法務委員会 第2号
- 発言数
- 293 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1989/11/10
会議録
○戸塚委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、趣旨の説明を聴取いたします。後藤法務大臣。 ───────────── 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ─────────────
○後藤国務大臣 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。 近年における国際交流の活発化、我が国経済社会の国際化の進展等に伴い、我が国を訪れる外国人は年ごとに増加するとともに、その入国・在留の目的も多様化しております。また、各種事業者側からは、すぐれた外国人を職員として雇用したいという要請が増す一方、我が国と近隣アジア諸国との間の経済格差などを背景として、観光等を装い入国の上、不法に就労する外国人の増加も顕著になっております。 外国人労働者を含む外国人の受け入れは、我が国の社会、経済、治安等国家の基本に多大の影響を与えるものでありますので、外国人の出入国及び在留について右のような現下の諸情勢を踏まえて適正な管理を実施するため出入国管理のあり方を速やかに見直す必要があります。 この法律案は、このような観点から外国人の出入国及び在留の管理に関する基本法である出入国管理及び難民認定法、以下入管法と呼ばせていただきます。その一部を改正し、今日の諸情勢に的確に対処し得る出入国管理体制を確立しようとするものであります。 次に、この法律案による改正の主要点につきまして、御説明申し上げます。 まず第一は、在留資格の整備であります。現行の入管法が我が国に入国・在留を認める外国人の類型を示している在留資格は、昭和二十六年の同法制定以来ちょうど三十年、昭和五十六年に若干の手直しが行われただけでありまして、外国人の入国者数及び形態が、その後八年たった、当時とは大幅に異なる今日の要請に必ずしも的確に対応し得ない面が見受けられます。これまでは、法務大臣が特に在留を認める者としての在留資格を弾力的に運用することにより状況の変化に対処してきたところでありますが、この在留資格の付与は法務大臣の裁量のもとにありますため、どのような範疇の外国人が入国・在留を認められるかにつき対外的に不明確な面があったと考えられます。よって、我が国に入国する外国人の入国・在留目的が多様化している状況にかんがみまして、これに対応し得るよう、既存の在留資格について、その種類や範囲を全般的に見直すとともに、新たにできる限り個別的、具体的に在留資格を設けることによりまして、在留資格制度を整備し、もって我が国に入国・在留できる外国人の範疇を明確にしようとするものであります。 第二は、審査基準の明確化と入国審査手続の簡易・迅速化を図ることであります。その第一点は、外国人が入国を認められるために必要とされる要件が明らかとなるよう在留資格に関する審査の基準を省令で定めてこれを公布することによりまして、出入国管理行政のより一層の透明性及び公平性を確保するとともに、この基準に関する省令を通じて、量的、質的な面からの入国の管理を行い得るようにするものであります。第二点は、我が国に入国しようとする外国人のうち、あらかじめ法務大臣から在留資格に係る上陸のための条件に適合していることの認定を受けようとする者につきましては、その者の申請を受けて審査を行い、右の条件に適合していると認める場合には、その旨の証明書を交付することができるようにし、もって外国人の入国・上陸手続を簡易・迅速に行い得るようにしようとするものであります。 第三は、いわゆる不法就労問題に対処するための関係規定の整備であります。近年における不法就労外国人の急増が我が国社会のさまざまな面で問題となっておりますが、このような不法就労外国人問題への対策といたしまして、雇用主が外国人を雇用しようとする場合に、合法的に就労できる外国人かどうかを容易に識別することができるよう在留資格の表示を改め、しかも合法的に就労できる外国人に対しましては、その者が希望するときには就労が可能である旨の証明書を交付し、もって善意の雇用主が誤って就労できない外国人を雇用することがないようにしようとするものであります。また、不法就労外国人に対する退去強制または罰則の適用をより実効的に行い得るようにするため、外国人の資格外活動に関する規定を整備するとともに、不法就労外国人の雇用主やブローカー等に対する新たな処罰規定を設け、これによって不法就労活動を防止しようとするものであります。 なお、この改正案は、各界各層の意見、提言等を踏まえまして成案を得たものでありますが、特別な技術、技能または知識を必要としないいわゆる単純労働に従事しようとする外国人の入国を認めるための在留資格は設けておりません。これは、単純労働者の受け入れに関する議論が多岐に分かれているほか、受け入れた場合における我が国社会への影響が大きいと考えられますので、その問題点について引き続き十分な討議を重ね、広く国内関係方面の意見を見きわめつつ、長期的視野に立って所要の対策を考えるべきであり、そのためにはなお相当の日時を要するとの考えによるものであります。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○戸塚委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ─────────────
○戸塚委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、来る十四日、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○戸塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○戸塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ─────────────
○戸塚委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井出正一君。
○井出委員 自民党の井出でございます。大臣初め政府委員の皆様、御苦労さまでございます。 今大臣から御提案のありましたいわゆる出入国管理法につきまして、若干御質問を申し上げさせていただきます。 まず、その前に、いわゆる難民問題についてちょっとお尋ねをさせていただきたい、こんなふうに思うわけであります。 あれは九月六日でございましたか、この委員会で質疑が行われたのでございますが、それ以後難民の状況はどんなふうになっているのでしょうか。新聞報道なんかでお聞きしますと、例えば中国偽装難民と言われるような人たちにつきましては、中国と交渉の結果あちらへ送還される合意ができたというふうにも聞いておるわけでございますが、その進展状況といいますか、いつごろ送還がなされるのかといった点について、若干まずお聞きしたいと思います。
○股野政府委員 先般の本委員会における御質疑の際に御説明しました状況のその後の状況について御説明を申し上げたいと思います。 その後、去る九月の十二日に新しくベトナムからのボートピープル等についての取り扱いについての閣議了解をいただいたわけでございます。本年我が国に到着しているボートピープルにつきましては、その中に、いわゆる迫害から逃れるためではなくて、経済的な理由で日本に到来したと見られる者が含まれており、また、ただいま委員御指摘のようにベトナム難民を装った中国人がその中に相当数含まれておるということも判明いたしております。 そこで、このベトナム難民を偽装した中国人についてはもとより不法入国者として扱うものでございますが、ベトナムからのボートピープルにつきましては、本年六月のインドシナ難民国際会議における合意を踏まえて、先般の九月十二日の閣議了解に基づき慎重に審査を行って、難民性のある者とそうでない者を区別するということにいたしております。そして、難民性があると認められた者については我が国ないし第三国の定住のための処遇を行いますが、そうでなくて、難民性を認められない者は法の規定に従い退去強制手続をとるということになります。現在中国との間において、中国から渡来したものと見られる者についての送還についての交渉を鋭意行っているところでございまして、近日中にも送還が始まるものと強く期待をいたしているところでございます。
○井出委員 今度の場合、上陸した地区の地方自治体が随分、いわゆる船の処分とかその他大変な負担が生じておるわけでございますが、その点についての立てかえなんかの処理は今どの程度進んでおるのでございましょうか。
○股野政府委員 これは現在内閣において設けられておりますインドシナ難民対策連絡調整会議を中心に対策を講じておるところでございますが、国連の難民高等弁務官府との話し合いに基づいて、難民について地方自治体等に御負担願ったものについて一定の要件のもとでこれを国連側が負担をするということについての基本的な合意を見ておりまして、今その具体的な負担の仕方について事務的に詰めを行っているところでございますが、基本的にはそういうラインでの合意を見ておるところでございます。
○井出委員 今後の見通しといいますか、夏の間にかなり今回は日本へ来たわけでございます。どうもあれは、その昔鑑真和上が日本へ渡来したルートと似ているような感じかするのですが、恐らくまた来年もその時期になるとかなり来るのじゃないかなと思うのですが、その点の見通しはどのようにお考えですか。
○股野政府委員 我が国がこのたびの事態に対しましてとりました措置が、今後の同様の事態の再発について一つの防止的な効果を発揮するということを我々としては期待しているわけでございまして、現実には、十月に至りまして、若干でございますがまだボートピープルの渡来がございましたが、九月の初旬までの状況に比べますと大幅な事態の変更があったと思われます。しかし、今後について、中国側にもこういう中国からの不法出国の防止ということに強い申し入れを行っている次第でもあり、また実際に既に到着した者の送還ということが実現することによって防止効果もあると思いますが、なお今後については予断を許さないという面もあると思いますので、十分気をつけて対処してまいりたいと考えております。
○井出委員 今回のこの法案の改正では、いわゆる難民の認定等、これは第七章の二ですか、六十一条の二からこれに触れておるわけですが、その部分については別に改正されていないというふうに承知しておるわけでございますが、別にそれは支障はないわけでございますね。
○股野政府委員 ただいまの御指摘の難民の認定につきましては、先ほど大臣からも、提案理由の御説明の中にもありましたように、昭和五十六年における改正の際に新しく幾つかの重要規定を設けておりまして、これをもって今後とも対処できるものと考えております。
○井出委員 ありがとうございました。 次に、本来ならばこの法案の提出される理由といいますか、あるいは基本的な姿勢につきまして大臣からお伺いすべきだと思うのでございますが、今の提案理由でもある程度わかりましたし、時間がございませんもので、まことに失礼でございますが、その点については省略をさせていただきまして、労働省おいでくださっておるものですから、ちょっと先に労働省にお聞きいたします。 我が国の労働法、これは我が国だけじゃないでしょうが、いわゆる平等でありますから、正規の外国人の就労者であろうと不法な人たちであろうとその法の適用は同じになされておると思うわけでございますが、現実問題としていろいろな、例 えば不法就労者なるがゆえに、賃金カットとかあるいはピンはねとか、ほかにいろいろなひどい、劣悪な労働条件なんかのもとであってもなかなか監督署の方へ訴えたり申し出たりすることが、結局はそれが発覚してしまって摘発されるおそれもあると恐らく彼らは考えるでしょうから、現実はなかなかうまくいっていないのじゃないかなと思います。昨日の日経の夕刊にも、労働省は今度相談コーナーを設置されたようでございますけれども、必ずしも余り相談には見えていないというような記事も載っておりましたが、その点について少しお聞きしたいと思います。
○氣賀澤説明員 お答えさせていただきます。 先生からお話しございましたように、労働基準法等の労働基準関係法令は、日本の国内の事業場において使用される者でありましたら、不法就労者につきましても適用されるということになっておりますが、外国人労働者の増加に伴いまして、労働基準監督機関といたしましても、これらの者の労働条件が適正に確保されているかどうかにつきまして強い関心を持ちまして必要な対応を行ってきているところでございます。 不法就労者の労働条件の実態という点につきましては、事柄の性格上その実態を把握することは大変困難でございますけれども、労働基準監督機関といたしまして、昨年の十月の十六日から十一月の十五日までの間、全国の約一万六千の事業場を臨検監督いたしました際に、外国人労働者の就労状況につきまして調査を行ったところ、不法就労と見られる者を使用している事業場が三十事業場ほど見受けられまして、このうち十四の事業場におきまして不法就労であると見られる者を使っておりまして法違反が認められるというような事態がございました。 その内容といたしましては、労働条件の明示でございますとか労働安全衛生基準に対する違反でございますとか、そういうものがございましたけれども、その際にその是正について強く指導を行っているところでございます。その後におきましても、労働者からの相談あるいは臨検監督というような際にいろいろな法違反を発見した場合には、必要な指導を行い、厳しく処分をいたしたりしてきているところでございます。 このように、従来から私ども労働基準関係法が遵守されますように監督指導に努めてきておりますけれども、今後とも外国人労働者の就労状況あるいはその労働条件の実態の把握に努めまして、外国人労働者からの相談があった場合には、それへの対応ですとかあるいは事業場への監督指導というようなことを通じまして、適正な労働条件が確保されるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○井出委員 労働省のお立場は大変微妙だと思うのです。不法な状況を発見したときには入管局の方へ通報しなくちゃならぬという面もあると思うのですが、その辺どんなふうに入管局は対処されていらっしゃるのでしょうか。
○米澤政府委員 お答えいたします。 御承知のように、いろいろ人権侵犯関係で、例えば不法就労外国人がそれを所管する官署に相談にあらわれたというような場合には、当該外国人の人権を尊重する必要がございますので、法律上の義務としては入管法上通報義務がございますけれども、その義務と、それから人権を擁護する立場にある各官署の職務の遂行が円滑にいくようにという観点からの法益の保護との比較考量によって、円滑に双方の利益を守るように行政上関係機関と相談をしてやっておりますので、労働省ともその点につきましてはいろいろお話し合いをし、円滑に行政を進めているところでございます。
○井出委員 時間がありませんもので、次へ進ませていただきます。この法案の中身に入らせていただきます。 まず、在留資格の整備についてでございますが、今回、既存の在留資格の種類や範囲を大幅に見直されたことを私は評価するものであります。この見直しの基準といたしましては、私の理解する範囲におきましてこんなふうに考えております。 まず、活動に着目されて、その活動に制限を加えた方がいいというのが別表第一で、制限なし、地位と身分なんかに基づいて制限はかけなくてもいいというのを別表第二にされたと思います。また、その別表第一のうち、いわゆる所得といいますか、働くことによって収入を得てもいいという分類が一と二だと思います。それから、三と四が働くことによって収入を得てはいかぬという分類だと思います。さらにまた、いろいろな影響を考えた上で、数量的な制限をかける方がいいか悪いかという点から、かけなくてもいいというのが一と三でしょうか。それから、かける必要があるというのが二と四だと考えられるわけでございます。 それなりの分類をされていらっしゃいますが、この二十八の分類の中でどうもちょっとわかりにくい、例えば「人文知識・国際業務」の項と、「文化活動」あるいは「特定活動」等について、ちょっと具体例を挙げていただけたらと思うのであります。
○股野政府委員 在留資格についてただいま委員御指摘の点、基本的には委員の御指摘のとおりの考え方で別表を組んでおりますが、一つ今委員の御指摘になりました中で、数量的な入国規制という点については、これは数量という観点よりも、むしろ入国が我が国の国民生活に与える影響という点を考えての規制というふうに考えて臨んでいるところでございます。 在留資格は、基本的にその外国人が日本で活動する際の法的な枠組みになりますので、これをただいま御指摘のとおり、別表において新しくそれぞれの在留資格に見合うところの「本邦において行うことができる活動」というものを明示しているわけでございます。 それで、新しい在留資格としてただいま御指摘のありましたような「人文知識・国際業務」、さらには「文化活動」等のものを設けておるわけでございます。 「人文知識・国際業務」というものは、基本的には社会科学関係の知識、例えば経済学であるとか社会学であるとか法律学であるとか、こういったような分野での知識を必要とする業務、これを一つの自分の専門的な知識ないし技術として持って我が国で活動する人を考えているわけでございます。 それから「文化活動」、これは我が国の文化、これはいろいろあるわけでございますが、こういうものについての研究を行う人あるいはこういうものを日本で修得しようという人たちであって、しかもそういう活動が収入を伴わない活動である、こういうものを「文化活動」として一つ設けたということでございます。 今、日本の国際交流が発展しているという状況の中で、新しくこういう分野で活動しようという人たちが日本に入国するというケースがふえているという状況に照らしまして、こういう分野の人たちの入国を容易にし、かつまたその活動の基礎を明確にするために、以上のような在留資格を設けているところでございます。
○井出委員 それでは入国審査基準の方に入っていきたいと思います。この別表第一の二と四がこれに該当するわけですが、審査基準を今度省令で公表なさる、これも結構だと思うのですが、その中で具体的に骨子といいますか、例えば就学と研修についてで結構でございますから、ちょっと御説明いただけたらと思います。
○股野政府委員 今度の改正案の一つのポイントは、まさに入国に係る審査というものを簡易・迅速化するということにございまして、審査基準というものがこれにかかわってくる重要なポイントでございます。審査基準を新しく省令で設けますと、それによって審査基準が外部の方にもわかるという新しいメリットがございます。そういうメリットに基づいて、あらかじめそれに合致するような形での入国に対する申請を行っていただくという考えでございます。 今御指摘の最近非常にふえている入国のケースとしての就学、それから研修というものがあるわけでございますが、こういうものについてはまずその御本人、申請を行います外国人でございますが、その方自身の学歴、職歴、あるいはその方たちに関係する身分事項といったようなものをまずしっかり見ていくという意味での一つの基準を考えていくことになります。それから同時に、今度はその方たちが就学あるいは研修を行う就学先あるいは研修先についても同様に一つ考えてまいる必要がありまして、そういう就学先、研修先について、これが的確なところできちんと確保されるということを行うために、またそういうことについても一つこの基準というものをそこで設けていくということで、審査基準というものをこれからつくっていくということを考えているわけでございます。
○井出委員 そこで、在留資格認定証明書はあらかじめ申請すれば事前に法務大臣から交付していただける、こういうことになるわけですが、具体的には現行と比べてどの程度外国人にとって利便が図られるものになるのか、そしてまた行政側にとってはどの程度それが簡素化といいますか迅速化につながるか、お聞きしたいと思います。
○股野政府委員 現行制度でございますと、基本的には、入国申請を行うときにまず在外公館への申請から始まって、そして外務省から法務省、地方入国管理局というルートを通るということの結果、かなりの時間と、それからまたそれに伴う情報を収集することについての各種の制約等がございます。 そこで、この在留資格認定証明書というものは、そういう手続にかかる時間をむしろ短縮するということが一つの大きな効果としてございまして、先ほど御説明申し上げました在留資格について、日本に入国しようとする方がどの在留資格に合致するかということについての認定を日本の法務省入国管理局においてあらかじめ受けておくということでございます。これを受けておきますと、今度はそれについて在外公館での査証ということが非常に簡単に行われますし、また日本に到着した場合の上陸審査についても、あわせてその上陸条件に適合しているということが容易にわかるという意味で、入国審査手続の簡易・迅速化ということには非常に効果がある、こう考えておるわけでございます。
○井出委員 では、大臣先ほど第三に挙げられました不法就労外国人対策について幾つかちょっとお聞きします。 まず、退去命令を受けた者がとどまることができる場所として、例えばホテル等を今度は指定できるということも明文化されているわけでございます。船の時代から航空機の時代になりましたから、現状大変な状況になっておることはよくわかります。将来的には、これは国で国際空港周辺にそういう施設をつくらねばならぬというふうには思えるわけですが、とりあえずはそうしなくちゃならぬでしょう。 その場合、今度上陸を拒否された者の送還をする場合、いわゆる運んできた人たち、運送業者が負っている責任と費用について、「その全部又は一部を免除することができる。」という規定が新設されたわけですが、現実問題としてそれらの業者の費用負担の現状というのはどのぐらいになっておるのか。そしてまた、今度は、改正後は国が負担するようになると思うのですが、その見通しはどうかということをちょっとお聞きしたいと思います。
○米澤政府委員 どの程度の金額的な負担があるかは定かに存じませんけれども、日本航空等民間航空機の会社からの陳情等を聞いておりますと、相当程度な経済的負担をこうむっておるように承っております。と申しますのは、年間約一万一千人ぐらい空港等で上陸拒否をいたしておりまして、これらの方々がさらに便を得て帰国されるまでの間、現行法では、その民間航空機会社でとどまる費用とそれからガードマンの費用等を払っておりますから、大体御想像がつくと思います。 そこで、最近のように査証を得てかつ有効な旅券を持って来る人たちであっても、入国目的を偽っておることが空港等で明白になりますと、やはり入国を認めるわけにいきません。そういった人たちを運んできた民間航空機の会社にすべて費用等を負担させるのもどうかというような観点から、一部さような事例については国庫で負担するような方向に持っていきたい、そうすることによりまして上陸拒否等が適正に行われるようになるだろうと考えて、さような制度をつくったわけであります。
○井出委員 そうすると、来年度の概算要求にはどのぐらい要求されているのですか。
○米澤政府委員 実は、この法案を国会に上程させてもらいました時点での金額しか存じませんので、平年度化等しなければいけませんが、通常国会に出させていただきまして、そのときの概算要求は約三千万だったと記憶いたしております。
○井出委員 次に、資格外活動の規制の対象を今度明確化されています。従来は「その在留資格に属する者の行うべき活動以外の活動」と、非常に概括的といいますか、あるいは無制限といった厳しいものでしたが、今度は、その収入あるいは報酬に限定されているようなんですが、例えば留学生なんかは今制限なし、届け出をせぬでも一週間二十時間でしたか、あるいは就学生は届け出ることによって二十時間、アルバイトできるわけですね。これはどうなるのでしょうか。
○米澤政府委員 委員御指摘のように、今回この資格外活動の構成要件といいますか、資格外活動に当たるものは何かという点につきまして、非常に厳格に、かつ明確に限定的に書きました。それは、今御指摘のとおり、報酬を得る活動あるいは事業活動を営みまして収入を得るというような利益活動といいますか、そういうものに限って資格外活動に当たるとしたわけでございます。 そこで、留学生と就学生の問題でございますが、今回の法改正が成立いたしますと、これも原則として就労できない在留資格になりますので、やはり資格外活動の許可をとられてアルバイトをなさるということになろうかと思います。しかしながら、留学生等がアルバイトをすることが、必要性が非常にございますので、その許可をとる手続等につきましては、実務上便利な方法で簡易にやれるようにしてあげたいと考えております。
○井出委員 次に、就労資格証明書というのを、希望者でございますが、交付するということになっておりますが、これは、今度雇用者が常にそれを要求するようなことが一般化しますと、かなり外国人に負担がふえないかという問題と、これが誤って永住しておる在日朝鮮人あるいは韓国人の皆さんに波及しないかということをちょっと感ずるのですが、その点どうでしょうか。
○股野政府委員 これは新しく何か許認可の対象を設けようということではございませんで、むしろ既に与えられている在留資格ないしは資格外活動の許可によってその外国人が就労ができますと、こういうことを明示するそういう書面をその外国人の希望に基づいて交付ができる、こういうものでございます。したがって、外国人の方の利便を考えてのものでございまして、それは日本におられる在日外国人で永住しておられる方も、そういうことについて御希望があればそういうことになるわけでございます。したがって、これはあくまで外国人の方々の利便を考えての制度でございまして、決して新しい負担をお願いしようというものではございません。また、そういう制度であるということを十分企業主あるいは経済界等に我々としても周知徹底に努めまして、そして決して新しい御負担をつくることのないように留意してまいりたいと思っております。
○井出委員 ぜひ周知徹底の御努力をお願いしたいと思います。 それでは、時間がなくなってまいりましたが、ちょっと大臣にお尋ねいたします。 今回の改正で十分とは恐らく政府も、私どもも同様でありますが、思っておらない。それがゆえに今度は出入国管理基本計画というものを各関係省庁協議の上策定し公表する旨の規定が設けられていると思うのでございますが、この外国人労働者問題などはやはり基本的には国策といいますか国の主権事項だと思いますから、大局的な立場に立って日本の将来を考えて決めていただかなくちゃならぬと思います。関係十七省庁、局長さんクラスだと思うのですが、それによる外国人労働者問題関係省庁連絡会議というのが既にあることは承知しておりますが、新聞報道なんかで見ますと、最近、あれは外務大臣の提唱ですか、外国人労働者閣僚会議というような動きもあるそうですが、その点どうなっているかということと、現在の日本のいわゆる単純労働者を原則として入れないという姿勢が外国にはどんな評価といいますか受け入れられ方をしているか、批判があるのか、あるとすればどんな点かということをお聞きしたいと思います。 それともう一つ、時間もございませんから続けて。私、この出入国管理という法案でございますが、これからの時代は入の方もさることながら、出る方といいますか、必ず帰っていただくという点にもかなり力を入れていかなくちゃならぬというふうにも考えておるものですから、この基本計画でもそこらについても考えていただきたいと思います。
○後藤国務大臣 お答えいたします。 ただいまの井出委員の御質問の前半の問題でございますけれども、関係閣僚会議をつくったらどうかということを外務大臣が提唱されまして、現在内閣においてこれをどういうふうにするかということについて検討中でございますが、いずれそういう方向で話がまとまっていくのではないかというふうに考えております。 それから、後半の御質問については、入管局長からお答えいたします。
○股野政府委員 まず、単純労働者についての取り扱いについて諸外国が、特に近隣の国々においてどういうふうに見ておられるかという点でございますが、これは基本的に外国人の出入国の管理ということはそれぞれの国の主権事項、これは委員御指摘のとおり主権事項でございまして、我が国には我が国の事情があっての管理を行うという点についての基本的な認識というものは諸外国にもあると思います。 したがって、今後の問題は、我が国が近隣諸国との間にあるいろいろな関係の中において、我が国が我が国として一番適正な形で、しかも秩序のある形で外国の方に日本で就労できる機会というものを設ける、そういう考え方が必要であると思いますので、この出入国、現在の新しい御審議をお願いしております入管法改正法案も、現在の日本におけるいわば国民的合意を反映したものについての新しい骨組みというものをお示ししており、またそういうことについての理解を諸外国で求めてまいりたいと思っております。 また、出国についてただいまの御指摘の点でございます。これはただいまの御指摘の点も念頭に置きまして、今後この出入国管理基本計画というものを具体的にどう実効的に運用していくのがいいかということについて、十分検討をいたしたいと考えております。
○井出委員 済みません、時間がオーバーしてしまいまして。 最後に、きのうの夕刊を見ますと、また佐世保の入管の出張所長さんが過労のためお亡くなりになった。先ごろは福岡でもありましたし、大変その業務がふえてきてこういう痛ましい事件が起きております。そしてまた、私ども委員会として過日東京の入管局を見学いたしましたが、あの忙殺ぶりも大変なものであります。ですから、この法改正だけじゃこれは済まない、いろいろな問題があると思います。人員もふやさなければなりません。あるいは事務所あるいはスペースの問題もあろうかと思います。予算編成時期でございますから我々も応援しますが、大臣、その面でもひとつ御活躍を心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○戸塚委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について質問をいたしますが、今、井出さんからも出ておられましたところで、総論的に日本全体の取り決め方というか、それを最初にお聞きしたい、こう思うのです。それと法務省との関係ですね。この外国人労働者閣僚会議というのが開かれることになったのですか、どうもよくわからないのですが。新聞なんか見ると、法務省が抵抗姿勢を示している、入管法の改正が先だなんて書いてある新聞もあるのですが、問題は、これは一体どういうふうなものなのか。今までこういうふうなのがあって、だから長い期間がたってこの法案ができてきたのだ、こう思うのですが、これはどういうふうなんですか。結局外務省と法務省との間で、率直に言えば、権限争いでもないだろうけれども、そういうような点が含まれているわけなんですか。どういうことなんですかこれは、具体的に。
○股野政府委員 まず、この入管法の改正案の策定につきましては、これは関係省庁すべてにわたって十分な協議をいたしまして、その結果策定されたものでございます。そういう意味で、この入管法改正案には関係省庁の一致した見解が盛り込まれております。 また、ただいま御指摘のございました新聞報道等については、これはそういう新聞報道があったということは私どもも承知しておりますが、しかし実際そういうことを、その報道されたような中身については私どもも関知していないところでございまして、私どもはこれは関係省庁間で今後の外国人労働者の問題についても十分の協議を重ねながら対処してまいるという考え方でございます。 現在のこの御審議を願っております入管法の改正案の早期の御審議をいただき成立をお願いするということにつきましても、これも十七関係省庁でつくっております外国人労働者問題関係省庁連絡会議において、先般十月、明示的に合意を見ているところでございますので、その意味では何ら関係省庁の間の問題はないと思います。 今後の問題については、これは大臣の方から御答弁があると思います。
○後藤国務大臣 ただいま政府委員からお答え申し上げましたとおりでございまして、この法案につきましては内閣に設けられております外国人労働者問題関係省庁連絡会議の合意のもとにつくられたものでございますので、これについては問題はないわけでございますが、ただ問題がだんだんといろいろ複雑多様化してきておりますので、今後の問題につきましては、先ほど申し上げましたように閣僚会議という提案も外務大臣からなされておりますので、さらにそういう方向で進められていくことについて検討されているというように私は了解をいたしております。
○稲葉(誠)委員 その十七省庁というのは一体どことどこなのかということと、その十七省庁がこの法案の中にどこにどういうふうに関係してきているわけですか。
○米澤政府委員 お答えいたします。 十七省庁全部をそらんじてはおりませんけれども、法務省を初めといたしまして労働省、外務省、通産、それから大蔵も入っていたと思います。警察も入っておりました。つまり、御承知のように外国人を出入国させるに当たりましては、このごろ外国人が日本国内におきましていろいろな活動、日本人とよく似た活動をするものでございますから、各省庁の基本政策が外国人を入れるか入れないかという方針決定にかかわりを持ってまいります。したがいまして、ほとんどの省庁がこれに関係しているということが言えるのでございますが、先ほど御指摘のありました閣僚懇談会、これは単純労働者を中心として吟味をしようということでございまして、御承知のように今度の法案は、単純労働者受け入れの是非につきましては態度を留保しておるということでございまして、それ以外の既に見通しのついておる問題をすべて法案に盛り込むという形になっております。 したがいまして、単純労働者受け入れの是非につきましてはその十七省庁の会議でずっと検討してきたわけでございますが、やはり重要な問題ですので閣僚の皆様方がお集まりになってさらに懇談をされょうということでつくられるというふうに承っております。
○稲葉(誠)委員 この第六十一条の九に「出入国管理基本計画」というのがございますね。これは具体的に言うと、「法務大臣は、出入国管理基本計画を定めるに当たつては、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するもの」こういうふうになっていますね。これは十七省庁のことを言うのですか、ちょっとはっきりしませんけれども。それと、「法務大臣は、出入国管理基本計画を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表するものとする。」こういうふうにありますね。これは具体的に言うと、「あらかじめ、」というのはどうなのか、「公表」というのはどうなのか。これは単純労務者のこととは関係があるのですかないのですか、どっちなんですか。
○米澤政府委員 非常に混乱した話を申し上げて恐縮なんですが、十七省庁の連絡会議と申しますのは、これは外国人労働者受け入れ問題について内閣に集まって各省庁のいろいろな基本政策との整合性を吟味してみようといってつくられたものでございまして、他方、今の改正案に盛り込まれております基本計画なるものは、今後我が入管行政がどういうふうな方針を中長期的にとっていったらいいかということを法務大臣に考えていただきまして、それを案をつくりまして、それぞれその、例えば研修ですと通産等が関係してまいりますし、それから留学や就学になりますと文部行政が関係してくる、あるいは看護婦さんを入れるか入れないかは知りませんけれども、入れるということになっていけば厚生行政も関係してくるだろうということで、基本計画に盛り込まれます各事項ごとに関係省庁が特定してくるかと思われますが、その我々の方の素案を関係省庁の基本政策とどういうふうに調整ができるかという観点から、関係省庁の長の方の御意向を承りまして、協議の上そういうものをつくり、そして国民に公表することによって、入国管理行政が日本の社会の健全な発展に寄与する方向で動くように、国民からの御意見も吸い上げ、あるいは諸団体からの御意見も吸い上げるような機会をつくりたいということで、そういう基本計画なるものを考え出したわけでございます。 つまり、中長期的に出入国管理行政がどの方向に歩んでいくべきであるかということを明確化し、天下にこれをお示しいたしまして御批判を受ける、それから個別案件は基本計画の線に沿ってそれぞれ具体的、妥当な結論をとっていきたいと思って計画したものでございます。 それから、単純労働者の問題をこれに盛り込まれるかという御質問がありましたが、これは単純労働者を受け入れるべきかどうかという、今は非常に社会問題になってございますから、当然のことながらその協議の状況、結論が出ますか出ませんかわかりませんが、各省庁で協議をした結果として大体こんな方向になるのじゃないかということもお示ししていくことになろうと思いますし、あるいは、受け入れを是とするような結論が出ましたら、それもまたそこに盛り込むということになろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 私というか、私どもが疑問に思いますのは、出入国管理基本計画というのは一体いつごろできるのですかということですね。それが一つでしょう。——その次の質問をしてしまうとまずいな。そこだけ言ってください。
○米澤政府委員 実は、自分たちは法制度としてはそういうものを持っておりませんけれども、中長期的にどうあるべきかということは内部でいろいろ吟味いたしております。したがいまして、法改正が仮に幸いにも成立いたしまして施行されるというような状況になりますと、できるだけ早い段階にそれを策定して、関係省庁と協議をしまして公表していきたいと考えております。
○稲葉(誠)委員 法改正ができると、というのではなくて、その出入国管理基本計画というものができるならば、その中にこの法案も入ってくるのが筋である、こういうふうに考えれば、この法案を先行して先にやらなければならない理由というのはないのじゃないですか、そういうことになるわけですね。だから、いかにも法務省が突出して急いでいるという印象を与えるわけですよ。
○米澤政府委員 さっきの御答弁で申し上げましたように、入管局内におきましては中長期的に入国管理行政いかにあるべきかということを十分考えておりまして、かつまた、関係省庁とは内々に常日ごろからいろいろ協議をいたしております。したがいまして、大体のビジョンは持っておるわけでございますが、法制度として出入国管理基本計画というのは今度初めて登場するわけでございます。したがいまして、今度の法改正案の内容が我々の考えております入国管理行政の将来像を示しておると御理解いただきたいと思います。 かつ、突出しているのじゃないかという御質問でございますが、入国管理行政はかつては観光客の方がメーンでございまして、そう関係各行政機関の基本政策との整合性を考えなくてもいい時代があったと思います。しかしながら現在は、さきにも申しましたように、日本においでになります外国人の方々の在留活動の内容が、期間の長短はございますけれども、日本社会で日本人がやっているのと同じような複雑多様な活動をなさいます。そういたしますと、関係行政機関の基本政策との整合性を必ず考えなければならない。そうしなければ出入国管理行政だけが浮いてしまうといいますか、関係行政機関の基本政策から離脱して方向性を見失ってしまうことにもなりかねませんので、関係行政機関と協議をして、そしていい入国管理行政政策を打ち立てていきたいという念願からこの計画を考えたわけでございますので、突出して入管だけがという考えは全くございません。
○稲葉(誠)委員 私は、この基本計画なら基本計画がちゃんとびしっとできて、世間に公表されて、それからこの法案をつくるというのがどうも筋なように感じるのですが、今はそういう説明ですから、説明は説明ですが……。 そこでお聞きをいたしたいのは、難民の問題がずっと前から出ているわけですね。私も昭和五十六年の五月二十九日にこの法務委員会で質問をしているわけですが、それにも関連するのですけれども、まず、五十五年六月十七日の閣議了解難民というのがあるわけですね。それから、一九八二年の一月一日から発効した条約上の難民、こういうのがあるわけですね。この二つについてちょっと御説明いただけませんか。
○股野政府委員 まず、ただいまの御指摘の閣議で触れられているもの、五十六年の七月にもこの関連についての閣議了解がございまして、これは基本的にインドシナからのボートピープル等の難民を念頭に置いたものでございます。委員が既にいろいろな面で御指摘をいただいておりますのですが、我々としては、まずそのインドシナ難民というものについては、インドシナ三国の政変あるいはそれに続く混乱というものを逃れてインドシナ三国から脱出してきた者を総称してこれをインドシナ難民、こう言っております。 他方、難民条約上の難民というのは、これは難民条約で規定しているところの要件を持っているそういう者、すなわち、具体的には人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見を理由として迫害を受けるおそれのある者、こういうことを念頭に置いて難民というものに扱っております。 したがって、インドシナ難民の中には難民条約上の難民と、それから、そうではないけれども国際社会においてひとしく保護を必要とすると考えられる者と、双方を含めてインドシナ難民というふうに取り扱っております。
○稲葉(誠)委員 ちょっと質問の仕方が悪かったかもわかりませんけれども、私の言うのは、条約上の難民というのは今二百名くらい認定されておるわけですか。それはインドシナだけではないわけでしょう。その他の国々もあるわけでしょう。まずそれですね。
○股野政府委員 御指摘のとおり、難民条約に基づいて我々が難民認定を行う難民というのは、インドシナの難民に限らず、各国からの難民というものが含まれるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 今問題となっているアジアの国々のインドシナ以外の国の難民の問題もこれはあるわけですよ。それは今の段階ではちょっと質問するのを差し控えたいとも思うのです。 そこで、私は前から質問しておるように、難民認定の制度が日本は厳し過ぎるということが前から言われているのですね。例えば、審査は難民調査官によって一対一で行われる、弁護人立ち会いは認められない、申請者本人の供述調書すら公開されない、密室での審査だ、こういうことですね。これに対する不服の審査の申し立てというのは、難民の場合は認定は法務大臣ですね。だから、それに対して、法務大臣がやったものに対して法務大臣に対してするわけでしょう、これは。そこら辺のところはどうか。別個の機関でやるというのはフランスや西ドイツでやっているのです。それから、審査が非常に長いですね。半年から一年ぐらいかかる、こういうふうに言われておるわけですね。それで、日本で難民審査して却下された者が、アメリカへ行くと難民として認定されるという例もある。こういうふうなことで、日本の難民審査は非常に厳し過ぎるという、方法についても非難を受けておるというように私考えるわけです。 五十六年の五月二十九日に私が法務委員会で質問したときに、ペンディングになっておるのは二つあると思うのですね。それは、「難民認定をするセクションと異議申し立てを取り扱うセクションは別建てにするということを考えておるわけでございます。」というのが一つの問題です。それからもう一つは異議の申し立てについて、今これは一週間です。それで、「本人が日本語も英語もわからない場合どうするかということでございますが、これはわからない文書を送り込んでも意味のないことはもちろんでございますので、そこはわかる言葉で、あるいは本人が理解できる方法で通知するということにいたすわけでございまして、そういう事柄は省令などで規定したいと考えております。」これは当時の山本参事官の答弁です。 今、全体を含めてお答えをいただきたいと思います。
○股野政府委員 難民の認定手続について基本的に我々の現在の入管法で対処しておるわけでございますが、そこに設けられております基準というものは難民条約を基本にいたしておりますので、その意味では国際的にも共通の基盤に立っていると思いますので、私どもといたしましては各国に比べて日本の難民認定の基準が厳し過ぎるということはないと考えておる次第でございます。 それから認定の手続について時間がかかるということ、これはある意味で難民の認定というのは外国の事情を十分認識する必要がある等のことからかなりの時間を要するというのは事実でございますが、これについてもできる限りの努力をして難民認定の手続を速めるということは我々としても心がけていることでございまして、今後についてもそうしてまいりたいと思っております。 それから不服の申し立てについての御指摘でございます。これは先般の御審議によっても委員から御指摘のあった点であったと私どもも承知をいたしておりますが、この難民認定制度の発足に伴いまして、我々入管当局といたしましては、認定を担当するセクション、それからこれに対して異議を申し出た場合にそれを扱うセクション、これは別に扱っておりまして、ここの点では違うセクション、したがって違う担当者、責任者が対処するというふうに現在も行っております。セクションの問題については現在ただいま申し上げたようなことでいたしておりますので、我々としては現行の状況で今対処をしておるという状況でございます。 それから手続について、その時間的な問題があるわけでございます。その時間的な問題については、これはいろいろあると思うのでございますが、我々としては本人の申し立てということが基本であって、基本的に本人がどういうことを当局に対して十分理解をさせるかという点で必要な時間という点に着目して今の七日という期間を設けておるわけでございます。別の上陸手続あるいは退去強制手続等において法務大臣への異議申し立てという制度がございますが、それが三日ということになっていることに比べても、この申し立ての期間については七日ということが相当であると考えているところでございます。
○米澤政府委員 若干追加させていただきます。 まず委員御質問の、省令で決めるという当時の山本官房参事官の答弁について現状はどうなっておるかという御質問だと思います。当時お答えはそうなっておりましたが、省令にはしませんで、実は難民認定事務取扱要領というのを定めまして、そして異議申し出について規定を設けております。 それから、先ほど第三者機関に申し出をさせるのが相当ではないか、あるいは外国にもそういう例があるぞと御指摘を受けました。確かに委員御指摘のとおりの例もございますが、他方認定している機関それ自体に対して異議申し出をしているという法制度をとっている国もございます。 それから認定の手続が若干時間がかかり過ぎるという御指摘も、私自身もさよう思いますので、実務に対しましては迅速に調査するようにということを督励いたしております。 それからもう一点ございましたが、七日間では短過ぎやしないかという御指摘もございました、異議申し出の期間が。これは前にもお答えいたしておりますが、やはり難民であるかどうかということは難民自身が主張しかつ立証するというシステムになっておりまして、かつ御本人自身が一番よく事情を存じ上げておられるはずでございますので、その当該本人にとっては七日間というのはさほど短いとは我々は考えていないわけでございます。その一例を挙げますと、退去強制手続等に対する異議申し出は三日ということになっておるわけでございます。それから比べると一週間程度の考慮期間でいいのではないかと判断いたしております。
○稲葉(誠)委員 余りそれに時間をとっていますと本論に入る時間がなくなりますから、この程度にします。 私の疑問は、不法入国の場合は認定を下すのは主任審査官ですね。ところが、難民の場合は法務大臣なんですよ。そこの違いはどういうことでできているのかということが一つなんです。 それから、日本の法制は大体アメリカの法制を中心としているし、今の第三者機関を設けるというのは大体ヨーロッパの法制ですから、そこら辺を詳しく聞いてもあれだと思うのですが、今あなたは立証の話をされましたね。立証となると、結論だけでいいのですが、おまえは外国人だと言っても、いや自分は日本人だと言って頑張っているときに、一体どっちに立証責任があるのかということになるのです。
○米澤政府委員 今委員の御質問は、ちょっと取り違えているかもしれませんが、日本人であるとある人が主張した、そのときに主張立証責任はどこにあるかということだろうと思います。例えば、外国人登録の義務があるぞと仮に官憲の方が申し上げた場合に自分は日本人だと主張された、その場合にどちらが外国人であることを立証すべきかという御質問かと思いますが、それは登録義務を主張する方があなたは外国人であるということをはっきりさせないといけないだろうと考えますが、そういう御質問かと理解します。
○稲葉(誠)委員 余りそっちに入っているとあれになりますから……。それは大阪地裁の判決で、日本国籍を有することの相当程度の蓋然性があるという理由で退去強制処分が無効とされた事例があります。これは外国人であるという立証責任は処分庁側にあると認めた例です。いろいろな議論が法律的にはあるでしょうけれども、そういう判例もあるということを御記憶だと思うわけです。 そこで、私がお聞きしたいのは、本論に入ってまいりますが、まず人権の問題に関連して、入管の法案で一番大きな問題は人権の問題なわけです。 一つ、先に法務大臣にお聞きするわけですが、去年の八月から大手町の東京法務局、あれは三号館でしたか、そこにおいて外国人のための人権相談所が開設されたわけです。私も行ってみました。在日外国人の人権擁護の観点からこれは現在どういうふうになっているのかということ。さらに拡充すべきだと考えておるのですが、その点について現状はどういうふうにしておるかということも含めて大臣の方から一応御説明願いたいと思います。
○高橋(欣)政府委員 まず現状について私からお答えさせていただきます。 今御質問にありましたとおり、昨年の八月から東京法務局において週に二回、午後の時間を当てまして、外国人のための特設人権相談を開設いたしまして、日本に在留する外国人でいろいろな生活上の悩みのある方は相談に来てくださいということを宣伝いたしまして運営してまいりました。 その結果、現在もその体制で続けておるわけでございますが、本年の八月までの一年間の実績を集計してみましたところ、週二回の特設相談日に相談に来られた外国人の方、件数が三百九件になっております。今後も積極的に続けていきたいというふうに考えております。
○後藤国務大臣 ただいま政府委員からもお答え申し上げましたが、今後も積極的にこれを進めていくように努力をいたしたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 私も視察に行ってきたわけです。一生懸命やってくださっているのでしょうけれども、二つ部屋があって、火曜日と、木曜日か何曜日たったか忘れましたが、午後だけですね。場合によると弁護士にも来てもらったりしてやっておるようですが、そこで問題となってくるのは、いろいろ相談に来られる人がいるわけですね。今言ったように三百九件ある。もっとどんどんふえるでしょう。そのときに、そうした人たちの中で、例えば在留資格が不法である、いろいろそういうような話が出てくることがあるようですね。そういうときに人権擁護局としては当然人権擁護の立場を中心として考慮すべきだ、こう思うのですが、守秘義務と通報義務との関係といいますか、現状はどういうふうにしておられるわけですか。
○高橋(欣)政府委員 昨年八月、この東京法務局における外国人人権相談所開設に先立ちまして、今御質問の点につきまして私どもで検討いたしました。当然こういう相談所を開設すれば、不法に残留、あるいは不法就労している方で仕事上の人権を侵されているというような訴えがあることは予測しておるわけでございますので、御承知のとおり、入管法六十二条でございましたか、公務員の通報、通告義務が規定されております。それと公務員一般の守秘義務がどういう関係になるのかということに関しまして文献もあさってみたわけでございます。 刑事訴訟法にやはり公務員の犯罪を認知した場合の通報義務が規定されておりまして、これは刑事訴訟法の二百三十九条二項でございます。この議論と今の入管法の規定の議論は同じであるという前提に立ちまして刑訴法の文献を調べてみたところ、この刑訴法上の通告義務と公務員の守秘義務は、守秘義務の方が優先するというような記述のもの、あるいは、それは所管行政庁の裁量で通報しなくても違法とはならないというような記述のものが多数見当たりました。それに引きかえ、通報義務の方が優先するというような記述はございませんでした。 その中でも、その論拠を少し掘り下げて記述しているものがここにございます。これは熊谷弘ほか三名編の「公判法大系」という本でございますが、そこにこういうふうに書いてございます。 行政機関は、それぞれ固有の行政目的の遂行にあたっているものであるから、右の告発を行なうことが、当該官公吏の属する行政機関にとってその行政目的の達成にきわめて重大な支障を生じ、そのためにもたらされる不利益が、告発をしないで当該犯罪が訴追されないこととされることによってもたらされる不利益よりも大であると認められるような場合には、当該官公吏の属する行政機関の判断によって告発しないこととしても、この規定に反しないものと解するのが相当である。 と書いてございます。 私どももこの考えが妥当であるという前提に立ちまして、入国管理局とも協議いたしました結果、相談者が相談の過程でいわゆる不法残留あるいは不法就労であることがわかりましてもそのことを入管局には通報しませんということについて、入管局の御了解も得まして、その旨の宣伝を大いにやっているところでございます。
○稲葉(誠)委員 今人権擁護局長のお話がありました。大臣、今東京で週二回、午後だけでしょう。私も行ってみたのですけれども、せっかく皆さん方が努力しておられるのに大変恐縮ですけれども、狭い部屋が二つあってやっているだけです。それをさらにいろいろな面から拡充をしていきたいというふうに考えている。各地へ置くとか、自治体に置くとか、各法務局の人権擁護課がありますから、いろいろな方法がありますから、そこら辺のところについては大臣はどういうふうに積極的にお考えなのですか。
○後藤国務大臣 お答えいたします。 ただいままでこの制度について非常に貴重な御意見、また実際にごらんいただきまして委員の示唆に富んだ御意見を伺いましたので、この点十分念頭に置きまして私なりの努力をいたしたいと思います。
○稲葉(誠)委員 法務省の人権擁護局はそういう点について積極的にやっておられると言うのだけれども、労働省はどうもそうではないということを言う人があるので、これは誤解ではあろうかと思うのですが、労働省がこれに関連をして通達を三つ出しているわけです。 最初の通達は、六十三年一月二十六日、労働基準局長と安定局長両局長名義です。「労働関係法令違反がある場合の対処」として「(1)職業安定法、労働者派遣法、労働基準法等労働関係法令は、日本国内における労働であれば、日本人であると否とを問わず、また、不法就労であると否とを問わず適用されるもので」云々と書いてあるわけです。これを含めて、外国人労働者問題についていろいろな議論がある中で、人権の問題を労働省関係は一体どういうふうにして反映させていくのですか。
○伊藤説明員 お答え申し上げます。 いわゆる外国人労働者の問題、単純労働力の問題を含めましていろいろ議論されておるわけでございますけれども、労働省の基本的な考え方は先生御案内のとおりでございます。 ただいま御質問ございました外国人労働者の問題、いわゆる人権擁護、労働者保護の問題という観点でお答え申し上げますと、御案内のとおり不法就労者が近年急増しておるところでございますが、これらの方々はほとんど単純労働者として就労しておられるというのが現状でございます。このような単純労働者の方々につきましては、労働政策の観点から受け入れないことが従来から基本的方針になっておりますが、不法就労そのものは形式的には入管法違反という形になっておるわけでございますが、男子を中心とした単純労働者が非常にふえていくという事態が続くことは、実質的には国内における適切な労働力の需給調整の観点から労働市場の適正な機能の阻害要因になるとともに、労働者にとりましても低劣な労働条件下に置かれている可能性も非常に強いということでございます。現実に不法就労に絡みまして違法な労働者派遣の問題や労災事故等の問題も生じておるということでございまして、不法就労は労働行政としても看過できない重要な問題であると考えておるわけでございます。 このため、労働省といたしましては、外国人労働者につきまして労働関係法令が、これは内外平等でございますので、完全に遵守されるように監督指導に努めておるわけでございますし、また法違反がある場合には厳正に対処しておる、特に事業主に対して厳正に対処しておるところでございます。そういう意味で、労働行政上特に問題が生ずるおそれのある不法就労があった場合に、出入国関係の担当でございます法務省の行政機関に情報提供するというようなことでございまして、あくまでも労働行政上の観点から特に問題があるというような点でやっておるわけでございます。労働省といたしましては、外国人労働者問題に対しまして、不法就労対策という観点は、雇用・労働市場を勘案した受け入れ範囲の問題とか労働者保護の面について対応していくことが必要であるというようなことで実際上の運用をしておるところでございます。
○稲葉(誠)委員 私の聞いているのは、今あなたが労働省の立場をいろいろ述べられた、それはそれで労働省の立場でしょうけれども、人権擁護局長が言われたのを聞いておられましたね、聞いておられたからそれを受けて、どうも法務省と労働省とでは立場が違うのじゃないか、そういうふうに言われるわけですよ。今あなたは事業主に対してはいろいろそういうふうなことを言われたし、いろいろありましたけれども。そこで、法務省の人権擁護局のような立場を労働省側もとっていく必要があるのではないか、こういうふうなことをお聞きしておるわけです。
○伊藤説明員 お答え申し上げます。 先ほどの、労働行政上非常に重大、悪質な違反があった場合に、必要な場合に出入国管理行政機関へ情報提供しているという基本的スタンスの中で、例えば不法就労の疑いのある外国人から賃金不払い等の申告、相談があった場合については、直ちにこれを情報提供するということにいたしますと、事実上その申告、相談の道を閉ざすことになるということで、労働者の労働条件の向上、保護を目的としております労働基準行政本来の目的を達成し得ないというふうに考えておりますので、そういう申告等の問題につきましては、情報提供は差し控える扱いをしているところでございます。
○稲葉(誠)委員 六十三年一月二十六日は両局長名義ですね。その後ことしの七月二十五日が安定局ですか、十月二日が基準局ですか、これは課長のあれになるんですかどうですか。そこで、初めは二つ一緒だったのが後から分かれてきておるということから、どうも基準局と安定局の間で意見が違うというかそういうようなものがあるのじゃないか、こういうふうなことを考えないわけでもないんですけれども、そこら辺はどういうふうになっているのですか。
○伊藤説明員 昨年の両局長連名の通達につきましては、当時の情勢から基本的な考え方を述べたものでございます。その後、御案内のとおり、ここ一年にわたり非常に外国人労働者問題が大きくなってきた、また不法就労の問題も出てきたというようなことでございます。 そういうことで、労働省としてのスタンスとしまして、まず、外国人労働者の問題につきましては雇用・労働市場への悪影響の防止というような問題がございます。二番目に、不法就労への有効な対処、対策。三番目には、外国人労働者の労働条件の確保。こういう三点の観点から適切な外国人労働者の受け入れが行われるように考えておるところでございます。 このため、基本的には事業主に対する指導を行うということが第一でございますけれども、不法就労につきましては、まず職業安定機関におきまして事業主に対する指導を行うとともに、職業安定法等の違反があった場合については、もちろん厳正に対処するわけでございますけれども、事業主に注意を喚起するというような形で不法就労を是正するための措置をとっておるわけでございまして、このような是正指導を行ってもなお違法状態が継続するというような場合についての関係機関への情報提供というようなスタンスを安定行政としては指示しておる。一方、基準行政につきましては、先ほど申し上げましたような形で、重大な労働基準関係法令の違反がある場合など、基準行政上問題がある場合特に情報提供をする、特に申告等の場合については情報提供は差し控えるというような形で、昨年の通達は基本的な考え方でございますが、安定機関、基準関係の監督機関、それぞれ機関の性格もございますので、それぞれ詳細に通達をしたということでございます。 いずれにいたしましても、雇用の安定、労働条件の確保といった労働行政の本来の目的に留意しつつ対処しているということで、我々としては同じようなスタンスをとってあると考えておりますけれども、先生御指摘のように、そごがあるというような誤解なり、そういう理解がされないよう、今後とも連絡をとりながら十分調整していきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 あなたの話を聞いていると、労働行政の話の雇用の安定とか、いろいろ進め方なんですが、問題は、同時に、そこに今最初のあれに出てきますように、日本人であると否とを問わず、また不法就労であると否とは問わず適用されるのですから、そういう面について十分な労働保護という観点から対処をしていただきたいということを要望しているわけですから、それに対して短い答えでいいのですけれども答えていただきたい、こう思うわけです。
○氣賀澤説明員 お答えいたします。 先生御指摘のように、労働基準法等の労働者保護法令につきましては、国内におきます事業場におきまして使用される者でありましたら外国人労働者につきましても適用されるというようになっておりまして、私ども労働基準監督機関といたしましても、それらの労働者の労働条件の適正な確保ということに大変強い関心を持っておりまして、今まで必要な対応を行ってきておるところでございます。今後におきましても、私どもは、外国人労働者からの各種の相談への対応でございますとか、事業場に対します監督指導というようなものを通じまして適正な労働条件が確保されるように努めてまいりたいと考えております。
○稲葉(誠)委員 今労働省の関係の方から言われましたそのことを、今後も法務省の人権擁護局と同じような形でしっかり守っていってもらいたい、こういうように思うわけです。 そこで大臣、私も東京入管へ何度か、委員会として行ったり個人として行ったり、視察に行っているわけです。大臣も何かなられてからお行きになられたというのですけれども、これは行った時間によるのです。恐らく大臣が行かれたのは、何か四時だか四時半ごろだという話をちょっとお聞きしたのですが、あるいは間違いかもわかりませんけれども、これは午後の始まるときが一番いいのですよ、一時ちょっと前です。いいという言葉は不謹慎ですが、あのころ私が行ったときにあそこに人がいっぱいいるものですから、何か入社試験でもあるんだと思っていたんですよ。人がいっぱいいまして、一時になったら、階段があるでしょう、階段をみんなわあっと駆け上がってくるのですよ。駆け上がっていきまして並ぶのですね。私もそれはびっくりしまして、それから大分スペースや何か広げてあれしましたけれども。 そこで問題は、入管の職員、さっき井出さんも言われた、この前亡くなられて、今度また新聞によりますとお気の毒に亡くなられた方もいらっしゃる。非常に過労なわけですね。東京入管も過労ですからほかの入管もそうだと思うのですが、非常に、絶えずいらいらしているわけですね、職員も。するとそこに来る人もみんないらいらしているという形になるわけですね。そこで非常に長く待たされるわけです。 それから、成田へ視察に行きましたときには、フォリナーのところはずうっと並んでいまして、あそこにずっと列があって、自分の番が来るまで一時間くらいかかるので、何か紙に書いて置いていくのがいるらしいですね。スピード、スピードと、こうやって帰り際に置いていくのもいるとかいう話もあります。聞いてみると職員の人は昼飯もろくに食べられないのですね。二時ごろまでたたないと昼飯が食べられないというような状況で、だから非常に職員が過労になっておるということと、同時にそれのために、来る外国人に対して非常に不快感を与えるということです。これは東京入管を初め、地方入管の窓口はいずれも繁忙をきわめている、もう非常に繁忙ですわ。それから施設も手狭であって、外国人に不便を来しておる。だから、この法律は別として、職員なり施設の充実というのをどうやって今後図っていくか、こういうことを大臣としてどうお考えか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○後藤国務大臣 お答えいたします。 稲葉委員も随分長い間、いろいろ実際にごらんになって、御見聞をされて、貴重な御意見を今お聞かせいただいておりますが、私も先般東京入管に参りました。そして、東京入管は確かに手狭であるということもございますし、それから消防法などの関係から座るいすを置くスペースも制限をされているということから、階段にたくさん腰かけて待っておられるということもあるし、また五時に、いわゆる閉庁時間を過ぎました後に、入っておられた方々の審査あるいはいろいろな御要望に沿うためにも、夜かなり遅くまでかかっておるというような実情を私も見てまいりまして、何とかこれを改善しなければならないということは痛感をいたしている次第でございます。 しかしながら、今お話がございましたように、施設が非常に繁忙をきわめていて、今のままではかなり不十分であるということも承知をしておりますので、これからさらに運営の方法を効率化して、いろいろ体制を整備してまいりますためには、特に人員の整備、これも稲葉委員御承知と思いますけれども、過去十年間に入管の職員というのは、出入国の数が二倍以上にふえておりますにもかかわらず、ほとんど横ばいの状態であるということを改善しなければならないという問題もございますし、それから、先ほど御指摘のございましたように、福岡の入管の寺井という職員が殉職をいたしましたし、また一昨日も病気が過労のために再発いたしまして亡くなった職員もいるというこの条件を改善いたしますために、これからも法務大臣として最善の努力を尽くさなければならないと思っております。今後ともいろいろ御指導、御意見等をお聞かせいただくようにお願い申し上げたいと思います。
○稲葉(誠)委員 そこで、法案の中身といいますか、入っていきたいと思うのですけれども、実は入管協会というのがあるわけですね。これは神田にありますね。そこで「在留外国人統計」というのを出しておって、一九八八年十二月末現在で一九八九年七月に発売になっている「在留外国人統計」というのがあるのですよ。これを見ますというと、「在留資格」というのがずっとあって、例えば公務、短期滞在、興行、宗教活動とかずっとあって、今度、十八が十ふえて二十八になったのでしたか、そのふえたのに対して、このときには家事使用人という何かあれがあるのですね。これが今度の在留資格の中ではなくなっているのですか。これはどういうわけですか。
○米澤政府委員 お答えいたします。 家事使用人という在留資格が現行法であるわけではございませんで、委員御案内のとおりですが、四—一—一六—三といいまして、法務大臣の特に在留を認める者というカテゴリーで家事使用人というのが入っていて、統計上はそれを明らかにしておるわけでございます。今回も家事使用人についてどうするか吟味いたしましたが、いわゆる家事使用人は例外的にある場合にのみ認めてきておるという状況にございますので、今度の別表でいいますと、別表第一の五のところにありますカテゴリーで必要に応じて入れていく予定にしておるわけであります。特に独立した在留資格にはしなかったということでございます。
○稲葉(誠)委員 この不法就労という言葉の問題なんですね。今までは不法就労という言葉は法律では使っていなかったんじゃないですか。どういうふうな言葉を使っていて、特に今回不法就労という言葉を使うようになったのですか。
○米澤政府委員 お答えいたします。 不法就労外国人とかあるいは不法就労という言葉は、入管行政の実務では常々使っておりましたが、法律上はございませんでした。法律的にいえばどうかといいますと、資格外活動の一環としてといいますか、資格外活動そのものが就労活動であったという人、それからオーバーステイと我々言いますが、在留期間を超えてなお日本に不法に残留している人が就労活動をしておるというような人たちをひっくるめて、実務上不法就労外国人あるいは不法就労活動と申しておりました。 ところで、このたび、御承知のとおり不法就労助長罪的な雇用主処罰規定を設けるに当たりまして、そういったいろいろなカテゴリーにある人たちをひっくるめて表現するのには不法就労活動という言葉を使うことが構成要件上非常に明確に規定しやすいのではないか、法技術上その言葉を使いたいということから七十三条の二でその言葉を使いまして、しかも定義を置きまして、その不法就労活動の内容を明確にしたわけでございます。
○稲葉(誠)委員 今まではそうすると何というのですか。資格外活動絡みの不法残留者、こういうふうに呼んできたのですか。——ちょっと待ってください。資格外活動絡みの不法残留者という言葉もこれまたなかなか難しい言葉だけれども、これはどういう意味なんですか。
○米澤政府委員 まことに言葉としては一般の方方には通じにくい言葉でございますが、御承知のように我々の言う不法就労外国人を摘発してみますと、おおむね八割から九割ぐらいがオーバーステイ者によって、つまり不法残留者によって行われております。と申しますのは、例えば短期滞在で来た者が就労資格がないのに就労して金を稼ぎつつ、かつ定められた在留期間を超えて不法残留しているという形が圧倒的多数でございますから、それを示すためにさような言葉を使っておるということでございます。つまり、ずっと引き続いて残留する、それ以前からどうも就労していたらしい、そして従来与えられた在留資格、もう在留資格は吹っ飛んでおるわけでございますが、それに反して就労しておるということを示すために用いている言葉でございます。
○稲葉(誠)委員 これは恐らく、アメリカの移民法をどういうふうにしたのですか、この法律を最初につくるときにそれをモデルにしたのだと思うのですが、アメリカの移民法では、今言ったのはいわゆる新移民法ですか、シンプソン・ロディノ法というのですか、不法就労者という言葉を使っていなくてアンドキュメントワーカー、こういうふうに使っているんじゃないのですか。だからアンドキュメントワーカーでいいのではないですか。不法なんという言葉を使うからおかしくなってくるので、不必要な誤解を与えて、いかにも差別的な考えを持っているような印象を与えるので、登録されていない労働者をどういうふうに呼ぶか、ちょっと長い呼び方だから、アメリカで言えばアンドキュメントでいいのでしょうけれども、日本の場合どういうふうに呼ぶか別として、別な呼び方が幾らでもあるのじゃないですか。
○米澤政府委員 確かに一九八六年にできましたアメリカの新移民法と申しますか、法律の中では、今委員が御指摘になりましたような言葉を使っております。これはどういうことかといいますと、私もつまびらかにはしないのでございますが、若干のぞいた結果によりますと、アメリカの市民権を持つ者つまりアメリカ人であれ外国人であれ、すべてセキュリティーカードを持っておりますが、就労することが認められている外国人もセキュリティーカードという社会保険のためのカードを持っておりまして、就労するときにはそれを雇用主に示して、雇用主はそれを確認して雇うというシステムになっております。したがいまして、就労ができる資格で入国していない外国人はセキュリティーカードを持っておりません。そのセキュリティーカードを持っていないということをドキュメントを持っていない外国人、こういうふうに表現したのだろうと思います。 我が方では、御承知のようにセキュリティーカード的なものを持たすということがシステムにございませんし、あまつさえ統計上も実務上も不法就労という言葉をずっと使いなれて新聞等にも発表してきておりますので、不法に特に差別的な意味合いを持たせているわけではございませんで、入管法に違反しているということを端的にあらわすためにそういう言葉を使ったというにすぎないのでございます。
○稲葉(誠)委員 ただ、正確に言えば不法就労者というのは正規な資格を持っていないで就労している人、こういう意味でしょう。そこのところを不法就労者、不法就労者と言うから世間全体の見方というと語弊がありますが、受け方がおかしくなってくるのですね。おかしくなってくるというのはちょっとまずいけれども、こういう印象を与えてしまうのです。だから、正規に登録されていないワーカーだ、こういうことじゃないのですか。何とかほかの呼び方があるのじゃないですかね。
○米澤政府委員 最も正確に表現するといたしますと、先ほど来申し上げておりますように在留期間を超えて不法に残留しておる、つまり入管法に違反して残留している外国人であって就労している人、それから就労してはならない在留資格で日本に在留しているにもかかわらず就労している外国人、こういう長い言葉で表現するのが一番正確かと思うわけでございます。 それに加えまして、今度の不法就労助長罪の中では、不法入国者それから不法上陸者、いわゆる偽造旅券等を持って入った人あるいはパスポート等を全く持たないで夜陰に乗じて入った人を雇った者も一応処罰の対象にしておりますので、ひっくるめまして違法就労者、違法労働者というのと同じ意味、入管法に違反して就労している人たち、そういう表現でございますので、特段差別意識を持って使った言葉ではございません。
○稲葉(誠)委員 これに関連をしてきょうお聞きいたしますのは、就労資格証明書、率直に言うとなぜこういうものが必要なのかというのがよくわからないのですね。外国人登録の場合は登録証を持っているわけだから登録証でいいじゃないかというふうなことになってくるので、なぜこういうふうなものをつくったのか、これがまた一つの問題点になってきているわけです。登録証もだんだん改正して持ちいいようにしてきたわけでしょう。これでいいのじゃないのですか。
○米澤政府委員 今回この就労資格証明書制度をつくることにいたしました目的は、今回の法改正が目指しております主たる対象者、これは新規入国者を考えております。特に不法就労助長罪等を考えます場合には新規入国者を考えております。 ところで、地球がだんだん狭くなりますと地球のあらゆるところから日本にやってきて、就労できる在留資格を得て働こうとされる方が今後ふえてくるだろうと考えるわけでございます。そういった方々が旅券なり外国人登録証明書をお見せになって雇用主に対して十分働けるんだという御説明をなさる際に、我々の在留資格、今回工夫はいたしましたもののその表示が省略された形での文字を使っておりますので、それを例えば英語なりなんなりの言葉でその当該外国人が雇用主にうまく説明するということは難しいのじゃなかろうか。そうとすれば、与えられている在留資格が就労のできる在留資格である旨をもしその外国人が必要とされるなら出してあげたらどうだろうか、行政サービスとして出してあげた方が雇用促進の一助になるのではないかというふうに考えたのがまず目的でございます。しかし、今委員御指摘のように、これに賛成する方もおられますが、危惧を持たれる方々がおられることは十分承知いたしております。
○稲葉(誠)委員 あくまで行政サービスだと言うのなら、それに対応するやり方は幾らでもある、こういうふうに思うのです。 そこでお聞きをいたしておきます。 例えば外国人登録証、僕はたまに見ることがあるだけでよくわかりませんけれども、数字が横にハイフンが入って並んでいるわけですね。あれを何とかもう少し日本語でわかるような書き方、資格的なところがわかるような書き方というのはできないのですか。
○米澤政府委員 私どもといたしましてもそれが可能なら一番いいのでございますが、例の簡単なラミネートカード方式になっておりまして記載欄が非常に少のうございますために、今委員がおっしゃいましたように現行法では例えば四—一—四とかそういう項号数の列挙でやっておりますし、今後もし法改正が成立いたしますと、例えば就学なら就学という文字を書くぐらいしかそのスペースがございません。そういたしますと、この就学というのは働けるのか働けないのか一般の人たちは余りわからない、よく徹底すれば別でございますが。そういうふうなことで、熟練労働的な形で入られた方でも、自分はこういう技術を持って入ってきたんだからこういう技術で雇われる資格があるんだということをもし御説明なさるときに隘路があってはいけない、支障があってはいけないということから、今申しましたようにサービス的にしたい。ただ、行政サービス的であるならば事実上やればどうかというふうなことになろうかと思うのですが、行政サービスでやるにいたしましても、紙とかいろいろなものは予算措置を必要といたしますので、その面から法文に書かざるを得なかったというのがいきさつであります。
○稲葉(誠)委員 インドシナ難民に対して何か証明書を出しているのですね。これはどこが出しているのですか。
○米澤政府委員 財団法人難民事業本部といいますか、これは御承知のようにインドシナ難民等の受け入れあるいは定住化を促進するために、法務省と外務省との共管だったと記憶しておりますが、財団がございます。そこが、定住したインドシナ難民につきその就職とか公団住宅の借り入れとかというときに、自分は働けるんだとか公団住宅の貸与を受けられるんだということを難民御自身が御説明しにくかろうというところから、その本部が念のためといいますか、その人たちのために発行しているものであります。
○稲葉(誠)委員 そうすると、インドシナ難民については難民事業本部というのが発行しているから、今の就労資格証明書というのはそちらの方でもらっている人には出さないということですか。あるいは全然別なものだということになるのですか。
○米澤政府委員 本部が出しておりますのは法制度上の証明書ではございません。我々がっくりますのは一応法制度上のものでございますので、定住難民が仮に入管局へ来られましてそっちの方の証明書を欲しいとおっしゃれば出すことになります。
○稲葉(誠)委員 その就労資格証明書というのがどうもよくわからないのですが、就労資格証明書の記載項目だとか添付書類は何なんですか。どういうことなんですか。だれがどこへ行ってやるんですか。
○米澤政府委員 どこでというのにお答えいたしますと、地方入国管理官署でやることにしておりますので、例えば地方を考えますと出張所も含まれます。だれがという点でございますが、当該本人がおいでになるのが原則ではございますけれども、当該本人の御都合等を考えますと、例えばある種の方々には代理申請の制度も考えよう、簡易な方法を考えようとしております。
○稲葉(誠)委員 では、行くときに何を持っていくのですか。
○米澤政府委員 旅券に御承知のように入国の際に上陸許可証印というのを押しますが、その中に在留資格が表示されております、ただし先ほど申しました短い表現で。その旅券なり外国人登録証明書にまた短く表示されておるものを持ってきていただければ、当該本人の在留資格が書類上、うちに保管されておる書類と照合すればすぐわかりますので、その在留資格はかくかくしかじかの内容の就労ができる在留資格であるということを証明することになるというわけであります。
○稲葉(誠)委員 それは法務省が発行するということになるわけですか、結局はそういうことになりますね。そうすると、有効期限だとか切りかえ制度というようなものもこれはあるのですか、どういうことになっているのですか。
○米澤政府委員 私ども入国管理行政を担当いたしております限りにおきましては、当該外国人の方の在留資格が何であるかということをもし必要ならば御説明申し上げるのが筋だろうと考えておりますから、それを法制化いたしましてその方の在留活動がスムーズにいくように、あるいは雇う側が在留資格の確認をするときに便利なようにということを考えております。したがいまして、我々の行政の密接に関連する仕事であろうと考えておるわけであります。 発行いたしますのは地方入国管理官署でございますから、現在書式はまだ考えておりませんけれども、地方入国管理局長になるかあるいは入国審査官主席等にするか、非常に簡便な方法を今考慮中であります。
○稲葉(誠)委員 在日韓国・朝鮮人を初めとする外国人にとって、この証明書を受けることは結局どういうメリットがあることになるのですか。
○米澤政府委員 まず、今委員は在日韓国・朝鮮人の方をちょっとおっしゃいましたのでそこから入らせていただきますが、このたび改正案に盛り込まれております在留資格の別表の第二に該当する方々がほとんどだろうと思われます。この法の別表第二の在留資格に当たる方々は、法律上明らかに日本人並みに活動できる者であるということを明示したいがために別表第二に持ってきたわけでございますから、この別表第二の趣旨が世間に周知徹底されますならば、在日韓国・朝鮮人の方々は就労資格証明書を少なくとも雇用主側からわざわざ要求されることはなかろうと思います。他方、在日韓国・朝鮮人の方であっても、自分は働けるんだということをどこかでみずから立証したいといいますか説明したいとされた場合に、必要を感ぜられればお出しすることになろうと思いますが、あえてお持ちになることはないわけでございます。 それから、どういうメリットがあるかといいますと、在日外国人、要するに、来日外国人と言ってもいいのですが、新しく日本に来られる外国人の方々が、非常に日本社会と密接に密着して法律上事実上の活動に入られることが多うございますから、その場合には、当該外国人の在留資格というのは生活をなさるに当たって非常に問題になるのだろうと思います。そのときにそういうものを御利用いただければ案外スムーズに自分のステータスを御説明できるのではないか、そういう意味のメリットがあるということを考えております。
○稲葉(誠)委員 そうすると、これは任意で義務ではないわけですけれども、この制度が仮に行われたとしたときに、一体どの程度の人がどういうふうにしてこれを申請するだろうかということのおおよその目安は法務省当局としては持っているのですか、あるいはこれはとてもやってみなければわからぬというのですか、どっちなのですか。
○米澤政府委員 実はそういう先行きのシミュレーションを完全にはやっておりませんけれども、現場等から聞きます限りでは、例えば、外国人を雇おうとする人が電話等で、Aさんという外国人を雇いたいのだ、果たして不法就労外国人になってしまわないだろうかというようなお問い合わせはしばしば参りますし、逆に、期間更新でおいでになります外国人の方で、雇用の関係でうまくいかないから説明してくれぬかというような御要望もございますので、数はよくわかりませんが、ニーズがあることは事実だろうと思っております。しかし、委員御指摘のようにこれをアメリカのセキュリティー・ドキュメント・ペーパーみたいなもので、カードみたいなもので義務づけたりはしないということで、権利として御本人の御要望があるときだけ出すということにしたわけであります。
○稲葉(誠)委員 そこで、こういう問題が一番大きく出てくるわけですね。文書の交付は確かに任意だ、法律でそういうふうになっています。ではあるけれども、本邦に在留する外国人をこの文書の交付を受けないことを理由として不利益に取り扱うというふうなことが起きてきては困るわけです。不利益に取り扱ってはならない、こういうふうなことを何らかの形ではっきりさせることはできないのですか。
○米澤政府委員 私どもも、立案に当たりまして在日韓国・朝鮮人の方々やその他の方、団体に、この就労資格証明書も含めまして案を示しまして御意見を徴しておりますが、その際、今委員御指摘のような危惧をお持ちになったり、あるいはこの就労資格証明書制度はやめた方がいいのじゃないかという御意見を持っておる方がおられることを十分承知しております。 委員御指摘のように、この制度を導入することによりまして、いたずらに在日外国人のいろいろな面での不都合あるいは差別扱いというふうなものが生じてはなりませんので、例えば今申しましたように在留資格別表第二の意味を周知徹底させるとか、あるいは在日韓国・朝鮮人の方を含む当然日本人並みに働ける人たちについてはこういう就労資格証明書を要求しないようにということで経営者団体なり雇用主団体にうまくいろいろPRするといいますか、周知徹底を図る。あるいは交付の仕方につきまして、例えば外国人登録証明書との併用とかいろいろの考え方で、簡便な、要するに時間のロスが多いとかわざわざ入管へ出頭するのはどうかというような御意見については、その辺をうまく簡略化していくような方法も考えてみたいと思いますので、十分当委員会でその辺の御議論をいただきまして、その御議論の過程を十分私どもも承知をして、実務では遺憾なきを期していきたいと考えております。
○稲葉(誠)委員 今の就労資格証明書、これについては今後も各委員から恐らくこの点を中心として質問があると思います。今あなたが言われたことをさらに深めていくような質疑があると思うので、私が言ったように、文書の交付を受けないことを理由としてその外国人を不利益に取り扱ってはならないということが何らかの形で明文化されるとかなんとか、はっきり出てくるような形にならないものかと思うのですが、そこはどうでしょうか。
○股野政府委員 今委員御指摘の問題点を私ども非常に努力をしなければならない点だと思っておりまして、今後我々がこの制度を運用していく上において、不利にならないということを十分確保するように運用の面で十分明らかにしていくというふうにしてまいりたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 今のは改正案の話ですが、改正案はもう一つ重要な問題があるわけですけれども、これは恐らく別の委員が中心に聞かれると思いますので、現在の制度の中で行われているところでどういう問題があるのかということについてお聞きをしたい、こういうふうに思うわけです。 今ちょっと言いましたように、例えばいろいろ退令が出る場合がありますね。そうすると、未払い賃金なんかあるわけです。そういう場合には具体的に入管としてはどういうふうにしているのですか。
○米澤政府委員 これは入管局自身の職務権限を若干越える問題ではございますけれども、せっかく働かれた外国人が退去強制になる際に未払い賃金がある等の問題が残っておりますと、やはりそのまま追い帰すのはどうかと思いますので、事実上、その雇い主等に連絡をとりましてできる限り賃金を払わせているというのが実務のやり方でございます。
○稲葉(誠)委員 それは、本来入管の方から労働省関係へ通知してそこでやらせるのが筋ではないかと思うのです。 そこで、私はこういう条約があるのをあれしたのですが、一九五〇年発効で五八年日本も加入しておりまする人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約というのがあるのですね。その条約の第十九条にこういうのがあるのです。「売春を目的とする国際的人身売買の被害者が、その本国への送還に関する措置を完了するまでの間、生活に困窮するときは、それらの者の一時的保護及び扶養のための適当な措置を講ずること。」これは日本も加入しているわけですが、一つの条約の例ですけれども、この趣旨をほかへもずっと生かして、帰りの飛行機代もないとかいろいろあるわけですが、そういう人たちの救済のために、入管自身が果たすというのかあるいはほかの省庁に連絡して果たすのかわかりませんが、「一時的保護及び扶養のための適当な措置」をどうやって講じたらいいか、当然こういうことを考えるべきではないのですか。そこは具体的に今どうなっているのですか。
○米澤政府委員 委員御承知のように、退去強制の対象者になりました例えば今の売春婦の話をいたしますと、その方が所持金を全く持っていないというような場合あるいは病気にかかっておられるというような場合には、収容中に必要な、要するに給食あるいは衣服の関係あるいは治療の関係、これは国家予算において十分やっておるところであります。ただ、帰国費用につきましてはいろいろ問題がございまして、主としては御当人がリターンチケットを持っていることが多いものですからそれで帰ってもらっておりますが、全くその当てのない方につきましては要するに国庫負担で帰っていただいております。予算的には規模は非常に小そうございますが、帰国旅費も強制送還費としていただいておりますので、それで送り帰しておるということでございます。
○稲葉(誠)委員 それでは研修ビザのことについてお聞きをしたいと思うのですが、研修ビザというのは公的な研修と私的な企業によって行われるものといろいろあるわけですね。研修等の年度別、国別、業種別、レベル別というか政府ベースであるとか民間ベースであるとかいろいろあると思いますが、そういうようなことのデータや何かはある程度はわかりますか。
○米澤政府委員 研修目的で外国人がどれくらい入国したかというデータあるいはどこの国から幾らというデータは持っておりますし、政府ベースといいますか準公的ベースでやっておりますのはそれぞれ各省庁の統計から私どもいただいておりますのでわかっておりますが、民間でかつ在外公館限りのビザで入ってこられる方につきましては、フォローアップといいますか実態調査をしていきませんとなかなかつかみにくうございます。しかしながら、おおむねどれくらいということは統計は持っております。
○稲葉(誠)委員 その統計をおおむね持っていれば明らかにしていただきたいと思うのですが、法務省は労働ビザは出さないでしょう。そのためか研修ビザをずっと出して、この一年間に研修ビザの数が非常にふえている、こういうことですね。そこら辺のところを説明していただきたいのと、今審議官が言われたように、フォローするというのだけれどもフォローする官庁がどこの官庁だかわからないのじゃないですか。
○米澤政府委員 官庁はたくさんございまして今手元に全部は持っておりませんが、例えばJICAといいますか外務省サイドのもの、あるいは高度な技術者、電子工業等の技術者についての研修を実施しておられる通産省あるいは農業技術については農水とか、いろいろ各省庁とも持っておりまして、それに見合って入ってこられる方が大分おられます。国費で研修手当を支給して研修に来られるわけです。 そのほかに、民間がいろいろ技術移転をしたいということでそれぞれ独自に研修計画を立てられまして、事前に我々のところへ持ってきて、これを招聘て研修を受けさせたいのだがどうかということで事前チェックを受けにこられるケースが相当ふえてきております。 新聞にも出たことで委員御承知かと思いますが、私ども夏ごろに実態調査をしてみますと、不法就労といいますか単純労働の就労そのもの、研修を逸脱した形での研修、研修に名をかりた就労的なものがたくさん発見されましたので、入管当局といたしましては、さような研修に名をかりた労働者の導入というのは問題があるので基準等につきいろいろ見直しをし、関係省庁等にもそれを周知徹底して、しかも民間からの御申請があればその基準にのっとって厳正に今対応していっているところであります。確かに、言われるとおりふえてきておるのは事実でございます。
○稲葉(誠)委員 ふえてきているのは事実だというのはそのとおりなんです。だから、私が今言ったようなことは数字でできる限り御説明をお願いいたしたいということが一つです。 それからもう一つは、今審議官が言われましたけれども、就労の話が出ましたね、実務研修というものと就労とを区別するというのは、どこをどういう基準で一体区別しているのですか、だれが区別するのですか。
○米澤政府委員 まず数字的なことを申し上げてみますと、六十三年の統計でございますがトータルで二万三千四百三十二名の研修生が日本に入っております。これを六十年と比べますと約一万ふえておりまして、相当程度増加しておるということが顕著であります。 それから、実務研修といわゆる研修とはどう違うか、あるいは実務研修なら就労との区別はつかないのではないかという御質問だと思いますが、我々は実務研修という言葉を使っておりませんで、研修といいますのはもう言うまでもなく技術移転のためにやるわけでございますから、移転の対象になる技術がその作業といいますか仕事の中に組み込まれておる、そういった種類のことを勉強に来られる方でありますので、現在研修に名をかりて就労をされている実態を見てみますと、ほとんどがいわゆる単純労働と我々が言っているものでありまして、何ら技術、技能を要しない労働に従事されておりますから、一目瞭然にそれを繰り分けられると思います。 ただ、最近、実務研修という言葉が学者とかいろいろなところで言われております。これは、多分いろいろな意味でおっしゃっておりますので私もはっきりした定義は持っておりませんが、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、こう英語で言っておられるようでありますが、実務研修というのは、要するに実技をそこでやるのですけれども、それはむしろそれに名をかりた就労者を獲得したいという動きが民間に多いように私は感じております。
○稲葉(誠)委員 それはいいのですが、いいんじゃなくてよくないのですけれども、よくないと言うとあれですけれども、実務研修と就労を区別するメルクマール、なるほど、実務研修というのはオン・ザ・ジョブ・トレーニングと言っていますわね。だれが言い出したのか、学者が言っているんだか。実際は就労になる方が多いわけでしょう。では、だれがどうやってフォローしてやっているのですか、こう聞いているのです。入管にはとてもできないでしょう。実態はどうなんですか。
○米澤政府委員 言われているところの実務研修があくまで研修であるとすれば、就労とは区別がつくと思います。 例えば、研修手当以上のものを出してはならない、つまり労働に見合う報酬を受けてはならない。要するに手当は、例えば宿泊費とか交通費とかいう実費みたいな手当は受けてもいいのですが、いわゆる大工さんが仮に日当二万円なら、日本人が二万円なら外国人でも二万円というふうにその労務に見合う報酬を受けてはならない。そこで区別がまずつきますが、そのほかに、研修である限りはいわゆる座学をしていただいて、技術移転の基礎の教育を受けていただくということもその中で入ってくるわけであります。それから、技術移転を受けた方が本国に帰られた場合に、必ずその技術を生かして活動していただけるかどうか、そういうところにも目を向けて区別をしております。 〔委員長退席、井上(喜)委員長代理着席〕
○稲葉(誠)委員 研修生というのは労働者じゃないわけでしょう。ですから、研修生に対しては労働法規は適用にならないのでしょう。そこが問題ですね。ですから、もらっているものも賃金ではないということになるわけです。研修手当だということになるわけでしょう。労働法現の適用がないのだから非常に悪い条件のもとに置かれるということになるわけです。 では、これに対して労働省側はどういうふうに見て、どういうふうに対処しておられるのですか。これはどうなのかな。
○氣賀澤説明員 お答えいたします。 研修生につきましては、原則として労働者でございませんので労働法規が適用になりませんけれども、私どもその実態に応じまして、いわゆる労働関係、具体的に申しますと使用者と労働者というような業務に関する指揮命令があるかどうか、あるいはそれに対する対償といたしまして賃金が払われているかどうかということにつきまして実態に即して判断をしていく、そして、労働者であるという場合には労働法現を適用していくという基本的な考え方で臨んでいるところでございます。
○稲葉(誠)委員 今言われたことはそのとおりなんですが、だから私の聞いているのは、実務研修と就労とをどうやって区別するのか、実際にチェックしなければならない、あれはどうやってチェックしているのか、こういうことを言っているのです。 それからまた、もう一つ新しい質問だと、実務研修が例えば実務研修じゃないんだ、就労だ、こういうふうに判断されるような状況になったときに、それは違反する法令は一体何に違反するということになるのですか。
○米澤政府委員 研修の在留資格を持って日本に在留される方が実際は就労されておるということになりますと、当該外国人は入管法違反、つまり資格外活動であります。我々の法に違反するわけでございます。 それからもう一つ、委員の御懸念のところはこういうことだろうと私は推測いたしますが、つまり研修に名をかりてたくさんの労働者的な人が入ってくれば、その方たちは労働関係法規の適用を受けない、つまり手厚く保護されない、そういうことがあってはならないから、しっかり研修なら研修、就労の人なら就労というふうに区別をして行政をやれという御指摘だろうと思います。 研修につきましては過日、これは夏ごろだったと思いますが、我々の実態調査の結果を踏まえまして、研修についての厳しい要件を定め、これにつきましては労働省とも話し合いをし、関係省庁にもそれを流しまして、この線でどうかということを協議した結果、関係省庁の合意を得て現在実施しております。詳しいことは申し上げませんが。そうしてもう一つのメカニズムを今検討しつつありますのは、公私のどちらから呼ばれるのであれ、研修生受け入れのための官民挙げての例えばチェックシステムをつくるべきであるというふうに考えておりまして、そのフローチャートも私どもつくって、関係省庁と今吟味をしておるところであります。
○稲葉(誠)委員 すると、研修生の就労中の賃金というものは、これはどうやって確保されるのですか。労働者とみなされれば、それは労働基準法なりなんなりの適用を受けるかもわからないけれども、みなされるまでの段階は一体どういうふうになっているのですか。そこで災害を受けたときはどういうふうになるのですか。
○米澤政府委員 まず、純粋に研修生である限りにおいてはその賃金はもらえないわけでございます。委員御指摘のとおりです。それから災害があった場合には、一般の健康保険に入っておるかどうか、あるいは普通の保険に入っておるかどうかということになろうかと思います。例えば留学生等が入っておるようなものに入っておるかどうかでございます。 したがいまして、私どもの問題意識は、研修に名をかりて労働者が入ってはならない、研修はあくまで研修でなければならぬという建前を堅持しつつ、他方、先ほど労働省からお答えがありましたように、実際に報酬性のある賃金をもらって働いている人には労働関係法規が当然自動的に働くはずでありますので、そちらで救済していただくということになろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 これは、研修ビザというのは今後ずっと続けていくという考え方なのですか。そうすると、これは結局こういういろいろな問題が起きておるわけですね。労働者としての権利が全うされない段階でいろいろな事故や何か起きたりする、賃金ももらえない、こういうことが是正されないで、そしてそのまま研修制度というものはずっと続けていく、こういうことなのですか。
○米澤政府委員 私、繰り返して同じことを申し上げて恐縮なのでございますが、あくまで研修である、つまり日本国の高度な技術、技能の移転を受けるために日本においでになる、そして受けられた技術、技能を生かして本国の産業の発展に寄与されるということであれば、東南アジア諸国あるいは周辺諸国に対する日本の責務として大いにそういうことをやっていかなければならないのだろう、それこそ日本の責務であろうと考えておりますから、研修という在留資格はあくまで堅持し、かつ、過日も官房長官談話か何か出ておりますように、要すれば研修で入ってくる人たち、本来の研修でありさえすれば枠を広げていく、拡充していこうということが今の政府の一致した考え方でございます。 ただし、今懸念されますように、研修に名をかりて民間の会社等がイージーに労働者を持ってくるということ、これは非常に今おっしゃいますような危険性がございますので、その点につきましては研修の受け入れのシステムあるいはその確認の仕方、フォローアップの仕方、これを徹底していって、さようなことのないようにしたいと考えておる次第です。
○稲葉(誠)委員 もう一つの問題は、研修ビザと同時に就学ビザといいますか留学ビザといいますか、こういうようなものが従来ずっと問題になってきているわけですね。これは実態はどういうふうになっているのですか。
○股野政府委員 今までは就学という在留資格はございませんでしたので、法務大臣が特に在留を認める者としての資格の中で留学生と区分けした扱いをしております。その結果、就学生として日本に来る人につきましては、例えば昨年の統計で申しますと、昭和六十三年中三万五千人余りの人が入国をしておるという状況がございまして、ことしになりまして就学の問題について我々もいろいろ見直しを行った結果、ことしの上半期になりますと対前年比では約三四%方入国者は減っておるという状況がございます。そこで、我々としては、この就学ということについて新しい在留資格を設けることによって本来の就学が達成されるような法的な枠組み、さらには実際の運用、両面において実効が上がるよう心がけてまいりたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 これで従来から言われていますことは、入管のOBといいますか職員と、いろいろな学校がありますね、日本語学校といいますか、それとの癒着というようなことが盛んに言われているわけですね。それの前に、あなた方がつくられたのですか、日本語教育振興協会というのですか、これはどういうものであって、それに対して法務省としてはどういう指導をしていっているのですか。あるいは法務省が指導すべきものではなくて文部省なら文部省が指導すべきものである、そういうことなんですか、どっちなんですか。
○股野政府委員 まず、日本語教育については、これは教育的な面が一つございますほかに、もう一つは外国人を受け入れるという面がございます。そこで、従来この両面に着目いたしまして、日本語学校の教育を振興するという組織についてこれは文部省側の指導のもとで一つ組織ができておる。他方、今度は外国人を日本語学校で受け入れる場合に、その人たちが適正な勉強ができるようにするという意味での外国人受け入れという観点から、外国人の就学生についての一つの指導援助機関としての組織を法務省の外郭団体として持っておるという状況がございます。これを今度は、日本語学校が全体的に質的向上を図らねばならぬという観点から、文部省側と法務省側との協議の上で新しく日本語学校の質的な向上を図る上での組織としての協会をことしの五月に発足させまして、これは学校が全体として質的に運営が改善されていくように取り計らっていくということでございます。 ただいまOBの問題を御指摘ございましたのですが、これは我々としては少なくとも何か外部の方から誤解を受けるような、そういう形でのOBの存在というのはあってはならないと考えておりますが、ただいまの外国人が日本に来て就学をするという観点からしますと、その入国あるいは在留ということについてのいろいろな手続面での助言というのが必要になっているということも事実でございますので、そういう意味で入管の経験のある人が指導というような面でこういう組織の中で一定の役割を果たすということは、それなりの有効性もあるものと考えております。
○稲葉(誠)委員 保証人が必要だったわけですね。それが偽造があったり何かいろいろなことがごたごたありましたよね。そうすると、保証人の提出書類を通達で変更しているのですか。この理由は一体何なんですか。また、今度の入管法では保証人の提出書類は省令事項になるのですか、ならないのですか。
○米澤政府委員 現在通達でそういう保証書といいますか、それを一部の国の方々については実施いたしております。しかし、改正法の審査基準省令の中に、身元保証書とかそういう立証書類といいますか、確実に勉強してくれるであろう担保みたいなもの、あるいは学校の費用が払えるかどうかの担保みたいなものまで省令に書く予定はございません。
○稲葉(誠)委員 その保証人の提出書類は、何か誓約書ですね。これは東京入管だけが要求しているんで、ほかのところは要求していないという説もあるのですが、それはどうなんですか。
○米澤政府委員 東京入管が非常に厳しくやっておりますのは、過去に就学生のステータスで入ってきて、これはステータスといいましても四—一—一六—三でございますが、入ってまいりまして専ら働くという人が非常に激増いたしました。そのために東京入管は非常に厳しく実務運用をいたしておりますが、ょその地方局でも必要と認められるような案件につきましては同じような措置をとっておると聞いております。
○稲葉(誠)委員 その必要な措置というのはちょっとよくわかりませんけれども、保証人というのは、責任の範囲なり、保証人に対して責任を追及したことがあるのですかないのですか、今まで。
○米澤政府委員 現に学費等の不払いがあって保証人に金を出させたということはございませんけれども、滞在の最も必要経費とされる教育費といいますか、授業料といいますか、これについて幾らぐらいの金額までなら保証できるかということを金額を明示させたようなケースもございますし、それから保証人の職業あるいは年間収入等も克明に資料として出してもらったこともございます。ただ、保証人が実際に払ったというケースはないように聞いております。
○稲葉(誠)委員 今言ったいろいろな問題点について聞いてきたわけですね。一番重要なといいますか、助長罪の関係ですかね、このことについては今聞いてない。それだけ恐らくほかの別の日にちに聞かれるのだろう、こういうふうに思うものですからそれは外してあるわけですが、どうも入管というのは本来できたときの経過がよくわからないと言うのですが、これは本来はアメリカの移民法を事実上翻訳したようなものなんですか。 それで、アメリカでは今度新しく、従来から不法に残留していた人、それをある年限を限って、そこで俗にアムネスティーといいますか、アムネスティーを加えて随分救済をしたことがありますね。これは大分長い間かかりましたね。七、八年ぐらい法案はかかったわけですが、賛否両論があって、そして成ったわけですね。どうも人数は、人によると五百万と言う人もいるし三百万と言う人もいるし百何十万と言う人もいるしよくわからないのですが、どういう経過からそういうアムネスティーが行われるようにアメリカではなったのですか。
○米澤政府委員 まず、私どもの現行法であります入管法の母法といえばアメリカのそういった法律であると法律学的には申し上げることができると思いますが、そのものずばりではございませんで、御承知のように昭和二十六年は被占領時代でございました。そのときにGHQからの示唆を受けてやったものでありまして、アメリカ法そのものずばりではございません。ただし英米法系であります。 それから、アムネスティーの話でございますが、確かに委員御指摘のように相当大量の不法入国者といいますか、不法就労者といいますか、言い方がまずいかもしれませんが、そういった不法な人たちを合法化したということは事実でございます。これが三百万とも言われますし百何十万とも言われております。これはアメリカの非常に特殊事情があるんだろうと思います。 御承知のように、メキシコとの間の国境は非常に長うございまして、そのところを通じまして年々物すごい量の不法入国者といいますか、稼働目的で入ってきている人、あるいは親類を頼って入ってきている人が多うございまして、そして結局のところ、当時議論になりましたのは、これだけの大量の不法入国者を幾ら頑張ってやってもさばき切れぬではないか、そしてイミグレーションが、パンクといいますか、幾ら努力しても、何年かかっても全部は掃除できない。あまつさえ、長い間そうして不法に入った人が実際の生活をアメリカ国内で営んでおられるということを考慮すると、この際一回アムネスティーをやって、そして新規に入ってくる人たちを徹底的にウオッチングすればいいというような考えがあったんだろうと思います。 これはアメリカが移民受け入れ国であるという特殊性もございます。それから、現在でも農業移民的なものはどんどん、相当大量に受け入れているという国であることとか、日本とは非常に環境といいますか、社会的諸条件が違うものでございますから、今日本で同じようなことをするということは非常に危険性を伴うだろうと私は考えておりますから、現時点でアムネスティー的な発想は持っていないのが私どもの真意でございます。
○稲葉(誠)委員 今言う、不法に日本に残留しているというか住んでいるというか、そういう人のおおよその人数の見方、それはいろいろの見方があって、これは一々正確に把握できるわけではありませんけれども、いろいろの統計の差や何かから出てくると思うのですが、それを今入管当局としてはどのくらいの人がいつごろから、いつごろからというのはなかなかわからないかもわからぬけれども、いるというふうに考えておられるわけですか。
○米澤政府委員 入管行政上不法に日本におられる方というのは種類がいろいろございますから、分けて申し上げますと、例えば昭和二十年代後半から三十年代後半にかけて、朝鮮半島を中心とする地域から密入国された方々が、いわゆる潜在居住者として相当数おられるというふうに考えております。ただし、今おっしゃいましたように暗数でございますので、一説には約五万というのがございますけれども、私ども定かにわかりません。しかし、時としてみずから出頭して、実は密入国をいついつやったということで出てこられる方がやはりまだ後を絶ちませんので、例えば六十三年は二百六人ぐらいの人が見つかっておるわけでございますから、相当数おられる。 他方、不法残留、さきにも申しましたがオーバーステイという、在留期間を超えて不法に日本に残留している方々、これはコンピューターではじき出せますので、たしかことしの六月かそこらぐらいにはじいたのが最新のデータでございますが、約八万から九万あたりのところを指しております。したがいまして、それを足しますと相当数おられるであろうと考えております。
○稲葉(誠)委員 これは、今アムネスティーをやるつもりはないということでしたけれども、個人的に話した中では、入管当局もある段階ではアムネスティーをやらざるを得ないようなというか、どういう言葉、表現がいいですか、とにかくやるということも個人的には入管の中で考えられた人もおられるわけですね、だれとは言いませんけれどもね。それをやはり私はある段階のある時期において考える必要があるのではなかろうか、そういうように思っておるわけですが、それに対するお答えが一つ。 それからもう一つは、法的地位の問題で、あれば今どういうふうに進んでいるのか、いわゆる当分の間、三世の問題、四世の問題がありますね。これがどういうふうに進んでいるのかということ、スケジュールですね。その問題の中でどういう点が問題点になってきておるのか、それをどういうふうに処理していこうとしておるのか、こういうことについて入管当局のお考えをお聞かせ願いたい。
○股野政府委員 まず、アムネスティーの点でございますが、これは現在の状況で、非常に日本で不法残留者が急増しつつあるという状況がございます中において、この問題についてはやはり最も慎重な取り組みが必要であろうと考えております。特に、先ほど来お話にありましたような、かつて昭和二十年代ごろに不法入国をした人というものが一方においてあると同時に、最近において不法残留という形で非常に不法就労をする人間がふえておるという状況になりますと、この問題については今後日本が適正に対処していくということを、特にこういう人たちが渡来してくる諸国の側でどう見ておるか、日本がどう対応するかというのを見ておるかというのが問題であると思いますので、今の時点では、これはアムネスティーということは考えられない状況であろうと思っております。 別途、日韓の法的地位の関係につきましては、これは委員御承知のとおり、来年がいわばこの問題について日韓間で話し合いをする一部重要な年になってまいります。日韓法的地位協定ができまして後、この問題について協議をするということがうたわれている中で、再来年の一月がいわばその期限になりますので、それを目指してできる限り双方が満足のいくような形で具体的な結論を得るよう、今後一年余りをかけて十分に検討し、話し合いを行っていく、こういう所存でございます。
○稲葉(誠)委員 それは十二月にもまた局長クラスの会議ですか、外務大臣会議か次官会議か、ちょっと知りませんけれども、そういうのがずっと進んでいるわけでしょう。ある程度の、今こういう状況にあるんだということの、こういう点が問題点になっているんだという程度の差し支えない範囲といいますか、それは話ができるんじゃないですか。
○股野政府委員 委員御指摘のとおり、この問題については日韓間で双方の局長レベルの協議の機関が設けられておりまして、既に昨年の末以来二回会議が開かれ、できれば今年中にもう一度開くということも可能性として今念頭には置いておるわけでございます。 その中身については、これは外交上なかなか難しい点がございますので、今の時点でしかと申し上げることにもいろいろ困難がございますのですが、まず三世以下の人々についての法的な地位を安定させるという問題、あるいは日本の社会の中で安定的な生活を営めるようにこれから考えていくという、いわば日韓法的地位協定の中の前文の中に盛り込まれているその目的及び精神というものを踏まえた協議、こういうことで臨んでおるという状況でございます。
○稲葉(誠)委員 もう一つお聞きしたいのは、アメリカの移民法の中で、これはまたよくわからないのですが、グランドファーザープロビジョンというのが行われましたね。これは実際に不法就労者を雇っている、不法就労者という言葉は僕は使っちゃまずいから使わないけれども、とにかくそういう登録されてない人を雇っている人について、ある状況で免責をしたということなんですか、それはどういうことなんですか。
○米澤政府委員 お答えいたします。 私も手元に条文自体を持っておりませんので正確性を期しがたいのでございますが、私の理解する限りにおきましては、法施行時点において既にそういった人たちを雇っている雇い主については民事罰、行政罰あるいは刑罰を含めて科さない、罰しないということが明文で書かれております。したがいまして、私どもが今回の法改正で附則十一項に、よく似た、それ自体ではございませんが、よく似た感じの趣旨の規定を置いておりますが、そういう目的を持っていたのだと思います。アメリカの立案者もそれを考えたのだろうと思います。
○稲葉(誠)委員 時間が来たので私の質問はこれで終わりなんですが、結局全体を通じて、どうも入管というか法務省がというか、それが管理といいますか取り締まりというか、そういうふうなものを中心に考えていて、そして外国人の人権というものに対する配慮がどうしても足りなくなるというふうにだれでもとっているわけですね。私もそういうふうにとるのですが、そこら辺のところを、あなた方から言わせれば懸念かもわかりませんが、今後そういうふうなものがないような形にしていかなければいけないんだと思いますので、最後に大臣からその点についてのお考えをお聞かせ願って、私の質問は終わります。
○後藤国務大臣 きょう、二時間にわたりまして、稲葉委員が長い間相当深くこの問題について御研究をなさった上での御意見をいろいろ同えたことは、にわかに大臣になりまして勉強中の私にとりましても非常に有益なことだと思って、大変ありがたく思っております。 きょうの御意見は、今後入管法の運営をするに当たりまして留意しなければならないいろいろの問題点について触れられたように思われますので、そういう点を特に念頭に置き、また、特に人権問題についても極めて重要な御意見をいろいろ伺いましたので、こういう点についても今後留意してこの法律の運用に当たるように私も努力をいたしたいと思いますので、今後ともよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。
○井上(喜)委員長代理 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四十二分休憩 ────◇───── 午後一時三十分開議
○戸塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。冬柴鉄三君。
○冬柴委員 公明党の冬柴鉄三でございます。 今回の改正で在留資格の整備が行われました。従来四—一—一などと呼称されていた在留資格が、だれにでもわかる外交という呼称に改められるわけでありまして、至極適切な改正であると評価いたしますが、若干遅きに失したのではないか、このような感も持っております。 まず、現行法本文四条各号で在留資格者を定めるに対し、改正法では別表にいたしまして在留資格とその者が本邦において行うことができる活動あるいは地位、身分を定めることとしていまして、立法形式において若干差が認められます。どこか違うことができたのか、あるいはそうしたことの理由について簡単な説明を求めます。
○股野政府委員 現行法の在留資格でございますが、これは、今の四条の内容でどのような種類のものがどういう順序で並んでいるかということは一見しただけでは必ずしも分明な点がないという点もございます。またもう一つは、いわゆる資格外活動という問題が従来からあったわけですが、これについてもその解釈に際して疑問の生ずる余地がないということも必ずしも言い切れないという感じもございまして、そういう点にかんがみまして、この改正法案では新しく御指摘のように別表形式というものを採用いたしまして、在留活動の類型ごとに整理分類をいたして全体としてわかりやすくするということにいたしたものでございます。しかし、その法的な性格においては、これは現行法及び新しい改正法案において基本的な差異というものはございません。
○冬柴委員 改正法では、従来四—一—一六—三、すなわち「法務大臣が特に在留を認める者」として扱われていた人たちを、例えば「医療」、医師ですか、あるいは語学学校の教師を「教育」とか、新たな在留資格に類型化いたしました。定型的手続をもって入国許可を付与しようとしておられるように思われるわけでございますが、カテゴリーが十ほどふえているように思われますので、主なもので結構ですが、新たに設けた在留資格についての御説明と、これを新設することの必要性についての簡単な説明をお願いしたいと思います。
○股野政府委員 この在留資格について、ただいま御指摘のように新しく十種類の在留資格というものを設けるということにいたしました。これは一つには、従来ございました四—一—一六—三「法務大臣が特に在留を認める者」、こういうカテゴリーの弾力的運用ということを図ってまいったわけでございますが、外国人の在留活動が非常に多様化してきたということにかんがみまして、今度は今までその四—一—一六—三という在留資格というもので入国を認めていたものについて見直しを行いまして、ここを中心にそれぞれ独立した在留資格というものを設けて、そしてそれについての入国、在留の円滑化ということを図ろうとするものでございます。 今御指摘のございました新しい十の中で、一つには今度できますのに「就学」というカテゴリーがございますが、この「就学」というカテゴリーは、先般来非常にふえております日本語学校等の学生について設けるものでございまして、これのカテゴリーにおいて、従来と違いまして新しく「就学」というカテゴリーで日本語学校等で就学を行う者の在留が規定されるということになってまいります。 また、ほかに同じく従来の四—一—一六—三というカテゴリーで入国を認めておりました語学の学校の先生方、いわゆる語学教師でございますが、こういうカテゴリーについても新しい在留資格というものを設けまして、これで本邦の小中高校等で語学教育その他の教育をする活動というものを行う語学の先生方についての在留資格というものも新しく設けた。 以上を二つの非常に身近な例として御披露申し上げました。
○冬柴委員 しかしながら、従来四—一—一六—三ということで「法務大臣が特に在留を認める者」たちというものは、今回別表の第一の五の「特定活動」というところで生かされているというふうに理解しているわけでございますが、このいろいろの在留資格を見てみますと、この中に、「収入を伴う」とかあるいは「収入を伴わない」ということが書かれているところが一つずつあります。それで、この在留資格と収入を得ての活動との関係がちょっとわかりにくくなっているように私は思うわけです。 その点について説明をいただきたいわけですが、例えば「芸術」というところをみますと、「収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動」、このように書いてあります。そうしますと、こういう外国人が入ってこられて、例えば身体障害者たちのためのボランティア活動で収入を伴わないこういうことをやろうという場合には、これは資格外活動になるのか、それは許可が要るのか。あるいはもう一つ、「文化活動」の中で、収入を伴わないというふうな芸術上の活動をする人は「文化活動」というカテゴリーに入ってこられますが、この人たちが収入を伴うことをやる場合はこれが資格外活動になって許可が要るように思われるわけですが、そこら辺の関係を別表との関係においてわかりやすく説明をいただきたいと思います。
○米澤政府委員 今御指摘のように、「芸術」につきましては別表第一の一で「収入を伴う」とわざわざ表示してございます。この在留資格で入った方々がボランティア活動で無償でおやりになる、チャリティーでおやりになるというようなことになりますと、その場合には資格外活動には当たりませんで自由にできます。その理由を申し上げますと、今回資格外活動の定義も変えましたので、要件も変えましたので、収入を伴わないような活動は在留外国人に自由にする、自由な活動を保障するというふうな方向の改正だからであります。 それから、「収入を伴う」とわざわざここに書いたのは何かという御質問のように思いますのでついでに申し上げますが、非常に紛らわしい「文化活動」というのが別表第一の三にございます。これは、概念的には音楽、美術、文学その他芸術上の活動」というのはまさに文化活動でございますので、その辺を、収入を伴うものと伴わないものとに分けて、そして資格外活動をうまく規制していこうという立法の趣旨から、収入を伴うものは別表第一の一と二の方に整理する、そうすると勢い三の方の「文化活動」は収入を伴わないことになるわけですが、念のためにその辺を明示したということでございます。
○冬柴委員 四—一—一六—三は。
○米澤政府委員 四—一—一六—三は、結局ほとんどのものを各別表のケースの中で具体的に明示をいたしました。しかしながら、委員御承知のように、人道ケースとかいろいろ例外的ではあっても日本に入ってもらわなければならないような方がございますので、立法技術的に別表第一の五のところに一つ在留資格を設けてございます。
○冬柴委員 今在留資格と就労のことが説明をされましたが、いずれにしましても不法就労の問題が今回の改正では非常に大きな問題になると思いますので、後に項を分けてお尋ねをしたいと思います。 このカテゴリーの中で「研修」というものがございます。この研修に藉口した、名をかりたと申しますか、単純労働者の入国という実態が今まであった、現にある、これは事実だと思うわけでございます。それで労働省から、簡単で結構でございますが、研修で現在どれぐらい入っているか、所管はどういうところか、その実態を簡単に御説明願いたいと思います。
○伊藤説明員 お答え申し上げます。 研修の問題につきましては午前中にも委員会で御審議があったところでございまして、そのときにも法務省の方からお答えがあったわけでございます。研修生につきましては外務省、法務省の方で入国審査が行われておるところでございまして、労働省の方には研修期間が一年を超える者というような特別の場合にのみ御相談があるという取り扱いになっておりますので、その全容については労働省としては承知しておりませんけれども、先生御指摘のように、最近は研修という名前で就労まがいの者があり、実質的に単純労働に従事しているというような指摘はたくさんございますし、我々の一部の調査におきましてもそういう事実があるようでございます。 これは、単純労働者は受け入れないという政府の方針が実質的に守られていないというようなことにもなり、労働省としても大きな問題であると認識しているところでございますが、労働省としましては、事業主に対して啓発、指導という面から努力をしてまいりたいと思います。そういう意味で、今後適正な研修の実施を確保していくために法務省等と十分連絡をとってやってまいりたいと考えておるところでございます。
○冬柴委員 ちょっと抽象的で実態がはっきりしなかったのですが、いずれにしても研修に籍口した単純労働者の流入が一部あるという趣旨の答弁があったように思いますが、法務省は今回の改正でそのような面をどのように扱われるつもりなのか、その点についてお伺いいたします。
○米澤政府委員 委員御指摘のように、研修に名をかりて一部労働者が入っていることは事実でございますので、あくまでも研修は研修として受け入れたいというところから、審査基準を労働省、外務省と協議してつくることになりますが、その際に明確な基準を設けて区分けができるようにしたいと思っております。 なお、先ほど御質問がありました研修生の数は、現在六十三年ベースでいいますと二万三千四百人にも及んでおります。
○冬柴委員 次に、新しくつくられた「就学」というカテゴリーでございますが、これにつきましても偽装就学生による単純労働者の温床になっているという指摘があります。 そこで、日本語学校の問題ですが、これは専修学校、各種学校、それから私塾といいますか、何ら届け出とか許可とかなしにこういうものを経営しているものがあるようですが、その実態、それから日本語学校に就学している人たちの数、そして日本における学資の調達源、あるいは在留期間は指定されたもので帰っていくのかそれとも更新をしているのか、これは法務省でいいですけれども、そのような点についてアバウトで結構ですがお答えをいただきたい。
○股野政府委員 先ほど就学という在留資格については御説明を申し上げたとおりでございます。 それで、現在日本語学校は、当局で把握しているところでは本年の七月末で三百五十四という数の日本語学校がございます。その中身は、先ほど先生も御指摘のあったように、各種学校としての性格を持ったものもございますが、大部分は私塾的な性格のものでございまして、昨年昭和六十三年の就学生の新規入国者は三万五千百七人という数でございました。しかるに、本年の上半期になりますと、先ほどの御審議でも御説明申し上げたところでございますが、一万九百九十六人、前年同期比三四・三%減という状況になっております。 就学生については、本来日本語等を勉強することが目的でございますので、したがってそのことをもって在留をしておるわけでございます。ただ、学費の補助を一部するという意味において、これは入管当局にあらかじめ届け出て承認を求めることによっておよそ週二十時間以内の範囲内におけるアルバイトは認めておるところでございます。他方、そのアルバイトの域を超えて、本末が転倒して就労するというようなことがある事態というのはぜひ防止しなければならないので、この点については、就学生本人に対する入管当局の指導と学校側に対する指導の両方を通じて適正な就学が行われるように取り計らっているところでございます。
○冬柴委員 一週間二十時間以内ということの管理は大変難しいと思います。しかも、在留期間が何年という長期にわたるということになりますと、その人たちにはその人たちの生活が日本でできてしまいます。したがいまして、これは非常に私塾的なところの入学許可者まで受け入れることがいいのかどうか。私は本法改正以前からこの問題については、むしろ我が国に留学される方は少なくとも基礎的な日本語あるいは会話程度は母国で習得された上、一定水準に達した人はこちらに入っていただく。いわゆる今の三万数千人という膨大な、イロハのイを習いに来られる方だけではないと思いますけれども、そのような方まで受け入れるということが今回受け入れはやめようとしていられる単純労働者の受け入れの一つの隠れみのになる、このように思われるわけでございますが、一定水準の日本語を母国で習得した人のみを日本に留学生として、あるいは就学生でも、いろいろな各種学校で別の技術を、日本語以外の技術を習得される人についても日本語だけはある程度基礎的なものは習得された方だけが入っていただく、こういう考え方についてはどうお考えなのか、法務省にお尋ねいたします。
○股野政府委員 就学あるいは留学、いずれも日本で行う場合に日本語の能力というものがそれ相応に必要と感ぜられるという事情があることは御指摘のとおりでございますが、他方、海外における日本語教育の現状という点にかんがみますと、その点について、今統一的にどの程度の日本語の能力を日本に入国する前にあらかじめ持っておくことが適正かという点については、まだ必ずしも、統一的な対処ぶりということについていろいろ考えなければならぬということもあろうかと思いますので、今後はただいまおっしゃいました外国における日本語教育の充実というようなものの動き、あるいは日本語能力試験というものが海外でどの程度実際に普及できるか、そういう点も踏まえて、そして今後の入国審査にその内容を反映していくということについて検討をしてみるということであろうかと思いますが、ただいま申し上げましたような海外における日本語教育の状況ということも考えながら対応していく必要があろうかと思っております。
○冬柴委員 外務省にお尋ねしたいのですけれども、海外における日本語教育にもっと力を入れなければいけないのじゃないか。現在国際交流基金で日本文化会館というものが外国につくられている。何カ所あるのか。そしてまた、駐在員事務所は何カ所あるのか。また、海外で活躍中の日本語教師、日本人でも外国人でもいいわけですけれども、それは大体何カ国で何機関で何名ぐらい働いているのか。通告していませんのでわかりにくかったらわかる部分だけで結構ですが、どれくらいなのか、それをお教えいただきたいと思います。
○田辺説明員 お答えいたします。 先生の御質問のうちの幾つかは事前にちょっと伺っておりませんでしたので詳しいデータ等ございませんですが、海外においても、先生御指摘のとおり国際交流基金を通じてかなり日本語の普及事業に努めておりまして、国際交流基金の予算の中のODA部分としては、大体六〇%くらいがODAというような形で決算されております。さらに海外青年協力隊、この方たちも世界の二十カ国以上で日本語の教師として活躍しておりますし、それからさらに一般無償資金協力で、先生先ほど御指摘のように海外に日本語を教える拠点をつくるというような観点から、インドネシアのパジャジャラン大学に日本語センターというものをつくっております。さらに、これはODAベースではございませんですけれども、国際交流基金の方が中国の外国語学院の中に日本語センターというのを設けまして、むしろ日本語の教師を養成するというふうなこともやっております。 では、具体的にどのくらいの人が世界で日本語、を勉強しているかということになりますと「世界の日本語学習者数とその推移」というような統計がございますが、世界全体では五十八万人ぐらいの人たちがいろいろと日本語を勉強しております。 あと、具体的に日本語の教師ですが、これは派遣ベースですと、一昨年、一九八七年になりますけれども、日本語教育専門家派遣と指導員、こういうふうなところで百三十八名ぐらいの方が海外に行っているというところでございます。
○冬柴委員 これはちょっと通告してなかったので申しわけなかったのですけれども、言葉で言われると随分活躍していられるように聞こえるのですね。でも、私の見るところでは外国に比べて全く不十分である。 例えば、これはちょっと時期がありませんけれども西ドイツ、西独では六十一カ国百二十五カ所におきまして語学研修機関、事務所があり、七万人の人が海外でドイツ語の教育を受けている。フランスは六百カ所、教師が五百人、現地採用四千人、そういう規模で行っている。日本の場合は文化会館はたしか四カ所、それから駐在員事務所が十一カ所、派遣教師は今おっしゃいましたように百三十八名、世界二十九カ国で四十九機関が行っておる。ちょっと外国と比べてもこんな数字で、要するに日本語を母国で勉強して仕上げは日本でやっていただいたらいいと思うのですけれども、イロハのイから日本でやって、勉強しに来るんだ、それの資金はいわゆる週二十時間以内のアルバイトでやるんだと言われましても、これは今回のせっかく改正をするこの法の精神、なかなかきちっとセレクトできないんじゃないかと思います。 したがいまして私は、この法律をつくるのと同時に外務省も関係機関とともに頑張っていただいて、日本語学校とか現地の学校における日本語の学科、そういうものに日本の資金をもっと投入してほしいし、それから、今五十八万人とおっしゃいましたけれども、日本人による日本語教師をもっと海外に派遣をして、そして正確な日本語を母国で教えて日本に習いに来なくてもいいようにしてはいかがか、このように考えます。 法務省にお尋ねしたいのですけれども、就学の場合に、専修学校あるいは各種学校として認可を受けた以外の私塾についても、そういうところの入学許可があれば就学生として入国させるのかどうか。そこら辺はどのような方針でいられるのか、お尋ねしたいと思います。
○股野政府委員 現在日本語教育について専修学校、各種学校等の認可を受けていないものが存在することは事実でございますが、他方、昨年来日本語学校の運営に関する一つの基準というものについて、文部省が中心になりまして法務省側もこれに協力し、関係学識者の意見も集めて運営基準を設けてその適正化というものを図り、さらに、本年に入って新しい日本語教育振興協会というものを通じて日本語学校の適格性の向上ということについても努めておる状況でございますので、そういう状況を踏まえまして日本語学校の質的改善もなされつつあるという状況下で、この就学ということは、そういう学校、すなわち適格性のある学校についての就学は認めていくという方針で臨んでおります。
○冬柴委員 いずれにしましても、適法に働ける、就労できる人たちが、良質な技術を持った方々が入ってこられることには大きく門戸を開いていくべきだと思うわけであります。その際、外国人がいろいろな資格を持って入ってこられる、これは入管できちっと調べられるわけですが、入った後その人たちの賃金というものが契約に反してというか、そのように低賃金にされてしまうようにはならないかどうか、あるいはその人たちが日本の労働者の職場を奪ってしまうようなことにはならないかどうか、こういうことを考えるわけです。いわゆる受け入れ後のフォローアップの問題です。この改正案をもとにしたときにどのようにしてこのような問題点を確保していかれるのか、附則で職安法の一部改正も提案されているようですが、それと関連するのかどうか、そこらあたりを法務省と労働省、それぞれ短くて結構ですが、お尋ねをいたしたいと思います。
○米澤政府委員 今御指摘のように、外国からの労働者を受け入れますと、いろいろな意味で日本に現にいる人たちの生活に影響を与えるであろうと思います。特に労働者のいろいろな調整が要るだろうということから、今御指摘のように附則をもちまして労働省と法務省との間でいろいろな情報交換ができるような改定をしておりますし、さらに、入れる入れないの判断基準であります入国審査基準をつくります場合にも、委員御承知のように今度の法案では関係省庁と十分協議した上でつくるということでございますので、日本にマイナスの影響を与えるような形での受け入れは断固としてしないようにやりたいと思っております。
○伊藤説明員 今法務省の方から答えがあったとおりでございます。外国人労働者の受け入れは、特に我が国の労働市場に直接影響を与えるものが多い。高度の技能を持った方、外国人ならではの感性を持った職場には大いに入っていただこう。適法に入っていただいた方については賃金の確保、労働条件の確保等について適正に事業主を指導していく、そういう体制を確立することといたしておるわけでございます。 また、今先生のお話がございましたように、日本人の労働者の職場を奪われないようにするという観点からの労働市場に与える影響、それから需給の調整を確保するため、職業安定法を改正いたしまして法務当局と十分協議をしながらいろいろなチェックができるよう配慮をしているところでございます。
○冬柴委員 次に、一番問題の不法就労外国人の対策についてお尋ねをいたします。 先ほども不法就労という言い方はどうだというお話もありましたけれども、便宜、慣用されておりますのでそのように使わせていただきますが、入管法から見た場合に、その原因というのは不法入国、あるいは不法上陸、あるいは資格外活動、あるいは資格外活動絡みの不法残留、こういうふうに分けられております。大体そう理解して誤りないと思うのですが、このような人たちが単純労働に従事することを我が国としては原則として認めない、これはいろいろ議論があるところですが、そのように認めないという労働大臣発言とその了解が数次行われて今日に至っておると理解しておるわけです。いろいろな文献にはそう書かれているのですが、その日とかどんな発言内容なのかがちょっといろいろな物の本から明確にできませんので、その点について簡潔にお答えをいただきたい、このように思います。
○伊藤説明員 事務的な問題でございます。先にお答えさせていただきます。 単純労働者の入国は原則として認めないというのは従来から労働大臣が発言しておるわけでございますが、公のものといたしまして第一次、第二次、第三次の雇用対策基本計画、これは閣議決定でございますが、その雇用対策基本計画を策定する際に閣議の場で発言されまして、閣議口頭了解というような形になっておるわけでございますが、それぞれ昭和四十二年三月十四日、第二次の場合が昭和四十八年一月三十日、第三次が昭和五十一年六月十八日でございます。 それで、その口頭了解をいただきました発言の要旨は、いわゆる高度経済成長の時期でございまして、求人難を契機として一部に外国人労働者の受け入れを要望する声があるが、我が国では依然として高年齢者等の就職問題などがあり、外国人労働者を受け入れないということについて御了解いただきたい、こういうことでございます。
○股野政府委員 ただいまのような経緯をもって単純労働についての外国人労働者は受け入れないことにしておるわけでございます。したがって、そういう政府の政策を踏まえまして、我々としては在留資格との関連で問題をとらえるわけでございます。 先ほど来不法就労という言葉を使っておりますが、これは入管当局では従来、いわゆる資格外活動、もう一つは本来許可された在留期間を超えて不法に残留している者が資格外活動絡みで活動しておるという事案をとらえて不法就労としてきたわけでございます。しかし、その実態にかんがみますと、不法上陸、不法入国という事案からも不法就労につながることが考えられますので、今度の改正法案においては、これらの者が行う報酬その他の収入を得る活動を不法就労活動というふうに表現しているわけでございます。
○冬柴委員 単純労働者を受け入れるべきかどうかということについては大変多くの意見がございます。政府の意見は今表明されたとおりでありまして、各般の議論を見てみましてもいろいろと流れがあって、最近は政府の考え方に近いように私は思いますし、私も現時点においては単純労働者は原則としては受け入れないという考え方に左袒するものでございます。しかし、積極的に受け入れるべきだという論にも当然傾聴すべき点が非常にありまして、今回の改正法によって、従来にも増して日本の入管法が単純労働者を強く締め出すという印象を内外に与えると思いますし、またそれに対する多くの批判も予想されます。したがいまして、我が国はこの法律を改正する際、改正するというだけではなしに、こう判断するに至った立場を、その哲学を内外に示しておく必要があると思うわけでございます。 そこで、まず法務大臣から、いろいろ論はあるけれども現時点において原則的にそういう単純労働者は受け入れないのだということを、資格外活動とかをする者については、あるいはそれを積極的に慫慂する者に対して罰則をもって臨みますよ、こういう改正を今回行うに至った根拠なり判断の経過を、外国人にもわかるようにきちっと説明していただきたいと思います。
○後藤国務大臣 お答えいたします。 単純労働者を入れないという政府の方針、先ほど来の御質疑、お答えの中でも、はっきりした政府の今の方針でございます。 いわゆる単純労働者の受け入れという問題につきましてはいろいろな意見がございまして、国民全体から見るとその合意に達しているという状況でないことも現実の問題でございます。また、先進国と言われましたヨーロッパの国々の例から見ましても、いろいろ社会問題等が起きていることが多く見られておりますし、日本の労働力の需要供給が今までのような状態が今後長く続いていくのかどうかという点にも問題があると思います。したがって、今後これを受け入れた場合の我が国の労働市場への影響はもとより、国民生活にも非常に大きく響いてくる問題でございまして、日本の社会の今後のあり方という問題にもかかわってくる問題であるというふうに思われますので、今後法務省といたしましても、いろいろな角度からこの問題を検討していかなければならない、そのように考えております。
○冬柴委員 日本の国は、自分だけ豊かだったらいいのか、こういう批判を受けて突出したくない、こういうふうに私は思います。 そこで、もう少し細かく聞いておきたいのですけれども、いろいろな新聞の社説その他評論からも、あるいは外国人の御意見からも積極論があります。積極的に単純労働者をもっと日本は受け入れるべきである、そういう考えを表明しておられる方があるわけですが、これを便宜、十分ではないと思いますけれども、四項目ほどに私分けてみました。それで、それぞれについて各省から意見を伺いたいわけです。 例えばこういう意見。日本の国際的受容性を高め、外国人や異文化との接触によって我が国社会一般の国際化に貢献すべきであり、対外摩擦解消にも裨益するではないか、だからもっと外国人単純労働者を、全部入れるというんじゃない、いろいろな制限をつけながらももっと入れていくべきではないか、このような論がありますが、外務省、こういう論に対してどう反論をされて、今日の入れないという結論に至ったのか、説明をいただきたい。
○田辺説明員 お答えいたします。 先生も御存じのとおり、外国人労働者、なかんずく単純労働者の受け入れというのは、我が国の将来にとって相当複雑かつ多面にわたる影響を及ぼすことは明らかな問題でもございますし、だからこそ政府部内においてもいろいろな角度から、将来禍根を残さないような形で、どうしたらいいかということについて検討しているというふうなことでございます。 なるほど、国際化ないし国際交流を深めるということから、人の往来をより頻繁にしたらいいじゃないか、その一環としてこういうふうなことも考えられるんじゃないかというような意見は成り立ち得るとは思いますが、ただ外国人、特に単純労働者の受け入れというのは、この観点からだけ考えて、ほかにこれが伴ういろんな問題を捨象した形で論ずるのはいかがなものかなというふうに考えて、我々としては現在単純労働者は入れない。ただ、日本にとって有用な人はどんどん入れるわけでございますから、そういう有用な人が日本に入ってきてくださって、まさに日本国民とまじって交流を深めていただくということで、十分その国際的な交流の実を上げることができる、こう思っております。
○冬柴委員 次に、労働省と通産省にそれぞれ伺いたいのですが、一定の分野における労働力の不足が現時に存在している、これを埋める日本人労働者を確保することが著しく困難な状態である、こういうことがあるわけですね。だから入れてもいいんじゃないか。例えば、ハンセン氏病の隔離の病棟が一つ長島というのがありますけれども、そういうところで重度になっておられる方の身の回りの世話をする介助人、そういう人たちを非常に求めにくい、日本人の中から求めにくい、そういうときに、もし望むならば、そういうことをすると希望される外国人があれば入れてもいいんじゃないか、こういう考え方、当然出てくると思うわけですね。それは一つの例ですよ、今のは一つの例ですけれども、例えば土木工事の現場作業員等につきましても、大なり小なりこういう問題はあるわけで、そのように需要と供給があるのになぜそれをとめるのか、こういう論についてそれぞれ労働省と通産省からお答えをいただきたい。
○伊藤説明員 お答え申し上げます。 今お話がございましたように、最近の労働力需給の状況を見ますと、景気拡大局面の中で有効求人倍率、ここ一、二年一倍を超えておるというような状況でございまして、特に中小企業を中心といたしまして企業の人手不足感にはかなり広がりが見られるということは事実でございます。 しかしながら、もう少し詳細に見てみますと、特定の地域とか、これから高齢化社会に向かう場合の高年齢者層におきます雇用問題というのはまだまだ問題があり、格差が非常に大きい実情にございます。例えば、全国的に見まして、有効求人倍率が二倍を超える県があるかと思いますと、なお〇・五倍台、求人が求職者二人に一人しかない、半分しかないというような地域もございますし、またこれから非常に高齢者の雇用対策、重要になってくるわけでございますけれども、年齢別に見ますと、五十五歳以上の方の職場というのは十人のうち三人しか求人がないというような、若手というような、都会に集中しているような状況があるわけでございます。 これを我々労働力の需給のミスマッチと言っておるわけでございますけれども、まずこれを解消することが必要ではないかということで、労働省として、例えば総合的な雇用情報システムというようなものを確立いたしまして情報を相互に交換する、流動化を図る、高年齢者の定年の引き上げというような形で雇用の確保を図るというような施策を講じていることでございますが、なかなか人が集まらないというような場面におきましては、事業主の方も、雇う方も労働条件の改善を図るというような形で雇用機会としての魅力を高めることが必要なのではないか、まずそれが第一ではないか。そのような努力なしに、ただ外国の方で単純労働者が入りたいと言っておられるから入れてもいいんだというような理屈につきましては、我が国の労働者の労働条件の向上ないしは雇用構造の改善をおくらせる原因になる、いわゆる低賃金市場の固定化による労働市場の階層化というのが起きてくるのではないかというような問題もございますし、社会経済全般にわたって多様な影響を及ぼすことが懸念されるというような総合的な観点から、外国人の単純労働者の受け入れについては従来どおり慎重に対処すべきである、こういう考え方でございます。
○中村説明員 通産省でございます。 先ほど労働省の方から御説明がございましたように、最近の極端な労働力需給の逼迫ということを背景に、中小企業においては先生がおっしゃるように外国人労働者に対する関心が非常に高まっております。中小企業白書においても、一定の条件のもとに受け入れてもいいんではないかと考えているのが五〇・九%という結果が出ております。ただ本件、各省から御説明ありますように非常に影響するところが大きい。したがいまして、通産省としてはやはり単純労働者の問題についてはいろんな角度から慎重に検討をお願いすると同時に、専門的な技能者については現在御審議いただいております入管法の改正によって適正に行っていくのが筋だろう。中小企業の人手不足問題というのは、やはり対応するためには一方で魅力ある中小企業をつくって人を引きつける、それから省力化、生産性の向上によってこれを解消していくのがやはり筋であろう。で、通産省としては今までの政策に加えて来年から具体的に、省力化のための中小企業金融公庫等の特利要求、それから中小企業が新技術を体化した省力化投資を行うための体化促進税制の拡充、その他予算面等でできるだけそういう方向での対応を図っていこうと考えておるところでございます。
○冬柴委員 時間がありませんのでちょっとはしょっていきますけれども、もう一つは、もう経済格差がある、我が国といわゆる発展途上にある国とのGNP一人当たりの格差というのは五十倍にも達する国もあります。そうである限り労働者の流入は不可避ではないか、避けることはできないのじゃないか、取り締まりだけでは問題解決できないのじゃないか。むしろ経済大国として外国人単純労働者を受け入れて繁栄を分かち合うべきではないのか、こういう議論もありますし、また一定の範囲で正規に受け入れるということによって悪質な雇用主やブローカーからの搾取や人権侵害を防止できるのではないか。したがって、こういう対応策をとりつつ徐々に門戸を開放しないとアジアの中で孤立することにはならないのか、こういうような評論なり議論もあります。これについても法務省あるいは外務省、それぞれ短い答えで結構ですが、お願いしたいと思います。
○股野政府委員 経済格差という点の御指摘でございました。これはまさに現実としてあるわけでございますが、しかしこれは、いわゆる単純労働者を日本が入国を認めるということによってこれの問題に対処するということは非常に困難がある。むしろその意味では、経済格差というものはその近隣の諸国の経済発展を促す方向で考えていくということではないかと思います。したがって、単純労働の問題については、日本が日本の国内の状況にかんがみて、その受け入れの各般に及ぼす影響というものをよく見た上で考えていく、そういう考え方で取り組んでいくということが適当であろうと考えております。
○田辺説明員 今法務省の股野入管局長からの御発言もあったとおりでございまして、先生も御指摘のとおり、経済格差がある限り、外国人の流入圧力そのものがなくなるかといったらこれはなくならないのだろうと思います。しかし、やはり抜本的な解決策というものは、開発途上国が日本の経済協力なり、日本からの投資なり、さらには技術移転なりというふうなことで経済発展を遂げて、それぞれの国内で抱える人口に対してできるだけ多くの雇用機会を創出する、そっちの方で努力していくというふうなことがより大事なところになるのではないのかというふうに我々としては考えておりまして、単純労働者を入れたからといって即開発途上国が抱えている膨大な問題の解決には必ずしも資さないのではないか、このように認識しております。
○冬柴委員 以上が今回の単純労働者を受け入れないということの積極的な意見のようですけれども、利害関係国がこれを完全に納得してくれるかどうか、これは継続的にやはり考えていかなければならない問題だろうと思います。 ちょっと屋上屋を重ねる議論になりますが、通産省にお尋ねしておきたいのです。 我が国の中小零細企業とかあるいは風俗営業者の中に、安易に安価な労働力に対する根強い需要があるのじゃないか、これが不法就労外国人激増の一つの原因をなしているのじゃないか。入ってくる圧力とそれを引きつける圧力、こういうものに対して通産省は、現にあるわけですから、業界をどう指導し、そういうものが今るる各省述べられてやはり誤りなんだ、日本全体から見たときに誤りなんだということを指導し、そしてそれの代替措置というものをどう求めていくように指導されるのか、通産省から伺っておきたいと思います。
○中村説明員 先生が御指摘になりました非常に圧力が高い、需要が大きいというのはもちろんでございまして、いろいろな業界団体等から通産省として前向きに検討できる余地はあるかというお尋ねもございますけれども、やはり通産省としては、この問題は非常に各方面に影響が大きいので、入管法を適正にやるべきである。ただし、この問題は非常に各方面に及ぼす影響が大きいので、通産省の内部だけでなくて、私的諮問機関でございますけれども勉強会を設けて、いろいろな業界からも意見を聞きながら、本件に慎重に対応していく方向で考えております。ただ、短期の問題としては、やはりその過程においては今お諮りしております入管法の改正を待って、その厳正な運用を踏まえまして、それから対応すべきであろうと考えます。
○冬柴委員 もう一つ、これは労働省に聞いたらいいのですか、不法就労外国人の男性、バングラデシュ、パキスタンあたりの人がどうも土木作業員、工員、雑役夫、こういう言葉は嫌ですけれどもいわゆるダーティーワークと言われるところで働いている人が多いわけです。これは彼らが好んでそこへ行くわけではなしに、むしろ我が国の若年労働者がそういうところに行かない、そういう風潮があるから、そういうところからそういう人たちを求めたいという需要が出てくる。これは長い日本の勤勉な国民という、そういうものを考えたときに、職業に貴賤なしでありまして、若い人たちがそういうところでも喜んで仕事に誇りを持って働く、こういう風潮を醸成していかなければ、そういうところからの吸引力というのは弱まらないのではないか、こういうふうに思います。即効のある対策はないと思いますけれども、労働省なり通産省、その点についてのお考えを伺っておきたいと思います。
○伊藤説明員 若年の労働者が土木作業員とか雑役とか、いわゆる三キ労働とよく言われているわけでございますが、危険、汚いというような職種に行かない、それをどうするんだというようなこともあるわけでございます。 基本的に、賃金等労働条件の改善を図って魅力ある職場づくりを進めていくということが大事だろうと思います。そういう努力なしに安易に低賃金の単純労働者の導入ということになりますと、ますますその職種が若い人たちから、日本人から見放されてしまって、外国人イコールそういう職場の労働者というようなことになってしまうわけでございまして、事態はかえって深刻化すると思うわけでございます。そういう意味で、例えば建設業労働について言えば、現在建設省それから建設業界等ともいろいろ御相談しながら、いかにして若い方にこういう職場に入っていただこうか、教育訓練の面を含め待遇の面、それからそういう職場のイメージアップというようなものを総合的にやっていこうじゃないかという御相談もしているところでございます。 また、先生先ほどおっしゃいました、迂遠ではあるけれども日本人の勤労観、働くことに対する喜び、職業に貴賤なしというものにつきましても、昔とはだんだん変わってきておるのではないかというのは、これはよく指摘されておるところでございます。そういう価値観を行政から押しつけるのがいいかどうかという問題は別といたしまして、私個人としましては非常に大事なことではないか。そういうことで、労働省におきましてもそういう関係の関係者に集まっていただきまして、若い方々の職業意識に関する研究会、勤労観の養成に関して研究会というものを近々発足させることといたしております。先生おっしゃるように、迂遠ではございますけれども、そういう職場環境の改善、魅力ある職場をつくるということにあわせまして、若い人たちの勤労観ということについても行政面でできるだけのお手伝いはしたい、こう考えておるところでございます。
○冬柴委員 一応、単純労働者流入は原則として認めないということについてのお尋ねはこの程度にしたいと思うわけですが、今回そう決めますと、法律ですから今度は罰則ということになります。刑事訴訟手続もあるわけですけれども、その前に入管法のこの手続ですが、これはやはり強制力を持って容疑者を取り調べる、身柄を拘束する、そして退去を強制する、こういう手続が運ぶわけですから、これは刑事訴訟手続ではありませんけれども、それに非常に類似した手続です。したがいまして、憲法や刑事訴訟法で保障をされているもろもろの被疑者なり被告人の権利擁護のための法理というのは、やはりここでも生かされなければならないのではないか、このように私は確信をいたしております。 また、それについてのILOの各条約の中にもそのようなものを示唆するいろいろな精神というものがあります。今回の法改正に当たって、例えばILOの九十七、百十一、百四十三という条約は我が国はまだ批准はいたしておりませんけれども、そのようなことで示された国際的な規範というものを法務省はどのように配慮をされているのか、今回の改正法の中でそのような人たちの権利擁護についてどのように配慮されているのか。また、法改正ではそうではなくても、今後どういうふうにそういうことについて配慮をしていくつもりなのか、その点についての御説明をちょうだいしたい、このように思います。
○米澤政府委員 委員御指摘のとおり、退去強制手続というのは強制処分でございます。行政処分とはいえ強制処分でございますから、その対象になります不法就労外国人等につきまして、法違反者につきましてはその人権を十分尊重して手続を行うようになっておりまして、当然のことながら、例えば立会人を求める権利といいますか、もし立会人を立たせたいということであれば、我々当然立会人も立たせますし、あるいは弁護士に相談したいというような申し出があります場合には、当然面会を求めまして、そしていろんな権利の確保等を図らせております。いわんや、行政処分とはいえ、これに当たります職員の方も憲法感覚あるいは今のILOとかいろんな人権を尊重する国際条約等もよく教養訓練いたしまして、それに見合うような法執行を行わせているところであります。 なお、法改正の中にあって特にその条約等の精神を具体化したという規定は残念ながらございませんけれども、我々は不法就労外国人をある程度その増加を抑えたいということ自体が、そうした不法就労外国人の人権を侵害するような事例をできるだけなくしたい、我が国社会で労働の搾取とか、あるいは賃金不払いというようなものが起こらないようにしたいという願望から出ているところでありますので、委員御指摘のような方向ですべての業務をやってまいりたいと思っております。
○冬柴委員 ちょっと関連するかもわかりませんけれども、例えば不法就労者が業務上負傷した、いわゆる労災事故が起こった、これは不法であろうが何であろうが、我が国の中でそういうことが起こった場合には労災補償に関する法律は当然適用されると思うわけですが、国外退去を強制されてしまうと、そのような補償手続をやっているうちに外へほうり出されるということになりますと、例えば片手がなくなっているのにその人が帰っていって、報酬も、賃金ももらえなかった、ましてやその傷を受けたことについての治療費や、そういうことについても、あるいは後遺障害補償についてももらえなかったというようなことになると困ります。そこで、そこら辺の調和が必要だと思うのですが、どんなことを配慮しておられますか、その点について。
○米澤政府委員 お答えいたします。 そういうふうな事例があります場合には、被退去強制者をむげに国外へ退去させるということはいたしませんで、当然のことながら労基監督署その他所管のお役所に対して情報を提供いたしまして、適切な処分、行政手当てをしていただいております。
○冬柴委員 重ねて労働省、その実際はどうなっているかについて。
○内田説明員 お答え申し上げます。 被災労働者に対しまする労災補償につきましては、日本人であるか否か、あるいは不法就労者であるか否かを問いませんで、日本人と全く同様に適用されることになっております。 なお、国外退去の問題は、今国外退去にかかわる補償等の問題につきまして法務省の方からお答えがございましたが、私どもといたしましては、不法就労者が業務上負傷いたしまして保険給付の請求がなされるわけでございますけれども、その支給決定が行われる前に帰国された場合であると、あるいはその支給決定が行われた後に帰国された場合であるとを問わず、必要な調査を行いまして所要の保険給付を行うこととしております。
○冬柴委員 その点遺漏なきように期してほしいと思います。 さて、次の問題に移りますが、このような不法就労事犯というものの摘発件数というものと、それからそういう取り締まりの職務を担当される入国警備官あるいは入国審査官等の人的な構成割合を、もう時間もありませんので、過去数年刻みで結構です、適当なところから、何件のときにこういう人は何人いた、こういうものをちょっとお示しいただきたいと思います。
○米澤政府委員 簡単に申し上げますが、本年上半期で不法就労外国人として摘発されました者が約九千人余りございます。それから、それらの推移でございますが、毎年毎年激増いたしておりまして、相当程度の増加を来しております。 それに対しまして入管の職員、特にそれに当たります職員は、五十五年度ベースで考えますと、六百六十五名の入国審査官、それから入国警備官六百九十二名というので五十五年はやっておりましたが、六十年に入りまして入国審査官七百三名、警備官六百五十八名、平成元年度は入国審査官七百四十三名、警備官六百五十名、微増ではございますが、ふやしていただいております。ただし、不法就労外国人の急増の増加率とは相当程度格差がございます。
○冬柴委員 ちょっと審議官、五十五年では摘発事犯は何件だったかはわかりませんか。五十五年に入国警備官が六百九十二人で審査官が六百六十五人だったときに、摘発事犯もグロスで結構ですが、何件くらいあったのか。
○米澤政府委員 まことに申しわけありませんが、統計が五十六年からになっておりますので、五十六年を申し上げますが、千四百三十四名でございます。先ほど申し上げました、ことしの上半期で九千人余り……(冬柴委員「上半期じゃない、一年で」と呼ぶ)六十三年が一万四千三百十四名でございます。
○冬柴委員 法務大臣、今審議官が言われたこと、昭和五十六年は千四百三十四人摘発したそうです。去年は一万四千三百十四人、摘発件数はちょうど十倍。それで、その五十六年の統計の一年前のあれですけれども、そのときの警備官が六百九十二名で審査官が六百六十五名だった。ところが一番最新の数が、警備官が六百五十名で審査官が七百四十三名。これでは死亡事故が起こるのは無理ないと思うのですね。 今月八日に法務省福岡入国管理局佐世保港出張所長の真辺博文さん、五十四歳が亡くなった、このことにつきまして、真辺さんの場合疲労の蓄積が死を早めたのではないかと言っていた、こういうことがコメントされておりますし、つい二カ月ほど前の九月四日には、同じ管理局の警備課長補佐の寺井忠尚さん、五十五歳、働き盛りの壮年がいわば殉職みたいなものです。この取り締まり職員、今度法改正しますとまたいろいろ手続はふえるだろう、それを、事件が十倍になっているのに人数は一つも変わってないと言ってもいい。六百九十二が六百五十に減っているわけです。六百六十五が七百四十三に審査官はふえたと言っていますけれども、これはふえたうちに入らないですね。早急に増員計画をとってほしいと思いますね。その決意のほどをお伺いしたいと思います。
○後藤国務大臣 お答えいたします。 本当にただいま御指摘のとおりでございまして、私ども本当に毎日頭を痛めております。今お話のございましたように、さきに寺井という職員が公務執行中に殉職いたしましたし、また一昨日は、今お話しの真辺と申します佐世保の入管の出張所長が、これは病身ではありましたけれども、病気が治りまして出勤いたしました直後に、一千名を超える不法入国者、ボートピープルが入ってまいりまして、そのための過労だったと思いますけれども、再入院して亡くなったというようなことで、本当に私ども、悲しい出来事で頭を痛めておりますし、それなりに責任もまた非常に感じております。 法務省としては毎年入管職員の増員等の要求をいたしております。政府としては、ゼロシーリソグあるいはマイナスシーリソグの中である程度の考慮はしてくれてはいるようでございますけれども、しかし一方において、各省とも毎年削減が行われておりますので、プラス・マイナスいたしますとふえないという状態が続いてまいりました。 しかしながら、けさほどもお話が出ましたように、出入国者の数というのも、十年前に比べますと二倍以上にふえておりますし、それに伴ういろいろな調査をやらなければならない案件も随分ふえているにもかかわらず職員の数がふえないということは、今後さらに犠牲者が続いて起きるようなおそれなしとしないということなので、法務省といたしましては、全力を挙げて少しでも改善をするような努力を大蔵省あるいは総務庁に対してしなければならない、その努力をする決意でおりますから、どうぞ今後なりともよろしく御支援のほどをお願いいたします。
○冬柴委員 ぜひこの実態を大蔵省にも示されて、我々もできることは応援をさせていただきたいというふうに思いますけれども、ぜひ充実していただきたい、このように思います。 そこで、この法律、改正法には附則がつけられています。その第一には、法の施行を「公布の日から起算して六月を超えない範囲内」と定めるということ、もう一つは「施行に関し必要な経過措置を定める」、このようなことが書かれておりまして、至極適切な配慮だと私は思いますけれども、このような罰則規定が効力を生ずるということになりますと、内外に与えるところの影響は非常に大きいと思うわけでございます。 なるほど附則十一項には、七十三条の二の一項について、各号については、なおずっと継続している分については不可罰にするような趣旨がありますけれども、この罰則のうち、七十条の四号、五号、七十三条、それから七十三条の二の一項の一号と二号、三号はいいと思うのですが、それから両罰規定の三項、少なくともこれにつきましては、法が六カ月後に施行されて、そのときにすぐ同じ時期に効力を生ずるのではなしに、もう少し先の期間に効力を生ずるようにしてはどうか、このように私は提言をしたいわけでございます。 附則十一項も、定めのようなやり方にしますと、現在勤めているところをやめる、解雇されると、次に勤めた人はもう罰則の適用があると私は思うわけでございまして、これほど大きな、不法就労者は約八万人とも言われますし、もっと多いと言っている人もあるわけで、そういう人を一挙に罪人にしてしまうというのは余りにも内外に与える影響が大き過ぎる。したがいまして、その罰則規定の適用を、効力の生ずるのをもう少し、一般の法律でいわゆる資格外活動の禁止とかそういうものはいいのですけれども、不可罰にしておいて、そしてそれを罰するのは例えばそれよりも一年先とか、もう少し余裕を持ったらどうかな、このようなことを私は考えるわけですが、その点についていかがですか。
○米澤政府委員 このたびの雇用主等の処罰の罰則規定の新しい導入でございますが、確かにその導入が行われますと現在不法就労者を雇っている方々等に対するダメージは大きかろうと思います。あるいはまた、以前から日本におられて就労しておられる方の既得権益というと語弊がございますが、にわかにこれを切って捨てるというのも難しい問題があるだろうというようなことも配慮いたしまして、附則十一項で、従前、この法施行前に既に入国して在留活動をし、引き続き在留される方が不法就労をなさっても、それを知って雇ったりした人についてはこの新法は適用しないという経過規定をつくったわけでございます。 したがいまして、委員の先ほどの御質問の中に、一たん勤めてはおるけれども、法施行後新しい職場に移ったらやられるんじゃないか、あるいは新しい職場の雇い主がやられるんじゃないかというようなことが少しありましたが、それはちょっと間違っておりまして、法施行前から在留している外国人が引き続いてさらに日本にいて、職場をかわってもまたそれが不法就労状態であるとすれば、その雇い主については新法は適用しないという経過規定になってございます。 それから、執行を若干延ばしてはどうか、ある程度警告を与えてから罰則を適用してはどうかという御示唆でございますが、御承知のとおり、この法案をつくりまして以降、ウオーニング的には事実上対外的に発表いたしまして、こういう罰則をつくるんだ、法改正案には盛り込まれているということを事実上公表いたしておりますために、ことしの三月ぐらいには急遽、不法就労者を雇っている人たちが外国人を一部解雇したような状態がありまして、帰国する方々がたくさん出ております。したがいまして、この罰則の導入につきましてはある程度周知徹底が図られているものと思いますので、法改正が成立いたしました後六カ月ぐらいの猶予期間があればそうショッキングな結果は惹起しないだろう。しかしながら、万一そういうことがあると困りますので、法の適用に当たりましては、悪質な、重大な違反事犯についてまずは適用していき、それから徐々にというふうなことも考慮したいと思っております。
○冬柴委員 私の提案は一度十分に考えていただきたい、このように思っております。 最後に、この法改正の影響の及ぶところ大であることは言うまでもありませんので、この適用について法務大臣の所見あるいは所信を伺いまして、私の質疑を終わりたいと思います。
○後藤国務大臣 お答えいたします。 冬柴委員からいろいろ貴重な御意見、御提言等を伺いましたことを頭に深くとどめておきたいと思います。日本が経済的に豊かであるということと経済格差という問題はなお当分続いていくものと思われますので、日本に対して入国を希望する者というのはなかなか減らないだろうと思います。したがって、先ほど来政府委員側から御答弁申し上げておりますように、単純労働者については入ることを規制しなければならないという今現在の考え方には変わりございませんが、今後この問題はさらに検討しなければならない余地のある問題であるとは思います。 しかし、現在おります人たちにつきましては、特に難民等の問題につきましては、難民条約あるいはことしの六月ジュネーブで行われましたインドシナ難民に対する国際会議、さらには現行の入管法等に従って措置しなければならない点については措置しなければならない。例えば、難民についてもいろいろ気の毒な事情は個別的にはあると思いますけれども、やはり法治国であります以上は法律に従ってやらなければならないという立場に置かれていると思います。 きょうのいろいろな御発言、御提言は念頭にとどめまして法務行政の執行に当たりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○冬柴委員 終わります。
○戸塚委員長 滝沢幸助君。
○滝沢委員 委員長御苦労さまです。大臣初め皆さん御苦労さま。 さて、このたびの入管法の改正の課題というものは不法就労者に対する対策という側面が大きい、こう見ておるわけであります。これを解決するということは今我が国が直面している大きな課題というふうに思いまして、法改正の大きな方向について我々が全面的に賛成しつつ、二、三の意見も申し上げたい、こういうふうに思っておるわけであります。 大体このようなことで今まで数々議論されておりました不法就労者やその他のことが解決されるでありましょうか。ほかにまだ手が打てないけれどもこういう課題があるというものがありましょうか。その辺ひとつ。
○股野政府委員 不法就労の問題について、ただいま来御説明申し上げております法制上の整備を行うということを私どもとしてはここで強く希望いたしております。しかし同時に、それに関連いたしまして、不法就労者対策に当たる入管当局の体制、組織の充実強化というものもあわせて必要であると思いますし、さらには警察、外務省、労働省等の関係機関との協力、こういうことも不法就労対策を行う上で非常に重要であると考えておりますので、そういうことについて十分密接な協力関係を行うことによって対処してまいる、こういう考え方でございます。
○滝沢委員 雇用主に対する罰則というのか、これはよその国にもあることでありましょうけれども、助長罪というものは、一つの見方からいうと不法な就労等をいわば地下に潜らせるというのでありましょうか、そういう意味ではかえってマイナスではないのかというような声も聞きまするけれども、そういう点はありませんか。
○米澤政府委員 委員御案内のとおり、不法就労者の増加の最大の原因は経済格差とも言えますが、そのほかに、我が国にいるあるいは外にもおりますかもしれませんが、ブローカーとか雇い主が暗躍している、つまり不法就労者を吸引する大きな力になっているだろうと思われるわけでございます。その場合に、この不法就労外国人に対する人権侵犯等を含む非常に憂慮すべき事態、これを解消するための妙案としては、まず吸引する人たちをある程度取り締まることによりましてその吸引を断念せしめるというのが一つの手段として有効であろうと思うわけであります。 したがいまして、このたびそういう観点から不法就労助長罪的なものをつくるわけでございますが、これは委員御指摘のようにアメリカやドイツその他の国々に先例がございますし、よその国の経験によってここに有効性が証明されていると思います。ただ、今委員御指摘なさいましたように、そうすることによってかえって地下へ潜ってしまわないだろうかという点でございます。私どもといたしましては、地下に潜らないように、例えば労基の方あるいは人権局の方とも御協力願って、そちらの人権侵犯的な面につきましては適宜適切に対応していただく、そうして両面からこの不法就労事犯というものをなくしていきたいと願っておる次第でございます。 なお、例を少し挙げさせていただきますが、我が国では薬物事犯の防圧に非常に成功しております。これはなぜかといいますと、自己施用も処罰しているのです。欧米では自己施用というものを処罰しませんために需要の方はたたいていないわけであります。そういう例をも考えてみますと、やはり不法就労者のニーズを感じておられる当の本人たちにも警告を発していくといいますか、ある程度の罰を加えていく方法が正しいやり方かと考えております。
○滝沢委員 私のついきのうの作品に「形あるものにすべて影ある秋の午後」というのがあるのです。芸能、スポーツあるいはその他文化活動、そういう明るい入国者の側面、文化国家、豊かなる経済大国というのでありますが、一面からいうと、これから法改正等で対処されようとしております、いわば就学といってもこれが偽装のものであったり、結婚すれば入国が簡単といえば偽装結婚があったり、そして日本に多くの方々が働きに来ていただくことはいいことだと思うのでありますが、しかしそこに今言われているような面もありまして、この明暗の二つの面をいかに調整していくか、ここが政治の要諦だと私は思うわけであります。 私なんかが小さな知識で承知していることによりますと、すべての国が必ずしも同じ条件でょその国の人を受け入れているわけじゃありません。指紋押捺なんというような面でもいろいろと言われているわけでありますが、一つは、嫌だったら入ってくるな、これでいいような感じもしまするけれども、しかしまたそれで国際事情等もあるわけでありますから、そういう面につきましていろいろの条約等で相互協力をしていらっしゃるようでありますが、今苦労されているような面についてもう一歩国際間の協力、特に文明国同士が世界の責任を果たすという面においてなさるべきことはないのでありましょうか。例えば偽装難民、嫌な言葉でありますが、こういうことが行われているのが現実でありますから、これらについては外務省といいますか外交面におけるもう一段のお働きを期待するということであっていい、期待せざるを得ないという状況だと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○田辺説明員 先生の御示唆はなかなか含蓄に富むことではございます。我々といたしましてもその辺も含めましてさらに検討させていただきます。
○滝沢委員 御苦労さまです。 そこで、これは少し話の焦点が違ってきまするけれども、私、見ておりまして、この春の先帝の御大喪の前後、何しろ世界から百六十四カ国の元首、首相級の方々が参拝といいますか、おいでになったわけです。これは歴史的なことでありまして、世界的にもその例を見ないことと承っておりますが、したがって、一人のそうしたある国の代表の方がお入りになられるについては、随分とたくさんの随員というような方々もおいでになるでありましょうし、特に警備その他で御苦労された側面もあろうと思いますが、その前後における御苦労の状態というものはいかがなものでありましょうか。
○股野政府委員 委員ただいま御指摘のとおり、ことしの御大喪の際には各国から多数の弔問使節の御一行がおいでになられたわけでございまして、その出入国手続につきましては入管当局としても最大限の心配りをいたしまして、礼を失することのないように、出入国手続を円滑に行うために専用の出入国審査のブースというものを設けるというようなことをいたしましたし、同時にまた、テロ行為等の不測の事態というようなことの発生を防止するためにも、一般の出入国審査体制の強化ということも図り、十分に態勢をとるよう心がけたという経緯がございます。
○滝沢委員 そうしたときに、そういう方々に対して礼を失しない十分な配慮、まことに結構でありますが、あの当時、これは本当は一面からいうと逆にそれら以外の方々に御迷惑をかけているという面が国の内外にあったと私は思うのでありますが、そうした側面についての反省はありますか。
○股野政府委員 我々といたしましては、ただいまのような心組みから最善を尽くしたということでございますので、そういう点で前回のこのことについての経験というものについては、今後も十分生かしてまいりたいと考えております。
○滝沢委員 そうした教訓を、来年の秋に予定されていると言われる御即位礼等について、これまたどの程度のお客さんをお呼びすることなのか、私たちはいまだ明らかにされておりませんけれども、そうしたことについての準備といいますか配慮といいますか、今から用意されておりますか。
○股野政府委員 ただいま御指摘の、明年のお話で、御即位の礼ということがある場合に、我々としてはこれまでの経験というものを十分踏まえまして、遺憾なきよう体制を組む、こういう所存でございます。
○滝沢委員 質問も抽象的ですけれども答弁も抽象的で、そうとる以外にないわけでありますけれども、私は、これは変な話ですが、よその国に私たちが出ていきますときにも、公務ということで出ていくときは極めて簡単に通させていただきます。そのとき私なんかが凶器や麻薬やそういうものを持ったらたちまち随分と役立つな、こう実際思うことありますよ。そういうこともしかしあるのではないでしょうか。ですから今の御答弁、どうも抽象的ですが、その反省や準備ないしはこの春の例等の中にもう少し具体的なものをつかんでこられなかったでしょうか。
○股野政府委員 先ほど来申し上げましたように、一方においては各国の使節についての礼を失しない円滑な出入国の事務ということと、他方における不測の事態を防止するという配慮と両面ございます。それは今後ともまさに生かしていくべきことだと思いますが、同時にこれは入国管理当局だけの所掌の範囲を超える問題でもございますので、当然のことながら外務省あるいは警察等の関係機関の協力も十分に得ながら対処していく必要があると考えております。
○滝沢委員 きちんとした御答弁でどうも取りつく島ありません。 そこで、宮内庁さんあるいは法制局からもおいでいただいておりますが、私は、先般のこの委員会でお伺いしたのでありますが、それは、この御即位礼等について森山長官を長としました準備会なるものが組織されて、第一回集まったとおっしゃいました。そのときどのようなことを宮内庁その他はいわゆる委員諸先生に諮ろうとしているのか、こう承りましたら、そういうことは一切わかりません、そして、新聞等に出ていることなのかと言いましたら、それは予想記事でございますということでありましたが、つい最近、また非常に具体的に出てきまして、二回目の会合を持たれたというのでありますが、その会合の経過並びに結果、これは委員長報告みたいでありますけれども、それについてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○多田説明員 去る七日に第二回の即位の礼準備委員会、開催をいたしました。この席では、これからのこの委員会の協議の参考にするという趣旨で、曽野綾子先生、岡田精司先生、上山春平先生、この三名の有識者の方から御意見を聴取をしたということで終わったわけでございます。
○滝沢委員 曽野先生ほかお二人の先生方のほかにこれからお呼びになる予定ありますか。
○多田説明員 準備委員会といたしましては、今後引き続き有識者から御意見をお伺いさせていただこうと思っておりまして、十一月中にあと三回程度こういう機会を設けたいというふうに考えております。
○滝沢委員 そのときお招きする参考人か委員か知りませんけれども、そういう人の人選はいかがして進められ、いかなる基準によってなされるのでありましょう。と申し上げまするのは、この両三名の先生方もそれぞれに権威あるいわば有識者というんでありましょうけれども、大体有識者と言われて、はい、なんと言うやつは、文化人とか賢人会なんと言われて、はい、なんと言うのは、その神経は私はわかりませんけれども、まあそれにしても今後どういう方々をどのような基準でお招きなさるものであろうか。 といいまするのは、随分とこのことが法律の世界でもあるいはまたそのほかの世界でも議論の対象になっておりまして、こういうことについての本当に奥深い研究等もなさっていらっしゃる方が多々いらっしゃるわけでありまして、そのような方々の知識を生かさざるままに一つの結論が出てくることを恐れるわけでありますが、いかがでありましょう。 あわせまして、新聞等によりますれば、この即位礼は十一月十日でありましたか、そして大嘗祭は二十三日でありましたか、しかもそれが前者は国事として、後者は皇室の行事としてなされるということに準備委員会は結論を見たというふうに書いてございますが、そのとおりですか。
○多田説明員 お話を伺う先生方につきましては、即位の礼のあり方等に関して意見を伺うにふさわしい高い識見をお持ちの方々の中から、憲法学あるいは歴史学といったような学問の学者の方々とか文化人、評論家といったような方々、こういう方々の中から選定をしてお話を伺わせていただくということにいたそうと思っているところでございます。 なお、新聞報道につきましては、読み比べていただきますとあちこちに出ておりますので、それぞれ微妙に食い違うというような状況でございまして、決してまだ何かが固まったというような状況にないということをお話しさせていただきたいと思います。
○滝沢委員 では、二つのお式の日にちはあれ以外ですか、あのとおりですか。
○多田説明員 日にちについてもまだ決定する段階に至っていないということでございます。
○滝沢委員 私は政府の態度に対して不満があるのはそこなんですよ。それはそのとおりに決まっても、あのときは決まっていなかったんだけれどもその後で決まったんだとおっしゃる。ですから宮内庁からもいろいろのことを私たちにおっしゃっている。何課のだれさんと言ったらその人が傷つくでしょう。しかしそういう方がおっしゃるのは、やはり国を思いかつ自分のお仕事について誠意がありまして、それが満たされないことに対しての不満なんですよね。そうした方々が、壁に耳あり障子に目ありとも申しまして、新聞等にもおっしゃるわけでしょう。火のないところに煙が出ないという言葉もあります。それは幾ら箝口令をしいてもわかるわけですよ。わかるならばはっきりと国民の前にお示しになって、そしてむしろこれらのことについて政府は案をまとめようとしておる、意見のある人は申し出てほしいぐらいのことで、あるいは曽野先生が御指名になったならば、初めに曽野先生が指名になりましたよということでもって、曽野先生自身ももっと世界の意見を聞く、また曽野先生を経ていろいろと意見を政府に反映したいという作業もありましょう。なぜそれをなさらないのです。 私はむしろ、これははっきり申しまして中曽根内閣以来の顕著になってきた手法だと思うのでありますが、いろいろと法的根拠があったもの、ないものございますが、委員を、審議会を任命される、それは言うなれば政府の原案があってその政府の原案に賛成さるがごとき人々を指名される。そして曲学阿世かどうか知りませんけれども、いわゆる政府の思うとおりの結論が出てきます。それを我々国会で議論をしておりますると、委員会が今審議中でありますので何とも申し上げられません、こう答えていらっしゃるわけですよ。しかしそれは新聞にどんどん漏れてきますわな、あれょあれよという間に。しかし、その新聞報道のとおりに結論が出てくる、そして国会に出てきたときはもう、一つの手続を経て審議会の答申に基づいてしたものでございます、これなら国会要りませんよ。むしろこれなら政府が要りません。政府の意思が国会をバイパスして、そのような国製審議会によって認知されていく、こういうことを私はいかぬと思うのですよ。国会に出しなさい。そうしたら、国会議員の知識に余るものであったならば参考人をお呼びすることもできるでしょう。私はこういう政府の姿勢を非常に不満に思う。 そして、いつの委員会に来て物をお伺いしても、要するにそこをうまく逃げて通る答弁が名答弁とされるのでしょう。また、その政府に対して質問主意書を出しましたら最もひどい。あれは大体閣議で決定するというのでありますが、閣議というのは実際読んで承知をするものかどうか、以下同文で承知をするものじゃないでしょうかね。全くひどい。問題を避けて通ることを名答弁とするがごとき姿勢は、民主主義の行政府の姿勢と言いがたいと思います。大臣、いかがですか。一般論です。
○後藤国務大臣 今お尋ねの点は、法務省の所掌事務でございませんので、何とも申し上げられません。
○滝沢委員 大臣、そういうお考えだからだめじゃないでしょうか。私は、一般論ですとまたつけ加えました。政府のなさることは、閣議のなさることは、こう申しました。今議論しておりましたのは確かに宮内庁にかかわることですよ。だけれども、政府全体のことを私は言っているのですよ。中曽根内閣以来顕著にあらわれてまいりました政治の手法というものが、国会につぶさにこれを報告、提案するにあらずして、委員会、審議会等を、法に基づくもの、それに基づかざるもの数々ありますが、任命なさる。その任命の顔ぶれが、一つの案があって、おのずからの考えがあって、それに賛成する人を任命なさる。そして質問をいたしても、委員会に今付託中であります、それが新聞にどんどん出てくる。まさかと思っているうちにそのとおりのことになる。今度の御即位礼もそれであると私は今指摘をしていることなのですよ。わかりませんか、私が申し上げていること。こういうことがまかり通るならば国会は要らない。 せんだっても申し上げました。自分の案に賛成する委員を任命するのは当たり前ですよ。例えば私たちがうちをつくる、洋風なものをつくろうと思ったら洋風の方の設計の権威者を頼みますわな、あるいは庭に力を入れたいと思ったら庭園の方に権威のある設計士を頼みますわな。それと同じで、政府には一つの考えがあるのです。政府と言っていけなかったならば、行政のそれぞれの立場において考えがあるのです。その考えに合う人を指名されるのです。どこの世界に、おうちを設 計するときに設計士に対して、とにかくおれはうちを建てたいのだが設計してくれと言う人がありますか。いや、何坪にな、そしてこういうふうな色彩の壁にしてな、三階建てにしてなというふうに注文するのでしょう。それがなくてただ単に委員を指名されているとはどうしても思えない。どうして政府は国会に対して、今こういう方々の委員をお願いして相談をしていただいているけれども、政府みずからはこういう線でいきたいのだというふうにおらしゃれないのか。 重ねて私は申し上げるならば、海部総理大臣が、このような国の大事についてはおれはこのようにしていく、一切の責任は総理たる私にある、みんなが安心してこの線に沿って仕事をするように、そしてむしろ法制局等に対しても、みずからの思想とみずからの見解を披瀝してそれにいわば法的裏づけを求めるようなものであった方が私はよろしいと思うのです。それを総理がなさらないから代々こういうことになるのです。何事もそうです。総理みずからの意思を明確に表明されずしていわゆる諮問委員会等に求めて、結局は御自分の意思どおりに物が決定する。中曽根総理大臣のもとにおいて官房長官の私的諮問機関として行われました靖国神社の一拝方式のごときはまことにその最たる例でありますが、非礼も甚だしい、あれが総理大臣の参拝であるならば。と言いたいのでありますが、それはそれ、一つの例でありますが、このような政治手法をいかがかと私は大臣に申し上げているわけです。
○後藤国務大臣 お言葉を返すようで申しわけございませんが、私はきょうは法務委員会に法務大臣として出席しておりますので、その所掌の範囲を超えたことでございますので、私からお答えすることはできません。
○滝沢委員 大臣は閣議に出席なさるのでしょう、なさいますよれ。そして、一日の閣議で数件の質問主意書に対する答弁が決定されること、間々ありますよね。そのときそれぞれの大臣は目をお通しなさるものであろうか。少なくとも主管大臣はいつの時点で目を通されるのでしょう。お伺いします。
○後藤国務大臣 閣議で決裁をすべき書類には決裁をいたしております。 それから、先ほどからの御発言でございますが、総理は総理のお考えでやるべきことはおやりになっていると思います。
○滝沢委員 いや、私が申し上げているのは、それに目を通されますかと言っているのです。他の省庁に関することについては目を通されずに、いわば御無礼ながら、めくら判ですわな、そうでしょう。
○後藤国務大臣 めくら判という言葉は適当でないと思います。といいますのは、所掌事務に関係のある書類というのは、特に重要なものについては、その後それぞれの閣僚からそれについての説明もいろいろありますし、めくら判という言葉は適当でないと思います。
○滝沢委員 もちろん今は差別用語とかなんとか難しいことがありまして、めくらじまもいけなければつんぼ桟敷もいけないそうでありますから、それはそれといたしまして、ただ大臣、私は憎まれたいから言っているのじゃないですよ。非常に官僚主導型になって、もちろん大臣も、法務省もその例外ではありませんけれども、一年のうちに何人も何人もかわりなさるのですから、私が一生懸命お願いしております人名用漢字の問題のごときも、大臣がやや理解されたかなと思うと大臣はかわりなさるわけだし、情けない話でありますが、ゆえにこそ官僚主導型になるのです。その官僚という言葉も、これも余り褒めた場合には使いませんが、そのとおりの、官僚の考えそのものを——薬には糖衣剤と言いましたかな、苦いのを甘くして食べさせる薬がありますな。そのようにして、オブラートに包んで、オブラートがつまりはその何とか準備委員会ですよね。こういうことを私は申し上げているのでありまして、これ以上は申し上げても見解の相違でありますが、私は国民の立場に立ってこれを悲しむのであります。極端に申し上げさせていただくことをお許しいただくならば、どなたが大臣であってもいいのです。大臣はただ名義人であるにすぎない、このように申し上げて決して私は過言ではないと思う。これは農政においてしかり、文教においてしかり、法制においてしかりと申し上げたいのであります。 そういう意味で私は申し上げているわけでありまして、御即位礼に返りますが、このようなことを国民が喜び、かつ皇室が喜びなさるとお思いでなさっているのでありましょうか。何でもっと開かれたる宮内庁にならないのです、いかがですか。
○宮尾政府委員 先ほど内閣の方からも御答弁がございましたように、明年の御大礼についていろいろな御意見あるいはお説等がございますので、ただいま準備委員会では幅広くそういう有識者の意見を聞きながら、政府としてどういう考え方のもとに明年度の御大礼をとり行うこととすべきか、こういうことを今勉強をし、その方針を決めるべく検討しておるわけでございます。したがいまして、これまでも先生からも非常に深い御見識と皇室に対する御敬意を持たれたいろいろな御意見も拝聴いたしたわけでございますが、そういうものも含め非常に幅広いいろいろな御意見を当然その準備委員会の議論の中で十分検討しながら、憲法の精神に沿いかつ皇室の伝統を尊重した即位礼、大嘗祭というものをとり行う方向を今一生懸命勉強しておる、こういうことでございますので、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
○滝沢委員 まあ結構です。 じゃ、端的にお聞きしますが、なお両三回十一月中にこれからなさろうとしているとおっしゃいましたが、そのときに意見を申し上げる幾人かの学者等をもしも我々がないしは他の機関等が御推薦を申し上げたならば、それは聞いていただけましょうか。
○多田説明員 いろいろなところでいろいろな御意見があるということを承知しておりまして、したがって御推薦いただいた方に必ず聞くということにすると大変な数になる可能性もございますので、もし御推薦があれば伺うことは伺いますが、必ずその方をお招きをするということまではちょっとお約束ができないということでございます。
○滝沢委員 先ほども申し上げましたが、公募という言葉は必ずしも適切かどうかはわかりませんが、意見のある方はおっしゃっていただきたいということをなさる考えはありませんか。
○多田説明員 現在私どもは、今の準備委員会でなるたけ幅広くは御意見を伺いたいと思って人選を進めょうとしておるところでございますので、そういう格好でいろいろな角度からの御意見を伺うつもりでございます。個別に呼びかけて御意見を一般的に出していただくということは必ずしも考えておりません。
○滝沢委員 何も個別に一々一億国民全部に電話かけて聞くことはありませんけれども、ならば何かの方法で政府の見解の発表あるいは広報の形で、即位の礼等は全国民の参加と祝福のもとに行いたい、よって意見のある者はいついつまでの期間にどのような手続で意見を申し出てほしいというようなことをなさった方がよろしいと思うのでありますが、私の提案であります。いかがでしょう。
○多田説明員 先ほども申し上げましたように、ただいまのところ私どもの準備委員会のスケジュールと申しますのは、あと三回ばかり各方面から御意見を伺うという考え方でございますので、今先生の御提案でございますけれども、今すぐそういうふうにしようという考えは今のところ持っておりません。
○滝沢委員 今のところ持っておりませんということでありますが、ぜひともそうしてほしい。これは時間的には何も、あした無理でもあさっての新聞には政府広報が出せるわけだから、それは直ちにできます。そうしたら、もうしあさってには意見がどんどん来ます。どうぞひとつそういうふうにしてちょうだい。それはあなた、ここで確認できなかったならばしかるべき機関とひとつ急速にそれを諮ろうて、そしてこの委員会はあといつ開かれるんでしたっけな、そのとき返事をちょうだい。いかがですか。
○多田説明員 中で一度相談をしてみます。
○滝沢委員 返事も相談ですか。返事の内容は相談はいいですよ。その返事もできないの。それも相談しなければできないの、どうなの。
○多田説明員 御返事は先生に申し上げるつもりでございます。
○滝沢委員 それは委員会の席で言うのでしょう。違いますか。私に電話か何かだけだったら簡単な話だ、きょうの夜にもできますけれども、私は委員会で一つの意見を申し上げて答弁を願っているわけだから、その答弁はきちんとしませんよ。森山長官が出られればもっとはっきりするかもしれぬ。しかし、森山長官も総理に相談しないと、とおっしゃるかもしれませんし、総理はまさか陛下に相談しないと、とはおっしゃらないでしょうけれども、そういったらわかりませんから、ここで公な議論だから、委員会の席上あなたの先日の提案は全く受け入れることができぬとおっしゃるのかというようなことを申し上げているのだけれども、いかがでしょうかね、多田さん。
○多田説明員 委員会で質疑の形でやるかどうかというのは委員会の側がお決めになることだと思いまして、私の方からそういうことを申し上げるのはいかがかと思います。
○滝沢委員 ひとつ委員長においてしかるべくお取り計らいをお願いしたいと思います。
○戸塚委員長 滝沢君に申し上げますが、次回の委員会は十七日というふうに予定されております。その取り扱いにつきましては、理事会で協議したいと思います。
○滝沢委員 どうも長時間御苦労さまでした。
○戸塚委員長 安藤巖君。
○安藤委員 午前中から午後にかけまして各同僚委員の方からいろいろ御質問がありましたので、私はできるだけ重複を避けましてお尋ねをしたいと思います。 いわゆる在日外国人の不法残留もしくは不法就労事犯についていろいろ入国管理局の方でも摘発をしておられるというふうに伺っておりますが、先ほど来数字が出ておりますから繰り返しません。五年前と比べて約六・一倍になっているという話も聞いております。そして昨年は一昨年と比較をして男女逆転、ということは男性の方が逆転をして多くなったというふうに聞いておりますが、そのとおりですか。
○米澤政府委員 摘発をされました不法就労者を見る限り、そのとおりでございます。
○安藤委員 そこで、法務省の方からいただきました本件の審議をしております法律案関係資料を拝見をしますと、昭和六十二年一月から十二月まで、一昨年の分を見ますと、「資格外活動者及び資格外活動がらみ不法残留者の稼働内容」こういうふうになっておりまして、稼働内容の欄をずっと見ますと、ホステス、建設作業員、ストリッパー、売春婦、工員、雑役、給仕云々となっております。この段階で見ますと男性だと思われるのが建設作業員、工員、雑役、給仕等だろうと思うのですが、これでいきますと全体の三五・八%、今読み上げたところです。女性のホステス、ストリッパー云々というのが相当な数ですからこういうような状態になっておると思うのですが、先ほどお尋ねしましたように、昭和六十三年度になると逆転をしておるということになると、やはりここに載っております建設作業員あるいは工員、雑役等々の稼働が多くなってきておるというふうに見てよろしいわけですか。
○米澤政府委員 そのとおりであると思われます。
○安藤委員 摘発をされたということであれば、その就労しておった企業、どういうような経緯で、どういうような必要でそういう人たちを雇い入れておったのか、稼働させておったのかという事情もお聞きになっておられると思うのです。そしてその労働条件というのは、賃金が幾らどうとかというわけじゃなくて日本人の労働者の労働条件と比較して低いものであったかどうか。いわゆる過酷、三キと言われておりますが、そういった種類のものであったかどうかということは、どういうぐあいでしょうか。
○米澤政府委員 就労に至る経緯でございますが、ブローカー等のあっせんを受けた者が約六三・一%に及んでおります。そのうち日本人にあっせんされた者が一六・四%でございまして、残りは同国人、外国人にあっせんされたというのがあります。 それから報酬の関係でございますが、日給制度でもらっている人の報酬総額しか私どもよくわかりませんで、摘発いたしましたときにどれくらい稼いだかということを聞いておりますが、最高百万から二百万くらい稼いだ人が二五%くらい、それから十方円以上五十万円未満が二三・五%、五十万円以上百万円未満が二二・五%というような分布状況になってございまして、就労期間は一年以上が三三・四%、それから六月以上一年末満が二四・八%、三月以上六月未満が二一%というふうになってございます。 賃金が同業の人たちと比べてどの程度低いかということでございますが、これはなかなか比較が難しゅうございますので感じで申し上げますが、相当低いといいますか、悪い例ですと物すごく低い賃金でございますし、ブローカー等が中間搾取をしておりますので、実際に手に渡るのが非常に低い賃金になっておるというようなかわいそうな実例もございます。
○安藤委員 企業の規模なんですが、これはどこから大企業、中堅企業、小零細企業と言うのか難しいのですが、普通の常識の話として、小零細企業の方が多かったのかどうか。
○米澤政府委員 稼働しております内容あるいは稼働状況等から見て当然おわかりと思いますが、中または小零細企業というのが中心でございます。
○安藤委員 これはお尋ねしなくても、そういう人手が必要であったから雇い入れたのだということは明らかだというふうに思います。 ところで、摘発をされていない数、これは午前中でしたか暗数だからはっきりした数はわからないとおっしゃったのですが、お聞きをしておりましたところでは朝鮮半島からの人たちが五万人とも、それからいわゆるオーバーステイの人たちが昨年の六月現在で八万とも九万ともというお話でしたね。そうするとこれは相当な数になっておるのですが、それよりももっと多いという話もありますし、それが増加しておる傾向にあるのか減少しておる傾向にあるのかという点はどうでしょうか。
○米澤政府委員 まず、現在日本国に不法就労者が何人いるかということを推計するためのデータといたしましては、摘発者のほとんど、八割ぐらいですか、八割から九割にかけてがオーバーステイでございますから、電算機の資料のオーバーステイのデータを取り出しますとおおむね推計計算できるだろうと思います。その推計計算の根拠が、今委員おっしゃいました約八万ぐらいでございますので、それに若干の数を足せば現在の不法就労者の推計、大体当たらずとも遠からずというところへ行くだろうと思います。 潜在居住者の方につきましては、先ほども五万とも言われているという言い方で伝聞的に私申し上げておりますのは、ちょっとデータの持ち合わせがないからでございます。(安藤委員「増加かどうか」と呼ぶ)これは、オーバーステイの数が、例えば就学生一つをとりましても年々ふえてきておりますので、ふえてきているということは言えると思います。
○安藤委員 そういうような外国人の人たちはこのまま放置しておくわけにもいかぬと思うのですが、どういうような対策を講じてそういう人たちを皆無にするということを考えておられるのでしょうか。
○米澤政府委員 今委員は皆無にするというところに力を入れられましたのであえて申し上げるのでございますが、御承知のように法違反者を皆無にするということは、いかなる分野においても非常に無理でございます。できる限り増加現象を抑えたり、あるいは過酷な労働条件でひどい目に遭っている外国人の方々ができる限り減るような方向で行政としては努力すべきものと考えております。 その方法でございますが、まずは罰則を優先させて考えませんで、むしろ今不法就労している方々が送り出されている国の失業率ができるだけ低下するように、日本側の協力によって本国の方の産業が発展するようにすることによって流出圧力をある程度とめるという方法、あるいは不幸にしてブローカー等の手を通じて日本においでになりました人たちに対しては、今、人権局もやってくれていますが、労基等を通じての相談窓口を開きまして、その説得あるいはしかるべき措置をとって帰国していただくような事実上の措置、あるいはPR等によりまして雇用主筆関係者に、不法就労外国人を雇うことがやはり日本社会にとってマイナスでもあり、かつ、当該外国人にとってもダメージの大きなものである、反日感情を来すようなこともあり得ますので、そういった点から差し控えるようにPRをするあるいは行政指導をする等をやるわけでございます。そのほかに、今回法改正案に盛り込んでおります、やはり不法就労外国人を吸引しようとする一つの原因になっているブローカー等に対する罰則によって、一罰百戒の効果を上げたいと考えております。
○安藤委員 今おっしゃった一罰百戒の効果の方はこれまでもいろいろ議論があるところで、私も、果たしてそれでいいのかどうか、幾つかのうちの一つだとおっしゃるから、一つの考え方だろうとは思います。 しかし、先ほど議論もありましたけれども、逆に潜るんじゃないかなというのが新聞の報道でも識者の意見としてもいろいろ出されておりますので、一つ心配なんですが、そういう人たちを送り出している当該国にいろいろ話をして云々というようなことは、これまでもいろいろ努力はなさってきておられると思うのですね。先ほど話が出たような数の摘発されないでいわゆる潜っておられる方々が現在おるわけですね、この人たちにはそういうようなことで効果的なのか。しかも、これはふえてきておるんだということだと、何らか抜本的な対策というのを一遍考えてみる必要があると思うのです。ぱっと目の覚めるようなもの、そんなのは、今おっしゃった程度で、それ以外は考えておられないわけですか。
○米澤政府委員 不法就労外国人の存在をできるだけ減らしていくためには、総合的にいろいろな面からの手当てが要るだろうと考えております。 それで、我々といたしましては、今の罰則の導入を含めまして、出入国管理行政の実施に当たって、まず入り口でできる限りそういう不法就労目的で入ってくる人たちを阻止するというやり方、それから今の雇用主処罰等あるいはPR等を含めまして、産業界でニーズを感じておられる企業家の方々の倫理といいますか道徳感情の向上を来してそういう人たちを雇わないようにしていただく、それから、外国に対しましてもそれなりのPRをすることによりまして、日本ではそういう不法就労はできないんだということも周知徹底する、いろいろなことで堅実な努力をすべきだと思いますが、委員のおっしゃいますように目の覚めるようなぽっとした特別の措置というのは当面考えておりません。 〔委員長退席、井出委員長代理着席〕
○安藤委員 当面考えておられないというのは、大体私が言わんと欲するところは午前中の議論にもありましたから、考えておられるみたいなんですが、結局、摘発の数もどんどんふえてきておるのですが、摘発をして、強制退去をしてやっておられる。しかし、摘発されない人が相当数おって、その人たちもまたふえておる。これは何かどこかで一線を引いてきちっと措置をする必要があるのじゃないかと思うのですね。 それで、午前中に議論になりましたアメリカの新移民法に基づく、あれは特赦というような言い方をしておるようですが、私は特赦という言葉は余り好きじゃないのですけれども、そういうような措置、一遍とってみる必要があるのじゃないかと思うのですよ。それこそまさに目の覚めるような話じゃないかと思うのです。午前中の議論でもありましたから詳しいことは言いませんが、あのときに、今まで不法に入国しておって、いわゆる不法就労をしておった人たちに対して期限を切って、具体的には、これは一九八六年十一月に成立したのですが、八八年五月四日までに申告して出頭してきなさい、そして、それまでずっとおったということの簡単な証明書等を持ってこいということで、結局は九十数万人の人たちが認められたという話を聞いているのです。そして、永住資格をもらい、最終的にはアメリカの市民権を獲得した人もいるという話も聞いているのですね。 だから、こういうようなことを、やはりどこかで一線を引く、そしてそれ以後はまさに厳格にやっていくというような措置を一遍考えてみるべきではなかろうかというふうに思うのです。それで、出てこられた人に対しては二年なり三年なり引き続いて働いてよろしい、しかし、その期限が来たら出でいってもらいますよというもの、何かそういうようなことを考えるべきじゃないかと思うのですが、これは大臣、どうですか一遍、目の覚めるようなものですが。
○後藤国務大臣 今後ともできるだけ目の覚めるような厳しい措置をとる必要があると思いますけれども、しかし、今安藤委員のお話を伺っておりますと、それで厳しい措置がとれないで残った者については、何かその存在を認めるようなことにでもなるようなことになれば、さらに今後も後を絶たずに不法就労がふえてくるということになると思いますから、そこのけじめはやはりきちんとしなければならないだろうと思っております。
○安藤委員 大臣は目の覚めるような厳しいというふうにおっしゃったのですが、私は、もちろんきちっとした措置をとるという点では厳しいことなんですが、特赦という言葉も申し上げましたように、アムネスティーという言葉もありましたが、今までこうだったけれども認めてやる、だから表へ出てきなさい、それで先ほど言いましたようにアメリカでは相当大きな成果を上げているわけです。だから、そういうことをやって逆にどうのこうの、そのときに出てこなかった人はまさに手厳しくやるということで、罰則の強化じゃありませんけれども手厳しくやる。だから、罰則の強化も、まさにそういう潜っている人たちを少なくするというのに効果があるということをおっしゃってみえておるわけですから、そのときに申告してこなかった人はそれこそ手厳しくやりますよということも含めて、これは一遍考えてみるべきだと思うのですよ。 それで大臣、それは将来云々というお話がありましたが、後の方のお言葉はなかなか消極的なお話でございますので、全体として、今の段階はともかくとしても、将来的には、あるいはできるだけ近い段階で一遍そういうようなことをどうかという検討の対象にしていただく必要はあるのではないかなと思うのです。そういう意味で、もう一度大臣にお答えいただきたいと思います。
○後藤国務大臣 お答えいたします。 不法就労ということがはっきりしている者については、それについてはやはり厳しい措置をとらざるを得ないというふうに思います。
○安藤委員 大臣、私の申し上げていることがよくわかっていただいておられるのかどうかわからなくなってきたのですが、そういう状態にある人をいつまでも不法な状態に置かないで、そして、今度罰則を強化する云々となったら余計潜っていく、余計深く潜ったままで日本へ入国するというようなことになりかねないと思うのです。だから、昔でいえば徳政令みたいなものです、そういうものを一遍考えていただいてもいいのではないかというふうに思います。時間の関係もありますから、特に強く要望さしていただきまして次の質問に移らしていただきたいと思います。 さて、これまでの質疑の中でいろいろ御答弁がありましたが、いろいろ伺っておりますと、単純労働者の受け入れの問題については、法務省御当局を初めとして、労働省、通産省まことにガードがかたいな、おっしゃることは異口同音でありまして、まことにかたいなという認識を持っておるところなんであります。 これもごく最近の朝日新聞の、ことしの十一月六日の朝刊の大きな記事ですからごらんいただいていると思うのですが、これは朝日新聞社が行った世論調査の結果です。詳しいことは申し上げませんけれども、「外国人の単純労働者の受け入れについては、国民の五六%が「条件をつけて受け入れる」、三三%が「受け入れない」」、こういう状況だという報道があるのです。これは一つのデータだと思うのです。 だからこういうことからすると、そうガードをかたく、かたくというようなことばかりではなくて、やはりこの前もどこかのテレビで、鎖国か開国かなんて、単純労働者を入れないのは徳川幕府時代の鎖国になぞらえたみたいな題名の議論がありましたけれども、大臣もきょうの提案理由の説明の中でおっしゃってみえておるのですが、単純労働者の受け入れの問題についての話ですが、「広く国内関係方面の意見を見きわめつつ、長期的視野に立って所要の対策を考えるべきであり、そのためにはなお相当の日時を要する」というふうにおっしゃってみえておるのです。そして、これまでの御答弁を拝聴しておりますと、現在は単純労働者を受け入れないということなんだというふうに言っておみえになっておるのですが、どうなんですか、これはずっと永久的に単純労働者を受け入れないという断固とした、確固とした姿勢を貫いておいきになるおつもりなんですか。
○米澤政府委員 提案理由説明で大臣もおっしゃっておりますように、当面は、この単純労働者受け入れの是非が非常に複雑な問題をはらんでおりますので、国際社会に伍していくために、日本の入管法で改善できるところはとりあえず改善しましょう、そうしておきまして、問題の単純労働者受け入れの是非については関係省庁を初め社会の人たち、民間団体も含めてでございますが、いろいろな方々の意見を伺いながら、問題のないような結論が出ればそれに乗っかって方向づけを出そうということでございまして、先ほど来ガードが非常にかたいとおっしゃいますが、私が一番危惧いたしますのは、御承知のように戦時中に炭鉱労務者が非常に不足したから安易に朝鮮半島から労働力を持ってきたということが今日いろいろな問題をはらんで論じられておるということも考えますと、受け入れる以上は単なる労働力ではなくて、労働者、つまり人として受け入れていかざるを得ないのでありまして、受け入れの環境整備も含めて十分かどうかという吟味の方が先決問題であろうと私考えております。したがって、そういった多角的にいろいろな方々と議論し合いながら、いい方向を見出すべく努力したい。そうでありますから閣僚懇談会もつくられるような方向にあるのだろうと私は理解しておる次第でございます。
○安藤委員 そうしますと、単純労働者を受け入れないという方針を断固として貫いていくということではないんだというふうにお聞きしてよろしいか。
○米澤政府委員 これは将来問題としては、受け入れないという結論が先にありきということではございません。しかしながら、現段階においては吟味をしているところでございますから、軽々に結論を先走って右か左か決めるわけにはいかないという重要問題であると理解しております。
○安藤委員 そこで、先ほど審議官はかっての炭鉱労働者の話を持ち出されたのですが、日本でも好況、不況、人員不足、過剰、いろいろ波があると思うのです。そこで、これは目が覚めるようにというふうに申し上げるかどうか、半分ぐらい目が覚めてもいいのじゃないかと思うのですが、やはり節度を持って単純労働者も受け入れるというようなことを考えてもいいのではないかと思うのです。例えば期限を切る、それから人数も限定する、そして全体としての受け入れの大枠もここのところというふうに決めておく、そして二国間協定、それぞれ東南アジアの各国と日本との間で協定を結ぶというようなことできちっと節度を持っていけば、好、不況、人手不足、過剰の対策も考えながらちゃんとやれるわけでしょう。だからこれはまことに、自分で申し上げておって悪いのですが、いい提言だと思うのですね。大臣、どうですか。今私が申し上げましたようなことで、それだったら検討に値するというふうにお考えいただけないものかと思うのですが。もちろん今すぐとは申しませんよ。そういうことも含めて検討に値するかどうか、お答えいただきたいと思います。
○股野政府委員 今のこの問題をめぐる議論の中で、委員御指摘のような考え方をお持ちになっている方もおられるということは承知しておるわけですが、私どもは、基本は単純労働者というものについて日本がどうするかというところをまず先に十分見きわめるべきであって、今の協定その他のことについては、これはその方法ないしはその規制の仕方という問題になると思いますので、やはりまず単純労働者というものを受け入れるかどうかという、そこのところの結論を出す、そのために十分の討議を重ねるということが順序であろうと思っております。
○安藤委員 私はちょっと異論があるのですが、単純労働者を受け入れるかどうかの検討の中に今私が申し上げましたようなことも含めて、そしてやっていただくのが筋だと思うのですよ。そういうようなことで、これから基本計画なんかもおつくりになるということでしょう。そういう基本計画をおつくりになる過程で、あるいはこれから政府部内で、それぞれ各省庁の議論の中で、今私が申し上げましたようなことも含めて検討していただけるのかどうか、一切そういうのはだめだということなのかどうか、改めてお伺いします。
○米澤政府委員 今委員御指摘のような御見解が、例えば関西経済同友会等からも出されておりますし、私どもが単純労働者受け入れの是非をめぐって議論いたします場合には当然そういった御意見のあることを踏まえて、その是非といいますか、うまくいくかどうかについて吟味したいと思います。 ただ、申し上げておきたいと思いますことは、例えば二年ぐらいの短期サイクルでうまくローテーションを組んでやればいいじゃないかという御指摘も関西経済同友会等が言っておられますが、現在も外国人は在留期間というのを与えられて入っておるわけでございますが、それでもなおオーバーステイ者が年々増加しているということは、ローテーション制度が破綻するかもしれないという可能性も含んでおりますので、その辺の帰国保証といいますか、完全な送り出しができるかどうかという点、あるいは周辺諸国の送り出し圧力がどの程度あるかといいますと、私どもが予想する以上に大きいようでございます。例えば数百万単位で人を送り出したいという希望を持っているやに間接的に聞いておりますので、そういったことで二国問協定がうまくいくかどうかも技術面も含めてよく吟味してみたいと思います。 〔井出委員長代理退席、委員長着席〕
○安藤委員 いろいろ申し上げましたが、前向きに検討していただきたいということを重ねて申し上げておきます。 もう時間がありません。まだいろいろたくさんお尋ねをしたいことがあるのですが、これは別の機会に譲ります。 就学生の問題について、これは本改正法案の別表第一の四にある項目ですね。これは就労してはならないということになっておる在留資格であります。 この就学という関係につきまして、今実際問題として働かなかったら食べていかれないではないかということで、現実の問題としては週二十時間ですか労働して収入を得ることを認めておるというふうに伺っておるのですが、改正案が、仮の話ですが、成立して施行されるというようなことになったときにもこういう状態は維持されるわけですか。
○股野政府委員 就学生あるいは留学生について、学資を補てんするという必要性の問題があるわけではございますけれども、このアルバイトの問題がいろいろ現状においてはございます。そこで、我々はアルバイトという問題についてもやはりここで一遍見直しを行いまして、今度の改正案においては、こういうアルバイトということについても資格外活動の許可の対象、こういう考え方で臨んでおります。その際に、ただこのアルバイトを従来週二十時間というものを一つの基準で運用してきた経緯もございますので、まじめな留学生等のアルバイトに関して不都合がないというようにやはり取り計らう必要があると思いますので、許可手続等の上では十分に配慮をしてまいりたいと思っております。 また、それでは具体的にどういうアルバイトについての許可を与えていくかということについては、これはやはり本来の勉強との関係でそれを阻害しないようにバランスをきちんと考える必要もありますので、この辺は関係省庁側とも十分相談をしながら決めてまいりたいと考えております。
○安藤委員 大体週二十時間が認められているという話を伺っておるのですが「これはいろいろ実態を調べてみますと「そういう就学生の方々が実際にアルバイトとして仕事をされる場合の収入ですね。時間給八百円から千円というお話を聞いているのです。それだと、週一万六千円から二万円、月六万四千円から八万円。これだとやっぱりやっていけないんじゃないのかなということを心配します。ですから、例えば週三十時間ぐらいということになれば何とかやっていけるところまで収入があるんではないのかなという気がするのですね。だから、それはもう少し延ばしていただく必要もあるのじゃないかと思うのです。 それともう一つ、各種学校ですから日本語学校の話がたくさん出てきますけれども、日本料理を習いたい、それで日本の料理学校、それもあり得ると思うのですね。そういう場合、例えば日本人がフランス料理を習いたいと思ってフランスへ行く。パリのある料理屋で働いてしっかり勉強してくる。それで名コックさんになって、日本へ帰ってきてフランス料理屋を経営されるとかコックさんになるとか、そういう場合、フランス料理の学校へ行くというのも基本的には結構なことで必要だと思います、だから、日本の場合も逆の場合も一緒だと思うのですが。やはり料理の話ですからあえて申し上げれば味の問題ですからね、料理の仕方の問題とか。となると、学校じゃなくてやはり実地に皿洗いから味つけから仕込みから何から全部やって実際に働いて、そこの中から本物を見つけてくる。 だから、日本料理を習いに料理学校へ来ておられる就学生の方が仮にあるとすれば、その料理学校で習うより、やはり日本の料理店でしっかり習った方が、料理学校ももちろん必要でしょうが、その方が本物になるし、そして日本語の習得にもその方がいい。日本人が外国へ行って外国語を勉強するのに二年間実際に生活をしておった万が一番身につくんだというのが定説というふうに言われておるぐらいですから。そうなったらやはり、いろいろ中身にもよると思うのですが、就学生の人たちを一律に、今私が言いましたように日本料理のことからすればまさにそれは就学なのですから、そういうようなことも含めてもっともっとこれは時間をふやすという方向で弾力的にお考えいただく必要があるのではないかというふうに思うのですが、いかがですか。
○米澤政府委員 週約二十時間というのがどこから出たかということをまずかいつまんで申し上げますが、週五日間、八時間労働しますと普通のサラリーマンは四十時間働いているわけでございます。その半分ぐらいを目安にまずいたしまして、そして就学の方の本来の目的はそれで遂げられるだろうか、そういうことを加味して考えたものでありまして、委員御指摘のようにそれでは金が足りないというような方につきまして、例えば日曜とか祭日はその基準に入っておりませんので、さらに働けるようになってございます。 なお、御承知のように、法改正が成立いたしますと、原則として就学生はアルバイトできないことにいたしますが、先ほど局長から話のありましたようにちゃんとした配慮をいたしますし、それから料理人の話でございますが、まずは日本料理をどこか専修学校か料理学校か知りませんが、そこで就学生として勉強していただいて、そしてある程度料理ができるようになりますと、今度は、本当に必要性があればの話でございますが、一流の料亭に就職されるという形で入つていくのが自然かと考えております。ただし、その外国人が日本料理を勉強した末に、修業した上で自分の本国かあるいは料理屋が出店を持っております外国で働く必要性があるとか、必要性について若干配慮する必要がありますが、そういうコースは考えられます。
○安藤委員 審議官の御答弁、いろいろ考えておられるようですが、料理のことに関して言えば料理の味が大事だということがまだ十分おわかりでないのかなという気がせぬでもないですが、時間がなくなりましたから、研修の関係について一言お尋ねしたいと思うのです。 ここに持っておりますのは、「研修実施企業に関する実態調査結果について」、これは記者発表資料、法務省入国管理局ですね。これは後でも議論したいと思うのですが、たくさんありまして、全部で幾つあるのかな。全部で四十件のうち、問題なしというのが三件ですね。あとは、出国をさせたということまで含めて疑義があり云々ということで、しっかり注文をつけておられる。「研修の必要性が認められず、人手不足による労働者の導入の疑義」というのがずっと多いのです。 となりますと、これまでも研修ということについては、研修は一部内容変更ですね。現在も入国在留資格として認められておって、いろいろ先ほど来お聞きしておりますようなチェックをしてきておられた、だからこういうようなことになっておると思うのですが、実態はやはりこれじゃないかと思うのです。そしてこういう実態がやはり続くのじゃないのかなという気がするのです。 これは毎日新聞の社説でも指摘しておりますけれども、ことしの四月五日、「「研修」という名目に隠れて行われている不法就労にはどう対処するのか。」ということもきちっとこの改正案に対する論評として出されておるわけです。こういう実態だとすると、この研修というのが逆に単純労働者確保の抜け道に使われるのではないかという危惧を非常に大きくするのですが、どうですか。
○米澤政府委員 一部の不心得な事業家が研修に名をかりて労働者を集めているという事実はございますが、これはこの入り口の審査に当たりましてその事業をする人たちから研修計画を出させております。研修内容も説明させております。それから研修においでになる人の能力、学歴等も十分調べておるのでございますが、いかんせん入られた後のフォローアップが若干人手等の関係で十分でございませんために、その不心得な事業家なりそういった人たちが研修を悪用するという傾向も見受けられております。 そこで、私どもといたしましては、研修という在留資格自体は非常に目的が正しいわけでございます。東南アジアとか発展途上国に対して日本国の高度な技術、技能を移転するということが国際社会の我々に対する責務であると思いますので、研修という在留資格を適正に運用したい、そういう観点から、この夏には我々が非常に検討いたしまして、厳格な研修の在留資格を与える審査基準をつくりまして、さきにも申し上げましたが各省庁にもお示しをし、合意を得て、そしてそれをただいま実施しつつありますし、その一環として今後実態調査をやれば、そういう不心得なところはすぐ見つかるのではないかという何よりの証拠でございます。 対象にいたしましたのは、とかくうわさのある研修を集中的にやったものでございますから比率が非常に高うなってございますが、民間の企業でもまじめに研修を実施してくださっているところもございますので、十把一からげにはなかなか事は処理できない状況にあります。
○安藤委員 その辺はしっかり厳粛に、厳格にやっていただきたいということを希望します。 時間が来ましたので最後に一言だけ大臣にお尋ねしたいのですが、入管の職員の問題につきまして、人手不足で亡くなられた方が最近あるという事例も示されてずっとこれまで質疑がなされてきまして、大臣の方も定員法のことで人員削減の方向でなかなか苦しいところであるけれども一生懸命努力しますというふうな御答弁をいただいて、頑張っていただきたいなというふうに思うのですが、毎回おかわりになる大臣はいつもそのように答弁なさっていらっしゃるのです。ところが、実態は少しも改まっていないのです。ですから、それも大事なことだからしっかり頑張るというふうにおっしゃる、そして私どももしっかり応援をさせていただきたいというふうに思っておるのですが、やはり大臣、先ほど閣議の話も出ましたけれども、閣議の席などで、そのほかにもおありだろうと思うのですが、きちっとこの問題を発言をして要請をしていただきたいと思うのです。いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 この問題につきましては、私以外の閣僚も、出入国の管理の問題等について非常に人手不足だということを海外に出入国されるような都度それぞれの出入国管理の担当者から聞いておられまして、私が考えておりました以上に各閣僚ともそういうことを自分で目で見て、あるいは耳で聞いて認識をされている方が非常に多くなっております。 それから歴代の閣僚、かわり方が激しいということを言われましたけれども、それぞれ努力をされてきていると思いますし、私も私の在任中少しでも改善するように努力をいたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。
○戸塚委員長 次回は、来る十四日火曜日午前九時に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十五分散会