税制問題等に関する調査特別委員会 第2号
- 発言数
- 3 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1989/12/12
会議録
○林委員長 これより会議を開きます。 本日付託になりました参議院提出、消費税法を廃止する法律案、消費譲与税法を廃止する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案、税制再改革基本法案、法人税法等の一部を改正する法・律案、通行税法案、物品税法案、入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。 発議者から趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員峯山昭範君。 ───────────── 消費税法を廃止する法律案 消費譲与税法を廃止する法律案 地方交付税法の一部を改正する法律案 税制再改革基本法案 法人税法等の一部を改正する法律案 通行税法案 物品税法案 入場税法案 地方税法の一部を改正する法律案 〔本号(その二)に掲載〕 ─────────────
○峯山参議院議員 ただいま議題となりました消費税法を廃止する法律案外八法律案は、日本社会党・護憲共同の佐藤三吾君、梶原敬義君、小川仁一君及び久保亘君、連合参議院の笹野貞子君、民社党・スポーツ・国民連合の勝木健司君、公明党・国民会議の太田淳夫君並びに峯山昭範の八名によって発議し、発議者の属する四会派並びに参院クラブと一部無所属議員の賛同のもとに、参議院に提出され、可決されたものであります。私は、提案者を代表して、これら九法案について、提案の理由と法律案の概要について御説明いたします。 まず、消費税の廃止を求める理由について申し上げます。 言うまでもなく、議会制民主主義の基本は民意の尊重と公約の履行にあります。しかるに、消費税は、公約違反の大型間接税であり、一度たりとも民意に問うことなく、国会において十分審議も行われないまま、強行採決によって成立し、国民の合意なき大増税として実施されたものであります。 本年七月二十三日に行われた参議院通常選挙は、現実のものとなった消費税の存廃を最大の争点として戦われました。すなわち、自由民主党は見直しによる存続を、野党は廃止して税制再改革を、それぞれ公約としたのであります。その結果、見直し存続を主張した自民党は、比例代表選挙において二七%の支持しか得られず、国民の意思は明確となったのであります。 昨年十一月十日、消費税強行採決の最初の舞台となった衆議院税制改革特別委員長であった自民党の金丸信氏は、参議院選挙の結果に対し、消費税はリコールされたとの認識を表明し、金丸氏の代理として委員長席にあって強行採決を陣頭指揮した海部俊樹現首相は、強行採決に至ったことを今国会の参議院予算委員会において謝罪しました。この認識や謝罪を具体的にどうあらわすか、今、政府・与党は国民に厳しく問われているのであります。 政府・与党の中には、参議院選挙の結果を国民の理解不足に転嫁しようとする意見がありますが、この認識の誤りこそ議会制民主主義を危うくしているものと言わなければなりません。国民は、実施段階に入った消費税の内容を知れば知るだけ、強く廃止を求めたのであります。 消費税は、その導入における手続においても、逆進性や価格転嫁の困難性、さらにはその税収の一部が国庫に入らないなど、構造的欠陥を持つ内容においても、国民の理解と信頼を得るに至らなかったことは明らかであり、竹下元首相が表明した九つの懸念は何一つ解消せず、その矛盾は現実化しているのであります。 国民は、消費税の成立手続において、議会制民主主義に反し、その内容において、租税民主主義に反するものとして廃止を求めているのであります。あまつさえ、社会的公正の観点が最重視される税制が、リクルート疑惑の汚濁にまみれた政権の手によって提起され、強行されたことを国民は決して許さなかったのではないでしょうか。 今、与党である自由民主党は、みずから参議院選挙の公約としただけでなく、選挙の結果を受けて、思い切った見直しを海部内閣の公約としながら、その内容をつい先日まで明らかにせず、野党の廃止法案の批判に終始してきたことはまことに遺憾であり、まさに政権党の資格を失うものと言わなければなりません。また、消費税の見直しを選挙の公約とすること自体、消費税の欠陥をみずから認めたものでありますが、抜本的、思い切った見直しをと言いつつ、自民党の見直し案は、国民の期待を裏切る小手先の見直しにすぎず、消費税導入による混乱と矛盾を一層拡大する以外の何物でもないことは、既に報道機関等が指摘するとおりであります。消費税は、自民党の見直し案によってその欠陥をますます露呈させたと言ってよいでありましょう。今日、政府・自民党に残された道は、直ちに消費税を廃止した上で衆議院を解散し、自民党政権の可否そのものについて総選挙で国民の審判を仰ぐことであります。 次に、政府の税制改革において実現されず、国民が求めてやまない不公平税制の是正を初めとする税制の再改革についてであります。今日、国民の間に高まっている税の不公平感、重税感は、シャウプ税制の理念を忘れて、我が国の税制を不公平なものに変貌させた歴代自民党政府の責任に帰せられる面が小さくありません。国民は、民主的で公正、公平な税制の確立、税制における所得と富の社会的再配分機能の向上を求めているのであります。不公平感や重税感を生み出している根源に迫ることなく、ひたすら消費税に結びつける政府自民党の税制改革の手法は、羊頭狗肉のたぐいとして国民を欺くものであります。 直間比率は、あくまで公平、公正な税制を築き上げていく中での結果としての数値であり、また、能力に応じた負担によって所得と富の再配分を社会的に行うという税の理念に従えば、ひずんだ水平的公平を掲げて悪平等を強制する消費税と比べて旧物品税の課税方式の方がすぐれた面を持っているとも言え、しかも、物品税の持つ矛盾は、今日までの歴史の中で、さまざまな圧力、思惑の中で政策的に生み出された矛盾であり、社会経済の変化に適応できていない点は、政策の貧困に帰せられるのであって、直ちに消費税を物品税よりすぐれた税制と見るのは誤りであります。 高齢化社会への対応のためには消費税が必要という政府・自民党の宣伝も、その高齢化対策のビジョンも具体的な計画も示されない現実の前に、国民の目には色あせたものとしか映りません。国民に将来のための負担を求める前に、国民に約束する将来の生活像を明らかにすべきであります。 我が国の税制改革は、今日まで長期に続く自民党政権のもとで、政権維持のための歳出を確保する財源調達の手段とされてきました。しかも、改革は、強者の論理に立って進められ、取る側の都合で検討されてきました。今、国民は、大平内閣以来の大型間接税をめぐる長い論議の中で、納税者である主権者の立場から、税を納める側の論理、弱者の論理を優先すべきことを明確に意思表示しております。そして、国民不在の大型間接税導入の試みを主権の行使によって阻止してきたのであります。中曽根政権の売上税もまた例外ではありませんでした。しかし、国民の信を問うたことのない竹下政権によって消費税は強行導入され、現実のものとなったのであります。 この暴挙に対する国民の一票一揆が、今日、参議院の与野党逆転をもたらしたのであります。国民は、税制改革のやり直しを求めました。ここに、私たちは、民意の赴くところに従い、参議院選挙の公約を誠実に履行すべく、消費税法を廃止する法律案を初め九法案を提出し、その成立のために全力を尽くす決意を明らかにするものであります。 次に、法律案の概要について御説明いたします。 九法案は、その性格上、三つに大別されます。一つは、消費税の廃止に関する三法案であり、二つ目は、消費税の廃止を踏まえて税制再改革を行うことについての基本法案であり、三つ目は、再改革に至るまでの間、消費税にかわる財源の確保に資するための五法案であります。 まず、消費税法を廃止する法律案外二法案について御説明いたします。 消費税法を廃止する法律案は、消費税がその成立手続においても内容においても国民の理解と合意を全く得られていない状況にかんがみ、これを平成二年三月三十一日限りで廃止しようとするものであります。 消費譲与税法を廃止する法律案は、消費税法の廃止に伴い、消費譲与税法がその基礎を失うことになるため、同法を廃止しようとするものであります。 地方交付税法の一部を改正する法律案は、消費税法の廃止に伴い、地方交付税の対象税目から消費税を削除しようとするものであります。 以上三法案については、いずれも必要な経過措置を定めております。なお、以上の措置に伴う減収額は、平年度約五兆九千四百億円と見込まれます。 次に、税制再改革基本法案についてであります。 本法律案は、消費税廃止を求める国民の意思にこたえるとともに、不公平税制の是正を初め、公正、公平な税制実現のため、国民の理解と合意のもとに税制再改革を確実かつ円滑に進めることに資するために、税制再改革の趣旨、環境整備、基本原則及び基本方針を定めようとするものであります。同時に、再改革の具体的な手続として、国民税制改革協議会を設置することといたしております。 第一に、税制再改革の趣旨でありますが、消費税が廃止されることを踏まえ、国民の合意と信頼の上に、改めて我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制を確立しようとするものであります。 第二に、税制再改革のための環境整備であります。再改革が国民に理解され、確立される税制が国民の信頼を得るためには、行財政の改革が一層推進されること、社会保障に関する総合計画が策定され、高齢化社会における社会保障と国民負担のあり方について国民の合意形成が図られること等の環境整備がなされなければならないとするものであります。 第三に、税制再改革の基本原則であります。それは、一つには民主的手続による国民の合意に基づくこと、二つには税負担の公正、公平を確保すること、三つには総合課税主義を基本とする応能負担原則を重視しつつ応益負担にも配慮し、直接税を主、間接税を従として、所得、資産、消費等の均衡ある税体系の構築を図ること、四つとして、安定した地方財政の確立を図り、分権、自治の発展に資すること、五つとして、税制の社会的再配分機能の向上に配慮して、活力ある福祉社会を支える税制を目指すこと、以上を五原則といたしております。 第四に、税制再改革の基本方針であります。まず、各種特例措置の抜本的整理合理化、納税環境の整備等により、税負担の不公平を払拭しようとするものであります。所得税については、国民のプライバシー保護に十分留意し、国民の合意を前提とした納税者番号制度を検討することなどにより、総合課税を一層推進することを基本に軽減、簡素化を目指し、法人税体系の国際化や経済構造の変化に対応する合理化、適正化を進めることといたしております。また、土地を初めとする資産性所得課税、資産課税の適正化、個別間接税の整理合理化及びサービス、流通に対する適正課税の検討によって、所得、資産、消費等に対する均衡のとれた税体系の構築を目指しております。 第五に、国民税制改革協議会の設置であります。国民の参加と合意に基づく税制再改革を実現するため、学識経験者及び国民各層代表者の中から国会の承認を受けた五十名以内の委員で国民税制改革協議会を設置し、二年をめどに税制再改革の原則と方針に従い、具体的措置を調査審議すること等の所要の規定をいたしております。 なお、本法律案の附則において、現行の税制改革法は廃止することといたしており、この法律の施行に必要な費用は、平年度約八千万円を見込んでおります。 続いて、消費税廃止に伴う代替財源の確保に資する五法案について御説明いたします。 本来、選挙で明らかになった国民多数の意思に基づいて、消費税は政府・与党の手によって廃止され、代替財源もまた財政全体の中で調整すべき責務を政府は有しているのであります。国会での廃止立法の制定に基づき、予算を編成し国会に提出することは、内閣固有の責任として憲法七十三条に明定されております。もし政府・与党において、消費税が廃止されれば国家財政に責任を持てないというのであれば、政権を放棄すべきであります。私たちは、自民党に対して代替財源を提示しているのではなく、国民に対して政策責任を明らかにするため示しているのであり、また、来るべき衆議院総選挙の結果において自由民主党が政権の座を退き、国民連合政権が誕生することとなれば、その国民連合政権において消費税廃止のための代替財源に充てられるべき内容を示しているのであります。自由民主党においては、我々の代替財源案について一方的に非難を繰り返しておりますが、みずから見直し案を示すに当たって、その平年度一兆数千億円とされる減収額に対する代替財源案は全く示されていないのであります。 また、政府の税制改革は本建築であり、野党の再改革構想は仮建築であって無責任とする論議がありますが、不法に建てられ、国民に入居を強制し、一方的に家賃を決める押しつけの税制改革を国民は自分の住む建築物として認めていないのであって、一たん撤去の上、再構築の間、国民の求める改革の方向に沿いつつ、再改革を行うまでの暫定的財源措置を講ずることは、国民に対する私たちの当然の責任と考えるのであります。 消費税廃止に係る代替財源法案は五つの法律案から成っており、代替財源としては、法律案によらず政令改正に基づくもの、財政全体の調整の中で、歳入の見積もりを適正に行うことによって財政に寄与するものを含めて措置することにより、消費税廃止に伴う税収減は何ら平成二年度以降の財政運営に支障は与えません。 まず第一に、法人税法等の一部を改正する法律案は、所得税について、有価証券譲渡益課税における源泉分離課税のみなし譲渡利益率五%を七%に引き上げ、これによりまして譲渡額の現行一%の税負担を一・四%とするとともに、有価証券取引税について株券等の譲渡価額に対する税率を〇・三%より〇・四%に改めるなど税率の引き上げを行っております。 また、土地譲渡所得課税のうち、長短区分の保有期間を五年から十年の本則に戻し、また、超短期譲渡所得に係る特例を延長することといたしております。 法人税におきましては、平成二年度に三七・五%に引き下げられる予定の法人税率の引き下げを凍結し、現行の四〇%を維持することとするほか、貸倒引当金の繰り入れ率を三年で三分の一程度圧縮すること、賞与引当金については、廃止を前提としつつ二年間で二〇%圧縮する等の引当金制度の改正を行うものであります。 また、受取配当益金不算入の割合を現行八〇%から二年間で六〇%にすることとしております。 さらに、外国税額控除制度につきましては、その計算上、国外所得限度割合を九〇%から八〇%に改めることといたしております。 なお、貸倒引当金の圧縮措置と外国税額控除制度におきます国外所得の限度割合につきましては、政令により定められており、私どもの提案の趣旨を踏まえまして適切に対処されますよう、行政府に対して要請いたします。 相続税と贈与税におきましては、それぞれ最高税率七五%を復活しております。 その他、酒税では、清酒アルコール分十五度以上十六度未満、一キロリットル当たりの税率を十三万三千七百円から十六万六百円に改める等の措置を講ずるとともに、たばこ税では、製造たばこ千本当たりの税率を三千百二十六円から三千二百八十六円に改める等の措置を講じ、消費税廃止後も、酒、たばこにおいてその税負担額が変わらないよう調整をいたしております。 第二に、通行税法案についてでありますが、航空機の旅客運賃等を課税標準とする税率一〇%の旧通行税を五%の税率で復元し、別途、租税特別措置法により、離島等の特例税率旧五%は三%としております。納税義務者は乗客とし、徴税義務者は旅客運送事業者であり、料金とともに税金分を徴収し、国に納付することとしております。 第三に、物品税法案は、旧物品税と同品目を課税対象とする物品税の復元であります。宝石や毛皮といった旧物品税の小売段階で課税されます第一種品目、一五%、一〇%のものについては、それぞれ小売価格を課税標準とし、宝石等は一〇%、じゅうたん等は八%の税率としております。納税義務者は小売販売業者であり、国に申告納付することといたしております。 製造段階で課税されます自動車、家電製品などの第二種品目については、三〇%から五%までの旧物品税の税率を、製造出荷価格を課税標準とし、八%、六%、四%の三段階課税に調整した上で復元しております。納税義務者は製造者であり、国に申告納付することといたしております。 第四に、入場税法案は、劇場等の入場に対し課税し、その入場料金に税率一〇%の旧入場税を五%の税率で復元しております。また、免税点として映画二千円、演劇等五千円等を設けております。納税義務者は興行場の経営者等であり、国に申告納付することといたしております。 最後に、地方税法の一部を改正する法律案は、地方税におきまして電気税、ガス税等を復元しております。電気税は、課税標準の電気料金に、旧電気税率五%を調整して、免税点を旧三千六百円のままとし、三%の税率により課税し、納税義務者は電気の使用者とし、その納税の方法は、電力会社が料金とあわせて徴収し、市町村に申告納入する等としております。ガス税は、課税標準のガス料金に対し、旧免税点月額一万二千円を復活の上、二%の税率で課税するものであります。納税義務者はガスの使用者とし、その納税の方法は、ガス会社が料金とあわせて徴収し、市町村に申告納入する等としております。 また、特別地方消費税を改め、飲食及び宿泊等の利用行為の料金を課税標準とし、宿泊一万円、飲食五千円の免税点はそのまま据え置く等の措置を講じ、料理飲食等消費税を一〇%の税率で復元しております。納税義務者はその利用行為者であり、納税の方法は、飲食店の経営者等が料金とあわせて徴収し、都道府県に申告納入する等としております。 なお、ゴルフ場利用税を改め、娯楽施設利用税として旧に復することとしております。ゴルフ場等に係る税率の例では、一人一日千百円であります。納税義務者はその施設の利用者であり、納税方法は、施設の経営者等が料金とあわせて徴収し、都道府県に申告納入する等としております。 その他、道府県たばこ税の税率を千本につき千百八十六円に、市町村たばこ税の税率を千本につき二千百円とし、たばこ税の消費税廃止に伴う調整を行っております。 附則改正におきましては、国税における改正に伴う道府県民税、市町村民税及び事業税の所要の改正等を行っております。 これら五法律案等によって得られます平年度の税収の増は、おおむね、キャピタルゲイン課税等の適正化で約六千二百五十億円、法人税課税の改革で約一兆三千八百億円、相続税等の税率改正で約七十億円、物品税等の間接税等関係で約一兆二千五百億円、地方間接税関係で約六千億円及び国税改正による地方税のはね返り約三千五百億円と見込んでおりますが、その他、税収見積もりの是正、適正化等による自然増収の一部を制度改正で代替されない消費税廃止に伴う減収分約一兆七千億円を充当し、消費税廃止に伴う減収を補てんする考えであります。 なお、消費税法を廃止する法律案外五法律案につきましては、若干の修正が行われ、十二月十一日委員会で修正可決の上、同日、本会議においても委員長報告のとおり修正議決されまして、参議院提出法律案として、衆議院に御審議をお願い申し上げるものであります。 以上、九法案の提案の理由及びその概要を申し上げました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。 ありがとうございました。(拍手)
○林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十分散会