運輸委員会,内閣委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 238 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1988/07/28
会議録
○委員長(多田省吾君) ただいまから運輸委員会、内閣委員会連合審査会を開会いたします。 大城内閣委員長と協議いたしました結果、私、運輸委員長が連合審査会の会議を主宰いたします。 第一富士丸事故に関する問題を議題といたします。 まず、去る二十三日、第一富士丸事故により遭難された方々並びに御遺族の方々に対しまして、連合審査会といたしまして謹んで哀悼の意を表します。 ここに、犠牲者の方々の御冥福をお祈りするため、黙祷をささげたいと存じます。 皆様御起立願います。黙祷。 〔総員起立、黙祷〕
○委員長(多田省吾君) 黙祷を終わります。御着席ください。 この際、第一富士丸事故に関する問題につきまして政府から発言を求められておりますので、これを許します。石原運輸大臣。
○国務大臣(石原慎太郎君) 私は、海上交通の安全の確保が運輸行政の最も基本的な課題の一つであると確信して、従来から安全対策に最大限の努力を傾注するよう関係者を指揮してきたところでございます。しかるに、去る七月二十三日に海上自衛隊の潜水艦と遊漁船の衝突事故が発生し、多数の犠牲者が出ましたことはまことに遺憾に存ずる次第でございます。 この事故により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、御遺族の方々に衷心よりお悔やみを申し上げます。また、現在、行方不明となっておられる方の御家族の心情を察し、引き続き全力を挙げて捜索に努めてまいるつもりでございます。 政府といたしましては、事故の重大性にかんがみ、直ちに第一富士丸事故対策本部を設置し、本部では昨日までに三回にわたり会議を開き、行方不明者の捜索、救助の推進を図りつつ、事故原因の究明等に全力を挙げて当たることを申し合わせてまいりました。また、昨日の会議においては、事故原因の究明を待つことなく、当面、船舶航行の安全に関しての措置すべき事項を決定したところでございます。 運輸省としては、引き続き行方不明者の捜索活動に全力を挙げることとしております。また、この事故の原因の究明を急ぎつつ、関係機関の協力を得て事故の再発防止に万全を期してまいる所存でございます。
○委員長(多田省吾君) これより質疑を行います。 なお、質疑時間が限られておりますので、答弁は的確かつ簡明にお願いいたします。また、委員の皆様におかれましてもよろしく御協力のほどをお願いいたします。安恒良一君。
○安恒良一君 まず、総理に二十分ということですから、総理に限定してお聞きをしたいと思いますが、私も総理への御質問に入る前に、今回の事故で亡くなった方の御冥福を心からお祈りいたしますと同時に、御遺族の皆さんに心からの哀悼の意を表します。また、負傷された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。 そこで、総理にまずお聞きしたいのですが、本来、国民を守るべき立場の自衛隊が一般市民に危害を及ぼすということはあってはならないことだと思います。民間人を巻き込んだ今回の大事故は四十六年の雫石事件以来のものでありまして、私は海上自衛隊及び政府の責任は非常に重大だと思います。 そこで、総理に二つのことをお約束していただきたいのですが、一つは、事故の真相を包み隠さず公表する、それがために必要な資料は提出する。例えば潜水艦の航路図表であるとか、それから事故が起きた場合の具体的な措置は、軍としてはどうしているか等々の重要な資料をこれからも委員会で要求していきたいと思いますが、そういうものは事故解明のために公表していただけるのかどうか。 さらに、政治責任の問題、この点も明確にお答え願いたいのですが、何かお聞きしますと、防衛庁長官が辞意を漏らされている、こういうふうに聞きます。しかしながら、自衛隊の最高責任者は総理であります。でありますから、総理みずからの政治責任はどうされるつもりなんでしょうか。 さらに、東山海上幕僚長以下のいわゆる俗に制服組と言われていますが、この方々は直接の責任者でもあるわけですから、防衛庁長官がもしも辞任をされるというならば、私から言わせるならば当然東山海上幕僚長以下も辞任をすべきだと思いますが、これらのいわゆる制服組の責任のとり方、措置について、最高指揮官としての総理のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(竹下登君) まず、私からも、今安恒委員がお述べになりましたと同じように、お亡くなりになられた方々の御冥福を祈り、御遺族に対し心から哀悼の誠をささげ、また今御入院中の皆様方のお見舞いを申し上げ、そしてなお、発見に至っていない方の捜索に全力を傾注することをこの際申し上げる次第であります。 さて、御質問の第一は、公表、資料提供の問題でございます。国会の国政調査権に対して政府が最大限の協力をするのは当然のことでありますが、事故原因の徹底的究明を行いまして、結論が出た場合これを公表することはもとよりのことでございます。資料提供等につきましては、最大限の協力をし、委員会においてその辺お計らいがあろうかと思っております。 次が政治責任の問題でございます。 この事故が起きました二十三日夜になりまして、私、内閣官房長官、瓦防衛庁長官等関係者が協議いたしておりましたその後瓦防衛庁長官から、私もこの職に指名をいただきましたときから責任のあり方については十分心得ておるつもりであります、当面はまずいわゆる救難活動、そしてまた捜査、そうしたことに全力を挙げることがみずからのとるべき責任であるという考え方を披瀝されまして、私も同感である旨を申しました。 そして、昨日もまた、いやしくも国会においてこれが真相究明等についての議論が行われる、当面国会の答弁等にはみずからが立ってお答えすることが責任であり、さらに、事故調査等を徹底的に行う責任を果たしていきたい、このような御決意でございました。いつも聞かされることでございますが、もののふの進退は、ある日あるとき突如として決すべきものであり、一たび言の葉に上れば威令これ行えなくなる、このことをかねて聞かされておりましたが、当面瓦長官の態度を私は支持していく考え方でございます。 私自身の問題につきましても、今日御指摘のように、まずは徹底した原因究明等に当たることが最高責任者としてみずからとるべき責任であろう、このように考えておるところでございます。 それから次に、いわゆる制服の方々の責任問題でございます。事故原因等が合理的に解明されます段階においてそれぞれ措置されるべきことである、このように考えております。
○安恒良一君 総理、お願いしておきたいんですが、長官の御心境その他は聞いておりません、もうよくわかっておりますから。総理がどうされるかということと制服組のことを聞いたんです。今後の答弁よろしくお願いします。 そこで私は、本当にシビリアンコントロールがきいているのかどうかという点が非常に重要でありますから、第二点目でお聞きしたいんですが、雫石の事故の反省、教訓が全く生かされてないんじゃないかという感じがしてなりません。それはなぜかというと、この二カ月で七件の海上自衛隊の事故が起きている。私は、海上自衛隊の内部のたるみ、気の緩みがこのようなお粗末な事故を多発させて、それが今回の事故を招いたんではないだろうかと思います。また一つは、海上自衛隊のおごりであります。横須賀水域は一日に七百隻以上の船舶が航行する日本有数の過密航路であります。ところが、自衛艦のお通りだとのおごりが今回の事故を招いたんではないだろうか。国民に対して優越感が働いている、相手が道をあけることが当然だ、こういう気風があったのではないかという点を私は実は新聞の報道その他を見て非常に心配をします。 それと同時に、私どもは早速土井委員長以下調査団を派遣いたしましたが、現地の制服組の態度というのは、潜水艦のことは専門家がよく知っているんだ「おれたちのやったことは正しいんだ、素人が何を言っているかとこういう態度があったのであります。こういうところにシビリアンコントロールの不徹底というものが身をもって感じられるのでありますが、この点総理どうでしょうか。 その具体的な例を一つ挙げてみましょう。いわゆる救難活動について西廣防衛事務次官は、乗客の救助活動が不十分だと非を認めた新聞記者会見をしましたが、東山海上幕僚長以下制服組は適切に対処したと。最近少しトーンを落としていますが、そういうことを繰り返しています。私は、この点に軍の組織の持つ恐ろしさを感じるわけです。こういう意見の食い違いは、今私は非常に重要だと思います。それはなぜかというと、平時でさえ制服組と内局組にこんなちぐはぐがあるわけですから、仮に有事になったら制服組が独走するんではないだろうか、私はこんな心配をしてなりません。この点について総理はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) まず、御意見の中にございましたいわばおごりあるいは軍事優先の思想、そういうものがあるとすればこれは最も戒めなければならないことであるというふうに考えております。いろいろ御例示なさいましたが、事によりましては、現場にありました制服の諸君がとりました措置は、法令、規則、そして航海上におけるそれらの状態への対処ということでは過ちを犯したというふうには私も思っておりません。むしろいわば潜水艦と申しますならば、まさに潜水した行動における各種の規範等が存在しておりますが、これがいわば湾内において浮上した形における規範等につきまして不備な点はなかったかというようなことについても検討すべき課題であるというふうに思っておるところであります。 そして最後に、シビリアンコントロールについてお触れになりました。過去の大戦への反省はもとよりでありますが、憲法にも、文民をもってこれに充てると、こう書かれてございます。そうした精神はまさにシビリアンコントロールというものの上に立って我が国の自衛隊活動は存在するという基本的な考えでございますだけに、この点だけは私ども政治家が常日ごろから心してその間にちぐはぐがあるようなことがあってはならないということに留意すべき重大な点であるというふうな問題意識を持っておるところでございます。
○安恒良一君 総理、重ねてですが、西廣防衛事務次官は乗客の救援活動が不十分だったと非を認められているわけですね。ところが一方は、適切に対処したと。どうも総理も何かいろいろ法律から見ると適切であるかのような言い方をされていますが、私は今日それは通らないと思うんです。潜水艦というのは海に潜っているけれども浮いたときも潜水艦ですからね。浮いたときに起こった事故について、今回の措置が適切であった、そういう言い方では国民の自衛隊に対する感情はますます爆発するばかりだ。非は非として認める、この謙虚さが制服組、さらにそれを指揮される総指揮官である総理にないと私は事態の円満な解決はできないと思いますが、重ねてそこのところだけ聞かしてください。
○国務大臣(竹下登君) 私が申しましたのは、いわば現場における指揮が間違っておったということを申し上げるつもりはございません。現場にある者が法令、規則等に照らしてとった措置はそれなりに正しいものであったと思います。ただ西廣君自身が申しておりますように、例えば潜水艦にいろんな器具等がそろっていないということも聞かされておりますが、一人でも飛び込んでほしかったと、そうしたいわば国民感情を前提とした発言そのものに対しては私もうなずけるものがございます。したがって、そうしたちぐはぐが起こらないようにさらに法令、制度、施策の上にも検討をしていかなきゃならぬ課題があるというふうに私なりに問題意識を整理しておるところであります。
○安恒良一君 理解できませんが、これだけやっておれませんから。私は、少なくとも自衛隊のとった措置が、特に海難救助等にとった措置が正しいとは絶対に思いません、国民の一人として。国民を助ける立場にあるわけですから、このことだけははっきり言っておきます。 そこで、事故原因はこれからいろいろ調査されると思いますが、私はだんだん海自側にあるというふうに思われてなりません。そこで、原因者であった場合は当然でありますが、仮にそうでなかった場合でも、今回の事故に対して被災者への国の補償問題についての政府・総理としての対処方針の基本的考えを明らかにしてください。
○国務大臣(竹下登君) 今御説にもありましたように、海上保安庁等で事故原因については調査中でございます。その状況をもとより見きわめつつ、これについては適切な措置を講じさしていただくという考え方であります。
○安恒良一君 私は、いわゆる遊漁船という小さい漁船と潜水艦という大きい船の衝突から出ているんですから、原因のいかんを問わずやはり手厚い補償をされることをこの際強く総理にお願いをしておきます。 最後になりますが、いわゆる事故の反省に立って事故の再発防止をやるということを言われておりますが、これはスローガンだけであってはいけないと思うんです。例えばきょうの新聞を見ますと、いわゆる自衛隊全艦隊に対して八月一日から三十一日の一カ月だけは海上交通センターへ位置の通報義務を課すと言われておりますが、私はたった一カ月ではいけない、こういうものは少なくとも平時においては恒常的にやるということを義務づけなきゃならぬと思います。 さらに、総理の決意を聞かしていただきたいんですが、海上交通センターへの通報の義務というのは常時やろうとするといろんな問題が出てまいります。また、例えば五十メートル以下の船を加えるのかどうか、漁船やレジャーの船の航行、航行海域を指定するのかどうか等々いざ対策に手をつけると大変難しい問題があります。しかしながら、多少の利害を乗り越えてでもこの際政府の積極的な権限で具体策を立てる、こういうことについて総理、お約束をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 先ほどもちょっとお話しになっておりましたが、昭和四十六年の七月三十日、いわゆる雫石事故がございましたときの内閣官房長官は私でありました。当時から私感じますことは、再発防止に全力を尽くしますという言葉ほど吐きながら自分で時にそらぞらしさを感ずるような言葉だといつも感じます。しかし、現実問題として再発防止等に精力的に当たらなければならぬということも十分承知いたしておるところであります。 さて、海上交通センターのあり方の問題についてでございますが、今安恒委員がお吐きになったような意見を十分に参考にさせていただきながら、石原対策本部におきまして検討し対応すべきものである、このように考えております。
○安恒良一君 総理、少なくとも私はこのことだけ約束していただきたいんです。横須賀のようなこういう航行の過密海域では、私は百歩を譲って、平和時において自衛隊艦船の航行について恒常的に航行通報の義務が最低必要不可欠なことだ、これが私は海上安全の徹底を図っていく上で非常に重要なことだと、事故の再発防止につながると思いますが、この点はどうですか。平時に過密海域では自衛艦、船舶の航行について通報義務を課せる、この点どうですか。総理、あなたが最高指揮官ですからそうだと言えばそれで済むことです。
○国務大臣(竹下登君) 私は専門家でございませんので、あるいは御納得のいくだけのお答えをする能力を持ち合わせていないかもしれません。しかし、今の御趣旨に沿って十分対応していこう、このような気持ちを抱いておることを申し上げておきます。
○安恒良一君 終わります。
○委員長(多田省吾君) 安恒良一君の質疑は終了いたしました。 次に、峯山昭範君の質疑に入ります。峯山昭範君。
○峯山昭範君 まず初めに、今回の衝突事故で亡くなられました二十九名の犠牲者の皆様の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の皆様に謹んで哀悼の意を表するものであります。また、入院加療中の皆さんの一日も早い御回復と、いまだ行方不明の湯原真実さんの一日も早い発見を心からお祈り申し上げるものであります。 さて、総理、時間が非常に短いものですから端的にお伺いをしたいと思います。今回のこの大惨事は当事者が自衛隊ということでありますから、各方面に与える大きな影響ははかり知れないものがあります。自衛隊の存立というのは言うまでもなく広範な国民の支持と信頼、これが非常に重大だと私は思います。そういうような意味で、総理の現在の率直なお考えを初めにお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今回の事故がいわば自衛隊の艦船と民間の船舶の衝突であるという点について、まことに痛恨のきわみだと考えております。 そこで、今おっしゃいましたように自衛隊というものが過去愛される自衛隊でございますとかいろんな言葉が使われました。あるいは災害出動に対して国民の皆様方から大変な期待を受けたこともございます。しかし、その基本は何としても今おっしゃいましたとおり国民の信頼と支持の上に立ってこそ自衛隊というものが本来の任務を果たし得るそれこそ基盤ではないかというふうに、問題意識は同じくしておるではなかろうかという感じで私は承っておりました。
○峯山昭範君 総理、今回の大惨事は問題点がたくさんあるわけでありますが、きょうは短い時間でございますから端的にお伺いいたします。 一番の問題は、海上自衛隊の皆さんのいわゆる救助の問題ですね。これはだれが見たって一体何をしておったのかという感じが非常に強いわけであります。実は総理、今回の中で、事故当時現場から一キロ離れたところにいたいわゆる第三松和丸というタンカーは、一キロ離れておるところから五分間で駆けつけてそして十二名ですかの皆さんを救助しておるわけです。この船は調べてみますと船長以下わずか五名です。そういう点から考えてみますと、この新聞報道によりましても「なだしお」の救助した人がたった三人。しかもその三人は泳いできた、助けたんじゃなくて何というか救助したなんということに入らないような感じです。国民の立場からいえば何にもしてくれなかったと言われてもこれはしようがないわけであります。こういう点について日ごろ自衛官に対して一体どういう指導をしているのか、こういう国民の疑問があるわけであります。 しかも、第三松和丸の皆さんや救助された皆さん方が、当時潜水艦の上に二十ないし三十人の皆さん方が立って生存者を傍観しておったと。しかも、今問題になっております最後のお一人の女性の方、この方が海へ飛び込んで泳いでいくのを見ておった方もいるわけです。そういう方は場合によったら助けることができたかもわからないわけですね。そういう点からいきまして、こういう事実に対して総理は今どういうふうにお考えか、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 海上保安庁が、第一富士丸船長及び「なだしお」艦長に対して任意の取り調べを今日行っております。そうした問題は今後の問題でございますが、「なだしお」の人命救助の措置そのものは私は適切であったと思っておりますが、今峯山委員おっしゃいましたようにいろんな事情があろう。仮に私どもの経験からいたしますならば、例えば総員位置につけということも事故発生と同時にはあるでございましょう。しかし、いろんな措置があろうにいたしましても、いわば海上自衛隊の諸君が法令、規則そのものに適合しておったとしても、国民感情からしていち早く飛び込んでほしかったと、こういう印象があるということは私自身も十分理解をいたしておるところでございます。したがって、今後はいわば有事のみならず平時における海難救助の問題等について何が足らなかったかということを、我々もこれから本部を中心にして適切に分析し対応すべきものであるというふうに考えております。
○峯山昭範君 これは総理、法令、規則上は誤っていなかった。そうしたら法令、規則が間違っていたわけですよ。 逆に言えば、人間として、とにかく少なくとも海自の乗組員の皆さん方というのは日ごろ何を訓練しているか、泳ぐことを訓練しているわけです。海の中が庭先みたいなものでしょう。そういうような意味では、そういう人たちは何があったって必死の奮闘でやるべきだと私は思うんです。法令や規則がもしそうなっていないとするならば、これはそっちを改めるべきであって、そこら辺のところは、先ほど雫石の反省の話もありましたけれども、とてもじゃないけれども国民の立場からいっても納得できない。 そこで総理、これはもういろんな問題があるわけですが、反省という問題で、例えば具体的な問題で申し上げますが、こういう問題は今までたびたびあるわけです。雫石の問題はもちろん大変な惨事でありましたが、昭和五十二年九月二十七日に米軍のファントム戦闘機が墜落して炎上したことがある。このときに海上自衛隊の基地からヘリコプターが救援に向かったわけです。そのときに、救助に行きながら、炎上して火だるまの被災者や民家の皆さん方は救助しないで、無傷の米軍のパイロットだけ救助して帰ったわけです。 これは内閣委員会でも大変問題になりまして、何だと、あのときも随分非難したわけです。ところが、実際はあのときの反省が全くないわけですよ。そういうふうな意味では、こういう事故が起きるたびに法律の改正や反省とかいろいろ言っておりますけれども、そういうこともがっちり考えてやっていただかないと困る。総理いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘にありましたように、法令、規則というものが不十分であるものもあるいはあるかもしれません。それは当然改めるべきことであるというふうに思っております。 しかし、峯山委員が御指摘されたように、まず、自衛官たる者、人命尊重ということを最優先にして事に当たるならばこのような不祥事は事故原因以前の問題として防ぎ得たではないか、そういう御意見に対しては私も謹んで拝聴させていただきました。そのように今後とも対応していくべきものである、このように考えます。
○峯山昭範君 海自の幹部の発言というのはテレビやいろんなところで聞いておりましても全く納得できない。もう一つ一つひっかかるわけです。今までいろんな記者会見等で見ておりましても、すべて自己弁護に終始しておる。そういうふうな意味ではいろんな問題があります。 例えば東山幕僚長の発言ですけれども、第五ブイのところから横須賀へ入るところの速力の問題ですね。五ないし六ノットと初め言っておりました。ところが、実際は十一ノットだった。総理、潜水艦のいわゆる水上における一番の速力はどのくらいか御存じですか。時間がございませんから申し上げますが、これは資料によりますと十二ノットが最高スピードでございまして、十一ノットというのはもう最高のスピードを出しておるわけです。ふだんならば五ないし六ノットで行くのが当たり前じゃないですか。だから幕僚長はそう言っておるわけです。 こういうふうな間違いや、衝突した場所の間違いを取り上げてみましても、これはもう非常に問題がある。しかも、幕僚長だけじゃなしにそれ以外の幕僚監部の皆さん方の一つ一つの発言も、例えば連絡に二十一分かかったのが当たり前というような発言もありますし、しかも連絡する中身の問題として、何で遅くなったんだということに対しまして、防衛部長ですが、通信文の起案にも時間がかかると言うんですよ。この緊急事態のときに通信文を起案するというようなゆっくりやるような体制にもしなっているとするならば、そういうものは変えないといけない、私は実際そう思うんです。そういうように一つ一つの問題に問題があり過ぎる。 したがって、総理、私がお願いしたいのは、どうしてもやっぱり海自の幹部の皆さん方、特に艦長にいたしましても、いまだどうなっているかわからない。そういう人たちにテレビの前で国民に対しましてもまことに申しわけなかったということを明確にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 自衛隊の艦船が民間の船舶に衝突をしたということは痛恨のきわみであって、幾重にも私はおわびを申し上げてしかるべきものだというふうに思っておるところでございます。 確かに、今御指摘のありました通報の問題等につきまして、まず上部に通報し、それから海上保安庁に連絡されるというようなことは、同時に通報すべきものであるというふうに私どもも本部でもこれを指摘いたしておるところであります。今度の教訓を生かして万遺漏なきを期したい、これが私の今の率直な心境でございます。
○峯山昭範君 時間がございませんので最後の質問といたしますが、横須賀を母港といたしております米第七艦隊所属の艦船というのは水上艦だけでも十隻あります。これはミッドウェーとか巡洋艦、駆逐艦、フリゲート艦とありますね。それ以外にも原子力潜水艦が毎年二十ないし三十隻出入りしておるわけです。こういう艦船がもし大変なところで事故を起こしたら一体どういうことになるのか、これは本当に私は大変な問題だと思います。それが第一点。 それからもう一つは、こういうふうな問題を起こして、その後この問題を解決するために、国民の信頼を回復するために今総理は何をすべきだとお考えなんですか。これも端的にお答えいただきたいと思います。 私どもが、今、国会審議の過程におきまして事故原因を明らかにするとともに、それに呼応いたしまして再発防止策を確立しなければなりませんし、あわせて遺族や被害者の皆さんへの補償、こういう問題に万全を期さなくちゃいけない、そういうことをきちっと一つ一つやっていくことが私は信頼回復の第一歩であると思っております。そういうような意味も含めまして、最後に総理の所信をお伺いして、終わりたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 信頼をいかにして回復すべきかということでお述べになりました事故原因の徹底究明、もとより再発防止策、その段階において補償等についての適切なる対応の仕方、これらをきちんとやり上げることがいわば責任者たる者の責任をとる道であり、そしてそれこそ信頼回復に通ずる道である、これは全く考え方を同じくいたしております。
○峯山昭範君 米艦船の問題。
○国務大臣(竹下登君) 日米安保体制の機能的運用ということについて、しかしその基本にあります考え方は、いわばそういう過密海域におけるところの航行の安全を期するという立場から十分今後とも連絡、協調を図ってまいりたい、このように考えます。
○委員長(多田省吾君) 峯山昭範君の質疑は終了いたしました。 次に、吉川春子君の質疑に入ります。吉川春子君。
○吉川春子君 私は、今回事故に遭われた方すべての方にお見舞い申し上げます。そして亡くなられた方の御冥福を心からお祈りいたします。 本当に楽しかるべき夏休み、家族そろってのレジャーが一転して惨事となりました。お母さん、泳げないから助けてと言って沈んでいった男の子もいるといいます。自衛隊は、日ごろは国民の生命、財産を守るなどと宣伝をしておりますし、二十五日の記者会見では西廣次官が、いざというとき命をかけて国民の生命と財産を守るのが自衛隊だ、こういうふうに述べています。こういう立場からしても今回の事故は明らかにこれに反するんじゃないでしょうか。 しかし、記者会見あるいは朝からの総理や防衛庁長官の答弁をずっと伺っておりますと、遺憾なこととか残念なこととか、非常に客観的なんですね。他人事みたいにおっしゃっていると私にはとれました。第一富士丸の船長が二十六日記者会見したときに、極めて重大な事故を起こしてすべての皆様におわびをしたいと涙ながらに述べていたのを見ましても、余りにも客観的過ぎると思うんです。 私は、総理は今回の事故を引き起こした責任あるいは救助の不備、そういうものについて率直に国民に、事故に遭われた方々におわびを言うべきじゃないかと思います。その言葉を伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 吉川委員がその言葉を見出すのにも困難なという気持ちであられるごとく、私も質問を受けながら、きょうばかりではございませんが、お答えする言葉を見出すのに苦しむという率直な心境でありまして、まことに痛恨のきわみであるというふうに考えておることを率直に申し上げます。
○吉川春子君 申しわけありませんでしたと、こういうお言葉はないんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) だれしも衝突事故があったときに申しわけなかったという気持ちを持つのは当然だと思っております。
○吉川春子君 総理は、午前中の答弁のときも今もおっしゃいましたけれども、法令、規則に照らして何ら間違っていないんだ、こういうふうに言われました。 防衛庁に伺ったんですけれども、「なだしお」がどれくらい救命具を積んでいたかというと、ゴムボートが二隻、救命胴衣が二百二十、浮き輪が四個、これだけ積んでいたというんですけれども、そうですか。
○国務大臣(瓦力君) 事実的なことでございますから私からお答えさしていただきますが、潜水艦は、浮上して作業をするという性能ではなくて、海中における性能ということを追求いたしておりますので、いわゆる救命ボートにいたしましてもそういったものは持ち合わせていないわけであります。また、救命胴衣につきましては、鑑が海底におきましてどういう状況下になるかによって、出るハッチの数が少ないものですから、事によればそれぞれ閉めて出なければならぬという特異性から、数は持っておりますが、これを外へすぐ出せるというものではないということだけ申し添えさしていただきます。
○吉川春子君 数はそれだけ持っていたんですね、救命胴衣その他。
○政府委員(日吉章君) 事実の問題でございますから、私からお答え申し上げます。 ゴム浮舟が二個ございます。これは潜水艦そのものが……
○吉川春子君 数だけでいいです。数を簡単に言ってください。
○政府委員(日吉章君) 救命胴衣二百十六個、浮環四個でございます。
○吉川春子君 これだけのものを持っていたのなら、全部海に投げ出しておぼれそうな人につかませられるような状態にどうしてできなかったんですか。十メートル前から叫んでも何にもしてくれなかった、こういう婦人の証言もあるんですけれども、これはとんでもないことじゃないですか。救命胴衣は普通は使えないようになっているんですか、いざというときは。
○政府委員(日吉章君) 私ただいま説明を始めようといたしましたが、このゴム浮き袋、浮舟——浮舟と申しますものは、潜水艦が水中で事故を起こすあるいは水中で攻撃を受け浮上できないときに潜水艦の乗組員が救出を助けるためにまず水面に浮かべるものでございまして、これそのものは非常に小さい上にかつ動力がございませんから、通常大きな艦艇が救助に出向きますような内火艇のようなものではございません。 救命胴衣の数が多うございますのは、これは潜水艦そのものが非常事態になりましたときに各ハッチからそれぞれの乗組員が脱出するわけでございますが、その脱出する乗組員の数が各場所によって、その状況によりまして確定できませんので、そのハッチのところに余裕を持って救命胴衣を備えつけているわけでございます。 救命浮き輪は四個そのものでございます。 以上でございます。
○吉川春子君 とにかく、国民の命を救うためにそういうものは投げ出されなかったし、そういうものでもないという答弁だったと思うんですけれども、けしからぬと思うんです。 運輸大臣、運輸省に伺いますが、船員法の十四条に、船長は、他の船舶の遭難を知ったときには人命の救助に必要な手段を尽くさなければならない、このようになっているわけです。今、海上保安庁の捜査では業務上過失致死あるいは業務上往来危険罪、あるいは衝突予防法などの問題について捜査が行われていると報告されていますけれども、船員法十四条の問題についても捜査の対象になっているんですね。
○政府委員(山田隆英君) お答えいたします。 現在のところ捜査の対象になっておりませんが、今後の捜査の進展によってはあり得るということでございます。
○吉川春子君 どうして捜査の対象になっていないんですか。当然なるんじゃないんですか。
○政府委員(山田隆英君) 被疑者としての取り調べの対象ではございませんが、事故原因究明あるいはその後のとった措置等についての事実究明を行う場合に、こういう条文関係についても調査の対象にはなることと考えております。
○吉川春子君 総理、今お聞きのように、法令、規則に照らしても何ら不備はないんだと。そういう問題じゃないと思うんですね。むしろいろいろと問題点があって、今取り調べているというときに、総理の口からも責任逃れともとれるような発言というのは全く私は承服できないし、先ほど来の質問者の意見にもありましたけれども、けしからぬと思うんですね。率直にそういうことを認めるべきじゃないんですか。
○国務大臣(竹下登君) 私は、現場においてとった措置が法令、規則に違反していないにしてもという前提で申し上げております。責任逃れなどという気持ちは全くございません。
○吉川春子君 もういろいろな法令に違反しているんです、現場の自衛隊員がとった行動というのは。だから、法令に違反していないけれどもそれ以上に何か悪いことがあったということではないと思うんです。 ずっと論議にもなっていますけれども、浦賀水道は一日八百隻近い船が航行していて、まさに海の銀座というふうに言われているわけなんです。そこを自衛艦や米艦船が三隻から四隻、あるいは多いときには七、八隻の事実上の艦隊を組んで横切っている。高速道路を横切るようなものだと、こういう指摘もあるわけなんです。先頭に司令官が乗っている艦船が浦賀水道を横切ると、後続の艦もおくれてはならじとこれに続いて横切る、民間の船の直前を横切る無謀な横断もやっていると、こういう証言もあります。 現に、第一富士丸のパーサーの証言でも、事件の十日ほど前にも現場近くの海域で潜水艦に直前を横切られた、こういうふうに証言しているわけです。民間の船はルールを守っている。事情に精通した水先案内人も乗せています。軍隊はあるいは自衛隊は勝手に判断して、通報義務も課せられていない、水先案内人をつける義務も課せられていない、そしてぶつけられた方が悪いんだと言わんばかりで、本当にそこのけそこのけ潜水艦が通る、軍隊が通る、こういう感じだと思うんです。 私は、今回の事故はまさに起こるべくして起こった事故なんじゃないか、こういうふうに思うわけです。横須賀には自衛隊や米軍の基地があり、たくさんの軍隊の船があるわけで、まさに基地が横須賀にあるから事故が起きるんだというふうに思います。ですから、こういう首都圏のそばに基地があること自体大きな問題だし、基地そのものの存在が今度の事件を起こしたんじゃないか。私はそのことを指摘しまして、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
○委員長(多田省吾君) 吉川春子君の質疑は終了いたしました。 次に、関嘉彦の質疑に入ります。関嘉彦君。
○関嘉彦君 今回の第一富士丸の遭難事故はまことに痛恨のきわみでございます。ただ一人残っている行方不明の方が一日も早く生きて帰ってこられることを祈念するとともに、犠牲者のみたまに哀悼の意を表し、遺族の方に謹んでお悔やみを申し上げる次第でございます。 事故の原因並びにその責任の所在につきましては海上保安庁その他で現在調査中であると思いますので、きょうは私はここでは取り上げません。私が取り上げたいと思っておりますのは事故後の対応策、自衛隊の対応策並びに今後こういうことを再発しないための対策、それの基本的な方針について総理にお尋ねしたいと思っております。 まず、事故が起こった後の人命救助及び遭難の通報の問題でございますが、先ほど来、総理は人命救助に関して法令あるいはマニュアルに照らしては遺憾の点はなかったというふうにおっしゃいましたけれども、今度のような事件というのはまことに異常な事態であります。そういう異常な事態におきましては臨機応変の策をとらなければならない。戦闘の場合はもちろんですけれども、平時において異常な事件が起こった場合においても臨機応変の策をとる。この点について遺憾な点はなかったかどうか、総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 特に、今委員のおっしゃいます御意見の中で、この事故が起きた直後における、なかんずく救難活動等において臨機応変の措置というものに欠けるところがなかったか、あるいはそういう御印象のもとでのお尋ねではないかというふうに私は聞いておりました。おっしゃるように、法令、規則に照らした間違いがないにしても、私も素人でございますからその辺の詳しい事情はつまびらかにする能力がございませんけれども、臨機応変の措置というのがそういう場合に最も必要なことではないか。そして、それがあったかなかったかというのが私にとっても一番の関心事でございます。
○関嘉彦君 遭難の通報について。
○国務大臣(竹下登君) 遭難の通報の問題でございます。これは確かに上部機関に上げて、そしてそれから海上保安庁の方へ通報されるということは、こういう場合上級機関に連絡すると同時に海上保安庁へ通報するということをすべきであるというふうに私も考えております。
○関嘉彦君 そういった臨機応変の策をとるようにということは、これはやはり平時の訓練なんかについても注意をしていただきたいというふうに考えております。 それから、次に取り上げたいと思いますのは、こういう事故の再発を防ぐための対策でございますが、きのう第一富士丸事故対策本部から、とりあえず八月一日から三十一日までにとるべく緊急の対策が発表されましたが、私これを読んで、今さらこういうことが問題になるのか、当然普段からとられておくべき問題ではなかったのか、そういうことを感ずるわけであります。例えば、自衛艦隊が浦費水道のようなああいった非常に交通の錯雑している海域に入る場合においては当然に海上交通センターにその位置を通報すべきであるし、また、米軍の艦隊についても私は同じようなことをなさせるべきであると思うんです。 どうもそういうふうな問題、これ書いておられることを読みますと、例えば外務省、防衛庁、運輸省、そういった各省庁の間にあるような問題がなおざりにされていたんではないか。私は今度の問題だけに限らず、人命の安全に関するような問題についてまだほかにもあるんではないかというふうに考えるんですけれども、各省庁の間にあるような問題についてはお役人に任せておいてはできない問題であります。総理大臣みずから内閣官房を指揮してそういう問題の解決にリーダーシップをとるべきであるというふうに考えますけれども、総理の御所見いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 「船舶航行の安全に関する当面の措置」、事故対策本部で二十七日に決めたものに対して、確かにその中に平素行っておって当然のものではないか、これをさらに特記することによって意識を高めようという考え方もあったと私は承知しております。そしていわゆるセクショナリズムとでも申しますか、各省ごとの権限によってそれの調整機能というものがこういうところにも働くべきである。これは当然のことであろうと思っております。 内閣官房におきましては安全保障室、内政審議室、外政審議室と三つのものがそれぞれ内閣のいわゆる調整に当たるわけでありますが、このたびの本部も、石原国務大臣を本部長として総理府に置いて各省間の調整に当たるという考え方の上に立っておるわけでございます。
○関嘉彦君 最後に、今度の事故が起こった日、総理大臣及び内閣官房長官は軽井沢に行っておられた。官房副長官もどこかに旅行して東京にはおられなかったわけでございますけれども、こういった事態がまた起こってもらっては困るんですけれども、あるいは大地震とかそういったふうなことも予想しておかなくてはいけない、異常時に対する備えを常にしておかなくてはいけないと思うんですけれども、いわば官邸の主人に当たる人が三人とも東京を離れているというふうなことがこれいいことでしょうか。私はやはり慎重に考え直していただきたい問題だと思うんですけれども、総理の御所見をお伺いしまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(竹下登君) まあ俗に言う官邸の主人とでも申しましょうか、それを特定していただくといたしますならばあるいは今の三職名ということになろうかと思います。私は決していいことだという感じは持っておりません。どのような形でいわば危機管理体制を平素から仕組んでおくかということについては、御趣旨を体して十分検討させていただきたいというふうに考えます。
○関嘉彦君 終わります。
○委員長(多田省吾君) 関嘉彦君の質疑は終了いたしました。 次に、秋山肇君の質疑に入ります。秋山肇君。
○秋山肇君 私も、今回の痛ましい事故に遭われました方々、御遺族の方々に対しまして謹んで哀悼の意を表するところでございます。 今までに、各委員の方々から原因の究明という問題について御質問がありましたけれども、私は角度を変えて一つだけ総理にお聞きをいたしたいと思います。 先ほど、総理は雫石の事故のときのことを例に出されておられました。一つこういう大きな事故があって、これに対しての原因の究明と同時に、この事故に対して再び起こしてはならない一つの警鐘が鳴らされているわけでありますから、このことについてこれからの再発がないようにしていくのが亡くなられた方に対しての償いの意味にもなろうというふうに思うのであります。 そういう観点から申しますと、昨年の通常国会で成立したリゾート法の中で各地に大型レジャー、リゾート基地というものが設けられる。そして、今度の事故に遭われた遊漁船のように、大きな釣り船等に乗って釣りに出られる、レジャーが大型化していく、大衆化をされていくわけでありますけれども、これからのリゾート関連につきまして、今度の事故に対しての反省を踏まえて、総理としてどういうふうにお考えになっているかお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 昭和四十六年七月三十日の雫石事件のことに先ほど触れました。そのとき、再発防止という言葉を使うときに非常に空虚なものを感じながら、しかしその後の対応は一生懸命やりました。当時は民間航路優先主義への転換というような言葉を使っておったことがございます。したがって、今度も再発防止というために万全を期することがせめてもの償いであるという感じは私もひとしくいたしております。したがって、単なる過密航路というそれ以上に、いわば大型レジャー基地というものが先般来の法律等もございましてこれから進んでいく際、特に大型レジャー施設というものは必ずしも海浜だけではない、山間にもあることはございますものの、やはり主として海浜に多くいろいろな計画があることを承知いたしておりますので、いわばこれらの安全対策につきましては今度の事件、そして今御指摘いただいたことなどを下敷きにいたしまして、さらに検討を加えるべきものだという感じを私も持ったことを率直に申し上げておきます。
○秋山肇君 どうもありがとうございました。
○委員長(多田省吾君) 秋山肇君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、総理大臣に対する質疑は終了いたします。 総理は御退室いただいて結構でございます。 引き続き質疑を行います。 次に、久保田真苗君の質疑に入ります。久保田真苗君。
○久保田真苗君 防衛庁長官、今度の事件は本当に悔しい事件です。長官も大変御心痛だと思うんです。しかし、私はこの問題は単に一般的な将来対策というようなもので解消さるべきものじゃないと思うんです。これは長官が本当に責任を痛感していらっしゃると漏れ承るそれ以上に、それぞれの段階ではっきりとした責任がとられなければ、亡くなった方はとても浮かばれるという事件ではないんです。東山海幕長が事故早々に、いろいろな情報について詳しい伝達はなかったにもかかわらず、潜水艦の側には責任がないという発言をしておいでになる。そしてまた、ただいま総理も大変遺憾の意を表明しておられながら、しかし飾り文句のように、法令上の違反がなかったとしてもというようなことをたびたびおっしゃる。これはまさに逆なでだと思いますね。 私、まず初めにはっきりしておきたいのは、もう皆様御存じのことなんですけれども、この事故は、海上衝突予防法によりまして、今回の事故現場で衝突回避の義務を負っていたのは基本的に潜水艦「なだしお」だったということなんです。それは右舷に相手船を見るという船に義務づけられていることでして、この基本的な事実は動かすことができないと思うんです。この点について私はまず瓦長官の御見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 今回の事故は海上自衛隊の潜水艦と民間船舶との衝突事故により乗客、乗員の方々に大変大きな御迷惑をおかけいたしました。なかんずくたくさんの方々のとうとい生命を奪うというざんきにたえない大きな事故になったわけでございます。この席に立ちまして御冥福をお祈り申し上げますと同時に、また御家族の御心痛もお察し申し上げ、さらに、ただいまお一方の行方不明につきましても全力を挙げて取り組んでおるわけでございまして、何とか早く捜し求めたいものと、かように考えておるわけでございます。よって、引き続き捜索活動に全力を投入すべくダイバーを潜らせ、また空からも捜索を続け、また周辺におきまして陸上自衛隊の隊員を配置するなどいたしておるところでございます。 また、徹底的に原因の究明を行わなければならぬと考えておりますし、事故の再発防止に努めてまいることは大事なことと心得ておるわけでございます。 よって、今先生御指摘のように、潜水艦「なだしお」に非があるかどうかということも含めまして、原因につきましては海上保安庁におきましてあるいは調査、海難審判、かようなことにゆだねるべきだと思いますが、現時点に立ちましては行方不明者の捜索と、さらに原因究明等につきまして、また再発防止に取り組まなければならぬ。このことが私に課せられた今重要なる課題である、かように受けとめて仕事をさせていただいておるわけであります。もとよりこの事態を深く憂慮し、そして再発防止をもって何とかその作業につながるように努力しておるところでございます。
○久保田真苗君 運輸大臣に伺います。 今、捜査、調べが行われているところだと思いますが、海上衝突予防法十五条によりまして、衝突回避の義務があるのは相手船を右舷に見る船である。基本的にそういう法令になっていることは確かですね。
○政府委員(山田隆英君) お答えいたします。 海上衝突予防法の規定はいろんな状況下においてこの船に避航義務がある、この船が権利船といいますか、保持船ということを定めておるわけでございまして、そのような状況下にあったかどうかということの判断をする必要がございまして、それを現在捜査しているところでございますので、当該事案に関する船が果たしてそのときに避航義務があったかどうかという具体的なことについては、捜査の途中でございますので公表を差し控えさせていただきたいと存じます。
○久保田真苗君 航行の状況とか、いろいろもう既に防衛庁の方でも発表していらっしゃる中でそういうことはみんな出ていることなんですよ。それを国会で答弁をなさらずに済まそうなんて、こんなおかしいことはないんです。 私が伺っているのは、そんな突っ込んだ話じゃないんです。極めて簡単なことで、予防法の十五条にいう回避をする義務が基本的にあるのは相手船を右舷に見ている側の船ですねということ、それを確認しているだけなんです。
○政府委員(山田隆英君) 一般論として申し上げて、十五条で規定しておりますのは、二隻の動力船が互いに進路を横切る場合におきまして、そして衝突するおそれがあるときは、その右舷に相手船を見る方が避航義務を持っておるということでございます。
○久保田真苗君 じゃ、次に人命救助の方にまいります。 今度、非常に大きな不信感を招いているのは、これまでにも皆さんが指摘なさいました事故後の潜水艦の行動なんですね。人命救助についての責任体制は一体どうなっているんでしょうか。つまり、「なだしお」が溺者救助を行うその命令が一体いつ出たのか、また溺者救助に関係のある責任者はどういう官職なのか、それを説明していただけますか。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 事故を起こしまして直後、艦長の報告によりますと一分程度後だと理解いたしておりますが、溺者救助部署を発令いたしております。溺者救助部署を発令いたしましたときに配置いたしますのは十七名が当該類似艦の通常の場合でございますけれども、当艦長は事柄の重要性にかんがみ三十五名を配置いたしております。
○久保田真苗君 溺者救助の責任体制にある官職名を言っていただけましたか。
○政府委員(日吉章君) 指揮は二名とってございまして、上甲板での救助隊の指揮をいたしている者が指揮者でございます。
○久保田真苗君 それは何という職名ですか。上甲板でそのとき指揮をしていたのは何という官職名ですか。
○政府委員(日吉章君) 調べまして、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
○久保田真苗君 もう一週間にもなろうというわけです。調べる委員会もおつくりになっているはずなんです。こんなことを自衛隊が自分で把握していらっしゃらないで、一体国民にどうやって申しわけなさるんですか。
○政府委員(日吉章君) 調べましてお答え申し上げますので……(「だめだめ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○委員長(多田省吾君) 日吉防衛局長に申し上げますが、何時ごろまでに御答弁いただけますか。
○政府委員(日吉章君) 本庁の方に電話をいたしますれば、それでわかります。
○委員長(多田省吾君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(多田省吾君) 速記を起こしてください。
○政府委員(日吉章君) 御答弁申し上げます。 基準によりますれば水雷長となってございます。
○久保田真苗君 事故が起こったときに、甲板あるいはブリッジにいてその事故の状況を目撃していたのはだれとだれですか。
○政府委員(日吉章君) 四名でございます。
○久保田真苗君 四名の官職名と、その方たちがおぼれている人を目撃したかどうか、それはもうお調べが済んでいると思いますから、それをお答えください。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 「なだしお」は三名を救助いたしておりますが、これら三名の方々は目視することができまして救助したわけでございます。その他の方々は、潜水艦がその現場まで帰ることができませんで認めることができておりません。目視いたしました三名は救助をいたしてございます。
○久保田真苗君 委員長、恐れ入りますけれども、質問に答えていただくように御注意願えませんか。 私は、そこにいた方たちの官職名を聞いているのと、そのおぼれている人を目撃したのかどうかを伺っているんです。
○委員長(多田省吾君) 答弁者は、質問者の質問に対しまして的確な答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(日吉章君) 艦橋で見張りをしておりましたのは艦長、副長、哨戒長、見張りでございます。
○久保田真苗君 まだお答えいただいていないんですよ。そのおぼれている人を目撃していたと思いますね。このときに大変時間がかかっているわけですけれども、遭難信号をなぜ使わなかったのかという疑問が出ております。これについてその理由を御説明いただけますか。
○政府委員(日吉章君) 「なだしお」は、事故が発生いたしました直後直ちに緊急の連絡をいたしておりますが、それは、僚艦の艦艇と上級司令部に対しまして連絡をいたしました。上級司令部を経由いたしまして保安部に連絡が届きましたのは約二十分後であったことは事実でございます。 艦長の判断といたしますれば、自衛艦には各基地と各艦艇との間に固有の通信系が整備されておりますことと、今回の場合、事故現場が横須賀基地に近かったこと、また近くに僚艦がいたということからその通信系を優先したものだと思いますが、その後冷静に考えてみますれば、一般的な緊急発信、国際VHF無線等をあわせて使用することが適当であったということを反省いたしております。
○久保田真苗君 運輸大臣に伺います。 船員法というものがありまして、船員法の十三条に衝突した船相互の救助義務、それから他の船舶の救助義務というのが十四条にございます。この「なだしお」のケースは十三条に当たると思います。そしてもちろん自衛艦にも適用されると思います。それに間違いありませんか。
○政府委員(山田隆英君) ただいまの船員法の条文は、本件に該当すると思います。それから自衛艦に適用されることになっております。
○久保田真苗君 十三条ですね。
○政府委員(山田隆英君) 船員法十三条でございます。
○久保田真苗君 次に、連絡体制のことを私も伺いたいんですが、二十一分かかっていると皆さんおっしゃっています。 ところで、この連絡の方法が、上の方まで行ってそれから運輸省の保安庁の方に行っている。こういう回路を伝わって、そのために二十一分かかっているんです。直接保安庁に直ちに「なだしお」から知らせる、あるいは現場から知らせるということは、その方法は自衛隊の中では許されているのかいないのか、そこを聞かしていただきたいんです。
○政府委員(日吉章君) 自衛隊は特殊な組織でございますから、一般的に情報の伝達は直近の上級機関を通しまして行うのが通常でございます。それと、先ほどお答えいたしましたような事情を勘案いたしまして艦長はそういう方法をとったことだと思いますが、ただいまも申しましたように、本件の処理を後で考えてみました場合、あわせまして直接保安部の方にも連絡をする通信系を使うことの方が望ましかったのではないかという反省はいたしております。したがいまして、それを禁じてはおりません。
○久保田真苗君 つまり、艦長はやろうと思えば直接通報することができた、そういう意味ですね、確認します。
○政府委員(日吉章君) それが適当だと考えた場合には、できたわけでございます。
○久保田真苗君 それから、海上交通センターへの通報を対策としてお出しいただいているんですけれども、おととい私たち土井委員長初め調査に参りました。そのとき、横須賀地方総監は、地方隊所属の船なら船の大小を問わず横須賀港入港に際しては観音崎にある東京湾の海上交通センターに通報するということを指示しているとあるんですね。ところが、一番破壊力の大きい非常に危険な、そして救助能力の極めて乏しいこの潜水艦というもの、自衛艦、こういう大きな船がその通報をしていない。なぜやらないのか。これはどこの指示によってやるのか。例えば横須賀の地方総監の指示が守られていなかったということなのかどうか、その辺をお聞かせください。
○政府委員(日吉章君) 自衛艦からの通報は、事実上の行為といたしまして運輸省、海上保安庁と私たち防衛庁との話し合いで行っているわけでございますが、諸般の事情がございまして潜水艦につきましては通報をしていないわけでございます。それは、潜水艦は湾内は浮上して航行するわけでございますけれども、潜水艦そのものがそれほど大きくございません上に、浮上いたしました場合は浮上部分も小そうございます。そういうふうな理由が最大の理由でございます。
○久保田真苗君 運輸大臣、この対策をお出しになりまして、今度の潜水艦のこういう事故、非常に見にくいんです、確かに潜水艦は。そうであればあるほどそれは通報していただかなければならないのは当然で、これだけの人身事故を起こしておきながら、それを免れようなんてこと自体がこの過密水道で非常に無理なお話です。私、運輸大臣にはこの点についてきちんとした通報体制を徹底していただくようにお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(山田隆英君) 技術的な面がございますので私から答弁させていただきます。 現在、海上交通センターに通報がございますのは、法令上認められているのが原則として二百メートル以上の巨大船等でございます。それから、あとは行政指導でもって位置通報を受けていただいているのが一万総トン以上の船舶、それから危険物の一定の船舶、それから海上運送法によります定期の旅客船、こういったものでございまして、自衛艦は外れております。ただ、先ほど防衛庁からお話しございましたように、自衛艦につきましても自発的に通報をいただいております。その場合に、潜水艦は先ほどの御説明のようなことで外されております。 私ども、昨日の安全対策会議においての決定の中で、海上交通センターとそれから自衛隊の艦艇との間の情報連絡を緊密に行うという趣旨のことを決めておりまして、今後関係の防衛庁とよく御相談をして通報船舶の取り扱いを決めさせていただきたいと思います。 ただ、極めて技術的なことを申し上げますと、この位置通報を受けた場合には海上交通センターのレーダーで監視をすることになります。その場合に潜水艦はレーダーに極めて映りにくいという状況がございます。このような観点をも含めて今後海上自衛隊と御相談することになろうかと思います。
○久保田真苗君 運輸大臣、さっきからそこに座っていらっしゃるんですけれども、せっかく出していただいた紙が、私たちがこんなに心配しているこの潜水艦の航行に関して空手形だったということがおわかりいただけると思うんですよ。私たちの関心は潜水艦の危険をどうするのかということ。それにこたえていないペーパーをきょうお出しになるというのはちょっと筋違いじゃないんでしょうか。それはもうじっくり詰めていただいて、潜水艦の危険に対して私どもが安心できるような体制へ持っていっていただけないでしょうか、いかがでしょうか。
○国務大臣(石原慎太郎君) 防衛庁には防衛庁の特殊な事情が確かにあると思います。しかし、あそこは天下の公道でございまして、やはり人命が何よりもとうとい、しかも今度このような惨事を起こしました。また、長官も答弁しましたように、潜水艦はレーダーに映りにくいし、また出ている部分が非常に少ないし、昼間眺めてもどっちへどの角度で走っているかちょっとわかりにくいような節がございます。また、私は夜間に遭遇したことはございませんけれども、普通の船舶のように航海灯を果たしてつけているのかつけていないのか、また黒く塗ってありますし、いずれにしろ非常に視認しにくい、そういう状況がございます。自衛隊は自衛隊の理由があるかもしれませんけれども、やはりもっと公共の利害というものを踏まえて積極的に検討したいと思います。
○久保田真苗君 防衛庁長官もそれに応じていただくということでよろしゅうございますか。
○国務大臣(瓦力君) 潜水艦の性能、特性からいいまして、先ほど海上保安庁長官から映りにくいレーダー等の関係のお話しもありました。しかしながら、横須賀港から湾内を経て出る。確かに港湾内は非常に交通量の多いところでございますが、まず基本的にはそのルールを守ることでございますし、また安全対策につきましていろいろ検討する余地が私はあると思います。そういう問題につきまして、私どもも積極的に取り組み、湾内の安全運航、こういうことにつきましてこれからも検討すべきことに積極的に取り組ませていただきたいと思っているわけであります。
○久保田真苗君 責任問題が出てくると思いますから、その前に早急にこれは片づけていただかないといけないということでお願いしておきます。 最後にもう一つ質問したいんです。 これはアサヒ・イブニングニュースという新聞に出ているんですけれども、この事故について横須賀のアメリカ海軍司令官が海上自衛隊から事故後数分以内に通報を受けた、こういう情報がございます。そしてまた、これに関連して横須賀のアメリカ海軍当局の方から海上自衛隊に対して援助の申し入れがあったというんですね。ところが、その申し入れに対して海上自衛隊は、アメリカの援助がなくたって今救援活動を十分にするだけの人力、装備、熟練度を日本は持っているからということでお断りになった、こういう情報がありますけれども、これについての真偽をお答えいただきたい、こう思います。
○政府委員(日吉章君) 事故当日、十八時四十分でございますから、事故が発生いたしましたのは十五時三十八分と言われております、したがいまして、事故が発生いたしましてから三時間後だと思いますが、そのころ在日米海軍司令部幕僚から自衛艦隊司令部の幕僚に電話がかかりまして、先生ただいまお尋ねのように、救援のための艦艇等を差し向けることがよろしければ差し向けますという連絡があったのは事実でございます。 これに対しまして、自衛艦隊司令部は当時既に海上保安庁、私ども自衛隊の艦艇、潜水員を現場に多数派遣しておりましたものでございますから、米側の援助を求めないこととしたものでございます。これより先十七時五十分ごろにも米側のLCMという中型の上陸用舟艇等から支援できる旨の連絡もあったようでございますが、同じような理由でお断りをしたという事実がございます。
○久保田真苗君 一番目の質問にちょっと答えてください。こちらの海上自衛隊の方から米軍の司令官の方へ、事故後数分後に通報があったという、その点はどうなんですか。
○政府委員(日吉章君) 先礼しました。突然のお尋ねでございまして、私その点は了知いたしておりません。
○久保田真苗君 じゃ、後でお答えいただけますか。
○政府委員(日吉章君) 後ほど調べまして答弁させていただきます。
○委員長(多田省吾君) よろしゅうございますか。
○久保田真苗君 終わります。
○委員長(多田省吾君) 久保田真苗君の質疑は終了いたしました。 次に、安恒良一君の質疑に入ります。安恒良一君。
○安恒良一君 久保田さんの質問と関連するんですが、私は、時間がだんだんたってくるにつれて、海上自衛隊が今回の衝突事故の際にとった処置が適当であったかどうかというのは大変問題があると思います。これは、第一富士丸の乗組員の発言でも、右への転回のおくれ、こういうものが衝突の大きな原因になっていると思います。 そこで、もう一遍聞いておきますが、海上自衛隊の方の操船の判断のミスがあったんじゃないか、海上衝突予防法の第七条、第八条、第十五条、第十六条、以上の規定が本当に海上自衛隊側で守られておったのかどうか、防衛庁長官聞かせてください。
○国務大臣(瓦力君) ただいま事実の解明並びに一義的に海上保安庁でこれらの問題が取り扱われる、こういうことは委員御承知のとおりでございます。よって私は、これらのことに予断を挟む答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○安恒良一君 あれだけ新聞にもいろいろ報道されていますし、それからあなたは長官として事実の解明はされているはずですね、部下が起こしたことですから。それなのに答弁を差し控えるという、何か長官らしくない答弁だと思いますが、少なくともあなたは長官として幕僚長以下に現場の事情その他、今私が申し上げた各条項を遵守したかどうかということは問いただされておるべきじゃないですか。それを、今捜査中でありますから答弁できませんとはどういうことなんですか。
○国務大臣(瓦力君) 御指摘のような条項につきましては、これを遵守し、行動しておるものと、かように信じておるわけであります。
○安恒良一君 信じておっても起こったこと。 それじゃ、もう一つだけ聞きましょう。私は、なぜ停船しなかったかということが非常に問題だと思います。というのは、横須賀入港の左折した「なだしお」は、ヨットを目撃して減速していますね。そして、一方においては第一富士丸の南下も知っていますから、そこで同時後進操作で確実に停止する。そうするとこの衝突は免れているんですよ、今、現状から。 ところが、一般の船舶の方が避けてくれる、どうもこういう思い上がりがあったんじゃないでしょうか。これは私から言わせるともう法令違反の有無以前の問題だと思うんですね。あそこできちっと後進操作をかけて停止しておれば衝突は免れたわけですから。そういう点はどうですか、長官。
○政府委員(長谷川宏君) お答えいたします。 ただいまのようなポイントは、現在海上保安庁において御調査をしておられるところでありまして、私どもの方も私どもなりにそれぞれの部署において調べをしておりますけれども、それはあくまで部内の調査にとどまるものであり、権限ある官庁が御調査いただいている事項について、我々のような当事者の一方であり、かつ他方当事者の動きを知らない者が確定的なことを申し上げることはできないという点は御理解いただけるものと思います。 そして、操艦の判断の是非あるいは事後的に考えた場合の正否、そういうふうなものはちょっと私どもが申し上げる筋でないと思います。
○安恒良一君 そんなこと言ったら国会で、連合審査で何を聞いてもだめだと。海上保安庁、いわゆる海難審判理事所の結論が出るまで何を聞いてもだめだということになる。私はそんなことを言っているんじゃない。あそこで、第一富士丸の南下を知っていたときに同時に後進操作をやって確実にとまっておれば避けられたんですから、そのことをなぜやらなかったのかと、そのことだけ聞いているんです。それも今はいろいろ私たちは内部で調べていますがこんなところで言えぬと。それだったら何のために連合審査をするんだ。形式だけ連合審査をやって国民の目をごまかすつもりか、おまえたちは。そんなばかなことないじゃないか。
○国務大臣(瓦力君) ただいま安恒委員の御質問の中に、一たん左手にヨットを見て停止をし、さらに右手に第一富士丸を視認してまた始動を開始した。そこでとまれば事故が避けられたという仮定の話でしたら、まさにとまればこの事故は避けられておったわけでありますが、そのときの判断は、艦長はいかなる状況のもとで判断したかということでありまして、それらを含めて今海上保安庁の方の調査にかかわる問題になっておりますので、私どもから答弁は差し控えさせていただきたいと申し上げたわけであります。
○安恒良一君 いいですか、左にヨットを見たから減速したんですよ。ところが、減速したけれどもなお第一富士丸が南下してきていることをもうはっきり目撃したんだから、そこで減速だけじゃなくていわゆる船の操作である後進操作というのをやればそこで確実にとまれたんです。それをとまらなかったところに問題があるから私が聞いているので、向こうが避けてくれるんだというふうに思ったんじゃないか。そこにやっぱり私が総理とやりとりした軍のおごりがあるんですよ。そういう点について聞かれたら、いやそれは今海上保安庁で捜査されておりますから答えられません、答えられません、と。私たちがそういう疑問を持つことについてあなた自身は疑問をお持ちにならないんですか。少なくともあなたは長官として、関係者を呼んで、なぜおまえはとまらなかったのかと聞かなかったんですか、聞いたけれども言えないと言うんですか。はっきりしてください。聞いたけれども今は言えないと言うんですか。
○国務大臣(瓦力君) 報告は受けておりますが、先ほど以来申し上げておりますように、今微妙な段階に差しかかっておりますので、さらに私の方から本席で申し上げることも差し控えさせていただきたいと思います。
○安恒良一君 私は総理にも、秘密主義では困る、事故の再発防止のためには徹底的に中身を明らかにしてくれと、総理は明らかにすると申されましたからこの際もう一遍申しておきます。総理には答弁もらったんですが、専門的だと言われましたが、それなら潜水艦の航路の記録、これは私ども要求しますから出していただけますね。それから事故があった場合の内規、マニュアル、これも、きょう今ここではあれですが、出していただけますね。そういうものを出してお互いが議論をしないと事故の再発防止にはつながらないわけです。何を聞いても今捜査中でございますということですが、私たちはこの委員会をきょうだけで終わらせる気はありません。徹底的に追及します。そのときにそういうものについては総理は専門的だとおっしゃいましたから、私はその中身について、今あなたは防衛庁の責任者ですから考えを聞かせてください。
○国務大臣(瓦力君) 先ほどの総理からの御答弁も踏まえまして、また海上保安庁とも打ち合わせをしなければならない問題があろうと思うわけでございますので、それらを踏まえまして、もちろん国会でございますから、資料の提出につきましては最大限の努力をしなければならぬと考えております。
○安恒良一君 ぜひ出してください。潜水艦の航路記録を出すか出さぬか、そんなもの海上保安庁には関係ないんですから、これは出してもらう。記録を出してもらうということで、また次の委員会で議論しましょう。 次は、運輸大臣にお聞きしたいんですが、第一富士丸は改造船で、サロンの出口が非常に狭くて左右の一方にしかなかったという事実がありますね。それから定員も四人オーバーして乗っておったことも事実ですね。遊漁船というものは運輸省と水産庁のはざまにあって適用の法がない、監督ができなくて野放しになっている。ところが、これだけレジャーブームで遊漁船等もふえてきますね。そうしますと、これからのことを考えますと、やはり海上運送法の規制の対象とするのか、それとも単独で法律等をつくられる考えがあるのか。こういうものがないと、またぞろ今のような両省の間のはざまにあって適用法がない、監督が野放しになっている、これでは困ると思いますが、その点どうですか。
○国務大臣(石原慎太郎君) 技術的なことは政府委員から答弁いたしますが、御指摘のように遊漁船が大変ふえてまいりまして、純粋の漁船の数が二、三千隻、比べて二十数万という遊漁船があるようでございます。年々歳々これがふえておりまして、どの水域に行っても釣りが大変盛んであります。今回の事故などにもかんがみて、運輸省だけでらちのあく問題ではございませんので、御指摘のようなことも考えなくちゃいかぬかなと思っております。 定員あるいは構造の点については政府委員から答弁いたします。
○政府委員(石井和也君) お答えいたします。第一富士丸の安全法上の最大搭載人員は、航行区域が沿海区域の場合は旅客が三十六名、船員八名、計四十四名となっております。それから、第一富士丸の遊漁船への改造の際には、船舶安全法の規定に基づきまして旅客船としての基準を適用しております。 構造面での問題はなかったものと考えております。 事業面でのお答えは地交局長からいたします。
○安恒良一君 いや、定員を四名オーバーしておったことも事実だし、乗船客名簿の不備もあったことは事実なんだから、そんなことで時間かけられたらかなわぬから、それはいいです。 私は、やっぱり大臣、遊漁船をどのような法によってやるかということは早急に運輸大臣として関係省庁とお話をして結論出していただかないと、今のままにいわゆる監督が野放しになっておってはこれからもまた問題が起こると思います。 それから、次は運輸省に。 過密浦賀水道に対する対応として、海上交通センターの監視対象の船舶の拡大を考えるべきではないかと思うんです。浦賀水道の船舶については、率直に申し上げて五十メートル未満の小型船舶にも無線受信それから送信装置の設置義務をつけるべきではないかと思いますし、またクルーザー等のレジャーボートの教育とかそれから運航海域の整備、保全、こういうことにもこれから積極的に取り組まないと、まあこんな事故がたびたび起こっては困るんですが、自衛艦とこれが衝突する場合もあればそうでない一般の客船との問題なり貨物船との問題なり、私はいろんなことが起こってきやしないかと思いますが、過密の浦賀水道に対する対応策として監視対象船舶の拡大、こういうような問題についてはどう考えていますか。
○政府委員(山田隆英君) 東京湾の船舶のふくそうする海域におきましては、東京湾海上交通センターに一定の船舶については位置通報の義務を定める等の措置をとっております。例えば、二百メートル以上の船舶その他の一定のものにつきましては管制業務ということでこれは法律で強制されておりますし、一万トン以上の船舶その他一定の船舶につきましては位置通報をいただきまして情報提供業務を行っております。この管制対象業務あるいは情報提供対象業務の拡大については、私ども現在これから検討を進めたいというふうに考えております。
○安恒良一君 最後になります。答えはイエスかノーとか、検討しておるならしておるということで、前置きは要りませんから。 最後に、運輸大臣、あなたが本部長でやられておるそうですが、総理には言っておきましたが、自衛隊の全艦船について一カ月だけ期限つきでいわゆる海上交通センターに位置通報義務を課されたのでありますが……
○国務大臣(石原慎太郎君) 違います。
○安恒良一君 違いますか。——私が言いましたように、これは平時には恒常的に全部やる、こういうことでいいですね、その点の確認だけ。
○政府委員(山田隆英君) 昨日、事故対策本部で決定いたしましたのは、一カ月の間連絡の励行を指導する、指導の方に重点を置いて特別の指導をまた一カ月間やるということでございまして、連絡調整あるいはその励行ということは引き続いて行うというふうに考えております。
○安恒良一君 終わります。
○委員長(多田省吾君) 安恒良一君の質疑は終了いたしました。 次に、吉村眞事君の質疑に入ります。吉村眞事君。
○吉村眞事君 私も質疑に先立ちまして、今回の事故で亡くなられた方の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族に心からの哀悼の意を表したいと思っております。また、おけがをなさっている方の御回復をお祈りするとともに、現在まだ行方不明になっておられる方もおられますので、その一日も早い発見を祈念するものでございます。 さて、今回の事故につきましていろんな情報が新聞等によって報ぜられておりますが、その情報の中で、今回の事故の一つの問題点として挙げられております潜水艦の左方にヨットが接近をしたということのために潜水艦が減速をした、それが今回の事故に大きな影響を持ったということが言われております。 このヨットのことについて若干御質問を申し上げたいんですが、接近をしたヨットはどのような種類のものであったのか、そしてまた、ヨットはいろんな種類、小さいのから大きいのまでたくさんあると思いますけれども、それぞれの種類のヨットに対してこれが航行規制とかいろんな制約を加えられておるのかおらないのか、あるいは制約でなくて逆に保護を加えられておるのかおらないのか、その辺の実情を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(山田隆英君) お答えいたします。 今回、自衛艦の左舷前方に見えましたヨットは、長さ七メートルの機走可能な、エンジンでも航行のできるレジャー用のヨットというふうに承知いたしております。 今お尋ねのございました、ヨットの種類別あるいは大きさ別による航行規定があるかということでございますけれども、一般的な海上交通ルールでございます海上衝突予防法におきましては、原則として動力船は帆船の進路を避けなければならないものとされておるわけでございます。 このほか、ごく例外的な場合を別にすれば、レジャーボートにつきまして、ヨットの種類であるとか、あるいは大きさによる航法の区別はございません。 なお、このほか特定の海域に適用されます海上交通安全法や港則法におきましては、一定の小型船につきまして一定の大型船の進路を避けなければならないといったような船舶の大きさ別に異なった航法の定めがある場合がございます。
○吉村眞事君 今伺いましたところでは、ヨットに対して規制というのは特にないと、逆に帆走している場合はヨットの方はよけなくてもいいというようないわば特典があるというお話のようでございます。この点は一つ今情報として承っておきたいと思います。 それから、もう一つ伺いたいのは、「なだしお」が汽笛を吹鳴して意思表示をしたということがこれまた新聞情報等で出ております。その汽笛の鳴らし方について、最初そのヨットを見つけたときにヨットに対する警告の汽笛を一回鳴らしておると、それからその後で右側へ曲がるよという意味の短い汽笛を一遍嶋らしておるというふうに新聞等では承知をしております。しかし、汽笛を二回鳴らしておるわけですが、一方、左へ曲がるというときの意思表示は汽笛を二回鳴らすことになっておると聞いておりますが、この最初の汽笛を鳴らしたのと、その後の一回鳴らしたのとが二つ合わさって二回鳴らしたと誤認される可能性があるのかどうか。技術的にはそういうことはあり得ないのか、場合によってはそういうことがあり得るのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(山田隆英君) 今回の事故で、自衛艦は汽笛を鳴らしておるわけでございまして、ただいまお話しのございましたように、一回長い時間の汽笛と、それから針路を右に転じる場合に短音、短い時間の汽笛と二度鳴らしております。ただ、これを相手方がどう判断するかというのはそのときの具体的な事情といいますか、状況によって異なってくるのではないかと思います。 現在、私どもこの汽笛を相手船がどう聞いたかということを捜査中でございまして、その結果については申し上げる立場にございませんけれども、極めて一般的に考えた場合に、場合によっては、鳴らし方次第によってはそれは二つの汽笛が近いような場合、一つの信号と聞く可能性は理論的にはあり得ると思います。
○吉村眞事君 そうしますと、最初の警告の汽笛は長い汽笛だと、それから右に曲がる合図の汽笛は短い汽笛だという御説明でありますが、その長さというのはそれぞれちゃんと数字として決まっておるんでしょうか。それをひとつお願いします。
○説明員(邊見正和君) お答え申し上げます。 短音は一秒間でございまして、長音は大体四秒から六秒というようになっております。
○吉村眞事君 先ほど、長官から、場合によって誤認の可能性がゼロとは言えない、理論的にはあり得るというお話でしたけれども、今の御答弁を聞きますと、四秒ないし六秒というものと一秒という時間は相当の差がありますから、私の感じでは、それを短音二つと聞き間違えるということの方の可能性は大変少ないんじゃないかというふうに感じます。 さて、その次に伺いますが、避航義務というのが海上衝突予防法上あるわけでありますけれども、避航する必要があるかどうか、つまり衝突のおそれがあるかどうかという判定をする何か数字上の基準ですか、そんなものがあるのかどうか。そういう数字上の基準というものはなくて船長の判断によって避航の義務の有無は判定するのか、そこら辺のことを御説明いただきたいと思います。
○説明員(邊見正和君) 船舶の衝突するおそれがある場合の判断でございますけれども、いろんな可能な手段を用いていろいろやるということになっておりますが、一般的にはレーダーをのぞいてその変化を見るとか、あるいは二船間の方位を見るわけでございますが、その方位が航走後もずっと変わらないというような場合には衝突のおそれがあると判断できる場合でございます。
○吉村眞事君 ただいまの御説明では、やはり最終的には船長が判断をするんだということのように承ったわけでございます。したがって、先ほど来いろいろ議論が出ておりまして、当然避航の義務があったというような御議論もあったようでございますが、要するに船長がどういうふうに判断したかということと、その判断が正しかったかどうかということを客観的に判定をする必要があるんじゃないかと思いますが、そのとおりでしょうか。
○政府委員(山田隆英君) そのとおりでございます。
○吉村眞事君 そういうことをお聞きした上で、いろいろと私も新聞等を一生懸命読んでこの問題の情報の収集に努めておるわけでありますけれども、新聞の情報の中には、明らかに「なだしお」に判断の誤りがあったということを、現在捜査中の海上保安当局がその気持ちを強めておるというような記事が出ておる。この被疑者はクロだという心証を強くしておるというようなことはよく一般的な警察の捜査段階で発表——発表といいますか新聞情報が流れることはありますが、そういうことが実際捜査当局から情報として流されたことがあるんでしょうか、そこをちょっと伺いたいです。
○政府委員(山田隆英君) お答えいたします。 ただいま、先生が最後におっしゃいましたように、両当事者があった場合、片方がクロではないか、あるいは両方クロという場合もございますが、個々の捜査員が心証としてそういうことを持つのはこれは当然だと思います。ただ、私たち捜査当局といたしましては、捜査中であって、国会ですらその責任の所在云々については申し上げられないと申しているわけでございまして、まして他の機会においてそのようなことを申すことはございません。
○吉村眞事君 当然そうあるべきだと思っておりました。 しかし、数日にわたって運輸省当局の担当がそのように語ったというふうに読み取れるような記事がかなり出ておるように思います。これは私の思い過ごしであれば大変幸せなんですが、私はどうもそうではなくて、ほかの皆さんもそういうふうに読み取られるだろうと思うような記事が出ております。ただいまずっとお聞きしてまいりましたようなことであるならば——国民の皆さんに予断を与えるといいますか、このことの適否について予断を与えるような報道は私は余り適当でないと思いますし、もちろんその捜査に当たる方々は長官以下最先端でやっておられる方に至るまで十分に注意をしていただく必要があるんじゃないか、このように思うわけでございます。その点よろしくお願いをしたいと思うわけでございます。 事実関係と、今後の再発防止の問題とに分けて伺いたいと思いますので、事実関係の方で今度防衛庁に伺いたいと思います。 今回の事故に当たりましていろいろと情報が流れておりますし、疑問視されておることはたくさんございます。先ほど来同僚委員からの質問にもございましたけれども、今回のような事態に際しての救助とか通報とかはこのようにやりなさいというマニュアルといいますか、昔でいえば操典といいますか、そういうものがあるのかどうか。特殊な任務を持った組織でありますから、そういったものがないと、そのときそのときで勝手に判断してやりなさいということじゃもちろんいろいろ問題もありましょうから多分お持ちだろうと思うんですが、お持ちになっているのかどうか、そして、もしお持ちになっているのなら、救助あるいは通報等についてのマニュアルではどんなふうに書いてあるか、個別の条文はいいですけれども、大体こんなことが書いてありますということがわかりましたらお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 先生御推察のとおり、防衛庁には自衛艦につきまして艦船事故等が発生いたしましたときの取り扱いの手順を定めたものがございます。長官の訓令あるいは海幕長の通達、規則というような形で書かれてございます。これにつきましては、自衛艦といえども一般民間の船舶と基本的には同じでございますので、不幸にして事故が発生いたしましたときの通報先といたしましては僚艦、それから上級司令部艦、それを経由いたしましての最高司令官のところまでの連絡、それから最寄りの基地あるいは最寄りの関係行政機関等に連絡をしなければならないことになってございます。なお、連絡すべき内容等につきましても定められております。 次のお尋ねは、事故が発生いたしましたときの対応方法でございますが、まずもって互いに人命及び艦船の救援に必要な手段を尽くすということになってございまして、事後、私がただいま申しましたところの定めによりまして所要の報告、通報を行う、かようになってございます。
○吉村眞事君 ただいま伺いましたようなマニュアルがあれば、それに従って適切な措置がとられておればそう問題はないように思いますが、巷間伝えられ、あるいはけさほどからいろいろと議論がありますように、問題がなかったとは言い切れない点もあるように私も思います。それはやはり臨機の措置がとれなかったというようなところにあるのではないのか。この臨機の措置をとるということは果たしてマニュアルに載せるべきことなのか。日常の訓練の中でそういう臨機の措置がとれるような隊員の素質を養成していくことが必要なのか。まあその辺はちょっとどっちかわかりませんけれども、いずれにしても、今後の問題としては、今の規定の運用の面での運用のまたマニュアルみたいなもの、本当の危険あるいは非常事態の場合には臨機の措置をとるべきである。 先ほど、通報の場合に通常とるルート以外の措置をあわせてとった方が結果的にはよかったかもしれないという反省をしておられるということを伺いました。結果的に見て正しいと思われるような措置が臨機にとれるように、これはマニュアルの整備による場合もありましょうし、あるいは実際の教育訓練によってやる場合もありましょうが、そのことが今後の方向としてぜひ必要だろうと思うのでございますけれども、その点について防衛庁長官の御意見はいかがでございましょうか。
○政府委員(日吉章君) 連絡、通報につきましては先生ただいま御指摘のとおりでございまして、それが細かくマニュアルに書くことがよろしいのか、まさに正確な判断をする訓練を涵養することがよろしいのか、その点は検討いたしてみたいと思います。 それからもう一点、救難活動が必ずしも十分でなかったのではないかという救援の部分でございますが、これは非常に不幸な出来事、事故であったわけでございまして、不幸が重なったように思います。 後進いっぱいをかけて、ようやくとまったばかりの潜水艦が衝突を起こした。したがいまして、正確にはわかりませんが、その潜水艦の性能から推測いたしまして惰性によりまして二、三百メートル後退したと思われます。かつ、潜水艦には内火艇という救命に最も適したものがございません。したがいまして、現場に復帰するためには極めて遅い、超鈍速といいますか、微速といいますか、それで接近していかざるを得ない。したがいまして、現場、そこでおぼれていらっしゃる方あるいは漂っていらっしゃる方のところに近づくのが遅くなった。ただ、近づけました方々三名は隊員が飛び込み、あるいはブイを投げ、浮き輪を投げ、手動のゴムボートをおろすことによって救助したわけでございますが、これが水上艦艇でありますればこういうことにはならなかったと思っております。 したがいまして、潜水艦につきましての水上事故におきます対策というものはどうとるべきか、非常に痛ましい犠牲、高価な犠牲を払ってでございますが、この教訓を生かすべく我々検討してみたいと思っております。
○吉村眞事君 確かに、おくれる理由もあったと思いますし、そういうことは考えられると思うんです。しかし、これも私ども真偽を確かめる方法は持っておりませんが、泳いでいるそばまで来たけれどもだれも助けてくれなかったというような証言をしている人もあるやに聞いております。ですから、例えば正規の、ゴムボートをおろして助けるというようなことが通常の場合は一番いい方法だと判断をされても、実際に目の前にそういう人がいるときは裸になって飛び込めというような、指揮官が判断してそういうことが実行できるような柔軟な対応を望みたい。それは先ほどの場合と同様に、マニュアルで書かれようと、実際の運用に対する教育訓練でおやりになろうと、それはどっちでもいいと思いますが、そういう必要はあるんじゃないかと私は思いました。 それでは次に、再発防止のことについて伺いたいと思いますが、現在、あの浦賀水道というのは物すごく込んでおります。あの地域が日本でも有数——有数というよりは一、二といいますか、最も込んでおるところだと思うわけですが、今回の事故は潜水艦ということに焦点が当たっておりますけれども、これは一般の船舶であってもこういう事故はあの場所では起こり得る事故ではないかと思いますし、そういうことがあってはいけない。ですから、再発の防止というのは、自衛隊ということで先ほどマニュアルの点について申し上げましたが、そういうことを除いても、一般的に交通の安全という観点から再発防止を考えなきゃいけないんだろうと思います。 さて、この再発防止のためには、根本的に混雑をしておることが一番の原因でありますから、まず混雑を緩和することができないか。それができればかなりその問題は解決するわけでございましょう。ですから、混雑緩和ができないのか。もし方法があればそういうこともちょっとお聞かせいただきたいし、まずその点をお聞きしたい。 それから、冒頭にレジャーボートのことに触れましたけれども、ヨット等のレジャーボートは恩典はあるけれども、そのほかは別に特段の規制はない。航路が非常にふくそうしておっても、その航路内に入っても別に構わないし、航路内を並んで走っても構わないし、特段の規制があるわけじゃないわけであります。しかし、これはこんなに込んだ状態を想定しない時期に決められた制度であろうと私は思うんです。こんな場所で、航路内の大型船舶の数が非常に多数の、一分間に一杯というような数で動いておる、そういうところに多数のレジャーボート、遊漁船ないしヨットみたいなものが錯綜しておる。そしてまた、そこで釣りをしている本当の漁船もいる。 こんな状態を考えると、それぞれが海上衝突予防法を遵守してちゃんとやっていればよろしいと言える状態ではもう既にないように思うわけで、例えばレジャーボート、ヨット等については、非常に込んでいる時間には航路内に立ち入ってはいけないというような規制をするとか、何かそんなことがもう既に必要なんじゃないか。陸上でも、例えば自転車と自動車は同じ場所を走らせると非常に危険だということで、歩道の方を自転車に走らせるというような措置をしているところもあります。特に小さなヨットが航路内に入るなんということは、自転車が車道の真ん中を走る、あるいは高速道路に入って走っているのと同じようなことですから、やっぱりこれ何か対策が必要ではないかと思うんですが、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(石原慎太郎君) 先ほどの政府委員の答弁の中でちょっと落ちていましたので、補足を兼ねて申させていただきますが、私は外洋帆走協会の会長でもございましたので、ヨットの権利主張をするつもりはございませんけれども、あの浦賀の水道に関しましては実質的に保安庁が来まして、あそこで帆走している船は全部外へ出します。ですから、実質的に禁止をされております。 先般の「イブ」というヨットは、それ以外の水域を帆走したわけで、潜水艦もそれをよけざるを得なかったということがありますが、同時に、今度の対策本部に水産庁も入ってもらいましたけれども、特に夜間、あの浦賀の水道に大変多くの遊漁船がおりまして、釣りをしております。これもそれぞれが全部航行の障害になりまして、夜間、あそこを航行する船舶、特に大きくなればなるほどブリッジも高くて目に入りにくいということで、非常に皆苦労しておりますが、これもそろそろ考えなくちゃいけないんではないか。 それから、これは吉村委員専門家でいらっしゃいますけれども、午前中、衆議院でも質問が出ましたが、あそこに第一、第二、第三海堡という非常に大きな障害物があります。外国のセーラーはみんな非常にびっくりしまして、これは何か由緒のある歴史的な建物かと聞かれるんですが、あれは全部戦争前に人間がつくったものでありまして、これを一度取り除こうという動きがありましたが、漁業権と抵触してうまくいきませんでした。しかし、防衛庁といえども安全のためには規制の対象になり得る、管理の対象になり得るということならば、やはり人間の生命の安否にかかわることでございますから、ああいう第一、第二、第三海堡というハイウェーの上に大きな石が置いてあるみたいな障害物というのは、それぞれ利害抵触するかもしれませんけれども、安全のためにもう一回積極的に考え直す時期に来ているんではないかと思っております。
○政府委員(山田隆英君) 東京湾におけるふくそう状況等について若干御説明させていただきます。 現在、東京湾の出入り口である浦賀水道におきます船舶通航量というものは、六十一年における数字でございますが、一日平均七百二十二隻でございます。この数字はほぼこの十年間変わっておりません。私どもとしては、この海域がふくそうした海域であるという認識は持っておりまして、そのために種々の対策を講じておるわけでございまして、先ほど来御説明いたしてまいりました海上交通センターにおける管制業務あるいは情報提供業務、それから特別の航路の設定、あるいは常時巡視艇を航路周辺に配置いたしまして安全の指導を行っておるところでございます。 さらに、今後の問題といたしましては、先生御指摘のようにレジャー船というものがこれからどんどんふえてくるということが予想されるわけでございます。それで、小型船につきましては、実は安全指導が非常にやりにくいという状況にございます。私どもは個々の小型船に対して安全指導ということは到底できませんので、できるだけ小型船というものを組織化いたしまして、その組織を通じて安全指導の徹底を図りたいということでこれまでもやってまいりましたが、このような事故の教訓をも踏まえまして、私どもといたしましてはこのいわば小型船の組織化、それによる安全指導のより一層の徹底というものを行いまして、この海域における安全の確保を図ってまいりたい、かように考えております。
○吉村眞事君 その点はよろしくお願いします。 最後でございますが、海上衝突予防法という法律が基本的に安全のためにあるわけですけれども、この法律がつくられたのは海上交通が今みたいに込んでくることは想定されない時期だと思うんですね。目で見て右側に航路を横切る船を認めたときは、衝突のおそれがあればよけると、こう書いてある。それは目で見て見える範囲には一杯ぐらいしか入ってこないというような状態のときにつくられた法律だと思うんです。ところが今ですと、目で見て視認すれば航路の右手には何十杯もつながって船が走っている状態ですから、この規定を正しく遵守しておれば安全だと言い切れないような時期がもう来ているように僕は思います。 そのためにいろんな方法を考えられて、海上交通センターであるとかいろんなことを考えておられるわけでしょうけれども、今回の事故にかんがみまして、こういう航路横断の船がかなりたくさんあるような場所、しかもある限界以上に混雑しておるような場所ではもっと徹底的な対策が要るんじゃないか。先ほど安恒委員からも、海上交通センターをもっと強化して、もっと多くの船をコントロールの対象に入れる必要があろうというようなサゼスチョンもありましたが、私はそれよりもさらに横断の船については、時間的にはもう同時に道路で通行させないような、横断もさせるというような、車のですね。そういうことをやっているような事態はもう海の上といえども許されないような気もいたしますが、その点についてちょっと御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
○政府委員(山田隆英君) ただいまの委員の御指摘は、いわば陸上の交通規制に類するものを海上に行ってはどうかというお話かと存じますけれども、海上の場合非常に特殊性がございます。今回の事件に関連してもたびたび申し上げましたように、陸上の場合ですとブレーキをかければ車はすぐ停止するわけでございますが、船の場合なかなか制動が効かない。それから方向転換もさようでございます。したがいまして、一定の海域、例えば今回の横断の場所につきまして航行規制をしますと、船舶の流れが非常に阻害されるというおそれも出てくるかと思います。それとまた、衝突予防法で決められておりますルールというのはいわば国際条約で決まっておるルールでございまして、基本的なものにつきましてはなかなか変えにくいということもございます。 確かに、決められましてから長い期間変わっていないものにつきましては実態に即さない面があろうかと思いますし、そういった面については国際機関等で検討が続けられているところでございます。ただいまの問題につきましては、そういう問題等を踏まえまして今後の検討課題とさせていただきたい、かように考えております。
○吉村眞事君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(多田省吾君) 吉村眞事君の質疑は終了いたしました。 次に、及川順郎君の質疑に入ります。及川順郎君。
○及川順郎君 私は、二十五日の日に、我が党委員長らとともに事故の起きました現場の近くまで行ってまいりました。大変波が荒くて、全身ずぶぬれになりながら悲しみの海を見詰めて、本当に痛恨のきわみでございまして、難に遭われた方々の心情いかばかりかと涙する思いであったわけです。私はこういう場で質問すること自体が本当につらい思いでございますが、犠牲者の方々の御冥福を心からお祈り申し上げますと同時に、関係者、御遺族の方々に心からお悔やみを申し上げたい、こういう気持ちでいっぱいでございます。 さて、防衛庁長官、一番つらいお立場であろうかと思います。思わぬ事件との遭遇で、本当にお気の毒と言えばお気の毒なんでございますけれども、新聞に伝えられるところによりますと、辞意の気持ちも漏らしておられる、このようなことが報道されている中で、それで責任のとれる状況ではないという心情であろうかと思います。私は、改めまして運輸大臣とともに今回の出来事に対する責任のとり方、このことについてまず御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 及川委員にお答えいたします。 早速、貴党委員長初め皆さん方に現地までお出かけをいただきまして、どうもありがとうございました。 今回の海上自衛隊の潜水艦と民間船舶との衝突事故によりまして多くの犠牲が生じたわけでありまして、とうとい生命が失われました。まことに痛恨のきわみでございます。防衛庁といたしまして、海上保安庁とともに捜索、救助活動に全力を挙げてまいったわけでありますが、引き続き行方不明者お一人の捜索に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございますし、本日も飽和潜水また軟式潜水、ダイバーも潜らせ、さらにまた、沿岸もその捜索のために努力をしているところでございます。最善を尽くす所存でございます。 なお、徹底的な事故原因の究明とあわせまして、かかる事故の再発防止策を確立することがみずからの最大の責務と、かように考えておりまして、ただいまもその問題に取り組んでおるところでございます。今課せられた責任、責務はまさに大きいものを感じながら仕事をさせていただいておるところであります。
○国務大臣(石原慎太郎君) 先ほど対策本部長としての所信にも申し上げましたが、海上に限らず交通問題の最大の眼目は安全の確保だと承知しております。残念ながらこういう事件が起きましたが、まず、できるだけ早くその正確な原因の究明をいたしまして、それにのっとって事故の再発を防ぐ、そのためには政府一体となって万全の対策を講じるということが責任の遂行につながると承知しております。
○及川順郎君 午前中の質疑を衆議院の方で私、傍聴しまして、遺族への補償問題につきまして、事故の原因究明、そして事態が明らかになればできる限りの処置をという御答弁をされておりました。これは当然のことだと思いますけれども、自衛隊の艦船が事故の直接の当事者でございますから、防衛庁としましてこの事故に遭遇されました方々に対する見舞金等の処置はなさったでしょうか。
○政府委員(藤井一夫君) お答えいたします。 今回の事故に関連いたしまして多数の方が亡くなられ、また多くの方が入院されたわけでございますが、防衛庁といたしましては、事故の一方の当事者といたしまして社会通念上認められます範囲におきまして見舞金を差し上げております。
○及川順郎君 もう一点。救助活動につきまして先ほどの総理の答弁、どうしてもやっぱり胸にすとんと落ちない部分があるわけですね。私は、海上自衛隊、それにたえられる者としては外海で縦横に泳げるということが一つの条件というぐあいに理解をしておったんですけれども、「なだしお」の乗組員で泳ぎのできない乗組員というのはいらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(日吉章君) 水泳は訓練をさしておりますので、泳げない者はいないと思います。
○及川順郎君 そこのところなんですね。規定に基づいてその救援活動に、救助活動に手落ちはなかったと。率直な心情として何で飛び込んで助けに行くという、百メートルや二百メートルぐらい、間に合わなくても飛び込んで助けに行くというその気慨、これが国民感情として、ああ、国を守り国民を守る自衛隊員の姿だなという共感になるんではないか、それこそ信頼される自衛隊員としての姿ではないかと私は思うんですけれども、こうした点に対する認識、そういう点に対する考え方をどのように受けとめていらっしゃるか。これは長官いかがですか。
○国務大臣(瓦力君) このたびの事故におきまして、「なだしお」は先ほど来説明をいたしましたが、溺者救助態勢をとりまして、いわゆる一たんとまりましてから惰力で後方へ下がり、さらに前進をしてその態勢をとりまして、それぞれが——潜水艦というのは御承知のように水中、水底で仕事をする構造になっておりますから一般船と構造が違うわけでありまして、ある面では救助に不向きな構造であるかもわかりませんが、すぐ溺者救助態勢をとりまして戻り、そして救助に当たったわけでございます。 しかし、その間確かに時間はかかっておりますが、全員がそれを眺めておったと、かように考えるものではございません。必死になって救助のための作業に取り組んだわけでありまして、泳ぐ者に浮き論を投げ、さらに飛び込み、そしてまたボートを使いまして救助に当たったわけであります。大変残念なことに、先ほど来御説明をいたしておりますが、救助ボートのようなものを持ち合わせておりませんので、すぐ出るわけにはまいりませんし、また、海上におきましてどういう状況かということを見ませんとただ飛び込むこともできないわけでございますが、私は最善の努力をしたと、かように信じておるわけでございます。 まさに、我が国土を守り、そのための訓練もいたして精強なる自衛隊を目指しておるわけでありますから、私はさようなことを信じておるわけでございます。しかし、御批判を受ける点は、国会を通じ、またマスコミを通じましていただきました御批判に対しまして、我々はこれからどうこたえていくかということが課題であるわけでございまして、さようなこともよく心得ながら問題に取り組んでまいらなきゃならぬと考えておるわけでございます。
○及川順郎君 わかりました。 長官の御発言は私はそのまま受けとめますが、それでも報道によりますと、衝突後、潜水艦の乗組員に助けてと叫んだが黙って見ているだけだったと、こういう証言、こうした新聞の報道はそれでは誤報というぐあいに理解しているんでしょうか。
○政府委員(日吉章君) これは、我々がどういうふうに認識するかということでございますが、ただいま防衛庁長官からもお話し申し上げましたように、潜水艦が現場に達するのが非常に困難であったということでございまして、潜水艦から漂流しておられます被災者を目視しながらそれを座視したということは絶対あり得ないと我々としては思います。そういうふうに信じております。
○国務大臣(瓦力君) 私は、先ほどの答弁で申し上げておるわけでありますが、それですべてか、こう問われますと、考えなければならない点があり、また、御指弾をいただき御指摘をいただく問題につきましても、謙虚に今後のあり方につきましてこたえていかなきゃならぬ。このことが防衛という国民の信頼を得なければならぬことにその基盤を持つがゆえに心配をいたしておるところでございます。
○及川順郎君 この救助態勢につきまして、事故の場合は潜水艦乗組員は自艦の安全を確認し、しかる後に救助作業に入るという内規がある、このように漏れ承っておりますけれども、そのような内規はあるんでしょうか。
○政府委員(日吉章君) まず、事故発生と同時に自艦の安全を確かめ、溺者等がありますような事態でございますと直ちに溺者救助態勢に移行いたします。 本件の場合には、衝突後直ちに自艦の安全を確認する態勢をとりましたけれども、一分後には衝突いたしました第一富士丸の乗客、乗組員の救助のための溺者救助態勢に移行いたしております。
○及川順郎君 私は、やはり人命尊重という立場から見るならば、戦時の場合はともかく、平時の場合においては人命救助、救助作業を第一義とすべきである、もし内規にそのような状況があるならば直ちに改めていただきたい、このことを申し述べておきます。 それからもう一つ。事故の緊急連絡体制についてでございますけれども、二十一分かかったというこの時間、午前中、それから今までの質疑の中で、どうして二十一分かかったのかという中身についての具体的な説明がないわけですけれども、この具体的な中身について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(日吉章君) 事故発生直後、「なだしお」は行動をともにしておりました近くの僚艦「ちとせ」と、さらに当日の展示訓練実施部隊指揮艦であります「くらま」に連絡をいたしました。「くらま」はさらにその上部機関になります潜水艦隊司令部に連絡をいたし、潜水艦隊司令部は横須賀地方総監部に連絡をいたしまして、横須賀地方総監部から横須賀海上保安部に通知されております。
○及川順郎君 それだけの処置で二十一分は妥当でしょうか。いかがですか、その見解について。
○政府委員(日吉章君) この連絡は主として電話系を使ってございます。したがいまして、事故の概要を連絡をしている部分がございまして時間を食ってございますので、このあたりは先ほどから一申し上げておりますように、同時に国際緊急VHFを使うというようなことで、事故が発生したということだけを早く直接関係の機関にも伝わるような連絡方法をあわせとるべきではなかったかという反省があることは先ほど来申し上げているとおりでございます。
○及川順郎君 二十五日に横須賀地方総監部で事情聴取をしましたときに、二十分ぐらいの時間をとったというこの時間の中身につきまして、動転しているときでもあり、その程度は相当ではないか、そういう話が返ってきたんですね。先ほど、通信文をつくったりいろいろするのに時間がかかったと。 こういうぐあいに、緊急連絡体制一つとりましても、対応そしてその認識というものがちぐはぐなんですね。このような事態をどのように考えておられますか。
○政府委員(日吉章君) 事故というものはあってはならないわけでございます。したがいまして、今回の非常にとうとい命を多数なくしました悲しい経験を生かしまして、二度とこういうことのないように連絡体制の整備等も図りたいと思います。
○及川順郎君 あわせて、遭難信号の発信も行われていないということも伝えられております。そういう状況の中に、自衛官としての思い上がりというか、そういう点の指摘に軍事優先という表現で出てくる根っこがあるわけでございまして、私は、今回を教訓といたしまして、現在の発達した時代ですから通信体制については抜本的に改めていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思っております。 それから、航法の妥当性でございますが、これはるる先ほど来指摘がございますが、ただ一点、第一富士丸の乗組員並びに船長の事情聴取があって、関係者の方におわびができなかったということで、涙ながらに会見をしている様相に私は大変胸を打たれた思いでございますけれども、現在事情聴取の最中とは思いますが、「なだしお」の艦長は当事者ですから、取り調べの最中でも出てきて、この事態に対してやはり国民に明確におわびをするなり、その真情を披瀝すべきだと私は思いますけれども、なぜ出せないんでしょうか。
○政府委員(依田智治君) お答えいたします。 現在、艦長は海上保安庁等の調べに応じ、また防衛庁等の真相究明にも努力しているところでございまして、私どもはこのような重大事故における当事者が軽々に行動するということは考えにゃいかぬということで、実はいろいろ記者会見等の要望がございますが、それにつきましては大臣、幕僚長その他の役所のそれぞれにおきまして誠意を持ち事情を説明し、そしておわびを申し上げておるという役所の体制でございまして、現在のところ艦長等が記者会見等の要望に応ずるというようなことは考えておりません。 そのような状況でございますので、御理解をいただきたいと思います。
○及川順郎君 私は、おわびをするのを軽々な動きなんということでは納得できませんよ。そういう考え方に私は国民の胸に落ちない部分があると思うんです。それはぜひ反省してもらいたいと思う。おわびをすることが何で軽々なんですか。本当にこれは長官、ぜひ艦長を出して、そしてきちっとこの事態に対してはおわびの姿勢をとってもらいたい、私はこのように思います。いかがですか。
○国務大臣(瓦力君) 艦長自身は恐らくそうしたい心情でいっぱいであろうと思うわけでありますが、直接の当事者でございますし、また、今現在海上保安庁、先ほど官房長より答弁がございましたが、部内におきましても事実究明、このことをいたしておるわけでございます。私は、その責任者といたしましてここでおわびをしながら、また御理解をいただきたいわけでございますが、一方におきましての当事者が、先ほど同情を得たというお話もございましたが、真相を今求めるべくは海難審判等の場でございますので、そちらの方に優先させるべき立場にある、かように考えておるわけでございます。
○及川順郎君 その心情は私は胸に落ちません。第一富士丸の船長はきちっと出てきているじゃないですか。なぜ自衛隊の艦長は出られないんですか。そこに要するに自衛隊と一般国民の意識のずれ、胸に落ちない原因があるということに私は気づいていただきたいと思うんですよ。その点いかがですか。もう一回私はこの点については伺いたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 繰り返して恐縮でございますが、直接の当事者でございますし、またこれだけ大きなとうとい生命を奪った事件でございます。率直に申し上げますと、本来身柄拘束にも値する、そういうようなことに相なろうと思うわけでございます。直接の当事者が自分の考えるところを述べるよりも、それは審判を受けるべきところ、調査を受けるべきところでその事実を述べることがまず最も大切なことである、かように考えておるわけでございます。
○及川順郎君 おわびをすることが、取り調べを受けることに対して支障になるとは私は考えられません。その点は考えを改めるようにお願いしたい、このように思います。 時間が参りましたので、私は具体的に。この事件を一つの契機といたしまして、再発防止について、今の浦賀水道、特にあそこのところは精密な望遠鏡を持っていけばこれはもう全部見えるところ。したがって、海上交通センターの機構を強化して、あそこの部分については一つ一つ全部チェックする、この体制はやってやれないことはない。具体的な例を今一つ申し上げましたけれども、再発防止のための長官とそれから運輸大臣の所見を承って、今回の私の質問は終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 湾内航行の安全につきましてはさらに検討を加え、私どもも安全なる航行を守るために検討をさらに進めてまいらなければならぬと考えております。
○国務大臣(石原慎太郎君) 対策本部としましては運輸省、防衛庁、さらに水産庁も加わりましたけれども、それにとどまらず、関係省庁がありますならば政府一体となって万全の対策を講じるつもりでございます。
○及川順郎君 終わります。
○委員長(多田省吾君) 及川順郎君の質疑は終了いたしました。 次に、吉川春子君の質疑に入ります。吉川春子君。
○吉川春子君 先ほど、久保田委員からも質問があったんですが、今回の事故について、在日米海軍司令部に事故発生から数分以内に海上自衛隊から連絡があったとアサヒイブニングニュースで報道されている件についてお伺いいたしますが、この件については調べて後で回答するということでしたが、恐らく潜水艦の帰港がおくれたわけですから米海軍に当然通報したと思うんですが、自衛隊が米海軍に通報した時間はいつでしょうか。
○委員長(多田省吾君) ただいま吉川春子君より米海軍への通報の件について御質問がございました。実は、先ほど久保田真苗君よりも同じ趣旨の米海軍への通報の件について御質問がございました。それを調査の結果、ある程度判明したそうでございますから、この際、久保田真苗君の質疑と吉川春子君の質疑に対してあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(日吉章君) 両委員の御質問に対しましてあわせてお答えを申し上げたいと思います。 報道で言われていますような事故発生後数分以内に海上自衛隊が米軍に連絡をしたという事実はございません。
○吉川春子君 それでは、いつ米海軍に自衛隊は通報したんですか。
○政府委員(日吉章君) いたしておりません。
○吉川春子君 同じところを使っているわけでしょう。そして大幅に帰港がおくれたわけでしょう。米海軍に全然通報しなくても大丈夫ということは、瞬間的に米海軍は知っていたということですね。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 行政区画は横須賀市で同じでございますが、我が自衛隊が使っております港湾施設と米軍が使っております港湾施設は別のところでございます。
○吉川春子君 そうすると、米海軍への通報は全くなかった、こういうことでいいんですか。
○政府委員(日吉章君) 繰り返してお答え申し上げますが、通報いたしておりません。
○吉川春子君 大変おかしいと思うんですね。最初、在日米軍の司令部は文書でもって朝日新聞に返答してきているんですね。そうしたらその次は今度電話で、実はそういうことなかった、テレビで知ったんだと。実に簡単に文書の回答を覆して電話をかけてくる。本当におかしいと思うんです。この裏には何かあるんじゃないかと思いますけれども、そのことだけ指摘して、次の質問したいと思います。 NHKの二、三日前の「ニュース・トゥデー」を見ておりましたら、自衛隊にはマニュアルがあって、こういうような事故の場合は、まず潜水艦の安全を確かめてから、その後人命の救助にかかるというふうに決められているというふうに報道されていましたが、このマニュアルを出していただきたいと思います。
○政府委員(日吉章君) 先ほども申し上げましたように、決められました手順に従いまして、まず自艦の防水を確認したわけでございますが、一分後に溺者救助態勢に入っております。 なお、自衛隊の行動に係りますいろいろな規範はいろいろな性格のものがございます。そういうものが混在いたしておりまして、自衛隊の性格上、そういうマニュアルをお出しすることは適切じゃないのではないかと思いますので、差し控えさしていただきたいと思います。
○吉川春子君 どうして出せないんですか。そのマニュアルがなければ、人命救助がどうだったのかということも国会で調査できないじゃないですか。差しさわりがある理由を言ってください。
○政府委員(日吉章君) 先ほども申し上げましたように、艦船事故に際しましてのマニュアルは、船員法の趣旨にのっとったものでございます。
○吉川春子君 船員法に潜水艦のことまで書いてないでしょう、軍隊のことまで。自衛隊がこういう衝突事故があったときにやっぱり何かマニュアルがないと行動できないですよね。それが出せない理由というのは何かと聞いています。
○政府委員(日吉章君) 自衛隊という組織の任務からお考えいただければおのずから御理解いただけると思います。
○吉川春子君 どういう任務なんですか、私は全く理解できません。ちゃんとわかるように説明してください。
○政府委員(日吉章君) 自衛隊は平和と安全を守るためではございますが、有事を前提といたしまして、有事に対応するためのいろいろ行動することを目的といたしております。したがいまして、そういう点で出せないわけでございます。
○吉川春子君 そういう理由で国会に出せないということは全く許せないと思うんですね。これは国家機密か何かだからですか。そういうことで拒否できないでしょう、国会に提出を。そんなこと、私は絶対に納得できません、ちゃんと出してください。 委員長、出させてください。
○政府委員(日吉章君) 先ほども申し上げましたように、内容につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。それ以上のものはございません。
○吉川春子君 ちょっと時間がなくなって私が困りますけれども、理事会で検討して、こういうものを防衛庁に出させるように、委員長、お取り計らいいただきたいと思います。
○委員長(多田省吾君) 後刻、協議いたします。
○吉川春子君 防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、今度、人命救助について大分抜かりがあったということは長官もお認めになっているようですけれども、海上自衛隊は、年に何回ぐらい溺者救助の訓練やっていらっしゃるか御存じですか。
○国務大臣(瓦力君) 溺者救助の訓練は何回やっておるかというその訓練状況につきましては、後ほど政府委員に答弁をさせますが、私は、自衛隊隊員は今ほどのような、御指摘のようなことはないと先ほど来申し上げておるわけでございますが、精強なる自衛隊を育成するということで日々訓練に取り組んでおるわけでございますし、また、こうしたときに私も海に飛び込むその気概が欲しいということを申し上げたわけであります。 その後、報告を伺っておりますと、「ちとせ」から出た自衛官もボートをこぎ、飛び込んで溺者を助けておるわけでありますし、そうした努力というものをやっておるわけでありますので、私はこうしたことを御理解いただきたいということを先に申し上げて、御質問の答弁を政府委員よりさせます。
○政府委員(日吉章君) 溺者救助訓練の回数等につきましては担当の教育訓練局長から御答弁申し上げますが、その前に、私、米軍の施設と自衛隊の施設は別であると申し上げましたが、潜水艦につきましては同じバースを使ってございます。その点誤っておりましたので訂正いたします。
○政府委員(長谷川宏君) お答えいたします。 海上自衛隊におきましては溺者救助訓練と申しますか、行っておりますが、これは海難事故に際しましての、特に艦艇部隊において海上の遭難者とか溺者の救助訓練ということでやっております。基本的な訓練ですけれども重要な訓練と考えておりまして、基礎的な段階から順々に反復訓練をしております。一年に十回弱というのが艦艇部隊の例であります。 潜水艦につきましては訓練はやっておりません。——ちょっとお待ちください。 救助法としましては、海上の模様とかそれから救助される者の状況によりまして自艦で直接救助する方法とか、救命艇などを派遣する方法とか、泳者を送る方法等について演練しております。 失礼いたしました。潜水艦部隊におきましても溺者の救助訓練をやっております。
○吉川春子君 教育訓練の責任者もよくわからないくらいやっていないんですよね、溺者救助訓練。 私、これを最後の質問にしたいと思うんですけれども、運輸省にお伺いいたします。 きょうの夕刊によりますと、至近距離に「せとしお」がいて、そして、その僚艦「せとしお」との衝突を避けるために急に右にかじを切り第一富士丸と衝突、大惨事を招いたとの見方を強めている、こういう報道がありますけれども、このことについて最後にお伺いいたします。どうでしょうか。
○政府委員(山田隆英君) お答えいたします。 私、まだその夕刊の記事を見ておりませんが、これまで私どもといたしましてはそのような報告を一切受けておりません。
○吉川春子君 終わります。
○委員長(多田省吾君) 吉川春子君の質疑は終了いたしました。 次に、関嘉彦君の質疑に入ります。関嘉彦君。
○関嘉彦君 東京湾の浦賀水道のところは私も船で通ったことがあるんですけれども、大小たくさんの船がふくそうしていて、これで事故が起こらないかなと考えたことがあったんですけれども、不幸の予感が実現して残念に思っている次第でございますが、こういうことを二度と繰り返さない、そういう観点からまず運輸大臣に質問したいと思います。 海上交通安全法その他これに関連する法律があると思うんですけれども、これを現状のままで差し支えないというふうにお考えでしょうか。この十年間ぐらいあそこを通る船が七百二十何隻で余り変わりないというふうにお答えになりましたけれども、七百二十何隻というのはかなり多い数じゃないか。今まで大きな事故が起こらなかったのが不思議なんであって、あの法律はかなり古くできたんですから、やはりこの際、一応総点検する必要があるんじゃないか。例えば艦隊航行の場合なんかの海上交通センターへの通報義務であるとか、あるいは今後東京湾岸道路の工事が始まりますとかなり多くの工事船なんかが通るようになるんじゃないかと思うんですけれども、そういった船の通報義務、そういったふうな問題についてもう一度検討する。 それから、私専門外でよくわかりませんけれども、あの法律ができたときに右側通行で右側の航路を北に行く船が通り左側を南に行く、どうしても横断しなければいけない。この横断は非常に危険であるのでもっと北の方まで行ってもっと広いところで反転をしてそして南の方に入ったらどうかという意見があったそうです。しかし、それは燃料がかかるとか時間がかかるとかということでそのときは採用されなかったそうですけれども、そういう問題も含めまして検討するお考えはございませんでしょうか。
○国務大臣(石原慎太郎君) 総体的なことをお答えしまして、足りないところは政府委員からお答えいたしますが、湾岸横断道路ですか、そういったものの建設に関する日本的な事情に際しましてはやはりそれなりの処置を講じなくちゃいけないケースが出てくるかもしれません。それはそのときに考えなくちゃいかぬと思いますが、航行法に関しましては、海上交通安全法と海上衝突予防法は私それで十分だと思います。問題は、船を操る方々がそれを責任を持って完全に守るか守らないかでございまして、えてして慣れている船長、スキッパーが非常にずさんな運航をして事故を起こすというケースが多いようでございます。これは国際的な一つの法律でもございまして、日本だけの事情で変えるわけにもいかないと思いますし、私はその二つの法律をきちっと遵守すれば事故は起こり得ない、そう思っております。
○政府委員(山田隆英君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、私どもといたしましては定められた交通法規をきちっと守っておれば事故は起きないものと考えております。ただし、この海域は確かにふくそう海域でございまして、それ以外になるべく事故を起こす可能性を少なくするように種々の手だてを講じておるところでございます。現状が必ずしもベストであるということでは決してございませんで、私どもといたしましては、今後、海上交通センターの業務対象船舶の拡大を検討することを考えておりますし、また、現在ここの航路には巡視艇を二隻常時配備いたしておりまして、航路の警戒それから小型船等への指導等を行っておりますが、これを横須賀港周辺において特に強化いたしたいということも考えております。 また、航路の変更等につきましては、確かに先生御指摘のとおり、以前そのような案もございましたようでございますが、いろいろな事情によりまして必ずしもそれは適当でないということでまいりまして、そのような航路の変更についてはそれが必ず海上安全の向上に資するかという観点ということでなくて、場合によっては船舶の航行経路が長くなりまして、かえってふくそう化を招くというようなこともございますので、慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。
○関嘉彦君 現在、五十メートル以上の船が航路帯に乗ることを義務づけられているわけですけれども、これはこのままでよろしいでしょうか。あるいは東京湾海上交通センターの能力の問題からそれ以下に下げることは難しいという判断でそれは下げられないんでしょうか。
○説明員(邊見正和君) お答えいたします。 現在の浦賀水道航路につきましては、海上交通安全法で航路をつくっておりまして、航路に航行義務をかけておりますのは五十メーター以上の船舶でございますが、これは五十メーター以下が通れないというわけではありません。しかし、一応五十メーター以上の船舶、大きい船舶に航路を通っていただいて、そして小型船は航路を外れた海域を通る、こんなことで秩序が保たれていると思います。したがいまして、今後、五十メーター以下の船を、さらに小さい船をあの中を通すというようなことになりますと、せっかく現在保たれております秩序がまたいろんなことで乱れてくるというようなことがございますし、現在、周辺の小型船の航法につきましては、先ほど長官から話しがありましたように、巡視船艇等による指導とか、あるいは小型船安全協会等に加入していただいて、そこを通じて安全指導をするとか、そういった方法で安全の確保を図ってまいればよろしいのではないかと考えております。
○関嘉彦君 時間がありませんので、次の問題に移りたいと思います。 これは、先ほど同僚委員からも質問があった問題ですけれども、先ほど総理大臣に各省庁のはざまにある、間にある問題について未解決の問題があるんではないかということを質問しましたが、それはまさに遊漁船の問題でございます。 遊漁船は、船の構造なんかの面では船舶安全法で検査を受けているんですけれども、運航であるとか乗客の安全面では一体どこが所管している問題ですか。 これに関連しまして、先ほど答弁がありましたが、近海で活動している遊漁船の組合をつくって指導したいということをおっしゃいましたけれども、その組合に加わっていない遊漁船なんかがかなりたくさんあるようでございます。これはやはり強制的にそういった組合をつくらせるつもりでございますか。それが二点。 それから第三番目に、この遊漁船は遠くの漁場まで行く乗客を連れていっているわけですけれども、釣る人を連れていっているわけですけれども、これは海上運送法で言う旅客船と実質的には変わらないんじゃないかと思うわけですけれども、そういったふうな問題について、乗客の安全を図るために何らかの規制が必要ではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(山田隆英君) 小型船といいますか、遊漁船の安全につきましては、構造、設備基準につきましては御承知のとおり船舶安全法等で規制がございます。それから、航法につきましては海上衝突予防法あるいは海上交通安全法を遵守しなければならないということで、この遵守につきまして海上保安庁で指導しておるところでございます。 ただ、おっしゃいましたように、その指導を全船に対して直接海上保安庁がやるということは恐らく不可能でございまして、私どもといたしましてはその法令遵守等の向上を図るためにできるだけ組織化したいということを考えておりますが、その組織化を法制化して強制的にするということはいろいろまた別の問題があろうかと思いますので、できるだけ自主的に事業者が自分のいわば安全といいますか、企業のためということも考えて、あるいは旅客のためも考えて、そしてその組織に加入し、その安全向上に努力するように、そういった指導を努めてまいりたいと思います。 それから、最後に御質問のございました遠くの漁場に行く船、例えば今回の遊漁船のような場合、確かに、旅客定員四十四名でございまして、航路事業の旅客船と同じような性格のものかと思います。この点につきましては、現在いわゆる業法上の規制は一切ないわけでございまして、自由に営業できることになっております。この点につきましては、これをどういうふうに規制するか。他方では、行革の精神からいえば規制をなるべく緩和するという考え方もございまして、安全の面とそれから規制緩和といったような面と両者の調和をどう図っていくかということは今後の検討課題ではないかと思います。
○関嘉彦君 防衛庁長官にも質問するつもりでございましたけれども、時間がございませんのできょうはやめますけれども、先ほど総理にお話ししましたように、やはり法令、マニュアルを守ることは大事ですけれども、臨機応変の措置がとれるということがやはりこれは必要じゃないか。臨機応変の措置がとれるかどうかは、やはり隊員の教養を高めるということにかかっているんじゃないかと思いますので、その点について今後十分御注意いただきたいことをお願いしまして、私の質問を終わります。
○委員長(多田省吾君) 関嘉彦君の質疑は終了いたしました。 次に、秋山肇君の質疑に入ります。秋山肇君。
○秋山肇君 最初に、石原大臣にお聞きいたしますが、大臣は、この事故当日の午前だと思いますが、テレビ朝日の「海を語る」という番組の中で、過密の危険について、自動車なら初心者マークをつけるという方法もあるが、船舶にはそれもないし、危険の恐ろしさは数多く潜んでいると発言しておられましたが、今回の事故はそれを裏づける不幸な結果になったのであります。今後東京湾は、東京都はもちろんですが、神奈川、千葉各自治体のウオーターフロント構想などにより年ごとに港湾施設等が整備され、出入りする船がますます増加することが予想されると思うんです。先ほど総理にもお聞きしましたが、それと同時に、リゾート基地構想、またレジャーの大型化ということで、安全に対しての対策を立てる必要があると思うんですけれども、そういう何か予言が当たったような大臣の先見性を含めて、この事故の結果を反省につなげていかなければいけないと思いますので、その点の御所信をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(石原慎太郎君) 今度の事故が起こりましたので、対策本部を設けて、先ほど申しましたように、政府一体となってこういう事故の起こらないような万全な措置をとろうということでありますが、これは一種の総論でありまして、それを是とするなら、かなりいろんなことをしないと万全の対策になり切れないと私は思います。 私も、外洋帆走協会の会長として今までさんざ運輸省に陳情してきた方でありますけれども、皮肉なことに今度それを所管する立場になりまして、ちょうど今、何か世の中の変化でレジャー、レジャー、海洋レジャーとしきりに言っておられまして、ウオーターフロントの再開発も結構でありますけれども、東京湾にもいろいろレジャーの構想があるようですが、外海へ出るボトルネックの浦賀の水道一つ見ましても、その管理体制もさることながら、ともかくあそこに三つも大きな人工の暗礁が放置されている。これが漁業権との抵触で払拭されない。漁業権は確かに一つの大事な権利かもしれませんけれども、しかし公共性ということから考えれば、生命につながる問題ならば、こういったものも相当思い切って措置をしないと、もっと大がかりな事故が起こる可能性は十分あると私は思います。 その他この他、万全の対策というなら、各省が相当思い切ってみずからの手足をそぐぐらいのつもりでやりませんと、またまたこういう事故があそこで起こりかねない。かけ声だけでは事が決しませんので、現実具体的に物事をよくしていく努力を各省にしてもらいたいと思っております。
○秋山肇君 次に、瓦長官にお伺いいたしますけれども、長官は事故発生以来、御自分の責任という問題で悩まれておられるでしょうし、いろいろ新聞に報道されているわけですけれども、先ほど来ずっと皆さんの論議を聞いておりまして、私自身も感じていることは、今度の潜水艦のとった行動というものは、我々の市民意識、市民感情からすると何で海に飛び込んで助けなかったのかなというような、いろいろ防衛庁論議からの答弁だけがされていて、我々の市民の常識的な論議からする答弁がなされてない。 そういうところで、長官初め幹部がやめれば、それで遺族の方々、亡くなった方の御供養になるということでは決してないというふうに私は思うんで、いろいろ新聞にも書かれている長官のお気持ちもよくわかりますけれども、責任のとり方というのは、我々の常識からするとおやめになってとるということではなくて、これはぜひひとつそういうことを口に出さずに最後まで頑張っていただいて、事故の原因の究明、それから御遺族に対しての、先ほども御質問がありましたけれども、補償の問題等もあろうと思います。これは長官がかわってしまうと、役所の常としていわゆるしきたり的な方法論だけで論議をされて長官御自身のお気持ちが生かされずにいくんじゃないかというふうに私は心配をしております。 そういうことで、この問題についての、御遺族に対しての補償等を含めた長官の率直なお気持ちと、その問題を始末してということで、ぜひ、おやめになる、責任をとるということのないようにということを逆に私は期待をしているんですが、その点ひとつお気持ちをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 秋山委員にお答えいたしますが、まさに大変痛ましい事故でございまして、なお一名の行方不明者がございます。私も前線へ出まして、東京湾というのはもう一メートル内外しか視界がきかない海底でありますが、今日それぞれ捜索の努力を続けておるわけでありまして、行方不明者一名何とかこれを見出したいと思っておりますし、そして、私どもが最も心を痛めておりますのは、亡くなられた方々であり、御遺族の方々であり、今申し上げた行方不明の方をぜひ一刻も早い捜索によって、全力を挙げることによりまして見出してまいりたいと思っておるわけであります。 なお、私の責任問題についていろいろ御心配も賜り、激励もいただいておりますが、このたびの事件の大きさも踏まえております。また、自衛隊の最高責任者といたしまして、今御指摘のように原因を徹底的に究明する、そして再発防止を確立する、まさに信頼が得られる自衛隊になることが大切でありまして、私は、先般の潜水艦における努力は救助におきましてはすべてよかったということを申し上げておるわけではないわけでありまして、まだまだ改善を図らなきゃやならぬ問題がそこにあることを承知しながら、国民に理解を得られる自衛隊というのは、もちろん私一人でできるわけではありませんが、そういう努力をしていくことが大事だと心得ておるわけであります。
○委員長(多田省吾君) 秋山肇君の質疑は終了いたしました。 これで質疑は終了いたしました。 以上をもちまして本連合審査会を終了いたします。 これにて散会いたします。 午後五時二十五分散会