公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号
- 発言数
- 37 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1990/06/20
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。松原脩雄君。
○松原委員 まず最初に、大臣にお伺いいたします。 次の国会に政治の改革に関する法案を提出する御予定ということでございましたが、その方向で間違いないのでしょうか。
○奥田国務大臣 今、八次の選挙制度審議会からの御答申のまず第一回のものをいただいたわけでございますけれども、大体七月末をめどにいたしまして、参議院の制度改革並びに政党法あるいは公的助成に関するような、そういった御答申をいただくことに予定としてはなっております。したがって、その後、区割りの問題がございますし、これらを一括した形で、さきに御答申をいただいたあのいわゆる小選挙区比例代表並立制の御答申、それから政治資金の問題、そして新しくいただく参議院の制度改革の問題、そして政党法に関する、公的助成に関する問題、これらの問題を一括した形のパッケージで新しい改革に取り組むという基本姿勢でございます。 御答申の内容もそうなっておりますので、その間、各政党間、各議員間における御討論は当然いただかなきゃなりませんけれども、政府としてそういった形で、いわゆる成案というような形でまとめるには、今先生の言われた次の国会に出すべく努力をしようという目標はそうでございますけれども、果たしてそこまで煮詰まるか、御論議の経過を踏まえながら、そういった形で成案化の方向で努力したいということになります。
○松原委員 そこで、いわゆる六十一年の国会決議というのがございます。「衆議院議員の定数是正に関する決議」というのがございまして、六十年の国勢調査の確定人口の公表をまって定数の抜本是正を行う、二人区と六人区を解消する、あるいは議員総定数や選挙区画を見直す、過疎・過密等地域の実情に配慮した定数の配分を期するものとする、そういう趣旨の国会決議があるわけです。したがって、この国会決議について、前回のこの委員会でも福島委員の方から御質疑があったようでございますが、定数の格差是正ということについて一番検討を加えておかなければならないと思います。 その辺の格差是正ですけれども、是正の比率については大体一対二以内におさめることが相当であるというふうに大臣はお考えなのかどうか、確認しておきたいと思います。
○奥田国務大臣 さきの国会決議も、この格差問題の是正という形の中で、違憲判決、最高裁におけるそういった三未満という形もありますけれども、この前の国会決議の御趣旨を体すれば、二人区・六人区の解消と同時に、それが一対三未満であるか一対二が適当であるかということは、各党の御論議をまたなければ結論めいたことは今言えませんけれども、いずれにしてもこの格差是正というのは、どうしても国会決議の趣旨に基づいてもやらなければ、次の選挙に臨めないという認識は持っております。
○松原委員 今後の方向からいたしますと、格差是正の方向をとるならばということだと思うのですが、それで議論をしておきたいと思うのです。 前回は一対三の範囲内で整理いたしました。これは一対三を超えますと違憲問題が生じます。だから、それを解消するために一対三まで一応とりました。ところが、今回の審議会答申も、格差については一対二の範囲内でとれということですし、私ども社会党も、格差是正をするならば一対二の範囲内でやるべしという考え方をとっております。したがって、もし本格的にやるならば、当然一対二の範囲内でやらなければならないだろうと思うのですが、その点大臣の方に再度お願いしたいと思います。
○奥田国務大臣 これは基本的には、違憲という大前提もありますけれども、各党間の御論議をまってお決めいただきたいと思います。一対二という形が当然望ましい方向である、そういった形内におさまることが望ましい、そういうことで今度の答申も、そういった一対二というような形の中におさまるような改革答申になってはおりますけれども、私個人としては、やはりそういった形が望ましいと思っております。
○松原委員 もし格差是正に取り組むならば、一対三でおさめようなんというのではだめであって、一対二の範囲内で格差是正をしなければならない、当然こうなるだろうと思うのです。 そこで、前回、この定数是正を一対二とした場合に一体どういうふうな結果が生じるかという点について、私なりに若干粗っぽい試算をしてみました。この基礎的な数字は自治省の方で作成されておる表でございます。定数を五百十一名と仮定する、それから六十年の国勢調査の確定人口に基づいて、そして、いわゆる増減の方法は前回の八増・七減方式と同じ方法をとる、こういう方式で対比しておる表であります。 この表で見ますと、これはあくまでも六十年の国勢調査段階ですが、減員をしなければならない選挙区が二十五、それから一人だけ増員をする選挙区が二十二、二人増員をする選挙区が神奈川四区一つ、こういうふうになるわけです。それを増員区で見ていきますと、現在五のところを一人増員をしますと定数が六になりますので、分区をしなければならなくなるのが今言った神奈川四区や福岡四区等の九選挙区で、残りの十四の選挙区は定数が五以内におさまりますから、定数を一人ふやすだけで足りるということになります。ふえる方はこれで問題点はさほど大きくないかもしれませんが、今度は減る方であります。 減る方は、先ほど申し上げましたように二十五の選挙区ですが、そのうち一人減らすことによって、しかもなおかつまだ定数が三ないし四の間でおさまる選挙区が全部で十四選挙区、こうなります。そして、これから先が実は問題になってくるのですが、今一人減らすことによって定数が二以下となる選挙区が発生します。全部で十一です。定数二となるのが宮崎二区、大分二区、和歌山二区、東京八区、愛媛三区、香川二区、鹿児島二区、長野二区、富山二区、こうなります。それから、定数が一になってしまうのが兵庫五区です。それから、計算上定数がゼロにならざるを得ないのが奄美群島区、こうなります。したがって、定数二以下のものは全部で十一選挙区になるわけです。 ここの定数二というのは三ないし五人の定数の以下ですから、これはどう考えたって隣接する区との間で合区をしなければならない、合わせなければならないことになります。合わせなければならないという意味では、現在でも定数が二のところが三つあります。一つは新潟四区、もう一つは石川二区、それから鹿児島三区、この三つが現在定数二ですから、これも今度の措置においては合区をしていかなければならないというふうになっていくわけなのです。問題はここから発生をしていくわけですが、大変複雑になります。 ここで、私はやはり自治省につくっていただきました選挙地図をにらみながら見ておったわけでありますが、例えば、新潟四区というのは現在は定数二です。そして、新潟三区というのがすぐ隣にあります。これも合区しようとすれば、飛び地を考えない限りは、地図上必ず新潟三区と四区というのは合わせなければならない。これが合区の対象になるだろうと思うのです。それが新潟三区は、定数五が四に減った上に、新潟四区の二と合わせて全部で定数が六になるわけです。したがって、これは六人区が新たに発生をしますから、合区をした上でもう一度半分に割らなければならないという問題が出ます。したがって、これは線引き問題が出てくるだろうというふうに思うわけです。 そういうふうにしまして、定数二以下の十四の選挙区については、とにかく隣接する何がしかの選挙区との間で一回合わせて、そしてそのままで五人以内で済めば足りるでしょうし、六人以上になってしまうと割らなければならない。そういうことで全部を合わせてみますと、増員するところ、減員をするところ、減員をした上で今度は隣の選挙区と合わせてそれで済む場合と、合わせた上でもう一度線引きをして分割をしなければならないところ、そういう意味で、今度の一対二の範囲内で定数是正、格差是正をしますと、全部で六十五の選挙区においてそれをいじらなければならない、変動が生じる、こうなります。そうすると、現在百三十選挙区ですから、そのうちの六十五といいますと、ぴったりと半分です。半分の選挙区で大きな変動が起こることになるわけであります。もしやるとしたら、そこまで手をつけてやり切らなければならないと思いますが、この辺についての大臣の御認識を、時間がないそうですから、ちょっと先にお聞かせ願いたいと思います。
○奥田国務大臣 御指摘のとおりだと思います。仮に一対二以内ということで、いわゆる国会決議に沿った形の改革をするということになれば、百三十選挙区のうちの六十五の選挙区でそういった形が御指摘されることになろうかと思います。 なお、もし細かい点は政府委員からお答えさせます。
○松原委員 それじゃ政府の方にお伺いを続けますが、そのように六十五の選挙区で今言ったような変動が起きた上で、なおかつ個々の選挙区を比べてみたら、実際は問題が生じるような選挙区というのは幾らかあると思うのですが、それは自治省の調べではどのようになっておるか、ちょっとお聞かせ願えますか。
○浅野(大)政府委員 まず前提を一対二未満ということでやった場合にどれくらい影響を受ける選挙区があるかということで、これはふえたり減ったり、境界を変えたり、合区したり分区したり、そういうものをひっくるめて少なくとも六十五ということだと思います。やりようによってはそれより多くなる場合もあると思います。 それから、お示しのいわゆる増減同数方式というのは、変更を加える選挙区の数をできるだけ少なくしようというやり方であろうと思います。これは選挙区同士のことだけを見てやりますものですから、実はそういうことでやりますといろいろな問題が生じるということがあります。特に都道府県間の定数配分というものを見ました場合に、新たな矛盾と言っていいかどうかわかりませんが、問題が起こることがあり得るわけでございます。例えば、具体の県で申しますと、お示しの表の中で、少ない方の上から四番目くらいに宮城二区という選挙区があるわけでございますが、宮城県全体で見ますと、これは平均人口が全国の平均人口より若干でも上回っている場合がありますが、そういう状態でありながら宮城県全体としては定数が一つ減るというようなことがあるわけでございます。 それから、都道府県間の定数を比べます場合に、いわゆる逆転ということが言われるわけでございます。これは人口が多いにもかかわらず県全体としての定数が少なくなる、こういうことを逆転と普通言います。現在既に逆転ということは、都道府県間で十五そういう現象が実はあるわけでございます。それで、ただいまお示しのような方式で定数是正をしますと、かなり都道府県間の逆転も解消はされるのですが、しかし、そればかりじゃなくて、そういうことをやることによって、かえって新たに都道府県間の逆転が生じるということもあるわけでございまして、それは大体三つくらいの県についてそういう逆転現象がまた新たに出てしまう、そのようなことが問題であろうかと思います。
○松原委員 おっしゃるとおりだと思います。確かに、格差是正をやって選挙区同士を比べていくとある程度わかりやすいのですが、今もおっしゃったような逆転現象も生じてくるということになると思うのですね。ですから今度は、それじゃそれを整合性を保つためには、都道府県の単位で一回全部人口で定数配分してしまって、線引きをがちゃがちゃ変えてしまおうとか、そういう大手術をしなければならなくなるというふうに私は思います。したがって、私が提案した問題は、もし一対二であるならば、最低でもこれだけの努力は必要であるという線として提案をしておきたいと思います。今後審議の素材に供していただきたいというふうに思っています。 次に、今までは定数是正の問題だったのですが、現行の中選挙区制度そのものについて審議会ではどういう評価が与えられていたのか、一度整理していただけますか。
○浅野(大)政府委員 非常に簡単に申しますと、現行の中選挙区制はいろいろ問題がある、だからこれは変えた方がいいというのが意見でございます。 それで審議会の方では、自由討議という形で、選挙区制をどう考えるかということをまず議論されたわけでございます。大体各委員の方から出ました意見は、今の中選挙区制には問題があるということであります。日本型のうまい知恵だという見方もあるのではないかというような御意見も一部ございましたが、大勢としては問題があるということでございました。
○松原委員 確かに審議会答申では、中選挙区制についての弊害が厳しく指摘をされておる。いわゆる政党本位、政策本位にならないで個人本位の形になる、それが原因となった弊害が相当出ている、こういうふうに指摘をされていたと思うのです。 何とかこの中選挙区制を擁護する論理といったものがないかどうか、これを私なりに調べているのです。今審議会の中では、先ほどちょっと出ましたが、日本人に合った制度じゃないかというふうなまとめ方がされていると思うのですが、そこは審議会の中でももう少し詳しい論理なり説明なりというのはあったのでしょうか。あればちょっとお聞かせいただけますか。
○浅野(大)政府委員 私も質問の御通告をいただきましたので、審議会の過程をずっと思い返しておったのでございますが、やはり出た意見としては、今の日本型のうまい知恵じゃないか。複数の議員がおられるわけでございますので、だれか一人というふうに選択対象を決めるのではなくて、いろいろおられる中から選べるという、そういうようなことをとらえてのことじゃないかなと思うのでございますが、審議会では大体そういうような意見であったかと思います。 それから、あとこれは必ずしも審議会での議論ということではございませんけれども、いろいろな書物なんかで書かれておりますことの一つには、今の中選挙区制は現実問題として一種の比例的な選出ができているではないか、そういうようなことをお挙げになる方もいらっしゃると思います。
○松原委員 今おっしゃったように、いわゆる事実上準比例代表というふうな機能を持っているのではないか、そこが比例代表制という尺度からするとちょっと評価するところがあるのではないかという議論は確かにあるように思うのですが、私も中選挙区制に関する学説なんかを調べてみましたら、制度として評価するというものが実はそれ以外に全く見当たらないのですね。 そこで、国会でこれがどういう形で扱われているかというところへ実は戻りたいのです。浅野さんも御存じだと思いますが、戦後第一回目の選挙は大選挙区の制限連記制というもので執行されました。そして、一回選挙をやったのですけれども、その後すぐに改正をされて、現在の中選挙区制に変わったという経過が実はあったわけです。このときは、大選挙区制をいわば維持しようというのが実は私ども社会党でございました。我が党の元委員長の浅沼稲次郎さんなんかが一生懸命大選挙区制、趣旨は比例代表制の考え方が強いということで、これを擁護されておりました。むしろ、現在の中選挙区制を導入したのが当時の自由党と進歩党であります。しかも、聞くところによると、これはどうも委員会で大乱闘を起こしたというふうな記事も実は載っております。 そこで、その経過からいいますと、昭和二十二年三月二十七日、今申し上げた大選挙区制限連記制というものを現行の中選挙区単記制に変えるためのいわゆる修正案が自由党と進歩党から提案をされる、そして審議が余り進まないで、わずか五日間のうちにその現行の中選挙区制という修正案が通るという経過があったようです。そこで、そのときの議論ですけれども、自由党と進歩党、今の自民党の前身になりますが、これが今の中選挙区制を導入したときの理由について、浅野さん、お調べになって、今お答えできますでしょうか。
○浅野(大)政府委員 なぜそういう改正をしたかということは、結局その当時の提案理由説明なり審議経過についての提案者の説明、委員長の報告等で知るわけでございます。ちょうど手元にそれは持ってきておりませんが、私の記憶しております限りでは、小選挙区制も大選挙区制もいろいろ問題がある、そういう点でやはり中選挙区制がいいんだ、簡単に言えばそういう御趣旨で中選挙区制に戻っておられるのではないかと思います。 なお、つけ加えさせていただきますと、戦後一回だけああいう形で選挙が行われたことにつきましては、終戦直後で非常に人口異動も激しいというようなこともありますので、やはり都道府県単位でやらないと現実的になかなか難しい面もあったというふうにも聞いております。
○松原委員 ちなみに、私も中選挙区制がどういう論理的根拠で導入されたかということについては、余り明確な理由づけらしいものが発見できない。ただ、そのときに我が党の当時の浅沼稲次郎さんが第六回の本会議で討論をしておりますが、それを見て裏から考えますと、例えばこう言っているのです。「中選挙区単記制は、小選挙区制を理想として、その過渡的制度としてよい、こう言っておるのであります。」というふうに指摘をしておりますから、小選挙区制議論のいわば延長線上に今の中選挙区制をとらえておったということも一つございます。 さらにもう一つは、当時の大選挙区制限連記制についての評価ですが、実はこういうふうにも申しておるわけです。 およそ将来の政治現在日本に行われておる政治、さらに将来に対する日本政治の動向を考えてみまするならば、議院内閣責任制が確立した以上は政党政治が中心であります。従つて政党が投票の対象にならなければなりません。その政党を投票の対象といたしまして行われる選挙の方法は、何が一番いいかということになりますれば、われわれは撤回をいたしましたけれども、大選挙区比例代表制が一番いいと考えておるのであります。こういうふうに浅沼さんは討論しております。したがって、この当時からいわゆる中選挙区制に対する批判が、それが小選挙区的な弊害といったものを持っておるならば、比例代表という民意を一番正しく反映する選挙制度の観点からすれば、我が党もこれを批判してきたという経過があったわけであります。 この件の議論をまとめますと、いずれにしましても、現行中選挙区制度それ自体を、これがいいんだということはなかなか言いにくい。比例代表制が本来いいのだけれども、準比例代表だから今の中選挙区制は一応評価できるところがあるのではないかという程度しか、学説上も、いろいろな面からも、これを擁護する議論は出てこないというふうになっておるようであります。もしこれ以外に中選挙区制擁護の議論等がございましたら、また機会を改めてお教えをいただきたいと思います。 そこで次に、審議会の答申についてお聞きをしたいと思うのです。 まず、今度の審議会の答申は、いわゆる小選挙区比例代表制、括弧して並立型、それから同じく小選挙区比例代表制の併用型、こういう使われ方をしておって、あたかも並立対併用というようなとてもややこしい言葉の使われ方をしておりますから、事柄の本質が全然違うのに言葉が余りにも似通い過ぎている、私はそう思うのです。審議会答申を見ておりましても、本質が違うものに定義も与えずにその言葉が使われておるように思うのですが、審議会では小選挙区比例代表制という言葉そのものを一体どういうふうに定義をしておったのか、ごらんになっていておわかりになるでしょうか。
○浅野(大)政府委員 実はもう十七年前あるいはそれ以上になるかと思いますが、第七次の選挙制度審議会で報告をしております、このときは答申はしておりませんけれども。その中で、小選挙区制と比例代表選挙を組み合わせる方式として、併立制あるいは併用制という言葉を使っております。大体そこの概念が頭にあってこの言葉を使っているのだと思います。 確かに御指摘にように「用」と「立」という一つの字が違うだけでございますけれども、非常に違うところがあるわけです。併用制といいますのは、そこで考えていますのは、西ドイツのような制度を頭に置いておるわけでございますから、本質的にはこれはいわゆる比例代表選挙なんだと思います。ただ、政党名に投票するだけではなくて個人に投票する、あるいは当選人を選挙区単位で決めるという部分も入っていますから、そういう 意味で比例代表制だけれども併用制、こういう言葉を使っておるわけでございます。 それに対して併立制というのは、小選挙区選挙と比例代表の選挙を全然別の選挙としてやるわけでありますから、相当これは異質なものであるということは間違いない。ただ、なぜそういうことかということにつきましては、前の審議会でそういう言葉を使っておりましたものですから、それからの流れがあるのではないだろうかというふうに思います。
○松原委員 前の審議会でやられたときに、やはりきちっとした定義というものは——法律でよく定義の項目なんかありますね。そういう形できちっと定義というものは与えておったのでしょうか。もし与えておったら、それを正確に定義をしていただければと思います。
○浅野(大)政府委員 ちょっと私も記憶が定かではございません。定義まではなかったと思いますが、ただ報告案としては、併用制というのはこういう仕組みだ、あるいは併立制というのはこういう仕組みだということはある程度具体的な案は書いてありましたから、その案を見ることによって、どういうものであるかということは大体特定しておったというふうには申し上げられるのではないかと思います。
○松原委員 その問題はまたいずれやるとしまして、次に移ります。 私は、審議会では、いわゆる併用制と言われるものとそれから今度採用された並立制、その二つが審議の過程では、双方ともかなり有力な意見といいますか、形で議論が審議会の委員の中には出ておったというふうに聞いております。ところが、それが全体として並立案を採用するということになった経過についてお伺いしたいのですが、まず併用案を捨てて並立案にまとまったのは、いわば全会一致の形をとってまとまったのでしょうか、それとも多数決のような採決をしてやったのでしょうか。そこをちょっとお聞かせ願えますか。
○浅野(大)政府委員 多数決をとったということではないと思います。いろいろ議論をされまして、それぞれの主張があった末に、最終的に並立なら並立ということで一応行こうという全体としての合意はあったと見ていいと思います。多数決はとっておりません。
○松原委員 そこで、併用を主張された方も含めて全体として並立にまとまったということなのですが、その大きな原因となったのが超過議席、いわゆる西ドイツ型の制度にすれば超過議席という問題が出てくる、こういうことだったというふうに聞いておるのです。 実際、審議会の答申でも、超過議席が発生することは避けられないという形でまとまっておるわけですが、この間もうちの党の池田委員が指摘しましたように、西ドイツの例では、戦後七回選挙をやっていますけれども、超過議席が出なかったのは四回です。そして、超過議席が一議席出たのが二回です。それから、二議席超過議席が出たのが一回しかないということですから、ならしてみれば、超過議席の問題なんというのは最大でも二つであり、かつ七回やった選挙のうち一回しかないということで、ほとんど超過議席は出ておらぬわけです。したがって、そんなことはわかった上で、今まで西ドイツ型の併用案を採用しないという意見が強かったわけです。 それにもかかわらず、一気に超過議席が問題となり、それが契機となって併用案が引っ込んで並立案に行くという形になったのは、たしか審議会の途中である種の算式が提起され、非常に多くの超過議席が発生するような、そういう数字が示されたために並立に行ってしまったという結果があったと思うのです。それはどういう数字、根拠が提起をされておったのか、お示し願えますか。
○浅野(大)政府委員 超過議席の問題も一つの議論の争点であったことは、そのとおりだと思います。ただ、併用制をとるか並立制をとるかについての決定的な理由が超過議席であったというふうには、私どもは受け取ってはおりません。並立制にするか併用制にするかについての議論は、選挙制度のあり方をどう考えるかという、いわば一種の哲学といいましょうか価値観といいましょうか、そういうものにかかわる部分が基本的にはおありになる。そこの違いが並立制か併用制がということであったと思います。それに加えて、超過議席の問題がそこにあったというふうに見るべきだろうと思います。 それから、西ドイツで超過議席がそれほど出ておるわけではないということは、ただいま御指摘のとおりでございまして、委員さんもそういうことはちゃんと認識はしておられたと思います。問題は、超過議席が多い少ないということもさることながら、超過議席というようなものが出るというそのこと自体でございますね、そういうことについて有権者が理解をされるかどうかというようなところにあったのではないだろうかと思います。 西ドイツの場合は、御案内のとおりワイマール時代は一議席当たりの票を固定しておりまして、必ずしも総議席が初めから一定しているわけではないというような経過もあったわけでございますから、それが原因しているかどうか必ずしもわかりませんけれども、日本人の場合に果たしてそういう後で議席がちょっとふえたりするということが理解できるだろうかどうだろうか、そういうようなところがあったのではないか。そういう超過議席の問題も念頭に置きつつ、全体として改革案がまとまるなら一本にやったらいいではないかというお気持ちであったように承っております。
○松原委員 私、超過議席が実際に数字として何十という単位だったと思うのですが、通常考えられないほどのでっかい数字がぼんと出てきたというふうに聞いているのです。三十くらいじゃないかという話を聞いているのですが、そういう数字が実際に出たのかどうか。出てきたとしたら、一体それはどういう算式や根拠に基づいて出てきたのか。あるはずですね。それを出していただいて、あの答申はたたき台ですから、公平な議論の中に供していただきたいと思うのです。それはいかがでしょうか。
○浅野(大)政府委員 選挙制度を改めました場合に、実際その制度を適用して議席の配分がどうなるかということは、ちょっと計算のしようがございませんので、そういうものは私どもとしてはできないというのが率直なところでございます。もし委員の方で資料として必要だということでありますれば、ある前提をお立ていただきまして、こういう前提でこういう計算をしてみろと言われましたら計算をすることはやぶさかではございませんが、資料といいましても、こうなるだろうという予測自体を出すことは、私どもちょっとできかねるというところを御理解いただきたいと思います。
○松原委員 私は、審議会の中で既に一定の、今おっしゃったように条件つきで数字が出たというふうに聞いているものですから、その出たものを明らかにしていただきたいと言っているのです。これから先のことじゃないのです。出たものなのです。その点はいかがですか。それとも実は出なかったのですか。
○浅野(大)政府委員 いろいろシミュレーションの議論もあったのですけれども、私どもは、外部の方がいろいろシミュレーションをされまして世の中にはっきりしているものは、これは資料としてお出しすることができるわけでございますが、自治省としてシミュレーションをやれと言われましても、全くそういうことは確信を持ってやれないわけなのです。恐らく制度が変われば全体の選挙のやり方も全く変わってくるだろう、そういうことを予想するということはとてもできませんものですから、私どもとしては、そういう自治省としてのシミュレーションをつくることは御勘弁をいただいたということでございます。
○松原委員 そうしたら、今おっしゃったように自治省が無理だとすれば、外部の方が出したシミュレーションというのが実際審議会に出たわけでしょう。だからそれを、出たものを委員会の場に 提出をするという形にしていただいたらいかがでしょうか。
○浅野(大)政府委員 外部からのシミュレーションに超過議席があったかどうか、私はそういう超過議席の入った資料はなかったように思いますが、いずれにしましても、選挙制度審議会で資料として配付しました外部の方がおつくりになったシミュレーション、それを資料としてお出し申し上げることはもちろん結構でございますから、審議会に外部の方がつくったシミュレーションということで、こういうシミュレーションの資料を出したということは、資料としては後ほどお届けいたします。
○松原委員 それでは、その資料の方は後でいただきたいと思います。 今度の審議会では、一応五百人前後の定数と提起をされておるわけです。恐らく昨今の行政改革等の動きからして、現行の本則の四百七十一ですか、それを大きく超えることはならぬだろうということだったと思うのですが、その定数そのものを考える場合に、ちょっと参考までに諸外国の国会議員の定数ですね、そこのところを幾つか、ヨーロッパの先進国で結構ですから、数字をちょっと今言っていただけますか。
○浅野(大)政府委員 今手元にありますのが若干古いのでございますが、あるいは現時点で多少違っていることがあるかもしれませんけれども、一九八六年で申しまして、ヨーロッパ、イギリスが六百五十でございます。西ドイツが四百九十六でございます。これはベルリンの分は入っておりません。ベルリンは別に二十二あります。それから、フランスが五百七十七でございます。イタリアが六百三十、こういうようなところでございます。
○松原委員 もう時間が参ったようですので、定数についてですが、今おっしゃった数字は西ドイツが四百九十六ですね。ことし行われるだろうと言われている今度の統一ドイツで行われる選挙、そのときは、東ドイツの分も含めて定数は当然ふえる見通しなんでしょうか、その辺までお調べ、いっておりますでしょうか。
○浅野(大)政府委員 ちょっとそこのところは私ども……。
○松原委員 時間が参ったようですので、きょうはこれで終わりますが、あと並立制及び併用制につきまして引き続き、機会をいただきましたら、私なりの考えに基づいて質問させていただきたいと思います。終わります。
○中山委員長 次回は、二十二日金曜日午前九時四十五分より理事会、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十時四十五分散会