外務委員会 第10号
- 発言数
- 122 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1990/06/15
会議録
○柿澤委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 この際、各質疑者に申し上げます。 質疑時間につきましては、理事会申し合わせのとおり厳守されるようお願い申し上げます。なお、政府におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いをいたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田卓二郎君。
○浜田(卓)委員 外務委員会としては久しぶりに総理大臣をお迎えした質疑ができるわけでありまして、その質問者に指名されましたことを大変光栄だと思っております。 私はわずか二十八分しか時間がありません。しかも、委員長の厳しい要請で、おまえは二十五分でやめろということにもなっておりますので、私は六問だけ質問を絞ってやります。そうしますと、物理的に一問、答えも入れて四分ということになりますので、私も演説をいたしませんが、ひとつ御答弁は簡潔によろしくお願い申し上げます。 第一点は、ソ連の日米安保条約に対する対応の評価について、外務大臣にお伺いいたします。 さきの米ソ首脳会談、これは東西冷戦終結の過程を一層推進させたというふうにとらえられるわけでありますし、このような東西冷戦の終えんの傾向の中で、来る六月二十三日に日米安保条約改定三十周年を迎えるわけであります。ところが、当委員会の議論でもそうでありますが、最近、ソ連の軍事的脅威がなくなったら日米安保条約は要らないのではないか、あるいは北方領土が返還されたら日米安保はどうなるのかといったような議論が行われているわけであります。ソ連側が日米安保条約に対する現実的な評価を始めつつある。そういう中で、また北方領土問題と日米安保問題を切り離していこう、そういう考え方がソ連の方にも出ている。 例えば、サルキソフ東洋研究所日本研究センター所長が「ソ連国民は巨大な経済力を有する日本がどこへ行こうとしているのか、不安を抱いている。日米安保は日本が軍事大国になるのを防ぐだろうし、ソ連はその存在を現実と認め、関係改善が進められると思う」と語っておりますし、クナーゼ世界経済国際関係研究所日本政治部長は、「日ソ両国間に公平を復活し、信頼を強化するためには、我々は六〇年の政府覚書が無効だと明確に言明しなければならない」というようなことも語っております。 こういう状況を外務大臣としてどのように評価しておられるのか。つまり、ソ連の日米安保条約に対する評価、北方領土問題と日米安保条約の問題を関連させるアプローチの変化、これを外務大臣としてどのようにとらえておられるか、御答弁をお願いしたいと思います。
○中山国務大臣 今委員お尋ねの、日米安保条約が日ソの平和条約締結に関して、あるいは北方領土の問題とどのような関連性があるかというお尋ねでございますが、外務省といたしましては、日ソ平和条約作業グループ等におきまして、日米安保条約が今後の日ソ間の平和条約交渉に何ら障害になるものではないという認識であると認識をいたしております。
○浜田(卓)委員 あえてソ連側のアプローチの変化を指摘するまでもなく、私は、日米安保条約はソ連の軍事的脅威にのみ存在の理由を持つものではなく、地球的規模での安定、平和あるいはアジアの安定のために不可欠なものであるというとらえ方をいたしております。またさらに、日米の経済的な一体化が進む上で不可避である経済あるいは文化摩擦を処理する包括的な枠組みとしての位置づけも可能であるわけであります。御承知のように、経済協力条項も含まれているわけであります。さらに、先ほどのサルキソフ氏の話のように、我が国が中立化することがかえってアジア諸国に不必要な不安定感、不安を高める、アジア地域の不安定化にもつながる、そういう認識もあり得るわけであります。 私は、総理に二点に分けてお伺いをいたしますが、これは将来の話でありますけれども、たとえ北方領土が返還されるとかあるいは日ソ平和条約が締結されたとしても、日米安保体制の重要性にはいささかの変化もないと私は考えておりますが、この点についての総理のお考えを第一点伺いたい。 それからもう一点は、さはさりながら、このアジアにも大きなデタントの影響というものは及んでいるわけであります。ソ連とアメリカとの関係も変化しつつあるわけでありますが、九〇年代の日米安保体制の変質、それをどのようにお考えになっておられるか。そして日米安保条約の九〇年代の新たな意義というものをどのようにお考えになっているか。 この二点について御所見をお願いいたします。
○海部内閣総理大臣 今御指摘になりました日米安保条約の持っておる意義というのは、これはもうただ単に日本とソ連の間に平和条約が結ばれるまでのものだとか、そういうような前提は私は全 然考えておりません。国の目的が国の平和と国民生活の安定向上を図るところにあるとするなれば、日米安保条約の持っております安全保障、それはもうもちろん大切な一面でありますから、安全保障という面において今後もさらに必要でございましょうし、また経済協力、日米両国の持っておる自由な制度をさらに発展させていくための相互協力条約にもなっておるわけでありますから、その意義というものは変わるものではないと私は考えております。
○浜田(卓)委員 九〇年代における安保条約の意義といいますか、新たな意義ということについてはどうお考えになっておりますか。
○海部内閣総理大臣 やはり世界に真の平和と繁栄を安定、定着させていくためには、これまで同様、日本とアメリカが世界の生産力の四〇%近くをともに支える国であるということは、日米両国の安定的な関係というものは、世界の経済にとっても、またアジアの安定にとっても極めて大きな要素を持つものでありますし、この間も民間のアジア・太平洋経済協力委員会主催のサテライトセッションというものに私も出席をして、各地区の首脳の話も聞きましたが、例えば、そのときのシンガポールのリー・クアンユー首相の発言なんかにも見られるように、きょうまで果たしてきた日米安保条約の役割、枠組みというものが、これからもアジア・太平洋地域の安定的な発展のために、真に平和を定着させ繁栄を約束していくためにも機能していくことが望ましいという率直な発言等もあるわけでありますから、私は、最初に申し上げましたように、これからも大切に考えていかなければならない政治、経済両面における目標がある、こう考えております。
○浜田(卓)委員 次に、四島の問題について一点だけお伺いをしたいと思います。 最近、私も四月の末に訪米いたしまして、例えばテキサスでブッシュ人脈の中心であると言われているアドミラル・インマンさんとか何人かの方にお会いをしてまいりまして、一つ共通して彼らの認識として存在することに驚いたことがあります。これは、来年、仮にゴルバチョフが秋に来日するとすれば、四島は返還されるであろう、こういう認識を語る人が意外に多いわけであります。そして、先ほどもちょっと質問した点でありますけれども、むしろ返還後の日本の安全保障に対する意識がどう変わるか、そこが興味の焦点だという意見を多々聞いたわけであります。 また、これは先般の外務委員会でそのような事実はないという外務大臣の御答弁がありましたけれども、ブッシュ・ゴルバチョフ会談においても言及があったと伝えられておりますし、その中でこの領土問題と経済協力とが取引材料になるというようなこともほのめかされているように伝えられております。これが事実かどうか、私はあえて確認をいたしませんけれども、今我々が想像もしておらなかったベルリンの壁の崩壊、東西両ドイツの統一への急速な動きというようなことも起きている状況にあります。私どもはさらにこの我々の外交の対応というものを先に進めておく必要があるのではないか。 そこで、取引材料にするという意味ではなくて、そろそろ日ソ平和条約締結後の日ソ経済協力関係についても政府として考え方を整理し、準備をしていく時期に入っているのではないかというように私は考えます。特にソ連の近年の経済問題というのは非常に深刻なものがあるわけでありまして、物の本によれば、この一、二年においてソ連が現在の経済状態を改善できなければ、世界は極めて不安定な状態になってしまう危険性がある、あるいは今まさにそういう大事な剣が峰のときなんだというような意見、分析もあるわけであります。対ソ経済協力のあり方は、日ソ平和条約を締結して、その後で考えればいいんだというようなことで、果たして対応していくような時間的余裕があるのかどうか、私は疑問だと考えている一人であります。 そこで、私は総理に二点伺いたいわけでありますが、平和条約締結後日ソ経済協力を大いに推進していくという考えがあるのかどうか、これが第一点です。そして第二点、今申し上げたような状況を踏んまえて、これは対外的に明らかにせよということではないにしても、政府部内において今後の日ソ経済協力関係についての研究調査、対応の準備ということを既に始めるべきではないか、そのように考えますが、これを二点に分けて御答弁願います。
○海部内閣総理大臣 第一点目の方は、締結後という前提を置いての話でございますから、条件が変われば、そのときの条件に従って当然できる限り協力をしていこうという決意があることは、これは委員もそして私も共通するものであると思います。 それから、その前の段階につきましては、これは何度も申し上げておりますように、北方領土問題というものを解決する、平和条約を締結する、これが我が国の外交の持っております大きな目標であること、これは当然でありますから、この問題を横へ置いちゃって、この問題を後に取り残して、そして進んでいこうというところはいささか無理がございますけれども、そのことも含めて、現段階においてもでき得る限り拡大均衡の方向で日ソ関係というものは進めていくべきであるという基本に立って、御承知のように、昨年もことしの春もソ連からの経済調査団の受け入れも日本側は積極的にしたわけでありますし、また同時に、ソ連側からも、最近花博の主賓でいらっしゃったビリュコワという副首相あるいはプラウダの編集長のフロロフさんも、私はお目にかかるたびに、ゴルバチョフ大統領からのメッセージだと前置きをされて、日ソ関係というものを楽観的に見ておるという御発言がありますから、私も楽観的に見たいと常々思っておるのです、そうしてソ連の持っていらっしゃる今の新しい政策、ペレストロイカの正しい方向性は、私も心からこれは期待をしながら刮目をしておるのです、その成功をされるように、日ソ関係を本当に定着し前進させていくために、拡大均衡の方向でいろいろ御協力をしていきましょう、いろいろなことを申し上げておるわけでありまして、ゴルバチョフ大統領とは、領土問題を解決して平和条約を締結したときには、日ソ二国間にはアジア・太平洋における両国間の協力関係がいかに大きな重要な意味を持つものかについても率直な話し合いをいたしたいと考えております。
○浜田(卓)委員 日米安保条約が今後アジアのいかなる変化の中でも必要であるという認識は、総理も外務大臣もまた私も共通であると確認をさせていただくわけであります。しかし、日米安保条約第十条は、「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。」と規定しております。つまり、日米安保体制は国連機能強化までの間の過渡的な安全保障体制と位置づけるべきものであると考えます。あわせて、昨今のこの世界の状況を考えてまいりますと、超大国の対決時代からいわば世界が多極化しておる、そして多極化した世界が相互に依存関係を深めている、そのように言えると私は思うわけでありますが、その中で国際的な調整機関としての国連の機能というものは高まってきているし、今後もさらに高まっていくであろう、まさに国連中心主義を掲げる我が国の考え方の正しさというものがますます実証されてくると私は思うわけであります。 その中で、私は国連に対する日本の対応というものが極めて不十分であると思っております。それは、金を出せばいいということではなくて、国連を中心にして本当に世界の平和に貢献をしていく、そういう積極的な踏み込みが日本にとってさらに重大な課題だと私は考えているわけであります。例えば国連平和維持軍でありますけれども、これはもう御承知のように一九八八年にノーベル平和賞を受賞している。さらに紛争の平和的解決を目的とし、敵を持たない兵士と言われているわけであります。現在、世界の中で六十五カ国が 参加し、一万八千人の兵士がこれに参加をしているわけであり、かつ国連事務総長並びに安保理事会の指揮下に置かれている軍隊であります。いわゆる海外派兵という概念とは大いに異なるものがあると私は考えております。これに参加してこそ独立国家として、平和国家として一人前であると言っても過言でないと私は思っております。 そこで、総理大臣に二点お伺いしたいと思うわけでありますが、この国連中心主義をさらに実効的にしていくために、国連安全保障理事会の常任理事国に日本はなるべきである、その努力を外務省においては既に始められていると承知いたしておりますけれども、これをできるだけ早期に実現をすべきである、この点についての総理の決意を第一点お伺いしたい。 そして、その前提条件、これが必ずしも十分な前提になるかどうかは別にいたしまして、ただいま申し上げました平和維持軍への自衛隊の参加は早急に実現すべきである、これは憲法上の問題は生じない、自衛隊法の改正で対応できると私は理解をいたしております。 この二点について総理大臣の御所見をお聞かせいただきたい。
○海部内閣総理大臣 第一点の国連の安全保障理事会の常任理事国になるという問題につきましては、これはやはり国際社会におけるいろいろな取り決めやルールのもとにおいてなるわけでありますから、国連に対して果たすべき役割を日本もいろいろな分野できょうまで果たしてきておるわけでありますが、国連憲章の改正という問題も起こってくるわけでございます。今後とも各国の理解を得るように努力をしていきたい、こう考えております。 また、第二点でお触れになりました国連の平和維持活動に積極的に参加せよということでありますが、国連の活動には最近我が国は資金の拠出のみでなく、平和のための協力の一環として、例えばナミビアとかあるいはニカラグアにおける選挙監視要員を派遣するとか、いろいろな協力を具体的に進めておるわけでありますが、今お述べになった停戦監視団等に日本の自衛隊法を改正して参加をするようにしたらどうかという御指摘でございます。この問題につきましては、我が国として世界の平和のためにどのような形で貢献すべきかという観点から、広く国民の皆さんの御理解や国会における御議論等を踏まえて、今後検討をしていかなければならない問題だと受けとめさしていただいております。
○浜田(卓)委員 総理の御答弁としては限界があるということは私も理解いたしております。しかし、これだけ経済大国と言われ、そして積極的な平和外交、世界への貢献を打ち出されている海部内閣として、私は最低限こういうことは実現すべきである、私は今国内の世論も大きく変わりつつあるということをあえて申し上げたいと思うわけであります。 それでは、日米構造協議に関連する問題について二点だけお伺いいたします。 第一点は、中山外務大臣、きょう渡米されて最後の詰めの御議論もなさるというふうに承っております。私は特に心配しておりますのは公共事業費の問題でありまして、生活関連投資をふやしていくことは大いに結構でありますし、日本の公共事業を伸ばすということ自体、日本の国益にも必ずしも反することではないわけでありますから、それは結構であります。しかし、日本の公共事業費、公共投資というのは、既にGNPの六、七%に達しておる、この増減というものは日本の経済政策の上で大きな役割を果たしている、これはアメリカと事情が違うわけであります。アメリカはせいぜいGNPの一%、二%台ということでありますから、この影響の度合いが違う、そこに理解の違いも当然あると私は思うのです。仮にこの公共事業の投資計画というのを年次別に出して、それを経済動静のいかんにもかかわらず、その進行を管理されるというようなことになりますと、これは日本経済にとって重大な影響がある。これを日米構造協議の過程の間、私は何度もいろいろな場面で警告をしてまいりましたけれども、昨今伝えられるこの米国の要請の中には、そういう感じが濃厚に出ているわけであります。外務大臣にはぜひそういう点を踏まえて大いに頑張ってきていただきたいわけでありますが、ひとつ総理がこの点についてどのように御確認をなすっておられるか、御所見を承りたいと思います。
○海部内閣総理大臣 社会資本整備の問題につきましては、我が国が自主的に判断をしながら国民生活の質の充実を図っていきたい、こういう基本的な立場で取り組んできておる問題でありますし、またそれが基本でなければならないということは、委員の御指摘と私と見解を全く同じにするものでございます。そうして中間報告取りまとめの段階でも、そのことは外務大臣にも私は強く指示をいたしましたが、公共投資の水準というものを決めていくのはあくまで日本側の目指す目標でありますし、同時に国内のインフレとかあるいは景気の過熱とかいろいろそのときどきの経済情勢に対して配慮しなきゃならぬ点もあると思います。 したがいまして、基本的に社会資本を充実する、おくれている部面をさらに力を入れていくという大きな方向、これを日本側の政策態度としてアメリカ側にもこれは伝えましたし、同時に、自主的に今後十年間くらいの計画目標で、総額これくらいやろうとしておるんだという政府の数字的な結論も、最終報告には示すということは言ってありますけれども、その以外の問題については、今申し上げましたような配慮から、日本側の自主的な決定判断にこれは任してもらうべきものである、こう考えております。
○浜田(卓)委員 ぜひ中山外務大臣、そういう海部内閣の方針というものを踏まえて御健闘、御奮闘お願いいたします。 最後に、この二月に米国とECとの間で、米国大統領と欧州理事会議長の年二回の定期的協議の開催が合意されております。米ソの間でも定期協議というものが毎年行われているわけであります。私は、日米構造協議のように、両国のマーケットのルールを同一にしていこう、そういういわば一つの折衝というのは今後とも常時続いていくものである。しかし、日米関係がそういうものによってのみ大きく喧伝されるということは、両国にとって不幸なことだと思うわけであります。日米は大事なパートナーシップを組みながら世界の平和にともに共同して貢献をしている、我々はそのように認識をし、誇りに思っているところでありますけれども、そういうことを踏まえて、日米のこの首脳会議というものを定期化して、年に一度あるいは二度、これを第三国でも結構ですけれども、最低限二日とかそういうふうに決めて、これを定期協議化していくべきである、そういう時代に人っている。ですから、事実上おれが行っているからいいんだということでなくて、正式な日米の首脳の定期協議化というものを私は提案を申し上げたいと思いますけれども、総理の御所見を伺います。
○海部内閣総理大臣 大抵の御質問は委員と全く同じだ、こう申し上げてきましたが、ただいまの日米首脳会談を定期的にしたらどうかという御指摘でありますが、必要があったときにはいつでも率直に話し合うことが大切だと私は受けとめております。したがいまして、就任以来きょうまで二度既に日米首脳会談は時間をかけてしておりますし、そのほか首脳が意見を確認しておく必要があるときは、必要に応じて電話も何回もかけ合っておりますし、今直ちにここで定期化してしまうというよりも、必要なときにはいつでも事情さえ許せば会うという今の状況を続けていった方が実質的ではなかろうか、私はこう判断しておりますので、その点はどうぞ御理解をいただきたい、こう思いますが、考えてみます。
○浜田(卓)委員 最後に考えてみますとおっしゃいましたけれども、目にみえないところでそういうことをやっていくのも大事である、しかし同時に、国民が見ているわけでありますから、国民の見えるところでやはり両国がお互いに日米パートナーシップを確認して、そして共同で世界平和に 当たっているということを政治的に大きくアピールしていく、それは両国民にとって大事だということを私はあえてつけ加えて、どうぞお考えをお続けいただきますようにお願いいたします。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○柿澤委員長 高沢寅男君。
○高沢委員 総理、きょうは当外務委員会へ御出席まことに御苦労さまでございます。 私は対朝鮮問題、対ソ連問題、この二つの点について順次御質問をいたしたい、こう思います。 最初に、朝鮮関係でありますが、先般韓ソ首脳会談が行われまして、これは大変国際的に大きな波紋を呼び起こしておるわけでありますが、韓国の盧泰愚大統領は、続いて中国との首脳会談もやりたい、こういう意欲を示しておられるわけでありますが、ただ、こういう情勢の中でだれでも言っていることは、これによって北朝鮮を孤立化さしてはならぬという見方はほとんどまたどなたも一致した意見として出ているわけであります。そういう立場で見たときに、我が国日本の政府と対北朝鮮の関係、朝鮮民主主義人民共和国のこの関係を正常化するということに向かって、今や我が国としても大きく踏み出すべきときが来ているんじゃないのか、こんなふうに思いますが、まず総枠として、そういう日朝関係の今後のあり方についての総理の御所見をひとつお聞きしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 委員御指摘のとおりに、北朝鮮と我が国との関係を真に安定的な良好な関係に持っていきたいという強い願いを私も持っております。そうして、先般の日韓首脳会談のときにも、韓国も朝鮮半島の平和的な統一の問題について、北朝鮮との関係改善について強い意向を持っていらっしゃることも確認をいたしましたし、日本としても、北朝鮮を孤立化に追いやってはいけないという点は、私からも率直に申し上げたつもりでございます。 今政府といたしましては、北朝鮮との対話を呼びかけるとともに、いろいろそれは措置もとってきておるところでございますが、今後とも一層積極的に日朝関係改善に取り組みたいと考えております。そのための環境づくりとして何ができるか、今いろいろ検討しておりますが、他方、関係改善のために、今後北朝鮮側よりも前向きの反応を得て、まず政府間の率直な対話が実現しますことを、私は心から希望をいたしております。
○高沢委員 その関係でありますが、かねてから自民党の金丸元副総理が朝鮮を訪問されるというふうなことがずっと伝えられているわけであります。私は、もしそれが実現すれば、我が国とそして朝鮮民主主義人民共和国の間の最初の大きな扉を開く、そういうチャンスになる、こう考えておりますが、その金丸元副総理が訪問される、あるいは総理から言わせれば派遣される、そういうタイミングあるいはまたそのときはこういう条件があればというふうなことをどのように総理はお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 かねがね社会党の田邊副委員長を団長とする訪朝団のお話のとき、おいでになる前後には私もお目にかかっていろいろお話を承り、日本側としても政府間の接触をしたいという希望をお伝え願うように、あるいは第十八富士山丸の問題についての問題解決に一層御努力を賜り、理解を深めていただくようにお願い等をしてきたところであります。 その一環として、金丸元副総理の訪朝問題についてもいろいろ日程等に上がってきておると聞いておりますが、まだ具体的にいつ、どのような形でどうということが決まったものではございませんが、私は日朝関係の改善のために、仮に訪朝が実現することとなりますれば、これは日朝両国の局面打開に大きな意味もありますので、政府といたしましては、金丸元副総理とよく連絡をとりながら、可能な限り支援をし、いろいろと御努力をお願いしていくつもりでおります。
○高沢委員 私は、今の国際情勢の発展していくテンポを見ますと、今言われた金丸元副総理の朝鮮訪問は、私はもう年内にこれが実行されるというふうになることが、そうなると思うし、またそうすることが非常に必要ではないのか、こんなふうに思いますが、金丸元副総理が行かれるときに、総理はこの金丸代表団を総理の特使、こういう位置づけを与えるお考えがあるかどうか、私はこれは非常に重要なことになると思いますが、そういうお考えがありますかどうか、お尋ねしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 私も、でき得る限り金丸元副総理を日朝関係のために、早い時期に実現していただけたらいいなという個人的な強い願いを持っておりますし、もしそのようなことが具体化したときには、先ほども申し上げましたように、金丸元副総理の御意向も十分そんたくしながら、政府としてはできる限り最大限の御協力と支援をしたい、こう思っております。
○高沢委員 特使としてというお答えは総理からはありませんが、私はそうされるのが非常に適当ではないかという考えを申し上げておきたいと思います。 続いて、そうやって朝鮮民主主義人民共和国、後は今度は共和国と略称して呼びたいと思いますが、この共和国政府と日本の政府のレベルの接触ができてくるというときにどうしても問題になるのは、この共和国の政府をいかなる政府と認識するかという認識の問題が一つ出てくると思います。御承知のとおり、日韓基本条約の第三条では、ここでは「大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。」ということでもって、日韓基本条約では、我が国政府は大韓民国政府が朝鮮における唯一合法の政府である、こういう位置づけをしているわけですね。このことを逆に裏返して形式論理で考えてみると、じゃ、その大韓民国政府以外の朝鮮にある政府、それ以外の政府は非合法の政府であるということに、これは形式論理で裏返せばそういう論理になるかと思うのですが、ただしかし、我が国政府、もちろん海部総理は、このピョンヤンにある共和国政府を非合法の政府である、こんな認識はもちろんさらさらあるはずはない、こう考えるわけでございますが、この辺の御認識はどういうふうな御認識をされているのか、それをひとつ総理からお示しいただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 条約上のいろいろな経緯等もあるようでございますから、詳しくは外務省から答弁をいたさせます。
○谷野政府委員 お許しを得まして、私から御答弁させていただきます。 まず、韓国の政府についてお話がございましたけれども、これは仰せのように、日韓基本関係条約の第三条というのがございますが、この第三条と申しますのは、韓国の政府の基本的な性格につきまして、ただいま仰せのとおり、国連決議第百九十五号の(III)というのがございますが、これを引用してその趣旨を確認したものということでございまして、それ以上のものではございません。それが第一点でございます。 さて第二点、この北側につきましてどうだということでございますが、これも国会で従来から政府から御答弁しておるところでございますが、日本政府といたしましては、北朝鮮との間には承認関係はございませんわけでございますけれども、北には南と別個の政権が存在するというのが日本政府の一貫した認識でございます。 いずれにいたしましても、さきに述べました日韓基本関係条約は、北朝鮮につきましては何ら触れておらないわけでございまして、言いかえますれば、一切白紙のままこの点が残っておるということでございます。したがいまして、我が国として北朝鮮とどのような関係を構築していくかということは、その点につきましても、今後の問題としてすべて白紙の形で残されておるということでございます。
○高沢委員 私は今の点は本当に重要なポイントだと実は思います。これからピョンヤンの共和国 政府と金丸特使も行って話し合いをしようというそのときに、あなたの政府は合法政府であるのかないのか白紙でございます、これで一体話ができるのですか。日韓基本条約の中に国連決議百九十五号を援用しただけでございます、こう言われました。それは、その経過はわかりました。けれども、その裏返しとして、さっき言った形式論理からすれば、じゃ、もう一つの政府は合法政府じゃないのかという見方が出てくる。そういう問題点に対して、交渉する相手に、あなたも合法政府ですという前提がなければ、私は、この交渉は、話し合いは成り立たぬと思うのです。とすれば、結局落ちつくところは、朝鮮半島の南半分は大韓民国政府が合法政府である、そして北半分においては朝鮮民主主義人民共和国政府が合法政府である、ともに合法政府である、こういう位置づけに当然なるのじゃないのか。であるから、その南にある北にあるともに合法の政府が、それじゃ、これからお互いに話し合って、そして南北の統一も進めましょう、首脳会談も進めましょう、盛んに盧泰愚大統領は今北に向かってそういうアピールをしているわけです。そういうふうに考えてみれば、政府の性格、合法性ということについていえば、南の政府も北の政府もともにそれぞれの地域における合法政府である、私はこのくらいの認識はなければ話し合いは糸口が開けない、こう思いますが、この点は総理、いかがでしょうか。あるいはまた、そうでなければ外務大臣、外務大臣でも結構ですが、これは局長レベルよりは、やはり大臣か総理に私はお答えいただきたいと思います。これは局長レベルの事務的な答弁ではないと思うのです。
○柿澤委員長 答弁は簡潔にお願いします。
○谷野政府委員 ただいまの繰り返しになりますけれども、私ども日本政府の認識は、北の部分におきましては南と別個の政権が存在するということで、一貫して日本政府の認識を国会で申し上げてきているところでございます。
○高沢委員 結局こういう答弁になるから、繰り返しまた聞かなければならぬということになるわけなのです。一発でわかるお答えしてもらえば次へ進みますよ。 そこで私、では、もう一度大臣にこれはお答えいただきたいのです。ピョンヤンにあります共和国政府のそういう性格づけ、このことについて韓国政府とお話し合いをされたことありますか。このことはいかがでしょう。大臣、ひとつお答えいただきたいと思います。
○谷野政府委員 お答え申し上げます。 韓国政府とこの点について話し合いの機会を持ったことはございません。
○高沢委員 そうすると、要するに我が国政府がこれは当然判断すべき、我が国政府の立場で認識を決めるべき問題だということになります。 そこで、もう一度返りますが、総理、これからのピョンヤンの政権とのそういう接触をするのに、相手の、あなたは合法政府であるのかないのか白紙だでは話にならぬ。あなたは合法政府ですよ、したがってひとつ我が国政府と話をしましょう、こう当然なるべきだと私は思いますが、私は、ここで総理からそうだと言われれば、日朝関係は非常に大きく発展する扉が開ける、こう思いますが、総理、いかがですか。もう局長は結構です。総理のお答えをいただきたいと思います。
○福田(博)政府委員 恐縮でございます。簡単に一言だけ申し上げますと、わざわざ国連決議を引用して第三条に書いてありますことは、平たくいえば大韓民国政府が支配をしている朝鮮南部において、大韓民国政府が唯一合法の政府であるということを国連決議が書いてありますので、それを引用したということにすぎないというかそれがすべてでございます。したがいまして、北の共和国といいますか政権がどういう性格のものであるかということについては一切触れていない。 さて、北朝鮮との関係が、日本との関係はどうかといいますと、これにつきましては、まだ国家承認も政府承認も行っておりません。したがいまして、いわゆる法律的な関係はないわけでございますが、昨年来竹下総理答弁等にもございますように、前提条件なしに日本政府としては話し合いをしたいということを申しているのが日本側、今の政府の立場でございます。
○高沢委員 今の条約局長のお答えで浮かんだことは、大韓民国政府は彼らの支配している朝鮮の南において合法政府であるということを国連で決議している、それを援用した、こう言われたが、要するに、南の合法政府ではないですか。そうすればあとは北の政府ですよ。北の政府は白紙だと言われるが、これを相手にしようというのに、これが非合法ということはまさかあり得ない。当然これはこれで北における合法政府ということでこれからの接触が始まる。承認行為をしてないといいますが、そういう接触の結果として承認行為になるのであって、私は、したがって、――総理、ちょっとこっち向いてください。そういうことでいいのでしょう。あなたは今うなずかれた。そこで私はこれを総理の答弁として受けとめていきたいと思います。何分時間がありませんので、次へ行きませんと。総理、いかがですか。そのとおり思いますと、ひとつやってくださいよ。そのぐらいの踏み切りがなければ、総理、これから日朝関係できませんよ。
○海部内閣総理大臣 率直にお答えしますけれども、私は非合法政府があるなんということはきょうまで思ったこともありませんし、言ったこともございません。 それから、承認していないということも現実としてあるわけでございますが、別の政府があるのだ、だからこちらはあくまで条件をつけないで政府間の接触をしたいということも言っておるわけでございまして、どうぞそこでひとつ……
○高沢委員 完全に満足ではありませんが、今総理の言われた北の方に非合法政府があるなどと思ったことも言ったこともない、こう言われたわけですから、それならば、これは合法政府ということになると私は思うわけです。きょうはそこまでにします。 次へ進みましょう。これは外務省にお尋ねですが、先般盧泰愚大統領が見えたときに、在日韓国人の三世以降の永住権の問題、法的地位、これらについて合意ができたわけですが、この合意を日韓の間の新たな協定にされるのかどうか、この辺はいかがですか。
○谷野政府委員 先般の三世につきましての解決の方向につきましては、盧泰愚大統領も高く評価されておったところでございますが、さて今後、さきに得られました三世以下の子孫の法的地位、待遇をどういう形式で保障するかという問題につきましては、先般の決着に基づきまして、個々の事項について具体的な策を今検討中でございまして、それが固まっていく中で、その内容を十分踏まえて、最も適切な形式を検討していきたいと思っております。
○高沢委員 すると、では、検討の結果によっては協定にする可能性もある、あるいはしないで国内的な措置で対応する可能性もある、可能性は両面ということですか。
○福田(博)政府委員 そのとおりでございます。
○高沢委員 そうすると、協定にするにせよ、しないで国内措置でやるにせよ、その辺は今度は私は法務省の分野になると思いますが、法務省としては、この今度の合意を具体的に固めていく段取りをどのようにお考えですか。
○股野政府委員 ただいまアジア局長から答弁がありましたとおり、先般の日韓協議でまとまりました対処方針に基づいて、法務省といたしましては、法務省の所管事項について、今後その関係法令の改正の問題を含めまして具体策について検討をする、こういうことにいたしております。
○高沢委員 それで答えになるのですか、これから検討することにしているということで。少なくも、例えば永住権の扱いあるいは指紋押捺の問題とか幾つか具体論があります。それはいつごろまでにこうするとか、その程度のことはないのですか。局長、いかがですか。
○股野政府委員 先般の三世問題についての対処方針の中で、法務省所管事項で五つの項目がございます。その中で三つの項目、すなわち永住許可の問題、退去強制事由の問題及び再入国許可の問題、これは現行の人管法にかかわる問題でございます。この問題について入管法の関連との問題、これも踏まえながら現在どう改正が行われるのが最もふさわしいか。また、三世問題に関連いたしまして、例えば一世、二世の方々との関連をどうするか、あるいは在日韓国人の方々と同様の歴史的な経緯及び定住性を有せられる在日朝鮮人あるいは台湾人の方々との関連をどうするか、こういうことについて検討してまいるということでございます。 別途外国人登録の問題については、三世問題対処方針の中にもございますように、これはいろいろな観点から、なお今後作業を要するものと考えております。
○高沢委員 そういう作業が固まっていく過程で、私は在日韓国人も在日朝鮮人も全く同じ扱いを保障すべきであるということを申し上げておいて、次へ進みたいと思います。 次は、総理、ソ連関係についてお尋ねをいたしたいと思いますが、九月の上旬にシェワルナゼ外相が見える、その後、恐らく中山外務大臣がモスクワへ行って、また向こうで日ソ外相会談をされるという機会も必ずあろうと思いますし、その他いろいろの事務レベルの協議を重ねた上にゴルバチョフ大統領の来日ということになりますが、この一連の過程の最終的なハイライトとして日ソ首脳会談、海部総理とゴルバチョフ大統領の会談ということになるわけであります。非常に重要な歴史的な会談でありますが、この会談に臨まれる総理のそれについての御決意といいますか御所見をまずお聞きしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 日ソの関係を安定的なものに改善していきたいというのは、政府としても強い願いでございます。具体的には、今御指摘のように、九月の上旬にソ連の外相が来られて日ソの外相会談というものを行うことが具体的に決まりました。ゴルバチョフ大統領自身は来年ということがもう既に私あての手紙の中にも書いてあったことがございました。結局、先ほども申し上げましたように、平和条約を結び、領土問題を解決したいという大きな目標がございます。それを置き去りにしたり後ろにのけてしまって関係改善だけが先行するということはいかがなものかと思いますので、拡大均衡で、それも含めていろいろな問題についてでき得る限り可能な実務的関係もしたらどうか。昨年は経済調査団も、そしてことしの春もまた経済調査団に来てもらっていろいろソ連側の御希望にもこたえながら、また人物交流とか文化の交流などはより一層重ねていきたい、こういう気持ちを持っております。最近ソ連からおいでになったプラウダの編集長とか副首相という方も、私と会うたびに、ゴルバチョフ大統領からのメッセージとして、日ソ関係というものを自分は楽観的に考えておる、こういう伝言もあるわけですから、私も楽観的に考えたいと思って、日本側もいろいろ拡大均衡の方法で対処していきますから、どうぞその旨もお伝え願いたいということにいたしておりますけれども、一つ一つの節目を大切にしながら、日ソの関係改善という方向に向かって努力を続けていきたい、実りある首脳会談にしたいと決意をしております。
○高沢委員 今総理の言われた一つ一つの節目、その節目で一番大きなものは領土問題だと思うのです。領土問題ではもう随分我々お互いに議論してまいりましたが、ここで一つお尋ねしたいことは、この日ソの領土問題の発生のもとは、何といっても第二次大戦の最後の段階におけるヤルタ会談で、アメリカのルーズベルト大統領とソ連のスターリン首相が、ソ連の参戦を求め、そのかわり千島をソ連にやろうという協定をされた、そこから事が発している。したがって、それを受けて対日サンフランシスコ平和条約の中でも、日本に対して、千島におけるすべての権利、権原、請求権を放棄するというような条約を結んで日本に調印をさせるというふうな形に進んできた、こういう経過があります。そうすると、日ソの領土問題は、日ソ二国間の問題であるけれども、そこにもう一つアメリカというものがどうしても切り離せない関係で初めから結びついておる、こう見るべきだと私は思う。 そうなってまいりますと、これからの日ソ間の領土問題の解決を進めるに当たって、先般の米ソ首脳会談でも、この日ソの領土問題が話題にもなったと伝えられておりますが、米ソがもはやお互いに敵ではないというような時代になってきたというこの時代、案外ソ連とアメリカの間で北方領土を、日本に対する返還の仕方をどうする、どういうふうなところまで返還する、米ソ間でそういう話があって、そして今度はソ連から日本に対する一つの答えが出るというふうなことになるのじゃないのか、そういうふうに観測をする評論家の人もいますが、この辺の日ソ領土問題に対するアメリカの絡み方、かかわり方というものを、総理、いかがお考えか、お尋ねしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 過日の米ソの首脳会談において、北方領土に関する問題については、アメリカは日本の立場を理解し、それを支持して、北方領土問題の解決は、アジアの平和と安定のみならず東西関係のためにも必要だというので、日本の立場を支持するという観点から米ソの首脳会談で取り上げて発言をしたということは、私は聞いておりますが、それはアメリカ側がこの問題に寄せる関心とアメリカ側の立場を表明されたものと思っております。ただ、北方領土問題はあくまで日ソ二国間の問題でありまして、これは日ソ間において解決すべき問題であると私は理解いたしておりますので、続いております日ソの平和条約の作業グループや今後行なわれます一連のいろいろなレベルでの日ソ間の接触の交渉によってそれを前進させていきたいと考えますが、アメリカとは十分連絡をとりながら、アメリカが日本に対して与えてくれたこの北方領土問題に対する評価も大切にしていきたいと思っております。
○高沢委員 実は、一昨日もこの外務委員会が開かれて国際情勢の審議をいたしましたが、その際、外務大臣も日ソ領土問題は日ソ二国間の問題と言いながら、しかし同時に、それはアジア全体の安全保障にかかわる問題ですという言い方もされたわけです。まさにそうだろうと思います。そういう意味において、この問題は日ソ二国間の問題でありながら、そこヘアメリカも絡んでくる。例えば、この間もゴルバチョフ大統領とインドネシアのスハルト大統領の間でもそんな話題も出ているというくらいに、アジア全体もこの問題の帰趨を注目している。その一番の中心がアメリカだということになると思いますが、この辺のところは、きょうは、そういう将来の日ソ領土問題に非常にアメリカが絡んでくる可能性があり、したがって、この観点を我々としても十分に持って臨むべきであるということを私の見解として申し上げておいて、次へ進みたいと思います。 そうやって考えてみると、領土問題はまさに安全保障の問題であるということになってまいります。そうすると、これからのシェワルナゼ外相とかゴルバチョフ大統領を迎えるという日ソの首脳会談の中で、日ソ間の安全保障の問題、アジア・太平洋の安全保障の問題が当然重要な話し合いのテーマになると思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○海部内閣総理大臣 アジア・太平洋の安全とアジア・太平洋の繁栄についていかなる貢献ができるか、そのためにどうするかということも当然発展していけば議題になっていくと思います。
○高沢委員 私はここで我が国の歴史をちょっと振り返ることをお許しいただきたいと思うのです。明治三十五年に日英同盟、当時世界で最強の国であったイギリスと日本の同盟が結ばれました。そして明治三十七、八年の日露戦争になったわけです。この日英同盟というのは、要するにロシアと対抗し、ロシアと戦うために日本が結んだ条約であった、同盟であったと言えると思います。それから後下って、今度は大正、昭和になっ てくると、日本は米英を敵とする段階に入ってきて、結局、それと戦うための日独伊という同盟を結ぶことになって、また実際に第二次世界大戦にもなったわけです。その戦争が終わった。その後今日までは、今度は日米同盟で来ているわけですね。この日米同盟の前提というのは、いわゆるソ連の脅威、ソ連を仮想敵とする枠組みでもって日米同盟が来たわけですが、さて、そのアメリカとソ連はもはやお互いに敵ではない、むしろお互いに協力するパートナーシップであるというような段階が今来ている。こう見たときに、明治以来日本は、この敵を相手にするときはこちらの同盟、これを敵とするときはこちらの同盟、こうやってきた日本の外交史を振り返って、今私はまさに新しい段階に来ていると思うわけですが、ここで総理にこれからの日本の外交はどうあるべきかということについての歴史哲学をお尋ねしたいと思います。いかがでしょう。
○海部内閣総理大臣 戦後の日本の立場は、大きく分けて世界が東西の対立関係にありましたから、そのときの枠組みの中では西側陣営の一員であったということは、これはそのとおりだと思いますし、また、日本が戦後西側陣営の一員になって自由と民主主義の価値を大事にしようということを目標に置いたことも事実でありますから、その意味で日米安保条約も結ばれて、平和を守り経済的な相互の依存関係も強めていこうとしてきたことは、これはそのとおりであったと思いますし、それは間違いなかったと私は思っております。そして、その東西の対決、対立が今終わって、冷戦時代の発想を乗り越えつつあるという、こういった世界の激しい大きな移り変わりというものも私は率直にそう思っておりますし、まさにそれが今ヨーロッパにおいて最も劇的に、最もわかりやすくあらわれておりますけれども、それはやがてヨーロッパ全体の平和と繁栄につながっていくいい歓迎すべき流れだと私は思っております。 それは、ただ単にヨーロッパだけで終わってしまわないで、アジアにも押し及んできて、対立、対決を乗り越えて平和と安定が全アジア・太平洋地域でも起こっていかなければならぬ、また、そうしたいという強い希望を持っておるのが私の認識でございますから、アジア地域における今後のそういったものに向かっての変化に対して、日本はその方向性を定着させるように努力をしていくべきである、このように認識をしております。
○高沢委員 今総理の言われた方向と私も全く同意見であります。アジアのそういう平和の枠組みという場合に、そのかぎになるのは、既に米ソはその話し合いができている、現にそれが進みつつある、今度は日ソ、日本とソ連がお互いに相手は敵だ、相手はいつ来るかもしれぬというような関係をもう乗り越えるということが一番大事だと私は思います。今度のゴルバチョフ大統領との首脳会談で総理にその問題を本当に真剣にひとつ話し合っていただきたい、私はこう思いますが、いかがでしょうか。
○海部内閣総理大臣 あくまで平和とお互いの繁栄というものを前提にして率直に話し合いをしたいと思っております。
○高沢委員 ちょっとここで話題は変わるわけですが、今我が日本列島には原子力発電所が三十九動いている。これからさらに四十つくる、こういう通産省の計画もまたあるようです。これらの原子力発電所はいずれも海岸地帯に立地しております。そこで、もし日本を攻撃しよう、こう思う相手があった場合、今のところはソ連がそれだと言われているわけですが、仮にソ連が日本を攻撃しようと思ったときに、しかしソ連は核兵器で来るだろうか。私は来ないと思う。なぜならば、ソ連はいかなる場合もいかなる国に対しても先に核兵器の攻撃はしないという、いわゆる核の先制不使用を国際的な公約として世界に示しておりますから、したがって核で来ることはあり得ない。もし来るとすれば通常の爆弾や砲弾で来る。しかし、その通常の爆弾や砲弾が原子力発電所に命中した、こうなったときに、チェルノブイリのあの大被害が何倍という規模で日本列島を覆うということになるわけであります。私はまさか総理が、ソ連が攻めてきて日本の原子力発電所に爆弾や砲弾を当てる、そんなことはあり得ないと思っておられるだろうと思いますが、そのことをはっきりと確認し合うのは、ここで日ソの不戦宣言、お互いに戦わない宣言、日本はソ連を攻撃しない、ソ連も日本を攻撃しないという日ソ不戦の宣言を今度のゴルバチョフ大統領との首脳会談の中でおやりになるということが非常に大きなアジアの平和の意義を持ち、日本がそのイニシアチブをとったということになるわけですが、この点は総理、ひとついかがでしょう。これをやれば総理は歴史に残る総理になりますよ。いかがですか。
○海部内閣総理大臣 我が国の基本は、よく委員も御承知のとおりに、専守防衛、そしていかなる国に向かっても攻撃をしかけようというようなことはゆめゆめ考えないし、してはならないことだという基本は、少なくとも私は総理として申し上げるよりも、政治家としてそのように確信をし訓練もされてきたつもりでございますから、日本がいかなる国に対しても、そういったことはしかけていかない、この原則だけは強く持っております。したがいまして、率直な話し合いの中で、先ほど申し上げたように、アジアの平和と繁栄のためにそれができるということになるなれば、十分話題になって、それに向かって一歩前進できるテーマではないかと思っております。
○高沢委員 我が国がどこかの国を攻撃しようなんということは絶対に憲法上あり得ない。今総理のおっしゃったとおり。そこで今度は相手も絶対日本を攻めませんよ、こう出てきたときに、その両者の立場を今申し上げた宣言にまとめるということを私は今提起したわけです。それができますれば、北方領土を日本に返還しようというゴルバチョフ大統領、彼の動機を非常に促進する効果を持つことは間違いないと私は思います。そして領土の返還が実現できる、日ソの平和条約が結ばれる。その平和条約の中に共同不戦宣言を踏まえた両者の友好不可侵の規定をはっきりと入れるということが具体的な問題になってくる、こう私は思いますが、そこに向かって今言った不戦宣言。というものをひとつ十分御検討いただきたい、こう申し上げたわけです。 総理の前向きのお答えもございましたが、もう一度御所見を聞いて、私終わりたいと思います。いかがでしょう。
○海部内閣総理大臣 私の気持ちはさきに申し上げましたが、いろいろな条約を結ぶ、いろいろなそういった話に入っていくために、真の信頼関係がお互いに確信できるということが何よりも大前提だと思っておりますので、私は何回も申し上げておるように、我が国の方からは拡大均衡の形で平和条約を締結するための、そして領土問題を解決するためのいろいろな大前提として我が国の気持ちを率直に伝え、同時に本当の意味の信頼関係を構築していきたい、こう考えております。
○高沢委員 頑張っていただきたいと思います。 ちょうど時間となりました。
○柿澤委員長 松原脩雄君。
○松原委員 まず、最初に総理にお伺いいたします。 ただいまの高沢委員の質問に関連をするわけですが、日ソ間の信頼醸成措置について総理の御所見をお伺いしたいと思うのです。 実は、ことしの四月十七日、参議院の外務委員会で都甲欧亜局長は、日ソ間には北方領土問題未解決で平和条約が締結されていない、ソ連は北方領土に師団規模の兵力を展開し、アジアで軍事力を近代化している、そういう点を挙げまして、日ソ間には現在信頼関係が欠如しておる、ただし日ソ間におきまして、今後信頼醸成措置に関しましては、日本においてもいろいろと検討をしているという旨の答弁をされておられるわけであります。 そこで、首相にお伺いをしたいわけですが、首相は日ソ間の信頼醸成措置について、これを行っていくべきかどうか、どのようにお考えか、お聞 きをしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 二国間の関係には、それぞれお互いに努力をして前進していかなければならぬという段階がたくさんあると思います。私は、日ソ間においては、真に信頼できる間柄を構築するという大きな最終目標に向かって一歩一歩努力をするべきだと思うのです。日本側としては、拡大均衡の方針を立てて、そして実現可能な問題については、今それぞれの分野において交流も進めておるわけであります。ですから、両国の間に本当の信頼関係というものが構築されるようないろいろな努力をしていくことが極めて大切なことでありますから、究極的にはいろいろな場面を考えてできるだけの努力をしていかなければならない、私はこう考えております。
○松原委員 そうすると、確認しますが、今外務省が検討しておるようでありますけれども、日ソ間の信頼醸成措置を検討し、さらに前向きに進めていくという方向で首相もこれをお考えになっているということでよろしゅうございますか。この点確認させていただきたいと思います。
○都甲政府委員 お答え申し上げます。 日ソ間には、先ほど総理もお触れになりましたように、基本的に今後信頼関係を強めていくべき要因がいろいろございます。例えばソ連が北方領土を不法占拠しておることとか、極東においてソ連軍の近代化が行われているという状況等信頼を妨げるいろいろな要因がございますので、これが実質的に除去されるということが基本的に重要であり、この面における前進が見られることが基本的に必要だろうと私どもは思っております。そういう観点から、日ソ間における信頼醸成措置というものは、このような基本的な問題を踏まえつつ、日ソ関係全体の流れの中で慎重に考えていくべき問題であり、そういう見地から私どもは検討しておると申し上げた次第でございます。
○松原委員 今度は非核三原則についてお伺いをしたいと思います。 実は、私、きのう九時の「NHKニュース”21”」というのを見ておりました。ここで、今アメリカで盛んに、三十年後ですか、国家関係の公文書を公開をする、そういう形で公開文書が出てきて、それを取材報道したものであったわけであります。そこで、実際この非核三原則中、核持ち込みということについて、とりわけ核艦船等の日本の寄港あるいは領海に入ってくる、こういう問題については、従来灰色の部分ということで国会等でも大変議論されてきたわけでありますし、世論調査でも、これについては、核持ち込みはないという形の政府答弁は一種のごまかしであるということが、実は大部分を占めておるという状態であります。 そこで、まず第一点、これは外務省の方にちょっと事実を確認させていただきたいのですが、昨日報道されたアメリカの公開された公文書によれば、一九五八年十月から始まった、日本側岸首相あるいは藤山外務大臣、相手側のアメリカ側はマッカーサー当時の大使ですが、第一回目の交渉におきまして、核積載艦艇の寄港は事前協議の対象とならない、そういう主張をアメリカ側が日本に対してした、こういうふうな文書になっておるようでありますが、この点につきまして、外務省の方から、この第一回交渉においてこのような主張がアメリカ側からなされたものかどうか、これを確認できるかどうか、お答え願いたいと思います。
○松浦政府委員 現行の安保条約の締結交渉の中身にわたる事項に関しましては、外交上の原則、慣行に照らしまして公表できないことになっておりますので、先生御指摘の具体的な点に関しましても、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○松原委員 それでは一点だけ。その公開された当該アメリカの文書、これについては既に外務省もこれを取り寄せて確認をされておられるのでしょうか。
○松浦政府委員 昨日のテレビ番組については、私どもも承知しておりますけれども、米側のそこに引用されました文書、今先生が言及された文書に関しましては、私どもは内容を承知しておりません。
○松原委員 時間が限られておりますので、この問題につきましては、また後日にお伺いしたいと思うのですが、いずれにしましても、昨日のアメリカ側の文書も、アメリカが、核艦船の寄港については、当初から、これはもう事前協議の対象にならないということを主張して、最後、交渉の終わりに至るまで、その問題を強く主張しておったという事実がどうも明らかになってまいりました。これに従来のライシャワー発言とかラロック発言等もあわせていきますと、やはり核艦船が日本に寄港しておるという疑いはますます深まったという一つの新しい資料が出てきたと思うのですが、この点につきまして首相の御所見をお伺いしておきたいと思います。
○松浦政府委員 先生言及されましたラロック発言さらにはライシャワー元大使発言などが話題になりました際に、その都度政府としては基本的な考えを御説明してきておりますが、この安保条約上及びその関連取り決め上、艦船によるものを含めまして核兵器の持ち込みが行われる場合は、すべて事前協議の対象となり、また核持ち込みについての事前協議が行われました場合には、政府としては常にこれを拒否する所存であるということを申し上げてきておりました。 それからまた、米国政府は核持ち込み問題に対します我が国の立場及び関心を最高首脳レベルを含めまして十二分に理解しておりまして、政府としては、核持ち込みの事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことについては何らの疑いを持っておりません。
○松原委員 従来の答弁と変わらないわけです。ただ、アメリカがそういう公文書をどんどん出してくるという事態でまた新しい事実が積み重なったと私は思います。この第一回目の交渉で、寄港については事前協議の対象にならないという申し入れがなされたという事実は、実はこれは大変大きな問題を持っているはずです。 時間がありませんから、これはおきますが、いずれにしましても、これからアメリカの方では情報公開の関係でこの種の公文書等がどんどん開示されてくると思うのでありますが、こういうふうにアメリカ側からどんどん資料が出てくるということを踏まえましても、今答弁のありました非核三原則、とりわけ核の持ち込みについて、これを守り通せる自信は実際おありなのかどうか、その点についてもちょっとお聞きしておきたいと思います。
○松浦政府委員 非核三原則は日本の国是でございまして、これは国会の場でも繰り返し申し上げてございますけれども、これを堅持していくという方針には何ら変わりません。
○松原委員 私の次の質問は、首相にお答えを願いたいと思うのですが、私たちは事前協議が完全に形骸化しておると考えておるわけです。今までの御答弁の中でも、アメリカが核兵器の存在を肯定も否定もしないという政策をとっているがゆえに、結局、この核持ち込みについては、いわば事前協議が空洞化しておる、形骸化しておると思うのです。 そこで、このようなアメリカの核兵器の存在を肯定も否定もしないというこの政策そのものについて、政府はどう思っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○松浦政府委員 日本はアメリカの核抑止力に依存しているわけでございますけれども、我が国といたしましては、この核の存在を肯定も否定もしないというアメリカの政策は、核抑止力を有効に担保するために必要な戦略上の要請に基づくものであると私どもは理解しております。
○松原委員 これは外務大臣にお聞きしたいのですが、それでは、そういう今の肯定も否定もしないという米国の政策ですが、今後も引き続きとられ続けるべきであるかどうか、この点について外務大臣はいかがでしょうか。
○中山国務大臣 先般の米ソ首脳会談において合意を見ました戦略兵器の削減交渉の合意事項で、もしそれが条約として発効する場合におきましても、現在米ソそれぞれが持っております約一万発近い核弾頭つき戦略兵器を双方が六千発にするということでございまして、このような現実の国際情勢の中で、米ソそれぞれがこの核の存在を排除するという可能性は極めて低いという認識を私は持っております。
○松原委員 今のは私の質問に対するお答えにはなっていないように思うのです。私は、核兵器の存在を肯定も否定もしないアメリカの政策、この政策が今後も続けられるべきかどうかという点の判断を聞いているわけです。 参考までに申し上げますと、ソビエトは、その必要があれば、そういう艦船に核を積載しているかどうかを明らかにする用意があるという立場をとっておりますし、昨年のマルタ会談においても、ゴルバチョフさんの船には核なんか持ってこなかったよということをはっきりさしているわけですから、そういうソビエトの政策の違いからしますと、アメリカのこの政策というのは、これから大変大きく問題になってくると思うのです。そういう政策は日本の立場からして続けられるべきかどうかの判断をお伺いしているわけであります。
○中山国務大臣 核を持たない日本として、米国がこれをどういうふうに判断するかということにつきましては、日本がそれについてどうこう申し上げる立場にはない、このように考えております。
○松原委員 これは時間的に最後だと思うのですが、冷戦構造が崩壊をして、アメリカとソビエトの間であるいはその他の各国との間で軍備管理であるとか信頼醸成といったものに向けての努力がされておるわけであります。これは非常に歓迎すべきことであって、どんどん前に進めなければいかぬと思うのですが、アメリカの今言った核兵器の存在を肯定も否定もしない、こういう政策が続く限り、軍備管理も信頼醸成といったものも、実際これは有効には機能し得ないと思うのです。そういう点からしますと、アメリカの今言ったこの政策というのは、今後の冷戦構造の崩壊後の新しい軍備管理や信頼醸成にとって極めて障害になるという認識で対応すべきだと私は思うのです。この点について外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○中山国務大臣 私は、核を保持している、核兵器を保持している米ソ双方が、核を保有しているという現実の状況の中で平和のための信頼醸成措置を構築していくためには、核の存在をお互いが査察するということがいずれの時期には行われるであろう、このように思っております。
○松原委員 最後に、今の点について首相の御所見をお伺いしておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 ちょっと大きなことを言って申しわけありませんが、基本的に力による対決と対立をしてきた米ソ両国が、ヤルタからマルタへという言葉にありますように、マルタであの話し合いを通じて、冷戦構造の発想を乗り越えて、お互いに対決姿勢から平和をつくり上げていくという対話協調姿勢に変えていくことが好ましいという点で両国の意見が一致して、冷戦構造を乗り越えつつあるわけでありますから、そういった中においては、当然本当の信頼関係をどうやってつくり出していくか、そのためにはどのような措置をとっていくか、どのような枠組みをつくっていくか、大きな枠組みの中で終着駅を目指しての努力がまさに始まっておるという段階でございますので、私たちは、それが成功していくように、それの障害になるようなことは、お互い当事国の話し合いと作業の中において片づけられていくべき問題ではなかろうか、こう思って歴史がうまく定着していくことを心から期待をしておるところであります。
○松原委員 終わります。
○柿澤委員長 山田英介君。
○山田委員 許されました時間の範囲内で、私は、対中国第三次円借款凍結解除の問題について、そして日朝関係改善への方針について、さらに日ソ関係で最大の懸案事項であります北方領土問題につきまして、時間がなおございましたらミャンマー民主化への動きに対する我が国政府の支援について伺いたいと思います。 そこで最初に、対中国第三次円借款凍結解除の問題でございますが、私はまず外務大臣にお伺いをいたします。サミット参加国へのこの凍結解除へ向けての説得あるいは根回しという言い方もできようかと思いますが、その状況をお知らせいただきたいということと、中国が何をどう変えれば欧米の諸国は凍結解除に合意をする、同意をするという見通しを持っておられるのか、そこのところを明らかにしていただきたいと思います。
○谷野政府委員 私の方からお答え申し上げます。 日本といたしましては、従来から中国との関係を双方の努力で修復していくという立場をとっておるわけでございますけれども、そういう中でいろいろな外交努力を行ってきておりますし、今後もそのような努力を続けていきたいと思います。予定されておりますサンフランシスコにおきます大臣とベーカー長官のお話し合いも、そういう努力の一環というふうにおとりいただければと思います。 後段のお話につきましては、経協局長からお話し申し上げます。
○木幡政府委員 欧米諸国の言いますいわゆる解除の条件というものは何かというお尋ねと存じますが、我が国といたしましては、西側諸国との協調を図るということは、我が国が中国に対する経済協力を実施するに当たっての大きな原則の一つであるということで、いろいろ話し合いもし意見交換もしているところでございます。対中円借款の具体的な取り進めぶりについて、欧米諸国側においてこれをというような具体的な条件といったものはございませんが、我が国としましては、中国国内の情勢の推移、国際的な動向等を見きわめながら、種々の角度から主体的な検討を続けていくということで引き続き見守っているところでございます。
○山田委員 欧米諸国が中国がどこをどのように変えればこうなるのだというようなことがはっきりわからないというような趣旨の答弁と伺いましたけれども、それではいつまでたっても対中円借款の凍結は解除できないのじゃないでしょうか。そこのところは外務大臣としてはどういうふうに御認識なさっておられるのですか。要するに、日本は中国との関係において、アジアの政治大国である中国、アジアにおける最大の経済大国である日本、そして数千年にわたる日中の交流の歴史、そのようなことをいろいろ考え合わせるときに、このままではいつまでたってもめどが立たないというふうに心配をするわけです。外務大臣の御認識を伺いたいと思います。
○中山国務大臣 委員も御存じのように、昨年の天安門事件を踏まえて、後に行われましたアルシュ・サミットでいろいろと参加した国々は対中に関する問題で合意をしたコミュニケがございます。つまり、大臣レベルの高官の往来をやめるとかいろいろございますが、私ども日本政府といたしましては、今委員も御指摘のとおり、中国はかねてからの隣国である、そして、この国を孤立化させることは、アジアあるいはひいては国際社会のために決して好ましいことではないという主張を繰り返し各国に述べてきております。また私は、きょうこの委員会終了後アメリカに参りますけれども、ベーカー長官との会談においても、従来の日本政府の考え方を述べてまいるつもりでございまして、私どもは一日も早く中国に対する協力が実現できるように引き続き努力をしてまいりたい、このように考えております。
○山田委員 総理にお伺いをいたしたいと思いますが、先ごろ米国にありましては、中国に対する最恵国待遇の延長を決めているわけでございます。これはもう申すまでもありませんが、西側諸国と同じ条件で、すなわち低い関税で貿易など経済関係を進めていくことができる。それはある意味では、世銀の融資停止とかあるいはまた中国に 対する武器供与の停止などというような制裁措置に比べまして圧倒的に重大な影響を及ぼし得る、そういう最恵国待遇の延長ということでございます。 私が申し上げたいことは、先ほど触れましたとおり、日本と中国のこの関係というものを重視した場合に、やはり凍結解除へ向けての、中国経済再建への立て直しへの、何といいますか先頭に立って汗をかかなければならないのではないか。アメリカがある日、決めました、凍結解除です、そうしておくれて日本が、追随したかのような形で、解除させてもらいます、いたしますということであっては、私は、日中関係を考えた場合に、それは極めて好ましくない展開ではないのか、こういうふうに思うわけでございます。 したがいまして、私はいろいろな御意見があろうかと思いますが、不幸な天安門事件の勃発ということは、確かにそれは大変な事件でありました。しかし、既に起きてしまったことについて余りこだわって、こだわりこだわり続けるのはどうなのか。むしろ、アメリカが最恵国待遇の延長を決めたということは、これ以上もう中国を国際的にあるいは経済的に追い込まない、孤立化を望んでいないという考え方のあらわれの一つであるというふうに受けとめることができるわけでございます。したがいまして、確かに天安門事件についての反省とか、その関連した人々に対する処遇の問題とか、それは当然ぜひ前へ進めていただきたいということを踏まえながら、やはり中国が国際的に評価されるような行動をとるよう、我が国として中国に促していくというかアドバイスをしていく、そういう努力も当然必要になってくると私は思うわけでございます。 そういう点も含めまして、私が総理にお伺いしたいことは、そういう中国との関係における我が国の政府の最高責任者として、この円借款凍結解除、御決意として、その時期についてお示しいただきたいわけでございます。一日も早くと外務大臣は今は御答弁なさいました。一日も早くという決意、姿勢というのはよくわかるわけでございますが、それでは一体、サミット前に決断が下されるのか、あるいはサミットにおいて合意がなされて解除されるのか、もう一つは、サミット後、九月の一つの焦点となると思われます北京におけるアジア大会までの間に凍結解除できそうなのか、あるいはサミット後といっても、さらに九月のアジア大会以後凍結解除を決められるのか、その辺は御決意ということも含めまして、総理からもう一歩踏み込んだ日本政府としての考え方、見通し、展望を明らかにされたいのでございますが、御答弁をお願いいたします。
○海部内閣総理大臣 お答えいたします。 中国を国際社会から孤立化させてはいけない、そういった気持ちでいろいろな方面に、私は、この中国問題というものが片づいていくような努力も、一々ここで具体的には申しませんが、してきたつもりでございますし、また、アメリカの大統領に、これも公表すべきではなかったかもしれませんが、私は書簡を送りまして、例えば最恵国待遇の問題なんかも一つの節目があったようでありますから、これは引き続き適用される方が、世界の関係、米中関係のためにも、または中国問題を解決しようという西側全体の理解を進めるためにも、中国側の努力を促進するためにも、いろいろな意味で総合的に意味があるので、それはおやりになった方がいいという書簡も私は率直に伝えました。そういった西側と中国側との双方の努力によって、歩み合いによって孤立化関係が改善されていくことを私は強く願うのです。 それで、今委員のように率直に、六月四日の問題については、もう済んだことは仕方がないけれども、しかし、それをいつまでも言っておってはいけないからというだけでまだ片づくような西側全体の状況になっておらぬことも、これまた事実でありまして、新聞報道にもなされておりますように、これもまだ行われておらない、こういうこともしてくれたらいい、こうすれば、これは完全に改革・開放路線への定着になるとか、あるいは天安門事件に対する評価が西側と一致するとか、いろいろな報道がたくさんなされております。それをどのように取り扱うかは、これは中国政府自身の判断だと思いますけれども、私は、両方が歩み寄る努力をしながら、西側と中国との間に国際的にいい関係が生まれていくようなことを心から期待をしておるのです。 日本といたしましては、第三次の円借款の問題については、今まだ、第二次円借款の残りの問題なんかは、継続案件はどんどん進んでおりますけれども、第三次のものについては、先導的ないろいろな接触、調査はしておりますけれども、全体として双方の環境が熟するように、双方の努力を一刻も早く実現させていきたいということで、節目ごとには、また中国の高官がいらっしゃって私がお目にかかるたびに、その気持ちを率直に伝え、中国側の意向も聞きながら一日も早くその条件が整うように努力を続けていきたい、こう思っておりますから、それをいつ、何月何日にということをここで具体的に示せと言われても、それはちょっと申し上げかねることでございますので、できるだけ早く再開できるようにしたいということでとどめさせていただきます。
○山田委員 私は、長い目で見て、対中円借款の第三次の凍結解除ということが中国の民主化あるいは経済の開放化などを一層促進することに資するはずだ、そして、それは中国国民の利益にかなうことだという認識がベースにあるから申し上げているわけでございます。 と同時に、人権とか人道分野においてちょっと私がどうなのかなというふうなイメージで受けとめられるのも極めて遺憾なことでございますので、あえて申し上げますけれども、いわゆる天安門事件、起きてしまったからもうそれはどうでもいいじゃないかということでは決してございませんので、一言補足させていただきたいと思います。 次に、日朝関係改善の方針について伺いたいと思います。 最初に、外務大臣にお尋ねをいたしますが、日本と北朝鮮との関係改善につきましての考え方、そして今日まで何をどのようになさってこられたのか、打開へ向けてどのように行動をとられてきたのか、簡潔にお答えをいただければと存じます。
○中山国務大臣 朝鮮半島と我が国との地理的、歴史的関係にもかんがみまして、我が国といたしましては、北朝鮮との関係を早期に改善することを希望いたしております。そのため、政府といたしましては、一昨年来日朝関係改善を進めるべく対話を呼びかけていましたが、先般の韓ソ首脳会談の実現により、朝鮮半島をめぐる国際政治の流れが加速されたことを受け、今後一層積極的に日朝関係の改善に努力をしてまいりたいと考えております。
○山田委員 質問に必ずしも正確にお答えいただいていないわけでございますが、衆参の予算委員会における審議、その中で外務大臣が、国交樹立も含めて北朝鮮が話し合いたいということであれば、いつでも扉をあげて待っていますよ、あるいはその話し合いのいかなることであっても応ずる用意があると繰り返し御答弁されたことを私は伺っておるわけでございます。 ただ、問題は、後で触れたいと思いますが、例えば総理が対ソ関係打開へ向けての基本的な方針というものをソ連の総合週刊誌「新時代」に文書インタビューに答える形で表明されておられました。拝見をいたしたところでございますが、そのように日ソ、日朝関係を同列に論ずることは当然できないかとは思いますけれども、やはり日本政府として、ただ北朝鮮が話し合う用意があればいつでもいらっしゃい、いつでも扉をあげて待っていますと言うだけでは、この日朝関係の関係打開というものは無理だと私は思うのです。 ですから、私は総理に直接またお伺いしたいわけでございますけれども、例えば対ASEAN政策、福田ドクトリンというものがありました。私は北朝鮮との関係改善を図る上で、政府は大変な 熱意を示しておられるわけでございますから、いろいろなメニューがあるわけです。それから、いろいろな考え方というものを包括的に、なお具体的に日本政府としてきちっと整理をして、そして明らかにする、いわば対北朝鮮関係打開への海部ドクトリンというようなものを整理をされて国民の前に示すべきだ。それは、そのまま北朝鮮に対する我が国政府の誠意あるいは関係改善への決意のそれは強力なそしてまた極めて有効なメッセージたり得ると思うからでございます。私は、総理に海部ドクトリンというような対北朝鮮関係打開のための基本的な方針、包括的かつ具体的なものを早急に整理をして明らかにすべきだと要望をしたいと思いますけれども、総理、いかがでございましょうか。
○海部内閣総理大臣 私自身、日朝関係の改善につきましては、先ほど来率直に心境を申し上げておりますように、安定的な信頼関係を打ち立てて、両国の関係を樹立していきたいという強い願いは持っておりますが、また、それに先立ちまして、いろいろ率直なお話し合いをしなければならぬわけでありますので、きょうまでも北朝鮮においでになる野党の先生方にも直接お願いをして、条件をつけないで率直にお話を聞きたいと思うし、お話し合いをしたいと思う、関係改善への願いは強く伝えてございます。 また、アジア近隣諸国とは、でき得る限りその発展にも協力をしなければなりませんし、過日の盧泰愚大統領との首脳会談のときも、韓国も北の政府と一緒になって平和的な統一を今世紀中に実現したいと思う、そのためにできる限りのことをしてほしいというような御了解もあります。 私は、朝鮮半島の皆様にきょうまで日本がいろいろとしてきた行為に対する反省やあるいは申しわけなかったという率直な気持ちの表明もいたしましたし、そういった反省の上に立って、さらに今後は朝鮮半島の安定と朝鮮半島の発展のためにも、日本としてもできるだけの役割は果たしていかなければならないという決意も述べておりますので、でき得る限りそういったことが実現していきますように心から願っておるところであります。
○山田委員 その節目ごと、あるいはそのときごとにおける総理や外相のお考えのあり方というものは伺うわけでございますけれども、それを、私が今申し上げましたことを包括的かつ具体的に一回整理をして、きちっとお示しになる必要はありませんかということを伺ったわけでございます。 それは、例えば総理、国交樹立の決意はお持ちなんでしょうか。今お触れになられましたけれども、北朝鮮二千万人の人々に対する率直な、要するに真心のこもった謝罪の意思、そして、この賠償の意思、これらはおありになるのでしょうか、この際改めて明確にしていただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 私は、率直に言って、過去の日本の行為が朝鮮半島に耐えがたい苦痛を与えてきた、朝鮮半島の人々に大変損害も与えてきた、それに対して率直におわびをする気持ちを伝えておりますから、今度話し合いができる段階には、その気持ちをそのままお伝えしたいと思っております。
○山田委員 国交樹立についてはいかなる御決意をお持ちでございましょうか、総理。
○中山国務大臣 国交樹立について今具体的にどういう方針を持っているかということを申し上げる立場にもまだ到達してないと思いますけれども、もしこの北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の政府関係者、例えば国連におります北朝鮮のオブザーバーが、国連におります日本大使からの接触に応じてこられれば、そのような機会にこれを話し合う可能性は十分あると思います。 〔委員長退席、園田委員長代理着席〕
○山田委員 私は、そのほかにも国交樹立あるいは謝罪の分野、あるいはまた人物往来、物の往来、貿易関係、経済関係の一層の発展、そのために第一歩となるでありましょう相互の貿易事務所の設置について、あるいは一層の積極的なスポーツ分野における交流の発展、あるいはこの北朝鮮に対する大きな影響力を持つとされておりますソ連、中国に対する我が国政府の対北朝鮮関係改善へ向けての協力要請、挙げていけばさまざまなことが言えるわけでございます。 重ねて私は、いわば海部戦略あるいは日本政府としての基本見解というようなものを一度整理をして明らかにされることを、それは日朝関係打開に極めて有効なものであるという観点から重ねて要請をしておきたいと思う次第でございます。 次に、北方領土問題について若干お尋ねをしたいと思います。 それは去る九日、六月九日でございますが、総理は福岡選挙区選挙応援のために現地を訪れまして、そこで講演をなさっておられます。先ほどの質疑応答の中にもありましたが、いわゆる経済関係と領土問題の進展をリンクさせた経済の拡大均衡を目指して、ソ連の経済の底板を厚くするために積極的に協力をしていきたいという趣旨のお話をなさいました。 私は、我が国の基本的な政府の方針として、北方四島の領土が返還され、平和条約が締結されて後、本格的な経済交流、協力を行うという、その政経不可分という一つの方針というのは承知をしているわけでございますけれども、問題は――ちょっと時間がございませんので、組み立てたお話ができません。結論を急ぎますけれども、問題は、じゃ、領土が四つともきちっと返還実現した後でなければ本格的な経済協力、援助はできませんということになりますと、一年先、二年先になる可能性もあるわけでございます。そうすると、今世界はソ連の動向を中心に大きくまた激動しているとも言うことができます。そういう中において、我が国がソ連経済救済へのきっかけ、機会というものを失ってしまいかねないのではないか。いや、それでいいんだということには必ずしもならないんだろうと思うのです。私は、延びれば延びるほど、ソ連経済再建あるいはソ連経済救済へ向けて我が国の援助、あるいは我が国の経済協力というものがなされる時期を失してしまうということであってよいのかどうかという極めて深刻なとらえ方を一つにはしているわけでございます。 それで、総理のおっしゃったこの経済の拡大均衡論でございますが、領土問題で一定の前進があれば、それに応じていわゆる経済協力も一歩前進させよう、まさに均衡させていこうという御趣旨かと私は理解をしているわけでございますが、そうすると、その前日、米外交筋がということで我が国の報道機関で明らかにされました、ゴルバチョフ大統領がさる極めて地位の高いアメリカ政府高官に対して、一対一の状況、場面の中で、海部総理にメッセージを非公式に送られたということが伝えられております。それは、北方領土でソ連は譲歩します、そのかわりに緊急的かつ真剣に物資の供給について協力を求めたいという報道記事が流れたわけでございます。 私は、九日の総理の福岡における講演は、まさにこの報道を当然念頭に置いて、読まれて講演をされているわけでございましょうから、私はゴルバチョフ大統領が総理にあててと理解をいたします非公式なメッセージ、球が飛んできた。それを受けとめて、要するに、この福岡の経済拡大均衡論ににじませたというふうに私は理解をしているわけでございます。すなわち、一つの球は打ち返したのではないか。そんな中で、けさ一部の報道によりますと、ゴルバチョフ大統領は来年訪日というふうに言われてまいりましたけれども、早めて年内、十一月あるいは十二月にも日本を訪れる可能性を第一副首相が語った、このような報道が一部なされたところでございます。 私はそういうことから総理に御答弁をいただくわけでございますが、全部、四島ともに返還が実現し、平和条約が結ばれた後でなければ経済援助はできないということではなくて、私は、日ソ共同世論調査、けさ読売新聞で拝見しましたけれども、八〇%以上の方々が食料品、日用品の安定供給を求めておられるというようなことでございま すので、私は、そこのところの柔軟な対ソ経済協力援助についての対応を促したいわけでありますが、総理の御答弁をいただければと思います。
○海部内閣総理大臣 何度も申し上げるようですが、日ソ関係の解決、そして本当に信頼関係を確立していくために平和条約を締結すること、そのためには領土問題を解決しなければならぬという考えは、私は強く持っております。けれども、それだけを言って、その問題が全部片づいた後にならなければ、そのほかのことは一切考えないというようなかたくなな態度ではなくて、先ほどから申し上げておりますように、領土問題が横へ置かれてしまったり、領土問題が取り残されてしまったのでは、これはいけませんけれども、拡大均衡の形で実現可能な問題からいろいろお話もしましょう、そして経済関係については、相手国が望まれることに対しては、その国づくりや経済活性化に御協力するというのが私どもの基本的な考えでございましたので、昨年の十一月にも、そしてことしの春にもソ連から経済調査団を受け入れて、どのような分野でどのようなことができるか、よく見ていってください、積極的な御協力もしておるわけでありますから、幅を広げて拡大均衡の形で続けていきたい。それにはそれぞれの節目におけるいろいろな話し合いが大切と私どもは受けとめているということを率直に申し上げさせていただきます。 〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
○山田委員 終わります。
○柿澤委員長 古堅実吉君。
○古堅委員 総理がこの六月二十三日の沖縄戦戦没者追悼式に御参加のようですから、私は、沖縄戦や引き続く戦後の沖縄の苦難の歴史を踏まえながら、率直にお聞きしたいと思います。時間は十四分という限られたわずかなものですから、簡明な御答弁をあえて要望申し上げたいと思います。 総理、今回の沖縄の慰霊祭への日本の総理としての参加は初めてでございます。広島原爆の日の式典に日本の総理として佐藤総理が初めて参加されましたのが、十九年前の一九七一年でした。沖縄の復帰後十八年目にしての今回の総理の御参加であります。 沖縄県慰霊の日を定める条例、第一条には、「我が県が、第二次世界大戦において多くの尊い生命、財産及び文化的遺産を失った冷厳な歴史的事実にかんがみ、これを厳粛に受けとめ、戦争による惨禍が再び起こることのないよう、人類普遍の願いである恒久の平和を希求するとともに戦没者の霊を慰めるため、慰霊の日を定める。」このように定めてございます。 総理が沖縄の慰霊の日をどのように受けとめられて、今回の御参加となられるのか、最初にお尋ねしたい。
○海部内閣総理大臣 沖縄は、さきの大戦において国内で唯一の戦場となり、多数の人命が失われるとともに、県土も徹底的に破壊され、アメリカの施政下に置かれていたなどいろいろの問題が生じてきたところでございました。このため、政府はきょうまで沖縄開発については、そういった経緯を踏まえて取り組んできたところでありますが、二十三日に行われる慰霊祭には、これは国会の御了承がいただければという前提つきになりますけれども、私はスケジュールをあげて沖縄を訪問し、これらの全戦没者追悼式に出席して、さきの大戦によって犠牲となられた二十万余のみたまに対して率直に心から哀悼の意を表すとともに、戦中戦後における沖縄県民の皆様の御労苦を心からねぎらってまいりたい、こう思って参加することを決心したわけでございます。
○古堅委員 第二次世界大戦で沖縄は我が国における唯一の陸上の激戦場となりました。日本はその本土決戦に備えて沖縄を捨て石に使ったのです。できるだけ長引かせた。そのゆえに三カ月も続いた。そのため、直接の軍隊ではない住民を巻き込んでのああいう悲惨な状態がつくられたのであります。まことに筆舌に尽くしがたいものがございました。 私は当時沖縄師範学校の二年に上がったばかりで十五歳でした。沖縄師範鉄血勤皇隊に組み入れられ、戦場に駆り出され、悲惨きわまりない体験をいたしました。戦が終わろうとする六月の二十二日に、沖縄戦終えんの地、摩文仁の海岸で米軍の捕虜にされてハワイに送られ、戦が終わった翌年の十一月に帰還いたしました。たくさんの恩師や同僚を学友を失いました。摩文仁のあの沖縄健児之塔にはこういう方々が祭られています。私は毎年、生き残った者の責務としても、二度と「戦世」を起こさせてはならぬ、あの犠牲をむだにしてはならぬ、こういう思いを込めて慰霊祭にも参加してまいりました。 摩文仁には沖縄県立平和祈念資料館がございます。この本は「平和への証言」と題する本ですが、この平和資料館のガイドブックです。その中に「平和祈念資料館の設立理念」という文章がございまして、その中にこう書かれています。 私選沖縄県民は、想像を絶する極限状況の中で戦争の不条理と残酷さを身をもって体験しました。 この戦争の体験こそ、とりもなおさず戦後沖縄の人々が米国の軍事支配の重圧に抗しつつ、つちかってきた沖縄のこころの原点であります。 ″沖縄のこころ″とは人間の尊厳を何よりも重く見て、戦争につながる一切の行為を否定し、平和を求め、人間性の発露である文化をこよなく愛する心であります。 私たちは戦争の犠牲になった多くの霊を弔い、沖縄戦の歴史的教訓を正しく次代に伝え、全世界の人びとに私たちのこころを訴え、もって恒久平和の樹立に寄与するため、ここに県民個々の戦争体験を結集して、沖縄県立平和祈念資料館を設立いたします。 このように述べています。 今回の追悼式への御参加の機会に、国を代表しての御参加ですから、ただ単に個人的な哀悼の意を表するとかいうことにとどまらず、率直に沖縄県民への謝罪を総理として表明されて、沖縄の心にこたえられてはいかがですか。
○海部内閣総理大臣 今御指摘になりました資料館も私は訪れさせていただいております。そして、当時その御体験を受けた方々の御説明と御案内を受けて、沖縄の戦いというものがいかに心痛めるものであったのかということも私自身この目で見、お話も聞かせてもらってまいりました。 そういったいろいろなことを踏まえて、私は今度沖縄の慰霊祭に出席するわけでありますから、これらの方々に対しては、私は心から霊前にぬかずき、同時に戦争のときにいろいろな苦痛やいろいろなことを体験された県民の皆さんにも率直に反省と、当時のことに対して心からの御同情を申し上げ、参加をしてまいりたいと思っております。
○古堅委員 かつて天皇に来県して県民にわびてほしいという声がございました。昭和天皇は亡くなられました。我が国を代表する、そして沖縄県民に対してしかるべき謝罪にふさわしい意思表示ができるのは、国の最高責任者である総理をおいてございません。そのおつもりはございませんか。あえてもう一度お尋ねいたします。
○海部内閣総理大臣 何度も申し上げておりますように、私は率直に沖縄県の皆さんと、特に命をなくされた二十万の方々に対して心からおわびを申し上げる気持ちで行ってまいりたいと思っております。
○古堅委員 沖縄県民の苦難の歴史は沖縄戦で終わりませんでした。野蛮きわまりないアメリカの占領が続きました。講和の締結によって沖縄は施政権が返還されると期待しておった。しかしアメリカにゆだねられました。二十七カ年です。一九七二年に闘いによって祖国復帰が実現しました。今度はアメリカの基地を基本的に損なわないように日本政府が約束し、日米安保条約のかなめの基地として、戦場さながらの現状が続いています。 この米軍基地は、米軍の有する専用の演習場について申せば、全国に十七カ所ございますけれども、本土には二カ所、沖縄に十五カ所、面積で申 せば全国の九五・六%が沖縄にございます。この演習場が火を噴いておるのです。県民が危険にさらされている。せめてこの実弾射撃演習に、国民の命、安全を守るという立場から、それをやめさせるということでの日本政府の態度を決定し、アメリカに折衝する、交渉するという態度はございませんか。
○松浦政府委員 先生御指摘のように、沖縄に米軍の施設、区域が集中しているのは事実でございまして、その関連で沖縄の方々にいろいろ御迷惑をおかけしていることは私どもも心苦しく思っております。 ただ、改めて申し上げたいと思いますけれども、米軍が日本に駐留しておりますのは、日本の安全と平和のため、さらには極東の平和と安全に寄与するためでございまして、先生御指摘の米軍の訓練もまさにそういう目的達成のために必要であるということで実施しているわけでございまして、これは米軍が地位協定上認められた権利でございます。ただ、その訓練などを実施するに当たりまして、その安全確保に十分注意をしてもらうことは当然でございまして、従来からその点に関しましては米軍に申し入れを行ってきておりますが、引き続き安全確保のために米軍が万全を期するよう米側と接触してまいりたい、こういうふうに私どもは考えております。
○古堅委員 この問題について総理から率直にお聞かせいただきたかった。しかし時間がないので、その問題についてそれ以上重ねての質問はできなくなりました。 総理、最後の質問になるかと思います。 六月二十三日はたまたま日米安保条約発効三十周年に当たります。県民を犠牲にしながら米軍の演習を許し、どこに向かって戦争を構えようというのですか。これからも引き続き安保条約のもとで沖縄県民は犠牲になってほしい、やむを得ない、こういうとを押しつける気持ちを持ちながら今度の沖縄戦戦没者追悼式に臨まれるというのですか。総理、もう一度お気持ちを聞かせてください。
○海部内閣総理大臣 戦没者慰霊祭に臨む気持ちは、先ほど来何回もここで申し上げてまいったとおりであります。また、事を構えてどこかの国と戦争をやろうなんという気持ちは毛頭ありません。そんなことはやってはならないことだ、二度と再びそういったことを起こしてはならないことだ、その気持ちは強く持っております。日本の政治の大きな目標は、平和を守ることと国民生活を安定、向上させることにありと私は強く信じております。そのために、日本の平和を守るために、我々は今後とも必要最小限度の節度ある防衛力は整備しておらなければならない、こう考えておるわけでございます。
○古堅委員 最後に一言。あなたはあのような悲惨な状況のもとで命を落としていかれた人々の地下からの叫びが聞こえないのですか。二度と戦を起こしちゃいかぬ、そのために、戦争のために事を構えちゃいかぬ、これが地下からの叫びであろう。自分たちのような犠牲を二度と繰り返すな、そういうことだと思います。そういうことにこたえられない。現実に安保のもとで、沖縄を最たるものとして、日本じゅうをアメリカの思うままのそういう演習の基地としている。そういうことでは、あなたが追悼式に参加されて深々と頭を下げられても、亡くなられた方々の霊は浮かばれない、沖縄県民の心はおさまらないと思うのです。あえてそのことを指摘し、日本政府の態度としては、そういう態度では許されないんだということを厳しく指摘をして、終わらせていただきます。
○柿澤委員長 和田一仁君。
○和田(一)委員 総理がお見えでございまして、きょうは国際問題を中心にお伺いしたいと思います。 現在、非常に大きく動いている国際情勢の中で、きょうは外務大臣がもうすぐ、この足で訪米される。外交というものは大変気ぜわしく、そして分刻みのように動いていると思いますが、そういう中にあって我が国の外交を進める上での総理の見解をお伺いしたいと思います。私はきょう十四分しか時間が与えられておりません。何問も伺いたいのですが、あるいは一問、二問で終わるかもしれませんけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 昨年の米ソ首脳会談、マルタ会談を契機にいたしまして、さっき総理も言われておりましたように、ヤルタからマルタへと、まさに目をみはるような変化がございました。そして、そのことを契機に冷戦の終えんの始まりである、こういうことが盛んに言われている今日でございます。私は、一体冷戦とは何であったのかなということを考えますときに、かつてはイデオロギーの対立、それに伴う社会体制、国家体制の対立、相違、さらにはソビエトのいわゆる膨張主義、こういうことに対して米ソの二大国が持っている経済力をバックに強大な軍事力を競い合ってバランスをとることが非常に大事だ、こういう構造にあったと思います。そういう中で、こういった冷戦の基本に変化が生じてきたなと思います。共産主義体制というものが経済力の面でも破綻を来しましたし、ソ連もまた膨張主義という今までの姿勢とは変わりまして、東欧の民主化等でも明らかなように、明らかに変化をしてきております。そういう中で、経済、軍事両方とも国際政治における米ソのウエートというものは低下してきていると考えるわけですが、この冷戦の構造の基本から変わってきているということを踏まえて、総理の御認識を伺いたいのです。 まず、東西バランスの構造が変わったということによっていろいろな変化、実態の上でも、例えば東欧において民族主義が台頭してきた。今までのような冷戦の構造が変わって、そして、そのことと同時にイデオロギーが、もう例のたがというものがなくなったためか新しい民族主義というものが非常に大きく動き始めた。経済的にも行き詰まったためにペレストロイカ、グラスノスチという新しい動きが始まりました。そういうことがそれぞれ競合し合っていろいろな動きが出てまいりました。今までの冷戦の基本にあった構造が変わってきているということになりますと、これからの世界の政治の基調になっていくもの、それは一体何であると総理はお考えなのか。これは全人類共存のための経済が中心になったものが世界のいろいろな動きの基調になっていくのかどうかを含めて、これからの世界の政治を動かす要因は主として何になるかをお伺いしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 大変大きい問題のお尋ねでございますが、私は結論から率直に私の気持ちを言わせていただくと、どうでございましょう、それぞれの国の国民を豊かに幸せにするにはどちらの仕組みが正しいか、あるいは正しいという言い方が悪ければ、どちらの仕組みがより目的に近づけるかという競争がきょうまで続いてきたイデオロギーの対立の後ろにはあったのではないでしょうか、私はそう思うのです。ですから、ベルリンの壁というものが二十八年間同じドイツ人を分けて、片方は自由民主主義、市場経済、片方は社会主義、共産主義、統制経済、いろいろ言い方は違っておりましたけれども、とにかく一生懸命競争をした。二十八年たって、差があれだけついたのですから、もうこれはやめよう、そのときは戦争はもういい、力による解決はもういい、平和でいこう、話し合いで平和でいこう。じゃ、どちらがいいか。やはり明るくて豊かな方がいいということが、私は理論的に余り上手に説明する言葉を知りませんけれども、具体的な事実として、今日東西両ドイツが、それじゃ、西側のマルクがそのまま通用してもいい、いろいろな制度、仕組みもそのまま適用してもいい、だからそれで統合して一緒にやっていこう、そういったことに刺激をされて大きな東西の対立、そして冷戦構造の発想を乗り越えての世界秩序が出てきたのですから、イデオロギーとか理屈よりも、支配した背景は経済ではなかったか。その経済が自由で市場メカニズムに従ったやり方でやった方が全体として比べると、その国の豊かさ、幸せさに直結したのではないか。これが今度の東西の対立、対決を動かして いった歴史の大きな原動力の背景ではなかったかと私は受けとめておるのです。 ですから、これからの新しい時代はどちらが正しいか、どちらがどうであったかということよりも、さらに前進をして、いろいろな問題は力で解決はしない、対話によって平和的にもちろん解決をする、その当然の大前提を置きながら、市場経済の原理に従って豊かで幸せな毎日がそれぞれの国で国民に保障されるような世界を構築していかなければならぬ。それに向かってきょうまでの経験とか技術力とかいろいろな市場経済のあり方というようなものについて、もし欲するところがあればできるだけの協力をお互いにして、相互依存関係を高めていくことが新しい世界の秩序になっていくのではないだろうか、私はそんなふうに考えております。
○和田(一)委員 今総理の口から新しい世界の秩序というお言葉も出てまいりました。近々サミットも開かれるわけでございまして、そういう中で我々日本の果たすべき役割等も、また時間があったらお聞きしたいわけですが、その前に一つお聞きしておきたいのは、最近のソ連の内容の伝えられている変化でございますけれども、五月にエリツィン氏がロシア共和国の最高会議議長に就任いたしまして以来、大変目まぐるしくいろいろな動きがございます。その中でバルト三国の動きももちろんですが、六月に入りましてから、この共和国の動きの中で、十五カ国の共和国の代表の会議がございましたけれども、その中で新しい動きが出てまいりました。新聞の伝えるところでございますけれども、主権国家連合を提唱して、そして新しい目標を設定した。主権国家連合という国家構造がこれからどういうものになっていくというふうにごらんになっているのか。軍事、外交の権限等についてもいろいろ言われております。同時に、ソ連の中における最大の共和国であるロシア共和国は、先般人民代議員大会で主権宣言をいたしまして、十三日ですか、主権宣言を最終決定したと聞いております。この中でロシア共和国の領土に変更がある場合は国民投票を行うというふうに明記されたと聞いております。この宣言は、ソビエト連邦法に対する共和国法としてもっと優位なものだというふうにも聞いておるわけですけれども、こういう動きが出てまいりますと、先ほど来いろいろお話がございましたような、この秋から始まるソビエトの外相の来日あるいはゴルバチョフ大統領の来日、こういうことを踏まえて、今日本の期待しております北方領土の問題を解決して、新しい日ソ関係を構築していこう、そのことを通して、今総理もおっしゃっていたように、豊かな、幸せな人類共存の道を開いていこう、こういうお話でございますが、こういう動きに対して、対ソビエトの外交というものは一体どういうふうに考えたらいいのか。将来、ソ連との間で返還が合意されたといたしましても、さらにロシア共和国の国民投票による認知が必要であって、それがないとだめだということになりますと、やはりソ連邦内におけるロシア共和国の強大さから考えて、今までの外交一筋のあり方、ソビエトに対する外交のあり方と何か変化があるのか。その辺のお考えをお聞きしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 御指摘の二つの点について、これも率直に私の考えを申し述べますけれども、ソビエトの変化というものは非常にスピードもあって、しかも劇的で、私はこのごろゴルバチョフ大統領と何の突っかかりもなく発言できるようになったのですが、一時期まではソ連に大統領が生まれるなんということは想像もできなかった事態だと思うのです。ですから、連邦条約を締結して、その基礎の上に主権社会主義国家の連邦というようなものをつくるという報道等がなされておりますけれども、そういったこともどのように発展していくかということを、予断と憶測でもって物を申し上げるのは大変危険だと私は思いますので、どのような展開になっていくかということを注目してまいりたい、こうお答え申し上げるのがただいまのところ精いっぱいでございます。ただ、それがペレストロイカの正しい方向性に向かって、いい方向に定着していくように心から願わずにはおられません。 同時にまた、二つ目の問題でロシア共和国の問題についてお触れになりましたが、今度議長になられたエリツィンさんがおいでになったときも、私はお話し合いはしましたけれども、それはロシア共和国の議長になられる可能性云々の全く議論されない前のことでありましたし、ロシア共和国の領土だから北方領土問題については国民投票云々ということもどうなってくるのか。もし仮にそうなったとしても、私どもは、ロシア共和国のみならず、これはソ連の領土ではなくて日本の固有の領土だという立場できょうまで物を言い続けてきたつもりでございますから、例えば私どもの知識の中にあります明治八年の千島・樺太交換条約で得撫島から占守島まで十八の島を千島列島と言うんだというような、ああいった旧取り決めその他のようなものを具体的にいろいろ提示して、誠意を持ってロシア共和国ともお話し合いを、必要となれば新たにしていかなければならぬ問題がたくさんあるなと思いますが、いずれにしても、ロシア共和国がどういうことになろうとも、きょうまでの基本的な方針に従って誠意を持って話を進め、理解を願うように努力をしなければならない、基本的にはこのように考えます。
○和田(一)委員 間もなくサミットが開かれ、総理も出席されますけれども、このサミットというのは経済問題を中心に、例の石油危機以来のサミットでございまして、もう今回十六回目になります。だんだん中身が変わってまいりまして、かつての経済問題から政治問題にも発展をし、さらに最近は地球環境問題やら麻薬問題、こういった人類共通の問題も大変大きく課題として取り上げられるようになってまいりました。確かに最初は西側先進国の団結を誇示するという意味合いが非常に強かったと思うのですけれども、今いろいろお話がございましたように、国際情勢が大きく変わってまいりました。したがって、このサミットの持つ意味合いも変わっていくものであると私は考えております。 今回のサミットについても、いろいろなテーマがありますけれども、このサミットにおいて総理が日本の立場として一番主張したいテーマはどういうテーマか。それとあわせまして、私は、さっき総理から新しい世界の秩序ということが口に出ましたけれども、そういう新秩序の構築をするための会議にぜひこのサミットの中身をリードしていっていただきたい。ですから、今までのメンバーだけでなくて新しいメンバーを加えるような格好で、世界に新しい秩序を構築できるような積極的な努力をしていただきたい、今回のサミットにぜひそういう姿勢で臨んでいただきたい、こんなふうな考えもあるわけでございます。今人類が爆発的に増加しておりますし、限られた地球の上でどう人類が共存共栄していくかという全人類共通の目標が次第に真剣に取り上げられるようになってきた昨今でございますので、ぜひひとつサミットに行かれる総理の御決意を、こういった新しい方向づけを主張していただきたいという希望を込めて、お答えをいただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 サミットにつきましては、委員御指摘のようにいろいろな経過がございました。最初の第一回ランブイエ・サミットというのは、私も内閣の官房副長官の立場で参加させていただきましたが、あのときはたしか参加しております西側の国の経済政策の調整を図って、インフレのない経済成長を定着させるにはどうしたらいいかというところから議論がスタートしたことを今も思い出しております。 しかし、今日は地球的規模の問題もたくさん出てきております。特に、最近の世界の経済の激変を踏まえて、新しい世界の問題を地球的な規模で考えていかなければならぬわけでありますから、途上国の累積債務の問題とか、あるいは麻薬の問題とか、あるいは地球環境の問題とか、いろいろ最近のサミットでは、地球的規模の、経済の問題を乗り越えての世界の政治的なあり方についての議論まで幅が広くなってきておることば承知いたしております。 ただいまの委員の御質問の中に含まれておりますいろいろな問題点等もきちっと留意をいたしまして、大きな立場に立って、また、日本がどのような次元の協力をどのように考えておるかということも、積極的に、率直に発言をして、サミットに参加してまいりたいと考えております。
○和田(一)委員 時間が過ぎました。ありがとうございました。
○柿澤委員長 次回は、来る二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十七分散会