農林水産委員会 第3号
- 発言数
- 3 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1989/05/19
会議録
○堀之内委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 この際、羽田農林水産大臣から農林水産業の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。羽田農林水産大臣。
○羽田国務大臣 私の所信の一端を申し上げます。 昨年を振り返りますと、対外的には、牛肉・かんきつや農産物十二品目の輸入自由化等の決定などがありましたし、国内問題としては、不順な気候による東北地方を中心とする冷害が発生するなど、農林水産業をめぐる状況には非常に厳しいものがありました。 また、我が国の農林水産業は、食料消費の伸び悩み、生産性向上の立ちおくれ、労働力の高齢化などの諸問題に直面しており、内外価格差の是正、農業保護のあり方等につき内外から強い関心が寄せられております。 申し上げるまでもなく、農林水産業は、国民生活にとって最も基礎的な物資である食料等を安定的に供給するという重大な使命を担っているほか、活力ある地域社会の維持、生きがいの充足、国土・自然環境の保全など、我が国の経済社会と国民生活の土台を支える重要な役割を果たしております。 こうした状況のもと、今後の農林水産行政を進めるに当たっては、農林水産業の持つ基本的かつ多面的な役割を踏まえて、社会経済情勢の変化に的確に対応し、農林水産業の役割や施策の内容について広く国民の理解が得られるよう努力してまいります。 以下、平成元年度における主要な農林水産施策について申し上げます。 まず、農業の振興についてであります。 農政のあり方につきましては、さきの農政審議会報告を踏まえ、食料供給力の確保を図りつつ、国民の納得し得る価格での食料の安定供給に努めることを基本として、諸施策を展開してきたところであります。また、農政審議会報告後の事態の推移を踏まえて、国際化に対応し、より積極的な農政への転換を図ることとしております。 具体的には、第一は、農産物輸入自由化関連対策の推進であります。 米国等諸外国との交渉により、輸入自由化措置等を決定した牛肉・かんきつ等については、これら農産物が我が国農業の基幹をなし、地域経済を支える重要部門であることを考慮して、その存立を守り体質強化を図っていくため、必要な国内措置の実施について万全を期すこととし、昨年十二月には、当委員会で御審議をいただきました、いわゆる畜産二法の成立を見たところであります。また、昭和六十三年度補正予算、平成元年度予算等においても、ミカン園の再編整備の推進のための助成金を初めとする関係対策予算を計上したところであります。さらに、自由化の影響を受ける農産加工業者に対する低利融資、税制上の措置を講ずることとし、特定農産加工業経営改善臨時措置法案を国会に提案しているところであります。 なお、貿易問題につきましては、現在ガット・ウルグアイ・ラウンドにおいて農産物貿易をめぐる交渉が進められており、四月上旬には、今後の交渉の枠組み等が決定されたところでありますが、我が国としては、世界最大の農産物純輸入国としての立場から、食料の安全保障等に十分に配慮した新しい農産物貿易ルールの策定に向けて積極的に参加、貢献していく考えであります。 特に、米の貿易問題については、各国が抱える農業問題及び制度について議論を行う段階になれば、討議するにやぶさかでないという立場ではありますが、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議等の趣旨を体し、今後とも生産性の向上を図りつつ、国内産で自給するとの基本的な方針で対処していく所存であります。 第二は、農業の将来展望の確立であります。農業者が将来を見通しつつ営農を展開することができるよう、最近の需給の動向等を踏まえ、新たな農産物の需要と生産の長期見通しを策定することとしております。 また、農業者が意欲的かつ主体的に経営改善に取り組むことができるよう、長期的な観点からコスト低減等の目標となる地域ごとの技術・経営の指標の作成を推進してまいります。 第三は、農業構造改善の一層の推進等により、足腰の強い、生産性の高い農業を確立することであります。 我が国農業の最重要課題である土地利用型農業の経営規模拡大と生産性の向上を図るため、農地の賃貸借や農作業の受委託等を推進するとともに、国営土地改良事業の再編整理を初めとする土地改良負担金対策も講じつつ、農業基盤整備事業を着実に推進してまいります。税制面においても、経営規模拡大を進めるため、農地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除額を引き上げたほか、関係機関・団体が一体となって農用地の利用の調整を活発化するため、農用地利用増進法の一部を改正する法律案を国会に提案しているところであります。 また、生産性の高い生産組織の育成や地域営農システム構築のための対策、制度資金等の償還の円滑化を図るための償還円滑化資金の創設等の施策を講じてまいります。 さらに、農業生産資材対策を拡充するとともに、肥料価格安定臨時措置法を廃止する法律案を国会に提案し、肥料の供給面における競争条件を一層整備することといたしております。 このほか、生産性の飛躍的向上を図るため、バイオテクノロジー等先端技術の開発・普及等を一層推進してまいります。 第四は、需給の動向に応じた農業生産であります。 米の需給につきましては、昭和六十三年産米の作柄は平年作を下回ったものの、持ち越し在庫水準が依然として高く、消費の減退傾向も続いていることから、本年度においても引き続き、水田農業確立対策及び米需給均衡化緊急対策を実施することとしております。 なお、今後の米政策及び米管理の方向につきましては、農政審議会において、需給及び価格の安定を図りつつ、市場原理をより生かしていく等の観点から報告を取りまとめていただいているところでありますが、今後とも食糧管理制度の基本は維持しつつ、広く国民各界各層の理解と支持が得られるよう適切な運営改善を図ることといたしております。 また、農産物に対する消費者ニーズの個性化、多様化等に的確に対応するため、需要者の求める条件に即応し得る産地のモデル的育成等を推進してまいります。 第五は、地域の創意工夫を生かしつつ、農山村地域の活性化を図ることであります。 国土の均衡ある発展を図り、ふるさと創生を推進するとの観点から、地域の立地条件に即した農業・農山村の振興、都市と農村の交流の促進、地場産業の育成、リゾート地域の整備、農村地域への工業等の導入等を推進してまいります。また、農地の多面的利用を進めるため、農地転用の円滑化等につき、所要の措置を講じたほか、都市住民等による農地の利用に道を開く特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律案を国会に提案しているところであります。 第六は、消費者対策の充実、食品産業の振興、輸出促進対策の充実であります。 多様化・高度化する消費者ニーズに対応して消費者対策を総合的に推進するとともに、食品産業の体質と経営基盤の強化を図るため、技術対策を初め国内農業との連携強化等各般にわたる施策を充実してまいります。 また、農家の工夫と情熱の成果である我が国の農林水産物の輸出意欲の高まりを踏まえ、海外市場開拓の推進等、輸出促進対策を充実してまいります。 以上、申し上げました各般の施策のほか、各種制度資金について、その内容の充実整備を図るほか、農業災害補償制度の円滑な運営を図ってまいります。 また、農業協同組合につきまして、低コスト農業の実現等へ向けての自主的取り組みを支援、助長するとともに、今後とも、組合員の意思反映や理事の責任ある執行体制の確保等、必要な指導を行うこととしております。 このほか、国際協力については、開発途上地域の経済社会の発展や地球的規模での環境問題の解決に寄与するため、農林水産業協力を積極的に推進してまいります。 また、平成二年四月から開催される国際花と緑の博覧会について、その準備に万全を期してまいります。 次に、林業の振興についてであります。 林業につきましては、内需の拡大や木材に対する消費者の関心の高まり等明るい一面も見られるものの、昨年後半からの住宅着工の増加基調の陰り、円高に伴う国産材と外材との競合等なお厳しいものがあります。一方、国民の森林に対する要請は、ますます多様化し、かつ高度化してきております。 このため、来るべき国産材時代に備えて、木材需要の拡大、木材産業の体質強化等を図るとともに、低コスト林業の確立と国民の多様な要請にこたえた森林整備の推進など森林・林業の活性化のため、各般の施策の展開に努めるほか、森林の保健機能の増進に関する法律案を国会に提出しているところであります。 また、国有林野事業につきましては、一昨年改定強化した改善計画に基づき諸施策を着実に推進し、経営改善に努めてまいる考えであります。 さらに、昭和天皇の御誕生日でありました四月二十九日が「みどりの日」と定められたことから、これを契機に、国民の「みどり」を大切にする気持ちをこれまで以上にはぐくんでいきたいと考えております。 次に、水産業の振興についてであります。 水産業につきましては、二百海里体制の本格的定着による海外漁場の制約の増大、輸入水産物の増加、資源状態の悪化等まことに厳しい状況に置かれております。 しかしながら、我が国の水産業は、国民の必要としている動物性たんぱく質の約半分を供給し、健康的で豊かな日本型食生活の一翼を担う重要な産業であることから、長期的視点に立って新しい時代に即応した水産業を確立することが急務となっております。 このため、漁港事業、沿岸漁場整備開発事業等の実施により漁業生産基盤の整備の積極的な推進に努めるとともに、つくり育てる漁業の振興、新技術開発の推進、さらには消費者のニーズ、流通の変化等を踏まえた近海資源の付加価値の向上を含む水産物流通加工体制の整備等により、我が国周辺水域の漁業振興を強力に進める必要があります。 また、厳しい状況に置かれている漁業経営について、漁業構造の再編整備と漁業経営指導の充実等を図るほか、粘り強い漁業交渉による海外漁場の確保に努めるとともに、対外交渉に向けての資源調査を充実させてまいる考えであります。 次に、消費税への対応について申し上げます。 消費税の円滑な実施を図るため、農林水産省としても、さきに消費税導入円滑化対策本部を設置し、各般の対策を実施してきたところでありますが、今後とも農林水産業及び食品産業における消費税の円滑かつ適正な転嫁と便乗値上げの防止にきめ細かく対応してまいる所存であります。 以上のような農林水産施策を推進するため、平成元年度の農林水産予算の編成に際しましては、農林水産業をめぐる諸般の情勢を踏まえ、農産物輸入自由化対策等を中心とする昭和六十三年度補正予算とあわせて、これからの積極的な農林水産行政の展開の端緒となるよう十分に意を尽くしたところであります。 また、現在国会に提出しております法案につきましては、今後とも、当委員会の場におきまして、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 以上、所信の一端を申し述べた次第でありますが、農林水産行政を進めるに当たっては、農林水産業関係者のみならず消費者を含めた国民各界各層の理解と協力を得つつ、農林水産業に携わる方々が、やればできるという意欲を持って取り組めるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。 委員各位におかれましては、農林水産行政推進のため、一層の御支援、御協力を賜りますよう、お願いを申し上げまして、所信の一端といたします。 ありがとうございました。(拍手)
○堀之内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十五分散会