社会労働委員会 第9号
- 発言数
- 218 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1990/06/05
会議録
○畑委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。住博司君。
○住委員 議題となっております高齢者雇用安定法の改正案につきまして、若干の質問をさせていただきます。 塚原労働大臣は過日の提案理由の御説明の中で、二十一世紀の初頭には労働人口の四人に一人は五十五歳以上の高齢者が占めるようになる、こういうふうに述べられました。確かに、いただいた資料によりまして統計上の数字を見ますと、五十五歳以上の方は去年全労働力人口の一九・七%、それが二〇〇〇年には二三%に増加すると見込まれています。こうした状況を踏まえて、将来展望のある高齢者雇用のあり方を考え、対策を講じようと今回の法律改正を提案されたわけですから、まことに時宜にかなっていると私は思っているわけですけれども、この法改正の内容につきましては、幾つか確認しておかなければならない点が多いと感じますので、それについて逐次大臣並びに関係政府委員の方々にお考えをお尋ねをしたい、このように思います。 まず、改正案の柱の一つになっています職業安定対策の基本方針の策定についてであります。 この中では、高年齢者の就業動向、六十五歳までの高齢者の雇用機会の増大の目標、事業主の行うべき条件整備のための指針を定める、こういうふうにしているわけですけれども、これは言ってみれば、高齢者雇用についてはっきりとした展望や具体的目標を示すことにもなる、こういうわけです。法改正の施行は十月一日ということになるわけですが、一体いつごろをめどにこの基本方針というのを策定されるのか、それを出す時期はいつになるのか、そのことをまずお尋ねしたいと思います。
○七瀬政府委員 基本方針の策定の時期でございますが、御提案申し上げております改正案におきましては、中央職業安定審議会の意見を聞いて定めるということにいたしておりますので、正式に意見を聞いて定めるのは施行後できるだけ早い時期にというふうに考えているわけでございます。 ただ、私どもとしては、この法律案が御成立いただいた場合には、早急に事前の準備に取りかかりたい、このように考えております。
○住委員 やはりこれが一番大事な基本方針でございますので、この法が通りましたならば、ぜひ速やかにそういったことをやっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。 同時に、この中では職業能力の開発や向上に向けて有効な手だてを示す、こういうことになるわけです。そうするならば、高齢者に実際にどのような能力があるのか、つまり加齢、年齢が加わっていくとその人の能力にどんな変化があるのか、これは個人的にも随分差があるとは思いますけれども、向上する点が何かあるのか、あるいは低下するところはどういうものなのか、どんな条件があればそれが変化をするのか、そういったことを学問的に裏づけるようなものを専門的に研究することも必要だと考えているわけですけれども、アメリカには老齢学という学問がございます。その基礎研究も行われているというふうに聞いておりますけれども、我が国では一体どうなっているのか。そのような専門講座がどこかの大学にあるのかどうなのか、そんなことをおわかりになる範囲でお聞かせをいただきたい、こういうふうに思う次第です。
○七瀬政府委員 加齢と職業能力の問題につきましては、医学、心理学あるいは社会学、そういったものを総合的に考えまして、そういった視点からアプローチいたしますいわゆるジェロントロ ジーということがアメリカで盛んに研究されているという状況は、先生御指摘のとおりでございます。 労働省といたしましては、加齢に伴う体力、能力の減少あるいは加齢に伴う感覚機能の問題とか、そういったものについてはいるんな角度から調査研究いたしておりますし、また逆に、加齢に伴ってプラスされる要素につきましても、労働者、高齢者個人の方々からの聞き取り調査でございますとか、あるいは管理職の方々の意見とか、そういったものを踏まえまして、高年齢者雇用開発協会等の場において調査研究を進めているところでございます。
○住委員 大学の専門講座というのは特にないのでございますか。
○七瀬政府委員 大学の専門講座につきましては、私どもとして把握しておりませんので、恐らくないのではないかというふうに考えております。
○住委員 高齢化の到来、こういうふうに言われて久しいわけでございまして、やはりそういう基本的な学問、基礎的な学問というものは我が国でもどうしても必要になるのではないか、こんなふうに考えるわけです。やはり国公立大学の中でそんな学問を研究する場を設けることを、これは文部省の範囲かもしれませんけれども検討していただければ、こう思うわけで、その点について大臣の御見解をお伺いをしたい、こういうふうに思います。
○塚原国務大臣 非常に重要な御指摘だと思いますので、まず文部省の方につきましては、私の方から文部大臣の方に御指摘の趣旨をお伝え申し上げておきます。 それから、やはり高齢者の方、特に職業に対するどのような形の対応をしていくか、当然、よく健康年齢と実年齢は違うのだとか、いろんな議論がございますけれども、そういうことを逆にしっかり把握していくということがこれから大切だと思いますので、省内におきましてもただいま調査研究はしているようでございますが、さらに進めた形のものを、これから研究をしていくような形のものをつくり上げていきたいというように考えております。
○住委員 ぜひ積極的なお取り組みをお願いしたい、このように思います。 現在の高齢者雇用安定法は、六十歳定年の努力義務規定というのがあります。これによって定年は着実に引き上げられてきた、こういうふうに考えます。私もサラリーマン時代に、定年が徐々に段階的に上がっていく、その言ってみれば過渡期を経験いたしたわけですけれども、今回、法改正をすれば、基本方針の策定とあわせて定年に達した方々の再雇用についての努力義務が加わることになるわけですね。そうすると、六十歳定年を基盤とした六十五歳までの継続雇用を促進する考え方が、いわば明確に示されることになるわけです。だけれども、どうも現状を見ますと、なかなか難しい面が多いように感じるわけです。今現在でも、勤務延長、再雇用によって継続雇用を図っている企業はあると思います。それを労働省の雇用管理調査という統計調査で見てみますと、定年を六十歳以上としている企業の六六・三%がそうした勤務延長、再雇用の制度を持っていますね。これは間違いありませんか。
○七瀬政府委員 そのとおりでございます。
○住委員 ところが、そういう勤務延長、再雇用の制度はあるんだけれども、希望者全員の雇用が認められているかというとそうでもない。また、その五千人以上の規模、大規模の企業を見ますと、勤務延長、再雇用の制度を持っているところは三二%ぐらいしかない。しかも制度を設ける予定がないとしているところが六五%もある、こういう統計上の数字になっている。こうした数字を見ますと、どうも事業主や企業側には、六十五歳までの雇用確保についてまだ意識が上がっていないんではないか、こんなふうに考えるところがあります。同時に、六十歳の定年ということの定着で、どうもそれで社会的責任を果たしたんだ、こういうふうに考えているのではないか、そういう意識が広く存在しているのではないか、こういうふうに思うような面があるのだと私は思うのです。 企業の側にも、例えば労働者の健康面での配慮であるとか賃金体系とか退職金制度の見直しだとか職務の内容とか作業の環境をどう変えていくのかとか、あるいは一番大事なポスト不足なんという処遇面、人事面での問題など、いろいろ考慮すべき点が多いわけだと思いますけれども、こうしたことが今御指摘をした現状の背景にあるのではないかと思うわけです。ですから、こういうことを考えた上で法改正をもとにして六十五歳までの継続雇用の促進を本当にどうやって図っていくのか、具体的な施策というのでしょうか、その内容についてお聞かせいただける範囲でお答えをいただきたい、そのように思います。
○七瀬政府委員 今回六十五歳に向けての雇用確保の枠組みをつくるために法律案を提案させていただいているわけでございますけれども、基本的には、やはり六十歳定年の完全定着に向けての努力ということが第一に基本になろうかと思います。その上で六十五歳に向けて諸条件を着実に整備しながら、労使間で十分話し合いを行いながら、六十五歳へ向けての計画的、段階的な措置が必要になるのではないかと思っております。 具体的には、助成金制度の活用でございますとか、あるいはいろいろな困難を労使間で克服して六十五歳に向けての雇用を進めている企業の実例を啓発、PRいたしますとか、あるいは高年齢者の能力に対する過小評価と申しますか、正当に評価しないために雇用が進んでいないようなケースも見られますので、そういった問題点についてのいろいろな啓発、指導を進めていく、こういった形で着実に六十五歳へ向けての雇用を進めてまいりたい、このように考えております。
○住委員 とにかく六十五歳までの継続雇用をするためには事業主の積極的な取り組みというのがどうしても必要になるわけです。行政側としても事業主の姿勢や取り組みを十分に把握しておかなければそれはできない、こう思います。その把握をした上できちんとした指導や援助を進めていく、こういう体制がぜひ必要だと思うのですけれども、その点についてはどうお考えになっているのかお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
○清水(傳)政府委員 まさに御指摘のとおりだと考えるわけでございまして、事業主に対して自主的な、それから積極的な取り組みを求めていく、そして行政側といたしましても、こうした事業主側の取り組みを十分に把握いたしまして、その実情に応じた指導なり援助を進めていく必要がございますし、また基本方針のところにも高齢者の雇用の目標を設定をして進めていかなければならないというのがございます。そうしたことをやっていくためにも、この状況の把握ということが極めて重要である、このように思います。現行の高年齢者雇用安定法におきましても、労働大臣が定年等の高年齢者の雇用に関する状況につきまして必要な報告を事業主から求めることができる、こうした形になっておりまして、これに基づいて労働省で毎年一回定期報告を徴収いたしておるわけでございますから、特に今後その必要が極めて重要でございます。高齢者雇用の取り組みの状況を十分に把握して、その実情に応じた指導、援助、こういうふうなことが最大限にできるように、そうした実情把握について十分に心がけて努力をしてまいりたい、このように存じます。
○住委員 それは先ほども申し上げましたように事業主がきちんと考えることであろうと思うのですけれども、やはり労働省側としても、言ってみれば内容の報告を求めたりということをもうちょっとしっかりとした体系化をしていただければ、こんなふうに考える次第であります。 もう一つ御質問いたしますけれども、先ほどからも加齢の話をしておりますが、六十歳を超えますと健康状態というのは個人間で随分差が出てくる、健康状態が実を言うと六十歳から六十五歳の働く就業ということについて、あるいは引退をす るという行動でしょうか、引退行動ということについて与える影響も大きい、こう思うわけです。高年齢者の労働災害の発生率も他の年齢層に比べて高いと伺っておりますけれども、その点はどうなんでしょうか。
○草刈説明員 お答えいたします。 先生のおっしゃるように、高年齢者の死亡災害は若年者に比べて数倍の高さを示しております。
○住委員 数倍と言ってもよくわからないのですが、大体どれくらいの数字になっているのでしょうか。
○草刈説明員 手元に今詳細な数字はございませんが、中小企業に働く方々、また特に高齢者が多いという傾向は言えると思います。
○住委員 今そういう状況を考えてみますと、健康管理というのは重要な要素になってくるわけです。基本的には働く人がみずから努力すべきものだ、これは当たり前のことなんですけれども、行政側としても働く人の健康の保持とか増進に何らかの対策を講じていく必要があると思いますが、その点についてどう考えておられるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
○草刈説明員 先生御指摘のとおり、高齢化社会の到来に伴いまして成人病を持つ労働者が増加してきております。働いている方々が中高年齢期に至っても健やかな職業生活を送れるようにすることは労働行政の重要な課題と認識しておりまして、このような観点に立ちまして昭和五十四年より中高年齢労働者健康管理事業、これは通称シルバーヘルスプランと申しておりますが、それを推進してきたところでございます。この実績を踏まえまして、さらに六十三年、労働安全衛生法を改正いたしまして、事業者が労働者の健康の保持増進を図る措置を講ずるような努力義務を課させていただきました。また、働く人々自身もこのような措置を利用して健康の保持増進に努めるものとしております。 労働省といたしましては、これらの健康づくりを支援するため心身両面にわたる健康づくりを推進することといたしまして、健康測定あるいは運動指導等を行う人材の養成、それから事業主に対する健康測定や運動指導の費用の助成等の措置を講じております。また、昨年十月から一般健康診断につきましても、成人病の増加に対応できますよう事業者の行う健診項目に肝機能や心電図検査を追加いたしまして、その充実を図ったところでございます。これによりまして事業者の方々に対して労働者の適切な健康管理及び就業上の配慮を行わせるようにしたところでございます。 また、これらの施策を今後とも積極的に推進してまいりたいと存じております。
○住委員 今お答えのあったように、ぜひこれからも積極的なお取り組みをお願いしたい、このように思います。 もう一つ、六十歳を超えますとどうしても個人によって働く意欲というものの差が大きくなるという特徴もあるわけです。こうした中で継続雇用を図っていくためにはMEの技術でありますとか、そういうものを利用した高齢者向きの機器の開発でありますとか、あるいは職務の再設計ないしは職場の開拓といったそういう分野も必要になろうかと思うわけです。職業能力開発の問題も含めて、今の話をした点についてどのような姿勢でお取り組みになろうとしているのか、その点についてお伺いをしておきたい、こういうふうに思います。
○甘粕政府委員 先生御指摘のとおり、六十五歳までの雇用の維持ということになりますと、高齢者の人たちが本当にそういう職場環境、職務再設計あるいはME用機器の活用それから本人自身の能力の維持開発、こういうことを含めまして、能力が十分に発揮されるということが基本的に重要な課題だ、こういうふうに思っているところでございます。 そういう意味で、労働省全体といたしまして、高齢者の職場を開拓するための必要なME機器の研究開発あるいは職務再設計の取り組み、こういうことをしてございますし、職業能力の開発という面につきましては、基本的には若いときから必要な能力を身につけてもらうということを基本にいたしまして行っておりますが、高齢期になりますと、先ほどお話ございましたように、労働市場の状況ですとか本人の考え等によりまして、むしろ新しい需要の多い職場に転換しようと考えられる方あるいは社会保険労務士なり計理士なり不動産鑑定士なり、いろいろな資格をとってむしろ自立をしたいというふうな考え方等もございます。そういうことに対応した格好で企業内訓練の助成あるいは自己啓発へのいろんな指導、助成あるいは公共訓練所でのそういう受け皿づくり、それから特に最近力を入れたいというふうに思っておりますのは、ME用の機器になじむような訓練用機器を開発いたしましたので、こういうものを活用いたしまして、むしろ高齢者の方でもME用機器の活用という面についてなじめるような、そういう訓練用機器を開発したことによりまして、そういう新しい職場への取り組みみたいなものを今年度から積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
○住委員 高齢者の生活の安定という観点から見れば、公的年金に加えての企業年金の活用と充実、それに財形貯蓄など、働いている間に老後を目指した個人資産をどう形成していくか、そういった問題も考慮しなければならない、こういうふうに思うわけです。労働者の生涯設計の立場から、退職金や企業年金について労使の間でも十分に話し合う、そういう機運は出てきているわけですけれども、高齢者の雇用就業対策というのは、言ってみれば年金政策とも非常に関連するわけで、その連携があって初めて生きがいのある老後が保障されるのではないか、こういうふうに考えます。この高齢者の雇用就業対策の推進と年金政策との連携についてどうお考えになっておられるのか、まず基本的な考え方をお聞かせをしていただきたい、こういうふうに思います。
○七瀬政府委員 本格的な高齢化社会を迎えまして、高齢者が安んじて生活を送れるようにするためには、ただいま御指摘がございましたとおり、高年齢者の雇用の場を確保して、雇用から年金への円滑な移行を図ることが重要であるというふうに基本的に認識いたしております。
○住委員 ぜひそういう連携をとって、そして本当に豊かな老後というものを保障できるような、そういう職場のあり方であるとか、それから将来の行き方なりを示していただきたい、このように考える次第です。 もう一つ、ちょっとさっき聞き忘れたことがあるのですけれども、今企業の中には早期退職優遇制度、こういうのがありまして、出向等によって定年に達する前にほかの企業に移っていく方が多くなっているわけです。早期退職優遇制度については、これを利用して比較的若い時期に転職する人も多くいるわけです。私のかつての仲間にもそういう方がたくさんおられますので、その制度そのものの意義を否定するつもりはありませんけれども、その運用が余りに拡大していきますと、逆に六十歳定年の実質否定につながりかねないのではないかという見方も一部にはあるというふうに思います。これについてはどうお考えになっておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。
○七瀬政府委員 ただいま御指摘の早期退職優遇制度でございますが、全体といたしましては四%台、数%という程度でございますが、大企業を中心に考えますとかなりの割合の企業が早期退職優遇制度を持っております。これは、みずから希望いたしまして比較的早い時期にみずからの意思で退職していく、そういう方に対して特別の優遇制度を設けるという趣旨でございますので、これにつきましては、その運用の仕方なり中身について労使間で十分意見を交換し議論をしながら、その運用に当たっていくべきものであろうかと思っております。 現実の問題といたしまして、六十歳定年の制度を設けている企業におきましてもそういう早期退職優遇制度がある結果、現実にはかなり若い段階で退職することがあり、あるいは出向したり、あ るいは別の会社に移っていくということがあるわけでございますが、六十歳定年が制度化されているということがございます結果、早期にその優遇退職制度で退職をしていく方に対しても出向なり再就職のあっせんなり、そういった形で六十歳までの雇用についていろいろと企業として配慮する、そういう意識も同時にあろうかと思いますので、六十歳定年があることと早期退職優遇制度というものは、その運用をきちんとすれば決して矛盾するものではないだろうと思っております。
○住委員 今のお答えではちょっとわかりにくいところもあるのですね。要するに、制度をつくることによって最初の趣旨とはちょっと違った形で、言ってみれば肩たたきと言っては悪いのですけれども、もうおやめになったらどうでしょうか、再就職をあっせんします、それはいいのです。しかし、そういう方々の後の仕事の内容を見てみますと、やはり不満が残るというようなことがあったり、あるいは賃金体系からするとかなり下がってしまったり、こういうような現実が実際にあるように伺っています。そういうことについて、やはりこれもそんなに行政側として余り深く突っ込んでいくことはできないのかもしれませんけれども、一つの基本的な姿勢というものをお示しをいただきませんと、どうも先ほども言いましたように六十歳定年前の早期退職優遇制度を拡大解釈をしてしまうような傾向がこれから出やしないか、そのことをぜひ労働省の中でも行政の検討課題の中へ入れておいていただきたい、このように考える次第であります。 もう一つは、さっきから大きな規模の企業につきましての話が出ていました。その中で、今もちょっとお話をしたのですが、言ってみれば退職をしていくということでほかの会社に移る、賃金が少し下がる、こういうようなことがあって、まあ出ていかれる方はそういう状態の中でも生活をした方がいいんだという御希望があって行くのだというのは、これもよくわかるのですけれども、言ってみれば企業グループの中で例えば高齢者だけの会社をつくるとか、そういった考えというのは今のところ、今、日本のこの企業社会の中で出ていないのでしょうか。その点についてちょっとお尋ねをしてみたいと思います。
○七瀬政府委員 同一企業あるいは同一企業グループにおける継続雇用ということを私どもは重要な政策課題として推奨し、指導、援助を申し上げているところでございますが、その中で高齢者を中心とした別企業を設立いたしまして高齢者に活力と生きがいのある職場を提供する、そういった形での高齢者会社の設立というのも機運としてかなり盛り上がりつつある、こういう状況であろうかと認識しております。全体の割合、数字としては必ずしも現段階でそれほど高い数字ではございませんが、そういった方向、機運というのは盛り上がりつつあるのではなかろうか、このように認識いたしております。
○住委員 ぜひそういった面でのお取り組みも労働省側にお願いをしておきたい、こういうふうに思います。 それからもう一つは、高齢者の方は離職をいたしますとなかなか再就職が難しいというのが今現実でございます。各地にシルバー人材センター等々もあるようですけれども、このシルバー人材センターの運用については今一体どういうふうになっているのか、そして、それが高齢者の方々の老後の生活についてかなり保障する制度になっているのかどうなのか、その点について、今の中間的な総括で結構ですから、それについて伺っておきたいと思います。
○七瀬政府委員 御質問のシルバー人材センターでございますが、シルバー人材センターは急速に進展いたします我が国の高齢化に対応するための重要な施策として昭和五十五年度から発足いたしておりまして、平成元年度におきまして全国の主要都市に四百二十五カ所の設置を見るに至っております。さらに今年度七十カ所の増設を予定しているところでございます。会員数は、ちょっと古くなりますが、昭和六十三年度で十八万人の方々がシルバー人材センターに登録して、社会参加をしながら若干の収入を得ている、こういう状況でございます。ちなみに事業の運営状況でございますけれども、昭和六十三年度の契約金額で五百六十二億円、一団体当たりの年間契約額は一億五千万円という数字となっているわけでございます。 今後ますます増大すると見込まれる高年齢者の定年退職後の生きがい、社会参加ということのためにこういった臨時的、短期的な就業ニーズがさらに広がっていくだろうと思いますので、これに対応しつつ、今後ともシルバー人材センターの増設に努めるとともに、その内容の充実あるいは職種の範囲をいろいろ工夫し拡大していく、そういった努力を着実に積み重ねてまいりたい、このように考えております。
○住委員 そのシルバー人材センターでお与えいただく仕事の内容なんですけれども、それは一体どういったものが特に多くなっているんでしょうか。
○七瀬政府委員 構成の割合で申しますと、清掃でございますとかごみ処理でございますとか、こん包あるいは包装、そういった軽作業が四八・六%ということでございます。それから次に、公園の管理でございますとか駐車場あるいは自転車置き場、そういったものの管理に当たります管理、監視の仕事が二二・五%というようなことになっております。このほか留守番でございますとか家事の手伝いでございますとか、あるいは老人の方々のお話の相手になる、さらには観光案内、そういったサービスが一〇・八%というような状況でございます。
○住委員 そういう軽作業が多過ぎるんじゃないだろうか、軽作業しか与えてもらえないぞという御指摘を私どもよく選挙区で、シルバー人材センターで仕事をあっせんしていただいた方々にお伺いすることがあるのです。最初に考えていたのとはちょっと違って、どうもそういう軽作業だけで終わってしまって、何となく期待したのとちょっと違うぞという感じがあるんだ、こういう話を聞くこともあるのですけれども、例えば職をあっせんする場合には、これからもそういう仕事が主流になってしまうのでしょうか。その点についてはどうでしょうか。
○清水(傳)政府委員 シルバー人材センターは各地域地域でお年寄りの方々が相当創意工夫も凝らしながらいろいろな分野も開拓してやっていただいておりますが、そうした中で、今の御指摘と関連をいたしまして、私どもといたしましてもこれからの非常に大きな課題と考えておりますのは、特にホワイトカラー層に向いたお仕事というものがなかなか見つけにくいという点であります。具体的に仕事をとってくる分野といたしましては、個人の家庭、企業、地方公共団体でおおむね三分の一ずつの仕事をとってきてもらってやっていただいておるわけでございます。 例えば地方公共団体、地域社会に密着をいたしましたいろいろな観光の分野でございますとか歴史的な史跡、そうした面についてのお仕事でございますとか、あるいは文書の整理でございますとか、そうした文化的な方面についても地方公共団体の方とも御相談をして、老人の方々に向いた仕事が出していただけるように、そういう面の指導も行ってきております。あるいはまた、今までの経験を生かした学習塾のたぐいのものでございますとか、そうしたものもやっていただいております。さらに、全国のいいケースというふうなものをお互いに紹介し合って、そういう面で本当に生きがいも十分に得られる、そういう方向に向けてシルバー人材センターの方に私どももより積極的に御協力をいたしまして、そういう分野が開拓できるようにやってまいりたいと思います。
○住委員 今局長から大変すばらしい御答弁をいただきました。やはり時代の流れによって高齢者がもといた職場が違ってくると思いますので、ぜひそういう取り組みをしていただきたいと思う次第でございます。 私は、この法律改正によって高年齢者の雇用確保と六十五歳までの継続雇用が一段と進むことを 大いに期待する者の一人でございます。しかし、労使間の話し合いの進展でありますとかあるいはそれぞれの立場での取り組みによって、その状況も変化するのではないかと思うわけです。高齢化の進捗状況であるとか労働市場の動向でありますとか、あるいは景気の変動、それによっては高齢者の雇用就業対策の取り組みも変化することさえ出てくるだろう。そういうことで、固定化したものではなくて、柔軟で弾力的な対応をぜひしていただきたいと考えるわけです。その点についてお考えを伺っておきたいと思います。
○清水(傳)政府委員 高齢者雇用の確保のためには、御指摘のように関係者がそれぞれの立場から積極的に取り組むことが必要でございます。政府といたしましてもそうした関係者、労使の自主的努力を十分に尊重しながら施策を積極的に進めていく、こういう基本的スタンスで今般の法律改正もお願いをいたしておるわけでございます。 これからそれを進めていくに当たりまして、ただいま御指摘のように当然のことながら諸環境は変化をするわけでございます。高齢化の進展の状況、労働市場の状況、いろいろなものをすべて見通した形でやっていくことはなかなか難しい事柄でもあろうかと思います。そういった意味合いにおきまして、施策の弾力的な対応が求められるということは全く御指摘のとおりであると思います。そうした動向を十分に見きわめながら必要な見直し、検討を行いながら、施策の充実に努力をしていかなければならない、このように考えております。
○住委員 きょうはいろいろと詳しく御答弁をいただきまして本当にありがとうございました。 高年齢者の雇用対策は、言ってみればこれからの時代にとって最も重要な課題だと私は思います。ぜひ積極的な施策を展開していただきたいと思うわけです。 最後に、塚原労働大臣にその施策に取り組む考え方あるいは決意をお聞かせいただきたいと思います。
○塚原国務大臣 まさに御指摘のとおり、極めて重要な国民的課題とも言うべき問題だと思います。労働省といたしましても、高齢者対策部を設けまして今日までもきめ細かな施策の運用をしてきたところでございますが、今回この法案をもし通過させていただきましたならば、さらに趣旨が生きますように精いっぱい努力をいたしますとともに、ただいま委員から御指摘をいただきました一つ一つの点につきまして、きめ細かく注意しながら進めてまいりたいと考えております。
○住委員 どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。 これで終わります。
○畑委員長 網岡雄君。
○網岡委員 それでは、高齢者雇用安定法の改正案について、以下若干御質問を申し上げたいと思います。 まず、質問に当たりましてひとつ総体的な問題としてお尋ねをしたいのでございますが、御案内のように高齢者の雇用情勢というものは非常に厳しいものがあると思います。八七年以降のほぼ四年間にわたり、確かに一面におきましては日本の経済は好況の過程の中で労働力の需給バランスは大幅に改善されていると思います。現に有効求人倍率は八八年六月に求人超過になった、これは実に十四年ぶりであると言われております。労働省の職業安定業務統計によれば八九年十月現在の有効求人倍率は一・三九となっています。数字で見る限りにおきましては高度成長期に匹敵するとも言えるし、今日は人手不足の時代とも言えると思います。マクロで見ると確かに労働力は不足ということであろうけれども、特に中小企業の間ではこの声が多いようでありますが、しかし、以下非常に問題な点は、本法案の内容とも関連をしてくる重要な部分でございますが、年齢別で労働力の需給バランスを見てまいりますと、必ずしも楽観的なものばかりではないと思います。 同じ労働省の統計によりますと、有効求人倍率の年齢の計では一・三九、先ほど申しました数字でございますけれども、さらに中身を掘り下げてみますと、十五歳から五十四歳層の数値は一・八二という求人倍率になっています。しかし、その反面におきましては、五十五歳以上は逆に今度は大変な低下をいたしまして〇・三三となっていて極端に低いわけでございます。このことは好況による雇用の状況の好転がすべての人に及んでいるわけではなくて、五十五歳以上の高齢者の求人状況は依然として厳しいと言わなければならないと思います。言いかえれば、十五歳から五十四歳の層では労働力の極端な不足がございますけれども、一方においては高齢者の方では逆に過剰という、併存しておるというのが現在の労働市場の実態であるというふうに思うわけでございますが、この現状を労働省としてどのようにとらえておいでになるか、まず第一にこの法案の背景としてなるものだと思いますが、労働省の考え方をお尋ねしたいと思います。
○清水(傳)政府委員 御指摘のように、最近の雇用情勢、景気の拡大局面の中で求人が大幅な増加を続けております。有効求人倍率が一・三台という高原状態を続けておるわけでございますし、雇用者数も着実に伸びている、完全失業者数も低い水準になっている。そうした中で、労働力不足企業、特に中小企業を中心とした人手不足感が広がっております。しかし、高齢者に問題を絞ってみますれば、完全失業率につきましても平成元年の平均で六十—六十四歳層は四・二%というような状況になっておりますし、有効求人倍率によってみましても六十から六十四歳層は〇・二一倍という状況でございます。これは業務統計をとっていく制約もあるわけでございますが、実質的にはさらにもっと厳しいのではなかろうか、こういうふうに見ております。 そして、こうした人手不足の中でも企業の採用マインドとしては若年者志向が非常に強烈に強い、こういう状況でございますし、それからまた、これからの職業分野、就業構造の分野の変化というものを見てまいりましても、今後伸びていくと思われるような職種というふうなものは現実にも若年者雇用比率の高い職種が中心を占めている、こういうふうに見ておるわけでございまして、そういった意味合いでこれから労働力の供給構造がさらに変化をしてまいります。労働力人口に占めます五十五歳以上の高年齢者の割合が全体の約四分の一を占めるというふうに見込まれますように、労働市場はさらに急テンポに高齢化していく。そうした中でのいわゆるミスマッチ現象がさらに顕著になっていく可能性がある、こうして、結果といたしまして高齢者の雇用問題は人手不足基調が継続する中でも深刻となることが懸念をされる、このように認識をいたしておるところでございます。
○網岡委員 私の観測とほぼ一致をするような見解が示されたわけでございます。 第二に、そういう厳しい高齢者の雇用の状況を見ながら、これから雇用の安定を図っていくための政策を出していく場合に、労働省が一体こういう点について、どのような準備と対策を行っておみえになるのか、また、その必要というものをどうお考えになっているのかという点についてお尋ねを申し上げたいと思うのでございます。 まず、先ほどもお答えもございましたように、高齢者の雇用状況は厳しい状況でございます。これはむしろ雇用の厳しさというものは、ある意味でいきますと日本の持つ構造的なものだ、こういうふうに、高齢者の雇用を眺めてみます場合には考えていかなければならぬというふうに思っているわけでございます。したがって、そういうとらえ方をしますならば、それを解消するための対策ということをとっていきますための基礎的な調査資料というものは、できるだけ早い時期に固めておかなければならないのじゃないかな、こういうふうに思うわけでございます。 その状況について若干私の意見を申し上げますならば、労働省の職業安定局の推計によりますと五十五歳以上の労働力人口は一九八九年で千二百三十六万人、二〇〇〇年の段階では千四百八十五 万人、二百四十九万、約二百五十万人ふえると予定されているわけでございます。しかし、この高齢者の労働力率というものは欧米に比較をいたしまして日本は非常に高いものだというのが我が国の一つの特徴でもございます。これは欧米では労働力率が三〇から五〇であるに対して日本は七〇%前後だ、こういう状況に安定局の推計でも出ているところでございますが、この背景というものを欧米と比較をいたしました場合に、雇用の情勢、それから特に日本との間に社会保障制度の大きな差のあることが、一面においては高齢者の勤労意欲というものをいやでも高めていかなければならない客観条件というのがあることは否めない事実だと思うのでございますが、いずれにいたしましても、総体的に見れば日本の高齢者の勤労意欲というものは高いということが言えると思うのでございます。このように考えていきました場合に、やはり労働者の雇用というものはかなりの量というものが想定されるわけでございまして、そのためにはその実態というものを早目に把握をして、そして先手、先手と打った対策というものがどうしても必要であると私は思うのでございます。 そこで、質問をいたしますけれども、例えば高齢者の完全失業率あるいは有効求人倍率といったようなものの向こう十年間にわたる推定というようなものを労働省として早くつかんでおく必要がありますし、これは最も基本的なデータでございますから、このことをもとにしながらいろいろな政策が考えられていくわけでございますが、その推計について一体労働省は現在どういう取り組みをなさっておみえになるのか、その実態についてお答えをいただきたいと思います。
○七瀬政府委員 高年齢者の雇用の確保を図っていくという政策を展開していくためには、将来に向けての労働力の需給の動向あるいはその場合における高齢者の需給の動向、あるいはその望ましい姿、そういったものについて十分基礎的調査なり推計を持っている必要があるということは、先生御指摘のとおりであろうと思います。また、今回御提案申し上げている法律案の中にも、六十五歳までの雇用機会の増大の目標を基本方針の中に盛り込むというようなことも入っているわけでございますので、そういった将来推計が極めて重要であろうか、このように考えております。 労働省におきましては、現在雇用管理調査でございますとか高年齢者就業実態調査といったような調査を行っているほか、高年齢者雇用開発協会においても各種の調査を実施しているところでございます。また、労働力需給の中長期的な推計につきましては雇用政策研究会等で行っておるわけでございますが、さらに現在、人生八十年時代における雇用のビジョンを明らかにするということで長寿社会雇用ビジョン研究会を開催し、御検討いただいているわけでございます。その中におきまして、労働力の将来推計その他の動向についても十分調査研究をお願いしているところでございます。
○網岡委員 それは一体いつの時期に大体出てくるというふうに労働省では取り組んでおみえになりますか。その時期についてお尋ねしたい。
○七瀬政府委員 長寿社会雇用ビジョンにつきましては、研究会において熱心な御討議を今いただいておるところでございますので、七月、あるいは少しおくれるかもしれませんが、七、八月ごろには何とか取りまとめたいということで鋭意御検討をお願いしているところでございます。
○網岡委員 もとの材料でございますから、できるだけ早くそういう資料を整理されるように要望しておきます。 第三の質問点でございますが、確かに高齢者の雇用を守っていかなければならない政策というのは、高齢化社会に向かっていきます我が国にとりましては最大の政治課題であるということは、もうだれも否定する人はないと思うのでございますけれども、そういう中にありまして、例えば年金とか所得とか医療とか生きがいとか住宅などといったような多面的な面も含めまして、総合的なアプローチというものが必要になってくると思うのでございます。 その中でも、特に雇用の面で六十歳から六十五歳層の再雇用の義務を事業主に課す今回の法改正は、確かに一つの手段ではございますけれども、その法改正が一体いかなる総合的な、長期的な高年齢者のための雇用計画を進めていく場合の、どういう位置づけになっているかということについては、私は必ずしもはっきりしていないというふうに感じられます。 労働省の方からいただいた資料を読ませていただきまして一つ感じましたことは、やはり高齢者に対する政策というものは、例えば六十歳の定年制の努力義務化、これは六十一年に制定されたわけですが、この問題を一つの法律として具体的にスタートを切るためには非常に長い時間と幾たびかの紆余曲折を経ておるところでございます。簡単にその経過をたどりますと、六十歳定年では昭和四十八年に第二次雇用対策基本計画の中で六十歳定年制が必要だということで問題提起がされたわけですが、その後その計画を受けて昭和五十四年から昭和六十年までに雇用審議会で、十六号答申、十七号答申、十八号答申、十九号答申と四回にわたる答申の紆余曲折を経ながらやっと昭和六十一年に六十歳定年制が線引きをされた、施行をされた、スタートを切ったということになっているわけでございます。 そうしますと、実に十三年間という大変長い時間をかけながらこの地点に到達しているところから見ますと、私は先ほども一、二の質問の中でも大体認識は一致したわけでございますけれども、そういう高齢者の雇用体制というものを守っていきますためにはやはりこの時点で将来の、十年後を展望していく、次の段階での高齢者雇用の問題点というものを提起をしていかなければ、とてもじゃないが急激に押し寄せる高齢化社会には対応できないのじゃないか、こういうふうに私は思うわけでございます。そういう観点でいきましたならば、結局今の時点でその十カ年の高齢者雇用計画というものを早急につくっていく必要がある、こういうふうに私は思っておるところでございます。 現に、八八年の十月に消費税導入に際してその理由づけをするために厚生省と労働省とが作成をいたしまして「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」ということで計画が発表されておるわけでございますが、その中で「高齢者雇用の推進」という項目に至ってはわずか十行ぐらいの中身しかないという、私どもに言わせれば極めて貧弱なものでございます。したがって、厚生省はこの方針といいますか目標の考え方に基づきまして高齢者福祉対策の十カ年計画というものを作成をいたしまして本委員会にも審議されるように用意されていると聞いているわけでございますが、同じところから出発をしました問題でございますから、これは労働省と厚生省が同時にスタートを切った考え方の問題でございますから、したがって、労働省もやはり高齢者雇用に関する十カ年計画というものを、この際厚生省に合わせて表裏一体の一つのものとして早急に出されるという必要があると思うのでございますが、この点について大臣のお考え方をお尋ねしたいと思います。
○塚原国務大臣 極めて重要な御指摘だと思います。きちんとした方針をつくりまして計画的に進めていくことが極めて重要であるというふうに認識をいたしております。 本法案におきましても、高齢者の職業安定対策基本方針をまず策定をする、これは法案が十月施行ですから、できるだけ早い時期にこれをまとめて、これはかなり短中期、近い時期に対するものとして基本方針の策定に努力をいたしてまいりたいと考えております。それから、ある程度中長期的なものでは、ただいま高対部長も御答弁申し上げましたが、人生八十年時代に対する長寿社会の雇用ビジョンというもの、中間報告の取りまとめはできているわけでございますが、これは七月、八月に正式な形のものをお出しをいたしまして、 その中で一つの戦略がお示しできるのじゃないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、高齢者の雇用機会の確保に向けまして施策の総合的かつ計画的な推進に努めてまいるわけでございますが、委員が御指摘の十カ年というぱっとした形のものに匹敵する、あるいはそれよりより効果的なものをお出しするように、現在努力をいたしている最中でございます。
○網岡委員 きちっと答弁がかみ合っていないような感じもするのでございますが、私が申し上げたい点は、今まで六十歳定年制、それから六十歳を超える雇用継続の問題、こういうふうに歩んできておるわけですが、やはり私ども外から眺めてみまして、せっぱ詰まった段階でこういう法案が出されてきているという嫌いが率直に私はいたします。結局、高齢化社会の波の後追いをしているというのが今の高齢者に対する雇用政策の実態というふうに私どもは感じられてならないわけでございます。でありますから、この方針を誤らないものにするためには、やはり地についた現状の分析から始まった基礎的なデータというものをとりながら、しかも十年、二十年、場合によれば二〇二〇年という高齢化社会のピークを踏まえながら高齢者の雇用計画というものを早急に出す時期に来ていると私は思うのでございます。言葉だけじゃなくて、やはり計画の中には具体的なものを示されるような、実のあるものにぜひひとつやっていただきたいということをこの際重ねて質問をさせていただきたい。労働省としてはどういうふうに今後やっていかれようとしておられますか、お尋ねをいたします。
○清水(傳)政府委員 ただいま大臣も御答弁させていただきましたが、まず一つは、法律に基づきまして基本方針を策定する、これも、中期的なものをにらんだ目標設定等も行ってまいるわけでございますし、さらに、長寿社会雇用ビジョンにつきましては、二〇二〇年、そういう先もにらみまして、確定的な予測というのは非常に難しい問題でございます、また予測自体も現実問題として変わってくることもあり得るわけでございますが、しかしスタンスの問題としては、やはりそうしたものを見通すということの中で考えていかなければならない性格のものだと思っておりまして、そういった意味合いで二〇二〇年までの需給状況というもの、労働力供給構造の変化というふうなものもにらみました推計をベースにいたしまして、そうした中長期のこれからの我が国の経済社会の高齢者についての雇用のあり方というものについて一つのビジョンを策定し、そういうふうなものをもとにして、政府はもとより関係者、民間企業を含めましてできるだけコンセンサスを得つつこれからの考え方を進めていく、そういうふうなビジョンづくりを行ってまいることといたしておるところでございます。
○網岡委員 ぜひひとつ後追いにならないように計画の立案に当たっては積極的にやっていただきたいということを要望しまして、次の質問に移ります。 これはちょっと各論的なことでお尋ねをいたしますが、改正案の中に第二条の高年齢者等職業安定対策基本方針の項において、また第四条の六においてもそうですが、高齢者が働きやすいように事業主が作業施設の改善を行うようにということが強調されています。ところが、高年齢者雇用関係助成金制度に関する平成二年度の予算を見てみますと、現在ある高年齢者雇用特別奨励金が廃止をされて、そして高年齢者雇用確保助成金と統合される形となって継続雇用制度導入奨励金となっております。特にお尋ねをしたい点でございますけれども、高年齢者雇用特別奨励金の対象事業者は、施設設備の新設及び増設や高齢者会社の設立を行って、六十歳代前半層の高齢者に対する雇用を拡大する事業主とされているのでありますけれども、実際に設備改善のためにこの奨励金を活用した事業主は、八八年度におきましては予算措置は八百十六件、十五億円というふうに計上されているのでございますが、実際にこの年に使われましたものはわずかに五件で二千五百万円しか便われていないという実態でございます。これはもう高齢者の雇用促進が大変叫ばれているときに、予算が計上されておるにもかかわらず十分使われていないということは、何らかの欠陥があると私は思うのでございます。 そこで一つお尋ねをいたしますが、このような事態を招いたのは奨励金の基準が厳しいのか、奨励金の額が中途半端のために企業が活用することができないのか、それともPR不足なのか、一体どういう理由でこのような珍現象が起きているのか、お答えをいただきたいと思います。
○七瀬政府委員 高齢者関係の奨励金についての御質問でございますが、この高齢者関係の助成金につきましては、昨年七月に長寿社会雇用ビジョン研究会の中間報告におきまして、制度がわかりにくいあるいは不十分である、そういったことで利用が進んでいないものがあるので改善が必要であるという指摘を受けたわけでございます。このため、平成二年度におきまして、特に制度といたしましては継続雇用制度を導入するという制度面に着目し、あるいは実際の雇用の面につきましては多数高年齢者を雇用している事業主に対する多数雇用奨励金という形で制度の抜本的改善を図り、より簡潔で利用しやすいものにしたわけでございます。 御指摘の施設設備の改善関係の高年齢者雇用特別奨励金でございますけれども、これはやはり御指摘のとおり、利用実績が非常に低調である、あるいは現実の運用面でなかなかわかりにくい、あるいは利用しにくい、そういった面がございますので、現実の多数雇用をしているという側面に着目して、その比率なりなんなりでわかりやすい形で多数雇用奨励金の中に吸収したというのが実際のところでございます。
○網岡委員 確認でございますが、それはだから、統合したということですから、この高齢者特別奨励金も今度新設をされた継続雇用制度奨励金というものの中に統合されてやはり制度としては残っておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○七瀬政府委員 制度としては残っておりませんで、二つの、多数雇用奨励金と継続雇用制度奨励金というものにいたしたわけでございます。したがいまして、継続雇用制度をつくるために施設設備の改善が必要である場合にはその継続雇用制度導入奨励金の金額の枠内で、あるいは現実にたくさん雇うことによって施設改善が必要になる場合には多数雇用奨励金の四%以上という一定の基準で算定された金額の奨励金がいくということでございますので、いわば特別奨励金はなくなった、こういう御理解をいただきたいと思います。
○網岡委員 そうすると今の御答弁で、私、頭が悪いのでよく頭へ入ってこないのですけれども、要するに発展的解消をして、そしてその設備改善についても、実際には今度の制度の中に入って奨励金がもらえる、こういうふうになっていると理解していいですか。
○七瀬政府委員 個別のケースごとの比較ではございませんで、トータルといたしまして、高年齢者を多数雇用し、あるいは継続雇用の制度を設ける事業主に対する奨励をトータルで考えた場合に発展的吸収というふうに御理解いただいて結構だと思います。
○網岡委員 時間が来ておりますから、次に移ります。 それでは五番目の質問に移りますが、六十歳から六十五歳層の高年齢者の再雇用の努力義務が事業主に課されているのでございますけれども、努力義務ということでは私その実効性に非常な懸念を感ずるわけでございます。例えば、労働省が雇用管理調査の中で示しておみえになるわけでございますが、「定年年齢六十歳以上企業の六十歳以上の者に対する勤務延長制度、再雇用制度の有無と今後の予定」を見ますと、「制度がある」と答えた企業は六六・三%、「制度がない」と答えた企業は三三・七%であります。しかし問題は、ここからが問題でございますが、企業規模が大きくなるに従って、つまり中小企業から大企業になる に従って制度がない比率が高くなっている。ここが大きな問題点でございますが、例を申し上げますと五千人以上では六七・七%、千人から四千九百九十九人では五五・九%ということでありまして、これらの企業が今後制度を設ける予定がないとはっきり答えている比率は、これまた五千人以上で実に六五%、それから千人から四千九百九十九人までのところでは五二・四%、こういうことになっておりまして、大企業へいくほど制度がない、または今後も考えてないという比率が非常に高くなっているというのが非常に大きな特徴点でございます。 こういう実態を踏まえたときに、一つの質問ですが、こうした企業、特に大企業のこうした姿勢から見て、今回の法改正が本当に実効のあるものになるのか、まずこういう点の労働省の御見解をお聞きしたいと私は思うのでございます。聞くところによりますと、中央職業安定審議会の審議の過程の中でも使用者側は法改正に強く反対したと聞いておるわけでございます。こういう一連の事実等をあわせ考えてみますと、ますますその懸念が深まってくるわけでぶざいますが、こういう努力義務ということで果たして実効があるのかどうか。それについて労働省はどういう所信をお持ちになっているのか、お尋ねをいたします。
○清水(傳)政府委員 御質問の事業主の再雇用についての努力義務につきましては、雇用審議会答申第二十一号の趣旨に沿いまして、六十五歳までの安定した雇用確保を促進するために新たに規定をすることで今般お願いを申し上げておるわけでございます。 六十歳代層の雇用の確保、雇用の継続いずれにいたしましても、現在の雇用慣行、企業の人事、労務管理の実態から見ますればなかなか困難を伴う問題でございますし、また、やはり雇用というものの本質上、労使の自主的な努力というものをベースにして進めていかなければならない。特に六十歳代層につきましては、労働者の方々の意識の面あるいは能力の面、体力の面、健康の面、非常に多様化しておる年齢層でございます。そういう方々の雇用の継続を図るということにつきましては、一律にこれを進めるというふうなことはなかなか難しい問題がある。したがいまして、こうした自主的努力ということをベースにして進めていくという基本的スタンスに立ちつつ、こうした努力義務にあわせまして、先ほど来御説明申し上げております基本方針におきまして、高齢者雇用をめぐりますいろいろな条件整備についてのガイドライン、指針を定めることといたしておりまして、この指針に沿って公共職業安定所長が事業主に必要な勧告を行うことによりまして六十五歳までの雇用確保の促進を図っていく、こういう形をとっておるわけでございます。 一般的に、現実問題として六十歳代前半層の継続雇用の仕組みそのものの導入というのは、まだまだこれから非常に努力をしていかなければならないものでございますが、いわゆる総論的な必要性ということにつきましては相当なコンセンサスを得つつあるのではなかろうか。これは、経営者団体全体の考え方を通してみましても、そういうふうな立場に立っておることはもう間違いございません。この総論的なコンセンサスを得つつあるそういうものを、各論ベースにおいて、個別企業段階においてどのようにして実現をさせていくかということにこれからの我々の努力が必要になってくるわけでございます。基本はそうした自主的努力をベースにしつつ、先ほども申しましたような勧告を有効に運用することにより、さらには先ほど御質問になりました助成制度の有効な活用、それから高齢者雇用安定協会を通じましてのコンサルタント事業のより一層の充実、そうしたことを通じまして、総論的なコンセンサスに乗りつつ相当有効な効果を上げていくことができるもの、このように私どもは考えておるところでございます。
○網岡委員 お答えがございましたが、私は、努力義務ということですんなりきいていくようなそういう状況というのは、今までもこの種類の努力義務規定とかいったようなものはほかのところにもあるわけでございますが、これは大体建前というものは認めるけれども、各論という本音を突きつけられた場合にはなかなか守られていかない。行政の立場からいくと、いつもここが困った問題だということになっておるのが今まで歩んできた一つの歴史だと思うのでございます。そういう意味からいきまして、勧告でも使用者側からは何か文句が出たということが、この資料で見ますとありますけれども、私はやはり勧告では弱いというふうに思います。 そこで、ある一定の時期が来た段階では、六十歳定年制の場合にもとられているわけですが、いわゆる計画を出して一定の期間を踏まえた後で、さらに守らない場合には公表するというぐらいの公表規定がこの改正法案の中でも適用されるぐらいのことが最低限必要じゃないか。場合によれば、障害者雇用促進法に見られるようなノルマとしての一定の雇用率を設定いたしまして、それが守られていない場合にはペナルティーを科すといったような制度とか、あるいは公表といったものを適宜組み合わせていくような規制が最低限必要だと私は思うわけでございますが、今後労働省がこういう問題について、今度の法案の中でそういうことをやられることの考えをお持ちになっていないのかどうかという点について重ねてお尋ねを申し上げます。
○七瀬政府委員 今回の六十歳代の雇用について、再雇用の努力義務を課し、あわせて公共職業安定所長の勧告権限を規定したわけでございますが、六十歳定年につきましては、完全定着へ向けての機運が盛り上がっているわけでございます。それに見合いまして努力義務のほかに引き上げの要請、計画作成命令等の行政措置をつけているわけでございますが、六十歳代の前半層の問題につきましては雇用審議会の場においても熱心な御議論がございました。 そこで、答申におきましては「国は、業種や企業規模等実態に配慮しながら、事業主の自主性を尊重しつつ、」「指導に十分配慮する必要がある。」ということ、「六十五歳までの雇用機会を確保する措置に関する規定については、事業主の自主的努力を促進する趣旨の規定とすることが適当である。」ということを踏まえまして、現在御提出している法案では勧告を規定したわけでございます。私どもとしては、この法律が制定いたした場合には、安定所長の勧告権限を活用しながら六十歳代の雇用に向けて最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。 また、雇用率のお話が出たわけでございますが、六十歳代前半層の高年齢者につきましては健康、体力等の面において著しく個人差が見られるようになっておりますので、個々の状況に配慮した継続雇用を促進することが必要でございまして、その多様な就業ニーズに対応して多様な雇用形態による雇用機会の確保を図っていくことが重要である、このように考えております。このような多様な形での雇用機会の確保というのは、事業主の自主的な努力を促す、これを尊重しながら促進していくということが必要であるというふうに考えておりまして、そういった意味で、一律に一定割合の高齢者雇用を求めるような雇用率制度とかペナルティーというのは適当ではないのではないかというふうに考えているわけでございます。ただ、高年齢者を多数雇っていただく、そういう努力を促すために、逆に、多数雇っていただいた方に奨励金を出していく、こういう形で、いわば促進する形で六十歳代前半層の雇用を進めてまいりたい、このように考えております。
○網岡委員 残念ですけれども、時間が大分迫ってきていますので、私一言だけ申し上げたいのでございます。 先ほど第一問の総論の中でも申し上げましたけれども、高齢者の雇用の状況というのは非常に厳しい。求人倍率を見ても五十五歳以上は〇・三三だ。しかし一方、高齢者の増加の波は我々の想像を絶するようにどんどんふえていく。そういう中で、今言ったような努力義務あるいは勧告、そし て公表ぐらいもできない、それは使用者からの強い反対があるから。これは、ボールを投げる人間と受ける人間がそろわなければいかぬという論理もありますけれども、しかし、高齢化社会に向かっていく場合の企業の社会的責任というものは、やはり審議会というような場ではなくて、もっと何らかの形で、広い意味から労働省が明確に言っていく姿勢をとらなければ、イタチごっこがいつまでも続くというようなことになって、とどのつまり困ったということに最終的にはなってしまうと私は本当に心配をするわけでございます。どうぞそういう点を十分腹の中に入れていただきまして、これからの対応をぜひ真剣にやっていただきたいということを申し上げておきます。 時間がありませんので次に移ります。 五月二十八日に男女格差による定年の問題について最高裁の判決が下されました。これは、昭和五十六年に日産自動車訴訟で男女の定年格差は違法であるという判決が既に出されているわけでございます。今回の五月二十八日の判決は、定年の男女差別を残す経過措置についても違法だという明確な判決が下ったところは御案内のとおりでございます。 こういう判決が今下されたわけでございますが、このような状況というのは、後でも申し上げますけれども、かなり現実の問題として存在していると思われるわけです。この五月二十八日の最高裁判決について労働大臣は一体どういう受けとめ方をされていて、今後この判決を踏まえながらどう対処されていくかという点について所信をお尋ねいたします。
○塚原国務大臣 最高裁の判決は、今日まで婦人少年室が是正指導をしておりました方向と全く一致したものであります。男女別定年制は男女雇用機会均等法においても禁止されておるわけでございまして、今日までただいま申し上げましたような是正指導をしていたわけでございますけれども、この判決を契機にいたしまして、さらに男女別定年制の早期是正に向けまして指導を積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。
○網岡委員 それでは次にお尋ねをいたします。 労働省が現在調査を行っております雇用管理調査というのがございまして、この調査の中で、昭和六十一年一月までは男女の定年の実態というものが調査の中に入っていたのでございますが、六十二年からはその調査の中身というものが外されているわけでございます。一体これはどういう理由に基づいて外れているのか、その理由をこの際明らかにしていただきたいと思います。
○佐藤(ギ)政府委員 今御指摘ございましたように、六十一年一月まではそういう調査をいたしておりました。それは雇用機会均等法が施行される以前でございますので、その実態について明らかにするということがぜひ必要であるという認識のもとに調査を行っていたわけでございます。六十一年四月からは雇用機会均等法が施行になりまして、男女別定年制は法律に違反するものとなるわけでございます。私ども承認統計でこの調査をいたしておるわけでございますが、この承認統計の性格上、法違反の事実そのものを調べるというのはなかなか難しいものでございますから、私どもといたしましては何とかして実態を明らかにしたいということから、男女別定年制につきましては、六十二年二月の女子労働者の雇用管理に関する調査におきましては制度の改善を行ったか否かという形で質問しているわけでございます。この調査の結果、法施行前から男女同一であるというものが八二・一%と大部分でございます。それから、法施行に伴いまして男女別定年制を改善したものが一五・〇%ということでございます。不詳が二・九%とごくわずかございまして、男女別の定年制はこの中に含まれているものであろうというふうに考えておるわけでございます。 いずれにしましても、男女別定年制があると思われるものは非常にわずかでございますから、私どもとしては法律が施行された以上は、個別の企業でこの法違反があるものを確実に把握いたしまして指導するということの方が先決であるということで、個別の企業の把握に努めて指導をいたしているということでございます。
○網岡委員 個別の企業の把握ということは、具体的にはどういう方法をとっておやりになっていますか。 また、難しいという御表現で御答弁がございましたが、難しいということは難しいということでございまして、法律違反ではないんじゃないかなと私は思います。問題は、最高裁の判決に見られましたように、後でも申し上げますが、現実に男女の定年の差というものはあるわけですよ。そうすると、これを是正していくということは、均等法の十一条で明確にこれは「してはならない。」こうなっているわけでございますから、労働省としてはきちっと、そういうことにならないように違反の事実というものをなくしていかなければならぬわけでございます。 そういう意味でいけば、結論的に申し上げますと、難しいと言われているけれども、違法でないとするならば、これはやはり問題の重要性から見て継続しても許されることではないか。百歩譲って、昭和六十二年二月に実施をしたという女子労働者の雇用管理に関する調査というものは六十二年でストップです。これは一つの新手法として労働省がやられたとするならば、六十三年、平成元年、平成二年と継続してやっていくべきではないでしょうか。そして、少なくとも差がないというものが、いわゆる違法行為が事実上ゼロというものが調査の中で例えば三年続いたとかあるいは五年も続いたという段階だったら、私は調査を中止してもいいと思いますけれども、法律ができて間がない時期でございますから、それまではその法の執行がきちっといっているかどうかというのはやはり追跡的調査をしていくというのが労働省のとる正しい態度だというふうに思うわけでございますが、その点についてはどうお考えですか。
○佐藤(ギ)政府委員 幾つか御質問があったわけでございますが、まず把握はどうしているのかという御質問でございました。私ども、この法律が施行される前から、就業規則等は監督署に届けられるということでございますが、その就業規則のチェックをいたしてかなりの部分を把握いたしておったわけでございますが、そういう中で順次是正の指導をいたしまして残ったものがございます。それから、就業規則は監督署に提出されるということになっておりますので、監督署からの通報があるということがございます。それから、安定所の職業紹介などの際に把握されるというような形で通報がございますし、そのほかに個別の相談案件がたくさんございますので、私どもとしてはそういう緊急を要するものからやっていくということでございます。 それから、承認統計で難しいといっても、法違反じゃないんじゃないかというお話でございますが、実際にはなかなか難しい。例えを申し上げるのは失礼かと思いますけれども、例えば企業に、あなたのところは脱税していますかという調査を持っていっても、はい、脱税していますという答えは出てこないのと同じように、なかなかその性格上はっきりと把握するということが難しいということでございます。したがいまして、さっき申し上げましたような工夫をしながら、これからもいろいろとやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、解消されるまで調査ということでございますので、いずれにしましても個別の指導に、まず私どもとして調査をやっているというのは、ある意味では、法律をつくる前にその実態を明らかにするとか、そういう意味で非常に力を入れなければならないのでございますが、法律ができました以上は法律違反を的確にとらえてその指導の方にまず力を入れたいということでございますので、調査の工夫はこれからもいたしてまいりたいと思いますけれども、指導の方にさらに力を入れていきたいというふうに考えております。
○網岡委員 指導に力点を置きながらやっていきたいということでございますが、それもやはり私は必要な行政の方向だとは思いますけれども、一 つだけ、これは最後ですので申し上げたいのでございますが、個人から違法の情報があるのを、それだけではないというふうにお答えになっていますけれども、情報待ちという姿勢は、これはもうとてもじゃないが労働省の正しい対応とは考えられません。そして、定年の男女別の差があるかどうかという事実の問題でございますが、私はここに、新しく生まれた連合というところの政策資料を手元に持っておるわけでございますが、連合という組合の一番大もとのところで調査をいたしましたアンケートが資料の中に載っております。それを見ましても、企業とか組合とかそういうものは私この際御遠慮を申し上げますけれども、男子は平均で六十歳、女子の平均定年年齢は五十四・七、こういうふうに、これは八九年の六月のときの資料でございますから、その一年前ぐらいだとは思います。 しかし、この実態というのは、労働省としては今までいろいろな形で指導なさってきた経過を見られて判断して、そんなに変わっている数字ではない、そんな大きな差は出てこないということは御理解されると思うのでございますが、調査の結果として現実にそういう差が出ているわけでございます。だから、私は、さっき言ったようないろいろな細かいこともお聞きしたいのでございますが、時間がありませんから申し上げませんが、調査をさらに継続をしていかれれば、答えがなかった二・九%ぐらいの数字にはとどまらないというふうに、私はこういう客観的なデータから見て、数字はきちっと申し上げることはできませんが、二・九%を上回ることはほぼ間違いないのじゃないだろうか。そうすると、最高裁判決の違法行為というもの、違法の状態が相当続けられている、相当の量になっているということだけは紛れもない事実であるというふうに思うわけでございます。 そういう意味で、最後にお尋ねをいたしますけれども、労働省としては、五月二十八日の最高裁の判決を踏まえて、この問題についての特別なプロジェクトをつくって、そして対応していくというような考え方はございませんか、この際お尋ねをいたします。
○佐藤(ギ)政府委員 先ほど大臣からも申し上げましたように、この判決の内容は、これまで労働省がとっておりました方針と全く一致するものでございますので、これを契機に新たにということではないと私どもは理解をいたしておりまして、これまでどおり、あるいはこれまで以上に努力をしていきたいという気持ちは持っておるわけでございます。 プロジェクトチームは、事の性格上、個別の案件を正しく把握し、適切な指導をするという意味では、都道府県の婦人少年室におきまして個別の企業に適切な対応をするということが一番大切だと思いますし、これまで雇用機会均等法ができましてから改善が進んだ最も大きいものがこの男女別の定年制でございますので、今御指摘ございましたことも十分に頭に置きまして、これからもさらに努力をいたしてまいりたいと思います。
○網岡委員 以下ありますけれども、時間が参りましたので、残念ですが、これで質問を終わります。
○畑委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時四十分休憩 ────◇───── 午後一時二十一分開議
○畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。永井孝信君。
○永井委員 午前中の質疑を受けまして、若干その質疑の中身から踏み込んだ分も含めて質問をしてみたいと思うわけでありますが、まず初めに、六十歳定年制に関して御質問を申し上げたいと思います。 この六十歳の定年制というのは、御案内のように昭和六十一年の法改正でなされたものでありまして、そのときに現行法の第四条の規定の中で「事業主は、その雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年が六十歳を下回らないように努めるものとする。」という、いわゆる六十歳の努力義務規定が導入されたのであります。この当時から、努力義務だけで果たしてこの目的を果たすことができるのかということを私自身もこの委員会で厳しく指摘したことがございました。この六十歳の定年制というのは、高年齢者の雇用就業の場の確保の基盤だと私は考えるわけです。前回の法改正以降、もう既に四年が経過しているわけでありますが、この六十歳定年制の定着の度合いというものをどのような実態と認識されているのか、お答えをまずお願いをいたしたいと思います。
○清水(傳)政府委員 定年年齢を一律に定めている企業のうち、六十歳以上の定年制を定めている企業の割合は、高年齢者雇用安定法が成立をいたしました昭和六十一年におきましては五六・六%でございました。平成元年におきましては六一・九%となっておりまして、着実な伸びを示しているものと存じます。しかし、この現状につきましては雇用審議会答申第二十一号においても指摘がなされておりますように、六十歳定年のいわゆる完全定着という状態には達していないと認識をいたしております。
○永井委員 同じく現行法の第四条の二の一項におきまして、労働大臣は六十歳を下回る事業主に対して当該定年を六十歳以上に引き上げるように要請することができるとされています。これは要請後二年を経てということでありますが、さらに二年を経ましたときに、第四条の三の第一項におきまして定年引き上げの計画作成命令の権限を労働大臣に与えているわけです。 これらの規定を酌んで、前回の法改正が施行されました昭和六十一年十月から今日までの事業主への要請及び計画作成命令の状況は一体どうなっているのか。最前の御答弁を聞きますと、着実な伸びと認識はしているけれども、しかし、完全にこの問題の目的を果たしていないという趣旨の答弁がされているわけでありますから、そうすると、この計画作成命令は一体どのような状況に置かれているのか明らかにしてもらいたいと思います。
○七瀬政府委員 六十歳末満定年を採用しております百人以上の規模の企業につきましては、昭和六十一年度以降高年齢者雇用安定法に基づき定年引き上げの要請、定年引き上げのための計画作成命令等の一連の行政指導を実施してまいっております。平成元年度末までの行政措置の状況を見ますと、定年引き上げの要請を行った企業は合計一万六千百七社でございまして、このうち計画作成命令を発した企業は千七百四十七社となっております。このような行政措置によりまして、全要請企業の約三分の二に相当する一万七百五十六社が定年引き上げの実施あるいは実施の決定に至っているわけでございます。今後ともこの行政措置を適正かつ強力に推進することによって六十歳定年の早期完全定着に努めてまいりたいと考えております。
○永井委員 この千七百四十七社に対して計画作成命令を出された。その計画作成命令を受けた事業主は、実際にこの命令に基づいて六十歳定年制を実施するところまで効果を上げてきたのですか。
○七瀬政府委員 定年の引き上げの要請を行った企業のうちかなりの部分が六十歳定年の実施または決定に至っておりますが、そこまで至らない企業について先般計画作成命令をかけたわけでございますので、計画作成命令をかけた企業は現段階においてはほとんど決定あるいは実施には至っていない状況で、計画作成命令をかけた段階でございます。
○永井委員 いわば警鐘というか、そういうことはまだできていないということなんですね。
○七瀬政府委員 計画作成命令をかけた後の状況については、これから計画作成命令をもとに強力な行政指導を展開する、こういう段階でございます。
○永井委員 定年引き上げのための行政措置の流 れといいますか、そういう関係からいきますと、この行政措置の対象外というのがございますね。この内容を説明してくれますか。
○七瀬政府委員 行政措置の対象から除外いたしておりますのは、過去の決算状況等で経営状況が著しく悪いような企業の場合、それから労使間で六十歳前の定年を労働協約で積極的に締結しているケースは行政措置から除外いたしております。
○永井委員 後で触れたいと思うのですが、労働省の調査によりますと行政措置対象外の企業は二千七百一社、これは数としては間違いございませんか。
○七瀬政府委員 そのとおりでございます。
○永井委員 その中に、今部長が言われましたように経営状態が極めて悪いという企業もあります。あるいは六十歳未満で定年制の労使協約を結んでいるところ、これも除外したと言われるのですね。そうすると、ここは大事なところですからもう一回聞きますが、じゃ六十歳定年制という法定を、強制力を持たないまでも努力義務であったにいたしましても、昭和六十一年十月から施行して、その後も労使間で六十歳未満で定年制の協定を結べば、法律がいかであろうとも、それは労働省は見過ごすというか、黙認をするのですか。
○七瀬政府委員 やはり六十歳以上定年というのは時代の趨勢でございますので、労使間で協定を定めている場合にも、できるだけ六十歳以上に引き上げるように私どもとしては行政指導をしてまいりたいと思っておりますが、法に基づく行政措置の対象からは、労使間で積極的に合意が見られる特段の事情があるということで除外しているわけでございます。
○永井委員 これは後の質問に関連がありますからあえて何回も聞くのですが、労使間で協定をしている、それは六十歳未満の定年制として協定をしている、だから労使間の協議というものを尊重して適用除外にするということであれば、法律は要らぬということになるんじゃないですか。六十歳の定年制は努力義務である、努力義務であるから労使間で協議をしていく、これは当然なことだと思うのですね、この法律の建前からいきますと。しかしそこで、協定ができたからあなたのところはいいですよ、五十五歳でも五十六歳でも定年制を労使間で協定すれば適用除外ですよ、そんなことで労働省の存在価値はあるのですか。どこにその指導性があるのですか。もう一回答えてください。
○七瀬政府委員 やはり六十歳定年というのは時代の流れでございますので、労使間で協定する場合にも六十歳以上にしていただきたいということで私どもとしては行政指導を展開しているところでございますが、ただ、行政措置を発動するに当たりましては、それ以外のところをまずきちんと行政措置の対象にいたしまして、そういう機運を醸成しながら、労使間で積極的に合意しているものについても、それをもとに行政指導を進めてまいりたい、こういうふうなことでございます。
○永井委員 繰り返して恐縮ですが、労使間の協定というのは非常に重要な位置づけなんですね。場合によっては、労使間の協定というのは法律を越えて大切にされなければいかぬ。これは私も経験を持ってきていますからそのことは十分承知しているのですが、この定年制を定めて高齢者の雇用を確保していこうという場合に、既に現行法で定められている六十歳定年制を守らないで、協定化したところが行政措置の対象外になっていくということであっては、法に基づいて行政が遂行していく本来の責任を果たすことができないのではないか、このことを基本的な問題認識として聞いているのですよ。もう一回答えてください。
○七瀬政府委員 繰り返しますけれども、六十歳以上の定年であるべきであるという基本的な考え方を持っておりますが、労使間で積極的に六十歳未満の定年を定めているという状況の中では、その労使間に特有の事情もいろいろあろうかと思いまして、当面行政措置の対象から除外しているわけでございます。基本的な考え方は、労使間の協定であっても六十歳以上であるべきだ、そういう基本認識は持っているわけでございます。
○永井委員 このことばかりをやりとりしておったのでは時間がなくなりますから、後へ行きます。 そういう状況であるだけに、六十歳定年の完全定着の促進に向けた具体的な実効ある措置というものが求められてくると思うのですね。午前中の私の同僚の網岡議員が質問しておったこともそういうことが中心になっていると私は思うのです。そうしますと、六十歳定年制の完全定着というものは当然片方で公的年金制度との整合性という問題も出てまいります。したがって、高年齢者雇用安定の社会的基準として六十歳前半層の雇用確保のためにさらにその役割が重くなってくる、私はそのように理解をするわけです。したがって、六十歳以上の定年退職者の再雇用努力義務の規定が本当に実効を持つようにするためにも、六十歳定年制の完全定着の促進に向けて今回の法改正にはいわば強制力を持たせる、そういうことを含むべきではなかったのかと思いますが、どうでございますか。
○清水(傳)政府委員 私どもといたしましても、高齢者雇用を進めるに当たっては六十歳定年の完全定着ということが大きな基盤である、このように考えております。それを具体的に進めていくために現行法の努力義務並びにそれに伴う一連の行政措置を運営いたしておるわけでございます。ただいま御答弁も申し上げてまいっておりますが、私どもといたしましては、法施行後着実な進展を見つつある。六十歳以上の定年制をとっている百人以上規模の企業の割合を見てまいりますと、行政措置を開始した昭和六十一年度には五二%でございましたが、平成元年六月には六四・三%と大きな伸びを示してまいっておるわけでございます。こうした一連の行政措置を着実に実施していっている一つの成果ではないか、このように思っておるわけでございます。 今般の法律改正におきましては、そうした一連の現在行っている行政措置を、率直に申しまして六十一年からまだ完全に、完結するような形ですべてについてこれらの措置を講ずるまでに至っておりませんで、現在それが進行形の段階にあるわけでございますが、私どもといたしましては、この一連の行政措置を通じてその完全定着へ向けてさらに努力を積み重ねていける余地が十分にあるというふうに考えておりまして、完全定着へ向けて引き続き現行法に基づく行政指導を推進していくことが適当である、このように考えております。このため、今回の法改正に当たっては六十歳定年に関する規定については現行どおりというふうな形にさせていただいているところでございます。
○永井委員 労働省のそういう行政指導によって着実に効果が出てきているということを私は否定しているわけではないのです。しかし、本来であれば既に一〇〇%六十歳定年制が達成されておらなくてはいけないのですね。基本的にはそうあるべきなんです。私は過去の委員会の質疑を今思い起こしているのですが、かつて、昭和五十五、六年ごろでしたか、六十歳定年制の必要性は政府が認めている、その六十歳定年制はいつを目途に完全実施に踏み切るのか、こう言って私は質問したことが二回や三回ではなかったのですね。その当時、時の労働大臣はそれぞれが昭和六十年には六十歳定年制の一〇〇%実現を図りたいという趣旨の答弁を繰り返してきたのですよ。ところが昭和六十年になってもなかなかそのことは実行に移されない。法的な規制も加えることができない。ようやくこの前の法律の改正で、今も申し上げましたように、六十一年の十月から六十歳定年制に踏み切っていったわけですね。しかもそれが努力義務であった。こういう過去の経過を見ますと、着実に効果を上げてきているということだけで済まされない問題がそこに介在しているというふうに私は思えてならぬわけであります。 今労働省から説明ありましたように、労働省の調査によると平成元年現在の六十歳以上の定年制をしいているところは六一・九%、これがずっと 進捗をしてまいりまして今後の予定を含めると約八〇%近くに到達する、こう資料で説明されているわけです。もちろん企業規模による差はありますけれども、おくればせながらもこの定年延長といいますか定年制を六十歳以上で定めるということについては、労働組合側の努力もあったでしょう、経営側の努力もあったでしょう、結果として労使間の社会的な慣行あるいは基準としてその面では成熟しつつあると言ってよいと私は思うのですね。おくればせながら成熟しつつあると思うのです。だとすると、次の、今回の法改正に見られるように、さらに六十五歳未満の人たちに対して雇用機会を確保するという観点から今度の法改正が出されたとすると、少なくとも現行を見た場合、特殊例外的な場合を除いて六十歳未満の定年制をいまだにとっている企業に対しては、最前からの議論の繰り返しで恐縮でありますが、やはり思い切って法的な規制を加える条件が整ってきていると思いますので、やるべきではないか、このことを再度私は質問をしておきたいと思うのです。第四条にある勧告や公表程度の問題で済ませることはできない、私はそう思いますので、再度御答弁を願います。
○清水(傳)政府委員 御指摘のように、六十歳定年ということにつきましては非常に長い今までの国会の御審議の経緯、それから雇用審議会を初めとするいろいろな議論の過程がございました。そして、六十年六十歳定年の一般化を目指す、そういう状態になった段階で六十歳定年に関する法律についても制定を図っていく、こういうふうな経緯でもって進んでまいりまして、六十年当時、何を一般化と見るか、これはいろいろな見方がございましょうけれども、いわゆる六十歳定年を導入している企業の割合が半ばを超えている状態に到達している、そういう状況の中で高年者雇用安定法の制定をお願いをし、それに基づきまして今日まで行政指導を展開いたしてまいったわけでございます。 それで、お尋ねの、いわゆる強行的な規定というふうな形に持っていくべきではないか、これもさまざまなそういう観点の御議論、ちょうだいをいたしてまいりました。基本的に定年の引き上げということにつきましては、賃金の問題、退職金の問題、それから人事管理の問題、労務管理全般にわたる、そこの組織内、企業内におきます見直しを図りながら、労使の自主的な努力というものを基盤として進められる性格のものであるというふうに考えております。 この雇用安定法の中にストレートな強行規定を規定するということは、この法律の法体系上なじまない性格のものではないか、このように考えておるわけでございます。このため、現行法におきましては六十歳定年を努力義務という形にしつつ、その法律に基づきます一連の行政措置、これは他の類似の仕組みがほかの法体系の中にそうあるわけではございません、けれども、いわゆる私権の調整ということとの関係から見ましても、相当ぎりぎりの措置というふうな形で、この法律上の規定が全体として構成されているものというふうに考えておりまして、現在これら一連の行政措置を、六十一年実施後、完全定着に向けて進行中でございます。それをさらに強力な形で進めてまいりたいということにいたしておるわけでございまして、そういうことで、この六十歳定年に関する規定につきましては、現行法の規定を最大に活用するというふうな考え方でお願いを申し上げたいということでございます。
○永井委員 強制力を持たせることはなじまないということでございますが、仮に政府が、労働省が示しておりますように、労働省のこの資料を見ますと、これから先七九・三%まで、いわゆる八〇%近くまでこの六十歳以上の定年制が進捗をする、こういう表になっているわけですね。ところが、仮にそのときに八〇%に到達をしたとして、あとの二〇%が問題なんですね。特殊な事情がある企業などもあるでしょう。あるけれども、残された二〇%というものが一体どうやってその法に定める六十歳以上の定年制というところに到達をさせることができるのか、私はここが非常に大きなこれからの問題になってくると思うのです。それが強制力を持たせるべきではないかという私は一つの根拠になっているのですが、もちろん強制力を持たせたとしても、本人が自己都合でやめるというものを無理にそこまで置くということではないのでありまして、本人が働きたいという希望を持つ限りは強制力を持たせて、首を切らないように、いわゆる若年退職させないようにということを私は求めているのです。 ところで、では八〇%に到達をしたとして、その定年制が実施をされている企業で実際にその中身というものがその定年制にぴったりと適合するようなものになっていくのだろうか。私は、少なくとも定年制をしく以上、その中身が形骸化されておったのではかなわぬと思うわけですね。 ここに労働省の方で調べてもらった資料があります。いわゆる早期退職優遇制度というのがございまして、これは企業の規模別に数値をあらわしてもらっているわけでありますが、六十歳の定年制を採用しながら早期退職優遇制度というものをとっている企業が極めて多い。これは、本人の希望によって若年退職するときに優遇措置をとるということが建前でありますけれども、中にはこの早期退職優遇制度を利用して、実際は本人は働きたいのだけれども、まあいえば半ば強制的に退職を求めていくというケースが極めて多い。このことに着目をしなくてはいけないと私は思うのですね。 これは連合などいろいろな労働組合の実態的な資料を見ても、その中身は明らかであります。その中で一番問題なのは、千人以上のいわゆる大きな規模の企業にその早期退職優遇制度が極めて多いという事実であります。このことが結果として六十歳定年制というものを形骸化させていきはしないだろうか、こう思います。したがって、今なじまないという御答弁がありましたけれども、本当に法的になじまないという理由で強制力を持たせないようにしているのか、あるいは経営側との接触の中で、経営側のかたい態度を崩すことができないで結果的に強制力を持たせないようにしてきたのか、あるいは実際問題として労働省は、この種の問題について今まで委員会で何回もこの議論があったわけでありますから、経営団体とどんなことを話し合ってきたのか、この関係について簡略にお答えをいただきたいと思います。
○清水(傳)政府委員 もう少し若干技術的に、法律技術的な観点を含めまして申し上げますと、いわゆる強行規定を導入することの問題でございますが、そのことの政策手段としての有効性というふうな観点からの議論ということも、これはございます。それからまた、法制的に見ますと、やはり契約の自由、営業の自由、そうした憲法上の規定との、どんなふうにその点について調整を図って考え方を整理していけるかという、これも大きな問題としてクリアしなければならない問題であろうかと思います。それからまた、この高齢者雇用安定法という法律の性格を考えますと、雇用政策として一定の方向づけを出しておるわけでございまして、高齢者雇用という面についての望ましい状態あるいはこうあってほしい状態、こうあるべき状態、そうした状態を形成をしていくための、ある意味においては政策誘導立法的な性格の法律でございます。 強行法規というふうな形になりますと、例えば六十歳定年ということで申し上げますならば、六十歳定年に到達していないそうした定年の存在というものを社会的に許さない、こういう性格のものであろうかと思うわけでございまして、そういった意味での一つの、ある意味において最低労働基準的なミニマム的な、そういうものであろうというふうに思うわけでございます。そうした規定というものをこの法律の中に持ち込むというふうなことが法体系上の問題としてなじみがたい、こういうふうに法制的に見ると見られるわけでございますし、また、そういうふうな社会的なミニマムとしてコンセンサスを得られる状況というふうな段階と見るべきかどうかという点もございま す。この法律の性格からいたしまして、強行規定の導入が非常になじみがたい、このように申し上げましたのは、以上申しましたような幾つかの論点というふうなものを総合してそういうふうに申し上げたわけでございます。
○永井委員 中職審の議論の中で、経営側の発言の中身でこういう問題点があります。 六十歳定年について現行法の改正ないしそれにつながる表現は絶対受け入れることはできない、あるいは国の指導というものは事業主の求めに応じて行うことを必ず明記してほしい、こういうことを経営側が中職審の審議の段階で強く主張してきています。このことが労働省に絶対影響していないと言えますか。
○清水(傳)政府委員 確かに雇用審議会なりあるいは中央職業審議会の審議の過程におきまして、使用者側の一つの大きな議論としてそういうようなものがございました。これはやはり一面におきまして、高齢者雇用というものについて規制という手段をとらないで、我々自身もそのことの重要性は十分に認識をしている、自主的な努力によって進めていくべきだ、こういう考え方、あるいは一般的な規制というふうなものについての物事の考え方と申しますか、そうしたことから来る御議論であったかというふうに考えておるわけでございまして、そのことによって影響しているということよりも、この強行規定の導入を図り得るかどうかという点につきましては、そのこと自体の持つ政策的な有効性についての論点ということもございましょうし、それから先ほど私が申し上げましたように、幾つかの論点というふうなものをクリアしなければならないわけでございまして、そうした点を総合的に考えまして、強行規定というふうなものをこの法律体系の中に導入することにはなじまない、こういうふうに私ども自身も、経営者側の議論ということだけじゃなしに考えているわけでございます。
○永井委員 何回も執拗に繰り返して恐縮ですが、労働省がこの定年制の問題を指導する場合に、雇用主の側に立つのか労働者の側に立つのか、片方無視をして片方だけの立場に立てということはこれは言いませんけれども、少なくともスタンスとしては圧倒的な数の労働者の意見を十分に尊重するという立場でないと、国民生活を安定させることは非常に難しいと思うのですね。雇用の側にすれば景気のいいときは人を雇う、景気が悪くなれば労働者を退職させる、これはもう従来からとられてきた常套手段でありますから、そういう場合に比較的弱い立場に置かれる労働者側の意見を最大限尊重するという前提でないと、この種の問題の適正な指導というものは私は難しくなってくるんではないか、こう思います。 また、自主的な努力にまつことはこれは百歩譲ってよしといたしましても、自主的な努力にまっておったのではなかなかそのことの目標を達成することができないという現実があるから私は執拗に繰り返して言っているのでありまして、この問題ばかりで時間をとることはできませんけれども、あくまで私は、一定の効果を現実に求めることができるような対応を法律上もきちっと処理をすべきである、このことを再度申し上げておきたいと思います。 そこで次に入りますが、この高年齢者等職業安定対策基本方針なるもの、いわゆる第二条の五の関係でありますが、その中身について若干質問をしてみたいと思うわけであります。 今回の法改正は、定年到達者のその企業における再雇用の努力義務を新たに定めたという点につきましては、私は、六十歳代前半層の雇用の改善に向けては一歩大きく前進をした、このように評価をいたしたいと思います。しかし、六十五歳までの高年齢者の雇用機会の増大の目標や事業主が行うべき条件整備については、指針として高年齢者等職業安定対策基本方針が策定されるとうたわれ、その基本方針の策定は関係省庁との協議と中職審の意見を聞くこととされているわけですね。問題は、その具体的内容を一向に酌み取ることができない、示されていない、こう言わざるを得ないと思うのでありますが、この基本方針を策定するということを一言で言えばどういう趣旨なのか明らかにしてもらいたいと思います。
○清水(傳)政府委員 今回の法律案のベースになりましたのは、本年三月の雇用審議会の答申第二十一号でございます。この答申におきまして、高年齢者の雇用機会の確保について、政府、労使が一致して計画的かつ段階的に取り組む必要がある、このようにした上で、国としても高齢者雇用につきまして明確な目標、展望を示すとともに、多様な雇用形態による六十五歳までの安定した雇用機会の確保が計画的、段階的に図られるようにするための方策、事業主が講ずべき措置に関する指針を定める基本方針を策定すべきである、こういう提言をいただいたわけでございました。この趣旨を踏まえまして、今回の改正案におきまして労働大臣が高年齢者等職業安定対策基本方針を策定をするということといたしたわけでございます。 この基本方針におきましては、一つは、六十五歳未満の高年齢者の雇用機会の増大の目標、それから施策の基本となるべき事項を定めていくこと、高齢者雇用につきましての国の目標なり展望なり基本的な考え方というものを労使を初めとする国民全体にお示しをするということ、それから事業主に対しましては、職業能力の開発向上、作業施設の改善、こうした諸条件の整備についての指針を示すことによりまして、事業主が六十五歳までの雇用機会の確保に積極的に取り組むことを促進をしていく、こういうことといたしておりました。 以上のような内容のものとしてこの方針を策定をいたしてまいりたい、このように考えております。
○永井委員 それでは、今御説明のあった基本方針と、現在第六次まで進められてきております雇用対策基本計画との関係はどういうことになっていくのですか。
○七瀬政府委員 雇用対策基本計画は、雇用対策法に基づきまして政府としての雇用に関する基本的な計画として策定されるものでございますが、現在の第六次雇用対策基本計画、これは計画期間が昭和六十三年度から平成四年度ということになっておりまして、構造調整期において雇用の安定を確保し、これを基盤としたゆとりある職業生活の実現を目指すことを課題といたしておりまして、特に本格的な高齢者社会の到来への対応を大きな目標として掲げているわけでございます。この中身といたしましては、六十歳定年の定着と六十五歳程度までの継続雇用の促進、再就職を希望する高年齢離職者の再就職の促進、定年退職後における臨時、短期的な就業の場の提供を図るための各般の施策を講ずることといたしているわけでございます。 今般の御提案しております改正案において、労働大臣が定めることとしております高年齢者等職業安定対策基本方針、これは、このような雇用対策基本計画に示される基本的な方向に沿って、高年齢者の就業雇用対策に関しまして行政としての目標や事業主が行うべき諸条件の整備に関する指針などの基本的な事項をより具体的に示す、こういう性格のものでございます。
○永井委員 この基本方針の、雇用対策基本計画に示される基本的な方向に沿って云々という御答弁がありました。 そうしますと、この第二条の五、第二項の第二号の中にある「高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項」これは一体具体的にどのような内容を指すのですか。
○七瀬政府委員 基本方針の中で定めます、御指摘のありました高年齢者の雇用機会の増大の目標、これは六十五歳までの雇用機会の確保に資するように、一つには六十歳定年の完全定着の目標でございますし、また、六十五歳までの再雇用制度あるいは継続雇用、そういったものの目標を示すことを考えておりますけれども、具体的な内容については中央職業安定審議会の意見を十分聞いて定めてまいりたい、このように考えておりま す。
○永井委員 その次にあります、今言われた「事業主が行うべき職業能力の開発及び向上並びに作業施設の改善その他の諸条件の整備に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針となるべき事項」こううたわれているわけでありますが、この「指針となるべき事項」を、それでは具体的にわかりやすく説明してほしい。事業主がこの指針に従わなければならないと受けとめてよいのかどうかを含めて、ひとつ答弁を願いたいと思います。
○七瀬政府委員 基本方針の中で定める諸条件の整備等に関する指針につきましては、事業主が高年齢者の雇用機会の確保を図るために実施いたします、高年齢者のための職域の拡大でございますとか、高年齢者の能力を維持し高めていくための職業能力の開発のやり方でございますとか、高齢に対応する勤務時間の変更の問題、あるいは高年齢者の低下する能力の一つでございます体力あるいは感覚、そういったものを補完するための諸措置について具体的にガイドラインを定める、こういうことにいたしているわけでございます。 これにつきましては、労使合意の上で定める必要がございますので、中央職業安定審議会の意見を十分聞いた上で定めてまいりたいと思っておりますし、この指針が策定された場合には私どもとしては、高年齢者の雇用をめぐる条件整備について積極的に指導してまいりたい、このように思っております。 また、この指針の性格でございますけれども、法に基づいてガイドラインを定めるわけでございますので、個々の事業主の状況に応じてではございますけれども、この指針について十分尊重していただけるもの、このように考えておるわけでございます。
○永井委員 問わずもがなのことを聞くのでありますが、事業主が実際に指針に従わない、こういう場合は単に指導を強めるということだけで済むのかどうなのか、それで実効が上がるのかどうなのか、この辺のところは、今後の法の運用に対して非常に重要なところでありますから、再度その場合の対応策について態度を明らかにしてもらいたいと私は思います。
○七瀬政府委員 高年齢者の雇用を促進するための条件整備と申しますと、個々の企業の状況によりまして、職業訓練を充実させる形で対応する場合もございましょうし、あるいは職域の拡大ということもございましょうし、また、施設設備の改善というようなこともございましょうし、そういった一連のメニューをガイドライン的な性格のものとして定めるわけでございますので、個々の事業所の実情に応じてそのガイドラインの中から条件整備を行い、六十五歳に向けての雇用の確保を図っていただきたいというのがこの条文の趣旨でございます。 したがいまして、助成金その他の諸措置を活用しながら、条件整備について事業主を行政指導していくというのが第一次的な姿でございますし、できる限り自主性を尊重しながら進めていくという姿ではございましょうけれども、周辺の企業の状況とか地域の状況とか、そういった状況を勘案し、私どもがいろいろお願いをしてもなかなか進まないといったような条件があった場合には、私どもとしては、職業安定所長の勧告権その他の形で行政指導を展開してまいりたい、こういうふうに思っております。
○永井委員 行政指導になかなか従わない場合は安定所長が勧告云々という御答弁もありました。その程度のことで済むのだろうか、目的を果たせるのだろうか、その疑念を持つのは私一人ではないと思うのですね。 午前中にも同僚の網岡議員がこの問題について質問をしておりました。例えば、障害者の皆さんに対する雇用率というものは法律で定められておりまして、納付金制度というのがございます。この雇用率を守らなかった企業については、雇用率に基づいて採用すべき一人当たり、今三万でしたか四万でしたか、金額は忘れましたけれども、納付金という制度がありますね。この納付金の使い道ですが、その守らなかった企業から納められた納付金が、今度は障害者の方々の雇用促進のために活用されていくという制度になっているわけですね。 同じことで、今度の法改正によって、六十歳以上の定年制をしいているところで、あるいは定年制をしいて、そこで再雇用を希望する人たちに対してそれを雇用しなくてはならない、これについては行政指導を強めていくというのでありますが、当然同じように何らかの措置が必要なのではないか。午前中の答弁を聞いておりますと、一定の目標を達成したところには奨励金を交付するというのですね。この奨励金の交付というものは、出どころが一体どうなるのか。片方で守らなかったところにペナルティーを加える、そのかわり守ったところについては奨励金、これなら話はわかるのですが、守らなかったところはそのまま放置をされて、単に片方で奨励金を出すということだけで果たしていいのだろうか。これは法律をつくる手法上も、問題としては非常に難しい問題があろうかと思いますけれども、やはりここは具体的な目標を達成するために思い切った措置をとるべきではないかと思うのですけれども、どうでございましょう。
○七瀬政府委員 六十歳代前半層の高年齢者につきましては、健康状態とか体力などの面におきまして著しく個人差が見られる、こういう状況でございますので、個々の状況を考慮した継続雇用を促進することが重要である。その多様なニーズに対応いたしまして、多様な雇用形態による雇用機会の確保を図っていく必要があろうかと思っております。このような多様な形での雇用の機会の確保というのは、事業主の自主的な努力を尊重しながら促進していくことが必要であると考えておりまして、六十歳代前半層の高年齢者の雇用確保について、一律に一定割合の高年齢者雇用を認める雇用率制度、あるいは何らかのペナルティーを設けるということは必ずしも適当ではないのではないかと考えております。 なお、一定以上の割合の高年齢者をお雇いになる企業の方々に高年齢者多数雇用奨励金を支給いたしているわけでありますが、この財源は、雇用保険の三事業から支給されているわけでございまして、いわば一定以上の高年齢者の雇用を果たしている企業にそういったお金が奨励金という形で行く、こういうことでございますので、そういった誘導政策で六十歳代の雇用を高めていくのがより現実的な方策ではないかというふうに考えております。
○永井委員 そこで、その議論は議論として、この再雇用の制度をとっているところ、これは私の方から要求をして労働省で調査してもらいまして資料を求めました。その資料を見ますと、この再雇用の制度をとっている企業というのはかなりふえてきているわけですね。これは確かに効果が上がってきているんです。ところが、その中身を見ますと、いわゆる中堅企業、中小企業ほどその制度をとっている率は高くなっているのですね。大企業ほど再雇用の制度をとっているところは少ない。数字は一つずつ読み上げませんけれども、率が低いという数字が出ております。あるいは、勤務延長制度、再雇用制度の対象となっている労働者の範囲という調査によりますと、例えば、希望する者を全員再雇用するとなっている企業は、やはり中小企業、とりわけ零細的な企業に非常に集中的にそういう制度が取り入れられているわけですね。これは、今の景気の実態の中で人手不足ということもありましょうが、中小零細企業ほど現実は積極的な対応をとっているんです。残念なことでありますが、大企業ほど積極性が乏しいという実態が出ております。 加えて、ここでお尋ねしたいのでありますが、仮に再雇用が法律の施行によってさらにどんどん進捗をしていく、効果を上げていく、その場合も含めて、想定の話でありますが、現実の姿というのは、再雇用の場合、著しく労働条件の切り下げを条件としているのではないか、こういうことが 言われているわけでありますが、この関係について労働省はどこまでその実態を御認識されていますか。
○七瀬政府委員 再雇用後の労働条件につきましては、再雇用前に比べて賃金が低くなるというケースもございますし、あるいは昇給あるいは臨時の賞与その他の面で再雇用前と異なる取り扱いがなされている事情は、私どもとしても把握いたしております。
○永井委員 どうも、もう一つ私の胸にぽとりと落ち込むことができないのですが。六十歳以上の定年制をしいている企業で言うと、一般的には、再雇用はするけれども賃金を引き下げるとか出向を前提とするとか、ある意味では非常に高年齢者の人が意欲を持って働きにくいという条件がかなり存在しているのですよ。ここのところを当然労働省としては実態を把握して対応すべきではないかと思うのですが、どうですか。
○七瀬政府委員 私どもといたしましては、再雇用後の労働条件、賃金あるいは処遇その他労働時間、各般の労働条件の内容について、各種の調査で把握いたしております。ただ、再雇用後の労働条件をどういうことに決めていくかということについては、基本的には労使間で話し合われる問題でございますし、労使間で諸般の事情を考慮していろいろな現実的な解決が図られている、このように承知いたしております。
○永井委員 そこで、もちろん労使間で協議をされていくのでありますが、それだけに労働者側の意思というものは最大限尊重され得るように労働省は援助すべきだと私は思うのですね。ここのところはきちっと押さえてもらいたいと思うのですね。行政の側として押さえてもらいたい。 そこで、その具体的な中身に入ります。 今度の改正案第四条の五は、いわば今回の改正の目玉と言われているわけでありますが、確かにこの定年到達者、ここでの規定は六十歳以上六十五歳未満とされているわけでありますが、この労働者が再雇用を希望するときには当該事業主は六十五歳まで雇用するように努めなければならないとされているわけですね。いわゆる六十五歳までの努力義務が新たに法的に規定をされる、こういうことになりますから、これは最前も申し上げましたように、私は一歩前進と評価いたします。 そこで、その努力義務の趣旨について、さらに私はお尋ねしたいと思うのでありますが、この努力義務ということについて、基本的な認識をもう一度伺っておきたいと思います。
○清水(傳)政府委員 この定年後の再雇用の努力義務につきましては、事業主に対しまして、六十歳以上六十五歳未満の定年に達した高齢者が再雇用を希望するときには、その能力に応じた雇用の確保が著しく困難である場合を除きまして、その者が六十五歳に達するまでの間、当該高年齢者を雇用するように努めることを求める、こういう規定になっております。これは当然、本格的な高齢化社会を迎えまして六十五歳までの雇用機会の確保が必要となる中におきまして、労働者側の事情といたしましては、六十歳を超えると健康なり体力の面なりそうした面での個人差が拡大をするという面もございます。そうしたところから、事業主に対して六十五歳までの雇用を一律に求めるということはなかなか難しい面があるわけでございます。しかし、この法律の第二条の三の規定におきまして、一般的に、事業主は、その雇用する高年齢者についての雇用機会を確保すべき責務というものを既に規定をいたしております。そういう双方のことを考えまして、事業主は、定年を定めた場合でございましても定年後の再雇用を希望する定年到達者に対しましては、その個々の状況を考慮しつつ再び雇用するように努めることが少なくとも必要ではないか、こういう考え方に基づきましてこの規定を置いたということでございます。
○永井委員 問題は、中央職業安定審議会における労働側意見にもありますように、この再雇用の努力義務規定が六十歳以上の定年を定めている事業主に限っているわけですね。間違いございませんね。最前からずっとこの議論をしてきたというのは、これがあるからあえて私は執拗なまでに繰り返して質問をしたのでありますが、いまだに六十歳未満にとどまっている企業はこの努力義務を免れることになってしまうのですね。六十歳以上定年をとっている事業主に再雇用の新しい努力義務を与えることは賛成でありますけれども、六十歳未満定年制の事業主がこの義務から逃れるということは、これは完全に矛盾をしているのではないか。六十歳定年制をまじめに取り組んできた企業にさらに枠をはめる。これはそれでいいとしても、極端なことを言いますと、いろいろな事情はありますよ、背景的にはいろいろな事情はあったにしろ、六十歳定年制を実現させていない事業主、これはいわばサボってきた企業だと言っていいと私は思うのですね、ある意味ではサボってきた企業。その企業がこの枠組みから除外をされるということは一体どういうことなのですか。これは明確に答えてもらいたいと思います。
○七瀬政府委員 六十歳以上の定年を定めている企業に対しまして今回六十五歳に達するまでの間の再雇用の努力義務を課したわけでございますが、そこで、六十歳未満の定年を定めている事業所、企業でございますが、これはともかく六十歳定年に引き上げる。現行法におきます定年年齢の引き上げの要請、計画作成命令等を通じて、六十歳に定年を引き上げる形でいわば一律に企業全体として六十歳までの雇用促進効果が上がるように持っていく。その行政措置についても六十歳代の再雇用よりも強い行政措置が規定されておりますので、それを活用するということが基本であるという考え方のもとに再雇用の義務については六十歳以上定年のところに限ったわけでございます。
○永井委員 質問をしますと、答弁では、強力に指導するとかあるいは六十歳未満の企業については六十歳に到達させるように全力を挙げて取り組んで、その上で、こういうことになっていくのです。しかし、これからの見通しを見ても、現在六〇%程度のものが、この法が施行される時点になるのか何年後になるのか知りませんけれども、今想定されているのは八〇%程度までの達成の見込みはある、あとの二〇%は現在労働省の把握しているところでも、それを推定するとして一〇〇%にすることはできないという実情に置かれているわけですよ。だから、最前から繰り返し繰り返し私は執拗なまでにこの点を質問しているのですね。ここで、現実に一生懸命労使が協力をし合って、高齢化社会に備えて高齢者でいわゆる就業の希望を持つ者については就業させていこうと努力をしてきた企業については、さらに今度の法改正で枠をはめる、それ以外は、どんなにあなたが答弁しようとも、現実はその網の目から逃れてしまって規制の対象になっていかない。これは法的に言って、やはり不備があるのじゃないですか。どうですか。
○七瀬政府委員 六十歳未満定年の企業につきましては、ともかく現行法の行政措置を活用いたしまして六十歳以上の定年になるように最大限の行政指導を展開すべきものである、このように考えております。
○永井委員 この議論は幾らやってみても最大限、現行法制下のもとで努力をするという答弁からなかなか踏み込んでもらえないと思うのでありますが、この中職審の審議の過程でも労働者側の委員は強く強くこのことを主張してきているんです。だから「意見」として付記もされているわけです。その中でも、行政指導では不十分であり過ぎる、六十歳未満定年を禁止ないしは無効とする法整備を行うべきであると、こぞって労働者側委員の七名は声を大きくして訴えているわけです。このことが結果としてこの答申の中には盛り込まれていない。答申の中に盛り込まれていないからそのまま、現行制度のままでいいということになっていかないと私は思うんですね。中職審に籍を置いている労働者側の委員の発言というものは、そのまま答申に盛り込まれなかったといたしましても、最大限それを尊重するような形で行政側が受けとめるべきであろう、私はそう思うんで すね。そして、この完全定着達成の目標時期については、労働省の考えている内容は平成六年度、こう言っているんでありますが、そういう悠長なことでいいのか、こういうことを私は言わざるを得ないと思うんでありますが、再度この点についてお答えをいただきたいと思います。
○清水(傳)政府委員 これは全体の法律の立て方の問題にもこうした規定のあり方というのは大いに関係をするわけでございまして、高齢者全体につきまして、先ほど申しましたように、第二条の三の規定によりまして高齢者の雇用の責務というふうなものを事業主に規定をいたしております。その中で、特に政策的な目標といたしまして、高齢者雇用を進める上での極めて実効ある一つの目標到達という意味合いにおきまして六十歳定年というものを導入いたしまして、その関係の規定を入れまして、それについて努力義務ということだけにとどまらず、この法律の性格上、私権との調整の観点から見ましてもぎりぎりの、かなりの強力な措置というふうに私どもは理解しております一連の強制行政措置をとった。そういうことで、まず六十歳定年というふうなことを定着を目指していくということを、この法律の中で一つのポイントとして置いておるわけでございまして、それからさらに、その法律制定後の高齢化の進展の状況を踏まえまして、六十五歳までの雇用の確保ということが極めて重要な国民的課題になりつつある現状を踏まえまして、定年到達者についての六十五歳までの雇用義務を規定し、さらに、そうしたことを促進するための方策としての勧告制度等も導入をする、こういう全体の立て方になっております。 六十歳定年を持っていない企業については、六十五歳までの雇用の努力義務を免れるじゃないかという再々の御指摘でございますが、一般的に高齢者雇用についての責務はすべての企業について負っていただいておるわけでございまして、基本的には六十五歳までの雇用を全体としてそれが当たり前のような状態になっていくような、そういうふうな経済社会を形成していくことにするわけでございますけれども、そこへ向けて着実に進めていくための幾つかの有効なステップとして今のような形の規定の置き方をしているわけでございまして、そういった意味合いで全体としての御理解をちょうだいいたしたい、このように存じます。
○永井委員 中職審の議論の中身を何回も触れて恐縮ですが、経営者側委員のいろいろな御発言の中に、実現困難な企業が相当数あり、完全定着はできない、こういう主張もされています。そうして、段階的に進めるべきであり、事業主の自主的努力によるべきである、あるいは倫理規定にとどめるべきであるという意見も経営者側から出されているわけですね。この法律の改正案の流れというものは、これは私のひがみかしりませんけれども、経営側の意向が全面的に取り入れられているというふうに見えてならぬわけですよ。必ずしもそうではないと言われるかもしれませんけれども、少なくとも労働側委員が過去の運動の歴史の上に立って求めてきた要望というものは、もっと積極的に対応すべきではないのかという気がいたします。仮に実現困難ないろいろな事情があって、そういうことができないという企業があるとすれば、だからこそ、それを法的にもあるいは日常の行政指導の中ででもそういうことが実現できるように政府が援助するということの視点が私は大切ではないかと思いますので、あえてそれをもう一回申し上げておきたいと思います。 そこで、時間の関係もありますから次に入りますが、第四条の六、いわゆる「諸条件の整備に関する勧告」ということがございますが、この頃は、「公共職業安定所長は、定年到達者の安定した雇用の確保を図るため必要と認めるときは、当該事業主に対し、職業能力の開発及び向上並びに作業施設の改善その他の諸条件の整備の実施に関して必要な勧告をすることができる。」とされているわけですね。この中の「定年到達者の安定した雇用の確保を図るため必要と認めるとき」とは具体的にどういう場合を指すのか、あるいは、ついでに聞きますが、「その他の諸条件の整備」とは具体的に何を指すのか、あるいは勧告する場合の具体的な内容はいかなるものが想定されているのか、あるいは勧告の前提となる各事業主による諸条件の整備等の実情の把握はどのように行われるのか、ひとつまとめて御答弁を願いたいと思います。
○七瀬政府委員 ただいま先生から四点の御質問があったかと思いますので、順次お答え申し上げたいと思います。 まず、「安定した雇用の確保を図るため必要と認めるとき」ということでございますが、今般の改正案におきましては、公共職業安定所長は、定年到達者の安定した雇用の確保を図るため必要と認めるときは、事業主に対して勧告を行うことができるとしているわけでございますが、この勧告は、特段の事情がないにもかかわらず定年到達者の再雇用が実施されておらず、また同一地域、業種の状況と比較して職業能力の開発、作業施設の改善等の諸条件の整備が著しくおくれている場合、そういった場合に行うことを考えているわけでございます。この場合、まず高年齢者雇用関係の助成金制度の活用をお勧めするとかその他一般的な指導援助を行って、その指導援助の後においても何ら改善が見られない、そういった事業主に対しては勧告を行う、こういう考え方に立っているわけでございます。 次に、「諸条件の整備」とは具体的にどういうことかということでございますが、「諸条件」と申しますのは、やはり事業主が高年齢者の再雇用を行うについていろいろと阻害要因となっている事項が諸条件でございまして、その阻害要因をいわば改善するということでございますので、具体的には高年齢者の職業能力の開発、向上でございますとか、作業施設の改善でございますとか、高年齢者向けの職域の拡大でありますとか、労働時間に対する配慮でありますとか、そういった高年齢者の雇用を取り巻く環境を整備することであり、これについては中職審の意見を聞いて指針を定めることといたしているわけでございます。 それから、勧告の具体的内容でございますけれども、これはただいま申し上げましたような諸点について、そういった事項について著しく改善がおくれている事業主に対して、そういった事項について改善をすれば高年齢者の再雇用に資する、そういった状況の中でそのケースケースに合わせたメニューを勧告の中身とするように考えているわけでございます。 次に、諸条件の整備その他について実情を十分把握しておく必要があるのではないか、こういう御質問だったかと思いますが、現行法の五十五条で、「労働大臣は、この法律を施行するために必要があると認めるときは、労働省令で定めるところにより、事業主に対し、定年に関する制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況について必要な事項の報告を求めることができる。」ということにいたしておりまして、これに基づく省令で毎年一回定期報告で、定年の状況その他高年齢者の雇用の状況について報告に基づいて状況を把握しているところでございます。 いずれにいたしましても、六十歳定年の完全定着と六十歳代の雇用につきましては、基本方針を策定するとか雇用機会の増大の目標を定めていく、そういった中で状況、現状の把握といったものが特に重要でございますので、今後とも状況の把握については十分考慮してまいりたい、このように考えております。
○永井委員 この実情の把握という問題については、いわゆる労働省令に基づいて報告を求めることができる、だから報告をできるだけさせて実情の把握を、こういうことでありますが、少なくともこれは事業主から定期的な報告を求めることができるのではなくて、義務づけるべきではないのですか。これは重要なところですから、ひとつ明確に答えてください。
○七瀬政府委員 先ほど申し上げました法律五十五条の運用といたしまして、労働省令で毎年一回 事業主は定年の状況その他の高年齢者の雇用に関して定期的に報告しなければならないという規定がございまして、現実にもそういった省令に基づいた運用をいたしているところでございます。
○永井委員 その次に、現行法の六十歳定年制の努力義務については、事業主に対しては要請し、計画そして勧告及び公表の四段階の措置が取られているわけでありますが、六十歳から六十五歳までについては勧告の一本しかないのですね。六十歳定年と六十五歳定年の成熟度の違いがそういうことになっているのかもしれませんけれども、勧告だけでは余りにも不十分ではないのか、勧告だけで済ませるところに実効性が上がらない、そういう疑問が残ってまいります。したがって、午前中にもこの関係については網岡議員からも触れられておりましたけれども、少なくとも勧告だけではなくて公表など社会的な制裁に値する措置がとられていいのではないかと私は思います。勧告だけで高齢化社会に対応する雇用確保を図ることができるというほど甘いものじゃないと私は思うのです。企業に少々のデメリットがあったといたしましても、経済大国の日本の企業でありますから、少なくとも社会責任を果たさせるように行政の指導性といいますか、そういうものがもっと強烈に行われるべきだと考えますが、どうでございますか。
○七瀬政府委員 御指摘のとおり、再雇用の努力義務については勧告に続く行政指導は定められておりません。これは、雇用審議会でいろいろ議論があったわけでございますが、そのまとまりました答申第二十一号におきまして「国は、業種や企業規模等実態に配慮しながら、事業主の自主性を尊重しつつ、」「指導に十分配慮する必要がある。」「六十五歳までの雇用機会を確保する措置に関する規定については、事業主の自主的努力を促進する趣旨の規定とすることが適当である。」とされていることを踏まえまして、高年齢者雇用にかかわる諸条件の整備について事業主の自主的努力を促進する趣旨の勧告のみを規定したわけでございます。高年齢者雇用にかかわる諸条件の整備について勧告を行うことによりまして、定年到達者の再雇用の努力義務を果たす前提となります諸条件の整備が促進され、定年到達者の再雇用が促進されることと考えております。 簡略に申しますと、やはりいろいろな形で条件整備を進めながら定年到達者の再雇用を進めていくわけでございますので、何とか事業主の自主的努力を尊重しながら合意の上で進めていくことが一番現実的な方法として妥当ではないか、こういう考え方に基づいて勧告のみの規定にとどめたわけでございます。
○永井委員 どうもこの関係についてはもう一つすっきりしないのでありますが、労使の自主的な努力、これは当然なことでありまして、その労使が自主的な努力をするにしても、法的にも行政面においても、あるいは場合によっては財政的にも、その労使協議がさらに実りあるものになっていくようにしていくことの責任というものが政府に存在すると私は思いますから、だからこそ私は厳しくこの関係を指摘しているわけであります。単に勧告だけで済ませられるという問題ではないだろう、やはり社会的な責任というものを企業は企業なりにきちっと果たしていくべきだ、こういう立場でこれからもさらに政府が努力するように求めておきたいと思います。 もう一つは、時間の関係で詳しく聞くことができないのでありますが、中小零細企業というものに対して、財政基盤が弱い、経営基盤が弱いということもありますから、思い切って助成の拡充を図るべきではないか、例えば雇用の実効が一定の水準以上に上がったところについては思い切った助成をする、これは全体の呼び水になっていくと考えられているように私は受けとめたわけでありますが、全般的に、この高齢化社会を迎えて高齢者の方々の雇用促進のためには、大企業よりも劣悪な条件に置かれやすい中小零細企業に対しては、もっと環境整備を含めて実効の上がるように助成をすべきではないかと思うのですが、これについてどのように対応をされるのか、お答えをいただきたいと思います。
○七瀬政府委員 高年齢者の雇用を促進するための奨励金でございますけれども、制度的に六十歳代の継続雇用等を設けて雇用を促進する事業主に対しまして継続雇用制度導入奨励金を平成二年度から創設することといたしておりますし、また、現実に六十歳から六十四歳までの方を多数雇用した方に支給いたします多数雇用奨励金についても大幅な拡充、充実を図ることといたしておるわけでございますが、これらの助成金制度の組み立てにつきましては助成額、助成率の面で中小企業に十分配慮した形で措置しているところでございます。 今後ともその運用に当たりましては、中小企業ができるだけ利用しやすいような運用、啓発、PRに努めてまいりたい、このように考えております。
○永井委員 そこで、大臣、今までくどいほど同じことを私は質問してきたのですが、これは今回の法改正だけではなくて、高齢者の雇用問題を前進させようということでずっと長い長い経緯があるわけですね。その経緯に基づいて昭和六十一年の十月から六十歳定年制というものが努力義務であっても法定化された、今回さらに改正される、こういうことになってきましたね。そういうことの経緯を踏まえ、きょう朝から続いている質疑を通して、私はここで大臣に確認をしておきたいことがございます。 ぜひひとつ、大臣から明確に答えてもらいたいと思うのですが、いつごろまでに六十歳定年の完全定着を図ろうと考えておられるのか、お答えいただけますか。
○塚原国務大臣 先生の御質問の中で、ちょっと今まで、昭和六十年という何か大臣答弁があったというようなことでございまして、その御質問も踏まえまして答弁させていただきますが、六十歳定年につきましては現在予定、決定の企業も含めますと約八割になっておりますが、今後は平成六年度までのできるだけ早い時期に、これらの企業はもとより、そのほかの企業も確実に六十歳定年を実現するよう高年齢者雇用安定法に定められた行政措置の的確な運用等、行政指導を強力に推進してまいりたいと考えております。
○永井委員 中職審の中でも何回も議論されてきたことでありますが、平成六年度までのできるだけ早い時期というのは一体具体的に何年と受けとめてよいのか、単にできるだけ早い時期という言葉で表現するのではなくて、そこは明確にひとつ答えてもらいたいと思います。
○塚原国務大臣 平成六年度までのできるだけ早い時期というのは、具体的には平成五年度と考えております。
○永井委員 その次、六十歳定年は今日までは社会的な常識と言えますけれども、これを完全に社会的規範とするためには六十歳定年の規定を強行法規とすべきではないか、きょう私はこのことを繰り返し繰り返し要望もしてきましたし、その必要性を指摘してきました。大臣としての答弁をお願いいたしたいと思います。
○塚原国務大臣 ずっと御意見拝聴いたしておりまして、答弁としてはちょっと御趣旨に沿わないところがあるかもしれませんが、平成五年度までにおける六十歳定年の実施状況を勘案いたしまして、必要があると判断された場合には六十歳定年の完全定着に向けてより実効ある措置について努力義務に関する規定の見直しを含めて検討いたしてまいる所存であります。
○永井委員 この六十歳代前半層の高年齢者の雇用に係る助成措置、最前私はちょっと触れました。特に中小企業に重点を置いてということで私は触れたわけでありますが、これについて大臣として、事務当局じゃなくて政治家である大臣として、思い切った拡充を図ることについてひとつ決断を示してもらいたいと思うのですが、どうでございますか。
○塚原国務大臣 六十歳代の前半層の高年齢者の雇用に係る助成措置につきまして先生から御指摘 をいただきました。従来から助成額等について中小企業に手厚い措置を講じてまいったのは高対部長の答弁したとおりでございますが、今後とも中小企業に十分配慮をいたしまして実効ある措置を講じてまいりたいと考えております。
○永井委員 最後に、労働大臣として、現在非常に景気がいいわけです、全体的に景気がいい、だから人手不足だ。片方で、だから外国人労働者の雇用問題も非常に大きな政治的問題になってきている。こういう現状の中においてこそ、今度の法改正の基本的な視点に見られますように、高齢化社会の到来到来と口だけで言うのではなくて、もちろん年金など社会福祉の関係は片方で十分に配慮しながら、現実に働きたいという希望を持っていらっしゃる方々、この方々についてはこの法律が施行されたといたしましても、この法律の範疇をさらに広げるという視点で私は政治的に対応をすべき非常にいいチャンスだと思います。この点について労働大臣に全体の総括をした立場からの私は所信を伺っておきたい。 もう一つは、ずっと以前から存在する措置の中に失対事業というのがございます。この失対事業が年々縮小されていこうとしている、どうも社会的に失対事業はなじまないというふうなことの視点に立つ発言も仄聞するような状態になってきました。私は六十五歳の定年制という、極端に言えば定年制といいましょう、六十五歳の定年制ということで積極的な対応をするとともに、六十五歳超えても働きたい人もいるわけですから、健康な人は。その場合にこの失対事業についてもさらに存続、拡充すべきだと思いますが、これは非常に政治的な決断のいることでありますから、この面も含めて労働大臣に総括的に御答弁をいただきたいと思います。
○塚原国務大臣 失対事業につきましては歴史的経緯等ございますので、職安局長の方から後ほど答弁をさせていただきますが、おまえも政務次官もやったのだろう、おやじも労働大臣をやったのだろうということですから、失対事業に対する認識はどう持っているのだということでございますが、戦後の労働省、二十二年九月に誕生してから雇用政策の原点がそこにあるという認識をずっと持って今日まで参りました。 ただいま高齢化社会の中で、実は午前中の網岡委員の御指摘の中でもちょっと的を外れたとしかられた部分ございましたが、二〇二〇年が一番のピークに来るということになりますと、まさに私の年代がもろにひっかかってくるわけでございまして、そういった面では人ごとではないわけでございまして、今から労働省としても中期的に、短期的に二つの具体的な内容をいろいろな形で御指導いただきながら出していくわけでございますが、より真剣に一つ一つのチェックをいたしてまいりたいというふうに考えております。加えまして、まさに今こういう人手が足りなくなった。それからちょっと問題発言になるかもしれませんが、最近企業から窓際族が消えたというようなことも、みんな忙しくなってしまって働かなければいけなくなったというようなこともある時代でございますので、非常に高齢者の雇用の確保をしていく。さらに、やはり六十五歳を過ぎますとちょっと本人の労働意欲の面でもいろいろな変化が生じる、それは午前中の住委員の御質問にありましたような老齢学のようなものもこれから研究していかなくてはいけない過程があるかもしれませんが、いずれにいたしましても、六十歳から六十五歳の幅、六十五歳以上についてしっかりとした雇用を確保してルールをつくって、より地域社会にさらに貢献をしていただくにはただいま非常にいい時期、時代だと思いますので、この時期をとらえていい形のものが残せるように精いっぱい努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。 失対事業につきましては、職安局長から答弁をいたさせます。
○清水(傳)政府委員 失対事業の経緯につきましては改めて申し上げるまでもなく、よく御存じのところでございます。いわゆる失業対策事業として戦後重要な役割を果たしたわけでございますし、また、現実にそこに就労をされた方々につきましても、これはさまざまな事情のもとに就労をされ、そして、なかなか十分な再就職の機会が得られないまま、今日なお一定人数の方が就労しておられる、こういう状況になっております。この事業のあり方につきましては、戦後の雇用対策の歴史の中でいろいろな局面においていろいろな問題、批判もあり、また、そういう制度の仕組みそのものにつきましても私どもといたしましても反省をし、さまざまな改善を加えつつ今日に至ってまいったわけでございますが、現下のような状況の中でああした形の失業対策のあり方というふうなものもやはり大きく見直されなければならない、そういう状況下にあることもまた事実だと思うわけでございます。既に昭和六十年におきまして制度の見直しを行い、さらに今般五年を経過してまた見直しを行う時期に到達をいたしております。有識者を含めまして、広く関係者の御意見も伺いつつ、適切に対応いたしてまいりたい、このように考えます。
○永井委員 時間が参りましたのでおきますが、塚原労働大臣、お父さんのことも言われました、この高齢化社会を迎えて塚原労働大臣がこれだけのことをやってきたとみんなから評価されるように、胸を張ってあなたも言えるように、そして、私は常々言っておるのですが、経済大国になって近代化社会、先進国と言われている日本でありますから、政府の中でも労働省がより重い任務を持って、どういいますか本当に重要な官庁であるということが国民全体にもさらに認識が深まり、そのように信頼されるようにひとつ頑張っていただくことをお願い申し上げまして、終わります。どうもありがとうございました。
○畑委員長 大野由利子君。
○大野(由)委員 初めに基本的なことについて何点かお伺いしたいと思います。 今回の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律でございますが、この法律で言います高年齢者の定義についてまずお伺いしたいと思います。 第二条に「この法律において「高年齢者」とは、労働省令で定める年齢以上の者をいう。」このように出ております。労働省令には「労働省令で定める年齢は、五十五歳とする。」このようになっております。つまり、高年齢者とは五十五歳以上の者をいう、そういうふうに受けとめられると思いますが、一方、その改正案の第二条の中に「高年齢者(六十五歳末満の者に限る。)」このように出ております。高年齢者ということに対する定義づけで整合性がないのではないかと思いますが、このことに関しましてお答え願いたいと思います。
○七瀬政府委員 高年齢者雇用安定法における高年齢者の定義でございますが、「総則」のところの「定義」で「労働省令で定める年齢以上の者をいう。」と書いてありまして、省令で五十五歳以上ということでございますので、五十五歳以上が高年齢者ということになるわけでございます。 ただ、御指摘がございましたように改正法案の第二条の五第二項第二号におきましては「高年齢者」の後に括弧をつけまして、法律上「六十五歳未満の者に限る。」といたしているわけでございますが、この趣旨は、高年齢者等職業安定対策基本方針におきまして、雇用機会の増大の目標を示すその対象年齢を六十五歳末満ということにいたしたわけでございまして、今回の法改正の主眼が六十五歳までの雇用機会の確保にある、そういうことで、この雇用機会の増大の目標というところでは「六十五歳末満の者」という限定をつけたわけでございます。したがって、全体としての「労働省令で定める年齢以上の者」ということと整合性はとれている、このように考えておるわけでございます。 また、六十五歳末満としたその理由につきましては、雇用審議会の答申におきましても「六十歳台前半層の労働力率や就業意欲が比較的高いことから、六十五歳までの年齢を目標として雇用の確保及び促進を図ることが適当である。」こういう ことを踏まえたものでございます。
○大野(由)委員 今のお答えによりますと、労働省令で定めます年齢の中での六十五歳末満の者に限る、そういう今回の法案の趣旨のようでございますが、正確に申しますと六十五歳末満の高年齢者というふうに書いていただいた方が正確なのではないか、これでは高年齢者の定義づけが変わったのかというような錯覚を起こすおそれがあるのではないか、そのように思います。また、今回の改正案の第五十二条の中に「高年齢者(労働省令で定める年齢以上六十五歳末満の者に限る。)」このように出ておりますが、同じ一つの法案の中に高年齢者が三通り定義が違うのかなというような錯覚を受けますので、先ほどのお答えで、ここでおっしゃっている高年齢者がどういうことをおっしゃっているのかわかりましたけれども、この点疑問が生じますので、ちょっとこういう疑問が生ずるということを申し上げておきたいと思います。 それから、もう一つお聞きいたしますが、法律名といいますか法案表記に「高年齢者等」とそのようにあります。「労働大臣は、高年齢者等の職業の安定に関する施策の基本となるべき方針を策定するものとする。」そうして、その中の二番に「高年齢者(六十五歳末満の者に限る。)の雇用の機会の増大の目標に関する事項」このようにありますが、ここは高年齢者、六十五歳未満に限定する必要があるのかどうか、高年齢者等でいいのではないかと思いますが、その点いかがでございましょうか。
○七瀬政府委員 今回の改正におきまして、六十歳定年の問題を超えて六十五歳に向けて雇用の確保を図っていくということを法律の条文ではっきりさせようという趣旨でございまして、雇用機会の増大の目標を図る場合に、労働力率が高い、就業意欲の高い、そういった六十五歳までを雇用機会の増大の目標としてきちんと整理しておくことが必要であろうということで六十五歳未満ということを入れたわけでございます。
○大野(由)委員 今回の改正案は、六十五歳で首を切るのが目的なのか、それとも少なくとも六十五歳までは働けるようにするためにつくるのか、どちらが主な目的なのかということについてお聞きしたいと思います。
○七瀬政府委員 現実に六十五歳を超えて働いておられる方もおられるわけでございますし、また安定所の窓口に六十五歳を超えておられる方が職業紹介を求めて来られることもございますし、そういったことにつきましては私どもは適切に対応することといたしておりますが、事業主に努力義務という形で、あるいは私どもが積極的に助成金を活用して雇用機会の確保を図っていくという、そういった意味での年齢で線を引くとすれば六十五歳末満のところに政策のポイントを置く必要があるということでこのような規定にいたした次第でございます。
○大野(由)委員 六十五歳に達するまではその者を雇用するように努めなければいけないという、そういう努力義務の中に六十五歳という規定が入るのは理解できるわけでございますけれども、今、人生八十年の時代を迎えております。また、高年齢者の方は個人差が非常に大きいわけでございます。本当に六十五歳まで雇用ができる状況をつくっていこうと思えば、六十五歳以後も働ける方が当然今もいらっしゃいますし、これからもどんどんふえていかなければいけない、そういう状況にあると思いますけれども、今回の法案の中で「六十五歳末満の者に限る。」という、そういうのが私は非常に抵抗を感じるわけでございます。 例えば、事業主に対する助成等におきましても、労働省令で定める年齢以上六十五歳末満の者を雇用している人には助成が出るけれども、それが六十六歳であっては助成が出ないというふうなことは大変な矛盾があるのじゃないか。これは裏返せば六十六歳になったら首を切らなければいけない、六十五歳で首を切らなければいけないという、六十五歳で首を切ることを勧めているというか、そういうふうにも受けとめられるのではないか、そのように思いますが、そのことについて御答弁をお願いしたいと思います。
○七瀬政府委員 「六十五歳末満の者に限る。」これは条文技術上の書き方でございますが、いずれにいたしましても、私どもが奨励金を支給しながら雇用を拡大していくという場合に一定の年齢の基準というのも必要でございますので、現在、六十五歳に達するまでの雇用を何とか確保していきたい、そういうところに政策の重点を置いていく、こういう流れの中で条文を作成いたしましたので、こういう六十五歳までということが出てきているわけでございます。
○大野(由)委員 今回の大きな目的が六十五歳までの雇用の延長にある、そういう御趣旨はよく理解できますが、六十五歳以上になっても働ける方、また働いている方がたくさんいらっしゃいます。そうした方々に対する配慮というものもこれからぜひしっかりとしていっていただきたい、そのように思います。そうした配慮がなされて初めて六十五歳までの雇用も定着をしていくのではないか、そのように思います。 それから、昭和四十六年に中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法が成立しまして以来、労働省はこの六十歳定年の一般化を目指して二十年間取り組んでこられたわけでございますが、調査によりますと、昭和五十三年における六十歳定年は実施率が三八・五%、平成元年で六一・九%、この十一年間で二三・四%しか伸びておりません。年平均わずか二・一%という伸び率にとどまっている計算になります。現在もなお四割近くの企業がまだこの六十歳の定年制を定着をさせていないという状況にあります。 先ほど永井委員の方からこのことについて詳しい御質問がありましたので、私は詳細は重複を避けたいと思いますけれども、先ほど大臣の答弁の中にも平成五年までに何とか定着をさせたいという御意向がありました。この完全定着化へ向けて、その見通し、今後の方針、そうしたものについて簡単にお聞きしたいと思います。
○七瀬政府委員 ただいま先生から数字をお示しいただいたわけでございますが、昭和五十三年に六十歳定年が三八・五%でございまして、それが六十一年に五六・六%になっているわけでございます。その後行政指導を進めてまいりまして、現在六一・九%という状況でございまして、六十歳定年の割合は着実に増加しつつあると考えております。 これにあわせまして、先ほども申し上げましたように、特に百人以上の企業を対象にいたしまして定年の引き上げの要請から定年の計画作成命令に至るまでの行政措置を展開いたしておりまして、それによりまして六十歳定年を決定いたしました。決定という意味は今直ちに実施するわけではありませんけれども、期間がはっきりした形で数年後に六十歳定年になるという企業がかなり私どもの行政指導の効果によってふえてきておりますので、今後もさらにこの行政指導に熱を入れまして、完全定着が実現できるように努めてまいりたいと考えております。
○大野(由)委員 完全定着へ向けまして、毎年一年ごとの目標を明確にするとか目標を達成しなかった場合の強行規定、また努力義務そのものも見直す等のそうした取り組みが必要なのではないか。現在のままの義務づけ、また努力義務だけでは実行が不可能なのではないか、そのように私も訴えておきたいと思います。 それから、現在厚生年金の支給開始年齢は六十歳になっております。しかし、四割近くの企業が今なお六十歳の定年すら実施していない状況でございますが、この定年年齢と支給開始年齢とのギャップがあることをどのように認識していらっしゃるか、このことを労働省と厚生省にお伺いしたいと思います。
○森説明員 老後の所得保障を考える場合に、年金と雇用の連携というものに十分意を配らなければならないことは当然のことでございます。ただいまお話しのような状況にもかんがみてまいりますと、六十歳定年の定着あるいは六十歳代前半層 の雇用の確保を図っていくということは大変重要なことであると考えております。
○七瀬政府委員 私どもといたしましては、高年齢者の雇用対策を進めるに当たりましては、雇用による所得と年金の所得という問題がございますので、雇用と年金の関係について、この両者が密接な関係があるということを念頭に置きながら雇用対策を進めていく必要があると考えております。
○大野(由)委員 ちょっと今の御答弁では納得できない感じがいたします。国民の側に立って本当にどうあるべきかということを、もっと責任を持った施策をしていかなければいけないのじゃないかと思います。 それから六十五歳の定年の延長を、今回定年延長と申しますか六十五歳までの雇用を改正法案の中で提案されるわけですけれども、最近の調査によりますと六十五歳までの定年延長が可能と考えている企業が三七%、とても考えられない企業が六三%、そういう報道がなされております。こういう報道の中で、調査結果の中で、六十五歳までの雇用を努力しなければならないという今回の改正案がどこまで定着をするか、いつまでにどのような形で定着をするか、その見通しについて労働省にお聞きしたいと思います。
○七瀬政府委員 今回御提案申し上げております法律案の中で、六十歳から六十五歳までで定年で退職される方の再雇用の努力義務が規定されているわけでございます。再雇用の形で六十五歳までの雇用を確保していくためには、各種の条件の整備を進めながらやっていく必要があろうかと思っておりますので、私どもといたしましては、法律案に規定いたしております高年齢者等職業安定対策基本方針の中で六十五歳までの雇用機会の目標を計画的に定める、こういった形で各種の条件整備を進めながら、また事業主あるいは関係労使の自主的な努力を促しながら積極的に六十五歳までの雇用確保を計画的、段階的に進めてまいりたいと考えております。
○大野(由)委員 大臣が国会の所信表明演説の中で、人生八十年時代にふさわしい雇用に関する施策の方向などを示す長寿社会雇用ビジョンの策定を表明されましたけれども、この表明はいつまでに策定をされるのかについてお伺いしたいと思います。
○七瀬政府委員 長寿社会雇用ビジョンにつきましては、現在長寿社会雇用ビジョン研究会という学識経験者あるいは関係労使が参加して、二〇二〇年と申しますか二十一世紀の高齢化のピークを展望しながら、その際にあるべき雇用のビジョンあるいはまた人生八十年代における勤労者、労働者の生き方、ライフサイクル、そういったことを念頭に描きながらの雇用ビジョンの作成をお願いいたしておるところでございまして、私どもとしては、ことしの七月あるいはちょっとおくれて八月ころまでには何とかお取りまとめ願うようにお願いいたしているところでございます。
○大野(由)委員 もっと対応を早くしていただきたいと思いますが、ゴールドプランのように財源を伴った具体的な数値を挙げた具体的な方針を示していただきたい、そのように大臣に要望したいと思います。
○七瀬政府委員 長寿社会雇用ビジョン研究会におきましては、二十一世紀を展望した高齢者の雇用のあり方全般についてビジョンを示すということでございますので、その中で関係労使の役割とか政府の役割とか、そういったものについてもいろいろと見解が示されるとは思いますけれども、具体的な金額を示してというような形には、研究会の取りまとめという性格上、ならないだろうと思っております。
○大野(由)委員 単なるビジョンではなくて、具体的な財源、数値を伴った方針みたいなものはいつごろ策定される御予定でいらっしゃるか、労働大臣に伺いたいと思います。
○塚原国務大臣 遅くとも八月に委員会の答申をいただけるわけでございまして、その中から、できる限り実現、当然全部実現していかなければいけないものだと思いますし、実現ができやすい順と言うとおしかりを受けるかもしれませんが、できやすい順に一つ一つ政策化して予算化をしていきたいと考えております。
○大野(由)委員 いつごろになりますか。ぜひ今年じゅうにお願いしたいと思います。
○七瀬政府委員 長寿社会ビジョン研究会の報告を受けました場合に、必要があれば来年度の予算要求に反映させてまいりたい、このように考えております。
○塚原国務大臣 去年の八月に中間取りまとめがございまして、その中から、今回の助成金制度とか幾つか予算化したものがあるのですが、ちょっと今具体的な数字を持ってないものですから、お答えできなくて申しわけありません。
○大野(由)委員 来年度予算に盛り込むとちょっとおっしゃいましたけれども、その予算の提案に間に合うようなゴールドプランの全体像をそこで発表される、そのように受けとめてよろしいでしょうか。
○七瀬政府委員 長寿社会雇用ビジョン研究会でお取りまとめをお願いしているのは、二十一世紀を展望した高齢者の雇用就業のあり方ということでございますので、その中に、当然のことながら関係労使の役割、政府の役割ということも出てまいります。ただ、予算との関係と申しますか、そういった意味での計画という形になりますと、その研究会の報告を受けた後、私どもとしては、実現可能なものについては予算要求の際に反映させてまいりたい、このように考えているわけでございます。
○大野(由)委員 わかったようなわからないような、もう少し明確に答えていただきたいと思うのですが、予算を伴う明確なゴールドプランが今年じゅうにでき上がるということでよろしいわけですね。
○清水(傳)政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますが、長寿社会雇用ビジョンとしての物事の性格上、例えば長期、中期にわたって施設をこれだけ整備していくとか、そういうたぐいのビジョンではないわけでございます。遠くは二〇二〇年、そうした高齢化のピークを迎えるような状態を見通しつつ、これからの我が国の経済社会におきます雇用のあり方についての方向づけ、考え方、そうした極めてソフト的なビジョンづくりをねらいといたしておりまして、そこに予算面での、あるいはこれから施設の整備を図る、これだけのお金をつけていくとかいう形のビジョンづくりではない。ただ、そういう考え方に基づきまして、具体的に毎年度どういう形で施策を具体化していくかということは、予算の上でできるだけ反映させていくことはできるかと思いますけれども、そういう物事の性格として御理解をちょうだいいたしたいと存じます。
○塚原国務大臣 私ども、いつも先生に御質問していただいて、本当に具体的なわかりやすい言葉で、無論全く国会用語もございませんし、単刀直入な御質問をいただいていて、それからきょうの御質問でも、私どもなるほどと思ったのは、では六十五歳以上の人は雇わないでもうやめろということかというのは、確かに見れば見られるわけでございまして、そういう本当に的確な視点からいつも御質問をいただいております。 ですから、今の二十一世紀のビジョンに対する答弁も、何でもっとはっきりきちんとしたものを言えないのだ、格好つけているのかという感じにもちょっと思われる部分があるかもしれませんが、今職安局長の答弁のように、かなり先を見通したそれぞれの役割的な、お金の形に出せないような部分のものもかなりあるように伺っております。 ただ、ただいま御指摘いただきまして、先ほど永井委員の御質問の中にもございましたように、まさに今高齢化社会、高齢者の雇用に対して大切な時期でありますし、世間全体がそういうことで大変御認識をいただいている時期でもございますから、そのときに答申をいただけるわけでございますので、できる限り早急に、予算化できるもの につきましては一生懸命頑張って政策化して予算化をしていきたいというふうに考えております。
○大野(由)委員 形にあらわしにくいものがたくさんあると思いますが、それだけではなくて、形にあらわしていかなければいつまでたっても具体的に進まないこともたくさんあると思いますので、ぜひこのことに関しましては、絵にかいたもちにならないように積極的に進めていただけるようにお願いを申し上げたいと思います。 次に、在職老齢年金についてお伺いしたいと思います。 現在、六十歳から六十四歳の在職者に支給されている在職老齢年金が、平成元年十二月の国会で、支給の刻みが五段階から七段階に改正されました。また、支給の上限が二十二万円から二十四万円に改正されたことは一つの大きな前進だと思っております。 しかし、私最近、ある清掃会社を経営されている方からお聞きしたのですが、一生懸命働く方も働かない方も、給料と年金の合計額がほとんど変わらないという実情があると伺いました。一例を挙げますと、厚生年金の支給額が月額二十一万六千円いただける人が働いた場合、再就職先で給料を九万円もらうと在職老齢年金の支給額が十七万六千円になってしまう。給料が二十二万円もらえる人は在職老齢年金の支給額は五万六千円になる。年金と給料の合計額は、再就職先の給料が九万円の人は二十六万六千円、給料が二十二万円の人が二十七万六千円で、一万円しか変わらない。つまり、一カ月に九万円分働く人と、二・四倍働いて二十二万円もらう人が手取りでは一万円しか変わらない現状があって、一生懸命働くことがばかばかしくなる。ひどいところでは、人手不足などで働いていても、どうせ年金でカバーしてもらった方がいいんだからということで、高齢者の方が非常に低賃金で働かされている現状があるようです。また、その清掃会社の経営者の方がこのようにこぼしておりました。六十五歳まではできるだけ働かないで年金をたくさんもらうようにして、六十五歳を過ぎて年金を満額もらえるようになってから一生懸命働こうとする人が非常に多い、そのように言っておりました。でも、六十五歳まで働かないでのんびりしていた人が六十五歳過ぎて急に頑張ろうとしても無理がかかる。ただでさえ人手不足なのに、勤労意欲をそぐような在職老齢年金のあり方を考え直してもらいたいと言っておりました。 このことについて厚生省、労働省の御見解を伺いたいと思います。
○森説明員 ただいまお尋ねの在職老齢年金制度でございますが、厚生年金の基本的な考え方は、労働者として働いている間は保険料を拠出をしていただく、リタイヤ後に受給するというのが基本のシステムになっているわけでございます。これを六十歳という年代で一たん切りまして、六十歳後においても就労されている方がおられるわけでございます。したがいまして、就労中は一切年金の支給をしないという制度にいたしますと、六十歳を過ぎても就労されている方については年金の受給権が発生しない、この原則で突っぱねてしまいますと、やや不合理が生じてまいります。これは所得の低い方、先ほどお話しの、現在二十四万円を下回るような所得の方にも年金を全部出さないというのでは、労働の実態、世の中の動きからおかしいのではないかということから、標準報酬の二十四万円にならない方は年金を差し上げます、これが在職老齢年金制度でございます。 その中で、今度はその所得の多寡に応じて年金の額を変動させるという仕組みをとっているわけでございまして、これが今の刻みの問題、お話の中で、かつては三段階でございました。これを先般の本院におきます御決定によりまして七段階、それから二十四万円というところに修正をいただいて、きめ細かななだらかな対応ができるようにという修正をいただいたわけでございます。先ほど来お話しの、ある時点である方がいわゆる給付割合に変更を生ずるというのは、現在の仕組み上、ぎりぎりやってまいりましてもある程度は技術的にやむを得ない部分がございます。これは、かつては三割というところで大きな段差があるという御指摘があったものを、今回七段階にして一割差に改めるというところまで改善をいたしたわけでございまして、私どもは、これがぎりぎりの改善ではなかったのかなと考えているところでございます。 先ほどお話しのように働いている方の勤労意欲をそぐというようなことは毛頭考えているわけではございませんで、原則に戻りまして、働いている間は保険料を出していただいて年金を受けないというのが、本来の姿として構成されているわけで、六十歳以降の場合にはむしろ例外的措置として在職老齢年金という形で年金を支給している、こういうことでございます。
○大野(由)委員 原則論としてはよく理解できますが、現場でその法律がどのように運用されているかということをもっと私たちは知っていかなければ、何のための法案であり、何のための法律かということになると思います。原則論はこうだからということにこだわっていたのではよりよい社会になっていかないと思いますので、この法律がよりよく運用されるために全力を挙げて努力をする立場ではないか、そのように思います。 また、在職老齢年金の支給に対する矛盾ですが、ボーナスに関係なく給料だけを基準にして刻みが決められているものですから、給料を極端に安くしてボーナスという形で支給をしているところと、そういうことに全然気がつかないで、高齢者だからということでボーナスなしで給料でやっているところがございます。年収は同じであっても、やり方によって老齢年金の支給額が大きく違ってくる、そういう矛盾がございます。そうした矛盾についてもしっかり取り組んでいかなければいけない、そのように思います。 時間がございませんので先に進みたいと思いますが、このようにいろいろな矛盾、不公平が現在の年金制度にはあります。また、今日大変な人手不足があります。高齢者の方の生きがいという面からも、働く意欲のある高年齢者の方の労働力を活用する、働きがいのある社会にしていくということが大きな課題ではないか、そのように思います。 それで、高年齢者が年金と就労との組み合わせによって生活設計を選択できる部分就労・部分年金制度を導入してはどうか、そのように提案をしたいと思います。これは、今申しました在職老齢年金と違いまして、年金受給額とか年金受給時期を本人が選択できる、また働いていて年金の支給が少ないものを選んだ人は六十五歳、仕事をやめた段階で、年金を受ける分が少なかった分は割り増し給付を受けることができるとか、そのようなことを考えて、そして一生懸命働いたら働きがいがある、働いても働かなくても同じだというのではなくて、働いたら働きがいがある、そういう制度の導入をぜひ前向きに検討していただきたい。定年六十五歳への延長を目指すと申しましても、六十歳以降の就労とか生活ニーズの多様化に従ってその働きの仕方も多種多様になってくると思いますが、そうした多種多様な労働形態への選好、どれを選ぶかということができるような部分就労・部分年金について一歩前向きに検討をお願いしたいと思いますが、労働大臣、いかがでございましょうか。
○塚原国務大臣 安定局長の方で先生の事前の質問通告をいただいたものでございますから、こちらの方もいろいろと勉強して、お答えを用意してございますので、答弁させていただきたいと思います。
○清水(傳)政府委員 六十歳代前半層の高齢者の方々、御指摘のように健康なり体力の面でいろいろな個人差がおありになる。それから、就業意欲という面につきましても、いろいろな考え方の方がおられる。したがいまして、任意就業と申しますか、自分で自己管理をしながら仕事をしたいとかというふうな方々もおいでになるし、それからまた、フルタイムの雇用というものには向かない、短時間の雇用というふうなことを希望される 方々もおいでになる。そういう多様な就業形態というふうなものに高齢者層の場合にはなってくるケースが多いのではないかと思われるわけでございます。また、そうした就業ニーズというふうなものに応じた形の雇用機会を図っていくということが非常に重要であろうかと思います。また、そうした場合に年金との関係ということも非常に重要な問題であろうかというふうに思います。 現在の在職老齢年金制度とは異なった形の部分就労・部分年金という御提言ございました。もちろん年金制度のあり方につきましては厚生省の方で御担当になっておるわけでございますし、また、先般の法律改正のときにも部分就労・部分年金型のものも御提案になったというふうにも承知をいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、そうした年金制度というふうなものを踏まえながら、先ほど申し上げましたように、多様な就業ニーズに雇用形態というふうなものがうまくマッチするような、企業の労務管理の仕組みというものがそういうふうなものにマッチできるようなことも十分配慮して政策を進めていく必要があるだろう、それが今の御質問の御趣旨に合う形での私どもの政策努力の方向ではないか、このように思うわけでございます。 ただ、現実の企業が提供いたします雇用機会の形といたしましては、短時間雇用というふうなもの、いわゆるパートではない形でのそうしたものが、現在の雇用慣行の中で希望される就労者の方々に提供できるような形にまだなかなか至っていない、現実の雇用慣行としてそういうふうな状況にはまだ至っていない。五十年代の終わりごろに、高齢者の短時間雇用というものをもっと奨励するような仕組みも用意して、一つの方向を出して、そういうこともやっていくだろうということでやりましたけれども、現実問題としてそういったものの利用がほとんどございませんでした。やはりそうした就業ニーズに合った雇用形態というものが、これからの高齢者の雇用のトータルな活用のあり方として企業の労務管理の中で十分に研究され、定着していくということも重要であろうと思いますし、そういうことも念頭に置きながら、私どもといたしましても高齢者の雇用政策を進めてまいりたい、このように存じます。
○大野(由)委員 これからの大きな課題だと思いますが、ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。 時間がございませんので、次に、雇用保険について若干お伺いしたいと思います。 雇用保険は、今一兆六千億を超える積立金の累計になっておりますが、この保険料、労働者負担の雇用保険料をまず三年間半額にするということを実施してはどうか。厚生年金もことしの一月から一五%アップして、サラリーマンの重税感が非常に高くなっております。この雇用保険料を何とか現在の半分、例えば月収三十万円のサラリーマンですと年間九千九百円、三年間で二万九千七百円軽減されることになります。これは、労働省でつくられました資料をもとにしてつくりました公明党の試案でございますが、雇用保険の負担料を平成二年度から四年度まで三年間半額にしても、平成四年度の失業給付費の積立金累計は約二兆円に上る、そういう計算になります。また、中高年齢者婦人層の雇用がこれからも非常に大きくなってまいりますし、平成四年度以降も十分大丈夫だ、そういう試算がございます。このことをぜひやっていただきたい。政府は、財政が厳しくなれば安易に税金を上げますが、黒字になってもなかなか引き下げようといたしません。そういう国民の不満がありますが、この雇用保険料の引き下げを検討するつもりはないかどうか、労働大臣の御決意を伺いたいと思います。
○塚原国務大臣 公明党さんの方から御提案いただいている旨も伺っております。何といいましても、やはり雇用保険は労働者にとりましては最後のとりでございますので、でき得る限り制度の安定をさせておくということが絶対の必要条件だと思います。また、一応基本原則として、労使折半ということで参っておるものでございますから、何とか、確かに額的にはかなりあるわけでございまして、数字的には三年間というのは非常にいいところをついていらっしゃるような気もするのでございますが、やはりここのところは、今こそ制度をより安定させるということと、労使折半の原則ということをぜひとも守らせていただきたいということで、ぜひともこのままで継続させていただきたい、御理解いただきたいと考えております。
○大野(由)委員 何とかぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。 それから、不正受給が非常にふえております。一定期間働いて失業給付を受けるという繰り返しを故意にやっている人たちがいらっしゃいますが、その一方で、例えば三十年以上雇用保険を掛けているのに、病気で働けなくなって一円の給付も受けられないという方が現実にいらっしゃいます。現在の失業保険は、就業したいのに職が見つからないという場合に給付するという規定があるわけですので、その規定に従って、先ほどの原理原則に基づきまして、本人が職安に出向けない人には失業給付が与えられないという現状になっております。しかし、例えば雇用保険を二十年、三十年掛けて途中一度も失業給付を受けてない。ところが交通事故に遭った、いろいろけがをした、病気になった。労災保険がおりればいいわけですが、労災保険がおりるわけにいかない。そしてやむなく仕事をやめざるを得ない。そういう方がいらっしゃいます。そういった人にこの雇用保険は今は何の働きもしてないわけです。 失業保険というのは、別の面から見ますと、予期しない失業中のその人の生活保障のためにもあるわけでございますし、二十年、三十年と長期にわたって掛けた人が、そういうやむなく病気になり、けがをしたという場合は、一時金という形で払ってあげることができないかどうか。就業したくても病気で職業安定所に行けない人にかわって民生委員や病院の証明があれば受給できるような方法を検討してみてはどうか、そのように思いますが、いかがでございましょうか。
○清水(傳)政府委員 これはある意味において制度の根幹にかかわる面の御質問になるわけでございます。労働者が労働の意思と能力を持っているけれども職業につくことができない、これはもう失業というふうに定義づけておるわけでございまして、そういう状態の方々の生活の安定を図ることが雇用保険の目的となっている。したがって、病気によって職業につくことができない期間というのは、そうした失業状態と認定するこのができない仕組みになっております。 ただ、現実問題として病気になられたというような場合に、現在の雇用保険の失業給付を受ける期間、これは受給期間と申しておりまして、一年間ということになっておるわけでございます。病気等でそうした一年間の相当部分を食われてしまう、あるいは一年を徒過してしまう、そういうふうなことになると根っこの受給権そのものがなくなってしまう、こういう問題もございます。そうしたことを救済するために、妊娠とか出産とか傷病といった状況によって職業につくことができない期間がある場合には、この受給期間一年を四年にまで延長をいたしまして、そうした状態が回復して、労働の能力が回復して求職活動を行うことができるようになってから給付を受けることができる、こうした救済措置が講じられる形になっておるわけでございまして、そうした仕組みのものであるということをひとつ御理解をちょうだいいたしたいと思います。
○大野(由)委員 現在の雇用保険の性格上、今御答弁にありましたようになかなか難しいということはよく理解できますが、先ほどのように、こうした法律のはざまで非常に悩み苦しんでいる人たちがいらっしゃるということを踏まえた上で、何とかこういう人たちを救済する手だてはないかどうか。今雇用保険が非常な黒字の状況にあるわけですから、そういった人たちを救済することができないかどうかということも含めて御検討をお願いしたいと思います。 また、六十歳定年制が今まだ六割という現状の中にあって、六十歳以上の高齢者の雇用を促進するとともに、六十歳以上の方の雇用保険の保険料は免除する、本人の負担分はなしにする、そうしたこともぜひ検討をしていただきたい。今こうした雇用保険料が大変黒字の状況の中にあって、こうした問題もぜひ積極的に検討していただきたいと思います。 以上で終わります。どうもありがとうございました。
○畑委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 久しぶりに社労委員会で質問をさせていただきますので、ひとつよろしくお願いいたします。 今回の法案は、六十歳で定年を迎えてもなお企業に六十五歳まで再雇用などの努力を義務づけたもので、そのこと自体は当然の方向だと思います。しかし、その大前提は六十歳までの定年制の完全実施だと思いますが、これが実際にはなかなか進んでおりません。今回その義務化を見送ったのはなぜか。労働省も新聞報道では一たん六十歳義務化を決意したように報道されているが、なぜそれが後退したのか。財界の圧力があったのではないか、まずお尋ねします。
○清水(傳)政府委員 定年の引き上げにつきましては、これは賃金なり退職金問題なりあるいは人事管理の問題、労務管理全般にわたる見直しを図りながら、労使間の自主的な努力によって進められていくということが基本であろうかと思うわけでございます。 六十歳定年を義務化する、こうした強行規定を本法の中に導入するということにつきましては、私どもといたしまして、ただいま御指摘のようなそういう決断をしたとかということはございません。現在の法律にそうした強行規定を導入することはなじまない性格のものである、こういうふうに判断をいたしております。したがいまして、現行法においては六十歳定年努力義務ということ、それと同時に、同法に基づきます定年引き上げの計画その他の一連の行政措置を段階的、計画的に強力に展開をして、六十歳定年の定着を図ってまいりたい、このように考えております。
○小沢(和)委員 私はここに平成元年の四月二十三日の日本経済を持ってきましたけれども、ここにはトップ記事で「定年、六十歳未満は無効に 労働省方針 法的根拠を整備」ということが載っているのですよ。これは赤旗じゃないのですよ。日本経済新聞ですよ。だから一たんは労働省はこういう方針を決めたのじゃないんですか。 その後、日経連などが平成元年十月二十四日に高齢化問題研究委員会中間報告というのを出してきておりますけれども、これを見るとはっきり、法による定年延長の義務づけを行うことには反対であるというように書いてあるのですね。だから私は、今言ったような疑問を持たざるを得ないわけであります。これはあなたも簡単には認めにくいことでしょうから、私は、私がそういう疑惑を持ったことについては明確に根拠があるんだということを申し上げておきたいと思います。 次にお尋ねをしたいのは、前回の法改正後の三年間で六十歳定年は五六・六%から六一・九%へと五・三%伸びているだけであります。その前の三年間は一〇・八%伸びている。わざわざ努力義務を定めたらかえってテンポが半分に落ちたというのはこれは一体どういうことなのか。これではいつになっても六十歳定年の完全実施に至らないのではないか。前回の法改正で、大臣には企業に対して定年引き上げの要請、計画作成の命令権などが与えられ、それは行使されていることが資料でわかりますけれども、まだ悪質な企業名の公表は一件もないように見えるわけであります。労働省の関係の法律では、たしか身障者雇用率などについてもこういう公表規定があると思いますけれども、これも一件もそういう公表した例がなかったように記憶しますけれども、今回のもこれはまた竹光ということになってしまったのでは話にならないと思うのです。 これは大臣にお尋ねしたいと思うのですが、本当に悪質企業を公表する意思があるのかどうか、ここではっきりお答えをいただきたい。
○塚原国務大臣 本院ではなくて参議院の予算委員会の答弁で申しわけないのですが、身障者の雇用につきましても、悪質な企業、悪質という言葉はいい言葉かどうかちょっとわからないのですが、公表をするという答弁をさせていただきました。
○小沢(和)委員 では、こっちもするのですね、こっちのことを聞いているのですから。
○塚原国務大臣 今の高年齢者の部分につきましては、ちょっと事務的に説明させていただきたいと思います。
○七瀬政府委員 お答えいたします。 昭和六十一年十月の高年齢者雇用安定法の改正によりまして、六十歳定年の努力義務プラス行政措置がついたわけでございますが、その後、定年の引き上げの要請、計画の作成命令という形で一連の手続をやってまいっておりまして、先ほど申し上げましたように、引き上げの要請をした約三分の二の企業が六十歳定年を実施するかあるいは決定に至っているわけでございます。そこまで至っていない企業について計画作成命令を先般来かけている段階でございますので、まだ制度の発動の手続の進行状況からして公表制度を云々する時期には至っていないというのが現状でございます。
○小沢(和)委員 それはわかって上で、だから、そういう時期が来れば悪質な企業については公表するというのが労働省の姿勢ですねというふうにお尋ねをしているわけです。
○七瀬政府委員 計画の作成命令その他の手続を運用している段階でございますので、その時期になりました場合に、法律に公表制度というのが存在することは厳として事実でございます、その時点で、当該計画命令の実施に対する企業の対応その他の状況を見ながら判断することになるかと思います。
○小沢(和)委員 だからその時点で、公表すべき企業が出てくれば公表するということだというふうに私は理解をしておきたいと思いますが、いいんですね。
○七瀬政府委員 必要に応じて公表制度を発動することは十分あり得ることかと思います。
○小沢(和)委員 では、次に進みますが、労働省の資料では、五千名以上の大企業は六十歳定年が八六・四%で、大企業の場合はかなり進んでいるというような印象を受けるわけであります。しかし、それは表向きのことで、大企業では六十歳定年の骨抜きが行われているところが多いわけであります。私の地元のことを言って恐縮ですけれども、新日鉄八幡などでは、もう四十五歳になるというと早期退職援助措置ということで、若干の退職金の優遇で退職を迫るようになる。五十歳を過ぎると賃金頭打ち、五十五歳で役職を取り上げられ、以後賃金は下がり始めるわけです。だから多くの職場では、五十歳を過ぎると居づらくなり、関連企業などに出向せざるを得なくなって、結局、定年前には大部分がいなくなってしまうというのが現状であります。 昨年度の労働白書でも、全国的にもこういう出向や早期退職などの形で追い出しが行われているということを認めておりますけれども、このような六十歳定年の実質骨抜きが許されないのではないか。労働省としてその点についてどう指導しているかお尋ねをします。
○七瀬政府委員 私どもといたしましては、六十歳定年の完全定着、さらに六十歳代前半層の継続雇用の推進ということで努力をいたしているわけでございますが、御指摘の早期退職優遇制度、これは、本人がみずから辞職、企業をやめていく、こういう意向をお持ちになった方に退職金その他で優遇措置を加える制度でございまして、大企業の場合にはそういう制度で定年前に退職する方がおられるという事実、状況は、私どもとしても十分承知いたしております。 この早期退職優遇制度の運用でございますけれども、これは基本的に各企業の雇用管理のあり方の問題でございますので、労使間で十分話し合い をしながら適切に運用すべきものであるというふうに考えておるわけでございまして、早期退職優遇制度それ自体が定年制の形骸化になるということにはならない、このように認識いたしております。
○小沢(和)委員 早期退職をさせられたり出向させられる人は、本当にみずから望んで出ていくのかどうか。労働白書でも三八・四%の人は「会社に勧められて」、つまり肩たたきを受けてやむなくやめていっているということがはっきりしております。 新日鉄八幡の会社の内部資料を見ますと、年間二百二十名、この早期退職をさせることが人減らしの方針の一つとして目標に掲げられて、その目標に従って肩たたきがやられているわけですね。出向させられる人も、出向先は中小企業です。そして、賃金、労働時間とも切り下げられる。しかも、定年は、もともとの新日鉄が六十歳ですが、出先では大体六十でやめさせられる。そうすると何一つメリットはないわけです。要するに、六十歳定年を実施したといっても、実質的にはこれまでの五十五歳定年制、いや、それ以下にしていくようにこの早期退職や出向を利用しておるわけであります。 労働白書でも、今後は高年齢者が増加することが予想されるため、五十歳代、六十歳代を問わず、企業グループだけでなく、企業本体においても、つまり親会社ででしょうね、高年齢者を継続して雇用していくことが考えられるべきであろうというふうに指摘をしております。こういう方向でもっと積極的な指導をしていかなければならないのじゃないでしょうか。この点、大臣、いかがですか。
○七瀬政府委員 継続雇用の推進と申します場合に、同一企業において継続的に雇用をしていくということが一つの望ましい姿であるということは、先生の御指摘にあった労働白書にも書いてあるとおりでございます。ただ同時に、同一企業グループの中で雇用を継続的に確保していくということも、これまた一つの現実的な方法として、労使間の話し合い等で選択できる一つの手段ではないかと思っております。 それで、御指摘の早期退職優遇制度でございますが、これは大企業においてかなり率が高く存在するわけでございますが、概して労使間の制度としてお決めになっておられるわけでございますので、それが決められたとおりの適切な運用がなされているかどうかという問題は、これは当該労使間で十分話し合いをしながら、制度の運用の適切さを確保していくべき性格の問題であろうか、このように考えております。
○小沢(和)委員 職場からの高齢者の追い出しは特に女性に対して激しいわけであります。さっきから新日鉄の話ばかりしますけれども、肩たたきなどで女性が早くやめさせられるので、六十歳定年まで勤めた女性がまだいないというのです。現に昨年、私の事務所に白木澄江さんという方が、五十六歳で年金がもらえるようになったのだから会社をやめろと二年がかりで圧力をかけられているとの訴えがあり、私が福岡婦人少年室に持ち込んだ事件があります。幸い行政の努力もあり、彼女自身も仕事を取り上げられてもということで頑張ってその後も今日まで勤務しておりますけれども、こういうような、特に女性に圧力を集中的にかけるなどというような差別的なやり方は絶対に許されないのではないかと思いますが、どういう指導をしておられるかお尋ねします。
○佐藤(ギ)政府委員 企業において、男性と比べて女子に対して特に執拗な勧奨退職があるというような場合には、今御指摘もございましたが、婦人少年室等を通じまして指導援助をいたしまして、現実にも多くの例が改善しているところでございますし、これからもそのような方向でやっていきたいと考えております。
○小沢(和)委員 次の問題についてお尋ねしたいと思います。 今回の法改正で六十歳以上の高齢者を企業が再雇用したりする努力が義務づけられるわけでありますが、今まで述べたとおり、大企業や財界などは六十歳定年でも法制化反対、骨抜きを図っているわけであります。まして六十歳代の高齢者の雇用については、労働省の資料によりましても、勤務延長や再雇用制度を現在持たないところが、五千人以上の場合には六七・七%、設ける予定が今後もないところがやはり六五%という状況であります。要するにやる気がないということだと思うのですが、こういう姿勢をどうやって変えていくかということが一番の問題ではないかと私は思いますが、どういう指導をされるかお尋ねをいたします。
○七瀬政府委員 やはり本格的な高齢化社会を迎えるわけでございまして、六十五歳までの雇用を確保していくということは極めて重要なことでございますし、そういったことについて労使の認識も深まりつつあろうかと思っておりますので、全体としての、あるいは総論レベルでのコンセンサスをできるだけ下へ下へとおろしていくという形で行政指導を展開しながら、大企業においても六十歳定年以降の再雇用の制度が普及するように自主的努力を促しながら行政指導を進めてまいりたい、このように考えております。
○小沢(和)委員 まだ幾つか質問を用意したのですけれども、残念ながら時間が来たようでありますので、あとは質問ということでなく要望ということで、ほんの一口、二点ほど申し上げておきたいと思うのです。 私が特にこの後申し上げたいと思っておったのは、労働省として、六十五歳以上の人についてももっと積極的に施策の対象として取り組んでいくべきだということを言いたかったわけであります。 その一つとして、シルバー人材センター、これは私は六十五歳以上も対象にしているという点を評価しているわけです。先ほども議論が出ておったようですけれども、これをもっと充実させていただきたい。労働省は、これが生きがい対策で、臨時、短期のものと言いますけれども、実際には年金が少なくて、これを重要な生活の支えにしている人が多いわけであります。ぜひ就労日数、賃金とも改善していくように今後の取り組みをお願いしたい。 もう一つは、失業事業の問題であります。五月三十日に失業対策制度調査研究会が発足をいたしまして、失対事業を今後どうするかの検討が始まったわけであります。私たちは反対しましたけれども、政府の、六十五歳以上のいわゆる線引きによって、やめさせられる人がどんどん出てきている。この五年間で失対就労者は急速に減っております。とはいえ、その制度事業合わせるとまだ二万人ぐらい働いている人がおりますし、特に私の地元にはかなりの就労者がおる。この人々は、今度こそ打ち切られるのではないかと非常な不安を持っております。この人々は、ほとんどが年をとっても年金は極めて低く、元気な限り自分で働いていく以外に生活を維持できない人々であります。こういうことも十分考慮して、今後も失対事業を存続、活用する立場で検討していただくことを要請して、私の質問を終わりたいと思います。
○畑委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。 ─────────────
○畑委員長 この際、本案に対し、粟屋敏信君外五名から修正案が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。粟屋敏信君。 ───────────── 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 ─────────────
○粟屋委員 ただいま議題となりました高齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、 日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 修正の要旨は、第一に、事業主は、毎年一回、労働省令で定めるところにより、定年に関する制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況を労働大臣に報告しなければならないものとすること。 第二に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、改正後の高齢者等の雇用の安定等に関する法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、同法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 ─────────────
○畑委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、粟屋敏信君外五名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○畑委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○畑委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 ─────────────
○畑委員長 この際、本案に対し、粟屋敏信君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合の六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。永井孝信君。
○永井委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 高齢化社会を迎え、高年齢者の雇用就業機会の確保を図ることが極めて重要であることにかんがみ、政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努めるべきである。 一 高年齢者等職業安定対策基本方針の策定に当たっては、中央職業安定審議会において労使の意見を十分に聴きつつ、六十歳定年の完全定着及び六十五歳までの雇用機会の確保に向けて実効ある内容を定めるように努めること。 二 平成五年度までに、六十歳定年の完全定着を図るため、高年齢者雇用安定法に基づく行政指導等の一層の推進に努めるとともに、同年度までの六十歳定年の実施状況を勘案し、より実効ある措置の実施について、努力義務に関する規定の見直しを含め、検討を行うこと。 三 定年到達者の安定した雇用の確保を図るため、再雇用の努力義務等新法の効果的な運用に努めること。 四 雇用環境が厳しい状況にある中高年齢者について、その再就職の促進体制を強化するため、公共職業安定所の組織、機能について一層の充実強化を図ること。 五 企業における雇用管理のあり方について、現実に高年齢者に雇用不安をもたらすことのないよう、また、積極的に高年齢者の雇用維持に取り組むよう、一層の普及啓蒙に努めること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 粟屋敏信君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○畑委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塚原労働大臣。
○塚原国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。 ─────────────
○畑委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ───────────── 〔報告書は附録に掲載〕 ─────────────
○畑委員長 次回は、来る十二日火曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時六分散会