文教委員会 第3号
- 発言数
- 6 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1989/05/19
会議録
○工藤委員長 これより会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 文教行政の基本施策に関し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西岡文部大臣。
○西岡国務大臣 第百十四回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、所信の一端を申し述べさせていただきます。 それに先立ちまして、まず一言おわびを申し上げます。 先般来の一連の不祥事により文部省に対する国民の皆様方の信頼を著しく損なう事態に立ち至ったことは、まことに遺憾であり、国民の皆様方に心からおわび申し上げる次第でございます。 文部省といたしましては、このたびの事態を極めて深刻に受けとめ、全職員ともに深く反省し、今後、かりそめにも国民の皆様方の疑惑や不信を招くことのないよう、綱紀の粛正について一層の徹底を図る決意でございます。 特に、国民の皆様方の期待にこたえるべく教育改革に取り組んでいる今日、文部省といたしましては、職員一同、服務規律を一層厳しく保持しつつ、全職員が全力を傾注して職務遂行に邁進し、誠実かつ着実な文教行政の推進を通じて、文部省に対する国民の皆様方の信頼回復に努めてまいる所存でございます。 教育は、我が国が、二十一世紀に向けて、創造的で活力ある文化国家として発展し、世界に貢献していく基礎を築くものであり、我が国の将来は、究極のところ、教育の成果に帰するものであります。このため、今日、教育の現状における諸問題を見据えつつ、社会の変化や文化の発展を踏まえ、日本人としての自覚に立って国際社会の中でたくましく活動できる個性豊かな青少年の育成を目指した、教育改革の積極果断な推進が強く求められております。 政府といたしましては、既にこれまで、中央教育審議会の答申やさきの臨時教育審議会の答申及びこれを受けての教育改革推進大綱を踏まえ、生涯学習体制の整備、道徳教育の充実など教育内容の改善、教員の資質の向上、高等教育の個性化、活性化など各般の施策の推進に総合的に取り組んでまいりました。さらに、時代を切り開く独創的、先端的な学術研究の振興、社会教育活動の拡充、国民の文化、スポーツに対する関心にこたえる文化施策の充実、生涯スポーツ、競技スポーツの振興についても特段の努力を傾注してきたところであります。 今後より一層、教育改革担当大臣といたしまして、課せられた役割と責務を十分認識し、教育・学術・文化・スポーツの充実発展に寄せる国民の要請に的確にこたえる教育改革の推進に全力を傾注する決意でございます。 そこで、まず、教育改革の推進に当たって、中長期的展望のもとに改革の方向を明らかにする必要がある、と考えている課題の幾つかについて申し述べさせていただきます。 敗戦後、既に四十有余年を経過しました。時代も「昭和」から「平成」へと移り、まさに時代の転換点を迎えております。我が国のすべての制度が見直しを迫られている今日、教育制度も例外ではあり得ません。 現行の教育制度は、発足以来四十年を経過し、この間、教育の機会均等の理念のもとに、教育の量的拡大と教育水準の維持向上が図られてきたことは大きな評価を受けております。しかしその半面、時代の進展とともに、我が国の教育は、今日、さまざまな問題点や限界を指摘されていることも事実でございます。 さきの臨時教育審議会の答申におきましてもこのような教育の現状と教育に求められる時代的要請を考察し、さまざまな提言が行われたわけでありますが、さらに同審議会答申においてなお多角的な調査研究を要するとされた、中長期的展望に立った教育に係る諸制度等の見直しや改革に積極的かつ柔軟に対応していくことが必要であると考えております。 特に、今日、学校教育につきましては、硬直的な側面があること、受験競争の過熱化や偏差値偏重の弊害、学校への不適応などが指摘されており、これらは生徒の個性の多様化が進む後期中等教育を中心に顕在化しております。 後期中等教育機関としての高等学校教育については、制度創設当時の予測をはるかに超えた九〇%以上の進学率に達し、創設当時の趣旨と現実に乖離が見られ、そのあり方が問われております。 さらにこれに続く高等教育についても、その大衆化に伴う問題や一般教育のあり方、さらには生涯学習の観点からの高等教育機関の整備等の諸問題を解決していくことは極めて大切なことであります。このため後期中等教育の改革とこれに関連する高等教育の課題についての総合的な検討が必要であると考えております。 また、これらに関連して、国公私立全体を通じた教育財政のあり方と私立学校の振興方策についても改めて検討する必要があります。 次に、大学入試制度は、高等学校教育から義務教育、幼児教育にまで大きな影響を与え、その改善は今後の教育改革推進に当たって避けて通ることのできない重要な課題であります。 もとより、入試について最善の方途を見出すことはなかなか難しいことでありますが、最善に向けて不断の努力を払うことが肝要であります。その場合、相当の時間をかけた準備期間を置いて改革を行うことが必要であるとの認識を前提としつつ、さらに、中長期的な課題としてより抜本的な改善方策を模索し、探究する必要があると考えております。 さらに、これらはいずれも生涯学習の理念のもとに検討する必要があり、その理念の確立と全体的な生涯学習の基盤整備を図ることが重要な課題であります。 以上のような諸課題については、既に大学審議会などさまざまな場で個々の検討が進められてきておりますが、さらに総合的な観点から検討を行うため、先般、中央教育審議会を再開し、「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」諮問を行い、改革の方向及びその実現の手順、方法について審議をお願いいたしたところでございます。 以上、中長期的な展望を要する課題について申し上げましたが、以下、当面する主要な事項について基本的な考え方を申し述べさしていただきます。 第一は、生涯学習の振興についてでございます。 今次教育改革においては、学校中心の考え方を改め、学歴社会についての誤った認識の弊害を是正し、生涯にわたる学習活動の成果が適正に評価される生涯学習体系への移行を図ることが重要であります。 このため、文部省では、生涯学習基盤の整備充実を図るため、国、地方における生涯学習推進体制の整備を進めるとともに、新たなメディアの活用等による多様な学習情報の提供、放送大学の整備、専修学校教育の振興など、すべての国民各位に対する学習機会の提供に努めるほか、社会教育活動の一層の振興に取り組んでまいる所存でございます。 第二は、初等中等教育の改善・充実についてでございます。 これからの初等中等教育においては、生涯学習の基盤を培うとの観点に立ち、自己教育力の育成つ、基礎・基本の徹底、個性を生かす教育の充実を図ることが重要であり、学習指導要領の改訂等を通じ、教育指導の改善充実に取り組んでまいる所存でございます。 特に、道徳教育については、児童生徒の人間形成に重要な役割を果たすものであり、学校と地域社会とのより密接な連携を図りつつ、その一層の充実に努めてまいります。 また、学校教育における国旗、国歌の取り扱いについては、その意義を理解し、それらを尊重する心を育てる指導の徹底を図ってまいる所存であります。 さらに、四十人学級を初めとする教職員定数改善計画の着実な推進など教育条件の整備や教科書制度の改善、幼稚園教育、特殊教育の充実などに積極的に取り組んでまいります。 学校教育の中心の課題は、教員の資質とその熱意にあります。そのため教員の資質、能力の向上について、養成、採用、現職研修の各段階を通じて、総合的な施策を講じてまいります。あわせて、学校における校長を中心とする責任体制の確立を図り、活力と規律のある学校運営の推進に努めるとともに、特色ある地方教育行政の展開を図るため、教育委員会の活性化を図ってまいる所存であります。 第三は、高等教育の充実についてであります。 大学を中心とする高等教育については、教育研究の高度化、個性化、活性化等を図る観点から、大学設置基準の大綱化・簡素化を図るとともに、大学院の充実と改革、大学の教育研究や組織運営の活性化等、今後の社会の変化等を見通した高等教育のあり方と基礎的研究を重視する施策の推進に積極的に取り組んでまいる所存であります。 大学入試につきましては、当面、大学入試センター試験の円滑な実施や国立大学の受験機会の複数化など、関係者の格段の努力を促しつつ、改善に向けて着実な推進を図ってまいります。 さらに、国立学校の整備については、努めて精た教育研究の推進に必要な措置を講ずることといたしております。 第四は、私学の振興についてであります。 私立学校は、それぞれの建学の精神に基づいた個性豊かな教育研究を実施しており、我が国の学校教育の普及・充実に多大の貢献をしてまいりました。このような私学の果たす役割の重要性にかんがみ、引き続き教育研究条件の維持向上に努めてまいる所存であります。 第五は、学術研究の振興についてであります。今日、我が国は、独創的、先端的な学術研究を通じて国際社会の発展に真に貢献し得る国家となることが従来にも増して強く求められております。 このため、科学研究費の拡充と制度の改善、若手研究者の育成、国立大学共同利用機関を改編する等の共同研究体制の整備、学術情報システムの整備など研究基盤の整備拡充に格段の努力を払ってまいります。 さらに、加速器科学等の重要基礎研究や、民間等との共同研究の推進等を図ってまいる所存であります。 第六は、体育・スポーツ、文化の振興についてであります。 国民が心身ともに健康で明るく豊かな人生を送るためには、健康に関する基礎的な知識・態度を身につけるとともに、生涯にわたって日常生活の中で積極的にスポーツに親しんでいくことが極めて重要であります。このため、現在保健体育審議会において「二十一世紀に向けたスポーツの振興方策」について、中長期的な計画の策定も含めて検討を進めているところであり、今後とも健康教育の充実を図るとともに、国民のスポーツ活動の振興のための諸施策の一層の推進に努めてまいります。また、国際競技会における競技力の向上を図るべく、国立スポーツ科学センター(仮称)の設置計画の推進等、諸般の条件整備に努めてまいります。 また、文化の振興につきましては、現代舞台芸術振興のためのセンターであり、国際文化交流の拠点である第二国立劇場の敷地整備工事の着手や、国際的視野に立った意欲的な芸術活動の推進や国民文化祭の開催等地域における文化活動の奨励を図るとともに、「ふるさと歴史の広場」事業を初めとする文化財の公開・活用を図るための施策を推進いたします。また、知的所有権に対する世界的な関心の高まりの中で、社会の進展に応じた著作権制度の改善を図ってまいります。 第・七は、教育、学術、文化、スポーツの国際交流の推進についてであります。 まず、留学生の受け入れについては、二十一世紀初頭における十万人の留学生の受け入れという長期的展望に立ち、国民各界各層の幅広い協力を得つつ受け入れ態勢の整備充実を着実に進めてまいる所存であります。また、研究者交流等の拡充を図るとともに、外国人に対する日本語教育については、日本語教育施設の質的向上に努めるなどその一層の振興を図ってまいります。あわせて、増加の一途をたどっている海外で学ぶ子どもたちについて、国際性の涵養を図るという観点からも、海外における教育の充実や帰国後の受け入れ態勢とその貴重な体験が十分に生かされるための条件整備に努力してまいる所存であります。 以上、文教行政の当面する諸問題について所信の一端を申し述べさせていただいた次第でございます。 文教委員各位の一層の御指導と御協力をお願い申し上げる次第でございます。 ありがとうございました。(拍手)
○工藤委員長 次に、平成元年度文部省所管予算の概要につきまして説明を聴取いたします。麻生文部政務次官。
○麻生政府委員 平成元年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げさせていただきます。 時間の都合がありますので、少々速く読ませていただきます点を御容赦をお願い申し上げます。 平成元年度の文部省予算につきましては、文教は国政の基本であるとの認識に立ち、二十一世紀を担う青少年の育成を目指した教育改革をさらに積極的に進め、教育・学術・文化・スポーツの諸施策について、その着実な推進を図ることとし、所要の予算の確保に努めたところであります。 文部省所管の一般会計予算額は、四兆六千三百七十九億二千九百万円、国立学校特別会計予算額は、一兆九千百二十二億六千三百万円となっております。 以下、平成元年度予算における主要な事項について、御説明申し上げます。 第一は、生涯学習の振興に関する経費であります。 人々の生涯にわたる多様な学習活動の振興に資するため、生涯学習の基盤を整備充実するとともに、ふるさとづくり、長寿対策等の推進を初めとする社会教育の拡充を図ることといたしております。 まず、生涯学習の基盤の整備充実につきましては、地域における生涯学習に取り組む体制の整備を図るとともに、新たなメディアの活用等による多様な学習情報の提供、放送大学の整備、専修学校教育の振興、青少年・成人・婦人など各層に対する学習機会の提供に努めるほか、地域における社会教育活動の拠点となる公立社会教育施設の整備、社会教育主事、社会教育指導員等の養成確保に努めることといたしております。 また、ふるさとづくり、長寿対策等の推進につきましては、家庭・地域の教育力の活性化、ふるさと学習・自然とのふれあい促進、高齢者の生きがい促進や民間の社会教育活動の振興を図ることとし、所要の経費を計上いたしております。 さらに、青少年に豊かな生活体験の機会を提供するため国立少年自然の家の計画的な整備を進め、山口県徳地町に第十二番目の少年自然の家を機関設置するとともに、長野県高遠町に置く第十三番目の少年自然の家の設立準備を行うことといたしております。 このほか、国立オリンピック記念青少年総合センターについては、施設の総合的整備のため実施設計に着手することとし、所要の経費を計上いたしております。 第二は、初等中等教育の充実に関する経費であります。 まず、義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の改善計画につきましては、いわゆる四十人学級の実施について、小学校は児童減少市町村以外の「その他市町村」内の学校の第四学年まで、中学校は新たに児童減少市町村以外の「その他市町村」内の学校の第一学年に着手することとして、それぞれ施設余裕校について実施することとしたほか、教職員配置についても所要の改善を行うことといたしております。 次に、教職員の資質の向上を図るため、初任者研修制度を小学校について本格実施することといたしております。また、新たに養護教員、特殊学級担任教員に対する研修を実施し新規採用教員等研修の充実を図るとともに、免許外教科担任教員研修、教員の海外派遣、教育研究グループ補助、教育研究団体への助成などを行うことといたしております。 教育内容につきましては、その改善について、教育課程審議会からの答申をもとに学習指導要領等の改訂を行い、その趣旨の徹底を図るため講習会を行うとともに、新学習指導要領等の内容を解説した指導書の作成を行うことといたしております。また、学校におけるコンピューター利用のあり方等についても引き続き研究を行うことといたしております。 教育方法等につきましては、その改善・充実を図るため、引き続き総合的な調査研究を推進するほか、教育機器を利用した教育方法開発のための特別設備の助成等を行うことといたしており、また義務教育教科書の無償給与につきましても、所要の経費を計上いたしております。 次に、児童生徒の問題行動や登校拒否、高校中退などの学校不適応の問題について適切に対処するため、新たに学校不適応対策事業を実施するとともに、児童生徒の健全な育成に資するため、自然教室推進事業の拡充を図るほか、引き続き生徒指導推進校の指定、生徒指導担当教員の研修等の各般の施策を充実することといたしております。 道徳教育につきましては、児童生徒の豊かな人間形成を図る上で極めて重要な役割を担っていることにかんがみ、学校と家庭・地域社会とのより密接な連携及び奉仕的体験、生活体験等を通じての道徳的実践力の育成・強化のより一層の充実を図ることといたしております。 幼稚園教育につきましては、保護者の経済的な負担の軽減を図るための幼稚園就園奨励費補助を行うなど、一層の振興を図ることといたしております。 特殊教育につきましては、心身障害児の理解認識の推進、特殊教育就学奨励費の充実など、その施策の振興に努めることといたしております。 また、海外子女教育・帰国子女教育につきましては、日本人学校の増設、児童生徒数の増加に対応し、派遣教員を増員するとともに、中国等帰国孤児子女教育研究協力校を拡充するなど、帰国子女受け入れ態勢の整備を図ることといたしております。 さらに、児童生徒等の健康教育の充実に努めるとともに、学校給食につきましても、豊かで魅力ある学校給食を目指して、学校給食施設・設備の整備を図ることといたしております。 次に、公立学校施設の整備につきましては、校舎等建物の新増改築事業について所要の事業量を確保するとともに、大規模改造費補助の高等学校等への適用及び情報教育に対応するための補助対象工事費の拡大等の補助制度の改善を行うこととし、これらに要する経費として、二千四百三十九億円を計上いたしております。 なお、定時制及び通信教育の振興、理科教育及び産業教育の振興、英語教育の充実、地域改善対策としての教育の振興など各般の施策につきまし 以上、平成元年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。 何とぞ委員の方々によろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○工藤委員長 以上で説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十六分散会 以上、平成元年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。 何とぞ委員の方々によろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○工藤委員長 以上で説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十六分散会