外交・総合安全保障に関する調査会 第2号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1989/11/29
会議録
○会長(中西一郎君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査会を開会いたします。 外交・総合安全保障に関する調査のうち、最近の国際情勢に関する件を議題とし、国際情勢について外務省から、国際軍事情勢について防衛庁から、それぞれ説明を聴取いたします。 それでは、まず外務省山下情報調査局長。
○政府委員(山下新太郎君) それでは、最近の国際情勢につきまして、なるべく簡単に取りまとめまして御報告申し上げたいと思います。 私の申し上げます主要な項目等につきましては、お手元に、取りまとめた簡単な資料が配付されているかと存じますけれども、そこでも明らかなとおり、まず最初に、最近の欧州・東欧情勢。それに続きまして、この欧州・東欧情勢がNATOなりワルシャワ条約機構に対してどんな影響を与えるか。それから三番目に、このごろ議論に上りつつございますドイツの統一問題。四番目に、欧州・東欧情勢の動きが今後の東西関係全体にいかなる影響を及ぼすであろうか。それから最後の第五番目といたしまして、欧州・東欧情勢の動きがアジア、なかんずく中国、朝鮮半島にどのような影響を及ぼすかといったような点につきまして御報告申し上げたいと思う次第でございます。 まず最初の、最近の欧州及び東欧情勢についてであります。 東欧の変化には極めて顕著に見られすけれども、これはソ連のペレストロイカが進行している中で、近年東欧諸国におきましても、それぞれの国の情況に応じたそれなりの改革が追求されてきたところでございます。ことしの夏以降、ルーマニアを除くワルシャワ条約機構に加盟している東欧の諸国におきましていろいろな変化が生じておりますけれども、かなり急激であり、かつ劇的なものだということを申し上げ得るかと思います。 ポーランドにおきましては、六月の初めに初めて、部分的ではございますが自由選挙が行われまして、その結果、上下両院におきまして「連帯」が圧勝したのを受けまして、御承知の「連帯」のマゾビエツキが首相となりまして連立内閣が八月に成立した次第でございます。 ハンガリーにおきましては、十月の党大会で党の名前が、社会主義労働者党とこれまで呼ばれていたものから社会党に変更されまして、それと同時に一党支配体制が放棄された状況でございます。 次に東独でございますが、ことしの夏以降国民が大量に出国し、さらにまた大きなデモが行われ、そのような圧力を受けまして、先月ホーネッカー書記長が指導部から退陣するということがございました。後任になりましたのはクレンツでございますが、このクレンツ新指導部は、東西両独間の国境を事実上開放するという措置をとりました。かつまた最近におきましては、クレンツ自身が東独憲法の第一条にございます党の指導的役割、それを放棄することに賛成するという旨を公に発言いたしております。 チェコスロバキアにおきましても、御承知の一九六八年、あれ以来の大規模なデモ、集会が引き続き行われていたわけでございますけれども、先般ヤケシュ指導部が退陣いたしまして、それなりの変化が起こっておりますが、国民の不満は依然強く、二十七日には、二時間でございますけれども、ゼネストが行われるといったような形でございまして、情勢は依然流動的でございます。 ブルガリアでございますけれども、御承知のとおり今月に入りまして指導部が交代した次第でございます。 このような東欧の変化につきまして、その変化の背景が那辺にあるかという点でございますけれども、各国の経済が行き詰まっているということをまず申し上げ得るかと思います。 それに加えまして、第一に、西側諸国が種々の問題にもかかわらず戦後一貫して経済の繁栄と政治、社会の安定を達成してきたという事実。第二番目に、西欧と同じヨーロッパの文化と伝統を継承しております東欧におきまして、戦後のスターリン型の一党支配体制のもとでも自由と民主主義を求める声が脈々と力強く生き続けたこと。第三番目に、ソ連のペレストロイカ、なかんずくいわゆる新思考外交のもとにおきまして、ソ連が東欧各国の選択の絶対的自由の権利、これを承認したといったようなことを申し上げ得るかと思うわけでございます。 これらの点につきまして、それがソ連にとって何を意味するかという点を簡単に申し上げたいと思います。 ゴルバチョフは、ソ連の改革を進めます一方で、東欧におきましても一定の政治経済改革が必要であるという認識を持っていると思われます。ソ連が最初から現在の東欧の変化を予測していた かどうか、これは不明でございますけれども、それでかつまた今後ソ連がそれらにどのように対応をしていくかという点につきましても依然不透明な部分が残されていると思われますけれども、現在までのところでは、ソ連は東欧のこれら各国の変化を容認していると思われます。 東欧の変化につきまして、西側にとって何を意味するかという点を次に申し上げたいと思います。 東欧における以上申し上げましたような変化、それは戦後の東西欧州の分断の終えん、ひいては東西対立の構造的変化の可能性をもたらし得るものでございまして、西側としては、基本的に歓迎すべきものであろうと考えます。しかしながら、変化ということは同時に不安定を意味するということでございまして、次のような言うなればチャレンジが生じてくるのではないかと考えております。 第一は、過去四十年以上にわたりまして中央計画経済と行政的命令によって運営されてきました東欧各国の経済がどのように立て直され、どのように世界経済に統合されていくのかという点でございます。第二点は、これまで個人の権利が無視され、責任の観念が希薄であった社会におきまして、健全な自由と民主主義の発展はどのようにしたら支援され得るのかという点でございます。第三点といたしまして、東欧の変化によりまして、今後NATOとワルシャワ条約機構という二つの軍事同盟、この両者の関係がどのようなものになっていくかという点でございます。 経済支援につきましては、本年七月に行われましたいわゆるアルシュ・サミットにおきまして、ポーランド、ハンガリー支援に関する合意ができ、それに基づきまして日本を含む西側二十四カ国の協議が続けられておることは御承知のとおりでございます。来月十三日には閣僚会議が行われる予定でございます。今後はほかの東欧諸国に対する支援の問題も登場する可能性もあるかと思います。 これに関しましては、東欧情勢を受けて先般開催されましたEC首脳会議でも取り上げられ、東欧各国の民主主義への復帰、人権の尊重、自由、秘密選挙の実施、これらを条件に経済支援を行う用意があるという意向をミッテラン大統領が首脳会議後記者会見で申し述べた経緯がございます。 今後のヨーロッパの政治、安全保障上の秩序につきましては、今のところ米国、ソ連ともに東西は慎重な姿勢を見せている。サッチャー首相は、例えば先般の米英首脳会談後の記者会見におきまして、EC首脳会議では、NATO及びワルシャワ条約機構の存続に合意したという発言をされております。 そこで第二番目の、ヨーロッパ及び東欧の情勢がNATO、ワルシャワ条約機構に与える影響につきまして申し上げたいと存じます。 東欧情勢並びにソ連の動きが今後どのようになっていくかという点につきましては、現時点では不透明なところが多いと申し上げざるを得ないと思います。ただ、いずれにいたしましても、東欧、ソ連における変化が今後とも進展していくといたしますと、これがヨーロッパにおける安全保障問題にいろいろな影響を与えるであろうと考えられます。NATOとワルシャワ条約機構は、ヨーロッパにおきます東西関係の基本構造であり、かつまたヨーロッパにおける安定にとって不可欠の役割を果たしてきていると考えます。先ほど申し述べましたサッチャー首相の発言の趣旨からもうかがえますように、見通し得る将来におきまして、この基本構造に根本的な変化が生じると考える人は比較的少ないと考えます。 他方、最近の米ソの関係、欧州情勢を含めた国際情勢の変化によりまして、NATOとワルシャワ条約機構両陣営の関係が、軍事的対立といった側面から政治経済面における協調と協力という側面へ重点が移行してきているという感じがあり得ると思います。例えば、最近の情勢の変化によりまして、今後NATOとワルシャワ条約機構諸国の政治対話あるいは経済面での支援、協力などが進み、ヨーロッパにおきますCFEなどの軍備管理交渉にはずみがつく可能性もあると考えられます。 NATOは、その創設以来NATO諸国の安全保障にとり不可欠な基本的要素でございますが、それは抑止と対話を基本方針としながら、西欧の安全と安定の確保を図っていくための枠組みとして有効に機能をしてきており、今後はその重要性が一層高まっていくと思われます。したがいまして、東欧を初めとする欧州情勢及びソ連の動きに対応しながら、西欧の安全保障を確保するために、NATO諸国の間におきましては従来以上に緊密な政策協調が図られ、その結果を強化するための努力が行われていくのではないかと考えます。 東欧諸国は各国それぞれに異なる事情を持っておりますけれども、現在、改革に向けてそのような異なる事情を背景としながら大きく揺れ動いております。今後ワルシャワ条約機構が全体としてどのような方向に動いていくのかという判断を現時点で下しますのにはかなり難しい面があると思いますが、ワルシャワ条約機構としては、これまでの軍事機構としての役割、これに加えまして今後は政治経済的な役割をも果たしていくという方向に努力を傾けていく可能性もあると考えます。 他方、現在進んでおります東欧諸国の改革、経済発展は、西欧諸国にとってのみならずソ連にとっても利益となり、基本的にはソ連の歓迎するところであると考えますが、東欧諸国がソ連の安全保障上重要な地域を構成している事実、この点には変わりはなく、今後のワルシャワ条約機構の動向は、東欧諸国の西側への接近、それとソ連にとっての安全保障の確保という二つの要素を軸に展開していくのではないかと考えます。 第三番目に、ドイツの統一問題について申し上げます。 本年の夏以来、東独国民が大量に出国していること、あるいは大規模なデモを行っていることといったような圧力がかけられまして、自由化をこれまで否定してきましたホーネッカー指導部が退陣いたしましたことは先ほど触れたとおりでございます。クレンツ新書記長の率います新しい指導部は、ベルリンの壁を含む東西両独間の国境の事実上の開放を意味する新旅行規則を実施するとともに、自由選挙、憲法改正など一連の民主化を進めるという姿勢を明らかにいたしております。このように東独において従来の社会主義体制の大幅な見直し、社会主義体制の弛緩の可能性が出てきたといったようなことを契機といたしまして、ドイツの統一問題に関する論議が高まってきていると申し上げ得ると思います。ただし東独政府は、再統一問題は解決済みであるという立場を変えてはおりません。いずれにいたしましても、ドイツ統一問題につきましては、東西両ドイツのみならず、米国、英仏等の欧州諸国並びにソ連のこの問題に対する態度、これを十分注目していく必要があると考えます。 ドイツ分断の歴史的背景を簡単に御説明申し上げたいと思います。 御承知の一九四五年二月におけるヤルタ協定などを踏まえまして、降伏後、ドイツは米英仏ソの四カ国間で分割占領されました。その後、同年八月のポツダム協定によりまして、オーデル・ナイセ両川の以東を暫定的にポーランドの管理下に置くこと及び東プロイセン北部のソ連への、また同南部のポーランドへの割譲が決定されました。こうした諸決定は、ドイツ領土が連合国とドイツとの平和条約において最終的に確定することを前提に行われたものでございますが、その後今日まで平和条約は締結されておりません。最初のうち米英ソの連合国にドイツ解体、併合の意思はなく、ドイツの統一国家としての存在の意義は念頭にあったと考えられます。しかしながら一九四九年に、米英仏占領地域にドイツ連邦共和国、ソ連占領地域にドイツ民主共和国がおのおの樹立されたわけでございますが、この時点でも、米英仏ソはあくまで将来の全ドイツ問題の解決に対する責任と権利を留保するとの立場をとったわけでございますが、事実上はドイツは分断国家になったわけ でございます。その後五四年三月にソ連は東ドイツ占領の終結を宣言し、翌年に東独との条約を締結し、その結果東独は主権を回復し、また同年東独はワルシャワ条約機構に加盟いたしました。他方西側連合国は西独との条約を調印して西独の主権回復を認め、五五年に西独はNATOに加盟した、こういう経緯がございます。 このようにして両独が事実上分裂、独立したわけでございますが、米英仏ソはいずれも関連条約の中で、ドイツ問題は平和条約の締結によって最終的に解決されるという立場をとったわけでございます。この間相互の地位に関する東西両独の立場は、東独側が二国家説に立っていたのに対しまして、西独側は、全ドイツを代表する唯一の政府は自国政府であるといたしまして、いわゆるハルシュタイン原則を堅持いたしました。しかし西ドイツは七〇年にブラント民主党政権のもとでこのハルシュタイン原則を放棄いたしまして、ソ連、ポーランドと条約を締結し、七二年には東独との間で両独の基本関係に関する条約を締結したところでございます。もっとも、西ドイツは依然として自国政府だけがドイツ国家を代表する唯一の政府であるという立場を崩しておらず、ソ連との条約締結の際に、米英仏ソに対して書面でドイツとの平和条約締結による領土の最終的確定につきまして言及いたしております。また、七五年のヘルシンキ最終宣言の中でうたわれております現存の国境の尊重につきましても、ドイツ統一時の平和条約による平和的な国境線の変更は解除しないといった解釈をとっております。 次に第四点といたしまして、欧州・東欧情勢の動きが東西関係全体に与える影響について申し上げたいと思います。 米ソを中心とする東西関係において対話が定着し、戦後の世界を特徴づけていた対立の構造が変わってきつつあるように見受けられます。ソ連・東欧の最近の変化はこの過程をさらに促進し、協力関係の構築へと向かっております。この中で西欧は東欧との協力関係を通じ、欧州の分断の克服と安定化を図っていく方針であると考えられます。また、米ソ間ではグローバルな協力関係構築の方向に進んでおり、いわゆる封じ込めから統合へといったようなことが言われておりまして、この十二月二日、三日にはマルタの沖合で非公式の首脳会談、さらには来年の晩春ないしは初夏に首脳会談が行われる予定でございます。 他方、軍事体制の現状、社会主義という旗印をおろしていないといったような点などの東西間に基本的相違とか対立要因が存在していることも、また世界の平和と安定が基本的には力の均衡と抑止によって維持されているということも厳然たる事実でございます。先般のアルシュ・サミットの東西関係に関する宣言で、「見通し得る将来においては、我々各自が、適切かつ効果的な核戦力と通常戦力とを適正に組み合わせることによって、既存の同盟関係の中で抑止戦略を維持していくほかに道はない。」と主張されておりますけれども、これはまさに主要先進国の認識を述べているものでございます。 ソ連・東欧の諸国は経済状況が悪化しており、かつまた民族問題等の困難に直面いたしております。ソ連のペレストロイカ及び東欧における改革の成否に関しましては、予断を許さないものがあると考えております。 したがって、ソ連・東欧の肯定的な変化、これは歓迎しつつも、このような変化が東側の過度の混乱と不安定をもたらすことなくしっかりと根づき、一層進展していくことを期待すべきであるというのが先進民主主義諸国の基本的な態度でございます。 なお、申し上げるまでもなく、外部からの協力には大きな限界がございまして、東側の自助努力は不可欠でございます。これと同時に、先ほども触れましたが、世界の平和と安定が力の均衡と抑止の上に維持されていることをも踏まえて、客観情勢に適応しつつ十分な抑止力の維持を図っていくことがこれまた同様不可欠であると考えます。 アジア・太平洋地域における東西関係について申し上げますと、現在のところソ連の顕著な動きはございませんが、明後九一年のゴルバチョフ書記長の訪日に向けてソ連が動き出してきている可能性が大きいと思います。これにつきましては冷静かつ慎重に検討を加え、北方領土問題を解決した上で平和条約を締結し、安定した関係を構築するとの基本方針を堅持しながら対応していくことが重要であると考えております。 最後に、欧州・東欧情勢の動きがアジア、なかんずく中国、朝鮮半島にいかなる影響を及ぼすかという点について申し上げたいと思います。 東アジア諸国におきましても、ソ連、東欧の改革の動きは関心を持って注目されております。また、欧州を中心とする東西関係の変化はグローバルな意味合いを持つものでありますけれども、東アジア諸国には他方独自の歴史的な経緯、政治環境を持っており、欧州とは地政学的状況も異なり、欧州の動きが今後いかなる形で影響を及ぼしてくるか、こういうことにつきましては、現段階では不透明であると申し上げます。 中国についてでございますが、江沢民指導部のもとで春から夏にかけまして政治的混乱は一応収拾され、国内情勢も平静化してきていると認められます。ただし、厳しい国際環境及び困難な経済情勢など、依然不安定な要因も存在しております。このような状況のもとで、現指導部は改革・開放政策の維持を繰り返し表明する一方、四つの基本原則を同時に強調いたしております。政治改革をめぐる動きは数年前に比べますと停滞している。そこで急激な変化を見せる東欧情勢については、李鵬総理は、社会主義諸国の改革は各国の事情に基づくものであり、中国情勢と東欧の動きを結びつけるべきではないが、このような動きには関心を有しているということをこの十一月十六日パキスタンを訪問された際に記者会見で発言しております。また、国際情勢全般に対する認識といたしましては、対立から対話への趨勢は好ましい旨を李鵬が述べている一方で、国際敵対勢力と社会主義諸国の闘争は長い間存在するとの指摘も、例えば五中全会で江沢民が述べているところでございます。 いずれにいたしましても、客観情勢から判断いたしますと、中国にとって近代化を国策の最高方針とする以上、改革・開放の継続以外の道はあり得ないのではないかと思われます。 韓国は、ソウル五輪を契機にいたしまして積極的な北方外交を推進し、最近の欧州・東欧情勢の動きに関心を示しております。なかんずく同じく分断国家であります東独の情勢については大きな関心を持ち、最近の動きにつきまして、盧泰愚大統領はこれを歓迎されております。かかるソ連・東欧情勢の変化、東西関係の安定化、これは韓国の北方外交の進展に資すると同時に、朝鮮半島の平和と安定に好ましい影響を与えることが期待される次第でございます。 他方北朝鮮では、現在までのところ、最近のソ連・東欧情勢についての国内報道は行われておりません。しかしながら、相当な危機感を有しているのではないかと見られております。現時点におきましては東欧情勢の変化が直接の影響を及ぼしている兆候は見られませんが、中長期的には種々の形で影響が及ぶのではないかと考えられます。 以上でございます。
○会長(中西一郎君) 次に、防衛庁小野寺参事官。
○政府委員(小野寺龍二君) 最近の国際軍事情勢について報告させていただきます。 ちょっとお断りしなければなりませんけれども、現在、非常に変化の激しい不透明な時期にございまして、私の報告、余り練れていない面があるかと存じますが、その点、御容赦いただきたいと思います。できるだけ率直に私の所感を述べさせていただきたいと思います。そういう関係もございまして、お配りいたしました要旨に必ずしも沿わないで報告させていただくことになるかと存じます。 私の報告は、やはり欧州を中心とした東西関係からスタートいたしまして、軍備管理・軍縮等、 グローバルな東西関係、それからソ連の安全保障政策、こういったものがアジアにおいてどのような、アジアというか我が国の周辺においてどのような影響を及ぼすかというようなことで話を進めさせていただきたいと存じます。 まず第一に、欧州を中心とした東西関係でございます。 最近の東欧諸国における政治的多元化や民主化の動きなどにより、東西関係は政治的に大きく変化しております。特に東西ベルリンを分ける壁が実質的に消滅したことは、第二次世界大戦後の冷戦の中核を形成してきた東西ヨーロッパの対立、東西両ドイツの分割という現状に変化をもたらす可能性のあるものとして、欧州、さらには世界の情勢に大きな影響を及ぼし得るものと考えております。 ソ連は戦後一貫して東欧諸国を政治、経済、軍事的に支配することによって自国の安全保障に対する緩衝地帯を設け、この地域に圧倒的な兵力を配備することにより、西欧諸国に大きな軍事的圧力をかけ続けてまいりました。一九五三年の東ベルリン、一九五六年のハンガリー、一九六八年のチェコスロバキアに対する軍事介入は、東欧諸国のソ連圏からの離脱を許さないというソ連の明白な意思表示であったと考えられます。 今回の東欧諸国の民主化の動きは、ゴルバチョフ書記長がソ連の経済社会的停滞を脱するために推進しているペレストロイカ、グラスノスチなどの政策と密接に関連しており、ソ連の意向とも合致しているように見えます。またこのことは、ソ連が東欧諸国を軍事的な緩衝地帯として完全に支配下に置き、同地域から西欧に対して軍事的圧力をかけるという考え方に変更をもたらす可能性を示唆するものと考えられます。 一方東欧諸国、なかんずく東独、ポーランドなどは依然としてソ連の安全保障にとって極めて重要な地域であることは変わりはございません。ソ連といたしましても、今後ともワルシャワ条約の維持を図るということに努めるものと思われます。一方改革を進めております東欧諸国も、目下いずれもワルシャワ条約機構にとどまるとの意思表示を行っております。それにもかかわらず、東欧諸国の変質自体がワルシャワ条約機構、ひいては欧州における東西関係に変化をもたらすということは十分考えられるところでございます。しかし、このような東欧諸国の変化を受けて、東西関係全体、欧州情勢がどのような方向に今後進んでいくのかにつきましては、現在のところ見きわめは極めて難しいかと存じます。 次に、東西関係全般に及ぶ状況でございます。 ゴルバチョフ書記長は、昨年十二月の国連演説においてソ連軍五十万人などの一方的削減を発表し、また本年に入ってからは、軍事予算を一九九〇年から九一年にかけて百億ルーブル、一四%削減する旨の発表を行っております。さらに、ゴルバチョフ政権はこれまで自国の軍事ドクトリンの防衛的性格への移行及び合理的十分性の枠内への転換を強調するとともに、アフガニスタンからの撤退に見られるように、対外的な軍事介入を抑制する政策に転換を図っているものと見られています。このような動きは、基本的にはソ連の自国の経済上の困難を打開するために膨大な軍事費を削減し、資源を民間部面に移転する必要があること、またこれを可能とする良好な対外関係を築くことを意図したものと見受けられます。このよううなソ連の変化は、全般的に米ソの対話を促進させるに至っております。その結果、軍備管理・軍縮の分野で注目すべき進展が期待されるわけでございますが、例えば十二月二日、三日のマルタ仲洋上会談でもこの分野での話が極めて注目されるところでございます。 ソ連は、戦力の一方的削減の一環として東欧から戦車師団六個師団の撤退を発表し、既にその戦車師団三個などの撤退を実施したと発表しております。これは西欧が最も問題としておりましたソ連による大規模侵攻能力、奇襲攻撃能力の削減に向けた動きとして歓迎されております。しかし、欧州部のソ連軍の一方的削減及び東欧からの一部撤退にかかわらず、東欧に駐留いたしておりますソ連軍を中心とした欧州における東西間の通常戦力の不均衡は依然として大きく、その是正はNATOとワルシャワ条約機構の間でより低いレベルでの東西の均衡を図ることを目的として進められているCFE交渉の合意にまたなければなりません。東欧の変化にかかわらず、それまでの間は引き続き強大なソ連軍が東欧に駐留していること、同じくアメリカ軍が西独等に駐留しているという、そういう事実には変わりございません。また、CFE交渉がNATOとワルシャワ条約機構の枠を前提として進められていることについても留意する必要がございます。 西側においても、ソ連・東欧における最近の動きが欧州における東西関係をより安定的なものとする可能性を含んでいることから、このような動きの進展に対する期待が増大しております。最近の東欧諸国の政治的な変化がこの過程を促進することが、大いに西欧諸国の期待を膨らましているわけでございます。しかし、低いレベルでの東西間の軍事的な均衡が達成されるためには、現に強大な攻撃力を有しているソ連側がまず兵力の削減を行うべきことが必要でございまして、ソ連としては、この原則を認めてきているわけでございます。そういった観点から、今後ともソ連の動き、それからCFE交渉の進展を見守っていく必要があるかと存じます。 また、ワルシャワ条約機構とは性格を異にするNATOの方は、今後とも欧州と米国を結びつける同盟体制としてその維持が図られるものと見られます。同時に、東欧の変化に呼応して欧州で築かれる新しい枠組みに向けた西欧諸国の動きが今後活発化するものと予想されます。しかし、この欧州における新しい枠組みがどのようなものになるかについては、目下のところ見通すことは困難であります。また、戦後長期間続いた枠組みの崩壊がその移行過程において各種の不安定を生起させる可能性も否定できません。このような変化に伴って生じ得る不安定や流動的な情勢に対処していくためにも、これまで以上に西側諸国の結束が必要となるものと考えられます。 軍備管理・軍縮の分野では、ただいま申し上げましたCFEが大きな優先度を有するものとは思われますが、核戦力の分野でもSTART交渉の進展が期待されております。戦略核については、ソ連は核超大国としての地位を今後とも確保していきたいと考えている模様でございます。最近ソ連は戦略核の近代化を進めております。これはSTART交渉によって削減された後にできるだけ強力な戦力を維持するという意図をあらわしているものと存じます。いずれにいたしましても、均等な水準を維持しつつ米ソの戦略核戦力を低いレベルに移行させていくという、そういう目的を持ったSTART交渉は米ソ双方の利益にかなうものと見られ、今後進展が期待されるわけでございます。その他の軍縮分野では、化学兵器の分野における交渉の促進が期待されております。 次に、ソ連の安全保障政策についての所見を述べさせていただきます。 ソ連の最近の政策的変化、なかんずくヨーロッパ正面における変化を見る場合、より対立的でない政策へ移行しつつあるのではないかと考えられる側面が見られることは事実でございます。しかしソ連の発言の中には、昔と異なり、グラスノスチのせいでございましょうか、非常に多様化している傾向がございます。それと同時に、ソ連の行動の中には発言と矛盾するものも多々ございます。したがって、ソ連の動きを評価する場合には、政策の表明などの言葉のみによって判断することは適当でなく、ソ連の今後の具体的な行動によってこれを見きわめる必要があるかと存じます。例えば、最近ソ連の主張する合理的十分性について、これは基本的にはソ連国内において従来かなり大盤振る舞いされておりました軍事費に枠をはめるという、そういう意図から出たものかと存じます。しかし、何が合理的で何が十分であるかという基準については、これは極めて判断は難しいわけでございます。 合理的十分性と並んでよく唱えられますのが防衛的軍事ドクトリンでございます。ソ連はブレジネフ時代、さらにそれ以前から既に自分たちの軍事ドクトリンは防衛的であるという主張をしておりました。最近におきましては党や軍の要人の間で種々議論が行われておりますが、まだ十分統一された説明はなされておりません。例えば軍人の中には、敵の攻撃に対してこれを食いとめ反撃に転じ壊滅させること、これも防衛的なドクトリンに含まれるという説を唱えている者もございます。そうだといたしますと非常に大きな攻撃的な能力を依然として備えることとなり、過去のソ連のドクトリンと大差がないということにならざるを得ないわけでございます。それにもかかわらずゴルバチョフが主張いたしております軍事力を防衛に必要な最小限にとどめ攻撃力を削減するというこの考え方、これは我が国の専守防衛の思想、それから西側諸国がとっております防衛戦略と通じるものがございます。今後の軍縮・軍備管理交渉においてこの概念に共通性が見られる場合、大いに期待されるところがあるのではないかと思います。 いずれにいたしましても、ソ連軍が真に防衛的になったかどうかについて判断するには、ソ連軍の編成、配備、兵器体系、さらには訓練等の動向を見きわめる必要があり、現段階においてはまだソ連軍が防衛的なものに変化したという結論を出すのは尚早かと存じます。また、ゴルバチョフの発表したソ連軍五十万人削減につきましても、まだ、その削減された兵器が本当に廃棄されているのかどうか、削減後の兵力がいかに編成されるのか等実態を見きわめない限りその全体像を把握することは極めて困難でございます。 さらに、ソ連軍の数量的な削減が行われる一方で、ソ連の軍事力の近代化努力の動きが継続されていることも見逃すことはできません。例えば排水量六万トンと推定されるトビリシ級空母の建造は、船の建造それ自体、さらには艦載機を含めた空母の兵器システム全体として、これを建造し維持していくために膨大な経費を要します。また、これだけの大きな空母になりますと明らかに攻撃力を有することから、大陸国として、ソ連にとって防衛上必要不可欠なものであるか否かという点に疑問を抱かせるものでございます。ソ連がこのような大型空母を二番艦、三番艦と続けて建造していることは、ゴルバチョフ書記長が表明している防衛的な態勢あるいは合理的な十分性というものとはかなり矛盾しているように思われます。そういった観点から、ソ連の意図が那辺にあるかを疑わしめるものでございます。 こうして見てまいりますと、ソ連は軍事費を削減しつつも、一方では軍の近代化、他方では新思考外交を通じ、西側との相対的な力の関係は維持しようと図っているように見られます。その中で、対話等の側面が強調される場面と依然として軍事面が強調される側面が出ているのではないかと存じます。 次に、我が国周辺における軍事情勢について御説明いたしたいと存じます。 我が国周辺の地域は、ソ連や中国の大陸部、カムチャッカ半島や朝鮮半島、我が国を含む大小多数の島々、これらに囲まれた日本海、オホーツク海、東シナ海などの海域及びこれらの海域から太平洋に通じる海峡などさまざまな地形が交錯しております。この地域においては、大陸国家であるソ連と中国に加えて太平洋を越えて米国が存在するなど、政治経済体制、イデオロギー、歴史、文化などの面においてそれぞれ特色を持つ国々が存在しております。軍事的に見れば、米国とソ連が太平洋を挟んで対峙し、また、この地域の多くの国々がNATOやワルシャワ条約機構のような多国間の集団安全保障体制を組んでおりませんで、米国またはソ連との二国間の安全保障体制を構築しております。これに加えて、米ソいずれの陣営にも属さない広大な国土と膨大な人口と軍事力を有する中国が存在し、これらの国々が複雑な対立と協調の関係を形成しております。このほかこの地域においては、中越国境紛争、朝鮮半島における対峙等、必ずしも東西関係のみで説明できないような形の軍事対峙が継続いたしております。 この中にございまして、アジアにおいて最近全く動きがないかというとそういうことではございません。ゴルバチョフ政権の登場以来幾つかの変化が見受けられます。なかんずく中ソ関係の正常化は、両国の対立が長い間本地域の緊張要因の一つであっただけに大きな意義を有するものと考えられます。しかしながら、中ソ両国間の軍事的緊張は、実は既にかなり以前から徐々に低下してきておりました。さらには、今後両国が一九五〇年代のような同盟関係に復帰するということは予想されません。したがいまして、この中ソの正常化というものがアジア・太平洋地域の安全保障関係に重大な変更をもたらせるということは考えにくいわけでございます。 ゴルバチョフ書記長は、本年五月北京において、極東方面についても兵力十二万人、師団十二個、航空連隊十一個、艦艇十六隻の一方的戦力削減を発表いたしております。また、モンゴル駐留のソ連軍四個師団のうち三個師団の撤退も発表いたしております。その実施状況については、今のところ非常に情報が不足いたしておりますけれども、例えば最近ソ連はモンゴルからの戦車師団一個、それから航空師団を撤退したと発表いたしております。これは恐らくそういうことではないかと存じます。この戦力削減の発表は、昨年十二月の国連における五十万人削減の発表を極東方面について若干具体化したものとして評価できます。しかし、その内容につきましては依然としてあいまいかつ不明な点が多く、総じて漠然としたものとなっております。 例えば、この発表では、兵力の内訳、対象師団の配備状況、削減される地上、航空及び海上戦力の具体的な内容などは一切明らかにされておりません。また、欧州方面における一方的削減発表において言及されている戦車、砲、作戦機などの数値についてやはり示されておりません。また艦艇については、削減される艦種、トン数などが示されておりません。また、戦力の削減などを実施した場合の二年後の極東ソ連軍の戦力規模、配備、展開についても触れられておりません。 こういった削減とは裏腹に、一九八五年にゴルバチョフ政権が誕生した後も、老朽装備の廃棄など部分的削減が行われる一方で、海中発射の巡航ミサイル搭載の原子力潜水艦や新型駆逐艦の増強、それから多数の第四世代戦闘機の追加配備など、海空を中心とした装備の質的強化が続けられております。そういったようなことによって全般的な戦力の再編合理化及び近代化が進められております。このように、今次発表された削減が実施されても、それによって極東方面におけるソ連軍の軍事的圧力が基本的に減少することには疑問があり、むしろ老朽装備の廃棄によって極東ソ連軍の再編合理化が一層促進され、戦力の近代化が加速される可能性がございます。したがって、ゴルバチョフ書記長による一方的戦力削減発表は行われているものの、それが今のところ実質的なものとは言えず、また、欧州における通常兵力に関する交渉といったような形の軍縮交渉の動きも当地域にはございません。 このような欧州と我が国周辺地域との違いは、安全保障環境の差に由来するものと見られます。すなわち、欧州正面における軍事的対峙は基本的には陸上における対峙であり、相互の兵力バランスの測定が比較的容易であるのに対し、本地域においては、先ほども申し上げましたとおり、地理的にも政治的にも軍事的にも非常に交錯いたしております。また、欧州においてはソ連にとって東欧という緩衝地帯が存在しております。北東アジアにおいてはこれがなく、ある意味では米国との直接的に対峙している状況下において、どうもソ連は極東地域において依然として軍事力を重視する政策を変更していないと考えられます。先ほど申し上げましたソ連の安全保障政策の中で軍事的側面が強調される地域であるというふうに見られるわけでございます。 最近のソ連軍の本地域における動向につきまし ては、一九六〇年代に激化した中ソ対立を契機として、極東地域において地上軍を中心とする顕著な軍事力の増強を開始し、その後もアジア・太平洋への影響力の拡大を意図したものと思われる主として海空戦力の顕著な増強を行ってまいりました。その結果、今日では極東ソ連軍は核戦力及び通常戦力ともソ連全体の四分の一ないし三分の一に相当する戦力を保有するに至っております。この軍事力の蓄積は実に膨大なものがございます。各戦力別の動きについては防衛白書に詳述いたしておりますので、ここでは省略させていただきます。 また、先ほど申し上げましたように、極東ソ連軍は装備の近代化を中心として戦力の強化を現在でも図っていると見られます。今後量的な削減を実施しても質の強化によってこれが相殺される可能性に注目する必要がございます。例えば太平洋艦隊についてでございますが、北京において艦艇十六隻の削減が発表されております。このほかにも太平洋艦隊には現在多数の老朽艦がございます。そういったことから量的な削減は今後さらに速まり、全体として、隻数において減少が見られるということは十分予想されるところでございます。しかしながら、ゴルバチョフ政権の誕生後、現在においても引き続き増強されている新型艦艇は、廃棄される旧式艦に比べて能力的には大幅に向上したものであり、量的に削減されても、戦力的にはむしろ増大することもあり得ると考えられます。この傾向は航空機についても同様であり、現在増強されている第四世代航空機や新型ミサイルは極東ソ連軍の軍事能力をむしろ向上させるものと考えられます。 次に、展開状況でございますけれども、極東ソ連軍は一九七八年の北方領土への地上軍配備に見られるように、沿海地域、樺太、オホーツク海、カムチャッカ半島など我が国に比較的接近した地域に重点的に配備、展開を行っております。その結果、本地域には極東ソ連軍の地上、航空戦力のうち師団の約六割、戦闘機の約六割、これを第四世代戦闘機と見ますと約八割、爆撃機の八割が配備されるに至っております。それから、太平洋艦隊がウラジオストクを主要基地といたしまして、今やソ連の最大の艦隊になっているということ、これも御承知のとおりでございます。我が国の固有の領土である北方領土につきましても、国後、択捉両島と色丹島には現在においても師団規模と推定される地上軍部隊、ミグ23等が配備されております。 こういったような配備に伴います活動というのも活発でございまして、艦艇や軍用機の活動は極めて実戦的なものも含まれております。地上軍の演習は一九八七年以降大規模のものが増加傾向にございます。オホーツク海方面とか樺太、北方領土周辺の統合演習も実施されております。大型艦艇による演習も実施されております。航空機については、一昨年沖縄での領空侵犯に続いて本年四月も北海道礼文島沖での領空侵犯がございまして、航空自衛隊のレーダーサイトに対する攻撃訓練の疑いのあるソ連の飛行行動というものは現在続いておりまして、最近では北海道のオホーツク海側のレーダーサイトに対する訓練も見られております。このような極東ソ連軍の配備、展開状況や海空軍を中心とした質的強化の動きは、さきに述べたとおりソ連が本地域において依然として軍事力を重視する政策を変更していないことを示唆していると思われます。 さらに、ソ連が米国及び同盟国との海上における対等、パリティを求める動きとも関連しているのではないかとも考えられます。これに類似した状況は、北欧コラ半島のソ連軍基地付近のバレンツ海、ノルウェー海においても見受けられます。ソ連北洋艦隊の顕著な近代化に対してノルウェー等の北欧諸国は警戒感を強めております。先ほども申し上げました新型の大型空母一番艦トビリシ号は北洋に配備されるという話でございます。これに対してノルウェーは非常に厳しく反応いたしております。たまたまこの北洋、それから北西太平洋というものは、ソ連の戦略潜水艦の聖域化を図ろうとしている地域に接近しているということ、これも大きな要素になっているのではないかと存じます。ソ連は海上におけるパリティを求めるというこの政策、これは一方では先ほど申し上げましたような近代化等によって進められているわけですけれども、他方では海上における軍縮提案を通じての目標を、この目標に到達しようとしている嫌いがございます。 ゴルバチョフ書記長のウラジオストク、ムルマンスク及びクラスノヤルスク演説は、このような一貫したソ連の政策を表明したものと考えられます。これらの演説における提案内容は一見合理的に見受けられますが、次の点で一方的にソ連に有利なものとなっており、西側としては応じられないものと考えられます。第一に、海洋の持つ意味や内陸の交通量によって支えられているソ連と海上交通により貿易、有事の際の増援、補給が支えられている米、日、西欧とは全く異なり、ソ連は西側ほど海に依存する必要がないということでございます。第二点は、海上におけるソ連の対西側パリティのもとでは、ソ連の縁辺部にある国、すなわち我が国ないしはノルウェーのような大陸の影響力が直接及ぶ地域にある国にとりましては、圧倒的なソ連のその軍事力の圧力のもとにさらされるということになるわけでございます。第三番目の点は、海上戦力は陸上戦力と異なり、機動性が高く一定の地域に結びつけた軍縮にはなじみません。海軍軍縮は世界的な規模とならざるを得ないわけでございます。この場合、ソ連に比べグローバルなコミットメントを要する米国の方がソ連に比べてはるかに大きな影響力を受けることはこれは論をまたないわけでございます。 ソ連極東部は広大なシベリアを後背地に有し、人口、産業の大きな集中地はございません。我が国のような狭い国土に人口、産業が集中している国に比べて、軍事的な脆弱性ははるかに少ないというそういう利点を有しております。それにもかかわらず、この東シベリア地区、沿海州に非常に強大な軍事力を有しており、かつそれが現在でも近代化を通じて強められているという現状、これは先ほど来申しておりますソ連の防衛的な軍事的な政策への変更というものとは必ずしも一致しない動きではないかと存じます。 一言米国の対応について申し上げたいと思います。 極東ソ連軍のこういう動きに対しまして米国は太平洋国家の側面を有し、従来から我が国を初めとするアジア地域の平和と安定の維持のために大きな努力を続けております。近年では東アジア及び太平洋地域は既に欧州を抜いて米国にとって最大の貿易相手地域となるなど、この地域の平和と安定は米国にとって一層重要なものとなっております。米国は、アジア・太平洋地域に、陸海空軍、海兵隊の統合軍である太平洋軍や戦略空軍の部隊などを配備するとともに、日本を初め幾つかの地域諸国と安全保障取り決めを締結することによってこの地域の紛争を抑止し、米国と同盟国の利益を守る政策をとってきております。また米国は、有事において効果的かつ迅速に対応すると同時に、米国の抑止力の信頼性を維持するために太平洋軍令下の海空部隊を主体とする戦力の一部を西太平洋、インド洋に前方展開させるとともに、必要に応じ所要の戦力をハワイや米本土から増援する体制をとっております。また米国は、極東ソ連軍に対抗して戦力の近代化、戦力の柔軟な運用を通じてこの地域における軍事バランスを維持し米国の抑止力の信頼性の維持、強化を図っております。 我が国周辺における米軍の最近の動向については白書に詳しく書いてございますので省略させていただきます。 最近の動きといたしまして注目すべき点は、米国は国防予算が五年間連続実質減を続けております。さらに財政赤字、ごく最近の東欧情勢の変化に触発されて今後さらに米国の国防予算が削減されるという考え方が最近出てきております。こういったものが米国の前方展開戦力にどのような影響を及ぼすか。また、同盟国に対する一層のバー ドンシェアリングを求める最近の米国の動きをさらに促進させる可能性があるという点は留意する必要があるかと存じます。 最後に、まとめといたしまして、ただいま説明申し上げましたように、欧州においては最近東欧を中心とした大きな変化が生じております。このような欧州情勢の急激な変化が我が国周辺地域に影響を及ぼす可能性も長期的には排除し得ないところかと存じます。しかし、先ほど来御説明申し上げましたとおり欧州と我が国周辺地域とでは安全保障上の環境が大きく異なっております。したがって、直ちに極東の軍事情勢が欧州情勢によって根本的に変化するということは考えにくいわけでございます。しかしながら、長期的に見れば我が国を初め米中ソ等地域諸国の国益を中心とした複雑な相互関係が今後展開していくことが予想されます。いずれにしましても、欧州情勢の変化の帰趨を見きわめることは現時点では極めて困難でございます。防衛庁といたしましても、このような情勢の変化が我が国周辺の軍事情勢に今後どのような影響を与えるか、慎重に見きわめていく必要があると存じます。 軍事的な動きは一般に政治の変化とタイムラグを持って動いてまいります。逆に言えば、アジア・太平洋等我が国周辺の地域については軍事情勢を肯定的な方向に動かすためには政治的な懸案の解決がまず必要ではないかと存じます。我が国としては、現在行われている国際的な安定を求めるための努力を助長すると同時に、今後生じるどのような変化にも対応し得るよう西側諸国の結束が必要と考えております。また、我が国みずからの着実な防衛努力と日米安保体制の信頼性の維持、強化に努めることが必要かと存じます。
○会長(中西一郎君) 以上で政府からの説明の聴取は終わりました。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○永野茂門君 外務省並びに防衛庁から大変興味ある最近の情勢の変化について承りましたが、おおむね同意する点が多かったわけであります。いずれにしろ世界、特に東欧ないしはソ連圏において大変な変化が起こりつつあり、しかもその変化は歓迎すべき望ましい方向で軍縮が進み、相互信頼が進み、そして民主化あるいは自由化の方向に進みつつある。だんだんとその緊張緩和の状況、相互依存、相互信頼の関係が深まりつつあるということはまことに望ましいことであると思います。 ただ、ここで私どもは注意しなければいけないことは、かつて第一次世界大戦の後に国際連盟ができ上がったときにも世界じゅう大変に喜びましたし、その将来について大変な希望を持ったわけであります。それから第二次大戦が終わったときも、あるいは途中から国際連合というものができたわけでありますけれども、これに対して大変な期待をかけて、その組織のもとに世界は、もう今ごろは軍事力なんというものを直接自分の国のために保有してどうこうというようなことはないんじゃないかというように当時考えた人もかなりいたと思いますが、しかし現実はそうでなかったわけであります。したがいまして、私どもとしては今の包括的な流れを歓迎しながら、東側の事情に加えて西側の支援によってこの傾向を定着させ、そしてできるだけ我々の望むような世界に持っていく努力をすべきであるとは思いますけれども、しかしながら、やはりどうしてもいろいろと問題があるので、その問題を克服していくということが十分検討され、そしてその検討に基づいて世界が協力して施策をしていかなければならない、こう思うわけであります。 その中に二つ大きい面がありまして、一つは、当分の間ソ連が強大な軍事力を持っておる、残存させておるということ。これは軍縮がうんと進んでしまえば西側と十分バランスのとれた低いレベルの軍事力になっていくだろうと思いますけれども、それまでの間は大変に強大な軍事力を依然として持っておるということ。それから、兵器技術の進歩は、その兵器技術が大変に中小国に拡散していっておるということ。そして、拡散していっておるだけではなくて、それらの国々は先ほども説明の中にありましたけれども、それぞれ大ボスを失いつつある中で、それぞれの国益を極めてダイレクトにぶつけ合うような状況が考えられる。こういうような二つの大きな問題を抱えておるわけでありまして、この二つを大きく克服しなければならない、こういうようにも思うわけであります。 そこで、第一の点を克服するために私どもが考えておかなきゃいけないということについて、まず防衛庁並びに外務省の見解を承りたいと思うわけでありますけれども、今の東ヨーロッパの、あるいは世界全体でも同じでありますけれども、その流れを安定させ定着させるための非常に大きな柱に軍縮ないし軍備管理、そして相互の信頼、安定措置による信頼性の確立、こういうことがあるわけでありますが、一体軍縮だとか軍備管理というものはそんなに私どもが考えるようにうまくスムーズにいくものであろうか。一体これの監視であるとか査察であるとか検証であるとか、そういうものはどの程度お役所の方では信頼性を持って考えていらっしゃるのか。あるいはまたそれを抜けてどこか隠匿されたり、あるいは国外に出ていったり、そういうようなことがあるんじゃないか。あるいはまた、まじめにやっても大変に時間がかかる問題じゃなかろうかと、こういうように思われるわけでありますが、これについての御見解を、外務省、防衛庁、どちらでも結構です。双方からでも結構ですからお伺いしたいと思います。
○政府委員(山下新太郎君) 軍備管理・軍縮についてでございますけれども、日本が軍備管理・軍縮のためにいろいろ国際努力に積極的に参加していることはもう先生御承知のとおりでございます。御指摘のとおり、軍備管理・軍縮ということに関しましてはいろいろ前提があると考えております。 まず第一は、軍備管理・軍縮によって抑止力が失われるようなことがあってはならない。抑止力を維持しなければならない。かつまた、いろいろな兵器体系がございますけれども、その辺の体系のバランスを包括的に考える必要がある。かつまた、一方的な軍縮ということは先ほど申し上げました趣旨からいいましてもできませんので、均衡のとれた形での引き下げ、そのような手段を通じまして関係する国々の安全を高め、それによって世界の平和と安全に資するということが基本的にまず重要なことではないかと思う次第でございます。 御指摘のとおり、まさに以上のようなことを行うためにはいろいろ時間もかかりますし、軍縮を行う関係国の過去の経緯あるいはその他のいろいろな事情によりまして、それ以前に問わなければならない問題も多々あるかと考える次第でございます。
○政府委員(小野寺龍二君) ただいま先生の査察・検証の難しさについて御質問になった点について、私の見解を述べさせていただきます。 INF条約は実に非常に徹底した検証・査察のレジームができ上がったことによって成功したわけでございます。これはほかの軍縮・軍備管理のための一つの前例をつくるという意味で非常に大きな意味があったのではないかと存じます。 ただ、INFにつきましては兵器が比較的単純で、SS20とSS4、パーシングI、II、それから地上発射クルーズミサイル、SS12、SS23というような比較的数の少ない兵器が対象でございました。それが第一点。それから第二点は、これは幸いにしてグローバルな全廃条約ということで一つのカテゴリーの兵器を全部なくしてしまうという、そういう協定でございます。そういった観点で検証が比較的やりやすいという、そういう特徴を持っております。 これがほかの軍縮・軍備管理になりますとはるかに複雑になるかと思います。START条約につきましても、今目標といたしておりますのは五〇%削減でございます。残る兵器がある場合に は、その残った兵器が条約の範囲内であるかどうかということを確定すること、これが一つの大きな難しさになるかと思います。それにもかかわらず検証をしっかりさせた条約でないと意味がないということについて、現在国際的な合意があるかと思います。したがって、非常に障害は大きいでしょうけれども、それを乗り越える努力は今後続けられると思います。 確かに、特に地上兵力削減交渉というようなことになりますと、極めて複雑な問題を含んでおりましてそうたやすくはできませんでしょうけれども、やはり何とか合意に到達しようという意志と、それから今までの検証による経験ということによってそういう障害をこれから克服する努力が行われるのではないかと存じております。
○永野茂門君 今のことに関連してでありますけれども、例えばどこの国でも同じでありますけれども、ソ連の場合に大変に大きな量の軍需産業を解体しなきゃいけない。これはまあ非常に時間がかかると思いますけれども、その時間がかかる間急激に生産ラインを落としていくわけにはいかない。そうすると、生産はある程度続けながらやっていくわけですね。その生産したものをどこにどうするかという一つは問題があるわけですね。 そういうものは、例えば北朝鮮に売却するとか、あるいはカンボジアに援助するとか、あるいはシリアに送るとか、あるいは今度はインドの方で買うとか、そういうようなことに流れていく可能性、しかも低廉な価格であるけれども売却というようなこと、そういうような流れ方ということが想像されると思いますけれども、そういうことについてはどういうようにチェックいたしますか。チェックする方法はありますか。
○政府委員(小野寺龍二君) 非常に難しい御質問で、私も検証、軍備管理の専門家ではございませんで、そういうチェックの方法というのは必ずしも存じませんのですけれども、恐らくやはりその工場における生産、工場の出口における何らかのチェックというものは、いずれにいたしましても必要なのではないかと思います。 かつ、先ほど先生がおっしゃったような第三世界等における新しい武器の流れというのはやはり非常に大きな問題でございますから、それについてはまたこの軍備管理・軍縮とは別途やはり何らかの、特に超大国等との間の何らかの合意が必要ではないかというふうに私は考えております。
○永野茂門君 同じように、兵員の復員といいますか、通常の産業につけるということでありますけれども、私どもの経験からいたしましても、第二次大戦、大東亜戦争が終わって二百万から二百数十万外から帰ってきた。この人たちを生業につけるのにやっぱり十数年から二十年かかる。したがって、ソ連の場合どのくらい削減するかは別にいたしまして、まあ百万とか百数十万とかそういうオーダーだと思いますけれども、やはり同じくらいの時間はかかるだろうと思います。 かつ、これは十年や二十年の間というのは、戦力としては余り変わらないんですね。私どもは、その後昭和二十何年だったですか、二十五年、警察予備隊というものをつくりましたね。そのときにたくさん経験者が入ってまいりました。これは即戦力ですね。兵器がなかったから戦力ではありませんでしたけれども、能力としては、隊員の能力としては、今の隊員と変わりないぐらいに大変に能力を持っているわけですね。 したがって、通常戦力の削減とかいうことを数字の上で何万削減しますとかこういうことを言いますけれども、これはまさに数字の遊戯にすぎない。本当に削減してしまうなら、兵器を実際に全く動かない状態、生産できない状態、しかも使えない状態にしてしまわなければ意味がないのでありまして、それには時間がかかる、こういうように思うわけであります。その点どういうようにお考えですか。
○政府委員(小野寺龍二君) 現在ソ連が発表いたしておりまして、かつ実施に移していると思われます一方的兵力削減の問題点というのは、まさにその点ではないかと思います。もちろんその削減された兵員が職を得、それから住居を得るという、そういう大きな問題もございます。それと同時に、しかし削減された兵器がどうなるかということ、これが一番のキーではないかと思います。 この点についてのソ連の、いろんなことを言っておりますけれども、実際に何が行われているかということが非常に不透明でございまして、例えば削減された戦車がどこかに油漬けにされて残されるということであれば、ソ連の現体制においてはまた、いざというときにはそれが、動員をかけて兵隊を乗せるということは極めて簡単にできるわけでございまして、そういった意味でその点が非常に問題かと思います。それだけに、削減というのは基本的にはやはりちゃんとした検証を伴った軍縮措置によって行われるということが望ましいのはまさにこういう点ではないかと存じます。
○永野茂門君 したがいまして、先ほど小野寺さんもおっしゃいましたけれども、ソ連がそういうような力を持っておる間は、その力を行使する可能性に対してやはり一応対応できる準備はしておかなきゃいけない。これは先ほど、あなたは今度は逆のことをおっしゃいましたですね。ソ連がこういうものを持っている、そしてかなり攻撃的なものを持っているということをおっしゃいましたけれども、ソ連はソ連なりに、恐らく彼らはそれを攻撃的とは思っていないのかもしれないのですね、自分の国を安全ならしめようと思うときに、周辺に同盟国でない、友好国でない国があるレベルの軍事力を持っておれば、その軍事力に対して対抗するだけの力を持つというのはその国の安全を預かる者にとっては当然なことであって、それがソ連にとって妥当なものであるかどうかということは、私も小野寺さんがおっしゃるように少し過剰であるとは思いますけれども、いずれにしろ、一般的に言って、安全を確保しようという責任ある国家としては、そういうような対応する力を維持するということは必要なわけですね。同じようなことは、今度は裏返しにして私どもとしてもそういうことを考えておかなきゃいけない、こういうことだと思います。 小野寺さんばかりに集中するかもしれませんが、その次に、核兵器については不拡散条約がありますが、それから化学兵器についてはジュネーブのあの条約といいますか、これに参加している国にとっては禁止されておるわけでありますけれども、いずれにしろ、最近核兵器、化学兵器そしてさらにこれらを運搬するためのミサイル、中長距離のミサイル、そのものないしはその製造技術ですね、これはかなりいろいろな国に拡散してきておると思いますが、その拡散の状況を、もし今資料をお持ちでしたら御説明をお願いいたします。
○政府委員(小野寺龍二君) 大変申しわけないのでございますけれども、その具体的な資料を私は今持ち合わせておりません。ただ、一般論といたしまして、今先生御指摘のそういった兵器の拡散というのは、極めて大きな問題であるわけであります。イラン・イラク紛争におきましてあのようなミサイルというものが、かなり長距離を飛ぶミサイルというものが実際に使用されたということ、これはやはり大国間ないしは非常に軍事的に進んでいる国における戦争ならいざ知らず、いわば低開発国同士の戦争でああいう兵器が用いられたということ自身これは私は非常に大きな問題ではないかと思います。 それで、今後、これはまさに我々全部、米ソも含めて、こういう大量殺りく兵器というもの、非常に能力の高い兵器について、これが拡散しないためのレジームをつくっていくということが私は絶対に必要ではないかというふうに考えております。そのためには当然のことながら主要武器製造国による自制というものも必要でございましょうし、それから技術が伝わっていかないためのレジームが必要になってくるというふうに考えております。
○永野茂門君 私どもは自国の安全を考え世界の平和を考えるために、確かに大国あるいは世界の中心になっているような国々の情勢あるいはその地域の情勢について十分把握するということ、そ してそれが私どもの思うような安定化に向かって進むということはこれはキーポイントあるいはキーファクターであると思います。 しかしながら、そういうところは一般的に言ってまあ比較的良識ある、あるいは条約に忠実な国が、まあそうでない国もありましたけれども、一般的には多いわけでありますが、ところが今拡散しつつある国、核兵器についてもですね。近隣にもそういう国があるように新聞等では報ぜられておりますし、中近東においてもアフリカにおいても必ずしもいわゆる中流国以上――中流国というのはあれですかね、先進国と称せられる国ないしはまあ開発途上国でもNIESに近いような国ではなくて、そうでない国にも核兵器、いわんや化学兵器、これはもうほとんどの国に拡散してしまっておりますし、ミサイルは、技術は別にいたしましても、三百キロとか四百キロのミサイルそのものが拡散をしておるということでありまして、これらについてはいろいろと我々は考慮しなければいけないと思いますけれども、これらが世界の安全あるいは安定に及ぼす影響について、軍事的にはどういうようにお考えでございますか。
○政府委員(小野寺龍二君) 先生御指摘のとおり、非常に近代的な兵器というものが政治的に必ずしも成熟していない国々に渡るということは、私は非常に大きな問題かと存じます。それによって従来いわゆる低強度紛争と言われていたものが決して低強度ではなくて、非常に破壊力の大きい紛争に発展するという可能性があるわけでございます。それで、先ほども申し上げましたとおり、ミサイル技術とか武器の輸出についての何らかの自制、それから技術についてやはりそういう国に渡らないような先進国による一種のレジームというものがだんだん、ソ連も含めた形で考慮されていかなければならないという感じを私は持っております。 それと同時に、先ほど来のいろいろな現在の国際的な変化の中で、やはり大国のある意味では介入能力というものが非常に衰えているという現状がございます。従来であれば、まあいい意味でも悪い意味でもソ連ないし米国が介入して、そういうところに紛争が起こらないというそういう事態があり得たわけでございますけれども、その能力というのはだんだん減ってきているかと思います。そういうものを考え合わせた場合、やはり開発途上国における紛争を防止するための地域的な協力とかそういったようなものについてもいろいろ考えていかなければいけないのではないかという感じがいたしております。
○永野茂門君 今のことと関連がありますけれども、話題を少し転じまして、冷戦構造が崩壊したと見るか、しつつあると見るか。まあおおむね崩壊したと見る人もいますし、今崩壊の最終段階にあると見る人、それはどちらでも私はいいと思いますけれども、いずれにしろそういう状況でありますけれども、私が国際情勢を考える場合に、どうしても皆さんに注意していただきたいと思いますのは、今までの東西対立で、東側はソ連、西側はアメリカといういわばボスのような存在、大変に力の強い中核的な存在があって、それが今小野寺参事官がおっしゃった、介入していくという言葉で表現しましたけれども、ある種のコントロールあるいは統率力を発揮するという形で世界のある意味における安定的なシステムを運営してきたといいますか、保持してきたという面があったわけでありますけれども、これはだんだん両極の力が弱っていくことにより、そしてまたこの構造が崩壊していくことによって全く弱まっていくということであります。 それに引きかえ東欧においては、先ほどから御説明がありましたように、大変に進展のレベルが違う、自由化、民主化の度合いの違う国々が存在し、したがってそれぞれの国はそれに基づく摩擦を持ち、あるいはまたその中でルーマニアのように、ルーマニアがいつまでもああいう状況を続けられるかということは別にいたしまして、依然としてかたくなに旧来の社会主義国を続けていこうと、こういうようなことであります。 あるいはまた、同じく触れられました東西両独の統一でありますけれども、これも非常に過早な動きがあるいはあるかもしれない。ドイツは御承知のように何度もいろんなことを経験しておりますので、非常にいわゆる知恵はついておると思いますけれども、民族の運動というものは盛り上がり始めたらなかなか抑え切れないものがあるわけでありまして、これが大変に過早な動きをするということは、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、非常に不安定な影響をアメリカ、ヨーロッパあるいはソ連、西ヨーロッパ各国、これに対して大変な影響を与える大変な関心問題である、こういうようなことがあります。それから、ソ連の国内の民族問題等いろんな問題によってこれらのそれぞれの国益あるいは民族益の衝突が生に起こるという可能性があります。 それからまた他の地域に目を転じますと、北朝鮮でありますとか、あるいは中国でありますとか、あるいはビルマでありますとかカンボジアでありますとかキューバでありますとか、その中で特に北朝鮮、中国は、これもルーマニアを支援しながら大変に旧来の社会主義制度に固執しようということを少なくも声明をしている。もちろんそれが先ほど山下局長がおっしゃったようにそのまま定着していくとは思われませんけれども。そういうことをやろうとしておるということは、大変にこれは、孤立していく状態がこれらの国にとってはあるのではないか。そして孤立に基づく摩擦がいろいろと起きてくる可能性が十分ある。しかも、こういう摩擦のあるところに対して、特に後から申し上げたようなところですね、こういうようなところに対して、先ほど申し上げましたようないろんな兵器の拡散があり兵器の移転があると、こういうことがありますので、下手をしますとこれらが大変な混乱を引き起こす。非常に悪い状態、最悪の状態を考えますと、これは戦乱の状態をもたらす可能性がある。こういうことを一つのシナリオとして我々は考えておかなきゃいけないんじゃないかと思うわけであります。 したがって、これらについてどういうように見通しをお持ちになっていて――もちろんこれは固定した見通しではありません、そういうことを一つのシナリオとして考えておかなきゃいけないと思うわけでありますが、日本はこういうことに対してどういう対応をしたらいいとお考えでしょうか。山下局長に承りたいと思います。
○政府委員(山下新太郎君) 今、先生御指摘になられました御心配の点、まさに私も同感でございます。まさにそういうことが起こっては非常に困るわけでございまして、これは単にその当事国のみならず周辺の国、あるいは世界全体が困るわけでございまして、そのようなことにならないためにも私どもとして可能な努力をしなければいけないのじゃないかと思います。 現在の基本的な動向が起こったゆえんのものは、簡単に言いますと、先ほども触れましたけれども、ソ連における経済改革の動き、それが東欧にいろいろな動きを触発する。それが国のそれぞれ置かれております状況によりまして出てきている形が変わっている。ただ、象徴的に申し上げ得ることは何かと申しますと、私の見るところでは、共産党の一党独裁体制を放棄するか否かという点が要するに中心ではなかろうかと思うわけでございます。 御承知のとおり、ソ連におきましても連邦憲法六条に関する検討が始められたやに伺っております。ポーランド、ハンガリーにおきましてはこの一党独裁体制を放棄される。東独におきましては、先ほど御説明申し上げましたように、クレンツ新書記長自体が公に放棄を明言している。ただし決まっておりません。チェコにおきましてもアダメッツ首相自体はそのような考え方を示している。他方例えばブルガリア等はそういうことを一切言っていない。ルーマニアは御指摘のとおり全く動いていない。こういう状況でございます。 ただ、すべてがそれで割り切れるかと申しますと、実はそうではないと私は考えております。それは簡単に申しますと、最初に御説明申し上げました中で申し上げましたとおり、ソ連あるいは西 側それぞれにとりまして自国の安全保障上、東欧の諸国が持っている地政学上の意味、位置づけがございまして、それらとの関係で各国の動きがそれなりにいやでも制肘されざるを得ないということが申し上げられるかと思うわけでございます。そこで、その辺を全部まとめましてどのように見通しているのかということでもし御質問があるといたしますと、正直申し上げて私どもは注視しているという以上のことを申し上げ得ない状況でございます。 同時に、つけ加えさせていただきたいのは、最初の御説明で申し上げましたとおり、ソフトランディングが可能なように日本を含め世界の国々はそれを可能とする条件をつくっていく努力をするべきでないか。そのことは、最後にお触れになりました、例えばアジアの共産国等々についてでございますけれども、同様ではなかろうかと考える次第でございます。
○永野茂門君 以上が、私が最初に申し上げました将来の楽しい世界を築くためには克服しなければいけないという世界的な問題の主要な、私が考えた主要な問題点のある側面でありますが、最後に局地的な問題として山下局長に承りたいと思います。なお参事官の方も、コメントがあったらお願いをしたいと思います。 アジア・太平洋、特に北東アジア地域の軍縮・軍備管理、信頼醸成措置交渉を今後どういうように展開しようとされておるかということでございます。これは、私二つだけ申し上げておきたいんですが、それは一つは、どこに行ってもとにかく世界じゅうで今、主要なものはヨーロッパでありますが、ヨーロッパでしっかりしたものができ上がってきている。アメリカとソ連の間はうまくおさまりつつある。残っているのは中東とここじゃないか。しかもソ連と直接対していて、極めて穴になっているのはここじゃないかということをどこでも言われるわけでありますが、確かにそういう面がありまして、極東が残るということは必ずしも、必ずしもといいますか、残るということはやはり一つの危険性を持ったことだと思うんです。先ほどからおっしゃられたとおりに特殊な条件がありますから、別に慌てる必要はないと思いますけれども、しかしいずれにしろ、ぼつぼついろんなことを始めなきゃいけないんじゃないかと、こう考えておるということが一つであります。 それからもう一つは、それと裏腹になりますけれども、ソ連のヨーロッパ側をいろいろとしっかりやっておると、アジア・太平洋側が損をする可能性がある。軍縮だとか軍備管理だとか、信頼醸成だとか、それからいろんな協力関係を含めて、やはりグローバルであるべきであるのであって、その付近を考慮してどういうようにお考えでありましょうか、お伺いします。
○政府委員(山下新太郎君) まず、私は軍縮・軍備管理問題の専門家でございませんですけれども、私が考えますところによりますと、日本といたしましても、このアジア・太平洋地域、日本の存在しておりますこの地域におきまして、本当に実効的な意味のある軍備管理・軍縮を実現すること、このこと自体は長期的に申し上げまして適切なことであるというふうに考える次第でございます。 ところが、先ほど小野寺参事官がいろいろ軍備管理・軍縮につきまして申し上げましたように、ヨーロッパにおける状況とアジア・太平洋におけるこの問題を取り巻く状況は、基本的な差がいろいろあるわけでございます。この差を例えばアジア・太平洋地域において見ますと、例えば日ソ間におきましての典型的なものとして北方領土問題がある。さらにはまた、朝鮮半島においてある意味での緊張が存在する。さらにまた、カンボジアにおきましてはゲリア戦闘が依然として存在しているという状況にございまして、私の感じだけを申し上げますと、果たしてヨーロッパでいろいろ軍備管理・軍縮措置が行われるから、その雰囲気に乗りましてアジア・太平洋地域で直ちに軍備管理・軍縮措置をとらなければいけないと申し上げるためには、いろいろの前提になる解くべき問題があるというふうに考える次第でございます。
○政府委員(小野寺龍二君) やはり原則論といたしましては、アジア・太平洋を軍縮の空白地帯にするということ、これを将来にわたってもそういうふうにしておくということ、これは決して望ましいことではございません。しかし、私の説明でも申し上げたとおり、それからまた今山下局長からの説明がございましたとおり、本地域における情勢というのは極めて複雑でございまして、今直ちに軍縮ないし信頼醸成措置のフォーミュラが出てくるかというと、そういう状況にはないのではないかと思います。 ですけれども、やはりヨーロッパにおける動きというものが一つの参考になることで、ヨーロッパというのは非常に最近劇的な動きがございますけれども、現在の軍縮ないし信頼醸成措置の動きの前提となりましたのはやはりヘルシンキの欧州安全保障会議であり、その欧州安全保障会議を可能にいたしましたのはまさに西独の東方外交だったわけでございます。ヨーロッパにおける政治的な懸案というものをあの段階で片づけたことによって政治的なそういう土俵ができ、その土俵での交渉を重ねることによって現在のいろいろな軍縮ないし信頼醸成措置ができてきたということ、そういうことを見ますと、やはりアジアにおきましても政治的な懸案を片づけておくということがやっぱり最大の前提ではないかという感じは私たちはしております。
○永野茂門君 以上をもって私の質問を終わります。
○下稲葉耕吉君 先ほど、国際情勢、国際軍事情勢につきまして、外務省、防衛庁の方から概括的な御説明があったわけでございますが、私は若干各論的に立ち入った御質問をするかもしれませんけれども、よろしく御答弁いただきたいと思います。 まず最初は、ソ連と東欧諸国との関係をどういうふうに見るかということでございます。 この調査会で九月にソ連に参りまして、クレムリンでいろいろな方にお会いいたしまして議論いたしました。バルト三国の民族独立問題等につきましては、ソ連は大変厳しい態度で臨んでおるようなお話を承りました。しかし、東欧諸国の問題につきましては、私どもに対する説明では、それぞれの国がそれぞれ判断なさることでございますというふうな考え方が基調にあったように思うのでございます。 十月の下旬でございましたか、フィンランドでのゴルバチョフ発言というものを見てみますと、社会主義諸国が国際主義的な義務を果たす限りは自由なことをしてもいいというふうな発言があったように記憶いたしております。これはとりもなおさず東欧諸国がワルシャワ条約機構から出ていかないこと、そういうふうなことを通じましてソ連の安全保障の利益を擁護してほしい、そういうふうなことであれば国内で自由なことをおやりになっても構わないというふうに私ども理解したわけでございます。 それとはまた別な問題でございますけれども、ゴルバチョフ議長の力が強くなるとともに、今まではソ連が立ち直っていくという意味で強さを増すというふうに私ども受け取っていたわけでございますけれども、どうも八九年に入りましてから、ゴルバチョフ議長の立場が非常に強くなってきたにもかかわらず、逆にソ連の力が弱くなったんじゃないかというふうな見方も一部に伝えられているのも事実でございます。 そこで、最近の一連の東欧諸国の急激な動き、こういうふうなものにつきまして、ソ連がどういうふうなスタンスでいるのかどうか。先ほど容認しているというふうな形の一般的な御説明があったんですけれども、もっと具体的にお伺いしますと、ソ連が積極的に東欧諸国にいろいろ働きかけ、指導している。それは表に出る表に出ないということは別といたしまして、そういうふうなことであのような東欧諸国の――もちろんそれぞれ形態、動きも違いますけれども、動きがあるの か。あるいはソ連自身のペレストロイカだとかあるいはグラスノスチとか、そういうふうな政策遂行、そういうふうな風潮を受けて、影響を受けて、それぞれの東欧諸国があのような動きをしておる、それをソ連が追認している、こういうふうに見るのが正しいかどうか。その辺のところをお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(山下新太郎君) ただいまの御質問、非常にいろいろな点が含まれておりまして、一義的にお答えするのは難しいのでございますが、足らないところは実は担当局の審議官が参っておりますので補足してもらいたいと思います。 御指摘のとおり、社会主義に普遍的モデルはないといったような趣旨のことを例えばことしの七月あるいは八月にソ連が言っていることは事実でございます。さらにまた、先ほど冒頭の御説明で申し上げましたとおり、各国の選択の絶対的自由の権利の認知といったようなことを例えばシェワルナゼ外相が十月最高会議で演説をするといったようなことがございます。同じような趣旨のことを、実はお引きになりましたゴルバチョフのフィンランド訪問の共同宣言の中で言われているわけでございます。他方、まさに御指摘のとおりの、つい先般マゾビエツキ首相の訪ソした際のコミュニケにおきましてはやや微妙な表現がございまして、ちょっとその関係のところだけを見てみますと、欧州の社会主義諸国で進行しているプロセスは、民主化及び各国民の自由な選択の権利実現の枠内にあるといったようなことを言っているわけでございます。 そこで、お話の点でございますが、例えばブレジネフ・ドクトリンというのがかつて六八年に出てきたわけでございますけれども、これがいかなる意味を現時点に持っているのか。このような問題提起が正しいかどうかは疑問の余地があるかとは存じますけれども、少なくも現時点まで東欧で行われる情勢についてはソ連は容認している。したがって、六八年当時のような措置に出ることはないのではないか。ただし、何度も申し上げておりますとおり、東欧の変化は極めて流動的でございまして、それが東欧諸国によってそれぞれ違いますが、それら諸国が持っておりますソ連にとっての地政学的な意味等から考えますと、その変化の動きが果たしてソ連の軍事介入を呼ぶかどうかということを現在即断することは難しい。ただし、その可能性は小さくなってきているのではないかというのが私の率直な感じでございます。 その他の点につきましては、担当の審議官の方から補足させていただきます。
○説明員(荒義尚君) 特につけ加えることは私としてございませんけれども、一つ、つい最近でございますけれども、十一月二十六日のプラウダでゴルバチョフが論文を書いておりまして、これも先生御承知と思いますけれども、そこにも先ほど局長からお話がありましたように、社会主義の今後のあり方、基本的なスタンスということについて、社会民主主義ということと社会主義というのを二つ並列した考えを出しておるということからも、山下局長のおっしゃるようにソ連の容認度というのは非常に高くなっているということだと思います。 ただ一つ、これも御高承のとおりでございますけれども、現在東欧諸国で行われておりますペレストロイカ改革の動きの中に、今までのところは直接反ソ的なものがないという点も今後一つの注目すべき点かというのが私の個人的なコメントでございます。
○下稲葉耕吉君 まあ役所の立場もございますから、そういうふうな御答弁だろうと思いますが……。 それでは、今度はちょっと話題を変えまして、先ほど来お話がございましたように、来月の二日と三日、地中海において艦上で、私ども聞いているところによるとアメリカの軍艦が第六艦隊旗艦の巡洋艦ベルナップじゃないか。ソ連の方は最新鋭の巡洋艦のスラーバがひのき舞台になるのじゃなかろうかというふうなことを伺っているんですけれども、要するに中間的な非公式会談だというお話がございました。 先ほど永野委員の御指摘にもございましたように、今民主化の方向が東欧を初めとして進んでいることについては、我々もその成功を期待しておるというふうな立場であるわけでございますが、若干、アメリカの状況というのを見てみますと、ブッシュ大統領だとかベーカー国務長官を中心といたしまして、ペレストロイカ成功を期待しているということはこれは明らかであります。ただ、いろいろな情報を総合いたしてみますと、中にいろいろございまして、例えばチェイニー国防長官の発言というのがちょっとこうニュアンスの違うような発言もあるし、あるいはまたイーグルバーガー国務副長官の発言、あるいはまた国家安全保障会議のゲーツ次長ですか、というふうな人たちの発言というものとの間に若干のニュアンスの相違がある。というよりも、むしろ非常に慎重に受け取れるような発言もあるというふうなことで、ソ連のペレストロイカというものが果たして成功するかどうかということについては、各国が一様に期待はしているけれども、それぞれの中にいろいろな意見がある。アメリカの議会の中でもそうだろうと思うんです。 そういうふうなことで我々としては、西側としては一様に何とかその成功というふうなものを期待しているだろうと思うんですけれども、果たしてこのような形でスムーズにいくんだろうかどうか。我々ソ連に参りましたときにもいろいろな人に会って聞いてきたんだけれども、一生懸命やっているけれども果たしてこれで成功するかどうか。まあ天安門事件みたいな保守派の台頭というのはないとは言い切れぬというふうな話をする人すらいないわけじゃなかったんです。だから、そのようなことについてどういうふうな、まあこれも難しい質問だと思いますが、どういうふうな判断をしておられるのかどうかということ。 それからまた、そういうふうなこととも関連いたしまして、先般の官房長官の談話にもございましたが、ポーランド、ハンガリーに対する経済協力の取り組みの問題が発表がございました。あれは我々ここで長いこと議論してきました経済協力の考え方、まあDACに入っていないそういうふうな国に対する支援ということですが、私は私なりに経済協力の大きな理念といいますか、人道主義的な立場と国際的な相互依存の立場から、まさしく国際的相互依存の立場から非常に大切なことだと、こういうふうに考えているわけですけれども、ああいうふうなお取り決めをされて具体化されると思うんですけれども、それについての政府の考え方をお伺いいたしたい、このように思います。
○政府委員(山下新太郎君) ポーランド等に対する支援の話につきましては、担当局の担当参事官が来ていますのでそちらに譲らせていただきたいと思いますが、最初の御質問につきまして、ペレストロイカについて日本政府なりあるいは西側がどんなふうに考えているのかという御質問かと思いますが、日本、アメリカあるいはヨーロッパの主要先進国はすべてと申し上げていいと思いますけれども、ペレストロイカが成功することを強く期待している。かつ、ゴルバチョフがそのためにやっている努力を支持しているということまではみんな一致しているのではないかと考えます。これに支援するかしないかということになりますと、正直申し上げて国によってばらつきがあるということではないかと存じます。 以上のようなペレストロイカに対する期待あるいは支持といったようなものと、これが本当に成功するかということは別の話だと存じます。後者の成功するか否かという点につきましてはいろいろな説がございまして、これは数量化して言うのはおかしな話ですけれども、ある人はかなりの確度で成功すると言い、ある人はうまくいく条件がないからかなりの確度でまずだめなのではないかといったような観測を言う人もいるということだと思います。私どもとしては、申し上げるまでもなくこれがうまくまいりまして成功することを期待しているということでございます。
○説明員(茂田宏君) お答えいたします。 ポーランド、ハンガリーに対する経済協力ですけれども、これは二十四日に官房長官に発表していただきましたけれども、ポーランドに対して一・五億ドルの商品借款を供与する。それに加えまして食糧援助、それから技術協力関係の援助を今後検討していくという方針でおります。 この調査会におきまして従来から経済協力の問題については大変深い議論をしていただいているということですけれども、そこで我々理念としまして、人道的考慮とそれから相手国との相互依存関係ということを二つの大きな柱として進めてまいりました。我々は、今度の事態に関してもその枠内で考えていることだというふうに考えております。 ただ下稲葉先生御指摘のとおり、ポーランド、・ハンガリーはまだDACの中でODA供与対象国として認定されておりません。この問題は今DACの場で議論をされておりますけれども、まだコンセンサスが得られていないということでございます。ただ、我々が行っております経済協力のもとになっております国際協力事業団法ですとか経済協力基金の関係の法律ですとかには、開発途上にある地域に対しては援助ができるということを書いてあります。それと、ポーランド、ハンガリーは現時点におきましてみずからを開発途上国と認定しておりまして、まあいわば自己申告をしているということで、DACにおけるODA対象国としての認定はまだでございますけれども、そういうものとして取り扱って今度の援助を決めたということでございます。 ちなみに、ポーランドの現在の一人当たりの国民所得は一千九百二十ドル程度でございまして、これは日本が援助を供与している国、ODAの対象国として援助を供与している国の中では中所得、開発途上国と同じようなレベルにあるということでございます。
○下稲葉耕吉君 今度は防衛庁の方へお伺いいたしたいと思います。 先ほど永野委員の方から非常に抽象的に御質問をされましたことをちょっと具体的に聞いてみたいと思うんですけれども、この前新聞を見ていましたら、北朝鮮が核兵器開発という報道がなされておりました。この報道をいろいろフォローいたしてみますと、出所がいろいろございまして、米国、それからイギリス、それから韓国というふうなことでございます。要するに、核拡散防止条約上の査察受け入れ義務を履行しないで核兵器開発に乗り出している疑いがあるというふうなこと、それから、五年ぐらいたったらできるんじゃないかとかね。いろいろ出ていたわけでございますが、これについて何かコメントございませんか。
○政府委員(小野寺龍二君) 北朝鮮の核開発につきましては、防衛庁といたしまして独自の情報を持っているわけではございません。したがって先生が新聞等で御承知の点以上に我々は知っているわけではございませんで、もしもですけれども、北朝鮮がそういうような形で核爆弾の開発を進めているということであれば、これは非常に当地域の安全にとって重大な問題であるという感じを持っております。それだけに各国が、北朝鮮が国際原子力機関の査察の対象としてそういう施設、あるとすればそういう施設を開放すべきである、そういう努力をこれからも続けるべきであるというふうに考えております。
○下稲葉耕吉君 今の質問に対しまして外務省いかがでございますか。
○政府委員(山下新太郎君) 北朝鮮が核開発をやっているか否かということに関しまして、まさに先生おっしゃいましたとおり、いろいろな情報が新聞等にあらわれていることはそのとおりでございます。ただ、それ以上私どもの方で明確な証拠等を持っているかということでございますれば、持っていない次第でございます。
○下稲葉耕吉君 今社会主義諸国、東側の方が、本家本元のソ連のペレストロイカ、グラスノスチを初めとして東欧諸国が、言葉は必ずしも適当じゃないかもしれませんが、民主化の方向へどんどん進んでいる。まあ民主的という言葉に対して保守的という言葉が当たるかどうかわかりませんけれども、保守的にこだわっているというかね、現在。これは中国、北朝鮮、ルーマニア、大体そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(山下新太郎君) 保守的か否かという表現の問題が、これ、おっしゃったように確かにあると思いますが、今お挙げになりました三カ国に加えて、もし申し上げるといたしますと、アルバニア等もあるいは入るかなという感じがいたします。
○下稲葉耕吉君 そこで、これもまた新聞が材料で申しわけないんですけれども、「鄧氏、ゴ議長思想を警戒 中国内の混乱を助長」というふうな見出しで報道をされております。これは最近の情報ですけれども。中国とソ連との関係は、先ほども一般情勢の中でお触れになったわけですけれども、私は大体流れとしてはそのとおりだろうと思うんですけれどもね。中国そのものも、趙紫陽さんが総書記のときにいわゆる民主化といいますか、がどんどん進みつつあって、私はこれはいい方向だなと思ったんですが、例の天安門事件でそれがストップがかかって、そして新しい政権ができた。それは少なくとも現在ソ連の進んでいる方向とは違うわけですよね。そういうふうな動きが背景にあってこういうふうな新聞記事になっているんじゃないかと思うんです。 そういうふうなことを踏まえまして、これはまた難しい質問だと思いますが、中ソ関係というものがどういうふうに進むのか、どういうふうな見方をすればいいのか、この辺についてコメントをいただきたいと思います。
○政府委員(山下新太郎君) 中ソ関係についてでございますけれども、御承知のように本年五月にゴルバチョフ書記長が訪中いたしまして、中ソの和解と申しますか、それができ上がったわけでございます。あの時点におきましてそれでは完全に中ソの関係が五〇年代のいわゆる同盟関係を持っておりましたような状況に戻るかというと、それはあり得ない、考えられないということを私ども申し上げていたわけでございますが、現時点におきましても、その点は簡単に言うと変わらないのではないかと思います。 あの五月の時点で明らかにされましたとおり、中国側の主張に基づきまして平和五原則というものを両国の国交の原則にしているわけで、その辺が、従前来ソ連が考えておりましたような社会主義国間の関係のあり方とは違う、中国の主張が反映されたものと申し上げられると思うわけでございます。 ちなみに、先ほど私最初の説明で申し上げましたのは李鵬の発言ないしは江沢民の発言でございますが、鄧小平自身がその辺どのように考えているかということは正直申し上げて正確に知らないところでございます。
○翫正敏君 外務省に質問しますけれども、ちょっとお願いしたいんですが、山下局長もうちょっと大きい声で話してください。私、ファントムの音のうるさいので耳が悪くなっているのかどうかわかりませんが、よく聞きとれないので、大きい声でお願いします。 最近の国際情勢についてお聞かせ願いましたが、一九四五年二月にソ連のクリミア半島のヤルタで米国のルーズベルト大統領、英国のチャーチル首相、ソ連のスターリン書記長、この三国の首脳が会談して、それでドイツの分割占領、ソ連の対日参戦などを決めたわけです。こうして決められた戦後の国際政治体制を御存じのようにヤルタ体制と呼んでいるわけですが、私は、その終えんというものが予見されるような、そういう最近の国際情勢の大激動というものを見まして、新聞などには「ヤルタからマルタへ」というような表現で最近の国際情勢をいいこととして受けとめる、こういう論調が多いと、そういうふうに思います。 それで、この東欧諸国の激動というものについて、私はソ連のペレストロイカというものが口火を切って、それが最も大きな影響力を持つ中から 生まれてきたものに違いないというふうに思うんですけれども、ソ連のゴルバチョフ書記長も東欧諸国の民主化というものを好意的に見て、そしてそれを、民主化を促しているというふうにさえ見えるわけであります。また、アメリカのブッシュ大統領も二十二日の演説などでは、こうした東欧諸国の改革への支持を明らかにされておりまして、冷戦を永遠に終わらせるようにという、こういう呼びかけを世界に発しておられるわけであります。私は、こうした第二次世界大戦後の世界を動かしてきた米ソ二超大国による世界分割支配のヤルタ体制というようなものは今終わろうとしているのではないか、そういうことを感じています。 そういうことで最初にちょっとお聞きしたいことは、現在の東欧情勢というものがソ連のペレストロイカが引き金になっての変動と見ておられるかどうか。先ほどちょっとそういうふうな感じのこともおっしゃったようにも思いましたが、はっきり聞きとれませんでしたのでもう少し明確におっしゃっていただきたいんですが、少なくともソ連のペレストロイカが大きな影響力を持ってこういう変動が起こってきているというふうに見られているかどうか。また、そのペレストロイカをソ連の中で必要としたその根本原因というものについて、私は、ソ連が経済力から見て過剰なぐらいの軍事力の強化というものを図ってきて、核戦力やミサイルというものをどんどん強化をしてきた、そしてアメリカに対抗して軍事力をどんどん強化してきたという、そういうこの軍事力に力を入れ過ぎたということが経済力というものを低下させて、そして国民が物がないということで不満を大きく持ってと、こういうことが内的原因なのではないかと思っているんですけれども、これについてどういうふうにお考えか。 さらにもう一点は、先ほども大体おっしゃっていただいたんですが、この説明の中にも、西側にとっては歓迎すべきだというお言葉でありますが、もっと明確に、我が国にとって好ましいことである、歓迎すべきことであるというように、ぜひ我が国というのを主語にしておっしゃっていただきたいと、そういうふうに思います。この冷戦が終わってニューデタントという方向についての政府としての受けとめをもう少しお聞かせください。 それからさらに、東欧情勢というのは今後どういうふうに進んでいくと見ておられますか。社会主義の経済改革、ペレストロイカというものが進んでおりますが、いろんな情報を見ますと、逆に国民経済の方はよくなっていない、むしろ悪化しているのではないかというふうな記事も裁っていますけれども、そういう経済の立て直しということがないと国民の不満はなくならないと思いますから、これはこういう意味の経済的な立て直しはうまくいくのだろうか、そういうようなことについてどういうふうに見ておられるか、お聞かせください。
○政府委員(山下新太郎君) 今まで小さな声で御答弁申し上げたつもりはなかったのでございますが、あるいはお聞き取りにくかったとすれば申しわけないと存じますので、おわび申し上げます。 ペレストロイカと東欧の関係でございますが、私冒頭の説明の中で申し上げましたとおり、ペレストロイカが東欧における現在見られますいろいろな変動を引き起こす大きな要因になっているということは事実だと思います。ただ、それだけであるかといえば、言うまでもなく東欧側の対応が、先ほど来御説明いたしておりますとおり、国によってばらつきがあるわけでございまして、それぞれの国が過去から持っております歴史的な経緯とかその国自体のあり方、ソ連との関係がいろいろ違いますので、それなりの対応に変化が見られるということではないかと思う次第でございます。 ペレストロイカがなぜソ連において必要になったのかという御質問が第二点かと存じます。 これはもう先ほど御指摘のとおり、ペレストロイカをしなければ、ゴルバチョフ書記長が自分の「ペレストロイカ」という著書の中で言っておりますとおりに、ソ連が来世紀には二流国になるという、簡単に言えばそういう非常な危機感、前危機的状況といったようなことすら言われているくらいの危機感を持ってこれを始めた。その原因は、言うまでもなく経済改革にあったわけでございます。経済改革が必要でありましたのは、例えば数年単位でソ連の経済成長率等をとっております統計等がございますが、それを見ましても、確かにずんずんと下がってきている状況は明白でございます。 なぜそれが下がっているかということでございますが、その原因につきまして諸説あるかと思います。無論軍事力も、これをアメリカとの関係でかなり拡大してきたということが大きな要因であることはこれは否定できないと思います。 ただ、もう一つ申し上げるべきだと考えますのは、西側における経済発展というものが現在における経済のあり方を巧みにとらえ活用しているという点にあるわけで、それは言葉をかえますと情報化社会と申しましょうか、ハイテク社会と申しましょうか、現代におきましてそういう形が出てきておりますそのようないろいろな技術を開発し活用していく力が西側の世界にはあるということを申し上げ得ると思いますけれども、不幸にしてソ連にはそれがない。そのためにまさにペレストロイカを行うと。このペレストロイカを行うために実はかつて三本ほど法律をソ連は出したわけでございますが、どうもその限りではうまくいっていない。そこで、昨年六月の末からでございますが、ゴルバチョフ書記長は政治改革を一生懸命になってやってきたということを申し上げ得るかと思うわけでございます。現時点におきましては五本の経済改革の環境整備のための法律等を検討中の状況のようでございます。 その次は、我が国としてもペレストロイカを歓迎していいのではないか。そのことを、西側と言わないではっきり我が国として歓迎するということを言うべきであるという御指摘かと思いますが、私が申し上げましたのは、日本も言うまでもなくペレストロイカを歓迎しているということを申し上げたつもりでございます。 それから、冷戦が終わったか否かという点でございますが、御指摘の、先般十一月二十二日行われましたブッシュ演説におきまして、マルタで行われます十二月二日、三日の非公式首脳会談、これを冷戦を永遠に終結させる機会としたいという意味のことを発言されていることは御承知のとおりだと思います。冷戦の意味、内容、定義の仕方いかんによるかと思いますけれども、冷戦は終わっていると考えてもよろしいかと考える次第でございます。 それから最後の御質問は、東欧の今後をどう見ているのかという点かと理解いたしましたが、先ほど永野先生の御質問に同じ趣旨のことが出てまいったかと思いますけれども、まさに国によりまして対応にいろいろな差がある。それがどのような発展をするか、我々として注目していく必要がある。適宜、例えばポーランド、ハンガリーに見られますように、応分の支援をやっていく。かつまた、それが余りに急激な動き方をしないでソフトランディングが可能なような形、すなわち世界が安定的な形で推移していけるようにその改革を我々として支援し、見詰めていく必要があるのではないかと、このように考える次第でございます。
○翫正敏君 今ほどお答えになった点で一つだけ私なりのことを申しますと、反論的なことになるかもしれませんが、ソ連は、西側のハイテク技術に比べて技術の進歩がおくれたというのが経済が進まない大きな原因であるというようなふうに分析しておられるようでありますが、アメリカよりも先に人工衛星を飛ばし、そして潜水艦とかミサイルとか飛行機とか、軍事力における発展というものは世界一流であるということはこれは明らかなわけでありますから、そういう意味で、技術がおくれているというようなことでは基本的にはない。そうではなくて、やはり軍事に金を使い過ぎて国民経済の方にそういう力を十分回せなかった ので今日の低下を招いているのではないか、私はそういうふうに見ます。まあ押しつけるわけではありませんので次に行きます、時間もありませんので。 これまでは、米ソ関係というのはある程度緊張緩和や軍備管理・軍備縮小というのが進んでも、状況が変わるとまた緊張の方に戻るというふうに、一進一退の状況が歴史的にあったというふうに思います。しかし、最近の東欧情勢というものを見ていると、この変化は構造的な変化というものになっているように思います。政治、経済、軍事、すべての分野において変化がすごい勢いで起こっているというふうに思います。そういう意味で、この影響はアジア・太平洋の極東地域にも及ぶのは必至であると思いますので、先ほどの説明ではヨーロッパの方はヨーロッパの方でいろいろ動いておるけれども、極東の方には影響あるだろうけれどもそんなにすごくはないんじゃないかみたいな感じのことを、そういう分析のようでありましたけれども、政府としては、やはりグローバルな世界的な影響が起こってくると、こういうふうに見るべきだと思いますので、その辺についてのお考えを聞きたいと思います。 戦後冷戦の特徴というのは、こういう政治、経済、軍事というのは一体になって東西のブロック体制というものをつくって、そしてこのブロック間の対立というものが冷戦構造というものを築いてきたと思うわけでありますが、そのブロックの構造というものが終わろうとしているというのが現在のこのニューデタントと言われている状況の最も大きな特徴で、今まで幾つかありました、デタントと言われ、またそれが緊張激化へ戻ったりするようなのとは構造的に違うのではないか。つまり、私流の言葉で言うと、もう体制神話の崩壊というようなものが起こってきているのではないか、そういうふうに思います。資本主義と社会主義というような二大ブロックがヤルタ体制というもので世界を分割支配するというような、そういうことが根本的に変わっていくのではないか、そういうふうに思うので、そういう意味で、軍事力というようなものによって、その抑止力によって今後も相変わらずやっていくというような我が国の外交の基本方針というものは根本的に見直すべきではないかと、そういうふうに思うんです。 一九九一年のゴルバチョフ書記長の訪日もあと一年少しになっています。北方領土の返還の問題というものも、そういう中で我が国はどういうふうに――今までどおりのことを保守的にただ言うておればいいということではないと思うわけでありまして、社会主義国と言われるところも変わってきているわけですから、我が国もそういう意味では変わらなければならないと、そういうふうに思うわけですが、そうした点について簡単にお答えください。
○政府委員(山下新太郎君) 御質問が非常に難しいので、私、何とお答えしていいか自信が持てないわけでございますが、確かに冷戦につきましては、先ほど申し上げましたように、終わったないしは終わりつつあると申し上げてよろしいかと思うわけでございますが、別に反論を申し上げるつもりはございませんけれども、ヤルタ体制の終えんが見られると言い得るかと申しますと、現時点についてはそこまでは言えないのではないかというのが私どもの、少なくとも私の事実認識でございます。 御指摘のとおり、国際関係におきまして極めて大きな変化が起こっている最中であるというのが現状だと思うわけでございます。それは東西間におきまして従前来激しく対立していたものが、対立からむしろ対話という方向に大きく動き、これが定着し、近時におきましては協調とすら言っていいような関係が例えば米ソ間で見られるということがあるわけでございます。ただ、それが政治、経済、軍事等々、あらゆる東西の関係につきまして見られるかと申しますと、少なくもそこまでは行っていない。現実にヤルタ体制の象徴でございます、例えばヨーロッパにおきますドイツの分割、あるいはアジア・太平洋におきます北方領土といったようなものは一切解決されていないというのが現状だと思います。無論のことこのような国際関係の動き、なかんずくヨーロッパ、ソ連において起こっておりますペレストロイカ等の動き、これがアジアに関係ないかといえば、関係ないということは申し上げておりません。ただ、具体的に日本とソ連との関係で、それが具体的な形になって、では何か出ているかというと、それは認められないという趣旨のことを先ほど来申し上げているつもりでございます。 なお、その次の点といたしまして、抑止力に頼るような安全保障政策はやめるべきであるという御所論かと拝聴いたしましたけれども、例えばイデオロギー対立が完全になくなった世界が出現したといたしまして、そうであった場合にすべての国の関係が平和一色でうまくいくのかと。要するに、そのような事態になったといたしまして、軍備が一切不要であるか、安全保障のために不要かということになりますと、実は、共産革命が起こる以前の状況をお考えいただけば、そのようなことは申し上げ得ない、否定せざるを得ないと私は考える次第でございます。そこで、何らかの形での国の事情に応じた安全保障体制、何らかの抑止というものは考えていかざるを得ない。これは必ずしも保守的な考え方ではないと私は考えている次第でございます。
○翫正敏君 極東において、北方領土のことにも変化が出ていないし極東において変化はあらわれていないという、こういう御指摘ですけれども、それは確かにまだあらわれていないと思います。しかしそれは我が国が、先ほどのお言葉でいえば――下稲葉さんがおっしゃったのかな、保守的な今までのやり方をそのまま踏襲するようなことをしているから変化が起きないのであって、やはりヨーロッパにおいての変化というものを機敏にとらえて、極東においても流動化が起きるような、変化が起きるような、そういう対応をとっていくということが、世界情勢を分析するということの結果出てこなければならないと思うわけで、そういうことを全然、我が国の外交が今までどおりでいいし、何も変わらぬでもいい、極東は一つも変わっていないということだけ言うておるのならば、そもそも世界の情勢分析などというものをするということが何のためにやっておるのかと、こういうことになると思いますので、やはりそういう意味では、まだ変化が出ていないなどというところにとどまることなく、我が国がまず変化を求めて、対話と協調のためにいろいろ手を打っていくということが大事だと、そういうふうに思います。 なお、東西のブロック体制という、東西体制というものが崩壊の方向に少なくとも向かっているというふうにしますと、今後国際的なグローバルな問題というものは東西間の問題というものから南北問題というものに移っていくように思うわけでありますが、貧困の問題とか、民主主義がない独裁的な政治が続いておる問題とか、対外債務がどんどん増大している問題とか、そういうことが一方であるわけでありますが、これは別に社会主義国がこうで資本主義国はみんなそうでないということではないわけですから、南北問題という形で格差が非常に激しくなってきておるわけで、こういうことをやっぱり今後のグローバルな問題としては視野に置くべきではないかと思うんですけれども、そういうことについての、これは簡単でいいですけれども、今の問題提起にあったわけではないので、時間も来ましたからあれですが、一言今後の方向としておっしゃってください。
○政府委員(山下新太郎君) 簡単にするために、最後の点についてのみ御答弁申し上げます。 南北問題を視野に入れていないということは全くございませんで、私ども、十分視野に入れてやっているわけでございます。 簡単に具体的なことを申し上げますと、昨年五月竹下元総理がロンドンに行かれましたときに演説をおやりになりまして、そこで国際協力構想というのを打ち上げられたわけでございます。そこで、三つ柱がございますが、第二番目の柱でOD Aの拡充ということをうたっておりまして、いろいろと努力をしていることはもう御高承のとおりだと存じます。
○翫正敏君 終わります。
○堂本暁子君 この調査会は、大変忌憚のない形でるる話し合う会だと伺っておりますので、きょうもそういう形で外交の問題を伺いたいと思います。そしてできるだけ、今まで東欧の問題のお話がいろいろな形で出ておりましたので、ダブらない形で伺いたいと思います。 私きょうお話を伺って、まず、情報局長は最初に、大変急激で劇的な変化が起きているというような表現でお話しになりまして、私も本当に冷戦の象徴だったベルリンの壁が開かれたということは、去年あそこにおりましたけれども、やはりとても信じられないことのような気がいたします。そして、そのことはだれもがそういうふうに思っていると思うんですけれども、今までずっとのお話の中で、日本の態度としておっしゃいましたことに、注視していると、成り行きを注視しているという言葉で表現を一つなさいました。それから、この説明の内容が来たのがけさで、私はそのことも大変不満で、もうちょっと早くいただけたらと思うのですけれども、けさいただいてから読ませていただいた、この二番目のところですけれども、「基本構造に根本的な変化が生じるとは考えにくい。」というふうに書いておられる。そういったことが、これだけもうだれの目から見てもガラガラと崩壊していると申しますか、変わっていっている中で、どうして「考えにくい。」と、こういうふうにおっしゃっているのか。本当に考えにくいのか、むしろ考えたくないのか。その辺のところの真意を伺いたいと思います。
○政府委員(山下新太郎君) ただいま御指摘の点は、「欧州、及び東欧情勢がNATO、WPに与える影響」というところかと存じますけれども、なぜこのように、東西関係の基本構造と申しますか、その基礎をなしておりますNATOとWPの対立の基本というものが変化が生じるとは考えにくいという趣旨のことを書いているかと申しますと、簡単に申しますと、NATOとWPの関係が相互対峙の形ながら存在していたということ、このことが、既に申し述べましたけれども、少なくともヨーロッパにおける安定に非常に貢献してきたということは申し上げ得ると思うわけでございます。 ただ、あわせてここに書いてございますように、それぞれいろいろな面で力点が軍事的対立から政治、経済面での協調へと移っていくことが考えられるということが同時に書いてあるわけでございますけれども、それを行いつつも、軍事的な問題は、冒頭小野寺参事官が申し上げましたように、依然として大きなものが存在するわけでございまして、その意味で、NATOの諸国にいたしましてもソ連側にいたしましても、大きな意義をNATO及びワルシャワ条約機構に依然認めているということが言えると思うわけでございます。それがこのように書いた理由でございます。
○堂本暁子君 外交が一枚岩ではないということは承知しておりますけれども、先ほど翫委員の質問にお答えになって、ブッシュ大統領の米ソ会談への対応のところでは局長も、冷戦は終わったと認識しているというふうにはっきりおっしゃいまして、そういう中で、一方で軍事的な問題も御指摘になりましたけれども、やはりもうそういった冷戦思考と申しますか、冷戦の構造というものから日本が脱却していいんではないか。そこに、あくまでもそういったところを注視しているということですと、平和へのイニシアチブを日本がとれないという状況ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(山下新太郎君) 冷戦構造に私どもがあくまでも執着しているということではございませんで、私どもの現在見ておりますところによれば、ヨーロッパにおける軍事構造なり国際構造なりがこのようになっているのではないかということを申し上げているわけでございます。 むろん、世界じゅうからすべての軍備がなくなるということは一つの考えられる、ある意味で理想かと思いますけれども、不幸にしてそのような状況はかつて存在したことがないわけでございます。緊張というものは、何も軍備があるから生ずるというよりは、政治問題その他における利害の相違から生ずるわけだと思いますけれども、その際に、それを解決するために軍備というものが使われてきたことは過去の歴史が示すとおりで、その状況が続く限りにおきまして、私ども、その点に対する考慮というものを抜きにして、ただ単に平和ということのみのために冷戦的思考とおっしゃいました形から抜け出ることは私はできないのではないかと考える次第でございます。
○堂本暁子君 アジアのことについて伺いたいと思いますが、アジア局の方お越しでいらっしゃいますか。 それでは、今ベルリンの壁のことを伺いましたけれども、アジアの冷戦の象徴と言われるのが板門店、三十八度線だというふうにお考えでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 委員御案内のとおりでございますけれども、東アジアにおきまして依然として厳しい緊張関係が続いておりますのが仰せのとおり板門店を境といたします南北の関係でございます。 ただ、これも委員御案内のとおりでございますけれども、そういう中で昨今、南北の間におきまして、南北対話といいますか、双方の関係を改善しようという努力もそれはそれで進行しておりますが、他方、必ずしも私どもが期待するテンポで物事は動いておらないという残念な状況がございます。
○堂本暁子君 そういたしますと、一方で韓国はポーランド、ハンガリーと国交を回復、そしてソビエトの科学アカデミーの所長さんでしょうか、マルティノフさんが訪韓なさって、南北二つの主権国家があるという認識のもとに、韓国との国交正常化が最大の課題であるというようなことをおっしゃっていらっしゃいますけれども、この点については外務省はどのような見解をお持ちか伺わせてください。
○政府委員(谷野作太郎君) 仰せのとおり、最近朝鮮半島におきまして私ども大変注目を引きますのは、韓国とソ連あるいは東欧との関係の進展でございます。ソ連とは既にある程度の貿易量がございますし、委員御指摘のように、モスクワからの来訪者、これは直接政府関係者ではございませんけれども、いずれは韓国とソ連との関係を正常化すべきだということを共同声明でうたったりしております。それから、これも御案内のとおりでございますけれども、東欧との関係におきましては、ハンガリー、そしてポーランドと既に韓国は国交を樹立したという経緯がございますし、まあいずれその他の一部の東欧の諸国が同じような動きをするのではないかという観測がございます。 私どもは、こういった動きが朝鮮半島全体の平和と安定といいますか、そういうものにやはり好ましい影響を与えるであろうと思いますものですから、政府としてはこれは歓迎すべきことであると認識いたしております。
○堂本暁子君 今度行く北朝鮮のことで伺いたいんですけれども、アメリカのシグール前国務次官補が最近、十月の終わりだったかと思いますけれども、北朝鮮を訪れた。まあレーガン前大統領の外交の顧問というか、大変力のある方だったと思いますが、そういった方が実際に北朝鮮入りなすったということですね。そのことを日本としてはどういうふうにごらんになっていらっしゃいますか、伺わせてください。
○政府委員(谷野作太郎君) 私どもも、シグールさんがお国にお帰りになる途中に東京に立ち寄られましたので、外務大臣あるいはその他のレベルでお話を伺いました。 基本的におっしゃっておりましたのは、北朝鮮の側も、アメリカとのいろんな面での関係の進展ということについて大変強い関心があるし、そういう気持ちを自分たちに伝えられたということを言っておられました。私は、それ自体はこれまた アメリカと北朝鮮との関係の改善ということは、これは間違いなく朝鮮半島全体の平和と安定にプラスの効果があり得るところでございますから、基本的に歓迎し得るところだと思います。 ただ、あえてつけ加えさせていただきますれば、アメリカの立場もそうでございますけれども、この朝鮮半島の今後の動向は、やはり南北のより高いレベルでの信頼関係と申しますか、南北の関係がもう少しよいところへ進展するといいますか、そこにやはり朝鮮半島の将来の平和、安定というのは基本的にかかっておるという認識でございまして、私どももそのように考えております。
○堂本暁子君 今、ちょっと肝心なところが聞き取れなかったんですが、アメリカと北朝鮮との関係については、どのようにごらんになっておられますか。
○政府委員(谷野作太郎君) シグールさんの訪朝とは別に、これも委員御案内のとおりかと思いますが、北京におきまして既に過去、去年からことしにわたりまして五回アメリカと北朝鮮との間で政府間の接触を持っております。そこで将来の関係等も含めてお話し合いがあるようでございますけれども、かつ、そういった米朝間の対話といいますか、それ自体日本政府としても歓迎しておるところでございます。 ただ、北京におきましてもアメリカ政府が繰り返し先方に伝えておりますのは、ただいま申し述べましたように、朝鮮半島の平和、安定のかぎを握るのはやはり南北の対話の進展である、それを横に置いて例えばアメリカと北朝鮮との関係がどんどん進んでいくことはあり得ないのであって、やはり南北の関係がもう少しよい方向に進展すると、そこが基本的な将来の平和、安定を握るかぎだということを繰り返しアメリカは北朝鮮に伝えておるようでございます。
○堂本暁子君 簡単に伺いたいんですけれども、その北京での参事官クラスの五回の交渉というものの内容はつかんでおられるんでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) これは第三国同士の話でございますから、私がこの場で詳細を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、アメリカが北朝鮮に伝えておりますのは、ただいま御説明いたしましたように、米国政府としても南北の対話が進展することを期待するということを強く北朝鮮の側に伝えておるということと、それから、やはりこれまでのテロ行為といいますか、そういうものについては強い遺憾の意を北京で先方に伝えておるようでございます。
○堂本暁子君 一方でシグールさんは許ダムさんをアメリカに招待された、元外務大臣をやっていた方のようですけれども。北朝鮮の許ダム政治局員を五月にアメリカのシンポジウムに招待されたというのが報道されておりますけれども、多分アメリカに行かれるんだろうと思います。こういった、お互いに積極的に行き合うという、このことについてはどう思いますか。
○政府委員(谷野作太郎君) それも、私のこれまで御答弁申し上げております文脈の中で、北朝鮮と米国のそのレベルの交流が活発になるということは、それ自体、日本政府としてはまことに歓迎すべきことではないかと思っております。
○堂本暁子君 先ほどからの外務省の御説明ですと、東欧の状況というのは余りアジアの方にはまだ影響していないというお話をきょうは大変長いこと伺ってきたわけでございますけれども、今のような実情ですと、実際に北朝鮮とアメリカ、それから韓国とソビエトとのお互いの行き来というのが大変活発で、それに対して日本は、先ほどから、成り行きを見ている、第三者的ということですけれども、また軍事面のことは解決していないというようなお話がきょう多々ございましたけれども、そうではなくて、今、日本はもう少し、本当に音を立てて崩れていっている冷戦の構造というものに対して何らかの態度をとることが望ましいのではないかというふうに思いますけれども、その点、できれば両局長に簡単にでもお答えいただきたいと思います。
○政府委員(山下新太郎君) 冷戦の構造が、先ほども触れましたけれども、終わった、ないしはまさに終わらんとしているということは全くそのとおりでございまして、日本政府としても、何もその冷戦をいつまでも維持していたいという気持ちがないことはそのとおりでございます。 ただ、冷戦構造が消滅したということが即安全保障面における日本政府の従前来の考え方を変えなければいけないということをむしろ意味していないわけでございまして、例えば現在のようなソ連のいろいろな動き、それに呼応した東欧の情勢といったようなものも、ヨーロッパで申しますと、NATO対WPといったような構造がきちっとできているということが私はその基礎にあるということではないかと思うわけでございます。 私どもとして、なおアジアにおいて東欧におけるような状況が見られないという趣旨を申し上げた次第でございまして、その趣旨から、冒頭申し上げましたのは、中国がそれをどのようにとらえていくか、あるいは北朝鮮がどのようにとらえているか、さらにはもう一方の韓国がどのように見ているかということを申し述べたつもりでございます。
○政府委員(谷野作太郎君) 御議論のありますソ連の昨今のあり方、ペレストロイカも含めてですね。そういったことがこの東アジアに私はそれなりに大変いい影響をもたらしつつあると思います。 具体的な例を申し上げますと、例えばモンゴル、国の経済運営も含めて大変変わってまいりました。日本に対する経済協力も含めて大変強い期待が寄せられております。そういうこともありまして先般外務大臣が、これは歴史始まって以来でございますけれども、モンゴルに公式訪問いたしまして、いろいろこれからのモンゴルとの経済協力のあり方をお約束してまいりました。それからラオスという国につきましても、御記憶かと存じますけれども、先般先方の書記長、首相のクラスの方が日本に公式訪問されました。これもラオスは厳格な社会主義計画経済から一歩抜け出てといいますか、国づくりについての日本からの大きな支援を得たいというふうに、これまた外交の幅がラオスも変わってまいりました。そういう期待にはやはり私どもは可能な範囲でこたえていくべきだと思っておりまして、先般書記長がお見えになりましたときもいろいろな経済協力をお約束したことがございます。 それから、平和と安定ということになりますと、この地域では私はやはりカンボジア紛争というものが非常に大きな障害になっておると思います。そういうことで、日本も外務大臣が何回かパリの会議に足を運びまして日本なりに役割を果たしたつもりでございますが、まあこれが片づきますれば、日本はASEANとともにインドシナとももう少し本来あるべき関係を構築できるのだと思っております。 それから、先ほど来御議論の北朝鮮でございますが、これは国会で竹下元総理もお述べになりましたように、日本政府としては北朝鮮との関係の改善、それがために政府レベルの接触をぜひ早い機会に持ちたいということを幾度となく内外に明らかにしておるところでございます。北朝鮮の側からそれに応ずる動きが今のところ見られないのは残念でございますけれども、政府といたしましては引き続きそのような努力をしてまいりたいと考えております。
○森暢子君 森でございます。 きょうお聞かせいただいた「最近の国際軍事情勢について」という説明文の一番最後の「まとめ」のところなんですが、ここで、上の二行は大体「我が国」ということで主語がわかるのですけれども、下の三行で、「見極めることは現時点では困難であり、」、それから「努力を助長すると同時に、今後生じ得るどのような変化にも対応し得るよう西側諸国の結束が必要」というふうに結んでありますが、この文節の主語は何でしょうか。だれでも結構です。
○政府委員(小野寺龍二君) 余りいい文章じゃござまいせんで大変申しわけございません。 内容につきましては、我が国を含めた西側の結束が必要であるという、そういう趣旨でございます。
○森暢子君 わかりました。それじゃ、同じような質問で大変恐縮なんですけれども、米ソ首脳会談につきまして、その会談の内容といたしましては、東欧情勢への対応であるとか、ソ連のペレストロイカへの支援であるとか、そして軍縮ですね。ブッシュさんは在ヨーロッパの駐留軍を減らすとか、こういうふうなことを申しておりますが、特に戦略核兵器削減とか、こういうものについて話されると、こういうふうなことが予測されるようであります。 それについて、きょうも説明をいろいろ聞きましたが、日本という国は、大変冷静にずっといろんな情勢分析をなさいまして、このようになっているというのはすばらしいわけであります。しかし、それに対して日本はどのような態度をとるか、どのように前向きに積極的にいくかというのが見えないわけです。 私ども、いろんなところで交渉の場面へ行きますと、他県の動向を見ながら我が県のを決める、こういうのが大変多いわけです。ここも他国の動向を見ながら我が国のを決めていくか。今、日本はそういう位置ではないと思うわけですね。そういう意味で、この米ソの首脳会談にどういう態度で、例えばどういうふうな考えがあるか、そういうことを示していただきたいと思います。どなたでも結構です。
○説明員(時野谷敦君) ただいま先生お話しの米ソ首脳会談でございますが、これは先刻御承知のことと思いますが、この会談が持たれるに至りました理由は、御指摘のとおり、ソ連あるいは東欧等におきますところの急速な変化、こういうものを踏まえて、議題を決めずに非公式に率直に話をしようと、こういうことで、ブッシュ大統領のイニシアチブによりまして会談が実現することになった、こういうふうに承知をいたしております。 先生御承知のとおり、ブッシュ大統領は副大統領当時に、昨年の十二月ニューヨークにおきまして、ゴルバチョフ書記長がニューヨークへ参りまして当時のレーガン大統領と会談いたしましたときに同席をした、こういうことがございましたけれども、二人だけでお話をされたということはないわけでございまして、外務大臣のレベルでは米ソ間では既に過去四回話し合いが行われている。それに引きかえ首脳レベルではいまだそういう機会がなかった、こういうことで、今やそういう機会を持つべきときであると、両首脳がこういう認識に立って今回の会談に至ったと、こういうふうに承知をいたしております。 我々がどういう気持ちでこの会談を見るかということでございますけれども、御承知のとおり、当然のことながら、国際情勢あるいは東西の枠組みに大きな責任を有する米ソという二つの大国の首脳が話し合いをするということでございますから、私どもは、その意義というものは非常に大きい。特に、情勢がこれだけ動いているときでございますから、その意義は非常に大きいということで成り行きを注視いたしておる次第でございます。 どういうことが話し合われるかという点は、先ほども申し上げましたように、議題を決めずにやろうと、こういうことでございますし、軍備管理という先生の御指摘がございましたが、軍備管理の問題の詳細はやらないということをむしろ米国政府は言っておりまして、といいますのは、来年の晩春あるいは初夏に正式の首脳会談をやる、そういう場があるということで、むしろ軍備管理問題の詳細を話すということはないだろうということを言っております。 したがいまして、どういうことがあるかといえば、これは想像の域を出ませんが、当然のことながら、東欧の情勢をお互いにどういうふうに見ているとか、あるいは地域紛争の問題でありますとか、そういった種類のことが話し合われるのだろうと思いますが、何分議題を決めずにやろうと、こういうことでございますので、どういうことになるのか、必ずしも明確にお答えできる状況にはございません。
○森暢子君 いつも注視している間に世界の孤児にならないように、やっぱりどっといかないといけぬと思うわけです。 それで、次に防衛費のことをお願いしたいんですけれども、既にアメリカは国防予算を圧縮する方針も明らかにしているし、いろいろ軍縮の話の中で、我が国の防衛費が今までどおりであって、かえって一%枠を六十二年度からか、少しずつ突破していっているということであります。 それで、先日出た本だと思うんですが、後藤田正晴さんが出されました「内閣官房長官」という本が出ておりましたので少し読んでみました。そうしましたら、その中にGNP比一%のことで、「少なく済むのなら少ないに越したことはない」と、こういうふうなことをおっしゃっているわけですね。防衛のために必要な負担は当然だけれども、やはりその防衛というものはどうあるべきかの議論の方が先だというふうなことをおっしゃっておりますし、私も先輩の本というのはいろいろあるなと思いながら読みましたわけです。その中でやはり日本の防衛費がこういうふうに今までどおりだということですね。そういう中で何かこれまでどおりの伸びを確保していく必然性がもうないのではないかということを思うんですけれども、いかがでしょうか。
○説明員(宝珠山昇君) 御説明申し上げます。 現在、我が国の防衛政策は、国防の基本方針、防衛計画の大綱を大きな根っこにいたしまして、この五年につきましては中期防衛力整備計画で進めているところでございます。この前提としては、先ほど来御議論のございます国際情勢の基本的枠組みと、防衛計画の大綱なり中期計画が前提としております国際軍事情勢の基本的枠組みが示されておりますが、今変化しつつある内容がこれを変えるほどのものに現実に至っているとは判断していないわけでございます。したがいまして、今年度といわず来年度の予算につきましても、中期防衛力整備計画を着実に実施してまいりたいということで進めているところでございます。 それから、防衛費が少なければ少ないほどよいと、こういう点については同様の認識に立っておりまして、政府におきましても、少なければ少なくてよい、かつ、日本の安全を損なわない体制というのはどういうものかということで論議の上とっておる政策が、一つは防衛計画の大綱に示されているところでございます。
○森暢子君 それでは次に移りたいと思います。 平成二年度の防衛庁の概算要求大綱の中で、新しい戦車を購入するというふうなことを聞きました。聞くところによりますと、大変ハイテクですごい性能を持っていると。そういうことですが、新しい戦車の単価とか、それから何両あれするのか、その大きさ、重量、性能、そういうものについてお聞きしたいと思います。
○政府委員(鈴木輝雄君) 新戦車は、現在持っております七四式戦車の後継といたしまして、これは昭和五十七年度から本年度までかかりまして開発したものでございまして、平成二年度予算で三十両、三百六十三億円、単価にいたしますと一両約十二億円でございますが、これを要求しているところでございます。 性能でございますが、主砲が百二十ミリ砲、それから速度は毎時七十キロメートル、それから重量は約五十トンでございます。乗員三名。 以上でございます。
○森暢子君 それで、その百二十ミリ砲を備えているというふうにあれなんですが、大変重たいものでもありますし、その百二十ミリ砲の射程距離ですね、どのくらい弾が飛ぶかということをお聞きしたいんです。
○政府委員(鈴木輝雄君) 射程というのは秘密になっておりますですが、日本の国土、国情からいいまして射程はそう遠くとれませんので、そう遠距離のものではございません。
○森暢子君 それで、日本の演習場ですね、演習場がたくさんある。大演習場が六、中が十四、小 が五十一、合計七十一、こうあるわけですが、ここでその戦車を使って演習ができるわけですか。どこでもできるんですか。
○政府委員(鈴木輝雄君) 先ほど申し上げましたように、戦車の有効射程と申しますか、相手の戦車が、ある程度の命中精度で当たり得る射程でございますが、これは数キロ程度と。演習場は非常に広いので、必要な、跳弾といいますか、弾がはねるようなことを十分処置いたしますれば、戦車砲でございますれば国内の演習場で十分安全に演習できると考えております。
○森暢子君 それで、この戦車が通るときに普通の道とか橋が耐え得るのか。五十トンの重さで運んだりするときにどうかということです。
○政府委員(鈴木輝雄君) 各都道府県にあります橋梁につきましては、渡し得る重量制限がございます。それらをも勘案いたしまして、この車両につきましては砲塔部と車体を分割できるということになりまして、所要の橋は渡り得るというふうに考えております。
○森暢子君 それじゃ運ぶのに分割して運ばれるわけですね。
○政府委員(鈴木輝雄君) そういう制限のあるところはそうせざるを得ないと思っております。
○森暢子君 大変不便なものだと思います。それから、戦車を使うときに分割して運んだりして、果たして間に合うのだろうかということも考えられますし、日本の演習場の中でそういう五十トンもする大きなものが走り回って、もし弾が民家に落ちるとか民有地に落ちるとかいうと、もう大変なことであるわけです。 それで考えまして、今の日本の地形の中でそういう大きなすごい戦車が必要なのかどうかということを考えるわけです。私ども日本は大変狭くて細長くて、山あり谷ありで、その山あり谷ありも十分こなしていきながら正確に弾が撃てるというようなことが書いてありましたけれども、果たして日本の国土にそういうものが必要なのか。いつも仮想敵国をどこか用意いたしまして、そういう力は力でというふうなことをたくさんきょう聞きましたけれども、じゃ、日本の地形で戦車が必要なのか。そして、この時点にどうしてこういう大きな新しい戦車を購入したのか。それらあたりをお聞かせください。
○説明員(宝珠山昇君) 戦車の必要性につきましては、御指摘のような点も含めてでございますけれども、日本の国力、地理的特性の中で使い得るという判断でございますが、これは戦車だけで戦うということで必要性を考えているわけではございませんで、大きくは対戦車ミサイル、これは日本の地形を利用して対応しようとするものでありますが、このような動きの遅い対戦車火器だけでは効率的な防衛が困難であるというのが私どもの判断であり、世界の考え方でございます。戦車は機動力、機動打撃力として陸上自衛隊の主力装備となっているものでございまして、これをなるべく薄くということで考えているものでございます。 現在、戦車は六一式、それから七四式、そして今度の新戦車となるわけでございますが、六一は一九六一年に装備化したもの、七四は一九七四年に装備化したものということでございまして、六一式の戦車が今や列国の戦車とは比較にならない状況であり、かつ七四式もそのような状況になってきておりますことを踏まえて、先ほど申し上げましたような、昭和五十七年から開発に着手して、列国の戦車に劣らないものを装備したいということで、現在概算要求を行っているわけでございます。
○森暢子君 私は、戦車が好きで質問しているわけではないのでありまして、やはり今のお金を見ましても一両が十二億で、三十両買いますと三百六十億、このお金があったら学校が幾つ建つだろうか、保育所がどれだけふやせるだろうかという大変庶民感覚で考えたわけであります。 まして日本の国土から言って、例えば大陸続きであればそれは戦車で、まあプラハの春というのは戦車がどっとこう入っていきましたけれども、日本は海に囲まれている国で、果たして戦車が必要なのかという、これも国民の素朴な疑問であります。そういう中で日本がどうしてたくさんのお金をかけてそういうものを自衛隊が買わなきゃいけないかということを知っていただきたいというふうなことです。日本において、必要最小限度の自衛力はやむを得ないという立場に立っても、これは無用の長物ではないかというふうに思うわけであります。 以上です。
○説明員(宝珠山昇君) 戦車につきましては、そのような議論が四十年間ぐらい続いてきておりますが、それらを踏まえて専門的に研究をし、なお必要であるという判断でございます。 それから、防衛費が不要ではないかとか、あるいは住宅が幾ら建つとかいうことでございますけれども、それは計算上そうなるかもしれませんが、住宅などと比較する経費ではない。国民福祉の大前提であります国の安全を保つためにどうするかということで、政府は、先ほど来の防衛計画の大綱なりに具体化しておりますものを日本が平時から保有すべき最小限の防衛力として、これをできるだけ早く維持し、かつ周辺諸国の軍事力の質的近代化に合わせて維持してまいりたい。それと日米安全保障体制と相まって、我が国の安全が最も効率的に確保できるという観点に立っているものでございます。
○和田教美君 私の時間は限られておりますので、答弁を簡潔にひとつお願いいたします。 まず、先ほど堂本さんがお触れになったことですけれども、山下局長にお伺いしたいのですが、この文書の説明骨子の、NATOとWP、ワルシャワ条約機構は欧州における東西関係の基本構造であって、そして「見通し得る将来にこの基本構造に根本的な変化が生じるとは考えにくい。」と、いうことについて、ちょっと別の角度から御質問したいと思います。 それは、確かに今おっしゃったように、この東西関係が、ヤルタ体制の崩壊という方向に動いていくとしても、この二つの軍事同盟がすぐ解消してしまうというようなことは僕はないだろうと思うし、むしろ軍縮・軍備管理交渉を進めるためにもそういうものがあった方がいいというふうな見方もあるわけでございますから、それはかなり時間がかかるだろうと思います。しかし、それじゃ全然変化がないかというと、私は非常に大きな変化があると思う。それは、要するに質的に内容が変わっていくのではないかということです。ワルシャワ条約機構について言えば、例えばポーランドとかハンガリーは既に社会民主主義の方向に顔を向けているというふうな状況の中で、軍事的な協力関係を強化していくということは到底不可能だろうと思いますね。今のところポーランドとかあるいはハンガリーもワルシャワ条約機構から脱退するという動きはありませんけれども、しかしゴルバチョフは、つまり敵対的な行動をとらなければどうぞ御自由にというふうな態度をとっているわけだけれども、今はそういう点でワルシャワ条約機構からの脱退というのは認めないという方向ですけれども、将来にわたってそうであるかどうかということもちょっと保証の限りではないというふうに私は思うんですね。 それからもう一つ、西側のことについて言えば、現にきょう新聞を見ましても、アメリカは既に九〇年代半ばまでに在欧米軍を三分の一ぐらいに削減するということを考えておるというふうな報道もあるわけで、私は通常兵力の削減交渉の進展次第では十分あり得ることだというふうに思うわけですね。そうなると、NATOも軍事同盟としてとにかく維持していくということについてはだんだんいろいろ問題が出てきて、全体で二つとも政治同盟化していく可能性が十分あり得るのではないかと思うので、その辺のところを外務省はどういうふうに判断をしているのか、まずその点をお聞きしたいわけです。
○政府委員(山下新太郎君) ただいま先生御指摘になられましたようなことが考えられることは否定できないと思います。実は、ここに「見通し得 る将来にこの基本構造に根本的な変化が生じるとは考えにくい。」と書いてございますが、その後の方に、「両陣営の関係が、軍事的対立から」それ以外の、具体的には「政治・経済」と書いてございますけれども、そこでの「協調へと重点を移行していくことは考えられる。」ということをあわせ書いている次第でございます。
○和田教美君 そうすると、ゴルバチョフの言っているいわゆる同時解体ですね、NATO、ワルシャワ条約機構。こういうことは相当遠い将来にわたって起こり得ないと。何らかの形で軍事同盟のこの東西の対立のパターンというのは続くというふうにごらんになっているわけですか。それとも、新しい欧州の秩序というものが、NATO、ワルシャワ条約機構、つまりヤルタ体制にかわってできていく。それは僕は恐らく経済関係を中心としたものだろうと思うんですけれども、そういうふうに移行していくというふうな見方はされないわけですか。
○政府委員(山下新太郎君) NATO及びワルシャワ条約機構が同時解体してはどうかということをソ連が累次言っていることはこれは事実でございます。ただ、それは何と申しましょうか、本当にそれができると思って言われたかどうか、ちょっと内心まで確かめようがございませんけれども、正直に申し上げまして、かなり平和攻勢的な意図があったのではないかと感ずる次第でございます。 両方の体制がそれなりに整えられた形で、先ほど御指摘のとおりに軍備管理・軍縮交渉が今まで進展してきたことは事実で、ある意味ではそのような体制にあることがほかの要因と相まって軍備管理なり軍縮というものを必要づける条件になってきたのではないかと考える次第でございます。ただ、これらが一切なくなって経済的な、例えばECのごときもののみですべてが処理し得る状況になるとは現時点では私どもは考えていない次第でございます。
○和田教美君 次に、やはり局長のお触れになった点ですけれども、今起こっておるソ連・東欧の激動、私も下稲葉さんなんかと一緒にこの間ソ連に行ってまいりましたけれども、一つの問題は、先ほど局長もお触れになった共産党の指導的、先導的立場というものですね、これを各国が憲法の規定に今書いてあるわけですが、これを要するに外していくところがかなり出てきておる、ポーランド、ハンガリーを初めですね。そういうふうな状況の中で、大体の説明はありましたけれども、ソ連はどうなるというふうに見ておりますか。つまり、一党支配、一党体制というもの、これはやめないということはこの間のゴルバチョフの論文にも出ておったようですけれども、憲法上の先導的な地位、つまり指導的な地位というものについての規定をどうするかということについてはいろんな報道があって我々もよくわからないんですね。ゴルバチョフ自身がいろんな発言をしていてよくわからない。外務省はどういうふうに見ておられますか。
○政府委員(山下新太郎君) 御指摘のとおり、東欧の状況を判断する一つのメルクマールといたしまして、従前来それぞれの国を支配しておりました共産党が一党独裁体制を維持しているか、あるいはこれが壊れたかというのが一つのメルクマールだと思います。それは先ほど申し上げたとおりでございます。 完全に壊れたと申し上げ得るかと思いますのはポーランド及びハンガリー。東独につきましてはクレンッ書記長自体が公にそれを少なくも検討しているといいますか、考えていることを言われている。チェコにおきましてもアダメッツ首相は通信に載せているという状況でございます。ソ連自体につきましても、先ほど触れましたけれども、連邦憲法第六条におきまして一党独裁体制ということがうたわれておりますが、これが検討されていることは私ども事実ではないかと考えております。ただし、ゴルバチョフ書記長が、二十六日付のプラウダだと思いますけれども、そこで論文の中で述べておりますことは、このペレストロイカという困難な課題を遂行している現段階においては、一党体制の維持は必要だというふうに言っておりますので、そのような比較的近い将来のうちにこれがなくなるということは考えないのかなと想像いたしております。
○和田教美君 それでは防衛庁にお尋ねします。 先ほどの報告を聞いておりまして、結局、「東は東、西は西」という言葉がありますけれども、確かに西では今非常に大きな激動が起こっておるけれども、アジアではそんなに変わらないんだというふうな趣旨で徹底をされておったと思うんですね。 そこで、防衛白書にはソ連の軍事的脅威は増大しているというトーンでまとめられておったわけですけれども、そのトーンでソ連の脅威は増強しているという考え方に防衛庁は変わりないのかどうか、その点をまず聞きたい。
○政府委員(小野寺龍二君) 私がるる説明いたしましたのは、現在ソ連においてもいろいろな変化が進んでいるわけでございます。ただ、ソ連で進んでいる変化というものが軍事の面においてどういう形であらわれてくるかということがまだ必ずしも見通せないというのが現状ではないかと思います。 私申し上げましたとおり、いろいろ矛盾した動きがあるわけでございます。一方では確かに軍備の削減という動きがあります。それから対外的な軍事を強調しないような形の外交の仕方、新思考外交と言われておりますけれども、こういう面もあるわけでございますけれども、他方では、先ほど申し上げましたように、軍の近代化というものが非常に進んでいるというそういう状況があるわけでございます、先ほど航空母艦の例も挙げましたけれども。私はどうも一つのはっきりした方向というものがまだ必ずしも打ち出ていないのではないかという感じがいたします。これが極東の、また私申し上げましたとおり極東だけではなくて、例えば北洋でも同じようでございますけれども、極東については特にそういう近代化の要素が非常に強くて、たとえ削減が若干行われたとしても、近代化によってその削減分というのは相殺されるということが現実でございまして、その意味では潜在的な脅威というのは現在のところは減っていないというふうに見ております。
○和田教美君 もう時間がなくなりましたから最後の質問ですけれども、先ほども自民党の方からお触れになったことですけれども、アジアにおける軍縮・軍備管理の問題、アメリカのとにかく米軍の兵力が削減されていくと、今の報道によればですね。かなり、ヨーロッパだけでなくて例えば横須賀にある船なども削減をしていく、リタイアしていくというふうな報道もあるわけで、今はヨーロッパだけが非常に軍縮・軍備管理の話が進んでおる、進展をしているし、私はそう遠くない将来に地上兵力の削減交渉というのはあるめどがつくのではないかという見通しを持って帰ってきたのですけれどもね。アジアにおいては、特に海の軍拡というふうな問題については全くとにかく状況が違う、事情が違うんだという御説明でございましたけれども、私はやっぱりこの新しいニューデタントの波が定着するに従っていずれはアジアにもそういう問題が起こってくるというふうに思うんですね。 その場合に日本政府として、それをむしろ一歩先んじて、例えばソ連との間の信頼醸成措置その他も含めて何らかのパイプをつくっていく、あるいはそういう話し合いの場というものをつくっていくというふうなことについて努力する時期ではないかというふうに私は思うので、これは防衛庁かあるいは外務省か、どちらでも結構でございますから、ひとつそういう考え方について、今はまだその時期でないというふうにお考えなのかどうかお答えを願いたい。
○政府委員(小野寺龍二君) 先ほど永野先生の御質問にお答えしたとおり、アジアにおいて軍縮の空白ができるということは私は長期的には望ましいことではないと申し上げた次第でございます。しかし、一方では、アジアにおける複雑な地政、それから政治的な状況によって、実際に軍縮ない し信頼醸成措置をどのように進めていくかということについては今のところ我々自身も考えがございませんし、超大国の方においてもバランスのとれた形でどういうふうにそういうものができるかということについて、だれもまだそのフォーミュラを出していないというのが現状ではないかと存じます。 日本自身としてそういう努力を今後続けるべきであると、これは私はそのとおりだと思います。アジアにおいてもより安定した形の安全保障体制が望ましいことは、これは間違いございません。ただ、私も申し上げましたとおり、その軍事の面だけを真空の中で進めるということは非常に難しいのではないかと思います。まず、やはり政治的な関係というものが確立し、政治的な懸案というものが解決して、その中から生じた信頼関係によって軍事面についても交渉を進めるなり、信頼をさらに増大させていくというのが道筋ではないかというふうに私は考えております。
○上田耕一郎君 私も十五分しかございませんので、簡潔にお答え願いたいと思っております。 東ヨーロッパの今の激動的な情勢というのは自主性と民主化を目指す巨大な民衆運動のうねりで、とにかく二つの歴史過程が今終わりつつあると思うんですね。 一つは、スターリン以来の非常にゆがんだソ連型社会主義とその押しつけが破綻しつつあるという歴史的過程が今終わろうとしている。もう一つは、戦後の米ソ軍事ブロックの対決という歴史的過程が少なくともヨーロッパにおいては終わろうとしていることだと思うんです。 先ほど森委員も言われたように、問題は、じゃ日本がどう主体的にこういう新しい情勢について対処するかということなので、山下局長にお伺いしたい第一の問題は、きのうコール西ドイツ首相がドイツの統一問題について十項目連邦議会で提案したんですね。ドイツの統一について日本は反対なのか賛成なのか、それとも傍観するのか、この三つのうち一つか、それとも三つのどれでもないのか、これをひとつ簡潔にお伺いしたいと思います。
○政府委員(山下新太郎君) 現在の東欧の動きあるいはヨーロッパにおける動きによりまして、東西関係は新しい局面を迎えているということは上田先生御指摘のとおりでございます。 基本的には、三つの答えのうちのどれかという御質問がございましたけれども、私どもの考え方では、この東西両ドイツの統一問題は、まさに東西両ドイツ間の問題であるというふうに考えております。この両ドイツ間の問題が欧州情勢を含めまして安定的に処理されるということを強く期待している次第でございます。
○上田耕一郎君 私ども、この間党の見解を発表したんですけれども、ドイツと日本というのは第二次大戦の東と西の最大の侵略国だったんですね。その侵略国が国連憲章の原則を踏みにじったこの軍事同盟、これに参加していることが極めて問題なので、やっぱり両ドイツは、東はワルシャワ条約機構から離脱する、西ドイツはNATOから離脱して中立になる、これが必要だというのが我々の見解で、したがって日本も日米軍事同盟から離脱する、中立日本ということが必要だということが今の国際情勢の激動の中から改めて浮かび上がりつつあるというふうに我々は考えているわけです。 こういう非常な動きの中で、先ほども話が出ましたけれども、アメリカもチェイニー国防長官が公表したように国防予算の削減に踏み切っています。ニューヨークタイムズ十一月十八日付の報道では、一九九二年から九四会計年度三年間で総枠千八百億ドル削減、こういう報道です。ワシントンポスト十一月二十日付は、兵力二十五万、空母四隻――ミッドウェー入っているようですが、を含む海軍艦艇六十二隻、五個航空団の削減を含む大規模の軍縮案がまとまったという報道もあるんですね。 さてその中で、じゃ日本がどうかということで、先ほど小野寺参事官はバードンシェアリングのことも触れられた。アメリカは削減するんだが、そのかわり日本にかぶせてくるという危険が強いわけですね。十一月九日にアメリカの下院本会議で決議案が可決されて、そこには在日米軍直接経費の全額負担、防衛費とODA合計して九二年までにNATO加盟国の平均レベルまでふやせという不当な要求が入って、次期中期防をアメリカと協議して策定するということまで入っているという報道があるんですね。アメリカ自身は国防予算削減する、兵力削減をする。そのかわり日本頼むといってアメリカからこういう次期の中期防について協議提案が出てきたとき、防衛庁としてはどういう態度をとるつもりですか。簡潔にお答え願います。
○政府委員(小野寺龍二君) 委員まず日本の中立とそれからドイツの中立について述べられましたけれども、私は、ドイツについても日本についても中立になるということは非常に安定に対する不安を呼び起こすのではないかということで、ヨーロッパでもドイツについてはそういうことが述べられているのではないかと思います……
○上田耕一郎君 いやその問題じゃなく中期防。
○政府委員(小野寺龍二君) アメリカの議会の決議があることを我々は承知しております。もちろんこれはアメリカの議会の決議でございまして、米国の政府の態度がそういうものであるということでは必ずしも限りません。 それから、別に、アメリカが軍備を削減するということ、それに日本が肩がわりをするということを求めている趣旨ではないと私どもは承知いたしております。日本が特に経済的に国力が非常についてきて、相対的にやはりそれだけの責任を果たす必要があるのではないかと、そういうことでアメリカが、日本、その他ヨーロッパについてもそうでございますけれども、求めているのではないかと存じます。我が方としては、やはり日米関係の重要性、それからやはり日本が経済力が強くなったことによるその責任というものから主体的にこういう問題については処理していくべきであるというふうに考えております。
○上田耕一郎君 小野寺参事官は先ほどソ連のアジアに対する態度はやはり軍事的対処が依然として強いという趣旨を述べられましたが、率直に申し上げますと、悲惨なほどに硬直的だと思うんですね、態度が。こういうことでは、日本は本当にアメリカのアジアにおける最前線の基地として、世界の軍縮の流れに抗して反動のとりでになる危険がある。エンゲルスは、十九世紀のヨーロッパの反動のとりでがツァーリズムのロシアだということを言いましたけれども、日本がそういうものになる危険が非常に強いように思うんです。この根底には、我々主張しておりますように日米軍事同盟、安保条約があるわけです。この状況の中でこの間PACEXが行われたわけですね。これもそのあらわれです。 時間がございませんので一つだけお聞きしたいのは、この日米共同演習、まあ一環で行われたんですけれども、シナリオはないシナリオはないと言われております。北海道で実際上、北海道有事の非常に巨大な規模の初めての演習が行われたことは事実なんで、本当にあの共同演習についてはシナリオは一切なかったんですか。このことを伺いたい。
○政府委員(米山市郎君) PACEXと申しますのは、アメリカの一連の演習に対するアメリカ側の呼称でございます。そのPACEX自体、PACEX全体を統一したシナリオといったものは私どもは承知いたしておりません。
○上田耕一郎君 いや、だから、日米の共同演習については、北海道有事等々の日本有事のシナリオはなかったんですか。
○政府委員(米山市郎君) 演習を効果的に行うために必要な想定というものはつくってございます。
○上田耕一郎君 想定はあったわけですね。 それで次に一つお伺いしたいのは、いろんな新聞に、来年度いよいよ日米の統合実動演習が行われるという報道が、東京、日経、読売などにある わけです。「米太平洋軍と陸、海、空三自衛隊とが一体になって行う「日米共同統合演習」を、来年度にも」「実施する計画をひそかに固めている。」という報道がありますけれども、来年度そういう日米統合演習、指揮の図上演習ではなくて実動演習を行う計画はあるんですか。
○政府委員(米山市郎君) まだ未定でございます。
○上田耕一郎君 未定ということは可能性があるということですね。非常に重大な問題がこの問題に関してあると思いますのは、私ここに持っておりますのは自由民主党安全保障調査会の講演録です。これは昭和六十三年九月十九日に行ったもので、在日米軍司令官空軍中将J・Bデービス氏を呼んで講演を聞いて一問一答をやっている。この十七ページにこう書いてある。「つい最近に、現在統幕議長と私との間で、今後のいろんな訓練、演習というのを、一九九一年以後については、キーンエッジ」――これは八六年にやった日米統合演習の北海道でやった名前ですね。「キーンエッジという大きな一つの傘の中に入れて、そしてこれを統合的なる面からの演習というふうに持っていくというような上での覚書を、調印をいたしました。」、こう述べているんですよ。在日米軍司令官が自民党の調査会に出席して、統幕議長と統合演習について覚書を取り交わしたと、こう明らかにしているんでね、これはもう明白な事実だろうと思うんです。 これまでガイドラインに基づいていろんな作戦計画を日米で研究してきて、日本有事の場合の日米共同作戦計画についてはこれは完成して調印したわけですね。それに基づいて今度は、実動演習について統幕議長と在日米軍司令官との間で覚書が結ばれていたとしたら極めて重大だと思うんですね。その事実について、またその覚書の公表を、またその内容はどういうものだったのか、その覚書の内容を話していただきたいし、その覚書を当委員会に提出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(米山市郎君) 私はその覚書についてただいまのところ承知をいたしておりませんので、ここでの答弁は控えさせていただきたいと思います。
○上田耕一郎君 ちょっと、大変なことだと思うんですよ。あなた審議官でしょう、局長ですか。
○政府委員(米山市郎君) 局長です。
○上田耕一郎君 局長ですね。教育訓練局長でしょう。防衛庁の教育訓練局長が、私は来年、統合演習についてもう計画まとまっているのかと言ったら、未定だと答えた。さっき未定だと答えましたね。ところが実際には、未定どころか覚書を統幕議長と在日米軍司令官が結んだと在日米軍司令官自身が述べているんですから。永野さんはこの調査会に出席していることが書かれている。お聞きになったでしょう。それで、しかも防衛庁の教育訓練局長というのは、これ日米統合演習問題についての内局の責任者でしょう。あなたが覚書を知らないと言う。これでシビリアンコントロール成り立ちますか。日本の政府の防衛庁のこういう演習問題についての責任者が全く知らないところで、統幕議長と在日米軍司令官が覚書を結びましたと、つい最近。それ全く知らないでその責任が果たせますか。こういうことでいいんですか。どう思いますか。
○政府委員(米山市郎君) まあ現段階、私その事柄につきましての承知をいたしておりませんので、そのように答弁をいたしました。 日米共同訓練につきましては、統合化ということを進めてきております。これは図上演習につきましても統合化の方向、それから実動訓練につきましても、五年間で二回程度の実動日米共同訓練を実施したいという構想は既にございます。そういう中で具体的な事柄は統幕が窓口になって、具体的な事柄につきましてはそちらの方に現在任せている段階でございますので、私のところまでまだ上がってきていない事項もございます。
○上田耕一郎君 これは大問題なんです。日経新聞の三月十二日付には「防衛庁、中期訓練計画固める」と。この中で、その構想は日米共同訓練の統合化、これが最大の目的だ、来年秋をめどに本格的な統合実動演習をやると。これは三月の記事。読売の十一月二十五日づけには、「来年度は、統幕―在日米軍司令部、三自衛隊―米三軍の指揮所演習を同一のシナリオで行う」と。今度は共同のシナリオで統合演習をやるんですよ。そういうことが決まっている。それであなたね、具体化は任してあると、だから覚書はどうも在日米軍司令部と統幕議長が勝手にやったみたいに言うけれども、在日米軍司令官と統幕議長が覚書を結ぶとこれは国際法上条約になるんですよ、実際上。一つの条約なんです、国家的義務まで負うんだから。調印したと書いてある。それをね、具体化は任してあったと。教育訓練の責任者の局長が、任してあって覚書結んだことを知りませんなんて、これで通りますか。大問題ですよ。あなた今の答弁でいいと思いますか。覚書を結ぶことまで任してあると。それで、結んだとして、それは後でこれから報告されるだろうと。それでいいと思うんですか。あなたの職責はそれで全うできていると思いますか。日本の主権にもかかわることなんですよ。両国間の代表で調印したら、これは事実上条約の意味を国際法上持つんですから。そういうことを任しちゃうんですか、制服に。統幕議長はそういう権限あるんですか。――ちょっと答えて下さい。だれか答えられますか。外務省でいいです。
○会長(中西一郎君) 上田さん、時間が来ています。
○上田耕一郎君 はい、だからこの答弁で。答弁できないのならそれでいいです。また改めてやりますから。
○政府委員(米山市郎君) 日米共同訓練につきましては、先ほども申し上げましたように統合化を目指そうという方向で中期構想というものをまとめ、先ほど御説明をいたしましたように、五年間に二回程度の実動訓練を実施をしたいということにつきましてはオーソライズをいたしているわけでございます。 個々の具体的な実施の具体策につきましては、統幕議長を中心に米軍との折衝をするというやり方で進めているわけでございます。
○上田耕一郎君 最後に。
○会長(中西一郎君) では簡単にしてください。
○上田耕一郎君 今の問題について調査して、この調査会に報告を求めます。いいですね。
○政府委員(米山市郎君) 御趣旨につきましては、そのように調査をいたします。
○上田耕一郎君 終わります。
○高井和伸君 小野寺参事官にちょっとお尋ねしたいんですけれども、先ほど稚内のあたりでソ連の空軍機が来て、何か模擬演習のようなことをやっているという話でしたけれども、これはレーダー基地に対してどのような行為をやっているんでしょうか。
○政府委員(小野寺龍二君) これは、ソ連の航空機の航跡を分析いたしますと、レーダー基地に向かって真っすぐに飛んでいって、大体ミサイルが届く距離ぐらいで反転をいたしまして、それで次のレーダー基地に向かってまた直進いたしまして、またそのミサイルを発射するぐらいの距離で反転をし、ということで、幾つものレーダー基地に向かって飛ぶという、そういう航跡が認められているわけです。
○高井和伸君 それは稚内だとか三沢だとか、そこら辺ですか。
○政府委員(小野寺龍二君) 従来は日本海の沿岸にずっとわたって我が方のレーダー基地を目がけたような形の演習が見られたわけでございますけれども、最近では、オホーツク海から北海道の北部についてもそういうような航跡が認められているということでございます。
○高井和伸君 領空侵犯という事実はあったんですか、ないんですか。
○政府委員(小野寺龍二君) この飛行に関連して領空侵犯があったわけではございません。
○高井和伸君 私の聞きたかったのは、こういった東欧の政治情勢がかなり流動的になってきた段 階において、日本とソ連との関係において、先ほどの「説明要旨などを見ますと、「米ソが太平洋を挟んで直接対峙している」。また、アジアには中ソの対立もあるし、中越の国境問題もあるし、朝鮮半島もある。そういったところで軍事的対峙が行われていると、こういうことでございますが、まあ認識として、日本とソ連は軍事的に対峙しているというようなことは書いてありませんけれども、日本とアメリカの関係からいったら対峙という概念で我々はとらえていいのかどうか、そこを教えてください。
○政府委員(小野寺龍二君) 対峙という言い方が適当であるかどうかは私はちょっとよくわかりませんですけれども、我々が注目いたしておりますのは、極東のソ連軍が持っております能力というものが我が国に対して脅威を及ぼす、そういう配備になり、かつそういう力を持っているという点に注目しているわけでございます。
○高井和伸君 日本の日米安保条約という問題と、今のソ連の極東地域における軍備力、これは先ほどのお話によりますと、かなり優秀なものを更新しながら依然強力なものを置き続けておられるというような説明がございました。そういった中で、日本がソ連に対して経済協力、そういった面で政治経済の面でいろんな友好関係をつくっていくというような方向も、例えばウラジオストクの浮きドックだとか、そういった問題があるわけでございますけれども、私のお尋ねしたいのは、こういった軍事的な対峙とまでは言えないけれども、優秀な軍備を極東に配置しているということは、当然のことながら日本に脅威があるわけでございますので、そういった関係は防衛庁の方から見た場合どう理解しておられるでしょうか。
○政府委員(小野寺龍二君) こういうソ連の極東における戦力というものが我が国に対して潜在的な脅威となり得るということ、しかもこれが長いこと増強され、我々は現在においても特に質的な側面から決して衰えていないというふうに見ているわけでございますけれども、そういうこと自体が我が国とソ連との関係において一つの障害になっているということはこれは私は事実だと思います。 他方、我が国とソ連との間には政治的に別の懸案もございます。こういった懸案というものを片づけ、それで政治的な信頼関係を促進し、それからかつこういう軍事的な問題についてもだんだん話し合いができるという、そういう状況が早く来ることを我々は望んでいるわけでございます。
○高井和伸君 先ほど言った、例えばウラジオストクに浮きドックを持っていくと。どうもそこは空母か原子力潜水艦か何かに使われているというような話を聞くんですが、そういったこと、そういった雰囲気での日本の経済協力というのは、その軍事配備とはどうなるんでしょうか。
○政府委員(小野寺龍二君) ソ連との経済協力の場合には、特にそういうソ連に軍事的に利用されるというようなもの、これをソ連との経済協力、経済関係において我が方が提供するということはこれは控えるべきことではないかと思います。
○高井和伸君 先ほども、例えば東欧に対して人道的見地だとか相互依存関係に立脚したいろいろ、外務省の説明でしたけれども、御説明がございました。そういった側面と離れる経済的行為に対して、我々は今北方――我々というより日本国はソ連との間で北方領土という問題を抱えておりまして、そういった問題を解決しなきゃいけないときに今のようなファクターが多々ある。そういうファクターに対して、東欧のこういった民主化というのですか、新たなまあ反ソ連ではないというような側面でございますけれども、ソ連の支配下からある意味では自由になろうという動きが、北方領土、それから極東の日本とソ連との関係にどんな影響を与えると御推測でございましょうか。
○政府委員(山下新太郎君) 東欧諸国に関しましていろんな動きがあることはもう先ほど来ずっと御説明しているとおりでございます。もし御質問の趣旨が、東側に対する西側からの言うなれば通商等にかかわります例のココムについて東欧の規制緩和ということを考えるか考えないかという、こういう御趣旨だと理解してよろしいといたしますならば、これ、私は直接所管はいたしておりませんが、先般日米間でココムに関する協議が行われたようでございますが、そこにおきまして、東欧の諸国はワルシャワ条約に依然として所属している、これは間違いない事実で、それを前提といたしまして、そこで西側の安全保障の利益を害することがないような範囲でココムの柔軟性を維持することの必要性については何か確認されたというふうに聞いております。 なお、御承知のとおり、現在ポーランド等に対する援助の話が出ているわけでございますけれども、私どもが考えておりますものはココムの規制に抵触しないそういう形で十分にやっていけるものだというふうに理解いたしております。
○高井和伸君 ちょっと趣旨がよくわかりませんでしたですが、後で会議録を読んで理解します。 あと一つ、私が考えますに、アメリカの在日米軍の引き揚げというんですか、国防費の削減という側面からかなりの面で日本が肩がわりしなきゃいかぬという立場なのか。対ソ連との関係でかなりそれに拮抗する抑止力を持たなきゃいかぬのじゃないかというような立場が日本にあらわれてくるのじゃなかろうか。まあ東欧におけるそういう新しい軍事デタント、ニューデタントの側面がある場合、そういった要因が、日本の対ソ連との軍事対峙力に強化を加えられるような関係があるんじゃないかと私は素人ながら一応推測するんですけれども、こんなことは余分な危惧でございましょうか。
○政府委員(小野寺龍二君) 米国の国防費の削減、これがどういう形でどういうところで削減されるかということは今のところ全く見通しがつきにくいところでございます。 ただ、現在のところ米国が日本に配備しているような戦力というものを、これを削減するという動きは全く見られておりません。それで、もしもアメリカが日本における駐留軍の削減ということを考えるといたしますれば、これは恐らく極東アジアにおける情勢というものが実際に、例えばソ連の実質的な軍備削減ということによってもっと低いレベルになったと、そういう段階においてアメリカはそれに呼応したような動きをやるということ、これは当然考えられることで、これは私は歓迎すべきことだと存じます。 ただ、そうではなくて、ソ連の軍事レベルが高いままでアメリカが引き揚げて、それで日本がそれの肩がわりをするということは、私は、日本の防衛政策から言うと考えられないと思います。現実にアメリカが持っております抑止力というものは、これは日本が肩がわりし得る性質のものでは到底ないというふうに私は考えております。
○平野清君 長時間御苦労さまでございます。最後ですので、もうしばらく御辛抱のほどをお願いいたします。 諸委員から盛んに御質問がありましたのでちょっとダブっちゃうかもしれませんが、東西ドイツの再統一のこと、先ほど局長が両ドイツ国民が決めることだというようなお答えがありましたけれども、大変奇異に聞こえました。両方のドイツが再統一されるということは、東欧とそれからEC側にも大変大きな影響を与えると思うんですね。もう一度、再統一の時期はどのぐらいに見ていらっしゃるのか。それが余りに急激に早ければ大きな影響を与えるでしょうし、いつまでもできなければ今度のデタントにも大きな影響を与えるような気がします。それが一つです。 それからもう一点は、東欧の危機は民衆の自由化とともに経済的な困難さが大きな比重を占めていると思うんです。こういう際、先ほど来日本も援助をするというようなことをおっしゃっていますが、実際に規制をされているココム規制などはどのように日本が主導権をとって緩和をしていくのか。 それからもう一つは、経済復興はソ連も東欧も一朝一夕ではできないと思います。長い時間がか かると思いますが、万が一今の経済情勢が回復したときに、また冷戦構造に戻り得るような予感があるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。 それから、日本の役割として、朝鮮半島の南北関係についても御質問したいんですが、時間もありませんし、さきの委員もおっしゃいました。富士山丸問題一つとっても大変な問題であろうと思いますけれども、この南北の朝鮮の問題に対しては、日本がもっと積極的に力を発揮していただきたい。これは希望にとどめておきます。 それから防衛庁への質問ですけれども、種々数字を挙げて御説明を聞こうと思ったんですが、兵力削減やなんかを全部ここに数字を書いてきたんですが、旧兵力を廃棄して近代化が進んでいるんだから大した変化はない、むしろ強化されているように御答弁があったというふうに私聞きました。何か皮肉な言い方をしますとね、先般発表されているいわゆる防衛白書を一生懸命この時期になっても裏づけよう裏づけようとする発言に聞こえるんですが、本当にそういうふうに思っていらっしゃるのか。防衛白書の時点と今のこの激動とのギャップに何かあるんじゃないかということ。 それからもう一つは、諸委員が何回もおっしゃいましたけれども、日本がアメリカの防衛力を肩がわりするような性質のものじゃないと言っていますけれども、それは核戦力とかそういうものが肩がわりできるわけはないんですけれども、基地の経費の全面肩がわりとか、いろんな面で経済大国日本への実質的な防衛費の肩がわりというものはあり得るというのが普通の私たち庶民の恐れている感覚だと思うんですね。今回の東欧のあの激動も、日本が日米安保体制の中にあって軍事費というものを極めて低く、長い四十年間抑えてきたから、それによって経済復興ができたんだ。じゃ、自分たちも防衛費を減らせばその分国内経済復興に役に立つんじゃないかという、日本を手本としているような気がするんですね。そうしたらその時期、今度反対に日本が軍備拡張の道をたどっていくとしたら、世界情勢の大きな流れに逆行してしまいはしないか。これも国民の素朴な疑問だと思うんです。 時間がありませんのでまとめて御質問をしましたので、適宜お答えいただければありがたいと思います。
○政府委員(山下新太郎君) 私から最初に、御質問いただきましたのはたしか三点だと思いますが、順次御答弁申し上げたいと思います。 東西両ドイツの統一に関することが第一の御質問だと思いますけれども、先ほど申し上げました趣旨は、両ドイツの統一問題というのは、第一義的には東西両ドイツそれぞれの問題であるということでございます。両ドイツで話がつかないものが基本的に話がつくはずがないということだと考えます。無論、両ドイツが統一するということになれば、人口が七千万以上の大変な国がヨーロッパのまさにど真ん中にできるわけでございまして、アメリカ、ソ連のみならず、ヨーロッパの近隣の国々というものが大きな関心を持っているということは間違いないわけでございます。 ただ先般、今月の十八日だったと思いますけれども、ECが臨時に首脳会議を開きました際に、再統一問題は取り上げられなかったことがございます。西ドイツ自体といたしましては、EC統合に対する西ドイツのコミットメントということを決して減らすものじゃない、むしろ確認するといったようなことを言っていることは御承知のとおりでございます。 なお二十八日、昨日でございますか、例の、コール首相が連邦議会におきまして三段階の統一に関する考え方を表明したことは御承知のとおりでございます。 その次、東欧の動きとココムに関する点が第二番目の御質問ではなかったかと思いますけれども、先ほども申し上げましたとおり、依然としてポーランドなりハンガリーはワルシャワ条約機構に属していることは事実でございます。この事実を踏まえまして、ココムの規制のこの両国に対するあり方につきましては関係国の間で検討をされるということかと思います。両国に対する現在日本政府が考えております支援につきましては、ココムに抵触することのない形で十分に協力可能であろうというふうに私ども考えておる次第であります。 第三点目の御質問は、もしソ連なり東欧なりがペレストロイカ、あるいは東欧各国における現在の動きの結果、経済状況がよい状況になったとしたならば、冷戦のような従前来の形に戻るのかという点に関するものであったかと思います。この点についてでございますけれども、ゴルバチョフ書記長自身、ペレストロイカを行うに当たりまして社会主義の枠内でこれをやるということを明確にその著書の中で言っていることは御承知のとおりだと思います。その場合に、社会主義の枠内と言ったときに、それが具体的に何を意味するのか。その辺が、東欧等についていろいろ動いていることは先ほど来申し上げているとおりでございます。 その際、いろいろな考え方がございますけれども、一つはペレストロイカによりまして経済力を回復すると、その結果巨大な軍事力の強大なソ連が復活する。現時点におきましても強大な軍事力を持っていると考えておりますけれども、より充実したそういうソ連が復活する。だから、強いソ連の復活ということでこれは怖いことだという考え方が一つございます。それからもう一つは、実は先月の半ばでございましたけれども、アメリカのベーカー国務長官が演説をやりまして、そこでペレストロイカの成功によってソ連が変質する、変わるということを言っております。変わってそのようなことにならないことを希望を表明しております。 私どもとしてどう考えているのかという点でございますが、現時点で、いずれになるとも、無論日本政府として言えることではないことは申すまでもない次第でございますが、希望といたしましては、ベーカー国務長官が言っておりますように、ソ連が変質することを期待いたしたいと考えている次第でございます。
○政府委員(小野寺龍二君) 私の説明が、古くなった白書を正当化するものだという御意見でございますけれども、私は実はこの白書を書くについては非常にかかわってまいりましたので、あるいはそういう嫌いがあるかも存じません。実際には、政治的な動きは確かに白書が対象といたしました時期以後、特に東欧における動き、これは非常に激しいものがございまして、これは白書に反映されておりません。ただ軍事情勢、特に極東の軍事情勢については、こういう短い期間の間に物事が変化するという性質のものではないだろうと思いますし、私は依然としてその白書に書いてあることは正しいというふうに思っております。例えば白書の図表の中に、モンゴルにソ連の四個師団がいるというのは、これはその後削減が確認されまして大体三個師団に減っているというようなことはございますけれども、全体として、白書に書いてあります軍事情勢については、私は変わっていないというふうに思っております。
○説明員(宝珠山昇君) 防衛力整備に係る点について御説明いたします。 一点は、先ほど来の情勢の大きな変化の中で、我が国の防衛力整備のテンポを緩和といいますか、落とせるのではないかという趣旨と理解いたしました。この点について若干補足をさせていただきますが、我が国の防衛力整備は、第二次大戦の反省のもとに極めて厳しい自己規制を続けてきているわけでございます。これを量的に、あるいは文書をもって説明しておるのが防衛計画の大綱でございますけれども、これを別の表現でいたしますと、差し迫った脅威がある状況ではない中で我が国が平素から保有しておかなければならない最小限のものと定義しているわけでございます。このような防衛力というのは、今進んでおります国際情勢の仮にニューデタントといった方向が現実に進んだといたしましても、全く不要になるというような状況が出てくるという認識には立って いないわけでございまして、ここ当分、恐らく相当長い期間にわたって妥当し続けるであろうという認識に立っております。 それから第二点につきまして、今後の防衛力整備の考え方はではどうかという点を含んでいるかと思います。たまたま現在次の中期防衛力整備計画について検討しているところであります。これはもちろん政府において決定されるべきものでありますが、防衛庁においても検討をいたしておる、その現在の段階における考え方といたしましては、正面装備につきましては、量的拡大を図るということよりも古くなりましたものを更新するに当たって質の向上を図るということが中心になるのではないかというふうに思います。それから第二点は後方と言っている部門でございますが、隊員の生活環境でございますとか指揮通信、あるいは情報の関係、これらについては充実を図りたい。それから第三点は、日本の経済成長の結果でございますけれども、非常に人的勢力の確保について厳しい状況が逐次出てきているわけでございまして、特に今後若年の人口が急激に下がっていくという状況の中では、これを必要最小限のものを確保しなければならないということで、人的な勢力確保の面でどのような施策が、どのようなというか、人的勢力を確保するための施策が大きな柱になるであろうというふうに考えております。 第三点の、これらの結果防衛費はどうなるのかと、こういうことでございますが、極めて大きな増強になるというふうには今私どもは考えておりません。しかし、正面に係る経費が仮にウエートが下がるといたしましても、人的な勢力を確保するために相当の努力が必要でありますし、隊員の宿舎などについては極めて劣悪な環境にございますので、一挙に解決できる、そのような計画をつくるつもりはございませんけれども、相当大幅な力を入れさせていただきたい。これらのことを考えますと、やはり経費が非常に少なくなるというような状況にもないというふうに認識いたしているところでございます。
○平野清君 終わります。
○会長(中西一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時五十七分散会