本会議 第4号
- 発言数
- 26 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1989/10/05
会議録
○議長(田村元君) これより会議を開きます。 ────◇───── 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
○議長(田村元君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。永末英一君。 〔永末英一君登壇〕
○永末英一君 私は、民社党・民主連合を代表し、海部総理に対し質問いたします。 あなたは、所信表明において、二十一世紀へ向けての跳躍台に立ってと申されました。二十一世紀へ跳躍するためには、立っておる二十世紀が何であるかということを正確に判断しなければなりません。私は、まず、あなたが世紀末の世界をどう判断しておられるか、これについてお伺いいたしたいと思います。 戦争と革命の世紀であった二十世紀は、今や地殻変動の大きなうねりの中でその幕を閉じようといたしております。これを評して、一つの歴史の終わりと述べている人もあります。多くの君主制を崩壊せしめました第一次大戦、ファシズムを抹殺した第二次大戦を経て、今や共産主義イデオロギーが終わりを迎えようといたしておるのであります。 現在、戦後最大の変革期を迎えた理由の第一は、共産主義イデオロギーと体制が魅力を失い、自由と民主主義に取ってかわられようとしていることであります。第二に、米ソ両超大国の力が相対的に低下し、普通の大国に変貌しようとしていることであります。 政治体制、人権、経済メカニズムなどに関して、今共産圏諸国内に激しい変革の動きが起こっていますが、自由と民主主義側におきましては、議会政治を舞台として民主社会主義者が自由と公正と連帯を求めて長年奮闘してきた結果、これらの諸問題はほとんど克服され、大枠においては安定した状況に達しております。 同時に、注目すべきことは、人類が地球という一つの運命共同体の中で生活者として生きていることがますます明らかになってきたことであります。核戦争回避のための努力、大量失業と不況を克服するための努力、地球環境保全のための努力、これらの努力なくして我々は人間らしく生き長らえることはできません。この生活者のための政治という発想が、今世界至るところで新しい政治を求める人々の運動を盛り上げ、推し進めているのであります。総理はこのような時代変化をどう認識しておられるか、伺いたい。 変化を求める潮流は、我が国にも人々の意識の底流として流れております。ところが、自民党政権は、長年の政権独占におぼれ、この変化の大きな潮流に気づかず、リクルート事件に象徴される腐敗に自浄作用も働かし得ず、消費税強行で生活者の憤激を巻き起こし、展望ない農政で農民にそっぽを向かれ、また、自民党幹部の言動の中には女性の神経を逆なでするものがありました。七月の参議院選挙での自民党の大敗は、この国民の変化を求める意思のあらわれと言わなければなりません。行き詰まった自民党の一党政治は御免だというのが参議院選にあらわれた国民の意思であります。海部総理はどう受けとめておられるか。 選挙の結果、参議院では自民党は過半数を割りました。これまで衆参両院における多数に物を言わせて単独採決で事を処理してきた自民党の手法はもう通用しません。また、審議拒否戦術も同様であります。もはや一党一派だけで国会を動かすことはできません。我々民社党は、この逆転国会を不毛の対決の国会にして政治を麻痺させてしまってはならぬと考えております。今や国会は我々が長年主張してまいりました与野党による建設的な話し合いの国会運営の時代に入ったと考えますが、総理はどのような姿勢でこれからの国会に臨もうとしているか、質問いたします。 リクルート事件によって暴露された政治腐敗に対する国民の政治不信は、自民党竹下内閣を瓦解させ、これを継いだ宇野内閣を参院選で大敗させました。海部内閣は、政治改革の前提にまずリクルート事件へのけじめをはっきりさせなくてはならぬことを知っているはずであります。総理、あなたは所信表明でまず政治への信頼の回復について述べましたが、リクルートのリの字も言っていないのはなぜか、伺いたい。 ところが、海部内閣には、千四百万円余のリクルートの金を受けたあなたを初め、リクルートから資金供与を受けた閣僚が七人おりました。総理は昨年六月のリクルート事件発覚前のものは政治倫理に関係なしと考えているのか、明らかにされたい。また、リクルート事件のけじめをどうつけるつもりか、見解を伺います。 あなたは、自民党提案の一連の政治改革法案をもって政治改革の内容としております。我々もこれらへの対案を用意してはおりますが、これらの法案以上に重要な政治改革の問題について伺いたい。 総理、あなたは、自民党新総裁に選出されたときの記者会見で、「一八八三年に英国が腐敗・違法行為防止法をつくって政界が浄化されたという経緯も聞いており、こうした法律を通すことが大切だ。」と述べております。腐敗・違法の選挙を行った者は当選無効とし、立候補資格を剥奪することは我々も従来から主張してきたところであります。総理は今国会にこれを提出する決意があるかどうか、伺いたい。 去る五月、我が党は政党に対する公費補助制度を提唱いたしました。ヨーロッパ諸国では、政治資金、政治活動にまつわる腐敗を抜本的に断つためには政党、政治家の政治資金調達にかかわる活動を削減していくことが必要だとして、政党への公費補助が実施されております。我が党は、憲法の保障する政治活動の自由に最大限の配慮をしつつ、政党の公的側面に着目して、政党に対する公費補助法の制定を提唱しておりますが、総理の見解を伺いたい。 定数是正は政治改革の最重要問題であります。総理は所信表明で、選挙制度審議会に定数是正について明年三月を目標に答申を求めていると述べておりますが、定数是正の抜本改革を決めた昭和六十一年五月の国会決議を無視するつもりか、伺いたい。 十一年前、大平内閣が大型間接税導入を国民に問う選挙に敗れた結果、財政欠陥を補うため行政改革が取り上げられ、国鉄、電電、たばこ等の民営化が行われましたが、行政の本体に関する改革は遅々として進まず、許認可事項も一時はほんのちょっぴり削減されましたが、再び増加している状態であります。 税制改革を論ずるとき、まず行政改革、同時に財政改革を考えねばなりません。民社党は、新たな財政再建目標の設定、公社公団を民営化し、その株式、政府保有の株式、土地などの資産売却計画を柱とする行財政改革五カ年計画を提唱し、行財政改革の道を示しております。国家財政が逼迫している中で、NTTの株の売却を今後どう進めるのか、また、今後放出する予定になっているJR、日本たばこの株についてどのような売却計画を持っているのか、示されたい。 政府は、平成二年度に赤字国債脱却後の財政目標を明らかにするとともに、行政改革長期ビジョンを策定し、今後の行政改革への取り組みや、来年四月の新行政改革審議会終了後の展望をこの際明らかにされたい。 民社党は、消費税導入の税制改革に反対し、参議院選挙では、欠陥消費税の撤回、税制改革やり直しをスローガンとして戦い、選挙の結果、消費税廃止の世論が勝利を得ました。この国民の審判を厳粛に受けとめ、我々は消費税廃止法案と税制再改革法案を他の野党と共同提案いたしました。二年間で不公平税制の是正をして税制の抜本的改革を実現いたします。 昨日の本会議で自民党の三塚政調会長は、三年前の衆参同日選挙における当時の中曽根首相の公約は、昭和六十二年四月の原衆議院議長あっせんで税制協議会をつくったから免罪されたかのように大演説されましたが、これは事実を曲げたものであると言わなければなりません。この税制協議会には、私は民社党を代表する委員として参加いたしました。協議は、十二回の協議の後、六十二年七月二十四日、自民党の一方的な中間報告提出という暴挙で中断、我が党の再三の要求にもかかわらず再開されぬまま終わりました。伊東税制協議会では、その後、竹下内閣で提案された消費税など全く議論されたことはありません。したがって、伊東税制協議会を理由とする三塚政調会長の、消費税の国会提案に対する公約違反のそしりは全く当たらないという演説は、全くのこじつけと言わなければなりません。(拍手) 総理は、消費税を思い切って見直すと言っております。あなたは、あなた方の見直し案を提出すべきであります。そうして初めて国民は双方の考えを聞き、判断の材料が整うことになります。これは議会政治が国民の信頼を確保するために極めて重要な作業であります。 見直し案は、法案の形で提出すべきであります。我々の消費税廃止法案、税制再改革法案に見合うものを提出して、国民の判断を仰ぐのが当然ではありませんか。これができないということでは、政権党として怠慢のそしりを免れることはできません。法案提出の時期はいつになるのか、見直しの内容についてここで明らかにするのがあなたの責任であります。しかと答えられたい。 見直しの内容を固めないで、政権党が我々の法案審議に当たる資格があるとあなたはお考えか。見直しを公約として総理の座に着いたあなたが、見直しの言葉だけを飛ばしているとすれば、それは無責任きわまりないものと言わなければなりません。見直しの内容はいつ決めるのか。昨日の本会議で、十一月末までに示すと総理は答弁していますが、それまで我々の法案審議をやらないつもりなのか、明確な答弁を要求します。 我が党は、かねてから、生活者のための政治の実現を求め、我が国の経済力と国民生活水準とのギャップを解消するため、生活先進国づくりを提唱してまいりました。 今や我が国は一人当たりのGNPではアメリカを抜いていますが、国民一人一人の生活実感には反映されておりません。逆に、我が国の一九八七年のキャピタルゲインは四百七十四兆円、八八年のGNP三百七十一兆円に比較してこれを大きく上回り、国民の間には、資産格差の拡大、特に土地資産に関しては、持てる者と持てない者との間では埋めようもない大きな格差が広がっているのであります。 例えば、住宅地価格は、一平方メートル当たり、日本は六万九千九百円、アメリカは五千九百円、十一倍となっており、さらに、一極集中の東京都の異常な地価高騰は、今や全国に飛び火しております。このひずみは、豊かな国民生活をつくる上で大きな障害となっております。 この資産格差の是正について、土地基本法の制定を初めとする総合的政策の実施が必要ですが、特に土地税制の改革を急がねばなりません。相続税、固定資産税の土地評価額の一元化、社会開発による地価上昇の利益の社会への還元を目標としつつ、保有税、相続税、土地譲渡益課税の洗い直しを早急に進めるべきであります。また、生産緑地を維持しつつ、市街地における農地の宅地並み課税を適正に行うべきであります。答弁を求めます。 さらに、このほど経済企画庁の「物価レポート89」で示された、円高が進んでいるのに国内の物価が海外より高い内外価格差をどう是正するか。総理は規制緩和と合理的な流通構造の実現を挙げておりますが、極めてあいまいであります。それは行政改革の重要なポイントでありますから、具体的に答えられたい。 生活先進国の重要な要件は、国民一人一人が生活者としてその豊かさを享受し得る生活環境づくりを急ぐことであります。具体的には、国民に安くて質の高い住宅を供給することです。勤労者の平均年収の四、五倍程度で快適な住宅が持てること、そして通勤時間を短くするため職場と住居とを近くすること、下水道の普及率を向上すること、緑豊かな都市公園を整備すること、高齢者、障害者の方々が安心して住める町づくりなどの施策を強力に講じていくことであります。生活を営む基盤である住宅、さらに住環境の整備を具体的にどう進めるのか、総理のお考えを伺いたい。 さらに、快適で豊かな住環境をつくっていくとともに、生活先進国づくりにおいては、単に物質的な条件の確保だけではなく、衣食足りて礼節廃ることのない社会をつくっていくべきであります。しかしながら、最近の社会情勢に目を向けますと、陰惨な犯罪の続発など、極端異常な行動によって醸し出されている暗い環境が子供たちにどんな影響を与えるかと、人々を不安に陥れております。 総理、かつて文部大臣を経験されたあなたは、こうした殺伐とした社会環境を生み出したことに対して、その責任の一端を負わねばならぬはずです。今学校、家庭、社会の責任が問われておりますが、総理はどのようにこの点に注目しつつ教育改革を推進していく決意であるか、お答えを願いたい。 生活者のための政治は、また女性の生活と権利を守っていく政治であります。政府は、昭和六十二年五月、「男女共同参加型社会の形成を目指す 西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」を策定しておりますが、その内容は、多くは抽象的で、スローガンの域を出ておりません。現在なお男女平等に向けての対策は遅々として進まず、その出発点となる母性保障のための基本法すら未整備の状態であります。女性の職場進出はどんどん増加する傾向にありますが、パート労働者に対する政策的対応はおくれ、法制上の規定も十分に整備されておりません。また、働く女性は仕事を持ちながら家事や育児を一身に背負っているのが実情です。さらに、高齢化の進行とともに介護を要する高齢者は増大し、介護をする主婦は身も心も疲れ果て、家庭生活にさまざまな悪影響を及ぼしております。 総理、あなたは女性を取り巻くこうした状況についてどのような認識を持っておられるのか。民社党は、母性保障基本法、パート労働法、育児休業法の法制化、介護を必要とする老人のための介護休暇・介護手当制度の創設などを提唱していますが、総理の御所見はいかがですか。 高齢者が安心して生活できる社会をつくることは政治の大きな役割の一つであり、国民の老後生活を支える根幹は年金制度であります。高齢で離職した場合、就労所得から年金所得へと円滑に年金が支給される生活が保障されねばなりません。しかるに政府は、六十歳定年制すら十分に定着していない状況の中で、将来の雇用保障のビジョンを示すこともないまま、厚生年金の支給開始年齢を六十五歳に引き上げようとしておるのであります。あなたはなぜこのような不合理な提案を撤回しようとしないのか、本音を伺いたい。 また、物価スライドによる年金額の改善部分を他の制度改正部分と切り離すことを総理は頑強に拒絶していますが、なぜですか。理由をはっきり述べていただきたい。 我が国農業は、若い農業後継者の激減、たび重なる農産物価格の引き下げ、牛肉・オレンジなど相次ぐ輸入自由化の決定などにより、極めて厳しい環境にあります。今や日本文化をつくった日本農業は存亡の危機に瀕しておると言っても過言ではありません。 今回の参議院選挙では、このままの農政では日本農業は滅びてしまうという危機感から、自民農政ノーの一票が投じられました。農業を失った国家はオアシスのない砂漠のようなものであります。我が党は、二十一世紀に向け、日本農業を希望の持てる産業とするため、国際協調と国内農業発展の両立を目指し、農業先進国ビジョンや農村雇用百万人計画、農産物輸出促進法等々を提言しております。政府も、農業を希望の持てる産業とするため、具体的な農政の長期ビジョンを策定し、農家の方々が自信を持って農業を営めるようすべきであります。 ところが、政府は来年度から一層の減反の強化を計画しているようですが、これ以上の減反は行うべきではないではありませんか。御所見をお聞かせ願いたい。 また、米については、食糧の安定供給や国土保全等の見地から、完全自給は今後とも当然堅持すべきであり、米の市場開放は断じて行うべきではないと考えます。総理はアメリカの要求にどう対処されるか、お答え願いたい。(拍手) 国際問題については、地球環境、貿易、通貨、為替、累積債務、ODA、難民など多くの課題がありますが、以下四点に絞って伺います。 まず第一は、今日の国際情勢に対する認識についてであります。 この数年来の米ソ関係の改善やINFの全廃、さらにはイラン・イラク紛争の停戦など地域紛争の終息により、ニューデタント時代が来たと見る人がおります。米ソの関係改善と世界の緊張緩和は万人の望むところであり、我が党も、東西の信頼関係を醸成し、真のデタント実現のために全力を尽くす覚悟であります。 しかし、ソ連の軍縮提案と平和外交は本当に実行されているのでありましょうか。ゴルバチョフ書記長は極東においても数々の軍縮を発表いたしましたが、これらが言葉どおり実行されていると総理は見ておられるか、お答えを願いたい。特に、我が北方領土を占拠している一個師団は削減されたか、または削減の対象になっているか、答えられたい。ゴルバチョフ書記長は一九九一年に訪日を予告いたしましたが、北方領土返還は、二島返還などでは断じてなく、四島一括で実現すべきであると思うが、総理はどう考えておりますか。(拍手) また、我が国は極東の緊張緩和の方向へ向けて懸命の努力をすべきであります。例えば、極東における最大の緊張点である朝鮮半島の緊張緩和のため、その平和を求める日、米、中、ソ、韓国、北朝鮮の六カ国会談を行うことは極めて有意義であると思いますが、いかがか。総理の御所見を伺いたい。 第二は、最近の日米関係についてであります。 言うまでもなく、日米関係は、我が国外交の基軸であり、我が国の平和と繁栄にとって死活的に重要な関係であります。 貿易不均衡の是正を目指す一環として、日米構造協議が去る九月上旬に開催されました。私が懸念しておりますのは、この構造協議そのものの位置づけと性格があいまいなままに進められていることであります。米国側はこの協議で具体的成果を得たいとしておりますが、日本側は、あくまでもこれは協議であり、これをもって双方の合意を得るものではないかのごとくしております。しかも、アメリカ側は来春までに成果を期待し、日本側は一年かかってゆっくりやるのだと言っております。こうしたボタンのかけ違いは、今後の日米経済構造調整に大きなマイナス要因となるにとどまらず、日米の友好関係を損なうことすら予想されます。総理がブッシュ大統領と会談された際、いかなる認識のもとで構造協議を進めると話し合われたか、お伺いいたしたい。 第三は、今後の中国政策についてであります。 去る六月の天安門事件は極めて遺憾であります。先般日中友好議連が訪中した際も、また先日の北京における記者会見などでも、中国首脳は、事件はあくまでも暴乱であり、弾圧は正当であったとしております。我が国の総理が参加したアルシュ・サミットに続き、自民党総裁であるあなたが参加した先日のIDU、国際民主同盟の東京会議においても、中国を厳しく批判する宣言が採択されております。 政府はこのたび中国への渡航を解除いたしましたが、今後どのような方針で中国外交を進めていくのか、総理の見解を求めます。 第四は、平時における自衛隊の活動についてであります。 もともと自衛隊の保有は平和を守るためです。平和を守るということは、不安定な状態を排除することであります。そのため組織された自衛隊は、有事と並んで平時の用をも考えるべきであります。 平時においては、現に、災害派遣や部外工事、危険物の除去など、自衛隊は国内的に活動を行い、国民に高く評価されておりますが、問題は海外における活動であります。海外派兵とは異なり、武力行使を目的としない平和目的の海外派遣は憲法に反するものではないが自衛隊法に定めがないからできないとして、国際緊急援助隊への派遣、緊急時における在外邦人の救出、国連の停戦監視団への派遣などに対して、政府は自衛隊を一切参加させておりません。これでは、日本は金は出しても人は出さない、汗は流さないという海外の批判をいつまでたっても変えることはできません。 また、プルトニウム輸送の護衛については、今政府が考えている海上保安庁の巡視船でその任務を果たすことができるのでしょうか。 総理、これら自衛隊の海外派遣については、南極観測協力のように自衛隊法で定めを設ければできるものはこれを設け、国際的常識に従って積極的に対処していくべきと考えますが、御所見を伺います。(拍手) 最後に伺いたいのは、総理、あなたの任務は何かということであります。 あなたは、総裁・総理に選ばれてから、いろんなところでたくさんのことを雄弁に語られております。しかし、率直に言って、あなたがどのような信念に立ってどのように日本を進めようとしているのか、さっぱりわかりません。はっきり伝わってくるのは、あなたが迫りくる総選挙で自民党の過半数割れを防ぎたいという焦りだけであります。 三年前の偽りの演出によってつくられた自民党多数の衆議院は、今や政局不安定の元凶となっております。政局不安定では、我が国は大変革期の世界に立ち向かうことは極めて困難であります。何よりも政局の安定を図ることが必要です。そのためには解散・総選挙によって新しい国民の意思に基づく衆議院をつくることが必要です。 我々民社党は、我が国が世界の大変動の波を乗り越えて前進するためには、政権の交代が必要だと考えております。我々は、新しい国民の政権は、生活者のための政治を目標とし、次の基本原則に立たねばならぬと主張しております。すなわち、我が国は、西側の一員として、社会福祉を組み込んだ自由市場経済に立ち、憲法で認められた自衛隊を保有して国際平和と安全に責任を果たし、日米安保条約を基軸として日米間の緊密な関係を維持しつつ、東西の信頼関係の醸成によって緊張を緩和し、必要なエネルギーを確保して我が国経済と国民生活の発展を図ることであります。(拍手) 我が国の議会政治は、変動の世界に我が国が立派に対処し得る国民の英知と良識に支えられております。 海部総理、あなたの任務は、この国会において衆議院を解散し、総選挙を行うことです。真剣な御答弁を期待して、質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 永末委員長にお答え申し上げます。 冒頭に申し述べられた、二十世紀は革命と戦争に明け暮れた世代であり、これからは人間らしく生き長らえるために皆が力を合わせていかなければならないという委員長の御指摘に、私は同感でございます。同時にまた、最近の大きな国際情勢の変化は、自由と民主主義、そして市場経済といった我々の選択した価値がすぐれていることを改めて明らかにしつつあること、第二に、地球環境問題等、人類共同して取り組むべき問題がたくさん山積していること、第三に、国際社会の中で大きな存在となった日本の役割に対する世界の期待もまた大きく、それにこたえるように全力を挙げろというお考えにも私は同感でございます。 第二に、参議院選挙の結果をどう受けとめたかということでありますが、さきの参議院の通常選挙において示された有権者の意思は、厳粛に受けとめております。 リクルート事件に端を発した批判を率直に受けとめ、反省し、勇気を持って信頼を取り戻すためには、政治の改革を行わなければならぬということも私は申し上げております。 消費税につきましても、国民の皆さんの御理解をいただく努力が十分でなかったということも率直に反省をいたしまして、皆さんの声をよく聞き、見直し作業を進めるということも私は考えておるわけです。 総理の今国会に臨む姿勢についてとお触れになった中で、所信表明で私が述べましたとおり「対話と改革の政治」を進めていきたいというのは、これは大きな目標でありますけれども、政府・与党と野党の間で建設的な論議を尽くし、合意できる点、合意できない点を明らかにして決をとるという議会政治のルールが守られていくことも強く願っておりますし、また、国会運営に関するただいまの委員長の御意見には、私は同感でございます。 リクルートの事件に関して、また私どもの政治資金の中にもリクルート資金があったではないかという御指摘でありますが、これは、リクルート問題がまだ明らかにならなかったときに、通常の政治資金と思って受け取ったものであります。しかし、今後一層みずからを戒め、細心の注意をしてまいらなければならないと思っております。 自民党は、この問題を重大に受けとめて、けじめ案を党で定め実施するとともに、再発防止への政治改革大綱の具体化を図っているのは御承知のとおりでございますが、政治への信頼の回復にとっては、政治改革の前進に努力を続けていくことこそ最も大切なことだと考えておりますので、お触れになったように選挙でもって云々ということは考えておりません。 英国の腐敗行為防止法についても、イギリスにおける一八八三年のあの法律の制定を境として選挙浄化が実現されたことは御承知のとおりであり、我が国の公職選挙法でも、そのための規定を設けておるのですが、さらに徹底させていくためにはどうしなければならぬか、今政府は選挙制度審議会に御議論を願っておりますが、当面急を要する寄附行為の禁止等については、公職選挙法の改正案が現在継続中でございますから、今国会において各党の御議論で適切な結論が得られますように心から期待をしておるところであります。 また、政党に対する財政援助やそのための政党法の必要が論議の対象となっておりますが、有識者会議の提言は、中長期の検討課題として「政党法、政党への公的助成の在り方」を挙げておりますし、自民党の政治改革大綱は、「主として国庫補助を内容とする政党法の検討にはいる。」としております。政治資金のあり方に関連して御議論願わなければならない大切な検討課題であると私も受けとめております。 定数是正につきましては、本会議において決議されておるところであり、事柄の性質上各党間で早急に御論議をいただき、よりよき結論を出していただきたいと期待をいたしております。政府としては、選挙制度審議会を再発足させ、定数問題についても御審議をいただいておるところであります。 お触れになったNTT株式の売却については、本年度はこれを見送ることといたしましたが、今後の売却については、これまでと同様、証券・金融市場の動向等を総合的に判断した上対処してまいります。 JRの株式については、具体的な処分の時期、方法等について、今後の各社の経営状況、株式市場の動向を見きわめつつ検討していくべき課題と思っておりますし、日本たばこ産業株式会社の株式については、会社の経営状況を踏まえて慎重に検討を進める必要がございますが、経営の合理化、新規事業の展開等により、できるだけ株式が売却できる状況となることを期待いたしております。 財政改革については、当面、その第一段階である平成二年度特例公債依存体質脱却という目標達成に向けて全力を傾けてまいる所存でございます。 さらに、仮に平成二年度に脱却が達成されたといたしましても、なお百六十兆に及ぶ公債の残高が残っておる現状等からして、財政が健全に復したとは決してまだ言えない状況であり、引き続き強力に行政改革を推進していく必要があると考えております。 行政改革はいついかなる内閣においても社会経済情勢の変化に応じて絶えず進めていかなければならない重要な課題であると心得、今回の税制改革に関連して、公正でむだのない行政の実現を求める声は一層高まってきており、行政改革の重要 性は強まったと認識し、手綱を緩めることなく推進してまいりたいと思っております。 法案見直しの内容、時期についての御質問でありましたけれども、消費税の見直しは、参議院選挙や各種の世論調査等の結果を謙虚に受けとめて、消費税の真の定着を図るために現行制度の見直しを行おうとするものであります。既に税制調査会において、消費者団体、福祉団体等各界の皆さんから生の声を幅広くお聞きして見直しのための勉強をしておりますが、実施状況を十分把握し、あらゆる事項について議論した上で結論を出すことが必要と考えております。いずれにしても、国民の皆さんの声をさらに十分聞きながら誤りのない見直しをやっていきたいとこう考えております。 相続税、固定資産税の土地評価額の一元化についてお話がございましたが、相続税は一世代に一回限りの税であり、固定資産税は毎年課税される税であり、両者の間には性格の相違があると考えます。その評価についても、相続税は毎年改定されるのに対し、固定資産税評価は三年に一度の評価であり、その評価額が三年間据え置かれるなどの事情も存在いたしております。以上のような理由から、直ちに一本化することは困難ではないかと考えております。 また、地価上昇利益の社会還元については、従来より土地政策の一環として種々の措置が講じられておりますが、地価高騰などの土地問題がいろいろと影響を及ぼしておることを考え、国民の資産格差に対する関心が高くなってきておりますから、資産の大宗を占める土地に対する課税の公平性が求められているということもよく認識し、土地に対する課税は、現在、取得、保有、譲渡、相続等の各段階において国税、地方税にわたる税が組み合わされておりますが、国会で継続審議となっておる土地基本法案の趣旨や、それに則して講じられる関連諸制度、施策の整備を踏まえ、真剣に各段階を通じた土地課税のあり方を検討いたしますが、その場合は、受益者負担等による開発利益の還元方法とあわせて、税制による開発利益の社会還元のあり方についても検討をしていく考えでございます。 市街化農地の宅地並み課税については、内閣より提出している土地基本法案及び昨年閣議決定した総合土地対策要綱の趣旨を踏まえて、都市計画において宅地化する農地と保全する農地との区分の明確化を図ることとの関連において、土地税制の見直しの一環として検討をしてまいります。 内外価格差の是正については、政府としては、今後とも、製品輸入の促進、規制緩和などを通じた競争の促進、合理的な流通構造の実現、農業等におけるより一層の生産性の向上等により、内外価格差の縮小には努めてまいる考えでございます。 すべての国民が安定したゆとりある往生活を営むことができるように、住宅、住環境整備の方策いかん、こういうことでありますが、良質な住宅及び良好な住環境の形成を図るため、住宅建設五箇年計画に基づいて積極的に施策を推進しておるところでありますが、特に、近年深刻化しておる大都市地域の住宅問題に対処するため、住宅宅地の計画的供給、土地の有効利用、高度利用の推進など、積極的に進めてまいる所存であります。 また、教育改革につきましては、委員長おっしゃるように、真に豊かな社会というのは、すべての人々が心豊かに生きがいを持って相手の立場をおもんぱかりながら生活のできる社会であり、その基礎を培う教育の実現は極めて重要だと思っております。教育改革を推進することは、国民の皆さんも今いろいろな社会における現象等を眺めながら心の教育を強く期待されておるところであり、国政の重要課題と認識し、今後とも進めてまいる所存であります。 女性問題にお触れになりましたが、近年、婦人のライフスタイルは大きく変化し、職業を初めさまざまな社会的活動に参加する婦人が増加しております。しかも、社会は、平均寿命の伸長、出生児の減少、教育水準の向上、家庭生活の変化、余暇時間の増加などなど、いろいろな変化が著しく起こっております。法律・制度上の男女平等は大きく進展しておりますが、今後、実際上の婦人の地位向上を図り、婦人が十分に能力を発揮し、男性と平等な立場で社会に貢献できる状況をつくっていくことが必要であり、母性保障についても、御指摘のように従来より母子保健法、健康保険法、児童福祉法等に基づき各種の施策を推進してきたところでありますが、今後とも現行の法律体系の中で施策の充実を一層に図っていかなければならないと考えております。 なお、パート労働者についてお触れになりましたが、労働条件の改善、雇用の安定等を図るため、パートタイム労働対策を総合的に推進しているところでありますが、さらに、法的整備の問題については、労使の合意形成を図りつつ検討する課題であると認識をいたしております。 女子労働者が職業生活と家庭生活との調和が図れるように環境条件を整備することは重要な課題だと認識しており、お触れになった育児休業制度については、現段階の普及状況にかんがみ、「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」の趣旨に沿い、その一層の普及促進に努めていく考えであります。 高齢化、核家族を背景として、年をとられた親の介護の負担は勤労者家庭にとって大きな問題となっておることもよく承知しておりますが、そのような問題に対応する一つの有効な制度として介護休暇制度についてお触れになりました。今後の課題として検討させていただきます。 在宅の高齢者の介護については、何よりもまず、介護を行っている家庭が必要とするサービスを適切に提供できるよう、在宅福祉施策を大幅に拡充することが必要であり、政府もそれに対して前進をさせていくところであります。 人口の高齢化の急速な進展の中で、年金の給付水準を維持しながら後代の負担を適正なものとしていくためには、十分な準備期間を設け、段階的に支給開始年齢を引き上げていくことが最も現実的な方策であると考えておりますし、年金額の引き上げについては、物価スライドはもとより、実質改善についても早期実施すべきであると思いますが、給付改善とそれに伴う負担とを切り離してしまうことは適当でないと思います。 農業にお触れになりましたが、農家の方々が誇りと希望を持って農業を営める環境をつくることが重要であるという認識は全く同じであり、このため、長期見通しにかえて、二〇〇〇年を目標年次とする新たな農産物の需要と生産の長期見通しを策定する所存であります。 減反政策。米の需要の減退、生産力の向上等の事情のもとで、米の需給ギャップは拡大すると見込まれるところであります。このような状況のもとで、米の消費拡大対策を講じつつ需要に応じた米の計画的生産を図っていくことは、今後とも必要であると考えております。 水田については、その高い生産力を生かしつつ、米及びその他の作物による食糧供給力の確保を図ることが肝要であり、このような観点から、水田農業確立対策を推進いたしておるところであります。 米の問題については、我が国における米及び稲作の特別の重要性にかんがみ、国会における御決議の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいるつもりであります。 本年五月ゴルバチョフ書記長が提案しました極東十二万人の一方的削減について、我が国としては、膨大な軍事力を有する極東ソ連軍の削減自体は基本的な方向として歓迎いたしますが、他方、同提案は、削減対象地域、対象の部隊、艦艇等が不明でありますし、北方領土駐留ソ連軍が含まれるかどうかについても一切明らかになっておらず、実際に削減が行われているとは承知しており ません。同提案の今後の実施ぶりを慎重に見守る必要があると考えております。 いずれにせよ、海空軍力を中心に依然として質的増強が図られているという事実に顧みれば、今回の提案が実行されたとしても、我が国の安全保障にとって根本的な影響を及ぼすものとは考えておりません。 北方領土問題について。これは日ソ間の戦後最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結することにより、重要な隣国であるソ連との間に真の相互理解に基づく友好関係を樹立していきたいというのが我が国の対ソ関係の基本的方針であることはそのとおりでありますが、昨年十二月以来領土問題に関し日ソ間で真剣な議論が行われておりますが、これまでのところソ連側の態度には依然として実質的変化が見られないことがまことに残念であります。我が国としては、今後とも北方四島の一括返還に向けて日ソ間の対話を拡大強化し、粘り強く交渉していく所存でありますが、委員長の四島返還の御議論に私も全く同感でございます。 ゴルバチョフ書記長の訪日は、日ソ関係全体の進展にとって重要な節目であると考えますが、政府としては、史上初のソ連最高首脳の訪日となる同書記長を歴史的に意義のある訪日とすべく、今後とも対話を重ね、努力をしていく考えでございます。 朝鮮半島問題は、第一義的には南北両当事者の直接対話により平和的に解決されなければならないというのが我が国の基本的な立場であります。御指摘のような会談については、その見通しは明らかでありませんが、関係国が率直な意見交換を行う場を提供するものとして有意義と考えられますので、今後南北朝鮮を含め関係諸国の間でその実現に向け具体的な動きが出てくれば、我が国としてもできる限りの対応をしていきたいと思っております。 日米構造問題協議についてお触れになりましたが、先般行われたブッシュ大統領との協議においても、この問題の進展に対する期待は大きなものがありました。同協議において有意義な話し合いができるよう双方が努力をしていく旨表明しましたが、日米構造問題協議においては、対外不均衡の是正に向けての経済政策協調努力をしていかなければなりません。日米それぞれが抱える構造問題につきそれぞれが話し合うことになっております。我が国としては、米側と十分話し合うとともに、国民生活の質の向上という観点からも、できる限りの話し合いと改善の努力を行っていく所存であります。 日中関係は、国交正常化以来おおむね順調な発展をたどってきておりますが、本年六月四日の異常な事態発生により、現在のところ、両国の協力、交流等は制約されており、全般的に停滞しております。中国との間において良好にして安定した関係を維持発展させていくことは、我が国にとってのみならず、アジアの平和と安定のためにも重要と考えており、中国の近代化建設努力に対しては、中国が改革・開放の路線をとり続ける限り、日本としてはできる限り協力するとの基本方針は変えておりません。中国もこのような環境をつくり出すべく努力をしていくことが大切だと考えております。 プルトニウムの問題についてもお触れになりましたが、英、仏からのプルトニウムの返還輸送については、航空機の輸送によるのか、あるいは海上輸送によるのかを含め、いまだ具体的な輸送方法が定まっているわけではありませんが、仮に海上輸送の形で行うこととなる場合には、原則として護衛艦の同行が必要とされます。今後、我が国の輸送船を使用して回収プルトニウムの海上輸送を行うことになり護衛船が必要とされる場合には、海上保安庁の巡視船をかかる護衛船として派遣する可能性について、現在政府部内で検討中でございます。 自衛隊は、御承知のとおり有事において我が国防衛の任に当たることは当然でありますが、御指摘のように平時においても災害派遣を初めとする各種の活動を行い、民生の安定に寄与しているところであります。武力の行使を目的としない国際緊急援助隊、緊急時における在外邦人の救出、国連停戦監視団などへの自衛隊の派遣については、国際協力の推進、邦人保護の充実、平和への貢献といった観点より、広く国民一般や国会における議論等を踏まえ、今後検討させていただきたいと考えておる問題であります。 この国会で解散・総選挙を行うべきではないかという御意見もありましたが、私は、ただいま与えられた政策課題に全力を尽くすつもりでおりますから、解散のことは考えておりません。(拍手) ─────────────
○議長(田村元君) 河上民雄君。 〔河上民雄君登壇〕
○河上民雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、先日行われました海部総理の所信表明に対し質問をいたします。 海部総理、来年は我が国の議会百年を迎える年であります。議会の子と言われた三木元総理の秘蔵っ子と自負されるあなたが今総理の座につかれた意義は決して小さくありません。しかし、それにしては先日の所信表明演説は一片の政治哲学も見られず、具体策もなく、国民はいたく失望いたしているところであります。 あなたは、今回、総理になるに当たって、自民党の総裁選挙に際し、たしか公約として政治改革の前提としてリクルート事件の責任の究明を強く訴えられました。今回の所信表明演説では、その際主張されたことが全く欠落いたしているのであります。特に、竹下、宇野二代の首相がリクルート事件について反省の言葉を公式に述べていたのに反し、あなたは今回の演説でその反省について全く口にされませんでした。 私は、ここで、あなたについて書かれたある本の中でインタビュアーから次のような質問を受けていたことを思い出します。それは、三木首相の秘蔵っ子であることが今後の海部路線の障害となるのではないかと。それに対し、あなたは、私は生涯三木の秘蔵っ子として走り続けると答えられたのであります。昨年十二月の衆議院税制問題等に関する調査特別委員会における今日の消費税法案の強行採決に際し、金丸委員長にかわり委員長席に座られたあなたと、三木精神を語るあなたと、いずれが本当のあなたの姿でしょうか。(拍手) しかも、今あなたは総理大臣として消費税の大幅見直しを国民に公約されています。あなたは一年前には信念を持って消費税の強行採決をしたのではありませんか。今になって大幅の見直しを言う理由はどこにありますか。消費税に重大な欠陥があると判断された結果か、あるいは国民の批判を恐れたためか、はっきりとお答えいただきたいと思うのです。 しかも、この臨時国会が召集されて、野党側から消費税廃止法案が共同提案されたにもかかわらず、あなた方の見直しの具体案は結局通常国会に回すとのお話でありますが、これは国民を愚弄すること甚だしいと言わなければなりません。昨日の答弁では、一方で見直しを言い、他方では消費税の定着に強い意欲を示されました。どちらが本当でありましょうか。あなたも、どなたかのように、中身を明らかにせず、国民に期待を持たせて、これで私を信じてほしいとこういうふうに言われるのでありましょうか。私は、まず初めにあなたの政治姿勢をお尋ねしたいのでございます。(拍手) さて、先日の所信表明演説では、あなたは「世界に貢献する日本」を強調されました。確かに日本が世界経済に占める地位は極めて大きくなっております。私どもの青年時代、一九五五年に世界のGNP全体に占める日本のGNPの比率はわずか三%で、全世界の人口に占める日本人の人口の比率とほぼ同じでありました。人口の比率は今日 むしろ減っていますが、GNPの比率は一五%にもなっているといわれています。しかし、世界に貢献する役割は、単にその国のGNPの大小によって決まるものではありません。たとえ小さな国であっても世界に貢献することは可能であります。 ごく最近のことですが、日本の予算の中に占めるODA、つまり国際経済援助の額は急速に伸び、世界の一、二位を争うまでになったにもかかわらず、日本の努力が世界の人々から必ずしも評価されないのは、日本に徳がなくなったためではないかとある外交官が述懐したと伺っております。世界の信頼と尊敬をかち得るためには、まず真にアジアの友となり得るかどうかがかぎだと私は信じております。 文部大臣経験者である海部総理、あなたが文部大臣であられた時代もそうでありましたが、今日に至るまで我が国の教科書でアジアに対する日本の「侵略」を「進出」と書きかえるよう文部省が指導してきた誤りを率直に非と認めるべきではないでしょうか。先般の所信表明演説であなたは心の豊かさ、しつけの重要さを説かれました。その言葉はいかに美しくあろうとも、管理教育を再び強化しようというもくろみが見え隠れしております。それよりもまずみずから過去において犯した過ちを率直に認める態度こそが世界の信頼をかち得る道と思いますが、総理はどのようにお考えか、お伺いいたしたいのでございます。(拍手) 最近、総務庁は、発展途上国に対する有償資金協力についての行政監察結果をまとめ、九月十二日付で外務、大蔵、通産及び経済企画庁に勧告いたしました。ODAに関する監察は、一九八六年のいわゆるマルコス疑惑で始められたものであり、マルコス氏の死去と時をほぼ同じゅうしてこの勧告が出されていることは極めて意義深いものがあります。その勧告の内容は、相手国別に中長期の方針をつくるとか、小規模のアフターケア援助制度を設けるとか、あるいは手続の円滑化を進めるなどを求めております。 実は、我が国の援助は、諸外国に比べ無償援助が少なく、貧しい国から返済を求める有償援助が半分以上を占め、しかもいわゆるひもつき援助が多いとの批判が根強いのであります。我が国のODAの事業予算が一兆五千億を超える今日、いわゆる援助大国の課題をどう考えるべきか、相手国の一部支配者のみに利益をもたらすのではなく、その国の民主化と自立に役立つ援助をするにはどうしたらよいか、その際、政府だけでなく、非政府団体いわゆるNGOの役割をどう生かすのか、今問われていることは多くありますが、総理の見解をお伺いいたしたいのであります。 海部総理、さきの演説であなたは、地球環境の保全なくして人類の未来はない、そのために国際的な英知の結集の重要性を強調されました。この点は私も同感であります。問題は、それをどう具体化するかにあります。 さきに開かれた国連環境計画と日本政府主催の地球環境保全東京会議は、せっかくの機会であるのに、国内で真剣に活動する民間組織の参加を拒否し、しかも運営は非公開にしてしまいました。こうしたかたくなな姿勢に対し、国内はもとより外国からの参加者などからも厳しい批判が相次いでおります。なぜ非公開にしたのですか。今日問われている地球環境問題の解決は、まさに国を超えて、官民の隔てなく協力して取り組むべきものではありませんか。 総理は、環境問題に深い関心を持っていると伺っておりますが、具体的に日本が何をなし得るか、お示しいただきたいのであります。例えば、我が国が国連での地球環境特別総会の開催を呼びかけるべきだと思いますが、いかがでございますか。 次に、国内の経済政策について伺います。 世界一の債権国、金持ち国と言われる我が国は、同時に住宅難、物価高、長時間労働、老後の不安などに代表されるように、国民は豊かさを少しも実感しておりません。中曽根内閣時代から特に顕著になった持てる者と持たざる者とのいわゆる資産格差は広がっているのであります。 あなたは土地問題の解決を述べられていますが、日本一高い土地に住むあなたの言葉を国民はどのように受けとめているでしょうか。最近の調査では、東京の物価はニューヨークの一・四倍であることが明らかになりましたが、土地の値段の格差はその比ではありません。本来土地は金もうけの対象となること自体がおかしいのであります。自民党の四十年の土地に関する無策がもたらしたものにほかなりません。 したがって、住宅は、建設省の統計においてもますますウサギ小屋となり、一生働いても家が持てない現実はますます深刻であります。その解決策として、良質な公共住宅の大量建設、東京への一極集中の是正に取り組むべきと思いますが、いかがですか。 次に、農業問題についてであります。 昨日、土井委員長は食糧自給について確固とした目標を持つことが必要ではないかと質問いたしましたが、これに対する答弁がすっぽり抜け落ちております。(発言する者あり)
○議長(田村元君) 静粛に願います。
○河上民雄君 (続)総理、あなたは、カロリーベースあるいは穀物ベースで何%の自給率目標を掲げ、その目標達成のためいかなる政策手段をおとりになるのか、明確にお答えください。自給率目標がないというなら、はっきりその旨お答えいただきたいのであります。 また、農産物の相次ぐ自由化によりまして、輸入食糧や加工食品がはんらんし、国民の食べ物への関心、中でも安全な食糧への期待は高まっております。安全食糧の生産体制、安全基準、検査強化等について政府の見解を求めます。 さらに、森林、林業が環境の保全に果たす役割は大きいものがありますが、山村の荒廃は厳しいものがあります。所信のほどを承りたいと存じます。 ここで、外交問題について伺いたいと思います。 海部さんは、訪米の成果について今回触れられておりませんが、アメリカでいかなる約束をなされたのでしょうか。国民の前に明らかにする義務があると考えます。 また、日米関係の重要性をしきりに説いておられますが、それでは貿易問題を中心とした現在の日米関係のきしみをどのように考えられるのか。ただアメリカの要求をうのみにするだけであったり、初めに抵抗をして最後に大幅に譲歩するというようなこれまでの小手先の外交技術では、お互いの真のパートナーシップを確立することはできません。(拍手)欧米には、お互いに違う意見を持つことを認め合うという考え方、すなわちアグリー・ツー・ディスアグリーという言葉がございますが、日米間でもこの原則を確立する必要があります。 最近、アメリカは、在日米軍駐留費の全額負担を日本に求めてまいりました。これは日米地位協定から見てもまことに違法な要求と言わなければなりません。一体アメリカの要求に応ずるのかどうか、総理の見解をお伺いいたしたい。 同時に、アメリカは、中南米への軍事援助の肩がわりを我が国に求めてまいりました。これは日本国憲法の立場からは絶対にあってはならないことであります。小沢幹事長も反対であることを言明されました。これら最近のアメリカの要求について総理はどうお考えになっておられますか、伺いたいと思います。 また、米ソを中心として起こっているニューデタントへの対応についてお尋ねをいたします。 世界は今、一部地域でなお厳しい緊張関係はあるものの、大きな流れは、米ソ両国によるINF全廃条約の調印や戦略核兵器半減交渉、通常戦力の縮減交渉等の進展があり、それに連動して各地の地域紛争も終息に向かうなど新たな平和と軍縮の時代に入っています。そして、この潮流は、我 が国平和憲法の指し示す方向であり、我が党が一貫して主張してきた国際関係の基調でもあります。(拍手) アメリカですら、かつていわゆる封じ込め政策の立案者であり長年にわたりアメリカ外交に大きな影響を与えてまいりましたジョージ・ケナン氏が、ことし春のアメリカ上院の公聴会において、もはや封じ込め政策の時代は終わったと証言されたのであります。西欧では、既に対ソ政策の大きな変更が始まっております。 ところが、我が国では、外交青書において一定の変化を認めているものの、防衛白書の認識にある依然として硬直的なソ連脅威論が幅をきかせ、我が国の防衛力増強の必要を説いているのであります。このようなソ連脅威論は、ただ防衛費を増強する理由にすぎないのではないでしょうか。 昨日、総理は、土井委員長の質問に際しまして、我が国の防衛力整備は昭和六十二年一月の中期防衛計画の閣議決定に従っており変更はないとお答えになりましたが、いわゆるニューデタントはその後にも急速に進んでおります。余りにも国際情勢の変化に対応を怠っているとしか思われないのであります。総理はこの点についていかなる見解をお持ちでいらっしゃいますか。 中国において天安門事件という不幸な事態が生じ、今もって北京には戒厳令がしかれています。この問題に関して日本と中国との間に見方に隔たりがありますが、日中関係は双方の外交にとって極めて重要であることは変わりありません。この中で今後経済協力を含め日中関係についてどのように対応されるのか、総理のお考えを伺いたいと思います。 朝鮮半島問題について、さきの国連での中山外務大臣の過渡期の措置として韓国の国連への単独加盟も支持するやの発言は、朝鮮半島の歴史から考えるとき、極めて重大な発言であります。この発言は、さきの我が党の田邊氏の訪朝に際し、当時の竹下総理が朝鮮民主主義人民共和国との友好関係を望む国会答弁を行ったことの意味合いと明らかに相違いたしております。これは我が国の朝鮮半島政策の後退を意味するものですか。総理は竹下元総理のあの際の国会答弁を継承すべきだと思いますが、いかがですか。 ところで、非核三原則の遵守について、歴代総理は必ずこれを言明されましたのに、あなたは全くお触れになりませんでしたのは一体なぜでしょうか。一部に、非核三原則の厳守は日米安保条約と矛盾するという説もあります。総理はその立場に立って非核三原則の遵守を言われなかったのでしょうか。改めてお尋ねいたしたいと思います。 総理は、今月三日、八年ぶりに来日されたPLOのアラファト議長と会談されましたが、今後我が国のPLOとイスラエルとの関係、中東和平についてあなたはどのような構想をお持ちなのか。 さらに、アフリカでは、ナミビアの独立が進み、南アフリカ共和国のアパルトヘイトすなわち人種隔離政策の問題について、世界が一致してその是正を要求しております。これまで歴代内閣、特に宇野外相が取り上げてきたところでありますが、総理は今回アパルトヘイトについて何も言及しておられませんが、どのような姿勢で今後進められるか、お考えを伺いたいと思います。 最後に、今国会の最重要課題である消費税について総理の見解を伺います。 そもそも総理は消費税の導入の経過をどのように考えられるか。三年前の衆参同日選挙で大型間接税は導入しないという公約のもとに三百議席を得られた自民党は、売上税を画策し、国民の総反発の前にその導入を断念されました。そして消費税であります。リクルート事件には目もくれず、十分な議論もないままの強行採決、この辺の経過については、その場におられた総理御自身が一番よく御存じであろうと思います。 本年四月消費税導入以来、お年寄りや身体障害者を初め、主婦たちも中小企業者も本気に怒っております。税制度改正などという最も民主主義的手続が要求されるこの重要案件を一度も国民の意思を問うこともなく断行したというのは、まさに民主主義に対する挑戦というべき暴挙ではないでありましょうか。(拍手) そもそも消費税導入の理由として語られております高齢化社会の到来に備えるとは一体どういうことでございましょうか。昨年十一月に、政府は、「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標」、言うなれば福祉ビジョンらしいものを提示されたのでありますが、二十一世紀においてはかくあるべしという姿が一向に見えてこない。そればかりか、現に、年金生活者に対して年金支給開始年齢の繰り延べ等、一層厳しい施策を押しつけようといたしております。我が党も、直面する高齢化社会に対しましては、現下の最重要課題であるという認識においてはまさに一致するものであります。そうであればこそ福祉の充実とその負担のあり方については十分な論議を尽くさねばならないと考えております。単なる消費税導入の口実では、国家百年の計を論じるべき国会の姿とは言えないと思います。 四野党は消費税廃止法案を含む四法案を既に国会に提出しております。政府・自民党は一刻も速やかに見直しの具体的な内容を明らかにすべきことは既に述べたところであります。それが論議の前提条件であることは言うまでもありません。リクルート事件と消費税導入は我が国の議会制民主主義の歴史にぬぐい切れない汚点を残しましたが、反面、国民の納税者としての意識を高めるという皮肉な結果をもたらしたのであります。三木元総理の好きだった言葉「信なくば立たず」の出典は「民信無くば立たず」でありまして、そこでは「民」すなわち国民が主語であることに注意しなければなりません。 「新しい酒は新しい革袋に」という言葉があります。古い革袋に新しい酒を入れれば酒はだめになり、また革袋は破れてしまいます。今や新しい民意を盛る新しい革袋、すなわち新しい国会が必要であると考えます。(拍手)昨日あなたは、解散は全く考えていない、このように言明されました。今またそのことを繰り返されたのであります。それは国民の意思を聞く勇気をお持ちでないということでありましょうか。ここで私は再び早期の国会解散を強く要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手) 〔議長退席、副議長着席〕 〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 河上議員の御質問にお答えいたしますが、まず政治姿勢について、所信表明でリクルートという言葉が出てこなかったということを御指摘になりましたけれども、私は、去る七月の参議院選挙において示された結果を厳しく受けとめ、同時に、政治改革に全力を挙げていくということをここで申し上げておりますし、リクルート事件に対する反省は、私自身厳しくいたしております。 また、有権者の意思を厳粛に受けとめておりますからこそ、政治への信頼回復を最優先としてこれでおこたえをしていかなければならぬと考えておるわけでありますし、消費税に関しましては、そのための法案審議及び議決の過程において、御指摘のように、騒然とした中での採決はやむを得ないことであったとはいえ、決していいことであったとは考えておりません。その点については反省もし、残念に思うことも多々ございます。しかし、消費税そのものは、今後安心して暮らせる福祉社会をつくるため全体の税制改革の中で必要なものと考え、今後国民の皆さんの声をよく聞き、見直すべき点は見直すとともに、全体の税体系の中で占めている消費税の意味とその必要性について国民の皆さんの御理解を得るように一層に努力をしたいと考えておるところであります。 また、過去の歴史に対する政府の認識については、昭和四十年の日韓共同コミュニケ、昭和四十七年の日中共同声明に述べられているとおりであって、かかる認識に変わりはございませんし、 教科書検定についてもお述べになりましたが、従来から教科書の記述が客観的で公正なものとなるように努力をいたしてまいりました。特に御指摘の点については、昭和五十七年の官房長官談話及びその趣旨を受けた検定基準のもとで、近隣アジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いについて、国際理解と協調の見地に配慮しつつ検定を実施するようにいたしております。 また、開発途上国に対する政府開発援助の問題については、我が国の国際貢献の重要な柱であるという点は、全く御同感であります。しかし、世界で最も大きな援助国の一つに成長した今日、我が国の努力に向けられた期待にはまことに大きなものもあります。今後とも、第四次中期目標に沿い、量はもとより、援助の質の中身の向上に向けても改善を伴い、開発途上国の国民生活の向上に役立ち、経済発展に資する、援助すべき国の実情に即した、心のこもった協力を実施していく考えでございます。 また、東京会議になぜ民間団体を入れなかったかというお尋ねでございますが、先般の東京会議は、先生御承知のように、世界の有識者にお集まりをいただき、地球環境保全に関する科学的な知見を集約するとともに、今後世界のとるべき行動について学者の立場から御提言をいただくことを目的として開催したものであり、この目的に照らして、この会議ではそれぞれの専門的知識をもとに有識者の方々に自由な立場から十分な御討議をいただくことが肝心であると考えて開催したものでございますから民間団体は御遠慮願ったものであるということをどうぞ御理解いただきたいと思います。 また、民間団体による援助活動は、開発途上国の草の根レベルに直接働きかけるいわゆるきめの細かい対応が可能であり、政府開発援助を相互に補完している役割を持っておる、このことはそのとおりと思います。今日、政府開発援助がこれら民間団体による援助活動との連携を図り、官民を挙げた総合的な経済協力を推進することは重要と考えておりますので、協力関係は一層深めていく所存でございます。 また、地球環境問題は今や全人類的な課題であるというのは全く意見を同じくいたしますけれども、特に我が国は、きょうまでの公害対策技術や公害対策の行政等において初めからこれに取り組んできたという経験があり、これらを生かして、地球環境保全のための国際的な枠組みづくりへの協力や科学的知見の強化のための調査研究の推進、地球環境保全に資する技術の開発普及、開発途上国の持続可能な発展のための環境援助、これらの面で協力することが可能だと考えております。 一九九二年の国連人間環境会議二十周年記念の国連会議には、我が国としては、同会議の成功に向け、準備段階から積極的に貢献していこうと思っております。 大都市地域の住宅問題解決のためには各般の施策を展開してまいりますが、特に、今後とも、大都市地域の住宅問題に対処するためには、住宅宅地対策を総合的に進めていく考えであります。 東京一極集中を是正し、多極型国土の形成を図ることは、土地問題への基本的対応として重要な問題であると認識もいたしますし、このために、四全総に基づく地域づくり、そして交通、情報通信体系の整備等総合的な推進にきょうまで努めてきたところでございます。これからも一層充実を図り、東京一極集中を是正するように努力をしていく所存であります。 また、食糧自給率の目標について、自給率はそのときどきの経済情勢やそのときどきの食生活の動向等によって変動するものでありますから、目標としてあらかじめ数字で明示することは困難なものでございます。しかし、いずれにせよ、今後ともより一層の生産性の向上を進め、国内での基本的な食糧供給力の確保を図ってまいる考えでおりますし、食糧の安全対策の推進は極めて重要な問題であるという御指摘は、そのとおり私も考えておりますし、今後ともまた、輸入食品の検査体制の充実など、食品の安全性の確保についても努力をする考えであります。 農林業生産の停滞、担い手の減少、高齢化などから、山村について極めて厳しい状況にあることは理解をいたしますが、このような状況の中で森林・林業の振興を図るため、造林、林道等林業生産基盤の整備、木材需要の拡大と木材産業の体質強化、国産材安定供給体制の整備、担い手の育成確保、森林の整備保全、これら各般の施策を推進してまいる考えでおります。 外交問題については、先般の日米首脳会談において、日米友好協力関係の基盤が健全で強固であるということを確認し、ブッシュ大統領との間で個人的な信頼関係も樹立いたしました。会談を通じて、日米関係の基盤である日米安保体制を堅持し、世界的な課題について責任を分かち合う盟友であるという両国が、地球的な規模の問題についても共同で取り組み、世界の平和と安定のために寄与するという点でも意見の一致を見たのでありますが、御指摘のように、経済構造協議においては、両者にお互いに意見の言い分の違いもございます。お互いの立場をお互い同士主張し合りて、話し合いの中から違いだけを際立たせるのではなくて、どうしたら合意ができるかという幅広い日米協力をさらに前進していくことが大切であるという点でも意見の一致を見たのであります。(拍手) 政府としては、安全保障条約についての御指摘の中で在日米軍経費の負担の問題にお触れになりましたが、従来より在日米軍経費負担についてはできる限りの努力を払っておることは御承知のとおりでございますが、経費の全額負担を考えているというようなことはございません。 また、中南米へ軍事援助を約束するのではないか。これも、我が国としては軍事的用途に充てられる援助は行わないとしておりまして、アメリカから軍事援助の肩がわりを求められているという事実はございませんから、そのように御理解をいただきたいと思います。 また、現下の国際情勢については、米ソ間の軍備管理・軍縮を初めとする対話の推進や世界各地の地域紛争解決への具体的な努力が見られ、今後の展開が注目されますが、依然として今日の国際社会において力の均衡というものが平和と安定の基本的な条件になっておる事実に変わりはないと考えております。 現在、大綱に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防の着実な実施に努めているところでありますが、節度ある防衛力の整備を行うという精神を引き続き尊重していくことは言うまでもなく、この方針に変わりはございません。 日中関係につきましては、国交正常化以来おおむね順調な発展をたどってきておりますが、本年六月四日の異常な事態発生によって、現在のところ両国間の協力、交流は制約を受け、停滞をいたしております。私は、中国との間には良好にして安定した関係を維持発展していくことがアジアの平和と安定のためにも必要だと考えておりますが、中国が改革・開放路線をとり続ける限り、我が国としてはできるだけその発展に協力をするという基本方針には変わりはございません。中国自身もそのような環境をつくり出すべく努力をされることが必要だと考えております。 また、対北朝鮮外交について、本年三月の竹下総理答弁で明らかにした政府の対北朝鮮政策についての基本政策は、現内閣でも変わりはありません。政府としては、日朝間の諸懸案のすべての側面について前提条件なく話し合いをしていきたいと希望しておりますし、ぜひ早期に対話が実現し、双方が誠意を持って話し合いを行えることを期待をいたしております。 非核三原則厳守の問題について所信表明で触れていないとの御指摘がありましたが、非核三原則 につきましては、歴代内閣によって堅持されてきたとおり、私も堅持してまいる方針に変わりはございません。 中東問題に対してムバラク提案をお話しになりましたが、私は、アラファト議長との話し合いの中で、パレスチナとイスラエルの対話に関するムバラク提案は中東和平に貢献し得る現実的な案として評価をいたしました。これに対してアラファト議長は、我が方、我が考え方に同意し、ムバラク提案を支持する旨明言され、中東和平に向けて私はそれが実現していくことを心から期待をいたしております。 アパルトヘイト問題についてもお触れになりましたが、我が国政府を含め国際社会は、アパルトヘイトは撤廃されなければならないと考えております。今度新政権が誕生しましたが、私はいかなる行動をとっていくのか見守り、同政権がアパルトヘイト撤廃に向けて具体的、実質的な行動を示し、南アの変革に対する国際社会の期待を裏切らないことを強く希望するものであります。 最後に、国民の意見を問うことなく税制改革を断行したのはいけないとおっしゃいますが、消費税は、売上税法案が廃案となった際示された衆議院議長裁定、昭和六十二年四月二十三日を、これを出発点とするものでございますし、また、現在多くの国民が期待しておりますのは、税制は現在、将来にわたり国民生活に深く関係するものであります、国会の場においても関係者が十分に御議論を尽くされることを期待しておるわけでありますから、どうぞ御議論を深めていっていただきたいと私は考えております。(拍手) 我が国の高齢化のスピードは、御承知のように極めて急速であります。昭和三十五年から五十五年までに、例えば八十歳以上の方の増加は年平均五万人弱でありましたのに、昭和六十一年から六十三年までにおいては年平均で十六万人が増加をいたしました。 このような高齢化が急速に進展していく中で、従来の税制をそのままとした場合には、働き手の勤労所得に対する税負担は一層高まり、その結果の重税感、不公平感が深刻となり、勤労意欲や納税意欲が阻害されるといった事態を招きかねず、税制のゆがみがさらに拡大することになるのであります。 こうした事態を避けるためには、社会共通の費用をできるだけ広く、できるだけ薄く、公平に分かち合ってもらうことが必要であり、先般の税制改革においては生活規模に応じた負担をしていただくこととしたのでありますから、どうぞおわかりをいただきたいとお願いをいたします。 いわゆる福祉ビジョンにつきまして、国会に提出いたしたように、二十一世紀初頭に向けて、年金及び医療保障の水準、福祉サービスの目標など、施策の目標と方向を可能な限り具体的にお示しをしたものでありますが、今後の福祉施策のあり方につき十分に御議論いただけるものと考えております。 なお、消費税の見直しは、参議院選挙や各種の世論調査の結果を謙虚に受けとめ、消費税の真の定着を図るために現行制度の見直しを行おうとするものであります。既にいろいろなところでいろいろな立場の方から生の声を伺うなど努力を続けておりますし、見直しに際しては、実施状況も十分把握しなければなりません。あらゆる事項について議論した上で結論を出すことが大切と考えており、見直し案の骨格、青写真については、できるだけ早く皆さんの御意見を聞き、考えをまとめ、しかるべき姿をお示しするようにしたいと思っておりますが、昨日の本会議においても、青写真を十一月末までに取りまとめることになろうと申し上げたところであります。 なお、政府が行おうとしておる消費税の見直しは、制度の存続を前提に恒久税制としてあるべき姿を示すものであります。したがって、これと比べるべき性格のものは、御指摘の廃止論ではなくて、恒久税制としての税制再改革法案であると私は思っております。(拍手) なお、最後に、国会の解散についてもお触れになりましたが、与えられた政策課題に全力を尽くして取り組むつもりでございますので、解散のことは考えておりません。(拍手) ─────────────
○副議長(安井吉典君) 金子満広君。 〔金子満広君登壇〕
○金子満広君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、当面する国政の重要問題について海部総理に質問を行います。 言うまでもありませんが、今臨時国会は、さきの参議院選挙で示された国民の審判にこたえることであります。それは何よりも、消費税を廃止することである、及び金権政治の根幹である企業献金を禁止することであります。同時に、日本農業を破壊するあの米の輸入の自由化を阻止することであります。 天下周知のように、あの参議院議員の選挙で圧倒的多数の国民は、リクルート疑惑に汚れながらも自民党が多数の議席に物を言わせて消費税を強行したことに対し痛烈な審判を下したことは御承知のとおりであります。(拍手)その結果、自民党は、結党以来初めて参議院で過半数を大きく割るという事態をつくり出したのであります。まさに戦後政治における画期的な出来事でありました。 総理は、有権者の意思を厳粛に受けとめます、このように所信表明で断言いたしましたが、問題はその実行いかんであります。 そこで、具体的な問題について質問をいたします。 まず第一は、今国会の最大の焦点である消費税についての問題であります。 まず、この点で最初にただしておきたいのは、去る八月の下旬でありました、海部総理はみずから党首間の公開討論を提起をいたしました。我が党は直ちにそれにこたえて、その開催を自民党に申し入れをいたしました。これとは別に、自民党の側からも、政策担当者間の公開討論の申し入れがございました。ところが、自民党は、他の野党が同意しないとの全く筋違いの口実で、自分で申し入れてきた政策担当者間の公開討論と党首公開討論を拒否してきたのであります。これは明らかに公党間の信義にかかわる無責任な態度であります。この点について総理の見解を改めてお伺いしておきたいと思います。 さて、消費税の問題についてはっきりさせておかなければならない問題があります。それは、この臨時国会は、消費税について、これから廃止するのか、それとも見直しをするのか改めて決めるという、そんな場所ではないということであります。公約違反の最悪の大衆課税です。低所得者ほ ど負担の重い消費税は、既に二カ月前の参議院選挙で明確に廃止の審判が下っているのであります。金丸元副総理も、消費税はリコールされたと言ったほどであります。 ところが、自民党は、一昨年四月の衆議院議長のあっせんによるものだから公約違反ではないなどと言っていますが、全く筋の通らない言い逃れであります。そもそも議長あっせんの直間比率の見直しそのものが公約違反のレールに乗ったものであります。だからこそ日本共産党はこれに同意せず、拒否したのであります。 総理、国民主権、議会制民主主義の常道に従うならば、結論は明白であります。消費税は、見直しなどではなく、廃止以外にないということは言うまでもないことではありませんか。(拍手) ところが、総理、あなたは、これとは全く逆に、消費税は「これを廃止することは全く考えておりません。」、そういう所信表明を行いました。まさに開き直りであり、民意の否定、民主主義と国民への挑戦ではありませんか。一体、総理の言うところの有権者の意思を厳粛に受けとめているというそのことと、消費税は廃止しないんだということ、その関係はどういうものなのか、けじめのある説明を願いたいと思います。 また、総理が言うところの思い切った見直し論、これも、今やその実態は、あれこれ甘い言葉で枝葉の部分修正で目先を変える、そして消費税を定着させ、税率を上げることをねらったものであることは明瞭であります。 総理は、自分の内閣では税率は上げないと言いました。自民党の内閣はすぐ交代するわけでありますから、その保証は全くありません。現に、宇野前総理は、三%の税率は永久に変えませんと言いましたが、すぐ取り消しをさせられたのであります。税率を一%上げると、何とそれで二兆円の税収になります。五%上げれば十兆円です。というように果てしない増税の仕組み、これが消費税でありますから、事は重大と言わなければなりません。 消費税が何を目的にしているか、それは事実を見ればはっきりとしております。政府は、この消費税導入を強行するや、すぐ手をつけたのが、今後五年間の大軍拡計画であります。総額二十兆を超えるものであることは明白であります。また、年金の受給年齢を六十歳から六十五歳に先送りするということでありました。 総理、一九八〇年代の初め、防衛費という名の軍事費は二兆五千億円合でありました。それが年ごとに異常突出をし、今年度の軍事費は実に三兆九千億円を超えました。世界第三位です。さらに来年度は、海部内閣のもとで、概算要求では六・三五%の増、これが実行されれば四兆一千億円を超えることになるのであります。アメリカからの増額要求は、先ほどもいろいろありましたが、今年八月のアメリカの議会で、在日米軍駐留経費の全額日本負担の要求を決めたのであります。全部持つとは言わないと言いました。それでは、在日米軍に対するそのアメリカの要求を全部拒否するかどうか、明確に答えていただきたいと思います。(拍手) さらに、在日米軍に対しては、あの思いやり予算は年ごとにどんどんふえてきました。国民の血税は、米軍の住宅からアメリカ軍人のアルコール中毒患者の訓練施設にまで、何と数十項目にまで広がっているのであります。今年度その総額は実に千四百億円を突破をいたしました。お年寄りや心身障害者たちに対する医療、福祉予算を削りながら米軍に対するこの思いやり予算。総理、思いやりをする場所が違っているのじゃないですか。 総理はその所信表明演説で平和と軍縮への努力を声高に述べました。もし軍縮への努力が本当であるならば、はっきりと拒否すべきであり、同時に、軍事費をこそ大幅に削減すべきであります。明確な答弁を求めるものであります。 軍事費突出をあくまで続けることは、まさに軍事が栄えて福祉が枯れる政治であります。高齢化社会のためなどというのは、軍備拡大のための財源づくりを隠すための煙幕と言わなければなりません。 さらに自民党は、消費税の廃止言うなら財源示せ、さもなくば無責任だ、このように言っています。この言い分こそ、自民党の見直し論に世論を誘導し、消費税の定着をねらったものであります。もともと明白な公約違反の上に、強行採決に続く強行採決だ。そうして無理やりに押しつけたのがこの消費税だ。参議院選挙で廃止の審判が下った、それを実行しろというのがどうして無責任なのかということであります。消費税廃止と財源論は明確に区別し、まず国民の審判に忠実にこたえ、消費税の廃止を決議すべきであります。問題は、その上に立って国の予算を編成するということであります。 総理、消費税廃止と財源論を切り離すこと、予算編成はその上で具体的に行うこと、ここにこそ議会制民主主義の原則的立場があると確信しますが、総理の所信を伺いたいと思います。(拍手) 日本共産党について言えば、今年度予算でも消費税抜きで予算編成をせよ、しかも、大幅減税を含めて案を提示してきましたし、来年度予算についても提案の用意があることを繰り返し明らかにしてきました。それは、消費税導入と引きかえに強行したあの大企業、高額所得者に対する減税をやめること、有価証券取引税をせめて〇・一%上乗せすること、このくらいのことはできるわけであります。その他、不公平税制の是正、そして何よりも軍事費の大幅削減を行うなら、消費税をなくしてもそれをはるかに超える財源を確保することができるのであります。日本共産党は、来年度予算の際、大いに議論する用意があります。 さて、私は、次に、医療、福祉の問題について、幾つかの問題を提起しながら、総理の見解を伺います。 周知のように、軍事費の突出が続く中で、六年前、一九八三年、無料であった老人医療は有料にされました。翌八四年には、健康保険法の改悪によって本人一割負担が強行をされたのであります。そして今、年金制度の改悪に続き、老人医療制度がさらに改悪されようとしています。 総理、ヨーロッパの多くの国々では寝たきり老人という言葉がありません。手厚い対策、介護と社会参加が、党派を超えて政治の場でやられているからであります。年をとり、病気になっても不安なく生きていけること、明るく老いていくことは、理想ではなくて人間としての権利であります。政治はこれを保障しなければなりません。心身障害者についても、その福祉は政治の責任であります。 今、緊急にやるべきことば、年金、医療、仕事、住宅などの総合対策を立てることにあります。そこで、国立病院の統廃合はやめること、公的医療機関の充実、医師、看護婦、ホームヘルパーの増員を行うこと、老人医療に対する差別制度を直ちにやめ、医療費の無料化を復活させることであります。特別養護老人ホームの建設、住宅問題の解決、年金受給開始年齢の六十歳を堅持していくこと、このことであります。これを実行することによってこそ、寝たきり老人という言葉を日本から名実ともになくすことができるのであります。(拍手) 以上、具体的な問題についてその実行を求めるものでありますが、総理の考えをお聞きいたします。 次は、金権政治の根源になっている企業献金禁止の問題を中心に質問をいたします。 総理は、指摘されているように、所信表明ではリクルート問題について一言も触れませんでした。しかし、リクルートの疑惑の実態を見るなら、企業献金がいかに政治を腐らせているかは、その規模、内容、動いた金額から見ても明らかであります。リクルート事件は、けじめがつくどころか、疑惑はそのまま残っています。中曽根元首相の参議院での証人喚問も実現をしておりません。また、現内閣についても、海部総理初め主要閣僚がリクルート社から多額の献金を受け取っていることも新たな疑惑を広げているのであります。 言うまでもなく、営利を目的とした企業から献金を受け取ること、企業が献金を行うことは、その見返りを求めていることは初めから明らかであります。リクルート事件はその典型の一つであります。団体が膨大な経済力、そして政治献金をもって政治に介入することそれ自体、国民主権という憲法の基本原則に反するものであります。 海部総理、あなたは、既に文部行政の最高の責任者文部大臣在任中にも、自分の監督下にある営利企業リクルート社とのかかわり合いを持ってきました。海部総理への政治献金もこのことと無関係ではないとの疑惑は、文部行政、教育指導上から見ても重大な問題であります。リクルート社に便宜を図ったとして起訴された高石元文部次官の任命も文部大臣としてのあなたであります。あなたは、リクルートと文部行政の癒着に道を開き、高石氏を任命した当事者として、今回の汚職事件にどのような責任を感じているのか、率直に伺います。 さらに、リクルート社からの献金について、総理はこれ以上ないとして千四百四十万円を公表されましたが、これ以外にはどんな形のものでもないのか、後日のためにはっきりと伺っておきたいと思います。 総理、あなたは、企業も社会的存在であり、企業献金を禁止する意思のないことを表明いたしました。しかし、アメリカでは、企業献金はもう八十年以上も前からこれを禁止しているのであります。企業献金の禁止は、政界浄化をする意思がありさえすれば何の予算措置も要りません。すぐにでもできることであります。政治改革を言うなら、まずこの企業献金の禁止から始めるべきであります。同時に、未公開株の譲渡、パーティーに名をかりた政治献金集め、これは禁止すること、冠婚葬祭という名前の選挙区でのあの金のばらまきを禁止すべきであります。以上の諸点について具体的に答弁をいただきます。(拍手) そこで、議員定数の問題についてであります。 この是正は急務です。国会は既に三年前、「昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまつて、速やかにその抜本改正の検討を行うものとする。」との決議をいたしました。国民に公約したのでありますが、全く実行されておりません。今やるべきことは、きのうから総理も、自民党の中からも言われておるような、小選挙区制など選挙制度そのものの改悪ではなくて、すぐやらなければならないのは国会決議の実行であります。一票の格差を一対二未満にすること、この抜本改正をこそやるべきであります。 次は、深刻な農業危機をさらに決定的にする米の輸入の自由化についてであります。 既に、我が国の穀物の自給率は、ここ数年間急速に低下し、現在三〇%という有史以来の深刻な事態になっております。しかも、穀物だけではなく、肉、果物、野菜の輸入も急速に拡大しております。野菜は、既に、タマネギからジャガイモからカボチャからニンニク、サヤエンドウ、キュウリから、そして枝豆、梅干しの種まで輸入ということになっています。広範な種類にまで及んでいます。残留農薬などで安全性に重大な不安が出されていますが、輸入農産物の安全性の確保について、現状と対策はどうなっているか、お伺いをいたします。 牛肉・オレンジの輸入自由化の決定によって、日本の農業は、穀物、果物、畜産、あらゆる分野にわたって重大な事態が進行しています。 あの牛肉・オレンジの交渉に当たったアメリカのヤイター代表は、日本という国は風圧をかけさえすれば折れる国だとの侮辱的な発言をしたことが当時報道されました。これは、日本政府の弱腰をついたものであります。アメリカは、大体、一つ譲れば二つよこせと言います。二つ譲ればみんなよこせ式の圧力をかけているではありませんか。 ところが、総理、あなたはさきの訪米に際して、ワシントンの記者会見で米の輸入自由化について、自由化するとかしないとかいうことはこの場で述べることはできないと言って、明確な態度表明を避けました。所信表明では、「衆参両院における御決議等の趣旨を体し、国内産で自給するとの基本的な方針で対処」と言いながら、別の場所では何と言っているか。日本は輸入大国となる、そのことによって対外不均衡を是正すると述べているのであります。一体米の輸入自由化というのはやるのかやらないのか。拒否する立場を明確にされたいわけであります。(拍手) 農業を守る、そのためには、アメリカ自身もEC諸国も厳しい輸入制限を行っているのであります。隣の南朝鮮の国会も、去年の一月にアメリカの牛肉輸入自由化要求に対しては反対決議をして、これを現在も拒否しています。そしてまた、インドネシア政府も、リンゴやオレンジの輸入自由化を拒否しているのであります。米の輸入自由化問題は、ウルグアイ・ラウンドで決まるのではありません。日本政府の態度によって決まるのであります。 総理、あなたはここで、いかなる圧力があっても米の輸入の自由化は、そしてまた、どんな条件が出されても絶対に拒否すると言明できますか、 どうですか。また、全国の農民が反対している米の減反の押しつけは直ちにやめるべきであります。全国の農民が注目をしています。明確に態度表明されることを求めます。 消費税導入問題、米の輸入自由化問題の根底には日米安保条約とその強化があることは、今日、政治の流れを見れば一層明白であります。総理は、就任早々訪米し、ワシントンで、アジア・太平洋の平和と安全のために防衛力の整備、それを公式に表明したのであります。よろしいですか。日本政府はこれまで、安保条約は日本と極東の平和と安全に寄与するものと言ってきました。海部総理、あなたは、アジア・太平洋の防衛にまで範囲を広げたのであります。これは、これまでの政府の見解を一変させたものであります。集団自衛権の行使につながる重大な公式見解の表明と言わなければなりません。総理の責任ある見解を求めます。 なお、この際明確にされたい問題は、かつてのあの十五年戦争を侵略戦争と見るかどうかという問題であります。単に迷惑をかけたなどという代物ではありません。歴史の事実に基づいて明確に答えていただきたいと思います。 さらに総理は環境問題に言及しましたが、最大の世界環境を破壊するのが核戦争と核兵器であることは明白であります。核戦争の阻止と核兵器の廃絶こそ、今唯一の被爆国である日本政府として全世界に向かって提起しなければならない問題でありますが、総理は、アメリカに行っても、またこの所信表明でも、そのことについては一言も言及いたしませんでした。これまで政府は、中曽根内閣以来、通常兵器がある以上核兵器は必要だとの立場をとってきましたが、海部総理も同じ見解かどうか、承っておきます。 総理、我が国は世界唯一の被爆国であります。平和と軍縮を言うなら、なぜ人類の緊急中心課題である核兵器の廃絶を言わないのか、総理の考えを改めて伺います。 また、広島、長崎の被爆から四十四年が過ぎた今日、いまだに被爆者援護法は制定されておりません。三十五万の被爆者は、生活、健康のすべてにわたって今苦境の中に置かれています。被爆者援護法の制定は急務であります。既に、海部総理初め、衆参両院の三分の二に近い各党議員四百五十九名の同僚議員が被爆者団体協議会の援護法制定に賛同の署名をいたしております。被爆者の皆さんに対して、いつ被爆者援護法の制定をするか、その時期をはっきりとここで答えていただきたいと思います。(拍手) さて、中国天安門事件についてであります。 総理は、先般訪中した伊東正義議員に託して、武力弾圧の当事者に、改革・開放政策を堅持し、日本を初め各国との友好協力関係の発展に尽力することを希望するとのメッセージを送りました。それは、国際的に非難されている人権抑圧の中国の蛮行に対し、一言の批判も抗議も行わず、ただ友好協力だけを希望するという中国指導部への迎合であります。これは国際的にも通用いたしません。その直後、東京で開かれた西側保守党の党首の会議では、海部自民党総裁も参加をいたしましたが、この会議の宣言では、首相のメッセージとは全く異なって、天安門事件を残虐な殺害、抑圧と規定をいたしました。まさに、日本政府の姿勢への厳しい批判ともなっているのであります。このことをここで厳しく指摘しておきたいと思います。 さて、臨時国会は内外注目のもとに開かれておりますが、国民の意思は既に選挙によって表明されております。もはや、国民のこの意思を勝手な解釈で変えることは絶対にできません。消費税は廃止すべきであります。政治腐敗の根源である企業献金は禁止すべきであります。米の輸入自由化は絶対に阻止しなければなりません。 消費税を廃止して、国会を解散し、総選挙によって信を国民に問うべきでありますが、総理の答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 金子議員にお答えいたします。 私は、各党間で政策に関するあらゆる議論を闘わせていくことが重要と考えており、私自身もいろいろな機会に討論を行いたいと考えておりますが、御指摘のように、野党の足並みがそろわないときに、二人だけでやろうということはいかがなものかと思います。 また、有権者の意思を厳粛に受けとめることと消費税は廃止しないというのは矛盾ではないかとおっしゃいますが、消費税そのものについては、公平、そして高齢化社会に対する安定的な税制、いろいろな立場から、今度の根本的な税制改革の中の一つとして、これを廃止する考えはございませんけれども、しかし、国民の皆さんや各種世論調査の意見等を見ておりますと、多くの国民が消費税の見直しを求める方向で答えを出している方も多いわけであります。国民の声には謙虚に耳を傾けて、でき得れば御理解と定着を図るための見直しをいたしたいというのが私の率直な気持ちでございます。(拍手) また、在日米軍の駐留経費の負担につきましては、我が国の防衛の基調をなす日米安全保障体制の信頼性の維持向上を図るため、自主的な判断によりできる限りの努力を行ってきておるところでございますが、御指摘のように在日米軍経費の全額負担を考えているというようなことはございません。 防衛予算の編成に当たっては、昭和六十二年一月の閣議決定に定められたいわゆる総額明示方式に従い、国の他の諸政策との調和を図りつつ、これに必要な経費を計上しているところであります。節度ある防衛力の整備を行うという閣議決定の精神は、引き続き尊重してまいります。 消費税は、税負担の公平や我が国の将来展望から見て必要不可欠であり、これを廃止することは考えておりませんが、なお明年度の予算編成に当たっては、消費税を前提として編成を行うのは当然だと考えております。 長寿社会を実現していくため、国民だれもが生涯にわたり健康で生きがいを持って暮らすことができるよう、高齢者や障害者の福祉の一層の推進を図ってまいります。また、公的医療機関の充実、医師、看護婦、ホームヘルパーの増員、特別養護老人ホームの整備については、今後とも着実に進めてまいる所存であります。 リクルート事件によって国民の間にかつてない政治不信が生じたのは事実でありまして、我々政治に携わる者は、厳しい反省の上に立って、二度と同様な事件が生じないように対処すべきだと考えております。 ただ、私がかつて文部大臣を務めたということをもって、あたかもリクルートと文教行政の癒着に私が道を開いたかのごとき発言をここでされるのは、全く心外なことでございます。私自身もリクルート社から資金の提供を受けた問題については、当時、いわゆるリクルート事件が明らかでなかったときに、通常の政治資金と思って受け取ったものでありますから、今後はみずからを戒め、細心の注意を払ってまいります。 なお、公表した以上のリクルート社の献金はないと思っております。 企業も一つの社会的存在であることを考えれば、政治活動に関する企業の寄附がよくないと決めてかかるのは適当でないと思うのであります。 私は、自民党提案の政治資金規正法、公職選挙法の改正法案は、パーティー収入の明確化、パーティー券の大口購入の禁止などのパーティー規制、政治資金による株式取得の禁止、政治家の冠婚葬祭等への寄附禁止の徹底などの措置を講ずることとしておるところでありまして、国会において論議を尽くされ、適切な結論が得られますことを期待しておるものであります。 衆議院議員の定数是正問題については、昭和六十一年の定数是正に際し、速やかに抜本改正の検討を行う旨、衆議院本会議において決議されているところであり、事柄の性格上、各党で十分御審議いただくことが重要だと考えておりますが、政府としても、定数是正を含む選挙制度の根本的改革の方策について選挙制度審議会において審議していただいているところであります。 輸入農産物の安全性確保についてお触れになりましたが、これは極めて重要な問題だと考えており、輸入農産物の安全性の確保には、今後一層の努力を続けるつもりであります。 お米の問題については、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議等の御趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる所存であります。 政府は、日米安保体制を基軸とする日米協力関係が、我が国を含むアジア・太平洋地域の平和と安定にとって不可欠であると認識しており、かかる認識は従来より明らかにしてきたところであります。先般の訪米の際の私の発言は、かかる認識を述べたものであり、考えを一変させたという御指摘は当たらないものであります。 核兵器について、これは言うまでもなく廃絶が究極の目標であることには間違いありません。しかし、核兵器を含めた力の均衡に基づく抑止によって今日の国際社会の平和と安定が保たれているという現実を踏まえ、均衡を維持し、安定を崩すことなく、確実な保障のもとに核兵器が削減されるよう粘り強く交渉が行われ、究極的な廃絶が結果として実現されることを私は期待をいたしております。 もとより、核兵器が使われるようなことがあってはならず、このためにあらゆる実効的措置が講じられるべきこと、また、核の究極的廃絶のためには、国際的な安全保障の維持に留意しつつ実効的、具体的な措置が着実にとられることが大切であることは言うまでもありません。 また、被爆者援護法の制定についてお触れになりましたが、原爆被爆者対策につきましては、被爆者の受けた放射線による健康障害という他の戦争犠牲者には見られない特別の犠牲に着目をして、広い意味の国家補償の見地に立って実態に即した対策を講じてきておるところであります。したがって、こうした特別の事情にない原爆死没者の遺族に対し補償を行うこと等を内容とする原爆被爆者援護法を制定することは、一般戦災者との均衡上問題があると考えており、政府としては、今後とも現行の原爆二法を中心に施策の充実によって対処していく考えでございます。 消費税の廃止の問題については、私どもは、消費税は、従来の我が国税制が抱えていたさまざまなゆがみやさまざまなひずみの是正、サラリーマン層を中心とする重税感の解消、急速に進む高齢化社会に備えた安定的な財源確保を目的として行われた今度の税制改革の一環として創設されたものであり、この改革は国民の長期的、全体的利益にかなうものと思って、消費税を廃止することは考えておりません。 同時にまた、最後に、国会解散・総選挙の問題にもお触れになりましたが、与えられた政策課題に全力を尽くすつもりでおりますから、解散のことは考えておりません。(拍手)
○副議長(安井吉典君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。 ────◇───── 議員請暇の件
○副議長(安井吉典君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。 瓦力君から、海外旅行のため、十月十一日から十八日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(安井吉典君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。 ────◇───── 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙 北海道開発審議会委員の選挙
○副議長(安井吉典君) 国土開発幹線自動車道建設審議会委員及び北海道開発審議会委員の選挙を行います。
○金子原二郎君 国土開発幹線自動車道建設審議会委員及び北海道開発審議会委員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
○副議長(安井吉典君) 金子原二郎君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(安井吉典君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。 議長は、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に 小沢 一郎君 唐沢俊二郎君 三塚 博君 及び 小泉純一郎君 を指名いたします。 次に、北海道開発審議会委員に佐藤孝行君を指名いたします。 ────◇───── 宇宙開発委員会委員任命につき事後承認を求めるの件 労働保険審査会委員任命につき事後承認を求めるの件
○副議長(安井吉典君) お諮りいたします。 内閣から、 宇宙開発委員会委員に久良知章悟君を、 労働保険審査会委員に山田正美君を 任命したので、それぞれ事後の承認を得たいとの申し出があります。 まず、宇宙開発委員会委員の任命について、申し出のとおり事後の承認を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○副議長(安井吉典君) 起立多数。よって、承認を与えるに決しました。 次に、労働保険審査会委員の任命について、申し出のとおり事後の承認を与えるに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(安井吉典君) 御異議なしと認めます。よって、承認を与えるに決しました。 ────◇───── 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件 公害等調整委員会委員任命につき同意を求めるの件 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
○副議長(安井吉典君) お諮りいたします。 内閣から、 国家公安委員会委員に富田朝彦君を、 公害等調整委員会委員に南博方君を、 中央社会保険医療協議会委員に三藤邦彦君を 任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。 まず、国家公安委員会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○副議長(安井吉典君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。 次に、公害等調整委員会委員及び中央社会保険医療協議会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(安井吉典君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。 ────◇─────
○副議長(安井吉典君) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十四分散会