公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
- 発言数
- 193 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1990/05/30
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島譲二君。
○福島委員 きょうは選挙制度審議会からの答申について、大変重要な問題でございますので、この問題を中心として御質問申し上げたいと思います。 けさの新聞にも、選挙制度の問題につきまして「浮かび上がった主要論点」というような記事が出ておりましたが、私の見るところでは、我が党内でも大変な論議を今行っておるところでございますが、主として運営、これは公認とか区割りについての運営の問題、あるいは政権交代の可能性ということでの政界再編成の展望といったようなものが具体的になっていないということを中心としてのいろいろな議論が展開をされておるわけでございます。しかし、私はこの選挙制度審議会の答申につきましては、その御答申されました制度の基本につきまして、答申の中にはいろいろな点でまだ問題が残されておるような気がいたします。 具体的な問題、細部に今入るのはいささか早いような感じがしないでもないわけではありますが、しかし、これから党内におきましてもあるいは各党間におきましても、この問題を議論していく上において、その対象となるところの制度そのものが選挙制度審議会の答申の範囲からびた一文動かすことはできないのかどうか、あるいは問題があるなら、やはり率直にその点についての討議を進めながら、よりよい案にまとめ上げていくということが大変大切なのではなかろうかという感じがいたします。 ちょうど第七次選挙制度審議会の当時でございましたか、私、当時佐藤総理の秘書官をいたしておりましたが、小骨一本抜くとか抜かぬとかいって国会でも随分と議論となったことを思い起こします政府は、あるいは海部総理はと言った方がいいのかもしれませんが、選挙制度審議会の答申については最大限尊重するとおっしゃっておられます。私は、最大限尊重というのはその精神の尊重であって、いろいろな技術的な問題において審議会の答申の中身に直すべき点があれば、これは率直に直していくことが、将来の選挙制度の基本に関する問題でありますので、大切なことだと思いますが、そのことについてひとつお答えをいただきたいと思います。 なお、大臣が御不在であります。その間政務次官がお務めということでございますが、政務次官はどうぞ率直に、あるいは大臣のかわりになって、あるいは党幹事長の気持ちになって、あるいは一政治家として、それぞれ区分けして私御質問申し上げますので、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○中馬政府委員 本日は大臣が参議院の予算委員会の方に少し時間をとられておりまして、この席に同席できませんので、かわって私、政務次官が御答弁をさせていただきます。 今、福島先生のいろいろな選挙制度の問題につきましての御質問でございますが、今回の選挙制度審議会が設置されました経緯その他も、大変な国民の政治に対する不信、そして今の選挙制度に基づくいろいろな、金がかかり過ぎるといった問題、あるいは政権交代がこのところ全くなされないといったような問題をひとつ国民のいろいろな声にこたえてまとめていくべきだ、この答申が今回の答申だと思いますが、海部内閣といたしましては、それこそこれに政治生命をかけてやるということでございます。内閣といたしましてもちろんこの答申を最大限に尊重いたしますが、やはり国権の最高機関は国会でございますから、皆様方各党各派のいろいろな御意見もしっかりとちょうだいいたしまして成案をいたしたい、このように存ずる次第でございます。
○福島委員 それでは中身に入りたいと思います。 念のために申し上げますが、我が党では昨年、大変な議論を尽くした上で政治改革大綱を打ち出しておりまして、これは基本的には、小選挙区比例代表の基本方針を念頭に置いた政治改革大綱であったと思います。そういう意味で、今回の選挙制度審議会の答申の基本的な方向については、いろいろな点で直さなければならない点はありますが、私自身はそういう方向かなと思っております。しかし、あえて今回の答申について、むしろ多少批判的な立場というか、角度から申し上げた方が問題が浮き彫りになると思いますので、そういう意味でいろいろな点に問題を提起いたしたいと思います。 最初に、今党内でいろいろ議論をしておる中で、中選挙区制度か小選挙区制度か、これまた大変な議論を呼んでおります。あるいはまた党内におきましても野党の一部の皆さん方におきましても、この選挙制度の基本的な大改革の前に、国会決議による定数是正が先だというような議論もございます。そして、その多くの議論の中には、小選挙区制度そのものに対する批判と定数是正に伴ういろいろな変革、そこのところがごちゃごちゃになっているような感じもいたします。 その辺をまず仕分けをしていかなければならないのではないかと思いますが、前回七減・八増といういわば緊急避難をいたしました。恐らくその国勢調査の後のいろいろな変動がございます。住民基本台帳によりますと恐らく今の時点、これは平成元年三月末現在の人口が基礎になっておりますが、この人口を基礎にいたしますと多少の変動がございます。多分東京八区、大分二区が一名減、神奈川四区と千葉四区が一名増、二減・二増というような形になろうかと思います。今、定数是正が先だとおっしゃる方の頭の中には、そのような緊急避難的な二減・二増ということによって、当面違憲と言われる三対一に圧縮するということが念頭にあるのではなかろうかと思いますが、今、選挙制度審議会が三対一でもだめなんだ、むしろ二対一だというような基本的な考え方のもとに、しかも中選挙区から小選挙区比例代表制度という大改革を答申した後に、仮に前回に倣った二減・二増というようないわばびほう的な措置というものが果たして考えられるのだろうか。 いろいろな意味で基本的にも大変難しい問題だと私は思いますし、仮に今申し上げました東京八区が一名減ということになりますと、東京八区自体としてはそうかもしれませんが、今回の全体の定数是正の考え方からいきますと、東京はむしろ定数は増になる傾向にある。その中にあって東京八区だけ一名減にするというのも大変変な話である。いろいろな意味で二減・二増的なびほう的な解決策というのは今とるべきではないのではないかなと思うわけでございますが、その辺についてのお考えも聞かせていただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 実態といいますか、仮に想定すればどういう形になり得るのかという意味で、まず事務当局の方から申し上げさせていただきたいと思います。 ただいま例としてお挙げになられましたのは、住民基本台帳人口によって計算したらどうなるかということでございまして、昨年の三月三十一日末の住民基本台帳人口が現時点では一番新しい資料でございますから、それに基づきまして増減同数で計算すればお示しのようなことになる、そのとおりでございます。 ただ、国勢調査と住民基本台帳人口、若干人口のとり方が違うところがございますから、同じところが同じように出るかどうかは、国勢調査をやらなければ必ずしもわからないという面もあるかと思いますし、その後の人口異動の状況がどうなるかということもあろうかと思いますが、ともかく国会決議で言われておりますことは抜本是正の検討を行うということでございますから、恐らくあの決議でおっしゃっておられますのは、一対三におさめるとかおさめないとかいうところじゃなくて、根本的に定数の是正をやっていくということではないかと思うわけでございます。例えば一対三におさめるということが、あの国会決議の御趣旨に沿うことになるということではないのではないかというふうには私どもも認識はいたしております。
○福島委員 単に三対一あるいは二対一でも、そういう最大と最小のところだけをつじつまを合わすということだけでは、その中におけるいろいろな不均衡が是正されないわけですから、やはり何減・何増方式というのはまさに緊急避難であって、これだけの大改正の答申が出た後を受けて、単にそういうことだけでは解決が進まない問題ではないかなと思うわけであります。 そこで、今党内の議論を聞いておりましても、中選挙区制度を是認する方々の考え方の中には、今の中選挙区そのままの状態というものを念頭に置いて議論をしておられる方々が非常に多いような感じがいたします。単に八増・七減式のびほう的なやり方ではなくて、定数是正、格差是正というものを実行するとすれば、今の中選挙区の状態というのは大変な変動を来すと私は思っております。 私なりに、大変粗っぽくではありましたけれども、その辺の状態を分析をして、一人の問題は別といたしまして、仮に定数五百を前提として、人口比二対一ということを基本にして県別に定数を割り振ってまいりますと、三十県で五十六人の減。要するに、五百十二人から五百人への減というのは、全体としては十二人の減になっておりますが、それを分解いたしますと、県別には三十県で五十六人の減、九県で四十五人の増になろうかと思います。さらにこれを現在の中選挙区に同じように人口比で割って、最大剰余法で各選挙区別に割り振ってまいりますと、これまた私の推算でありますが、六十三選挙区で七十五人の減、三十三選挙区で六十四人の増ということで、大変な増減の変化が行われます。 そして、その結果どういう選挙区が出るかと申しますと、国会決議で解決をしなければならないと言われております六人区以上が全体で二十一選挙区、六人の選挙区が八、七人区が九、八人区が三、九人区が一つというような状態になります。それから二人区、一人区が三十一選挙区できるかと思います。一人区が三、二人区が二十八という状態であります。 前回の八増・七減の結果の二人区とか六人区、それは御承知のように六人区が一つで二人区が四つであります。その解消すら大変困難で、思うようにいかなかったという過去の現実がございます。これが今申し上げましたように六人区以上が二十一、二人区以下が三十一、これを分解しなければならないという大作業になるかと思います。これは本当に大変な議論をしながら大作業をやらなければなりませんので、大変難しい問題がありますが、ここまでの数字については、これは機械的な計算ですから、恐らく自治省が計算されても同じような結果になるだろうと思います。それから先の分解、その措置をどうするかということは、これはじっくりと議論しなければならない問題でありますが、大変粗っぽいのですが、問題の輪郭を御理解いただくために私なりにやってみました。 これを仮に国会決議の基本的な方向に従って是正するといたしますと、このために全県一区に合区をする選挙区が十六選挙区出てまいります。要するに新たに八県全県一区が出てまいります。そのほか単純合併、お隣の選挙区と合併をする、例えば長野一区と二区を合併、三区と四区を合併、新潟一区と二区を合併、三区と四区を合併というような形になる選挙区が十六選挙区出てまいります。それから、二人区以下になってそれだけでは単純に生存できない、決議の基本姿から考えますと隣の選挙区の一部を人間一人とともに持ってくる、隣の選挙区の一部と合区をするのが九選挙区出てまいります。それから、六人区以上になったために分割をする、あるいは隣に二人区ができたから割愛をしてやるとかというところが二十五選挙区出てまいります。合わせて、現在百三十選挙区のうちの六十六選挙区が今のような形で大変な線引きをしなければならない。この辺の前提の認識というものが、今党内の議論を伺っておりましても、まだまだ欠けているのではないかな。 同時に、選挙資金の問題に関連いたしまして、今まで何とかかんとか曲がりなりにも選挙資金の獲得ができてきた。しかし、これからの基本的な方向は、政治資金も規制が厳しくなる考え方の中で、我々の政治資金の獲得というものもだんだん厳しくなっていくと考えざるを得ない。要するに、中選挙区か小選挙区かの議論をする前に、今の中選挙区のままでも大変なんですよ、あるいは政治資金の面からいっても、今のままではだんだん動きがとれなくなってきますという認識が全体として必要なのではないか。 そういう意味で、選挙制度審議会が答申の中で、選挙制度とかあるいは政治資金の問題とか政党法はワンパッケージだと言われたわけでありますが、まさにワンパッケージでこれからこの問題を議論し、解決をしていかなければならないのではないかと思っておりますが、その考え方について、簡単で結構でございますからお答えいただきたいと思います。
○中馬政府委員 今おっしゃいましたように、福島先生の大変な御労作を私も見せていただきましたが、何も一対三が公正なものでもない。一票の重さを国民の負託にこたえて正しく直していこうとするならば、中選挙区を前提としましても、今おっしゃるように百に近い選挙区を全部いじってしまわなければならない。この大変な混乱が果たしていいのかどうか。 それよりも今議論になっております、お金のかからない、範囲を少し狭めて、そして政党本位、政策本位の選挙制度にしていく方が正しいのではなかろうか。そういう議論の中から、ここでびほう策としての何増・何減といったことで選挙区を少しいじって、また糊塗するのではなくて、ここで一挙に変えてしまおう、本当に二十一世紀を展望した日本の民主主義制度を確立しようというのが今回の答申だ、このように認識させていただいております。
○福島委員 具体的に、格差是正の問題について多少の御質問をいたしたいと思います。 答申では「各選挙区間の人口の格差は一対二未満とすることを基本原則とする。」と書いてありますが、基本原則という言葉の意味合いがちょっとわかりません。憲法として侵すべからざるものだとおっしゃるのか、例外はあり得るのか、簡単でいいですから、そこのところをちょっとお答えいただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 これは答申の考え方を御説明申し上げるということに相なろうかと思いますが、基本原則という意味は、それをできるだけ忠実に守るべきことは当然でありますが、一切の例外を許さないということではないと思います。
○福島委員 それから答申では、「地勢、交通、歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮する」とございます。さきの国会決議では、「抜本改正に際しては、二人区・六人区の解消並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行い、併せて、過疎・過密等地域の実情に配慮した定数の配分を期するものとする。」とございます。今回の答申は、答申みずからが言っておりますように、その諸条件を総合的に考慮したと言えるのか、あるいは国会決議に言う過疎・過密というものを考慮に入れたと言えるのか、その点について端的にお答えいただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 私は端的に言いますと、一票の価値の平等ということを非常に重く見ておるということだと思います。
○福島委員 お話しのとおりでありまして、まさに一票の価値の重さ、要するに人口割を基本にしたということであって、私はそこに大変大きな問題が一つあると思います。 すなわち、答申で言うところの地勢、交通、歴史的沿革その他の諸条件は全く考えていない、過疎・過密を全く考えていない。したがって、その結果、例えば鹿児島選出の国会議員が怒っておられますのは、この答申の別表にあります国会議員一人当たりの人口が鹿児島は四十五万四千八百十八人である。東京は四十万七千九百九人だ。過密の東京よりも鹿児島の方が国会議員一人当たりの抱えておる人口というのは多いのだ。これは改正ではなくて改悪ではないかと言われる気持ちというのは、まことにもっともだと私は思います。 仮に鹿児島がこの四十五万四千八百十八人という数字であれば、東京の人口が今千百八十二万九千人ですから、鹿児島の四十五万で割りますと二十六人でいいわけですが、この表では二十九人になっております。三人多くなります。大阪でも二人多くなります。そういう東京、大阪よりもはるかに過疎地域の方が先ほどの国会決議の精神からいうと割がよくていいのが、逆に割が悪くなっているという状態であります。そこのところはやはり調整をしていかなければならないのではないか。 その原因の一つは、私はこの端数処理の方法が最大剰余法をとっておるということだと思います。これを解決する一つの手段は、少数県に対してその端数処理の重みを増してやる。比較はちょっと変かもしれませんが、亡くなった松下幸之助さんの一万円と私どもの一万円では全然重みが違うわけであります。 例えば、今三つの県があるとします。きちっとその基準人口で割った数字が、ある県が五・六人、ある県が三・四人、ある県が三十・九人になったとします。そうしますと、今の最大剰余法というのは、この三十・九人の〇・九が一番大きいですから、ここを三十一人に切り上げるということであります。これは九牛の一毛みたいな感じであります。むしろその端数の持つ重みというものを各県によって、例えば五・六人の〇・六の部分が五人に対する重み、〇・六を五で割りますと〇・一二、三・四人といいますのは、〇・四というのを三人で割りますと〇・一三三、〇・九人を三十人で割りますと〇・〇三。ですから、最大剰余法の順位と違いまして、この場合には三十・九人というのは一番どんじりになりまして、最初に切り上げていいのは三・四人、そこが切り上がってきます。少数の県に切り上げを優位にするという方向が一つ考えられるのではないか。 こんな制度が世界の今までの定数配分にあるかどうか、私も寡聞にして知りません。それはドントとか最大剰余法とか、横文字の三つくらいいろいろなのがありますが、こんな方式があるかどうかは知りません。もしないとして、あえて名づければ最大価値法とでもいいますか、そういう処理方法があることも過疎地域に対する配慮であって、単なる最大剰余法というのはそこに矛盾があるのではないか。 もう一つ一番すっきりと簡単に、結果的にも非常にいい結果になりますのは、各県にそういう調整として全部最初に一人付与してしまう。五百人なら四十七人を各県に一人ずつ付与して、残りの四百五十三人を人口割でやる。これは一つの政策判断で、学者の議論からするといろいろな問題があるかもしれません。何で各県に一人やるのだ、アメリカのように連邦制度における州なら別として、日本の中の県にそういうことが果たして学問的に許されるかどうか、これは確かに問題だとは思いますが、先ほどの鹿児島を例に引いて言いましたようなアンバランス、地方の過疎地域からしてのアンバランス。この人たちは、大阪や東京など国政選挙で投票率がたった三割とか四割なんというのが平気であるところに、何で国会議員をたくさんやらなければならないんだ、そんな議論すらあるわけであります。やはり私は、この国会決議における過疎・過密の配慮というものを何らかの形で織り込まなければ、この御答申で「総合的に考慮する」とおっしゃっておりながら、そこが全然なされていないということが一つの大きな問題点であろうと思っております。 それから政務次官、これは政治家としてどういうお答えをいただけるか。この都会に定数が割に少ない、地方に多いという状態については、これは単に国内の問題だけではなくて、国際的にも問題であるという御意見についてどうお考えになられますか。
○中馬政府委員 今の先生の一つの案、これも一つの見識かと思います。審議会としましても、各党の御意見もちょうだいするという中で、この国会の公選特の中で正式に御提言があったということで……(福島委員「そこは結構ですから、国際的にというところです」と呼ぶ)国際的にといったことに関しまして私もつまびらかに調査をいたしておりませんが、必要性はやはり人口の集中したところ、そこからまた多くの議員が出されて、そしてそれ中心の、御承知のように議院内閣制その他にしましても、これは多数の原理が働きますから、そこに政策課題が、あるいはいろいろな政治的な財政配分が多く重なるといったことも十分に考えられます。それがいいのかどうか、私も若干疑問には思っている点がございますから、何らかのいい方法がありましたら、ぜひともそういった要素も加味したものができればということは、個人的に率直に思っております。
○福島委員 何でこんな質問をしたかと申しますと、「ジス・イズ読売」の六月号ですが、今回の選挙制度審議会の堀江第一委員長が論文をお書きになっております。その中で 日米構造協議でも部分的には言及されたようだが、現状のような都市の過少代表と過疎地の過剰代表がそのまま推移すると、これは単に国内の民主主義の問題にとどまらず国際的な問題にもなりかねない。一票の格差是正というのは国内的にも国際的にも緊急の課題である こうおっしゃっておられます。果たして審議会の議論の中で、この格差是正の話が日米構造協議の関連において議論されたかどうかということは私はつまびらかでございませんが、御本人がこうおっしゃっておられるわけでありますから、そんな話もあるいはあったのかな。しかし私は、日本の国会の定数をどう配分するかということについてまで日米構造協議の議論の対象になるなんという話は、本当に変な話ではないかなと思いますし、そのところは抜きにいたしまして、一対一原則というものに少しとらわれ過ぎておるのではないか。 この前も第一委員長に直接申し上げたことでございますが、堀江委員長は同じ論文の中で「過疎地に対して適切な配慮を示すことも大事だが、あくまでも基本原則は一対一の目標に向かって努力することが大事だ。」こう本当におっしゃっておられます。そして「小選挙区制で一議席になる鳥取に対して二議席を与えたのはそういう配慮の現れだし、幸いなことに、鳥取に二議席与えることで、府県間格差も縮小するぎょう幸も伴っていた。」こう書いておられます。 確かに鳥取が一人の場合には、香川県が分母で鳥取県が分子で一・八一であります。これに一人を加えて二人になったために、今度はいきなり鳥取県が逆に分母になって、そして鹿児島県が分子になって一・四八、確かに格差は縮小されました。しかし、私は人口割なら人口割を基本としているのであれば、結果としての格差が一・八であろうと一・四であろうと関係ない話だと思います。僥幸も伴ったといって喜んでおいでになるわけですが、私は、幾ら何でも一人特別の付与という恣意的なやり方で、四十六県ゴボウ抜きにして一番割のいい県にしたということはいかがなことか、こう思っております。 同時に、これはちょっと細かくなりますが、審議会では三百人が小選挙区だということで、三百人を基本として人口割で計算をしましたから鳥取が一になっております。私はいろいろな理由で、三百の定数の配分におきましても、人口割なら人口割を基本として、まず五百の総定数を各県に配分をしてみるべきだ、そしてそれを各県ごとに小選挙区と比例代表の部分を六、四で配分してみるべきだ、あるいは少なくとも検算的にそうすべきだと思っております。仮に五百でやって六、四で鳥取におろしていきますと、何も特別に一人を付与しないでも、立派に二人の数字が出てきます。特別の付与という形をしないでも、すんなりと二人の数字が出てくるわけです。何も三百を三百一にする、五百を五百一にしないで当然に出てくる話でありますから、私は今回の御答申の基本的な姿を考えていっても、三百一というのはうなずけないなと思っております。 今のように五百人で割っていきますと、鳥取が三になります。それを審議会のいう三百人で一になった鳥取、逆に言うと三から一を引いた二が比例代表という、これは観念的な数字になりますから、小選挙区が一人で、比例代表に、ブロックという考え方をとっておりますが、いわば鳥取県から供出をした分が二人だ。逆転をしているわけですから、三百人で割ったことに大変問題があったと思っております。これは後でブロックそのものの問題に関連しますから、今ここでお答えはいただきません。その数字については間違いないと思いますが、いかがでございますか。中身の話は結構です。
○浅野(大)政府委員 五百というのを人口比で割りますと、鳥取が三になるであろうという点につきましては、計算はそのとおりだと思います。 その他の部分は要らないということでございますが、ただ一応審議会の答申について簡単に申し上げておきますと、最大剰余法というのをとりましたのは、今までいろいろな方式があるうちで、比較的小規模の県にドント式なんかに比べればまだより有利に働くのではないかという点も考慮されたということは、御了解いただきたいと思います。
○福島委員 私がなぜ人口割に非常にこだわるかということにつきましては、選挙区を人口比で一対一に最大限に近づけるということを金科玉条としてやっていくという、今いろいろな例示を申し上げましたが、審議会の考え方、それでいきますと、ようかんではないのですから、うまく切れないのですね。私は、選挙区は一つの生き物だと思っております。私ども政治家にとっては、選挙区というのは私どもを支持してくださる支援者の一つの区画ですから、まさに大きな財産であります。その財産を勝手気ままに切り刻まれては大変だなというところに、あえて人口比だけで一対一を金科玉条とするということに大変大きな問題があると思っております。 なお、格差是正の問題については、これは余り深く入りますともう時間がありませんが、三対一の憲法違反論についても大変問題があるのだと思っております。もしそれを貫いていくのであれば、衆議院だけでなくて参議院も同じ考え方でいかなければ、国民の代表権、国政に対する参加権、一票の同じ意味でなければならないという精神からして、衆議院は二対一だが、参議院は今何にも言っておりません。衆議院は三対一ですから。何にも言ってない。何にも言えないわけであります。それは、今の参議院の定数では絶対に三対一以下には、四対一以下にもできないということなんです。要するに、定数が小さくなったら物理的にできないということなんですね。私、仮にちょっと計算をしてみましたら、参議院で三対一を確保するためには、今の地方区の百五十二人を十二人増員しないとできません。二対一にするためには、何と八十人増員しないと二対一は確保できません。 同じことは衆議院でも言えると思うのです。さっき鳥取を二人にしてしまったために、鳥取県が分母になりました。鳥取県がどんどん人口が減っできますと、二対一も簡単に割ることが考えられます。そのとき一体何と説明されるか。そのときは、今度は二人にしたのを一人に減らさなければつじつまが合わなくなる。格差を縮めるために一人特別にやった。減ってきたら、今度は格差を維持するために一入減らさなければならない、そんな話になるので、格差というものは原則的には小さい方がいいということは言えても、絶対要件ではないのではないかと私は思っております。しかし、せっかく小委員会も設置されておることでありますし、これはまだその辺で十分に議論をしてまいりたいと思っておりますので、これ以上触れません。 格差に関連して、区割りの問題について触れてまいります。 答申では「市町村の区域は、分割しないことを原則とする。」と書いてあります。それから郡の方につきましては、「郡の区域は、できるだけ分割しない」と書いてあります。「原則とする。」と「できるだけ分割しない」というのはどういうニュアンスの差があるか簡単にお答えいただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 これは完全に数量的に申し上げることができるかどうかわかりませんが、ニュアンスとしては、「原則とする。」という方が原則に忠実であることをより強く求めているというような感じだと思います。例えば郡の場合ですと、ある程度人口バランスのために郡の中が分かれることもやむを得ないと、比較的認めやすいのではないだろうか。しかし、とにかく市町村の区域は割らないということをできるだけ貫こうというようなニュアンスの違いはあるかと思います。
○福島委員 日本語の感覚としてそういうことかなとは思います。 それでは、書いてないことでこういうことが可能かどうか伺いたいと思いますが、地方におけるある郡の中における市、その市だけを抜き出してほかの地域と合体をさせるということが考えられるかどうか、この点について簡単にお答えいただきたいと思います。書いてありません。
○浅野(大)政府委員 具体の区割りは審議会でお決めいただきますので、私見というような言い方でここで申し上げさせていただくことがいいのかどうか疑問でございますけれども、答申を読みましたことから出てまいりますことは、飛び地をつくらないというようなことも一方であるわけでございます。問題は、今例示として挙げられました市の人口規模がどのくらいかということとも関連するのではないだろうかと思います。
○福島委員 郡の中に市が真ん中にあったら飛び地になりますが、郡境に市があったときには飛び地にならないことがあり得るわけですから、そのときに、その市の部分だけを隣にくっつけるということについて伺っておるわけです。
○浅野(大)政府委員 恐らく御指摘は、その市がもともと郡としては同じ郡であったが、独立して市になっているのだという意味だと理解いたしました上で、その場合は、現在は市になっておりますものですから、その市を人口バランス上別の方の地域に持っていくということは、答申の原則からいきますと、余り原則を外れたということにはなってこないのではないかと思います。と申しますのは、今でも都道府県会議員の選挙区は、市郡単位でやっておるというようなことも地域的にはございます。
○福島委員 恐らくそういうことをやらないと、実際に区割りがなかなかできないことになるのだろうと思いますが、郡の中における市というのは、日本における東京、田舎においては郡の中における首都なのです。その首都の部分だけを引き裂いて持っていくという形は、私は原則的に考えられないことだと思います。答申にいろいろなことが書いてありますが、その部分については何も書いてないものですから、やはりここはきちっと御相談をいただいて、その原則の中に何らかつけ加えていただく必要があるのではないかなと思っております。 区割りの問題については、自治大臣が十一時ぐらいにはお見えになるそうですから、少しお許しをいただいて、大臣においでいただいてからにいたします。 比例代表のブロック問題について前回も問題提起をいたしました。その後いろいろと考えてみましたが、大変問題が多いと思います。答申では比例代表の部分で「都道府県単位とした場合には比例代表制の趣旨が活かされないこと、」と書いてあります。もう一つは、「他方、今日では行政をはじめ経済その他の面において都道府県を超えた広域的な結びつきが見られ、」要するにブロック制にすることによって広域行政のために資するという、その二つが書いてあると思います。その二つについて、最初に広域的な面というのは、小選挙区の部分というのはそういう意味からすると逆に小さく細分しているわけですから、広域行政に相反する方向になります。選挙制度の基本を小選挙区にしておきながら、そのバランスがあるから逆に片方は大きくしたということならともかくとして、多少問題ではないか。 特に、そういう意味でブロックで広域性とおっしゃる中に問題がありますのは、北陸信越の新潟、富山、石川、福井の北陸四県に長野をくっつけて広域性とおっしゃっておる。あるいは南関東に、千葉、神奈川に山梨をくっつけておられる。千葉と山梨とではどういう広域性があるのかな。大変な無理があります。そういうことを考えてくると、むしろ山梨と長野、あるいはさらに岐阜あたりをくっつけた方が、武田信玄、上杉謙信、それに織田さんあたりも入れて昔の歴史の流れに沿った広域地域であって、このブロックのつくり方は、山梨と神奈川、確かにちょこっとくっついておりますが、それに千葉まで考えて広域行政だ、大変な無理があると思います。 そこは抜きにいたしましても、もう一つ問題がありますのは「比例代表制の趣旨が活かされない」。確かに小さい定数になってきますと、比例代表に中小政党がありつけないという意味で言っておられるのだと思いますが、私は、比例代表の配分は全国の計で各党に配分して、ちょうど西独方式になるかと思いますけれども、それを今度は各党別に県に配分していく。技術的に非常に難しいと思います。その考え方をこれから考えて詰めていかなければなりませんが、そうしておけばブロックにする必要性は全然なくなってくるのではないかなと思っております。 そして、この比例代表の持つもう一つの意味は、この前ブロック制にしたことについての意味ということに疑問を持ちましたのは、前回申し上げましたように、やはりその部分が今までの衆議院の本質と違って、むしろ参議院の、少なくとも今までの参議院的なものになってしまう。衆議院議員五百一人のうちの五分の二が今までの衆議院と全く質を異にした参議院議員的な性格になってしまう、そこに大変に大きな問題があると思っております。そのためにも、比例代表をとるとした場合においても、ブロック単位ではなくて県単位にすべきである。ただ、そこは全国計で配分することによって、この審議会の答申が「都道府県単位とした場合には比例代表制の趣旨が活かされない」と書いてありますが、生かす方法があるのではないか。方法が全然ないかどうかだけお答えいただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 答申で書いております県単位というのは、初めから県に定数を割り振って、その上でやるということを頭に置いて書いておりますものですから、今委員の方から御指摘がありましたような方法は、また全然別の観点からのやり方になろうかと思います。
○福島委員 なお、ブロックではどうしても難しいというのは、現実にその順位が決められないということがございます。この点についてはお許しをいただきまして、自治大臣がお見えになりましてから具体的に自治大臣にお答えをお願いしたいと思いますので、ちょっと保留させていただきたいと思います。 ちょっとテーマが変わりますが、資産公開について触れておきたいと思います。資産公開について国会等で何ら議論がなされていないではないかというような新聞の批判がございましたので、そういう意味で、あえてこの問題についてちょっと触れておきたいと思います。 資産公開については、これは事柄の性格的に、国会議員全般の問題であるということにおいて、議運を中心としての議論がなされておるように承知をいたしております。そして、現在実施をいたしておりますのは、閣僚と政務次官であることは御承知のとおりでございます。そして、その答申には、政治家の資産公開につきましては「国会において適切な措置がとられることを期待する。」というように言っておいでであります。 そこで、まず私は、国会における資産公開もそれはそれとして進めていかなければならないと思いますが、その場合に私自身の経験に照らして最も考えていかなければならないのは、プライベートの尊重ということだと思っております。今の閣僚、政務次官の資産公開については、一つの基準を置いて、例えば資産については固定資産税の評価額で書く、そういう基準がいろいろ決められてやられております。しかし、そうしてやられた結果は、私自身昨年労働大臣になった途端に資産公開を提出いたしました。そして、新聞でいろいろと言われましたことは、まず皆さん時価換算をされるということなんですね。 それで、私も一台の車についてどういう車を一台持っていると申告をいたしました。そうしますと、それをある新聞は時価評価で一千万と書かれました。私はある方の使っておった中古を買ったのですが、もう買ったときからせいぜい三百万ぐらいの車で、恐らく今売ったら五十万にも売れるかなというような車が一千万になりました。それから、ゴルフ場を申告いたしました。箱根カントリー、平日会員であります。八十万で買って、今売っても八十万でしか回収できない会員権であります。一億数千万と書かれました。東京都内におやじが残した小さな家もあるものですから、これは新聞で言いますとすぐ何十億の豪邸になります。ノミナルでは全体として大変な大資産家になりますが、実態はそんな話ではありません。それを新聞で見た田舎の私の有権者の支持者の奥さんが、私どもよりもこんなにお金持ちなのに何で私たちが政治献金をしなければならないのと言って、その御主人の私の友人のお医者さんに質問をしたということであります。 今の資産公開というのは制度的にいろいろなところに問題があって、きょうもマスコミおいでになりますが、むしろそののぞき見趣味のいけにえになっておるところがあるのではないか。やはりプライベートはきちっと尊重する。そして諸外国では、例えば固定資産を出すときにも、自分の住んでいる住宅は除くとまで、アメリカもそれからフランスかイギリスもそういう制度をとって、きちっとしたプライベートを守るという精神を貫いておる。やはりその辺に大変な制度的な困難さがあると思っております。そこをどうクリアするのかということが私は最大の問題点であろうと思っております。そのことを言いたくてきょうは資産公開のお話を申し上げたのです。 そのほか諸外国の例では、国会議員だけではなくて、権限を有する政府高官あるいは地方の県会議長さんとか、そういう方々に範囲を広めておられる国もございます。そういう方の任命の形態とかいろいろなことが違いますから、何もそれを見習えと言うつもりは毛頭ありませんが、我々国会議員だけの問題ではなくて、そういうような対象についてどうするかということを、結果がどうであろうと御研究されることもあるいは必要なのではないかな。ただ、これは自治省の所管範囲の話ではなくなってしまいますから、お答えは必要といたしませんけれども、やはり我々国会議員だけの問題なのかどうかということについては、政府としても一つの御勉強はいただきたいなと思っております。 それから、参議院制度については、これからいろいろな点で御議論があると伺っております。そしてまたその基本は、参議院の問題でありますから、私ども衆議院議員が余り深入りするのはどうかなということもございますが、一つだけ私はこの前から疑問に思っておることがございます。 それは比例代表の当選者が、議席にある人が任期の途中でやめて、そのときに繰り上げ当選がされる。このことは今回の答申には、衆議院の比例代表についてどうするかということは書いてありませんけれども、考え方として同じようなことなのかなと思うのが一点。そのとおりかどうか。 それから、参議院の場合は衆議院と違った意味で非常に問題がありますのは、六年任期がある。その途中の三年になる寸前にやめて繰り上げ当選をさせておいて、すぐ次の参議院選挙にやめた方がまた立候補するということは、一人二役だ。六年の任期がありながら途中でやめて、繰り上げ当選をやって、自分は次の選挙に出るというのですから、六年間に二遍選挙をやるわけです。よほど強い人気のある人だったら、そうやると一人完全に抱えて出して、自分がまたすぐ出れるということですから、これは非常に不都合な話であって、私はこのことは法律で禁止してもしかるべきではないかなと思いますが、その点についてちょっとお答えいただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 まず補充の問題でございます。これは成案化の段階で法制的にも詰めた議論をする必要がありますが、私は考え方としては、参議院と同じように、欠けた場合には繰り上げ補充は考えていくべきものであろうと思っております。 それから二番目のお話は、一つの大きな政策的な判断がそこには必要となってくることでございますので、なかなか今私の口から簡単にどうすべきであるというところまで申し上げることは困難でございますけれども、例えば現在、地方の知事なり市町村長なりそういう首長さんの場合については、公職選挙法上規定を設けておりますのは、一般的には、そういう首長さんが任期途中でおやめになりまして、次に選挙がありますと、そこから四年の任期が始まるのが一般でございますが、それをあえてみずからやめて再度立候補した場合は、残任の期間しかその任期は認めない、こういう規定を置いておるという例はあるわけでございます。
○福島委員 自治大臣が見えてからと思って少しずつ残したことがございますが、なかなかお見えになりませんので順番が入り繰ってしまいましたけれども、区割りにちょっと戻りまして、実は選挙区の区割りというものは、新聞等で伺いますと、審議会自身ではなさらずに、自治省がその事務を担当するというように伺っておりますが、いつからその作業を開始をされて、大体いつごろまでに一応その作業を完了される予定でおられるかをまずちょっと伺ってみたいと思います。
○浅野(大)政府委員 選挙制度審議会と申しましても、委員はおられますが、実際の事務方としては私ども選挙部の職員が務めさせていただいております。したがいまして、いろいろな事務的な作業については、そういう事務局の立場でお手伝いをするわけでございまして、審議会の方としては、そういう事務的ないろいろな作業はやるように言われておりますのですから、そういう意味では取りかかったと言ってもよろしいかと思いますが、ただ、特別やり方について形式があるわけでございませんから、いろいろ基礎的な資料を集めるというところから現在始めておるところでございます。 ただ、今の段階では、一体いつごろになれば事務的にしろ一応の整理ができるか、そこまでまだ見当がつきかねる段階でございますので、その点については明確にお答えできないことを御容赦いただきたいと思います。
○福島委員 私は、先ほどの一対一の問題との関連において、区割り問題というのは本当に難しい問題だと思っております。私は熊本県第二区でありますが、現実に熊本県第二区をどうやって区割りするかということについては、これは恐らく熊本二区選出の国会議員が一番詳しいんだと思います。選挙区自身さっき申し上げたように私どもの最大の財産ですから、普通の方がどなたも行ってないような隅から隅まで全部歩いて知っております。しかし、同じ熊本県であっても一区の方になりますと、では一区をどうやって区割りするかな。今度の案では熊本県全体が五人、ちょうど一区を三つに、二区を二つに割ると平均人口は大体きちっとうまくいきますから、そういう感じでいいのだと思います。二区の方は私自身は同じようなきれいな案が二通りできます。どっちをとるかは問題ですが、これはきちっとできます。 では、一区の方をやってみようと思って、私はこの前から一生懸命やってみているのです。難しいのです。とても難しい。わからないのですね。同じ熊本県で一区、二区の差はあるけれども、同じ国会議員で、隣の選挙区でありながらわからない。自治省の選挙部に有能な方が本当にたくさんそろっておいでになりますけれども、全国津々浦々の具体的な状況というものは、熊本二区なら二区について私以上に、あるいは社会党も入れて、社会党の馬場さん以上に自治省の皆さん方が詳しく判断できるとは思いません。これは自信を持って言えると思います。政務次官、いかがですか、御自分の選挙区で考えられて。お答えは要りません。 それで、ゲリマンダーだとかハトマンダーだとか、過去に問題を起こしました。これは政権党が勝手に政権党だけの利害を考えて区割りをするから批判を受けたのだと思います。この問題は一番詳しい人の意見は率直に聞くべきである。もちろん自民党だけではないのですよ。野党の皆さん方にも、その選挙区の区割りをするときには、ゲリマンダー、ハトマンダーにならないように、みんなに公開で聞いていいと思うのです。これは私の提案ですから、立派なフクマンダーができ上がると思います。そういうことも問題があるかもしれませんが、むしろ今聞いておりますと、第三者機関でなければ区割りができない、国会議員の区割りが国会みずからできないと言われることは大変残念なことでありまして、私はそんなことはないと思います。私ども与野党の皆さん方が一緒になって、公開の場でいいのですよ、きちっと議論をしてやっていけば、こんな話はきちっとできます。自民党だけでやらせるから、ハトマンダーだ、ゲリマンダーだになると思います。そのことを意見として申し上げておきたいと思います。 時間がありませんので、せっかくおいでいただきました奥田自治大臣に二点だけお答えをいただきたいと思います。 私は先ほどから、比例代表についてはブロック制は大変問題だということを申し上げておきました。中身は後でお聞き取りいただきたいと思います。今お聞きいたしたいのは、その順位づけが不可能だということを私は申し上げたいと思います。自治大臣、もし比例代表で石川県から森喜朗先生と奥田敬和先生二人出されたときに、奥田自治大臣二位とされたらどんなお考えをお持ちになられますか。お答えいただけますか。
○奥田国務大臣 答申をいただきましたけれども、その中で、いわゆる比例代表ブロックという形の答申をいただいたわけであります。私の立場からいえば、答申は最大限尊重という御返事にしかならないわけであります。しかし、これは政党の運命にも関し、個人の身分にも関するという重大な内容を持っておるわけでありますから、例えばこのブロック制がいいのか全国一律の形がいいのかということは、当然この委員会で御論議をしていただき、各党の論議を踏まえた上で正すべきは正していく。あくまでも国会は国会ですから、政党は政党でございますから、あくまでも答申は私たちは尊重はいたしますけれども、これはあくまでも一つの議論の原点、たたき台という形で御論議をいただく、そういったことでいいと私は思っております。したがって、今ブロック制がいいとか悪いとかという形は、私はむしろ議員らの御意見をお聞きした上で、成案化のための一つのステップに持っていきたいという気持ちでございます、 そして順位づけ、これはしかし今度の答申の一番大事なとこうは、政党本位、政策本位の選挙制度という形の中での基本の原点はまさにそこにあると私は思っておりますから、政党に対して功績があり、政策に熟達したという形の順位づけであって、ブロックの中での順位づけということで今私とだれかをなぞらえられて言いましたけれども、これは大変難しいだろうと思います。しかし、あくまでも政党本位の政治ということを目指すなら、政党が責任を持って比例代表の人物に順位をつけていくという形は、これは政党自体の責任であろう、私はそう思います。
○福島委員 具体的に私は例を申し上げます。私は、観念的には政党が決めるんだというお答え、それはそれでしょうがありません。何で今石川県で二人だけ名前を挙げたかということなんですが、もし県単位でやるんなら森先生と奥田先生と、何ぼ立派な幹事長でもどっちが上だというのはなかなか言えないですよ。そうしたら、どっちかを小選挙区にして、どっちかを比例代表にするという相談はできるのです、振りかえが。 ところが、ブロックにしますと、例えば北陸信越ブロック、石川県、奥田敬和先生八期、敬称略、森喜朗八期、瓦力七期、坂本三十次九期、綿貫民輔八期、平泉渉、これは参議院がありますが五期、小沢辰男十一期、佐藤隆六期プラス参議院、村山達雄十期、高鳥修八期、羽田孜八期、唐沢俊二郎八期、そうそうたる方々が閣僚経験者でこれだけおられます。これがブロックですね。このブロック、このうち何人かは東京、大阪へお国がえしなければならぬようになるかもしれませんが、それにしてもこういった方々を数人から十人並べて、どうやって順番をつけるかということです。中国ブロックで見てください。宮澤先生、安倍先生、竹下先生、櫻内議長、こんな方々がいる。どうやって順番を決めるかということ。決めようがないんだというのが実態だと私は思うのです。 選挙制度審議会の皆さん方にはそういう頭の中の御認識はないかもしれませんが、これはどんなに有能な幹事長であっても、この順位づけは私は不可能だ。参議院で比例代表をやっているじゃないかという話があるかもしれませんが、参議院の比例代表はそれぞれ個人の政治家の評価じゃなくて、集票能力といいますか、あるいはバックになっている団体の力関係とか、そういうことがあるから、まだそれでも納得いかないわけですが、まあしょうがないやという話になるのです。個人の政治家としての党に対する経験とか能力とかいうことで、今のようなこういう方々の順位づけをだれができるかということだと思うのです。私はそこにこのブロック制度というものの現実的にできない、絶対できないということの一つがあろうかと思いますので、その点はよくお含みをいただきたいと思います。 それから最後に一点。私は、これだけでも大改革でありますから、やはり大改革をするについては民意を問えという議論が当然に出てくるだろうと思います。消費税についても出ました。しかし、これが大変難しい話は、選挙制度のみならずいろいろな制度をワンパッケージだと言っておりますから、政党法だとか政治資金規正法の改正とかいろいろな問題が絡んできます。この全体を理解するということは、今、国会の中であるいは党の中でいろいろな議論をしておりますが、現職国会議員でもまだまだ本当に一〇〇%理解している方は何人おられるかなと、失礼ながら思う程度であります。一般の有権者、国民の皆様方にとっては、これをトータルで判断するということは大変困難な問題を生ずると思います。 また、有権者の立場からすると、小選挙区というのは、いわばあてがいぶちの定食を食へということですし、今までの中選挙区というのは、アラカルトで好きなものを有権者の判断で食えばいいということですから、有権者としてのおもしろみは、どっちかというとあるいは中選挙区にあるのかもしれない。政党本位なんていったって感覚はない。やはり何のたれべえに親近感を感じて投票してきたという今までの日本の長い歴史的な風土があるわけですから、有権者に判断を問えというのはあるいは正論かもしれませんが、判断を問うた結果はどんなことになるのかなと思いますと、この問題について解散・総選挙で民意を問えというのは、一部既にそういう議論をなさる方もあるし、マスコミの中でもそういう議論をされる方もありますけれども、果たしてそういうことなのかな。ここは本来解散権は総理大臣にあるのは承知の上で、自治大臣、総理大臣になったおつもりでお答えをしていただきたいと思います。
○奥田国務大臣 私の期待するのは、今先生が御指摘になったように、ブロック制も含めた是か非かという論議を踏まえて、そういった貴重な論議を基礎にして成案化に努力するというのが私の今の立場でございます。 しかし、その成案が仮にできたとして、その結果を民意に問うべきじゃないかという形は、これは国会の問題でありますし、各党の論議の経過を踏まえて決断されるべきことであろうと思います。今の私の立場は、ともかくそういった貴重な論議を踏まえて、たたき台の成案をつくるべく、国会百年というこういった選挙制度改革を望む国民の声、こういうものを十分背景にしながらそういった形に努力するということで、それの結果を携えてどうするかこうするかは国会でお決めになり、また総理がそれに対して民意を問うという形に決断されるかどうかは、別なケースの問題であろうと思っております。
○福島委員 時間が参りました。大臣の関係で時間を超過させていただきましたことをお礼を申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中山委員長 池田元久君。
○池田(元)委員 神奈川四区選出の池田元久でございます。よろしくお願いいたします。 きょうは選挙制度の問題を中心に論議をするつもりですが、選挙制度や政治資金の規制といった問題は、言うまでもなく議会制民主主義のルール、土俵といった問題であります。政党次元、そしてまた政党本位の主張ではなく、できるだけそういったものから離れて論議をしたいと思います。 まず、今回の政治改革は、何といってもリクルート事件に対する反省から出発したと思います。金権腐敗を防止すること、そして金のかからない政治を実現すること、そういったところが目的であったと思います。しかし、最近の政治改革、そういった政治改革は選挙制度の改革が中心になっている、そう言って差し支えないと思います。今回の答申を見ましても、前半の選挙制度のところは別といたしまして、後半の政治資金制度の問題などにつきましては、特に企業献金の取り扱いなどにつきましては、これまでの答申よりもむしろ後退しているといった内容も見られると思います。この点は後で時間があればただしたいのですが、政治の原点を忘れているのではないか、そういった印象がぬぐえません。大臣の御所見を伺いたいと思います。
○奥田国務大臣 今回の答申、過去に七次までの答申をいただいておるわけですが、私は今回の答申の特徴は、御批判はあろうと思いますけれども、やはり政治家が入ってない、そして政党が余り関与しないで、広く学識経験の方によって民意というものを酌み取っていただいた。答申内容として、私は私なりにこれは高く評価されるべきものであろうと思っております。 もちろん金と政治のまつわり、そしてリクルート事件という事件を背景にして、国民の今日の政治に対する不信がこれほど高まった時期はかってないくらいの情勢でございますし、そういった形の癒着からいかにしたら――政治の改革の原点というものは、突き詰めていけば今日の選挙制度にあるのじゃなかろうか、そういった中で得られた答申でございますから、この内容についてはいろいろな御論議がなされるべきであることは当然でありますけれども、やはり私としては権威のある第三者機関の答申ということで、これを最大限尊重して成案を得るように努力したいと思っております。
○池田(元)委員 最大限尊重とおっしゃいましたが、先ほど奥田大臣はたたき台という表現もされましたので、私は後者の方をということで理解をしていきたいと思います。 さて、昨年五月に出されました自民党の政治改革大綱、網羅的でいろいろ言っているところはそれなりに評価できると思うのですが、選挙制度につきましては、「小選挙区制の導入を基本とした選挙制度の抜本改革にとりくむ。そのさい、少数世論も反映されるよう比例代表制を加味することも検討する。」となっています。つまり、小選挙区制を基本に比例代表を加味ということですから、小選挙区比例代表制のいわゆる併用制ではなくて並立制を指していると私は思います。自民党の政治改革大綱と今回の答申の結論は単なる偶然の一致であるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
○浅野(大)政府委員 若干審議会の審議の経過を申し上げさせていただいたらと思いますが、選挙制度審議会といたしましては全く自由討議から始めまして、現在の選挙制度をどう考えるかというところ、それから、やはり新しい選挙制度を考えていくべきではないかという議論に移りまして、そこでいろいろな方式というものを各委員が自由にお出しになりまして、そうして議論を重ねた末、審議会としてはああいう答申に至ったということでございます。
○池田(元)委員 恐らくそういった答弁が返ってくるのではないかと思いました。その点はこれから論議をいたします。 さて、私は選挙制度審議会の構成についてちょっとお尋ねしたいと思います。 審議会の委員の人選はどこでやり、その基準は何か、またマスコミ関係者は何人いるか、お答えをいただきたいと思います。事務当局で結構です。
○浅野(大)政府委員 選挙制度審議会は内閣総理大臣の諮問機関でございまして、委員の任命権者は内閣総理大臣でございます。そういう点で、官邸という言い方でいいかどうか、いわば官邸でお決めになったということでございます。それは各界の有識の方を委員に任命されたということで、それ以上私どもとしてどういう基準でどういうというところはちょっと申し上げようがない。有識の方をお願いしたということになろうかと思います。
○池田(元)委員 それからもう一点、マスコミ関係者は何人いますか。
○浅野(大)政府委員 現在委員になっておられる方、一応八名と申し上げたらよろしいかと思います。
○池田(元)委員 審議会の委員二十七人中、新聞社やテレビ局の現役の幹部が八人いらっしゃいます。また、マスコミ出身でマスコミで活躍していらっしゃる方も二人、合わせてマスコミ関係者が十人いるというのは、私は異常ではないかと思います。中曽根内閣の税調のときもいろいろ言われたのですが、今回ほど多くはなかったと思います。 言うまでもなく、権力とマスコミというのはよい意味の緊張関係、そういったものが必要ではないかと私は考える次第です。それが民主国家の基本ではないかと私は思います。私は別にかた苦しいことを申し上げるつもりはないのですが、これだけ多くのマスコミ関係者をまとめて委員に起用したのは何なのか。世論の誘導だと言う者もおりますが、私は権力に自制があってしかるべきだと思います。委員の中に私が存じ上げている方も大勢いらっしゃるのですが、あえてこのような質問をする次第です。 奥田大臣はかつて石川県で北国新聞の記者をされておりました。私も最初の赴任地は金沢でありまして、大臣の話はよく伺っております。ジャーナリストの先輩という立場からも、よくわきまえていらっしゃると思うのですが、この点をぜひお尋ねしたいと思います。
○奥田国務大臣 公正な政治改革論議をいかに担保するかという形の中で、今度の場合たまたまマスコミ関係者が非常に多いという御指摘でございますが、学識経験者の方が各界を代表される。労働界も経済界も含めてうんと多いわけですから、決してマスコミに一方的に偏っておるという批判は当たらないのではないかと思うのです。ただ、民間の有識者だけで構成している。それだけ政党の利害にとらわれない自由な論議のもとで、その点本当に政治に携わっておられる先生方から見ると、これはちょっとおかしいじゃないかという先ほど来の御指摘もあったのは、これはいろいろな論議の過程の中で当然だと思います。 ただ、私はこの答申を天の声と受けとめた中で、皆さんの御論議を十分踏まえてやるということでございますから、先ほどたたき台といった形について御意見もございましたけれども、先生方はたたき台と受け取られていいのではないでしょうか。私は、これは政治家個人としてはたたき台と思っている。自治大臣としては最大限この答申を尊重してまいるというのは、両方使い分けるようですけれども、そこは御理解賜りたいと思います。
○池田(元)委員 さて、答申の中身に入りたいと思います。 答申は選挙制度改革の具体的内容を、この場合には目的と言っていいと思うのですが、五つ挙げております。政策本位、政党本位の選挙とすること、政権交代の可能性を高めること、そしてその政権交代が円滑に行われるようにすること、三番目としましては、政権が安定するようにすること、四番目、政権が直接選択されるようにすること、さらには五番目に、多様な民意を適正に反映させることを挙げています。民意の反映という選挙本来の意義を五番目に持ってくるというのは、非常に問題があると思います。私には理解できません。 この点は後に譲るといたしまして、この選挙制度改革の目的として、政権交代の可能性を高める、それから政権の安定をねらう、こういった点を挙げていますが、私は正直言って驚きました。制度の改革によって政権交代が行われやすくしたり、政権の安定をつくることは本末転倒の議論ではないかと思います。政権の交代や政権の安定というのは有権者が判断すべき問題なんです。既に昭和二十九年に鵜飼信成さんが「選挙」という雑誌で、選挙法の方が社会の自然の要求に従うべきである、これは当然ですが、そういうことを述べております。また、審議会の中でもこの点については批判的な意見があったと聞いております。この点についてお答えをいただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 答申に書かれておることでございますので、いわば事務局としての立場で御説明させていただきたいと思います。 もともと、一体どういう政権をつくるかということは、これは国民が選ぶことであることは、もう申し上げるまでもないことであります。ただ、選挙制度を組み立てる場合に、それぞれの制度はその制度が持つ特性というのがあるものですから、そういうものも視野に入って選挙制度が検討されるということに一方でならざるを得ないところがあろうかと思います。それで、そういう視野として、この答申の三ぺージでございますが、先ほど挙げられましたいろいろな特性というものを、ある制度をすることによってそういう特性を持つということがあるわけでございますから、そういうものを考えた上で、選挙制度審議会としてはこういう制度を答申したのだということをここで説明しておられるというふうに御理解いただけたらと思います。
○池田(元)委員 ちょっと納得できません。 その次の四ぺージには、もっとはっきり「政権交代により政治に緊張感が保たれることが必要である。」これはもう明らかに踏み込み過ぎです。再度答弁をお願いします。
○浅野(大)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、制度がそれぞれ特性を持つ。ですから、ある制度をとった場合に、制度自体が持つ構造からどういうふうに向きやすいということがあるわけでございますから、そういうところが選挙制度を考える場合にいろいろ検討の中で議論の中に上がってくることは避けられない。ある意味ではむしろそれが自然なんだろうと思います。 そういうところで、一つの物の考え方として、ただいまは四ページを挙げられましたけれども、その前に三ぺージの上の方にも書いてあるわけでございますが、五行目から六行目にわたりまして、「政党間の勢力状況が固定化し、政権交代が行われず、このことが政治における緊張感を失わせ、それがまた政治の腐敗をも招きやすくしている。」こういうような認識がもとにありまして、そういうものを受けた形で、選挙制度を考える場合の一つの視点としてそういうことが必要だ、こういうふうに審議会としてはお考えになったということでございます。
○池田(元)委員 今お聞きしていますと、一つの視点としてある。浅野選挙部長はいろいろお詳しいですから、この点は答弁はなかなか苦しいのではないかと私はそんたくいたします。「政権交代により政治に緊張感が保たれることが必要である。」これは踏み込み過ぎではないかと私は考える次第です。この点奥田大臣の御所見を賜りたいのですが、お願いします。
○奥田国務大臣 こういった形で小選挙区制ということになると、政権交代の可能性は確かに当然高くなりますし、それだけに政治に緊張感がもたらされるという答申の内容でございますけれども、それが踏み込み過ぎであるかどうかという御意見に対しては別ですが、私は実際に現在の中選挙区制度では、政権交代の可能性は現実にほとんどないのではないだろうかと思います。 それはなぜか。現在の中選挙区制度の中で、これが今まさに政治改革の焦点になっておるわけですが、自民党は多数候補の一選挙区内での同士打ち、泥仕合いとも言われるような形の中で、それがお金にまつわるいろいろな問題を生み、政策本位、政党本位になってこなかったという原因、こういった形の指摘の中で、しかし、多数党、過半数を制するためには、何としてもそれもあえてやってこなければだめだという今日の選挙制度の実情から、現実に政権交代の可能性は、中選挙区制度下では、自民党一党支配という形の中での国民不満、国民批判というものが増長されてきたにもかかわらず、現実にこの四十数年間にわたって保守の政権が維持されてきたという実態、事実からいうと、小選挙区制度という形になれば、確かに一つの政策選択の道によって世論の流れが大きく変わり、政権交代の緊張感が増幅されてくることだけは間違いない。それによって政治が本来あるべき政策本位、政党本位という中で、緊張のある形の戦いの場が演じられてくることは間違いないと思うわけです。 近いうちの例を挙げれば、御存じのとおり、この前の参議院選挙の実態を思い浮かべていただければ、二十六の一人区の中で、従来は二十五対一くらいの比率で私たち自民党は議席を確保しておったわけですけれども、消費税、リクルート事件、その他に対しての国民の批判が一挙に火を吹いたときに、何と二十六の一人区の中で三議席しか、佐賀、和歌山、富山の議席確保しかできなかった。しかも、大きな政治の流れ、政策の流れの中でこれだけの大きな厳しさを味わったという実験からいえば、小選挙区は現在の中選挙区よりも政権交代の緊張感は大いに増すであろう、政策に対しての民意が反映されることの厳しさは確かにある、そういうぐあいに私は思っております。
○池田(元)委員 小選挙区制が政権交代をもたらすかどうかについては、私はこの後で検証いたします。 私が聞いておるのは、要するに選挙制度改革の目的として、政権交代とか政権の安定をうたうのは正しいのかどうか、この点を端的にお伺いしておるわけです。大臣、申しわけないが、この点についての御所見をもう一度賜りたいと思います。
○奥田国務大臣 いいか悪いかという形だと本当にお答えしにくいのですけれども、私は、自分らの今置かれておる立場を除いて考えてみると、私ら自身が今の中選挙区制度でこのままぬるま湯につかっておるような形でいいのかという、これは自民党の立場から申し上げるわけですが、そういった意味の、厳しいけれども、この際血を流して改革の道を選ばなければならぬのだという反省はあります。これについての断定的なお答えにはならないかもしれませんけれども、お許し願いたいと思います。
○池田(元)委員 改革への熱意は別の問題として、敬意を表したいと思います。ただ、私は、時間がないので余り重ねてはお伺いしませんが、選挙制度改革の目的として、政権の交代とか政権の安定といったことをうたうのはおかしい、邪道である、こういうことを申し上げたいと思います。 さて、答申では選挙制度の特徴や長所、短所についていろいろ述べておるわけですが、これを少し検証してみたいと思うのです。 今度の答申では、小選挙区比例代表の並立制に結論を導く上で、大きく言って三つの判断基準を挙げております。一つは、小選挙区制は政権交代の可能性が高い、二番目には、小選挙区制では政権が安定する、さらには、これとはまた裏返しですが、比例代表制では政権が不安定になりやすい、こういった三つです。 この三つを検証したいのですが、まず最初の小選挙区制は政権交代の可能性が高いということについての理由を、浅野さんは別に審議会の主体ではありませんのであれですけれども、審議会はどのような考えからこういったことを打ち出したのかお尋ねしたいと思います。
○浅野(大)政府委員 小選挙区というのは、御案内のとおり、民意が若干変化いたしますと、それが増幅された形で議席にあらわれるという性格を持っておりますから、そのことをとらえまして政権交代が起こりやすいというふうに考えているということだと思います。
○池田(元)委員 前半の民意が増幅して議席にあらわれる、確かにそのとおりだと思います。しかし、それが直ちに政権の交代に結びつくかどうかそれは問題があると思います。これは非常に俗耳に入りやすい議論なんです。何か小選挙区制をやると政権交代の可能性が高まる、これは一つの例としては、一つの場合はそうですけれども、また別の場合があるわけです。 最近、社会党が圧勝した去年の参議院選挙のデータをもとにしたシミュレーションの結果がいろいろ出回っているわけです。社会党は比例区では三五%の得票率だったわけですが、シミュレーションによって少しは開きはあるものの、五七%から六七%の議席を獲得するということが盛んに今言われています。第二党にとっては大変おいしい話ではあります。しかし、ちょっと考えますと、 去年の参議院選挙の例を持ち出して並立制になれば政権交代が可能、こう言いますが、別に並立制でなくても、併用制でも比較第一党になるわけです。政権交代の可能性は出てくるわけです。これは一つのケースであります。 それからもう一方、ことしの衆議院選挙のデータをもとにシミュレーションをしますと、自民党は四七%ですかの得票率で八〇%前後の議席を獲得するということがいろいろなシミュレーションの結果出ております。これは政権の交代ではなく、政権の固定化ですね。おいしい話がここでは非常に危ない話になるわけです。小選挙区制になったからといって、政権交代の可能性が高くなるわけではありません。ある場合には高くなる、しかし、ある場合には政権の固定化につながると言って差し支えないと思います。この点について浅野部長の見解を再度ただしたいと思います。
○浅野(大)政府委員 制度だけで結果が起こるわけではないということは、もちろん申し上げるまでもないと思うのでございますが、同時に、ある制度をとった場合に、そこにおける状況が違えば、同じ制度でも違った形があらわれるということも一方であるわけでございます。 そこで、比較いたします場合は、制度の仕組みだけをとらえて比較するよりほかに方法はないのだろうと思うわけでございまして、そうしますと、制度の仕組み自体で比較いたしますと、やはり小選挙区の方ですと、例えば数%得票率が変わっても議席の率が相当大きく変わるということは、仕組みとしてそういうことは出てくるのではないかと思います。それから比例の方は、完全比例でやりますと、数%の民意の変化はやはり議席の数%の変化ということに仕組みとしてはなるわけでございますから、そういう仕組み自体を比較した場合には、一方がより政権交代を起こしやすい、仕組みとしてはそういうことは言えるのではないだろうかと思うわけでございます。
○池田(元)委員 これは浅野部長もおわかりだと思いますけれども、私が先ほど政権の固定化につながるケースもあると言った一言で、小選挙区制だからといって政権交代の可能性が高まる、こんなことは言えないと思います。これは一番おわかりじゃないかと私は思うのですが、これは理論的といいますか、客観的に見て誤りです。 最近、ニューヨーク・タイムズのヘドリック・スミス記者が書物に書いているのですが、完全小選挙区制をとっているアメリカの下院では、民主党の多数支配が三十四年間も続いているわけです、大統領選挙と違いますから。現職有利で議席も固定化している、こういうふうに指摘しています。要するに、小選挙区制で政権交代の可能性が高まるというのとは全く違うわけです。小選挙区制は、浅野部長が前半に言われた得票率第一位の政党に極めて有利に作用する、こういうことだけが間違いないことでありまして、政権交代の可能性が高まるというのは、これは非常に耳に入りやすい議論ではありますが、そうではないということを指摘したいと思います。 時間がありませんので、もう一つの命題といいますか判断のポイントについてもお尋ねしたいと思います。 小選挙区制では政権が安定する、それから時間がありませんから三番目の、これと関連して当然裏返しの命題である比例代表制では政権が不安定になりやすい、これについて、どうしてこういう議論になるのか、お尋ねしたいと思います。
○浅野(大)政府委員 この答申で使っております安定という意味は、政権が長く続くとか続かないとかということを必ずしも言っているものではないと私は受けとめております。 要するに、ある政権がいろいろな意思決定その他を安定的にやっていけるか、その政権を持っているときにという意味ではないだろうかと思うわけです。そうすると、小選挙区の場合は、ある党が直接の選挙民の投票をもって多数を得て、それで内閣を組織すれば安定的に政局運営ができるであろう。ところが、一方で比例代表をとった場合には、一般的に民意がそのまま議席に反映されると言われておりますから、一般的に言うと、多党化して、なかなか一党が単独で過半数をとるということは起こりにくいだろうというふうに考えられておるわけであります。そういうことを前提にすると、幾つかの党が集まって政権をつくるというケースが多いのではないか。そうすると、そういう幾つかの党が集まって政権をつくるとなかなかそこは安定的でないのではないか、こういうふうに審議会が見ておるということだと思います。
○池田(元)委員 審議会はそういうふうに見ているわけです。 比例代表制は政党の分立をもたらすおそれがある、これは専門家が言っております。それから、連立政権を生みやすいということも事実でしょう。しかし、連立政権というと不安定という先入観は、一般には流布されているかもしれませんが、最近の学界ではそうではありません。アメリカの政治学者でローレンス・ドッドという学者がおりますが、この研究が専門家の間で知られているわけです。ヨーロッパとカナダ、オーストラリア、合わせて十七カ国の議院内閣制の議会を対象に数量的に分析したわけです。ここ五十年間、各国議会の七五%で連合が行われている。そして、四十カ月以上続いた内閣の八〇%は連合政権であると指摘しています。連合政権は必然的に不安定であるということは言えないと実証しているわけです。 また、御存じでしょうが、東京都立大学の関名誉教授、民社党の参議院議員でいらっしゃった方ですが、最近の新聞紙上で、戦後の西欧主要国の政権安定度を調べた結果によりますと、比例代表制だから小党分立、政局不安定になるという議論は論証不十分だと強調しております。私は、先ほど申し上げました小選挙区制は政権交代の可能性が高いとか、さらには小選挙区制では政権が安定する、それから比例代表制では政権が不安定になりやすい、こういったことは、一部耳に入りやすいのですが、実証的な研究では単なる神話にすぎない。これは政治学者も言っております。この点について浅野部長の見解を賜りたいと思います。
○浅野(大)政府委員 なかなか難しい問題でございまして、審議会の事務局として、審議会の考え方がこうであるということは当然御説明できるのでございますが、私自身そんな政治学の学者でもございませんし、なかなか難しいのでございますが、ただいま委員が御指摘になりましたような議論があるということも、もちろん承知しております。ただ一方で、しかしそうは言ってもやはり確かにそういう連立になる、あるいは連立になると不安定になりやすい面もあるということをおっしゃっている方もあるということも、書物なんかでは読んだことがございます。
○池田(元)委員 私は、学説的というほどの理論的な問題じゃないと思うのですが、学者も言っておりますし、それから実証的にももう論破されておりますこの三つの神話、神話と言って差し支えないと思うのですが、こういった問題のある仮説によって並立制を導き出したということは非常に問題だと思います。この点について大臣の基本的なお考えをお尋ねしたいと思います。
○奥田国務大臣 先ほどから委員の御意見をお伺いいたしておりまして、学説でもいいですけれども、並立がいいのか併用がいいのか、そこが一番大事な議論の存するところじゃなかろうかと思うのです。したがって、比例代表的ないわゆる民意反映、それが即鏡論という形でいかれる御意見があってしかるべしだと思いますし、先ほどからこの答申の内容を忠実に根拠にしながら成案化に努力するとたびたび申し上げておりますけれども、私は、先ほど委員も御指摘になったように、連立、連合が即政治の不安か、それは考え方それぞれあると思います。したがって、この答申がまとまったということは第八次答申で初めてですけれども、その答申のまとまった過程の中に併用を強く主張された委員もおいでになったわけでありますし、並立が大勢でまとまられたという形で今日の答申を得られたわけであります。 しかし、そういった御論議が一番大事なのであって、原理原則の問題で、こうでいいんじゃないか、こういったいろいろな意見の中で、こういったこともあるけれどもこれは政局不安につながる、あるいは政治に緊張感をもたらさない、そういった形の流れの中から並立という形で答申はなされたわけでありますけれども、そうじゃないという委員のような御指摘の中で、将来二十一世紀にかけての政治形態、選挙制度のあり方はこちらの方がより正しいという形の御意見展開の中で、私たちはそれを十分踏まえて検討させていただくという姿勢でおるわけであります。
○池田(元)委員 私は、たまたま審議会委員に大先輩が大勢いらっしゃいますから、議論をする機会があるのですが、要するに、先ほど申し上げましたそういった三つの命題を当然のこととして議論を展開していらっしゃる方が多いということがわかりました。審議会ではその点をもっと深く掘り下げて、実際どうなるか検証してみれば答えは出ます。今大臣が委員の御意見と言いましたけれども、これは意見じゃありません。僕はできるだけ客観的なことを申し上げているわけです。そういうことを私は強く指摘したいと思います。要するに、いろいろな議論の中にといいますか、答申の前提には問題のある部分が、少なくとも一番大きな決め手となった判断基準三つですけれども、これは大変問題があるということを指摘したいと思います。 それから、話を進めたいと思うのですが、超過議席ということが言われます。これは併用制に特有な超過議席ですが、簡単でいいですから、超過議席の意味と審議会でどのような論議があったのか、お尋ねしたいと思います。
○浅野(大)政府委員 超過議席の話をさせていただく前に、まず西ドイツでやっておりますいわゆる併用制の仕組みを先に前提にしませんと超過議席が出てまいりませんものですから、そちらを申し上げさせていただきたいと思います。 全体の議席を各政党の得票で割り振ります。例えば、ある政党が全体として仮に四〇%の得票をとったとすれば、総議席のうちの四〇%がその党にいく、こういう仕組みをとるわけでございます。一方当選人の方は、半分は小選挙区の当選人をそのまま当選人と決める、こういうやり方になっております。それで、ある党の当選人が、総議席配分を受けた議席数の範囲内で小選挙区の当選人が出ておれば超過議席という問題は起こらないのでありますが、たまたまある党が小選挙区で非常に強いという場合に、受けた議席配分数よりも多い数の小選挙区当選人が生じた場合においては、その差額が超過議席になる、これが西ドイツの制度でございます。 それで、審議会の方では併用制についてはいろいろな点からの議論がありましたが、超過議席の問題も一つのポイントとして議論されまして、そういう超過議席が生ずるような制度はどうもわかりにくいのではなかろうかというような議論があったと思います。
○池田(元)委員 答申をまとめる際の最後の段階で、超過議席の問題が一つのポイントになったといううわさは承っております。ただ、問題は超過議席の数なんですね。何か審議会の場では、かなり多数の超過議席が出るということが言われたのではないか、こういうことを言う者がおります。 それはおいておきまして、西ドイツでは、過去七回の選挙で超過議席が出なかったのは四回あるわけです。一議席出たのが二回、二議席出たのが一回となっております。私はある計量政治学者に試算してもらったのですが、小選挙区、比例区五、五の併用案では、比例区の大きさによりますけれども、全国十一ブロックでは五、全国一ブロックではゼロという数字を得たわけです。一部に極端なケースを想定して、過大な見積もりをしている向きもあるわけです。いずれにせよ小選挙区制の部分の比率を極端に高くしないで、また比例区の大きさを大きくとれば、超過議席はゼロに近づけることができると思うわけです。これはそういうことですね。この点をちょっと浅野選挙部長に確認したいと思います。
○浅野(大)政府委員 これは個人票の出方と政党票の出方がどうなるかということの関連もあるので、一概には言えないと思うのでございますが、そういう点において変わらないといたしますれば、選出の単位を大きくする方が超過議席は出にくいだろうとは思います。
○池田(元)委員 最後のところで確認はできました。 ここで大変基本的なことをお尋ねして恐縮なんですが、選挙の意義というものは何か。大臣はこれまで何回も選挙をやって、非常に見事な成績をおさめてこられましたけれども、選挙の本来の意義といいますか、その点をお尋ねしたいと思います。
○奥田国務大臣 だんだん委員の質問に誘導されていくと大体結論が見えてまいりますけれども、やはり民意の反映という形だろうと思います。それで、そのことが政党本位であり政策本位でなければならないだろう。今日の議会政治、議会制民主主義のあり方からいえばそういうことであろう。いずれにしても民意が反映されるそういった制度、仕組みが最も選挙制度の基本でなければならぬと思っております。
○池田(元)委員 さすが政党人でいらっしゃると敬意を表したいと思います。この民意の反映というところを今度の答申では、先ほども申し上げましたけれども、選挙制度の改革の目的の五番目に挙げているわけです。これは僕は問題だと思います。とにかく今大臣がおっしゃったように、これはだれしも認めることですけれども、民意の正確な反映が選挙本来の意義だと思います。同意とか代表のような概念を現実の世界に置きかえるための実用的な道具であると学者は言っております。有権者の投じた票を議会での議席に変換する方法である、こういうことも言っております。私は今の大臣の御答弁を議論の基本に据えたいと考えております。 これまでいろいろなことを検証してきました、時間はちょっとなかったのですけれども。並立制と併用制を比べることが今当面の我々政治家に課せられた一番大きな課題といいますか、考えなければならないことだと思います。答申では、小選挙区制では政権が安定するとかいろいろなことを言っておりますが、いわばそういった神話的なところを全部取り除いて消去していきますと、小選挙区制を基本とする並立制は、結局のところ、先ほど選挙部長も言っておりましたけれども、これは専門書も言っておりますが、得票率第一位の政党に極めて有利に作用する制度という特性があると言えると思います。逆の面からいいますと、死票ですか死に票ですか、いろいろ言い方がありますが、死票が多く出るということであります。 一方、比例代表制を基本とする併用制は、超過議席という問題は確かにあります。しかし、その数については先ほど私が申し上げたとおりでございます。答申も言っておりますように、多様な民意を正確に反映するという制度が比例代表制であるわけです。先ほども申し上げましたように、選挙の本来の意義からいって併用制と並立制、一字違いですが、併用制は並立制に比べて欠点の少ない制度、比べてみればよりすぐれた制度と言って差し支えないと思うのですが、この辺浅野選挙部長の御答弁をお願いします。しっかりとお願いします。
○浅野(大)政府委員 その辺はまさに、私ども事務をやっております者がどちらがいいなどと言えるような問題ではございません。まさにそこは選挙制度審議会でいろいろ御議論いただいて、私どもとしてはそういう多くの方々の御議論の結果をいただく問題で、個人的にどちらがいいとか悪いとか、価値判断を申し上げることはいかがかと思いますので、その点は御容赦いただきたいと思います。ただ、それぞれにどういう特性があるか、あるいは審議会がどういう点に着目したかということは、私としても精いっぱいお答えをさせていただきたいと思います。
○池田(元)委員 浅野選挙部長の行間を読むといいますか、何となくわかるような気がいたします。 私は、審議会ではなくて、浅野選挙部長といいますか、事務当局の客観的な評価をぜひ聞きたいと思って質問を申し上げたわけでございます。今申し上げたように、選挙本来の意義からいって、併用制は並立制に比べると欠点の少ない制度、そしてまた両者を比較すればよりすぐれた制度ではないか、こう考える次第です。学界の多くは併用制でございます。これは客観的な事実でございます。 それから、今回調べてちょっと注目すべきことがあったのですが、小選挙区制であったアングロサクソン系の諸国でも、最近は比例代表制にかなり興味を示しているわけです。イギリスの選挙制度改革についてのハンサード協会の委員会というのがあるのです。これはイギリスの選挙制度、小選挙区制の元締めみたいな感じですが、一九七六年、イギリスの選挙制度として西独の選挙制度の変形を採用する必要があるのじゃないかということを進言した事例もあります。また、ニュージーランドのロイヤルコミッション、王立委員会が一九八六年、最近ですが、西ドイツ型の小選挙区比例代表併用制を採用するようにも答申しております。これから未来に向かって、将来に向かって何をするかといいますと、客観的また理論的に見ても、この比例代表制といいますか、この場合には併用制ですが、併用制というのは非常に大きな意味といいますか、メリットがあるのではないかと思われますが、再度浅野選挙部長の率直な御見解をお尋ねしたいと思います。
○浅野(大)政府委員 恐縮ですが、私自身の価値判断を申し上げることは適当でもないと思いますが、一般に言われますのは、併用制といいますか、いわば比例代表というものと小選挙区制というものを対比させた方がよろしいのではないかと思いますが、比例代表というのは国民の意思を鏡のようにそのまま国会の構成に反映する、そういう制度だというふうによく説明されると思います。 それから一方、小選挙区制というのは民意をそこに集約していく、そういう点において特色を持っておるというふうに言われるのではないかと思います。ですから、結局あとは制度として一体どういうところに重点を置いて考えていくべきかという判断の問題になるものですから、私としてどちらがいいということをちょっと申し上げかねるということでございますので、御理解いただきたいと思います。
○池田(元)委員 今の並立制と併用制の論議について、これからいろいろこの委員会でも論議をしていかなければならないし、また自治省もいろいろ検討されると思うのですが、現段階でどのようにお考えになるのか、大臣の御所見を賜りたいと思います。
○奥田国務大臣 私は大変いい御意見の展開であると喜んでおります。それは、今小選挙区併用制ということになれば、はっきり言って比例代表でございます。西ドイツ方式の方向に行っている御論議展開でございましたけれども、これがいいのか、あるいは日本式答申と申しますか、世界に例がないわけですから、小選挙区で政権交代で、緊張感のある濶達な民意を集約した政治をやりなさいという一つの御意見、他方、少数党と申しますか、そういった方たちにはこれは不利な面があるから、少し横に比例区で並立、これは全く日本型知恵の集約の答申であろうと思うわけでございます、いいところばかりとったわけですから。しかし、政治と議会制民主主義、これは小選挙区をとっておる国、そしてまた比例代表をとっておる国、それぞれ求める原点は一緒なんです。求める方向は、議会制のあり方をめぐって、いかにして民意を集約して、反映して、そして本来あるべき議会政治が全うできるかということの尽きせぬ悩みと課題であろうと思っております。 幸い議会制百年という転機に立って制度を見直す場合に、委員の御主張なさるような比例代表という形で集約された制度によって改革するのか、あるいは答申が求めておられるこういった両方のいいところをとった形でやられるのか、それはまさに答申を参考にしながら、議員自体が、政党自体が論議されて、この百年の改革を実りあるものにしていただきたい。私はそういった気持ちで先ほどからの御意見を拝聴いたしておりました。どっちがいいかという是非については、私が答えさせていただくのは遠慮させていただきたいと思います。
○池田(元)委員 きょうは私の主張といいますよりも、並立制、併用制、これこれの問題点、そして比較検討ということで少し検証をしたわけでございます。私自身もさらに検討を深めたいと考えております。私がぜひ申し上げたいのは、物事をよく見て、大変失礼ですけれども、誤った先入観、そういったものを排して冷静に分析していただきたい、これを申し上げたいと思います。 さて、いずれにしましても、答申が出ましたから成案化の作業に入られると思うのですが、成案化、国会提出のめどはどのようにお考えか、大臣にお尋ねしたいと思います。
○奥田国務大臣 各政党や議員の先生方の議論の展開をよく踏まえながら御協力をいただきたい、その上で成案化はできるだけ急ぎたいというのが本心でございますけれども、このことには一つの問題点があります。それは選挙制度、そして政治資金制度、そして参議院の制度改革、あるいは今問題になっておりました区割りの問題、これらを一切ワンパッケージにした形でやれというのが答申の基本的な姿勢でございますから、私たちはそれらの問題点が提起されて、今までももちろん、これから行われるであろう御論議も大切にしていきながら、ワンパッケージの形で成案化をできるだけ急ぎたい。しかし、幾ら急ぐと言っても、秋をめどにということでお答えさせていただきたいと思います。
○池田(元)委員 残り時間はわずかになりましたが、政治資金の問題にちょっと触れてみたいと思います。 今度の答申の後半の政治資金制度のところでまず目につくのは、さきの委員会で山花委員も指摘されたことですが、企業献金廃止のこれまでの審議会の流れが大きく後退したことです。企業献金は言うまでもなく、何らかの見通しを期待してなされる場合が多いわけです。額も非常に多くなっています。アメリカでは御存じのように企業献金は禁止されております。こうしたことから、第一次選挙制度審議会では団体献金の禁止を打ち出しております。その後の審議会でもこれを引き継いできたわけです。特に第五次審議会では、「政党は、できるだけすみやかに近代化、組織化を図り、おおむね五箇年を目途として個人献金と党費によりその運営を行なうものとし、」こういう答申を出しております。企業献金を廃止して、個人献金に移行する時期をおよそ五カ年とすることを打ち出したわけです。ところが、今度の答申は「将来の姿として」といろいろな条件を挙げた上、「政党の政治資金も個人の拠出により支えられるようになることが望ましい。」つまり、企業献金の廃止は将来の姿として望ましい、こんな哀れなことといいますか、こんな表現にまで大きく後退したわけであります。この点について御所見を承りたいと思います。
○浅野(大)政府委員 議論の経過を申し上げますと、もちろん過去において審議会がどういう答申をしているかということは、委員の皆さん十分承知の上で議論を始めておられますが、委員さんの議論の中では、企業献金そのものがよくないという立場で議論を展開する方が比較的少なかったように思います。それで問題は、こういうものは選挙制度とも絡むところもあるし、特に問題として考えるとすれば、それは個人と企業との関係ではないかという意見が強かったようでございます。答申としては、とにかく選挙制度も政党本位に持っていくし、ですから政党に対する団体献金はある程度認めてもいいのではないか、しかし、個人に対するものはその機会にやめたらどうか、こういう御意見であったわけでございます。
○池田(元)委員 昭和五十年に金脈問題などの反省から政治資金規正法の改正が行われたわけです。自治省の事務当局はこれを五十年大改正と言っております。この際には、政治献金につきましては、規正法の附則八条にこう書いてあるわけです。法律を施行してから五年後に、個人献金を一層強化する方策と企業献金のあり方についてさらに検討を加える趣旨の条文が入っております。 この条文を入れるにつきましては、当時は大変なことであったわけです。ところが、五年後に個人献金を強化する方向で見直すことになったわけですが、その後の自民党政権は見直しを怠ってきたわけです。五十年の改正のときに、当時の三木総理大臣は、就任直後に、企業献金を三年で廃止して個人献金に切りかえることを打ち出しました。これは党の抵抗に遭いまして三年が五年になったわけです。そして、五年後に見直すということになったわけです。私は、当時三木総理大臣の執念を身近に感じた一人でございます。そして、この政治資金規正法の改正法案は、参議院で成立のときには、奥田大臣もよく御存じのように百十七対百十七、可否同数となったわけです。そして、当時の河野謙三議長の採決で辛くも成立するという劇的な経過をたどってきたものですね。 今度の答申は、このような企業献金を何とかして個人献金に切りかえたいとする先人たちの努力に水を差したのではないか。私は非常に悲しむと同時に、おかしいのではないかと思っているわけです。この点について奥田大臣の御所見を承りたいと思います。
○奥田国務大臣 この答申でも言われましたように、私は最後の後段の方を尊重したいと思っているのです。これはきれいごとだけではだめですけれども、政治のあるべき姿というものは、政党本位になっていってほしい。そして企業献金を廃止し個人献金、それと並行して政党法等々によっての公的な助成ということをうたっておるわけでありますから、途中段階で企業献金は政党に限る等々のことをうたっておられますけれども、私は、本来あるべき姿はまさに政党中心で、公的助成の面の制度化も含めまして、企業献金を廃止して、個人献金という形に集約することが望ましいという後段の方を重くとらえておるわけでありまして、先ほどからの御指摘のように、これが一歩、二歩後退した内容になっているじゃないかという御指摘は当たらないのではなかろうかと思います。むしろ一挙に後段の点に行くように我々自身が努力すべきじゃなかろうかと思います。
○池田(元)委員 今最後に大臣のおっしゃいましたことですが、これは答申を第一次から八次まで読み比べてみればすぐわかることであります。それだけ指摘しまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○中山委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時八分休憩 ────◇───── 午後一時三分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。仙谷由人君。
○仙谷委員 仙谷由人でございます。 先ほど池田委員の質問に自治大臣お答えになって、秋ごろまでには成案化を急ぎたいというふうなお話をされたと思うのです。海部総理大臣は、ちょっと範囲が私にとっては不明確でございますけれども、政治改革に命運をかけるというふうなことを公言をなさっておるやにマスコミ報道等で我々はお伺いをしておるわけですが、自治大臣も、どうなんでしょう、この政治改革あるいは選挙制度改革というふうなものにみずからの政治生命をおかけになるという御決意でいらっしゃるのでしょうか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
○奥田国務大臣 海部総理は、今度の答申を得られて、議会開設百年という年に当たって、今日の政治改革でも原点はまさに、原因は今日の選挙制度をも含めての問題、政治資金の対応において国民の政治不信をいかにして払拭するかという形にこたえられる意味で、政治改革に命運をかけるという形は公にも発言なさっておるわけであります。選挙担当大臣と申しますか、私もこういった形で席を持つことになったわけです。私も総理と思いは同じと申しますか、これだけの大改革、これだけの制度改革をやるという、並み大抵の決意ではとても、議員の身分、政党の運命に関する重大な制度改革でございますから、この問題には命運をかける気持ちで当たりたい、成案化に努力したいということであります。
○仙谷委員 そこで、多少限定をしながらお伺いをしたいわけでございますが、この場合の命運をかける政治改革というのは、いわゆる小選挙区比例代表並立制という、狭い意味での選挙の制度をつくるために命運をかけるというふうに海部さんも自治大臣もおっしゃっておるのか、あるいは広い意味での政治改革といいますか、本当に国民が必要としておるきれいな政治を実現する、あるいは先ほどの議論でも出てまいりました民意が正しく反映されるような政治をつくるんだ、そういう意味での、例えば腐敗防止、あるいは政党に対する公費の補助、あるいは政治資金の規制等々、まだ答申では具体化されてない部分も含めて命運をかける、そういう政治改革をやるために命運をかけるというふうな御決意なのか、それとも、いやいや小選挙区比例代表の並立制だけできればいいんだという趣旨なのか、その点を重ねてお伺いしておきたいと思うのでございます。
○奥田国務大臣 大きく言えば政治改革に命運をかける。しかし、政治改革という形になれば、つまるところ今日の政治不信というものを除くためには選挙制度にまで立ち入らねばならぬ。選挙制度にまで立ち入るということになれば、広く民意集約と申しますか、政党に、一党一派の利害にこだわらないで、いろいろな学識経験者が一年近くにわたって行われた答申を尊重した線で政治改革に取り組みたいということであろうと思っております。私の場合、政治改革、政治制度改革にまで立ち入った改革に命運をかけるということであります。
○仙谷委員 今の自治大臣の御決意と選挙制度審議会の答申についてお伺いするわけですが、今の観点からこの答申を拝見いたしますと、二ページ目に「選挙制度及び政治資金制度の改革を一体として速やかに行うべきであるとの結論に達した。」と記載されております。ところが、ちょっと細かく読み過ぎるのかもわかりませんですけれども、第一が「衆議院議員の選挙制度の改革」、第二が「参議院議員の選挙制度のあり方」、第三が「政治資金制度の改革」、こうなっております。用語だけからいきますと、この第一から第三までを一体として速やかに行うべきであるというふうに読めないこともないといいますか、そういうふうに読むのが答申の読み方ではないかと私は思うのです。そうしますと、第四の「公的助成及び政党に関する法制」、第五の「選挙の腐敗行為に対する制裁の強化」等々は後回しにしてもいいんだ、速やかに行うのは選挙制度及び政治資金制度の改革を一体として行うというふうに読めるのでございますが、その点はいかがでございますか。
○浅野(大)政府委員 答申の読み方の問題でございますので、私から答えさせていただきたいと思います。 それは答申に書いてあることを全部と、簡単に申しますとそういうふうにお考えいただいたらと思います。つまり、第四とか第五を除く趣旨ではないというふうにお考えいただいたらと思います。
○仙谷委員 今は、マスコミの議論でもそうでございますし、マスコミ報道に見られる自民党内のけんけんがくがくの御議論も、いわばこの答申に書かれている第一の部分について議論がされておって、参議院の問題についても何か提言とかなんとか出ておるようでございますけれども、参議院などは答申にもなきがごとき内容でございますね。さらに申し上げれば、政治資金制度の改革についても、あるいは公的助成というふうなところについても、なお検討すべきであるとか、全く具体化されていない。 具体化されておるのは、いわゆる小選挙区比例代表制の問題だけが具体化されておって、ほかはほとんど具体化されていない。それで「速やかに行うべきである」、こういうことになっておるわけですから、答申を速やかに行おうと思えば、つまみ食いをするか、それとも速やかに行うのを断念するか、どちらかしかないことになるのじゃないか。私は、この答申と今の自治大臣の御発言をお伺いしまして、そう考えざるを得ないわけでございますけれども、その点はいかがでございますか。
○奥田国務大臣 私は、答申が求めておられるのも、今委員がお使いになりましたけれども、いわゆるつまみ食いしない、クリームスキミングしない、一体的にやるところに初めて改革の、制度改革を含めての意義があるというふうに解釈しておりますから、今自民党内でも論議の対象になっておるのは、第一の関門の問題で論議が沸騰していることは御承知のとおりでありますけれども、あくまでも委員が一から幾つが御指摘になった形がワンパッケージで、つまみ食いをしてはならないというふうに解釈いたしております。
○仙谷委員 それでは先ほどの、一番最初の成案化の問題に戻るわけでございますが、この成案化を急ぎたい、成案化をするというふうな御意向をお示しになったのは、あくまでも参議院の問題、あるいは公的助成の問題、あるいは腐敗防止の問題を含めてワンパッケージで成案化するということで、決して、成案化するに当たって、小選挙区比例代表制の並立型と言われるこの答申のいわゆる衆議院議員選挙制度そのものをつまみ食いして成案化しない、こういうことはお約束いただけるわけですか。
○奥田国務大臣 成案化するに当たってはワンパッケージで、しかも各政党、各議員の論議を十分踏まえてやるということでございますから、委員の御指摘のとおりだと思っております。
○仙谷委員 そうしますと、私、常識的に考えまして、揚げ足をとるようで申しわけないのですが、秋ごろか秋までかわかりませんけれども成案化を急ぎたいというのは、参議院が何にも答申も出ていないわけですから、秋というのはやはり無理なのじゃないか。というよりも私は、参議院のことをワンパッケージでというふうに海部さんが言い出して、今自治大臣もおっしゃったのを聞いておりますと、本当は一体としての政治改革をやるおつもりがないのじゃないか、きれいな政治を実現するという政治改革をやる意思は余りないのじゃないか。そのために野党がこぞって反対をする小選挙区比例代表制並立型というのを持ち出されたのではないか、そんな感じすらしてならないわけであります。本当に秋までに、秋ごろに、参議院を含め、公的助成の問題を含め、腐敗防止の問題を含めて成案化をできるというふうなめどといいますかもくろみといいますか、そういうものがおありになるのでしょうか。
○奥田国務大臣 全く純粋な気持ちで成案化を急ぎたい。しかし、成案化するに当たっては、各党の真摯な御論議を踏まえてやるということでございます。しかも参議院の制度改革も踏まえて答申を得て、ワンパッケージということになれば相当な御論議に要する時間もありましょうし、いろいろな形は予測されますけれども、私としては開設百年という記念すべき年に、何としてもそういった形にめどをつけてまいりたいという真摯な努力目標であるということを御理解賜りたいと思います。
○仙谷委員 そのように承りまして、次に進みます。 先ほどから民意の反映ということが議論をされておるわけでございます。私は、民意を量的に正しく反映させるというのは、比例代表制を基本にする選挙制度しかないのではないかというふうに確信をいたしておりますけれども、民意を反映するというときには、あくまでも民意というふうに縮めて使っておる言葉というのは、国民の自由意思、こういうふうに置きかえなければならないと思うのです。そのためには、国民の自由な意思というときには、その意思がお金でゆがめられる、あるいは利権でゆがめられるということがあってはならない。そうしないと、量的に、つまり投票数に応じた議席が配分されたとしましても、それはゆがめられた自由な意思による投票、それに基づく議席ということになりますので、民意の反映というときにはあくまでもきれいな選挙、お金にゆがめられない自由意思が正しく反映されるということでなければならないと思うのです。 そういう観点から、今度の答申におきましては、例えば腐敗防止についてある種の援言というものがなされておるようでございます。自治省の方にお伺いいたすのですが、立候補予定者の親族あるいは立候補予定者の秘書というふうな者を「連座制の対象となる者の範囲の拡大」というふうに書かれておるわけですが、自治省のイメージですと、この場合の立候補予定者というのはどういうふうにくくるのですか。
○浅野(大)政府委員 お答えに先立ちまして、若干現行制度の説明をさせていただきたいと思います。 現在は、連座制の規定につきましては「候補者」という字を使っております。ですから、親族も入っておりますけれども、候補者の親族でありますから、候補者という以上は、公示日に届け出をしてそれで候補者になる、それ以後のことであるという規定になっております。これを、公示前に行った行為でも、ですから行為を行ったときは候補者とは現行法では言えないけれども、そういう人も親族が買収等を行った場合は連座制の対象にしたらどうだろうか、こういう考え方でございます。 そこで、一体いつの時点から立候補予定者になるのかということをあるいはお尋ねかと思いますが、実は現在でも寄附禁止の規定につきましては「候補者となろうとする者」というのがございまして、これは一般にその人がこの選挙に出るであろうというふうに認められる状態になっておれば、立候補予定者としてとらえております。そういうことでございますから、この事前の連座制を立法化する場合にも、その辺が一つの手がかりになっていくのではないだろうか。しかし、具体的には法制的な詰めの議論はいろいろしていかなければならぬだろうと思っております。
○仙谷委員 そうしますと、客観的な日時で立候補予定者であるかないか、あるいはある種の届け出をさせて立候補予定者であるかないかという区分けをするのではなくて、実質的に例えば政治資金規正法上の届け出をすれば立候補予定者とみなす、あるいは立候補予定者であるというふうな法解釈、あるいは文言が予定されておる、こういうふうにお伺いしてよろしいのでしょうか。
○浅野(大)政府委員 具体的に法律案という形にするときには、いろいろな議論はしなければいけないと思っております。と申しますのは、罰則あるいは連座制という非常に強い効果が生じることでございますから、今度は取り締まり上の実務の問題等もあるわけでございます。ですから、口で言う場合は割合、立候補予定者というのは一応説明をしやすいのでございますけれども、本当にそういう罰則をかけるということも含めましてどういうふうに法律上押さえていくかということは、相当いろいろな工夫をしなければいかぬだろうというふうに思っております。
○仙谷委員 前回のこの委員会での議論でも、運動員はいわゆる買収の選挙違反者として逮捕されて刑が科される状態になっておるのに、候補者はその時点では立候補予定者であったということで、連座制の適用はないという愛知県の二つの例が議論になったかと思いますけれども、確かに刑事罰を科す場合には、構成要件の問題として厳密でなければならない、特定性がなければならない、こういう厳然たる要請があるわけですから、困難かとも思いますけれども、選挙に関しては買収、利益誘導的な行為というのはゆゆしい行為であるという観点から、ひとつ自治省の方でも工夫をしていただきたいと思うわけであります。 さらに、この連座制の対象になる者の範囲でありますけれども、従前から、私どもが議員になる前から、この委員会でも、果たして現行規定の範囲でいいのかということが問題になっていたようでございます。 昨年十一月十七日、百十六国会の当委員会の審議でも森清衆議院議員、自民党の方が、多分公職選挙法改正の議員立法としての提案をなさるについての発議者としての答弁をされた中で、いわゆるイギリスの腐敗防止法上の、日本で言えば運動員、あるいは運動員の重要な地位を占めるというふうに言ってもいいかもわかりませんけれども、そういう人の選挙違反行為があれば当選無効になる、あるいは立候補制限の規定がかぶってくるということについても踏み込んだ検討が必要である、非常に参考にすべきであるという議論を展開されておるわけであります。 この答申にはその辺まで踏み込んだことは書かれていなくて、現行規定が候補者である、だから立候補予定者も含めるということで拡大をするんだ、こんなことですね。なぜ今選挙運動の中でも問題になっている運動員買収といいますか票を金で買うだけではなくして、票をとってくる人を金で買うという最も重要なところが連座制適用になるような制度にしようとしないのか。自治省の見解はいかがですか。
○浅野(大)政府委員 まず一つは、答申が出ておりますから答申の関連で申し上げさせていただきますと、選挙制度審議会でも連座制の強化ということは相当多くの議論が闘わされております。それで結論といたしましては、立候補予定者にまで広げるという部分と、秘書に広げる、秘書は従来は入っておりませんから、その分が範囲として拡大したということでございます。 今お尋ねの点は、一般の運動員というところまで広げられるかどうかというお話だと思いますが、結論的にいきますと、今の時点でそういう一般の運動員にまで広げるということは難しかろうというのが大方の御意見でございます。 イギリスの場合は、御案内のとおりでございますけれども、向こうの言葉ではエージェントという言葉を使っておるようでございまして、しかも、イギリスはいわば判例法の国とでも申しますか、ああいう国でございますから、実際の裁判を通じてかなり具体的妥当性を求めて対象が特定されるようでございますが、日本の場合は御案内のような法体系をとっておりますものですから、構成要件として決める場合によほどいろいろなことを考えないとうまく決められない。と申しますのは、本当に末端の運動員まで入れてしまいますと、その人が、本当に候補者として全く責任がないにもかかわらず、たまたま何か間違ったことをやったら途端に連座になってしまうということでいいのかというような問題が一方でありましょうし、おとりの問題とかいろいろな問題もありましょう。そういう相当いろいろなことを十分見きわめをつけなければいけないというところがあるのではないだろうか、これは私の見方でございますけれども。 審議会としては、範囲の拡大としては、この際は秘書に広げようというところで一応結論を出したということでございます。ただ、別途、制裁措置を強化するためのいろいろな新しい発想での検討もしなければいけないのではないかということで、それは答申の一番終わりの方に書いてあると思います。
○仙谷委員 秘書の問題は、国会議員要覧を見ましても、まさに親族と秘書が重なっておる方々が割と多いようでございまして、もしこういう規定をつくっても抜け道で、公設秘書にはならない、私設秘書という名刺は使わせないみたいなことがなされるのではないか。そんなことを考えますと、ないよりましかという程度じゃないか、そんなふうに思います。 そして、先ほど選挙部長がおっしゃった運動員を連座制の対象に含めるかどうかという問題でございますけれども、どうも一般の運動員、末端の運動員というふうな極端な例を引いて、だから運動員買収あるいは運動員の腐敗行為についての連座制の適用には否定的なんだ、そんな御議論じゃないかと思うのですが、選挙で常識的に言われているのは、大柱、中柱、小柱とかいうことを特に保守の選挙では言われているわけでしょう。あるいは後援会の幹部とかいう言い方があるでしょう。そういう重要なポジションを占めておる人を構成要件としてどうくくるか、技術的に多少難しい問題があるかもわかりません。だけれども、そういう重要なポジションを占めておる運動員が腐敗行為を行った場合には、候補者も連座制で当選無効のペナルティーを受ける、そういうことが今日本の選挙で、政治で求められておるのではないか。 こういう議論は以前の国会でも議論されておって、自民党の議員の方も、それは参考にしなければならない、真剣に検討しなければならないということをおっしゃっておるわけでございますので、その点について、答申には書かれておりませんけれども、自治省としてはそこまで踏み込んで、腐敗防止を徹底的に厳しく、例えば当選無効の対象になる連座制の中に入れていきたいという御意向はあるのかないのか、その点についてお伺いをいたしたいわけでございます。
○浅野(大)政府委員 私どもも、具体的にこういうふうにすればこの範囲まで対象とし得るのではないかというようなものがございますれば、もちろん審議会でいろいろ御審議いただいているわけでございますから、事務局として説明もさせていただきますが、現在までのところ、私どもとしても、それ以上広げたらいいという対象が、確信を持って出せるようなものがなかなか見出せなかったということでございます。範囲がそれだけでいいのかということは、私どもも問題意識としてはもちろん持っております。 もう一つは、やり方の問題なのですけれども、今は刑事裁判を経まして、その確定を待って連座、こうなるわけでございますが、イギリスの場合、日本と違う特徴的なことは、刑事裁判とは別に資格剥奪に関する裁判が行われるということでございます。そういう方法がとれないのかということも実は大きな問題としてはあるのだろうと思っております。先ほどちょっと申し上げましたけれども、それが答申の最後に触れておりますことでございまして、そういう新しい制度は考えられる、しかし、これは司法制度の根幹ともかかわりのある問題でございますから、今後若干時間をかけてよく検討してみよう、こういうことになっているわけでございます。
○仙谷委員 私が今から聞こうと思っていたことを先にお答えになったわけでございますが、刑事裁判と別に「刑事罰を科することなく公民権停止等の資格剥奪を行う」ということがまさに答申にも書かれております。あるいは「連座による当選無効等の処分を刑事裁判とは別に迅速に処理する」というふうなことが答申にも記載されております。今の日本の司法制度を中核とする制度の中で、自治省のイメージとして、例えばどういう制度と似たものといいますか、どういう制度にすればいいというような、どんなイメージを持っていらっしゃいますか。
○浅野(大)政府委員 二通りあろうかと思います。一つは、もともと刑事罰にかえて、何らか裁判とまた別の手続で資格剥奪だけのような措置がとれないか、しかし、それが果たして連座制のようなものに適するかどうかというのは必ずしもわからないと思います。それからもう一つの問題は、連座等によるいわゆる資格剥奪みたいなものを必ずしも刑事手続によらないでやることができないかという、二つあろうかと思います。 最初に申し上げましたような部類につきまして、もし本当にモデルになるようなものが現にあれば、これは割合制度化しやすいのですが、今のところなかなか見当たりません。強いて似ているものを考えれば、例えば海難審判でありますとか公正取引委員会が、そこまで言っていいのかどうかわかりませんけれども、行政機関的なものである程度の処分ができるというような形が果たして参考になるのかどうかという感じは持つわけでございます。 それから、後者の方は、これはいわばまさに新たな制度ができるような感じになりますので、これこそ司法の本当の根幹に触れるような問題になるのではないか。私どもも、ちょっと具体的にどういう制度がいいのかというところまでは、今のところイメージとして持ち得ないところがあるわけでございます。
○仙谷委員 ここに書かれておることを素直に解釈いたしますと、司法制度上三審制をとる日本の裁判の中で、刑事事件が確定するかどうかというのをさておいても、その中に当選無効、立候補制限の問題を別途の訴訟形態として入れるということになりますと、確定まで時間がかかりますから余り実効が上がらないのではないかそんなふうに思うのですね。おっしゃったように、やるとすればいろいろな配慮と考慮と検討が必要なんでしょうけれども、行政委員会で、いわば行政処分として当選無効の効力が出るというふうな公定力をその段階で発生させる、その後に取り消し訴訟なりなんなりで争うというふうなことにならないと、本当の意味でも即効性といいますか実効性が上がらないのじゃないかと思うわけでございます。ところが、行政委員会でそこまでの行政処分をすることが果たして憲法上の要請と合致するのか、背反するのかその辺、自治省及び法制局の御見解はどういうふうになっておりましょうか。
○浅野(大)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私は、当選無効のようなものを行政委員会的なところで措置をすることは適当でないだろうと思っております。したがいまして、当選無効の措置を迅速にやるといたしますれば、それは今お触れになりました三審制かどうかということがまずあるのでございますが、これは今の法務当局のお考えでも、三審制を二審制でいいというわけにはいかぬだろうということでございますから、刑事処分の問題として三審制を二審制というのはなかなか議論しにくいだろうな、それをいわば刑事裁判とは別の手続で、しかし裁判手続で、必ずしも三審ということをとらないでやれないのだろうかという問題意識があるということでございまして、審議会でもそういう御議論は出ておったということでございます。
○仙谷委員 今おっしゃったのは、例えばある種の別の選挙訴訟を担当する裁判所をつくる、こういう趣旨ですか。それとも今の裁判所の中で、まあ大きく言えば民事部、そういうところに選挙訴訟専門担当部をつくってもらって、そこで早急にやるという、そんなイメージでしょうか、どちらでしょうか。
○浅野(大)政府委員 ただいま申し上げましたのは、必ずしも裁判所の組織そのものをどうするかという観点と申しますよりも、刑事裁判という形態と民事裁判という形態があるのではないかと思っておるのでございますが、そのほかに別途そういう選挙についての特別の裁判制度というものができないのだろうかどうなんだろうかというような感じでございます。 そういう発想の一つのもとになりますのはイギリスの腐敗行為防止法でございまして、イギリスの場合も裁判所自体はコモンローの裁判所でやっているようでございます。ただ、俗にそれを選挙裁判というふうに名前をつけまして、二人の裁判官を任命してスピーディーに事に当たらせるという制度になっているようでございますから、訴訟手続とでもいうものにおいて、何かそういう特別なものが考え得るのかどうかという問題意識を持っておるわけでございます。
○仙谷委員 時間がそれほどございませんので、次の議題に移ります。 この答申でも公的助成ということがうたわれておるわけでございますが、まず第一番目に、今度の衆議院選挙における選挙費用、国庫支出といいますか、公営で行われる分といいますか、ポスターとか自動車とか運転手とかそういうものがあるわけでございますが、総額として今度の総選挙費用は幾らかかったのかそしてまた一人当たりに換算いたしますと金額としてどうなるのか。できれば内訳もお教えいただきたいと思います。そしてまた、供託金没収ということで没収をされた人数とその合計金額、それがわかりましたら御教示をいただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 今回の二月の衆議院議員の選挙についてでございますが、我々がいわゆる公営費として整理しておりますものの予算額は百九億六千五百万円でございます。これは議員一人当たりにいたしますと二千百万円でございますが、実際は候補者の数によって違いが出てまいりますから、候補者一人当たりにしますと千二百万円に相なります。 それから内訳でございますが、これには例えば選挙公報の費用でありますとかそういうものも含まれておりますので、一々申し上げるのは避けさせていただきまして、いわゆる新公営と言われておりますものを中心に申し上げますと、一つはポスター作成の公営費というのがございます。これがトータルで七億六千二百万円でございます。それから自動車の公営費が三億九千六百万円、例えばそういう数字になっております。実際にお金がかかりますのは、あとはポスターの掲示費でありますとかそういうものもかかるわけでありますが、いわゆる新公営費といいましたらそんなところでございます。 なお、没収いたしました供託金でございます。これは候補者九百五十三名中対象者が二百二十二名でございまして、お一人二百万円でございますから、掛け算いたしますと四億四千四百万円に相なります。
○仙谷委員 選挙制度審議会の答申の中にも公的助成を進めるべきであるというふうなことも書かれておるわけでございますが、諸外国の中でいわゆる公的助成というのを本格的に行っている国はどのくらいの数があって、具体的にはどのくらいの金額を拠出しているのか、おわかりになる範囲でお答えをいただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 いろいろございますけれども、かなり徹底した形で公的助成をやっている国としては、西ドイツ、スウェーデンを例に挙げさせていただきたいと思います。 西ドイツの場合は、選挙運動費用の補助ということで公的助成が行われておりますが、実際にはその使い道について特段の制限はないと聞いております。西ドイツの場合は有権者数を基準として助成総額を決めております。これについては細かい内容もあるようでございますけれども、ここで一々を申し上げることもいかがかと思いますので、柱となっておりますものだけ申し上げますと、有権者一人につき五マルクということで積算をして、総額を決めて補助を出しているというものがあるわけでございます。一応トータルを日本円に換算して出しますと、換算レートの問題もございますけれども、一九八七年総選挙のときで大体百七十億円程度でございます。ただ、これは選挙費用補助ということで出しておりますものですから、いわば四年に一回の額。ただし、支出は毎年ならして出すわけでございますので、四年分の額ということでお考えいただいた方がいいかとは思いますが、約百七十億円という計算になるわけでございます。配分方法は、原則として各党の得票数に応じて配分いたしております。 それからスウェーデンでございますが、スウェーデンはまさに一般的補助として制度自体が組み立てられております。それで、原則として議席を持っている政党に対して助成をいたしております。一九八八年分の補助額でございますけれども、日本円にいたしまして約十八億円強でございます。そのほか割合大きな金額として政党事務局補助というものがございまして、これが六億七千万円程度出されておるというふうに承知いたしております。
○仙谷委員 今の点でちょっと話を変えるわけですが、先ほどの、選挙運動費用補助という格好で西ドイツは出しておって、スウェーデンは一般的な補助という形で出しておる。西ドイツの場合は、一般的な補助というふうにして出すのは憲法違反だという判決が出て、それでこういう選挙運動の費用補助という格好で出されておるというふうに聞いておるのでございますけれども、日本の場合に、憲法二十一条との関係で、国家が政党にお金を出す、この点に関しては憲法違反の問題というのは生じないとお考えでしょうか。
○浅野(大)政府委員 どういう出し方をするかということとのかかわり合いもあるいはあろうかと思いますが、私は憲法違反にはならないと考えております。
○仙谷委員 お金を出す、今度はそれに対する管理監督というものが、私は必然的には生じなくてもいいんではないかというふうにも思いますけれども、ある種の、特にお金の出し入れの面についての監査なり調査というものが行われる可能性も出てくるのじゃないかと思います。憲法上の結社の自由との関係においてどこまでの、お金の点だけでも規制といいますか制約といいますか、そういうものがあれば、憲法違反の問題が発生しないというふうにお考えでしょうか。
○浅野(大)政府委員 ただいま御指摘いただきましたような点について、まさに今選挙制度審議会でも御議論をいただいておるわけでございますが、そういう段階で私の意見を先走って言うことはいかがかと思いますが、現実問題として、政党の中に行政当局が立ち入るということはおよそ考えられないことだろうとは思っております。
○仙谷委員 時間が参りましたので、ちょっとしり切れトンボになりましたけれども、終わりたいと思いますが、いずれにしましても、今度のこの選挙制度改革論議といいますか政治改革論議、どうも小選挙区比例代表並立制の問題だけに傾斜をし過ぎている。つまり、最も民意を正しく反映するために政治腐敗を正さなければ、選挙制度だけをいじっても民意が正しく反映されるような選挙、政治は行われないということを、日本社会党の意見としましてもあるいは個人的な意見としましても申し上げて、質問を終えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○中山委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後一時四十九分休憩 ────◇───── 午後三時九分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。井上義久君。
○井上(義)委員 まず初めに、第八次選挙制度審議会の答申について大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 選挙制度の改革は議会制民主主義の根幹にかかわる最重要課題であり、国民合意のもとに行われることは不可欠の条件である、このように思うわけでございます。政権党がみずからの政権の固定化を図るために改革を策するというようなことがあってはならないわけであります。ところが、今回の答申については、審議会のあり方そのものに当初から疑問があり、審議経過を見ましてもまず小選挙区制ありきということで、結果的に少数党の切り捨て、自民党政権の長期固定化につながることは明らかであると言わざるを得ないわけでございます。当然野党はこぞって反対をいたしておりますし、自民党内にも一、二回生の若手を中心に反対論が根強い、このように聞いているわけであります。担当の大臣としてこの答申をどのように認識し、その扱いについてどのようにお考えなのか、まず基本的な認識をお尋ねしたいと思います。
○奥田国務大臣 このたびの答申は、広く学識経験者を交えまして、昨年の六月以来約十カ月以上にわたりまして答申作成に努力していただきました。 ねらいとするところは、今日ほど政治不信が高まっている時期はないという基本認識に立って、将来あるべき政治のあり方として、政策本位、政党本位の選挙実現のために具体的な方策を示していただいたという認識をいたしております。もちろん、今御指摘のような御批判のあることも私たちは謙虚に耳を傾けねばならないと思っておりますし、私の立場としては、答申を最大限尊重していくという基本姿勢ではおりますけれども、一党一派に偏したり、あるいはそのことが自民党を特定に利するというような御批判に対しても大いに御論議をしていただきたいと思いますし、お互いに個々の政党の立場を超えて、血を出して痛みを分から合っていくぐらいの決意で、そして真摯な御論議の経過を踏まえて成案を得たいという気持ちでおるわけでございます。
○井上(義)委員 本来、選挙制度というのは国会の構成の基本に関することでありますから、各党間で論ずることが最も現実的また民主的な方法であろう、このように思うわけです。それを首相の諮問機関で審議をし、その結果を国会に押しつけるということ自体が非常に問題だ、こう思っておるわけでございますけれども、この答申の取り扱いに関して、今後のスケジュール、特に選挙制度の改革についてのスケジュールをどのようにお考えなのか。次の選挙を答申案に沿って是が非でも小選挙区制でやるのかというようなことも含めて、今後のスケジュールをどのようにお考えなのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○奥田国務大臣 私の立場としては、これから七月にかけて多分出していただけるであろう参議院制度の改革、区割り問題等も含めまして、一体性、先ほどワンパッケージという表現をいたしましたけれども、そういった答申をいただいて後にワンパッケージの形で、できるだけ各党の御論議を踏まえながら、御協力も得ながら成案に努力したいということでございます。 今、いつの時期にめどをつけるのかという御質問であったと思いますが、こういうことになると先ほどの答弁との関連性もあって、できるだけ早く、それをもっと具体的にはどうだということでございましたから、秋をめどということでございましたが、これはあくまでも政府は答申案を骨として尊重していくという基本姿勢でお願いするわけでありますけれども、各党間の真摯な議論によく耳を傾けながら、今御指摘ありましたように、自民党の方でも党内自体の論議が今真剣に行われておる、そういった状況も踏まえながら、私としては最善の努力を尽くしてまいりたいと思っております。
○井上(義)委員 どういう時期をめどにというふうにお尋ねしたのは、ことしの十二月に当然国勢調査の速報値が出るだろうと思うわけでございます。そういたしますと、一票の格差が一対三を超えることは必定でございまして、国権の最高機関たる国会を選出する基盤が違憲状態である、このことはゆゆしい問題でございます。第百四国会で定数是正が行われましたときに、六十年の国調の確定人口の公表を待って、速やかに抜本改正の検討を行うというふうに国会決議もあったわけでありますけれども、今日に至るまで放置をされてきたその政治責任は非常に重いと思うわけです。 ところが、今回の制度の改革に絡んで、先般、二十七日だったかと思いますけれども、海部総理はこのことに関して、要するに制度改革を優先するのだ、定数論議を優先しないのだというような趣旨の記者会見をされているわけです。もしこの十二月、確定値が出る段階でこの制度論議の結論が出ていないとすれば、これは大変な問題になるわけでございまして、本来やるべき定数是正を制度改革ということで解消してしまって、結果的には何もできませんでしたということでは済まされないわけでございます。そういう意味で、私は定数是正ということに本格的に取り組まなければいけないのじゃないかというふうに認識しているわけでございますけれども、この点に関しては大臣、御所見はどうでございましょうか。
○奥田国務大臣 今委員から御指摘いただいたように、私も議員の一人として、国会決議に基づく定数是正という形は速やかに検討が行われるべき課題であると認識しておりますし、これも国会で決議した以上、各党で一日も早く決着を得られるように十分協議していただきたいという形で申し上げてきたところでございますし、総理もそういった形の答弁を一貫してやってきておったと思っております。 ただ、今度の選挙制度答申は政府がお願いしたものでありまして、そして新しい制度下において、違憲状態のそういった国会決議も踏まえまして、今度の答申内容は、一票の格差が一対二未満に抑えられておるということがその内容になっておるわけでございますから、この一票の格差という問題点も、答申に当たられた委員の各位はよく御認識の上にこういった形の答申の内容となったものだと思っております。私自身も、あの国会決議は国会決議として優先尊重されて、しかもこれは国会マターで決着をつけられるように努力すべき問題であろうとも思うし、他方政府は、この百年の制度開設を機に、何としてもこういった問題点も含めての御論議、御審議をいただいての答申だという形で受けとめておるわけであります。
○井上(義)委員 制度改革をあくまでも優先させるというお答えだったと思いますけれども、もしこの制度改革が現実的になかなか成立しないということになった場合の政治責任というのは、非常に大きいというふうに御指摘をしておきたいと思います。 次に、今回の答申案の選挙制度に対する基本的な考え方について若干お尋ねをしたい、こう思います。 答申を全体的に見まして、どうもこの答申が政権交代、政局の安定ということに非常に傾斜をいたしておりまして、国会の選出機能に重点が置かれ過ぎているのではないかと考えるわけでございます。そういう意味からいいますと、選挙制度という意味では、現在得票率が四〇%台、五〇%を割っている自民党がずっと単独で政権を維持してきたこのこと自体がむしろ異常であって、これは定数の不均衡や政治資金の問題ということが非常に大きな原因だと私は思っておるわけです。そういうところにこそまずメスを入れるべきじゃないかなと思うわけでございまして、大臣は得票率が五〇%をずっと割ってきたこの自民党が長期政権を維持してきた、どこに問題があったのかということについてどのように認識されておるか、まずお尋ねしておきたいと思います。
○奥田国務大臣 四〇%台で過半数議席を維持し、しかも長期間にわたって一党の政権がずっと維持されてきた根底は、今日の選挙制度、中選挙区制度に原因があると私は思います。もちろん一票の格差、いわゆる人口集中の大都市部における定数と地方におけるそういった意味の格差の増大がこういった四〇%台での過半数議席獲得につながったと思います。それは最近の過密・過疎の問題点を含む時代の流れの中でこういった格差が生じてきておるわけでありますけれども、自民党が長年政権を単独で担当し得てきた形の根底は中選挙区制度だ。中選挙区制度の中での多数獲得が逆に言えば今日のいろいろな政治不信の批判を生んできた原因でもあるし、一党長期政権の土台はやはり中選挙区制度にあるなと私は思っております。
○井上(義)委員 今大変大事な問題をおっしゃって、定数の不均衡が自民党の多数支配といいますか、自民党政権の長期化につながってきたという認識をまず最初にお話しされておりましたが、実はそこをきちっとすべきじゃないか、現行中選挙区制の中においてもその定数というところをきちっとしなければ、政権交代という機能が中選挙区制で本当に発揮されるのか発揮されないのかということがわからないじゃないかということを申し上げておるわけでございまして、大臣の答弁を伺っていますと、中選挙区制に問題があった、その前におっしゃったように、定数の不均衡にも大きな原因があったというふうに答弁があったように認識したのですけれども、それでよろしいですね。
○奥田国務大臣 率直に申し上げたわけですけれども、中選挙区制度の区割りの沿革、歴史もありますから、それが今委員の御指摘のように、確かにそれならすっきりと定数是正をやればいいじゃないか、今日のように三対一というような一つの――皆さんは二対一、いろいろな御論議の過程はあるわけでございますけれども、それをすっきりやればいいじゃないかということになりますけれども、ここに至るまでの時の流れと沿革を考えた場合に、この問題一つでも議員の身分と立場立場にかかわる問題で、先般の八増・七減問題でも大変な御論議が過程にあったということであります。しかし、そういう形だけで果たして政策本位、政党本位という政治の趣旨からいったらいいのだろうかという反省にも立って今日の答申がなされたという形で、そういった意味の国民からの批判の対象である定数の是正問題も、この機会に一挙にワンパッケージの改革の中に含めて御審議願えないかというのが私の立場でございます。
○井上(義)委員 どうもできないから制度の改革をやるのだというふうに聞こえるわけでございます。もしそうだとすると、小選挙区制導入ということになりますと、この区割りは抜本的に変わるわけでございまして、これは余計できないのじゃないですかな。特に自民党さんの中、今の大臣の御認識ですと、恐らく到底無理なんじゃないかというふうに私も今感じたわけでございます。 話をちょっと進めまして、この選挙制度の基本的な考え方について御所見をお伺いしておきたいと思います。 私は、選挙の本来の目的は、いわゆる国権の最高機関である国会を構成する全国民を代表する議員を選出する、これは憲法に定められた規定でございます。いわゆる国権の最高機関たる国会を構成する全国民を代表する議員を選出する、ここが一番のポイントでございまして、国会は国権の最高機関であって、したがって、当然選挙のあり方というのは、その国会を通じて国民主権をどう実現するか、こういう視点で本来は検討されなければならないんじゃないか。そういう意味からいいますと、民意をいかに正確に反映するかということが選挙制度改革の中心でなければならない、このように思うわけでございます。 内閣選出機能というのはその結果として行われるべきものであって、この内閣選出機能に重点を置く余り、今回のこの答申案がいわゆる小選挙区比例代表並立型という結論を導き出してしまっているのではないか。この制度、全議席の六割が小選挙区で選ばれるわけでございまして、事実上その六割の部分で国会としての意思決定ができてしまうことになる。すなわち、現状では自民党が圧倒的に有利で、議席のほとんどを独占できるわけでありまして、しかも、第三党以下は事実上ゼロになるというのが今回の選挙制度の案だと思います。現在議席を有する政党が制度によって一方的に土俵を狭められてしまう、こういうことが民主主義の国に果たして許されるのかどうかということについて強い疑問を持つわけです。政権交代とか政局の安定というのは本来国民の意思であって、制度の変更によって行われるべきじゃないんじゃないか、このように認識するわけでございます。 私は、選挙制度はやはり民意をどう正確に反映するかということが主眼であって、内閣選出機能に余りに重点を置いてしまうと、国権の最高機関としての国会の機能が損なわれてしまう、こういうふうに思うわけでございます。この辺の大臣の基本的な考え方をぜひ伺いたいと思います。
○奥田国務大臣 私は、基本的には委員と一緒の気持ちです。それは、国民の代表であり、名前のとおり国民にかわって議する人ということで、今日の私たちはまさに国民からそういった負託を受けて選ばれておるという形でおるわけですし、そしてまた、民意をいかに反映する選挙制度に持っていくかという形も、基本的には認識は一緒です。 ですけれども、今の答申は、当然民意を反映するためにいかにあるべきかと同時に、政治に緊張感をもたらして、そして政党本位、政策本位の金のかからない政治をいかにして実現するか、そういった諸目的をよく考えられて、そしてこの制度ではいかがかという形での答申となってきたものだ。これを受けて、私たちはこれを尊重して何とかやってまいりたい。各党の皆さんにも御論議を踏まえた上で御協力を願いたいということではありますけれども、基本認識は、いかにして民意を反映する政治、しかもある意味においては政治不信を脱却して政党本位、政策本位の政治にどう持っていくべきか、これらを真剣に論議して、今の中選挙区制度が絶対のものだという頭をまず捨てて、そして各国の先進的な選挙制度の中でもいいところも加味してとってきた、何というか苦心の答申だと思うのです。それは、こういう小選挙区比例の並立制でしょう。世界にないのでしょう。世界にない。 しかし、小選挙区のいいところと比例代表のいいところと両方とってきて、どうだという形ですから、私たちはこれはやはり尊重しながら、これでやった場合には先生はこれは自民党に圧倒的に有利になるのじゃないか、けしからぬじゃないかという御批判だと思いますけれども、私はこの案というのは自民党にとっては非常に厳しい案だと思います、正直な話。それで、決して有利とは思っておりません。逆に先生方の御意見、そしてまた自民党サイドの意見、私のように非常にこれは厳しいけれども、新しい世紀を志向して、議会制民主主義の本当にそういった政党・政策本位の政治態様に持っていくにはこれがいいのかな、これは尊重してお願いしなければいかぬなという気持ちでおるわけです。 しかし、そうかといって、これはあるべき将来の政治の方向と同時に、先生方の身分に関する問題でありますし、政党自体が生き残るか生き残らないか、これによってむしろ運命をかけておるくらいの重要な問題でございますから、そこはお互いに、決して少数党に不利とか、自民党だけに有利とかそういう視野にとらわれないで、大いに論議を闘わした過程の中で、答申の願う方向、我々もそういった形での政治改革を望んでおるわけですから、そういった点での接点を何としても求めて成案に努力したいということでございます。
○井上(義)委員 民意の反映ということがまず第一義である、その認識は同じなんだという御答弁でございまして、その民意をどう反映するかということに関していいますと、例えば得票率が四〇%であれば、それが議席にもそのまま反映されるということが多様な民意を正確に国会の議席が反映しているということになるのじゃないか。その結果として、では内閣選出機能をその中からどうつくるかということじゃないかな、こういうふうに思うわけですけれども、そういう認識でよろしいでしょうか。
○奥田国務大臣 今の答申は、小選挙区比例代表の並立という形の答申でお願いしておるわけですけれども、先生の御意見を承っておりますと、民意反映は、即小選挙区であっても比例併用という形の御意見に帰するのじゃないかというように今お伺いしているわけです。 やはりそれは各党各党の立場で、そういった形での民意を反映される方式、そこに最重点、すべてを置くか、あるいは政策本位、政党本位の国民に明確な政権選びの意思決定をさせるという、小選挙区をこの中に加味した形の小選挙区比例代表並立がいいかという形の中でこの問題は帰着される、結論といいますか接点が求められるべきでありまして、私の場合は苦労してつくっていただきました答申を尊重してお願いしたいという基本姿勢であるという点、なかなかこれは答弁しにくいのです。本当の気持ちを言うとまたあれですけれども、本当にそういった点においては、どうかひとつ選挙担当大臣で答申をお願いした立場の、そういった形であるという点に御理解をいただいて、御協力をお願いしたいということでございます。
○井上(義)委員 私は別に併用制を主張しているわけではございませんで、要するに民意を正確に反映することの意味合いについて、例えば得票率が四〇%であれば議席がそのまま四〇%に反映されてくるというふうに私は認識しているのですけれども、その点どうなのですかというふうにお尋ねしただけでございまして、大臣の御所見をぜひ承っておきたいと思います。
○奥田国務大臣 ですから、今どちらがいいか、民意を反映するというのはまさに民主主義の要締でありますし、選挙制度の根幹でなければならぬということは、その点においては私も委員も共通認識であるということを申し述べたことは間違いありません。ただ、それを盛っていくに従って、これはくどいようになりますけれども、政策本位、政党本位で民意を反映しながらも、他方、金のかからない政党本位、政策本位の、しかもある程度政治に政権交代の緊張感を生むという状態は、どの程度でお互いに話し合って接点を見つけるべきかという形でお願いしているので、ここで今私の意見をどうだと言われてすぐ言うと、私は今答申をこういった形で骨格にしながらお願いをしなければいかぬという立場でございますから、その点の立場を御理解賜りたいと思うわけでございます。
○井上(義)委員 これはいつまでやっておっても切りがありませんので、選挙制度は民意を正確に反映するということが一番の基本でなければならない、こういうふうに主張しておきたいと思いますし、それから逆に、政権交代の可能性ということからいいますと、先ほど申しましたように、例えば現行自民党が五〇%以下で政権を維持しているわけでございまして、例えば自民党が四〇%台の得票率しかない、それが議席に反映されれば必然的に政権交代が起きるわけでございまして、必ずしも小選挙区制でなければならないという理由にはならない、このように認識しているわけでございます。 次に、選挙権の拡大について御質問したいと思います。 一つは、選挙権年齢の引き下げの件でありますけれども、一九七〇年前後にイギリス、アメリカ、西ドイツ等々で選挙権年齢が十八歳に引き下げられて以来、既に二十年経過しているわけでございます。主要先進国では大半が十八歳で、二十歳はむしろ少数派になっているわけです。当時から国会でも議論されてきたわけでございますけれども、一向に進んでない。そろそろ真剣に検討すべきときが来ているのではないかというふうに思うわけでございますけれども、この点どうでしょうか。
○浅野(大)政府委員 選挙権年齢をどう設定したらいいかということは、いろいろな関連において検討しなければならないのではないだろうかということを政府としては従来から申し上げさせていただいたわけでございますが、特に一体民法上の成人年齢との関係をどう考えるかということがあろうかと思っております。ちなみに外国の例を調べますと、確かに十八歳という選挙権年齢を設けておるところが圧倒的に多いと思います。ただ一方で、そういう国々につきましては、成人年齢もやはり十八歳になっておるというような状況もございますので、私どもとしては基本的には民法の成人年齢との関連、そういう法律体系全般での関連を考えながら検討しなければいけないのではないかというふうに思っておるわけでございます。 ただ、もちろんそれだけではございません。一方で世論の動向がどうであろうか、あるいは青年層の政治意識が一体どうであるかというようなこともやはり考えなければいけないと思うのでございますが、ただいまのところ、私どもとしてにわかにこれを引き下げるというところまでは考えが固まっているわけではございません。今後まだ慎重に検討しなければいけない問題ではないだろうかというのが現時点での認識でございます。
○井上(義)委員 二十年前にも同じような答弁をいただいているわけでございまして、そういう比較法論的なまた制度論的な検討は、ある意味で出尽くしていると思います。十八歳以上二十歳未満の青年層、大体四〇%ぐらいがもう就職しているわけでございまして、これらの人たちは納税者である。少なくとも自分の納めた税がどのように使われるかということについて関心を持つ権利はあると思うわけでございまして、その意味でも積極的に政治に関与させる必要があるのではないかと思うわけです。 大臣、これはそういう抽象的な議論を二十年間繰り返してきたわけでございまして、そろそろ具体的な一歩を踏み出すべきじゃないか。そのためにも、今答弁ございましたけれども、例えば十代後半から二十代前半にかけての青少年層に対する政治的成熟度、これをもう少し精密に調査を行うなど具体的な一歩を踏み出して、その調査結果をこの委員会なりに出していただいて、そこで本当に議論をしてこの十八歳引き下げということについてやらなければいけないんじゃないか、このように思うわけでございますけれども、大臣、御所見どうでしょうか。
○奥田国務大臣 今選挙部長の答えたことは基本的なスタンスでございますけれども、今度の答申の中にはそのことをお願いしなかったということもありますが、世界の流れとしては、大体満十八歳くらいで選挙権が付与されている国々が圧倒的に多い。むしろ二十歳という形の我が国のような制度をとっておるところは、本当に少なくなってきておる現状でございます。ですけれども、さっき選挙部長が答えたように、これはいろいろな法律との並び関連がありますから、むしろこの問題はこの場の御論議として承りますけれども、今後広く議員も学識経験者も交えた形の中で、選挙権の年齢がどうあるべきかという形は、これもまた同時に真剣に考える大事な課題であろう、私はそのように認識いたします。
○井上(義)委員 二十年間同じ議論をやっているんじゃ何の意味もありませんので、この問題にできるだけ早く決着をづけられるような具体的な一歩をぜひとも踏み出すべきであるということをぜひお願いしておきます。 その次に、不在者投票の件について幾つかお尋ねしたいと思います。 時間がありませんのであわせてやりますけれども、不在者投票のできる病院、老人ホームの指定基準がどのようになっているのかということが一つ。実際に地域なんかを回っておりますと、小さな病院なんかでなぜうちの病院で不在者投票ができないのか、あるいはうちの老人ホームでできないのか、そういう御意見が多いわけです。選挙権というのは憲法に定められた基本的人権の一つであって、可能な限り有権者の投票を保障するということが原則であると私は思うわけでありまして、この不在者投票のできる病院、老人ホームの指定基準の問題、それからその拡大についてのお考えをお尋ねしておきたいと思います。 それからもう一点は、郵便による不在者投票の範囲を拡大すべきである。特にいわゆる寝たきり老人について年々ふえる傾向にあるわけでございまして、これらの人々の投票を保障すべきではないかと思うわけです。この二点について……。
○浅野(大)政府委員 まず不在者投票のできる病院等の基準でございますけれども、今おおむね五十人以上を収容するものという基準を示しております。理由でございますけれども、不在者投票を行うわけでございますから、特に公正を期するということが大事な要件になります。それが一体ベッド数だけで本当に公正を期する基準になるかどうかという御議論もあろうかと思いますけれども、そこに何らかのある程度全国的、画一的な基準もなければならないものでございますから、ある程度人手も整ったところという意味において、おおむね五十人以上という基準を示させていただいているわけでございまして、現在のところ私どもがお示しする基準としては、この程度のところが適当ではないかなという感じは持っております。ただ、県によりましては県としてある程度基準を持って、必ずしもそのとおりでない形でやっているところもございます。それはそれで結構だとは思っております。 それから次に、郵便投票の問題でございますしばしば御指摘もいただいておりますし、大変大事な問題だという認識を私ども持っておりますが、これまた事が選挙に関するものでございますから、特に公正の確保をどうするかということが非常に大きな難しい問題としてあるわけでございます。これは御案内かとは思いますけれども、戦後一度だけ郵便投票というのが非常に幅広く認められたことがございました。二十六年の統一地方選挙はそういう形で行われたのですが、このときに大変な混乱があったようでございまして、それですぐまたこの法律改正が行われまして、郵便投票をやめたというような経緯もございます。 特に、今身体に障害のある方で、客観的に証明された方は郵便投票の制度ができておりますから、それに寝たきり老人の方を加えられないかということが御趣旨になるわけでございますが、厚生省なんかにも問い合わせてみますけれども、いろいろなお世話をするという行政上の基準としてはそれなりに対応はできるようでございますが、在宅投票を認めるか認めないかという点に関しましてまできちっとしたものは残念ながらないようでございます。また、仮に基準がありました場合に、一体だれがそれを認定するかというような問題もございまして、そういうところがなかなか解決できないものですから今日に至っているという状況でございます。
○井上(義)委員 今の寝たきり老人の件でございますけれども、これは各市町村等に問い合わせてみますと、今老人福祉手当というものを支給しているわけでございます。この老人福祉手当の支給要件というのはかなり厳格に決められておりまして、私も幾つか見てみましたけれども、市町村レベルでは明確に認定されている。したがって、該当する市町村の選管がそのことを認定すれば、これは十分可能だというふうに考えるわけですけれども、どうなんでしょうか。
○浅野(大)政府委員 在宅投票ということになりますと例外的な投票方法になるものですから、やはりどうしても本当に投票所に行けないかどうか、どうしても在宅でなければできないかということをしっかりと判定いたしませんと、まさにかつて昭和二十六年の統一地方選挙のときは、医師の診断書みたいなものをもとにして在宅投票をできるかどうかということをやったようですが、案外そこでいろいろ問題があったということもあるものでございますから、それで現在は在宅投票をできる方につきましては、身体障害者手帳とか、かなりしっかりしたそういう身体の状況についての認定機関でやった証明を使わしていただいておるものでございますから、もう少し研究してみる必要があるんではないだろうかなという感じを持っているところでございます。
○井上(義)委員 少なくとも老人福祉手当を支給しているわけです。これはきちっと行政として認定して支給しているわけですから、基準があいまいであるという論は私はちょっとおかしいのではないかと思うわけです。具体的な認定をする際の書類なんか見てみますと、とても投票に行けるような状態じゃない方を認定しているわけです。そういう現状をもうちょっときちっと把握して、寝たきり老人の方というのは年々ふえているわけでございますし、特に高齢者の投票率というのは非常に高い。やはり病気であって投票に行けないということでは、これは有権者の投票を保障するという意味でぜひともやらなければいけないことじゃないかと思うわけでございますので、何らかの形でこれは結論をぜひ出していただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 御指摘のようにいわゆる寝たきりの方の数が増加しておる、そのとおりでございます。なおよくひとつ研究さしていただきたいと思います。ただいま御指摘のような点もよく吟味することを含めて、よく研究さしていただきたいと思います。
○井上(義)委員 時間がありませんので、次に選挙運動に関連して、選挙運動の原則はあくまでも自由でなければならない、こう思うわけでございますけれども、我が国の公選法の規制はこの原則を大きくゆがめている。その典型が戸別訪問の禁止であります。戸別訪問は欧米では個人が行う選挙運動の中心であって、禁止しているのは日本と韓国ぐらいのものではないか、このように言われております。現代政治において、選挙は単なる公職担当者の選出、国民の政治意識の表明というのみでなくて、やはり国民が直接政治に参加するほ とんど唯一の機会である。また、国民の政治教育の機会という意味も持っておるわけでございます。 諸外国においては、戸別訪問は、運動員として選挙活動に参加することによって政治に直接参加をする、それから、候補者や運動員と有権者の直接的接触による政治交流など大変大きな意義を持っているわけでございまして、我が国の戸別訪問の禁止というのは、こうした選挙に大きなマイナス要因になっているわけでございます。国民の直接的な政治参加の機会、方法を奪うということは、政治的に大きな損失ではないかというふうに思うわけでございます。この問題につきましても長年議論されてきたわけでございますけれども、戸別訪問の自由化に踏み切るべきじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、この点はどうでしょうか。
○浅野(大)政府委員 戸別訪問ということが政治活動あるいは選挙運動をやる上で非常に大事な手段であるし、それは一つのある意味で好ましい形ではないかという指摘については、私は特に異論を唱えるつもりはもちろんございません。ただ、これはまた昔のことを持ち出すようで恐縮でございますけれども、これまた戦後一度、完全な自由化ではありませんが、これは平素親交の間柄にある相手とかなんとかというような規定があったのがかえってよくなかったのかもしれませんけれども、そういうような形で実施されたときに、やはり結構混乱があったというようなこともございます。 それと、意見を聞きますと、確かに戸別訪問という考え方そのものはいいのだけれども、実際の行われ方が、訪問される方も大変だし行く方も大変だというようなお話も一方で聞くということもございまして、なかなか私ども政府としても、その制度化を御提案するというに至らないで今日に至っているということでございます。今後よく関係方面で十分御議論をさらにしていただくことがまだなお必要ではないかなというふうに考えておるわけでございます。ただ、戸別訪問そのものについての御指摘については、私も全く異論は持っておらないところでございます。
○井上(義)委員 時間が来ましたので、選挙運動の自由化ということについてさらに拡大すべきであるということを主張いたしまして、質問を終わりにしたいと思います。
○中山委員長 東中光雄君。
○東中委員 最初に定数是正問題についてお伺いをします。 一九八六年五月二十一日の衆議院本会議におけるいわゆる定数是正に関する決議、これを見てみますと、こう書いていますね。「選挙権の平等の確保は議会制民主政治の基本であり、選挙区別議員定数の適正な配分については、憲法の精神に則り常に配慮されなければならない。」これにもちろん異論はないと思うのですが、「今回の衆議院議員の定数是正は、違憲とされた現行規定を早急に改正するための暫定措置であり、」中略ですが、「速やかにその抜本改正の検討を行うものとする。」、それで中選挙区制における定数是正ということが言われておるのですから、これはもう速やかに抜本的ということになっています。 それで自治大臣にお伺いしたいのですが、このことに関連して八八年、一昨年の四月十五日に当時の梶山自治大臣はこう言っているのです。当委員会における発言です。「衆議院の定数是正、これはまさに焦眉の急、一番重要な課題でもございます。そして、衆議院の本会議の決議、六十一年五月二十一日に決議をされたその中身に忠実でありたい、これがまず第一の原則であろうかと思います。」そして、決議の内容は五項目ある。抜本是正、格差の問題、それから二人区・六人区をなくして本来の三人区-五人区の中選挙区制にすること、それから議員総定数、選挙区画、それから過疎・過密の配慮ということなんだ、こう言っています。まさにそれを速やかにやらなければいかぬということであると思うのですが、奥田さん、同じ考えでしょうね。あるいはそれを訂正するのですか、ちょっと言ってください。
○奥田国務大臣 梶山元自治大臣が、恐らくこの公選特の席上であったと思うのですけれども、そのような答弁をなさったというのは、まさにそのとおりだと思います。私もその気持ちです。これはもう速やかにやるべきである。これは国会、また党、また各党間での協議を踏まえて緊急にやるべき課題である、これはもうそのとおりです。 他方、私の場合は、昨年六月からお願いしたこういった形での第八次答申というものにちょうどたまたま出くわした大臣であるということでございますから、国会決議は国会決議として速やかに各党間で緊急課題として処置されるべきである。だけれども、私の場合は、他方こういった形での答申を得て、この答申の具体化というか成案化という形に取り組まなければならぬということです。ですから、答申の中では、定数是正の問題も一対二未満に抑えられておるという内容になっておるということも付言しておきたいと思います。
○東中委員 それはちょっと違いますね。答申の中で言っている一対二未満というのは小選挙区制にしたときの選挙区の問題で、国会決議は、中選挙区制の現在の状態における一対二未満にすべしというのが我々の主張なので、自民党はその点について意見がまとまらぬといって言わないのでしょう。 去年の九月十八日に海部総理大臣が就任後初めて選挙制度審議会、八次審の第四回総会に出席をした。そのとき、ことし三月の住民基本台帳によると、衆議院の一票の格差は三倍を超えている選挙区がある、立法権を持つ国会が違憲状態なのは甚だ問題だと盛んに委員から発言があった。これを受けて、翌日海部首相は午前の閣議で、衆議院の定数是正について「違憲状態になっているとの指摘もあるので、緊急措置をお願いしたい」ということを言うた。また、閣議の中で、「昨日の選挙制度審議会で現在国会に提案中の政治改革関連法案の話をしたら、委員側から「それより違憲状態の是正が先」と言われた。問題があることは確かなので、自治大臣に緊急措置を検討願うことにする」というふうに発言した。これは新聞に報道されていることで、私は閣議の中は知りませんけれども、とにかくそういう問題があったことは間違いないのです。 ところが、その後政府としてそんなものやれない、あるいは国勢調査でやるのであってという、国会決議からまるっきり離れたところへ問題を持っていって、自民党としては全くやろうとしないのですよ。そして、自民党が決めた政治改革大綱の線に乗って八次審を発足させて、小選挙区制を導入する方向へ進んでいった。これは全くのすりかえですね。だから、今おっしゃるように、本当に本会議決議を守るということであれば、自民党がそれを積極的に国会で進めなきゃいかぬわけでしょう。当委員会には小委員会もあるのです。さっぱり開かれない。この小委員会が設置されたときに、自民党の代表は、これは党内でまとまらないので、今自民党として案を出すわけにいかぬというようなことで、とまっているわけです。そういう実情でありますので、八次審の答申は後でお伺いしますけれども、定数是正について、自民党海部内閣の担当自治大臣として、各党の相談、国会としてやるについての自民党の現在の態度をどう思われますか。小委員会でも進めようとされないということについて、自民党所属の、自民党内閣の自治大臣ですから、端的に答えていただきたい。
○浅野(大)政府委員 事実経過だけをごく簡単に申し上げます。 昨年、選挙制度審議会で委員からいろいろなお話が出ました。ただ、これはあくまでも解散・総選挙ということが世上話がありましたものですから、いわば緊急的な措置としての問題が出たということでございます。国会決議の方でお取り上げになっておりますのは抜本是正の話でございまして、そのときはいわば緊急是正の話でございます。それで、総理から当時の渡部自治大臣にお話もあったようでございますけれども、結局、定数是正というのはこれまでずっと国勢調査人口でやっている、国勢調査人口の最新のものは昭和六十年のものである、昭和六十年の国勢調査人口で見る限り一対三の中におさまっているわけでございますから、いわば緊急措置という意味では、住民基本台帳でしかそういうことはやりようがないのじゃないかということで、その辺は総理は御了解されたということでございます。国会決議はいわば抜本是正の話でございますが、そのときはそういう緊急措置の話で出たということでございますので、ちょっと説明させていただきます。
○東中委員 大臣、どうですか。梶山さんが速やかにやることが第一であると言っている。ところが、速やかにどころか、二年たっても三年たってもまだ動かないのです。自民党所属の大臣として、自民党を督促するとか、そういうことではだめじゃないかとか、いやいやそれでいいのだ、そのうちに小選挙区制にしてしまうから、中選挙区制の問題は問題なくなるのだから、海部総理大臣が近ごろそういう趣旨のことを言っています。それはすりかえだと思うのです。それはどう思われますか。率直な意見を言ってください。
○奥田国務大臣 いや、率直な意思を述べるとまた問題になりますから。 違憲の疑いありという形での緊急的な課題としてあの国会決議がなされたわけでありますし、それは真摯に受けとめて、早急に検討されるべき課題であるという認識は全く一緒でございます。しかし、今回の形は、そういった面も含めての抜本的な政治改革を答申としてお願いしたわけでございますので、この答申が出た以上、私の立場としてはこの答申の内容を尊重した成案化に向けて努力したい。しかし、国会決議は国会決議として、我々もその中の一員として決めた決議というのは最大尊重しなければいかぬ。これは各党間にまたがる、協議をいただかなければならぬ大事な問題であるという認識は、今も変わっておりません。
○東中委員 後の方は、政府が諮問して答申で出てきたから最大限尊重する、そのことについては私たちは別の意見を持っていますから。前の方の国会決議は、尊重しなければいかぬではないのです。本当に実行しなければいかぬのです。その重要な立場にある人が、もう他人事みたいに言われているのは甚だ遺憾だということを申し上げて、実際に進めるようにひとつ強く要請しておきます。 そこで、小選挙区制の導入についてお伺いします。 自民党の政治改革大綱では「小選挙区制の導入を基本とした」というふうになっております。この答申もそういう方向で、小選挙区比例代表並立制、六対四という形で出てきておるわけですが、小選挙区制というのは、比較第一党でありさえすれば議席が非常にふえる、比較第一党にとっては非常に有利である、そういう制度だと思うのです。三乗比の法則があるというふうにイギリスなんかでも言われておりますが、結局それは、比較第一党であれば、フランス型でなくて普通の小選挙区制でいけば非常に有利で、圧倒的多数の議席を獲得することができるという制度としての特徴を持っておるのではありませんか。選挙部長、どうでしょう。
○浅野(大)政府委員 三乗比というのは、イギリスの選挙の実際等から、経験的にそういうことが言えるのではないかということで言われておることだと思いますが、得票の比率が議席になってあらわれる場合は、その三乗になって議席の違いとなってあらわれるというようなことを意味しておるわけでございまして、経験的にそういうことが言われるのだということが言われておると思います。すなわち、得票の若干の変化が議席の数に鋭敏にあらわれるということを別の言葉で言っておるというふうにも言ってよろしいかとは思いますが、そういうことが言われておることはそのとおりでございます。 それから、比較第一党に有利かどうかというのは、比較第一党をどうとらえるかということにもよるとは思いますけれども、その選挙区の中で幾つかの党があって、それぞれが候補者を立てる。そうすると、相対多数でいきますから、その党の中で一番たくさん得票をとったところがその選挙区で勝つであろうという意味であれば、比較第一党に有利という言い方もあるいはできるかもしれませんが、一般的に比較第一党に有利であるという言い方ができるのかどうか、私はそこは必ずしもわかりませんけれども、選挙区内で各党がそれぞれ候補者を出して争った場合に、比較第一党が比較多数をとるということになればそこが当選する、そういう仕組みになっておるということは、それはそうだと思います。
○東中委員 比較第一党になったものが当選すると言われたけれども、その比較第一党と比較第二党との差はほんの少しであっても三乗比でぐっとふえていく、こういうことで当選するというのが小選挙区制の特徴なんです。イギリスでそう言われておると言いますけれども、小選挙区制はイギリスでやり出して、イギリス系のアメリカやカナダやオーストラリアというふうに伝わっておるわけであって、それ以外には小選挙区制というのはないわけですから、だから、イギリスで言っておることが小選挙区制の特徴だというふうに私は思うわけです。 それで、これを実際に適用してみますとどういうことになるかといいますと、私の選挙区は大阪二区ですが、大阪二区は人口がふえてきて、昭和四十二年の三十一回総選挙のときから五人区になったわけです。それまでは四人区であったわけです。それ以後九回の総選挙がありました。そこで自民党は、一回だけ一名しか公認しなかったときがありますけれども、大体二名の候補者を立てます。そのほかは社会党、公明党、共産党、民社党、全部一名ずつ立候補しておるわけです。そういう選挙区なんです。当選したのはどうかといいますと、九回の選挙を通じまして、自民党が二名とも当選したのは三回だけあるのです。六回は一名しか当選していません。そのほかは、公明党、共産党が一名ずつ九回とも当選しております。社会党は八回当選して一回落選しております。民社党は二回落選しておりますが、七回当選しておる。こういう状態です。 それで、九回の得票率を全部平均してみました。そうしたら、自民党は二七・四五%です。公明党は二一・一九%です。日本共産党は一八・六一%です。社会党は一四・六七%です。民社党が一四・五四%、ほかに無所属が若干あるということになるのですが、こういう状態なんですね。だから、まさに五党伯仲とは言えないまでも、これは九回続いてですよ。第一党と第二党との間は相当あいていますけれども、しかし、それぞれ各党大体一議席ずつとるという程度なんですね。自民党も、二人候補者を立てても二〇%台、一番多いときで三三%です。そういうことなんですよ。これは中選挙区制の結果ですね。だから民意がある程度反映されている、死票が比較的少ないということになっていると思うのです。 ところが、これを小選挙区制にしてごらんなさい。五つの小選挙区に分けたとしたら、二七・四五%とっている自民党は五議席全部独占することになるじゃありませんか。そういうふうにずっと三乗比でふえていくのですよ。行政区別に見ていってもそういう形になってしまう。これは事実がそうなんですから。だから、自民党に有利にしようと思っているのではないと言ったって、二七・四五%で自民党が議席を独占する。逆に言えば七〇%台の死票が、社会党、公明党、共産党、民社党を支持した人たちは全部死票になってしまう。それが小選挙区制なんですよ。日本の現状、五党がいるという現状でいけばこういうことになるのです。だから死票をうんと出す、そして第一党に議席を集中してしまう、こういう小選挙区制というのは、私たちは自民党永久政権をつくるためのものであるということを主張しているわけですが、奥田さんはどう思われますか。
○奥田国務大臣 しかし、東中先生の選挙区は別として――大阪の場合、中選挙区制がある意味においては最もうまく作動している選挙区なんですよ。はっきり言って政党本位の選挙区だ。中選挙区がそういった形で各党が並立して競い合っておる。だから、それはそれなりにとてもうまく動いている選挙区なんです。ですけれども、それだったら自民党はとても政権はとれないです。いつも五分の一政党、六分の一政党ということに甘んじておることになって、とても政権に届かない。 大阪のような例は、百三十の選挙区がありますけれども、大阪の先生らのところのような選挙区は本当にまれなんです。自民党の泥仕合いの弊害が最も少ないのは大阪だと言っても、私は過言じゃないと思うのです。私らのところは四人のところで三人、三人のところで二人もしくは三人、そういった形の中の中選挙区制度の一番厳しい、政策本位、政党本位よりも個人本位の泥仕合いになっていくという形の激烈な中で、みんな非常に苦労しているというのが実態なんです。ですから、中選挙区制度はやはり政党本位ではない、政策本位になかなかなり切らない。 そこで、今度の諮問でお願いした結果、小選挙区という答申が出されてきておるわけです。確かに今御指摘になったように、大阪という形の特異例を挙げられましたけれども、これは全国の中でうまくいっている、しかも五人に一人しかいつも受かっていないような選挙区が、今のこの方式でいったら全部受かって死票がたくさん出るじゃないか。確かに小選挙区に短所がありとせば死票が多くなるということ、これは認めます。ですから、死票が多くなるから、逆に比例という形の並立制を答申はそこで苦心されて出してこられたのじゃなかろうか、私はそういうぐあいに理解しております。
○東中委員 それはちょっと逆じゃありませんか。大阪二区の例は全国で少ないんだ。ある意味では自民党が一番得票の少ないところだということでしょう、言われている意味は。ほかのところに行ったらもっと自民党が多いのですかね、三〇%台、四〇%台あるいは四五%、五〇%とるのでしょう。だから、それを小選挙区にしたら全部自民党が、そしてこういうところでさえ七〇%が死票になるんだ。ほかに行けば自民党だけがほとんどとってしまう。これでは余り格好がつかぬから、比例代表制を加味するといってごまかしをやっているだけじゃありませんか。何で小選挙区制を入れる必要があるのですか。比例代表制にすればいいじゃないですか。私はそういうふうに思います。だから、今大臣の言われたことではどうも納得がいかぬ。おまえのところは特異なんだ、ほかのところは全部独占するじゃないですかということなんで、私はこういう小選挙区制はいかぬということを申し上げたいのです。 ところが、小選挙区制は政権交代の可能性が高くなる、政権交代が円滑に行われるのだという趣旨のことが答申に出ていますね。小選挙区制をやればなぜ政権交代の可能性が高くなるのですか。今いったような調子でいくと、第一党である自民党が、大阪二区みたいに特殊例外的に自民党が比較的弱いところでもうんと独占するようになるのに、どうしてそれで政権交代の可能性が高くなるのですか。ちょっとお伺いしたいのです。
○浅野(大)政府委員 答申で申しておりますのは、制度の仕組みとして申しておるのだと思います。これは先ほど御指摘にもありましたように三乗比といいましょうか、あるいは答申の言葉で言えば得票率の変化が議席に鋭敏に反映するということでございましょうかそういう特性を持っておりますから、現在政権にある政党があったとしましても、若干得票率が動くだけで別の党が政権につくということが起こりやすい、そういう意味で政権交代が起こりやすい。制度の仕組みとしてそういうふうに言っておるということに御理解いただきたいと思うわけでございます。
○東中委員 それは全くの詭弁ですよ。第一党にあるものが第一党になるか第二党でおさまるかということで、第二党が第一党になれば顕著に政権交代ができるということは、それは三乗比でそうですよ。しかし、第二党が第一党になり得るか。今の日本の状態で言えば、第一党の自民党が大阪のように一番特殊例外だというところでも二七・四五%、二割台ですかね。それでも第二党との間で言えば六ポイントからの違いがあるから、九回の選挙でですよ、ぐんと自民党がとっちゃうのだ。だから、政権交代の可能性が高くなるなんて、これは真っ赤なうそです。 そういう趣旨ならば今までも何回も議論されている。政権交代が円滑に行われる、二大政党である程度集中しているときにぼんと大きく変わるから、交代することによって円滑にいくという議論は、選挙制度審議会七次審まで見ても、そういう意見は出ていますよ。しかし、政権交代の可能性が高まるんだというふうな議論は、今までずっと見てみましたけれども、ないですよ。今度の自民党の政治改革大綱で初めて出てきたのですよ。そうしたら答申にまで同じことが出てくる。本当に奇妙なことだというふうに思っています。これは全くのごまかしだ。 それからもう一つお聞きしたいのですが、小選挙区制は政権が安定するというのですね。それで、比例代表制は「小党分立となり連立政権となる可能性が大きいため、政権が不安定になりやすい」、答申にそう書いてあるのです。政権の安定というのは、あるいは政権の不安定というのはどういうことを言うのですか。
○浅野(大)政府委員 答申で書いておりますのは、ある政権が長く続くか続かないかという観点ではございませんで、現に政権にあるものがそこで安定して政策を遂行していけるかどうか、そういうことを言っておるというふうに御理解いただきたいと思います。
○東中委員 そうすると、それは連合政権でなくて、単独政権で議席をたくさんとるいわゆる安定過半数を持った政権がつくられやすい、そういう意味ですか。
○浅野(大)政府委員 答申で言っておりますことは、一つの党が政権を持っている場合の方がたくさんの党が集まって政権を持っている場合よりも安定しているという見方はしていると思います。
○東中委員 それは何のことを言っているのか、意味はよくわかりませんけれども、例えば中曽根内閣は五年何カ月続きましたが、あの中曽根政権というのは、いわゆる安定政権なんですか不安定政権なんですか。その考え方からいくとどういうことになるのですか。
○浅野(大)政府委員 具体の事例につきまして私自身が判断を申し上げるということはいかがかと思いますので、今は答申がどういう考え方に立っておるか、あるいは答申に書いてあることがどういうことを意味しているかという意味で申し上げさせていただいておりますものですから、具体の事例についてのコメントは、恐縮でございますが差し控えさせていただきたいと思います。
○東中委員 答申の意味を具体的に聞いているわけですよ。例えば、三百議席を持った内閣といえば単独内閣ですから、この論理でいけば安定政権、政権が安定するということになるんでしょう。中曽根内閣の第三次内閣というのは三百議席を背景にした内閣でした。しかし、それがあの売上税を出すことで、安定どころかどうにもならなくなって、内閣を投げ出したということになりましたね。同じ三百議席を持った安定政権である竹下内閣、これは竹下派の勢力からいっても安定政権だとみんなが思われた。ここに書いてあります政権が安定するとかなんとかというのはそういうことだと思うのですが、小選挙区制でやれば、第一党が単独で多数をとるから政権が安定するんだ、こういうことなんでしょう。しかし、リクルート問題が起こり、一年数カ月で竹下内閣は倒れましたね。やはり三百議席を持っていたのですよ。次いで三百議席を持ってそのまま出た宇野内閣は、何と二カ月で倒れたじゃないですか。だから、単独の多数政権は三乗比でうんと多数になっているわけですから、それで安定政権になるんだというふうなことを言うのは、もう真っ赤なうそですよ。 そしてこの問題については、先ほども引用されましたので申し上げるまでもないことですが、ローレンス・ドッド、アメリカの政治学者が、「連合政権考証」ということに訳されておりますが、一九一九年から一九七四年までの戦争時を除くヨーロッパ、カナダ、ニュージーランドなど十七カ国の議院内閣制の議会を多党制と絶対多数議席を持っている政権の二つに分けて存続期間を実証したら、少数派政権、連合政権は短命であるなどというのは真っ赤なうそだということを言っていますね。「この五十年間、平和時に開催された議会のうち、七五%が多党制の議会であった。四十カ月以上続いたすべての内閣のうち、八〇%はこの多党制の議会でできたものである」ということを言っていますよ。だから、権威あることになっているこの答申は全く虚構のことを書いている。そして連合政権そのものを否定する。そして小選挙区制を導入する。比例代表制度は小党分立て連合政権で不安定、だからだめなんだ、こういう言語道断のものだと私は思っております。こういう答申は事実に沿うていないものでありますから、ただ答申であるから尊重するというふうなことは、ひとつ自治大臣も考えていただきたいということ、実態に即して、国民の意思が公正に議席に反映されるような選挙制度をつくるということに御尽力されることを強く要請をしまして、質問を終わります。何かありましたら答えてください。
○奥田国務大臣 いろいろ御指摘いただきましたけれども、小選挙区に対する御意見も踏まえましての御議論だとお聞きいたしましたが、小選挙区の場合には、政策選択をめぐって政治に緊張感を与えるということは、私は確かだと思います。政党の政策本位の形において勝ち負けがはっきりするという形で、国民のどの政党に政権を託したらいいかという意思は比較的明確になる。 しかし、小選挙区制度を答申で盛られた裏には、やはり二大政党という形の志向があると思います。そういった形を踏まえて考えますときに、委員のような御意見がまたあるということも私は尊重したいと思います。ただし、中選挙区が絶対正しい、あるいは連合が正しくて単独がいけないとかということじゃなくて、それらの選択のわかりやすい形での小選挙区の長所もある。しかし、小選挙区の中には短所も率直に認めるべきであろうと思いますし、東中議員の意見が共産党を代表される今回の答申に対する御意見であろうということに受けとめて、御意見をお伺いいたしました。
○東中委員 終わります。
○中山委員長 川端達夫君。
○川端委員 大臣、どうも御苦労さまでございます。 今回の選挙制度審議会の答申、その前段としての国民の政治不信に対する政治家として、国会あるいは政府の持つ責任は非常に重いというのは当然のことでございますけれども、そういう中で答申が出てきた。そして、その答申を受けて、五月十日に総理が内閣の記者との会見という形で、テレビに向かって国民にお訴えをされた。その中で随分強い決意を御披瀝されました。 ちょっと読んでみますと、「私は、議会開設百年という記念すべき年にこうした答申をいただくことを、時代から課せられた厳粛な使命だと受け止め、内閣の命運をかけ改革の実現を目指して取り組み、前進を続けたい」、国民への呼びかけということでこういうふうにおっしゃいました。これは総理の言葉としては非常に強い調子であると私は認識をしております。極めて大きな意味を持つ。そういう意味で、内閣の命運をかけておやりになるというときに、その海部内閣の担当の自治大臣として、この言葉を受けて、総理がそこまで決意を披瀝されたわけですから、決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○奥田国務大臣 海部総理が政治改革にかけられる使命感、それを表現されて、政治改革には自分の命運をかけるという形での表現になったと思います。私も選挙担当、こういった形の大臣として、今日ほど政治不信の高まりの強い時期はないだろう。その認識においては全く総理と共通でございます。 そして、そういう中に立って、政策本位、政党本位でお金のかからない制度はどうあるべきかということで、十カ月余にわたって大変な御苦心、御協議の結果得られた答申でありますから、これを最大限尊重しながら、できるだけ各党の御論議にも耳を傾けながら、そういった中で何とか制度改革、それにつながる接点を求めることができないだろうか、また、接点を何としてもつくらなければならぬという気持ちで、制度開設百年という記念すべき年にも当たりますし、その意味においては不退転の気持ちで何とか接点を求めて成案化にいけるように努力をしたいという決意は、私も同じでございます。
○川端委員 そこで、政治改革をしなければならない、これは、私も一番初めに申し上げましたようにみんなの共通の意識だと思います。そういう中の一つに選挙制度が出てくることも事実だと思います。そういうことに対して一生懸命やっていくということの決意だけではなくて、答申を受けて、しかもその内容を最大限尊重して、内閣の命運をかけてやっていくのだというふうにおっしゃっているわけですし、今大臣もそういう趣旨のことをおっしゃった。その意味で、答申というものが内閣としての決意の中でどういう位置づけにあるのかをはっきりさせておきたいと思います。 総理は、この会見の中でも、答申の趣旨を最大限に尊重してという部分では、答申の中身にかなりこだわるということだと思います。一方、引き続き改革案の作成の段階から各党各会派とも十分率直に話し合いをして、合意を求めていきたい。そうしますと、どちらにウエートがあるのだろう。これからの議論の中で、政府として政治改革をやらなければいけないというときに、改革をやるということの精神的な意味で一生懸命やらなければいけない、だから、その具体的な中身に関しては、まさにこの国会の場も含めて、国民にオープンな中で、国会の議論を通じて議論を構築していく。いわゆるフリーの議論なのだということなのか。そうではなくて、最大限尊重するということで答申の中身にはこだわりを持つのだ。選挙制度で言えば、小選挙区比例代表並立制というものが骨組みとして背骨にあるわけです。この背骨は変えないのだ、あとの小骨がどうのこうのというのはまたそのときの話だ。それは皆さんの意見を聞くというスタンスなのか、その部分に関してどうもはっきりしない。 私は、政府が我々とは関与しないお立場で諮問をされ、答申をお受けになったわけですから、そういうことで、それがきっかけであるということはいいと思うのです。そういう中で、答申の意見もあるけれども、各委員さんいろいろな御意見があります中で、フリーな立場でいろいろ指摘をされている問題も含めて、選挙制度はどうあるべきかということを各党間で、そして国民にわかる形で本当にこれから構築をしていくという位置づけであるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
○奥田国務大臣 これは私も率直に言わせていただきますけれども、一政党あるいは一党一派の立場を超えて、広く将来あるべき形を真剣に御討議していただいた結晶が今度の答申だという意味においては、やはり一つのお手本と申しますか、そういった議論の一つのお手本として尊重していくという気持ちは、政府側の立場としては当然であろうと思います。 しかし、総理が言われたのは、かといって、こういった大きな制度改革を含めての問題は、各政党、各議員の御協力がなかったらとてもできない改革でございますから、これは率直に話し合って、何としても接点を求める形の中で、政治改革の言っている本旨も全うできるように、つまり、お金もかからないと同時に、国民にわかりやすい政策本位、政党本位の制度に持っていく。そして、政治資金のあり方についても、国民不信を買わないような形で透明度を高めて、あるいは公的助成制度の導入も含めてそういった形でやっていく。衆議院もさることながら、参議院も制度改革という形の中で、これらを一体となってやれという答申は、尊重して皆さんにお諮りする。お諮りする過程の中で、いろいろな御意見の中で、各党のそういったある程度の合意点というものが得られる接点が出れば、それにも謙虚に耳を傾けながら成案化に努力して、政治改革の本道に戻って御協力をお願いしたいという手続になろうと思います。
○川端委員 ということは、これからの各党間あるいは国民のいろいろな議論の中で、答申案と異なる方向、一番の中心であります小選挙区比例代表並立制というものと違う形でやった方がいいのではないかというふうな各党間の合意、接点が見出せれば、必ずしも答申にこだわらず、答申の趣旨に沿った形ではあるけれども、そういうことにこだわらずにまとめていくということと理解をしてよろしいでしょうか。
○奥田国務大臣 そこが非常にデリケートなんで、私はこだわるということしか言えないのですけれども、しかし、先生方がこれらの答申を踏まえた上で、並立問題、併用問題、あるいは小選挙区の対応についても、いろいろな議論の土俵というものがつくられていく過程の中で出た結論は、これは先生方の御同意がなければできない改革なんですから、そんな一党一派が単独で突き進むという問題ではない。 そして、今の現状というのがこれでいいのかという形も、それぞれの立場を離れて、将来あるべき政治改革の方向というものを真剣に論議を闘わされた結果の結晶があるいは答申と違う形になっても、議会であり、政党であり、議員である先生方が最後にお決めになる形というものを私が謙虚に受けとめた形で成案化に努力しなければ、単に絵にかいたもちになっていくという形だけは何としても避けたいという真剣な気持ちから申し上げたわけでございます。
○川端委員 ありがとうございました。私はこだわりたいというお言葉にはちょっとこだわりがあるのですが、政府としては、答申をお受けになり、お手本にされるという部分ではそういうお立場かなとも思います。 そうしましたら、今回の答申に対して、中心としては、いろいろな背景とかあるべき姿ということの議論は抜きにしまして、結論的な衆議院の選挙制度という意味では、小選挙区六対比例代表並立制四というものが骨子になっているわけですけれども、このことに関しての大臣としての評価というのですか、いろいろな制度が考えられる中でこういうことにまとまってきたことに関しては、えらいのが出てきたなというのか、大体それが一番いいと思うなというのか、かくかくしかじかの理由は結構でございますので、どういうふうな評価をされておりますか。
○奥田国務大臣 私は、小選挙区がもたらすダイナミックな政治、それを目指された形の中での小選挙区導入、と同時に、これでは少数党には不利だなという形で、何とかこれを中和させるという形の中で比例代表という部分を区分された並立制というのは、世界にも例のない制度ではあるけれども、政治に対する緊張感と申しますか、それと同時に、民意の反映という形の中での比例といったものを両方あわせて持ってこられたという形は、貴重な内容を含んだ答申だなというぐあいに評価いたしております。
○川端委員 そうしましたらもう少し具体的に。 今大臣の御所見を伺ったのですが、今までの御答弁を伺っていますと、総理の答申を最大限に尊重してという部分、あるいは今政府としてはお手本にしたい、そしてこだわりたいという部分も含めまして、小選挙区比例代表並立制というものが骨子として一番妥当であるという御認識を政府としてはお持ちだと理解したわけです。後の議論は別にしまして、政府としてはそうだということなんですが、答申をお受けになってから、いわゆる内閣としてその答申に対して御議論されたり評価されたりということは、事実関係としてはどんな機会にどういうことをされたか、お聞かせをいただけますか。
○奥田国務大臣 これは成案化に努力したいという方向、目標ははっきりしているわけでございますけれども、内閣としてこの問題を内容にわたってやったということはございません。そしてまた、これは私が担当して、今こういった立場の中で御議論も願い、やっているわけでございますから、私たちは答申の趣旨は十分尊重して皆さんにお諮りしなければいかぬ、成案化に至るまでの努力過程の中でも当然でございますけれども。 私が言いたいのは、この問題は人ごとではない。先生方個人個人の議員の身分にも関することであり、政党の運命にも関する重大な制度改革でありますから、これらは真剣、真摯な御論議の中で何とか接点を求める。しかし、そのときのお手本にしていただく形は、各党に門前払いを食わすということじゃなく、答申を論議の一つの中心として接点を見出す政治改革が行われるように、国民世論もよしよくやった、議会開設百年にふさわしい政治改革、制度改革に踏み切ったなと言われる形になりたいということで、私も努力したいと思っておるわけであります。
○川端委員 今までのお話を伺いまして、海部総理が命運をかけて取り組みたいとおっしゃった趣旨は政治改革に対してのことであって、その中には当然選挙制度も含まれますが、答申の具体的な中身を内閣として十分吟味され、その骨子である選挙制度の小選挙区比例代表並立型にこだわりを持って、何とかそれをやりたいということではないというふうに理解をいたしました。それから後の議論、こういう場、各党間の協議を含めた中で、今大臣はお手本にというふうにおっしゃいましたけれども、長時間かけて各界の先生方、委員の方々が議論されたわけですから、お手本という表現もあるかと思いますが、たたき台として、それを契機にしてこういう議論をしていくことは我々も全く大事だと思います。 私たちが多少懸念いたしましたのは、答申が出た、そうするとその中身はとにかくうのみという、言葉はいけませんけれども、それが金科玉条であるという部分にこだわりを持ちながら、そこへ収れんする中で各党協議してくれということでこだわっておられるということだったら、とてもじゃないが議論ができないなというふうに思ったのです。総理の記者会見なんかいろいろ読みましても、やはり答申をそのまま実現するよう一生懸命したいんだというふうにお述べになっている雰囲気を受けますけれども、今の御答弁では、私はそうではないというふうに理解をいたしました。 そこで、そういう状況で命運をかけてまでと、随分大げさな言葉を使われた。今の実態であればそういう感じがいたします。そういう中で、政府としては、これからの議論が大事なときに、議会制度百年という時期的な一つの指標みたいなものがあるわけですけれでも、どういうふうなスケジュールを想定されておるのかということと、政府提案と議員立法に関してどういうふうにお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 大臣が答弁しておられますように、成案化の努力をするということでございます。今お尋ねの政府案なのか議員提案かというのは、いわば法律の提案形式の問題でございますので、今の段階でそれがどちらでなければならないと決めつけるようなところまではしない、とにかく成案化に努力しようということで、我々事務方としては、事務的にできるような作業は一生懸命いろいろな勉強などはさせていただいておる、こういう状況でございます。
○川端委員 スケジュールは、議会制度百年もあることだしというふうな一つの節目というものは提起されておるわけですけれども、そういう意味で、これから議論していくときにどういうふうなことを想定されておるのか、お伺いしたい。
○浅野(大)政府委員 いわば残されておる問題としましては、参議院制度の問題、それから政党法制の問題がございますが、これにつきましては現在選挙制度審議会で鋭意御審議をやっておられますので、今の目標では七月中にもということを審議会で言っております。実際にどうなるか今の段階で断定はできませんが、そういうことで鋭意審議をして、追加答申をいただけることになっております。 それから、そういうものもいただいた上で、全体として成案を得るように努力をしていくということで現在やっておりまして、時期につきましては、大臣も毎々お答えになっておられますが、国会開設百年をことしの秋に迎えるわけでございますので、そういうのがめどとしてそこにはあるわけでございます。成案化の努力を今しておるということでございます。
○川端委員 もう少し聞きたいのですけれども、このことはそれだけにしておきます。 先ほど来の御努力の中で、答申をいただいた部分をお手本にしたいという認識をお持ちということだったのですが、私は、せっかくの御努力は評価をするのですが、その部分に関してどうしても納得できない答申の方向性というのがあるので、大臣の御所見を伺いたいと思います。 各論に関してではなくて、審議のあり方に関してお尋ねをしたいと思うのですが、大臣、日本の立法府は二院制をとっている。衆議院と参議院で構成されておる。おのおのが国民を代表する機関として存在をするわけですけれども、この衆議院と参議院、大ざっぱなことで恐縮ですが、どういうふうな役割をおのおのが持っておるというふうに御認識をされておりますか。
○奥田国務大臣 二院制の長所というか二院制のとられたその目的は、やはりあくまで一院である衆議院があるときには行き過ぎたり、そういった形をチェックしていく機能を持つのが参議院、衆議院の二院制のあり方だと私は思います。そういった意味合いでは車の両輪ということも言えるでしょうけれども、一院である衆議院のそういった形の機能というもの、これがある程度脱線したりなんかしないようにチェックしていく機能が参議院にある。そういった意味では、そこの長短を生かしていけば、二院制の機能というものは、議会制民主主義の対応としては、私は尊重さるべき一つの形だろうと思っております。
○川端委員 参議院が衆議院のチェック機能を有している。そのチェックの判断は、いわゆる良識の府というふうによく言われます。私もそういうことが非常に大事なことだと思います。 では、どうして衆議院一院であれば、暴走という言葉がいいのかどうかわかりませんが、時には行き過ぎたりするかということは、結局衆議院の性格ということになっているのだと思います。衆議院というのは、まさに衆という字であらわされているように、代議士と言われます住民の代表者である。そういうおのおのの地域からの代表者というものが議会を構成する場合には、やはりその地域性にとらわれるという部分も出てくる。大衆の意見というものが果たしてトータル的に国益という立場あるいは全体的なバランスというものからどうか、そういう部分で、参議院が地域性、大衆の代表性という部分以外の機能として、経験者であるとか学識者であるとかいう、いわゆる良識を持つ人が見るという性格があるんではないかなというふうに思います。 そういう中で、当然ながら衆議院を選ぶときの選び方と参議院を選ぶときの選び方には、選挙の仕組みとして違いがあってしかるべきであろう。一票の格差というのも、まさに衆議院としてみんなの代表を選ぶという選び方と、学識経験あるいはそれを含めて非常に知識豊富な人を選ぶときの一票の格差というものとは違うでしょうし、カバーする地域も違う。投票される方も、個人を選ぶ場合と例えば政党あるいは団体を選ぶというふうな選び方という部分で、かなり選挙の仕組みは違うと思います。そういう部分でいったときに、選挙制度を考えるときは、当然ながらそういうふうな違い、両院の構成がどういう役割を持っているかという基本的な認識の中で並立的に考えなければ、選挙制度というものは論じられないのではないか。 今回の答申はその部分が全く欠落をして、まず、いろいろなお金がかかる、衆議院の中選挙区制にいろいろな弊害があるということがざっと山盛り出てきまして、だから中選挙区制が悪くて小選挙区というように、要するに衆議院の議論が先行する。そして、衆議院をまとめてから、これから参議院をやります。実は前回の第七次の答申を読んでみますと、このときはきちっとそのことは整理をされているのです。これは答申の中味ですけれども、委員長報告として、 第一委員会の審議の進め方としては、まず最初に衆議院議員の選挙制度についての審議を行ない、それがある程度進捗したところで参議院議員の選挙制度についての審議に移り、その進捗をまって、最後に両院相互の関連を考慮しながら総合的に結論を出すこととした。 私は、これは非常にきっちりと手順を踏んだ議論のやり方だと思います。 ところが、今回は衆議院だけがどんどん先行する。ですから、結果的に全国一律の比例代表が参議院の比例代表、それを各ブロックに割ったのが衆議院の比例代表、そして各都道府県に割った全県一区というものが参議院の選挙区で、その中を細切れに割ったのが衆議院だ。そうすると、この選挙制度は、何か広さで衆議院と参議院が違うということにしかならないわけなんです。 ほかに、一票の格差は一対二なんだと言われるけれども、そうしたら参議院の部分は、これから議論されるときに、一票の格差問題というのは、議会制度の根幹をなす一票の格差はなんて大上段に振りかぶっておられますが、この議論を本当に参議院のときに適用できるのかということでは、私はそういう格差の問題、地域の問題というのは、基本的に参議院と衆議院の持つ役割の違い、それの選ばれてくる人の違い、そして選挙民が選ぶ選び方の違いというものを議論をして、共通のコンセンサスを持つ中で審議をされるべきで、入り口論から間違っているのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○奥田国務大臣 私も参議院の答申をいただける形を待って、一体となってワンパッケージという議論の中から、各党の御意見等を踏まえて成案化に努力したいというのが今日の基本姿勢でございます。したがって、参議院の制度云々に関しては、今審議会の御議論の過程にある問題だという認識でおりますから、予見して物を言うことは差し控えなければなりません。しかし、基本論からいえば、私は委員の御指摘のとおりだと思います。衆参両院の制度改革、それがどういう新しい形の政治を目指すという目的は別としても、それは当然でありますし、そしてまた政治資金制度にしても、みんなお互いに連関している問題でありますし、それらをワンパッケージという形の中で答申もお示しになっていることですから、それらのメニューが出そろってから御論議に移っていただくことも結構でございます。 今のところ衆議院に関する一つの答申内容が出ましたから、それを今議論なさっていただいておるわけですけれども、将来の両院の制度、機能が本当に議会制民主主義で、国民の意思をどういう形に反映させる形が制度として一番適当であるかどうかということは、答申は答申として、政府の態度は政府の態度ですけれども、一体になって出てきたときに先生方に御議論をなさっていただき、私たちはそれを謙虚に踏まえながら、接点を求めていく過程の努力に真剣に移ろう。今はまだ、片肺飛行というわけではありませんけれども、片方の答申が出たばかりで、今全体の論議をして私に意見を求められたって、あと一カ月か二カ月か七月ということでございますから、七月に出てきた段階において、私も今度はまた先生方の御意見を真剣に承らなければいかぬと思っております。
○川端委員 私が指摘をしたいのは、結果として最後に全部出てきたからそれでいい、両方セットで議論をしたらいいということではなくて、中身の話ではなくて、審議のあり方として、衆議院だけを考えてどんどん議論をして選挙制度を全部決めてしまって、参議院、そして全体として日本の政治がどうなのかということの議論が完全に欠落してこういう答申が出てきたという部分で、この答申は非常に欠陥がある。だから、具体的な話の論議に入っていくと必ず理屈に合わない無理なところが出てくる。政党本位の政治なんだ、そうしたらそれは参議院においては全然考え方が違うのか一緒なのか、今の議論で言えばわけがわからないわけです。 時間が来てしまいましたので終わりにしますが、例えば政治資金、お金の問題にしても、今度小選挙区制、衆議院が変わるという観点から政党法の問題や公的補助の問題、それから政治資金の規制、その原点は中選挙区制で非常にお金がかかるんだというところからの話の始まりなんですね。そうしたら参議院はお金がかからないのですか、参議院は政党本位でやるんですか、どうなんですかという議論が欠落した中で衆議院のお金の話だけが先に出てくる。しかも議論はしていない。これからしますので各党御意見を聞きたい。巷間いろいろ言われるところ、まず小選挙区比例代表並立制ありきという自民党の政治改革大綱にまるで軌を一にして、そこの部分に突っ走るという批判を受けても仕方がない。ですから、たたき台が出たということではこれから議論をするのにやぶさかではないですが、本来であれば、もう一度ゼロからやり直した議論をベースに立ってやるべきだと私は思います。御所見がありましたら……。
○奥田国務大臣 今日の政治に対する国民の見方、そしてそれに対する改革のあり方等をめぐっては、国民の目はまさに政治改革に向けられておるということも私は肌に感じます。したがって、今回の答申において、先生の御意見は御意見として、私は尊重さるべきものだと思います。私は国会も衆議院と参議院は車の両輪という言葉を先ほど使いましたけれども、しかし、衆議院が政党本位でいくなら、参議院はやはり良識の府としての個人、いわゆる学識、そういったものが尊重される形であるべきかどうかということ等も踏まえて、大きな改革の論点が全体のあのフレームの中でやられるのが本当だと思います。 そういった点においては、各学識経験者も国会開設百年を機に、新しい制度改革はかくあってほしいという政治に対する願いを込められた答申だということで、それは尊重してまいりますけれども、繰り返すようですけれども、やはり政党の運命に関することであり、あるべき議員の身分に関することでありますから、これらは時間をかけて、真剣な論議の中で、何とかひとつ両院における接点を求める形の中で努力してまいりたいということで、御理解賜りたいと思います。
○川端委員 終わります。ありがとうございました。
○中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二分散会