろな詳細計画をつくっていくというふうな形になりますと、やはりそこの関係権利者あるいはもう少し広い範囲のいろいろな人々、こういう人たちのいろいろな意見を吸収しながら計画案をつくっていくというふうな意味での一般的に言う住民参加といいますか、そういう形での計画作案手法というのが、ドイツのベバウウングスプランなどにしましても大体作成するのに平均的に四年ぐらいかかっているというふうに言われております。  こういうような形をとられているとともに、ただ我が国は、住民参加というと、関係権利者だけで集まってやるようなことが住民参加だというふうな意味合いでとられがちでございますが、西ドイツのベバウウングスプランなどは、関係方面、例えば電気会社だとかガス会社、そういうところでいろいろな公共施設投資が伴ってまいりますので、そういうところの意見も含めまして約二百カ所ぐらいにいろいろ計画案の事前調整、こういうことを十分しながら行っているわけでございます。ただそこに住んでいる人たちだけの利害関係者による住民参加ということになりますと、どうしてもこれは偏ったものになりがちでございますので、こういうふうな形がとられるのが適切じゃないかなというふうに思っております。  そのために私自身は、現在都市計画法の中に予定区域制度というのがございますが、この予定区域制度というものをうまく活用して、事前にこういうところはこういう開発をしていってはどうかという提案をやはりある程度は行政体の方からしていかなければいけないだろうと思うのです。  それに対しまして今の、関係権利者が集まって討議するとともに、各方面の意見を徴収するということで、そうして、その予定区域制度が指定された後そういうような動きをすべきであって、いきなり決定的な地域指定をするというようなことではない、そういう次善の策というものが都市計画法の中にあるのですけれども、これがまだ一度も発動したことがない制度でございます。それをうまく制度改正をいたしまして活用していけば、こういうような形がうまくとれるんじゃないかというふうに考えております。

内田勝一早稲田大学法学部教授

○内田参考人 ただいまの御質問は、都市計画あるいは開発における公共性あるいは公共の福祉という意味だと思うのですが、そういう公共性あるいは公共の福祉を考える場合には二つの視点が必要だと思います。一つは手続の適正、デュープロセスという考え方と、もう一つは、そこで実現されるべき公共性というものは何かという実態の分析の二つが必要だと思います。  まずその手続の適正さということでは、今石原先生が申されましたように、公聴会の制度をもっと活用するなどの方法、あるいはその利害関係人の範囲というものを払大するというような方法があるかと思います。  私は、同時に、実態的な内容というものをもう少し十分分析することが必要だというふうに思います。と申しますのは、例えばいろいろな訴訟の中で公共の福祉という言葉が用いられた場合に、裁判所はその公共の福祉というものを具体的に分析をするわけですね。例えば空港をつくるあるいは港をつくる、鉄道をつくるという場合に、それによって一体どういう人のどういう利益がどの程度図られて、それによってだれのどういう利益がどの程度侵害されるかということを非常に精密に分析をしていくわけです。ですから、実態面においてそのような公共の福祉という概念を割って分析していく、これが必要だと思うのです。  その際には、手続とも絡まるわけですけれども、都市計画の決定がされてくる、あるいは線引きがされるという前提として、諸外国と我が国とで一番違う点は、計画が出る前の行政庁内部における調整というもの、総合的な調整というものが、例えば私イギリスのことは少ししか知りませんけれども、その場合でも一定の行為をする場合には、都市それから住宅、公衆衛生あるいは経済というような多方面の分野で内部的な調整を十分行うわけです。そしてその上で出てくるわけですし、その調整を行う際に利害関係人の意見というものをなるべく配慮しようという態度がとられていると思います。そういう意味では実態面と手続面の両方から考えていくということが必要ではないかと思います。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)委員 行政実態のことで宮繁先生にちょっとお尋ねしたいのです。  今、両先生のおっしゃられた新たな角度からの土地利用計画はいろいろと参考になったわけですが、今の都市計画法に基づく計画決定といざ事業決定との間というのは非常に長いわけなんですね。したがって、かえって土地の先行取得は、行政側の方が事業決定がなされないとできない、むしろ行政じゃなくて計画決定をすれば、それに基づいて利権屋が先に先行取得してがんじがらめになって事業決定がさらにおくれるということを繰り返しておるのが実態だと思うのですね。そういう点を、今まで行政を担当しておられて、どういうように改正していったらいいのかと考えておられるかどうかということ。  それからもう一つは収用の問題ですね。私も実は地方で収用委員を少しやった経験があるわけです。私の経験では、収用にかかってきて裁決をして強行執行するというのは、少なくとも私のやっておった間にはなかったわけです。必ず裁決の寸前になって和解が成立するのですよ。要は、収用手続が非常に複雑で、行政がちゅうちょする、そういうようなことも土地の取得に非常に隘路になっているんじゃないかという気がするのですが、そういう点についてどういうように改めたらいいかということをお聞かせ願いたいと思います。

宮繁護元国土庁事務次官

○宮繁参考人 まず第一点目の、都市計画決定いたしましてから事業決定し事業を執行するまでにかなり長い期間があるではないかというお話、事実でございます。  私ども道路をつくらせていただいておりますけれども、高速道路の場合も、市街地の場合には都市計画決定いたしましてそれに基づいて事業を行うのが現在は通例になっております。例えば練馬で今、外環やっておりますけれども、都市計画をやっていただくとか、あるいは今、実は問題になっておりますけれども、圏央道の八王子、高尾山の周辺も都市計画決定いたしまして事業をやる。やはり都市計画で決定いたしまして、そこでは私権の制限もございますけれども、それを御辛抱していただいて、皆さん方に十分御説明して計画を決定し、それから予算がつき事業が始まるということでございまして、その間に、場合によりましてはかなりの時間がかかっておるところもございます。  その間、私権の制限がございまして、例えばかたい建物は建てられない等の問題がございますけれども、しかし都市計画決定いたしまして将来そこは学校になるのですよ、高速道路が参りますよということで、できるだけ早く住民の方にも生活の再建についての御計画も出していただいて、そして我々は一日も早く事業化をいたしまして、お話がございますればそこの用地の買収にかかる、こういう心づもりで私どもは現在やっておるような状況でございます。  それから、実は私ども、年間約千五百ヘクタールの土地を買収いたしております。ゴルフ場で言いますと大体六十ヘクタールで十八ホールのゴルフ場ですと二十五カ所分くらいを買収いたしております。最近では土地が非常に上がってまいりまして、代替地が欲しいという方もおられますし、一たん契約しまして用地の土地代もお支払いしましたけれども、すぐ隣の町では二倍くらいの土地ではないかというようなことで実は訴訟も起こっているような状況でございます。  いろいろ苦労いたしておりますけれども、やはり御理解が得られないような場合には土地収用の手続をまず進めておりますけれども、私どもでは、年間事業認定いたします件数が大体十数件ございます。そのうち、さらに裁決申請まで持ち込むものが十七、八件、それから収用委員会で裁決していただきますのがこれも十数件でございまして、途中で和解とか調停に従いましてお話し合いのできるものもございますけれども、そんな状況でございまして、代執行までいく件数は極めて少のうございます。ここ数年で一、二件というような状況でございます。  用地の交渉に入りますと、すぐ、収用法でくるのかとかいうお話がございますけれども、それは私どもはいたしません。やはり誠心誠意、御理解、御納得をいただいた上で土地を御提供いただきたい、こういうことを申しておりますけれども、やはり八、九割まで用地買収が進みますと、どうしても事業認定の準備も進めまして、最終的には収用委員会でお世話になる、こんなふうなやり方を現在やっておるような状況でございます。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)委員 内田先生、時間がもうありませんが、土地神話をぶっつぶすということは、土地の高騰を食いとめるというのじゃなくて土地を値下がりをさせていくという、土地を持っておったら損やという、それが土地神話の崩壊だというように思うのですが、朝から参考人の皆さんが言っておられるのをお聞きしますと、土地をどうすれば下げることができるかという御意見はなかったと思うのです、土地の高騰を食いとめるという話はありましたけれども。土地を下げるという何かありましたらひとつお聞かせ願いたいのです。

内田勝一早稲田大学法学部教授

○内田参考人 法律的に考えますと、価格を規制するあるいは統制するということになると思うのですが、これは今までは、いろいろな国のいろいろなシステムを見た場合に、価格を一定の時点に凍結するということはあると思います。ただ、現在の時点で、過去の数年前の一定の地価高騰前の時点にさかのぼってそのときの時点の価格で凍結するというのは恐らく無理だと思うのですね。  そうすると、法律的なシステムで可能だというのは、地価の上昇が著しいときに機先を制して監視区域をかける、あるいは地価の凍結をするというやり方はあり得ると思うのですが、法律的なシステムで一律に下げるというのはなかなか難しいだろうと思うのです。地価というものが現在の市場の中で決まっていく場合には、金融的な制度の活用というものがむしろ有効ではないかというふうに思います。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)委員 ありがとうございます。終わります。

工藤巖自由民主党

○工藤委員長代理 次に、東順治君。

東順治公明党・国民会議

○東(順)委員 お忙しい中どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。  最初に石原先生にお伺いしたいのですけれども、西ドイツのいろいろなお話が先ほど出ておりまして、財産法でもって個人〇・五%、法人〇・七%、課税格差というようなことでやっている。あるいは、先ほども住民参加のお話等がございましたけれども、当然歴史的には日本とは随分背景が違うわけですが、同じ敗戦というところから出 発をして、今人口、面積は日本の二分の一、だけれども地価はおよそ三十分の一というような状況があります。  今後日本の抜本的な土地対策を講じていく上で参考になる面がございましたらいろいろお教えいただきたい、このように思います。

石原舜介明海大学教授

○石原参考人 西ドイツは、やはり終戦後大変住宅難の困難な状態にございました。そういう中で特に住民の安定を最優先いたしまして、初期段階で相当住宅に力を入れて行っていったという背景がございます。我が国は経済的な落ち込みが非常にひどかったこともございまして、経済的な復興ということに力が注がれて人心の安定というところにはちょっと手が届かなかったというふうな差異がいろいろ出てきているということがございますし、おっしゃるように都市に対します歴史的な背景というものが全然違います。  そういうこともありまして、土地利用計画それ自体にしましても非常に厳しい規制が古くから行われておりまして、十九世紀からもう既にそういうような兆しが出ております。ですから、細かい詳細計画的なものが素直に受け入れられてきているということがございます。  御承知のように、我が国では土地の利用というものが非常に零細化し、しかも混合化しておりますので、土地利用計画そのものに対しまして大変網をかけにくいというふうなことがありました関係上、利用規制に関しまして歴史的にそういう意味では大変大まかな、しかもほとんど痛痒を感じないような、個人の自由が十分発揮できるような体制で土地利用計画というものが考えられてきたという前提がございます。  本来は、我々がこの土地基本法に期待している面というのは、実はこのドイツのべバウウングスプランというのが一つのイメージとしてございまして、こういうような詳細計画をつくることによって改善命令みたいな形である程度強制できるような制度まで高めていくことができれば、これは本当に有効な手段として、例えば遊休土地だとかあるいは低・未利用というふうな点につきましての強制権が出てまいりますので、一つの立派な対策ができ上がるのではないかというふうに思います。  そういう意味では、我々はイメージ的には大体西ドイツの制度というものを基盤に置いていろいろ議論しているというふうな状態で、ぜひひとつそういうものを参考にしたいなと思っております。

東順治公明党・国民会議

○東(順)委員 同じことで、内田先生、法的な見地から何かございましたらお願いしたいと思います。

内田勝一早稲田大学法学部教授

○内田参考人 西ドイツの場合には、憲法の中での土地所有に関する考え方というのが日本と違っているわけですね。これは、第一次大戦の後のワイマール憲法の中で百五十三条で所有権は義務づけられているという規定があったわけです。いわゆる社会国家と申しましょうか、社会福祉を中心にする国家、二十世紀型の現代国家においては、所有権というものは全く無制約の権利ではないのだ、基本的に制約はされているのだということがドイツのワイマール憲法以来の伝統として存在しているわけです。  したがいまして、日本国憲法の場合には、憲法二十九条が制定される際には、そのような案というものも占領軍の方から提示されたことがあったわけですけれども、それが憲法制定過程では、それとは異なった形で今あるような憲法二十九条というものができてきたわけです。そういう意味では、法的な仕組みでの違いというのは、憲法の考え方の違いというものがこれまであったということです。  したがいまして、我が国においても、憲法二十九条というものが土地基本法の制定によって幾らか修正されてきたわけですから、そういう意味で現代における社会国家という観点から、公共の福祉が優先されるという考え方を重視した上で、この土地所有権というものも本来的に内在的に制約されているという考え方を我が国において土地所有権思想の前提として確立することが、我が国の土地政策を今後推進する前提として必要ではないかと思います。

東順治公明党・国民会議

○東(順)委員 宮繁先生、先ほど総がかりで、対策が後手に回らないように機動性を持ってやらなければいけないというお話がございました。年間何%というような目標値や指標というものを明確にして、それを超えれば総がかりで、確かにおっしゃるとおりだなと思います。  今、私が非常に心配しているのは、この土地対策で地方の中核都市への波及の問題です。これはすごいスピードで現実に今波及しているわけです。しかし、どうしても目は三大都市圏というところにがっと向いておりますので、同じ轍を踏まないためには、今地方に手を打たなければ逆にまたおくれてしまうのではないかという心配を私はしておるわけでございます。  例えば、現実にもう高崎市とかそういうところに東京の居住者の人たちがマンションを買う、住宅を買う、あるニュータウンだったらもう七、八〇%ぐらいまで買っているのではないかという話だってあります。また東京圏、関西圏の業者や居住者が地方の都市のマンション、分譲地をどんどん買っているというようなこともございます。したがって、むしろ今緊急の大きな問題だと私は思います。その辺についての御所見を伺いたいと思います。

宮繁護元国土庁事務次官

○宮繁参考人 売買に介入するというのは大変難しい問題ですけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、やはり市場万能主義ではこの今日の地価の高騰を抑制することはなかなか難しいと思います。今お話しのように、地方中核都市あるいはもっと田舎の方の県庁所在地のマンションまで東京の人たちが買っておるというような状況も聞いております。そういう場合に、新規に開発した団地でございますとか新規につくったマンションについては、これは届け出制度等もございますので、かなり思い切って踏み込んで、行政指導といいますか、そういった調整ができないのだろうか。  これも、私がこう申しましてもなかなか難しい問題があろうかと思います。一つには、国も一生懸命やっておりますけれども、地方公共団体等にも一生懸命やっていただく。総がかりという意味はそういう意味も含んでおりますけれども、実は私、余りいい知恵は持ち合わせておりません。ですけれども、もう一度、この異常な高騰に対しては、これはおかしいのだ、市場の原理に任せておけないのだということをはっきりみんなで認識して取り組むことしかないのじゃなかろうか。また、余り価格だけ規制いたしますと、かつて北欧では農地の価格を統制いたしましたら犬の価格が非常に値上がりしたとかいうような笑い話もございますし、それから実はずっと前でございますけれども、金融公庫の融資のマンションにつきまして家賃の制限をつけましたら、そこに家具を入れまして、あるいはカーテンを入れまして、その家具やカーテンの使用料が高くなったというような状況もございます。ですから、経済の実体を反映しておる価格でございますので、価格だけいじろうとしてもなかなか難しいと思います。  そういう意味で、先生の御質問のお答えになっていないかと思いますけれども、総がかりでやることと、一歩踏み込んだ調整といいますか、介入というと言葉が悪いのですけれども、そういうことも考えなきゃいけない時期かなというように思います。

東順治公明党・国民会議

○東(順)委員 では、石原先生にもう一度お願いいたします。  先ほど、国民のコンセンサスが得られて初めて公共性というものが実効というか力を持つのだというお話でしたけれども、この公共に供するという考え方というのは、いろいろな技術的な政策、いろいろなことが当然大切なことで進めていくわけですけれども、私たち日本人が持っている土地に対する考え方を抜本的に変えなければ、これはなかなかうまくいかないものだと思います。  つまり、土地神話とよく言われますけれども、 これを壊していくためには、公共のためにはという考え方を、ちょっと言い方はおかしいかもわかりませんけれども、美徳というぐらいにしっかりとらえるぐらいの国民の中のコンセンサスづくり、これをやっていかないと言葉だけに終わってしまうのではなかろうか。そのためには広宣というのでしょうか、やはりこういう物の考え方というものを国民の中にしっかり植えつけていく、そういう努力。それからまた、もっとさかのぼれば、私は義務教育とか教育の場の中でこういう土地に対する考え方、公共性ということの大切さというものを教えていく、そういう本質的な問題だろうと考えます。そういう中で初めて培われてくるものではなかろうか、このように思うのですけれども、そういう点に対します先生のお考えをお願いしたいと思います。

石原舜介明海大学教授

○石原参考人 まさにおっしゃるとおりだと思うのです。これは教育を早くやらなければいけないのですが、我が国では、例えば簡単なことを言いますと、賃借関係を仮に設けるとかいうような場合に、アパートで賃借関係をつくるのは賃借のための契約書一枚になる。ところが、ヨーロッパみたいな、都市法というようなものが伝統的にずっとあるような国では、例えば芝はどういうピッチで刈りなさいとかあるいは何時以降の風呂は使ってはいけないとか何時以降の楽器とかそういう騒音は出してはいけないとか、いろいろそういうふうなことが賃借契約の中に入っているんですね。そういうニューサンスといいますか、いろいろな公害とか環境とか、こういうふうなことを当然居住者の責任において行わないといけない規則というものが社会的に認められております。もう既にそこが一つの公共性なんですね。  ところが、我々の契約書というのは、ただ財産の使用の保証のための契約しかないわけです。そこに利用のためのいろいろな制約条件というものが働かないわけです。  そこいらは我が国自体がそもそも公共性というものを持っていないと言ったら変ですけれども、不足しているところじゃないか。ですから、この都市問題だけではなくてすべての社会生活、そういう中から実は公共性というものは生まれ出てくるものでありまして、そういう点からも教育ということが非常に大切ではないかと思います。  おっしゃるように、ぜひそういうような点を、小学校から十分社会科でこれから教育していただくようにひとつ御指導いただきたいと思います。

東順治公明党・国民会議

○東(順)委員 時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。

工藤巖自由民主党

○工藤委員長代理 次に、辻第一君。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 参考人の先生方、きょうはお忙しいところを御出席をいただき、また貴重な御意見を拝聴いたしまして、本当にありがとうございました。  まず最初に石原参考人にお尋ねをいたします。  たくさん貴重な御意見を拝聴したわけでありますが、その中で、詳細計画が必要だ、そういうこととかかわってのお話だったと思うのですが、農地の宅地並み課税には賛成でない、このようなお話がございました。私どもも、国民本位の土地利用計画、国土計画を打ち立てる、こういう観点から、市街化区域内の農地や雑木樹林、こういう生鮮野菜の供給のみならず、貴重な緑の場として、防災用地や遊水地として子供たちの生きた教材として、破壊ではなく保存こそが求められている、都市計画の中にしっかりと位置づけるべきだ、偽装農地を除き、営農意思のある農家への宅地並み課税に反対する、これを農家から取り上げても地価抑制にも宅地供給にも役立たないことは既に三分の二が破壊された東京の経験が雄弁に物語っている。このように考えているわけであります。  この宅地並み課税で農家が農地を幾らか手放されても、企業が買い取って、そのためにそこでまた利潤の追求ということになって問題の解決にはならない、このように考えるわけでございますが、もう一度先生の宅地並み課税についてのお考えを伺いたいと思います。

石原舜介明海大学教授

○石原参考人 私の発言内容がちょっと誤解されているのかもわかりませんが、市街化区域内農地の宅地並み課税を一律に一度にかけるということについては余り適切じゃない。その中で、ある程度の区域を限定して、そこでいろいろな、先ほど申しました予定区域みたいな形で住民の開発、そういうものの参加をもとにした区域決定をして、そういうような段階で宅地並み課税をかけるべきではないかというふうなことで申し上げたわけでございまして、やはり市街化するという前提がございますものですから、当然、長期営農あるいは営農を持続するような希望の方、こういう方は、逆線引きということもございますし、生産緑地制度というものもございますので、そういうようなことでできるだけ調整を図っていかなければならないだろうというふうに思っております。  ですから、そういう面ばかり、こういう農地だけを宅地並み課税で吐き出させるというふうなことではございませんで、当然それに見合う未利用あるいは低利用、それから特に区画整理後の宅地化がもう十分条件を整えた地域の活用とか、こういうところを積極的にむしろ進めていくべきではないかと思っております。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 次に、宮繁参考人にお尋ねをいたします。  総合的な対応だとか、後手に回らないような素早い対応でございますとか、政策展開は機動的に、このようなことのお話があったと思うわけでございます。  そこで今度の土地の高騰というのは、先ほど病気の例でお話がありましたが、病気で言いますと高熱というようなお話がありましたけれども、その病原を言いますと、大企業、大銀行が土地の投機をして利潤を上げる、こういうところ、それから中曽根内閣の当時のいわゆる民活政策、こういうところに大きな原因があり、しかも東京で急上昇した三年前、そのときにも適切な対応がとられなかった。そして、その後、適切な対応がとられれば抑えられたと私は思うのですが、今全国的に高騰をいたしました。  私どもの奈良県も昨年あたりから異常な高騰で、もう何倍というところもたくさんあります。そういうようなので、お年寄りが、長年住んでおられた方が、いわゆる地上げというようなことで土地を追い立てられる、そういう厳しい状況が奈良あたりでも出てきているわけであります。  そういうことで、参考人もおっしゃったように、もう後手に回らないように素早い、しかも踏み込んだ力強い対応が必要だった、その点では私も本当にそう思うのです。あれは多極分散型国土法のときでしたか、ここで規制区域を、伝家の宝刀を抜くべきではないのか、私もこのことを強く申し上げました。また、もちろん金融の規制、これも本当に十分な対応をやるべきだということ等々申し上げてきたわけでありますが、実際はその規制区域はもちろんやられませんでしたし、金融の規制も、やりますやりますということでほとんど効き目がなかったというのが実態だったと思うわけでございます。  そこで、国民の合意、それから一定の基準というもの、指標、そういうものの上に踏み込んだ力強い施策が必要だ、こういうふうに先ほどおっしゃっておったわけでありますが、規制区域の発動などはいかがなものでしょうか。

宮繁護元国土庁事務次官

○宮繁参考人 法律の制度の上ではもう既に規制区域の制度があるわけでございますから、地価の異常な上昇、そうしてそれが国民生活や経済活動にまで大変な悪影響を及ぼしておると判断されるならば、当然その発動があってしかるべきだと私は考えます。  ただ、具体的に今どの地域がどうかと言われますと、一般論でございますけれども、伝家の宝刀という言葉もありますけれども、やはり伝家の宝刀も抜くべきときには抜かないといけないのじゃないか、こんなふうに考えるものでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 病気のお話でしたが、本当に総合的に手当てというのは長期的、短期的に緩急いろいろございます。それは総合的に必要だと思うのですが、今度のあのような異常な状況の中で、緩 い手当てでは本当に解決しない、必要なときにはずばっとメスを振るうということが本当に必要だったなというのが私の実感であります。そういうことで、必要とあらば規制区域の適用もということでしたので、今でも思い切ってやるべきではないかというふうに私は考えております。  次に、内田参考人にお尋ねをいたします。  いろいろとお話があったわけですが、土地問題というのは住宅問題でもあるというようなお考え、そして住宅基本法、こういうことのお話をいただきました。そして結局、土地問題、住宅問題、それは都市住民の住宅取得の困難を解決すること、こういうことでもあったと思うわけでございます。殊に、先ほどもちょっと触れましたけれども、都市の住民の皆さん方の住宅の問題というのはもう本当に深刻な問題であります。  そういう状況の中で、私どもは、住宅問題の一つの大きな柱として公共住宅を大量に建設をすべきである、このように考えております。そのことは住宅対策のかなめであると同時に、地価対策の上でも大きな意味を持っておる。戦後の住宅建設の中で、イギリスは六割、西ドイツは四割が公共住宅であったというふうに聞いております。日本は一割にも満ちておりません。公営住宅の建設は、自民党政治のもとで最近は年間四万戸ですね。七〇年代前半の三分の一です。あるいは公団住宅も大体そういうことになっていますね。そういうことで、住宅政策は、良質で低家賃の公共住宅を大量に建設をすることを私どもは主張しているわけでございますが、先生のお考え方を伺いたいと思います。

内田勝一早稲田大学法学部教授

○内田参考人 土地問題は究極的に言えば住宅問題だというふうに思います。それで、その住宅問題という場合に考えなければならないことは二つあると思うのですね。  一つは、最近の地価高騰の中で問題になってきたというふうに指摘されているのは、いわゆる中堅所得層がこれまでは持ち家を取得することができた、しかしながらもはやその持ち家を取得することができなくなった、したがってこの層を対象にして住宅を大量に供給していくこと、これが重要だというふうなコンテクストで住宅問題の困難さというのは語られています。  しかし、先ほども申し上げましたように、同時に、これまでも大変劣悪な住宅事情にありましたより所得の低い方とか、あるいは高齢者あるいは身体障害者、いろいろな障害者の方の住宅事情というのは一層悪かったわけです。それが今回の地価高騰の中で中堅層まで問題が広がったということは、それよりもかつてから問題が存在していた人たちにとってはもっと深刻化したということになると思うのです。問題が広がって、同時に深刻化したという二つをとらえておかなければいけないと思うのですね。そういう意味では、一方では中堅所得層への宅地供給、同時により所得の低い方々への住宅政策を一層充実させるという二つの方向がどうしても必要だというふうに思います。  そういう意味では、先生がおっしゃられました良質な公共住宅の大量建設というのは、我が国とヨーロッパの国々の公共住宅政策を比べた場合に、例えばイギリスの場合には、現在若干減ってはいますけれども二五%以上のストックがあります。そういう状況と、日本の場合、これは全体で七%しかありませんから、こういうものを考えた場合には、やはりもっと公共住宅をふやすということもこの住宅問題の深刻化した状況を解決する一つの手段としては大変有効だと思います。  以上です。

辻第一日本共産党

○辻(第)委員 終わります。

工藤巖自由民主党

○工藤委員長代理 次に、川端達夫君。

川端達夫民社党

○川端委員 参考人の三先生、大変御苦労さまでございます。また、非常に意義あるお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。  一、二お聞かせをいただきたいと思うのですが、この土地問題、非常に大きな問題というふうになってきているわけですが、難しいなと我々も考えますのに、一つはやはりサラリーマンといいますか普通の働いている人たちが、日本の経済をこれだけ支えている人たちが、年収の八倍、九倍、十倍出さないと家が持てない、せめて四、五倍の年収で家が持てるようにしてほしい、この土地を何とかしてほしいという気持ち、切なる願いと、一方で既にお持ちになっている方が、土地が上がって固定資産税とかどんどん上がってきたから住めなくなる、あるいは商売ができなくなるというのと同時に、公共的な部分でその土地を手放しなさいと言われると、いやこれは先祖伝来のものだからということで、持っている人のその権益を守るということと持てない者の願いをかなえるということの調整が非常に難しいというのが現実だと思います。  初めに内田先生にお伺いをしたいと思うのですが、総理府がいろいろ土地問題に対して世論調査をやっているわけです。そういう中で、なかなか難しいなと今申し上げたようなことで思いましたのは、一つは「地価に対する見通し」これは六十三年六月の調査なんですが、「土地はこれからも値上がりを続けると思う」という人が七四・九%、大阪圏に至っては八〇・三%がこれからも土地は値上がりをしていくだろうと思っておられる。そして、「土地は貯金や株式などに比べて有利な資産である」という問いに対して、「そう思う」と言われた方が六四・一%、「そうは思わない」という人が一四%ですから、過半の人は有利な資産である。値上がりをしていくというのと当然セットになっていると思うのですが、ここら辺から見ますと、持った方がいいし、持てるものなら持ちたいなというふうに皆さん思っておられる。  一方で、四番目の設問で、「土地所有者の権利が公共のために制限を受けてもよいと思う」という方は全国で三七・八%、「そうは思わない」という方が二三・五%、「どちらとも言えない」という人が二一・八%ということで、三分の一ぐらいの人しかそういう意識がはっきりとはない。  これを首都圏に住んでおられる外国人に同じ問いをしたというときには、アメリカ人は六八・二%が公共のために制限を受けてもよいと思うとお答えになり、イギリス人が六七・九%、西ドイツ人が五九・二%ということで、我が国とここにおいて明確な意識の差があるということなんです。  そういう意味で、ここのギャップをどういうふうにしていくかということでないと、いきなり公共の部分でということをやったら非常に国内的な摩擦しか起こらない、そして利害の対決しか起こらないというのが現状であると思うのです。  法体系の違いとか土地に対する思いとか違うと思うのですが、外国人とこれだけ違うということに対して先生はどういう御所見をお持ちなのかということと、日本において公共優先という部分で六割、七割ぐらいまでそうだという人にしていくのに一番大事な点は何かということについてお聞かせをいただきたいと思います。

内田勝一早稲田大学法学部教授

○内田参考人 ただいまの御質問、考え方として二とおりあると思うのです。  一つは、地価に対する見通し、あるいは資産として有利だという状況が本当にそうなのかということについての認識を明確にすることだろうと思うのですね。それがまず第一の問題です。それから第二番目に、外国と比べた場合に日本とどこが違っていて、それをどうしたら変えられるかという、二つあると思います。  まず第一に、地価に対する見通しが上がっていく、あるいは有利な資産だということが、果たして国民にとって、あるいは土地を保有している普通の人にとって本当に有利なのかということをもっと啓蒙する必要があると思うのですね。  例えば、ある普通のサラリーマンの方が土地と建物を持っていた、そして子供が大きくなったのでほかへ移りたいという場合に、地価が上がってしまえば、今までの住宅を売って他のものを買いかえるという場合に、それが非常に難しくなるわけです。地価が上がるということはどこが問題かといいますと、地価と労働の価値との開きが大きくなるということですね。労働の価値で賄えるほ どの範囲であれば、地価が上がるということについての問題点というのは今ほどではないわけです。  つまり、地価の上昇と通常の労働の対価、賃金の上昇の格差が著しい、したがって普通の勤労者が一生懸命働いても取得できない、そういう地価になってしまっている。そうすると、買いかえをすることもできない、あるいは仕事がかわって他の場所に転勤するときに住宅を売って買いかえるということもできない。そういう意味では移動の自由とかあるいは職業選択の自由というものも地価の高騰によって制約されてきているんだということを認識する必要があると思うのです。  つまり、地価の高騰というのが労働の価値との差で甚だしくなっているということは普通の勤労者にとっては不利益なことなんだということを十分認識すること、またそれを認識させるということが必要だと思います。  それから第二番目に外国との比較でありますが、公共の福祉に対する考え方がなぜ違うかといいますと、その国々における公共の考え方というものが違っているということがあるわけです。アメリカにしても、あるいはドイツとかそういう国にしましても、政治の中心というのは地方自治にあるわけですね。例えばアメリカの場合には、東部から西部に開拓をしていく。そうすると自分たちのことは自分たちで治める。そのときに自分たちだけではできない公共的なものを行うために自治体というものをつくってくるわけです。したがって、自治体というものが、基本的には自分たち個人個人のサービスとは違う公共的なサービス、つまりパブリックサービスをするものである、そしてそのパブリックサービスのために自分たちの私的なものが制約されるのは当然であるという考え方がアメリカの場合にはあるわけです。そういう意味では、地方自治というものが国民の身近になっているということが公共性に対する意識の違いということにあると思うのですね。  そういう意味では、先ほどるる申し上げましたように、我が国においても地方分権とかあるいは地方自治というものを確立していくことが、一見遠回りであるようには思えますけれども、実は公共性というものに対する国民の持っている今の感覚というものを変えていく最も有効な道ではないかというふうに思います。  以上です。

川端達夫民社党

○川端委員 ありがとうございました。  石原先生にお伺いしたいのですが、東京を中心として非常に住宅難というか、高いということも含めまして、一方で土地が足りないというふうなことが言われます。そういう意味で東京をいろいろ工夫して公共住宅をたくさんつくる、あるいはいろんな部分で遊休土地を出させるようにして土地を供給する、住みやすくするというふうな施策をとっていくと余計首都圏に人がふえる、どんどんふえてしまう、そして需要がまたふえる、需要がふえるということは、ある部分の経済原則でいうと値段がまた上がってくるという、何かイタチごっこをするような感じもするんです。  一方、いろんな資本の関係で本当の需要ではない部分で住宅に限っても取得がされているのが日本でも現状だと思いますし、ニューヨークの個人住宅のマンションで電気が消えているのは日本人が持っているものだ、いやいや大阪でも仙台でも、家は高値で取引されているけれども本当に住む住宅ではないということで、仮需みたいなことで投機として住宅が動いているのが現実だと思うのです。  こういう状態が、家を幾ら建てて高い値で取引しても一般の者とは関係のないところでということで、本当の需給バランスというものとは離れているわけですね。先ほど先生が果たして自由経済の部分に放任しておいていいのかというお話がありましたけれども、本当の個人の需要というものが手に届かないところで経済原則というのは成り立つのだろうかということを非常に疑問に思うのですけれども、どういうふうに見通しをしておられるのですか。幾らやっても買い手がなかったら最後に下がるのかなということはあり得ないのかどうかということに関して御所見を賜りたいと思います。

石原舜介明海大学教授

○石原参考人 まず、問題の最初のところでございますが、東京を改善すればさらに人口が集中して東京の需要を高め、さらにこれがまた地価を高めていく要因になるのではないかというお話でございます。  この対策といたしまして先ほど申し上げましたのは、要するに、東京で働く企業がそういう人たちを雇用するのに費用が非常にかかるということを企業の内部経済化させないと、いつまでたっても企業の方が外部経済だけを享受していろいろな不経済を受け入れないような状態ではどうにもならないので、できるだけ不経済を内部経済化させるような仕組みをつくっていく。その一つとして人頭割の課税、こういうふうな形を想定したわけです。ですからそういう意味で、悪いまま放置しておけばいいということとは結びつかないわけでございまして、やはりいろいろな施設の整備はやっていかなければいけないというふうに思います。外部不経済の内部化を図るシステムをつくっていくということがまず第一の問題として出てくるのではないか。それによって業務核都市だとか地方中核都市の育成ということがまた図られていく可能性があるかと思います。  それから、住宅を幾らつくっても仮需が中心であって実際の需要に結びつかない、むしろそういうような形で空転している部分が多いのじゃないかと言われることに関しましては、これはまさに現在のシステムがそうなっているからだと思います。  結局これは、保有の利益、あるいは相続税との関係とかいろいろ税制上の仕組みとの関連性がありますので、何といいましても保有条件が、ほかのものと比較いたしましてこういう住宅を持つこと自体が決して有利でない。多少そういうふうなことで相続税の場合に三年前に借り入れた不動産はそのまま原価で評価しますよというような措置がとられていますけれども、これもちょっと三年前というのがいいかどうか問題がありますけれども、保有することによって費用が非常にかかるのだということになればこういうようなこともないし、また相続の対策としての評価が適正であればこういう問題も起こってこないというふうに思うわけでございます。ですから、この点に関しましては保有税の問題とそれを基礎にいたします土地評価のシステム、これをしっかりつくらないといけないというふうに思います。評価がそれぞれの対象によってまちまちであるというあたりに非常に大きな問題があろうかというふうに思っております。

川端達夫民社党

○川端委員 時間が来ましたけれども、最後に宮繁先生、元官庁におられたということも含めまして、いろいろ国民の気持ちの問題、それから企業等々に対する対策と同時にやはり国としてやるべきことということで、我が党は先般来、国として東京一極集中ということを緩和するために思い切って国会を移転したらどうだということを提案しているのです。その部分、ちょっと離れた立場に前はおられたということも含めて、御感想、御所見を賜りたいと思います。

宮繁護元国土庁事務次官

○宮繁参考人 私、国土庁におりまして、明治政府以来東京に首都が決まって初めて政府が首都機能の分散移転をする調査を始めましたときに、そのことにかかわった者でございます。私は、首都移転の問題につきましてはこんな考えを持っております。  非常に経済的な理由で効率が落ちるとか、エネルギーがもう不足してどうにもならないとか、水がどうだとかいうような理由で首都が移転をするようにはならないだろう。それはそれ相当に改善策が加えられていくだろう。そうしますと、首都移転というのは一体どういう理由で成立し得るのかなと思いますと、私は今おっしゃったように政治的な理由だと思います。人心を一新するとか、いろいろなそういった政治的な理由で首都移転が展開されるのかな、ただしそれには大変な政治的 なエネルギーが必要ではないかと考える一人でございます。

川端達夫民社党

○川端委員 終わります。どうもありがとうございました。

工藤巖自由民主党

○工藤委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  参考人各位には、御退席いただいて結構でございます。  次回は、明三十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十六分散会

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