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113回国会衆議院1988/12/06

物価問題等に関する特別委員会 第4号

発言数
112
登壇者
10
会派数
5
開催日
1988/12/06

会議録

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件、特に「サラリーマンはマイホームを持てるか」について調査を進めます。  本日は、参考人として日本経営者団体連盟専務理事小川泰一君、全日本民間労働組合連合会政策局長柿沼靖紀君、一橋大学経済学部教授野口悠紀雄君、以上三名の方々に御出席いただき、御意見を承ることにいたしております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。今回の「サラリーマンはマイホームを持てるか」のテーマにつきましては、去る十一月八日の委員会において政府に対する質疑によりさまざまな問題点が指摘され、国民から多大な関心と期待が寄せられているところでございます。本委員会では、国民のそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞きするため、参考人として御出席をお願い申し上げました。よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、午前中、小川参考人、柿沼参考人、野口参考人の順にお一人二十分程度御意見をお述べいただき、休憩の後、午後から委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  それでは、小川参考人にお願いいたします。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 御紹介をいただきました日経連の小川でございます。  日経連が本件に関しまして関心を持ちましたのは六十一年初頭からでございまして、土地問題検討委員会を組織の中に設定をいたしまして、その結果を報告いたしましたのが六十一年十月のことでございました。  この検討委員会の設置の際の問題意識は、首都圏では企業の持ち家政策が役に立たなくなったという会員の切実な声が発端でございます。企業は長年、従業員の持ち家促進を従業員の福祉対策の最も基本的なテーマとして追求をしてまいりましたが、それが今や役に立たなくなったというのが基本的な問題意識でございます。その後、この提言のほかに何回かこの問題に言及をいたしております。日経連は毎年一月に、その年の労働問題に取り組む基本姿勢を労働問題研究委員会報告という形で発表いたしておりますが、実はことしも、本件につきまして一節を設けて私どもの考え方を述べております。私どもの問題意識を御承知いただくために、ごく短い章ではございますが、朗読をさせていただきたいと存じます。  「労使の取り組むべき課題」の一項目でございますが、「生活水準の向上は物価水準、地価の引き下げで」という題になっております。  まず項目でございますが、「真面目に働けば家がもてて当然」という切り出しでございまして、   政府は、今日の異常な地価水準を大幅に下落させ、真面目に働けばたとえ大都市においてもサラリーマンが相応な住居がもてるような世の中を実現しなければならない。企業の福祉政策としての持家政策が、貸付枠からも返済能力からも意味をなさなくなるような状況は正常ではない。   この一年半ほどの首都圏での地価上昇による建売住宅、マンションなどの値上がりは、土地持ちの資産を何倍にもふやす一方で、住宅取得を計画しているサラリーマンにとっては、退職金が これは一時金でございますが、  退職金が消し飛んだに等しいほどの大幅なものである。政府が物価安定を自慢している一方で、こうした貧富の格差の拡大が起こっていることは、国民として十分認識しておかなければならない。真面目に働くことの無意味さを多くのサラリーマンが実感するようになっては、健全な日本経済の発展の足元が揺らぐことになるのである。   地価の下落が現実になれば、この社会的不公正は正され、同時に、社会資本投資は著しく容易になる。こうした点から、すでに繰り返し述べているごとく、地価問題解決による国民生活の安定、経済成長率の加速の効果はきわめて大きく、住宅事情の改善と環境整備の促進によって、サラリーマンの生活はまさに本格的な先進国水準に向かって大きく変わっていくことになるのである。 この辺が私どもの問題意識を端的にあらわした文章でございますので、紹介をさせていただいた次第でございます。  さて、しからば日経連の具体的提言というのはどういうものかということにつきまして、次に申し上げたいと存じます。  まず、現在の土地制度、土地税制は、土地がそれを利用する人に供給されることを促進するような形になっていない。利用しない人が極めて安いコストで値上がり益を待ちつつ、保有を続けることを可能にしておるというのが最大の問題点ではなかろうかと存ずる次第でございます。  二番目は、土地を保有する者は、その土地を適切に活用する義務を負うということが具体的に示されるような土地制度、土地税制にしていただきたいということでございます。これを具体的に申しますと、土地保有税を漸次地方税法の本則に戻すようにしていただきたいということでございます。もちろんそれは直ちには実現は困難であろうかと思いますが、かなり長年月をかけても、その本則に戻していくべきであろうかと存ずる次第でございます。  特に特定市街化区域内の農地利用がしばしば問題になっておりますが、この点につきまして私どもは三月に税制についての提言を申し上げております。その内容は、農家の方々の相続税についてでございますが、農家の方の農地の相続につきましては、一定の営農の期間を保証する限りかなり割安であるというふうに伺っておりますが、それを逆に、特に近郊の農家につきましては、一定割合を優良宅地として御提供いただける場合に限り、その相続について有利な条項を適用すべきではなかろうかというような私どもの立場からの提言を行っております。  このような税制対策に加えまして、土地の開発についてでございますか、第三者による開発利益の還元、用途指定、容積率の有効活用、さらには容積率の緩和、臨海部埋立地を含む公共用地の活用、借地・借家法の見直しなど、とり得る措置を総合的に実施することが必要なのではなかろうかと提言をいたしております。地価の正常化が可能になれば、住宅問題が解決するだけではなく、社会資本建設のコストも著しく安くなり、国全体の経済効率、生活環境が大幅に向上することはもちろんであろうかと存ずる次第でございます。  さて、若干話題を転じまして、サラリーマンという立場に立ちまして、生涯所得と住宅取得の関係はいかがなものであるかということについて一言申し上げてみたいと存じます。  現在サラリーマンの生涯所得は、退職一時金まで加えまして、それぞれのポジションによるわけでございますが、大変大ざっぱに申し上げまして二億から二億五千万くらいであるというふうに言われております。ところが、御承知のように、現在都心から一時間程度で、土地が三十坪、その上に建て売り住宅を乗せるというような形で約一億、六十平米程度のマンションでも五千万円というような価格が云々されております。サラリーマンの用意できる頭金は、四十歳あるいはその前後で準備いたしますとするならば、例えば親兄弟の援助を受けましても、せいぜい一千万円程度であろうかと存じます。したがいまして、マンションでも四千万円の借金が必要に相なります。これを現在の利息で二十年均等返済といたしますならば、二十年で合計八千万、年四百万となるわけでございまして、当然生活は成り立たないということに相なるわけでございます。逆算いたしますと、平均的サラリーマンが買い得る住宅は、せいぜい三千万あるいは三千五百万円くらいが限度であろうかと存ずる次第でございます。  さて、次のテーマといたしまして、企業の従業員に対する援助の実態と問題点を御説明申し上げたいと存じます。  私どもの調査によりますと、企業が法律以外の立場で、法定外福利費と言っておりますが、月々の給与のほかに福利費として従業員を援助いたしております支出は、大ざっぱに申し上げまして平均一人二万円でございます。その内訳はさまざまございますが、半分は住宅関連の援助に充てておるのが実情でございます。もちろんその中には、例えば住宅手当のようにストレートに金銭で援助をしているものもございますが、何らかの持ち家対策を実施しております企業は、例えば労働省の調査によれば二五%程度であろうかと存じます。そのほか社宅、独身寮等を提供いたしております企業は約半分でございます。この割合は、企業規模が大きくなるほど実施率が高くなっております。この辺はさまざまな調査の仕方で変わっております。お手元に差し上げてあります連合、日経連の調査などでは、財形住宅貯蓄の援助をいたしておりますのが八割ぐらいになっております。いろいろ見方があろうかと思いますが、かなりの程度住宅の援助に力を入れていると言ってもよろしかろうと存じます。  持ち家援助の中心は住宅資金融資の制度で、その種類は社内融資、財形貯蓄を前提とする住宅ローン、年金福祉事業団からの転貸融資、雇用促進事業団からの転貸融資、その他住宅ローンなどがございまして、これらを組み合わせております企業もございます。地価、住宅価格の高騰によりまして、これら融資制度の効果が大変最近は薄くなっております。それに対応いたしまして、最高融資限度額の引き上げ、返済期間の延長等で対応している例もございます。例えば一社平均の最高融資限度額は、五十七年の七百八十六万円に比べましてアップをいたしておりまして、おおむね一千百六十六万と申しますから、一千二百万くらいであろうかと存じます。社内融資の最長返済期間も、五十七年の調査でございますが、従来は百六十カ月程度でございました。これをさらに百八十カ月程度に延長しておるのが実態でございます。  しかし、これらの措置を実施いたしましても、返済能力の限界がございます。さらには、余りにも買います物件の価格と負担限界との間に格差がございまして、持ち家融資を貸す方も借りる方もあきらめるという傾向が出ております。住宅融資制度につきましては、今申し上げましたようにかなりの会社がやっておりますけれども、その利用の実態を伺いますと、かなり減った、やや減ったと申します企業が七割に達しております傾向もございます。私どもの調査でも持ち家援助費は、昭和六十一年度は前年度に比べて約一割減少しておる次第でございます。  今後の対策といたしましては、融資限度額に地域差をつくっていこう。つまり都市周辺を高くしていこう、あるいは今住まなくともよろしいから、先々、定年退職後に住むような住宅に対しても先行投資を認めるようにしよう、あるいはやむを得ない場合には新幹線通勤なども認めて、遠隔地におけるマイホーム取得を認めていこうというような企業も出ておるわけでございますが、いずれも抜本的対策にはなっていないのでございます。  次に、本日柿沼さんがおいでになっておりますが、連合と私どもの共同の提言について触れてみたいと存じます。  私ども、連合とはかねてトップ同士が懇談を重ねております。その懇談の中には、賃金問題のように大変シビアな論議を交わすものもございますが、おおむねいかにしたら勤労者に日本の経済実力にふさわしい豊かな生活を営んでいただけるか、その方途をお互いに探ろうではないかという話題が大変多うございます。その一つといたしまして住宅問題が出たわけでございますが、この問題を双方共同で少し突っ込んでみようというようなところでトップの意見がまとまりまして、私ども事務局といたしましては相当時間をかけて相互で研究をしたところでございます。その結果、少し企業あるいは労働組合に意見調査をしてみようということでまとまりましたのが、お手元の意見調査でございます。大変詳しいものでございますので、詳細は御質問に応じてお答えをいたしてみたいと存じますが、一つだけ御紹介をさせていただきますが、十三ページをおあけいただきたいと存じます。  これは持ち家についての基本的な考え方を伺ったアンケートでございますが、左の方に連合、右の方に日経連の調査結果が載っております。もはや新規の持ち家は無理であろうというのが双方の回答の半ば以上を占めておるわけでございまして、あとの約三割は、国、自治体の施策によってはあるいは可能になるのではなかろうかという意見もございますが、総じて従業員の持ち家政策につきましては、かなりあきらめに近い考え方を企業、労働組合とも現在では持っておる。その上で国、自治体の施策に頼るというような傾向がここに出ておるのではなかろうかと存ずる次第でございます。そのほかの調査結果につきましては、省略をさせていただきたいと存じます。  こういう結果を踏まえまして、十月の十九日に連合、日経連双方で合同シンポジウムを開催をしたところでございます。シンポジウムの詳しい内容については説明を省略いたしますが、その結果一つの結論がまとまりまして、世に問うたわけでございますが、それもたしかお手元にお配りをしておる次第でございます。十月十九日付でございますが、「首都圏サラリーマンの土地・住宅問題に関する共同アピール」でございます。連合の会長の竪山さんと手前どもの会長の鈴木永二と連名で出しております。これも念のため朗読をさせていただきます。   最近の地価高騰によって、首都圏とくに都内におけるサラリーマンの住宅取得は著しく困難になった。そのため通勤時間の実態も、極めて長くなりつつある。   このままの状況では、サラリーマンの通勤での疲労は高まり、また家庭生活における余裕(団欒)時間も短くなる一方である。他方、企業活動にとっては、これが仕事の効率化を損なうことにも繋がり、社会を支える労使の役割は十分果たせなくなる恐れが強い。   こうした土地・住宅問題の解決のため、われわれ連合・日経連は、共同による「首都圏勤労者の住宅問題に関するアンケート調査」の結果および「土地・住宅問題シンポジウム」における議論をふまえ、  一、政府・地方自治体は、先に新行革審が提言し、政府がこれの実施方針を定めた総合土地対策要綱に則って、早急に土地対策を実行すること。  二、その中でも喫緊の課題として、公的分譲・賃貸住宅の適正価格・家賃による大量供給、土地の有効利用を重視した土地税制の抜本改正、市街化区域内農地の活用等を優先すること。 以上が一般的な提言でございます。  三番目は、大変私どもにとって具体的な問題でございますが、  三、他方、国・地方自治体の土地・施設や資金、企業の遊休用地・施設、市街化区域内農地等の活用による、企業の枠を超えた低廉な共同社宅の大量建設を推進したい。そのため、労使のみならず関係省庁、研究機関等多くの参加、協力を得つつ早急に具体的な方策を検討すること このような提言をいたしております。現在その三番目につきまして、事務局レベルで連合さんと日経連は協議をいたしておる最中でございます。  以上が私ども日経連としてとりましたこの問題につきましての考え方、企業の実態、経過等でございます。  繰り返しませんけれども、今日の土地問題は大変重要な時期に差しかかっていると存じます。どうかよろしく御審議をちょうだいいたしまして、我が国サラリーマンにとって住宅の問題を御解決いただけるように特にお願いをする次第でございます。  御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 ありがとうございました。  次に、柿沼参考人にお願いいたします。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 御紹介いただきました連合の柿沼でございます。  本日は、サラリーマンの住宅取得に関しまして、このような意見を述べる機会をお与えいただきまして、大変感謝を申し上げる次第でございます。この物特委の先生方の意欲にあふれた、そして積極的な審議に大変敬意を表する次第でございます。  既に関係省庁等からサラリーマン住宅の取得に関する数量的な点を含めたいろいろな提起、そして御審議等がなされているというようにお聞きをいたしておるところでございます。そこで私は、きょうは首都圏に住む勤労者の住宅問題に関する大変悲痛とも言えるような声というものをここに皆さん方にお伝えを申し上げるということで任を果たしたい、このように考えているわけであります。  何とかしてほしい、既にマイホームの夢は打ち砕かれてしまった、あるいはやっと手に入れた家から始発通勤をし、終電で帰宅せざるを得ない、体はもうぼろぼろである、あるいは土地急騰は私たちサラリーマン住宅の固定資産税の負担増になってはね返ってきている、こういう生の声というものが私ども本部に寄せられておるわけでございます。  御承知のとおり、ここ数年にわたる地価高騰というものが私たち勤労者の暮らし向き、これに非常に大きな影響を与えてきております。そういう中で、今私たちサラリーマンというものは一体住宅問題で何を望んでいるのか、みずからの手で何をしようとしているのか、さらには土地について考え方が変わってきているのかどうか、この点について以下御説明申し上げたいと思います。どうかぜひ真剣にお受けとめいただきまして、政策の実行に結びつけていただきたいということをお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  と申しますのも、御案内のとおり、政府の総合的な土地対策要綱を初めとしまして、四全総、さらには政府の新五カ年計画等々、土地政策に関連する方針というものは既に確定をいたしておる、いわばメニューは出そろっていると言っても過言ではないと思うのです。問題は、このメニューをどうやって一つ一つ実行をしていくのか、あるいは優先順位をつけてどういうふうにして進めていくのかというところにかかっているのではなかろうかというふうに考えるわけであります。そういう面で先生方の英知をぜひお出しをいただきまして、しっかりした方針というものを立てていただいて、ひとつその実行方を図っていただきたい、このことをまず初めにお願いを申し上げておきたい、このように思うわけであります。  まず初めにお伝えをしたい第一点は、御案内のとおり、我が国経済は内需主導型成長ということの道がしっかりとつくられつつございます。経済は絶好調、こう言っても過言ではないわけでございます。しかしながら、そうした中にありまして、内外価格差の拡大、さらには長い労働時間、加えて今回の土地あるいは株等そういう資産の急騰によりまして、資産を持つ者、そして持たざる者、この格差というものは非常に広がっているということでございます。その格差の拡大が、今や御案内のとおり所得の格差あるいは消費の格差、こういうことになってあらわれてきているということでございます。  私たちは、今日のこの地価高騰の影響を受けまして、普通のサラリーマンにとっては、首都圏でもはやサラリーマンとしてマイホームを取得することは絶望的になってきているということであり、それだけではなく、一生懸命働いて今後老後の生活設計を立てよう、生涯の生活設計を立てようということで必死に努力をしているそれらの設計そのものをも大きく揺るがせているということに相なっているわけでございます。  そういう面で、言ってみますれば、今日の経済成長の成果というものが私たちの国民生活、とりわけ住環境等にしっかりと結びついていない、この点の現実を私どもも大変重要視をいたしておるわけです。これからの私たちの生活を考えてみますに、豊かさ、そしてゆとり、これを実感し得る生活空間というものをどうやってつくっていくのか、住宅というものをどうやって確保していくのか、このことがこれからの最も重要な、そして緊急の課題であるというふうに考えるわけでございます。  先ほど小川専務理事の方からも御提起がございました。住宅開発協会等が調べました東京圏の分譲マンション、平均価格が五千二百三十五万円だそうでございますが、これは年収の八・四倍になっておる。そのほか、幾つかの民間の機関等の発表によりましても、大体年収の八倍から十倍の取得価格になってきているということが実態のようでございます。先生方御案内のとおり、西欧諸国等では、せいぜい三倍程度で地下室を含めた立派な住宅を容易に取得することができる。これとは際立った格差であるというふうに言ってよろしいと思います。  そこで、今私たち東京圏のサラリーマンが実際にどんな影響を受けているか、若干数字をもって御説明を申し上げたいと思います。連合がこの一月に土地問題に対する緊急アンケート調査を実施をいたしております。そこから少し御説明を申し上げたいと思います。  三千名を対象に緊急調査をやりました。その結果、四割を超えるサラリーマンがマイホームを入手しにくくなった、そして持ち家の人も、今後マイホームの建てかえあるいは買いかえというものは不可能になったという声を私たちに寄せておるわけでございます。そして、そのマイホームが遠のいたと感じているサラリーマンの気持ちというものは、年収の四、五年分で入手できればマイホームを建てたいという人が四割、そして、ぜひマイホームを持ちたいので、生活費を今一生懸命やりくりをしているというふうに答えた方が一七・六%、双方合わせますと六割近くのサラリーマンは、今日マイホームが遠のいたとはいえ、できるならばやはり自分の家を持ちたいのだという大変強い考え方を持っているということでございます。  小川専務理事から、もうあきらめざるを得ない、こういうようなことのお話が先ほどありました。表面的にはそうですが、実際しっかりした声を聞きますと、まだまだ何とかしてその夢というものを実現したい、こういう声が大変強いわけでございます。もうマイホームをあきらめざるを得ない、こういうふうに答えたサラリーマンの多くの人たちは、公団、公営の賃貸住宅に住んでいる方々、そして年収が三百万未満の人たちに多うございました。そういう面で、このマイホームにかかわって言いますならば、大きく層が二つに分かれている、このようなことが私たちの実態から明らかになっておるわけであります。  先ほど御説明申し上げました、皆さん方のところにもお配りしてございます連合と日経連の共同アンケート調査でも、持ち家はもう無理であるというのが確かに半数強に上っております。しかし、政府や自治体の施策いかんによっては持ち家はまだ可能だという指摘も三割ございまして、二つの調査を合わせましてまだまだ持ち家志向は強い。これにどうこたえていくか、これがいわば問われているというふうに考えるわけであります。  それでは施策のいかんによっては持ち家が可能という人たちの答えを聞いてみました。一体国や自治体が推進すべき施策はどんなものかということを尋ねました。お手元にお配りしたところに出ておりますので見ていただきたいのです。三つに集約されております。一つは公的分譲や賃貸住宅の大量供給、これをぜひやってほしい、それから土地住宅税制の抜本改正、これをしっかりとやってほしい、そして市街化区域内農地の宅地化等、この三つに意見が集約をされたということでございます。そういうことも含めまして、ぜひこれらのお手当てをお願いを申し上げておきたいというふうに考えるわけでございます。  次いで、現在の住宅事情について一般サラリーマンはどのように受けとめているのかということについて若干御披露申し上げておきたいと思います。  私どもこの七月から八月にかけて生活調査というものをやりました。そこで明らかになった点は、一つは、現在の住まいに対して満足しているかどうかというふうに問いましたところ、七割近くが不満である、特に賃貸住宅、民間アパートや借家に住まっておる組合員は九割近くが全く不満だ、こういうふうに答えてきておるわけです。これが一つ。いま一つ、首都圏で持ち家を持っている人も、現在借金の返済中の方が相当多うございます。その人たちは月どのくらい支払っているのか聞いてみましたところ、平均して月に八万五千円を支出をしている。これは全国平均より約一万円高いという結果がほぼ明らかになりつつあるわけです。  それではその住宅の購入価格はどのくらいかというところで聞いてみますと、首都圏では一戸建てだと平均三千百五十万円、マンションですと二千六百四十万円、大体平均値そんな形でもって出ております。言ってみますと、三千万円が今日のサラリーマンにとって取得の限界だということでございまして、確かに三千万から三千五百万を超えて取得をしている人たちもございますが、我々の調査によれば、大体この辺がアッパーであるということが明らかになってきております。  それではどうやってその住宅資金を担保したのかということでございます。これは、親の援助も含めて自己資金が一千万円余でございます。そして会社の融資が三百八十万円、公的融資が九百四十万円、さっき言ったように三千万強の住宅を取得するとすれば残り銀行からの融資が一千万円程度、大体こんな割り振りになっているということが明らかになってきているわけであります。  私たち連合は、東京圏で少なくともできれば土地が百五十平米くらいで、床面積が百平米程度の住宅を平均的勤労者の年収の四倍ないし五倍で確保できる政策をとってほしい、これは私ども年来から主張をしてきたところでございます。今実態を御紹介申し上げましたように、この辺が最大とり得る範囲ではなかろうかと思います。ぜひこの点について御努力をちょうだいをしたいというふうに思うわけであります。  そして特に東京都区部あるいは大都市、こういうところでは公共賃貸住宅の優先政策というものに切りかえていただきたい。そして国や地方自治体の持っている土地、さらには企業の工場跡地あるいは市街化区域内農地、こういうものを借地方式を含めて有効に活用していただいて、質のよい、そして安い賃貸住宅、さらにはできるならば分譲住宅、こういうものを大量に建設をしていただきたい。  それからいま一つ、賃貸住宅についてはせいぜい月収の二〇%程度、このくらいの家賃とするようなガイドラインみたいなものをひとつつくっていただきたい、こんなところを私どもお願いを申し上げておりますし、さらには公的住宅の融資制度についても可能な限り厚く手当てをいただければ幸いである、このように考えているところでございます。  さて次に、連合、日経連は、共同社宅建設の推進につきまして先ほど御案内のとおりアピールも出しましたし、これから取り組みをいたすわけでございます。  この点について連合といたしましては、生涯の生活設計を立てた我々組合員、サラリーマンというものは、ここへ来てもうその設計が狂ってきてしまった、このことが大変大きいわけであります。返却が二千万あるいは二千五百万というような形になってきます。この辺が限度になってきます。そうしますと別の手当てもしなければならない、こういうところから、この共同社宅建設ということに対して私どもは強く意を用いまして、この辺の実現方について検討を始めていこうということになったわけでございます。私たち連合は、組合員は、この共同社宅建設構想に対しては七割という大変高い支持をいただいたわけでございまして、それを具体的にどう手当てするかといったら、国や地方公共団体の土地あるいは企業の持っている土地、こういうものをひとつ供出をいただいて、そういうものを活用して共同住宅というものを建設をしていく、そうしてほしい、これはほとんど九割の方がそれを支持をいただいているわけでございます。したがいまして、これからはそういう共同社宅構想、こういうものを推進するプロジェクト等に対しましては必要な助成策をぜひお考えをいただきたい、これがお願いでございます。  さて、もう一点大きな問題がございます。それは東京一極集中をどう排除していくか、これまた大変大きな課題であるかと思います。  私ども、土地の値上がりの要因を尋ねました。その中で、一つは東京一極集中を改めることが地価問題を解決する一つの道である、こういう声が多くの組合員から寄せられているわけでございます。この問題について、先ほど処方せんはもうたくさん立てられているというふうに申しました。問題は、各省庁縦割りでございまして、完全に横糸になっておらないというのが実態ではなかろうか。私たちは、問題はそれらを具体的に一元的に実行するシステムというものをどうやって担保するか、これが最大の課題ではないかと考えています。そういう面では、私どもは国土再開発臨調といいますか、それを実行する機関をひとつつくっていただきたい、それによって政府が音頭をとって推進をしていただく、このことをぜひお願いをしておきたいと思います。  最後に、土地基本法の制定につきましてお願いをしておきたいと思います。  私どものアンケート調査の中で五割を超える人々が、土地については公共の利益を優先させるべきだと、土地に対する考え方というものを改めてきておるところでございます。やはり今日、国民も土地に対する考え方を変えてきておる中にあって、もっと土地を有効利用する、社会的に利用していくということが大変重要ではなかろうかと思います。そういう面では既に四野党の皆さん方、共同して土地基本法を御提出をいただいているところでございます。政府を含めましてこれら基本法については今大変前向きに御検討をいただいている、このように聞いてもございます。来年の通常国会等におきましてはまずこの土地基本法をぜひ実現をいただき、そして土地対策というものの実行に当たっていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  以上、私どもの幾つかの調査結果等から、私たち企業内で取り組むには既に限界がある、広く社会的に国あるいは労使一体となった対応をしていかなければならない、こういうことを結論として得たわけでございます。そういう面では、私たちのそういう声というものをぜひひとつお酌み取りをいただきたいと思います。特に私たち日経連と共同で提起をいたしました企業の枠を超えた共同社宅構想、こういうことにつきましてもぜひひとつ関係省庁あるいは研究機関、さらには民間企業等を含めて大きなプロジェクトをつくっていただく、あるいは第三セクター的なものもつくっていただく、そういうものへ発展させながら、ひとつ具体化を進めていただければ大変ありがたいというふうに思います。  くどいようですが、政労使が力を合わせてサラリーマン住宅対策、これの実行を進めていけるようひとつ特段めお力添えをお願いいたしまして、私の意見といたします。  ありがとうございました。

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 ありがとうございました。  次に、野口参考人にお願いいたします。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 ただいま御紹介いただきました野口でございます。本委員会にお呼びいただきましたことを大変光栄に存じております。  本日のテーマは、サラリーマンが住宅を取得できるかということでございますけれども、これに対する答えは「率直に言ってノーであるというふうに言わざるを得ないと思います。少なくとも首都圏においてはそうであるというふうに考えざるを得ないわけであります。  国土庁が行った調査によりますと、一九八六年に首都圏の近郊で一億円以上の土地を購入した人がどのようにしてその資金を調達したか、手当てをしたかという調査がございますが、それを見ますと、全体の八三%の人が不動産を処分することによって買ったというふうに答えております。つまり、土地を買うためには既に土地を持っていなければできない。土地を持っていない人が土地を買うということができないような状況になりつつあります。従来から日本では、土地を持っている人と持っていない人の間に大きな差があるというふうに言われておりますけれども、その区別が決定的になったというふうに言えるわけであります。しかもその土地を持っている人の間でも、どこにどういう土地を持っているかということによって大きな差が出ているのが現状であります。  従来の日本経済では、幾ら土地が高くてもあるいは住宅が高くても、努力をすることによって住宅が買えたわけでありまして、そのことが恐らく日本の勤労者が大変勤勉に労働し、かつ貯蓄率が高かったということの基本的な原因だったというふうに考えます。その意味では、そういったような労働者の努力が日本経済の成長の源泉であったわけでありますけれども、しかし、生活の最も基本的な手段である住宅が買えないということになりますと、日本の労働者のこのような勤勉あるいは貯蓄意欲に大きな悪影響が及ぶことが懸念されるわけであります。事実、最近住宅が余り高過ぎるからほかのものを買おうという、いわゆるやけくそ消費と言われるような現象も見られるわけでありますけれども、こういうような状況が一般化しますと、日本経済の行く手には大変大きな問題が生ずるというふうに考えざるを得ません。  またもう一つ、首都圏の土地が高くなったということは、地方から東京に上京してくる、そしてそこに住むということが大変困難になっていることを意味するわけであります。最近の数年間で東京都の土地が約三倍になりましたけれども、地方では、例えば北海道や東北では八%の上昇、四国では六%の上昇しか示していないということでありますから、地価上昇の地域間の格差というのは大変大きいわけであります。そうしますと、従来も東京に土地を買うということは難しかったわけでありますが、それが決定的に難しく困難になってきます。従来の日本の社会というのは、地方から東京に上京してきた有能な人材によって支えられた面が大きかったと思いますけれども、今後はそのようなルートが不可能になる可能性が強い。これも日本社会の将来の活力に大変重大な影響を及ぼすと思われます。  このように、生活の最も基本的な手段に対して大変大きな問題があるということは、政治が国民の信頼に対してこたえていないというふうに言わざるを得ないわけであります。政治がこの問題に関しては正常に機能していないというふうに考えざるを得ません。そのようなことを考慮いたしまして本委員会がこの問題を取り上げられたということは、大変適切なことであるというふうに考え、敬意を表する次第であります。  以下、残された時間を使いまして、次の三つの点について私の意見を述べさせていただきたいと思います。  第一番目は、土地税制のひずみを是正する必要があるということであります。特に問題なのは固定資産税でありまして、日本の固定資産税は評価が時価に比べて非常に低いために、この負担が諸外国に比べて大変軽くなっております。このことが土地の高度利用を阻害している基本的な理由であるというふうに考えられます。したがって、固定資産税の負担を適正化しない限り、日本の土地問題、住宅問題というのは解決できないと考えられるわけであります。固定資産税の強化が必要であります。  固定資産税の強化によって土地の高度利用が進めば、まず第一に市街化区域内にある農地が宅地化され、都市的な利用に供されると考えられます。現在、市街化区域内にある農地が市街化区域面積の約一三・五%を占めておりますので、仮にそれが全部都市的な利用に使えるようになれば、簡単に考えても土地の有効供給が一割以上増加するということになります。それだけではありませんで、実は宅地化されている土地についても土地利用が大変低いわけでありまして、東京都の区部を見てみますと法定容積率、法律で決めた容積率が二四二%でありますけれども、実際に使われている容積率は九五%でしかありません。固定資産税の強化によって土地の高度利用が進めば、この点でも、東京都の区部だけを考えてみても空間の有効的な供給が二倍以上、二・五倍ぐらいにふえるということであります。  もちろん、固定資産税の強化というのは税負担の増加を意味するわけでありますから、政治的に大変大きな問題があるということは事実であります。しかしながら、固定資産税を増税する一方で、同じ地方財政の財源である住民税を減税するということが考えられます。現在固定資産税の総額が、土地、家屋の分も含めまして全国で大体五兆円程度の額になっております。これに対して住民税は、個人、法人の分も含めまして大体十兆円程度であります。ごく大まかな数字でありますが、固定資産税が五兆円、住民税が十兆円程度であります。今、仮に固定資産税を倍にする、五兆円増税するということを考えてみますと、住民税を反面で五兆円減税することができます。これで税収中立的な税制改革になるわけであります。つまり、固定資産税を倍にして住民税を半分にするという税制改革が可能であるわけであります。  これは全体としての数字でありますけれども、個々の納税者から見るとどうか、特にサラリーマンから見てどうかということを考えてみますと、東京都の住民の固定資産税は平均して十万円程度、最近もうちょっとふえておりますが、大体十万円程度であります。平均的な土地、家屋の場合に十万円程度であります。したがって、固定資産税を倍にしますと十万円税負担がふえます。ところで、住民税はどうかということを見てみますと、年収一千万円、子供二人のサラリーマンで住民税が年間約七十万円程度であります。そうしますと、先ほどの数値例でいきますと住民税を半分にできるということでありますから、住民税は三十五万円の減税になります。したがって、この税制改革はサラリーマンの立場から見ますと十万円の増税、三十五万円の減税ということで、差し引き二十五万円の減税ということになるわけであります。つまり、固定資産税の強化ということは、サラリーマンの立場から見れば、税負担の点からいっても望ましい政策であるということになります。このような政策をぜひとも御検討いただきたいと考える次第であります。  なお、今申しました固定資産税の強化というのは、現在の地方税としての固定資産税の枠組みの中で行うことも考えられますけれども、一歩進んでこれを国税的なものとして徴収して、増税部分を都道府県間で人口割で再分配するということも考えられます。このようなことを行いますと、東京を初めとする都市圏では一人当たりの土地資産額が地方に比べて高くなっておりますから、東京あるいは大都市圏から地方に向けて再分配がなされることになります。このような再分配は、先ほど申しましたような地価上昇の地域間格差を是正する意味でも必要と考えられます。首都圏に住んでいる人たちは何の努力もなしに地価上昇によって資産価値が上昇した、地方に住んでいる人たちはそのような利益を受けていないといったような格差を是正することが、これによって可能であります。  それだけではなくて、この政策はさらに人口や産業の地方分散にも資すると考えられます。首都圏でいかに地価が上昇しても、既に土地を持っている人あるいは企業は別に直接的なコストが上昇するわけではありませんから、地方に移るという積極的なインセンティブを持っておりません。このような税がかけられることによって、東京の一極集中といったような状態が是正されると考えられるわけであります。  それから三番目の効果は、もちろん大都市圏における土地利用が高度化されるということであります。  以上が土地税制のひずみの問題、今ここでは時間の関係で固定資産税だけについて申し上げましたが、その問題であります。  二番目に申し上げたい点は、土地と競合し得るような新しい金融資産を創造する、つくり出すということを考えていただきたいということであります。これは、例えば国債を発行して、その国債の額面が地価にスライドして上昇していくというような全く新しいタイプの国債を発行するということであります。この国債というのは、基本的には土地と同じような資産価値を持っていることになります。したがって、次のような効果が期待できるわけであります。  まず第一は、現在土地あるいは住宅を持っていない人がその債券、これを地価インデックス債と呼ぶことにいたしますが、地価インデックス債に投資をすることによって将来住宅を持つことが可能になる。現在の状況では、貯金をしても地価の上昇が激しいために資産が目減りして、将来住宅を取得することが大変困難であります。このような状況を是正しようというのがまず第一番目の効果として期待されます。  第二番目に期待される効果は、土地をいわば資産として投機の対象にしている人たちが、土地そのものではなくて、このような金融資産にかわって投資をする、そのことによって土地に対する投機的な需要を吸収しようということであります。  第三番目の効果は、現在土地を持っている人は、実は土地を資産として保有しているという人が非常に多いわけであります。先ほど市街化区域内に農地が多量にあるとか、あるいは宅地化された土地についても利用度が低いということを申しましたけれども、これは地主が土地を資産として持っているということを意味しております。このような状況に対処するために、今申しました地価インデックス債を発行することによって地主が土地から地価インデックス債に乗りかえる、そして現実の土地は投資的な利用に有効利用する、このような効果も期待できるわけであります。  このように地価にスライドして上昇していくような債券の発行というのは、通常の状況では難しいわけでありますけれども、現在それを行うための絶好の対象がございます。それは旧国鉄用地でありまして、旧国鉄用地の処分に関して証券化という方法が検討されていることは皆様もよく御承知の点であります。証券化が検討されておりますのは、地価高騰を顕在化させないための手段としてそれが検討されておりますけれども、そのような消極的な理由だけではなくて、今申しましたような積極的な用途に使うことができるわけであります。旧国鉄用地を証券化して、その証券は地価インデックス債にするということが可能であります。このような従来は全くなかったような新しいタイプの土地政策についても、ひとつ御検討をいただきたいと考えます。  最後に、第三番目の点として申し上げたいことは、地価監視制度の問題であります。  この地価監視制度については意見が分かれると思いますが、私はこの制度は、投機が投機を呼ぶというような異常な地価上昇のときにのみ、しかもその初期の段階において有効な措置であるというふうに考えます。現在この地価監視制度が恒久化されようとしておりますけれども、私はこのような地価監視制度の恒久化ということは望ましくない措置であるというふうに考えます。地価というのは需要と供給で決まるわけでありまして、需要と供給のメカニズムに手をつけないで地価だけをコントロールしようとしても、それは長期的には不可能であります。不可能であるばかりでなくて、さまざまのひずみ、望ましくない結果をもたらすこともございます。  そもそも地価監視制度の根拠である国土利用計画法自体が、地価監視制度は地価が急騰するおそれがあるときという条件をつけておりまして、一般的に地価をコントロールする手段としてこの制度を考えているわけではありません。そのような意味では、地価が反落しつつある場合にもこの制度を適用するというのは、法律違反の疑いもあるわけでありますし、それだけではなくて、地価が自律的に下がっていくということに対して障害になるおそれも考えられます。地価監視制度というのは、あくまでも投機が投機を呼ぶというような悪循環を断つためのいわば一時的な、例外的な措置であるということを忘れてはならないと思うわけであります。このような政策が実は土地政策の基本というふうに考えられる場合が多いわけでありますけれども、私はそのような状態は是正されるべきであるというふうに考えております。  土地住宅問題に関してはもっとほかにも幾つかの政策を考える必要がございますし、私が今述べましたことも、若干時間の関係で舌足らずの点があったと存じますけれども、その点につきましては後ほど補足をさせていただきたいと思います。  私の意見は以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧野隆守君。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 本日は、お三人の参考人の諸先生方にはお忙しいところをおいでいただきまして、最初にまず厚く御礼を申し上げる次第でございます。  「サラリーマンはマイホームを持てるか」というこの論議は、実は日本全体見ましてこれだけ土地が上がったりなんかしますと、本当にサラリーマンの皆さん大変だな。大変な日本を支える力でございまして、そういう見地から与野党一緒になりまして、何とか名案は出てこないか、共通の認識のもとにぜひ論議を進めて私どもの願う成果を得たい、こういうことで実は始まったわけでございます。  先生方には先ほどいろいろ貴重な御意見を賜りましたが、ほかの委員会の参考人の方と違いまして、積極的に何でも遠慮なくおっしゃっていただきたい。ぜひ貴重な御意見をさらに賜りまして、何とかその実現に努力をいたしたい、このように念願をいたしている次第でございます。  それで、最初に小川さんに御質問させていただきたいのですが、今回の土地の値上がりを見ますと、特に東京を中心にいたしまして大変な上昇でございまして、お金がどうもひとり歩きしているんじゃないかというのが私の印象でございます。  現実に私どもみんな家族を守るために生命保険を掛ける。死ぬのを望んでいるわけじゃないわけなので、最悪の場合に備えるということで実は保険を掛ける。自動車の事故も、なければなと思って、苦しい生活の中から傷害保険を掛けているわけです。また、不時に備えて貯金をいたしているわけですが、こういうお金が全部東京に集まりまして、大変な資金量になりまして、それがどうもひとり歩きしているのではないかな。その金を保険金だとか貯金で出している個々の人の立場から見ますと、実は本当に貴重な資金でございまして、それならそういう大きなお金を、たまったところの経営者の方々が、この金は色がついておりませんが、そういう皆さんが汗水垂らして集められたお金である、こういう御認識を持っていただければ、いわゆる株だとか、特に土地等にあのような資金を回してまでというのが実は私の偽らざる印象でございまして、そういう点で、保険を掛け、貯金をしている人から見ますと、何か自分の出した金が自分にとっては大変な凶器となって返ってきている、これは本当に経済学を修めない一般の人の偽らざる気持ちでございます。  そういう点で、経済界を統合されておられる日経連といたしまして、いわゆる経営者の経営哲学と申しますか、そういう形でいわゆる資金の適正な運用、私から申し上げさせていただきますともっとサラリーマンの住宅に積極的にそのお金を使う、こういうような御認識等を経営者の皆さんにぜひ持っていただきたいと思っているわけでございまして、日経連ではそういう見地からも、これは経済の論理というものはありますが、経営者の一つの経営哲学の問題といたしまして、そういう御認識があり、相当の論議が行われておったんだろうか。もしそういう御議論がなされておるのであればひとつ御説明を賜りたい、こう思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 小川でございます。  ただいまの御議論は大変厳しい御議論でございまして、このアンケート調査の九ページにもございますが、土地高騰の要因の中の一番大きな指摘といたしまして、連合の労働組合の皆様並びに経営側の連中の回答も一致をいたしまして、投機的土地取引が一つの大きな要因であるということを指摘いたしております。  経営も、株主の皆様からお預かりをいたしました経営を発展させるということが一つの大きな目的でございますから、できるだけ有利な運用をするということは避けられないところかと存じますが、日経連といたしましてはかねがね経営道義ということを創立以来主唱をいたしておりまして、経営をいたしますにはそれなりの一つの筋がなければならぬということをかねがね申しておるところでございます。したがいまして、行き過ぎたこういったマネーゲームとも言われるような資金の運用については批判的でございまして、これは当然自制があるべきだという議論を会長以下常々しておるところでございまして、さまざまな会合でも、そういった経営としての心構えを申し上げているところでございます。  なお来春には、私ども日経連としての方針を今現在検討している最中でございますが、その中にも、まだ発表いたしておりませんけれども、こういった点は盛り込むようにという会員の皆様のお声がございますので、当然それは考慮してまいらなければならないと思います。  もちろん資本の投資ということは、原則として自然の道に従うことが最適の資本投資になるということも事実でございますが、今先生御指摘のような、世の中を曲げてまで何かお金もうけに走るということは、厳に慎むべきであるというふうに会長以下考えておりまして、いつも繰り返して申しておりますので、逐次浸透してまいるのではないかと思います。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 こういう企業経営の問題につきましては、私ドイツ駐在中に非常に痛感いたしたわけでございますが、ドイツの経済産業連盟、BDIというのがあるのですが、ここで金融が逼迫すると手形を必要以上に長くするとか、あるいは弱い人をいじめるような結果になるということについては、不文律としまして企業の社会的責任というものが確立されておりまして、法律その他で制限しなくても、そういう責任を持って経済運営に当たるというのをつぶさに見まして、非常にうらやましく感じた次第でございます。  現在のこのサラリーマンの持ち家の問題、土地問題を見ますと、実は痛切に感ずる次第でございまして、ただいまありがたいお返事をいただいたわけですが、これからも私どもも積極的に参加させていただきますが、貴重なお金が集まって大きな資金になっているわけでございますので、今後とも日経連としてありがたい御指導をお願いいたしたいと思う次第でございます。  そういう点で、今までサラリーマンがマイホームを持つ件につきましては、国でもいろいろな制度がなされ、企業サイドでも一生懸命努力をしておられるわけでございますが、土地の問題が出てまいりましてなかなかうまくワークしない、こういう先ほどの御説明でございました。これから御意見を賜りまして、いろいろお互いに協議させていただいて、よい成果を上げなければならないと思っております。  そこで、経済界としてお持ちになっている資金、例の退職金引き当て制度で相当の資金があるわけでございます。これは会社会社によってその資金の運用は異なるでしょうけれども、いわゆるサラリーマンの退職金引き当てという形で資金の留保が行われているわけでございます。これにつきましては、課税ベースをさらに広げるという意味から、この退職金引き当て制度で留保されている資金を税法上どうするかというのが昨今問題になっておりますが、一つの方法として、こういう蓄積されている退職金は相当大きな金額でございますが、先ほどもいろいろな基金、新しい制度ということが野口先生からのお話でございましたが、皆さん大学を出て、あるいは高等学校を出て、この会社で一生懸命勤めたいと希望を持って入社され、また会社でもそうやって採用されるわけですから、この資金を単に留保いたしまして財テクだとかそういうところでお使いになるのじゃなくて、やはりサラリーマン全体のためにこのお金を使う。もちろん政府その他に対しても応分の資金を出させるというようなことは必要だと思いますが、経済界全体としてもそういうことをお考えいただけるかどうか。  これはあわせて柿沼参考人にもお伺いしたいのですが、労働組合全体として、そういう形で蓄積されているわけですが、この膨大な資金をそういう方向に産業界自身としても積極的に御利用になるというようなお考えがおありかどうか、あるいは産業界自身としてなすべき手段等について何らか御検討になられたかどうか、それについてお二方からもし御説明いただけるようでしたらお願いいたしたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 大変すばらしい御示唆だと私は個人としては受けとめたわけでございます。実はまだ産業界と申しますか、日経連として今の御示唆をこう受けとめておるというお答えはしかねるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、共同住宅の推進につきましてこれから連合さんと詰める段階でございます。ぜひその過程で先生の御示唆を生かしてまいりたい、私は個人でそう思っている次第でございます。  なお、今のお話は首脳によく伝えまして、ひとつぜひ生かすような方向で努力してまいりたいと思います。申しわけありませんが、今のようなお考えを現在議論しているかどうかということになりますと、率直に申し上げて、まだそういった具体的なことは議論の段階になっていないというふうにお答えせざるを得ないと思います。ありがとうございました。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 今の点につきまして、私は次のように考えております。  もともと退職金引き当て制度は、私どもの生涯生活を支えるために大変重要な制度の一つでございます。退職金は老後の生活に欠かせないものでございます。したがって、それを十分に担保することが必要でございます。そういう面で企業にお預けをしていくという形になっているわけですね。いわば賃金の後払いの一つというふうに位置づけておるわけです。  問題は、それを先生御指摘のように、例えば財テク活動等に充てるというのはやや筋違いのことであります。というふうに考えるならば、やはり所期の目的どおり、それら退職金引き当て制度があるわけでありますから、そういうものをきちっと共同で有効に使うという手だてというのは一つ考えられる点ではないか。特にそういうものを持ち寄って、全体として有効に勤労者の住宅等に使っていくということは、考えられる大きな手だての一つではなかろうか、そういうことで生かしていくということが本筋ではなかろうかというふうに考えております。  それと同時に、特に中小企業の場合はこの引当金を含めてなかなか手当てができていないということでございますから、私どもは、中小企業については別途中小企業退職金共済制度みたいなものをもっと拡充するという、制度的な手当ても一方ではしていただくというふうなこともあわせてやるということにしていったらいいのではなかろうか、このように考えております。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 今の問題でございますが、例えば中小企業関係でも、例の共済等でいろいろな蓄積をいたしているわけです。これの運用を見ておりますと、いわゆる国債を買うとか、確かに安全な運用でしているわけですが、やはり基金の、これは民間の場合それから政府関係のそういう機関等に集まるお金、退職金ですから当然いざというときに出すのは当たり前ですが、その運用について積極的に何かできないか。これは税制の問題と絡んでまいりますので、なかなか一存では申し上げられない、今後論議していかなければいけないわけですが、もしこれを課税対象に引き上げるというようなことであればもったいない話なので、税金に取られるなら取られないように、そういう方向に前向きに使うことができれば解決のために相当大きなウエートを持つのではないか、こう感ぜられるわけでございまして、ぜひとも日経連または労働組合連合会の方でも、いろいろそういう資金の問題点もございますので御検討を賜りたいと思います。  それから、前回の当委員会の審議のときに、実は政府、これは公務員につきましては人事院に、それから民間の皆さんの給与に関しましては労働省にお伺いしたのです。先ほどもちょっと触れましたとおり、みんな一生懸命親が苦労して子供を学校にやり、生涯安定したいいところに勤めたいという気持ちで実は学校に入り、それから皆さんに御厄介になるわけですが、そのとき皆さんは新卒は月給十三万円、こう決めておられるわけですね。何を基準で決めているのだと人事院に聞きましたら、実は民間の平均賃金水準等で決めてやるのだ。では民間はどうしているのだ。やはり生涯賃金、安心して家族を養える——会社の経営がうまくいくかいかないかは経営者の責任でございますが、勤める人の立場から見ますと、自分は一生懸命働いて大丈夫なんだろうか、そういう点で生涯賃金等も含めて十二分に検討した上でその賃金を決めておるのか。もちろん前向きの返事をいただけるとは私は思っていなかったわけですが、案の定、そういう十二分に検討しておりますという返事は実はいただけなかったわけです。  したがって、政府の給与水準は民間ベースに従うということですから、これはもう給与については要するに直接日経連さんと労働組合連合会で、けんかしたときには中労委ということになるわけですが、皆さん本当にその辺十二分に御検討になって決めておられるのだろうか。あるいは今後、大学にも随分補助金を出しておるわけですし、勉強して会社に勤められる若い社員を採用になるときに、我が社ではこれだけの月給で皆さん心配要りませんよ、安心して我が社へいらっしゃい、これぐらいはやはり堂々と胸を張って言っていただきたい。そうしてやれば私どもは将来ちゃんと家を持てる、これについては後ほどお伺いさせていただきますが、所得税の問題、固定資産税の問題等々、税制、土地から何から万般についてありますが、民間として給与を決められる場合に、そういうお考え方をある程度お持ちになって論議されておられるのでしょうか、お二方にひとつ御質問をさせていただきたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 大変難しい問題でございまして、生涯その企業で働いていただきたいという基幹になります方々を雇いますときには、その方の一生が、まさにその企業のためにささげてよかったというような気持ちで処遇を設計するということは経営者の心情としてあり得ると思います。ただ、賃金はそれだけの要素だけでは決定できませんで、コストの問題あるいは他とのバランスという問題、さまざまなファクターがございまして、その時点その時点の経済情勢あるいは企業の力によって左右されますので、結果として心ならずもその水準に及ばないということはあろうかと思いますが、その気持ちはひとしく持っているのじゃないかと思います。  ただ、最近変わってまいりましたのは、今までのように生涯その企業にずっとお勤めになるという方たちばかりではなくなってまいりまして、途中でお入りになる方もおられます。早々におやめになって別の企業に行かれる方もございますし、また、パートの方のように家計あるいは自分の生活の都合も考えながら、ある水準の賃金で短期間お勤めになるということもございまして、さまざまな要素が入ってまいりまして、なかなか一概に申し上げることができなくなったということはおわかりいただけるのではなかろうかと存ずる次第でございます。  基本は、企業の経営者としてはその方の一生をその企業でお預かりと申しますか、その企業に生涯勤めていただいて、最後にああよかったなというような気持ちになっていただけることを念願していると私は思います。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 お答えいたします。  初任給等の決定につきましては、小川専務理事がお話しになりましたように、時の経済情勢あるいは労働市場等々、幾つかの要因で決まってくるわけでして、我々それでまさにバーゲニングをいつもやっているというところでございます。  ただ、先生も十分御承知のとおり、我が国の場合は、新卒で入るといってもその職種をもって仕事につくということではなくて、いわば会社に就業するという形になっております。そして先輩等から現場でいろいろOJTといいますか、技術を身につけ、そして習熟をし、あるいは知識をつけるという形を伴いながら賃金もアップしていく、そういう形でもって一つの制度が仕組まれているという形になります。ということは、働く側にとりましても、一たんその会社に就職しても、次第に自分の専門技術を身につけて、生涯の一つの生活設計をしながらそれに伴って賃金も上げていく、組合も当然それを確保するような賃金体系なりあるいは労働条件を担保するように努力するということで組んできているわけです。  高度成長期以降今日まで、言ってみますと企業内でいろいろの条件を決めることが可能でございましたし、それなりの努力ができてきたと思います。しかし、ここへ来まして、御案内のとおり、この住宅問題等を含めて、労使では既に取り組めないといういわば限界に逢着をしてきたというところが現状ではなかろうかと思います。したがいまして、根っことしては、あくまでも私どもは言ってみればそういう日本の企業なり産業、国の活力を生む制度は維持をしていきたい、それを進めていくためにももっと広く、例えば社会的な制度として今後どのような形でもってそれを条件づけるか、ここに努力の要点が出てきているのではなかろうかと思います。  御案内のとおり、諸外国の場合も、実は職能別賃金ということで若いときからいわば一人前の仕事ができれば当然同じ賃金だ、こう言われておりますが、よく詳細を見ますと、向こうもそれなりにある種の年功型の体系になっていることは事実でございまして、その辺、向こうの場合は住宅制度なりあるいは社会保障制度なり、そういう社会的制度が大きく組み込まれているというところにおいて生活を維持することが十分可能だし、エンジョイができている。日本もできればそういう方向にひとつ向けていくという取り組みが必要だと私は考える次第です。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 きょうはサラリーマンが家を持てるかという観点からいろいろな問題を取り上げておるわけでございまして、給与水準だとかこういうことを申し上げましたが、もちろんほかの要素が入っておるわけでございまして、単純に結論が出るものとは思いません。しかし、基本的にはそういう考え方があった上で何らかの決定がなされるべきではないかな、こう私は思っております。  そこで、先ほど各先生方からお話し賜ったわけですが、税制問題一つとりましても全部絡んでくるわけでございまして、一つ取り上げて可能だとはもちろん思っておりません。しかし、今税制改正が審議されておりますが、サラリーマンの立場から見ますと、例えば先ほどのお話では、家賃については二〇%以下ならいいのではないか、あるいは年間所得の三倍ないしせいぜい四倍前後であれば家が持てるのではないか、こういうお話でございました。  そういう観点から、固定資産税については先ほど非常にすばらしい野口先生のお話を拝聴いたしたわけでございますが、例えばサラリーマンの所得減税、今回も相当額の規模の減税がなされたわけでございます。これはトータルとして一兆五千億減税するのか二兆円減税するのか、こういう観点から実は話が出てきているわけでございまして、例えばサラリーマンの立場から、ではどれだけ減税がなされれば皆さんその中で貯金もし、将来マイホームを持つことができるか、こういう観点から実は所得税問題を考えるわけでございますが、現在はまだまだ所得減税は不足でないかな、もっと減税がなされてしかるべきだ、私はそう思っているわけです。  今まで民間サイドからも、減税はこういう観点からこうあるべきだというような御意見はあるいはなされておるかもしれませんが、私自身はそれが大きな討議の対象になっているとは実はまだ聞いていないわけでございまして、所得税減税について、これだけですべてができるわけではございませんが、野口先生、先ほどは固定資産税についてお伺いいたしましたが、所得減税について何か御意見がございましたら一遍賜りたいと思いますし、日経連、また連合のお二方には十二分に力を合わせていただいて、大きな一つの社会運動というと語弊がございますが、そういう観点から大きな一つの運動の中心にぜひなっていただきたいし、お願いいたしたい。私どもも全員、これは本当にすばらしいことでございまして、一緒になって働かせていただきたい、こういう気持ちを持っておりますが、この点について最初に野口先生からお話を賜り、あとお二人にその辺の御所感を賜りたい、こう思います。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 所得税の減税の問題は、それ自体として重要な問題であるかと思いますが、残念ながら日本の住宅問題の現状は、所得税減税をいかに行ったとしても、それで解決できるような段階ではないのではないかと思います。特に、例えば最近の数年間で生じた地価上昇というものを考えてみますと、首都圏では住宅を持っていれば数千万とか数億というような資産価値の上昇があったわけでありまして、これをたかだか数万あるいは数十万といった程度の毎年の所得税の減税で是正を図るのは到底無理ではないかと思います。つまりこのことは、所得税というのは毎年のフローに対する課税であるわけですが、フローに対する課税では、現在の日本の住宅問題は解決しないということを意味しているというふうに言えると思います。問題はストック、資産に対する課税をどのように行うかということではないかというふうに私は考えております。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 大変ありがたいお言葉をいただきまして、連合と一緒になりまして今後税金の問題を十分検討してまいりたいと存ずるわけでございます。  ただ、マイホームの取得につきましては野口先生がおっしゃるとおりでございまして、所得税の減税あるいは労使の賃金の問題として、あるいは手当の問題として解決し得る限界を超えているのではないかというふうに痛感をいたしているところでございます。今まで連合さんとはさまざまな基本的なところで少し食い違いがございまして、税金の議論をやっておりませんが、今後はさまざまな角度から十分勉強してまいりたいと思います。ありがとうございました。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 去る百十三臨時国会におきまして所得税減税一兆三千億円、これの実施がされることになりました。先生方のお力添えで実現を見ましたこと、大変私ども感謝を申し上げておる次第でございます。  連合は、再三減税をすべし、これによって私ども勤労者の可処分所得の上昇というものをもたらしていく、そのことによって少しでも生活にゆとりをもたらしていくということ、単にそれだけではなくて、我が国の経済を安定的にするという面からも減税措置というのは行われるべきだというふうに強く主張してまいりました。その点におこたえをいただいたという点で、私どもは大変ありがたいというふうに考えているところでございます。  今も申し上げましたように、ことしの場合、我々連合として試算をいたしましたところ、年収五百万ないしは六百万のところでございますれば、大体減税額が四万ぐらいというようなところになってまいります。ということになれば、まあ最低限私たちの生活のレベルアップにつなげることができようかというふうに考えております。可処分所得も大体五%程度引き上げることができるということになろうかと思います。そういう面では非常に画期的なところでございまして、我々賃上げも四・五%引き上げたわけでございますが、ほぼそれに匹敵する可処分所得の上昇を得ることができるということになったと思います。そうやって一面では私たちの生活というものを維持向上させる、そういうことにこの減税は非常に効果があると思います。  問題は、もう一つこの土地あるいは住宅にかかわっていけば、やはり土地等にかかわる固有の税制というものをしっかりと論議をいただき、手当てをいただくという必要があろうかと思います。その面に関しまして、今回私ども土地に関しましては、特に固定資産税の強化あるいは土地保有税、特に国税等に伴いましてひとつお手当てをいただきたい。それによっていわば所得の不均衡を是正して、その財源をもっていろいろの土地の再整備、こういうものに使ってほしい、こういうふうに言ってまいりました。それらの点について今回の税制関連法案の中にはほとんど組み込まれていない、その辺は私どもは大変不満に思っているところでございまして、特にこの土地税制に関しましては、そういう土地保有税の創設であるとかあるいは固定資産税の適正化、強化ということを含めて、ぜひ今後国民の合意を得て、それを有効にこの土地対策に使うということに振り向けていただきたいというふうに考えます。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 どうもありがとうございました。

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 次に、竹内猛君。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)委員 参考人の皆さんには、お忙しいところ御出席をいただいて、貴重な御意見をありがとうございました。また、去る委員会で、それぞれの委員の皆さんが大変熱心な議論をしていただいて、議事録を読ませていただいて大変参考になります。  そこでまず最初に、質問の前に委員長に質問をするわけですが、きょうの読売新聞にも出ていたように、この物特委員会というものがかつてないほどアピールをしている。これだけ国民がマイホームについての議論に注目しているときに、これを一体どういうふうにまとめていくのかということについて委員長はどう考えるか、まず先にそれをお伺いしたい。

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 理事会で前回行いました委員会並びに参考人の御意見などを集約をいたしまして、今後どのように具体的な政策の推進をやるか、理事会に諮りたいと思います。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)委員 そこで、日本国憲法の第二十五条には、生活の問題で、すべての国民は健康で文化的な生活を営む権利がある、こういうふうに決めていますが、先ほどの議論にもありましたように、やはり住宅が足りない、しかし持ち家が欲しい、こういう要望が多いわけでございますけれども、一体目標とする、理想とする住宅というものはどのような形のものであるか。一戸建てにするということについても、百二十平米で九十平米の床というようなこともありますけれども、それが一つの固定的な目標であって、そういう目標に向かって足りない部分については補足をしていくというような方式がなければ、常に目標が動いてしまっているのではぐあいが悪い。やはり一つの固定した目標があり、それに向かって努力をする。そしてそれ以上のものについては私的な努力が必要だ。一般的な憲法に求められているそれらしいものについての理想図について、それぞれの参考人の方からお伺いをしたい。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 大変難しい御質問でございまして、ちょっと討議をしたことがございませんで、私的な意見としてお答えをさせていただきます。  私は、その時代その時代で、やはり住についても食についても衣についても動いていくものだと思っております。かつては二DKに争って入居をしたというような経緯もございます。私は社宅の問題を扱っておりましたが、終戦後はそれこそ八坪か九坪の社宅に殺到いたしました。それが十二坪になり十五坪になり、あるいは二十坪になるというようなプロセスであろうかと存ずるわけでございます。したがいまして、無限とは申しませんが、かなり弾力的な、かつ流動的なものであろうかと思います。  それを前提にしましてあえてお答えするならば、引例をいたしましたように一戸建てならば、せいぜいこの東京都周辺であれば、私どもサラリーマンの常識としては、三、四十坪の土地と二十四、五坪から三十坪の家といったものが一般的にはサラリーマンの目標になっております。もし仮にマンションに入るのであれば、せめて六十平米と申しますか、二十坪前後のマンションに入りたいなというのが一般的な現在のところの東京周辺のサラリーマンの願いであるように私個人としては受けとめております。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 お答え申し上げます。  健康で文化的な生活を営むという点からいって、どの程度の具体的な数値を持つかというお尋ねであったかと思います。  私は、この数値につきましてはやはり相対的なものであって、固定的なものではないのではないかという考えを持っております。と申しますのは、私たち一生懸命働いて快適な生活をしたい、それはそのときどきの国の経済力、これに見合って目標値を定め、そしてそれを実現していくということになろうかと思うからです。そういう面で私どもは、先ほど私が提起をいたしましたとおり、今日その経済成長に見合って、それを的確に反映するような居住空間になっていないということを御指摘申し上げました。まさに我が国の場合、大変それが立ちおくれているというところに問題があろうかと思います。  そういうことから、先ほどアンケート調査等でも示したとおり、今サラリーマンが一つ描いているのは、少なくとももし一戸建ての住宅、こういうものを取得したいということであれば、百五十平米ぐらいの土地にせいぜい百平米ぐらいの床面積の家を持ちたい、この辺が少なくともゆとりのある豊かな生活をするという面での最低限の一つの線ではなかろうかな、こんなふうに考えているところでございます。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 政府の住宅建設五カ年計画に最低居住水準、それからさらにそれより望ましい水準値として誘導居住水準という概念がございますが、私はこれが一つの目標になると考えております。ただ、この目標は世帯のタイプごとに住宅の広さを規定しているだけでございますけれども、広さだけでは不適切であって、まず一つはどのぐらいの通勤距離にあるかという場所の問題、それからもう一つはそれが幾らであるかという価格の問題、これについても目標を定める必要があると思います。広さ、通勤距離、価格、この三つについて目標を定めないと政策が具体的なものにならないという御指摘は、まさにそのとおりであるというふうに考えます。  それからもう一つ申し上げたい点は、これは平均的な目標でありますけれども、あるいは標準的な目標でありますけれども、それとともにいろいろなタイプの住宅があるということが重要だと思います。世帯のタイプに応じて必要とされる広さあるいは住宅のタイプというのは変わってくるわけですから、ライフサイクルに応じた住宅の住みかえが必要になると思います。それから、住宅は持ち家の住宅もありますし借家という形の住宅もあります。それらのいろいろなタイプの住宅が広い範囲で供給されるということが望ましいと考えております。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)委員 ありがとうございました。  それでもう一つ、次の質問は、ちょうど今野口先生から通勤距離の問題が出ました。それから家賃、賃貸の問題が出た。それで現在の日本の賃金体系というものは、民間の場合には終身雇用で年功序列の賃金体系というもの、多少手を加えているけれどもそういう体系、公務員は人事院なりそういうものが決める、二つの体系があると思うのですね。それで、外国なんかには生活給というのがあって、工場と職住一体ということになれば通勤問題というのはほぼ解消するのだけれども、そうじゃない。日本の場合には一極集中、東京に集中するし、それから大都市、都府県の場合も県庁の所在地または第二都市に人口が集中する傾向にある。そういうところが地価が上がって家賃も高い、通勤も容易じゃない。そういうことでありますから、その場合に、この前も議論がありましたが、長い人は三時間、往復六時間ぐらい通う人もいるという。大体三時間というのは普通になっている。五十キロ、六十キロという形になってきた。  そこで、現在の給与体系で家賃というものは一体どれくらいのものが必要か。先ほど柿沼参考人は所得のほぼ二〇%であろう。私はここへ来るときにある秘書に聞いてみたら、それは二〇%取られたらとてもだめだ、こういう話でしたね。もっともっと安く、一〇%前後でないとやり切れない、こういう話がありました。というのは、給料は余り上がらないけれども、諸経費がかかりますね。あれやこれやの差し引きが多い。実際生活に使えるお金というのは少ない。教育費も高いということでありまして、特に三十代の子供を教育する、そういうところでは二〇%というのは圧迫感に耐えられないじゃないかということで、さてどれくらいのものが妥当なのかということについて、これもまた三人にお尋ねをしたい。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 これも大変難しい話でございまして、持ち家の場合三千五百万ぐらいが一つの限界だと申しましたのは、一千万ぐらい自己で調達をして、あと二千数百万をローンで借りる。しかも借りますのが大体四十歳前後、しかもある程度の賞与もあるというようなことをさまざま考えて、三千五百万くらいがこたえられる限界かなというふうに申し上げたわけでございます。三千五百万、そのうち一千万持ちまして二千五百万借りるといたしますと、月二十万ぐらいは賞与を含めて返していくということになろうかと思いますので、給与に対する割合はもっともっと高まるだろうと思います。  ところが、借家ということを前提にいたしますと、もう少し若い方を頭に置かなきゃならぬと思いますので、これもまた断定しにくいのでございますが、私どもの周辺で実例を拾ってみますと、東京の周辺では、大体新婚早々で社宅もなくてやむを得ず借りるということになりますと、七、八万から共稼ぎしていて十万ぐらいのアパートぐらいが限界のような気がいたします。だといたしますと、共稼ぎということを前提にいたしましても、大体二割ぐらいになるのじゃないでしょうか。ちょっと勉強いたしておりませんで、自分の身の回りのことを考えながらの腰だめの意見でございますので、的外れかと思いますが……。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 二〇%という数字は高いのではないかという御指摘でございました。確かに我々としてもそれはアッパーでございまして、低ければそれにこしたことはないわけでございます。ただ、今日御案内のとおり、一都三県の家賃等、例えば公団等を含めて見てみますと、今当初家賃が八万七千六百円だというようなことになっているわけです。そういうことを考えますと、二〇%をオーバーするようなところも出てきているわけです。それでも質のいい住宅に住みたいというようなことで、言ってみますと奥さんが働きに出る、共稼ぎをするというような形になって手当てをしている、こんなところでございます。  そういうことを考えますれば、あるいは民間の借家等を考えますと、中小企業等では相当負担をしているということになってまいります。この点の数字の是非、これについてはもう少し数値を含めましてぜひ御検証いただきまして、どうやって私どもの生活が維持できるのか、家賃が重くのしかからないのかということで方向を出していただきたい。私どものアンケート調査等によりますれば最上限二〇%ぐらいにとどめてほしい、こういう声が大変強いということから御主張をさせていただいた、こういうことでございます。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 家賃の支出負担は低い方が望ましいという考え方もあるかと思いますけれども、他方において、生活水準が高まってきますとより高い居住水準を求めるという要求もあるわけでありますから、その意味では、質の向上を伴うものであれば、家賃もそれ相応に高いということがむしろ望ましいという判断もできます。事実、生活水準の向上に伴って、家賃支出の比重は上昇していくというのが統計的な事実であります。したがって、そのようなことを考えますと、どこが適当な水準かということを考えるのは難しいわけですけれども、私は二〇%が上限というのは決して高過ぎる値ではないと思います。  ただ問題は、この二〇%というのは借家を想定してのことであると思いますけれども、日本では借家という形態でいろいろなタイプの住宅が供給されているわけではありません。殊に一般の世帯が居住する住宅というのは、持ち家という形態をとらざるを得ないという問題があるわけです。ある程度以上の広い住宅というのは持ち家にならざるを得ない。持ち家になりますと、先ほど来議論がありましたように大変そのコストが高くなってしまう。これの頭金とか住宅ローンの支払いというようなことを考えますと、現在首都圏では、二〇%ではとてもそういう住宅を取得できないということが問題であろうと思います。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)委員 私はよくタクシーに乗るからタクシーの運転手さんに聞くと、環七の中ではもう絶対に家は建ちません、もし家を建てるのであれば八王子からその周辺しかない、こうおっしゃいます。なるほど、八王子、立川ということになると四全総の業務核都市の中でありまして、私は土浦、筑波に住んでいますが、これは業務核都市の中で六十キロ、七十キロというところです。ここまで来ると地価は余り負担にならないぐらいに安いけれども、既にあれができる、これができるということを言っただけでどんどん土地ブローカーが入り込んできて、主なところを買い占めをするという形になる。  国土庁ですか、国土利用計画法という法律あるいは監視区域をつくるとかいろいろ言うけれども、値上がりをしてから法律を出した、値上がりをしてから監視区域をつくる、これは意味がないですね。だからそういう事業をする場合には、例えば常磐新線をつくるなら、発表するときに既に先買い権を公的機関に与えて、値上がりを防がなければいけない。値が上がるというのは、これはほっておけば原野であり水田であり畑であるわけですが、そういうものに対して業者がそこに入り込んでいって値を上げるのですから、これをしなければ法律があっても意味がない。今までの値上がりの状況を見ていると、野方図に値上がりをして、後から追いかけるように監視区域あるいは国土利用計画法の条項を発動する、これは意味がないですね。  そこで、憲法の二十九条に関連をしてお伺いします。  財産権の問題について前の委員会でもちょっと議論がありましたが、一体土地というものはいつどういう経過で私有財産になってしまったのかということについての質問がありました。それに対する建設省の答えは不十分である。だからあれについてもう少し明確に答えをしなければならない。私の方で研究したものをひとつ読んでみますと、こういうことです。   明治維新の後、富国強兵、殖産振興をなし遂げるため、財政改革の一環として地租改正が行われた。土地の担税力に着目し、政府が土地の事実上の保有者などに対し地券を発行して所有権(処分権)を認めると同時に、国に対する地租の納付義務を課した。これが土地の所有権創設の端緒となった。   この時、土地の所有権を得た者から原則として代価を徴収していない。これは大いに注目すべき点である。   このように、土地所有権は侵すことのできない絶対的なものではなく、地租改正を契機に生み出された時代の産物であった。このことは、日本の土地問題を考える際、銘記されなければならない。 こういうふうにちゃんと説明する方がいらっしゃる。この点について、これはうそですか。野口先生、どうですか。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 歴史的な経過については私それほど詳しくございませんけれども、今の御指摘の件に関して一言申し上げたい点は、土地の所有権を人々がどのくらい重視するかということは、土地に対する課税によって非常に大きく変わるということでございます。  今の御指摘のように、地租を取る便宜として所有権を確定したというお話がございましたが、御承知のように戦前の地租というのは大変重い税でありまして、収益還元価格の三%程度の非常に重い税であったわけです。このため人々は、形式的には御指摘のように所有権を持っていながら、実際には所有権は余り主張しなかったと考えられるわけであります。事実、土地の古い公図をごらんになりますと、実測面積よりも狭い場合がほとんどでありまして、これは地租の負担を軽減するために、人々が所有権をできるだけ小さく主張していたということを示すわけであります。  戦後の日本において土地の所有権を人々が非常に強く主張するようになった背景には、土地の保有税が非常に軽くてほとんど負担にならない、殊に農地に関してはそうであったということがございます。したがって、土地の所有権というのは、法律で決めればそれで確定するという絶対的なものではなくて、土地に対する課税によって非常に大きく変わり得るものであるということを申し上げたいと思います。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)委員 もう時間がないから一つだけ、これは先ほどの野口先生のお話に関連してのことです。  前の委員会で社会党の奥野委員からの話もありました。国鉄が持っている土地をこの際公共のために使ったらいいではないかということを再三提案をされていた。もう少し進んで言うと、欧米でも土地は保有という形にして、所有というよりも保有を強化しているわけですね。そういう点で日本のような土地の所有形態を持っている国というのは、それはいろいろなところがあるけれども、欧米のフランス、イギリス等々においてはそうでない。  そこで、地価を抑えていくためには、現在日本の国土の四二%が民間の土地になっていると言いますが、こういうものを債券化して、永久債券にして、これに対して一定のお金を所有者に払っていく、そして国が大いに公的に使っていく。  この二つの問題、さしあたりは国鉄の持っている土地というのははっきりしているのですから、清算事業団があれを所有しているということになると、この土地については高い建物を大いにつくって、そしてなるべく所得に見合った家賃で貸していく、こういう利用の仕方をするためにこれも債券方式、先ほどの先生の御提案のとおりだと思います。それからもう一つは、別な土地にしてもそういった形の利用方式をとっていけば、所有権というものを侵さずにちゃんとうまく公的利用ができるのじゃないかと思うのですが、これについて皆さんそれぞれから御意見をいただきたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 先生のお考えに基本的に賛成でございまして、先ほど御紹介しましたが、日経連は二年ほど前に土地の問題についていろいろ提言を申し上げたときに、その一項目に、特に土地信託制度等の活用によりまして、土地の値段を顕在化させずにその利用を促進するという方法を提言いたしております。  以上です。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 私も土地に関しましては、私有は認められますけれども、その土地は機能的に公共性を持つものだということで、その機能といいますか社会的に有効に使う、そういう面でやはり土地は社会化するという方向で考えるのが至当ではないかという原則を持っております。  そういうことからいたしますれば、旧国鉄用地とはいえ、これはいわばみんなで働いて国の税金で賄ってきた財産でありますから、これはそれなりに有効に使っていただくという必要があろうか、と思います。そういうことから勘案すれば、単に一般競争入札ということで売却ということではなくて、もう少し有効に活用するということは当然考えるべきではないかというふうに思います。その具体的な手だてとして、土地の信託方式ということによる手当てということは一つの考えられる線でございまして、ぜひこういう方向に沿って手当てをいただきたいものだというふうに思います。できるならば、単にオフィスビルということではなくて、アメニティー等も考慮しながら、住みよい住宅用地等も当然兼ね合わせたそういう用途としてお考えいただくということが大変重要ではないか、ぜひそういう方向で御検討をいただきたいというふうに考えます。  以上です。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 御提案には全面的に賛成でございます。土地の所有権あるいはそれに伴う利益と土地の利用ということを切り離す、そのための一つの手段として土地の証券化を用いるという方向は賛成でございまして、私自身もいろいろなところでそういうことを主張しているわけでございます。  それから、御指摘のように当面は旧国鉄の所有地についてこれを行う、第二段階として可能ならそれをもっと広げていく、この方向にも賛成でございます。とりわけ旧国鉄用地に関しては、従来証券化ということの検討が必要であると言われながら、最近都心部における地価の鎮静化ということを背景にして、一般競争入札の可能性もあるというようなことが伝えられておりますけれども、そのような方法はとるべきではないというふうに考えます。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)委員 どうもありがとうございました。  それで、最後の締めくくりで委員長にまた注文しておきます。  これは、この前の委員会を見ても、経済企画庁あり、建設省あり、国土庁あり、それから農水省あり、それぞれの役所が縦割りに物をやっていて、同じような問題が出ても、同じようなことを言いながら自分のいすだけは守るという官僚主義というか縄張り主義というものがある。これでは物は解決しないですね。これでは同じことを縦と横から説明するにすぎないのだ。そうじゃなくて、やはりこれだけの国民的課題の大きな問題をこの委員会を軸にして、消費税の問題は特別委員会であれだけ、まあリクルートなんという問題が出たから、ほかのことが出て余裕がなくなったけれども、あれもしようがないね、出たから始末しなければいけない。ここはそういう問題はないのだから、これだけの議論をしているのだから、これは総理大臣なり、そういう国の最高責任者がこういう問題については誠実にこたえていかなければだめだ。こういうような取り扱いを最後にこの委員会でまとめてもらって、それで少なくとも、すぐというわけにはいかないが、これをやはりアピールして意義のあるものにしてもらいたい。どうですか。

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 理事会に諮りまして対処させていただきます。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)委員 理事の諸君、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 次に、小野信一君。

小野信一日本社会党・護憲共同

○小野委員 三人の参考人の諸先生方から示唆に富んだ御意見を聞かせていただきましたことを、心から御礼を申し上げます。  私は、三人の先生方に同じ質問をしたいと思います。特に地価問題に絞ってお聞かせ願いたいと思います。  我が国の地価は、国民生活という観点、経済活動という観点、国土の均衡ある発展という観点その他を勘案した場合、地価というものは最低でもどういう条件を備えていなければならないとお考えになりますか。特に、経営者を統帥する団体としての日経連の御意見と柿沼さんの労働者側からの立場、これは当然その立場で異なってくるだろうと思います。したがって、それぞれ御意見を聞かせていただきたいと思います。当然それらを整合を持たせなければならないし、地価が形成される過程でいろいろ問題が出てくるだろうと思いますので、その観点から野口先生の御意見を聞かせていただきたい、こう思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 地価の絶対水準がいかなるものであるべきかということについては、これは正直な話ちょっとお答えしにくいところでございますが、現在の地価が、特に東京周辺の地価が異常であるということについては、これは経済界ひとしく痛感をしておるところでございます。したがって、これを適切なところに誘導するのがお国にお願いするところでもございますし、経済界の一つの役割であるというふうに思っておりますことだけは御承知おきいただきたいと存じます。  その上で、いかなる条件が今日の地価をゆがめているかということであろうかと思いますが、第一点は、しばしば言われておりますとおり、東京の土地の利用価値が余りにも高過ぎるということの裏返しでもあろうかと思いますので、東京一極と申しますか、東京にすべての機能が集中しているということを分散させるのが第一点であろうかと存ずるわけであります。  第二点は、公共の立場で土地をコントロールするシステムがやはり十分ではないのではないか。私どもそのためにも若干海外も見ておりますけれども、かなり公共の立場での土地のコントロール、さらには民活に任すベきところはきちんと任すというような役割区分が国の力によって明確になっておるということが第二点でございます。その点を詰めていただかなければならぬだろう。  第三点は、冒頭の御質問でもございましたように、企業の経営者としての自覚もあるのではなかろうか。確かに、お預かりしたお金あるいはせっかく従業員が汗水垂らして稼いたお金を有効に活用するという観点で、とりあえず有利に活用するという点は、これはお許しいただけると存じますけれども、経済社会の正常な機能を度外視するような形での投資というものはいかがなものかということについては、これは企業経営者の自覚にまって正当な地価の形成に持っていくべきだと思うわけであります。  最後は、これは再三御意見が出ておりますとおり、税制その他の問題があろうかと思うわけでございまして、これはまさに税という一つのメカニズムを通じて適正な地価を誘導するという方向であろうかと思います。その結果どの辺に落ちつくかということは断言できませんが、結果として、確かに東京の都内と周辺あるいは地方都市とは格差は残るのでございましょうが、サラリーマンが頑張れば、東京都心は別としまして、少なくとも一時間とか一時間少々で通勤できる範囲に先ほどの御質問に答えましたようなまあまあの住宅が持てるようなところになるのではなかろうかと期待をしておるわけでございまして、ひとつこの辺の回答で御容赦をいただければと思います。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 私は、今回こんなに地価が高騰をした原因の一つは、本来土地は公共性を持つべきという観点が重要だと思うのですが、我が国の場合はそれとは全く相反しておりまして、土地は私有である、これが絶対的であるという、いわば土地私有の絶対性といいますか、この考え方が非常に根強いということではないか。しかも、その土地所有あるいは利用にかかわっては、すべて市場原理にゆだねてきたというところに一番大きな問題があったのではなかろうか、このように認識をいたしておるわけです。この根底には、土地は値上がりをする、土地はもうかるという、いうところの土地神話というものが根強くある、これが一番大きな問題ではないか、そういうことが土地の買い占め、財テク等に走らせているという根底ではなかろうかというふうに思うわけであります。  土地に絡む利益というのはすべて土地所有者にいってしまっている。反面、私たちサラリーマンにとっては、一生懸命額に汗をして稼いできた、その結果がそういう形で使われて逆に自分たちの首を絞める、こういうことになっては元も子もないわけであります。ですから、そういう一つの流れというものを断ち切るということが肝心ではなかろうかと思います。そうでなければ、私たちはこれから本当に汗して働くことがばからしくなってしまうということになってくると思います。そういう面で、まずそういう土地の高騰は社会悪だ、土地はもうかるものではないのだということをしっかりと社会的に広めて、土地に対する考え方を変えるということではなかろうかというふうに思います。  そういう面で、もしこれから土地にかかわる条件づけをということになれば、土地というものは我々ひとしくみんなの持ち物である、国民がその恩恵を得べきものだという考え方、これの徹底を図る、そういう条件を備えさせることが一つだろうと思います。もし土地の利用というものを考えていくならば、当然それは私たちサラリーマンの住宅等を含めて、あるいは国の経済、これを活力あるものにしていく、そういう観点に立って、有効に使い得る、それに十分資するような水準を含めた手当て、これが必要なんだ、そういう社会的な一つの仕組みというものをつくっていく、こういうことが条件ではなかろうか、こんなふうに考えています。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 地価がどのような条件を備えるべきかという御質問でございますけれども、これに対する私の答えは大変単純でありまして、それはどういうことかと申しますと、地価というのは地代の割引現在価値でなくてはいけないということであります。それはどういうことかといいますと、地代というのは、日本の場合には市場地代としてあらわれておりませんけれども、オフィスの賃貸料とかマンションの家賃から推察できるわけですが、土地を利用するコストであります。その土地を利用するコストを、将来ずっと土地が生み出していくわけですけれども、そのコストあるいは価格を現在値に割り引いたもの、これが地価であります。しばしば理論地価と言われるのはこの地価であります。本来、地価はそういうものでなくてはいけないわけであります。  ところが、日本の現状についてこの計算をしてみますと、現実の地価は理論地価、つまりあるべき姿よりもはるかに高くなっております。これは外国との比較でも同じことが言えまして、例えば日本とイギリスを比較してみますと、日本の地価はイギリスよりも非常に高い。これは皆さん御承知のとおりでありまして、大体同じような条件の土地を比較しますと、日本はイギリスの地価の十倍ないし二十倍の範囲になります。ところが、余りよく知られていないことは、オフィスの賃貸料とか借家の家賃、これは日本の方がちょっと高いのですけれども、そんなに高くはありません。平均すれば大体二倍くらいであります。つまりこのことは、先ほどのように日本の地価が理論地価よりもはるかに高くなっているということを示しているわけでありまして、日本の土地の利用コストがイギリスの二倍であれば、地価も二倍でなくてはいけない。現実にはそれが十倍ないし二十倍になっているという点に異常なところがあります。ですから、それを引き下げるというのが地価の備えるべき条件であります。  なぜこのように高くなっているかということを話しますと話が長くなりますが、重要なことは、日本の地価にはキャピタルゲイン、つまり土地を売ったときの収益が含まれてしまっている。つまり、土地が将来高く売れると思うから高く買ってもいいというような価格づけがされていて、土地を、住宅を建てたりあるいは工場を建てたり、現実の用途に使うための価格づけになっていないという点にあります。  したがって、もう一度繰り返しますと、地価がどういう条件を備えるべきか、それは、土地を住宅あるいは工場その他の経済的な用途に使ったときに正当化されるような、そのような水準になっているということが必要な条件でございます。

小野信一日本社会党・護憲共同

○小野委員 小川先生にお尋ねしますけれども、先生が言う理想的な地価というものをもし自分の頭の中に想定した場合に、その地価をつくるために、その地価に誘導するために直ちに行わなければならないものは何になるでしょう。中長期的には、何を今私どもが、政府が行わなければならないか。この政策の選択の順序を間違うとまたとんでもない結果が生まれてくるものですから、その辺の順序を含めてお答え願いたいと思います。柿沼さんも同じでございます。野口先生にもよろしくお願いします。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 少し古くなりますけれども、私どもが提言をいたしたものをもとに今の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。  第一点は、先ほどから再三言われております土地税制でございます。土地税制につきましては、市街化区域内農地の宅地並み課税を中心とします保有税の適正化、それに並行いたしまして土地譲渡所得税の緩和でございます。持っているよりも流通を促進するという観点でございます。  その次は開発利益の還元方策でございます。これは、先ほどからも話題になっております開発のメリットにつきまして、これが開発者にもたらされるだけでなくて周辺に大いにもたらされるという観点を考慮して、周辺土地の便乗騰貴を抑えるためにもぜひ何らかの方法をとるべきである。そのほか、用途指定、容積率の有効活用、緩和等、いわゆる供給を緩和する方策を次にとるべきではなかろうかと存じておる次第でございます。  そのほかいろいろございますが、私がこういうふうに並べますのは、優先順位を無視しているわけではございませんで、冒頭に申し上げました税制の改正が一挙に行われることは大変難しいことである、したがって、その方向については徐々に行かざるを得ないと思うわけであります。したがって、それを徐々に取り入れながら、さまざまな方法を並行して多用していくということについて日経連としては提言を申し上げている次第でございまして、先生のお言葉の優先順位について多少ぴったりした答えではなかろうと存じますが、ともあれ、動員できる手段を並行しつつ重点を推進していくということではないかと思っているわけでございます。  以上でございます。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 直ちに有効な手だてがあれば一番よろしいかと思うのですが、緊急的にすぐに発動し得る施策ということを考えてみましても、私個人はなかなか妙案として御提示することができない、これが率直な私の考えでございます。  ただ、今までいろいろ議論されてこられていると思いますが、一つは、早目に我が国の国土をバランスのとれたものにしていく。そういう意味で、この肥大化した都市機能をいかに改めていくのかというような大きな考え方と、そしてそれの手だてというものを国民の前に早く示していくというようなことをしていかなければならない。そういう言ってみれば需要の分散というものを初めにやはりしっかりと立てていくということが必要であろうかというふうに思います。  当面としては、私ども既に言っておりますが、例えば市街化区域内農地の宅地化であるとか工場跡地等の利用、さらには空間の高度利用、考えられる手当てをするということによって供給体制もこれまたふやすというようなことを今していくべきではなかろうか。  その場合の手だてとしては、再三お話し申し上げておりますように、土地税制がその中の大きなキーワードになるのではないか。となってくれば、その土地税制の改革にかかわって言えば、やはり土地保有にかかわる課税強化というものをして、その財源を今言ったようなところにつけていく、このことを早く仕組むということが一番肝要なのではなかろうか、このように考えるわけでございます。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 私は、午前中の意見陳述におきまして三つの施策が必要であるということを申しました。固定資産税を中心にする土地税制の是正、それから土地の証券化、三番目に地価監視制度の廃止、この三つの点を申し上げたわけでありますが、御質問にお答えして当面緊急な措置と中長期的に必要な措置というふうに仕分けをしてみますと、私は、当面必要なことは地価監視制度を廃止するということであると思います。中長期的に必要なこととして、土地税制の是正とそれから土地の証券化ということが考えられます。  先ほど申しましたように、日本の地価が異常な水準になっている理由は、土地が資産として格付けられている、つまり将来売ることを見通して、その売ったときの売却益が価格に含まれているから高いのだということを申し上げたわけですけれども、そういった状況を是正するためには、まず第一には、土地の保有コストを高めて土地を資産として持つということを困難にする必要があります。その観点から固定資産税の増強が必要であると考えるわけであります。それから、土地の証券化というのは、その資産としての保有は、現実の物理的な土地ではなくて新たに創出した金融資産によって資産としての運用を代替させるという観点から必要であるというふうに考えているわけでありまして、先ほどの日本の地価が高い理由あるいは地価がどういう条件を備えているべきかということに対する私の考え方から、この二つの政策が中長期的に必要であるというふうに考えております。

小野信一日本社会党・護憲共同

○小野委員 先生は先ほど、地価は本来、基本的にはということになりますか、需給関係が市場システムを通じて地価に反映する、こういうことが基本的だ、底流だ、こうおっしゃいました。  その中で、キャピタルゲインを地価に含めないということが果たして可能なのだろうか、非常に難しい問題ではないだろうかという感じがいたします。先生の言う保有税あるいは固定資産税を高くすることによって、その需給関係からキャピタルゲインを排除することが果たして可能なのだろうかという気がいたしますけれども、先生の説明で納得したようなしないような気がするものですから、もう少し御意見を聞かせていただきたいと思います。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 政策のいかんによっては、私は十分可能であると考えます。例えば、イギリスとかアメリカを見てみますと、固定資産税あるいは保有税が非常に高い水準になっておりまして、アメリカの場合ですと、市によって違いますが、時価の一%とか三%、それよりももっと高いところもございます。イギリスの場合もやはり同じくらいの率になっております。時価の三%ということは、いわばそこで例えばオフィスを建てた場合のオフィスの賃貸料に匹敵するくらいの保有税の負担があるということですね。ですから、オフィスに例えば月百万円払っているとしますと、同時に百万円くらいの保有税を払っているということで、非常に重い税がかかっているわけです。ですから、そういうような国では土地を資産として寝かせておいて値上がり益を待つということは経済的に引き合わない行為になっております。このように、土地の持ち越し費用を高めることによって土地のコストの中からキャピタルゲインを追い出すということは、原理的には可能であります。  ただ、日本の固定資産税はどのくらいの実効税率になっているかと申しますと、形式的な税率が御承知のように標準税率で一・四%でありますけれども、評価が時価より非常に低いこと、あるいはさまざまな特別措置がありますために、時価に対する固定資産税の負担率というのは〇・一%程度にしかなっておりません。つまり、イギリスやアメリカの十分の一ないし二十分の一程度の負担でしかないわけです。したがって、これを一挙にアメリカ、イギリス並みの負担に引き上げていくというのは政治的には大変難しい、現在の負担率を十倍、二十倍に引き上げることになりますから大変難しいわけでありまして、実際にできるかどうかという観点からしますと非常に難しいと言わざるを得ないわけでありますけれども、原理的には可能なことだと考えます。

小野信一日本社会党・護憲共同

○小野委員 小川先生にお尋ねいたします。  今回の地価急高騰のスタートは、港区から横浜に至る国道の周辺の土地転がしから始まった、こう言われております。そして、それが公示価格に反映して東京に蔓延した。その公示価格は、不動産鑑定士が、企業の転売によって行われた価格を、市場価格ですといって公示価格に申請することによって行われたと言われております。  不動産会社、大手にはこの不動産鑑定士が常時雇用されております、あるいは顧問としております。不動産鑑定士が顧問となり、公示価格を決定するメンバーに入っているとすれば、当然地価というものは、公示価格の決定というのはまことにおかしなシステムで決定されるということになってしまいます。公示価格を決定する、市場価格を決定する不動産鑑定士が大型不動産会社に常時雇われたり顧問になっているという制度は、私はまことに不都合だと思うのですけれども、その点について日経連としてはどういうふうにお考えになりますか。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 私は実は労使関係並びに一般企業の従業員にかかわる問題を中心に扱っておりますので、まことに申しわけありませんが、その点については知識を持ち合わせておりませんので、お答えを御容赦いただきたいと存じます。

小野信一日本社会党・護憲共同

○小野委員 終わります。

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 次に、山田英介君。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 公明党の山田英介でございます。  三人の参考人の方々には、お忙しい中を当委員会に御出席をくださり、貴重な御意見をるる賜りまして、まことにありがとうございます。  先ほど来、同僚委員からるる御質問がございましたが、私は特にこの「サラリーマンはマイホームを持てるか」という大きな共通のテーマで、いろいろな関連するシステムとかあるいは税制度とか、洗い直してといいますかまとめて検討してみますと、それぞれの省庁が所管する制度の一つ一つは、その限りにおきましては確かに一つの時代の必然性とか流れの中で正しい選択、立案であったのだろうと思われるわけですけれども、トータルで、住宅を取得させるためにはどうしたらいいのかという角度から総合的にこれをとらえてみますと、まことにちぐはぐな、あるいは全く整合性のないそれぞれの制度の間のあり方になっているわけでございます。御指摘が先ほど来ございますように、これは縦割り行政の弊害が象徴的にそういう形であらわれてきている、これを何とかしなければならないということをまずベースとして考えざるを得ません。  確かに政府部内には土地対策関係閣僚会議とかそういうものが設置をされておるようでございますけれども、そこでは何か、大変失礼な言い方で恐縮でございますが、土地住宅対策のいろいろなメニューをいろいろな知恵を絞り出して全部一回洗い出して並べてみたというような、その意味での成果は私はあったのかなと思いますけれども、しかし、それをずっと読んでいて極めてむなしい感じがするわけでございます。  例えば、建設省では都市計画法第七条で市街化区域と調整区域と分けております。市街化区域の方は「おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」である、調整区域の方は「市街化を抑制すべき区域」である、こう定めて、いわばその意味では、サラリーマンにマイホームをという方向では大変よろしいのかなというふうに私は思うわけです。あるいはまた、建設省所管の土地区画整理事業なんという事業を考えてみましても、いわゆる優良な宅地を大量に供給するためにこの事業が膨大な公的資金を投下して進められている。  しかし、今度は大蔵省の施策を見てみますと、例えば二十年間農業を続ければ市街化区域内の農地であっても相続税は免除しましょう、こういうことになるものですから、市街化区域内、十年以内、優先的、計画的に図るべき、そういう区域にありながら、少なくとも二十年間は、そしてまたその決意に立てばその次の二十年間も、要するに永久的にそれは農地として存続し得る、こういう一つの税制の特例を設けておる。租税特別措置法の七十条の六でこれが決められている。先ほど来参考人の方々の御指摘にもございますように、これではもう出てきようがないわけでございます。  それから、今度は自治省の関係で見てまいりますと、例の長期営農継続農地制度というものがございまして、固定資産税は、十年間営農の意思があり、それが認められれば農地並み課税、農地課税で結構ですよ。これもまた、その決意があればその次の十年も、その次の十年も、したがって一定の条件のもとでは未来永劫にわたりこれが農地として残ってしまう。  同じ土地について、片方は、サラリーマンのためにとはっきりはうたってありませんけれども、本質的にはそういうことだろうと思います、おおむね十年以内に優先的に市街化を図る。こちらはもう図らせないようにしている。極めて象徴的な省庁間の、一つのテーマを決めて議論をしていきますと、結局そういう全く逆のシステムというものがそこにあるということに気がつくわけでございます。  したがいまして、先ほど竹内委員が委員長に要請する形でお話がございましたけれども、これは本当に日本経済を根幹から支えておる何千万人にも及ぶ勤労者の方々の基本的な住生活、あるいは人間が人間らしく、あるいはまた人間が本当にゆとりを持ち、また生きがいを持って、そして額に汗することをいとわずという極めて大事な次元にかかわる問題でございますから、そのときどきにおける内閣が、特に内閣総理大臣が閣内におきまして最高責任者なわけですから、強力なリーダーシップを発揮する、そしてサラリーマンのためのマイホーム取得を、徐々に、あるいは場合によっては一気に取得しやすいような、そういう政策、施策というものを真剣に考えて、そして歴代の内閣に継承をしていく、そこまでやっていただかないと、これは省庁間の利害あるいは縄張りというような図式の中でなかなか解決ができない問題の大きな一つだなというふうに考えざるを得ません。  私どもは野党の立場ではありますけれども、そういう角度からぜひ対処してまいりたいと思いますし、物特委におられる与党の各委員の方々も、与党内にあって発言力の大変大きな方々でございますから、ぜひまたそういう点で今後ともに特段の御努力を賜りたい、冒頭ちょっと長くなりましたけれども、こんなふうに申し上げまして、何点か質問をさせていただきたいと思います。  連合と日経連における共同のアンケート調査の質問項目の第一、「地価の高騰の要因」というところで、これは労組、会社ともに、「投機的土地取引」と「急激な都市集中化による土地の絶対不足」の二つに回答が集中をしたということで、私もこういうことだろうなというふうに非常に共感をいたします。  なお、そのベースにあるのは、いわゆる居住用の一定規模以下の土地資産というものについては一定の配慮があってよろしいのかな、しかし、土地を保有するコストが諸外国に比べて我が国の場合は余りにも低いがゆえに、土地の利用あるいは活用ということが極めておくれ、そして将来の値上がりを期待して保有をする、あるいはそれができる保有コストであるという、この野口教授のお考え方というものはまたもっと深いところにあるのかなというふうに大変興味深く拝聴させていただいたわけでございます。  そこでお伺いをするわけですが、その投機的土地の取引というもの、これが地価高騰の大きな要因の一つである、ほぼそれは間違いではないだろうと私は思います。  では、どうすれば投機的な土地の取引を抑制できるのかというふうに考えてみますと、これは平均的な勤労者が土地の投機的な取引にまで手を出せる経済的な力はないわけでございまして、みずからが将来マイホームを建てるための土地をどうやって手当てするかというところで実は大きな壁にぶつかっているわけでございます。そうなりますと、土地を従来から持っている者、そして、先ほど来の話で、現在大きくそれが資産価値が高まって、その一部を売却をして、その莫大な利益を含めてではその資本でよその土地を買おうかな、その場合には、個人においても、厳密な意味で言えるかどうかは別として、投機的な土地の取引ということは起こり得るのかもしれません。ただ、やはり基本的には大きな力を持った企業あるいは不動産事業者、こういうところが土地投機取引の主役を演じておるのではないかなというふうに私は考えるわけでございます。  この点、恐縮でございますが、専務理事、政策局長、教授の順で御意見を賜れればと存じます。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 御指摘のとおりだと思うわけでございまして、仮に個人がたまたま都内に若干の土地を持っておりまして、それの一部を売って郊外に土地を買いかえるというようなことが場合によっては部分的に地価を引き上げる効果もございましょうが、基本的にはやはり不動産を業とする方々の投機的な取引が原因になっていると思うわけでございます。さらに、それに融資をいたしております金融機関の融資態度もその原因になったろうと思います。  この点につきましては既にさまざまな角度から御批判を浴びておりまして、融資の動向についても御指導をいただいてかなり鎮静をいたしておりますし、また、土地の急激な値上げについては監視制度等もある時期においては大変効果があった、そのように思っております。  したがいまして、こういった事態を日経連といたしましては重く見ておりまして、そういう行動については慎むべきであるということを再三会長も公の場で申しておりますし、私どもも及ばずながらそういうことを、サラリーマンのためと申しますと大変おためごかしのようでございますが、企業の正常な行動ではないということについては言及しておるところでございます。     〔委員長退席、小野委員長代理着席〕

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 私は、連合のアンケート調査から次のように御指摘を申し上げたいと思います。  「土地値上がりの主因は何か」という私どもの問いに対しまして、「何もしてこなかった政府」というのが回答のうち六割でございます。いわゆる政府が後手後手に回って有効な手だてをしてこなかった、ここに原因があるんだということをしっかりと訴えてきているということ、この点は肝に銘じていただければというふうに思います。続いて答えが出ましたのは「不動産業者あるいは企業等による土地転がしである」、これが第二位でございます。そして、第三番目が「金融機関による土地融資の行き過ぎ」、この三点に集中をしているということでございます。  したがって、一般の国民というのは、今言ったように、単なる企業活動だけではなくて、行き過ぎを放置をしてきている政府、自治体のなまぬるさ、これに対しても非常に鋭い指摘をしているんだということを御記憶をいただければというふうに思います。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 地価上昇の原因になったいわゆる土地転がしというのが一部の不動産業者によるものではないかという御指摘は、私もそのとおりではないかと思います。  ただ、現実の土地の取引件数の統計を見てみますと、例えば昭和六十一年度に世田谷区では全体で約五千五百件の土地の取引がありましたが、その中で三千二百件は個人によるものでありまして、件数から見れば個人の土地取引が半分以上を占めております。ただ、これらの人たちがどういう動機で買ったかということはここの中にはあらわれておりませんが、個人は実際に住む目的で買った人が恐らく多いに違いなくて、土地転がしの目的で買ったというのは少ないと思われます。ただ、取引の件数からいえばこういうことでもあるということだと思います。  それからもう一つは、普通言われる意味での投機ということではなくても、資産目的で土地を保有しているということからいえば、それは法人に限らず個人、一般の人たちでもそういう目的で土地を持っている人というのは多いわけですね。これは、積極的に投機の目的で、値上がり目的で買うということではなくても、従来から持っている土地を手放さない、本当はもっと高度に利用できるにもかかわらず手放さない、例えば市街化区域内の農地を持っているというのは、これは資産保有目的で持っているわけですから、投機という言葉をもう少し広い意味で使えば、その中には個人の保有者もかなり含まれているという見方もできるかと思います。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 それで、日経連の中には恐らく不動産事業の経営者の方々も入っておられると理解してよろしゅうございましょうか。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 はい、結構でございます。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 今御意見を承りましたように、一口に投機的土地取引と言っても、それに類似する形でいろいろな形態があるように存じます。  ただ、極めて象徴的なことの一つは、いわゆる大もとの地権者Aから、事業者Bが土地の権利の移転を受けます。要するに買います。この事業者Bが今度は事業者Cにこれを転売する。これが際限なく繰り返されていくのを仮に土地転がしと言えば、実は問題がそこにあるわけだと思います。  A地権者からB事業者が土地を買いました。本来であれば、物権の変動がここに生じておるわけでございますから、それは我が国の不動産登記制度、公示制度の上に明確に反映されなければならない、正確に反映されなければならない、これが不動産登記制度の一つの精神でもある。しかし、現実には中間省略登記が後を絶たない。これは、AからB事業者が土地の移転を受けた、買い受けたということになれば、何年何月何日売買、登記義務者A、登記権利者B事業者という形でいわゆる不動産登記簿上に公示されなければならないのでございます。しかし、実際にはそこを省略してしまいましてC事業者に転売をする。同じ理屈で、Cは次の買い主Dを見つけて、あたかも最終的にA地権者からD事業者が直接不動産の取引をしたかのようにいわゆる公示をする、登記をする。したがってB事業者とC事業者は表面に出てこない。  ここがいわば脱税の温床でもあり、あるいはまた土地取引におけるぼろもうけといいますか、土地を転がすことによっていわば巨額の富を一夜にして得ることができる。これは税務当局からも少なくとも掌握をされにくい。された場合には一定の罰則を伴って処分される。しかし、それさえ覚悟すれば、決意さえすればそのBとCの事業者は表に出ずに中間省略の登記をやることができる。今、法の盲点を使ってやることができる。  仮に一億円の土地を正式にA地権者からB事業者へという形で登記をしたといたします。これが本来なさるべきことなんでございますが、やった場合には、評価額が一億円という場合には千分の五十という登録免許税ですから、本来は登録免許税だけで五百万円納めなければならないはずでございます。ところが、中間省略登記を悪用することによって、登録免許税だけでも五百万円の節税になる、あるいは脱税と言った方がいいのかもしれません。そして、いわゆる不動産関係税法の改正がございまして、それが長期譲渡は五年以上、短期譲渡は五年以内、超短期が二年以内。要するに中間省略をして事業者が潜ってしまえば超短期課税にもひっかからない。これが土地転がしのなかなかなくならない——転がしという言葉はわかるのですけれども、実際そのからくりはどうなっているのかと子細に検討してまいりますと、そういう事例が極めて多いことは私の調査からしてもはっきりと申し上げられるところでございます。  実は今、私どもも、不動産公示制度の中で、不動産登記法の仕組みの中でもう少しこれをチェックする手だてはないものかということを考えているわけでございますが、これは日経連に参加をなされておられる不動産事業者の方々がやっておるという意味で申し上げておるわけではございません、極めて一部の悪徳事業者であろうかと思いますが、この土地の価格というのは、いわゆる玉突き現象といいますか、非常に波及効果、影響力が大きいところに一つの特徴があるように思います。ですから、例えば今、野口先生が事例を出されました世田谷区のある一地点でそういう転がし的な取引によって高値で取引がなされたということになりますと、そこを中心にした周辺は、成立をしたその取引の価格を一つの有力な参考として他の取引の価格が決められていくという傾向が非常に強い分野なものですから、これにつきましては、中間省略登記を仕組み上あるいは法制度上できない方法を、不動産登記法の運用の中で、あるいは不動産登記法の条文を一部改正する中で歯どめが何とかかけられないものかというふうに、私は今研究を進めておるわけでございます。  ぜひ日経連の小川専務理事におかれましても、そういう意見が国会でもあったよという形で、不動産事業の経営者の方々も立派な方々ばかりだと私は信じておりますけれども、ぜひ参考に供していただくためにも、あるいはまた日本の不動産事業者のいわゆるトップクラスの方々がおられるわけでございますから、中小の、あるいは零細の事業者に対してもぜひひとつ指導的な立場でリーダーシップを御発揮をいただきたい、こんな願いを込めまして、専務理事さんからも、折がございましたら、そういう点はひとつしっかりやってまいろうではないかというようなことでお願いを申し上げたいなと存じますが、大変恐縮ですが、いかがでございましょうか。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 先ほども申し上げましたように、団体の性格上、今大変貴重な御意見をいただきましたが、私がここで十分御理解を申し上げて回答するほどの知識を持ち合わせておらないのは残念でございますが、やはり今後の不動産の取引には大変貴重な御意見だと存じますので、帰りまして、十分研究をした上で、関係の会社も多少ございますので、先生方の御意見をよく反映させたいと思っております。どうもありがとうございました。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 大変恐縮でございます。  次に、「急激な都市集中化による土地の絶対不足」。確かに土地の絶対不足という側面もありますが、いや絶対的に不足しているのではないんだ、あるのだけれども、それがいわゆる勤労者のための住宅用地として出てこない、出てこなくしている仕組みが問題なんだという角度からもこれは読めるわけでございます。そして、その根っこのところには、政策局長がおっしゃいましたように、要するに政府の対応のおくれというものがあるのじゃないか、こういうふうに言うことができるのだろうと思います。  それで、先ほどちょっと触れました、また小川専務理事からも御指摘がございました農地のいわゆる相続税に関する特例措置ですね、優遇措置。これにつきまして先ほど専務理事からは、相続税の免除につきましては、一定の期間営農を続けた場合にこれを免除する、あるいは優遇するという現行の仕組みとあわせて、一定割合の土地を住宅用地として提供することを条件に現行の有利な税制度というものを認めてあげるようにすべきではないかという御発言が冒頭にあったわけでございますが、極めて有効な、あるいは説得力のある一つのお考えではないかと私は存じました。  これは市街化区域内の農地についていう場合と調整区域内の農地についていう場合と分けて考えてみる必要があるのではないか。といいますのは、この二十年相続税免除のための租税特別措置法の七十条の六の規定の趣旨は、いろいろ伺ってみますと、要するに一定規模の農地をいわゆる一団の土地として存在をさせたいのである。その農地の規模をいたずらに細分化させることは、農業保護といいますか、発展のためにいかがなものか。細分化させたいというところに、この二十年相続税免除という一つの大きなねらいが、政策目的があるようでございます。  ただ、これは調整区域内の農地と市街化区域内の農地と、今の運用あるいは当てはめ方とというのは全く差異がない、異なりがないわけでございます。冒頭申し上げましたように、都市計画法七条で「おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」が市街化区域ということなわけですから、ここに農地のまま、要するに二十年も四十年も六十年もそのままの規模、形状で残さなければならないという発想そのものがもう無理があると私は思うのです。少なくとも都市計画法七条の規定とこの大蔵省が措置している租税特別措置法七十条の六というのはまともに相反する、こういうものである。  したがいまして、私はむしろ、この二十年相続税免除のための七十条の六という規定は、調整区域にはいいと思うのです、市街化を抑制して、そしてその区域の性格に合った農地の活用ということですから、これはそれでよろしいんだろうと思いますが、市街化区域内の農地については、これはやはり外す必要があるのではないか。小川専務理事がおっしゃったように、一定規模の面積について住宅用地として提供することを前提として初めてその優遇措置を認める、少なくともそういうことが必要になるのではないかと私は思いますが、特に専務理事には、調整区域と市街化区域内の農地の相続税適用の差を設けなくてもいいかどうか。それから政策局長と野口教授には、今の問題全般にわたりましての御意見を承れれば大変ありがたいと存じます。     〔小野委員長代理退席、委員長着席〕

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 私どもの提案を評価していただきまして大変感謝をするわけでございますが、私どもこういう提案をいたしました基本は、ドラスチックなことを申し上げましても、これは基本的にやはり農家の方々の利害に深く直結いたしておりますので、どうしてもなかなか実現の第一歩ということが見えない。ついては何か農家の方々にとってもプラスになるしサラリーマンにとってもプラスになる方法はないだろうかというような議論が最近起きまして、こういうような御提案になったわけであります。  したがいまして、市街化区域に限ってとりあえず適用したらいかがか、こういう趣旨で私ども提案いたしておりますので、そのように御理解をちょうだいいたしたいと存ずるわけでございます。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 私どもも市街化区域内農地の宅地並み課税ということで従来指摘してきてございます。その意味で先生とお考えは一致をいたしておるところでございます。にもかかわらず、これがどれだけ早急に実施をされるのか。現在の状況を見ていますと遅々として進まない、私どもはこんな感じを受けるわけでございます。  そこで、冒頭にもお話し申し上げましたように、我々としてはこのまま放置しておいてよいのか、もう少し有効な手だてがないのかということで検討いたしてきたわけでございます。この資産格差が拡大する、とりわけこの都内において事実上農地を遊ばしている、こういうようなことが許されていいのか。やはりもっと有効に活用する、そういう手だてがないのだろうか。我々サラリーマンに対しての住宅供給に資するような助力を農地をお持ちの方々がしてくれる、そういうインセンチブ効果があらわれるような施策というのはないだろうか、こういうことを考えてきていたところでございます。私ども先ほど国税でひとつ新しく土地保有税をつくったらどうかという提言をいたしました。まさにねらいはそこにあるわけでございます。  私ども三大都市圏の市街化区域内農地の宅地並み課税、あるいは相続税の優遇制度をなくしていくということはしていきたいのですが、一方で、一定面積以上で、しかも一定の価額を持って悠々としておられる個人もおありであるわけでございますから、そういうところには時価に近い評価で課税するようなことも考えていいのじゃないか、そしてその財源を住宅等の建設に回すことをぜひ考えてほしい、こういうことを先ほどお話し申し上げたところでございます。  といっても、例えば我々は時価五億以上で二千平米以上持っている人ということで、ある種の基準を設ける、いわばすごく大きな土地を遊ばせている人々に対して課税をする。しかし、その課税が嫌だというのであれば、当然、それでは住宅用にあるいはもっと社会的にうまく有効利用するように提供してください、あるいはそれに対して、例えば住宅建設等にかかわる事業主体としてみずからも加わるというのであれば、そういう人たちに対して税制あるいは金融上の優遇措置を設ける、こういうことでぜひ協力をいただく、こういう必要が出てくるし、まさにそういうところでそういう人たちの力を発揮していただく。  今は、やれ農地を持っている者は悪い、あるいは企業の土地を出さない者は悪い、そういうふうにそれぞれが相手を批判するのではなくて、みんながどうやって今の状態を改善するために協力し合うか、そういう方向に手だてを考えていく、その一助にしていただいたらいいのではないかと私ども考えまして提起をいたしたわけでございます。山田先生御指摘のとおり、みんなが参加できるような施策を考えていく必要があるのではないかということで提案をさせていただいているわけです。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 営農農地の相続税免除措置を停止すべきではないかという御提案、あるいは先ほどの日経連の提案には私も基本的に賛成でございます。理由は、これまでも皆様御指摘のように、日本の都市においては土地が絶対的に不足しているのではなくて、土地はある、ただそれが使われていない、そのかなり大きな部分が農地にあるからだと考えるからであります。  ただ、幾つか申し上げさせていただきますと、第一番目に、日経連の御提案に対しては、これは現実の政治の中で実現可能な方途を探ることから、宅地用に提供した場合には免除にするという条件をつけているのだと思いますが、これはわからなくもありませんけれども、私はそういう条件も必要ないのではないか、無条件に停止にしてもよろしいのではないかと思います。その理由は、農地の保有者とサラリーマンとの間の資産格差を考えると、しかも農地の所有者が自分で努力したわけではなくてそれだけの資産価値を得たということを考えますと、そのような優遇措置を与える必要はないのではないかと思います。  もう一つは、市街化区域内とそれ以外、調整区域あるいは都市計画区域外の農地を区別する理由も余りないのではないかと私は思います。御指摘のように、一団としての農地を保全するという必要性は私も認めますけれども、その問題とこれとは別のことではないかと思います。農地が細分化されるかどうかということは、だれが相続するかにかかわっているわけでありまして、相続税を免除するかどうかということはそれとは別の問題ではないかと思います。仮に相続税が課されたとしても、例えば土地を賃借するという方法で大規模な農地を確保することは可能であろうかと思いますので、市街化区域外の農地についてもこのような措置を残存させる必要性、正当性は乏しいのではないかと私は考えます。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 資料でちょうだいいたしました連合と日経連の共同アピール、一、二、三とございまして、二番目に「公的分譲・賃貸住宅の適正価格・家賃による大量供給、土地の有効利用を重視した土地税制の抜本改正、市街化区域内農地の活用等を優先すること。」とありまして、この三つが当面政治あるいは行政が対処すべき極めて重要な課題である、代表的な課題である。  三点をよく見ておりますと、公的分譲・賃貸住宅を大量に供給するためには、まとまった、そしてまた非常に大規模な宅地用地の確保がその前提にならなければなりません。それが国有地あるいは工場跡地とかございますが、圧倒的に大きな比率を占めておりますのはやはり市街化区域内の未開発あるいは低利用あるいは資産として保有し続けている土地であり、これを住宅用用地としていかにして出させるかということが前提に考えられなければならないだろう、そしてそれを確保するための税制面における誘導措置が必要である、これは極めてリンクしている三つの重要課題かと受けとめているわけでございます。  税制のところにかかるわけでございますが、先ほど触れました固定資産税の農地課税を許しているといいますか認めていることに結果としてなる長期営農継続農地制度、宅地並み課税を国会でいろいろ議論していく中で数年前にこの制度が創設されたと理解をしているわけでございますが、市街化区域内に農地を持つ方々、これはかなりの勢力といいますか人々がいる、そして、資産を保持しているわけですから当然経済的な力が極めて強い。そういうことで、これを宅地並み課税にする、しないなんというときになれば、これは政治的にかなり大きな力を行使することは間違いないし、今までもそうであった。また、それだけ難しい問題ではありますけれども、三人の参考人の先生方がるる強く指摘をなされておりますとおり、土地を持つ者と持たない者との格差が拡大することは、我が国の活力ある経済社会を展望したときに極めて大きな不安要素として残らざるを得ない。これ以上の格差拡大はもう食いとめて、むしろ縮小させるべきである。  また、その中でも、どういう土地を持つか、その違いからも拡差が広がりつつある。これは立地、都心に近いとか遠いとかもそうですけれども、サラリーマンの住宅宅地を確保することを困難にすることも含めて、市街化区域内の農地を持つ農家と調整区域内に農地を持つ農家、ここにまた同じ土地を持つ者の間でも極めて先鋭的に大変な格差が出てきておるということを考えますと、これはいずれにしても相当な決意を持って、国会でいえば与党も野党もやらないと無理だということを痛切に私も感じるわけでございます。  それで、たしか地方税法の附則二十九条の五でいわゆる長期営農継続農地制度というものが定められているわけでございますが、相続税のところで、これは免除二十年で資産として保有した方がいいという形を誘導しているわけですね。また、固定資産税の次元でも、十年単位に永久的に農地として、いわゆる資産として保有できる。こういう仕組みにこれ以上しておいてもいいのかということを私は非常に痛切に感じるわけです。それは確かに利害を調整するところが政治の場であるけれども、そうだとすれば、市街化区域内に農地を持つ方々を余りにも優遇してあげ過ぎなんじゃないですかというふうに私なんかは見ていて感じるわけです。  ですからこの辺で、先日の当委員会における集中審議の際も、中尾経企庁長官はそれを断じて実行すべきときだとお答えになられておりましたけれども、しかし実現ということを第一に考えれば、激変緩和ということも、専務理事の先ほどのお話ではございませんが、一気にドラスチックにということはかえって実現を遠のかせてしまうのかなということも考えた場合に、十年、そして更新を永久に認めるというシステムを変えて、例えば当面五年とかと営農の期間を区切る、そして更新はもうできませんよ。この五年のうちに、農地のままで資産保有した方がいいのか、あるいはまた一定の譲渡課税の特例を受けてそれを他の目的に手放した方がいいのかという市街化区域内の農家の方々の決断がぴしっとできる。五年か三年かという問題になりますが、期間を短くする、そして更新は認めない。  もし、たった一つ例外を設けるとすれば、市街化区域の中にもずっと線を引いたわけですから、ここは絶対に農地として残した方がいいということが認められる土地であれば、それは適用除外にしてもいいかと思いますけれども、原則的にはこの長期営農継続農地制度というのはやめるべきだ。そして、保有するコストが高くなり過ぎてしまって、そんなところでサツマイモやジャガイモや野菜、クリの木を植えておいても合わないというふうにしなければ、市街化区域内の農地、市街化区域と線を引いた意味がない。  そして、市街化が十年以内に進んで、やがて自分たちのところにも線引きの変更がされて市街化区域に編入されるだろうという大きな期待を持って頑張っておられる調整区域内の農家の方は、いつまでたっても調整区域のまま。そして、気が遠くなるような期間を過ぎておおむね現在の市街化区域内の農地が開発されたときには、市街化区域内の農地の長期譲渡所得の課税の特例によって、千平米以上の土地を売った場合には国税を二〇%納めれば済んでしまう。あとの八〇%、地方税も入りますから七割以上の譲渡益をもって、一反売って調整区域内の土地を三反、五反、十反買える、こういう仕組みはやはり直していかなければならないのではないか。そうしないとますます貧富の差といいますか不公平、格差が拡大していく。これはもう真剣に今考えなければならない、まさに実行のときだ、こう思います。  そこで、最後に野口先生に一言お伺いしたいのですが、この長期営農継続農地制度、固定資産税の次元でございますが、これは一定の期間を定めてやめるべきだ、私はこう考えておるわけでございますが、御意見をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 御意見に私は全面的に賛成でございます。この問題につきましては、恐らく議論の段階というよりは政治的にそれをいかに実行するかという段階ではないかと思いますので、皆様方のこの点についての御努力を今後期待したいというふうに考えます。  ただ、一つだけつけ加えさせていただきますと、現在農地を保有している農家が、農地を保有できなくなってそれを手放すということをした場合に、どういう形の資産でそれを運用するかという問題があります。この場合に、先ほど来申しておりますような地価インデックス債、つまり証券化した土地、基本的には土地と同じような資産価値を持つ金融資産、これが仮に供給されていれば、現在農地を持っている人は農地のかわりにそういうものを購入するということによって資産価値の保持を図ることができると思うわけです。そのような措置が講じられれば農地に対する固定資産税の強化ということも政治的に恐らくやりやすくなるのではないかというふうに考えますので、このような点もあわせて御検討いただければというふうに考えます。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 終わります。

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 次に、塚田延充君。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 本日は、参考人の皆様方におかれましては大変貴重な意見の御陳述をいただきまして、ありがとうございました。  その中でも、特に日経連と連合が全く一緒になって、同じ問題を同じ目的意識を持って検討に入っておる。シンポジウムも開かれた、そしてアンケートなどの調査もやった、それに基づいて共同アピールを出された、これは歴史的に見ても大変に評価されるべきことだと私は思います。  その共同アピールの第三項の提言でございますが、「国・地方自治体の土地・施設や資金、企業の遊休用地・施設、市街化区域内農地等の活用による、企業の枠を超えた低廉な共同社宅の大量建設を推進したい。」ということが極めて具体的に提言となっているわけでございます。ところが、その後に当然でございますが文句がつけ加えられてあって、「そのため、労使のみならず関係省庁、研究機関等多くの参加、協力を得つつ」ということでございます。ということは、労使がまず先駆者的に御研究をされて、そして関係省庁とかなんかは参加してほしい、協力してほしい、自分たちがやるんだよということがこの第三項に示されているんじゃないか、大変な意気込みだなあと、私は評価するものでございます。  そこで、柿沼参考人にまずお尋ねいたしますが、この第三項について日経連との間に具体的なプロジェクトを推進するためのワーキングチームなどをつくろうとしているのか、つくったのか、どういうことを検討しようとしているのか、まず自分たちがやるんだよということをどのように受けとめて実現しようとしているのか、その件についてお伺いいたします。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 御評価をちょうだいいたしまして恐縮をいたしておるところです。  先生御指摘のとおり、私どもはまず労使でやれるところはやってみよう、ひとつそれを先鞭をつけ、それによって政府あるいは他の機関も巻き込んで、みんながみこしを担いでいく、こういう方向を導いていきたいという決意のあらわれであります。  そこで、我々労使の間ではこの種問題につきましては御指摘のとおりワーキンググループを設置しようということにいたしてございまして、この十二月十六日にそれを発足させるというところまで既に至っております。我々だけではなくて、もっと実務者と申しますか、実際建築に携わる技術者等もできれば交え、かつまた、野口先生きょうお見えですが、いろいろ学者先生、専門家の皆様方にもお入りいただき、もうちょっと練っていってみよう、そしてその中で第二弾目の提言ができればまた世の中に問うていきたい、こういう段取りを今進めておるところでございます。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 この件につきまして小川参考人に追加してお尋ねいたします。  この問題をさらに促進させるためにクリアしなければいけないいろいろな問題が出てくると思うのですが、例えば、特別立法をつくる必要があるのか、もしくは政府部内ではどういうところがどういう形で協力をしなければいけないのか、そういういわゆる政府側に対する促進内容みたいなものについて、わかっている範囲内について御陳述いただきたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 十月十九日に実施をいたしまして、事務レベルで検討中でございまして、今、柿沼参考人からの御指摘のあったとおりでございます。したがいまして、具体的にどこの省庁に何をお願いする、あるいはどこの機関に何をお願いするという段階にはまだ至っておりませんが、これをクリアする最大の壁は、逆に企業の中にあるのではないかと私は思っているわけであります。  実は、日経連の会員側のアンケートを子細に点検してみますと、どちらかと申しますと社宅に恵まれている大企業は必ずしも積極的でないような気がいたします。逆に社宅等に必ずしも恵まれておらない中堅企業に賛成が非常に多いわけであります。これをまだ私突っ込んでヒアリングをいたしておりませんけれども、企業はどうしても自分たちの企業の中の従業員のためを中心に物を考えがちでございまして、それを乗り越えていくのが一番とりあえずの難物だと私は思っておりますので、私としてはそこを乗り越えるべく努力をしてまいりたいとまず思っております。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 三人の参考人の方の陳述の中で、政府が今後力を入れて取り組むべき施策、そして有効な効果が出るであろうと言われておるのは共通しておりまして、保有税の強化ということだと私は受けとめさせていただきました。  野口参考人にお伺いいたしますが、先ほど、ある平均的な例で、固定資産税は倍ぐらいに上げなさい、しかし住民税は半分にしなさい、その例によれば差し引き二十五万円ぐらい一世帯で有利になるはずだという具体的な提案もされました。しかしながら、固定資産税のアップにつきましてはいろいろ抵抗があることも確かでございます。そして住民税の減税も、魅力のあることでございますけれども、与えるべきあめとしてはまだパンチが少ないという気がいたします。そういうことも含めて、固定資産税をもっと上げるについて、国民が納得するようなあめが住民税の減税以外にも考えられるかどうか、その辺御意見を賜りたいと思います。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 先ほどもちょっと申し上げた点ではございますけれども、土地の証券化は必ずしもあめということにはならないかもしれませんが、固定資産税の引き上げを可能にする条件をつくり上げると思います。つまり、御指摘の点は、平均的なサラリーマンをとれば住民税の減税との抱き合わせで有利になるけれども、大規模な土地所有者が反対するではないかということではないかと推察いたしますが、その点は確かに御指摘のとおりだと思います。この場合に、大規模な土地所有者の政治的な反対をどのようにして緩和するかということが問題になりますが、その場合に、税金がかかってきたときに、必ずしも土地を持っていなくても、それと同じような資産の保有ができるような手段をあわせて提供することによって、固定資産税の強化が政治的により容易になるのではないかと考える次第でございます。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 この件につきまして、柿沼参考人に重ねてお尋ねいたします。  固定資産税を上げることにつきましては、相続税のアップ問題と同様に、サラリーマンの中にも大変反対が多い。今度の地価高騰を機に評価額が上がった、だから下げろという圧力が私どもにかかってくるわけでございます。となると、もっと保有税を上げろという理論的なことと柿沼さんが統括されておる勤労者の団体との間に、全然話が違うじゃないか、逆を向いているじゃないかということがあると思います。となると、やはり国家百年の計のために理論的な正しさを政策として実行するためには、固定資産税のアップについてやむを得ない、もしくは、かえってこれがためになるんだということの啓蒙を徹底してする必要があると思いますけれども、何か具体策といいましょうか、そういう方向について考えておられますか。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 私ども、組合員の方から、固定資産税について大変重くなっている、こういう声も寄せられることは確かであります。しかし、平均的なサラリーマンの人たちというのは、固定資産税が重くなったとはいえ、そう土地を持っているわけではありません。ですから、それは非常に感覚的な点があるということは事実であります。ただ、地方へ行けば行くほど、御案内のとおり、言ってみれば二種兼農家等の方もおりまして、そういう人たちの方がヤバイ、こういうような話も聞こえるわけであります。  私どもは、一般の居住用の用地、これは除きまして、原則として固定資産税は強化をすべきだ、そしてそれを都市の再開発なりあるいは地域の活性化のために手当てをしていく、こういうことの方に向けることの方が我々にとっては最終的に負担が軽くなるのだ、そういう目的で使うべきだということを徹底をいたしておる、こういうことでございます。  なお、ちょっと関連いたしますが、先ほど我々は土地保有税の創設のことを言いました。例えば東京の場合、二千平米以上の土地を持つ人は約四万二千五百人ぐらいおられる、こういうことのようでございます。これは都内の土地所有者の約三%に当たるそうですけれども、三%の人が持っている土地の割合というのは四割ぐらい。いわばごく限られた人たちが広い土地を持っていて、言ってみれば遊ばせているということにもなっているわけであります。そういうものをとりあえず有効に活用するという手だて、こういうことは国民的に非常に納得し得るのではないか。すべての人に全部かかる、農家の方もすべての人にかかるわけじゃなくて、ある一定のそういう優遇されている方にこそ初めに手当てをいただく、こういうことの方が現実的ではないかというように我々は考えているわけであります。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 保有に関する税金を上げることが有効な対策であるということは、理論的にはほぼ万人が認めることだと思います。  そこで、小川参考人にお願いといいましょうか、お話ししておきたいのですけれども、日経連におかれましては、特に鈴木会長がみずから先頭に立って、天下国家百年の計と称して、消費税について国民に理解を求めるような大キャンペーンを張っておられたようでございます。いかがでしょうか、土地問題についても、保有税がいかに大切かということについてそのくらいの意気込みで日経連が取り組んでキャンペーンを張る、このようなことについて御意見を伺いたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 保有税の強化につきましては、実は経済界の中でもかなり意見の分かれるところがございます。特に、多くの工場用地を持っておるところ等については、あるいは都内に事業所を持っておられるところについてはかなりの不安がございます。しかしながら、日経連といたしましては、勤労者の生活という観点からこれと盛んに調整をいたしております。私どもの出します文書にはすべて保有税強化という観点を強調いたしております。  まだ経済界がすべて統一して声を大にしてこれを推し進めるというところまでいっておりませんが、ただいまの御意見は鈴木会長によく伝えまして、推進をするように取り計らいたいと思います。ありがとうございました。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 柿沼参考人にお尋ねいたします。  通勤時間として、ドア・ツー・ドアでの限度はどのくらいとお考えになりますか。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 個体差等々もあるかと思います。科学的に立証し得ることかもしれません。ただ、我々が現場の声を聞きますと、せいぜい一時間半がいいところではないかなという答えが大体平均的ではなかろうか、こう思います。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 小川参考人にお尋ねいたします。  最近、フレックスタイムとか、テレビ電話的なもののいわゆる情報の発達によって、場合によっては自宅勤務というようなこととか、または本社機能を分散しても、地方に持っていっても大丈夫だとか、こういう社会情勢になり、また経営上のメリットからもそういうことを推進してもいいんじゃないかという動きもあるようでございますけれども、このようなことについて経営者としての御見解をお述べいただきたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 私は、ゆとりをつくるには、やはり経営者も働いている方々もかなり頭を柔軟にしていかなければならぬのじゃないかということを常々主張しているわけでございます。  本社の移転につきましては、既にある大手の金属会社が三つに分散をいたしまして、それぞれ分散をいたしましたところに近い職員を事務所に勤務させるように今試みている最中でございまして、日経連の政策委員の一員の方でございますが、大変注目をいたしております。  フレックスタイムについては、これは立派な人材獲得のためにも、あるいはゆとりを持った生活をしていただくためにも、この前ある電機会社が全面広告でその結果ないしはキャンペーンをいたしておりましたが、大いに私は進むのではなかろうかと思います。一方におきまして、消費者のニーズに備えて仕事の方に勤務時間を少し合わせていただくという面もございますと同時に、生活の面に逆に可能ならば勤務時間を合わせていくという努力も必要なのではなかろうかと思います。  在宅勤務は、もし可能ならば、特に御婦人の方々の貴重な能力を生かすという意味では大変結構ではなかろうかと思います。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 今お話しいただいたようなフレックスタイムであるとか自宅勤務、こういうものがもし一般化してくれば、その分都心部への一極集中というのを緩和するもとにもなり得るのじゃないかと私は考えます。そして、その上でゆとりある生活ということ、しかも勤労者の夢であるマイホームを持つために、都心部ではなかなか持てないけれども、郊外、遠くへ出ていけば夢をかなえることができる、年収のン倍というところでマイホームを持てるというようなことのチャンスが出てくると思います。  そんな中で、いわゆる新幹線通勤ということも解決策の一つではないかという案があちこちから出ており、これについて評価する者とまた否定的な意見と両方あることを私は存じております。これを例えば上越新幹線、熊谷あたりで見れば三十六分で上野まで来る。東北新幹線、小山だったら四十分、宇都宮とか高崎でも五十分前後で都心に入ってこられるということで、新幹線通勤についても施策として取り組んでもいい課題かなというような気がいたします。  そこで、この問題につきまして小川参考人にお伺いしますが、そうなりますとやはりいわゆる通勤費用が大変かさむわけでございます。しかしながら、一方、今各企業ともいろいろな形で住宅手当とかなんか出していますけれども、それの見合いとかなんかで、例えばこういう熊谷とか小山からの通勤に対しても勤労者が納得できるような通勤手当を支給することが可能かどうか、そういう方向にあるかどうか、また御検討いただけるかどうか、お答えいただきたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 冒頭の住宅問題に対する企業の施策の一つとして、そういう方向があるということは御紹介申し上げました。ただ、通勤問題はただ時間距離が短くなればよろしいというだけでもない点がございまして、最近大変頭が痛い問題といたしましては、エマージェンシーのときに集まる勤務員ですね、これがだんだん遠くにマイホームを持つようになりますと困るという実態も一部の企業には出てきておるはずでございます。また、お役所等におかれても、緊急事態に全員が、すべて新幹線を含めて正常に機能している場合はよろしいといたしましても、何かあったときにそばにいてもらわなければ困るという方も随分おられると思うのです。  したがいまして、新幹線通勤も一つの方法でございましょうし、あるいは近辺の社宅あるいは公共の住宅をつくって必要な方にはそこから通勤していただくということも必要だろうと思いますので、さまざまなメニューによって解決をしていくということではなかろうかと思います。もちろん新幹線通勤も一つの大変有益な手段だろうと思っております。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 その新幹線でございますけれども、さらに熊谷とか小山よりも近いところに新駅をつくったらどうかというアイデアもありますし、そういうところに広大な未開拓のいわゆる住宅転用用地がたくさんあるということが言われております。  ところが、新駅をつくるということになりますと、やはりJRの方では基本的には需要がどうかということになりますけれども、実のところ、採算の問題というのは、新駅の建設費用を地方自治体が持てのどうのこうのということで財政問題になってしまう。となれば、この辺について、余力のある日経連など財界としても、そういうことについて、援助という言葉がいいのかどうか別ですけれども、第三セクターみたいな形で積極的に加わっていくような形での援助、これがすなわち経営者が大事にしておる勤労者のためになるんだというようなセンスでお取り組みの可能性があるかどうか、お尋ねいたします。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 私の立場から、大変有益な御示唆だと思いますので研究させていただくという以外にはちょっとお答えする段階ではございませんので、お許しいただきたいと存じます。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 最後に野口参考人にお伺いいたします。  いわゆる地価インデックス債について御説明をいただいたのですけれども、私、不勉強にして、たまに聞いたことがあるような気がするけれども、きょう初めて勉強させてもらったような次第でございます。このアイデアについて、学界とかなんかはどういうような見方をしておるのか。主流派になっておるのか。それから、これについてやはり反対論とかマイナス面とかあると思うのです。すべて主張するときには、そのマイナス面も知った上で推進といいましょうか主張しなければいけないと思いますので、大変失礼ですけれども、この債券の問題点について御示唆いただきたいと思います。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 私がこの考え方を発表しましたのはもう七、八年前のことになりますけれども、そのとき以来いろいろの議論はございます。国会の委員会でも一時御議論いただいたことがございます。  問題点は幾つかございますが、主として重要な問題点は、私は技術的な問題点だと思います。特に、地価にスライドすると言っても一体どの地価にスライドするのか、土地というのは千差万別でありますし、その地価の決め方も御承知のようにいろいろな決め方があるわけですから、地価にスライドするという、抽象的な言葉ではいいわけですが、その地価というものをどういうふうにはかるのか、それいかんによっては恣意的にならないかといったような批判が一番難しい問題ではないかと考えております。  このほかにいろいろ技術的には、例えば課税をどうするかという問題ですね。譲渡所得税をどうするかとかあるいは有価証券取引税をどうするかといったような課税上の問題もございます。  それからもう一つの問題点は、キャピタルゲインを保証するわけですが、その場合の財源をどうするかということでありまして、これは先ほど旧国鉄の土地にリンクして出したらどうかということを申しました。この場合にはこの問題はございません。つまり、旧国鉄保有地をいわば担保にして債券を発行して、何十年後かにその土地を実際に処分するときに債券を償還すればいいわけですから、自動的に地価にスライドした償還財源は確保されていることになります。  しかし、このような政府保有の土地がない場合に地価インデックス債を出す場合には、キャピタルゲインについて政府が財源を使わなくてはいけないわけです。その財源を使うことが果たして妥当なのかどうかというような議論もございました。私はこれに対しては正当化できるというふうに考えておりまして、これについてはディフェンドできると考えておるわけでございますけれども、ちょっと時間の関係で詳しい議論は省略させていただきますが、大体以上のような議論があったのではないかと思います。

塚田延充民社党・民主連合

○塚田委員 ありがとうございました。終わります。

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 次に、岩佐恵美君。

岩佐恵美日本共産党・革新共同

○岩佐委員 参考人の皆様におかれましては、きょうは本当にお忙しいところ御苦労さまでございます。私が最後でございますので、もうしばらく御協力をいただきたいと思います。  今日の土地問題は、東京、首都圏を中心といたします都市地域での問題にほかならないというふうに思います。地価の狂乱は、国民の暮らしと権利といいますか、それを根底から脅かして、庶民にとっては本当に大変な事態となっていることは、先ほど皆様方からもいろいろお話がございましたし、共通の認識であると思います。  地価狂乱を引き起こした原因でございますけれども、何といっても、中曽根さんの当時にあの国鉄用地の民間への払い下げなどに見られます民間活力の導入あるいは東京への一極集中、そういう政策、そして先ほどから出されております大きな企業によります土地投機、こういうものが原因だというふうに考えておりますけれども、お三人の参考人の皆さんの御意見を簡潔に承りたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 お答えをいたします。  民活でございますが、やはり良識を持って適切にコントロールされた民活というのは、私は企業の活力あるいは国全体の経済の活力に大変有益であろうという前提で考えております。確かに土地の騰貴は民間が引き起こした部分もございますけれども、またプラスの面もあろうかと思いますので、ひとつ民活につきましては悪い点はおたしなめいただいて、よい面は生かしていただくように、これからもお願いしてまいりたいと思っておる次第でございます。  東京一極集中につきましては、これはもう皆さんが御指摘のとおりでございまして、先ほど実例を紹介いたしましたが、企業におきましても少し本社を分散していこうではないかという機運も出ておるところでございます。これも今後十分検討してまいりたいと思います。  最後の土地投機でございますが、これは私どもの世論調査にも出ておるとおりでございまして、さまざまな環境条件に誘発された面もございますけれども、その点については企業のあるべき姿ではないというふうに私ども自戒もいたしておりますし、たしなめておるところでございますが、大企業だけではございませんで、土地投機につきましては、私どもとしてなかなか言葉をかけにくいたくさんの零細企業、中小企業の不動産関係の方も入っておりますので、ちょっと難しいとは思いますけれども、諸条件を備えていただく中で、企業のあり方については十分自戒をしてまいりたいと思っております。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 先ほども述べましたとおり、土地高騰は、明らかに政府の土地無策、これをいいことにした不動産業者の土地転がしあるいは企業の土地あさり、それに手をかした金融機関の融資、こういうところに原因、責任があったというふうに考えております。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 地価高騰の要因が何であったかという御質問でございますけれども、私は三つの要因を指摘、区別することができると思います。  第一番目は、経済の実体面の変化でありまして、日本の経済構造が変わっていく、情報化という言葉に代表されるような変化があったわけであります。このような変化を背景にして、東京への人口、産業の集中がまた再び始まったわけでありまして、そのように経済構造が変わって土地スペースに対する実際上の需要が強まったということが、まず第一に挙げられます。  これが地価高騰の引き金になったわけでありますけれども、これだけでは現実に起こった現象を説明することはできないわけでありまして、さらに二つの要因があります。  二番目の要因は金融緩和でありまして、これは特にここ数年の日本の金融政策の運営が急激な円高の抑制ということに非常に強いウエートを置いて、金融緩和措置がとられたわけであります。その結果、例えば利子率で見ますと、昭和五十五年当時に比べて非常に低くなっております。半分以下に利子率が下がってきています。利子率が下がったということは資産としての土地の価値を上げるわけでありまして、仮に投機というような要因がなかったとしても、これだけで地価が二倍になるような要因であったわけであります。このように金融政策が緩和されたということが二番目の要因であります。  三番目の要因は投機でありまして、単に利子率が下がったというだけではなくて、将来の地価が上がるということを見越して土地を買う、投機が投機を呼ぶといういわゆる土地転がし現象が一部の不動産業者の間に生じたということであろうと思います。  この三つの要因が絡み合って発生したのが、最近の地価高騰であるというふうに理解しております。

岩佐恵美日本共産党・革新共同

○岩佐委員 お三人の参考人の皆さんと私との意見の一致は、投機があったということ、これはもう社会的にもそういうことで意見は一致をしているわけです。  この投機の問題について、皆さんからも御指摘がありますけれども、銀行資本など金融資本の過剰融資ということが指摘をされています。私もこの委員会で何回かこの問題を取り上げてきているわけでありますけれども、まず都市銀行の過剰融資ということを去年のこの委員会で取り上げました。ことしはまた、都市銀行がおさまると今度は地方銀行へ移ってきているという現象が起こっているわけですね。  そういう金融資本の過剰融資がなければ、幾ら物件があってもそれを買うことができないわけですね。先ほど言われたように、大手企業だけじゃなくて中小企業などもこういう土地あさりでは動いているわけですから、そういう点で、こういう金融機関に対する国としての指導をちゃんとした方がいいんじゃないかということで、例えば不動産融資の額を有価証券報告書からはじき出せば、各銀行別のものが出るわけです。だから、それを公表したらどうですかということで、私は再三この場で提案をしてきたわけです。  ちょっと具体的になりますけれども、このような考えについてお三人の先生方がどうお考えになられるか、お考えを伺いたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 今般の異常な土地投機に果たしました金融機関の役割と申しますか、影響ということについては、しばしば御指摘を受けまして、また政府等の御指導もいただいておるところでございまして、恐らく昨今におきましては十分内容を吟味して融資しているのではなかろうかと存じます。  私は、やはり金融機関でも、お預かりしたお金を有利に回すということは金融機関としての一つの責務ではございますが、やはりその結果を十分頭に入れて考えるべきであろうと思います。個々についてはよく論評することはできませんが、一般論としては、私は営業上の融資といえども一つの限界があろうかと思っておる次第でございます。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 金融機関の土地関連融資に関しましては、指導をいたす大蔵省としては厳格な審査を行うべきだと思います。特に融資額の実態把握であるとか、その融資報告の提出というのをもっと短くするとか、的確なそういう措置というものを図ることが必要かなというふうに思っております。また、その土地の関連融資等、例えば不動産担保以上に過大に貸し付けをする、明らかにそういうような行き過ぎの融資というものがあったとするならば、そういうものに対する指導、あるいは悪質な融資等については公表するというようなことがあってもいいのではないかというふうな考えを持っております。また、企業がみずからの事業展開以外に土地を取得する、明らかに投機的な考えに基づく土地手当て、こういうことについても金融機関は法外な融資を行わないような行政指導も必要であるかな、このように考えております。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 二つの点を申し上げたいと思いますが、第一番目は、金融機関から不動産に対して融資が流れた背景には、先ほど申しましたようにマクロ経済的な要因があったということでございます。つまり、為替レートの安定を目的にして金融が非常に緩和されたということがあったわけです。しかも、金融が緩和された他方において、国内に高い収益率をもたらすような投資対象がなかったということですね。したがって、金融機関からの融資が不動産に流れたという背景があったと思います。  もし、今振り返ってみてこういったような状況をストップさせる必要があったとすれば、それは、そのマクロ経済的なことを変えるということが一番大切なことであったと思います。具体的には、国内に不動産以外に収益率のある具体的な投資対象を掘り起こすということが必要であったわけです。このために国がいろいろな施策を講ずべきだということがあったと思いますが、そのことが第一点であります。  第二点は、不動産に対する融資を個々の金融機関においてチェックするということは、確かに原理的に考えますと私も必要だと思いますけれども、これは現実には非常に難しいのではないかと思います。と申しますのは、不動産の取得というのは必ずしも不動産会社が行っているものだけではありませんで、いわゆるダミー会社がそれを行っている場合がある。こういうものまで含めて現実に不動産の取得に向かった融資をチェックするというのはかなり難しい側面があると思うわけであります。  このような状況において投機を防止する手段というのは、金融機関からの融資の選別ということだけではなくて、別の政策も恐らく必要であったと思われます。先ほど私は、現時点においては地価監視制度はやめるべきであると申しましたけれども、もし地価監視制度を発動するのであれば、この地価の高騰が始まった初期の段階でこれを行うということがあれば、投機を未然に防ぐという意味では非常に効果があったかもしれません。それから、超短期保有の譲渡所得税を引き上げたわけですけれども、これも遅きに失したわけでありまして、このような措置も投機が始まる初期の段階でとられていればかなりの効果があったと思われます。  このような本来投機を防止するための措置を発動するのが手おくれになったということが、投機をもたらした基本的な要因ではなかったかというふうに考えます。

岩佐恵美日本共産党・革新共同

○岩佐委員 この銀行の融資問題については、政府がもうちょっと的確に時期早くきちっと対応していればここまでこなかったのではないか、そういう気持ちも含めて再三取り上げてきているわけでございますけれども、次の質問に移らせていただきたいと思います。  今、良質で安い公共賃貸住宅あるいは公園など住宅を中心とした居住環境の改善、こういうことを図っていかなければならない、そのための政策を考えていかなければいけないということで、地方自治体に先取り権を保証する必要があるのではないかという議論があるわけでございますけれども、この点についてやはりお三人の方から一言ずつお考えを伺いたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 十分に検討しておりませんので的確なお答えはできないわけでございますが、私は、地域なり、これは東京も含めましてですが、大きなプロジェクトをつくりますときに、幾つかの参考になる外国等の事例があろうかと思います。それは、私ども日経連としては、実はこの問題を検討する一環といたしましてイギリスのロンドン郊外のドックランドというところを見学したわけでございますが、公共の立場での大枠の土地の確保、それを開発していくための民活の利用、それが非常にバランスがとれているという実情がございまして、そういう意味で、公共の大きなプロジェクトに対する計画を押さえて、その土地の値上がりを防ぐとか不当な投機を防ぐという機能は、政府なり自治体が持つべきであろうと私は思います。  その具体的方策として先取り権がよろしいのかあるいはプランニングをオーソライズするという方法がよろしいのか、それは私判断できませんが、そういう大きな計画を国なり自治体がお持ちになって、きちっと総枠を押さえて、その中で具体的な開発は、暴走しないという前提で民活がそれぞれ利用されて知恵を発揮して、お役所仕事にはない生き生きとしたプランニングと実践を進めていく、その辺が大きな土地開発については今後考えられるべきではなかろうか、私はそんなふうに思っております。  知識が不足でございまして的確なお答えはできませんが、感想を述べさせていただきましてお答えにかえます。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 自治体等による土地の先買い権といいますか、この制度については一つ考えられる手だてだろうというふうに思っております。私有地であっても自由に売却をできないようにある種の制限をする、そういう点から地域の自治体が先買い権を持って土地の手当てをする、それは公共事業等国民の福祉にかなう目的のためということは当然でありますが、その場合には考えてもよろしかろうと思います。  ただし、御案内のとおり、諸外国と比べて日本の場合には地権者が多数おるという中にあって、果たしてこれだけでうまく回るかといったら、そうはいかないだろう、単に先買い権だけ行使すれば地価が下がるあるいは手当てができるということにはならないだろう、そういう面では複数の施策を行使するということも当然その中には加えられるべきではなかろうか、そんなふうに考えております。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 私も原理的には先買い権あるいは先取り権という考え方は賛成でございますけれども、果たしてそれが現実の政治的な状況の中でうまく機能するのかどうかということについて疑問を持っております。例えば、成田空港の事例を見ても、少数の地主の反対のために公共的な事業が進まないということを考えますと、そのほかの事業の場合にも類似の問題が生じてしまう可能性があるのではないかと思います。  それからもう一つは、やはり地主から土地を買い上げる場合には市場価格によって行うべきだというふうに考えるわけでして、その場合には、恐らく財源をどういうふうに手当てするかということがそういう制度がうまく機能するかどうかということの重要なキーポイントではないかというふうに思います。

岩佐恵美日本共産党・革新共同

○岩佐委員 私の持ち時間、もう終わりなんですけれども、最後に、開発利益の問題なんですが、東京の場合に、事業所が来ますとそれに伴って労働者、従業員の方が来られる、それによって非常に社会資本が増大をしていく。ですから、東京に来られるという企業は開発のためのある一定の負担が必要である、社会的な還元ですか、そういう議論があって、これが土地基本法にどう盛り込まれるかというのは一つの焦点でしたけれども、ここのところの開発利益が懇談会の意見書ではぼやかされたということで、大分新聞紙上では問題になっています。  この問題について、時間もたってしまいましたけれども、もしお三人の御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。

小川泰一日本経営者団体連盟専務理事

○小川参考人 土地基本法につきまして経済界からいろいろ意見を申し上げて、確かにその点につきましていろいろ疑問を呈しております。それは、土地開発するにつきましては減歩であるとか公共用地の提出であるとか、かなり開発に伴う負担をいたしておるわけであります。もし開発利益の還元ということで開発者そのものに現在以上に過大の負担がかかるとすれば、これは大変開発促進がおくれるのではないかという、そういう懸念でございます。  ただし、開発利益には、第三者の開発によって利益を受ける、例えばインターチェンジができることによってその周辺の土地が上がるというようなことがございます。そういった利益については何らかの還元をすることを義務づけることによって例えばその周辺の土地騰貴を防止するような方策が必要ではないかということについては、日経連としては主張いたしておりますので、正確な意味で開発利益の還元というのは一体何であるかということをよく詰めた上で、開発意欲が阻害されないように、かつ、どこかの地点が開発されたことによって周りが何らの努力なしに不当な利益を受けて土地騰貴が進むということのないように、バランスのとれた政策をお進め願いたいという、こういう趣旨であろうかと存じます。

柿沼靖紀全日本民間労働組合連合会政策局長

○柿沼参考人 原則的な点からいえば、政治を含めて思い切ってやはり中央に集中している諸機能というものを分散をさせるということが大きな課題だと思います。また、それに伴って企業も地方に出ていっていただくということで、均衡ある地域経済ができるようなそういう方向をこれから目指すべきだ、そういうことが必要だ。  そういう中の一環として、例えば今現在、都市基盤整備あるいは公共施設等で言ってみればそういうものの恩恵に浴しているわけですから、受益者負担という観点に立つならば、当然それにかかわる制度を設けまして、それを公益的な財源配分という形でもってその近辺を含めた地域の再開発あるいは住環境の改善というものに充てていくということが考えられると思います。そういう観点からの取り組みとして考えられるだろうというふうに思います。

野口悠紀雄一橋大学経済学部教授

○野口参考人 開発利益を公的主体に吸収する必要があるという御意見には私も賛成でございます。  それを実現する手法は、原理的に考えれば大変単純、簡単でありまして、それは土地の保有税を強化すればよいわけであります。開発によって土地の利用価値が上昇すれば自動的に公共主体に吸い上げられる税金がふえるということになります。これは、例えばイギリスのようにオフィスの賃貸料とほぼ同じくらいの保有税がかけられている場合を想像していただきますと容易にこのことがおわかりになると思います。しばしば土地の公共性ということが主張されるわけですが、経済的な観点から見て、土地の公共性ということは公共主体がこの開発された利益の分け前にあずかるということでありまして、イギリスの場合には半分は土地が公有化しているというふうに考えてもいいわけであります。日本は、保有税が非常に低いということはそういう意味での土地の公共性が実現していないというふうにも理解できるわけであります。

岩佐恵美日本共産党・革新共同

○岩佐委員 どうも長時間ありがとうございました。終わります。

嶋崎譲日本社会党・護憲共同

○嶋崎委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中長時間にわたり御出席をいただき、また貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。今後貴重な御意見を生かすため、当委員会挙げて努力する決意でございます。ここに委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、来る十三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会

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