大蔵委員会 第6号
- 発言数
- 119 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1989/03/24
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を求めます。村山大蔵大臣。 ————————————— 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○村山国務大臣 ただいま議題となりました国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 国際復興開発銀行、いわゆる世界銀行は、開発途上国に対する開発援助を促進する上で中心的役割を果たしている機関であります。 先般、世界銀行において、その資金基盤の強化を図るための一般増資に関する総務会決議が成立いたしました。政府は、開発途上国の社会経済開発における世界銀行の役割の重要性にかんがみ、同行の活動を積極的に支援するため、この決議に従い、追加出資を行いたいと考えております。 本法律案の内容は、政府が同行に対し、四十一億一千四百四十万協定ドルの範囲内において追加出資を行うことができるよう、所要の措置を講ずるものであります。 なお、世界銀行が開発途上国に対して安定的に貸し付けを行い得るよう各国とも早急に出資を行うことが期待されており、第二位の出資国である我が国としては、国際社会における信用を維持するためにも、早期に出資を行うことが必要であります。 以上が国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○中村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁澄田智君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 —————————————
○中村委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 ただいま議題となりました世界銀行に関する法律案につきまして、今、私ども国際関係の中で非常に重要な問題の一つが、この開発途上国の累積債務に対する私ども先進国側の対応ということでございますが、この問題についてはジェームズ・ベーカー前財務長官の構想とか、あるいは大蔵大臣でございました宮澤構想とかいろいろと既に問題が提起されておりましたけれども、最近新しくブッシュ政権の財務長官になられましたところのブレイディさんが新しい構想を提案されておるわけでございます。 そこで、本日は皆さんにこの問題についての現状なりいろいろな問題をちょっと御理解いただくために、私は単に政府に対していろいろ問題をお尋ねするということもさることながら、政府の側も、御出席の議員の皆様がこれらの問題について十分御理解がいただけるように、わかりやすくひとつこの問題について答弁をしていただきたい、こう考えるわけでございます。 まず最初に、現在の開発途上国の債務の残高とかその他の現状について、国際金融局長の方からひとつ説明を求めたいと思います。
○内海(孚)政府委員 お答え申し上げます。 まず開発途上国の債務の残高でございますが、ことしの末には約一兆二千億ドルの債務残高になるというふうに見られております。その中で特に目立ちますのは、だんだん債務が短期のものよりも中長期のものが多くなる。それから民間資金が、これから申し上げますように、ややフローとしては減少傾向にありまして、公的な方でカバーする割合がふえてきておるということでございます。 ただいま申し上げました民間の流れで申し上げますと、例えば一九八七年には民間からニューマネーも出ておりますけれども、元利返済の方がこれを上回るというようなことで、八七年には流れで見ますと三百八十二億ドルのネット減でございます。それから八八年の見通しといたしまして、これはまだ推計の段階ですが、四百三十億くらいネットでマイナスになるというふうに想定されております。 それから地域別に見ますと、やはり大きいところは中南米、これが一九八七年末の債務残高で約四千億、アジアが約三千億でございます。アジアの場合には大体公的資金と民間資金が半々くらいの割合、中南米は一人当たりの国民所得が高いこともありまして、公的資金よりも民間資金が主役になっております。 それから国別に見ると、やはり一番大きな問題を抱えているのがいわゆる御三家、ブラジル、メキシコ、アルゼンチンでございまして、ブラジルは八七年末の債務残高が千二百三十九億ドル、メキシコが千七十九億ドル、アルゼンチンが五百六十八億ドル。 以上でございます。
○堀委員 今ざっと国際金融局長の方から御答弁ございましたが、実は債務残高の伸びというのをちょっと年率的に見ますと、一九八五年には前年比で八・二%伸びている。一九八六年は八・四%、一九八七年は一〇・九%と伸びてきているのですが、一九八八年はこの資料で見ておりますと二・〇%しか伸びない。これまで相当資金の流入があったために残高が伸びてきていたと思うのでありますけれども、ここへ来てどうも、今のこの資料は世銀のワールドレポートの資料でありますけれども、これを見ておりますと一九八八年の伸び率二%、一九八九年二・九%と大変——債務残高がふえる必要はないのでありますけれども、要するにそれではこの国たちはもう資金を必要としていないかというと、実は資金を必要としているのでありますけれども、外へ流れ出る方の資金が大きくなるものですから、結果的には今のようなことになるのではないか、こう考えておるわけです。 そこで、私の方の資料でちょっと御説明をしたいのであります。これはIMFのワールド・エコノミック・アウトルックの一九八八年四月のデータでありますけれども、今開発途上国百二十六の中で、債務を負っておるところと債務を負っていないところが並べられておるわけでございまして、債務を負っていないところが六十一国で、債務を負っているところが六十五国ということの計算のようでありますが、これをずっと見てみますと、輸出の状態あるいはその他の状態を見てみますと、全体の輸出八二の係数の中で、債務のない国が五〇、三二が債務を負っておる国というようなことです。 そういう中で特に非常にはっきりしておりますのは、GDPの成長の状態というのが、一九八一年から八二年にかけて債務のない国は四・七%、八三年から八七年にかけて五・九%というふうに、LDCの諸国でも債務のないところは成長しているのでありますけれども、債務のある方の国はマイナス〇・一%が一九八一年から八二年、それから一九八三年から八七年は二・一%ということで、全体で三・九%平均伸びておりますけれども、約半分ぐらいしか実は成長ができない。ですから、今後の私たちの累積債務国に対する対応をうまくやって、そうしてこの国の生産が全体で上がってくる、こういうふうになりますとこれらの問題が大いに改善されてくるだろう、こう私は考えておるところでございます。 そこで、このブレイディ報告の前に、いわゆるジェームズ・ベーカーの構想というもの、それから宮澤構想というものがあったわけでありますが、これをちょっと簡単に御説明いただいて、その上でブレイディ構想なるものを国金局長の方からひとつ御説明をいただきたいと思います。
○内海(孚)政府委員 まず、いわゆるベーカー構想でございます。これは一九八五年にソウルにおけるIMF・世銀総会でベーカー財務長官が発表した構想でございます。 この軸になるものは、第一に、開発途上国の債務問題というのはみんなに万能薬的に効くものはないので、ケース・バイ・ケースに対処していかなければいけないということでございます。 それから第二に、一番重要なことは、債務国自身がIMFときっちりした経済の立て直しの計画について合意をして、その中で成長志向型の経済調整を進めていくということの必要性でございます。 それから第三番目が、そういうことを前提として、民間銀行はニューマネーを円滑に供給することが大事だということでございます。 それから第四に、そういった厳しい経済政策を追求する中で、将来の成長につなげていくために、世銀とか地域開発金融機関が資金を供給して成長の助けにするということでございます。 これがいわゆるベーカー構想でございます。基本的には、そういった債務国の厳しい自助努力を前提としながら、ケース・バイ・ケースに進めるということは今でも正しい戦略でございまして、これは新しいいわゆるブレイディの構想にも貫かれているわけでございますが、ただ問題は、先ほど来御指摘ありましたように民間の方の資金が実はとまってきて、むしろ流れとしては逆になってきているというところからいろいろ問題があり、新しいアプローチが必要ではないかということになってきたわけでございます。 そういった背景のもとで、いわゆる宮澤構想、これは昨年のトロント・サミットのときに、関係国の間に提示をして議論をしたわけでございますが、その基本的な考え方は、先ほどのベーカーのフレームワークの中で、つまりケース・バイ・ケース、それから債務国自身の厳しい自助努力が必要だという前提におきまして、一つの大きな柱は、これを毎年のように一年ずつの計画を立て、二年ごとに銀行と債務国と集まって、そのときそのときを単に糊塗していくだけではなくて、ある程度中期的な対応が必要ではないか。債務国はIMFとの間に中期的な、例えば三年間程度の経済の再建計画というものを持って、それを前提としてIMF・世銀、それから債権国の公的機関、民間銀行、そういったものが協力をしながら中期的な対応をしていく必要があるのじゃないかというのが一つの柱でございます。 もう一つの柱は、日本語で言うと三方一両損というようなことになるのですが、損というとちょっとネガティブな感じがあるものですから、我々は責任分担と言っておりますが、三者、つまり第一に債務国、これは厳しい経済運営をすることによってそれなりの重荷を負わなければいけないでしょう。それから第二に、民間銀行の方もそれなりに責任を分担して問題の解決に手をかしてほしい。それから第三番目に、いわゆるパブリックセクター、これには世界銀行・IMFといった国際機関もありますし、あるいは各国の機関としては例えば我が国の輸出入銀行のような公的機関もございますが、こういったところも応分の責任を分担しながら問題の解決に当たっていこう、こういう考え方でございます。 それから、ほぼ同時に、ミッテラン構想というのがフランスから発表されました。これの基本的な考え方は、債務国の債務自身をある程度減らしていかないといけないのではないか。また、その過程で債務国が民間銀行に払う金利について何らかの格好で国際機関が保証していかないと、民間銀行もそれなりの重荷を負うことは難しいだろう。そういう前提に立ちまして、その保証あるいは担保化のための手段としてSDRを新規に発給しまして、先進国はその配分されたSDRをIMFに一たん拠出し直して、それをもとに開発途上国の金利支払いの保証に充てたらどうだろうかという構想でございます。
○堀委員 今お話がございましたように、既にいろいろな構想ができてきておりますけれども、現実にはなかなか話がまとまらない。 私は、一番話がまとまらないもとはどこにあるか、こう考えますと、やはり随分たくさん民間銀行が貸し付けて、債務が既にたくさん残っておる。そうなっておるのにもかかわらず、どうも利子が完全に返ってないところもあるし、非常に状況が全体として不安定である。ですから、もう少しそれらについての保証がきちっとされて、今お話のありましたようなIMFとか世銀とか、地域開発の米州銀行のような開発銀行とか、あるいはその国の、日本の場合ですと輸銀だとか、こういう公的機関がそれなりの保証をきちんとやってくれて、ニューマネーを貸し付けてもそれは間違いなく返ってくるんだ、こういうことにならないと、それぞれの国民から預かっておる資金でございますから、民間銀行はそういう無責任な貸し付けばできないというのは当然のことだろう、私はこう考えるわけでございます。 そこで、それを踏まえて新聞を読んでおりますと、どうも今度のブレイディ構想というのは、今の二つの問題を踏まえながら、既に日本その他の先進国と協議をした上で構想が発表された、こんなふうに私は受け取っておるわけでございます。今のそういう認識については大蔵大臣はどういうふうに受け取っていますか。
○村山国務大臣 確かに、将来の利払いなり元本の返済についての国際金融機関に対しての保証がないという点と、それからブレイディさんが言っているように、債務残高がかえって逆にふえているというような問題、それからその原因の一つとして資本が逆に逃避している。だから何といっても債務残高を減らさなきゃいかぬ、こういうところにねらいをつけたんだろう、こう思うわけでございます。
○堀委員 それでは、今度はブレイディ構想そのものを少しわかりやすく答えてください。
○内海(孚)政府委員 いわゆるブレイディ提案は、今月の十日、ブレイディがブレトンウッズ・コミッティーというところで演説をしまして、これで基本的な考え方を述べたわけでございます。 その背景は先ほど来御指摘のあったような背景でございますが、基本的には従来のベーカー構想の柱でございますケース・バイ・ケース・アプローチ、あるいは債務国自身の経済再建、あるいは構造改革の努力というものにウエートを置いているという点は同じフレームワークの中にあるわけでございますが、かなり新しいものを織り込んでおります。 それは第一に、対象となる国についてでございますが、これはIMFと中期的な経済調整プログラムを合意して実施する債務国を対象とする。中期的な対応ということにかなり重点を置いているという点でございます。これは私どもの考え方と軌を一にするものであると思っております。 また、具体的なメニューに入ります前に、どういうことを前提として考えているかといいますと、今大臣からのお話もありましたように、幾らニューマネーを注いでも、あるいはいろいろな救済措置を講じましても資本逃避ということでは意味がないので、これをいかに防止するかということを債務国自身にしっかりとやってもらうということが一つの筋になっております。 それから第二に、逃避した資本がやはり戻ってくるような経済政策、また外国からの資本がどんどん入っていって、その経済を活性化していくような経済政策をとるべきだということに重点を置いております。 その次に、いわゆるフリーライダーの排除という問題がございます。これは従来から、いわゆるバンク・アドバイザリー・コミッティーというところで銀行と債務国との間で交渉しまして、リスケとニューマネーというもののパッケージができましても、協力する銀行は結局そういった責任を分担するわけですから、そういったりスケにも応じない、ニューマネーの提供にも応じないという銀行でも、ほかの銀行が弁済を受けるときには同じように弁済を受けなければならないという契約条項があるために、結局フリーライダーが存在する。これがこの問題の前進を大きく妨げていたということがあるものですから、フリーライダーを排除するような契約条項の公開というものも全体の枠組みに取り入れる必要があるということでございます。 この辺が新しい見方を前提としているわけですが、こういうことを前提といたしまして、大きく分けまして、メニューは二つのメーンのメニューになるという考え方でございます。 一つは、いわゆる債務の債券化、これはデット・ボンド・スワップと言っておりますが、これは計算のための例でございますけれども、例えば百の元本の銀行債権を割り引きまして、これを六〇%の額面の債券と交換する。この債券の元本につきましては、債務国の外貨準備、それからIMF・世銀から融資された資金で担保をする。それから、利払いの方はIMFとか世銀の資金によって担保をする。つまり、額面は割り引きされるかわりに元本それから利子の、これは場合によっては全部とは限りませんが、全部もしくは一部に保証がっくということが一つのメニューでございます。 それからもう一つのメニューは、利払いの方の軽減で、元本百なら百というものはそのまま据え置きますが、これには保証はつきません。そのかわりに利払いの方は、例えば一〇%というものが仮に何年間か五%に軽減される、残りの五%についてはIMF・世銀が同様に保証をするというような、この二つが主なメニューになりまして、それ以外に、例えば債務の株式化その他のメニューもケースによって当然あり得るわけですけれども、主なメニューはこの二つでございます。 つまり、今回の考え方は、リスケをし、またニューメニューを出すが、そのニューメニューが結局は利払いになって銀行に戻るというようなことをいつまでやっていてもなかなか収拾がつかないので、この際は債務を減らすあるいは債務の利払いを減らすということ、同時にそれとまた並行してIMF・世銀からの資金協力の流れを太くする、そうやってまたその国が経済再建計画の実施と相まって一日も早くマーケットに戻ってくることを期待する、こういう基本的な考え方に立つものと私どもは考えております。
○堀委員 今、国際金融局長から今度のブレイディ提案のあらましの報告がありました。 澄田日銀総裁にひとつお伺いしたいと思うのでありますけれども、日本銀行もやはりバンク・オブ・バンクとして、日本の民間金融機関が四兆ぐらいでありますか債務がある、こういうことでございますから、重要な関心をお持ちだと思うのでございます。そこで、ブレイディ報告の中で、日本銀行からごらんになってこれは大変重要な問題だな、ここがポイントだなとお感じになるような点がございましたらちょっとお答えいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○澄田参考人 仰せのとおり、私どもの立場といたしましても非常な関心を持っているところでございます。 今回のブレイディ財務長官の提案の中で私どもポイントとして注意をしていかなければならない、こういうふうに思います点は、債務を減らすということを一つの大きな柱としておるわけでございますが、あるいはこれは先ほども説明のありましたように、ボンドとスワップをするとか、あるいはその債務を買い戻すというような形で債務を減らす、また一方において利子の削減ということも考える、こういう場合に、しかし他方でニューマネーというものがやはり要る場合が必ず出てくるであろうと思います。そういう場合に、民間銀行の立場として、債権を減額されて、あるいは利払いを減額されてなおかつニューマネーを提供しなければならない。そういう場合に民間の債権銀行がいかにその責任を果たしていくかという点で問題がある、こういう場合はあり得ると思うわけでございます。 このブレイディ提案自体が今後さらにいろいろと詰めていくことでございますので、私ども今後、特定国に適用するというような場合あるいは具体的なやり方を詰めていくというときに、そういった観点でいろいろ民間銀行の立場も十分に考えながら処理をしていかなければならない、こういうふうに心得ておるところでございます。
○堀委員 今、澄田総裁がお話しになりましたように、実はこの問題は、一番大きい資金の出し手である民間銀行がその気になって、ニューマネーも出すしりスケジュールもやるということにならなければ、幾ら政府が笛を吹いても物は進まないというので、私も総裁と同じ認識に立っているわけでございます。 このブレイディ報告というのを見てみますと大変いいことが書かれておりまして、「債権国政府については、」というところに「パリ・クラブを通じたリスケ、健全な改革プログラムを行っている国に対する輸出信用の供与の継続。」これは当然であります。二番目に「追加的資金支援を行うことが可能な国は、これを検討することを期待。」これも当然でありますが、三番目に「銀行監督規制、会計規則、税制面において、債務削減に対する障害がある場合には、これを縮減する方策を検討すべき。」大蔵大臣、ブレイディ提案の中でこれは非常に大きな前進だ。 私は、この前からここで幾つかの国際金融あるいは先物その他のいろいろな問題の論議をしてまいりましたが、今こういう国際的な問題でどうしても大事なのはいわゆるレベル・プレーイング・フィールドで、同じ高さの球場でサッカーならサッカーをやりましょう。もし球場がどっちかへ傾いていればボールは低い方へ行くわけですから、同じ条件でスポーツをやっていると言うわけにはいかないんだ、だからすべての国が同じレベルのいろいろな条件のもとで仕事ができるようにするというのが国際金融その他国際的な問題のベースだ、私はこう考えております。 ところが、いろいろな資料を見ておりますと、どうもなかなか日本の場合はそうなってないんじゃないか。要するに、この間中村委員長の御招待がありました会で私一言ごあいさつをさせていただいたのでありますけれども、いろいろな国の制度、税制にしろ法制にしろあるいは銀行の経理基準にしろ、物ができまして、そのできたときにはいろいろ客観的な事実にマッチするものができているのだと思うのでありますけれども、客観的事実がどんどん動いていくにもかかわらず、そういう法制あるいは規制の問題というのは実はなかなかこれと同じように動いていかない。できたときにはマッチしているのですけれども、少し時間がたつと大変なミスマッチになる。 こういうことは、何もきょう取り上げる国際金融の問題だけでなくて、日本のあらゆる部面で、そういう法律、仕組みの見直しということが行われなければならない。特に、科学技術やその他今の経済の発展等がこれまでのテンポよりは相当迷いテンポで動いておりますから、かつては十年くらいかかったことが二、三年で動くということになりますと、やはりそういう法制その他の制度は、そのときどきの情勢に応じて見直していくということが行われなければミスマッチが起きる。そのことは、よその国の条件に比べて、よその方が対応が早いものですから、結局今の平らなグラウンドにならない、こういう問題になることが非常に多いのじゃないか。 具体的な問題は後で事務当局とやりますけれども、今のブレイディ構想の中で、私が特にこれは非常に重要なポイントを一つ今度はついていると思うのがそこなのでありますが、大臣、いかがでありましょうか。
○村山国務大臣 今度のブレイディ構想は、概括的な構想が発表されたわけでございまして、これの実際的なあれを考えてみますと、各国が集まって、あるいはG7あるいは暫定委員会で煮詰めていかなくちゃならぬ問題だろうと私は思っております。そして、かなり後の方になって今先生が言われたような問題が出てくるのじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。 それで、銀行の経理基準にしろあるいは貸付債権の損金算入の制度にしろ、どこの国でも自分の銀行なら銀行というものを考えて、そうして統一的な経理基準をみんなつくっておるわけでございますし、また、税制は税制で公平という立場からいろいろなものを組んでおりますが、それが国際的な問題に照準を——一つの商品とかの規格の統一のようなものは非常に早くいく性質のものですけれども、こういう問題は、そのときになりますとそれに合わせてどう考えるか、こういうことになってくるのじゃないか。しかし今、堀委員の言われた点は、いずれは重要な問題となって浮上してくるであろう、こんな認識を持っております。
○堀委員 確かに私、これの着地点はどこか、こう考えますが、どっちにしても七月十四日にパリでサミットがありますから、このパリのサミットまでには今のスキームをきちっと話し合って、ある一つの具体的なものにならなければ提案の意味がないわけですね。少なくとも、三月に提案されて四、五、六と、七月まで三、四カ月ありますし、今おっしゃったようにG7もあるしIMFの委員会もありますししますから、そういうところでやっていただくのですが、今春直にこれをやることが、要するに民間銀行を金を貸そうという気にさせないことにはこのブレイディ提案は生きてこない、こう私は思っておりますので、これが非常に重要だと思います。 もう一つ、大臣がさっきおっしゃいました資本逃避の問題ですね。この資本逃避というのは、ずっと資料を見ておりまして、国によって違うようでありますけれども、多かれ少なかれ資本逃避が行われている。私の感じでは、今の主体、大きいところは中南米の諸国が多いようですが、その逃避した先ほどこだろうか。やはりアメリカの民間銀行の方へ逃避しているのじゃないだろうか。そうすると、アメリカの民間銀行は確かに債権もたくさんありますし、引き当てをしたりいろいろやっておられますが、日本のように逃避資金が一切入ってこない国と逃避資金の入る国とでは、民間銀行としては大分感じが違うだろうと思います。ですが、ここは逆に今の平らなグラウンドにしてもらって、ここへ資金が逃げないようにするということが、大臣もちょっとお触れになりましたが、特に日本の民間銀行としては非常に重要な課題ではないだろうか。 しかし、さてそうはいうものの、これはその国その国、幾つかの国の資本逃避をゼロにはできないにしても、どういうふうにして最少の方向にするか。この報告の中では二カ所で触れておるわけでございます。ですから、このブレイディ報告もこの問題については大変重要な認識を持っている。「資本逃避が債務残高を上回るケースも多いので、逃避資本の還流の重要性を認識する。」ということが一つございますし、さらに「債務国は、資本流入の奨励、国内貯蓄の増強及び逃避資本の還流のための施策に重点を置くべき。」こういうふうに二カ所にわたって触れておりますことは私も大変重要な問題だ、こんなふうに感じるわけであります。 そこで国際金融局長、これは抽象的にこう書いてあっても、一体これが実行できるのかどうか、何かはっきりしない大変もやもやした表現だなと私ども思うのですが、具体的には何か手があるのですか。
○内海(孚)政府委員 この問題はまさに委員御指摘のとおり、なかなかうまく抑えられないからまた問題であるところがございます。やはり王道は、ブレイディ演説にもありますように、経済運営自体がしっかりして、出ていったお金も戻ってくる、外からもお金が入ってくるような形になっていれば、出ていくお金、資本逃避というような問題は余り起こらないわけで、これがいわば王道であると思うわけでございますが、そうはいいましても、具体的にその間どうやって抑えるかということはなかなか難しい問題だと思います。 いわゆる資本逃避というのはどういう格好で動くかというのは、いろいろな説があるのですが、よく言われますのは、例えば現金を持っていってしまうということもありますし、それから輸入の場合に、オーバーインボイスで実際よりも余計なお金を送金する、それから輸出の場合は逆にアンダーインボイスをするというようなやり方が一番多いと言われております。ですから、その辺は税関当局がいかに目を光らせるかということにも関係はするのだと思いますが、いずれにしても、どこまで本気になって経済運営、それからそういった技術的な点まで含めて取り組む姿勢があるか、また、そういうことが事実上、また技術的にもどの程度可能かということで、これは債務国自身との間で十分話を詰めていく必要のある問題であるというのが我々の認識でございます。
○堀委員 実はさっきの国金局長の報告の中で、今度のやり方の中にいわゆるただ乗り、フリーライダーはやらせないという、金融機関側にはある種のペナルティーが加わるのですね。私はこのブレイディ報告の中で「資本逃避が債務残高を上回るケースも多いので、逃避資本の還流の重要性を認識する。」こう書かれておるところを見ると、ともかくある程度のことをアメリカ財務省は知っているのだろうと思うのですね。ということは、今の債務残高を上回るケースがあるんだということを言うぐらいですから。 そこで、私は債務国にも一種のペナルティーといいますか、細かいことは別として異常な問題を指摘しているわけですから、そういう大量の資本逃避が行われる国は、少なくともこのブレイディ提案は適用しないというぐらいのことにしないと、銀行の側はただ乗りはだめよで済むのですけれども、債務国の方は資金をもらわなければ成り立たないという状況にあるわけですから、そこのところは今のIMFとか世銀とかという国際機関が何らかの方法で監督をしながら、多少のことはやむを得ないと思うのですが、目に余るものについては、このブレイディ提案を実行できないというぐらいの一つの保証があってしかるべきではないか、こんなふうに私は思うのですが、国金局長、答弁してください。
○内海(孚)政府委員 ブレイディ長官の演説自体でも、今回の新戦略を適用する一つの前提として、そういう措置をきっちり債務国がとるということを頭に置いた思想になっておると思っております。
○堀委員 私が今ここでいろいろ申し上げておることは、これから国際的なネゴシエーションをやられるときに、政府は政府の立場があると思うのですけれども、私どもは議会として、政府に向かってきちっとやるべきことはやってくださいということをここで求めておるわけでございます。私はさっきちょっと申し上げましたが、きょうのこの会議録は各国の関係者が見ていただけるような対応をしたい、こう思っておりまして、なるほど政府はこう言っているが、その後ろには国会がこういうことをかなりバックアップしてやっているなということが国際会議において非常に重要な問題ではないだろうか、こう考えるわけであります。 それに関連してちょっとあわせて申し上げておきますが、今度世銀の増資にも応じますし、IMFも出資をやがてすることになると思うのです。順位は二番目とか五番目とかだんだん上がってきていると思いますが、私どもが聞いておる範囲では、IMFとか世銀の中における日本の発言力というのは、必ずしもそういう出資比率でどうという気はないのでありますが、一種の株式会社を考えますと、たくさんの株主の方が発言力があるというのは、今の自由主義、資本主義社会の原則だろうと思います。だから私は、国際社会において日本が全体として立ちおくれておるのは、言うべきところで言うべきことを言っていないのじゃないかなという——わかりませんよ、私はその場に立ち会っていないわけですから。しかし、いろいろな関係からの情報を総合すると、どうももう一つ言うべきことが言われていないのじゃないかという気がしてならないのであります。 そこで一どうもありがとう。今、山中さんも、そのとおりだと言われておるのでありますが、そこで、特に今のような国際機関、IMFや世銀に能力のある人をたくさん出して、その中でIMFとか世銀というのはよその機関だという認識ではなくて、我々も参加をしておる機関だという認識でもうちょっと強力にここにてこをかけて、同時に物も言うということにならなければ、世界一の債権国だなんと言っても空洞化の債権国みたいなもので、要するにウドの大木ではどうにもなりませんので、やはり幹はカシの木のようにしっかりした対応をするということでなければ非常に問題があるのじゃないか、私はこんな気がいたしますが、大臣、いかがでございましょうか。
○村山国務大臣 IMFとか世銀という国際金融機関が今の世界の経済社会で、特に発展途上国の問題あるいは累積債務国の処理の問題でどんな大きな役割を果たしておるか、また将来果たすべきであるか、こういう問題については、私は日本が一番理解が進んでいる国だ。これは国会のせいもありますが、ありがたいことだ、こう思っております。そして、日本の経済が大きくなるに従って、クォータシェアとは別に発言力が非常に強くなる、何よりも日本の意見が求められるということは事実でございます。しかし同時に、今委員がおっしゃいましたように、それが機能するためには各加入国、メンバーであるものが経済の実力に応じてクォータシェアを持つということは極めて当然なことであろう、こういうことでございまして、既に世銀においてはその体を整えたわけでございますが、残念ながらIMFはまだでございます。 ただしかし、実際問題として日本の発言を入れなければなかなかまとまらぬという事情でありますから、この問題はいつかはやらなければならぬのじゃないかという雰囲気はだんだん出ているわけでございます。日本といたしましては、もちろん機会あるごとに言っているわけでございます。ただ、これは発言するタイミングというのがありまして、まだそこまで話がいっていないのにいきなりやりますと、やはりひんしゅくを買うというような問題がありますので、機会を見て筋を立てて堂々とやるべきである、こういうことを我々は考えているのでございます。今度のIMFの増資があるとすればこれは絶好の機会ではないか、このように考えております。
○堀委員 ともかくも私ども日本人の体質といいますか、物の考え方ですけれども、要するに沈黙は金である、雄弁は銀であるとか、どちらかというと同一民族同一言語なものですから、あうんの呼吸とか、要するに物を言わなくてもあるところでわかるんだ。これは一つの民族ですから、国内は私はそれでいいと思うのでありますけれども、国際的には外は契約社会でありますし、非常に違うわけですね。 よく言われることですけれども、ドイツなんかでは交通事故を起こしても、絶対自分の方が悪くない、内心は自分の方がちょっとまずかったと思っていても、おまえの方のミスだと言って徹底してやる。日本の方はすぐ何かよそでそういうことをやっても、いや申しわけない、悪かった。これは国民性ですから仕方がありませんけれども、しかし、我々は今そういう国民性の人たちとやっていかなければいかぬ。 私、かつてパリでローザン・バロンという学者と話をしていたときに、一九八一年でありますけれども、堀さん、どうして日本はいろいろな会議でうまくコンセンサスができるんですかと聞かれました。私もとっさのことですからわかりませんでしたが、私なりの判断で、それはこういうことじゃないでしょうか。日本というのは二千年近くも水田をつくって農耕をやっておる民族だ、これが主要な日本の生活手段でやってきた。水田というのは水を使うものですから、田が階段的になっているのだ。この階段的になっているところに田植えをしようというときは、それまで水のなかったところに水を入れる。その水を入れるのに、自分の田の上の田と下の田と順次みんなが話し合って、いつ水を入れましょうということを決めなければ、水がうまく順序よくいかないというようなことがある。今度は刈り取るときも、水を抜いてしまわなければいけない。そうすると、どこで水をとめるかというのはやはりみんなが協議をして、よし、それじゃこの時期に水をとめて、田を乾かして刈り入れよう、こういうことを二千年近くにわたってやってきておるので、村という一つの単位の中では、皆が話し合って物を決めるということが長いそういう歴史の中で遺伝子の中に継続してきている、こういうことだと思うのですね。 ところが、欧米の方は大体が狩猟民族です。猟をするというのは、みんなが一緒の方向に行ったら獲物がそれだけ減るわけでありますから、みんなが分放して、そして自分の力で獲物をとる、こういうことになるわけでありますね。やはりその基本的な我々の民族の歴史的な発展経過の中に、その民族のいろいろな特性があると思うのですね。 しかし、今日こういう国際社会になりますと、それはコンセンサスも大変重要でありますし、今大臣がおっしゃった潮どきというのも必要でしょう。しかし、潮どきを見ていると大抵ちょっとおくれる形になる。大体物事の発想のあれとして、先んずれば人を制すという日本語がございます。これは中国の言葉かもしれませんが、要するに先手必勝でいかないと、後手で物を言っても、三倍くらい物を言ってもなかなか先に物が出ていくときに対応できない、こういうことでございますので、大臣のおっしゃったようなタイミングの問題は確かに重要です。余りしゃしゃり出ることは、もちろん今日本が最大の債権国になっておりますから問題がありますが、どちらかというと、これまでの常識よりは一歩前へ出て我々の主張を述べるということが今求められているような気がするのであります。これについてはひとつ大蔵大臣と日銀総裁から御答弁をいただきたいと思います。
○村山国務大臣 今の農耕民族の話は、なるほどな、それも一つあるかなという感じがします。 確かに、すべてが契約社会でございますし、それから特に多民族をうまくやっていくというのは、何といっても法律でやる、契約でやる。弁護士さんがあれだけおる国でございますから、我々の国際社会というのはいろいろなところがあるのだ、こういうことを十分知って、そして沈黙は金だというようなことではだめだ、こう思って、今委員のおっしゃったことは拳々服膺してまいります。
○澄田参考人 ただいまのお説は非常に意義深く拝聴いたしました。 私もいろいろな国際会議に出席することが昔の日銀総裁よりは非常に多くなりました。G7は大蔵大臣のお供をして一緒に出るわけでありますが、そのほかスイスのBIS、国際決済銀行の会議でありますとかあるいはその他IMF関係の会議とか出ることが多くなりまして、そういう機会に感ずることでありますが、我々は言うべきときにはどんどん発言をしていかなければならないということを痛感をいたしております。 それから、日本の地位がこれだけ大きくなりますと、向こうから日本の意見はどうかということをまず問題の冒頭に近いところで求めてくる、こういうことも多くなってきているということを感じておる次第でございます。この辺のところ、日本が日本の置かれた地位にふさわしい発言をタイムリーに、また内容もしっかりと言わなければならない、こういうふうに感じておる次第でございます。
○堀委員 今お二人からおっしゃっていただいて、ぜひ政府も日本銀行も、これから国際会議が大変多くなりますから、何もしゃしゃり出てひんしゅくを買うようなことを言う必要はないのですけれども、正論なら私はまともにぶつけて論議を巻き起こすべきだ、こういうような気持ちでございます。個人的な感じになって申しわけないのですけれども、今の国際金融局長なんというのはちょっと控え目とは反対の方向でございまして、大変積極的でございます。金融局長には物を言わないのは、この人は大体ほっておいてもずっといく、そういう感じでございますが、国際会議の場では、皆さんは国民を代表しあるいは日本の企業を代表して仕事をしていただくわけでありますから、この人たちにとって外でもマイナスにならないような十分の対応をぜひひとつお願いをしておきたいと思います。 そこで、ちょっと具体的な問題に入らせていただきますけれども、欧米主要国の開発途上国向け債権に対する引き当て率というものの一覧表を大蔵省からいただきました。国際金融局長の方からちょっとお答えをしてください。
○内海(孚)政府委員 開発途上国に対する債権の引き当てといいますのはちょっと簡素化しておりまして、実は償却をしてしまうということと引き当てというのは、委員御承知のとおり意味が違うわけでございます。 まず大きく分けまして、欧州の国々は引き当てというよりも償却をしている。つまり、銀行の公表決算の上で資産の中から当該債権の特定パーセントをもう落としてしまう、税務上もほとんどの場合はそれを認める、こういうやり方でございまして、引き当てではなくて、いわば償却をしているというのが多くの欧州諸国でございます。 その割合は、いろいろな数字があってあれでございますが、絶対的なものではありませんが、よく言われていますのは、平均的に例えばドイツはもう主要債務国向けの債権は五〇%ぐらい償却しているとか、フランスは四五%とか、それからスイスは五〇%、英国は三五%というようなことが言われております。それからアメリカの場合には、これは償却ではなくて有税で、法人税を払った後の引当金として積んでおりますが、これは平均的に言うと大体三〇%ぐらいというふうに見てよろしいと思っております。それから我が国の場合には、まず一%の海外投資損失準備金で、リスケになったお金及びニューマネーに対応するものについては無税の準備金がございます。それに加えまして、今回改正いたしまして、今年度からそれを入れて一五%まで準備金が積めるということになっております。
○堀委員 今ちょっとお聞きになったように、日本はこれまでは一〇%、これに対してドイツ五〇、スイス五〇、フランス四五、イギリス三五、アメリカ三〇ということで、倍から三倍ぐらい実は引き当ての処理がされておる。引き当てあるいは両方を含んでいることだろうと思いますけれども。 そこで、先ほどちょっと私が申し上げた今度のブレイディ報告の中で、要するに各国がちゃんとおやりなさい、「銀行監督規制、会計規則、税制面において、債務削減に対する障害がある場合には、これを縮減する方策を検討すべき。」である、今これの具体的な問題に入っているわけでありますけれども、こういうふうになっている。 時間の関係で、私の方から少しカントリーリスクに対する引当金の状態ということを申し上げますが、税金の方をちょっと見ますと、日本は特定国向け公的資金貸し付けについて、リスケ対象額及び純増額の一%を無税引き当てということでございますね。米国は特別引当金、ATRRがある。二番目、金融監督当局通達により、特定国を限定し四〇%から九〇%を無税で引き当てられる。英国は、税務署の個別認定により無税引き当て、会計士が指導。例として、ボリビア六〇%、ブラジル四〇%、アルゼンチン四〇%、ユーゴ二五%、メキシコ二五%、ポーランド二五%、こういうような例で無税の引き当てが行われておる。西ドイツは、会計士が出しましたものについて税務署の個別認定により無税引き当てが行われている。フランスは、税務署の個別認定により無税引き当てを行っていて、例えばメキシコについては四〇%、ブラジルについては三〇%を行っている。スイスは、個別累積債務国に対しては個別国ごとに引き当て率を設定、引き当てを実施。銀行監督局がカントリーリスク対象国七十カ国について全体として三〇%の最低引当金を要請しておる。こういうふうなのが現状なんですね。 ですから、私は、一番の債権国としてこれからブレイディ提案に協力をしなければならぬ立場だと思うのですね。協力をするためには、主体は民間銀行ですから、先ほどもお話をしたように、この民間銀行がそういう条件を整えていただいたのなら、我々もひとつ積極的にニューマネーに応じ、今の債務の元本の縮小及び利子を割り引くということについても協力しましょう、そういう気を起こしてくれるような対応を政府側として考えていただかなければならぬ、こう思うのですね。 そこで、ちょっとこれは具体的な問題でありまして、三つ関係があるのですね。きょう私は、これからまだサミットの時期へ向けていろいろと各国のネゴシエーションがありますから、今どうしなさいということを申すわけではありませんが、私の言っておる趣旨は、今あそこに並んでおられる三人の皆さんには十分御理解いただいておる。銀行局長、主税局長それから国税庁の次長、この三人の方が今のこれらの問題についての責任者でございますので、ひとつ方向だけを明示をしていただけば、細かい中身を聞く気はありませんけれども、少なくともブレイディ報告に協力をして、今私が言った各国の状態をにらみながら、この各国の状態に応じて、今国金局長が述べたような引き当て率が実は出ているのです。ドイツが五〇、 スイスが五〇、イギリスが三五、フランスが四五、日本は来年からという話なんでして、きょうはまだ一九八八年度なものですから一〇%、要するに三十一日かどうか知りませんが、四月一日から一五%になるという話だろうと思います。だからそういう状態を踏まえて、ひとつ銀行局長、主税局長、国税庁次長の順に方向をここに明らかにしてもらいたいと思います。
○平澤政府委員 今委員が御指摘のような方向で我々も考えておりまして、現在おっしゃるように一〇%でございます。それから、三月三十一日から一五%、五%ふやします。引き続き、金融機関の経営の状況等もございますが、さらにそれをふやす方向で検討してまいりたいと考えております。
○堀委員 そのふやす方向の問題なんですけれども、またパーセンテージなんというのはやめてもらいたいと私は思うのですね。要するにフレキシブルに、銀行のいろいろな問題については監督行政として銀行局が監督しているわけですから、次はじゃ一五%だから二五%にしましょうなんという話では、これは全然だめだと私は思います。 御承知のように、私はこの委員会で終始一貫デレギュレーションを唱えて今日まで来て、金利の自由化問題についても昭和四十年の予算委員会で、佐藤総理が就任をされたときに、池田政権における固定金利、管理金利をやめて金利を自由化しなければ、この今の日本の成長はもっと高くなりますよ。じゃ、その当時どうなっていたかというと、金利を固定しておいて、日銀の窓口規制で量的規制だけでコントロールしていた。こういう状態が続いたために相当な高度成長になった。佐藤さんは安定成長論者でありましたから、高度成長ではなくて安定成長にしなければいかぬとおっしゃるから、あなたが本当に安定成長にするなら金利を自由化しなければできませんよ、こういうふうに佐藤さんに申し上げたら、昭和四十年の最初の予算委員会で、いや社会党の堀君からそういうことを言われたのは大変ありがたい、ぜひそうしたい——したいとはおっしゃったけれども、しなかったのですね。したいという願望だけを述べられたようです。 そうしたらどういうことが起こったかというと、経済が大きくなって外貨準備の天井がどんどん大きくなった。外貨準備の天井までは引き締めしないですからね。そうすると、成長はもっと高くなったというのが実は佐藤内閣の時代の高度成長なんです。池田さんのときよりはるかに高くなったのですからね。だから、そのもとは金利が自由化されてない、要するに市場で金利が処理されてないということの実はマイナスだったわけでありますから、そういう意味で、それ以来一貫して主張してきて、ようやくここへ来て預貯金の金利も三百万円までがMMCで自由化される。まさにこの間二十四年かかっております。この金利自由化を私が言って、実際に行われるまで二十四年もかかったわけでありますけれども、どうかひとつそんな段階的にではなくて、対応は天井を外して、しかしケース・バイ・ケースで監督するなり指導されるということで処理をされたらいいと思うのですが、今の私の考えについて澄田日銀総裁はどういうふうにお感じになるか、ちょっと承りたいと思います。
○澄田参考人 今回のブレイディ構想に即して申し上げれば、三年間という期間を限って、その間銀行の監督、税制、そういったものを各国足並みをそろえることによって債務の削減を進めるということでありますので、やはりブレイディ構想が効果を発揮するためには、従来のいきさつもございますが、それを離れて、できる限り各国とも平等な措置をとる、そういうことによって各国の銀行が足並みをそろえて対応する、これが一番望ましいことである、こういうふうに考えております。
○堀委員 それじゃ主税局長。
○尾崎政府委員 ただいま大変広い視野からのお話を終始承っていたわけでございますが、堀委員のお話にもございましたように、各国のやり方はむしろ個別対応方式でございまして、我が国のように一般的な引き当て制度の方がむしろ特殊な例となっているわけでございます。そういうようなことも含めまして、ブレイディの構想をきっかけといたしまして税制上の問題が今後論議されるようでございましたら、十分検討してまいりたいと存じます。
○堀委員 国税庁次長。
○伊藤(博)政府委員 税制とは区別されました税務執行という観点からの対応でございますが、事柄の性質上おのずから限界がございますけれども、先生御案内のように債権償却特別勘定という間接償却の制度がございます。これは、従来はおよそ公的債権にそういう制度がなじむだろうかという議論がございました。しかし、実態に即して考えてみますると、それを対象にしていいではないかというような議論がございます。そういった観点から、実はつい最近といいましょうか、昨年の三月から公的債権につきましてもその対象にするということでスタートしたばかりでございます。先ほどの先生のお話にございました、言うなれば報告に先立ってスタートしておるという部分でございます。その制度を着実に守ってまいりたいと思っております。
○堀委員 ちょっと次長にもう一つ伺いたいのですけれども、銀行の焦げつき債権の処理の問題でして、泉さんが国税庁長官をしておられたころというと何年ぐらいですか、大分昔の話ですが、そのときに私は泉さんに、ともかくも銀行が償却をしたいという債権については償却をしてやったらどうですか、ただし、それが生き返ったら当然そこでまた課税すればいいことですから。それを、銀行の方はとてもこれは生き返らない、こう思っておるにもかかわらず、税務当局は、つぶれておらぬのだからだめだとか、それではこの債権償却の問題というのは非常に不十分だ。 私が国会へ出てきたときに、大蔵委員会へ来た昭和三十五年、泉さんは国税庁の間税部長でございまして、私は地元が灘の酒屋の地域でございますから、酒の問題で泉さんとは大変親しい間柄だったのでございます。というのは、当時戦後の状態で、酒造権が権利として売買されていて、そのために酒をつくらないで権利だけ買って食っている酒屋があるということがわかったものですから、とんでもない、もう戦争が済んで十何年もたって、そんなばかな権利にあぐらをかいた酒屋があるなんておかしいということで、徹底して間税部長を追及したわけであります。 ともかく米は十分あるのだから、戦時中の統制時代と違うのだから、しっかり配給してみんなにしっかりつくらせろ、こうやりましたら、泉さんが私のところへ質問が終わって来られて、きょう先生大変いい話をしていただきました、どうして、私あれだけ言ったのにと言ったら、いや私は先生と同じ考えなんですけれども、ちょっと悪いけれども自民党の先生方は酒屋さんがたくさんおられまして、私ども行政でこうやりたいと言ってもなかなか壁が厚くてうまくいきません、しかし、きょう先生が国会でこれだけやっていただいたら、私どもは国会の意思を体してやります。これが日本の酒屋の自由化のスタートになっているわけでございます。 そういう意味で非常に長いおつき合いだったのですが、その泉さんにこの償却問題をひとつ考えてくださいと言いましたら、検討してみますという話で、全然どうにもならなかったというのが過去の状態なんです。それで、これは国内問題で金融の話ですが、要するに一般企業の貸し付けに対しての債権がとれるかとれないかの判断ですが、銀行の方がもうとれないと判断したら償却を認めてやる、しかし、もし仮に生き返ったら当然出てくるわけですから、そのときにはた税金を取る、こういう処理でいいと思うのですが、次長、どうでしょうか。
○伊藤(博)政府委員 償却の問題につきましては、直接償却と間接償却と二つございます。いわゆる直接償却というのは、まさに貸し倒れそのものが生じた場合の対応でございます。これは債権を放棄するといったような場合があれば、そのことによって損金に算入していくということでございます。先ほど私が申し上げましたのは間接償却の方でございます。これは言うなれば、理論的に言えば貸し倒れに準じた場合、そういったときに一定の範囲、これは五割以内と決めておりますけれども、その範囲内で引き当てを認める、そのかわり洗いがえでということで今回の公的債権についての対応をしたわけでございます。
○堀委員 今の制度は六十三年三月にできたのですが、今おっしゃったように債権額の五〇%まで無税償却が認められるのでありますけれども、適格となる債権の条件が厳しくて、現状対象国はボリビア、ニカラグア、リベリア、ザンビア、ペルーの五カ国ということになっておるようでありまして、かつ対象金額も非常に少額だ、こういうことなんです。これは、今私が問題提起をしておる流れに沿って昨年の三月にやっていただいたのだけれども、先取りをしていただいた点は私は国税庁の対応は高く評価をいたしますが、しかし、さらにひとつそれを今私が問題提起しているような方向に向かって進めてほしいな、こう思います。 今の三人の答弁を含めて、大蔵大臣からちょっと一言今後の対応についてお答えをいただきたい。
○村山国務大臣 日本の今の債権についての償却といいますか引き当てといいますか、これは日本流にやっているわけでございます。もちろん貸し倒れがあればそれは直接償却でございますが、そうでない場合には——非常に多い納税者に比べまして日本の税務官吏というのは非常に少ないことも御案内のとおりでございます。したがって、個個の債権について、納税者側がこれはとれないと思ったらまず認めてやるというのは、これは言うべくしてなかなかできないだろうと思っております。したがいまして、一般の引き当て勘定の中でやっているわけでございます。 今国税庁が言いましたように、一定のものについては五割までは間接償却を認めるとか、それから海投損ではニューマネーなりリスケの一%はやるとか、これはそれに調節したのですね。それ以外に御案内のように債権一般について千分の三の貸倒引当金を認めておる。この千分の三がいつでも問題になるわけですね。実績は千分の一ぐらいじゃないかとかいうようなことを言っておりますけれども、やはり全般的にそこを少し緩くして、そしてその中で処理をしてください、こういうことで事実上みんな賄っておるわけですね。私は今の日本のあれからいって、どちらかといえばそういう線は残した方がいいな、こう思っております。しかし、この問題に関する限りこれに焦点を合わした何らかの措置が必要ではないであろうか、そう思っておりますので、もう既に国際金融局と主税局には、いずれこの問題は浮上してくるから今のうちによく検討しておきなさい、こういうことを今命じておるところでございます。
○堀委員 今の問題は、単に税務当局だけではなくて銀行局にも非常に重要な問題を含んでおりますので、大臣ひとつそのような御認識をお願いしておきたいと思います。 最後に、これらの問題について、一つは日本に対して大変期待をしておる発言があるわけでございます。次期財務省次官の予定者になっておりますマルフォードさんの証言でありますけれども、債務国は資本逃避を減らすべきだ、その手段としてIMF・世銀は、債務国がマクロ経済政策、経済構造改革プログラム、これに加えて、外国からの投資がふえ、国内から資本逃避が起こらないよう債務国の投資環境を改善する。さっき国金局長が答弁されたようなことでございます。 そこで、日本はブレイディ・プランに賛成で、支援ファイナンスをするという意思表示を含め、ブレイディ案を全面サポートしている。他の国でも、債務国、債権国を問わず、新アプローチに対して賛成を表明しておる。 これは向こう側のデータをちょっと訳したものであります。日本の新聞にもそう出ているのですが、大変アメリカ側が日本に大きな期待をしておりますけれども、それは私は期待にこたえなきゃいかぬと思います。期待にこたえなきゃいかぬと思いますが、国民が負担をしておる納税によって得られておる国の資金、あるいは厚生年金や郵便貯金等で行われておる財政資金、こういうものがこれとの関連できちんとした処理がされてこないと困る。特にきょう世銀の問題が出ておるわけでありまして、それについては我々国が参加するのは当然でありますから、世銀・IMFには積極的にそういう財政資金をもって協力をしていただきたいと思うのでありますけれども、例えば輸銀がいろいろな問題の処理をする、こういうときにもやはり輸銀そのものは国の機関でありますから、それなりの節度を心得ながらやる。 そうなると、やはり最終的に民間銀行に環境を整えてもらって、そうして一定の保証がついて安心してやれるようにする道の選択が一番重要なのであって、それを安易に国民の納税した資金であるものとか、あるいは今の財政資金のようなものによるということでないようにしていただかないと、これは向こう側の期待が大きいだけに、きちんと線を引いておかなきゃいかぬポイントだ、私はこう思っております。最後に大蔵大臣からこの点についてひとつ明確な御答弁をいただき、私の質問を終わりたいと思います。
○村山国務大臣 今委員の指摘された点は非常に重要な点だと思っております。事実上民間の債権の肩がわりをするような財政資金の使い方は、これは許されるわけはございません。したがいまして、我々が債務国の救済をやるにいたしましても、国際金融機関に対する出資であるとかあるいは輸銀の貸し出しであるとか信用であるとか、そういう正規の機関を通じてしかできないということは当然のことであろう、このように考えておるところでございます。
○堀委員 終わります。
○中村委員長 柴田弘君 〔委員長退席、大島委員長代理着席〕
○柴田(弘)委員 きょうは澄田総裁、お忙しいところどうもありがとうございます。私は、若干日銀の金融政策を中心にしまして御質問をまずさせていただきたい、こう思います。 御承知のように、今大変景気がいいわけであります。イザナギ景気以来と言われている現在のこの景気拡大、これは円高メリットや原油安によるいわゆる物価の安定によって初めて可能になったと思いますが、しかし、最近やや円安傾向あるいは原油高、こうしたメリットが崩れつつあるのではないかという感じも私持っておるわけであります。 でありますから、日銀としては、現在及び今後にわたって景気をどう見定めていられるのか、あるいは物価をどう見てみえるのか、為替相場をどう見てみえるのか、この三点についてまず御意見をいただきたいと思います。
○澄田参考人 お答えを申し上げます。 御指摘のように、我が国経済は非常に好調でございます。景気拡大の三年目に入ったわけでございます。しかも、なお今後も持続性のある力強い拡大傾向を続けている、こういう状況でございます。このような状態の基本的背景といたしまして、やはりこれまでずっと物価の安定が確保されてきたという点に大きなこの場合の背景がある、かように思っているわけでございます。今後さらに息の長い景気拡大を確保していけるかどうか、そうしてそれによって我が国の対外不均衡の是正を図っていけるかどうか、その最大のかぎはまさに物価の安定を維持していくことができるかどうかということにかかっていると思う次第でございます。景気の点についてはそのように考えているところでございます。 物価動向でございますが、足元の物価情勢は、これまでのところ、今までの円高それから御指摘のように原油安、こういうようなことに伴いまして輸入コストが下がってきている、こういうようなことが続いてきたわけでございます。あるいは景気の急拡大によりまして労働コストがかえって低下をしてきている、こういうような効果もあったわけでございます。そういうところから卸売物価、消費者物価ともに比較的落ちついた足取りを示しております。また、先ごろ私どもの方で発表いたしました二月の、日銀の短観と言っておりますが、あの調査によりましても、税制改革の影響を除きました実勢ベースにおきましては、足元、先行きともに企業の価格判断は落ちついたものになっておるわけでございます。こういうようなところから物価安定の基盤が直ちに大きく損なわれるというような状態にはない、こういうふうに思っております。 ただしかし、一方で景気が拡大をしている、あるいは金融の実態が非常に緩和されている、こういうようなところから、今後物価をめぐる環境が厳しさを増してくることは否めないところである、こういうふうに思っております。すなわち、景気拡大のもとで製品需給や労働需給が一段と引き締まりの方向にございます。また、マネーサプライは高い伸びを続けておりますし、企業の手元流動性も高水準で推移しております。さらに、御指摘のように、ここに参りまして若干為替が円安化をしている、それから原油価格が上昇している、また原油以外の国際商品市況も総じて強含んでいる、こういう状況でございますので、この先の物価の先行きにつきましては楽観を許さないものがある、かように考えている次第でございます。 また、今、為替相場の先行きについてお尋ねをいただきました。円相場は、今月の初め以来大体百二十七円くらいから百三十円程度で推移してまいっておりますが、ここ一週間は一ドル百三十一円前後まで円は軟化をしてきている、こういう状況でございます。しかし、日米あるいはヨーロッパ国のファンダメンタルズに格別ここへきて大きな変化が見られるわけではございませんので、この先なお円安方向に大きく振れるというふうには考えておりませんが、しかし為替の先行きについて、通貨当局という市場に直接関与している立場から今後の見通し等について具体的に申し上げることは、いろいろ市場の思惑等を招きやすいことでございますので、それは差し控えたい、こういうふうに思っておりますが、仮に今後為替相場に大きな変動がある場合には、国際協調体制のもとで適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。 いずれにいたしましても、万が一にも将来物価の安定の基礎が損なわれることのないように、引き続き、私どもといたしましては、予断を持つことなく内外情勢を注視していかなければならないと考えている次第でございます。
○柴田(弘)委員 最近、原油価格も上昇に転じつつある、それから、今まで円高であったのですが、ブレーキがかかってやや円安の方向へ進んでいる、そのために輸入コストに上昇圧力が働く可能性が高まっている。私は、景気拡大と物価安定というものが、この円安で両立が困難になったのではないかという感じがしているわけであります。あるいはまた輸入の安全弁効果というものも、国内製品価格が外国製品と競合できる水準まで低下すれば、それ以上の物価引き下げ要因とはなりません。むしろ輸入依存度が高まった分輸入価格が物価に与える影響が大きくなってくる、こういうふうに考えております。こうした点から、物価安定を支えてきた要因に変化の兆しが出てきたのではないか。円高、原油安、金利安という三つのトリプルメリットが、逆にドル高の方向、原油高あるいは金利高、こういった方向へ、デメリットに働いてきつつあるのではないか、こう思いますが、その辺の御認識をひとつ。 それからさらに、四月の消費税導入に伴う便乗値上げが生ずれば、予想インフレ率は上昇し、金融緩和で余裕のある資金が思惑的な在庫積み増しに利用されるおそれがある、このようにも考えておるわけでありまして、こうした状況下で、日銀としての金融政策のかじ取りも非常に難しい局面に入ったのではないか、こういうふうに考えております。今後の金融政策についての基本的なスタンス、これについて参考意見をいただきたいと思います。 この二点、トリプルメリットからトリプルデメリットに移ってきた、その可能性と、金融政策の基本的なスタンス、これについて簡潔にひとつ御答弁をいただきたい。
○澄田参考人 第一点は、先ほども申し上げましたように、このところ情勢が変わってきている、そういうことは確かに私どももそのように考えております。直ちに物価安定の基盤が損なわれるというような状況ではないように思いますが、先行きの状況につきましては、今も言われました今までの円高あるいは原油安あるいは金融の緩和に伴って景気が上昇してきた、こういうような点がいずれも今後は必ずしも楽観を許さない、こういう状況になっている、こういうふうに思っております。 こういう状況のもとで金融政策のスタンスでございますが、物価の安定は、これは何と申しましても息の長い経済拡大、内需の拡大、そのもとで対外不均衡の是正を図る、そのためには、その基礎として物価の安定が大前提である、こういうふうに考えております。したがいまして、金融政策の運営に当たりましては、万が一にも物価安定の基礎が損なわれることのないように今後とも細心の注意を払ってまいりたい、かように考えております。 このような観点に立ちまして、私どもといたしましては、金融政策の運営に当たり、引き続き、予断を持つことなく情勢の推移を注視してまいりたい、そして、必要というような状態になりますれば、これは速やかに対応していかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
○柴田(弘)委員 必要とあらば速やかにそれに対する金融政策の運営を行っていく、こういう御答弁です。 ずばり聞いていきますが、総裁の後に大臣もひとつお考えをお聞かせいただきたいと思うのですが、日銀が十四日に発表した二月の総合卸売物価指数を見ますと、一年四カ月ぶりに前年同月比で〇・三%上昇いたしました。当局は、これをもつて物価の安定基調が大きく崩れる状況ではない、こうおっしゃっているわけでありますが、為替相場の最近の円安方向あるいは対米輸出超過額の伸び、そして四月一日実施目前の消費税の動向、こういったものから、我が国経済の、物価の安定、対外不均衡の是正などの良好さというものが崩れてくるのではないかという考え方を私はしておるわけであります。 一方、米国では二月二十四日公定歩合を〇・五%引き上げまして七%といたしました。御案内のとおりです。西ドイツでは一月二十日に既に四%になっております。ブッシュ大統領は十七日に、二月分のアメリカの卸売物価指数が急上昇したということで、非常に重大な関心を持つようにしていかなければならないと発言をしておるわけです。現実にニューヨーク市場では株式と債券相場の急落によりインフレ懸念が台頭いたしまして、市場関係者は、アメリカの公安歩合の再引き上げがあるのではないか、こう考えております。その可能性はどう見ていらっしゃるか。 いま一つは、もしアメリカが公定歩合を引き上げれば、これは恐らく西ドイツなどのヨーロッパ各国にも金利引き上げという問題が出てまいりましょうし、当然我が国の公定歩合の引き上げという問題も出てくるのではないか、こう考えておりますが、その可能性と、そう仮定をいたしまして、もしそうなった場合には、各国が公定歩合を引き上げたならば、日銀も、先ほどおっしゃったようにとにかく万全の体制をとっていくということでありますが、公定歩合の引き上げはすべきであるのかどうか。その二点、まず総裁からお聞かせいただいて、大臣からも御説明をいただきたいと思います。
○澄田参考人 今のお尋ねでございますが、アメリカなりあるいはドイツなり、他国の金融政策に関しまして、仮定を置いて御質問でございしますが、これに私直接お答えすることは、これはやはり市場等に及ぼす影響も非常にございますので、私の立場からは差し控えさせていただきたい。——可能性についてもやはり同じことでございまして、予想、可能性、いずれも直接お答えはできないと思う次第でございます。お許しをいただきたいと思います。 ただ、昨年来、欧米主要国で景気が予想を上回る拡大を続ける一方、物価面ではインフレ圧力がじりじりと高まってくる、そういう情勢のもとで各国とも機動的に金利の引き上げを行ってきたところでございます。こうしたインフレ抑制姿勢は、世界経済のインフレなぎ持続的成長という観点から見て、各国のとった政策は高く評価すべきものであった、このように思っております。 それから、日本との関係につきましても、金融政策は、結局は各国が独自の判断に基づきまして各国の状況に応じてこれを決めていくものでございます。我が国の政策が直接他国の動きに左右されるものではございませんが、しかし、先ほども申しましたように、欧米主要国と同様、我が国も物価情勢については今後とも細心の注意を払う必要があり、私どもとしては、物価安定のために、これを最大の前提として金融政策面で対応すべき場合には対応していかなければならない、かように考えている次第でございます。
○村山国務大臣 今の世界の経済を見てみますと、日本、アメリカ、EC、本当に拡大基調を続けておるわけでございまして、この拡大基調を今後も続けていきたいということで一国一国はそれぞれ苦労しておりますし、また同時に、今日の状況でございますから、マクロ政策における協調、それから為替相場の安定についての協調、この二つで保っているところでございます。 最近、しかし、景気というものの転換が、物価が非常に問題だ、こういうことが広く認識されておりまして、この点については各国がそれぞれ慎重な態度で対応している、こういうところでございます。最近のいろんな経済指標の動きを見ておりますと、確かに多少の変化はありますけれども、まずまず今協調しているラインで進んでいるな、だから今後ともこの協調政策のもとで、日本は日本で独自にやることがあればそれは別でございますが、やはり協調政策の枠を崩さないようにやっていきたい、このように思っております。
○柴田(弘)委員 とにかく総裁、状況が今いろいろ説明した状況であり、総裁からも御答弁いただいたわけでありますが、そのときになったら、やはり伝家の宝刀を抜くべきときには抜いていただきたい、こういうように私は思うわけであります。その辺だけ簡潔に御答弁をいただきまして、御退席をいただいて結構でございます。よろしくお願いいたします。
○澄田参考人 重ねて申し上げることになりますが、私ども今後十分注意をしていかなければならない情勢である、かように考えております。したがいまして、予断を持つことなく細心の注意を払い、そうして情勢によっては必要な対応を図っていきたい、かように思っている次第でございます。
○柴田(弘)委員 どうもありがとうございました。 続きまして、大臣に御質問いたしますが、四月二日にG7がある予定でございますね。これに臨まれるスタンスでありますが、国際収支の不均衡是正の問題を取り上げるのかどうか。あるいはG7では、過度のドル高は不均衡是正を阻害するとして現行水準での為替安定を再確認するとともに、アメリカの財政赤字削減と日本とドイツによるインフレなき持続的成長の必要性を改めて強調する、こういうふうになるのか。日本はまた一段と貿易黒字縮小の努力を迫られるということになると思います。 それから政策協調などを盛り込んだいわゆる共同声明、先回のG7では何か出されてなかったそうですが、今度の四月二日にはやはり政策協調あるいは為替市場での協力、こういった点について共同声明を出されるとも伺っておりますが、この点は四月二日はどのようになるのでしょうか。
○内海(孚)政府委員 まず事実関係につきまして私から申し上げたいと思いますが、IMF暫定委員会が四月三日にございます。今柴田委員御質問のG7はまだ日程的にはセットされておりませんけれども、通例ではその際に開かれるということは想定されるわけでございます。 開かれた場合にどういうことを議論するかということでございますが、これも通例では、いわゆるワールド・エコノミック・アウトルック、世界の経済状況についての議論、これがいわゆるサーベイランスということが言われておりますけれども、どういうふうに各国間の経済政策をお互いに調和のとれたものとして調整していくか、こういう議論があるわけでございまして、その中では当然のことながら黒字国、赤字国それぞれの状況についての議論があり、その中には、御指摘のように、例えばアメリカの財政赤字についてのほかの国からの希望の表明というのも当然その場合には想定されるわけでございます。さらに、これが開かれた場合には、先ほど来議題になっております累積債務国問題への対応の問題も議論されることとなると思います。 大体、この会議が開かれるかどうか、まだ完全にセットしておりませんので、今委員御指摘の声明のようなものが出るかどうかも、もちろんこれはその場で決まることでございます。前回には声明は出しておりませんし、その辺はこれからのことということになるわけでございます。
○柴田(弘)委員 新聞の報ずるところによりますと、サミットでやはり一つは累積債務問題、それから二つ目には環境問題、こういったものが一つの大きな議論の課題になる、こういうふうに報道いたしておるわけであります。 大臣、この累積債務問題についてまた後でちょっと御質問いたしますが、サミットに臨まれる姿勢、もしありましたら御答弁いただきたいと思います。
○村山国務大臣 サミットの議題も正式にはまだ決まっておりません。しかし、今までのサミットの議題で言いますと、大体G7で問題になったこと、あるいは暫定委員会で問題になったことは必ず取り上げられるであろうということでございますから、従来のものに比べて累積債務国の債務の処理の問題が新たに出てくるのかな、こんな感じはしておりますし、それから、新しい問題としては世界の環境問題が事によると出るかもしれぬな、こんな感じを持っておりますが、今のところ正式の議題がありませんから、いずれ正式の議題が来ると思いますので、それに的確に対応してまいりたい、かように思っております。
○柴田(弘)委員 それでは、次の問題は銀行局長にお尋ねします。 一つは、代金前払いのプリペイドカード制度の問題です。これは、消費税転嫁を図る新商法として代金前払いのプリペイドカードの拡大化が今進められておるわけであります。それから、後払いのクレジットカード、そして都市銀行が進めている銀行POS、つまり代金即時払いのカードですね、これが相当発行されておりまして、まさしく新しいカード時代を迎えるということであります。簡単で結構ですから、もしこの三つのカードの発行について数字的に掌握しておみえになればお聞かせいただきたい。 それから二つ目は、大蔵省はプリペイドカードに関しまして、今通常国会で、消費者保護の立場から発行会社の届け出、許可制、そして銀行保証制度などを盛り込んだ法整備をされると思うわけでありますが、この点については一体どういう内容のものであると、つまり現行の商品券取締法を改正するだけでいいのか、あるいはまた新法を立てられるのか、お伺いしておきたいと思います。 あわせて、普及拡大の阻害要因となっております各種の規制にはどのように対処されるのか。 以上の点について簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
○平澤政府委員 まず、カード時代における三種類のカードの現在の発行額等の現状でございます。 クレジットカードでございますけれども、発行状況は日本クレジット産業協会が調べておりまして、それによりますと、六十三年三月末現在の総発行枚数が約一億二千万枚、国民一人当たり一枚になっておるわけでございます。 それから、二番目のいわゆる銀行POSでございます。これの実施状況ですが、これは金融情報システムセンターが調べておりまして、六十三年九月末現在で、都銀、地銀、相銀及び信金の四業態合計二十一の金融機関において約十二万人を対象に実施されているということでございます。 それから、三番目のプリペイドカードでございます。この発行状況につきましては現在集計しているところがないわけでございますけれども、各方面から調べました主なところについて申し上げますと、まずテレホンカードでございますが、累積発行枚数が約五億八千万枚となっております。それからオレンジカード、これは国鉄、いわゆるJR各社が発行しているものでございますけれども、約四千五百万枚ということでございます。三番目に、道路公団が出しておりますハイウエーカードというものがございますけれども、二十五万枚ということであります。このほか各種のプリペイドカードが商店会その他等で出されておりますが、実態は把握いたしておりません。 次に、プリペイドカードの法律につきましてお答え申し上げます。 御存じのように、本年の二月十七日に「プリペイド・カード等に関する研究会報告」というのが出されております。そこで、報告書の提言といたしまして、「プリペイド・カードと商品券を、統一的に取り扱うことが適当」ということでございまして、具体的に申し上げますと現行の商品券取締法を発展的に改組して対処することが適当であるということでございます。発展的に改組するのを旧法の改正のスタイルでやるのか新法としてやるのか、この辺等につきましては、今後法制局等と相談しながら考えていくということであろうかと思います。 それとともに、先ほど御質問がございました立法化に当たってどういう点を盛り込むのかということでございますが、まさに消費者保護という観点は非常に重要でございますので、そういう関係の規定を盛り込むべきであると考えておりますし、それから、巨額の金を預かっているということ等を考えますと、やはり信用秩序維持の観点、特に発行会社が倒産したときのプリペイドカード所持人の利益を保護するというようなことも含めまして、そういう面での法規制が必要であるというふうに考えているわけでございます。この法案の準備作業は、現在進めております。そして、可能であれば法案を今国会に提出したいというように考えているところでございます。 〔大島委員長代理退席、中川(昭)委員長代理着席〕
○柴田(弘)委員 まさしく今銀行局長の答弁がありましたように、要するに消費者保護の観点に立ってやっていただきたい、こう思います。 プリペイドカード発行業者を届け出制にするか登録制にするか、あるいは許可制にするかという問題がありますが、これも答弁いただきたいわけであります。 あるいは、利用者保護のための信用保証として、カード業者に対しまして発行残高の二分の一の供託または銀行保証を義務づける、倒産しても補償できるようにする、こういうふうになるのかどうか。 それから、企業がプリペイドカードに目をつけるのは、前払い金の運用益や発行されても未利用でしまっておかれる退蔵利益を手にできるうまみがある。それを放置しては消費者が損をすることになるわけでありますけれども、この点はどうでしょうか。 それから、高額カードにプレミアムをつけるというのが常識であって、その場合には一定のルールを設けるべきではないかと考えます。 さらに、退蔵カードを減らすために使用途中で換金できるシステムも必要になってくるのではないか、こういうふうに考えておりますが、この点さらに御答弁をいただきたい。
○平澤政府委員 まさに委員御指摘のように、消費者保護の観点が一番重要でございます。そのためにはこのプリペイドカードに携わる人たちの信用ということが非常に重要でございまして、特にカード発行者の信用力をどう保全するかということがポイントになるわけでございます。そういう意味で、先ほどお話がございましたように、そのようなカードを発行する者は許可制にするか、あるいは登録制にするか、その辺のところが重要でございまして、法案にはそれぞれの態様に応じまして各般の開業規制の規定を設けることになろうと考えているところでございます。 次に、巨額の前受け金を受け取っておるわけでございますので、この前受け金がサービス提供前になくなってしまうというようなことは大変問題でございます。したがいまして、商品券のときも発行残高の二分の一の供託という制度があったわけでございますけれども、今後、商品券を含めたいわゆるプリペイドカードにつきましてもこのような制度を組み込んでいくのが適当ではないかと考えております。その場合に、現金だけというのもその後の新しい事態の推移の中で考えますと適当ではないわけでございまして、金融機関の保証等もあわせて考えていくということも検討しているところでございます。 それから、巨額のお金を預かっておりますから当然それに利子がついてくる、先ほど委員御指摘のいわゆる退蔵益ということでございます。これはやはり消費者へ還元していくべきものと考えておりますので、それについて行政上も推進する方向で検討してまいりたい。例えば、現在テレホンカードがやっておりますが、度数をふやすというようなこと、いわゆるプレミアムの還元ということなども一つの方法ではないかと考えております。 さらに、カードは使用されないでかなりいろいろな人のポケットの中などに入っているわけでございますから、これの換金をどうするか、そういうものが仕組みとしてできたらいいのじゃないかということもあるわけでございまして、これらにつきまして、法律で手当てするというよりも、実際上何らかのそういう仕組みが社会的にでき上がってくるということも考えられるわけでございます。ただ、余りにもそれが進みますと、通貨、紙幣と類似したものになってしまいますので、その辺の兼ね合いをどうするか、今後の大きな検討課題の一つではないかと考えているところでございます。
○柴田(弘)委員 銀行局長さん、申しわけないのですが、もう一点だけ。 金融制度調査会のいわゆる銀行、証券等々の業務分野の見直し、これはいよいよ大詰めになってきておりまして、大蔵省が五万式を提示されました。相互乗り入れ方式、業態別子会社方式、特例法方式、持ち株会社方式、ユニバーサル・バンク方式、この五つ。どうも大蔵省の意向としては、この五つのうち特例法方式に限って、金融の国際化、利用者の利便に対応し、預金者保護や業態間の競争均等化を図るための方式であって、このメリットを強調していらっしゃるので、ここら辺に落ちつくのではないかなと私は思っておりますが、その辺はどうでしょうかということ。 それから、やはりこうなった場合に法改正が必要になってくる。あるいはまた単独立法でするのかどうか。これは五月に金融制度調査会の方から答申を受けるわけであります。つまり、次の臨時国会あるいはまた通常国会等に法案をどういう形で提出される考えであるか。 それからいま一点は、垣根見直しも、一つは、利用者の利便性の向上に役立つ改正を行っていくのは当然のことである、二つ目は、国際化の要請にこたえるものでなければならないと考えておる、三つ目には、信用秩序を維持していく観点から見直しを行っていかなくちゃならない、この三点を私は考えておりますが、簡潔で結構ですからひとつ御答弁をいただきたい。
○平澤政府委員 金融制度の改革の問題につきましては、約三年前から金融制度調査会で検討を行っていただいております。その間、一昨年の十二月に中間的な取りまとめといたしまして報告を受けているわけでございます。その後も、その取りまとめに示されたもろもろの視点を踏まえながら、約十回にわたって検討を続けていただいておりまして、そろそろこれまで三年近くにわたった議論を踏まえて整理してみてはどうかということで、これは館委員長の御指示もございまして先般整理してお示ししたのが先ほど委員が言っておられました五つの方式でございます。 これは案というものではございませんし、かつまたその方式のどれを大蔵省がいいというふうに考えているわけでもございませんで、みんな同じような感じで五つ並んでいるということでございます。したがって、その中に特例法方式というのもございますが、それを大蔵省がいいと考えているというのではないわけでございます。 そして、今後の進め方等は調査会でお考えになることでございますけれども、もう三年間もやってきておりますので、徐々に考え方を整理して少しずつ絞っていくという方向に進んでいこうかと思います。ただ、その場合、金融制度調査会だけでは処理できませんので、証券との絡みが出てまいります場合には、当然証取審での御議論もあるということだと思います。いずれにしましても、三十年ぶりの大きな改正でございますので、十分議論を尽くして各方面で納得をいただきつつ進めていくということだと思いますので、いつまでに決めるとかこういう案がいいということを考えているということではないということでございます。 その場合、先ほど委員がおっしゃいました三つの検討の視点というのは、まさにそのとおりでございます。利用者の利便という点、金融制度等は制度そのもののために存在するのではなくて、その制度を使う人たちの利益に一番合致するようにあるべきである、そういう観点から、これは一番重要な視点ではないかと思います。それとともに、二番目におっしゃいました国際化の問題でありますけれども、これだけ世界的に市場が単一化してきている、同質化してきているというときには、やはり国際的に通用する仕組みでなければいけないという点もそのとおりだと思います。それから、いかに自由化、国際化といって進めていきましても、その結果、信用秩序、特に金融の秩序が破壊されるあるいはそれが非常に棄損されるというようなことがあっては問題であるわけでありまして、そういう点への目配りも十分しながら進めていくという、したがって、まさに三つの視点は極めて重要な視点であろうというふうに私も考えているところでございます。
○柴田(弘)委員 銀行局長、どうもありがとうございました。これで局長への質問はしませんから。 いよいよ本番の、本番といっても時間がなくなってきましたけれども、国際金融局長並びに大臣に対して質問します。 今回の法案の概要は、政府が世銀に対して新たに四十一億一千四百四十万協定ドルの範囲で出資ができる旨の規定を設けるものであるわけですね。我が党は賛成であります。 私は、世銀というのはやはり途上国などの開発援助、累積債務問題に対して中心的役割を果たしている、我が国は世銀への出資を通してこうした問題の解決と国際協力の一層の推進を図るべきである、こういうふうに考えておるわけであります。 そういう観点に立って、さきの経済対策において、八七年だったと思いますが、債権問題の解決等に資するということで三百億ドルの資金還流措置を打ち上げられましたね。これは非常に外国からの評判もいいということですが、これは九〇%実施されているということでありますが、より一層こういった問題、発展途上国の援助、開発というのは必要である、こう思いますので、その辺の基本的な取り組み方について、これは追加をして後やっていくのかどうかお聞かせをいただきたい。 それから、世銀に対する日本のシェア、貢献度を比較してまいりますと、日本人職員は専門職員が六十人で二%しかいない。私は、我が国はもっともっと世銀に多くの職員、特に幹部クラスの職員を派遣すべきではないかと考えております。この点が二点目。 三点目は、そういった中においてIMFにおける日本のシェアを、今五位ですか、これを二位に引き上げるべきではないか。今全体八百九十億SDRの中の四・六九%で、一位のアメリカが一九・九一%なんですね。その次ぐらいに、債権大国と言われ、経済大国と言われた日本ですから、そういう点を考えておるのですが、どうですか。 〔中川(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
○内海(孚)政府委員 まず第一に、世銀の債務問題についての役割の御認識、私どもも全くそのとおりに考えておりまして、今後そういった世銀の役割をさらに我々としてもバックアップするよう最大限の努力をいたしたいと思いますし、今回の世銀法の改正もまさにそこにあるわけでございます。 それから、第二に資金還流の問題でございますが、これは委員御指摘のとおり、ちょうど一昨年に三百億ドルの資金還流ということを発表しましてから、ほぼ九〇%コミットメントベースでは達成いたしました。問題は、残る期間、あと一年ほどありますけれども、その期間にコミットメントベースでちゃんと達成するだけではなくて、ディスバースの方でもできるだけ促進する必要があると思っております。また、まさに御指摘のように、我が国のこういう経常収支の黒字の状況、さらには世界に冠たる高い貯蓄率、これを世界の経済、特に開発途上国の経済に役立てるということは我が国としても大変重要なことでございますので、この資金還流についてはさらに新しい観点からまた取り組むべきだというふうに考えておりまして、その点も委員の御指摘に同感でございます。 それから、世銀の職員の問題、これも御指摘のとおりの事実はあるわけでございまして、確かにいろいろな障害はあります。第一に言葉の障害、第二に、日本は終身雇用制ですから世銀に行っている間に自分の戻るところがなくなってしまわないかというような、そういった構造の問題、あるいは円高が進みました結果、国際機関に行くと給与が大幅に減ってしまうというような問題、その他いろいろあるわけでございますが、この点も少しずつではありますけれども目に見える結果は出ておりまして、世銀グループの中のいわゆるMIGAにつきましては、その長官に我が国から寺澤さんが行くことになりました。また今度、この六月ごろには国際金融局の柏谷審議官が世銀の非常に重要な役割を担う副総裁として行くことになりました。こういったことも当委員会でお励ましをいただいていたことの目に見えた結果であると思っております。 最後に、IMFの増資、これは先ほどのブレイディ長官の演説でも、アメリカは今まで旗幟を鮮明にしておりませんでしたが、ようやくことしのうちにこの問題について決定を見るようにしたいという意向の表明がありましたので、ようやく展望が開けてまいりました。その中で我が国が御指摘のように五位ということは、いかにせよ経済的な実態が反映されていないわけでございまして、これを経済実態が反映するようにすべく我々は最大の努力をしなければならないと思っております。この点もかねてから当委員会で附帯決議等でそのようにおっしゃっておられたわけですけれども、何とかこれを今回は実現すべく最大限の努力を傾注いたしたいと思っております。
○柴田(弘)委員 累積債務問題ですね。今あなたの方からいただいた資料を見ますと、公的機関、民間機関を含めまして、八七年度に一兆一千五百五十五億ドルあるわけです。今まで第一次、第二次、八二年から始まりまして、中南米を中心にして信用不安が起こっておる、現在の段階は累積債務国というのはサラ金地獄に陥っている、債務問題の時限爆弾が刻々と近づいてくるという評論もあるわけですが、その辺はどう考えていらっしゃるかということです。 それから、ブレイディ提案というのはこれはまさに総論的なものである、こう思うのです。やはり効果あらしめるためには各論の詰めの作業が大事だと思っております。政府はその各論について具体策を持っていらっしゃるか。例えば基金の設置の問題あるいは保証の方法、債務の削減のディスカウント率はどうなのか、あるいは具体的な削減目標をどうするかという詰めの作業が必要だ、この点をお伺いしたいと思うのです。 それから、時間がないから、せっかく証券局長お見えになっていますから、簡単に答弁をお願いします。 要するに、リクルートの反省として株式公開制度のあり方というものについて証券取引審議会で報告書が作成をされました。この規制の概要を御説明いただきたい。既に新聞によればユニバーサル証券が始めていますね。大体平成元年度でどのぐらいの数が出てくるか。いわゆる株式公開をする会社は幾つぐらい出てくるだろうか。その規制の内容。 それから、警察と取引所と懇談会をやる、三者会談ですか、この辺の具体的なスケジュールはどうか。 それから、未公開株の譲渡などについて報告を怠れば刑事罰がある、大蔵省は来月省令を改正、こうあるわけですが、その辺の見通し問題。 以上お聞きをいたしまして、時間が来ておりますので簡潔に御答弁いただいて、私の質問を終わります。
○内海(孚)政府委員 まず、中南米諸国を中心といたしました債務累積国の状況がそれらの国にとって政治的にも社会的にも経済的にも非常に深刻な状況になっているということは御指摘のとおりでございます。これがいわゆる私どもの宮澤提案あるいは今度のブレイディ提案の背景にあることは御指摘のとおりでございます。 それから第二に、いわゆるブレイディ提案は御指摘のようにいわば枠組みでございまして、これは今後細目にわたって詰めていくわけでございますが、まず、例えばどういう形で国際機関が保証あるいは担保化をするのか、これはおっしゃるように基金みたいなものをつくるのか、あるいはそうじゃなくて貸し付けのための一つのファシリティーみたいなものをつくることで対処するのかとかいろいろな考え方がありまして、今後それらについては細目が詰めていかれるわけでございます。我々としてはできるだけ小異を捨てて大同につくという形で協力をしながらつくっていきたいと思いますし、またさらに、具体的にどの程度の割引率あるいはどの程度の利子の軽減率になるのかというようなことは、それぞれの国に応じてケース・バイ・ケースに議論が行われるということになるわけでございます。
○角谷政府委員 まず株式公開制度の改善の問題でございますが、これはリクルートコスモス事犯の反省も踏まえまして、昨年九月から証券取引審議会不公正取引部会において審議をお願いし、十二月に結論を得まして、その後関係の取引所あるいは証券業協会の規則の改正あるいは大蔵省令の改正等々を行いまして、本年四月一日から実施するという運びになっております。 その内容でございますけれども、まず、店頭登録につきましていわゆる特別利害関係者等の株式移動の禁止期間を延長するといった措置、それから公開前の第三者割り当て増資の規制期間を延長するという措置、これをまず第一にとっております。 それから第二番目には、第三者割り当て増資につきまして、公開前一定期間内のものにつきましてディスクロージャーをする、それから公開後一定期間は保有を義務づける、短期的な売り抜けを禁止するために保有を義務づける、そのための担保といたしまして幹事証券会社等に株式を預託させるといりた措置をとっております。 それから、第三者割り当て増資あるいは特別利害関係人等について株式移動があったといった場合等におきましては、これを有価証券報告書とか有価証券届出書によりましてディスクローズさせる、それから公開時点におきます株主数、原則として百名以上、百名程度の者につきましては、これはどういう株主であるかということをディスクローズさせるといった措置をとっております。 それから最後に、公開株と初値の間に大幅な乖離があるといった状況から、公開株の算定方式を改定いたしますとともに、一部例えばNTTと同様な入札方式を導入するといったことによりまして価格形成の適正化を図るといった措置をとっておるわけでございまして、これがいわゆる公開株の概要でございます。 四月一日から実施するといったことにいたしておりますけれども、それに対応いたしまして、まず最初に予定されておりますのは証券会社等につきまして、四社とか五社ございますけれども、こういったものにつきましてまず第一回目四月に公開が予定されておりますので、これらが第一号、第二号、第三号等になろうかと思います。現に、御指摘のユニバーサル証券につきましては昨日からいわゆる入札についての手続を開始しているといった状況にございます。 それから、ディスクロージャーに関連いたしまして、これはさっき申しましたように、公開前の株式移動あるいは第三者割り当てあるいはその移動等があった場合でございますが、これについて虚偽の記載があったといった場合におきましては、証券取引法に基づきまして三年以下の懲役または三百万以下の罰金という罰則が科せられることになっております。それから、そういったディスクロージャー関係書類を出さないといった場合、不提出につきましては一年以下の懲役または百万以下の罰金といったことになっております。 それから、最後に先生御指摘の大蔵省と警察庁の間のインサイダー取引に係りますところの事務連絡でございますが、私どもといたしましては、インサイダー取引の規制、これも四月一日から本格的に実施されるということになっておりますけれども、これにつきましては何よりも未然防止体制が大事であるということで、関係方面に未然防止体制の整備のためのいろいろな手続等の遵守をお願いしているところでございますけれども、ただ、やはり事案によりまして、こういった事案が起こりました場合には当然司法当局との間において密接な連携をとってこれを行う必要があるといったふうなことから、一般的にこういった問題について協議をするための会合を開こうではないかといったことでございます。 そういったことで、実は本日の午後から実務者レベルで会議を開催するといったことをいたしておりまして、大蔵省と警察庁、それから証券取引所にも参加を求めまして、本日のところはディスクロージャー、取引規制の概要につきまして大蔵省から御説明し、一般的な意見交換を行うといったことにいたしておるわけでございます。なお、これにつきましては、中央だけではなくて、各財務局レベルにおきましても同じような打合会を三月中にも開くということを予定しているところでございます。
○柴田(弘)委員 時間が参りましたので、これでやめます。どうもありがとうございました。
○中村委員長 安倍基雄君。
○安倍(基)委員 大臣、この間一般質問でODAの話をしたのですが、そのときに私は去年の十月にエコノミストに書いた「あえてODA増額に反対する」という論文を引用いたしましたけれども、その後大臣、それを読まれましたか。
○村山国務大臣 残念ながら、まだ読む暇がありません。
○安倍(基)委員 まあなかなか大臣もお忙しいと思いますからあれでございますけれども、率直に言いまして、最近ODAに対する批判が非常に高まりつつある。ある週刊誌などはしきりと労働省関係の問題を取り上げて書いておりますし、きょうそこで読みましたら、また毎日新聞あたりがインドネシアに対するODAが余り有効に使われていないというようなことも書いてございます。これはある意味からいうと、私が火つけ役と言っては変ですけれども、これだけODAが大きくなってきているということで、その使い方について非常に問題があるということがクローズアップされてきているわけです。この前大臣が、いつの間にか大きくなったとおっしゃったので、私はドルが下がったから当然だ、実態的にこの二、三年に倍以上になっているというような話をしたのでございます。 ある場所で私はODAの講演をしてくれというので話しました。割合と財界人が多いところでございました。そこで出てきた議論が、まあ贈与もいい、しかし本来は、借款というか、借りた人間がどうやってそれを有効に使うかという知恵を出す、ただやるという姿勢は、いいようでまた悪い面もあるという議論が出ました。確かに今まで海外援助といいますと借款部分をできるだけ少なくして贈与部分を多くするのが質の向上であるというような言い方を一般にされておるわけです。ただ私はその意見に対して、それは確かに低開発国に対して贈与も必要かもしれない、しかし本来は、返さなくちゃいけないと思えばこそ、その使い道にもいわば神経を使うという意味で、いわゆる援助に対する質の向上というのが贈与部分をふやすことであるという考え方そのものについていささか問題があるのじゃないかと考えているわけです。その点、大臣どうお考えですか。
○村山国務大臣 贈与部分をふやした方がいいというのは、借款についても貸し付け条件等ありますと、みんなグラントの部分で計算するわけでございます。贈与をふやせという意見は私は余り聞いてないのでございますが、グランド部分をふやせ、だから貸し付ける場合にも条件を緩やかにしてくれ、こういう話だろうと思います。 それから、貸し付けと贈与の問題の効果の点ですが、私も大体委員と同じ意見を持っております。やはり貸し付けになりますと借りる側も責任を持って有効に使うというところにいくでしょうし、貸す側もやはり責任を持って事後を見守る、そしてまた必要があれば次の貸し付けにつながっていく、こういうことでございますから、資金の有効利用あるいは計画がうまくいくかどうかということは、どちらかといえば貸し付けの方がいいんじゃないかという感じがいたします。 ただ、それなら贈与が全然だめかといえばそんなことはございませんので、世界にはあのとおりLLDCのようなものがありまして、とても貸し付けなんと言えないようなものもございます。それから、食料の緊急的な輸送の問題とか、きょうもありましたけれども、急に病気がふえてきて治療薬が欲しいとかいろいろな問題、これは貸し付けではなくて贈与になっていくわけでございましょう。 ですから、その必要必要に応じてやはり貸し付け、贈与というものを区分けしていかなければならぬと思いますが、要は、量の拡大だけではなくてそれが有効に使われているかどうか、そして本当に相手国のためになっているかどうか、これを見きわめることであろう、このように考えております。
○安倍(基)委員 借款ということに対する御認識が大きい点はわかりますけれども、ただODAにカウントされるためには、借款でも相当グラントエレメントが高いものじゃないとODAにはカウントされない。ということは、内容的にはむしろ贈与に近いものが初めてODAの借款にカウントされるということが現実なわけですね。事実そうなんです。ですから、この点は、日本がいつも国際会議でODAの質改善、そうすると日本は借款が多過ぎる、しかも借款の条件も厳し過ぎる、だからこれはグラントエレメントの高い借款にしろ、あるいは贈与に近いものをふやせと絶えず言われ続けてきているわけです。この点、ある財界人の発言も傾聴すべき点がある。これからの国際会議でもやはりこういった援助の質というものが、単に形式的なグラントエレメントじゃなくて、有効に使われるためにはむしろ借款でいいのではないか、国際機関を通じての借款というのはむしろ非常にプラスに私は考えているのです。 そこでちょっとお聞きしたいのですけれども、国際機関を通じての援助というものが、全援助の中におげるパーセンテージはどのくらいで、どう赤化しておりますか。
○内海(孚)政府委員 我が国の国際機関を通じてのODAのパーセントというのは大体三割程度でございます。これは出資や何かがある年によってかなり振れるものですから、細かくはあれですが、大体三割程度と考えていただければいいと思います。国際的にはアメリカが二割ぐらい、フランスが二割弱、西独が三割弱、大体そんなような感じでございます。
○安倍(基)委員 これについて今後国際機関を通じてのものにウエートを置いていくつもりか、古るいは二国間的なものでいくのか、そしていわば贈与と借款のウエートをどう考えていくのか、この点非常に重要だと思うのです。繰り返すようですけれども、どうも従来のやり方が、優等生になりたがる、対外的にはいわば贈与部分をふやすことが優等生だという感触が非常に強いわけですね。それがやはりむだ遣いというか、これだけ大きな額になりますといろいろな問題を生じてくると私は思います。その点で、まず第一に国際機関を通じてのものについてのウエートをこれからふやしていくつもりかどうか、第二として贈与部分と借款部分とをどう考えていくか、この二点についてお聞きしたいと思います。
○内海(孚)政府委員 まず贈与と借款でございますが、これは先ほど大臣からも申し上げているようになかなか一概には言えない、ケース・バイ・ケースでございます。 国際的には、我が国は借款の割合が一般の国よりもはるかに高い。これは、その対象となるのが、我が国のODAの大体三分の二はアジアですから、アジアの国というのは比較的自助努力というか、お金を借りて一生懸命努力してそれをまた返そう、したがって、やはり贈与と借款だとどうしても借款の方が金額的にはある程度大きくなりますから、そういう方でやってもらって一生懸命やってみたいという気持ちが強いのが、概して言えばアジアの国でございます。また、欧米の国は相手がどちらかというとアフリカの国が多うございます。アフリカの方は、これは国によって違いますけれども、平均的に言えばずっと貧しい度合いが高い、人口比がはるかに多いわけでございますので、これはなかなか借款といっても実際に返すだけの経済が、それだけの力があるかどうかというような個別の問題がどうしても入ってまいりますので、贈与の比重が多くなる。したがって、やはりこれは一概に借款がいいとか贈与がいいとも言い切れない、個別に応じて適切なことを考えていくしかないのではないかなという感じがしております。 それから、国際機関を通ずる援助とバイの援助、これも同様にそれぞれメリットがございます。国際機関の場合には、一たん国際機関というもののふるいを通して、ある程度真に経済的な効率の高いものから優先的にやっていける、あるいはそれが世界銀行あるいはIMFというようなものを通しまして、その国への経済政策の注文というようなものも裏に置きながら、経済の合理化とともにODAが流れていくというメリットがございます。バイの場合には、当然のことながら、外交的配慮その他といった二国間の配慮をしなければならないときにはそういうようなことが必要になるわけでございます。これらをにらみながらバランスのとれた形を追求していくしかないのではないかというふうに私どもは考えております。
○安倍(基)委員 今、欧米諸国のアフリカ援助が多いと言われました。これはもう一歩踏み込んでみますと、いわば旧宗主国というか、自分の昔の領土であった部分が非常に多いのですね。でございますから、それはある意味からいうと、例えばフランスあたりは、旧領土地域に対して人間を派遣して、フランス語の教育なんかをみんなそれに入れているわけですね。でございますから、これは欧米が贈与部分が多いからおれたちに合わせろと言うことそのものにいささか問題があるのですよ、本当のところ。 日本のそういったアフリカ援助とかいろいろなものは、要するにインフラストラクチャーに余り着目しませんでただどんどんやるというような感じがないではない。基本的には、ケース・バイ・ケースかもしらぬが、姿勢として、借款の方が本当は有効に使うという基本姿勢があってもいいんじゃないか。欧米のアフリカ援助に引きずられて、ただグラントがいい、グラントがいいということに一さっき堀先生が言われましたけれども、日本はきちっと言うべきことをどんどん国際社会で言うべきではないか。この間私聞いてみますと、昔中曽根さんがパリに行って、ミッテランにおまえのODAの中はどうだ、額も少ないし借款ばかり多いじゃないかと一喝されておたおたしてきた、それでそれ以後どんどんと対外援助を打ち上げてきている。 さっき金融局長が日本は貯蓄率が高いと言いましたけれども、私が一番心配しているのは、この十年、二十年のうちに日本の高齢化が非常に進むことなんですよ。これは厳然たる事実です。といたしますと、医療費もふえる、いろいろな面で日本は現在の蓄積をいかに今後の日本に使わなくちゃいけないかという事態を考えなければいかぬわけですよ。でございますから、現在における貯蓄率の高さ、経済力の高さでもって余り安易に考えてもらっては困ると私は考えているのです。 ただ、この援助の中で、どちらかというと国際機関を通じての援助というものは、それなりにまあ最終的には借款という形で相手国に使われる。それから、ある意味から言うと、バーゲニングパワーとして個々のいわば二国間援助とマルチ援助とどちらがあるのか。例えば二国間の中にずばり言って資源開発とかいろんな問題があった場合には、私は非常にその辺はドライに割り切っているのですけれども、それなりの意味があると思います。しかし一般論として、ただお涙ちょうだいの援助は大反対なんです。 我々は納税者です。この前の消費税でこれだけもめている。これから国民に負担をかけなければいかぬ。しかも、これから高齢化社会でどうなってくるか。大変な問題です。医療費だけでもどんどんウナギ登りに上がってきます。日本の生産力がどのくらい維持できていくのか。この時期に、この前、竹下さんが方々へ行って棒引きしてくる、あるいはサミットで何年間で何百億ドル、そんな勝手にどんどんされて、援助というのはなかなか後退しづらいですから、私のはエコノミストに全部載っておりますけれども、この辺をよく考えていただきたい。 ある財界人がいみじくも言った。単なる贈与一本でいきますと、場合によっては、いわば相手国の政権によってはそれが政権維持に使われる。この間マルコスのが出ましたけれども、使われ方の不明朗さも出てくる。日本の企業との癒着も出てくる。そういう意味で私は基本的には国際機関を通じての援助というのに前向きなのですが、それとともに、今話が出ましたように国際機関に発言力を増すべきだ。それは人間をどんどん派遣すべきだという面もあります。 今、日本が経済大国だからといって、私はこの前も論議をしたのですけれども、これだけ国債の残高が多い国は世界にないのですね。でございますから、本来はそういう資金の還流は民間の資金がいくべきなんですよ。民間の資金が受け入れられるようなインフラストラクチャーの整備のための援助、そういうのが必要なんですね。インフラストラクチャーができてないところにただ贈与贈与と投げ込んでみても、これは大変な話だ。特に私は、えらく演説的になりますけれども、欧米が、私どもはグラントエレメントが多いですよと自分たちの旧植民地に対するのを全部ひけらかして、日本もそれに倣えと言うの対して、本当に我我の援助というものが役に立っているのかということをよく考えていただきたいと思うのでございます。 時間もあと十分しかございませんから、ひとつこの点、大臣の所見をもう一遍御確認したいと思います。
○村山国務大臣 今委員がおっしゃったもろもろの、先進国がどういう考えで贈与なり借款なり、あるいは国際機関に出しているか、そういう事情はよく知っておく必要があるということは全く同感でございます。さっきも申しましたように、やはり国力に応じてできるだけのことをやり、それが借款なり援助をやったところに有効に働いていく、これがやはり大事であると思います。 高齢化社会との関係、恐らくそうなると思います。それはまたそれなりの対応が別に必要であろう、こう思います。 それから、国際機関に対する協力のあり方でございますが、先ほど国金局長が言いましたように、日本は数字をもってしても非常に高い方に属しておりますし、それから、いろいろな会議をやりますと、日本は国際機関に対しては非常に理解度が高い、非常に協力的である、こういう評価を得ていると私は思っております。 今委員がおっしゃいましたところも十分注意しながら、今後のODA予算の組み方、執行を続けてまいろう、かように思っております。
○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、我々は急速に到来する高齢化社会に対してどうも認識がちょっと甘いのじゃないか。医療費は本当にウナギ登りに上がりますよね。若手はどんどん減っていきますよね。そういう中で、日本は今非常にいわば絶頂期であると私は思っております。これから経済の運営の仕方によっては下降期になるかもしれぬ。わかりません、これはやり方一つですけれども。過去の蓄積というか我々の蓄積のものをどう有効に使っていくかということを考えていかなくてはいけない時代になってきているんじゃないか。 でありますから、国際責任を果たしてと胸を張るのもいいけれども、私はこの前のときも言ったのですが、国際責任を果たすというのは、援助もあろうけれども、それ以外に、例えば市場開放するためにまたいろいろの業界に対する援助もあろう、市場開放も一つのいわば国際責任を果たすことであろう、あるいは、ある程度の軍備もそうであろう、そういったトータルの国際責任の中で、そこで考えていくべきものなんだ。対外援助は別枠だということはおかしいよと私はしきりに言っているわけです。これは私のエコノミストの論文を読んでいただければ結構でございますけれども。 あと残りが少ないからもう一つ、諸外国における援助の取り扱いですね。これはまた一々外務省から聞きますと時間がかかりますのでこちらから申しますけれども、例えば、アメリカあたりは対外援助法みたいなものを相当つくって、個々の援助についてまた特別法をつくったりしているわけです。日本の場合には、これは割合と予算の各項目に隠れてどうもその全貌がぴしっと出てこない。この今回の法案は、一応条約があるからそれに基づいてやるということでございますけれども、それぞれのいわば二国間援助なんかにいたしましても、条約まで至らなくても、少なくとも国民に負担をかけ、その力を、購買力を海外に渡すという、国内で物を使用するのと意味が違う支出なわけですね、簡単に申しますれば。その意味で、これはちょっと個々のものを法律事項にするというのができるかできないかという問題がありますけれども、もう少しその全体像を明らかにして、それをきちっと審議できる形にしなくてはならない。また、その行われた結果を評価するということが必要である。 でございますから、ある意味からいうと、対外経済法というか、そういった種類のものの制定も今後検討できるのかなと。アメリカの場合には対外経済法というのが一つございますね。その辺についての、即答は難しいかもしれませんけれども、これだけいわば海外援助が世界第一位になった国が、この基本的考え方、今のバイにしてもマルチにしても、借款、贈与、いろいろございますが、そういったことを基本的に考えた上で、ではこれから個々の予算なんかについてもそれをどうトータルしてどう審査するかという種類の基本法的なものを考えていくべきではないかなと。それをまたアメリカの場合には何か一つの機関が統合的に運用しているという話もございますけれども、そういったことを今後考えるべきではないかなということについて、大臣の前に、何か事務当局が一生懸命手を挙げていますから、事務当局から聞いた上で大臣の意見を聞きましょう。
○内海(孚)政府委員 ODAの全体の姿は、安倍委員御存じのとおり予算の中に出てくるわけでございます。で、予算案の形で国会の十分な審議とチェックは受けていただくようになっております。また、今回の世銀への出資のように、出資国債というような特殊な形態でございますので、今回、通例といたしまして特別な法律で見ていただいているわけでございます。 そういう形におきまして十分国会のチェックはしていただくようになっているものと思っておりますけれども、実際に当たりまして私どもそういうものをさらに包括するような法律が要るかどうかということは議論はしてみるのですが、そういうものがあったからうまくいくということでもない。やはり関係した省庁が十分話し合いながら、またこういうような形での国会の御審議も受けながらやっていくことが大事なんで、要は器よりも中身ではないかという感じでいるわけでございます。
○村山国務大臣 一つの考え方であろうと思いますが、まずはやはり予算でODA予算というものの中身がはっきりわかるように、国会に出して、そしてその中の論議を通じて将来のあるべき姿を論じていくのが実効的ではなかろうか、このよう に考えているところでございます。
○中村委員長 安倍君、時間が来ておりますので、簡単に。
○安倍(基)委員 時間がもうないからこの辺であれですけれども、いわば援助問題ですね、今おっしゃった、予算上はっきりわかるようにする。要するにいろんな科目に含まれていてはっきりわからないことが随分多いわけですね。そういった事前審査がきちっとできるようにする。 それから、いろいろとフィロソフィー的なことをもう少し、要するに国会のチェックを十分受け得るような形で、それは援助法という言葉になるのか、ただ単に援助小国であった間はいいですけれども、これだけ援助大国になってきたときにはやはり納税者の代弁者であるところの国会のチェックを十分受け得るような形にしていただきたいと思います。この点、最後に大臣の御見解を承って、質問を終わりたいと思います。
○村山国務大臣 中身がよくわかるようにするということはやはり論議を深めることになり、そのことは結局チェックを受けている、こういうことにつながろうと私は思いますので——法案の問題は、率直に言いまして一長一短だと思います。ですから、まずはその方から始めて、その中の論議の過程としてどういうことになるか。やはりまずは非常にわかりやすい、御審議がしやすいそういう形でやるべきじゃないか、このように思っております。
○安倍(基)委員 またこの問題は後日に残したいと思います。
○中村委員長 矢島恒夫君。
○矢島委員 大蔵大臣にお伺いをしたいと思いますが、世銀それから第二世銀の八六年六月末の融資残高を見ますと千六百五十九・二億ドルとなっています。その地理的な分布を調べてみますと、アメリカ軍事協定関係国だとかあるいは軍事援助実施国に対するものが八十二カ国、合計で千四百六十四・一億ドル、実に八八・二%に達している状況にあります。 このことを見ても、世銀等はアメリカの戦略援助を支えて補完する上で大きな役割を果たしているということは客観的に明らかだと思うわけですが、このことについて大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○内海(孚)政府委員 世界銀行の業務に当たりましては、百カ国以上から集まった専門家によりまして十分審査が行われ、各加盟国を代表する二十二名の理事が最終的に決定いたします、中立的な国際機関であると思っております。
○矢島委員 大臣いかがですか。
○村山国務大臣 今、国金局長が言ったとおりだと思っております。
○矢島委員 そういう御答弁でございますが、この「基金調査季報」というものの中に田中英雄という人の論文がありますが、「世銀とアメリカ」という論文です。そこでは、「一九七六年、ベトナム社会主義共和国はIMF/世銀のメンバー国となり、一九七八年、六千万ドルの第二世銀融資がアメリカの反対にもかかわらず、承認された。」これに対しアメリカ議会は、「既に固まっていた第二世銀の第四次増資のアメリカ拠出額を二千万ドル減額するという対抗措置を決議した。」「このような動きもあり、以降ベトナムに対しては、世銀の貸付けは一件もなされていない。」と述べ、「アメリカは、その外交政策上の配慮から世銀の貸付対象国につき口を出すことがある。」このように述べているのですが、大臣、この論文の見解というのは誤っておりますか。
○内海(孚)政府委員 その論文のことは私存じませんが、ただいま委員のおっしゃったことについて申し上げますと、一つの国がそれぞれ自国のことを考えながら、できるだけ自国の加盟している国際機関に影響を及ぼしたいということは、これはある意味では当然だと思います。先ほど来本委員会でも、日本はもっとそういうことをやれということで言われておりましたのもその例でございます。 しかしながら、結果を見ていただきますと、例えば具体的な例で申し上げますと、エチオピアに対する第二世銀の融資あるいはコンゴに対する世界銀行の貸し付け、これはアメリカがそれぞれ子の考え方に基づいて反対をしておりましたが、矛ういう反対にもかかわらず承認されて、現に融資が行われているという事実を申し上げたいと思います。
○矢島委員 この内容そのものについては、そういう事実があったかどうかということについてはいかがですか。
○内海(孚)政府委員 事実に関しましては、今突然の御指摘でありますので、後ほど調べるということでお許しいただきたいと思います。
○矢島委員 この田中英雄氏というのは、世銀のことをよく知っている、いわば当事者であろうかと思いますが、当時、海外経済協力基金の総務部業務課長で、東アジア・大洋州地域プログラム局インドネシア担当ローンオフィサーとして出向もしていたという方の論文でありますから、参考までに。 そういうことで、その内容については後ほどお調べいただくとして、それでは、この問題についてアメリカはどう見ているかという点を明らかにしたいと思います。 アメリカの財務省報告「国際開発諸機関に関する報告」、八二年二月の文書ですが、この中でこう述べています。「国際開発諸機関の国別貸付・融資先がアメリカの外交政策上の優先順位とおおむね合致しているという事実は、アメリカと友好関係のある諸国がアメリカの二国間援助だけであれば不可能と思われる開発資金を享受していることを示している。たとえば、中南米ではメキシコとブラジル、北アフリカではエジプト、アジアでは韓国である。」「国際開発諸機関の価値は主に費用の点での効率性にあり、それらはアメリカの経済的ならびに政治的・戦略的利益を実現するための主要な機関の一つである。」こういう報告が出されているわけです。つまり、世銀の運営がアメリカの主導で行われていることはまさに明らかではないかと思うのですが、いかがですか。
○内海(孚)政府委員 我が国の独自の立場といたしましても、ただいま委員御指摘のような例えばメキシコ、ブラジル、韓国あるいはエジプトの経済の開発というものが一層進展し、かつそれらの国が健全な経済政策を遂行するようになることは大きな利益であると思いますし、世界経済にとっても同様だと思いますし、これがある一国の利益のためだという解釈にはくみしかねると申し上げたいと思います。
○矢島委員 私が今申し上げたように、「アメリカの戦略的利益を実現するための」と非常に具体的に書かれておりますので、後で見ていただければと思います。 要するに、アメリカが政治的に介入を行うことができるということは、投票権のシェアを見るとまさに明らかだと思うのです。そのシェアを見ますと、先進国が五八・三九%、そのうちアメリカが一八・七二%。途上国は四一・六一%となっています。これは、投票権の配分が不公平だということで途上国が一カ国一票制にすべきだ、こういうことを主張している点でもあるわけです。 大蔵大臣、今までずっとお答えいただいているわけですが、途上国の要求にこたえて世銀等の運営を民主化すべきだと思うのですが、その点についてはいかがでしょう。
○村山国務大臣 これは各国全部集まってやっているわけでございますし、私はIMF・世銀、非常に有効に働いているだろうと思います。もしああいう機関がなかったならば、ブラックマンデーのようなときにどうなるだろうか。やはり、金融情勢というものがほとんどお互いにわかっておる、国際機関がまた全部それをサーベイランスしておる、こういう効果は非常に大きいと思うのでございますが、それをある角度から見るということには、私はどうしてもくみし得ないのでございます。
○矢島委員 それぞれのいろんな角度から見て総合的に御判断いただきたい。私は、このような状態をなくして世銀運営の民主化ということを特に主張して、次の質問に入りたいと思います。 世銀の構造調整融資の問題でお伺いしたいのですて 構造調整融資は世銀が一九八〇年以来行っているものですが、一九八七年の世銀の年次報告、これを見てみますと、「一国の経済が中期にわたりて成長と国際収支の安定を回復、維持することができるよう経済構造を修正するのに必要なプログラム、政策及び制度変革を支援するノン・プロジェクト貸付である。」このように定義されております。要するに、世銀の承認するところの構造調整プログラムの実施を条件に融資が行われる。そして、実際上はIMFと厳しい緊縮政策を柱とする国際収支安定協定を結んだ国が対象となっている。 そこで、コンディショナリティーというもの、この条件というものは具体的にはどのようなものか、お聞かせいただきたい。
○内海(孚)政府委員 その要件というのは、具体的には、例えばIMFがマクロ経済政策について注文をつけますときには、インフレ率についてどの程度とか、経済成長率についてはどういうふうにするのが適切だとか、そういうようなことが例として挙げられると思います。 それから、構造調整融資としては、例えば農業部門あるいは中小企業部門というようなところで、中小企業関係の設備関係の近代化、合理化を通じて輸出に適したものがよりできるようになるとか、あるいは農業関係が合理化されるとか、そういう部門別の近代化、合理化というための資金の供与ということになります。
○矢島委員 なかなかきれいな部分だけを答えられたようでございますけれども、どうもその中身はそんなものではないのじゃないかという点も指摘されているわけです。といいますのは、日本経済調査協議会の「世界銀行の構造調整融資の経験」という中で、ハーバード大学のドン・ババイという助教授がこういうことを言っているわけです。「ある内部評価はタイに対するSALの要請の効果について次のようにのべている。プログラムは政府の行政部門と同様に立法部旧の実施能力に大きな圧力を課した。時には、ちょうど一年の期間に、SALにつけられた契約条項を満たすために、多数の法律を通過させなければならなかった。これらの法律の準備、国会通過と関連のある手続きおよびその後の施行は、過労に陥っている行政府の最善の努力を求めた」、こう述べているわぇです。 つまり、コンディショナリティーというこの条件は、融資先国へのいわゆる内政干渉だとか経済主権の侵害というものに当たるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○内海(孚)政府委員 こういうものを内政干渉ととらえるというとらえ方は私どもはしておりませんで、そういった国が経済的に非常に苦境にある場合に、どういうふうにすればその経済が再建されていくか、そのために制度改革も含めてどういうことが必要かということを、その国とIMFあるいは世銀との間で徹底的に議論をしまして、合意に基づいて行われるわけでございます。
○矢島委員 融資側と融資を受ける側との違い、つまり、こういう条件であれば融資を受ける国側の、つまり途上国側ということになりますが、国民に重い負担と犠牲を強いることになる、こういう内政干渉にこれらの国々が反発するのは当然ではないか。 これは第八回の非同盟諸国首脳会議、ペルーのガルシア大統領の演説部分でありますが、 もしIMFのような多国間機関がそのコンディショナリティーおよびそれらの機関のアプローチの仕方全体を改めなければ、いかなる発展も達成することはできない。 現在の体制のもとでは、われわれには、債務と貧困の悪循環以外ありえない。過去数年の間、ペルーは、脱出口を探求するなかで、以前に負った債務を支払うために新規ローンを繰り返し要請してきた。その保証として、ペルーは、IMFにたいするいくつかの趣意書に署名した。そして、それにしたがって、ペルーは、通貨を切り下げ、賃金を抑制、財政支出を減らし、速やかに債務を支払うと約束した。 しかし、インフレは上昇し、産業は縮小し、賃金は落ちこみ、国民通貨は価値を喪失した。 そうした状況のなかで、民主主義は信頼を失いはじめた。 IMFの趣意書は、緊縮・消費削減政策を要求しているが、その目的は、債務の支払いに必要な資金を確保することにある。こういうガルシア大統領の演説があるわけですが、大蔵大臣、途上国のこういう声に対してどうこたえていくべきか、その辺をお聞かせください。
○村山国務大臣 非常に困っている国が何とかしてくれというわけですし、援助国の方はそこの国民の税金を使ってやっているわけでございますから、おのずからそこには両方の合意があってしかるべきだろうと思います。いろいろな経験がマルチの世界で出てくると思いますが、受ける方もまた与える方も、そういう経験を十分生かしながらコンディショナリティーを決めていくべきであろう、このように思っております。
○矢島委員 確かにいろいろな問題を抱えているわけです。 一九八七年の世界銀行の年次報告では、「SALが供与されたコートジボアール、ジャマイカ、タイ、トルコの四カ国では、明確かつ顕著な成果があった。」というような文章で自画自賛しているわけですが、そのジャマイカについてちょっと調べてみました。 年平均のインフレ率が一九六五年から八〇年にかけましては一二・八%だった。ところが、一九八〇年から八六年の間は一九・八%と七ポイントもインフレ率が上がっている。GDPを見ますと、一九六五年から八〇年までは一・三%、一九八〇年から八六年は〇・〇%、工業生産を見ますと、一九六五年から八〇年はマイナス〇・一%、一九八〇年から八六年はマイナス一・三%、これも下降している。民間の消費は、一九六五年から八〇年までは二・〇%であったのが一九八〇年から八六年にはマイナス〇・一%となった。 ジャマイカの状況を見ますと、国際収支につきましては若干改善されているということはありますが、その他の今私が述べたような指標というものを見ますと、軒並み悪化していることを示しているわけです。まさに構造調整融資というものが、発展途上国の国民生活よりも、いわゆる対外債務返済の保証を優先させている、すなわち、途上国に貸し付けている多国籍銀行のために取り立て条件をつくっているというものではないか。この点についてはいかがですか。
○内海(孚)政府委員 委員ただいま御指摘の、最初の方の期間と後の方の期間とで比較されましたけれども、その間の世界経済の状況を見ますと、経済成長率が全体的に後の期の方が世界経済は鈍化しております。また、一次産品価格も下落しております。つまり、債務国全体、マクロ的に、包括的にとらえまして、環境が悪化しているわけでございます。 環境が悪化していれば、ほっておけば、いわゆるプロジェクト対象の世銀の融資をしていれば、プロジェクトは新規にやっても製品の需要がないという状況になるわけでございますから、そこでセクター融資、先ほど来御指摘の構造調整というようないろいろな形で、経済政策にアドバイスをしながら資金を円滑に流すというところに意味があるという点も十分勘案していただきたいと思います。 また、民間銀行のことを言われましたけれども、大事なことは民間銀行からの資金が必要なところには引き続き流入することでございまして、それが、債務の返済がとまり、債務の返済がとまれば当然銀行は新たな融資はいたしません。いたしませんということになりますと、その国は一層先の出口を見出すことができないということになりますので、この点をいかに出口を見出していくかということをみんなで知恵を絞ってやってきているということが今の状態でございます。
○矢島委員 一九八九年の世界子供白書というのを調べてみました。その中でこういう文章があるわけです。「世銀の調整戦略は、第一は不釣り合いなほど大きな負担が最も貧しい人々や最も弱い人々の肩にかかっていることである。その中でも最も弱いのが子供達である。 第二は債務経済が健全な経済成長を回復して債務からのがれられるようにするという主な目標を達成するのに成功していないという点である」と述べています。この調整戦略が失敗だ、このように指摘しているのだと思うのですけれども、大臣、この辺はいかがでしょう。
○村山国務大臣 今言われただけでは、調整政策が悪かったのか、それから調整のそのとおり履行したのか、あるいは今、国金局長が言ったように世界経済は悪くなったのか、その辺がわかりませんから、ある事象を見て一方的にはなかなか判断できないなと。 いずれにしても、受ける方も与える方も一つ一つが経験でありましょうから、コンディショナリティーについては今後お互いに十分勉強していくべき問題ではないか、こう思っております。
○矢島委員 時間が余りありませんので、もう一つだけお聞きします。 政府は、世銀の構造調整政策を支援するということで、経済政策支援借款あるいは世銀との協調融資、こういうものを進めておるわけですが、外務省の経済協力局有償資金協力課長榎泰邦さんですか、この人が構造調整融資ということについて「経済協力雑感」の中で書いているのですが、「最大の問題点は、相手国から内政干渉として反発を呼び外交的に実施し難いとの点である。一主権国家に対し援助するからといって、やれ電力料金を上げろ、パンの値段を上げろとの条件を課するのは、いわば世銀という国際機関だから相手国としても受入れるとの面があろう。」というような文章を書いた上で、さらに、「これは、世銀の構造調整融資をイソップ寓話での「北風」にたとえれば、さしずめ「太陽」ということとなろう。」と言っています。これは世銀と一緒になって途上国のマントを脱がそうというものですが、これでは真の解決にならないのじゃないか。マントというのはいわば途上国の経済主権になると私は思うから、これを侵害するものだ、いわゆる内政干渉はやめるべきだ、こういうふうに私思うのですが、いかがですか。
○内海(孚)政府委員 一個人としての論文について私どもがここでコメントする必要はないと思っております。
○矢島委員 その内容について後で調べてお答えいたしますというのはありましたから、後ほどその点についてはひとつきちんとやってほしい。——いや、前の方の質問ですね。 時間になりましたので、私は、最近の世銀やIMFの行動というものが途上国に一層困難をもたらしている、特に、福祉予算と補助金の消減だとか、あるいは賃上げの抑制だとか物価統制の解除、それから金利の自由化、途上国国民に犠牲を押しつけるようなコンディショナリティーというものは、途上国の自主的な経済政策、これに対する乱暴な干渉であると思う。このようなやり方々やめさせて、途上国の自立的な経済発展を助けるという経済協力本来の方向に転換させるために必要な行動を起こすべきである、こういうことを主張しておきまして、終わりたいと思います。
○中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○中村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一件願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕
○中村委員長 次回は、来る四月三日月曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十四分散会 ————◇—————