内閣委員会在外公館に関する小委員会 第1号
- 発言数
- 10 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1988/11/22
会議録
○戸塚小委員長 これより会議を開きます。 在外公館にかかわる諸問題に関する件につきまして調査を進めます。 この際、外務省から発言を求められておりますので、これを許します。藤井官房長。
○藤井(宏)政府委員 本年五月二十三日の小委員会の会合に引き続きまして、戸塚小委員長のもと、本日の会合を開催していただきましたことに深く感謝申し上げます。 初めに、最近新聞等で話題になりました当省職員の関与したいわゆる財テク問題につきまして、簡単に御説明いたしたいと思います。 和田元理事官のいわゆる私的ファンドに関与した外務省員は、外務省員百名以上につきまして当方による調査をしました結果、現地職員二名を含めまして計十三名であることが判明いたしました。 和田元理事官の行為それ自体は、他人から資金の預託を受けましてこれを運営していたということで、国家公務員法あるいはウィーン条約に照らしまして問題のあるところであるというふうに思います。しかしながら、関係した職員の行為、すなわち利殖のために資金の運営を和田元理事官に預託いたしました行為それ自体は、法的な問題はもちろん、外交特権の乱用という問題でもないという点はまず御理解賜りたいと思います。 しかしながら、伊達及び太田両大使の行為につきましては、大使のように指導的な立場にある者が再三にわたって和田元理事官に資金を預託いたしまして、結果として和田元理事官の行動を助長するということになったわけでございますので、省員なかんずく大使としては慎重さを欠くものであり、職員としての信用を損なうものと判断いたしまして、十月十二日付で内規に基づく譴責処分となったわけでございます。また、本件ファンドに関与しました事務官一名につきましてもやはり軽率であったという点は否定できませんので、同事務官についても同日付で譴責処分としたわけでございます。さらに、館長としての監督責任という見地から、和田元理事官の在ジュネーブ代表部在勤当時の館長でございました千葉現駐英大使につきましても、十一月十日付で譴責処分となったわけでございます。 外務省としては、今回の事件は遺憾なことと考えております。特に、在外公館におきまして精励している当省職員のイメージが今回の事件で損なわれたことを非常に残念に思っております。このようなことが再び起こらないよう、外務大臣の全在外公館長に対する訓令などによりまして、今回の出来事を契機として外務省員としてさらに一層襟を正すべく、職員としての信用を害したりその品位を失うことがないよう改めて全省員に対し指導の徹底を図った次第でございます。また、在外公館を対象に定期的に行っております査察制度の強化拡充の具体案につきまして現在検討中でござ います。 当省に対し常日ごろから深い御理解、御支援をいただいております本小委員会の委員各位に対しまして、今回の事件でお騒がせしたことを大変申しわけなく思っております。この場をおかりしておわび申し上げ、また、今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。 さて、前回の会合におきまして、昭和六十一年十二月、北口小委員長から賜りました小委員長所見に基づきまして、我が国の外交実施体制強化の観点から、一つは在外公館施設の整備拡充、さらに不健康地対策の強化、また在外職員の定員の増員、さらに海外子女教育問題、また在外公館の警備対策、さらに緊急時の邦人保護、さらに在外公館の事務処理体制と通信体制の強化、こういう点につきまして、小委員会各委員より貴重な御意見を賜りました。 そこで、本日はまず、このような諸点に即しまして、その後の実施状況、昭和六十四年度予算要求の状況、いまだ懸案として残されている点などにつきまして、取りまとめ御報告させていただきたいと存じます。なお、海外子女教育問題及び緊急時の邦人保護、旅券の問題につきましては、別途、領事移住部長より御報告いたしたいと存じます。 まず、外務省の定員についてでございます。 国家公務員総数が純減となる厳しい状況のもとにおきまして、先生方の御理解と御支援もあり徐々に拡充され、六十三年度には、お手元にお配りいたしました資料1の表に示されるように、定員は四千百四十八人、本省千六百九十三人、在外二千四百五十五人となっております。 しかしながら、我が国の国際的地位の高まりと国際的責務の増大及び国際化の進展に応じまして、我が国と諸外国との関係はあらゆる分野で急速に緊密化しております。特にここ二、三年の円高とそれを背景とする我が国の急激な変化、例えば昭和六十年から六十二年の二年間に、海外直接投資額は二・七倍に伸びましたし、海外渡航者数は一・四倍に増大しておりますが、そのような急激な変化に伴いまして、外務省の事務負担もあらゆる分野において急増しております。かかる変化は、事情変更と言い得るほど急激かつ著しいものでございます。 この関連で特に指摘すべきことは、これまで縁の薄かった諸国も含めまして、世界の個々の国々に対しまして我が国が及ぼす影響力が決定的に増大いたしまして、我が国の政策、行動が個々の国々にとって死活的な重要性を有するに至ったことでございます。この結果として、外務省に対する行政需要があらゆる分野で急増しているのみならず、個々の国に対して従来以上に積極的かつきめの細かい外交を展開していくことが緊要となっております。このためには、各国の実情に通じた要員の存在が不可欠でございます。 外務省の定員は徐々に拡充されてはいるものの、なお十分な体制とは言いがたく、特にただいま述べましたような事情変更のもとでは、定員拡充は従来にも増して喫緊の課題となっております。外務省は従来から五千人体制の実現を各方面に訴えてきましたが、五千人ならばそれで足りるのかという感を深めているのが実情でございます。とりあえずは、できるだけ速やかに定員五千人を達成することが焦眉の急であると考えております。 第二は、在外公館施設の整備拡充でございます。 我が国の外交実施体制を強化するためには、外交の第一線の拠点である大使館事務所、大使公邸、館員宿舎等、在外公館の施設を整備拡充することが急務でございます。 これまでも、お手元の資料3にございますように、毎年事務所、公邸の新営工事、購入等を着実に進めておるところであり、六十三年度末の国有化率は、事務所で二八・五%、公邸で六一・〇%となっております。特に今年度については、在外公館施設の整備には優先的配慮を行い、非常に厳しい財政状況のもとではありますが、諸先生方の御支援を得、在外公館施設費として、対前年度比実質二七・六%増の三十五億一千万円が認められたところでございます。 六十四年度予算では、新首工事の新規あるいは継続分予算として、在西独大使館、ジュネーブ代表部事務所及び在シンガポール大使公邸の建設費用、在ノルウェー、ザンビア、中国大使公邸設計費用などを要求しております。しかしながら、先生方御承知のとおり、我が国の在外公館施設の中にはいまだ整備を要するものが多いことも事実でございまして、引き続き努力を重ね、中長期の観点から、できる限り計画的に在外公館の国有化に意を用いてまいりたいと考えております。 また、施設修繕及びインフラストラクチャーの整備に関しましても、六十三年度予算においては、アフリカを初めとする不健康地公館の整備経費の増額を見るなど改善を見てはおりますが、在外公館の果たすべき役割から見れば、施設の整備はいまだ不十分でございます。今後とも既存施設の修繕と維持管理のためのインフラストラクチャーの整備を行っていく所存でございます。 第三は、不健康地対策の強化でございます。 我が国の百七十一に及ぶ在外公館のうち、ほぼ三分の二がいわゆる不健康地にございます。そこに在勤する在外職員は、全在外職員二千五百人のうち約半数に当たります。不健康地対策関係予算の推移は資料4のとおりでございます。六十二年度及び六十三年度予算は前年度比減となっていますが、これは円高に伴う減でございまして、実質的にはかなりの伸びとなっております。また、不健康地対策の内容は資料5のとおりでございます。健康管理対策、宿舎対策、物資対策などから成っております。 不健康地に在勤する在外職員にとって、何よりもまず健康管理は非常に大きな問題となっておりますが、こうした意味において、医務官制度は不健康地対策の柱でございます。アフリカなどにおいては医務官は神様だと言われているほどでございます。医務官の定員は、昭和三十八年の制度発足以来漸次ふえておりまして、本年度までに三十三名となっておりますけれども、いまだ十分ではございませんで、特勤度の高い公館すべてに医務官を置くことを目標といたしまして、今後とも増員に努力をしていきたいと考えております。なお、医務官の配置については資料6をごらんいただきたいと存じます。 また、不健康地のうち、特に勤務環境の厳しい地にありまして医務官の置かれていない公館につきましては、医務官の配置されるまでのつなぎとして、現地の医師を館の顧問医として特別委嘱することを六十四年度予算において要求しております。このほか、六十四年度にはさらに、医務官用の医薬品の購送や急病人発生の場合の緊急移送のための経費についても予算要求をしております。 また、最近のイラン・イラク紛争、アフガニスタンでの戦闘、ビルマ政変に見られるように、世界各地では戦争等さまざまな異常事態が発生しておりまして、当省職員の在外勤務、海外出張時の危険はますます増大しておりますけれども、この面においても在外職員の勤務環境の整備を図る必要があると考えております。 このような勤務環境の非常に厳しい地にある在外職員が少しでも安んじて外交活動に専念できるよう、各種対策を一層充実させることが必要でございまして、本小委員会の力強い御支援によりまして不健康地対策も少しずつ前進させてまいりましたが、今後とも引き続き御支援方、切にお願い申し上げます。 第四は、在外公館の警備対策でございます。 本年四月に発生しましたナポリでの米軍クラブ爆弾テロ事件に重信房子などの日本赤軍が関与したと見られるのを初め、日本赤軍メンバーと見られる菊村憂が爆弾を所持して米国で逮捕されるなど、最近日本赤軍の活動が活発化しており、また、日本赤軍は、丸岡修の逮捕に対する報復を示唆した声明を出しており、今後の在外公館などに対するテロ活動が懸念されるところでございます。他方、近年における世界的な治安の悪化及び我が国の世界的プレゼンスの増大とともに、お手元の資 料7にありますように、我が国在外公館を目標としたロケット弾攻撃、爆弾設置、潜入占拠及び脅迫などの行為は年々増加しておりまして、昨年は百六十一件、本年は九月末現在で既に百三十八件の事件が発生しております。 ソウル・オリンピックでは、各方面で万全な体制を組んだため大きな事件が発生しなかったことからも明らかなとおり、警備対策に万全を期せばテロなどの試みを未然に防止することは可能と考えられることから、今後とも我が国在外公館の警備を強化していく所存でございます。 昭和六十四年度予算では、このような我が国の在外公館を取り巻く治安情勢を念頭に置きつつ、引き続き、各公館の警備施設の一層のレベルアップを図ると同時に、近年多発傾向にある各種爆弾テロ、誘拐、襲撃など、主として公館外で発生するテロに備えるための対策などを主体に、警備強化策を講じていく所存でございます。 いずれにしましても、在外公館の安全は我が国の外交を推進していく上での大前提となるべきものでございますが、我が国公館の警備施設などの整備は、欧米先進国に比べましても大幅におくれているのが現状でございまして、今後とも警備強化対策を引き続き強力に推進していくことが急務であると考えております。 最後に、在外公館の事務処理体制と通信体制の強化でございます。 本省と在外公館を結ぶ通信網の強化、近代化につきましては、資料8にあるとおり、高度データ通信システムの導入を順次図っております。現在は十四公館において運用を行っておりますが、六十三年度末までにはさらに十公館に導入すべく準備を進めております。今後とも、通信量の多い公館を中心に拡充を図り、将来は五十公館程度までに拡大することを目標としております。また、このほか、電信機器の近代化、電信専用回線の設置等に努めておりますが、これと並行して、将来の通信体制のあり得べき姿として、本省と在外公館間の直接衛星通信システム構築のための調査を行っております。 在外公館事務処理体制の強化につきましては、資料9にあるとおり、在外公館において、ワープロ、パソコン、商用ファックスなどのいわゆるOA機器を導入し、事務の効率化に努めております。現在、在米大など六公館にコンピューター端末を設置する作業を鋭意進めておりまして、これによりまして本省の各種データベースの利用あるいは事務処理のコンピューター化が可能になるなど、在外公館事務処理体制が強化されます。引き続き六十四年度には、北米地域など三十公館にコンピューター端末を設置すべく、予算要求中でございます。 今後は、このコンピューターネットワークの拡大を図り、あわせて、設置されたコンピューター端末の活用によりまして、経理事務、領事事務等の一層の効率化に努力していく所存でございます。 在外公館における秘密保全強化策につきましては、文書の安全確保、通信の安全確保、OA機器の安全確保、現地職員の行動規制等につきまして必要な対策を実施しております。 具体的には、資料10にありますとおり、文書管理機器の配備、電話の安全対策、潜入防止装置の設置、特殊錠の設置、現地職員立ち入り規制区域の設置、さらには、最近の諜報技術の著しい進歩に備えまして、有効と考えられる防諜機器、設備などを逐次導入してきておりまして、今後とも秘密保全の強化に努力していく所存でございます。 以上、外務省といたしましては、これら諸施策の実現に最大限の努力をしてまいる所存でございますが、本小委員会並びに諸先生方には、今後とも引き続き絶大なる御支援を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○戸塚小委員長 次に、黒河内領事移住部長。
○黒河内説明員 では引き続き、邦人保護等の問題を中心にいたしまして説明させていただきます。 我が国が国際社会に貢献していく上で、海外に進出する邦人の活動環境を整備することは、今後ますます重要となっていくものと思われます。最近特に、イラン、イラク両国の首都相互ミサイル攻撃、ビルマの政変その他航空機、列車事故等緊急事態、事件が発生いたしましたが、これらいつ発生するかもしれない事態に備え、邦人保護に万全を期すため、在留邦人に対する情報提供及び在外公館の通信体制の整備が求められております。 〔小委員長退席、谷津小委員長代理着席〕 また、外国人不法就労の急増に対応し、査証審査の厳格化が求められているため、申請者数の飛躍的な増加とも相まって、特にアジア諸国公館では事務量が急増しており、早急な人的強化が焦眉の急となっております。さらに、海外渡航者の急増に伴い、旅券発給件数も、六十二年には約三百三十万件となり、六十三年には四百万件を超えるものと予想されております。 このように領事、査証事務がますます増大しており、直接国民に接し、行政サービスを行う在外公館及び本省の領事事務体制を一層充実強化することが引き続き緊急の課題となっております。今後とも御理解、御協力をお願い申し上げます。 それでは、六十一年十二月の小委員会所見で御指摘のございました海外子女教育、緊急時の邦人保護につきまして、簡単な資料をお手元に配付させていただいておりますが、口頭で改めて御説明申し上げます。 〔谷津小委員長代理退席、小委員長着席〕 まず第一に、子女教育でございます。お手元の資料の11でございます。 小委員会所見で御指摘のとおり、子女教育問題は在留邦人にとりまして最大の関心事の一つでございますが、海外に長期間にわたり在留する邦人の増大に伴い、義務教育相当年齢の子女数も、昭和五十一年の約一万八千人から昭和六十三年には約四万四千人に増加いたしております。近時、国民の海外進出とともに進出の形態も多様化しつつありますので、海外子女教育もかかる変化に対応するため、より幅広い教育施策が要求されるようになっております。 資料11にございますとおり、現在外務省では、文部省と協力しつつ、全世界に八十三校ある日本人学校、百二十七校ある補習授業校を中心に、海外子女教育に関する援助を行ってきております。六十二年度予算では上海、パキスタンのイスラマバード、六十三年度予算ではチューリヒの日本人学校の新設が認められましたが、このほか、毎年、校舎借料補助、日本人学校及び補習授業校における現地採用教員及び講師に対する謝金補助等の増額を要求し、海外子女教育施策の拡充に努めております。 六十四年度概算要求におきましては、アガナ及びイスタンブールにそれぞれ日本人学校を新設することを初め、例年どおり、既存学校の校舎新築、日本人学校及び補習授業校における現地採用の教員または講師に対する謝金補助増額等を要求いたしておりますが、特にことしは、海外移住審議会の答申を受けまして、補習授業校の重点整備を行うとの観点から、小規模補習授業校の校舎借料補助、補習授業校現地採用講師研修会の開催経費を新規に要求いたしております。 海外子女教育関連予算は、現下の厳しい財政事情を反映いたしまして、現地負担の原則が年々厳しく適用される傾向にございますが、このところ海外在留子女数は年平均約二、三千人のペースで増加しており、今後とも海外子女教育に対する政府援助を強化していく必要がございます。引き続き皆様方の御支援をお願い申し上げます。 次に、緊急時の邦人保護についてでございます。資料の12をごらんいただきたいと存じます。 この資料にございますように、緊急事態発生時における通信連絡手段の確保並びに在留邦人及び本邦関係者に対する迅速かつ的確な情報の提供を二本の柱として、本小委員長所見の趣旨に沿うべく鋭意努力いたしております。 戦争、内乱、クーデター等の緊急事態が発生した場合、電話やテレックス等の一般回線が途絶するのが通例でございますが、かかる事態において も本省、在外公館、在留邦人が通信連絡手段を確保しておくことが邦人の安全を確保する上でも不可欠の条件であり、資料の12の1に書いてございますとおり、種々の措置を講じております。 本省、在外公館間の通信網につきましては、六十二年度までに四十五の公館で無線網を整備、六十三年度予算には十公館分を計上、さらに六十四年度要求でも十公館分を計上いたしております。また、在外公館と在留邦人間の緊急無線網につきましても、六十二年度より新規に予算措置が講じられております。在外公館所在地との短距離無線網整備のため、六十二年度にアジアやアフリカ等の政情不安地域の四十二公館を対象に、基地局用として固定式無線機を配備したのを踏まえ、今年度予算及び明年度要求に移動中継局用として車載無線機配備の経費を計上いたしております。さらに、今年度より、遠隔地所在の在留邦人が在外公館の発する緊急メッセージを通常のラジオで受信するとのシステムの整備に着手しており、今年度予算に六公館分、明年度要求に六公館分の経費を計上いたしております。 また、緊急事態発生時に迅速かつ的確な対応を行うには、平素より在外及び本邦の双方におきまして関係者に対し海外での安全確保に必要な情報を積極的に提供しておくことが必要であり、資料の12の2にございますとおり、種々の措置を講じております。すなわち、各在外公館は、在留邦人との間に安全部会等の定期的な情報交換の場を設けるとともに、「治安・防犯の手引き」を作成し、在留邦人に配布しております。本省におきましても、客年より、海外での安全確保に必要な情報を各国別に網羅した「海外安全ハンドブック」を刊行し、客年の五月には、海外進出企業や旅行業者等に対する情報提供、相談窓口として本省領事第二課内に海外安全相談センターを設置、さらに、この夏より、在外公館から寄せられる情報をパソコン通信を用いて海外進出企業等に提供する海外安全ネットワークを開設いたしました。 このような施策を実施するための予算上の手当てにつきましては、当省予算重点項目の一つとして努力しており、六十三年度予算に三億八千九百万円を計上、六十四年度要求でもほぼ同額の要求を行っております。 緒についたばかりの緊急時邦人保護体制の整備を、安全と水はただとの風潮が依然根強い我が国に根づかせるためには継続した努力が必要であり、今後とも本小委員会の一層の御支援をお願い申し上げます。 最後に、旅券制度の改善、合理化でございます。お手元の資料の13、14でございます。 近年、旅券発給件数の急増から旅券窓口の混雑、待ち時間の増大等の事態が生じており、事務の簡略化、合理化を通ずる行政サービスの向上が急務となっております。同時に、旅券発給の急増は、都道府県のみならず在外公館にも過大な事務負担を強いることとなっており、行政効率の改善のためにも旅券事務の合理化を推進する必要がございます。さらに、近年における国際的な旅券制度の改善の動き、すなわち旅券の標準化、出入国管理の合理化、旅券の偽変造防止対策等に我が国としても対応し、旅行者の便益と安全を一層図ることが要請されております。 このような諸要請に十分対応するためには、この資料の13、14にありますように我が国旅券制度の改正が必要でございますので、本小委員会における御支援をよろしくお願い申し上げます。
○戸塚小委員長 ありがとうございました。 以上で政府委員からの説明は終わりました。 これより懇談に入りますので、速記をとめてください。 〔午前九時五十九分懇談に入る〕 〔午前十一時十六分懇談を終わる〕
○戸塚小委員長 これにて懇談を閉じます。 この際、小委員間の協議により一言申し上げます。 本小委員会は、昭和五十八年十月四日、第百回国会において新たに設置されて以来、数次にわたり設置され、外務省から在外公館の直面する主要な問題について説明を聴取し、必要に応じて小委員長所見を述べてきているところであります。また、内閣委員会におきましても、例年提出される在外公館の名称位置給与法改正の審査の際、外交実施体制の強化等について質疑が行われ、附帯決議が付されております。 本日もまた、最近における在外公館にかかわる主要な問題について外務省から説明を聴取した後、協議懇談を行ったのでありますが、その結果、本小委員会といたしましては、在外公館の整備等について小委員長の所見を述べるべきであるとの結論に達しましたので、この際、私から所見を申し上げます。 急速に拡大する対外関係を背景として、世界各地にわたって我が国の国益を確保するとともに、その国力にふさわしい責任を果たしつつ世界の平和と繁栄に貢献するためには、政治、経済、文化を合わせた幅の広い外交を展開する必要があります。我が外交に課された使命はいよいよ重大と言わざるを得ません。また、これらと関連して、近年急速に増加している在留邦人、海外進出企業が安んじて活躍し得るような環境を整備することは、政府の重要な使命の一つであると考えております。このような中にあって、大使館、総領事館等の在外公館は我が国の外交を実施する拠点であり、在外公館の機能を強化し、在外勤務環境等の外交実施体制を強化することは、我が国にとって死活的重要性を持っております。 かかる観点より、これまでの小委員長所見では、在外職員の定員の増員、在外公館施設の整備拡充、不健康地対策の強化、在外公館の警備対策の強化、在外公館の事務処理体制と通信体制の強化、緊急時の邦人保護対策の強化、海外子女教育問題につき言及してきましたが、さきに述べました附帯決議におきましても、これら諸点につき、政府は適切な措置を講ずべきであるとの指摘がなされており、内閣委員会としても、外交実施体制の強化について強い問題意識を有しております。 このような点につきましては、外務省からの説明によれば、関係方面の御理解を得て、それぞれの面で若干の改善を見たようであり、本小委員会の活動が我が外交の強化の一助となったものと評価しております。しかしながら、これらの問題は引き続き外交実施体制強化のため政府としても一層の努力を傾注すべきものであると考えますところ、次に各点について申し述べます。 第一は、在外職員の定員の増員であります。 近年の我が国の国際的な地位と責任の増大、我が国の国際化の進展に伴って、外交関係事務も政務、経済、経済協力、広報・領事を含めあらゆる分野において急激に増大しております。このような需要にこたえるとともに、各国の実情に通じた専門家を養成、配置して、一層きめ細かい外交を展開し、国益の確保に遺漏なきを期するためには、本省、在外ともに、外務省定員を従来以上に増強する必要があります。 第二は、在外公館施設の整備拡充であります。 在外公館施設は、我が国外交の第一線拠点として、十分に外交領事機能を果たすとともに我が国の威信にふさわしいものである必要があり、また十分に整備された状態にある必要があります。現在の在外公館施設の中には老朽化や狭隘化し、修繕が不十分なため、体面上問題があるのみならず、外交領事機能の観点からも劣っており、国際的にも立ちおくれているものもあります。関係方面の御理解によりかかる状況は近年改善する方向にありますが、今後とも中長期の観点から計画的に、国有化を初めとした在外施設の整備拡充を可能な限り図っていく必要があります。 第三は、在外職員の不健康地対策の強化であります。 我が国の百七十一に及ぶ在外公館のうちほぼ三分の二がいわゆる不健康地にあり、そこに在勤する在外職員は全在外職員約二千五百名のうち約半数に上ります。 このような不健康地に在勤する在外職員はいわば生命をすり減らして職務に励んでいるものと言えましょう。厳しい生活環境と劣悪な医療事情の もとにあって在外職員が安んじて外交活動に専念できるためには、特に健康管理対策の充実を図ることが不可欠であり、不断の健康の維持、また仮に健康を害したような場合には直ちに措置が講ぜられるよう、医務官の増員、質の高い医師の採用及び医務官制度を補完するための施策、休暇制度の充実、緊急医療のための施策の充実が極めて重要であると考えます。 また、世界各地で戦争、内乱、治安の悪化が見られるところ、この面での環境の整備が必要であると考えられます。 第四は、在外公館の警備対策の強化であります。 近年の国際的な政治経済情勢の悪化により、世界の各地でハイジャック、爆破、誘拐等のテロ事件が頻発しており、邦人が巻き込まれる可能性が高まっている中、我が国在外公館に対する殺害、爆破、脅迫や公館への侵入などの事件も頻繁に発生し、本年においては九月末までで既に百三十余件に及んでいる等、憂慮すべき状態になっております。ソウル・オリンピックに際し、各方面で万全な体制を組んだため大きな事件が発生しなかったことでも明らかなように、警備対策に万全を期せばテロ等の試みを未然に防止することができると考えます。このような観点より、我が国の在外公館員が国益のため安んじて外交活動に専念し得るよう、警備対策を今後とも強力に推し進めていく必要があると考えます。 第五は、在外公館の事務処理体制と通信体制の強化であります。 在外公館は、情報を収集、分析、報告し、訓令を執行する上で、最大限の能率・迅速性を備えているべきであります。 本省と在外公館とを結ぶ通信網は外交活動を支える中枢神経であり、高度データ通信システム等一連の通信体制の近代化をさらに推進することが必要と考えます。 また、秘密保全は情報収集機能の維持強化及び外交活動の安全、円滑なる実施にとり不可欠の柱でありますので、最近の技術進歩に対応した秘密保全対策強化のための諸設備の配備等を強力に実施していくことが重要であると考えます。 第六は、緊急時の邦人保護であります。 緊急時の邦人保護対策の強化につきましては、先般のイラン、イラク両国の首都相互ミサイル攻撃やビルマの政変の例にも見られましたように、外国における緊急事態の発生に際しては、在外公館の邦人保護に対する国民の期待には極めて大きなものがあります。このような国民の期待にこたえるためにも、引き続き、緊急時の邦人保護対策に遺漏なきを期す必要があると考えます。 第七は、海外子女教育問題であります。 在外邦人子女数が激増する中で、その子女が次代を担う日本国民として健全に育成されることを確保するとともに、在留邦人が海外において安んじて活動できるよう、日本人学校の増設、教員の確保、校舎等の施設設備の改善等、海外子女教育の拡充を引き続き強力に進める心要があると思います。また、帰国子女につきましても、今後ともその受け入れ体制の整備を推進していく必要があります。 以上のほか、最後に旅券制度の改善、合理化の必要性につき申し上げます。 海外渡航の大衆化時代を迎え、近年旅券発給件数が急増していることから、都道府県における窓口の混雑等が生じており、旅券制度をより合理的なものにし、行政サービスの向上を図ることが急務となっていますが、在外公館においても旅行者数の著増に伴い旅券事務の合理化が必要となっており、この観点からも旅券制度の改正が強く望まれます。 政府は厳しい財政状況のもとにおいて、ただいま申し上げた諸点についてはできる限りの配慮をされてはおりますが、まだ問題が多く残されております。もちろん、外務省においても限られた予算の中で経費の効率的な使用に最大限の努力を払うべきであることは、申し上げるまでもありません。 しかし、我が国の国際社会における地位の重大性にかんがみ、昭和六十四年度外務省予算においても、以上に述べました外交実施体制の強化に係る諸問題については、特段の配慮が払われてしかるべきものと考えております。 以上であります。 この際、柴田睦夫君から発言の申し出がありますので、これを許します。柴田君。
○柴田(睦)小委員 ただいまの小委員長所見に対して、日本共産党の見解を述べさせていただきたいと思います。 日本共産党は、日本外交は平和五原則、すなわち領土・主権の相互尊重、相互不可侵、内政不干渉、平等互恵、平和共存に基づいて行われるべきであることを申し添えておきます。 また、委員長所見のうち、定員の増加については小規模公館を中心とする定員増であること、在外公館の警備対策の強化及び緊急時の邦人保護対策の強化については、自衛隊の海外派遣は含まれていないものとそれぞれ理解すべきことを付言させていただきます。 以上であります。
○戸塚小委員長 この際、小委員長所見に対して、政府側の所見をお伺いいたします。藤井官房長。
○藤井(宏)政府委員 ただいま戸塚小委員長より大変貴重な御所見を賜りましたことにつきまして、厚く御礼申し上げます。さらに、委員の諸先生方には、本日の御審議を通じまして、在外公館とそこに勤務する職員の直面する問題につきまして深い御理解に基づきました種々の貴重な御意見を賜りまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。 外務省といたしましては、本日諸先生方からお示しいただきました御支援それから御指摘を踏まえまして、今後一層外交実施体制の強化に邁進していく所存でございます。
○戸塚小委員長 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時二十六分散会