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114回国会参議院1989/06/16

外務委員会 第4号

発言数
269
登壇者
15
会派数
4
開催日
1989/06/16

会議録

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る四月十二日、坂元親男君、松浦孝治君、柳川覺治君及び及川順郎君が委員を辞任され、その補欠として堀内俊夫君、最上進君、倉田寛之君及び黒柳明君が選任されました。     ―――――――――――――

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。  三塚外務大臣から就任のごあいさつがあります。あわせて所信を聴取いたします。三塚外務大臣。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) このたび外務大臣に就任いたしましたので、外務委員会の冒頭に当たりまして一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。  御承知のとおり、今日の世界は大きな転換期に立っております。米ソを中心とした東西関係は大きく変化しつつあり、中ソ関係も正常化されました。世界各地の地域紛争もおおむね解決の方向へと進みつつあります。  また、開発途上諸国や東欧諸国等におきましては、国民の民主化へ向けての熱望が大きなうねりを見せております。  この点に関連しまして、一言、最近の中国の情勢につき申し上げたいと存じます。  中国において、今月四日未明以来の軍の実力行使により、多くの人命が失われるという痛ましい事態に陥りましたことはまことに遺憾であります。政府といたしましては、今回の事態は、一義的には我が国とは政治社会体制を異にし、価値観においても異なるところのある中国の国内の問題と認識し、かかる観点から対応しておりますが、民主化を求める学生、市民に対し軍隊が発砲するがごとき行為は、人道上の見地から容認し得るものではございません。さらに、最近の中国政府による学生、一般市民に対する取り締まりの強化は、それが中国の国内問題であるといたしましても、民主主義国である我が国の基本的価値観とは相入れないものであります。中国の国際社会に占める地位にもかんがみ、今後、中国政府が国際世論にも十分配慮しつつ、正常化に向けて努力することを期待するものであります。  なお、外務省は、今般の中国情勢のもとでも、邦人の安全確保については、最大限の努力を行いました。すなわち、在中国大使館に邦人保護対策本部を設置し、本省に中国情勢に関する特別検討本部及び邦人保護特別対策委員会を設置し、ほとんど不眠不休で邦人の安全確保に全力を挙げてまいりました。その結果、極めて危険かつ困難な状況の中で、負傷者が二名出た以外は、四千名近い邦人を無事帰国させることができた次第であります。  このような国際情勢の激動の中におきまして、我が国の平和と繁栄を確保していくために、外交に課されました使命は極めて重大であります。今や国際秩序の主要な担い手の一人となった我が国は、我が国の一挙手一投足が世界の動きに大きな影響を与えることを十分に認識し、細心かつ大胆に外交を進めていくべきものと考えているところであります。  我が国の基本は、経済大国ではあるが、軍事大国には決してならないということであります。経済大国は軍事大国になるということが常識のように言われている世界の歴史の中では、我が国がこの基本を堅持し、「世界に貢献する日本」を実現することは、まさに壮大な歴史的実験と言っても過言ではございません。我が国の存立は、世界の国々との相互依存に深く根差しております。この現実に立脚すれば、「世界に貢献する日本」を実現し、世界の国々から信頼される日本をつくり上げてまいりますことは、我が国みずからの平和と繁栄を確保するための基盤を固めることにほかなりません。  その実現に向け、私は力の限り努力していく所存であります。  そのための具体的施策として、竹下前総理が提唱され、宇野現総理が外務大臣時代に誠実かつ積極的に推進してこられました「国際協力構想」を、宇野総理と力を合わせ、これまで以上に精力的に進めてまいります。同構想の三本柱、すなわち「平和のための協力」、「ODAの拡充」、「国際文化交流の強化」のどれをとりましても、我が国が世界全体を視野に入れてその外交を展開していく際に、欠くべからざるものであります。これらに加え、私は、この構想を一層発展させ、途上国の累積債務問題や大規模自然災害の問題、さらには、全地球人類の存立の基盤にもかかわる地球的規模の環境問題に対しましても、積極的に取り組んでまいる所存でございます。  さて、現在の我が国の未曾有の平和と繁栄は自由と民主主義によりもたらされ、時を同じゅうして、世界各国の国民は民主化への思いを一層強め、経済の繁栄を希求いたしております。このことは、戦後の我が国の外交政策の基本、換言すれば、米国との関係を基軸とした先進民主主義諸国の主要な一員としての立場と、アジア・太平洋地域の一国としての立場という二つの座標軸にしっかりと立脚し、国際責任を果たすとの外交路線が正しかったということを示しております。  外交の基本が継続性、一貫性にあることは言うまでもありません。私は、現在の我が国の繁栄をつくり上げた先人たちの卓見を見習い、その偉業を継ぎ、我が国のさらなる繁栄と発展を期するため、揮身の力を振り絞っていく所存であります。  日米安保体制を基盤とする米国との友好関係は、我が国外交の基軸であります。日米間では、現在、特に経済、貿易問題において摩擦が深刻化いたしております。私は、誤解ないし理解不足に基づく非難や、それに起因する摩擦につきましては、その誤りを正すべく努めてまいる所存でございます。同時に、真剣かつ誠実に問題の解決策を見出し、果敢に実行に移していく所存であります。  ソ連との関係におきましては、北方領土問題を解決して平和条約を締結することにより、真の安定的な関係を確立するという我が国の不動の方針にのっとり、近来活発化しつつある対話の一層の拡大強化を通じ、粘り強く努力してまいります。  今や我が国は、自国の変革をなし遂げるとともに、より大きな国際的責任を担い、世界に貢献していくことが求められているという意味で、大きな変革期、転換期を迎えております。このような転換期にあっては、内外政の一層の一体化が必要であり、急速に変化する内外情勢に的確に対応することが肝要であります。私は、広く日本の未来、そして世界の未来に目を向け、我が国外交の直面いたしております課題に迅速、果断に挑戦してまいる所存であります。  この委員会に御出席の皆々様方は、委員長を初め、いずれも多年にわたり外交に真剣に取り組んでこられ、外交問題に精通されました、いわば外交のベテランの議員各位でございます。  今後とも皆様方の忌憚のない御助言を賜りまして、外交に誤りなきを期し、日本の将来の発展のために尽力してまいりたいと考えます。よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げ、ごあいさつといたします。

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 以上で三塚外務大臣の所信表明は終わりました。  引き続き、田中外務政務次官から就任のごあいさつがあります。田中外務政務次官。

田中直紀自由民主党外務政務次官

○政府委員(田中直紀君) このたび外務政務次官に就任いたしました田中直紀でございます。  三塚大臣を補佐いたしまして、微力ではありますが、職務を全うするため全力を傾ける所存であります。  激動する国際情勢に対応して、世界の平和と繁栄のため、積極的かつ効果的な外交に取り組んでいきたいと考えております。  本委員会の諸先生方の御指導、御鞭撻と御協力をお願い申し上げまして、私の就任のごあいさつとさせていただきます。  ありがとうございました。

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 次に、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定の締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。三塚外務大臣。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) ただいま議題となりました両件、そのうち実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明申し上げます。  この条約は、昭和三十六年十月二十六日、ローマにおいて作成されたものであります。  この条約は、著作物を公衆に伝達する役割を果たす実演家、レコード製作者及び放送機関を国際的に保護することを目的としており、他の締約国における実演家等に対し、内国民待遇を付与することなどについて規定いたしております。  我が国がこの条約を締結することは、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際協力を促進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。次に、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この協定は、昭和三十二年六月十五日にニースで作成された商標が使用される商品及びサービスの国際分類に関するニース協定が、昭和四十二年及び昭和五十二年に改正されたものであります。  この協定は、商標又はサービスマークの登録制度を有している場合に、これらの登録のための国際的に統一された商品及びサービスの分類の採用について規定しております。  我が国がこの協定を締結することは、国際的に商標を登録出願する際の便宜を図り、工業所有権の分野における国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  以上、二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 ただいま外務大臣から所信の表明等もいただいたわけでありますが、またそれにかかわる中国問題を含む重要な国際問題もあるわけでありますが、きょうは条約の審議でありますので、所信に対する論議は次週にいたしまして、条約を中心に質疑をしてまいりたいと考えております。  条約は二つありますが、最初に、ニース協定と便宜申し上げますが、について質疑をしたいと思います。  まず、大臣に伺いますが、このニース協定締結の意義、理由について大臣の受けとめておられるところをまずお話しいただきたいと思います。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) ただいまの御質問ですが、標章国際分類協定――ニース協定についての意義でありますが、近年、国際的な経済活動の一層の活発化に伴いまして、標章を初めとする工業所有権の国際的な保護の必要性が高まってまいりましたことは御案内のとおりであります。我が国がこの協定に加入することは、商標の登録のための商品の分類の国際的な統一に資するものでありまして、国際的に商標を登録出願する際の便宜を図り、工業所有権分野における国際協力を推進するとの見地から有意義であると、かように考えまして加入するということにいたしたところであります。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 特許庁長官にも伺っておきたいのですが、特許庁の歴史としてはかなりの大改革、大きな節目になるだろうと思うんですが、そういうことの意義づけも含めて、特許庁としてはどんなふうに受けとめられておるか、あるいは意義づけをされておるか、まず伺いたいと思います。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) ニース協定につきましては、大分長い間我が国は未加盟の状態であったわけでございます。その理由は、協定の分類内容が日本の商品の構造に合わないということで入っていなかったわけでございますが、最近に至りまして五次にわたる内容の改定等がございまして、また先進各国ほとんどの国がこの協定に既に入っております。商標につきましても、我が国は世界の各国の中で大変大きな出願の比率も持っております。このような状況にかんがみまして、いろんな機関からの要請もございますし、私どもは協定への加入を急がしていただいているわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 そこで、実態を伺いたいのですが、将来といいますか、国際分類を採用することになるわけですが、現在の商標登録出願に関して国内だけで出願しているもの、それから外国にも出願しているものの比率は件数を含めてどんなふうになっているか。それから、外国から日本に出願をしているものの数等について説明をいただきたいと思います。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 我が国におきます商標登録の出願件数は年々増加しております。昭和六十二年には約十七万六千件となっております。このうち外国人による出願件数が約一割を占めておりまして、その件数は十年前の一・五倍ということになっております。また、我が国出願人によります外国への出願も年々増加しておりまして、昭和六十一年の出願件数は約一万六千件でございまして、十年前の二・九倍となっております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 今度の協定を見ますと、外国から我が国に出願する人たちにとっては大変便利になる。それから、我が国から外国に出願する人たちにもあるいはわかりやすくなるということがあるかもしれませんが、しかし同時に、圧倒的多数は我が国への出願者が多いわけですね。この人たちにとってはかなりいろんな負担が加重されることになりはしないかという懸念もあるわけでありますが、その辺の受けとめ方なり、また対応策についてはどんなふうにお考えになっているでしょうか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 御指摘のように、急に分類を切りかえますとそのような懸念もないわけではございませんが、私どもはそれを防ぐために、まずいきなり国際分類に切りかえるのではなくて、国内分類を主といたしまして国際分類を従たる分類とする過渡期間を置こうというふうに考えておりまして、そのような混乱はこの数年間の過渡期間により吸収できるのではないかというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 具体的な問題は後刻別の項目のところでもう少し詰めた話をしていきたいと思いますが、協定二条の二項といいますか(2)では、国際分類の扱いについて、主たる体系にするか副次的にするかというようなことについては、いずれも可というふうになっているかと思うのですが、この関係はどのように位置づけておられるのか。今もお話がありましたが、主たる体系に移行するということであれば当面副次的な位置づけになると思うのでありますが、移行はいつごろを時期的には考えておられるのかなとを含めて、その辺の関係の説明をいただきたいと思います。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 御指摘のように、主たる体系とすることもできますし、従たる分類体系として国際分類を採用することもできます。先ほどの御質問にお答え申し上げましたように、私どもは混乱を防ぐという意味を重要視いたしまして、当面は副次的な体系として国際分類を採用してまいりたいと考えております。  なお、何年間かという御質問かと思いますが、三、四年の移行期間を考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 その三、四年間に副次的な体系から主たる体系に国際分類を置きかえるということになった場合に、この三、四年間の準備期間というのは、どんな環境整備なり準備をされるのかということを具体的に説明いただきたいと思います。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 三、四年後に主たる体系といたしまして国際分類を採用するためには、審査体制あるいは資料の保管体制、機械による検索を行いますので機械検索上の対応、さらに出願人の理解と協力等が必要でございます。これらの実務上の諸問題を解決しながら対処してまいりたいというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 この国際分類を主たる体系にしていくためには、政省令の改正などは当然考えるのでしょうか、あるいはまた法改正まで必要というふうにお考えでしょうか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 政省令改正でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 これは出願人等の権利義務にもかなり響きが出てくる問題もあろうかと思うのですが、法改正までは考えておられないわけですね。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 私ども今のところは法改正まで考えておりません。政省令改正で対応し得るというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 その政省令改正の主な内容、準備状況について御説明をいただきたいと思います。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) まず第一に、|商標|出願の原則というのがございます。商標登録出願は、政令で定めます商品の区分内におきまして、商標の使用をいたします一または二以上の商品を指定して、商標ごとにしなければいけないというような原則でございます。それからまた、商品の区分、これを別表として定めるということが大事であるというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 政省令の中身はもう少し後刻伺ってもいいと思いますが、もう一点ですね、類別表等の公表、これはまあアルファベット順の一覧表の問題もあるわけでありますが、これはもとはフランス語ないしは英語でできているわけですね。これをいつ日本語にして、どのような形で公表されるのかということは、どんな予定になっておりますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 先生御指摘の英語、フランス語等についての翻訳、それからそれの分類等につきましては、鋭意作業中でございまして、作業の上速やかに公表したい、こういうふうに考えております。大体、先ほど長官からもありましたが、三、四年のスパンでしかるべき作業を全部終了していきたい、このように考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 三、四年間かかるわけですか。そうなると、副次的には採用していくわけでしょう、例えばその副次的に採用するに当たっては当然この分類表等に基づいた表示が必要になってくるかと思うのですが、その辺はどういうふうに扱うのですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 現在のところ既にほぼ対応表につきましては終了しておりまして、これを庁内外に意見を諮った上で、今年度中には素案というものができるというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 最終的には三、四年かかる、しかし素案的には今年度中にできる、こういう位置づけですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 一番基礎になりますので、その素案は完成するのはことしでございます。それをベースにいたしまして、先ほどの審査体制、資料の整備等々含めますと三、四年になるということでございまして、若干そこはあいまいになったと思いますが、先生御指摘の基礎資料はここ一、二年で少なくとも、現在作成中でございますので年内にできるものはつくり上げていくということでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 これは、副次的に採用するにせよ、スタートはいつですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 加入書を正式に寄託いたしまして、来年の二月に正式にスタートする予定でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 来年の二月から正式にスタートすることになった場合に、その分類とこの表は、確定しないまま素案的な中身で副次的にではあるにせよ、スタートせざるを得ないと、こういうことになるんですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) スケジュール的に申し上げますと、現在ほぼ――この夏には素案が完成いたしますので、二月に正式にスタートするときには固まったものが既に用意されております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 そうなると、先ほどの話との整合性が問題になる。最終的に固めて公表するのは三、四年かかるという位置づけとの関係はどうなりますか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 来年の二月までに内容を固めまして、これを世に公表いたします。それで、三、四年間は副次的な体系として皆様になれていただくという期間を置きまして、その後、正式に主と従を入れかえようということでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 その流れはわかるんですが、なぜこういう質問をするかというと、英語、フランス語を日本語に訳した場合に、分類に不明なものが出やしないかとか、英語とフランス語の話感というか、言葉の意味、内容が必ずしも一致しない場合が出たりして、それがさまざまな権利義務に影響が出ることなどがないのかどうかというような心配などもあるものだから、僕は余り語学はよくわかりませんが、かなり固めて権利関係を明確にするための前提としての分類あるいは訳し方、特に公の言葉になるわけですから、という心配もあるものですからちょっとくどく聞いているんですが、その辺の不統一なり意味のずれとかというようなものが出るおそれはないんですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) この点につきましては、WIPO、世界知的所有権の事務局がございまして、これの解釈等については世界的に統一したものを運用しておりますので、そこらと十分に連絡を取り合いまして的確な分類をしていきたいと、こういうように考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 この点もまた後で例を挙げて場合によっては議論したいと思うのですが……。  それから、協定第一条の(2)の類別表には「注釈を含む」ということになっているのですが、これは注釈全部が国際分類の構成に入るというふうに受けとめてよろしいんですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 注釈は協定の一部というふうじゃなしに、参考になっておりますが、国際分類を我が国の分類に直すときには、十分これを参考にして我が国の分類をつくっていくということを考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 例えば、この大分厚い本をいただいた。「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類(参考)」と書いてありますが、その最初のページに「商品及びサービスの類別表」の「一般的注釈」という部分がございますね。この「一般的注釈」も、いわば国際分類の構成の一部というふうに受けとめてよろしゅうございますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 国際分類の一部でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 一部ですね。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) はい。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 つまり、これを一部に取り込んで  いないと、今後新しい商品などができた場合に、どういう基準で分類上位置づけるかということがわからなくなるので、当然これも構成の一部だと  いうふうに考えていいわけですね。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 国際分類のまさに一部でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 それから、複合商品というのがありますね。例えばラジオ付時計、逆の場合の時計付ラジオとかという、複合商品と言われるものですね。この分類をどういうふうにするのかということになりますと、協定を読んでみますと、たしかいずれの分類でも可というふうに書いてあるように思われるのですが、これは従来の日本の分類方式と違うのではないか。どちらでもいいという分類ではなくて、日本の場合には、主従の関係を決めて、主たる方に位置づけるというやり方のように思われるのですが、その辺はいかがですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 考え方は、我が国の分類と同じ発想に基づいて国際分類の方も考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 いや、ちょっと協定を読んでみると、ラジオ付時計は、時計に分類してもいいしラジオに分類してもいいというふうになっているんじゃありませんか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 我が国も、このラジオ付時計のような例示があった場合には、その機能と用途に応じて分類をするという考え方でやっておりまして、考え方が同じでございますから、後は実際にそれぞれの品目につきまして事務局とすり合わせをして、的確な分類に入れていくということを作業としてやっておるわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 ラジオが中心で、それに小さい時計がついているものと、時計が中心で小さいラジオがついているものは分類が違ってきませんか、日本の場合は。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 国際分類を我が国に当てはめる場合には、条約上は「いずれの類にも分類することができる」となっておりますので、現在私たちが採用しています方法で我が国の分類をつくりかえていくというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 前後しますが、国際分類と我が国の分類と分類の仕方の特徴的な違いは何ですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 極めて要約して申し上げますと、我が国の分類はどちらかといいますと、取引あるいは用途にウエートを置いて分類をしたというところが言えるかと思います。国際分類の方は、各国共通の分類の基盤にしようという観点から、どちらかといいますと、材料主義的な色彩が強いということが言えます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 ちょっと私の理解とは違うがな。例えば今の参考資料によると、国際分類の方は機能または用途を基準にしてやるということが中心じゃありませんか。我が国の方は、取引というか販売みたいなものを重点に分類しているのと違いますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) おっしゃるとおり、完成品につきましては、国際分類も用途の方に重点を置いてきまして、ここに書いてありますような考え方を昨今取り入れ始めたということが言えます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 そこで余り混乱しなければいいのですが、いずれでもいいとか、どちらにも位置づけられるということになると、統一的な基準がなかなか難しいのかもしれません。例えば、時計付ラジオもさることながら、何といいますか、カメラとラジオと時計と一緒にやった多目的商品なんというのがいろいろこれから出てくる可能性もあるし、現にあるわけですね。そういう場合の位置づけをどういうふうにやるのかによって、基準が統一してないと少し煩項になったり、手間が余計かかったりしはしないかという心配からの質問なのでありますが、その辺は統一的にしかとやれるわけですな。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) その点には十分配慮いたしまして、日本の国際分類に基づいた分類を作成していきたいと考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 そこで、最初に伺った、日本の人が日本に出願する場合のケースを考えているわけですが、これがまた圧倒的に多いわけで、出願人の負担が国際分類ということになった場合に非常に大きくなるのではないかという懸念があるわけですね。  その懸念の具体的な事実関係について少し詰めてみたいと思うのですが、現在の日本の分類では一つの類になっているものが、国際分類では非常に多数の類にまたがっているケースが相当程度出てきはしないかということなんですが、この点はいかがでしょうか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 国際分類に移行した場合に、先生の御指摘の約六倍ぐらいに現行日本分類には分散するということがございますが、その場合に出願人が商標を使用しようとする商品そのものにつきまして出願をいたしますと、出願自身につきましては区分がたくさんふえるということは余りないだろうと、こういうふうに思っております。  ただ、先生御指摘のとおり、出願人が既登録等の先に既にある商標について調査をしたいというときに、どこの分類になったかということがわからなくなるというおそれがあるわけでございます。この点につきましては、先ほど先生が御指摘のとおり、分類同士、日本分類、国際分類にあります商品についての対応表というものをつくりまして、双方に比較調査ができやすくするように万全の準備をしたいと思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 例えば、日本の分類で被服、布製の身回り品、寝具という分類が一分類としてありますね。これに見合った国際分類をずっと当たっていきますと、何と十項目にまたがるというようなデータが出ているんですが、それはそういうことになりますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 確かに、衣服につきまして材料別に見ますと、そういう分類に分かれる可能性があるわけでございますが、個々の商品に着目して実際に使う商標を出願する場合には、すべてについて出願するという必要性はなくなってくるわけでございます。そういう観点から、すべてについて出願するということまでやらなくても的確に出願していただければ煩雑さはなくなると、こういうふうに思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 その話はまたもう少ししたいんですが、例えば台所用品、日用品は日本では一項目なのですが、それが外国の分類、国際分類に従うと十五項目に分かれるという、これは一覧表が全部ありますけれども、非常にその点では、どれに当たるのかサーチをするにしても、それから出願をするにしても、出願人側の負担が大きくなることになりはしないかというふうに思うんですが、それはいかがですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 御指摘のとおり、例えば台所用品ですと電気器具のものから始まりましてプラスチック製品まで区々分かれておりまして、我が国の分類ではそれを一つの分類に集めておる。しかし、国際分類ですと、先ほど申し上げましたように、電気製品ですと電気のところに、あるいはプラスチックの日用品ですとプラスチックのところに、こういうふうに材料的に分かれておる。したがって、その場合に出願人の方が本当に自分が使おうとする商品につきまして出願しますと、例えば電気製品の日用品についてマークをとろうということになりますとそこの分類について出願していただく、プラスチックまで出願をしないということになりますと合理的に出願ができるわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 その説明はわかったような感じはするが、わからないんです。今まで日本でやった場合には、一つの商標で出願すればプラスチックにも電気製品にも両方にその出願は及んだわけでしょう。しかし今度は、両方に及ばせるためには、電気製品とプラスチック製品と両方に二本の出願をしなきゃならぬということになるんじゃありませんか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 先生のおっしゃるとおりでございます。商標法でもございますが、企業者が使用しようとする商品というものに着目して適正に出願をきちっと絞っていただく。ただ、今のようにすべてのものについて商標をとろうとすると、先生の御指摘のとおりになるわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 だから、端的に言えば、日用品、台所用品について全部その商標をつけようと、木製品にもつけても、出した場合には一本の出願で日本の場合はよかったのに、今度は十本とか対象品目がずっとふえることになれば、国際分類に従うと十の出願をしなければ全体のカバーができないということになるんじゃありませんか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 先生の御指摘のとおり、台所用品すべてについてとりたいという場合にはそういう形もあり得るかと思います。ただ、的確に合理的にということになりますと……

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 まあ、いいや。  商売ですから、自分の商標はできるだけ多くのものに広く影響力を行使したいということで考えるわけなので、的確論だけでいくわけじゃないんですね。ほかの製品が出ても、台所用品、日用品であれば自分のところのマークなり商標なりがいろんなところに輝いていることが望ましいのであって、その点では、日本で言えば一本で済んだものを、この表を見ますと平均して六・数倍、六倍以上の手間暇が場合によってはかかる可能性を持っておる。それは認められるわけですね。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 我が国の今の日本分類が国際分類に移行しますと、先生の御指摘のとおりでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 それは結構です。  ということになるので、言うならば出願人にとって非常に負担増になると思うんですよ。既登録者の調査、サーチなどにも相当の負担がかかるというだけではなくて、もう一つは、特許庁側の審査官にとっても仕事量がしたがってまたふえることになりはしないか。直ちに六・四倍になるかどうかは別としても、相当程度の仕事量の増大につながりはしないかということも言われているわけですが、その点はいかがでしょうか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 確かに、国際分類を採用しますと、今の日本分類が六・何倍になるケースもございますが、逆に、先ほどの例でもありますように、電気製品だけが一つにまとまってくる、あるいは金属製品だけが一つにまとまってくるという逆の利点もございまして、一つ多く出願していたものが一回で済むという逆のケースもあり得るわけでございます。  ただ、御指摘のように、今の分類のままでいきますと現在の分類が六・何倍になるということもございますので、この点の、特に既存の商標の調査という点について審査あるいは出願人の負担になる可能性もあるわけですが、この点につきましては対応表等を作成いたしまして、調査あるいは審査のためのサーチが迅速に行えるようにしかるべき対応を進めていきたいと思います。例えば、機械検索等によりましてこれらの負担を解決するというようなことが考えられるわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 逆の場合もあると言いますが、それは割合からすれば少ないのであって、そうでない、私の指摘の方が量的には多いし、負担の増になることは明白なんですが、今出た機械化ですね、電算化の問題は、図形についてはそれはできないんじゃありませんか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 現在、文字につきましては約八割方のものが該当しますが、これについては五十三年から機械化をやってきておりまして、進んでおります。図形につきましては現在既にその作業に入っておりまして、図形の分析を行いまして、これをコンピューター化するという計画を進めております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 全くできないかどうか私はわかりませんが、図形商標を電算化するというのはなかなか難しくて、依然として手めくりでやっているというような状況が続いているんじゃありませんか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 現在のところは手めくりでございますが、既に特許庁のペーパーレス計画の一環といたしまして、図形をすべてコンピューターの中に入れて、これを検索するというシステムを現在開発中でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 開発中、その見通しはどうなりますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 現在既にそのプログラム等も今年度につきまして実行することでございますので、機械等の進展もありますので、ここ数年のうちには解決する、こういうふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 私の伺ったのでは、数年間で解決するかどうかということは見通しの問題ですが、図形の電算化、機械化というのはなかなか容易でない。手めくりの状態が続いておって、少なくとも当面相当程度の負担増になるということが言われているんですが、その点の対策は何か考えていますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 現在、副次的体系でスタートいたしますと、直ちに図形がネックになるということはございませんが、主たる体系等に移行する時点におきましては図形のデータベース化、それからそれをコンピューターの中でサーチをする仕組みが解決するというふうにほぼめどをつけております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 図形というのは商標の中では何件ぐらいありますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 約二割ぐらいでございます。したがいまして、更新を含めまして十七万件のうち約三万から四万件……

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 三、四万件ですよね。ですからこれは、国際化になると軍純な計算では六・四倍図形もふえる。それが、機械化がどの程度進むのかは知りませんが、従前の手めくり方式でやったらこれは大変な仕事量になりはしないかということなども実は心配をされているので、そこら辺の対策も、これは希望も含めて言うのでありますが、万全を期していただきたいということが私の期待です。  それから、サービスマークの登録制度について話を移しますが、これについては、サービスマークの登録制度が確立をされていないのは先進国では日本だけだ。かなり以前から議論があったにもかかわらず、ずっとおくれてきた事情、理由はどんなことだったのでしょうか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) サービスマークが導入されていない国は、先進国では日本とスイスがございます。それでサービスマークの導入につきましては鋭意検討を続けてまいりましたが、特に昨今のようなサービス産業が非常に進展いたしまして、サービスマーク自身の必要性というものが最近特に高まってきたという背景がございますので、我々としましては、このサービスマーク導入に向けて今後検討していきたいと、こういうふうに思っております。ただ、それを今まで長期間導入されなかった理由は、そのような社会的なサービス産業の振興の度合いというものが必ずしも十分でなかったというところが非常に大きな点ではなかろうかと思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 これは外務省に伺った方がいいでしょうかね、本来は通産省かもしれませんが。  USTRの報告でもサービスマークの登録制度がないことがやり玉に上げられている、貿易障壁の一つだというふうにも言われているのですが、この点について外務省はどんなふうに受けとめ、対策の推進に当たっておりますか。

佐藤嘉恭外務省経済局長

○政府委員(佐藤嘉恭君) ただいま先生御指摘のとおり、先般発表されましたアメリカのUSTRによる諸外国の貿易障壁に関する報告書、この中で、サービスマークの登録制度がないということが一つの問題点として指摘をされております。  ただいま関係省庁から御答弁がございましたように、私どもとしては、日米間の知的所有権のワーキンググループといった場もございますので、こういう場で日本側の今後の検討状況を議題にしながら、その都度こういったことがいわゆる貿易摩擦といったような問題にならないように対応してまいりたいと、とりあえず今のところそういう考えでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 最終的には落とされたわけですが、最初貿易障壁三十四項目の一つに入っておって、国際的にも非常に問題にされているだけではなくて、国内でも既に、七十五国会と言われておりますから昭和五十年になりましょうか、国会の附帯決議でサービスマークの登録制度の確立について要請をされているんですが、それにしては特許庁なり政府の対応はひどく遅きに失しているのではないかという印象を受けるのですが、何か特段の事情でもあるんでしょうか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) あの附帯決議等を受けまして、私どもは、サービスマークの保護のあり方についての検討の基礎とすべくいろいろな資料を既に集めて努力をしているところでございまして、アメリカに対しましても、サービスマークについてはその制度的な導入を図りたいということを既にお伝えしております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 この種サービスマークについて、これまでは日本の国内法的な対応というのは何かあったんですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 国内で周知のサービスマークにつきましては、不正競争防止法によりまして保護されておるわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 その不正競争防止法によるサービスマークの保護と登録制度の確立とはどこが違うわけですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 不正競争防止法ですと、国内に周知されているという事実に基づきまして保護されるわけでございますが、現在サービスマークの登録制によりますと、登録されているかいないかという点につきまして保護の観点が違ってくる。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 争いになった場合に、周知について挙証、立証の責任みたいなものが原告側にあるという構造になるわけですかね、不正競争防止法の対応では。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 登録されますと、そのされているということにつきまして、現在ですと商標権、今度はサービスマーク権といいますか、その権利を占有して利用することができるという形になりますし、それに対して保護がされるということがございますので、周知性ということは必要がなくなるわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 挙証、立証の責任がなくなるということになるわけですね。わかりました。  したがって、その整備が急がれているわけですが、現在の準備状況と、今後いつごろをめどにこの種制度の確立を考えていくか、その手順、段取りなどについて御説明ください。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 現在のサービス業の進展の度合いとか、あるいは内外の要望にかんがみまして、サービスマークを導入するということが必要であるという認識に立っておりまして、現在作業中でございます。  実際に作業を導入するとなりますと、法律的な面の手当てあるいはこれの機械的な調査システムの開発、あるいは審査体制の整備等が必要になってきますので、これらをすべて対応しつつ、この導入制度につきまして積極的に取り組んでいきたいと、こういうふうに考えております。  また、その際には十分関係業界なり、あるいは出願人に対しまして、こういう制度の趣旨なりあるいは内容を十分周知徹底させてスタートすることはまた大事なわけでございますが、これらの点も十分な対策を講じまして導入に向けていくというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 いつごろめどにしておりますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) これは諸措置を講じて円滑に導入するためには、やはり三、四年のめどが必要でなかろうかと思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 国際分類に移行する時期と大体時期を合わせてサービスマークの登録制度も確立をしたい、あるいは法制化したいという考え方でございますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) すべての所要措置が整いまして、関係業界がそれに対応できるという体制も整いましたら大体同じ時期に導入したいと、こういうふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 少し話題を変えますが、国際分類に移行するということになりますと、日本国有の商品ですね、例えばみそだとか、すしたとか、げただとか、着物だとかという、この種のものの国際分類の扱いはどうなりますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 協定によりますと、国際分類の中のさらに各国の分類に適用するときには、それぞれ各国に応じた製品を選んで、そして分類に追加するということについては可能でございますので、なじみの深い製品につきましては追加していくというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 この種の商品の国際分類における扱い、国際分類について日本の意見を反映させるための体制が必ずしも日本の側では十分に整っていないのではないかと思われる節があるのですが、それはどんな体制でやっておりますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 今後、この協定に参加いたしますと、協定のもとで国際分類を修正するという専門委員会がございまして、この委員会のメンバーになるわけでございますが、その場合に新しい製品の追加、あるいは先ほどの先生御指摘のような、各国に特有な製品の追加につきましては、この専門委員会で議論されるということになります。そのために、特許庁におきましても、このような我が国の意見が形成されるような場所なり、あるいは体制をつくる必要があると考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 その弱さの一つのあらわれとも思えるのですが、例えば今準備作業部会の作業概要という資料があります。これを見ますと、第九回ですから八八年の六月二十日から二十四日までの会期で行われたようですが、豆腐は二十九類というのに追加されたようですがね、すしは三十類に追加する案が否決されたという、支持されなかったというような経過もあるようですが、これはどういういきさつだったんですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) その議論につきましては、我が方はメンバーでございませんので、メンバー国の議論というのが十分わかってないわけですが、結果だけそういうふうに伝わってきたわけでございますが、今後このメンバーになりますと、我が国の立場、我が国の意見というものをその準備作業委員会も含めまして述べていきたいと思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 いずれにしても、部内にこの種問題に対応する検討委員会があるようですが、これはこの部内の委員会だけでは率直に言うと不十分な感じがするんです。その点でいえば、国内外の専門家のスタッフ、専門家などを集めて国際化に対応するような体制を緊急に確立する必要がありはしないかという感じを受けるのですが、その点はいかがでしょうか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 作業部会あるいは専門委員会等に我が国の意見を反映させるためには、特許庁の中の検討はもちろんでございますが、国内の工業会等と意見調整をして、そして我が国の意見とするということになりますので、当然に特許庁及び産業界との意見交換の場、意見の調整の場というものは必要であると思いますし、今後そのような体制を形成していきたいと考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 国内における体制はそれはそうだと思いますが、やっぱり国際的な影響力も行使しなきゃならぬし、その舞台における我が国の立場を十分に反映させるような体制もつくらなきゃならぬわけですから、内外における体制整備ということとしてぜひ考えていただきたいというふうに思っております。  それから仕事の内容、量的拡大に伴って人的な体制が十分に確保されているのかどうか、労働条件などがどうなっているのかということを中心に少し伺っていきたいと思うのです。  商標の出願件数を国際的に比較してみると、我が国は非常に多いように思われるわけですね。それに対して、出願人の負担増がありましたが、同時にそれを担当する審査官の負担もふえるわけなんで、審査官の人数等は逆に少ないという印象を受けるのですが、その商標出願件数の国際的比較と、対応する審査官の数の比較などがわかったら御説明をいただきたいと思います。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 我が国の商標の出願件数は六十三年度におきまして約十二万件でございます。審査官数は六十三年度末で百十八人となっております。諸外国と比較してみますと、米国におけます出願件数は約七万件でございまして、審査官数は百十九人、日本とほぼ同じでございます。一方、欧州におきましてはヨーロッパ特許庁というものができているわけでございますが、これは特許しか扱っておりませんで、商標につきましては国ごとにやっております。この代表的な国といたしまして、例えば英国、西ドイツの出願件数あるいは審査官数を申し上げますと、英国は三万一千件、八十人の審査官という体制でございますし、西独は二万六千件で三十八人という体制でございます。これはいずれも八八年の数字でございます。  各国ごとに状況は異なりますが、したがいまして単純に比較するというわけにはまいりませんが、我が国は欧米と比べますと、相対的に出願件数に比べまして審査官数は少ないと言えるのではないかと思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 ちょっと聞き落としましたが、日本の商標出願件数は十二万とおっしゃられましたか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 十二万件でございます。約十二万件でございます。これは更新出願が入っておりません。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 十六万件とか十七万件と……

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 十六、七万件という方は更新出願込みの数字でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 ああ、そうですが。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) はい。十二万件と申し上げましたのは……

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) ちょっと御注意申し上げます。  だんだん議論が紛糾をしてまいりますと、委員長の指示を待たないで御発言の向きがございますが、その辺は委員会の規律をお守りいただきたいと存じます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 そうすると、十二万件というのが比較のための数字としては適切だと、こういうお考えですね。  しかし、それにしても、アメリカ七万件に対して百十九人、日本十二万件について百十八人、人数は同数でありながら五万件くらい数が多いということになるわけで、全体の国際比較から見ると日本の審査官はかなり労働過重になっていると、あるいは逆の言い方をすればより不足になっているということは言えるわけですね。  じゃ、あわせて特許の方を参考までに。たしかどっかの数字で見たんですが、審査官一人当たりの担当件数というような比較表があったかと思うのですが、いずれでも結構ですが、特許関係の比較はどんなふうになりますか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 特許・実用新案についてお答え申し上げたいと思いますが、日本、アメリカ、ヨーロッパ特許庁の処理件数と審査期間を比較いたしますと、日本は約二十一四万件で審査期間が三年と一カ月、これは六十三年末の時点でございますが。一方、米国は約十四万件で一年と六カ月でございます。また、ヨーロッパ特許庁におきましては約二万一千件で二年六カ月でございます。このように我が国の審査処理期間は諸外国と比べましても長期化しているというのが現状でございます。  このため、私どもは審査官等の増員を初め、ペーパーレス計画の遂行、あるいは民間能力を活用いたしました先行技術調査の外注化、審査請求の厳選化等の総合的、体系的な対策を現在講じているところでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 特許についても審査官一人当たりの持ち件は非常にやっぱり多いために時間がおくれているという指摘はできるわけですか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) そのとおりでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 一人当たりの持ち件数が多いということの何か比較の数字はありますか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) ちょっと先生、私今数字を持っておりませんが、私の記憶で大変恐縮ですが申し上げさしていただきますと、日本の審査官の一人当たりの処理件数は約二百五十件でございます。一方、米国におきましては八十数件、ヨーロッパにおきましては五十数件でございます。端数まで正確に覚えてないのでお許しください。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 私が伺っておる数字もほぼ同じ数字でありますが、そういうことで商標にしても特許にしても件数に比べて審査官の数が非常に少ない。そのことがまた審査の期間が諸外国に比べて長い。この長時間の審査を必要とすることが国際的な非難を浴びている。これは外務省、通産省も御存じだと思いますが、先ほどのUSTRの指摘でもサービスマークの登録制度がないということとあわせて、商標登録手続が緩慢である、手続中に侵害に対する罰則規定がないと。要するに、時間がかかり過ぎる、のろいということを言うわけですが、その点はやっぱり一番大きな原因は、やっぱり人員不足ということで伺って、特許庁、よろしゅうございますか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 最近の国際的な場におきます議論では、日本特許庁に対する非難の根底にこの審査期間の長期化の問題があるというふうに私どもは認識しております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 参議院の商工委員会で附帯決議がなされているんですが、六十二年の五月二十一日です。必要な人員の確保をしなさいという附帯決議があるわけですが、国際的にも批判を受け、国会でも論議をされているわけですが、この要員の確保、人員の充足のために特許庁はどんな努力を今日までしてきましたか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 特許庁の審査官数でございますが、昭和五十五年度の千九十人をピークにいたしまして、昭和六十三年度におきましては千二十九人と減少を続けてまいりました。しかしながら、昨今の技術の高度化、複雑化等の中におきまして工業所有権の重要性が政府部内におきましても認められつつあるというふうに私ども感じておりますが、平成元年度の機構、定員の問題といたしましては、審査官数を久しぶりに二十九名増員をお願いしたところでございます。  特許庁といたしましては、行財政改革の厳しいことは十分認識しておりますが、今後とも増員を引き続き図ってまいりたいというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 私の伺ったところでは、審査等に長時間要しく夜中まで毎晩働かなければ処理できない部門もあるし、最近は職場で過労死なども出ているというようなことも聞くわけでありますが、特許庁としての努力も少し十分でないのではないかということの印象を受けるのと、あわせて、きょうは総務庁に来ていただいておりますが、総務庁はこの状況をどういうふうに受けとめておりますか。

陶山晧総務庁行政管理局企画調整課長

○説明員(陶山晧君) 特許・実用新案等の要処理期間が長期化していることに対しまして米国等から強い批判が寄せられるなど、我が国の特許行政をめぐる情勢には非常に厳しいものがあるということは私どもも承知をいたしております。今後、審査期間の短縮、あるいは工業所有権行政の国際化への対応等が喫緊の課題となっているという認識は私どもも有しておるところでございます。こうした状況にかんがみまして、特許・実用新案審査処理を中心とした特許行政体制につきまして従来からできる限りの配慮をしてきたところでございます。  平成元年度につきましては、先ほど特許庁からの御説明もございましたように、特許庁全体といたしまして四十人の新規増員を行うことといたしましたが、今後の行政体制のあり方につきましては、特許庁から具体的な要求が出された段階で特許庁からのお話をよく伺いまして、私どもとしても十分検討をしたいと考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 従前の国際比較でもかなり日本の審査官等は過重労働、重い負担を課せられているというふうに考えられるわけですが、国際分類ということになると、きょうの論議でも明らかになりましたように、何倍になるかということは少し定数の考え方は違いが出てくるかもしれませんが、相当程度機械化しても、なおかつやっぱり負担増になることは明白であります。あわせて、サービスマークの登録制度というのを三、四年後に導入するということになりますと、従前の五割増しぐらいの人員が必要じゃないかという見方もあるんですが、その辺はどうですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) サービスマーク等の導入によりましてどのくらいの出願件数がふえるだろうかという見通しにつきましてはいろいろございますが、各国の様子を見ますと、国によって制度が違いまするから件数のぶれはありますが、大体一割から二割ぐらいの増になっておるというふうに統計的には出てきておるわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 これは予想ですからいろいろな見方があると思うんですが、駆け込みで五十万件ぐらいどっと押し寄せるんじゃないかなどという見方をする向きもありますが、それはそれとして、新しい制度の確立ですから仕事の量が急速にふえるわけですね、必要とされるわけですね。そういうことから考えますと、これは総務庁にもしかと聞いておいていただきたいのですが、やっぱり公務員全体の数を少なくしようということを言う余り、これは外務省ももっと本当は必要だと私は思っているんですが、国際化に対応して仕事が非常にふえる分野についてはビルド化していかなきゃならぬ、切ればいい、少なくすればいいというものではないということについての認識を総務庁自身ももう少し持ってもらっていいのではないか。  それから、特許庁、外務省も、これは通産省もかかわるんでしょうが、全体として待遇改善とか人員の確保ということを行って、国内的にはもとよってありますが、仕事が遅いとかサボっていて遅いんじゃないんですよ、夜中まで働いてもできないから遅いのでありまして、という国際的な非難を浴びないような体制づくりのために政府各機関がさらに一層の努力をしてほしいと思うんですが、外務大臣もこれは所管の大臣でもありますから、大臣、いかがでしょうか。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) ただいま矢田部先生、また政府委員の質疑を聞いておりまして、事柄の今後の進め方の重要性をよく理解いたしたところであります。今後、御質疑のポイントを踏まえながら、的確性を期しながら、また対応力も持つことによりまして、本協定に加入することによりまして、我が国のこの分野の行政がかりそめにも摩擦に相なりませんように、また我が国の権利がきちっと保護されますようにしむけていかなければならぬものと痛感いたす次第であります。今後ともベストを尽くしてまいるつもりでありますが、また格段のときどきの御指摘をちょうだいをいたすことによりまして対応してまいりたいと思っております。  特に、体制整備のための国際化に伴う人員増につきましては、当委員会のまた御協力などを十分賜りつつ、主管大臣として財政当局との折衝において体制整備のための強化を図ってまいるべく全力を尽くしてまいるつもりであります。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 大臣にもよろしくお願いしたいと思いますが、待遇の面を見ましても、どうも同じ通産省の部内というか、関連の庁でありながら昇任昇格なども必ずしも見合っていない、遅いというような指摘もあるし、それから国際化ということになりますと、審査官自身がこれからかなり語学力を持たなきゃならぬわけですね。こういう研修の体制なども緊急につくって、数だけのものではなくて、資質を高めなきゃならぬという環境整備も実は必要になってくるわけですね。  こういうことも考えますと、全般的な労働条件、それから資質の向上のための体制づくり、人員増ということを含めて、長官、格段のやっぱり努力をしてほしいと思うんですが、いかがですか。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 特許行政の適正な運営のためには、人の要素に依存する面が大変大きいというふうに感じております。特許庁といたしましては、職員の処遇の改善を図りまして、職務に対すると気を維持高揚することは極めて重要であるというふうに認識をしております。  御指摘の処遇改善あるいは語学研修、これは私ども日ごろから心がけておりまして、処遇改善は本年度も努力させていただきましたし、語学研修も既に行っておりますが、先生の御趣旨を十分踏まえまして、今後ともその方向で努力をさせていただきたいと思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 総務庁にお願いしておきたいんですが、三名、五名の増員ではちょっと動きがとれない。審査官の養成ということになるとすぐにできるわけじゃないんですよね、何年かかかる。特に、語学力なども仕事上これからは十分に必要とされるということでありますから、国際化に対応した要員確保というか定数問題については、しかと考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。一言だけ、それだけで結構ですから。

陶山晧総務庁行政管理局企画調整課長

○説明員(陶山晧君) ただいまの矢田部先生の御意見をしかと承らせていただきました。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 総務庁、結構です。  それから、外務省に前後して一点だけ伺っておきますが、先ほど貿易障壁の一つとして、商標登録等時間がかかり過ぎるとか、サービスマークの登録制度ができていないというような指摘がアメリカからなされているんですが、これは外交的にこの種問題が俎上に上っていて議論になっていることはありますか。これは通産省になるんでしょうか。

佐藤嘉恭外務省経済局長

○政府委員(佐藤嘉恭君) 先ほど先生から御質問ございましたが、諸外国の貿易障壁、これはアメリカのUSTRが日本との通商問題の中で知的所有権にかかわる問題は何があるだろうかということを整理をした部分でございます。御指摘のとおり、そこに商標、サービスマークの問題あるいは著作権の問題あるいは特許の問題といったことが米側の関心事項として指摘をされておるわけです。  こういった問題は、一々説明をいたしませんけれども、御案内のとおりでございますが、日米間のいわゆる通商問題の協議の場におきましてもかねてから指摘をされていた問題だということでございますから、私どもとしては、そういった日米間の協議の場を通じて、日本側の今後とっていくであろう措置等については理解を深めていきたいというふうに思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 最後に特許庁に、今度は労働条件の問題とあわせて、冒頭に申し上げましたのは、出願人の側がいっときの戸惑いなり、混乱というかどうか知りませんが、それについての十分なPRなり対応策を講ずるとともに、国際分類に移行した結果、費用の面でも手間暇の面でもかなり負担増になることが先ほどから想定をされるので、これらの改善策といいますか、負担をできるだけやっぱり軽減するための諸措置を十分講じていただきたいというふうに思います。  それらについて今後の対応、先ほどちょっと触れていただきましたが、また我々の期待にこたえていただくようお願いをして、それに関する特許庁長官のお答えをいただいて、この部分の質問は終わりたいと思います。

吉田文毅特許庁長官

○政府委員(吉田文毅君) 今後の対応策につきましては、先ほど来先生からも幾つかの点御指摘を受けておりますし、私どもも内部的にも関係業界と十分問題点を詰めまして、円滑なシフトが国際分類の方に向かってできるように、十分な対応をやってまいりたいというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 以上でニース協定については終わりますから、特許庁、結構です。  著作隣接権保護条約というんですか、この著作隣接権というのはどういう権利なのか、少しわかりやすくというか、概括的に説明をいただきたいと思います。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 著作権制度のもとで保護する対象といたしまして、大ざっぱに申しまして二種類ございます。  御案内のように、著作物をつくる立場の方々、これを著作者という表現で著作権制度で保護しておるわけでございます。一方におきまして、著作物を直接つくるということではないけれども、その著作物を公衆に伝達するという過程におきまして、それなりの知的なあるいは創作的な寄与を果たすというグループの方々がおるわけでございます。これらの方々についての保護につきましては、著作者と同等ではないけれども、一般に著作者に準ずるような保護が与えられてしかるべきだというのが国際的な理解になっておるわけでございます。  具体的に申しますと、現在この著作隣接権ということで保護されるものといたしましては、一つには実演家の方々、具体的には俳優の方々あるいは歌手の方々、演奏家の方々などがこれに該当するわけでございます。それから、特に音楽関係でございますけれども、つくられた音楽の著作物をレコードという形にして製作するというレコード製作者の方々、それから著作物を放送という形によって公衆に伝達する放送事業者、大きく言いましてこれらの方々につきまして著作隣接権者ということでくくりまして、著作者に準ずるような保護を与えておるところでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 この条約は六一年につくられまして、六四年から発効しているんですが、日本は今日までなぜ加盟してこなかったんですか。その事情、理由などについて述べていただきたいと思います。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) いろいろ国内的な経緯があるものでございますので、私の方からお答え申し上げたいと思うのでございますが、昭和四十五年に現在の著作権法ができております。それ以前は、私ども旧著作権法と称しておりますけれども、片仮名のまじった法律でございますが、旧著作権法の時代におきましては、基本的に申しまして、先ほど申し述べました二つの方々のうちの著作者の権利の方については規律していたということでございまして、実演家等の方々についての権利については規律してこなかったわけでございます。昭和四十五年の改正の際に、これが大改正であったわけでございますけれども、既にそのときに世に出ておりました実演家等保護条約の規定を参考といたしましてその実演家等の保護を現在の著作権法の中に盛り込んだわけでございます。  その際に、何分にもそういう実演家等の方々の権利を保護するという仕組み自体が新しいものでございますものですから、すぐさまそれを国際的に適用するということについては若干問題があったのではないかというようなこと。それから、当時、昭和四十五年の段階でございますけれども、既に実演家等保護条約は発効しておりましたけれども、加盟国がまだ十一カ国というようなことで国際的にも必ずしも熟していなかったのではないかというような認識がございまして、しばらく国内的あるいは国際的な定着状況を見きわめる必要があったということで昭和四十五年の段階では見送ったわけでございます。  その後、特に実演家、レコード製作者それから放送事業者の間の権利関係あるいはその権利の行使につきましての実態というものが熟してまいってきたわけでございまして、それらの実態を踏まえまして数年前から著作権審議会におきまして審議をし、昨年におきまして、我が国の国際的地位等も考慮いたしましてこの際実演家等保護条約に入る時期が来ている、こういう答申をいただいたわけでございます。そういうことで今回、この条約に加入するということについての御承認をお願いしておるところでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 経過としては放送事業者などから比較的反対が強かったと言われているんですが、その反対の理由と、今日ではそういう反対の経過は解決されたのかどうか、いかがでしょうか。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 先生御指摘のように、この隣接権制度と申しますのは、それぞれ実演家それからレコード製作者、放送事業者の権利それぞれを保護するということもあるわけでございますけれども、もう一つ、それらの権利者間の権利調整というものも含んでおるわけでございまして、放送事業者がレコードを放送に使用するということにつきましては、二次使用料という形で放送事業者側から実演家それからレコード製作者に対して支払うという、そういう仕組みになっているわけでございまして、この条約にもそれが書いてあるわけでございます。  邦盤につきましては、先ほど来御説明申し上げましたように、昭和四十五年以来、放送事業者と実演家等の団体との間でその二次使用料の支払いについての秩序が形成されてきていたわけでございます。ただ、今回、実演家等保護条約の締結ということになりますと、締約国のレコードにつきましてそれを我が国の放送事業者が使用するということになりますと、それにかかわります二次使用料の支払い義務というものを我が国の放送事業者が新たに負うことになるわけでございまして、そういうような経済的な問題ということも放送事業者の側には当然念頭にあったわけでございます。  放送事業者といたしましては、基本的にはそういうことが念頭にあるわけでございますが、言い方といたしましては、邦盤についての二次使用料の扱いについてもまだ必ずしも熟していないのではないかとか、あるいはレコードの保護ということにつきましてはレコード保護条約というのが既にありまして、これは我が国も締結しているわけでございますが、そういうことによってある程度保護されておって新たに実演家等保護条約に入らなくてもいいのではないか等の理由を掲げまして、条約の加入そのものについて反対してきたわけではございませんけれども、時期尚早ではないか、こういう言い方で反対または消極の意見を出してきたわけでございます。  今回、条約の承認案件を御審議いただき、またそれに伴います関係国内法の改正を国会に提出するということに際しましての放送事業者側の最近の意向と申しますのは、放送事業者は御案内のようにNHKと民放とございますが、NHKにつきましては反対はございません。また、民放につきましても、基本的には先ほど申しましたような理由でもうしばらく待った方がいいのではないかということではございますけれども、我が国の国際的な地位あるいは国際条約への加入、国際知的所有権の保護というような観点から国会における審議状況も見守りたい、こういう態度でございまして、また条約締結ということをお決めいただきましたならば二次使用料の支払いということに関しましても誠意を持って対応する、こういうのが最近の対応かと考えているところでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 時間がありませんので、できるだけ端的にお願いしたいと思います。  アメリカが入っていない理由は何ですか。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 簡潔に申しますと、我が国と異なりまして、実演家につきましての、あるいは放送事業者の放送につきましての保護を著作権制度のもとでアメリカにおいてはとっておらないということでございまして、したがいましてアメリカはこの条約に加入する制度的な基盤を持って  いないということが理由でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 時間がないから私もかいつまんで言いますが、二次使用料の支払い方式が幾通りかありますね、二つでしょうか。こういう方式はずっと並立させていくんですか。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 現在の邦盤につきましての二次使用料の決め方でございますが、これは放送事業者とそれから我が国の実演家団体、具体的には日本芸能実演家団体協議会でございますけれども、その団体及びレコード製作者の団体、具体的には日本レコード協会との間で二次使用料をことしはどう決めるかということを毎年取り決めておるわけでございます。  条約締結後におきましては、外国のレコード製作者あるいは外国の実演家等との間の契約に基づきまして、芸団協あるいは日本レコード協会を通じまして、やはり同じ交渉事でございますけれども、どのような支払いをなすかということについての取り決めをする予定でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 芸団協の場合には、チェコとの関係では相互送金みたいな方式でしょうか。それからロンドン方式、フレア協定等――フレア協定では自国内で使う、送金せずにそれぞれの国で使うというやり方があるようですが、こういう分配方式をとった場合に、関係者の間のトラブルとか一部団体の利権化の動きなども懸念されるわけですが、その辺は適正に処置できるんですか。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 芸団協とそれから関係国のちょうど日本の芸団協に相当する実演家団体との協議と申しますか約束事によりまして、それぞれ受けた二次使用料についてはそれぞれの団体にとめ置きをするという約束事になっておりますので、この点については関係当事者間でそういう了解ができておるということでございますので問題はなかろうかと考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 それから、あと幾つかあるんですが、貸与権という概念がありますね。外国人の著作者に認めている貸与権等を外国人の隣接権者に認めていないということが問題なのではないか。今後の問題としてはこの外国人に貸与権等を認めていくことが隣接権の国際的保護の観点からも必要ではないかという議論があるんですが、これについては、今後の問題ではありますが、どういうふうに考えておりますか。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 貸与権の問題につきましては、昨年の著作権審議会の答申におきまして、これは実演家等保護条約上の義務ではないけれども、一般的に著作隣接権の国際的な保護を充実するという観点から、隣接権条約締約国の実演家団体あるいはレコード製作者だけでなくレコード保護条約のレコード製作者に対しても認められるのが適当であるという答申になっておるわけでございまして、私どもといたしましては、国内的な条件の整備が見られ次第、そのことについてのしかるべき措置を講じたい、かように考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 時間が来ましたので、あと一点だけで終わりますが、最近ではコンピューターグラフィックスなど新しい創作物が出てきている。この条約がつくられたのは六一年で大分古いものです。新しい内容を盛り込んで保護すべき権利などが出てきた場合に、それを適切にカバーする努力が必要ではなかろうかと思うのですが、この辺については何か考え方ございますか。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 先生御指摘のコンピューターグラフィックスでありますとか、あるいはCADと呼ばれるものでありますとか寸あるいは自動翻訳でありますとか、コンピューターを用いた創作物が近年出てきておるわけでございます。これをどう考えるかということでございます。実は、著作権審議会の第九小委員会というところでその問題を議論しておるわけでございます。  なかなか難しい問題でございまして、例えば一体だれをもって著作者とするのかというようなことからしてもなかなか複雑な問題もございます。いずれにしましても、現在第九小委員会で議論しておりますので、その検討結果をまって適切に対処してまいりたいと思っております。

中村哲日本社会党・護憲共同

○中村哲君 私は六年間の比例代表制の任期、前半は文教関係でありましたが、後半は外務委員会に属しましたので、日本の置かれている国際的な問題、そしてしかもそれは経済、政治、文化すべてに及ぶ、まさに委員会としては一番重要な委員会ではないか、それに列することができましたことは私としてはまことに感銘深いものがあります。予算委員会も大きいけれども、予算委員会はどうも、言うと語弊があるけれども、欠陥をつくというようなことをやり過ぎているような感じでありまして、戦前の国会は本会議において全員が討論した、そして読会制度だったんですが、それを委員会制度に専門化したその結果、委員会によっては小さなことをやったり、あるいは非常に政争に傾いたりする。しかし、外務委員会に属することは楽しみであったものですから、非常にありがたかったわけです。その任期も最後になりましたものですから、ここで御質問というよりも私の意見も述べさせていただきたい、こういうふうに思います。  この大臣の所信表明は当然に現在当面しております中国の問題に触れておられるので、問題をそれらを中心としてお聞きしたいと思います。  米ソを中心とした東西関係の変化、それから中ソの関係も正常化された、まさにそうでありますが、現在当面しておりますのは、御承知のように中国の異常な状態であります。これに対して外務大臣が総括的に述べておられますことは、一応網羅的で穏当だとは思いますけれども、それについてもう少し細かなことも聞きたいと思います。  まず、中国における「四日未明以来の軍の実力行使」、ここで「多くの人命が失われる」と、こういうふうになっておりますが、この「多く」の大部分がこれは民衆でありまして、軍隊の方もあるいは政府の方も人命が失われたということはテレビ等で知っておりますけれども、しかし国際的にも問題になっているのは、やっぱり武器を持たない平和な形でのかなり正常な形で実施したあのデモ、その民衆の人命が失われた、このことが今度の事件の国際的な関心を集めた点だと思うんですが、この点外務大臣はどういうお考えですか。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) 中村先生の御指摘、分析はそのとおりであると、私どもも同じ認識を持ちます。さようなことでありますだけに、政治体制、また価値観の共有という意味で差異はありますけれども、人間の生存、基本的な生命という、そういう観点からと、また社会主義体制といえども民主化要求というのは歴史の潮流の中の一つの傾向でありますし、かく進歩してこそ初めて社会主義も立派な体制になるわけでございまして、さような意味合いから、正常な形の表現、デモというものは世界の中におきまして今日は体制のいかんを問わずほぼ認められる傾向にあるというさなかにおける今日の悲劇は、人道上の観点からまさに許容のできない痛恨事であるということだけは明確に言えるわけであります。  かような観点の中で、中国の政治の基本的な問題というとらえ方を中国の指導者の方々がなされておることはなされておることとしつつも、人道、人権というんでしょうか、かかる問題についてはやはり大国中国でありますだけに自制されまして、今後なだらかな形の中で進められてまいりますように心から祈念をせざるを得ないし、また期待をする、こういうことであろうと思います。

中村哲日本社会党・護憲共同

○中村哲君 その民衆が権力の行使によって人権のもとになる人命までも失っているということ、これが今度の事件の大きな特徴でありまして、なぜそうなったかといいますと、中国の仕組みからいいますと、戒厳という制度を認めておりまして、これは日本も戦前は軍隊を正式に認めていましたから、戒厳を置いて、戒厳の法を出した場合に戒厳令と言うわけですけれども、戒厳を正当化している憲法があるわけだけれども、これは憲法があるからというよりはその戒厳でなぜああいう――近代国家においては示威運動、例えばデモ等は当然の権利となっておって、ソビエトでもそういう権利は認めてあるわけですけれども、それに武力を用いたかという、ここに問題がある。  これは、その政治的な判断については、中国の幹部でも、まさに戒厳を実施するかしないかということで意見が分かれているということを最近は報道を受けております。だけど問題は、戒厳という制度を結局中国が実施することを政府として認めたという、ここに問題があって、これはどういうことかといいますと、中国の社会主義というのは軍事行動を含めた軍事的な、多くの場合独裁という言葉を使う場合もあるんですけれども、軍事独裁を内部に秘めている。ここに中国の社会主義の一つの、私は欠点だと思うけれども、問題がある。殊に、李鵬首相が趙紫陽を糾弾した理由の第一に、鄧小平が軍事主席であって実際上の実権を持っているということを言った、それが国家の機密を漏らしたということとして指摘しておりますが、これはだからまさに軍事、つまり権力の中心が軍事的なものだということ、そのことを裏書きするようなことでありまして、これは社会主義が軍事的な性質を持っているということの裏書きであると私は思うんです。これが日本の社会主義とは全然違うということ。  日本の場合は、終戦までは軍事行動を、やはり侵略をしたんですけれども、憲法によって軍隊を否定し、そして民主主義の立場から日本の大綱を決めておりますから、中国のような社会主義にはならないわけです。実際上の自衛ということで、軍隊に近い、軍隊類似の機構、組織を強化しておりますけれども、これはやっぱり最初は警察予備隊というような、警察概念の発展としてやってきている。この点が中国の社会主義と日本の社会主義との基本的な違いであるということ。これがはっきりしないと……中国に好意を持つことはいいんだけれども、そういう体制が、社会主義の性質が違いますからね。そういうふうに私は思うんですが、外務大臣、どう思われるか。特に積極的に発言されなくてもいいですけれどもね、これは私の考えですから。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) 大変政治学の権威である中村先生の明確な、専門的な見地からの分析でありまして、私ども今後国際政治の場で責任を果たしていかなきゃならぬわけでありますので、十二分に今御教示いただきましたその学問的根拠を基本に据えながら行動してまいるつもりであります。

中村哲日本社会党・護憲共同

○中村哲君 軍隊と警察の違いは、警察というのは人命を積極的に無特定に損傷させる、殺害するということはないんです。ところが軍隊というものは、相手が個人として敵性を持つかどうかに関係なく不特定な者を殺りくすることを認めた、これが軍隊。  だから、そういう日本の自衛ということ、専守防衛ということもこういう軍隊類似のものが憲法上出てこないということを明瞭にすることであって、自衛隊の限界はそこにあるということだと、そう思いますけれども、それはどうですか。これには御異議はないと思いますけれども。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) 同感するところ大変多うございます。

中村哲日本社会党・護憲共同

○中村哲君 それから、続いて外務大臣は、第一義的には政治と社会体制を異にしと、こう言われているんですが、政治の一番の違いは、戦争以来のあの軍隊を揚棄するというか、廃止するというか、それを捨てて平和な体制に持っていっているかというところがやっぱり私は問題だと思うんです。この点については毛沢東がある段階で、日本という敵国がなくなった後でこの権力の体制をどうすればいいのかと、こう言っているところがありますけれども、これは今までの中国の内戦の発展としてこの社会主義をやっているものですから、そこに断絶がないというところに問題がある。  それからもう一つ、社会体制の違いはもちろんあるわけですけれども、中国は世界人権宣言を正式に採用したり国連との関係はできているけれども、世界人権宣言を正面から承認していないために、保留したような形になっているために、人権に対する世界的な今世紀の常識から離れているという、これが問題だと私は思うんです。  したがって、アメリカの最近のアパルトヘイトやなんかの問題は、あれは世界人権宣言的な線からいろいろ発言があるんだけれども、中国は最も早く社会主義をこうやって実現した国であるのに人権の問題についておろそかになっておる。このことはやはり中国の政治家たちが自分たちでこの問題を解決していくべきことであって、今そうなっていないからといって中国を非難するわけにもいきません。これは歴史的に世界人権宣言を採用していないし、憲法の条文が多少違いますから。日本憲法の場合は世界人権宣言の人権の規定の部分と、日本憲法の人権の部分とは全く同じ精神なんです。これはルーズベルトの四つの自由とか、あるいはさらにそのもとになっているのはイギリス労働党に深く関係したH・G・ウェルズ、ああいう人の思想が世界人権宣言に出てきているというのが一方の説ですが、大体においてそうだと思いますけれども、そういうものと中国が別の系統であるという、この問題はやっぱり中国が今後とも解決していくことをむしろ期待したいと思うんですね。それを非難することよりも、そういう問題を解決することが必要だと、こういうふうに思うんです。  この「価値観においても異なる」という、価値観というのは社会主義等のことを言っておられるんでしょうけれども、その言葉の続きに「中国の国内の問題と認識し」と、こう外務大臣言っておられる。これは中国側も今言っているのはそれなんですね、中国の国内問題だということを。これはよその各国は必ずしもそうだけとは思っていない。つまり、人権の問題なんかになってくると国内問題だけじゃないということがあるんでしょうけれども、中国は国内問題なんだと、これが一つの今度の処理の仕方なんですね。だから、その国内問題として革命をやってきた、その革命に対して反革命をやろうとすることになった、政府を倒そうとした、これは中国としては容認することができないという、国内問題に対する干渉というか、国内を撹乱させているという判断があるんです。これが一つの焦点だとやはり思います。  それから、続いて外務大臣は、「民主化を求める学生・市民に対して軍隊が発砲するがごとき行為」は人道上許せないと。これは中国に対して好意的な国でも、あるいは中国と関係の深い人間でも、世界的に中国が今非難されているのは軍隊を発動したということで、さっき申しましたことであります。しかも、それは「人道上」ということがここに言われている。これもまさにそうだと思います。だから、政治問題や社会問題じゃなくて人道問題だと、これが大きいことだと思います。だけれども、中国は、これは国内問題なんだと、国内に干渉するようなことというので海外からの発言に対しては対抗しようとしておりますが、これはまさにこの人道上ということが大きいと思います。  それから、李鵬が鄧小平と最終的には話し合い、了解した上で今度の強硬な措置をとったわけですが、李鵬という人は本来割合に、何というか、国際的に通用するようなそういう要素を持っていて、中国一本やりの、例えば最近の外電なんかで言うカリスマ的コミュニズムじゃない人ですね。実権派と言われて、そして文化大革命とはむしろ対決してきた人なんです。だから今、鄧小平がこういう措置を最終的にとったということだけで中国を決めてしまうわけにはいかないと思うし、政治家のことですから、いろんな複雑な要素に苦慮してのことであると思うし、そしてこういうふうに戒厳を実施した以上、そこから残されているいろんな問題は未解決でまだ手をつけていないことですから、そこはまさに日本は外交の手段で、隣国としての友好的な関係がありますから、いろんな発言をやはりしていくべきだと思う。これをもって中国を決めつけていく必要はないと、こういうふうに思います。  それで、私は今度の問題で注意しましたのは、読売新聞にキッシンジャーが連載しておりますわね。彼が書いている中に、胡耀邦それから趙紫陽の線が経済的な面での社会改造をしようとした、そのことが必ずしも成功でなく、むしろそこに非常にいろんな矛盾があって、その問題が趙紫陽、胡耀邦との対立の一つの点になっているということ。これはやはりキッシンジャーのような今の世界の本質的な問題をついている人だからそれを言っているので、これは日本が中国に対するときも忘れてはならないことだと思います。胡耀邦と鄧小平の政策の違いがどこにあるかというのは、かなりこのことにあると思います。このことを、外務大臣は経済関係のことはよく知っておられるわけですから、こういう問題の今後の解決を中国がどうしていくかということについて、日本としてやれることを積極的にやるということが必要だと思います。  で、大体キッシンジャーというのは今世紀の国際問題の焦点をきちんとつかんでいる一人でありまして、私は割合にジョージ・ケナンのデタントの考え方を注意してきたんですけれども、やっぱりこれだけの大きな事件が起こりますとキッシンジャーは問題の本質をよくつかんでおりますね。それで、彼は中国にはもう何回も行って、しかも中国に行って普通の観光をしたというようなのじゃなくて、要路の連中と問題のあるときに話し合っておりますからね、やっぱり今世紀における歴史的な観察者だと思いますが、そのことはさておきます。  それから、一言申したいんですが、アジア人が人命についてどうもヨーロッパ人ほど尊重しないような要素があるということ。これは戦争が終わる段階でルース・ベネディクトが「菊と刀」、あれで日本の軍隊とアメリカの軍隊との相違を指摘したわけです。それはミッドウェーの海戦でしたか、航空母艦が撃沈されたときに将兵が海にほうり出されたでしょう、それを司令官が一人残らず救済しようとした。そのことで最高の勲章をもらった。その話を日本の捕虜にしたところが、なぜそんなことで勲章をもらうのかと言うんだが、戦争は戦争、しかし人命を徹底的に救助したその司令官に勲章を与えたということで、このことの意識が日本人にはないんです。日本人は、私も戦場に行きましたけれども、戦争へ行けば死ぬのは当然だということてすが、この点がまさに民俗学――フォルクロアーとかエスノロジーと言っているあの民俗学が戦後急速に高まったのは、このベネディクトの日本軍とアメリカ軍のその人命に対する尊重の仕方の違い、それの追求から始まっているのでありまして、まさに中国の場合もこのアジア人の人命をおろそかにするその一例だと思います。ですから、学問的にも、この人命をおろそかにするということは文化史的に非常に大きな問題であります。そんなことからいろんな問題を感じます。  なお、この外務大臣のあいさつの中に邦人の身の安全のことを言っておられますが、これは恐らく外務省のことですからベストを尽くしておられると思います。ただ、中国の留学生で日本に残っている者、これのいろいろな権利の保護というもの、これは特別にしなければならないと思うんです。というのは、そういう中国の留学生の一人で、やはりデモに参加したりなんかしているけれども、家族が中国にいて、それで送り返された場合、その場合に起こることを非常に心配しておる。中国の政治家たちはああいう戒厳をやむ得ずやったけれども、それ以外の一般の学生や市民に対する権利の保障というものは特別にやっぱり配慮することがあっていいと思うんです。それによって国際的な非難も緩和されるだろうと思います。その点について、日本の外交は慎重に対処されておりますから、どうかそういう意味での人命とか人権の保障を留学生に対してされることを希望します。戦前、私は台北の大学の教授をしていたものですから、台湾の学生がアメリカで蒋経国反対というのでデモをやって、そのときの写真をある新聞が撮った。それで送り返されると、送り返されれば場合によっては死刑になる、こういうことで救済してくれと言われて、当時その問題で外務省の方に行ったり……

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 中村君、時間が超過しましたので、簡潔にお願いをいたします。

中村哲日本社会党・護憲共同

○中村哲君 済みません。  当時、政府との交渉も多少しましたけれども、これは中国だけでなく台湾にもそういうことが起こった。そういうところがあるんです。今はありません。今の台湾政府はもう違いますけれども。アジアの国にはそういうことがあって、しかもそれをやった容疑者を告発させたり、それから家族に連帯責任を課す、こういうことについて特に外務省としてはやっぱり配慮されることが望ましいと思います。今の事件は陳玉璽の事件として本にもなっていることで、当時私とか加藤周一とか、それからテレビによく出ている中村敦夫等で陳玉璽の人権の保障を台湾政府に要求したことがあります。  以上、まあこういうことばかり言って切りがありませんけれども、どうか中国との国交をさらに好転させることと、人命の問題で日本にかかわりあるところでは配慮されることを希望します。  以上です。

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十二分開会

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) ただいまから外務委員会を再会いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、大鷹淑子君及び堀内俊夫君が委員を辞任され、その補欠として大島友治君及び増岡康治君が選任されました。

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 休憩前に引き続き、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定の締結について承認を求めるの件、以上二件を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 条約につきましては私どもさして問題がありませんもので、まず当面の中国問題についてお伺いします。  大臣、一応表面上平静を取り戻した、向こうの主導権争いあるいは軍部の動向等につきましてはマスコミで私たち情報を知るよりほかありません。 _ ただ、問題は、外交官が各地で亡命の意思を表示している。これは、外交官というのは申すまでもなく官僚の中のエリート中のエリートであり、国家をしょって海外に赴任しているわけでありますから、それこそ忠誠を図らなきゃならない人です。一人でも非常に国内外的に問題になるのに、今回は各地において、しかも日本においてもと、こういうことでありますが、この中国問題の原点あるいは経過というものについては、私たちはいろんなことについて知る由もありません。マスコミの報道を信ずるよりほかないわけでありますが、この中国問題というもの――今外交官の各地における亡命の意思表示、異例中の異例といろんな異例があると思いますけれども、まず外交官の亡今、なかんずく我が国においてもその一人があらわれた、こういうことから見ての中国問題に対して、大臣はどのようなお考えを持っておりますか。

長谷川和年外務省アジア局長

○政府委員(長谷川和年君) 今、委員の御発言にございましたように、世界のいろんな国におきまして中国の外交官の亡命を求めるというケースが報じられておりますが、今回の事態というのを振り返ってみますと、四月の中旬から始まった中国の国内におけるデモあるいは座り込み、そして六月の初めにおける強権の発動ということがございまして、この裏には中国の現在の政府あるいは従来までの政府の政策、殊に経済政策あるいは政治面での大きな政策についての指導部の中の意見の違いがあったと見ております。現在までのところ、鄧小平、李鵬、楊尚昆と、こういうラインで大体決着が図られつつあり、一応の平静を取り戻しつつあるやに見えます。  今、委員言及がございました外交官の亡命を求めるという話でございますが、この過程において私が推測するに、中国の外交官の一部の方は、現在の政府の政策等に対して必ずしも同意でなかった。こういったようなことから恐らく亡命を求めているんではないかと思います。したがって、こうした外交官の亡命に関する動きというのも、本国の政治、経済あるいは社会体制の変革、変動というものを考慮しましてこういった要請がほかの国で行われていると私は推測した次第でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 私もいろいろ調べてみましたら、何かの事件を原点にして要するに外交官が亡命の意思表示をすると。まあこれは今六名――七名てすか。これからその次に続々あるのか、あるいはこれでおしまいなのか、これはわかりませんけれども、あくまでも非常に異例であると、こういうふうに思います。  こういうことは今までなかったというような私は感じがいたします。ということは、今局長がおっしゃったように、やっぱり現体制に対する不満と、これはもうそのとおりだと思います。さらに、その現体制に対しての西側諸国どころか、これはゴルバチョフ書記長も相当遺憾の意を表明して厳しい態度をとっているわけですね。内政干渉しないというところから遺憾であると、日本政府並みになったと言えばなったんでしょうかな、ソ連も。ですけれども、それにしてもあの中ソ首脳会議があったばかりのソ連も非常にやっぱりある意味においては遺憾の意を表したと、こういうことであります。  ですから、そういう中で、現体制が中国国内でそれを支持されている、されてない、あるいは日本がどういう態度をとる、こんなことは別にしまして、どうもやっぱり一番中国を知っている、一番中国の体制に対して忠実でなきゃならない人がこういうふうな異例の亡命意思というものを各地で示している。ということは、我が国もやっぱりいろんな情勢はありますよ、そんなことはもう政府じゃなくたって、私たちも中国に対しては非常にコミットしてきたわけですですけれども、それはそれとしまして、やっぱり現体制に対して一番知っている、一番忠実でなきゃならない人がこういう意思を示しているということは、我が国政府もこの点を相当頭に入れて、制裁措置をとれとかあるいは考えを変えろとか、私たちそういう立場にありませんけれども、やっぱり現体制というものについてよく注意してみなきゃならないんじゃなかろうかというふうな感じがします。その点どうですか。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) ただいまの御指摘でありますが、その国の政府の特に外交面、基本的な官僚というんでしょうか、そういう方々が天安門広場における事件を契機に亡命を求めるというのがそれぞれに今出ておるわけでありまして、我が国はまだお一人、そういうことのようでありますが、問題は、こういう保護を求める、正式に亡命を求めるということの背景は、ただ一回の人生なものですから、自分の思想信条に照らしまして相入れない、あるいはもっと高い見地で社会、国家のためにそうあってはならないという個人としての最大限の意思表明、また変えることによって、次の場面で愛する母国と民族に対する忠誠というんでしょうか、愛情というのを表明する、活動をしていく、こういういろいろな態様があると思うのでありますけれども、今回の中国の場合は人民軍が学生、大衆を銃撃するというああいう凄絶な事件がありましたものでありますから、そのはかり知れない衝撃は、特にその衝にある政府職員には大変なものだというふうに思います。  特に、情報が的確に入ってまいります我が国のような立場でありますと、間隔を置いて見ておりますものですから、刻一刻、ありとあらゆるマスメディアの中で判断をしていくという中でそういう行動に出られる。西欧諸国が大体そんな感じであるわけでありますけれども、西欧諸国に勤務される方々という意味でありますが。一度走り出しました民主化の流れというんでしょうか、自由化の、開放の流れというんでしょうか、これがそのままぎくしゃくがありましょうとも前に進むというのであればそれだけのものだと思いますが、もとに戻るのではないか、こういうときにそういう事件が起きてくるのかなというふうに思います。願わくば、お互いその国に生を受けて、その国のために尽くしていくわけでありますが、生涯そういうことでありたいと願うのは洋の東西を問わず、体制のいかんを問わずだというふうに思うのです。大変そういう意味で不幸な出来事だなというふうに思います。  そういう観点からいいますれば、国内体制が一日も早く平静に落ちつきまして、政治の目的は国民の安堵なわけでありますから、そういうことになってほしいと切に期待する、こういうことだと思っております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 亡命を求めてきた馬秋転さん、この方については、何かマスコミによると十六日あたりには子細に外務省が報告できるんじゃなかろうかなんて出ていますが、けさも外務大臣が記者会見をやったという報道が流れておりますけれども、十三日から行方不明だったというのは、十三日に亡命を求めてきたんですか、あるいは第三国への亡今、アメリカらしい、こういう意思表示もされているんですか。当然これは相手国との連絡ができて、向こうが受け入れるということになると、人道上、外務省は今までどおりの措置をすると、こう活字になっておりますから、当然、第三国への亡命を認める、こういう立場であろうかと思いますが、そのあたりどのぐらいしゃべっていただけますか。

長谷川和年外務省アジア局長

○政府委員(長谷川和年君) ただいま委員御質問の件でございますが、一般にこの種の問題につきましては、本人の安全、そのほかいろいろ機微な側面もございます。したがって、こういった事柄の性格にもかんがみまして、まことに恐縮でございますが、事実関係も含めましてお答えすることを差し控えさせていただきたいと存じます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 今、大臣がおっしゃったように、いろいろ亡命者の信条や何かがあるだろうが、原点は、あの六月四日の血の日曜日、あのときが原点であろうと思うんです。ブッシュ大統領が、いわゆる民主化の要求は平和運動である、それから言論、集会の自由は中国の憲法だって認められているんだと、こういう発言をしましたが、大臣はこの点どう思いますか、あの学生から始まった多くの中国民衆のいわゆる民主化の動きというのは。ブッシュ大統領の発言、これとは食い違いますか。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) 基本的な認識においては同じであります。  民主化の動向というのは、これは世界的な流れでありまして、政治体制のいかんを問わず、その体制の中でより人間の本性に近いものを目指すということに一致して取り組むということであるのだろうと思うんです。そういう意味で、学生を中心に、また一般市民がこれに同調をして行動するというその姿はやはりそれなりに認めていかなければいけませんし、と思っております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 西側諸国もおのおのいろいろなコメント、具体的制裁措置あるいは外交関係の凍結、大使の退去等いろいろありますけれども、基本的には変わらないんです。あの民衆の動きというのは平和の運動である。それから言論、集会に対しての自由、これはもう憲法で中国本国でも保障されているんだと。そうすると、日本の大臣も、日本国も変わらない。変わらないけれども、具体的な発言、さらに具体的な姿勢が全く違う。大臣も二十五日から訪米される。あのスーパー三〇一の問題についてもあるいはサミットについてもいろいろあると思いますけれども、当然この問題は大きな一つの話し合いのテーマだと思います。  そうすると、基本的に全く同じだと、同じであるのに、私がもしアメリカの国務長官だったら、なぜそれの対応の仕方が西側の一員としてこんなに違うんですかと。西側の一員、同盟国の一員としてすべてにおいて歩調をとってきたですね。経済問題とは別に、防衛問題、外交問題では西側の一員です。同盟国の一員です。ところが、今回の問題については、基本的に一致していながら、とる姿勢というのは全く違うんですね。これはあくまでも今までの日中間のいろんな複雑な問題があったから、ということだけの説明だとちょっと説得力が弱いんじゃないでしょうか。どうですか。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) 行動を含めて見てまいりますと、トーンの強弱の違いはありますけれども、私は基本的には同じかなというふうに実は思っておるんです。  なぜかならば、事態の認識という意味、さらに人道上のあってはならないことに対する強い表明、それから次に来ますのが援助の問題、アメリカを含めヨーロッパのそれぞれの国が武器援助等についてあるいは売買については直ちに中止をする、こういうことを言明されておる。これは、人道上の延長線上でそのことはそうあるべきだと私も思います。要すれば、経済協力及びこれに伴う借款等々でありますが、これをどう見るのかという点につきましては、ブッシュ大統領もこの点については明確な言及がないということであろうと思います。  ですから、我が国の立場も、まさに今後援助等についてどうするのかということについても、中国の情勢の落ちつき先を今見ているわけでありまして、同時に我が国だけ単独でどうということにもこれは相ならぬわけでありますから、国際的な動向をも勘案いたしましてその方向づけを見きわめていかなければならぬだろう、こんなふうに思っておるわけであります。  いずれにいたしましても、御指摘のように、二十六日、ワシントンで日米外相会談ということになるわけでございますが、このことは新内閣、新外務大臣という意味で、ASEAN拡大外相会議、特にサミットという意味で日米基軸だと言われる中における意見交換等を行ってまいる、こういうことであるわけでありますが、直前の政治状況は必ず出てくるわけでございますものですから、この辺で、フリーな意見交換の中で進めるわけでありますけれども、双方の立場というものはそれぞれに歴史的な経過また地理的な経過の中であるわけでありまして、これによって生ずるニュアンスの差というのはあり得るのかな、こんなふうには思いますけれども、でき得ますならば、やはり自由化、民主主義というこういう基本論において一致しなけりゃならぬことは当然だというふうには思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 方励之さんが中国のアメリカ大使館の中に入っているということ、これは中国が内政干渉だとこう怒っているわけですしね。アメリカの場合は人道上問題だと、これは中国側の言いなりにならない。米中関係があとあったけれども、国務省あたりがまあうまくやるんだと、こうも言ってますな、どう発展するかわかりません。ですから大臣は、あれは中国側の内政干渉とアメリカの人道上の問題とどっちに味方しますか。

長谷川和年外務省アジア局長

○政府委員(長谷川和年君) 方励之さんの件でございますけれども、いずれにせよこの問題は中国と米国の間の問題でございまして、私たちから見ますと米中関係というのは大変重要な関係でございます。こういった米中関係の中で本件が円満裏に解決を図られることを希望しているわけでございまして、今委員御質問の中国の問題かあるいは米国の問題かということに対して直接の御答弁になってないわけでございますけれども、基本的にはこれは米中両国間の問題である。この問題は私たちとしては円満裏に両国間で解決されることを希望しているということでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 もうおっしゃるとおりです。イエスサーですよ。  ただ、間もなくアメリカへいらっしゃるわけですから、米中間の問題、もう日米間の問題、これはもろにぶつかってくるわけであって、米中より日中の方が我が国としてやっぱり大切ですからね。ですから、先ほどは民主化の学生あるいは民衆の動きはブッシュ大統領がおっしゃる平和運動であり、あるいは集会言論の自由、そのとおりであると。  もう一つ大きな問題は米中の問題ですけれども、これは総理の問題だと言ってもアメリカへ行ったら、サミットへ行ったら大変な問題になるわけでして、ここは別に総理の問題じゃない、外務大臣の問題ですけれども。だから、当然これは米中間の問題ですよというわけにいかないですね。各国これはもう最大の関心の的が対中問題であり、その中においての米中の問題であるけれども、人権問題かということについての問題ですからね。米中間の問題ということよりも人道問題、人権問題。こうなると外国は一歩も引きませんわな。日本の場合には、この点非常にあいまいというのがありますけれども。ですから、何もどっちに軍配を上げるとか上げないということじゃないにしましても、要するに米中で解決すること、日本が直接タッチするものじゃない。これは当然ですよ。ですけれども、やっぱり人権問題、人道上の問題ということが中国問題の今一番の中心の問題ですからね。要するにサミットにおいても、あるいは大臣がアメリカに行かれたときでもそれが厳しい問題になると思いますね。  ただ、初歩的な問題じゃないわけですね、外国というのは非常に厳しいですね、人道上の人権問題というのは。だから、アメリカなんかも一歩も引かない。日本だとこの点は過去の問題の方が先行しちゃって、やっぱりこういうことはぐじゃぐじゃになる可能性があるわけですけれども、こんな外国の事情なんて私が言うまでもなく御存じなんです。どっちに軍配上げるか味方するかということでは別にないにしましても、この問題は大きく我が国としての見解というものをはっきりしないと、ただ米中問題ですよと言うと、また何だ日本逃げやがってと、日中問題というのは過去で非常に問題があるからと、こう言いながらすべてこれで逃げるのか、それじゃこの米中問題は日中問題の過去と何の関係があるのかと、こういうことにもなるんじゃなかろうかと、私がベーカー国務長官だったらこうやっぱり追及しますね。それに対して日本の外務大臣は何と答えるか、お手並み拝見と、こんなことになるんじゃないでしょうか。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) 基本的には、アジア局長が言われましたとおり両国問題でありまして、それぞれの主張があるわけでありまして、それが一致しますればだれも苦労しませんわけですが、黒柳先生御指摘のように、それぞれのきちっとした立場の主張のぶつかり合いなものでありますから、この場合どうなるのかなと。足して二で割るという日本的な風潮はなかなか国際関係には通用いたしませんで、まさにその原理原則とのぶつかり合いなわけでございますから、こういう極度の緊張状態における問題の処理というのはやはり両国当事者の冷静な判断、ある場合におきまして米中両国にとりまして大変重要な関係、特に御説のように我が国――日米、日中というこれまた極めて重要な関係でありますものですから、そういう点で私から言いますれば、両大国けんかをしてあおりを他の諸国に与えませんようにと、こう祈念しつつ、これはしばらく状況を見つつ、好転を期待する以外にないのかな。こう基本的なスタンス、アジア局長と表現だけで基本的には同じことを言っているわけでありますけれども、しかしながら、フリートーキングの中で何かその解決のきっかけがないのかなと、ただいまの御意見なども賜りながらフリーに申し上げてその道を探らなければならないのかな。  また、一番近い地域にある我が国でありますから、我が国として求められればアドバイスを申し上げるという、アドバイスといいますか、こんな方法はいかがでしょうかというようなことなども、当然じっと黙って聞いているわけにこれはまいらぬわけでありますから、誠心誠意な提言というんでしょうか、アドバイスというんでしょうか、そういうことでいかなければならぬと思いますし、黒柳委員から何かこのようにおまえさん言ったらどうだとか、このような方法があるんじゃないかという御見識でもありましたら、御教示いただけますれば大変ありがたいことだと思っております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 参議院の選挙の結果待ちです。結果によってはそう言われなくても発言しなきゃならない立場に立つちゃうかわからない。済みません、冗談ばかり言って。  そうしますと、今まではケースは違うにしましても、西側の一員であり、あの日米同盟国というのは、これは緊密な関係にあったわけです。それから、今大臣、局長がおっしゃったように、この中国問題の基本的認識、これは民衆に対しての側に立つと言っていいのかわかりません、同じことを繰り返してもあれですから、基本的認識は欧米諸国と変わらない。問題は、要するにその対応の仕方ですね。具体的な行動のあらわし方、これはコメント、発言も若干違うでしょうね、相当違うでしょうね。さらに、それが具体的行動になったら全く相違がある一こういうことですね。  ただ、今大臣もくしくもおっしゃったように、今の日本の解決というのは解決になるかどうか、姿勢というのはやっぱり日本的な考え方だって非常に欧米諸国にはわかりにくい、これは大臣もお認めになったとおり。であろうがどうしようが、ともかく日中間の過去のいろんな経緯というものを大切にして、それで訪米にしても、総理あるいは外務大臣のサミット参加にしましても、全く西側諸国と違った姿勢を当面中国問題ではとるよりほかない。要するに、推移をしばらく見ながら。それでもうはっきり決定しますか、それとも今大臣くしくもおっしゃったように、話の中から何かどういう態度をとるのか、どういう姿勢があれするのか、あるいはアメリカから何か今まで何とか制裁処置とれとかなんとか、そんなことは別にないと思いますよ、日本は日本ですからね。  そんなことはないと思いますけれども、話の中でどうも日本の姿勢というものが奥歯に物が詰まったみたいでうまくない。何かもう一つわかりょい姿勢をとらなきゃならないと、こういう考えが浮かんできたら、その場で、もうそんなことはないんだと、我が方の姿勢はもうこれしかないんだと、こういう姿勢でサミット、訪米に臨みますか。それとも、あくまでも西側の姿勢というのはもう明確に出ているわけですからね、態度で、行動で出ておるそういうものをもう一回よく聞きながら、よく対話しながら、その中で、こちらも独立国ですから西側諸国に近づく必要はないと思いますけれども、国際世論から見て、特に西側諸国から見て説得力がある姿勢もとっていけるならばとりたい。しかもこれは、ゴルバチョフ書記長がきのう、ある意味において内政不干渉から非常に一歩飛び出たわけでしょう、遺憾であると。そうすると、今度はソ連あたりが日本を越えていくとなりますと、もう日本の今までの経過なんということは言っていられなくなっちゃうんじゃなかろうか。これはやっぱり中国の姿勢ですね、それを待つよりほかありませんね。  しかも、姿勢を待つというよりも、北京の各国大使館あるいは上海の大使館に中国の若い人たちはビザの取得に殺到しているわけですね、その影響が香港にも出ているわけでしょう。それはベトナムの難民とは関係ないと思いますけれども、直接は。ですから、こういう問題がますますこれが大きくなってきますと、表面上は強権派がうまくおさめているようですけれども、やっぱり民衆の動きの中から強権派に対する六月四日のあの血を流した姿勢というものを、要するにそれは我々はこれでいいんだと、こういうようなことで糊塗している中国側の体制の姿勢に対して、民衆が違った面で反対の姿勢を示している。こういうことになると、やっぱりソ連あたりもその一つの動向を見て、ゴルバチョフ書記長が姿勢を変えたんじゃないか、発言を変えたんじゃないか。  これは日本だけが先進諸国の中で、東も含めて、いつまでも過去が過去がと言って日中の関係、何も日中の関係を大切にしなくていいということを言っているんじゃないんですよ、これは配慮しなきゃならない。我が党もそういう姿勢は変わらないですよ。変わらないけれども、今言いましたように、中国側の若い者の姿勢、それから今度は今地下に潜っている人がどんどん逮捕されていますね、しかもこれは密告主義ですわね。そうすると、こういうものも含めて、中国の中で強権派に対する陰に陽にの反対の動きが出てくる。この出てくることに対して敏感に各国がこれをキャッチする、その一つのあらわれがあのソ連の動きでも書記長の発言でもある。  そうなってきますと、日本だけがいつまでもかたくなな姿勢であっていいのかなというような感じも近い将来にしてくるような気がします。だからどうせい、だからどうすべきだと、我々そんなことは言い分があるわけじゃないし主張を持っているわけじゃありません。我々も日中間というのはより大切にしなきゃならないという考えを、行動をあらわしてきた党派、政党ですからね。だけれども、今の姿勢のままではちょっと懸念がある。それを今度はサミットで、あるいは訪米でそういうものを模索するという姿勢があるのか。それとも、我が国はもうこれだけは越えちゃいけないんだと、こういう姿勢で臨むのか。そこにまた大きな差が出てくるんじゃなかろうかと、こう思うんてすよ。――そこに書いていませんよ、そんなところまで先取りしてまだ書いてない、外務省は。大臣、残念ながらそこまでは書いてない。だから、それ見てもだめですよ。――書いてありましたか。済みません。あればそこを読んでいただきたい。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) まさにその点が日本政府、特に衝に当たっております外務省、また外務大臣として苦悩する一点であります。要すれば、体制が同じ国でありますならば、いかようなことでありましても道が開けるわけであります。体制が違うという、価値観の共有がいまだ、共通点はなきにしもあらずですが、基本的に違う。こういうことどもの中で、我が国と中国が一衣帯水、地理的に極めて近い関係にあり、文化、文明においてもいろいろな形の中で今日まで来ております。そういう形の中にありまして、いかんせん大中国という十一億の国民を擁するあれだけの国家でありまして、率直に言いまして、これが孤立感を深めたとき、事態はどうなるんだろうかということを見きわめなけりゃならぬというのが一つあります。  遠い国の大国がそれぞれに人道上、人権上という問題で物を言われる、またいろいろな展望の中で物を言われることは、私どもはそれをとやかく言うつもりは一つもありませんが、我が国は我が国としてどう処すべきかというのは、世界平和の枠組みの中で、特にアジアの安定の中でどう進んだらいいのだろうかという、特に平和国家を国是として、その外交が、多国間の問題、両国間の問題を軍事的なものでやらないという、まさにその基本方針を掲げておりますだけに、その辺のところであるべき道を今模索をしている。  率直に言いましてそういうことでありまして、模索するためには状況の明確な分析の上の結論、それはケースワン、ケースツー、ケーススリーといろいろあるんだろうと思うのでありますが、まだその情勢分析を見定めるのには時間が必要であると、こんなふうに思うものでありますから、いましばらくただいまの我が国の方針を守りつつ、結果的に全体がうまくおさまっていくということ、なかなか願ってもかなえないことであろうかと思うのでありますが、アジアの平和、世界の平和という意味では及ばずながらそこに向けて全力を尽くしていくという姿勢があってよろしいのではないかと思いますものですから、ただいまのところは、慎重な見きわめの中でどう対応していくかということ、我が国のできる限界のぎりぎりのところを申し上げつつ進んでいるというのが現状でございます。

長谷川和年外務省アジア局長

○政府委員(長谷川和年君) まことに失礼でございますが、ただいまの大臣の御発言を補足しまして、従来日本側のとった措置それから西側の国の措置について一言補足さしていただきたいと存じます。これは余りにも詳細にわたりかつ小さな事項でございまして委員の目にとまらないと思いますので、私たちは事務官でございますから日常の仕事で知っていますので一言補足さしていただきます。  総じて見ますと、西側各国のとった措置というのは、要約しますと人道面ではこれを非難すると、これはもう非常にきちんとやって、日本も先般七日の日に東京の大使を外務次官が招致しまして、今回の中国側がとった措置はまことに遺憾である、これは人道にもとる行為であると強く自制を求めるということを申したわけでございます。  それから第二点は、軍事協力をしない、これは日本はもともと軍事協力をやっていません。  それから、第三点は、経済制裁をしない、これはブッシュ大統領も記者会見でそうおっしゃっておられます。  それから、大使の召還はしない、先般報道にカナダが大使を召還したとございましたが、カナダ側の説明によりますと、これは一時打ち合わせのために帰って、打ち合わせが終わったらまた任地へ戻るということでございました。  それから報道には、フランス、英国が中国との関係を凍結したという報道がございました。具体的内容は書いてなかったのですが、先方の説明によりますと、フランスの凍結という内容は、閣僚レベル以上の交流はしない、軍事協力はしないということで、英国も同様ハイレベルの軍事上の接触はしない、それから武器の売却はしないと、このようなことでございます。  したがって、今見てみますと、日本側の措置と実態面では私たち事務的に見てみましてそれほど変わってはいないのではないか。まあ日本側は、さらに政府関係で言いますと、日中投資促進機構の設立総会というのが実は今月上旬に予定されていたんですがこれも延期、それから日中科学技術協力委員会、これは今月の下旬ですか予定されていたんですがこれも延期しております。  このように目にはつかない、これは私たちもちょっと御連絡等をしないのはいけないと思うんですが、そういった面で日本なりにきちんとした措置をとっているというのが実情でございます。  一言失礼します。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 大体今のおっしゃったことは目についています。  それで一部の報道で、何ですか北京大使館に戦時手当が出ているって、それはそのとおりですか。

長谷川和年外務省アジア局長

○政府委員(長谷川和年君) これはちょっと私ども所管事項でないので具体的には知りませんけれども、出ているそうでございます。ただ、これを戦時手当と言うかどうか法令上の文言のこともあるかと思いますけれども、通常このように物理的にもいろいろ動乱があって、そこに在勤している我が方の大使館員等の生活がいろんな意味でもって危険に瀕する、同時に、こういった場合には現地におきまして物がなくなってくる。したがって、通常楽に入手できた品物をやみで入手しなきゃならなくなってくる。こうなりますと、それなりに出費の増がある。恐らくこういうような事情から私はこの手当が支給されたんだと思います。私、ちょっと詳しいことわかりませんので失礼いたしますが、こういうことではないかと思います。元人事課長をやった条約局長がうんうんと言っていますからこれでいいと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 さっき外務省にあっちこっち電話したら五、六回も回されちゃってわからないんですよ、だけど聞くからいいやと。  そうすると、現在はここだけだと言うんですが、そうですが、中国だけというのは。ほかにもあるんですか、この戦時手当というのは。

長谷川和年外務省アジア局長

○政府委員(長谷川和年君) 中国だけのようでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうすると、今おっしゃった物資が入手困難、動乱要素というと必ずしも中国だけでもないですな。その判別はどこでやるんですか。

長谷川和年外務省アジア局長

○政府委員(長谷川和年君) 果たして私が適当かどうかわかりませんけれども、一外務省員としてお答えさせていただきます。  恐らく北京は、通常の場合には生活必需品等が容易に手に入る状況にあるのではないかと思います。ところが、一部の在勤地におきましては、通常の生活必需品がなかなか手に入らないというようなこともあるかと思います。そういった場合にはほかの方法、例えばいわゆる瘴癘地のポイントを高くするとか、あるいはクーリエという制度がありまして、近隣のこういったものが容易に手に入るところに定期的に買い出しに行くとか、こういった措置が講ぜられているのではないかと思うわけでございます。  北京の場合には、今回の事件がなければ本当に楽に物資が手に入った。今回の場合には水も何か買いだめ、あるいはくんでおいてためておくとか、それから物資も一時手に入らなかった、こういうことがあったのでこの措置が講じられたのだと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうすると、これは六月四日のあの事件があった直後ということなんですか。

長谷川和年外務省アジア局長

○政府委員(長谷川和年君) そのとおりでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうすると、テレビで見ると物資なんか相当町に出て売っていますけれども、すぐ手に入りそうですね、私は北京に住んでいるわけじゃないからわかりませんけれども。それから、この前も公使が一時帰国されましたね。非常に表面上は――表面上というのはやっぱり市民生活でしょうね、軍の首脳あるいは党の首脳が何やつているかこれはわかりませんが、だけど一応表面上は北京は平静になったというようなことで、そんなにやみで買わなきゃならないのかなという感じがしないんですけれども、やっぱりやみで買うんですかね。

長谷川和年外務省アジア局長

○政府委員(長谷川和年君) 委員御指摘のとおり、六月三日、四日の事態が過ぎて、先週末ぐらいから徐々に北京の情勢あるいは中国のほかの地域における情勢というのが平静に復しつつある。これは、当然のことながら物資の需給につきましても、やっぱりだんだんだんだん平静になりつつあるということではないかと存じます。しかし、これは全般的に需給状況も判断して決められることかと存じます。私、現時点で委員の御質問にお答えできるのは、このようなことで失礼いたします。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 現時点だと。日本政府を代表しているんだけれども、何も別に大使館の人の給料云々なんて私言うつもりないんですけれども、何かここね、要するにこれは短期的なものなんですか。ある程度そういう事態が発生したことを前提にこういうものをやらないと。だって、日本政府として具体的に行動を起こしたのはこれだけじゃないですか。現地の大使館員の給料を上げたということだけじゃないですか、具体的行動を起こしたのは。あと何もないじゃないですか。日本的な非常に何か足して二で割っちゃいけないとさつき大臣がおっしゃったように、これだけはもう急速ぱちっと行動を起こしちゃって、まだおさまるかおさまらぬか、確かにあの一週間ぐらいは非常に大変なことになるんじゃなかろうか、これは中国が内乱になっちゃってまたなんということになるという感じがしましたよ。ですけれども、今はそうじゃないわけでしょう。ですから、あの時点でぱあっと戦争手当てというのか何だかわからないけれども、戦時手当ですか、つけちゃって、何か相当ある程度時期が先行して、それでこういうものをあれするということになるんじゃないですかね。わずか短期間で、あったからすぐぼちゃっとやって、なくなっちゃってからぽちゃっと切れるものですか、これ。

福田博外務省条約局長

○政府委員(福田博君) 若干昔のことを知っている者としてお答えいたしますが、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律というのがございまして、それの第九条の二、これは数年前に追加されたものでございますが、戦争等の特別事態の際にはいろいろな事情があって物入りである、あるいはモラルを向上させるというようなことから、その在勤手当の百分の十五を限度として外務省が大蔵省の財政当局と協議の結果、期間を限って支給するものでございます。  これは事態が事態ですので、そういう事態が起こりますと非常に速やかにそれを認定する。過去においては、例えばレバノン等においていわゆる戦乱が激化したとき等、あるいはイラン、イラク等において期間を定めて実施しておりまして、今回の北京の騒擾につきましても、六月四日の事態を見てこれをやるのが適当であろうということで、今のところ一カ月を限度として支給することとしております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 大臣、まだ中国の現状は動乱事態と見ますか、今日の事態を。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) その前に一言付言をさせていただきますと、在外公館として、在留邦人の安全、保護、帰国、この業務があるわけでありまして、まあ大変身内びいきのようで恐縮でありますけれども、不眠不休でよくやってくれまして、二人のけがをされた方はおりますが、希望どおり我が国に帰国できた。もちろん民間航空会社の大変な御協力もあったわけでございますが、そういう中で、戒厳令下、飛行場までの往復七十キロ、大変危険な状態もあったようでありますが、やり抜いてくれたわけでありまして、私から、家族がおられますれば行動が制約されるだろうというので、最終日七日に大使に帰させてくださいと、それで思う存分体制をとって情報分析その他等々、残っておる、今度全中国の邦人の皆さんの連携強化を進めていただきたい、こういうことでさせていただいたわけであります。そういう中で、先ほど公使帰国のお話もありましたが、私も直接お聞きしましたし、また、外務省に入るそれぞれの情報等々を中心に聞いておるわけでありますが、鄧小平、楊尚昆、李鵬体制というのが主導権を握っておりますことは事実であります。  さはさりながら、公使の報告にもありましたとおり、日中はそれなりにきちっと行われておる。しかし、戒厳令下ですから要所要所は軍隊によって固められておる。しかし、夕刻以降になりますとかつてのようなにぎわいはございません。今、夏に入っておるわけでありますが、もうほとんど町に人がおりません、行き来がございませんと。こういう公使の報告――公使の報告だけではなく、他の特派員の方々の報告などもちょうだいをいたしておるわけでありますが、そういう中で、現時点におきましてもなお見きわめてまいらなければならぬ諸要素があるということだけはありますものですから、平静に落ちついてまいりますことを念願しつつも、我が国といたしますれば見きわめるというこのことに全精力を、現地公館、大使以下の努力によりまして、活動によりまして進めていかなければならぬ。これが現状でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 何回も活字にもこれからの推移を見てということが出ているし、今も大臣もおっしゃったですが、局長、その見きわめる要素というのはどんなのがありますかね。これは当然中央の体制もありますね。一応この前の鄧小平が軍の首脳部をあれしたときの写真も出ていたし、それから民衆の動き、地下で何かあるのか、逮捕者が出ているとかビザが殺到するとかいろんなあれがあると思いますけれども、日本政府としては何をこれから見きわめなきゃならぬのか、何の推移をこれから注視しなければならないのか、そこらあたりは箇条的に言うとどういうことがありますか。

長谷川和年外務省アジア局長

○政府委員(長谷川和年君) 中国情勢を見きわめる際によすがとなる要因は幾つかあるかと存じますが、一番手近なのは六月二十日に予定されております四中全会、これが開催されるかどうか。で、開催された場合にその場でもって今回の四月中旬以降の一連の動き、動乱、それからその間ありましたいろんな出来事、殊に委員も御指摘になりました五月三日、四日の強権の発動、こういったことに関しましてどのような評価がされるのか。あるいはそこで、中国として従来とってきた改革開放政策、これは一九七八年の三中全会で決定されまして、それまでは階級闘争の重視ということであったわけでございますけれども、この改革開放政策についてどのような再宣明あるいは確認があるのか、あるいはないのか。それから、今回の事態につきましてどのような評価があるのか。あるいはそれに加えまして、今解任がうわさされている党とか政府、こういったようなポストにあるいろんな要人の方々、これについてどのような発表があるのか、こういったようなことだと思います。  私、六月二十日と今申し上げたんですが、先月中は六月二十日にあるのではないかということでございましたが、ちょっとまだ現時点では六月二十日という時点は確認されていない。ただ、四中全会というのは六月中に開催される予定でありまして、これは一つの決め手になるんではないかと考える次第でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 時間がありませんので、最後に一、二問。  大臣、邦人の引き揚げ問題です。新聞によると、これは人間の欲目でしょう、帰ってこられた方がいろいろ不満も漏らしていた。これはいろいろ個人的な欲がありますからね。だけど、概してけが人もなくてスムーズに行われた。これはもうおっしゃったとおりですね。ただ、今また商社の人がどんどん行っちゃっていますね。外務省の首脳という談話で、不快感をあらわしていたなんという活字になっていますけれども、これはどうなっちゃうんですか。要するに、緊急のときには、やっぱりこれは政府ですからね、海外邦人の生命、財産を守らなきゃならないですから、至急に航空機も手配して帰す。ですけれども、まだ戦時手当が出ているわけです。動乱最中なわけですよ。なのにかかわらず、またどんどんどんどんお仕事の都合で帰っていっちゃう。外務省の人は、何だおまえ、せっかくこちらが手を打ってやったのに、行くときに勝手に行きやがってもうそんなものは知っていない、この次あったらおまえたち泳いで帰ってこいよと、こういう姿勢になるんですかね、これ。これはどういうことになるんですかね。これは行くときに当たっては自分の責任でと、こんなコメントも出ていますがね。それであるにせよ、まだ見きわめなきゃならない要素があるわけでしょう、まだまだ平静なんというわけにはいかないわけですよ。にもかかわらず、仕事がということは、当然おのおのやっぱり食うための仕事をやらなければなりませんから、会社の都合ですよ。都合ですけれども、まだ二週間たっていないうちに、見きわめなんか全くたたないうちに、しかも米中関係がどうなるんだというようなときにどんどん帰っていく。これに対して、まあ当然それは会社の都合ですから、引き揚げるときはこちらが責任持つけれども、行くときにはまあひとつ身の安全をということになって、それてしようがないんですかね。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) この点は黒柳委員の御指摘のとおり、帰国の際は大変な、本省も現地公館も、総領事館も含めてでありますが、張り詰めた万全の体制で、運輸省以下にも協力をいただきつつ体制をとりまして、御希望のとおり進めさせていただきました。  そこで、状況は今申し上げたこもごものことであります。ですから、経済協力プロジェクト等は事実上中止をいたしておるわけですね。やろうにもやれ得ない、やれる状況ではありません、人が引き揚げてきているわけでございますから。そういう中におきまして、どんどん行かれるという形について一体どういうことなんだろうかというそれぞれの実は懸念が私のところに寄せられておるわけであります。  代表的な例は、外国大使館筋からでも、言うなればまた日本が火事場泥棒的に、空き巣をねらって金もうけに走るのかねと。極めて重要な人道的な問題という認識を共有しながら商売は別かねと、こういう懸念が実は私だけではなく担当のところにも出されておる。決してそうではない、自粛を求めつつ、保守管理といういろいろなことがあるのではなかろうかと言いつつも、現実はそんなことなものですから、よって自己責任で行かれることについて、政府として、外務省として、行くなということがなかなかもってただいまの法制の中ででき得ないことでありますものでありますから、せめて私どもがこうやって生命と財産を守るという国の基本的業務の中で見詰めつつやらさせていただいておるわけでありますから、もう少し全体の様子を見ていただきまして、全体的な協調の中で物事が行われてしかるべきではないのかということを実は率直に、懇談でいろいろと聞かれたものでありますから、まあ正直に申し上げまして、さらりと私は私なりに申し上げさせていただきました。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 申しわけありません。前通産大臣ですからね、そういう面について非常に御関係が深いでしょうからいろいろ危惧されているんだと思うんですけれどもね。あれですか、これはあくまでも対日本の企業の問題なのか。そんなの知っちゃいないわけですよね、自分たちが困ったら自分たち。ただ、これまた大臣が行きますと、あるいは総理がサミットに行きますと、結局この問題が、くしくも大臣の口からあったように、なんだ日本はと。そうすると、いや私たちは企業に言っているんですけれどもと、いや黒柳が言ったから国会ではこう話したんだと、そんなわけにはいきやしませんよ。私はおとなしいから、アメリカなんかおとなしくありませんから何言っているんだということで、結局は日本の対中姿勢の一環として、なんだ日本はと。大臣がくしくもおっしゃったように、もう経済優先じゃないか、いざとなったときどうなるんだろうと、外国から見ると、日本の中国政策の外国と変わった面でマイナスに日本のこの異様な経済優先というものが当然映る。そうすると、日本政府が、いやそうではないんだよと弁明なんかしてなまじ守勢に立ったら、これは弱いわけ。  大臣、私も選挙は今守勢だから弱いですよ。選挙なんていうのは何でも攻勢でいかなきゃ弱いですよ。だから、そんなことを考えると、もうちょっとこれは何とか手を打てと言っても自由経済ですから無理でしょう。無理でしょうけれども、ここまで、ついせんだってだもの、半年前じゃないんだから、一年前じゃないんだもの。ついまだ煙はほやほやしているわけですよ。困ったときに、命からがらのときに飛行機を回して帰してやったじゃないかと。まあこれは当たり前と言っちゃ当たり前。それをおまえたち行っていいのかと。もうちょっとやはり担当、関係のところに――ただ活字、新聞を通じて行く人は自分の責任だなんて言ったって見ないで行っちゃいますよ、会社の命令ですから。会社は会社で、そんなことはもう向こうから要望があったからでね。だけど、結果的にはやっぱりあのときもうちょっと推移を見ればよかったのにと、こんなことがなきゃいいですよ。そんなことがあったらこれは大変ですね。ということと、訪米のとき、サミットのとき、やっぱりさっきの問題と同じように、これが日本に対する外国からの大きな批判の問題になるんですね。失礼ですけれども、前通産大臣ですから、外務大臣が一手に引き受けているんですから、会社関係も外交関係も。それだけの実力者ですから、もうちょっとやはり会社関係、商社関係に厳しい指導ができないものでしょうか。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) 大変今後の日本外交の進め方について、外相会談も含めましてサミットヘの適切な御助言なり御注意をいただきました。  かねがね考えておったことでありますけれども、この時点におきましてそれぞれ経済団体、産業界に私自身としても自粛を求めるということでまいりませんければいかないのかな、こんなふうに思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 最初にニース協定からお尋ねすることにします。  これはもうこれまで同僚議員もお尋ねになりましたし、工業所有権の分野においても国際的な協力を進めていくと、これは当然のことですし、意味のあることだというふうに私たちも考えております。しかし問題は、これが実際に締結されて日本が参加をする、その後本当に政府がこれを確実にやっていくような体制になっているんだろうか、政府の対応としては十分なんだろうかという点になりますと、私はやっぱり先ほど来の特許庁のお話を聞いておりましても、どうももう一つすっきりしない。もっときちんとしていただかなければならないのではないかというふうに感じる点がいささかあるものですから、若干の点について述べさせていただきたいと思うんです。  これはもう三塚外相は通産関係で担当なされてこられたので、特許庁のことも十分御承知だろうと思いますし、この問題についてはアメリカの通商代表部からも障壁問題として何回か出されていますね。つまり、外国から出されてきたからこれは日本の政府としてもやっぱり締結しなければならないというふうな安易な気持ちではもちろんないだろうと思いますが、先ほどのお話では三年か四年でこれは整備していく、しかしその間に、結局参加はしたものの実際にやっていることはもっとやっぱり後退したじゃないか、事態はもっと問題の処理が遅くなったじゃないかというふうなことが実際には起こらないのか。あるいはこの人員の問題なんかを見ましても、ことし初めてですよね、人員ふえたのが三千数百名で、プラスマイナスすると十五名ですか。それで、こういうふうな状態を見てどうなんだろうか。  先ほど来、同僚議員がいろいろ質問しておりましたし、今度はペーパーレスで機械化するということで仕事の量も大変ふえておる。それだけの問題ではなくして、今までは国内分類を主流としながらも、これを調整して国際分類に移行させていくというふうな問題もあるでしょうし、また今度サービスマークの方もこれを取り入れなければならない。そしてこれを年間見てみますと、特許から商標から合わせてみると七十三万件超えるというふうな膨大な数字ですよね、国際的な比率から見ても。そういうことを本当に体制上あるいは人的な配備の上でも補給の上でも万全を期して行われるのかどうなのか。  やはり問題は、条約を締結すればそれで終わりではなくして、その後が私は大切ではないかというふうに考えるので、今までの通産大臣として見てこられた経過から見て、これを締結して今後きちっとそういう問題については万全な体制をとっていけるのかどうなのか、まず最初に大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) ただいまの御指摘でありますが、条約に承認をいただき加入をして、今おっしゃったような四年後スタートまでそれぞれの諸準備があるわけでありますけれども、既に知的所有権問題というのが非関税の貿易障壁として指摘を受け、両国の懸案事項だけではなく、ガットの場におきましてもそれぞれの問題になってまいりました。特に、日米間という問題に相なったわけで、御指摘のようにペーパーレスということでその処理の迅速化を図る、こういうことに相なってきたわけでございます。  さはさりながら、やはりこれを操作するのは人員でございますから、こういうこれからの分野の仕事でありまして、そういう意味で本件の処理というものが迅速かつ的確に行われていかなければならないという意味においてどう強化していくか、そういう意味でシーリングの中で、行革という基本の中で人員の増が極力抑えられておりますけれども、やはりこの分野における専門家養成、また職員養成という意味でも重要な問題でありますので、私自身もやはりこういう分野は、特許の業務の先進国家として、世界にこの分野がきちっと定着する意味においても役割を果たしていかなければならぬ時期に来たのではないだろうか。まさに文化面、行政面における国際協力という意味もありまして、御指摘の御懸念のありませんように努力をしていかなければならぬと思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 特許庁の方にお伺いしたいんですが、この協定を締結するに至るまでの準備について、つまり協定を結んでから今後実際に国際分類と整合して進めていく作業というのが今後三年ないし四年かかる。つまり、協定を締結してからそういう準備をされるということになったのか、こういうことを見越していて、一定の準備を進めてきながら今度の締結という段階に立ち至ったのか、そこらあたりの今までの経過についてちょっと説明してください。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) ニース協定の中身を見てみますと、この国際分類を採用する仕方といたしまして、初めから主たる体系といいますか、全面的に採用する方式と、それから副次的と申しまして、日本分類を維持しながらそれを補完的に使うというシステムがあるわけでございますが、国際協定上、いずれもどのように採用してもよろしいということがございました。    〔委員長退席、理事森山眞弓君着席〕  当初私どもは、主たる体系に一気にいくという考え方もあったわけでございますけれども、昨今の国際情勢あるいは知的所有権関係で日本に寄せられています期待等を考えますと、この協定に参加し、かつ国際協定上許されます副次的体系を採用することによりまして国内にも周知をさせていくという点も考えますと、現在は副次的体系というものをしばらくの間採用していこうというふうに判断したわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 今、国内では、三十四分類というのを日本の国内の分類では使っていますよね。旧分類で七十分類というのは今併用しているのか、併用しているとしたらどの程度の比率になっているのか、そのあたりの状況を聞かせてください。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) これは昭和三十五年に現在の分類に移りました。そのときに、大正十年から約四十年間にわたりまして七十分類、その中に約二千二百品目ぐらいの品目を商標の法律で運用してきたわけですが、その後、昭和三十五年の法改正によりまして現在の三十四分類、四千五百品目を参考に挙げて行っておるわけでございます。  現在、既登録の中を見ますと、約七十万件から八十万件の保護されている商標がございますが、そのうち七万件程度が旧分類と申しますかになっておるわけでございます。    〔理事森山眞弓君退席、委員長着席〕 この辺の法律的な手当てと申しますか、出願人あるいは審査の便宜のために、現行の分類とそれから旧分類との連携、対照表と申していますが、どういう関係にあるかというものを作成し、これを公表することによりまして出願人の利便に供しておる、こういう仕組みでやっております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 そうすると、今後この三、四年間で、今副次的な形で取り入れるということになっている国際的な分類ですね、これが三年、四年たった後の場合には、それらの各分類、日本国内にあった三十四分類あるいは七十分類を今でも使用されている、こういうふうなことが全部併用されるという形になるんですか。非常に複雑になるというような感じがするわけですが、そこら辺の問題については整備をどのようにしていくというお考えですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 主たる体系に移りますには、特に審査及び出願人の便宜のために旧分類あるいは今の分類それから国際分類の関係につきましてきちっとした対応関係をやはり作成していく必要があるというふうに考えております。また、事前に既登録のものについてのサーチがしやすくするようにコンピューター化するとかいうことで対応していきたいと思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それはどうかなと思うんですがね。あれは一九五五年ごろだったですか、一回この国際分類なんかの問題について取り入れるかどうかというようなことが検討された時期がありましたね。あれは結局はあの時期では採用しなかったわけでしょう。けれども、あのとき採用しなかったのはどういう条件で採用しなかったのか、今の条件ではなぜそれを採用することに踏み切ったのか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 当時の国際分類は一九三五年の非常に古い分類をそのまま利用しておりまして、それ以降、この協定の頭書きにもございますが、六七年、七七年、七九年と随時国際協定の中身も変わってきております。非常に西洋独特のわかりづらい商品を国際分類から落としまして、やはり国際分類としてふさわしい商品群あるいは商品の採用という努力を国際分類でもしておるという点が、現在の幾次の改定を経た協定と異なっている点かと思われます。  それからもう一つ、当時採用し切れなかった理由といたしましては、当時、機械検索といいますか、コンピューターによる調査というものが十分でありませんでして、特許庁におきまして、機械検索といいますか、コンピューターによる調査が本格的に行われましたのは昭和五十年代の後半になっております。今現在は、約八割方の出願につきましてはコンピューターで検索するという形になっております。  その辺の大きな要因がございまして、特許庁としても国際的な今現在の環境を考えますと、やはり国際的なこのニース協定に参加いたしまして積極的に関与する必要があるんじゃないかというふうに判断したわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 参加するのが悪いということを言っているんじゃないんですよ。だから、問題点がなぜその当時検討されながら採用されなかったのか、これはやっぱり日本の実情になかなか分類がいにくいという、そういう問題があったんでしょうし、あるいはまた出願人にも実務的には多大な負担がかかるというふうな問題等々も私は議論されていたんじゃないかと思うんですよ。  確かに、今あなたがおっしゃったように、五七年だとか六七年だとか七七年なんて改正されていますよ。しかし、これは何も日本が参加して日本が意見を述べたから日本の実情に合ったように分類が改正されたんじゃないんですよ。基本的にはこれは欧米的な形で国際分類というのはつくられている。だから、日本の文化や伝統の形式から見るなら非常に違っている状況というのがあるわけですよ。今でもあるわけです。前の場合には踏み切らなかったけれども今度の場合には踏み切る、それは国際的な批判が厳しくなってきたから、国際的な流れの中でやっぱり日本自身も参加せぬといかぬという認識が高まってきた、いろいろあるでしょう。だけれども問題は、体制をきちっと整えないと、安易な形での参加だけではうまくいきませんよということを私は言いたいんですよ。  だから問題点は、おたくの方からもらった資料を見ましても、例えば一つの分類でも日本に言わせると十四分類ぐらいになるというふうな表をもらいましたけれども、この丸をしているのを見ますと、日本で見ると二十一分類の品物が実は十四項目の分類に分かれている。いろいろなそういう資料もいただきましたけれども、なかなか実際には合いにくい。だから、もちろんその過程の中では、日本も参加をして意見も述べ、そういう調整が可能になっていくような努力をするというふうなことは必要だ、そのことを我々も否定しているわけではなくて、だから安易な形での参加ではない、本当に国際的にも確かにそれは参加しただけではなくちゃんとやった、なるほどということで、それから出願者についても十分な利益が保証されるようなものにしていかないとやっぱりいけないんじゃないかということをこの点でも特に強調しておきたいんですが、どうですか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 主たる体系に移行をする場合には、先生御指摘のとおり、国際分類の対応の仕方というのは非常に問題点がございますので、我々といたしましても審査体制あるいは特に資料関係の整備、あるいはコンピューターの検索等の対応、いろいろな面でやはり対応をしっかりやるというふうに考えております。また同時に、この出願人あるいは関係業界の十分な意見を踏まえまして環境を整えていきたいというふうに考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それで、その問題と関連してですけれども、先ほどの同僚議員の質問に対して、これは国内法令の改正ではなくて政省令の改正でやりたいというふうな話を、たしか長官が発言されたのでしたかね。本当にそれだけで十分に対応できるんだろうか。本当にきちっともっと適正な運用をやっていくためにはやっぱり国内法令の改正をきちっとやらないと、さまざまな混乱が生じた場合に、国際的な信用にもかかわる問題ですから、そこらあたりの問題点についてはもう省令でやるんだというようなことを決めるのではなくて、もっとやっぱり真剣に私は検討していただきたいと、法令として改正しなければならない点が本当にないのかどうなのかというふうな問題点について御検討いただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 主たる体系に移行する際には各種の問題がございます。今のところ国際分類を採用する場合には、これを日本分類をされております商標法の政省令改正ということで形式的には問題は特にないわけでございますが、出願あるいは審査等の観点から問題がまだあるということでございますと、やはり関係者あるいは関係業界と十分意見調整をいたしまして、必要な場合にはやはり法律改正ということも検討していくことかと承知しております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 先ほどもこれは出された問題ですが、今サービスマークの登録制度というのはないわけですよね。これは何ですか、四年後に入れるのですか、ちょっと先ほどのを正確に聞いていなかったものですから。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) サービスマークの登録制度を導入する際に、やはり審査体制なりあるいは基礎となる資料の整備、法律改正等々がございますので、これらの諸問題を解決していくためにはやはり三年から四年ぐらいの期間が必要ではなかろうかということで見通しを立てさせていただきました。

立木洋日本共産党

○立木洋君 このサービスマークの問題については、今までこういう制度をとってこなかったという主な理由はどういう理由だったんでしょうか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 特に昨今のサービスの取引の進展が非常に急激なものがございます。これらの内外経済の状況、それとあわせまして、先ほどアメリカあるいはヨーロッパ等からサービスマークを登録制度によりまして保護をするというシステムが日本にはないという指摘等がございまして、それらを総合勘案いたしましてサービスマーク導入に向けて種々の検討を加えて対応を考えていきたいというふうに考えているわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これを入れると相当組織的な体制だとかあるいは人的な配備だとかというものも必要になるんだと思いますけれども、そういうふうなことはもう検討されつつあるのか、まだ全く白紙の状態なのか、そういう点はどうでしょうか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 特に、審査を行います場合には、そのためのデータベース、またそれを動かしますコンピューターのソフトの開発等には我々としては既に着手しておりますし、法律的な問題につきましては庁内で検討をした上で、庁内外の意見を今後聞いていくことにしております。そういう意味で、着実に現在検討中であるという状況でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 いや、その人的な問題をちょっと。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 人的な審査体制につきましては、今後機構、定員等の要求におきましてしかるべき部署と協議及び交渉をしていく所存でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 おたくの方から出されている資料なんですが、特許庁の年報に定員と出願、処理件数の推移表というのが出されていますよね。これ見てみますと、昭和五十五年が二千三百六十七名、これは総定員ですが、それから五名減り十名減り、十名減り、七名、六名、四名、二名、二名というふうにずっと減ってきたわけですわな。これが減ってきて、下の方の出願件数、特許、意匠、商標というのを全部ずっと見ていきますと、同じ五十五年に五十六万五千五百八十七件というのが六十一万、六十三万、六十六万、七十万、七十二万、七十四万、七十七万、そして六十三年度は若干減っていますけれども七十三万。ずっとこれはふえてきて、この間のパーセンテージを見ると一三〇%、人員は九八%そこそこになり減ったけれども、出願件数というのはものすごくふえた。これは実際には仕事の上からいうならば大変な状態にやっぱりなっているんじゃないかというふうに思うんですが、そこらあたりの実態をどのように把握しておられるのか、どうでしょうか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 御指摘のとおり、定員は五十五年をピークにいたしまして二千三百六十七人から六十三年は二千三百二十一人というふうに純減しておるわけでございますが、一方、特実、意匠、商標等の件数は毎年ふえているという状況でございます。  これらの対策につきましては、総合的系統的な対策を講じなければいけないという観点から、一番初めにはやはり定員の増加、二番目にはペーパーレス計画によりまして審査あるいはサーチの促進化を図る、三番目には出願人に対しまして適正な出願をしていただくというような柱によりまして、これらの出願増に対応してきているところでございます。  特に、商標について申し上げますと、五十三年からコンピューターによる審査を開始いたしまして、定員自身につきましては減少しておりますけれども、増加する出願に対しましてその処理期間を短縮化するという方向で努力してきた次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 先ほど同僚議員も述べられましたけれども、五名の方が亡くなるというふうな事態があっただとか、それから実際には残業だとか、それから休日出勤だとかいうふうな問題なんかはどういうふうになっているんですか。残業の全体的な、つまり労働時間等々なんかについては把握していますか。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 全体の残業体制につきましてはちょっと私把握しておらないわけですが、ただ、先生御指摘のとおり、現在ペーパーレス計画を進めております。これはあらゆる業務についてコンピューター化しようということでございますので、審査にとって見ますとまさに純増の仕事ということで、かなりの負担がそこではかかっておるということは否めない事実でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 大臣、ことしになって十五名ふえたのは大臣が努力なさったのかどうか私はわかりませんけれども、しかし今の状態を聞いていますと、これはやはり大変だと思うんですね。仕事はふえる、国際的にはいろいろと厳しい指摘、批判があるし、出願事務がどんどんふえる、しかし実際には定員が減らされてきて、やっとことし十五名、これはプラスマイナスで十五名プラスになったということなんですが、実際の状態というのはやっぱり大変じゃないか。国際的にも、ILOの問題を持ち出すまでもなく、日本の労働時間は長いということでいろいろ手厳しい批判もありますし、西ドイツやアメリカ等に比べても相当長いというような。そういうことで、本当にすばらしい技術を持ち能力を持って熟練したそういう人たちが若くして死ななければならないだとか、仕事から離れるなんというようなことになるとこれまた大変ですから、そういう点での労働者の健康の問題だとか条件等々についてもやっぱり目配りをした体制のためにも、今後よく大臣の方からも目を配ってやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) 御指摘のとおり、我が政府官庁、残業省でございまして、極めてそういう意味で使命感のもとにやられておるとは言いながら大変過酷な状況にありますことは、私も実感としてまた受けとめております。土曜閉庁をやり、やはり時短の問題が一つの今後の勤務体制として取り上げられている中でありますので、特に特許行政は極めて専門的分野であります、そういう意味で、これだけの問題がきちっと処理されてまいりますように、ともども私としても努力をしてまいりたいと思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それから、本協定の提案の理由の中でも、これは、この協定を締結さすることは、国際的に商標を登録出願する場合の出願者等の便宜に資するというふうに述べられてあるわけですね。これは、先ほども数字が出ましたけれども、国内でやるというのが大体国外と対比するならば十分の一だというふうなことでしたよね。こういう我が国の出願人に対しての便宜というふうな点ではいろいろと今までも問題点が指摘されていますし、非常に商標調査が煩雑になるのではないかというふうな問題点だとか、あるいは出願登録費用の負担が大変増加するんじゃないかというふうな問題点が指摘されておりますが、我が国の出願人についての便宜というようなことはどういうふうに今後改善されていくのか、その点についても一言聞いておきたいと思います。

山浦紘一特許庁審査第一部長

○政府委員(山浦紘一君) 我が国の出願人に対しましては、先ほど御指摘がございましたが、対訳書などをしっかりと整備をいたしまして、さらに現行分類と国際分類の対応表というものを作成し、十分関係者の御意見を入れて修正をした上で公表をする、そしてそれを実際の先行調査に資するために関係者に周知させるというようなことをいたしまして、出願人に不便を来さないように最大限の努力をしたいと考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それじゃ、その他の若干の問題がありますが、次の条約もありますのでこれはこれぐらいにしたいと思いますが、協定を締結して後の体制というのが非常に大切だということを私は痛感するものですから、くれぐれもその点での一層の努力をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  次は、実演家、レコード製作者の問題ですが、条約に参加しているのが今三十二カ国だというふうに承知しているわけですが、これは本来、国際的にもこれに参加する国がふえて、そして著作物の創作や伝達、媒介等が一体になってくれば国際的な保障制度というのが確立できるというふうに指摘されているわけですが、今の三十二カ国の参加という状態でいわゆる保障制度の確立という度合いをどういうふうに判断されているのか。  それともう一つは、今後の見通しとして、この参加国がさらにどういうふうにふえていくというふうに見通しを立てられているのか。大体、ふえていけばいくほど保障制度というのは確立されていくわけですが、もう一つはその見通しの問題。両方の点についてお尋ねをしておきたいと思います。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 難しいお尋ねでございますが、例えば著作者の著作権に関する基本的な条約でございますベルヌ条約を例にとりますと、約八十カ国が加入しておるわけでございます。それに対しまして、今先生御指摘のように、実演家等保護条約につきましては三十二カ国という状況になっておるわけでございまして、そういう量的な対比から申しますと、実演家等保護条約の国際的なネットワークとしての強さを増すためには加入国がふえることが望ましいというのは、先生御指摘のとおりかと思うわけでございます。  ただ、ベルヌ条約が律しております著作者の権利ということに関しますと、著作権というのはいかなる作品についても発生するわけでございますけれども、実演家等保護条約ということになりますとレコード製作者も入りますし、また放送事業者というある意味ではかなり、こう言うと語弊がございますけれども、そういう近代的な事業者というものの存在を前提としてそれぞれの者の権利を保障し、また権利者間の権利を調整するという仕組みになっておるわけでございまして、その意味でやはり若干様子は異なろうかというような感じがいたすわけでございます。これが一点でございます。  それからもう一点は、先ほどベルヌ条約八十カ国と申しましたけれども、実はアメリカは長らくベルヌ条約というのには入っておりませんでした。入りましたのはついことしの三月でございまして、それによりましてベルヌ条約もかなり強力になったわけでございますが、やはり必ずしも数だけでは言いがたいところもあるという点もまた指摘できょうかと思うわけでございます。幸い御承認いただきまして今後日本が締結し、ネットワークとしては強化されるということでございまして、これにつきましては世界知的所有権機関の担当者の方からも大変歓迎されることであるわけでございますけれども、日本が入りますことによって具体的にどのぐらいかということはちょっと申しかねるわけでございますけれども、今後とも一つの大きな誘因にはなろうかというように考えているところでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これは、この国際条約に加盟して国内法の上でのいわゆる調整が必要な問題というのはどういう問題点があるのでしょうか。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) まず法制度の面から申しますと、現在当国会に並行的に提案させていただいております著作権法の改正案がございます。この改正法案の中におきましては、実演家等保護条約の締結に伴いまして新たにこの条約によって保護義務が拡大するわけでございまして、新たに保護が拡大する実演それからレコードそれから放送それぞれの条項に保護が拡大するものを書き加えてございます。これが一点でございます。もう一点の制度改正といたしましては、若干細かになるわけでございますけれども、国内に常居所を有しない外国人の実演、これにつきましても実演家等保護条約の締結に関連いたしましてあわせて保護することとするというこの二点を内容とする法改正を提出しております。これが法制度の問題でございます。  もう一つ、実態面でございますけれども、先ほど矢田部先生からの御質疑にもございましたけれども、二次使用料の支払い義務というものが新たに生ずるわけでございます。これにつきましては、我が国の実演家団体と他の締約国の相当する実演家団体との間、それから我が国のレコード製作者の団体とやはり他の締約国の相当するレコード製作者の団体との間で約束事ができておりまして、権利の委任等の協定ができておるわけでございますが、それらをもとにいたしまして我が国の放送事業者が他の締約国のレコードを使用した場合の二次使用料を権利者団体との間で交渉して決め、それを他の締約国の団体等に支弁する、こういう新たな仕組みが必要となってくるわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 国際条約の第十条で「レコード製作者は、そのレコードを直接又は間接に複製することを許諾し又は禁止する権利を享有する。」というふうになっておりますね。これは改正されるのかどうか、著作権法の第五款三十条のところですね「私的使用のための複製」、ここでは「著作権の目的となっている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とする場合には、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製するときを除き、その使用する者が複製することができる。」と、これはちょっと読むと何か――国際法の場合にはこれは「禁止する」と、禁止する権利を持っているというわけでしょう。だけれども、この場合には、国内の場合には複製することが可能だと。いろいろ複製してそれが商品として売り出すものでなければ何ぼ複製してもいいのかというふうな問題なんかも生じてこないのかというあたりの懸念がちょっとあるのですが、ここらあたり国際法とのこれをどういうふうに理解するのか、また三十条との関係では何か改正が行われるのか、あるいは解釈上で、どういうふうに解釈するかということによってその両者の整合性が保たれるのか、そこらあたりはどういうふうに考えたらいいんですか。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) ただいま先生御指摘のように、レコード製作者の複製権を例にとられたわけでございますけれども、条約にしろあるいは現行の国内法にいたしましても、基本的に著作者あるいは実演家等レコード製作者に対して著作権制度上認められている典型的な権利は複製権であるわけでございます。したがいまして、他人が断りなく複製するということについては著作権制度上問題になってくる、こういうことになっておるわけでございますが、ただしその複製権を行使するにつきましては、すべての複製権を認めるという仕組みには必ずしもなっておりませんで、ある一定の場合にはその権利が及ばないという保護の例外措置というものを定めておるわけでございます。  現在御審議を煩わせております実演家等保護条約の例に即して申しますと、先ほど十条の御指摘がございましたが、十五条のところにございますように、締約国は国内法令で保護の例外を定めることができるという規定がございまして、(a)といたしまして「私的使用」というのがございます。これが一つの例外措置でございます。この関係は、先ほど申しましたベルヌ条約、著作者の権利の方につきましても基本的に同じような規定があるわけでございまして、これらの条約を下敷きにいたしまして現在の国内法もでき上がっておるわけでございまして、それが先ほど先生御指摘の三十条というところに当たるわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この解釈というのはなかなか難しい面があるんじゃないかと思うんですが、この間カラオケの問題でも問題になりましたがね、結局あれは第二次使用料を払うことになったわけでしょう。問題をいろいろ検討してみますと、例えば喫茶店だとかパチンコ屋とかレストランなんかでレコードをじゃんじゃん使っていますわな。これは営業目的でないかといったらやっぱり営業目的じゃないだろうか、もちろんこれが日本の国内で今問題になっているとかどうとかという意味じゃありませんよ。だけれども、そういう場合なんかを想定されてくると、国際条約の解釈だとか、実際にそれに適応した国内法の改正だとかいうのも相当厳密さが要求されてくるんじゃないだろうか。裁判で問題になったらやむを得なくて、問題にならなかったらいいということではやっぱり済まされないだろうと思うし、ここらあたりの問題については、保護するという立場に立ってみるならばどういうふうに考えたらいいのか。そういうあたりは検討なさっておられますか、どうでしょう。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 先ほど申しましたのは、条約の一つの考え方を御説明申し上げたわけでございまして、要するに個人的に楽しむとかあるいは家庭内で楽しむというようないわば私的な使用でございますけれども、そういうことのために著作権あるいは実演家等の権利が制限されても一応この条約上の義務違反にはならないという仕組みを御説明したわけでございます。ただし、これは一つの共通の最低義務と申しますか、ということでございまして、これをもってしておよそすべからく著作権の問題が解消するというような性質のものではないわけでございまして、先ほど来先生御指摘の三十条に即して申しますと、いわゆるテープレコーダーの普及でありますとか、あるいは最近でございますとビデオデッキの普及でありますとかということによりまして、従来でありますと個人的に楽しむぐらいだから家で録音したって構わないではないか、あるいはビデオにとっていいではないかという状況であったわけでございますが、これほど普及してまいりますと、一億二千の人々がすべからく自由に複製してしまうということになってきますと、権利者側といたしましてやはり不利益を生じているのではないかという問題があるわけでございまして、これがかねてから三十条問題として論議されておるところでございます。  これにつきましてはいろいろな経緯がございます。省略させていただきますが、現在著作権審議会の第十小委員会というところでおととしの夏からこの問題について議論をしておるわけでございまして、権利者側といたしましては、ヨーロッパの幾つかの国でとられておりますように、機器でありますとかあるいはテープ等の器材に対して一定の賦課金をかけてそれを権利者側に還元するという仕組み、一般に報酬請求権制度と称しておりますけれども、こういうものも我が国に導入したらどうだろうかというようなことも主張しておるわけでございます。そんなことどもも含めまして、現在検討されておるところでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それからもう一つですね、実演家がみずから実演した場合の公表権というか氏名表示権というか、それから同一性保持権というか、こういうふうな実演家としての人格権の問題ですね、これをどういうふうに扱っていくのか。国際法と今までの国内法とのかかわりでの問題点をちょっと説明してください。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) いわば精神、名誉にかかわります人格権の問題につきましては、条約上もそれからそれを下敷きにいたしました国内制度上も異なった扱いをしていることは御指摘のとおりございまして、著作者につきましては、著作者人格権と申しまして、ある作品を公表するか否か、どういう名前で公表するのかどうか、あるいは変な形でゆがめられた形で公表される、こういうようなことを阻止する権利というのは認められておるわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 著作者の場合はわかるんですけれども、実演家の場合に。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 一方の実演家につきましては、現在認めていないわけでございます。これはそれぞれの条約を下敷きにしておりまして、ベルヌ条約では著作者人格権というものも認めておるわけでございますが、現在御審議いただいております実演家等保護条約では、実演家の人格権というのを特段に規定しておらないわけでございます。  したがいまして、実演家の人格権というものを国内法上認めないということによって直ちに条約上の違反がどうこうという論議はないわけでございますが、ただ論議といたしましては、著作者に対して認められているんだから実演家等にも認められてしかるべきではないかという論議があることは十分承知しておるところでございます。下敷きとしております条約の考え方もございますし、また場合によって実演家の人格権的なもの、これはいわゆる民法のような形のもので保護されるそういう側面もあるかもしれませんし、そんなことも含めましてなお検討される余地があろうかと思うわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この実演家の人格権という問題も、近代社会の状況から見るならば、私は当然の推移としてやはり検討していく必要がある問題じゃないかというふうに思うんです。これはもうあれですね、大臣がきょう述べられた所信についてはまた別の機会にお尋ねしますけれども、今やはりこの人権問題というのは、ただ単なる国内問題じゃなくて、国際的な問題になってきていますし、もう国際人権規約だとか、そして報告する義務まであるわけでしょう。だから、これはやはり近代社会の中でつくり出してきた、人類が到達した非常にすばらしい問題というのが基本的な人格権、人格の問題だし、だからそういう意味では、この人権の問題というのは相当尊重される必要があるだろう。だから、この文化等々の面においても、私はそういう問題が当然これからの推移としては検討されていく必要がある点だと。そういう点でも日本が積極的にそういう役割をさらに果たすようにしていく必要があるんではないかというふうなことを感じたものですから、特にその点強調さしていただきました。  最後になりますけれども、保護期間ですね、二十年、三十年というのは、これは結局国際法に準じて三十年、二十年ということにするんでしょうか。どういうふうになりますか。

雨宮忠文化庁文化部著作権課長

○説明員(雨宮忠君) 御指摘のように、この条約では最低限二十年という保護期間を定めておるわけでございます。長らく我が国の著作権法におきしては、実演家等の実演の保護期間につきましてはこの最低限の二十年に合わせて二十年という規定を置いてきたわけでございますが、昨年の著作権法改正によりまして、実演家の実演等の保護期間につきましては二十年から三十年に延長してございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 今、同僚議員とのダブりは防いでお尋ねしたんですが、残った時間少し急ぎの問題がありますのでお聞きしておきたいと思います。  有馬さんちょっと前の方にお願いします。有馬さん、そんな難しい顔しないで、いい答弁を出してくださるように。  タイコンデロガのあの事件がありまして、いろいろ政府の方としてもアメリカに照会し、その資料を要求する等ということが予算委員会等でも審議されてきたわけですが、そういう資料がこれまでどの程度届いているのか。それで、それらについてはすべて公表されているのか、まだ公表されていないものもあるのかどうなのか。その実情について最初にちょっとお尋ねしたいんですけれども。

有馬龍夫外務省北米局長

○政府委員(有馬龍夫君) 本件の事故に関連いたしまして、いささかの経緯でございますが簡単にお話しいたしますと、一九八一年の四月に米国の国防省、エネルギー省が一九五〇年から八〇年にかけて発生した核兵器にかかわる事故三十二件の概要を公にしたわけでございますが、その中に今回取り上げられているものが含まれております。しかし、その当時はこれが我が国に直接かかわるものであるとは考えなかったわけでありますけれども、今般、本件が御承知のように環境団体でありますグリーンピースそれからもう一つの研究所によってさらに詳細な側面を公にされた。それに基づきまして私どもは直ちに米国政府に照会したわけでございます。  そのとき、五月十日でございますけれども、米国政府からは、一九六五年十二月五日、一個の核兵器を搭載した海軍のA4型機が米空母タイコンデロガ(CVA14)の昇降機から滑り、一万六千フィート、これは約四千八百メートルでございますけれども、以上の海底に没した。一九八一年四月に国防省、エネルギー省により発表された本事故に関する概要では、本件事故が陸地より五百海里、約九百三十キロメートルの位置で生じた旨述べられていたところ、アジア大陸を起点とすればこの数字は正しいが、現場の位置は沖縄の北東約二百海里、約三百七十キロメートル、琉球諸島の直近の陸地の東方約八十海里、約百五十キロメートルの公海上であった。航空機は、パイロット及び兵器とともに公海において直ちに沈み、回収されなかった。そして、これが通報されまして、あわせて本件事故の発生した場所をも通知してきております。  しかし、それを受けまして、さらに私どもとしてはこれを大変重要なことと考え、その安全性、すなわち爆発の可能性があったものか今でもあるものか、それから環境にいかなる影響を及ぼすかということを中心として米国政府に改めて照会したわけでございます。  その照会に対する回答が米国政府から参っておりまして、この「核兵器の安全性に関する米政府よりの説明」というのは、   米国立研究所の核兵器設計専門家チームは、一九六五年十二月五日に起きた一個の核兵器搭載のA14機の事故の短期及び長期的な核の影響に関して評価を行った。同チームの調査結果は以下のとおりである。 ということを申してきたわけでございます。これは五月十五日に参議院の予算委員会で公にさせていただきました。  これは、事故の重要な側面にかかわるところでございますから紹介させていただきますと、   一、この兵器システムは、本件事故の状況下で、安全装置を解除する、もしくは解除する指令を受けるようには設計されていないため、本件事故時には、核爆発或いは高性能爆薬の爆発は起こり得なかった。  二、当該事故に巻き込まれた核装置は、極めて深い海底において構造的に完全な状態のままであるようには設計されていなかった。従って、一万六千フィートの海底に至る前に、構造的な破損が起こり、核物質は海水にさらされた。又、高性能爆薬の成分も同様に、海水腐食効果にさらされた。このような作用は、核爆発或いは高性能爆薬の爆発が、現在の環境下においても、また、将来の環境下においても、決して起こり得るものではないことを保証する。  三、環境への影響については、本件関連の核物質の溶解性を測定するために海中試験が行われた。これらの試験により、核物質は比較的短時間で溶解することが判明している。核物質の高い比重の故に、溶解物は極めて素早く、他の堆積物とともに海底に沈殿する。従って、環境への影響はない。  その際、若干の補足説明がございます。  この調査は短期及び長期の二種類につき行われている。前者は事故発生直後の安全性評価を指し、後者は今般日本側からの要請を受け、本件の現在及び将来にわたる影響につき分析を行ったものである。ハイ・エクスプロシブ・デトネーション、これは通常、高性能爆薬物のことでございますが、これは核爆発を起こすためのものであり、普通の、いわゆる通常の爆薬のことである。そして、今般行われた分析においては、少量の核物質を海水中にさらした結果、この溶解率を基礎に問題の兵器の核物質が溶解するに要する時間を割り出した結果、比較的短時間に溶解するとの結論を得ている。本件事故の場合には、少量の核物質が膨大な量の海水と接触し、溶解した物質も薄められており、積年にわたる海流の流れもあり危険性はなくなっている。  なお、米側は問題の核兵器の核物質の量については明らかにできないということをも申しておるのでございますが、これらの説明を私どもといたしましては大変重いものと受けとめてはおりますけれども、国民のこれについての不安をさらに除去するために、関係省庁において緊密に連絡をとりながら、専門家の意見を伺い対応を考えております。そして、現在関係省庁においては、従来から行ってきた海洋環境放射能のデータの調査、整理、分析等を実施するほか、過去の放射能調査の際に採取し関係機関に保存されている海洋生物の資料の分析等を実施しております。  それから、地元自治体から要望がある沖縄県、鹿児島県の近海における海洋生物及び海水についても、新たに採取して分析を行うべく現在準備を関係のところで進めていると伺っております。  今まで米側から受けておりますものは以上でございまして、すべてを明らかにいたしております。  それから、現在、先ほど紹介させていただきました米側の安全性にかかわる説明について幾つかの追加の照会をもいたしております。  それから、一九八一年に発表されました三十二件の中に場所等が明確ではないものもあるものですから、これ以外にも我が国にかかわるものがあったのかどうかということを念のために確認いたしております。  それから、広く持たれている関心のゆえに、このタイコンデロガが事故を起こしました後どこへ行ったのかということをも照会いたしております。  以上でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 今、局長がお述べになった最後の方の質問した事項についてはまだ米側から回答はないわけですか。

有馬龍夫外務省北米局長

○政府委員(有馬龍夫君) ございません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それで、特にこのタイコンデロガの航跡、どういうふうにその後動いたのかという問題なんです。  御承知のように一九六四年、これはその前ですが、一九六四年八月にトンキン湾事件が起こりましたね。これの真相というのは今はもうはっきりされておりますけれども、このときにこのタイコンデロガが現地に存在して、この艦載機が北爆を行った一隻であるということがこれはアメリカの資料によって確認されております。そして、この一九六四年八月、最初の北爆を行って後、このタイコンデロガは一たんサンフランシスコの海軍造船所にオーバーホールを受けに帰っている。その後タイコンデロガの母港であるサンジエゴに帰っております。  さて、それから後が問題になるんですが、一九六五年の九月ごろこのタイコンデロガは西太平洋配備につきます。その配備についた期間が八カ月間という任務を受けて配備につきます。そして、配備についてやはり同様ベトナム沖に行くわけですが、そのベトナムから一たん帰路日本に向かったときに、先ほどお話ししたような事故に遭うわけですね。これが一九六五年の暮れになるわけです。  ところが、この十二月五日に水爆が水没するという事故があって後、今まで明らかにされている航海日誌によれば、二日後に横須賀に入ったと。横須賀に入った後どこに行ったのか。またベトナムに行っているんですよね。そして、ベトナムに行きまして、この六五年の末にベトナムの沖でタイコンデロガに積載されているF8、F8Eですが、この艦載機が同じようにベトナムの沖で墜落事故に遭っているんです。このタイコンデロガは、その後、年が明けて一九六六年二月の二十一日から二十三日に佐世保港に入港しているわけです。そしてその後、四月十三日に母港サンジエゴに帰港しております。つまり、この八カ月間西太平洋に配備されたタイコンデロガは、この戦闘期間中二回にわたって横須賀と佐世保に入港している。日時も明確に確定されているわけです。  これらのものは私たちがアメリカ政府が提示されておる資料によって見ることが可能なわけですから、これは日本の外務省が、私なんかよりも資料の収集能力は当然あるわけで、お知りにならないはずはないだろう。この関係のものをひとつ至急にやはり調べて提出をしていただきたい。これはもう局長が予算委員会でもこの航海日誌等の問題についてはアメリカに照会中でございますというふうに五月の十五日に述べておられますから、もう既に一カ月余りがたっわけで、この点についてもきちっとすることは、日本の国民に対して事態が一体何であったのかということをはっきりする上で大切なので特にお願いしたい。  それから、もう一つこれに関連した資料をお願いしたいわけです。それはタイコンデロガの艦長であったワード・ミラー氏が海軍作戦部長にあてて提出した報告書をぜひ提示していただきたいわけです。日付は一九六七年二月の六日付の日付になっております。その名称は「タイコンデロガ〔攻撃型空母一四号〕一九六六暦年司令部史料」というものであって、これは既に機密が解除され公にされているものであります。問題は、その中に何てその報告書の中に書かれてあるかという点ですが、このミラー艦長が作戦部長にあてた資料の中には次のような記載があります。  タイコンデロガは米海軍の攻撃型空母の一つとして、あたえられた作戦任務のどの部分であれ、これを即座に遂行する即応性と柔軟性をつねにもっていなければならない。これには、大統領の命令がいつ、どこで、発せられようとも、ただちに核攻撃をくわえる能力がふくまれる こういうふうに記載されている部分があるわけです。これがその日付が一九六七年二月六日ということですから、一九六五年十二月五日に起こった水爆の水没事故とのかかわりが明らかにされておりますし、この資料の名称がタイコンデロガの「一九六六暦年司令部史料」ということになっているわけですから、非常に大切な資料だというふうに私たちは考えております。  もちろんこの点については、政府側としては核の能力と核を装備していることは別だというふうに有馬さんはお述べになるでしょう。しかし、そう述べても結構ですから、まずこの資料を提示していただきたいということですね。この二つの資料をぜひお願いしたい。  それからもう一つ、先ほどの米軍が日本に回答したという内容を見てみますと、いろいろな点で私は問題があるのではないかというふうに考えますので、その点も改めて米政府に問い合わせて、明確な回答を求めていただきたい。例えば、この三項目の中で、先ほどお読みになった点ですけれども、ここでは「海中試験」、つまり海中で試験が行われたというふうに訳されておりますけれども、シーウオーターというふうな訳文は海中というふうに訳すのかどうなのか。海水中というふうに訳すのではないだろうか。海中試験と海水中の試験というのは、これは大分意味が違うというふうにも思います。これは英文の原文に当たってみたわけですが、あるいは核物質のハイデンシティーというのは、外務省の訳では「高い比重」というふうに書いてありますけれども、これは高密度と訳すのが適切ではないだろうかというふうにも判断されます。また、ソリュートについては「溶解物」というふうに訳されていますが、溶質というふうに訳すのが適切ではないか。これは訳文の問題です。ですから、これについてとやかく言うことではありません。  ただ、問題は、「核兵器データ・ブック」の説明を見てみますと、このB43、つまり沖縄の沖で水没したあの水爆についての説明があります。それを見てみますと、この物質の中には次のような表示があります。「熱核爆弾:核分裂物質としてオラロイ:核融合用に重水素化と三重水素化リチウム」というふうに記載されております。ですから、ここでこの海中試験が行われて、比較的短い時間で溶解することが判明している等々のことが、こういう三つの物質が含まれているB43がいわゆる海中で容易に溶解するなどということは考えられないという問題点もあります。  それで、総じて次のことをぜひ明らかにしていただきたい。それは、今度の水爆水没事故に関する五月十日付のアメリカの米政府の回答について再度米政府に照会を求めていただきたいということです。  一つは、回答にある米国立研究所とは具体的に何なのか。核兵器設計チームとは具体的にはどのようなチームで、責任者はだれなのか。これが第一であります。  第二は、この「事故の短期的及び長期的な核の影響に関して評価を行った」とありますけれども、だれの指示で、いつ、どこで行われたのか。調査結果はいつまとめられ、どこに提出されたのか。これが第二番目であります。  三番目には、第二項にある「核物質」とは何か。プルトニウムなのか、オラロイ(高濃度ウラニウム)なのかですね。水圧によるいわゆる爆縮と同じような効果が生まれる可能性はなかったのか。これが三番目であります。  四番目に、第三項にある核物質の溶解性試験はどこでどういう条件で行ったのか。「比較的短時間で溶解する」とはどのくらいの時間なのか。「溶解物」とは何を指しているのか。「素早く海底に沈殿」とはどのくらいの速度で沈殿するのか。海流の影響はどうなのか。海底に沈殿後、「環境への影響はない」となぜ言えるのか。深海循環の影響は検討されたのか。  以上、これはワープロで打ってありますので、委員長、これを私は提出させていただきたいと思います。委員長の方にも提示いたします。これらの内容についてぜひ回答を求めていただきたい。  それは、先ほど申し上げましたように、この核兵器データブックの説明によると、B43の中には三つの物質が含まれているというふうに書いているんですね。そして核物質は何かという問題なんですが、例えばここで中心になっている高濃縮ウランのいわゆるオラロイというのは、これは金属なんですが、比重は鉛よりも重たいんです。これは簡単に溶解して沈殿するなんというようなことはない。例えば、重水素化リチウムだとか三重水素化リチウムなどについてはこれらは確かに海水に溶解するというふうなことはこれは検討され得ます。しかし、このオラロイについては別だということもあります。  さらに問題になってきますのは、この国立研究所がどこなのかということになりますが、これはロスアラモスかサンディアなど、例えばニューメキシコ州にあるところであるならば、ここは核兵器開発研究所と言われていますけれども、実は長崎に落とした原爆、広島に落とした原爆を製造したところはここであります。そして、このB43もここで製造したのであります。つまり、製造したアメリカの国立研究所でこれの調査を行ったということになるとすれば、これまた別の事項からの検討が必要になってくるということも考えられるわけであります。  この問題点、第一点はこの航海日誌にかかわるもの、第二点は先ほど言いました艦長の海軍作戦部長あての報告書、それから三つ目が、今四項目挙げましたが、この四項目に対する米政府への再回答の要請事項、これらをぜひ実現させていただいて、その報告を求めてくださるように要望したいと思います。大臣、いかがでしょうか。

有馬龍夫外務省北米局長

○政府委員(有馬龍夫君) まず第一に、我が国といたしましては、米国の航空機あるいは艦船の航跡等そのものについては、それは米軍の運用にかかわるものであって、それを承知する立場にはないということが一つございます。しかしながら、今般はこの事故の性格にかんがみまして、米国政府に対して、これは一九六五年十二月五日事故が生じた後、どこへ行ったのかということを聞いているわけでございます。これはなぜかと申しますと、我が国政府としてもそれを確認しようとして確認することができなかったということがあります。他方、仰せのとおり、グリーンピース等がこの航海日誌なるものを配っておりますから、これは何なのかということはもちろんそれと並行して向こうに聞いておりますが、結果としてタイコンデロガがどこに行ったかということを向こう側が我が方に教えてくる場合、それを何に依拠して言うかということはこれは米側が決定することだろうと考えております。  それから二番目の、ワード・ミラーという人の事故報告ということでございますけれども、これは先生御自身がおっしゃられましたように、能力を有しているということと、実際にそれを搭載しているということとは別のことでございます。  それと私、一つ一つ専門的な御照会がございまして、答えることができませんけれども、先生御自身おっしゃられましたように、例えばソリュートを溶質と訳すのか溶解物と訳すかというのは私ども自身考えたわけでございますけれども、溶質と訳すよりは溶解物と訳した方が、それは専門家の方がごらんになればわかるわけでございますから、わかりやすいだろうというふうなことで、もう一つ一つ遡及的な、その最後のところですから御説明いたしませんが、それはいたしませんが

立木洋日本共産党

○立木洋君 翻訳上の問題については、そればそれぞれの訳し方があるでしょうから。

有馬龍夫外務省北米局長

○政府委員(有馬龍夫君) はい。それで、ちなみに研究所のことでございますが、それは既に別の委員会で御紹介いたしましたけれども、御指摘のとおり、サンディア試験所及びロスアラモス試験所でございます。そして、そのそれぞれがいずれも核エネルギー関係の試験所であります。どのようなことをしていたかということは私自身存じませんけれども、まさに専門的な知識を最も豊富に持っているところが権威を持って行って我が国に伝えてきたことだと私どもは信じております。  それから、先ほども申し上げましたように、私どもこの米側の説明を受けました際に、私どもとしてはこれは重みのあるものとして受けとめましたけれども、関係省庁のところにこれをお見せして、さらに照会することがあるのであればそれは照会するということで、事実上照会いたしております。  そして、もう一つ重要なことは、米国といたしましては、これが核兵器にかかわるものでございますから、例えばこの溶解は七日間で溶解したということを言っておりますけれども、量等については申しておりません。それから、海水中と申しますか海水と申しますか、しかしそのようないかなるそれが客観的な状況のもとでなされたかというようなことは、これはもう当然に信憑性を有する結果を出すということでやったものだと思っております。これは今回の我が方の照会を受けて改めて行ったということを申しておりますから。  今いただきましたこれらの御照会について、これは武器でありますから、繰り返しになりますけれども、秘密のものがあって米国が答えられるかどうかわからないというものも含んでおりますけれども、先ほどお話しいたしましたように、既に我が国政府の中に関係省庁が集まっていろいろ検討いたしておりますので、そこのところはこれをまず見てもらいたいと思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 もう最後になりますので、大臣のお考えもお尋ねしておきたいんですが、国民の中に存在している疑惑をやっぱりきちっと晴らしていくということは、私は政府としても非常に大切なことだろうと思うんです。だから、私はもう有馬さんの考え方はわかっていますから、先取りしてこう言うだろうと言ってあげたわけですけれども、しかし資料は資料としてきちっと提示していただいて、そして議論は議論として行うというふうにしたらいいだろうと思いますし、この航海日誌の問題については、つまりこれはコピーだということになりますからこれをアメリカ政府が認知できるのかどうなのかということになりますので、もしか政府の方で必要ならば、このコピーを送ってこれが本物かどうかというふうな照会の仕方も私はあり得るんではないだろうかというふうなことも考えます。  だから、やはり一刻も早く政府として事実を明確にするということが大切だろうと思いますし、それから、先ほどの作戦部長に対する報告についても、それから今提示しました四項目についてはもちろんそれぞれ専門家の方が御検討なさるでしょうけれども、私としてはいろいろ検討していろいろな人から聞いた内容も含めまして、ぜひこの米側の回答書に基づいてこれらの問題についてはもっとはっきりさせていただきたいということで提出させていただきましたので、ひとつ三塚外相の方でよろしく米側に照会して国民の前に明らかにできるようにしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

三塚博自由民主党外務大臣

○国務大臣(三塚博君) ただいまの御質疑でありまして有馬局長からるる照会をいたしました報告書についてただいま説明がございました。私も本件につきまして調査、勉強させていただいておるわけでございますが、政府としての見解とすれば、米御説明はそれとして重みのある説明だと認識をいたしておるところであります。  ただいまの四項目については有馬局長から関係省庁において検討し、それに基づき再照会すべき事項をとりまとめてさらにやられておる分に加えてダブる分もあるんだろうと思うんですが、そういうことでありますので、局長の答弁は私もそれでよろしいというふうに思っておるところでありまして、航海日誌の件は現在米国に照会中ということは御案内のとおりでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 もう一つ、一言だけで終わります。  きょうはその内容について私は議論しようとしたのではございません。ただ、その事実をはっきりさせていただきたいということで要望したわけでございますから、ぜひそのことの実現をお願いし、さらに今後、機会がございますので内容の議論については、また改めて議論をさせていただきたいと思います。  終わります。     ―――――――――――――

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、小西博行君、嶋崎均君及び倉田寛之君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君、関口恵造君及び田代由紀男君が選任されました。     ―――――――――――――

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 他に御発言もなければ、両件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両件について討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀江正夫自由民主党

○委員長(堀江正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会      ―――――・―――――

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