予算委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 115 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1989/03/01
会議録
○大野委員長 これより会議を開きます。 平成元年度一般会計予算、平成元年度特別会計予算、平成元年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。 この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成元年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。 なお、御意見を承る順序といたしましては、まず舛添公述人、次に真柄公述人、続いて河野公述人の順序で、一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは、舛添公述人にお願いいたします。
○舛添公述人 まず、今日の国際情勢につきまして私の見解を述べまして、続きまして我が国の外交、防衛政策のあり方につきまして申し述べたいと思います。 まず、今日の国際情勢でございますが、現在の国際情勢を特色づけるものは、アメリカの力の相対的低下ということであります。この状況を私どもの専門でございます世界システム論の立場から申しますと、パックス・アメリカーナ、つまりアメリカの平和であるとかアメリカ主導の国際秩序であるとか、そういうものの揺らぎであり、もっと極端に言いますればパックス・アメリカーナの終えんということであります。 現在のアメリカは、第二次大戦直後から一九六〇年代前半に至る期間のアメリカのような世界に冠たる力をもはや持っておらず、その力は相対的に低下しております。それは軍事、経済、金融、文化のいずれの分野につきましても共通して言えることであります。 まず軍事につきましては、一九六〇年代以降ソ連が猛烈な勢いで核軍拡を行いました結果、一九七〇年代には米ソの力関係が均衡し、その均衡状態は基本的には今日も変わっておりません。レーガン政権時代に、強いアメリカの復活ということをスローガンにアメリカは軍事力の拡充に努めたり、それからまたSDI、戦略防衛構想の提唱を行ったりいたしましたが、その力の立場がソ連を軍縮交渉のテーブルに引き戻しました。その結果、一九八七年十二月にはINF、中距離核戦力全廃条約の調印が行われたことは皆様周知のとおりであります。 世界の軍事バランスという問題を考えるときに、ゴルバチョフ政権のソ連をどう見るかという問題がもう一方にございます。 まず第一に、ゴルバチョフ書記長が若くて精力的ですぐれた政治指導者であることは間違いありません。 そして第二に、ゴルバチョフ書記長の最大の課題がソ連の経済や社会の活性化ということでありまして、そのためにペレストロイカ、再編成であるとか改革という意味でございますが、ペレストロイカやグラスノスチ、情報公開を行っております。 〔委員長退席、近藤(元)委員長代理着席〕 そして第三に、ソ連経済の活性化のために、過剰に重い軍事費負担をできれば少しでも減らした いと考えているものと思われます。ソ連がアフガニスタン撤兵を実行しましたのも、そのような文脈から考えれば当然のことでありまして、財政負担の面からも、ソ連の国際社会におけるイメージの低下という点からも、撤兵の決断が行われたものと思われます。 軍縮・軍備管理につきましても、例えば昨年十二月七日の国連総会における演説でゴルバチョフ書記長は、二年以内に五十万人のソ連軍兵力を一方的に削減する提案を行っております。このような軍縮提案はもちろん歓迎すべきことでありましょうが、それが国際的な軍事バランスにどのような影響を与えるかという点につきましては、極めて慎重な分析が不可欠であります。 まず第一に、この提案の内容が極めてあいまいでありまして、ソ連の軍事力を大幅に削減することにつながるかどうか甚だ疑問であります。 第二に、INF以外の軍事力、つまり戦略核兵器及び通常兵力につきましては、残念ながら大規模な軍縮の見通しは今のところ立っておりません。 第一二に、INFにつきましても、八七年末の全廃条約の対象となりますのは地上発射型ミサイルのみで、海洋からの発射や爆撃機を運搬手段とするものにつきましては全く手つかずの状態であります。 第四に、戦略核兵器の削減につきましては、ソ連がSDIとのリンケージを主張し続けている以上、速やかに進行することは期待しがたい状況であります。 以上のように考えてきますと、世界の軍事情勢につきまして一気にデタントや軍縮が進むという過剰な期待は厳に戒めるべきであろうかと思います。しかも、世界の平和を管理するという点では、現在の米ソ二大強国間の相互核抑止というシステムに取ってかわるシステムは今のところ考えがたい状況であります。むしろ、逆説的ながら、米ソ両国の力が相対的に低下しているからこそ平和を維持するシステムが不安定になり、十分に機能しなくなるということすら懸念されるのであります。 さて、パックス・アメリカーナの終えんのもう一つの面、つまり経済や金融の点につきましては、今日アメリカの力が相対的に低下していることは言うまでもありません。日米関係だけをとってみましても、現在世界のGNPに占めますアメリカのシェアは約二〇%、それに対しまして我が日本のシェアは一五%にも上ります。また、アメリカが債務国に転落したのに対し、我が国は世界一の債権国になりました。 そして、今日アメリカは巨額の双子の赤字に悩み、その不均衡は国際経済の円滑な運営にとりまして大きな障害となっております。しかしながら、ブッシュ新政権が双子の赤字の解消に真剣に取り組むかどうか甚だ疑問であります。 アメリカの将来に対します私の意見は極めて悲観的でありまして、ブッシュ政権もアメリカの衰退、つまりアメリカの力の相対的低下ないしパックス・アメリカーナの揺らぎをとめることはできないと考えております。 さて、以上申し述べてきましたような国際情勢に対する認識を背景にしました上で、次に、我が国の外交、防衛政策に対します私の見解を述べさしていただきます。 去る二月二十四日に行われました大喪の礼には元首クラスを含む百六十三カ国、後ほど一つふえたそうで百六十四カ国及び二十七国際機関の代表が参加いたしましたが、このことを見ましても今日の日本がまさに世界の大国になったことは否定できません。大国には大国の責任が伴うものでありまして、これからは積極的に世界の平和と繁栄のために我が国が関与していかねばなりません。世界第二の経済大国はそれなりの政治的責任を果たすべきであります。 さきの戦争そして敗戦という歴史的経緯、憲法九条の存在、国民感情などを考慮いたしますれば、日本の国際的貢献がこれまで経済の分野を中心とするものであったし、恐らく今後ともそうあり続けるであろうことは十分に納得のいくところであります。 そこで、まず第一に経済分野についてでありますが、今回の政府の決定のように対外援助を大幅に増額することは歓迎すべきであると考えます。もちろんその中身につきましてこの国会で十分にチェックをし、不正やスキャンダルの温床となることは厳に戒めるべきことは言うまでもありません。また、援助の使い道にもっとめり張りをつけ、かつ相手国のニーズに合った援助ができるようにさらにもっと援助要員をふやすべきであります。今日の日本の援助に最も欠けているのは人の要素であります。金だけを出せばいいというのではございません。 経済分野の貢献の第二は、自由貿易システムの維持発展に努力することで、そのためには諸外国からの製品輸入をもっとふやすべきであります。 第三に、国際通貨、金融の分野におきましても、安定した通貨制度の創出、途上国の累積債務問題などにつきまして日本がリーダーシップをとるべきであります。 次に、安全保障の分野についてでありますが、さきに述べました国際情勢認識を前提にしますと、第一に、これまで余りにも欠陥が多かった我が国の自衛隊の戦力を着実に充実させていく必要があることは言うまでもありません。一九七六年に策定しました「防衛計画の大綱」が定める防衛力の水準が、まことに遅きに失したとはいえ、現在進捗中の五九中業において達成されることは喜ばしい限りであります。もちろん防衛予算は聖域ではありませんし、国会が非効率的な予算の使用などについて厳重にチェックすべきこともまた当然のことであります。 ところで、世界第二の経済大国としましては、日本の防衛力は比較的に小規模なものにとどまっておりますが、それは、日米安全保障条約という安全保障システムを我が国が採用しているからであります。私は、今後ともこれを日本の外交、防衛政策の基軸に据えていくべきだと思いますし、各種の世論調査を見ましても、この点についての国民の合意は形成されていると考えます。そこで、日本の外交、防衛政策について考察するとき、日米関係をどうするのかということが大きな問題となるのであります。 私は、今後の日米関係は、その運営がますます難しいものになっていくと考えますし、それは経済の分野よりも安全保障の分野において甚だしいと考えます。経済力にしましても技術力にしましても、相対的な力の変化が日本に有利なようになっている。それから、貿易赤字国で債務国がアメリカで、黒字国で債権国が日本、こういう状態のもとで、軍事力の負担のみが相変わらずアメリカがはるかに重いというのはどう考えても健全ではありませんし、太平洋の両側でそのことについての不満が高まり、双方でナショナリズムが強まるのは避けられないことであると思います。 もちろん、日本がアメリカにかわりまして世界の警察官の役割を果たすとか核武装をするとか、そういうことは全く論外でありますが、可能な限りにおきまして、世界の平和を維持するために日本がもっと積極的に活動することは不可欠でありますし、それのみが日米関係を今後とも良好に保っていく道であると確信いたします。 今日、日本は、一九七八年の日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインに基づきましてアメリカとの防衛協力を強化しておりますが、そのような努力は今後とも継続すべきであると考えます。日米間の責任分担、英語で言いますとバードンシェアリングということがこれから日米間で大きな争点になっていくと考えられます。そこで私は、その点につきまして、以下の四つの点についてこれからも日本が十分な責任を果たしていくことが必要であると考えます。 第一は、在日米軍基地の維持のための費用をできる限り日本側が負担することであります。英語で言いますとこの費用はホスト・ネーション・サポート、日本語ではいわゆる思いやり予算でありますが、昨年度は約二千三百五十八億円に上って おりまして、また今年度予算案では二千六百二十四億円が見込まれております。これはアメリカ側の高く評価するところであります。 第二は、対外援助であります。自由世界の安全保障にとりまして極めて重要な国々、つまりフィリピン、パキスタン、エジプト、トルコ、ジャマイカなどへの日本の援助は戦略援助とみなすことができ、平たく言えば軍事力でアメリカ、経済力で日本が面倒を見るという役割分担であります。例えばフィリピンについては、クラークとスービック湾の基地にアメリカはそのミリタリープレゼンスを確保し、日本は世界第一の援助供与国である、そういう関係でございます。 第三は、軍事技術の分野での協力であります。これは一九八三年の安倍・シュルツ交換公文でその枠組みができましたが、アメリカにとりましては、例えば日本の海上自衛隊の海外派遣よりも、優秀な日本の技術の取得の方をより評価するということでありましょう。 第四は、情報分野での協力でありまして、ソ連軍の活動状況について日本の情報をアメリカが十分に活用するということであります。 以上のような四点につきまして日本が着実に努力を積み重ね、日米協力の実を上げるならば、日本に対するただ乗り、フリーライダーというアメリカの批判をかわすことができるでありましょう。実際、アメリカ側もこのような日本の努力を極めて高く評価しております。 最後に、世界の平和への貢献という点につきまして、日米関係ということを離れて、もっと全般的なことを申し述べておきたいと思います。 これまでの日本は、戦争からの復興、経済発展ということに全力を注いでまいりましたが、その結果、今日の繁栄がもたらされたわけであります。しかしながら、現在の日本人を眺めておりますと、皆様よく御承知のように、まさに一億総金狂いの状態であります。金もうけばかりに狂奔する我が日本人は、極めて品性や風格のない人間集団に成り下がっております。これでは世界の人々から日本や日本人が尊敬されるはずはありません。 これからは、大きな夢や理想を掲げて、世界の平和や繁栄のために、金だけではなくて、もっと身を挺して貢献すべきであります。今日の日本にはそれをする経済的実力があるのみならず、まさに日本の一挙手一投足が世界を動かすような時代であります。 さきに援助についても申し上げましたが、例えば病院はつくっても、医師や看護婦はほかの先進国任せというありさまであります。外国で地震などの災害がありましても、日本の救助チームの派遣はほとんどないか、派遣しても到着はどんじりであります。被害者が死亡した後に医薬品や金を送ったところで一体何の役に立つのでありましょうか。 私は、そのような災害援助や世界平和の維持のために、むしろ進んで自衛隊を派遣すべきであると考えます。私は、日本国憲法はそれを否定しているとは考えませんし、もしそれが解釈上無理であるとするならば、憲法を変える必要すらあると考えております。金だけではなく体を張って世界に貢献するときが来ているのでありまして、そうしない限り、日本人が世界から尊敬される日は決して来ないでありましょう。 戦後生まれの日本人が全人口の過半数を占める今日、私もまた戦後生まれの日本人の一人として、世界に尊敬される日本の建設を今後の課題として挙げておきたいと思います。 安全保障にしろ経済にしろ、そして文化の分野でも日本が世界に積極的に貢献していくこと、それが必要であります。「世界に貢献する日本」などという言葉をスローガンとして乱発するだけではだめでありまして、具体的な行動が必要なのであります。この「言葉より実行」という点では、ソ連の軍縮提案と全く同じことが言えると思います。「空虚な言葉より実行を」これを重ねて強調しておきたいと思います。 以上をもちまして、私の意見の陳述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○近藤(元)委員長代理 どうもありがとうございました。 次に、真柄公述人にお願いをいたします。
○真柄公述人 どうも皆様御苦労さまでございます。また、与野党の皆様方、私どもいろいろな機会に要求だとか申し入れだとかあるいは話し合いの機会を与えていただいてまいりまして、この機会に一言お礼も申し上げさせていただきたいと思います。 きょう、私に与えられた限られた時間でございますので、以下、早速意見を申し述べさせていただきたいと思います。 まず、新年度の予算案でございますが、私ども国民の立場から見て、この予算案にどんなことが期待されているのだろうかということを前提に考えてみますと、一つはやはり経済環境が大きく変わっているのじゃないか。端的に言えば、瞬間風速で絶好調だとかいろいろなことが言われますが、やはり新しい持続的な成長、そういうときを迎えているわけでございますから、予算そのものもそれに見合って、がらっと思い切って予算のつくり方、内容においてもっと考えられてよかったんじゃないかな、こういう印象を持つわけであります。 特に、経済大国、こう言われていますが、国民生活の実感からいうと、どうもいま一つそのことが受けとめかねるわけでございます。例えば、ことしの一月二十九日に発表しました総理府の経済構造調整に関する世論調査などを見ましても、国民の七割の方々が世界の最高水準に達したGNPに見合った生活の豊かさを実感できていない、政府の世論調査でもこういう傾向があらわれているわけでございます。加えて、やはり資産を持っている人と持っていない人との格差、あるいは社会的に見たそれが不公正といいますか、そういう感じがいろんな具体的な事柄を踏まえて言われているわけでございます。 そういうことを念頭に置きながらこの予算案を考えてみますと、どうも発想としては依然としてゼロないしマイナスシーリング、こういう基本的な姿勢を変えてないんじゃないだろうか、もっと生活基盤なり社会の公共サービス、そういうものを大事に考えるべきではないだろうか。 ただ、手法を見てみますと、各省庁ごとのバランスの上に予算がつくられている。年々歳々、去年との比較でどう色をつけるか、どうふやすかとかいうような、言ってみれば予算構造が変わらない姿で予算がつくられるというのは、私ども、時代の環境ががらっと変わりつつあるときに、思い切ってやはりそういう予算のつくり方から大胆な手法があって、国民生活から見ればことしの予算は総体的にも魅力があるな、こういうふうになっていただければよろしいんじゃないかな、こう思います。 抽象的な事柄は以上におきまして、具体的に少し指摘をしたい点は、一つは地方自治体に対する例の国の補助率カットの問題であります。これはたしか一九八五年、昭和六十年度においては臨時緊急措置、こういう形で財政が回復されたらもとに戻すという約束事であったはずだ、こう私ども記憶しておるのですが、どうも基本的には補助率カットが恒久・固定化をされた、こういうふうに考えざるを得ないわけでございまして、御案内のとおり生活保護が、補助率が最終的には十分の七・五に固定をされました。十分の七まで落としてそれを七・五に戻したわけですから、一定の評価はするものでございますが、カット以前は十分の八であったわけでございますから、どうも納得しがたい。あるいはまた保育所、老人ホームの運営費、これなどはかつて十分の八、八割が補助の対象であったのですが、これがカットによって十分の七に、七〇%に落とされておったわけですが、今回は十分の五、半分の補助率に固定をされたというようなことを見ると、どうもまずいんじゃないかな。そして、ふるさと創生というようなことで一億円のお金を交付するというような話も あります。我々の感覚からいうと、そういう発想なり具体的措置を考えるんだったら、やはり生活保護とかあるいはまた保育所、老人ホームに対する補助率カットというものをまず正常な姿に戻しておいて、なおかつそのようにおやりになる方が皆さんもみんな評価をするし、喜ぶんじゃないだろうか、こういうふうに思っているわけでございます。 それから、こんな機会でございますので、年金問題に一言触れさせていただきたいと思うのであります。 私ども、立場柄いろんな機会にいろんな地方や現場の人たちに接するわけでございますが、少しオーバーな言い方をしますと、ことしの賃金引き上げ、それへの期待というもの以上にこの年金問題に鋭い反応があることは事実でございます。それというのも、一言で言えば、やはり自分たちの生涯生活設計というものが根底から崩される、そういうことに対する不安、時として憤りというものが感じられるわけでございます。 とりわけ、そういうことを具体的に考えてみますと、やはり雇用と年金との絡みがどうなっているのか。少し余談になりますが、果たして政府・与党はこれを、年金審議会にかけたなどの手続、それから、これからこなしていこうとする法案要綱等において、気持ちの面で本当に一致したコンセンサスがあるのだろうかというようなことがふっと気になるわけでございます。本当に将来に向けて六十五歳年金支給開始年齢の設定をするとするならば、当然これに見合う雇用というものが前提になるべきでありますが、御案内のとおり、雇用という角度から見れば六十歳はようやく六割程度というようなところに、大変なギャップの中で六十五歳問題というのが将来的に固定されておる、こういうような点はどうもやはり一つの具体的な立場からいうと問題ではないだろうか。 それから、日本のこうした年金制度は大変な種類によって成っているのですが、民間の厚生年金だけが突出した形で六十五歳支給開始年齢というものが提起をされて、端的に言えばその他の年金制度はその様子をじっと見ているという、必ずしもバランスのある手続、手法がとられてない現状というのはこれもまたどうも腑に落ちない。 要すれば、やはりもう少しトータルの角度から、日本の高齢化社会は世界一の急テンポでやってくるということが言われているわけですから、トータルの立場から日本の高齢化社会というものをどう考えるか、それに伴って年金制度というものがどうであり、雇用の問題がどうであり、さらには社会福祉という視野から公共部分の受け皿がどのように設定されるか、こういう中で国民それぞれが、公の立場からの公助、みずからがどの程度関与していくかという自助、お互いが助け合うという共助、こういう公助、自助、共助の三点セットで将来社会に対して国民が話し合っていく、こういう一つの行き方が率直に言って望まれているんじゃないだろうか。 端的に言って、日本の高齢化社会のピークは二〇一〇年から二〇二〇年とも言われています。一番その入り口は二十一世紀とも言われています。こう考えできますと、あと十年というものが、じっくりみんなが相談し、土台固めをしながら日本の高齢化社会を考えるという意味ではまだ時間的ゆとりがあるわけでございますから、何か突如としてその部分だけが持ち出されるということじゃなくて、高齢化社会をみんなでどのようにしたら安心して暮らせるか、生きがいを持って暮らせるか、こういう総合的視野からのバランスのある手法と検討が望まれておるにかかわらず、どうもこの国会に出される機運にあるようであります。これについて私どもは明確に、それはまずいんじゃないか、こういう立場を鮮明にさせていただく。 それから同時に、消費税のときにも、高齢化社会が来るから間接税というかその路線が必要なんだ、こういう説明もかなり聞かされたわけでございますが、にもかかわらず消費税とのかかわりは全くなく、年金財政のいろんな困難、将来に対する困難があるからということは、やはりその角度からでも問題があるのでなかろうかというふうに思います。 端的な結論的な言い方をすれば、高齢者の雇用、政府のお調べによっても五十五歳以上の求人倍率はたしか〇・一四のはずでございます。全体的な求人状況は改善されて一・一、けさ産労懇があって資料をいただきましたが、一・何がしのまことに売り手市場になっていますけれども、高齢者の雇用の関係というのはまことに寒々しい実態にあることは事実でございますし、企業サイドから見ましても、高齢者の雇用確保あるいは雇用継続、つまり定年問題、これを延ばすというようなことについてまだ私どもとしては皆安心できる状態になってないわけです。雇用をふやすことによって年金を受けるという実質的な期間が延びる、あるいは雇用をふやすことによって保険財政に対する拠出部分がふえていく、そのことによってトータルの視野からいえば年金支給に要する経費も相対的に減ることが見込まれる、こういうようなことも言い得るわけなんでありまして、この辺が必ずしも整合されてないまま厚生年金問題が突出提起されているということについて、重ねて反対の立場を明らかにさしていただきたいと思います。 それから次に、国際環境について一言見てまいりますと、新しい緊張緩和の時代に入ったと私は見ていいんじゃないか、米ソの動き、中ソの動き、あるいは朝鮮半島を含めてアジアのいろいろな動きを見てみますと、やはり私は新しいデタントの時代、こう見ていいのではないか。その角度で見ますとどうも軍事費の突出というような感じ。これは予算構造上もGNP一%枠を三年連続突破するなど具体的なことを含めて、世の中ある意味で平和な方向に向かっているのに何でふやさなきゃいかぬのかなということを根本的に考えざるを得ない点、一言だけ触れさしていただきたいと思っています。 それから、消費税問題についてちょっと述べさしていただきたいのですが、私は今これがスムーズな形で国民に受け入れられるのだろうかどうかということを大変懸念をしています。その一つの例と言ったらいいと思うのですが、例えば東京都を初め全国の十三の自治体が転嫁を見送る、こういうようなことなど一つ考えましても、せっかくいろいろな無理な姿で消費税が実施を予定されるに至ったのだけれども、どうもそれがスムーズにいく保証というのがないのじゃないだろうかということを言わざるを得ません。 例えば、個人タクシーなんかは、法人タクシーと違って三千万以下の年間営業なんですから、やはり法人タクシー同様に値上げの方向というのは理論的にも実際的にもあってはならないことなんでありますが、東京の場合はどうもそうでもなさそうだ。逆に大阪の方を見ますと、法人タクシーの一部はいろいろ企業に対する合理化も含めて見送る。東京と大阪でも一つとらえただけでもちぐはぐな感じがある。そこを同一地域同一連賃の原則というようなことを優先させようとしても、私は、やはりあれだけの一つの大きい関心の中で制定された消費税というものを優先的に考える場合に、いろいろな矛盾というのが現にここに出されているのじゃないだろうか、こういうふうに一つの例として申し上げるところであります。 要するに消費者、国民の立場から見るならば、適正な転嫁とは一体何なのかということが見えない。だから消費税に対する一つの信頼性というものがどうも生まれてない。むしろ便乗値上げに対する危険あるいはそれへの不安、不信、これが物価の上昇を誘導していくのではないか、政府は一・一%の予測をしていますが、そこに落ちつく保証というのはひょっとしならないのじゃないか、こう思わざるを得ないことを含めまして、政治レベルではいろいろな話し合いもこれからあるのかないのかただいま時点では承知いたしておりませんが、とりあえず延期ぐらいのところで、よく問題点や矛盾の解明に当たっていただいたらどうかというふうに思います。 それから、政治不信の問題についてもやはり一 言触れる必要があろうか、こう思うのでありますけれども、皆さん方それぞれの角度で熱心なやりとりをしていただいているわけでございますが、我々としては、国会の中で明らかにすべき点はやはり明らかにしながら、国民が政治に協力をする、こういう一つの努力を今後ともぜひお願いいたしたいし、国民の側からするならばそうした必要な説明を聞く権利がある、こういうふうに私は思うのであります。 端的に言って、政治改革を言う前にリクルート疑惑の解明というのをやはりすっきりやってほしい。そうでないと、何か国民の側から見てもいまいち協力するという気分にならないのじゃないだろうか、こういうふうに思うわけでございまして、私は、一番いいことから言うならば、私が思っているというよりは国民の感じから言うならば、やはり一遍国会を解散してというような感じがいいのですが、きょう皆さん方にそんなことを真っ向から言うのは恐れ多い話でございますが、国民の受けている感じは大体そんなところが率直という感じでいますので、この機会に述べさせていただきたいと思います。 幾つかまだ、私ども労働団体という立場でもございますし、したがって春闘その他の問題についてもお願いしたり申し上げたい点もございますが、後ほどまた御質問もあろうかと思いますので、総じてこの新年度の予算に対する総括的な印象を含めた意見といいますか、とりあえず以上申し述べさせていただきまして、必要があればまた後ほど補足の機会を与えていただきたい。 以上で一応、時間の制約もありますので終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○近藤(元)委員長代理 どうもありがとうございました。 次に、河野公述人にお願いをいたします。
○河野公述人 私は、税制改革、特に消費税の問題に絞って、二十分間の時間をいただいてちょっと考え方を述べたいと思います。 それで、今の税制改革論議というのは、どうも非常にゆがんだ、枝葉末節のところに力点が置かれ過ぎた議論が行われておるとかねがね思っているのです。消費税の問題を考えるにしても、税制改革全体がどういう理念でどういう方向をもってやったんだということを踏まえた上で、消費税の問題についてその仕組みの問題その他について議論すべきだとかねがね思っているのですけれども、現在の状況というのは、本屋に行ってみれば、そうですね、あれ二、三十冊ありますかね、消費税だけの解説書が。あれを読めば読むほど大体世の中わからなくなるような本ばかりなんですけれども、そういう本が売られている。それはそれで必要だと思いますけれども、何か税制改革全体の理念を忘れたようなところで、技術論に走っているようなところが多過ぎるということをまず最初に申し上げておきたいのです。 私は、税制改革全体のことについてはまずとりあえず二つのことを申し上げておきたいのです。 一つは、今度のあれは公平だとか中立だとか簡素だとかという理念で税制改革全体を行ってきたわけですけれども、その中で、直接税体系の中にも、それから今の消費税というか間接税の中にもたくさん矛盾とでこぼこがあって、これはもうだれが考えたって問題があり過ぎるのですね。所得税が重過ぎる、法人税が重過ぎる、その他土地関係の税制もいろいろありましたけれども、それを全体として直す中で間接税も根本的に直す、その結果として直間比率が幾らかでも是正されるということが、これは七年から十年先の話だと思いますけれども、将来の福祉社会の税制面のベースを確立するということにつながるということで私は基本的に賛成なんです。ただしかし、いろいろないきさつがあって、中曽根内閣と竹下内閣、三年有余にわたる大抗争の中で、大討論の中ででき上がった姿を見て、個別に一つ一つ減点していけば、私はかねがね今度でき上がった改革法の内容は、点数をつければせいぜい七十点ぐらいだと思っております。しかし、今の時点で七十点だからやるなという議論よりも今こそ決断してとにかくスタートさせるべきだ、部分改良論でいくべきだと思っております。 そのことをベースにして今度消費税の話に入るのですけれども、消費税の話というのは非常に膨大な話で、どこをどう言っていいか、この短い時間で惑うのですが、とりあえず二つのことだけ焦点を絞ってお話をしておきたいのです。 一つは転嫁の問題、それからもう一つは、もちろんそれとも絡むのですけれども、消費税にいろいろな欠陥があるのではないか。今も我が尊敬すべき真柄さんが、一緒に税調でやっていましたからよくわかっているのですが、いろいろな問題を言われた。それは言われたことは私はそれなりによくわかるのです。そういうことを含めて申し上げるのですが、まず第一に転嫁の問題で申し上げると、今真柄さんもおっしゃったし、一般世上そう言われているのですけれども、四月一日の転嫁実施というのに相当の混乱が生ずるのではないかという意見があります。しかし、いいですか、現実を見れば、仕事をやっている人たちは現実の問題としては実務的にどんどん対応策を進めていますから、部分的な問題が残るとは思いますけれども、大方は、適正という点について若干問題があるかもしれないけれども、円滑にということについて言うならば大体いくのではないかと私は楽観的に思っております。 このことはいずれ一カ月たてばわかる話ですから……。押して、押して、そうかもしれませんけれども、まず第一に、消費税の対象になる百の業者があるとするならば、そのうちの四人ぐらい、つまり四%ぐらいの業者、つまり大企業、中堅企業以上ですけれども、そこが消費税の大体八割ぐらいを納めるわけですね。ここはほとんど完璧に近く、一銭一厘間違いなく大企業というのはきっちりと消費税を納めるだろうと思います。経理担当者が、担当部長その他がいろいろ一生懸命頭をひねっていますけれども、これはそういうことをカバーするのが経理担当の役目なのであって、当たり前のことであって、そこの点での問題は、部分的な問題は残っていますけれども、ほとんど大企業は解決されています。問題は、どの先生方もおっしゃるし、地方に講演に行うてもいつもそう思うのですけれども、その他九十何%を占める五億円以下の売り上げの中小零細企業の方たちの持っている転嫁に対する不安がどの程度解消できるのか、どの程度四月一日にやってみたらばうまくいくのかという点に絞られてくるのだろうと思うのです。大企業のことはもう心配する必要はないと私は思っております。 それで、今いろいろな業種団体が主催して、あるいは消費者が主催して、あるいは国税庁が中心になって主催して、公取が主催して、全国で万を数える講習会、勉強会が行われております。皮肉なことに、実は税務署の職員の諸君が話をすると、これは逐条でやるものですから、わかる話がわからなくなるのですね。大体話を聞いてくると、また首をかしげて出てくるのですよ。あれじゃやはり大変だと言って帰ってくるのですね。その人たちにそんな条項なんというのは全く実は必要ないのです。大企業には必要であるけれども、中堅、中小以下全く関係のないところへ役人が正直に一生懸命説明するものだから、それがまた不安を呼んでいる側面がありますが、しかし、片っ方で各業種団体が、書籍は書籍、トラックはトラック、それぞれの業界が実は実務的に話を詰めていて、カルテル行為が転嫁と表示について二つ認められていることがバックになっていまして、実は話がどんどん進んでいるのですね。ですから、その転嫁のこと、それから表示のことについてはあらかた、中堅、中小、零細を含めてみんな何とかなるのかなという気持ちを持ちつつある。まだ吹っ切れてはいませんよ。いませんけれども、実態はそうだと思います。 もう一つ言えば、だんだん説明を聞いているうちに、それでもなおかつ五億円以下は簡易課税方式だとか、三千万円以下の零細な個人営業に近いような方たちは免税業者だということが、改めて 面と向かって言われてみてやっとわかるのですね。あれは。新聞が随分書いたけれども、ほとんどわかっていない。一体新聞、テレビというのはどういう役割を果たしているのだろうと今になって思いますけれども、とにかく事実はそうですね。面と向かって話を聞いて、あっ、そうか、我々は課税業者じゃないのかと、その方が全事業者の七割近くいらっしゃるわけですから。五億円以下の簡易課税方式で、売り上げに〇・六ないし〇・三%掛けて、その金額さえ一年後に納めればすべておしまいという人たちが実は九六、七%いらっしゃるわけでしょう。それを聞いて、そうか、それなら事務的なことその他についてもそんなに大きな負担ではない、あとは四月一日にどれだけうまく転嫁できるかだ。それについては寄り寄り商店街にしても個別企業会にしても話を進めていらっしゃるというのが実態だと思うのです。 ですから、大局的に見れば私は四月一日の導入というのは、部分的な混乱というのはもちろんこういう広いあれですから、しかも新しい経験ですから、起こらなければおかしいのであって、起こると思いますけれども、しかしそのことを針小棒大に報道するよりも、全体としてどうなんだという大局観が必要だと思うので、私としては、若干の期待はもちろん込めておりますけれども、大体転嫁はうまくいくだろうと思っております。 第二の、消費税に内在する欠陥の問題です。これはなかなか議論の進め方が難しいところだとかねがね思っています。例えば今真柄さんがおっしゃった個人タクシーの話、ほとんどが年商売り上げ三千万以下の人たち、それが三%転嫁ということを決める。その人たちもコストが、前段階で税金がかかっていますから、二・六%ぐらい平均すればふえるのですから、実はすべてのあれを全部懐へ入れるなどというのは、まことに個人の営業者を侮辱するも甚だしい議論なんだけれども、しかし、とにかく税金としていただいたものの一部が大蔵省に入らないで、個人の懐に入るということが起こることはあり得ると思いますね。それから、簡易課税方式で、あれは粗利益二割と計算して、売り上げの〇・六ないし〇・三で結構ですよということを言っているのですから、それよりも粗利益がでかいところがやはり幾らか懐に入れるということになりますね。税金泥棒みたいな話ですよ、この話は。そういう問題点を含んでいることは明らかなんですね。そのことがそうじゃないと言ったらうそになると私は思うのですよ。 ただしかし、そこから先が問題なんで、そのことが消費税体系全体の死命を制するような致命的な欠陥かどうかということは政治論だと私は思いますよ。どこの国だって零細なところに税の執行上のこともカウントしながら政治的なことを考えて——皆さんは票をいただいて国会議員になっていらっしゃるのだから、我々評論家みたいなのと違いますから、それを含めて考えてみれば政治論があって当たり前だと思いますので。しかも売上税以来のいきさつを考えてみれば、あそこで自民党の税調がああいう大きな割り切り方をしたのも一つの政治的な判断だと思うのです。問題は、税制改革全体が非常にいい方向であるということと、消費税を入れることは当然のことだということと、したがって、しかしそこに若干のきずがあるけれども、大体完璧な美人なんていうのは世の中に存在しないんで、何かどこか、顔はきれいだけれども寸が短いとか、いろいろあるわけでしょう。これだってそうですよ。そう考えるべきであると思うのですよ、世界じゅうのどこの税制を見たってみんなあるのですから。 ただ問題は、それならそれをほっておいていいかという議論はまた違うと思います。それはやはり今度は、今までの自民党のこの問題の処理というのはだれが考えても、新しく納税義務者になる人たちの不安とあれをなだめるために、それは政治的には自民党の金城湯池みたいなところであるわけだから、それと妥協したのは、僕はそれはそうだと思うんですね、みんなそういうふうに各国ともやるんですから。ただしかし、そのことによって何が見落とされたかといえば、負担をするのは消費者ですから、その人たちの疑問にこれから相当配慮しなければ、やはりいつもこの問題はつきまとう、最後まで。執行しながらでもつきまとう話だと思いますよ。ですから、今度の法律にも、何年か先にいろいろな問題があったときに見直すということが入っておりますけれども、見直すのならば幾つか見直すことが僕はあると思いますよ、税制改革全体の中で。今の法人税の三七・五ということでいいのかどうか、これだけ国境を越えた企業活動が多くなってみれば。現に、既に日本を代表する企業の幾つかは本社をアメリカへ持っていきたいということを思っていますからね。その分だけ金の卵が日本からいなくなるんですよ、今の高い税制をやっていれば。それも一つこれから見直すべきことかもしれません。 土地の問題ももちろんそうだと思うんですが、この消費税に限定して申し上げるならば、恐らく今つくられた、今現実に施行されようとしている消費税のシステムの中に欠陥あり、それは徐々に時間をかけて、国民の世論の盛り上がりを待って直すべきだと私は思うんです。しかし、それは来年、再来年なんという話ではなくて、やはり二、三年ないし四、五年実際にこれをやってみて、その結果、税を負担するサイドから、それからまた実際にそれで税金を納める立場、納税義務者の人たちの間から新しい不公平論だとか欠点論だとかが盛り上がってくれば、その世論をバックにして改革を政府並びに自民党の税調がやればいいことであって、そのことについてそれもやらないよ、これは決めた以上は絶対これから十年間押し通すというのは間違っているんじゃないかという気がします。 それから最後に、若干時間があるので一点だけ申し上げておきたいのですけれども、去年の暮れですから、国会で法ができ上がったのは。その間、プロセスではせいぜい、どう考えても半年ぐらいは実施が延びるだろう、延ばすべきだという議論があったんですね。与党の中にもありましたし、一般の世間でそういう期待が非常に強かったんですね。それが四月一日実施ということで強行された。そのことが、仮にこの制度が結構だと考えたにしても、納税義務者の立場で考えてみればいささか性急ではなかろうか、いかにも時間が少な過ぎる、準備が足らない、できない、物理的なことを含めて、という意見は今でもあります。ありますが、私は当時から四月一日実施は当たり前だと思っていたんです。今しみじみそう思います。よくぞあのとき決めてもらったものだと思っているんです。 なぜかというと、今、今日の国会の状況を見ていればリクルート事件の拡大といいますか、そういう風潮の中でひょっとすると、地方選挙の状況を見ていれば、あれは地方選挙であるにもかかわらず国政を論じていますから、それはそれでも仕方がないのですが、その中で九月実施なんか決まっておれば、ひょっとすると九月実施というのがまた半年延びて、一年凍結されて、三年目に廃止というようなことになったかもしれない。その公算は極めて高いと今思いますね。私はこの税が必要だと思っていますから、どう考えたって。だから、多少の無理があってもそれは納税義務者に泣いてもらって、日本の国内で商売やっているんですから、その中で立派な大企業になった人もいるんだし、それで国家経済の、国民福祉の将来の基盤をつくるためのステップなんですから、若干の御不便とあれは甘受してもらうしかないと思うんですね。それは余り上から言い過ぎると、おまえ本当に一介の評論家で、事業者でもないくせにとすぐ言われますから、よく皆さんの御苦労はわかっていますと申し上げてから申し上げるのですが、それでもなおかつ、この大改革で若干のトラブルと若干の不満が起こるのは当たり前、なかったらおかしいので、しかしそれは、今の日本の実務家はそれぞれの立場でそれぞれの地域で大勉強をやって、猛勉強をやってそれを今克服しかかっているところだというふうに私は今の状況を見ているんです。ですから、繰り返しますが、四月一日の実施はかなり円滑にいくんではないかと思っ ております。 以上であります。ありがとうございました。(拍手)
○近藤(元)委員長代理 どうもありがとうございました。 —————————————
○近藤(元)委員長代理 これより公述人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智伊平君。
○越智(伊)委員 舛添先生にお伺いをいたします。 非常に立派な御意見をいただきまして、全く同感であります。軍事力のバランスの問題あるいは経済援助の問題等々、全くそのとおりだ、かように思います。ただ、例えば外国に災害があった場合に自衛隊の派遣、もちろんこれはただいまの憲法では疑義がございます。お説のとおりであります。しかし、これを先生は、憲法を改正してでも実行したらどうか、全くそのとおりだ、かように思います。ところが、なかなかその憲法改正までに至るコンセンサスを得るということがこれはもう大変な問題であります。思いやり予算につきましても御説明がございましたが、これも同じようなことであります。 でございますから、これはそういう先生方がおられるということも非常に私は心強い、こういうふうに思っております。しかし、これのコンセンサスを得るというのは本当に大変なことでございますけれども、この方法についてひとつ国民の理解が得られるような方策が、もしお考えがありましたらお教えいただきたい、かように思う次第であります。
○舛添公述人 私は私の信念を申し上げたまででありまして、少なくとも諸外国なんかを見ましたときに、先ほど繰り返し申し上げましたように、日本というのはとにかくエコノミックアニマルで金だけだ、そういうことではやはり私はだめだろうと思います。私は戦争をやりに行けと言っているんでも何でもなくて、例えば日本で災害、それから日本航空機の事故の場合でもそうですけれども、そういう災害の救助活動に自衛隊が使われて非常に国民から感謝される。同じようなことが外国で、例えば地震の建物の瓦れきの下で苦しんでいる人を助けるのに何で使ってはいけないのか、そういう率直な疑問でございまして、それは私は少なくとも若い世代はそういうことについて十分な認識をしていると思います。私があえてきょうそういうことを申し上げたのは、政治的に非常に難しいことというのはわかりますし、そういうことを恐らくこの国会で話をするような雰囲気ではないと思いますので、外部の私がこういう機会を使いまして申し上げた次第であります。 それで、私は基本的には、もちろん戦後の生まれでありますし、日本国憲法は非常に立派な憲法だと思っていますし、そのもとで教育を受けてまいりました。しかし、今の日本の国際的地位を考えて、日本人がとにかく金もうけ主義に走っていて批判ばかりされている。東南アジアなんかで日本の男の集団が、旅行者ですけれども、何をやっているかということを見ればわかると思います。やはりそういうのは恥ずかしくてしようがないので、私は、それはまさに国民の選良である先生方が、皆様方が国民を指導していく義務があるというふうに思いますし、私は私の分野で、言論活動においてそれをやっていきたいというふうに考えております。 結論的に申し上げますなら、憲法が残ったところで国が滅びてはしようがない。今のような退廃した感じで進む限りは、憲法残って国滅びるということがあるのではないかということを懸念しておりますので、とにかく自衛隊を海外の平和のために使えと言うと、言葉は非常に悪うございますが、何かの一つ覚えのように軍国主義への復活というような反応をなさることにつきましては、私はもはや国民はそのような単純な反応では説得されないぐらいに優秀な国民になっていようというふうに思います。
○越智(伊)委員 私も、戦争に派遣することにはもちろん反対でありますけれども、今の災害等の瓦れきの下で長期間救出ができない、こういうときに速やかに災害復旧等に派遣するということは同感であります。ありがとうございました。 次に、真柄先生にお尋ねをいたしたいと思います。 確かに、非常に経済は発展をいたしましたし、その中にあって、ゆとりのない生活をしておる、豊かさを感じない、これは全く同感であります。 そこで、補助率の問題でありますけれども、今回の予算では福祉関係のものは、十分とは言えませんけれども復元をしつつございます。ところが、公共事業の分についてはそのままであります。私は、先生の言われました雇用のことでありますけれども、今過疎過密で、過疎地帯では雇用の場がない。でございますから、これを均衡ある発展といいましてもやはり過疎地はますます過疎地になっていっておる、こういうことであります。そして大都市ではさらに豊かさの実感を感じない、こういうことであります。住宅にいたしましても、過疎地では非常に大きい家が空き家になっている。ところが、東京都あるいは大阪周辺では非常に家賃も高い、また狭い、こういうことを繰り返しておる、こういうふうに思います。でございますから、一つには、均衡ある発展のために補助率をアップするかあるいは事業を伸ばしていくか、この問題が一つ、この点についての御意見。 それからもう一つは雇用の問題。ちょっと御説明の方向とは違っているのですが、大都市の雇用の問題と過疎地といいますか均衡ある発展、これはふるさと創生の問題もありまして、要はその地域地域で村おこしをしていこう、こういう観点から今考えておるわけですが、こういうことについて過疎地と過密地との雇用の問題、これをいかように考えておられるかお尋ねをいたしたい、かように思う次第であります。
○真柄公述人 大変難しいお尋ねなのでございますけれども、確かに均衡ある国土といいますか日本全体が発展することは望ましいし、現状は都市と地方の格差等がございます。したがって私は、基本的には、一つの政治、財政等の基本的仕組みをもう少し、何といいますか中央集権型から地方分権型に衣がえをするのがまず望ましいのじゃないかというのを一つ前提に置きたいと思います。 また、かかる観点から、地方経済あるいは地域社会の振興、そういうところに対しましては、いろいろな一つの過渡的やり方としては、補助率をもう少し見直してよくするとか重点的に事業の配分等を行って活発な地域振興を行う、そういう一つのやり方も確かにあると考えますので、そのような点から重点的な予算の配分その他が望ましいというふうに思います。 一方、大都市の場合なんですが、これは根本的には、大都市政策はどうあるべきかという意味からいえば、単に予算のあり方、財政の仕組みだけでは大都市の問題は解決するかどうかというような問題を私ども感じます。同時にもう一つは、東京に出てこないと働く場所がないという雇用問題の現状ですね。したがって私どもとしては、何も東京だとか大阪、大都会に出ていかないと働く場所がないということじゃなくて、地域の中で雇用が創出されまして、その前提としてやはり事業——事業といっても私はこの場合は民間ベースの事業に期待をかけることも当然でございますが、やはり公共事業というものを地域の皆さん方に役立つ形で重点配分をして、自動的に雇用が創出されていくというようなことを考えていただく必要があるのじゃないかと思います。 大都市雇用は、私どもとしてはそういう意味で集中的に雇用が大都市に膨らんでまいりますと、いわゆる雇用の形態が異常な姿、内容を持って、例えば不安定雇用者とか、最近は国際都市化したということで二十四時間型の労働とか、いろいろな労働の質あるいは人間生活の健康の面から見ても、やはりちょっと考えなければいかぬような大 都市なりの雇用の実態というものがあるように思われますので、お答えとしては的確でございませんが、大都市と地方の格差を政治経済の面から埋めて、その中で均衡ある発展というのは即均衡ある雇用が中央地方で創出をされていく、そこに正常な労働の姿が出てくる、こういうことを期待いたしたいと思うし、一挙に無理なら、重点的に事業配分その他で地方を大事に考えていただいたら、こういうふうに思ってお答えにかえさせていただきたいと思います。
○越智(伊)委員 河野先生、立派な御意見をいただきましてありがとうございました。 消費税の問題七十点ということでありますが、私どもは百点満点はいかないにしても八、九十点はいくのではなかろうか、こういうふうに思っております。これは今まで直間比率の見直し等を随分議論をしてまいりました。その上での消費税であります。 そこで、先生のお話のように、確かに税務署とかそういうところの説明では、どうも業種が違うものですから受け入れしにくい、それが業界団体でやるとこうしようでないかといって決めて、次々もう既に準備をしております。でございますから、お説のように半年先にしようと一年先にしようと、我々の選挙と同じで、決まったらそれに合わしてやらなければいつももっと準備をしておけばよかった、こういうふうに思っておるのであります。ですから、御説のとおりであろうと思いますが、さらにまだほかの説明の方法が何かございましょうか。図書にしても、先生お話しのように十分的確な図書といいますか、これが少ないようであります。これを周知さすためにさらにほかの何かいい方法がありましたら、お教えいただきたいと思います。
○河野公述人 それがわかると大蔵省本当に大喜びだと思うのですけれども、なかなかないのですね。ただ、あれですね、自民党が出していらっしゃる手引みたいなのがあるし、大蔵省がつくったのもあるし、プロ用のもあるし素人用のもあるし、さまざまなのですけれども、それでも網羅的に説明しようと思うことが間違いなのですね。簡易課税業者の方たちに、あんたこれだけやれば十分です、あと余計なことは全く読む必要がない、頭が混乱するだけ、気分が暗くなるだけだからやめなさい、非課税業者の方はこの三条だけ読めば十分だ、あと関係なしというふうな説明の仕方をやったらいいのですよ、相手を選んで法を説かなければいかぬですから。不必要なことを説いて頭を混乱させてやることは、これはそれでなくたって気が重いんですから、ばかげていると思うんですね。それが非常に役人のやり方というのは網羅的で、つまり何もポイントをついてないんですよ。だから混乱するんですよ、実際は。 ですから、今申し上げたような、少し相手を限定して、おたくの業界はこうですよ、三千万以下の人はこうですよ、五億円以下の人はこうですよというふうにすれば、もっとわかりやすくて不安が解消される。いわれのない不必要な不安を持っている人がたくさんいらっしゃるんですから、実は、先生御存じのように。それを払拭してあげるにはそういう説明の仕方が必要だと思うんです。それは文書であろうが新聞使おうがテレビであろうが同じだと思いますけれどもね。それをお答えします。
○越智(伊)委員 ありがとうございました。終わります。
○近藤(元)委員長代理 次に、井上普方君。
○井上(普)委員 お三方、御苦労さんでございます。 最後からひとつお伺いしますが、河野先生、お伺いいたします。 どうもお話を承っておりますと、先ほど消費税のお話を承りまして、私もそういう感はないでもないのですが、消費税の、間接税の理念がなくなっている。一例を挙げますというと、直間比率の見直しということが大きなテーマでございました。しかし、このごろ直間比率の見直しというのは、ここから先ですよ、言論界でおっしゃる人もないし、自民党の方々も言う人はない。しかもことしの予算を見てみますというと、直間比率というのは昨年と余り変わらないのですね。評論家として一体どういうようにお考えになっておられるか、これがまず第一点。 第二点としては、この理念といたしまして、何と申しますか、クロヨンというように非常にサラリーマンには税金が高い、反面、中小企業の諸君は、ともかく節税か何か知らぬけれども、税金が安いじゃないか、これを捕捉する一つの手段として消費税、間接税というものがあるんだという話で、これはいかにもサラリーマンの諸君もそれはいいなという感じがしておった。事実しておる、内心では。しかし、今度は帳簿方式になる、あるいは簡易税率が適用される、免税業者ができるというようなことになってくると、またまた同じ姿じゃないか、こういう懸念が、懸念と呼びますよりはもう既に出てきておるし、やがてこれはまたクロヨンと同じ形態になってくる。とするならば、先生は今大企業は消費税は忠実に守られるだろう、こうおっしゃいました。それは私はある程度うなずけます。しかしながら、問題は中小企業、零細企業の諸君なんです。それに対しての税捕捉率というようなのは、ほとんどこれによってよりよくなるということは私は難しいんじゃないだろうか。そうするならば、今なぜ理念的に申して消費税を導入するんだろうかという疑問が出てまいらざるを得ないのであります。 それからもう一つ、このごろになって政府・自民党の諸君が盛んに言っていますけれども、高齢者社会になるんだからその税体系を変えなければならぬ、あるいは消費税を導入するんだ、こういう舌の乾かぬうちに、消費税が導入されるかされないかのうちに年金問題を出してくる。ともかく六十五歳以上でなければ年金は出さぬようにしようじゃないか。一体、高齢者社会とこれとがどんな関係になっているんだろうか、ともかく率直な疑問を持たざるを得ないんです。評論家の先生としてどういうようにお考えになっておるか、この三点。 その次、真柄さんにお伺いしますが、真柄さん、今も申しました、これから高齢者社会が到来する、ですから準備をしなければならないということは、私、自慢するようなことにもならぬものですけれども、十四、五年前からその準備はしなければいかぬのだということは言い続けてまいったものであります。しかし、今になりますというと、高齢者社会が目の前に来るからひとつ年金は六十五歳から、こう言っておりますし、現状を見ますと定年六十歳もまだまだ十分になされていない実情の中で、果たしてこれで日本の社会は健全な姿になるんだろうか、高齢者はこれによって、何と申しますか人生を享受できるような社会になるんだろうか、大いに疑問に感ずるのであります。この点につきまして真柄さんはどういうようなお考えか、ひとつお伺いいたしたいと存ずるのであります。 真柄さんにもう一点お伺いいたしますが、内需拡大のためには労働者の賃金の可処分所得が増大しなければならないのはこれまた当然であります。しかしながら、可処分所得をふやすことが大事ではありますし、また、労働者の生活水準を高めることにも可処分所得が非常に大事なんでありますが、日銀や経団連では賃上げと物価上昇との関係を、どうも可処分所得が多くなったら物価が上がるんだ、こういう説を盛んに唱えております。私はこの点につきましては大いに疑問があるのでありまして、インフレ要因というものはやはり過剰流動性の増大にあった。このごろになりますというと、昭和四十七、八年ごろのあのインフレは、これは石油ショックだなんということを言って石油が神風のようなことを言っているけれども、実際はあれはニクソン・ショックなんです。ニクソン・ショックによって可処分所得が非常に大きかったがために、石油ショックというちょっとした動機がああいうインフレを招いたんだというのは、これは経済企画庁も認めておる説なんであります。 今、日本の経済、日本の通貨状況を見てみますというと、過剰流動性は非常にふえている。特に通貨供給量のごときは毎年、ことしの二月ですと一二%ぐらいになるんじゃないかと思います。ずっとふえている。こういうようなときでございますので、物価上昇というものに私らは細心の注意を払わなければならないと思うのですが、その点についてどういうようにお考えになっておられるか。それと同時に、消費税の便乗値上げがそれの動機にならないか、どういうようにお考えになっておられるか。ひとつその点をお伺いいたしたいと思います。
○河野公述人 三点、的確にお答えできるかどうか自信がありませんけれども、最初の、先生のおっしゃった理念論で言うと、直間比率を変えるというのは理念じゃないのですよ、私の判断では。税制改革の理念というのは、公正な、公平な、中立的な、しかも簡素な、国民から見て、そういうものをつくりたい理念なんですね。その結果、いろんなことを直していったら直間比率は少し変わるかもしれない。結果なんですよ、直間比率論は。これが第一だと思いますよ。ただしかし、政治論のいきさつからいって、先生おっしゃったみたいに、中曽根内閣時代にまず最初に直間比率論があったことは事実ですよ。だけれども、その後いろんな事態の変化と自然増収がふえてきたということ、つまり現実的な変化もあって議論はやはり正式な軌道へ戻って、理念は理念、その結果やってみたら直間比率は変わる方向に行くよということになったんだと思っておりますので、今度の税制改革が理念がないということはないと思うのですね。 ただ、その理念が徹底したかどうかということについては、さっき私、七十点と申し上げたのは、それは個別の点を見ればそうでない点がたくさん見られるということで、マイナス点を引くと七十点だということを申し上げたのです。 それから、そもそも消費税というのは、ヨーロッパでそうだったんですけれども、インボイスを使うやり方で多段階の付加価値税を導入すると、税務署サイドから見ればそれを使うことによって業者の懐が透けて見える、所得をより正確に把握することができるという効用を副産物として持っていることは事実なんですね。事実なんですよ。ですから、最初に仕組まれた売上税では、税額票というのが当然そこにはまっていることも事実なんですね。しかし、そのことが事務が煩雑であるということと透けて見えるのが嫌だという二つの反対で、それはつぶれたわけですね。それで今日の姿になったわけです。実際はそういうことになっているのですね。ですから、その結果、今先生がおっしゃったみたいに、クロヨンの是正ということについてこの消費税がどれだけの効果を持つかと言われたら、大いに疑問だと思うのです。それはおっしゃるとおりです。 ただしかし、間接税を入れたこととの対比の中で、直接税、特に所得税の減税を相当大幅に実行をしておりますので——クロヨンを直すのに二つやり方があるのですね。こちらで相当サボっているところが仮にあるとするならばそれをしっかり取る、それでこちらのサラリーマンの課税は変えない、これでもイーブンになる可能性はあるのですよ。これができなければ、サラリーマンの負担を下げて。アプローチの仕方は二つしかないのですよ。何しろ両方の組み合わせしかないと僕は思いますけれども、現実に起こったことは、先生おっしゃったみたいに、後の方が少し進んだかもしれない。しかし、クロヨン問題というのは、今度の税制改革ではそんなにはかばかしくは進んでいないと私は思います。 第三点の年金の話ですけれども、私は年金の専門家でなくて申しわけないのですが、今の消費税導入というのは、あれによって今すぐ国庫の収入をふやそうというんじゃないのですね。明らかに減税の方が多いのですから、二兆円以上の。それは中曽根内閣時代と違うのですね。それは自然増収がバックにあるからなおさらやりやすかったというだけの話であって、今はとにかくそういう新しい税金のシステムを導入しておく。一朝事あるときに、ということは相当先になって本当に高齢化社会が到来して、こういう年金の給付水準の部分的な引き下げということでも賄い切れなくなったときには、これは消費税のパーセントを上げるということは大いにあり得ると思うのですね。 しかし、それはどう考えたって七、八年から十年先じゃないですか。それまでには内閣が三つぐらいかわっていると思いますよ。それまでにみんなの感じの中に消費税が定着していく、ヨーロッパみたいに、アメリカみたいに。そのこと自体が意図されなくなって、一%上げれば、あと五、六年たてば四兆円から五兆円の歳入増になると思うのですよ。そうしたら、四兆円のうち一兆円ないし二兆円は減税、残り二兆円はこういう福祉に全部張りつけますと天下に証明できれば、それはそれで国民の理解を得ることができるんじゃないかと、余計なことですが思っております。 以上です。
○真柄公述人 第一番目にお尋ねになりました高齢化社会なんです。年金問題は先ほど申し上げましたので、重ねて申し上げることは努めて避けさせていただきまして、高齢化社会への見解ということでございます。 私ども、これも将来に向けて一生懸命勉強しながら、やはり高齢化社会に対するビジョンといいますか、政策的な全体像をつくらなければいけない、そういう立場でいろいろない知恵を絞ったりしているわけですが、端的に言えば、年金問題に絡めて一言で言えば、高齢化社会になったら仕事はない、年金もなくなるもしくは減らされる、この不安というものが渦巻いているわけですね。だから、そういうことが当面する年金問題に対する一番の私たちの不満になっているわけですが、じゃ突き詰めて高齢化社会というのはどういうものかというようなことに対して、我々の経験からいいますと、日本の労働団体、労働組合も少し頭の切りかえをやる必要があるなという気持ちは率直に持っています。 というのは、西ドイツあたりの例を見ますと、やはり十年、二十年西ドイツ社会はどうあるべきかということを検討いたしまして、そういう一環として、ことしの予算に対するいろいろな申し入れその他をどう整合性とプログラムに沿ってやろうか、こういう運動の立て方に変わってきているわけですね。率直に言って、私どもの場合は、やはり予算の時期になりますと、去年出したあの要求書と申し入ればどうだったか、何か落ちていないか、新しいのを特に何か追加するかというような年々歳々型なんですね。 ですから、私どもは、やはり高齢化社会のあるべき姿をまず描いて、その中で積み上げたいろいろな改善策をしていく、こういう高齢化社会を見るわけですが、具体的には、やはり私たちは社会的ないろいろなシステムを第一に考える時期。さっき言いましたように、雇用と年金どの相互乗り入れ、ヨーロッパの例では、部分年金制の選択なんというのも、スウェーデン等においてもたしかあるわけですね。そういうものとか、単に高齢者にかかわらず、子供の皆さん方あるいは婦人、女性の皆さん方も含めて、例えば疾病、寝たきり老人の予防とか救急医療とか、そういう医療、あるいは在宅ケア、老人ホームとかそういう社会的システムについて、やはり高齢化社会の一つの受け皿として今からこつこつ考えていく。ただ、これを民間ベースに持っていきますと、コストアップになって、お金がないとなじまないということになりますから、やはり公的責任において高齢化社会の必要な施設、受け皿をつくるということを、全体としてはシステムの問題として考えていく必要があるんじゃないか。 それからもう一つ、やはり世代間の連帯なり負担というものを社会的な視野から考えていく。そういう意味では、社会保険というとらえ方だけではなくして、やはり税の公平な負担とか、あるいはサービスを受けるということとの見合いにおける応能負担とか、あるいは世代間の一つの負担とか、こういうようなことを通じまして、なるべく 格差あるいは社会的な公正がゆがまないような、そういう全体像というものにしていく必要があるんじゃないかというのが二番目であります。 それからもう一つ、やはり高齢者が活動できる、社会的というより、むしろ企業周辺における仕事の開拓と労働現場の受け入れ。技術革新が進んでまいりますと、なかなか高齢者になじまないような職場の形態が出てまいりますけれども、やはり高齢者が引き続き定年延長その他で働ける職場環境と雇用の継続というものを、これは企業サイドといいますか、あるいは労使関係を通じてといいますか、確立していかないといけないんじゃないか。 最後に、いろいろ考えますけれども、やはり自治体中心の地域社会を大事に考える施策を重点にする。これには、抽象的な事柄でなくて、文化、教育、スポーツ、医療、交通とかいろいろな問題、環境、介護その他ありますけれども、高齢者のこれまでのせっかくの経験が、地域社会の中で一定の仕事として貢献できる、あるいはまた一定の仕事でなくてもボランティア活動として貢献できる、そういうような地域社会それなりのシステムというものを考えていく必要があるんじゃないか。 まあ結論的に言って、我々としては、そういう点では、政府も使用者も労働団体も、それから有識者の皆さん方も、やはりみんなが知恵を出し合って高齢化社会をどうつくり上げるかというような、できれば国民会議みたいな検討の場が設けられて、そして、それなりの自分たちの責任のとり方、負担のとり方とかそういうものを考えるべきじゃないかというふうに思っています。 まだ検討過程のことの一端を申し上げさせていただいたわけでございます。 それから、賃金の可処分所得の問題なんですが、端的に言って、日本銀行それから日経連はコストインフレ論をとっているわけです。私らは、これはもう真っ向からそうでないと反論しています。やはり賃金が上がると物価が上がるというような角度をとらえているわけでありますが、もしそういうことであるならば、下げる余地のあった物価をなぜ今まで下げていないのか、そっちの方が先じゃないかということを実感としてまず持ちます。 もう一つは、コストインフレ論、賃金が上がればと言いますけれども、それは一面であって、もう一つは、やはり賃金が上がるということは、個人消費の増大、日本経済の成長にかなり貢献するわけですね。六割以上の貢献度があるわけでございますから、その両面から賃金というものを積極的に上げる社会的な意味を考えるべきであって、何か賃金が上がる、また上げたくないという気持ちを少し露骨に出していることについて、我々としてはこれはもう反対、こういう考え方を持っているわけでございます。 この十年間を考えてみますと、GNPが実質四一%伸びたにかかわらず実際は一三・八%の実質賃金の伸び、この場合実質賃金イコール可処分所得というのは正確な意味ではございませんが、アバウトでイコールにさせていただいて、現状はそういう伸びにとどまっているわけです。それがさつきから言う経済大国であるけれども豊かさが実感できない生活の現状になっているということでございますので、そのような見解には私どもは真っ向から反対。現に政府の経済企画庁なんかも、ことしあたりは五・九から六%ぐらい賃上げしてもインフレの懸念はないんだということを、御案内とは思いますが、経済企画庁の「経済月報」のことしの一月の「賃金決定についての考察」というような論文において、私はこれは大胆にして非常に勇気もあって建設的な提言だと思っているのですが、これらに示されるように、今こそ可処分所得の増大をしないと、労働者や国民生活という立場からの問題だけではなくして、国民経済的に見てもやはりこれは大事な問題ではないか、積極引き上げの理由というのは本当に積極的根拠を持っているんじゃないかというふうに考えています。 あと消費税にかかわる便乗値上げその他は、先ほどちょっと言いましたが、消費税実施、税制の運用を通ずる便乗値上げの防止と同時に、やはり私は消費税は欠陥税制ということを考えざるを得ないのですが、なおかつ企業責任ということを通じても便乗値上げは絶対ならぬということはやはり貫いてほしいということを申し上げて、コメントにかえさせていただきたいと思います。
○井上(普)委員 河野先生のお話を承りましたが、この理念の問題について、公平、簡素、中立、まことに結構な理念であるし、またそうあらなきゃならぬ。しかしながら、私は東京の町を歩いておりますと、二十過ぎのお嬢さんが二千万、三千万するポルシェであるとかああいうようなともかく高級スポーツカーに乗って走っておる。あるいはまた何千万もするヨットで走り回っておるのをテレビで見ます。一体、税金をまともに払ってこの人たちはこういうことができるんだろうか、非常に大きな疑問を私は持つものでございます。これはどこだといえば、やはり土地税制でありあるいはまたキャピタルゲインの株の売買でございましょう。ここらあたりをおろそかにしておいて、そして簡易、公正な税制ということは言えないんじゃないだろうか。これは先ほど河野さんもそのような御意思であっただろうと思うが、まずそれが国民の中での不公平感というものを増大させておるゆえんではないだろうか。 今度のリクルート問題にしましても、エリートであればゴルフの会員権のように未公開株を持ってくるのは当然だというような政治家がおること自体に日本の社会のゆがみがあると私は思うのです。ここらあたり、土地税制にしましてもあるいは株の問題、これは自由主義経済の中においては株の取引はとめるわけにはまいりませんから、ここらあたりに公正な税をともかく課税することがまず第一番ではなかろうか、このように思うのでございますが、いかがでございましょうか。 もう一つ。それから、先ほども河野先生おっしゃいましたが、この消費税というもののいろいろ、免税業者をつくったりあるいは簡易税率をつくったのは自民党の政治基盤に配慮したものだとおっしゃいましたが、それは税金と余りにも、ともかく政治的配慮があり過ぎるのじゃないだろうか。やはり公正な税金というものは、先ほどもおっしゃっておりましたけれども、税金泥棒になるような姿を許しておいたのでは社会の公正というものは認められぬと思うのでございますが、どうでございましょう。まずともかく消費税を導入するんだということが先に立って、そしてお考えになることは、私は社会の公正あるいは社会を乱すゆえんだ、このように考えるのですが、いかがでございましょう。この点ひとつお伺いいたしたいと思います。
○河野公述人 まず最初のお話ですけれども、僕も大体そうだと思うのですね。前から、数年前だと独身貴族という話がありまして、その連中は税金が相対的に安いから、例えば工場に行って、工場長の車が一番ポンコツで、二十代から三十代の連中の車が一番立派だということはどこでもある話で、それは中高年齢層の税負担が重い、だから税制改革だという話になったんですが、今の状態はそれとちょっと違った、確かに資産効果ではか息子、ばか娘が立派な車を乗り回して、派手な服装をしているということは事実だと思いますよ。それでなければ、あの連中はそんなに所得があるわけないのですから、何ぼ何でも。何ぼ税金が軽くたって、そもそもがベースがないのですから。それをおやじが全部買い与えているんだろうと思うのですね。ですから、明らかにここのところ数年間の土地と株式の暴騰というものが、それを持っている人と持たない人の間の格差を拡大したことはだれもがみんな認めるのですね。それを認めなければ話にならないですね、政策論としては。それはそうだと思うのですね。 問題は、それを、今先生がおっしゃったように税制面から、きょうは税金の話を私はやっていますから、税制面からどれだけ是正できるのか、税制はそういう力を持っているのかというお話だと 思うのですよ。今度の税制改革では、キャピタルゲイン課税というのが非常に甘いという話があって部分的に改良されましたけれども、それでもなおかつ甘いという話がありますね。恐らく次の政府並びに党の税調の一番大きな課題は、このキャピタルゲイン課税とあわせて土地の課税についてどれだけ切り込めるかということだと思うのですよ。恐らくことしの秋に政府税調を開けば、その問題が一番大きな、しかも土地基本法ができますから、それと整合性のあることをやろうとしていますから、そこに議論がいくことは明らかだと思うのですね。そこで、各党派から今まで随分土地税制、キャピタルゲイン課税については議論が出ていますから、それを並べながら議論することになるだろうとは思うのです。 そこで、一つだけ。今までの税調の中でこれとの関連で野党の方たちからの強い要請があって、委員の中にも当然それにこたえる声があって、納税者背番号制度という、納番制度というものを導入して、それがなければキャピタルゲインはきっちりつかまえられないよと。特に株は明らかなんですね、これがなければつかまえられないですよ。しかも、これがあっても、ヨーロッパ、アメリカの実情を考えてみれば、簡単につかまえられないのですよ、実際は。しかし、とりあえずはこの納税者番号制度というのを入れることが、キャピタルゲイン課税をより公平に、その資産格差というものをより社会主義にかなうように是正するための手法であることは間違いないと思いますね。そこまではだれの議論も変わらないと思うのですよ。 ただ問題は、それなら実際に日本の社会の中で納税者番号制度を何年か先にいろいろな準備を重ねた上で実行するということになったときに、一体主婦が、サラリーマンの諸君が、一般の人が、そういう人まで含めてもろ手を挙げて賛成するかどうかになると、大変疑問があるのですね。疑問があるのですよ。それは一番決定的なやつは、個人の資産というのを税務署にも何にも知られたくないというプライバシー保護論なんですよ。物すごく強いのですよ。それをどう克服するか。それを克服できればその次にまた克服すべき材料がありますけれども、とにかくそれが一番大きな問題になるんだと思います。しかし、それに話がいかないと、この資産課税、キャピタルゲイン課税の強化という話は手法を欠く話になると私は思うのです。 二番目は、政策的配慮をやった結果いろいろ消費税には欠陥があるではないかというお話で、それは私は最初に申し上げたのですけれども、そのとき私は二つのことを申し上げたので、あることは認めます。で、正直言って、私たちは自民党の中での議論のプロセスを見ていてあっけにとられることが一つあるのですよ。あっけにとられたことがある。それは、免税業者が三千万円以下という物すごい高い数字に設定されたということが本当にあっけにとられた。第二に、簡易課税方式という極めて簡便な、帳簿も全く必要ない、売り上げに〇・六ないし〇・三掛ければ済みというのが五億円までせり上がったというのは、正直言ってびっくりしたのですね。そこが今お話に出ている欠陥論と裏腹の話なんですよ。これは政策的配慮論ですわね、政治としての。しかしそれはまた、制度として見れば誠実さを欠くことはもうだれが考えたってそうなんですよ。どっちをとるかというのは政治論だと思いますよ、この二つは。 ただしかし、どう考えても、先生おっしゃっているみたいに何年か先にはそれをもうちょっと、三千万というのを下げる、五億というのを下げるということが必要だと思いますが、しかしそのときには同時に、それが既得権益になりますからね、今度は。その人たちがそれを簡単に結構ですと言うかどうかがまた難しい問題だと思うのですね。
○井上(普)委員 お伺いしましたら、うったてがそもそも間違っておるということですわな、最後の話になりますと。うったてが間違っている。書道でも、最初一番先に打つところが、この消費税というのは、簡易課税方式にいたしましてもあるいは免税点にしましても間違っている。したがって、今後直そうとしましたら、なかなかそれの圧力が強くて、しかもそれが自民党の政治基盤である。なかなか難しい問題であって、この消費税というのはゆゆしき問題を将来含んでおると私は思います。 まあ、その程度にいたしておきます。もう時間が参りましたので、最後に申し上げます。 舛添さんのお話でございましたけれども、私どもとオーダーが違う。日本がともかく今この繁栄を来しておるのは、日本国民の勤勉さにあることはもちろんであります。しかし、その基盤になっておるのは何だといえば、憲法であると私は思っておる。これから日本の行く末は一体どうすればいいか。海外援助をやるのも一つの方法であります。しかしながら、海外援助というのはどういう意味合いを持つかといえば、先生は先ほど戦略的意味合いを持たせと言いましたが、これほど危険なものは私はないと思う。むしろ、今までのごとく人類愛に根差した生き方こそ我が国の生き方ではないかと思うのであります。 舛添先生のお話を承っておりますと、ペンタゴンの高官が言うようなことを私は聞かされたという感じがいたしまして、まことに私どもとオーダーが違うなと感じたことを申し上げて、私の質問を終わります。
○近藤(元)委員長代理 次に、日笠勝之君。
○日笠委員 公明党・国民会議の日笠勝之でございます。三人の先生方には大変に御苦労さまでございます。 まず、真柄事務局長にお伺いしたいと思いますが、政府のこのたびの税制改正に伴う試算によりますと二兆六千億円ぐらいの減税超過だ、いわゆる減税の方が大きいのだ、こういうことでございます。大蔵省が試算いたしました給与所得者、サラリーマン、これは有業者が一人で家族が子供二人という標準世帯でございますが、三百万円の給与所得者であれば所得税、住民税で約四万円の減税になる。消費税が導入されますと、これが二万五千円の消費税分のいわゆる出費が多くなる。差し引きトータルで一万五千円減税になりますよ、こういうことでございます。 しかし、この十月から厚生年金が〇・四%上がりますと、三百万円の給与所得者の場合は、私の試算によりますと、六カ月間でございますが、一万二千円ほどいわゆる社会保険料として上がるわけでございます。これを差し引き総合トータルいたしますと、わずか三千円ぐらいの可処分所得しかふえないわけでございます。ということは、政府試算は二兆六千億円の大減税だ、大減税だと、ここに村山大蔵大臣が座ると必ずそれを言います。実際は、三百万円の給与所得者の場合は三千円ぐらいの可処分所得しかふえないのですよ。こういうことでございます。 そこで、そういうことを余り政府はトータルして言わないのですね。大蔵省は大蔵省のサイドで所得税、住民税の減税、消費税の増税ということばかりしか言わない。厚生省さんは余り声を出さない。政府統一して、実際本年度の給与所得者の場合は保険料なんかも込みでこれだけの可処分所得がふえるということは言わないわけでございますが、その点、労働組合さんの方も余りそういうことを言われないような、耳に聞こえてこないような気がいたすのですが、その点はどうとらえて、どのようにお考えでしょうか。御意見をまずお伺いしたいと思います。
○真柄公述人 御指摘のようなことを私どもも痛切に感じて、申し上げているつもりなんでございますが、拙劣なところがあってお耳に届いていない、あるいは世間一般に通用していないというふうに反省はしていますが、例えば、私ども、今ちょうど春の時期でございますので、いろんな意味で検討もしているわけです。 御指摘もございましたが、トータルで見まして、例えば厚生年金改悪によって一・一%、これは拠出がふえる、国家公務員の場合はさらにその倍ぐらいふえる。それから、きょう話題になって おりませんが、政管健保なり組合健保、これも老人医療その他によって赤字になって、それでまたとりあえず一%とこの時点では、春の段階では加算したのですが。それからもう一つ、鉄道共済年金に対する全面の援助、財政調整、これも〇・一ぐらい上がる。さらに、消費税に伴いましてどれぐらい、政府は一・一、我々は少なくとも一・五ぐらいという試算をして賃金への影響などを考えますと、御指摘のように、月二十万、月二十五万、月三十万、それぞれの得ている賃金との比較でまいりますと、端的に言えば実質賃下げが三・七%ぐらいに達するのではないか。そのうち据え置きの部分もございますから、若干修正値は出てまいります。 そういうわけでございますので、我々としても御指摘の方向によって、政府その他は減税した減税したと言っているけれども、消費税そのものがやはり逆進性を持ってきたりしているわけでございますから、けさほども産労懇の話題になりましたが、三百万程度の人は三千円というお話がございましたが、月にしたら百円ぐらいの計算だって成り立つのではないか、こういうことを感じて、これは別に総評という限定した労働団体ではなくして、総評、連合含めて大体共通の認識に基づいている、こういうことでお願いいたしたいと思います。
○日笠委員 河野先生、ちょっとお伺いいたしたいと思いますが、要は四月一日からもうスタートした方がいい、こういうお話でございます。私も実はヨーロッパへ付加価値税の勉強に、公明党から調査団を組みましてその一員として参ったわけですが、向こうは相当長い準備期間を設けておりますし、非常に用意周到な準備をしております。スペインに行ったときには、列車の中にいわゆる税務署の方が乗り込んで、皆さん、列車の中で、長い旅でしょうからいつでも相談に来てください、そこまで配慮しているわけですね。そして、向こうは大体取引高税というのがありましたので、付加価値税に変えるときにそんなに抵抗はないし、準備期間も相当とったため混乱はなかったということでございますが、日本の場合は、本当に新たな一億二千万全国民に関係する、全事業者に関係もするわけですね。三千万円以下は免税とおっしゃいましたけれども、設備投資をしようという人は課税業者にならないと大幅な損失になるわけでございますから、全事業者に関係をする。 そういうことを考えますと、ちょっと四月一日からのスタートというのは、ヨーロッパなんかとも事情が違う、取引高税があったような国とは違う、そしてまた準備期間をしっかりとっておったということ等から見ても日本とは違う、こういうことでございまして、私どもは一年間はせめて凍結をしろ、このように言っておるわけでございますが、その点、準備期間が短くても日本の場合いいんだ、やはりこういう御意見でございましょうか。
○河野公述人 ヨーロッパには取引高税がありましたから、それからこれに切りかわるということで、一番問題になったのは便乗値上げであって、転嫁ができないなんという話はなかったのですよ。そこが日本と全く状況が違うのですが、もう一つは、私が四月一日でよかったというふうに申し上げているのは、私はいつもこう思うのですよ、本音で。日本の業者というのは、フランス人だとかイギリス人だとかに比べたら、そういう事態の変化に適応する能力が抜群だと思っているのです。何もここで日本民族優秀論を言うつもりはないのですよ。ないのだけれども、現実にはそれに対応できる基本的な能力を持っている、そういう機械システムを持っていると一つは思うのです。 第二に、もう一つは今度のやり方が、さっきいろいろな理由があって申し上げたように、事務負担とかなんとかを非常に軽くするようにでき上がっていると同時に、本則によれば三月末に私は簡易課税方式をとりますとかなんとかということも九月までじっくり考えなさいということになっているとか、いろいろないわゆる弾力的な措置といいますか、それがありますので、その二つの理由で、確かに短いことは短いのですよね、しかしこなせないことはない。先生おっしゃるみたいに一年間凍結するということは、それまでやらなくたって日本の業者は絶対にこなせる、ほとんどは、ですよ。おじいちゃん、おばあちゃんで全くそういうことについて知識がないとかというのは、それはみんなで助けるしかないと思いますけれども、やってやれないことはないと思っております。
○日笠委員 それから、河野先生にもう一つお伺いしたいのですが、どうも納税業者の方へ顔を向けたお話ばかりなんですね。払うのは一億二千万の全国民、消費者です。消費者の方へ顔を向けたお話というのは——ここで幾ら政府と論議してもほとんどそういうお話で、簡易課税ですから、インボイスではないから簡単ですとか、非常に手続も弾力的ですから、そういうお話ばかりでございまして、消費者の方が一番心配しているのは、払った三%の税金が間違いなく国庫に正確に納入されるかということです。これが簡易課税だとか限界控除だとか免税ということになりますと、今おっしゃったように何ぼかは懐に入る、そういう税金でいいんだろうかという消費者の懸念ですね。九つの懸念の九つ目に入ったそうでございますが、最終的に御意見をお伺いしたいのは、六つの懸念が八つになって今九つになっていますが、これは全部クリアできたのでしょうか。もしできていないとすれば、大体、先生は先ほど税制改革七十点と点数をつけられましたけれども、この九つの懸念は何点ぐらいまでクリアできた、このようにお考えでしょうか。ちょっと御意見を賜ればと思います。
○河野公述人 私さっきちょっと申し上げましたけれども、自民党がこの税制を最後に仕組む段階で、我々から見ていてやはりバランスを欠いたと思うことが一つある。それは、納税義務者に対する配慮が余りにも行き過ぎた。だからこういうシステムになったのですね。しかし、それは政治のプロセスからすればやむを得なかった線もわかるのですよ、実態は。私は当時新聞記者でしたから、私のところにこんなにたくさん投書が来ていますけれども、それを見れば、たくさんの人に会いましたけれども、あのプロセスではあの妥協も一つの政治の選択だったと思います。ただしかし、今先生おっしゃったみたいに余りにも新しく納税義務者になる人たちに対する配慮に気を使い過ぎて、税金を本当に負担する人たちの方に対する、その人たちの物の考え方、その人たちが小さなことでも不正が、不正というか、おかしければおかしいよと言うということに対する配慮が足らなかったなということはおっしゃるとおりだと思うのですよ。それはそのとおりだと思います、さっきもそのように申し上げましたから。 ただ、もう一回繰り返しますけれども、しかしやはりそれは政治の選択だと思いますよ。例えば公明党が天下をとっておいてこれをやったときに、同じようなことをやらなかったという保証はないと僕は思いますよ、正直言って。それは日本社会の現実なんですから。それに対してどうするかということは政治の話ですから。社会党が天下をとってもそうですよ、それはわかりませんが。新しい多段階の前段階控除なんていうややこしいものを入れるのですから、みんなが恐怖心を持つのは当たり前なんで、とりあえず納税義務者になる人が一番の恐怖心を持ったこともまた天下に明らかなわけですね。そうなんですよ。そういう人たちが皆さんのところに陳情に行ったし、自民党にも陳情に行ったし、我々のところにも来ました。その現実から踏まえてみれば、あれはあれで一つの妥協だったと思うのですよ。しかし、そのことが問題を起こしていることも事実。ですから、私は繰り返し申し上げているんだけれども、より完璧な、よりレベルの高い間接税に持っていくには時間をかけるしかない。それにはどのくらい時間がかかるかわかりませんけれども、やれば幾らかずつでも前進するだろう。少なくともこれからは政府のPRも、実際に税金を負担する消費 者サイドに立った議論をもっとやらなければ片手落ちになることは明らかだ、そう思っております。 それから、総理がいつもおっしゃる八つか九つの懸念というのがあるでしょう。それはどうでしょうかね。逆進性というのはもう最初から本来間接税にある性格であって、だからノーだと言ったらおよそ間接税は入りませんから。しかし、そのことを別にすれば、一番問題なのは税金を払っていない人、つまり減税の恩恵に浴さない人、それは一方的に負担を負うよ、物価水準が一%上がるかもしれないよという話でしょう。それが政治論としてまた実際論として、一番大きな問題点だと思いますね。 それが今度の平成元年度予算でどの程度クリアされているのか。それは与野党の話し合いで出たものは相当程度は補正予算ないしはあれに盛っているはずですから、幾らかはカバーされていると思います。しかし、そもそも間接税というのはそういう性格を持っているのですね。それを持ちながら、直接税とバランスをとることによって全体として国民の福祉を支えるような税制に持っていくんだというところが大きな眼目だと思いますから、小さなきずについては針小棒大におっしゃらないで、それはきずはある、どんな男でも女でも。どんな製品でもきずはあるのですよ。部分改良しながらやっていくのですよ、コンピューターも全部そうですから。まして、政治の一番の原点に近い税制なんというのは本来そういうものだと思いますよ、どの政党が税制改革をもくろんだって。実際、与野党間での不公平税制の協議のプロセスを聞いていれば、なかなか理屈と現実は違うということもわかったというふうに我々は了解しているのですね、あのプロセスを裏でずっと見ていて。ということを考えてみれば、きずはあります、だけれどもそれはさっき言ったように致命傷ではない、部分改良の可能性があるというふうに申し上げておきます。
○日笠委員 点数はどうでしょうか。
○河野公述人 そうですね、点数は七十点ぐらいでしょうかね。
○日笠委員 ありがとうございました。
○近藤(元)委員長代理 次に、楢崎弥之助君。
○楢崎委員 舛添先生にお伺いをいたしますが、先ほど、簡単に言えば防衛力の増強というか、いい言葉で言えば整備になるかもしれませんが、防衛予算のGNP一%枠をどのようにお考えでしょうか。
○舛添公述人 もちろん防衛予算は少ないにこしたことはないというふうに考えます。しかし、先ほど申しました私の国際政治の認識からいえば、突破してもしようがない。しかし、総額明示方式で枠をはめており、それから国権の最高機関であります国会で十分な予算のチェックが行われている限りにおきましては、私は選良の国会議員の先生方を信頼申し上げますので、心配はないと思います。
○楢崎委員 このGNP一%の問題は、三木内閣当時防衛大綱とセットで出されたわけです。防衛大綱はどういう戦略思想から生まれたか、御存じですか。これは田中内閣時代にいろいろ論争した結果、戦略思想が出てきた。そして、それとセットでGNP一%が出てきた。どういう戦略思想で防衛大綱ができてきたか、御存じですか。
○舛添公述人 基本的には「防衛計画の大綱」の中に書いてありますけれども、幾つかのポイントがありまして、世界の平和というのは米ソの相互核抑止のもとにおいて基本的には保たれており、大規模な紛争はないであろう、例えば朝鮮半島においても大規模な紛争はないであろう、それから中ソの間の、例えば五〇年代のような形での同盟関係には戻らないで基本的には対立があるだろう、こういうことであったのだろうと思いますので、その中で、限定的かつ小規模の奇襲攻撃に対してのみ対処して、それで米軍の来援を待ってそれに対処するということであったのだろうと思います。ですから私は、「防衛計画の大綱」が前提としている国際情勢そのものについては、これはしょっちゅう国際情勢が変わるわけですから、基本的にいつも検討して柔軟に対応する必要があろうかと思います。
○楢崎委員 これは柔軟に対処できるような問題じゃないのですが、議論はいたしません。 これは、経過としては、田中内閣時代に、平和時における防衛力の限界論争があって、そしてその結果、いわゆる脅威対処論はとらないのだ、脅威対処論をとれば際限なく防衛力は増強していくから、そういう思想のもとにあの大綱がつくられて、それとセットで一%というものが決められたのであって、安倍外務大臣は、日本が軍事大国にならないというあかしはこのGNP一%の問題があるからだと東南アジアに行って言われておるのですよ。それを否定されるということは、あるいはそれを柔軟に考えるということは、安倍外務大臣の東南アジアにおけるそういう説得を覆すことになりますが、その点はどうお考えでしょうか。
○舛添公述人 私は安倍外務大臣じゃないので政府にかわって答弁をする気はございません。ただしかし、あえてそこまでおっしゃるならば、私は、私自身も、GNP一%を突破したことは非常に残念だ、遺憾だと思っています。それから、今の政府の防衛力整備計画そのものを一〇〇%賛成しているのではなくて、私自身の考え方は、正面装備に傾き過ぎている、だから金がかかり過ぎているというふうに思います。ですから、私は努力をすれば一%以内に今だってとどめることができるだろうというふうに考えておりますので、過去のいきさつがどうであったから、それに基づいて、例えば東南アジアがどういう反応をするというような形で私は政策を考えません。むしろ、じゃどういうふうにすれば一%以内にとどまるかというと、要するに飛行機の数が多かったりそれから立派な兵器を買ったりということで日本の防衛が守られるわけではなくて、例えば百機の飛行機が八十機になっても、そのもとにあります国民の防衛意識であるとかそれからいろいろな法的なものの整備であるとか、いわゆるソフトウエアがしっかりしていれば、百機が八十機になってもそれ以上の能力を発揮することができるであろうと私は思います。そうすると、お金も少なくて済む。 その意味では、またそういうことを申しますとすぐ軍国主義の復活というような反論をなさるかもしれませんけれども、例えば有事法制をちゃんとここで研究なさるとか予備役の制度をちゃんとなさるということになれば、お金が非常に少なく済んで、正面装備にばかり目をやってお金を上げることはない。ですから、この国会の場でそういう面での真剣な討議がなかったことが、そして常に一%の枠ということのみで答弁されたことが、逆説的ながらGNP一%の枠を突破した、かように私は認識しております。
○楢崎委員 先ほどから申し上げるとおり議論をする気持ちは毛頭ありませんが、あなたがそこまでおっしゃるならば言いますとおっしゃいますけれども、あなたが政府の予算を批判しあるいは政府の防衛力の問題を批判しているから、政府の経過はこうですよと私が言っているにすぎないのでありまして、安倍外務大臣が何とかということも、重大な関連があるから私は申し上げておるだけです。よろしゅうございます。 河野先生にお伺いをいたします。 私は全く不勉強ですから教えていただきたいのですけれども、例えばアパートを借りておる、そのたな子さんが三%の家賃増加を言われたときに、いや、おれは払わないのだ、消費税に反対だから、そのときはどういう罰則がありますか。
○河野公述人 不勉強にしてその罰則のことは知りませんけれども、払わないという行為はやはり法に違反するのでしょうね、それは。ただ、具体的にどういう罰則があるのか、ちょっと今すぐに先生にそう言われても私知りませんけれども、違法なんでしょうな。
○楢崎委員 それはだれが払わないかによって違うのですね。それで、今後ろでお笑いになっていらっしゃいますけれども、これは大蔵省が大変苦慮しているところであるということを付加してお きます。これは三%の家賃増加を払わないたな子さんには罰則はない、それはいわゆるアパートの持ち主がかぶらなければならぬということであろうと思います。それは確かめておいていただきたい。こういう点も非常にわからぬ点があるという一つの例に言っておるのであります。 それから一物二価というものについて、もう多くを言わぬでもおわかりでしょうが、時間がございませんから、たくさんそれが出てきますね。例を挙げれば挙げてよろしゅうございますよ。軽油の問題もそうですね。特約店と特約店からさらに軽油を買っているところは、いわゆる軽油引取税の問題があって軽油の価格が違いますね、一例は。それからスーパーで缶ビールなんか、ビールはどうでもいいですが、自動販売機、いわゆる三千万円以下の問題と以上の問題がありますから、小さな酒屋さんなんかのところは上げないでいいんですね、三千万円以下のところは。例はいろいろありますよ。一物二価というのはやむを得ない、そのようにお考えですか。
○河野公述人 今の日本のマーケットの中で一物一価というのが保証されているものは、極めて限定された再販品その他、本だとか新聞だとか、限定されていて、ほかは自由マーケットでやっているのですから、隣のスーパーとこちらのスーパーが同じ牛乳を全然違った値段で売っていることはしょっちゅうあるのですね。一物一価論というのは僕は架空の議論に近いと思うのです、実際は。それが資本主義のマーケットのメカニズムの基本ですから、公定価格でやっているのではありませんから、社会主義諸国と違って。しかし原則は、教科書に書いてあるとおりならば、完全な自由競争が行われれば一物一価であるべきなんだけれども、実はそうではないというのがまず原点だと思いますよ。 今おっしゃったみたいに間接税三%、消費税導入によって、その一物一価が違うけれども、さらにそれがもうちょっと違ってくるかもしれないというお話でしょう。その可能性は僕はあるのだと思いますね、正直言ってっあるのだと思います。それがどの程度の、我々物を買う立場、サービスを買う立場に混乱を生じさせるかということはよくわかりませんけれども、今でも現にあるわけですから。主婦は全部知っているのですから。こちらの八百屋とこちらの八百屋で大根の値段が違うことは全部わかっているのですから。スーパーの値段が違うことはわかっているのですから。一物一価というのは架空の、教科書の議論だ。それがこれから消費税によって若干変わるかもしれません。しかし、それはそんな大きな差異を生むことはないだろう。ましていわんや、三千万円以下の零細の業者の方たちも三%、タクシーがいい例ですけれども、上げることを認められているわけですからね。そのことがまた裏返しの問題が一部部分的に、ごく部分的に起こることはわかっていますけれども。しかし、とにかく一物一価論で消費税の導入について議論するということは、そもそもスタートの実態において認識が違うのではないか、私はいつもそう思っています。
○楢崎委員 認識の違いをここで云々はいたしません。 あと一問お伺いいたしますが、先ほどもお話の中に、つまり簡易課税制度ですね、八〇%の問題ですね。八〇%いかないものは得するのじゃないか。その得する中に運輸とか通信業とか、これは五五%。それから電気、ガス、水道、サービス、五九%。これは政府のあれで出ていますよ。これは国民生活に非常に関係があるのですね。そういうところの関係の人は、さっきもありましたが、いわゆる消費税差益というものを懐にすることができるのではないか。そういう非常に国民生活と関係の深いところで問題があるのではないか。それから、さっき適正転嫁はできるとおっしゃいましたけれども、例えば帳簿方式だと便乗値上げがどの分かわかりますか。いわゆる帳簿ですから、このものは一〇%、このものは下げると、全体的にかけるわけですから、どの分が便乗値上げか判断できるでしょうかね。それをお伺いしておきます。
○河野公述人 後の方から私の考え方をあれしたいのですけれども、デパート、スーパー、八百屋で一品一品に三%かけてやらなければいかぬということはないのですね、売上税というのは売り上げにかかるのですから。ですから、全体として見て、デパートでも何でもいいのですが、売り上げがある規模だったら、結果的にそれに対して三%かけたものはいただいて、そのうち前段階を控除して大蔵省に納めればこれで話は済みですから、個別の品物に幾ら転嫁するかということは、それは個別業者の値づけの政策論ですね。スーパーでみんなそれを考えていますよ、実務家は全部。それを不自然だとは何も考えてない、それが当たり前なのですから。ですから、その点はそんなに大きな話ではないだろうと思うのです。 先生のおっしゃった前の方の話は、私、今先生が引用された数字をよく知りませんので、そうなのかもしれません。そうすれば、先生おっしゃったみたいな問題がそこに発生することは事実だと思います。しかし、これまた私が聞いている統計数字によれば、日本の普通の企業の、問屋さんは別ですけれども、粗利益というのは大まかに言って二割前後だつですから、簡易課税方式はそれにのっとったわけですから、それからはみ出るところは問題が生じることは、最初から申し上げましたけれども、大いにあり得る。しかしそれを、だからだめだという議論をするのか、だから変えるようにしようという議論をするのかというところは、間接税を必要と認めるかどうかの出発点が違いますと一後の議論は全部違ってくる、そう思っています。 帳簿方式の話も個別の細かいことは……(楢崎委員「便乗値上げがわからないのじゃないかと聞いているのです」と呼ぶ)例えばある品物について、これは一割くらい上げた、ある品物は実は値引きした。こちらの一割上げたやつが便乗値上げで、こちらがサービスかというと、そうじゃなくて、考え方としては、全体として売り上げに三%かけて転嫁できればそれはそれでこの法律はいいのですから。個別の品物をどう値づけするかは、三越デパート、何とかスーパーの価格政策論ですから。ただこれ一点だけとらえて、今まで百円だったものが百十円になっているじゃないか、これは便乗値上げたというと、それは全体がそうなっていれば明らかに先生がおっしゃるように便乗値上げですけれども、しかし、片方は全部据え置きがある、それは価格政策ですから、そこは簡単に便乗論ではないと僕は思うのです。
○楢崎委員 これでやめますが、納得いたしません。
○近藤(元)委員長代理 次に、岩佐恵美君。
○岩佐委員 本日は、各公述人におかれましては、多忙な中御苦労さまでございます。 まず最初に、消費税導入問題についてお伺いをしたいと思います。 政府は、消費税負担を考慮に入れてもすべての所得階層で減税になる、そういう宣伝をしてきました。私たちはこの試算は違うということで具体的に反論をしてきているわけでありますけれども、もし厚生年金保険料率、この値上げが実施をされますと、私たちが違うと指摘をしてきた政府の試算を前提といたしましても、サラリーマンの八割に及ぶ年収五百万円以下の方々がすべて負担増となります。このことは国民にとっては耐えがたい重大な問題でございます。先ほど河野公述人が、消費税については財政面で今どうしてもやらなければならないというものではないという意味のことを述べられました。だからこそ国民は納得できない、七割以上が反対をしているのは当然だというふうに思います。 この点について、真柄公述人、河野公述人の御意見をそれぞれお伺いしたいと思います。
○河野公述人 赤旗を通じて共産党の数字というようなものはずっと私は切り抜いて全部持っていますから、最初からこれは大蔵省の分析、これはどこかの学者のグループの分析、いろいろあって、それぞれに論拠がきちっとあるんだろうと思 いますけれども、今先生が五百万円以下はほかのことを全部加味すれば負担増になるとおっしゃいましたね。それは先生のところの計算でそうなるのだと思います。そうかもしれません。しかし、私はその根拠はよくわかりませんから、そういうことがあり得るということは承っておきます。 しかし、そもそも今度の税制改革でサラリーマン減税をやるときの本当のねらいは、中高年齢層が一番生涯の中で負担が大きいからそこを集中的にやろうじゃないか。いずれ若い連中だって中高年になるんだから、今のペーペーだっていずれ課長、部長になる可能性を持っているわけですから、生涯の税負担で考えればそれが一番いいんじゃないですか、日本の社会の中で。高校から大学の子供を持ったお父さん、お母さんが一番つらいことは明らかだから、日本の社会を支えるために、そこで何で集中的にやってはいけないのですかというのがスタートだったはずなんですね。スタートだったはずなんですよ。今の低所得者は未来永劫低所得者であるわけはないのですから、年功序列が基本であれば。賃金水準の大企業と中小企業の格差はもちろんありますけれども。ですから、私は、今先生がおっしゃった、ある層の計算をしてみれば共産党がこういうことになりますよとおっしゃることは、その数字は、ああ、そうですがと承ります。しかし、基本の税制改革のねらいが中高年齢層にあったことは事実なんです。しかし、それが間違っているとおっしゃるのだったら、それは全く見解の違いなんですね。
○真柄公述人 先ほどもちょっと申し上げましたが、消費税に限定して物価あるいは実質賃金の影響を私どもが試算をいたしますと、物価の面では一・五%と申し上げましたが、実質賃金で、月二十万で大体三千円、月二十五万円で三千七百五十円とか、これに御指摘の厚生年金の改悪要素とか鉄道年金の負担分とかしますと、年額で、月二十万の人でも政管健保の部分をちょっと控除いたしましても八万六千何がしぐらいで、そういう意味では実質賃金の切り下げといいますか、これは三・数%というぐらいに私は理解していますので、なかなか労働者、国民の立場からいって納得がいかない現状にある、このような認識でおります。
○岩佐委員 今河野公述人の御理解ですけれども、私が質問で申し上げたのは、政府が試算をしたその数字を使っても、厚生年金の保険料が上げられた場合には、これは年収五百万円以下の皆さんみんな負担増になります、つまり、国民の八割が大変な事態になるのですよということで申し上げたわけです。その点について、これは消費税導入という、あるいは減税もあります、しかし、同時に年金の改正、大改悪と私たちは言っているわけですが、これが行われる。その点で国民は怒っているわけですから、納得できないと言っているわけですから、その点について意見をお伺いをしたわけです。ちょっと先ほどの回答は私の質問にかみ合っていなかったのではないかと思います。もし御意見があればお答えをいただきたいと思います。
○河野公述人 よくわかりました。 私はこう思うのです。今GNP対比で日本の租税並びに社会保険料の負担というのは三六、七%ですね。それはヨーロッパ水準、特定のスウェーデンとかドイツなんかに比べればはるかに低い水準であることは間違いないですね。これは税制と負担を考える場合にベースなんですよ。今我々が日本のつくり上げたシステム、世界水準の非常に高いレベルのシステムを支えるために、今先生おっしゃったみたいな厚生年金関係のあれも上がるし、それから将来のために間接税を入れるということもやっているし、その結果、今たまたま年収五百万円、つまり先生のおっしゃったサラリーマンの八割ですね、確かに若干の負担増になるということは、そうなのかもしれません。私は後で数字を点検してみますけれども、先生のおっしゃるとおりかもしれません。しかし、それが大変なことかどうかという認識は私は全然違うのです。何ぼなんですかその負担は、そのために何を支えるのですか、一億一千万、戦後四十年かかってつくり上げようとした福祉国家を支えるために。ただ、それがもっと大企業から税金を取ればいいとかいう議論に波及すれば、それはそれでまた大議論があるところだと思いますけれども、大変な負担増だというのはおよそ生活者の実感から違った話だと思いますから、それだけお答えします。
○岩佐委員 私は、生活者の立場から、皆さん台所を預かる方々はそれこそ十円、百円単位で買い物をし、生活をしている、そのことを指摘しておきたいと思いますけれども、時間もありませんので、次の質問に移りたいと思います。 政府は、高齢化社会のため、そういうことで年金受給の開始年齢五年間の繰り延べ、これはるる真柄公述人から先ほど述べられました。消費税が導入された途端に高齢者いじめ、このことは本当に国民にとっては大変怒りが広がっている。先ほども申し上げましたように、これは私たちも同じ認識であります。 我が国の労働者、国民は、大企業の巨額に上る利潤、資本蓄積、これとは反対に、低賃金、低所得、長時間労働、そして貧弱な社会保障のもとに置かれている、そういう状況であります。日経連は、六十五歳支給の繰り延べはやむを得ない、六十五歳定年制は法制化にも行政指導にも反対をする、こういうまことに身勝手な言い分でございます。六十五歳の支給開始年齢の繰り延べ、これは定年の実態から見ても、今六十歳でも六割を切っているという状況でありますので、大変だろうというふうに思います。真柄公述人から先ほどお話がありましたけれども、改めてこの問題について実態的に何かあればお話しをいただきたいと思います。
○真柄公述人 本当に大変な事態になるなという認識でございますけれども、特に、御指摘のように雇用の保障が伴わないままにそういう年金制度が悪い方向に直されるということは、先ほども申し上げましたように、仕事もなくなる、ひょっとしたら年金もなくなる、確実に減らされるということでございますから、理論的なことは抜きにして、私どもが全国各地を回っている実感からいえば、ある意味では賃上げにも匹敵する、それ以上の鋭い問題意識で私たちは囲まれている、このようなことで御質問の趣旨にかえさせていただきたいと思います。
○岩佐委員 次に、公共料金の問題でありますけれども、例えば政府は教育は非課税、そういうふうに宣伝をしてきたわけでありますけれども、実際には、八九年度の予算で国立大学入学金は二十万円に引き上げられ、そこに消費税六千円を上乗せする。非課税のはずの授業料についてもことしから三万六千円アップの三十三万六千円、それに三千六百円のアップが、消費税分ですか、これが上乗せをされる。これについて文部省サイドでは、消費税ではありませんが、まあ消費税の影響分ということだ、消費税の導入でコストアップした分を適正な形で反映した、こういう説明をして、非課税でも何でもないわけであります。こういう政府主導でいろいろな公共料金が消費税導入に伴って上げられる。郵便、電話はもとより私鉄、JR、バス、本当にありとあらゆるものが上がる。これについて国民は非常に不安を抱いているし、また政府の方も適切に対応できていないというふうに私たちは思っているわけでありますけれども、こういう消費税導入によって公共料金が上がるということは国民生活にとって重大であります。この点について河野公述人、真柄公述人から御意見を伺いたいと思います。
○河野公述人 公共料金問題というのは、今度の消費税転嫁で随分混乱が起こっていると思うのですね。一番代表的なのが電気、ガスだと思うのですね、家庭生活に広範にあらゆる人に全部影響があると思うのは。これは御承知のように原価の一部見直しという、油とレートの問題を換算して、間もなく公聴会が開かれますけれども四月から値下げを実施することに今話が進行中です。しかし、これは一応特異ケースだと私は思うのですね。本来は四月一日の段階で転嫁をするのが当た り前、転嫁しなければ実はそれを見ている中小企業も困るのですから、法律実施はみんな一斉にやることが原則なんですから。だから、それが転嫁できない、例えば東京都の場合だと都会議員選挙を前にしてという政治的な情勢があることはよくわかるのですけれども、なおかつ本来転嫁すべきものをほかのいろいろな手練手管を使って、自分の方で合理化するということにして自分の腹の中に全部吸い込んでしまうというやり方が本当に正しいかどうかということになれば、大いに疑問があると思いますね。 ただ、本当に合理化をするならば、本当に隠れた黒字があるならば、それは電気と同じように、ガスと同じように、この機会に合理化してその分コストを下げて、三%乗っけても料金は上がらないというふうにやることは説明はつくと思いますよ。これは労働組合の諸君も一般の我々も一応裏のことも全部知っていますから申し上げれば、それはきれいな説明であって、本当はそうではないのじゃないかと思うのですよ。しかし、またもうちょっといって、そういう機会に合理化をさらにすることによって、先生がおっしゃったみたいな公共料金が一斉に上がるということを部分的にでも防げて、それが立派にコストが下がる、合理化するということによってそれがカバーされるなら、それは立派な政策だと思います。しかし、それは実際は混在していると思います。
○真柄公述人 東京都の例を先ほど申し上げました。消費税の運用からいえば、私企業であろうと安企業であろうとその対象になる。しかし、住民の皆さん方のいろいろな願いを入れてその転嫁をしないとすると、今度は税の運用との間に摩擦、矛盾が生ずる、こういうことで困ったものだと思っています。 特に具体的には、東京都の上下水道のものを私どもの立場で把握してみますと、水道局の職員を三百数十人人員削減をすることによってそれらが担保される方向にあるということを聞きますと、これはまた違った面で新しい問題を引き起こしてくれるなということで、弱ったものだなという感覚でおります。
○岩佐委員 時間になりましたので、終わりたいと思います。
○近藤(元)委員長代理 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。 公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 ————◇————— 午後一時三十分開議
○山下(徳)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 委員長所用のため、委員長の指名により暫時私が委員長の職務を行います。 この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。平成元年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いを申し上げます。 なお、御意見を承る順序といたしましては、まず井上公述人、次に宮崎公述人、続いて吉田公述人の順序で、一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは、井上公述人にお願いいたします。
○井上公述人 それでは、私の専門でございます消費税問題、そういうことを中心に予算案等についての意見を述べさせていただきたいと思います。 私ごとで恐縮なんですが、昨年の五月に関西のあるデパートで講演会を行ったわけです。そして、時間の最後に「質問コーナー」がございました。その際、年配の方から次のような語りかけがあったわけです。私は定年退職後まだ時間がたっていない、六十五歳になっていませんから年金ももらえないというわけです。マル優も四月から廃止になって利子に税金がかかっている。今までの生活費というのは、蓄財とか退職金を取り崩して生活している。今度消費税が導入されるとあらゆる消費に税金がかかってくる、非常に不安だ。政府の方は消費税導入と同時に所得税を減税してくれるということだが、実際、減税してもらう所得自体がほとんどないというのですね。こういうような境遇にいる年寄りというのは非常に多いので、井上さんもあちこちで講演等して顔が広いだろうから我々の声を一般に広めてほしい、そういう話りかけがあったわけでございます。 そういうことを踏まえて、私が主宰しています全日本健歩会、歩く会、そこのいわゆるボランティア活動の一環として、中正な立場として「消費税オピニオンダイヤル」、それを開設したわけです。昨年の六月二十三日から七月三十一日まで、電話の総数が三百十本です。そのうち消費税に賛成が五十八本、一九%、反対が二百三十本、七四%、その他二十二本、七%でした。男女比は、男性が六八%、女性が三二%の割合です。年齢は、四十歳から五十歳代が四三%、六十歳以上が四七%と、九〇%が中高年者で占めていたわけでございます。 賛成者の意見も多数ございました。しかし、無条件で賛成された方は二人しかいませんでした。いわゆる行政改革の推進とか不公平税制の是正、そういうような前提条件で賛成されていたわけです。無条件で賛成された方の声を一、二御紹介いたしますと、新潟県長岡市の年金生活者、六十八歳、「消費税のことはわからないが、地元選出の代議士がよい税金だと言っているので賛成だ」というんですね。埼玉県大宮市のサラリーマン、四十歳、「こんなよい税金なのに反対する人の気持ちがわからない。自分の会社では全員賛成」というので、どうも関係者かと思われるような方からお電話がございました。 そのほかの限定条件つきで賛成している人の意見。「サラリーマンの不公平制度をなくすためにも、直間比率を見直してほしい。そのためにぜひとも消費税の導入が必要。いまひとつサラリーマンが熱心になれないのは、小売業者などが税金をごまかすのではと思っているためだ」東京都杉並区、会社員、男性、六十五歳。「買い物をした際、レシートに売り値と税金を別々に表示する方式にしてほしい。孫子の代まで国の借金を残すのはよくないので、消費税はやむを得ない」マンション経営、女性、五十九歳。 ところが注目すべき現象は、リクルート問題との関連でした。多数の政治家の関与が判明した昨年の六月三十日から七月七日以前の一週間に、消費税賛成は三十本もあったわけです。ところが、七月八日以降はわずか八本になって、それも十五日から同月三十一日まで一本もなくなったわけですね。私、今回のオピニオンダイヤルを開設した趣旨は、特に反対者の意見というのは非常に多いということはわかっていたのですが、いわゆる賛成者がどういう理由で賛成かというそういう意見を尊重して特にデータファイルに記入していったのですが、今お話ししましたように、リクルート事件以後、全然賛成者の電話がかかってこないので、これじゃやっていてもしようがないというのでやめたような結果でした。 それで、一、二反対者の意見もバランス上お話ししますと、「消費税導入により高級な毛皮や車が安くなるといっても、しょせんこれらは金持ちしか買えない。その一方で日常的な食事などに税金がかかってくるのは絶対に許せない」千葉市、主婦、四十二歳。「新税をつくって何に使うのか。人件費が多く使われている。天下りの官僚は四、五年くらいのたらい回しで年俸千五百万から二千万円。ハイヤーつきでゴルフや夜の接待、退職金は何千万円。このようなお金は国民の税金で賄われている。政府も経営コンサルタントを入れて税 金を節約せよ」茅ケ崎市、団体職員、男性、四十歳。「渡辺美智雄の地元で今まで選挙カーで応援してきたが、今度のことは横暴で、なめられているのではないか。ここで昭和維新をやらなければいけないと思う。国会を解散して選挙になっても自民党には絶対入れないと地元では話している」宇都宮市、主婦、六十六歳。こういうような多数な意見が寄せられたことも事実でございます。もう一人最後に、「年金生活者をどうしていじめるのか。消費税は悪たれ代官のすること。水戸黄門があらわれ、消費税を葬ればいいのだが……」無職、七十二歳、東京都杉並区。こんなような意見が事実としてございました。 今度の消費税、私もいろいろなマスコミで取り扱っているのですが、いわゆる空気以外のすべての消費支出に税金がかかるわけですね。非課税取引も何項目かございます。例えば土地の譲渡については無税ということでございますが、いわゆる土地の開発業者が宅地造成、宅造費には消費税がかかるわけです。したがって、それを消費者に販売する場合は、当然のことながら消費税込みの宅造費、そこに企業のマージンを加えて販売しますもので、当然のことながら土地にも消費税がかかってくるわけですね。 そのほか保険関係ですね。先般、損害保険協会の会長が緊急記者会見しまして、損保も代理店に対する手数料、それにも消費税がかかる、そのほか保険金を支払う際にも実損てん補ということで、当然のことながら修繕費等に上乗せして税金を支払わなければいけない、いわゆる契約書や何かの紙代とか印刷費も消費税がかかる、その総額が損保業界全体で七百億円に上るというわけですね。ということで、保険取引は非課税ですので、いわゆる保険料の値上げ、この四月以降各社平均一・五%の値上げをするという、このように非課税取引といっても実質的に消費者に税の負担というか、そういう問題は当然起こるわけでございますね。 私、消費税について非常に意外に思ったのですが、消費税といえば広く薄く消費者にかかるということですが、例えばお産問題ですね。先般、私のところにいわゆるお産関係の雑誌の女性記者が参りまして、井上さん、お産について税金が三%かかるというのはどう思われているかというので、私も余り疑問はなかったのですが、すべてのものにかかるから当然だと思っていたのですが、その女性記者が怒っていたのは、これは女性の根幹に触れる問題だというのですね。これは税金の多い少ないではないというのです。それで、私はその言葉を聞いて、非常に意外性というか、こういう問題もあるのだなということで感じたわけなんです。 ある民放のテレビ局で、これから消費税の特集を相当組むということでこの前もレクチャーしたのですが、その際、隣に女性のディレクターがいたので、あなたはどう思いますかと言ったら、これは女性の生理上絶対に許せないというのですね、お産に税金をかけたら。今お話ししたように、納税額の多寡じゃないというわけです。やはりこれは、男性では理解できない点の一つだと思うわけでございます。 次は、いわゆる転嫁の問題でございます。 諸先生方も御承知のように、前々事業年度五億円以下、いわゆる課税売上高が五億円以下のところは帳簿式と簡易課税、どちらか有利な方を選択できるというわけですね。というと、完全に三%転嫁した場合は有利な方を選びますと、これは一般のマスコミ等でも報じられていますように、一部業者の懐へ入るというわけです。そこまでしか説明してないわけですが、実際問題、雑収入に計上されて、法人だったら法人税が、個人事業者でしたら所得税がかかるわけですね。ということは、消費者が法律上決まったことだということで消費税を業者に払うわけですが、それがそのまま税務署に消費税の名のもとにいかないで、途中でもって一部業者の懐に入りっ放しのものもあるかもしれませんけれども、法人税とか所得税に転化して、言葉は悪いですが化けて、国税収入になるというか、そこら辺は税理論からしてもこれからもいろいろ問題の多いところだと私は理解しているわけです。 それと、これらの業者が一部有利な方を選んで懐に入るということについて、各業者は何か法律違反的な非常に後ろめたい気持ちになっているということも事実でございます。講演会か何かやりますと、井上さん、その問題で何かお客さんから課税事業者のふりして三%もらう、いわゆる弱小業者の場合はなかなか免税業者だといっても価格転嫁できないわけですね。もともと中小企業というのは価格転嫁能力がない、いわゆるもうからないから中小企業でいるわけで、そこに転嫁するということは非常に難しいので、課税事業者だと言えば相手も渋々払うのではないかというわけですね。 私、一回講演会でその点をお話ししまして、いわゆる前々事業年度分もしくは年分の課税売上高が三千万以下の免税事業者、これは当然のことながら仕入れなどに際して消費税がかかるからその分を価格転嫁する。これは別に何の問題もないけれども、ただ、相手からなかなか消費税がもらえないということで、課税事業者のふりして三%取ると、これは刑法上の詐欺とか公取関係の法令違反の疑いがあるというのでお話ししましたところ、当人があちこちの税務署へこういう講師の話があったけれどもどうだと言ったら、税務署の方から、そういうことは関係ないから、あなた、三%もらいなさいと言われたというのですね。三カ所ぐらいで言われたというのです。それで、私のところへどなり込んできまして、おまえはそんな余り知識もないのにべらべらしゃべって、主催者にわび状を書けと言うのです。主催者の方も混乱していて、井上さん、どっちが正しいのですかと言うのですね。これは、課税事業者のふりして、私は課税事業者だから、あなた三%というのは、やはりだれが考えても、税法上は違法、合法を問わず、いわゆる非課税規定がない限りすべて課税処分ができるわけですが、ほかの法令違反の疑いも出てきているわけですね。そのぐらい、課税事業者のふりをしなければ、中小零細企業は先ほどお話ししたように転嫁能力がないというか、そういうことを御承知おきいただきたいと思います。 先ほど来お話ししていました年間三千万以下のいわゆる免税事業者、これは御承知のように政府の統計でも全事業者の六八・二%、約七割ぐらいに当たるわけで、その人たちの今お話ししたような苦悩というか、そういうことも十分御察知いただきたいと思います。 せんだって、私は東京都かのある商工会で講演依頼を受けまして、そのときに商工会長さんが私を紹介するとともにあいさつしまして、このような語りかけがあったわけです。私たちは反税運動するつもりは全然ないというのですね。しかし、実際問題、法律が通ってから施行まで、導入まで、三カ月しかないというのです。ですから、準備体操も何もなくて、用意ドンというので走って後を考えろというのでは、もともと中小零細企業というのは、先ほどからちょっとお話ししましたように、価格転嫁能力がないので今でも赤字経営、それがさらに拡大したら本当に死活問題だというのですね。それで、そういうことを国会議員の先生によく考えてもらいたい、このまま四月から導入されたら完全に野党連合政権ができるというので、政府系の団体職員の方もそのような発言をしていたわけです。 先日、私の友人の弁護士から連絡がありまして、弁護士の先生というのは世間一般では相当高額所得者と言われているわけですが、ほとんど三千万以下だそうですね。それで、実際、事件の依頼報酬を請求する場合、免税事業者だとわかると、やはり弁護士のこけんにかかわるというわけです。ですから、課税事業者のふりして三%というとやはり詐欺的な要素が出てくるので、そういうことも踏まえて、弁護士の仲間はほとんど課税事業者を選択できるので、選択申告書を税務署へ出すというわけです。それで、お客さんから正々 堂々三%もらって、ところが実際三千万以下の免税事業者ですから、限界控除制度によってお客から預かった税金は一銭も税務署に納税しなくていいというわけですね。そういうようなだれが考えてもおかしげなことが結局法律上まかり通るということは、どう考えても何かおかしげな状況でございます。 最後に、この消費税法の性格ですね。これは、税法学的に分析しますと直接税でございます。直接税の体系でございます。現行地方税法に御承知のように事業税がございまして、この事業税の条文に今回の消費税法は非常に似通っているわけでございます。したがって、事業税というのは直接税でございますから、もともと転嫁できるという税の性格ではございません。そういうことで、私もあちらこちらで講演会をやったり、実際税理士として三十年ぐらい中小企業の指導をしてきたその立場から申し上げますと、今ちまたでの声は、中小企業者はもちろん大企業ですら、価格をどう転嫁したらいいかということで私に講演依頼が殺到している状況でございます。 大企業といえでも非常に今物余りの時代で、なおかつ物価が安定しているという、物価が安定していると余計価格に転嫁できない、そういうことで、講演会をやっても経理担当者は余り見えません。ほとんど営業関係の方々が来て、どうやって転嫁したらいいかというか、そういうことを思い悩んでいる最中でございます。そして、実際問題課税事業者の多数には、税理士や公認会計士が顧問としてついているわけです。しかし、今の時期は、所得税の確定申告で手いっぱいの状況でございます。したがって、今月の三月十五日過ぎてから関与先の消費税対策、そういうものを練ろうとしているわけです。 今回は六カ月の弾力的運用ということで、諸届け等は九月末日になっているわけですが、実際問題として四月一日に施行されますと、実際価格に転嫁していかないと自分のところが自己負担してしまうということで、私実務家の立場から発言しますが、とてもじゃないけれども時間的にいろいろな問題をクリアできない、そう言っても過言ではないと思います。私自体も、先ほどお話ししたように、反税運動とかそういうことは全然思っておりません。自民党の先生方以上に、私は国を、国民を思っているつもりなんですよね。そういうことで、ぜひ一年間はこの際延期していただきたいと思います。 これで終わりにさせていただきます。(拍手)
○山下(徳)委員長代理 どうもありがとうございました。 次に、宮崎公述人にお願いいたします。
○宮崎公述人 熊本県の小国町の町長の宮崎でございます。 本日は、ふるさと創生を中心といたしまして、地方自治体の長といたしまして考え方を述べさせていただきたいと思います。 私の町は熊本県の阿蘇山のふもとで、大分県との県境にありまして、人口が一千人余りの農林業を中心とした典型的な山村でございます。 七〇年代から地方の時代ということが言われまして、それぞれの地域が独自の工夫を凝らしながら地域振興策をとってきたわけでございますけれども、依然やはり中央への依存度が高く、本当の地域の力というのはまだまだついていないんじゃないかというふうに思っております。ただその中にありまして、八〇年代に入りましてから一つのステップとして地域づくりが日本各地域で起こりまして、九〇年代に入りますとその実践の舞台になってくるものというふうに考えております。 四全総におきまして多極分散型という施策が打ち出されまして、これは、やはり地方が主体性を持ち、地方経営という考え方で取り組んでいくことじゃないかというふうに思っております。これまで国が施策をつくりまして、それを公共事業等を中心といたしまして地方におろしていくという形でございましたけれども、やはりその地方、地方が自分たちの住む地域の産業を見直し、あるいは文化を掘り起こし、積極的にその振興策を練り、取り組んでいくという、まずふるさと創生という考え方をとっていかなければいけないというふうに思っております。 具体的に、小国町が「悠木の里づくり」という地域づくりを熊本県の日本一づくり運動の中で取り組んでまいりましたので、その実際の取り組みの中で、ふるさと創生という考え方とあわせて意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。参考資料といたしまして、「悠木の里づくり」という簡単な冊子をお手元に配付させていただいておりますので、ごらんいただきたいというふうに思います。 悠木の里というネーミングは、悠久の年輪を刻む小国杉あるいは悠然たる大自然、悠々と噴き上げる地熱という資源が小国町固有の資源でありますので、その中から名称づけしたわけでございます。その中で、林業地として今まで取り組んでいなかった点というのを反省しましたときに、やはり林業地みずからが木材の使用を図り、あるいは積極的に木材の利用方法を検討し、取り組んでいくということが必要ではないかということから、町におきましての公共建築を中心とした建物については原則として木造でやっていくという一つの姿勢を決めまして、それも単に在来構法というスタイルにこだわらなくて、新しい建築用材あるいは新しい技術との連係を深めた、つながりを考えた上での、これからの消費者の動向に合った木造建築ということを地方の行政として取り組んでいこうという、本来ならばこれは行政としての取り組みの範囲を超えているということも言えるかもわかりませんけれども、山村の中にありましてそういう試みができる力というのは、森林組合あるいは地元の企業では到底ありません。やはりそれができるのは行政であり、行政がそういうことをやっていかなければいけないのじゃないかという中から、議会の支持を受けまして町民の理解のもとに進めてきました。 木造立体トラスという構法でつくりました建物をごらんいただきたいと思いますけれども、この建物は一見近代的な建物の形をしておりますので木造と見えませんけれども、十センチから十五センチぐらいの直径の角材を使いまして三角形のトラス構造によりましてつくりました建物で、壁面はミラーガラスで覆われております。この建物をつくりますに当たりましては、建築基準法三十八条におきましてのいわゆる許可されました建物の構造方法ではありませんでしたので、建設省の建築センターの評定委員会にかけましていわゆる安全性の証明をいたしまして、建設大臣の許可を受けましてつくりました建物です。 これは国鉄の宮原線の駅が廃止されました跡に小国町のシンボルの建物として、また小国町紹介あるいは特産品の展示販売の建物としてつくりましたわけですけれども、そういう取り組みが非常に高く評価を受けまして、たくさんの方々に来ていただき、小国の地域づくりの中心的な建物になってきております。 さらに三つ目の建物といたしましては、町民体育館を同じようなトラス構法でつくりまして、「小国ドーム」という名称をつけておりますけれども、これは、三千平米以上については原則として大型の木造建築は建築基準法上禁止されておりますけれども、またこれも県それから林野庁の支援あるいは建設省の方々の御理解のもとに、いわゆる大型建築物についても構造上の安全性それから防災上の安全性を証明できれば許可を出そうということで、内部はこういうようなトラス構造になっております。構造上の安全性を示しますために、筑波の林業試験場におきまして小国材の強度の試験をしてもらいまして、そのデータをそろえ、そしてまた、このドームにおきましては防火上の安全性を特に証明しなければいけないということで、設計者は、アメリカのタコマホールという世界一大きい木造のホールがありますけれども、そこまで出かけまして勉強してまいりまして、いわゆる八メーター以上については床で着火しても点火しないということ、八メートル以下の部分については構造材に直接水をかけるスプリン クラーをつけることによって許可をいたしますという一つの基準づくりが行われまして、許可を得ました建物です。 このように、地方が、町が発想して試みた木造建築ですけれども、ただそれが実現できました過程は、やはり県あるいは国の関係機関の支援があったということでございます。また、財政的な面におきましても、このドームにおきましては国土庁の補助事業で一億円、国、県合わせまして受けまして、あと四億円をいわゆる過疎債の適用を受けまして、そういうおかげで町費の持ち出しは八千万ほどで済んでおります。こういう財政的な支援を得ることによりまして、林業産地にふさわしい町民の体育館が初めてつくれたというふうに感じておりますし、技術的な支援あるいはノーハウの支援とともに財政的な支援を、いわゆるその地方自治体が主体性を持った独自のプランを考え実践する場合には、ぜひ強力に続けていただきたいというふうに思っております。 現在、小国町の「悠木の里づくり」、年間視察者、研修者は一万人を超えておりまして、またこの小国ドームにおきましては、半年で五万人ほどの方々がお見えになりました。これはやはり各地方自治体あるいは地域のリーダーと言われる方々あるいは建築関係者が、非常に地域づくり、いわゆるふるさと創生の考え方に沿って自治体を運営していかなければいけないという強い考え方を持っているあらわれではないかというふうに思っております。 さらに、このような試みの中から、いわゆる地方から情報を発信することによっていろいろな成果が生み出されてくるものだという考え方がありますけれども、事実このことによりまして、今小国材を使いましたトラス構法を含みました建物が、いわゆる博覧会のパビリオンあるいは小学校の体育館というような形で小国町外でつくられております。特に福岡のアジア太平洋博におきましては、三つのパビリオンが小国材を使われてつくられております。これは今までの林業の産地としてできなかったことではないかというふうに思っております。 この成果というのは、やはり建築基準法を超えることに対して努力したデータの集積であるとか、あるいは設計また資材の確保あるいは建築を地元で行ったという技術の集積、さらに関係者の自信がこのような結果につながってきたんじゃないかと思います。さらにそれを起点といたしまして、小国材の銘柄化のためにいわゆる素材チェックとそれから流通体制を、製材業者を中心に整えていこうじゃないかという動きに広がってきております。これはやはり地方が努力し、それから情報を発信することによって、いろいろな成果が生まれ、それを糧として地場産業が活気づき、自分たち独自の取り組み方を始めたということじゃないかと思います。 また、農業におきましても、特産品の開発ということから始まったわけですけれども、小国はジャージー種の酪農を行っておりまして、三十数年来の伝統があるわけですけれども、これが初めて、いわゆる本物志向であるとかあるいは希少価値ということで非常な評価を受けております。町の方でジャージーバターやチーズの加工の試作を行いまして、その結果をもとに農協がジャージー牛乳からのバターやチーズの加工場を建設いたしまして、一つの地場産業を興しました。 さらに、養豚の農家の方が、ハムやソーセージを加工するという施設ができましたら、いわゆるバークシャー種の肉が非常においしいわけですけれども、その黒豚を飼育し、加工の材料として提供したいということで、黒豚からのハムやソーセージというのがまた特産品として軌道に乗って、近いうちにいわゆる畜産の加工場を建設する予定になっております。 ただ、大変おもしろいというかありがたいことには、今度肥育の面におきまして、肥後は御承知のように赤牛でございますけれども、大分県境に接しているという環境もありまして、黒牛の肉質のよさと赤牛の肥育の容易さとそれから速さというのを何とかうまく使えないものかということで、赤牛に黒牛の雄を交配いたしましたF1、悠木ビーフという名称をつけておりますけれども、肥育に取り組みまして、その結果、非常に良好な肉質であり、また肥育技術も赤牛の肥育技術に似た形で肥育することができるというF1のいわゆる肥育体系をつくりまして、これからそのノーハウというものを各肥育農家に伝授して、小国の新しい悠木ビーフの産地づくりをしていくというような行動が生まれてきております。 ふるさと創生が地方自治体に求めていると同じように、やはり農業、林業におきましても、いわゆるそれぞれの経営者が自分たちで考えてそれから実践していく、それを地方自治体が、県、国が支援していくという、このような発想がやはり本当の農家あるいは林家の力となり、新しい形での農業、林業の姿をつくってくるんじゃないかと思いますし、またそれが初めていわゆる農家、林家に希望を持たせるということにつながってくるんじゃないかと思います。そのために、やはりふるさと創生という考え方を短期間のうちに変更するんじゃなくして、こういう取り組みが実を結ぶためには非常に長い時間がかかります。私が述べますと、簡単な道のりであったような話になりますけれども、実は非常にやはり困難な壁がありまして、長く永続的に努力していかなければいい結果につながっていくことはできないというふうに思っておりますし、また、その過程の中で国や県の支援、また財政的な面での支援というのが大変必要とされるというふうに思っております。 幸い、ふるさと創生ということで各地方自治体に一億円交付されるわけですけれども、既に地域づくりに取り組んでおる地域におかれましては、これをさらに新たなるステップというふうにされると思いますし、また各地方自治体の地域づくりに対する熱意というのは非常に高まってきております。その一億円というのをやはり有効に使って、新しい、今までとは逆の形での、いわゆる地方が発想し、自分たちの力で地方に活力をつけていくという取り組み方につながっていくというふうに私は思っております。 これはまた別の構法でつくりました木魂館という研修宿泊の施設なんですけれども、実はこの研修宿泊施設の管理運営といいますものは、町の施設でありますけれども、一人の若い青年の方に全面的に委託しております。地域の青年ですけれども、その青年の方は各地域にアンケートを求め、そして料理の提供におきましても婦人の人たちの希望をとり、そしてその希望された婦人の方々が中心となりまして、料理の勉強をしながら運営を行っています。たくさんの方々が訪れますので、いわゆる人々との交流が生まれ、大変目の輝きも違ってきておりますし、一つのこの木魂館を中心とした新しい文化というものが生まれてくるのじゃないかというふうに思っております。 まだお話ししたいことはたくさんございますけれども、ぜひ小国町に一度おいでいただきたいという気持ちを残しながら、これぐらいで意見を終わらせていただきたいと思いますけれども、今後ともふるさと創生に対する御支援をお願いいたしたいと思います。(拍手)
○山下(徳)委員長代理 どうもありがとうございました。 次に、吉田公述人にお願いいたします。
○吉田公述人 日本は大変魅力的なすばらしい国になりました。日本人が考えている以上に、世界の国々は日本を高く評価していると思います。活気があり、安全で、しかも世界最長寿の国を成功させました。けれども、その中ではいろいろな問題を含んでいるのであります。例えば住宅は恐らく中進国以下でありましょうし、物価は国際価格の数倍以上であります。 なぜこのようなアンバランスな結果になったのか。私は、その最大の理由の一つは、日本の国づくりのグランドデザインがなかったということではなかろうかと思うのであります。その基本戦略をつくる、基本的な政策をつくっていく、このことがなかったために、すばらしい国づくりに成功 しながら、欠陥の少なくない社会になっていると思うのであります。 考えてみますと、第二次世界大戦後の四十数年の間に、とりわけ日本人の民間部門の汗と協力の結果、すばらしい国づくりに成功したのでありますが、肝心な国民が最も求めている部門がかなりおくれがちなのであります。諸外国の例をとりますと、イギリスでこのようなグランドデザインをつくられたのは、一九四一年のビバリッジ委員会が報告書を出したこのころだと私は評価しております。スウェーデンでは一九三七年に母子国会が開かれまして、国づくりの基本が形成されていったのであります。日本でも、バランスのとれた社会をつくっていくためにこのグランドデザインをどのようにして形成していくのか、今日の課題でありまして、従来の方向でいく限り、日本は豊かではあるけれども発展途上国と同じではなかろうか、豊かな発展途上国となってしまう可能性があると思うのであります。 国づくりの基本は、私は三つあると思うのであります。自由で平等で効率的な国づくりであります。とりわけ効率という点では、自由主義諸国も共産圏諸国でも強く求めております。お手元にお届けいたしました資料は、「イミダス」という百科事典の中で私が書きましたものでありまして、特に日本の国づくりに当たりまして、効率ということを中心にしながら、自由で平等な社会を進めていってほしいと思うのであります。そうした点で平成元年度の予算について検討いたしますと、非常に細やかに網羅的によくできていると思うのでありますが、その背後を貫く太いものが欠けているように思われてならないのであります。 一つは、近く日本を襲う可能性のある危機感、これが乏しいということ。それから、長期的な見通しで政策を展開していく、これがないということ。それから、本年度の政府の方針でもあります「世界とともに生きる日本」、これが具体的にできているかどうか。この三つの柱を日本の国づくりの中心に置いていただきたいと思うのであります。 私は、当面する緊急の課題として、五つの課題を指摘したいと思うのであります。 第一は高齢化社会対策、第二はエネルギーの安定供給、第三は土地対策、第四は物価と農業の近代化、そして第五番目にODAの活性化ということであります。 特に、例えば第二の点を取り上げますと、エネルギーの点では近い将来危機に見舞われる可能性が多分にあると思うのであります。現在、原油価格は安定しております。低目で安定しておるのでありますが、ここ十年前後以内に原油価格は一バレル三十ドル以上になる可能性をはらんでいる。ある専門家は七十ドル、突発的には百ドルの可能性もあるというふうに主張しているのであります。このようにエネルギー一つ見ましても、この危機に対する対策が、本年度の、この平成元年度の予算の中に十分盛り込まれているかということであります。 そこで、この五つの柱を中心にいたしまして申し上げたいと思うのであります。 第一は、高齢化社会対策であります。 消費税の導入は、高齢化対策が出発点になりまして、私は、その意味で消費税の導入については基本的に妥当であったと考えます。しかし、運営上問題をはらんでいて、必ずしも祝福できないということであります。準備も短過ぎましたし、議論も少なく、そうして、間もなく発足いたしますけれども、国民に対するPRは本当に不足していると思うのであります。勤労者にとってこの消費税は喜ぶべきことだと思います。けれども、その勤労者が反対している、あるいは賛成しかねているという現実を見詰めていただきたいと思うのであります。真実を知らせる努力が足りませんし、あるいはまた不満があった場合にどうなるのかという見直し、こうした点もPRは十分行き届いていないと思うのであります。 最近まで私、カナダ及び南米諸国におりました。これらの国々でも消費税はもちろん実行されておりますが、例えば医療費あるいは生活必需品である食料については、日本ではどうするかは別にいたしましても、温かな配慮がなされております。消費税を国民の多くが祝福できるような温かなものにして、高齢化社会に備えてほしいと思うのであります。こうした冷たい消費税の受けとめ方が随所にあらわれております。 その一つは、年金の議論であります。 六十五歳に年金の支給をやろうという議論は、まだその基本である消費税が実行に移されていない段階で、既に政府部内で議論されつつあるのであります。私は、高齢化の問題につきまして深い関心を持ってまいりまして、六十五歳はやむを得ない、やがて七十歳になるかもしれない、特に高齢化がピークに達します超高齢化社会においては七十五歳ということも考えられるとさえ思うのであります。その一段階として六十五歳というのはやむを得ないと思いますが、現在議論すること自身不謹慎だと思うのであります。なぜなら、六十五歳に対する定年の延長、雇用対策なしに——それらが完備されて初めて六十五歳の年金の支給引き上げを議論すべきだと考えます。このような冷たい運営の仕方が、勤労者が消費税に対してあるいは高齢化社会に対していろいろな疑いを持ち、時には政治不信へと連動する可能性を持っているのであります。 私は、この高齢化社会を達成するに当たりまして、雇用ということ、特に高齢者の雇用がかぎを握っていると思うのであります。そのかぎの中のかぎを握るものは、労働時間の短縮であります。現在年間二千時間の労働時間を千八百時間に短縮するような方向で政策を運営し、雇用量を拡大することによって高齢化社会に備えてほしい、そして六十五歳の年金問題については今日議論すべきではないと考えます。 同時にまた、この高齢化社会のためには行政改革が不可欠であります。補助金行政の見直し、地方出先機関の整理あるいは規制の緩和によって民間企業の自由で効率的な経済活動を促進する、こうしたことが高齢化社会をつくる上で必要なことであります。そして、不公平税制の改革もまた消費税を安定的に推進させ、そして日本の将来に対していろいろな布石を打つ重要なポイントになろうと思うのであります。そうした中で初めて年金改革を唱えてほしいと思うのであります。 第二のエネルギーの安定供給であります。 現在のエネルギーの中心は石油でありますが、石油は将来、極めて不安定要因をはらんでいるのであります。こうしたことを考えますと、我が国では省エネ政策を進めていく、同時にまた、ここしばらくの間原子力の平和利用を推進していく姿勢が必要であると考えます。けれども、省エネという声は余り起こらず、反原発ということで、世界に、日本にとうとうと起こっている現状であります。 私たち、省エネということをやらなければ電力は不足してまいりますので、もしも原子力発電に反対ならば、例えば省エネを進めなければならないということ、具体的には、例えばクーラーの自粛とか洗濯機の使用をやめて手でやろうとか、そういう非常に現在考えるとナンセンスな選択を余儀なくされると思うのであります。私は、健やかな生活のためには電力の適切な運営が必要だと思いますし、省エネ、行き過ぎること自身はかえって悲劇だと思います。そうした点で、原子力発電を長期的に推進していく。現在ではほとんどタブー同様になっておりますが、こうした点で平成元年度の予算で十分配慮されているかどうか、若干配慮されておりますけれども、このエネルギーの安定供給のために未来を考えて十分配慮されているかどうか問題だと思うのであります。 同時にまた、原油の供給があるいは滞る可能性もあるということを考えまして、今、日本がやるべきことは、これら産油国に対する協力、友好関係を深めていく、このような方策であります。これは五のODAの活性化と連動してまいりますが、とりわけ、例えばそうしたエネルギーの供給国の一つとしてメキシコ、これは我が国に対して 大変好意を持っておりますし、自由主義諸国にあって友好国で、しかも産油国、こうした国々に対する特別な配慮が必要かと思うのであります。 第三は、土地対策であります。 日本の住宅は、特に都会においてはひどい状況であります。この土地政策、ほとんど無為無策であったと言っても過言ではないと思うのであります。アイデアは随分出ております。どれか一つ、あるいはこれまで出されているものを強力に推進して土地問題を解決し、そして住宅を確保してほしいと思うのであります。私は、特に市街化区域内の農地の宅地並みの課税、これが効果が出るのではなかろうかと思うのであります。とにかく、日本の都会の住宅は中進国並みと断定してよいと思いますし、さらにまた道路、下水道、公園、輸送機関のいずれをとりましても発展途上国だと思うのであります。住宅を中心とする政策を進めるという点で、思い切って住宅省をつくって強力に推進する母体にしたらどうか、こうも考えるのであります。 第四が、物価と農業近代化であります。 基本は、専業農家を育成し、規模を拡大していく、これが中心になると思うのであります。例えば、グレープフルーツやオレンジの問題でも、日本の農家はこの試練を受けとめ、競争できるだけのものをかち取り、十分自由競争にたえ得るということを実証したのであります。専業農家はそれだけの能力と可能性を持っているのであります。国際的な競争原理に立ちましても、日本の農家、もしも過保護の政策あるいは自由競争をしなくてもよいというふうな政策をしないで専業農家を育成するような方向でやがて国際競争に勝てるような方向へ持っていったならば、米も肉も私は十分太刀打ちできるのではなかろうかと思うのであります。こうした農業、従来の育成政策をやめて、農業を先進国並みの産業と位置づけて、自由で効率的な農家、ぜひそれらを育成するような方向でいろいろな措置を講じていただきたいと思うのであります。 特に、本日一番私は重点を置きたかったものの一つは、ODAの活性化であります。 国際社会に生きる日本は、国際的な協力なしに生きていくことはできませんし、日本は自由社会の一員として発展していってほしい。そのような政策が新年度の予算に大きく出ているかどうか、私は若干の疑いを持つのであります。概してその内容は、中心になるものがなく総花的であり、そして各省ばらばらの印象をぬぐい切れないのであります。 私は、政府開発援助につきましては、外務省を中心として日本の外交政策、そして自由社会の一員として発展していく、このような点で位置づけ、中心にして進めていっていただきたいと思うのであります。特に今日、日本ではこういう資金が豊富にあるときに、友好国に対するきずなを強化するために、長期にわたって協力してくれる国に対して力点を置いて援助してほしいと思うのであります。できることならば、目に見えて長期的にその国々に役立ち、同時に連帯を強化できるような援助の仕方であります。 さて、南米諸国で私感じましたのは、今なお停電日があるということであります。電力不足はかなり深刻であります。南米諸国だけではなしに、東南アジアの国々あるいは中国でも電力の不足を私は強く感じてまいりました。エジプトではソ連の援助によるアスワン・ハイダムがありますけれども、日本も、例えば発電所の建設ということをODAの中に位置づけて進めることができないかどうか、御検討いただきたいと思うのであります。これらの国々は電力を望んでおります。日本はそれを供給できる技術的な能力を持っております。その中には水力、火力とともに原子力も含まれてよいと思うのであります。日本の原子力発電は一度も事故を起こしておりません。修理やあるいはふぐあいな点は絶えず見直ししておりますけれども、世界でも最も原子力発電を安定供給している国であります。この技術を国際的に実証し、そしてこれらの国々の国民が豊かになるような方向で協力していく、このことが考えられてよいと思うのであります。 特に、ODAと関連いたしまして国際移住の問題があります。カナダにおけるある政府の要人は、従来の移民政策について再検討し、例えば日本では、技術移民が来てカナダ国民と協力し、あるいはカナダ国民に対して刺激を与えるような、そのような方向で技術移民が望ましいという発言をしております。 日本ではたまたま団塊の世代の人々が非常に、今四十数歳、そして選択の岐路に立っております。日本のすばらしい労働力、しかもすばらしい技術を持っている人々、日本の国内でだけではなしに世界にも活用できる方向でいけないものかどうか。私はこれを開発移住と名づけたいのでありますが、技術移民、開発移住という点で世界に貢献する。もしこれが可能であったならば、やがて未来の夢は次々と飛んでまいります。アラスカにはほとんど人がおりません。こうしたところで、例えばアメリカとカナダと日本と合意を得た上で夢を結ばすことができないかどうか。あるいはもしも条件が熟したならば、シベリアであります。ソ連は日本の資金あるいは技術に注目しております。もしも、例えば北方領土を返還し、ソ連が平和な国づくりを進めていくならば、日本はアメリカと共同で協力する用意があるという夢も可能かと思うのであります。 このような夢、あるいは強力な柱が本年度の予算にいま一つ足りないというのが私の印象であります。ありがとうございました。(拍手)
○山下(徳)委員長代理 どうもありがとうございました。 —————————————
○山下(徳)委員長代理 これより公述人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤元次君。
○近藤(元)委員 きょうはお三方には大変お忙しいところを御苦労さまでございます。限られた十五分の時間でございますので、十分な御意見を承ることができないかもわかりませんけれども、宮崎町長さんに最初にお尋ねをしたいと思います。 一線の行政の中で、過疎で大変御苦労されておることを、先ほどの公述の中でありありと我々も印象づけられたわけでありますけれども、国も多極分散をスタートして、そしてふるさと創生ということで一億円の金が、賛否両論でいろいろ評価をいただいておるわけでありますけれども、町長さんもその一億円について先ほど若干触れられましたけれども、どういう受けとめ方と、そしてまたどういうところにお使いをしようとお考えかを最初にお尋ねをしてみたい、こう思います。
○宮崎公述人 お答えいたします前に、先ほど私の話の中で人口一万一千の一方が抜けていたのじゃないかと注意を受けました。一万一千人ですので……。 一億円、大変地方自治体にとりましてありがたい交付金だというふうに思っております。小国町の場合「悠木の里づくり」四年行ってまいりましたので、次のステップへ踏み込めるいろいろな施策が出てきております。先ほどの話の中から拾いますと、例えばF1のいわゆる肥育体制をつくっていくための農家の育成であるとか、あるいは地熱の資源がありまして、屋内人工スキー場、いわゆる地熱の熱源を使ってそれがタービンを回しまして、冷気マイナス二十五度Cを取り出しまして人工雪をつくって屋内の人工スキー場をつくろうというプラント、試験が進んでおります。この屋内人工スキー場を中心としたリゾート開発であるとか、あるいは人づくりの面におきまして、たくさんのリーダーの方たちが生まれてきておりますので、さらにそういうリーダーに活動の場、あるいは勉強の場を与えるための諸施策であるとか、また、小国町、北里柴三郎博士、近代医学の父、あるいは世界を代表する細菌学者でございますけれども、やはり博士の遺志を継いで学習の場あるいは健康づくりの場として学びやの里という構想を 進めておりまして、その構想が先ほどの木魂館という研修宿泊施設あるいはスポーツの広場とつながっていっているわけですけれども、さらにその学びやの里づくりを広めていくためのいわゆるソフトプランづくり、先ほどの地熱を使ったリゾートと一緒に、町全体のリゾート化ということに対するプランづくりであるとか、それから林業の中では、いわゆる小国林業の流通体制の整備のためとか、各地域づくりを行ってきております地方自治体におきましては、やはり地域づくりの中から次の課題が生まれてきていると思います。その課題に向かって一億円というのを使っていく場合が多いんじゃないかと思いますし、さらにこれから地域づくりを行っていこうというところにおきましては、小国町が最初に「悠木の里づくり」のプランをつくりましたと同じように、地域の資源あるいは文化あるいは歴史的な遺産というのを見直して、その地域の活性化を図るためのプランづくりというような形も生まれてくるんじゃないかというふうに思っております。 小国町に見えます視察者は本当に皆さん熱心で、特に県によりまして非常に熱心な県とそうでない県とがあるような気がいたしております。全地方自治体が有効に使えるかどうか私にもわかりませんけれども、必ずその中からすばらしい発想と試みの自治体が生まれてくるというふうに私は思っております。
○近藤(元)委員 この一億円については、もちろん、一極中心に集中しているものを地方との格差を是正すると同時に、地方にも地域間格差というのが生まれておるように思っておるわけでありまして、新しい試みとして、今町長さんからお話のございましたように地方から何かを発案をしていただいて、これが実は主たる目的でございますし、また、これから将来、多極分散なり国土のバランスのとれたいわば地域の活性化、発展につながるような形でぜひこの予算の消化の御検討をいただきたい、こう思って、ひとつお願いをしておきたい、こう思います。 次に、吉田先生にお尋ねをいたしておきますけれども、いろいろ卓越した御意見をちょうだいをいたしたわけで、総じて私は賛同いたすわけでありますけれども、なおかつ、話としてわかりながらも、非常に私が悩んでおる一つの問題が、実は農業問題でございます。 先生、米を含めての話でございましたので、私は米の問題で、農産物全体を話しはいたしません。米を中心にして、規模拡大をして足腰の強い農業をやるということに賛意は表するわけでありますけれども、そのことはそれなりに国際競争力をもたらすことにはなるわけでありますが、それとても品質の勝負は国際的にできても、量によっての価格の競争力というのはまだまだ日本の国内における状況では時間がかかってしまうのではないか、農業政策、その方向に少し急ぎ過ぎておるのではないか、私はそういう感じが実はいたしておるわけであります。 もう一つ、一番困っておるのは、規模拡大をしたくてもできない面積のある中山間地の農業をどうするか。そして農業以外に、国土保全なり水源涵養なり緑地保存なりあるいは社会政策上の役割を果たしておる農村なり農業をやっておる人たちに、今、先生のお話のような規模拡大というようなことでは通じていかないわけでありますので、この辺のことを一体どう考えたらいいかというので御意見がございましたら承らせていただきたい、こう思います。
○吉田公述人 ただいまの御質問のお悩み、私も全く同感の気持ちを持っております。けれども、国際社会を見ますと、日本が従来の政策で甘えたままでは通過し得ないと思うのであります。その点で、例えば米につきましても、救えるところでは救っていくという点で大規模化、そして米の点では、私は品質の点で、たとえ価格が倍くらいであっても日本の農業は十分国民の需要にこたえ得るし、そうした農業を専業農家は抱えていくことができる、そうして価格競争でも十分太刀打ちできる、こう思うのであります。 ただ、後者の方の中小の規模の農家でありまして、そう簡単に割り切れないということも私も重々承知しております。具体的な対策というものも今述べることはなかなか難しいのであります。したがって、これらについてはやれるところからやっていって、かなりの時間をかける。ただ、二十年、三十年では私は国際社会に乗りおくれていくと思うのであります。したがって、今から徐々にこうしたもの、必要なものは残しながら進めていく。ただ、私は中小の田畑でありましても、例えば中世、三圃農業というのがありました。これまで日本の経済に貢献してくだすったそれらの農業についても少し休んでいただいて、田畑を休んでいただくという形で、しばらくの近代化へ転換する時間を持っていただく、こうした方法を考えながら、一歩一歩進めていく以外にないと思うのであります。 明確な、これがあるという処方せんは、特に日本の農業政策にはないと思います。そこで基本線を申し上げたわけであります。
○近藤(元)委員 この問題については、先生ぜひ、学者先生でございますから、どうぞ休んでというわけにはなかなか参らないので、国土保全なり水源涵養なりという社会構造上必要な役割もあわせてしておるわけでありますから、そこを評価をして、やはり保護するべきものはしてやらなければならない。この人たちがそこから、農地を、農業を離れてしまったら、国家財政的にはもっと大きな財政を投下していかないと、国土保全とかそういうものができないんではないだろうか。この辺の理解を得るために、どういう一つの政策を出していったらいいかということを実は悩んでおるわけでございますので、先生また機会があって御研究をなさった折には、ひとつ御教授いただければ大変ありがたい、こう思いますので、お願いをいたしておきたいと思います。 最後に、井上先生に一言お話をお聞かせをいただきたいと思います。 消費税の問題、ある部分では我々も大方そのような意見を聞かないわけではございません。しかし、先生がお産のことを中心にしていろいろの問題、主として先生の御意見というか、町の声というか、そういうお話を通してお聞かせをいただいたわけでありますけれども、私ども売上税は廃案にはなりましたけれども、あのときの一つの志向としては、人間だれしも一生の間にかかることはできるだけ網羅的にならないように、生まれたときのことから飲み食いから学校からお医者さまから住宅ということを基本的に外してまいりました。そうしたら、広く薄くやるのがいいという大方の結論が出てまいりました。したがって、そこの部分に行くと、前者はやはりその話をしたときにはみんなが理解をしたけれども、その間の線引きにおいて不公平が生まれてきたということで、相対的に廃案ということになったように思うのです。そして広く薄くということで今の消費税が出てきた。 また、一面では三千万あるいは五億というようなことで、いろいろ簡易課税なりあるいは非課税なりというような納税外の人たちが出てきたりというようなことで、これも簡素化を選択をするか、公平化を選択をするかという選択を迫られる一つの案件だろうと思うのです。五億が高過ぎるという意見もあるし、ゼロがいいという意見は余りないようであります。三千万もある意味では高いという人もいるし、もっと高くしてほしいという人もいるし、この種のものは高くなれば高くなるほど不公平を生む人が多くなってくるんだろう、こう思うのです。 そしてまた転嫁の問題が出てきましたけれども、売上税のときにも一%、二%という低い税率にしたら、多分、恐らく転嫁をしないで御商売をなさっておる人たちが全部そこは飲み込まされてしまうだろう、かなりの率になっていけば転嫁をせざるを得ないだろうという意見も、税調の委員の中の意見としてあったようであります。それが相対的には五%になり、それが廃案になって今回三%ということになったわけであります。 先生からひとつ、消費税というものが今生まれて、売上税が廃案になって、これを比較をしたらどっちがよかったという評価がいただけたら一言お願いを申し上げたいと思います。
○井上公述人 お答えいたします。 税法学的に見た場合は、前回の売上税、あちらの方が評価できるわけですね。で、特に転嫁の問題についてですが、前回は税額票の発行、保管等を法律上義務づけたということで、今回は、そういうことになるといわゆる業者等が企業の売り上げ、仕入れなどを押さえられていろいろ難しい問題も出てくるということでなくしてしまったわけですね。 で、先ほどお話ししましたように、今回の消費税法というのは、税法学的に見ますと直接税の体系になっているんですね。いわゆる地方税法の現在行われている事業税と全く仕組みが同じような状態になっているわけです。ということは、御承知のように直接税というのは事業者が直接負担して納税義務者になるという、そういう仕組みであるわけです。したがって、転嫁の問題というのが実質的に見た場合、前回の売上税よりも難しい状態なんですね。ですから当局者も、国民の合意を得るならば導入後一定の時期をおいてEC型の付加価値税ですね、いわゆるインボイス方式に切りかえるというか、そういうことを吐露しているわけですが、やはり導入の際、消費税というのは最終的には消費者が負担するものでございますので、そこら辺の転嫁の問題が今回一番問題だと思うわけです。 ただ、私自身、今度の消費税法はいいところもございまして、一番評価すべき点は、消費者段階で外税方式を認められた、そこのところですね。従来の物品税とかガソリン税は税込み方式で消費者には見えない税金だった。それが今度の消費税法ですと原則として外税方式ということで、納税者としてはいわゆる欧米のタックスペイヤー、税金支払い者、そういう立場になって、税意識の高揚というか、そういう点ではシャウプ税制以来の大改革ということで評価できるわけですね。
○近藤(元)委員 ありがとうございました。
○山下(徳)委員長代理 次に、新村勝雄君。
○新村委員 公述人の先生方には大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。 そこで、幾つかの御質問をいたしたいと思いますが、まず、今回の税制改革、これはシャウプ税制以来の改革と言われておりますが、全体の経過あるいは結果等を見ますと、消費税をいかにして導入するかということを急ぎ過ぎたという感がぬぐえないわけであります。少なくとも、画期的な税制改革ということであれば、これは税制全体の改革でなければならなかったと思います。課税をして公共的な仕事をしておる行政主体は国があります。それからもう一つは都道府県、市区町村という自治体があるわけでありますけれども、少なくとも税制ですから、全体の税制を改革をするということになれば、国の観点からの発想だけではなくて、やはり地方自治体の立場からの税制をどうするかということの配慮がこれは必要なわけで、必要どころではなくて半分はその配慮がなければならないはずでありますけれども、今回のいわゆる税制改革には地方の立場からの観点が非常に弱い、あるいは地方税の改革あるいは地方にいかに財源を付与していくかという配慮が極めて薄いと思うのです。 よく言われるように、今、日本の税全体で七割は国税として徴収をするけれども、実際にその税金を使って仕事をする段階になりますと七割は地方自治体が執行し、使うということが言われております。これは言われて極めて古い言葉でありますけれども、そういう意味からいいますと、中央と地方との財源配分の問題、これは税制改革の一つの大きな眼目でなければならないと思います。国民一人一人の税負担の均衡ということを図ることももちろん必要であります。これは重要な観点でありますけれども、同時に中央地方の財源配分をどうするかという観点、これが抜けておりますと本当の意味の税制改革にはならないと思うのですね。 そういう意味からいいますと、今回の税制改革は国と地方の財源配分あるいは国税、地方税の配分をどうするかという観点が欠落をしておる税制改革ではなかったか、こういうふうに考えられるわけであります。そこで、今回そういう観点も全然なかったわけではありませんけれども、国と地方の財源配分をどうするか、今までのように七対三で徴収をして、使う場合には三対七という形をどうするかということが残っておるわけなんですね。 そこで、町長さんもいらっしゃいますし、先生方、経済あるいは財政の専門家でいらっしゃいますので、この点についてお伺いをしたいと思います。そして、この問題については、国と地方の財政力のアンバランスについては交付税あるいは国の補助負担金でこれを調整をしておりますけれども、でき得るならば地方に自主財源をもっと豊かに与えるべきだ、こういう有力な見解がありまして、この主張は長い間続けられていたわけであります。こういう観点からのお考えをまずお伺いをいたしたいと思います。 まず、町長さんいらっしゃいますので、町長さんからお願いしたいと思います。
○宮崎公述人 徴収と財源の配分につきまして、おっしゃられるとおりだと思います。ただ、地方はそれだけのいわゆる財源措置を受けているという実感が余りないわけなんですね。特に農業者、林業者におきましても、いわゆる自分たちの農業に対してこれだけの国の財源配分が行われているのだというようなことがなかなかわかりにくいということがあるんじゃないかと思います。先ほど意見を述べさせていただく中で、やはり農家なり林家なりが自分たちで努力する芽が生まれて、そして自分たちの考えでその地域なりあるいは自分の経営に合った農業の施策をとっていく、それが本当にこれからの新しい日本の農業の形なりその地方の農業の形、林業の形というのをつくっていくんじゃないかというふうに私は思っております。そういうふうに時代にふさわしい財源措置あるいは国、県の支援を考えていただけたら大変ありがたいというふうに思っております。 ちなみに、小国町の六十二年度の決算、歳入は四十六億円で歳出が四十五億円なんですけれども、自主財源は三二%ということで、残りはいわゆる依存財源ということになっております。ただ、行政改革、地方自治体の行革というのはすぐ目に見えるんですね。そんなに大きなむだというところはもうありませんで、そういう行革の中で四〇%台の投資的経費というのは保っていっていることができております。 先ほど一億円、大変ありがたい予算だと思っておりますし、一億円の中から生まれてきたいわゆる地方自治体独自の取り組みに対して、さらに新たに自由ないわゆる交付税措置をとっていただければ大変ありがたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 〔山下(徳)委員長代理退席、近藤(元)委 員長代理着席〕
○新村委員 今回の財政改革、消費税の導入に伴って国は若干の地方財源の配慮もしてはおります。たばこ税を交付税化したことあるいは消費税の一部を回すというようなことはありますけれども、その結果交付税の比率がかなり伸びておりますね。ということは、交付税は一般財源として地方自治体に配分はされますけれども、これは国がやるわけでありますから、国が一遍徴収をして、もちろんこれは公平な基準に従ってやることはやるんですけれども、国が配分をするということでありますから、地方自治体の国に対する依存、あるいは国の地方自治体支配と言うと語弊があるかもしれませんけれども、中央集権が強化されるということは、これは争えないと思います。そういう意味では今回の税制改革で中央集権化が一層強化されたということが言えると思うんですけれども、そういう点については吉田先生はいかがお考えですか。
○吉田公述人 今回の消費税につきまして、私が もし大学の教師として採点するとすれば六十点くらいではないかと思うのであります。合格だけれども可であるということであります。修正すべき点はまだ多々あると思います。ですから、消費税は早産児であって、もう少し時間をかけて討議し、慎重にやってほしかったという感をぬぐい切れません。そうした中で、確かに国と地方財政との関係を十分に議論せずに進めまして、結果として中央集権化の可能性なしとはしないと思うのであります。 けれども、私はやはりたとえ点数は少々低くとも一応合格点を上げたいと思う。これを温めて成長させた後に議論する、まず消費税を国民一般に定着させていくことが大事だと思うのであります。そしてやがて、そう遠い将来ではございませんけれども、この地方税との関係、そしてまた私は、地方の自主財源につきましては現段階ではやはりとるべきではない、しかし将来の課題の一つとして考えてもよい、こんなふうに思うものでございます。 ただ、日本の中央集権化ということでありますが、私は財源だけではなしに、そのほかの点から考えまして、これが日本の長所であるとも評価しております。中央集権化し過ぎると問題がありますけれども、例えば教育の問題でもあるいはまたそのほかいろいろな問題でも、マスメディアの問題につきましても、中央は比較的大きな力を持っている、これが日本の発展の原動力の一つになってきた、ただ行き過ぎについてはチェックしなければならない、こう考えております。
○新村委員 次に、消費税でありますけれども、間接税を全面的に否定するというつもりはありませんけれども、今回の消費税が余りに性急に導入をされた、それからまた一定のグループあるいは階層に対して妥協、あるいは迎合と言うと失礼ですけれども、そういう傾向があることは、これは否めないと思います。そういう面がありまして、転嫁の困難さあるいは一物二価の現象、こういうことがあるわけですけれども、もう一つ、税制改革というからには他の税目との整合性が必要だと思います。そして、消費税は御承知のように逆進性があるわけでありますから、高額所得者に対して、あるいは資産家に対して有利であるということは否めないと思います。 そこで、そういう傾向を一方の面から、あるいは別の税目から補完していく、そういう逆進性を薄める施策が必要だと思います。ところが、今回の消費税の導入に伴って関連六法案の中に所得税の減税あるいは相続税の減税、法人税とありますけれども、そういう関連する税目、それの改正の中で消費税の欠点を補完する、それを薄めるという工夫がどうも見られない。 例えば、垂直的な公平を図るため、あるいは世代間の公平を図るため、また世代間の富の偏在を正すためには、やはり相続税という制度を活用しなければいけないと思います。そういう意味では、一方で消費税、一般消費税、一般の間接税を入れるとすれば、これは反対でありますけれども、仮にそういうことをするとすれば、それは当然相続税においてそれを薄める措置が必要である、あるいは所得税においてこれを薄める配慮が必要であると思いますけれども、その点に関しては井上先生はいかがお考えでしょうか。
○井上公述人 お答えいたします。 御承知のように、昨年末、相続税の減税が六十三年一月一日にさかのぼって適用されたわけですね。私の知り合いの方が昨年の一月七日に死亡されて、相続税の申告期限は六カ月以内ですから七月七日までに税務署に遺族が申告を出したわけです。その方の場合、東京都港区麻布、一等地に先祖伝来お住まいになっていたのですね。その相続人が、専業主婦とそしてもう一人は弟さんですがある電機メーカーの普通のサラリーマン、税額が八千万円になりまして、納められる額じゃございませんので全額延納にしたわけでございます。そして今回、もう申告済みでございますから更正の請求を出しました。およそ三千万円減額になって、五千万円ですね。 しかし、そのAさんならAさんのお住まい、六十二年と六十三年では路線価が七十七万円から二倍の百五十四万円にはね上がったわけです。そういうことを踏まえて、もしAさんが六十二年中にお亡くなりになっていたら、税額は三千万円で済んだわけですね。御遺族の方は、おととしの暮れにはうちのお父さんは死んだも同然だったから、税法を何も減税分を適用しないで、六十二年中に死んだようにできないかなんという何か笑い話もあったわけですが、そのように地価高騰のあおりを受けて、都市部では今度の相続税減税も、今お話ししたように焼け石に水でございます。 地方都市等の場合ですと通常基礎控除以下、免税点以下、そういうことで推移していたケースが多いのですが、今回相続税の減税をしても、もともと地方在住者の場合は相続税がかからなかったわけでございますので、別に余り減税の意味合いはなかったわけですね。ですから私は、これは私見ですが、やはり小規模宅地二百平米以下の評価減を、今度税制改正で二〇%余り上げたわけでございますが、それを全国均一で行わなければいけないということにはいささか矛盾を感じているわけです。 相続税についてはそのくらいで、今度は所得税の減税ですね。これは相当な高額所得者にとっては相当額の減税がございまして、私の知り合いのある高額所得者は、これで女中さんを雇えるくらいの減税分があったというので大喜びなんですね。一方、私の知り合いの大学出たてのOL、ことしの一月以降所得税が減税になったということで、税務署から送られてきた税額表を見ましたらば百円玉一個安くなったという、そういうような状況なわけですね。今回、先ほどお話しした私の主宰した「消費税オピニオンダイヤル」でも、税制改革を推進した上で消費税を導入してもらいたいという意見が相当数あったわけです。 で、ちょっと先生のお話の論点からは過ぎるかもしれませんが、例のキャピタルゲイン課税ですね、これについては私はあるラジオ局でいわゆる投資コーナーのパーソナリティーをずうっとやりまして、私は株の売買については見識がございませんので、キャピタルゲイン課税、どうなるということをおととしの暮れから去年の六月ぐらいまで毎回政府発表の資料等に基づいてラジオで流していたのです。大部分リスナーは株式の投資者です。その方からの意見は、政府はキャピタルゲイン課税の強化ということだけれども、それでは緩和だと言うのですね。これは楽になるというので、井上さん、それは間違いじゃないかという、そういう問い合わせが多かったわけです。 改正の中身については先生も十分御承知のとおりだと思いますので避けますが、私のところへある大手証券会社から次のようないわゆる株式投資の勧めみたいな文書が来たわけです。これを御披露しますと、前文省略、「また 四月より実施されます税制改正も 消費税の浸透には若干の懸念が残るものの 所得税 法人税の減税やキャピタルゲイン課税の簡素化など 株式市場には好材料と評価しております」というわけですね。私の知り合いの株式投資家も、これで株の売買が税制上非常に楽になったから四月以降、四月からキャピタルゲイン課税が新税制に切りかわるわけですが、大いに株の投資をしようという、そういう方がいらっしゃるということも事実でございます。 そういうことで、今回の税制改革、不公平税制の是正は、専門的に見た場合、医師の税制問題等は一部評価すべき点もありますが、むしろ何か流れから逆行した、そういう気持ちを私自身持っているわけでございます。
○新村委員 私の先ほどの質問、言い方が十分でなかったと思いますけれども、所得については、これは総合課税にすべきである。それから所得税、相続税についても、これは消費税を導入するのであれば課税最低限はもちろん上げるべきであります、土地が上がっていますから。ただ、上の部分については、これは下げ方を少なくする、あるいは所得の、あるいは相続資産額の刻みをもっと上までつけるというようなことをしなければ、 世代間の公平さあるいは消費税の逆進性を薄めるという機能が全く発揮できない、こういう意味で申し上げたわけであります。その点を御理解をいただきたいと思います。 〔近藤(元)委員長代理退席、越智(伊)委員長代理着席〕 それから、次にエネルギーの対策でありますけれども、先ほど先生がおっしゃいましたけれども、まだ原子力が利用されてから半世紀もたたないということで、原子物理学あるいは原子に関する科学的な知見なり技術なりというものはまだまだ未知の部分がかなり多いわけですね。ですから、そういう意味からいって、エネルギーのための原子力発電の推進という点については、いかにして安全性を確保するか、絶対安全な安全性、それを確保するかということがまだ問題がかなりあると思うのですね。そういった面でのやはり不安があると思いますけれども、それを絶対安全を確保していくというこの施策についてどうすればいいか、お伺いしたいと思います。
○吉田公述人 この世の中には絶対ということはないのであります。ですから安全についても絶対ということはないと言えるかもしれませんが、ただ、相対的な意味で絶対と質問を受けましたならば、私は、絶対に向かって、安全に技術者もあるいはそこで働く人々も全力を尽くして確保しつつあると思うのであります。 ただ、この原子力につきましては、国によってはかなり安全についてルーズな国もございます。日本はその意味で本当にすばらしい技術を展開してまいりました。一度も事故と呼ばれるものはないのであります。そして総電力の三〇%近くを安定供給してまいりました。私は原子力発電を幾つか見てまいりまして技術者と話してまいりましたけれども、一重二重の備えではなしに八重九重のいろいろな備えをやって、この場合にはこうということで絶えず点検をし、やっているのであります。 余り適切な比較ではないかもしれませんが、私は、飛行機よりもはるかに安全について心を砕いている、そう言いますと飛行機は安全に砕いてないという意味ではございませんけれども、ちまたに言われるような原子力の不安感、必要以上のあおり方ではないか、こう私は思うものであります。 ですから、私自身も接して見ておりますし、あるがままの日本の原子力のすばらしさを世界の方々に実証することが原子力の平和利用に貢献するのではなかろうか、こう思うものでございます。
○新村委員 次に、今竹下総理の提唱しておられますふるさと創生でありますが、これは全国の自治体に一億円ずつということであります。それはそれで意味はあると思いますけれども、一方で補助負担率の引き下げということをやっておりますね。これは過去三カ年間引き下げをやりまして、ことしはその復元をしなければならない年度でありますけれども、それに対して完全な復元ではなくて、かなりこれを値切っておるわけであります。十分の八を十分の七・五、十分の七にして、それを今度はその中間の七・五にしよう、これは生保でありますけれども、そのほかの補助負担についてもいずれも引き下げて恒久化しよう、そういう措置がされております。そういう財源が非常になくて、一方では従来の補助負担率を維持することができないという一面があります。それでこれを引き下げようという事実があるのですけれども、一方では極めて安易にといいますか、気前よく金を配分しようという二つの事実があるわけで、これは大変矛盾していると思うのです。そういう財源があるのならば、補助負担率の完全な復元あるいは交付税への編入というようなことの方がいいのではないかと思いますけれども、それはいかがでしょうか。
○宮崎公述人 地方の財政状況というのは必ずしもいいものではありません。小国町の場合、これだけ活発な事業展開ができましたのは、いわゆる公債費比率にいたしましても、それから基金積み立てにいたしましても、恵まれておったということが言えるのじゃないかと思います。それでも補助率の引き下げというのはやはり大きな負担になってきております。 ただ、先ほどからお話しさしていただいておりますように、やはり地域づくりに取り組みまして感じておりますことは、自分たちで考えたことを自分たちで実行していって、それが効果があらわれるという取り組みの方がより地方の力がついできますし、また日本全体の方向性から考えた場合にも、やはりそういう政策といいますか財源措置に変わっていった方が、実際ふるさと創生に沿った考え方で地方自治体を運営している町村にとりましてはありがたいというふうに思っております。補助率のいわゆる引き下げで、もとに戻っていないのですけれども、それは確かにいろいろな事業を実施する場合の大きな負担にはなっておりますけれども、それ以上に、やはり地方自治体が自由に使える財源措置というのの方をより強めていっていただきたいというふうに思います。
○新村委員 町長さんおっしゃったように、自主財源が必要だというお話でありますけれども、まさにそのとおりだと思います。ところが、今回の交付税の充実にいたしましても、たばこ税の一部を交付税にするとかというような措置がとられております。本来ならばたばこ税あるいは酒税というような、これは人頭税に近いわけですよ。大体国民が同じようにたばこを吸い、同じように酒を飲むわけですから、全国余り違わない。所得税とか法人税は地域によって大変違います。東京の所得税あるいは法人税、これは地方と大変違いますけれども、酒税とかたばこ税というのは大体全国的に均衡しておりますので、これは当然交付税化するのではなくて、地方自治体に自主財源として与えるべきである。時間が参りましたのではしょりますけれども、そうすることによって地方財源を充実すべきではないかと思います。 時間が参りましたので、お答えは要りません。三公述人、どうもありがとうございました。
○越智(伊)委員長代理 次に、宮地正介君。
○宮地委員 公述人の皆様方におかれましては、御多忙の中、当予算委員会にお越しいただきまして、感謝を申し上げます。 公明党を代表いたしまして、限られた時間でございますが、何点か御質問さしていただきたいと思います。 初めに、井上公述人にお伺いをいたしますが、消費税の問題につきまして、価格の転嫁の問題、あるいは納税事務の問題、またそれを受ける税務署の対応、また税理士の先生方の対応等、非常に今大変な状況にある。言うなれば混乱を招きやすい、そうした環境に今ある。すなわち、昨年の十二月に国会で成立をして、わずか三カ月間で実施、こういう非常に短期間の中に行われるというところに物理的にも無理が生じているわけでございまして、今までの消費税を導入されたいわゆるEC型付加価値税などの例を見てまいりますと、御存じのように西ドイツなどでは、一九六七年の五月に成立をいたしまして七カ月の準備期間で実施。お隣の韓国におきましても、一九七六年十二月に成立されまして六カ月の準備期間で実施。アメリカにおいては、御存じのように廃案になりましたが、アメリカの財務省の報告におきましては制定から施行まで十八カ月が必要である。こうした間接税と言われるこの大型を導入する場合には、それなりの国民の合意を得、そしてそれを実施するに当たっての対応というものは、これは三カ月では余りにも無理ではないか。こうしたことをごり押しするということは、かえって国民のひんしゅくを買うのではないか。 井上先生は、税理士を長年おやりになって、一番現場でその点についての状況をよく御存じであろうかと思います。公明党も、この問題については、消費税は反対である、四月の一日からの実施は、これは無理である、最低一年間は凍結をするなり延長をして実施をすべきである、このことを竹下総理初め竹下内閣に要求をしているところでございます。この点についての御所見を例えれば ありがたいと思います。
○井上公述人 お答えいたします。 先ほどお話がありましたように、西ドイツの場合は従来から一般消費税があったわけです。いろいろ欠点もございましたので、それを是正する意味で付加価値税に切りかえた、そういういきさつがあるわけですね。アメリカの場合は御承知のように、州レベルで小売売上税、セールスタックスがあるわけで、そういうような前提があっても相当の日数を要する。日本の場合は個別消費税のみで、今回初めてあらゆる物・サービスに課税されるいわゆる大型間接税、これが導入されるわけでございますので、価格の転嫁の問題ないしは記帳処理の問題で、実際問題、官民ともに非常に大変なわけでございます。税務署の方においても、三月十五日までは余り動きがとれないような状態で、官民ともに三月十五日の確定申告が終わってから、一服したと同時にもうすぐに実施ということで、心の準備もやはり必要でございますが、それさえない状況でございます。このような状況下で導入されて、スムーズに実施されればよろしいわけでございます。しかし、余りにも準備期間等の対応がなく、いろいろな問題点というのが起こってくる、そういうことが予測されるわけです。 まあ、私なりに一番懸念するところは、今度の消費税で評価すべき点として先ほど挙げました外税方式、これは非常に民主税制の根幹ということでよい方法だと思うわけです。しかし、今まで見えない物品税等が今度はレシートなどに三%、いわゆる外税方式になりますと、人間の心理的な要因が働いて買い控え、そういうものが非常に起こるのではないかと思っているわけです。 私、ことしの初めハワイへ行きまして、お店でアロハシャツを買ったところ、プラス四%のセールスタックスがついた途端に嫌な気持ちがしたわけでございます。ここ五年ぐらいの間にアメリカへ十数回行っているわけですが、昨年の消費税の導入状況などがやはり頭にこびりついて今お話ししたような状況になり、毎回海外旅行に行く場合は小遣い帳をつけているわけですが、今回の金額が一番少なかったわけですね。 そういうことで、このまま導入された場合、これはあくまで今お話しした経済的な面からとらえているわけですが、大幅な消費の落ち込み。確かに自動車とか家電の場合は物品税の税率と消費税の税率とのいわゆる差でもって消費者自体支払うべき金額は少なくなるわけですが、しかし今回の税制改革で初めて自動車などに高額な物品税がついていたということを認識した人の方が多いわけですね。今度、四月から外税方式によって自動車、家電等の消費税がプラス三%ということになりますと、確かに支払い金額は四月以降低くなるかもしれませんけれども、非常に買い控えが起こり、政府が当初予定していた消費税の税収不足、企業の売り上げ減によって法人税の減収、はたまた所得税の減収等があり、そこら辺のところを私自身非常に危惧しているわけで、一部には消費税が導入されてインフレになるのではないかという懸念もあるわけですが、私自身、逆の現象でむしろ景気の停滞を招く状況にあるのではないかと思っているわけです。
○宮地委員 もう一つ、この消費税の導入で大きな問題は、やはり逆進性の問題であろうと思います。生活保護世帯とかあるいは年金受給者、お年寄りの皆さんに大変重税感を与えてしまう。特に障害者などの場合は、御存じのように、今まで自動車を購入する場合にはその自動車にかかっている物品税の課税免除、こういう措置があったわけでございますが、今回こういう消費税が丸々三%かかってくる。こういうような状態になりますと、税の不公平の是正のために税制改革をやったと言いながら、むしろ税の不公平、垂直的な不公平、水平的な不公平、これが拡大をしていく大変なおそれがあるのではないか。 この点について、簡単で結構でございますが、先生の御所見をお伺いしたいと思います。
○井上公述人 まさにそのとおりだと思います。 先ほどもお話しした私の主宰した「消費税オピニオンダイヤル」でも、電話の本数のうち九〇%の方々は中高年者で、今度の消費税を柱とした税制改革に対して非常に不安感を持っているわけです。現在六十、七十歳代の方は、戦後の苦難を生き抜いて、国のため、会社のため、役所のため、そういう使命感に燃えて、精魂込めて社会に奉仕してきた人です。そういう方が今お話ししたように非常に不安感を感じているということは、これはやはり通常の状態ではないんじゃないかと思うわけです。 アメリカで御承知のように、EC型の付加価値税を導入しようと試みたがそれを断念したきっかけは、やはり御老人などの身体障害者などを含めた福祉対策、付加価値税の導入による逆進性等をどう解消するか、それの解答が見つからないために、結果としてEC型の付加価値税の導入を見送った状態でございます。
○宮地委員 もう一つ大事なことは、昨年の税制改革の中で、今国民のリクルート疑惑の問題の中の一つに、政治家を初めとしたぬれ手にアワの問題があるわけでございまして、先ほど先生もキャピタルゲイン課税の問題にお触れになりましたが、私どもも、やはりこの株の売却益、これに対する課税というものは特に厳しくやっていくべきではないか、特に江副さんに見られたような創業者利得の取り扱いなど、これは今回の税制改正の中ではまだまだ国民の期待にこたえていない、この点についての御意見。 もう一つは、政治家の開くパーティーに対するところの収益に対してどう課税をするか、いわゆるパーティー課税の問題についてもやはり国民が大変大きな関心を持っております。しかし、こうした問題も、非常に難しいということで今税制改革の中で今後の課題になっているわけでございますが、このパーティー課税について先生の御意見をお聞かせいただければありがたいと思います。
○井上公述人 お答えいたします。 回答になるかどうかわからないのですが、私自身もしくは各種講演会等で質問等を受けた内容をここで御披露いたしたいと思います。 政治家の皆さん方は確かにお金がかかるということは、一般庶民も承知しております。せんだって、ある代議士さんがマスコミ等を通じて、毎月冠婚葬祭費用が何百万もかかる、それを使わないと当選しない、ですからパーティーなどもそう規制されては政治活動ができない。その発言に対してちまたの声は、そんなにお金を使わなければ当選できないような人は立候補してもらいたくないというわけですね。そういうような意見が多うございました。 パーティー課税については、私の個人的な見解ですが、やはりそれ相当の課税、聞くところによりますと消費税はかからないわけですか、そうなりますと、やはり国民の多数としては不公平感、そういうことでより一層疑問、疑惑が生じてくるのではないか、そう思うわけです。 日本は民主国家、法治国家でございます。今度の消費税法の解釈一つとっても、やはり税法どおりに運用していただきたい。例えば宗教法人の課税問題についても、伝えられるところによりますと戒名料とかお布施、それは宗教活動の一環として非課税だということが伝わっているわけで、しかし実際問題、消費税法を読んでも非課税規定というのは盛られていないわけですね。私自身、やはりそこら辺の解釈等をめぐって疑義のある点は法治国家である以上びしつと法律上定めていただきたい、そう願っている一人でございます。
○宮地委員 時間がかかりましたのでこれで終わりますが、宮崎町長さん、また吉田先生には、限られた時間でございましたので御無礼いたしましたが、お許しいただきたいと思います。
○越智(伊)委員長代理 次に、川端達夫君。
○川端委員 公述人の皆さんには大変御苦労さんでございます。よろしくお願いします。 吉田先生にお伺いをさせていただきますが、先生が総論でお述べになりました日本の現状、「豊かな発展途上国」、まさに言い得て妙な言葉であるというふうに思いました。そういう中で、御指 摘のように、いわゆる政策に関してグランドデザインに欠けるんではないか、本当にそうだというふうに思います。そういう意味でぜひとも御意見を賜りたい、お知恵を拝借したいということで、特に冒頭に政策課題として御指摘になりましたいわゆる高齢化対策についてでありますが、これは日本が近々直面する非常に大きな問題であるということは御指摘のとおりだと思います。 そして、やるべきポイントということでの雇用の拡大あるいは行革の推進、税制の改革等々、年金も含めての問題が大きなことなんですが、いわゆる高齢者、本格的高齢化時代が来るというと恐らくここにおられる人、私も含めてほとんどが六十五歳以上になってしまうというそういう時代のときを考えたときに、生活で考えますと、いわゆる豊かな老後、安心した老後を送るということは皆こいねがっていることなんですが、そういう部分で言いますと、雇用保障と所得保障の問題をどうするのか、それから医療と福祉というものをどう考えるのか、あるいは福祉と住宅あるいは住環境と安全というふうに、今いろいろな部分で整合性ある政策をとっていかなければ、まさにグランドデザインをきっちりしなければいけない、単なる財政上の観点で年金だけが突出するというふうなことであってはいけないというふうに思うわけですけれども、そういう部分で考えていきますと、行政が縦割りになっている。 雇用は労働省、住環境では建設あるいは福祉は厚生というふうに、いろいろなところの部署が縦割り行政をやるという部分で本当にグランドデザインがかけるんだろうか。この壁を破って政策を立案していかなければ本当の高齢化対策が立てられないんではないかというふうに思うわけですけれども、この縦割りをどう打破するかといいますか、それなりの機能を果たしているわけですけれども、そういう点も含めてのグランドデザインのあり方ということに関して御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○吉田公述人 縦割りをどう改革するかということでございますけれども、私は、日本の官僚制度というのは最もすばらしいものの一つだと思います。それだけにまた欠陥もあるわけであります。したがって、よさを温存しながらどのようにして欠陥をなくしていくかということが課題であります。ただ、基本的に申しますと、これはいけないという、規制が多いのであります。そうではなしに、むしろこのようなものを育成するという方向で官僚制度の欠陥を長所に生かしてほしいと思うのであります。 高齢化社会、私は三つの大きな課題を持っていると思います。雇用、年金、医療、それぞれ連動しております。雇用の延長ということが不可欠でありまして、そのためには、例えば企業の側でも年功序列型賃金体系、年功序列型の昇進制度をチェックしながら進めていく、そして速やかに六十五歳定年あるいは雇用延長ということを実現し、それからやがて七十歳、そして最困難なときには七十五歳くらいまで進めていかなければならないと思うのであります。 その場合の雇用は可能かどうかということでありますが、高齢者、六十五歳以上を二つのグループに分けまして、前期高齢者、七十五歳以上の後期高齢者、この役割を考え、前期高齢者には主として雇用、後期高齢者には主として年金ということで進めていくならば、年金と雇用との問題を解決できると思うのであります。ただ、一定の年齢で一番所得を欲しくなるのは子供の教育であります。その意味で、奨学金制度あるいは学生にローン制度を拡大することによってこの問題がある程度解決するんじゃないかと思うのであります。 一番重要な問題は医療であります。日本の医療は、私は世界で一番すばらしいと思うのであります。もちろん欠陥もあります。ただ、自由で、しかも平等化されている、そして効率的に運営される、その結果が最長寿社会ということになっております。その日本のよさを生かしながら、同時にいろいろな諸問題、差額ベッドの問題とかいろいろな問題を解決していく。そのために行政をどうしていくか。私はやはり医療行政は厚生省が中心になろうと思いますが、その中でこうした長所を生かしながら、欠陥をどう是正していくのか、立法府の問題でもございまして、ぜひ御検討いただきたい。官僚制度のよさを生かしていく、これが基本ではないかと思うのであります。
○川端委員 ありがとうございました。 先ほどから消費税の話も、六十五歳年金の話もよく出ているわけですけれども、我々も将来の税制として間接税を考えていくという議論はすべきであろう、しかし拙速な、まして先生御指摘のように、国民の理解も納得も得られない中で消費税を強行するということは非常に遺憾である。そういう観点でありますが、ただ、そのときのいわゆるキャッチフレーズというのですか、高齢化社会に対応した安定的な財源確保のために消費税が必要である、総論的にはそういうことは言えると思うのです。そういう部分が、成立をしたと同時期に一方で高齢化社会を足元から揺るがす、年金を六十五歳に延長するという話が出てくるというのは、先生も先ほどその点お触れになりましたけれども、今そういう議論はすべきでないということに関してもう少しお話しいただけたらありがたいと思うのですけれども。
○吉田公述人 私は、消費税につきまして、早産であって、せめて一年間は準備期間としてほしかったと思うのであります。しかし、死児のよわいは数えません。これをさらにすばらしいものにしていく、そのためにはPRを大いにやってほしいということと、それからもう一つは、見直し論議を活発にやって、この早産児をすばらしい赤ちゃんにしていっていただきたいと思うのであります。こうした中で、まるで消費税を沈没させるかのように、年金問題で逆襲しているような印象を受けるのであります。一体どうなっているのかと思うほど私はびっくりいたします。国民感情を逆なでしているのであります。早産児ですからみんなでこれを守っていく。 六十五歳につきましては、六十五歳の雇用が軌道に乗るまで六十五歳の年金支給引き上げということは慎むべきだと思います。なぜそうなったのか。その最大の原因は財政、とにかく均衡を保つようにやればよいという財政第一主義でありまして、もちろん財政も重要な施策の一つでありますが、それよりもまず民意のあるところを探りながら、働く人々の生活なり未来なりを考えて、これらを慎むべきである。そういう財政第一主義がもたらした、お金の勘定と同じような結果がこうした軽率な議論になったと考えております。
○川端委員 もう一つ、不公平税制という言葉に、高齢化社会のときに先生お触れになりました。不公平税制の議論は、昨年来各党の政策担当者会議等々でいろいろ議論がされて、それなりに認識は深まってきていると思うのですけれども、先生のお立場からごらんになって、いわゆるちまたでよく言われます医師あるいは政治家、宗教法人、みなし法人の不公平ではないかという議論、あるいはクロヨン、トーゴーサンピンと言われる捕捉率の問題等々に関して国民が非常に、何となく割り切れない思い、あるいは憤りを持っているというのも事実だと思います。そういう部分についてはどのような御認識をお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。
○吉田公述人 この辺の政策はベターなものが望ましいと思うのであります。従来の税法よりも今回の消費税の方が私はベターだと思います。その意味で、合格であるけれども早産であったということであります。 〔越智(伊)委員長代理退席、田名部委員長代理着席〕 したがって、そうした中で、ベターではあるけれども、欠陥が多いのであります。その一つが不公平ということであります。その一つは逆進性ということでありまして、逆進性を補完するためには、例えば年収三百万以下の人々に対していろいろな配慮をする、あるいは高齢者に対して福祉年金その他の上積みを同時にしなければ、私は、誕生した新しい税法が恨みの中に漂っていく可能性 があろうと思うのであります。 医師についての特別な措置も私は不公平税制の源泉の一つだと思います。それをそのままにして今日に及びました。ですから、一たび合格はしておりますが、これでよいということではありません。ですからやはりこれら特別措置を現実に合い、国民感情に合うようなものに引き下げてほしい、こう思います。 政治家の税金につきましては、私は、政治家の中で自浄力を発揮していただきたい、これを国民は期待していると思うのであります。
○川端委員 そういう税制、いろいろな問題が、あるいはよりよい税制を構築していかなければならないということだというふうに思いますが、そういう中で、いわゆる現行の中でまたもう一つ大きな問題として資産課税の問題、持てる者と持たざる者の格差がどんどん広がっているではないか。そういう中で、それを解決していく大きな手がかりとして総合課税という問題がよく議論をされる。実施に対していろいろな難しい問題があるということもあるのですが、そういう中でいわゆる実施を現に考えると、どうしても納税者番号制度あるいはカード化という、いわゆる一元化のための手法が必要になってくる、こういうことだと思うのですが、そういう部分と、一方で国民総背番号、プライバシーが侵害されるのではないかという危惧もある。こういう中で総合課税というものをどのように考えていったらいいのか、どういう手法でなし遂げていけばいいのかということについてお伺いしたいと思います。
○吉田公述人 私は、総合課税は妥当だと思います。そして、できる限り効率的に合理的な税負担ということを考えますと、この納税番号制度は不可欠だと思います。コンピューター時代にこれは可能であります。そして、プライバシーの侵害ということで従来反対されてまいりましたが、欧米諸国ではプライバシーの侵害とは全く無関係だということが実証されてまいりました。ですからこれは全く別な意図から、我が国の税制あるいは不公平税制を温存するための奥深な戦略ではないかと勘ぐりたくなるほど非合理的な発想だと考えます。
○川端委員 井上先生にお伺いしたいのですが、実務の部分も随分長く御経験されているという中で、いわゆる今の総合課税、総背番号とか、いろいろ議論されている部分に関してはどのようにお考えでしょうか。
○井上公述人 お答えさせていただきたいと思います。 現在の枠組みだけでもすぐ総合課税は可能だと思います。御承知のように、税務署から送られできます法人税申告書ないしは所得税申告書には既に納税者番号が入っているわけでございます。一般のサラリーマンの方は通常年末調整で税金処理が終わり、確定申告の必要はないわけです。しかし、その他の勤労所得等が一定額ありますと申告の義務が生じる。そういうことで、いわゆるある程度レベル以上の方はもう既に番号も、企業の場合は法人の背番号がついておりますので、実施しようと思えば即実施できるのではないかと思うわけです。いわゆるサラリーマンで申告義務のない方、そこの方々までも全部枠組みに加えて総合課税ですか、余り必要性はないような気がいたします。一定レベル以上のサラリーマンないしは事業所得者、法人の場合は今お話ししたように既に番号がついております。グリーンカードの法案の成立により、埼玉県朝霞市には既に管理事務センターができ上がっておりますので、それを踏まえれば、今の状況下で、即やってできないことはなかろうかと思います。
○川端委員 時間が来てしまいまして、宮崎町長さんにもふるさと創生、お伺いをしたいこともあったのですけれども、失礼をいたします。お許しをいただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○田名部委員長代理 次に、中路雅弘君。
○中路委員 公述人の皆さん、長時間本当に御苦労さまでございます。私が最後でございますが、それぞれの先生方に一、二問ずつお聞きをしたいと思います。 最初に、井上公述人さんにお聞きしたいのですが、今回の予算は何といっても消費税導入元年予算と言われるように、この問題が大きい問題として論議されていますけれども、四月一日実施を前にしまして既に公共料金、JR、私鉄あるいはバス、タクシーの料金や道路の料金、公団の家賃、さらには政府の、医療費や教育費にはこの消費税はかからないという宣伝にもかかわらず、多くのものにはこれも値上げが今やられようとしている。紛れもない大衆課税だと思うわけです。 もう一つは、先ほども先生おっしゃった、私も地方へ、地元へ行きましていろいろ業者の皆さんの話を聞きますと、とりわけ中小業界では転嫁の問題が大変論議になり、また混乱も起こしているわけです。転嫁が困難で犠牲を受けるというのも明らかではないかと思うのですが、こうした消費税の大衆課税としての性格や、あるいは今の中小業者の皆さんが受ける転嫁の困難な問題、こうした問題について、改めてこの消費税の問題について先生のお考え方をひとつお聞きをしたいと思います。
○井上公述人 お答えいたします。 先ほども御答弁しましたが、いわゆる中小企業の場合、もともと価格転嫁能力、それがないから、余りもうからないから中小企業でいるわけで、転嫁能力が十分あれば大企業に成長しているわけですね。 今回、日本全国あちこち講演に行っているわけですが、受講者の対象者は当然経理担当者が多く見えると思ってその旨用意をしていったわけですが、実際問題、受講生の多くは会社のトップと営業関係者で占めているわけですね。 先般も一部上場企業の重役が見えまして、私に講演をしてもらいたいという依頼がございました。当然一流企業ですから、転嫁の問題は必要性がないのかと思いましたらば、そこのところを、転嫁の問題を集中的に講義してもらいたいというわけですね。いわゆる超一流企業であっても、現在の物余りの時代、そして、NIES諸国を初め世界各国から円高を背景にどんどん安い品物が入ってくるので、なかなか転嫁が難しいというわけですね。 私の教え子がある大手商社に勤めている。それは経理担当者でございますが、せんだって私のところへほかの用件で見えまして、今度消費税が導入されるとコンピューターのソフトの改変費用だけで十億円かかるというわけです。それと、もちろん帳簿方式ですので経理方式も全面的に変えなければいけない。今までの会計伝票が二倍弱になる。それやこれやでその分は価格転嫁しなければ、大商社といえども赤字に転落してしまう。そういうようなことを聞くにつけて、実際問題、完全に転嫁できる企業というのは、自信がある企業は数にしても非常に少ないのではないか、そう私の実感として持っているわけです。 特に、最近地方で農協関係の講演会の依頼がふえまして、ある東北地方の組合長さんとも講演後お話ししたのですが、牛肉・オレンジの問題、これから出てくる米の問題で、非常に今農家は苦境に立っている。その上に今度の消費税が入ってくると、農機具とか肥料を農協で買う場合、消費税を払わなければいけない。それを農民に転嫁できなければ農協経営は非常に苦しい状態。しかし、東北農民のほとんどは農業では御飯が食えない状態で、出稼ぎに出ている。そのような状況ですと、余計農協としても転嫁できないということで、農民も今度の消費税導入に対して非常に不安感を持っている。そういうことをお伝えしておきたいと思います。
○中路委員 次に、小国町の宮崎町長さんにお尋ねしたいのですが、私も先ほどお話を聞かしていただきまして、非常に林業の振興の問題について、お生まれもたしか、新聞で見ましたら林業家のところでお生まれになったと思いますが、取り組んでおられるお話を聞きました。林業だけではなくて、農林それから林業関係のことなんですけ れども、今度の予算を見ましても、農林関係の予算はたしか連続して七年ですか、削減をされてきているわけですね。その上、農産物あるいは牛肉・オレンジの自由化の問題、あるいは林業の分野を見ましても、国有林野の赤字経営による林野の売り払い等もありますし、農業、林業経営が非常な苦境に今立たされているというのは事実だと思いますが、農家の自助努力にも限界があります。後継者の対策あるいは農家の債務の軽減など、いろいろ対策が必要と思いますけれども、こうした点について簡潔にひとつお考えをお聞きしたい。 あわせてもう一問、先ほどもお尋ねにありましたが、ふるさと創生との関係なんですけれども、この問題自身については私お尋ねしませんけれども、いわゆる先ほどもありました国の補助のカットの問題です。補助率のカットで宮崎さんの町でどれぐらいの金額になるのか、もしおわかりになったら教えていただきたいと思いますし、八五年以来の負担が半分を超す高率補助金を対象にした一律カット、そしてことしの予算でも、例えば生保では十分の八を十分の七・五に固定化しましたし、公共事業でも九〇年までカットを継続するという、今非常に厳しい地方財政の中でも一層これがまた住民負担が増加することも明らかだと思いますけれども、町長である宮崎さんの、補助金のカットを一層恒久化するというこうした問題についてのお考えですね、この二点についてお伺いしたいと思います。
○宮崎公述人 二つの点につきまして共通のことが言えるのじゃないかと思いますけれども、このまま山村をほっておきますと私は第二の過疎化現象が起こると思っております。それは、地方自治体を経営しておりましてよく感じますことは、雇用の問題が一番最課題として、雇用が生まれないから若い人たちが残らないんだというようなことが言われ、また、山村においては自然は残しなさい、あるいは従来からの伝統的な風習、習慣は残していきなさい、それが山村の生き残る道だといいますけれども、それだけでは若い人は残っていきません。やはり、いわゆるある意味での都市的な面、文化活動なり刺激というものが山村になければ第二の過疎化現象が起こっていくというふうに思っております。まして、そういう面での予算措置というのが求められております中で予算の削減ということは大変響くわけですけれども、どれだけの補助率カットになるかということは、これは事業によりまして違ってまいりますので、年度によって違いますから、ちょっと金額的には言えないのじゃないかというふうに思います。 ただやはり、もうこれは一般的なことですけれども、自然といいますものは、空気の浄化作用であるとか水源の涵養、それから憩いの場所の提供ということで、国民生活に欠かすことのできない、守らなければいけないことでございます。それはやはり山村が守っていく使命があるというふうに思っております。そのためには、国がふるさと創生という考え方で持っている、先ほどからお話ししておりますように、地方が考えた振興策を国が支援するということが、そういう課題にとって本当に効果あることにつながっていくのではないかというふうに私は思っております。そのためには、先ほど行政機構の問題も出ておりましたけれども、経済構造、社会構造が大きく変わっていっているんだということを言われておりますし、事実変わっていっていると思います。そういう中で行政機構がそのままであっていいということは決してないと思いますし、制度の改革あるいは財源の配分についても積極的に取り組んでいかなければ、本当のふるさと創生ということにはつながってこないのだというふうに思っております。
○中路委員 時間が限られていますので吉田先生に一問お尋ねしたいのですが、先生はまた福祉の問題の専門家でもあるとお聞きをしているのです。最初お話もいただきましたが、とりわけ雇用問題との関係なのです。私も先日労働省の六十三年度の雇用調査を見てみましたら、実際に定年を六十歳以上としている企業は全体の五八%なんですね。二四・二%の企業が今なお五十五歳以下というのが実態であります。雇用対策の点では大変不十分なものだと思いますが、そうした中で、今度新たに年金の支給開始年齢の六十五歳への繰り延べということが出ているわけです。結局、定年延長などのいわゆる雇用対策がないままこうした年金の支給開始年齢だけが先送りされるということになると大変な問題が起きてくる、高齢者社会を迎えまして。こうした点について、今度の六十五歳への先送り、この問題と関連して、雇用対策についての具体的なお考えをお聞きしておきたいと思います。
○吉田公述人 現状では、大変働く人々にとって悲しい状態が続いております。大企業においても御指摘のとおりでございまして、少なくともここ数年以内に六十歳定年を実現し、そして六十五歳へと速やかに持っていく、このことが望ましいのであります。そのための方策は、一つは年功序列型賃金体系、これが経営者側の年とった方を採用したくないという理由になっているのであります。もしトータルで同じならば、この年功序列型賃金体系について改めていくという労使の合意を得たならば、雇用の延長は可能になります。 ところが、従来の労働組合側でも、現役が若いものですから、こうした高齢者に対して余り積極的な配慮はありませんでした。このような経営者、労働者側が直面している諸問題を解決すると同時に、全体としては労働時間の短縮であります。千八百時間、これが望ましいのでありますが、少なくとも数年以内に現在の年間二千時間以上のものを千九百時間というアメリカ並みの労働時間を実現する、そうすると雇用量がふえてまいります。ですから、労働時間の短縮が実は高齢者対策になっているということでございます。こんなふうにして一歩一歩具体的に実現していってほしい。ですから、国が悪い、会社が悪いということではなしに、労働側においても協力すべき点は協力していくことが高齢化社会の対策になるのではなかろうか、こう考えております。
○中路委員 時間ですので、終わります。
○田名部委員長代理 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。 公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。 明二日の公聴会は、午前十時より開催いたします。 本日の公聴会は、これにて散会いたします。 午後四時七分散会