外交・総合安全保障に関する調査会安全保障小委員会 第1号
- 発言数
- 8 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1989/03/22
会議録
○小委員長(板垣正君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査会安全保障小委員会を開会いたします。 安全保障問題に関する件を議題とし、本日は、新デタント情勢下における我が国の安全保障について各会派を代表して御意見を述べていただきます。 それでは、御意見のある方は順次御発言を願います。
○永野茂門君 それでは、議題につきまして私の個人的意見を含めて御報告いたします。 政府は既に次期防衛力整備計画の作成作業を始めています。したがって、私の本報告はその計画作成に焦点を合わせて申し上げます。 まず、国際情勢をいかに認識すべきかについて述べます。分析すべき重要要因としては、ソ連の変化と自由陣営内の変化を概観いたします。 第一に、ソ連の変化についてであります。 ゴルバチョフが就任以来打ち出した政策は、ソ連が軍事より経済を、特別な階級よりも全人類を、そして拡張より平和共存を尊重しようとしているように見えます。現にそのように評価する人たちもいます。 しかし、ソ連はその極東軍事力の増強を依然として続けております。特にINFを除く各級ミサイルは、地上、空中、水上、水中発射各タイプのいずれも増強、近代化し、また海軍の増強、陸空軍の近代化も顕著であります。ソ連首脳は、中曽根前総理に対し、沿海州以東の軍事力削減の計画はないと言明しております。また、北鮮やインドを代理戦力化することを疑わせるほど、その軍事力の移転、援助を強化しております。さらに、我が北方領土については、対米攻撃力展開海域たるオホーツク聖海域の南西端を擁し、対日攻撃のための基地としても極めて重要であると見られていますが、対日返還を頑固に拒んでいます。 このように、アジア・太平洋地域では、ソ連がその言葉のように真に拡張主義から脱皮し、平和共存を意図している兆候よりも、なお執拗功妙に勢力を維持し、将来の拡大基盤を保持しようとしていると思われる事実が続いています。 欧州においても、バルト三国はもちろんでありますが、東欧諸国は住民の欲する十分な政治的自由を得ていませんし、通常戦力の削減については、真剣な討議が重ねられているにもかかわらず、ほとんど戦力バランスに影響を及ぼさない程度の一部兵力の一方的削減の意思表明がなされたほかは具体的な進展がありません。さらに、アフガン支配の継続も強く意図しているように見えます。 ソ連は依然として軍事的強国であります。確かにここ当分ソ連が軍事的無謀を企て得るような活力はないし、少なくとも当分のデタントを必要としていると見ていいと思います。しかし、進行中のペレストロイカは、なお国民生活を改善することができず、成功が危ぶまれています。ソ連がそのペレストロイカを成功させ、世界の平和、安定と繁栄に協力できるように変化することはもちろん望ましいことでありますが、成功した場合においても、回復した活力をそのように指向するかどうか、なお行動では示されておりません。 次に、自由陣営内の変化について述べます。 米国は軍事的にはなお世界第一の力を保持し続けるであろうと思いますが、経済的には相対的な衰退から抜け切れず、世界を支える市場であり、同時に世界の安全の保証人であり続けることはできなくなりました。日本は経済的に発展を続け、世界第二位の経済大国となりました。EC諸国は、日本ほどではありませんが、安定的な発展を続けており、近くECとして経済的に統合されることになっています。 このように見てくると、次期防衛計画の指針として次のようなことが導き出されます。 その第一は、依然として力による平和を求めなければなりません。我々は、ゴルバチョフ主導のソ連の変化を導き出した最大の要因が西側の結束、特にその防衛努力にあったことを忘れてはなりません。また、核戦力をもって最終の抑止力とすることも変化しそうにありません。我が国は日米安保体制を堅持し、ますますその有効性を高めながら、みずから必要な防衛力を節度を持って着実に整備、維持しなければなりません。 次に、ソ連の現在の変化を歓迎し、それを本質的、戦略的に定着させる努力を並行して進めることが重要であります。すなわち、一方で適正な抑止力を整備しながら、軍備管理、軍縮を進め、相互信頼を高めるための協議を進めなければなりません。いわゆる対話と抑止という二重戦略を慎重に遂行すべきものであると考えます。 次に、自由陣営の中で日本は世界の安全保障について公正な責任を分担し、貢献しなければなりません。もちろん日本は自衛を超える軍事的責任を負うことは許されません。外に対しては、例えば経済協力などによる非軍事的な責任の分担による貢献へでなければなりませんが、自衛についてはいたずらに同盟国などに依存することなく、自主努力をしなければなりません。 また、情勢はこのままさらに安定化の方向をたどることもあるかもしれませんが、不安定化の方向への急変についても留意しておくことが必要であります。したがって、情勢の見直しと計画の所要の修正を適時行うことが必要であります。特に不安定化への対応にはおくれを許されないことに留意しなければなりません。 次に、防衛力への資源配分について申し上げます。 防衛力への資源配分は、防衛の必要を充足できる限りにおいて低く抑制することは当然であろうし、節度のある防衛力整備の方針は継続すべきものであります。 しかしながら、当分の情勢のもとで我が国を攻撃する蓋然性のある脅威、適正な米軍増援を考慮した脅威排除またはその独力阻止に必要な期間、即応戦力の実体と戦力増勢に必要な期間など、さらに十分検討の上、改めて必要な戦力を見直す必要があります。 また、我が国の防衛費が既に世界第三位にあり、我が国の財政上、すなわち資源配分の考え方からも、近隣諸国への悪感作からも好ましくないとする意見もありますが、全く当たらないと思います。それはドル換算の金額の問題であり、志願制下の高人件費、効率的戦力のためのハイテク装備費などのほか、国内での建設費、サービス費などの価格の影響であり、装備などの実質的な戦力比較ではかなり低いレベルにあり、なお適切な防衛力整備の努力を続けなければならないのであります。 また、今後自衛官の人員の増加は非常に難しいものであろうと考えます。したがって、省力的、効率的編成装備への努力を必要といたしますが、同時に予備自衛官制度の抜本的な改正によって、即応戦力だけでなく継戦能力も充足できる方策を確立することが必要であります。このことは応募する多くの国民が自由民主制度下の我が国の自主独立を守る意志を明確にすることにも役立ち、そのことが真の抑止力の基盤となるものと確信いたします。 最後に、防衛力整備上重視すべき事項について申し上げます。 まず、防衛力整備において重視すべき軍事能力は次のようなものと考えます。 その第一は、対ミサイル防衛能力の保有であります。戦略ミサイル防衛については米国の抑止力に依存すればよいと考えますが、戦域ミサイル防衛については独自能力の保有が重要であります。二番目は、所要のエアカバーを伴う一千海里シーレーン防衛能力の増強、近代化。三番目として、継戦能力、施設などの抗堪性、三自衛隊統合及び日米連合作戦能力の充実向上、特に対日増援米軍に対する受け入れ支援態勢を確立しなければなりません。 次に、防衛基盤、防衛環境に関しては特に次のようなことが重要であると考えます。 その第一は、自衛官の地位の確立と処遇の改善、給与、年金制度、栄典制度の抜本的な改善が必要であり、自衛官の生活環境の急速な整備が必要であります。次に、有事法制研究の完成。三番目に、領空侵犯対処あるいは防衛秘密防護についての法制の改善。四番目に、国連平和維持軍に対する自衛隊参加の検討。五番目に、防衛意識の高揚、こういうことが重要であると考えます。 以上をもって報告を終わります。
○久保田真苗君 社会党の久保田真苗です。 初めに、現在の国際情勢について所見を述べます。 現在はグローバルな緊張緩和の大きな流れの中にあります。INF全廃条約調印、戦略核五〇%削減交渉の進行、イラン・イラク戦争の終結、五十万人の兵力削減等を含む八八年十二月のゴルバチョフ演説、朝鮮半島の緊張緩和等であります。ごく最近になって、日本と朝鮮民主主義人民共和国の間にも回復の兆しが見えてきたようです。しかし、この潮流は、米ソ両国の主導にゆだねるだけでは真の軍縮を確立することとはなり得ません。我々は何をすることができるだろうか、これが課題でございます。 まず、自衛隊の現状と我が国周辺の戦力バランスについて述べます。 定員七万五千人の警察予備隊として発足した自衛隊は、現在は二十七万人となっており、当初千三百億円の予算が現在は三兆九千億円と、まさに倍々ゲームで膨張してきました。 憲法第九条は戦争放棄と戦力不保持を明記しているにもかかわらず、自民党政府は自衛のための戦力は保持できると憲法をねじ曲げて解釈し、着々と自衛隊の増強を図ってきており、中期防達成の昭和六十五年度までにP3C百機、F15百八十七機、イージス艦やOTHレーダーの導入を試み、またトマホーク搭載艦の母港化、FSXの共同開発、音響測定艦の日米共同運用、地対艦誘導弾SSM1の配備があります。SSM1は射程百五十キロの性能を持つ巡航ミサイルであり、サハリンのコルサコフ軍事基地や国後島の軍事施設を射程内におさめる攻撃兵器であります。このように自衛隊は急速に戦力を増強しつつあり、それが日ソ間に緊張をもたらしています。 自衛隊は、このような戦力増強の理由として、一貫してソ連軍の増強による脅威の増大と言い続けています。しかし、政府はこれまでに、日本周辺あるいは東アジア・太平洋における東西間の戦力バランスにつき冷静な分析をしたことがあるでしょうか。 アメリカの一九八九年国防報告は、「ソ連とその従属国は、この地域の軍事バランスの一部で優位を保持しているが、全戦域にわたるいくつかの要因は、米国とその同盟国に有利である。」。あるいは、「この地域の軍事バランスの長期的な趨勢は有利と思われる。」と記述し、同じ国防総省の「ソ連の軍事力」においても、「多くの重要な地域全体についての傾向を考えてみると米国が有利である。」と分析しています。ヘイズ太平洋軍司令官は、議会証言で、我々は太平洋地域でよくやっている、通常戦力は仮想敵国に比べ優位に立っていると述べています。 その他多くの資料によっても、東アジアにおいては西側が有利であるとすれば、政府は東アジアにおいてさらに西側有利の状況をつくり出そうとして防衛力を増強し続けているのではありませんか。このような意図は、日ソ間に緊張関係をもたらし、お互いの信頼関係を損なうことになります。 ソ連、東欧の一方的軍縮を明言したゴルバチョフ演説の目的が、国内経済を原因とする要因と、世界に対する米ソ両国の指導力の維持をねらうものであったとしても、現実にはヨーロッパにおいてソ連の脅威というイメージは失われつつあり、世論もこれを支持しているところです。ヨーロッパ通常戦力交渉も現実的に進行中であります。 ソ連はまた、日本周辺を含む極東兵力二十万人削減計画を発表し、モンゴル駐留の機甲師団を五月から撤退させようとし、最新のミリタリー・バランスによれば、極東配備の巡洋艦十五隻を十二隻に、駆逐艦十四隻を十二隻に削減した模様です。 以上述べてきましたごとく、グローバルな軍縮の流れは次第に定着しつつあると見られます。日本の急速な軍備の増強、特に次期防で導入がうわさされている空中給油機や空中指揮管制機などは、日ソ間の緊張をますます高めることとなりましょう。我が国の軍拡が世界の軍縮の障害になりかねないということを私は憂慮します。 次に、日米安全保障条約について述べます。 日米安保条約の根幹は、一、「日本国の施政の下にある領域」、つまり日本有事に際して共通の危険に対処する、二、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」日本は米軍に基地を許与することであります。 一九七八年日米両国政府において了承された「日米防衛協力のための指針」、ガイドラインは、「Ⅰ 侵略を未然に防止するための態勢」、「Ⅱ 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」、「Ⅲ 日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」から成りますが、このうち特に問題なのは、1のうち「必要な共同演習及び共同訓練を適時実施する。」とⅢのうち「日米両政府は、情勢の変化に応じ随時協議する。」という点です。確かに、安保条約第四条は「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」は随時協議ができるとしていますが、あえてガイドラインに取り上げた理由は、極東有事を想定することで「情勢の変化に応じ」日本の領域を超えて日米が協力する土台をつくったものであり、極めて広範囲かつ具体的軍事協力の枠組みであります。その証拠として、ガイドライン了承後のリムパック及びフリーテックスへの参加、千海里シーレーン防衛及び洋上防空なる概念の取り入れを挙げることができます。 リムパックは、米第三艦隊司令官の統制下、豪、加、英及び日本等の各国艦隊が単一指揮によって実戦訓練を行うという、まさに集団自衛権行使そのものの演習であるにもかかわらず、防衛庁は、米艦隊との戦技訓練であり、そこにたまたま他国艦隊が居合わせたので、個別的自衛権の範囲内という強引極まる論理で参加を正当化し、しかも回を追うごとに参加戦力は大きくなり、リムパック86では護衛艦八隻、潜水艦一隻、P3C八機という戦力が参加し、リムパック88ではさらに補給艦一隻を加えています。しかも、その補給艦「とわだ」が米軍艦に数回の洋上給油を行いました。これが、日米共同訓練に限り必要かつやむを得ない場合だけに可能とした昭和五十八年事務次官通達に違反したかどうかはともかくとして、かかる訓練が出先の制服組だけの決定で行われ、大臣、内局等には事後に報告されたという事実は、シビリアンコントロールを無視するものであり、許されないものであることを強調しておきます。 さらに、八四年十一月、米太平洋海空戦力による総合演習フリーテックスにも護衛艦十二隻が参加したが、米ソ戦争の模擬行動である米艦隊の演習に自衛隊が共同訓練の形で参加することは、集団自衛権の行使を前提とし、専守防衛に反し、安保条約の枠組みを大きく逸脱するものであります。 昨年十月、海上自衛隊は全部隊の参加する大演習を行いました。艦艇百四十隻、航空機百七十機、それに航空自衛隊二百機、それに空母を含む米海軍も参加した大規模な演習であります。 ことし秋には、日米に韓国、フィリピンも参加する演習が計画されているとのうわさも聞きます。大規模でも演習だからよいなどということにはなりません。過去には演習がきっかけとなって戦争になった歴史もありますし、大演習は相手に緊張をもたらし、相互に不信感を増大することを肝に銘じてほしいと思います。 さらに、防衛庁は、シーレーンなる定義不詳の概念を取り入れたことにより、日本海やオホーツク海、さらには西太平洋の広い海域での対潜作戦の責任を引き受け、さらに洋上防空で公海、公空における自由な戦闘を計画しています。 ガイドラインは、日米安保条約第五条の日本の領域における共同防衛を対ソ共同対処に書きかえたものであり、同条約は実質的に改定されたと言えます。自衛隊の行動は、防衛計画の大綱にある限定的かつ小規模な侵略に対処や専守防衛の運用方針では到底説明できません。 次に、非核三原則ですが、このうち持ち込ませずはラロック証言、ライシャワー及びエルズバーグ発言等により空文化が動かしがたい事実となり、その上、米国艦船のトマホーク化と核ミサイル搭載原潜の寄港により二原則になったことが明白です。さらに、核を中心とする指揮、情報、管制の基地が幾つも日本国内に置かれており、既に米国の核戦略に組み込まれている事実は否定しようもありません。 安保条約は日本の安全のためという当初の目的を遠く離れ、対ソ核戦略のための集団安保となり、核同盟に変質したことは明らかであり、有事来援研究により日米相互防衛条約へとさらにその性質を変えつつあります。 次に、日米安保体制で我が国の平和と安全が守られるのかについて述べます。 米国の国防戦略の一つである水平エスカレーション戦略は、ある地域の限定的戦争を米国の意思で世界規模の戦争に拡大するものであり、これでは世界じゅうのあらゆる紛争が極東有事となり日本有事となるおそれがあります。そして、もしグローバルな紛争が生起すれば、北太平洋、アリューシャン列島周辺及びソ連海空軍基地周辺で激しくかつ直接的な戦闘が勃発するのであり、もちろん核の使用もあり得るということであります。さらに、米国の同盟システムが挙げて守るのは米国の領土であり、米国自体の直接関与を避け、衝突をその他の地域に封じ込めるという露骨な米国の生き残り戦略であり、同盟国である日本や韓国、フィリピンやEC諸国は致命的な打撃をこうむることともなります。このように、日米安保条約は日本の安全を保障しないばかりか、日本の生存そのものを損なう危険を多分にはらんでいると言えます。 中曽根前総理の盾とやり役割分担論はアメリカにとっては大変ありがたいことであり、日本はアメリカにとって有効な盾であると国防報告にも記されています。米ソ戦争が始まれば、盾の役割である日本はその最前線に立ち、攻撃的役割はやりである米軍が負担することとなります。その結果、盾は破ればろぼろとなり、役に立たなくなり捨てられ、やりも折れるかもしれないが、米国は無事に生き残れるというシナリオであります。 米国の核抑止力に依存し、日本の通常戦力で敵の侵攻を阻止しようとするのが現在の日米安保体制でありますが、他国の核に依存する集団安全保障について、二十年前ドゴール大統領は、リヨンを救うために米国はシカゴを犠牲にするだろうか、ノンと結論を出しています。 次に、日本の安全を保障するものは何かについて述べたいと思います。 竹下総理は「ふるさと創生」と「世界に貢献する日本」を説いていますが、それを実現するための国家戦略は何も明示されておらず、わずかに主体性を持った外交と、日米安保体制堅持と節度ある防衛力整備をうたうのみで、現実は米国依存の主体性なき外交であります。 昨年六月、竹下総理は第三回国連軍縮総会で軍縮演説を行いました。内容はともかくとして、世界一のスピードで軍拡を行っている国の総理が軍縮を説くことの矛盾を余り感じておられないようです。世界の平和と繁栄、民族文化の創造に貢献するための日本の国家戦略は、非同盟中立と平和主義に立つ以外になく、西側諸国の一員から、世界を友人にする日本に基本的立場を転換すべきであります。政府の米国一辺倒の外交、防衛政策の現状からの転換はなかなか困難ですが、我々はその道を模索し、世界じゅうの国の理解を得ながら進める必要があります。 そのためのシナリオの一例としては、一、現在のグローバルな緊張緩和、核兵器削減の流れの中で、核を含む軍縮構造を形成するため、平和憲法の理念に従いあらゆる方面で積極的に貢献をする。 二、世界とアジアの平和、繁栄、共生に貢献する経済政策、経済協力、文化活動などを通じて相互理解と友好増進を図る。また、ソ連や朝鮮民主主義人民共和国とも同様の努力をし、国際的相互依存関係を深める。 三、非核三原則を真に実効あるものにするため、核兵器支援システムの撤去、核積載艦の寄港を拒否し、これを発展させてアジア・太平洋非核武装地帯をつくる。最終的にはすべての国が参加できる平和保障機構の確立を目指す。 四、日米両国民の合意を得つつ安保条約から平和友好条約への転換を図る。 五、現在の軍拡路線をストップし、防衛費はまずGNP比一%以内に抑制し、軍縮と平和を追求する。日本の中立平和政策について世界の国々に理解を求めつつ自衛隊を削減し、自衛隊の全廃と非武装中立の実現を期する。 永世中立国のうちスイスとオーストリアは軽武装中立てすが、非武装中立であるコスタリカは、動乱の多い中米という難しい環境にあるにもかかわらず、世界でも最高レベルの民主主義体制を維持しています。同国の非武装憲法をつくったフェレス元大統領は、軍備はどこまで持てば十分という限界は絶対にあり得ない、それより軍備に回す予算を文化、教育、社会福祉に充てて国際社会から尊敬される民主主義国家をつくれば、それが最大の防衛力であり外交的発言になる、すなわちそのような国を軍隊で侵略する国があれば、その国は世界じゅうから批判され国際社会から孤立することになるからだと述べています。同じ非武装憲法を持つ日本及びすべての日本人にとって傾聴すべき言葉であります。平和憲法を支持する国民の平和主義にしっかりと根差した外交、安全保障への転換を今図ることが緊急の課題であると考えます。 以上です。
○和田教美君 私は、公明党・国民会議を代表して、まず安全保障政策の前提となる今日の国際情勢についての認識を述べ、次いでその認識に立って今後の我が国の安全保障政策はどうあるべきかについて意見を述べます。 今日の国際情勢は、八〇年代前半を支配し続けた冷戦構造がはっきりとした転換を見せて、新たなデタントに向けて急速かつ着実に進んでいると言えるのであります。しかも、今日の新デタントは、七〇年代のヨーロッパを中心としたデタントに比べて米ソの相互信頼関係が着実に前進しており、また中ソ関係も改善の方向が明らかである点、さらに地域紛争が米ソ主導のもとで次々に解決に向かっている点で、全世界的規模のデタントと位置づけることかできるのであります。 デタントの一つの象徴的なものとして米ソ中距離核戦力(INF)全廃条約の調印、発効があることは言うまでもありませんが、その後も戦略核半減交渉が進められており、核軍縮交渉は軌道に乗っていると見られるのであります。 一方、通常兵器の削減についても、一月のウィーンでの全欧安保再検討会議においてヨーロッパの通常戦力を対象とした新軍縮交渉の開始が合意され、これを受けて三月から欧州通常戦力交渉が始まっております。 これに先立って、昨年十二月、ゴルバチョフ・ソ連書記長は、国連演説でソ連軍の五十万人削減と東欧駐留ソ連軍の五万人、戦車五千台の一方的撤退を宣言しており、NATOの外相会議もこれに対して直ちに、ソ連の変化は国際環境改善に好機になると評価しているのであります。さらに、ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア、東ドイツ、ブルガリアといった東欧諸国が戦力削減計画を発表して、通常戦力削減交渉にはずみをつけたのであります。 また、化学兵器についても、第三世界への拡散等が重大な問題になっておりますが、百四十九カ国が参加して開催された一月のパリ会議において、すべての化学兵器の開発、製造、貯蔵及び使用の禁止や化学兵器の廃棄に関する条約の早期締結の必要性を強調した最終宣言が全会一致で採択されたことは、今後に希望の持てることであります。 目をアジアに転じてみますと、ここにも緊張緩和へのうねりが加速されていることは明らかであります。 昨年はイラン・イラク戦争が終結し、世界の地域紛争解決への大きな刺激となっております。また、ことしに入ってからは、既に述べたソ連軍の五十万人削減に関連して、そのうち二十万人がソ連アジア部からの削減であることが明らかにされているのであります。二月にはソ連軍がアフガニスタンから完全に撤退し、九年にわたった軍事介入に終止符を打ったのであります。 また、同月、シェワルナゼ・ソ連外相が中国を訪問し、中国首脳と会談した際、鄧小平氏の主張である「新国際政治秩序」とゴルバチョフ書記長の言う「新思考外交」を並べて評価し、「この関係を貫くものは平和共存の原則である」と述べており、三十年にわたって国際政治の前提条件の一つであった中ソ対立に終止符が打たれようとしているのであります。その意味で、五月に予定されている中ソ首脳会談が全世界の注目と関心を集めております。 中ソの関係改善は東南アジアにも影響を与えており、カンボジア問題の政治的解決を目指す動きが活発化しております。この動きの中で注目されるのは、ASEAN諸国の粘り強い交渉による貢献であります。ASEAN諸国の経済成長と政治的安定は、東南アジア地域の平和と安定に今後ますます大きな影響を与えていくものと思われます。 朝鮮半島でも注目される動きがあります。韓国はハンガリーと正式に外交関係を結び、社会主義圏との関係を強化しようとしております。北朝鮮も西側諸国との交流を模索していることは明らかであります。このような動きが南北の本格的な緊張緩和につながっていくことと期待されるのであります。 以上のように、今日の国際情勢は全体として軍縮と緊張緩和の方向に向かっているのであり、この潮流をますます確固たるものとし、かつての冷戦構造に明確な終止符を打つことが現代に生きる我々の重要な課題であると言ってよいのであります。 私は、我が国が世界に果たすべき役割はこのような国際情勢の好ましい潮流をさらに強化し、これに主体性を持って貢献することであると確信するものであります。 このような認識に立って我が国の安全保障政策はどうあるべきかを検討してみると、現在までとられてきた米ソ対立を前提とした冷戦型の政府の政策は、デタントを基調とした国際情勢に適合した政策に大きく転換されるべきであると考えるのであります。 まず、防衛費であります。 平成元年度の防衛費は三兆九千百九十八億円で、対GNP比は一・〇〇六%となり、三年連続でGNP一%枠を突破するという結果になっております。これは国際情勢の変化に全く配慮することのない予算であると断ぜざるを得ないのであります。政府は中期防衛力整備計画の着実な達成を理由としており、これによって中期防の達成率は七八%になるとしております。しかし、中期防の総額十八兆四千億円は上限であって、下方修正は柔軟に行うことができるはずであります。 私は、政府が中期防の達成に執着してこのままGNP一%枠の突破を続けることにより、防衛力の整備以上に重要なものを失うことを恐れるのであります。それは、経済大国であっても軍事大国にはならないという平和国家としての基本姿勢が全く失われることであります。 昭和六十三年度の防衛費は米ドル換算で二百九十六億三千万ドルで、英、仏、西独など世界の第三位グループに迫っております。この金額は中国、南北朝鮮、オーストラリア、ニュージーランド、それにASEAN諸国のすべての防衛費の合計額にほぼ匹敵すると言われております。また、増加率で見ても、一九七一年から八六年の防衛費の実質増加率は米国が二五%、米国以外のNATO諸国がグループとして三一%であるのに対し、我が国は実に一三九%と驚くべき数値を残しているのであります。 このような我が国の極めて突出した防衛力増強は、当然のことながら周辺諸国の警戒心をあおり立てているのであります。近年、我が国におけるさきの大戦に関しての閣僚等の発言に対して諸外国から鋭い批判が返ってくるのは、我が国の防衛力が急速に大きくなっていることと密接な関係があると見るべきであります。また、米国の軍事専門家の一部からも、我が国の防衛力増強に対して、攻撃的な性格になるおそれがあるとする警戒心が芽生えていることに注意を払うべきであります。 以上のことから、防衛費についてはあくまでGNP一%枠を厳守し、この枠内に防衛予算を圧縮することを要求するものであります。 次に、次期防衛力整備計画についてであります。 政府は既に、安全保障会議の決定を受けて、次期防衛力整備計画の策定作業に入っております。私は、この次期防衛力整備計画の策定には、今日の国際情勢を踏まえた上で、将来も見据えた新しい発想が必要だと考えるのであります。 具体的には、これまで整備してきたような世界最高水準の装備を今後もどんどん取得することについては慎重であるべきだと考えます。イージス艦の導入、F15の大量取得など最近の防衛力増強は、我が国の防衛政策の基本である専守防衛の範囲を逸脱するおそれが濃厚であります。次期防においてはデタントのもとでの自衛隊の役割は何かがより厳しく問われねばなりませんが、その答えが単なる正面装備の増強による防衛力の強化であっては、全く時代への逆行と言わなければなりません。 この問題に関連して、今後ますます大きな問題になると予想されるのが科学技術の軍事化であります。 我が国の民生技術が世界のトップレベルにあることは万人の認めるところであります。ところが最近、この高い技術水準を土台にした我が国の軍事技術に対して世界の目が集まっています。半導体や炭素繊維といったハードウエアのハイテク分野では日本の民生用技術が米国の軍事技術の先を行くものもあると言われ、さらには技術には民生も軍事もなく、ハイテクの基礎技術はすべて軍事、民生両用であると断言する人までいるのであります。そして、ハイテクが軍事部門から民生部門に流れる現象よりも、最近は逆に民生部門から軍事部門に吸い上げられる現象の方が目立っているのであります。 このような状況のもとでは、我が国の装備の研究開発において十分なチェック体制がなければ、専守防衛の範囲を超えた装備を保有することになりかねないのであります。さらには、その保有した装備によって戦略が組み立てられるという逆立ちした現象も懸念され、まさに我が国の防衛政策の根幹に触れる問題なのであります。したがって、ハイテクの軍事技術への応用に対しては厳しくチェックしていかなければならないのであります。 最後に、日米安保体制であります。 日米安保体制が我が国の安全保障にとって重要な意味を持つことは明らかであります。米国は今後も当分は軍事的に超大国であり続けると考えられますし、また日米安保体制が数々の問題点をはらみながらも我が国の安全保障にとって一定の抑止効果を持つと考えられるからであります。もちろん日米関係は対等なよきパートナーとして構築されなければならず、そのためには我が国が「主体性ある外交」を積極的に展開しなければならないことは言うまでもありません。 ところで近年、米国の国力が相対的に低下したため、米国にとって膨大な国防費の負担が重いことから、同盟国に対し国防努力を促す傾向が強まっております。中でも世界第二の経済大国である日本に対する要請が強く、その意味では日米安保体制は現在曲がり角に来ていると言えるのであります。 レーガン政権の初期にはあからさまな形での圧力が我が国に対しても加えられておりましたが、最近はバードンシェアリングとして協力を求めてきているのであります。先日公表された米国防報告では、「バードン・シェアリングに注意を払う同盟国が増加する中で、最も重要なのは日本である。」と日本を重視していることを明らかにした上で、「われわれとしては日本に対し、急速に増大する国力と影響力に見合った一層の共通防衛のための分担増を求める。」と結んでおります。 米国が我が国に要請しているのは、具体的には防衛力の整備のほかに駐留軍経費の負担増、経済援助の増加といったものであります。しかし、駐留軍経費の負担増については特別協定によりなし崩し的に思いやり予算を増加させているため、国民の間に不信感が広まっており、これは大きな問題であります。経済援助自体は拡大しなければなりませんが、それが米国の戦略目的に従属するような形での援助の強化であれば対米追随の批判を免れないでしょう。援助はあくまで我が国の主体的な判断で行うべきであります。 なお、米国議会の一部に見られる声高な対日要求は、日本に対する無理解に基づくものであって、まことに遺憾であります。 いずれにしても、バードンシェアリングに関しては、単にアメリカの利益になるという発想ではなく、軍縮と緊張緩和の潮流をより強めるためにはどうすればよいかという、より大きな視点に立っての対処が重要であると考えるのであります。 以上、新デタントのもとでの我が国の安全保障政策について申し述べてまいりましたが、最後にソ連のゴルバチョフ政権について一言意見を述べたいと思います。 ゴルバチョフ書記長が今日の国際情勢に大きな役割を果たしていることは明らかであります。米ソ間、中ソ間の関係改善が今日の新デタントとも言える情勢をもたらしたからであります。しかし、日ソ間だけが取り残されたような形になっていることはまことに残念なことであります。同政権が掲げておりますペレストロイカとそれに基づく「新思考外交」について十分な検討を行い、前向きの評価を下すべきであります。 さらに、両国間の関係改善の障害となっている北方四島の問題について、四島返還の基本的要求を変える必要はありませんが、しかし同時に領土問題の解決がすべての前提条件であるといった政府の一本調子な姿勢を改めて、対ソ外交に積極的に取り組むべきだと思います。日ソ間の関係改善が進めば国際情勢はますます平和でかつ安定的なものになるのであります。 以上をもって私の意見表明を終わります。
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、このテーマについての見解を述べさせていただきます。 第一に軍縮、真の緊張緩和への流れを確実なものにする問題についてであります。 今日の安全保障のあり方を考えるに当たって、まず新デタントと言われる今日の事態をどうとらえるかということを明らかにする必要があります。 八七年十二月、米ソ間においてINF全廃条約が調印されるとともに、戦略核半減に向けての交渉開始が合意されました。INF全廃は、戦後の歴史を通じて初めて、一つの分野に限られたものではあるものの、核兵器の削減を実現させた点で世界諸国民から歓迎されました。今月からは、NATOとワルシャワ条約機構加盟国間による全欧州通常戦力交渉の実質討議が開始されました。 しかし、今日、新デタントと呼ばれるのは、主としてINF条約締結と前後して起こった米ソ協調を指しています。私は、今日の情勢、特に米ソ協調をもって直ちに世界が緊張緩和に向かったと単純にみなすわけにはいかないと思います。 この背景には、米ソ両国を中心とする戦後の核軍拡競争がもたらした核戦争、人類絶滅の危機からの脱却の緊急性が世界の大きな世論となり、核戦争阻止、核兵器廃絶を求めるヒロシマ・ナガサキ・アピール署名の広がり、二波にわたる平和の波運動、国連での核軍縮決議の前進、三回にわたる軍縮特別総会の開催など世界各地での反核・平和運動の高揚とそれを反映した非同盟・中立諸国の国連での活動などがあったとはいえ、後でもう一度述べるように、アメリカの力の政策が決して清算されていないからです。 我が党は、世界が真の意味での緊張緩和に向かうことを願うものです。そのためには、米ソ両大国を中心とする軍備管理交渉、無限の核軍拡競争の枠組みから抜け出し、核兵器廃絶、全般的軍縮への展望を開くこの流れを、第二次大戦の惨禍の上に立って、軍事ブロックの対抗を否定し、体制の違いを超えた集団安全保障体制の確立を打ち出した国連憲章や、原子兵器及び大量破壊に応用できるその他一切の主要兵器を国家の軍備から廃絶することを求めた国連総会第一号決議の精神、戦後国際政治の原点に立ち返り、さらに毎年の国連総会で打ち出され、決定されている軍縮や安全保障の方向に沿った各国の努力が必要であることを最初に強調しておきたいと思います。 第二は、力を背景とした新デタントという問題についてです。 私は、現在の世界、特に最近の米ソ協調の進展をもって単純にデタント、緊張緩和とは言えないといったことについてもう少し突っ込んで述べておきたいと思います。 まず、世界政治に生まれたこの新たな潮流が自動的に核兵器廃絶、軍縮と核戦争の危機からの人類の救済をもたらすことを意味するものではないという点です。 INF全廃条約によって廃絶される核兵器は、五万発といわれる核兵器のわずか三、四%にすぎず、また戦略核半減に至っては交渉の合意は成立したものの、具体的な段取りについてはその入り口での対立さえ解決できないでいます。さらに、昨年五月の第三回国連軍縮特別総会は、核兵器廃絶を初めとする全般的軍縮への国際世論の関心のあれほどの高まりの中で開かれたにもかかわらず、抑止力としての核兵器にあくまで固執するアメリカとその同盟国の抵抗によって最終的合意ができないままに閉会しました。これらのことは、核兵器保有国同士の歩み寄り策がつまるところ核抑止力の再編成策動に陥る危険性があることを示しています。 米ソ協調について語る場合、ブッシュ米新政権の選挙公約、八八年共和党政策綱領が、INF条約は力を通じた平和への献身によって可能となった、真の軍備削減は米国の安全保障を改善する手段としてであって、東西デタントの承認ではないと述べていることに示されているように、アメリカは米ソ協調の進展を、レーガン政権下での対ソ軍事圧力の強化がソ連を屈伏させ交渉の場に引きずり出したものと認識していることを重視しなければなりません。 共和党政策綱領は、対話も約束も力の立場に立ったときだけ成功するとも述べていますが、これは文字どおりの核大国主義の論理であり、核兵器廃絶、平和への流れを否定し、核戦争の危機からの脱却を願う世界の声に真っ向から挑戦するものであり、真の意味の緊張緩和とは全く異なるものです。 ブッシュ大統領は、選挙中にも、力の立場で臨んだからこそ我々は史上初めて核兵器の削減交渉に成功したと述べ、強力な軍事力保持を主張し続け、大統領就任式の演説でもアメリカは強力であり続けることを訴え、力の政策の推進を強調しています。ある研究者は、それはアメリカの軍需産業の要求にこたえたものであり、また、真の緊張緩和でソ連の脅威がないということになれば軍事力を最大のよりどころとした西側でのアメリカの覇権は崩れかねないからだと分析しています。 特徴的なことは、未曾有の軍拡の生み出した膨大な財政赤字のもとで、強いアメリカ、力の政策への分担を同盟国に求めていることです。一九八九年の米国防報告は、特に今日我々が直面している財政の制約下では同盟国、友好国との協力はソ連の膨張主義の阻止にとって必須のものであると露骨に述べ、国防の第一線は敵国の海岸という発想に基づく前進配備、軍事ブロック強化の政策は全く変えようとしていません。こうした核抑止力論に立った力の政策を改めさせ、真に平和五原則に立った国際関係を打ち立てることこそ真の緊張緩和への道です。 我が党は、かつてソ連がブレジネフ書記長のもとで対抗する軍事ブロックの同時解消、核兵器の全面禁止を棚上げして軍事力均衡論に走ったとき、これを軍拡競争の悪循環を強め緊張を激化させるものと批判し、さらにアフガニスタンへの軍事介入を強く批判しました。今日、ソ連のゴルバチョフ書記長がアメリカの今述べた力の政策を批判するのではなく、理性と良識の持ち主であるように美化しアメリカとの協調を説くことが、アメリカを先頭とする核大国主義の論理を容認し、今日世界に生まれた新たな潮流をその枠組みのもとに押しとどめる役割を果たす以外の何物でもないことを強く批判していますが、それはこうしたアメリカの美化によっては核兵器の廃絶も真の緊張緩和も実現しないからであります。 第三の問題は、日本は真の緊張緩和に反する役割分担を行っている問題についてです。 同盟国のバードンシェアリングの中でアメリカが特に期待を寄せているのが日本です。大統領選挙中の共和党政策綱領は、日本はアジア・太平洋やその他の地域で一層大きな役割を引き受けるべきであると言い、また九〇年度米国防報告は、「われわれとしては日本に対し、急速に増大する国力と影響力に見合った一層の共通防衛のための分担増を求める。」と述べるなど、アメリカは自国に次ぐ経済大国になった日本の力をみずからの世界戦略の重要な柱として据えようとしています。 しかも、軍事費とアメリカの世界戦略を経済協力という別の形で支えるODAを合わせて対GNP比三%の分担を求めるなど、対日分担要求は露骨さを増しています。 二月の日米首脳会談では、ブッシュ大統領は目に見える形で安全保障面、援助の面でやれることを実行してほしいと迫ったのです。チェイニー新国防長官もその趣旨の発言を行っています。しかも、竹下首相はこれに基本認識は全く同感だと表明しています。 自民党政府は現在、軍事費対GNP比一%枠突破や新中期防策定など軍備増強、波及型有事研究が示す日米共同作戦態勢の新たな進展、対ソ軍事加担の一層の強化、地位協定の事実上の改定と思いやりの拡大による米軍負担の軽減、海のINF配備に伴う核トマホーク艦の寄港受け入れ、F16の低空飛行や沖縄での実弾射撃などに見られる野放しの米軍演習激化、政府開発援助の増額等々、このアメリカの要求に全面的に応じています。 これは米国防報告も「より一層の責任分担要請に対する日本の努力は特筆すべきものがある。」、米国にとって世界で最もおおような基地受け入れの取り決めであると評価しているほどです。これは真の緊張緩和に反するものであります。 私は日本政府が国連でも真の緊張緩和に反する役割を果たしていることについても指摘しておかなければなりません。 竹下首相は、昨年の第三回国連軍縮特別総会の演説で、核抑止力論に立ち、核兵器は通常兵器とともに廃絶するという意味での核兵器の究極廃絶論を展開して、この総会を機に核兵器廃絶と全般的軍縮への前進を切望した世界の人々の期待を裏切りました。 ここ数年の国連総会で我が国のとった態度は、核兵器の廃絶決議、核軍備競争の終結と核軍縮決議等にすべて反対しています。そして、すべての核実験爆発の停止決議、核兵器の開発、生産、貯蔵、使用の禁止決議や国連で原爆展を開くことにも賛成しないばかりか、NATO諸国もみんな賛成した軍事ブロック解消決議にアメリカ、イスラエルとたった三国だけ反対するなど、世界の流れに真っ向から反するものとなっています。 第四に、真の緊張緩和のためにという問題です。 世界的に広がっている真の緊張緩和への期待にこたえるべき日本は、日米軍事同盟強化と自衛隊の増強一本やりの今日の安全保障のあり方を根本的に検討すべきときに来ています。そして、真の緊張緩和に反する軍事同盟強化や新しい中期防衛力整備計画などは廃棄すべきであることを強調するものであります。 私は、昨年五月のこの小委員会での意見陳述で、「日本の安全保障、外交政策の基本に据えなければならないのは、国連憲章と日本国憲法の平和的、民主的条項である」ことを強調しましたが、このことが今日一層重要になっていると思います。 私は今回もこのことを改めて強調したいと思います。すなわち、軍事ブロックの対抗否定に立ってつくられた国連憲章の目指す真の集団安全保障体制確立を目指して、真剣かつ本格的な努力を開始することです。一九七〇年の国連総会で、日本政府も賛成して採択された国際安全保障の強化に関する宣言は、「全ての国家が、平和と安全を全ての国民に保証し、かつ国連憲章に従って、軍事同盟のない世界的集団安全保障の効果的な体制を確立するための努力に貢献するよう勧告する」、第十一項であります、ことを呼びかけています。 我が国も賛成した第一回国連軍縮特別総会最終文書も、「永続する国際の平和と安全は、軍事同盟による兵器の蓄積の上に築き得るものではなく、また、不安定な抑止力の均衡又は戦略的優越の教義によって支えられるものでもない。真の永続する平和は、国際連合憲章に規定されている安全保障制度の効果的実施、及び究極的には効果的国際管理の下での全面完全軍縮に導く国際的な取極及び相互の模範による兵器及び軍隊の迅速かつ実質的な削減を通じて創り出されるものである。同時に、軍備競争及び平和への脅威の原因は減少されるべきであり、この目的で、緊張を除去し、平和的手段により紛争を解決するため、効果的な行動がとられるべきである。」と述べています。 ことしは日本が国連に加盟して三十五周年という年でもあります。我が党は、歴代自民党政府が進めてきた日米軍事同盟強化と軍拡の道ではなく、今世紀二つの世界大戦を体験した世界がその教訓に立ってつくり上げた国連憲章とその発展としての国連の諸決議を実践する見地に立つことを強く求めます。国連総会が毎年取り決めている軍事費削減決議も先頭を切って実行すべきであり、私はこの点からも軍事費の大幅削減を要求します。 さらに、対立的な日米軍事同盟も廃棄すべきです。それはアジアの情勢を平和と緊張緩和の方向に変える大きい意義ある出来事になるでしょう。 もちろん一国の防衛はすべての国家の固有の権利です。私は、それを国連憲章と日本国憲法に厳格に沿いつつ、その道を確立すべきであることを強調するものです。その基本的力になるものは、国を守る国民の意思と国民の団結です。こうした安全保障のあり方こそ、唯一の被爆国として、また日本国憲法改悪を阻止した結果軍事費を対GNP比において比較的低く抑えることによって経済発展を遂げた日本が世界に寄与する道でもあります。 以上で終わります。
○小委員長(板垣正君) 次に、当小委員外の委員でございますが、意見の開陳を願います。田英夫君。
○小委員外委員(田英夫君) ありがとうございます。 きょうの課題である新デタント情勢下における我が国の安全保障について私見を述べますが、原稿を用意しておりませんので、お聞き苦しい点はお許しをいただきたいと思います。 まず、国際情勢の認識ですが、一言で言って戦後長い間続いてきた資本主義対社会主義というイデオロギーを根底にした対立、いわゆる東西対立が終えんしつつあり、緊張緩和の時代に移っているということを確認すべきだと思います。そして軍縮、特に核軍縮の方向に進んでいるということ、さらに地域紛争も次々に解決の方向に向かっているということ、つまり世界は今明らかにデタントの時代に移りつつあるということを確認し、その基礎の上に立って我が国の安全保障を考えるべきだということです。 安全保障の基本として、まず第一に、アメリカの核の傘のもとで我が国の安全保障を図るという論をとるべきでない、この新しいデタント時代になって特にその点を強調したいと思います。 政府は従来、一つは、核攻撃の可能性に対してはアメリカの核抑止力に依存をするということ。二番目に、大規模な通常戦力による侵略に対しては、自衛隊及び在日米軍によって一定期間その侵攻を阻止して米軍の本格的支援を待って撃退するということ。三番目に、小規模限定的攻撃に対しては独力で対処できる自衛能力を整備するというこの三本柱を基本としてきました。 しかし、まず第一に、アメリカの核抑止力に依存をするという点ですが、これは西ヨーロッパで、つまりソ連の通常戦力が圧倒的に優位にある西ヨーロッパで、アメリカの核の力によってソ連側の攻撃を抑えるという意味の核抑止力であつくこれはアジア、日本を中心とするこの地域では通常戦力においても明らかにアメリカ側が有利であって、この論はアジアでは適用できないということを考えなければならないと思います。 二番目の、大規模な通常戦力についてという点ですけれども、通常戦力の戦争になった場合も、チェルノブイリの例が明らかなように、日本には既に多くの原子力発電所があるわけでありまして、これに対する攻撃は明らかに核攻撃に匹敵する災害をもたらすということを考慮しなければならない。そういう意味からこの二番目の柱も再考の余地があります。 そして、むしろ国際情勢の現状を考えたときに、外交努力を通じて日本の平和政策を進めるということにより大きな力を注ぐべきだと思います。例えば最も身近なところで言えば朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮との交流を増大し、経済協力を行うというような、そうした政策を強化することによって我が国の安全保障を進めるということが必要になってきていると思います。 そこで、具体的に何をすべきかということで一つ提案があります。 それは、我が国の国是とも言われている非核三原則を法律化すべきだという点です。政府などの一部には非核三原則は法律化になじまないという論があります。しかし、現実に外国では既に憲法、国内法によってこれを規定しているところがあります。 フィリピンは、アキノ政権になってつくられた新しい憲法で明快に非核政策をとるということを規定し、これを受けて昨年非核法案が上院に提案され、上院を通過し、現在下院で審議中であります。また、ベラウ共和国も独立後憲法で非核政策を規定しております。さらに、ニュージーランドは国内法によって非核政策を規定しております。 日本は国会で、衆参両院で非核三原則を決議しておりますが、バヌアツは国家宣言によって核の貯蔵、入港、通過を禁止しております。拒否をしております。また、アイスランドも議会決議によって核の持ち込みを拒否しております。 さらに、法律にはしておりませんが、国内政策としてこれを行っている国としては、例えばデンマークは平時における核の持ち込みを拒否しておりますし、オランダは一九八五年、NATO加盟国であるにもかかわらず、F16、P3Cの核任務をしないということを政策として打ち出しております。ポルトガルは一九八三年、アメリカとの取り決めでポルトガル国内における核の貯蔵を拒否しております。また、スペインは一九八八年、一九九一年までにF16、つまり核積載可能なF16七十二機を撤去するようアメリカに要求をしております。 こういうことから考えて、唯一の被爆国である日本が、この国是とも言える非核三原則を法律化することによって、これを明快にすることが今必要だと思います。つくらずという第一項についても、あるいは持たずという点についても法律で明快にしておきませんと、今核再処理施設ができようという状況の中では考えようによっては大変危険な状態にあると思いますし、持ち込ませずについて極めてあいまいになっているということが今、日本国民の大きな疑惑を招いているわけでありますから、こうした点を法律によって明快に規定をするということが必要だと思います。 その場合に、まず第一に必要なことは、核兵器とは何かという定義を明快にすることです。現在核兵器の定義を行っているのは、例えば一九六七年に成立したトラテロルコ条約あるいは八五年に成立したラロトンガ条約、さらに今審議中のフィリピンの非核法案などに盛られておりますけれども、国際的な定義という点までに至っておりません。 私見を申し上げれば、核兵器とは、爆発的核反応によって生ずる高エネルギーを人間の殺傷、器物及び建造物の破壊のために用い、自然環境の大規模な破壊をもたらす装置の全体あるいはその不可欠な部分を指す、こうすべきだと思います。ここで言う装置とは、ウランやプルトニウム等の核爆薬装てん部分、つまり核弾頭です。そしてその運搬手段、発射台、発射に必要な指揮、管制、通信、情報のシステムがすべて含まれるとすべきだと思います。 ただし、日本の場合、日米安全保障条約というものとのかかわりの中で、今この定義を厳格に規定した法律をつくったならば、現在日本にあるアメリカ軍基地のほとんどすべてがこの法律に触れるということを考えなければならないと思います。そこまで在日米軍というものは核にまつわる施設あるいは体制を既にとっているということを改めて考えなければならないと思うわけです。 そして、こうした非核三原則を法律化するという政策を進める一方で、日本は改めて非核国家であるということを宣言すべきではないでしょうか。これは先ほど申し上げた外国にも例のあることです。これは国会で決議をして、政府が世界に向かって宣言をするという形をとるべきだと思います。同時に、国際的に日本はこの非核国家宣言をした以上は、日本に対して核は持ち込まない、日本に対して核攻撃はしない、この二点を現在五つある核保有国と条約を締結することによって約束をすべきではないかと思います。つまり、国内的には非核三原則を法律化することによってその政策を確立し、国際的には非核国家宣言をし、それに基づいて核を持ち込まない、核攻撃はしないということを核保有国に約束させる条約を結ぶということのこの二つの柱によって日本が完全な非核国家になる。このことの影響は言うまでもなくはかり知れないものがあると思います。 そういう中で日本は日米安保条約というものの変質を考えるべきではないでしょうか。現在余りにも軍事同盟的性格の強い日米安保条約を、アメリカの理解を得つつ、将来は日米友好条約に変えていくという政策をとるべきだと思います。 以上が私の私見です。ありがとうございました。
○小委員長(板垣正君) 以上で委員の皆様の御発言は終了いたしました。ありがとうございました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時十七分散会