本会議 第19号
- 発言数
- 19 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1988/11/22
会議録
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。 ────◇───── 弔詞贈呈の件
○議長(原健三郎君) 御報告いたすことがあります。 本院議員として在職五十年に達せられ、永年在職特別表彰を受けられました議員三木武夫君は、去る十四日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。 つきましては、同君に対し、弔詞を贈呈いたしたいと存じます。弔詞は議長に一任されたいと存じます。これに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 弔詞を朗読いたします。 〔総員起立〕 元自由民主党総裁衆議院議員正二位大勲位三木 武夫君は 帝国議会以来当選十九回在職五十一 年七月に及び この間常に憲政のために尽力 し 特に院議をもってその積年の功労を重ねて 表彰され しばしば国務大臣の任につき 内閣 総理大臣の重責をにない国政を統理されました 君は 終始民主政治の確立に心魂を傾け議会政 治の発展に多大の貢献をされ また平和外交の 推進にっとめ 経済の発展と社会福祉の増進に 力をいたし 国際的地位の向上と国民生活の充 実に寄与されました その功績はまことに偉大 であります 衆議院は 君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞 をささげます この弔詞は、来る十二月五日の衆議院・内閣合同葬において贈呈いたします。 ────◇───── 臨時教育改革推進会議設置法案(第百十二回国会、内閣提出)の趣旨説明
○議長(原健三郎君) この際、第百十二回国会、内閣提出、臨時教育改革推進会議設置法案について、趣旨の説明を求めます。文部大臣中島源太郎君。 〔国務大臣中島源太郎君登壇〕
○国務大臣(中島源太郎君) 臨時教育改革推進会議設置法案について、その趣旨を御説明申し上げます。 教育改革は、二十一世紀に向けて、創造的で活力ある社会を築き、我が国を担うにふさわしい青少年を育成する上で、ぜひとも実現しなければならない国政の最重要課題の一つであり、教育改革に対する国民の期待にはまことに大きなものがあります。このため、政府は、臨時教育審議会の行った累次の答申を踏まえつつ、各般の施策の具体化に着手してきているところであります。 臨時教育審議会は、昨年八月二十日をもちまして三年の期間を終え、解散したところでありますが、これに先立って提出されました教育改革に関する第四次答申(最終答申)において、教育改革を引き続き推進していくため、政府として所要の体制を整備する必要性について提言しているところであります。また、これを受けて、政府としても、昨年十月に決定した教育改革推進大綱において、「臨時教育審議会答申を受けて講ぜられる諸施策の速やかな実現を図る観点から、政府に教育改革推進のための機関を設置する。」旨の方針を定めたところであります。 もとより、臨時教育審議会の行った答申を踏まえつつ教育改革に関する施策を実施することは政府みずからの責務でありますが、この国民的課題である教育改革の一層の推進を図るためには、各界有識者の御意見を伺いつつ諸施策を進めることが極めて重要かつ有益であると考える次第であります。 このため、政府といたしましては、教育改革を全体として円滑かつ効果的に推進するための調査審議機関として、このたび総理府に臨時教育改革推進会議を設置することとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。 次に、法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、臨時教育改革推進会議は、臨時教育審議会の行った教育改革に関する答申を受けて講ぜられる施策の実施状況について検討を加え、その施策の円滑かつ効果的な推進に関する重要事項について調査審議し、その結果に基づいて内閣総理大臣に意見を述べるほか、内閣総理大臣の諮問に応じて答申することを任務としております。ま た、内閣総理大臣は、会議の意見または答申を尊重しなければならないこととしております。 第二に、会議は、人格識見ともにすぐれた者のうちから、文部大臣の意見を聞いて、内閣総理大臣が任命する七人の委員をもって構成することとしております。 このほか、会議は、国の関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしております。 なお、この法律は、施行の日から起算して三年を経過した日に失効することとしております。 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手) ────◇───── 臨時教育改革推進会議設置法案(第百十二回国会、内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。三野優美君。 〔三野優美君登壇〕
○三野優美君 私は、ただいま提案説明がなされました臨時教育改革推進会議設置法案に対し、日本社会党・護憲共同を代表して、竹下総理並びに文部大臣に対し若干の質問を行うものであります。 本法案は、ただいまの提案説明にもありましたように、昨年八月臨時教育審議会の答申を受け、教育改革推進大綱の中で、その推進のための機関を設置しようとするものであります。 そこで、まず竹下総理にお伺いいたしますが、そもそもこうした機関が今必要であるかどうかであります。 臨教審は、社会問題化した校内暴力や登校拒否などに象徴される教育現場の荒廃の克服を願う父母や国民の期待の高まりの中で、中曽根前総理はこの願いを逆手にとって、戦後教育の見直しと称してつくられたものであります。そのため、審議会委員の人選は、中曽根首相好みに偏重し、二十五人中に子供を預かる現場教師はわずか二人、教育専門の学者は一人も選ばれず、その一方、経済界や官僚出身者が多く、発足当初から国民の合意を欠いたものであります。 その結果、臨教審の審議過程は、自由化論争に示されるように、その論議は極めて抽象的であり、今起きている校内暴力事件や登校拒否など、現場における教師や親の悩みに具体的にこたえるものではありませんでした。また、国民が切実に期待する受験地獄の解消、国公立大学の共通一次試験の取り扱い、学歴社会の改革についても何ら提起されなかったのであります。それどころか、さきの通常国会では、教育現場の硬直化をもたらす初任者研修制度の導入や、また一部のエリートづくりに連結する六年制中等学校など、いまだ国民の理解を得がたいものが次々に準備されております。 また、教育の中立性、分権と自治が期待される教育行財政の面でも、政治権力の介入による新保守主義が全面的に展開され、教育界への支配体制は、国民の期待し得る二十一世紀を展望した教育改革とは言えないのであります。 このように、父母、国民の琴線に触れる答申となり得なかったにもかかわらず、これが推進のための機関が今なぜ必要なのか、まことに理解に苦しむものであります。この点について、まず、総理の見解を求めるものであります。 次に、具体的内容について総理にお尋ねをいたします。 その第一は、臨時教育改革推進会議の所掌事務と位置づけについてであります。 本法案の第二条で、臨時教育改革推進会議は、臨教審答申を受けて講ぜられる施策の実施状況について「検討を加え、その施策の円滑かつ効果的な推進に関する重要事項について調査審議する。」となっております。 そこでお伺いしたいことは、同推進会議は、臨教審答申の実施機関なのか、それとも単なる調査機関なのかということであります。教育行政の施策はあくまでも文部省などが主体であると思うが、同会議は文部省等との関係についてどのように機能を果たすのか、お尋ねをいたします。 次に、臨時教育改革推進会議は、総理大臣に対し意見を述べるほか、総理大臣の諮問に応じて答申するとされております。この場合、諮問とはどのような性格のものを指しているのか、示していただきます。 また、今ここに設置されようとしておる臨時教育改革推進会議とともに、文部省には文部大臣の諮問機関として中央教育審議会があります。両者の関係はどう位置づけられ、また運営されていくのでしょうか。 例えば、十四次中教審は、当面、生涯学習をテーマとして調査審議を行うと伝えられています。もとより、臨教審も、生涯学習体系への移行と生涯学習を教育改革の基本的理念として位置づける提言を行っています。そうなりますと、中教審の生涯学習に関する調査審議はあくまでも臨教審答申の枠内のものであって、答申の具体化という限定されたものになるのでありましょうか。でなければ、臨教審、中教審の生涯学習に関する調査審議の結論が異なった場合をも想定するからであります。 また、臨時教育改革推進会議は総理大臣の直属機関であります。中教審は文部大臣の諮問機関なので、臨時教育改革推進会議の方が上位の立場にあると考えるのでありましょうか。この関係も明確にしていただきたいと存じます。 また、この推進会議は、中教審や文部省の監視役的役割を果たす機関とも受け取られるし、関係行政機関にある方々の中にも、これは屋上屋を重ねるものではないかとの意見があるやに聞くのであります。この点について政府部内で議論なさったのかどうか、本法案作成過程についての経緯も御報告いただきたいと存じます。 次に、中島文部大臣にお伺いをいたします。 本推進会議が設置された場合、いかに民主的な構成と運営がなされるかであります。法案の第五条に、「委員は、人格識見共に優れた者のうちから、文部大臣の意見を聴いて、内閣総理大臣が任命する。」とされています。余りにも抽象的であります。さきにも述べたように、かつての臨教審が中曽根前総理の好みの人選となり、その構成が我が国の未来を託する児童の教育方針を審議するにふさわしいものとは言えない形で出発しただけに、この点十分留意すべきであります。 特に今、中央地方を含めて日本列島を揺さぶり続けているリクルート疑惑に対して、国民は政治と行政に対しかつてない不信を持ち、強い批判が 渦巻いております。(拍手)とりわけ、その中心人物である江副氏が教育課程審議会や大学審議会の委員に任命され、中曽根前総理と当時の主要閣僚周辺がリクルート疑惑に汚染されたことを考えるとき、どのような経緯で彼が多くの政府関係委員に選任されたのか、深い疑念を抱いております。 さて、このようなことを再び起こさないため、委員の任命に当たってその選出基準を明らかにしていただきたいと存じます。 次に、委員の人数であります。法案は七人となっておりますが、臨教審の場合は二十五人でありました。その差が余りにも大き過ぎますが、七人という数字の根拠を示していただきたい。 竹下総理にお伺いいたします。 臨時教育審議会設置法では、内閣総理大臣は答申を受けたときはこれを国会に報告するものとされ、また、委員の選任についても両議院の同意が必要でありましたが、今回はこれが削除されているのであります。これは、国民の代表機関である国会軽視でもあり、再考すべきであると思います。 以上、本法案の性格と位置づけのあいまいさ、また、各審議会等との屋上屋を重ね、教育行政が混乱のおそれもあることを強く指摘して、政府の見解をお尋ねをいたします。 最後に、私は竹下総理に特にお尋ねいたしたいことがございます。 昨日、本院において、問題の江副前リクルート会長が証人として喚問をされました。各委員の真摯な質問に対し、江副証人の答弁は、残念ながら十分に答えたとは言えなかったと思います。しかし、宮澤蔵相の国会答弁との食い違いも出てまいりました。さらに再喚問が行われるでありましょうが、きのうの答弁の中でも、さらにその疑惑は深まり、また、新たな広がりも見せつつあります。事もあろうに、文部省次官室で株取引の談合がなされたことも明らかになりました。高石氏は、臨教審最終答申が出されたときの文部事務次官であります。政府、文部省は、口を開けば道徳教育やしつけを強調しますが、当時の文部行政の最高責任者がこのような疑惑を受けている今、政府、文部省に教育改革を論ずる資格があるのかと国民は疑問視しておるのであります。(拍手) 江副リクルート前会長、高石前文部事務次官、加藤前労働事務次官の三証人の答弁を聞いて、今日竹下総理はこれにどのような所感を持っておられるのか、お尋ねをいたします。あわせて、この際文部大臣にも高石氏の答弁についてその所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず最初は、会議設置の必要性についてお尋ねがございました。 臨時教育審議会は、社会の変化や文化の進展に対応した教育の実現を目指して精力的に審議を行って、四次にわたります答申をちょうだいしたところでございます。これらの答申に示されました改革提言は、我が国教育の今後の基本方向を考えます上で示唆に富むものであるというふうに高く評価をいたしておるところであります。 教育改革を本格的に実施いたしますためには、各界有識者から大所高所に立った御意見を伺うなど、教育改革を全体として円滑かつ効果的に推進するための体制を整備することが重要であるとともに最も有益である、このように考えておるところであります。 さて、性格についてのお尋ねでございました。 臨時教育改革推進会議は、臨教審答申を受けまして講ぜられます施策の実施状況につきまして検討を行い、そして教育改革の円滑かつ効果的な推進に関する重要事項について、御指摘ありましたとおり調査審議を行うものでございます。そこで、答申を受けての具体化の施策は、政府みずからがこれを推進するものであるというふうに理解をいたしております。 会議が意見または答申を提出いたしましたときは、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならない。その内容等に応じまして、閣議決定でございますとかそういうことによって速やかな実施を図る必要があるものであるというふうに認識をいたしておるところであります。 さて、中教審との関係にお触れになりました。 臨時教育改革推進会議は、行政各部にわたります教育改革に係ります諸施策の実施状況について検討を行いますなど、教育改革を全体として円滑かつ効果的に推進するための機関として三年の時限で設置する、こういうものでございます。一方、中教審は、文部大臣の諮問に応じまして、文部省の所掌に係る教育、学術または文化に関する基本的な重要施策について調査審議することを任務とする常設の機関であります。それぞれ、その基本的目的、性格を異にするものであるというふうに承知をいたしておるところであります。 諮問の性格、内容を示せということでございました。 会議は、その任務を達成いたしますため、その自主的な判断のもとに、教育改革推進のために大所高所から活発な御審議をいただけるものというふうに期待をいたしておるところでございます。今後の教育改革の推進状況を勘案しながら、必要に応じて諮問を行っていこう、こういう考え方でございます。 そして、答申の国会報告義務また委員の任命国会同意規定を設けていない、こういうことをお尋ねがございました。 現在設置されております多くの審議会等の通常の例に倣ったものというふうに御理解をいただきたいと思います。 最後のお尋ねでございました。 リクルート問題調査特別委員会におきまして、三人の方の証人の答弁につきましては、新聞報道等によりまして概要を承知しております。 いつも申し上げますように、この問題は証券取引上の問題、そして税制上の問題、また刑法上の問題、綱紀粛正を含め道義上の問題と、それぞれきちんとした対応がなさるべき課題であるというふうに思っておるところでございます。そして、三人の答弁を聞いての所見を申し述べよということでございますが、国会に設置された委員会の中での御発言について、その場にいない私がとかくの論評をすることは差し控えるべきであると思います。(拍手) 〔国務大臣中島源太郎君登壇〕
○国務大臣(中島源太郎君) 三野議員から五点御質問がございました。 まず一点は、臨時教育改革推進会議と中央教育審議会との関係でございます。これは総理からも お答えをいただいておりますが、やや詳しく補足をさせていただきたいと思います。 まず、臨時教育改革推進会議でございますが、これは教育改革に関する諸施策の総合的な実施状況をフォローアップする等、臨教審答申を受けての教育改革を全体として円滑に、そして効果的に推進するための機関として設置をお願いをいたしておるところでございます。したがいまして、この推進会議におきましては、政府が現に進めております教育改革に関する諸施策の実施状況、どこまで進んでおるかという状況を確認しながら、その一層の推進を図るために必要な事項について調査審議が進められるものと考えております。 一方、中教審でございますが、中教審は、文部大臣の諮問に応じまして、文部省の所掌に係る教育、学術、文化に関する基本的な重要施策について調査審議することを任務とする常設の審議機関でございます。今後、臨教審で答申されました個別の提言の具体化のため、あるいは臨教審答申の提言事項以外の事項につきまして、必要に応じて審議していただくことを考えておるわけでございます。 なお、次期と申しますか、中教審の再開につきましては、今後の文教行政の進展状況等を勘案をいたしながら、必要に応じて審議をお願いしたいと考えているところでありますが、生涯学習の振興に関する課題も含めまして、検討すべき課題等をなるべく早く整理していきたい、このように考えております。 次に、この推進会議が監視役的役割をするのか、屋上屋を重ねるものではないかという御質問でございましたが、ただいま申し上げましたような性格を持つ推進会議でございますので、この推進会議は政府における答申の実行を監視するための機関として設置するものとは考えておりません。また、教育改革を推進するための機関といたしましては、現在、政府の教育改革推進閣僚会議あるいは文部省の文部省教育改革実施本部が設置をされております。しかし、これらはすべてそれぞれ性格が違っております。したがいまして、屋上屋を重ねるものではない、このように認識をいたしておるわけでございます。 会議の委員の選任基準でございますが、この委員につきましては、人格識見ともにすぐれた者のうちから、文部大臣の意見を聞きまして、内閣総理大臣が任命をするということになっております。教育改革は、広く国民全体とかかわり、我が国の将来を左右する重要な課題でございますので、委員の選任に当たりましては、国民の信頼にこたえ得る、しかも幅広い分野の方々にお願いすることを基本とすべきであろう、このように考えております。 人数でございますが、ただいまるる申し上げてまいりましたような性格でございますので、この任務の性格を考慮いたしますと、むしろ少人数の委員をもって構成することが適当であると判断したことが一つ。もう一つは、新旧行革審の委員数がそれぞれ七人とされておりますことなどを総合的に勘案して御提案をいたしておるところでございます。 最後に、昨日、リクルート問題に関する調査特別委員会において高石氏の証人喚問が行われました。かつて事務次官という責任のある立場にあった者がこのたびのような事態を生ぜしめたということは、文教行政の信頼を損なうものとして大変残念に存じております。また、当人からも深くおわびを申し上げたいとの意向が表明されておりますが、今後文部省といたしましては、省内の綱紀の粛正に一層徹底を図りますとともに、文教行政に対する国民の信頼の確保に向けまして最善の努力をいたしてまいりたい、このように決意をいたしております。(拍手) ─────────────
○議長(原健三郎君) 竹内勝彦君。 〔竹内勝彦君登壇〕
○竹内勝彦君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま提案理由のありました臨時教育改革推進会議設置法案について、並びに文部行政全般にわたって、総理、文部大臣に質問いたしたいと思います。 まず最初に、昨日行われましたリクルート問題に関する調査特別委員会における証人喚問において、前文部省事務次官の高石邦男氏等の答弁がございましたが、そこでも明らかになりましたとおり、事もあろうに事務次官室において株式の売買のことを話し合われたということは、一体事務次官室において日常どのような所管業務が行われておるのかという、そういう国民の多大な不信を招いております。ある人は、この事務次官がリクルート疑惑に関与しておったということは、公務員における収賄罪に当たるのではないかという声もございます。このような前代未聞の不祥事に関して総理並びに文部大臣ほどのような御所見をお持ちになっておるのか、最初に御答弁をいただきたいと思います。 さらに、竹下総理は先般公務員の綱紀粛正を打ち出されました。これは当然のことでございます。総理府広報室汚職事件、外交官等のグループによる財テク事件、今回の文部省、労働省を巻き込んだリクルート事件など、国民の政官界に対しての不信感が高まっております。公務員の綱紀粛正はこの際厳しく、具体的に、そして早急に行われなければなりません。この問題に総理はどう対応されるのか、お答えをしていただきたいと思います。 さらに、高石前文部事務次官が本年七月に設立した生涯学習振興財団に対し、帝京大学が八億円の寄附をしていた。二十四億円もの私学助成を受けている帝京大学が八億円の寄附をするというのは、どう考えてもおかしなことでございます。私学助成費を増額してほしいという私学関係者の要求が強い中で、極めて大きな問題であると思います。文部大臣の見解を伺いたいと思います。あわせて、今後私学助成に関してどう取り組んでいくのか、文部大臣の御決意を伺いたいと思います。 さて、教育改革に関し、我が党は常に学ぶ者の側に立った教育改革が必要であると主張してまいりました。ともすると教育が経済成長や産業社会の発展に資することを目的とし、あるいはイデオロギー優先の政治的争具とされてきたという事実を前にして、子供のための教育がいつの間にかゆがんだ形で実施され、結局、学習者が軽視され、場合によっては学習者の成長発達に関し何らの配慮もなく教育が行われていることもあり、まことに遺憾な実態の見られることであります。 教育は、一般的には教師や学校あるいは教育行政など教育に携わる側に主導権があると考えられ ているのでありますが、私は、教育とは、人間そのものに焦点を当て、人間教育を行うという立場に立って、学習者みずからが向かうべき目的を十分意識し、学習者自身の意欲とたくましさをはぐくむことができるようにすることであり、教育施策もこの方向に再構築すべきだと考えるのでありますが、総理の御所見を伺っておきたいと思います。 現在の父母の多くの人たちの一般的な考え方としては、現在の学校のあり方に対し、一定の評価をしてはおりますものの、その一方では、常に子供たちの勉強に対する意欲、姿勢に強い関心を持ち、果たして自分の子は受験競争に勝ち抜ける力を養っているか、偏差値はどの程度なのかと心配し、そして少しでもよい環境で学習をと要求しているのが子を持つ家庭の姿であると言えるのではないでしょうか。 その中で、学校だけの教育に強い不安感を持ち、子供たちを塾へ、予備校へと通わせるようになり、学校への不満が募ってきているのであります。中には、落ちこぼれとみなされ、担任の教師より、しっかり家庭で教えてやってくださいと言われ、どうしたらよいのかわからず、戸惑いを隠せない親に接することも少なくないのであります。 この問題を単に教師や親の責任に帰することは簡単でありますが、それだけでは問題の解決にはなりません。受験競争の中で、これに対応した教育をせざるを得なくなっている学校の現状を、一日も早く人間教育が行えるという正常な姿に戻すための対策を講じなければならないことも緊要の課題であります。この学校のあり方について、臨時教育審議会の論議の中でも、学校の画一化、硬直化が批判され、学校の個性化そして教育の自由化が提唱されました。この中で、だめな学校は競争の中で淘汰されてしかるべきである等の意見も出て、父母の間に大きな反響を呼んだことも事実でございました。これに関しては臨教審答申で一応の決着はついたのでございますが、総理はこうした教育自由化の論議にいかなる所見を持たれているのか、伺いたいのであります。 我が党は、臨教審に対し、当初より教育改革には国民合意の形成が必要であることを強調し、その上に立っての政府の熱意に対しては一応の理解を示してまいりました。ただ、改革への実行を具体的にどう進めていくかが極めて重要であり、これまでにも、その具体化への手順と方策を示すよう、次の事項について強く要求してまいりました。 まず、教育改革予算については、別枠として最優先に財政措置を講ずべきこと。そして、教育改革を確実なものとするために、その手順、方法と完遂年次を定め、これを公表し、着実に改革を進めること等であります。これらのことを明らかにしなければ、結局、どのように立派な答申であっても、限られた予算の中では政府に都合のよいものだけがつまみ食い的に実施される傾向が避けられなくなるからであります。こうした改革のための手だてについて、総理はどのように考えておられるのか、伺うものでございます。 次に、臨時教育改革推進会議の設置目的についてお伺いいたします。 当法案の第二条では、臨時教育審議会の「答申を受けて講ぜられる施策の実施状況について検討」を行う、そして「その施策の円滑かつ効果的な推進に関する重要事項について調査審議する。」ということになっております。それでは、臨教審の「答申を受けて講ぜられる施策」とは一体何なのか、具体的な提示が必要であります。 答申の実施項目が、昭和六十二年十月六日の閣議決定「教育改革に関する当面の具体化方策について」と題する教育改革推進大綱に定めたものであるとするのか、それとも改めて検討し直すのかをお伺いいたします。推進大綱にしても、極めて抽象的な表現のものが多く、具体的な青写真が浮かんでこないというのが実感でございます。 なお、文部省では、一時期、第十四期中央教育審議会を発足させたいとしておりました。その設置の理由は、臨教審が積み残した課題、新しいテーマと基本的な考え方を示すにとどまった事項を審議するとしておられたようであります。 文部省の資料、臨教審の提言事項の分類によりますと、生涯学習への移行という生涯学習のあり方、国際化等については具体的方策を示しているとしており、学歴社会の弊害是正等については基本的な考え方を示すにとどまったものとしております。具体的にどのような事項を審議するのか、文部大臣にお伺いしたいと思います。 我が党は、臨教審設置の意義を踏まえ、再三、文部省という枠を超え、他の省庁にまたがる答申を行うべきであると指摘してきたのであります。臨教審の四次にわたる答申は、これらの課題について十分納得し得る内容を示し得ませんでした。教育改革については、他の省庁にまたがる分野で手をつけなければならない内容を持つものであることを、関係大臣は十分御承知のことと思うのであります。文部大臣は臨教審では、この点についてなぜ改革の基本的な考え方を示すにとどまったのか、見解を伺いたいのであります。もし中教審にこれらの課題をゆだねるとすれば、結局、従来の文部省の枠から抜け出せないこととなるのではないでしょうか。これらの課題を含め、中教審の方向、諮問の中身についてお伺いいたします。 次に、設置を提案されている当推進会議が、総理のもとに機能する機関でありながら、定義の中で見る限り、単に教育改革推進のための旗振り役ないしは応援団的な役割しか期待していない機関であるとの印象を強く受けるのであります。そのようなことのために果たして新たに機関を設置する必要があるのでありましょうか。強い疑念を持つのであります。二十一世紀を目前にし、教育改革は、縦割り行政の中で文部省の権限の範囲内で行えるものではありません。せっかく設置するのならば、他の省庁との調整や実現へ向けての財源を確保する役割を持たせる等を明確にする必要があると思いますが、中教審の文部行政という枠内での機能と関連し、総理の御所見をお伺いしたいと思います。 臨教審答申後、これまでの改革のための財源確保、予算の状況を見るとき、これで果たして改革をやる気が政府にあるのかと疑わざるを得ないのであります。教育改革予算が、他の文教施策を中止、削減してその財源を充てるというような予算措置であってはならないと思うのでありますが、あわせて総理の見解を伺いたいと思います。 現実には、人事院勧告のベースアップ分を引けば、一般会計予算ではマイナスであります。これでは、文部省につまみ食い的な施策を奨励するこ とになりかねないと思うのでありますが、いかがでございましょうか。 当法案を提出する以上、総理としてもそれなりの理念をお持ちでありましょう。このことは、総理がつかさつかさに任せるという方針とを考え合わせてみますと、どうも推進会議設置については総理は消極的であるかのような感を免れ得ないのでありますが、いかがでございましょうか。 特に、生涯学習が大きな政策課題となり、文部省も社会教育局を生涯学習局へと移行して取り組もうとしております。このことは、将来を展望し、現実的な対応であろうと評価するものでありますが、この際ぜひ検討すべきこととして、各省庁がばらばらに進めている関係事業をどう調整するかであります。 就学前の子供や母親を対象とする事業八項目、青少年を対象とするもの約十五件、成人を対象とするもの十件以上、婦人対象が五件、高齢者対象が約二十件、全年齢層を対象とするもの十件があると言われております。こうした事業の調整を図ることとともに、これらの事業の幾つかが一つの施設で実施できるようにすることも必要でありましょう。 例えば、就学前の子供を対象とする事業と成人を対象とする事業を、省庁が異なっていても一つの施設で行えるような多目的な施設の設置を可能にさせることであります。また、既存の施設に他省庁の生涯学習関連の施設の併設を可能ならしめることであります。このことは、都市部において新たな土地購入は不可能に近い現状を考え、こうした効率的な施設の利用の仕方についての検討を行うべきであると思いますが、総理の見解を伺っておきたいのであります。 また、「内閣総理大臣の諮問に応じて答申する。」としているのでありますが、何を諮問する予定なのか、伺っておきたいと思います。 最後に、臨教審委員の人選においては国会の同意人事を必要としておりましたが、当法案では国会の同意人事とする考えがないのかどうかを伺っておきたいと思います。 以上の点について誠意ある御答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず、本案のお尋ねの前に、公務員の綱紀粛正問題についてお触れになりました。 公務員は、国民全体の奉仕者として、職務の公正な執行について国民の疑惑や不信を招くことのないよう常に留意し、綱紀の厳正な保持に努めるべきことは、御指摘のとおり当然のことであります。公務員の不祥事が発生しておりますことはまことに遺憾であります。改めて姿勢を正し、国民の信頼にこたえるよう政府全体の問題として厳正かつ適切な対応に努力してまいりたい、このように考えておるところであります。 さて、次に、本論に入りまして、教育の個性化等についての御意見を交えた御質疑でございます。 教育は、教える側の意図と学ぶ側の興味、関心、意欲などから成立するものでありまして、学習者の意欲とたくましさをはぐくむことが重要であるということは御説のとおりであります。また、今後の我が国の教育が、臨教審答申に示されておりますような個性重視、この原則に基づいて行わるべきであるという考え方には同感であります。学校教育については、公教育としての責任を踏まえながらこの考え方を生かしていくということが重要であるという認識の上に立つものであります。 次に、教育改革への手だての問題にお触れになりました。 今次教育改革の推進に当たりましては、臨教審答申に示された広範多岐にわたります提言につきまして、相互の関連及び既存の施策との整合性を図りながら、着実に実施していきますことが必要であります。このために、昨年十月、教育改革推進大綱、これを閣議決定したところであります。当面は、この大綱に沿いまして所要の施策を進めてまいります。臨教審答申を受けて講ぜられます諸施策の速やかな推進を図るため、まさに本会議の設置そのものが必要であるというふうに考えたから御提案を申し上げておるところであります。 そこで、会議の役割でありますが、臨時教育改革推進会議は、臨教審答申を受けての教育改革を全体として円滑かつ効果的に推進するために設置するものであります。具体的な審議内容につきましては、文部行政だけにとどまらず、政府全体としての教育改革の推進に関して大所高所から有益な意見をいただけるもの、このように期待と確信をいたしておるところであります。 そこで、取り組みの姿勢でございますが、教育改革の推進は国民の強く期待するところであります。国政のまさに重要課題であります。こうした認識のもとに、今年度予算におきましても教育改革の推進に関する所要の予算を計上しておるところでありまして、今後とも文教予算の充実に配慮していく考え方であります。臨教審答申を受けまして講ぜられる諸施策の速やかな推進を図るため、まさに本会議の設置が重要である。決して消極的な考えはございません。 生涯学習振興のための各省庁の連絡等にお触れになりました。 生涯学習は、文部省を中心として関係各省庁において各種の関連施策が実施されておるところであります。文部省と各省庁の施策・事業の連携・調整の強化が必要であるという臨教審答申の趣旨、また、ただいまの御意見を踏まえまして、文部省等関係省庁の施策・事業の連携・調整の強化に今後とも努力をしてまいります。また、各種の施設の複合化を推進いたしますとともに、既存施設間のネットワーク化や相互利用を促進して、住民の利用のしやすさあるいは効率的な施設利用、こうしたことに御指摘のとおり配慮してまいるのは当然のことであると考えます。 次に、諮問の内容、委員の任命についてお触れがございました。 会議は、臨教審答申を受けて講ぜられる諸施策の実施状況全般について検討を行って、教育改革を全体として円滑かつ効果的に推進するための調査審議を行うという任務を持っておることは再三申し上げるとおりであります。その任務を達成するため、その自主的な判断のもとに、教育改革推進のために大所高所から活発な御審議をいただけるもの、このように期待をいたしておるところであります。そういうこの推進状況を勘案しながら、必要に応じて諮問を行うということを検討いたしておるわけでございます。 会議の委員の任命について、その方法につきましては、多くの審議会等の通常の委員選任の例に倣ったというだけのことでございます。 以上で私のお答えを終わります。(拍手) 〔国務大臣中島源太郎君登壇〕
○国務大臣(中島源太郎君) まず、リクルート問題に関してでございますが、文部省の前事務次官という職にありました者が今回のような事態を生ぜしめたことは、文教行政の信頼を損ねるという意味で、大変残念なことに存じております。文部省といたしましては、文教行政を進める上におきまして、さらに省内の綱紀の粛正を一層徹底をさせまして、文教行政に対する国民の信頼の確保に向けて最善の努力をいたしたい、このように考えておるところでございます。 次に、私学助成についてお尋ねでございました。 従来から、非常に厳しい財政事情のもとではございますが、私学助成の推進に全力を挙げて努めてきたところでございます。今後とも私学助成の確保にもちろん努めてまいりますとともに、私立学校におきます一層の経営努力を期待をいたしておるところでございます。 続いて、臨時教育改革推進会議の性格並びに中教審の方向についてお尋ねでございました。 臨時教育改革推進会議は、教育改革を全体として円滑かつ効果的に推進するための機関として設置をお願いをいたしておるところでございます。臨教審答申において基本的な考え方を示すにとどまった事項等につきましては、現在関係審議会等においてその具体化方策を検討しているところでございますが、一部については既に御答申をいただいております。そして、施策の実施に努めているところでございます。これらの検討状況等につきましても、必要に応じてこの推進会議の審議の対象となることもある、このように考えております。 なお、次期の中央教育審議会につきましては、今後の文教行政の進展状況等を勘案をいたしながら、必要に応じて審議をお願いをいたしたいと考えておるところでありますが、検討すべき課題等をなるべく早く整理をいたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。 以上であります。(拍手) ─────────────
○議長(原健三郎君) 林保夫君。 〔林保夫君登壇〕
○林保夫君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま御提案されました臨時教育改革推進会議設置法案について、総理並びに文部大臣に質問いたします。 教育改革は、改めて申し述べるまでもなく、税制改革、行政改革と並んで最大の政治課題であります。二十一世紀へ向けて、健やかで心豊かな子供たちを育てるため、教育の制度全般にわたる改革を行うことは、政治、行政に課せられた今日の急務であると言わなければなりません。去る六十二年八月、臨時教育審議会の解散によって、教育改革は論議の段階から実行の段階へと移ってまいりました。我々は、臨時教育審議会からの提言の内容については、必ずしも満足できるものとは受けとめておりません。しかしながら、少なくともここで提言された内容を具体化し、速やかに実現することは、教育改革を推進する上で最低限必要不可欠の条件であると考えております。 にもかかわらず、教育改革の推進のテンポは極めて緩慢であると言わなければなりません。審議会解散後既に一年三カ月経ているにもかかわらず、本法案を初め教育改革関連諸法案がまだ幾つも積み残し、先送りとなってきております。これは教育改革に対する政府の熱意を疑わしめるものであり、国民の教育改革への期待を裏切るものと断ぜざるを得ません。法案に対する質問に先立って、私は、教育改革の推進に臨む総理の御決意のほどと基本的なお考えをお伺いいたします。 さきの通常国会で成立したいわゆる初任者研修のための教育公務員特例法を初めとして、今後とも教育改革関連の諸施策が実行に移されていくこととなるでありましょう。これらの諸施策に対して、一部の教職員団体などは厳しい対決姿勢を示しております。これまで、学校現場において教職員団体と文部省、教育委員会とが不毛の対立を繰り返してきたことは、総理も文部大臣も既に御案内のとおりであると思います。毎年入学式や卒業式の時期になると、国旗の掲揚や国歌の斉唱をめぐって、まことに悲しむべき混乱が教育現場に生じていることも御承知のとおりと存じます。 教育改革の推進に当たっても、これら一部勢力による反対運動や妨害あるいは形骸化をねらう動きがある場合には、安易な妥協をせず、断固たる姿勢をもって臨むことが必要であると考えます。(拍手)文部行政を担当し、直接に事に当たることとなる文部大臣の御見解と御覚悟をお示しいただきたいと存じます。 教育改革の推進は、ひとり文部省だけの問題ではありません。むしろ、文部行政という狭い縦割り行政の垣根を破り、教育や教育行政の専門家だけでなく、広く国民各界各層の衆知を集め、政府全体として取り組むという観点こそ、臨教審発足と今次教育改革の基本理念でありたと信じます。この意味から、臨教審解散後の教育改革を推進し、かつ政府の行う教育改革施策を厳しく監視する機関の設置は、当を得たものと信じます。(拍手) かかる教育改革推進機構を設置するに際しては、ただ単に臨教審で提言された内容の実施状況について検討するだけでなく、臨教審で論議できなかった問題についてもさらに突っ込んだ論議を行うべきであります。既に臨教審自身がその最終答申において、「教育改革の問題は、本審議会の指摘した事項にとどまらないし、また、状況の未成熟やなお多角的な調査研究を要すること等から現段階では結論が得られなかったものもある。」と認めております。 これら論議し得なかった多くの問題について、その審議の場が再び文部省の中央教育審議会などにゆだねられるとしたら、教育改革は文部行政の狭い枠内に閉じ込められる懸念なしといたしません。これでは、今次教育改革の明らかな後退となりましょう。本法案で設置されることとなる臨時教育改革推進会議は、臨教審で十分審議されなかった問題についても調査審議すべきであると考えますが、総理並びに文部大臣の御所見をお伺いいたします。 続いて、委員の任命についてお尋ねいたします。 教育改革は、すぐれて文化全般に関する問題であり、また、社会経済のあらゆる領域と密接なつながりのある問題であります。したがって、教育改革の推進に当たる委員の任命に当たりましては、単なる教育の専門家、教育行政の専門家だけでなく、広く各界から人格見識のすぐれた人々を選ぶべきであると考えます。委員の任命に当たってどのような基本的なお考えをお持ちか、総理の御所見をお伺いいたします。 本法案においては、臨時教育改革推進会議の委員は、「文部大臣の意見を聴いて、内閣総理大臣が任命する。」こととされております。一方、臨調答申を受け行政改革を推進するいわゆる新行革審、臨時行政改革推進審議会では、その設置法において、「委員は、行政の改善問題に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」としております。同じく国政の重要課題であり、また、省庁の枠を超えて取り組むべき問題である行政改革と教育改革について、一方の審議会委員は両議院の同意が必要であり、他方は必要でないという格差をおつけになった理由は那辺にあるのでしょうか。 文部大臣すなわち文部行政の意見は聞くが国会の同意は必要ないという姿勢は、国民の衆知を集めて教育改革に取り組むという今次教育改革の基本的な考え方に背き、再び文部行政主導の教育改革へと後退していくのではないでしょうか。このような懸念を抱かずにはいられません。この問題について、総理の明確なる御説明をいただきたいと考えるものであります。 さらに、伝えられるところでは、臨時教育改革推進会議の事務局は文部省に置かれるとのことであります。事務局体制は、会議の調査審議の内容と方向を決定する上で極めて重要な位置を占めております。臨教審は、その事務局を総理府に置き、各省からのスタッフによって構成されておりました。臨教審においても、その審議の内容と方向は次第に文部行政主導の色合いが強まってきたとの指摘がなされております。この上、本推進会議の事務局が文部省に置かれるとすれば、その調査審議の内容と方向がより一層文部行政の枠内に閉じ込められるとの懸念を払拭できないのであります。事務局体制のあり方について、政府全体で教育改革に取り組むとの立場から、総理の御所見をお伺いしたいと考えます。 最後に、国民の間に大きな疑惑を生んでいるリクルート問題に関連いたしまして、総理並びに文部大臣にお伺いいたします。 臨教審答申において、徳育の充実も今後の教育の大きな課題とされ、これを受けて、教育課程の編成に際しても道徳教育の強化が図られることとされております。かかる施策を進める上で、国政の中枢に携わる閣僚が、また、教育行政のかなめに当たる文部事務次官まで一連の疑惑に関連したのではないかという疑いを持たれるならば、大人として子供への教育は成り立ちません。 金権万能、物質万能、さらに権力万能の風潮が広く広がり、国民の政治不信はもとより、現に次代を背負う子供たちにどのような悪影響を与えているかはかり知れないものがありますし、アジアの新聞報道、十一日付でございますが、アジアの三大汚職疑惑として、率直に申し上げます、そのとおり、フィリピン・マルコス、韓国全斗煥と並んで日本の中曽根康弘と報道されておりますことを、日本人として、国民として恥ずかしい限りであると存じます。 総理御自身が、その言葉のとおり、厳に李下に冠を正さずであることは言うまでもなく、総理みずからの指揮によって本問題の徹底的な究明を図り、一億二千万国民の深刻な疑念を晴らすことが今や国家的民族的課題、急務であると存じます。 総理に重大な御決意をお願いするほかありませんが、この点に関し、日本の国の大人として、一国の宰相として、今日の事態をどう対処される御所存なのか、率直に御存念をお伺いし、また、この点に関し、このような日本の惨状で果たして二十一世紀を背負う国民の教育が立派にできるものかどうか、その最高責任の立場にある文部大臣にそのお心、真意と御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わるものであります。(拍手) 〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず最初のお尋ねは、既に教育改革は論議から実行への時代である、一年三カ月もかかった今日、なお緩慢に過ぎるではないか、こういう御意見を交えてのお尋ねでありました。 時代の進展に対応し、創造的で多様な教育の実現を目指して教育改革を進めますことは、国民の強く期待するところであると信じております。まさに国政の重要課題であります。したがって、教育改革は、今おっしゃったとおり、審議の段階から各般の施策を本格的に実行すべき段階だ、そのように私も共通した認識を持っておるわけであります。 既にこれまで大学審議会の創設あるいは初任者研修制度の創設、こうした法案の成立を御協力を賜ったところであります。そのほか教育改革関連法案の早期成立に向け、政府といたしましても万全の努力をいたしますがゆえに、国会の御協力を心からお願いするところであります。 今後とも、臨教審答申に示されました改革提言を踏まえまして、生涯学習体制の整備あるいは教育内容の改善、大学入試の改革、こうした所要の施策を着実に進めていこうと考えておるところであります。 さて、次に、会議の審議内容についてお触れになりました。 確かに、臨教審の最終答申にも、今後とも積極的に審議すべきことがなお残されておる、このような御指摘があっておることも事実であります。この会議は、臨教審答申を受けて講ぜられます諸施策全般について検討を行って、教育改革を全体として円滑かつ効果的に推進するための調査審議を行うことをその任務とするものであります。そこで、この会議は、その任務を達成するために、その自主的な判断のもとに委員の方々の大所高所からの活発な御審議をいただいて、教育改革推進のために多大の成果が上がることを心から期待をいたしておるところであります。 さて、委員の任命についてお触れになりました。 教育改革は、広く国民全体とかかわり、我が国の将来を左右する重要な課題であるというところからいたしまして、この会議の委員の任命に当りましては、幅広い分野の中から国民の信頼にこたえ得る適任者の方にお願いすることを基本とすべきであると考えております。 これがいわゆる国会の同意規定を設けなかったということは、現在設置されておる多くの審議会等の通常の先例に倣ったということでございます。 さて、事務局体制についてお触れになりました。 総理府にこの会議を設置するものであります。会議の庶務につきましては、総理府に設置されておる審議会等の例に倣いまして、政府部内において教育改革推進の中心であります文部省において処理することが合理的かつ実際的であると思っております。が、お説のとおり、政府全体として総合的かつ一体的に教育改革の推進に取り組む、こういうことはまことに同感であります。 最後に、徳育充実の教育あるいは政治不信等からして、大人として、また行政府の長として、今次のリクルート問題についてお触れになりました。 いつも申し上げますように、具体的には四つの点に分類されると思います。すなわち、いわゆる証券取引上の問題、税制上の問題、刑法上の問題、そして政治家を含むいわゆる政治道義上の問題であろうかと思います。これにつきましては、国民の皆様の期待にこたえて、私ども政治家個々の問題として、また全体の問題として、真剣に取り組んでまいる所存であります。(拍手) 〔国務大臣中島源太郎君登壇〕
○国務大臣(中島源太郎君) まず、教育改革についてお尋ねでございました。 教育改革は国政の重要課題であるということは、総理からもおっしゃっていただいたところでございます。ところで、その教育改革を進めるに当たりましては、国民各位の御理解と御協力がなければなりません。同時に、国と地方と教育現場が一体となって進めていく必要がございます。 そこで、林議員がおっしゃっていただきましたように、一部の教職員団体の反対に安易に妥協せず毅然とした態度で臨むべきである、こうおっしゃっていただいたわけでありますが、まさにそのような反対運動があれば毅然たる態度で臨み、教育改革の実現に全力で取り組む所存でございます。 次に、臨時教育改革推進会議についてお尋ねでございました。 この会議は、臨時教育審議会の答申を受けまして、教育改革を円滑かつ効果的に推進するための機関として設置をお願いをいたしておるところでございます。 そこで、この推進会議におきましては、政府が現に進めております教育改革に関する諸施策の実施状況を確認をいたしながら、その一層の推進を図るために必要な事項について調査審議が進められることと考えております。 また、一方におきまして、臨教審答申において十分議論されなかった問題等につきましては、現在関係審議会等においてその審議を続け、一部については施策を実施しているところでございますけれども、これらの検討状況等につきましても、必要に応じてこの推進会議の審議の対象となることもある、このように考えております。 最後に、リクルート問題についてお尋ねでございました。 文部省につきましては、前事務次官の職にありました者がこのような行為を生じさせまして、文教行政に対する信頼を損ねたということは、大変残念に存じております。私自身、これを厳しく受けとめまして、文部省全体がさらに省内の綱紀の粛正について一層努力を図りますとともに、文教行政に対する信頼を確保するために最善の努力をいたしてまいる、このような決意でございます。 以上であります。(拍手)
○議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。 ────◇─────
○議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時十八分散会