社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1989/05/19
会議録
○津島委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 この際、小泉厚生大臣及び丹羽労働大臣から、それぞれ所信を表明したいとの申し出がありますので、順次これを許します。小泉厚生大臣。
○小泉国務大臣 社会労働委員会の御審議に先立ち、所信の一端を申し述べたいと存じます。 今日、我が国は世界一の長寿国となりました。五十年前、厚生省が設置された当時は人生五十年と言われておりましたが、今や人生八十年の時代を迎えております。この間、我が国の経済社会は、国民経済の発展、高齢化の進行、技術革新の進展等により著しく変化しました。また、国際的にも我が国の地位は飛躍的に高まり、世界に積極的に貢献することが求められております。 こうした大きなうねりの中で、今後我が国の高齢化は諸外国に例を見ないスピードで進み、二十一世紀前半には諸外国がかつて経験したことのない高齢化の進んだ国となることが見込まれております。こうした中で、これからの我が国の最大の課題は、二十一世紀に向けて、来るべき高齢社会をいかに活力ある長寿・福祉社会にするかということではないかと思います。高齢期を迎えても社会に貢献できる一員として、役割を果たしていくことこそ幸せという国民の期待を大切にはぐくみつつ、昨年十月にお示しした「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標」を踏まえ、長期的視野に立って施策を展開し、我が国の経済社会の仕組み全体を活力ある長寿社会にふさわしいものとすべく、努力を傾注していきたいと考えております。 以下、平成元年度における主要な施策について申し上げます。 まず、年金制度についてでありますが、長寿社会においては、国民の生活の基盤となる安定的な所得保障の確立が極めて重要であります。このため、財政再計算期に当たる本年、給付額の改善、保険料率の見直し、厚生年金の支給開始年齢の引き上げスケジュールの明示、自営業者に対する基礎年金の上乗せ給付である地域型国民年金基金の創設等各般にわたる改正を行うとともに、平成七年度を目途とする公的年金制度の一元化に向けて被用者年金各制度相互間における負担の不均衡の是正を図るための措置を講じてまいる所存であります。このため所要の法律案を提出いたしたところでありますので、よろしく御審議をお願いいたします。 また、高齢者の社会活動を推進し、明るく活力ある長寿社会を実現するため、都道府県明るい長寿社会づくり推進機構の整備、高齢者の生きがいと健康づくりモデル事業を行うとともに、高齢者が多世代交流の中で安心し生きがいを持って暮らせるまちづくりに国と地方公共団体、民間が一体となって取り組む「ふるさと21 健康長寿のまちづくり事業」を推進することといたしております。このまちづくり事業につきましても所要の法律案を提出いたしたところであります。よろしく御審議をお願いいたします。 また、体が不自由な方々もできる限り住みなれた地域や家庭において暮らしていけるよう、在宅サービスの推進に格段の配慮を払うこととし、家庭奉仕員派遣事業、デイサービス事業、ショートステイ事業の大幅な拡充を進めてまいります。一方、施設への入所が必要な方々については、特別養護老人ホーム、老人保健施設の重点的整備を図るとともに、住まいとしての機能を重視した新たな軽費老人ホームの整備も推進してまいります。さらに、深刻化する痴呆性老人問題に対処するため、新たに老人性痴呆疾患センターの設置やナイトケア事業の創設、家族に対する介護指導の充実など、保健・医療・福祉にわたる総合的な施策の推進を図ってまいります。 これらとあわせて、長い高齢期を支える国民の健康を確保するため、がん、循環器病、糖尿病、腎不全などの疾病対策を進めるほか、正しい食生活、運動、休養の均衡のとれた健康的な生活習慣の確立を目指し、第二次国民健康づくり対策を進めてまいります。 また、人口の高齢化が進展する中で、将来の長寿社会を担う児童が心身ともに健やかに生まれ育つことはますます重要となっております。このため、家庭支援相談体制の確立、保育対策の拡充等心豊かな児童の育成と家庭基盤の充実に努めてまいります。 また、障害者対策につきましては、障害者ができる限り住みなれた地域社会の中で自立し、社会参加ができるような条件を整備するため、障害者社会参加促進事業等の施策の拡充に努めてまいります。さらに、地域における自主的な民間社会福祉活動の積極的な展開のため、ボランティア活動関連予算の大幅増など施策の充実を図ってまいります。 次に、本年は、二十一世紀を目指した医療供給体制の総合的な見直しに着手する年であると考えております。このため、現在医療法について平成二年度に改正を行う方向で準備を進めているところであり、また医療を支える人材についても、資質の向上と人員の確保に努めてまいります。また、国立病院・療養所につきましては、国立医療機関にふさわしい機能を充実強化するため再編成を着実に推進することといたしております。エイズ対策につきましては、さきの国会においてエイズ予防法を成立させていただきましたが、今後とも正しい知識の普及を中心として、発症予防・治療研究等各般の施策を推移してまいります。また、社会復帰施設の充実等精神保健対策も一層推進していくこととしております。 医療保険制度につきましては、昨年国民健康保険制度の改正をお願いいたしましたが、平成二年度には、国民健康保険制度及び老人保険制度について、制度の長期的安定を図るべく、見直しを予定しております。こうした制度改革の帰趨を見きわめながら、制度を通じた給付と負担の公平化のための措置を段階的に進めていきたいと考えております。 生活衛生行政につきましては、輸入食品の安全対策、食鳥の安全対策の推進等総合的な食品保健施策を積極的に推進するとともに、環境衛生関係営業の振興に努めてまいるほか、水道・廃棄物処理施設の整備の一層の推進を図り、生活排水対策を含む廃棄物の適正処理及び化学物質の総合的な安全対策に取り組んでまいります。 業務行政につきましても、医薬品等の安全性の確保、医薬品等の研究開発の促進とともに、血液製剤の国内自給を目指した血液対策に努めてまいります。 また、中国残留孤児対策につきましては、多くの孤児世帯が帰国していることから、帰国孤児世帯の定着自立の一層の促進を図るため、自立支援体制の強化に全力で取り組んでいく考えです。 さらに、厚生科学技術の推進に努めるとともに、近年、我が国の保健医療技術に対する開発途上国の期待が高まっていることにかんがみ、国際医療協力研修センターの整備、世界保健機関への支援の強化など保健医療分野における国際協力に積極的に取り組んでまいります。 以上、所信の一端を申し述べましたが、厚生行政の課題は、このほか、いずれもひとときもゆるがせにできないものばかりであります。私は、皆様の御理解、御協力を得ながら諸問題の解決に全力を挙げて取り組んでいく覚悟であります。何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○津島委員長 丹羽労働大臣。
○丹羽国務大臣 社会労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政について所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様方の御理解とご協力をお願い申し上げます。 今日、我が国経済社会は順調な発展を遂げておりまするが、一方では経済構造の転換、高齢化社会の進展、就業形態の多様化など種々の変化に直面しております。このような社会構造変化に対応し、社会の活力を維持するとともに、我が国の経済的地位にふさわしい豊かな勤労者生活を実現するため、次の事項に重点を置きつつ労働行政を積極的に推進してまいる考えであります。 第一は、経済構造転換と就業形態の多様化に対応した雇用対策でございます。 現在、雇用情勢は全国的に改善していますが、地域においてはなお改善が緩やかなものもあり、地域間格差が拡大しております。このため地域における雇用対策を強力に進めることとし、地域雇用開発プロジェクトへの援助、人材の地方還流の促進など、地域において効果的な雇用機会の開発を行うこととしております。 また、サービス経済化の進展、女子の職場進出等によりパートタイム労働者が増加しておることに伴い、パートタイム労働者について雇用保険の適用を拡大するとともに、パートタイム労働に対する指導を強化するなど、総合的な対策を行うこととしております。 これらの施策を円滑に実施し、経済構造調整期における経済変動に機動的に対応するため、雇用保険四事業の再編とあわせ、パートタイム労働者への適用拡大を行うための雇用保険法等の改正を内容とする法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。 第二は、労働時間短縮、労働者の安全衛生対策と勤労者福祉向上対策でございます。 労働時間短縮は、ゆとりある豊かな勤労者生活を実現するため政府全体として取り組むべき課題でございます。昨年決定されました「経済運営五カ年計画」でうたわれておりまする目標の実現に向け、中小企業に対する援助等にも十分配意しつつ、完全週休二日制の普及等労働時間短縮に積極的に取り組むこととしております。 また、労働者の安全衛生対策は働く人々のみならずその家族にとっても欠くことのできないものでございます。安全衛生の確保、労働者の健康の保持増進のため事業主に対する指導援助を充実するとともに、特に最近の死亡災害の増加にかんがみ労働災害の防止を一層推進することとしております。 さらに、中小企業勤労者のための中小企業勤労者総合福祉推進事業を拡充するとともに、心身両面のリフレッシュを図るためのリフレッシュ休暇制度の普及促進など、勤労者福祉の向上を図ることといたしております。 勤労者財産形成促進制度についても改善を行いつつ、制度の利用促進を進めてまいります。 第三は、本格的な高齢化社会の到来への対応でございます。 今後とも我が国が経済社会の活力を推持していくためには、六十五歳程度までの雇用就業の場の確保が極めて重要な国民的課題となっております。このため、人生八十年代時代にふさわしい雇用のあり方を示す長寿社会雇用ビジョンの策定を行うこととしているほか、継続雇用の促進、再就職の促進等の施策を積極的に行ってまいります。また、職業生活からの引退を円滑に進めるためシルバー人材センターを拡充する一方、高年齢者の能力活用のため、能力開発対策についても充実を図ることとしております。 第四は、障害者等特別な配慮を必要とする人々に対する職業生活援助対策でございます。 障害の重度化、多様化等困難の度を増しておる障害者の雇用問題に的確に対応するため、リハビリテーション体制を充実強化するなどの対策を推進することとしております。 また、男女の雇用機会均等の確保対策を進めるほか、育児休業制度や女子再雇用制度の普及促進等女子労働者の就業に関する援助対策を推進することとしております。 一方、今後の経済社会の変化に的確に対応していくため、総合的調査研究体制の整備を図ることとしており、長年にわたって健全な労使関係の育成に貢献してきた日本労働協会についてその機能の見直しを内容とする法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願いいたします。 このような労働行政の展開に加え、我が国の国際的地位にふさわしい技術協力、外国人労働者の受け入れ問題についての的確な対応、急速な技術革新・情報化の進展及び経済社会の変化に対応するための職業能力開発対策を推進するとともに、良好な労使関係の維持発展を図るための環境づくりに努めてまいりたいと考えます。 以上、所信の一端を申し述べさせていただきましたが、労働行政の展開に当たっては、国民の信頼を得ながら進めていくことが不可欠であります。近時労働行政をめぐり信頼を損なう事態が生じたことはまことに残念でなりませんが、今後の行政運営を通じて信頼を回復すべく、私自身が先頭に立ち対処してまいる所存でありますので、皆様の御理解と御協力を賜りまするよう心からお願いを申し上げて、終わります。(拍手)
○津島委員長 以上で両大臣の所信表明は終わりました。 次は、来る二十三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十五分散会