運輸委員会 第2号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1989/05/19
会議録
○小里委員長 これより会議を開きます。 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 理事河村勝君が去る三月三日委員を辞任されましたので、理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小里委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に小渕正義君を指名いたします。 ————◇—————
○小里委員長 陸運、海運及び航空に関する件等について調査を進めます。 この際、運輸大臣から運輸行政の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣佐藤信二君。
○佐藤国務大臣 第百十四回国会に臨み、当面の運輸行政の諸問題に関し、所信を述べ、各位の御理解を賜りたいと思います。 我が国の経済社会は、今日まで飛躍的な発展を遂げてまいりました。そして、平成の時代を迎え、我が国はその発展の成果を生かし、豊かさを実感できる国民生活の実現や国土の均衡ある発展を推進していくとともに、国際社会への応分の貢献を果たし、諸外国との調和ある発展を目指していくことが求められております。 このような状況に的確に対応して豊かで活力ある社会を築き上げていくために、運輸の果たす役割はまことに大きいものがあります。私は、このような運輸の使命の重要性を認識し、また、運輸が地域地域の国民生活と深いかかわりを有することを踏まえ、新しい時代に対応した運輸行政を積極的に展開すべく、全力を挙げて取り組んでまいる決意であり、それは「ふるさと創生」の基本理念にも通ずるものであると考えております。 以上申し上げました基本的考え方にのっとり、運輸行政の当面する諸問題について、次に述べますとおり所要の施策を推進してまいる所存であります。 まず第一には、均衡のとれた豊かな国土と社会づくりについてであります。 多極分散型国土の形成を図るためには、幹線交通体系の整備が不可欠であります。まず、航空につきましては、第五次空港整備五カ年計画に基づき、関西国際空港、新東京国際空港及び東京国際空港の整備並びに一般空港の整備を引き続き推進してまいります。また、国内航空路線における複数社化を推進し、航空企業間の競争促進を通じた路線網の充実を図っていきたいと考えております。 港湾につきましては、第七次港湾整備五カ年計画に基づき、コンテナ輸送の推進を初めとする物流の高度化等を進めるための港湾施設の整備を推進してまいります。 鉄道につきましては、整備新幹線に関しまして、本年一月十七日の政府・与党申し合わせにおいて、建設費はJR、国及び地域が負担すること等の結論を得たところであり、平成元年度から北陸新幹線高崎—軽井沢間について本格的に着工することとし、このため、日本鉄道建設公団法及び新幹線鉄道保有機構法の一部を改正する法律案を提出いたしているところであります。また、他の区間につきましては、難工事推進事業、建設推進準備事業を着実に実施してまいる所存であります。なお、これにつきましては、いまだ途上にあります国鉄改革の趣旨を踏まえ、JR各社の経営に悪影響を及ぼさないことを前提といたしているところでございます。また、幹線鉄道の新幹線直通線化等を推進するとともに、磁気浮上方式鉄道につきましては、実験線に関する調査等を進めるとともに、実用化に向けた技術開発を推進することとしております。 さらに、高速バスにつきましても、路線網の充実等サービスの向上を図ってまいります。 次に、地域交通体系の整備に関しましては、長期的な展望に立った計画を踏まえ、地方公共団体と連携しながら都市鉄道の整備及び都市バスの活性化、地方の中小民鉄、地方バス及び離島航路に対する助成、特定地方交通線の代替輸送対策等を推進してまいります。さらに、コミューター空港の整備等に対しましても地域と連携して取り組んでまいります。 地域振興の観点からは、観光が今後ますます重要な役割を果たすことが期待されております。このため、九〇年代観光振興行動計画に基づいて、中央及び各地方ごとに観光立県推進会議を開催し、観光に関する施策を総合的、計画的に推進してまいりたいと考えております。また、物流ネットワークシティー構想の推進、海上浮体施設の整備、沖合人工島の建設の推進等多様な地域振興手法の充実に努め、地域の活性化を図ってまいります。 次に、良好な都市環境の形成を図るためには、通勤・通学輸送の改善を図ることが不可欠であります。東京圏を中心に現在、喫緊の課題となっている土地対策への対応という面からも、昨年六月に閣議決定した「総合土地対策要綱」等を踏まえ、宅地開発と一体となった鉄道の整備を図るため、大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法案を提出いたしているところであります。また、大深度地下鉄道の建設推進のための法制の整備、新幹線通勤等の遠距離通勤者の負担軽減のための方策等を進めてまいります。また、昨年七月の政府の交通対策本部決定「大都市における道路交通円滑化対策」に基づき、道路交通の混雑解消のための施策を講じてまいりたいと思います。さらに、港湾や都市空間の高度利用を促進するとともに、居住空間やオフィス空間の有効活用のため、フレイトビラ構想の事業化等を推進してまいります。 また、都市新パスシステムや深夜バス導入等の運輸サービスの向上、駅や空港における利用者利便のための情報化の推進、駅施設の改善等の交通弱者対策の充実も図ってまいります。 国民生活の向上、自由時間の充実は、ゆとりある豊かな国民生活を実現する上で不可欠の課題でありますので、総合的に観光振興を図ることとし、大規模リゾート地域や家族旅行村の整備を推進してまいります。また、安全対策も含めた海洋性レクリエーションの総合的かつ計画的な振興等余暇活動の健全な育成に努めてまいります。 第二に、国際的に調和のとれた産業構造への変革についてであります。 我が国は、経済構造を内需主導型に変革することにより、調和ある対外均衡を達成することを重要な政策目標としております。運輸の分野でも、こうした経済構造調整に資するため、NTT無利子貸付金制度の活用を図りつつ、港湾・空港等の公共事業及びヨットの帆走等の研修を行うハーバーコミュニティーセンターを初めとする民活プロジェクトを推進し、内需の拡大を図ってまいります。あわせて、国際的な調和を図る見地から、外国企業の我が国への市場アクセスの改善に努める所存であります。 また、技術開発の推進やニューサービスの育成等を図ることにより、新たな事業分野を開拓し、産業構造の変革に寄与してまいります。交通運輸関係の技術につきましては、磁気浮上方式鉄道、新形式超高速船、多目的衛星システム等重要な技術開発課題があり、これに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 規制の見直しにつきましては、特に物流の分野において、運輸政策審議金物流部会意見等に基づき、物流事業の活性化、輸送の安全の確保等を図るため、貨物自動車運送事業法案及び貨物運送取扱事業法案を提出いたしているところであります。 このほか、物流事業につきましては、円高の進展、我が国の市場開放等に伴い急増している製品 輸入、農産物輸入に対応するため、港湾貨物流通システムを整備するとともに、消費者物流対策を推進してまいります。 他方、運輸産業の中には、急激な円高等の国際状況の中で厳しい経営環境の中に置かれている分野もあります。 まず、海運業につきましては、近年の世界的な船腹過剰、円高等に起因する深刻な状況に対応するため、外航船舶の整備に対する計画造船制度等により海運企業の経営安定化のための環境整備を図るとともに、関係者間の合意形成を促しつつ日本船の国際競争力を回復するための諸施策を推進してまいります。また、船員の雇用情勢も厳しくなってきており、海上職域の確保、陸上職域への転換等の船員雇用対策を強力に推進するとともに、船舶技術の革新に対応した船員制度の近代化を一層推進してまいります。 造船業につきましては、次世代船舶技術開発を推進するため、特定船舶製造業安定事業協会法の一部を改正する法律案を提出いたしているところであります。そのほか、事業提携の発展・強化や国際協調などを推進するとともに、海上浮体施設の整備の促進等活力と魅力ある造船業を目指した施策を推進してまいります。 また、運輸業は全般的に中小企業の構成比が高く、その経営の近代化・健全化は運輸サービスの向上に不可欠であります。このため、構造改善事業等、中小企業対策を推進いたします。 第三に、国際社会への貢献についてであります。 海外旅行倍増計画を引き続き推進するとともに、国際コンベンションの振興、国際観光モデル地区の整備等外客の受け入れ促進策を着実に実施し、地方の国際化も推進してまいります。また、新東京国際空港及び関西国際空港の整備とこれら空港へのアクセス整備の促進、地方空港国際化の推進等今後の国際航空の進展に対応した諸施策を推進してまいる所存であります。さらに、いわゆる国際航空運賃の方向別格差の一層の是正に努めるとともに、日本企業の複数社化等により航空路線網の充実を図ってまいります。このほか、航空貨物の取扱量の急増への対応策や外貿コンテナターミナルの整備等も推進してまいります。 他方、我が国の国際的地位にふさわしい責務を果たしていくため、開発途上国の鉄道、港湾、空港等の整備とともに、観光開発や輸送安全対策の分野にも重点を置いた国際協力を推進してまいります。 さらに、SAR条約の発効や国際的な新海洋秩序形成の動向に対応した広域哨戒体制の整備を推進してまいります。 第四に、国鉄改革の推進・定着化についてであります。 国鉄改革から二年余りが経過し、この間、国内の景気拡大にも支えられ、JR各社の事業運営は順調に推移してまいりましたが、今後とも国民の期待する安全で良好な輸送サービスを提供できるような経営基盤の確立を図っていくことが必要であります。 また、国鉄改革の残された大きな課題として、長期債務等の処理と国鉄清算事業団職員の再就職の促進があります。長期債務等につきましては、去る二月十日の土地対策関係閣僚会議の申し合わせに従って用地の一般競争入札による処分を推進する等、昨年一月に閣議決定された基本方針に従い適切な処理を進めるとともに、再就職につきましては、広域再就職を促進するための施策を含め、きめ細かな施策を展開していく所存であります。 なお、大幅な財政赤字が見込まれる日本鉄道共済年金問題については、その自助努力等と公的年金一元化へ向けての各年金制度間の負担の調整措置により対応することとし、関係の法律案を提出いたしているところであります。 第五に、安全で良好な生活環境の確保についてであります。 交通安全の確保はいつの時代でも運輸サービスの基本であり、運輸行政の要請でありますが、昨今におきましては、海上あるいは鉄道の重大事故が発生し、また、昨年の道路交通事故死者数も十三年ぶりに一万人を突破しております。運輸省においては、従来より運行管理体制の充実、交通安全施設の整備、輸送機器の安全確保等の施策を推進しておりますが、申し上げましたような事故の状況にかんがみまして、海上交通につきましては、政府の対策本部で決定された「船舶航行の安全に関する対策要綱」に基づき、ふくそう海域における船舶航行の安全のための施策等の充実に努めてまいります。鉄道につきましては、JR及び他の鉄道各社に対し安全対策に万全を期すよう強力に指導してまいります。また、道路交通につきましては、運行管理の強化、交通事故被害者の救済等の施策の充実に引き続き努めてまいります。繰り返しますが、安全は運輸行政の基本であります。交通にかかわるすべての人々の安全に対する自覚と責任を促しつつ、交通安全の確保に最善の努力を傾けてまいりたいと思います。 次に防災対策につきましては、第四次海岸事業五カ年計画に基づき計画的な海岸整備を推進し、安全で潤いのある海岸空間の創出に努めます。また、気象観測と予報、地震観測と予知及び火山観測の体制の充実強化を図るとともに、巡視船艇・航空機の整備等海上防災体制の充実強化を図り、災害の防止軽減に遺漏なきを期してまいります。 さらに、暴走族による騒音の抑止を含め、交通公害対策の充実強化を図るとともに、海洋汚染防止対策や広域廃棄物処理場の整備を推進してまいります。また、地球の温暖化やオゾン層の破壊等の地球規模の環境問題につきましては、世界各国の社会経済に重大な影響を与えることにかんがみ、国際的に協力しつつ、観測と予測体制の充実に努めるとともに、交通運輸への影響の評価とその対策について検討を行ってまいります。 なお、四月一日より消費税が導入されたところでありますが、今後とも、その円滑な実施を図るため、万全を期してまいる所存であります。 以上のほかにも運輸行政をめぐる課題は数多くありますが、豊かで活力ある社会形成の担い手としての運輸の使命の重要性にかんがみ、これらの課題に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。 また、行政の運営に当たっては、綱紀の保持を厳しく徹底し、あわせて、効率的な事務の執行に努めるとともに、行政に対する国民の期待に適合した組織のあり方を常に念頭に置いて、所要の体制整備を図り、国民から信頼される開かれた運輸行政の展開に努めてまいりたいと考えております。 以上、運輸行政の当面する諸問題につき述べましたが、これらは申すまでもなく委員各位の深い御理解を必要とする問題ばかりでございます。終わりに当たりまして、重ねて皆様方の御支援をお願い申し上げる次第でございます。 ありがとうございました。(拍手)
○小里委員長 次に、平成元年度運輸省予算について、運輸政務次官から説明を聴取いたします。運輸政務次官亀井善之君。
○亀井政府委員 平成元年度の運輸省関係の予算につきまして、概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計につきまして申し上げますと、歳入予算総額は二十四億二千三百万円、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百七十九億五千二百万円を含め九千三百十五億二千九百万円をそれぞれ計上いたしております。 次に、特別会計につきまして申し上げます。 自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入予算額二兆六千二百六十一億五千万円、歳出予算額六千百九十四億八千万円、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額四千五十九億五千百万円、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入予算額四百二億六千二百万円、歳出予算額三百四十九億一千七百万円、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千四百九十九億四千八百万円をそれぞれ計上いたしております。 なお、港湾整備特別会計及び空港整備特別会計 の歳出予算には、日本電信電話株式会社の株式(以下「NTT株」と言います。)売り払い収入を活用した無利子貸付金の所要額を計上しております。 また、産業投資特別会計の歳出予算には、運輸省関係海岸事業及び新幹線鉄道整備事業に係るNTT株売り払い収入を活用した無利子貸付金の所要額が計上されております。 また、平成元年度財政投融資計画中には、当省関係の公団等分として二兆三千百八十八億円が予定されております。 このほか、民間事業者が実施する民間事業者の能力の活用による施設整備事業の一部貸し付けに要する資金のNTT株売り払い収入を活用した日本開発銀行等からの無利子貸し付けによる運輸関係社会資本の整備を図ることといたしております。 運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、国鉄改革の推進・定着化対策、空港、港湾、海岸、鉄道等運輸関係社会資本の整備、交通ネットワークの整備、造船・海運対策及び船員雇用対、策、国際交流の推進・観光の振興、貨物流通対策、運輸関係の技術開発の推進、海上保安体制及び気象業務体制の充実強化、交通安全対策等各般にわたる施策を推進してまいる所存であります。 運輸省関係予算の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。 以上をもちまして、平成元年度の運輸省関係の予算につきましての説明を終わります。(拍手)
○小里委員長 以上で説明は終わりました。 次回は、来る二十三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時十三分散会