商工委員会 第2号
- 発言数
- 127 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1989/03/28
会議録
○委員長(宮澤弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二十七日、降矢敬義君が委員を辞任され、その補欠として田代由紀男君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(宮澤弘君) 繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。三塚通商産業大臣。
○国務大臣(三塚博君) 繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 繊維工業につきましては、現行の繊維工業構造改善臨時措置法に基づきまして、昭和四十九年度から構造改善事業を実施し、商品開発力、技術開発力の強化、設備の近代化等を推進してまいりました。 しかしながら、近年の我が国の繊維工業をめぐる経済的環境は、円高の定着、アジア新興工業経済群等の追い上げ等による輸入の増大、需要の多品種・少量・短サイクル化等かつてない激しい変化を見せており、我が国の繊維工業は、このような変化に即応した構造改善を推進するため、新たな対応を強く求められておるところでございます。 これらの状況を踏まえまして、一昨年十一月、通商産業大臣より繊維工業審議会及び産業構造審議会に対しまして、今後の繊維工業及びその施策のあり方について諮問がなされ、約一年間にわたり両審議会において慎重な審議が重ねられてまいりました。 その結果、昨年十一月、我が国の繊維工業が現在の厳しい環境を克服し、今後さらなる発展を遂げていくためには、需要の多品種・少量・短サイクル化等に対応する新たな実需対応型供給体制を構築することが必要であるとの趣旨の答申を得たところであります。 政府といたしましては、この答申の内容に沿いまして政策を推進すべく、本法律案を提案することといたした次第であります。 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。 第一は、この法律が廃止するものとされる期限につきまして、本年六月三十日までとなっているものを平成六年六月三十日まで五年間延長することであります。 第二は、繊維工業の新たな構造改善事業を積極的に推進するため、構造改善事業計画の承認制度につきまして、その事業が相互に密接に関連する繊維事業者等の連携に関する計画に対するものとするとともに、繊維事業者が実施する構造改善事業を円滑にするための商工組合等による構造改善円滑化事業の計画の承認制度を創設することであります。 第三は、繊維工業の構造改善を効果的に推進する観点から、政府は、繊維工業の高度化のための事業を総合的に行う繊維工業高度化促進施設の整備を図るために必要な資金の確保等の措置を講ずるよう努めることとし、産業基盤整備基金に繊維工業高度化促進施設の整備の事業に対する出資業務を追加するとともに、繊維工業構造改善事業協会に繊維工業高度化促進施設の整備の事業に必要な資金の借り入れに係る債務の保証並びに繊維工業高度化促進施設の運営を行う者に対する情報の提供並びに指導及び助言の業務を追加することであります。 第四は、近年急速に進展しつつある情報化の成果を繊維事業者がその構造改善に活用し得るよう、繊維工業構造改善事業協会におきまして、繊 維事業者が繊維製品に関する情報の処理を効率的に実施するための調査研究及びその成果の普及の業務を新たに行うこととすることであります。 以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。 以上であります。
○委員長(宮澤弘君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○福間知之君 質疑に入る前に二点ばかりお聞きをしたい点がございます。 その第一は、消費税問題に関してであります。 昨日も本院本会議において三塚大臣からも一定の消費税に関する答弁がなされたようでありますが、昨年の暮れの国会で決まって三カ月が経過しようとしているわけでありますが、早くも四月一日の実施を控えて余すところ四日という時間しかありません。巷間既に報道されているように、皆さん方も御案内のごとく、七十五の地方自治体においても消費税の上乗せを見送るなどの決議が地方議会で行われ、あるいは一般事業者の中においてもかなりの混乱が惹起されているやに伺うわけであります。 昨日の新聞によりますと、三塚大臣は、一昨日の夜仙台における記者会見において、国民の多数がおかしいということであるならば見直しもやらなきゃならぬだろう、是正が必要なら参議院選挙後の国会において是正しなければいけないだろうという趣旨の御発言をなされたと報じられておりまするが、大臣の真意は那辺にあるのかお聞かせを願いたいと思うのであります。 私たち社会党は、もちろんこの消費税の法案の撤回あるいは凍結、延期などを今まで主張してまいりましたけれども、今日もその考えに変わりはありません。このままで四日後に実施されるとなれば、さらに混乱が拡大し、不公正が拡大をしていくという懸念を今でも払拭できないでおるわけでありますが、そのあたりを含めた大臣の所見を求めます。
○国務大臣(三塚博君) お答え申し上げます。 消費税は、御案内のとおり、四月一日施行ということで既に昨年暮れ法律が成立をいたし、それぞれの措置が講じられてまいりました。内閣におきましても、総理を本部長、私ども数名大蔵大臣を含めまして副本部長ということで円滑化導入について万全を期す、こういうことであり、我が通産省は中小企業各団体を主管するという立場の中で、省内に事務次官を中心として各局局長、各通産局長等にもお入りいただきながら円滑化導入の推進本部を設け、連日相協議をしつつ、またクレームがございますればそれに敏速に対応する、疑問がありますればその解明にこれまた敏速に御回答申し上げる等々の措置を講じてまいってきたところであります。 まさに四日後にその施行を控えておりまして、これが混乱がございませんように、短い期間ではございましたが、全力を尽くしてきたわけでございまして、そのことに当面力をいたすことは、法治国家の原則からいいましても当然である。この大前提に立ちまして、さはさりながら、これは法律一般論であろうと思うのでありますが、どんな法律でもその法律がなじまない、問題が残りました、あるいはこれの施行に大きな障害が出ておるということは、国民がこれを拒否し続けるということに相なりますと、ここで深刻な問題が出てまいるわけでございますから、そういうことどもがありませんようにその定着化に年内いっぱい最大の努力を傾注しなければならない、あるいはその施行後も引き続きやらなければならないわけでございますが、明らかにこの法律によって第二法人税的な性格が出てまいりまして、まじめに一生懸命やっておりますけれども、そのことで倒産に追い込まれるというようなことがあるとすれば、税は公平公正でなければならぬという観点の中で欠陥がある、整合性がいかぬという問題が行政、政治の面で出てくるであろう。そういう事態があるとすれば、政治はこれに敏速に対応するというのは議会制民主主議の基本からいって当然である。政府は、法律を施行いたしますと、大体三年の期間で見直しをするというのが通常の考え方でありますけれども、新税という初めての間接税導入という今日時点に立ちますならば、その三年のサイクルを一年に短縮をいたしましても考えるべきではないか、それだけの柔軟な対応があってしかるべきである、こういうことを申し上げたわけでございまして、さような意味において、消費税導入は何が何でもただいまの体制で問答無用で進むものではありません。ですから、予想しない問題が出てまいりましたならば、真剣に対応します。真剣な対応が法律改正を要せずやれるものでありますれば、決定でこれを行います。法律改正を必要とするものでありますれば、政府税調、また自由民主党・党税調において十二月に入りますと各種の議論が税制において行われるわけでございますから、その結果を踏まえて行われることになるでありましょう。 さような意味で、参議院選挙後に開かれる至近の臨時国会というのが施行半年あるいは数カ月の実績の中で論議が行われる国会になるでありましょうし、その国会においてその点をフランクに質疑を通じ懇談を申し上げて対応するということは当然であろう、さように実は申し上げたところでございます。
○福間知之君 今の御答弁を聞いていますと、二年なり三年なりたてば、新税というものはその実施の実績を判断して改めるべきは改めるということが十分考えられるというふうな一般論と、さらにはまた、今の消費税をめぐる混乱等を考えて、必要であれば法改正、あるいは法改正でないまでも是正すべきは是正すべきだ、こういう一見真剣なまじめな御発言、御答弁であったように伺います。 しかし、私から言わせれば、昨年の税制改革の特別委員会に私もメンバーとして参加をしてきましたけれども、あのときからの議論で、既に大いなる欠陥をはらんだ税制であるということが明らかになっていたはずでありますが、一向にそれを審議の過程で修正をするなどという考えは毛頭政府側にはなかったわけでありまして、私たちはもう免税点が高過ぎる点から、あるいはまた簡易課税制度だとか、段階的な控除制度とか、あるいはまたもともと帳簿方式などという方法を含めまして大いに欠陥を指摘をしてきたところでありまして、今日見るような混乱が当然そのときから予想もされておったわけであります。だから、撤回をすべきだ、出直しをすべきだ、こういうことを議論しておったわけであります。今の大臣の発言で、もはや既に実施を控えながら、そういう欠陥を持った法案だから、当然のこととして早い時期に是正が必要であると、さもそのようなお考えのような印象を受けたわけであります。 さて、そのことはそのこととしまして、今竹下内閣並びに政権政党たる自民党の各種世論調査による支持率はかつてないほど低い水準にあることは御案内のとおりであります。その理由なり背景なりは、もちろん言うまでもなくリクルート疑惑の解明が不徹底であるというようなこと、あるいはまた農村地域においては特に農産物の自由化をめぐる批判、不満というものが渦巻いているということ、さらに消費税というものが加わって支持率が極めて低い水準に下がっているというふうに言われているわけでありますね。大臣は特に今の消費税との関係においてこの点をどうお考えになっているか。私は、もう今日のこの支持率からするならば、現内閣は総辞職をすべきである、あるいはまた解散をするのが憲政の常道ではないのかと、こういうように思うわけでございますが、本音のところをひとつお聞かせを願いたいのであります。
○国務大臣(三塚博君) 極めて重要な政治運営の基本問題の御質疑でございまして、後段の総辞職、解散は総理のまさに権限、最後の政治決断と、こういうことの範疇に属しますものでございまして、私ども任命を受けました閣僚は、総理を中心に一体となりながら耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んで政治改革の断行、片や消費税の円満な、円滑な導入が期せられますようにただいまのところ全力を尽くしてまいる、こういうことであろうと思います。 消費税を含めて、御指摘のように、リクルート、農政各般にわたる問題が複合いたしまして支持率の低下ということをもたらしておりますこと、私も率直にそのことは認めるわけでございますが、今の前段のリクルートは、まさに黒白が決せられる真藤さんの起訴が昨日決定をされた、そして引き続き政界関係の解明へということが報ぜられておる今日でございますから、一日も早く黒白が明確になることによりこれに対する政府・与党のけじめ、またこれに対するただいま論議をされておる政治改革、こういうものが緒につくことによりまして信頼のきずなを中心として取り進められるでありましょうし、また、消費税の問題は、前段申し上げましたとおり、施行前でございますから大変な不安感がありますこともよく承知いたしております。一日以降、この不安感が実施という段階を経まして、またこれに対応する行政というものが臨機応変にこれに対応すると。前段申し上げましたその中から、税は国民のためにあるわけでございますから、そういう意味で、そのことが私ども政府が考えてもみなかった方向にあるとすれば、その方向を是正するにちゅうちょしてはならぬという政治原理、原則を実は申し上げたわけで、このことは与党の議員各位も皆さん同意見でありましょうし、ましてや野党の皆さんはそういうことでやれと、こういうことであろうと思いますので、どうぞ四月一日以降の同法の施行につきまして、格段のまた御指導、御鞭撻を賜りますようにお願いを申し上げておく次第であります。
○福間知之君 消費税問題はあと四日、四月一日から実施ということでございまして、国会の方も御案内のとおりの本予算の審議がストップしたままでもあり、野党という立場でも、この問題にどう対応することが国民の立場で期待されているんだろうかということを悩んでいるんです。特に我が党は率直に言ってこの十日間余り前から頭を痛めておりまして、このままで国会の責任が果たせるのかということを実は痛切に思いやっているというような次第でございます。 さて、二つ目の質問でございますが、今回の繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案が果たして日切れ法案であるのかどうか、大いなる疑問を私は持っておるわけでありまして、この委員会も日切れ法案を処理するために開かれた委員会でありますが、どうも年度内、すなわち三月中に成立させなければならないという必要性が考えられないのであります。 疑問点の第一は、繊維法の期限切れが今年六月三十日で、それまでまだ今から三カ月間の期限が残っております。 第二は、本法の附則第二条に、「六月三十日までに廃止するものとする。」と規定されているのでございますが、仮に期限の延長措置がとられなくても、法律上の廃止手続がとられなければ、法律そのものは失効しないというのが今日まで政府の解釈であったわけです。 第三の疑問点は、予算関連法案だと言われながらも、本予算そのものがいつごろ成立するのか皆目見当がつかないという状況ではないですか。 そういうことでございますので、なぜ日切れ法案として今月中に成立させることが必要であると考えたのか、日切れ法案というものの定義あるいは基準というものをどう考えているのか、実はこれ大いに疑問があるんです。これは大臣にお聞きしても、よもやまともなお答えはできないだろうと、こういうふうに思いますので、武士の情けとしてあえて答弁は求めませんけれども、そういう考えに私は立っておりますので、にもかかわらず、日切れ法案として処理を考えたことは、この国会の先行きに不安を感じられているからじゃないかなと、そういうふうに推察をするわけであります。 五月二十八日の今国会終了までにはまだ二カ月の期間が残っております。今回の日切れ法案処理の日程というものは、年度内の今月中に成立させないと、四月から国政上支障を生じて国民が迷惑するという性質の法案処理のために、いわば緊急避難的に設けられたのがこの法案処理の日程なんでありまして、繊維法をなぜ慌ただしく処理をしなければならないのか。リクルート事件捜査の今後の進展いかんによりましては、昨日も真藤起訴が決まりましたようですが、四月以降の国会の長期空転を予想してのことでございましょうか、あるいは先ほど申したように、内閣総辞職あるいは衆議院解散など会期末までに不測の事態が起こることを懸念してのことでございましょうか。もしこの法案がそのあおりを受けまして審議未了に終わりまするならば、六月末に期限切れとなって死に体の法律になってしまうわけであります。このような点が心配としてございまして、厳密な意味での日切れ法案ではないけれども、準日切れとか日切れ扱いというふうな姿でこの法案を国会対策上安全運転を期してこの日程の中で消化したいと考えられたのではなかろうか。まあ今申し上げた後段の方は多分に政治的な配慮を申し上げたのでありますが、これらの点について、一言で結構ですから、大臣の御答弁をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 具体的な本法律成立をお願いしております諸事情については、担当局長からかくかくしかじかということで御理解を得るといたしまして、重要な政治的背景でありますが、長期空転が予想されるということでありますが、この点は一面さようなことも予想される。しかし、国家予算というものは国民生活に極めて重要な関連を持ちますという意味で、前段のリクルート問題解明という問題と予算の問題というものの並行審議が、与野党の信頼関係がそこに確立をされますれば、食い逃げしていくのではないかという問題についてまた明確な回答が出てまいりますから、国家予算という各党ともに国会の最大の責務である予算審議、決定という問題についての取り組みが明確に相なりますれば、決してさようなことではないのかなと思いますし、総辞職、解散は前段申し上げましたから触れませんけれども、要すれば繊維工業界を取り巻く諸状況が大変深刻なことでございますものでありますから、法律を日切れ法案と決めさしていただくことによりまして、まさに予算措置はそのことによって年度予算成立と同時にスタート、こういうことでありますけれども、法律の内容を熟知していただく、あるいはリソースセンター等々の問題についても関係各位にこのことの理解をいただくことによりまして、よりこれが具体的、そしてその進捗が進められることによりまして、法の企図する問題が国民及び繊維業界の関連する皆々様方の御要望に十二分にこたえられるものではないだろうかということをお願いを申し上げましたところ、各党の協議の中で今回審議をするという御決定をいただきましたことは、事柄の重要性についての御理解を賜ったということで、各党に対し通産大臣としても深く敬意と御礼を申し上げるところでございます。
○福間知之君 大臣の極めて熱心な態度に心を打たれまして、ただいまから具体的な審議に入ることにいたしたいと思うのであります。 まず、通産省の繊維産業の現状についての認識に関しましてお尋ねします。 繊維産業は、生産と流通を合わせますと、従業員数で約二百八十万人、製造で百三十万、流通で百五十万の雇用を有しておりまして、これは農業の四百六十五万人というものに次ぐ規模でございます。また、全国に数多くの産地を形成しておりまして、地域経済にも大きな影響を有する産業であるわけです。しかし、近年アジアNIES等の輸入増加が加速しまして、さらには円高基調で輸出が停滞するなど、一昨年の一九八七年には輸出入のバランスがマイナスとなるなど、今日繊維産業は厳しい局面にあると考えますが、現状をどういうふうに認識されているかお伺いをします。
○国務大臣(三塚博君) 委員御指摘のように、今日の業界を取り巻く諸情勢は大変深刻でございます。かつてない好調を維持しておるという日本産業界の中におきまして、この繊維業界が川上、川中、川下という分野において輸入の急増、需要の多品種・少量・短サイクル化の急速な進展等厳しい環境変化に直面をいたしておるということは御指摘のとおりでございます。 このような中にありまして繊維産業を活力のある産業として発展をさせてまいりますためには、ただいまの需要の傾向に敏感に敏速に対応する実需対応型供給体制を構築することが必要である。こんなことどもの中で、そのために本法案、それぞれ具体的な内容を盛り込まさせていただきながら、何としても、御指摘のように、我が国産業を支えてまいりました伝統文化的な日本の基本的な産業であったことは御指摘のとおりでありますので、これを引き続き活性化せしめることが政治行政の基本的な役目であろう、かようなことで法律改正をさせていただきまして、新たな装いの中で提案をさせていただきましたわけでございます。
○福間知之君 ところで、もう一点、今のお話にもありましたように、今日までの繊維産業対策というもの、そしてその評価について、今の時点で当局はどういうふうにお考えになっているか。 繊維産業は、近代産業といたしましては最も古い百十年余りの歴史がございます。我が国の近代化とともに歩んできたわけでございまして、大臣も指摘された戦前においてはまさに基幹産業でありました。戦後は復興期から高成長期の前半までは産業の、経済の中心的な担い手あるいは外貨獲得、国民の衣料提供等の役割を果たしてきたわけであります。他方、繊維産業は、戦後、昭和二十七年の生産設備調整以来一貫して繊維産業政策は積極的に実施されてきたと思うのでありますが、主な対策の流れ、そしてまた今の時点でそれをどう評価しておられるかお伺いをします。
○政府委員(岡松壯三郎君) 先生御指摘のとおり、繊維産業は戦後の日本経済において大変重要な役割を果たしてきておりまして、それに伴いまして各種の立法がなされてきております。 ざっと振り返らしていただきますと、昭和三十一年に繊維工業設備臨時措置法というものが制定されましたが、ここでは設備の登録及び過剰設備の処理ということで、繊維製品のあるいは輸出秩序の維持を図るということをねらいとしておりました。 さらに三十九年に繊維工業設備等臨時措置法という法が導入されまして、過剰設備の処理と労働不足に対処するための合理化投資を促進してきたという歴史がございます。 さらに四十二年になりまして特定繊維工業構造改善臨時措置法というのが制定されまして、ここで特定繊維工業という名前にありますように、四業種――紡績業、織布業、メリヤス、染色業というものをとらえまして、これについての過剰設備の処理と設備の近代化を進めてきたということがございます。 この法律が土台になりまして、四十九年に繊維工業構造改善臨時措置法、いわば全面改正の形で四十九年に現在御審議いただいております法案の母体ができたということでございます。ここでは異業種による知識集約化を主眼とします構造改善を進めてきたわけでございまして、これらの対策によりまして新商品の開発等が行われ、時代時代にそれぞれ繊維産業が対応してきたということでございます。 今後ともこのような環境変化に注目しつつ繊維産業対策を進めてまいりたいということで今回の法案改正をお願い申し上げている次第でございます。
○福間知之君 そのとおりだと思うわけであります。したがって、私も繊維産業を今日の時点で考えますと、将来に向かって明るい見通しというようなものを持った産業としてさらに進展をさせていかなければならない。アジアNIES等では繊維産業におきまして新鋭設備の導入が盛んでありますし、我が国では逆に設備の老朽化が著しいのではないかというふうにも思うのであります。今後、アジアNIESに対抗していくために、我が国におきましても新鋭設備というものを積極的に導入していく必要がある。それには、先ほど申したように、明るい見通しを持てるような産業、成長できる産業ということにならなければならないと思うのであります。そうでないと、企業家、経営者は新規投資をする意欲がわいてこないわけでございますし、駐車場かマンションをつくった方がましだというふうになってしまうのであります。今後、繊維産業を明るい見通しを持った産業にしていかないと、すぐれた若い人材も集まらないという結果にも陥るわけであります。したがって、もう少し賃金、労働条件等を改善していく必要もこれは絶対にあるんじゃないだろうか。特に中小零細というふうな企業が多いということにかんがみましてもそういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 先生御指摘のとおり、繊維産業につきましては、さらに新鋭設備の導入等により合理化を図っていく必要があるということを認識いたしておりますし、また、明るい見通しを持って新しい人材が確保できるようにしていかなければならないということも御指摘のとおりでございます。 若干データを引用さしていただきますと、確かに賃金面で見ましても、一般製造業に比して、繊維工業につきましては三十人以上の事業所という、毎月勤労統計というのがございますが、ここで見ても格差がある。さらにそれ以下のものになるとさらなる格差があるということが予想されるわけでございます。 そのような状況から見まして、やはり繊維産業に優秀な若い人材を集めるためには、繊維産業自体が魅力のある産業になっていくということが大切ではないかというふうに考えておるわけでございまして、今回の法改正の骨格になっております構造改善の推進、そのための支援措置というものも、このような考え方から出ているものでございます。
○福間知之君 次に、我が国の繊維産業の特異な生産なり、流通の構造という面につきまして指摘をし、お聞きをしたいと思うんですけれども、第一は、生産、流通構造の分断性と複雑性ということが特徴として指摘できるんじゃないだろうか。第二は産地性、第三は企業の零細性、第四は賃加工生産形態という特徴がある。第五は労働集約性、第六は設備の老朽性でございます。 以上指摘しているような特性を持っているわけでございますが、その点プラス、マイナス両面が考えられるわけですけれども、今日このような点についてどういうふうに考えればいいのか、また、今後これらの特性はどういうふうに変化をしていくだろうか、お伺いをします。
○政府委員(岡松壯三郎君) 先生御指摘のとおり、繊維産業は、他の産業に比べますと、生産、流通構造が極めて複雑である、あるいは産地性を有しておりまして、先ほど御指摘の二百八十万人、約百七十の産地に展開されていると私ども考えておりますが、この産地で生産額の約六割を占めるということで、他の産業に比しても産地性が非常に高いというのが特徴でございます。また、企業の零細性につきましても、九三%ぐらいの企業が十九人以下ということで、この点においても際立ったものであり、また賃加工形態を持っているということも先生御指摘のとおりでございます。 これらがどういうふうに繊維産業にメリット、デメリットを及ぼしているかということについて若干考察してみますと、生産、流通構造の分断性ということは、一面では分業の利益を生かせるというメリットもございますが、他面、需要情報が上流、川上へ流れる、これがうまくいかない。そのために各段階で仮需依存の生産体制になっている。したがって、余分目、余分目につくっていかないと最終需要に適応できないという欠陥を有しているということでございます。 それから、産地性について考えてみますに、一カ所にまとまっているということは集積のメリットがある。例えば物流面、情報面につきましても非常に伝達しやすいというメリットはあるわけでございますが、逆に言いますと、企業の没個性化といいますか、過当競争性を同時に内包することになるという欠点もございます。 また、企業の零細性につきましては、やはり変化への対応力が損なわれるということは御賢察のとおりでございます。 それから、賃加工の点について考えてみますと、個別企業の限られた能力の範囲内で効率的な生産を追求するということができる。そこの点は賃加工のメリットでありますけれども、逆にこれは過度に依存するという親企業依存体質が出てしまうというような問題点があるわけでございまして、それぞれやはりメリット、デメリットがあるというふうに考えております。 今後、このような特性がどういうふうに変化していくかというのが御質問のポイントかと思うのでございますが、なかなか予測しがたいというのが率直なところでございますけれども、需要面、技術面の諸要因の変化によっていろいろ変化をしてくるというふうに思っておりますが、やはりこの繊維産業の特質というものは一朝一夕に変わるものではございませんので、そのメリットを生かし、デメリットを克服するという形で、しかも先ほど来出ております内外の環境変化に的確に対応できるような新しい繊維産業対策を今後とも積極的に推進してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○福間知之君 優等生的なお答えで、その限りにおいてはよくわかるわけでありますけれども。 そこで、私たちも十分知っておらないわけでございますが、繊維ということになりますと、我が国でもそうでございますが、特にイギリスとかイタリーとか、あるいはまたフランスとかいう諸国での繊維産業の大まかな移り変わりというか、そういうようなものも通産当局としては調べておいでだと思うんですが、特に我が国と大きな違いというのはあるんですか。
○政府委員(岡松壯三郎君) フランスにおきましては、ファッションの中心ということで長く繊維産業をリードしてきているわけでございますが、今御指摘のございましたイタリーについて見ますと、むしろ当初はフランスの下請的な形で、しかし、イタリー自身はローマ以来あるいはルネッサンスの文化を持っているという背景のもとに、そこで次第に下請から脱して独自のファッション、繊維産業が育つような環境になってきたということでございまして、ここ十五年と言うとちょっと決めつけ過ぎかもしれませんが、近年イタリアが新しいファッションの中心に育ってきている。これを支える縫製業、染色業、織物というようなものが個別に育ってきておりますし、さらにそれを進める政府の政策も進められているということでございまして、ヨーロッパにおきましては、現在、ロンドン、パリ、ミラノというのがファッションの中心として位置づけられている。そのほか、アメリカでございますが、ニューヨークがもう一つの中心であり、さらに日本、東京がこれにどこまで伍していけるかというのが世界の図式かと存じております。
○福間知之君 繊維産業というレベルと、今お言葉にもありましたけれども、ファッションというふうな言葉が出てきましたが、私も青山、原宿に住んでいるものですからね、まあ目を見張るようなファッション、ちょっとついていけないなと、こういうファッションが流行していますわね。お店だってそういう店がたくさんございます。ところが、我々はもうついていけないような感じがするんですけれども、今御説明がありましたし、今回のこの法律提案でもねらいの一つが、そういうものといわゆる産業としての繊維業をどう結びつけていくのかということが一つの重要な視点として提起されているような気がします。 そこで、実需対応型供給体制という言葉が使われているんですけれども、構造改善の理念としてそういうことを構築していこうということのようですが、どうも実需対応型供給体制という言葉の響きはわからぬでもないんですが、中身がもう一つぴんとこないんですよね。一体どういうことをここで考えておられるのかということをお聞きをしたいんです。
○政府委員(岡松壯三郎君) 実需対応型供給体制、需要のないところに供給はないわけでございまして、何を今さら当たり前のことをというふうにお考えになられるかと存じますが、先ほど申し上げましたように、繊維産業は非常に多段階になっておりますものですから、各段階で仮需の生産をしていかないと最終需要に間に合わないということを御説明さしていただきましたが、そういう仮需依存型から少しでも脱却できないかということが大きな課題というふうに受けとめておるわけでございます。 具体的にもう少し説明さしていただきますと、川下の需要に結びつきながら消費者の需要というものを的確に把握する、これが繊維産業のまず基本であるというふうに思っておりますし、さらに商品企画に携わる者の感性を十分生かして消費者の潜在的な需要を顕在化させていく。すなわち、着たいという物を消費者の需要に合わせて新しい製品を供給していくということが大事であろうというふうに思っているわけです。しかも多様な品目につきまして適切な価格で、しかも消費者の着たいという納期に合わせる。繊維製品は、御賢察のとおり、シーズン物でございまして、シーズン外れに幾らいい物を出しても相手にもされないということで、消費者の需要に合わせてタイミングよく出していかなきゃいけない。それが先ほど来御説明しております分断化された生産工程ということを考えますと、川上から川下まで流れてくる間に時期を失してしまってはいけない、流行おくれになってはいけないというところから、川下情報、すなわち実需に的確に対応できるような全体の供給体制をつくり上げようというのが今回のねらいでございまして、それを実需対応型供給体制と名づけたわけでございます。
○福間知之君 法律の中身は、したがってこれから議論されなきゃならぬわけですけれども、実需対応、つまり供給から需要者に届くまでの時間のスピードアップ、あるいはまたその間のニーズに対応する敏速性というふうなことが指摘されているんだろう、述べられたんだろうと思うんです。 ところで、今の繊維産業は、昭和四十九年に成立しました法律、すなわち繊維工業構造改善臨時措置法に基づきまして垂直的な連携、つまり異業種にまたがる企業の連携による商品開発力の強化あるいは高付加価値化の追求ということに重点を置いて構造改善が推進されてきたわけでありますが、この現行法の実績、また現行法の不十分な点についてどういうふうにとらえておられるわけですか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 現行の繊維工業構造改善臨時措置法は垂直連携グループによる商品企画力を高めるということをねらいといたしておりまして、四十九年度から六十三年度までに既に百七グループ、企業数で申し上げますと一万五百六十三企業がこの構造改善事業を実施いたしております。こうした構造改善事業の実施グループにつきましてその実績を見ますと、それぞれ新商品の開発等の面で一定の成果をおさめているということで、目的はおおむね達成しているというふうに考えております。 しかしながら、先ほど来お話が出ておりますように、現在の繊維産業をめぐる環境は極めて厳しいものになっておりまして、こうした中で繊維産業を新たな環境に対応できるように切りかえていかなければならない、より実需に即したものに、実態に即したものに切りかえていく必要があるというところから今回の制度の見直しをすることといたしたわけでございます。
○福間知之君 そこで、構造調整についてお伺いしたいんですが、今後のNIES等の追い上げによりまして、我が国の繊維産業は量的な面では縮小が予想されておるのじゃないかと考えます。もし今後、輸入増がさらに進むことになって繊維産業の縮小、例えば雇用の減少、出荷額の減少という事態に立ち至った場合に、地域経済におきまし ては産業調整が進行していくことになると考えられます。通産省は、この繊維産業のドラスチックな構造調整ということに対してどういう政策的な受け皿というふうなものを用意しておられますか、それらに関連した見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(岡松壯三郎君) 事業者の転換対策ということでございますが、どういう分野に転換していくかということにつきましては基本的には事業者自身が決定すること、判断することということかと存じます。 御質問のどういう受け皿を用意しているかということでございますが、産業調整政策といたしましては、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法に基づきまして低利融資あるいは保証、税制等の政策を講じておりますし、これによりまして転換を図っております繊維業者というものは製造業者全体の約三分の一を占めているという状況にございます。また、同法で認められております事業転換円滑化計画の承認件数で見ましても、繊維が四分の一を占めているということでございます。また、特定地域中小企業対策臨時措置法に基づきます新製品、新技術開発等の事業を実施するための施策を拡充していくということも単年度予算においてお願いをいたしておるところでございまして、これら二法によりまして繊維業の転換対策の受け皿というふうにいたしておるところでございます。
○福間知之君 ただいまの御説明では、関係法律によりまして低利融資とか税制等の配慮をしながら、だがみずからが決断をしてやっていくことなんだと、こう言う。それはそのとおりだと思うんですけれどもね、事業転換とか新分野への進出等、一口で言うと簡単なんですけれども、なかなかこれが実際には困難をきわめるわけでございます。 そこで、通産当局が想定しておられる転換先とか新分野という産業はどういうものなんだろうか。これは少しお答えしにくいかと思うんですけれども、やはりある程度転換を考えている、新分野への進出等を考えている企業家たちには、おぼれる者わらをもつかむじゃないですけれども、何か有益な示唆を与えてあげなきゃならぬという場面も私はあろうと思うんでありまして、そういう点は今はやりのハイテク分野といえばそれまででございますけれども、なかなかそれは技術や設備の面でちょっと追いつかないだろうということも考えられるわけですから、何かそういう転換をしていく方向を考えておられますでしょうかね。
○政府委員(岡松壯三郎君) 繊維産業の事業転換先、新分野がどの辺かということを具体的に指し示すというのはなかなか難しい問題でございまして、事業者の置かれた経済環境あるいはその事業者が持っている経営資源によって基本的には事業者みずからが選択をするというのがあり方ではないかというふうに思っております。ただ、彼らが判断をするに当たって参考になるように、過去の例としてどういう成功例があるか、どういう失敗例があるかということは調査結果を示すようにいたしておりまして、それも判断の一助になるのではないかというふうに思っております。 具体的に二、三成功例でお話し申し上げますと、染色業から今先生御指摘のハイテクの一部であります電子管製造業へ移ったというのがございます。これは非常に成功した例でございますが、やはりこの例について見ますと、時期を失することなく最先端技術を持つ成長産業へ転換したこと、やはりこの機敏な経営者の判断ということが成功のポイントではなかったのかというふうに思っております。 また、失敗例を逆に一つ御披露させていただきますと、織物業者が冷凍のすり身製造業に移ったという例がございます。これはうまくいかなかった例でございますが、これは瀬戸内におりますので地場の利益を生かしてということが経営者の判断であったわけでございますが、既に成熟産業であったことと、それから生産計画に見合わない過大な投資をした、それがまた資金負担として出てきたというようなことで、残念ながらこの場合にはうまくいかなかった。やはり技術的に関連のない分野への転換ということ、あるいは準備が十分でなかったということも一つの失敗の原因ではないかというふうに分析をいたしておりますが、このようなものを中小企業白書等で事例を説明いたしまして、中小企業者の判断の一助にするということをいたしておる次第でございます。
○福間知之君 非常に貴重な実績をお聞かせ願ったんですけれども、多分に地域の特性がございまするから、各通産局等では当然のこととして関係繊維業者を集めてミーティングしたり、説明会をしたりいろんなことをやっておられると思うんですけれども、そういうことは非常に有益に今まで作用してきておりますか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 具体的には中小企業事業団が転換マニュアルというものをつくりまして、これの説明会をするというような形で事業者に対して転換に当たって考慮すべきこと等を説明をいたしているということでございまして、御指摘のように、通産省といたしましても、事業の転換に当たって判断すべきこと、最終的には事業者自身の判断でございますが、こういう判断しなきゃいけないということは折に触れて説明をしていくように心がけてまいりたいと思います。
○福間知之君 この法律が成立すれば成立したでなおさらでございますが、今までも御説明あったように、既存の法律で事業転換というものは今の産業変化の中では年々活発化しているんじゃないかと思うんですけれども、やっぱり一応の相談とかそういうのは多いんでしょうね、この中小企業事業団あるいはまた通産局を窓口にした。何件そんなものが出ているかということまではお聞きしませんけれども、推察すると結構多いんじゃないかなと、こういうように思うんですね。だから、これからもそれが予想されますから、それに対する適切な対応というものが望まれるわけですね。 次に、それらと関連しまして我が国の繊維産業の技術レベルという側面についてお聞きをしたいと思うんですけれども、繊維産業については、一部に成長のピークを過ぎた衰退産業ではないかというイメージを抱く人が少なくないと思います。我が国の繊維産業は、糸、ニット、染色、縫製などの各製造工程での技術と加工の両面で実は世界のトップレベルにあると言われております。これは通産省としてそういう判断で間違いはございませんか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 御指摘のとおり、我が国の繊維産業の製造加工技術の中にはトップレベルのものが多数ございます。一つは極細繊維。これは〇・〇〇一デニール程度の非常に細いものでございますが、この製造技術。それから多種多様な素材の特性を生かした製織技術。これは機械産業に大きく依存してまいりますが、そういうもの。それからCAD、CAMと言われますコンピューターを利用したデザインあるいはその製造過程というものが多く取り入れられているということでございます。 しかしながら、繊維産業をめぐる環境はまことに厳しいものがございまして、このような環境変化に即していくためには、やはり今後はメカトロニクス技術等をこの繊維産業にも取り入れていくという不断の技術開発努力が必要であるというふうに考えている次第でございます。
○福間知之君 次に、いわゆる日韓ニット摩擦につきましてお伺いをします。 セーターあるいはカーディガンなど韓国製ニット製品のダンピング問題をめぐりまして、日韓ニット摩擦は昨年の十二月に両国の業界の話し合いによりまして決着を見たのでありますが、その決着の内容は、韓国側が輸出価格の監視制度を設ける、さらに輸出数量を八九年から三年間前年比一%の伸びに抑える、これらに対応して日本側のダンピング提訴を取り下げるというものだと承知をしておりますが、すなわち韓国側が輸出の自主規制を行うということで一応の決着を見たわけであります。この問題につきまして、通産省は自主規制方式を積極的に推進してきたものと承知をして おりますが、そういうことなのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(岡松壯三郎君) 御指摘のニットの韓国からの輸入問題につきましては、八六年に対前年四二%、八七年は二六%増、昨年は六一%増ということで極めて高い伸びを示してきたわけでございまして、これが我が国のニット産業に非常に大きな影響を及ぼしているということから、昨年来業界レベルあるいは通産省と先方の商工部というところで話し合いが持たれてきたところでございます。 実は韓国政府は昨年の七月に輸出推薦制度という自主規制措置を発表いたし、実施したわけでございますが、その実施状況につきまして見ますに、どうも対日輸出秩序維持化ということにおいて具体的な手がかりが得られない。すなわち輸出推薦制にもかかわらず、数量は増加し続けているというような状況にございます。御存じのように、ニット工連がダンピング提訴を行ったという事実があったわけでございますけれども、韓国政府といたしまして、ぜひ当事者間での情報交換を持ちたいという要請がございまして、その要請を受け通産省として国内事業者に伝えたということから、先生御指摘の会合が五日間にわたって持たれ、情報交換がみっちり行われたわけでございます。 今回の情報交換によりまして、韓国政府が先ほど御指摘のとおりの自主規制措置をとるということになりましたことは、韓国政府側がこの対日輸出秩序の維持を重視し措置をとったということのあらわれであるということで、通産省としてもこれを評価しておるところでございます。
○福間知之君 今お話がありましたように、岡松生活産業局長は、当時、当事者間での解決が一番よいと思っていたということで、これを歓迎する意向を示されておったわけですが、今後、しからば通産省は、繊維のほかの製品についてもこのような摩擦が起きた場合に、自主規制方式がとられることが望ましいというふうな考え方をお持ちなんでございましょうか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 御存じのように、膨大な黒字を抱える、七百七十億ドルぐらいに達する黒字を持っております我が国の通商政策の基本は、今後ともやはり輸入の一層の拡大、自由貿易主義を維持強化することにあるというふうに考えておる次第でございます。他方、秩序ある輸入の実現ということは、この自由貿易主義を維持するためにも必要であるというふうに考えておりまして、特定の品目の輸入の急増によって国内産業に重要な被害が生ずるというような場合には、輸出国との情報交換を進めるというような対策を講じていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。 特にこれに不公正貿易、ダンピングということが行われているという場合には、これは今御質問の繊維の他の製品につきましても、アンチダンピング提訴が行われた場合には、政府といたしまして公正かつ円滑な審査を進めていく所存でございます。
○福間知之君 なるほどおっしゃるとおり膨大な黒字を蓄積している我が国としては、対外的に製品輸入の促進を打ち出しておるわけでございまして、途上国からの要望もこれあり、途上国の輸出産業育成という面でも協力をしていかなきゃならぬ、こういう立場にあろうかと思うわけです。 したがって、先般のニットの輸入急増をめぐりまして日本の繊維業界は当初繊維製品の輸入規制に当たる国際繊維取極、MFAの発動を要求しておったと思うんですけれども、通産省は不公正貿易に適用されるダンピング提訴というものに押しとどめておったのは、やはり先ほど言ったような我が国の今日の国際的な経済の中における貿易黒字その他の立場があるからだと理解をしているわけでありますけれども、これは単に途上国と我が国との関係だけじゃなくて、現にアメリカと我が国の関係ではハイテク分野において既にこのことが行われておるし、自動車においてもそうです。今後また、これはどのような展開を見せるか予測がつきません。だから、自主的な話し合いということで利益を分かち合うということが適切かなと思うんですけれども、これはまた、見方によれば形を変えた一種の国際カルテルじゃないか、こういう指摘もなきにしもあらずです。非常にかじ取りが難しいものと思いますけれども、何せ生きた産業活動、経済活動に対応していかなきゃならぬということで、これはひとり政府だけじゃなくて、今後とも関係業界が知恵を働かしながら、摩擦を惹起しないように、また相手方にも秩序のある貿易ということに留意をしてもらわなきゃならない。かつてアメリカから盛んに言われたことを今逆に日本が先頭に立って言わなきゃならないという立場だと思うのでございまして、今後の皆さんの努力を期待する次第であります。 次に、設備の登録制についてお伺いをしたいと思います。 昭和三十年代から過剰設備発生を防止するということにおきまして設備の登録制が行われてきたわけでありますが、昨年の十一月の審議会の答申では、過去の設備登録制については十分に評価しつつも、今後については制度は維持しながらもその内容は改善していくべきだ、こういう指摘がなされているようですが、そうでございますか、見解をお伺いします。
○政府委員(岡松壯三郎君) 御指摘のとおりでございまして、設備の登録制につきましては、答申に当たりましても、従来からの批判を踏まえまして、制度の漸進的な改善を図るという方向で対応を進めてきたところでございます。 今後この制度の批判の源泉といいますか、批判が起きますのは、やはり現状固定的な仕組みになって企業の設備の近代化、合理化を阻害する。したがって、業界の構造改善を妨げることになるのではないかという指摘があるわけでございまして、当省といたしましても、この答申の趣旨を受け、制度の漸進的な改善を図るという方向で登録制の見直しを進めてきたところでございます。
○福間知之君 次に、今回の改正点について幾つかお聞きをしたいと思います。 構造改善計画の作成主体という点で、第四条で、構造改善計画の主体をこれまでの「事業相互の関連」という表現から「相互に密接に関連」という表現に変えております。これはどういうイメージで理解をしたらいいのかお聞きをしたい。 もう一点、これまで知識集約化ということで異業種間の連携が推進されてきましたが、具体的には商品開発センター、現在二十一カ所あるそうですが、この設置が計画の目玉になっていたのでございますが、今回の改善事業の目玉は一体何なのか。また、それはどういう機能を期待しているのか。さらに最近の構造改善事業の実施状況を見てみますと、いま一つ伸びていないのではないかと感じられますが、いかがなものでございますか。
○政府委員(岡松壯三郎君) まず第一点の、「事業が相互に密接に関連している場合」ということで省令で規定することになっております点でございますが、これは実需対応型補完連携ということを考えておりまして、これは現在の垂直連携要件に加えまして、繊維製品の製造、加工、販売に関しましての商品企画力あるいは情報収集力等、その他の機能を補完することにあるということでございます。 もうちょっと平たく申し上げますと、グループ全体としては一体的に連携をしていく。しかし、構成員がこれらの今申し上げましたような機能を分担している、全体は一本であるけれども、それぞれの機能については補完し合っているということを考えておるわけでございまして、こういう関係にあるということを要件として決めていこうというのが今回の考え方でございます。 質問の第二点の、従来は商品開発センターということを中心に据えていたわけでございますが、商品開発センターについてはそれなりに成果を上げてまいりましたが、今回の場合には、これだけに限らずに、より広く繊維産業の構造改善に即したものということで広く事業の対象をとらえようということでございます。 具体的に例を挙げさせていただきますと、今までの新商品の開発事業に加えまして、例えばホストコンピューターを置くことによって需要動向をつかむ、あるいは商品の在庫、生産状況を常時管理できるようにするというのが一つの例でございます。 また、わかりやすい例といたしまして、共同配送センターみたいなものを設ける、そこで原料の一元購入あるいは商品の一括出荷をするといったようなものも、そういう在庫管理を補完し合っているという意味で一つの事例になるのかと存じます。今後、このような形で出てくるものを実需対応型補完連携ということでとらえていきたいというふうに考えております。 過去の事例といたしましては、先ほど百七グループ、一万企業を超える企業が参加しているということを申し上げましたが、このような形で現在までのところ多くの従業員も参加し、かなり年度ごとにふえてきているという状況にございます。
○福間知之君 三つ目に、この構造改善計画の効果は果たしていかんということでお聞きをしますが、規模におきましても、技術力におきましても、販売力におきましても、いわゆる中小性の強い産地の繊維工業は、リーダー的企業を中核といたしまして実需対応型の連携を行うということは大変結構かと思います。今後我が国の産業政策の一つのモデルとも考えられるわけであります。しかし、制度をつくっても、思ったような効果が果たして期待できるかというと、必ずしもそうはいかない。運用面での配慮が必要でありますし、と同時に、何としても連携すれば事足れりというごとであってはならないと思うのでありまして、結局リーダー的な企業による系列化につながるという危険、危惧も一面において生じてきます。それらについて適切に対応する必要があると思いますが、この点を三つ目にお聞きします。 それから四つ目には、構造改善円滑化計画の内容でございますが、商工組合などが構成員の改善事業をサポートするため、商品あるいは技術の開発、人材の育成、情報提供等を行ういわゆる改善円滑化計画、これを創設されましたけれども、この内容はどういうものでございますか。また、新たに創設した理由はいかなるものでございますか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 第一点の、産地で提携するとリーダーが出て系列化につながるのではないかという御懸念でございますが、今回考えております実需対応型補完連携という場合には、事業者がそれぞれの特性を生かして必要な機能を有無相通じ合うようにグループを形成していこうということを考えておりまして、企業間の系列化をもたらすものではないというふうに考えております。ただ、実施に当たりまして御懸念のような点がございますので、従来同様都道府県の担当者を含めた指導援助委員会というのが制度として設けられておりますが、この委員会の場を通じて随時指導、助言を行うことによりまして、系列化の進展等、構造改善事業の本来の趣旨に反するような事態が生じないようよく見ていきたいというふうに考えておる次第でございます。 また、第二点の構造改善円滑化事業はいかなる内容かということでございます。 この点につきましては、個々の事業者がグループを形成して構造改善事業を行うわけでございますが、これをここでは行い得ないようなものをその母体である組合、産地組合が主でございますが、商工組合の形態をとるもの、企業協同組合の形態をとるものが考えられますけれども、産地全体で個々のグループをサポートしてあげるような事業、これを構造改善円滑化事業というふうに名づけたわけでございます。 具体的にはどういうものか二、三例を挙げさしていただきますと、新商品、新技術の開発のための円滑化事業といたしましては、新たな糸の研究でございますとか、後処理技術の開発といったような広い共通的、基礎的な試験研究設備を持つ、試験研究を実施するということが一つ、あるいは人材の養成という面ではCAD、CAM等を導入していくグループが考えられるわけでございますが、これを操作できる専門技術者ということになりますと、個別の中小企業が育成をするというのは難しかろうと思いますので、それを母体である産地組合の方で受け持つというのも一つの例でございます。 以上のような形で、個別の中小企業者がつくる構造改善事業を下から支える形で産地の組合が行う事業を円滑化事業ということで、これにつきましても所要の支援措置を考えておる次第でございます。
○福間知之君 今の御説明のような産地の組合が主体になって進めていく円滑化計画ということのようですが、事前に既に幾つかの産地、現地との話し合いというか、そういうものもある程度はもう済まされておりますか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 今回のこの法案をまとめるに当たりまして、実は昨年の十一月まで約一年間繊維工業審議会、産業構造審議会繊維部会という両部会の合同部会の形で一年間議論をいたしました。この下に六つほどグループをつくり六十回を超える会合を持ったわけでございますが、この過程で地元の意見を十分吸い上げてきておりますし、また具体的に委員の方が現地の視察をするというような形で調整を行っておりまして、今回最終的にまとめました構想につきましても既に話し合いをいたしておりまして、現地、業界といたしましては、導入の制度が固まった暁には早急に取り組みたいという要望が届いてきております。
○福間知之君 それなら結構かと思うんですね。我々も法律を一日も早く成立をさして期待にこたえるというかいがあろうというものでありまして、ぜひひとつ今後とも努力を要請しておきたいと思うんです。 次に、繊維リソースセンターに関連して幾つか聞きます。 なかなかいい名前を考えるもんですね。日本語じゃ支援センターとやぼったくなるんですけれども、リソースセンターなんという通産省の考え出すネーミングはまあ立派なものですね、中身はどうか知りませんけれども。 今回のこの改正の柱にいわゆる繊維工業の高度化を促進するための施設として繊維リソースセンターの設置があるわけですが、まず、産地にはこれまでにも業界などで設置している産業会館などがあるわけですね。また、京都市の場合のように市と業界団体で資金を出し合ってつくった産業情報センター、こういうのがございます。そして情報の収集、提供、情報交換などを行う組織はその他にも幾つかあるわけですが、新たにリソースセンターをつくる意義、業務の新規性、そしてまた効果、どういうふうにお考えでございますか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 御質問の繊維リソースセンター、法律上は繊維工業高度化促進施設と名づけさしていただいておりますが、このような施設を繊維の産地また消費地にも設置したいというふうに考えておるわけでございます。そのねらいとするところは、この施設を通じまして産地の商品企画力、情報収集力を増そうということでございますが、具体的に申し上げますと、繊維製品に係る素材あるいは衣服の見本等を収集、展示するというのが主たる業務でございます。もう少し平たく申し上げますと、各産地でつくりますきれ地の見本をたくさん収集いたしておりますし、またそこにパリあるいは外国のファッションあるいは東京のファッションショーの情報などがオンラインでネットワークで流れるようにいたしておりまして、そういう最終需要と素材とがそこで出会えるようにしたいということでございます。これは、この発想に至るプロセスで私ども学びましたのは、有名なデザイナーが一つのデザインをまとめようとしますと、機屋を千軒以上回ってどういう生地を織る業者がいるかということを探し歩くんだという話を聞きまして、そういうものをむしろ一カ所にまとめておれば、そこに行けば、その産地でどういう製品がつくられるかということがすぐわかる。しかも、それに対して注文を出して、 ここをこう直してほしい、こういう色は出ないかというようなデザイナーと産地の業者の方との意見交換の場ができれば、これはもう大変便利だという話が発端になりましてこの構想をまとめ上げたわけでございますが、そういうことに加えまして、繊維の製品加工の技術あるいは意匠、需要動向等も収集いたしますし、また繊維業者の悩みでございます後継者育成のための研修所としてもこれを活用していきたいというふうに考えておるわけでございまして、このような設備をつくるために必要な支援を繊維工業構造改善事業協会において、またそこでの指導、助言を加えるということで全体構想をまとめ上げておるわけでございます。これによりまして、最初に申し上げましたように、産地の活性化、商品企画力、情報収集力が一段と強化されることになるというふうに考えておる次第でございます。
○福間知之君 千何百カ所を回って調べて歩くということも大変ですし、さりとてまた一カ所に集めて情報の収集あるいは交換、こういうことも必要だとおっしゃいますが、それも一面そのとおりでございますけれども、何せそうは言うものの各企業非常に競争関係にあるということも考えなきゃなりません。どこまで通産省の思惑が貫徹していけるのか疑問なしとはしませんけれども、要は運営面でしたがって血の通ったやり方を考えなきゃならない。今までも地域開発におきまして、特にテクノポリスなどで野原の真ん中にセンターができて通産省OBの方がお茶を飲んでいるというふうな図柄が頭に描かれるんですけれども、そんなようなことになっちゃいかぬのでありまして、いわゆる業務の進め方というものについて工夫が要るんじゃないかな、こういうふうな気がします。 それから、単なる衣類の展示館におきましても、年に一、二回のイベントのホールとなっても、高度化という目的とはほど遠いものではないか。あくまでも積極的な情報の仲介者という役割を担うことが必要であると考えますが、情報交換を具体的にはどういうふうにして推進していく必要があるんだろうかなということに思いをいたさなければならぬと思っております。何かそこらについて過去の経験からのアイデアがございますでしょうか。 さらに、リソースセンターの設置場所とか、出資企業、利用料金の使途、次年度以降のセンターの拡充計画、どのくらいの予算、最終的には全国でどのくらいの数が設置されるのか、何年間ぐらいにわたって第一期計画を想定されておるのかというようなこと、さらに、先ほどもちょっとお話が出ましたキュレーターの人選等ですね、専門職員等の人選ですが、どのような方がこの任に当たるんでしょう、あるいはまたその定員はどのくらいをお考えでしょうか、あわせてお伺いをします。
○政府委員(岡松壯三郎君) 先生御指摘のように、このリソースセンターにつきましては、いかにそれが活気ある形で情報交換が的確に行われていくかということがポイントであろうというふうに思っておるわけでございまして、そのためには各センターがネットワークでつながれること、産地間もつながれる、消費地ともつながれるということが情報交換の非常にポイントになるのではないかというふうに思っております。また、そこには専門の人がいてそれをうまく運営していくということが大事でございますし、繊維産業について極めて過去の情報の蓄積が進んでおります繊維工業構造改善事業協会からの的確なアドバイスということも期待しておるわけでございます。 今の問題に即して三問目の御質問になりますが、キュレーターというお話がございましたが、これがうまく運営されるためには、そのキュレーター、美術館の学芸員のような方かと思いますが、こういう方に人を得ることが大事であるというふうに考えておりまして、繊維産業の実情に精通した方、しかも豊かな感性を持った人であると同時に、この事業の目的について的確な知見と経験を有する方の中からこのキュレーターを選んでいきたいというふうに考えております。 具体的な定員はどのくらいかという点につきましては、これは規模、事業内容によって必ずしも一律ではないというふうに考えておりまして、基本的には出資者間で相談の上決められることというふうに考えております。 全体構想、何年ぐらいにわたってどのように充実していくかという御質問でございますが、平成元年度は三カ所の設置を予定いたしておりまして、これにつきまして産業基盤整備基金からの出資及び開銀からの無利子融資等の資金の確保につきましてお願いをしておるところでございます。 その後どういう形で全体構想をまとめるかということでございますが、これは産地の実情を踏まえながら今後適切に対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。 どういう場所に設けるかということでございますが、やはり市の中心地に設けるということがこのプランの効果を上げるために必要であるという意見が、各地で計画を事前にいろいろ打ち合わせをしてみますとそういう話でございますので、恐らく設けられる場所は市の中心地ということになろうかと存じます。
○福間知之君 いずれにしましても、このリソースセンターは構想として大変よいものでないかと思うんですが、単なる天下り先の拡大ということにとどまらず、実効性のあるものにするために、運営方法に十分注意してかかってもらわなきゃならないのではないか。さらに、こういう施設をつくると、どうしても一つの産地内で自己完結をするという嫌いがなきにしもあらずでありまするから、通産当局は全国的規模で連携が図られるように指導をされることが重要だろう。さらに加えるならば、情報は公開され、だれでもアクセスできれば価値が大きく上がるものでございまするが、センターに真に質のよいホットな情報が流れなければ効果は半減するおそれがあります。したがって、情報の量と質の確保が絶対に必要だという点を指摘をしておきたいと思います。 最後に、電力料金の問題についてちょっとお聞きをします。 再三の電力料金の値下げにもかかわりませず、我が国の電力料金は依然として世界の最高水準です。最高水準というのはおかしいな、世界一高いという意味です。化合繊メーカーは一部自家発に転換しておりますが、繊維産業も含めまして、今後我が国の産業用電力につきましては自家発化推進という姿が高まるのではないか。料金の引き下げの方向でいくべきなのかどうか、基本的な考えをお聞きしたいのであります。 もう一点は、消費税の導入との関連で、本来繊維産業は最も消費税の影響の強い産業と言われておりまして、繊維業界が反対の立場を今日までとってきたことは記憶に新しいわけでございますが、いよいよこの四月一日の実施に当たって円滑な導入が果たして可能なのかどうか。繊維需要の冷え込みが心配されておりますけれども、大丈夫かどうか。今駆け込み購入、需要が活発でございますけれども、やや中長期に見まして需要の冷え込みはないのかどうか。 以上二点でもって私の質問を終わります。
○政府委員(堤富男君) 電力料金についてお答えをさせていただきます。 結論を申し上げますと、自家発推進という方向ではもちろんございませんで、コスト低減の方向というのが基本的な考え方だと思っております。 自家発について申し上げますと、自家発といいますのは、石油の値段の安いときにかなりふえる傾向がございます。これは昭和四十六年のときからオイルショックのときまでにもやはり自家発が大変ふえた傾向がございます。自家発といいますのは、これは自分の家で使う、自家用で使うものだけでございますから、設置につきましては保安上の観点からしか規制しておりません。したがいまして、現在大変ふえておるわけでございます。実際の比率でいきますと、大口電力の中の二三%が既に自家発ということになっております。 ただ問題は、石油の値段が高くなりますとこれは使わなくなるということでございますし、一方で安定的な電力というのは常に電力会社に頼っておるということがございます。したがいまして、足らなくなると電力会社に頼る、あるいは電力の質についても電力会社に非常に頼るというようなところがございまして、この自家発に頼っていくということは、将来石油の価格等の先行きが非常に不透明な中では大変問題ではないかということだと思っております。 一方、電力料金につきまして国際比較のお話がございましたが、国際比較は、各国の状況もございまして大変難しゅうございます。特に為替レートというのが非常におもしろい動きをいたしますわけでございまして、例えば現在比較しますと、韓国とは約三円五十銭ぐらいの差がございますが、これを八五年、四年前の為替レートでやりますと日本の方が実は安くなるというような、為替レートというのが非常に重要な働きをしてしまうというところがございまして、比較はなかなか難しゅうございます。 ただ、そうは言いましても、日々国際競争で海外との競争に直面しております繊維産業のことを初めとしまして我が国の産業の問題点を考えますと、電力につきましても可能な限りのコスト低減の方向での努力を続けるということが一番重要かと思いますし、そういう方向で、最近三年間におきまして四回の電力料金を引き下げたというのもそういう努力の一環のあらわれと思っております。
○国務大臣(三塚博君) 消費税導入に伴いまして繊維産業の冷え込みが心配されるという点、私どももこの点前提として受けとめておりまして、非常に多様な取引形態がございますし、また書面契約なども、他産業はほとんど一〇〇%なんでありますが、わずか三〇%という特殊な諸状況などもございまして、そういう中で適切な円滑導入どうあるべきかということで、実は説明会の実施でありますとか、さらに力の強い企業がアンケートをとりましたりという指摘がございましたが、さようなことによる締めつけ、そちらでやんなさいよ、こちらは受けないよというようなことが万々一あってもなりませんので、各個別に指導、調査を今徹底しておるところでございまして、さらには共同行為の実施に当たっての指導、助言なども行ってきたところでございまして、問題は、そういう中を進めつつ、取引形態の近代化というのは今後一体的なこの種業界の発展のための基本的な取り組みのポイントではないだろうか、さように考えておりますものですから、既に六十三年度補正予算についても予算措置をちょうだいをいたしたものでありますから、この点について手当てを行ってきておるところでございます。 いろいろ万般にわたりまして、天下りの問題でありますとか、実効性、全国的連携、情報の公開等適切な御指示を賜りました。こういう御質疑を通して指摘をされましたポイントをしかと踏まえながら、本法成立後的確な実施、施行ということでやってまいるつもりであります。
○福間知之君 終わります。
○伏見康治君 福間議員がいろいろ詳細なお話を既に質問をされましたので、私はやや大ざっぱなある意味で哲学的なお話を、御意見を伺いたいと思います。 私が六年前に参議院議員に初めてなりましたときにいきなり石炭鉱山の大事故が起こりまして、その後三回ぐらいぶっ続けに毎回百人近くの方が亡くなるといったような鉱山事故がありまして、大変印象が強いわけでございます。通産省の抱えておられる頭痛の種は何であるかということを伺いますと、石炭と造船と繊維だというお話でございますが、私のそのとき受けました印象は、どうしてこんな大災害を起こすような、つまり深部まで行かなければならないような鉱山を捨てずにそれにこだわっているのかという感じでございまして、多くの場合、現在ある産業が環境が悪くなりましたためにその産業が衰退するというときに、それを保護するという保護の仕方というのにはいろいろな考え方があると思うんですが、まあその自由主義的資本主義の立場に徹底すれば、要するにほうっておいて衰えるものは衰えさせる、興るものは興らせるというレッセフェールの思想ではないかと思うんですけれども、どういうフィロソフィーで、こういう産業は維持し保護してやらなきゃならない、この産業は放置しておいても差し支えないといったような、そういう判断というのはどういうところから出てくるのでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(岡松壯三郎君) 今回繊維産業についての構造改善を新たに進めていくための法改正をお願いしているわけでございますが、それに先立ちまして、昨年の十一月までの一年間、繊維産業の今後のあり方ということについて審議会の場で議論をいたしたところでございます。 ここで考えましたことは、やはり世界の中の日本の立場ということ、あるいは構造転換の中における日本の繊維産業のあり方、あるいは技術革新、情報化の進展という中での繊維産業のあり方、さらに繊維産業全体としての中長期的な発展の方向という四つの観点から議論をしたわけでございますが、その際、繊維産業のまず実態として依然として二百八十万人の従業者がいる。しかし、中小零細企業によって占められている。また、産地性が強いということから地方経済への大きなインパクトを持った産業であるということも考えあわせまして今後の方向について議論をしたわけでございます。 基本的には、先生御指摘のとおり、民間が自発的にそれぞれの方向を見きわめ、判断をし、経営をしていくというのが基本であるわけでございますが、国といたしまして、先ほど申し上げましたような観点から、繊維産業をめぐる大きな環境変化の流れはどういう方向に向かっているのか、またこれに対応するための基本的な方向は何かということを提示するということは重要な国の役割であるというふうに考えておるわけでございまして、具体的な方向を指し示し、それに沿った個別の事業者の努力に対して側面から支援をしていくという形で対応を考えているというわけでございまして、今回のお願いしております法改正も以上のような考え方からまとめられました構想に基づくものでございます。
○伏見康治君 今度の法改正の趣旨を拝見いたしますというと、その根本の思想は、要するに少品種・大量生産の時代から多品種・少量生産の時代に入ったということになっておるんですが、私はそのとおりだと思うんですけれども、ただ審議会の報告を拝見いたしますというと、そういう時代の傾向があることは前から認めていたけれども、実はこれほど急激に起こるとは思わなかったといったような意味のことが書いてあります。いささか見通しが悪かったということではないかと思うんですけれども、一般にお役所の仕事というのは何か突然思いがけない変化が起きたときの後追いの仕事をしているという感じをどうしても免れがたいんですが、通産省としては遠くの情勢をより的確に判断するというための努力をなさるべきだと思うんですが、そのためには何かもう少し秩序立った研究方法みたいなものがあるべきだと思うんですが、そういう点は、つまり経済の将来を見通すその見通しの努力はどういう方法でやっておられるかということをお教えいただきたいと思います。
○政府委員(岡松壯三郎君) 今回の繊維産業についてのビジョンをつくるに当たりましての議論は先ほど御説明したわけでございますが、その背景になる世界経済の動向あるいは我が国の置かれた位置づけというものにつきましては、通産省といたしまして、かつてもそうでございましたが、七〇年代の通産ビジョンあるいは八〇年代の通産ビジョン、そして現在九〇年代の通産政策のあり方ということについて議論をいたしております。すなわち、マクロについての議論を一方でしながら、さらにバックグラウンドとしては政府としての経済見通し、全体の経済計画があるわけでございますが、それに基づき通産所管業種についての見通しを持ち、さらにそれをセミマクロにおろすということで個別の産業のビジョンを描き上げるというのが通産省がとっている手法でございます。 今回の五年間、過去の五年間を振り返りますと、確かに当初見通したよりも変化は急激であったというのは率直にそのとおりでございますし、見通しがそこは至らなかったものという御指摘は甘んじて受けなければならないというふうに思っておりますが、今回の変化は国内、国外両方で起こってきたわけです。一つは、やはり対外的に見てこれだけの円高の進展による輸入の急増、輸出の停滞というものがかつての輸出産業であった繊維産業に非常に大きなインパクトを与えたということがございます。また、国内におけるこのような需要構造の変化、これは所得の向上あるいは国民の個性化、多様化という感情、国民の消費選好と申しますか、そういう行動の変化によって受けるものでございまして、なかなか予測しがたい、あるいは予想以上に急速に進むという背景もあるわけでございまして、私どもといたしましては、そのような実態をとらえてこれに対して的確な今後の方向を指し示し、事業者の判断の材料として提供していきたいというふうに考え、ビジョンをまとめ上げた次第でございます。
○伏見康治君 次に二番目の問題に入りたいと思いますが、少品種・大量生産時代が終わって多品種・少量生産の時代ということで、あるいはいわば本当の川下のところでの事業の方が非常に華やかになってきて、川上の方はある意味ではどうでもよくなってきたということだと思うんですが、つまり今まで国民全体が要求していた水準をより高度なところで満たさなければならない、非常に素材的な面で済ましてきたものをより高度なものにしなければならないという時期に来ていると思うんでございますが、そういう意味で、衣類文化といったようなものがあるとすれば、あるいは繊維文化ともっと広く言った方がいいかと思うんですが、そういう文化が向上した高い水準での仕事の方へ重点を移していく。その基盤的なものはもういわば済んでしまったというような考え方で対処されていくんだと思うんですが、その高度な衣料文化といったようなものを高めるということ自身は、これは大変いい現象である、あらゆる文化が高まるということは大変いいことだと思うんですけれども、しかし、近ごろの傾向を見ておりますというと、国民の志向、高度文化に対する志向というよりは、むしろもっと端的に言えば、要するにぜいたくになっているということではないかと思うんですが、ぜいたくということと文化の高度ということはある程度並行性があるとは思うんですけれども、要するに堕落していくという方向でのものではなくして、あくまでも高く上へ上がっていくという方向の高度の文化でなければならないと思うんですが、そういう点についてどういうフィロソフィーを持っておられるか、これは直接大臣に伺っていいですか。
○国務大臣(三塚博君) お答え申し上げます。 伏見先生多方面にわたる学識を持たれておる先輩でございまして、私どもこれを担当して常日ごろ考える面で、ただいま御指摘のような衣料文化とは、衣服文化とはという基本命題にどう対応するかというのがこれからのこの繊維産業の生き延びるポイントだということは私どもも認識を実はいたしておるわけでございまして、御指摘のように、少品種・大量から多品種・少量へという発想はまさにその一面をとらえておるつもりでございますが、同時に、世界的にインターナショナルなアパレルというのも一つあるんだと思うんでありますが、日本の長い伝統文化に支えられた衣服文化というのは何なんだろうかということになりますと、優雅な平安時代の十二ひとえでありますとか衣冠束帯というのも一つのものではあろうとは思いますが、こう忙しい現代の中における衣類文化という点において、御指摘のように、質の時代へ、さらに日本の文化を取り入れたものということに大胆に進まなければならぬのかなと。そういう意味で、リソースセンターは広く世界に向けてということがあります。広く世界の知識、技術を吸収しながら新しいものを生み出すということであるわけでございますが、そういう新しい流れの中で日本的なものをより取り入れることで日本衣類産業というものが進むべきであろうと思いますし、そういう意味で生活文化提案型産業という位置づけをしていくべきであろう、豊かな生活文化がこの衣類産業によってつくられてまいりますならばという願いを込めておりますし、量の充足から質の充足へと、いたずらにその間ぜいたくに走るのではなく、前段申し上げました日本の独創性と伝統文化というものに根差したもので衣類文化を創造でき得ましたならばという実は目標を高く掲げて取り組んでいこう。そのためには知識豊富な先生方の御指導もちょうだいをしなければなりませんし、専門家のそういう分野の御指摘もちょうだいをしながら高度な文化を今日こういう押し込められた日本繊維産業の中から見出していくということが大事なことではないだろうか、こんなふうに考えておるわけでございますので、格段の御指導、御鞭撻を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
○伏見康治君 大臣、ありがとうございました。その方針でどうぞいろいろお考え願いたいと思います。 そういう伝統的な産業の中にちょっとした知恵を入れることで非常に高度なものをつくり出すという例として私は岐阜ぢょうちんのことを考えるんですが、岐阜ぢょうちんの従来のデザインのままですと、時代に合いませんので需要はどんどん減っていったと思うんですが、野口さんという去年だか亡くなった日系アメリカ人のデザイナーが非常にいろんなちょうちんをつくることを、つまり近代的精神に合致したちょうちんをつくることをなさいまして、私も愛用しておりますが、ヨーロッパを旅行してもいろいろなレストランの中で至るところでその野口式のちょうちんがぶら下がっているのを発見するんです。あのおかげで僕は岐阜のちょうちん屋さんはすっかり助かったんじゃないかと思うんですが、そういう一人の知恵で物事が非常に変わるというそういう創意工夫ですね、そういうものを非常に大事にしなければこれからはいけないと思うんですね。 ただ、そういう創意工夫をなさる方をお役所が育てることは不可能だと思うんです。三宅一生とか森英恵さんとかいうのは恐らく通産省が養成したわけじゃないと思う。そういう方が自由暢達に働ける場所、不幸にしてそういう方々がみんないわば外国で育ってきて日本でお仕事を続いてなさっているという感じ。どうも日本はそういう本当の天才的な人を育てる基盤が非常に少ないんではないかと思うんですね。お役所としては、私は自由に伸び伸びと創意を発揮できるような、そういう環境条件をおつくりになるということが一つの要点ではないかと思うんですが、それは恐らくなかなかお答えが難しいと思うので、それに関連してお役所であるいはできることかと思うのは、そういう創意工夫を育てる一つの方法は、せっかくの創意をほかの人がまねることによって、当然創意を出した方のところに帰属すべき利益が行かなくなる。日本人は、日本人に限らないのでしょうけれども、よその何か売れる製品がありますとすぐそのまねをしたがるというのが日本では特に強いように思うんです。何も日本だけではなくて、例えばソニーがヨーロッパで売れ出したころにはイタリーでソミーという会社ができたりして、いかに模倣が強いかということはあるんですが、日本では特に模倣が強いような感じがします。 その創意工夫の利益をどういうふうにしたら守れるかという点、つまり意匠登録とか何かいろんな特許とかいろいろあるんだと思いますけれども、何かそれでは足りないような感じがいたしますのですが、何かお考えがございますか。
○政府委員(吉田文毅君) 我が国におきまして意匠制度は明治二十二年にスタートしておりまして、本年でちょうど百年になります。また、その第一号の意匠登録というものがございまして、これは桐生、足利の織物じまに対して与えられておりまして、繊維製品と意匠制度、これは長い間のかかわり合いを持って今日に至っております。 一般的に考えましても、最近のように商品の高付加価値化を図り、それによりまして産業の発展を図るという世の中にありまして、先生の御指摘のように、個性的なデザイン等を十分保護するということは私ども大変重要なことであるというふうに認識をしております。 このような観点から特許庁におきましては意匠法の運用をさしていただいております。審査登録制度でございます。この審査登録制度に対しまして、最近時点で申し上げますと、世界の意匠出願の約三〇%に相当いたします五万五千件の出願が我が国の特許庁に対し年度間あるいは年間行われてまいっております。 私どもの制度によりますと、登録を認められますと、損害賠償請求に加えまして差しとめ請求、さらに違反者に対しましては刑事罰をもって権利者の保護が図られております。私どもとしましては、このような制度の運用の適切さ、これを非常に慎重に考えておりまして、今後とも産業界のニーズを十分くみ上げながら制度の運用を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○伏見康治君 私の質問は、意匠登録というやり方で保護するというのも一つのやり方だとは思うんですけれども、どうもそれ以外にも何かあるべきではないかというような感じがしますので、なおほかのやり方もあり得るのではないかという点の御研究をお願いいたしたいと思います。 次に、今度は使い捨て文化の点について、これは繊維に限らない話ですけれども。 私の家内は今でも同窓会で年寄りの集まりをやって、そしてお年寄りのためにおしめを縫っている会をやっているんです。つまり使い古したさらしのようなものあるいは手ぬぐいのようなものを持ち寄って、それを縫っておしめをつくっているんですが、そういうふうに一遍使ったものをさらに再使用する、リサイクルするというような仕事は昔の文化の中にはちゃんと備わっていたと思うんです。とことん繊維がだめになって使えなくなるまで、最後はぞうきんにして使うというふうな意味のリサイクルの精神というものはおのずから備わっておったと思うんですが、いろいろな技術が発達したために、おしめなんというのはもっと便利な何か合成繊維ができちゃっているということで、したがって、恐らくこれからは洗いざらしたさらしの使い道がなくなるんじゃないかと思っているわけです。 それかあらぬか、とにかく繊維の古いものも、それから通産関係のいろいろな産業が次から次へおつくりになる大量の産物が全部少しばかりお使いになってはみんな廃棄物になる。私の住んでいるアパートのごみ処理の場所を見ても、毎週毎週本当に大量のものを排出しているわけですね。そしてそれを全部夢の島かどこかへ捨てているんだろうと思うんですが、何とかこの使い捨て文化をやめさせる。缶ビールを飲みながら本当に思うんですが、飲んでいるビールよりも外側のアルミ缶の方がはるかに実は高いわけです。その安いもののためにそれだけ高い回りのものをつくって、しかもそれが再利用されずにみんなごみになってしまうというのは、文化として何か間違っていると思うんですね。何かリサイクルがもう少ししやすいような形で工業生産のあり方を考え直す必要があるのではないかということを考えざるを得ないんですが、通産省としてはその点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(三塚博君) まさに御指摘の点は資源小国日本、無資源国日本と言った方がいいんだろうと思うんでありますが、資源を大事にするということが日本人の実は生活慣習であったと思います。これは御指摘のように大量生産・大量消費という、また科学技術の発達の中に生活サイクルが大きく変貌してきましたことは深刻な地球環境問題をもたらしたというふうに思います。そういう中で、ローマクラブの提言ではございませんが、これは象徴的なものでありまして、それぞれの方が二十一世紀以降、二十二世紀どうなるのであろうかという人類の未来についての考え方をいたしますならば、伏見先生御指摘のこの問題はまさに緊急な基礎的な問題であろうと、こういうことで、無資源国日本という意味で、リサイクルの問題は通産省が再資源活用という意味でずっと追い続けてまいりましたテーマでございます。このテーマは堅持をいたしておるわけでございまして、さらに地球問題が全世界的なことになりましたことにかんがみまして、もう一度足元を見詰めながら本問題に取り組んでまいるというのが大事な政治、行政課題に相なってきたということだというふうに思います。 奥様のぞうきん、おしめを縫うというそういう市民サークルの活動というのは、今後私ども大事にしながら、そういう市民運動、国民運動を盛り上げて、また生活の中でそんなことが取り入れられるように、同時にリサイクル、再資源活用という本来の通商産業省の重要なテーマの一つに熱心にこれからも取り組んでいかなければならぬ、このように感じておるところでございます。
○伏見康治君 本当にグローバルな問題になっている面もございますし、例えばフロンガスの生産規制といったようなことは昨年ここで法案を通過なすったと思うんですが、どうも日本というのは外圧があるというとすぐ話がまとまるけれども、自分では何も改良ができないという要素があるんじゃないかと思うんですが、ひとつ大臣頑張ってリサイクルの問題を通産省としての立場からできることをぜひお考え願いたいと思います。 それから、繊維産業というのは既成の技術の中で勝手に動いているわけではなくして、新しい繊維をつくり得るという可能性はまだ十分に私は残っていると思うんですね。先ほど初めの方でお話がありましたと思いますが、非常に細い繊維をつくって、私は眼鏡ふきに大いに利用して役に立っているんですが、きのう聞いたところによると、ワイングラスをふくのに一番いいという、ワイングラスの汚れというのは非常に目立つものですから、それをきれいにふくことはなかなか大変なんですが、台所の主婦にとって特に大変なんですが、あれを細い繊維の布でもってふきますというと非常に簡単にきれいになってしまう。今まで苦労したのがばかみたいな話です。 そういう新しい繊維というものの技術的開発というものはまた新しい産業をどんどん興してくるはずだと私は思うんですが、エレクトロニクスの方では通産省は日本株式会社の重役会よろしくいろいろ上手なことをなすったと思うんですが、新しい繊維をつくるという方でのそういうお考えは別にないんでしょうか、伺いたい。
○政府委員(岡松壯三郎君) 繊維産業におきましても従来から新しい素材の開発が行われているところでございますが、先ほど先生例に挙げられたもののほかに、例えば最近よく出ておりますのでは、スキーウエア用の透湿防水性の素材の開発といったようなものでございますとか、あるいは自動紋紙作成システム、直織りシステムの開発により柄の精密化、大柄化ができるようになったといったような、エレクトロニクスと結びついたような、メカトロニクスと結びついた分野もございます。また、産業用の分野では世界的な中空糸技術の開発による人造臓器の分野での開拓が進んでおりますし、また、炭素繊維の開発による素材分野での革新といったようなものも繊維素材の開発ということで新たな事業分野の拡大につながっているところでございます。 このような技術開発の推進が重要であるという認識に立ちまして、当省といたしましては繊維高分子材料研究所という研究所を持っておりますが、ここにおける基礎的、基盤的な各種の研究に加えまして、基盤技術研究促進センターを通じた技術開発といたしまして新たに手がけ始めておりますのは、三次元織物技術というものを考えております。こういう新しい繊維素材等の開発につきましても積極的に取り組んでおるところでございます。また、平成元年度予算の中にお願いをしております次世代産業基盤技術研究開発制度の中で超耐環境性先進材料プロジェクトという中で炭素繊維あるいは炭化珪素系の繊維の開発を進めるということでございます。この場合の繊維といいますのは、必ずしも衣服ばかりではございませんが、広く産業利用も含めました意味での繊維素材の技術開発につきましては今後とも積極的に取り組んでまいりたいというように考えておる次第でございます。
○伏見康治君 哲学的なお話はそのくらいにいたしまして、今度の法案に即した御質問を申し上げたいんですが、そもそもこの法律は昭和四十九年に一番初めにできたと伺っておりますが、その後五年ごとにいろいろ改定してこられたと思うんですが、一番初めにつくられたときの趣旨と現時点での趣旨とは随分変わってきていると思うんですね。その歴史的変遷、それぞれの時期にどういうことをやってきたかということをちょっと説明していただきたいと思います。
○政府委員(岡松壯三郎君) 本法は四十九年に特定繊維工業構造改善臨時措置法の全面改正という形で生まれたわけでございまして、ここでは異業種間の垂直連携による知識集約化を構造改善の主軸に据えてやってきたわけでございますとともに、繊維工業構造改善事業協会に情報提供事業というものを新たに加えまして四十九年スタートしたわけでございます。 さらに、五年たちました五十四年に改正を加えましたが、ここではこの構造改善事業を一層進めるという観点から、従来構造改善事業の対象とならなかった産元親機といったグループもこの構造改善に含めるということが必要であるという判断に立ちまして、これを構造改善の実施主体に含める旨の改正を行ったわけでございます。また、事業協会に新たに人材育成基金を設けまして、衣服に係る人材の育成を行うということもこの構造改善事業協会の業務に加えたというのが五十四年の改正でございます。 さらに、五十九年に改正をお願いしたわけでございますが、ここでは同協会の業務に技術指導を行う者の育成業務というものを加えまして、新たな技術の開発、導入に係るあるいは調査研究業務もこれに追加をするということで、新しい時代に向けて繊維産業の技術の導入のために必要な手当てを法改正を通じてやらせていただいたということでございます。 以上、三回の改正を通じまして現行法に至っておる次第でございます。
○伏見康治君 ありがとうございました。 その三回の法律制定でしたことが所期の目的を十分果たしたか。何か実は見込み違いがあったとかいうようなお話もついでにしていただけますか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 以上の措置を通じまして、四十九年以来六十三年までに私どもが計画いたしました構造改善計画あるいは施設共同化事業についての事業者からの申請がございまして承認をいたしましたのが百七件ございまして、これに参加している企業は一万五百六十三企業でございます。これは全繊維業者の企業数で割り直しますと約一割がこれに参加をしたということになります。これは一割と申しますと必ずしも高い数字とは申せませんが、この構造改善事業に取り組みました各グループの実績を見ますと、新商品の開発ということにおいてかなりの進捗を見ておりまして、成果が上がったというふうに考えているわけでございまして、現行の構造改善事業につきましては基本的に評価できるものというふうに考えておる次第でございます。
○伏見康治君 最後にいたしたいと思いますが、繊維リソースセンター、先ほど福間さんが大変いい名前だとおっしゃいましたが、僕は片仮名は嫌いなんですけれども、これを実際運営していく場合にいろいろ問題点があるんだと思うんですが、特に私の先ほどの質問の中でも申し上げたことですが、つまり民間の方々の創意を自由自在に、自由暢達に働かせるという場をつくるということでは大いに賛成ですが、お役人がなさいますというととかく規制して、こういうことは余りしない方がいいとか、こういうことはしてはいけませんとかいうようなお話がとかく多くなりがちで、いわば民間人の自由な発想というものが出にくい。お役所がつくるとそうなりかねないと私は思うんですが、その点についてどういうお考えをお持ちですか。
○政府委員(岡松壯三郎君) リソースセンターの運営の問題でございますが、この運営に当たりましては、やはり当初の構想どおり働くように設立に当たっても十分考えていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。 具体的には、まずそこにしかるべき人を得ることが大事であろうというふうに思っておるわけでございまして、ここにキュレーターと名づける人材を得まして、産地の方々あるいはデザイナーの方々との自由な出会いの場ができるようにしたいというふうに考えております。 また、ソフト面ばかりでなく、ハード面での対応も重要であるというふうに考えておりまして、このセンターにつきましては、各センターをそれぞれネットワークでつなぎ込むことと、また産地ばかりじゃなくて、消費地ともつなぎ込んでおくということが非常に大事なポイントであるというふうに思っておるわけでございます。 以上、ソフト、ハードの両面から対応を考えておるわけでございますが、具体的な運営に当たりましては、各センターは地元の方々を中心として第三セクター方式でつくるということを考えておりまして、地元の出資者の意見を反映した形で的確な運営ができるように私どもとしても指導をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○伏見康治君 おなかが減りますと思想険悪になりますのでこの辺で終わりたいと思いますが、最後にちょっと大臣に伺いたいんですが、大臣からまだ所信表明を伺う機会がないんですが、このチャンスを何かおくらせる理由があったんでしょうか、ちょっとお伺いをさせてください。
○国務大臣(三塚博君) ぜひ所信表明をさせていただきたいというのが所管大臣として重要であったものでありますから、委員長に御願いを申し上げ、衆議院の方の委員長にもお願いを申し上げておりますところでございますが、御案内のような国会諸情勢の中で、本格審議に入ります前に解決をしなければならぬ前提があるのではないかということで、与野党意見の一致をいまだ見ないでおりますことの影響を受けまして、極めて不本意でございまして、申し上げたいことがたくさんあるわけでございまして、それで御審議を賜り、御鞭撻、御指導を得たいということがあるわけでございますが、いまだその機を得ませんのでありますが、格段の御理解を賜りますようにお願いを申し上げます。
○伏見康治君 ありがとうございました。
○委員長(宮澤弘君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 ―――――・――――― 午後一時三十一分開会
○委員長(宮澤弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、小野明君、梶原敬義君、高杉廸忠君が委員を辞任され、その補欠として野田哲君、対馬孝且君、小山一平君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(宮澤弘君) 休憩前に引き続き、繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○市川正一君 三塚通産大臣とのやりとりは本日が初めてのことであります。本来ならば、大臣の所信を受けて当面する通産行政全般について審議するのが正常なあり方でありますが、リクルート疑惑の解明を妨げる政府並びに与党の不誠実、無責任な態度のためにそれもなし得ないまま本日に至りました。この責任は挙げて政府並びに与党の側にあるということをまず明確にしておきたいと思います。あまつさえ、まだ三カ月先の六月末まで期限がある繊工法を、我が党を排除した特定政党間の協議によって、日切れ法案などと称して早々に異例の処理を決定したことに対しましても、私は絶対に反対であるということをこの際改めて表明するものであります。その上に立って、今国民にとって緊急の重大関心事である消費税問題について、冒頭商工行政ともかかわって大臣にお伺いいたしたいと思います。 二十六日、大臣の仙台での記者会見において、国民の多数がおかしいと言うならば見直さなければならない、是正が必要なら参議院選挙後の国会で是正しなくてはいけないだろうという発言について、実施前に法案の見直しをいち早く言明されたというのは、まさに異例、異常であります。言うならば不戦敗とも称すべきものではないでしょうか。はっきりしておることは、国民の圧倒的多数は今日ただいま現在おかしいと、こう言っておるんです。三月十二日付の日経新聞の世論調査は、消費税を実施すべきでない、または延期すべしというのが八一・二%です。そして予定どおり実施せよというのはわずか一二%です。ごらんになったと思いますが、けさの朝日新聞のこの世論調査も八二%が消費税に不満を表明いたしております。かくのごとく国民の多数は消費税はおかしい、こう言っておるんです。ならば、この時点で参議院選挙後というんじゃなしに、今日ただいまの時点で見直すことが生きた政治ではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(三塚博君) 二十六日の記者との会見の際に質問をされましたことに答えたわけであります。質問の要旨は、消費税の四月一日の施行がどうなるのでありましょうか。今御指摘のように、各紙世論調査が大変不安ということで出ておりますねと、こういうことに対して申し上げたわけでありますが、内閣は、全力を挙げて法律が忠実に実行されますように、言うなれば消費税円滑導入が行われますように相務めておるところであります。しかしながら、初めての法律、税金なものでございますから不安がございます。引き続き不安解消のために努力をいたすところであると、こういう前提に立ちまして、しかしながら、なかなか免税業者、簡易課税業者等もこれあり大変ではないのでしょうかと、こういうさら問いがございまして、それを十分承知をいたしておりますから、その点がスムーズにまいりますように理解を求めておるところでございますと、こういうやりとりでありまして、一般論として、政治とすれば、国民の皆様がこの税がなじまないということは、この税によって倒産をいたしましたり国民生活が困難に相なるということでありますならば、その時点で改めるべきは改めるということではないのでしょうか。法律改正は大体新法の場合三年ローテーションであります。ですから、それまでの間にそのことを行うのでありますけれども、特に新税ということにかんがみまして、これは年末の自由民主党税制調査会においてそれぞれの意見を受けて審議の結果方向づけを行うのであります。その際そのことが是正されてしかるべきことであるだろう。法律を要しないものについては、弾力的運用もこれあり、その方向づけをすることがあり得るのではないでしょうか。よって参議院選挙終了後の国会において以降――以降と申し上げたんです、参議院選挙後に召集される国会以降における論戦を踏まえながらその方向づけを明確にされていくのではないでしょうかと、こういうことでありまして、前提は円滑導入のために政府一体となりまして努力を傾注いたしておるところでありますけれども、施行後わずか三カ月という、当初予定をいたしました前大蔵大臣宮澤先生の時代に半年程度持ちたいと、こういうことで法律が準備をされ、提案をされておるという経過なども頭の中にありましたものでありますから、三カ月という短い周知期間、習熟期間でありましたものですから、さような表現にさせていただいたところでございます。
○市川正一君 大臣のお言葉とも思えないんですが、政治というのは僕はばくちじゃないと思うんですね。やっぱりやってみて倒産が出たら手直しをするというんじゃなしに、もう既に破綻しておるんですよ。十六日に首相官邸で行われた全国の通産局長の会議に皆来られて、その各地の報告によっても、消費税は末端にまで浸透していない、特に中小企業や小売業を中心に混乱が広がっているということを通産省自身が認められているんです。 大臣は、言いたくありませんけれども、自民党の宮城県連会長というお立場でさきの知事選挙で予定されていた愛知代議士の立候補を断念するという、そういう政治的な断を下された。党派的利益のためにはそういうことができるのに、国民的利益のための英断は下せぬのか。三年のローテーションをおっしゃったけれども、グリーンカードは、あれは法律は決まったけれども、実施を延期して最終的には廃止したという前例もあるじゃないですか。私は政治家として大臣の信条、信念を再度承りたいと思う。
○国務大臣(三塚博君) せっかくの御激励でございますけれども、内閣として法律というものは、施行日を決定をいたしました以上、その前段に国会における決定があるわけでございますけれども、それを受けて総理を本部長に関係閣僚が推進副本部長ということで、自来全力を尽くして円滑化導入のために努力をいたしてきたところでございまして、国の法律でございますものですから、この実行のために誤りなきを期する、また理解をいただくと、こういうことに努力するのは当然でございまして、自由民主党宮城県連会長としての決断はまさに、この法律ではございませんで、状況判断の結果、立派な候補でありましたが突然やめられたものでありますから、時間切れで候補擁立ができなかったということは極めて私としても残念である。こういうことで、ケースが全く違いますということを御理解賜りたいと存じます。
○市川正一君 私は政治家としての判断、これは共通していると思うんです。特に今大臣として通産行政を預かっていらっしゃる。今、中小業者やあるいは小売業者の保護育成という立場から見ても、私は事態を放置できぬと思うんです。特に三%の価格転嫁をめぐって零細業者や下請業者の悩みは深刻であります。ところが、大蔵省の西垣事務次官は二十四日にこう言っております。「免税業者だから消費税を払わないという客がいた場合、業者は売らなければいい。」、「簡単なことだ」と、こう発言しておりますけれども、売らなければ業者が打撃を受けるのは自明のことであります。こういう発言を通産大臣として容認できるかどうか伺いたい。
○国務大臣(三塚博君) 私も新聞で見ましたけれども、どういう趣旨なのか真意を聞いておりません。たまたま、市川委員も御案内のように、マスコミとの懇談でありますとか会見等において、時に前段が欠落いたしましたり、中段が欠落いたしましたり、結論が表に前段に出ましたり、なかなかそういう意味で正確を期するべき報道をされておるのでありますけれども、これは紙面の関係、記事の扱い等でさように相なっておられるようでございまして、西垣次官がさような言い方になるとは私も理解しませんし、よく聞いてみまして、彼も政府の一員でございますから、主管大臣は大蔵大臣でございますけれども、税執行という円滑化導入という意味では私どもと一体でありますから、対応してまいりたいと思っております。
○市川正一君 そうすると、こういう発言だとすれば、これはまことに遺憾であるという真意ですね。
○国務大臣(三塚博君) 「売らなければいい」という簡明直截な言い方は適切を欠いて誤解を生むなと、こう思っております。
○市川正一君 本日の案件であります繊工法に関しましても、実は福井、石川など北陸繊維産地の実態調査に参りました。消費税絡みで多くの問題が提起されております。例えば現在のところ表向き転嫁は認めておるのでありますが、個々の業者に回ってみますと、こう言うんですね。四-六の工賃は横ばいでいいんだと。四-六というのは四月、五月、六月ですね。七-九は、七月、八月、九月は下げられることを覚悟しておいてくれと、こういうふうに商社から言われているというんです。これでは消費税の転嫁は認められていても、本体価格である工賃自身が引き下げられるおそれが十分にあるわけです。もしこれに異議を唱えれば、取引停止されるのは目に見えております。こういう事態に対して、政府としては事前の措置をとるべきであると思いますが、通産大臣並びに公取委員長双方に見解を承りたいと思います。
○政府委員(土原陽美君) 下請取引におきましては、下請事業者からの申告を期待するということはなかなか難しい状況でございますので、私どもの方から積極的に調査をして、消費税の円滑かつ適正な転嫁が行われているかどうか監視することが特に重要だと考えております。このため三月二十日付で下請事業者を対象に調査票を出したところでございますし、また、この五月から六月にかけまして、中小企業庁と連携をいたしまして、親事業者それから下請事業者双方を対象に特別調査を実施する予定にしております。さらに平成元年度の定期調査、これは六、七月ごろと来年の一、二月ごろと二回に分けてやる予定でございますけれども、この定期調査におきましても、消費税の転嫁の状況について調査を行う予定にしております。こういった調査を通じまして不当な買いたたき等の下請法違反が発見されました場合には、厳正に対処したいと考えておる次第でございます。
○国務大臣(三塚博君) これは適正な転嫁ということをお願いをいたしておるところでございまして、有利な企業の立場、いわゆる下請いじめなどという現象があってはなりませんことは中小企業政策として基本的なポイントでございまして、スタンスでございまして、ただいま御指摘のようなことで行われるというふうには考えておりませんし、今後もさようなことで、こういう税制執行に伴うことでございますから、お互いがやはりそこは許容し合いながら、お互いが共存し合いながら取り組んでまいるということで初めて税の公正な執行ができ得ると思うのでございまして、親企業が利益を上げ得ますために、あるいは負担部分を下に押しつけることによりまして従前と同じような収益を上げるなどということはあってはならない。これは何回か業界懇談を通じましても、また中小企業庁の指導等におきましても、格段の配慮、格段の進め方をしてほしいと要望いたしておるところであります。
○市川正一君 通産省として通達を出していらっしゃることも承知しておりますけれども、これらの点について厳しい指導を強めていただきたいと思います。 しかし、いずれにしても、その根源である消費税そのものは、いかなる見地から見ても、やはり直ちに廃止する以外に道はない。私はこれは天の声であり、また民の声だということを重ねて指摘した上で、法案について質問に入らしていただきます。 まず、第三条で定めるところの「基本指針」に追加された「構造改善の基本的な方向」でありますが、我が国の繊維産業が今回の法改正の方向で構造改善を進めなければならなくなった背景は何なのかということからただしていきたいのであります。 政府は、昨年十一月に発表されました「今後の繊維産業及びその施策のあり方」という答申が指摘しておりますアジアNIES等の追い上げ、円高による輸出の停滞、輸入の急増というこの事態の原因を検討した場合に、通産省の資料からしても、繊維の輸入がふえ、繊維の輸出と輸入のバランスが一昨年逆転いたしております。あるいは円高以降顕著に急増している等々を見ることができるのでありますが、その実態は、「東洋経済」の八九年版「海外進出企業総覧」によりますと、我が国の繊維産業の海外進出件数は全体で二百八十六件、そのうちアジアは百八十四件で六四・三%となっています。また、通産省の海外事業活動調査では、繊維関係の現地法人は全体で百七十二社、うちアジアが百十七社で六八%、生産高でも八七・七%を占めております。さらにこうした現地法人の日本の本社企業を見ますと、全体の六七・五%が大企業であります。加えて、この五年間に繊維機械の輸出は、東南アジア等において二・八倍に伸びている。 つまり、いろいろ数字を引用いたしましたが、先ほどの答申も指摘しているような厳しい状況に我が国の繊維産業を追い込んだ原因として、要約して言えば、繊維関係の大企業や大商社が発展途上国の低賃金を利用してコストダウンを行い、我が国を初め繊維の国際市場での利潤の拡大化を図っていること、加えて八五年以降の政府主導の異常円高がこれに拍車をかけてきたということだと私は結論づけるのであります。 その結果、我が国の繊維業界は低価格の製品輸入の急増及び国際市場での発展途上国製品との競合など深刻な輸出難に直面し、これを理由に我が国繊維産業の圧倒的部分を占める中小企業にその犠牲を転嫁してきているのが現状である。 非常に長くなりますが、私の認識を申し上げます。 加えて、最近の繊維製品の輸入急増の原因には、中小企業金融公庫月報八八年七月号、お伝えしていると思いますが、そこでは大手百貨店や大手量販店による円高を利用しての開発輸入の異常な拡大を挙げなければならぬと思うのであります。 先日、福井、石川の北陸地方における繊維産地を調査いたした際も、その問題に関連してこう言っているんです。新製品を開発しても、商社等がそれをすぐに賃金の安い香港やインドネシアに持っていって同じものをつくらせるのでどうしようもない、こう現地の業者は切々と訴えておりました。 そこで伺うのでありますが、私は今回の構造改善の成功のかぎの一つは、こういう繊維関連の大企業や大商社の横暴な企業行動を規制するとともに、繊維関係の投資や輸入を実態に即して適切に規制することが求められているのではないかと思うんですが、現状説明が少し長くなりましたが、そういう見解を私持つのでありますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 先生の御指摘の点に即して御説明させていただきますと、我が国繊維産業は、御指摘のように、近年輸出は停滞し、輸入は年々増加している。六十二年を境に輸出、輸入は逆転をしたという現状がございます。さらに六十三年の統計を締めてみましたら、これが三十五億ドル近くの逆転が生じたということで、まさにエポックメーキングなことが起こりつつあるというのは御指摘のとおりでございます。 このような輸入急増の原因は何かということを私なりに分析をいたしてみますと、やはり基本的には賃金の格差があるというふうに思います。繊維製品は労働集約的な産業でございますので、定番品と言われるもの、糸、布なんかにつきましては、どうしても安い賃金のところの方が安いものができるということがございますし、また、円高というものが大きく効いてきているということに加えまして、東南アジア諸国の設備投資による工業技術の進歩ということも同時に進んでおるわけでございますし、また、程度の差こそあれファッション性においてもかなりのものが供給されるようになってきているという事実がございます。 このような原因で輸入の拡大が起こっているわけでございますが、その背後に我が国企業の海外投資があるかという点につきましては、御指摘のとおり、繊維分野における海外投資案件も年々四、五十件を超えるものがあるということも事実でございます。 我が国といたしましては、大幅な貿易黒字を抱えておるわけでございまして、輸入の拡大を図っていかなければならない。また、我が国企業の海外進出ということも一つの国際化の流れとして現実にあるわけでございまして、このような中にあって国内産業への影響をどういうふうに食いとめるかということが課題であるというふうに思うわけでございます。 そこで輸入の問題でございますが、輸入につきましては、特定の産業に対して大幅な輸入の急増があるということになりました場合には、これは当該輸出国との間で情報交換を行うといったような対策をとっていく必要がございますし、もしその輸入の急増に当たりましてダンピングといったような公正貿易に外れた、ルールに外れたことが行われているとしたら、これは正していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。 しかしながら、直ちに輸入制限にいくかどうか。繊維につきましてはMFAという国際取り決めがあるわけでございますが、これを発動するかどうかという点につきましては、我が国の置かれている国際的な位置づけを考えますと、ここはやはり慎重であるべきだというふうに考えておる次第でございます。
○市川正一君 今お答えもあったように、国内経済あるいは産業に重大な影響を与える場合に一定の規制を行うことは国際的にも認められているところであります。私は、繊維業界について言えば、まさに今そういう状況に直面しているというふうに思うんです。繊維について言えば、MFA、国際繊維協定に基づく発動は可能であります。 現に日本政府は、アメリカ側の要求に基づいて、アメリカとの間にはMFAに基づく協定を結んでおるんです。はっきり言えば、アメリカの方のことは言うままで、日本の業者、業界の切実な要求にはこたえようとしていない、こう言っても過言ではないと私は思うんです。 韓国からの大島つむぎ類似品の輸入規制についても同じようなことが言えると思うんです。これは絹製品ですからMFAとは違いますけれども、しかし、日韓両国間の協定で合意された年間三万六千五百反の制限は事実上無視されているんです。大臣も御承知だと思うんですが、毎年十万反をはるかに超えた輸入がやられている。先日も奄美大島のつむぎ組合代表から本当に切実な訴えを聞きました。被害はまことに甚大であります。 この問題について、私は今までも本委員会で取り上げて、そして国内の中小企業に打撃を与えるような大企業や大商社の海外投資、技術や原材料の輸出などを規制する提案を行ってまいりました。私は、今回も本法案の審査のために各産地の実態調査を行ったんでありますが、現地の声は、いわゆる逆輸入を含めて輸入規制を求める声というのは本当に切実、深刻なものがあります。私はこの際、政府はこの声に耳を傾けるべきじゃないかということを重ねて要請いたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 輸入の秩序維持化の必要性につきましては十分認識をいたしておるわけでございますが、同時に、やはり我が国の置かれております国際的な立場ということも考えて対応していかなければならないというふうに考えておるわけでございまして、特定産品の輸入の急増対策、あるいは不公正な輸出が行われているというものについての対応は先ほど申し上げたとおりでございます。 ただ、これに対して我が方も手をこまねいているということではなしに、やはり開放経済体制下にあって繊維産業がこれに対抗していけるだけの体質を強化していかなければならないということでございまして、そのために今回お願いしてございます法案にもございます構造改善対策を中心といたしまして、繊維がこの開放経済体制下で国際的な競争に打ち勝っていけるだけの産業になっていくように、私どもとしては事業者の努力を支援していくという形で対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○市川正一君 あなたの言われる構造改善政策というのが成功するのかどうかというそのかぎは何にかかっているかといったら、私がさっきから声を大にして繰り返し強調しているように、繊維関係の大企業や大商社の横暴、そういう企業行動を規制していく。そしてその投資や輸入を適切に規制するところに踏み込むかどうかにかかっているんだということを言っているわけですよ。あなたは、そうじゃなしに、構造改善政策でいきますと言うのだけれども、そのかぎはそこやということを言っているんであって、僕はもう時間がないので前へ進みますけれども、そこはひとつはっきりしておいてほしいんです。 次に、私は新しい構造改善対策であるいわゆるLPUですね、これについてお伺いしたいんですが、時間の関係で二つの問題を一つでお聞きしますので、よう聞いておいてもらいたい。 現行法による異業種垂直連携、これは五年間で二十数グループ、参加企業数でも数千社にすぎない。繊維産業の事業所数十四万から見ると、ごく一部です。午前中の同僚議員の質問に対して一万何ぼあるというふうにおっしゃったけれども、あれは十数年の数字ですね。現行法での五年間の数字はこういうことです。したがって、LPUに多くの業者が参加できるかどうか、いろいろやはり疑問を持っておるんです、不安を持っておるんです。福井、石川で調査いたしました際に出された要望は、現行法による垂直連携もいろいろ条件が難しくてなかなか利用できぬ。今回のLPUも入り口を狭くされたんでは最初から利用することもできぬ。産地の実情を十分に酌み取った条件にしてほしいという、こういう要望が強く出されておりました。これが一つです。 もう一つは、今回の法改正で新しく加わった産地組合などが実施する構造改善円滑化事業に対する助成でありますが、産地の期待はこれに対して非常に大きいものがあります。なぜならば、例えば北陸産地では零細な賃機業者が圧倒的多数であります。LPUに参加することはまず不可能なんですが、この円滑化事業なら乗れる可能性があると、こうやっぱり期待しておるんです。福井県の構造改善組合でもそこでヒアリングを行いましたところ、産地の実態を踏まえてできる限り多くの業者が参加できるよう工夫するので、当局も可能な限り広く認めてほしい、こういう要望を出しておりますが、以上二点について、ひとつ大いにこういう産地の要望を尊重する必要があろうと思いますが、見解を承りたいと思います。
○政府委員(岡松壯三郎君) 御指摘のように、この構造改善事業あるいは構造改善円滑化事業を進めるに当たりましては、産地の実態を踏まえて進めなければいけないというふうに考えておる次第でございます。 特に構造改善事業につきましては、新しい環境下にこの繊維産業が対応していくためには、将来に向けてかぎとなるグループ化を進めるということが大事であるというふうに思っておりまして、意欲のある事業者が乗れるような制度にしていくということが大事であるというふうに思っておる次第でございます。そのため通産大臣が基本指針を定めることになっておりますが、基本指針を定め、その周知徹底を図るとともに、現地におきます指導助言に遺漏なきを期してまいりたいというふうに思っておりまして、利用しやすい制度に持っていくということが大事であるというふうに思っております。 円滑化事業につきましては、この構造改善を進めます事業者を下から支える組合、産地組合等が行う事業でございまして、人材育成でございますとか情報提供でございますとか、個々の企業者では対応し切れないようなものについて実施するのが趣旨でございますが、この点につきましても、現地の産地の実態を踏まえて弾力的に運営をしていくというふうに考えておる次第でございます。
○市川正一君 次に、繊維リソースセンターについて幾つかお聞きするつもりであったんでありますが、もう時間がなくなってまいりましたので、一問に絞ってお聞きいたしたいと思います。 この問題でも、福井の構造改善組合での調査をいたしましたときに、こう言っております。本当にもう切実なんです。産地の生き残りをかけて商品開発を今進めておる。現在、スノーマットの開発試験をしておる。これに加えて福井の拠点をつくるためのアンテナショップもつくっていきたい。リソースセンターにこうした機能は入れられないんだろうか。また、これに対応するための人材の育成も必要になってきておる。組合ではリソースセンターづくりにいろいろ知恵を出し合っているんだけれども、施設だけやなしに運営費にも助成が出るんだろうかと、こういうような期待と要望が出されておるんでありますが、これらに対して十分にこたえていく必要があると思うんでありますが、そういう弾力的というか、実態に即した通産行政を期待いたして、積極的御答弁を求めて私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○政府委員(岡松壯三郎君) 繊維のリソースセンターにつきましては、産地がその新しい時代に対応した活性化を図るという意味で大変期待が寄せられているということは、私どももいろいろな情報から感じておるところでございます。したがいまして、いかにこれをうまく進めていくか、しかも産地のそれぞれの特性を生かしながら進めていくかということに意を用いていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。 御指摘の福井の例というお話ございましたが、これにつきましては、個別の計画につきましてはさらに具体的な計画の段階で議論をさせていただきたいというふうに思っておりますが、今回の措置は元年度予算もあわせてごらんいただきますと、このセンターが今後の繊維の産地の活性化のための中核的な施設になるということをねらいとして抜本的な助成措置を考えておる次第でございまして、なかなか短期的には、運営費の御質問がございましたが、短期的に採算をとるということは初期投資が大きいだけに難しいかと存じますけれども、そこで計画しております各地の事業を通じまして中長期的には採算がとれるというふうに私どもは試算をいたしておりまして、とにかく産地における第三セクターという形での設立を予定いたしておりますが、期待どおりの成果が上げられますように私どもとしても努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○市川正一君 大臣よろしくお願いします。 どうもありがとうございました。
○井上計君 朝からの同僚議員の質問で法案の中身につきましてはもうかなり濃密に質疑が行われておりますので、私の意見を交えて二、三お伺いをいたしたい、こう思います。 まず、構造改善の目的は今さら申すまでもありませんけれども、現状をどのように打開して生き残るかということと、それだけじゃいけませんで、やはり将来に向かってどのように業界が安定するのか、さらには発展をするのかということでなくてはいかぬわけであります。ところが、往々にして構造改善事業というのは、特にこれは繊維業界の中で、全部がそうだとは言いませんけれども、零細なあるいは小規模の業者等々の声は、我々は現在困っておるんだから、国が助けるために構造改善をやっておるんだという誤解が相当あるんですね。それは先ほどから同僚議員の質問にもありますけれども、いわば輸入を禁止しろとか制限しろとか、あるいはもっと補助金をふやせとか、あるいは運営費にもっと金を出せとか、そういうふうないわば保護政策の期待が非常に強いんです。 私もことしあるいは昨年も若干中小零細な繊維業界、特にことしの春一月にニットの業界を視察してきました。そこで聞きましたのは、農業政策にあれだけの補助金を出して、あれだけの保護政策をしておるんだから、我々にだって農業政策と同じようなもっと保護をしてくれたっていいんではないか、こういうふうな端的な希望も出た、こんなことであります。だから、私は、あくまでも構造改善事業というのは保護ではなくて助成政策ですよ。いかに自助努力をするか、それに対して国がいろんな制度、政策によって助成をするんですよと言うんですが、なかなか理解してもらえない。そういうふうな現実の場面にぶつかりました。だから、通産省としては当然のこと助成政策としていろいろお考えいただいておるわけでありますけれども、そういう面についての啓蒙指導ということもぜひお考えいただいて、さらに構造改善事業を積極的に進めていけるように御指導願いたい、これは要望であります。 それにつけても、六月三十日期限切れの法律の改正を三月の日切れ法案と一緒に取り扱っていただいたことについては、私は大変よかったな、こう思っております。やはり繊維業界は一日も早い法改正、それによって今後の方針を立てたい、こういうことでありますから、そういう意味では大変よかったな、こう思っております。まず、これは私の意見を申し上げました。 そこで一、二お伺いするんですけれども、構造改善事業を円滑にさらに効果が上がるよう進めていくのには、やはりその周辺にある阻害要因を排除していくことが大切だと思うんですね。阻害要因は幾つかありますけれども、その一つに生糸の一元化輸入があると思うんです。非常に難しい、もう十数年も前から我々言っておるんですが、政治的な問題がありますから、また産地等々によっていろいろな問題がありますから簡単にはまいりません。また、生糸の一元化輸入は通産省の所管ではありません、農水省所管ですから、大臣、局長にこのことをお伺いするのもどうかと思いますけれども、もし通産省として構造改善事業を進めていく中で生糸一元化輸入について何か所見があればお聞かせいただければと、こう思います。 あわせて、現在繊維関係の商品市場が生糸と綿糸と、それから毛糸がありますね。ところが、この商品市場が、これはよく生産者の意見を聞くのでありますけれども、我々のコストに関係なく相場が立つ、それなので非常に困るというのをよく聞くんですね。だから、紡糸業者あるいは織布業者等々のほとんどは、あんな市場早くなくしてくれという希望が多いですね。この二つ、もし何か御見解があればひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。大臣から難しければ局長からでもいいですよ。
○国務大臣(三塚博君) この一元化輸入問題、御案内のとおり、農水省所管でありまして、我が国の一体的な繊維産業をマクロにとらえておるということなんでしょうか。それと、養蚕農家の保護政策の一環として構造改善が進み、中国及び韓国等々とも対等な競争条件が出まするならば、またその時点で考えるとしても、ただいまの段階は一元化輸入ということの中でこれを進めさせていただく。よって基準価格制度を取り入れまして、御案内のとおりの冷えたとき、また暖かいときというこのコントロールを、チェック機能を働かさせていただいておるわけでございますが、かねがね生糸業者からは、この辺のところをもっとフリーにしていただきまして、安い原糸というんでしょうか、それを買わせていただきますればまた勝負になるのではないでしょうか、こういうことも言われるのでございますが、要すれば安定的な価格でということが一つ生糸産業に、繊維産業にあるんだろうと思うのであります。さはさりながら、一面において国際価格との見合いにおきましてそれに近づける努力もやらなければならない。大変難しい命題でありますけれども、この二つの命題にこれまた構造政策ということで取り組まさせていただくわけでございます。 今回のこの法律改正もまさにこのことに対応するためのみずからの努力、それをただいま御指摘のように支援をしていく、助成をしていく、こういうことの中で取り組まさせていただくことでございますものですから、どうぞこの点その原糸供給者である農家、繭業者、またこれをやられる製糸業者、織物業者、この辺の両々相まちましたところで取り組まなければならぬという我が国内的な要請で、通商産業政策を担当する通産省とすれば何となくすかっといたしませんけれども、置かれておる現状の中で御理解を賜りますればと思います。
○政府委員(岡松壯三郎君) 商品取引所の件について御質問がございましたのでお答えさせていただきます。 昨今の状況は実需に直結しない取引の比率がふえてきているというのも事実でございます。このような実需を伴わない取引の割合が増加しているということで過度に投機的な動きになっているということもあるわけでございまして、市況性の脱却を目指して実需直結型の生産販売体制を推進しようとしている業界から見ますと、混乱が起こることを懸念いたしまして、繊維業界とりわけ紡績業におきましては、この上場を廃止すべきだという強い意見がございます。しかしながら、上場の即時廃止となりますと、これは混乱を伴うおそれがございますし、また公正な価格形成、売買取引といった機能が取引所に期待されている面もあるわけでございますので、当面取引所として秩序ある取引を行うための監視、規制を強化いたしますとともに、さらに繊維業界の商品取引所の利用状況を踏まえまして、上場廃止をも含めて関係業界における検討を注視してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○井上計君 大臣のお答えも、大臣としてはその程度しかお答えできぬだろうなと推察をしながら承っておりましたが、また局長のお答えもよくわかります。今すぐ商品取引所の廃止ということが私もできるとは思っておりませんけれども、やはり繊維構造改善の阻害要因の一つであるということは確かであろうと、こう思います。 さっき申し上げた、繊維業者が、農業のようにもっと我々を保護してくれという中の一つは生糸問題なんですね。生糸の一元化輸入によって国際価格の倍以上の高い生糸を我々は押しつけられておるんだと、片方では農業、養蚕業者保護ということであれだけなにしているじゃないか、我々になぜしてくれないんだと、こういう素朴な疑問といいますか、そういう面での保護政策をもっと強くということの理由になっておるということがありますから、十分御承知でありますけれども、私も現実そういうような質問にぶつかりましたので申し上げたということでございます。 そこで、もう一つ、実は調査室がつくった資料を私さっきからずっと見ておってはっと気がついたんで、思いつきみたいなことになりますが、申し上げますと、現在、繊維産業の各段階の付加価値額、製造、卸、小売の三段階の資料で、製造は従業員が百三十三万人で、出荷額は十四兆円で、付加価値は五兆五千億円、これを計算しますと、製造部門の付加価値は三八%なんですね。ところが、一人当たりの付加価値は四百十四万円。卸部門は、従業員が四十二万人、出荷額二十八兆円で五兆二千億円の付加価値ですから、これは一八・五%ですね。要するに卸全体とすると付加価値は低いですけれども、従業員が非常に少ないですから一人当たりの付加価値は千二百三十八万円になるんです。小売段階の百十八万人というのは、全部が繊維の川下ではないと思いますけれども、出荷額九兆円、これに対して付加価値は五兆六千億ですから約六二%程度、一人当たりの付加価値は四百七十五万、実はちょっと計算してまた調査室できちっと確認してもらったんですが、そういう数字が出ました。 そこで、やはり改めて感じるのは、卸段階の付加価値が一人当たり非常に高いということなんですね。製造業の三倍なんです。だから、製造業の四百十四万円の付加価値は、これではやっていけぬのは当たり前だなと、こういう感じですね。卸の千二百三十八万円という付加価値は高い。高い理由は、やはり繊維業界、そんなこと言うと怒られるかもしれませんが、私も若干戦前戦後一時繊維業界にいましたからよくわかるんですが、卸部門はまことにまだ非近代的な部門が多いんですね。現在の繊維の卸商社というのが、産地仲買あるいは京都の卸等々もそうですが、大体ほとんどが金融等リスクを負担しているわけですよ。だから、どうしてももうけなくちゃいかぬということでありますから、西陣の製品でも、西陣の出荷価格から見ると、東京あたりのデパートですと物によっては五倍ですよ。大体平均三倍半ぐらい、三倍以上です。先般、商工委員会で委員長以下私ども沖縄へ視察に参りましたときに琉球がすりの工場を見ました。そこでも那覇市内の直売店で売っているのの大体倍だというんです。これがやはりこちらの大阪、東京で売られると大体三倍ですね。そこらあたりに繊維の構造改善の主体である製造業の構造改善を進める中で、やはり中間のいわばそういうふうな商習慣といいますか、リスクを負担している商習慣というものを変えていかないとなかなかうまくいかぬのではなかろうかという、これ大きな阻害要因だと思うんです。 こういう数字からちょっとそんなことを感じましたので、これは今特にすぐできるわけじゃありませんけれども、繊維の流通部門の近代化といいますか、先ほどのいろんな今度構造改善の中にもソフト面がかなり入っておりますから、それが効果あるであろうと思いますが、そういう面を含めたやはり構造改善政策指導というものがますます必要ではないかなと、こう感じたんでありますが、局長、どうお考えでしょうか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 先生御指摘のとおり、繊維の流通業は繊維産業全体の産業構造の中で各段階の生産者等非常にリスク負担をしているということと、それから繊維製品という非常に多品種なものを扱うものですから、品ぞろえ機能を持っているというところが大事な事業形態だというふうに思うわけでございますが、それだけに生産と消費とのギャップをつなぐ役割をしているということであるというふうに思います。それだけにこのリスク負担、品ぞろえ機能といったようなところから付加価値は製造段階に比して高くなっているということでございます。このような流通段階でのリスク負担の軽減が図れるならば、これは結果として製造業のメリットにもつながってくるという可能性は否定できないわけでございまして、消費者の需要がますます細分化、小ロット・短サイクル化してくるという中にあって、いかにこの消費段階、流通段階でのリスク、このリスクはますます高まってくる傾向になるわけでございますが、このリスクをどういうふうに分担していくか、分散していくかということが大きな課題であろうというふうに思います。その意味では、製造業者の付加価値を高めていくためには、やはり製造業者みずからが企画力、リスク負担力を持つという、それによって価格交渉力もみずからついてくるという対応が必要であるというふうに思っておるわけでございまして、今回お願いしてございます法案の中にございます構造改善ということを通じて製造業者の立場というものの改善を図っていくということが一つの方策ではないかというふうに考えている次第でございます。
○井上計君 おっしゃるとおりなんです。実はこれは私のことを申し上げて恐縮なんですが、私、実はちょうど二十年ぐらい前ですが、印刷業の構造改善計画で文字どおり寝食を忘れて苦労した経験があるんです。当初、二十二、三年前ですが、この当時印刷業というのは、御承知のように、完全な受注産業であった。そこでエンドユーザー、お得意との間に中間に俗に言うブローカーが多かったわけですね。ブローカーが介在することによって非常に付加価値が少ないんですよ。リスクも非常に多かった、いろんな意味で、そこで、印刷業者が企画、デザイン等々から直接受注する。さらに印刷物そのものをみずからが商品を創造するといいますか、つくる、そういうことを構造改善計画に入れたんです。現在ではそういう意味では一件当たりの付加価値はそうふえていませんが、総体的には付加価値がやっぱり若干ふえてきた。今、これは通産当局の指導よろしきを得てですけれども、かなり安定をしておる業界だと、こう思いますけれども、理由の全部ではありませんけれども、やはり二十年前の構造改善計画、十年先の先取りという意味で、いかに付加価値を高めるかということが一つ成功の要因であったと、こう思います。 それからもう一つ、当時これはどの業界もやっていなかったが、繊維産業は例の機械の廃棄、買い上げをやった。これは国の助成がありました。ところが、国の助成を得ないで機械の廃棄なんということはどこも考えなかったんですが、印刷業はやったわけですよ、スクラップ・アンド・ビルド計画を。それだけに業者自体がやっぱり意識が違いましたよね。 そこでもう一つ、これはちょっと思いつきで申しわけないんですが、印刷というのは、御承知のように、繊維以上に要するに多品種・少量生産です。ところが、いろんな品種をつくる場合に、それこそこの品物に合う、この品物に合う、この商品の製造に合うというふうに何台も機械をそろえることは、零細業者はとても不可能ですね。それで、一つの機械ができるだけいろんな面に使えるような機械の開発をやったわけです。これも成功した一つだと思う。 そこで繊維産業ね、今西陣でも丹後でもそうだと思いますけれども、小幅がある。呉服部門は売れ行きが悪いです。ところが、この小幅を呉服、和装のものを洋装に転換できぬわけですね、小幅ですから。何かそういうふうないわば時に応じて、商品に応じて小幅にも広幅にもできるような、そういうふうな機械の開発を余り聞いていないんですが、そんなふうなことをこれは指導する必要がありはせぬかなと、思いつきで申しわけないんですが、そんなふうなことも実は感じて、これは質問というよりも私の思いつき、意見を申し上げたわけですから、御参考になれば御参考にしていただいて今後の御指導を願いたい、こう思います。 時間がありませんからもう一つ質問しますけれども、NIESからの輸入激増については先ほど同僚議員からもお話がありました。御答弁もありました。そこでNIESとは言えないかもしれませんが、現在、中国の綿糸、綿織物、さらには毛糸、毛織物、羊毛ですね、これについての計画は詳しいことよくわかりませんが、仄聞するところによると、もしあのままの計画で中国が計画どおりに実施した場合あるいは実現した場合には、十年後、日本の繊維産業はどうなるであろうかという危惧を私持っておるんですが、それらについては通産省としては何かお考えあるいはお見通しがあるかどうか、あればひとつお伺いをします。繊維は何といってもすそ野が広いですし、従業員も非常に多いですから、繊維産業がこれ以上悪くなることは日本としても大きなまた、産業だけの問題でありません、社会問題になる、こう考えますので、一層のひとつ御指導をお願いを申し上げ、あと最後に大臣の何か御決意をいただければお伺いします。 私の質問は以上です。
○政府委員(岡松壯三郎君) ただいま中国の繊維産業の現状について御質問でございました。私ども把握している範囲でお答えさしていただきますと、中国は一九七八年の経済開放政策以来繊維生産を大幅に拡大いたしておりまして、最小限の衣料の内需は充足可能になったというふうに言われております。また、繊維品は重要な輸出産業ということで振興策もとられているということでございます。ごく短期的にはやや原料不足の嫌いがありまして、一部に生産に材料が追いつかないというような話も聞いております。 御質問の綿織物、毛織物の点でございますが、綿糸につきましては、私ども持っております資料によりますと、生産能力は今や世界一ということでございまして、日本の約八倍を超える設備を持っておりますし、綿織物も世界一というレベルに達しておりまして、我が国の綿織物の輸入の主要なソースは中国になっているという状況でございます。 現在、中国政府は第七次五カ年計画ということで八六年から九〇年の五カ年計画の途上にございますが、調べましたところ、綿紡、綿織物につきましてはこの計画を既に達成している、八八年時点で達成しているという情報もございまして、繊維産業につきましては順調な発展を遂げてきているということであろうかと思います。 我が国との関係という御質問の点でございますが、やはりこういう途上国におけるいわゆる軽工業品の発展といいますのは、かつての我が国の産業の発展の歴史を振り返ってみても、この辺、こういう部門から途上国が工業化してくるということは現実としてあるわけでございまして、我が国と途上国との関係を考えた場合に、我が国がこれに対していかに対応していくかということは、やはり開放経済体制下にあっての繊維産業のあり方ということを模索していかなければいけないというふうに考えておるわけでございまして、今回の法律改正をお願いいたしましたのも、そのような考え方のもとに案をまとめさしていただいた次第でございます。
○国務大臣(三塚博君) 御指摘のように、我が国繊維産業はすそ野が大変広うございまして、かつては日本を代表する産業でございました。そういうことどもの中で今日の日本が築かれてきたわけでございまして、二百八十万という働く方々がこれを得て生業をいたしておることにかんがみまして対応していかなければなりませんし、特に伝統産業である繊維産業、こういう観点に目を向けまして、生き延びられる産業、先ほどもちょっと申し上げましたが、日本の文化がここに凝縮された形の中で世界の皆さんにもこれに注目をいただく、またこれを寒暑を着ていただく、こういうことであろうと思いますものですから、今次の制度改正もそれにポイントを置かさせていただきました。 ただいま御指摘いただきました印刷機械、印刷業界構造改善のとうとい経験の中で多目的の機械の開発ということは、零細であり力の弱い繊維産業でありますだけに、我が省としてこれに積極的に取り組んでまいりながら、さようなことで取り組まなければならぬということが一つあります。法律の実務的な、また即効的な行動的な対応を進めながら行うということでいかなければならぬことは当然であります。 かつて日米繊維戦争というのがございまして、ここ二、三年日中繊維戦争、日韓繊維戦争、NIESの追い込み、まさに歴史は皮肉なものでございまして、こういう中にあって、アメリカの繊維産業と日本の繊維産業の置かれておる歴史、その深さにおいてはるかに違うわけでございますから、さようなことでこれに十二分に対応していくことといたしたいと存じますし、決してこの法律改正が政府のため、また通産省の一つの思いつきだなどと言われませんように、血となり肉に相なってまいりますように省を挙げてこれに対応してまいりますので、よろしく御鞭撻を賜りたいと存じます。
○木本平八郎君 この法案につきましては、私は渋々ながら賛成したいど思います。渋々と言いますのは、けさほどからいろいろ皆さんの議論を聞いておりまして、またここにいただいた資料がいっぱいあるわけですね、この資料もいろいろ見ていまして、消費者の立場というか、消費者の問題というのは全然出てこないんですね。これは先ほどから何回もおっしゃっているように、繊維というのは消費者にとっては大変な分野なんですけれども、この法案の性質からいって消費者というのはちょっとらち外に置かれているのかもしれませんけれども、それにしても、やはりこういうものを取り上げていただくときには消費者の立場ということを考えていただかなければいけないんじゃないかと思うんですよ。くどいようですけれども、日本は企業中心、生産中心にして戦後復活してきて、今や世界一の生産大国になった。経済大国でもあるわけですね。ところが、消費者の生活あるいは生活内容というのは非常におくれている。したがって、これからの通産行政だけではなくて、政府の一番の重点は消費者志向、消費者中心に物を考えていく、日本の国民の生活をいかによくしていくかということだと思うんですね。これをくどく言えば何時間あっても足りませんからこの辺でやめますけれども、そういう点で、やはり二百八十万の方も非常に大変だと思います。しかし、それに五十倍するやっぱり消費者がおるわけですから、その点からも少しはやっぱりライトを当てていただく必要があるんじゃないかということが一点です。その点で私は非常に不満があるということが一つ。 それから、それに関連して、先ほどのように日本の今各メーカーとか企業とか業種は世界的なチャンピオンなんですね。スポーツの方は弱いですけれども、こっちの方はみんな金メダル取っているわけです。各業種世界ランキングの上の方は全部日本だと。また繊維まで上へ行うたらこれまたえらいことになる。これはえらいことになってもしようがないんですけれども、その辺はやっぱり少しは考えておかなければいかぬと思うんですね。したがって、あらゆる気配り、目配りをしながらこういうものを審査していかないと、ただ単に繊維業界かわいそうだかわいそうだということでやっていきますと、思わぬところにヒッチが出るんじゃないかという感じがいたします。 それからもう一つは、私はこの切り口として取り上げていただきたかったのは、繊維というのはやはり地場産業なんですね。地方の非常に重要な産業なわけです。それは確かに結構なんですけれども、それならどうして地方中心、地方振興という面から少し切り口を考えていただけなかったんだろうかということなんですね。私は東京一極集中主義というのはもう大反対なんです。これは効率を悪くするし、日本を滅ぼすかもしれない、できるだけ地方分散を図らなきゃいかぬと思っているわけです。それの一環としてちょうどこういう地場産業を育成するというのも、やはり地方に分散する非常にいいチャンスじゃないかという気がするわけですね。そういう点において、ぜひこれを地方振興という点から取り上げていただきたかったなと思うんですが、その辺、大臣、御感想ありましたらちょっとお伺いしたいんですが。
○国務大臣(三塚博君) 決して消費者の皆さんを視野に入れないで産業対策だけでというつもりはございませんで、要すれば日本の伝統的な産業分野である繊維関連業界が安定的にまいりますならば、その中から生産されるものは安定的な価格で消費者の皆さんに供給できるのではないか。また、昨今のニーズに応じました多品種ということ、それぞれのバラエティーに富んだ嗜好に合ったものを提供することによりまして、ヤングの皆さんにも、中年の皆さんにも、またお年寄りの我々のような者にもそういうことで各段階に応じていけるということどもの中で、もう斜陽でアウトかなと言われつつある日本の養蚕業も、また繊維産業も息を吹き返してサイクルの中で全体がいくのではないだろうか。そんなことで対応さしていただいておるわけでございますが、御指摘のように、通商産業省は産業政策を視点として行っておるのではないかと言われておりますことにつきましては、さらに肝に銘じまして先生御指摘のような視点も産業政策の中心に据えながら取り組んでいかなければならぬ問題であると思っております。 第二点の地場産業育成というのは、まさに一極集中を排していくということが国策として重要な課題に相なってまいりました。そういう意味で、テクノポリスでありますとか、頭脳立地でありますとかというのを本省といたしまして取り入れさしていただいてきたわけでございますが、特にこの種産業の問題につきまして、まさにリソースセンターが地場産業を定着させ、さらに拡大させようというねらいを込めたものでございまして、格段の御理解の中で御鞭撻賜りますならばと存じておるところでございます。
○木本平八郎君 ぜひ消費者の視点、あるいは地場産業といいますか、地方の振興という点を、通産省というのはそういうのをいろいろ酌んでおられると思いますけれども、どうしても今までの生い立ちで企業中心、産業中心、メーカー中心ということがありますので、これは政府として、特に通産省というのは影響力の大きい省ですから、ひとつそういう全国民的な立場から今後とも行政をお考えいただきたいと思うんです。 それで、岡松局長も大分お疲れなんでちょっと休憩していただいて、実は消費者の問題ということ、消費者と企業のあり方ということでもう少し突っ込んでお話ししたいと思うんです。 実は東京瓦斯の社長が今度三代続いて同族になるということがありますね。これは国民としても非常に奇異な感じを受けているということなんですが、これをお聞きしますと、通産省としては、いや、ガス事業法においてそんな人事権まで監督していないんだから、そんなことはちょっと内政干渉になるからだめなんだとおっしゃるに決まっていると思うんですけれども、ただ、私がお聞きしたいのは、まず各社の新聞ですね、私全部読んだわけじゃないけれども、七、八紙見ましたら、どれもこれも全部クエスチョンマークがついているわけですね、疑問があると。社長の交代人事であれほどスペースを割いて、中には社説まであるわけですね、きのうの日経なんか出ていましたがね。ああいう国民がひとしく疑問を持っているこういう人事、これは普通の民間企業ならともかくとして、公益事業でこういう疑問符を打たれるということについては、その辺からはどういうふうにお考えになりますか、伺いたいんです。
○政府委員(堤富男君) 公益事業、先生今御指摘のように、すべての面で規制されているわけではございません。外国あるいは日本でも過去では国営の時代があったりあるいは国有企業であるというような時代があったかと思いますけれども、現在では日本の公益事業といいますのは私企業をベースにいたしまして、株式会社という形をベースにいたしまして、それの創意工夫という観点を十分生かしながら必要最小限の規制をしていくということがガス事業法であり、電気事業法であろうかと思います。したがいまして、公益事業ということからすべて人事権までもちろん規制をしているわけではございませんで、法律目的からいきますと、一つは消費者の保護、あるいはガスの場合ですとガス事業の健全な発達というような観点を込めまして、それの目的の必要最小限のものを法律上規定しているわけでございます。 したがいまして、現在お話しの社長人事というような点は、これはいわば公益事業法、法律という体系から見ますと、経営の判断に任されている事項だと考えておりますし、それがまたある意味で全体としてうまくいくという背景になっておるわけでございます。そういう中で、我々大事については、大変申しわけないんでございますが、こういう場でコメントをする立場にはないというのがポジションでございます。
○木本平八郎君 それではちょっと基本的な問題についてお聞きしたいんですが、経営というものを考えますときに、純然たる民間企業ですね、これには創業者企業とそうでないのとありますけれども、仮に完全に株が分散されていてサラリーマン社長がやっているという企業ですね、純然たるそういう民間企業の場合と公益事業という場合、同じ株式会社でも違うと思うんですね。どういう点が経営として違うんでしょうか。
○政府委員(堤富男君) 経営者は、当然株式会社でございますから、まず株主総会で選ばれ、取締役会で役が振り分けられるわけでございまして、そういう意味では、まず株式会社という面でいきますと、公益事業も通常の会社も同じ面があるわけでございます。それはまず一義的には株式会社、株主のために努力をするという面がございますから、株主のために努力をし続けるという点では同一の面だと思います。 ただ、先ほどからお話し申し上げますように、ガス事業法の場合には、ガスの場合にはこれはある意味で一定地域供給区域を与えられて、その中でガスを供給する権限を与えられているわけでございます。当然のことながらあわせて供給義務という義務も課されてはおるわけでございますが、一つの法律上の規制が行われております。したがいまして、ガス事業を営む経営者というのは、株主に対してだけではなくて、法律に求められておる規制の目的を実行する。もっと申し上げれば、ガス事業法の目的であります消費者利益あるいはガス事業の健全な発展ということに、あるいはさらに申し上げれば保安ですとか、公害ですとか、そういう目的を達成していく義務がある。その点では通常の株式会社の経営者とは違った面があるというふうに考えております。
○木本平八郎君 確かにガス事業法の点から考えればそうだと思うんです。それで、私がひとつ申し上げたいのは、普通の株式会社というのは株主がオーナーなんですね、これは今日本はちょっと狂っていますけれども。社長とかそういうようなのはマネージャーなんですね、雇われ人なんですね。あくまで株主が中心。ところが、公益事業は私ちょっと違うと思うんですよ。これは国民が主権者であり、国民が本当はオーナーなんですね。ところが、たまたま経営上の都合で株式会社にした方がいいというので、ある意味では経営権とかそういう主権を株主に委譲している、それを株主がさらにマネージャーを使っているという形だと思うんですね。したがって、これは世界的にもヨーロッパなんかはほとんど公営でしょう。アメリカは私営ですね。ところが、アメリカでこれ非常に大事なところは、事業法とか法律では何も縛ってないんですよ、経営の社長だとかなんとかは。ところが、同族経営はやらないとか、あるいは政治的には中立を保つとか、いろいろなことを内部の定款で決めているんですよ。彼らは自粛しているんです。自制してコントロールしているんですよ。これが私は民主主義の国のあり方だと思うんですね。当然そういう自粛はしなきゃいかぬわけですよ、公益事業になったら。ところが、日本の場合もそういう経営者は当然自粛すべきものであるということを前提にして、何も定款に書かなくてもいいし、法律で決めなくてもいい、おかしなものは何もやってない。それは当然公益事業は、これはもう東京瓦斯だけじゃなくて、東京電力だって全部こういうところはちゃんと自粛して、ちゃんと身を正してやっていくものだという前提でガス事業法あるいは通産省の行政指導の方針を決められているんじゃないかと思うんですが、その辺いかがですか。
○政府委員(堤富男君) 国民がオーナーであるという点、これは言葉の問題でございますが、残念ながら法律体系ではそういうことにはなっておりませんで、先ほど申し上げましたように、株主がいわば会社のオーナーということでございまして、それの選任を受けた役員が会社のために働く、それを国民の立場から国として規制をしているということでございまして、その点ではオーナーという言葉でいくか規制という言葉でいくか、ニュアンスの差はあろうかと思っております。 ただ、アメリカの方のお話ございまして、私の方も千三百ございますので、全部アメリカのあれを調べたわけではございませんが、確かにそういう定めた例、必ずしも私たちの方では全部知り得たわけではございませんが、もし一部あったとしても、これは定款で定めているという点は一つまたポイントかと思っておりまして、定款というのは、御存じのように、会社をつくるときあるいはその後変更をする過程で株主総会の議を経て定められておるわけでございまして、簡単に申し上げますと、株式会社内の自分で自分を規制するという考え方でできておりまして、アメリカにおいてすらというんでしょうか、アメリカにおいても国がそういう人事等の経営の中枢にかかわることについては自由に任せて自主型の規制をしているという形ではないかと思っております。 そういう観点から、ガス事業法、これは国会から通産省、国に対して与えられた権限でございますので、活用することは当然考えるわけでございますが、一方でこの乱用をやるということはまたいろんな弊害もございます。私企業の自由闊達な創意工夫の芽を摘むというようなこともございますので、我々としましては、行政指導も含めまして、その権限の使用については慎重の上にも慎重をというふうに考えておる次第でございます。
○木本平八郎君 いや、法律的には株主が確かにオーナーなんですよ。私が申し上げているのは精神論なんです、経営哲学なんです。 公共事業というのはあくまで国民の利益のため、利用者の利益のためにある。したがって、公営のが多いんですね。したがって、私は、経営者としてはこれはやっぱり国民が中心であるということで経営していっていただかないと、株主の了解さえ得れば何でもできる、あるいは信任されているから取締役会でやればどういう社長人事だってやれるという考えだと困るんです。僕は東京瓦斯ともあろうものがまさかこんなおかしな人事をやるとは思わなかったんですよ。うわさには聞いていましたけれども、最後はそういうことは絶対に行われないだろうと思っていたんですね。私の民間におった感覚では、こんなことが行われるわけないと思っていたんですけれども、こういうことが起こったんで、こういうことでは今後の公益事業のあり方についてこれは大変だと思うから、今、今後の通産省の姿勢をお聞きしているわけですけれども。 それで、これは言いにくいかもしれませんけれども、今度のこの人事が発表されて東京瓦斯の社内の反応というのはどういうふうなのか、御存じであれば教えてほしいんです。
○政府委員(堤富男君) どういう反応があったかというと、東京瓦斯社員一万三千人もおりますので、必ずしもその反応というのを我々知る立場には残念ながらございません。そういう意味では、どういう状況にあるかということを今コメントする状況にはないと思っております。
○木本平八郎君 まあ知っていてもなかなかおっしゃれないと思いますけれども、これはやっぱりどんな会社でもどんな組織でも必ず派閥とか、反対派とか、主流派とかあるんだということですね。私も現にそういう人の話も聞いています。しかし、これは三代続くとやはり社員のモラール低下というのは相当大きいと思うんですよ。私なんかもサラリーマンやっていましたからわかるんですけれども、三代続いてこういう同族支配になったら一これは普通のオーナー会社は別ですよ、それはとてもじゃないがやる気なくすると思うんですね。私はやっぱりこれで一番恐いのは、数年前に大阪の天神橋ですか、(「天六だよ」と呼ぶ者あり)天六ですか、何かあの辺でガスの爆発事故がありましたね。ああいうことが社内の士気の低下あるいは綱紀の緩みみたいなもの、あるいはちょっと嫌気が差していてそういうことにつながるんじゃないかと思うんですよね。それが一番恐い。それから、そういうふうになった場合、これはもう国民からの非難というのは大変なものだと思うんですよ、こんなことをやっているからそういうことになるんだと。これは今後よほど東京瓦斯を指導していただいて、内部の社内のモラールの低下を来さないように相当監督していただかないと、これは非常に危険な状態になると思うんですが、その辺いかがでしょうか。
○政府委員(堤富男君) おっしゃるとおりガス事業法の目的にも明記されておりますし、ガス保安あるいは能率的経営という点、これは決しておろそかにしてはならない問題だと思っております。 この点、今後我々といたしましても、法律の執行を預かる当省といたしまして万全の指導をしてま いる所存でございます。
○木本平八郎君 ちょっとお聞きしたいんですけれども、安西さん一家は、渡辺社長と三人ですね、株は何%持っておられるんですか。
○政府委員(堤富男君) 今の東京瓦斯の株主構成を見ますと、生命保険、証券会社等が法人所有で上位を占めておりまして、上位十社で約三七%持っております。そのほか取締役の役員、今のお話に出た三人を含めまして取締役以上の役員が持っている株主の合計をしますと〇・三二%でございまして、その三万のあれもその内数に入っていると思っております。
○木本平八郎君 それで、実は私こじつけるわけじゃないですけれども、今、国会をめちゃくちゃ揺るがしているリクルートの問題がありますね。あの問題で一つの見方としては、真藤氏あるいは江副氏に対して企業の経営者というのは一体何だという非常に不信感があると思うんですよ。氷山の一角も一角、本当の氷のかけらみたいなものでしょうけれども、そこへまたこの東京瓦斯の問題が出てくると、一体日本の経営者というのはどれだけの公的な自覚があるんだろうという疑問に非常に駆られるわけですよ。私は民間で見ていまして、民間の社長の人たちあるいは経営者の人たちが非常に残念に思っているんじゃないかと思うんですね。そんな一部の人間、こうして続いて出てきているから非常に目立つんですけれども、こんなに企業の経営者というのはけしからぬのかと。政治家ももちろんけしからぬと思われていますけれども、それ以上に経営者も気にしているんじゃないかと思うんですね。そこへまたこれが来るでしょう。 そうすると、ちょっとこれお聞きしてもまた返事がないと思いますけれども、私は東京瓦斯ぐらいの会社だったらもう多士済々で、余人をもってかえがたしということはあり得ないと思うんですよ。安西邦夫さんという方がどういう優秀な方か知りませんけれども、あの方じゃなきゃ東京瓦斯の社長が務まらないなんということはあり得ないんですよ、ああいう会社だったら。必ずおられるはずですね。もしも安西さんでなければ社長が務まらないということになったら、それこそ公益事業として人材育成を怠ったという罪は、これはもう大変なものだと思うんですね。必ず後継者を育成していくというのはもう経営者の一番大きな責任なわけですね。それを怠ったのならこれはもう大変なことです。 それで、私は、李下に冠を正さずというのがありますね、瓜田のくつというのがありますね。公益事業だから、三代続いて同族経営を、社長をやったら世間から非難されるということは当然わかっているはずなんですね。わかっていてなおかつこういう無理な人事をなさったということについては、これはもう経営感覚がおかしいんじゃないかという感じがするわけです。御本人たちはそれは当然のことだと思っておられるかもしれぬけれども、一般の常識から考えたら、やはり極めて非常識なことをなさっている。こういうことがまかり通りますと、やはり企業不信みたいなものが大きくなってくるんじゃないかという感じがするわけです。その辺について、今後は、例えば経営哲学とか人生観だとか、そういう面から指導するということはないかもしれませんけれども、まあちょっと一杯飲みながら、人生とはこういうものだとか、経営者とは非常に厳しいものだとかという話をやっぱりなさっていただく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうかね。
○国務大臣(三塚博君) ただいま長いサラリーマンの体験の中からにじみ出る会社経営論、また特に公益企業としてのあり方という意味で哲学を御展開をいただきました。しかと拝聴いたしましたし、参議院の権威ある当委員会において本問題が質疑されたということ自体大変重みのあるものだと考えます。私も決して酒は嫌いな方じゃありませんから、一杯飲みながら、それほど懇意じゃございませんけれども、人生哲学ほど哲学はございませんが、ただいまのお話などをもとに、やはり公益企業としてのあり方はどんなものだろうかと、こんなことでさらりとした話をしてまいり、自後こういう御質疑が出ませんように相努めてまいります。
○木本平八郎君 もう大臣からそういう結論が出ましたので、これ以上続ける必要もないと思います。 それで、まだ時間がありますけれども、最後に一つだけお願いしたいのは、冒頭申し上げましたように、最近口では皆さんおっしゃるけれども、消費者の利益というのがどうも忘れられがちなんだという点で、東京瓦斯の問題もやはり消費者の立場ということをまず考えてもらいたい。したがって、通産省としても今後いろいろ行政をやっていかれる上においてしつこいぐらい頭の隅に、消費者の都合はどうだ、消費者の立場になっているかどうかということをお考えになっていただきたいということをお願い申し上げまして私の質問を終わります。
○委員長(宮澤弘君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮澤弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(宮澤弘君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、本委員会が先般行いました委員派遣について、派遣委員の報告を聴取いたします。前田君。
○前田勲男君 沖縄県における産業活動等の実情に関する調査のため、去る一月二十五日から一月二十七日まで三日間にわたって行われた委員派遣について御報告申し上げます。 派遣委員は、宮澤委員長、中曽根理事、福間理事、市川理事、伏見委員、井上委員、木本委員と私、前田の八名であります。 派遣の日程は、一月二十五日、まず那覇市の沖縄自由貿易地域を視察した後、沖縄総合事務局から管内概況説明、沖縄県から県内経済概況説明を聴取いたしました。午後は県南部の糸満市にあります糸満工業団地、琉球ガラス村を視察いたしました。 翌二十六日は、県北部に赴き、浦添市で沖縄電力株式会社、石川市で電源開発株式会社を視察した後、沖縄県の開発したリゾート施設である沖縄海中公園、名護市のオリオンビール株式会社、本部町の国営沖縄記念公園を順次視察いたしました。 二十七日は、県内の伝統産業として琉球かすり工場、泡盛工場を視察後、記者会見を行いました。 以下、日程の順序に従って視察先の概要について申し上げます。 沖縄自由貿易地域は、沖縄振興開発特別措置法に基づき、沖縄県における企業立地を促進するとともに、貿易の振興を図るため、沖縄県知事の申請に基づき沖縄開発庁長官が指定する地域であります。 自由貿易地域は、原材料を輸入し、地域内で加工、製造する、また貿易品の中継、備蓄、展示、取引などの機能を有するもので、各種税制、金融面の優遇措置が講じられております。将来は県下各地に自由貿易地域を拡大していきたいという説明でありました。 次に沖縄総合事務局の管内概況は、最近五年間の平均経済成長率は実質で全国平均の三・八%を上回る四・二%に上っています。この結果、全国との所得格差は急速に縮小し、復帰時の昭和四十七年度の五九・五%から六十一年度には七五・二%となっているものの、依然として大きな格差が見られ、さらに完全失業率は昭和六十二年平均で五・二%と全国平均二・八%の倍近くになっています。 沖縄経済は、第二次産業のウエートが低く、第三次産業、特にサービス業のウエートが高い、財政への依存度が県民総支出の約三三%と全国の一六・五%と比べ極めて高い、観光収入、基地収入の依存度が高い、本土への移出品は農産物が中心で多くの品目を県外に依存しているなどの特色があります。 今後の課題としては、石油依存度が高いため、エネルギー源の多様化、国際ビジネスの拠点として物と情報の交流基地としての機能を強化するため、自由貿易地域などの強化、鉱業、中小企業、情報産業、伝統産業などの振興、リゾート・観光産業の振興、工業用地、工業用水道などの産業基盤の整備などが必要であるという説明がありました。 次に、沖縄県の説明によりますと、沖縄県の商工業の振興については、第三次産業、特に小規模零細企業が多い現状にかんがみ、伝統産業を含めた地場産業の振興を図るとともに、頭脳立地構想を推進する、またカルシウムの塊であるコーラルサンドなど地場資源活用型企業、ソフト関連企業など新規企業の立場を促進する、自由貿易地域を充実させる、さらに国際的なリゾートを形成するとともに受け入れ体制の整備を図るなどの政策課題があり、特に自由貿易地域、情報産業の育成、リゾート開発が県経済の三本の柱であるということでありました。さらに、商工観光の振興に当たって、現在の航空運賃が一つの大きなネックになっているとの説明がありました。 次に、糸満工業団地は、那覇市の南部に位置し、昭和四十七年に策定された沖縄振興開発計画に基づいて整備された新糸満漁港の後背地に糸満市が埋立てて造成したもので、水産食品開運用地、中小企業用地などを中心に面積は約二百六十七ヘクタールであります。 市の説明によれば、中小企業用地は好調でありますが、六割は市内の既存の企業の移転であること、新糸満漁港の水揚げがやや不調なため、水産食品関運用地の売れ行きがいま一つであることなどが問題であり、企業誘致を強力に推進しているとのことでありました。 次に、琉球ガラスは、実用品製造の伝統の上に、戦後のアメリカの影響を強く受け、美しい手づくりの吹きガラスとして成長著しい産業であります。特に中小企業近代化促進法による高度化事業により、共同工場とともに共同販売店を有する琉球ガラス村が設立され、昭和六十年度には琉球ガラス工芸協業組合に発展をいたしております。 ここでは、ガラス製品の製造工程を実際に見ることができました。 次に、沖縄電力は、沖縄県最大の企業であり、去る第百十二国会で成立した沖縄振興開発特別措置法の改正案に基づき昨年十月に民営化され、先日の株式一般放出が行われ、ブームを呼んだ企業であります。 沖縄は離島が多く、また河川が少ないなどの地理的条件があるため、小規模発電所が多く、電源は化石燃料だけであり、また産業がないために、夏と冬、昼と夜の電力の使用量が極端に違うなど、電力会社としては幾多の困難な状況下に置かれております。 しかしながら、沖縄電力の説明によれば、電源開発の石川石炭火力の完成により石油依存度は六〇%に低下したこと、発電所と需要家が近く、またメーンの送電線に沿って人口が分布していることなどの沖縄の利点を生かし、堅実な経営を行っていく、離島の電源については燃料電池の研究が完成間近であり、また太陽光などの代替エネルギーの研究開発も行われているとのことでありました。 次に、電源開発石川石炭火力発電所でありますが、電源開発は、資本金七百六億円、発電所五十九カ所、従業員三千五百人の卸電気事業者であります。同社の石川石炭火力発電所は出力三十一万キロワットの石炭火力発電所であり、沖縄県の電力需要量の約四〇%を発電いたしております。さらに同社の説明によれば、石川石炭火力発電所は、沖縄の遠浅の海に対処するため、海中に一キロの揚炭桟橋を設け、炭じんが飛散しないようベルトコンベヤーを密閉式にしている、硫黄酸化物を石こう化して取り出す脱硫装置、ばいじんを九九%取り除く除去装置を取りつける、石炭の灰は三割程度を有効利用し、残りは隣の埋め立てに使用しているなど、環境対策にも配慮をしているとのことでありました。 次は、沖縄海中公園でありますが、同公園は沖縄県観光開発公社によって昭和四十五年に名護湾一帯に設立された施設であり、海洋生物の研究、海洋レジャー振興などを目的としています。公園にはサンゴ礁の海中を見ることができる海中展望塔などがあり、今後県経済の大きな柱となるべき観光行政の中で重要な位置づけがなされておりました。 次に、オリオンビール株式会社でありますが、同社は昭和三十二年に設立され、資本金三億六千万円、年商二百一億七千万円で沖縄県のビール消費量の八割を超えるシェアを持つ県内最大のメーカーであります。現在の取扱商品はビール、清涼飲料などですが、特にビールにつきましては、水質、気温などの点で無理であると言われてきた亜熱帯の沖縄においてビールの生産に成功し、気候風土に合ったマイルドで口当たりのよいビールを開発、生産しているとの説明でありました。 次に、国営沖縄記念公園、海洋博覧会地区は、昭和五十年に開催された沖縄国際海洋博覧会を記念し、その跡地に建設された我が国唯一の熱帯・亜熱帯公園であります。公園は面積約七十七ヘクタールで、熱帯ドリームセンター、エメラルドビーチ、水族館などの施設があります。公園への入場者は昭和六十二年度で約百七十五万人に上り、全国の国営公園では飛び抜けた成績であります。さらに沖縄県の観光客の多数がこの公園を訪れていることから、本公園は沖縄の観光施設として、さらに従来、やんばる、山と草原しかないと言われた沖縄県北部の振興に重要な役割を果たしているとのことでありました。 次に、琉球がすりでありますが、琉球がすりは沖縄の代表的な織物の一つで、四百年近い歴史があり、生活に密着したかすり柄を特徴としています。生産高は年間六億円、昭和五十八年度には伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づく通産大臣の指定を受けております。また、従事者は、昭和六十一年で約四百六十名であります。今回は、那覇市近郊の大城織物株式会社を訪問し、伝統的な工法でかすりが織られている様子を視察いたしましたが、会社の説明では、工場で働いている人々は技術の習得が目的であり、中心は家庭内で製作されているとのことであります。 最後に、琉球泡盛は那覇市の瑞泉酒造株式会社を視察いたしました。泡盛は、十四、十五世紀ころの南方渡来の酒に由来すると言われる歴史ある蒸溜酒であり、タイ産の米を原料としています。昭和五十一年に各製造業者の生産する泡盛を仕入れ、長期保存し、古酒として県外に販売するとともに、原料米及びその他物資の共同購入を行い、業界の安定と経済的な地位の向上を図るため、沖縄県酒造協同組合が設立されております。視察先の瑞泉酒造は、県最大手のメーカーであり、十五度から四十三度までの各種製品を製造、販売しているとのことであります。 視察先の概要は以上でありますが、今回の現地調査を通じての印象としては、沖縄県の今後の方向は、自由貿易、企業誘致、観光開発の三つが中心であります。まず自由貿易については、自由貿易地域は地理的条件からいっても沖縄県に最適な制度であり、現在は狭いので、今後の拡充が必要であろうということであります。次に、企業誘致については、従来のような形の重厚長大型の誘致ではなく、ハードよりソフト、具体的にはリゾート産業、情報産業等を中心としたものを考えることが必要であります。また、観光開発に関しては、確かに重要でありますが、現状では、空港に到着し、観光バスに乗り、ホテルに入ったら、一歩も町に出ないというスタイルが多く、地元に対する経済効果を初め、地元の人々、歴史、自然との触れ合いが少ないなど、またその他プロ野球の積極的なキャンプ誘致など、地元への波及効果の高いものを今後検討すべきである。また、リゾート開発が県内の至るところで計画されていることに関して、いずれ収益性に疑問が出る、かえって沖縄県経済に悪影響も与える結果にならないかといった感想が各委員から述べられたことを紹介をいたしておきます。また、琉球王家の尚家の文化財の県外譲渡について、観光開発の観点から危惧する意見もあったことを付加しておきます。 最後に、今回の現地調査に当たり御協力をいただきました沖縄開発庁沖縄総合事務局を初めとして、沖縄県、糸満市及び各企業の関係者の皆様に厚く御礼申し上げて報告を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(宮澤弘君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十八分散会 ―――――・―――――