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116回国会参議院1989/11/20

税制問題等に関する特別委員会 第7号

発言数
14
登壇者
5
会派数
3
開催日
1989/11/20

会議録

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  消費税法を廃止する法律案、消費譲与税法を廃止する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案、税制再改革基本法案、法人税法等の一部を改正する法律案、通行税法案、物品税法案、入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

谷川寛三自由民主党

○谷川寛三君 議題となっております九法律案が審議入りいたしまして一週間余がたっておりますが、まだ税の本来の問題に立ち至っておりません。私は、実はきょうはそこへ入っていきたかったのでありますが、どうしてもそういうわけにまいらぬ、こういうことになりました。  それは、去る十六日、宮澤委員がこの税制再改革基本法案の第八条の第二項につきまして、つまり国民税制協議会が調査審議の結果を内閣及び国会に報告をしたときは「速やかに所要の措置を講ずるものとする。」、この「ものとする。」という文言につきまして重大な疑義を提起された、そのことに関係してでございます。その問題をこの際決着をしておかぬと先へ進めないと、こう思うんです。  この規定につきまして、発議者を代表いたしまして峯山さんは再三にわたりまして、決して法的に拘束をするものではないということを言っておられますけれども、この「ものとする。」でございますが、これはしなければならぬという文言に比べますと若干弱いニュアンスでございますけれども、一般的な原則あるいは方針を示す規定の述語といたしまして、行政府等に一定の方向づけを拘束することになる場合があるということに関係している。これは大変なことですね。皆さんの方では決して拘束するものじゃないと言っていますけれども、やわらかい言葉は使っておりますけれども、しなければならぬという義務規定と同じだ ということになりますと、憲法の規定によりまして国会は国権の最高の機関でございます。それから行政機関の総括をします内閣、この二つよりも国家行政組織の中の一附属機関にすぎない協議会が優越する地位に立つ、これは大変な問題でございます。そういうことをこの際解決しておかぬとこれは私も本論に入れないと思って冒頭に取り上げたわけでございます。  私、今申しましたように、「ものとする。」という文言は、やわらかいですけれども時としてしなければならぬという拘束力を持った規定と同じだと申しましたが、立法に携わります人たちがバイブルのように考えている本がございます。元法制局長官であられました佐藤達夫先生の「法制執務提要」というのがございますが、これをちょっと申し上げます。「「するものとする。」この表現には、「しなければならない。」という義務づけの意味がないわけではなく、場合によつては、これと全く同義語として使用されていることもあるが、一般には、そこまで、ものごとをはつきりとわりきらずに、若干の含みをもたせつつ、」、さっき私、ニュアンスがやわらかいと申しましたが、「一般的の原則なり、方針なりを示すという気持が強い場合に、多く用いられる。行政機関等にある種の拘束を与える場合によく用いられる」、こうあります。  それから同じく元法制局長官であられました林修三先生が、「法令用語の常識」とか、いろいろ本を著しておられますが、おおむねこの言葉につきましては今の佐藤先生と同じような所見を発表されておられます。  大変重大な点でございますが、きょうは参考までに御意見をお伺いしようと思いまして、法制局長官においでをいただいております。内閣法制局長官、このことについてどうお考えでございますか、御所見をお聞かせください。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) 今、委員から参考までに意見をと、こうおっしゃられました。私、そういう趣旨で申し上げますが、今御議論の対象になっております「ものとする。」ということでございます。  この税制再改革基本法案の八条第二項の案は、「講ずるものとする。」と、こういうことでございますが、その文言の解釈につきましては、立法者の意思あるいは制定の経緯によりまして強弱があるといたしましても、政府の附属機関が内閣全体の意思決定を拘束する結果になる場合もあると、さらには、憲法に定める国権の最高機関であり国の唯一の立法機関である、こういうふうに定めておりますその国会の権能を侵すとも読まれるのでありまして、私の知る限りでは、このような立法例はございませんし、また今日の憲法を頂点とする法体系の中では適当ではないのではないかと、かように考えております。

谷川寛三自由民主党

○谷川寛三君 長官はもうようございますから、お帰りになって。  今お聞きのとおりでございますね。大体さっき申しました両先生と同じような御意見でございます。  とにかく、峯山先生は拘束をするものではないと、解釈の問題という意味のことを、久保先生もおっしゃっていますがね。しかし、立法者のお考えがいかようであっても、これが法律になりましたら、成文になりましたらひとり歩きをいたしまして、為政者がその判断によってこの法律を執行するようになる。私は大変なことだと思うんですよ。  そういう意味におきまして、これはこの際、このまま通していくわけにはいかぬと思うんです。御撤回を願って、法案を出し直してもらわぬと、これは基本の法律でございますからね。そう思っておりますが、いかがでございますかね。

峯山昭範公明党・国民会議

○委員以外の議員(峯山昭範君) この問題につきましては谷川さんもう十分承知でおっしゃっているんだろうと私は思いますが、まず、先般も申し上げましたが、税制再改革基本法の第八条第二項は、「内閣及び国会は、前項の報告を受けたときは、速やかに所要の措置を講ずるものとする。」、こういうふうになっているわけであります。この点につきましては、初めから、内閣や国会がこの答申を最大限に尊重するということを私どもは私どもの意図として申し上げたわけであります。  そこで、御存じのとおり、先ほどから「ものとする。」という御意見がいろいろとありました。これは先ほども、これは後で申し上げますが、先日の国会答弁でも申し上げましたが、既に茂串前の法制局長官、それから真田法制局長官、いずれもこの「ものとする。」という意図について明確に申し上げております。それは例えば具体的に申し上げますと、この「ものとする。」というところの答弁でありますが、真田長官の方が先輩でございますから先輩の方から申し上げますと、今の原子力船開発事業団法がまさしくその例であって、例えば五年内に廃止するものとするというふうな規定があるわけですね。それで……

谷川寛三自由民主党

○谷川寛三君 簡単にしてください。

峯山昭範公明党・国民会議

○委員以外の議員(峯山昭範君) いや、詳しく説明しないとわかりませんのでね。  ですから、これは五年内に廃止するという方針であるという、いわゆる五年以内に廃止する方針であるという立法者の意思、方針、それを宣明したものでございまして、具体的に、例えば原子力船を廃止するという場合には、その廃止するという法律が出てくるまではこの効力に影響はございませんと、こういうふうに述べているわけでございます。  それから、したがいましてこの茂串長官の答弁も、「廃止するものとする。」というこの法律の問題につきまして、「この法律を廃止することについての立法者の意図、方針を明らかにしたもの」である、「この法律を廃止するためには、さらに別途の立法措置を講ずることが必要である」と。この点を見てみましても、もう既に我々発議者の意思が明らかでございますし、またこの法律の中に明確にうたい込んでおります。したがいまして、先ほどの工藤法制局長官の答弁も、これは私はいろいろと皆さん方が前もってレクチャーをしたからああいう答弁をしたんであろうと私は思います。思いますが、私は先ほどの工藤長官の答弁は、適当ではないとはおっしゃっていない。適当でないのではないかとおっしゃっているわけでございまして、したがいまして私は、この法律は決して憲法とかそういうものに違反するわけでもないし、また内閣や国会を拘束するものではないと考えております。

谷川寛三自由民主党

○谷川寛三君 今お聞きのように、立法者の意思とかいうことを盛んに言われます。前回も同様のことをお聞きいたしました。しかし、私が申しますように、ここには「講ずるものとする。」とありまして、「ものとする。」というのはしなければならないということと同じ使われ方があるんだ。そこで、幾ら立法者が今お話しのようにお考えになっておりましても、これが成文法として成立した暁にはひとり歩きをするようになるんですよ。どうしようもない。それを心配しているんです。私は、国権の最高機関である国会は何物にも縛られない。殊に行政府の一附属機関にすぎないものに拘束される、これは議会制民主主義の破壊でございますよ。  それから、峯山さん、この前こういうこともおっしゃっていますね、尊重する義務があるんだと。これもいけませんね。とにかく国権の最高機関でございますからね。義務づけられることも規定をすることは許されないんですよ。私はそう思います。  そういう意味におきまして、これは撤回をしていただく以外にない。撤回をする御意思はありませんですね。あるかないかを、もうそれだけ。

久保亘日本社会党・護憲共同

○委員以外の議員(久保亘君) せっかくの御意見でございます。今、谷川委員の御意見は御意見として、私どももあなたがそういう御意見をお持ちになることを批判するつもりはございません。しかし、先般も議員立法の実務を担当いたしました参議院法制局長も、きちっとここでこの立法のただいまの疑問点についてお答えをいたしております。私どもは、委員が御指摘になるような問題点 はないと考えておりますので、法案を撤回する気持ちはございません。

谷川寛三自由民主党

○谷川寛三君 再三申しますがね、この規定と立法者の意思とは関係ございません。意思がいかようにあろうとも、この法律が成立した暁には、さっき申しましたように為政者がその判断で執行するようになりますから、これは大変な問題でございます。議会制民主主義の破壊である。私はこれは撤回していただかなければ、これは先へ進めませんよ。委員長、申し上げます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○委員以外の議員(久保亘君) 委員の御意見はどのようにお述べになりましてもこれは御自由でございますけれども、しかしあなたが、この法律が憲法に抵触するとかしないとかをお決めになることもできないと思います。私どもは私どもの判断に基づいて、そのようなことはないと、こう申し上げているのでございます。

谷川寛三自由民主党

○谷川寛三君 さっき読み上げました諸先輩の御所見のことも考えなければなりません。それから、法制局長官の御答弁もありましたがね。何度も言うようでございますが、御意思は御意思として、法律になった以上はそうはいきませんので、この際ひとつ私は、考え直してもらわなければ先へ進めないと委員長に申し上げます。

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後一時三十一分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕

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