法務委員会 第2号
- 発言数
- 187 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1989/03/28
会議録
○委員長(塩出啓典君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二月十三日、中村太郎君が委員を辞任され、その補欠として山岡賢次君が選任されました。 また、二月十四日、諫山博君が委員を辞任され、その補欠として橋本敦君が選任されました。 また、二月十五日、梶木又三君が委員を辞任され、その補欠として林田悠紀夫君が選任されました。 —————————————
○委員長(塩出啓典君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に橋本敦君を指名いたします。 —————————————
○委員長(塩出啓典君) この際、高辻法務大臣及び添田法務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。高辻法務大臣。
○国務大臣(高辻正己君) 大変おくれましたが、この際、一言あいさつを申し上げさせていただきます。 先ごろ、図らずも法務大臣に就任いたしまして、法務行政を担当することと相なりました。内外にわたり極めて困難な問題が山積しておりますこの時期に当たり、その職責の重大であることを痛感いたしております。 法務行政に課せられた使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えられます。国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄を図るためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなく確立され、国民の権利がよく保全されていることが極めて肝要であると存ぜられるのであります。 私は、こうした認識のもとに、法務行政の各分野にわたり、一層の充実を図り、時代の要請に応じた適切な施策を講じ、真に国民の期待する法務行政の遂行に万全を期してまいりたいと存じております。 もとより、これらのことは、委員長を初め委員各位の御理解、御協力なくしては到底果たし得ないのでありますから、どうかよろしく御支援、御鞭撻のほどお願い申し上げます。 以上、簡単でございますが所信の一端を申し述べ、就任のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○委員長(塩出啓典君) 添田法務政務次官。
○政府委員(添田増太郎君) おはようございます。あいさつが大変おくれて申しわけございません。 このたび法務政務次官に就任をいたしました添田増太郎であります。よろしくお願いいたします。 時局柄、大任でございますが、高辻法務大臣を補佐いたしまして、微力ではございますが、誠心誠意、一生懸命頑張るつもりでございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手) —————————————
○委員長(塩出啓典君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。高辻法務大臣。
○国務大臣(高辻正己君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図りますため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、簡易裁判所における民事訴訟事件の適正迅速な処理を図りますため、簡易裁判所判事の員数を五人増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、一方において地方裁判所における民事執行法に基づく執行事件及び破産事件並びに簡易裁判所における民事訴訟事件の適正迅速な処理を図るため、裁判官以外の裁判所の職員を六十二人増員するとともに、他方において、裁判所の司法行政事務を簡素化し、能率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員を三十七人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を二十五人増加しようとするものであります。 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。
○委員長(塩出啓典君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
○千葉景子君 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の内容に入ります前に、若干リクルート関係の問題につきまして新しい動きがあったようでございますので、その点についてお尋ねをしたいというふうに思います。 昨日、三月二十七日の午後、報道等によりますと真藤NTT前会長、それから江副リクルート前会長、それぞれ起訴、追起訴がなされたということでございますけれども、その事実と、それから起訴事実の内容を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(根來泰周君) 昨日起訴されましたのは、被告人は真藤恒元NTT代表取締役社長でありまた会長であった者と、江副浩正元リクルート代表取締役社長であった者、それに小林宏元ファーストファイナンス代表取締役社長であった者の三名でございます。 罪名は日本電信電話株式会社法違反でございまして、真藤につきまして同法上の収賄、江副、小林につきまして同法上の贈賄ということで起訴されたものであります。 公訴事実の要旨でございますが、真藤恒元日本電信電話株式会社の代表取締役が村田幸蔵と共謀の上に、昭和六十一年九月三十日ごろ、株式会社リクルート代表取締役社長江副浩正らからいろいろ職務上の便宜を受けたこと、あるいは職務上便宜を受けたいということの趣旨のもとに、御承知のように株式会社リクルートコスモス株式を一万株譲り受けた。その一万株については、要するに殖産住宅の最高裁の決定の趣旨に沿うような状況で譲り受けを受けた。こういうような事実でございます。
○千葉景子君 今要旨を説明をいただきましたが、今回のこの起訴によりまして、今後の捜査についてどのような方向性あるいは進展が考えられているんでしょうか。その点についてお答えしていただける範囲でお願いをしたいと思います。
○政府委員(根來泰周君) 東京地方検察庁は、引き続きリクルートコスモス社の未公開株式譲渡関係を中心に刑罰法令に触れる事実の有無の観点から検討を行って、犯罪の容疑が認められるものがあれば厳正公平な立場からその捜査処理に当たるものと考えております。 もとより、このような問題につきましては証拠関係が事件の成否を左右するものでございますから、厳正に証拠関係を検討してそのような対処をするものと考えております。
○千葉景子君 昨日、真藤NTT前会長と江副リクルート前会長、小林ファーストファイナンス代表取締役が起訴されたということになりまして、今後真藤前会長などに関しましては保釈の申請などもなされようかと思いますが、その点について裁判所としては特別な扱い等ないように、ぜひ厳格に公正に対処をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 御質問の点は、現に裁判所に係属中の具体的な事件の処理に関する問題でございますので、私どもからあれこれ意見を述べることは差し控えさせていただきますが、この事件につきましても他の事件と同様、担当の裁判所において、法律に従って適正な処理がなされるものと考えております。
○千葉景子君 ぜひ適正な、公正な取り扱いをしていただきたいというふうに思います。 ところで、昨日の本会議の中で、法務大臣の指揮権の問題などが質問をされておりました。もう一度、法務大臣にこの指揮権発動等についての御見解、御認識を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(高辻正己君) 私は元来、検察権が厳正公平に行使されることを確信しておりまして、これに対していささかの制肘も加える考えは毛頭持っておりません。指揮権の問題も、詳しく言うといろいろなことを申し上げなければなりませんが、私の基本的な考えは今申したとおりでございます。
○千葉景子君 このリクルート問題は国民の大変大きな関心事でもございます。また、これに対する解明、それが今求められているときでもございますので、ぜひ適正な、厳格な対処をお願いしたいというふうに思います。 ところで、このような形で新しい展開がございましたけれども、今後、これは仮定の話になろうかと思いますが、場合によっては国会議員等を含めて捜査対象に上がってくるようなこともあるかと思います。国会議員の場合にはいわゆる議員の不逮捕特権と言われるものがございまして、それなりの手続を踏まなければならないということになりますが、国会議員について不逮捕特権などを含めてどのように認識をなさっておられるか、お聞きしたいと思います。最近の状況を見ておりますと、逮捕請求がなされるという事例が少なく、在宅での起訴などが多いとも認識をしておりますが、このあたりについて今後の問題としてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(根來泰周君) 現在あるいは将来にわたりまして国会議員が捜査の対象になるかどうか、そういうことを含めましてお答えする限りでございませんし、また、そういうことになりますと前提を欠く議論になりますので、私ども何とも申し上げかねるところでございますけれども、いずれにせよ一般的には、何事についても厳正、適切に検察庁は対処するものと考えております。
○千葉景子君 仮定の話でもございますし、捜査中の問題でもございますのでなかなか明確な御見解を表明いただくというわけにはいかないかと思いますけれども、先ほどから申しているように、この問題についての適切な、そして国民の目から見ても納得のいくような対処をぜひしていただきたいというふうに思っております。 ところで、このリクルート疑惑、事件と申しましょうか、それが今検察庁の特捜部の手によって捜査が進められているということでございますが、ちょうど三月末というものは人事の関係での異動の時期でもあろうかと思いますが、検察庁においてはこの人事異動に基づいて特捜部などの体制に変化がございますでしょうか。その点についてお聞きしたいと思います。
○政府委員(根來泰周君) 東京地検特捜部所属の検察官は三十六名でございます。本日付で、そのうち十四人が他に転出するなどしまして、それに相応する数の検察官が転入するということになっております。
○千葉景子君 三十六名中十四名が転出をされ、また新しく入ってこられるということですが、この十四名の検事の皆さんはどんな立場におられる方でございましょうか。
○政府委員(根來泰周君) そのうち二人は副部長のようでございます。そのほかの者はいわゆる平検事といいますか、そういうことでございますが、従来から御説明しておりますように、特捜部全員挙げてこの問題に取り組んでおりますので、いずれもほとんどこの事件に関与していた者ではないかと考えております。
○千葉景子君 そうしますと、今回の人事異動等によってリクルート問題に対する捜査の体制あるいはこれまでの捜査方針等に大幅な変更はないと考えてよろしいでしょうか。
○政府委員(根來泰周君) 私どもの人事は三月に定例の人事異動があるわけでございます。大体三カ月ぐらい前に本人には内内示いいますか、意向打診をしてやっておるわけでございます。今度の人事異動についても管理者側はずっと前から十分承知しているわけでございます。したがいまして、そういうことを踏まえまして抜かりなく捜査体制は組んでいるものと考えております。
○千葉景子君 今お聞きしましたけれども、ぜひこれからも十分な体制でこの問題にも検察庁は取り組んでいただきたいというふうに思います。 それでは、リクルート関係の問題につきましては一応ここまでにさせていただきまして、引き続きまして本題の裁判所職員の問題について質問をさせていただきたいと思います。 裁判所職員の定員の問題、増加あるいは減員、これらについては毎年、単年度ごとに法律改正が行われまして、それについて私どもも審議をさせていただいているわけですけれども、実際に裁判所職員がどのように配置されるのが適正であるか、あるいは仕事の面においてもどのくらいの数が必要であるか、これらの問題は単年度だけではなく、少し中期的、長期的な展望といいますか、計画、こういうものがあった上での話ではないかと思うんです。事件数の増加であるとか、あるいは審理時間、そういうことを含めまして今後の見通し、そういうものが必要じゃないかというふうに思います。 最近、司法修習生等の増員問題等も出ておるようでございますので、裁判所の方では今後の中長期的な計画等がおありなのかどうか、あるいはそういうことを考えていらっしゃるのかどうか、その辺についてちょっとお伺いしたいというふうに思います。毎年毎年個々の問題はお尋ねしているんですが、ここで少し長期的な展望、その点についてお尋ねをしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) お尋ねの趣旨は、あるべき定員の姿と申しますか、あるべき定員数を中長期的に予測して、それに向かって計画的に増員を進めていく、そうすべきではないかという御趣旨でございます。確かにごもっとな点を含む御見解でございまして、私どもといたしましても大変傾聴すべきものがあると思っております。 私どもとしましても、折に触れ、そういう方法がとれないかということを検討もいたしておるわけでございます。しかし、実際にその方法で計画的な増員を図るということに踏み切ることができるかと申しますと、現実的には困難な問題に逢着いたしまして、なかなかその方法に踏み切れないというのが率直なところでございます。 と申しますのは、裁判所の定員を中長期的に考えるということになりますと、一つは将来的な事件数の予測あるいはその内容の予測ということが必要になります。さらに、仰せのとおり、裁判官及び職員の適正な処理件数と申しますか、適正に処理し得る件数というものについての検討が必要になるわけでございます。しかし、その二点にわたりまして現在のような社会事情の変化の激しいもとでは流動的な要素が絡みまして必ずしも予測が容易でない、こう考えております。 事件数一つにいたしましても、例えば五年という比較的短期の将来予測につきましても、委員御承知のとおり、現時点は非常に難しい時期でございます。民事訴訟の事物管轄の改正後の五十七年以降の事件数を見ましても、例えば簡裁の方でサラ金、クレジット事件が激増いたしました。そういったところから簡裁の民訴事件が大変ふえました。地裁の破産事件だとかあるいは民事執行事件が激増いたしました。調停関係で申しますと、サラ金の調停事件がぐっとふえました。と思いますと、今度は急にその調停事件が減りました。そういったように非常に現時点では事件数に大幅な変動がございます。あるいは道路交通法の改正によりまして略式命令事件が著しく減少しております。こういったように非常に大きい波がございますので、事件数の予測自体は必ずしも容易ではないという点が一つでございます。 それから、裁判官、職員の適正な処理件数をどう想定するかということになりますと、やはり事件の内容、あるいは訴訟当事者の協力に負うところの大きい訴訟手続の運用をどのように改善していくか、その改善がどの程度進捗していくかといったこととも関係がございます。あるいは現在のようなOA化の時代ですと、OA化の採用によって相当省力化できるという面もございます。そういった点で、適正な処理件数の予測につきましても流動的な要素をはらむわけでございます。 そういった点から実際の増員要求は、御指摘のとおり、毎年毎年御承知のような手法でさせていただいているわけでございます。しかし、御指摘の趣旨は私どもとしても十分よくわかりますので、今後の裁判所職員の定員の設定のあり方については、さらに御趣旨を踏まえまして研究いたしまして具体的な検討をしてまいりたい、こう考えておりますところでございます。御理解願いたいと思います。
○千葉景子君 今御説明のありました趣旨は私もよく理解できるところでございます。 ただ、今回も裁判官、今回は簡裁の判事ということになりますが、それから裁判官以外の裁判所の職員、秘書官、書記官、家裁調査官、事務官、技能労務職員とその他ございますけれども、それぞれ具体的な数字で増減が提案をされているわけですけれども、実際、現在の定員、それから今提案をされている改正後の定員、これは改正されましてそれで十分、あるいはこれでむしろ余っているところがちょうどよくなるということなんでございましょうか。それとも、もう少し本来は長期的といいますか、数字としては別なものもあるけれども、いろいろな予算等の関係上、ことしはこの限度でと、こういうことなんでございましょうか。特に裁判官等についてはいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) なかなかお答えするのが難しい問題でございますが、欲を出せば切りがないと申しますか、これで十分であるかと聞かれますと、必ずしもこれで十分であるとまでは申せないかもしれませんが、今回の増員をしていただきますことによって人的な充実強化の点からは相当程度の改善をしていただける、こう思っております。
○千葉景子君 ところで、今回は裁判官については、判事補について定員の増加が特になされてはおりません。現在の定員が六百三、六十三年十二月一日現在で六百三ということですけれども、この判事補については特に定員の増加を図られないというのは理由がございますか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 判事補につきましては、過去昭和五十三年までの九年間引き続いて増員していただきまして、その増員数のトータル七十六名の増員をしていただいたものでございます。このように判事補について相当数の定員枠の増加を図っていただきましたこともございまして、また一方では最近の司法修習生から判事補への任官者数の状況等も踏まえまして、現在、今年度におきましては判事補の増員をお願いするまでの必要はないと、こう考えた次第でございます。
○千葉景子君 判事補については、現在の定員に対して現在員が二十九名の欠員ということになっておりますが、この四月で判事補の採用があるかと思いますが、これによってこの欠員というのは充足をされるんでしょうか。それとも、さらにそれでもまだ不足するような状況になるんでしょうか。その点についての現状はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 昨年の十二月一日現在で判事補の欠員が二十九名でございます。ことしの春と申しますか、来月でございますけれども、判事補の中からさらに判事に任命されていく者がございます。その分、さらに判事補の数が減少するわけでございます。来月、判事に任命される予定の者が四十八名いるわけでございます。この二十九名とそれから四十八名と合わせまして、それに多少はこの春の異動期を機会に退官する者もございますが、これはそれほどの数ではございません。いずれにしましても、今の二つの数を合わせまして相当数の欠員が生ずるわけでございます。 そこで、ことしの修習を終える司法修習生からの判事補の希望者でございますが、現在五十八名でございます。これは五十八名全員採用という運びになるかどうか、これからの選考になるわけでございますけれども、この数を比較しましても、この春の時点での欠員の充足は少し及ばないというところがございます。もちろん、例えば検事あるいは弁護士等から判事補に新たに任命される方もある程度の数はございますが、それを合わせましても若干その充足が足りないかというような感じはいたします。
○千葉景子君 これは年間の中でも動きがあろうかと思いますので、定員ぴったりというわけにはいかないのは私もわかるところでございますけれども、定員というのはそれによって職務が適正迅速に行われるということを意味しているのだと思いますので、できるだけ欠員のなきようにぜひ取り計らっていただきたいというふうに思います。 ところで、同じく下級裁判所裁判官の定員と現在員、これをいただきました資料から見てみますと、判事も三十三名の欠員ということになっております。また簡易裁判所の裁判官も二十六名の欠員という形になっておりますけれども、これについても、今御説明がありましたが採用等によって、あるいは判事補から判事になられる、そういう方がいらっしゃることによってほぼ充足をされることになるんでしょうか。簡易裁判所の裁判官につきましては、今回さらに定員増がなされるということになりますと、数字的に計算しますと二十六名と五名、三十一名数字では欠員ということになろうかと思いますけれども、その辺の充足の実情はいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 判事と簡易裁判所判事について申し上げます。 まず、判事でございますが、昨年の十二月一日現在の欠員が三十三名でございます。これは判事の場合は判事補以上に年度の途中でずっと減少していく数が多いわけでございますが、その後さらにこの四月までの減少も二十名余りはある予定でございます。全部合わせまして六十名程度の欠員になろうかと思いますが、これがこの四月に判事補から判事に任命になる者、先ほど四十八名と申し上げました、この四十八名と、それからそれ以外に検事あるいは弁護士から任命される方々と合わせまして、この判事の欠員は大体この春の異動期に充員できる予定でございます。 それから簡易裁判所判事でございますが、昨年の十二月一日現在で二十六名の欠員でございます。これに今回御審議いただいております増員分五名がございます。それからさらに、ことしの七月までの退官等が十人程度ございまして、全部合わせて四十名を少し超える程度の欠員になるわけでございます。 他方、任命の方は、判事定年後、簡裁判事になる方、あるいは定年直前にやめて簡裁判事になる方、それから弁護士から簡裁判事の任命を希望する方、こういった方が十名程度おられまして、四十名のうち十名程度をそういった方々で任命できると思っております。それから、あとは八月に、これは毎年度の任命でございますが、簡易裁判所判事選考委員会の選考を経ての任命が三十名余り予定されます。これでもって簡易裁判所判事は大体充員できるという予定になっております。
○千葉景子君 裁判官以外の裁判所の職員につきましても、大分欠員あるいは過員の部分などもあるようでございます。これは毎年、この法律改正のたびに質問をさせていただくということになり大変恐縮なんですけれども、この定員は総体、最高裁、高裁、地裁、家裁、こういう形で全体数が出されているわけですけれども、これは各裁判所ごとに定員というのは具体的には定められないものでしょうか。その辺の考え方、ちょっとお聞かせいただきたいんです。 昨年もお聞きしたような気がするんですけれども、例えば東京地方裁判所は定員が何名、大阪地方裁判所は何名という形ではないという御説明を昨年もいただいたように思いますけれども、どういう形でこの定員というのを計算をなさるんでしょうか、この定員数というのを出されるんでしょうか。その辺の実情といいますか、仕組みを御説明いただきたいんですが。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 一般に配置定員と申しておりますが、私ども全体の数を各裁判所にできるだけ公平に配るというような観点から、これは内部的なものでございますが、一応の各裁判所別の目安という意味でそういう数を出しております。
○千葉景子君 何となくわかったようなわからないような気がするんですけれども、要するに個々の裁判所が何名という形には決められないということなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 決められないということではございませんのですが、例えば地裁、家裁、簡裁も合わせまして個々何名置くとか、そういった形の数は出しておりますが、これはある程度年度途中で人が減ってくるとかいうようなことも当然前提にいたしました上での、そしてまたこちらに欠員があったらこちらからこちらへ回す、また回した方に穴があくとか、そういった非常にやわらかいものとしてお考えいただければ、各裁判所別の数というものは一応私どもの方で出しておるわけでございます。
○千葉景子君 じゃ、ちょっと具体的に官職ごとにお尋ねしながら、その内容を聞かせていただきたいと思うんですけれども、例えば裁判所の書記官、これは現在の定員が六千五百二十九名、現在員が六千四百七十七名で欠員が五十二ということになっておりますね。これでさらにまた定員増ということになりますので、実際の欠員はもうちょっと多くなろうかというふうに思うんですけれども、実際にこの五十二名なり、それプラスアルファの欠員というのは、どこの裁判所の書記官が欠員になって、そこを補充しなきゃいけないということになるんでしょうか。その辺は一つ一つ、この欠員はどこの裁判所が欠員になっているということは説明はいただけるものでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 昨年の十二月一日現在の裁判所書記官の欠員が五十二名でございます。これをさらに左の方をごらんいただきますと、組織別にその欠員が出ております。最高裁判所が三名、高等裁判所が七名、地方裁判所が三十七名、家庭裁判所が五名というふうになっているわけでございます。それで、ただいま総務局長が御説明申し上げましたように、さらに裁判所書記官、この六千五百二十九というものが全国のそれぞれの裁判所にその枠として配分されているわけでございます。したがって、どこの裁判所に何名の欠員があるというのももちろんはっきりと出るわけのものでございます。 ただ、その数は、例えば今申し上げました地方裁判所三十七名という数から御推測いただけますように、地方裁判所は全国で五十ございます。五十の裁判所で欠員が三十七ということになりますと、これはもう多いところでも一、二名の欠員ということでございます。大抵のところにはそれはむしろ欠員はないという、そんな程度の数だというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
○千葉景子君 数からして平均をさせていただきますと、一人か、あるいは欠員になっていないところもあるというような形になろうかと思うんですけれども、実際には例えば事件数の多い裁判所であるとか、あるいは途中でやめられる方などがあり、平均はなかなか出ないかと思うんですね。こっちでは三名ぐらい突然やめられてしまったとか、それぞれいろいろ特徴があって、一概に一名であるとかあるいは二名であるとかいうことは言えないのではなかろうかと思うんですが、私は昨年も裁判所ごとの定員数というのを出していただけないかなというふうに要求をさせていただきまして、それは難しいということだったんですけれども、どうでしょうか、もう一度裁判所ごとの定員というのを一覧表か何かにして示していただくということはできないでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 先ほども申し上げましたとおり、全体の数をそれぞれの庁に配る一応の内部的な目安というものでは定めておるわけでございますが、これが相当柔軟なものでございますし、そしてまたそれぞれの地裁、家裁、簡裁、相互に融通し合って使うというところもございます。あるいは高裁にゆだねて、しかるべき穴のあいたところをうまく調整してもらう、あるいはここのところで事件がふえた、あるいは長期病欠者が出てきたとかいったときにしかるべき対応をしてもらうといった要素もございまして、非常にやわらかいものでございます。 そしてまた、それを決めるにつきましてはもろもろのいろんな要素を考えておりまして、必ずしも私どもの一応の目安としての数がそこの事務量の絶対量と申しますか、そういうものをあらわす、示すという性質のものではございませんので、その辺のいろんな要素を捨象して員数何名ということを申し上げますと、いかにも相当かたい定員で、それだけがなければ事件が動かないとかいったふうに誤解されるというふうな面もございまして、内部的な一つの目安にすぎないもので御勘弁いただきたいということを従来申し上げてお願いしているわけでございます。
○千葉景子君 私も、その定員をふやしたらいいのか、減らすのがいいのか、検討させていただく材料としてそういうものがお出しいただけるとわかりやすいのではなかろうかと思うんですけれども、どうもそこがはっきりとした定員というか、ものではないような気もいたしますので、それはまた今後私どもが定員などの増減を考える材料として提供いただくようなことも少し考えていただきたいというふうに思います。 ところで、各官職ごとなんですが、今回家裁の調査官、調査官補、これについては増員の予定などはないようでございますけれども、これは実情として増員の必要などは今のところないとお考えでいらっしゃいますか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 今回の増員要求の際には、私どもとしましても家庭裁判所調査官の増員をどうすべきかということを一応検討したわけでございます。 確かに家庭裁判所の家事事件につきましては、傷害事件だとか遺産分割事件など、少し事件の内容で複雑困難な事件がふえているとか、あるいは特別養子縁組制度が新設されたとかいったことがございます。その辺もにらんだわけでございますが、最近の家事事件の新受件数というのがやや減少かほぼ横ばいといった状況でございますし、少年の一般保護事件の方もほぼ横ばいの状況ということでございます。交通保護事件について言いますと、道路交通法の改正によりまして、昭和六十二年度は約二六%減少、六十三年度はさらに六十一年度と比べますと三七%の減少というふうに大幅な事件の減少がございます。 その辺のところをにらみまして、今年度増員しなくても適正迅速な処理に支障を来すということがないということから、家庭裁判所調査官の増員はお願いしないということにさせていただいたものでございます。
○千葉景子君 欠員が二十二名出ておりますけれども、これについては近い期間のうちに欠員の補充というのはできる予定ですか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 二十二名の昨年十二月一日の欠員のほか、ことしの四月までに退職などによってさらに五十人程度が減少をいたします。全部で七十人程度の欠員になるわけでございますが、これはことしの新採用の家庭裁判所調査官補とそれから退職をして家庭裁判所調査官に再任用される者、この両方によって充員できる予定になっております。
○千葉景子君 これまでのお話から総合してみますと、欠員になるというのは基本的には退官をなさるとかあるいは途中で退職をなさる、そういうことによる減少、それが欠員となってあらわれると見てよろしいんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) そのとおりでございまして、裁判所の職員の場合、これはどこの官庁も似たようなものであるかもしれませんが、年度の途中で少しずつ退官が出ていきます。最後は三月三十一日の定年退職というのが多いわけでございますが、そうやって欠員が最終的に固まったところで春に新採用でもって埋める、そういう繰り返しになっているものでございます。
○千葉景子君 ところで、裁判所事務官の数についてお尋ねをしたいんですが、これは逆に、現定員と現在員を見ますと今度は百七十の過員になっているという数字が資料に出ておりますが、この過員になっているというのはどういうことで過員になっているんでしょうか、その理由を説明いただければと思います。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 御指摘のとおり、裁判所事務官にはほかの官職と違いまして百七十名の過員ということになっております。 これは、裁判所の場合、裁判所書記官の任命というのが毎年春にあるわけでございますが、ことしの四月に裁判所書記官の資格を取得する者が相当数ございます。それらの者は現在裁判所事務官の資格でいるわけでございまして、二年間あるいは一年間の裁判所書記官研修所における研修を受けている状態の者がすべて裁判所事務官の肩書で入っているわけでございます。この百七十名というのはそういった形で存在しているものが多いというふうに御理解いただきたいと思います。これはこの四月にすべて書記官に任命されていくというものでございます。
○千葉景子君 そうなりますと、事務官については大体過員が普通の形ということになるんでしょうかね。常に書記官研修所にいられる方が事務官という身分になっているということになると、常に過員状態を保っているというふうに考えてよろしいんでしょうか。 というのは、その過員の内訳を見ますと最高裁、高裁、地裁、家裁それぞれ過員になっているんですね。そうすると、書記官研修所にいらっしゃる方はそれぞれ最高裁、高裁、地裁、家裁というところに配属になったような形で過員になっていると考えてよろしいんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 今仰せのように大体御理解いただいていいと思っております。それぞれのいろんな階層あるいは場所の裁判所の事務官として配属されている者が研修生になっているわけでございますので、大体仰せのとおりと思っております。
○千葉景子君 そうしますと、この事務官については、例えば過員を減らすために特別な措置をしなければいけないとか、あるいは過員によって退職しなければいけない者が出てくるとか、そういうことは具体的にはないわけですね。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判所事務官と申しますのは裁判所の、何といいますか、一番もとになる官職でございます。常に事務官あるいは書記官、あるいはその他の官職との間の入れかわりと申しますか、がある官職でございまして、今申しました百七十名という者も、これがそのまま研修所に入っているという形のものではないわけでありますが、常に流動しているというものでありまして、この程度の過員状態というのはある時点をとらえると出てくる場合があるわけでありますが、これがあるがために、それを減らすために事務官の退職をさせるといったような、そんなふうな問題が生ずるものとは考えておりません。
○千葉景子君 今回は事務官につきましては定員減ということになっているようでございますが、これはどういうことで定員減ということになるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 定員減のもとになっております事務官というのは、事務官の中にはタイピストがございますので、タイピストのことでございます。 タイピストにつきましては、行政事務文書の整理等御承知のとおりワープロあるいは複写機等の採用によりましてタイプ文書量というのが相当減少が可能になっております。そうしたところからこちらの方で減らした、こういうことでございます。
○千葉景子君 ところで、「技能労務職員(印刷工)」ということになっておりまして、これは現在でも定員に対して大変少ない数。定員そのものが十名ということで現在員が四ということになっております。これは具体的にはどういうような職務内容で、最高裁だけに配置をされているということになっておりますけれども、現在この欠員になっていることによる支障等はございませんのでしょうか。また、この欠員について補充をするというようなことは考えていらっしゃるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) これもタイピストと同様でございます。職種といたしましては最高裁判所の印刷工でございます。印刷工でございますので、ワープロの定着等に伴いまして印刷業務が大幅に減少したといったところから最高裁判所の減員を立てたわけでございます。この減員を埋めなくても、先ほど申し上げましたような文書の整理等ワープロによって印刷できるという部分がふえておりますので、支障なく進めることができるというふうに考えております。
○千葉景子君 そうなりますと、現在員が四名ですので、それで支障がないということであれば減員をして、定員四にしてしまってもよろしいのではないかというような気もするんですが、三名の減で七名は定員として置いておこうというような数字になっておりますけれども、これはやはり必要性に応じて特に七名ということを考えられていらっしゃるんですか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 四人に減らしてもということは確かにごもっともな面がございますが、いろんな事情もあり得ることを考えまして今年度三人程度ということにさせていただいたわけでございます。
○千葉景子君 あと、官職に「その他」とございますけれども、これについて「その他」の内容ですね。 それから、これも二百十名の欠員ということになっておりますので、二百十名といいますとそう少ない数ではございません。一体、それだけの欠員というのはどういうことで生じているのか、また、それに対する措置をどうなさるのか、それについて御説明をいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 「その他」と申しますのは、この上の方に挙げてないさまざまな官職が全部入っているわけでございますが、その中の大きいものは速記官とそれから廷までございます。それ以外はもう非常に微々たる数でございます。速記官と廷吏が「その他」の七、八割ぐらいを占めているわけでございます。 どういうわけで「その他」の欠員が生じているかということでございますが、速記官の欠員が六十一名、廷吏の欠員が八十八名でございますが、速記官につきましては、裁判所の速記官の養成は御承知のように機械による速記を習得させるために二年間の養成期間をかけております。しかもその二年間、非常に厳しいトレーニングをいたしますために途中で適性が認められないということから脱落していく者も相当数ございます。そういうことで私ども毎年この速記官の養成に非常なエネルギーを注いでいるわけでありますが、なかなかこれを一挙に養成をして一挙に欠員を解消していくというのが難しい状況にございます。そのために少しずつの欠員が残っているということでございます。 それからもう一つの廷までございますが、廷吏は現在、廷吏の職務の重要性という観点から、若くそして将来書記官等に転換していけるような人たちを試験によって採用するということをいたしております。そうやって採用された廷吏が年度の途中で、ある程度の廷吏経験を経た後、裁判所書記官等に転官していくということがございます。そのために年度の終わりごろになるとかなりの程度の欠員を抱えることになるわけでありますが、これは年度の初めにやはり試験採用でもって大体埋められる予定でございます。
○千葉景子君 「その他」の欠員が地裁百三十五というのは、これは平均してみますと一つ一つの裁判所でそう大きな数にはならないかと思いますが、最高裁だけで三十七名というかなり大幅な欠員を生じているんですね。最高裁は一つですから、そこで三十七名というとかなり大きな欠員数じゃないかと思いますが、これは具体的にはどんなことで、その欠員の補充等については実情はどのようなものでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 最高裁判所の「その他」の欠員三十七といいますものは、そのほとんどは研修所の教官あるいは裁判所調査官でございます。これは実は定員操作上の一つの技術でございますが、一般職の教官、調査官としては、定員があり、そして欠員があるという状態になっておりますが、御承知のように、この教官あるいは調査官というものは裁判官がそのポストに充てられていて、そしてそれでもって実際上は充員が行われているわけでございます。その意味でここの部分の欠員は、形の上では存在しておりますが、実際問題としては支障は生じないようになっているわけでございます。
○千葉景子君 どうも難しくて私にちょっとすぐに理解しにくいところがあるんですけれども、この定員の問題は、単純に事件数が多いとかあるいは審理時間がどうだとかいう数字だけでは決められないところもあろうかと思います。また、このいただく資料を縦横組み合わせて考えてみましても、なかなかすぐ単純に何人がいいというふうに決められるような趣旨のものでもなかろうというふうにも思うんですが、やはりできるだけ迅速な適正な裁判が行われるという意味では決して多過ぎる数でもなかろうというふうに思いますし、毎年の動きによってその定員というのを調整していただかなければいけないというところが多くあろうかというふうに思います。そんな意味では、ぜひもう少しわかりやすい何か定員の仕組みみたいなものを考えていただけると私どもにもわかりやすいのではないかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。 時間もちょっとないものですから、最後に一点だけお尋ねさせていただきたいのは、この四月に消費税が導入をされる、一応そういう予定になっているようでございます。 ところで、余り裁判所等にはこの問題はかかわりがないかというふうにも思うんですね。部内で何か購入をなさる等についてはこれは消費税の問題が出てこようかと思うんですが、対外的な関係において、例えば裁判所の謄抄本の交付請求であるとか、あるいは記録の閲覧をさせていただくとか、あるいは国選弁護人の報酬であるとか、さまざま訴訟費用にかかわる点があろうかと思うんですが、こういう部分については消費税というのは何か関係があるんでしょうか。消費税がかかってくるとか、いや、これは消費税から除外をされているとか、そのあたりを少し例を挙げて御説明をいただけますでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 今お話のございました、まず訴訟記録の閲覧、謄写等の手数料、それから裁判書謄本等の交付の手数料につきましては、いずれもこれは課税対象とはなりません。この点につきましては消費税法六条、それから別表に消費税を課さないものと定められております。それから訴訟の申し立て等の手数料も同様でございます。また鑑定料につきましては、その鑑定が事業者が事業として行う役務に当たると認められる場合は課税の対象となります。これは例えば不動産鑑定士による不動産鑑定のような場合でございます。その他の場合は課税対象とならないと解されます。 次に、国選弁護人の報酬については、これは課税対象となると考えます。また証人の旅費、日当、宿泊料等につきましては課税対象とならないと考えております。
○千葉景子君 そうすると鑑定料などについては、不動産鑑定士が鑑定をする、あるいは医師などもございますね、そういうものもやはり課税対象になるというようなことで、その区別がちょっとよくわかりませんけれども、職務の遂行ということになれば消費税の対象になる、職務というか役務の提供というんですか、その辺の具体的な区別というのはあるんですか。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) この基準は、先ほども申しましたとおり、事業者が事業として行う役務に当たるかどうかということが問題になるわけでございます。 先ほど申しました不動産鑑定士の場合には、その点はっきりいたしていると思いますが、御指摘の医師が鑑定を行うというような場合につきましては、具体的な事情によって判断が分かれるところもあろうかと思われます。そのお医者さんがいわば継続的にそのような鑑定を行っておるというようなことになりますと、これはやはり事業者が事業として行う役務に当たると思いますし、たまたまその専門的知識を求められて一回だけ鑑定したというような場合には必ずしもこれには当たらないというふうに考えられると思います。
○千葉景子君 消費税の問題も、少し具体的なところを見てみますと若干はっきりしないようなところもございますので、混乱のなきようできるだけ今後も検討を続けていただくようにしていただきたいと思います。 時間が来ましたので終わります。
○猪熊重二君 法案の質問をさせていただく前に、二点ほどお伺いしたいことがございます。一点は裁判官の非行に関する問題です。二点目は外国人登録法違反の罪に対する免訴判決の問題です。この二点をお伺いしました後、法案についてお伺いさせていただきたいと思います。 新聞報道等によると、松江簡裁の永田光雄裁判官が昭和六十二年九月、旧知の鳥取地裁倉吉支部執行官酒井知道に対し、知人A所有物件の入札による競売に関して、Aが落札できるよう便宜を図ることを依頼した。酒井執行官はこれを了承し、入札最終期日の入札締め切り十分前にそれまでの入札の最高価格をAに教え、Aがその最高価格を若干上回る価格で入札し、結局落札して、この物件を取得したという事件が新聞に報道されております。こういう事実があったのかないのか。この事実を最高裁判所としては、いつ、どういう方法で知ったのかをお伺いしたい。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) ただいま猪熊委員御指摘の事件は、まことに残念なことでございますが現実に起こった事件でございます。大変申しわけないことと思っております。 最高裁判所がこの事件のことを、いつ、どうして知ったかということでございますが、昨年の十二月五日に鳥取地方裁判所からの連絡を受けて最高裁判所は知ったわけでございます。 鳥取地方裁判所がどうしてこの事件のことを知ったかと申しますと、これはこの事件を捜査している倉吉警察署から鳥取地方裁判所の倉吉支部における不動産競売事件の帳簿等の提出について協力の依頼がございました。その協力依頼の中で、酒井知道執行官に対する競売入札妨害事件について現に捜査中であること、そしてその事件には松江簡易裁判所の永田光雄簡易裁判所判事も関係しているという事実が倉吉警察署から述べられたわけでございます。これによって初めて鳥取地方裁判所はこれを知り、最高裁判所への連絡が行われたということでございます。
○猪熊重二君 そうすると、警察がどうも不正入札があったらしいというふうなことで捜査をして、その結果として鳥取地方裁判所で事件の発生を了知した。こういうことのようですけれども、それ以前には全然鳥取地裁ではこういう事実があることがわからなかったのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) まことに申しわけないことでございますが、この事件の起こったのは昭和六十二年の九月でありますけれども、それから昨年の十二月まで裁判所の当局の方では全くこの事実は知らなかったわけでございます。
○猪熊重二君 最高裁判所は、この永田簡易裁判所判事に対する司法行政上の監督権はあるんですか。この簡裁判事を司法行政上監督するのは、どういう立場のどういう機関が監督しているんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 簡易裁判所判事の監督は、それぞれその簡易裁判所の所在地を管轄している各地方裁判所でございます。しかし、さらにその地方裁判所の監督に属する職員にも最高裁判所は監督権を有しております。それが裁判所法の第八十条にございまして、裁判所法八十条の第一号では「最高裁判所は、最高裁判所の職員並びに下級裁判所及びその職員を監督する。」とございます。しかし第一次的には、その第三号にございますが、「各地方裁判所は、その地方裁判所の職員並びに管轄区域内の簡易裁判所及びその職員を監督する。」とございます。
○猪熊重二君 ところで、この永田裁判官に対しては裁判官分限法による処分がなされているようですが、いつ、いかなる処分がなされましたか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 永田簡易裁判所判事に対しましては、ことしの一月三十日広島高等裁判所で分限の裁判が行われまして、被申立人を戒告するという裁判が行われたわけでございます。
○猪熊重二君 先ほど人事局長がお話しになったように、裁判所法八十条によれば、この簡易裁判所判事に対する監督権者は第一次的には八十条三号によって地方裁判所、二号によって広島高等裁判所、一号によって最高裁判所、この三段階で職務上の種々の問題について監督権限があるということになっているわけです。ただ、裁判官分限法による戒告というこの処分、これに対しては最高裁判所は何らかの権限が、それに関与できる権限があるんでしょうか、ないんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判官の分限の手続は裁判官分限法によって行われますので、これは最高裁判所もこの分限法上その権限がある限りは権限はございます。これは裁判官分限法では第六条で「分限事件の裁判手続は、裁判所法第八十条の規定により当該裁判官に対して監督権を行う裁判所の申立により、これを開始する。」とございます。したがって最高裁判所がみずから申し立てをして事件を開始することはできるわけでございます。ただ、裁判を行うのは、簡易裁判所判事の場合には高等裁判所が行うことになっております。その点は第二条の裁判権のところで定めてあるわけでございます。
○猪熊重二君 最高裁判所としてはこの戒告処分、この処分についてどのようにお考えでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) ただいま私、裁判官分限法第二条と申しましたが、第三条の間違いでございます。失礼いたしました。 そこで、この今回の分限事件でございますが、これを開始したのは広島高等裁判所でございます。広島高等裁判所が申し立てをし、広島高等裁判所で裁判が行われたわけでありますが、先ほど申しましたように、この事件について鳥取地方裁判所から連絡がありまして以降、最高裁判所も広島高等裁判所、鳥取地方裁判所及び松江地方裁判所と常に協議を行いながら、この事件の処理を進めたわけでございます。したがって、広島高等裁判所がその事件の開始をしたわけではありますが、それも最高裁判所がやはり裁判所法第八十条の監督権に基づいて広島高等裁判所との間で協議をしながら、最終的に広島高等裁判所がこの分限法に基づいて事件の開始をするという手続をとったわけでありまして、この事件の処理はやはり最高裁判所もこれについて意見を述べると申しますか、監督権を行使しながら行ったものであるということでございます。 私どもとしては、したがいましてこの事件の裁判の結論は結果的にはこれでもって妥当なものであったというふうに思っているわけでございます。
○猪熊重二君 実際にそういう不正な入札行為を直接行った酒井執行官に対しては、いつ、どのような処分がなされたか、おっしゃってください。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 酒井知道執行官に対しましては、本年一月二十一日、鳥取地方裁判所において懲戒免職の処分が行われました。
○猪熊重二君 私が申し上げたいのは、直接にやった酒井執行官は懲戒免職になった。懲戒免職になると、幾つのお年の方か知らぬけれども、まあ五十、六十の方でしょうが、懲戒免職になって退職金ももらえないで首になったというレッテルを張られたわけです。ところが、この酒井執行官に対してそうしてくれと言って、酒井執行官がやらざるを得ないような状況に置いてやらせた裁判官の方は戒告というふうな処分だけで終わっているということ、このことはまことに心外なんです。 例えば、それこそきのうの検察庁の処分じゃありませんけれども、真藤前NTT会長は起訴するけれども、その秘書である村田幸蔵さんはとりあえず処分保留で釈放しよう。新聞報道等によれば起訴猶予になるんじゃなかろうかと、こう言っておられるわけです。私は検察庁のこういう考え方がやっぱり正しいと思うんです。 それなのに、前の上司と部下であるという関係あるいは先輩であり後輩であるという関係であるにもかかわらず、社会的地位が裁判官よりも、まあ一口に言っていいか悪いか知りませんけれども、低い。その執行官に対する処分が懲戒免職で、裁判官の方は戒告なんという処分。この戒告なんという処分は何でもない。極端に言えば何でもない処分、金銭的にも何にも関係ない処分。こういう処分の妥当性ということをどう考えておられるんだろうかということを申し上げたいんです。 特に、永田裁判官のこのような行為は刑法九十六条ノ三、競争入札妨害罪、偽計を用い、公の入札の公正を害すべき行為をした者は懲役二年以下の刑に処すというふうなことにも該当する可能性が非常に多いと思うんです。最高裁としてはこういう観点からも、この懲戒処分をなすについていろいろ配慮の中に入れておかれたんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 大変ごもっともな御疑問であると思いますし、この事件の一番難しかった点でございます。 酒井執行官は懲戒免職になりました。永田簡易裁判所判事は、先ほど申しました戒告の裁判を行い、その直後、引責辞職と申しますか、退官の手続をとったわけでございます。 退職金の点につきましては、実は執行官は退職金がございませんので、そういった問題はないわけではございますが、しかし、この懲戒免職とそれから戒告、依願退官の差というものを一体どう考えるのかというのは大変ごもっともであり、かつ難しいところであろうことは私どもも承知いたしております。 酒井執行官につきましては、競売の目的となった不動産について入札者がいるかいないか、それから入札者のいる場合にはその入札価格が幾らであるかということを教えたわけでありまして、これは執行官として最もなしてはならないことを犯したわけでございまして、懲戒免職の処分は免れないと思ったわけでございます。その行為が永田裁判官からの電話がきっかけになって始まっているわけでございます。もし永田裁判官の執行官に対する依頼というものがそういった非違行為を考えてのと申しますか、非違行為を意図しての依頼であったということになりますと、これは永田裁判官についても同様の責任は免れないというふうに考えられるわけでございます。 私どももその点については、これは刑事事件の捜査というわけではございませんで、懲戒処分を行うための当局の調査ということになるわけでありますが、でき得る限りの調査をいたしました。永田裁判官及び酒井執行官から本当に詳細に事情を聞いたわけでございます。ただ、そこで出てまいりましたのは、永田裁判官が何らかの違法行為を依頼したということを認めるに足りるだけのものは出てこなかったわけでございます。その点は永田裁判官の供述のみならず、酒井執行官の供述からもその点は出てこなかったわけでございます。そういった点から、永田裁判官の電話が今回の事態のきっかけになったものではありますが、非違行為を意図してと申しますか、それを依頼しての電話をかけたというところまでの事実を認めるには足りなかったがためにこのような措置になったということでございます。
○猪熊重二君 細かい事実関係を伺っている時間がありませんから、刑事事件としてなるかならぬかという問題はそれは別にしましょう。 そうしたら、このような裁判官の行為は裁判官弾劾法による罷免事由に該当するというふうな観点はお持ちになりましたか、なりませんか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) そこで、この永田裁判官の行為を私ども評価いたしまして、裁判官弾劾法に言うところの罷免事由にまでは当たらない、裁判官としての威信を著しく失うべき非行に当たるとまでは言えないというふうに判断して、戒告と申しますか、分限、裁判官の懲戒処分にとどめたということでございます。
○猪熊重二君 裁判というのは判決手続としてのいわゆる裁判、皆さんが普通裁判と言っているその裁判がある。しかし、その裁判で判決が出たとしても、強制執行段階が適正に行われなかったら裁判制度そのものが崩壊するんです。裁判で幾ら立派な勝った負けた、いかなる判決を出そうと、その判決に基づく強制執行段階がいいかげんでいいとしたら、法の権威も国民の信頼も失ってしまう。 入札制度というものはどういうところに根拠があるのか。みんなが知らないで入札して、一番高く入れた人に落とす。そのために一週間の日にちをかけて、みんなが買いにいくわけです。その締め切り時間の十分前に、今までの一番高いのは百万円だよ、だからあと一万円乗っけて百一万円で入れればあなたに落ちるよと教えたら、入札制度そのものは成り立たぬじゃないですか。そんな重大なことをやってくれと頼んで、現実にはやらせたということが、そんなに大した非行じゃない、裁判官弾劾法の職務上の義務に著しく違反したわけじゃないんだとか、職務を甚だしく怠ったときには当たらぬと考える考え方が私は納得できない。 要するに、こんなのは裁判じゃないですよ、これは。広い意味の執行法も含めた裁判じゃないじゃないですか。こんなのはペテンです。それにもかかわらず何らの処置をせず、戒告なんというわけのわからない、ちょっと怒られて、それで退職して普通にやっている。これが話が逆ならわかるんです。下の方がそういうのならいいけれども、裁判官という地位にある人間をそういうふうにしたら、国民はこの新聞記事を見て、何で上だけがこんな得をするのだ、下っ端が上からの言うことを聞いてこうやったのが懲戒免職になって、上の方はそれでみんな退職して退職金もらって何でもないのかということになるでしょう。要するに今の人事局長のお答えは、裁判制度というものについて、強制執行でそれだけのことをやることが大したことじゃないというお考えだとしたら、私は間違っていると思う。 次の問題に移ります。外登法の問題についてお伺いしたい。 まず、外国人登録法違反被告事件について、現在大赦令によって免訴の裁判がなされている。この免訴の裁判がなされたことに対して、指紋押捺を拒否した結果、外国人登録法違反に問われている被告人は、私たちは大赦令によって免訴の裁判を受ける筋合いはないということで、今各地に争いが起きています。 政府は八九年二月十三日、政令第二十七号、大赦令を制定して、この大赦令第一条第五号の中に外国人登録法違反被告事件についての大赦の規定がありますが、この規定を入れた趣旨、それを法務大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(高辻正己君) 大赦令の対象となった外国人登録違反の内容についてまず申し上げます。 外国人登録証明書の不携帯、それから不返納並びに旅券番号等についての変更後不申請及び虚偽申請の罪、さらには昭和六十二年の同法の一部改正によりまして、改正後は罪とならないこととされた以前に外国人登録法の規定によって指紋を押したことのある者にかかわる指紋押捺及びその指紋押捺を妨げる罪、これが内容でございます。 趣旨はどうかと、これらを大赦の対象とした理由を申し上げますと、軽微な違反が多いということと、昭和六十二年九月、指紋押捺制度を中心としたこの法律の改正がなされたことなどを考慮したためでございます。
○猪熊重二君 大赦令の全体的な内容はともかく、私がお伺いしたいのは、指紋捺押拒否、外国人登録証不携帯罪に関する問題に絞ってお伺いしたい。 今法務大臣がおっしゃったように、外国人登録法の一部改正案は百九国会で審議されたわけです。その改正によって、従前五年、さらに期間が短縮になって三年の更新のときにも二度でも五度でも八度でも全部指紋押捺しろという従前の法律が改正になって、一回だけ指紋押捺すれば二度目の指紋押捺は要らぬという改正になったわけです。この改正によれば、従前二度目、三度目を押さないで指紋押捺しなかったために犯罪とされた行為は、この改正法によって本来ならば仮に裁判をしても免訴となるべきものだったんです。 ところが、政府が従前の違反者についてもなお今後も処罰するということに固執して、この改正法の附則第五項をつくったわけです。要するに今まで二回、三回指紋押捺しないでいたやつは、仮に今度は一度だけでいいということになったとしても、従前のそれも処罰する、なお従来の例によるという附則五項をわざわざ設けたんです。この前の外登法の審議のときには、ここにおられる橋本先生もそうですし、あるいは社会党の矢田部先生あるいは私も、この附則は不当じゃないか。要するに、一回でいいということになったのだったら今までの二回、三回押さなかったことを理由にする外登法指紋押捺違反はもう免訴にするべきだ、捜査するべきじゃない、起訴するべきじゃない、こういうことを申し上げたんです。それにもかかわらず、どうしても処罰せにやならぬのだということで附則五項を設けた。 そのときに、附則五項を設けたことについて法務省としてどのような御意見をおっしゃられたか、法務大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(高辻正己君) 以前の委員会における御審議の模様は私はよく承知いたしておりませんが、しかし、昭和六十二年の外登法の一部改正に際して附則五項を設けた理由はそれなりの理由があると思います。 一つは、刑事政策上の観点から、改正前の法規に違反して既に刑罰を受けた者と、それから改正前の法規に触れる行為をしたがまだ刑罰を受けていない者との間の公平を維持すること。それからもう一つは、外国人登録制度及びそこにおける指紋押捺制度の重要性にかんがみまして、従前の違反を不問に付することは法軽視の風潮を助長することになりかねないというような観点から、経過措置によりその刑事責任を問うこととしたものと承知をいたしております。
○猪熊重二君 今法務大臣おっしゃったように、当時の遠藤法務大臣はそのときにこういうふうにおっしゃったんです。要するに、違反者を不問に付するということは法の軽視の風潮を助長する、だから許せないんだと。それから既に処罰を受けた違反者との均衡を欠く、だから附則五項が必要で、従前のも処罰するんだ、こうおっしゃっているんです。 伺いたいのは、今回、こういう理由があって附則をわざわざ設けたにもかかわらず、これを大赦によって処罰しないこととするということになると、このときの必要だったという理由は消えたわけですか。どういうことなんでしょうか。
○国務大臣(高辻正己君) 附則五項を設けることによって、改正前の法律の規定に違反した行為についても、なおその刑事責任を問うこととしたというのは、立案当局としてさきに申し上げた理由からそうしたわけでございますが、それも国会における慎重な、ただいま仰せになりましたような慎重な御審議の結果、原案どおり附則五項が定められた経過をたどったわけでございますが、他方、大赦をどうしてしたかと。これは、言うまでもなく昭和天皇の崩御というその後の事態にかんがみ行われたもので、その目的、性質を全く異にしておりますものであって、指紋押捺拒否に係る罪が大赦の対象となったからといって、附則五項の制定の理由が全くなくなった、あるいはこれを削除すべきであったということにはならないのではなかろうかというふうに考えております。
○猪熊重二君 私が言いたいのは、あのときにこの附則を削除したらどうだ、こんな附則は要らないじゃないかというときに、こういうことがあるから必要だということで残されたわけです。だとしたら、その必要性というものは現在もあるとすれば、大赦によってもう処罰せぬということの理由はどこからか別に持ってこなきゃならぬでしようということを申し上げているわけです。 時間の関係で細かい免訴の問題についてはお伺いできないんですが、この大赦によって、指紋押捺を拒否した被告人がああ大赦でありがたかった、免訴になってよかったと言っていますか、それとも何と言っていますか、どうです、法務大臣。現在、この大赦令に基づく免訴の裁判が何件なされて、これに対して被告人がああよかったと言っているのと、これは私は納得できぬと言って控訴しているのと、どのぐらいありますか。
○政府委員(根來泰周君) 仰せの数については若干不正確なところがございますけれども、昨日、三月二十七日までに大赦を理由に免訴判決が下された外国人登録法違反被告事件は十一件ございます。そのうち六件については被告人から上訴がなされております。その余の五件のうち二件は既に免訴判決が確定しております。これはいずれも外国人登録証明書不携帯事件でございますが、残りの三件につきましてはまだ上訴申し立て期間中でございまして、その結果は出ておりません。
○猪熊重二君 控訴しても、控訴理由書もまだ届いていないでしょうから、どういうことを被告人が不満として控訴しているかということははっきりわからぬかもしれませんが、新聞報道等によれば、被告人は、指紋押捺は本来基本的人権の侵害である、だから本来無罪の裁判がなされるべきである、仮に免訴ということであるとするならば、本来この前の改正法のときに、刑事訴訟法三百三十七条二号の刑の廃止による免訴であるべきなんだ、それにもかかわらず、国家の恩恵的な大赦による免訴は私たちは納得できぬと言っているんだと思うんです。もう少し被告人が納得できるような裁判ということができるために、検察として何か協力というか考慮すべきことはないんですか。 私は、まず検察官が刑事訴訟法二百五十七条「公訴は、第一審の判決があるまでこれを取り消すことができる。」という規定に基づいて、附則五項によって罪とされたものについては公訴取り消しということをやられたらどうでしょうか。いかがですか。
○国務大臣(高辻正己君) 御指摘の公訴取り消しという方法については、いろいろ問題がやはりあることはあるようでございます。刑事訴訟法では、大赦があったときは一律に免訴の判決をするものとされているにもかかわらず、検察官が個別的に公訴取り消しを行うことが適切かどうかということが一つの疑問、また公訴取り消しは第一審の判決の後は行い得ませんので、控訴審、上告審に係属中の事件と、それから第一審に係属中の事件とで対応が異なるというようなこともございます。そういう難点が否定できないものと思われますが、いずれにせよ、現在係属中の事件につきましては、検察官としても御指摘の点も含めて十分検討の上、適切に対処するものと思われる次第でございます。
○猪熊重二君 ここで公訴取り消しにしますとかしませんとか直接お答えになれないことはわかるんですが、要するに、どうせ勘弁してやるんだ、国家刑罰権を行使しないんだと言っているのなら、被告人が納得できるようなことを考えるべきだ。そうでなかったら、免訴をしたにもかかわらず、控訴、さらに上告審ということでまだまだ問題が続くんです。それに対して検察庁で検察官が公訴取り消しをすればこれで全部終わりなんです。それを考えてもらいたい。 さらにもう一点、どうしてもこういう問題が今後も起こり得る可能性が多いのならば、先ほどの改正法の附則第五項を廃止することは考えてみられませんか。いかがでしょう、法務大臣。
○国務大臣(高辻正己君) 附則五項を設けた趣旨は先ほど申し上げましたが、大赦は、これも先ほど申し上げましたように昭和天皇の崩御というその後の事態にかんがみて行われましたもので、先ほど申しましたことですが、目的、性質を異にするものであって、大赦の対象になったからということだけで附則五項の制定の理由がなくなったとか、これをあるいは削除すべきであるとかいうことには、立案の建前から申しますとやはり問題があるような気がいたします。
○猪熊重二君 いずれにせよ、新聞報道によると、現在三十三件の外登法違反の事件が係属しているというふうなこともございますので、検察庁として何かもう少し、被告人の心情というものを理解した措置についていろいろ御検討いただきたいと思います。以上で終わります。 あと、法案そのものについて一、二点お伺いさせていただきます。 裁判所職員のうち、まず判事の定員については六十年は九名、六十一年は八名、六十二年は八名、それぞれ定員を増加してきております。しかしその後、昨年度、本年度とも全然判事の定員を増加しておりませんが、この判事の定員を増加しない理由はどこにあるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 判事の増員につきましては、先生御指摘の三年分の増員を含めまして、昭和五十四年度から六十二年度までの九年間に九十二名という相当数の増員をしていただきました。その増員の結果とその他の施策と相まちまして、裁判官の負担はある程度改善されたということができます。 一方では、ふえておりました事件の増加の勢いがストップしたといったところから、昨年、本年と、判事の増員を見送らせていただいたわけでございます。
○猪熊重二君 定数を増員したとしても、去年の十二月一日現在で欠員が三十三名おられるというふうなことなんで、仮に定員をふやしてもどうせ目いっぱいにはならぬということをお考えで定員増ということをお考えにならないのか、それとも仕事が十分にできる体制だということで定員増ということをお考えにならないのか、どちらなんですか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 負担がもう十分に改善されたというほどのことは申しておらないわけでございますが、ある程度改善されたということと、委員御指摘のとおり、九年間にわたります判事の増員というのは、その前に行いました判事補七十六名の増員、それを踏まえまして、その後九年間にわたりまして増員させていただいたわけでございます。そして、その現在の判事補数を前提とした判事の充員ということは大体限界に達してきたんではないか、ある限界に近づいてきたんではないか、そういった状況も踏まえさせていただいたわけでございます。
○猪熊重二君 ただ、いろんな法律関係の人に話を聞けば、最高裁はともかくとして、簡裁も一応別にして、地裁、高裁の裁判官、その中でも大都市における民事担当の裁判官が大変過重な業務を強いられている、非常な負担を課せられていると、こういうふうに言う意見も大分あるんですが、最高裁としてはそういうふうなことは全然ないと、こうお考えなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 東京、大阪あるいは名古屋といいました大都市の裁判所で、普通の民事事件、通常の民事事件だけをやっている部について見ますと、大体裁判官の年間の処理は二百数十から三百件、これの新受事件が来て、未済がふえていかないように処理しているという状況でございます。この数字、月に直しますと二十件強から二十五件程度新受を受けて処理しているという数字になるわけでございますが、決して楽な数字ではございませんし、また裁判官にはもう少しゆとりがあった方がよいのではないか、そういった観点からは問題があるという指摘もわからないではございませんが、私ども実務の裁判官としての経験的な感覚から申しますと、この程度の事件であれば、事件をそう無理なく処理していけるのではないかと、こう感じております。 もちろん、単に数だけではございませんで、内容的に難しい事件が来たときは非常に忙しい思いをいたしますし、続けて判決を書かなきゃならないというときは、時には非常に忙しい思いもいたしますが、数をならしてみますと、この数ですと楽ではないけれども、そう無理しないでもやっていけるということを考えております。
○猪熊重二君 結局、裁判官の数は幾らがいいかどうかというのは、国民の立場から見れば、まともな判決を早く出してもらえるかもらえないかということなんです。最高裁の判決をただ引き写しにしたような判決を書く裁判官じゃ困るんです。自分で考えて、調べて、当事者の言い分も全部聞いて、証拠もきちんと調べてもらって慎重な審理をした上で、そして早期に判決していただく。そのためにどのくらいの裁判官が適当なのかということが考えられなければならない。 意見で申しわけありませんけれども、訴訟は決してそんなにスムーズに進んでいるわけじゃないと思います。それから難しい裁判がいっぱいある。憲法にかかわる裁判、あるいは自然科学にかかわる裁判、非常に裁判官も大変。もう少し人数をふやして、国民の本当に裁判を求める権利を保障できるような裁判制度、そしてその裁判官の質と量というものをお考えいただきたいと思います。 以上です。どうもありがとうございました。
○橋本敦君 本案に関して一言言っておきたいと思いますのは、今も猪熊委員から指摘がありましたが、最高裁が裁判所の裁判官あるいは職員の定数をどれくらいとして見ているかという基本の姿勢にかかわるんですが、私は国民の裁判を受ける権利というその側から見て、そしてまた迅速であり、同時に適正な裁判ということを実際に受ける権利の中身として実現をしていくためには、今の裁判官の数は到底足りない、もっと増員すべきであるということをかねがね考えておるわけです。 そして、今回の改正を見ましても、簡裁判事を五名ふやすだけで、今指摘があったように判事を裁判所でふやすということにならない。それからさらに、かねがね弁護士会あるいは全司法を含め関係者から、速記官や家庭裁判所の調査官、そしてまた書記官の増員が厳しく言われているけれども、その増員はたった二十五名であるということにとどまっている。私は、裁判所というところは行政機関の一般の定員枠にかかわらずに、司法権の独立ということを実際に貫いていく上からも人員の体制というのは非常に大事でありますから、本法案は本法案として、今後必要な所要の定員の増についてはもっと積極的に最高裁として取り組んでもらいたい、このことを一言言っておきたいと思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 私どもも迅速、充実した裁判を実現するという観点から、その定員面でお願いして努力しているわけでございますが、ただいまの先生の御指摘を踏まえまして今後も十分考えさせていただきたいと存じま す。
○橋本敦君 それから、鳥取地裁の永田裁判官問題、私も質問する予定でおりましたが、猪熊委員から指摘がありましたので省略しますが、ただ一言、納得できないのは、この元永田裁判官が電話をかけた執行官というのは元部下ですね。だから、その部下である執行官は、上司であった裁判官から競売について、本人の希望がかなうよう便宜を図ってやってほしい、こういう依頼を受けますと、これはそういうことは裁判官として不見識じゃありませんかとはなかなか言えないですよ。そうでしょう。そういう立場ですよ。だから、電話をかける方も自分の部下だと知っているからかけているわけでね。 そういう認識であるということならば、私はこの電話をかけた裁判官の行為というのは、執行官が不正に情報を漏らすことのきっかけになったという単なるきっかけじゃなくて、まさに便宜を図ってやってくれという具体的内容として、そこまでは言わないけれども、そういうことも当然予想される電話をかけていたと見るべきだと思いますよ。そういう意味で、私はこの永田裁判官が、先ほども指摘がありましたけれども、分限で、単なる戒告で済まされるという事態は、責任のとり方として、これは最高裁としてそれでよいという答弁で本当によいのか疑わしいと思いますが、どうなんですか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 先ほども申しましたように、一番問題のところであり、私どもも一番その判断に苦しんだ部分でございます。確かにこれは、この電話をかけた場合に、それがその執行官に対して非違行為をすることまで求めたものだというふうに見る余地はもちろんないわけではないと思いますし、私どももその疑いが非常に強いからこそ、非常に慎重にかつ詳細に取り調べも行ったわけでございますが、結局そこのところがどうしてもそういったことを、非違行為を求めることまでその電話をかける際に認識していたものと認めるには至らなかったというのが実情でございます。もちろん、この事件は警察、検察庁の捜査がこれから行われるわけでございますが、その中でさらに真相は究明されていくものと思いますが、私ども、懲戒処分を検討するに当たっての資料収集の段階ではそのような結論に至ったということでございます。
○橋本敦君 それはとても納得できないですよ。最高裁からいただいた経過報告書で本人が落札したいと言っているんですね、親名義で。そしてそれに本人を行かせると。そして、その本人の希望がかなうよう便宜を図ってほしい旨、電話で依頼したというんでしょう。希望をかなえるためには一番高い価格で入札しなきやしようがないじゃないですか。それができるように便宜を図ってくれとまで電話をしているんですよ、裁判官ともあろう人が。これはとてもじゃないが、最高裁の監督権限としては考え方が甘過ぎますよ。私はそう断ぜざるを得ない。 そして、この処分が行われた一月三十日分限戒告、その後すぐ二月三日、本人は依願退官をしておりますが、まさにこれは依願退官をする、いわば任意退職をするからという前提のもとで甘い処分をしたというように受け取られても仕方がない状況だってあるんですよ。こういうことで一体裁判官に対する信頼が確保できるのか。私はきょうはこの時間を長くとりませんけれども、そういう厳しい意見を持たざるを得ないということを申し上げて、この点は終わります。それでは最高裁、結構でございます。 けさの新聞の世論調査によりますと、今の国民が政治に対して不満を持っておられるのが六八%、ますます不信が広がっておるわけであります。そういう状況の中で、国民はどの点で政治不信が大きいかどいいますと、まず、何といってもリクルート事件に絡んだ政治家について一番問題だと思うのは、責任のとり方があいまいである、それからさらに秘書などのせいにしている、そしてまた同時に、自浄作用がない、倫理観に欠けている、国民はこう見ているようであります。私は、この点は今のリクルート事件で政治家に関する今日の国民との関係における政治信頼を失った状況の中では当然な意見だと、こう思うんですが、これほどリクルート事件で政治が国民の信頼を失っているという事態について、まず法務大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(高辻正己君) ただいま御指摘の世論の動向というものは私も承知しておるわけで、国民の方々のお考えとしてはそういうお考えがあるのも自然のお考えだろうと思います。 私は、就任早々におまえの意見はどうだということを聞かれたときに、私は国民と同じような考えを持つということを申したことがございますが、それで御理解いただきたいと思います。
○橋本敦君 したがって、国民の政治への信頼を回復するためには、私はまず国会が徹底的な解明を行うという責任を果たさねばならぬ、これが一つあると思います。それから各政党、政治家が自浄作用としてみずから真実を明らかにし、そしてまた進んで証人喚問にも出るんだと、疑惑の政治家がみずから自浄作用を発揮する、これが大事だと思います。そしてもう一つは、何といってもこの事件について違法な行為の有無について徹底的に検察庁が捜査を遂げて国民の期待にこたえるという、この三つが大事だと思います。 そういう意味において、今日の捜査というのはまさに大きな国民的課題の一つであります。徹底的な厳正捜査、これが政界工作を含め、すべての金の流れの解明も含め、まさに国民が期待するように断固として進められなきゃならぬというのが私どもの考えでありますが、大臣の所見はいかがですか。
○国務大臣(高辻正己君) リクルート問題をめぐる刑事責任につきましては、現在検察当局が厳正公平な立場で適切に対処しておるものと私は確信しております。私は、そのような検察当局の努力に対して、これに私は別段の制肘を加えるというようなことをいたすような考えは持っておりません。
○橋本敦君 刑事局長、真藤氏の起訴が大きく報道されておりますが、きょうは加藤元次官、これについても検察庁は起訴に踏み切るというような情報でありますが、事実そうですが。
○政府委員(根來泰周君) だいま御指摘の加藤元労働省事務次官の件につきましては、本日が勾留の満期でございますが、いずれにせよ本日中に何らかの処分はあると思いますけれども、いまだ報告を受けるに至っておりません。
○橋本敦君 結果は聞いていらっしゃらないということでしょう。それだけのことですが、いずれまた、きょうじゅうに明らかになる問題ですね。 そこで、真藤会長の起訴につきまして村田秘書が処分保留で釈放されました。それ自体は検察庁の御判断によるところでありますから、それはそれとして私は理由があるというふうに私なりには思っております。処分保留で釈放された理由は、これは真藤氏との共謀関係がないというのじゃなくて、共謀の事実関係は認められるということの前提の上で諸般の状況を考慮されたものだと思いますが、そのとおりでいいですか。
○政府委員(根來泰周君) 昨日の真藤恒に対する起訴状を読みますと、その公訴事実の中に「村田幸蔵と共謀の上」と記載しておりますから、現段階の検察庁の認定は両者の共謀という事実は認めているものと思います。
○橋本敦君 真藤氏が一万株、これを秘書名義で受けたことについては、起訴事実について言いましても、一つは高速ディジタル回線関係の通信ネットワーク、これについて好意ある取り計らいを受け、またそれの期待をしたこと。また同時に、クレイ社からのスーパーコンピューターの調達や技術支援について同様の取り計らいを受けたことの謝礼や、今後も同様の取り計らいを受けたいという趣旨のもとに期待をして、そういう趣旨のもとで供与されるものであることを知りながら一万株、これを受けた、こういうことであるわけですが、それは江副氏から真藤氏に秘書名義ではあるけれども直接提供する、供与するものであるという実質的な関係は、これはもう動かない明白なことになったと言っていいんじゃありませんか。
○政府委員(根來泰周君) 私どもが現在国会で御説明できるのは起訴状の範囲でございまして、要するに、先ほど申しましたように真藤、村田の両名が共謀いたしましてわいろを収受したということでございます。実質的な証拠関係は今後公判で明らかになることだと思います。
○橋本敦君 そういうふうに共犯関係だけれども、村田氏を処分保留のまま釈放したというのは、名義は村田氏だけれども、なるほど共謀関係はあるけれども、しかし村田氏の方は全く真藤氏の手足として動いた、あるいは本人自身の利得という趣旨のことでないことであった、そういった状況が加味をされておるというように私は見て、それは当然のことだと思うのですが、そう考えて間違いありませんね。
○政府委員(根來泰周君) 御理解いただいておりますように、本件は身分なき者と身分のある者とが共謀して収受したということでございますから、全くそういう証拠抜きで理解するところによりますと、贈賄者側がその身分のある者に対してわいろを供与した。そしてそれを身分なき者と身分がある者が共謀して受け取ったということに尽きると思います。
○橋本敦君 身分のある者へが主たる目的であったという事実は、まさにそのとおりだと思うし、そしてまた、そういう判断でいろんな処理がなされていくかと思うんです。そこで問題は、この一万株の売却利益の問題ですけれども、九百万円が真藤氏の方に届けられて、真藤氏がそれでみずからのNTT株購入の代金にそれを使ったという状況も出ておりますが、真藤氏がその利益をみずからのために処分したという事実、一部をそういうことに使った事実は間違いないんですね。
○政府委員(根來泰周君) これも証拠の内容に立ち入ることでございますので私どもの方から御説明することはできませんが、収受という内容には自分の利得にするということを含んでいるものと解釈すれば、そういうことになろうかと思います。
○橋本敦君 そして、他の一千二百八十万円が秘書室長の秘密口座に入れられたということで、これが問題でありますけれども、これもわいろ性のある金の一部でありますから、この金がどこへどのように使われたか、だれによって使われたか、この流れの関係、これはこの犯罪の全体の立証のためには不可欠な捜査内容だと思いますが、この点についてももう調べはされておるはずですね。
○政府委員(根來泰周君) ただいま前提としてお話しになったことについては、私どもは報告を受けておりませんし、報告を受けたとしても申し上げることではないと思いますが、いずれにせよ、先ほど申しましたように、収受した金をどういうふうに使ったかということは、常識的に言えば贈収賄の場合はいつも調べることでございます。
○橋本敦君 その問題で複雑なのは、NTTが幹部職員からボランティア基金と称して八億円の政界工作資金、これをつくっていた。それと今の千二百八十万、これが秘書室長の口座を通じて同じようなことに使われた疑いがないわけじゃない。私はこういったことでまさにこの金の流れが江副から、リクルートからNTT、NTTからこういったボランティア基金もあったような状況の中で、さらには秘書室長の秘密口座を通じて政界工作にどのように使われたか。金の流れは、収受というように刑事局長がおっしゃったその一環として当然政界工作にも使われたという、そういうことであるならば、これは調べるのが当然検察庁として必要になってくると思いますが、その点は局長いかがですか。
○政府委員(根來泰周君) いろいろお話しになった件については、これは新聞などに報道されていることでございまして、私どもそういう情報的なことについては報告を受けておりませんし、仮に報告を受けてもお話しできる話ではないということを前提でお断りさせていただきたいわけでありますけれども、いろいろお話がございましたけれども、個々のどういう取り調べをするかということについて私どもが申し上げると、先日来問題になっております指揮権の問題にもつながることでございますが、いずれにせよ検察庁は適正、適切に取り調べるものと考えております。
○橋本敦君 法務大臣、私が言いたいのは、NTTルートの関係では真藤氏の起訴という重大な事態が今日の前にあるわけですが、これは検察庁として厳正に捜査を遂げられた結果であります。しかし、NTTルート、そしてリクルート事件の全体の解明という点から言うならば、NTTルートの解明で検察庁の捜査は終わったのではなくて、さらにここから、今私が指摘をしたその金の流れ、その先どこに行ったのかということも含めて、言われておる政界工作の有無が本当にあったのかどうか。そこまで捜査がこれからさらに進展をしなければ、これは本当に国民の期待に沿うところにならない、私はこう思っておるんです。したがって真藤起訴でこれでNTTルートは終わりだというような認識であっては、厳正な捜査としては全く不十分なことになるわけです。その点について法務大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(高辻正己君) 捜査の段階で、私はかねがね言っていることでありますけれども、事案の解明の結果の及ぶところが何びとであろうとそれは左右されるものではないということを繰り返し申しておりますが、今仰せのとおりに、この件の捜査の過程でどういう進展があるか、これは捜査当局自身が厳正公平、不偏不党に当たっておりますので、それを私は深く信頼しております。必ずや、この解明について遺漏なからんことを期していると思っております。
○橋本敦君 いっか法務大臣は、捜査は人によって左右されてはならぬ、いかなる人であれ、必要な捜査は当然遂げるべきだということをおっしゃっておりますが、このNTTルートの今後の捜査についても、相手が政治家であれ、だれであれ、そういうことによって左右されてはならぬ、やるべきことは検察庁はやるべきだという点についてのお考えは変わりませんね。
○国務大臣(高辻正己君) 先ほど申し上げたとおりでございます。
○橋本敦君 ちょっと横へ寄りますけれども、このボランティア基金の問題で新聞で重大なことが言われております。つまりNTTは、NTTとして政治献金はできませんから、だからボランティアということで管理職にカンパを出させる。ところが管理職は不満が多い。当然でしょう。そこで架空の残業、そういったことをつけて架空の手当を支払って埋めてやる。こういうことをやっておったという事実が報道されている。こうなりますと、これは大変なことでして、まさに事実上NTTの献金であったということになるわけです。だから、そういう意味で一つはその点の法律違反が出てくる。 もう一つは、架空の手当をつけてやるというようなことをやったということは、これは真藤会長か、あるいはほかの取締役か、つまり役員がこれをやらせておれば、出さなくていい金を出しているわけですから、これは背任の疑いが出てくる。 それからさらに、ある意味では詐欺的手法でもらうわけですから、合意の上で管理職がやっているならば、もらった方は詐欺で受け取ったということにもなりかねない。こういう重大な法律問題が、そういう問題が事実としたら絡んでいるということは刑事局長、間違いないですね。
○政府委員(根來泰周君) 先ほどからお話にあるボランティア基金というようなお話は、新聞報道で知る限りでございます。したがいまして、そういうものについていろいろ疑惑がある、あるいは不正があるという御指摘については、私は肯定も否定もできない立場にございます。いずれにせよ、先ほど来御説明申し上げておりますように、犯罪があれば適正、適切に対処するものと考えております。
○橋本敦君 その点は、もちろん適切に対処するということを期待しての話ですが、仮に、報道されているように架空の手当が出されているとすれば、重大な刑法上の問題も絡む可能性が法律的にはある、法律判断としてあるということはお認めいただけますか。
○政府委員(根來泰周君) そういう話になると非常にまた難しい話でございまして、仮定の話でございますので、ここでどうするということになりますと仮定の話を肯定することになりますので、ひとつ答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○橋本敦君 報道されたこの問題については、これは重大な事実ですが、検察庁はこれについて当然重大な関心を払わざるを得ないでしょうね。
○政府委員(根來泰周君) 報道は十分承知していると思います。
○橋本敦君 そこで、真藤氏の起訴事実の中の一つであるスーパーコンピューターについて真藤氏がリクルートに便宜を図ったこと、あるいは将来もそういった便宜を図ってもらうことを期待するという点についての話ですが、そうなりますと、スーパーコンピューターの導入についてどういう便宜を図ったのかということは、これは将来、証拠によって冒頭陳述で証明すべき事実として明らかにされ、かつ検察官が立証する、そういう過程を経ていく中で明らかにされていく問題であると思います。それは局長、そうですね。
○政府委員(根來泰周君) 公訴事実の中には、スーパーコンピューターの調達及び技術支援等につき好意ある取り計らいを受けたことの謝礼、こういうふうに書いてありますから、当然証拠によって立証すべきことと思います。
○橋本敦君 そうすると、この調達という問題は、NTTの調達部が調達をするということもございますが、当時の政治情勢として、だれもが知っておりますように、まさに日米貿易摩擦に関連をして国の政策課題として輸入拡大ということの中でこれがやられてきたという関係がありますから、そういう意味で、このスーパーコンピューターの調達ということが真藤氏のわいろに絡まる起訴事実として挙げられているという問題は、国の政治そのものと極めて重大な関係があることが一見明白なんです。その中の主要な政治家はだれかと言えば、中曽根前首相であることは言うまでもない。 中曽根前首相は、こういったスーパーコンピューターを含む問題について、二月二十七日にみずから番記者を集めて記者会見をしたわけですが、あの会見の状況については、これは検察庁も重大な関心を持ってごらんになっていたはずと思いますが、どうですか。
○政府委員(根來泰周君) この点については、検察庁から何も話がございませんからお答えを差し控えたいと思います。
○橋本敦君 いずれにしましても、このスーパーコンピューター問題が真藤氏の収賄罪の絡みで出てきたということで、検察庁は当然、これまでもなされたでしょうが、その当時の日米貿易摩擦関係、そこで中曽根首相が六十二年五月一日の首脳会談でもう一台買うと言ったこととの絡みで、それがどういうことなのか、ここまで含めていろいろと事情を聴取される必要があるし、またそこのところを調べなければ問題の解明が本当に進まない、重要なやっぱり捜査の必要な範囲に入っている、こう私は思います。 調達関係という限りにおいては、検察庁はそういった日米貿易摩擦関係の中でスーパーコンピューター問題がどのような背景で具体的に出てきたか、これらの経緯はお調べになりますか。
○政府委員(根來泰周君) 検察庁は必要な範囲内で取り調べをすると思います。
○橋本敦君 そういう中曽根さんの近いところに、つまり上和田、筑比地秘書、太田氏を含め二万九千株という株が行っておる。これは秘書名義である、中曽根さんは全然知らぬ、こう言っていますが、しかし、中曽根さんは知らぬと言いながら、それらの金が慶弔費に使われた、あるいは盆暮れのあいさつに使われた、こうみずから言っておる。このことは何を意味するかといえば、秘書が自分の盆暮れのあいさつや、自分の慶弔費に数千万という金を使うなんということは考えられないので、中曽根事務所のために、あるいは中曽根氏のためにということであるならば、まさにそれは中曽根氏のための政治献金であることをみずから認めておるということにならざるを得ない。 そこで、中曽根氏周辺にこれだけの二万九千株がなぜ行ったのかということは、当然秘書を含めて事情を検察庁としても聞かなければ、これはまさに捜査を進めたことにならぬ重大な課題であることがあの会見によって一層明らかになったと私は思うんですが、検察庁はどうですか。
○政府委員(根來泰周君) 御趣旨はよくわかりましたけれども、検察庁がどういうふうな態勢をとるかについては私ども申し上げる限りではございません。
○橋本敦君 趣旨がわかっていただけておるのなら、それはいいんですけれども、端的に聞きますと、中曽根さんの秘書が事情聴取を受けたという報道もありますが、呼ばれたんですか。
○政府委員(根來泰周君) 身柄を逮捕した場合は、検察庁でも事の次第にかんがみまして説明はいたしておりますけれども、参考人あるいは被疑者ということで御協力をいただいている場合には、これは発表はいたしておりません。したがいまして、国会におきましても従来からそういうお答えについては何ともお答えいたしていない、お答えを差し控えさせていただくというのが実情でございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
○橋本敦君 中曽根さんは、江副氏が起訴されたことに絡まるスーパーコンピューター輸入問題について物を言っているわけですよ。六十二年五月一日の首脳会談でもう一台と言ったのは、あれは三台目だと。ところが、それが六十年十月、ニューヨークでの記者会見でもう既に三台目の話をしているということが暴露されて、大慌てであれは記憶違いだった、こう言いかえているわけです。ということを見ても、NTTが転売を受けたスーパーコンピューターとの絡みで中曽根さんに事情を聞かなきゃならぬという状況は、客観的にだれが見ても明らかになってきている。だから、国会は国会として絶対証人喚問をする必要があるということを言っておる。 検察は検察として、あの中曽根さんの記者会見の結果、今私が指摘した売却利益の使途を含めて、なぜ中曽根さん周辺に二万九千株が行ったのか。中曽根さんは、贈った人に聞いてもらわにやわからぬなどとこう言っているけれども、しかし肝心のスーパーコンピューターのこの問題については、今言ったように記憶違いだとかなんとか物を言っているんですから、これは検察庁として中曽根さん本人から直接に事情を聞くということが当然必要なことだ、捜査の常道として必要だ、私はこう思うんですが、法務大臣、いかがお考えですか。
○国務大臣(高辻正己君) 捜査の内容なり方針に関することは捜査当局自身の問題としてお任せいただきたいと思います。捜査当局そのものでない法務大臣としては何ともお答えいたしかねる、その点は御了解願いたいと思います。
○橋本敦君 聞く必要はないということにならないことは状況的に明らかですね。 刑事局長、万が一政治家に対して検察庁が強制捜査に踏み切らざるを得ない場合が起こった場合は、逮捕の許諾請求をしなくてはならぬことになりますが、これは請訓として、その場合は検事総長からまず法務大臣に請訓を受けるということに手続はなるわけですか。
○政府委員(根來泰周君) 私どもで請訓という言葉を使うときには、内部規定といたしまして処分請訓規程というのがございます。その処分請訓規程につきましては、例えば、こういう事件については起訴するときあるいは不起訴にするときは順次法務大臣の指揮を仰げ、こういう規定がございます。そういうものを前提にしますと、そういう場合は請訓には当たらないということでございます。
○橋本敦君 そういたしますと、法務大臣に御意見を伺うことなしに許諾請求は許諾請求として手続を進められる、こういう意味ですか。
○政府委員(根來泰周君) これは全く仮定の話で、またいろいろ誤解を生むと非常に私も立場がある以上つらいのでありますけれども、これは手続だけの話として承知していただきたいんですが、例えば国会開会中に国会議員の逮捕状を請求するということになりますと、当然これは裁判所から内閣に対して要求書が出るわけです。内閣からその議員の所属する議院に対して許可を求める、こういうことでございます。だから、内閣が関与する段でやはり法務大臣が関与されるわけですから、当然法務大臣のお耳に入れる、こういうことに相なろうかと思います。全くこれは仮定の話でございますから御了承願います。
○橋本敦君 わかりました。そうしますと、検察庁は独自の判断で逮捕状を裁判所に請求して、裁判所から院の方に許諾請求が来る。それから後、内閣及び院の手続が始まるんですが、それまではいわゆる請訓ということでやらないということですね。だから、そういう意味では検察庁はやっぱり検察権の独立ということで事情聴取もやれるし、どんどん政治家に対する捜査もやれるわけだ。 新聞報道でもう一つ重大な事実は、藤波元官房長官が杉並の邸宅を一億三千二百万円で売り主の駿河台学園から買ったその中に、一万二千株の徳田秘書名義の売却利益二千六百万円がそっくりそこに使われていたという事実が報道された。これは秘書名義だ、秘書がやったことだと、こう言っていたことを突き破って、まさにこれも、真藤氏と同じですけれども、江副氏から、リクルートから政治家本人に直接行ったということをうかがわせる重大な事実ですね。これはやっぱり検察庁はこの重大な事実については、この種の報道については事実調査をする必要があることは明白じゃありませんか。
○政府委員(根來泰周君) このような報道がされたことは私も承知しておりますけれども、またこれ報道機関を批判するとまずいと思いますけれども、それが事実であるかどうかということがまず私どもの頭にくる話でございまして、だから事実かどうかという確定をしない前にそれを検察庁が関心を持っているとか持っていないということになりますと、そういう疑いをかけられた方もまた気の毒な話でございます。国会でそういう点についてはなるべく御答弁を差し控えたい、こう考えております。 ただ先ほど、補足しますけれども、逮捕状請求の場合に全く検察庁は独自でやるというふうなことではございませんで、法務大臣に報告して、法務大臣にはお耳に入れるということを先ほど申し上げたわけですので、その辺御了承いただきたいと思います。
○橋本敦君 いずれにしても法務大臣、これから文部省ルートも課題が残されておりますが、このリクルート事件としては、多数の政治家に還流株、それからパーティー券名義で株資金の供与、それから政治献金そのもの、ロッキード事件と比べものにならない多くの金が動いているという状況はもう明らかで、それがゆえに国民に大変な政治不信が起きているという状況ですね。だから検察庁は鋭意、今捜査を遂げつつあるというのは、NTTルート、文部省ルートそれから労働省ルートということで積み上げをやっていらっしゃいますけれども、いよいよこれから金の動きの全容について、政界との絡み、政界工作、それを含めて徹底的に疑惑の解明をやっていかなきゃならぬ。 特に検察庁は、犯罪性を持って立件しなきゃならないことはどんどんやらなきゃならぬという意味で、これからまさにそういった政界工作の実態にメスを入れていく重大な段階に差しかかっていますね。そういうときに、今の話のように、逮捕許諾請求にしろ政治家の事情聴取にしろ法務大臣への報告としてお耳に入れるということは、局長が言われたとおり重大な事件ですから、それはそうでしょう。そういった場合に、いわゆる指揮権の発動とまで私は言いませんけれども、法務大臣がお耳に入れられたその問題について、逮捕許諾請求にしろ政治家の取り調べにしろ、法務大臣がこれをチェックなさるようなことは、これはもう一切あり得ないと、法務大臣としては毅然として捜査を厳正に遂げさせるようにされていくというようにお伺いしてよろしいですか。
○国務大臣(高辻正己君) つとに御存じのことと思いますが、指揮権の発動については仰せにならない、触れることをあえてしないけれどもとおっしゃいましたが、指揮権の発動、指揮権というものを検察庁法の十四条で法務大臣は持っております。私はこれをほしいままに放棄することはできないと思っております。思っておりますが、これは法律上決められたことでありますから、これをほしいままに放棄するということはできないと思っておりますが、再々申し上げておりますとおりに、私は検察権が厳正公平に行使されることを確信しておりまして、これに対していささかも制肘を加える意思は持っておらないということを、何遍も申し上げておりますが、ただいまお尋ねでございますので繰り返しそのことを申し上げておきます。
○橋本敦君 じゃ時間が来ましたから、根來局長、最後に捜査体制の質問ですけれども、人事異動その他があっても捜査に遺漏ないような体制でやるということは先ほどお話しになりましたが、これからいよいよ私が指摘する政治家を含む政界工作の全容について捜査をやっていかなくてはならぬという状況の中で、特に政界工作あるいは政治との絡みをこのリクルート事件で捜査を遂げるために、特にその点を配慮した捜査体制を組む必要もあるんじゃないかというように思いますが、その点の捜査体制について今後の展開はどうですか。
○政府委員(根來泰周君) 先ほど千葉委員からお尋ねがございましたとき御説明いたしましたように、本日付で十四人が交代になります。しかしながら、この異動は数カ月前からわかっていたことでございますし、検察庁の方も、事件が大切でございますから、そういう点については万々遺漏なく捜査体制を組んでいるものと思っております。
○橋本敦君 それはわかりました。しかし、特に私が指摘した政界工作を全面的に追及するという視点を重点に置いて、政界工作班とかなんとか特別の体制で、体制強化というようなそういう方向はおやりになるんじゃないですか。
○政府委員(根來泰周君) その個々の具体的な内容になりますと、また捜査の内容に触れるわけでございます。いずれにせよ、そういうことは東京地検なり最高検を頂点とした検察庁が適切、適正にやっていることでございますので、私どもはそれを信頼して任せているわけでございます。
○橋本敦君 時間が来ましたので終わります。
○西川潔君 私は、法案について質問をいたしたいと思います。 昨年の三月三十一日、参議院の法務委員会において山口総務局長が、簡裁統廃合の実施によって廃止される庁の簡裁判事約十名と合わせて五名増員により、「年間の簡裁の事件を適正迅速に処理するには十分とは申しませんが、今回お願いした増員で足りるのではないかというふうに考えております。」と答弁をしておられました。そこで、今回、前回と同じ五名の簡裁判事を増員することになった経緯をお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 確かに昨年、私の前任者の山口総務局長がそういう趣旨のことを申し上げました。 委員も御承知と存じますが、私どもの方で増員をお願いいたします数を決める際には、一方では増員を必要とする事情、あるいはその程度がどのような程度であるかということをにらみますとともに、他方ではふやしていただいた枠を現実に、例えば裁判官なら裁判官にふさわしい人を採用して埋められるか、これを充員と申しますが、そういった面の可能性などもにらみながら決めさせていただくわけでございます。昨年、山口局長が御指摘のような趣旨をお答えいたしましたのも、そうした双方をにらんだ上で、十分とは言えないけれども相当程度の充実、改善を図れるという趣旨を申したものでございます。「十分とは申しませんが」とこう申しまして、なお改善を図る余地がないわけではないが、一挙に大幅な増員をお願いするのもいかがなものかという意味を込めて、そう申し上げたわけでございます。 そして、今回のことしの増員に当たりましては、昨年、なお改善を図る余地もあろうかと、そう考えた点を中心にいたしまして、また新しく出てきました事情を付加して考えました結果、これから申し上げますような二つの点から、やはり簡裁判事五名を増員させていただくのがよい、こう考えたわけでございます。 一つは、簡易裁判所の民事事件というのは、増加の勢いはストップしたわけではございますが、なお事件数は高いところで維持されております。高原状況と俗に申しておりますが、そういう高い水準でございますし、また簡易裁判所を適正配置ということで廃止させていただいたわけでございますが、残った簡易裁判所はなお一層国民に身近な簡易裁判所として充実させなければならない、そういった要請を踏まえまして、ことしは都市部の忙しい簡易裁判所、そこに裁判官の配置数をふやしたいということが一つ。 それからもう一つは、簡易裁判所の適正配置をいたします前には百四十一ほど簡易裁判所の裁判官のいない独立簡裁があったわけでございます。それを簡易裁判所の統合と、昨年度増員していただきましたその裁判官によりまして、非常駐庁に裁判官を常駐させるといったことをいたしました結果、現在では非常駐庁は四十四庁に減っております。この四十四庁というのはかなり事件数の少ないところではございますが、簡裁の適正配置の際に国会その他各方面からいただきました御意見、御要望の趣旨を踏まえれば、この四十四庁についても一定程度の事件のあるところは二つの裁判所のかけ持ちの仕方などを工夫いたしまして、少しでも裁判官を常駐させた方がいいのではないか。 こう考えまして、要するに都市部の忙しい簡易裁判所の手当て、裁判官のいない非常駐庁を少しでも解消したい、この二つの点から簡易裁判所判事五名を増員させていただきたい、こうお願いした次第でございます。
○西川潔君 次に、最近のこの簡裁判事の選考試験についてお伺いしたいんですが、受験者数平均百八十名ということですが、その受験者の中で裁判所の職員の方とそれ以外の方々の割合、それとまた、裁判所職員以外の方が受験を希望する場合はどのような手続をすればよいのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) まず、簡易裁判所判事の受験者でございますが、ただいま委員仰せのように、平均いたしますと百八十名程度の者が受験を毎年いたしております。その多くは裁判所の部内の職員でございます。 ただ、私たちといたしましてはなるべく多くの層の人から来ていただきたいという気持ちを持っております。そういうことで、これは以前から部外者の受験も大いに歓迎しているところでございまして、これも年度によってさまざまでございますが、平均いたしますと二十五名から三十名程度の者が部外の受験者でございます。それ以外が裁判所の職員ということになるわけでございます。 現実にそういう人たちがどういうふうに受験の手続をとるかということでございますが、簡易裁判所判事の選考試験の手順というのはこういうふうになっております。各地方裁判所に簡易裁判所判事の推薦委員会というのがございます。これはその推薦委員会の置かれる地方裁判所の所長、それからそれ以外の判事、それから家庭裁判所の所長、さらにその土地の検察庁の検事正、あるいはその土地の弁護士会長、それから学識経験者、こういった人たちが委員会を構成しているわけでございます。すべての地方裁判所にこれが置いてありますので、受験を希望する人はその最寄りの地方裁判所に申し出をしていただくと申しますか、そこに問い合わせをしていただくと、そこの推薦委員会でその手続にかかる、こういうことになるわけでございます。 推薦委員会で各地の受験希望者を最高裁判所の方に推薦してまいります。最高裁判所には、今度は簡易裁判所判事選考委員会というものがございます。これは全国に一つしかないわけでございまして、ここが簡易裁判所判事の試験を行うわけでございます。簡易裁判所判事選考委員会の方は、これは最高裁判所判事のほか、検事の代表あるいは弁護士の代表、その他学識経験者で構成しているわけでありますが、そこの委員会で今度は法律の試験あるいは人物試験を行いまして、最終的な合格者を決めるということになるわけでございます。 部外者も毎年、大体一人かそこらは、これは全体の合格者がそれほど多くないわけでございますが、その中で大体毎年少なくとも一人は部外者も入っているというようになっております。
○西川潔君 次に、判検交流についてお伺いしたいんですが、昨年の裁判官から検事へ移られた方は何人ぐらいおられますのでしょうか。 また、判検交流をめぐっては従来からも公正な裁判に対して弊害を与えるのではないだろうかなどと議論もされておるわけですが、今後も引き続き人事交流はなさっていかれるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 判検交流と俗に言われておりますが、裁判官が検事に転官をする。検事といってもさまざまございます。いわゆる国の代理人として訟務を担当する検事もございますし、また法務省の民事局などで法律の立案等を担当する者もございます。そのほかさまざまな法律関係の分野に裁判官が出向いたしております。これが全部、身分としては検事として行くわけでございます。他方、そうやって行った人が何年か経過いたしますと、裁判所に戻ってまいります。したがって毎年一定数の者が検事に転官をし、また一定数の者が裁判所に戻ってくるということが起きるわけでございまして、これを判検交流と言われているわけでございますが、昨年で申しますと裁判官から検事へ転官した者、二十九名でございます。 判検交流の問題、西川委員ただいまこれが問題となっているということを申されましたが、実は最近始まったことではございませんで、これはもう随分昔から行われていたものなのでございます。ただ、法務省の方の需要が大きくなったということももちろんございますが、そのほかに一定期間勤務してから裁判所へ戻ってくる、その期間がかってに比べると短くなったということもありまして、だんだん回転が早まってきたということはございます。そのために一年間の交流の人数というものがかつてに比べてふえているということは事実でございます。 これがなぜ行われているかということでございますが、これは一つは法務省関係で裁判実務の経験があって、そして法律に精通している者の需要というものが相当あるということがございます。もう一つは、その需要を満たすことによって裁判官にとっても裁判以外の職務を経験し、視野を広めることにも役立つ、そういったこともありまして、私どもとしては意義のあることではないかというふうに思っているわけでございます。 ただ、これが公平の点から問題ではないかということが言われたりいたしておりますけれども、これは法律家の立場になればその点は私どもとしては問題はないように思っているわけでございます。法律家というものは、裁判官であろうが、検察官になろうが、あるいは弁護士になろうが、どういう立場に置かれてもその立場に応じてその職責を全うしていくというのが法律家の本来の職務であろうというふうに思っておりまして、そういう観点から、裁判官が検事になる、あるいは検事からまた裁判官へ戻ってくるということがあっても、実質的にはその公平を害する、公正を害するというような問題はないものというふうに確信しているわけでございます。
○西川潔君 わかりやすくありがとうございました。 次に、裁判官の途中退職者が最近ふえていると読み物やお話などでお伺いするわけですが、これはどういうところに要因があるのか。また、六十二年、三年中に途中退官した裁判官はどれぐらいいらっしゃるのか。また最高裁としては、裁判官の途中退官について原因はどのあたりにあるのかをお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判官の途中退官といいますのは、例えば昨年をとってみますと五十名程度の中途退官者がございます。その前の年度でも四十名程度の退官者がございます。毎年その程度の退官者はあるものというふうに見ております。 ただいま御質問の中で中途退官者がふえているという点がございましたが、これは私どもそのようには理解いたしておりませんで、中途退官者は以前からこの程度の数はございまして、最近特にふえているという状況にはないように思っております。 どういう場合に中途退官が起きるかということでございますが、中途退官というのは、裁判官には定年がございますけれども、その定年を待たずやめていくというのが中途退官ということになるわけでありますが、退官者の多くは、退官をして公証人に任命される、あるいは退官をして簡易裁判所判事になるというのが中途退官者の中のかなりの数を占めているわけでございます。 公証人になるという場合は、これは通常相当の年齢で、定年にかなり近いような時期に公証人になるわけでございまして、そういう意味では定年退官者とそれほどの違いはないというふうに見ております。それから、簡易裁判所判事になる場合はさらに定年に近いのが通常でございまして、定年まで数カ月あるいは一年程度を余してちょうどその任官の切りのいい時期にやめて転官していくというのが簡易裁判所判事への転身でございまして、これらは中途退官とは申しましても実質的には定年退官と同視できるものであろうと思っております。 これが実は四十、五十の中の恐らく半分以上は占めていると思うわけでありますが、それ以外に、定年とは関係なくやめて、そして弁護士になるあるいは大学の先生になるといったようなケースがございます。また、弁護士になる場合でも、自分の親族の経営している法律事務所を引き継ぐというようなケースもかなり多くあるわけでございます。そういったようなのは、これは裁判所の世界を離れて新たな世界に入っていくというわけでありまして、ただいま申しました公証人になったり簡易裁判所判事になるケースとは違う新たな道への転身と言うべきものであろうと思います。裁判官の場合、相当長期間の勤務でございます。その途中で、ある程度の数の人がそういった転身をしていくというのは以前からあることでございますし、やむを得ないことではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
○西川潔君 私は四十八分までですので、あと三分ほどしかないんですけれども、法案はこれで終わりにさせていただきます。 最後に、素朴な疑問なんですが、足かけ三年になるわけなんですけれども、法務大臣に一つお伺いしたいんです。 毎回、質問をさせていただくときに、質問をとりにこられるわけですが、素人ですのでいろんな方面から一生懸命勉強して法務委員会で質問をさせていただこうと、こういうふうに思うんですけれども、お役人といわれる方々に、僕ら無所属で一人でございますので何とかおすがりしていろいろ勉強させていただこうと、こういうふうに思うんですが、出した質問に、これは質問しない方がいいですよとか、いい答えは幾らこれは質問しても出ないですよとか、これはやめておいた方がいいですよ、通り一遍の答弁しかできませんよとかいうふうにお話をお伺いするわけなんです。 どうも私、タレント議員ということで画面なんかでは派手に映る部分があるんですが、本質的には余り重箱の隅をつっついたり自分が手柄にしようとか、悪意のある人間ではないので、皆さん方に腹を割っていろいろお話をさせていただくんですが、長年、法律の専門家としてそういう立場に法務大臣おられて、難しい問題とか答えにくい問題とか、そういう部分がもし法務委員会で質問がある場合には、ましてや一人だし、なるべくそういうことはとってくるなとかいうようななにはあるんでしょうか。
○国務大臣(高辻正己君) 西川議員、大変御勉強をされていろいろ御質問になろうとすることについて、どういうふうに政府部内の者たちがお話をしているか私はよく存じませんけれども、私なんかはむしろ御遠慮のない御質問をいただいて一向に差し支えないと思っております。 ただ、時間の制約もございましょうしするようなことで、多分どういう御質問であろうかというようなことを聞いて回る際に御意見を申し上げることもあるかと思いますけれども、それは適当にお考えいただいて、御勉強の成果を御披露くださることは、これは大いにやっていただいていいんじゃないかと思いますけれども、今のような時間的な制約等があることから、恐らくはそういういろいろなことを申し上げることがあるかと思いますが、それはお許しいただくことにいたしまして、率直に御質問なされる方は率直な御意見を私なんかは歓迎したい。その辺は御質問をとる方々の気持ちもお察しいただいて、その辺のことは適宜御考慮の上対処していただいていいんじゃないかと思いますし、いずれにしましても、そういう御態度について、御勉強の結果を政府に対して御質問になるという御熱心な態度には私は深く敬意を表したいと思います。
○西川潔君 どうも御丁寧にありがとうございました。 僕は時間内で質問させていただきますし、そして今まででも悪意のあるようなことは一度もございません、強く自負しております。 それから、本当に国会というところは難しいところやな、どこその党へ入らないかぬのかなというふうに思うんですけれども、一人でやるという約束でやらしていただいておりますし、僕らがいいパイプ役になって国民一人一人の方々に、一握りのお役人の悪いこと、また国会議員の悪いことが報道されておりますが、そんなことはないということを絶えず報告もさせていただいておるんですけれども、そういう立場に遭遇しますと、どうもかえって国会というところに物すごく不信感をなお一層このごろ抱くようになりましたものですから、一度法務大臣にこのことをお伺いしたいなと。刑事局長もいらっしゃったらぜひお伺いしたがったんですけれども、きょうは早くお帰りになりましたので、また個人的に法務省の方へお伺いしましていろいろとレクチャーいただきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○委員長(塩出啓典君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認めます。 これより本法律案に対する討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(塩出啓典君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(塩出啓典君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 去る一月二十六日から二十八日まで当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。下稲葉耕吉君。
○下稲葉耕吉君 派遣報告をいたします。 去る一月二十六日から三日間、塩出委員長、猪熊理事、秋山委員、西川委員と私、下稲葉の五名は、検察及び裁判の運営等に関する調査の一環として、最近における司法行政及び法務行政に関する実情等について調査のため、愛媛県と広島県に行ってまいりました。 派遣日程の第一日目は、松山刑務所と、その構外作業場として刑務作業を行っております大井造船作業場に参りました。 第二日目は、広島高等裁判所におきまして、同裁判所、広島地方裁判所、広島家庭裁判所、広島高等検察庁、広島地方検察庁、広島法務局、広島矯正管区、広島地方更生保護委員会及び広島入国管理局のそれぞれの機関の方から管内の概況について説明を伺い、懇談いたしました。さらに、引き続いて広島拘置所を視察し、翌日帰路についたのであります。 初めに、刑事施設、すなわち松山刑務所及び広島拘置所の状況について申し述べます。 まず、松山刑務所は、構内の作業場のほか、今治市に近い大井造船所において、民間企業の理解と協力を得て昭和三十六年以来、構外の刑務作業を実施しております。ここではただいま四十数人の被収容者が作業に従事しておりますが、彼らは犯罪傾向の進んでいない改善の容易な者でありまして、高松、東京、大阪その他の管区から集合した者であります。ここで彼らの起居する寮内の居室は鉄格子も錠もなく、またその寮生活の全般にわたって、ある程度彼らの自治が認められております。また、彼らは電気溶接、ガス溶断、クレーン運転等の技術を習い、多数の者が所定の資格を得ております。 次に、広島拘置所について申し上げます。 本拘置所は、未決の者の拘禁施設であるため、刑務作業は施設の維持管理のための自営作業と、分類調査中の受刑者及び余罪受刑者並びに請願作業の未決被収容者を対象者とする生産作業のみであります。また、教育活動の対象者は自営作業についている受刑者を中心に行われております。 刑事施設の視察に当たってなされた主な質疑の内容は、構外作業における作業費等をめぐる問題、被収容者の学歴、既決の者と未決の者との処遇の異同、拘置所に既決の者が収容されている理由、刑務所勤務職員と拘置所勤務職員との人事異動の状況等でありました。 次に、裁判所及び法務省の各機関の代表者の方から、それぞれ管内概況について説明を承りました。 まず、裁判所関係の昭和六十年度から六十二年度までの三年間の事件処理の状況を申し上げます。 広島高等裁判所の取り扱った民事事件、なお以下で民事事件と申しますときは行政事件も含めて申しますが、これらは全体として増加傾向にあります。また刑事事件は、昭和六十一年度は著しく増加しましたが、六十二年度はおおむね横ばいとなっております。 管内地方裁判所の民事事件について申しますと、民事執行の配当手続、不動産等及び債権等に対する強制執行の事件の増加が目立つほか、全体としてほぼ横ばいであります。 管内簡易裁判所の民事事件のうち、訴訟事件は年々減少傾向にあり、また調停事件は昭和五十八年十一月、貸金業規制二法の施行後は大幅に減少してまいりました。 管内地方裁判所及び簡易裁判所の刑事事件は全体上して横ばいであります。 管内家庭裁判所の家事事件及び少年事件は、全体としてやや減少ぎみでありますが、少年事件におきましては低年齢化及び女子のかかわる事件の増加傾向が注目されます。 以上で裁判所関係のあらましを述べましたが、いずれも事件の処理は順調に進んでおるということであります。 次に、検察庁関係を申し上げます。 最近の広島高等検察庁管内の犯罪情勢は、全般的には平穏に推移しておりますが、中には凶悪重大事犯、地方公共団体職員らによる贈収賄事犯等も少なからず発生しております。最近三年間の当管内の事件受理人員数は、道交法の改正により従来刑事事件として処理されていたものの一部が反則事件として処理されることとなったのに伴い、減少してまいりました。また、六十三年度は、起訴件数がやや減少し、不起訴件数が増加しましたが、これは、交通事犯の実情にかんがみ、悪質事犯に厳しく、軽い事犯には実情を酌んで対応するという検察当局の方針も要因であると存じます。 次に、広島法務局の管内状況を申し上げます。 当法務局管内の出先機関は、昭和四十五年には六支局、五十五出張所がありましたが、四十六年度からの登記所適正配置計画の実施により、現在八支局、十八出張所となりました。登記事件は、特に都市部周辺の登記所において急増し、内容も複雑化してまいるとともに、事務のコンピューター化についても本会計年度から始まり、種々困難な状況の中で移行作業が鋭意進められております。かかる状況でありますから、今後法務局の事務の円滑な運営を図るためには、さらに一層の諸条件の充実が必要である旨の強い要望があったのであります。 次に、保護観察所について申し上げます。 保護観察官の携わる職務の実情は、多方面にわたり、過重な負担となっており、それがため増員方を強く望まれたのであります。 また、更生保護会等の民間協力組織につきましては、かねて財政的基礎が不十分で運営の苦しいものが少なくないとして、その充実強化を要望されました。 次に、広島入国管理局の管内事情を申しますと、最近の業務の特徴としては、境港と北朝鮮との貿易が活発になってきたこと、韓国の社会経済の急速な発展に伴い、下関−釜山間の交流が盛んになったこと等であります。また昭和六十三年度は、入国事前審査業務が大幅に増加するとともに、下関港において不法就労を目的とする韓国人の入国を図る者の増加が目立ってきたということであります。 さて次に、関係機関の庁舎施設及び宿舎の営繕状況について申し述べます。 まず、裁判所関係では、庁舎はおおむね整備されており、宿舎も数においてはまずまずの状況と承りました。 検察庁におきましては、さらに一層の執務環境の整備が図られるよう要望がありました。宿舎については、都市圏はともかく、地方においてはいまだ不十分であり、特に若年独身者層の宿舎の充足率が低く、また既設の宿舎にあっても老朽化が進んでいるところが少なくないとのことであります。 次に、法務局関係につきましては、庁舎の緊急に整備を要する老朽狭隘のものが多数存し、早期の対応を望まれました。宿舎についても、出先機関が地方に分散するので省庁別宿舎の設置を期待されたのであります。 なお、以上の説明を承った際における主な質疑としては、宿舎を国が提供した場合と民間が提供した場合との賃借料の格差、先般行われた簡易裁判所統廃合の地域住民に対する影響の有無、暴力団対策、更生保護の業務に従事する団体等をめぐる状況等であります。 さて、今回の視察に当たりましては、御多忙中にもかかわりませず、資料の準備、その他数々の御配慮をいただきまして、関係の諸機関の皆様に対し、深く感謝の意を表する次第であります。特に、司法、法務の仕事は、矯正行政を初めとしてまことに地味な、かつ御苦労の多い分野であると承知いたします。ここにその御労苦を謝するとともに、この際、御便宜、御協力をいただきました関係の方々に対し、厚く御礼を申し上げる次第であります。
○委員長(塩出啓典君) 以上で派遣委員の報告は終わりました。 ただいまの報告に関し、法務省及び最高裁判所側から発言を求められておりますので、これを許します。高辻法務大臣。
○国務大臣(高辻正己君) 委員長を初め、委員各位におかれましては、平素から法務行政の運営につきまして格別の御尽力をいただいており、感謝申し上げます。 このたびは松山、広島管内法務省所管各庁を視察され、ただいま下稲葉理事からその結果についての報告を拝聴いたしましたが、法務省所管各庁の業務及び職員に対し温かい御理解を賜り、心からお礼を申し上げます。 私も、ただいま御報告のあった種々の問題につきましては、今後とも必要な措置を講じてまいりたいと考えておりますので、よろしく御指導、御支援をお願い申し上げます。 ありがとうございました。
○委員長(塩出啓典君) 金谷最高裁判所総務局長。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 法務委員会の諸先生方には裁判所の実情につきまして平素深い御理解をいただいておりまして、ありがたく存じております。そして、このたびは広島の裁判所を親しく御視察をいただきまして感謝している次第でございます。 ただいまは、その結果につきまして下稲葉委員からの詳細な御報告を承ったわけでございますが、広島の各裁判所におきましては、ここ一、二年、事件動向は落ちつきを見せたとはいえ、なお事件数は高原状態が続いておりまして、裁判官を初め職員一同、適正迅速な裁判の実現のために努めてまいっているところでございます。 私ども司法行政を担当する者といたしましても、今後御指摘の点を含めまして各裁判所の実情を十分に把握して、引き続き裁判事務の一層の円滑な運営に努力してまいりたいと、こう考えている次第でございます。今後とも一層の御理解をお願いを申し上げます。ありがとうございました。
○委員長(塩出啓典君) 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三分散会