税制問題等に関する特別委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 138 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1989/12/05
会議録
○委員長(中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会公聴会を開会いたします。 本日は、消費税法を廃止する法律案、消費譲与税法を廃止する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案、税制再改革基本法案、法人税法等の一部を改正する法律案、通行税法案、物品税法案、入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案につきまして、お手元の名簿の十名の公述人の方々から御意見を伺います。 まず、午前は四名の公述人の方々にお願いをいたします。 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 皆様には、御多忙中のところ本委員会のために御出席をいただき、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。 本日は、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしてまいりたいと存じますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後で委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 それでは、これより順次御意見を承らせていただきます。 まず、鈴木公述人にお願いをいたします。
○公述人(鈴木永二君) 鈴木でございます。 本日は、このように貴重な時間をちょうだいいたしまして、大変ありがとうございました。 それでは、消費税を初めとした税制改革並びに現在参議院で御審議中の消費税廃止関連法案、これに伴いますいわゆる代替財源法案について経済界の意見を述べさせていただきます。 初めに、税制に対する基本的な考え方でございますが、我が国経済及び社会の著しい発展を考えますと、これまでの税制は、第一にシャウプ税制以来の急速な時流の変化にマッチした抜本的見直しが行われずに来ましたため、厳しい累進性を持った所得税、著しく高い法人税、一部に偏り弊害の多い物品税など、一部の対象だけに重い課税 をしているものとなっております。その結果として、直間比率は、シャウプ税制当時の五五対四五が、改革前では七三対二七になっております。これを国民が広く薄く負担を分かち合う形に改めることが必要と考えております。 第二に、国際化の時代を迎えました今日、我が国のみが孤立した税体系を持つことは許されず、国際的なイコールフッティングを図っていくことが必要と考えます。 第三に、世界に例を見ないスピードで進んでいる高齢化に対応し、二十一世紀に向けて福祉の充実を図っていくための財源は、やはり国民が広く薄く負担を分かち合うことが必要だと思っております。 第四に、クロヨンに代表されますような不公平税制の是正も行う必要があると考えます。 そういう立場から、近年行われました税制改革、すなわち物品税の廃止及び消費税の導入、所得税及び法人税の軽減、マル優の廃止、キャピタルゲインへの原則課税、これらは以上の税制に対する基本的な考え方に沿ったものであり、十分とは申せませんけれども、少なくとも正しい方向へ一歩踏み出したものとして私どもは高く評価いたしております。 消費税導入に当たりましてもさまざまな危惧の念が持たれておりましたが、関係者の理解と協力のおかげで懸念された転嫁も順調と思っております。物価上昇も妥当な範囲にとどまっていると思っております。消費の減退も杞憂に終わっていると考えております。また、事務処理もスムーズに行われ、産業界としては整然と新税が定着しつつあると認識しております。 しかし、今般参議院に提出されました消費税廃止法案及び代替財源法案は、この流れとは全く逆行するもので、反対の立場をとらざるを得ません。提案されました内容について個々に意見を申し述べる前に、そもそも二年間の暫定案が必要かどうか疑問とせざるを得ません。基本的な税体系を一年でもとに戻し、また二年後変えるということでは生き物である経済活動は大混乱いたします。私ども実務に携わっておる者といたしましては、到底このような変化を受容するわけにはまいらないと思っております。 今回の改正のために企業は設備投資、事務処理の方法の変更、これらを徹底させるための社員教育を実施してまいりまして、総額三千五百億かかったと推定されております。これをもとに戻すのは、単に前に戻せばよいという問題ではありません。二年後に再度改革するとあってはなおさらのことであります。 今回野党から提出されました税制再改革大綱の「第一 目的」の中に、消費税導入によって引き起こされた税制の混乱収拾のためということがありますが、仮に導入によって混乱があったと仮定いたしますと、今回御提案の、先ほど申しました基本体系を一年でもとに戻し、また二年後に変えるというこういった処置についてどのような混乱が起きるか、租税への不信をもたらすか御想像なさったことがあるのでしょうか、こういう疑問を持っております。 むしろ、二十一世紀を見据えて、どのような税体系が望ましいかという基本的な税制改革についての考え方を恒久的税制として御提案いただき、国会でじっくりと御審議いただくべきであると考えます。その意味で、税制再改革基本法案の基本的考え方が具体的にどのようなものであるかということをぜひお示しいただくことが極めて重要だと思っております。そういう意味で、代替財源案という暫定案は余り意味のないものと私どもは考えております。 しかしながら、代替財源案について若干の意見を申し述べさせていただきますと、まず、自然増収を消費税減税の財源に充てることはおかしいと思っております。御承知のとおり、自然増収には二つの意味がございますが、一つは当初予算の見積もりより税収が大きくなるという場合でございます。税収が常に見積もりを上回るという保証はないことを申し上げておきます。もう一つの自然増収は経済成長に伴う税収の増加でございますが、これはいわば国会の議決を経ない増税でございます。これを長年放置した結果、いわゆる直間比率がどんどん悪化したのでございます。今回の税制改革の基本的なねらいの一つには、こうした不公平の是正があったと私どもは理解しております。したがって、所得税及び法人税で増収があれば、これはむしろ所得税及び法人税の税率の一層の軽減及び赤字国債の償還に充てるべきものと考えております。 次に、法人税の基本税率据え置きと各種引当金の圧縮の問題でございますが、我が国企業の税負担は税制改革後も先進各国に比べまして著しく高く、国際的イコールフッティングの観点や日本経済の担い手であります企業の健全な発展を考えますと、むしろ一層の減税が課題であります。 また、退職給与引当金あるいは賞与引当金等の問題が取り上げられておりますが、これらは会計上の基本的仕組みでございまして、政策税制とは異質のものであることを御勘案いただきたいと思います。 物品税の復活でございますが、個別物品税は国際的にも過去の遺物となっている上、特定品目への課税は諸外国からも非関税障壁として批判を受けていたことは言うまでもございません。また、日本経済はサービス化が進行し、全体の消費に占めるサービスの割合は五割を超えており、サービスへの課税を抜きにしては消費への均衡ある課税は考えられません。サラリーマンや会社に負担が偏った税体系を何とか是正し、消費にもバランスのとれた課税をすることが、いわゆる直間比率の是正の問題でございます。直間比率の是正は与野党の合意事項でもありましたし、税制再改革法案にもサービス、流通も含めた消費課税をうたっております。特定の品目のみに負担をかけないよう広く薄く品目を選んでいくと限りなく消費税に近づいていくと思われます。 全体の税収のうち、間接税にどの程度依存していくかが直間比率の是正の問題で、仮にある税収を想定いたしました場合、特定のものを選んで高税率にするか、あるいは例外を少なくして低税率にするかの選択の問題となります。一定の税収規模を前提にしないと、少なければ少ないほどよいという結論になってしまいます。その意味で、消費税の廃止か物品税の復活かは税収規模が異なる以上、比較するのはおかしいと思われます。むしろ、消費税と同じ程度の税収を上げるために個別品目を選んでいくと、どの品目にどの程度の税率をかけなければいけなくなるかの検討が必要と思われます。 キャピタルゲイン課税の強化につきましては、延べ二千百万人と言われます個人投資家に過重な負担を強いるものでございます。これは証券市場の活性化を妨げるばかりか、ボーダーレスエコノミーの時代のもと、資本市場の国際化、自由化が進む中で、資本の海外逃避により市場に混乱をもたらすおそれがございます。 以上、代替財源案の持つ基本的な矛盾を申し述べましたが、要は抽象的な税制再改革基本法ではない恒久的な税制としての具体案が必要でありまして、基本的な流れに逆行する暫定的な代替財源案は経済社会の混乱を招くだけで不要と考えます。今回実施されました消費税を含む抜本的改革案に対比すべきは、代替財源案ではなくて、税制再改革基本法が一体どのような具体的な内容を持つかということでございます。 例えば、税制再改革基本法案でも、サービス、流通も含めた消費への適正な課税を挙げておりますが、世界的にOECD加盟国二十四カ国中十九カ国が付加価値税を導入し、付加価値税を導入していない国でも、アメリカ、カナダ、アイスランドは州税として小売売上税、オーストラリア、スイスが卸売売上税として広い範囲の消費課税を実施している現状をどう評価されるのでございましょうか。どのような消費課税を考えての消費税廃止なのかがない限り、単なる廃止では国民の判断を惑わすものとなりかねません。 最後に、新税であります消費税について一言申 し述べさせていただきます。 何よりも消費税の導入がなぜ必要とされたかの基本に立ち戻って考える必要があります。そもそも消費税導入の最大の要因は、サラリーマン及びその母体たる企業への課税に過度に偏った税体系ではもはや限界に来たという反省から、薄く広く国民が負担を分かち合う税制として導入されたと理解いたしております。いたずらに廃止あるいは大幅な見直しにより間接税への税収依存を減らしては、結果として再びサラリーマン及び企業への課税に依存する方向へ逆戻りすることになります。ぜひとも消費に対する課税として日本型付加価値税であります消費税は存続させる必要があると考えております。 以上、いろいろと意見を述べさせていただきましたが、単なる財源合わせの議論あるいは選挙対策の発想ではなく、国民のためにどのような税制が必要か、二十一世紀へ向かってのあるべき姿を前提として、それに向かって着実に改革をお進めいただきたいことをお願いしてやみません。 大変ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。 次に、牛嶋公述人にお願いをいたします。
○公述人(牛嶋正君) ただいま紹介にあずかりました牛嶋でございます。最初に、このような機会を与えていただきましたことについて心からお礼を申し上げたいと思います。 今回の税制改革を通して国会の内外で行われてきた議論、それから今国会での参議院における論議、さらには自民党税制調査会での消費税見直し論議を見守ってきて納税者のだれもが第一に感じたことは、税制改革に当たって公平、中立、簡素といった租税原則を設定し、できるだけそれに沿った形で税制改革を進めたとしても、すべての納税者の納得を得る税体系の確立は到底不可能であるということではなかったかと思います。それだけに、税制改革を進める場合、公平、中立、簡素といった租税原則のほかに、従わなければならない幾つかの基準があるように思うわけであります。私は、そういった多くの基準の中から、次に三つの重要な基準をお示しいたしまして、それに基づいて今回導入されました消費税を評価してまいりたいと思います。 第一の基準は、租税原則の第一に掲げられている公平についてでありますが、この公平について一歩進めて公平の内容とはどういうものであるかということを議論いたしますと、極端に申しますと、納税者一人一人がそれぞれ自分の公平感というものをお持ちではないかと思います。言うならば、すべての納税者のコンセンサスを得る公平の内容を決めることは非常に難しいと考えられるわけです。私は、それだけに新しい税制の確立に当たっては、どのような手順で改革を進めるかが重要な意味を持つことになると思います。だれもが正当と考える手順をきちっと守っていくことによって、個々の納税者は多少の不満を残しながらも新しい税制を受け入れていくものと考えるわけであります。これこそが税の公正ではないでしょうか。 第二の基準でありますが、今回の税制改革では公平、中立、簡素の三原則が設定されておりますけれども、これらの原則の前提にもう一つ明確の原則を置き、できるだけこれを守って改革を進めなければならないということであります。 我が国を初め各国で今進められている税制改革におきましてそれぞれ租税原則が設定されておりますけれども、今から二百年前、イギリスの経済学者アダム・スミスが「国富論」の中で提唱いたしました租税四原則に全部根拠を置くものであります。この四原則ですけれども、アダム・スミスは、公平、明確、便宜、それから最少徴税費という四つの原則を掲げております。今申しましたように、公平に続きまして明確の原則を置いているわけですね。そして、アダム・スミスはどのようにこれを説明しているかと申しますと、支払いの時期、支払いの方法、支払うべき金額はすべての納税者に、また、その他だれにでも明瞭かつ簡単でなければならないと述べております。 さらに、「国富論」におきましては、納めなければならない金額が何ほどかということが各人にとって確定的であるということは租税にとっては特に重要な事柄であって、相当程度の不公平も極めてわずかの不確定性に比べれば決して大きな弊害ではないというふうに述べております。順序といたしましては公平の次に明確を置いておりますけれども、明確の基準こそすべての原則の前提になるものというふうに私は思うわけであります。 第三の基準でありますが、すべての納税者が納得するような税制の確立が不可能であるといたしましても、税制改革を進める者といたしましては、改革に伴う不満ができるだけ特定の納税者に偏ることを避け、不満の均等化、言いかえますとだれもが同じ程度の税痛を持つように努めていかなければならないということでございます。 以上三つの基準に照らしまして、もう一度消費税が抱えている問題点をチェックし、その後消費税廃止法案に対する私の意見を述べさせていただきたいと思います。 まず、第一の基準でございます課税の公正に関してでありますが、今回の消費税導入が納税者の多数が正当な手順とみなしていないルールに基づいて進められてきたことは、参議院選挙の結果で既に明らかであるというふうに思っております。では、今回の税制改革での正当な手順とはどのようなものであろうかということですが、私は次のように考えております。まず、二十一世紀の高齢社会のイメージをできるだけ明確にし、高齢社会にふさわしい長期税制を確立し、そこで消費税がなぜ主要税目にならなければならないのかという必然性を明らかにする必要があったと思います。そのために現行税制をどのように漸進的に改革を進めるかを明らかにした後、選挙によって納税者の信を問うという手順が必要であったのではないかと思っております。 第二の基準、明確の原則でございますけれども、今、納税者を事業者と消費者とに分けて考えたとき、いずれも消費税について不確定な部分を感じているとみなされるわけであります。まず、事業者について申しますと、課税方法が帳簿方式で行われることから、果たして自分にかかる税負担が完全に転嫁できるだろうかという懸念を持っております。この懸念は小規模事業者ほど強いはずであります。反対に消費者は自分が消費に当たって負担した税がきちっと国庫に納められているかどうかという懸念を持っております。さらに、消費者は事業者がなぜ転嫁の明確な伝票方式を採用しようとしないのかという疑問も抱いているわけであります。 ここで述べました事業者及び消費者の抱く懸念や疑問は消費税の持つ不確定的な部分とみなされるわけでありますが、このことが持つ重要性は、事業者と消費者の間に、あるいはまた事業者相互に不信の念を醸成させ、それがやがて税に対する信頼を著しく損なうことになるという点であります。先ほど私はアダム・スミスの「国富論」から相当程度の不公正も極めてわずかの不確定性に比べれば決して大きな弊害ではないということを引用いたしましたけれども、このことをアダム・スミスは言っているわけでございます。 第三番目の基準に入りたいと思います。新税の導入や増税に対してすべての納税者が多少とも不満を抱くことは当然のことであります、自分たちの税負担がふえるわけでありますから。そのため、できるだけ新税に伴う不満や税痛を納税者に均等にすることが求められるのではないかというふうに私は思います。今、事業者と消費者をともに納税者と見るとき、課税方法における帳簿方式の採用や簡易課税方式の導入などを考えてみますと、どちらかといえばこれまでのところ納税義務者である事業者の都合を優先した税であったのではないか、多くの消費者がそういう印象を持っているのではないかというふうに思うわけであります。このことは既に所得税におきまして見られますところの事業者とサラリーマンの所得の捕捉をめぐる対立をそのまま消費税に持ち込むことを意味す るのではないかというふうに私は懸念をしているわけでございます。 この点に関連いたしまして、EC諸国での付加価値税の導入の経緯を振り返ってみますと、従来からありました取引高税という非常に問題の多い税目を代替税といたしまして、そして、その問題をできるだけクリアする形で付加価値税を導入しております。このことを考えますと、消費税の場合、すべての納税者の不満をできるだけ均等に保つという条件が満たされないままに導入されてきたのではないかというふうに思っておりますし、むしろ不満の偏りを拡大させてしまったというふうにも受け取ることができるわけでございます。 以上、税制改革、とりわけ新税の導入に当たって留意すべき三つの基準に照らしまして消費税の問題を整理してまいりました。これらの問題点は、現行税制の主要税目であります所得税及び法人税の見直しの不徹底さと、税制改革における税制の連続性への配慮、言いかえますと、だれもが抱いている旧税は良税とする感覚を全く無視して強引に消費税の導入を行ったことに基づくことは明らかであります。このことから、私は今でも消費税の導入は拙速であったというふうに考えておるわけであります。したがって、今回野党四会派が提出いたしました消費税法を廃止する法律案外八つの法律を支持いたしまして、あわせまして二十一世紀の高齢社会を見据えてもう一度税制改革が上で私が示しました三つの基準を踏まえて進められることを希望いたしまして、私の意見にかえさせていただきます。
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。 次に、坂本公述人にお願いをいたします。
○公述人(坂本春生君) ただいま御紹介にあずかりました坂本でございます。 私は、御推察のとおり、どういう組織も代表しておりませんし、それからほかの公述人の方々と違って税に対する専門的知識とか学術的知識を特に持っている者でもございません。ここで私は一個人として余りテクニカルな問題に触れるよりは、むしろ一国民が基本的に今回の問題についてどう考えるべきか、私自身がどう考えているかということについてのみ二点だけお話をさせていただきたいと思っております。 まず第一点でございますが、私は現行の消費税に賛成の立場をとるものでございます。もう私が今さらここでくどくどと申し立てるまでもなく、現行の消費税というのは売上税の段階から含めますと随分長い時間にわたりいろいろな方面から議論を尽くされて今の形になったわけでございます。先ほど牛嶋公述人がおっしゃったように、税制でございますので国民全部が納得するということは本来的に無理でございましょう。それから、いろいろ形式的、理論的には理想案があっても、初めて国民にそれを導入するという段階では実態的に難しい。必ずしも形式的なモデル案が実態で理想であるというふうには限らないわけでございます。ですから、そういうあらゆることを考慮いたしました上で私は今の消費税制というのはでき上がったものと認識いたしております。 したがいまして、もちろん完全とは言えません。言えませんけれども、現段階では来るべき高齢化社会に私どもがかなり国に依存して老後を幸せに送りたいという希望を展望しつつ、一方では直接税、それも捕捉できるからという理由だけで給与所得にかなり依存しているそういう不公平な税体系を是正するという現行の消費税は、私は現段階では最善、最善じゃなくてもセカンドベストであったということで、先ほど申し上げましたとおりこれがこのまま実行されることを望んでいるものでございます。 ただ、もちろん私といたしましてもいつまでもこれでいいとは思っておりません。実行してみれば、やはり初めてのことでございますので、いろいろ問題点は出てくると思います。それから先ほど申し上げましたように、形式的にはもっとほかの理想論があっても、最初の導入という実態を反映すると必ずしもそのままいかないという最初からわかっている欠陥もあったと思います。ですからそういうものをじっくり見定めた上で、いずれの日にかもう一度手直しをする必要があるとは存じております。ですけれども、その時期は私は今だとは思っておりません。 そもそも現行の消費税はわずか八カ月前に国会が法律を制定されたものでございます。国会の中では確かにこの導入に関しましてはいろいろな見解があり、見方によってはいろいろな手続上の問題があったと指摘される方もおられることは私は承知しております。ですけれども、それは国会内部のことでございまして、国会対国民ということ、議会制民主主義のもとで国会が国民に対して御方針をお決めになってそれを政府が実行に移されたという実態から見ますと、私は、現在の消費税を廃止するという考え方は余りにも朝令暮改、悪政ではないかと思います。国民の美名をかりながら私は国民というのをないがしろにしている議論ではないか、こういうふうに思うわけでございます。 先ほども鈴木会長から、業界として消費税導入に当たって三千五百億円のコストがかかったという御紹介がございました。たまたま私が属しておりますチェーンストア業界におきましても二百六十億円のコストをかけたと聞いておりますし、コストのみならず、そこに働く従業員が日々の仕事の上にこの消費税を導入するために三カ月間徹夜、残業を重ねてこの実行に踏み切ったと聞いております。このように消費税導入に当たっては大変なコストが払われております。それも単なる金銭的なコストだけではありません。国民全体がかけた知的、精神的、金銭的、時間的コスト、これははかり知れないものがあるのではないかと思うわけでございます。 ですから私は、消費税に賛成、反対、内心ではどうあろうと、とにかく国民全体がそれだけのコストをかけて受け入れた制度でございますので、これは私は見直しないしは改正、それとも今おっしゃる廃止は慎重にやっていただきたいと思います。もちろん私がさっきから再三申し上げておりますように、現行の消費税に不備がないとは申し上げません。それから今はこれでやむを得ないものでも将来はもう少しいい方向に直すことが可能な、そういう社会環境が変わっていくという可能性もあると思います。ですから私は、一切これでいいんだ、これが最善だと申すつもりはございません。 ただ、今これを批判するのに当たりまして何ら自信がある案ではなく、とりあえず暫定案でこれを廃止したい、こういうような安易な考え方というのは、先ほどから再三申し上げますとおり国民としてはとても受け入れがたい。もし今これを廃止してまた法律をつくれば、一体国民が受け入れねばならぬコストはどうなるのでございましょうか。恐らく二倍では済まないと思います。三倍かかると思います。そういう意味で、あくまでもこれは慎重に取り扱っていただきたい。これについて廃止とか見直しとかいうときは確たる対案を持ってこれに臨んでいただきたい。二度とこういう稚拙なこと、先ほど拙速に消費税が導入されたというお話がありましたが、もう二度と拙速に消費税を手直しないしは廃止することのないように、それを国民によく誓った上で私はこういう問題に手をつけていただきたいと思います。これが私の申し上げたい第一点でございます。 それから第二点は、消費税法の廃止に伴うさまざまの諸法案が今回国会に提出されております。この法案についてでございますが、私は基本的に消費税の廃止という法律案につきましては先ほど述べましたように反対の意向を持っておりますので、それを支える種々の具体的な中身についてここで申し上げる立場にはないように思います。ましてや、御提案者の方々がこれで十分だ、これで自信があるとおっしゃる案についてであるならば、私も力及ばすながらも御批判申し上げたいと思いますが、御提案者御自身がもちろんこれでは十分でない、もう一度よく考え直すんだとおっしゃっていらっしゃるものに私がここで声を高らかににいろいろ批判をするのは何かむなしい気が いたしますので、ただいまそういうことをいたすのは差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、一つだけ私がここで代替財源関係法案について申し上げたいことがございます。それは物品税の復活でございます。物品税の復活につきましては、もうつとにテクニカルな面で非常に問題がある、法律として公正を欠く、それから基本的な判断基準を欠く、そういう意味で批判のあるところは私は十分承知いたしておりますし、私の長いと言うと恥ずかしいんですけれども、二十年以上に及びます通産省におきます行政の中の経験、そして今一国民としての立場、両方から考えても、とてもこの物品税というのは税制として成り立つものではないように思います。また成り立たせるべきではないように思います。ですけれども、きょうは私は余りそういうテクニカルなことに触れないと最初にお約束いたしましたので、全く別の観点から一つだけこの物品税に関しての所感を述べさせていただいて終わりにいたしとうございます。 それはどういうことかと申しますと、今の日本の社会の豊かさということでございます。日本の社会はおかげさまで日本全体が経済大国になりました。ですけれども、日々私どもが個人的にも反省し社会的にも批判されていることは、経済大国であるにもかかわらず本当に私どもの個人生活は豊かであろうかという点でございます。これについては豊かでない原因がいろいろたくさんあると思います。その一つの原因として私は常々考えておりますことは、日本の社会がここまで物質的に豊かになりながら何と精神的に貧しい国であろうかということでございます。その一つの例として、私は日本の社会が持っております画一的な価値観、それから非常に多様性を認めない例えば生活観、人生観、こういうものについて触れたいと思うんです。 これは、ここで私がくどくどと例を挙げるまでもありません。二、三のキーワードを出せば恐らく御推察していただけると思うんですが、例えば社会人の中における学歴の問題、それから子供の社会における偏差値の問題、こういうふうに、私どもの社会はこれだけ豊かになり十分に個人主義を謳歌できる社会になったにもかかわらず、常に社会が一つの物差しを指し示して個人を束縛しようとする、個人が自由な人生の選択、ライフスタイルの選択をしようとするのを阻害している、これが私は日本の貧しさの一つの原因となっているのではないかと思います。 そういう意味で、私は今の点を消費に敷衍して言うならば、ぜいたくかぜいたくじゃないか決めつける、これは大変私は個人のライフスタイルに関する選択に対しての介入だと思います。こういう選択の不自由さが私どもがおのずと経営しております社会の中にあるだけであるならば、これは私ども個人が努力をして改善していかなければいけないことでございますが、法律でこれを公的に押しつけられるということについてはどうしても受け入れがたいと思います。これはたかが物品税、商品の選択ぐらいで何を大げさなことを言うかという御批判もあると思いますが、私はこの点については一つ一つの物についてこういう日本人の画一的な価値観、それも自分がいいと思ったことを人に押しつける、こういうことをやめていくことが日本社会の発展に大変立派なことだと思いますし、それからこれから国際社会で日本人が国際人として対応していくのに必要なことだと思います。 私は、押しつけるということを、公に決めたことに従うという意味で申し上げたわけではありません。それは従わなきゃいけないと思いますが、私がここで申し上げているのは全く個人的であるべきことに介入される、押しつけられるという点でございます。したがいまして、消費は自由でございます。ぜいたくと申しましても、ある人にとってのぜいたくがある人にとっては必要なこともあります。それから、同じ個人であっても、あるときはぜいたくであって、あるときは必要欠くべからざるということもあります。 もっと言えば、ここにおられる方々、私を含めましてほとんどの方々に大変耳ざわりなことを申し上げるとするならば、私は過去の貧しい時代のしっぽを引きずった中高年がぜいたくと思うことが今の若い人にとって決してぜいたくではなくて、全く日常茶飯事、もうこれは自分と一体になっているというような物品もあると思います。ですから、私はここで物品税の復活については、単に税制の問題だけに考えずに、これからの日本社会をより豊かにしていく、新しく出てくる若者たちのエネルギーを健全に発展させるという方向でどうぞもう一度お考えいただきたいと思う次第でございます。 私は専門的なことは申し上げられませんが、一国民としてただいま申し上げましたとおり、一度国会がお示しになって国民が大変なコストを払って導入したこの消費税でございますので、これに反対な方はどんなにコストを払ってもこれが廃止になれば元は取れるとおっしゃるかもしれませんけれども、国民はそういう方だけではございません。そうじゃなくて賛成をしている者もいれば、個人的にはなかなか不便だな、嫌だなと思いつつも社会のために曲げてこれを受け入れている者も国民でございます。そういうことをひっくるめてすべての国民に対してやはり私は朝令暮改は慎んでいただき、もし改正をされ、ないしは廃止をされるのであればじっくりこれに取り組んでいただきたいというのが一点。 それから、特に物品税につきましては、繰り返しになりますが、よく日本社会の置かれている今の個人生活、豊かさ、これからの発展、そういう中における国民意識、価値観、こういうものも十分お考えの上でもう一度この点については御検討をいただきたい、以上のように考える次第でございます。 どうも御清聴ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。 次に、和田公述人にお願いをいたします。
○公述人(和田八束君) 和田でございます。 私は、ちょうど一年前になるんですけれども、昨年の十二月十七日でございます、本院の税制特別委員会におきまして、参考人として消費税に関しまして公述をさせていただいたわけでありまして、そのことを今思い起こしております。ちょうど一年になろうとしております。 このときには消費税は間もなく成立するというもう秒読みの段階に入っておりまして、私も求められまして参考人として意見を申し上げました。一つは理念が非常に不明確である、手続的な問題があるのではないか、間接税の位置づけが不明確ではないか、また消費税の仕組みについていろいろまだ問題があるのではないか、その他申し上げたわけでありますけれども、消費税は間もなく成立をいたしました。 そのときは、いわばある意味では、もう秒読みの段階でありますのでむなしいような感じもしながら公述をさせていただいたわけでありますけれども、そのときのことを思い起こしますと、その後いろいろなことがございました。世論の動向もありましたし、参議院選挙というものも非常に劇的な形で我々の目の前で一つの結論が出たように思うわけであります。そしてまた、今日消費税廃止法案その他関連法案がこの場へ提出をされまして、国民注視のもとでこうして議論が行われ、私が再びここで公述をさせていただくということに一つの感慨を持っておる次第であります。どうか多くの国民が注目をしている、そのプロセスにおきましても、結論におきましても、非常な注目をしているということを念頭に置かれまして御審議いただきたいということを一つ申し上げたいと思うわけであります。 国民の考え方の多くはどういうものであるのかということにつきましては、いろいろ世論調査なども出ておるわけでありますが、いろいろたくさんございますが、一つの例といたしまして、今手元に持ってまいりましたのは十月二十四日付の朝日新聞に出されましたものがあるんですけれど も、これを見ますと、消費税は見直した方がよいというのが五四%、廃止した方がよいというのが三五%ということで、見直し派が多いという結果が出ておるわけでありますけれども、同時に、質問の中で野党の消費税廃止法案には賛成ですか反対ですかという問いには、賛成が五八%ということになっておるわけであります。これは何か大分違うんじゃないかという印象を持つわけなんですけれども、しかし考えてみますと、消費税を徹底的に見直すということになりますと、現在の消費税そのものではなくなってしまうということであります。 つまり、消費税の徹底見直しということでありますならば、伝票方式の導入あるいは特例その他をやめるというふうなところでなければ、いわゆる国民が求めている見直しということにはならないわけでありまして、それを進めていきますとEC型の付加価値税には近づくわけでありますけれども、現在の消費税というEC型付加価値税とも非常に異質な間接税ではなくなってしまうわけでありまして、そういう点では見直しも消費税の一つの廃止論であるというふうに考えられるわけであります。また消費税の廃止という立場からも、従来の日本の間接税がそのままいいという立場はとられないわけでありますので、これも大幅に従来の間接税を見直していくということになりますと、案外着地点というのは同じになるのかもしれないという印象を持つわけであります。 しかし、いずれにいたしましても、税制というものは一つの選択でありますので、ただ一つの案を出すというのではなくて、この際いろいろな複数の案をつくりまして、徹底的に議論を重ねて一つの選択をするということが国民的コンセンサスを得る一つの重要な手続ではなかろうかというふうに考えるわけであります。 そういう点で、今日出されております廃止法案その他関連法案について若干意見を申し述べますと、まず廃止法案でありますけれども、廃止法案、消費税を廃止するという立場、これは今までの過程あるいは多くの方々の考え方を前提にいたしましても、非常に妥当な方式ではないかというふうに考えるわけであります。消費税がなぜ批判されたのか、なぜ消費税がリコールされたのかということを考えてみますと、第一にはやっぱり公約違反ということがあったと思うんですね。これについてはいろいろ議論のあるところかもしれませんけれども、ともかく選挙の中で消費税というものが国民の選択にゆだねられていないという点では、明らかに公約違反ということが世論であると思います。 それから第二に、我々がこれまで抱いていた税の常識との間に極めて大きなずれがあるということであります。つまり、税金といいますのは、私たちはそれぞれの人たちの能力に応じて、税務署とか国税当局といいますか、政府といいますか、そこに納税をするということが税についての常識というふうになっていたわけなんですけれども、今日の消費税はどうかといいますと、私たちが買い物に行く、例えばスーパーとか八百屋さんとか魚屋さんに買い物に行きますと、スーパーで税金をお預かりいたしますと書いてあるわけですね。あるいは飲食店などでも、極端なところでは税金を徴収いたします、料金とは別個に税金を徴収いたしますというふうに書いてあるわけですね。なぜ飲食店であるとか魚屋のおやじさんとか、あるいはスーパーの店先で税金を徴収されなければいけないのか、なぜ国民がそこで課税されなければならないのかということについては、ほとんど私たちの経験からいって異質な税であるということであります。 これは税の転嫁とか課税ということについて非常に無理解なことが行われているわけでありまして、これはそういう商店主とかあるいはスーパの経営者の問題かといいますと、そうではなくて、大蔵省が出しておりましたパンフレットにおきましても、例えば小売業者が消費者に課税をする、課税と書かれていたわけでありまして、そこでは課税は行われないわけでありまして、課税というのは、税務当局が納税義務者に課税をするというのが課税であるわけなんですけれども、何か小売業者が消費者に課税をするように最初に説明をしている。あるいは何でもいいから転嫁をする、外税でお金を取るということを進めてきたわけでありまして、ここにおいて、税金とは何ぞやということで培われてきた国民の常識とまるっきり別のものが導入されたという、こういうことであります。もちろん一円玉問題とかそういうこともあるでしょう。 それから三番目に、不公平であり逆進性であるということはこれは明らかなところでありまして、例えば年金で生活をしている方が新たに税金を負担しなければならない。あるいは低所得者の方が減税でカバーしても税負担率は高くなっている、こういう状態は消費税によってもたらされたものであります。こういうところが、先ほどの世論調査などにも見られるように、消費税に対する非常に大きな批判になってあらわれてきたというふうに考えるわけでありまして、こういう状態のもとで考えますと、やはり消費税は一たん出直して、そして見直しではなくてやり直しということで進めていくのが妥当ではなかろうか、こういう点で廃止法案の提出というのは極めて妥当性を持っているというふうに判断をするわけであります。 次に、それに関連いたしまして再改革法案が提出されておりますけれども、これについて見ますと、税制改革というものを改めて考えるという、これも非常に重要な課題だろうと思います。消費税そのものが単に間接税の改革という課題で導入されたというふうには私は考えていないわけでありまして、直接税も含む税制全体の改革というものの中に位置づけられていたというふうに理解されるわけであります。 つまり、その税制改革は広く薄くという考え方といいますか、基本的な考え方のもとに所得税もフラット化する、税率を簡素化、フラット化する、法人税率も引き下げる、そしてこの消費税を導入するという、こういう広く薄いという全体の思想のもとで税制改革が行われて、その中に消費税も位置づけられたということでありますので、単に消費税を廃止するということだけでは済まなくて、シャウプ勧告以来の混乱した税制をいかに是正するのか、あるいは今日不公平税制と言われているいろいろな問題をどのように是正するのか、あるいは消費、所得、資産というもののそれぞれに対する税のあり方というものをどういうふうに考えていくのかということについて根本的に考えなければならないということは、それは課題でありますし、また多くの国民がそれを求めているわけでありまして、ただ消費税を廃止すればそれで済むというふうに考えている人は余りいないのではないかというふうに思うわけであります。 つまり、新しい社会経済条件のもとで税制改革を行うこと、また直接税、間接税を含めた税体系をいかに確立していくかという問題、こういうことはどうしても必要なことでありまして、それを改めて議論し、実施していこうという立場をとった税制再改革法というものは、これまた非常に必要なものでありますし、責任ある立法の立場といたしますと、これも当然の考え方ではなかろうかというふうに考えるわけであります。 次に、いわゆる代替財源という問題について考えてみたいと思います。 消費税を廃止してどうするのかということが一つの議論であったことは事実であります。消費税は廃止して出直す、あるいはやり直すんだ、これが一つの原則的な立場であるといたしますと、私は昭和六十三年度税制のあたりに一たん復帰して、そして議論を出直して新しい税制を実施するということが妥当ではなかろうかというふうに思うわけであります。そういう点で一応この昭和六十三年度税制のラインに戻すという形で行われたというふうに理解をしているわけでありまして、代替財源の意義といたしますと、一つは来年度、一九九〇年度、平成二年度の財源を確保するということでありまして、これもこの消費税を廃止を すればそれで事が済むという立場ではなくて、一定の財源に対する責任ある立場というふうに考えているわけであります。 もう一つは、第二番目に代替財源を出しているという意義づけといたしましては、税制再改革基本法案が出ておりますけれども、そうした再改革への一つのアプローチという意味も持ち得るものであります。この再改革法では、税制を二年間かけて見直すということになっておりまして、二年間がベストであるかどうかは別といたしまして、やはりある程度期間をかけて国会内外で議論をすることが必要でありまして、その間の税制といたしますと、従来の税制を継続するという側面と、もう一つは新しい税制再改革につないでいく、ブリッジをかけていくという二つの面があるわけでありまして、古いものと新しいものとの混在ということにならざるを得ないわけであります。 そういう点で、この代替財源の内容につきましては、問題にすればいろいろ出てくるでありましょうけれども、これは過去の税制の持っている問題点というものでありまして、一定の手続を経た後に新しい税制が確立されれば解消をするというふうに期待をするものであります。 そして最後に、今後の新しい税制についての考え方ということで私の考え方の一端を示しておきますと、今後新しい立場で税制改革を考えていくというふうにいたしますと、やはり我が国の、何といいますか、歴史的なあるいは社会的な税をめぐる環境といいますか、そういうものを十分に考えていただきたいということであります。 そういたしますと、やはり直接税中心ということが一つのキーワードになるのではなかろうかというふうに考えます。この点がやはりヨーロッパと我が国との環境といいますか、条件の違いということになりますし、またこの付加価値税を導入している多くの国が発展途上国であるということも事実でありまして、そうした発展途上国ではどうしても直接税が発達していないという問題もあります。我が国におきましては、シャウプ勧告以来、直接税をいかに育成してくるかということが一つの大きな課題でありまして、今日までそうした方向をとってきたということでありますので、やはり直接税中心ということがキーワードになるのではなかろうかと思います。 そこに間接税が補完をするということでありますが、その補完ということの意味は、単に量的に何%かということではなくて、質的にこの直接税が持っている公平原則というものを補強していくという役割を持つものでありまして、そういう点で言いますと、私はこの一般的間接税よりも個別間接税の方がすぐれているという立場に立つわけであります。従来の議論におきまして、どうも個別間接税、特にその代表であるところの物品税に対しては非常に批判といいますか、マイナス点、欠点ばかりが指摘されている向きがあるわけでありますけれども、私はこれはヨーロッパにおける取引高税以来の一般的間接税と違う、日本が育ててきた非常にすぐれた面の多い税でありまして、もちろんマイナス点もあるわけでありますので、それを是正して個別間接税的な立場で間接税を整備していくということが非常に重要な意味を持っているのではなかろうかというふうに考えているわけであります。 その他、地方税につきましても十分に御考慮すべき点が多くあるのではなかろうかというふうに考えております。 以上申し上げまして、私の意見を終わらせていただきます。どうも失礼しました。
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。 以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○沓掛哲男君 では、私に与えられた時間は三十数分でございますので、簡潔に質問し、また大変申しわけございませんが簡潔にお答えいただくことをお願いしたいと思います。 最初に鈴木さんに三点質問したいと思います。 第一点は法人税についてでございますが、我が国の法人税は実効税率で世界的に見ても西ドイツの次、その後アメリカ、フランス、イギリス等がございますが、その高い西ドイツもまた一九九〇年にはそれを下げるということを聞いております。そういうふうに我が国の法人税率が非常に高いところにある。そして国際社会を見てみますと、ECは市場統合するためにあの十二カ国は一生懸命今取り組んでおります。またアメリカ、カナダもことしの一月から自由貿易協定が発効いたしております。そういうふうに国際的に境界は、経済的には国境はだんだん低くそれが取り払われようといたしております。そういう中で日本が高い法人税を用いていく、そしてまた若い人たちも今国際化になじんできている、そういうことでそういう経営者がいろいろな判断をしながら、いわゆる企業の空洞化的なことが起こってこないかどうかということを大変危惧するものでございますが、その一点をまず最初に御質問したい。 それから二点目でございますが、ことしからいわゆる消費税が導入されました。そして、今野党の言われたとおりに仮になったといたしますと、来年四月から消費税は廃止されて代替財源案が導入されます。そして、それから二年たって国民税制改革協議会でいろいろ検討、調査審議されたそういうまた新しい税が入ってきます。そういたしますと、国民また企業はこの三年間で三回の抜本的税制改革を受ける、そして今鈴木さんのお話でも大変なお金、そしてお金だけではなくて企業人は大変苦労されたということでございますが、そういう三年間に三度も税制の大改革をやるということは一体企業にどういう影響を及ぼすのか、また国民にどういう影響を及ぼすのかもお尋ねしたいというふうに思います。 三番目は、これはもしお答えしにくかったら結構でございますが、我が国は昭和二十五年シャウプ税制を導入いたしまして、その時点から約十年間というものは直接税は五五%以下でございました。昭和二十五年は五五%、三十年は五一%、それから三十五年では五四%ぐらいでございましたから、その十年ぐらいは大体直接税は五五%以下でございました。それから非常にふえまして、先ほどお話しになりましたように、六十三年では直接税は七三%という非常に高率になってきております。直接税が非常に高いということは所得税やまた法人税が非常に負担がふえているということでございまして、こういうことを捨ておく、そして今の野党案が仮に通って代替財源案が導入されるとすると、これは読売新聞に出ておりましたが、直接税は七七%にもなる、こういうふうなことでございます。 そうしたとき、今申しました経済の国境はなくなりつつある、そして若い人たちは非常に国際人化している。そうすると、これは日曜日によく「世相を斬る」ということで竹村健一さんが放送されているんですが、要するにそこにブラックマネーというものが非常に今でも動いているということが言われているんですが、ますますそういうものが動き、そうすることによって我が国における経済の活性化が失われていくんじゃないか。戦後の何もなかった日本がここまで来るには確かに国民の英知と努力、そして政治的安定、政策的な安定があったと思いますが、その中心をなしたのは私は企業だったと思います。 その企業がそういうことで活性を失っては、これから二十一世紀、高齢化社会へ向かっての対応にもいろんなコスト等がかかるのに、一体やっていけるのかどうか。そういうことを、それが危惧であればありがたいと思いますが、経営者としてもまた国際人としても豊かな体験をお持ちの鈴木さんから御所見を承れればありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○公述人(鈴木永二君) 御質問にお答え申し上げます。 今法人税の実効税率が高いんじゃないかという御質問、もうそのとおりでございます。それを繰 り返す時間がもったいないと思いますのでやめますが、とかくいろいろ賞与引当金はどうだとか、それから退職手当をどうだとかというような議論も間々聞きますけれども、それは税法上それから会計原則上どこの国でもそういったことを認めておる。認めておるというよりも発生したコストでございますので、それをする。退職手当というものも、もしすべてが年金制度にでもなっておればそういった引き当ても必要でなくなるわけでございますけれども、そういった意味で今の御質問の法人税の実効税率というものは非常に高過ぎる。 いわゆる国際的なイコールフッティングということを私どもは言っているわけでございまして、実はこの十月に私はECを訪問しまして、向こうの社会労働憲章というものが、十二月に上程したいということで非常に検討されているのをつぶさにブラッセルのEC本部まで行って聞いてまいりましたが、そこでやはり大きな問題は税制のいわゆる統一化という問題でございまして、難しい問題ですけれども、ECの市場統合というためにはそういったことのイコールフッティングということが非常に大事だということで真剣に検討しておりましたが、日本もその例外ではない。アメリカ、ECとのこれからの交流ということを考えますと今の御指摘のとおりの問題でございます。 それから、消費税がけしからぬから、公約違反でやったんだから、いろいろといわゆる国会内と申しますか、党派の間の問題をいつまでも、というとそれは語弊があるかもしれませんが、私ども国民の立場から言いますと、いつも原点に戻って、原点といいますより最初に戻って入り口論でいつも終始するというようなことでは国民はたまらないわけでございまして、本当に私がここで申し上げる必要もないことでございますが、ことしの十月の初めに始まりました欧州の変動というものは極めて激しいものがあります。ちょうど私は十月十日にジュッセルドルフにおりましたけれども、そのときに東独のホーネッカー議長の批判の声が聞かれるなんということは一週間前には考えられなかったことだとみんな言っていました、西独の人が。 それが私がアメリカへ渡りました十四、五日にはもうホーネッカーが追放される。今はもうむしろ刑事問題として取り上げられているような変化の激しいときでございまして、ヨーロッパ諸国の共産主義体制がどのように今移動しているかということは私がここで繰り返すまでもないことでございますが、私が言いたいことは、経済は生き物でございまして、毎日変化しているわけでございます。そういった経済に対して半年しかたたない消費税をまたひっくり返す。そして次の代替財源案もはっきりしない、非常に今問題もあります。しかも、歳入不足が初年度は一兆数千億円もあるとか平年度で一兆一、二千億円あるとかいうことが言われておるわけでございます。 けさたまたまこちらへ参りますときに新聞を見ましたら、きのうの参議院の税制特別委員会で社会党の佐藤先生がお答えになったという数字が出ておりますが、直間比率が、国税、地方税を含め直接税が八一・五%、それから間接税が一八・五%になる、こういうことがきょう報道されてびっくりしたのでございますが、大体直間比率を七〇、三〇くらいが適当であろうというようなことを、非公式だったかどうか知りませんが、与野党でお話し合いなさったときにそういう数字が出たと思いますけれども、それは別といたしまして、今国民の考えているのは、一部の先生には御異論もあるようでございますけれども、もう大体直間比率を、こういうような世の中になって消費というものが国民支出の半分を占めるというようなときには、いわゆる財産、収入、消費と、その三本にバランスをとって課税をするということは野党さんの基本方針にも出ておると思うのでございますが、それが八二%にも、いかに臨時とはいえどもそれを強行しようといわれることは、大変私どもにはもうとんでもないということでございます。それだけ、結局企業従業員を圧迫するということは、働いている者が全部しわ寄せを受けるということでございます。 それで、今の第三番目の御質問にも混在してお答えすることになって恐縮でございますけれども、こういうような状態ですと働けば働くほど税金を取られてしまう。とかく金持ち優遇だ、逆進性だと、こうおっしゃいますけれども、やはり人間が勤勉で働くということはそれぞれの役割に応じて仕事をし、報酬を得、そして国家に税金をお納めするというのがこれは人間の生き方だろうと、こう思います。そういったところに欠陥があるところは、言葉は悪いですけれどもお困りになっている、まあ俗な言葉で言いますと弱者救済といういろんな制度があるわけでございますから、それを大いに活用しろと御主張いただいた方が適当じゃないかと思いますが、このようにもう今までの税制ですと、働いてある限度までいきますと八七%は税金で、地方税も入れますと、それに固定資産税も入りますと、松下幸之助さんがおれは手数料しかもらってないんだとこういうことを言っておられましたが、そんなような状態では勤労意欲が果たしてわくかという問題でございます。 私は、これは非常に大事なことだと思いますので、野党の皆様にも聞いていただきたいんですが、いわゆる東欧諸国があれだけ苦しんだ、貧乏になった、生産性が上がらないということは何であるかということをよく考えていただきたいと思います。私は、チェコと日本経済との委員会の委員長を十年間務めましてしょっちゅう行ったり来たりしておりましたので、今度のチェコのあの大爆発というものを非常に理解できるわけです。締めつけが強かっただけに、この新しい流れというものが非常な勢いで今出ているわけでございますが、それは結局生産性が上がらない、ソ連もそれに気がついて東欧諸国の政策をあのようにもう自由化、自分でやれという方に方針を変えて、そして自分の国もそういうことで立て直していこうということになっているとこう思っておりますが、それは結局勤労意欲でございまして、創意工夫ということでございまして、しかしそれがなければ絶対に日本の一億二千万人の人口が十分な生活をできるとは私は思っておりません。 もちろん、経済界というものもすべていいとは私は申しません。いろいろな問題も起こしておりますが、しかし大局に言いまして、大きくこの日本の経済を引っぱっていっていますのは、この活力ある日本経済、その源泉は何か、働く者はそれだけ報いられるというこの自由主義的な考え方に基づくものと思いますので、それを税制で殺してしまうというようなことは、ぜひ十分御配慮をいただきたい。 どうも質問にばらばらでお答えしましたけれども、大体趣旨はお伝えしたと思っておりますが、どうぞよろしく。
○沓掛哲男君 よくわかりました。 次は、牛嶋公述人に質問させていただきたいと思います。 今、牛嶋先生からは、税の基本理念について懇切な御説明がございました。そこで、この理念を二つに分けてひとつ質問したいんですが、この税の導入について手続と内容とにひとつ分けて御質問したい。 今、手続については先生からいろいろなルールについて問題があった、その他のいろいろのことがございましたが、この消費税の内容というものについて御質問したいんですけれども、仮に日本の消費税はちょっと色がついているからいやだというのであればそれは横に置いて、今世界で付加価値税は四十数カ国で導入されておりますし、我が自由主義陣営の先進国が集まっていろいろ議論をしておりますOECD加盟国二十四カ国では、日本を含めて十九カ国が付加価値税を、そしてアメリカとカナダとそれからアイスランドがいわゆる小売売上税をやっておりますし、スイスとそれからもう一カ国はいわゆる卸売上税という形で、いずれの国も課税ベースの広い税を導入しておるわけでございますが、これからのいわゆる間接税として、先進諸国で今導入しておりますこの付加 価値税というものがやはりどうしても必要ではないのかなということが感じられることについてのお答えをひとついただきたい。 それから、私、実は先生の書かれました「租税体系論」というのをずっと読ましてもらってたんですけれども、その第V部の「長期税制の確立」の中で先生は、「新しく長期税制に組み込まれる一般消費税についても、基本的にEC型付加価値税に準ずるとしても、必ずしも税構造の細部にわたって完全に一致をみなくてもよいだろう。むしろ、わが国の商習慣や諸制度に適合したタイプの付加価値税ないしは一般消費税が導入されるべきである。」と書かれておられます。これは出版されたのは昭和五十三年ですから、ちょうど大平内閣時代における一般消費税を頭に置いて記述されたのではないかというふうに思います。 私は、本を読むとき、いわゆる著書を読ましていただくと、その著者の人格とか主義主張というものがその行間ににじみ出ているということをいつも感じておるんですが、ひとつ先生へのまず第一点の質問は、いわゆる日本の消費税は別に置いて、国際社会で特に西側先進諸国で導入されている付加価値税というものが、やはりこれから日本にもそういうタイプのいわゆる課税ベースの広いものが必要ではないかという御質問と、それから先生のこの著書によりますと、やはり日本にはそういうものを日本らしくいろいろ直しながら入れるということも一つの案ではないかと書かれておられるんですが、その昭和五十三年に書かれたこの精神が今も先生の体の中に脈々と流れておられるのかどうか、そういう二点についてお尋ねさしていただきたいと思います。
○公述人(牛嶋正君) 私、この問題を考えるに当たりまして、日本の税制とそれから今引き合いに出されました西ヨーロッパの国々、アメリカも含めてでもいいと思いますけれども、税制の最も大きな違いは法人税にあるんですね。我が国の今の法人税の税収に占める割合というのは、御承知のように三〇%を超えております。これはどこにも見られない比率ですね。西ドイツの税制で付加価値税がちょうど同じぐらいの比率を占めているんです。ですから、付加価値税と日本の法人税とを入れかえますと、日本の税制というのは非常に西ドイツに近い。したがって、直間比率も五五%、四五%ぐらいとこういうふうになります。こういうふうに考えますと、法人税というものの性格が非常に重要な意味を持ってまいります。 我が国の法人税が原則といたしましては利潤に対する課税でございますけれども、問題はその税負担が転嫁されているかどうか、もしこの税負担が転嫁されているとするならば、これは非常に売上税に近いんですね。ですから、その転嫁がどういうふうにされているかということによりまして、もし完全転嫁されていると――私はかなり転嫁されていると思うんですが、今の内外の物価水準の格差の一つの原因は、私は法人税が非常に高くてそれが転嫁されているがために物価水準にかなりの格差をもたらしているというふうに思っております。もしそうだとしますと、今の法人税というのはまさに売上税だというふうに思っております。 私は、そのときに書きましたときも、やはり法人税をどういうふうに変えていくかということがこれが問題だというふうに思いました。ただ、先ほどから所得税が非常に重いというふうな御議論がありますけれども、もう一つ考えておかなきゃいけないのは、国民の個人所得の中で所得税の税負担の比率がどうなっているか、これは我が国が一番低いんですね。まだ五%ぐらいだと思うんですけれども、イギリスとかフランス、フランスでさえ我が国よりは大きい、西ドイツなどは一〇%近くなっております。そういう国だからこそ間接税が必要であったわけです。私は、まだそういう意味では間接税というのは、先ほどから議論が出ておりますように、結局は逆進性というふうな立場、結果になるわけですから、税の公平を非常に重視するならばやはり問題があるというふうに思います。 そういう国々は、もう既に個人所得に対する所得税が非常に高い税負担になっているわけですね。これ以上引き上げるならば、先ほどから鈴木先生もおっしゃっておられますように、労働インセンティブに与える影響というのは恐らくもう限界にきていると思います。イギリス病とか西ドイツ病というのはそういう結果なんです。だから、やむを得ず次善の策として間接税を入れなければならなかった。日本はこのように法人税を持っておりますから、私は法人税をやはり抜本的に改革して、もう少し転嫁がきちっといくような付加価値税ですね、これはシャウプ税制のときに提案されました付加価値税の外形標準課税へ移行していくならば、私は世界に誇り得る税制を確立し得ると、こういうふうに思っております。
○沓掛哲男君 牛嶋先生は法人税の外形標準税率にすることがいいということは、この本にもよくよく何度も書いてありますのでその点はよくわかりますが、今いろいろ教えていただきましたけれども、私自身もいろいろ疑念があることはたくさんありますけれども、時間も来ましたので次の方に移らせていただきます。 坂本先生から先ほど本当に重要ないろいろなお話をいただきました。その中で特に私肝に強く感じたのは、消費税についてはやはり初めてのものだからいろいろ手直ししなければならないけれども、それを今導入したばっかりですぐやるべきではないと、それはまさに朝令暮改も甚だしいし国民をないがしろにするものだということを今言われましたし、それからまた代替財源については確たるきちっとした案を出してやるべきであって、間に合わせなものをこの税というところに、国民の財産及びサービスを強制的に調達する税というところに持ってくるべきではないというお話でございました。また、特に私今感銘深く聞いたのは、物品税についてそういういろんな物を、ぜいたくであるとかぜいたくでないとかいう画一的なものを押しつけるべきではないということを強く言われていたわけでございます。 そこで私、先生ちょっと言われませんでしたが、この最後の押しつけるべきではないということに関連して一言、今野党から出しております税制再改革基本法の中での総合課税主義、その中における納税者番号制度についてお尋ねしたいんですが、野党案では総合課税主義をとっていく、そしてその総合課税主義をきちっとやる上においては、国民に番号をつけていく納税者番号制度というものが必要だと。私はその理論は学校では大変いい案だと思います。私もそういうのは学校でならば答案を書きたいと思いますが、では、今のこの実社会において、今の日本において日本の国民性等からいってみて、国民に対してそういう納税者番号制度を速やかに導入していく、野党案では二年間で新しいひとつ税制改革をやろうというわけですから、この二年間でそういうものを導入させようとしている。果たして、日本の国においてそういう納税者番号制度というものが速やかに日本の中に導入されるということをお考えでしょうか。 先生は、長年通産省で行政にも幅広く携わっておられましたが、その点の感触を一言お聞きしたいと思います。
○公述人(坂本春生君) お答えさせていただきます。 総合課税主義を徹底するための納税者番号につきましては、私は一言でいいまして、なかなか実態としては難しいというお答えをしたいと思うんです。 ただ、これは必ずしも否定するわけじゃございません。ここで私が長々と申し上げるまでもなく、諸外国でも、アメリカである種のこういう方式をとっている、それから北欧でとっている、イタリアでとっているというのがございますが、アメリカ型は、要するに社会保障の受益といういい方の面からこの番号が入った国でございます。それから北欧は、むしろ生まれながらに住民台帳で常に番号をつけられる、大変な管理社会を是認した上での制度でございます。イタリアは税制だけでこ の番号制をとっていると聞いております。ただし、この税制だけで番号制をとった場合は、要するに税を徴収されるというわけのものでございますから、国民の協力というのは大変受けにくい、これは当然のことだと思います。 そういう意味で私は、この三種類のがありますけれども、本当に今指摘されている不公平な税制、それからその税制の中の、何といいますか、非常にやみに隠れた部分が多い、直接税の中のそういうところをきちっととりたい、これは賛成でございます。ですから、そのために納税者番号制度が導入できるものなら私はこれは長期的に検討してみたらどうかと思います。 ただ、先ほど申し上げましたように、きちっとやるためにはアメリカ型ないしは北欧型をとらなければできないと思います。そうなると税制だけの問題じゃなくて、本当に国民生活の根っからの改革の問題でございますので、これはまず決定するのに相当時間を要しますし、実施するのも時間を要すると思います。ですから私は、先生もおっしゃるように、根本的には否定はいたしませんが、今これをするからすべていいんだということには反対でございます。これはこれで直接税はきちっととれる体系を検討しつつ、それでもなおかつもう少し薄く広く公平にとっていける税制というのはこれにかかわらず必要だというふうに考えている次第でございます。 以上でございます。
○沓掛哲男君 和田公述人に二点についてお尋ねしたいと思います。 先生は、この消費税の手直しに当たっては、六十三年に復帰してもう一度きちっと出直すべきだということを今おっしゃられました。まさに私もそのとおりだというふうに思います。 自民党は、この消費税の導入に当たりまして、税制全体を見直しまして、そしてやらしていただいたものでございます。その際、所得税については三兆三千億円の減税をさせていただきました。法人税については一兆八千億円の減税、相続税については七千億円、物品税については三兆四千億円の減税、合わせて九兆二千億円の減税をいたしました。それに対して消費税の導入と不公平税制のためのキャピタルゲインに対する課税、以上の不公平に対するいろいろな手直しなどを行ったものでございますし、それから一般の方々は、低所得の方々に対して余り対策をしてなかったじゃないかとか、いろいろ言われるんですが、非常によくいろいろ手当てをしたわけでございます。 私もいろいろ調べてみましたが、例えば夫婦子一人、子供が一人で夫婦ですと三百万円の所得のある人に対してはこの減税で、所得減税それから住民税減税だけで七万六千円の減税になっております。このほかに電気税が減税、さらに物品税の減税等を加えますと恐らく十万円ぐらいに所得三百万円の人ではなっていると思います。 きょう生協の方がまた後からいろいろ御説明、午後になると思うんですが、日和佐さんのところで出しておられるいろいろなデータ、生協でいろいろ具体的に出して見ると大体平均して三・八人の世帯で月八千円ぐらいの消費税を払っているということでございますから、一年大体十万ぐらい、もちろん所得の多い人はある程度高いし低い人は少ないけれども、その傾向は所得に比べれば非常に緩やかです。そういたしますと大体十万円ですから、実態も所得三百万円ぐらいの方々ではとんとんというふうに思います。そして、もう少し所得の低い方々については、税制の面でもいろいろなことをやっております。中所得者層の負担軽減とかあるいはパート、内職等へのいろいろな配慮、また歳出面でも老齢福祉年金受給者等に一時金を出す、また低所得者の在宅寝たきり老人等に対しても一時金五万円を出す、あるいは年金額についてもスライド制を導入するなど、いろいろきめ細かに対応させていただいております。 そういうふうに、先生おっしゃられるように、一つのセットとしてこの消費税を導入したものでございまして、今先生、そういうものを廃止するというのならば六十三年に復帰して、何もかも一応もとに戻してそこからやるべきだというふうな御趣旨と思いましたが、今野党から出ているものについては、所得税などはさわらない、物品税も、その対象品目は同じだけれども税率は下げる。結果論として、来年は消費税がこのままあるのに比べて税収は三兆円減になる。言いかえれば、一人当たり二万五千円の国民の借金において行おうとするものでありまして、やはりこれはやるのならば、先生のおっしゃるようにきちっとやるべきだというふうに思いますが、それについてのお考えを一言お聞きしたいこと。 それから今先生、やはりこれからは物品税がいいんだ、個別間接税がすぐれているというお話でございました。また、付加価値税というのはいわゆる発展途上国だということをおっしゃいましたが、そういうことは絶対ありません。OECD加盟国二十四カ国はまさに世界における西側先進国のグループでございます。私も政府代表で二度出席いたしております。そういうところにおいて、いずれの国も全部課税ベースの広いこの消費税的なものを導入しているんですよ。それを発展途上国と言われたことに対して、私は非常に疑念を持つものであります。 それから、先ほど来もいろいろお話しありましたように、サービスについては、既にいわゆる家計の支出におけるサービス支出の占める率は五四%にも達しているんです。サービスについても、これは課税すべきだ、すべきでないなんて言うことは私はできませんし、物についても、もうこれがぜいたく品であるとか、ぜいたく品でないとかいう区別がつかない。また、同じ物でも高いものから安いものまで非常にあって、これはもう物でぜいたく品だから税金をかけるとか、かけないとか決めていく時代ではなくなっているというふうに私は思うんですが、この二点について先生の御所見を承りたいと思います。
○公述人(和田八束君) 最初の点でございますが、話の筋といいますか、論理的な道筋といたしますと、最初のところでも私が申し上げましたように、消費税を一たん廃止して、出直ししてこの議論をやり直すということが妥当であるといたしますと、その順序といたしますれば、新しい税制はまだできていないわけでありますので、六十三年度税制というところに一度話を戻して、つまり去年のここでの議論といいますか、それが行われていたその年度、そこまで戻して出直すというのが話としては妥当だろうというふうに私は考えているわけであります。 これはしかし一般論でありますし、一人のそういう研究者としての論理的な結論でありまして、具体的に国会の場におきましていろいろ法案等を整備されまして、代替財源に関する一つの手続が行われたということについては、私はちょっとその辺は関知しないといいますか、私などの分野ではございませんので、出されたということについて、特にその内容についてどうかということは判断できないものでありまして、ただ代替財源を、いずれの形にしてもそういう考え方を提出するということは、一つのやっぱり廃止を主張する立場からすれば責任ある姿勢だろうというふうに考えるわけであります。 内容につきましては、ちょっと私と国会の議論というものとは必ずしも一致するものではないわけでありまして、それは一つの私の書生論ということで御理解いただきたいと思います。 それから二番目の問題につきまして、発展途上国かどうかということになりますと、幾分議論がありますし、ここでどこが発展途上国で、どこがそうでないかということを線を引くというのも甚だ問題がございますので、これは私としてはもう一度調べ直さしていただいて、機会がありましたら発表さしていただきたいということで、必ずしも発展途上国ということではないわけでありますけれども、しかし所得税がいろいろ十分でない、未発達であるというところはかなり見受けられるのではなかろうか。これはOECDの中でもヨーロッパのフランスとかイタリアとか、そういうところは以前からそういうことが言われておりまし て、付加価値税にかなり依存しているということは事実ではなかろうかと思います。 その点、日本は、シャウプ勧告のときには五〇、五〇ぐらいであったわけですけれども、その後、所得税がかなり整備されまして、シャウプ勧告のときも、シャウプ勧告の中に書いてあることを見ますと、日本で所得税はこれからなんだ、これから育成してくれということが書いてありまして、四十年ぐらいかかってかなりそれなりに所得税を中心とした税制というものもできてきたわけであります。 ところで、最近、ヨーロッパ諸国などを見ましても、これは大蔵省の財政金融統計月報などに出されている所得税の国税収入に占める比率というふうなものを見ましても、イタリアとかフランスとか、従来、所得税の収入比率が二〇%ないし三〇%ぐらいであった国が四〇%とかかなり高くなってきまして一〇%ポイントぐらい上昇してきているというのが最近の傾向でありまして、フランスなどにおきましても所得税の改正というものをかなり力を入れてやっておりまして、必ずしも間接税に全面依存するというのではなくて、所得税が重視されてきているというのも各国における一つの傾向だろうというふうに思っております。 それから、課税と非課税の区別ができないということでありますが、これはできるわけであって、どうしてできないというふうに、それでありますれば、消費税の方が余計できないわけでありまして、消費税で食料品非課税というふうなことが非常に難しいわけでありまして、これに比べれば個別消費税つまり物品税の方は簡単にできるわけでありまして、コーヒーと緑茶がどうかというふうな議論がありますけれども、それならコーヒーを非課税にするとか、緑茶に課税をするとかというふうなことが仮に行われ得るとしても、消費税よりも非常に簡単にできるわけでありまして、社会的影響も少ないということであります。 また、ぜいたく品か否かということでありますけれども、物品税はぜいたく品という基準だけではないわけでありまして、当初、昭和十三年ですか、できたときにはぜいたくは敵だというような時期でありまして、そこで女性の方の口紅とか化粧品にもどんどん課税したという歴史がございますけれども、最近年次においてはそうではないわけでありまして、もう少し広い範囲で、担税力ということを考えて運用されてきたように私は理解しておりますので、その点、ぜいたく品ということだけで基準を設けるのはどうかというふうに考えております。 以上です。
○沓掛哲男君 一分しかありませんけれども、和田さんに。 そういうふうにただ担税力とか抽象論じゃなくて、具体的なもので見てみると、そういうものは非常にできないというふうに思いますよ。例えばおしろいは課税、今物品税になっていますけれども、口紅はなっていませんね。それから着物だって、確かに私の母親も着物を着ていましたけれども、三千円か五千円ぐらいの着物、これは物品税として課税しない方がいいと思いますけれども、まあ立派な百万円ぐらいの着物を着ている国会の人もおります。そういうのに私はぜひ課税をしてもらいたい。ブランド商品もいろいろ出てくるなどなどいろいろあるんでね。 そういうふうに一つ一つの物について、これに課税するか課税しないか、そういうことをやっていくということは大変経済的にもいろんな問題を起こす。来年課税されそうになれば先に買うとか、買い控えとかいろいろ出てくるのでね。やはり基本的な原理原則の上に立ってやっていく上において私は一応浅く広く課税する。そして、その中でどうしても生活必需品的なものは非課税にしていくなり、そういう特恵を与えていくという方が今のこの豊かな時代、みんな中流意識を持った時代には適しているというふうに思います。 以上でございます。 どうも本当にきょうはいろいろ貴重な御意見ありがとうございました。
○大渕絹子君 公述人の先生方、きょうはお忙しいところを本当に御苦労さまでございます。 私はさきの新潟県の補欠選挙によって選び出された者でございます。新潟県は、御存じのように、衆議院議員の議席が十三議席ある中で自民党系の代議士さんが十一名を占めるという、本当に自民党王国と言われているところでございます。その新潟県で一介の共働きの主婦でありました私が、こうして今、国会の場で消費税廃止の審議ができるというこの事実は一体何を物語っているとお思いでしょうか。とりもなおさず国民の消費税への怒りが私に集結をされた結果であると思います。多くの人々の心を代表して、私は速やかに消費税を廃止してほしいと願う者の一人でございます。 本日は、公述人の皆さんに各界から幅広い御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました。鈴木公述人からは、シャウプ税制以来の日本がとってまいりました税制が経済成長によって非常にゆがめられてきてしまったから、消費税を含んだ税制改革が必要であったというお話をお聞きいたしました。そして、和田先生にお聞きをしたいんですけれども、鈴木先生のおっしゃいましたシャウプ税制が本当に今の日本にはもう合わない税制なのかどうかということですね。私は、牛嶋先生からお聞きをいたしましたアダム・スミスの税の原理につきまして、これはシャウプ税制の理念と全く同じと思っております。その税の理念に私たち日本人が今置かれている体系が本当にもう合わないのだろうか、そのことを特にお聞きしたいと思っています。公正、公平、自治、民主の理念と言われております、これが私は今までの政府・自民党の利益誘導型の租税政策によって変えられてきたように思うんです。特に法人税の部分について、和田先生に詳しくお聞かせをいただきたいと思います。
○公述人(和田八束君) かなり何といいますか大枠での御質問でありましたので、どういう点ということで私の方で理解させていただきたいと思うのですけれども、シャウプ税制ということでは、これまでの税制改革論の中でもそのたびに引き合いに出されまして、日本の戦後税制の原点をつくり出したというふうに言ってよかろうかと思います。 しかし、その後シャウプ税制がどうなったかといいますと、シャウプ税制がシャウプ税制らしかったのは昭和二十七年、これは日本が占領から脱却して独立したという年なんですけれども、せいぜいその辺まででありまして、それ以降になりますと日本の主権といいますか、これが確立したことによって国会の議論というものも占領軍の制約なしに行われていきますので、どんどん自主的に変更が行われたという歴史過程でありまして、またその間に日本の経済成長あるいはいろいろな社会的な諸条件の変化というものもありまして、シャウプ税制そのものが四十年も同じ税体系といいますか税制で続くという、これはおよそ無理なところはあったわけであります。と同時に、そのシャウプ税制が手直しされる内容というものを見てみますと、日本の高度成長、そういう経済的側面、そういうものにかなり力点が置かれたのではなかろうかというふうに理解しております。そのために、いわゆる公平といいますか、こういう税制の基本理念というものについてはそれよりも低いところに置かれたということでありまして、これは税制調査会の従来の毎期の答申などを見ましてもそういうことが言われておりまして、税の公平をある程度犠牲にしてその他の政策目的を実現するというふうなことがかなり広範に行われたわけであります。 特にその中で租税特別措置と言われるような制度が多く導入されてきたということも事実でありまして、その間においては例えばキャピタルゲイン課税を非課税にするとか、途中におきましては利子課税については全く非課税にされたというふうな時期もありましたし、それからいわゆる医師優遇税制なども、これはかなり初期の段階でありますけれども、租税特別措置の中に含まれているというふうなことがあったんだろうと思います。 いずれにいたしましても、そういうふうにシャウプ税制と言われましても理念としてのシャウプ税制と、それから実態としての戦後税制とは幾分違うわけでありまして、かなり乖離されたというふうに考えるわけです。シャウプ勧告の理念というのは何かというふうにいいますと、これは課税ベースを広く置くということだろうと思うんです。それで、財政学者などの言葉をかりますと包括的所得税という考え方があるわけでありますけれども、いわゆる包括的所得税というものに近い考え方で所得税制を導入したといいますか、整備したというのがシャウプ税制であります。 今日におきましても、そういうシャウプ税制と同じいわゆる包括的所得税、課税ベースを非常に広くとる、そして税率の方はマイルドであっても課税ベースを広くとる、こういう考え方が一つの潮流としてアメリカにおきましてもヨーロッパにおきましても学者の中にあるわけであります。我が国においてもそういう立場が一方にあります。 しかし、包括的所得税で課税ベースを広くとるということによる難しさというものもなかなかあるわけでありまして、給与所得などは非常に把握は簡単でありますけれども、事業所得でありますとかキャピタルゲインでありますとかあるいはフリンジベネフィットでありますとか、そういうふうになりますとだんだん難しくなってくるので、そちらをあきらめて支出の方が公平なんだ、支出だけ取り出すのがむしろ公平ではないか、あるいは生涯所得というふうな観点から支出の方が公平ではないか、こういう考え方が最近つとに強くなってまいりまして、そして支出税、そしてさらに直接税的な支出税と同時に間接税における消費課税、一般的消費税というものを支持する立場も一方にあるわけでありまして、この両方が現在の世界における二大潮流、こういうふうに言っていいかと思うんですけれども、我が国で今度行われました税制改革は、どちらかといいますと包括的所得税、課税ベースを広くするという方向をあきらめまして支出、消費というものに依存するという考え方を導入したわけでありますけれども、この間不徹底のために中間的な位置づけということであります。 したがいまして、今日シャウプ税制の確立というふうに言っていますのは、シャウプ税制の中身そのものというよりも今言いました包括的所得税の理念でもって所得税なり法人税なりを考えていく、こういうことだろうと思うんです。 その法人税でございますけれども、法人税制というのは非常に難しい税制でありまして、先ほど牛嶋さんからもちょっと話がありましたけれども、法人税とはいかなるものであるかということにつきましてもいろいろ議論がございます。また法人の税負担ということになりますと、法人の税負担とは何ぞやということが非常によくわからないわけであります。先ほど鈴木公述人からのお話にもございましたけれども、例えば実効税率というふうなことがよく言われますけれども、では実効税率と表面税率とどう違うのかといいますと、実効税率も実は表面税率でありまして、表面税率を地方税分と国税分とを調整したのが実効税率でありまして、その名前のごとくの実効的な税率では何らないわけであります。 むしろ、言葉のように実効的な税率を表現するとすれば、実質税率というふうに言った方がいいわけでありまして、これは経団連などが一時実質税負担率ということで計算をしたこともございますけれども、それは真正な法人の課税ベースに対する税負担率というものを示したものでありますけれども、しかし、これにおきましても果たしてその課税ベースの計算が妥当なのかどうかということにつきましては議論があります。また、一国だけではなくて国際的な規模がありますので、そういう国際的なレベルでも考えなければならないということでありまして、今日法人の税負担とは何ぞやということは実ははっきりしていない問題であります。 また、この法人の転嫁ということで先ほど牛嶋教授からも御紹介がありましたけれども、これを考えますと実は税率が何%であるかというふうなことはほとんど問題にならないわけであります。また、日本の法人税制度はいわゆる擬制説という立場に立っておりまして、法人の所得はすべて個人の所得である、こういう立場に立っておりますので、法人の税率が三〇%であろうがあるいは五〇%であろうが、法人自体には関係ないわけでありまして、これは個人の段階で清算されるという税制でありますので、法人サイドにおいて法人税率が高いとか低いとかということ自体がそういう擬制説的な立場からいうと妙なものになるということであります。 また、赤字法人が非常にたくさんありまして、大体半分は赤字法人であるということになっておりますので、どのような税率であれどのような制度であっても、半分の法人はその制度といいますか税負担から除外されているということでありますので、この辺も法人税率なり法人税制を考える場合には議論しなければならない、こういうことであります。 いずれにいたしましても、法人税とは何かということは非常に議論が何といいますか難しいといえば難しい、あるいは非常にあいまいであるといえばあいまいであるというのが現状でありまして、こういうところを前提にいたしまして、法人の所得に対する負担だけではなくて外形による負担でありますとかあるいは含み益の問題というふうなことも議論になってきておりまして、いずれにいたしましても法人税問題というのは今後の一つの大きな課題ではなかろうか、こういうふうに考えております。ちょっと長くなりましたけれども。
○大渕絹子君 法人税の課税ベースを広げることによって税制改革ができるというふうにお聞きをいたしました。ありがとうございました。 先日提示をされた自民党の見直し案につきまして、和田先生は率直にどのように評価をされておりますか。消費税の持っておりました欠点が是正をされる見直し案であったかどうか、お聞かせくださいませ。
○公述人(和田八束君) いわゆる見直しの問題ですけれども、現在自民党税調の方で出されました見直し案でございますけれども、私は新聞で拝見した程度でございますし、これが将来国会にどういう法案で出されるのかあるいはいつどういうふうに実現するのかということについても必ずしも明らかではありませんので、そういう前提でのコメントというのはちょっとできないわけであります。 新聞で発表されている限りにおきましては、食料品といいますか、に対する小売段階での非課税ということでありまして、その前段階におきましては一・五%に引き下げるということなんですけれども、それでどうなるのかということがよくわかりません。それで、食料品といいましてもいろいろな種類がありまして、その線引きというのもまだ今の段階では行われていないようであります。しかし、そういう一つの方式自体でいいますと、消費税見直しというもので言われているのは、私今ここで冒頭でも申し上げましたように、やはり明確に消費税の内容がはっきりわかるという点でいいますと、やはり伝票方式にしなければこの消費税の見直しということにはならないのではなかろうかと思います。その点が一番の見直しのポイントだというふうに従来言われてきたように思います。 それから、特例、簡易課税方式、免税業者三千万円、それから限界控除等、そういう問題、それから税額表示において独禁法上カルテルを認めているというふうな問題、こういうのがやはり一番問題でありまして、したがいまして税金が毎日細かい金で先ほど言いましたように課税されたり、あるいはその税金が果たして税務署に行くのかどうかわからないという、そういう非常に不明瞭、不明確な事態になっておりますので、そこのところをやっぱり是正する必要があるのではなかろうかというふうに思いますので、食料品についてだけということはやや問題としては狭過ぎるということ であります。 それから、小売段階で非課税になってその前段階で一・五%というのは小売業者にとっては非常な不利になってしまうわけでありまして、今度は小売業者の方は十分に転嫁できないという形になるわけでありまして、果たしてどういう問題が小売業者サイドに出てくるのか、果たして小売とは何かというふうな問題もあります。 それから、途中の生産流通段階におきましては一・五%という低い税率になりますので、むしろ仕入れ税額の方が大きくなりますとその間で還付というふうなことが行われまして、ただでさえ今消費者が出した税金分がどこへ行くかわからないというふうに言われているときに、そういう流通業者なり生産者に今度は還付が行われるということは税務署がお金を返してあげるということになりまして、これは理論的にはともかくといたしまして、なかなか心情的に複雑な認めがたいところがやっぱり消費者サイドからは出てくるのではないか等々を考えますと、この見直し論というのはむしろ問題をさらに複雑にして、一層見直し論ないしは消費税廃止論を大きくする原因になるのではなかろうかというふうな感じも受けるわけであります。 甚だ印象的で申しわけありませんけれども、今のところそんな印象でございます。
○大渕絹子君 同じ質問を牛嶋先生によろしゅうございますか。自民党が出されました見直し案につきましての評価と分析をお願いしたいと思います。
○公述人(牛嶋正君) 先ほど私は租税原則を三つ挙げましたけれども、実はこれを並べるだけでは問題があると思うんですね。というのは、公平の原則を強く主張していきますとどうしても税制が複雑になります。ですから、簡素の原則に反するわけです。今度は逆に簡素の原則を重視しますと公平の原則が崩れてくるわけです。こういう厄介なそれが三つ並べてお題目のようにいつも言われるんですけれども、私はそこで税制改革をする場合に、三つ並べてもいいんだけれどもどの原則に最重点を置くかということだろうと思うんですね。納税者の側からいいますとやっぱり公平だと思いますね。それからいいますと、公平を少し重視するためにああいうふうな一・五というふうな複数税率になってしまったわけですから、今まで自民党が言っておられた簡素の原則というのがどうしても後退せざるを得ない。ですから、どちらの原則を重視するかによりましてかなり評価が変わるんじゃなかろうかというふうに思っております。 イギリスもやはり食料品につきましては非課税ですけれども、それはゼロ税率を適用しているわけですね。そうしますと途中の事業者の税額控除もできるというふうなことなんで、ゼロ税率ですと割合簡素の原則も満たしてそしてまた公平の原則もある程度考慮できたのではないかなというふうに思っておりますが、これは消費税を認めた上での議論でございます。
○大渕絹子君 坂本先生にお尋ねをいたします。 先ほど先生は消費税の導入に当たって非常に業界では莫大な費用をかけて消費税の導入を行ったとお話がございました。本当にそうだったろうと思います。それでは、今回示されました自民党の見直し案によりまして業界がこうむる莫大なコストというものはどのようになるでしょうか。先日の新聞なんですけれども、日本チェーンストア協会の高丘会長さんの言葉でございます。今回の自民党の見直し案につき、消費者の税負担軽減はかなり小幅なものにとどまり我々のコスト負担だけが膨大なものになる、生産から流通まで大きな混乱をもたらすことになるというふうなことが新聞に載っておりましたけれども、実際にどのようなコスト負担と大きな混乱、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○公述人(坂本春生君) 今回の自民党の見直し案につきましては、私は先ほど申し上げましたように現行がいいとは申し上げましたけれども、いろんな考えの方がおられて、そういう方々に広く耳を傾けられてきめ細やかな配慮を払われたということについては評価いたしたいと思います。 ただその場合に、廃止と違いまして現行の消費税がちゃんと根幹にございまして、その上の一部の手直しということでございますから、私は費用その他の点でも、それからまず費用とかなんとかいう前に考え方の点でも、廃止とは全く違うというふうに理解をいたしております。ただ、先ほど牛嶋先生がおっしゃいましたように、きめ細やかな配慮というのはどうしてもわかりにくい、複雑だということと連動するところはございますので、今後もしそういう案でいく場合には消費者への正しい理解、それから業界への適切な対応、こういうものについて十分配慮が払われるべきだと、こういうふうに存じております。 以上でございます。
○大渕絹子君 それでは和田先生にもう一度お尋ねをさせてください。 今回の自民党の見直し案によりまして、消費税がもともと持っておりました税が途中で消えてしまうという不透明さとか、あるいは弱い者にさらに深くなる逆進性の問題、それから実質的に消費者の税負担が本当に軽くなるのかどうか、そうした点を具体的にお話しをいただけますでしょうか。
○公述人(和田八束君) 先ほど申し上げましたように、まだ自民党の見直し案なるものが具体的にどういう内容なのかということがわかっておりませんし、そういう判断をする根拠といいますか、そういうものも与えられておりませんので何とも申し上げにくいわけでありますが、一つは食料品に対する税を非課税にするということによって、食料品というのは家計の中においては一番基本的な消費でありますので、その中における税負担がゼロになる、なくなるということになりますと、ある程度そういう所得全体に占める税負担率の逆進性というものが緩和されるということは言えると思うんです。 ではどのようにしてゼロになるのかといいますと、先ほど牛嶋教授の方からも話がありましたようにゼロ税率というのが一つの行き方でありまして、各段階あるいは最終小売段階におきましてもゼロ税率を適用するということになりますと可能なわけでありまして、これはイギリスなどでは行われているわけであります。しかしながら、ゼロ税率というもの自体がいいかどうか、税制の中で妥当性を持っているかどうかということになりますとこれはまた議論がありますし、消費者サイドからいいましても、還付が行われるということになりますとどうもこれは心情的に適応性がないといいますか、心情的にちょっとずれが生じるという問題でありまして、直ちにゼロ税率を採用するということはできにくいだろうというふうに思います。 それで今度は軽減税率にいたしますと、これは今の日本のように伝票方式をとっていないというところにおいては、最終的に一体どれだけの税がその中に含まれているのかということはわからないわけであります。もっともわからないというのは、もともと転嫁というのはそういうことでありまして、消費税における議論というものも、法律上予定されている転嫁の問題とそれから経済過程において実際に行われている転嫁と何か混乱しているというところが問題でありまして、大蔵省の説明書といいますかパンフレットのようなものを見ましてもどうもその辺のところが混乱している。あるいはカルテルとかあるいは総額表示方式というふうなものの議論においても、どうもその辺の両方が混乱しているわけであります。 実際の経済過程になりますとそういう市場において税の負担というものは変わってくるわけでありまして、特に食料品などになりますと、値段というものは市場、競り市場ですね、とかによっても違いますし、それから売られている場所によってもみんな違う、毎日値段も変わってくるということでありまして、どこが税金でどこが税金でないかというようなことがわかりにくいわけであります。そこを非課税にするとか一・五%にすると こうなるというふうなことを説明されること自体がどうも机の上の議論でありまして、実体論とはかけ離れている、こういうことであります。 日本の現在の消費税率は三%でありますので、その税率を流通過程で一・五%にする、あるいは最終的に非課税にするというふうなことが仮に行われたにしても、それによって著しく逆進性が緩和できるような事態になるということにはならないのではないか。これが一〇%とか一五%とかいうふうな税率であれば軽減税率ということの意味合いも出てくるかと思いますけれども、現在のところ、この手直しというものが仮に行われたにいたしましても、これによって逆進性の問題というものが解決したというふうに言うことはちょっと不可能ではなかろうか、そういうふうに思います。
○大渕絹子君 ありがとうございました。 私も自民党が提案いたしました見直し案につきまして、今までの消費税の税制よりももっともっと複雑になってしまってわかりにくくなってしまった、国民に理解を求めることが本当にできるのだろうかという疑問を持っております。そのことをお訴えいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○和田教美君 まず牛嶋先生にお尋ねいたします。私の時間は非常に限られておりますので、ひとつ簡潔に、要点だけお願いいたしたいと思います。 先ほど自民党の税制調査会が決めた消費税見直し案についてお話がございましたけれども、この問題についてもう少しお尋ねをしたいと思います。 私は、先ほどから指摘されましたように、生産、卸の税率が一・五%で小売段階だけ非課税などというのは世界でも類例のない複雑な内容であるということ、しかも消費者の立場から見ると小売価格が果たして政府の言うように一・五%も下がるかどうかということも非常に疑問であるということ、一方小売業者の立場から見ると事務手続が非常に厄介になるというふうなこと、そして簡易課税制度をとっている人たちにもそういう事務手続の複雑さというふうな問題が出てくる。そういうふうなことから見ると、だれにもよくなくてしかも税収が一兆円も減るというふうなまことに奇妙きてれつな案になっていると思うので、こういう部分的な手直しというのがこの消費税の場合に果たして可能かどうかということが非常に疑問であるというふうにも思うんですけれども、その辺について、この見直し案の評価について牛嶋先生のお考えをお聞きしたいと思います。
○公述人(牛嶋正君) 今和田先生もおっしゃいましたように、恐らくねらいとしては消費税が持っている逆進性を少しでも緩和したい、言うならば公平の原則に焦点を合わせた見直しであったというふうに思いますね。しかしそれによりまして、一方で簡素の原則、これが非常に後退することになるわけです。しかも、総額では一兆円ではございますけれども、これでもってどれだけ逆進性が緩和されたのかというふうなことになりますと、非常に私は期待できないというふうに思います。ですから、ねらった公平の原則というものが十分に満たされないでただ簡素の原則だけが後退してしまったというふうなことで、私はかなり厳しい評価をしているわけでございます。 それからもう一つ、先ほど私は、そういった公平とか中立とか簡素の前にまず明確でなければならないということを申し上げました。この点でも非常に後退しておりますね。今御説明のありましたように、小売段階で非課税、しかし卸売段階までは一・五%の税がかかってくるわけですから、小売業者はそれを転嫁しなきゃいけないということになります。そうしますと、食料品に関しましてはすべてが非課税業者になるわけですね。そうしますと、今まで年商三千万以下の業者だけが非課税業者であったのに食料品に関しましてはすべての業者が非課税業者になるわけですから、先ほど申しましたように、自分が納めた税負担というのが国庫に納まるのかどうかという疑念がもっと深まるのではなかろうか、言いかえますと不確定な部分がさらに増大したというふうな点で私は問題にしたいというふうに思っております。
○和田教美君 次に、我々は税制再改革基本法案、我々はこれをぜひ衆議院でも成立させて実施させたいと思っているんですけれども、国民税制改革協議会というのを設けて、二年以内を目途として国民の合意に基づいて再改革案をまとめようというふうに考えておるわけです。そこで、牛嶋先生は先ほど、だれでもが妥当と考える手順を守っていくことが非常に大事だ、税制改革についてはと、こういうふうにおっしゃったわけでございますが、そういう観点からこの再改革の基本方向について特にどのような点に留意していけばいいか、お考えがあればひとつお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(牛嶋正君) 私は、今回の参議院のこの特別委員会での議論というのは、先ほどもだれかおっしゃいましたように、国民が注視していると思うんですね。そして、消費税反対を唱えている納税者も、それが廃案になった後それじゃ高齢社会に向けてどういうふうな長期税制を考えているのかというこの点をやっぱり非常に関心を持って見ていると思うんですね。そういう意味では、僕は代替財源案の中で少しでもそういう方向が納税者の側から見て見られるようなそういう代替財源案であってほしかったんですけれども、しかし参議院の選挙が終わってから今日までそういうふうな長期税制の姿を提示するということは時間的にも非常に無理であったというふうに思いますので、今は御提案になっておりますようなそういった税制再改革の方向でというふうに思っております。 これまでも、政府税制調査会というものがございまして、これが十分に機能しておれば私は割合納税者が納得するような手順での税制改革は行われたと思うんですけれども、私が見たところ政府税制調査会というのはほとんど機能していなかった。理論的なことだけを言って、肝心なところは全部自民党の税制調査会で決まっていったわけですね。こういうふうな過程を見ておりますと、やっぱり納税者というのはもう一つ第三者的な客観的な立場で議論できるようなそういう議論の場を欲しいというふうに思っているのは当然だと思いますので、今回の提案、私はいろいろな細かな点につきましてはまだ注文したいところはありますけれども、大体妥当な御提案ではないかというふうに思っております。
○和田教美君 最後に、和田先生に簡単で結構でございますからお答え願いたいんですが、先ほど先生は、消費税に比べれば個別物品税の方がよりすぐれておるということをおっしゃいました。私も全くそのとおりだと思うんです。いわゆる担税力とそれから累進性というふうなことも加味して課税対象を考えられるというふうな点が私はすぐれていると思うんですが、そこでこれから我々もいい物品税というものを考えていかなければならないんですけれども、具体的にどういう基準で一体やっていけばいいか、それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(和田八束君) それは、基準というのはこれからの問題だと思いますし、それから物品税の長所の一つとしては、もう一つ単段階での課税だというこういう点もあろうかと思います。どれを物品税の対象にしてどれを対象にしないかということは時代の流れとともに大分変わってきますし、いろいろな議論があると思いますので、いわゆる業界のプレッシャーとか利害とかそういうのに影響されない、何か中立的な機関ができるのが一番いいのではないか、こういうふうに考えております。
○和田教美君 ありがとうございました。
○近藤忠孝君 坂本公述人に質問いたします。 先ほど、消費税廃止など拙速にやるなと、こういうことを強調されました。私はこれを聞いておりまして、この論法は十二月一日に発表された自民党の見直し案にもそのままずばりと指摘されたものと思っておりました。ところが、遠慮されたのか、きめ細かな配慮があると。果たしてそうなんだろうかと思います。今やるべき時期じゃない とか費用の問題、お話しありましたけれども、私は仕組みの問題だと思うんですよ。現に、先ほど引用されましたけれども、日本チェーンストア協会、西友会長の高丘さんはこう言っていますよ。驚くばかりの見直し内容だ、実質的には消費者の食料品無税化を幻想に終わらせ小売業者の負担増をもたらすものと、大変強く批判をされております。前の方を余り遠慮なさらずに、率直な御意見をお伺いしたいと思うんです。 と申しますのは、やっぱり世界に例のない小売段階だけ非課税だ。それから課税、非課税、軽減税率、複雑になりまして、これは一番困りますのは免税業者なんですね。きのう私、橋本さんとも議論をしたんですけれども、還付で何とか面倒を見ようというんですけれども、還付してもらうためには課税業者にならなきゃいかぬのです。記帳のできないあるいはふなれな農家の皆さんを大量に課税業者に追いやることになるんですね。これ、何か農家のために小売段階の批判を浴びても断固選挙を目指してやろうということだったようでありますが、それで農民も一時喜んだようだけれども、これの中身を見たらもうとんでもないことになるんじゃないか、こう思いますので、率直なお気持ち、遠慮なさらずにどうぞ。
○公述人(坂本春生君) どうも御配慮ありがとうございます。私先ほど申し上げましたように、特に何も代表しておりませんので、遠慮なく答弁させていただきたいと思います。 先ほど私が申し上げましたり後でほかの方もございましたけれども、要するに税は何がいいかというのは、いろんな原則をどうバランスをとって仕組むかということで、あちらを立てればこちらが立たず、いろいろあるわけでございますね。ですから、そういう点から判断しますと、まず今野党が出しておられる代替案などというのは大変いろんな意味で私はバランスが崩れるのではないか。ですけれども、これでいくとは言っておらないわけで、その後ちゃんとした税制をつくりたいとおっしゃっておられるわけでございます。ですから私は国民としては、縦にあるものをつくって、じゃこれがだめだから次、そうするとまたぐあいが悪い、じゃこれ、じゃぐあいが悪い、これ、そういうことでは国民の判断ができないわけでございます。ですから、私がさっきから申し上げたのは、一度あらゆる英知をもし問題があるというならば横に並べていただきたい、同時にですね。ですから、今のような廃止法案で後で考えるではなくて、きちっとしたこれで行けば大丈夫なんだ、少なくとも現行消費税制度それから見直し案よりもいいんだという確約があれば私はそれに賛成することもやぶさかでございませんが、今はそういう選択が全くできない、そういう状態に置かれていることを申し上げて私の答弁といたします。
○近藤忠孝君 まだやっぱり遠慮があるようです。 これ、食料費一%ぐらいしか下がらない。橋本さんは一・五%と言いましたけれども、消費全体から見ますとわずか〇・二%です。橋本さんの言ったとおりにしましても〇・三%。こんなわずかの物価への影響で、こんな複雑でしかも公平の原則に反するこういう税制をこの際自民党が出したということ、私はこれは悪税、もともと悪税なんだけれども、もう一つ悪くなる悪税の自乗じゃないかと思うんですが、御答弁をいただきたいと思います。
○公述人(坂本春生君) 私は、先ほど申し上げていますように、相対的な判断をいたしておりますので、そういう意味では現行の消費税が根幹にある仕組みの方が、全くそれを廃止するとか例えば物品税のような時代錯誤のものが入った税制体系よりは相対的にいいと思っております。 以上でございます。
○高井和伸君 牛嶋先生にお尋ねいたします。 私は連合参議院を代表いたしまして短い時間で御質問しますが、第一点といたしまして、税制のあり方と国民の間をどうつなげるか。まあ政治の問題だと思うんですが、今回の参議院選挙、我々十名は一人区の全県一区で全員当選してきまして、すべて消費税廃止、このようにやってきたわけでございますけれども、先ほど先生がおっしゃられました納税の諸原則のうち手順を守る、すべての納税者に満足いく税制はないけれども、せめて手順をきっちり守ることによって納税者である国民がやはり国家を支えていく税金を払う、こういうシステムになろうかと私は考えるわけでございます。 それで、先ほどの各質問の方は、すべて国民を代表してというようなことでおっしゃっておられます。最終的に国民の意思を確認するのは選挙しかない、このように私ども考える立場でございますが、この点につきましての牛嶋先生の御見解を伺いたいと思います。
○公述人(牛嶋正君) 私もそうだと思います。そういう意味では、この七月の参議院選挙でまず、参議院選挙ではありましたけれども、納税者のそういった意見がかなりはっきり出てきたと思いますね。しかし、二つの院がございまして、両方とも通過しなければ廃止案も成立いたしません。そうしますと、私は、次の衆議院が非常に問題になるわけですけれども、その場合にできれば国民がそういった判断できるような、そういう長期税制をやっぱり衆議院にあっては野党の方もお示ししていただきたいなというふうに思っております。
○高井和伸君 続きまして牛嶋先生にお尋ねいたしますけれども、私も本委員会で質問したときに述べたことでございますが、やはり明確の原則ということをおっしゃられました。やはり国民にとって、払うということについて、税金を納めるということにつきまして納得して納めたい。選挙によって負けたんなら、消費税がいいという人たちが勝ったんだから仕方がないと。さらにそういった上での次の段階で、やはり我々の払った税金が国庫に納まる、そういう直截というんですか簡素というか、わかりやすい制度が非常に重要だろうと。そういう立場から見た上で、今回の自民党税調の消費税見直しというものに対する評価、明確の原則から見た場合の御見解はいかがでございますか。
○公述人(牛嶋正君) 先ほども申し上げましたように、明確の原則から申しますと非常にわかりにくい部分がさらにふえた。先ほど申しましたように、食料品に関しましては事業者の規模にかかわらずすべてが免税業者ということになってしまいますね。そうしますと、消費者がこれまで税を払ってきて、先ほど申しましたように、国庫に納まっているかどうかというふうな疑問があの簡易課税方式にあったと思いますが、それが食料品だけでございますけれどもすべての事業者に適用されるということになるわけですから、私は不明確な不確定な部分がさらに拡大したというふうに評価しております。
○高井和伸君 和田先生にお尋ねします。 直間比率の問題で、ヨーロッパと日本とは基盤が違う、歴史的、社会的な環境が違う、このようなことをおっしゃっておられました。端的にそこの日本とヨーロッパの直間比率を見る場合のそういった環境の違いを一点か二点に絞ってお答え願えればありがたいと思います。
○公述人(和田八束君) なかなか簡単というわけにもいかない問題でありますけれども、戦後のだけではなくて、実は日本の税制を見る場合には戦後からさらにさかのぼって戦中それから明治、それからさらに江戸時代というふうな、国民の税に対する考え方というのはかなり古くからあるんじゃないかという感じも最近つとにしておりまして、そういう点から見ますと、日本では江戸時代におきましても余り流通とか消費にかかわる税というのがないというのは、ヨーロッパと比べてみた場合に何かそういうふうな歴史的なあれがあるわけですね。ヨーロッパにおいては、城壁をつくってそこから出入りをする人から税金を取ったとかというふうな歴史が長くあるわけでありますが、そこまでいかなくても、EC諸国におきましては取引高税なりそういったものがかなり普及していたというこういう歴史と、日本においては所得税とそれから物品税でやってきたという戦後の税制の歴史というものが長らく定着しているとい うことは言えるんじゃなかろうかと思います。
○高井和伸君 ありがとうございました。
○寺崎昭久君 和田先生にお伺いします。 先ほど先生は、消費税を徹底的に見直せば伝票方式を採用することになる、特例措置をやめることになる、そうでなければ見直しにはならないという御所見を述べられましたが、私も同感でございます。特例措置によって納税者から消費者が納めた税金が国庫に入らないというのはこれはもちろん大問題でございますけれども、もう一つ消費税に関して私は体系上の問題を感じております。と申しますのは、限界控除制度というのは果たして消費税と矛盾しないんだろうかということでございます。 それは、税金というのはもちろんストレートに国庫に納めるのが当たり前でありますけれども、限界控除制度というのはもう言うまでもなく納税義務者の段階で減額されるということであり、これは消費税というよりはむしろ事業税の一種ではなかろうか、事業税の一種をなぜ消費者が払わなければいけないのか、そういう疑問を持っているわけですが、御所見を伺いたいと思います。
○公述人(和田八束君) 限界控除制度は今御説明がございましたように非常によくわからないところでありまして、先日税制調査会の第三十回総会で報告されましたフォローアップ小委員会の中間報告におきましても、これは専ら納税者の何といいますか、手続といいますか、手間を、納税の手数を簡素化するものであるというふうな説明になっているわけでありますけれども、納税事務のコストの補てんというふうに書いていますね。補てんというふうに書いてありますけれども、実は当初大蔵省が出している「消費税の解説」というのがあるんですが、これを見ますとそういうふうには説明されていないわけで、限界控除制度は急激な税負担の緩和というふうに書かれております。そういうふうに急激な、つまり三千万円から六千万円の間での税負担の急激な変化を緩和するんだというふうなことになりますと、これは間接税というよりも直接税の説明でありまして、論理的に非常に矛盾しているというふうに考えざるを得ないわけです。 フォローアップの方はそういう説を捨てておりまして、単に納税コストの補てんというふうに言っていますけれども、これもおかしなことでありまして、三千万円から六千万円のところに納税コストを補てんというのは、つまり還付するというふうなことなんでしょうか。あるいは補助金的に出すということなんでしょうか。これも説明として甚だ理解しにくいところでありまして、今御説明のように非常に不可解というほかない制度だと思います。
○寺崎昭久君 牛嶋先生にお伺いいたします。 先ほど、税制には不満の均等化、あるいは同程度の痛税感を感じるようなそういう税制が望ましいんだという御趣旨のお話がございましたけれども、サラリーマンという立場から見ますとすぐ不公平税制の是正という話が出てくるわけでございます。ただ、これにはいろいろな問題もあるようでございますが、また別の声としましては、サラリーマンの所得税についても二分二乗方式、あるいは給与所得控除のほかに必要経費の幅をもっともっと広げてそれもあわせて認めたらどうか、こういう意見があるわけでありますが、御所見を伺いたいと思います。
○公述人(牛嶋正君) 私、サラリーマンの所得税につきまして、今の給与所得控除が果たして妥当であるかどうかということを、典型的なサラリーマンを何人か選びまして、その経費のうち必要経費と見られるものを算定してやってみました。そうしますと、今の給与所得控除というのはかなり必要経費を多く見ているというふうに思います。これはどうしてかというと、これまでの税制改正が、事業者の事業所得に対して給与所得がどうしても捕捉率が非常に高いというふうなことで、事業者の方の捕捉率を上げないでそして給与所得の方をまけてきたからですね。ですから、こういうやり方がずっと続いてきた結果じゃないかというふうに思っております。 ですから、もう一度やっぱり所得税に関しまして、不公平税制というのは何もサラリーマンのところから上がっているのではなくて、所得税でもって公平な税制を組み立てていこうとすれば、そこのところはきちっとすべきではないかというふうに思っております。そして、シャウプ税制も所得税につきまして三原則を挙げているわけですね。一つは総合課税、それからもう一つは申告納税、それからもう一つは累進課税です。今まで守られてきたのはいわば累進課税だけでございます。サラリーマンにつきましては申告納税ではありません。源泉徴収です。しかも、総合課税ではありません。 ですから、先ほどもお話がありましたように、西ヨーロッパの国々の税制を見ましてもやっぱり所得税が中心なんですね。ですから、所得税がなぜ中心に置かれてきたのかというと、所得税が一番累進課税でもって公平な税であり得るということから置かれてきたと思うので、日本も高齢化社会を迎えるに当たりましてもやっぱり所得税中心で私はいくべきだと思っておりますが、そうだといたしますと、その三つの原則を早く要件を整えていくということが必要ではないかと思っております。 そういう意味では、私先ほども申しましたように、所得税の見直しは非常に不徹底であったというふうに思いますし、それから法人税の見直しも不徹底だったというふうに思っております。
○寺崎昭久君 ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) 以上で公述人に対する質疑は終わりました。 この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。 皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。 午後一時三十分から公聴会を再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時三十二分休憩 ─────・───── 午後一時三十二分開会
○委員長(中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会公聴会を再開いたします。 休憩前に引き続き、消費税法を廃止する法律案外八案につきまして、午後は六名の公述人の方々から御意見を拝聴いたします。 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 皆様には、御多忙中のところ本委員会のために御出席をいただき、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。 本日は、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしてまいりたいと存じますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後で委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 それでは、これより順次御意見を承ります。 まず、佐多公述人にお願いをいたします。
○公述人(佐多宗二君) 私は、全国商工会連合会会長の佐多でございます。 ただいま審議になっておりまする消費税法廃止関連法案について意見を述べさせていただきたいと存じます。 まず、今般の消費税導入を含む税制改革全体について申し述べますと、今回の税制改革は、二十一世紀を展望して、これからの高齢化社会の到来、経済社会の一層の国際化の進展に備えるべく行われたものであるとともに、所得、資産、消費間のバランスのとれた安定した我が国の税体系を築いていくという理念のもとに行われたものであると認識をいたしております。 具体的には、御高承のとおり、所得税の負担の 軽減合理化、法人税率の段階的引き下げ、相続税の見直し、不公平税制の是正、そして消費税の導入が行われたのであります。 私は、税制の基本的なあり方といたしましては、第一に、税制は高いか安いかの前に公平でなくてはならないと思います。第二は、税制は国民の前に中立で公正でなければならないと思います。そして第三は、できる限りわかりやすく簡素でなければならないという三項目が極めて大切であると考えております。こうした基本的な考えに照らしましても、今般の税制改革はおおむね評価いたしております。 さて次に、御審議いただいておりまする消費税法廃止関連法案について意見を述べさせていただきます。 この消費税法廃止関連法案につきましては、消費税が廃止となった場合のいわゆる代替財源関連五法案をも踏まえて検討することが肝要だというふうに思います。単に消費税の存続、廃止のみを議論し、仮に消費税を廃止するとしても、廃止に伴う代替財源の手当てがなされていなければ国民経済に大きな混乱を招くことに相なります。 こうした点から今回の消費税法廃止関連法案を検討してみますと、まず消費税法廃止関連法案全般については、消費税の廃止がひとり歩きをし、税制全体をどう改革していくかという理念が明確になっていないと思われます。 現行の消費税は、先ほど申し述べましたとおり、税制改革の一環として所得、資産、消費の間のバランスを考え、高齢化社会の到来に備えるといった長期ビジョンに基づいて導入されたものでありますが、今回の関連法案ではこういった明確な理念が私どもに伝わってまいりません。仮に消費税を廃止するといたしましても、消費税を導入しないでどのように税体系全体の均衡を図っていこうとするのか、代替財源の案ではいま一つはっきりせず、こうした点が明瞭になりませんと国民の立場からは同法案に賛同することはできません。 続いて、消費税を廃止した場合の代替財源案の主要な項目について私の考えを述べてみたいと存じます。 まず第一に、税の自然増収についてでありますが、過去の経済の動向を見るまでもなく、景気は常に変動してきております。ここ二、三年は好景気のために予想以上の増収となっておりまするが、今後とも引き続き好景気が維持されるとは限りません。好景気が常に続くと仮定した税の自然増収を当て込んだ代替財源案は慎重を欠くものであり、財政運営上非常に危険であります。そもそも税の自然増収は、現在圏の財政状況を考えるならば、百五十兆円を超す国債の償還に充当すべきであるというのが基本と考えます。企業なり、家計を預かる者は、まず借金を返す努力をすることが当然であります。 けさのニュースを見ておりまするというと、久しぶりに来年度の予算に赤字国債を発行しないというふうにうたわれております。また積立基金も八年目に振りかえ是正を二兆六千億やっておるようであります。 第二は個別物品税の復活についてであります。今回消費税が創設された大きな理由の一つとして、個別間接税では時代に合わなくなってきたということであろうかと存じます。つまり所得水準が上昇し、平準化し、消費態様や価値観の多様化、サービス化などの進展により、だれもが納得できる、何がぜいたく品なのかの客観的基準を設けることが困難になってきたからだと思います。例えば、コーヒーが課税で紅茶は非課税とか、毛皮が課税で高級着物が非課税といったような矛盾。自動車などは、かつてぜいたく品であったかもしれませんが、現在では国民生活上既に必需品となっております。公平、簡素を目指した今回の消費税を廃止して、個別物品税を新税率三段階で復活することは、逆に不公平税制復活を意味することにほかなりません。 第三は、料飲等消費税の復活であります。料飲等消費税を復活することは消費実態の流れに逆行するものであります。料理飲食という国民生活の特定分野により多くの負担を求めることとなり、税の公平さを欠くことになります。 第四には、法人税基本税率の引き下げの凍結についてであります。経済の国際化が一層進展する中で、先進主要諸外国では法人税率の大幅な引き下げが図られております。我が国の実効税率五〇%を超す高率の法人負担は、企業の活性化を妨げるほか、企業の海外流出による産業の空洞化を招き、国内の雇用が減少するおそれがあります。特に大企業に比べ経営基盤の弱い私ども中小企業にとっては、基盤強化を阻害する法人税率三七・五%の引き下げを凍結し当面四〇%にとどめることは賛成できません。したがって、政府の税制改革の原案どおりの引き下げを図ることが必要であります。 以上申し上げましたとおり、消費税法廃止関連法案には多くの問題があり、基本的に反対であります。 最後に、私ども商工会は、消費税の導入以降、小規模事業者を中心に消費税導入の円滑化に向けて、講習会の開催、啓発普及事業の実施など、組織を挙げて努力を傾注してまいりました。こうした努力の積み重ねにより、事業者については大きな混乱もなく順調に実施されていると考えております。また、消費者につきましても、政府が中央、地方を問わず新聞、テレビを通じてPRを行ったこともあり、消費税の導入時に比べるとかなり理解が進んできていると推察をいたしております。こうしたことから、消費税は、現在、国民各層において確実に定着しつつあると判断していいのではないかと思います。こうした定着化が進んでいる現状において、消費税を廃止し旧物品税を復活することなどは、国民の間に無用の混乱と国政への不信を招くだけではないかと憂慮するものであります。 なお、私どもにおきましては、各都道府県県連会長を対象に、消費税の今後の取り扱いについて実態調査いたしましたところ、消費税を廃止すべきであるとの回答は皆無でありました。そういうことから、事業者、とりわけ中小企業者においては、減税先行の消費税の必要性、減税を先行していただきましたから消費税の必要性を認めていると判断をいたしております。こうした中小企業の声にも十分耳を傾けて御審議していただきたいと存じます。 以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。 次に、富岡公述人にお願いをいたします。
○公述人(富岡幸雄君) 中央大学の富岡であります。 私は、この参議院にはこれで三年続けてお邪魔しております。ことしは三月二日の衆議院の予算委員会、そして五月十八日でしたか、参議院の予算委員会、それから昨年の参議院の予算委員会におきましても、大変恐縮でございますが、消費税という税金は好ましくない税金であるからぜひおやりいただきたくない、平成元年の予算に組み込まれておりますが、ぜひ勇断を持って凍結していただきたいということを述べまして、衆議院では大変おしかりをいただいたわけでございます。 税に関する研究者として、私は、参議院から意見を述べろと言われましてまたここに参りました。つたない研究の成果の一端ではございますが御披露を申し上げ、国政の御審議の参考にしていただくことができますことを光栄に存じ、中村委員長初め理事、委員各位の先生方に深く敬意を表します。 私は、参議院から呼ばれたのでありまして、党派を超えて自分の学問的信念に従い、平素述べてきたことをきょうもここでまた述べるわけでございまして、かわりばえがないことになるかもしれません。 常々考えておりますことは、税制はまさに政治の顔なのであります。その国の政治が国民によって信頼され、尊敬されているかどうかは、その国の税制が真に公平にして公正なものであると国民 により認められておるか否かにかかっておると考えます。政治の安定は、揺るぎなき税制の尊厳と権威が不動のものとして確立していることにより初めて期待できると考えております。現在我が国の税金は、国民所得に対してその負担率は諸外国のそれに比べて決して高い水準でないと私は考えます。 にもかかわらず税に関する国民の不満が大きいのは何ゆえでしょうか。それは国民が、国や社会のことよりも自分自身や自分の家庭だけの利益を中心に考えるエゴに偏り、残念ながら公共精神が低下しておることにもよると思いますが、根本的には現行の我が税制に限りなきゆがみとひずみがあり、税金の取られ方が公平でないと国民が考えておるからだと思います。先生方、いかがでしょうか。大企業や資産家など所得の多い人や負担能力のある者がそれにふさわしい税金を納めていないのではないか、こういうような根深い不信感があるように思えてならないのであります。 さて、きょうの議題は消費税でございますが、おしかりをいただくことを覚悟してまた述べなければなりません。消費税への国民の怒りは三つあります。第一は、取られた税金がどこかへ行っちゃって、どうも国に入らないのじゃないか。これは中小企業に与えられた課税の特例である免税点、限界控除、簡易課税等制度的、技術的な欠陥がもたらした結果であります。二つ目は、すべての国民が減税となるというように政府の数字は発表されていますが、消費支出の見方、消費性向の見方、課税支出割合の見方によってはどうもそうでない、大部分のサラリーマンが逆に三%でも増税になるじゃないか、こういうことでございます。三つ目は、所得税、法人税にたくさんの不公平税制があるんだ、それらをきちっと直していただかないで、みんなが余り賛成していないこの大型間接税を入れられたということではないかと思っております。 問題はこの消費税という税の性質ですが、言葉を慎みながら述べるつもりでございますが、お耳ざわりの点があろうかと思います、お許し賜りたいんですが、特徴は五つぐらいあります。 第一は、生活それ自体が課税の原因なんです。生きていること自身が課税の原因なんです。担税能力とは無関係に課税されてしまうんです。消費者の生活物質や住居、生活必需品にもかかりますね。小倉税調会長は、生活必需品に課税するから取りはぐれがないんだ、こうおっしゃられております。 二つ目は、税金を物価に変身させてしまうことです。つまり、流通のあらゆる段階にかかりますから、この税金がある限り絶対にこの税金から逃れられないんですよ。ですから、今回の見直しで最終段階で食料品を小売段階で非課税にしてもそれほど物価は下がらないんです。これは、税が物価に変身して流通の各段階に潜り込んで見えない税金になってしまうメカニズムが消費税というこの税金にあるんです。 三つ目は、消費者を商店街のお店屋さんと争わせるようないわば不信税。取られ過ぎているんじゃないか、便乗値上げがあるんじゃないかというような、お店屋さんと買い物をする人たちとの不信感が根強くこの国に浸透しつつあります。 四つ目は、政府が転嫁と称して値上げムードをつくっておる、いわば値上げ税。業界のカルテル体質を醸成するような、経済秩序を崩壊するようなおそれがあります。この点については速やかに見直すという点がありまして、敬意を表しますが、大変なことです、これは。 五番目は、事業者を徴税代理人に仕立て上げたんです。先ほど全国商工会の会長は賛成されているようですが、全国の小さな商店街は大変な苦労をしております。徴税代理業務を課せられて、きちんと転嫁できなければ自己負担になる、こういうような点なんですね。 そして、消費税の欠陥というのは、やはり本質的な欠陥と技術的な欠陥があります。 本質的欠陥は、弱い者いじめの逆進性、二番目が生活必需品にも課税する過酷さ、三番目はぜいたく品にも生活必需品にも同率で課税する不合理さ、それから何よりも心配なのは放漫財政への危険が大きいということです。国会に来て申し上げるのは大変恐縮ですが、政治家の先生方に打ち出の小づちを与えるとどうしても規模が大きくなって危ないんです、済みません。五つ目、これは私の持論ですが、所得税や法人税に膨大な不公平税制があるんです。ぜひこれは質問してください。これをやってほしいんです。こんな税金ができると、一%で二兆円入りますから、抵抗の多い、やりにくい不公平税制の是正なんかやることができなくなります。こういう問題があるんですね。 そして、技術的欠陥というのがあるんですよ。技術的欠陥は、つまり帳簿方式とか免税点とか簡易課税です。それらを当然直していただけると実は考えたんですよ。私は、消費税に見直しなどはあり得ない、この税は廃止していただくしかないというのが学問的信念であります。ありますが、せっかく政府・自民党さんが英知を傾けて見直しをされるとおっしゃいましたから期待したんです。大変な御苦労をしていただきましたね。謹んで敬意を表します。 まず第一は、消費者向けの配慮として食料品の軽減税率と非課税をセットされましたね。二つ目は、事業者向けの姿勢として免税点や簡易課税という事業者への特例の見直しを先送りしましたね。いずれにもよい顔をしようとしてなかなか巧妙な案のようですが、少し突っ込んで考えてみると、もともと不公正で欠陥の多い消費税にさらに新たな矛盾と混乱を追加したと言わざるを得ないのであります。意見があったら後で質問してください。 まず、このような見直しによって一番の問題である、基本的欠陥である逆進性が緩和されたかという問題です。最初は食料品全段階非課税という案だったんです。これだと消費税に風穴があきますから、そこで軽減税率という案が出てきました。その気持ちはよくわかります。これだけ苦労してやっとの思いで導入した消費税なんですよ。何とかこれを維持していきたいという気持ちはよくわかりますが、もともと無理があるんですよ。そこで結局は妥協の産物として、小売段階だけは非課税にする、そして軽減税率、これを一・五導入、世界に類を見ない複雑怪奇な制度をまたつくってしまったんです。 きのうもこの委員会で御熱心に御審議があったように承っておりますが、食料品の価格は一・八%ぐらい下がるというような御意見でしょうが、果たしてどうでしょうか、疑問があります。そして、それによる減収は九千九百億というふうにも言われておりますが、そんなになるんでしょうか。これは生産流通コストを八〇%で見た場合の理論値だと思いますが、従来どおり三%の消費税が上乗せされる容器、包装、運賃、宣伝コストなど、いろんなものがかかってきまして流通の中に紛れ込みますから、小売段階でそんなに下がらないんです。心配なのは、小売段階が非課税になるために消費税が値札の裏に隠れてしまう、内税化してしまうわけです。消費者はどれだけ値下がりがあったかさっぱりわけのわからないことになってしまう、こういうことになるおそれがあります。 国民の食料支出のトータルは約四十二兆円。外食産業や酒を除きますから三十七、八兆円ということでしょうか、どう計算しても政府のおっしゃるような九千九百億にはなりません。非課税では生産段階への消費税分の転嫁ができないという反対が強かったためにこうなったのでありまして、決して消費者のことを考えたのではないと思います。本当に消費者のことを考えて食料品を非課税にして逆進性をなくしたいならば、全段階非課税にして、ゼロ税率を導入しなければ絶対非課税にならないんです。ゼロ税率を導入するか、あるいは消費税をやめるかということです。 それから二つ目として、冒頭述べました消費者の払った税金が国に入らないというこの技術的欠陥については全然触れられなかったことです。この点は甚だ残念でございます。 それから三つ目は、もともと不透明の仕組みが、 小売段階の非課税化という新たな要素が加わったために国民には一段とわかりにくいものになりました。税は簡明でなければなりません。小売店では食料品は非課税扱いになるために税額表示がなくなります。他の商品についても価格と税金を含めて内税化して金額の表示がなされるでしょう。一段とこれで税が不透明になり、国民はわけのわからない形で税金を取られてしまうんじゃないか、こういう不信が募ります。総額表示を指導するという方針もあるようでございますが、国民から税が見えなくするようにしてしまって、取りやすいところから税金を取るという非難があることもぜひ知ってほしいのでございます。 消費税は、それが存在する限り、流通のあらゆる段階に物の値段、物の価格として隠れた税負担となってしまうのでありまして、物価に変身してしまうのですから、この税金は非課税にしても絶対に逃れられない、こういう厄介な税金なんです。所得税の場合は非課税ですと完全に非課税ですがね。 問題は、私がそんなになぜ消費税を申し上げるかというと、その前に所得税、法人税にたくさんのゆがみと不公平があるということです。税金というのは、基本的には、応能負担原理と所得再配分機能を完全に達成するようなものに、それに近いものでなければならないと思います。つまり、いろんな資産格差、所得格差がますます増大しておりますね。額に汗してまじめにこつこつ働くことをとうといとするような勤労観を失うようなことが心配なんです。 まず私がお願いしたいことは、土地や株価の上昇によって資産格差が拡大し、それが生活格差を一段と大きくして、経済大国、生活小国の実態が浮き彫りになっております。地価の上昇なんか、個人の努力や選択ではどうしようもない分野で格差が拡大しているということは、国の将来にとって深刻な問題です。そこで、やはりもう一度所得税の原点に帰って、応能負担原理、所得再配分の見地から見直してほしい。 所得税においてはぜひ述べたいことが四点あります。一つは、サラリーマンの所得のような勤労性所得に相対的に重く税金がかかり割高になっておるということです。二つ目は、利子や配当、土地や株の譲渡所得など資産性所得に課税除外や分離課税や特別控除等がありまして、総合課税が空洞化しているということです。三つ目は、個人事業者に対する所得課税が非近代的であり、おくれておるということです。みなし法人課税は不公平税制ではありません。個人企業の人格を認める税制をやるべきです。会長、賛成じゃないですか。 四番目、フリンジベネフィットと言われるように、非課税の経済的利益が給与所得者にも多く存在します。これらを見直してほしいんです。私はこれを見直すことによって、後で数字は御質問にお答えしますが、大きな財源が得られます。このことを述べたいのであります。 そのほかに、この所得税の見直しで、私の計算ですと、平成元年の国税収入の平年度分が四兆五千六百億であります。後でぜひ質問してください。法人税につきましては、法人課税の基本が時代おくれです。まさに法人課税の基本的仕組みが日本の経済の実態から遊離した非近代的、前近代的なものになっております。ですから、大法人の財テクによる配当金に対する膨大な益金が課税除外になっていますね。受け取り配当課税の是正、それから一部の引当金についての見直し、それから、私は特に専門でございますが、税務会計制度の自由化といって、課税所得の計算の中に非常に緩みがございまして、資産に計上すべきものがどんどんどんどん経費でおっこちるんです。 それから国際課税に欠陥があります。国際二重課税排除のために必要な外国税額控除制度に重大な欠陥があります。これは先般の税制改革で一部直していただきましたが、不十分です。昨年の改正は二年前に中曽根内閣が売上税とともに提案した内容がそのままでありまして、その後の我々の批判に対して一つもこたえていません。あれでは国際二重課税排除の達成はできません。税金を納めてない大企業が存在するという傾向は本質的に変わっていません。 それから、タックスヘーブンという税金天国の乱用。税金のない国々を利用して、大企業は複雑な経理操作をしながら税金を合法的に逃れている。タックスヘーブンの乱用、海外取引による脱税の取り締まり等の強化がぜひ必要です。移転価格操作も一段と厳しくする必要があります。 さらに特殊法人ですが、公益法人、医療法人等の課税の見直し、これは準備金、特別償却等も要らないものは直していただきたいのであります。法人税につきまして、それで三兆三千億です。先ほどの所得税と法人税を合わせまして、平成元年度、平年度分国税収入で、私の試算によると、七兆八千六百億という課税漏れ、つまり不公平税制、ゆがみがあります。これを直していただきたい。 私は、このたび国民の総意を受けてこの参議院に消費税廃止法案が提案されたことに対して感動しております。国民の声が国会に反映して、そして私どもがぜひやめてほしいとお願いした消費税廃止法案がこの議会に提案され、その場において私が意見を述べることは無上の光栄であり幸せであります。ぜひとも皆さん賛成していただいて、速やかに消費税を廃止し、そして不公平税制の是正のために頑張ってください。お願いしまして終わります。ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。 次に、水野公述人にお願いをいたします。
○公述人(水野正一君) 中京大学の水野でございます。消費税法を廃止する法律案等につきまして意見を述べさせていただきます。 まず、消費税をめぐる与野党の動きにつきましては、国民生活及び国民経済の基礎となる税制を政争の具にしている印象が極めて強く、一財政学者として、また一国民としてまことに憂慮にたえないことを申し上げておきます。 もちろん、税制改革は殊さらに政治問題でありまして、政治的な意見の対立があることは当然でありますが、まともな政策論争よりも党利党略が優先しているような印象を受けることはまことに残念であります。このままでは我が国の税制は大きくゆがめられ、政治に対する信頼はますます失われるのみならず、社会経済の存立をも危うくするおそれがあります。 私は、消費税廃止関連法案に反対いたします。その理由は次のようであります。 第一に、竹下内閣で断行しました税制改革は、シャウプ税制改革以後の社会経済の大きな変化に伴って生じた税制のゆがみを是正するとともに、高齢社会の到来に向けてその対応を図る画期的な税制改革でありまして、その中核の一つである消費税はこの四月から実施されたばかりであります。まず何よりも大事なことは、その定着を図っていくことであります。このような段階において消費税を廃止することはおよそ無謀きわまりないことであります。 およそ国民生活及び国民経済の重要なインフラストラクチャーである税制は簡単に改廃すべきものではありません。特に税制改革のような大改革は何十年に一回というものであり、短期間にたびたび行うべきものではありません。税制においてもし朝令暮改ということがあれば、国民生活、社会経済にはかり知れない損害を及ぼすことになります。 第二に、消費税廃止関連法案の提案理由として挙げられているものとして、一つは、消費税は自民党の公約違反の大型間接税である。第二に、民意に問うことなく、国会において十分な審議を行わないまま強行採決によって成立したものである。三番目に、消費税自体数々の欠陥を有し、国民の支持を得られない悪税であるということがその提案理由の主なものだと考えられますが、これらは全く納得できないものであります。 消費税が大型間接税であると決めつけることには疑問があります。大型間接税の定義をはっきりさせないままにこの言葉が横行していますが、私はわずか三%の税率の消費税は、中型ですらなく、 小型間接税であると考えております。また、昭和六十二年四月の原衆議院議長のあっせん案等、消費税導入の経緯を見ますと、これが公約違反であるとすることには大きな疑義があります。国会において十分な審議を行わなかったことの責任は、消費税審議を拒否し続けた野党に多くあるのではないか。強行採決を非難するが、そうせざるを得なくした野党こそ責められるべきではないでしょうか。 消費税に反対する民意は参議院選挙の結果に明白に出ており、消費税実施後においても多くの混乱が生じ、消費税批判の声はさらに高まっていると言われますが、これは必ずしも事実に合致しない一方的な見解であると存じます。参院選挙における自民党の後退は、リクルート問題、農業問題等も絡んでおり、消費税反対のみによるものではありません。消費税が巻き添えを食った感じであり、消費税にとっては不運であったと考えます。消費税反対も多分にムード的な要素が強かったように思います。 言葉じりをとらえるようで甚だ恐縮ですが、すべての国民が消費税に反対しているとか、あるいは消費税反対は国民の総意であるという主張がよくなされますが、これは言い過ぎでありまして、事実に反しているように思われます。現に、私のように消費税賛成論者も多いわけであります。 また、消費税実施に際しての混乱というものも、画期的な新税の導入にしては予想外に少なく、多くの人々は割合平静に受けとめ、徐々に定着しつつあるように見受けられます。導入前には反対し、あるいは危惧を抱いておりましたが、実施後はかえって杞憂にすぎなかったことがわかった人も多いと思われます。 消費税は多くの欠陥を持ち、悪税であるから廃止すべきであるという主張も全く同意できないものであります。消費税は逆進的であるから不公平な税であると言われます。しかし、わずか三%の税率の消費税の逆進性なるものはネグリジブルスモールのものでありまして、これをあげつらうことは余りにも建前にとらわれ過ぎた議論であり、重箱の隅をつつくような小児病的な議論であります。また、税の累進性、逆進性は税体系全体で考えるべき問題でありまして、負担の公平性は財政支出も含めて判断すべきものであります。さらに、税負担の公平性を言う場合、水平的公平性及び便益説の立場からの公平性の概念もあることを無視すべきではありません。これらの観点からの公平概念によれば、消費税はむしろ公平な税であるとも言うことができます。 一方では、便乗値上げによる過剰転嫁が生じているとし、他方では、転嫁が困難で業者が背負い込むことになると批判しておりますが、各種の情報によって判断するところでは、転嫁はむしろ比較的スムーズに行われておりまして、転嫁についての消費税反対論者の指摘は部分的現象の誇張であります。転嫁に関する世上の多くの議論が古い二世紀ぐらい前の価格理論に基づいて行われているのは、経済学者として理解困難なところであります。 免税点制度や簡易課税制度についても、これらは中立性、公平性の観点から問題があるとして消費税を批判します。しかし、これは徴税と納税の簡素化との兼ね合いの問題であります。中立性、公平性におけるデメリットと簡素化のメリットを比較していずれが大きいかの判断によるものであります。私は、むしろ簡素化によるメリットの方が上回ると判断しております。そもそも、税制については租税原則と言われる幾つかの観点から考察されるべきものであります。いかなる税も単独ではすべての原則を満たすことは不可能でありまして、税制全体としてこれらの諸原則が適当なバランスにおいて満たされることが求められております。消費税についてもすべての原則を満たすことを求めるのは無理であります。ある原則を満たさないからだめで廃止しなければならないというのであれば、恐らく生き残る税はなくなってしまうと思われます。 消費税は、逆に幾つかの長所を持ち、所得課税を補完するというよりも、それとともに税体系の中核となるべき性格の税であります。それゆえにこそ、現在EC諸国を初め世界で四十七カ国もの多くの国々が実施しているのであります。 第三に、明確な税制改革の代案を示すことなく、竹下税制改革のうち国民の人気取りの性格の強い所得税減税の方は残し、消費税の方を廃止することは、仮にそのための代替財源案が妥当なものであるとしても、いたずらに税制の混乱を招き、税制に対する国民の信頼をますます減退させるのみならず、国民生活、社会経済に大きな損害を与えるものとして到底容認できないものであります。また、代替財源案についても、それが二年間の暫定的なものであるといいましても、幾つかの重要な問題をはらんでおります。 まず、この代替財源案では、初めから増税額は消費税廃止による税の減収額に大きく不足し、税の自然増に依存しなければならないものでありますが、これこそまさに財政に対する無責任な態度を露呈するものであります。財政の現状をどのように考え、減税のマクロ経済的効果をどのように考慮しているのでしょうか。財源的につじつまを合わせることはどのようなことをしても可能であります。しかし、単につじつまが合えばよいというものではありません。税の自然増に依存することは、結局は減税に依存するということであります。減税をするかどうかは、単に税制の問題だけでなく、マクロ経済的な安定政策の観点も含めて財政政策全体の立場から考えるべき問題であります。景気の情勢によっては減税が景気の過熱をもたらすこともあります。また、財政の現状を考えると、税の増収があればなるべく国債の減額に向けるべきでありまして、減税によって安易な人気取りをしている余裕などないはずであります。 代替財源案はとりあえずの措置であるといっても、法人税の強化、物品税の復活、有価証券譲渡益課税及び有価証券取引税の強化等は、それぞれ経済等に及ぼす影響が大きく、重大な問題を含んでいるとともに、代替財源としても不十分であり、不確実なものであり、認めることはできません。 以上、述べてきましたように、既に実施されている税制改革は、画期的なシャウプ税制改革以来のものでありまして、その着実な定着を図っていくことこそ当面の課題であるべきであります。明確な改革案を示すことなく消費税の廃止を求めることは暴論であるとしか言えません。代替財源案も到底批判にたえられるものではありません。税制を政争の具にしていじくり回すことは、国民生活、国民経済の基盤である税制をゆがめるものでありまして、現在的、将来的にそれがもたらす損害ははかり知れません。これらの理由で、私は消費税廃止関連法案に反対いたします。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。 次に、粕谷公述人にお願いをいたします。
○公述人(粕谷晴江君) ただいま御紹介にあずかりました税理士の粕谷晴江でございます。 私は、物品税の問題を中心に意見を述べさせていただきたいと思います。 消費税法を廃止する法律案を国会に上程しました野党四会派の代替財源案の中に物品税の復活が含まれています。物品税といいますとそれだけで欠陥税制あるいは時代おくれの税制のように言われますが、果たして物品税は欠陥税制でしょうか、時代おくれの税制でしょうか。今回、物品税が廃止されましたのは、欠陥税制、時代おくれの税制ということより、課税品目の見直しを行おうとすると業界などの利害、思惑が絡まって見直しをしにくいということではなかったのでしょうか。 確かに、従来の物品税は、指摘されますように、ぜいたく品に課税するという趣旨ながらいまだに扇風機や幻灯機に課税されるなど、現状にそぐわない面がありました。しかし、それはむしろ政府が毎年の税制改正に課税対象の見直しを行わなかったため、消費の態様にそぐわなくなって、課税品目や税負担にアンバランスが生じたものです。制度そのものの欠陥とは言えません。課税品 目や税率を適正に正せば、間接税としては消費税より合理的な税制であったと言えます。 次に、物品税等と消費税の仕組みの違いにつきまして幾つか述べてみたいと思います。 消費に対して課税する消費税には、従来の物品税に代表されますような特定の物品やサービスに課税する個別消費税と、消費税のように非課税品目に特定されたもの以外、あらゆる物品やサービス等に課税する一般消費税、いわゆる大型間接税の二つがあります。個別消費税と一般消費税の違い、つまり物品税等と消費税の違いは、一つは、物品税等は流通の中で、製造または小売などの段階で一回だけ課税されるのに対して、消費税は一つの物の流れに沿って、製造、卸、小売と生産から販売までの各流通段階ごとに課税されるという網羅的なシステムであることです。やはりすべての取引に課税する取引高税と消費税の違いは、消費税では前の流通段階までにかかった消費税額を差し引いて税金を納める前段階税額控除方式により税の累積を排除していることです。 今回、政府・自民党は、消費税見直しの過程で食料品を全流通段階で非課税にするという案を見送りました。ゼロ税率や軽減税率を採用せず非課税にすれば、農家は肥料や農機具にかかった消費税を、卸や小売の事業者は運賃や包装代にかかった消費税を控除できず、それぞれがかぶらなければならなくなるようなことも考えたためでしょうが、複数税率や小売段階非課税は、事業者の経理事務が複雑になり、事業者から反発が出ると思います。 消費税の非課税品目をふやし、ぜいたく品に高い税率を用いれば、消費税でも物品税でも変わらないではないかと考える方も、消費税に非課税品目をもうけることが流通経路全般に複雑な問題を生じ、思いどおりにいかないということが政府の見直し作業の過程からも御理解いただけたと思います。これは今回の消費税が多段階課税、前段階税額控除方式に加えまして帳簿方式をとったためです。物品税などのように一つの流通段階で課税され、課税品目ごとに税率が設定される個別消費税では生じない問題です。 それならば、小売売上税のように単段階課税の大型間接税ならば物品税と変わらないではないかということになるかもしれませんが、税負担能力に応じて課税物品を選び、物品ごとに税率や免税点を設定することができます個別消費税制度とは異なり、小売売上税は原則として小売段階のすべての物品に課税されますので、やはり逆進性の緩和という観点から物品税等と違いが出てきます。 次に、逆進性の緩和について比べてみたいと思います。 あらゆるものに課税する消費税に対して、物品税等では初めに税負担能力に応じて課税する物品やサービスを選ぶことができます。ですから逆進性に配慮して、通常の食料品や生活必需品などを課税品目から除外することができるわけです。さらに、物品税等では幾ら以下のものには税がかからないという課税最低限を課税物品ごとに設けることができます。廃止された物品税で例をとってみますと、製造段階課税のものですが、小売価格に直しまして二十二、三万円以下の衣服用たんす、十四、五万円以下の机、七万円前後以下のハンドバッグなどが課税されていませんでした。これによって国民はその品を買うか買わないか、同じ品でもどちらを買うか、ハンドバッグでしたら物品税のかからない七万円以下のものを買うのか、物品税がかかっても七万円以上のものを買うのかなど消費の選択ができるわけです。このように、一定の免税点を超えるものだけに課税することによっても物品税等は間接税の持つ最大の欠点である逆進性を相当程度緩和することができてくるのです。 大型間接税である消費税は、他の税目に比べて納税のためのコストが多くかかり、納税義務者である事業者の負担になります。この事業者の事務負担、税負担を軽減するため設けられた簡易課税、限界控除、免税点等の制度は、消費者が負担した消費税分が一部業者の懐に残るという不合理な面をもたらしました。このことが消費税に対する消費者の不信を強めていますが、預かった税金をそのまま国庫に納める制度の物品税等では事務負担も消費税に比べると少なく、このようなことは起こりません。 以上、物品税等と消費税の違いを述べましたが、食料品等生活必需品の非課税、ぜいたく品に対する高い税率の適用、簡易課税制度等の廃止など、国民が見直しを求め、描いている間接税制度は、実は消費税の形を変えたものではなく、制度としては個別消費税の形態であることを強調させていただきたかったのです。 従来の個別消費税は多様化した消費の実態にそぐわない不合理が生じていました。ぜいたく品の定義の難しさやサービスの分野への課税が不十分であるという指摘もされています。税金が見えないために税として認識しにくいということもあります。 課税品目を税負担能力と消費態様に即した適正なものに正し、税負担がわかるような表示方法をとるようにして見直しが行われることが望まれます。そして、今後、消費動向の実態に適合するよう常に見直しが行われることが望まれます。その際、適正な見直しがスムーズに行われるよう業界や政党に中立な税制、財政、法律の専門家、納税者、消費者等の代表による協議機関をつくり、そこで税制上、財政上、経済上のあらゆる側面から検討審議して基準を策定することをぜひ提案したいと思います。 間接税を論ずる中で逆進性は大きな問題ではないとする意見がありますので、逆進性と間接税について述べさせていただきたいと思います。 間接税を論ずる中で逆進性は大きな問題ではない、所得は平準化している、所得の低い人たちには財政支出で補えばいいという意見があります。しかし、ことしの経済白書にも書かれていますように、依然として所得分配にも大きな格差がありますが、それ以上に資産格差が拡大している点が問題です。昨今の株価の上昇や土地価格の高騰を反映して、持てる者と持てない者の差は広がるばかりです。 このたびの政府の見直し案について静岡大学グループが発表しましたシミュレーションによりましても、見直し案により逆進性カーブはやや緩和されるものの、なお高額所得者と低額所得者では二倍以上の格差が残ると指摘しています。このような中で強い逆進性を持つ消費税が継続されますと、資産の偏在を助長し、貧富の差を大きくすることになります。社会保障等財政で補うといいますが、これらの保障を受けられない多くの所得の低い人たちを救うことができません。また、社会保障を受ける人を過不足なく手当てしようとしますと、多くの財源を必要とし、消費税の税率の引き上げにつながっていきます。逆進性の問題を低く評価する意見は、不労所得による富の不平等が国民の働く意欲を減退させ、社会の活力を低下させることを軽視するものだと思います。 今回の税制改革では資産、所得、消費の各課税分野において広く薄く課税するという水平的、比例的税負担に重きが置かれました。これはシャウプ勧告以来、日本の税制が重視してきた総合課税、累進税率による応能負担という課税の公平の理念を根本から変更しようとするものです。国民の給与所得の上昇や平準化、個別間接税の不合理性が公平の理念を変更するに至った理由とされていますが、給与所得が上昇したといいましても、世界的に高い物価水準と住宅を初めとする社会資本整備のおくれで国民の生活は豊かさを実感できるに至っておりません。さきの参議院選挙の結果からも、国民は公平の理念の変更を受け入れていないと解釈するべきだと思います。 逆進性を持つ大型間接税は税体系の中に入れず、総合累進課税の直接税中心の中で消費に対する課税は個別消費税程度で補完的にとどめるのが民主的であり、平等で働きがいのある社会を築く税制だと考えます。 終わりに、課税品目がその都度国会で審議される個別消費税の方が租税法律主義の観点からもす ぐれていることを指摘しまして、私の公述を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。 次に、小早川公述人にお願いをいたします。
○公述人(小早川新君) 久山の町長の小早川でございます。 本日は、こういう席に呼ばれまして、地方の小さな町を預かっておる者として実感しておることを中心にお話ししたいと考えております。また、日ごろから先生方には地方の振興のためいろんなことでお世話願っておることを心から感謝申し上げる次第でございます。 今度の税制改正の、税制改正と申しますか廃止法案ほか八案につきましては、私も出た当時から異様に感じておりまして、税制を改正、実行しながらすぐまた廃止するということが可能であろうか、またそういうことがいいことかなという疑念をこのごろ持っております。やはり、いかなる理由があろうと、一たん定着、実行いたした法律を改正するには理由がなければいけない。ただ単に反対だという形だけで社会の混乱を招くようなことは避くべきだろうと考えております。政治では、何といっても朝令暮改は最も危惧するところでございます。 もともとこの消費税が日本に導入をされた時期的な問題とか理由はもう御承知のとおりでございますが、私は、やっぱり日本の社会が豊かになりまして消費が拡大いたしておりますし、その時期にこういうふうな税制に変化をもたらすことが適当であった、理由はいろいろありましょうけれども時期的にはよかったんじゃないか。ただ、導入の仕方とかいろんなことがあるかもしれませんけれども、やはり時期的には間違っていなかったという感じを持っております。そしてまた、政治情勢が若干おかしなことになっておりましたので、そのことに原因して私はこの消費税がいろんなもみくちゃにされたような気もいたします。 そこで、地方におりまして、これだけの国民の反対のあるような格好になった、自民党が参議院で負けたということがそういう結果ですけれども、それを考えてみまして、果たしてこれは消費税が悪かったのかなということをつくづく考えるわけなんです。 そこで、長い間、昭和二十年敗戦以来日本の歴史を左右した分岐点がたくさんありますが、その時点の様子を振り返ってみました。私はそういうふうな振り返り方をするんですけれども、この消費税が果たして本当に悪いんかな、みんな反対しよるのやけどと考えたときに思い出しましたのが、昭和二十六年でございますか、日本が国際社会に復帰しました単独講和の決定でございます。吉田さんは、社会のあらゆる反対を押し切って、マスコミから大学からみんな反対されました。もちろん野党も反対する。その中で断固として国際社会に単独復帰を決定された。それを断行されたことが今日の日本の国際社会における地位を築いた最大の要諦でございます。 それから、昭和三十何年でございますか、安保騒動がございました。あの安保騒動も岸総理の内閣のときでございますが、あの首相官邸は三十万人のデモ隊に囲まれました。私の友だちが一人海軍におりましたが、それが警察庁におりまして警備課長をしておりました。それが総理大臣に対しまして、警備の保証はできないので総理退去していただけませんかというようなことも具申しております。しかし、総理大臣は断固として、おれはここで死んで構わない、日本のためにやるんだという形で一人で、佐藤さんも首相ではなかったが、兄弟一緒であったと思いますが、あそこに住まわれて安保体制の継続を決定された。命をかけて決定された。その結果が、日本が西側諸国において地位を築いた最大の原因になっております。 そういう関係からしますと、国論といいますか世論といいますか、それが大反対いたしたときは、その反対の方が真実であるんじゃないかという気がしておるんです。それに賛成した方は、世論に従った方はうそだったと、十年の年月、二十年の年月がたちますと、そういう評価ができます。 ですから、今度の消費税も、私はこれだけの反対があったんですから、反対される消費税の方がほんまもんじゃないかという気がしておるんですよ。内容はわかりません。しかし、そういう意味で今度の消費税はまあまあよかったんじゃなかろうかなと。その証拠には、導入以来数カ月、数カ月でほとんど抵抗はございません。この税制が本当に国民のあれをひっくり返すようなことならば私は大問題になっておると思うんですよ。反乱が起きておると思うんですよ。それがない。何となく追っついてきた、まあいいじゃないかと。これは私は、この税制が基本的に間違っていなかったろう、こういうふうに考えております。若干のいろんなことはありましょう。しかし基本的には間違っていなかった、そういう気がいたします。 そういう意味から見ますと、消費税は、自民党さんは今度改廃されましたけれども、余りいじくり回さぬでそのままにしておいた方がいい。あれは要らぬこと。大きいこととかなんとか言わっしゃったもんじゃけんね、その言葉にこだわって変なふうになってしまいよる。社会党の方々も、これは社会党ばかりじゃないでしょうけれども、反対される方々も、国民がわっとこんなものいかぬ、嫌らしいとか、せからしいとか、困ったとかということを言う、反対だとおっしゃったものだから、廃止とおっしゃったものだから、もうそのことにこだわってこういう法案になってしまっておるわけだ。ですから、言葉にこだわったことでこの大きな税制が私は変なふうに改められることはとんでもないことだという気がいたします。そういう意味で、一たんこれは定着いたしました、定着というよりも導入されましたこのことは、ある程度年月をかけて訂正し定着させていくことが必要じゃないか、こういう気がいたしておるので今度のあれには反対でございます。 それと同時に、私は地方自治体を預かっておる一員としてこの廃止法案に最も不満な点がございます。それは地方自治体の財政に対しまして一つも配慮していないということなんです。 そんなものなら、何か足らぬよったら金は何かやろうたいというような姿が出てきておるわけだ。内容は、私は専門家じゃございませんけれども、減収になることは大体間違いないようでございます。そうすると、減収になったやつをどういうふうに地方自治体へ配分するかということがちょっと明らかでない。といいますのが、この税の四割は地方の固定財源なんです。何も特別の財源じゃございません。今までありました財源の四割を消費税からいただくようになっておるんです。ですから、これはそのときそのときのよかごとで配分してもらっては困るわけなんです。確たるやっぱり税制でもってやっていただきたい。その体制があるかというと、それはどうもありません。 そこで、この税制は二年後に改正するからそれまで何とかしておこう、こういうふうになっておるようでございますが、そこで税制再改革基本法というのを読ませていただきました。ところが、これには二年後には必ず改正するとは書いてないんですね。二年をめどに国民税制協議会をつくってその答申を得る、それを尊重する。尊重すると書いてますな。書いてあるだけであってそれを実行するとは書いてない。それは一つの案が出てくるわけでございまして、いい場合ですよ。ひょっとするとこれは出ぬかもしれません。出た場合はそれを尊重する。じゃそれをだれがどう実行するかということはない。いつまで実行するかはない。だから、二年後に必ずこれが新しい税制の本当の姿になるという保証はございません。 なお、税制基本法案の、私はいろんなことを自分で町長としてやってきておりますから、これは言うてはおかしいけれども、ちっとは議会をごまかさなきゃいかぬようなことがありましょうが。そういうときに、そういう意味でずっと見よりましたら、これはどういうことかと考えられることは、この税制の改革は環境整備をしなけりゃなら なくなったんです。環境整備のときに国民の総意という、「国民の合意」という言葉がたくさんあるんですけれどもね。この「国民の合意」というのはどういうことじゃろうか、わからんです、これは。国民の合意のもとに環境整備せにゃいかぬ、環境整備とはどういうことをせにゃいかぬと書いてありますかというと、これがまた大きなことに「行政機能の充実を確保した上での公務員総数の抑制」と書いてある。私は公務員の総数の抑制、これはぱっと切らにゃいかぬ、行政改革をすると思っていたところが、その前段があるんです。「行政機能の充実を確保した上で」、行政機能の充実ということは職員をふやすということなんです。職員をずっとふやしておいてまた減らすことをすればいいじゃないかと書いてあるわけです。何のことかわからぬわけだ。 それからもう一つは、「社会保障と国民の負担との在り方についての国民の合意の形成が図られること。」と書いてある。こんなことが簡単にできれば今までにぴしゃっとなっていますよ。それじゃ「国民の合意」とは何か、「国民の合意」とは。このことはわけがわからぬわけですね。国会が合意されるのか、あるいは何かその辺で代表で出てきて合意するのか、わけがわからぬ合意をもとにして税制を改革しようというんですから、何のことはない、いつだれがどうするかわからぬようになっておるんです。ですから、この改革案は永久に出ない、確定しない。そうすると、暫定財源でずっといくことになる。暫定でずっといくことになりますと、地方自治体にとっては確定財源をしっかりしていただきたい、そして、地方自治体の財政基盤をつくっていただきたい。また、つくると書いてある。そのことは架空の空論なんですね、財政改革はできないとなっておるんです、これは、この法律は。こんなことが簡単にできるなら私は世話はない。だから、できないことでこの税制を廃止しておいて、あとはどうちゃらこうちゃらせい、こういうふうな印象を受けておるし、また実際そうじゃないんでしょうか。実際問題としてこういうふうな協議会といって案が確定するなんて思うておる者は一人もない。こんなことでみんなの合意が得られるなら社会はぱっとなります。 そういうことで私は、この廃止を短兵急にやられて、そして暫定財源であと二年のうちにするなんということは架空の空論である。そうしますと、やっぱりここではっきりと確定財源を示していただいて、それと取ってかわるということにしていただかぬとこれはうそじゃないか。廃止することだけしておいてあとはどうかなろうたいということでは、私たち地方自治体はたまったものではない。そういう意味で、地方自治の振興、基礎固め、そのための財政基盤を確立するというおおような心がおありになるならば、はっきりとした税制改正の手順を示していただきたい。手順じゃないんです、実行できることをやっていただきたい。実行でけんことを幾らここに書いてもだめだ、そういうふうに考えております。国民の国民のと非常に書いてあるんです。「国民の合意」と書いてある。「国民の合意に基づく」という言葉がたくさん出るんですけれども、この「国民の合意に基づく」という言葉は何であろうかなと。国会とかなんとか書いてあるというなら話はわかりますけれども、わけがわからぬ合意ですから、わけがわからぬことで合意ができるはずはございません。 そういう意味で、とにかく消費税は定着しつつありますから、それをしばらくさしていただいて、その中で本当の税制を、悪いならば案を出していただいて、それを決定して変えていただきたい。しかし、基本的には大きくそごする税制ではないんじゃなかろうか、こういうことを感じております。 私は、税制の内容そのものについては素人でございますからわかりませんけれども、この税制改正に伴う、廃止し、また再改革するという手順について非常に疑問を感じておるし、無責任じゃないか、こういうふうな気がいたしておりますので、その点の御意見を申し上げまして、この九法案の実施には反対申し上げる次第でございます。
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。 次に、日和佐公述人にお願いをいたします。
○公述人(日和佐信子君) 私は、日本生協連理事の日和佐でございます。 この公聴会に公述人として意見を述べる機会を与えてくださいましたことに対して、大変感謝申し上げます。ただ、公述人が決まったときから大変緊張してしまいまして、風邪を引いてしまいました。鼻声の方が色っぽいとかという意見もありますが、お聞き苦しい点については御勘弁いただきたいと思います。 それでは、まず消費者団体として、最初に、四野党が選挙公約に従って消費税廃止法案及びその関連法案を提出されたことに対して敬意を表明いたします。とともに、基本的に賛成する立場から私どもの意見を申し上げます。 私たちは、本年四月より導入された現行消費税の廃止と、改めて十二分に時間をかけ税制再改革を進めることを主張してきました。この主張は、消費税の取り扱いを最大争点の一つとして行われたさきの参議院議員選挙の結果に示されたように、国民的要望でもあります。 以下、具体的な幾つかの調査等に基づいて申し上げます。 第一に、現行消費税の家計における負担の実情について申し上げます。 私たちは、家計簿を記帳している全国各地の主婦組合員三百五十世帯から、毎月の家計簿集計を寄せていただきました。集計に参加いただいた世帯の構成は、二十代から年金生活世帯まで各年代にわたっており、地域構成も北陸を除いた全国すべてのブロックを網羅しております。消費税が導入されてから六カ月間の家計の集計がまとまっています。四月以降の毎月の家計における消費税の負担額の推移を見ますと、四月が五千九百三十七円、五月、七千七百三十七円、六月、八千二十五円、七月、九千七百一円、八月、八千九百七十円、九月が七千七百六十八円となっております。収入対比で見ますと、それぞれ一・四%、一・六、一・一、一・四、一・七、一・八%というふうになります。 以下、この集計の結果で判明した特徴点について申し上げたいと思います。 第一点は、半年間の消費税の負担額は、一世帯平均四万八千五百一円、収入の一・五%、支出の二・二%に相当しています。構成比等を勘案しますと、一年間では九万九千三百八十七円とほぼ十万円の新たな負担増になるということが明らかになっております。 第二点は、その負担を毎月の収入ランク別に見ますと、月収四十万円以下では収入の二・二%に対し、月収八十万円以上の層では収入の〇・九%前後と、税負担の逆累進の実態が明らかに数字となってあらわれております。 第三点は、給与世帯の負担額がこの半年間で五万一千三百四十三円と収入比一・四%であるのに対し、年金世帯の負担額は三万五百六十二円、収入比二%近くに達していることです。 以上のことからおわかりいただけましたように、消費税の負担の逆進性、弱者に厳しい負担、不公平の拡大、公正さに反する税制の実態が明らかになっていると思います。それに加えて、高額所得者には厚い減税となっているのです。政府は、政府広報等を通じて盛んに減税問題のことを言われますが、全世帯の七割を占める年収六百万円以下では、その大半が増税となっています。九月末に公開放送で行われましたNHKの番組での世論調査でも「消費税と所得減税で税金は増えたか減ったか」の質問に対し、「減った」というのが五%、「変わらない」二一%に対し、「増えた」と答えた人は七二%にも達しています。 ある母子家庭で、家計簿集計に参加された方なんですが、その方は、「消費税は弱者にたいしてきびしい、冷たい税制です。我が家は母子家庭です。消費税によって増税になりました。弱者負担軽減ということで、今年四月に福祉金一万円支給してくれましたが、その後はなんの音沙汰もありませ ん。月三千円を超える消費税で生活が圧迫されているのに、「台所の一円、二円のそんな低レベル…」という冷たい言葉はグサリと来るのです。」と集計表の裏に書き添えてきておられます。 次に申し上げたいのは、消費税を含めた税制と政治への国民の関心が非常に高くなっているということです。 私たちは、消費税が導入された五月、六月に全国の組合員を対象にアンケートを行いまして、六十万人の方から回答をもらいました。 第一点は、消費税に対する評価、意見です。「良いことなのでつづけるべき」、あるいは「実施された以上つづけるのも止むを得ない」という評価を合わせてもわずか一二・五%。それに対し、「できれば廃止して欲しい」四六・八%、「すぐに廃止すべきだ」四一・九%となっております。 第二点は、税制のあり方についての意見を聞きました。複数回答ですので多い順に申し上げますと、「抜本的な税制改革についての国民的論議を十分時間をかけて行うことが必要である。」、「政治家へのパーティー券収入などの課税強化を行うべきである。」、「社会的な公正の実現に向けて不公平税制の抜本的見直しを進めるべきである。」、「大企業への優遇措置の見直しを進めるべきである。」という回答をいただいております。 第三点は、政治への関心の高さについてであります。さきの参議院議員選挙について「消費税についての政党や候補者の態度を判断の参考にしますか。」という質問をいたしました。実に八〇%の人が「参考にする」と答えています。消費税問題が税制や政治に対する主婦の関心を高めたことは疑いがありません。そして、その結果は参議院選の結果としてあらわれたのです。 私は、多くの生協組合員である主婦が参加したこの調査を通じて、さきの参議院議員選挙に示された有権者の判断を見ることができると思います。消費者であり家計を預かる主婦は、今回の消費税問題を通じて、台所と政治が直結していることを改めて実感しました。政治が国民を置き去りにして動いていること、担税者である国民を無視した政治への批判、それが参議院議員選挙の結果につながったと思います。国民の多くが求めていることは、政治が国民の信託にこたえる姿勢をもっと強く持ってほしいということです。税制の問題についても、十二分に時間をかけた論議を行い、将来の国民生活と公共サービスのかかわりについて、主権者である国民の判断が尊重されることを強く求めているのだと思います。 次に、納税者の立場から申し上げたいことは、税制や財政において消費者本位、生活者本位の政策の強化を進めてほしいということです。 その第一点は、現行消費税が、その仕組みにおいて、またつくられる経過において、消費者本位の視点に全く欠けていたということを指摘しなければなりません。消費者の立場から申し上げますと、私たちが納めた税金が国庫に正しく納入されないということは、幾ら考えても納得できることではありません。また、表示カルテルの政府による公認も納得できないことでした。独占禁止法の番人である公正取引委員会も当初はこの制度化には反対していたということが報道されています。先月、北海道で石油大手メーカーによるやみカルテルが公正取引委員会によって摘発されました。実にあの石油パニック以来のことです。こうした背景に、世界各国に例を見ない転嫁・表示カルテルがあったことは大いに問題とされるところです。 第二点は、政策目的とされた高齢化社会の準備についてのあいまいさです。私ども日本生活協同組合連合会の八七年全国統一調査によりますと、老後の暮らしについて国や自治体に望んでいることの上位三位は、第一位年金制度の充実、第二位就労機会、場所の提供、あっせん、第三位医療の無料化、介護家族助成の強化となっています。私たちにとりまして、高齢化社会への対応は現実的な問題であり、どういう生涯の生活設計を持ち得るのか、それゆえに公的な負担、サービスの水準がどうなるのかは大変関心のあるところです。公的負担を言う前に、生き生きとした高齢化社会のためには、地域社会のあり方、地方自治体の役割、そして政府の果たすべき役割等について、総合的に国民的合意が得られるよう十二分に時間をかけて論議を進めるべきであると思います。 第三点は、公正公平の問題です。大型間接税と称される縦横十文字に投網をかけるような税は導入しませんとの選挙公約、一般消費税の際の国会決議等に違反していることは、もはやだれの目にも明らかなことです。多くの国民の実感は、こんな大切な問題をどうしてそんなに急いで強行しようとするのかがわからないというところです。さきの税制改革の中では、一般的な法人税税率の引き下げが行われた一方で、生協課税のみが強化されました。国民の租税に対する信頼を確立するためには、既に野党提案の基本的考えの中に示されていますように、税負担の公正及び公平を確保することが絶対に必要です。 御承知のように、今や日本は国民一人当たりの所得は世界でも有数の水準に到達しているにもかかわらず、生活の豊かさについての実感がないことが各方面から指摘されております。私たち生活協同組合は、消費者団体の一員として、またみずからの事業を通じて、こうした課題への取り組みについて日夜努力を重ねているところであります。今回の消費税による家計の負担増加に際しても、暮らしのバックアップキャンペーン等、生活の必需品等の低価格政策等の強化を進めてまいりました。同時に、一般市場の価格動向や、地方自治体等の公共料金の動向等についての調査活動の取り組みを行い、価格監視を強めたところです。本当に豊かさを実感できる暮らしを実現していくために、こうした視点での政策努力が税制上でも求められているのではないでしょうか。 おしまいに、消費税はやはり廃止して、改めて税制改革を基本から検討すること、そのためにも国会を解散して国民に信を問うことを強く要望して、私の陳述を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。 以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鎌田要人君 ただいま六人の公述人の皆様方から大変貴重な御意見を伺いました。逐次お尋ねをしてまいりたいと存じます。簡潔にお答えをいただきたいと思います。 最初に、佐多公述人に三点お伺いを申し上げます。 まず第一は、消費税につきましては、実施後八カ月を経過いたしまして、先ほどもお述べになりましたように、私どもも消費税の実施状況につきまして大変深い関心を持ちまして、物価の推移はどうであろうか、転嫁の状況はどうであろうか、あるいは消費の動向はどうであろうかと、こういったことを関係各省庁初めいろんな情報を集めながら分析をいたしておるところでございますが、今日までのところでは、例えば転嫁状況につきましても、昨日通産省の担当官の方からの報告によりますと、通産所管で八六%ということでございまして、おおむね順調に定着しつつあるように思いますが、佐多公述人、最も現場に密接をしておられるわけでございまして、その観点からされまして、この点についてどういう御認識をお持ちでございましょうか、まずお伺いいたしたいと存じます。
○公述人(佐多宗二君) 私のとらえ方として、転嫁も大分進んできていると思います。ただ、三千万円以下の業者については、何と申しますか、親子代々のお得意さんでありますから、なかなか感情的に転嫁が思うようにいっていない感がしております。 定着の方は、ちょうど参議院選挙が終わりましてから急速に、もう全部定着したというふうに断言するのはどうかと思いまするが、一般的には定 着しているというふうに感じております。
○鎌田要人君 そのような状況の中で、今私どもが審議をいたしておりますこの九法案、何が何でも消費税をとにかくやめてしまえ、あとは国民税制改革協議会五十人のこれをスタートさして、そこで二年以内を目途としてということでございますが、これは先ほどからいろいろな御意見がございます。また、この委員会でも同様でございますが、なかなかこれは利害が錯綜し、まさにまとまることはなかなか時間がかかるんじゃないかと。そういうことで、別途代替財源、これを暫定二年とおっしゃっておられるわけでありますが、この法律は実は恒久法になっているんです。二年以内にやめます、あるいは国民税革協の答申に基づく税制改革が終わるまでの暫定法だということじゃなくて、恒久法にしておられるわけです。でございますから、この暫定代替財源というのが非常に大きな重みを持つ。 先ほどもお述べになりましたように、物品税も復活をいたしますよ、税率も御案内のとおり、例えば化粧品等でありますと三%が四%になる、あるいは軽自動車でございますればこれが増税になる、こういったような増税案を含んでおる。あるいは地方税でございますれば、電気税、ガス税あるいは料飲税あるいは娯楽施設利用税、こういったもの等が復元をいたします。復元とおっしゃいますが、これは全く新税あるいはまた法人税等でお述べになりましたように増税、こういう面が出てまいる。そういうものが暫定二年暫定二年ということで、不合理をこの委員会において指摘されますというと、これはこの消費税がなくなって本格的な再改革までのつなぎだから、私なりの受けとめ方で申しますと、少々の不合理には国民の皆さん目をつぶってちょうだいよと、こういったようなことでございます。 それで、私どもはやはり暫定税制といえども、代替財源といえども、つなぎでいいかげんなものであってはいかぬ。やはり国民の毎日の生活、毎日の経済取引に関連をしてまいるわけでございますので、そのような考えではいかがなものであろうか。特に物品税の復活等につきましては、商工会の皆様方は大変これからまた新たな手間がかかり、新たな物価の値上げの要因にもなる、消費者とのトラブルということも考えられるわけでございますが、その辺のところをどういうふうに受けとめておられますか、お伺いいたします。
○公述人(佐多宗二君) 物品税のことにつきましては、ちょうど四野党で新聞発表をいたしましてから、こういう文書で全国商工会の名において反対意見を申し述べたわけでございます。時代の変革によって物品税では矛盾が生ずるということから、物品税が売上税、消費税となったわけでございます。私どもも、相続税、法人税、所得税、住民税、そういうことに対する数年の引き下げ方を要請いたしてきたわけでございます。その減税を先行したはずみに売上税が出てまいりまして、売上税でもよかろうと私たちは感じておりましたが、やはり売上税では国際的にも矛盾がありましたし、そういうことから消費税に変わったわけでございます。 それで、物品税が時代の変革でつじつまが合わなくなってきたことを是正することに重点が置かれて消費税が生まれたわけでありますから、減税を先行いたしておりますので、どこにか財源を求めなければならないということになります。大体八〇%が直接税、二〇%が間接税というような議論であった産物でありますから、国際的に見て間接税が三割、四割というようなふうになっておりますから、この際消費税で適当な配分であるというふうに、一時的には適当でありますが、時代がたっていきますというと、直接税と間接税の税体系を見直すときには、やはり数年後には、いつも八〇%、二〇%でいいということは考えませんけれども、この際やはり消費税は賛成の立場でございます。
○鎌田要人君 今ちょっと私の質問の趣旨が悪かったのかもしれませんが、この四月から消費税になって、今度はそれをやめて物品税を復元して、それからまた二年かかるか何年かかるかわかりませんが本格的ないわゆる税制再改革、まさに五、六年の間に税制がくるくるくるくる変わるわけですね。皆さん方としては将来を予測して経済あるいは生活、こういった設計も立てられないだろうと思うんです。それを実はこの物品税に託してどうお考えかということを伺いたかったわけでございますが、この点は、恐らく皆さん方にとっては迷惑千万ということであろうと思います。 第三点をお伺いいたします。 第三点は、今提案になっております税制再改革基本法案の第五条の第一号で、不公平税制の、税負担が不公平であるという一つの例としてみなし法人課税、これは富岡先生の方からもさっきちょっと御付言がございました。このみなし法人課税というものがやり玉に上がっておる。あるいはクロヨン、こういうことが言われておるわけでございますが、こういったいわゆる不公平税制の典型的な、表現は悪いんですがやり玉にいつも上がっておるみなし法人課税問題というものについて、簡単に皆さんのお立場から御発言をお願いいたしたいと思います。
○公述人(佐多宗二君) みなし法人につきましては、私どもの考え方は、個人企業と法人企業との観念において考えるべきであって、給与所得者と見合った考え方では納得をしないわけでございます。そこでやはり、給与所得とみなし法人のことを相対するということは反対でございますから、やはり今のまま存続すべきであるという確固たるものを持っております。 〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕 なおまた、十億以上取れる不公平税制と目されているものが百十六かあると思いまするが、その中にも列挙はしてないわけでありますから、私どもの考え方が正しいというふうに思います。
○鎌田要人君 そこで富岡先生にお伺いいたしますが、さっき、みなし法人課税につきまして、ちょうど私その前の総合課税の空洞化というところで一生懸命メモをとっておりまして、ちょっと先生のみなし法人課税についての御発言で、会長賛成でしょうという最後のところだけしか聞こえなかったんですが、恐れ入りますが、ちょっと教えていただきたいと思います。
○公述人(富岡幸雄君) 鎌田先生からの貴重な御質問にお答えいたします。 私はこのことにつきましてかなり厚い本を一冊書いております。「個人企業課税の基本的課題」副題が「事業主報酬の必要経費性」という論文です。これはかつて青色申告会が東京地方裁判所に憲法違反の訴訟を起こしたとき、つまり、個人企業の事業主報酬を損金、必要経費に認めないことは不当であるという裁判がございまして、そのときに私は証人として喚問され、その著書が証拠として提出された文献でございます。ですから、述べると大変なことになりますが、簡単に述べます。 私は、企業と家計が分離されておる近代的な営みをしておる個人企業は、立派に企業なんだから、企業としての課税をすべきである。事業所得というのはやはりビジネスインカム、事業活動による利潤ですね。ですから、したがって売り上げから売上原価を引き、一般管理販売費を引きます。その経費の中に、従業員の給料はもとより家族専従者の給料も必要経費です。問題は事業主報酬ですね。おやじさんの給料が必要経費かですが、事業主といえども人的役務を提供し、朝から晩まで一生懸命やっておられるわけでして、その労務に対する対価は当然必要経費です。それを必要経費、事業主報酬として認めてやらなければ課税所得の計算が妥当でない、事業所得の計算が適正でないというのが私の信念でございまして、みなし法人課税はそれを中途半端なやり方でいろんな制約を加えながら、がんじがらめの制約を加えながら部分的に認めているのでありまして、みなし法人課税は速やかに発展的に解消して、所得税法本法を改正していろんな必要な要件を備え、正規の簿記の原則によって整然かつ明瞭に青色申告をし、企業と家計の分離がなされ貸借対照表が作成できるような近代的な営みをしている個人企業は、企業 としての人格を認めてやるべきである。事業主報酬も同族会社の役員報酬と同じに適正額に限って損金に、必要経費にすべきであるという見解でございます。 以上です。
○鎌田要人君 わかりました。 そこで、先ほど富岡先生が述べられました中で幾つかお伺いをいたしたい点がございます。総合課税の空洞化ということをお述べになられました。この四党の共同提案の中では「国民のプライバシーの保護に十分留意した納税者番号制度の導入等を検討することにより総合課税を一層推進する等」と、これは税制再改革法の第五条第二号のイでございます。また、この委員会での質疑の際におきましても、この総合課税の徹底ということにつきましては納税者番号制度の完備が前提でありますと、こういうことを繰り返し述べておられるわけであります。ところが、この納税者番号制度、スウェーデン式とか北欧式とかあるいはアメリカ式とかイタリア式いろいろございますけれども、どれをとるにしてもこれは大変なことだろうと思います。 そういったことで、納税者番号制度とこの総合課税の、先生の表現をもってすれば空洞化の防止ということがどう結びつくか。どう結びつくと先生はお考えでありますか、お教えいただきたいと思います。
○公述人(富岡幸雄君) 大変重要な御質問でございますから慎重にお答えいたしますが、まず所得課税というのは、あらゆる所得を合算して総合をする。そして応能負担原理に従って累進課税を適用する。この点は古今東西歴史の今昔を問わず永遠に変わらざる真理でありまして、二十一世紀になりましてもそのような総合課税、応能負担原理に基づく所得課税が基幹税であると私は信じております。恐らくその点は先生も御賛成だろうと思います。 問題は、そのような近代的な進んだ総合課税をいかに達成するかということです。経済社会が非常に複雑怪奇になっております。取引も多様化しておりますから、そのいろんな社会的、経済的、そしてあるいは人間の物の考え方も改善する必要がございます。例えば株を売買する場合も他人名義でやるとか架空名義でやるとか、銀行預金についても同じようなことができるような社会だとすれば、幾ら納税者番号をつくってもこれはまさにそれ自身が空洞化です。ですから、この金融資産、預金、貯金、株式取引それから不動産の取引、あらゆる取引をやはり架空名義でやらない。本人確認をきちんとやって、本人であることを証明し、その上で適切な取引をする。二重帳簿や架空名義はつくらない。つまり、四十年前にシャウプで入った青色申告の精神ですべての国民が明朗にやっていくという合意ですね、文化ですね、そういう社会の仕組みですね、これをつくらなければだめだと思います。 私は若いとき、十五年国税の現場にもおりました。私は国税でございます。先生は地方税の方の最高権威でいらっしゃったわけですが、私は一番下っ端におったんです。それで、私は現場におりまして、各税務署にもおりました。新宿とか日本橋の税務署におりまして、いかに法律を立派につくっていただいても、現場の職員が徴税に大変だということを私は身をもって経験しました。ですから、国会はやはりきちんとした制度をつくっていただきたいんです。そしてそれを守らせるようにしてほしいんです。そのためには、例えば本人確認をしっかりやる。これはかつてグリーンカード制度というのがございましたね。あれは法律として国会で通りながら、いろんな経緯があったとは思いますが、延期に延期を重ねてついに廃止された。あれはいい制度なんです。ああいうものをもう一度見直していただきたいんです。それから架空名義の取引はさせないとか、きちんとやる。 一番大事なことは、アメリカ税制等でやっておりますように、税務情報申告制度をするんです。証券会社は一定額以上の株式の売買については、必ず法定調書を所轄の税務署に提出する。サラリーマンの源泉徴収票が税務署に提出されていると同じようにするんです。自分の売買した株のもうけが法定調書で税務署に行っているということが制度的に確立するならば、よほどの人でない限り申告漏れはしないと思います。恐らく税務署へ行っていないんだろうということについての期待とかなりの確信があるから、架空名義や申告漏れもあるわけですね。したがいまして、納税者番号だけつくれば万事終われりというんじゃありません。納税者番号をつくる前に本人確認制度をする、架空名義をさせない、それから無記名預金等は認めない、こういう制度をひとつやっていただく。 二つ目は、税務行政当局に対する税務申告制度をきちんとして、手数もかかりますが、一定規模の取引については、すべて法定調書が税務署に翌年の一月末までに提出されるというそういう壮大なシステムをつくるわけですね。税務行政の人間を余りふやさないで、コンピューターが発達しているわけですから、それを使って、やはり合理的な税務行政システムをつくる。そしていろいろやってみる。その上に納税者番号制度を十二分、百十二分にプライバシーの保護ができるんだということについて国民のほぼ完全な合意が得られた場合、やはり急がないでじっくりとそれをお進めになられた方が安全じゃなかろうか。決してこの問題は拙速をしてほしくないということでございます。
○鎌田要人君 ありがとうございました。 まだお伺いしたいのでありますが、外四人の先生方が残っておられますので、次に進みます。 なお、先生、さっき消費税が入ると打ち出の小づちで、放漫財政の危険があると。これは消費税創設のときから再三国会でも述べられておりますように、これはまさに国権の最高機関である国会で国民の意思を背景にしながら決められていくわけでございますので、政府が一方的に打ち出の小づちを振るうものでないことは百も御承知の上でおっしゃっておられるんだろうと思いますが、そういう面での放漫財政の危険ということは、私どもやはり国会に籍を置く者が、これは国民の信託を受けた意味におきましても守っていかなきゃならないと思います。これはもう御回答は要りません。
○公述人(富岡幸雄君) いや、ちょっと言わせてください。
○鎌田要人君 結構です。ちょっと時間がありませんので、申しわけありません。
○理事(井上吉夫君) 質問者は求めていませんから。
○鎌田要人君 次に、水野先生にお伺いをいたしたいのでございますが、私は先生が先ほどおっしゃいましたことをすべて感銘をもって伺っておりましたが、この消費税につきましていろんなことが言われておりますが、特にこの逆進性ということについて教えていただきたいんです。 私どもの乏しい知識では、やはりこの担税論というものはこれは成り立たない。ところが、消費税に対する今日の世情の反対論議を見ておりますと、あたかも所得税担税論によって消費税担税論をたたいておるという感じが非常に強いわけでございまして、何かこの世の中には消費税しかないような議論があるのですね。それで逆進だと。ところがまた、これは確かに消費税は所得に対しましては逆進的でございますが、消費については、多く消費する者は多く税を納め、少なく消費する者は少なく税を納めるという比例的な意味でのやはり公平性、いわゆる水平的な公平性もあると思いますが、いかがでしょうかということと、それから、やはり税というのは複税制度でございますから、所得課税、消費課税あるいは資産課税、こういうものが組み合わさってそれぞれの長所を生かし短所は消していく、そういうことで人間の長年にわたる知恵というものがここに結集をしてきているんじゃないか。 そういう意味におきまして、私どもは今の消費税が基幹税になるとはだれも言っていないわけでございまして、やはり所得課税を基幹税にしながら、消費課税のウエートというものを、広く薄く 負担をさせる、そういうふうにしていただく。あるいは資産課税についても、キャピタルゲイン等、原則課税に移すとか、これから資産課税につきましても充実が図られていく、そういう流れの中では、この消費課税というものを何か天下の悪税で、これほどの苛斂誅求の税はないんだと先ほど午前でもございましたが、OECDの諸国も含めまして、地球上四十七カ国のいわゆる先進国と言われるところでこの一般消費税を持っておらないのは日本だけということが言われておるわけでございますが、その辺の点も含めまして、この消費税の逆進性ということにつきまして、私どもの蒙を開いていただくという意味でお教えいただければありがたいと思います。
○公述人(水野正一君) ちょっと学問的に理屈っぽくなりますけれどもお聞きいただきたいんですが、この問題はいわゆる税負担の公平性の問題でありますが、いわゆる逆進性が問題になりますのは、税負担の公平性という場合に、いわゆる能力原理に基づく立場からの公平性で、しかも、その垂直的な公平という立場からの議論だと思うんですね。すなわち能力説に基づく、かつ垂直的公平の立場からの議論。といいますのは、税負担というのは、それぞれの税を負担する能力に応じて課税するのが最も公平であると。その場合に、能力に応じて課説する場合に、垂直的公平は、要するに所得のあるいは税負担の能力の高い者には高い率の負担をさせる、それから低い弱い人には低い課税を行う、それが公平だというのがこの能力説に基づく、かつ垂直的公平の概念からする公平の概念でありまして、そのほかに税負担の公平といいますと、能力説の考え方とまた別個に、いろいろ人々は政府から便益、政府支出の便益を受けているわけでありまして、その便益に応じて課税するのが公平だという、いわゆる便益説の考え方もあります。 それからもう一つ、能力説に基づく考え方におきましても、垂直的公平の概念のほかに、経済的に等しい立場にある人には同じような課税をするのがこれが公平だという水平的公平の概念もあるわけであります。 そういうことから考えますと、いわゆる消費税は、垂直的公平の立場からすれば、確かに消費に対して大体比例的に課税しますと、消費というのは所得が高くなるに従って所得の中に占める消費の割合というのはだんだん小さくなりますから、したがって所得の高くなるほど消費税の負担というのは低くなる、いわゆる逆進性が出てくるということは、これは否定できないわけでありますが、それを通常逆進性として批判するのだろうと思います。 また、他方、私が先ほど申しましたように、公平の概念からしまして、水平的公平の考え方からしますと、所得税でもって十分に把握できないような所得あるいは経済行為、こういうものを消費税でもってかなり漏れなくそれをとらえることができる、こういう点では、いわゆる水平的な公平というものにかなり合致した性格を持つ税であるということ。もう一つは、人々の消費というものに対応する――消費というものは大体政府支出の便益に比例すると考えますと、政府支出の便益に応じて税を負担するということは、どの程度便益を受けるかというのはなかなかとらえにくいので、これは消費支出というものを一種の代替、代理変数のように考えまして、消費に比例して課税するということが便益説の立場からの公平に合致する考えだということもできるわけで、要するに公平の考え方いかんによりましては、消費税というのは必ずしも不公平税制ではなくて、むしろ公平に合致した考え方であるのではないかというふうに、これは私の考えであります。 それから、それに伴いまして、先ほどの能力説に立つ垂直的公平の考え方からする逆進性という問題も、これは消費税の仕組みによってそれをかなり緩和するということは可能であります。例えば多くの人が消費する、特に低所得者において大きな割合を占める生活必需品などについてこれを非課税措置を講ずるということは、これは大いに逆進性を緩和することができますし、あるいはまた、税とは別個に財政支出の面でそういう社会的に弱い人たちに対して特別な配慮をするということによって、税の逆進性というものを財政支出の面から緩和するということも可能であります。 しかし、現実の問題として、先ほど申し上げましたように、この消費税はわずか三%でありまして、これについてそこまで逆進性を問題にして云々ということは、私は余りにも何といいますか、大局的な考え方ではないというふうな判断でおります。 それからもう一つ申しますと、税体系の立場から考えますと、よく消費税あるいは間接税というのは、所得税を中核にしてそれを補完する税だという位置づけでありまして、自民党さんの方のお考えも大体その立場に立っていると思いますが、私の個人的見解からしますと、むしろ所得税あるいは間接税、特に消費税は単なる所得税の補完ではなくて、所得税と並んで税体系の中核をなすべきものではないか、それぐらいに重要視していい、また種々の特性を備えた税であるというふうに考えております。
○鎌田要人君 そこで、もう一つ教えていただきたいのでありますが、これは次の粕谷さんのお述べになりましたこととも関連するのですが、実はこの委員会でも、物品税というのは一体何に着目した税であろうかと。これは物品税ですから物に着目することは間違いないんですが、いみじくも先ほど粕谷公述人が、税負担能力に応じてという言葉を二回言われたわけです。だから、物品税というものは税負担能力というものを考えておるのか。確かに、昭和十二年にシナ事変特別税でつくられたときは、これはもうぜいたく品であったことは間違いない。しかし、今日の時代になってきますと、ぜいたく品というものがこれが大体定義が難しい。あるいは、いわゆる奢侈重課ということで、例えばダイヤの指輪がある。娘さんがお勤めをして一生懸命働いて、めでたい結婚のときにエンゲージリングとして買われる、それと、いわゆるブルジョアの奥さんが指輪を買う、両方どちらが担税力があるのか、ひとしく担税力があるのかという議論になると、これは粕谷公述人にもお答えいただきたいんですが、困っちゃうだろうと思うんですね。 そういう意味で、物品税というものは一体どういう性格の税と考えればいいんだろうか。物品税の方が消費税に比べてそういう意味でのいわゆる担税力に応じた課税ができるんだ、だから消費税よりも物品税がいいんだ、こういう議論がよくなされるのでありますが、この点についてはどういう――私どもは、むしろ逆じゃないか、物品税からやはり消費税、一般消費税にこの人類の文化というのは進みつつあるんじゃないのか、そういう理解、把握をしておるわけでございますが、その点についても教えていただければありがたいと思います。
○公述人(水野正一君) その点につきましては、鎌田先生おっしゃるとおりだと、私も同意見でありまして、まあ物品税は、一般的な議論を別にしまして、これはできたいきさつその他から見ますと、当初はやはり、いわゆる担税力というもの、あるいは所得税を補完する税として、ある消費において示される担税力に着目して課税する。しかも、その場合に比較的奢侈的ないわゆるぜいたく品と言われるものに高い税率を課して課税する、いわゆる垂直的な公平というものを重視した課税であったわけです。 それがそもそもの出発でありますけれども、今先生おっしゃったように、だんだん時がたつにつれまして、また社会経済情勢が変化しますと、かつてのぜいたく品あるいは奢侈品であったものも現在では普通の日用品化しておりますし、そもそも何が奢侈品であり何が生活必需品かという区別がなかなかできにくくなっておりまして、実際に何百万という種類のある財サービス、特に財についてそれを一々仕分けするということはほとんど不可能でありまして、いろいろよく例に挙げられますが、当然課税されてしかるべきものが非課税 のままに残っているということは、やはりこれは政府あるいは課税当局の怠慢というわけにはいかないわけで、およそ人間として不可能なことでありまして、それだからこそそういう物品税から消費税あるいは付加価値税というふうな方向が起こった。 事実、ヨーロッパの例を見ましてもそういう方向になっているわけでありまして、我が国においても当然そういう方向にいくのがこれが合理的な考えではないかというふうな気がいたします。
○鎌田要人君 ちょっと順番を飛ばして、粕谷公述人、何かただいまのことに関連してお述べになることございましょうか。
○公述人(粕谷晴江君) 今の担税力ということに関してでしょうか。ぜいたく品の定義に関してですか。
○鎌田要人君 はい。
○公述人(粕谷晴江君) ぜいたく品の定義ということになりますと、ごく庶民的な感覚としましては、毎日食べるものですとか着るものですとか住むものというのはこれはもう生活必需品です、それがないともう生活できないわけですので。ダイヤモンドとか宝石という話がよく出てきますけれども、それはやはり買わなくても済むものです。でも毎日の食品は買わないとだめな、生きていけないわけですから、その辺の感覚というのはおのずとあろうかと思います。 それから、担税力という点からいいましても、先ほど私も申し述べさせていただきましたけれども、やはりダイヤモンドを常に買うわけじゃありませんし、もし買えなければ安いものということになりますし、それを買う方は税金を負担しても買うという能力が、経済的能力ですけれども、あるわけだと思います。ですから、それはおのずとぜいたく品とそれから生活必需品の区別がつかないということはないと思います。
○鎌田要人君 私が申したかったのは、いわゆるぜいたく品と言われる中で先ほどダイヤの例を言いましたね。担税力とあなたがおっしゃいましたから、オフィスレディーの方といわゆるお金持ちの奥さんと同じようにダイヤの指輪を買われた、ウン万円のですな。一方は晴れの式に備えるためにこつこつためて買った、片っ方はいわゆるだんなさんのサラリーの中から買った、どちらが担税力があるかというのは言えないでしょうと。でありますから、やっぱり等し並みの一般消費税がいいんじゃないですかということをあなたに返事をしてもらいたかったわけです。それはもう返事は要りません。 次、小早川公述人、大変お待たせをいたしました。 日本で有数のアイデア町長さんとされまして大変地方自治の一線で御苦労をしておられまして、私も地方自治に長年携わった者として心から敬意を表する次第でございます。 先ほどお述べになりましたようにこの代替財源案、私もこの委員会で再三説明を求めたわけでありますが、この代替財源につきまして平年度計算しかしておられないわけです。初年度計算をしておられない。したがいまして、この国会でお述べになりました約六兆、五兆九千四百億の消費税をやめまして、それで国でも地方でもいろんな代替財源措置をやられましてそれで一兆七千億足りませんという公式の御説明があるわけです。ところが初年度になりますと、初年度計算をやっておられないものですから、その上にさらに一兆三千億オンしまして三兆円の穴があく。 したがいまして、特にこの地方財政の場合におきましては、初年度で二兆三千……、ちょっと細かい数字をどこかへ突っ込んでしまいましたが、二兆三千八百億ほどの穴があくのに対してこの手当てが九千百億ほどしかできない、残りはこれは穴のあきっ放しということです。それについては税の自然増収でやります、あるいは国税の自然増収があるから交付税をふやします、あるいは特例加算をやりますと。こういうことで、国の財政もこれは大変、来年度自然増収が六兆あってもそのうちの三兆はこれで持っていかれるわけですから。ところが、特に地方財政の場合は、お互い弱小団体を抱えておるところでは、これはもうそれだけでパンクしてしまう。そういう意味での地方財政面でのこの対応というものが極めて不十分、不的確なわけです。 その意味からも、私はこの代替財源案というものは成り立ち得ないという気持ちを持っておるわけですが、特にこの町長さん、いろいろ町政振興のために、活力ある町づくりのためにいろんなアイデアを出してこられて、やはり先立つものは人もでしょうが、金が足りない。そういう面での地方財政の面でこれは非常においしいことを書いてあるわけです。地方自治の確立、地方分権の確立、地方財政の充実、地方財源の拡充、調整財源の充実、いいこといっぱい書いてあるわけですが、何にも中身はない。ショーウインドーのあのろうでつくった料理みたいなもので中身はこれからですということなんですが、地方財政の現場におられて、ひとつ率直な御意見をお伺いいたしたいと思います。
○公述人(小早川新君) 私たちもこの改正案が出まして、素人でございますけれども、大体どうなるじゃろうかという不安感を持っております。というのは、今まで国から地方交付税とかいろんな税金をこう割り当てる――割り当てると言っちゃおかしいですけれども、もらっておるわけだ。確定財源になるんですね。今度こうこっちに行きますと、四割がそういう確定財源の異動になるんですね。これがそのときばっかりで、あるけんやっておこうとか、足らにゃあれから持ってくりゃよかたいというような考えに立ちますと、大体地方は何を根拠にこの財政計画を立てていくかということになるんです。 それで、私が考えましたことは、やっぱり今この四党の方々は地方の財政運営に対して深い関心を持たれてなかったんだなという気がするんですね。そういうことまで考えてないんですよ。総体的に金額が合えばいいというような考え方ですね。ですから、地方自治体が地方財政を運営していく場合に、はっきり一つは、財源対策が大前提だ。固有のものだとしてやらぬとやっぱり誇りを持って財政権を行使することはできない。地方自治を言うならば、固有の財源を持って財政権を持たない限り地方自治はないんです。人からちょっとあてがいぶちでもらいまして、何かちゃんとやっておけ、補助金やるけんと、それじゃつまりません。やはり、これは地方の固有のものだという、これを自由に使ってしっかりやりなさい、このあれがないと地方自治体の首長は誇りを持って私は地方の運営はできないんじゃないか。 そういう点で、この代替財源案が出たときに、これは大体地方のことちょっとは頭にあるんかなと。とにかくもうあそこを合わせておいて、足らにゃどこかから持ってくりゃよかたいと。それも一年ならいいですよ。今度のあれを見ますと、これはいつ決まるかわからぬようなあれですものね。その責任はだれがとるんだろうか、二年ですると言うけれども、二年でできぬときはだれがどうするんだと。ところが、この二年の案が出る、案が出たとします、税制協議会から。出たとしましても、それが実行される保証はないんですね。また、いろんな協議があります。その前提条件はまたたくさんあるんですよ。こういう条件がなければ財政改革はしないというんですから。 その基本的な、基本の環境整備の面が果たしてこれはみんなで合意が達せられることかなと。今までも財政改革とか行政改革とか、するすると言うてしてないんですから。それを、今それをしなければ税制改革はできない。つまり、できぬということなんですね、これは。そうすると、今のわけのわからぬ代替財源は永久に続くということです、わけのわからぬうちに。それではやっぱり私はこれはちょっといかぬじゃないか。特に、毎年毎年足らぬやったらどうするかという、この国際社会が大変動しよるときに、そんなことでまた国内でがちゃがちゃがちゃがちゃするような要因を残しては、私は国家は成り立たない。 ですから、少なくとも廃止なら廃止でもいいけ れども一応これができるまでこれでいくんだと、それならまあまあいいですよね。しかし、本当を言えば廃止するときに、もう長年の懸案ですから、これよりもこれがいいぞぐらいの案は出していただきたかったんですよ。何十年かかって考えておけばいいことですから、今まで何も考えてなかったということになる。私はそれを見まして、今度の税制の内容はともかくとしまして、国家の運営、国政の執行に対しまして本当に責任を持ってお考えになったか、こういうふうな気がやっぱりいたしておるわけです。 以上でございます。
○鎌田要人君 全く同感でありまして、大体私はこれは地方財政、地方税というのが今までやはり大切だ大切だと言われながら、何か国の税の制度、国の財政が決まって、あと、ああ地方財政が残っておったなというようなおつまみみたいな、お添え物みたいなことで、これは国会でもそういう議論が今までやっぱりあったように思うんです。私はことしの二月まで地方で本当に苦労をしましたからね、そういう意味ではやはりお互いこれはもう少しそういう意味での地方分権の問題、地方財政の問題、しっかりこれを頑張っていかなきゃいかぬと改めて今お話を伺って決意を新たにした次第でございます。 それから、日和佐公述人、大変緻密なお話がございまして、私もなるほどそういう数字があるのかな、こう思っておりましたんですが、ひとつ御参考までにこういうことも消費税が高い高いとおっしゃるときにちょっとお考えになっていただいたらどうかなと、これは一緒に考えなきゃならぬ問題だと思います。出典は宮島洋さんという方の「租税論の展開と日本の税制」という本の中の百六十四ページにございますが、この中で公的年金給付の主たる財源は受給者本人及びその事業主の負担した年金保険料にはなく、現役の勤労世代の方々と国民の納める税金これが主役だということをその中の、これは孫引きですけれども、高山憲之という人の推計だと断ってあるんですが、昭和五十五年度水準の厚生年金の給付額のうち本人、事業主負担拠出分は一三%にすぎない、残り八七%は現役の勤労世代の保険料が六七%、租税二〇%による、こういう推計がありまして、これは五十五年ですからもうそれから今日十年近くたっていますね。 さらに、これから二十一世紀に向けてよく言われるようにいわゆる勤労世代が三人で一人のお年寄りを抱える、こういう時代になっていく場合に、これは今のこのままで推移をしていきますと恐らく保険料負担が大変なことになる。税金の負担も大変なことになる。御案内のとおり、租税と社会保険料を加えましての国民負担率が三八・八になっているわけです。税制調査会でかつてこの国民の負担率を四〇%を超えないようにしようじゃないか、こういうことを言ったことがあるわけです。恐らくこのままでいきますと五〇%を超える日があるだろうと思います。そうなりました場合に、我々のかわいい子や孫の連中がそれをしょってくれるわけですから、そうなりますとやはりこの勤労世代の負担を軽くする、あるいはこれはもう保険料と税金と両方ありますから、でありますから、そのためにはやはり年金を受けられる方々も含めて全国民が、ちょうど住民税みたいなものですね、広く薄く負担をするという、こういう消費税的なものがどうしてもやっぱり必要になるんじゃないかという気がしてならないんですけれども、その辺のところはどうお考えでしょうか。
○公述人(日和佐信子君) そこのところはいろいろな考え方があると思いますけれども、何というんですか、年金生活者も消費税を払うことで負担をするというお考えでいらっしゃいますね。でも、それはいろんな考え方がありますけれども、年金生活者の方たちが負担して協力するものが、その税制が消費税だというふうには私は思いません。
○鎌田要人君 何かほかにかわるようなものがありましょうか。年金をもらっている人たちから高い所得税を取るということをおっしゃっているわけじゃないんでしょう。
○公述人(日和佐信子君) 違います。そこのところは消費税という考え方ではなくて、もっと基本的に税制を改革するということで考えていかなければいけないというふうに思っております。それを単に年金生活者の方も負担する必要があるからそれで消費税を導入するというのは、その導入するという部分の理由づけが非常に弱いと思うんですね。それが消費税導入の大きな理由にはならないというふうに私は思っています。
○鎌田要人君 もっと議論をしたいんですけれども、申し上げたいことは、やはり私は世代間の負担の分配ということも適切でなければいかぬ。おれたちだけがよければ子や孫はどうなってもいいんだということじゃこれはあんまりかわいそうじゃないか。やはり今の年金負担、これは年金だけじゃございませんよ、老人医療を初めいわゆる社会保障全体にもつながる問題ですけれども、老人医療の問題でもそうですけれども、やはりある程度は世代を通じての負担というものがあってこそお互いのやはりこれは共益社会といいますか、コモンウエルスだと思うんですね。そういう意味で、これはある程度は世界観にかかわるのかもしれません。お金持ちや大企業からどんどん取りゃいいじゃないかという、それだけの単純な発想ではこれからの国の政治あるいは地方の政治、そういうものはやはり賄っていけないんじゃないか。これは私の意見でありますから、お答えは要りません。 最後に水野公述人に一つお教えいただきたいんですが、シャウプ勧告で――もう一分しかないですな。シャウプ勧告で都道府県に付加価値税が提言をされました。今府県は法人事業税等を中心としました外形課税というものを非常に強く要請しておりますが、これについての先生のお考えを手短にお願い申し上げます。恐縮です。
○理事(井上吉夫君) 水野公述人、申しわけありませんが、時間が一分しかありませんので、手短にお願いします。
○公述人(水野正一君) はい。まあ事業税だけ考えれば私はやはり外形課税にすべきだというふうに思います。これはずっとこの議論が出てペンディングになったまま途中で一般消費税が出て、また売上税、それから消費税、これが出てまいりまして、税の性格としては結局事業税の外形課税としましても、結局付加価値を課税ベースにするということになりますと、一般消費税とかあるいは消費税のような付加価値税と性格が同じになりまして、国の方でもやり地方の方でも別個にそれぞれ付加価値税をやるというのは二重になるので、まとめて売上税や消費税でやって、そしてそれを国と地方で分けようじゃないかというこの消費税の考え方で、ほぼ事業税の外形標準課税の問題というようなのは、根本的には解決をしたとは言いませんが、一応の決着じゃないかというふうに見ております。
○鎌田要人君 どうもありがとうございました。長時間にわたりまして貴重な御意見、心から御礼を申し上げます。
○村田誠醇君 冒頭、六人の公述人の先生方の御意見を同わさせていただきまして、ありがとうございます。 まず、私は先般自民党の方から発表されました消費税の見直し案につきまして日和佐公述人の御意見をちょっとお伺いしたいのでございますが、陳述の中で、皆さん方が家計簿の集計をなさいまして消費税の負担額の推移について細かく分析されておられるわけです。御存じのとおり、自民党の改正案は従来事業者の立場に立ち過ぎていて問題があった、だから消費者の立場に立って見直しをする、かなりそういう宣伝といいましょうか、ことを言っておられたわけですけれども、消費者の立場で今度の見直し案ですね、見直しの大綱というんでしょうか、細目についてはまだ詳しいことは出ておりませんので若干不明な点がございますけれども、そういう家計薄の集計等から見られて消費者の負担が今後どのように変化していくのか、軽くなるのか重くなるのか、その辺の感想についてまずお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(日和佐信子君) 家計簿の中の負担という御質問でございますね。そのところは、現実に逆進性の部分だとか、それから家計簿の中での負担が本当に下がるのかどうかということは非常に疑問だというふうに思っております。 食料品は非課税というふうになっておりまして、普通私たち主婦が非課税というふうに言われると単純に三%値段は下がるんだなというふうに思うわけですが、現実はそうではありませんで、経費にかかる三%だとか卸の部分での一・五%、それは食料品の値段になって反映されてくると言うと変ですけれども、値段としてプラスされてくるかあるいは事業者のところでのみ込むかどちらかで償却しなければ、償却しなければといいますか、そういう形で取り扱われざるを得ないということですね。ということになりますと、物価は今の消費税プラス三%分下がるという保証はどこにもないというふうに思います。という意味で、消費税の負担が軽減されるというふうには思いません。むしろますます不透明でわかりにくい部分がふえてきたというふうに思います。 その一つは、食料品の範囲をどういうふうにするかということです。どこまでが食料品でどこまでが食料品でないのか。あるいは、外食は課税というふうになっておりますので、外食か食料品かという部分も非常にあいまいな部分があります。というのは、ファーストフードでのテークアウトは食料品になるのか外食になるのかというような問題も出てくるのではないかというふうに思っております。 〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕 それと、卸と小売の区別もどこまでがというか、どこが卸でどこが小売かという非常にあいまいな部分も出てきますし、その部分も非常に複雑さを増したというふうに思っております。 それと、非常に一番矛盾なのは非課税と三%で、食料品以外は三%かかるわけですから、非常にぜいたくなチョコレート等を買っても建前上は非課税なわけですね。ところが、生活必需品のトイレットペーパーを買えば三%課税されるというのは非常に矛盾をしてくるなというふうに思いまして、今までの税制に加えてますます不透明さ、わかりにくさがふえたというふうに思っております。
○村田誠醇君 それともう一つ、食料品が非課税になったということですけれども、これは仕入れの段階にかかっておりますし、業者から言わせますとその他いろいろな経費にかかっている部分はどうしても転嫁せざるを得ない。転嫁しなければ自分でその分利益を削る、こういうことになると思うんですね。ですから必ず転嫁される。その率はどうかということはいろいろ政府の発表と我々の計算とは違っておりますけれども。 ただ問題になるのは、大変うまくこれはつくってあるなと。これは私の感じですけれども。考えているなというのは、片っ方において非課税でございますから消費者がお店に食料品を買いに行ったときに今までと違いまして税額が表示されていないわけですね。しかし、税額が表示されていないということは転嫁されていないんじゃなくて、内税化された形で転嫁されているわけです。ですから、買いに行ったときに本当に便乗値上げがないのかということを考えますとますます不透明になって、これは毎日毎日が納税日と、こういう、痛税感を和らげるために食料品を非課税にするという言葉は、響きはいいんですけれども、内税化の価格表示を持ち込んできたというふうに考えて、むしろ商店街に、お店屋さんに買いに行ったときに消費者の皆さん方との間のトラブルというのが多数起こるのではないかなというふうに感じておるんですけれども、その点についての御見解があればお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(日和佐信子君) お答えまでおっしゃられちゃったような形で大変お答えしにくくなってしまったんですが、確かに、結局非課税ということは内税化ということになります。多分、そういうことでいけば、課税品と非課税品を扱っているスーパーマーケット等では非常に事務が煩雑になるわけですね。二重の事務手続をしなければならないということになります。当然、ですから課税品も内税化の傾向をたどるのではないかというふうに非常に懸念されます。 内税化されるということは税金が見えなくなるということですから、税金を払う者にとっては大変不都合な制度です。払う者にとっては、どれだけ税金を払っているかということを自覚して払うということが大変大事なわけですね。それにつながって、その税金がどういうふうに使われているかということを監視する、それは払う人間、担税者の権利だと思うんです。そして、その権利はきちんと保障されるべきだと私は思っておりますので、内税化ということは非常に問題が大きくなってくるというふうに思っております。
○村田誠醇君 続きまして小早川公述人にお聞きしたいんですけれども、先ほど政治家の心得というんでしょうか御見解を述べられて、難局というのか困難というんですか、そういう状況に陥っても自分の信念、信ずるところについて正しく処すべきであるという大変含蓄のあるお言葉をいただいたんですけれども。 そこで一つお聞きしたいんですけれども、地方自治体といえどもこの消費税、これは当然負担なさるわけですね。それは購入する物品とか発注する工事の負担をするだけではなくて、公営事業等における負担、これもするわけです。当然消費税です。ところが、いろいろ消費税、御見解があるのだと思うんですけれども、地方自治体においては転嫁している自治体さんと転嫁できない、あるいは転嫁しないのかできないのか、したくてもできないのか、その辺はいろいろ見解が分かれると思うんですけれども、そういう状況が続いておる。ところが、納税日が近づいてきますと、これは転嫁していようがしていまいが納税義務が発生してくるわけです。当然、最終消費者といいましょうか一般消費者から徴収していないとしますと、この部分は一般会計なり何らかの形で税を捻出しなければ納税できないわけですね。大変に問題がある。 ところが、先ほどの政治家の論理からいきますと、あるいは判断からいきますと、こういうことを見送る、あるいは転嫁できない、どういう理由かは別として、自治体がやらないんじゃなくて恐らく首長さんですね、責任者がその判断をしないんだろうと思うんですけれども、そのことに対しての見解ですね、いいのか悪いのか、あるいは何といいましょうか、表現は悪いんですけれどもちょっと弱腰なのか等についての御見解があればお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(小早川新君) 転嫁するということが法律で、消費税法の中で必ず転嫁しなさいとは私はないと思うんですね。必ず転嫁して、別につけ加えると。外税ではございませんから。ですから、それは消費税を定着させる、公的な機関として定着させなきゃいけないと。税制なら。そういう意味において行政指導とか何か、行政指導と言ってはおかしいんですけれども、こういうふうにした方がいいんじゃないかというあれはあります。 しかし、私はそのことはやっぱり、地方自治体そのものにとってどうしてもそれをおろそかにしておっては財政が悪くなるということなら、それは必ずしてやっていかにゃいかぬ。しかし、内部の努力によってせぬでいいことはせぬでも私はいいと思うんですよ。例えば私の町やなんかは小さな町ですから、運動場の使用料とかいろんなことがあるわけですよ。そんなことは転嫁しても納めぬでいいことになっておるんですから、それなら転嫁する必要はない。それはもう納めぬでいいんですから。どうもそこに、もろうといて、ちょっと転嫁するでといって三%やっとけやといってもろうといて、税務署へ持って行かぬやったら何か途中で横領しとるような格好になりますからね。そういう気持ちになりますから。私はそんなことはせぬでもいいんじゃないかと考えております。 ただ、余り無理してそういうふうなことばかり考えていても、消費税は転嫁しない、財政的な負担は自分でするというて力み返って、もともと大 体赤字になっておるところに力み返ってしよると後で必ずツケが参りますからね。そういうときはやっぱりその首長の責任において、変なふうにならぬように町民の方からもらってしていくべきじゃなかろうか。これはそれぞれの首長の判断によってやるべきことじゃないでしょうかね。
○村田誠醇君 それでは続いて粕谷公述人にお聞きしたいんですけれども、食料品を非課税にするということになりますと、子細は先ほど言いましたようにまだ出てきておりませんし政府案でもありませんからなかなか判断しにくいところもあると思うんですけれども、現行法で、現在の消費税でいきますと非課税の割合が、非課税売り上げの割合が五%以上を超えてきますと経理処理について今までと違った経理処理をしなければいけない。要するにグロスで引けなくなってくる。個別の対応方式をしなきゃいけない。しかも、それも売り場の面積比でいくのとかあるいは従業員比でいくのとかいろんな方式がありまして、それを税務署長に届け出た方式でやらなければいけない。ですから、レジをかえるとかあるいはコンピューターのソフトを一部かえる程度で対応できる問題じゃなくて、会計処理、その会社、企業の会計処理の全体を見直さないとこれに対応できないだろうと思うんですね。 先生が関与なさっている会社とかあるいはその他のところで恐らくそういういろんな事務的に大変煩雑な問題が出てくるだろうと思うんですけれども、ちょっとその辺具体的な例みたいなのがございましたら教えていただければと思うんです。
○公述人(粕谷晴江君) お答えいたします。 課税売上割合が九五%未満の場合は、今お話がございましたように、全額仕入れにかかった消費税額が控除できないものですから、それを課税に対するものと非課税に対するものと分けるわけですけれども、控除できるかできないか、課税に対するものが控除できるわけですけれども、その基準としまして、今お話にありましたように、分け方が個別対応方式と一括比例配分方式というのがあるんです。今まで例えばスーパーですとか百貨店は課税売上割合なんかは九五%以上のところが多かったわけですが、今度消費者につまり小売の段階の食料品の販売が非課税になりましたので、課税売上割合が九五%から下がるということが大いに考えられるわけです。 そうしますと、今までは課税に対する経費とそれから非課税に対する経費というのを分けなくてよかったんですけれども、まず第一に売り上げの方を課税売り上げとそれから非課税売り上げとまず分けることから始まりまして、売り上げの方も同じものでも例えば法人とか料理店とかに売ったものは卸ということになりまして一・五%の売り上げになりますし、消費者に直接売ったものは非課税ということになります。まずその売り上げの方から分けまして、非課税割合が九五%未満になりますと、今のままの法律でいきますとその非課税についてかかった経費、例えば食料品ですと仕入れたものにかかっている税金が控除できないわけですね。その控除できないのをどういうふうにして仕分けするかといいますと、まず最初に、食料品を仕入れますと、ひもつきでかかったものはかかったというふうに分けます。それから、それが非課税に対する仕入れであるか課税に対する仕入れであるかというのを最初に分けます。これなんかもみんなコンピューターで一つ一つ伝票によって分けるわけです。取引ごとに分けるわけなんです。 それから次に、共通の経費があります。例えば包装代ですとかそれから運賃とか、共通の経費があります。その共通の経費を今度は課税に対する部分と非課税に対する部分を案分するわけですよね。今までは一応個別対応方式でも届け出をしない限りは課税売上割合でやっているわけですけれども、それですと売り場面積とかいろんな関係から不利になるケースがあります。例えば株式の譲渡益に対して非課税ということになりますと、それの割合が多いところは経費が少ない割に非課税売り上げが多いということですから、課税売上割合で共通経費にかかった消費税の案分をしますと不利になるということで、この共通経費をどういうふうに案分するかという方法につきまして課税売上割合に準ずる割合というのを届け出ることになっていますが、今のところ全国でも件数は余り多くないようですけれども、これからはそういうふうに売り場面積とか従業員数とかそういうことで案分するという方式もふえてくると思います。 それで、個別対応方式なんか計算しますときでも今まではそれほど気を使わなくてよかった部分でも、例えば課税の中に食料品とそれ以外の仕入れがありますと、食料品の中でも一・五%課税のものと課税されないものと三%の課税というのが出てくるわけですね。ですから、それを一つ一つ分けなくてはいけないわけですからもう非常に難しい。それを帳簿の中から費目ごとに取り出すということになりますので、もうコンピューターのソフトはもちろんかえなくてはいけませんし、あらゆるところで事務の負担が相当なものになるというふうに思います。
○村田誠醇君 それから自民党の見直し案でいきますと、小売と卸の区別をしなけりゃいけません。ところが、現実の商売をなさっている方は卸と小売を兼ねていたり製造卸と小売を兼ねるとかいろいろ複雑な形態がございますが、現在の税法の規定で結構でございますので、消費税で一体卸とはどういうふうなものを指しているのか、ちょっと御説明いただけますか。
○公述人(粕谷晴江君) お答えいたします。 卸売業の定義が、商品の性質、形状等を変更しないで譲渡する課税売り上げが課税売上期間における要するに課税売り上げ全体の五〇%を超えているものが卸売業という定義です。
○村田誠醇君 それも私もいろいろ決算をなさった方にお聞きしたら、その五〇%も一年の決算をした後の結果で卸になったり小売になったりするということをお聞きしたんですけれども、その点はいかがでございましょうか。
○公述人(粕谷晴江君) その件は、この規定が課税売上期間における課税売上割合ですから、その決算をしている年分の課税売り上げということですから、その年によって卸の方が多かったりそれから小売の方が多かったりするわけですから、確かに御指摘のとおり、決算が終わった時点でありませんとパーセンテージが出ませんので非常に困るということです。
○村田誠醇君 佐多公述人にお聞きしたいんですけれども、この消費税ですね、確かに陳述の中でも廃止をすることの混乱性等についてもいろいろ言われておりますけれども、自民党の案で見直しをしても今粕谷公述人の方からも出ましたようにかなりの混乱が起こるし、それから小売業に対する経理上の混乱あるいは事務上の煩雑さ等々がかなり出てくると思うわけですね。また、そういうことから消費者と小売との要するに店頭でのトラブル、混乱等が起こってきて、大変皆さん方にとっては困る事態が起こってくるんじゃないかと思うのですけれども、その点に関する御見解をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(佐多宗二君) 御承知のように、最初やるときよりも混雑はしないと思いますが、ゼロではないと思います。今はコンピューターが発達しておりまして、ソフトを入れかえたりそれから仕訳帳の仕分けを一・五%と三%に分けるとか、そういう問題はどうにもならないわけですね。しかし、今までゼロのときから消費税を三%取れというときのようには混乱はしないと思います。
○村田誠醇君 続いてまたお聞きしたいんですけれども、要するに現行の税制度を使いますと、これは節税というのかどういう表現をするのかは別としまして手元に預かり金が一部残る、こういうふうになっているわけですね。これはどういうふうに評価するかは別問題といたしまして、当然残る。これに対して当然消費税等を事務処理をしているんだから、それに対する手数料的な要素もあるんだよという言い方もされるわけです。 確かに、昔はサラリーマンの源泉所得税も引いておられる会社については手数料なんか出して おったと、今はもう全く企業負担でございますけれども出しておったと、そのようなことを言う方もいらっしゃるわけですけれども、私がいろいろな方にお会いしたときに、この制度は非常に商人といいましょうか、商売をする人間の気持ちといいましょうか姿勢というんでしょうか、それを堕落させる制度だと。なぜかといいますと、佐多公述人多分御存じだと思うんですけれども、てんびん棒一本担いで出世していくといいましょうか商売に成功していくという、「てんびんの詩」というそういう物語があるわけですね、物語というか映画ですが。これは自分で努力をして自分のオ覚で額に汗を流して働いてもうける、それに対して税金を払う、これが商人だとあるいは商売だと、商売道というのかその辺は別として、一つの商売を行う人の倫理観というんでしょうか道徳観というんでしょうか、これを指していると思うのですね。 その極端な対比の例で出せば、豊田商事のようにだまくらかしたりそういう形で非常に利益を得る、こういうのと違って自分で額に汗をしてそしてもうけたお金を自分で使う、これならわかる。しかし、今の税制度で何もしないで、努力も何もしないわけですよ、自分が売った物にくっついてくる税金が右から左に動いたときに、その部分に滞留をする。つまり、不労所得というのかどういう表現をするのかはちょっと別問題といたしまして、こういうふうに残ってしまう。それが額が少ない人もいるし額が物すごく大きい人も、もう決算をしている人が何人も業者が出ておりますから、皆さんの意見を聞くと百万単位で残る人もいる。 ですから、そういう意味で、大変皆さん方の中においてもこういった心理的といいましょうか道徳的といいましょうか、倫理観の点でもかなり抵抗があるのではないかと思うんですがね。その点についてそういうような御見解なりを持つ方がいらっしゃるのかあるいは聞いたことがあるのか、ちょっと聞かせていただければと思うんです。
○公述人(佐多宗二君) その意味、先生のおっしゃっている哲学的なものはよくわかります。大体三千万以下が六八%ぐらいですか、そうすると全体的なあれでは三%というような統計を見ております。そうしますというと、全部、仕入れ原価が八〇%でありますから二千四百万円と。そうすると、最終的には全部取って全部払って十八万残る。猫ばばという表現でよく言っておるわけです。 しかし実態を見ておりますというと、三千万以上の油で手が汚れ水で手が汚れている業者という表現をしておりますが、豆腐屋とかコンニャク屋とか魚屋とか野菜屋とかというような人たち、またはこの油で手の汚れた人たちというのは自動車の修理業者それから溶接業者、鋳物業者、そういう方々が三千万以下の工業であります。それは地元に定着しておりますので、ほとんど親の時代から子の時代の得意でありますから、三%取れないのがもう半分ぐらいと私は見ております。 そこで、不労所得というような感じは、御本人になると不労で税金でもうけたというようなことにはならないと、感じとしてならないと思います。計算的に全部三千万をぴしゃっとやればそうですけれども、八〇%の仕入れに対しては払っておるわけでありますから、総額表示を指導しておらなかったわけでありますから、ほとんど税金だけはまけてくださいと、親の時代から子の時代の得意でありますから取れていないというのが実態でございます。
○村田誠醇君 富岡公述人にお伺いをしたいんですけれども、今似たようなてんびん棒の話でございますけれども、先生が言われたように、税制度を仮にどういうふうにつくっても、それを今言ったように社会体制というのですか、あるいは国民の意思というのでしょうか、そういう抜け穴的なあるいは黙っていてもうかる、そういう不公平な税制度を片方で温存している限りなかなか国民の税意識というのは向上してこないだろうと言われたわけでございますけれども、そういう背景を踏まえて現在の消費税、免税業者という前提で幾ら考えても自分の仕入れにかかってきている部分についてはどうしても転嫁せざるを得ない、あるいは転嫁しないとすればそれは第二法人事業税化してくるということがありまして、どうしても原則課税に行かざるを得ないだろう、原則課税業者を選択した方がいいということが出てきますし、現実に今度の政府・自民党の見直し案を見ましても、農民等についてはこれは原則課税を選択した方がプラスであるということがはっきりしてきたわけですね。 この辺について先生の自民党の見直し案に対する見解を、まだ細目についてはよくわからない部分がございますけれども、現時点での先生の御見解を聞かしていただければと思います。
○公述人(富岡幸雄君) お答えします。 私は今実は村田委員とそれから佐多会長のやりとりを聞いていまして、涙がこぼれました。つまり、中小零細企業は日本の宝です。その人たちが苦労して商売し、一生懸命帳面をつけて青色申告をしてきたわけです、四十年。私は国税局におりましてそれを指導した人間です。青色申告がデモクラシーを支えるんだ、まじめに帳面をつけてください、まじめに帳面をつけても絶対につぶれませんと言ってきたんです。そして国民はその私どもの言葉を信じてくれて、一生懸命申告納税をやってくれました。ようやく青色申告がそして申告納税が定着したわけですね。つまり、政府税務当局と納税者国民の相互信頼、これが国の礎です。 ところが、今の話を聞いて、悲しいじゃないですか。油や水で手が汚れておる人たちが朝から晩まで真っ黒けになって働いて、そして企業を維持しているんです。みなし法人課税はその人たちの給料が経費にならないということに対する私どもの怒りだったのですね。労働しているんです。ましてや、その人たちが売上税には反対したのですよ。売上税なんかつくったら、大きな企業は転嫁できるが力の弱い中小零細企業は転嫁できないことがわかっているんです。理屈の上ではカルテルをつくれとかおっしゃって転嫁はできるわけですが、商売は力関係なんですよ。おっしゃっているように、地域に生活して毎日毎日顔を合わせている人が、なにおたくは転嫁するの、外税なの、内税なのと言われると取れなくなるんですよ。これが町の姿なんです。 にもかかわらず、一方、消費者が納めた税金が国に入らない、簡易課税や免税点で。先生は節税とおっしゃったけれども、益税というんですよ、それを。人が払った税金を懐に入れてもうけるというのは益税なんです。節税というのは三十年前に私が国税局におるとき提案したのが節税で、自分の税金を節約するんです。益税なんです。税金の横領なんですよ。会長は猫ばばとおっしゃったけれども、それができる人とできない人がいるんですよ。いいですか。ですから、できるできないとは関係なく、平均的な議論が今マスコミで行われているんですよね。そして、中小企業は三千万円以下で消費税がかかっていないのに転嫁している、これは簡易課税で五億円以下でもうけているというふうに言われているのは、恐らく私は中小企業のそういう人たちから見ても心外だと思うんですよ。いかがですか、皆さん。ですから、それは早く直してやった方がいいと思うんですよ。私は、消費税を定着させるなら、そういう制度的欠陥を直してやった方がいいと思います。なぜそれを今回直さなかったのですか。そこに実は問題があるんですよ。 例えば免税点三千万なんという国はどこもないのです。フランスでは免税は年税額が千三百五十フラン未満、日本円に直すと二万七千八百円です、税額で。西ドイツは売り上げが二万ドイツマルク未満、百四十万ぐらいです。イタリアは千八百万リラ、邦貨に換算して百七十一万ぐらい。イギリスは二万五百ポンド、四百六十一万以下です。日本は三千万ですよ。こんなけた違いの免税点が維持できるはずはありません。それから五億円以下の簡易課税。フランスは五十万フラン未満、千三十万ぐらいですか、ドイツは六万マルク、四百二十二万未満です。イタリアは七億八千万リラ、七千四百三十三万です。五億円はべらぼうに高いで す。 大変失礼ですが、自民党の席からはやじが出るでしょうが、総選挙が終わればこれを直すのです。総選挙が終わって自民党が過半数をとれば、消費税は定着したと言ってこの簡易課税や免税点は大幅に見直されます。これはそれまでの命です、言い過ぎかもしれませんが。僕はそう思っているんです。いいですか。問題は、ですからそういう税金をつくったためにお客様と商店とがいがみ合うということが私は国の文化にとって危ないということです。 ですから、私が言いたいことは、間接税も必要なんです。粕谷さんがおっしゃったように、やはりある程度負担能力に応じてぜいたく品、高度の便益品、奢侈品にうんと絞りに絞ってそれ相応の間接税もやがては必要です。しかし、消費税のように画一的にすべてを網羅的に一律ばっさりとやるような税金はこの国の文化になじまないということです。その前にやるべきことは、所得税、法人税に存在する限りなき不公平税制の是正であるということです。いかがですか。
○村田誠醇君 私、一年生で当選してきたばかりで質問するのも初めてでございますので、公述人の皆さん方にあるいは不当な表現なり言葉遣いが足りなかったかもしれませんけれども、その点をおわびいたしまして私の質問を終わらせていただきます。
○和田教美君 まず、公述人の皆様方にお礼を申し上げます。 私も、自民党の税制調査会が最近決めました消費税の見直し案について、まず粕谷公述人にお尋ねしたいと思います。 私は、思い切った見直しと言っている以上は日常生活品ぐらいは非課税にするのじゃないかというふうに思っていたのですが、見事に予想は裏切られた。そして非常に小幅といいますか、食料品だけ流通段階は一・五%の消費税、そして小売だけが非課税というふうな非常に複雑でわかりにくい制度を取り入れたわけでございます。先ほどからいろいろ出ておりますように、こういう制度によって消費者の立場から見るとますます税が隠れるというふうな問題も出てまいりますし、それから果たしてどれだけ実際に食料品が値下がりになるのかも全くわからない。逆進性を直すというふうなことは全く期待できないというふうな状況だと私は思うので、つらつら考えるに消費税の構造そのものがこういう部分的な手直しというふうなものを非常に困難なものにしておるということが改めてわかったのではないかというふうに思うのです。 そうすると、やっぱりもうこれをとにかく見直しではなくて出直し、そしてやり直しということ以外にないというふうに私は思うわけですけれども、総体的に粕谷さんはこの見直し案をどういうふうに評価されておるか、お聞きしたい。
○公述人(粕谷晴江君) お答えいたします。 まず一番私が感じましたのは実に複雑になったなということで、事務処理がこれでは大変で、できるかなというのがまず一つ最初に感じたことです。それから帳簿方式なんですけれども、非課税とそれから一・五%そして三%、自動車の六%というので税率は三つもう既にあるわけです。これで帳簿方式ということが本当に難しくて、これはやがて税額票方式に行くのではないかということと、それから食料品が非課税になりましたことは、どなたかから御指摘がありましたように、非課税ということは表示しなくてもいいということですから、それに合わせてスーパーですとか百貨店なんかも内税方式になっていって税金がだんだん見えなくなっていく、そういうことだと思います。 それから消費者の立場から考えますと、もともと転嫁していないようなケースも非常に多くあります。食料品の小売というのは規模的にはかなり小さいところが多いと思いますし、もともと転嫁していないところがあると思いますので、消費者が期待するほどの値下がりというのはないのじゃないかと思います。 以上です。
○和田教美君 次に、日和佐さんにお尋ねをしたいと思います。 先ほど消費税が実施されてからの毎月の家計簿調査の詳しい集計結果の御説明をいただきました。全体的に見れば非常に弱い立場の人たちに消費税のしわがダイレクトに寄っておるということがこれでもよくわかるわけで、逆進性は予想以上に拡大しているという感じを私は受けたわけでございますが、その中でもこの家計調査の結果などから日和佐さんとしては特にどういうところが直撃が一番ひどいか、例えば年金世帯であるかあるいは母子家庭であるかそれとも若い夫婦の低所得層であるか、そういうふうなところについて、ごく大ざっぱな話で結構でございますからひとつお感じをお述べ願いたいと思います。
○公述人(日和佐信子君) 詳しいデータ、数字等はあるんですけれども、それをひもとくのはちょっと時間がかかりますが、総体的に言いますと、私たちが一番問題だと思いましたのは年金世帯のところで非常に逆進性が強いということです。それからさっきもお話しいたしましたように母子家庭のところ、要するに社会の中で一番苦労していらっしゃるところが、収入の割合、消費支出の割合の中で消費税の占める割合が一番高くなってきているということで、非常に逆進性の高い消費税であるということが数字の上から証明されたというふうに言えます。年金生活者の方も母子家庭の方も所得減税には一切関係ない立場にいらっしゃるわけですから、二重に弱い者いじめになっている税制だというふうに言えると思います。
○和田教美君 次に、粕谷さんにもう一度お尋ねしたいんですけれども、先ほどの公述で物品税の問題を重点的に取り上げられました。そこで、物品税の問題について私ちょっとお尋ねしたいんですが、私も全く粕谷さんのおっしゃるとおり、今の消費税よりは物品税を復活させてこれをよくした方がよほどよいというふうに思っておる一人でございます。物品税についていろいろな批判があるのは、要するに政府がこれを手直ししよくするのをサボった結果時代おくれになったというふうな面も非常にあるわけで、制度そのものの欠陥ではないという点はまさにそのとおりだと私は思うんです。 ただ、物品税をこれからよくしていくということになれば、消費は多様化しておりますし日々変わっていくわけですから、そのニーズにこたえて適正な見直しをしょっちゅうやっていかなきゃいかぬという問題はありますね。それで、粕谷さんのおっしゃるようにこれをやるために適正な協議機関を設けるというようなことも賛成でございますけれども、やはり何かの基準が必要ではないかと思うんです。担税力というふうなことも一つの基準でしょうし、あるいは前から言われておりますぜいたく品と日常生活必需品を区別するとかというような問題もあるし、あるいはまた普及度というような問題もあると思うんですけれども、その辺のところは何を一番基準の中心にしたらいいとお考えでしょうか。
○公述人(粕谷晴江君) お答えいたします。 私が考えますのは、担税力、つまり税金を負担する能力という点からまずぜいたく品ということを考える、ぜいたく品というのにかける、それが逆進性の面からはベターだと思います。それから普及品というお話がありました。普及品についてもやはり高いものと低いものがあると思いますので、その辺については免税点を設けるということもあると思います。 それから、何というんでしょうか消費を抑制するというもの、例えばお酒とかたばことかあると思いますけれどもそういうもの、それから健全な娯楽、その辺のところから選定する品目もあると思います。こういうものは各国ともそういうことはやっていると思います。 以上です。
○和田教美君 次に、これは日和佐さんにちょっとお尋ねしたいんですけれども、非課税範囲の拡大ですね、自民党の見直し案にも食料品以外にも多少あるわけですが、ところがよく見ますと、葬 儀の場合には埋葬及び火葬の費用ということになっている。例えばお葬式にかかった葬儀屋なんかに払った費用はこれはどうも非課税にならないようですね。それから教育にかかる費用でも、学用品とかランドセル、制服などはこれは三%課税のようですね。それから身体障害者用物品の非課税も非常に限定されておりまして、障害者用に改造された車あるいはつえなどの補装具は非課税だけれども、障害者が一般の車を買う場合にはこれは課税だというふうな大蔵省の説明でした。そういうふうに解釈をしているようです。 私は全体に非常に限定してみみっちいというふうに思うんですが、本来こういうものを非課税にするというのは当然のことだと思うんだけれども、この点についてひとつ御感想をお聞きしたいと思います。
○公述人(日和佐信子君) おっしゃるとおり、私も当然非課税にすべき項目でそこの幅が少ないというのは問題だというふうに思っておりますけれども、私は基本的には、もともと問題のある消費税の中でいろいろと手を加えてやってみても、それは複雑さやそれから不透明さやわかりにくさをただ単純に増していくだけでありまして、それを改善する方向には行かないというふうに思っております。ですから、どういう手直しをしてみてもやはり消費税が基本的に持っている矛盾を解決することは非常に難しいというふうに思っております。
○和田教美君 最後の質問ですが、富岡先生にお尋ねをいたします。 消費税の導入で確かに平年度六兆円近い消費税の税収があるわけですけれども、しかし物品税をやめたりして正味は大体二兆円ぐらいの増収なんですね。それが今度消費税の見直しによって政府の計算では約一兆円減収になるというんですが、そうなると正味の増収分はあと一兆円内外しか残らない。何のためにこれだけ大騒ぎして消費税を導入するんだという疑問がわくんです。それはしかし、結局制度だけはとにかく残しておこう、そして時期が来れば税率を上げて税収増を図ろうというふうに受け取らざるを得ない。その点はいかがお考えでございますか。
○公述人(富岡幸雄君) その点は私が述べたいところなんです。 つまり、三%というのは導入時なんです。そして口を開けば福祉のため福祉のためと言いますが、高齢化社会というのは今じゃないんです。十五年先、二十年先なんです、程度によりますが。今の消費税を使わないで、どこかにためておいて五年、十年先に支出するならいいですよ。予算は単年度ですから、今の消費税は今使ってしまいます。将来、先生方がおっしゃるように財政支出が増大するということならば、消費税の税率は二けたになります。昨年の国会で出た資料によると、計算の仕方いかんにもよりますが、消費税の税率は一五%にならざるを得ないというデータもございました。ですから、おっしゃるとおり何でもいいから消費税のような税金を定着させたい、そして状況に応じて国民の理解を得ながら逐次これを上げていくということがねらいなんです。 しかし問題は、何で国民がこんなに消費税に対して不満を持つかということです。賛成している学者もいらっしゃるし賛成している政党もいらっしゃることはよく知っていますが、相当多くの方々が疑問を持っているということです。 高齢化社会に対する心配もしています。どうしてもこれから財政規模が大きくなります。歳出増になりますね。幾ら行政改革をしても税金のむだ遣いをやめさせても、限度があります。結局はだんだんだんだん国民経済に占める財政のウエートは高まります。何かの税金が必要だということは国民は肌で感じています。しかし、にもかかわらず消費税に賛成できないのは、余りにも所得税、法人税に多くの不公平税制があるということです。ぜひ後で質問してください、具体的に。幾らでも答えますから。この基幹税である所得税、法人税にある限りなき不公平に対する絶対的不信があるということです。 それに加えて、最近土地とか株のストック経済において資産格差が増大しているんです。自民党政府は、所得、消費、資産のバランスと言いながら消費税課税ばかり突出させたんですよ。資産保有課税についてはほとんどやらなかったんです。ですから、もし消費課税を入れるんだったら同時に資産保有課税も入れるんです。所得課税をきちんと直して、がっちり直して、そして逐次消費課税とそれから資産保有課税をバランスをとりながらそろそろそろそろ入れていく、そしてきちっとした税体系を二十一世紀につくっていく、この手順が大事です。いかがでしょうか。
○近藤忠孝君 富岡先生、しゃべり足りないようだから質問をいたします。 参議院選挙で自民党は大敗し消費税廃止法案提出が必至という状況ができたときに、早速言ってきたのが自民党の財源セット論です。御承知のとおり、代替財源がなければ廃止はできないというんですが、これはまず廃止をした後、あとは予算の問題ですからこれは内閣の責任ですね。自分の責任は全く放置してという無責任と同時に、これはやっぱり消費税を廃止させないための策略だと、わなに乗るなということを言ってまいったんですが、これについての御見解を賜りたいと思うんです。しかも、自民党の方は自分の方で見直しをしながらその財源は示さない。そういった点では大変身勝手だと思いますが、これも含めてお伺いしたい。 あわせて、先生はいろんなところでこう言っています。税制再改革の進め方と急所の第一は消費税廃止のための財源探しであってはならないというふうに強調されていますが、これも含めてお答えいただきたい。赤になって余り過ぎない程度に、ひとつ十分に論じていただきたいと思います。
○公述人(富岡幸雄君) 私は二日ほど前に参議院からこの膨大な法案をいただきました。これを一生懸命読みました。これが大蔵官僚の行政機関の手を経ずして、国会において先生方の努力でこのような法案が国会に提案されたということはすばらしいことです。ここからデモクラシーが始まるんです。今までは、すべて国会は政府官僚がつくった文章を、法案を法律にするセレモニーだったという非難もあります。これでは困ります。いろいろ表現その他について御意見があったようでございますが、いいじゃないですか。それを議論してよりよいものにしていただきたいんです。私はこの法案を見て涙がこぼれ、皆さん方に、参議院の先生方に最高の敬意を表します。 ただ、問題は財源セット論云々ですが、私のお願いしたいことは、まず基幹税である所得税、法人税に存在する不公平、不公正をきちっと直してほしい。しばしば申し上げておりますように、私の計算ですと、所得税で貯蓄課税の是正、配当課税の是正、キャピタルゲイン課税の是正をやってくれましたが、先般のキャピタルゲイン課税の是正は看板倒れで、新たな不公平を生んでいます。土地の課税の問題は、大変難しい問題がございますが避けて通れません。それから医師優遇税制も、もう一歩政治資金に関する経理処理も明朗にしていただいて、ぜひ信頼を回復していただきたい。それらで、つたない学者の研究ですが、所得税だけで平成元年度、平年度分四兆五千六百億あるんです。いろいろおしかりをいただくと思いますが、教えてください。 法人税については、膨大なものがあります。受取配当金の課税除外、何で会社が株の配当をもらってそれに税金がかからないんですか。これが六千四百七億円あります。いろんな理屈がございますが、もっと詰めてほしいんです。引当金も必要なんですよ、会計上は。ただ、貸倒引当金なんかになりますと、銀行は実際の貸し倒れが〇・一もないのに、〇・三%法人税法では法定繰り入れ率を認めていますから、銀行は膨大な貸倒引当金を持っているわけです。引当金は必要なんです。やめてはいけません。是正をするんです。不必要な分をカットするんです。 それから、税務会計制度といって資産の経理とか営業権とか開発費とか企業利潤の社用消費化と か、たくさんの問題がございます。 そして、国際課税についてぜひ質問してほしいんですが、国際課税は海外進出を奨励した時代の名残が残っておりまして近代化していません。国際化時代に対応する世界にふさわしいような税制をつくる。私は控えに控えて法人税の税率は課税ベースの浸食、タックスエロージョンとタックスシェルターを是正することによって、課税ベースを正常化しただけで税率を三五に下げました。今、四〇ですよ。先般は四二が四〇になって将来三七・五になるんですが、足りないです。三五です。世界で一番所得税と法人税の税率の低い国を我が国にしたいんです。そのかわり課税ベースをきちっと把握する社会制度をつくる。そして、企業や働く人々に不当な税を課さないで、活力のある生き生きとして成長発展していく国をつくってほしいんです。所得課税、法人税、所得税中心でいいんです。ただし、課税ベースの浸食、タックスエロージョンをなくすこと、タックスシェルターをなくすこと、そうすれば法人税は三五で済みます。それで三兆三千億、合わせて七兆八千六百億ですね。 四野党の方々の努力に敬意を表しますが、それ以上に財源があるということについて、自信を持ってやっていただきたいと思います。 以上です。
○古川太三郎君 公述人の皆さん、御苦労さまでございます。 富岡先生にお聞きします。先ほど消費税は放漫財政を助長するという質問がありまして、その後発言をとめられたような経過がございますので、私もその考え方には一緒でございますので、ぜひ先生の御意見をお伺いしたい、このように思います。
○公述人(富岡幸雄君) 大変僭越なことを申し上げて恐縮でした。国会議員の先生方を前にして政治家に打ち出の小づちを与えてはならぬということを述べるのは生きて帰るつもりはない、棺おけを担いでやってきた幡随院長兵衛の心境であります。でも、私は国会から招かれた以上、国民のために自分の学問的信念に従って述べざるを得ません。無事に生きて帰ろうと思っていません。 問題は、消費税が決まった直後につくられた平成元年度予算です。八年間でしたか七年間でしたか、ゼロシーリングで非常に政治家も行政機関も苦しみました。ところが、消費税ができた途端に予算は六・六%アップされましたね。平成二年の予算もそうだと思います。現に、税法が通っただけで施行されないうちから既に六・六%の予算の増なんです。黙っておれば予算というのはふえるんです。ですから、税金は取りにくい税金、取ることにつらい税金、これが大事なんです。どうしてもこれから高齢化社会で大きくなりますから、ぜひ頑張ってスリムになるように。糖尿病です、日本の国は。痛風です。塩分制限、糖分制限、カロリー制限をしてスリムな体にして、立派な国にしていただきたいと思っております。お願いします。
○古川太三郎君 当委員会では、直間比率の問題について大きな議論がありました。とにかく日本では直接税だ、こういった土壌があります。直接税のそういう環境がございました。ヨーロッパに比べて非常に直接税になじみやすい国民性もございます。それは日本の国に対する信頼度が大きいからだと思うところもございます。ヨーロッパのようにまた発展途上国のように、国を愛するあるいはまた国家というものに対する考え方が希薄なところでは、付加価値税しか取れないという事情もあろうかと思います。 今こういういい環境、いい税制のもとにおいて直間比率を変えていかなきゃならぬ、無理に変えなきゃならぬ、間接税を多くしなきゃならぬという議論が盛んに行われておりますけれども、そういった点での先生の御意見をお伺いしたいと思います。
○公述人(富岡幸雄君) 先ほど私の隣にいらっしゃる水野先生が、公平にはいろいろあるんだ、垂直的公平のほかに水平的公平もあるんだ、消費税をメーンタックスにすることも有力な見解なんだとおっしゃられまして本当に勉強になりましたが、私はその点大変恐縮ですが意見が違うんです。やはり所得課税中心がよろしいと思っています。 例えば我々が持っているわずかばかりの土地に固定資産税がかかっています。固定資産に対する応益課税なんだが、その税金は給料から払うんです。資産の保有にかかる税金でも消費にかかる税金でも、その税源はインカム、収入なんです。ですから、やはり課税対象と税源とが一致していく税ほど非常にいいわけですね。これが垂直的公平、応能課税を推進する理由かと思っています。 日本の場合は、すばらしい国なんです。自民党政治四十年の政策よろしきを得て、すばらしい国になりましたよ。私は本当にそう思って敬意を表しています。活力があります。日本の企業の方もよく働いています。企業の所得は大きいです。ですから、膨大な課税ベースがあるわけですからそれをきちっとやって、できるだけ低い税率でやってそれでしばらく賄う。九〇年代の前半は間接税、資産税は極小ですね。後半が中小型。それから二十一世紀になってもできるだけ中小型――中型ぐらいでとめる方がよろしい、こういうふうに私は考えております。 直間比率というのは結果論であって、アプリオリに何%がよろしいという議論にはなりません。例えば中小零細企業が消費税を転嫁できなければ自己負担になりますから、第二事業税です。それはまさに直接税です。大企業の法人税が転嫁できればまさに間接税です。税とはそのようなものなんです。御検討くださいませ。
○古川太三郎君 ありがとうございました。
○三治重信君 民社党の三治ですが、時間が限られていますから一、二だけ御質問させていただきます。 水野参考人に一つお尋ねしますが、いろいろ議論をしていると廃止をしての代替財源案の問題で一番議論が多かったわけなんですが、それじゃ廃止して現行のやつを二年なら二年先へ延ばして、税革基本法で新しい税制をつくって、そこで変えれば代替財源案とか何かは全然問題にならぬ。しかし、選挙公約で廃止すると言ったんだからいっときも早く廃止するという政治的な問題はありますけれども、税制そのものからいくというと、廃止をしちゃって暫定代替案を二年間やって、その間に新しい税金をつくるというのは、どうもそこの間の説明のしにくい問題が学者の方からあるのかどうか、それが一つ。 それから日和佐さんにちょっとお尋ねしますが、非常に消費税の逆進性逆進性ということをおっしゃいますけれども、それじゃ逆進性の一番の何というんですか年金受給者について、その消費税というのは一回だけなんだからそれだけアップして支給すればそれで逆進性は解消するんじゃないかという議論を言われたときにはどうおっしゃるか。現に、今度年金法を改正してアップさせますね。それからまた、物価の引き上げについてもアップするというふうな年金法になっているわけなんですが、そうするとそこの消費税を課すというのは課税分だけアップすれば逆進性は解消する、こういうふうな理解でいいんですか。二つ。
○公述人(水野正一君) お答えします。 ただいまの御質問ですが、この問題は多分に政治的な判断の問題でありまして、学問的な次元の問題とはかなり違うと思うんです。ですから、学者がそれぞれ発言する場合もちろんそれまで蓄積した学識、理論、こういうものに基づきますけれども、結局のところはやはりその人のイデオロギーなりあるいは社会観なり社会哲学、あるいは税については税についての哲学、こういうものに基づいてかなり主観的な立場で判断、主張するのが多いと思います。ですから、学問的にこうだからとはおっしゃいますけれども、学問的にそういうものがきちんと割り切れるものじゃないと私は思います。ですから、先ほどからおわかりのように、同じ大学に籍を置いておりますれども私と富岡先生とは全く違った見解を持っております。そういうものだと思います。
○公述人(日和佐信子君) 物理的に年金生活者の 方に対して年金をアップすればそれは補てんされるんじゃないかと言っても、その個別のケースでは補てんされると思います。ですけれども、逆進性の対象になっている方たちというのは年金生活者の方たちだけではないわけです。母子家庭の方もありましょうしそれから障害者の方もありましょうし、非常に大勢そういう対象の方がいらっしゃる。そういう方たちに対してどうするのかということが一方では残ると思います。 それからもう一つはそれとはまた全く別個に、先ほどもお話しいたしましたけれども、月収の割合での消費税の負担率、それはどうしても低所得者の方に負担率が高くなってくるわけです。月収が四十万以下では収入の二・二%なんです。月収が八十万円以上の層では収入の〇・九%前後にしか消費税はならない。そういう意味で、基本的な逆進性というのはあるというふうに思います。
○委員長(中村太郎君) 以上で公述人に対する質疑は終わりました。 この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。 皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。 明六日は、午前十時から委員会を開会することとし、これをもって公聴会を散会いたします。 午後四時五十八分散会