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116回国会衆議院1989/10/04

本会議 第3号

発言数
17
登壇者
7
会派数
4
開催日
1989/10/04

会議録

田村元無所属議長

○議長(田村元君) これより会議を開きます。      ────◇─────  国務大臣の演説に対する質疑

田村元無所属議長

○議長(田村元君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。土井たか子君。     〔土井たか子君登壇〕

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井たか子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、一昨日行われました海部内閣総理大臣の所信表明に対して質問をいたします。  まず第一に総理に伺いたいことは、最近の世界の情勢をどのように認識し、その中で日本の進路をどうかじ取りされようとしておられるのかという点についてであります。  今、歴史は大きく動きつつあります。それは、これまで言われてきた激動とか転換期などといった言葉では言い尽くせないほどの大きなうねりとなっています。戦後の時代を生きてきた私たちにとって、東西の軍事的な対立がほぐれ、冷戦の終わりがいよいよ確実さを増し、協調の時代へ進みつつある様子は、深い感慨を禁じ得ないのであります。  つい先ごろ、米ソ外相会談を終えたアメリカのベーカー国務長官は、米ソ関係は対決から対話へ、そして今や協力へと新しい局面を迎えたと述べられました。大切な言葉だと思います。  確かに、今、世界の人々は、国家間の古い対立の構図への関心にかわって、人種や性などによるもろもろの差別を取り払うこと、公平な国際経済秩序によって南北の格差を縮めること、この地球そのものをいとおしみ、環境の破壊から救うことといった、すべての人類が緊急に取り組まなくてはならない共通の課題に対して、真剣な目を向けているのであります。EC統合も目前に迫っております。  総理はこのような世界の動向をどのように把握されているのかという点をまずお聞かせ願いたいのであります。(拍手)もし私が今述べたような認識に基本的に御異論がないとすれば、そうした人類社会の中に日本という国を置いてみたとき、私たちがどうあらねばならないか、そして何をなすべきかという点について、そう大きな違いは生じないはずだと考えるのでございます。  これまで私たちは、「世界に貢献する日本」という言葉を飽きるほど繰り返してきました。この言葉には、日本が特定の国に対して何かしてあげるということ以上に、グローバルな世界に対して積極的な役割を果たすという意味が含まれなくてはなりません。  例えば、ヨーロッパでは、全欧安保協力会議を通して、北大西洋とワルシャワの両条約機構に参加する国々が冷戦の終わりに向けて着実な努力を続け、具体的な成果を上げているにもかかわらず、日本の周辺である東北アジアにおける緊張緩和は遅々として進んでおりません。むしろ米ソの海の核兵器はますます増強の一途をたどっております。総理、あなたは、海の核兵器を含むアジア地域の軍縮や信頼醸成措置の確立のために一体どんな構想をお持ちになっておられるのか、お尋ねしておきたいと存じます。  また、私は、日本政府が独自に行う平和のための外交努力について、具体的な決意なり計画なりがおありになるかどうか、総理に改めて伺いたいと考えます。  私は、せめて、今は亡き三木元首相が決断された、防衛費を対GNP比一%枠内にとどめること、また国是である非核三原則を厳守することについて、どのようなお考えを持っておられるか。さらに、総裁として、自民党の政綱にある「憲法の自主的改正」を「憲法をまもる」と改定される決意はないか、御存念を承りたいと思います。(拍手)  日本の世界への貢献というと、政府は恐らくODAがドル換算で世界一になったことを強調されるかもしれません。しかし、その援助が対象国の自立的経済の発展に役立っているか、貧しい人々を本当に救済しているかと問えば、そうはなっていないという指摘が数多く出されています。  私たちは、この指摘に対して謙虚に耳を傾け、常に対象国の国民生活の向上に貢献する援助の道を探らなくてはなりません。そのためには、個々の援助の内容が公表され、その効果が広く世論によって検証されることが必要であります。我が党は、その立場に立って、国会に国際開発協力基本法案を提出いたしております。国民がその負担によってどのように人類社会に貢献しているかということがわかるような基本法の制定を急ぐべきだと考えますが、総理の御所見をお聞かせいただきたいと思います。(拍手)  申すまでもありませんが、今国会は消費税の是非が論議の中心となる国会であります。私たち野党四党は、既に消費税廃止とその関連法案を参議院に提出し、御審議をお願いすることになっています。その具体的問題の議論に入る前に、どうしても触れておかなくてはならないことがございます。それは、民主政治とは何かという基本的な命題についてであります。  七十日ほど前の参議院選挙で国民が表明した意思の大きな部分が、昨年秋強行採決で成立した消費税に対する拒否であったことは改めて申すまでもございません。しかし、今日、政府と自民党は、国民の意思を謙虚に受けとめると言いながら、実はノーとされた消費税の存続に全力を挙げています。(発言する者あり)

田村元無所属議長

○議長(田村元君) 御静粛に願います。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井たか子君(続) 民主政治の基本は、世論による政治であります。その中でも、選挙によってはっきりと示された世論は、他と比べ物にならない重みを持っていることもまた申し上げるまでもありません。  選挙直後、金丸元副総理が、消費税は国民からリコールされたと、廃止か凍結を示唆する発言をされたのは、そうした当然の感覚が自民党にもあるにはあったことを示しています。しかし、その声はいつの間にかかき消されてしまいました。政府は、大蔵官僚を中心に官僚的なテクニックによって消費税の廃止や代替財源案を中傷誹謗し、世論を衆愚とでも言いたげにべっ視しているのであります。国民大衆を愚弄する官僚にもし自民党が追随するとすれば、それは議会制民主主義の自殺行為と言わねばなりません。(拍手)その国の政府と与党が決定的な世論に背を向けるのであれば、それは国民にとって不幸であるにとどまらず、その国は本当に民主的な国であるのかどうかが疑われ、到底国際的な信頼と尊敬を受けることはできません。  総理は、さきの参議院選挙の結果をどう受けとめ、これにどうこたえようとされるのか、お伺いしたいと存じます。  自民党は、私たちの廃止法案に対抗して見直し案なるものをまとめると公約してきました。遺憾ながらまだ私たちがうかがい知るだけのものさえ明らかではありません。自民党は、かつて私たち野党に対して、何でも反対党などとやゆし、反対するなら対案を示せといたけだかになったことを思い起こしていただきたいのであります。  この際、総理、ここで見直しの具体的内容と時期、手順について明らかにすべきだと考えますが、いかがですか。また、現行の消費税にどんな矛盾や問題点を自覚されて見直そうとされておられるのか、はっきりと御説明いただきとう存じます。特に、見直し案をまとめる時期について、総理は十一月下旬を公約されましたが、大蔵大臣は十二月中旬までかかるような御発言をされております。どちらが正確なのか。また、明年度予算案の編成に当たっては消費税は含めるのかどうか、お尋ねしておきたいと存じます。  この際ですから、私は念のために消費税について二つの問題点をつけ加えさせていただきます。  その一つは、参議院選挙で示された国民の意思を無視する口実として、衆議院の自民党の絶対多数に依拠することもまた民主政治であるという弁解に対してであります。三年前の衆参同日選挙で獲得した自民党の議席は、大型間接税は導入しません、この顔がうそをつく顔に見えますかという、かの有名な公約によって得られたものであります。だとすれば、単に参議院の方が新しい意思だからというだけではなく、三年前既に国民は、大型間接税である消費税などはあり得ないことを信じて自民党に投票したと言うべきであります。したがって、現在の衆議院における自民党の多数は、他の問題ならいざ知らず、消費税については、選挙後の参議院多数派と同じく、消費税に賛成の意思が反映された議席ではないということをはっきりと指摘したいと思います。(拍手)この点について、総理の御見解を伺っておきたいと思います。  もう一つは、海部総理、あなた御自身の行動についてであります。あなたは、昨年、衆議院税制問題等調査特別委員会の理事として、消費税法案の強行採決を図り、金丸委員長のかわりに委員長席にお着きになって、採決の現場指揮をとられました。消費税の成立過程に大きな役割を果たされた御本人として、現在、国民が毎日毎日不公平感と重い負担感を持って支払っている消費税をつくったことに反省がおありになるのかないのか、ほとんどの国民がお聞きしたいところだと思います。この点についてもはっきりとした御答弁をいただきたいと存じます。(拍手)  さて、総理、私たちがこうして議論している間にも、国民が解決を求めている緊急の課題がございます。それは、土地住宅問題であり、物価対策であり、年金、農業問題などであります。  特に土地住宅問題は深刻です。一昨日国土庁が発表した地価調査結果でも、基準地価の高騰は地方の主要都市に波及しています。土地高騰により、マイホームを夢見る多くの国民にとって、その夢はますます遠のいてしまいました。一方で、土地を投機の対象とし、地価をつり上げながら土地転がしによって莫大な利益を得ている企業が存在することも確かなのであります。  こうした事情を反映して、我が国の土地の総面積はアメリカの二十五分の一でしかないのに、その評価額は何と四倍にも達しています。総理、こんなことがあってよいとお考えでしょうか。土地に典型的な持てる者と持たざる者の資産格差は、自然現象で生じたのではありません。海部総理はこの間の自民党政府の土地政策の責任をどのようにお考えでしょうか。  総理は、一昨日、土地基本法案の早期成立を述べられました。総理も御承知のように、社会党は、昨年五月、公明、民社、社民連の各党と共同で土地基本法案を提出しています。しかし、政府・自民党はこの問題に消極的で、この四党案を審議せず、ことし五月になってようやく政府案が提出されましたが、政府案には、公有地拡大の推進や土地評価の一元化など重要な点が抜け落ちております。基本法の早期成立をおっしゃるなら、この際四党案に歩み寄り、国民の期待にこたえるべきであります。そして同時に、土地取引の規制強化などを盛り込んだ野党四党提案の国土利用計画法改正案の成立を図るべきであります。総理の御決意はいかがでございますか。(拍手)  国民一人当たりのGNPが世界一位とか世界最大の債権国とか言われても、国民の生活実感とはかけ離れたものです。土地住宅問題とともに、長い労働時間、立ちおくれた社会資本、高い物価などの解決を国民は求めています。経済企画庁の物価リポートでは、東京を一〇〇とした物価水準は、ニューヨークが七二、ハンブルクが六八となっています。総理は、物価は安定していると語っておられますが、これまでに円高、原油安の中で物価は下がっても少しもおかしくなかったはずであります。内外価格差の解消など、具体策をお聞かせください。  次は、年金問題であります。  周知のように、我が国は今本格的な高齢化社会を迎えようといたしております。そのビジョンについて国民的な論議を行い、だれもが納得できるような高齢化社会対策をつくり上げることが求められております。しかし、これまで歴代の内閣は、この課題に積極的に取り組もうとしないばかりか、ビジョンのないままに、単に高齢化社会に備えるためと称して、公約違反の消費税導入を強行する一方で、厚生年金の支給開始年齢を現在の六十歳から六十五歳に繰り延べるとともに、保険料も大幅に引き上げるという法律案を国会に提出しているのであります。しかも、こそくなことに、物価スライド措置や財政再計算期の給付改善措置と抱き合わせにして提出したのであります。  一昨日、総理は、「公的年金については、その制度を確かなものにしていかなければなりません。」と述べられました。ところが、その内容を見ると、高齢者の雇用保障がないまま厚生年金支給開始年齢を繰り延べるということであります。これでは国民の老後不安はむしろ高まるばかりではありませんか。まさに財政あって福祉なしと言わざるを得ません。(拍手)  サラリーマンには、普通、賃金で暮らしを立てるか年金で暮らすかしか道がありません。総理、あなた方政府・自民党は、我が国においては、賃金つまり雇用の保障には目をつぶりながら、年金支給開始年齢だけは一方的に繰り延べても構わないとおっしゃるのでございましょうか。  一方、年金生活者の毎日の生活を考えれば、物価スライド措置は、制度改正問題とはかかわりな く、直ちに実施すべきものであります。そのため、私どもは既に国会に法律案を提出いたしております。政府・自民党はこの早期成立に同調すべきだと思いますが、この点はいかがお考えでしょうか。また、自民党は、先般の参議院選挙向けに、財政再計算期の給付改善措置について、政府案ではことし十月からとなっているのを四月にさかのぼって実施すると公約しました。これも制度改正とは切り離して即刻実施すべきでありますが、いかがでございますか。  さて、私は、ここで女性の問題についてもお伺いしておきたいと存じます。  海部総理は、女性の「地位の向上を図り、女性がその能力を発揮し、男性とともに力を合わせて社会に貢献できるように努めてまいります。」と述べられました。しかし、具体的には一体何をするのかについては全くお触れになりませんでした。例えば、現在は六・六%にすぎないという各種審議会等の女性委員の割合を確実に高めるために、必要な措置を講じるお考えはございませんか。また、野党四党は、一昨年夏、共同で育児休業法案を提出しましたが、その可決成立に協力していただけますか。パートタイム労働法の制定についてはどうでしょうか。こうした具体的な課題について、全国の女性たちとともに、総理の明確な御答弁を期待いたしたいと思います。(拍手)  関連いたしまして、政府は四年前、女子差別撤廃条約批准の審議の際、その補完的条約であるILO百五十六号条約の批准について私に約束されました。政府は一体いつこの条約を批准するお考えなのか、婦人問題企画推進本部の本部長でもある海部総理から、具体的な時期を挙げてお答えいただきたいと存じます。  続いて、農業、食糧問題についてお尋ねをいたします。  今や自民党農政に対する農民の不信は、全国各地で一票一揆となって広がっております。農民の皆さんは、政府・自民党は一体我が国の食糧や農業をどうしようというのか、明確な回答を求めております。  海部総理は、「今、農政に求められているのは、農業が自立できるよう確固たる長期展望を示し、農家の方々が誇りと希望を持って農業を営める環境をつくり上げ」ることだと述べられました。(発言する者あり)

田村元無所属議長

○議長(田村元君) 静粛に願います。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井たか子君(続) その長期展望とは一体何なのでしょうか。  どんな国でも、国民の食糧の確保は最大の課題であり、特に基礎的食糧、主食については自前で確保するというのが国際常識であります。また、これまでの自民党のやり方のように、国際競争に対する十分な準備も見通しもないまま農家をいきなり激しい競争の場に投げ出すようなやり方は言語道断でもあります。  私たちは、こういう場当たり農政を転換し、安全、安定、安価な食糧を基本に、お米の市場開放や自由化は一切行わず、食糧自給について確固とした目標を設けてその実現に努力するという、信頼でき安定感のある農政の確立が必要であると考えますが、総理、いかがでございましょうか。(拍手)  次に、政治改革についてお尋ねいたします。  一昨日の所信表明演説で総理は、政治の信頼回復こそ内閣の最も緊急な課題と強調され、「政治家一人一人が高い政治倫理を確立することはもとより、ガラス張りで金のかからない政治活動や政策中心の選挙を実現する」改革を大胆に実行しなければならないと述べられました。まさにそのとおりであります。そうであるならば、政治不信の最大の原因となったリクルート事件についてガラス張りにする誠意こそが今問われなくてはなりません。しかし、所信表明にはリクルートのリの字にも触れられてはいません。それはいかなる理由でございましょうか、お尋ねいたします。  私は、リクルート社の未公開株や巨額の政治献金がどのような政治的効果や企業利益を生んだのかという問題を、刑事責任とは別に、政治的道義的責任として解明されなくてはならないと思います。それは、政治倫理綱領にもかかわる自浄能力の課題でもあるのです。私は、国会がその責任を果たすために、中曽根元首相を初めとする関係者の証人喚問の続行、必要な関係資料を国会に提出するなどについて海部総理の強い指導力と決断を求めたいと存じますが、いかがでございましょうか。はっきりと御答弁いただきたいと思います。(拍手)  さらに、定数是正を含む選挙制度や政治資金制度の抜本的な改革については来年の十一月を目標にして実現を目指すと述べられました。既に小選挙区制を導入するという前ぶれだけは聞こえてまいりますが、まず取り組むべきは、二人区、六人区の解消、定数の不均衡是正の国会決議であることをこの際はっきり申し上げておきます。そればかりではありません。今自民党が提案している政治資金規正法や公職選挙法、資産公開法のいずれをとってみても、抜け道、抜け穴だらけであります。  私たちは、三木元首相のいわゆる三木私案も参考に、政治倫理法案、寄附行為を全面的に禁止する公職選挙法改正案、企業献金の禁止と政治資金の透明化のための政治資金規正法改正案を提唱してきましたが、総理はどのような御見解をお持ちか、お答え願いたいと存じます。  また、私は、政治の信頼を回復する基本的な課題は、行政情報を中心とする情報公開法の制定にあるということを強調いたしたいと思います。  先日来日された消費者運動で著名なラルフ・ネーダーさんは、「情報は民主主義の通貨である。アメリカにはこの制度があるからこそ我々は政府や企業の誤った行為について確かな証拠を得ることができる」と語っておられました。寄らしむべし、知らしむべからずという行政の姿勢を改め、総理が述べられたように、「政治の過程がわかりにくく、政治と国民の心のつながりが希薄となっていることを謙虚に反省し、民主主義の原点に立ち返る」ためには、情報公開法の制定がどうしても必要であると信じます。この点について総理はどのような方針をお持ちか、お伺いしたいと存じます。(拍手)  以上、私は、海部内閣の政治改革と政策につきまして、国際社会の歴史的な変動のうねりを背中に意識しながら、国民世論の動向に背かない、誤りのない対処を求めて質問してまいりました。  最後に申し上げたいことは、日本の政治の動向自体が、ただいまの世界の変動の大きな要素の一つになっているということであります。  日本の政治は、この間、金権選挙や利益誘導の政治がまかり通り、果たして日本の政治には民主主義が根づいているのだろうかという疑問が内外から突きつけられてまいりました。さきの参議院選挙は、そうした長い歴史に終止符を打ち、有権者が腐敗政治から決別しようとしたものであると指摘されています。そのことは、私がこの壇上からお尋ねする内閣総理大臣が、ことしになって、海部さん、あなたで三人目であることに象徴的に示されています。  日本が二十世紀末の世界政治の中で諸国民から信頼され、尊敬される役割を果たすためには、政権の交代が必要であると確信いたします。(拍手)この際、私は、速やかに国会を解散し、総選挙によって政治を一新することを強く要求いたします。総理の御決断で早急に衆議院が出直しできるよう強く望んで、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(海部俊樹君) 土井委員長にお答えを申し上げます。  最初は、最近の世界情勢についてのお話でありますが、今日の世界情勢は大きな転換期である、まさにおっしゃるとおりでありますが、東西関係においては、米ソ間あるいは東西欧州諸国間で対話が定着、拡大してきており、さらに協力関係も いろいろな角度で模索されておるということ、私もその方向は極めていい方向だと考えます。けれども、社会主義国では、各国の状況に応じてさまざまな改革を追求しておることもあり、また、地域問題の解決に向けても世界ではいろいろな問題が起こっておることも御承知のとおりでございます。  東西間では依然として基本的な違いや対立的要因が存在し、地域問題の根本的解決の成否もなお将来の問題として残される問題があるなど、その行く先は依然として不透明なことが多い上に、さらに加えて、環境の破壊、累積債務、国際テロ、麻薬など地球的規模の問題も深刻化してきておりますので、私は、世界情勢の変化というもの、それを踏まえて、将来はいまだ完全に楽観的に手放しで見られるほどではないとの認識を持っております。  第二に、アジアにおける軍縮、信頼醸成措置についてのお話でありましたが、真に実効性のある軍備管理・軍縮が実現するということは、中長期的に見ますとこれは適切な目標であると私も考えます。また、軍縮の基礎となるもの、そして軍縮というものが何を大切にするか、それは国家間の相互信頼関係であることは申すまでもありません。  他方、現状において、この地域には、日ソ間にはまだ北方領土問題が未解決のまま残されているのを初め、朝鮮半島の緊張も、カンボジア問題の諸問題が存在することも、いろいろございますから、実効性のある軍備管理・軍縮を進めるためには、まずかかる地域の国際情勢を正確に把握して、世界情勢の安定を図ることが先決問題であると考えております。我が国としては、かかる方向に向かっての努力を今後とも続けてまいります。  平和のための外交努力についての御指摘もございましたが、我が国は国力にふさわしい役割をみずから積極的に果たすということは当然の責任であると私も考えております。「世界に貢献する日本」として、平和のための協力、ODAの拡充、国際文化交流の強化から成る国際協力構想の推進を通じて、国際的な責務は積極的に続けてまいる決意であります。  GNP一%枠に関する防衛計画の問題についてお触れになりましたが、政府としましては、「防衛計画の大綱」の水準を図ることを目標とする中期防を総額の枠内で着実な実施に努めているところであり、年々の防衛予算の編成に当たっても、従来と同様、国の他の諸施策との調和を図りつつ、必要な経費を計上いたしておりますが、いずれにせよ、閣議決定においては、昭和六十二年の一月に、今後とも五十一年の閣議決定の精神は引き続きこれを尊重しつつ節度ある防衛力の整備を行うとの方針を決めておりまして、この方針には変わりがないわけであります。  また、非核三原則につきましては、歴代内閣によって堅持されてきたものであり、私も今後とも堅持していく方針であります。  また、自由民主党の総裁として憲法の問題についての所見を述べると御指摘でありましたが、現行憲法は、それ自体に憲法改正の手続の規定を設けており、法規的に永久不変のものとはなっていないことは御承知のとおりであり、いろいろな御意見があることは私も承知いたしておりますけれども、国の基本法である憲法を改正することは極めて慎重な配慮も要するものであり、政府としては現在の憲法を改正するという考えは持っておりません。  国際開発協力基本法案の制定についても、我が国は、相互依存と人道的な考慮に基づき、開発途上国の経済社会開発、民生安定、福祉の向上に貢献することを目的として経済協力を実施しておるのでありまして、それに際しては、国会に対しても、相手国の立場も配慮しつつ随時所要の報告、資料の提出等を行うとともに、情報の公開にも努めてきており、国民の一層の御理解を得るべき努力をしてきたところであります。現行の関連法案等の枠内で運用改善をさらに一層の誠意を持って図っていきたいと考えております。  さきの参議院選挙の結果をどう受けとめるかという御質問でございましたが、私は、それは厳しく受けとめております。同時に、消費税の影響があったことも、委員長の御指摘のとおり率直に認めさせていただきます。けれども、税制改革全体の姿や、なぜ消費税が必要であるかについて、幅広い観点から国民の皆さんに御理解していただくだけの説明と十分な説得がなかったことは、私どもが反省もいたしております。  ですから、廃止は考えないで見直し作業を進めておるところでありますが、国民の間には、幸いに、最近の新聞等の世論調査の結果や過日の茨城県補欠選挙の結果を見ても、冷静な、消費税の見直しについてさらにいろいろな議論を重ねてほしいというお気持ちがあると謙虚に受けとめまして、我々もいろいろな議論を重ね、この税制が定着をするように心からの御理解をお願いしたいと思います。(拍手)  消費税については、各種の世論調査の結果も受けとめております。同時に、現行制度の見直しも行おうとしております。既に、税制調査会において、消費者団体、福祉団体等各層から幅広く生の声を伺うなど、見直しのための勉強を誠実に進めておるところであります。いずれにしても、消費税の見直しについては、今後さらに国民各層からの御意見を承り、予算編成の日程をも念頭に置き、できるだけ早期に国民の御理解と御納得のいただけるような具体的な姿をお示しできるようにしたいと思っております。  なお、御質問の中にありましたが、大蔵大臣は、各年度の税制改正は予算編成と表裏一体のものであり、改正内容は予算編成に支障を来さない時期にその姿を明らかにする必要があるとの観点から発言をされておるものであり、私は、見直し案の青写真的な骨格は十一月末までに取りまとめることになろうとの気持ちを申し上げておるところであります。  また、明年度の予算編成に当たり、消費税を前提として編成を行うのはそのとおりであります。  また、衆議院の自民党の多数は消費税に賛成しているものではないのではないかとの角度の御質問でありましたが、消費税は、御承知のように、売上税法案が廃案となった際示されました昭和六十二年四月二十三日の衆議院議長裁定を出発とするものと私は理解をいたしております。  現在、多くの国民が期待しておるものは、現在、将来にわたり国民生活に深く関連するものであり、国会の場において関係者の皆さんが十分論議を尽くすことによりそのあるべき具体的な姿を国民の前に明らかにしていただきたいということではないかと私は考えておりますので、どうか十分な御議論をお尽くしいただくことを委員長にもお願いを申し上げておきます。(拍手)  なお、消費税法案成立の経緯の責任については、法案の採決というものは、本当は論議を尽くして合意できる点と合意できない点を明らかにして、明らかになってから決をとるのが議会制民主主義のルールに照らして好ましい方法であることは私も議員としてよく承知しておりましたが、過日の委員会のあの実情を見ると、それは期待できないことになり、好ましいことではありませんでしたが、騒然とした中で行った採決はやむを得なかったことであるとはいえ、よかったことだとは決して思っておりません。私も、理事として、その責任は反省をいたしております。  政府・自民党の土地政策の責任については、今回の地価高騰に対して、監視区域制度の機動的運用、不動産業、金融機関等に対する指導、税制上の措置などの対策を講じてきたところであります。今後とも、引き続き政府一体となって、総合土地対策要綱に基づき、監視区域制度の積極的な活用を初めとして、諸機能の地方分散、住宅宅地 の供給促進等各般の施策を推進し、地価の安定に取り組んでまいる決意であります。  なお、野党四党の土地基本法案及び国土利用計画法改正案についてもお触れになりましたが、率直に申し上げて、さきの通常国会に土地基本法案及びその実施法の一つとして国土利用計画法の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、両法案については、野党四党が共同で提案された委員長御指摘の二つの法案の内容を参考として作成させていただいたものであり、できる限り早期に両法案の成立を強く希望しておるところであります。  内外価格差の是正策について言えば、政府としては、今後とも、製品輸入の促進、規制緩和などを通じた競争の促進や合理的な流通構造の実現、農業等におけるより一層の生産性の向上等により、内外価格差の縮小には努力を続けてまいりたいと考えております。  厚生年金についてのお尋ねもございましたが、人口の高齢化の急速な進展の中で、年金の給付水準を維持しながら後世の負担を適正なものとしていくためには、十分な準備期間を設け、段階的に支給開始年齢を引き上げていくことが現実的な方策であると考えております。また、支給開始年齢の引き上げに際しては、六十歳代前半層の雇用の確保に留意する必要があると考えており、関係閣僚による懇談会を設けて施策の推進にも当たってまいります。  なお、年金額の引き上げの切り離し、直ちにという御意見でありましたが、物価スライドはもとより、年金給付の実質改善につきましても早期実施すべきであるということはよくわかりますが、給付改善とそれに伴う負担とを切り離してしまうことは適当でないと考えながら、努力を続けさせていただきます。(拍手)  婦人の地位向上の問題でありますが、昭和六十二年五月「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」を策定し、具体的施策を検討いたします。  同計画において、国の審議会における婦人の登用の推進については、平成二年度にこれまでの目標値の一〇%の実現を目指し、さらに二〇〇〇年に向けて政府全体として一五%を目指すことを新たな目標として設定をし、努力をいたしておりますが、婦人の地位向上に対しては、私どもは積極的に努力を進めていく考えでございます。  パートタイム労働法及び育児休業法の制定についてもお触れになりましたが、パートタイムの労働者については、その条件の改善、雇用の安定を図るため、対策を総合的に既に推進しているところでございますし、また、女子労働者が職業生活と家庭生活との調和が図れるよう環境条件を整備することは重要な課題と認識し、育児休業制度については、現段階の普及状況にかんがみ、「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」の趣旨に沿うように、一層の普及促進に努める所存であります。  また、ILO百五十六号条約につきましては、家族的責任を有する男女労働者の必要を考慮した措置をとるよう求められているところでありますが、その趣旨はよくわかるのですけれども、我が国の現状においては、その適用について国内でコンセンサスが得られているとは言いがたいので、なお検討させていただきます。  農業の長期展望については、農家の方々が誇りと希望を持って農業を営める環境をつくり上げることが重要であると私は認識しております。このため、農業者が将来を見通しつつ営農を展開することができるよう、現行の長期見通しにかえまして、二〇〇〇年を目標年次とする新たな農産物の需要と生産の長期見通しを策定していく所存であります。  米につきましては、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議の御趣旨も体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる所存であります。(拍手)  所信表明において、私の言葉もいろいろ御引用なさり、リクルートという言葉が出ていなかったということをおっしゃいましたが、リクルートという言葉は直接なかったと思いますが、私は、参議院通常選挙の結果を厳粛に受けとめ、謙虚に反省して政治改革に取り組むということを申し上げておりますし、政治家一人一人が高い倫理を確立すべきことも大切である、また、疑惑を招くことのない規律ある行政を確立すること等を強調してきております。リクルート事件の反省に立って、その教訓を十分に生かす姿勢を述べておるものでありますから、改めて申し上げさしていただいておきます。  証人喚問等については、国会において定められる問題でありますから、十分のお話し合いを期待いたします。  また、さきの国会において法令の許す範囲内で可能な限りの最終報告をしたものと承知いたしておりますが、国会からの御要請があれば、さらに国会での御議論を、そしてそれによって許す範囲内での御協力ができるか検討をする所存でございます。  また、衆議院の選挙制度にもお触れになりましたが、衆議院議員の定数是正問題については、昭和六十一年の定数是正に際し、速やかに抜本的な検討を行う旨本会議においても決議されているところであり、事柄の性格上、各党で十分御論議いただくことが大切だと考えておりますし、政府といたしましても、定数是正を含む選挙制度の根本的な改革の方策については、選挙制度審議会において審議をしていただいておるところであります。  自民党提案の政治資金規正法の改正法案等により企業献金やパーティー収入がどうなるかという点のお尋ねでありますけれども、自民党においては、公職選挙法及び政治資金規正法の改正法案を前国会に提出済みであり、そこには、冠婚葬祭などへの寄附禁止の強化、この実施による定量的な効果を示すことは困難でありますが、相当効果のある現実的な案として評価をし、今国会において速やかに成立されることを期待をいたしております。  野党三党の公職選挙法改正案、御提唱のものは、寄附禁止の徹底を図ろうとする点においては自民党提案の内容と共通するものがあると理解をいたしております。審議において適切な結論が得られるように期待をいたします。  なお、企業献金の禁止の問題については、企業も一つの社会的存在であり、企業が行う政治活動に関する寄附がよくないと決めてかかるのは適当でないと考えております。  政治資金の公開性を高める努力は必要と考え、今、改正案を国会において御論議願っておりますから、適切な結論を得られることを切望いたします。  情報公開法の制定についてもお尋ねがありましたが、行政改革大綱等に基づいて、文書閲覧窓口、閲覧目録の整備などにより行政情報の公開に努めているところでありますが、さらに広範多岐にわたる関連諸制度との調整など検討すべき実施課題もたくさんございますので、引き続き調査検討を進めてまいりたいと思います。  なお、最後に、国会の速やかな解散・総選挙をとも申されましたが、私は、今与えられた政策課題に全力を尽くして取り組んでいくつもりでございますから、選挙のことは考えておりません。(拍手)     ─────────────

田村元無所属議長

○議長(田村元君) 三塚博君。     〔三塚博君登壇〕

三塚博自由民主党

○三塚博君 私は、自由民主党を代表いたしまして、海部総理の所信表明に対し質問をいたします。  先般の参議院通常選挙においては、我が党は国民からかつてない不信と鋭い批判を受けました。記録的な大敗を喫したところであります。私どもは、この原因が那辺にあるかを厳しく分析、追求 し、かつ謙虚に反省する中で、信頼回復の諸方策を確立し、党の再出発を図らなければなりません。政治の原点はまさに国民にあり。その負託を受けて国政の衝に当たるわけでございますから、政権与党にある者、絶えず国民の声に耳を傾け、声なき声に心耳を澄まし、誤りなきを期さなければなりません。我が党は、総裁を中心に全党員心を合わせ、諸改革を進め、国民とともに二十一世紀を目指すことをここに誓うものであります。(拍手)  戦後四十年、我が国は世界が驚く大変革をなし遂げてまいりました。これは、まさに風雪に耐え、刻苦勉励、議会制民主主義のもとに、国民各位とともに平和国家の礎を一歩一歩踏み固めつつ、見事な社会経済システムをつくり上げ、内外の変動に対応し、成長を遂げてまいりました。今やサミットの常連国として重要な役割を担うに至りました。  思えば、我が国が国際政治会談に登場いたしましたのは、大正八年、第一次世界大戦後の戦後処理の平和会議たるベルサイユ会議でありました。時に全権大使は牧野伸顕氏であります。そして、七十年たちました今日、先般のカンボジア和平会議の主要国として戦後初の政治会談に臨むことに相なりました。まさに隔世の感があります。  一方、国内に目を転ずれば、世界一の長寿国家として、かつ福祉国家の真価が問われるときに来ております。社会主義者もうらやむ歴史上のまれに見る豊かな平等社会を実現したのでありますが、しかし、その反面、土地問題がもたらす矛盾、各種産業間の対立、都市と農村の乖離などが調和を乱し、国民各層に断絶を生ぜしめ、政治の大問題に相なっております。  総理は、内外ともに大変革の時代に当たり、いかなる決意を持って臨むのか、お聞かせをいただきます。  次に、参議院選において問われた今日的課題についてお伺いをいたします。  その第一は、政治改革であります。  リクルート事件は、政党政治のあり方に数々の問題を投げかけました。政治は国民と政治家の信頼関係が基本であります限り、本事件が起きた背景を踏まえ、その根を断たなければなりません。政治倫理の確立が叫ばれるゆえんであります。  政治家は、選良という名のごとく、職務に関し公正でなければなりません。倫理的義務を自覚し、当然のことながら国民全体の福祉や公益の実現を目指さなければなりません。今は亡き田中六助政調会長は、病を押してこの演壇に立ち、マックス・ウエーバーの名著「職業としての政治」を引用し、禁欲こそ政治家の大きな課題であり、物欲をなくすことがその務めであると喝破をされました。(拍手)  我が党は、閣僚だけではなく、全国会議員を対象とする国会議員などの資産公開法を取りまとめ、行為規範及び政治倫理審査会の改正強化案とともに、第百十四回、すなわち、さきの国会に提示をいたしたのであります。今国会で必ず成立を期さなければなりません。  第二は、政治資金の制度の改革であります。  政治資金は、本来、政治に携わる者にとりまして、政治活動の自由を支える大きな役割を果たすものであります。また、寄附する側にとりましても、政治的意思をあらわす重要な権利と言われております。しかしながら、昨今、政党活動の多様化に伴い、庶民感覚からは到底理解しがたい多額の資金が必要となり、その使途及び収入先の不透明さと相まちまして政治不信の原因と相なっております。  よって、我が党は、政治資金制度本来の役割を明確にいたしますため、政治資金の節減、公正化、公開化等を目的とした新しい秩序を確立すべく、これまた第百十四回国会に公職選挙法及び政治資金規正法の改正案を提案いたしたのであります。寄附の制限、パーティーの規制、献金の公開制の強化等を内容とするものであります。今国会の成立は至上命題であります。  同時に、政党の公的機能にかんがみ、選挙制度の改革にあわせて、新たな国庫負担を中心とする政党法の制定についても検討しなければなりません。  第三は、選挙制度の改革であります。  当面の問題はさておき、何といたしましても政治改革の柱となりますのは、現行衆議院の中選挙区制の大改革にあります。中選挙区制のもとでは、個人中心の選挙となることが避けられず、同じ政党同士が競い合うこととなり、その結果として、日常の政治活動はもとより、選挙期間中においても、本来の政策を超えて投票誘導的なものに陥らざるを得ないのではないかと言われております。  勢い政治家個人の後援会活動が強化され、多額の資金を必要とすることと相なります。結果として、政策を中心とする政治の緊張感を喪失させ、政策の決定が、本来の論争の結果としてではなく、選挙区及び選挙民の動向に左右されがちとなり、政治本来の機能を失わせるのではないかと思うのであります。これまた政治不信の原因であります。  あまつさえ、政党内に派閥を発生せしめ、時に党の機能を超えた派閥の活動が大きな批判を生んだことは記憶に新しいところであります。また、派閥運営に膨大な資金を必要とし、派閥の領袖はその責め苦に呻吟することと相なるのであります。  私は、その弊害を改め、議会政治を活性化し、国民による国民のための政策本位の政治を実現するためには、政党政治の根源に深く根差した小選挙区制の実現こそ根本的な政治改革と信ずるのであります。(拍手)総理は、小選挙区制実現のため、その先頭に立たれることを心から望むものであります。  時あたかも明年は我が国議会開設百年目という大きな節目に当たります。この小選挙区制実現の大輪の花を咲かせてこそ、議会開設に心血を注いだ先人の偉業に沿い、国民の期待にこたえることに相なるのであります。我が党はその先頭に立つことをここに明らかにいたします。目を二十一世紀にかっと見開き、国民本位、政策本位の政党政治を、二十一世紀を待たず、一日も早く実現することにともに行動しようではありませんか。  第四は、国会の改革であります。  各種の世論調査にも明らかなように、我が国の国会運営のわかりにくさ、審議の形骸化は、これまた国民の政治不信の大きな原因と相なっております。  その一つは、審議拒否の問題であります。自分の主張が通らなければ審議をボイコットするというのでは、何のための国会かと言わなければなりません。残念ながら、ここ数年、このあしき国会運営が続出しております。特に、昨年の税制改革国会において、社会党は公約違反を盾に時に消費税審議のボイコットを行いました。これは、まさにストライキ以外の何物でもありません。理屈はともあれ、憲法、国会法違反ではないかとの国民の声にどうこたえるか。(拍手)  すなわち、消費税提案の経過を申し述べれば、昭和六十二年四月二十三日、大混乱をいたしました売上税国会を原議長が収拾するため、時の自民党幹事長、社公民書記長を議長室に招き、議長あっせん案を示したのであります。その骨子は、売上税関連法案は議長が預かる、しかし、税制改革問題は現在における最重要課題の一つであり、したがって、直間比率の見直しなど今後早期にこれを実現できるよう各党協議し、最大限の努力をする。第二は、税制改革に関する協議機関を設置し、税制改正について協議をするということでありました。各党がこれを了承し、この裁定を受けて税制協議会をつくったのであります。その後、政府は税制改革案、すなわち消費税法を国会に提案したものであり、野党の言う公約違反のそしりは全く当たりません。(拍手)  まさに国権の最高機関たる立法府の議長の裁定は極めて重く、議長裁定を無視したり勝手に解釈したのでは、議会政治は全く成り立たないのであります。これを盾に審議に応じないなどというのでは、議会政党の資格なしと断ぜられても返す言葉はないのではないか。審議拒否は審議権の放棄であり、国会議員の職務違反であり、論外であります。こんなことをやっていたのでは、政治不信はその極に達し、議会政治は崩壊するだけではなく、いつか来た道をみずから呼び起こしかねないことを心から憂えるものであります。  かつて、この演壇から、また予算委員会において、議会政治の原点より、国家と国民の現状と行く末に思いをいたし、かつ世界平和を論じた数々の名演説が行われ、白熱した討議が展開をされました。古くは尾崎行雄、犬養毅、永井柳太郎、斉藤隆夫、中野正剛の各先達の舌鋒は、時に政府を立ちどまらせ、時に内閣を総辞職に追い込み、我が国議会政治の進展に寄与いたしたのであります。  議会に論戦の火が消えたときは、国民にとって最悪の日となり、言論の放棄は議会政治の自殺行為につながり、討論の花咲くとき、国民の心は議会に引きつけられるのであります。わかりやすくて効率的な国会運営により審議を充実させ、言論の花を咲かせ、国会を活性化させることこそ、緊急の課題であります。  そのために、いわゆる国対政治の弊害を改め、政党政治の原点、議会制民主主義の原則に立ち返り、議員立法の促進、議案の委員会即時付託、審議の充実等を実現させなければなりません。また、重要政策については政党間討議の道を開くべきと思いますが、もちろん野党各党においては異論がありますまい。これこそ国民主権にふさわしい開かれた国会の第一歩だと思います。議長におかれましては、ぜひともその道を開くべく最善の努力をお願いしたいと存じます。(拍手)  次に、税制について申し上げます。  まず、今なぜ消費税が必要なのかについて、各方面から、よくわからない、教えてほしいという声があります。その代表的なものを幾つか申し上げますから、総理は国民に対しこの疑問に率直にお答えを願いたいと思います。  一つは、働き盛りの中堅サラリーマンを中心とした重税感、不公平感を解消するため消費税の導入を行ったというが、その内容いかん。  その二は、特定の物品にだけ重い負担を課していた間接税のひずみを是正するため消費税を導入したというのでありますが、ひずみの実態はいかがに相なっておったのか、お聞かせください。  第三は、この消費税は高齢化社会に対応するためというが、お年寄りや立場の弱い方々にしわ寄せをし、弱い者いじめではないかというこの批判にどうお答えになられるか。  第四は、不公平税制をそのままにして新たに税を取ることにしたと思えるがどうかという批判であります。すなわち、大企業優遇策をそのままにしているのはいかがか、宗教法人は、お医者さんは、株式は、土地転がしは、などなどであります。  先日、野党は消費税廃止法案を提出いたしました。しかし、肝心の財源法案をいまだ出しておりません。粗削りの、しかもその場しのぎの継ぎはぎだらけの二年間の暫定財源の要綱らしきものを拝見いたしました。野党は、来年三月三十一日消費税廃案後、二カ年かけて再改革法案をまとめるというのでありますが、この代替財源案は、一年に六兆円、二年で十二兆円の財源の穴があくのでありますが、その埋め合わせをすると称しておりますけれども、いささかも真剣さが感じられません。これは私一人の言ではないと思うのであります。  社会党は、参議院選挙中、主として国債発行と自然増収で二年間の穴を埋めると言っておられました。選挙後は、国民の強い批判の中で、後世代に負担を強いる借金政策を撤回し、四野党協議の結果として、当面の増税案等を出してきたのであります。  消費税廃止というからには、その穴埋めは確実な財源によらなければなりません。景気の波に支配される不確定な財源を当てにするわけにはまいりません。しかし、今回発表の代替財源案なるものの骨子を見ますと、依然として自然増収一兆三千億円という不確実な財源を当てにいたしております。また、あれだけ評判の悪かった物品税を以前に戻す、法人税を据え置く、キャピタルゲインの課税はともに行ったのでありますが、さらにこれを強化するなどなどうたっておるのであります。この代替財源案といえども、法律になれば新しい税法であり、新増税法であります。国民は、この二年間、この不合理な税法に従い税金を納めていかなければなりません。  四野党の税制再改革基本法案は二年後に成案を得るという前提でありますが、その柱は、納税者番号、いわゆる背番号制度による総合課税方式であると言われております。この思想は、かねがね社会党政策の中核をなすものであり、国民は正直に申告をしておらないのではないか、膨大な所得隠しがあるのではないかとしておるものでございまして、隠し所得を背番号制により明らかにいたしますれば税金はもっと取れるはずだと言うのでありますが、総理はいかにお考えかお伺いをいたします。  さて、見直し案についてお伺いをいたします。  消費税が一年を経ずして見直し作業に入らざるを得なくなりましたのは、参議院選挙の結果もさることながら、税の最終の負担者たる消費者の理解と協力を得ることが不十分であったことにほかなりません。総理は、消費者の立場を十分配慮して見直す点は思い切って見直すと言われておりますが、まさに重要な視点であります。  政治は国民あっての政治であります。政治の主人公は国民であり、国民の中心は消費者であります。事業者も生産者も、一面は消費者たる性格を持ちますので、消費者の動向が生産の方向を決定することに相なります。消費者は国の経済や行政の主人公に位置づけられなければなりません。かつ、消費者には、若者もおれば壮年も、またお年寄りも障害を持たれた方々も、難病で苦しんでおられる方々もおられます。総理、今、国会の消費税の論争を通じ、政治の最大の課題たる高齢化時代の福祉政策は、すなわち老後の生活のあり方を、負担と受益の両面から、国民負担はどうあるべきかを含め、本音の論議を通じまして構築すべきときと思うが、いかがか。お伺いをいたします。  若者も人生の摂理の中でやがて老いてまいります。この世は混然一体の中で世代間の連帯協調が基本でなければなりません。二十一世紀を生き抜くための国民のエネルギーの基本たる税制について、真剣な、そして徹底した審議をお願いするゆえんはまさにここにあります。総理は思い切った見直しと明言されておりますので、改めて、その進め方、見直しの基準はどこに求めるのか、決定はいつごろになるのか、お伺いをいたします。  ここで、本院議員として一言申し述べたいことがあります。  憲法第六十条によりますれば、「予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。」こととされ、いわゆる衆議院先議の原則が定められております。今回参議院に提出されました野党提案による消費税廃止法案は、その内容からいってまさに予算の根幹にかかわるものであります。このような重要な予算関連法案が、たとえ参議院議員提案とはいえ参議院で先議されるということは、その例もないし、そもそも憲法の定める予算衆議院先議の精神に反するものではないかと考えるのであります。何とぞ議院運営委員会におきましてこれを御協議賜りたいということをお願いを申し上げておきます。  稲作は、二千年以上の我が国の歴史を支えてきたバックボーンであり、文化の源でもあります。 いにしえより為政者は稲穂の実りぐあいを案じ、民の生活に心を痛めてまいりました。水田は、時にかんがいの役目を果たし、災害から国土を守り、美しい我が国環境の保全に役立ってまいりました。  農業を守ることについては、何人も否定できないと思います。私もまた、米どころ東北の出身であります。その農業が、今日自由化のあらしの中に立っております。農業者もまた、農業の将来に大きな不安を抱いております。その最大のものは、米の自由化問題であります。米国の精米業者協会の米国通商法三〇一条に基づく提訴は、我が党と政府の強い働きにより却下されてはおりますが、米国内には我が国の米の市場開放に引き続き強い関心を持っているとの報道があり、農家の不安は募るばかりであります。  私は、今日の農産品自由化の中で、農業は、言うならば貿易産業界、すなわち輸出産業の恒常的な黒字の犠牲者であると言っても過言ではないと思うのであります。産業間の調整を言うとき忘れてならないのは、農家、農民との関係であります。相互の理解と助け合いの中で、この不信の溝を埋めてまいらなければなりません。政治の強い働きを痛感する次第であります。  我が党は米の自由化は断じて行うべきものではないと考えておりますが、米の自由化問題並びに農業、農村の将来について総理はどのように考えておられるか、御所見をお伺いをしたいと思うのであります。  このほか、行財政の改革、教育改革と芸術文化の振興、福祉問題、土地問題、内外価格差問題、地球環境問題、科学技術、エネルギー対策等々の喫緊の重要課題については、予算委員会における我が党の同僚議員の質疑にお任せをし、この際、省略をいたします。  さて、日本の国力が国際社会の中でこれほど大きな重みを持つに至った現在、外交の持つ決定的な重要性を忘れてはなりません。  翻って、約百二十年にわたる明治以来の近代日本の歴史を顧みるに、我が国はほぼ四十年ごとに大きな転機を迎えてまいりました。その転機は、そのときまで日本が持っていた体制や政策と世界の体制との間に余りにも大きなそごを生じ、その結果、日本が表面的な修正では済まない革命的な改革を迫られたということであります。特に、日露戦争から戦後、今日までに至る四十年間、日本の歩んだ悲劇は、日本が、当時の国際社会の大きな潮流から取り残されながらも、それに気づくことなく、外交の基本方針を変えなかったことにあると言われております。  戦後四十年余りの風雪を経て、今や日本は、国際社会に大きな影響力を有する国家として認められるに至りました。私自身、わずか六十九日間の短い期間でありましたが、外務大臣として主要国の首脳及び外務大臣や経済関係閣僚と会談をし、国際社会の日本に寄せる期待の大きさを身をもって体験をいたしました。  国際社会の主要なメンバーとなることは、国家にとって名誉なことではあります。しかし、同時に、大きな責任を伴うことを意味します。そして、この責任をどのように担っていくかが今後の日本の命運を大きく左右することは、過去の歴史の示すとおりであります。その意味で、我々の課題は、孤高の道を選んだ戦前の過ちを繰り返すことなく、世界の平和と繁栄という嵩高な目標に向け、主体的な貢献を行うことにあります。  この関連で、総理は、国際社会における我が国の使命をどのように考え、そのための国際協力構想をどのように推進をされるか、お伺いをいたします。  また、世界の経済大国たる日本は、その一挙手一投足が多くの諸外国にいわば外圧ともいうべき大きな影響を与える存在になっておることを認識しなければなりません。また、かつてアメリカ大統領が一般教書に「JAPAN」という一行を記したというので当時政府・与党は大変喜んだことを考えますと、隔世の感を禁じ得ないのであります。  そこで、対米を中心とした巨大な貿易不均衡を抱える我が国は、その対外経済政策をどのように進めようとしておるか、お伺いをいたします。  もとより世界に貢献していくためには、グローバルな見地に立った協力関係のあり方をまず米国を初めとする主要先進国と十分協議していくことが必要であります。その意味で、総理が就任早々まず最初にブッシュ大統領と会談され、日米のグローバル・パートナーシップを確認されましたことは、極めて意義のあることと考えます。特に米国には、ゴルバチョフ書記長のペレストロイカによるソ連社会の変化が進む中で、対ソ脅威感が以前より薄れつつあるという状況のもと、日本社会の特殊性、異質性を強調する考えが台頭しつつあります。昨今のアメリカの世論調査に示されるごとく、恐ろしきはソ連ではなくジャパンである、日本であるということであります。このような動きは今後の長期的な日米関係に大きな意味を持ってくると考えますが、総理の所見をお伺いをいたします。  日本が大きな革命的変革の時期に直面している現在、世界もまた戦後最大の転機にあります。その最大の原因は、ソ連を初めとする社会主義国において自由と変革を求める国民の声がほうはいとして沸き上がってきておるところであります。このことは、戦後日本の選択した自由と民主主義の体制の正しさを証明するものであり、我が国としてもこのような東側諸国の好ましい動きを定着させるべく、外交努力を行っていく必要があります。(拍手)  他方、いわゆるソ連の新思考外交が、アジア、特に対日外交において十分反映されていないとの状況の中で、対ソ外交をどう進めるおつもりか、重要な問題でありますので、お答えいただきます。  また、ソ連のペレストロイカに先立って十年にわたり改革・開放路線を堅持してきた中国のイメージが、天安門事件という悲劇的な事件によって大きく損なわれたのであります。私は、外務大臣として、サミットの場において、中国は我が国にとり至近の距離にあり、中国の鼓動、悲喜こもごもが伝わってまいる、これを孤立化せしめることは決してアジアの安定にならない、また西側の利益にならない旨を強く主張いたし、今日の状況をつくりましたのであります。政府としては、中国との関係をどのように考えておられるか、お伺いをいたします。  国家として国民に負託されておる最大の任務の一つは、国の安全保障の確保にあります。我が国の外交は、日米安保体制のもと、この使命を見事に果たしてまいりました。外交の要諦は、国際的な信頼の中で、外交の継続性、一貫性を維持することにあります。特に戦後の外交の基本路線が我が国の今日の平和と繁栄の基礎となってまいることを考えれば、なおさらであります。まさに我が党の政策選択の正しさの証明であります。吉田、鳩山、岸氏を初めとする歴代総理・総裁と我が党の先達の見識に、私は国民とともにこの議場より深く敬意を表するものであります。(拍手)  社会党は、いわゆる連合政権協議の中で、安保体制について、安保条約の維持は表明しつつも、同時に日米共同作戦の中止、米軍基地の縮小、撤去などをうたっております。このことは、結局は安保体制の変質につながるものであることは明々白々であります。  最後に、昨今の自由民主党の一党支配が余りにも長期にわたったことの是非が云々されております。私は、そのこと自体決して問題ではないと考えております。二大政党制の見本と言われる英国において、十八世紀の最初の六十年はホイッグ党による長期政権が続きました。米国においても、フランクリン・ルーズベルト大統領以来、アイゼンハワー政権の八年を除き、四十年近い民主党政権が続いたのであります。自民党政権も四十年に わたり、そのたびごとの総選挙の洗礼を受けつつ、時代を先取りした政策を提示し、実行しながら政権を担当してまいったのであります。何ら権力を勝手に独占しているわけではありません。自民党は、「保守したくば改革せよ」とのエドモンド・バーグの言葉のように、そのときの社会経済情勢から見て必要な変革を断行してきたからこそ国民の支持を得てきたのであります。  我々の成否は、冒頭申し上げました、将来にわたって活力にあふれ公正な社会を続けるため、必要な国内の改革を行い、同時に、今日の日本の置かれておる国際社会の中の地位にふさわしい責任を果たすため、時として痛みを伴う変革を先取りしなければならぬことであります。  我が国の歴史は今転換期に立っております。我々は過去の過ちを断じて繰り返してはなりません。それが我々子孫に対する我々の責任であります。そのような歴史的展望に立って、総理が内外の政治に渾身の力を振り絞って邁進されんことをここに渇望し、私の質疑を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(海部俊樹君) 三塚政調会長の御質問にお答えをいたします。  国政を担当していく決意いかんということでございますが、御指摘のとおり、我が国は今内外ともに極めて重要な時期に直面しているとの認識のもとに立って、外にあって、日本は世界のために何ができるか、そして世界の平和と安定のために汗を流していくという志のある外交を展開していきたいと決意をいたしておりますし、また中にあっては、対話と改革を続けながら、政治への信頼回復に努め、その上に立って、「公正で、心豊かな社会」の実現を図る決意でございます。来るべき二十一世紀は、心が通い合い生気あふれる社会にしたいことを目標に全力を挙げて頑張っていきたいと思っております。     〔議長退席、副議長着席〕  政治改革の問題については、第一に政治倫理の問題のお尋ねでありますが、国民の信頼を回復し、健全な議会政治を確立するためには、議員御指摘のように、リクルート事件に端を発した批判を率直に受けとめて、勇気を持って政治改革を推進しなければならないと考えております。  政治改革に当たっては、政治倫理の確立を図るとともに、政治資金における公私の区別の明確化と透明性の確保、金のかからない政治活動や政策を中心とする選挙の実現など、抜本的な改革が不可欠だと考えており、政治改革に関する有識者会議の提言あるいは党政治改革委員会の政治改革大綱の実施に全力を尽くしてまいる決意であります。  政治家が保つべき政治姿勢の指針は政治倫理綱領に言い尽くされており、この綱領を遵守することが何よりも重要と考えますし、御指摘の国会議員の資産公開を含む政治倫理の確立についても、各党において法制化に向けた御努力が続けられておると承知いたしております。今国会における法制化を強く期待いたしております。  さらに、政治資金制度の改革にもお触れになりましたが、さきの国会において、自由民主党から冠婚葬祭等への寄附規制の強化、パーティー規制等を内容とする公職選挙法及び政治資金規正法の改正案、日本社会党など三党から公職選挙法の改正案が提案されており、大局的見地から論議を尽くされ、今国会中に成立することを期待をいたしております。  なお、選挙区制のあり方は、政策本位の選挙の実現という見地から検討することが必要であり、自民党の政治改革大綱で小選挙区制の導入を基本とした抜本改革に取り組むとされておることは、三塚議員御発言のとおりでありますが、現在、選挙制度審議会において、衆議院の定数抜本是正、選挙区制のあり方等を論議していただいているところであり、その御答申をいただいた上は、その御趣旨を尊重し、各党各会派の御理解と御協力を得て実現に邁進していくつもりであります。  また、所得税減税、間接税のゆがみ、弱者対策等について懸念をこの場で表明され、いかに考えるかというお尋ねでございました。  消費税の創設を含む今回の税制改革は、従来の我が国税制が抱えていたさまざまなゆがみやひずみの是正、サラリーマン層を中心とする重税感の解消、急速に進む高齢化社会に備えた安定的な財源確保を目的として行われるものというのは、議員御指摘のとおりでございます。  すなわち、第一は、今般の所得減税。子供の教育費や住宅ローンなどの支出がかさむ働き盛りの中堅サラリーマンにとって、所得税の負担累増感は、生活にゆとりが感じられない大きな負担になっていたことも御指摘のとおりであります。このため、所得税の税率引き下げや最低税率の適用範囲の大幅な拡大により、サラリーマンの約九割が一〇%の最低税率一本で済むように所得税減税を断行をいたしました。その規模は、所得税、住民税を合わせて総額三兆三千億円に上る思い切ったものであります。  さらに、御指摘のように、従来の物品税等は、課税されるものがあったり、課税されても税率がばらばらであったりとの御指摘でございますが、負担の公平や経済への中立性という点から時代おくれの税制となったという御指摘も、そのとおりの面が多々あって、例えばコーヒーや白黒テレビ、普通の家具は課税され、紅茶やワープロ、桐のたんすが課税されないということ、美容のための化粧品が課税で全身美容が非課税であることなど、アンバランスの例は数え上げれば枚挙にいとまがございません。  このような問題の多い個別物品税制度を二十一世紀にふさわしい間接税制度に改めようとしておるものでありますから、御理解をいただきたいと思いますし、また、消費税は、社会共通の費用はできるだけ広く薄く国民全体で分かち合い、国民全員でこれからの社会を支えていこうという意識に立ったものであります。  今日、国民の平均寿命が長くなり、八十歳以上の人口が急速に増加しつつあるという現実を踏まえ、今後の本格的な高齢化社会に備えるためには、所得に対する負担に偏らないで、生活の規模に応じて薄く広く負担していただく税と適切に組み合わせることが不可欠であるとの観点をも踏まえて創設をしたものでございます。  原則的として、あらゆる物品やサービスが課税対象となるため、お年寄りや社会的に立場の弱い方々にも消費税の負担が及ぶ、議員御指摘の逆進性という点については、歳出面を含めた財政全体で逆進性かどうかということを御判断いただきたいと思いますし、政府といたしましては、真に手を差し伸べるべき方々に対しては、他の制度や社会保障施策等の面できめ細かな配慮を行っておるところでありますから、どうぞ御理解をいただきたいと考えます。(拍手)  また、不公平税制をそのままにして新たに税を取ることにしたことではないかとおっしゃいますが、御承知のように、税負担の公平確保は納税者の信頼を得るために重要な理念の一つであり、我が党は従来からいろいろな努力を重ねてきておるところでありますが、御指摘の大企業優遇策に関しては、企業関係の租税特別措置について昭和五十一年度以降連年にわたり厳しい整理合理化を行っておるところでありますし、宗教法人を含む公益法人に対する課税については、収益事業の範囲の見直しを行ったところであり、課税の適正化に努めてきておりますし、個人による法人資産の私的流用については、税務調査により厳正に対処しておるところであります。  また、医師に対しては、社会保険診療報酬課税の特例について、先般の税制改革で、社会保険診療報酬五千万円を超える医師には特例を適用しないという適正化措置を講じ、個人の株式売却益などの有価証券譲渡益に対する課税についても、税制改革において原則非課税から原則課税に改めたところでありますし、いわゆる土地転がしなど御指 摘のあった土地譲渡益については、既に一昨年九月の税制改革において、その改正を図る観点から、重い税負担を求める超短期重課制度を創設して十分に対処しているところであります。今後とも努力を続けて公平な税負担の実現を目指していくつもりでございます。  納税者番号制度による総合課税方式をどう考えるかというお尋ねでありましたが、現行所得税制の基本が総合課税であることは、議員御承知のとおりと思います。租税特別措置により分離課税とされている株式譲渡益や利子等については、所得の捕捉体制が不十分なまま本則の総合課税に戻すことは、実質的な不公平がかえって増大するという心配もあります。実質的な公平を図るためには、すべての所得をただ総合課税すれば増収になるといった考えについては、私はいささかの疑問を感じておりますが、すべての所得について完璧な総合課税を実施するためには、納税者番号の導入を初めとする所得の完全な把握体制が不可欠となってまいります。  納税者番号制度については、制度の前提となる番号をどうするかなどについて幅広い視点からの検討を行うとともに、プライバシーの問題、制度導入に伴い国民が受けなければならない煩わしさや費用等についての理解と合意を得ることが何よりも必要な前提だとも考えます。  いずれにせよ、納税者番号制度の導入については、国民の合意形成の状況を見守りつつさらに検討していくことが適当と考えておりますが、税制調査会の答申にも指摘されておることでもあり、なお、最後に申し上げたいことは、一部に適正な申告納税を行っていない人があるとしても、多くの納税者は適正な申告納税をされているものと私は考えて検討を続けてまいりたいと思います。  消費税の見直しについては、既に税制調査会において各層の皆さんから生の声を伺うなど見直しの勉強を始めておるところであります。実施状況を踏まえ、消費税を取り巻くあらゆる事項について議論、検討した上で結論を出すべきものと考えておりますが、いずれにしましても、消費税の見直しについては、予算編成の日程をも念頭に置き、できるだけ早い機会に国民の御理解と納得が得られるような具体的な姿をお示しできるようにしたいと考えております。  米の問題についてもお触れになりましたが、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議の趣旨を体し、国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいりたいと考えております。(拍手)  なお、関連して、農業、農村の将来展望についてもお述べになりましたが、我が農業は、バイオテクノロジー等の技術革新が進む中で、農業者の創意工夫により地域の特性を生かしつつ魅力ある産業とすることは十分可能であると考えておりますし、今後の農政の推進に当たっては、農業者が将来を見通しつつ農業を営めるような長期的展望を示すとともに、農業経営の安定を確保しつつ、納得のできる価格での安定的な食糧供給を図ってまいる考えでありますが、国土の均衡ある発展に資するため、農業の持つ多面的役割を重視し、農村の活性化を図ってまいりたいと考えております。  外交について、我が国の使命と国際協力構想についてのお尋ねでありますけれども、我が国は積極的に世界に貢献していくことを日本の大きな使命であると自覚をしております。  今や我が国は、平和のための協力、ODAの拡充、国際文化交流の強化を三本柱とする国際協力構想に取り組み、さらに具体化し発展させて、さきの所信表明でも明らかにしましたように、地球環境保全、累積債務問題をもあわせて、世界的規模の問題解決のため力を傾注してまいる考えでおります。  対外経済摩擦に対しましては、我が国の対外不均衡が改善傾向は見られますものの、我が国を取り巻く貿易経済問題には依然として厳しいものがございます。引き続き、インフレなき内需主導型の経済運営を堅持するとともに、規制緩和や構造調整や市場アクセスの改善を通じ、輸入の拡大に努め、対外不均衡の是正に努めてまいる考えでございます。  また、アメリカ社会で最近起こった日本の特殊性を強調する議論についてどう考えるかということでありますが、私も所信表明で述べましたように、日米は、最も長い、そして最も深い信頼関係に立脚したパートナーであります。これからも、歴史や文化や伝統の違いによっていろいろの差は幾らかあるとしても、あることがむしろ当然のことであって、それは語り合いながら、話し合いながら解決をしていかなければなりません。異質性だけを探して、そこだけを殊さら強調していくことは建設的な考えではないと私は考え、私の気持ちを強調していきたいと思います。(拍手)  ソ連に対する外交については、日ソ間の関係改善実現のためには、北方領土問題を解決をして平和条約を締結することにより相互信頼の基盤をつくることが不可欠である、このお考えには全く同感であります。  また、平和条約交渉の進展とともに日ソ関係全体を拡大均衡させていきたいと基本的に考えておりますが、今般、ソ連側より、一九九一年ゴルバチョフ書記長が日本を訪問するとの意向の表明が外相会談でございました。これを節目として歓迎するとともに、一層日ソ間の対話を進め、前進を期待しておるところであります。  対中関係については、日中関係は国交正常化以来おおむね順調な発展をたどってきておりますが、本年六月四日のあの事態発生により、現在のところ協力、交流等は制約されており、全体的に停滞しております。中国との間において良好にして安定した関係を維持発展していくことはアジアの平和と安定のためにも重要でありますから、我が国は、中国の近代化建設に、開放・改革政策の方向を変えない限り協力していくとの基本的な方針で対処していこうと思っております。中国が再びこのようなことが可能となる環境をつくり出すべく努力されることを強く期待をいたしております。  安保政策についてのお考えをお述べになり、どう思うかということでございますが、国の安全と繁栄を維持し国民の生命財産を守ることは、政府としては最も重大な責務であると考えております。  最近の国際情勢には、東西関係の進展など新しい動きは見られますけれども、他方、国際社会の平和と安全が依然として力の均衡と抑止によって維持されておるということもまた冷厳な事実でございます。このような状況のもとで単独で国の安全を確保することは困難であり、我が国が必要最小限度の自衛力を整備するとともに、米国との安全保障体制によってその安全を確保することこそが最も賢明な道であり、かかる我が国としての選択が正しかったことは、三塚議員御指摘のように、我が国が戦後、平和のもと今日の繁栄を築き上げてきたその事実からしても明らかであると考えております。(拍手)  御指摘の御見解は、非現実的な面があると言わざるを得ず、今日の我が国の平和と繁栄を確保するためには、日米安保体制を堅持し、その効果的運営を確保していくことが肝要であると私も考えておりますので、申し上げます。(拍手)     ─────────────

安井吉典無所属副議長

○副議長(安井吉典君) 石田幸四郎君。     〔石田幸四郎君登壇〕

石田幸四郎公明党・国民会議

○石田幸四郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、さきの総理演説に対し質問をいたします。  さて、内平らかにと平成の元号に託した望みとは裏腹に、政界は大激震をいたしました。我が国政治は、積年の病弊が一挙に爆発、内閣支持率が一けたに、その袋小路を脱出するため、竹下、宇野、海部内閣と、つかの間に慌ただしく政権をた らい回しせざるを得なかった異常さは、我が国の政治史において前代未聞の出来事でありました。  総理、現代社会は変化の時代の真っただ中にあります。  国際社会は、ブッシュ大統領が発言をすればゴルバチョフ書記長が即座にこたえる。相互に積極的に軍縮論議が交わされております。米ソのニューデタント時代がさらに模索され、軍縮へのうねりが一段と速度を増しております。その平和へのうねりと、歴代の自民党政権が突き進み、海部内閣における「節度ある」という名の防衛力増強とでは、余りにも大きな隔たりがあります。  所信表明において総理は、平和と軍縮について総論的に決意を述べられておりますが、「新しい時代の扉を開く」と言うにふさわしい具体的内容は何一つ示されておりません。米ソ首脳の軍縮への努力をただ傍観するだけではなく、我が国もまた軍縮への努力を具体的に表明すべきではありませんか。例えば、防衛費はGNP一%枠を厳守する、我が国の防衛費は、世界の軍縮に合わせ、将来は縮小するなどであります。こうした決断こそが新しい時代の扉を開くことであると思います。総理の所信をただすものであります。  その他、日本外交の懸案事項は山積しておりますが、私は、あえて消費税、政治改革などに重点を絞って質問をいたします。  総理、今国会最大の論点は消費税であります。  この国会は、与野党逆転の参議院と自民党多数の衆議院という構成に象徴されるとおり、国民の皆さんがみずからの手でつくり出した新しい舞台であり、その舞台のドラマのてんまつを国民の皆さんは今かたずをのんで見詰めております。  消費税が導入されて半年、竹下元総理の示された九つの懸念は、解消どころかますます拡大されました。年金生活者、所得の少ない人ほど負担が重い逆進性の問題、税率の歯どめがない問題、税制度の欠陥が改めて浮き彫りにされ、国民の不安、不満は拡大し、これが政治、行政に対する不信感を一層増大させております。消費者が支払った税金が国庫に納められていない額は、大蔵省試算でさえ四千八百億の巨額に上ると見られます。  総理、先日ある新聞にこんな一文がございました。「いまの国民の姿は、(消費税という)高い切符を手に、行き先のわからぬ電車の中で不安げな顔を見合せている状態」であると。その不安が的中というか、新行革審の委員から、消費税を白紙撤回すべきであるとか福祉目的税に衣がえはおかしいとする意見が出されたことが伝えられております。  私ども公明党は、選挙結果を率直に受けとめ、他の野党とともに、消費税を廃止し税制再改革を行うべきであるとここに改めて主張をいたすものであります。(拍手)  我々の主張は、反対のための反対ではありません。先月の二十八日、参議院に消費税廃止法案、税制再改革基本法案等を提出をいたしました。そして近く国民合意の税制再改革の内容を検討する二年間に必要な財源法案を提出する予定であります。  すなわち、一、消費税を平成二年、来年の三月三十一日をもって廃止する。二、消費税廃止後、直ちに税制再改革を行うための機関として、学識経験者、国民各階層から成る委員五十名を選び、国民税制改革協議会をスタートさせる。三、平成四年度の予算編成に間に合うように改革協議会の結論を出す。四、この間、暫定二年間の財源については責任のある代替案を示す、というものであります。いわば、消費税を廃止し、暫定二年間の財源を明らかにし、この二年間で国民の皆さんが納得できる税制改革の論議を行ってまいりたい、これが私どもの考え方であります。  この臨時国会に課せられた課題は、私ども野党の廃止論と自民党の見直し論の双方の具体的な考えを国民の前に示し、正々堂々の論議を行うことであります。  総理、今国会の会期末は十二月の十六日。見直し案はいつ提出されますか。大蔵大臣が十二月中旬提案などと姿勢を後退させておりますが、これでは自民党は、今国会で消費税論議は行いませんと論議のすれ違いを最初から意図しているのと同じであり、また、見直し案の骨格を示さずに廃止案の問題点のみを取り上げて論議をしようとするのは極めて僣越であります。政権政党のとるべきフェアな態度だとは思えません。  総選挙の争点は消費税であります。それぞれの言い分、問題点を明確に、争点を明らかにした上で、早期に衆議院を解散し、国民に信を問うべきであります。明快な総理の見解を求めます。(拍手)  政府・自民党は、消費税の導入時において、事業者を納得させるために簡易課税制度や限界控除制度など税法上欠陥の多い制度を設け、今度は見直しと称して、目先の痛鋭感を解消する手段として内税方式への一本化や、さらには非課税品目の拡大あるいは福祉目的税への変更などが伝えられております。しかし、それでは逆進性の解消、国へ納付されない税への不満などは、見直し論では依然として解決されないという批判が残ります。この批判に総理ほどのようにおこたえになるのか、承りたいと存じます。  税制改革の本来の課題は、公平、公正な税制度を確立することにあったはずであります。しかし、総理の演説を伺う限り、消費税の導入が抜本的税制改革そのものであって、消費税は税負担の公平を実現したものと位置づけられているのであります。逆進性の強い消費税が、負担の公平を実現したものでしょうか。四千八百億の脱収入の蒸発が欠陥のない税の制度と言えるでしょうか。  資産課税は積み残しのままであります。あるいはまた、キャピタルゲイン課税、医師などに代表される優遇税制の是正は極めて中途半端に終わっておりますが、消費税の導入によってもうこれらの税の問題点の是正は必要なくなったのでしょうか。私には決してそう思えないのであります。  また、高齢化社会対策費と言われる消費税で国民は何のサービスを受けられるのか、全く不明ではありませんか。高齢化社会対策ビジョンは一体どうされたのですか。これらの指摘に対して、総理のお答えをいただきたいと思います。  リクルート問題の発覚から一年余、この臨時国会に課せられた第二の課題は、再発防止へ徹底した政治改革を行うことにあります。  総理は、政治への信頼回復について、信ずるところを率直に語ると言いながら、なぜ今日の政治が信頼を失ったのか、その問題点の認識、解明、反省の弁は何一つ語られておりません。総理、あなた自身の問題を含め、自民党はリクルート事件でいかなる反省をされたのか、明らかにしていただきたいと存じます。  リクルート事件は、政治家と企業、役人と企業の癒着の実態を改めて浮き彫りにされた事件でありました。政治改革とは、そういった意味で癒着の構造をきっぱりと断ち切ることでなければなりません。すなわち、政治家と企業の癒着の温床となっている企業の政治献金を禁止することです。しかし、総理は、企業献金の問題には全く改革を加えず、自民党の政治改革大綱をそのまま押し通そうとされております。これで本当に反省に立った改革と言えるでしょうか。  田村衆議院議長は、先月、ある会合で、国会議員の活動に対する国の補助をふやした上で企業献金を厳しく規制する、具体案として、一つの企業が一人の政治家に出す献金は年百五十万、これを超えるものは課税対象としてはと提案したと報道されました。私は、これを十分とは思いません。しかし、企業献金の欠陥を認めたこと、その上で改正しようとする姿勢は傾聴に値する一つの見識かと思います。  また、総理が尊敬し、その言動に倣ってきたところの三木元総理も、かのロッキード事件の反省から、政治献金は個人に限定することが望ましい として、企業献金は五年後の見直しを附則に明記した政治資金規正法を昭和五十年に改正をいたしました。総理は、三木内閣のときはこれを推進し、総理になったらこれを軽視し無視するのでは、あなたの政治姿勢に疑問を抱かぬわけにはまいりません。私は、選挙の公営化を図ることとワンセットで企業、団体からの政治献金を禁止する制度改革を行うよう、総理の決断を求めます。  政治改革第二の課題は、政治資金集めパーティーに厳格な規制を加えることであります。  我が党は、議員や発起人方式による政治資金パーティーは一切やめることにいたしました。総理、政治パーティーは、政治資金規正法の抜け穴であることをまず認識すべきではありませんか。  自民党の改革案によれば、これを特定パーティーと称して、政治資金規正法の枠の外に位置づけました。さらに自民党案は、一つの企業が一回のパーティーに出せる限度を百五十万円までとしております。肝心の年間限度額の規制には何ら触れておらないのであります。これでは総量規制を破るものであって、新たな政治資金づくりの奨励案ではありませんか。厳格な規制を行えるよう修正すべきであり、見解を承りたいと存じます。  政治改革第三の課題は、国会議員の資産公開であり、速やかな実施であります。  その意味において私が自民党案に対する不満はただ一点、公開を本人名義に限るのではなくして、同居の扶養親族まで広げ、この臨時国会で資産公開法を成立させることを提案をいたします。いかがでございましょうか。  政治改革第四の課題は、寄附行為の禁止であります。  この問題は、多くを語る必要はないかと存じます。公明党は、この七月から、寄附行為を含めて、いわゆる虚礼廃止を党内で申し合わせをいたしております。政治家の寄附行為の禁止についても、資産公開とあわせて今臨時国会で成立させるべきであると強く申し上げたいと存じます。総理の御所見を伺いたい。  政治改革第五の課題は、衆議院の定数是正を行うことであります。  同じ日本人でありながら、ある地域に住む人の表決権が他の三分の一以下であってよいはずがございません。昭和六十一年の国会決議に基づいて抜本改革を行うべきで、明年の十一月を目標にでは余りにも悠長に過ぎると考えます。この問題は、総理の政治改革に対する決意の度合いが問われているまさにリトマス試験紙であり、政治の最高責任者のなすべき仕事でございます。明快な答弁を求める次第であります。  さて、国民生活の直面している問題について、政府の対策をただしたいと存じます。  総理、我が国はアメリカに次ぐ世界第二の経済大国となり、統計の上ではアメリカや西ドイツを抜いて世界で最も豊かな国となりました。しかし、そのように豊かになったという実感が日常生活の中で自覚できないのは、政治の責任であります。  第一に、住宅問題であります。  住宅コストが大都市圏を中心に異常に高く、都市サラリーマンのマイホームの夢は絶望的なことであります。現に大都市では、サラリーマンは生涯賃金で住宅が買えない時代になりました。ストックすなわち住宅などの資産を既に持っている層をニューリッチ、ストックを持たない層をニュープアへと階層の分化が驚くべき速さで進んでおり、政治がこの課題にどうこたえるかは、緊急かつ重要な問題であると思います。  サラリーマンが購入できる住宅価格の限界は年収の五倍と言われております。標準的なマンションの売却価格が、例えば東京駅から二十キロ圏内で年収の十倍前後、地価高騰のあおりを受けた都心の新築の公団住宅の家賃が二LDKで二十五万円、もう普通のサラリーマンは都心には住めないのであります。  そこで、まず、一、すべての国民の住宅権を保障するため、住宅基本法を早急に制定すべきだと思います。  二、住宅問題解決の最大のネックとなっている土地問題を解消するために、昨年五月野党四党が共同提出しました土地基本法を早急に検討すべきであります。総理の所見を承りたい。  なお、私は、生活権の保障という見地から、一定規模以下の土地などの相続税並びに固定資産税について一層の軽減を図ることを提案をいたします。  三、自分の住宅を持つことができず、高い家賃に生活を圧迫されている人々の負担を軽減するために、公明党はかねてから家賃控除制度の創設を主張してきました。住宅ローン控除を受ける持ち家の場合と賃貸住宅の場合の住居費負担の公平を図るためにも、この際、家賃控除方式と東京都が採用している高齢者に対する家賃手当直接支給方式などを併用した総合的な家賃補助制度をつくるべきと思います。お答えを賜りたい。  第二に、物価問題でありますが、先進諸国と比べ四割、五割高になっている物価水準の問題は極めて重要であります。  豊かな消費生活を確保するためには、思い切って内外価格差を縮小し、物価を下げ、実質所得を増加させることが急務であります。総理は、さきの訪米で、消費者の立場を重視すると発言されました。政府規制等が内外価格差の大きな一因になっていると私は考えます。経済活動に関する政府規制等は、公正かつ自由な競争を促進するという立場から、極力少なくすべきであります。  経済企画庁が発表した「物価レポート89」によると、東京の物価水準が高い要因は、輸入規制、高い地価、流通分野の規制などを挙げております。政府は、昨年の五月の経済運営五カ年計画においても、内外価格差の縮小を目指し、物価構造の是正を図ると約束をされました。こうした要因にどのように取り組まれるのか、具体的にお示しをいただきたいと存じます。  さらにまた、さきの日米構造協議においてアメリカ側から、日本の消費者、国民の生活コストの引き下げを図るために、大幅な円高が輸入品の価格に十分に反映されていないこと、交通や運輸への政府の規制が厳し過ぎるなど、的を得た指摘がありました。今政府が国民にできる最大の贈り物は、経済の規制緩和だと考えます。実行への決意を承りたい。  第三に、高齢化社会の問題は、老後の生活不安、安心して身をゆだねられない社会、このような問題であります。これらの不安解消の対策を伺います。  総理、老後の生活不安を象徴する一つの事例を申し上げたい。  国際化の波が押し寄せる中で、国内各地の行楽地には外国人旅行客の姿が急増しております。そこには、定年退職後の海外旅行を楽しむ外国の老夫婦の姿を頻繁に目にします。ところが、日本から海外旅行に出かけるのは、お年寄りではなく圧倒的に若者なのであります。この日本と外国の落差の中に、老後の生活不安がにじみ出ているではありませんか。  問題は年金であります。政府は、厚生年金の支給開始年齢を六十五歳に引き上げようとしていますが、六十歳定年が実施状況六割に満たない現状では、到底認めることはできません。現行制度を六十五歳定年にまで延長する努力を行うべきであります。六十歳以上については、就労を促進しつつ、働きながら年金を受け、高年齢者の福祉につながる部分年金、部分就労の制度化を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。  また、年金額の物価スライド制の法制化については、年金改革案とは切り離してでも速やかに実施すべきであります。  なお、関連して、鉄道共済年金について伺います。  鉄道共済年金が来年度から約三千億の赤字が発生するなど、重大な財政危機を迎えております。 公的年金に対する信頼を損なう事態を招いた政府の責任は極めて重いのであります。国の負担拡大など、政府の責任で速やかな救済措置を講ずべきであります。その用意があるのかどうか、お伺いをいたします。  軍事安全保障というよりも経済安全保障の時代と言える昨今ですが、我が国の発展途上国に対する政府開発援助、ODA額は、本年、いよいよアメリカを抜いて世界一の援助国となりました。敗戦から復興するためアメリカから多額の援助を受けていた我が国が、今日このような世界に援助をする側となったことは、まさに隔世の感がございます。  戦後、ヨーロッパの経済復興を目指したマーシャル・プランは、アメリカの政府当局が積極的に財政支出を決定し、その実施に当たっては、具体的な計画と実行はすべて民間に任せ、ヨーロッパ各国の生産性向上に大きく貢献をした事跡が伝えられており、このことは世界の先進国に今なお高く評価されております。  我が国のODAは、金の配分のみにとらわれ、各国の実情とかみ合わず、実効が上がっていない点が指摘されております。したがって、我が国も民間活力の積極的活用を行い、援助すべき国の実情に沿った技術情報の提供、技術教育レベルの向上を中心とした開発援助を行うなど、民間の力を活用した日本版マーシャル・プランともいうべき思い切った発想の転換に立つべきであります。総理の基本的見解、ODA改革のビジョンを示されることを要求をいたします。  次に、環境問題について伺います。  総理が地球的規模の環境問題に強い関心を示されたのは、まことに結構なことであります。この地球規模の環境問題は、恐らく二十一世紀に向け最も重要な人類的課題の一つであると言って過言でありません。それだけに、もう一歩突っ込み、危機的状況にある地球環境問題の解決を、我が国が国際社会で貢献すべき最大の目標として取り組むべきことを内外に宣言すべきでありました。我が国が地球環境の観測監視などに資金、技術などあらゆる面で積極的な対策を行うのは当然であります。しかし、これまで政府の姿勢は常に他国の後塵を拝する情けなきものであり続けたと私は思います。  例えば、ことしの二月、参議院本会議における我が党の代表質問で、代替フロンの開発について、助成措置をしてでも早期実現を進めるべきであると提案しました。ところが、当時の竹下総理は答弁を回避したのであります。それから二十日後、アメリカのブッシュ大統領は、フロンにかわる安全な代替物質が開発されることを前提にフロンガス全廃の方針を支持する演説を行い、その演説によって世界世論は一挙にフロンガスを二〇〇〇年までに全廃へとまとまったのであります。事ほどさように、日本政府は対応に積極さを欠いておるのであります。  総理、炭酸ガス排出の全廃は不可能でありますが、フロンガスを削減することは不可能ではありません。分解に百年を要すると言われる現在のフロンガス、その分解期間が十分の一に短縮される代替品が開発されれば、フロンガスの使用量が十分の一になったと同様の効果が期待されるのであります。これで急場をしのぎ、オゾン層に安全な代替物質の開発を進め、全廃へのプロセスを政治が決断をすべきであります。代替フロンの開発の助成措置を進めるべきと主張しますが、見解を承りたいと思います。  さて、我が国の開発援助が相手国の環境破壊を起こしているという事実を総理はどう認識されているのでしょうか。私は、国連環境計画、すなわちUNEPにゆだねるのではなく、開発援助と環境アセスメント、公害対策をワンセットに実施することを我が国が法律で義務づけるべきであると思います。政府の対応をお答えをいただきたいと思います。  最後に、国際化の波が押し寄せる中、若干の懸案事項について総理の見解を伺います。  在日韓国人の法的地位協定については、平成三年の日韓両国政府の再協議に向けて、在日韓国居留民団等が在日韓国人の安定した法的地位及び待遇の実現を求めています。法的地位協定では、永住三代目以降については何らの規定もないわけであります。協定永住権者の子及びその子孫に対する協定永住権の付与についてどのような見解かお聞かせいただきたい。  また、四十四年前に長崎、広島で被爆し、現在韓国に在住する韓国人原爆被害者は二万人を超える規模と言われております。その治療のために訪日受け入れの枠を決め、日本で治療する体制が事実上途絶えております。期間を定めた訪日受け入れは被爆者の生活実態を無視したもので、私は賛成はできません。先方の公立もしくは大学病院に原爆病院を併設することを我が国が提案し、日韓両国の協力関係の中で医師の派遣や医療技術の援助を積極的に行うべきものと考えるのであります。これが、我が国の国際的、人道的責任にかなうものと考えます。  以上、各般にわたって質問を申し上げましたが、どうか誠意ある、また積極的な答弁を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)     〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(海部俊樹君) 石田委員長にお答えを申し上げます。  最初に、現下の国際情勢について申し上げますが、米ソ間の軍備管理・軍縮を初めとする対話の進展や世界各地の地域紛争解決への具体的な努力が見られ、この方向は、我が国としても歓迎すべき方向であると考えております。  今後の展開が注目されますが、ただ一方、依然として今日の国際社会において力の均衡が平和と安定の基本的な条件になっておるという事実に変わりございませんし、政府としては、我が国の防衛については、みずから適切な規模の防衛力を保有するとともに、日米安保体制を堅持することにより、我が国に対する侵略を未然に防止することが基本的に大切だと考えております。その際、節度ある防衛力の整備を行う閣議決定を尊重し、五十一年度のGNP一%の枠という精神を引き続き尊重しながら行動をしていきたいと考えております。  消費税を廃止し、税制再改革をすべきではないかとのお尋ねですが、私どもは、消費税だけを税制改革の抜本改正だとは考えなくて、消費税も含むその他いろいろな不公正の是正や税制全体の公正化ということを通じて全体的に眺めていただきたいとまず考えますし、高齢化社会を展望し、すべての人々が社会共通の費用を公平に分かち合うとともに、税負担が給与所得に偏ることなどによる国民の重税感、不公平感をなくすることを目指したものでありますから、ここで図られる税制が将来安心して暮らせる福祉社会をつくる基盤になる、このように確信いたしております。  野党がおっしゃる代替財源案については、いまだ法案化されて出てきておりませんが、去る九月二十六日に発表された四党の御提案を見る限りでは、あのゆがみのあった改革前の個別間接税制度を復活させるなど問題点があるように私には思われます。(拍手)  なお、消費税の九つの疑念につきましては、課税最低限の引き上げ、歳出面での老人、障害者世帯、母子世帯等への配慮による対応も進んでおり、また、転嫁が円滑に進む一方で物価も安定的に、消費も堅調に推移していることからしますと、消費税の実施前に心配された各種の懸念は解消されつつあると私は受けとめておりますが、ただ、消費税については、既に税制調査会において、消費者団体、福祉団体など各層から幅広く生の声を伺うなど、見直しのための勉強もまた同時に精力的に進めておるところであり、今後さらに国民皆さんからの御意見を承りつつ、予算編成の日程をも念頭に置き、できるだけ早期に国民の御 納得のいただけるような具体的な姿をお示しできるようにしたいと努力をいたしております。  なお、政府が行おうとしておる消費税の見直しにつきましては、制度の存続を前提に恒久税制としてあるべき姿を示すものでございますので、したがって、これと比べるべき性格のものは、御指摘の廃止論ではなく、恒久税制としての税制再改革案であると私は認識をさせていただいております。(拍手)  委員長が、今ここで衆議院を早期に解散してはどうか、こうおっしゃいますが、消費者の立場をも十分に配慮をした見直し作業を進めるということと今取り組んでおりますし、平成二年度の歳入歳出予算の年度内編成に取り組みたい、そして与えられた政策課題を解決するために努力を続けなければならぬということでいっぱいでございますから、解散は考えておりません。  消費税の逆進性と国に税がそのまま納付されないではないかという御不満の指摘がありましたが、消費税のような間接税には、所得に対して税負担が逆進的であるという面があることはそのとおりでございます。しかしながら、本来税制の所得再配分機能は、一つの税目だけを取り上げてその中で御議論されるべきものではなく、税制の全体、さらには社会保障施策等すべてを含めた財政全体でどうぞ御理解をいただきたいと考えております。(拍手)  臨時福祉給付金を支給したり、平成元年度予算において、生活保護に係る生活保護基準の適切な引き上げや在宅福祉施策の大幅な拡充など、真に手を差し伸べる必要のある方々にはきめ細かな配慮をしてきたところでございますし、また、公的年金につきましては、現在継続審議となっている年金法の改正案において、特例物価スライドや財政再計算に伴う年金額の実質改善を行うこととしております。この実質改善の繰り上げ実施を内容とする年金法の議員修正案が自民党より提案されるものと理解をいたしております。  平成元年の物価上昇分につきましては、平成二年度における物価スライドによる給付改善に反映させることにしておるところであります。  事業者免税点の制度とかあるいは四千八百億円という数字が出ておりますが、これは課税対象から外れる免税事業者等についての計算上の減収見込みを申し上げた数字でありますが、事業者免税点等の制度がなく、かつ零細事業者も三%値上げしてきちっと納税したとすれば得られたであろう消費税収の目安にすぎないものだと御理解ください。  通産省の調査を見れば、売上高三千万円以下の小売業のうち、約四割の事業者がほとんど転嫁しておらず、サービス業にあっては約七割が転嫁しない状態にあり、事業者免税点制度等により生じ得る減収の多くの部分は、消費者が安い価格のものを購入しておられるという意味で、その利益が消費者の方に残っておる面が多いとも言えると考えます。  消費税は逆進性が強く、税負担の公平を実現していない、こうおっしゃいますが、税負担が逆進的であるという面があることは否定しませんけれども、所得把握の状態いかんにかかわらず、消費の大きさに応じて比例的な負担を求め得るという特徴もございます。  また、所得課税は、所得水準に応じ累進的な負担を求めることができますが、把握の状況いかんによっては実質的には公平の確保ができない場合も生ずるということは御承知のとおりでございました。  従来、税体系の中で消費課税の比重が低下し、個人の所得に対する負担が偏ってきた結果、税制全体としては消費者の重税感、不公平感が高まってきたことを踏まえれば、今回の税制改革によって、所得課税においていわゆる不公平是正のための措置を講ずるとともに、所得課税を軽減し、消費にも応分の負担を求めることにしたことは、脱体系全体として実質的な負担の公平に資するものと私は考えております。  また、税負担の公平確保は、税制に対する納税者の信頼を得るために最も重要な理念の一つであり、この点については従来から努力もしてまいりました。先般の税制改革については、御指摘の医師に関しては、社会保険診療報酬課税の特例について、その報酬が五千万を超える医師には特例を適用しないという適正措置を講じ、個人の株式売却益についても従来の原則非課税から原則課税へと改めるなど、税負担の公平を高める努力をしたところでございます。  なお、御指摘の、昨年の与野党協議の場において野党からの不公平税制是正の共同提案もございますから、与党から引き続きこの提案を検討することが必要である旨の考え方も示されていると承知しますので、政府は趣旨を踏まえて努力をしていくという考えでございます。  なお、高齢化社会福祉対策ビジョンについてのお尋ねでありましたが、二十一世紀初頭の本格的な高齢化社会の到来を控え、福祉施策のビジョンをお示しすることの重要性は御指摘のとおりであり、政府としましては、昭和六十一年六月に長寿社会対策を総合的かつ効果的に推進するための指針として長寿社会対策大綱を閣議決定し、また、昨年十月には長寿・福祉社会ビジョンを示し、二十一世紀に向けて年金及び医療保障の水準、福祉社会の目標等を可能な限り具体的に明らかにしたところでございます。  また、リクルート事件の反省についてのお尋ねでございましたが、大変な政治不信を引き起こしたことを厳しく受けとめて反省をいたしております。自由民主党はこの問題を重大に考え、いわゆるけじめ案を着実に実施するとともに、再発防止への政治改革、政治改革推進本部においては政治改革大綱の具体化を取りまとめ、それを図っておるところでございますし、また、私自身の政治資金についても言及されましたが、当時、いわゆるリクルート問題が明らかでなかったときに、通常の政治資金と思って受けておったものでありますが、今後みずからを一層戒めて注意をいたしてまいります。  企業も一つの社会的存在であり、企業が行う政治活動に関する寄附がよくないと決めてかかってしまうのは適当ではないと考えますし、また、公的な援助の拡充を行いつつ政治家による資金の調達の適正を期することは、一つの検討課題であると認識をいたしております。  パーティーの規制についても、批判の中心はその行き過ぎについてであると考えます。継続審査中の自民党の改正案は、パーティーの収支の明確化、大口のパーティー券購入の規制、多額購入者の公表などを行うものであると考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。  国会議員の資産公表については、政治家の私的部分を国民の前に明らかにしようとするものでありまして、これは国会において御論議いただく性格の問題であると考えております。なお、政府として取り組むべき課題については、閣僚等の資産公開改善強化や株取引の自粛等につき閣議で決定しその実施を申し合わせたところであります。  寄附禁止の強化については、先生と私も考えを同じくし、また、今国会に出ている法案についても、禁止の徹底を図ること等を主な内容とするものであると承知しておりますので、国会においての御審議の上、適切な結論が得られますことを切に希望する次第であります。  衆議院の定数是正については、昭和六十一年の定数是正に際し、速やかに抜本改正の検討を行う旨衆議院本会議において決議されているところであり、事柄の性格上、各党で十分御論議いただくことが重要であり、政府としても、定数是正を含む選挙制度の根本的改革の方策については選挙制度審議会において審議をしていただいておるところでございます。  住宅基本法については、住宅政策の目標、国の責務、住居費負担の取り扱いなどに関し、国民及 び各政党間のコンセンサスがまだ未形成だと考えます。政府として、国民の居住水準向上のために、住宅建設計画法に基づき住宅建設五箇年計画を策定、その達成に努力をしているところでありますが、土地対策を強力に推進するためには、おっしゃったように土地の公共性を明確化し、土地についての共通の国民意識を確立することが大切であります。  政府としては、さきの通常国会に土地基本法を提出したところでありますが、この法案は、昨年五月野党四党が共同で提案された土地基本法案や各界有識者の意見を参考として作成したものでありまして、できる限り早期に本法案の成立があることを強く希望いたしております。  また、一定規模以下の土地について相続税の軽減についての御指摘がございましたけれども、相続税については、昨年十二月の税制改革において、課税最低限の二倍引き上げ、税率構造の緩和等を行い、税負担の軽減合理化を図ったところでありますし、その際、近年の地価高騰に配慮し、居住用及び事業用の小規模宅地等についての相続税の課税の特例の減額割合をそれぞれ二〇%引き上げ、居住用は五〇%、事業用は六〇%と大幅な拡充を図ったところでありますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。  また、一定規模以下の土地の固定資産税の軽減に言及されましたが、土地に対する固定資産税については、住宅政策の観点から、既に住宅用地について二百平方メートルまでは四分の三、それを超える部分についても二分の一を軽減する措置を講じているところでありますが、負担の公平及び市町村財政への影響も考えながら、慎重に今後検討していきたいと思っております。  総合的な家賃補助制度を創設すべきではないかのお尋ねでありましたが、住居費負担の軽減については、融資、税制の活用によって賃貸供給コストの低減に努力し、特に、低額所得者等自力では一定の居住水準を確保できない世帯については、公共賃貸住宅の的確な供給等に努力をしてまいります。  なお、家賃そのものを所得から控除する家賃控除の創設については、税制面のあり方として、家賃は食費や被服費と同様典型的な生活費であるところから、家賃だけを取り出して特別な控除を設けることには基本的な問題があろうかと考えます。  また、内外価格差の是正策については、今後とも、製品輸入の促進、規制緩和を通じた競争の促進や合理的な流通構造の実現、農業等におけるより一層の生産性の向上、総合土地対策の推進等により、内外価格差の縮小に努めてまいる所存でおります。  経済の規制緩和についてもお話がございましたが、国民生活の質的な向上、産業構造の転換と地域の活性化及びより開かれた市場の形成を目指していくことは、今後の我が国経済の発展にとって不可欠の問題であり、政府は、昨年十二月一日の臨時行政改革推進審議会の公的規制の緩和等に関する答申を受けて、同年十二月十三日に規制緩和推進要綱を決定し、流通、物流を初めとするさまざまな分野で規制緩和を積極的に実施しているところであり、現在、行革審においては、規制緩和の実施状況を点検するとともに、新たな推進方法について審議が行われておるところでありますから、政府としましては、その状況も見ながら今後一層の推進を図ってまいります。  年金については、人口の高齢化の急速な進展の中で、年金の給付水準を維持しながら後世の負担を適正なものとしていくために、十分な準備期間を設け段階的に支給開始年齢を引き上げていくことが現実的な方策であると考えております。引き上げに当たっては、いわゆる御指摘もあった日本型部分年金、部分就労として、六十歳代前半層の生活実態に即応できる弾力的な繰り上げ減額年金制度の創設を政府も考えております。  物価スライドはもとより、年金給付の実質改善についても早期実施すべきであるとは考えますが、給付改善とそれに伴う負担とを切り離してしまって考えることは適当ではないと考えます。  鉄道共済年金についてもお触れになりましたけれども、鉄道共済の自助努力、公的年金一元化の地ならしとしての被用者年金制度間の負担調整により対応することとし、所要の法律案を国会に提出しているところであります。  国の負担といっても、それは結局国民の皆さんからの税金で賄うことになるのでありますが、どの年金制度も財政事情が厳しい状況で自助努力を行っており、鉄道共済にのみ特別の国の負担を行うのは公平の観点からも問題であると考えますが、なお、今後の対策の一環として、清算事業団の特別負担を求めることとしております。その負担は、最終的には国において処理する債務等の増加につながり、国もこうした形でその役割を担うこととなっておりますので、この点も御理解を賜りたいと存じます。  次に、日本版マーシャル・プランについてのお話でありましたが、我が国の開発途上国に対するODAは国際貢献の重要な柱である。同じ考えを持っております。世界で最も大きな援助国に成長した今日、我が国に向けられた期待はまことに大きなものがあります。私は、今後とも、第四次中期目標に沿い、量はもとより、質の向上改善、民間活力の利用を含む効果的、効率的な実施に十分留意しつつ、開発途上国の国民生活の向上に役立ち、経済発展にも資するような、国の実情に沿った心のこもった援助を続行していきたいものだと考えております。(拍手)  また、地球環境問題の解決にもお触れになりましたが、人類の生存基盤に深刻な影響を与える重大な問題であり、私も、日本の果たすべき地球的規模での協力として地球環境問題を極めて大切に考えてまいります。これからは国際的地位に応じた役割を積極的に果たしていかなければなりません。  このため、地球環境保全に関する関係閣僚会議を中心として、政府を挙げて積極的に取り組んでいく考えでございますし、お触れになった代替フロンの開発の問題については、オゾン層保護の観点から、フロンの代替品の開発利用については、従来よりの財政、税制上の措置をさらに一層促進し、政府としては、問題とされているフロンを国際的協調のもとに今世紀末までに全廃すべきであると考えておりますし、今後とも、フロン規制に係る国際的動向も踏まえながら、代替品開発等については、御指摘のように前向きに所要の措置を講じてまいる所存でおります。  ODAが途上国の開発に力を出しても、途上国の環境問題に配慮しなければいけないのではないかというお考えは、私も同感でございます。今後ともこの問題については世界のトップレベルに、環境保全についてのいろいろな問題を日本は経験しておりますけれども、あわせて、国際機関との連携強化も重要であり、国連環境計画や国際熱帯木材機関等の関連国際機関を引き続き支援していきながら、かかる観点から、我が国は今後三年間に環境分野に対する二国間、多国間援助を三千億円程度を目途として拡充強化に努めるとともに、政府開発援助の実施に当たっては、環境配慮のためのガイドラインの整備等に努めて、途上国の環境に悪い影響を与えないように配慮をしていくつもりであります。  なお、在日韓国人の法的地位問題について言われましたが、我が国は、在日韓国人の法的地位を初め社会生活の各般における待遇の安定については、歴史的な経緯及び日韓友好関係等な踏まえて、従来より可能な限り配慮してきたところであります。  協定永住許可を受けている方の直系卑属として日本で出生した韓国国民の日本における居住については、日韓法的地位協定に基づき、日韓両国政府間でこれまで二回正式協議を実施したところでありますが、これら子孫の法的地位については、 両国政府間の話し合いを通じ、協定前文に示されておる精神及び目的を十分に尊重しつつ、双方の満足し得る結論を見出すように努力をしていく所存でございます。  また、在韓被爆者問題についても御指摘がございましたが、戦後四十年以上を経た今日も数多くの韓国の方々が被爆の苦しみを背負われていることに対し、胸の痛むものがございます。在韓被爆者問題については、その歴史的な経緯及び人道的性格にかんがみ、韓国政府に協力して、なし得ることについては誠意を持って対応していきたいと考えております。  このため、元年度予算において、在韓被爆者の方々の治療費等を支援すべく四千二百万円の予算を計上し、まず同予算を韓国側とも協力しつつできる限り早急かつ効果的に実施していきたいと考えております。  また、原爆病院建設への資金協力は困難だと思いますが、医療分野での既存の経済技術協力の枠組みの活用をも含めて、我が国としてはさらになし得ることを検討し、韓国側とも協議をし、誠意を持って検討してまいりたいと考えております。(拍手)      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金子原二郎自由民主党

○金子原二郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明五日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

安井吉典無所属副議長

○副議長(安井吉典君) 金子原二郎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安井吉典無所属副議長

○副議長(安井吉典君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十六分散会

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