法務委員会 第4号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1988/12/20
会議録
○委員長(塩出啓典君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、梶木又三君、中村太郎君、林ゆう君及び宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として高橋清孝君、永田良雄君、二木秀夫君及び下田京子君がそれぞれ選任されました。 ─────────────
○委員長(塩出啓典君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に猪熊重二君及び諫山博君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(塩出啓典君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する律律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から両案について順次趣旨説明を聴取いたします。林田法務大臣。
○国務大臣(林田悠紀夫君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。 政府は、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び国際花と緑の博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。 第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給を増額することといたしております。 第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与等に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合 と同様、昭和六十三年四月一日にさかのぼって行うことといたしております。 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(塩出啓典君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 これより両案に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○千葉景子君 時間も短いところですので、二、三基本的な問題についてお尋ねをしたいと思います。 まず第一点でございますけれども、裁判官、それから判事補、簡易裁判所裁判官、それから検察官と、それぞれ報酬あるいは給与の区分がなされております。判事でありますと一号から八号、判事補ですと一号から十二号、簡易裁判所の裁判官ですと一号から十七号、あと検察官という形になっておりますけれども、これの基本的な区分基準というんでしょうか、それについてそれぞれ基本的なところで結構ですので御説明いただけませんでしょうか。
○政府委員(則定衛君) 今御指摘のとおり、裁判官及び検察官それぞれのものにつきまして区分がございますが、それらの区分を認めます前提といたしまして、裁判官、検察官がそれぞれ独立して職務を遂行していることが必要でございますし、その職務の複雑、困難さ、あるいは責任の程度によりまして、その職務の性質上一般職の公務員の場合ほど細かく区別することはできない事情にあるわけでございまして、一般職に比べましてより簡素なものにはなっているわけでございます。 一方、裁判官、検察官が原則としていわゆるキャリアシステムによって任用されておりますことから、経験によります熟練度とか、あるいは年齢にふさわしい生活を維持するに足りる経費等を考慮いたしまして、同様の任用制度を採用しております他の国家公務員の給与制度との均衡等も考慮して決定させていただいておるわけでございます。 これが一般的な説明になろうかと思いますが、より若干敷衍いたしますと、先ほど法案の提案理由説明にございましたように、いわゆる認証官たる裁判官、検察官につきましては特別職たる国家公務員の例にほぼ見合いまして、それから判事八号以上、検事八号以上につきましては一般職の国家公務員のうち指定職の号俸を受ける者の例に準じまして、それぞれ等差を設けて決めさせていただいておるわけでございます。その他の判事、検事及び判事補、簡易裁判所判事等につきましては、一般職の国家公務員の例によりまして裁判官、検察官の職務の特殊性等々を考慮いたしまして決めさせていただいているということになります。
○千葉景子君 一応御説明いただいて、何か大枠わかったようなわからないような感じがするわけなんですけれども、この提案理由説明にもございますが、判事、判事補、簡易裁判所の判事、検事、副検事についてはおおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与等に関する法律の適用をして、それと大体同じように増額をしていこうということでございますけれども、これは額において対応するということになっておりますが、そのもとはやはりその対応関係があろうかと思うんですね。そして、それが大体額が一緒だから、一緒に動こうと。この一般職の職員との対応関係といいましょうか、どんな形で対応しているものなんでしょうか。ちょっと簡単な例などを挙げて説明いただければ幸いに思います。
○政府委員(則定衛君) それでは一般職との関係で、いわゆるピンとキリといいましょうか、その二つだけ申し上げますが、そのピンの方でございますが、判事一号、検事一号につきましては一般職で申しますと先ほどの指定職十一号で、これは各省、行政庁から申しますと次官相当ということになろうと思います。一方、判事補十二号及び検事二十号につきましては一般職ですと五級の一号あたりに対応するかと存じます。
○千葉景子君 ほぼその間、対応関係で刻まれていくということになろうかと思うんですが、先ほど言われたように裁判官などは独立して職務を行うということもございます。それに熟練度あるいは年齢相当ということがございますけれども、独立性といいましょうか、その辺はどういう形で担保されておりましょうか。なかなか仕事の内容を判断するというのも難しいところかと思いますが、その辺の独立性ほどのような形で保障されているといいましょうか、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(則定衛君) 大変難しい御質問でございますけれども、職務の独立性を担保する上で待遇面、特に俸給面でどういうふうにするかということであろうかと思いますが、これを経済的な不安なく、かつそれにふさわしい生活を維持していけるための手当を確保するんだという観点から見ました場合に、裁判官及び検察官等につきましては一般行政職の国家公務員に比べまして相当の優位なところに位置づけているというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○千葉景子君 一応お話をお聞きいたしまして、この中で判事と簡易裁判所判事の報酬につきまして法律の附則がございます。その附則の十五条というところに「特別のものに限り、当分の間、」として額が示されておりますけれども、この「特別のもの」というのは一体どういうものに当たるのか、そして「当分の間、」いうことですけれども、これは何か一定の期間ということを予想されていらっしゃるものか、ちょっと御説明いただきます。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) この裁判官報酬法第十五条にあります判事、簡易裁判所判事の「特別のもの」に支給する報酬でございますが、俗に特号と言われているものでございます。 この報酬は、形式から申しましても報酬法第二条の別表の中には入っていない特別な形になっているわけでございますが、大体その趣旨について言われておりますところを申し上げますと、判事特号は、憲法に規定された裁判官の職務の重要性、職責の重大性を法制上あらわすために設けられたものだというふうに言われております。そして判事と検事は、その任用資格においては根本的には差異はなく、同じ任用資格でもって任命されていっているわけでございますが、それぞれの官の間にある職責の違いに応じて裁判官については特にこのような報酬を設けるべきものというふうに考えられたということでございます。しかも裁判官の場合は通常、一般行政官よりも相当長く勤務をいたします。定年の面でも検察官と比べて定年が二年長くなっております。そういったことも裁判官について、特に判事についてこういった報酬が設けられた趣旨であるというふうに言われているわけでございます。 それから簡易裁判所判事につきましては、簡易裁判所判事は御承知のように幾つかのルートからの任命が行われているわけでありますが、判事定年者等のいわゆる法曹資格を有する老練な簡易裁判所判事を確保し、かつ、それを適切に遇するという観点からこういった特別の報酬が設けられたというふうに言われております。 なお、現実の運用といたしましては、判事特号は例えば高等裁判所の裁判長であるとか、大規模な地・家裁の所長のような重責を担った老練な裁判官に大体運用されているということでございます。簡易裁判所判事の特号につきましては、ただいま設けられた趣旨にのっとりまして判事定年者等の法曹資格を有する老練な簡裁判事に支給が決定されているという実情でございます。
○千葉景子君 「当分の間」というのは、これは何か特別な意味がございますか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) この点につきましては、裁判官の職責に応じてこのような制度が設けられたわけでございますが、裁判官の報酬というものはその任用資格と密接な関係を有しているわけでございます。そして、その裁判官 の任用資格あるいは報酬というものをさらに将来根本的に検討していくというようなことも念頭に置いてこういった形が設けられたというように言われております。
○千葉景子君 これは同じ質問になりますけれども、副検事につきましても同じような規定がなされておりますが、これについてはどのようなものでしょうか。
○政府委員(則定衛君) 副検事の中には、副検事になります前に公安職(二)の適用を受けます検察事務官として相当高位にまで昇進していた人が選考でなるというケースもございまして、そういうような経歴をたどって任官してきた人がございます関係上、副検事一号の額をもって遇するのが相当でなく、それを超える処遇をしたいという必要性がございまして、今申しました一号の上にいわゆる特号を置かせていただいておるわけでございます。
○千葉景子君 それぞれ判事と簡易裁判所の判事、それから今の副検事、現在この特別な規定が適用されている方というのはほぼどのくらいの数いらっしゃるものでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 具体的な昇給の運用の問題でございますので、余りそのまま数を申し上げるのは適当ではないと思われるのですが、非常に少ない数でございます。それぞれ二、三十名程度というふうにお考えいただきたいと思います。
○政府委員(井嶋一友君) 給与の運用の関係でございますので私からお答えいたしますが、副検事の特号につきましては昭和四十八年からこれが認められておるわけでございますけれども、これはやはり設置いたしました経緯にかんがみまして、特に老練で優秀な副検事というようなことが一応選考の基準になるわけでございまして、ただいま裁判所の御答弁にもございましたように、私どもも約三十名を限度に運用をいたしておるわけでございます。年齢的には五十八歳ぐらいから上というような感じで運用をいたしております。
○千葉景子君 終わります。
○猪熊重二君 一、二点お伺いします。 それぞれの法案の附則の第一項についてまずお伺いしますが、この第一項によると「この法律は、公布の日から施行し、」、このように書いてあります。同時にまた、この法律の規定は「六十三年四月一日から適用する。」、こういうことになっておりますので、この中で施行ということと適用ということの意味の違いを教えていただきたい。
○政府委員(則定衛君) 先生よく御存じかと思いますが、施行とは法律の規定の効力を現実に一般的に発動させるということでございまして、一方、適用と申しますのは法律の規定を個々の対象に対して働かせるものでありまして、この法案につきましてもそういう趣旨で使わせていただいておるわけでございます。
○猪熊重二君 どうも説明がよくわかりません。 施行というのは、対国民の場合だったら、この法律が国民に対して効力を生ずることなんだ、これが施行なんだ、こういうふうな御趣旨だろうと思うんです。適用というのは何かといったら、法律のある条項を具体的に効力あるものとして実施することなんだ。ところが、この法律というのは給与のことを書いてあるだけなんですから、言えば全部が適用されているわけ。ということになると、この法案に関する限りは施行も適用も同じだということですか。
○政府委員(則定衛君) やはり同一ではないということになるわけでございますが、適用の方は先ほど申しましたように、いわば個別的にその効力を働かせるということになるわけでございまして、この法案に即して申しますと、現在、在職しています裁判官あるいは検察官の俸給につきまして、それぞれの受給適格者につきまして本年四月の時点からこの法律に基づく効力を具体的に発生させるという意味と解しておるわけでございます。
○猪熊重二君 よくわかりません。 要するに、法律というのは国民に知らせなきゃならぬ。知らせなくてはならぬから公布するんだ。公布することによって、国民がその法律の存在を知るわけです。知った上で、直ちにかあるいは少しゆとりを置いて、実際にその法律を実施する、国民に対し権利、義務を課する、これが施行ということなのだろうと思うんです。 そうしたら、この二法は、公布の日に施行すると。だから、何で施行の日よりも前に適用できるんだろうかというところが疑問だからお伺いしているのであって、どうも今の御説明だと施行せぬのに適用といって、適用というのは部分的施行ということと同じようなことになるわけなんです。こんなことをいつまで言っていてもあれなので終わりにしますけれども、何で私がこのことを申し上げるかというと、四月一日に適用した場合に、四月分の給料の今まで払った分は内払いにするということが二項に書いてあるわけなんです。そして差額は間もなく皆さんいただけることになって、それは非常に結構なことなんですが、その差額にはなぜ利息がつかないんだろうかという点が疑問だからお聞きしているわけなんです。 というのは、この法律を適用したということになれば、この法律の規定がそのまま四月一日現在において公務員に、あるいは裁判官にしても、場合によれば我々にしても、四月一日にそれだけの給与、俸給あるいは報酬を支払うということになっている。ところが、それをもらうのが十二月幾日だとか、まごまごして来年になるということになると、四月分の差額についてなぜ利息を払わないで済むんだろうかということをお伺いしたいから聞いているわけなんです。要するに、適用するということになると四月分の言えば差額、これはいつ払うべき義務が国に発生するんですか。
○政府委員(則定衛君) 裁判官、検察官の俸給につきまして、いわゆる人事院勧告をもとにする官民較差を埋める、その官民較差の調査時点が本年四月一日であるわけでございますが、その較差を埋めるために今回の法律改正をお願いして、これで国会が御承認いただき成立いたしますと公布になり施行になる。それで四月にさかのぼって、先ほども議論がございますけれども、適用させていただくわけですが、その一連の流れで見ました場合に、国に個々の裁判官、検察官等に全額についての支払い義務が生じますのは、今回のこの法律が施行された時点と解されるわけでございまして、本来なら四月から払うべきものにかかわらず例えばこの法律成立後におくれて支払うものという形ではない。 したがいまして、先ほどおっしゃいました利息の点でございますけれども、今回法律が成立、公布、施行されて初めて国としての支払い義務が生ずるわけでございますから、その意味では遅延していない、遅延したために支払うべき利息というものは発生していないんだ、こういうふうに解しておるわけでございます。
○猪熊重二君 裁判官の報酬等に関する法律の四条によれば、四条二項、「裁判官の報酬が増額された場合には、増額された日からあらたな額の報酬を支給する。」、こういう規定になっているんです。検察官の方も一般職の問題を経由して同じことになっているわけですから、そちらは今省略しますけれども。 そうすると、この法律が成立すれば六十三年四月一日から適用するということになって、その適用という意味は、四月一日から裁判官の報酬が増額されたんだとすれば、「増額された日からあらたな額の報酬を支給する。」ということはなっているんですから、四月分は四月十五日なら十五日に支給せなきゃならない。ところが差額分は十五日に支給していないとすれば、やっぱり不履行によって遅延損害金が発生して、民法四百四条、四百十九条によって年五分の利息を付加して払うということになるんじゃなかろうか。そうでないと、適用するということがどういう意味なんだかどうもすっきりわかりませんので、もう少しわかるように答えてください。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 施行あるいは適用の意味につきましては今まで則定部長の 方でお答えになったとおりでございますが、ただいまの裁判官報酬法の第四条第二項の「裁判官の報酬が増額された場合」というのは、これは法律改正によって給与改定があった場合ではございませんで、この別表に裁判官の報酬の区分がございます。この低い方の報酬の号から高い方の報酬の号に決定になった場合に、その日から新たな額の報酬を支給する、こういう意味であろうというふうに考えております。
○猪熊重二君 もう少しよくわかるようにまた後で考えておいてください。私は今の答えを聞いただけではよくわからないので、またそのうちによく検討して教えてもらいたいと思います。 時間がありませんので、あと一点、初任給調整手当についてお伺いしますが、初任給調整手当の金額が昭和六十一年度に増額になって、その際に、私としては、初任給調整手当というものが本当に必要なものであるとするならば、他の手当の諸項目についてベースアップが実質的に関連して増額されているのに、この初任給調整手当だけは何で何年間も据え置いておいて一度にぽんと上げるんだ、むしろ他の俸給、報酬と同じように順次上げていったらどうなんだろう、こういうことを申し上げたんですが、六十一年に増額になってから六十二年、そして今回の六十三年も増額になっていません。そうすると、初任給調整手当というのはどういう趣旨の金なんだろうというふうな点も非常に疑問になってきます。 もう最後の質問で、結局、初任給調整手当を六十一、六十二、六十三年と据え置いた理由及びこれを今後、来年度なりにおいてはどのようにか増額するようなお気持ちがあるのかどうなのか、それだけお伺いして、お答えいただいて終わりにします。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 初任給調整手当は、これまでも何度も説明いたしておりますように、裁判官あるいは検察官と、それから同じ時期に司法修習を終えて他の道へ進みます弁護士との収入の格差を少しでも埋めることによって、裁判官、検察官への志望者の確保を図るというものであるわけでございます。その場合に、弁護士の収入というものはもちろん年々少しずつ変わっていくわけでございます。そういう点では、弁護士の収入が上がればそれに応じて裁判官、検察官の初任給調整手当も増額するというのは一つの考えではあるわけでございますが、ただ趣旨が、今申しましたようにその収入の格差を少しでも埋めることによって志望者の確保を図ることにあるということになりますと、志望者の趨勢がどうであるかということもこれは無視できないものであるわけでございます。 昭和六十一年に大幅に手当の改定をしていただいたわけでありますが、これはやはりその前の何年間かにわたって志望者の確保が十分にできなかったというようなことがあり、それとあわせて弁護士の収入との関係から一定の金額の改定を認めていただいたということになります。六十一年以降今までその改定が行われなかったのは、志望者についてある程度の確保が行われてきたということが大きな理由であろうというふうに考えております。 来年はどうかということでございますが、実はこの志望者の趨勢がどうであるかというのはいろんな見方があるわけでございますけれども、最近の弁護士、特に例えば渉外方面へ進む弁護士の方の人気というのは非常に高いものがございをす。そういったことで裁判官、検察官についても来年度は考えなければならないのではないかということで、ただいまその点について努力をいたしているところでございます。
○諫山博君 元大阪高等裁判所の判事で弁護士をしている環直弥氏が裁判官の問題について講演したことがあります。この内容が「法と民主主義」の昨年一月号に掲載され、一般に知られていない裁判所の内部問題に触れたというので大変注目されました。櫻井人事局長はもちろん御存じですね。知っているかどうかだけ答えてください。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 今おっしゃいました、講演銀であろうと思いますが、それを私読んでおります。
○諫山博君 これを読むと、二十年間裁判官を務めれば判事の四号になる、これは例外なしだというふうに言われて、衆議院で櫻井さんはこのことを認めておられると思いますが、そのとおりですか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) どこの委員会の席であったかはちょっと正確には記憶いたしておりませんが、裁判官の報酬、大体二十年ぐらいで四号になるということはどこかの席で申し上げたと思います。
○諫山博君 これは仕事の実績とか責任の度合いとかいうことと関係なく、みんな四号になっていますか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 仕事の実績とか責任とかいうことに関係なくというふうにおっしゃられますと、それは少しそうではないというふうに考えております。裁判官の報酬はすべてそれぞれの置かれた立場に伴う責任あるいはその各人の実績に対応して決められているものというふうに考えているわけでございます。ただ、実際問題として判事の四号のあたりまでの昇給というものは、これはそれぞれのその置かれる立場というものがまだそんなに違いがあるような立場に置かれないということもあり、そういったことから大体例外なしに四号にそれぐらいの時期で上がっているというのが実情であると思っております。
○諫山博君 私は例外なくという答えを聞きたかったんです。 そこで、環元裁判官の話によりますと、判事三号になるときに顕著な差が出てくる。大部分の人は一定の年限で判事三号になるけれども、判事三号にならない人が出てくる。環さんは自分の知り合いの人で調査したところが、例えば三号になるのに三年おくれた人、四年おくれた人、五年おくれた人、七年半おくれた人、さらに調査時点でまだ三号になっていない人、同期生でこういう差が出ていることが判明したと書かれておるし、櫻井さんはそのことを基本的に認められたと思いますが、そうですか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) これもどこの委員会であったかという正確な記憶はございませんが、同じ問題について委員からお尋ねがあって、大体今おっしゃられたようなこと、これがどなたのことであるかということあるいは人数がどうであるかというようなことについては、これは私どもとしては検証のしようがございませんけれども、その三号以上の昇給について同じ期であっても違いがある場合があるということは申し上げております。
○諫山博君 あなたが説明されているのは衆議院の法務委員会においてです。 そこで、大多数の人は裁判官を何年すれば判事三号になりますか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判官の報酬の決定といいますのは、ただいま申し上げましたように、それぞれのその置かれた立場に伴う責任あるいは実績、能力に対応して決定されているわけでございます。したがって、これが何年経過すればなるものかという形で申し上げるということは、裁判官の報酬決定について例えば一般公務員の昇給と同じようなものだというような誤解を与えるものというふうに思われるわけでございます。 そこで、判事三号、二十年以上経過いたしました人の場合に判事三号への決定というものはあるわけでございますが、これが何年でもってなるのかということについては、これを申し上げるのは適当ではないというふうに考えております。
○諫山博君 今度の改正案によりますと判事三号と判事四号の違いは月額十三万円です。環元裁判官の指摘している例えば七年間おくれて判事三号になった人がどれだけの差をつけられるのか、これは期末手当を抜きにして簡単に計算しても一千九十二万円です。同じ裁判官であり、同時に裁判官に任命された人が非常に大きな顕著の差が出て きている。どうしてこういう差が出てくるかということについて衆議院で櫻井人事局長は、仕事の実績と責任の度合いによる、こう説明されていますが、今でもそのとおりですか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 今も、何度か御説明申し上げましたように、その置かれた地位に伴う責任の度合いの違い、それからその仕事の実績、能力に対応して報酬は決定させていただいているわけでございます。
○諫山博君 裁判官の仕事の実績というのは何だろうか、わかるようでなかなかわかりにくいんです。そして非常に問題を含んだ表現です。 そこで、具体的に聞きます。裁判官は一年間にどのくらいの事件をこなさなければならないんだと、処理件数のノルマがあると言われております。どのくらいの事件を裁判官がこなしているのかということは、昇給に影響する実績に入りますか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) まず、裁判官には処理件数のノルマというものはないというふうに思っております。一体どれくらいの事件をこなさなければならないのかということにつきましても、これは裁判官のその担当する事件によってもさまざまでございます。大変に大型の損害賠償訴訟を担当する場合は、これは例えば原告数十人、数百人というような事件もございます。単に件数一件といいましてもほんの一日で終わるような事件もございますし、今申し上げましたような大型の損害賠償訴訟の場合には膨大な日数を要するわけでございます。そういうことで、件数が何件だからどうこうということが言えるようなものではないというふうに思っております。
○諫山博君 今の説明はきれいごとだと思います。裁判官にノルマが課せられているというのは常識ですよ。私も何人かの裁判官にも会いましたけれども、やはり一定のノルマをこなさなければ最高裁の覚えめでたい人にならないというところに非常に問題があるというのが現場の声ですけれども、裁判官にはノルマは課していない、事件を何件処理するかということは裁判官の仕事の実績のうちには入らないと聞いていいですか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 諫山議員は裁判所の実情を十分御存じであろうと私は思うのでございます。そういう何件というような形で課されたノルマなんというのは、これはあるはずはないということは私は当然御承知のことであろうというふうに思っていたわけでございます。 ただ、それでは裁判官というのは仕事をするときに何も、例えば仕事のおくれ、終結した判決は二年でも三年でも放置しておいても少しも構わないんだというふうに言えるかといったら、それはやはりそういうことはないだろうと思います。
○諫山博君 わかりました。簡単に言ってください。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) そういう数字的な件数とかなんとかというようなものではなくて、これは裁判所で何十年というふうに仕事をしますと、おのずと、この裁判官の場合、その置かれた地位にふさわしい仕事をしているかどうかというのは、これは当然にわかるわけでございます。
○諫山博君 裁判官の行った判決が上級裁判所で破棄される率が多いかどうか、つまり高等裁判所、最高裁判所で破棄されないような判決をするか、それとも時々破棄される判決をするか、これは仕事の実績に入りますか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) これも……
○諫山博君 ずばり結論だけ答えてください。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 破棄される判決が多いか少ないかというような、そういった形式的な件数の問題ではないわけでございます。数がどうだからというようなことではないと思います。 ただ、例えば通常の人間なら犯さないような間違いを何回も繰り返して行うという場合に、上級審で破られる場合があると思います。そういうふうな場合は、それは見解が異なるとかなんとかというような問題ではなくて、やはり裁判官として必要な注意力を欠いている場合というのがもちろんあり得るわけでございます。そういったものも考慮に入らないかといえば、それはやはり入り得ると思います。ただし、それは件数がどうであるからというようなことではないというふうに思っております。
○諫山博君 最後に要望いたします。 環直弥氏は長い間裁判官をした人で、恐らく裁判所の内情に通じていると思います。この人が言っているのは、とにかく三号になるときから顕著な差が出てくる。どういう人に差が出てくるかというと、もう具体的に挙げております。例えばかつて青年法律家協会に所属していた裁判官、裁判官懇話会に入っている裁判官、この二つを挙げております。 ほかの知り合いの裁判官に私が聞いたら、もう一つある。それは公職選挙法違反の刑事事件で無罪判決をした人だと。戸別訪問や文書配布の禁止は憲法違反だと判決をした人は必ず差別されて不当な取り扱いを受けているということが言われております。 もちろんあなたの方はそうだとは言われないでしょう。しかし、裁判官の給与が具体的に差がつけられる、これがさまざまな裁判官に対する思想統制の道具に使われている、これが専ら弁護士会などで言われていることだし、私もそうだろうと思います。そういう批判が強いということをぜひ裁判所としては考慮してもらいたいし、同時にその批判を逃れたいのであれば、例えば三号になる人は何年ぐらいして三号になっている、遅い人はどのくらいおくれているということを具体的に資料を出していただきたいと思います。 きょうまで何回も最高裁判所に要求しましたけれども、これは人事上の秘密だということで資料をいただけませんでした。これでは環元裁判官が言われているような批判が広がるのは当然だということを申し上げて、質問を終わります。
○委員長(塩出啓典君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 それでは、これより両案に対する討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(塩出啓典君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(塩出啓典君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十七分散会