社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 170 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1989/06/20
会議録
○委員長(前島英三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び社会保障制度等に関する調査のうち厚生行政に関する件の三件を便宜一括して議題といたします。 これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
○山本正和君 まず最初に、厚生行政全般の中で若干の問題点をお尋ねしてまいりたいと思います。 昨年が厚生省ができて五十年、こういう時期でございまして、厚生省もことしは何か立派な白書を五十周年記念でおつくりになりました。そして、確かに我が国の厚生行政を振り返ってみますと、昭和十三年、いわゆる戦争体制へ国家の総力を挙げていくという時代に生まれたわけではありますけれども、戦後とにかく荒廃の中で大変国民生活が食べるに事欠く、また伝染病等も随分出まして、発疹チフス、コレラ等、今から考えたらちょっと想像もつかないような状況の中で厚生行政が出発いたしましたし、さらには日本の国の敗戦に伴って海外から軍人あるいは引揚者等、大変な状況の中で厚生行政が行われた。 したがいまして、この五十年を振り返ると、随分その場その場と言ったらおかしいのですけれども、とにかく国民生活の中で対応に迫られて、出てくるさまざまな事柄の中で追われるという要素がなかったとは言えないと思うわけであります。 ただ、昭和四十八年に福祉元年というふうな言葉が使われましたように、ぼつぼつ本格的に、いわゆる憲法で言うところの健康で文化的な生活、憲法体制下の我が国の社会保障のあり方というふうなことが本格的に取り組まれ始めた、こう言ってもいいとは思うわけです。しかし、そういうことの中で、どうしてもつい目の前に出てくるさまざまな出来事の対処に迫られて、なかなか本格的な形での議論というのがしにくい、展望を立てるといっても立てにくいという、そういう情勢にあったことは、これは事実でございます。 しかし、今までそういう五十年間の中で最初の第一期といいましょうか、昭和二十年代までは別といたしまして、厚生省としてもさまざまな長期ビジョンというものを策定し、これを提起されてきております。今までそういうことが幾つか出されているわけでありますが、昨年また長期ビジョンが出されました。それに至る経過をひとつ、それぞれどこに問題点があったんだと、そして今度出た長期ビジョンというのはどこに特徴があるのか、こういうことにつきまして、ちょっとこれは時間をとりそうなお話でありますけれども、簡単にひとつ、特に今度の長期ビジョンと絡めまして従来のものとどう違うんだということに絞って御説明をいただきたい、こう思います。
○政府委員(末次彬君) ただいま委員御指摘のとおり、厚生行政、戦後の荒廃の中から福祉国家の建設を目指しまして幾つかの考え方を出してきたわけでございます。 当面いたします当時の最大の問題といたしましては、医療、年金、これにつきましていわゆる皆保険体制をつくるということが最大の主眼であったというふうに考えておりまして、三十年代、いわゆる皆保険の実施を図りまして、その後四十年代にかけましてこれの定着を図るということに厚生行政の力点が置かれてきたというふうに考えております。しかしながら、その後の高齢化の状況を勘案いたしますと、やはり長寿社会対策ということを念頭に置いて厚生行政を進めなければならないということで、昭和五十七年七月に社会保障長期展望懇談会、この御審議を煩わせまして、「社会保障の将来展望について」という提言をいただいております。これがもとになりまして、その後の年金あるいは老人保健、医療保険、こういった制度改正を実施してきたわけでございます。 さらに、六十一年六月でございますが、政府全体の長寿社会対策大綱を閣議決定いたしておりますが、それと前後いたしまして、厚生省としても高齢者対策企画推進本部から報告を出した。こういうものが素地になりまして、昨年十月、厚生省、労働省共同でございますが、「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」、これを国会に御提出したわけでございます。そのねらいといたしましては、来るべき長寿社会、これを揺るぎないものとするために現在の段階から準備する事項、これにつきまして取りまとめをいたしまして、その実現方について厚生省として努力いたしたいということを国会の方に発表をしたわけでございます。 このほか、個別の項目につきましては、昭和六十二年には国民医療総合対策本部、これからあるべき医療の姿といった観点から総合的な対策、これにつきまして各般にわたる大部な項目を御提示しております。また六十二年八月には、当面緊急に問題となっておりますいわゆる痴呆性老人につきまして痴呆性老人対策推進本部から報告を発表いたしております。 以上でございます。
○山本正和君 厚生省から発表されましたものをずっと見てまいりますと、確かに各般にわたっての十分な検討といいましょうか問題点の指摘、そういう中で取り組まれている部分は私も評価をするわけでありますが、ただ大変心配いたしますのは、今度の六十三年の発表のものにいたしましても、あるいは従来からの流れの中で心配いたしますのは、例えば国民医療費をとっても、これが目の前に四十兆円になる。さらには、しばらくしたら百兆を超えるのではないかというふうな財政上の問題がどんどん前に出てくる。財政上の問題からこういう長期ビジョンの問題についてもさまざまな制約が、これは当然行政でありますから財政を無視した議論というのはないわけですけれども、本来どうあるべきかということから議論が出発して、その中で財政的にはかくかくしかじかの問題があるというよりも、何か財政を先に置いてしまって、その中で一定の枠の中で何が考えられるかというふうな傾向になりそうな懸念を私は持つわけであります。 そういう意味でひとつ、今まではヨーロッパではどうだアメリカではどうだ、いわゆる福祉先進国の状況はどうなんだというふうなことを調べてみたり、そしてその中から我が国がおくれている部分をどういうふうに追いつくかというふうな議論もかなりしたことは事実でございますけれども、もうそういう時代じゃない。我が国の産業構造あるいは年齢構成、さらには国民生活の状況、こういうふうなものをきちっと見据えて、そしてその中でしかも我が国が持っている憲法というも のの理念、そういうものを含めて本来我が国としては国民生活、憲法で示すところの健康で文化的な生活というものはこうなんだというところから出発した本当の意味でのビジョンの策定というものが必要じゃないかというようなことを思うわけ です。 今度の長期ビジョンでも、今後さらにいろんな検討を加えていくというふうなことで出ているわけでありますけれども、こういう長期ビジョンというものの考え方について、これからどういうふうな構えで厚生省としては臨んでいこうと考えておられるのか。 特に、厚生大臣、本当にこれは私どもから申しますと、いわゆる私どもが最後の戦争を経験した人間とすれば、全く憲法体制下で青年期を迎えられ、まさに新しい憲法下の政治をずっと体験された方でございますから、そういう意味で厚生行政の一番基本であるところのこれからの厚生行政の展望、こういうものを立てるに当たってどういう立場で臨もうとされているのか、その辺をひとつ大臣の見解を承っておきたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) やはりこれから高齢社会を迎えるに当たって大事なことは、現役を引退した後所得が保障される、いわゆる年金の問題と同時に、健康にみんな関心を持っていますから、病気になったらどうするかという医療の問題、この年金と医療というものをしっかりと安定したものにしていく必要ががますます高まっていると思います。 ですから、年金につきましても、現在程度の給付水準を維持すべくどのような改革が必要かということで現在法案を提出しておりますが、その年金が安定的に支給されるようなそういう揺るぎない制度をつくっていく必要がある。同時に、医療につきましても、いろいろ今各保険制度間で給付と負担の不均衡というものがありますし、これも将来一元化に向けて給付と負担のバランスをとっていく必要がある。さらに福祉につきましても、最近では寝たきり老人とか痴呆性老人というのがふえている。これからもふえる傾向というのは否定できない。そういうことを考えますと、在宅福祉といいますか在宅サービスを充実していく、さらに施設においてもそういうサービスを充実していく必要がある。 いわば力点を置くとすれば、やはり年金と医療とそして福祉については在宅サービス等に格段の力を入れる必要があるんじゃないかというふうに考えております。
○山本正和君 大臣、ちょっと私の質問と若干かみ合わない感じがいたしますが、私がお聞きしたいといいますか申し上げていることは、福祉というのは一体何なんだと、また厚生行政の眼目は一体何なんだと。それは日本の国に日本人として生まれた人がすべて、この国で生まれた、この国で育つ、この国で働く、そういう中で求め得る幸せのミニマムといいましょうか、そういうものの達成のために厚生省がいろんな意味での施策を講じていかなきゃいけない、こういう理念上の問題で申し上げているわけでありまして、その中で取り上げるべき例えば年金の問題あるいは医療の問題、さらには障害者対策の問題、高齢者対策、いろんな問題がございます。 しかし、要するに日本人として生まれた人が健康で文化的な生活を営むことができる、この国に生まれて本当によかったなと、こういうことが感じられるような施策を厚生省はまず基本理念として持つべきだと。そのことから、要するに我が国のこの狭い国土、大変大きな人口、しかしそうはいっても大変活発な活力といいましょうか経済的な力、さらには文化的水準、そういうものにふさわしい我が国の福祉全般をにらみ据えたビジョンというものをやっぱり立てていくべきじゃないかと。こういうふうなことについて大臣としてはひとつ先頭に立って頑張っていきたいと、こういうことを表明していただきたいというのが私の気持ちでございます。 今おっしゃった個々の点については、確かにそういう問題がたくさんあると、その問題の克服に当面懸命に努力しなきゃいけないと、こういう部分の今のはお話でございますから、ひとつ前者の決意の方を、要するにこれから平成二年度の予算編成、あるいはさらにこれから厚生省が今現在あるさまざまなビジョンについての手直しといいましょうか見直しといいましょうか、そういうものをしていくときに、大臣としてひとつこういう厚生行政の立場に立って断固として私も取り組みますと、こういう趣旨の御発言をいただきたいと思って申し上げたのでございまして、その辺ひとつ決意のほどをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 日本の福祉問題というのは、やはり当初はヨーロッパの揺りかごから墓場までというそういう進んだ諸国のいろんな諸制度を参考にした。最近ではようやく日本の国力も豊かになりまして、国際社会の中で非常に大きな力を持つに至った。やはり憲法の前文に示しておりますように、日本国民として大きく考えるならば、日本国家というものが国際社会の中で名誉ある地位を占める、既にそういう状態が着々とできつつある。その中で日本国民としてどうやってこれから日本国のみならず世界のために貢献していくことができるか、これは福祉の分野においてもあるいは医療の分野においても大きく道は開けていると思います。 さらに今後、欧米先進国を見習ってきた状態でございますが、これからも日本にないいい面は見習っていく必要がありますが、同時に、最近ではむしろ先進国の専門家が日本に来て、日本の福祉制度というものについても非常に関心を持って勉強したいという態度が随所に見られる。欧米のよさ、そして日本の風土に合った日本のよさというものをこれからも十分に検討して、いろいろな分野において国全体を豊かにしていく。さらに、個人がみんな必要な存在であると、それぞれが役割を持っているんだと、老若男女を問わず社会の構成員としてそれぞれがみずからの役割を積極的に見出して少しでも社会の発展のために役立つようなそういう意識を持ちながら、お互い連帯と協調をもってこの日本社会の福祉増進に努力していこうという形で全般的な福祉政策を進めていく必要があると思います。 大変漠然とした意見でありますが、これからの方針として、まずお互いが国内においてはみんな必要な存在である、お互いが持てる力を少しでも発揮してこの社会を豊かにしていこう、さらには国外に目を向けて日本の持てる力を世界のためにも積極的に貢献していこうじゃないかという意識を、国家としても、また国民としても一人一人持つことが大事ではないかと思っております。
○山本正和君 ひとつまたいろいろと厚生行政の責任者として今後もさまざまな問題点に当たられまして、そしてひとつ我が国に生まれてよかった、それで日本人であるがためにこうやって生活が享受できる、そう言うことができるような世の中、そして世界のどの国に比べても、極端なことを言いますとそれぞれその国にはその国のよさはあるわけですけれども、少なくとも我が国に生まれてよかったというのが最低の国の誇りというふうな意味での厚生行政ができるように、大臣ひとつ今後とも十分な御奮闘をお願いしておきたいと思います。 それで次に、福祉の考え方の中でいろいろ出ているわけですけれども、私が思うのは、国がいろんな意味で最終的な責任、あるいは国が負わなきゃいけない責任というのは大変重大であると思いますけれども、しかしそうは言いましても、国民生活の第一線でこの福祉の問題に携わるのは地方自治体、特に市町村の役割が大変重大である、こういうふうに思うんです。 そうすると、国の段階でこういうビジョンを考えると同じように、それぞれの市町村ごとに、私たちの村、私たちの町、その中での、ここで住む人たちは将来はこういう形でもって老後の問題も医療の問題も、あるいは障害者の問題も生活保護の問題も何もかも含めてこの町に住んでいる人はこういうことでやっていきますよと、こういうビジョンがやっぱりあってしかるべきだろうというふうに思うのですが、そういう市町村段階でのその種の問題については一体どういうふうにお考えになっているのか、また国がそういうことに対して、市町村のビジョンづくりというものに対してかかわるべき役割はどういうふうにお考えになっているのか、その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(末次彬君) 特に社会福祉の分野におきまして市町村の役割が大事だということは、まさに御指摘のとおりでございます。 もともと市町村は、その地域におきます総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即すべきものというふうに地方自治法にも定められておりますし、その際、長寿社会対策という観点、これは極めて重要なポイントで あるというふうに考えております。 政府の長寿社会対策大綱におきましても、国、地方公共団体を通じまして長寿社会対策の推進に当たって、施策相互間の連携を密にし、施策の総合化を図るということが重要であるというふうに指摘をしておるところでございます。市町村におきましても既にこのような観点から長寿社会対策というものに総合的に取り組まれているというふうに私ども考えておりますが、厚生省といたしましては、今後とも市町村において長寿社会対策が総合的に実施されますよう、市町村の自主性を十分尊重しながら厚生省として十分留意し御相談に応じてまいりたいというふうに考えております。
○山本正和君 ぜひひとつ、国はあくまで調整の立場、そしてそれからもちろん相談に乗り、あるいは国でなければ持っていないところのさまざまなデータの提供その他はしていただく必要がありますし、一定の指導的役割も果たさなきゃいけないわけでありますけれども、主体が市町村である、そういうことでひとつ腰を据えて、そういう意味からいいますと財政上の問題も含めて今後もその辺の問題は遺憾のないようにビジョンの作成に当たっても考えておいていただきたい、こういうことを申し上げておきます。 それから次に、医療法の改正か平成二年になされようとしているやに言われておるわけでありますけれども、病院のあり方も含めて大変重要な問題をはらんでおるように思いますので、この医療法改正の考え方あるいは今検討している具体的な内容についての問題点、こんなものを少しお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 我が国の医療の供給の問題を将来的にどう改善していくかということを含めて考えますと、医療法はその基本的な法律のうちの一つだと考えておるわけです。昭和六十年に御承知のように国会におきまして二十三年以来制定されております医療法のかなり大きな改正をしていただいたわけでございますが、それは今もお話にございましたように地域の医療を計画的に供給する、効率的に供給するというふうなことで各県に地域医療計画をおつくりいただくという改正だったわけでございます。おかげさまで前年度三月三十一日で全県に地域医療計画ができたわけでございますが、今後その地域医療計画をもっと地域に定着あるいは展開させていくということは非常に必要だと思います。 同時に、先ほどからお話出ておりますように、日本の社会が非常に変化を来しておるわけでございまして、高齢化社会の問題でございますとか、それに伴いまして疾病構造が変化しておる問題、あるいは医療の技術が極めて急速に進歩したことでございますとか、国民の健康に対します意識の高まりでございますとか、要望が多様化するなどということで、環境それ自体も非常に変化をしてきておるわけでございます。 そこで、私どもといたしましては、医療供給につきまして良質でかつ効率的な医療を安定的に供給するためにはどうしたらいいかということで考えておるわけでございますが、その一環といたしまして、やはり医療法につきましても、先ごろ改正をしていただきました地域医療計画よりさらに進めまして、もっと先ほど申し上げましたような環境の変化に対応した法律にしていくべき部分があるのではないかということで、いろいろの角度から検討をしておるわけでございます。 その内容を若干申し上げてみますと、医療施設の類型が今のまま、つまり急性疾患中心であった時代の類型でよいだろうかという問題でございますとか、あるいは病院と家庭の間の中間的な施設のあり方というのをもっと考えるべきではないか。それは老人保健施設等も含めるわけでございますけれども、そういう問題でございますとか、医療機関の職員の配置につきましては標準が設けられておりますけれども、例えば介護の要素が非常にふえてきたということに対応して今のままでいいのであろうか。あるいはこういう情報化の時代でございますので、国民、患者あるいは消費者と申しますか、そういう方たちに医療機関の行っております情報を適正にお届けするにはどういうふうな、現在行われております広告規制をどういうふうに緩和していったらいいだろうか。さらには従前の診療科名、内科、外科というふうなのもございましたが、さらに細分化されてきておりますけれども、その表示の問題をどう考えたらいいかというふうなことを含めましていろいろ検討しておりまして、現在平成二年の改正をめどにいたしまして作業を進めております。 非常に各般広範囲にわたる問題でございまして、前回の改正のときにも、法制の整備その他必要な措置を講じるべきであるという附則が設けられると同時に、附帯決議でもいろいろの御意見をちょうだいしておりますので、その内容に沿って私どもとしても改正の準備をしておるという段階でございます。
○山本正和君 この医療法の改正は、特に病院あるいは診療所その他の毎日患者さんを迎えていろいろ苦労しておられるところからいってもさまざまな意見があろうかと思いますし、それからまた保険者、市町村ですね、こういうところもいろいろな意見があろうかと思いますが、その辺は十分に意見聴取をされる中で進められるようにひとつ特に要望しておきたいと思います。 それからその次に、現在、特に国公立病院で、また私立でも大きな病院等で大変問題になっておりますのは、看護婦さんがもう足りないと。せっかく資格を持った看護婦さんに病院に来てもらっても、とにかくもう短い期間でやめていかれる。もちろん大変な激しい仕事の量、さらには待遇が余りよくない、そういういろんな問題もありますけれども、看護婦さんのこの問題、これはこの前から厚生省で言っておられる形での養成機関を大きくするとか、あるいは看護婦さんの資格を取る人をふやすとかいうことだけでは、単にそれだけでは解決できないんじゃないかというようなことを私は心配するわけですが、その辺についてはどういうふうにお考えでございますか。
○政府委員(仲村英一君) 看護婦さんの業務でございますが、ただいま申し上げましたように医療の現場でも非常に対応が変わってきております。したがって、看護職員に要求される知識の幅でございますとか技術の深さでございますとか、それを使いこなす判断能力と申しますか、さらにはそれに加えて患者さんに全人的に接触をするというようなことで、看護職員に対する要望というのは非常に高度化している部分もあるわけでございます。 そういう点からいいますと、看護婦に要求される業務というのは非常に多岐にわたると同時に高度化をしておるという問題がございますので、非常に難しい問題がございます。例えば夜勤の問題一つとりましても、やはり看護婦さんに夜勤をしていただくというのはもう必然的な業務の範囲ということで考えますと、看護業務を単に軽減するということだけをねらいますれば患者サービスの低下にもつながるということで、お尋ねのように非常に難しい問題を私どもとしては含んでおると考えております。そういう点から考えますと、例えば看護補助者の問題でございますとか、あるいは現在看護婦が行っておる業務で看護婦でなければ行えない業務とそうでない部分とをもう少しはっきりさせたらいいではないかという御意見もございますので、そういう点を含めまして、量的な補充と同時にそういう点も考えておるというのが現状でございます。
○山本正和君 これは看護婦さんの全国組織等もありますし、いろんな意味で地位の向上、待遇の改善というようなことについてもいろいろ言われているわけでありますけれども、私自身が率直に感じまして、看護婦というものの位置づけが我が国の長い医療の習慣といいましょうか歴史の中でどうしても低くされている。これはやっぱり我が国の医療行政の中でどうしても変えていかなければいけない最初の問題じゃないかというふうに私は思っているわけなんですね。 私どもの同じ年ごろの連中が、これはごくわずかですけれども捕虜生活をした。そうしてアメリカの病院にほうり込まれたら、看護婦さんは将校待遇であったと。ところが我が国の看護婦さんというのは、婦長さんぐらいかなり上にならなければ下士官待遇にもならない、かつての陸海軍の病院の話ですけれども。それぐらい位置づけが違ってきている。いわゆる専門職としての位置づけが非常に弱いと私は思うんですね。 ですから、現実に国家公務員の給与表を見ても、看護婦さんの俸給というのはまだ非常に低く位置づけられている。あれは行政職に当てはめたらどれぐらいになるのかわかりませんけれども、特に長い間識見を持って取り組まれる看護婦さんの仕事というのはもっと高く位置づけられてしかるべきだというふうに私は思うのですけれども、そういうことも含めて今後の医療行政の将来展望といいましょうか、ビジョンの中ではその問題をぜひひとつこれは検討していただきたいと思いますが、この辺についてはどうお考えですか。
○政府委員(仲村英一君) その国の制度は、その国の歴史あるいは文化とかそういうものの上に成り立っておるわけでございまして、ただいま御指摘のようなアメリカの看護婦の社会的地位と申しますか、非常に高いということを私も聞いております。ただ、アメリカでもいろいろ問題があるようでございまして、今おっしゃったようなまさにそのような問題で、看護婦になるよりは医者になりたいとか、そういう問題も出ているというふうなこともちょっと聞いております。 翻って我が国について今おっしゃったような問題を考えますと、やはり看護婦さんの仕事に対する社会的評価、そういうものをどんどん高めていかなくてはいけないのではないか。いわゆる地位の向上と申しますか、そういう点で言いますと、いわゆる職業教育的な教育から短大あるいは大学というふうな学校教育にだんだん変わりつつあるという現状もございますので、そういう点では私どもはその傾向自体を非常に歓迎すべきだと考えております。かといってまた、数も足りないという部分もございますので、従前の職業教育的な部分もやはり行っていかなくちゃいけないというジレンマ的な部分もございますが、おっしゃるような方向で私どももさらに待遇改善を含めまして、周りからのと申しますか、社会の評価がどんどん高まるようなことでいろいろ考えていかなくちゃいけないというふうに思っておるところでございます。
○山本正和君 これは大変当面は難しいかもしれませんけれども、やはり厚生省が粘り強く取り組んでいただかなきゃいけない課題だと思います。私どももこれについては今後も他のいろんな場所でも問題提起をしてまいりたいと思いますが、ひとつしっかりお取り組み願いたいと思います。 時間が実はありませんので、あと少し要望の形で看護婦さんの問題に絡めて申し上げておきます。 一つは、病院の中で看護婦さんがもう雑役といいましょうか、そういうふうなところに随分追い回されている要素がたくさんあります。医療の中で占める単純労働の分野というのは大変多いわけですね。しかし、この単純労働に当たる人たちの確保という問題については、なかなかどうもまだ施策面で弱いのではないか。最近は保険の点数等にも看護補助者の問題等も加えられておるようでありますけれども、その辺のことをもっとちゃんとしていくべきではないか。看護補助者の雇用というふうな問題、それも医療の中にきちんと位置づけてひとつやっていただくように今後のお取り組みを要望しておきたいと思います。 それからその次に、いろいろとあるんですが時間がもうあと五分ぐらいしかありませんから、ちょっと業務局長さんの方にお尋ねしておきたいんですが、先日の朝日新聞で、私、厚生省なるほどこんないいこともやっておったのかと大変うれしく思ったのでありますが、医薬品モニター制度活性化方策についての研究班の調査というのが出ております。 この中で、要するに、ともすれば医者とか薬剤師とかあるいは歯科医師、そういう国家試験を受けて専門性を持った職種を総合的にやっていこうとする場合に、なかなかそれの効率的な運用がしにくい弱点がありますけれども、それをかなりきちんと指摘されておられます。それで、恐らくこれはお医者さんも大変忙しいし、また病院経営そのものも大変でございますから、なかなかうまいこといってないという例が出ているわけでありますけれども、業務局長さんこの報告をごらんになって、ここでいろいろ提言をしておるような、若干問題提起もしておるようでありますが、どういうふうにお考えでございましょうか。ちょっとその辺をまず一般的にお伺いしておきたい。
○政府委員(北郷勲夫君) 先生も御承知のとおりでございますが、薬というのは病気に対して非常に有効であるわけでありますが、反面危険な面もございます。薬をよりよいものにしていく、より安全に使うようにする、あるいはよりよい薬にする。こういう方向に向けて、薬のメーカーのみならず医療機関におきます医師、薬剤師が協力すべき立場にあるというふうに私は考えております。したがいまして、薬の承認後の使用実績に基づいていろんな症例から報告をいただく、さらに安全な使用を目指して患者のためになる薬に仕立て上げていく、こういう方向でみんなでやっていただくということでお願いをいたしております。 ただ、その仕組みを知らないとか、あるいはまた忙しいとかいう問題もございますので、できるだけ協力しやすい形に持っていきまして目的を達するようにいたしたいと考えております。
○山本正和君 これで高橋さんという方が、調査の主任を務めておられる国立東京第二病院の副院長さんですが、せめて国立病院は処方せんを出して薬局で薬を出す医薬分業を確立する、そして外来患者の調剤に忙殺されている病院薬剤師の業務を軽減し、その業務の主体を入院患者への服薬指導や薬の効果、副作用の監視に切りかえていくべきだと、こういう提言をしておられるわけですね。この問題については局長はどうお考えですか。
○政府委員(北郷勲夫君) 三十七の国立病院で処方せんを出して薬の安全な使用、入院患者に対する指導に力を入れる、それからまた処方せんを出したところで患者さんにいろいろ指導する、こういう計画を保健医療局の方で組んでいただいております。こういう実践というのは私は非常に今後役に立つものというふうに考えておりますけれども、ぜひ薬局サイドですね、こちらでも協力していい形にしてまいりたいと考えております。
○山本正和君 医薬分業の方向も若干こういうふうな形から進められるのじゃないかと思いますので、従来とも取り組んでおられる医薬分業の方向を一層ひとつ進めていただきたい。特に医師会等との連絡を強めながら進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。 それで、ちょうど私の時間が参りまして、実は健康保険の問題等でいろいろお聞きをしたがったのでありますが、最後に一点だけ大臣の見解をお伺いして私の質問を終えておきたいと思います。 今の我が国の社会保障問題の中で、非常に難しい問題の背景にいつも国民健康保険の問題が出てくるわけですね。ただし、国民健康保険のそもそもの出発点というのは、国民皆保険という形で医療については国がひとつきちんと見ていきましょうと。もちろん私が言うのはお金は全部見る、いわゆうる医療無料ということとイコールと言っているんじゃありませんけれども、少なくとも国が責任の主たる部分を持つ、こういうところから国民健康保険制度が出発したというふうに私は思うわけです。 ところが、見てまいりますと、昭和五十七年当時は健康保険料の方は全部合わせても一兆四千億ぐらいの拠出であったのが、その当時国の方は二兆二、三千億大体出しておる。ところが、六十二年段階で見てみて国はやはり二兆二、三千億しか出していない。しかし、保険料の方はやはり同じぐらいに二兆二、三千億にまで一兆近く負担がふえてきている。もちろんそれにはさまざまな医療の中に抱える問題があることは事実ですし、効率化していかなきゃいけないいろんな問題があることは事実ですね。しかし、そういうふうなお金がどんどんふえていく中で、どうも国民健康保険というのも受益者負担というような発想に切りかえられようとしているような感じがしてならないわけです。もちろん私は受益者負担にするなということを言うのじゃありません。しかし、国の姿勢としてどうすべきかということを言った場合に、国民健康保険が出発したときのあの国民的議論、その精神を忘れてはならない、こういうふうに思うのです。 したがって、その辺について、大臣、確かに財政面というのを私は無視した議論をするつもりはありませんけれども、出発当時の精神というのはきちっと堅持されるべきだと、こういうふうに思いますが、それについてひとつ大臣の見解を伺って私の質問を本日は終えておきたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 国民健康保険というのは大変重要であり、その重要性というものは今後も私は変わらないと思っております。 確かに、国庫負担の総額は昭和五十七年度に比べて若干減少したことは事実だと思います。しかし、これは老人保健制度及び退職者医療制度の創設等による社会保険としての財源構成の変更によるものであって、国民健康保険制度に対する国の役割かそれで弱まった,あるいは減ったということにはならないと私どもは受けてとめています。今後も国民健康保険制度というものが健全に運営されていくのに厚生省としては懸命の努力をしていきたいというふうに考えております。
○中野鉄造君 私は、まず社会保障関係費についてお尋ねいたします。 政府は、平成元年度予算の社会保障関係費の対前年度伸び率が六十三年度より大きい、こういうように言っておりますけれども、社会保障制度における国庫負担の水準、これが国際的に見てどういうものであるかお尋ねいたします。
○政府委員(末次彬君) 社会保障関係費ということでございますが、一応厚生省予算ということでお答えをさせていただきたいと思います。 平成元年度の厚生省予算の伸び率は対前年度五%でございます。さかのぼりまして六十三年度が二・九%、六十二年度が二・六%、六十一年度が二・八%、おおむね二%台の伸びでございますが、平成元年度につきましては五%の伸びということになっております。また、一般会計予算に占めます比率からいいますと、一般歳出に対しまして平成元年度は三一・八%、昭和六十三年度が三一・三%、六十二年度が三〇・八%、六十一年度が三〇%と、一般歳出に占めます厚生省予算の比率は、近年徐々にでございますが比率を高めているというところでございます。 また、国際的な比較ということになりますと、これはなかなか制度そのものの生り立ちが違いますので、一概に申し上げることはちょっと国難であるというふうに考えております。
○中野鉄造君 ILOの調査によりますと、我が国よりもはるかに国庫負担の率が高い国が数多く見受けられるのですが、我が国は今おっしゃったようにいろいろな経緯というものもありましょうけれども低い。それがいろいろな過去の経緯また歴史が浅いということだけではちょっと納得がいきませんけれども、主にその理由、なぜ低いのか、どういうふうに考えられますか。
○政府委員(末次彬君) まず第一点は、高齢化の進行の状況の差によるものであろうというふうに考えております。我が国は非常に今高齢化が進行しつつあるところでございますが、欧米先進諸国におきましては、既に相当高齢化の段階が日本に比べますと非常に高いというところで、年金あるいは医療にかかる負担が非常に重い段階に至っている。国民負担率ベースでまいりますと、五〇%を超えているところがかなりございます。日本の場合には三〇%台ということでございまして、その差はまさに高齢化の進行状況の違いにあるというふうに考えております。 また、一般会計予算、つまり国の支出という面でまいりますと、これは例えば医療保険、これを保険主義でやっているかあるいはナショナルヘルスサービスのような租税財源をつぎ込んでいるか、これによっても相当差異が出るというふうに考えておりまして、国際的な比較という面で申し上げますと、国民負担率ベースで比較する方がより正確に比較できるかなというふうに考えております。
○中野鉄造君 今おっしゃった例えばサービス方式と社会保障方式との違いなどだけではなかなか説明にならないのじゃないかという気がするのですが、問題は国がどれだけ責任を持つかということでありますが、国民負担率は国民所得の五〇%未満に抑えるという今までの考えは、これは変わらないのかどうか。現在、国民負担率というのは社会保障負担が一一・五、税負担が二七・三、こうなっていますね。いかがですか。
○政府委員(末次彬君) 国民負担率に関しましては、これまで臨調答申にも触れられておりますように、欧米先進諸国に比べましてかなり低い水準というような一つの目安が示されているところでございまして、全体といたしまして、厚生省としましても、先ほど来御説明いたしておりますいわゆる福祉ビジョンと称されるものの中におきましても、今後高齢化に伴いまして国民負担率そのものが上昇せざるを得ないというふうに考えておりますが、極力その水準を欧米先進諸国に比べましてより低い水準で何とか長寿社会そのものを成り立たせていくように努力をいたしたいというふうに考えております。
○中野鉄造君 この国民負担水準の抑制というのはいわゆる臨調路線、緊縮路線でございまして、五十七年当時の考え方に固執するのは今日ではちょっといささか不適当じゃないかと思うのです。 あわせて私お尋ねしたいのは、これはちょっと古い資料ですが、衆議院の行革特別委員会、これは昭和五十八年の十月三日の審議の中で瀬島参考人がおっしゃっていることは、結局その当時三五%という数字があったわけですけれども、この三五%の内訳、つまり二四%を租税負担、一一%が社会保障負担であったわけですけれども、これから先はいわゆる当時の一一%の社会保障負担、これをふやすべきである、こういうようなことを参考人は当時言われておるわけです。 それで、この社会保障の給付と負担の展望について、昨年三月、厚生省と大蔵省の推計が出されておりますけれども、租税負担率に関する試算が同じ時期に大蔵省あるいは自治省から出されております。これらの推計と臨調路線との関係がどういうものであるのか。また、五十八年当時に比べて将来人口の高齢化はこれは大きく見積もられているわけですが、にもかかわらず臨調答申の線にこだわる必要があるのか。ないのじゃないか、私はこう思うんですが、この点いかがですか。
○政府委員(末次彬君) 社会保障負担のあり方そのものは、給付の水準と密接に関係いたしております。 私どもが昨年三月にお示しいたしました数字は、現行の制度、施策を前提にいたして将来推計をするとどうなるかという数字を示したわけでございまして、例を申し上げますと、医療保険で言いますと全体として八割程度の給付水準を維持する。年金で言いますと現行程度の給付水準、やはり基礎年金で言いますと五十九年度価格で月額五万円ベース。今回改正案を出しておるわけでございますが、その前提になった試算といたしまして、このレベルを前提にいたしまして将来を推計いたしますと、社会保障負担で言いますと六十三年度推計当時でございますが一一・一。これが平成二十二年度で十六カ二分の一から十八カ二分の一と、こういうおおむね五割程度の増加になるであろうというふうな推計をいたしております。これ自身は臨調路線そのものと直接関係はございませんが、私どもの方の機械的推計をいたしますとこういう数字が出てくるということでございます。
○中野鉄造君 くどいようですけれども、社会保障の給付と負担の展望を明確にするということは、これは非常に大事なことだと思うのですが、今の段階では改める、これを見直すというお考えはあるのかどうか、いかがですか。
○政府委員(末次彬君) 社会保障負担そのものにつきましては、現在でもおおむねこの推計が妥当なものだというふうに考えておりまして、現行程度の社会保障制度の姿を維持していくためには、社会保障負担としてはこの程度の水準が必要であるという考え方につきましては変わりはございません。
○中野鉄造君 厚生大臣と、大蔵省は見えていますね、両方にお尋ねします。 総理はこの間も言っておりましたけれども、消費税というものは福祉目的税ではなくて、消費税は福祉に使うという考えをおっしゃった。これをどういう意味に理解していらっしゃるのか。消費税による増収分は福祉に充てるし、既存の一般財源の振りかえは行わないと、こういうように理解してよいのかどうか。その辺のところを大臣また大蔵当局にお尋ねしたいのですが、いかがですか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 今度の消費税は目的税でありませんから、一般財源として使われるわけであります。しかし、福祉関係、厚生省所管の予算となりますと、平成元年度予算におきましても十兆円を超えておりますから、今度の消費税全額投入されたとしてもまだほかの財源を使わさるを得ない。この税金はここに使いますよということではありませんし、お金にこういう決まった色がついているわけではありませんので、なかなかとりょうによっては難しいと思いますが、考え方によっては消費税分は全部厚生省関係の予算に使われますよと言っても、これが別に間違いとか正しいとかという問題ではないと思うんですね。 しかし、あくまでも消費税は一般財源ですから、逆に消費税は厚生省関係以外の予算にも全部使いますよということを言えば、それもまた正しいというか間違いでもない。しかし、将来を見据えまして、所得とか資産とか消費というそういうバランスを考えて今回消費税が導入されたわけでありますので、これが即福祉のものだけに使われるというそういう定義というのは適当ではないと私は考えております。これはあくまでも一般財源であるということで、その全体の予算の中で福祉関係の予算はどうあるべきかということを考えるべきであって、消費税は福祉の目的税であるというふうにもしとらえるということがあるならば、それは適当ではないのじゃないかというふうに考えております。
○説明員(斎藤徹郎君) ただいまの厚生大臣の御答弁に尽きておるわけでございますけれども、敷衍いたしまして、私どもが承知しております総理の御発言の趣旨について申し述べたいと思います。 総理の御発言は、消費税は国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資するため大幅な減税と引きかえに導入されたものであり、消費税は目的税ではありませんが、消費税導入の趣旨を踏まえ優先して国民福祉の充実に充てるという趣旨を述べられたというふうに理解しております。 現在、国の社会保障予算は十一兆円近くに達しておりまして、今後の高齢化社会の進展に伴って毎年増加していくというふうに見込まれますことから、消費税だけで福祉の充実ができるわけではないと考えられます。御案内のように、現在、社会保障関係費は平成元年度予算で十兆八千九百匹十七億円でございます。一方、消費税収のうち地方への譲与税、それから消費税のうち交付税に回る分を除きました国がネット使える分、これが平成元年度で二兆七千五百億円程度でございます。平年度ベースで三兆六千億円程度でございます。こういうように考えますと、十一兆円弱の社会保障関係費に消費税収が実態として充てられているというふうに考えることができます。 したがいまして、とても消費税だけで十一兆の社会保障予算を賄えるわけではありませんので、今後とも総理の御発言の御趣旨を踏まえまして、社会保障制度の適正化、効率化を図りながら、消費税以外の財源につきましても真に福祉を必要とする分野に重点的、効率的な配分を行ってまいりたいというふうに考えております。
○中野鉄造君 今大臣がお答えになったように、総理の表明というのは非常に微妙な受けとめ方ができると思うのですが、あえて申しますならば、今回の消費税は優先順位からいえばこういう社会保障の方に優先的に回す、こういうように受けとめてもいいのでしょうか。いかがですか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 税金はすべて日本国家の福祉増進に向けて使われると言っても私はいいと思います。
○説明員(斎藤徹郎君) 厚生大臣のおっしゃったとおりでございます。
○中野鉄造君 例えば、この厚生年金保険の改正案では支給開始年齢の引き上げや料率引き上げで国民に非常に不安を感じさせておるわけですけれども、今の国庫負担をそのままにして問題を解決しようとするからそういうことになるのでありまして、先ほどから言われているように、高齢化の進展に対応するためという消費税の導入目的からではなくても、いわゆる福祉に使うと総理も言っているわけですから、そういう意味から考えても国庫負担水準について多少やっぱりこれは今見直すべき時期ではないのか、消費税を導入する以前と以後では違ってくるのじゃないかと思うのですか、いかかですか。
○政府委員(水田努君) 私ども、前回の改正で国庫負担は原則として基礎年金の三分の一に集中するという方式がとられているわけでございますが、 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 現行の三分の一水準を維持いたしたといたしましても、十年後には名目で見ますと二・四倍に国庫補助額はふえるわけでございまして、そのほか高齢者の医療やそれから七十五歳以上の後期高齢者の寝たきりの増大等に伴う費用の増大等ございますので、やはり安定収入として確保される消費税の財源というものをどこに配分していくかということは、やはり今後のいろいろ国民のコンセンサスを要する問題ではないかと考えているわけでございます。 なお、私ども開始年齢の引き上げというものは、やはり年金制度を長期にわたって安定化し国民の不安をなくす、こういうことを目的に考えているわけでございまして、年金の成熟度合い、それから現実に負担している先進諸国の年金の保険料の負担率その他から勘案いたしまして、私どもはピーク時における保険料負担を二六%程度に抑えることが妥当であると考えております。そのために十分時間をかけて段階的に開始年齢を引き上げる、いわゆる後代の負担を適正なものにし、かつ厚生年金制度を長期的に安定化させる、こういう目的でいたしているものでございます。 なお、保険料の引き上げが御案内のとおり国民年金に全部国庫補助を原則として集中するということから、厚生年金の財源は社会保険料によって賄われるわけでございまして、年金額の改善でありますとか受給者数の増大でありますとか、それから平均寿命が延びておりますので受給期間が大変長くなってまいっております。これらに要する費用に対応するために、今回、再計算時に二・二%ということで、本人負担は一・一%と極力低く抑えるという形での保険料の改定を考えさせていただいているわけでございまして、どうかその点についての御理解を賜りたい、このように考える次第でございます。
○中野鉄造君 では次に、福祉における公私の役割分担についてお尋ねしたいんですが、まず確認したいのは、社会保障制度の今後に対する大臣の基本的な認識についてお尋ねしたいと思います。 国民の最も期待する社会保障制度というのが、特に昭和五十七年度以降、いわゆる臨調行革路線下において一貫して給付水準の切り下げ、国民への負担増加等がなされる一方で、国庫負担は切り下げられ国民の大きな不安を呼んでいるわけですけれども、大臣は先日の所信表明において、こうした中で昨年の税制国会に提案されたいわゆる福祉ビジョンを踏まえて活力ある福祉社会づくりに努力する、こういう発言をされておりますが、その中では国民の基礎的なニーズは公的施策で対応するが、多様かつ高度なニーズについては個人及び民間の活力の活用を図る、こういう趣旨のことをお述べになっております。 もとより私は民活の必要性自体を否定するつもりはございませんけれども、過度にこれが強調されると、本来公的施策でやるべき分野について個人や民間に肩がわりさせるような事態があってはならないと思うわけですけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 所信表明の考えのとおりなんですが、基本的な国民の需要については、これは公的な施策を充実していかなきゃならない。さらに、やはり公的な機関、国では考えられないような民間のいろんな発想といいますか創意というものはすばらしいものがありまして、これが国民のいろんな要請とか要望にうまくこたえて各サービスなり商品が出てきている。これが日本の経済を非常に活力あるものにしているわけですが、福祉の分野におきましても、どういう福祉サービスを要求しているかというのは、基礎的な国の施策では満足できないという国民層がふえているのも事実であります。そういうものに対しては、民間というのは非常に今関心を持って見ているのじゃないでしょうか。 ですから、そのような活力というのが出てきていろんな福祉サービスというものが展開されてくることによって、国民の中に、むしろ国の公的機関の与えるサービスじゃなくて民間の与えるサービスをみずからお金を出してでも買いたいというような、そういう機運もあります。これら公的な施策とそういう民間の国民のいろいろな要請あるいは要求の多様化にこたえるような事業が活発になることによって、私は今の福祉施策なり福祉サービスというものが一層高度化、多様化していく、さらに日本国民というものを豊かに、また福祉制度を充実させていく方向につながればなというふうに考えております。
○中野鉄造君 公的、民間、そこを線引きするのは確かになかなか難しい面もあろうかと思いますけれども、しかし公的施策が責任を持つべき分野は具体的にどのくらいの範囲、またレベルを言うのか。仮に寝たきりになった時点で、希望さえすればだれでもナショナルミニマムについては公的サービスを受けることができるのか、こういう疑問を持つわけですが、その辺はいかがですか。
○政府委員(末次彬君) 基本的にはただいま大臣のお答えしたとおりでございますが、人口の高齢化が進みますと、一つは需要の増大、一つは年齢充実あるいは生活歴の多様化、これを背景にいたしまして需要の多様化、高度化が見込まれる。この二つの要素をどういうふうに対応していくかということでございまして、これをすべて公的部門で対応するということでいきますと、制度的、財政的限界があるだろうというようなことで考えたわけでございます。 ただいま御質問の基本的な、例えばホームヘルパーのサービス、こういうものを本当に受けられるかということでございますが、厚生省といたしましては、基本的なただいま申されたような需要、これにつきましては公的な分野で対応するということを基本として考えるべきではないかというふうに考えております。 〔理事佐々木満君退場、委員長着席〕 ただ、公的といいましても、市町村が直接これを実施するかどうかということはまた少し面が違うわけでございまして、市町村あるいは公的な分野で責任を持ちつつ民間あるいは第三セクターといったような実施主体に運営を委託するということも、これは十分考えるべきではないかというふうに考えております。
○中野鉄造君 先日の民間老後施設促進法案の審議の際にも、この公私の役割分担、官と民の関係、こういうものが論議されたわけでして、また附帯決議での確認もなされたわけですが、福祉というものが本来民間の市場原理になじみにくい、こういうように私は思うのですけれども、二十一世紀の本格的な高齢化が目前に迫っている。特に社会保障に対する国家の公的責任というものはここらでもう明確にすべきじゃないかと思うのです。 特に、福祉ビジョンの在宅三本柱については、整備目標について具体的な数字が挙げられております。そこで言われているいわゆるヘルパー五万人、ショートステイ五万床、デイサービス一万カ所という目標が達成された後の整備目標について、去る四月の大蔵委員会においても私質問させていただいたわけですが、これ今もって不明であります、目標が達成された後の整備目標。改めてこれは指摘するまでもございませんけれども、我が国の在宅対策がもともと大幅におくれている。援護を必要とする老人の増大による将来の需要増というものを考え合わせるならば、本当にここらで明確な整備計画を作成すべきであると思うわけですけれども、いかがですか、その辺の考え方は。
○政府委員(多田宏君) 先生御承知のように、在宅サービスは現状では非常におくれておりまして、現在お示し申し上げておりますビジョンの線でも、その線まで行くのは相当大変だという認識を持って今懸命の努力を続けているところでございます。 したがいまして、その水準が達成された後の次の目標ということにつきましてはもう少し先のこととして、それまでにまずとにかく今掲げた目標を最大限このまま実現できるように努力をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
○中野鉄造君 なかなかその計画というものが明確に現時点では打ち出せないというのは、どういうところにあるのですか。
○政府委員(多田宏君) 先生の御指摘の中に二点あって、私一つの方しかお答えしなかったので申しわけございませんでした。 年次計画をつくるというような感じの計画ということをもう一つ御指摘だと思いますが、年次計画の方につきましては、自治体の受け入れ能力なりあるいは住民の意識なりで整備のスピードというのがかなり急激に伸びたりするような変化が出てくる可能性が非常にあるわけでございます。デイサービスも数年前から整備を進めておりますけれども、やっとここへ来て少し各自治体から積極的な姿勢が見え始めたというようなことで、整備がぐっと進み始めているといったようなことでございまして、余り年次割りにこだわって細かい年次割りをして整備するということはいかがなものか。とにかく全体として最終的にこの水準に何とか持っていくよということを示して、自治体に積極的な取り組みを懸命に要請していくという今の段階ではないかというふうに考えておりますので、年次割りを具体的にこの年次には何カ所何カ所というようなことに整理する考えは今のところ持っておりません。
○中野鉄造君 最近とみにテレビあたりでも三日を上げずして、どうかするとほとんど毎日いろんな高齢化社会に関連したいろいろな情報を流しております。そういうようなときだけに、行政が立ちおくれるというようなことがもうそろそろ言われてくるときじゃないかと思うのですけれども、ひとつそこらのところをはっきり早く明確にしていただきたいと思うのです。 今盛んに、我が国の社会保障はヨーロッパ並みの水準になった、こういうことを厚生省よく言われますけれども、それが果たして本当にヨーロッパ並みなのかなと私ちょっと疑問に思うのですが、寝たきりあるいは痴呆老人などの要援護老人対策が、施設対策あるいは在宅対策とも大きくこれは立ちおくれていると私は思うのです。どういうところがヨーロッパ並みの水準に達したと言われているのか、そこのところをひとつお聞かせください。
○政府委員(多田宏君) 老人関係の施設あるいは在宅サービス、施設の方についてはかなり急ピッチで整備を進めておりまして、なお待機者も二万人程度おるというような特別養護老人ホームの状況ではございますけれども、相当進んできた。そして、日本では病院がかなりの程度その需要を代替したと言っては言い過ぎでございますけれども、そういう関係の機能を果たしてきているというような状況もございまして、トータルとして見ると、収容というか入所というような感覚の部分はそんなにおくれているというふうには私ども認識しておりません。 ただ、これから高齢者、特に後期高齢者が増加するという流れでございますから、それについて当然のことながら需要は高まっていくだろうということと、現在の待機者というのをなるたけ早く解消したいという気持ちはこれは持っております。 それから在宅サービスの方につきましては、諸外国に比べると極めて低水準だということは先生御指摘のとおりでございます。ただ、これを単純に外国と比べて人口十万対というようなふうに比べるのは私は合っていないのではないか。なぜかといいますと、日本の家族の住まい方というのが決定的に北欧諸国を中心とした欧州の形態と違っておりまして、そういう実態も踏まえた上で、本当に需要としては一体どういうものがあるのかということをできるだけ正確につかみながら、その需要にきっちりこたえられるような施策の展開ということを図っていきたいというふうに考えているところでございます。
○中野鉄造君 そこで、最後に大臣にこれからの所信とお願いをしておきたいのですけれども、今言ったようなことで、この問題についてこれから先具体的な整備計画あるいは必要人員、そのための所要額、財源調達、そういったようなものをひとつ明確にして、これが本当の福祉ビジョンであるというものを確立していただきたいわけですけれども、大臣の御決意をお尋ねしてこの問題に対する質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 今後とも長寿社会対策大綱や基本的考え方の目標に沿って、今委員が御指摘されましたような福祉の各施策の充実に向けて一層の努力を払っていきたいと考えております。
○中野鉄造君 次に、中国残留孤児問題について一、二お尋ねしたいと思います。 非常に直近の残留孤児の身元判明率は少なくなっておりまして、こうした事態は年々情報あるいは手がかりが少なくなってくるのじゃないか。そういう面はやむを得ないということは理解できなくもないですけれども、これからは今まで以上に関係者の工夫とか熱意が必要じゃないかと思うのですね。ところが、もうここらでひとつ調査は少し縮小しようだとか打ち切りにしようとかいうような、こういう話も出てくるやに聞いておりますけれども、その辺のこれからの見通し、お考えはどうですか。
○政府委員(花輪隆昭君) 中国残留孤児についてのお尋ねでございますが、今年二月から三月にかけまして肉親調査を実施したわけでございますが、確かに一五%台の判明率ということで非常に低い判明率になっているわけでございます。 従来までの判明率の経過を見ますると、平均で三六・二%というふうな数字になってきておりまして、実は過去十九回訪日調査を実施しておりますが、流れとして見ますると、趨勢的に昭和六十年度の時点からかなり下がってきておりまして、六十年度以前の数値でまいりますと五五・四%、六十年度から補充調査までの数字で申し上げますと三〇・四%、それ以降の数字が二二・四%というふうなことになっております。 先ほど御指摘にありましたように、確かにその理由といたしましては、肉親と離別したときの年齢でございますが、これが五歳未満というふうなことで本人自身がその記憶を全く持っておらない。あるいはさらに既に養父母が死亡しておる。それから、特に最近訪日してまいっております者につきましては、自分が日本人であるということにつきましてごく最近養父母から知らされた。したがいましてなかなかその資料がない。あるいはまた、養父母に預けられた事情につきましても第三者を経由いたしまして預けられたというふうなことで、養父母自身が直接の情報を持っておらないというふうな状況がございまして、遺憾ながら先生御指摘のとおり大変低い判明率ということで推移してまいってきているわけでございます。 このため、報道機関等の協力も得まして、一人でも多くの孤児の身元が判明いたしますように努力をいたしているわけでございますが、特に近時の状況にかんがみまして、元開拓団の関係者等当時の事情をよく知る人たちで肉親捜しの調査班を編成いたしまして、各都道府県にこれを派遣する。そうして、ひとつ具体的に肉親関係者の情報の収集なり点検をしてもらうということで実は六十二年度から着手しておりまして、その結果若干ではございますけれども新しい資料の掘り起こしに成功いたしまして、これが肉親の判明につながったというふうな効果を上げているような段階でございます。
○中野鉄造君 時間もありませんからまとめてお伺いしますけれども、御承知のように中国は現在非常に混乱状態にあるわけですが、今年度以降の訪日調査の実施についてどういう影響を受けるということが予測されるのか、その見通し、それといま一つは帰国してきた孤児の自立支援策、これはいわば就職だとかあるいはそういったような日常生活についての概略をお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(花輪隆昭君) 最近における北京の混乱が何らか影響を与えるのではないかという御心配でございます。 実は、永住帰国のグループがここの国の混乱が起きました最中に既に北京に集結をいたしておりまして、果たして訪日できるかどうかということで若干の心配をしておったわけでございますが、幸い無事帰国のグループは成田へ到着いたしまして所沢のセンターに入ることができたということで、当面その後の動きといたしましては特段心配されることはないと直接的には考えております。 それから、今後の肉親捜しの計画でございますが、本年度は当面五十名の肉親捜しにつきまして予定いたしております。必要があればさらにこれは最後の一人まで肉親捜しを実施するということにいたしておりますので、来年度も所要の人員につきまして予算を計上したいということで現在検討をいたしておる段階でございます。 それからさらに、帰国後一番大事な自立の問題でございます。これは先生も御案内のように、昨年実態調査の結果を発表いたしたわけでございますが、帰国孤児の七割の者が帰ってきてよかったというふうなことを言っているわけでございまして、その意味では私ども大変一安心はいたしたわけでございますが、なお自立助成のためのいろいろな長期的な研修の施策、一年間にわたりまする研修体制というものを既につくってはございますけれども、やはり帰国孤児の世帯一つ一つを見ますと、個別具体的にはまだいろいろな問題を抱えているようでございます。そういう意味におきましては、自立に向けましてさらに私どもも努力を傾注してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○中野鉄造君 終わります。
○委員長(前島英三郎君) それでは、午後一時に再開することといたしまして、休憩いたします。 午前十一時三十一分休憩 —————・————— 午後一時一分休憩
○委員長(前島英三郎君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び社会保障制度等に関する調査のうち厚生行政に関する件の三件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○浜本万三君 私は主として原爆被爆者に関する特別措置法の関係につきまして質問をいたします。 最初に、自動スライド制と被爆者対策との関係についてお尋ねするんですが、その前提条件として今回の改正法律案を見ますと、改正の趣旨の二項目に物価スライドを自動的に行うんだということが書いてございます。そうすると、この法律改正との関係はどうなるんだろうかという疑問がありますので、まずその点についてお尋ねいたしたいと思います。
○政府委員(北川定謙君) 従来、健康管理手当等原爆の諸手当につきましては、老齢福祉年金等他の公的給付との均衡を考えまして額の改定が行われてきたわけでございますが、今回提案申し上げている法案の中の考え方は、現在提案さしていただいております年金法の改正案において老齢福祉年金について完全自動物価スライドの導入を行うということをしているわけでございます。従来から実質的に老齢福祉年金の引き上げに連動して原爆諸手当を引き上げてきておったというところから、今後とも同様の引き上げを行うことを明らかにするという意味からも、老齢福祉年金と同様に自動物価スライドの規定を置くこととしたものでございます。 なお、今後国民の生活水準が変動する等によりまして物価スライドだけで対応することが困難であり、手当額の構造的水準の見直しが必要となるような状態が生じた場合には、法律上規定されている額につきましてさらに所要の見直しを行うことはあり得るというふうに考えているわけでございます。
○浜本万三君 回りくどく言わずにあっさり言ってもらいたいんですが、つまり、諸手当の増額は物価スライドによって毎年上がればやるんだと。ところが、今までは毎年法律の改正案を出されておったわけなんですが、手当はやるんだけれども、法律改正案との関係はどうなるのかということを言っておるんです。例えば、私が初めに聞いたところによりますと、法案の提出は原則として年金政策改定が行われる五年に一度ということになるのではないかというふうに伺っておるのですが、その点の関係はどうかということなんです。
○政府委員(北川定謙君) ただいまも申し上げましたように、必ずしも五年という基準はないわけでありますけれども、手当額の構造的水準の見直しが必要になれば、そういう場合には法律改正が当然考えられてしかるべきと、こういうふうに考えているわけでございます。
○浜本万三君 私の理解では、物価が上がったほど手当は改定する、しかし物価が上昇した以上に手当の改正をする場合には法律改正案を出すと、こう理解したんですね。そうすると、物価が余り上がらないときに、あるいはまた物価以上に手当を上げないときには法律の改正案は出さないということに私は理解するわけですね。 そうした場合に非常に問題になりますのは、従来でありますと毎年法律の改正案が提案されておりました。そして、それを通じて国会でいろんな論戦が戦わされまして、被爆者に対する周辺的な福祉措置がそれなりに僕は改善されてきたというふうに思います。例えば、今行われておる調査の解析結果が発表される時期が近いわけなんでございますが、そういう死没者調査などの実態がわかったときに国会でやっぱりやりとりをやらなきゃいかぬと思うんです、政府側と。そういうときに、法律の改正案がない場合にはなかなかできないという状況に直面するんではないかと私は思うわけです。そうすると、せっかく被爆者の皆さんがいろんな意見をお持ちなのに、法律の改正案がない場合にはそういうお気持ちを私どもは国会に反映することができないわけでございます。仮にこれが五年に一回になれば五年間は何にもできないということになるわけなんですね。それでは本当に被爆者の皆さんに対する手厚い福祉措置というものができないんではないか、こういう私は心配があるもので、今回の改正措置をとられた理由はどこにあるかということを伺っておるわけなんです。
○政府委員(北川定謙君) 原爆の諸手当額の改定につきましては、従来から先ほども申し上げましたように老齢福祉年金に連動して改定が行われてきた、こういう実績を踏まえて、今回この辺を合理化をしようということで今回の改正法案を提案しておるわけでございます。 なお、先生が非常に御心配をいただいております、今後法律改正のチャンスがないと原爆被爆者問題についての議論ができないのではないか、こういう御指摘であろうと思うのでありますが、私どもといたしましては、こういう社会労働委員会の場もございますし、あるいは予算委員会等における予算審議の場もございますので、今後とも被爆者の方々からいろんな御要望があれば、そういう点でそういう場で御議論がいただけますし、また政府といたしましても被爆者の方々からの要望に十分耳を傾け、高齢化をする被爆者の援護施策の充実を図ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
○浜本万三君 それは大変局長詭弁なんです。もちろんそれは我々予算委員会でもやりますけれども、やっぱり法律案が提案されて議論するところに真実味があるわけなんですよ。だから私は今の局長の答弁はこれは了解するわけにいきません。 そこで大臣にお尋ねするんですが、今お聞きのように、毎年の法案審議がなされる中で被爆者の対策が前進をしておるというふうに思います。そこで今度のような法案の改正措置が行われますと、被爆者の皆さんに対する積極的な施策ができないんではないかという心配を私は持っているわけなんです。そこで、大臣は今後どのようなやり方で被爆者の願いを吸い上げ関連施策を充実されようとしておるのか、担当大臣としてしっかりした御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 被爆者に対して、今までもそうでしたけれども、いろいろの場において陳情を受けております。また国会におきましても、それぞれの方々から援護策の充実方を望む声が強い。そういう意見を聞きながら、現行法でできるだけの措置を拡充していきたいというふうに考えております。
○浜本万三君 大臣誤解しちゃいかぬのですが、現行法でと言っても、それはなかなか法案が提案されなければ、さっき言ったように担当大臣として真剣にやっぱり被爆者の皆さんの要望を聞いていただくことはできないんですよ。そういう点、私は非常に危惧を持っておりますから、今答弁されたそういう精神は今後の施策の中で忘れないようにしてもらいたいと思います。 次は援護法の制定問題についてお尋ねするんですが、私は、被爆のときに筆舌に尽くしがたい生き地獄の中から現在まで被爆者の方々は生き抜いてこられまして、来年は四十五周年を迎えることになるわけでございます。被爆者の心というのは一日としていえることがなかったと思います。逆に言えば、高齢化と病苦と貧困、孤独などの進行によりまして、一層極限を超える状況に追い込まれておると思います。 昭和六十年度被爆者実態調査によりましても、そのことが浮き彫りになっておるわけでございます。そのことが、だれであろうともこれは否定することのできない客観的な事実であることは、もう大臣も御承知のことだと思います。それをお認めになるとすれば、その当時の帰結として、被爆者援護法の一刻も早い制定が必要であると思うわけでございます。 特に私は、地元の広島出身議員といたしまして、四十九年に議席をいただいて参議院に籍を置かしていただいておるわけでありますが、それ以来、私自体の重要な政策として、一貫して日本政府が戦争責任を明らかにして、その償いとして国家補償の原則に基づく援護法を制定されるように強く求めてきたところでございます。五十年には本院の本会議で趣旨説明をさしていただき、毎年の法改正の際には援護法の制定を中心に被爆者の福祉対策の充実を強く政府に要求してきたところでございますが、小泉厚生大臣は、前途ある政治家とされまして、援護法の制定についてはどういうふうなお考えをお持ちでしょうか、伺いたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) さきの大戦で多くの方々が犠牲になられまして、特に原爆による被害というもの、これは大変悲惨なものであった。また放射線による特別の被害というそういう点に着目して、現在の法の中で少しでも施策を充実していきたいということで対処しております。 私も去る三月でしたか広島に伺いまして、あの原爆記念館、市長の案内をいただきましてつぶさに拝見させていただきまして、改めてあの原爆被害の無残さといいますか悲惨さに心を痛めた一人でございます。 戦争による被害というのは多くの国民がひとしく受けたわけであり、今回新たに援護法をもってやるということは、他の戦争被災者の立場も考えて、これまた別の問題なり影響が出てくるんじゃないか。ですから、現行二法で少しでも施策の充実に努めていくということが政府として適当ではないかと思っております。
○浜本万三君 私は、大臣を相当信頼しておったんですが、今のお答えは五十五年の基本懇報告を一歩も出ない極めて遺憾な御答弁だと思いまして、やや失望いたしました。もうちょっとやはり積極的な御発言があるかと思ったんですが。 そこで、ではお尋ねするんですが、援護法制定問題につきましては、大臣も御承知のように、たくさんの衆参両院議員が制定について御賛成の署名をされておるわけでございます。六月八日時点でどのぐらいいらっしゃるかと申しますと、衆議院で二百九十四名、これは現在人員の五九・二%の数字になります。それから参議院では百四十五名、同じく五八%の賛成を示しておられるわけでございます。こういうような国会議員が賛同署名をされております。この中には、基本懇報告が出された当時の総理大臣であられました鈴木元首相もおられます。それから森下元厚生大臣、さらには厚生省の元事務次官をされておりました経験のある議員で戸沢さんと曽根田さんも含まれております。また現在の宇野内閣の閣僚を見ましても、堀内さん、村岡さん、野中さん、塩川さんの四閣僚が署名されております。それから田村衆議院議長も署名されております。党三役でも、水野総務会長、村田政調会長等が署名されておるのでございます。 小泉厚生大臣は、政治家として、今述べたような方々がたくさん署名をされて国会議員の過半数になっておるという事実をお聞きになりまして、私は政治的な重みをお感じになっていらっしゃるんじゃないかと思いますが、率直に御感想を承りたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 個々の国会議員の方々がどういう事情で署名をされたかということについては詳しく承知しておりませんが、やはり国会議員の立場として原爆被爆者の福祉充実策に少しでも努力しよう、施策の拡充に取り組もうという、そういう趣旨に私は賛同して署名されたんじゃないかと思っております。 しかし、政府として、また私の所属している与党、自由民主党として正式に原爆援護法を制定しようという、そういう結論を得たということは伺っておりません。
○浜本万三君 やっぱり個々の議員の皆さんが率直に自分の意思表示をされるということは、これは政治的には非常に尊いというふうに思います。担当の大臣とされましては、そういう国会議員の御意思を重く見られる必要があるんではないかと思うわけです。 さらに申しますと、いわゆる基本懇報告というのは戦争被害受忍論というものを出された報告でございますが、当時の総理大臣であられました鈴木先生が署名されておることは、私は大変意義が大きいと思うのであります。私は、非常に鈴木先生の署名を意を強くして受け取ったわけでございます。 こうしたいわば状況の変化を踏まえ、また六十年度調査で被爆者の福祉ニーズが一層高まっている状況が明らかになっておりますので、死没者調査の結果も発表されました後には、私は被爆者対策を冷静に見直してもらいたいというふうに思います。そういう用意がおありでしょうか、大臣の御見解を承りたいと思います。
○政府委員(北川定謙君) この点につきましては長い議論が続いてきておるわけでございますが、私ども政府といたしましては、先ほど来大臣がお答え申し上げておりますように、他の一般戦災者との均衡ということがやはり大きな要素でございますので、そういう点を考えながら、その枠の中で被爆者対策の充実ということに今後とも一層努力をしていくということで考えておるわけでございます。今回のこれから発表されます死没者調査の結果ですとか、そういう点を踏まえましても、やはり政府の基本的考え方は現在の基本的な方向の上にやってまいりたい、このように考えているわけでございますので、何とぞ御理解を賜りたいというふうに思います。
○浜本万三君 五十一分までですから、時間があれば後また国の責任論の問題については触れたいと思いますが、時間がありませんので、次にまいりたいと思います。 死没者に対する措置の問題なんですが、今までの論点とは少し視点を変えて伺ってみたいと思います。 六十年度調査においては、私どもの長年の懸案であった死没者調査が初めて実施され、ことしの夏以降そう遠くない時期に解析結果が発表される状況にあると匿いておりますが、そこで最大のポイントになると思いますのは、全容が明らかになった死没者に対して、国としてどのような措置をとるかということであります。現段階での政府の認識を伺いたいと思います。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
○政府委員(北川定謙君) この点につきましても、従来からいろんな場面で御答弁を申し上げているわけでございますが、六十年度調査における死没者調査のねらいといいますのは、原爆の被害というものをできるだけ正確に後世に残す、こういう目的を持っておるわけでございまして、被爆後既に四十年余を経てだんだんと関係者の記憶が薄れないそのうちにできるだけ現在ある情報を把握しておきたい、こういう観点から死没者調査を行ったわけでございます。そういう意味では、この結果をもって直ちに政府が新しい施策を手がけるというようなことについては考えていないところでございます。
○浜本万三君 死没者の弔意の問題について、これまでの経過を振り返りながらちょっとお尋ねしてみたいと思います。 調査の目的につきましては、政府はかねてから死没者の状況を明らかにするための資料を得るためと、今のような説明が前からございます。それはよく承知しております。さきの衆議院での答弁におきましても同様のお答えをなされております。これも私聞いております。しかし、弔意をあらわす方法につきましては、六十一年の本委員会におきまして、当時の今井大臣は私の質問に対して、「今回調べましたことによって、何か私どもの弔意をあらわす方法をひとつ皆様とともに考えてみたい」というふうに答弁をされました。それから、昨年、藤本厚生大臣は、これは十分考えていかなければならない大きな問題だという認識は持っています、こういう御答弁でございました。そして、基本懇報告のよって立つ原爆受忍論についても、放射線による健康被害という特別の事情、特別の犠牲については受忍すべきものであるというふうに考えていない、こういうふうな答弁をされておるわけでありますが、これは当然現大臣も引き継がれた上での御答弁があるものだというふうに思います。 そこで、もう一回小泉厚生大臣に伺うのですが、死没者に対する弔意をあらわす方法について大臣はどのようなお考えを持っていらっしゃるのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 前大臣の答弁も今お伺いいたしました。そして、近く死没者調査のまとまった結果が出るという予定でもありますので、その死没者調査がまとまった段階で、どういう形で弔意をあらわすことができるか、それを検討してみたいと思います。
○浜本万三君 死没者調査がまとまった段階で弔意のあらわし方を検討してみたい、こういうふうに伺ってよろしいですね。——わかりました。ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。 次にお尋ねしたいのは、衆議院の会議録を読みますと、北川局長は、死没者調査をやること自体が亡くなった方に対して弔意をあらわす方法であり、弔慰金のようなものは現段階では考えていないと答弁をされておるわけでありますが、大臣は本当にこのようなやり方でよいと思っていらっしゃるのでしょうか。また、現段階で考えていないということは、政治的な決断があれば将来的には見直す用意があるというふうにお考えになっておられるのでしょうか。この点、これは局長と大臣、お二方から御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(北川定謙君) 弔意という考え方につきましては、いろいろと御意見がありますし、その考え方の間には幅があるわけでございます。 政府といたしましては、先国会でも衆議院の方でも御答弁申し上げておりますように、こういう原爆被爆の大きさ、あるいは原爆によって亡くなられた方々のお名前をきちんと後世に記録をする、こういうことも弔意の一つのあらわし方ではないか。政府は、現段階におきましては、そういう考え方で進めてきておるわけでございます。 先ほど来先生が御指摘のような今井元大臣の御答弁の中にも、弔慰金にかかわること等については否定をされておるわけでございまして、これは他の一般の戦災者との均衡ということの上に立って、国民のコンセンサスがどのようにして得られるのか、そういうことを考えた上で慎重に対応していく必要があるという基本的な姿勢をとっているわけでございますので、その点についても十分御理解を賜りたいというふうに思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) いろいろな各方面の御意見を伺いながら、どういう形で弔意をあらわすことができるか、そのまとまった段階で検討していきたいというのが一番いいのじゃないか。どういう形で調査が出てくるか、またいろいろな方面の御意見がありますから、この時点で結論めいたことを言うよりも、そういうまとまった段階で、先ほども申しましたような、どういう方法があるか、じっくりと検討してみたいと思います。
○浜本万三君 わかりました。 それから次は、もちろんこれも調査に基づいた後のことになるかもわかりませんが、一つだけ残って我々が気にかけておりますことは、法律の施行前に死亡した被爆者に対しまして何らかの弔意を示すべきではないか。法律ができましてからは死没者に葬祭料が支給されておるのですが、法律施行以前の被爆者の死没者に対しまして何らかの弔意を示すべきではないかという気持ちがまだずっと残っておるわけなんでございますが、この点については再考される余地はございませんか。また、再考されないとすればどういう問題があるのでしょうか。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
○政府委員(北川定謙君) ただいま先生御指摘の死没者に対する葬祭料を法律の制定前にさかのぼって支給することができないかという御質問でございますが、これは政府としては非常に困難であるというふうに考えております。 その理由は、昭和四十四年度には葬祭料が制度化されているわけでございますが、この葬祭料というものは、現在生きておられる被爆者の方々のお気持ち、つまり、いろんな不安を抱えて現在生活をされておられる、その上にその死後の葬祭の費用等についても非常にいろんな不安を持っておられる、そういうことがむしろ健康にいろんな影響が及ぶのではないか、そういうような気持ちも込めて葬祭料というものを支給するという考え方をとっておるわけでございまして、これはその遺族に対する弔慰金としての性格を有するものではないわけでございます。したがいまして、葬祭料につきましては、制度創設前にさかのぼってこれを支給するということは制度上大変困難があるというふうに考えております。 また、被爆者対策は、放射線による健康被害という特別の事情に着目して行われておるものでございまして、このような状態にない死没者の遺族に対して弔慰金を支給するという考え方は、先ほど来申し上げておりますように一般戦災者との均衡上困難があるのではないか、このように考えるものでございます。
○浜本万三君 ますます援護法制定の必要性を痛感するわけなんですが、続きまして被爆についての国の責任問題についてお尋ねをしてみたいと思います。 私が申し上げております中で最も根源的な部分は、実は金銭の問題ではないことを知ってもらいたいんですよ。国家が、みずからの責任と権限において始められた戦争の被害者である被爆者に対し、その責任を認め、謝罪する意思があるかないかということを尋ねておるわけでございます。この際、大臣にとくと御理解をいただきたいと思っておるわけなんです。一体、厚生大臣は原爆被爆についての国の責任についてはどういう御認識を持っていらっしゃるのか、この際お示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 国の戦争責任といいますか、国の責任ということを考えた場合、原爆被爆者のみならず、国民一人一人が大きな犠牲をあの戦争によってこうむったと思います。しかし、原子爆弾というあの放射線による特別被害、そういうものに国としては着目して現行の原爆二法というものを制定し、それによっていろいろな施策を講じている。ですから、広い意味の戦争責任はやはり国として感じなきゃいけない。戦争というものを起こさない、これが国家として、また政治家として私は最大の責務ではないかと思っております。
○浜本万三君 さっき厚生大臣は、弔意をあらわす方法については調査の内容が明らかになった後にやりたいと、こういうふうにおっしゃいましたのですが、もう一つその問題についてお尋ねいたしたいのは、やっぱりこれは真剣に検討する場を設けてもらいたいというのが私の気持ちでございます。どういうところで真剣に検討していただけるのか、検討をする場所ですね、機関といいましょうか、そういうものについて今お考えは出ませんか。
○政府委員(北川定謙君) 現在、この調査につきましては、広島、長崎両市を中心とする現場において主としてこれは行政当局が中心になって進めておるわけでございます。そういうところから、この調査の結果の取りまとめというのは行政内部で取りまとめを行うということになるわけでございますが、その結果を踏まえてどのように考えていくのかというふうにさっき大臣が御答弁申し上げているところでございまして、現段階では、まだどういう形がいいのかというようなことについては行政当局としてはお答えするものを持っておりませんので、先ほどの大臣の御答弁を踏まえて慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
○浜本万三君 さっき私は、死没者調査のまとめるめどについて私の聞いた推測の範囲で申し上げたのですが、つまり夏までにということを伺っておったものですからそういう話を申し上げたのですが、これはいつごろまでに大体まとめられる見込みなんでしょうか。私が夏までにという思いのまま申し上げても何かこれはっきりしないようでございますから、いつごろまでにまとめられる見通しであるのかということをまずお尋ねいたしたいと思います。そして、まとめられる中身の骨子のようなものがもしわかればお知らせをいただきたいと思うわけです。
○政府委員(北川定謙君) 取りまとめの時期につきましては、私どももこの夏をめどにというふうに考えてそのようにも申し上げたこともあるわけでございますが、実際問題として、この調査は具体的に手がけてみるといろんな問題を含んでおるわけでございます。これは浜本先生も現地のお話などを伺ってあるいは御存じをいただいておられるというふうにも思いますが、今回の六十年の調査にあわせて行ったわけでございます。 その際に、例えば一人のAという人に対していろんな方が記憶をたどって記載をされておられるわけでございまして、この延べ数というのは非常に多くなっておりまして、四十四、五万くらいの数になっておるわけでございますね。この数の特定というものもなかなか難しい。これは重複がかなり入っておるわけでございまして、しかもそれは姓名とか生年月日とか、あるいは死亡された時期とか、病気とか、こういうものを突き合わせていってみますとなかなかうまく一致しないというようなことが起こってまいるわけでございます。 それで、それを何とかいろんな推論を重ねながら現地で整理をして、その上でさらに、既に広島、長崎両市が保有しております死没者のいろんな記録があるわけでございますけれども、過去のそういうものとマッチングをしながらさらにアウトラインを明確にしていく、こういう作業がどうしても行われなければいけないわけでございます。そのために非常に大きなエネルギーと日時を要しておるわけでございまして、そういう点で大変私どもの最初の見直しが悪かった点については反省をしておるわけでございますが、やはり百点というものではなくても現在取りまとめたものについてある程度早く報告したい、こういう気持ちでやっておるわけでございます。 そうして、どのような項目になるのかということでございますが、これは非常に言葉で申し上げると簡単なことになりますが、性、年齢別に、どの時点でどの地域で被爆した人が、どういうふうな病気でいっ亡くなっていかれたかということをできるだけ正確にまとめていきたい、このように考えているわけでございます。
○浜本万三君 だから私は、中間報告的なものをしてもらって、それに対していろんな意見を伺って立派なものをまとめてもらいたい、こういう気持ちでもう数年前から中間報告中間報告ということをあなたにお願いしておるわけなんですが、なかなかそれができない。だから私は、今ある程度まとまったものというふうに発言されたのでそれに期待をしておるのですが、とにかく夏の時点でまとまったものは発表して、皆さんから意見を聞いていいまとめができるようにやってもらいたいと思います。 それから次は、最も私が重視しておりますのは自由記載欄の記載の扱いなんです。これは単に被爆者の年齢とか性別とか被爆の状況等々を統計的に集計することだけではだめだと思います。特に、自由記載欄の分析を含めることは重要であるというふうに思います。したがって、この欄の取り扱いについてどうされようとしておるのか説明願いたいと思います。
○政府委員(北川定謙君) この自由記載欄は、調査を企画した私どもといたしましても、被爆者、被爆を受けて生存をされておられる方々の生の声をいかに記録にとどめるか、こういう観点から行ったわけでありますが、調査の結果を拝見しますと、簡単なものもありますが、非常にるるそのときの状況を記録されたものがありまして、精粗まちまちであるわけでございます。 これをこのまま外にお出しするといっても膨大なことになるので、何とか統計的に数量化をしてまず発表するような方法がないかということで、今やっておりますのは、テーマごとにどういう記載があったか。例えば平和問題ですとかあるいは援護法の制定についての考え方だとか、あるいはいろんな手当の充実だとか、あるいは健康診断制度の問題だとか、さらには被爆者のいろんな惨状を訴えるものであるとか、その他いろいろあるわけでありますが、十一項目にまとめてどんな記載があったのかということを今集計しておる段階でございます。 したがって、被爆者の方々の健康に対する不安だとかその他の要望がある程度そういうところがら具体化した答えが出てくるのではないのかな、こういうふうに思っておるところでございます。
○浜本万三君 時間がないので、この点につきまして要望しておきたいと思いますのは、人類史上二つとない貴重な調査であり、また我々が後の世代の人に的確に伝えなければならない歴史的な意味を持っておるものだと思います。それだけに、可能な限り原爆被爆の実相が明らかになるような形での報告の取りまとめを強く要望しておきたいと思います。 それから次は、毒ガスとの因果関係の究明について、大久野島問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 大久野島の毒ガス障害者対策につきまして、かねがね厚生省も意を用いておられると思うのでありますが、これは先般の本委員会におきまして私から質問をいたしたのでございますが、大久野島の毒ガス製造工場でその仕事に従事しておりました者のうち、軍との間に身分関係のあったいわゆる旧令組合員と、それから国家総動員法、徴用令等により徴用された動員学徒、人夫等の毒ガス障害者の援護対策に相当の開きがあるのではないかと私は思います。これを埋めてもらいたいという質問を何回もしたのですが、当局の方ではこの差一異を、共済組合員とは作業内容が異なるため組合員ほどの症状の者がないということ、そういう答弁でございました。私が伺っている範囲内では、実際こうした方々が同じような症状であるということも伺っておるわけでございます。 昨年もこの問題について質問をいたしましたときに、厚生省の担当局長さんが、本当に差がなかったかどうかを確認する作業から始まる旨の答弁をなされております。毒ガスとの因果関係についての疑問点の究明はその後どの程度進んでおるのか、お知らせをいただきたいと思います。 それから、あわせてお尋ねをしておきたいと思いますのは、私の気持ちといたしましては、ぜひ一刻も早く究明を行ってもらって、救済面での格差の解消に努めてもらいたいと思っております。 以上、二つの点についてお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(北川定謙君) 大久野島の毒ガス問題については、ただいま先生が御指摘いただいたまさにそのとおりの経過をたどっておるわけでございまして、その結果として、現在、厚生省といたしましては現地の専門家を中心に研究調査班を組んでおるところでございます。六十三年度から具体的な作業に入っておるわけでございますが、現在いろんな資料の収集あるいは情報の収集というようなことをやっておるところでございまして、三年くらいをめどにいろんな問題点について一つの結論を出したい、このように考えておるわけでございます。 それから第二の点の、旧令共済関係者とそれから動員学徒との差というか、同じような状況が確認をされた場合にはそれなりの対応をする必要があるというようなことについては、私どもも事実がそういうことであればそういうための対応をしていく必要があるというふうに考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、もっと科学的な分析が進んだ段階でどのようにするかは検討さぜていただきたい、このように考えております。
○浜本万三君 大臣にこれはお願いしておくんですが、一刻も早く究明を行ってもらいまして、恐らく差がないんだろうと思うので、旧令共済の組合員と同じような措置を他の人にもとってもらうように要望しておきたいと思いますが、大臣ちょっと、よろしいというふうに答えてください。
○国務大臣(小泉純一郎君) 現在、実情について専門家の方々に研究をお願いしている段階でありますので、よく結果を見て検討していきたいと考えております。
○浜本万三君 時間が来たので最後の質問に入るのですが、先般私が地方に帰っておりましたら、私どもの方の地方の新聞の中に「放影研移転決定へ」という見出しで、ほぼ広島大学工学部跡地に放影研が移転する旨の報道がなされておりました。 この記事によりますと、来年度予算で恐らくこれは調査費ぐらいつけなければ準備が間に合わぬのじゃないかというふうに思いますけれども、放影研移転の現時点における状況と、来年度は予算の中で調査費等をつけられる用意があるのかないのか伺っておきたいと思います。
○政府委員(北川定謙君) 放影研の移転問題につきましては、地元では大変重大な関心が持たれておるわけでございますが、これは昭和五十五年の十月に広島市から移転の申し出があったことは事実でありますが、まだ現段階で政府としてあるいは放影研として具体的な話し合いには入っている段階ではございません。 御承知のように、放影研の運営に関しましては日米両国が共同して行うという形になっておりますので、移転の内容についてこれからさらに具体的な話が進めば放影研とも政府は協議し、また米国側とも相談しながら検討してまいる必要があるわけでございますので、来年度予算において直ちに調査費というところまではまだまいってないというのが実情でございます。
○浜本万三君 大体新聞の方が先行しておるんですよ。来年度予算も調査費ぐらいつけなきゃいかぬだろう、そういうふうに言っているので、もうちょっと決まっておることがあればはっきり言っておいてくださいよ。
○政府委員(北川定謙君) 現段階におきましてはまだそこまで具体化をしておりませんので、今後関係者の間で十分に議論してまいりたい、このように思っております。
○浜本万三君 時間が来ましたので、終わります。
○渡辺四郎君 大変済みません、突然の質問通告であります。先ほど山本委員の方から国民保険料関係の問題についての質問がありました。次の二つについてちょっとお尋ねをしておきたいと思うんです。 国民年金も毎年四百円ずつ引き上げていくという方向を出されておる。その中でやっぱり国保の徴収というのはどんどん収納率は低下をしていくんではないか。そういう中で各自治体は徴収率の向上のために大変な実は力を入れておりますが、問題は非常にやっぱり財政が厳しいものですから、この徴収に当たる職員は非常勤職員の活用を非常に多く進めてきた。その非常勤職員の労働条件というのが非常に実は劣悪であって、厚生省にお聞きをしたいのは、第一点は、このような状態の労働者をどんどんつくり出していいかどうかということをまずお伺いをしたい。 それから二つ目に、今私が申し上げたことそのものは厚生省にも責任があるというふうに実は申し上げたいわけです。と申し上げますのは、徴収のために例えば非常勤職員に何人委託をしても、事務費の算定そのものが御承知のとおり被保険者の数で決まるという事務費の国庫負担の現在のあり方、ここらについて私はやっぱり不合理ではないか、だから現在の国庫負担のあり方そのものを厚生省は抜本的に検討すべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(坂本龍彦君) 国民健康保険の保険料の徴収は、いわゆる被用者保険のように源泉徴収ができませんので、確かになかなか困難な問題が多いわけでございまして、各市町村においても非常に苦労をされておるわけでございます。 その際に、ただいま御指摘がありましたように、本来であれば市町村の常勤職員が徴収に当たるということでありますけれども、現実問題といたしまして、いろいろな職業の方あるいは生活状態の方が被保険者の中におられますので、例えば常勤職員よりも非常勤の職員がこの徴収事務に当たった方が収納という意味で効率的であるというケースも考えられるわけでございます。例えば、非常勤の方でやりますと勤務時間等の関係もございますし、また相手方の都合に合わせた活動もできるということで、厚生省としては市町村の実情に応じてどのような方を徴収に当たらせるかということを判断して実際に行っていただきたい、こう考えておるわけでございますので、一律に非常勤職員でやれというようなことを言っておるわけではございません。 また、事務費の国庫負担の問題でございますけれども、この事務費につきましては、保険料徴収のほかに適用あるいは給付その他全体の事務を対象としておるわけでありますけれども、基本的にはやはり被保険者数を基本とせざるを得ない。各市町村いろいろな事情があると存じますけれども、そういった個別の事情について直接対応するというのは実際には困難であるわけでございます。しかしながらその際においても、例えば世帯数であるとかあるいは被保険者の異動の状況であるとか、あるいは給与の高低による地域区分といったようなものを勘案してこの算定をいたすことになっておりますし、また現実に事務費の交付の単価については人件費の動向等を考慮して毎年改定を行っている、こういう状況でございます。
○渡辺四郎君 あと回答は要りません、時間がありませんから要望しておきます。 平成二年から国保そのものを抜本的に見直すという政府の方針もあるようですから、今あなたがおっしゃったように財政がゆったりあれば正規職員を配置する、実際財政がないものだから無理してやっぱり非常勤職員の皆さんにお願いしているわけです。そういう実情も踏まえて、抜本改正を目指す段階ではひとつぜひ検討の課題に入れていただきたい、要望しておきたいと思います。 大変申しわけありません、関連して労働省の婦人局の方にお尋ねをいたしますが、先般来厚生省の方も高齢化社会に向けての老人福祉対策なんかについて、実は大幅な特に女子労働者を中心に増員計画等、あるいは職種の人員増を計画しております。今、全体の労働人口の中の約四〇%近くが女子労働者で占められておる、ますます増大するであろうという傾向にあるわけです。 そこでお尋ねしたいのは、今日まで与野党の先生方、特に婦人議員の先生方を中心にいわゆる育児休業法問題について法制化を要求してまいりました。しかしその後、現在では野党の議員提案として継続審議になっております。 婦人局にお聞きをしたいのは、この労働時報の中にもありますように、婦人局で「育児休業制度のおすすめ」ですか、そういうことで奨励をしながら、ことしの十月、一カ月間を奨励期間、普及期間だというふうに設定をされました。いろいろな行事を含めて取り組みをされておる、あるいは奨励金として最高百万円というようなことで支出をしながら実施をしております。 その調査の結果の中でも、ここに書かれておりますように「女子労働者のなかには、職業を生涯のものとして継続し、職業人としての経験、能力を伸ばすことを望む人が増加しています」と。そういう希望がありながらなぜ婦人労働者が定着をしないのかというのが第一点です。 ですから、私らが今野党として提案をいたしておりますのは、やはりその一番大きな原因というのは、育児休業期間中の生活保障がないから、そういう希望がありながらもなおかつ育児と職業の両立ができないということでおやめになる、一たん退職した後で育児が終わってまた再就職なさっておる婦人労働者が多いのではないか。ですから、どうしても第三次産業中心に婦人労働者が進出をしておるという実態があるようです。 そういう中で現在一四・六%ですか、六十年までの普及率が。先般来の委員会でもありましたように、労働省の調査でも年間一%程度しか伸びていない。だから、労働省としては制度の伸びない原因は一体どこにあるのかというのが第一点。 二つ目の問題として、今野党から提案をしております議員提案、この法律案を基礎としながら政府案として育児休業法を出すお考えがないかどうか、この二つについてお聞きをしておきたいと思います。
○政府委員(佐藤ギン子君) 育児休業制度につきましては、先生今お話しございましたように労働省でも一生懸命努力をいたしておりますが、必ずしも普及率は伸びておりません。一四・六%ということでございます。 この普及率がなかなか上がらない理由は何かということでございますが、私どもがこの制度を導入しております使用者に対しまして、導入した後どんな問題が生じたかということを聞いている調査があるのでございますが、そういう中では、一つは育児休業をとっております方の休業中の代替要員の確保が難しいということと、それから仮にそういう方たちを確保できても今度はお休みをしていた労働者が戻ってきた場合に代替要員は今度は必要がなくなるわけでございますが、そういう人たちを解雇するとかそういうことが難しいという処遇上の問題。それから、休業中に社会保険の資格を続けようといたしますと、労働側、使用者側両方の社会保険料の負担分がございますが、このコストの負担の問題があるというようなことが上がっているわけでございます。 もう一つは、女子の能力を長期的に活用していこうという考え方が必ずしもすべての企業で十分に浸透していないということも普及に限界があるということの大きな要因ではないかと考えまして、そういう点では均等法の定着などを通じて企業で女性に育児休業をとっても続けてもらいたいと思えるような体制に私どももつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。 それから、今先生からお話しございました野党の四党の共同提案を基礎にしながら政府案を出すつもりはないかということでございます。 私どもも四野党でお出しになりました育児休業法案を拝見させていただいておるところでございますが、先生御存じのとおり政府案をお出しいたします場合には、私どもの場合には労使公益三者構成の審議会におかけして、そこでの一応の御承認をいただくということがないと政府案は出せないわけでございます。雇用機会均等法案につきまして御審議いただきました審議会で、育児休業の法制化につきましても長い間大変御熱心な御議論をいただいたわけでございますけれども、御結論としては我が国の普及率もまだ一割強ということを考えると、この段階ですべての企業にこの制度の実施を強制することは困難なので、当面は行政側が積極的に指導、援助をしてなお一層の普及を図るようにという御指摘をいただいているところでございます。 そこで、私どもといたしましてはさらにいろいろな工夫もいたしながらこの普及に努めていきたいと考えておりまして、今年度は業種別の会議、その他先ほど先生からも御指摘いただきましたけれども、さまざまな努力を積み重ねていきたいと考えております。
○沓脱タケ子君 それでは、大変限られた時間ですので、幾つも聞きたいことがあるんですけれども、きょうはとりわけ大臣の所信に対する質問をぜひやりたいと思っておりました。というのは、厚生行政というのは、福祉、医療、年金その他国民生活にとって大変重大な問題を担当しておられる省でございますから、大臣の基本姿勢等がどっちを向いているかということが国民の大変大きな期待になっておるところでございますので、これをお聞きをしたいと思ったんですが、きょうは会期末でありまして法律がどかどか来るという段階で時間が十分にありませんので、残念ですがその基本姿勢をお聞かせいただくということはきょうは一応やめておきます。 早速法案に入っていきたいと思いますが、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、私はやはり戦後処理という問題がいまだに幾つか残されているという点を痛切に感じておりますので、そういう立場からいわゆる沖縄県の八重山地域におけるマラリアの犠牲者の状況、いわゆるマラリア地獄と言われたその実態等について申し上げまして、大きな戦後処理問題が残されているという思いを深くしておりますので、その点でぜひ厚生省、政府関係者がその問題に注意を喚起して対応していただきたいと思って、その問題を最初にお尋ねしたいと思います。 今申し上げました沖縄におけるマラリアの犠牲者の問題というのはこれは随分ひどいなと思って、多くを申し上げたいんですが限られた時間ではなかなか言えないような悲惨な状況でございます。状況は終戦の年、つまり昭和二十年でございますが、沖縄県八重山諸島、八重山諸島というのは石垣島や西表島を中心に十九の島から成っておりますけれども、この島の住民に対して当時マラリアや風土病の感染地域、有病地帯として大変恐れられていた西表島に日本軍が強制移住を命じた。離島の方々はそれでは死にに行けというようなものだと言って随分抵抗したようでありますけれども、軍の命令に背くのかと軍刀を振りかざしておどかされ無理やり一人残らず移住をさせられた。その結果、案の上住民は次々とマラリアにかかりまして、三千六百四十七名が死亡するという悲惨な事件が発生をいたしております。三千六百四十七名というと大変な数でございますが、それがどの程度かわからないと思いますけれども、これは八重山群島全体の人口からいいまして一割を超しているわけですね。そういう悲惨なことが起こったということが報ぜられています。 厚生省にお伺いをしたいんですが、こういう事実があったということは御承知になっておられますか。
○政府委員(花輪隆昭君) マラリアの沖縄住民の被害の問題でございますが、沖縄強制疎開マラリア犠牲者援護会から面会の申し込みがございまして、私どもといたしましては近々その詳細につきまして状況をお聞きする、こういう段取りになっております。
○沓脱タケ子君 私どもも最近になってこの悲惨な事態を実は承知をしたわけでございますが、今厚生省も、これは沖縄強制疎開マラリア犠牲者援護会でしたね、そういう団体が面会を申し込みに来ておるので具体的には詳しく聞こうという状態ですね。というのは、そういう事態だということで国の側といたしましても、厚生省の方でもこのマラリア被害の事実関係については必ずしも今正確な状態というものを確認しておられないということなんですね。
○政府委員(花輪隆昭君) はい、そのとおりでございます。
○沓脱タケ子君 私は政府の責任として何だといって文句を言いたいところですけれども、やっぱりそれも無理もないなという感じもするんです。 その理由は、一つは、沖縄というのは昭和二十年四月の沖縄本島での米軍上陸、いわゆる沖縄決戦で沖縄では民間人が十万人亡くなったんですね。これが大変強烈な戦争の犠牲としての印象が頭に焼きついておるというふうなこと。だからそれが中心的な把握になっていて、この八重山群島の三千六百人という方々の存在というのが少々はその陰に追いやられていたのかなという感じも一つはいたします。 もう一つは、このマラリア地獄の被害というのは余りにも深刻であって、生き残っておられる方々が思い出すのも言うもの嫌だということで長い間口を閉ざして語らなかった、そういうこともございます。今だってお目にかかりますと、もうその話はしないでほしいとおっしゃる。御婦人の方々ですともう涙になってお話ができない、こういう状況になっておるわけでございます。ですから、戦後四十四年もたっておるにもかかわらず事実が隠されたままになっていたというのが率直なところではなかろうかと思います。 当時の八重山諸島の人口からいたしますと、三千六百余人のマラリア死亡というのは五人に一人がマラリアにかかって十人に一人は亡くなったということになるんですね、人口全体から見ますと。中でも死亡率の高かったのは石垣島の平得で人口の三六%、それから真栄里では三二・七%、大浜では二五・六%、離島であります波照間島では三六%と、ちょっと想像もできない高率になっておるわけでございます。したがって、私はその地域で人口の二〇%、三〇%という方々が病気で一挙に亡くなっていく姿というのは大変な状況だなと思うわけです。 八重山諸島の中で大きな被害をこうむった一つの離島であります波照間島を例にとりますと、当時の人口は千二百七十五名なんですね。うち九八・七%に当たる千二百五十九名がマラリアにかかっている。そのうち四百六十一名の方々が亡くなっておられます。これは全人口の三六%に当たる数字で、島の住民の三人に一人は亡くなった計算になるわけでございます。この波照間の人たちが軍刀でおどかされながらマラリアの有病地に追いやられた、そのことの恨みというのは今も関係者の御意見を伺いますと胸に迫るような思いがございます。 この竹富町の波照間出身の保久盛長正さんという方がおられます。この方は現在竹富町の町議会で副議長を務めておられる有力者のお一人でありますが、私どもこの方から直接話を聞きましたけれども、昭和二十年九月、この方が軍隊を除隊になって波照間島に帰ってきたら、もうあちらもこちらも全部マラリアだらけ。自分の家族はもちろん、近所も親戚もマラリアでほとんど全員が伸びてしまっている。お姉さんの嫁いでいった大泊さんというおうちでも、なんと十七人の家族のうちこの姉さんを除いて全員が亡くなっていた。ちょっと想像もつかないような実態でございます。 これはこういう実例を申し上げたら無数にありますけれども、例えばこういうのもあるんですね。波照間は随分ひどい目に遭って、大体村民がどういう状態になっていたかというと、ヤラブさん一家というのは八人が全員死亡しています。大泊さんのお宅は一家十七人中十六人が亡くなっている。大泊清士さんのお宅は十四人中十一人が死亡しておられる。これは生き残っておられてずっと沖縄以来教職でお仕事をしてきておられる仲本トシさんがおっしゃっておられるんですが、その方は自分の御主人をやっぱりマラリアで亡くしておられる。 無数にありますけれども、きょうもおいでいただいているかと思いますけれども、浦中タカ子さんとおっしゃる方にお話を伺いましたが、この方は十五歳のときにやはり西表島に家族全体で、牛を全部処分をして、夜中に真っ暗になってから小さなお舟で強制的に離島したそうですけれども、御家族が十一人中マラリアで九人まで亡くなっておられる、こういう状況なんですね。私はそのお話聞いただけでいかに悲惨だったかなと思うんですが、なかなか口を割らない島民の皆さん方のお話をぽつりぽつりと伺って、大体どんな状態だったかといいますと、おうちで御家族が五人、七人、全部頭を並べて高熱にうなされてうんうん言って病気にかかっている。子供さんは亡くなってしまったお母さんのおっぱいにしゃぶりついているとか、あるいはマラリアの高熱で脳症を発症した父親が自分の排せつ物を食べているとか、もうとにかく口では言えないような悲惨な状態というのが起こったと。だから、現地の方々は今でもそのときのことを思い出すと、まさにマラリア地獄だと呼んでおられます。 それにしましても、昭和二十年という終戦の年、三月二十六日には米軍が既に慶良間島に上陸しているんです。四月一日には沖縄本島に米軍が上陸を開始しておりまして、この年の六月になって日本軍が八重山群島の住民に対して強制移住の命令を出したという理由がさっぱりわからない。これは島民の皆さん方もおっしゃっています。島民の方々だけではなしに、沖縄県の県史第十巻でも明確に書いてあります。「日本軍が、これらの竹富村の島民に、石垣島での避難命令、いや退島命令を下したその目的が何だったのか今日なお疑問である」といことが県史にも明確に書かれておるわけでございます。具体的になかなか詳しくは申し上げられません。 そこで、厚生省の援護局には戦史の調査資料室というのがございますね。当時の日本軍がどんな理由で八重山諸島の島民に対して終戦の間際になってから離島命令を下したのか、その理由がおわかりになったらひとつ教えてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(花輪隆昭君) 厚生省の援護局の中に調査資料室というのがございますが、これは戦史の資料ではございませんで、軍人、軍属、あるいは戦没者あるいは留守家族、こういう方々の資料でございます。
○沓脱タケ子君 だからこんなことはわからぬですか。それは難儀ですな。 それから、八重山諸島の中でもよりにもよって西表島に強制疎開をさしたんですが、西表島というのは当時マラリアの島として周囲の島民から本当に怖がられていたというんですね。ですから、そこへ強制移住せよと言われたら、それでは死にに行けというのと一緒だ、マラリアで死ねと言うに等しいといって随分抵抗したそうですが、軍の命令に背くのかということで随分おどされもし、軍刀を抜いて実際に言うことを聞かないのかとやられたそうです。 一つお聞きをしておきたいのは、西表島というのは明治以来ずっとどういう状態であったのか。ここはいわゆる有病地帯ということで、どういう状態であったのか。これは厚生省はおわかりになりますか。
○政府委員(花輪隆昭君) 承知いたしておりません。
○沓脱タケ子君 残念だけど、よくおわかりにならないんですね。どうも何にもわかってないというのが実態だと思います。 私はここで思いますのは、こういうふうに敗戦が押し詰まってから、どうしてマラリアで死ぬことがわかっていた西表や石垣島の有病地帯へ住民を強制移住させて、その結果三千数百名を死亡させた、こんな必要があったんだろうかと。これは御家族、遺族の皆さんならずとも、確かにそういう感じを強くいたします。 そこでお願いをしたいと思いますけれども、八重山諸島の住民を強制移住さしたのは日本軍であったということはいろんな資料によって明らかなんですが、これは厚生省として調べて確認をしていただくということはできないでしょうか。
○政府委員(花輪隆昭君) 大変お気の毒な悲惨な事例につきましてお話をお伺いいたしたわけでございます。 私ども援護法の施行ということで戦後処理の問題に関係いたしておるわけでございますが、先生既に御案内のとおり、援護法におきましては軍人軍属等、国と雇用関係にあった者が戦争公務に従事している間に死傷をした、そのような場合に、障害年金、遺族年金等を支給いたしておる制度でございます。 御指摘の事例におきましては、甚だ遺憾ではございますが、現在承知しております限り強制疎開中にマラリアによります大変な死亡者が発生した、こういう問題でございますので、軍務に従事中の死傷というふうには言えない。したがいまして、私どもの援護法で対応するのは大変難しいというふうに考えております。従来の体系から申しますと、むしろ一般戦災の系列に入ってくるのではなかろうか、かように考える次第でございます。
○沓脱タケ子君 だから、援護法には該当しないので援護局は残念ながら仕事の外だということのようですね。そうなんですね。 もう一つは、私は厚生省にさっきもお聞きをしましたけれども、それじゃ明治以来有病地帯と言われていたのはどういう状態であったのかということの調査をして実態を把握することができますか。これは援護局が適当なのかどうか知りませんよ。しかし、疾病に関することだから厚生省の仕事じゃないかと思うので、有病地帯ということがもう住民全体にわかっていて死の島のように言われていたんですからね。そういうことの実態というものが調査の結果把握できるかどうか。 これは厚生省がひとつやってもらわないかぬと思いますが、沖縄開発庁来ておられますね。沖縄開発庁というのは、橋やら学校をつくったりなんかするだけじゃなくて沖縄開発の問題をさわってもらわないかぬのですから、これは私のところもそれは立場が違いましてわかりませんということになるんじゃないかと思いますが、仕事の今の性格からいったら。しかし、事沖縄に関することですからね、厚生省と力合わしてこういう実態というものをひとつ御調査をいただけませんでしょうか。これは局長いかがでしょう。援護局の仕事と違うと思うんだけどな。相談してどなたか。
○政府委員(北川定謙君) 日本の国土の中における健康問題についての情報という観点から、当時どういう状態であったかということをさかのぼって調査をすることはなかなか困難な点が多いと思いますが、今我が方予防衛生研究所等も持っておりますので、専門家の意見を聞くことは可能かというふうに思います。
○沓脱タケ子君 大変難しい問題なんですね。私も事前に援護局のお話も伺い、沖縄開発庁のお話も伺ったけれども、いや戦後処理はうちらの関係やないんやとおっしゃるんですね。それじゃどこがやっているんだって言ったら、いや総理府だって言うんですね。ところが、総理府もそんなに範囲広くやってないんだということを聞きましたから、きょうはお呼びしてない。総理府は何をそれなら戦後処理をやっているんや言うたら、シベリア抑留、恩給欠格者の方だとか海外資産の問題だとかそういうことはやっているんだけれども、その他のことは必ずしもやってない、こう言うんですね。そうすると、戦後処理で新たに出てきた問題というのは一体政府としてどこで扱うのかという問題がまず一つ問題として出てくるわけです。 それで、現に先ほども援護局長おっしゃいましたね。沖縄の八重山群島の石垣島で援護会をつくって今月の末とかに厚生省に要請に来られると言われたんだけれども、要請に来られて、いやうちの方は何にもわかりませんという話では、あれ波照間とか石垣島といったら随分遠いですがな。昔だったら船で行ったら何日もかかるでしょうが、今飛行機があるからそれは簡単に来れるかもわかりませんけれども、一番南の端の島からわざわざ来るんですから、おいでになった方に、いやうちもそれは直接関係ありませんと言われたんじゃ私お気の毒だと思うんです。そうかといって今担当するところがないわけでしょう。 沖縄開発庁、ひとつ買うてやれますか。
○説明員(樫福保雄君) 沖縄開発庁といたしましては、先生も御指摘ございましたように主として復帰後の振興開発の問題を担当いたしておりまして、現在の問題のように戦争中の問題につきましていろいろ調査するというふうなことは私どもの所掌としては無理があるかと、かように考えております。
○沓脱タケ子君 それでいよいよ困ったものだと思いますのでね。沖縄開発庁では、しかしあの対馬丸事件は開発庁で扱ったですね、だから余り冷たい顔をするわけにもいかぬのじゃないですか。やっぱりそういう問題について、対馬丸事件というのは学童疎開の児童が本土への疎開中、米軍の潜水艦で撃沈されて全員亡くなった。そういう事件についての対応は沖縄開発庁でおやりになっているんじゃないですか。
○説明員(樫福保雄君) 御指摘の対馬丸の件にっきましては、沖縄の復帰に伴う特殊な事例といたしましていわば例外的に支給事務だけを所掌さしていただいているようなわけでございます。これをもって一般化するわけにはいかないところでございます。
○沓脱タケ子君 きょう私とことんどうしようといって申し上げているんじゃないんですよ。調べてみて私自身が驚いたわけなんです。 それで、厚生大臣、今お聞きのとおりなんです。こういう大変な悲惨な戦後処理の問題が政府として受け皿がないんですよね、今の話聞いたらおわかりのように。そこで、これはひとつ厚生省、やっぱり援護事業をやっておられるということがあるわけですから、厚生省や援護局長が中心になられて、沖縄開発庁とも力を合わされてまず政府の受け皿づくりをしていただくということが何よりも今大事だなと思うんですが、その点についての御見解をお伺いしたい。
○政府委員(花輪隆昭君) お話しの一般戦災的な被害者等の関係の戦後処理の問題でございますが、五十九年十二月に総理府におきまして戦後処理問題懇談会というものをつくりまして、一般的に戦後処理全般にわたりまして、昭和五十九年でございますから戦後相当期間を経過いたしました段階で、どのような措置が適当であるか、こういう広い意味での議論をした経緯はございます。 具体的に取り上げました問題は、恩給欠格、シベリア抑留者問題あるいは在外財産等の補償の問題が中心にはなりましたけれども、その際に、広く一般戦災者の問題につきましてもどのように取り扱うべきかというようなことが議論されたように私ども承知いたしておるわけでございますので、本日お尋ねの問題につきましても、さような経緯を含めまして私どもから先生からそのような問題提起があったことを総理府の方にお伝えをいたしたいというふうに思うわけでございます。
○沓脱タケ子君 大臣、何か一言言ってくれますか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 私も今初めてこういう問題があるという実情というものを伺いまして、ひどい状況だなと率直に感じました。 確かに戦後処理問題と言えば、これを所管しているのは総理府だなと、総理府の問題でもあると。同時に地域は沖縄開発庁の所管であるんだなというと、これも沖縄開発庁に問題がある。そして、今初めてこの委員会で委員からお話を伺って、そして近いうちに厚生省に陳情に来られるということですので、厚生省、総理府、沖縄開発庁、この三者で協議すべき問題じゃないかというふうに考えております。
○沓脱タケ子君 いずれにしても受け皿がようわからぬでは被害者立つ瀬がありませんから、大臣がおっしゃったように関係三省庁できちんと受け皿をつくって対応をしてあげていただきたい、そのことはお願いをしておきます。 時間がありませんので、次に原子爆弾被害者に対する原爆二法についての質問をしたいと思います。 余り時間がありませんから簡潔にいきますが、同僚委員からもいろいろと御質疑がありましたが、来年は被爆四十五周年ですね。日本被団協は被爆者援護法の制定を何とかして来年にはつくってほしいという大変強い御要望を持っておられます。考えてみますと、六十年生存調査の概要を見ましても、被爆者が体と心に両方抜きがたい深い被害を受けておりますから、大変なショックが今なお続いているという状況ですね。しかも被爆者の方々は平均年齢が五十九・九歳、就業率も低く、収入も三百万以下の世帯の方が四一%、百万未満の方が一二%もあるというわけです。六十歳以上の方の中で六カ月以上寝たきりの割合というのが三〇・九%ですね。ですから、一般の割合よりも大分格段に高いですね。そういう状況ですから、大臣、四十五年という、今まで持ち越してきたというのが問題なんだけれども、今なおそういう事態が続いている中で被爆者対策の充実というのはいよいよ重要になってきていると思いますが、そういう点で御決意を一言伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 戦争の被害というのは大なり小なり国民多くの方が受けてきたと思いますが、原爆による特殊な放射線による被害ということに着目して、現在政府としては現行の二法でできるだけの施策の充実に努めてきた。来年四十五周年という節目について援護法の制定はどうかということでございますが、政府としては現行二法で施策の充実に努めていくのが適当ではないかというふうに考えております。
○沓脱タケ子君 それで、時間の関係もあると思いますので具体的なところを先にお聞きをしておきたいと思います。 昨年、一昨年も申し上げたんですが、被爆者のがんの罹病率というのは非常に高いわけで、被爆者のがん検診の特別対策をぜひやるべしということで昨年度からそのことが実施されているようですね。関係者は大変喜んでおられます。 しかし、私ちょっと驚いたことがあったのは、この間日曜日に大阪の枚方市の被爆者の会というところの総会がありまして、ごあいさつの案内をいただいたので行ったんです。案内状を見ましたら三十周年なんだそうですけれども、会長のごあいさつで、私は五代目の会長でございますが一代から四代の四人の会長さんは全部がんで亡くなりました、だからもう今や会長になったらがんになるのではないかといって会長になり手がないというところまできているんですというごあいさつがあった。これは実際ショックを受けました。それほど不安にさいなまれているわけで、昨年から実施しておられるという点についての喜ばれ方はそういう中での喜ばれ方なんです。 そこでお伺いをしたいと思いますのは、やり始めて厚生省実施状況をつかんでいますか。
○政府委員(北川定謙君) 先生御指摘のように、まだ昨年手をつけたばかりでございますので現段階で数字をつかんでおりませんけれども、だんだん時間を経るに従って関係者の間に情報も浸透しますし、この対策が有効に働いていくのはこれからだと、このように考えております。
○沓脱タケ子君 まだ全貌をつかめる段階ではないということはよく存じております。ただし、そういう実施状況の中でちょっと気をつけてほしいなと思うことを一、二申し上げます。 その一つは、例えば大阪府下全体を見ますと手帳をお持ちの方が一万一千五百三十九人ですが、それじゃ去年のがん検診が始まってどれぐらい受診ができたかということをちょっと調べてみたんです。そしたら、去年は間に合わなくてことしの初めにやったんだそうですけれども、申し込みをされた方は二千八百七十一人、ですから被爆手帳をお持ちの方の二四・八%ですね。ところが、その申し込まれた方の七〇%が受診をされたというわけです。だから、全体の数で言うたら二〇%の人が受けられたんですね。 そういう中でどういう御意見が出てきているかということを申しますと、一つは、どこの病院へ何月何日に検査ということの御案内では、やっぱり被爆者の方々高齢にもなっておるのと、お仕事もそれなりにやっているために指定された日にはなかなか行けない。せめて検査の期間が一カ月なり二カ月なりあって、そういう状況になればもっと行きたいと思っている方々多いわけですから、十分な御期待にこたえて対応ができるのになということが一つです。 それからもう一つは、がん検診の中で大腸がん検診が入ってないそうですね。これは入れたらどうですかね。そのことをちょっと申し上げたいんです。というのは、大腸がん検診が入ってないので、たまたま寝屋川市が市民健診の中でやっているものだから、大腸がん検診はそっちでやってもらっているというふうな話もあるんです。だから、厚生省のせっかくの施策ですから、徹底しておやりになることの方が大事だと思いますが、大腸がん検診についてはどうなさいますか。
○政府委員(北川定謙君) ただいま先生二つの点について御指摘をいただいたわけでございますが、できるだけ受診しやすい条件をつくっていくということは、私どももこれから地方自治体と十分連携をとってそういう努力はしてまいりたいと思います。何分にもいろんな状況にある住民の方々でございますから、例えば大阪というような非常に人口の多いところで見て被爆者という数は総体的には非常に少ないわけでございますから、被爆者だけをとらえてそういう検診をすることが効率的にできる限界というものも一方ではあるのではないかというようにも思います。しかし、その点についてはさらに自治体とも十分そういう御意向のあった点も踏まえてさらに考えてまいりたい、このように思います。 それから第二点の大腸がんの問題でございますが、これは先生もよく御存じいただいている点でございますけれども、大腸がんの検診というのは本気でといいますか、きちんとするとなかなか大変なことになるわけでございます。非常に簡便な方法で考えるとすれば、まず便の潜血テストから始めるというようなことになろうかと思いますが、これもなかなか有効性ということからいうと問題があるというようなことで、そこのところを踏み切ることができないのが現状であるわけでございます。検査技術の簡便化という技術が進むという今後の状況を踏まえながら、十分にそういう点も考えてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 地方自治体でおやりになっているんですから、厚生省のせっかくの施策の中でそれが抜けるということになると、患者さんたちはやはり不安になるんですね。初めは希望なさる方からでも出発をするとか、これは検査がなかなか大変だということは私どもも存じておりますから、そう一律にと簡単に言いませんけれども、しかし今、厚生省の施策では大腸がんの検診はないんだということになっているわけですよ。それはやはりまずいんじゃないですか。その辺ははっきりしておいてくださいよ。
○政府委員(北川定謙君) 確かに一部の非常に先進的な自治体が特殊なところに焦点を当てていろんな対策を行っているということはあるわけでございますけれども、各自治体がやっておるいろんなそういう対策を、全国ベースで見てどの辺に重点を置いていくのかという、その妥当性の問題等から優先度を考えながら全体としての方向づけをしていくというのが行政であるわけでございますので、先生の御主張は御主張として、私たちもその点を十分踏まえながら今後考えていきたい、このように思っております。
○沓脱タケ子君 えらいかたいな。御主張は御主張としてと言わぬで、それは厚生省の対応としてやはり検討してくださいよ。これは強く要請をしておきます。 余り時間ありませんから、もう一つ被爆者に対する具体問題でただしておきたいのは、これは健康管理手当の問題なんですがね。一番問題になっているのは、更新手続が随分大変なんですね。さっきも申し上げたように、被爆者は高齢化をしておられます。ところが、ところによると半年、一年ごとに更新というような府県もあるんだそうですね。考えてみたら随分被爆者が御高齢になってきている。いわゆる健康管理手当に該当する疾病というのは十一疾病と言われますけれども、六十過ぎ、七十過ぎた方々がその疾病にかかって、そんなに一年ごと、半年ごとに更新をしなくても病状変化というのはそんなにないんじゃないかと。よくなっているのに手帳をもらっているから管理手当を受けとっていたということになったらいけないと思って、再々検査をなさるんであろうと思いますがね。 こういう手続は、これは少なくとも六十五歳以上あるいは七十歳以上の方々にはもう手続を廃止して、更新手続をやらなくてもよいということにするとか、あるいはどうしてもやらなくちゃ困るというんなら、せめて五年に一遍とかいうふうにうんと期間を延ばすとかいうことで、余り御高齢になった被爆者の方々を苦しめない方がよいのではないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(北川定謙君) 基本的には、先生の御指摘と全く同じように、私どももできるだけ手数を省くという方向で考えておるわけでございます。 なお、今先生が御指摘された半年というのは事実上ございませんでして、最低一年、これも非常に少数なんですが、今大部分の疾病については三年という枠で更新をしておるところでございます。 この健康管理手当の性格そのものが、疾病にかかっておる、疾病状態にあるということを前提にしておる制度でございますので、全くその枠を外してしまうというのはいかがかというふうに思いますが、三年をさらにどのように実情に合わせて延ばしていくのか。これは現地での病気の継続状態とか、そういうデータを踏まえて今専門家の先生方とも十分相談しながら、なるべく手数を省いていくような方向で検討しているところでございますので、その点御理解賜りたいと思います。
○沓脱タケ子君 被爆者からは大変強い要望が出ているということは御承知でしょうから、その要望にできるだけ沿うようにひとつやっていただきたいと思います。 さっきももうお話が出ておりましたが、いわゆる生存者調査というような問題、これは被爆者の皆さん方がわざわざ書いておるわけだから、計数的なことだけじゃなくて、実際に被爆の実相に近づくためにも、世の中にその実相を訴えるというためにも、自由に記載してある自己記載意見ですね、こういうものを整理してまとめるということが非常に大事ではないか。同僚議員からも御質疑が出ておりましたから繰り返しませんが、これはもう世界じゅうに我が国でしかできないものなので、しかも御世にとっても非常に大事な資料にもなろうかと思いますし、まさに世界的な意義を持つ仕事になろうかと思いますが、そういう点はぜひ実らしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(北川定謙君) この自由記載欄に記載された事項をどう取りまとめるかということにつきましては、一つは計数的に取りまとめて全体像をまずつかむという方向と、今先生から御指摘いただきましたような個別問題としてどう扱うか、二つの観点から鋭意検討しておるところでございます。
○沓脱タケ子君 鋭意検討してくれるというのはいいんだけれども、なかなか前へ進まぬので困るんですね。さっきもお話がありましたが、死没者調査は大体いつ発表になるのかという話は、これは私も同じく大変疑問に感じておりますので、お伺いをしたい。
○政府委員(北川定謙君) 死没者調査についても、この調査の非常に難しい点についてはもう既に先生にも御理解を賜っているところでございます。とはいっても、すべてが完了するまでということになりますと、今後相当の時間を要する状況が出てまいっておりますので、前回から申し上げておりますが、ことしの夏めどで現段階で整理のついたものについて中間的に御報告をするかというふうに考えているわけでございます。
○沓脱タケ子君 これは生存者調査でも申し上げたように、死没者調査も被爆者の意見記載等も大変やはり大事ですよね。だから、これは死没者調査を早く発表できるようにしてもらいたいのと、それから生存者調査の資料、そういうものを、本当に世界的に意義のある資料なんですから、厚生省としてはぜひこれ本当に役に立つように集成をしてもらいたいし、できたものは国の内外にぜひ公表してもらいたいと思うんです。 私、引き続いて黒い雨の問題とか、あるいは長崎県の問題になっております指定地域の拡大を要望している問題等お伺いをしようと思ったんですが、これは大体基本問題懇の答申で云々ということで少しも広げようとしないとか、死没者調査の問題でもなかなかうまいこといかぬとかいうふうなことで、被爆者対策について毎年毎年いろいろと御意見を伺っているんですが、大変期待を裏切られているという思いが強いんですよ。 そこで最後に、大臣聞いてほしいんですが、基本問題懇談会の意見報告というのは、あの立場でやられたんでは被爆者は受忍できないという立場をとっていますね。これは当たり前だと思うんですよね。だって何の罪もないのにぽかんとやられて殺され、被害を受けて一生台なしにしているという人たちがたくさんあるわけですから、すべての国民がひとしく受忍しなければならないという立場というのは、これはなかなか納得できないというのは当たり前だと思います。 そういう我慢がならない思いというのは、被爆者は何とかしてせめて戦後四十五年、来年に向けて被爆者援護法をつくってほしいという思いというのはいよいよ募っているようですね。そのことが、日本被団協が進めておりますように被爆者援護法制定要求賛同署名というのがどんどん進んでいて、今衆議院で二百九十四名、参議院で百四十八名と過半数をはるかに超え、衆議院では三分の二に近づく勢いですね。この中には鈴木元総理も含まれているという状況になっておりますが、大臣は戦後生まれかもしらないですが、この被爆者のこういう悲願を実現していくためにも、ぜひ四十五周年、来年に向けて被爆者対策の充実を前進させようというさっきのお話もありますから、被爆者援護法をつくり被爆者の対策を充実強化していただきたいと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 再三他の委員の方々にも答弁さしていただいておりますように、戦争の被害というのは大なり小なり多くの国民が受けておると思います。あの中国の残留孤児の方々もそうですし、私自身連休中にパプアニューギニア、ラバウルに行きまして、現地の悲惨な状況で多くの犠牲者を出した、また外地、内地を問わず多くの方が被害を受けている、それはまさに筆舌に尽くしがたいものがあると思います。 そういうことを考えまして、今回さらに来年四十五周年になるということで原爆援護法を制定せよという御趣旨でございますが、原子爆弾による特別な放射線による被害、ここに着目して政府としては現在の二法を制定して、その中で施策の充実に努めているところでありまして、自民党の議員の中にも援護法をつくれという陳情にサインをしておられる方がいるというお話ではございますが、もちろん議員として政治家として原爆で被害を受けた方に施策の充実を図れという趣旨に賛成の気持ちでされたのだと思います。それぞれの心地はわかりませんが、そういう中にあって、我々厚生省としては現行の二法で施策の充実を図っていくのがいろいろな影響、波紋を考えて一番適当ではないかと考えております。
○沓脱タケ子君 もう時間ですのであれなんですが、もうちょっとお願いしたいと思います。 いわゆる一般質問という形でのお伺いができませんでしたので、簡潔に二つ問題をお尋ねいたしますので、まとめて御答弁いただきたいと思います。 その一つは、これはもう大変だなと思ったのは、新聞にも報道されていたんですが、高層住宅に住む妊産婦というのは異常分娩の割合が大変に高い。これは東海大の御調査が学会で発表されているわけですが、六階以上に住んでいる人というのはもう異常分娩の率が大変高いんですね、下におる人よりは。これはそれなりの理由がやっぱりあるわけですが、そういうことになりますと、今日の大都市において高層建築がどんどんふえてまいりまして、えてして高層住宅には若い御夫婦がたくさんお住まいになっておりますから、そういう点で異常分娩がこんなに格段にふえるということになりますと、これは放置できない問題だなということを感じるわけです。 そこで、これはひとつ注目をしておられるかどうかということ、同時にこれに対する対応をどういうふうに厚生省としては考えていかれるかとというふうなこと、これをひとつお聞きをしたい。 もう一つは、これは簡単な問題ですが、成人病の予備軍と言われている成人病の低年齢化というのは大問題なんですが、これは新聞報道の記事で拝見して気がついたんですが、千葉での調査によりますと五歳児健診を五年間続けてみたら四人に一人は成人病予備軍になっているということが報ぜられています。時間がありませんから細かいことは申し上げませんけれども、この子供たちが本当に正しく対応しなかったら三十年後成人になったころには成人病が物すごく増えるに違いないとまで言われておるということに着目をしていただいて、厚生省としてはそういう点にどのように関心をお持ちになり、どういう対策を考えていこうとしておられるかということをあわせてお伺いをして、終わりたいと思います。
○政府委員(長尾立子君) 最初の高層住宅に住む妊婦に異常分娩が多いという問題でございますが、私どもも現代社会のさまざまな生活環境の変化というものが母子、妊産婦に対してどういうような影響を与えるかということの研究を昭和五十五年ぐらいからやっていただいております。その内容におきましても、やはり高層住宅に住む方について問題があるというような御報告をいただいておりまして、私どももそういう意味では関心を持っておるわけでございますが、この理由としては妊婦の健康管理の中で運動が非常に不足する、高層住宅に住んでおられるためにどうしても外へお歩きになる機会が非常に少なくなるということが一つの原因ではないかということを言われておるようでございます。 私どもといたしましては、いわば妊婦健診とか妊産婦の訪問指導の際にそういう点も留意いたしまして指導をいたしておるところでございます。 もう一つ先生お尋ねの、小児成人病の問題でございますが、この件につきましても、小児成人病の問題は小児の健康を考える上で大変重要な問題であるという認識は強く持っておるわけでございます。小児成人病の予防、治療の問題につきましては、小児糖尿病、これはいわゆる今先生御指摘の問題とは若干違うかとは思いますが、糖尿病の問題でございますとか、最近問題になっております小児の肥満、これが高血圧であるとかコレステロールの異常値が子供のときから見られるというような点につきまして研究をそれぞれ専門家の先生にずっとお願いをいたしましてやってきたわけでございます。 確かにこの小児期の健康問題、こういうような観点も十分留意しながら推進していく必要があると考えております。
○藤井恒男君 私は年金業務の問題について、どちらかといえば要望を付して若干質問いたしたいと思うわけです。 厚生省が昭和五十五年に社会保険のオンラインシステム計画をスタートさせて十年を経過し、本年二月に完全オンラインシステムが完成したわけでありますが、私はまことに画期的なことだと感じております。たまたま厚生省の月報ですか、「厚生」という雑誌を見てみましたら、イギリスの大臣が高井戸にある社会保険業務センターを視察されておられる。私もそれを見て、ぜひ一度見ておかなければいけないということで、せんだって同僚議員を誘ってこの高井戸センターの庁舎、それから三鷹の庁舎を視察してまいりました。 私の見た印象を率直に申し上げますと、当初想像していた以上にすばらしい、世界に冠たるものだということを実感した次第です。社会保険業務センターでは、国民年金それから厚生年金、そして船員保険の加入者の記録から管理、そして健康保険の給付、年金受給者への年金支払いまで体系的に一元的に、まさに大型コンピューターを駆使して全国の二百九十二カ所の保険事務所と回線を結んで、瞬時にして全部の記録が映し出されるというようなことになっておりまして、まあこれは世界でも数少ないんじゃないかなというふうにびっくりしたような次第です。 なお、いろいろ所長さんからお話を承っておりますと、当然これは知っておかなければいけないことであったんですが、現在の厚生・国民年金の加入者が五千八百万人、そして年金加入記録管理件数、これは被保険者の記録あるいは受給権者の記録、これなどが一億七千件あそこに保管されている。しかも、それが一件ごと百年間保管しなきゃいけない。これは遺族年金その他にかかわってくるわけですから。そうなってきますと、これは国民生活に非常に密接に関係がある極めて重要な問題だなというふうに感じました。 さらにこれから高齢化社会を迎えていきますと、新規の加入者がどんどんふえていくことになるし、遺族年金等については年に六回支払わなければいけない。厚生年金は年に四回支払わなければいけない。しかもそれぞれの記録が、例えば振込銀行が変われば直ちにそれを変えていかなきゃいけない、記録を更新しなきゃいかぬ。そういった案件処理が実に多岐にわたっている。こういったものを一括処理しているわけです。 私がここでお願いしたいことは、三鷹庁舎については、これはNTTのワンフロアを借りてやっているような関係から、完全にオンライン化した、いわゆる大型コンピューターを駆使するに足るビルの態様を整えている。例えば、停電したらこれは大変なことになるわけですから、停電に備えて完全にバッテリーを備えて、瞬時にバッテリーに切りかわるとか、あるいはバッテリーが切れかけたら自動的に発電装置を持っている。耐震性もあるし、あるいは外からの侵入者に対する防御ですね、保管管理の面からの防御措置、そういう形でのビルの建設が既にできている。 ところが、センターの本来中心であるべき高井戸庁舎は、建てて三十年を経過した庁舎の中に後からオンラインシステムが導入されていったという形になっている。したがって、私は機能面、保管面等において著しく差異があるんじゃないかなと。もうどこのビルでも、最近建っていくのはこういったOA機器を駆使するに足る暖冷房あるいは湿度管理などもできるようなことになっているので、私はこの高井戸庁舎については、今のようなすばらしい設備をこれからも駆使していかなければいけないし、加入者がどんどんふえていくし受給権者もふえていくという状況にかんがみて、思い切って三鷹庁舎、NTTに見られるような形につくりかえていくのが私は国民の期待にかなう道じゃないかなというふうに強く感じました。 したがって、そういった面についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思うんです。
○政府委員(土井豊君) 業務センターを御視察いただきまして、またいろいろ貴重な御指導、御鞭撻をちょうだいしましてまことにありがとうございます。 御指摘のとおり、高井戸の庁舎でございますが、昭和三十二年に建築した建物でございまして、その後、オンライン化の導入に伴いまして種々整備、補修等を行って今日に至っているところでございますが、御指摘のとおり、もともとの建物が三鷹のNTTの建物に比べますと基本的なスタートが違っているというような点で私どももいろんな面で手直しを必要とするということを考えております。 今日までも、その時点時点で必要な対応をしてまいったわけでございますけれども、今後とも年金受給者の増大あるいは被保険者の増大等に備えて、十分見直しを含めて検討をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○藤井恒男君 これは一挙にはできないことなんで、だから、オンラインシステムをスタートさせて十年経過して完成しておるわけでしょう。だから、建屋一つつくるについても、今のような時世ですから土地の問題その他で簡単に右から左というわけにはいかぬ。業務は遂行しつつやっていかなきゃいかぬわけだから、片時も手放すことはできないわけだから、私はやっぱり計画的に年次計画を立てて着手すべきであろうというふうに思いますので、その辺のところは強く要望しておきたいと思うわけです。 なおつけ加えると、ああいった高井戸庁舎みたいな形でありますと、古いビルですから天井も非常に高いし、あそこで働いておる人たちの業務内容というのは、常にブラウン管を見て仕事をしている。これは労働省の管轄することだけれども、あの業務というのは非常に目に悪いし、職業病を起こすようなことにもなる。したがって、特殊な勤務体系を組めというようなこともしばしばこの社労でも話し合ってきているわけですから、ああいった職場環境では非常に問題もあるんじゃないか。だから、業務を円滑に処理すると同時に、あそこの職員の保健という意味からも私は大切なことじゃないかなというふうに考えております。 それからいま一つ、この業務センターで行っている事項の中に相談業務というのがあるわけですが、私も自分自身の経験から考えてみても、若いころは年金を掛けていても全然意に介していない。特に厚生年金などの場合は給料のカードから差っ引かれているわけだから、若いときは全く関心もない。ところが受給者に近づいてくると、ひそかにおれの年金はどうなっているのかな、これからどうなるんだろう。そのときにはさっぱり年金がわからない、難し過ぎて。特に私は国民年金なんかそうだと思うんですね。だから、年をとってそれに頼らなければいけなくなったときにわからない、どこに行ってどうしたらいいんだろうということになるわけです。書いたものをもらっても、私はちょっとお年寄りには難解過ぎてわからぬだろうと思うんです、仕組みというものが。 したがって相談ということが起きるわけでして、全国に十三の年金相談コーナーがあるし、あるいは保険事務所二百九十二カ所でも、オンラインで行けば即時にぱっと出してくれて、あなたの保険はこうなっておりますよ、あなたの大体の予想される受給額はこれだけですよ、あるいは電話でサービスも受けられるということになっているんだけれども、それすらわからない。 これはひとつ厚生省は、一番これ大切なことだと思うので、相談業務というものは行政サービスという位置づけじゃなく本来的に一番重要な問題だ。今業務センターでやっている管理保管そして記録の更新というのはルーチンワークでできるわけですから、だから生きたものとして相談窓口をもっとわかりやすく親切に国民に知らしてあげるべきだ。なお、そこに出入りする環境というものもきちっとし、要員配置なども的確に処理して国民の期待にこたえてもらいたいなというふうに私は痛切に感じました。 年間の相談件数が今でも千六百万件あるというんですよ。だから、これは大変な数なんですね。しかし、相談したくても相談するすべを知らない人というのはまだいっぱいいるわけだし、どんどんふえてくるわけですから、その辺のところを十分配意していただきたい、この要望をしておきたいと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(土井豊君) 御指摘のとおり、最近非常に相談件数がふえておりまして、その内容も一人一人の年金に関する長い年月の記録を含めまして、近い将来自分が年金を受け取る年齢になったときに幾らぐらいの年金が受けられるんだろうかとか、個別具体的な相談が特にふえているような傾向がございます。私どもも、先ほどお話がございましたオンラインのシステムを利用しまして、全国の社会保険事務所あるいは年金相談コーナーにおきまして、高井戸、三鷹と直結をしてそのデ—タがすぐわかるように、そういう形で体制を整備して今日に至っているところでございます。 ただ、最近の相談件数、ごく最近では約一千六百万件でございますが、十年ほど前に比べまして五割増ぐらいの状況になっております。今後さらに大きくふえるのではないかということで、現状のままできちっとした対応が果たしてできるかどうか、そのためには今後相談の体制のあり方をどうしたらいいかということを現在寄り寄り集まりまして検討しているところでございます。 なお、それと同時に具体的に相談の設備等々の問題につきましても、お見えになる方が御年配の方も多々あるわけでございまして、そういうようなきめ細かなサービス面につきましても今後さらに十分行き届いたサービスができるように工夫をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○藤井恒男君 大臣、今私が申し上げたことについては、国民の側から見て極めて地味なことであるが切実な問題だと思うんです。とりわけセンターの拡充という点について、大臣在任中にできるわけじゃないんだから、調査業務からでも着手するというようなつもりでひとつ頑張っていただきたいと思うんですが、お考えをお聞きして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 御指摘の点、もっともな点が多いと思います。今後もその施設の拡充初め年金受給者のサービス向上のためにどういう点がいいか幅広く検討を行って、一層受給者のサービスの向上に努力をしていきたいと考えております。
○委員長(前島英三郎君) 以上で、ただいま議題となっております三件のうち、厚生行政に関する件についての質疑は終了することとし、両案に対する質疑は終局いたしました。 これより両案の討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより順次採決に入ります。 まず、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前島英三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、山本正和君から発言を求められておりますので、これを許します。山本正和君。
○山本正和君 私は、ただいま可決されました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する 附帯決議(案) 政府は、広い意味における国家補償の見地に立ってその対策が講じられるべきであるとの原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見等にかんがみ、被害の実態に即応した援護対策を一層拡充するよう努めるとともに、次の事項についてその実現に努めるべきである。 一、昭和六十年に行われた原爆被爆者実態調査のうち死没者等調査について、速やかな解析、その集大成を図ること。 二、被爆者の障害の実態に即して所得制限を撤廃するとともに、医療特別手当等については、他制度との関連も考慮し、生活保護の収入認定から外すことについて検討すること。 三、原爆症の認定については、近時の科学的知見を踏まえつつ、被爆者の実情に即応するよう、制度と運営の改善を行うとともに、健康管理手当の認定についても、原爆被爆者が高齢化していることを踏まえ、そのあり方について検討すること。 四、原爆病院の運営に当たっては、被爆者が必要とする医療を十分受けられるよう、施設・設備の充実を含め、万全の措置を講ずるとともに、被爆者に対する家庭奉仕員制度の充実及び相談業務の強化を図ること。 五、被爆者とその子及び孫に対する放射能の影響についての調査、研究及びその対策について十分配慮するとともに、原爆医療調査機関の一元一体化について検討し、その促進を図ること。 六、放射線影響研究所の研究成果を、被爆者の健康管理と治療に、より役立てるため、運営の一層の改善、同研究所の移転、原爆病院との連携強化等につき検討すること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(前島英三郎君) ただいま山本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前島英三郎君) 全会一致と認めます。よって、山本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、小泉厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉厚生大臣。
○国務大臣(小泉純一郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力いたします。
○委員長(前島英三郎君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前島英三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、宮崎秀樹君から発言を求められておりますので、これを許します。宮崎秀樹君。
○宮崎秀樹君 私は、ただいま可決されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読します。 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、速やかに格段の努力を払うべきである。 一、戦没者遺族等の老齢化の現状及び生活の実態にかんがみ、国民の生活水準の向上等に見合って、今後とも援護の水準を引き上げ、公平な援護措置が行われるよう努めること。 二、戦没者遺族等の高齢化にかんがみ、海外旧戦域における遺骨収集、慰霊巡拝等について、さらに積極的に推進すること。 三、生存未帰還者の調査については、引き続き関係方面との連携を密にし、調査及び帰還の促進に万全を期すること。 四、訪日調査により肉親が判明しなかった中国残留日本人孤児について、引き続き肉親調査に最大限の努力をするとともに、今後とも、新たに中国残留日本人孤児と認められた者については、すべて訪日調査の対象とすること。 また、帰国孤児の定着先における自立促進を図るため、関係省庁及び地方自治体が一体となって、広く国民の協力を得ながら、日本語教育就職対策、住宅対策等の諸施策の総合的実施に遺憾なきを期すること。 五、ガス障害者に対する救済措置は、公平に行うとともにその改善に努めること。 六、法律の内容について必要な広報等に努める等さらにその周知徹底を図るとともに、相談体制の強化、裁定等の事務の迅速化にさらに努めること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(前島英三郎君) ただいま宮崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前島英三郎君) 全会一致と認めます。よって、宮崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、小泉厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉厚生大臣。
○国務大臣(小泉純一郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力いたします。
○委員長(前島英三郎君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前島英三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(前島英三郎君) 歯科衛生士法の一部を改正する法律案を議題といたします。 衆議院社会労働委員長代理野呂昭彦君から趣旨説明を聴取いたします。野呂昭彦君。
○衆議院議員(野呂昭彦君) ただいま議題となりました歯科衛生士法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。 近年の我が国における急激な高齢化社会への移行は、歯科医療をめぐる環境を大きく変化させ、国民の歯科医療に対する関心は急速に高まってきております。 本案は、このような状況にかんがみ、歯科衛生士の資質の向上と業務内容の拡充を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。 第一に、歯科衛生士は、歯科衛生士の名称を用いて、歯科保健指導をなすことを業とすることができること。 第二に、歯科衛生士の免許を与える者を、都道府県知事から厚生大臣に改めるとともに、国家試験の実施に関する事務等については、厚生大臣の指定する者に行わせることができること。 第三に、歯科衛生士でない者は、歯科衛生士またはこれに紛らわしい名称を使用してはならないこと。 以上が本案の提案理由及び内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(前島英三郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 歯科衛生士法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前島英三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前島英三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(前島英三郎君) 雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案並びに日本労働協会法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。堀内労働大臣。
○国務大臣(堀内光雄君) ただいま議題となりました二法案につきまして、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。 まず、雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。 近年、我が国においては、サービス経済化の進展、女子の就業意欲の高まり等を背景といたしまして、就業形態の多様化が進展しております。特に、いわゆるパートタイム労働者につきましては、その数が著しく増加するとともに、勤続年数の伸長、就業分野の拡大等の質的な変化も見られるなど今や経済社会にとって欠くことのできない重要な労働力になってきており、今後ともこの傾向はさらに進むものと見込まれます。これに伴い、雇用保険制度においても、パートタイム労働者の生活の安定、福祉の増進等を図るため適切に対応することが課題となっております。 また、今後の経済構造調整期においては、経済変動と高齢者問題、地域問題等の雇用問題が密接に関連して生ずることが予想されることから、雇用に関する各般の施策を総合的、一体的に実施していくとともに、その財政基盤の強化を図ることが必要となっております。 このため、これらの問題につき中央職業安定審議会に検討をお願いしておりましたところ、昨年末に、現行制度の改善の方向が示されたところであります。 政府といたしましては、この改善の方向を踏まえつつ、この法律案を作成し、関係審議会にお諮りした上、提出した次第であります。 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。 第一は、雇用保険法の一部改正であります。 その一は、短時間労働者について、新たに適用拡大を図ることとした上で、その就業及び労働市場の実態に応じた失業給付の特例を設けることであります。 まず、短時間労働者の範囲については、一週間の所定労働時間が、同一の適用事業に雇用される通常の労働者に比して短く、かつ、労働大臣の定める時間数未満である者としております。 次に、受給資格については、実質的に労働時間が短いこと等にかんがみ、賃金支払い基礎日数が十一日以上の月を一年以上必要とすることとしております。 また、賃金日額については、その賃金の実情にかんがみ、二千四百十円を下限とすることとしております。 さらに、所定給付日数については、通常の労働者に比し再就職が容易であること等を考慮し、年齢と被保険者であった期間等に応じ九十日から二百十日までの日数としております。 このほか、高年齢求職者給付金等について所要の特例を設けることとしております。 その二は、雇用保険四事業を再編し、雇用安定事業と雇用改善事業を統合することであります。 現在、雇用安定事業は経済変動に対処し、雇用改善事業は高齢者問題、地域問題等に対処するものとされておりますが、今後はこれを統合し、新たな雇用安定事業とした上で、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るため、各般の事業を総合的、一体的に行うことができることとしております。 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。 現在雇用安定資金の残高については、四事業に係る保険料収入と同額まで確保できることとされておりますが、今後の経済構造調整期における経済変動に備えるため、これを改め統合後の三事業に係る保険料収入の一・五倍まで確保できることとしております。 なお、この法律のうち短時間労働者に係る規定は本年十月一日から、雇用保険四事業及び雇用安定資金に係る規定は本年四月一日かち施行することといたしております。 次に、日本労働協会法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。 近年、我が国の労働をめぐる社会経済環境は大きく変化をいたしております。 すなわち、一方において労使関係はおおむね安定・成熟化の様相を示してきているものの、他方において、技術革新や産業構造の変化、経済活動の国際化が進展し、また、労働力の高齢化や就業形態の多様化が進行するなど、労働市場の需給両面にわたる大幅な構造変化が進んでおり、労働者の福祉と職業の確保とを図るために解決すべき課題は、雇用、労働条件、勤労者生活など多岐にわたり複雑・多様化の度を深めております。 日本労働協会は、昭和三十三年の設立以来、労使関係の問題に関する専門的研究・教育機関として、労使関係に関する先駆的な研究を行うとともに、労使及び国民一般の労働問題に関する理解を培い、さらには諸外国の労働問題を通じた対日理解の促進等にも貢献してまいりましたが、右に述べた労働をめぐる社会経済環境の変化に対応するためには、その事業内容、要員配置を全面的に見直す必要があります。 本法律案は、このような状況にかんがみ、日本労働協会に雇用促進事業団の設置する雇用職業総合研究所を移管して、中長期的視点に立った労働問題に関する総合的な調査研究体制を整備し、あわせてその情報提供機能と労働関係者の国際交流機能を強化しようとするものであります。 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明いたします。 第一に、法律の題名を日本労働研究機構法に改めるとともに、日本労働協会の名称を日本労働研究機構に改めることといたしております。 第二に、機構の目的としましては、労働に関する総合的な調査研究並びに労働に関する内外にわたる情報及び資料の収集、整理及び提供を行うとともに、広く労働者及び使用者並びに国民一般の労働問題に関する知識と理解を深めることといたしております。 第三に、機構の業務としては、右に述べた機構の目的を達成するため、 一、労働に関する問題についての総合的な調査研究 二、労働に関する内外にわたる情報・資料の収集・整理 三、これらの成果の提供 四、労働に関する問題についての研究者及び有識者の海外からの招聘及び海外への派遣 五、労働組合及び使用者団体等の行う労働教育活動に対する援助等を行うことといたしております。 第四に、機構の業務の拡充に伴い、雇用促進事業団が行う職業の安定に関する調査研究業務及びそのために事業団が設置している雇用職業総合研究所の施設を機構に移管することとし、あわせて機構の資本金に関する規定の整備を行うことといたしております。 このほか、日本労働研究機構の役員に理事長一人を加えるとともに、理事の定数を五人以内から四人以内に減ずることといたしております。 最後に、この法律案の施行期日は、平成二年一月一日といたしております。 以上、二法案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(前島英三郎君) この際、雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分について、衆議院社会労働委員長代理野呂昭彦君から説明を聴取いたします。野呂昭彦君。
○衆議院議員(野呂昭彦君) 雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。 修正の要旨は、第一に、原案において平成元年四月一日となっている施行期日を公布の日に改めること。第二に、本案施行前において一般被保険者であった短時間労働者については、一週間の所定労働時間が施行日の前日の労働時間以上である限り、原則として引き続き一般被保険者として取り扱うことができること。第三に、政府は、この法律の施行後適当な時期において、短時間労働被保険者に係る新法の規定の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、必要な措置を講ずること。以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(前島英三郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十五分散会 —————・—————