農林水産委員会 第5号
- 発言数
- 216 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1989/06/21
会議録
○委員長(福田宏一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 農用地利用増進法の一部を改正する法律案及び特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、日本たばこ産業株式会社取締役原料部長新実和也君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(福田宏一君) 次に、農用地利用増進法の一部を改正する法律案及び特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律案、以上両案を便宜一括議題といたします。 両案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○一井淳治君 お米を初めといたしまして、最近農産物の価格が低下しがちだ、不安定な状況がございます。そういった中では農民の間で規模拡大の意欲というものが乏しくなっているのじゃないか、そういう点が心配でございますけれども、実情はどうでございましょうか。
○政府委員(松山光治君) 農産物価格が適正な水準で安定されておるということは、規模拡大にとっての重要な条件の一つであろう、このように考えるところでございますけれども、しかしながら、やはり経営規模を拡大するかどうかといったようなことにつきましては、そのほかの農業の将来見通してございますとか、現在の経営規模あるいはどれだけの労働力を保有しているかといったようなこと、機械装備の状況がどうかといったような個々の農業者をめぐりますもろもろの条件、そういうものにつきまして総合的な判断がなされて決断されていくのではなかろうか、このように考えられるわけでございます。 中でも、昨今の状況を踏まえて考えますと、やはり日本農業の将来につきまして、国民の皆さんが幅広く理解し、支持していただけるかどうかといったようなところについてかなり関心があるのじゃなかろうかというふうに考えられるわけでございますし、現にそういった認識のもとに、現在の厳しい状況の中におきましても、全国各地で経営規模を拡大して、何とか農業の生産性を引き上げていこうというふうに懸命の努力を行っておられる方が多数おられるわけでございます。 私どもといたしましては、こういった方々を支援するという基本的考え方に立ちまして、予算、金融、税制といったような各種の誘導措置を講じていきたいと思っておりますし、そういうことの一環として今回の法律改正もお願いしておるところでございます。
○一井淳治君 現在の、特に農業の将来の見通しについて確固たる判断ができない状況のもとでは、どうしても経済的理由から、言いかえますと、お金もうけだけから農業の規模拡大をする人は余り多くいないのじゃないか。現在、規模拡大なんかの努力をしておられるのはやはり農業に愛着を持っておる、農業の愛好家といいますか、あるいは自然保護に特別の関心を持っているとか、あるいは郷土愛を持っているとか、そういうふうに、農業に関連するものに非常に執着を持っている人たちが頑張っているのじゃないかというふうな気がいたしますけれども、そういう人たちを経済的な理由だけで物事を判断するのじゃなくて、農業にウエートを非常に重く持っている人、こういう人をつかまえて規模拡大をされることが大事ではないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(松山光治君) 現在各地で意欲的に農業に取り組んでおられる方、やはり押しなべて農業を愛し、農村生活を大切に考えておられる方だと思います。しかし、単なる趣味でというような方ではなくて、やはりそれを人間一生の生きざまとして考えて懸命に取り組んでおられる方々が大多数だと思いますし、私どもとしては、そういった人々の意欲をより一層かき立てるような方向でいろんな意味での支援をしていきたい、このように考えているわけでございます。
○一井淳治君 地域によりますけれども、農村部に参りますと兼業農家、専業農家、あるいは大規模小規模、いろいろな種類の農家の方が混在しておられると思いますけれども、今後農業の振興を図っていくということで、将来の農村像というものを農水省ではお持ちだと思います。将来農村の各地域においては、農家の構成、分担、協力関係がどういうふうになっていくのか、どういうイメージなりお考えを持っておられるのか、そのあたりについての御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 御指摘ございましたように、現在の農村社会の特徴の一つは、かつてのように農家として一色でとらえられる姿ではなくて、いろんな形で農家が分化しておるということにあるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。そういうことからいたしますれば、各地域におきまして全国的な動きを頭に置きながら、農家の意向とそれから地域の条件というのを見きわめていただきまして、地域の実情に即した構造政策の推進といいますか、農業のあり方を考えていただくということが非常に重要なのではなかろうかというふうに思うわけでございます。 その場合、我々として期待したいと思っております点の一つは、やはり昨今の状況を考えますときに、商品化される農産物の生産については、これこそが担い手だと言われるような個々の経営ないしは効率的な生産組織によりまして、その大半が担われるということが非常に重要な点ではなかろうかと思います。と同時に、特に稲作等につきましては現在の農村の状態を考えますと、かなり広範な自給を主とした農家層というのもやっぱり残存していくということになるのではなかろうかと思うわけであります。 そういうことを頭に置きながら、どういう形でそれでは各地域における生産のあり方を考えるかということでございますが、やはりまず何と申しましても非常に重要な点は今申しましたようなことで、地域農業の担い手になる中核的な農家を確保して、その規模拡大を図っていくということが非常に重要な課題になるわけでございますが、先ほどございました兼業とのかかわりで申し上げますれば、今兼業農家というふうに一応統計的に扱われている者の中にも、一種兼業を中心といたしましてそういった中核農家に含まれる農家の方が大勢いらっしゃるんだろうというふうに思います。 と同時に、兼業農家の中には、安定兼業農家として農業依存度の少ない農家も多数おられるわけでございます。こういった農家の方につきましては、その意向を踏まえながら就業機会の安定的確保を図りつつ、その保有する農地をできるだけ流動化を通じて、円滑に担い手に集積していくといったようなことが必要なのではなかろうかと思うわけであります。また、そういった個別経営の世界だけではなくて、地域によりましてはまとまりのある効率的な作業単位を形成していくという観点から、例えば専業農家が機械作業を担当いたしまして、兼業農家が補助作業を行うといったような形で、土地利用やあるいは農作業の面で、地域の農家が役割を分担いたしました集団的な生産組織を育成する、そのことを通じて地域農業全体の生産性の向上を図っていくといったようなことも重要ではなかろうかと思うわけでございます。 こういう考え方を持ちながら、今回の農用地利用増進法の改正に当たりましては、市町村によります地域の農業構造の改善目標を設定する、そのもとで農業委員会なり農協等、農用地の利用調整活動の活発化を図るといったような制度面での条件整備をお願いしておるわけでございますが、これによりまして、地域農業のあり方についての合意形成をできるだけ急いでいただく、そういう合意形成をベースにいたしながら、担い手農家の育成確保あるいは生産の組織化といったような課題に取り組んでいくことが必要ではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
○一井淳治君 もう少し簡潔にお答えいただいた方が、私どもも理解しやすくなると思うんです。 とにかく中核農家を確保して規模拡大をやるんだというお話が出てきますし、それからまた、米価政策など見ますと新算定方式を採用する。そういったものを見ますと、いわゆる小規模の農家は切り捨てて規模拡大をどんどん図っていくんだ、それが農政であるというふうな見方もできますし、また地域で営農集団とかあるいはただいまもお話がありましたけれども、優良な兼業農家を確保していくというふうなただいまの御説明もあったわけでございます。もう少し簡潔に言うと、各地域によってこれは違うのかもしれませんけれども、兼業農家、専業農家、大規模農家、小規模農家をどういうふうに、どういう構成であるいはどういう分担、協力関係で将来やっていくというお考えなのか、もう少し簡潔にわかりやすく御説明いただきたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 先ほど申し上げましたように、商品化される農産物の生産の相当部分を効率的な生産単位と申しましょうか、個別経営の場合もありましょうし生産組織の場合もありましょうが、そういう担い手によって担われていくということを頭に置きながら、その具体的な形は各地域の置かれた諸条件によって相当違うわけでございますし、かつまた、各地域の農家の意向によっても違うと思います。そういう今後の地域農業のあり方について各地域で具体的に考えていただく。もちろん地域によっては個別経営中心の地域もありましょうが、かなりの地域ではやはりそれぞれの農家が役割分担しながら、地域全体としての農業を考えていくということに相なるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
○一井淳治君 次に、農地の流動化の原因についてお尋ねしたいと思います。 特に、経済的に労力と収入のバランスといいますか、経済的にペイしないことが耕作をやめる重要な動機になっているのかあるいはそういったことではなくて、経済外的ないろいろな要素が農地の流動化の原因になっているのか、そのあたりの御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 過去五年間に農地を貸し付けた農家につきまして、どういう事情だったんだろうかという調査を私どもの方で昨年いたしたわけでございますが、その調査を見ます限りは、農地の流動化要因はいろいろとあるわけでございますけれども、出し手側の事情といたしましては、兼業化によります離農なりあるいは農業経営の規模の縮小、あるいは農業従事者の高齢化といったような要因が多いようでございます。もちろんそのほかに農産物価格の動きがひとつ気になっているというのもございますし、それから奨励措置があるからというようなものもございますが、概して申しますれば、やはり労力事情がかなり大きな状況になっておる、こういうことではなかろうかと思っております。
○一井淳治君 ただいま御説明がありました高齢化の問題でございますけれども、高齢化が原因で農地が流動化していっているというのが相当多いんでしょうか、どうなんでしょうか。 それからもう一つは、将来高齢化がどんどん進んでいくと思うんですけれども、ある一定の時点で、劇的に高齢者がふえていって一斉に農地を手放していくというような時代でも来るのかどうか、現在の状況と将来の見通しということについて御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 先ほどの調査でもやっぱり高齢で農業ができなくなったとか、後継ぎがいないとかという、そういう事情を挙げる農家がかなりございます。あとは兼業で忙しくなって農業に手が回らなくなった、こんなこともあるわけでございますが、そういう意味では農業従事者の高齢化というのは、一般的には農業労働力の不足につながってまいります。そういう意味で、農地流動化の大きな要因になり得るというふうに考えられるわけでございます。 今農業就業人口で六十五歳以上の方の占める割合、六十年の結果で二九%ということになってございますが、いろんな推計をいたしましてもかなりこの割合はこれから高まっていくというふうに考えられるわけでございます。そういう意味では、そういった高齢化が今後進むという事情は、農地流動化を進めていく上での非常に重要な一つの契機たり得るというふうに我々は認識しておるわけでございます。
○一井淳治君 将来一定の時点で、高齢化が原因で急激に農地の流動化が進むという、そういったことは別に考えなくてもいいんでしょうか。
○政府委員(松山光治君) 急激にということの理解の仕方かとは思いますけれども、やはりこれまでよりもテンポを速めるということでございますし、そういう意味では担い手の育成確保というふうな形での、あるいは生産組織の育成といったような形での各地域における実情に即した受け皿づくりというのは、非常に重要な課題だろうというふうに認識いたしております。
○一井淳治君 それから、農業をしていた、耕作していた方が離れていくにはいろんな形かあると思いますけれども、その場所にいて住所を変更しないで耕作だけやめてという形と、住所自体を異動して、例えば都会地へ移住していくというふうな形態もあると思いますけれども、いわゆる離農というのとですね、移住の実態についての御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 最近の特徴は、工場が地方に分散するといったような状況も背景にしながら、農家の世帯員で、在宅のままで他産業に就業するという方がふえておるわけでございまして、六十二年の数字によりますと、在宅のまま他産業に就職しております農家世帯員の割合が七九%ということで、八割近い状況に相なっております。
○一井淳治君 工場地帯とかあるいは都会地へ住所を異動していくという、そういったタイプは最近ではもう見当たらないんですか。
○政府委員(松山光治君) 他産業に就職しました者のうちの在宅者が八割近いということは、逆に言えば住居を移したのが二割ちょっとというようなことにもなるわけでございますが、ちなみに過去はどうだったろうかというのを見てみますと、例えば昭和四十六年の数字を見てみますと、農家世帯員で他産業に就職された方のうち在宅の形をとっておりますのが六六%弱というようなことでございますので、動きとしては、在宅の形で他産業に就業する方がふえておると言って間違いなかろうというふうに思っておるわけでございます。
○一井淳治君 農地の流動化を進めるということは、言いかえると離農された方の就業機会といいますか、生計を確保していくということも非常に大事ではないかと思いますけれども、農外収入の確保という関係から工場を農村地域に設置する等の就業機会、生計確保の状況と対策について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 御指摘ございましたように、農業構造の改善を円滑に進めていく上では、農地等の貸し手になります農家に対しまして安定的な就業機会を確保する、これはどうしても欠かすことのできない要件であるというふうに考えてございます。 そのための対策といたしましては、やはり政府全体として取り組む必要のある問題であると考えておりますけれども、農林水産省といたしましても、関係省庁あるいは経済団体等とも連携をとりながら、これまでも各般の対策を講じてきたところでございます。その中心になっておりますのが、昨年法律改正をお認めいただきました農村地域工業導入促進制度でございます。昨年の改正におきましては、従来の工業にのほかに道路貨物運送業でございますとか、倉庫業その他四業種を追加いたしまして、そういう業種についても、税制なり金融上の優遇措置を適用するといったような措置をとらしていただいたところでございまして、今この改正後の制度に基づきまして、農村地域への工業導入を計画的に促進しておるわけでございます。 その場合、なかなか企業が入ってこないというような問題もあるわけでございまして、そういうものに具体的に、どういうふうに対応していくかということが対策上の課題になるわけでございます。 問題点の一つといたしまして、企業側への情報の的確な提供というのも一つあろうかと思いまして、農工団地いわゆる企業導入を予定しております団地の具体的な情報を、工場進出を予定しております企業に提供していくシステムといたしまして、立地情報システムというのを農工センターに、六十三年度に設置することにいたしまして、現在その稼働が行われておるわけでございます。また、下請の施設のようなものの整備も重要な課題でございますので、これも六十三年度から新しい助成事業を行っております。 こういうことが農村地域工業導入促進制度を中心とする対策でございますが、そのほかに地場産業の振興に資する農産加工施設の整備でございますとか、観光資源の開発でございますとか、そういったものを内容といたします山村振興対策なり、定住促進対策等々の助成事業もあわせて行っておるところでございまして、こういった事業を各地域が主体的にうまく使っていただくことを通じて、地域における就業機会の安定的確定を図っていきたいと、このように考えておる次第でございます。
○一井淳治君 農村地域へ工場を進出させる等々の努力をいただいていることはわかるんですけれども、ただ農村地域に進出した企業が相当高額の給料を払い、退職金を払うことになれば、農民の方も安心して農業を全面的にやめてしまって工場に身を任せるというふうになると思うんですけれども、残念ながら最近の状況では、一つにはある程度高齢化した人たちが工場に就労するということもあって、勤務期間が短いために高額の退職金がもらえないということもあるんでしょうけれども、それだけではなくて、やはり大企業に比べたら退職金額が極めて少ない。それから日常もらえる、平常もらえる給料の額も低いというふうなことで、全面的に農業をやめるわけにはいかないからどうしても兼業になってしまう。そういうふうな中途半端な状況になっているのが実情ではないかという嫌いが強いと思いますけれども、そのあたりはいかがでございましょうか。
○政府委員(松山光治君) 労働条件の問題、関係省におきましてもその安定化のためのいろんな御指導なりをいただいておるわけでございますが、地域の事情あるいは企業の事情、また就業形態の相違等によってかなりさまざまであろうと思います。完全に農業から離れるといったようなことからいたしますれば、できるだけ就業条件も良好の方がいいというのは、これはもう当たり前のことでございますし、我々としても経済界の御理解もいただきながら、できるだけそういう方向で御努力いただきたいとは思っておるわけでございますけれども、やはり何らかの形での兼業という形が、単にそういう意味での経済的な条件からだけではなくて、労働力がやはりあるからというふうなことて男そことも間々まあろうかというふうに思っております。 そういうふうな場合には、先ほども申しましたようなことで、専業的な農家と兼業農家との間で適切な役割分担をしていただいて、生産の組織化を進める等によりまして地域全体としての生産性の向上を図っていくという方向で、各地域でいろいろ取り組んでいただきたいものだと、このように考えておるわけであります。
○一井淳治君 大規模経営に進むということは非常に望ましい一つの形態であると思いますけれども、そのためには全面離農と、工場に就職してもう全面的に田畑を放してしまうという人たちも出てこないと、なかなか大規模経営化が進まないのじゃないかという感じがいたします。 現実において、県なり市町村なりは、現在の状況ではまだ工場に来てもらうということで、企業に対して頭が上がらないわけで企業の労働条件が相当低くても、とにかく来てもらったんだから殿様だというふうな、そういう関係に地域の方はなっているというふうに思います。やはり地域の方では殿様に頭が上がらぬということがありますので、農水省の方では、今後地域に進出する企業の労働条件をよくするということを御配慮いただきたいというふうに要望したいと思います。 それから次に、農作業受委託に関連してお尋ねいたしますけれども、農作業をお願いする方の農家と、それから委託を受ける農家とお互いに今どのようなメリットがあるのか。それからまた、これが大規模経営の育成の観点からすればどういう役割を果たしているのか、そのあたりのことについての見解をお聞きしたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 農作業の受委託についてのお尋ねでございますが、これは農地なり労働力なり、あるいは機械、施設といったような地域農業の生産資源を適切に配分利用するということを通じまして、地域全体の生産性の向上を図っていく上では非常に効果的な手法の一つだと考えておるわけであります。 それぞれの農家にとってどういうメリットがあるのかというお尋ねでございますが、まず委託農家の方からいたしますと、これは経営の主宰権を手元に置きながら農業機械、施設等への過剰投資が避けられる。そういう意味では経営費の節約が図られるということが一つございますし、かつまた委託をすることによりまして生じました労力をほかの作目なり、あるいは他産業への就労に回していくというようなことも可能になるわけでございます。一方、農作業の受託者にとりましては、経営の主宰権はないわけでございますけれども、農業機械の稼働率が上がるわけでございます。そういう意味では農機具費の節約が可能になるわけでございますし、あるいは労力の完全燃焼が可能となる。こういうことで実質的な規模拡大が図られるということがまずあるわけであります。 さらにまた、各地の事例なんか見ましても、農作業の受委託を通じて養われました農家相互間の信頼関係ということが一つありまして、それを基調といたしまして利用権の設定に移行していくといったような例も間々見られるところでございます。私どもそういう意味では、今申し上げたようなプラスがあるわけでございますので、農作業受委託も重要な農地の流動化と申しましょうか、実質的な規模拡大を図っていく手法の一つと考えて、地域の実情に即してこれを取り進めていくことが必要ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○一井淳治君 農作業の委託を受けている方の農家ですけれども、何人かのオペレーターを賃金を払って雇ったり、あるいは家族労働以外の労働者を雇い入れているというふうなかなり企業化している状態があるのかどうか。そういったふうに相当の労働者の雇い入れをしておる状況があるとすれば、そういった人たちは常に仕事があるのかどうか。例えば、農繁期が済んでしまえばもう仕事がなくなってしまうとか、そのあたりのことについてお聞きしたいと思います。 もう一つは、今大規模経営の育成に有効なんだというふうに言われましたけれどもそういった現に大規模経営をやっている人たちが、今申し上げましたように何人も人を雇って大規模経営をやっている人たちが、現に零細な農家の受委託をやっているのかどうか。そのあたりの具体的な状況についても御説明をお願いしたいと思うんです。
○政府委員(松山光治君) やっぱり日本の農業の場合には家族経営が中心でございますから、今お尋ねのありましたような形態のものがあちこちでたくさんあるというふうな実情ではないだろうというふうに思っておりますけれども、特定の大型機械を使った作業を専門的にやっているような、そういう組織でありますとかあるいは経営というものも散見されるものというふうに思っております。おっしゃったように、季節性の問題が当然あるわけでございまして、今ここで具体的な事例を申し上げるちょっと例持っておらぬのですけれども、冬場の働きということを考えた集約的な作目も一部入れておるとか、いろんな工夫をしながら経営をやっておるという実例がたしかあったように思っております。 具体的な事例として、これは四国のある農家でございますが、経営面積、借地二ヘクタール余を含みまして四ヘクタールの経営を基本にしながらも、水稲の作業、これを受託で延べ十二ヘクタール弱やっておる。労働力としては、四十四歳の御当主とそれから女の方二人、これは御家族だと思いますが、そういう形態でございますとか、あるいはこれは各地にいろいろあるわけでございますが、集団として作業受託を受け、実質的な規模拡大をやっているという事例も間々あるわけでございます。
○一井淳治君 今回農用地利用増進法の改正がなされるわけでございますけれども、農用地利用増進事業と経営規模の拡大をどのように連携させながら規模拡大等を進めておいきになるお考えなのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(堀之内久男君) 今回法改正をすることといたしましたのは、農業構造の改善を一層促進するためには、地域農業のあり方についての合意形成を図りつつ、農業委員会や農協等による農用地の利用調整活動を一段と活発化することによりまして、農用地利用増進事業の一層の円滑かつ効率的な推進を図ることが必要と考えたからであります。今後は、法の改正の趣旨を踏まえまして、地域農業のあり方についての合意形成と担い手及び地域リーダーの育成確保、農作業受委託の促進を含めた多様な農地流動化の掘り起こし活動の強化、土地基盤の整備の推進、安定的な就業機会の確保等の課題に積極的に取り組み、地域の実情に応じまして中核農家の規模拡大や生産の組織化の推進に努めてまいりたいと存じております。
○一井淳治君 今回の改正では、農用地利用増進事業の実施を通じて促進すべき農業構造の改善に関する目標等を追加するということがなされるわけでございますけれども、この具体的な内容はどうなんでしょうか。
○政府委員(松山光治君) 今回の改正によりまして、市町村の定めます実施方針の中に、農業構造の改善に関する目標を新たに追加してもらおうというふうに考えましたねらいは、地域農業のあり方につきまして関係者によります合意が形成されておるということが、これから農業委員会なり農協等の関係団体が一体となりまして、農用地利用増進事業の円滑かつ効果的な推進を図っていく上で非常に重要なことであろうというふうに考えたからでございます。 この目標でございますが、これはやはり市町村が、全国的ないろんな指標あるいは情報がございますが、そういうものだとか各地の事例といったようなものを参考にしながら、当該地域の農業振興の方法、例えばコストを中心に考えていくのか、あるいは集約的な形で考えるのかといったようないろんな選択があると思いますけれども、そういった農業振興の方向なり担い手の状況なり就業機会、農地流動化の現状といったようなものを踏まえながら、関係者でよく相談して定めていっていただきたいと思っておるわけでございまして、その場合の目標の中身といたしましては、地域の実態に応じました営農類型ごとの経営規模の目標といったようなものを中心に考えてはいかがか、このように考えておる次第でございます。
○一井淳治君 そういうふうに定められた農業構造の改善に関する目標にマッチしない農業経営を地域でやるという人がおった場合、今農業構造改善に関する目標が定められるわけですけれども、この目標にマッチしない農業経営をその地域で実施しようとする人たちは規模拡大ができなくなっちゃうんでしょうか、どうなんでしょうか。
○政府委員(松山光治君)各地域でそれぞれの条件をよく考えながら、かつまた今回の目標作成に当たっては、やっぱり各地域の農家の意向というものも十分踏まえてやっていただく必要があろうと思いますから、規模拡大意向をお持ちの方は、やはりそれなりに各地域で合意された目標に向かって進んでいくものというふうに私としては期待したいわけでございますけれども、制度的に若干違いがある人について、そういう方の規模拡大が全くだめといったようなことをここでやろうとしておるわけではないわけでございます。
○一井淳治君 今回の農作業の受委託でございますけれども、こういったものを民間の農家に任せておるとなかなか能率的に行われないというので、仮に農協が受委託用のいろんなこの業務を始めるというふうな場合には、どうしてもそこに倉庫をつくったり、あるいは簡単な機械の修理工場をつくったりする施設が必要ではないかと思います。そうしますと、農村部におきましては、ほかに用地がありませんから、どうしても農地を購入して農協が農地の所有者となって、そこに一定の施設をつくるというふうなことが必要になってくるのじゃないかと思います。 また、特定農地貸し付けの関係で申し上げますと、都市部の人たちが土曜日ぐらいに何か耕作のためにやってこられる、そうすると当然そこには駐車場が要りますし、また農機具を保管したりする簡単な倉庫が必要でしょうし、それから簡単な宿泊施設というものも当然必要になってくるのじゃないかというふうに思います。そういうふうに農協がそういったふうな特定農地貸し付けを行う場合には、農協自身が施設を持っていろいろやっていかにゃいかぬ。ここでも農協が農地を取得して一定の目標のために所有、使用する必要が起こってくるというふうに思うわけです。 ですけれども、現在の法体系からいけば、農協がそういったふうなことをすることが法律上はちょっとできないという状況になっておりますが、これを私、昨年の五月二十四日の農水委員会でも一応要望したことがあるわけです。農協にそういったふうなことができるような権限を与えるということが必要ではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(塩飽二郎君) お尋ねの趣旨は、農協がその事業の一環といたしまして農作業受委託事業あるいは特定農地貸付事業の事業主体になって、そういう事業を推進する場合にどの範囲まで事業が可能か、農協の事業機能との関係での、どの範囲まで事業が可能であるかという御趣旨の御質問だというふうに理解をいたしたわけでございます。御承知のように、農協法で農協は組合員の自主的な共同組合組織であるという性格づけがなされておるわけでございますが、そういう前提のもとで、具体的に農協がなし得る事業機能というのは、農協法の十条で比較的限定的に列挙いたしているわけでございます。その中で、農作業受委託事業は、いわゆる営農指導事業の一環として農作業受委託というのが本来的にできるというふうになっているわけでございます。 今回の特定農地貸付事業は、従来農協法では事業機能として認められてなかったものを、新たに今回御提出いたしています法律の中で、新たなる機能として付加をするという趣旨で御提案申し上げているものでございますが、そういった従来からある事業機能、あるいは新たに追加する事業機能の範囲をどこまで解釈するかということに関連してくるわけでございます。 それぞれの事業機能は、その本来の事業のほかに、それに附帯をする事業という観念がございまして、附帯する事業も当然できるのだという建前で農協法は規定がされているわけでございますが、そういった附帯事業という観念でとらえなくても、本来の事業の範囲というものをその事業の性格あるいは趣旨からいって、適切な範囲内のものであれば本来の事業としてできるのである、附帯事業でなくて本来の事業としてできるのであるという解釈をとるべきであろうというふうに一般的に考えております。 特に、今御質問のございました農作業受委託事業あるいは特定農地貸付事業については、先生の方からお話のございましたような、例えば受託事業を円滑に進めるための機械の収容施設でございますとかあるいは修理施設、それから特定農地貸し付けの事業についても、それに関連するいろんな施設を農協みずからが設置をし、管理をして事業主体になるということが、その事業を推進する上で効果的に推進するゆえんになるというケースは当然想定されるわけでございますので、そういった事業施設の管理運営についても含む形で事業が行い得るように私どもは対処する必要がある。もちろん、その範囲の具体的な内容につきましては、個々のケースに即しまして適切に対応していく必要があろうかと思いますけれども、一般的にはそういうふうに考えておるわけでございます。
○一井淳治君 今回こういう法案ができるわけでございますけれども、これまでは農作業の受委託用の施設を農協が実施しようにも、残念ながらお許しがいただけなくてバイパスを設けるといいますか、例えば公社が一たん取得してこれを使うというふうな迂回を必要としたわけでございますけれども、この二法案の関係で、農協がみずから農地を購入できるという前進があったというふうに私お聞きしたわけでございます。それ以外にもう少し農協の権利能力といいますか、その範囲を拡張する、これは決してアパートを経営したりあるいは一般的な宿泊施設を経営するというのではなくて、市民が農村部にやってきてそこで農作業に親しむ、あるいは農耕をする人たちと交流するというふうな、最近よく行われている農村部との交流を深める意味でのリゾート関係の施設の運営とか、そういったきょうの二法案に直接は関係しないけれども、外周に関係あるというふうなものについても、農協が農地を購入して、そしてそういったものを所有して施設をつくり、運用ができるというふうな拡大はできないことでしょうか。
○政府委員(塩飽二郎君) 先ほどお応えの冒頭で申し上げましたように、農協の機能、事業能力につきましては、基本的には農協法の十条でそれぞれの事業を列挙して規定するという体裁をとっているわけでございますが、その事業そのものの範囲のとらえ方につきましては幅を持ってこれをとらえていくということで、農協の組合員の自主的な組織の性格に相反しない限りにおいて、それぞれの事業を弾力的に幅広くとらえるということは、当然これまでにもやってきておりますし、かつまたその本体の事業のほかに、それに付随して当然想定される事業は附帯事業という考え方で、その附帯事業をあわせ行うこともできるのだというとらえ方をいたしております。 例えば農協の典型的な事業として、貯金を受け入れる事業というのは当然あるわけでございますが、貯金事業しかできないということではなくて、それに伴いまして有価証券の保護預かりでございますとか、あるいは最もプリミティブな金融事業の一つである両替事業、そういったものは一つ一つ農協法には明示的に書いてございませんけれども、附帯事業としてそういうものはできるんだという解釈に立っているわけでございます。 したがって、今先生の方から具体的にお話のございましたような事業も、今申し上げた農協法に規定されておる事業のとらえ方を具体的なケースに即して判断すべきことであろう。その際に、私どもは農業の実態が相当動いてきておりますので、組合員のその事業の的確な運営という観点からこれを幅広く弾力的にとらえて対応していこうというふうに考えておるわけでございます。
○一井淳治君 農作業受委託施設にしてもあるいは特定農地貸し付けによる事業にしましても、やはり有効に使うためには相当規模の大きい立派な施設をつくらなくちゃいけない。そのためには農地を農協が取得するということも相当必要になるのじゃないか。また、あわせて農協は非常に経済的な基盤がこの二、三年内に厳しい状況に陥るのじゃないかというふうなこともありますので、そのあたりのことにつきましては極力弾力的な解釈、運営をお願いしたいというふうに思います。 次に、特定農地貸し付けについてでございますけれども、どういう地域でこれが実施されることを予定しておられるんでしょうか。
○政府委員(松山光治君) 特定農地貸付制度でございますが、農業者以外の方々の野菜なり花等を栽培して、自然に触れ合いたいという要請にこたえるために設けようとしておるものでございます。現状では、都市近郊を中心といたしましたいわゆる市民農園といったような形態のものが多いかと思いますけれども、これからそういうところだけではなくて、中山間も含めましてそれぞれの地域の実情に応じた取り組みが行われるのではなかろうかと、こういうふうに期待いたしておるところでございます。
○一井淳治君 需要についてはどの程度のことを予想しておられるんでしょうか。
○政府委員(松山光治君) この制度のもとで、どの程度特定農地貸し付けが広がっていくかということにつきましては、当然のことながら、これからの関係団体なり関係農業者なりの取り組みがどうなるだろうかということになるわけでございまして、なかなか予測が難しいわけでございますが、私どもといたしましては、やはり各地域の実情に応じ、かつまたニーズに即した形での本制度の積極的な活用を期待いたしたいと、このように考えておる次第でございます。
○一井淳治君 各農協が一斉にこれを実施されて、余り過度の競争にならないようなことを希望するわけでございます。 次に、「政令で定める面積」ということがございますけれども、これについてはどの範囲のものを予定しておられるのでしょうか。
○政府委員(松山光治君) 特定農地貸し付けに供します面積、まあ一区画という考え方をとりましたときの面積でございますが、もともと営利を目的としない農作物の栽培を目的とするものだというようなこともございまして、政令で定める面積の範囲内にとどめるというふうに考えておるわけでございますが、そういう政令で定める面積といたしましては、十アール未満とすることにしてはどうかと考えておるわけでございます。なお、これは個々の利用者に対する貸付面積の上限という性格のものだというふうに御理解いただきたいと思っております。
○一井淳治君 一反歩とすると、かなりの耕作機械などを使わないと個人では手に余るのじゃないか。それからまた、一反歩の草取りといえば、素人の人ではもう十日ぐらいかかるというふうに思いますけれども、具体的にどういったふうな使用がなされる予定をなさっておられるんでしょうか。ちょっと広過ぎるのじゃないかという気もするものですから。
○政府委員(松山光治君) 個々の利用者に対します貸付面積の上限を十アール未満ということにしたいと考えておりますゆえんは、今申しましたように営利を目的としない農作物の栽培であるという基本的な考え方のもとに、そう大きな面積であっちゃいかぬと。その場合、私ども念頭にございましたのは、御案内の農業目的のために農地を取得する、農地法三条によります取得面積の下限が定まっておるわけでございますが、一般的には五十アールでございますけれども、特例を認めてございます。この特例面積の最小が十アールだということ、それから農業委員会の委員の選挙権だとか被選挙権の基準も十アールだといったようなことを頭に置きまして、十アール未満にしたらどうだろうかというふうに考えておるわけであります。御指摘ございましたように、現在各地に開設されております都市近郊での市民農園と、それの実際の一区画当たりの面積ということからいたしますれば、確かに十アールというのは相当大きな面積でございます。 ただ、先ほども申しましたように、本法案は単に市民農園、いわゆる都市近郊におきます市民農園といったような形の利用だけを想定したものではございませんで、遠隔地型とでも申しましょうか、農山村の農地、遊休農地でございますが、そういうものを対象といたしまして、例えば滞在型で農村に宿泊する、そこで農作物を栽培するといったような形でありますとか、あるいはまた都会から山村に移住いたしまして別に業として農業をやるわけではないけれども、時季野菜を栽培したいといったような要望も見られるところでございます。こういったことも頭に置きましたときには、ある程度弾力的に各地域で対応し得るような余地を残しておいた方がいいのではないか、そういう意味で最大限の面積として十アール未満としたものでございます。私どもとしては、地域の実情に即しました適切な運用を期待したいと考えておりますし、またその線で指導してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○一井淳治君 次に、「定型的な条件」という言葉が出ております。余り定型化するとニーズに応じた対応が難しくなると思いますけれども、そのあたりはいかがでございましょう。
○政府委員(松山光治君) 今回の特定農地貸し付けにおきます定型的な条件でございますが、この特定農地貸し付けが公平かつ適正に行われるということを確保する上で、やはりどうしても必要な条件であろうというふうに思っております。その条件は、特定農地貸し付けを行おうと考えておる地方公共団体なり農協なりが、貸付規程の中でこれを定めまして農業委員会の承認を得ていただく、こういうことになるわけでございます。どういうことが定型的な条件として決められる人たろうかということでございますが、貸付規程では特定農地貸し付けの用に供します農地の一区画の面積をどうする、あるいは貸し付け期間をどうするか、貸し付けの対価をどうするか、貸し付け契約の解除条件をどうするか、何らかの作物の制限をするのかしないのかといったようなことが恐らく規定されるのだろうと思います。 私どもとしては、こういった条件は貸し付け主体が法令の範囲内で地域の自然的、社会的諸条件に即して具体的に決められていくということが一番望ましいというふうに思っておりますし、そういうことから考えますれば、定型化することによって現場のニーズに合わなくなるといったようなことではなかろうと思いますし、またそういうふうな決め方をしないでひとつ適正な運用をしてもらいたいものだ、このように考える次第でございます。
○一井淳治君 次に、営利を目的としないということが一つの要件となっているわけでございますけれども、私はこの営利を目的としないということは非常に疑問があるのじゃないかという感じがするわけでございます。つまり、十アール未満ということで、極端にいえば一反近くのものが許されるとなりますと、仮に一坪に一本果樹を植えたら三百本ですね。二坪に一本植えても百五十本果樹ができる。そうすると、例えばジャムをつくってもどえらいジャムができて、一軒の家では十年たっても食べ切れないようなことになると思うんです。やはりこれは友人やあるいは親戚に配るということがあっても大分余るんじゃないか。多少は営利目的というのはまあ大目に見ないと、本当の楽しい農園というものはできぬのじゃないかというふうな感じがします。 それからもう一つは、さっきも広さのところでもう少しお聞きしたかったんですが、ここに小屋を建てるというぐらいの、その他利用のイメージといいますか、その他についてもうちょっとお話を聞かしていただいたら幸いだと思いますけれども。
○政府委員(松山光治君) 営利を目的としないというのは、貸し付けを受ける者が収穫物を販売することを目的としない、こういう趣旨でございます。先ほども申しましたように、十アール未満というのはそういうものでなくちゃならぬということではございませんで、あくまでも現場の事情に即しまして弾力的に対応していただくための上限でございます。やはりこういった営利を目的としないという考え方のもとで、特定農地貸し付けを行います主体が、どの程度の区画の面積にするのが法の趣旨に合うものかというのを具体的に判断していただく、こういうふうに御理解をいただいたらいかがだろうかというふうに思っておるわけでございます。 それから、この特定農地貸し付けの対象になる農地の周辺にといいましょうか、何か小屋とかあるいは別荘のようなものがどうなるのだというふうなお尋ねでございますけれども、日本の農地事情との関係からいたしますれば、都市近郊での市民農園的なものに、農機具の格納庫でありますとかそういったものがあるということは当然あり得るわけでございますし、私どももそういうものについての支援を行っておるところでございますけれども、何か人が住むような小屋といったようなもの、居住施設といったようなものはちょっとなかなか考えにくいのかなというふうに思います。 ただ、私どもこの構想を明らかにいたしましたときに非常に関心をお持ちいただいた向きとして、山村といいましょうか、過疎化が進みまして農地がかなり遊休化しているというふうな地帯で、ある程度居住できるような施設との連携を保ちながら、少し特定農地貸し付けみたいなものを考えていったらどうだろうかというふうなことに関心をお持ちの村長さんもいらっしゃいました。この辺のところは、その地域地域の事情に応じまして、どういう形で考えていくのが一番適当なのか、具体的に考えてもらいたいというふうに思っておりますけれども、私どもとしては、その場合に、やはり政府が趣旨とするところを十分わきまえた上で的確に進めてもらいたいというふうに考えておる次第でございます。
○一井淳治君 ヨーロッパなどに行きますと、週休二日制が定着しておりますから、一般の労働者の方も郊外に行って土いじりをしている場合が多いように思います。そういったところを見ますと簡単な別荘はもう自分でつくってしまう、それで相当広いところへ果樹や野菜やらつくっておって、そういったものをかなり横流しと言ったら悪いんですけれども、売って現金収入を得ているという人もあるようですし、また向こうのアルコール規制がどうかよく知らないんですけれども、ブドウあたりを使ってお酒をつくっているというふうなところも見たことがございます。この特定農地貸し付けがそういったふうな方向に発展していくこともあるのじゃないか。私は、それが非常に好ましい一つの姿ではないかというふうに思います。 そうなるためには、ちょっと現在の法律では、定型的な運営ではつぶれてしまうのじゃないかというふうな気がいたしますけれども、将来この特定農地貸し付けがどういうふうに運営され、成長していくかということを注意深く見守りながら、場合によっては、また法の改正などして発展するように御配慮をお願いしたいというふうに思います。 それから、農地の税制でございますけれども、市街化の農地については特別の税制度がございますし、それから相続税につきましては、農地についてはこれまた特別の税制度がございますけれども、本件の特定農地貸し付けの対象となった農地についてはどういうふうなお取り扱いになるんでしょうか。
○政府委員(松山光治君) お尋ねの土地税制との関係につきましては、なかなか経過のある話でもございますので、若干お時間をいただきたいというふうに思うわけでございますけれども、まず相続税の納税猶予制度との関係でございます。 御案内のように、被相続人の農業の用に供されておりました農地等につきまして、相続人が引き続き農業経営を行うというふうに農業委員会が認めました場合には、農業投資価格を超えます部分の相続税の納税が猶予される。さらに二十年間営農を継続いたしました場合等、一定の要件を満たした場合にはこれが免除されるというのが相続税の納税猶予制度の中身でございます。この制度は、御案内のように自作地が主体の我が国の農業経営におきまして、相続時における経営の細分化を防止するための特例措置ということで、みずから農地を所有し、農業経営を営んでおる農地についてだけ認められるということであるわけでございまして、そういう意味では特定農地貸し付けに供してみずから耕作しないということになります場合には、この納税猶予制度の適用がないということになるわけでございます。 そこで、私どもとしましても、貸し付け型の市民農園にすきまして、この問題をどういうふうに考えていくかといろいろと実は検討してきたところでございますけれども、その適用対象を貸し付け農地にまで拡大するということは、今申しましたようなことでできておる制度でございますので、納税猶予制度の根幹に実はかかわる問題だという問題が一つあるわけでございます。さらに、農業以外の中小零細企業との関係からすると、均衡を失するじゃないかといったような税制上の御議論もございまして、そもそも農地を農業者に農業目的で貸し付けるという場合にも、この納税猶予制度の継続が認められておらない実は実情にあるわけでございまして、そういう意味からいたしますと、貸し付け型の市民農園の適用というのは実現の見通しの立っておらない、極めて難しい問題だと申し上げざるを得ないわけでございます。 ただ、この際申し上げておきたい点は、今般の相続税の税制改正によりまして、相続税の基礎控除が二倍に引き上げられることになりました。そういう意味で、農業地域におきますほとんどの農地を初めといたしまして、相当程度の農地がこの特例措置の適用を必ずしも必要としない、こういう状況になったのではなかろうかというふうに思っているわけでございますけれども、かなりの程度の市街化区域内農地については、必ずしもそう言いにくい実情にあることはそのとおりでございます。 市街化区域内農地の税制全体の話は、総合土地対策要綱にもございますように、これから市街化区域内農地の問題全体としてひとつ見直し、検討していくということになるわけでございますが、今申し上げましたようなことを勘案いたしますと、地価の著しく高い都市地域で市民農園を開設するに当たりましては、相続税との関係では、農地所有者がみずから開設いたします、これまでやっておりましたいわゆる入園契約方式で実施するように指導していくというのが現実的ではなかろうか、実はこのように考えておるわけでございます。 そのほかに、お尋ねの長期営農継続農地制度の点の関係の話もあるわけでございます。御案内のように現在の長期営農継続農地制度、昭和五十七年に制度化されたものでございまして、現に耕作の用に供されてかつ十年以上営農を継続することが適当であるということで、市長の認定を受けましたものにつきましては、農地課税相当額を超える部分の徴収を猶予いたしまして、設定後五年ごとに引き続きちゃんとした農地として保全されておるという場合には納税義務が免除される、こういうような仕組みに相なっておるわけでございます。 特定農地貸し付けの用に供される農地につきましては、これは一般の農地と同じように耕作の用に供されるには違いないわけでございますが、非農業者であります都市住民が営利を目的としない形で使うということに相なりますれば、営農に供されると言えるかという実は議論がございまして、やっぱり長期営農継続農地として設定されました農地が、地方公共団体等に貸し付けられるといったような場合には、この徴収猶予が取り消されることになるという、そういう扱いになるように承知をいたしておるわけであります。 ただ、これから申し上げますような場合には、宅地並み課税に対する実は特例扱いがございます。一つは、生産緑地法の生産緑地として指定された場合、これは農地として利用されておれば農地課税が行われる。また、公共あるいは公用に供するために市町村等に無償で貸し付けた場合、これも非課税になるわけでございまして、現に市町村が今入園契約で開設しておるものの中には非課税扱いになっているものも幾つかあるというふうに承知をいたしておるわけでございます。 したがいまして、当面は今申し上げましたような扱いの話になっていくわけでございますが、これもまた御案内のとおり市街化区域内の農地の税制面の扱い、これから総合土地対策要綱に基づいて宅地化するものと保全するものの区分けをはっきりさしていくという、基本的な考え方のもとに必要な見直しをやっていく、こういう政府としての扱いになっているわけでございます。私ども、いろいろと経緯のある話でございますし、なかなか扱いの難しい問題でございますが、今申し上げましたような経緯も踏まえながら、幅広い観点から、これから慎重に検討していきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○一井淳治君 私の地元では池がかりの田という言葉がございますけれども、この池がかりの田の水源でありますため池の対策について、簡単な御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 全国にかなりのため池がございます。そのうち受益面積五ヘクタール以上というようなため池でも四万六千ほどの箇所があるわけでございますが、もともとつくりました年代が古いものが多いわけでございまして、そういう意味では改修の必要のあるものが多いわけでござます。 したがいまして、私どもといたしましては、このため池の改修を行うというためのため池整備事業というのを実施いたしておりまして、平成元年度におきましても約千三百地区で事業を実施しておるところでございます。なかなか私ども防災の面を含めまして重要な課題であるというふうに考えてございまして、平成元年度でも対象ため池の拡大を図る。こういうことで採択面積の引き下げを行うことにしておりますほか、地元負担にかかわります起債措置も新たに認められるといったようなことで、制度の拡充を図りながらこれの円滑な推進を進めておるところでございます。
○一井淳治君 水田というものは、一遍破壊されてしまうと再度水田に戻すことが非常に困難になるというふうに思いますけれども、やはり水源の確保というものが非常に大切ではないかと思います。ため池につきましては、最近は部落での共同作業をだんだんしなくなってきたということもありますし、高齢化や米の値段が下がりぎみであるというようなことから、どうもため池の管理がだんだんおろそかになっているのじゃないかという感じが強いわけでございます。今もお話があったわけでございますけれども、できるだけこれまでもため池対策をなさっておられるわけでございますが、非常に件数が多いわけでございますので、できるだけこのため池対策を拡充していただきたいというのが一つのお願いでございます。 もう一つは、今申し上げましたように、どうしても部落共同体での管理がおろそかになっておりますので、水害のおそれがある。昨今のような梅雨の中で大雨でも降りますと、突如堤防が切れるおそれもあるというふうなこともありますので、これに対する監視ということも十分にしていただきたいというふうにお願いしたいわけでございます。 この二点につきまして御所見をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 御指摘がございましたように、ため池の災害を未然に防止していくということは非常に重要な課題であるというふうに考えておるわけでございまして、先ほども申しましたように、改修の必要なため池については、できるだけその改修を積極的に進めていくという考え方で対応しておるわけでございますが、今後も必要な予算の確保を含めまして積極的に対応していきたいというふうに考えております。 なお、管理の問題についての御指摘もあったわけでございます。ため池の管理は、規模によりまして県が管理しているもの、市町村が管理しているものあるいは土地改良区といいましょうか、部落で管理しているもの、さまざまでございますが、かなり土地改良区のようなところで管理していただいている部分が多いわけでございます。 今体制の問題についての御心配の話もあったわけでございますが、私ども、一般的には土地改良区がしっかりした形でやっていただくことが、ため池のみならず土地改良事業の円滑な推進、あるいは土地改良事業でつくりました施設の維持管理という面からも非常に重要だというふうに考えてございまして、合併も含めました土地改良区の育成対策といいましょうか、そういうものに意を用いてきているつもりでございますが、これからもその点について格別の努力を行いたいと思いますと同時に、指導面では日常の点検管理はもちろんでございますが、特に台風なりあるいは梅雨どきの豪雨といったようなことの時期になりますれば、特段の、細心の注意を持った管理が必要な状況にあるわけでございまして、実は先般も都道府県を通じて管理に万全を期するように指導をさせていただいたところでございます。御指摘の点を踏まえまして、これからも適切な対応を図っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○一井淳治君 今回新しい法案が作成されるわけでございますけれども、従来からありましたものも含めまして、市民農園の振興について農林水産大臣の御所見をお伺いさしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(堀之内久男君) 最近国民の余暇の増大や価値観の多様化に伴いまして、都市住民の農業の体験や自然への触れ合いの要請が高まっております。このような要請に適切にこたえていくことは、国民の農業、農村に対する理解を深める上に、そしてまた地域の活性化と遊休農地の利用の増進等を図る上で極めて有意義であると考えております。 このような観点から、これまでも入園契約方式による体験農園あるいはレクリエーション農園の開設の促進や農業構造改善事業等を活用した休憩施設、かん水施設等関連施設の整備を進めてきたところでありますが、このたび本法案の成立を契機に、さらに広く国民のニーズにこたえようと考えておる次第でございます。
○委員長(福田宏一君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。 午後零時二十四分休憩 —————・————— 午後二時開会
○委員長(福田宏一君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農用地利用増進法の一部を改正する法律案及び特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律案、以上両案を便宜一括議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○刈田貞子君 午前中に引き続き農地二法について質疑をさせていだだきます。 私は、まず大臣に今後の構造政策の基本的な考え方というものをお伺いするわけでございますが、構造政策というのは価格政策とあわせて日本の農政の重要な二つの柱だというふうに私は思いますけれども、その中で構造政策、特に今必要とされていることは、やはり農地の流動化を進めて規模拡大を進めていくというようなことが、今重要な問題になっているだろうというふうに思います。 四十年代ですか、四十年代には、私勉強するに、いわゆる所有権の移転という形で土地が動いていた傾向にあったんだろうと思います。それが五十年代に入って利用権というふうなものへ移っていく、五十五年に基本になる農用地利用増進法というものができてきたわけでございますが、そういう中でさらに現行の農政が立ち至っている立場で、構造政策というのは非常に重要な意味を持つというふうに思いますので、まず大臣の基本的なお考えを伺いたい、このように思います。
○国務大臣(堀之内久男君) ただいま先生の御指摘のとおりでありまして、我が国経済の国際化の進展等に対応いたしまして、農業構造の改善を促進するためには地域の実情に応じて農地の売買や貸し借り、あるいは農作業の受委託などを進め、中核農家の規模拡大や生産の組織化等を促進する必要がございます。 このような観点から、農用地利用増進法を基軸といたしまして、地域農業のあり方についての合意形成と担い手及び地域リーダーの育成確保、農作業受委託の促進を含めた多用な農地流動化の掘り起こし活動の強化、土地基盤の整備の推進、安定的な就業機会の確保等の課題に積極的に取り組んでいくことといたしております。元年度においても、予算、金融、税制等の各般にわたる関係施策の一層の拡充を図ったところでありますが、さらに農業委員会や農協等による農用地の利用調整活動を活発化するために、今般このような農用地利用増進法の一部改正法案を御提案いたしておるところであります。
○刈田貞子君 そこで話を進めますが、今回の法改正によって直ちに農地の流動化に加速が加わり、規模拡大が進むかという問題でございますけれども、私思いますのには、なかなかそういうわけにばいかない要因がまだ周りにあるのじゃないかというふうに思います。例えば昭和三十八年ごろから日本の高度成長期に、やはり土地というものに対するこれまでの考え方が都市部で変わってきた、その影響が農村部にもあらわれてきたというようなことから、私が思うには、農村部においてもかなりの土地保有意識というものが根を張ったのじゃないか。 資産価値を含めた土地に対する一つの保有意識というか、執着というか、そういうものがかなり根づいた。こういうものが今かなり動きつつあるのかというような問題とか、あるいは水田に至っていえば転作の強化の問題であるとか、あるいは水田を持っていて奨励金をもらった方がいいという奨励金の問題のことであるとか、それからさっき、構造政策と相まって価格政策の話をいたしましたけれども、農産物価格の低迷というような問題が果たして流動化にどういう関係を持ってくるだろうか。さらには、大きな課題でありますところの農産物の自由化の問題といった、挙げれば阻害要因というふうに考えれば言えなくもない周辺の問題というのはたくさんあります。まずこの点ひとつ局長にお伺いします。
○国務大臣(堀之内久男君) ただいま刈田先生の御指摘のように、農村では確かに農地というものに愛着を持っておる、何としても手放したくないという傾向というのは、これはもう全く御指摘のとおりであります。私自身が農村地帯にこうしておりますが、最近はこういうように農業者年金あるいは国民年金という、いろいろな年金政策が非常に充実をしてまいってきておりますので、特に農業者年金等の受給資格を持っておられる層となりますと、後継者のいない方々はこの農用地利用増進法が施行されて以来、相当数大体は農業委員会のあっせん等によって規模拡大をしようという、いわゆる担い手農家にだんだんこうして移譲というか、貸し付けという形でなされておる実態は多いところでございます。 私自身もこういう立場になりましたから、私も子供が田舎にはおるんですが、まだ農業やっておりません。したがって、ほとんどやはりそういう担い手の農家に、農業委員会のあっせん等によって全部貸し付けという形をとっておる。 したがって、私はこの農地の流動化というのは、売ろうということになるとちょっと問題があるかもしれませんが、私は時間がやっぱりある程度必要だと思います。今後の流動化そして規模拡大の集積の度合いというのは、これからが私は急速に進んでいくのじゃないかと、こういうように思っております。私が農村におる実態から考えてそうであります。 あとは局長の方で全国的な傾向があろうと存じますので、局長から答弁させます。
○政府委員(松山光治君) 今大臣の方から現地の実態を踏まえたお答えがあったわけでございますが、先生御指摘ございましたように、これからの農地流動化問題を考えるに当たりましては、今先生からお話のありましたような問題も含めまして、いろんなことを総合的に考えながらやっていかなきゃいかぬのだろうというふうに考えております。 一体どんな点が農地の流動化を阻害しているんだろうかという点でございますけれども、いろんな要因がそれぞれの立場の人によってあるわけでございますが、これまで私どもが承知しておるかなり一般的な要素として考えますれば、今先生からもお話のございましたような農地の資産としての保有意識の問題でありますとか、あるいは老後の生活に対する備えという点から、やっぱり農地に執着があるというような事情が一つあるようでありますし、それからなかなか貸したら返ってこないという意識が、これは農用地利用増進事業を制度化したことによって相当制度的にはなくなっているはずでございますけれども、そういう不安を持っている現実があるわけであります。 あるいは地域によりましたらなかなか安心して任せられる人が少ないといったような事情もあろうかと思います。そのほか基盤整備が未整備だといったような事情、あるいは農産物の価格問題その他もろもろの事情があるわけでございますが、ただ私ども、その面のほかに御案内のとおり兼業農家が増加する、しかも安定的な兼業という形で農業依存度が低下するといった事情、また生産力の規模間の格差がかなり拡大してきているという実情、それに労働力の高齢化といったような流動化に結びついていくような、そういう要因も別途進行しておるわけでございます。 そういう意味では、今回の法律が成立をいたしますと一挙にそのことだけで相当流動化が活発になると期待したいところではございますが、現実はなかなかそうもいきかねるといたしましても、私どもとしては、今回の法律改正を契機といたしまして関連する諸施策を適切に運用しながら、各地域で積極的なひとつ流動化のための促進活動とでも申しましょうか、そういったことが繰り広げられて法改正の趣旨が実現することを期待したい、このように考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 そのほかにたくさん周辺要因というのはありまして、私もそれはもう単品でみんな時間をかけてお話し合いしなければならないというふうに思うくらい、まだまだこの改正案だけで事が足りるということでは決してないだろうというふうに思います。 それから、今お話に出ております基盤整備の問題にしても、確かに基盤整備をすれば農地の付加価値はついてくるけれども、実はそこにたくさんの借財が残っていたとかいうような問題とか、それからまた先般私、去年でしたか、局長とやりました小作料の問題なんかについても一遍お話し合いをいたしましたけれども、そんなふうな問題とかまだまだありますと思います。 それからもう一つは、規模拡大、農地の流動化を図って規模拡大をと言うけれども、一体政府が考えている規模拡大というのはどの辺の規模拡大を考えておるのかというふうなことがやっぱりありますよね。これは、私が考えますには決して一律ではない、地域、方面、その事情によって全部違うだろうと思います。 最近、私地方を歩いておりますと、政府は規模拡大規模拡大と言うけれども、我々も指導のしようがないんだ、というのは何となく基準がないからだ。むしろその基準を知っているのは我々地元の農業委員会あたりなんだ、こんなふうなことをよく言うくらい規模拡大によって得られるスケールメリットというのはやっぱり地域によって違うと思うんだけれども、確かにこれが今問われておりますね。 これは答弁必要ないんですけれども、私の雑談でやらしていただくと、本当に五、六ヘクタールを過ぎるともうスケールメリットは出てこないんだなんていう話さえ出てきておるわけです。こういうふうな信憑性についてもやっぱり政府機関としては場面場面で、そういうものについてきちっとした示唆を与えていかないと、現実には何となく地域の人たちが考える地域の尺度で物が動いている、こういうことになりかねないんじゃないかなというふうに私は思いますものですから、今あえて雑談をいたしました。 時間もないので、価格政策のことで私は一つ。 当面、目の前に控えております米価の決定に当たって、新しい米価算定方式というものが、さっき大臣の口からも出た担い生育成というようなことにも非常に大きくかかわってくるのじゃないか。受け手がないということは、これは規模拡大も成立していかないということにもなりますから、これはどうなんだろうかなということを大変考えます。この新米価算定によれば、少なくとも一〇%ぐらいの価格引き下げに結びつくのではないかとごく単純計算して思ったりいたしますし、また米価算定のこうしたものが新しく取り入れられて米価が毎年下がるというようなことになれば、各地で計画しているところの担い生育成計画みたいなものにも私は影響が出てくるのじゃないか、貸し手はあるけれども借り手が掘り起こせないというようなことにならないのかどうなのか、お伺いします。
○政府委員(甕滋君) 米価に関係する御質問でございますけれども、私ども米価決定をめぐる状況としましては、米の需給は依然として過剰基調にございますし、海外からは米の市場開放要求も続いている。こういった中で米を自給するという方針につきまして国民の理解と支持を得ていかなければならないということが基本的な認識としてあると考えております。そのために、稲作の生産性を一層向上させまして、農業経営の安定を図りながら国民の理解し得る価格で米を安定供給していく、こういったことが課題となっているのではないかと考えております。 そこで、米価政策につきましては、こういった考え方に即して運用していく必要があると思いますが、現在生産費所得補償方式ということで算定を行っておりますことは御案内のとおりでございます。そこで今後とも、この生産費及び所得補償方式を継続していくといたしますと、これからは生産性の高い農家らしい農家が稲作の相当部分を担うようにしていく必要がある。また、そういった稲作の担い手層が実現している生産費を基礎に米価を算定することが必要である、こういうふうに考えておるところでございます。 本年産の米価の決定も間近に迫っておるわけでございますが、これはそういった生産費でございますとか、最近時点におきます物価、労賃、こういったものの動向を十分踏まえまして、これから算定してまいりますから、それがどういうレベルになるのか私どもとして予断を持っておりませんけれども、少なくも生産費所得補償方式にのっとって具体的に算定いたします場合に、現に実現されている担い手層の生産費が基礎になるということからいたしましても、担い手の育成がそういったものの中で図られる、それが阻害されることにはなるまい、こういう考え方を持っておるところでございます。
○刈田貞子君 まだ本年度の米価の決定というのは確たるものが出ておりませんので、私どもも何とも言えないんですけれども、いろいろ取りざたされている中でこういう問題が非常に危惧される、きょうの法案にかかわって言えば非常に危惧されるということを申し上げておきます。 法案そのものの中身に触れて次にお伺いいたしますと、今回の改正案では、要するに市町村が農業構造の改善に関する目標、これを定めるということになっていますが、この目標、さっきちょっと同僚議員の中にもお答えがありましたけれども、一体目標というのは具体的に何なのかということですよ。それからまた、これにかかわる関係機関、そういうものの意見をどのように反映されるのかという問題をまず伺います。
○政府委員(松山光治君) 農業構造の改善に関する目標でございますけれども、市町村が、先ほど先生から御指摘がございましたような、各地域にとって示唆になるようないろんな諸指標あるいは情報というものを我々も提供しながら、そういうものを各地域で参考にしていただきながら、各地域の農業振興の方向なり、担い手の状況なりあるいは就業機会なり農地の流動化、もろもろのそういった要素を踏まえて具体的に定めていただくことになるわけでございますが、この場合も、私ども考えております目標の内容といたしましては、地域の実態に応じました、営農類型ごとの経営規模の目標といったようなものを中心に考えていったらどうだろうかと思っておるわけでございます。 この農業構造の改善に関する目標は、御案内のように市町村が農用地利用増進事業を実施いたします場合の実施方針の中に定めるという形をとってございます。既に、この実施方針につきましては、その作成に当たりまして市町村が農業委員会と農業協同組合の意見を聞くということになっておりますので、当然のことながらこれを定めるときにはそういうことになるわけでございますし、それにとどまらず、やはり地域における関係者がこういう方向で頑張ろうという、そういう意味での合意形成が非常に重要だと思っておりますので、そういう意味では地域の農業者の意向が十分反映されたものになるように指導していく必要がある、このように考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 この後また、各関係機関のかかわりについてお伺いするわけですけれども、私がそういう質問をした下敷きには、やっぱり持っていき方いかんによっては行政主導型になりかねないというところも考えられるということで、より地域のコンセンサスを強力に吸い上げる分だけ成功率が高いわけですから、そういう意味からいけば決して集団行政管理型になってはいけない、こういうことを下敷きに持っているので、そういう質問をしたわけでございます。 そこで、今市町村という話を出しましたが、次にこれにかかわって今度は農業委員会が出てきます。これは、いろいろいただいた資料で、今回の改正案の仕組みの図を一生懸命見てみるんですが、これなかなかそれぞれの関係団体が果たす役割というか、これが法律用語でいきますと難しいんですね。そこで、具体的にお伺いいたしますけれども、農業委員会、それから今度農協がかんでくる仕組みが出てきましたね。そして合理化法人もかんできます。こういうものがそれぞれ果たす役割と、それからそれぞれが一番いい関係になるにはどういうことに留意するのかというところをお伺いしたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 今回の法案改正後の、農用地利用増進法の体系におきます関係機関なり団体の役割分担のことでございますが、今ちょっと先生の御質問にはなかった分で中心になりますものとして、市町村が実はまずございます。市町村が農用地利用増進事業の事業主体として増進事業の推進に当たるわけでございますし、今回の法律改正におきましては、農業構造改善の目標等を内容といたしました実施方針の作成をやる。特に、農業構造改善の目標というのを追加するというのが一つありますし、かつまた農業経営規模拡大計画の認定によりまして、地域の農業の方向づけといったようなこともやっていくという仕事も新たにできてきたということになるわけでございます。また、遊休農地の所有者に対する勧告といったような新しい役割も一つつけ加わっております。 お尋ねのございました農業委員会でございますが、農地管理を担当する行政機関という立場で既に農用地利用増進計画につきましての適格性の審査を行って、農業委員会の決定がなければ農用地利用増進計画が効力を発せないという、そういう仕組みに相なっておるわけでありますけれども、今回の改正によりまして、規模拡大計画につきましての認定を受けました農業者から申し出がございましたときに、その申し出に基づいた農用地の利用調整活動を行っていくという任務が明定されたわけであります。また、遊休農地の所有者等に対する指導を行う、こういう任務も一つ加わっております。 また、農業委員会のいわば上部機関ともいうべき都道府県農業会議でございますが、これは広域的な観点からの農地利用調整という観点で、関係の農業委員会に必要な資料の提供等を行うというような役割が明定されております。 農業協同組合でございますが、これは従来から一定の農地利用調整活動を行ってきておるわけでありますけれども、今回の法改正によりまして新たに役割が明らかになりましたものといたしまして、営農指導事業を通じて農用地利用調整を行いまして、その結果がまとまってまいりましたときに、市町村に農用地利用増進計画の策定を申し出ることができるような仕組みが一つ加わっております。そのほかに、農作業の受委託のあっせんでございますとか、受託者の組織化といったような仕事を努力していくんだというような役割も明定されたところでございます。 農地保有合理化法人でございますが、これは御案内のように、農地保有合理化促進事業の実施を通じまして、農用地の利用調整の円滑化にこれまでからもいろんな形での重要な役割を果たしてきておるわけでございますけれども、今回の法改正によりまして農業委員会が農地の利用調整を行う中で、必要があればひとつ農地保有合理化法人に加わってほしいという話をいたしまして参加してくるといったようなことのほかに、遊休農地の所有者等に対する買い取り等の協議を通じまして、遊休地を中核的な農家につないでいくという、そういう新しい役割も加わっておる、こういう状況でございます。 今先生から御指摘ございましたように、現実におきましては村のいろんな機関、団体がそれぞれ活動していただくわけでございますけれども、やはりそれぞれの機関、団体がおのおのの役割分担をきちっと頭に置いていただきながら、連携を持った密接な活動を必要とするというふうに考えてございます。そういうこともございまして、地域農業の持っていき方についての合意形成をまず行った上で、その目標の実現に向かって各機関、団体に一致した努力を要請したい、こういう趣旨で、御案内のように今回の法律の十六条では、これら三つの機関が農用地利用増進事業の円滑な推進に資することとなるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めるものとするという趣旨の訓示規定を設けさせていただいたわけであります。 具体的な運用面では、私どもやはり今、市町村段階に構造政策推進会議という会議形態の場を用意してございますが、そういう場を通じて関係機関の間の意思疎通が十分に図られるように指導してまいりたい、このように考えているところでございます。
○刈田貞子君 私が、そういう質問をした意味は、関係諸機関が自分たちが持っている機関の正しい機能のさせ方をしないと、逆にかえって混乱をしていくのではないかということを思うので、私余りいろんな団体、またこの後改善団体の役割も出てくるわけですけれども、お伺いしているわけですね。 私は、農村社会の細かい部分のところまでなかなかまだ入り込めないでおりまして難しく思うんですけれども、一番考えておかなければいけないことは、やはり調整組織というものとそれから生産組織というものとは、これは混同してはいけない。つまり本当はそうじゃない、法律に基づいてやっているんだからそうじゃないんだけれども、だけれども見られ方によっては、ああすればあいつに利益がいくからということが考えられなくもないという勘ぐりもありまして、やっぱり生産組織と調整組織というのは、厳密にその分をわきまえなきゃいけないんじゃないかというふうに思うものですからそういう質問をしているわけですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(松山光治君) そこは御指摘のとおりだろうというふうに思っております。 今回の法律改正のもとでも、農地利用の調整に当たる機関、組織といたしましては、農業委員会なりあるいは農協なり農地保有合理化法人ということになるわけでございますし、生産を担当するのは個別経営であったり、あるいはそういった個々の経営の横のつながりでございます集団的な生産組織、こういうことが基本になっていくというふうに考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 そうすると、その次の農用地利用改善団体、これは農用地利用法に基づいて出てきている一つの組織だと思いますけれども、改善団体の役割はどういうふうに考えればいいか、どういうふうに評価なさっているか。
○政府委員(松山光治君) 農用地利用改善団体自体は、その地域内の農用地につきまして権利を持っておる農業者等の三分の二以上の人が参加いたしまして、自主的に作付地の集団化でありますとか、農作業の効率的な実施でありますとか、あるいは農用地の利用関係の改善等の農用地の有効利用を推進する団体でございまして、これ自体が、例えば生産法人というような形での生産機能を果たすというよりも、どっちかという場合、今の農用地の利用を一緒に考えていくという性格の強い組織というふうに御理解いただいていいんじゃなかろうかというふうに思います。
○刈田貞子君 これはそうすると、生産組合なんかが代行しているというケースはないんですか。
○政府委員(松山光治君) 農業経営までやっているというような形ではございません。地権者の集団でございますから。そういう意味では、農業者の集団には違いございませんけれども、どういうふうにしてお互いに協調しながら自分の持っている農地をうまく使っていくか、あるいは貸し借りをどうやっていくかといったようなことを相談しながら、そういう約束事を農用地利用協定の形にしていく、そういう団体だというふうに御理解いただきたいと思います。
○刈田貞子君 もう一つ、集落の中のいろいろな問題として私が申し上げてみたいのは、小団体、小組織がいろいろな機能を持って動くわけですけれども、最終的には組織とかそれから集団というよりは、いい農村経営あるいは集落の経営をしていく、あるいはいい形で土地の流動化が進んでいる、あるいは団地化が進んだというようなところの成功例を見ると、そこにやっぱり優秀なリーダーがおったという事例をたくさん見てきています。 そこで、ほかの法律にはそういうことが出ていないんだけれども、いろいろな組織の機能を強化したりその連携を密にしたりということも非常に大切ですけれども、実際の現場ではそういう有能な地域のリーダーを、リーダーシップをとれるようなリーダーをやっぱり必要とする。それが実は土地の集積というようなことにも、あるいは今後の構造政策にも大きな役割を果たしていく点ではないかというふうに私は思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(松山光治君) 御指摘ございましたように、農地の流動化にとどまりませず、村づくりの面におきましても立派な業績を上げられておるところには必ずしっかりした人がいらっしゃるというのが実態だと思います。そういう意味では、地域におきますリーダーの問題というのは非常に私どもも重視をしておるところでございまして、そういう観点から地域リーダーの養成あるいは育成確保、その活動についての助成といったようなことについてもこれまで予算面でも意を用いてきたつもりでございます。
○刈田貞子君 そこで今の、人に合わせて物を考えていきますと、大規模農家の規模拡大とかいうようなことに集落とかあるいはまた集団、今言ったようないろいろな集団ですね、そういうものがかえって足を引っ張る、さわりになっていないかというような説もあります。また、そういうこともある会で私は研究発表で聞いたことがあるんです。 そこで、これは農用地の問題なんかが、農用地利用法なんかが出てきているころからの基本的課題だろうとは思いますけれども、やっぱり集団というものと、それから一つの優秀な個を育てるということ、こういうこととは非常に相矛盾する、何といいましょうか、カテゴリーというんでしょうか、そういうものを持っていないだろうかどうだろうか。これはどうでしょうか。
○政府委員(松山光治君) 日本農業はやっぱり家族経営が主体の農業構造でございますから、そういう意味では個々の経営がしっかりしたものになるというのが基本だろうというふうに思います。と同時に、昨今の農業・農村事情のもとでは、現実に農村の中におきまして、専ら専業的に農業をやっている方と、兼業にかなり傾斜した方といったような分かれができてきておるわけでございますし、かつまたそういった農家間の役割分担とでも申しましょうか、つながりをうまくとりながらやっていくという意味での集団的な生産活動が重要であるということも否定できないところでございます。 ただ、その集団活動をやる場合にも、その中に核になる人がいるかどうかということで、かなり集団活動の中身にも違いが出てくるのであろうというふうに思うところでございまして、そういう意味では、集団の中における個の確立という問題は非常に重視してしかるべきことではなかろうかというふうに思います。 そのほか、農場形態をとっておりません日本の農村の実態におきまして非常に難しくなってまいります点は、個々のないしは今先生のお話では大規模経営、いわば集落の中での折り合いをどういう形でつけていくかといったような問題はあるわけでございますし、間々なかなか難しい問題が起こっているというふうなことも耳にはするわけでございますけれども、分散錯圃的な耕地の形態をとった中でいかに効率的な生産をやっていくかということに相なりますれば、やっぱり規模拡大農家と周辺の農家との間で十分な話し合いを行いまして、地域農業の経済的、自然的、社会的な諸条件に即して、現実的な解決を図っていっていただく以外になかなか適当な道もないんじゃなかろうかと思うところでございまして、そういう観点で、地域におきます農地利用調整なり、地域農業の推進の方向が円滑を期せられるように必要な指導を行っていきたいと思っておる次第でございます。
○刈田貞子君 集団と個という問題は、ひとり農村社会のテーマだけではございませんけれども、とかくそういうことを危惧いたす部分がございます。 次に、個々別の問題についてひとつお伺いするんですが、利用権の再設定の問題です。再設定の問題がどのぐらいの比率になっているかということですけれども、いただいた資料でいろいろ見てみますと、かなり進んでいるのとそれからもう一つの特色として利用権の設定期間が長くなってきていますね。これは私は、ある意味でそういうものが長期化するということは、どういうんでしょうか、貸し手の方が耕作するということにもう戻らないということの意味ですから、ある意味では非常に借り手にとっても安心感が出てくるということになるだろうというふうに思うんです。 今私がいただいている資料でございますと、大体六十三年末で十年以上のもの約四割というふうに書いてございますのをいただきました。今後設定期間、これはどんなふうに推移するんだろうかというような問題もこれからは大きな課題になっていくだろうと思う。それが一つと、それから既に契約期間が過ぎて、それを再設定ないしは継続するというようなものも出てきておる中で、再設定をしなかったものというのもあるわけですね。こういうのも含めてこの再設定の問題と、それから長期化してきている現象への御意見というのを伺いたい。
○政府委員(松山光治君) まず、再設定の問題でございますけれども、今先生の方から御指摘ございましたように、昭和五十年代の終わりには再設定率が約六割でございましたけれども、最近はそれが上がってまいりまして七割近いものになっておるわけでございます。 そういう意味では、継続性という点で非常に好ましい状態になってきておると思うわけでございますが、私どもの問題意識といたしましては、残りの約三割強、これはそれぞれの御事情がございまして御自分で耕作される場合もありましょうし、いろんな形態のものがあろうかと思いますけれども、中にはやっぱり、ちょっと再設定をうっかりしているというふうなことも間々あり得るんだろうと思うわけでございまして、そういう意味ではできるだけ再設定率を上げていくということが農地の継続的、安定的な利用という観点からは好ましいことでございますから、今後の農地流動化の掘り起こし活動の推進に当たりましては、その点十分頭に置いた活動を現場で期待いたしたいと思っているわけでございます。 次に、設定期間の問題でございますけれども、利用権の設定期間、もともとはなかなか貸したら返してもらえなくなるという不安を除去するという意味で、どちらかといえば、比較的短期のものであっても市町村が間に入ることでひとつ安心をしてもらう、あるいは短期を繰り返していくという形で安定さしていくといったような考え方もございまして、この事業が始まったというふうに理解いたしておるわけでございますけれども、おかげさまで五十五年以降十年近い年月を経まして、この農用地利用増進事業のもとで利用権の設定をいたしました場合には、返してもらえるという安心感がかなり普及したのではないかと思いますが、今先生お話のございましたように、既に六年以上が六十三年十二月の段階の数字といたしまして七八%、そのうち十年以上が四割近いというふうな利用権の設定期間の長期化が見られるわけでございます。これはやはり農業経営の安定という点からすれば非常に好ましいことでもございますし、私どもとしては無理のない形で、しかしできるだけ安定的な耕作が可能になるような利用権の設定が行われるということをこれからも期待していきたい、このように考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 それから次は、農地流動化助成金の問題ですけれども、六十三年に前のを受けて農地流動化助成金という名前に変わりましたね。だけれども、これをまた今度、平成元年からは農地流動化助成金交付事業が終了する市町村を対象にして流動化対策事業に連動させるということが出ていますね。私がお伺いしたいことは、この助成金というような形をとってやはり農地の流動化を進めざるを得ない要因がまだ残っておるのかということです。いかがですか。
○政府委員(松山光治君) お尋ねの農地流動化助成金でございますが、これは農地の流動化を促進いたしますために、担い手の農家に農地を貸し付けた方に、何と申しましょうか、一種の踏み切り料的な感覚で交付してきたという経緯があるわけでございます。いつまでこういうことをやるかというあるいは御疑念があるのかもしれませんけれども、今の農村の実情その他を考えますと、この助成金が農地流動化に果たしておる役割、引き続き非常に大きなものがあるというふうに考えてございます。 ただ私どもは、この交付に当たりましてはできるだけ効果的な形でこれを実施したいという考え方で、農地を中核的な担い手にかつ面的にまとまった形でまた安定的な貸し付けを行うという方向で、そういう方向に政策誘導するという観点も含めまして必要な見直しを行い継続実施しておるところでございます。
○刈田貞子君 それから、遊休農地の問題ですけれども、今回のこの法案ではいわゆる遊休化している農地に対して、私文言で読む限りにおいてはいささか強引であろうと思われるような措置もちょっと書いてあるように思うんですが、これは都会でいえば、私が私の土地をどうしておこうと勝手でしようというような論議もありまして、これは農地というのは独得な性格を持っておりますから、今回のこの遊休化している農地に対しての措置はわからなくはございません。わからなくはございませんけれども、いろいろな意味で、財産権の保障の観点から言ってもいろいろあるだろう。この辺に対するむしろ留意点というふうなことはどうでしょうか。何に注意しつつ、なおかつ法律に書かれているあの手のものがやれるのか。よくわかりますけれども、いかがでしょう。
○政府委員(松山光治君) 今回第十一条の三で措置することにしたいと考えております遊休農地に関する措置でございますが、これは法文上も明らかになってございますように、疾病でございますとか災害といったような正当な理由なしに耕作を放棄されている土地であって、かつ周辺の農用地の効率的な利用を図る上で、その遊休農地も含めまして一体的に利用することが特に必要な場合に対象にする、こういう考え方がまず基本にあるわけでございます。と同時に、そのやり方につきましても農業委員会の指導でございますとか、市町村の勧告あるいは農地保有合理化法人の買い取り協議といったような形で、あくまでも強制措置を伴うことなしの所有者等の合意を前提にいたしました行政指導のレベルでの措置であるというふうに考えております。 財産権との関係のお話もあったわけでございますけれども、御案内のように土地の所有と利用の関係をめぐりましては、昨今の土地問題全体の中で、これは政府の「総合土地対策要綱」の中にもそういう考え方が既に明らかになっておるわけでございますが、土地の所有には利用の責務を伴うという考え方がやっぱりだんだんと出てきておる。私どもの今回の措置も、言ってみればそういった限られた農用地でございますから、特段正当な理由もなしに、しかもそれをうまく使うことで地域の農業の発展に役立つのであればひとつ格別の所有者の御理解、御協力を得たいという、こういう措置として考えておるわけでございます。したがいまして、やはりこの措置を発動するに当たりましては、よく土地所有者に事情をお話しして御理解をいただきながら進めていくということが基本でなければならないというふうに考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 だから今後はこの法案が通れば、例えば該当しないのに耕作放棄をしているという理由を省令で今度決めるわけでしょう。そういうふうなときにも、この中に何と何と何を含ませるかというようなこともこれからやはりある程度含みを持たせて検討しなければならないし、また遊休農地所有者等が、正当な理由がなければ農地保有合理化法人に呼び出されて協議をするというようなことを拒めないという正当な理由のあり方、そういうようなものもやっぱり勘案しなければいけないのじゃないかなということを思いますので、意見として申し上げておきます。 あと、時間がございませんので、こっちの例の特定農地の方にちょっと入らしていただいて一問だけお願いいたします。 まず、今回の法案は農業者以外の者の農地利用の要請にこたえて農地法の権利移動統制を一部緩和する、こういうことだと思うんです。それを単なる規制緩和ということではなく、レクリエーション農園のような形に発展させるためには、大臣はどんな抱負をお持ちですかということが一つ。 そして局長の方には、農協にしてもそれから地方自治体にいたしましても、その土地を確保するについてはそれなりの予算措置が必要だろうと思いますので、その辺の予算措置はどのように考えられておるのか。 以上、二点お伺いをして私の質問を終わります。
○国務大臣(堀之内久男君) あるいは先生の質問の趣旨に的確に答えられないかも、ちょっとこれは迷っているところでありますが、最近は国民の余暇の増大や価値観の多様化に伴いまして、都市住民の農業体験あるいは自然への触れ合い等の要請が非常に高まっておるわけであります。このような要請に適切にこたえていくことは、国民が農業、農村に深い理解を深めるとともに、地域の活性化と遊休農地の利用の増進を図る上でも極めて有意義であると考えております。 このような観点から、これまでも入園契約方式による体験農園なり、あるいはレクリエーション農園の開設の促進や農業構造改善事業等を活用いたしまして、休憩施設、かん水施設等、関連施設の整備を進めてきたところであります。このたびこの法案を提出し、さらに広く国民のニーズにこたえようと、こういたしておるところであります。
○政府委員(松山光治君) レクリエーション農園に関連する予算措置の扱いでございますが、今先生から御指摘がございました土地の取得費用を助成するというのは、ちょっと今の助成体系になかなかなじみにくいところがございまして、今度の特定農地貸し付けの場合でも、農協はそもそも組合員の農地を借り受けるという形でございますし、地方公共団体についても所有権を取得する形のほかに、農家から農地を借り受けるという形で土地の手当てをする、こういう形を予定しておるわけでございます。 今大臣からもお話がございましたように、これから農園の整備を進めていく上で私どもお手伝いを特に必要とするなと思っております点は、農園の整備でございますとか、土地の整備でございますとかあるいは関係する施設の整備の問題でございまして、これは今大臣からもちょっとお話がありましたように、新農業構造改善事業でも既に着手をしておりますし、六十三年度の予算でも農業構造改善モデル事業の中で、新しい事業も地域資源整備活用型農業構造改善事業というふうに仮称しておりますが、そういう予算も予定しておるところでございまして、こういうことを通じてレクリエーション農園の適切な開園が行われるようなお手伝いをしていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 終わります。
○下田京子君 私、まず最初に申し上げておきたいのは、農地二法全体でわずか一時間なんです。こんなことはありません。でもって局長、よろしいですか。答弁は端的に手短にお願いしたいと思います。 最初にですが、今回の農地二法が提案されましたその背景でございます。農水省にいただいたペーパーによりまして、「農用地利用増進法の一部を改正する法律案骨子」、ここにこう書いてあります。「農業の生産性の向上を図ることにより、可能な限り内外価格差の縮小等に努め、足腰の強い農業構造を確立することが喫緊の課題」、そのために農用地利用増進法を改正するんだということを言っております。まさに構造立法だなというふうに思います。 そこで、私が確認したいのは、この手のものなんですけれども、農政審答申で一九八〇年十月の「八〇年代の農政の基本方向」、ここには内外価格差の縮小、これを露骨に構造政策の中には織り込んでなかったと、かように私は理解しているんですけれども、御確認ください。
○政府委員(松山光治君) いわゆる五十五年の農政審答申かと思いますが、その中には「農産物の内外価格差への配慮」という一項がございまして、価格差が大きいその問題への対応の必要性と書いてございますけれども、いろんな施策を講じまして「内外価格差を極力拡大せず、できれば少しでも縮小させる努力を払っていかなければならない。」、こういうふうに書かれておるわけでございます。
○下田京子君 配慮するということですから、露骨に内外価格差の縮小というふうな形で、そして農用地利用増進というふうなことはうたっておりませんでした。これが出てきたのはやっぱり前川リポートです。前川リポートの中には明確に、着実に輸入の拡大を図る、そのことによって内外価格差を縮小していくんだ、そのために農地の流動化もやるんだというのが出てきています。この前川リポートを受けて明確に内外価格差、そしてそのための農地の流動化等構造政策問題が出てきたのが八六年十一月の農政審答申、「二一世紀へ向けての農政の基本方向」であると理解しています。間違いないですね。
○政府委員(松山光治君) 五十五年の農政審報告の当時に比べますれば、経済の国際化の程度もかなり違ってきておるわけでございますし、かつまた円高という事情がずっと進展をいたしましたから、これはもう先生御案内のとおりでございますけれども、国民の皆さんの農産物の内外価格差問題についての関心が、これまた著しく高まったという事情があったかというふうに認識をいたしておるところでございます。
○下田京子君 国民の中でも消費者の多くは、それはできれば安いものをと言いますけれども、基本的には国内で食するものは国内で自給するという立場でありますから、露骨に内外価格差云々ということを農民の生産性も無視してやれなんということはだれも望んでおりません。前川リポートの中に出ているのが、自由化を強引にやって農産物価格を引き下げていこう、こういうことになっております。今否定しませんでしたから、問題は露骨に出てきたのがやはり前川リポートにあるということだと思うんです。 そこで、今の八六年の報告なんですけれども、ここには優良農地の確保、この問題がなくなっているんですよね。少なくとも八〇年十月の農政審答申の中には優良農地の確保というのが掲げられていたはずです。そうですね。——そうなんですよ。今回の農地二法と一緒に出された大変問題なのは農地転用許可基準の大幅緩和通達です。この通達には以下のようなことが書いてあります。御確認ください。 一つは、ゴルフ場を原則許可する。ありとあらゆる転用はほとんど認める。例えば国道、県道に面している農地は第一種農地であっても転用許可、そうですね。
○政府委員(松山光治君) 今回農地転用許可基準につきまして見直し改正を行ったわけでございますが、今回の改正の趣旨は、現下の農業、農村をめぐる事情、その中での農村の活性化が必要になってきておるという事情なり、あるいは都心に集中しております機能の地方への分散の必要性が高まっているといったようなことを踏まえながら、必要な農地の確保と土地の計画的な利用ということをきちんと頭に置きながら、一言で申しますれば村が必要とする農地転用についてはできるだけ弾力的に対応し得るような道を考えていこう、こういうことで見直しを行ったわけでございます。 若干中身に入らしていただきますと……
○下田京子君 結構です、中身は。通達通達、確認。
○政府委員(松山光治君) 通達の今のお話の点を触れるにつきましても、ちょっと中身を申し上げないといかぬわけでございます。
○下田京子君 いやいや、結構です。いただいているんですからそっくりもう。
○政府委員(松山光治君) なお、お話のございましたゴルフ場の扱いの点でございますが、これは従来ゴルフ場というのは不要不急の施設としてほかの施設よりもずっと抑制的に扱うという形をとってございましたが、昨今のゴルフの普及その他も考えますと不要不急の施設という扱いはいかがであろうかということで、一般の施設と同様の扱いをすることにいたしたということでございます。
○下田京子君 私は、今の転用基準の改正、運用の改善ということでの通達そのものをいただいているんです。だから内容は承知している。今質問ですから確認をいただくために御答弁を求めたんです。 そのゴルフ場の問題もさることながら、国道から県道に面している農地でしかも第一種農地ももう転用許可になるわけです。さらに詳しく言えばこれは切りがありませんけれども、かつて田中角榮氏の「日本列島改造論」、これが出たときでも国道周辺だけを対象にしておりましたよ。ところが、それが県道にまでいっているという問題、しかも第一種農地まで対象になっているということ。さらに、土地基盤整備事業完了後八年たっていなくとも地域活性化という抽象的な名前さえつけば、これも転用が認められるということになるんです。 ですから、今回の法改正というのは通達が先にあってもうどんどん転用が認められているという状況なんです。それらを具体的にいみじくも指摘しているのが、今年度予算で転用相談事業というものが出されていると思います。その予算書の説明の中には何て書いてあるか。自由化に伴い効率的な利用が見込めない農地等の多面的利用のための相談活動だ、こういうふうに言っていますよ。ですから、平たく言えば今後自由化によってますますつくるものがなくなる、だから農業以外に多面的に農地を活用する。つまり転用してどんどん農地をつぶして結構、どうやって農地が高く売れるか、そういうことがやっぱり出されてきた背景にあると私は思いますけれども、全くそうではないと言えますか。
○政府委員(松山光治君) 国県道の扱いの話は、モータリゼーションという現下の状況の変化に各地域で弾力的に対応していくための措置でございますが、ちょっと誤解のないように申し上げておきたい点は、これは第一種農地を含むにつきましての許可対象にし得るケースを地域が必要とするものに限って拡大したということでございまして、自動的に許可になるものではございません。当然のことながら目的実現の確実性でございますとか、位置の問題でございますとか、一般的な審査基準にかけまして真にそのことが地域にとって必要かどうか、あるいは周辺の農地に悪影響を及ぼさないかどうかということを見きわめた上で許可していくものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。 それから、転用相談室の問題でございますが、御案内のようないろんな事情の中で転用問題というのがいろいろあちこちで出てきております。その中には遊休農地がふえてきているというふうな事情もございましょう。いわば村の土地を村の立場で一番有効に利用していくという観点から、転用も含めて農地の多面的な利用を考えていく場合にどういう形でするのが一番円滑を期せられるか、やっぱりここはひとつ窓口でも設けてじっくりと相談に乗った方がいいのじゃないか、こういう趣旨、ねらいに出るものでございますので、ひとつ御理解を賜ればありがたい、このように考えております。
○下田京子君 ある人は言っていますよ。とにかくもう農業関係の予算はどんどん削るわ、でもって転作案件がないままで減反は押しつけるわ、価格は引き下げるわ、もう何にもやるものがないから、農民が多大な借金抱えているという中で何とか農地が高く売れるような最後のあめとでもいいますか、そういう農地引き出し法、吐き出し法ではないか、こう言われている人もおりますが、これは指摘しておきます。いずれにいたしましても、食管と絡んで農地というのは農政の二本柱、大事な農政がどうなるのかという点で重大な問題であります。 そこで、具体的にですけれども、農地管理のあり方でございます。私が言うまでもございませんけれども、農地法の目的は何でしょうか。農地はその耕作者みずからが所有する、これが最も適当であるというふうに言われていると思います。そして、公選制の行政委員会であります農業委員会が農地の権利移動を一元的に管理されている、そこにあると思うんです。これが戦後農地改革の成果の問題としてずっと維持されてきたことだと思うんです。 大臣、私は今回の法改正に当たってこうした公選制の行政委員会であります農業委員会が農地を管理して有効利用を図る、この理念は今後も変わらないというふうに信じたいんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(堀之内久男君) 全くそのとおりだと思っております。
○下田京子君 ところが、今回の農用地利用増進法改正案、この理念にかかわる重大問題を含んでいるんです。今回の改正で、これは農業委員会のみならず農協がもう一つの農地管理主体として位置づけられたと思います。この農地管理の仕事を農協も受けるということ、これはどういう意味を持つかということで確認したいんですけれども、従来農協は農地管理上どのように位置づけられてまいりましたか。
○政府委員(松山光治君) 農地管理とおっしゃる場合の意味内容にもあるわけでございますが、大臣からお答えいたしましたように、農地法あるいは農用地利用増進法に基づきます農地等の権利移動の許可なり利用関係の調整といった行政的な権限、これは今回の法改正におきましても農業委員会がちゃんと主張していく、こういうことに相なっておるわけであります。農地にかかわる活動といたしましては、農業委員会はこのほかに農地流動化のための諸活動についても重要な役割を果たしておるわけでございますが、農協につきましても従来から組合員に対する営農指導事業の一環といたしまして農地の利用調整活動を行っております。これまでの数次の農地法改正におきましても、例えば農地信託事業でございますとかあるいは農業経営の受託事業といったような事業の活動主体として位置づけられてきておるわけでございます。
○下田京子君 もう農地信託にしましても、農業経営受託事業にしましても農地法で言う農地管理と私は質的に異なるものだと、こう理解していますよ。農地保有合理化法人は、全く例外的に今までも認めてはきましたが全国で二事例しかありません。詳しくは述べませんけれども。ところが、今回の法改正は一歩踏み込んで農用地利用増進計画の作成が農協で申請できる権利を与えているわけです。そこが違っているわけでしょう。これまで農地の権利調整の権限というのは農業委員会一本だったと思うんですよ。農協はいわば協力するという形をとっていたと思います。 これは、個々の農協がいいとか悪いとかという問題を私は指摘しているわけじゃないんであって、農協というのは主たる仕事がどこにあるかといいますと、確かに農業経営上転作ブロックローテーション云々などというのもございますけれども、どちらかというと経済金融事業、こういうものが中心になってきております。担保にとった土地を金融資産として管理する性格が非常に強くなってきているわけです。ですから、負債整理のために農業収益がどうであろうと、無関係にいわばその農地ができるだけ高く売れればいいというような事例を間々引き起こしやすいわけですね。そういう点で、やはり今回の法改正でもって農協が農地管理上大きく位置づけられるというふうなことは非常に私は問題を含んでいるのではなかろうかと思うんです。 そこで確認したいんですけれども、農協が合理化法人の資格を取っても、現にどのくらい希望があるかといったら全国で百前後の農協が法人資格を取ろうとされておりますから、それでもう賃貸関係だけを扱うことにして所有権にはタッチさせないという方針であってしかるべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(松山光治君) まず、農地保有合理化事業の関係でございますが、制度的にはこれまでからも農協も農地保有合理化事業を一定の条件のもとでやれるという仕組みにはなっておったわけでありますが、一種の事業面の分野調整的なことで御指摘のように二カ所でやってきたわけであります。今回関係団体の総力を挙げて構造改善の問題に取り組む、農地利用の流動化問題に取り組むというそういうことを進める中で、農協につきまして条件の整ったところで、これは組合員のための農地の有効利用というようなこともございます。賃借権に限りまして農地保有合理化促進事業の事業主体としてやっていただこう、こういう考え方で進めることにいたしておる次第でございます。 なお、先ほど御指摘のございました、今回の法律改正に伴いまして農協が農用地の利用調整を行いました結果、案がまとまりますれば、市町村にこういう案でひとつ農用地利用増進計画をおつくりいただいたらどうだろうかというふうに申し出をする仕組みも一つ新たに入れましたけれども、これはあくまでもいわば農用地の利用調整の一つの形として規定をいたしておるわけでございまして、その申し出を受けまして市町村が農用地利用増進計画を作成いたします。それが農地法に照らしてあるいは農用地利用増進法に照らして適正かどうかという、そういう意味での農地管理の面でのチェックは農業委員会が行い、農業委員会の決定がなければその農用地利用増進計画は有効なものにならない、こういう仕組みになっておるということをひとつ申し上げておきます。
○下田京子君 仕組みはわかっているんです。だから、所有権にはタッチさせないということで法律的にきちっと担保するのかあるいは通達行政なのか、どうなんだということを伺っているんです。明確に。
○政府委員(松山光治君) 制度的には地域の合意がございますれば所有権にわたりましてもやれる形になっておりますけれども、今申しましたように通達でそういう扱いにしたい、このように考えておるところでございます。
○下田京子君 そうなんですよ。ですから一片の通達でしかわからないわけですから、結局は所有権の移転までタッチするという格好になっていくわけです。やっぱり問題であります。 次に、農業生産法人とそれから構成員、これらが農地取得にどうかかわるかです。現行法では農地取得には農業生産法人がかかわることはできましたね。今回の法改正によって農業生産法人のみならずその構成員も農地取得に、賃貸のみならず農地取得もできる、こういうことになるわけです。私が、そこで一番心配なのは構成員の中でのダミー、大企業等がダミーに生産法人あるいはその構成員で、そして農地を取得しやすくなってくる、よりそういう方向が開けてくるのではなかろうかと思うんですが、そういうこと決してないと断言できますか。
○政府委員(松山光治君) 今回の措置は、現行の農地法上は農業生産法人の構成員になりますと、その法人に貸し付け等をするために権利取得ができないという形になっておるわけでございます。したがいまして、円滑な集団的な利用調整をやっていく上で支障になっているという事情がありますほかに、法人の実質的な規模拡大の支障にもなっているんだというふうな御批判もあるわけでございます。 そういうことを踏まえまして今回措置することにいたしたわけでございますけれども、今先生からこういう点心配ないのかという御指摘があったわけでございますが、私どもとしては今回の措置をとるに当たりましては、地域におきます土地利用調整ということを基礎に置きまして、市町村が主体になる、かつ農業委員会が決定する、農業委員会の決定を経て定める農用地利用増進計画の対象になる場合に限って認めることにしておるわけでございまして、相対のものにつきましてはそこまで広げてございません。そういうことでもございますので、今御心配のような大資本等による農地のダミー取得に結びつくということはまずないというふうに考えておりますけれども、万が一にも御指摘のような事態が発生することのないように農業委員会等を通じてしっかりと指導してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○下田京子君 私は九年前農地三法の審議の際に、生産法人の役員要件の緩和の問題で農地所有者、つまり農民でなくても役員になれるということの観点から大企業やダミーが入りやすくなるのじゃないかということを指摘したんです。あえて私そのときのことを詳しく申し上げません。現実に起きているんです。あれは局長だって御存じでしょう。そういう方々が今農地をさらに取得しやすくなるんです。ですから、今指導していくと言うんですから恐らく通達等出していくんでしょうけれども、単なる資産保有目的あるいは投機的、投資的目的による農地等の取得が非常にまたやりやすくなっていく、そういう危険がたくさんあるということを指摘して、次に特定農地貸付けに関する農地特例法案について一、二質問いたします。 私たちは、都市住民に限らず、農村に住む非農家が土に親しんで健全なレクリエーションとしていわゆる市民農園を求めていることは当然の要求だと思います。大変支持できることです。しかし現実に、これは昭和五十年の構造改善局長通達をもって十分できるんですよ、今もやっているわけですから。実態も見てまいりました。なのになぜこれを今度また改正するんだろう、特別な法律でやっていくんだろうということなんですが、現在の運用で一体何が不都合なんですか。トラブルはありますか、端的に。
○政府委員(松山光治君) 御指摘ございましたように、五十年の通達のもとで現在約三千五百のレクリエーション農園が全国各地にあるわけでございます。ただ、この方式につきましては、やっぱりあくまでも利用者が農業者の経営する農地に入園いたしまして農作業を行うだけだという限界があることは否定することのできない事実でございますし、特に最近では、より安定した形態での農地の利用を考えたらどうだろうかというふうな御意見があることも事実でございます。 そこで、こうした要請にこたえるといたしました場合に、一番私どもも留意して検討いたしました点は農地の投機的な取得につながっちゃならぬということが一つあるわけでございます。そういう意味では、農地法の原則との調和に十分留意いたしまして、例えば開設主体は地方公共団体と農協に限定するといったようなことでありますとか、営利を目的としない小面積のかつ期間の限られたものにするとか、いろんな工夫を凝らしまして今回特例法を御提案した次第でございます。 なお、今回の法律の成案後におきましても、入園契約方式によるレクリエーション農園というのは一つの形態であろうというふうに考えておりますので、地域の実情に応じまして、どういう方式をとるか御選択いただくことになろうと思いますし、言ってみれば地域の選択の幅を広げたというふうに御理解いただければいいのではなかろうかというふうに考えております。
○下田京子君 特別市民の側から法改正を求める、そういう積極的な要求というのは私ども聞いていません。短期であるから不安定だなんてことになれば、これは特例の場合にでも使用賃貸の一定の権利として認めている中にあっても、途中に相続問題が起きただとかというトラブルなんかはあるんですけれども、基本的にはないですね。ですから、やはり権利移動を管理する農地法三条が次々と骨抜きされていくというふうなことで、これまた大変問題であるということだけ言っておきます。 私は、あるべき農地行政とはどうなのかという点です。今の農地政策の上で最も大切なことは何なのか。昭和五十五年十二万三千七十八ヘクタールであった遊休農地あるいは耕作放棄農地、それが六十年には十三万四千八百七十ヘクタールというふうに拡大されてきております。この理由は一体何なのかということなんですね。 先ほどもいろいろと言われておりましたが、あれこれありますけれども、こうした荒廃、遊休化が進む大きな原因の第一点、これは農産物価格が不安定である、それから転作面積が非常にふえた、そういった理由によってふえている、こういうふうに指摘されていますが、間違いないでしょうか。
○政府委員(松山光治君) 五十九年に全国の農業会議所が行いました調査によりますれば、対象となる農地の圃場整備がおくれている等、基盤整備が未整備だとする理由と、それから農業経営主が老齢化というその二つの理由が非常に大きな理由に相なっております。地域別に見ますと、都市近郊なり山村では老齢化、それから平地農村なり農山村では基盤未整備という要因が多いようでございます。
○下田京子君 今挙げられたことも入っていると思うんです。そういう中で、皆さん一生懸命規模拡大をやろうとしているわけですけれども、なかなかその規模拡大が進まない。そういう中で遊休地、荒廃地が生まれてくる。 その理由の第一位が何かといったら昨年農水省、中核農家の意識とニーズに関する調査を行いましたね。そのトップ、なぜに規模拡大ができないか、荒廃農地でなくて農地の有効活用ができないか。第一位、農地価格が高過ぎる。第二位、農産物価格が不安定、安い。そして農地の購入、借入が難しいというふうなことがもうダントツなんですよ。そして、今お話しになりました全国農業会議所の調査あるいは福島県の農業会議所が最近行った農家の中核的担い手に関するアンケートの中でも、山間地の一番いい例ですけれども、山都町というところの報告によりましても、農地の沈滞、停滞、その理由のトップが農産物価格が不安定、転作面積がふえている、両方とも五八%を超えている。大きな理由になっているんです。 ですから、問題は荒廃、遊休農地を出さない、そして本当に農地を有効利用させていく上では、これら原因を取り除くことだということをしかと押さえなければ私は農政というものは進まないし、有効な農地管理もなされない、こう思います。そうでしょう。
○政府委員(松山光治君) お尋ねの件がいわば遊休農地の発生についての要因ということでございましたので、会議所の調査でございますが、その調査結果に即したお答えをさしていただいたわけでございます。別途私どもの方で行いました中核農家の意識とニーズに関する調査、ここで規模拡大の障害になったものとして挙げられている要素といたしましては、農地価格の問題でありますとか、農産物価格の問題でありますとかあるいは農地の購入、借り入れも難しい、圃場整備条件等の土地条件が悪いといったようなことが主な要因として挙げられておるということは、私どもも十分認識はいたしております。
○下田京子君 ですから、やはり自由化政策一辺倒で、その中での規模拡大、中核農家、専業農家そのものが本当に一番打撃を受けるような農産物価格の引き下げ、これを変えなきゃだめたということをみずからの調査結果が示しているんですよ。私は申し上げたいんですが、最大の遊休地をつくったのもこれも農政です。輸入自由化政策です。 それで、たばこ廃作問題で御質問申し上げます。 言うまでもなく福島県は全国一のたばこ生産地です。御確認いただきたいんですけれども、福島県のたばこ耕作面積は五十八年に六千四百五十二ヘクタールございました。それが六十三年には四千六百六十ヘクタールになりました。そしてことしは何と二千六百一二十九ヘクタールになりました。昨年とことしの間だけでも実に二千ヘクタールを超える遊休地がつくり出されたんです。そうですね、御確認ください。
○参考人(新実和也君) ただいま先生からお話がございました五十年代の数字については持っておりませんけれども、昭和六十三年度から平成元年度にかけまして、確かに福島県におきましては面積は二千二十一ヘクタールの減反ということになっております。
○下田京子君 耕作人員も大変なもので昨年は九千五十四人おりました。ことしは五千十八人で何と四千三十六人たばこをやめました。そしてたばこをやめて一体何をつくったらいいか、それはそれは大変な苦労をしております。たばこの主産地ですが、田村管内へ参りましてピーマンをつくったり加工トマトや果樹や畜産などいろいろ苦労しております。ところが、加工トマトもきのう質問しましたように、面積は減らされる、価格は下げられる、果樹にいたしても自由化にして不安定、畜産にしても自由化で不安定。今ピーマン団地ということでわずか十ヘクタール程度のところで成功しておりますけれども、全体で二千ヘクタールものたばこ廃作地跡地に何をつくったらいいか。たばこの方ではどういう指導をされているんですか。
○参考人(新実和也君) 昨年から本年にかけまして福島県で大変大きな減反が起こっているということは、先ほど申し上げたとおりでございますが、この減反に際しまして、会社側は公告面積としましては一七・五%の面積減を配分いたしたわけでございます。実質的に先ほど来のお話のように、四〇%を超えるような減面積になったというのが実情でございまして、これには農家の方々がみずからの農業経営の中でたばこの作物としての位置づけをどういうふうにお考えになったのか。また生産調整奨励金というものをお出しいたしましたので、こういったものも含めて廃減作を決断なさったものだろうというふうに考えております。 そういう状況でございますので、会社といたしましてその後どういうふうなことというようなことを申し上げることはなかなか難しいということが一つございます。しかしながら、将来たばこ作を続けてやっていくという農家の方々が、今後規模拡大を行うというようなことなどがございますときに、従来のたばこ畑というものを借地をするというようなことで、たばこ作に適した畑の活用が行われるということは期待している次第でございます。
○下田京子君 私は、どういうふうにしてたばこ廃作地の跡地利用を指導されているんだと質問しているんです。全体的な面積ですが、聞くところによれば現在全国で三万ヘクタール以上でしたね、耕作しているのが。しかしほっておくと一万ヘクタール台に落ち込んでしまう。安定的には二万六千ヘクタール程度必要だというふうに聞いておりますけれども、今の答弁そういうことですから、それはそれとして現に二千ヘクタールもの廃作跡地の利用で困っているわけです。だからこれは農政上の問題で、後で大臣にも伺いますけれども、たばこ行政の中で皆さん方がどうそれを利用しようあるいはさせよう、あるいは援助しようとされているのかということを聞いているんです。
○参考人(新実和也君) たばこの作付につきましては、会社と農家の方々との契約関係でやっているわけでございますので、この契約がなくなったような状態におきまして、私どもの会社が農家の方々にどういうことをというようなことはできないわけでございます。
○下田京子君 私は民営化のときに質問したんです。原料輸入たばこ一%伸びると六百ヘクタールの国内の面積減になりますよと、その指摘どおりになってきているんです。ですから行政によってこうやってやられたものを十八万円の手切れ金つけて、あとは野となれ山となれということないでしょう。大臣、一体この跡作地どういうふうに利用させるおつもりですか。大臣のところも宮崎県、たばこ第五位ですから。
○国務大臣(堀之内久男君) 私も、たばこ関係にはずっと関係してまいりまして現在たばこ安定小委員長をやっておりまして、今この辺は十分検討中であります。したがって、今回は四万ヘクタールから三万、約一万ヘクタールが廃減作を申し出たわけでありますが、しかしこれは黙ってほうっておいても今高齢者がどんどんふえていって、毎年二千ヘクタールぐらいずつ減っておるわけです。私は、今回の場合は一応この奨励金を出してやることによって、やはり当然あと一年か二年か先にやめようと思った人たちが私たちの地域でも相当出てまいりました。今回は三万四千ヘクタールまではつくってもらおうということで、まあ六千ヘクタールぐらいを減反と考えておったんですが、予想以上に廃減作の希望が出てきた。 したがって、私の地域を見ましても、一部は畜産をやる、一部はハウス園芸をやると。せっかくこうした廃減作という、奨励金というのをもらったからこれで自分の新しい営農を考えていくという形でこれは高度に利用されたわけでありますから、私は、今回たばこ会社が十八万円の奨励金を出してくれたことは、次の新しい営農計画を立てるための援助資金になったということで非常に高く評価をいたしております。 その後も三万になりましたから、これを四千ぐらいはもう少しやってくれと相当奨励いたしましたが、引き受け手がなくて結局三万六百ヘクタールだったと思います。これからのたばこ経営安定というのはどう持っていくかということで、今我が自民党でも小委員会をつくりまして六回、七回ほど勉強会をやっております。近々に最後の調整をやろうと存じております。したがって、廃減作をしたその福島県の二千ヘクタールに、たばこ会社にこれを全部責任を持てということはちょっと過酷でありまして、今後私は地域の改良普及所なりあるいはまたそれぞれの県の営農指導等をいたしまして、せっかくの奨励金を出しておるわけですからこれを十分活用して、今後の新しい作物の選定をそれぞれの地域に応じて考えてもらう、その後のまたいろいろな助成策は農林水産省としても十分協力していきたいと、こういうふうに思っております。
○下田京子君 いみじくも自民党の小委員長でということのお話が出ましたが、なぜに全国で約一万ぐらい減っている中で福島県がそんなにやめていったかというと大きな理由は二つなんです。さっきおっしゃるように、確かに十八万円の離農給付金でないけれどもいただいた、この際やめようと。しかし、その裏にある二つ目の理由はというと自由化なんです。たばこの自由化、そして関税撤廃なんです。自民党と政府が関税はもうこれ以上引き下げませんといってちゃんと取り交わしていたでしょう。今は亡き澁谷先生がそのときに委員長でした。私の町ですからよくわかっているんですけれども、そうやって関税はゼロにしませんよ、もうこれ以上下げませんよと約束していたのにそれも公約違反。それで撤廃しちゃう。どんどん入ってくる。あげくの果てにバーレー種だ、国際葉だ、喫味がいいというわけでもって、安全性についてだっていろいろ問題があるにもかかわらず輸入原料に依存、そして消費者問題にもきちっとした対応をしないで、福島県の中心たばこ、国産葉である松川葉をつぶしてきたからなんです。それ以外の理由は何もないんです。 私は、もう本当にこれやっていると時間がないから、何もたばこ会社だけに今、大臣が言うように廃作後の二千ヘクタールの跡地利用をやれということを言っているのじゃないんです。それはたばこ会社も責任を持ちなさい、そして大臣おっしゃるようにそれなりの援助をすると言うから、どういう援助をなされるか私も期待したいし、具体的な援助を頼みたいんです。 援助の中身を申し上げます。 まず一つ、実はマルチ栽培ということでビニール栽培をずっとやってこられました。これはもう技術指導をきちっとやっていますね。そのビニールの処理、廃棄をどうしたらいいか、みんな困っているんです。これはどうしたらいいんでしようというのが一点です。地域の産廃処理場では引き受けてくれないんです、かまが傷んじゃうから。これを何とかしてください。それから国産葉でないバーレーに切りかえるという格好で、今度はたばこ会社が肥料会社をつくりました。そして、わしのところの肥料を使えばいいたばこができるというものですから農家の人は、福島県には片倉チッカリンだとか何かありますけれども、そういうところを使うと葉が悪くなったといって買いたたかれるのではないだろうかというふうなことを心配されておる。少なくともそのようなことはありませんね。
○参考人(新実和也君) 被覆栽培の問題でございますが、私ども被覆栽培をやることによって品質、収量面で大変に効果が上がるということで、大分長きにわたりまして耕作農家の方々の自主的判断に基づいて導入をさせていただいております。その結果、被覆栽培の効果が上がりまして、大部分の農家では収益の増大というようなことで大分お役に立てたんだろうというふうに思っております。こういうような状況でございますから、ポリエチレンのフィルムの除去をいたしましてどういうふうにするかということにつきましては、農家一軒一軒の方々の判断によって焼却処理をなさったり、またそのほかの手段によって後始末をなさるというようなことでございます。私どもの会社としましては、従来ともやってまいりましたけれども、今後とも周囲の方々に御迷惑がかからないように、後始末をやっていただくように農家にお願いをしてまいりたいというふうに思っております。 次に、肥料のお話がございましたが、肥料につきましては確かに私どもの会社で肥料を農家の方にお売りするというような仕事をしております。たばこ用の肥料というのは最近年ではどちらかといいますと、単肥の使用というよりは大部分が使いやすい複合肥料を使っているというようなことで、私どもも農家の方々に役に立つお仕事をしたいというようなことでやっているわけでございますが、たばこ作に役に立つ肥料の選定というのは品種が違えば、また物質や土性が違えばそれぞれ違っているわけでございますので、こういう土壌条件などを中心に農家と耕作団体の方々が自主的に判断をなすって肥料を選択なさっているということでございまして、決して会社が特定の肥料を義務づけてやっていただこうなどということを言ってはおりません。
○下田京子君 大臣、マルチに使うビニール、これはだめなんです。農家に適正につたって農家は手を上げているんです。確かにたばこだけでなくそのほかのこともあるんです。だから、それはぜひ何か考えていただきたいということです。今すぐ即答できなくともこれは対応してくださいよ。
○国務大臣(堀之内久男君) 農業に使用しましたビニールの後始末の問題でありますが、これはだばこのマルチ栽培によるだけじゃなくて、これはもう私の宮崎県あたりは施設園芸の最たるところでありますが、これを全部、もちろん政府としても今後これの処理については検討して勉強していかなきゃなりませんけれども、おおむね大体県あたりが中心になり、経済連がまた中心になって一応それ相当の成果を上げておるところも相当あるわけです。したがって、これは福島県のそうすれば県政、県の行政が怠慢であると言わざるを得ないわけで、ある程度はそういうものの始末ということはいろいろと、あるいは市町村等と相図ってやっていくべきだと、こういうように思っております。 それから、その前のちょっと何でもかんでも自由化したがためにたばこの問題に移行してきたということ……
○下田京子君 大臣いいです。
○国務大臣(堀之内久男君) あなたが言い放してはちょっとおかしいので、我々も少しは反論をさせてもらわなければね。 それで、いろいろだばこの問題というのは我々も澁谷先生が在世中でありましたが、大変苦労してやってきました。今たばこ会社もたったわずかに一二%なんです。一時はこれが三〇%ぐらいたばこ製品が入るんじゃなかろうかと思いましたけれども、今後たばこ会社が相当技術を、優秀な技術開発をやりましていろいろと立派な製品で対抗しておるわけでありまして、今後国際化というのはこれはやむを得ない。自民党の日本の自由貿易体制の中では、どうしても選択を迫られた中で独占製造というのを残すために、こうした開税ゼロの政策をとらざるを得なかったということが実情です。一番悪いのは皆さんがたばこを吸わないことなんです。吸ってくれればいいんです。これが一番非常に消費がふえるんです。
○下田京子君 たばこは嗜好品なんです。のんでものまなくても本人のこれは自主的なこと。でもって県行政に対する責任転嫁なんというのもけしからぬ。ただし大臣、検討します、勉強しますと言いましたので、そこに期待します。 それで、さらに時間が本当にないんですよ。私にもう一時間ぐらいくれれば幾らでも大臣の演説聞きますよ。 最後に、農地二法との関係でこれは指摘だけにしておきます。 規模拡大という点で大変なのがやはりかんがい排水事業なんかの問題だと思います。基盤整備にかかわる農民負担の軽減の問題であります。ことしの三月にかんがい排水審議会が中間報告を出しましたね。これは大変いいことです。一つには、償還金の円滑な返済をやるということで基金の造成、こういうものをやろうと。それから二つ目には基幹水利施設、これは農民負担だけでなくて社会的公平という観点から見直そうと言われています。三つ目には土地改良事業の間接的効果を考えて土地改良事業の負担方式全体を改善すると、大いに結構です。もうこれは来年からぜひやってほしいということを申し上げておきます。 そこで、国際化やむなしの話なんですけれども、今大臣ね、自分の足元を見てください。農村がどうなっているかということなんです。農村においての後継者問題の特に嫁不足の問題、これは深刻ですよ。御質問したいんですけれども、その前にまず福島県の農業会議が調査された農家農村結婚問題研究会報告書というのがあるんです。だから、福島県やってなくないんです、別に肩を持つつもりもないですけれども、いろいろやられている。そういう中で調査結果を詳しく報告したいんですけれども、それも言う時間がなくなったので概況を申し上げますと、三十歳から三十四歳になっても独身でいる男性三〇%以上の自治体が、福島県九十自治体のうち二十二自治体。それから、四十歳から四十四歳になっても独身の男性が一割、二割を超えているという自治体が九自治体にも及んでおります。その深刻さぶりというのはもう大変なものでありますけれども、そこにきちっと目を当てた形での農水省独自の調査がありますか、どうですか。
○政府委員(吉國隆君) 花嫁問題、これは地域によりあるいは農家によっても事情が違うわけでございますが、私どもとしては、この配偶者問題というのは極めて個人的な問題でもございますし、また先生今データおっしゃいましたが、職業によって男性の未婚率に差があるかということのお調べ、これは国勢調査でございますけれども、そういう職業による差ということではないというふうに把握いたしているわけでございまして、農林水産省として組織的な調査はいたしておりません。
○下田京子君 これは調査すべきですね。今指摘されるまでもなく結婚は両性の合意に基づくこと当然であります。しかし、本当に嫁さんの来手がない、むしろ婿さんの来手もないというのも事実です。 そういう中で昨年八月、フィリピンの入国管理局が日本のお見合いツアー業者をこれは撤去処分にしたという事例が出ております。なぜかというと国際結婚、これまた合意によるものであって、でもって嫁いできた女性が幸せに暮らしておれば結構なことでありますけれども、もう人身売買まがいであっせん業者等が仲介に入ってなされているという実態であるわけです。それは承知されているでしょうか、いかがですか。
○政府委員(吉國隆君) 新聞報道で、そのようなケースがあったという報道は目にいたしております。
○下田京子君 まさに傍観者的ですよ。それでもって農村の活性化であるとか地域農業の活性化だとか言ったって、これはもう話にならないでしょう。 きょうは、総理府婦人対策室お見えだと思うんでお聞きしますけれども、今のような実態皆さんなりにつかんでいらっしゃると思うんです。皆さんに聞くのもどうかと思いますが、資料を見ますとこれは農水省からいただいたやつですが、法務省の調査によりますと、在留外国人統計、この中にありまして日本人の配偶者として在留している入国者の国別の調査があるんです。その中で、中国から昭和五十七年九百六十三人だったのが六十年には千五百九十人、これは台湾です。中国も。フィリピンから四百五十二人が何と一千百九十四人になっているんです。 そのほかの国々たくさんありますけれども、その国際結婚の中で特に農村における花嫁募集というか、そこの中で起きている問題がこうした台湾、フィリピン等に問題がある。これは五月二十五日の新聞によりましても、スリランカからの花嫁さんが里帰り中に偽造サインで離婚されていたということで、相手の日本人男性と結婚仲人業者を警視庁に告発するという事件も起きました。日本にありますスリランカ大使館はこのことを大変重視しておりまして、社会問題にもなっておると思うんですけれども、婦人対策室、これらの問題の主務官庁はどこなんですか。
○説明員(藤井紀代子君) お答え申し上げます。 この問題につきましてはいろいろの側面があると存じます。関係省庁におかれましてはそれぞれいろいろ御努力をされていると存じております。 私どもは、新国内行動計画を策定いたしましてそれを推進する立場でございます。この計画の趣旨を浸透させるという観点から関係省庁と連携を保ちながら、今後とも努めてまいりたいと思っております。
○下田京子君 農水省、主務官庁はどこだか御存じですか。
○政府委員(吉國隆君) ちょっと私どもは婚姻問題を直接に担当している役所ではないと思っておりますが、むしろ総理府にお尋ねをいただいた方が適切かと思っております。
○下田京子君 今総理府に聞いたら、それは各省庁合意でやられているということでしょう。しかも、農水省が存じ上げていないというのもこれまた大変問題ですね。 婦人問題企画推進本部の設置、昭和五十年になされました。これは国連婦人の十年ナイロビの世界会議においての、あらゆる婦人差別撤廃と人権問題等を取り上げて国内でも制定されたものなんです。この中には関係省庁ずっとあるんです。ちゃんと農林水産省も農林水産事務次官と入っているんです。これは実態を調査する必要がまずあると思います。その点では総理府も積極的に働きかける必要があると思います。主務官庁がどこかもわからないような実態で一体これはどうするんですか。大臣、どう思いますか。
○政府委員(吉國隆君) 私どもは、農家の婦人問題とのかかわりという点といたしましては、御承知のような農業改良普及事業の中で農家婦人に対する技術指導あるいは生活面での指導、あるいは各種の社会活動の助長、こういったことをやりながら進めているわけでございまして、結婚問題に直接に触れるということよりも、側面的に男女の交流の機会をふやすというようなことをこういった普及事業の推進を通じましてやっているつもりでございますが、こういう結婚問題、まして外国人問題ということになってまいりますと、これはすぐれてプライバシーにかかわる問題でもございますので、行政当局といたしましてどこの省庁にいたしましても、これの是非を論ずるということはなかなか難しいのではないかと率直に申し上げて考えている次第でございます。
○下田京子君 それじゃ総理府に、これは主務官庁がないんです。先ほど御紹介しました五月二十五日の新聞では、外務省がようやく「対策検討に着手」となっています。法務省なんかも人権問題でいろいろ心配もされております。ですから、総理府のこの婦人問題の企画推進本部の中で、これの主務官庁をどこにするかぜひ御検討をいただきたいと思います。これが一点。 それから二つ目に、同時にあっせん業者に対する何か一定の基準なるものが必要なのではないだろうかということ。日本の男性側には、女性を金で買ってくるなどというようなあの宇野大臣のスキャンダル問題めいた発想はないんです。ところが現実には、もう車でたくさん女性を乗せてこの子要らぬかみたいな格好で、農村を歩いているという実態も報告されております。そしてまた、一週間パック旅行という格好で、二百万とか二百五十万で話も何も通じない、でもってお見合いをしてすぐ結婚というような状態がなされているんです。これは人権問題でしょう。 今側面的に云々と言われましたからですが、農水省に言いたいことはこれは幾つかあります。一つは、農水省がどういう格好でおやりになっても結構です、言葉通じないんです、言葉の教室みたいな、言語をどうするかこれ一つ考えなさい。それから現に、農村にフィリピンやスリランカやタイその他の国々からもう見えているんです、花嫁さんたちが。農村婦人です。その農村婦人に対してそれぞれの祖国のテレビや新聞等々の情報を提供してあげなさい。これが二つ目です。それから三つ目、文化的な要素もみんな違います、教会もないです。仲間が集まることもなかなかできないです。 大臣は先ほど自治体けしからぬみたいな話ばっかり言っていますけれども、自治体の方がどんなに苦労しているかわからないですよ、国の方が実態つかんでいないじゃないですか。自治体がやられているそういったことについて援助していくような、そういうシステムが欲しいと思うんです。そして、日本の教育や医療や福祉、そういうこともきちっと説明もしていく。嫁いできたその女性が農村を本当に愛し、そこの嫁いだ男性と本当に幸せな家庭が築けるように。農村の婦人の中における問題というのは、これはもう農水省の責任じゃないですか。そういう点で農水省に三つの問題を質問いたします。 そして、総理府にはさっき申し上げましたが、担当省庁どこぞにするかぐらい、これはもう話し合ってお決めください。 順次お答えください。
○説明員(藤井紀代子君) 先生、先ほども申し上げましてもう一度申し上げますのは大変恐縮に存じますけれども、この問題につきましてはいろんな側面を持っておりまして、関係省庁においてそれぞれ努力されておるところでございます。
○下田京子君 努力していないでしょう、農水省。
○説明員(藤井紀代子君) 私どもも、新国内行動計画を推進する立場から関係省庁とともに努力してまいりたいと思います。
○政府委員(吉國隆君) 私どもの方で所管をしております普及事業、生活改善普及もあるわけでございますが、先ほど申しましたように、農家婦人に対する技術指導とか生活指導あるいは農家婦人のグループ活動の助長、こういった面を通じまして、その一環として外国人の方で農家に嫁いでこられた御婦人も当然特別の分け隔てなく対象としていくというのは、これは当然のことであろうというふうに考えております。ただ、今お話しの言葉の問題であるとか情報の提供でございますとか、そういう問題をやはり農政の問題として取り上げるべき事項かどうかという点については、私は非常に難しい問題を含んでいるのではないかというふうに率直に申し上げたいと思います。 現在婚姻の問題については、各地方公共団体で自主的に結婚相談所とかあるいは相談員というようなことをやっておられます。やはりそういった各地域の問題としてお取り上げいただくのが適切ではないかというふうに考えている次第でございます。
○下田京子君 最後に一つ。
○委員長(福田宏一君) 簡単にお願いします。
○下田京子君 もう最後の質問です。大臣これは考えなきゃいけないと思います、私は。大臣の決意をやっぱり聞かないで終わるわけにいかないです。 農村婦人を差別しないと言っても、現に最初からいろいろと障害を持って来ています。ですから、その障害を克服するために手だてをするのが行政の責任じゃありませんか。地方自治体に責任転嫁したりしちゃいけません。それから総理府と一体になって、もう本当に人身売買にも当たるような非人権的なそういうあっせん業者に対するきちっと具体的なマニュアルをつくる、こういうことは考えてしかるべきだと、こう思います。 以上で終わります。
○国務大臣(堀之内久男君) 農村の花嫁問題でございますが、先ほどからそれぞれ下田委員が意見を述べられましたが、これはやっぱります、私どもは魅力ある農村をつくる。こういう問題からそして農村の環境整備を図っていく、あるいは農村自体にも立派な住みよい環境をつくっていくということで、農村モデル事業や新農構だとかいろんな形で環境の整備も図っておるわけです。そうした中で、農村の後継者あるいは農業の担い手という方々、こういう方々は仕事に非常に熱心な余りなかなか女性との交流の機会が非常に少ない、こういうことも多いわけでありまして、私も市長時代ずっとそういう問題は取り組んでまいりましたが、農協なり改良普及所なり市なりいろんな形で、いろんな形の職場の皆さんとの交流の機会というのはたくさんつくるわけです。その中で自然と男女の交際が始まり、またそれぞれ立派な家庭を持たれるというケースも多々ありました。 私はこれは、いつまでも嫁が来ないというのは行政が悪いあるいは地方の議会が悪いと言うんではなくて……
○下田京子君 魅力的な農村じゃないからなんです。
○国務大臣(堀之内久男君) やっぱり御本人もそういう地域のサークル活動に積極的に参加をするんです。そういう人たちはちゃんと立派な花嫁さんを迎えておるわけですから、これを行政的にどうしなさいというんじゃ。いろんなそういう対話の機会とかそういう活動の機会を、男女の交際の機会を十分つくっておるわけですから、これからもそうした活動というものを十分指導しながら、お互いのこれはプライバシーの問題ですから、そういう機会をとらえて縁が結ばれるような方向、こういう機会をつくることが我々行政の最大の手助けの一つだろうと、かように考えております。 いずれにいたしましても、これは外国人花嫁問題というのは、この是非につきましては全くプライバシーの問題でありますから余り我々がコメントするわけにはいかない、こういうふうに思っております。いずれにいたしましても、これからも十分そうした問題解決には今後地方の行政機関あたりとも十分、これはあるいは農協、こういう方々とも十分連携をとりながら進めていかなきゃならぬ、こういうふうに存じております。
○三治重信君 農用地利用増進法の改正というのは非常に時宜に適した改正だろうと思って拝見しております。しかし農地法との関係が素人だからかどうもはっきりしないのが一つ。それからやはり何と申しますか、経営規模の拡大につながっているのか。本当に、ただ農地の耕作放棄あるいは農地の耕作を委託したり売りたい、いわゆる利用権ですから売りたいというのとの需給の関係というものがどういうふうになっているのかというような点について、ちょっと御質問してみたいと思います。 それでまず最初に、今度初めてこの法案へ耕作放棄の土地、いわゆる遊休農地、これが全国の北海道、本州入れて十三万五千ヘクタールというふうな統計になっておりますが、こういうような耕作放棄地が非常にふえてきたわけですけれども、こういうのは従来は非常に何というんですか、農地が足りなくて困っておったのが普通なのに、非常に耕作放棄地が一部といえどもこういうふうにだんだんふえてきたというのはどういうのが原因か。 一つ考えられるのは急に働き手がなくなっちゃったというようなもの。それからもう一つは、すぐ売るのはなんだけれども、何か小面積でつくってみてももうからぬし、放棄していた方が耕作してもしなくても自分の家計にはほとんど影響ないのじゃないかという、第二種兼業農家というようなのが多いのじゃないかと思うんですけれども、こういうような問題について今後もますますふえる傾向になりゃせぬかと、こういうふうに思うんですが、どうですか。
○政府委員(松山光治君) 六十年の耕作放棄地面積十三万五千ヘクタール、経営耕地面積全体に対しまして二・九%というのが現状でございますが、じわじわとここのところふえてきております。遊休化する原因いろいろあろうかと思いますが、五十九年の会議所の調査によりますれば、基盤整備が未整備だというのが一つと、もう一つは老齢化して働き手がいなくなったという要因が多いようでございまして、また地域によって若干違っております。都市近郊、山村が老齢化という理由が多いようでありますし、平地農村なり農山村では基盤未整備ということになるわけでございます。 私ども、今回農用地利用増進法に遊休農地の活国策をああいう形で規定さしていただきましたのも、もろもろの事情を考えましたときに遊休農地これまでもふえてきておりますし、看過できない問題になってくる。やはり限られた資源でございますので、できるだけ有効に活用できるところはしていきたい。そのための手法の一つとして考えたわけでございます。今回の法改正をきっかけに、耕作放棄地の解消問題ということについて各地域で全力を挙げた取り組みを期待したいというふうに考えておる次第でございます。
○三治重信君 今度の農用地利用増進法の改正で、この法律の適用を受けて利用権の設定もふえる、こういうふうに思いますけれども、農地法そのものもできるんですね。現にやっているんですね。どっちかというと、これは農用地利用増進法の方が新しくて、だからかもしれないけれども、農地法のもとでも従来随分絶対的にはふえつつあるように思うわけですが、何ゆえに農地法でできつつあるのにこの利用権設定のやつを農用地利用増進法で、農地法のかわりにやるというならいいんだけれども、農地法もできるしこの利用増進法も両方ともできるんだ。じゃ、農用地利用増進法の一部改正のどういうところが利用権設定について有利なのか、農地法よりかね、そういう点の両方の関係ね、利用権設定についての農林省の法の施行上のまた結果としての利用権設定がどういう関係になっていくであろうか、法の適用上ね。
○政府委員(松山光治君) 御案内のように、農地法は農地改革の成果を維持するということで二十七年にできた法律でございますが、その後数次の改正を経て今日に至っておるわけでございます。やはりいろんな状況の変化を考えながら弾力的な対応をしてくるということで今日に至ってはおりますものの、三条統制なりあるいは小作地の統制を通じまして非常に重要な点は土地の投機的な取得につながっていかない、農地を農地としてきちんと利用できる方に利用していただくという、そのための制度であると同時に、やっぱり耕作者についての権利の保護ということについて適切な配慮が必要だという、こういう考え方のもとに全体が仕組まれておるわけでございます。 これはこれで非常に重要な理念、考え方であろうというふうに考えておるわけでございますけれども、その農地法と別個に農用地利用増進法が五十五年に制定されましたのは、御案内のように耕作権保護の規定のもとで、どうも一度貸したらなかなか返してもらえなくなるのじゃないかというふうな心配がございまして、借地形態での農地の流動化がなかなか進みにくい、そのことによって日本の農業の構造改善がおくれぎみになってくる、これではいけないと。 そこで、農地法の法体系を一応前提としながら地域におきます話し合いを通じた、言ってみれば地域における土地利用調整をベースとして市町村が貸し借りの関係あるいは売買の関係も入りますが、農用地利用増進計画という一つの計画に貸し借り、そういった関係をまとめ上げましたときには現行の農地法で課しておりますかなりきつい規制を適用除外にしていく。そのことを通じて一定の、何と申しましょうか、公的な管理のもとでというふうに申し上げたらいいんでしょうか、もとでの農地の貸し借りをよりたやすくする、こういう仕組みとして別途考えられたわけであります。 その後の状況を見てみますと、農地法によります貸借権の設定ももちろんあるわけでございますけれども、五十五年をピークにいたしまして微減してございまして、六十二年の実績が五千ヘクタールということにとどまっております。五十五年はちなみに一万ヘクタールでございました。これはどういうことかと申しますと、五十五年にやっぱり農用地利用増進法が制定されたという事情が大きいと思います。逆に、農用地利用増進法に基づきます利用権の設定は、その後相当の増加傾向を続けておるわけでございまして、昭和六十二年一年間で四万九千ヘクタール、六十三年十二月末現在の継続中のものが二十三万四千ヘクタールというかなりなものになってきておりますと同時に、出し手が貸す、規模の小さい方が主として出し手になり、比較的規模の大きい方が受け手になるという質的な改善を伴って利用権の設定が進められておるというのが実情でございます。 したがいまして、先ほど申しましたような農地法の基本理念をひとつきちっと維持しながら、私どもこれからも農用地利用増進法による農用地利用増進事業を基軸として農地の流動化を進めてまいりますことが現実的ではないだろうか、このように考えておるわけでございます。
○三治重信君 そういうふうな結局御説明だと、一度貸したものを返してもらえなくなるという心配から農用地利用増進法によって農協なり市町村が中へ入って、そしていつでも欲しいときには契約期間もあるけれども、返してもらえるという安心感ができたからこれで貸し地が広くふえたんだと、こういう法的な関係ではそういうこと。そういうことで農地の賃貸借というものが非常に動き出してきておる、こういう御説明だろうと思うんですがね。 そうすると、こういうふうな利用権設定のやっと、それからもう一つ、この増進法によって農作業の受委託というのが入っていますですね。この農作業の受委託というのは、利用権設定によって規模拡大するよりかもっと簡単に毎年の農作業をやってほしい、やろうということとあるいは数年にわたる契約かと思うんですけれども、農作業の方は恐らく単年ごとの契約が多いんじゃないかと思うんです。こういうふうなのから見て今後この法の改正によって、利用権設定によっての規模拡大は、基本的な規模拡大の効果が多いのじゃないかと思うんですが。しかし現実には、どうも農作業受委託がこういう体系に入ってくるとこちらの方のが先行して普及しやしないかと思うわけです。 殊に農業従事者の統計を見ると、これは僕なんか予想以上に、結局農業従事者というものが千百二十四万人いるように出ているけれども、いわゆる百五十日以上農作業に従事するという農業専従者というものは約二割ちょっとぐらい、二百五十九万、そのうちでも殊に基幹男子の農業専従者というのは八十三万人、こういうふうな農業従事者の構造。そうすると、こういうふうな基幹男子農業専従者は農作業を拡大していきたいということになるだろうし、それから農業従事者というものが非常にたくさんあるんだけれども、このうちでリタイアするのが非常にふえてくる。こういうふうな農業従事者の統計的なやつを見ていくと、やはりこういうふうな経営規模拡大に一面から見ると非常に適した時代だと、この際しっかりやらぬといかぬと、相当大胆にやっていいことだろうと、いわゆる労働力から見て、農業従事者から見て。 そういうふうに見ると、利用権設定と農作業受委託とが両方ともどちらでもできるということになっているんだけれども、農林省から見ると規模拡大の上においてどういうふうなのを自由に任すのか、どちらがより経営規模拡大に合うというふうに指導体制をとっていくのか、それは並行だというのか、その点を御説明願いたい。
○政府委員(松山光治君) 耕作者の経営の安定という点を重視いたしますと、やはり賃貸借といったような形できちんと権利設定がされる方がベターだと、これはそういうふうに言えると思うんですけれども、今度は出し手の方からいたしますと兼業が進む、したがって機械を使ったような仕事はなかなかちょっとやりにくくなったけれども、日常的な水管理なりそういったものはまだ十分やれる。そうすると、全部農地を貸し付けてしまうのはもうひとつ何だけれども、何とか基幹的なものだけでもやっていただければ非常に助かるなという事情がある。他方、これから専業的にやっていこうという人にとってみれば、賃借権の設定を受ける方がベターかとは思いますけれども、基幹的な作業だけでも受託することができれば機械の効率的な利用にも資するし、実質的な経営規模の拡大にもなるということで現実の受委託が成立しているのではないかというふうに思うわけでございます。 問題は、今御質問ございましたように、それじゃ一体どっちをどういうふうに考えていくんだということでございますが、これはやっぱり地域の事情によって異なると言わざるを得ないというふうに思っております。結局出し手の方の労働力の状態が、水管理なんかももうとってもやっている暇がないといったような状態なのかどうかによって違ってくるわけでありますし、あるいはまた農地を貸し付けた場合の小作料の収入と農作業を委託したときとのメリットを比較したときに、これは農地の需給状況なりあるいは担い手の存在がどうか等々によって、大分地域によっても違っております。 現に、例えば東北のようなところは比較的農作業の受委託が多い、逆に西日本地域では農地の貸借が相対的に進んでいるという実情にあるわけであります。したがいまして、私どもといたしましてはやはり農地の貸借、農作業の受委託、いわば流動化の手法につきましては、これをできるだけ多様なものとして考えまして、それを地域の実情に即して推進していくということで考えていく必要があると思っております。ただ、その場合におきまして、例えば貸借について申し上げますれば新規の掘り起こし活動を強化するほかに、先ほども議論になりましたけれども、利用権の再設定を促進していくといったようなことがこれからの重点になろうと思います。 また、農作業と受委託につきましては、できるだけ経営の安定につながるということからいたしますれば、契約期間を長期化するあるいは作業範囲の拡大を指導していくといったようなことが必要だと思います。また同時に、受委託を契機に生じました一定の人間関係を前提にして、できるだけ当事者間の事情を踏まえながら貸借の方向に誘導していく、こういう考え方のもとに必要な指導を行ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○三治重信君 今度の改正法で農業構造改善の目標を市町村につくらす、こういうふうなのが入っておるんですが、この農業構造の改善の目標の中身は何か。農業構造の改善の中身というのは、結局規模拡大とかなんか言っても耕地が分散しているのを一つのところへ集約しなさいと言うのか。それから、改善事業というものがいろいろあるだろうが、そんな細かいことを規定するのがこの目標というものを入れたのではないと思うんですが、農業構造改善の目標というものの中身の具体的なのは規模の拡大というのか、耕地そのものを整備する、集約ですね、耕作する面積をあちこち同じ規模拡大しても、西に東に分散しておったんでは余り効率的でない。耕地面積が広がっても分散しておっては、日本の農業そのものが非常に合理的でないというのは、田んぼにしても畑にしても、もうわずか一町歩ぐらいのやつに十も十五も耕地が含まれているというところに問題があると思うんです。だから、この農業構造改善の目標というのはどういうことを目標として定めさすつもりなのか、ちょっとお伺いします。
○政府委員(松山光治君) 農業構造の改善に関する目標でございますが、各市町村が全国的ないろんな指標なり事例を参考にしながら、その地域でどういったこれから農業振興の方向をとるのか。例えば、コストを重視するのかあるいはコストよりもどちらかといえば品質を重視するような方法をとるのかといったようなこと、それに担い手の状況だとか、就業機会だとか、農地流動化といったような状況を踏まえまして具体的に定めていっていただきたいと思っておるわけでございますが、目標の内容といたしまして私ども考えておりますのは、やはり地域の実態に応じました営農類型ごとの経営規模の目標というものが中心になろうかというふうに思っております。 今先生から御指摘がございました農地の集団化の問題でございますけれども、御指摘のように、規模を拡大いたしましてもあちこち分散した形での規模の拡大では、当然能率が上がらないという問題を持っておるわけでございます。それは今回の構造改善の目標の中で、どういうふうな集団化をやるかというところまで具体的に描くというのはなかなか無理があろうかと思いますが、既に実施方針自体の中で、どういう方法で流動化を進めていくかといったような考え方も明らかにするということになってございまして、そういう考え方の一つといたしましては、当然のことながらできるだけ団地化を進める等の形で集団化を進めるんだというような方針を明らかにし、その線に沿って利用調整活動を行っておる市町村が多いものというふうに理解をいたしております。
○三治重信君 最後に、特定農地貸し付けに関する問題を少し質問いたします。 レクリエーション農園、一口に言うレクリエーション農園についての考え方というのは、やはりこれは非常に豊かな国民生活、また都市生活の中で土に親しませる、また親しみたいということから自然発生的に出てきたのを農水省が、その現象をつかまえて初め入園契約というようなことで、農地を利用さすということから始まって相当数はふえつつあるんですが、今度の特定農地貸付けに関する農地法等の特例ということで法律にせっかくやるのに、なぜ市町村と農協だけに限って、現に個人もやっているわけだ。やっているやつの個人を外して市町村や農協だけに限るのか。農協だけに限るというならまだ話はわかるが、市町村にやらして個人にはやらさぬというのはどうも納得がいかない。 こういうようなことこそ民間に一定の標準さえつくってやれば自主的にやって、市町村が何か現に、これは市町村がやるというのは結局税金をえらい使うことになるわけなんだね。こんなことはやはりある程度の金、レクリエーション農園をやろうという都会のサラリーマンはそんなに高いというか、費用にはそう苦労しないだろうと思うんですよ。そういう意味において地主が市町村に貸す、農協に貸して、その借り受けた土地を市町村や農協が細分化してサラリーマンに貸し付ける、こういう構想でしょう。そんなんなら地主が直接やってどこが悪いんだ、自分たちの計算でやれるんじゃないか。そのかわり、そこでトラブルが起きぬように標準化した一つの中身をきちんと決めればいいことじゃないかと思うんですが、どうなんですか。
○政府委員(松山光治君) 実は今回の法律制定に当たりまして、ある意味では一番苦慮した点の一つがこの問題であったわけでございます。御案内のように、五十年から入園契約方式ということで個々の農業者がみずから農園を開設し、それを経営していく、そこに権利設定を伴わない形で入園契約をいたしまして一般市民の方が農作業を楽しまれる、こういう形態のもので今までやってきておりますし、今回の措置によりましてもそういう形態を別に否定するわけではございません。地域によってそういう形態のものが行われるだろうというふうに思っております。 問題は、そういう形態じゃどうも不十分だ、もうちょっと安定的な形でやれるような法形式が欲しい。いわば何らかの権利設定を伴う形で農地利用をしたいんだ、こういう御要望があちらこちらからあったわけであります。ところが、その場合に私ども苦慮いたしましたのは、御案内の農地が効率的な農業経営体によって利用されることを担保しておるのが現在の農地法の三条統制でございますけれども、それについての例外を認めていくということになるわけでございまして、その例外の認め方いかんによりましては、何と申しましょうか、投機的取得とでもいいましょうか、一種の農地法の脱法行為的なものも発生するおそれなしとしない。かつまた、農地の適切な利用をどういうふうに確保できるかというふうな問題もございました。 あれこれと思案をいたしました結果、ここはやはり地域の土地利用について相当責任のある立場にありまして、かつまた農用地利用増進事業なりあるいは農地信託、農業経営受託といったようなことで、農地の利用に関して一種の特別の位置づけが行われております、公的団体でもあります地方公共団体なり農業委員会に開設主体を限定いたしまして、そこから一定の約束事のもとに個々の市民の方に貸し付けていく。全体としてそういう特定貸し付けが適当かどうかを農業委員会が承認する、こういう手法をとることによって農地法の規制との間の調和を図ろうとしたものだと、このように御理解いただければありがたいと思っております。
○三治重信君 特定農地貸し付けという新語をつくって非常に苦心の存するところはわかったけれども、それだけの配慮をしてやれば、何も市町村や農協が地主の間に入ってやらなければならぬという理屈がどうも納得できない。それだけにはっきり申して、そんなものを地主にこれだけの法律をつくってやるなら、この法律を地主に直接適用してやれば何でもないこっちゃないかと、何でそんな複雑な難しいことを考えるのかということが一つ。 それからもう一つ、これはどういうところにこういうふうなレクリエーション農園がいいと考えられるかというのは、これはやはり都市の近郊ばかりじゃなくてもいいと思うんですよ、都市の近郊ばかりじゃなくても。相当車が発達しているわけだし、それから電車に乗っていっても、郊外でも集団化してやれば、またそこの集団地で日曜日とか祭日に集まってむしろレクリエーション施設的なものが入れば、私はある程度都市近郊の山間地域でも非常にいい一種のリゾート地域にもならぬかというふうな空想もしないわけでもない。実際日本人として都市のサラリーマンが釣りに行ったり、それから山へ登ったり散歩したりするのと同じような構想を、農林省だと営林署でもそういうような森林浴の山を開拓するとかいう、遊ぶだけではなくて一つのこれは遊び場所でというふうな考え方でやってもらったら非常にありがたい、こういうふうに希望だけ申し上げておきます。
○政府委員(松山光治君) ありがとうございました。
○喜屋武眞榮君 土地利用型農業を発展させるためには、規模の拡大がどうしても必要であると思います。それを前提にした場合に、沖縄の場合自然条件などから制約が多うございます。 そこで、沖縄における農用地利用増進事業の実施状況、そして今後の進め方について、まず承りたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 沖縄県におきます農用地利用増進事業の実施状況でございますが、昭和六十三年十二月末現在の状態で申し上げたいと思いますけれども、農業振興地域整備計画いわゆる農振計画が策定されておる四十八市町村のすべてにおきまして、農用地利用増進事業の実施方針が策定されております。このうち、四十二の市町村で具体的な農用地利用増進計画が策定され、利用権設定等促進事業が行われておるわけでございます。量的には、継続中の利用権の設定面積でございますけれども、三千百四十七ヘクタールということになってございまして、利用権設定率も六・一%、都道府県の順位で見ますと第七位ということでかなり高い水準にあるわけでございます。そのほか、農用地の利用改善団体の数も五十一団体育成されておるというのが現在の状況でございます。 ただ最近、毎年の新規の利用権の設定面積が実はちょっと減ってきているといいますか、伸び悩みの状況にある事情がございます。その背景にある事情といたしましては、沖縄におきます土地利用型農業の典型はサトウキビでございますが、これの農作業の機械化がおくれているというようなこともございまして、規模拡大の有利性が必ずしも十分発揮されないような実情があるというのが一つ。それから若い意欲的な農業者が、野菜だとか花だとかあるいは熱帯果樹といったような施設型経営への取り組みを多くしておるという事情があるようでございまして、土地利用型農業への就農者が少ないという事情もあるようでございます。また一部の地域では、都市化の進行に伴いまして農地の資産的保有意識が強まっておるといったような事情もあるというふうに承知いたしております。 こういう歩歩を考えてまいりますと、今回の農用地利用増進法の改正を契機といたしまして、農用地利用改善団体等の組織的な取り組みを強化いたしまして集団的な土地利用調整を推進していくということが基本でございますが、同時にサトウキビ作にかかわります収穫作業の機械化を推進していくといったようなことも重要であろうと思っております。こういうことを通じまして、農作業の受委託も含めた多様な形態での農地の流動化を進めまして、規模拡大と生産性の向上を図っていくということが必要ではなかろうかと考えておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 今の御答弁とも関連が出てまいりますが、経営規模拡大を考えた場合に雇用確保が重要な問題となってまいります。事実、恒常的な地元の兼業農家の方が貸付割合が高いことが一般にも言われておる。日本の景気は引き続き好調であると言われておりますが、果たして地方経済の実情はどうなのか。言われておる東京への一点集中による富の偏在化も危惧されておる点も御存じと思いますが、そんなことを考えた場合に、特に沖縄のような遠隔地では就業機会の確保が必ずしも十分ではない。政府として、就業機会確保のための工業等の導入について今後どのように対策を講じていくつもりであるのか、政府のきちっとした見解を承りたい。
○政府委員(松山光治君) 御指摘ございましたように、農地の流動化を推進いたしまして農業構造の改善を進めていきますためには、 〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕農地の貸し手となります農家に対しまして安定的な就業機会の確保を図っていくというのは非常に重要なことであるというふうに認識いたしておるわけでございます。このため農林水産省といたしましても関係省庁と連携をとりながら、いわゆる農村地域工業等導入促進法に基づきまして農村地域への工業導入、これは対象業種も昨年の改正で拡大されたわけでございますが、これを基軸とした各般の施策の推進に努めておるところでございます。 沖縄県の場合には、御案内のような特殊事情にかんがみまして、その特性に即しました沖縄県の振興開発を図るという観点で、従来から農工法を適用せずに、むしろ沖縄振興開発特別措置法によりましてもろもろの特例措置がとられておるわけでございます。工業の立地促進措置につきましてもこれらの一環といたしまして工業開発地区の制度が設けられておりまして、農工法で設けられておりますのと同等ないしはそれ以上の税制・金融上の措置、優遇措置が講じられておる、また中小企業についても振興策が講じられておるというふうに理解をいたしておるところでございます。 私どもといたしましては、地場産業に資する農産物の加工施設の整備なり観光資源の開発といったようなことを内容とする施設面の助成を、新農村地域定住促進対策なりあるいは農業構造改善事業なりで沖縄県についても行いながら、沖縄における就業機会の安定という重要な課題に取り組んでいきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 次に、農地転用基準の緩和の点からお尋ねしたいのは、政府はさきに農村活性化と都市機能の地方分散を進めるために農地の転用基準を大幅に緩和しておられるが、優良農地である第一種農地あるいは甲種農地について、農村活性化施設とはいえ農地転用を大幅に認めて非農業的な土地利用を引き入れることは、土地利用秩序の面から問題があると思われます。こうした基準緩和は、思惑や投機需要が先行すると例の土地転がしや地価高騰の引き金になりかねないと思われます。かつての列島改造ブームやリゾート開発によるいわゆる乱開発のような事態を招かないよう、今後とも優良農用地の確保の原則を堅持して、運用に当たっては十分な指導を行うべきだと考えるが、政府の見解はいかがでしょうか。 〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
○政府委員(松山光治君) 先般農地転用規制の緩和を行ったわけでございますが、これは昨今の農業なり農村をめぐりますもろもろの事情、それから多極分散型の国土の形成が必要になっているという事情、これらを踏まえまして、計画的な土地利用を進め優良農地の保全を図っていくという制度の基本は維持しながら、農村の活性化なりあるいは都市機能の地方への分散を円滑に図っていく、そういう諸課題に対応するために行ったものでございます。これによりまして、農家の安定的な就業機会の確保なり、農村の生活環境の整備なり、都市と農村の交流等を進めていくということは、農家所得の確保と農村社会の維持に資するものである。また、農家の就業機会を増大させるということは、農地の流動化の条件を整備していく上でも重要なことだというふうに考えておるわけでございます。 もちろん、今回の転用許可基準の緩和につきましては、地域が本当に必要とする地域活性化のために、必要な諸施設等について従来よりも農地転用の許可の対象とし得る場合を広げたということでございまして、自動的にそういうものがどういうところででも許可になるということでは必ずしもございません。当然のことながら位置の選定なり面積の妥当性、あるいは転用目的の確実性といったようなことを別途チェックいたしましてこれをやってまいるということでございます。 今先生から御指摘のございましたように、優良農地を確保いたしますことは農業振興を図っていく上で極めて重要な課題だということを考えておりますし、同時に農地は残ったけれども農村が寂れたということになっても、これまた農村の活性化という点からは困るわけでございますので、そういう意味ではただいま申し上げましたような諸点についての審査をきちんと行うことを通じまして投機的な農地取得を排除していく。言ってみれば地域にとって本当に必要な、その地域の発展のために必要な土地利用は何かということをよく考えていただきまして、農業との調和のとれた地域の発展を考えていただきたい、またそういう考え方のもとに適切な指導を行ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 日本にとって離島県でありさらに多島県である沖縄の特殊事情というのは、一本やりで、一方的にいたしますと、極端に申しますと角を矯めて牛を殺す、こういった危機感になりかねないということも十分注意しなければいけない、警戒しなければいけない。 次は、大臣にお尋ねしますが、農地流動化を効果的に進めるためには、何と申しましても農地基盤の整備が必要であることは申し上げるまでもありません。特に整備のおくれている沖縄県における農地基盤整備事業の推進について、政府の基本的な方針とつないで具体策を大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(堀之内久男君) ただいま喜屋武先生の御指摘のとおりでございまして、農業基盤整備事業は農業の規模拡大あるいは生産性の向上、そうしたものを進めるため、あるいはまた御指摘の農地流動化を効果的に進めるためにも最も基礎的な条件でございますので、これからも積極的に進めてまいります。そのような考え方のもとで、沖縄の農業基盤整備事業についても本土に比べて大分おくれている状況にかんがみまして、また沖縄の特殊な事情、多島化であるといういろいろな、そして距離的にも相当な悪条件下にあるという特殊な状況を考えながら、今日まで採択基準あるいは補助率、予算等についても特別な配慮を講じてまいったところであります。今後とも、そうした沖縄の特殊な事情を十分配慮しながら積極的に推進してまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 今の御答弁に関連して、沖縄開発の基盤整備のもろもろのまだ落ちこぼれがそしておくれがありますが、今切実に考えて感じていらっしゃるのは何でしょうか。
○政府委員(松山光治君) 沖縄県の農業基盤整備事業の課題多々あろうかと思いますけれども、やはり一番重視する必要があろうと思いますのは、いかに水の条件を整えていくかということがまずあるのではないだろうか、このように認識をいたしておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 大臣からずばりお答えを聞きたかったんですが、今の水ですよ。人間のみならず生活用水、農業用水、工業用水、すべてに支障を来す水の問題です。だから、沖縄の開発で水をどうするかということ、これの抜本的な解決なくして他の要素はこれは絵にかいたもちにしかすぎないということなんです。だから水を治める者は国を治める。水を治める者は県の政治の、特に沖縄における歴史的にも、人間だけでなく命の水、これが足りないということなんです。しかも、日本にとって最大の降雨県は沖縄でしょう。降雨量は日本一、雨は降るが日本一水の不自由な県、ここに政治あり、政治の問題があるということを強く指摘しておきたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(堀之内久男君) 私も、今喜屋武先生のお話の点は余り承知をいたしておりませんでしたけれども、けさほど役所の局長初め皆さんから地下のダムの問題、こうした特殊な工法をもって、せっかくあれだけの雨量が多いわけでありますからこれをいかにして貯蔵していくか、そしてこれを有効に活用するかということを初めて聞きました。私も時間があれば必ず沖縄のそうした現況を視察しまして、今後ともせっかくの天水の多いこの水を有効に利用できる方向をさらに事務当局と検討していきたいと、こういうように思っております。
○喜屋武眞榮君 大臣お願いしますよ。この水の問題をあなたの、大臣の任期中にでも抜本的に掘り当てる政策を講じていただくならば、いかなる大臣、総理大臣以上にあなたは沖縄にとってそれこそ恩人ですよ。お忘れなく。 次に進みたいと思いますが、レクリエーション農園、いわゆる市民農園の振興について、まず農水大臣はどのような御見解を持っておられるんでしょうか。レクリエーション農園についてまずそのことを大臣からお聞きしたい。
○国務大臣(堀之内久男君) 先ほどの答弁でちょっともう少し認識を強くしてまいりますが、これは農業に水を忘れて農業を語ることはできません。したがって、そうした特殊な地域の状態をさらに私自身認識を新たにして御期待にこたえていきたいと存じます。 ただいまの市民農園の振興についてお尋ねでございますが、前にも何回か御答弁申し上げましたけれども、近年国民の余暇の増大、そして価値観の多様化に伴いまして都市住民の農業の体験や自然の触れ合いの要請が非常に高まっております。このような要請に適切にこたえていくことは、国民の農業あるいは農村に対する理解を深める上でも大変有意義なことでありますし、また地域の活性化、遊休農地の利用の増進を図る上でも大変有効的だと考えております。このような観点から、これまでも入園契約方式による体験農園やレクリエーション農園の開設の促進や、さらに農業構造改善事業等を活用した休憩施設、かん水施設等関連施設の整備も進めてきたところであります。 このたびこの法案の成立を契機に、さらに広く国民のニーズにこたえるよう最大の努力をしてまいりたいと存じます。
○喜屋武眞榮君 今の市民農園に関連して、私も非常にこれに関心を持っておる一人でありますので、次のことですね。これは国民生活の多様化と申しますか、国民生活の複雑化、この文化的欲求から来る陰りと申しますか、ストレスというものが好むと好まざるとにかかわらず必ず人間についできます。このストレス解消の面からも、自然環境あるいは森林浴だとかあるいは海につながる施設、それからスポーツの生活化、こういったもろもろのこれは人間が文化に欲求を持つ一つの陰りとしてのどうしてもストレス解消の施設、これが私は文化国家の一つのバランスの必然の施設でなければいかぬと、こう思っておるわけでありますので、この観点からもどうかひとつこれに力を入れてもらいたい。 そこで、このレクリエーション農園と農地税制との関係についてはどのようになっておるのでしょうか、税制との関係ですね。
○政府委員(松山光治君) 農地税制の問題といたしましては、相続税制との関係、それから固定資産税の関係があるわけでございますけれども、農業経営者がみずから農園を行いながら入園契約方式で農地利用を、農作業をしていただくといういわゆる入園契約方式の場合には、いずれも特段の支障はないということになるわけでございますが、貸し付け方の農園の場合になりますと、御案内のように相続税制との関係で問題があるわけでございます。自作地を主体とした、それで相続時に経営が細分化するのを防ごうという、そういう相続税制の基本的な考え方からいたしまして、貸し付け地についてまでこの特例を認めていくということは税制本来の基本理念にもかかわってくる、あるいは他の中小企業等とのバランスがとれない等の問題がございまして、農業の目的のために使う場合についても貸し付けの形態のときはだめだというのが今の形でございます。したがいまして、これはなかなか実現の難しい話であります。 ただ、相続税の基礎控除の引き上げがございましたから、かなり多くの地域であらかた問題の解決は済んでおると思いますが、特定地域、特に都市近郊等の地価の非常に高いところの場合には問題が残ろうかと思います。したがいまして、そういうところでは相続税を考えましたときには、入園契約方式の形でやっていただくのが非常に現実的かなというふうにも思っておるわけであります。 固定資産税の問題、これは幾つかの特例的な扱い、特に生産緑地にしたときには特別の問題がないといったようなこともございます。特に固定資産税の関係は、市街化区域内の農地の税制の問題としてこれから政府部内でも議論をする、こういうことになっておるわけでありまして、基本的なスタンスは市街化区域内の農地につきまして宅地化するものと保全するもの、その保全の中には恐らく市民農園の形態で保全するというものも入ると思いますけれども、そういった保全するものの仕分けをはっきりした上で必要な見直しをやるということでもございますので、私どももこれまでの経緯もいろいろ踏まえながら、これから各省とよく相談してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 最後にもう一つお尋ねいたしますが、特定農地貸付け法案は地域限定がなく、農用地区域にも道が開かれておる。優良農地は守りながら地域の活性化を何としても図るべきであると思われてなりませんが、このことについてはいかがお考えでしょうか。
○政府委員(松山光治君) 御指摘のように、優良農地を守りながら地域の活性化を図っていくということは極めて重要な課題であるというふうに考えております。特定農地貸し付けでございますが、これは当面担い手によります効率利用が見込めない農地なり、あるいは遊休化しておる農地といったようなものを一般公衆に貸し付けまして農地のままで利用してもらうということでございますから、農用地区域内の農地であることを理由に対象から除外することは適当でなかろうかということで、特に地域限定をいたしておらないわけでございます。しかしながら、優良農地の確保と適切な調和を保つべきであるということ、これは当然のことでございます。 そこで、特定農地貸し付けの用に供します農地の位置なり規模なりにつきましては、周辺の農用地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を及ぼさないといったような要件を満たす場合にのみ、農業委員会が特定農地貸し付けについての承認を行う、こういう仕組みにいたしておるわけでございまして、この法律の趣旨に沿った適切な運用を期待していきたい、このように考えておる次第でございます。
○委員長(福田宏一君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより両案のうち農用地利用増進法の一部を改正する法律案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております農用地利用増進法改正案に対する反対討論を行います。 反対の第一の理由は、現在進められている輸入自由化路線と農産物価格引き下げ政策に基づき、内外価格差を縮小するための構造政策を推進することが本改正案の目的であるからです。 一九八六年四月に公表された、いわゆる前川リポートは、日本農業の零細性と異常円高による内外価格差の拡大を口実にして日本農業の切り捨てを迫りました。これに基づいて農政審議会が同年十一月に「二十一世紀に向けての農政の基本方向」という報告を政府に提出しました。この報告は、二十一世紀に向けての農政の課題に構造政策の推進や価格政策の見直し等により農産物の内外価格差を縮小することを掲げました。そして、この報告の後、生産者米価を初め農産物価格の連続引き下げと牛肉・オレンジ、農産物八品目の自由化が次々に行われたのです。 本法案は、この農政審報告に基づいて、市町村に構造政策目標をつくらせるとともに、行政が認定した規模拡大適格農家だけを対象に新規施策を実施するなど、選別的な構造政策を一層強化するものです。同時に、現在の自由化・農産物価格引き下げ政策のもとでは、政府が育成しようとしている大規模農家の経営自体が破綻に直面せざるを得ず、規模拡大の展望さえ奪ってしまうことも明白です。 内外価格差の縮小だとか国際競争に耐え得る農業だなどといって進められる構造政策の行き着く先は、国際競争に耐えられない農業や農民経営を切り捨て結局は日本農業を縮小・解体に追い込む道にほかなりません。 第二に、農業生産法人の構成員に新たに農地取得の道を開くことについてです。生産法人は、これまでも農外資本の畜産インテグレーションなどの農業進出や、投機目的の農地取得の際にダミーとして使われてきましたが、今回の改正は、この危険性を増すものであり、到底賛成できません。 第三に、農協を農用地利用増進行政の中に取り込むことについてです。 農民の土地所有を守り、農地を有効に活用するためには、公選制の行政委員会である農業委員会を軸にした農地管理を維持すべきです。農地を金融担保として管理したり、農地売却代金を有力な資金源とする経済団体としての性格を持っている農協に、農地の貸借、さらに売買などの農地の権利移動を管理する権限を与えることは、農地制度本来のあり方に反するものです。 なお、遊休農地の有効利用にかかわる改正については、実効が上がるかどうかが大変疑問ではありますが、この部分には反対するものではないことを付け加え、反対討論を終わります。
○委員長(福田宏一君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより農用地利用増進法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(福田宏一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 一井君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。一井君。
○一井淳治君 私は、ただいま可決されました農用地利用増進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員山田耕三郎君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 農用地利用増進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 最近の我が国農業を取り巻く内外の厳しい情勢に対処し、農業生産の担い手を育成・確保するとともに、生産性の向上を図り、足腰の強い農業構造の確立と農家所得の確保を図ることが喫緊の課題となっている。 よって政府は、農業の将来展望を明確に示すとともに、本法の運用に当たっては、次の事項の実現に努め、農業構造の改善の一層の促進と農用地の有効利用に遺憾なきを期すべきである。 一 農用地利用増進事業の実施に当たっては、地域ぐるみの話し合いの促進と農家の意向の把握に努めることとし、もって地域農業全体の生産性向上に資する効率的生産体制の確立を図ること。 二 農業経営規模拡大計画の認定に基づく農用地の利用調整については、地域関係者の理解と合意のもとに実施されるよう十分に指導すること。 三 農用地の利用権設定等に当たっては、耕作者の経営の安定に資するよう面的まとまりに配慮した農地の集積、利用権の継続設定等について指導すること。 四 農作業受委託の促進に当たっては、受託農業者の経営安定に資するよう契約期間の長期化、作業範囲の拡大等について指導すること。 五 農業委員会、農業協同組合、農地保有合理化法人等の地域に根ざした農用地利用調整活動が円滑に実施されるよう必要な措置を講ずるとともに、相互間における連携と協力体制を確立すること。 六 農業生産法人に対する農地の貸付け等を行うための当該法人の構成員による農地取得については、投機的な農地取得を招来することのないよう適切に指導すること。 七 遊休農地の解消と有効利用を図るに当たっては、遊休農地所有者等の理解と協力が得られるきめ細かい配慮のもとに行われるよう指導すること。 八 構造政策の円滑な推進に資するよう農地流動化諸施策の充実を図るとともに、農家負担の軽減に配慮した農業基盤整備事業の促進、就業機会の確保等に必要な措置を講ずること。 また、経営規模の拡大が困難な中山間地域等に対しては、それぞれの特性を生かした農業の振興と地域の活性化を図るための各般の施策を推進すること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(福田宏一君) ただいまの一井君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(福田宏一君) 多数と認めます。よって、一井君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、堀之内農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。堀之内農林水産大臣。
○国務大臣(堀之内久男君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(福田宏一君) 次に、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律案に対する反対討論を行います。 反対の第一の理由は、本法案が農地法に風穴をあけ、農地法の空洞化をさらに進めることになるからです。 農地法は、農民の土地所有を守り農地の有効利用を保証するため、第三条で農地の権利移動のすべてを許可制としており、これは農地法のかなめとも言うべきものです。 しかし、現実には、この第三条は、農用地利用増進法などの施行に伴って次々に骨抜きにされ、現在、所有権移転に対する農地法第三条による許可は、負債整理などのための売買がほとんどというのが実態です。 限定的であるとはいえ、本法案によって第三条がさらに骨抜きにされれば、農地法の機能として残るのは転用規制の第四条だけということにもなりかねません。しかも、転用規制は通達によって急速に空文化されており、このまま事態が進めば、農地法廃止圧力をますます強めることは必至と言わなければなりません。 反対の第二の理由は、本法案によって貸し農園つき別荘などが農業振興地域などにも設置され、優良農地が虫食い状態に乱開発されるおそれがあることです。既に、リゾートブームの中で、純農業地帯の乱開発と土地投機が始まっておりますが、本法案がこの動きに拍車をかけることは必至です。 都市住民や農村の非農家住民の間に土に親しみ、健全なレクリエーションとしていわゆる市民農園を求める声が高まっているのは、当然の要求でありますし、これに大いに援助をすべきです。 しかし、そのために、わざわざ新法までつくる必要はありません。 現在、市民農園は構造改善局長通達による入園契約方式で行われています。この方式は、農民の土地所有を守り、都市住民に市民農園の利用を保証する合理的な制度と言えるでしょう。本法案のような数々の問題点を含む法律をつくる必要は全くないことを指摘して、反対討論を終わります。
○委員長(福田宏一君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(福田宏一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 一井君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。一井君。
○一井淳治君 私は、ただいま可決されました特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員山田耕三郎君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律案に対する附帯決議(案) 最近における農業・農村をめぐる厳しい情勢下において、国民の農業・農村に対する理解を深めるとともに、地域の活性化と遊休農地の利用増進を図ることは極めて有意義である。 よって政府は、本法の施行に当たり次の事項の実現に努め、特定農地貸付けに係る農園の秩序ある開設とその健全な育成について遺憾なきを期すべきである。 一 都市住民等の需要に応じて特定農地貸付けが積極的に行われるよう地方公共団体等を指導すること。 二 農業委員会が特定農地貸付けの承認をするに当たっては、周辺農業者の農業的土地利用との調整を図り、集団的優良農用地の確保とその効率的利用に支障を生ずることのないよう農園の位置、規模等について十分配慮すること。 三 農園の適切な管理を図るため、荒し作りの防止、周辺の環境に配慮した農薬の使用等についての指導・助言体制を確立すること。 四 市民農園の開設を附帯施設の整備と併せて促進するための措置を検討すること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(福田宏一君) ただいまの一井君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(福田宏一君) 多数と認めます。よって、一井君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、堀之内農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。堀之内農林水産大臣。
○国務大臣(堀之内久男君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(福田宏一君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(福田宏一君) 次に、請願の審査を行います。 第六号日本の農林業の育成・強化に関する請願外八十九件を議題といたします。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(福田宏一君) 速記を起こしてください。 これらの請願につきましては、理事会で協議いたしました結果、第六号日本の農林業の育成・強化に関する請願外八十五件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一二号米市場開放絶対阻止に関する請願は採択すべきものにして内閣に送付するを要しないものとし、第一七号平成元年度農林年金国庫補助に関する請願外二件は保留とすることに意見が一致いたしました。 つきましては、理事会の協議のとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(福田宏一君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 農林水産政策に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(福田宏一君) 次に、理事の辞任についてお諮りいたします。 一井淳治君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福田宏一君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に村沢牧君を指名いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十一分散会 —————・—————