税制問題等に関する調査特別委員会 第15号
- 発言数
- 229 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1988/10/26
会議録
○金丸委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案、消費税法案、地方税法の一部を改正する法律案、消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
○細谷委員 四野党の税制に関する基本構想について、先般我が党の伊藤政審会長が質問をされたわけでありますけれども、そのうち残っておるといいますか触れておらぬ点、言ってみますと基本構想の③と④に当たるかと思いますけれども、その辺について少し御質問いたしたいと思います。 最初にお伺いしたい点は、これは大蔵大臣ですけれども、従来、税の公平ということについては、大蔵省自体が委員会なりで、税の公平というのは水平的な公平と垂直的な公平があるんだ、それを上手に調和させていかなければならぬのである、不公平というのが税制の一番重要な問題点だ、こういうことを言われましたが、その考えは変わりましたか、いかがですか。
○宮澤国務大臣 両者を総合いたしまして公平が図られるという考え方は、基本的に変わっておりません。
○細谷委員 基本的には垂直的公平、水平的公平を調和させていくということについては変わっておらぬようでありますが、事実上の今回の税制改革を見てみますと、垂直的公平というのは、完全に無視されたとは申しませんけれども、従来の考えから大きく後退して、言ってみますと、公平というのは水平的公平が問われているんだ、こういう考えで改革が推進されておるように思うのですが、いかがですか。
○宮澤国務大臣 その点は昨日も一部御答弁を申し上げまして、幾らか長くなりまして申しわけございません、お許しをいただきたいと思いますが、所得税、殊に累進制度を持つ所得税というものが所得のいわば再分配をするのに非常に大切な役割を持っておるということは、そのこと自身は私は変わっていないと存じます。 ただ、その再分配の機能をどのぐらい厳しく、累進率をどのぐらい激しくするか、あるいは諸控除をどのようにするかということは、時代とともに、あるいはその社会のあり方とともに徐々に変化をしているのではないかというふうにかねて私は思っております。マルクスが考えましたような時代あるいは社会における垂直的公平のあり方、それから、最近アメリカあるいはイギリスでも見ますように、民主主義がかなり円熟化して所得格差が少なくなり所得水準が高くなった社会における、しかも片方で社会福祉政策が進んでまいりますので、その際の垂直的公平のあり方というのは同じではない、やはり変化をしてくると思っております。それが、アメリカにおいて所得税を一五%と二八%というたった二つにしてしまった。イギリスもそういう方向をとっておりますが、古典的な時代には考えられないようなことが起こり、しかし、それがやはりその国の国民経済に適しておるというふうに考えられておる。 我が国はそこまでもとよりまいるわけではございませんが、今の所得税の状況を見ますと、いかにも社会の一番の中軸である中堅の給与所得層が大変な重税感を持っておる、そこから不公平感を持っておるという事実がございます。したがいまして、所得税はやはり垂直的公平の機能を持たなければならないことはそのとおりでございますが、その程度、あり方については、時代とともに変化をしていくということでなければならないであろう、我が国の現状はそこまできておる。でございますから、政府は垂直的公平の機能というものをもとより放棄しておるわけでも何でもございません。どのぐらいが今我が国の社会にとって、あるいはこれから展望できる日本の将来にとって適当であるかというふうに考えておるということでございます。
○細谷委員 大蔵大臣がおっしゃるように、時代とともに、あるいはアメリカなりイギリスのサッチャー政権下における税制改革というのが、いわゆる日本の今までの超過累進税率、言ってみますと、よく政府の方で、税というのは所得再配分の機能を持っているんだ、こういうことを言っておりましたけれども、それとは全く逆に、アメリカあるいはイギリスに倣って段階を小刻みなものを大きくしていく、二段階とか三段階とか、あるいは今回のものは日本の方も少しふやして五段階ですか、こういうふうになりましたけれども。 この考え方というのは、時代とともに、もとに復さないでどんどんそういう水平的公平へ右へ倣えしていく、こういうお考えなんですか、どうなんですか。
○宮澤国務大臣 その点は私自身にそれを判断するだけの学殖はございませんが、たまたま実は昨晩シャウプ博士とまさにその点を議論をしたものでございますから、シャウプさんの考えをちょっとかりて御紹介をさせていただきます。 今のアメリカの一八と二五でございますか、イギリスもそういう方向へ向かっている。社会の進む方向としてはまさにそういうことであろう。しかし、これがここで将来とも続くものであるのか、あるいは多少の調整がまた行われるものであるのか、それはちょっと自分には定かでないということを言っておられました。これは責任を転嫁する意味でなく、私自分で判断できないものでございますから、たまたまその話をしてみたのでございますが。 でございますから、大きな方向としては先進民主主義国の中の動きはそういうことであろう。しかし、さあ、それがどの辺のところがちょうどバランスのとれたところかということは、その他の諸税それから歳出のあり方とも関連をしてまいるのではないかと考えております。 私、今アメリカは一五と二八、違うことを申しましたら一五と二八でございます。
○細谷委員 言ってみますと、垂直的公平というのは、ゼロと言いませんけれども大きく後退した。この方向で進みますと、極端に言いますと、所得税というのは一段階でいけば一番水平的公平でしょう。そうじゃないですか。それを目的としているんですか、どうなんですか。
○宮澤国務大臣 それは明らかにそうではないと存じます。つまり所得税が持っている累進機能、おっしゃいますような所得再配分の機能というものは、これはやはり必要であって、ただ、それをどの程度にすることがその国の国民経済にとって適しているか、必要であるかという問題であろうかと存じます。
○細谷委員 一億の所得を持っている人と二百万円の所得の人が一律に所得税をかけられる、これも問題であろうし、それをさらに極端にしたのが、税の公平化の意味でということで取り入れられておる消費税だ、私はこう思うのです。 そこで、少し、これにこだわってはなんですから、今、シャウプ博士ときのう会談されたと言うのでありますけれども、新聞で拝見したのでありますけれども、総理、シャウプ博士と会談されましたね。私は、総理とはちょっと見解を異にしますけれども、シャウプ博士のいわゆる日本に対する税制の勧告というのは今日も極めて高い評価を与えるべきものだ、こう思っておる。そうして、その高い評価を与えるべきシャウプ税制というのが、日本ではその重要なところについて、資産課税ということに重点を置かない、変形をしたところに問題がある、こう思っておるわけですけれども、シャウプ博士は今度の税制改革について評価をしておりましたか、どうですか。 新聞に書いてありますところでは、シャウプと会って 得意の”竹下流戦後経済史”をひとくさり。さらに税収の直間比率についても話が及び「シャウプ税制導入当初は、六五パーセントだった間接税の比率が二七パーセントに下がっている。こういうところを踏まえて税制改革を考えているところだ」と消費税導入に意気込みを示した。 これに対し博士は「世界的に税制改革が行われており、日本がどのような判断をするか興味を持っている」 と言うだけで、日本の今度の税制改革についてはノーコメントだ、大蔵大臣得意のノーコメントだ、こういうふうに新聞は報じておるのですが、どうなんですか。
○竹下内閣総理大臣 シャウプ先生とは実は私が大蔵大臣時代にもお会いをいたしたことがございます、これはアメリカででございますけれども。今回いらっしゃった機に、お久しぶりでございましたので食事をともにさせていただいて、そこで先生の御高見を拝聴しておったわけでございます。 ただ、幾ばくか私後から気がつきますのは、シャウプ先生と私と、コロンビア大学の学位を私もちょうだいしておりますが、ただシャウプ先生が誤解しておられますのは、私が経済でもらったんじゃないか。本当はそうじゃございません。選挙学の講義でちょうだいしたわけでございますが、それを若干間違えておられたような気がしまして、シャウプ先生に対応するだけの私が税制論議ができると思っておるものではございません。ただ、シャウプ税制というものがやはり日本経済を今日まで持ってきた大きな土台であったと、私はそれは高く評価しております。 それから、今細谷さんおっしゃいましたように、資産の面でも、富裕税ですね、結論からいうと捕捉が難しいというので途中でやめになりましたけれども、あれらはやはりシャウプさんもそのとき考えておられた原点が、あれが一つと、そしてまた、実行に移されないままに済んだのが、あれは地方税の事業税に値するものでございましょうが、いわゆる付加価値税、今の消費税型の付加価値税じゃなくして、企業の持つ仕入れとそれから収入との差を人件費であれ何であれ全部付加価値として、外形標準みたいな感じでございましょうか、地方税の事業税的な考え方を持っておられましたが、あれは議論をしながら結局実行されないままに移ったというようなことで、資産を対象にされたもの、そして、法人の、外形標準じゃ必ずしもございませんが、そういう一つの規模をはかっていく尺度として考えられたことなどは、実はその後できていないという話もしまして、それは自分も聞いて知っておるということでございました。 ちょうど昭和二十四年でございますから、私の島根県へもいらっしゃいまして、私、当時まだ学校の先生をしておりましたが、したがって、そのときの新聞記事で、シャウプさんが質問をされた事項なんかを整理しましてお話ししたわけでございますが、向こう様は向こう様でやはり私どもにある種の敬意を表されたのでございましょう、先進国の日本が税制改革を試みておる、その行方に対しては大変な興味を持っておるという表現でございまして、余り議論をしたということではなかったわけでございます。今日もなお私も、当時四十五歳ぐらいでございましたけれども、もう随分年をとっていらっしゃいましたが、尊敬しております。
○細谷委員 今総理の言葉にもありましたように、シャウプ税制の中で一つの柱と言えるいわゆる府県税の付加価値税というのが、昔ありました営業税にかわって登場してきたんですね。これは国会で法律が通りまして、一年の準備期間を置いて実施するという途中でやめたんですよ。それから、国会で議論したいわゆる利子課税の問題については、プライバシーを侵すおそれがあるということで、これも法律ができて途中でやめたんです。それから富裕税なんというのも、あるいは資産課税の強化ということについても、シャウプは力説しているのですけれども、取り入れませんでした。 そういうところから欠陥が出てきているのであって、しかも一遍法律にしたのを途中で考え直して廃案にしてしまった、こういうところに今日消費税に逃げ込もうとしておる原因ができているのじゃないかと私は思うのです。そういう点で、税制の取り組みについて完璧じゃなかったんだ、みずからその原因をつくったんだということを、私は国会も反省すべきだ、政府もまた反省していただかなければいかぬと思うのですが、いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 今細谷委員おっしゃったとおりでございます。当時の議論、私もいろいろ古い資料を読んでみますと、やはり日本のそのときの、あれだけかかって勧告いただいたのでございますが、徴税能力とかそうした問題もあったでございましょう。したがって実現に移されないものもございましたが、それぞれがしかし、やはり実施に移されない、あるいは株式譲渡所得も二十八年に今度は原則非課税に変わっておりますけれども、そういうことは、そのときの国会の先生方、私どもも出ていないときでございますが、大きく判断を間違えられたとは私は思っておりません。先輩は先輩なりに大変な議論をされておやりになったんだろうという感じは持っておりますので、それの取り組み方がだめだったから消費税、こういうことに短絡的には結びつかないのじゃなかろうか。 やはり消費税と申せ、これはいわゆる消費の能力に応ずるわけでございますから、応能的なものであることも事実でございますだけに、私はそれは資産課税等に対するシャウプ勧告の取り組み方が完全でなかったから発生してきたものというふうには必ずしも考えておりません。
○細谷委員 私も、シャウプ税制ができてから大体四十年の歴史をけみしているわけですから、一遍になったと言いませんが、四十年間の積み重ね、それについてのチェックがなかった、反省がなかった。したがって、貴重な、歴史上あれだけ大きな税改正をやったというのはシャウプが初めてであり、後でないのですね。それほどの日本の税制の生みの親のシャウプの税制に決別するというようなところに至ったのは、やはりそういう点の反省が必要ではないか、こういう意味で申し上げているわけです。 そこで、この議論に余り深く入りませんけれども、税制度上の不公平ということばかりじゃなくて、執行面における欠陥というのが多々あると思うのですね。例えばトーゴーサンとかあるいはクロヨンとか、中にはピンまで入っていますけれども、この辺についてやはりきちんと国民の期待にこたえなければ、世論調査が示しているような不公平な姿というのは、是正されるどころかますますひどくなっていくのではないか、私はこう心配をいたしております。こういう面について、制度面ばかりじゃなくて執行面についてよほどの決意がなければ税制改革というのは本当にできないんじゃないかと思うのですが、総理、大蔵大臣、簡単にお答えいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 それはまことに御指摘のとおりと思います。殊に事業所得等々が資産の上昇などによりまして名目的にはかなり大きくなってきておりますから、給与所得の方はそういうことがございませんものですから、その格差は大きくなる可能性が強うございまして、したがいまして、よほど執行側におきまして、実調であるとかいろいろ機械化による工夫であるとか、あるいは帳簿記載の指導でありますとかいたしませんと、ただいまおっしゃいましたような格差が広がる心配がある、それはよほど注意をする必要があると考えております。
○竹下内閣総理大臣 確かにクロヨンとかトーゴーサン、今先生おっしゃったピンもくっつけて申しましても、そういう定義があるわけじゃございませんにいたしましても、いわゆるそういうことに象徴されるような所得の種類間における不公平感、それから、今おっしゃいました実調、これは大切なことでございますが、それと九〇%のいわゆる給与所得と、まあ利子課税の問題は一応解決されましたけれども、十種類の所得を見ましても、譲渡所得とか事業所得と給与所得との不公平感というようなものは、一生懸命でPRしまして今日まで来たわけでございますが、さらに実調率等も含めて今後とも引き続き対応していかなければならぬ問題だというふうに、私もこれは同感でございます。
○細谷委員 大蔵大臣の言葉をこの席で拝聴しておりまして、税制改革をやらなければならぬ一つの原因というのは、経済の発展とともに大体国民の所得格差というのは縮まってきた、だから税制改革をやらなければいかぬのだと。本当に格差は縮まったのでしょうか。アングラ経済とかアングラマネーとか今言われておりますし、リクルートの問題もその一例でありましょうけれども、どうも所得格差というのは縮まるどころか拡大しているのじゃないか、こういう主張をする人もおります。そういうデータもあるようでありますが、大蔵大臣、どう見ておりますか。
○宮澤国務大臣 私が申し上げておりますのは、ここ何年かと申しますよりは、過去、仮に二十年でも二十五年でもよろしいわけでございますけれども、その間における格差の狭まりというものはかなり顕著であって、しかもこの点は、五分位層の第一分位と第五分位の比をとりましてもジニ係数をとりましても極めて顕著である。のみならず、恐らく我が国は今や先進国、と申す必要もありませんか、世界でと申してよろしいのでしょう、一番上下の格差の少ない国になりつつあると申し上げておるわけでございます。 それに対しましてしばしば御質問のありますのは、最近数年間の動きはそうとは言えないということでありまして、私はそれも、最近数年間だけをとってみれば確かに多少の逆行があるようでございます。それはただ、恐らくは石油危機から円高といろいろなことがございまして我が国の雇用が非常な危機に陥った。そういうときにはどうしても賃金よりは雇用の確保というふうに労使ともに考えますので、その間におけるいわば給与所得の上昇というものにブレーキがかかった、そういうことに関係があるのではございませんでしょうか。もとより家庭の構成が違ってまいりますとこの計数が少し違います。 それからさらに申せば、このごく最近になって、資産所得、株式、土地等からくる資産価格の上昇、そこから生ずる資産所得でございますか、こういう要素もございました。それらで最近何年間かは多少この長年の趨勢に変化が見えますが、やがてこれは日本経済がうまく動くようになりますとまた従来からの方向に向かっていくように思われる。それが国民の中流意識というものにあらわれているのではないかというふうに申し上げておるわけでございます。
○細谷委員 この問題は、今回の税制改革と言われるものの前提、出発点でございますけれども、時間の関係で、きょうはこの程度で次に移りたいと思います。 十月の十八日のある新聞に「トヨタ・日産に一六〇億円返還 対米税金紛争で国税庁 総額九六〇億円で決着」、こういう記事が出ております。この中身を税当局にお聞きしますと、守秘義務だというので言えないと言うのですよ。新聞に出ておって国会で言えないのですか。大蔵大臣、いかがですか。守秘義務というのは大変なことですね。
○伊藤(博)政府委員 自治省から御答弁いただきます前に、ちょっと私の方から制度の仕組みを御説明申し上げたいと思います。 アメリカの内国歳入法四百八十二条というのがございますけれども、それに基づきましてアメリカの政府が我が国の企業の米国内における子会社等に対しましていわゆる移転価格課税を行った場合、これは二重課税が生ずるわけでございます。その二重課税が生じました場合の調整ということにつきましては、日米間では日米租税条約がございますけれども、その二十五条におきまして、権限ある当局間の相互協議というシステムになっております。その両当局間でその価格配分がいかなるものが適正であるかということを十分協議し、その協議した結果に基づいてしかるべき措置を講ずるということに相なっているわけでございます。 今お尋ねの守秘義務云々という点につきましては、事柄が極めて個別企業の事柄に関するものでございますので、私ども、一般的に税法上の守秘義務を負わされておるということのほかに租税条約上も守秘義務を課されておるということがありまして、せっかくの御質問でありながら、個別の中身に即してという点につきましては御答弁を差し控えさせていただいているということでございます。
○宮澤国務大臣 そのようなことではございますが、それでは後の御議論をお進めになりにくいと思いますので、守秘義務は持っておりますけれども、報道されておることを、まあまあそういうような種類のことがあったというお考えで、どうぞ御議論を進めていただいて結構でございます。
○細谷委員 これは、移転価格税制の関係で本格的な税の論議には入ってはいかぬ、こう注意もされているものですから、だから言いません。 自治省、この移転価格税制の問題について、地方財政にどういう影響が及んでいるのか、お答えいただきたい。
○津田政府委員 移転価格税制に基づく地方税への影響ということは、先ほど大蔵大臣が申しましたように、大体新聞記事に出たとおりでございますが、個別的には守秘義務という点もございますので差し控えたいと思います。いずれにしましても、かなり巨額な還付を生じたということは事実でございます。 しかし、御承知のとおり、地方交付税制度におきましては、法人関係税、移転価格税制のみならず、そのほかの過誤納の事態も踏まえまして、過誤納金というものが発生いたしました際には、翌年度の地方交付税の基準財政収入額の算定において精算する、こういうようなことでございまして、今回の場合にも、既に発生したものにつきましてそのような措置が講ぜられているわけでございますし、今後起こるものにつきましても、そのような観点から措置をしてまいります。 ただ、心配は、翌年度精算でございますので、当該年度の財政運営というものに対する影響も考えなければならない。その場合におきましては、私ども、減収補てん債等で、発行いたしまして当該年度の資金繰りをつけてまいる、このような考え方でおります。 ただ、現実問題としましては、昨年発生しましたものにつきましては、当該団体の税収等、そのほかのものが好調でございましたので、財政運営に支障がなかったということで、減収補てん債のお申し出がございませんでした。今後におきましても、個々の団体の財政事情に応じて適切な措置を図りたいと思います。
○細谷委員 私が聞きたいのは、そういう国税についての変動が起こりましたから、地方税ではどういうような地方団体で見た減収が起こったのか、六十二年度は幾らか、六十三年度はどう予想されておるのか、これを聞きたいわけですよ。私は、さっき笑われましたけれども、税そのものに突っ込んだ問題じゃない、地方財政はどうなっているのかということを聞きたいものですから、それをお答えいただきたいと思います。金額は幾らですか。 新聞によると詳しく書いてある。六十二年度が四百二十億円、地方ですよ、六十三年度は八十億円、合計五百億円、こう言われておるのですが、そのとおりですか。
○湯浅政府委員 住民税とそれから事業税の関係でございますから、課税団体がそれぞれやっておりますので、先ほど来申し上げましたとおり私どもにそれぞれの詳しい金額がわかるわけではございませんけれども、新聞紙上におきまして報じられていることは、おおむねそのとおりじゃないかなというふうに感じているわけでございます。
○細谷委員 新聞に書いてありますけれども、国会では数字も言わぬですよ。私が、四百二十億円と八十億円の合計五百億円じゃないかと、こう聞きますけれども、守秘義務を盾にとって全然おっしゃらぬ。まあ、しかし間違いないようですね。 ちょっとお尋ねしますが、守秘義務、守秘義務と言いますけれども、これを見ると、トヨタ、日産ですから、トヨタというと、やはり愛知県ですわ。それから日産といいますと、神奈川県あたりがかなり多いんじゃないかと思うのですね。そうすると、法人税、住民税というのがかなり大きく返還を命ぜられておるんじゃないか。新聞によりますと、ある団体では、補正予算をつくってその減額された税の穴を埋めなければいかぬ、こう書いてありますけれども、確かにこの時期にこれだけの巨額の金を、法人税がたくさん納まっているところにしても大変じゃないか、こう思います。 そこで、これはなお言えないと言うかもしれませんけれども、愛知県と申しませんよ、A県で、あるいはB県では法人事業税の減収が起こりました。一番多いところは一体どのくらいなのか、一番少ないところはどのくらいなのか。まあ少ないところはいいでしょう、一番多いところはどのくらいなのか。市町村の場合に、一番多い減収を食ったところはどこなのか。これは言えませんか。
○湯浅政府委員 これも詳しい話は私どもは直接承知しているわけではございませんけれども、都道府県の段階で百億のオーダーのものがある、また市町村の段階でも還付額として十億台のものがある、その程度の金額になるということのようでございます。
○細谷委員 自治大臣、今都道府県は百億台の還付が起こっておる。会社に返すのですから、自治体が支出するわけです。市町村の場合で十億くらいだ。そして翌年度になるから、六十二年度のものは六十三年度の減収補てん、それから六十三年度のものは来年度の減収補てんか何かでやるのでしょうが、減収補てんなんという財政措置でよろしいのですか。財政対策はどういうふうになさっておるのですか。
○梶山国務大臣 不勉強でございまして、ことしの夏初めて移転価格税制という言葉を聞いたのが本音でございます。何か自動車のどうのこうので、私は、自治大臣というのは外国のことまでは知らなくても済むのかなと思っておりましたらば、先生御指摘のような問題があったという報告をちょうだいいたしましたし、陳情もいただきました。 ただ、法人住民税、法人事業税いずれも国税にリンクをして決めるものでございまして、その本体がなくなれば当然地方税は取れないわけでございますから、これは原則的に返すのが当たり前でございます。幸いに、比較的財政力の強いというか、ところでございましたので、格別の対策をとらなくても結構その場をしのげるようでございます。 この問題をめぐりまして私の頭の中をよぎったのは、自治大臣といえどもこれからは国際化に備えなければならない、ですから、まさに税制の基本は国際化に備えるということが大切だなということを今回初めてわかったわけであります。 ですから、今回は恐らく自動車会社がそれぞれ、部分的には二重課税があったのかどうかわかりませんが、考えてみますと、やはり国と国の間、あるいは地方と地方の間でも、心情的に税金の安いところにシフトをするのは当然でございますから、例えば法人税でも日本が高くてアメリカが安ければ、これは心情的に親会社あるいは系列会社、そういうものから税金の安い方に、まあ逃れようと言うと大変言葉が悪いわけでございますが、心情としてそう行くのではないか。そういうことはこれから防圧をしなければならない。 そういう意味で考えますと、まさに税金の問題も、私は、どの税理論が正しいとかどうとかいうことはわかりませんが、国際間でバランスのとれる税制をとらないと、高きより低きに流れるという問題があろうかという感じがいたします。まさにこれは大先輩の指摘のとおりでございまして、税制の根本ではないかという感じもいたします。 それから、国の中のことでございますが、親会社と子会社、系列会社、これはどうしても親会社に利益を吸われがちでございます、特に下請においては。ですから、こういう問題もこの問題と同じ観点でとらえるならば、例えば今法人事業税の分割基準の見直しをしようということで指示をしたわけでございますが、これを国内版で見合わせますと、そういうことも、決して税がどこに集中していくかということではなくて、まさに適正な、現状に合ったというようなことをやらなければならないのかなというヒントをこの問題からちょうだいをいたしております。
○細谷委員 端的にお尋ねしますが、米国の内国歳入庁法四百八十二条に基づいて、日本が不当な価格で自動車を輸出しておる、こういうことで精算をされておるのですが、逆に、日本はアメリカに輸出するためにダンピングしているのではないかと過去によく言われました。その逆の形が今あらわれているわけですよ。 日本の方が逆に特別措置によりましてアメリカの方から税金を払い戻してもらったことがありますか。例があるかないか、それだけ言っていただきたい。
○伊藤(博)政府委員 委員御指摘の御質問は、本件はアメリカ政府が移転価格税制を発動したケース、それに見合う日本政府が発動したケースがあるかどうかという御質問かと思います。 私どもも先年この移転価格税制というのを導入いたしまして、発動し得る体制にはございます。ただ、今時点ではまだ発動に至るケースはございません。しかし、それに該当するケースがあればいつでも発動し得る状況にはあるという状況でございます。
○細谷委員 国税で八百億とか九百億、地方では五百億という還付が起こっておる。大変な財政上の問題です。これを見ますと、どうも日本が今の出超という形で圧力を受けているんじゃないか、もっと公正な貿易体制というのが追求されなければならぬのじゃないかという気がしてなりません。 しかし、私はこれについて余り掘り下げて議論を言う資格もございませんから、この問題について一点お尋ねしたいことがございます。 総理と大蔵大臣、この問題は租税特別措置で起こっているわけですから、全国知事会なり地方六団体は常に租税特別措置から地方税を遮断してもらいたい、こういう声が強いのです。これは毎年予算委員会等に出されます租税特別措置というのは莫大な金額になっておりますね。その租税特別措置の遮断を、国税が変わったらば自動的に租税特別措置によって関係の地方税が減る、影響を受けるということのないようにしてほしいという声が毎年のように全国知事会等でございますが、忘れてはおらぬでしょう、よく知っていると思うのですが、大蔵大臣、総理、これを遮断する意思はございますか、いかがですか。
○伊藤(博)政府委員 大臣から御答弁いただく前に、ちょっと事実関係だけ申し上げておきたいと思います。 先ほど来、話題になっております移転価格税制に基づく私どもがとりました措置は、対応的措置と称しておりますけれども、これは特別措置としてではなくて通則法の本則に基づいておりますので、先生お話しの特別措置という概念にはちょっと入らないかと思います。
○宮澤国務大臣 このたび御指摘になりましたことは、法律上は、おっしゃいましたようにアメリカの内国歳入法四百八十二条が発動されまして、それを受けまして日米租税条約二十五条によりまして我が国と米国側との協議が行われた。このことはもとより公になっておる部分ではございませんけれども、私が報告を受けております限りでは大変激しいやりとりを両国間で専門家がいたしたようでございます。企業そのものにいたしてみますと、ダンピングの提訴を受けてはかなわないわけでございますし、同じ税金でございますからどちらに納めるということは計算としては変わらぬと申しますか、そういう状態でございますものですから、企業そのものがそういう状況にある中での日米の協議というのは大変に難しかったように聞いておりますが、我が国としてはいわば最大限の努力をいたしたというふうに私は聞いておるところでございます。 それが第一段なのでございますが、そういたしますと、国税がそうなりますと課税標準がそれで御承知のように動いてしまいますので、地方税に自動的にああいうふうな影響を生じた。これは地方団体としてはと申しますか、確かに相当の金額で御迷惑なことであったろうなということは想像にかたくありません。乾いた理屈を言えば、もともと課税標準そのものが高過ぎたと申しますか、結果としてはそれを適正というか、の価格に直した結果として還付が起こったということでございますけれども、いかにも地方団体としては、いわば全く自分のかかわり合いのないことの結果、二国間の交渉のあふりを受けてしまったという感じをしていらっしゃるだろうということは私も決してわからないではないのでございますけれども、これは措置法そのものの問題ではないわけでございます。
○細谷委員 国税は租税特別措置というので税金をまけておりますよね。税金をまける法律、こう言っても差し支えないわけです。それは、減税が行われますと地方税も必然的に、自動的に減収が起こってくるわけですね。毎年毎年発表される地方税プロパーの減税部分と国税による特別措置のはね返りの減収部分と、どっちかといったらやはり後の方が大きいのですよ。その特別措置があるのだから、地方税というのは独立したものですから、遮断をしてほしいというのが六団体の常に言っておる願いです。これが一向に取り上げられないし、実現するめどもないというのが実態ではないか、こう私は思います。 そこで総理、御存じと思うのですが、そういう声を聞きませんか。
○水野(勝)政府委員 租税特別措置的な制度につきましては、それぞれの制度によりまして、地方団体もそれを適用するのかしないのか、そこは地方税としてのお立場で個々に御判断をされているところであろうかと思います。 企業課税につきまして申し上げれば、確かにもろもろの特別措置で減収をもたらすものもございますけれども、一方、例えば交際費課税、損金不算入措置、こうしたものによりまして約一兆円ぐらいの増収になっておる、こういったものは逆にあるわけでございますから、全体として企業課税について見ますれば、これが減収なのか増収なのか、そこはまたいろいろな見方があるのではないかと思うわけでございます。
○細谷委員 案の定、租税特別措置による国税の減収、地方税の減収というのは、交際費課税がある。交際費課税というのは数字を体裁よくしただけでしょう。交際費というのは、もともと税をかけちゃならぬものだというのを特別にかけている、ですからあれを見ると、全部が特別措置はマイナスに、三角になっているのに、あれだけはプラスになっているのですよ。帳消しして体裁よくなっているでしょう。本当なら交際費課税というのは一定のあれで、原則非課税というのはやはり原則課税にした方がいいのですよ。そうすれば、体裁のいいことで、いや、随分苦労しているんですよというようなことにならぬ。 それも含めて特別措置というのを、地方税との間は別なんですから遮断したらどうか、地方団体の切なる願いですよ、こう私は申し上げているんですよ。まだ総理は頭痛せぬようですけれども、いかがですか。これはやはり御検討いただいた方がいいんじゃないでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 地方税の専門家に私の感想を述べるというのは差し控えなきゃいかぬかなと思っておりましたが、私もその話は聞いたことがございます。されば私なりに、いわゆる特別措置というのは、まさに法人税なら法人税に対するもろもろの特別措置というものがある限りにおいては、法人所得とリンクする地方税である場合に、その遮断というのはどういう形でできるものだろうかということについて、私なりにこのような形でできるんじゃないかなという結論はとても出し得ていないというのが実情でございます。
○細谷委員 ぜひひとつこの点は御検討いただきたいと思う。私は、これはどうも総理とぼけているんじゃないかという感じがするんですよ。租税特別措置は、国の政策に基づいて、これは税をしばらく暫定的に減税すべきじゃないか、税をかげんすべきじゃないか。別の体系である地方税についても、ゼロにするなんということを言っているんじゃないんですよ、自動的に国税で決めたことが地方に及んでくることが問題ですから、それが地方税に必要ならば、そういう規定を条文の中に設ければいいわけでしょう、そういう意味においてやっていただきたいと思うのですが、自治大臣、自治大臣はもうねじり鉢巻きでけしからぬと思っているんでしょうが、どうなんですか。
○湯浅政府委員 大臣の御答弁の前にちょっと申し上げたいと思うのですが、地方税の特に住民税なり事業税の課税標準を計算する場合には、国税の所得税、法人税の所得の計算の例によってほとんどが計算されるということでございます。そういうことで、所得の計算上いろいろな措置が講じられる場合に、それを地方税だけを遮断するということはなかなか難しい面があるわけでございます。 そういう点は、遮断できるものはできるだけ今までも遮断するように努力してきたわけでございますし、それから、所得以外の部分、例えば、個人住民税でございますと、各種の控除等につきましては所得税の各種控除とは違う地方税独自の諸控除を設けているということで遮断しているわけでございまして、今後とも遮断できるものにつきましてはできるだけ遮断をしていきたいというふうに考えております。
○細谷委員 どうも不徹底な答弁で不満でありますけれども、私の本論は、伊藤政審会長の後を受けて、基本構想の第四の「地方自治尊重の原則」ということについて立ち入った国と地方の財政関係というのを洗いたい、こう思っていたんですけれども、今、あと十分しか残っておらぬ、こういう通知が来たので、残念ですけれども、まあ入り口だけになりますけれども質問させていただきます。 総理は地方分権ということをしきりに叫んでまいりました。地方分権というのはどういうことなんでしょうか。そして、それは金がなくても気持ちだけで、腹だけで推進できるものなのかどうか、お尋ねいたします。
○竹下内閣総理大臣 いつも申し上げるところでございますが、国、地方を通ずる行政の簡素化とかそうした問題が一つございますが、私が申しておりますのは、それぞれの地方にはまさに歴史とか伝統とか文化とか産業とか固有のものがあって、それらを大切にしながら住民の知恵で構築されたものに中央政府がどういうふうな形で協力ができるか、これは財政上の問題が主体になるでございましょうが、そういうことをいわゆる多極分散型国土形成という観点からもやっていきたいということを考えております。 基本的には、身近なことは身近なところでということが原則ではないかなというふうに私は考えておるところでございます。
○細谷委員 先般この席で我が党の加藤委員から、総理は七つの懸念と言っておるけれども、一つ落ちているんじゃないですかという質問がございましたら、総理は、まさしくそのとおりです、一つ落ちているんじゃないかというその指摘を待っておった、こういう意味のことをおっしゃいました。新聞記事は失礼でありますけれども、「これまで七つの懸念をあげてきたが、いずれ自治体の懸念としてその問題が出てくる、と考えていたところだ。譲与税を設けたり、地方交付税の算定基準も見直すなど、」今回の一連の措置というのは「大変に工夫されている。こうした仕組みで八つ目の懸念も解消されると思っている。」 八つ目を忘れておって、入れるのは当たり前だと言っておって、そして、いや、今度の税制改革、財政措置というのはもう既にできちゃっているんだ、こうおっしゃっているのはどうも矛盾があるようでありますが、八つ目というのは一体どういうことなんですか。
○竹下内閣総理大臣 私がたしか衆議院予算委員会において六つの懸念というものを申しました。しかし、それではいわば担税者である消費者の懸念はあったとしても、納税者たる事業者の懸念というのにはやはりこの転嫁問題というのが出てくるだろう、したがって、プラス一ということで七つの懸念ということを申しました。 それから、地方行政委員会等ではプロの皆さん方がもう既に議論していらっしゃること、私もそれは承知しておりますが、どこかで地方自治体の皆さん方の懸念を解消するようなことを国会で言わしてもらえる機会がないかなと、心ひそかにというより、ひそかじゃなく大変表にあらわした期待をしておりましたら、加勝万吉先生から御質問がございましたので、実は私が乗っかったような感じで失礼だったなと思いながら、地方行政等では既に議論が行われていると思いますが、今度の措置について説明する機会を提供していただいた、それをまさに八つの懸念として、六団体関係者、地方にもたくさんいらっしゃるわけでございますから、お答えしていくのが一番適切ではないか、こう思って取り上げさしていただいた次第でございます。
○細谷委員 八つ目にこれを位置づけろ、こういうことについて大賛成だ、しかし、それはあらかじめ頭の中にあって、今度の税制改革の中にも十分取り入れられておりますよ、こういうふうに言っております。きのうまた出てまいりました福祉ビジョンなり行財政改革推進、この点を読んでみますと、もうすべて足りているんだ、こういうふうに言っているように思うのです。 特に、今度のこの問題について次に進む方向は、総理の、いわゆる町づくり、これに進むのだ、こういうふうに言っておりますね。ふるさとづくり、結構な話であります。これを進めるために、自治大臣、これはげんこつだけでやっていける自信がありますか、お答えいただきたいと思います。私はそんなことはないのじゃないかと思うのですが。
○梶山国務大臣 ふるさとづくり、まさに志も高く、税財源も確保をされなければ、両々相まってしかできない問題でございます。
○細谷委員 ちょうど時間が来ましたし、これから本論を議論したいのですけれども、残念ですが、約束ですので終わります。
○金丸委員長 これにて細谷治嘉君の質疑は終わりました。 次に、菅直人君。
○菅委員 きょうは、せんだって社会党、公明党、民社党、社民連四党でお出しをしました税制に関する基本構想について、それを中心に質疑をするということで質問に立たせていただきました。 この構想、またその前に野党四党で提案をいたしました不公平税制の是正、こういった問題についても、私も、会派は社会党と御一緒させていただいておりますが、社民連の政策委員長という立場も含めて、いろいろと協議に参加をしてまいりました。 そういう中で、この「五つの原則・五つの手順」というものをお出しをしたわけですけれども、まず総理に、こういった「五つの原則・五つの手順」という税制に関する基本的な考え方、これについての御見解を伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 私なりに勉強させていただいて、本当に四党のプロの先生方で、最大公約数をおまとめになったと言うとちょっと非礼に当たりますが、よくおまとめになった。言ってみれば、四月のあの土井先生の四つの問題点がありました。それから六月、塚本三条件、その次が八月に矢野委員長の十六項目でございますが基本法構想、それらを土台として詰められたものであって、考え方としては私ども共通の面もございますが、手順において率直に言って違いますものの、あえてこうした考え方が国会の場へ提起されるというのは、議会制民主主義における議論を一層深めていくために大変立派なことだというふうに私は評価させていただいております。 〔委員長退席、海部委員長代理着席〕
○菅委員 その中で、きょうは原則の⑤にもあります、あるいは手順の中の四番目にもあります福祉政策の長期的な展望の問題を中心に幾つかお尋ねをしたいと思います。 昨日も民社党の米沢政審会長の質疑の中で、福祉ビジョンというものが厚生省、労働省から出されていろいろと議論になっているわけですけれども、総理はよく税制改革の議論の中で、高齢化社会に備えて税制改革が必要なんだというような趣旨のことを言われていることを記憶しているわけです。しかし一方で、高齢化社会の中でどういうサービスを行って、それが財政的にどういう影響があって、だからどういうふうな税制改革が必要だというそのところが、昨日の福祉ビジョンである程度のところが出てきたとはいえども、必ずしもつながりが明確でない。いわゆる増減税一致だとかということになれば、特に財源的な問題で変わるわけではないわけですから、そうすると、この高齢化社会に備えてという意味、これをもう少し具体的なイメージとしてどういうことを総理としては考えられて言われているのか、この点についてまず明らかにしていただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 高齢化社会へのビジョン、最初から申し上げますと、やはり五十四年の十二月、決議案をつくりましたときの物の考え方が、与野党共通して、相談してつくって全会一致で決議したわけでございますから、いわゆる国民福祉充実のためには安定した財源が必要であるという書き出しそのものが、お互いが、私もそのとき手伝いをさせていただいた一人として、共通の高齢化社会というものを認識しておったではないかな、私は一つはこういう感じを今でも基礎的に持っております。 そこで、今おっしゃる意味はよくわかる話でございますから、したがって、確かに消費税というのはいわば経済の変動に余り左右されない、弾性値等からごらんいただきましても、比較的左右されない安定した財源であるということは言えると思うのでありますが、その問題は横へ置きまして、さようしからば、やはり福祉問題についてのビジョンを掲げるべきだということをたびたび本院で御議論もいただいておる。 そうなると、きのうも申しましたが、自由経済社会の中で、長期の、いわば財政的裏づけを含めた青写真というものは非常に出しにくいものである。だから、まずはそれらの実行段階においては一つの理想像を掲げて、お互いが究極の福祉とでも申しましょうかそうした理想像を掲げて、それに対して現実的に近づいていくためのいわば五カ年計画というようなのが大体限度じゃないかなというふうにも私は考えます。 しかし、今までも、あるいはもう少し前に、既に昭和七十年に年金の統合というものを目標にやりますという目標年次を定めたことは、もちろん五年に限っておりませんけれども、そういう究極の福祉の青写真を掲げ、それに具体的に国民の選択は那辺にあるか、と言ったって国会が国民の代表の皆さんでございますから、それの意見を聞きながら近づいていく努力をする、こういう意味でぎりぎりのものを、現行の制度、施策をそのままにしてという前提の分で必ずしもないものをお示しして、御議論に供しようということに至っておるというふうに考えております。
○菅委員 何となくわかったようにも思えるし、全くわからないようにも思えるのですが、究極の福祉なんという名称を聞きますと、昨年は「究極の大増税」という本が大ベストセラーになった、社会党の方で出された本ですけれども。ですから、究極の福祉のために究極の大増税が必要だということを言われるのなら、それはそれでまた一つの具体的なイメージかと思うのですが、もう一つ見えてこないというのが率直な感じではないかと思います。 そこで、少し具体的な問題に入っていきたいと思います。 高齢化社会で考えなければならない大きな柱というのは、私は、やはり医療と年金と、そして地域的に老人をどうやって介護していくのかという地域的な福祉、この三つが大きな柱になり得るのじゃないか、大体常識的な線だと思いますが、こんなふうに思っております。 そういう中で、医療関係で老人保健法が施行されて、そしてその後いろいろな改正が行われている。特に、せんだっての改正で加入者按分率が大幅に引き上げられ、さらに逐次引き上げられて、昭和六十五年には一〇〇に引き上げられるということが決まっているわけです。その結果、ついせんだっても新聞記事等にも出ておりましたけれども、いわゆる会社勤めの人たちが入っている健康保険組合のトータルの単年度収支が赤字に転落をした。これまでは非常に黒字が多いといって、逆にある種の、何といいますか、もっと負担していいじゃないかということの言われる対象になりやすかったところですけれども、そこも含めて、単年度会計では赤字に転落をしている。 こういう中で、老健法のそういった問題に対して一体どういうふうに将来を見通しているのか、特に、六十五年に見直しということが一応入っているわけですけれども、どういうふうに見ているのか。医師会や健保連では、老人医療費というものの中における公費負担の割合をもっとふやすべきではないかという議論も出されております。また、こういった七十歳以上のすべての人たちを保障する制度というのが今の保険制度という形になじむのか、そうではなくて、義務教育のようなものですから、ある意味では社会保障トータルとしてそういう枠組みに変える必要があるのではないかという議論も一部にはあるようですけれども、そういうことを含めて、この老健法をめぐる今後の展望について、厚生大臣にお尋ねをしたいと思います。
○藤本国務大臣 御指摘ございましたように、健保組合の財政状況、六十二年度の決算を先般拝見いたしましたが、御指摘のように相当苦しくなってきておるということは事実でございまして、その原因としては、老人保健拠出金の負担が四〇%ぐらいふえてきたということが最も大きな原因であるということはそのとおりだと思います。 ただ、現状はどうかということになりますと、健保組合全体としては当面経営努力等によりまして対処ができると考えておるわけでございます。しかし、その中で個々の組合について非常に財政的に窮迫している組合も見受けられるわけでございますので、これにつきましては補助金等によりまして対処してまいり、それによって対応できるというふうに考えております。 今後の問題といたしましては、六十五年までの間に、老人医療費の動向であるとか医療保険の運営の状況であるとか拠出金の額の動向等を勘案しまして、六十五年度までに拠出金の算定方法について検討をこれから行うということを考えておるわけでございます。 それから、老人医療の財源について御指摘がございました。税で見るべきではないかという御意見、これも一つの御意見だと思いますけれども、私どもはやはり今行っております財源負担方式、つまり、皆保険下におきまして各保険制度の共同事業として各保険者からの拠出金及び国、地方の公費、こういう内容の負担の方式が現実的であると考えておるわけでございまして、中身の割合の点につきましては今後当然議論がなされることになるということは分十承知をいたしております。 それから、この老人保健制度の見直しの問題でございますが、これは六十五年度までに見直しを考えているわけでございまして、これも老人医療費並びに拠出金の動向等を勘案しながら六十五年度までに見直しを行うということになっておるわけでございます。この場合、関係審議会もあるわけでございますので、これらの御審議を踏まえながら慎重に検討してまいるつもりでございます。
○菅委員 この財政上の問題については後ほどまた年金のことも含めて議論にしたいのですが、もう一つの高齢化社会の柱である年金、特に当面する問題として、いわゆる国鉄共済がこのままでいけば六十五年度以降は毎年度三千億程度の不足金を生ずるという問題。 これについてせんだって有識懇の方で報告書が出されていて、ある程度の方向性が示されたようですけれども、しかし具体的に一体どうするのか。決して十年先とか五年先という話ではなくて、六十五年度といえばもう来年じゅうには具体的な方向を決めなければならないという段階だと思うのですが、これについて、直接には大蔵省の所管だと思いますが、大蔵大臣としてどういう考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 ただいま詳細なことを事務当局から御答弁を申し上げますが、確かに昭和六十四年度までの処置は国会に申し上げたとおりいたしたわけでございますが、その後の問題をこれから決めなければなりません。しかも、菅委員の言われますように三千億円程度の毎年の資金のショートが出るということも見当がついておるわけでございます。 そこで、有識者の方々に何カ月か御検討を願いまして、この間御意見をまとめていただきました。おまとめになる過程でもこれは当然のことながらいろいろ御議論がございましたようですが、一つの方向をおまとめいただいたと思っておるのでございます。それにはいろいろなことが書いてございますけれども、やはり第一には旧国鉄の自助努力というものが最も大事である。いろいろな意味で昔のよき時代を、よき国鉄を反映しましてかなり条件のいい支給になっておる等々のことがございますので、その後苦労はされましたが、それでもまだいろいろございますものですから、その自助努力というものがまず大事であってということを非常に強調しておられます。 これは年金問題、厚生大臣と運輸大臣と官房長官と私ということで、厚生大臣がいわば俗語では、座長でございますが行司役と言っておられます、そういうことでやってまいりまして、これからも協議を続けてまいります。他方、年金問題の閣僚会議もございますもので、来年はいわゆる、先に向かっての七十年の一元化、その前にそれをどうやって最初の固めをするかといったような財政再計算時期でもございますものですから、それも両方あわせまして、やはり来年の国会には政府の考えをそれまでにまとめて御審議をいただかなければならないということを考えておるわけでございますが、ただいま事務当局からもう少し詳しく申し上げます。
○菅委員 いや、この程度でいいです。また必要だったら事務当局の御答弁をいただきます。 年金担当相としての厚生大臣にもあわせてお尋ねしたいのですが、もう時期は迫っていると思うのです。昨日、福祉ビジョンの議論の中で、厚生年金そのものもいわゆる給付開始年限を六十五歳に段階的に引き上げたいという方針を明確にされているわけですね。そうすると、例えば国鉄共済の方は現在五十五歳の開始年限を六十歳に引き上げることが今順次進んできている。しかし、まだそれが終わるまでにはあと何年でしょうか、数年かかるわけですね。そうすると、例えばそれが追いつくのを待ってさらに厚生年金と一元化をしながらやっていくのか、あるいはこの国鉄共済については、今自助努力ということを言われましたけれども、いわば別個にやっていくのか。そういうことを見通した年金の将来展望というもの、これを今考えなければいけないもう差し迫った問題ではないか。 これは必ずしも国鉄共済が現在行き詰まっているということだけが問題でないことはもう御承知のとおりで、いわゆる成熟度の高い年金制度というのはまだほかにも、これほど激しくはありませんけれども順次あるわけですから、そういうものを段取りとしてどういう形で持っていこうとしているのか。 今言いました国鉄共済の自助努力の中での給付開始年限の引き上げの段取りと、きのう出された厚生年金の引き上げの段取り、それの関連性を含めて厚生大臣にお答えをいただきたいと思います。
○藤本国務大臣 国鉄共済年金の問題につきましては二つの側面があるわけでございまして、一つは制度にかかわる問題、それからもう一つは、公的年金の一元化の方向の中で、御承知のように七十年の一元化に向かって、財政再計算期の中間地点でございます六十四年に、各制度間で分立している今の年金制度の中で負担の不均衡をできるだけ是正をしていく、こういうことを考えて今いろいろと案を考えている状況でございますので、その中に公的年金の一つの柱である国鉄共済年金というものが関係してくる、こういうことになるわけでございます。 国鉄共済年金は、大蔵大臣から今御答弁ございましたように、まず自助努力というものが最前提であるわけでございまして、その点については厚生省といたしましても十分にお願いをしなければならぬと考えておるわけであります。 それから同時に、一元化の問題では、先ほど申し上げましたように六十四年度に各制度間の負担の不均衡をできるだけ是正する、地ならしするものは地ならしをして七十年の公的年金一元化に備えていく、こういう方向、方針のもとでできるだけこの問題を解決していかなければならぬと思っておるわけでございますが、それにつきましては、年金審議会初め関係審議会の御意見その他幅広く関係者の御意見も聞きながら成案を得ていく必要があると考えております。 それから、次のお尋ねの問題については、七十年の公的年金が一元化された中で、同一給付、同一負担、そのところに関して言えば、同じような支給開始年齢の引き上げという問題も当然その中で解決していかなければならない、そういうことになるだろうというふうに私個人としては考えておる次第でございます。
○菅委員 そうすると、まだその引き上げの連動性とかというのは、具体的に、いつまでにこうやって次にどうなるという段取りまでは決まってないということですね。 つまり、国鉄共済年金の方が現在支給開始年限を何年かかかって引き上げているわけです。まだそれは終わってないわけですよね。今五十七歳でしょうか。そうすると、それが終わるのを待ってから厚生年金の引き上げに入るのか、待たないで厚生年金の方の給付開始年限の引き上げに入るのか、そういうことについてはまだ決まってないということですか。
○藤本国務大臣 そういうことでございます。
○菅委員 それと、自助努力の内容について、この有識懇の報告書を見ますと清算事業団にもう少し負担をしてもらおうという議論が含まれているようですが、清算事業団、お金の問題は大体大蔵省がやっておられると思うので、つまり土地とJR各社の株を持っている、株については一兆二千億程度を当初見通しているということだったのですが、あるいはそういうもので予定よりもたくさんの、何といいましょうか、将来売却資金が予想されることも十分あるのじゃないか、そういう場合に、そういうものもこの自助努力の中の一要素として考えているのか、その点について大蔵大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
○篠沢政府委員 清算事業団の負担も検討をしてみたらどうかという報告書の記述でございました。この報告書が言っておりますことは、先生御承知ではございましょうが、旧国鉄時代の保険料率が成熟度との見合いで決して十分でなかったことから見て、事業主としての負担が十分ではなかったと考えられるような部分があれば、ひとつその辺を勘案して清算事業団の負担が必要ではないかという指摘でございました。 このような指摘に対してどう対応していくかということにつきましては、報告書の趣旨を踏まえまして、他の自助努力の問題と絡めまして、これから鋭意検討をしていくべきものと考えております。 今先生から御指摘のございましたJRの株の問題でございますが、JRの株と申しますか、清算事業団が持っております株式は確かに一兆二千億でございますが、そのうちの七千億は実は地下鉄の株でございます。したがいまして、JR各社の株式というのは五千億、正確に申しますとたしか四千六百億ぐらいであったと思います。そういうことでございますから、この一兆二千億がまた何倍、何十倍にもなるだろうという話で物を考えるわけにはいかないと思っております。 いずれにしても、御承知のとおり、もともとの長期債務が二十五兆六千億からスタートいたしまして、現在、土地も売却できませんし金利がどんどんふえておるという状況で、二十七兆ぐらいにきておるという状況でございますから、土地の問題でこざいましょうと、あるいは今おっしゃられた一兆二千億であるのか私が申し上げた部分であるのかは別として、株の問題といったようなものでどう対応していくといたしましても、そこからどんどん余りが出て、それでこういうものにどんどん対応できるのではないだろうかというようなことを考えて議論をしていくわけにはいかないだろう、こう思っております。 いずれにいたしましても、この株云々ということはかなりまだ先の問題でございましょうし、ここで出します清算事業団というものにどのくらい考えてもらえるのかということはかなり喫緊の課題ということでございますので、その株の問題とやや切り離したような感じで議論が進むのではないだろうか、こんなふうに思っております。
○菅委員 次に、国民年金の、これは検認率という表現になるんだそうですが、いわゆる掛金を掛けていない人がかなり多いというのを私は予算委員会等でも指摘をしたことがあるのですが、この現在の状況と、それに対して、簡単に言えばこれでいいと思っているのか、それともどうかしなければいけないと思っているのか、それについての厚生大臣の見解を伺いたいと思います。
○水田政府委員 お答え申し上げます。 六十二年度の未納率は一六・三%でございます。もちろんこれは一号被保険者グループだけをとってみた場合こういうことに相なっているわけでございますが、これのよって来るゆえんは、いろいろ分析してみますと、人口の流入の非常に激しい大都市部においてやはり大変未納率が高いということになっておりますので、私ども、やはり自動振り込みあるいは毎月払という保険料を納めやすい環境づくりをすることが大事であるというふうに考えておるわけでございます。 もちろん、前回の年金改革において給付水準の適正化を図ることによって最終保険料も大幅に引き下げを図りまして、できるだけ国民の皆さんに負担しやすい保険料にしてまいったつもりでございますし、今後やはり給付改善なり受給者の増に応じて保険料の引き上げは避け得ないところでございますが、その場合もできるだけ急激な負担増にならないように、なだらかな保険料の負担の引き上げでこの制度の維持、確立を図っていくように最大の努力をしてまいるつもりでございます。
○菅委員 これは総理にもよく認識をしていただきたいのですが、いわゆる高齢化社会の大きな柱である年金の、しかもいわゆる基礎年金と言われる、すべての国民に対して最低限は保障しようという、それが未納率一六・三、たしか六十一年度はもうちょっと高い数字だったと思いますが、こういうことがほとんど常態化している、二割弱の人が実際上は年金を受け取るときになっても受け取れないという構造が次第に定着化しているということなんですね。 そこで、これは一つの考え方として厚生大臣に。つまり基礎年金というのはすべての国民が最低限の保障を老後に受けられるという考えをとる、一応建前上とっているわけですが、実際には今言ったように二割近い人がそれから、自主的であるかいろいろな社会的な原因があるかは別としても、外れている。やはり国民の最低限の老後保障という場合に、こういう定額制の掛金という形がなじむのかどうか。先ほど言ったように、義務教育と同じように六十五歳なら六十五歳になったらこういう年金の保障が得られる、七十歳になったらこういう医療の保障が得られるということで考えれば、そういう保険制度になじむのかという議論が一方であるわけですが、厚生大臣としてはどうお考えですか。
○藤本国務大臣 この前、菅先生から、今の国民年金の掛金を払っていない人の問題、大変大きな問題があるよというお話を承りまして、すぐ帰って勉強したわけでございますけれども、今、年金局長が答弁いたしましたように、なかなか複雑で難しい問題がございまして、これはこれとして、私も真剣に今勉強しておりますのでもう少しお時間をいただきたいと思います。 今、この基礎年金部分について、これを全額国費で負担したらどうか、こういう御指摘であります。そういう考え方も確かに私はあると思います。しかし、やはり日本の国の社会保障の制度というのは社会保険方式をとっておるわけでございまして、これは何といっても一つには受益と負担との関係がはっきりする、それからもう一つは制度の効率的な運営が可能である、こういう二つの利点からこの社会保険方式というものがとられておるわけでございまして、今日国民の間で定着をしておるというふうに私は思うわけでございます。 ですから、この方式をとる以上は、保険でございますからやはり保険料を中心に考えて、それに国費を適切に組み合わせていくということになるわけでございまして、この組み合わせの割合については、まさにこれは国民の選択に負うところであるというふうに考えておる次第でございます。
○菅委員 この受益と負担という言葉はなかなか保険にとっては大義名分になっているわけですが、これは先ほど申し上げたように、七十歳以上全部の老人医療とか六十五歳以上全員の年金というのが、個別的グループじゃないわけですから、トータルですから、まさに世代間のトータルの話ですから、そういう意味では、いわゆる狭い範囲の加入者相互だけの相互扶助の受益と負担の関係が明確だというのからいえば、もっとその枠ははるかに超えているんじゃないかということでの問題提起を一応しておきたいと思います。 もう一つ、せんだって、やはりこの委員会でしたかどこかの委員会で、国民年金基金、つまり自営業者は現在基礎年金部分しか年金を受ける公的制度がないわけですが、そのときのいろいろな議論でも、厚生年金と同じような二階建てを自営業者にも認めるべきじゃないか、つくるべきじゃないかという議論があって、前向きな動きがあるというように聞いていますが、具体的にどんな展望でそのことが進んでいるのか、お尋ねをしたいと思います。
○藤本国務大臣 この点につきましては、国民年金から基礎年金という六十年の大改正がこざいまして、自営業者も被用者もすべて同じまずいわゆる一階建て部分ができたわけでございます。被用者グループにとってはその上に二階建て部分があるわけでございますが、しかし自営業者に関しては被用者に比べまして二階建て部分がない、基礎年金だけだ、こういうことになるわけで、このバランスを考えますと、自営業者についても被用者と同じように二階建て部分をつくるべきだ、その考えは私もそのとおりだと思っております。 これからの方向といたしましては、したがいましてこの二階建て部分をどうやってつくるかということになるわけでございますが、現実的な手だてといたしましては、今、国民年金法にある国民年金基金というものを活用いたしまして、これは全国一本ということで職域でつくられておるわけでありますが、この国民年金基金をつくることをしやすくする、こういうことと、もう一つは、各県単位でこの国民年金基金というものをつくりまして、各県単位で加入ができるというふうにするのがいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。 しかし、今後の進め方としては、国民年金基金の具体的な今後の活用方策につきましては現在年金審議会におきまして御検討をいただいておるわけでございますので、その御報告を見た上で早急に具体的に進めていきたいというふうに考えております。
○菅委員 これはかなり多くの国民の願望といいましょうか望んでいる部分だと思いますので、ぜひ積極的な取り組みをお願いをしておきたいと思います。 それから、もう一度全体の話に戻りたいのですが、総理に特にお尋ねをしたいというか考えていただきたいのですが、たしかことしの初めの予算委員会でしたか、国民負担率に関する仮定試算というのが、大蔵省なりあるいは、とにかく出されたと思います。 この中で、あるいは先般来の議論の中で、どこまで国民負担率を見通すのか、あるいはどこまでは仕方がないけれどもどのあたりで抑えたいと考えているのか、そういう数字の中でいろいろと、例えば四〇%台の前半とかいろいろな数字が挙がっているわけです。 しかし、この試算を見ると、実は昭和六十三年度、三六・六の国民負担の中で社会保障負担は一一・一なわけです。ですから、どうでしょうか、三分の一弱なわけですけれども、例えば七十五年度、国民負担率が四一・五、その中で社会保障負担率というのは一四から一四・五、さらに八十五年度になると国民負担率が四五・五から四六・五、その中での社会保障負担率は一六・五から一八・五。そして逆に言いますと、その差の租税負担率は六十三年度と七十五年度を比べても二ポイント程度しか上がらない、六十三年度と八十五年度を比べても三ポイント程度しか上がらないのに、社会保障における負担率の方はそれをはるかに超えて上がっていく。 つまり、ここはまさに税制協議の委員会ですけれども、国民負担率を考えるときに、税負担は余り上がらないけれども、実は社会保障負担率の方が相対的にますます上がるというのがこの試算になっているわけです。税負担の中でもクロヨンの議論がもちろんあるわけですが、社会保障の中身についても、どういう形の負担がいいのかという議論が必ずしもまだ十分になされていないと思うんですね、先ほど来、老人保健法なりあるいは基礎年金の問題について、社会保険が適正なのか社会保障が適正なのか、こういう議論についての見解を聞いたのは、そういうものを含めて見ないと本当の意味の国民の負担あるいはその内容が見えてこないのではないか。 そういう意味で、一概に結論を出すつもりは私にもまだありませんが、少なくとも社会保障負担率の伸びが租税負担率の伸びよりもかなり高い勢いになることが予想されているということについて、私はやはり検討すべき要素がかなり含まれているのではないか、つまり先ほど申し上げたように、社会保険で取るべきものと、本来社会保障として全体の枠組みの中で考えるべきものとが入りまじっているのじゃないか、そのように感じるわけですけれども、そのトータルの中での総理の見解を伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 確かに私ども議論しますときに、これは税制の議論にいたしましても、将来展望における国民負担率、やはりおっしゃるとおり、率直なところが社会保険負担と租税負担とを足したもので議論してきております。それで、どの辺までがいいかということは、これはお互いいろいろな議論があろうかと思いますが、一つの前提を置いた仮定計算をした場合、今菅委員がおっしゃったような数字は出てまいります。今の場合、政府としては、あれはたしか昭和六十年基準でございましたが、ヨーロッパのそれよりもかなり下回るところでというような表現をしてきておるわけでございます。 今おっしゃったのはさらにその中身で、例えば御議論の中で出ております基礎年金に対する議論がございましたが、これは私なりにも勉強したことがございますが、生存権の最低保障というのはやはり社会保障であって、これは生活保護じゃないかと、基礎年金というのはやはり保険理論の上へ立つべきものじゃないかと、まあ整然とじゃございませんが私なりに仕分けをしてみて、そこでその中へ幾ばくか入らなければならぬというのが、国費負担の議論は今後とも残っていく議論だろうというふうに思っておりますが、そういう議論も確かにしてみなければならぬと思うわけであります。 社会保障、生存権の最低保障というような考え方――最低保障じゃございませんが、今先ほどおっしゃった義務教育的物の考え方とでも申しましょうか、そういう範疇へ全部押し込むというのはなかなか難しい問題だと私は思いますが、この議論を進めていくに当たっては、やはり社会保障の分野とそして保険理論で支えられる分野というものがトータル福祉政策の中で詰めていかれなければならない問題だという問題意識は、私もこれは十分に持っておるところでございます。 したがって、国民負担率の中の、租税負担は長年の経験によりまして弾性値等を掛ければおおよその青写真が描けてくるわけでございますが、一方、社会保険負担の方は、なかんずく高齢化社会を迎える場合の医療費なんというのを考えますと、これは単純な弾性値で進むものであるとは私も思えませんので、その辺の究極の仕分け、これはやはり議論してみる必要がある。今何ぼぐらいに思っているかと言われると、それを定かに答えるだけの自信は私にもございません。
○菅委員 ずっと高齢化社会の問題についてお尋ねをしてきたわけですが、今総理が最後に言われたように、大いに議論すべきだ、今結論めいたことは自分でも言えないと言われている、まさにそのとおりだと思うのです。ですから我々野党はもっとこの議論をしなければ、これは決して重箱の隅の話ではないわけですから、いわゆるこの国民負担率がどうなるか、その中の極めて大きな部分を占める社会保険なり社会保障の問題がどうなるかという、財政の中ではある意味では一番大きな問題と言ってもいいぐらいの問題なわけですから、そういうものの議論が抜け落ちたまま、いわゆる政府の提案の法案の審議というものにはなかなか入れないというのは、今総理みずからが言われたことの中でも実証されたのじゃないか、こんなふうに思うわけです。 きょうのこの面での議論はここにとどめて、もう一点、やはりこの基本構想の中でも資産課税の適正化、いわゆる不公平の問題を指摘をいたしております。もう時間が余りありませんので大まかな点だけになるかと思いますが、その中で、株については相当議論がされているわけですけれども、特に土地のキャピタルゲイン課税がどうもなかなか浮かび上がってこないというか、どうしていいかということが政府の方からも出されてこない。この点について二、三お尋ねをしたいと思います。 まず国土庁長官、新たに長官になられて大変御苦労だと思うのですけれども、今国土庁で、これは総理の指示があったというふうにも報道がありますけれども、土地基本法の制定に向けて努力をされている。そういう中に、いわゆるキャピタルゲイン課税ないしは土地税制に関してもそういう枠組みの中で議論をしよう、あるいはすべきだという議論なり報道が聞こえてくるわけですが、そういったものを含めて、現在、土地基本法の準備の状況なりについてお話しをいただきたいと思います。
○内海国務大臣 ただいまお話がありましたように、きょう第二回目の土地基本法に関する懇談会を午後から開く予定にいたしております。早急に結論を出して国会に提出の準備を進めていこうということで鋭意努力をいたしております。 ただいまの御質問に対しましてお答えを申し上げますと、土地対策を強力に推進するためには、さきに政府で決めました総合土地対策要綱に基づきまして、開発利益はその一部を社会に還元し、社会的公平を確保すべきこと、土地の利用と受益に応じた社会的な負担の公平等の基本的認識が総合土地対策要綱にうたわれております。この基本的な認識を生かして今後の土地税制のあり方を検討するためにも、現在行っております土地基本法に関する議論の中で関係省庁とも十分協議をいたしまして早急に結論を取りまとめたい、こう考えております。
○菅委員 野党四党は、既にいわゆる不公平税制の十項目の第二項目において、まさに今国土庁長官の言われた開発利益あるいは受益に対する負担の公平化というものを念頭に置いて土地税制の改革案を具体的に提示をしているわけです。 一つには、固定資産税評価額を公示価格水準にそろえるべきではないか、そのかわりには小規模な宅地所有の人たちに対しては減免をする、あるいは営業が妨害されないように、営業に支障がないように何らかの措置は講ずる、それはもちろんですが、基本的にはそういった固定資産税評価額を実勢価格に近い公示価格に合わせるべきではないか、これを含めて幾つかの提案をしているわけです。 この議論はもうこれまで何度も他の委員会で自治大臣とは意見を交わしたわけですけれども、自治大臣に、この野党案に対する見解と、もう一つは、保有税トータルについて土地税制においてやはり何らかの手当てが必要ではないかということを思っているわけですが、もし野党提案に対して否定的な見解を述べられるのであれば、逆に大臣の方からそろそろ、野党の提案はこういう点が問題だけれども自分の方はこう思うのだというのがあれば、ぜひ聞かしていただきたいと思います。
○梶山国務大臣 確かに土地税制をとらえる場合に、いわば土地政策というか土地対策というか、あるいは極言をすれば地価対策、こういう面からの税制を考えることは当然でございますが、今国土庁長官がお答えになりましたように、いわゆる土地政策についての広範な検討を進められている段階でございます。ですから、私がむしろ自治大臣として答え得る範囲内のものは、現行の取得、保有、譲渡、こういうものに適正な課税がなされているであろうかどうか、こういう問題を絶えず考えなければならないわけであります。 御案内のとおり、地方税に占める資産課税は約六兆円でございます。特に市町村における固定資産税は五兆何がしかでございまして、市町村税の約三分の一を占めているわけでございますし、この三分の一を占める固定資産税はその資産の保有を前提として課税をするものでございますから、時々、菅委員がお話しになられるように、むしろ税制の強化をすべきではないかということがございますが、善良な方々が保有を前提としてどの程度担税能力があるかということを考えますと、これを一挙に高めることは全国的な平均から見ますと大変難しい問題でございます。ただ、東京における地価の高騰だとか一極集中だとか、あるいは他面、過疎というような問題をとらえて、土地の税制からこれをどう見直すかという問題になりますとまた別個な問題があろうかと思いますが、なかなか私自身結論を持っているわけではございません。 いずれにいたしましても、そういう普遍的な税源である市町村の大変大切な税でございますから、一挙に高めることによってこれが流動化を進める、そういうことになりますとむしろ安定社会を崩す要因にもなるのではないか。 ですから、今委員御指摘のように、確かに資産の問題で株、証券に対する意見は高まりましたけれども、土地に関しては残念ながら正反対の意見がございます。もっともっと固定資産税、特に住宅用地やその他の固定資産税は下げるべきだという意見。ですから、現実に今減税額は約一兆二千億になっておりまして、現在の宅地の課税は約五千億でございますから、倍以上のものが既に減税というか減免の対象になっているわけであります。片や、地価高騰に従って固定資産税が上がることに対して減免をすべきだという意見、あるいは土地の流動化を助長するために土地に対する課税を強化すべきだ、これは、もちろん先生のおっしゃるところは決して宅地の課税強化ということではなくて、法人やその他の遊休、広大な土地に対してだと思いますけれども、その識別が、あるいはどこでその線を引くことができるか、地方税の範疇内で考えることは大変難しい問題でございますので、土地政策全般でこの問題の考慮を図ってまいりたいと思います。 なお、幾つかの評価額がございますが、なかなか言うべくして一本化が難しいという現状、こういうものも踏まえながらなおその検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○菅委員 自治大臣、もうこの議論は何回もやって、率直に言ってもう少しおわかりいただけたかと思ったのですが、今何か非常に矛盾をしていて困っているようなことを言われたわけです。私は何度もそれは矛盾ではない、両方が解決できるのだ。つまり、その基準が三百三十平米なら、三百三十平米以下は今程度の水準で課税をするけれども、それを超えたところについては実勢価格に近い、せめて公示価格水準で課税をすればいいじゃないか。こういうことは野党提案の中でも説明をしてきたわけですし、他の委員会でも指摘をしてきたわけで、そうすれば自然に、大量に土地を持っているところの人はそれを高度に利用するかあるいは売却をする。自分の家だけ持っているような人は、大体百坪といえばまあまあの水準でしょうからそれだけの内側はそんなに追い出し税なんかにはならない。何度もそのことは申し上げているので、決して矛盾をする、それでどっちをやっていいかわからないなんということにはならないわけですね。 この問題はもう繰り返しになりますので、もう一つだけ相続税で、これはなかなか微妙な問題もありますけれども、農地の相続、私は農業地域における農地の相続というのは、農業を守るという立場でやられるのは当然だと思うのです。しかし、東京などの三大都市圏、市街化区域内なんというところは、確かに農地であっても、ある日突然ワンルームマンションが建ってきたり、ある日突然そこに何か大きな建物が建ったりするわけですけれども、農地相続というものがどうなっているのか。例えば、東京の一反、三百坪の畑、これが農地の畑の場合、相続税評価は幾らになっていますか。
○伊藤(博)政府委員 東京の場合のケースでございますが、先生お話しの価格は農投価格で言っておられるかと思います。それで見てまいりますと、東京は現時点、田畑十アール当たりが九十五万円でございます。(菅委員「それは田んぼでしょう」と呼ぶ)失礼しました。畑の方は八十四万円でございます。
○菅委員 総理、おわかりですか。十アールというのは大体一反、三百坪です。田んぼであれば九十五万、畑であれば八十四万。私の住んでいる武蔵野市でいえば実勢価格が大体二百万から三百万はするでしょう。これは一坪ですよ、一反ではありませんよ。それが三百坪で八十四万とか九十何万なんですよ。一坪になるとそれの三百分の一。どうなりますか。二千円か三千円でしょうか。結局、土地をたくさん持っている人というのは、大都市でいえば個人では従来農地として持っている人なわけです。 先ほど申し上げたように、農業を守ることは非常に重要だと思います。しかし、そのことと大都市における土地を考えるときに、これは固定資産税でもいろいろ宅地並み課税の議論が山とありましたけれども、それでも非常に問題があると同時に、農地の相続についても、都市の土地についてはそれでいいのかという議論をやはりちゃんと議題にのせるべきではないか、まさにここは税制協議の場なんですから。それを、よくわからない農業投資価格なんて言って、農業投資価格なんというのは私も調べるまで知りませんでした。それがそういう数字になっているということなんですね。 そこで、そのことも含めて、もう時間も少なくなりましたので総理に特にお尋ねというか見解をお聞きしたいのですが、例えば経済企画庁が六十三年版の国民経済計算年報で出している数字を見ますと、六十一年末の日本の総資産は四千五百二十四兆円だそうです。その中で土地の総資産が千二百六十二兆円です。約千三百兆円に対して土地に対する固定資産税が幾らかかっているか、聞いてみましたら約二兆円です。ですから、千三百兆円に対して二兆円ということは〇・一五%ぐらいでしょうか、実効税率は。また、この千二百六十二兆円の中で、たしか昭和六十一年の一年間だと思いますが、一年前との比較でいうと土地だけで二百四十四兆円の値上がり利益、キャピタルゲインがあったということです。 しかし、現実にはこの二百四十四兆円に対してどうやって課税ができるか。売却をしなければ譲渡益にはならない。固定資産税は、先ほどの自治大臣の答弁のように、いろいろあってそう簡単には上げられない。ですから、二百四十四兆円というのは、企業でいえば含み資産、個人でいえば何と言うのでしょうか、資産としてずっと大きくなっているけれども課税対象にはなっていない。もし、千二百六十二兆円の土地に対して地方税法で言うように一・四%税金をかけたら、私もこのとおりかけていいとは思いませんよ、思いませんけれども、もしかけたら十八兆円ぐらいになるのですよ。もうほかの税制改革なんというのは一つも要らなくなるわけですよ。 そういう意味を含めてどうでしょう、総理、いわゆる資産課税、株はいろいろ議論があったわけですが、土地の議論については残念ながら私が知る限り政府側から何一つと言っていいぐらい出てこない。これについての総理の見解を伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 菅委員が、予算委員会でございましたか土地対策特別委員会でございましたか、昭和二十一年の自作農創設特別措置法のときのお話でございます。それはあなたのお生まれになった年であって、私は最初の農地委員をやっておりましたので、それから関心を持ってその法律をもう一遍読み直してみました。だが、確かに現状とは全く乖離――全くというか、もう全く乖離しておるという感じは持ったわけでございます。 しかし、いつも議論しますように、今の考え方は、いわゆる未実現の所得に対する課税という論議を避けて通るわけにはまいらない問題だと私は思います。したがって、税制上のお答えは、特別保有税とか、また地方税の基本税の一つであるところの固定資産税であるとか、そういうもののあり方を総合してこれは検討すべき課題であるというふうにとどめておるわけでございます。 そこで、あの土地対策特別委員会ができて、それこそこれも四党で土地基本法というものを、私も十分読ましていただきました。それで、あれからやはり基本法というのが単なる哲学で終わらない形のものが何とかつくれないかというようなことが、それに刺激を受けて、内海さんのところで今懇談会をやっていこう。そうすると、あそこは税制を議論する場では必ずしもございません。が、あれだけの面々がおそろいになって御議論いただければ、一つの方向性と言うと少し税調の範疇を侵すようになりますが、一つの見識がいろいろな形で集約されるのじゃないかなという期待感も持ちながら、あの懇談会の推移を私も大変注目しておるというのが現状のお答えになろうかと思います。
○菅委員 じゃ、これで終わります。
○海部委員長代理 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四分休憩 ────◇───── 午後一時一分開議
○海部委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。吉井光照君。
○吉井委員 昨日、政府は「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」という高齢化社会の福祉ビジョンを発表されたわけでありますが、この中で、ショートステイは五万床程度、またホームヘルパーは五万人程度の確保、デイサービスを将来一万カ所、特養、老人保健施設合わせて定員五十万人程度、また国民負担率を五〇%以下に抑える等、若干の数字が示されているわけですが、総理が言われるように、これは政府としてはぎりぎりのもののようであります。これを見ても二十一世紀を目前にして、私は急速に進展する高齢化社会への対応はまさに二十一世紀最大の政治課題であると思うのでありますが、まず、こうした高齢化社会に取り組む総理の抱負をお伺いしておきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 私どもが国会に出ました昭和三十年代、福祉国家という定義はどうか、こんな議論をしたことがございます。そのときに、およそ働く意欲のある国民が、その能力、適性に応じて職場のある社会、そしてその意欲あるなしにかかわらず、いろいろなハンディがあって働き得ない人々には国が徹底的な社会保障政策を行う、こんな定義づけをしたことがございますが、それは今にして思えば、やはり何か完全雇用的な角度から見た福祉の入り口だったような気がいたしております。 したがって、今前提に置かれました高齢化社会というようなものを前提に置きますと、やはり長い生涯を健康で生きがいと喜びを持って過ごすことができるような活力に満ちた長寿・福祉社会実現、これがそういう前提に置いた福祉政策の基本ではなかろうか。そうなると、そこに年金、医療、福祉という問題がおのずから浮かび上がってくる、こういう感じに私自身も時代の進展とともに変化してきたのかなという感じを持っておるわけでございます。
○吉井委員 今総理から抱負をお伺いしたわけでありますが、この福祉ビジョンからいいましても、今後厚生省の役割というものはまさに重かつ大といいますか、そう言わざるを得ないわけであります。ところが、今年度までの厚生省予算に対しての大蔵省の考え方は余りにもシビアなものがある、そのように思われるわけであります。 そこで、まずシーリングの問題について、六十四年度厚生省予算の編成ということも絡ませましてお尋ねをしたいと思います。 政府全体の六十三年度の概算要求基準は、これはシーリングですが、対前年度予算の一・八%、六千億の増額となっております。これに対して厚生省予算は、六十三年度の当然増見込み額が七千億、このように言われておりますが、一省だけで政府全体の増額枠をオーバーしてしまうわけで、国保制度の改革であるとかまた医療費適正化の推進、さらに厚生年金の国庫負担の繰り入れ特例の増額で国庫負担を削減をし、対前年度四千四百億の増額で概算要求を行ったわけであります。そして年末の予算編成では、ここからさらに政管健保の繰り入れ特例などで千四百五十億円の削減となっているわけであります。 このような構図は五十七年度予算以来毎年ほとんど同じような形で行われてきたわけで、厚生省の縮減策が尽きることのないような感じさえするわけですが、中身を見ますと、これにはいろいろな異論があるかもしれませんが、医療保険や老人保健制度の改革と補助率見直しを別にすれば、国庫負担の繰り延べを初めとする財政の帳じり合わせの多いのが目につくわけであります。 また政府は、シーリングは特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引き下げのためにある、このように言われるわけですが、一般会計は新たに年金や医療保険から借金を始めたわけで、これでは借金返済のための借金にすぎないわけであります。 また、ことしは特に抜本的税制改革という大きな流れがある上に、最近の税収の伸びも非常にいい。例えば六十一年度決算で租税、印紙収入を当初予算と比較するならば、一兆三千百六十八億円の増額、六十二年度二次補正で同じく当初予算に比べて一兆八千九百三十億の増額となっております。六十三年度も税収は好調のようでございますし、もはや原則マイナス一〇%シーリングをかけなくても、歳入は十分足りるのではないかとも言われているわけです。 何よりも諸外国に例を見ない速度で進行している高齢化のために、社会保障給付費は著しい伸びを示しておるわけですが、このような財政の帳じり合わせの手法ではその限界に達しているわけで、こうした点を考え合わせますと、今こそシーリングの撤廃あるいは緩和などの何らかの見直しをすべきときではないかと思うわけですが、この点につきまして総理、そして大蔵大臣、厚生大臣からのお考えをお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 政府は、従来から、概算要求基準のいわゆるゼロベース、続いて最近はマイナスベースということで予算編成をやってまいりました。 これは財政のエゴということではございませんで、国民経済の現在並びに将来を考えますと、どうしてもここでいたさなければならないということで、各省庁の協力を得てやってまいりましたわけでございますが、なかんずく厚生省の関連では、ただいま吉井委員の言われましたような要因が毎年ございまして、このような中でともかくゼロシーリング、マイナスシーリングをやれましたにつきましては、厚生省の理解と協力に負うところは非常に多うございます。 他方で、そういう中で制度あるいはその運用についてもいろいろ改良の工夫もなされてまいりました。これはある意味で金が足りないということの、いわば一つのそこから生まれる工夫でございますけれども、そういうこともいろいろに行われてまいりました。ただ、ただいま言われましたような事情は、非常な協力を得ているだけに私どももよくわかっておりまして、最小限しなければならないことは、これはしなければならないという、だれが考えてもそうであると思っております。 そういうことではございますが、税収も好調であるから云々、この好調がいわばいっときだけのものと、そうでない部分とに必ずきっと分かれていくのであろうと思いますが、なかなか予断を許しませんし、ともかくも赤字公債の新発を六十五年度にはやめたいという、これは非常に大きな仕事、目標を、財政のエゴという意味でなく、この委員会でもたびたび御指摘のありますように考えておりますものでございますから、公共事業等々のものは別といたしまして、六十四年度予算編成におきましても、やはり従来の厳しい方針は貫かざるを得ないだろう。この点は既に閣議においても御了解を得ているところでございまして、各省庁の大臣の御協力を得まして、何とか足りないながらも最小限の御満足のいけるような予算編成をいたしたいと考えておるところでございます。
○藤本国務大臣 厚生省の予算につきましては、御承知のように既に十兆円を超えておりまして、うち七割が年金、医療の予算であります。人口の高齢化に伴いまして、年金、医療の予算につきましては当然増の性格があるわけでございまして、一律のシーリング枠の中でおさめるということは極めて困難であるわけであります。そこで、これら当然増の経費につきましては、特別枠を設定をいたしまして対処されているわけでございますが、限られた予算の中で社会保障の水準を確保していくために、今後とも必要な予算の確保につきましては最大の努力を払っていかなければならない、かように考えております。
○竹下内閣総理大臣 シーリング枠を見直す時期が来たんじゃないか、大要そういうお尋ねでございます。 我が国の予算、たしか決算ベースで見ますと、昭和二十八年に一兆円を総額超しました。それから四十七年度予算のときに十兆円、たしか十一兆ぐらいであったと思います。しかし、一方概算基準の設定というのは、昭和三十六年でございましたか、五〇%という大変なものでございますけれども、それが設定されて、概算要求基準におけるシーリングというものは、私は予算編成の手法からいいますとそれなりの意義がずっと今日まで継続しておる。 ただ、その率の問題ということになりますと、御案内のように昭和五十五年が一〇%でございましたか、五十六年が七・五、五十七年がゼロ、それから五十八年からいわゆる今吉井委員御指摘のマイナスシーリングという中で、いろいろな工夫をしてぎりぎりの調和を図りながら予算編成をしてきておるわけでございます。 と同時に、一方、財政再建のいつも申しますまずは第一義の目標は、六十五年度赤字公債依存体質の脱却ということになりますと、自然増収があれば、それだけのものは可能な限り出納整理期間内における公債発行額を減すことによって、それに充当するという厳しい考え方で基本的には来ておるわけでございますので、六十五年度赤字公債脱却という目標に向かって進むとき、先ほど大蔵大臣からお答えもございましたように、一つのシーリングの決定というものは閣議決定を既に終えて、今各省の知恵の出しどころということで協力体制をお願いしておるところでございますので、御理解をいただきたい、このように考えるところでございます。
○吉井委員 今厚生大臣もちょっと触れられましたいわゆる当然増経費の問題でございますが、政府は七月十五日の閣議で六十四年度予算の概算要求基準を決められたわけです。それによりますと、政府全体の概算要求基準額は九千百億増、これは対前年度比二・八%増ですね。この中で厚生省関係分では四千六百二億増、これは対前年度比四・四六%の増となっております。これに対しまして当然増経費、これは医療費及び年金等で六千億、このように推計をされておりまして、結局厚生省の予算要求では、六千億からその基準増加額の四千六百二億を差し引いた約一千四百億円、これをまた削減をしなければならない。これに対してまた法改正でもされるのか、一体どのような措置を講じようとされているのか。厚生大臣、この点はどうでしょう。
○藤本国務大臣 御指摘のように、我々が考えております当然増と概算要求基準で認められました金額との差、千四百億円程度あるわけでございまして、それを今後どのようにして対応していくかということは、実は正直申し上げまして極めて頭の痛い、また難しい問題でございます。考え方といたしましては、医療費の適正化ということもありましょうし、またその他の問題もあると思いますので、今後年末の予算編成までに知恵を絞って対応を考えていきたいというふうに考えております。
○吉井委員 先ほど総理も、各省庁で知恵を絞り合って、このようにおっしゃっておりますが、各省庁とも五十七年度からずっと、もういろいろな知恵を絞り尽くしてきたのではないか、このような気もいたすわけでございます。 そこで、繰り延べの特例措置の扱いについてお尋ねをするのですが、これも去る七月十四日に厚生大臣が大蔵大臣に厚生省予算の要請をされた際に、厚生大臣は、厚生年金の国庫負担繰り延べの特例、これはいわゆる六十三年度までの措置となっておるわけですが、六十三年度ベースで三千六百億、過去の繰り延べ累積分と利子を含めますというと約二兆四千億程度になるわけです。これ以上繰り延べを続けることは、やはり国民の年金制度に対するところの信頼を損ねることになりかねない。したがって、六十四年度は繰り延べはやめて、本来の姿に戻すべきじゃないか。また過去の繰り延べ累積分については、六十三年度からでも早期の返済を検討してもらいたい旨の強い要望があった、このように聞いているわけです。 これに対して大蔵大臣は、厚生省の要請は十分に理解できる、そして繰り延べの特例措置は、厚生大臣の意見を十分に受けとめて年末の予算編成までに相談をしたい、また過去の累積分の返済問題は、大変厳しい問題であるが検討すべき課題であることは認識している、このようにお答えになったと聞いております。 超高齢化社会を迎えつつある現在、国民の最大の不安はやはり老後の生活であります。土地は高い、そして物価も高い、税金も高い、医療費も高い、安いのは生活保障の年金だけだというのでは、余りにも夢がないわけでして、せっかく行財政、福祉ビジョンも提示をされ、抜本税制改正もやろうとするのであるならば、もうここらで過去の借金はきれいに清算をした上でスタートすべきではないか、このようにも思うわけであります。六十三年度に同じく期限切れとなる補助金等の臨時特例等に関する法律による国庫負担の原状回復を早急に行うべきであると思うわけですが、総理、大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 厚生年金の国庫負担の繰り延べ等の問題も、先ほど申し上げましたように厚生省当局のいろいろな御協力を得てやらせていただいていることでございますが、六十四年度以降この措置を延長するかどうかということは、やはり年金財政の安定、国民の年金制度に対する信頼といったようなことはまことに大事なことでございますし、他方で国の財政の事情もございます。それらを勘案しつつ、六十四年度予算編成の中で、厚生大臣と御相談をさせていただきながら検討してまいりたいと思っております。 なお、過去の累積分の返済についてでございますが、これはせんだっても申し上げたところでございますが、とにかく一般会計が特例公債に依存をしている、赤字公債を出しておるという現状を脱却いたしましたときにできる限り速やかな処置をとりたい、それまでひとつお許しを願いたいというふうに考えておるところでございます。
○竹下内閣総理大臣 この点につきましては、今大蔵大臣からお答えがあったとおりでございます。なかんずく特例の問題等につきましては、私が大蔵大臣でございましたときに古屋自治大臣等との文書を作成したこともございますので、それについては十分責任を感じておるものであります。
○吉井委員 次に、政府の福祉ビジョンについてお尋ねをしていきたいと思います。 まず最初に、我が国のノーマライゼーション、この意義についてお尋ねをしたいのですが、政府の福祉ビジョンの中にも「「ノーマライゼーション」を基本理念」とする、このようにうたってあるわけです。社会福祉というものは、すべての人が人間らしく生きる権利、そして自立した社会的人間として生きていく権利を持っているという、そういった考え方を土壌として展開すべきものだと思うわけです。人口の高齢化、そして核家族化の進展に伴う社会に対して、福祉の需要もまた非常に多様化、高度化し、いろいろと変化をしていく中で、これに有効に対応するための理念となるものが私は福祉のノーマライゼーションと考えるわけです。 ヨーロッパ諸国におけるノーマライゼーションは、これは徹底した福祉政策を見ればわかるように、お年寄りや障害者が地域生活の中で何の差別も、そして何の境界もなく通常の人と同様の生活をしていることと比較しますと、少々異なるような気もするわけですが、我が国における福祉のノーマライゼーンョンとは一体どういうことを指しているのか、この点について総理と厚生大臣にお伺いをしておきたいと思います。
○藤本国務大臣 福祉につきましては、よりよい生活をするための努力ということが基本にあると思うわけでございまして、そのためには個人の自立自助、社会の相互扶助、公共のサービス、この三つが側面としてあるわけでありまして、この三つが適切に組み合わされるところに福祉の充実があるというふうに私どもまず基本的に考えております。 それからノーマライゼーションの問題につきましては、かねがね公明党の基本的な福祉政策の一つであることを承知いたしておりまして、つまり高齢者、また身体に障害のある方々が一般の市民の方々と同様の生活ができるような社会をつくるという理念、ノーマライゼーションでございますが、この理念、考え方というのはまさに厚生行政を進めていく上での基本的な考え方の一つであるというふうに認識をいたしております。
○竹下内閣総理大臣 いわゆるノーマライゼーションというものが国会で議論されて、それがもちろん官報号外に載っておるのはいつかと思って調べていただきましたところ、昭和五十五年一月三十日の速記録がございまして、まさに国会での議論として取り上げられた初めてのケースであるというふうに聞かされております。ここにいらっしゃる藤波さんも労働大臣として答えたりしておられるのをきのう読ませていただいたわけでございますが、基本的に言うならば、ノーマライゼーションというものは、高齢者であれあるいはお体の悪い方であれ、そうしたハンディキャップを背負った人たちが存在しておるということを対象にしていろいろな施策を行うのでなく、その方々が社会の中にいらっしゃることがノーマルな状態だという前提の上に立って、ある種の大変な意識転換でございましょう、そういうことに立って諸施策を行うべきであるというのが基本的な考え方であろうというふうに考えております。
○吉井委員 そこで、我が国の社会保障水準ですが、組合健保が初めて赤字になったのは老人医療費のツケを回されたせいである、このように健康保険組合連合会は発表をしているわけです。厚生省も老人医療費増で政管健保の台所も火の車で、来年度の保険料アップも必至だ、このようにおっしゃるわけですが、このようなお年寄りに肩身の狭い思いをさせる調査結果が相次いで発表されているせいか、年をとったら医療費を使わずにぽっくりと死んでほしいと、あちらこちらから責められているような気がすると漏らすお年寄りも少なくない、このようにも言われております。 では、果たして我が国は社会の先輩をそんな気持ちに追い込むほど貧しいのだろうか。まず見きわめねばならないことは、老人医療費を含めた我が国の社会保障費というものが経済の規模に比べて大き過ぎるかどうかという問題。社会保障研究所の発表によりますと、一九八三年の先進各国の数字を比較いたしますと、国民所得に対する社会保障給付費の割合は、スウェーデンが四三%、フランスが三七%、西ドイツが三一%、イギリス二六%、アメリカが一八%に対して日本は一四%である。医療給付も同様の傾向を示しているわけであります。他の国々が日本より高齢化が進んでいることを割り引いて考えたとしても、私は決して高過ぎることはない、このように思うわけでございます。 また、先ごろ開かれたある新聞社主催の「不安なき老後」というシンポジウムで、ある大学教授は、個室制のナーシングホーム、無料の二十四時間体制のホームヘルプサービス、またすばらしい障害者用補助具センター等々を備えるデンマーク並みの老人の在宅ケアと施設ケアを日本で行うためには、追加経費が年間三兆四千億円必要であるとの試算を示しているわけです。もちろんこれは小さな数字ではありません。しかし、我が国の活発な経済活動全体の中で支え切れないほどの額であるかどうか。そうした比較できる資料を含めて、政府は国民にわかりやすい判断材料を提供すべきときではないかと思うわけでございます。 ちなみに、世界に先駆けて福祉国家をつくり上げた国だけに、スウェーデンという国には盲目の福祉大臣が誕生をしております。ベングト・リンドクウィスト氏、五十二歳ですが、ごく一般の家庭を持って普通の生活をしていらっしゃる。書類に目を通し、サインする作業は大変なハンディを背負っているわけですが、こうしたことをハイテク技術と秘書を武器に見事に克服していらっしゃる。何度も挫折をしかけたことだろうと思うわけですが、こうした人の存在は、同じ障害者に、また国民に大いなる希望と勇気を与えてくれ、またこうした人が本当の意味での心の通った、人の痛みのわかる福祉行政のできる人ではないか。我が国におきましても、体の不自由な方、母子家庭の母子、ひとり暮らしの老人、そして寝たきりの人を介護している方々の苦しみ、悩みを本当に理解できる大臣や内閣であってほしいと願うのでありますが、先ほどの質問に対する御答弁とあわせて、この点についての御所見をお聞かせ願いたいと思います。
○藤本国務大臣 我が国の社会保障の水準と欧米の社会保障の水準が一体比較してどうか、こういうことでございますが、概して申し上げますと、今日までの努力によりまして、欧米の社会保障水準に我が国の社会保障水準も到達をしておると言って決して過言ではないと思います。 御指摘のように、そういう水準は同じでありながら、社会保障の給付費の国民所得に対する割合が欧米に比べて日本は低い、これもまた事実であるわけでございますが、この最も大きな原因は高齢化の差でございます。日本の人口の高齢化率一〇・六に対してヨーロッパにおきましては一五%程度であるわけでございまして、やがて二十一世紀には、今の欧米並みの高齢化率一五%前後に日本も到達するわけでございます。その時点では現在の国民所得に対しての負担率は約倍ぐらいになるということでございまして、金額も水準も欧米と同じにそのころにはなるというふうに考えております。 それから、厚生行政を担当する者に対しての心構えとしていろいろな御意見がございました。私もまさにそのような考え方で厚生行政、特に福祉の点につきましては大臣として対応していかなければならないと言い聞かしておる次第でございます。
○竹下内閣総理大臣 確かに御指摘のとおりでございますから、今後人口の高齢化が進むに従って、我が国の社会保障給付費の規模も増大していくというふうに私も思います。一つには、我が国のいわゆる働く年齢が広がっておる、あるいは失業率も低い、こういうようなこともあるいは一つの要素かもしれません。しかし、基本的には高齢化社会が進行していけば、それだけの給付はふえていくということは十分念頭に置くべき問題である、そのとおりであると思います。 人生わずか五十年と言っておりましたが、男性が五十を越したのが、これは平均寿命の話でございますけれども、昭和二十二年五十・〇二歳でございましたか、それから、私が国会へ出ましたときに覚えております数字からいうと、今十一歳延びております。男女ともに十一歳。目方が三貫目、身長が三寸、こういう覚え方を私いたしておりましたが、それが人口構造の中でさらに高齢化社会が進行しておる。これからそれがヨーロッパ並みの水準になっていくから、それについては心していなきゃならぬ問題だということは、厚生大臣からもお話がありましたとおりであります。 それから、厚生行政の中にスウェーデンの例をお引きになりましたが、私は、その人はたまたま社会保障担当でありましょうが、そういうハンディを背負った方が、それは社会保障担当じゃなくても、総理大臣であれあるいは外務大臣であれ大蔵大臣であれ、そういう社会が本当の成熟した、いわゆるおっしゃるノーマライゼーションの本当の理想的な終局的な姿じゃないかなと思いながら、話を聞かせていただいたところでございます。
○吉井委員 では次に、福祉行政組織の整備についてお尋ねをいたします。 高齢化社会への体制整備でまず第一に必要なことは、行政組織の体系的整備ではないかと思います。高齢者問題は、従来からその弊害が指摘されているところの縦割り行政では無理じゃないか。各分野がばらばらにかかわるのではなくして、総合的かつ一貫性を持って対処するのがやはりあるべき姿ではないかと思います。例えば寝たきり老人対策を一つとっても、施設、サービスの低水準や在宅サービスのためのマンパワーの不足に加えて、保健、医療、福祉の連携は不十分で、国民が望んでいる患者、家族を中心とする総合的、継続的支援体制の確立ということにはほど遠いような気がいたします。 したがって、高齢化社会への各種対策の整合性を確保して総合的に施策を遂行するためには、総理府に総合的に高齢化社会問題を扱う専門的な機構を設置して、そして行政組織の改革や事業執行体制の明確化を図る。また、各省庁の高齢化対策を見直して、そして体系的、整合性の観点から行政組織の整備などを進め、各省庁間で有機的に連携できるような対策を講じる必要があるのではないか。また、政府の諮問機関、審議会等はやはり相互に乗り入れをして審議をし、そして高齢化対策については整合性ある提言もできるようにしたらどうか、このように思うわけですが、総理の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 基本的には今おっしゃったような考え方に基づきまして、総合施策の展開が必要だというところから、昭和六十年の七月でございます、内閣に長寿社会対策関係閣僚会議を設置して、そして大綱を定め、そして雇用・所得保障、健康・福祉、学習・社会参加、住宅・生活環境等各般にわたる施策をそこで調整をしてきておる。総務庁においてこれは中心となって、関係各省庁の緊密な連携のもとに総合的な対策を進めていこう、こういう考え方でございます。 恐らく今吉井委員おっしゃいましたのは、かつて総理府に青少年問題協議会というものを各省にまたがる総合調整として置いておったことがございますが、その役割は、かつての総理府のその仕事は今内閣官房に移っておりますが、総務庁で総合調整の役割をしていただいておるというのが現状でございます。
○吉井委員 では次に、福祉五カ年計画の策定についてお尋ねをしたいと思います。 昨日の本委員会で政府から提出されました福祉、行財政改革の両ビジョンの審議の中で総理は、両ビジョンの実行については五年刻みぐらいのところで議論をしたい、このようなことをお述べになったようですが、さらにもう一歩踏み込んで、両ビジョンの具体的な目標を計画的に実行するための総合福祉あるいは総合行財政改革五カ年計画の策定をしてはどうかと思うわけであります。 例えば、総合福祉計画は、高齢者を含めて国民だれもが健康で文化的な生活が営める最低限度の水準を下回らないようナショナルミニマムを設けて、そして住宅、年金、教育、就業、医療、福祉の六つの分野について目標を設定し、これを実行する年次計画を明らかにすることだと思いますが、やはりこうした具体的な計画を立てて進まないと、ただ抽象的な長期展望では施策というものは進まないと思います。したがって、五年刻みぐらいということをせっかくおっしゃったわけですから、五年刻みであるならば一年ごとの計画も策定をして、そして着実にその方策を進めていくということが私は大事なことではないかと思うわけですが、この点、総理、いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 確かに私申し上げました。「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」こういうものをお出しした。これは言ってみればまさに長期の一つの青写真であろう。一方ナショナルミニマムというのは、社会経済状態の進展によってそれは変化してくるということもあり得るでございましょうが、抽象的に申しましてまさに青写真そのものをお示しした。これを実現するために着実に努力をしていかなければならぬというふうに思っております。 そこで、そのときもちょっと例示で申し上げましたが、これは少し具体的過ぎるかもしれませんが、国鉄共済というようなものは六十四年までの一つの施策というのをお示しして、したがって来年度は六十五年度以降の問題の決着をしなければならぬということもあります。それから一方、かなり前から年金統合七十年ということを申しております。したがって、諸施策が必ずしも五年ということに集約されるかということについて自信があって申したわけじゃございませんけれども、各種経済計画なんか、古くは昭和二十五年ぐらいでございましたか、たしか昭和五年から八年程度の水準にまで返るための経済五カ年計画というものの目標が、そんなことが書いてあったことを覚えております。したがって、五年計画が一番一般的に多いということから五年というようなことを申し上げましたが、そういう年次計画の考え方というものは私にも理解ができますので、十分勉強させていただく課題であろうというふうに思っております。
○吉井委員 では次に、ホームヘルパーの人材確保についてお尋ねをしたいと思います。 昨日の政府ビジョンでは、七十五年度を目途に、高齢者等の日常生活の世話をする家庭奉仕員、すなわちホームヘルパーを五万人程度確保する、こういうことですが、確かに二十一世紀の高齢化社会を考えますときに、ホームヘルパーの役割そして使命、これは非常に重いわけでございます。ところが、その仕事の内容はいわば非常にダーティーな面が強いせいか、医師などのような社会的な地位には見られないわけです。また賃金面においても恵まれていない。しかもオーバーワークが重なったのでは、現実問題として人格のすぐれた有能な若い人材確保は極めて困難ではないか、このような気もするわけでございます。したがって、どうしたらそのような優秀な人材確保が可能と思われるのかどうか、これは厚生大臣、いかがですか。
○藤本国務大臣 高齢化社会におきます福祉の最大のポイントといいますか重点は、御指摘のように要介護老人の対策であるわけでございます。特に二十一世紀以後は、七十五歳以上の方の方が六十五歳から七十四歳までの方よりもふえるわけでございまして、いわゆるオールド・オールドの方の方が増加をする、こういう状況でございますから、特に七十五歳以上の方々の要介護対策というものが高齢化社会の福祉の最大のポイントになると思います。その対策として在宅における介護というものに重点を置こうとしておるわけでございますから、まさに家庭奉仕員、ホームヘルパーを確保していくということは、これは非常に重要な課題になるわけであります。量的と質的な両面がございまして、六十三年度では二万七千人の数でございますが、これを七十五年度には五万人にしていきたいと考えておるわけでございます。 それから一方、資質の向上につきましては、昨年度から講習会制度をつくりまして、そういうことによって資質の向上を図っておるわけでございまして、在宅における老人の方々の介護の大きな柱としての家庭奉仕員の確保、これは今後とも最大限の努力をしてまいりたい、かように考えております。
○吉井委員 ホームヘルパーと並んで非常に大事なことは、いわゆるマンパワーの確保ではないかと思います。老人医療を含めた医療、福祉の質の向上は、ひとえに保健、医療、福祉サービスを担うところの看護婦さん、それから保健婦さん、そして理学療法士、作業療法士、介護福祉士等専門的なマンパワーの資質と量にかかっているのではないかと思います。にもかかわらず、昨日の政府ビジョンでは具体的な数字が出されておりません。 経済協力開発機構の国際比較によりますと、一般病院の一ベッド当たりの従事職員、これが最も少ない西ドイツでも一・一四人、そして欧米平均は二人です。ところが、これに対して我が国は〇・七七人であります。我が国独特の寝たきり老人や長引く入院期間の背景には、このような安かろう悪かろうの医療政策が潜んでいるのではないか、こうしたことも聞かれるわけです。こうした事実を十分検討し、踏まえた上で政府は福祉ビジョンを具体的に描き出して、それを支えるマンパワーと費用をきちんと算出してほしい、このように思うわけですが、いかがですか。
○藤本国務大臣 六十二年度厚生白書におきましても、マンパワーの重要性を初めて大きく取り上げておるところでございまして、今後の高齢化社会における社会保障、社会福祉の充実を図るためには、最前線といいますか、現場で働くマンパワーの方々に負うところが非常に大きいわけでございます。そういう認識のもとに、二十一世紀に向かって各分野でどれぐらいのマンパワーの必要があるか、こういうことを検討しておるわけでございまして、おおよそ五百万人のマンパワーが必要だという結論でございます。これは、社会に新しく出ていく人口、数に比べて大変なウエートの数でございまして、この五百万人をいかに確保していくかということは、これは非常に難しい、しかし大切な問題だというふうに考えております。 そこで、具体的に今の現状でマンパワーがまあまあ必要な程度充足しておる、そういう分野は医師、歯科医師等でございまして、この方々については一応適正な水準でございます。それから介護、看護のマンパワー、これはこれから確保していくことが重要なわけでございまして、このために寝たきり老人等の福祉に関する相談や介護のための人材の養成、確保のために社会福祉士及び介護福祉士法を制定して、ことしから全面的に施行をしております。 それから三番目に、OT、PTにつきましては、今需給計画の見直しを行っております。 さらに四番目に、看護職員につきましては、地域の保健、医療のニーズを頭に入れまして、新しい看護職員需給見通しを今策定することにしております。 それから五番目のボランティア等インフォーマルな部分のマンパワーの拡充、これは非常に大事でございますので、特にボランティア活動の拠点づくり等必要な条件整備を進めまして、ボランティアの皆さん方の活用と申し上げますと大変失礼になるわけでございますが、活動が十分に可能になるように、これは特に力を入れていかなければならぬ、かように考えております。
○吉井委員 もうちょっとあわせてお尋ねをしておきたいのですが、在宅と施設との介護サービスの比較です。在宅と特養ホームなど施設とでは、介護サービスにおいてどうしても質、量、それから費用の面で格差が生じていると開いておりますが、一体どのような、どの程度の格差が生じているのか、また格差が生じないようにするためにはどのような方策がとられるのか、この点はいかがですか。
○藤本国務大臣 住みなれた家庭、地域、また隣人とか友人、こういう方々に囲まれて生活をしたい、これはお年寄りの願望でございますし、それは非常に望ましいことであるわけでございますので、今後の特に高齢者の中で介護を要する高齢者につきましては、施設よりは在宅で介護をしていこう、こういうことに重点を置いておるわけでございます。そのためには、特に家族の負担も非常にかかるわけでありますし、さらに、女性の社会進出というのもこれからふえていくわけでございますから、そういうことも念頭に置きながら、家庭奉仕員とかデイサービスとかショートステイ、こういう施策の充実を図ってこれに対応していこう、こういうことでございます。 それから一方、在宅で介護をできない場合につきましては、この方々については、特別養護老人ホームとか老人保健施設とか、そういう施設を整備いたしましてそちらで対応をしていこう、こういうことでございます。それで、従来、御指摘のように施設のサービスに重点を置かれておったわけでございまして、それを先ほど申し上げておりますように在宅介護、在宅サービスに重点を置きかえる。そのためのインセンティブといいますか、そういうことがしやすくなるように、先ほど申し上げましたような施策の充実を図って対応してまいりたい。 この施設と在宅サービスとの差があるかないかということにつきましては、若干あると思うわけでございますが、この差をなくするようにこれから進めていくということも大きな課題の一つであろうというふうに考えております。
○吉井委員 今後の方向として、やはり在宅ケアということが非常に大きく取り上げられてくるわけでございますが、実際問題としてお年寄りを抱えて介護する場合、いろいろな問題といいますか、在宅介護というのはやはりこれは大変ですね。その家族にとっても非常に大きな負担、そういったことも十分に考えられるわけであります。したがって、在宅ケアを支援するために家族介護者を国が雇用するシステムのパートヘルパー制度、また在宅介護における経済的、精神的負担の軽減と施設介護の公平の観点から、いわゆる国税、地方税に寝たきり老人介護控除制度、この導入を図るべきだと思うのですが、厚生大臣、大蔵大臣、それぞれのお考えはいかがですか。
○藤本国務大臣 在宅ケア支援のためのパートヘルパー制度、御提言がございました。考え方といたしましては確かに一つの考え方であると思うわけでございますが、やはり我が国の場合は高齢者が家族との同居を望んでおりますし、また同居率が高いわけでございまして、家族の世話を受けながら生活をしておる。そういう実態から見ますと、その家族を社会的に雇用をしていく、そういうパートヘルパー制度というのは、これは今の日本の風土といいますか家庭環境といいますか、社会の環境にはなじまないものではないだろうかというふうに考えます。 対策としては、先ほど申し上げましたように、そういう家族の介護を支援するために、ホームヘルパーの制度であるとかデイサービスとかショートステイ、これらの施策を充実して、家族の介護の支援に当たるということが適切であろうというふうに考えておるわけでございます。
○宮澤国務大臣 なお、その介護につきましては、税制の上でも特別の控除をいたしておりますことは御承知のとおりでございますが、一般の扶養控除、今度は三十五万円お願いしようとしております。それから特別障害者控除を同じく三十五万円、それから同居特別控除、これを二十万円に引き上げていただいてはどうか。九十万円ということを御提案しているわけでございます。
○吉井委員 先ほどからのいろいろな御答弁で、これはどうしても在宅福祉へ大きく移行されるのではないかと思います。 政府の福祉ビジョンによれば、冒頭述べましたように、特養を初め老人保健施設合わせて約五十万人程度と言われております。これも当然必要なことでございますが、私は、ケアはどちらかといえば、やはり先ほど厚生大臣もおっしゃっておりましたが、施設から在宅への志向というものが非常に強くなっていることは事実だと思います。統計によりますと、高齢化のピークは二〇二〇年から二〇二五年ごろになるだろう、このように言われておりますが、今までのスピードで高齢化というものが進みますというと、平均寿命が九十歳近くにまでなるんではないか、そして高齢者の比率が三〇%を超すことも考えられるのではないかという意見もあります。 そこで、こうした高齢者がどうしても避けて通れないのがやはり疾病という問題でございます。病気とどのように闘っていくか。地域社会に介護者のいないお年寄りの場合は養護老人ホームに措置をされます。これは行政処分で、本人にはもちろん選択権はありません。ところがここで寝たきりになる、また痴呆になりますというと、今度はもっとスタッフの充実した特養へ移されるわけです。そして半分以上の人が今度は病院で亡くなる。すなわち、極端に言えば、死ぬ前に三回もたらい回しということになるわけですね。これが果たしてお年寄りのためにいいことかどうか。こうしたことからもやはり在宅ケアという方向に進みつつあるとも思うわけですが、これがもし住みなれた家で医療や福祉サービスが受けられればそれにこしたことはないわけでして、お年寄りが長年住みなれた我が家の畳の上で死ねるかどうか、その決め手になるのが在宅サービスではないかと思います。 ところで、福祉サービスには三つのタイプがありますね。一つは公的サービス、すなわち行政機関の家庭奉仕員制度などの福祉サービスであります。この長所はといえば、信頼性が非常に高いということ、そして低所得者にも対応できるということ。ところが、短所といいますと手続が非常に煩雑であるという問題。ホームヘルパーを要請する場合は、どちらかといえば非常に緊急な場合が多いわけであります。ところが、ヘルパーを必要とする人は、まず民生委員のところに行かなきゃいけない。そして福祉事務所を通してそこで事情調査が行われて、そして判定会議があって初めてヘルパー派遣。したがって、まず二、三週間はかかるんじゃないか、このようにも言われております。ところがこのヘルパーも、今までの考え方、すなわち公的福祉事業の内容が生活保障であったり、また施設中心の考え方であったために、ヘルパーの社会的地位が非常に低かった。これは先ほど申し上げたとおりであります。ところが最近になってやっと社会福祉士であるとか介護福祉士の国家資格制度ができて、そしてケースワーカーの仕事として確立されることになったわけであります。 そこで、福祉サービスの第二のタイプというのは自発的サービス、すなわちボランティアですね。この長所は、やはりお役所的欠陥がないということ。ところが短所としては、やはり安定性がないということと専門性を欠くということ。 それから第三のタイプは市場型、すなわち営利を目的とするタイプです。この長所は、非常に質の高いサービスが期待できるということ、反面、短所としては、お金持ちしかなかなか利用ができないという問題。最近は介護福祉機器の開発というものが非常に進んでまいりました。これらのサービスの長所をうまいこと組み合わしていくならば、この在宅福祉システムは十分機能できるのではないか、このように思うわけでありますが、こうした在宅福祉のあり方、将来像について厚生大臣はどのような御所見をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
○藤本国務大臣 御指摘のように、今後の高齢化社会における福祉という問題を考えてみますと、いろいろ多様なニーズがございますし、またこれに対応してさまざまなサービスもあるわけでございまして、今お話がございましたような三つのタイプのサービスがあると思います。その中でやはり基本的な、中心的なサービスは、何といっても公的なサービスで対応していかなきゃならぬと思うわけでございますが、その周辺部分といいますか、いろいろな多様なニーズに的確にこたえられるような民間のサービス、これも今後育成していかなきゃならないと考えております。 ただ問題は、この民間のサービスを育成することによって公的なサービスの代替をしていくということであってはいけないわけでございまして、役割分担を決めまして、公的サービスの補完を民間のサービスでは行う、つまり公的サービスの分野を減らして、それを民間のサービスに肩がわりさしていくということであってはいけないわけでございますし、また高い所得の人は民間のサービス、そうでない人は公的サービスということであっても、せっかく社会保障という制度が救貧ということから、国民全体のために所得の再配分機能を発揮しておるわけでございますから、そういう逆戻りをするようなことがあってもいけないというふうに考えておるわけでございまして、今後公的なサービスと民間のサービスが両々相まって、さらに高齢者の福祉が増進していくように大いに我々も努力をしていかなきゃならぬというふうに考えております。
○吉井委員 ところで、政府ビジョンでは、在宅の高齢者に対して昼間介護、また入浴、給食、それから日常動作訓練等、各種のサービスを提供するいわゆるデイサービスセンターを将来的には小規模も含めて一万カ所程度を七十五年度までに目標とされているわけですが、これは私も大いに期待したいと思うわけでございます。 今各所でデイサービスというものが行われているわけでありますが、これは非常に評判がいいわけですね。したがって、どんどんお年寄りの方が利用されておる。ところが、やはりお役所仕事というか制約というか、こういうところに非常に厳しい面も多々あるわけでございます。例えばお年寄りをバスが迎えに行く。ところが、お年寄りは大きい道路まで出かけていって、そこで待っておかないといけない。それから、小さなマイクロバスが小さな道へ入ろうとすると、そこに入るようなことがあってはいけないという。お年寄りは大きい道路まで出るには時間がかかる。何とかここまで入ってもらえれば、ここで三人のお年寄りを同乗させることができるのに、やはりそれは入っていけないとか、そういった非常に厳しい問題がたくさんある、こういう声も聞いております。 ところが、これとは別に、長年住みなれた地元でより良質なサービスを低料金でいつでも受けられ、しかも条例によって、一定の担保があれば福祉資金貸付制度まであるいわゆる有償在宅福祉サービス事業があります。この代表的なのが五十五年十二月に設立されました武蔵野市の福祉公社ですね。市の公的福祉活動を補完する目的で設置されたわけです。非営利サービスでもあって、いまだ採算ベースには達してはおりませんが、市の財政援助を受けているわけでございまして、利用者にはなかなか好評のようであります。東京ではほとんどの自治体で普及しているようですが、全国的な検討及び財政的な国の援助をお願いをしたい、こういう声が非常に強いわけでございますが、厚生大臣、いかがですか。 〔海部委員長代理退席、瓦委員長代理着席〕
○藤本国務大臣 最近各地におきまして、今御指摘のように武蔵野公社のような活動が進められております。私どもといたしましては、このような活動が一層推進されることはまことに好ましいことだと考えておるわけでありますが、これに対して国の助成という点につきましては、これらの活動は地域ごとの市民のボランタリーなどの活動を前提としておるわけでございまして、直ちにこれに対して国が助成をするということは、今のところは難しいのではないかというふうに考えております。
○吉井委員 次に、出生率低下の検討及び対策についてでありますが、出生率の低下現象、これは今非常に深刻な問題であろうと思います。その原因については、賃金であるとか教育面等いろいろと考えられるわけですが、さらに、結婚しても子供を生まない、また生めない状況が地価の高騰のもとで起きているのではないか、このように思われるわけでございます。もはや持ち家も持てないし、子供ももう一人欲しいのであるが、もし生めば部屋数が足りないとか、また子供をもう一人生めば高い家賃のところに移転せざるを得なくなる。そのために地域において子供が減少していくということは、その地域の人口の高齢化が一層加速をされる。そして保育園、小中学校の存廃問題が発生するだけではなくして、子供が生まれないということは家族ができないということでありまして、これは社会保障、また社会福祉の将来にとってゆゆしき深刻な問題となるのではないかと思います。家庭の扶養機能の低下とともに、老人保健施設の運営を支えるべき若きマンパワーの確保も非常に難しくなってくる、また保健施設としての機能、そういったことも発揮できなくなる、こういったおそれがあるわけでございます。したがって、児童の出生率の問題の徹底した調査、分析の上でぜひ対策というものを早急に講ずべきではないかと思うわけでございます。 児童は社会の宝、国の宝として育成する方向に立って、児童手当の拡充、そして教育費の負担軽減、そして住まいの保障等々の社会政策というものをもっともっと充実させなければ、子供がだんだん減少傾向になってくると思います。したがって、有効な施策等について大臣の御所見をお尋ねをしておきたいと思います。
○藤本国務大臣 出生率の低下の問題は先進国共通の問題でございまして、我が国も出生率は低下をしてきておるわけでございます。その原因についてはいろいろ見方があると思うわけでありますが、やはり高学歴化に伴って結婚が遅くなる、晩婚ということも大きな原因であろうかと思うわけであります。それによりまして、御指摘のように人口構成の中で占める生産人口というものが年々低下をしてきておりまして、我が国におきましても、二十歳から六十四歳までの生産人口というものが二十一世紀まではふえてまいるわけでありますが、二十一世紀を越えますとこの人口が低下をしていく、こういうことが見られるわけでございまして、まさに高齢化社会の福祉のポイントは老人対策と子供の健全育成、こういうことだと認識をしておるわけでございます。 そういう考え方に立ちまして、児童の健全育成ということについてはいろいろな施策があるわけでございますが、児童館、児童センターの整備、遊び場の提供とか、そういう健全な児童の育成のための従来からの施策をさらに充実していくとか、それから今厚生大臣の諮問機関といたしまして、これからの家庭と子育てに関する懇談会というので二年がかりで専門家の皆さん方に集まっていただきまして、いろいろと子供の健全育成や家庭基盤の充実強化という問題につきまして、今専門的な御検討もいただいておるわけでございまして、そういう結果を踏まえてこれから対応していかなければなりませんが、特に来年度につきましては、子ども・家庭一一〇番、家庭の問題、子供の問題につきましていつでも相談に応じられるような制度も考えておるところでございまして、今後とも、先ほど申し上げましたような高齢化社会対策の福祉の面におきます最重点課題の一つ、児童の健全育成という認識に立ちまして、さらに力を入れてまいらなければならぬと考えておるところでございます。
○吉井委員 次に児童手当制度、このあり方について若干お尋ねをしておきたいと思うんですが、昨日の政府ビジョンにも「出生率の低下や少子家庭の増大に対応し、子どもの養育や児童の健全育成に資するよう、我が国の実情に沿った児童手当制度のあり方を検討する。」とあるわけです。政府では九月から検討中のようですが、この検討に当たっては、そのマイナス面だけではなくして、国民が希望を持てるプラス面もぜひとも忘れないでいただきたいと思うわけでございます。 また、政府の言われる「児童の健全な育成と家庭の支援対策の強化」という面から、ぜひとも災害遺児対策、交通遺児、これは余りにも悲惨であります。街頭ボランティア、これもやはり限度があります。したがって、そういった災害遺児にどのような対策を持っておられるか、あわせてお尋ねをしておきたいと思います。
○長尾政府委員 児童手当制度についての先生の御質問でございます。 児童手当制度は、御承知のように児童を養育いたします家庭の生活安定、それから児童の健全育成を目的といたしまして実施されてまいりまして、昭和六十年には、従来支給対象が第三子以降とされていたものを第二子以降に拡大するといった形の制度の改正を行ってきたわけでございます。 今後の児童手当制度のあり方でございますが、先ほど来先生から御指摘をいただいておりますように、出生率の低下の問題、それから家庭環境の変化、それから婦人の職場進出、生活構造の大きな変化、児童を取り巻きます諸状況、大変に変化をいたしておるわけでございます。こういったいろいろな諸状況を十分に踏まえまして、なお今後の検討を進めていかなくてはならないと思っております。 先生御指摘いただきましたように、児童手当制度を充実をしていくということにつきましては、私どもそのとおりと考えておるわけでございますが、現行の制度の上におきまして昭和六十五年度までの暫定措置の部分がございますので、いずれにいたしましても昭和六十五年度に改正を予定をいたさざるを得ない状況でございます。したがいまして、中央児童福祉審議会のお許しをいただきまして研究会を発足をいたしまして、今先生御指摘いただきましたような幅広い観点から、今後の児童手当制度のあり方について御検討いただくということでスタートをさせていただいております。
○吉井委員 交通遺児はどうですか。
○加美山政府委員 お答えいたします。 交通遺児対策についてでございますが、政府及び地方公共団体におきましては、交通事故による遺児対策といたしまして、その生活面、教育面等広範にわたって鋭意その解決あるいは援助を図るべく、次のような施策を講じております。 政府としての対策としましては、一、自動車事故対策センターの育成資金等貸付制度、二、財団法人交通遺児育成基金の育成資金給付制度、三、高等学校交通遺児等授業料減免制度、四、財団法人交通遺児育英会の育英資金等貸付制度、五、財団法人自動車事故被害者援護財団の自動車事故被害者家庭に対する援護制度、六、財団法人道路施設協会等による交通遺児修学援助制度等でございます。 なお、地方公共団体におきましても独自に見舞い金等の制度がございますが、今後これらの充実を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。
○吉井委員 次に、高齢者一雇用の確保についてお尋ねをいたします。 政府ビジョンでいきますというと、六十歳代前半から六十五歳までの継続的な雇用確保を目標として種々立派な施策が挙げられているわけですが、果たして現実問題としてこれは可能かどうか、甚だ疑問を感ぜざるを得ないわけであります。各企業のいろいろな意識調査、そうしたものを見ましても、もう定年か定年に近いお年寄りについては、うちはどうでもいいんだ、それよりも若い力が欲しいんだという声が圧倒的であります。そういったことから考えて、この問題は非常に難しい問題ではないかと思います。 また、基礎年金支給開始年齢が男性が六十五歳、女性は五十六歳となっているわけですが、六十歳定年を全体の六割が採用しているかどうかであります。まだ五十六歳ぐらいからの定年が多い現在では、年金支給までのこの間の五年から八年、これはやはり働かなければなりません。しかし企業は、先ほど申しましたように若い労働力、パート労働力を優先しているのが現状であります。これを、強制力もない国がどう企業にこれらのビジョンの実施について協力を得ていくのか、ひとつ具体的に御説明を願いたいと思います。
○中村国務大臣 御指摘のような高齢化社会が本格化する中で経済社会の活力を維持する、このためには何といいましても高齢者に、特に就業意欲の強い高齢者に対しまして雇用就業の場を与える、確保しなければならない、これは労働省のこれからの重要な課題の一つでございます。御指摘のようにいろんな隘路があると思います。しかし、何としても労働省は汗をかいて、精いっぱいの努力をこれにささげなければいけないというように肝に銘じておるわけでございます。 そのためには、今何としてもやらなければならぬことは、まだまだ六十歳定年が本当に普及、徹底、定着しているとは言いがたい状況でございます。したがいまして、これの面の普及徹底をまず第一になし遂げること、それからその上に立ちまして、その同一企業あるいは同一企業のグループ内で六十五歳程度までの継続雇用の道を推進してまいりたいというふうに考えております。 それからもう一つは、職業安定所、つまり労働力調整機能を強化する、安定所の職業をふやす、あるいは高齢者の雇用のための専門官を配置する等々の手だてを講じまして、高齢者の雇用確保の場を開拓していくというような努力、さらにはまた、生涯職業能力開発の理念に沿いまして、お年寄りがいつ、どこでも役に立つような、そういう職業訓練というものをきめ細かく機動的に運営していくということも大事ではないかと思っておりますし、また、今毎年増設をいたしておりまするシルバー人材センター、この仕事を通じまして高齢者の短期、臨時的な就業の場を確保する等々、いろいろあるわけでございますけれども、これらのことを総合的に組み合わせまして、何としてでも雇用確保の就業の場の拡大を図ってまいりたい、これが今私どもの考え方でございます。 御指摘のようにいろんな難しい問題がありますけれども、難しくても何でも、なし遂げ得るたくましい意欲を持って進んでいかなければいけない、このように考えております。
○吉井委員 政府ビジョンの中で「老後生活を経済的に支える所得の保障」ということがありますが、年金受給者の生活形態はさまざまであります。そこで、現金給付にかえて福祉サービスを必要とする人もいるわけですね。例えば十四万円の年金を受ける、そのうち十万円は全部施設介護、そしてあとの四万円が自分の小遣いとかですね。そこで、施設介護、在宅介護体制等の社会福祉がおくれている我が国においては、それらの体制整備とあわせて、いわゆる年金制度と福祉サービスが結合したところの福祉サービス給付型年金、こうしたものの創設がもうそろそろ必要になってくるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○藤本国務大臣 厚生年金基金や、それから現在検討中でございます地域型の国民年金基金におきまして、福祉施設の活動の一環として、お尋ねのような福祉サービスという現物給付ができないかどうか、今検討してまいりたいと考えておるわけでございまして、具体的には、先般創設いたしました財団法人シニアプラン開発機構、ここにお願いいたしたいと考えております。
○吉井委員 あわせて、ちょっと年金のことについてお尋ねをしておきたいのですが、いわゆる年金の原資の自主運用でございます。 一昨日、我が党の坂口委員が、福祉財源の確保の一助として、年金積立金のいわゆる自主運用枠の拡大についてお尋ねをしております。そのときに大蔵大臣は、そのことは予算編成の過程でお考えになるとの趣旨の答弁であったように伺っているわけですが、もう一度これを確認させていただきたいことと、やはり思い切った自主運用枠の拡大は図れないものか、また図れないとすればその理由はどういうところにあるのか。財政運営上支障があるということなのか、またリスクが大きいということなのか、それとも高利運用で期待できないということか、お尋ねをしたいと思います。
○宮澤国務大臣 この問題につきましては、せんだっても申し上げましたように、年金側の事情はよくわかっております。特に将来を展望いたしますとそういう問題が確かにある。しかし、資金運用部側の事情も、これも御承知のとおりのことでございます。 〔瓦委員長代理退席、海部委員長代理着席〕 年金福祉事業団に御融資をして、それを運用していただくという制度を始めました。これも、年金側の事情を私どもとしても決してわからないではないということの一つの証左でございますが、同時に資金運用部資金も、中小企業であれあるいはODAであれ、いろいろなところに国民経済の利益になりますような使われ方をいたしておるのでございますので、それで申し上げましたことは、これからの年金の展望、事情、それから運用部資金の原資の問題等々をあわせまして、予算編成にかけまして関係大臣とよく御相談をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○吉井委員 では次に、老人保健制度の見直しについて、過日三つの提言が行われておりますが、その評価についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。 老人保健制度については、「六十五年度までの間に制度全般を見直し、その安定化を図る。」と政府ビジョンにもうたっているわけですが、一方日本医師会は、去る十月九日、医療保険制度の統合一本化に向けての基本構想というものをまとめております。それによりますというと、最終目標は地域保険への一本化としながらも、当面は現行制度の枠組みをほぼ維持した形で、新たに職域保険、地域保険、高齢保険の三本立ての制度にすることを提言をしております。特に高齢保険については、対象年齢を現在の老人保健制度の七十歳から六十五歳に引き下げること、また、増加の一途をたどる老人医療費の財源対策として福祉目的税を導入をして、そして国庫負担を増額すべきだ、こういうことでございます。 また、健康保険組合連合会は二月に提言をまとめて発表いたしましたが、その中で、老人医療費の適正化対策として、慢性疾患は出来高払い制を改めて定額支払い方式とする。二番目に、本人の自己負担を今の定額から定率にする。三番目は、不必要な病床の老人保健施設への転用などを挙げております。また負担面では、老人保健制度を現在の医療保険から切り離して、財源を全国民が平等に負担する仕組み、つまり税金を財源にすべきだと主張をしております。 さらに、沖中成人病研究所も研究レポートを発表しておりますが、これは、六十五歳以上を加入対象とする高齢者医療制度の創設を提案をしております。同制度は、まず六十五歳以上を現行の医療保険制度から切り離し、独自の公的制度とすること。二番目は、給付率は六十五歳から七十歳未満を八〇%、七十歳以上を九〇%にする。そして財源は、各医療保険制度からの拠出金と新設の高齢者医療目的税を充てる。四番目は、運営主体は市町村。そして五番目として、診療報酬を現行方式から高齢者にふさわしい体系と方式に移行させる。 こういったものが主な内容でございますが、以上の三つの提案に対しましてひとつ政府の御見解を伺いたい。また、老人医療の政策策定に参考となされる考えがあるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○藤本国務大臣 御承知のように、老人保健制度につきましては、六十五年度までに見直しをすることになっております。したがいまして、各方面の御意見や関係審議会の御審議を踏まえまして今後慎重に検討してまいるわけでございまして、この段階で今御指摘の三提言につきましての私どもの御意見を申し上げるということは、これはひとつお許しをいただきたいとお願い申し上げる次第でございます。
○吉井委員 またちょっと逆戻りかもしれませんが、医療保険等について、行財政改革の分野で、社会福祉面の制度、施策の見直しを言っておられます。社会福祉といってもいろいろあるわけですが、具体的にはどの分野を想定されているのか、福祉レベルの切り下げということにはならないのか、国民はその点を非常に心配するわけでございます。 医療保険の給付と負担の公平化を理由に、その給付率を八割程度にするということでございますが、この場合、被用者保険と国保の保険料負担は、それぞれ片方はアップ、片方はダウンがあるのではないかという懸念もあります。それとも被用者保険は給付率のダウンだけに甘んずるということになるのかどうか。また、難病等の公費負担医療について、基本的に今後は拡大強化の方向を目指すのか、それとも縮小策をとられるのか、この点はいかがですか。
○藤本国務大臣 これは医療保険制度の一元化、給付と負担の公平を図る、この問題になるわけでございまして、この医療保険制度の一元化につきましては、御承知のように老人保健制度と国保改革の見直しを六十五年までに行いまして、その結果に基づいて、おおよその七十年を目標といたしております医療保険制度の一元化の姿というものが見えてくるわけでございまして、現段階では申し上げられるような段階ではないわけでございます。 ただ、考え方といたしましては、今御指摘のございましたように、給付の水準はほぼ八割程度のものを現段階において考えておるわけでございますし、また医療保険制度は各分かれておりますけれども、これについては現制度を存続させていこうというようなことを考えております。しかし、それはあくまで六十五年度の老人保健制度と国民健康保険制度の改革の見直しを踏まえた上ではっきりと申し上げられる、そういう段階になるわけでございまして、この段階ではまだそこまで行ってないということを申し上げる次第でございます。
○吉井委員 では最後に、昨日の福祉ビジョン、この中に欠落したことがあるのではないかと思います。それはいわゆる高齢化に対応した住宅、住環境の供給ビジョンで、安心できる豊かな長寿社会を実現する上で欠かすことのできないのが、やはりこの住宅問題ではないかと思います。したがって、政府は二十一世紀の高齢化に対応した住宅、そして住環境というものをどのように整備をされていくおつもりなのか。私は、このビジョンの中にこれは加えられてしかるべきものであると思いますが、いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 高齢者のための住宅、住まい環境の整備、この点の重要さを御指摘になりました。そのとおりであると思います。 三世代同居等、私がたしか建設大臣のときでしたか、覚えておりますのは、あの二世代ローンをつくったときに、「じいちゃん、ばあちゃん、いらっしゃい、おうちが広くなったから」これを一つ考えました。それからもう一つは、「おまえも大きくなったから、一緒におうちを建てようや」とか、あれは二世代ローンのことでございました。それからもう一つは、まさに同居推進のための、ただしローン制度でございましたけれども、それに対する標語をつくったことを覚えておりますが、やはりこの問題につきましては、住宅政策全体の問題はもちろんございますけれども、重要課題として問題意識を十分持っていなきゃならぬ課題だというふうに考えております。
○吉井委員 以上で終わります。
○海部委員長代理 これにて吉井光照君の質疑は終了いたしました。 次に、岡田正勝君。
○岡田(正)委員 私の質問に入る前に、昨日我が党の米沢委員から、税制改革前後の直間比率はどう変化するのかという問題と、消費税を導入した場合、政府関係予算ではどれだけ支出増となるかという点について質問をいたしましたが、質問と答弁との間で若干のずれがあったように見受けられますので、再度御答弁をお願いをいたしたいと思います。
○宮澤国務大臣 前段につきましては、昨日米沢委員に私がお答えを申し上げましたので、私から申し上げます。 昨日米沢委員から、直間比率につきましての現状並びに今度税制改正によってそれがどのようになるかというお尋ねがございまして、私は、これはうかつでございましたが、自分が国税担当なものでございますので国税のことをお答えいたしまして、国税ベースでは、現在は御承知のように六十三年度で七二・二対二七・八である、まあ七二対二八といったようなことでございますが、改正後にはこれがおおむね二対一になります、すなわち、ほぼ六六対三四、平年度ベースではそういうことではないかということを申し上げました。 その後、米沢委員が何かその数字は違っているのではないかということを言われておりましたのを私は気がついておりましたのですが、何も申し上げませんで失礼をいたしました。国税、地方税合わせますと、そうしますと直間比率は六十三年度で七七・三対二二・七でございます。それが税制改革後はほぼ七四対二六程度になるということでございます。 失礼を申し上げました。
○篠沢政府委員 消費税の導入に伴います国の歳出の方への影響額の問題でございますが、消費税の導入に伴いまして、国は当然その消費、サービスの購入者という立場で相当の負担増が生ずるわけでございます。そのほか、また物価上昇に伴う歳出への影響というものもございます。実は、これらにつきまして六十四年度予算の中でどの程度の影響が生ずるかということを見込みますのは、予算編成の現段階ではこれはまことに困難でございますが、六十三年度予算をベースにいたしまして、実は財貨、サービスの購入者として生ずる負担増の分を中心としまして大ざっぱな推測をしてみましたのが、昨日お答えを申しました三、四千億円程度ではないだろうかという数字でございました。 いずれにいたしましても、六十四年度の予算編成に当たりましては、消費税法案の成立を踏まえまして、消費、サービスの購入者としての負担増、それからもう一つ物価上昇に伴う歳出への影響というものを総合的に精査いたしまして、予算編成段階で所要額を適切に計上しなければいかぬ、このように思っております。 それから、米沢委員から、やはり政府・与党部内における税制改革の検討の過程で、影響額が二兆二千億という数字があったのではないかというお尋ねがございましたが、これに対して明確にお答えを申し上げませんでした。その点についても補足をさせていただきますが、これは消費税率を五%と考えまして、かつ、国及び地方合わせまして六十五年度、いろいろな影響が平年度化、満年 度化すると思いますものですから、六十五年度の数字として、そういう概略の推計をいたしたものが確かに部内検討の途中段階でございました。 それから、さらに同じ部内検討段階で消費税率三%、この三%のもとで、また国だけの、地方の分はなしという国のみの六十五年度平年度の数字ということで、実は概数七千億という数字が最後に出たわけでございます。この中には、生活保護でございますとか年金でございますとか診療報酬などに対します物価上昇を通じた影響分というもの、これは平年度までに必ず出てまいりますから、そういうものが含まれ、それから、実は六十五年度の数字ということでございますので、六十五年度までの歳出規模の増加というものも根っこに入れたわけでございます。したがいまして、今回極めて大ざっぱな感覚として申し上げた財貨、サービス等の購入者としての国の直接的な負担分というものと、いろいろ少し食い違いがあろうかと思います。 いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、予算編成段階でこの影響額の所要額を適切に計上していくということは、大臣からも常々申し上げておるとおりでございます。 説明不足の点は失礼いたしました。
○岡田(正)委員 総理、竹下さん、外をごらんなさい。もう抜けるような日本晴れですよ、きょうは。全く雲一つない。降水確率もまさにゼロなんですよ。こういう上天気でありますが、国会はリクルート疑惑で「政治家は宝くじよりリクルート」と川柳で冷やかされ、また税革においては「弱い者を泣かせっぱなしの消費税」と川柳にうたわれるなど、その風当たりは非常に強いものがあります。かてて加えて、国民がひとしく御心配申し上げております陛下の御病状等もありまして、何となく国会の周辺は慌ただしいものがありますが、本日ただいまの総理のお心は晴れですか、曇りですか、雨ですか。簡単に明瞭にお答えください。
○竹下内閣総理大臣 国会で税制改革をお願いして、その審議がこのように進んでおるということは、まさに晴れであると思っております。
○岡田(正)委員 いや、なかなかしたたかなものですね。雨と答えるかと思って期待しておったのでありますが、それでは次の質問に入らしてもらいます。 総理は当選十回ですね。十一回ですか。十回ですね。――十一回。失礼しました。大事なところ、こういう失礼なことを言っちゃいけません。当選十一回、政権政党の総裁でもあります。その総理にお尋ねをするのでありますが、近年、どこの国でも立法府の役割は、政策決定の中心であるよりは、むしろ国政調査活動にその重点が移っているのが現状と思います。我が国の国会の中でも、調査なくして発言なしといつも言われております。政府の政策決定を側面から監視をし、影響を及ぼし、国政についてのさまざまな情報や問題点を国民の前に明らかにすることが国会に求められていると思いますが、いかがでございますか。
○竹下内閣総理大臣 議会制民主主義を標榜しておる国々、それぞれの軽重の度合いはございますけれども、今岡田委員の御発言は、私も同じような感じで持っております。
○岡田(正)委員 そこで、重ねてお尋ねをいたしますが、国政調査機能がさびついてしまったとしたら、それこそ議会政治の自殺行為ではないかと私は思いますが、いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 調査機能がさびついてはいけないことは、これは私も同感であります。したがって、国権の最高機関たる国政調査権に対しては、行政府は最大限の協力をするというのは、いつも申し上げておるところであります。
○岡田(正)委員 安心をいたしました。 それでは、本日私は、行財政改革一本に絞って質問を申し上げていくわけでありますが、その前にお聞きしたいことがあります。 去る八月四日、行革の鬼と言われました土光さんが九十一歳の生涯を閉じられました。土光さんは、今行財政の改革をあきらめるならば二十一世紀の日本はだめになると、道半ばの行革に最後まで心残りを見せていらっしゃいました。竹下総理は、今日その行革の鬼、土光さんをしのんでどんな思いを持っていらっしゃいますか。
○竹下内閣総理大臣 率直に申しまして、十九世紀に生を受けた人の代表的巨星落つという感じを抱いたことは、同じであろうと思っております。 したがいまして、土光臨調というものを私自身どういうふうに受けとめておったか。私、速記録をよく読み返します。読書家ではありませんが、速記録を読み返すことは恐らく相当なものであると自分で思っておりますが、そのときに土光先生に対して私の素朴な感情があらわれておったのは、「増税なき財政再建」こういうことについて、これはまさに退路を断ったんだ、その気持ちでやらなきゃ安易な増税に走っていくよ、こういうことを言われておる。その土光先生のお諭し書、こういうことを申したことがございます。若干後ろの方で爆笑をされましたけれども、あの言葉は私は土光先生にささげる言葉としては、ちょっと古い人間でございますけれども、いいことを言っておったなと思っております。
○岡田(正)委員 いやあ、ますます頼もしく感じます。非常にいいと思います。 続いて総理にお尋ねをいたしますが、その総理は行政改革は道半ばと言われ、また税制改革と行政改革は車の両輪とも言っておられます。税制の抜本改革、消費税導入によって国民に新たな負担を求めようとするならば、まず税のむだ遣いを徹底的に正す必要がある。その意味で行革をこれまで以上に推進をしなければならないと私は考えますが、総理の決意はいかがでございますか。
○竹下内閣総理大臣 私もそのとおりだと思っております。 私自身このことについていつも申し上げますのは、実際、大平内閣の際に大平行革というものが言葉としてございました。しかし、その後、鈴木内閣のときに土光臨調ができましてからの行革というのは、答申を見てみますときに、あのとき考え及ばなかったのが結局三人の総裁がなくなったわけですが、三公社の民営というところまでは五十五年行革のときには突っ込み得なかった。これが突っ込まれたのはやっぱり大変なことではなかったか。まだ国鉄等いろいろな後ろ向きの仕事も、これは確かに残っております。国鉄共済でございますとか、あるいはお余りになっていらっしゃる方々の今後の処遇でございますとか、いろいろございましょうが、サービスが大変よくなって、そしてみんなが率直に申しましてサービスの向上を喜んでおりますし、経営状態についてもそれなりの効果が出ておるということは、私は大変喜ばしいことだと思っております。 しかし、私なりにいつも考えますのは、実は私は大変興味を持っておりましたのは、古い話になりますが、まずは総定員法をつくるときでございます。国会であんまり関心のない問題でございました。私は一生懸命そのときに総定員法というものと自分なりに取り組んでまいりました。それからいま一つは行政組織法というものであります。そういう原点議論というものをもう一遍し直さなきゃいかぬな。目に見えるような、三公社が民営、そして国鉄のごときは分割になります、そうしたものが今直ちに描けないということが、国民の皆さん方には、やはり目に見えるものが実際問題としては一番関心があるんじゃないか。総定員法とかいうような問題になりますと、実際二万七千人ぐらいその間純減がありますし、あるいは財政改革の面については、あの当時の制度、施策そのままにすれば十三兆一千億、こういうようなものが節減合理化されたと言われましても、やはりこの民営のような形の目に映るものではない。したがって、地味だが、そういう原点議論というものを進めていかなければならぬということを常日ごろ考えておるところでございます。
○岡田(正)委員 いや、これはますます気に入りましたね。 実は私は、前内閣までNTTあるいはたばこ、JR、三つの民営化が進みまして、大分進んだなというふうに感じておりましたが、それから後がどうも足が鈍っているというふうにしか見えない。それでひょっとしましたら、大変失礼でありますが、竹下さんは大平内閣の轍を踏まないように、できれば行革で金をつくれなんというふうな議論は避けて通りたい、勘弁してくれというのが総理の本音ではないのかなというふうに心配をしつつこの質問原稿をこしらえたのでありますが、今のお話は、原稿もお持ちにならずに総定員法の問題、行政組織法の問題等がぼんぼん出てくる。いや頼もしいです。いや本当に我が意を得たりと思います。これから後質問いたしますことについては、もう百点満点以上のお答えが出るものと期待をしつつ、次の質問に入らしていただきます。 続いて総理でございますが、臨調以来政府が進めてまいりました行革の推進状況はどのくらい進んだと、さて御自分で採点をなさいますか。民間の行革推進団体、行革国民会議というものの採点では、行財政改革に対する竹下内閣の姿勢は、百点満点で言うならば平均三十三点と極めて厳しい評価と相なっておりますが、総理はこれをどのように受けとめますか。
○竹下内閣総理大臣 磯村先生等からの提言というのは、私も十分承知をいたしております。まあ私の見た目もございましょうが、大体三十点ぐらいなものだろうと私自身は思っております。 先ほど申しましたように、今目立たない行革の段階へ入っておる。総定員法の話を申し上げましたが、実際総定員法をつくりましたけれども、ああして大学に医学部ができましたり、各県に医学部ができるようなときに、その枠外、別枠というようなものを考えました。それがいつの日か総定員法内にめり込ますことができるだろうか。言ってみれば技術的な話でございますけれども、そんなことも一生懸命考えてみましたので、これはやはり地道にやっていく課題であるというふうに思います。 ただ、国民会議の先生方とは、これはフランクな話をしますときにはいろいろな話をしますけれども、それは直ちに行えるような問題でないようなことにも、私なりの発想が時に飛躍することもございますので、言動を慎重に努めながらも、本格的な熱意というものは持っていかなければならぬ。また、あの会議なんかがそういう批判を与えていただくことは、体制側にとってはまことにありがたいことだ。そういう厳しい批判に耐えてこそ、私は体制側にある者の政治哲学であらなければならぬと常日ごろみずからに言い聞かせておるところでございます。
○岡田(正)委員 いや、これはもうますますほれましたね。立派なものですね。しかもこの第三者でつくっております行革国民会議の採点で平均三十三点と言ったら、思わず知らず与党席から、それは厳しいよというひいきの応援がありましたが、総理そのものは、まことに地味な、地道な行革を重ねていっておるのですから、私から言わしたら三十三点どころじゃない三十点だと、さらに一割下げて言われる。心憎いですね。もう実にすばらしいものであります。 それでは続いて、今度は大蔵大臣にお尋ねをさしていただきます。 今、国債残高、これは六十二年、百五十二・九兆円でございますが、歳出に占める国債の利子は二〇・二%ということでございます。これを諸外国に比べてみますると、アメリカが一三・七、イギリスが五・四、そして西ドイツが一一・九、フランスは九・五と、我が国財政の不健全な借金依存体質と財政の硬直化の現状が明らかになっております。政府は六十五年度に赤字国債脱却という旗印を掲げてこられましたが、この目標達成が可能だとしても、財政の借金体質は変わりませんね。これを具体的にこれから一体どう対処しようとなさっていらっしゃるのか、その点のお答えをいただきたい。 いま一つお答えいただきたいのは、回答をいただきましたこの中にきちんときちょうめんに書いてございますが、二ページの真ん中辺でございます。それに書いてありますけれども、一般会計の歳出に占めるシェアを縮減するように目指す、縮小を目指していきますということをここに、ちょうど真ん中辺、①の五行目のところに書いてございます。こういうことを書いてあるのでありますから、重ねてお尋ねをするのでありますが、そのシェアの縮小というのは、一般歳出の中に占めるいわゆる利払いの比率というものをどんどん減らしてしまうという、そのシェアを引き下げるのは、一体いつまでにどのくらいのシェアに引き下げていこうとなさっていらっしゃるのか、その点の計画がありましたらお知らせをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 御指摘のように、ただいま一般会計に占めます国債費は、昭和六十三年度で二〇・三%でございます。六十二年度、六十一年度はともに二〇・九%でございましたので、若干の向上はいたしておりますけれども、やはりおっしゃいましたように二割というところがなかなか切れない。これは仰せになりますように、既に発行されました残高があれだけございます。その上になお特例債、建設国債を発行いたしておるのでございますから、どうしてもここのところはなかなか国債費の割合が小さくならないという現状でございます。 そこで、そのほかに、しかもいわゆる俗にツケ回しとよく皆さんおっしゃいますが、そういうものであるとか、あるいは国鉄の清算事業団であるとか、いろいろなものがございますので、なかなかもう前途は遼遠という感じがいたしますが、ともかくしかし、この国債費を減らす、利子負担を減らすということは、新しく出すものを出さないようにするというしかどうも方法がございません。したがいまして、昭和六十五年度には何とかしてもう特例公債というものはやめにいたしたい。このたびの税制改革がネット減税をお願いしているものでございますから、なかなかその点は逆風になるわけでございますけれども、しかしこれは何とかして六十五年度には脱却いたしたいということで、大蔵省の諸君、各省庁の方々の御協力を得て、一生懸命今その仕事を、予算編成にかかりましてその道を歩こうといたしておるわけでございます。 なお、何年度になるとどのぐらいになるかということは、まず、とにかくこれをゼロにするということから始めさせていただきたいと思います。ゼロにしましたところで、今後財政再建の目標をどこに置くか、何をするかということを決めてまいりたいと考えておるところでございます。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。それが正直なところだと思います。正直なところだと思いますし、それから、この回答書というのは大変苦労して苦労してつくられたものであろうと、その努力の跡がうかがえるのでありますが、読み方によりましては大変な期待を持たせるような書き方もしてありますので、それでこういう質問になってしまうのでありますが、とにかくこういうもともとの借金というものは相変わらず残っておるわけでありまして、さらにまた太る可能性があるということで、それを減らしていくなんというのは、今たちまちはそれはちょっと待ってくれ、特例公債の発行をとにかくゼロにすること、それを六十五年に目標を置いてそれまで頑張る、そのときになっていかにするかということについては、また改めて御相談をいたしたいというのが本音だと思いますね。本音のところをお答えいただきましたので、あえてこれ以上言いません。それともう一つは、選挙区が同じということがありまして、まことに質問がしにくいのであります。 それでは次に、同じくこの回答書の二ページの左から十行目ぐらいのところにあるのでありますが、国民経済研究協会というところが、実は民営化した公社公団等の株式を売却し、その売却益を国債減額に充てるというプランを提案をしております。その試算によりますと、約百七十一兆円の売却益が得られ、昭和六十七年には特例公債はストップ、そして四条公債は昭和七十年度にもストップできるとされているのであります。この試算は幾つもの前提を置いたものでありますし、現在の公社公団がすべて民営化にたえ得るものかどうか、また株が予想どおりの価格で、これは二十倍でありますが、価格で売れるものかどうかなど、幾つもの問題があることはもちろんであります。しかし、一つの方向、問題提起としてはまことに興味深いものがあると思います。 そこで、NTTに倣って民営化し、株売却を国債減額に充てることのできる特殊法人をこの際選別をするというお考えはないでありましょうか。
○宮澤国務大臣 その点につきましては、この同じ書類の四ページの五というところに、NTTそれから日本たばこ産業株式会社、その前に旧国鉄と書いてございますが、それから特殊法人一般につきまして、あるいは沖縄電力株式会社につきまして幾つかを述べております。 この中でNTTにつきましては、もう既に昨年、一昨年百九十五万株、ことしは百五十万株でございますが売却をさせていただきまして、この売却代金は国債整理基金特別会計から国債償還に使わしていただいております。 たばこ産業は、御承知のように大変難しい仕事を背負っております。国内の葉たばこを使わなけばならないという大変難しい仕事を背負っておりますので、鋭意これが企業として、そういう葉たばこ生産者との関連も考えながら順調な経営ができますように、経営者が大変に努力をしておられますので、その結果として、願わくはこの会社の株も公開ができるという日の参りますことを大変に期待をいたしております。 それから沖縄電力につきましては、ちょうど今株式の民営化ということが行われようとしておるところでございます。
○海部委員長代理 岡田トシカツ君――失礼しました。岡田正勝君。
○岡田(正)委員 私の名前を呼ぶときに、マタカツ、こうよく言うのですよ。正勝なのにマタカツと言うのです。選挙のときにマタカツとアナウンス嬢が言うものですから、生意気だといって怒られたこともたびたびありました。どうぞ委員長、気にせぬでください。 さて、宮澤さん、大蔵大臣、実は今私がお答えが欲しいのは、この国民経済研究協会というところが、これも遊びで出したのじゃないと思うのですよ。こういうまともなものを、相当立派なものを出していらっしゃいますよ。こういうものまでお出しになって出していらっしゃるのが、いわゆる民営化して株を売りなさいや、それから国有地や何か土地を売りなさいや。そうやっていけば百七十一兆からの金が出ますよ。そうすれば借金がなくなるじゃないですか。借金がなくなれば、今ある借金よりもたくさんの金が入るわけですから、借金ゼロになるから、借金は利子も払わぬでいい、元金も払わぬでもいい。そうなれば今、年間十二兆から利子払いをしておるその金というものは丸々浮いてくるわけですから、話半分といたしましても、十二兆のうち半分をお返しすることができれば、当然利子の返却も半分になりますから、十二兆円の予算計上も六兆円で済みますので、そうすると六兆円はほかの方へ使えるわけですね。だから、そうなってくると消費税なんかに余り血眼さらして、ギャンギャン言わなくてもいいんじゃないのか、こういう国民の素朴な期待があるのですよ。こういうことに対してお答えをしていただきたいと思います。 私はその次の質問としてNTT、JR、日本たばこの株、その他の法人の株、そういうものを一体いつごろどういうふうに具体的に処分をしていこうとなさっていらっしゃるか、またその売却益はどのくらい見込めるものか。今、資本金の約二十倍が見込みが可能と言われておりますが、これはその時節によって変動がありますけれども、およそ二十倍ということを考えると、大体の見当はつけられるのではないかというふうに思うのです。だから、その点の計画を政府はお持ちではないのかなということを次に質問をいたしておきますから、計画があるならある、ないならないということをお答えください。 なぜそんなことを私がここでやかましくお尋ねをするかといいますと、このお答えをいただきました二ページの一番最後のところに、「税外収入について、国有財産の適切な売却等幅広く増収策を検討し、その確保に努める。」と、大変期待を持たせていただいておるのであります。したがって、もう一つ続いて質問をしておきますが、国有財度の売却についてここに書いてありますが、何をどのくらい売ろうというのであるか、それは何年にどのくらい売っていこうとするのであるか、その売却益の見積もりはどのくらいになるのであるかということをお知らせいただきたいということが私の質問であります。
○篠沢政府委員 まず、公団、事業団等を民営化して、その株式を売却して国債償還に充ててはどうかという御提言でございますが、無論公団等はそれぞれ固有の政策的役割を果たして、国の別働隊という形で特殊法人という役割を与えられておるわけでございます。 そこで、国の施策や事業を全般としてどういうふうな体制で行っていくか、法人の組織形態の変更というのが一体どういう影響を及ぼすことになるかといったことで、恐らく極めて幅広い観点から勉強しなければならない課題ではないだろうか。当面の問題といたしましては、先ほどから大臣が申し上げておりますように、行財政改革の成果でございますこのNTTの株式というものを極力適切に、あろう限り適切に売却をいたしまして、その収入を確保し、それによって公債の円滑な償還ということに努める最大限の努力と工夫を図っていくということが必要かと思います。 それから、日本たばこ産業株式会社に言及をされたわけでございますが、これは御承知のとおり、日本たばこの株の半分はやはり国債整理基金に持たせていただいているわけでございます。今後の国債償還に円滑に対応していきますための大変心強い支えとなると考えるわけでございますが、このたばこにつきましては、NTTに比べまして会社の経営上の難しさとか、たばこ事業のこれからの実態といったようなものを見ませんとなりませんものですから、今回の行財政改革推進のお答えにも「慎重に」という言葉がちらっと入っておるわけでございますが、やはり慎重に検討していかなければならない課題だということで、ちょっと難しさがございます。 また、会社の経営実態のほか、金融・証券市場の動向というのも、常にこの株の売却の問題には出てくるわけでございます。そういうこともございますので、現在売却益は全部で幾らになるんだ、こうおっしゃられましても、これを私どもが言及することはちょっと困難と言わざるを得ないと思います。その点はお許しをいただきたいと思います。 それから、国有財産の売却ということでございまして、国有財産と申しますと非常に広いものがいろいろあろうかと思いますが、国有財産の現在額、いわゆる土地等でございますが、国有財産現在額、六十一年度末で台帳価格ベースで四十八兆円でございます。ただ、この大部分は国がその政策目的を達成していきたいということで保有をしておりますので、これをすべて処分するということはなかなか難しいかと思います。したがって、国有財産の売却で国債残高がぐっと半減できるんじゃないかということにつきましては、私どもとしては、それはいかがなものであろうかなというふうに考えざるを得ないところでございます。 以上でございます。
○岡田(正)委員 今のお答えは私は大変気に入らぬのでありまして、例えばNTTにいたしましてもJRにしても日本たばこにしても、株ですよ、株の問題について、それを全部売り払うか売り払わぬかということを、やはりこれだけ大きな税金の問題、国民の負担を新たに求める問題を論議するときには、大蔵省だけで物を判断するんじゃなくて、この財産は国民のものなのですから、新たなる税金は国民が背負うのですから、そういう観点からいっても、とにかく売るものがこれだけあります、どうしたらいいでしょうかということを相談する国会というものがあるじゃありませんか。何で諮ってくれないのですか。諮れば、むちゃくちゃなことを言う議員さんはおらぬと思いますよ。みんな常識のある方ばかりです。これは穏当な、至当な結論を得られるものと私は思っておるが、全部隠れておるからわからないのですよ。だから、そういうものを大蔵省だけじゃなくて、国会の場へ持ち出していただきたい。 同じく国有財産にいたしましても、ただいま承りますと六十一年度ベースで四十八兆円ある、こう言う。これはなかなかよだれが出ますね。だが、それも簡単には、おいそれと右左へ処分するということはまあ難しゅうございます、それは今考えられぬ、こういうことを言っている。それはやはり大蔵省が言うのでしょう。日本の国会が難しいとおっしゃったんじゃないんですね。国有財産も国民共有の財産でありますよ。だから、少しでも国民の負担を減らすことができるものがあれば、それを洗いざらい国会に持ち出して、皆さんの審議の俎上にのせていくということが一番大事ではないか、こういうことを私は思っておりますので、今の答弁は不満であります。 不満であるからといって、これは何遍も押し問答しても時間ばかり食ってしまいますから、これ以上申し上げませんが、私の言う意見というものは、国民に新たなる税負担を求めようと今竹下内閣は考えておる。そのために頑張っておる。それならば政府としてやることがまだありはしないかということです。それはやることがたくさんある。今やっている不公平税制の改革もそのとおり。行政改革もそのとおり。そして国有財産はこれだけある。しかしこれは手放すことはできない、これだけは手放せる。あるいは株の問題は、これだけは手放せる、これは手放せない。株なんかだって、本当言ったら国民みんなが持てばいいのだ。政府がじっと抱えておる必要はない。私は、そういう理論に対して、だれも反対をなさる人はおらぬと自信を持って発言をしておるのであります。 ですから、政府で売れるものはこれだけ出しました、国会の御審議もいただきました、もう売るものがありません、どうしようもないのでこれからの負担をどうしていただけますかという御相談なら、私は非常に議論がかみ合うと思うのですよ。そういうことをなしにしておいて、もうこれ以上ようやれませんから、とにかく税金をふやしてちょうだい、風穴だけでもあけさせてちょうだいというようなことになれば、国民からいったら、それは聞こえませんよ。 特に六十五歳以上の方々あるいは母子世帯の方方、低所得の方々というものは、時間がありませんからそれだけにとどめますけれども、その人たちは減税の恩恵なんてびた一文受けることはないんですからね。あとは負担がふえるだけなんですから。言うなれば、日本で税金がかからぬのは空気だけなんだから。今度は水道にまでかかるのですからね。そういうことを考えますと、もっと国民のやるせない、この場に出てきてしゃべることのできない国民の気持ちになって、政府は素っ裸になって国民にそのあり方を、現状をお示しすべきではないか、そして国会にその対策をどうしたらいいかということを真剣に協議を申し上げるべきではないか。ひとり大蔵省の専売特許品ではないと私は思っておりますが、宮澤さん、いかがですか。
○宮澤国務大臣 私は、岡田委員のおっしゃいますことに基本的に心から賛成でございます。ただ同郷のよしみだけではございません。 殊に、今おっしゃいましたように、何も政府が株を持つ必要はないとおっしゃいますことは、世界的に国営ということはどうも問題があるのではないかということ、私もそう思いますものですから、できるだけやはりそうすべきものである。もちろん公社公団にしても、特殊法人にしても、国有財産にしましても、今あるということには何か意味があるのであろうと思います。ですから、何でもかんでも民間に出したらいいんだというふうにはまいりませんと思いますが、考え方としては、できるだけ用の済んだものはもういいではないか、民間でできるものはやらしたらいいではないかという思想でやってまいるということは、私は、臨調の行財政改革の思想とも相入れると思いますし、私ども大蔵省は、正直申しますと、実は一生懸命財源が欲しい方なものでございますので、そういうことにはどちらかといえば熱心な方でございますが、ただいまもおっしゃいましたように、できるだけスケジュールを立てまして、国会にも御報告しつつやらしていただきます。
○岡田(正)委員 非常にまじめな、前向きの答弁をいただきまして本当にありがとうございました。お人柄がにじんでおります。決してこれはおへつではありません。今の答弁はよかったですよ。私は大変気に入りました。 ですから、この際お願いしておきたいと思いますが、新しい税金を国民の皆さんに負担してもらおうかというこの国会であるからには、いわゆる政府はこんなものもあります、こんなものも持っています、その持っているものはこっちへ直しておいて、とにかくこれはないことにして税金を負担してくださいと言ったのでは、通りが悪いですよということを私は言っているのでありまして、決して竹下さんや宮澤さんをひねってやろうというつもりで言っているのではないのですよ。だからその点を十分酌み取っていただきまして、そういうものを処分することができれば、そうすれば借金の額が減る。借金の額が半分に減れば、十二兆円返しておるその返済額が六兆円で済む。六兆円で済んだら、今度の消費税は全部ひっくるめて五兆四千億円。五兆四千億円よりも六兆円の方が高いのですから、そんなものを急いでやらぬでもいいではないですかという理論が出てくるのでありまして、やはり物を進めるのには、国民を納得させながら進んでいっていただきませんといかぬと思いますよ。その点を強く強く希望しておきます。宮澤さんの真情にほだされましたから、次に行きます。 総務庁長官にお尋ねをさせていただきます。 サンセット制度は現在、ある種の行政組織、補助金等について部分的に似たものが採用されています。また、総務庁の行政監察による定期的な見直しが行われております。しかし、それはあくまでも政府部内で行われておるだけでありまして、行政監察というものを除けば、評価の結果も措置の結果も公表をされておりません。したがいまして、サンセット制度導入に当たっては、当該省府以外の第三者機関による評価と、それに基づく措置、結果の公表、特に国会の所管委員会または決算委員会への報告が必要ではないかと思うのでありますが、いかがでございましょうか。とりわけ私は、決算委員会をこういう形で活用されるということは大変大きな意義があると思うのでありますが、いかがでございますか。
○高鳥国務大臣 ただいま御指摘のように、いろいろな機構なりあるいは新しい制度導入というような場合に、サンセット方式を導入すべきであるということにつきましては、臨調、行革審等においても指摘をされているところでありまして、私どもが機構等を新設いたすことを認めます場合にも、厳格にそのことは審査をいたしているところであります。そしてまた期限の到来したものについては、これを整理するという方針で進めておりますし、現に機構等の改廃を行いました場合には、国会にこれを報告いたしておるところであります。 今後とも御指摘のような方針を十分堅持しながら取り組んでいきたい、こう思っておりますが、ただ一律にどれもこれもサンセットだよということは、やはりこれは政治の安定性といいましょうか、行政の安定性、継続性を確保する上において若干問題がございますので、そうした御趣旨を体して取り組んでいく所存でございます。
○岡田(正)委員 では次に、自治大臣、大蔵大臣、建設大臣、お三方にお尋ねをさせていただきます。 地方自治体は国の補助金関連事務に忙殺をされております。地方自治経営学会の調べによりますと、ここへ資料を持ってきておりますが、都道府県の事務の六割、市町村の事務の約四割が国庫補助金関係の事務に割かれておることが明白になっております。また、一千万円以下の予算規模の事業に対しまして、予算獲得のために東京へ何度も陳情に出向いて、多大な労力と時間と金とを使用し、その費用だけでも数百万円に上るという。また、補助申請時の書類が多過ぎる、少額の補助金は経費倒れになる、縦割り行政で補助金の申請が重複するなど、むだが多過ぎると指摘をされております。 本来、公共事業関係の負担金は、地方自治体がそれぞれの地方の整備計画、方針に従ってやるべきものでありますが、国が十分に負担をするということになっているのだから、地方の自主性を回復するためにも、国庫支出金を道路、河川、港湾、都市計画などの程度にまとめまして、包括的に支出をするという第二交付税制度の導入を検討できないものでありましょうか。三大臣からそれぞれお答えいただきたいと思います。
○梶山国務大臣 お答えを申し上げます。 自治省といたしましては、従前より地方に同化定着をした補助金や人件費補助の廃止等、国庫補助・負担金の整理合理化に努めてきたところであり、第二交付税の創設についての御提言の趣旨は理解できますが、国と地方の役割分担のあり方につながる事柄でもあると同時に、国庫補助・負担金制度の意義を大きく変革することにもなりますので、慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
○越智国務大臣 補助金の問題についての御質問でありますが、財源、税金等非常に大事なものであります。したがいまして、より効率的に、効果的に使用をしていく、こういうことは同感であります。また、そのために小さい補助金等は都道府県あるいは市町村の単独でやっていただく、私の方ではまとまったものをやっていく、こういうふうに考えております。 ただ、今の制度といたしまして、例えば道路にいたしましてもあるいは下水にいたしましても、非常に広域的な、例えば市町村でございますと一市町村でなしに広域的なものがございます。こういった点も考え合わせて、簡素化あるいは効率化、この点は十分考えて進めてまいりたい、かように思いますけれども、第二交付税方式ということになりますと、大体計画的にやっておりますので、道路は道路なりの計画、あるいは公園は公園なりの計画、下水は下水なりの計画に基づいてやっておりますので、それを第二交付税でどうぞ御自由にということにはちょっと、隣の選挙区でございますけれども、いい返事ができない、こういうことであります。
○宮澤国務大臣 まず基本的に、小さい補助金まで一々ひもをつけて、そして地方にあれするということは、それは私は本当にいいことでないと思うのでございます。ですから、全体としてのメニュー化といいますか、地方の実情を尊重して、零細なものはもうそこへ入れてしまうということは、私は思想としていいと思うし、今までもできるだけやってまいったと思うのでございます。 そこで今度は、今言われました第二補助金のようなものを一括できるかということになりますと、これは今両大臣がおっしゃいましたのですが、例えばそれは道路とか河川とかいう事業になるのでございましょうが、そうしますと、おのおのが五カ年計画とか中期計画を持っております。そして主管の大臣が全国をごらんになりながら、整備水準をごらんになったり、必要度を判断されたりしておられますので、これはどうもやはり所管大臣のお手元に置いておかないとぐあいが悪いのじゃないかということはあろうと思います。
○岡田(正)委員 それでは、運輸大臣にちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。 旧国鉄用地の処分の問題でありますが、その処分の問題とJR株、これは先ほど大蔵大臣にもお尋ねをしたのでありますが、その売却、このそれぞれの計画、そして売却益、こういうものについての見通しを簡単にお知らせいただきたいと思います。
○石原国務大臣 昨年の暮れ御質問をいただきまして、あれから一年近く時間が経過いたしました。東京周辺の大都市の地価、鎮静したとはいえ高値安定でありまして、病人で言えば脳膜炎を起こす寸前で、熱が九度でとまって、決して目の離せる状態ではございません。売れ、売れという筋もございますけれども、今の状態でこれを手放しますと、確かにその売却分は長期債務に繰り入れられて、国民の負担が減ることにはなりますけれども、 一方では大都市の住人たちに御迷惑をかける。忠ならんと欲すれば孝ならずで、まことに苦慮しておりますが、こうも言っておられませんので、近々特定の物件を構えて、例えば信託証券方式などを考慮しながらひとつ新しいモデルをつくってみようと思っておりますので、それを参考にしながら、地価を不顕在な形で、できるだけ高くこれを処理していくということを考えております。 また、JRの株につきましては、やはりこれもできるだけ高く売って、NTTの株くらい数十倍に売れればツーペイになるかもしれませんので、少なくとも今すぐということよりも、もっと実績を上げて、JRの株は大変優良であるぞということとしたいが、聞きますと、営団地下鉄の株の評価額が二十三倍ということでありますが、それを上回るような価格で売却できれば長期債務もかなり軽減されて、国民の皆さんの最終的な負担が楽になるのではないか、そういう基本的な姿勢で、前者に関しましては近々新しい一つのパターンといいますか、モデルを実際につくってやってみようと思っております。
○岡田(正)委員 人事院総裁お越しですね。 お尋ねいたしますが、公務員制度の問題でありますけれども、現在国家公務員はI種II種ということでキャリア、ノンキャリアに最初から分かれておりますね。これだけ高学歴化が進んできました中で、最初からコースを分けるということに意味があるのでしょうか。そして、ノンキャリアの人たちの間に不満や不平が生ずれば、行政機関内部での円滑な意思疎通や連携協力も難しくなるのではないか。そこで私は、省あって国なしと言われております縦割り行政の弊害をなくすためにも、現在の公務員の採用制度を改めていただいて、例えば共同採用方式などを導入されてはいかがであろうかな。また、そうすることで各省庁間の定員の流通もよくなっていくのではないかなと思っておるのでありますが、お答えいただきたいと思います。
○内海(倫)政府委員 ただいま御質問いただきましたような問題は、確かに公務員制度上大変重要な問題でございます。私どもも、縦割り行政によって生ずる欠陥ありとすれば、人事の面でどういうふうに解決したらいいか、これは常日ごろ考えておる問題でございます。いろいろ御所見をいただきましたが、そういうことも含めまして今後さらに国全体として検討をすべきもの、こういうふうに考えておりますが、現状におきましては、現在私どもがとっておる制度がまずまずモデル的なものではなかろうか。それは今現在、先進国を含んで各国からも日本の制度を学びに来ておるというふうな点で、いろいろ諸外国の連中とも意見交換はいたしております。また、私どもできるだけ一線に出まして、一線の諸君の意見も聞いております。御意見を十分頭に置きながら、今後もよりよきものを生み出すように努力したい、こういうふうに思います。
○岡田(正)委員 時間が参りましたのでこれをもってやめさせていただきますが、最後に総理にお願いだけ申し上げておきます。 私が予定をいたしました質問、時間が余りにも短くて半分しかできません。こういう状況です。絞りに絞っても半分しかできません。これはもう大変私は不満に思っております。それで政府の方に、答弁に誠意がございますけれども、しかしタイムスケジュールがない、アクションプログラムがない。こういうようなことを見ますと大変不満なところが大きいのです。改めて具体的な五カ年計画をぜひ出していただきたいということを私は希望いたしまして、これでは質問が十分でありませんので、その権利を保留させていただいて、本日はやめさせていただきます。 ありがとうございました。
○海部委員長代理 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。 次に、矢島恒夫君。
○矢島委員 不公平税制の問題では、我が党を除いて与野党で十項目について協議し、これを不公平税制の是正と称して審議せよ、こういうことはまず認められないということが一点。そして、そもそも企業献金を禁止すべきなのに、パーティーということで脱税行為をやる、その上これに課税することで合法化してしまう、こういうことは断じて許されないというのが我が党の考え方であるということ。 そこで、私はパーティー問題で質問したいと思います。 まず、自治大臣にお聞きしたいと思います。 政治資金規正法の第四条の三項を見ますと、「この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」このように書いてあります。 そこで、例えばパーティーの出席の案内を受けて、そして、そのパーティーに出席することはできないけれども、その党のカンパということで、例えば三万円のパーティー券を十枚買ったとします。この場合、これは政治資金規正法で言うところの寄附行為であると思いますが、いかがですか。
○浅野(大)政府委員 実際問題としてただいまお示しされたような事例があるかどうかわかりませんが、政治資金規正法上は寄附というものについて定義を置いております。要は対価性の問題でございます。一般的に私ども考えまして、パーティーをおやりになる、パーティー券を購入される、それは対価として行われているものだというふうに考えております。
○矢島委員 出席できないことを前提としてと私は質問したわけですが、いわゆる寄附行為だということがわかりました。 それでは、例えば政党や政治資金団体以外の自民党のある派閥が主催するパーティーの案内を受けた、そのパーティーに出席できないことを前提にして三万円のパーティー券を百枚買ったとします。この場合は三百万円になるわけですけれども、政治資金規正法の二十二条の二、二項、これに違反になると思いますが、そのように理解してよろしいでしょうか。
○浅野(大)政府委員 最初に、出席を前提としないで買うということがあるのかどうか、ちょっと私よくわかりません。通常は出席するためにパーティー券をお買いになるのじゃないかと思っております。ですから、ただいまのお示しのような事例についてどうこうということをなかなか申し上げることができないわけでございますが、要は、寄附であればそれは寄附制限の規定の適用を受ける。もともとそれが寄附か寄附でないかというところで決まってくると考えております。
○矢島委員 私は厳密な法解釈を求めるために前提を置いて質問したわけであります。寄附行為ということであれば、やはり百五十万円以上ということで、いわゆる政治資金規正法とのかかわりからいえば――出席することを前提で買うという、これはまた一つの条件を置くわけですから、私の方の条件の置き方と今の答弁の置き方が違うという点だろうと思うのです。 そこで、大体パーティー券を売るときにはパーティー会場に入り切れないほど企業に売っているのではないか。これは寄附行為であって、まさにこの百五十万円を超える場合には政治資金規正法に違反するものだ。自治省としてはそういう実態を調査したことがあるのかどうか、お聞きしたい。
○浅野(大)政府委員 パーティーについての詳細な実態調査というようなものはいたしておりません。 と申しますのも、私どもの立場でございますが、これは政治資金の状況というものを国民の前に明らかにする、いわばその媒介者をという立場に立っておるわけでございます。そういうところから、実質的な調査権も法律上認めておりませんし、そういうような状況の中で実態調査をしたこともございません。
○矢島委員 それではお伺いいたしますけれども、実際に出席しても、報道されておるように、そこでの経費といいますかこういうものは会費の極めて部分的なものであるということは、どのパーティーを見てもそのとおりになっております。つまり、会費の大部分はいわゆる寄附になっているというのが実態だろうと思うのです。まさに脱法行為と言わなければならないと思うのですが、いかがですか。
○浅野(大)政府委員 ただいまの御質問は、恐らく、政治団体からの収支報告の中で、いわゆるパーティー等の事業収入の収入金額、それからそのために支出した金額を比較して、収入金額の方がそのための支出金額よりも相当大きいではないかということをおっしゃっているのではないかと思いますが、もともとパーティーの経費としては、通常はその会場の借り賃とか飲食物代とか、あるいはその案内状とかいろいろあるかもしれません、パーティー券の印刷費もあるかもしれません、いろいろありますが、そういうものだと思います。 ところで、対価性があるかどうかということは、パーティー全体が出席者にとって対価性があるかどうか、そういう点で考えるべきものだろうと私ども思っておるわけでございまして、パーティーに行きますればいろいろな有益な話も聞ける、あるいはそこでいろいろな方々と話をするということがある、そういう全体が対価性を持っておるということだろうと思っております。
○矢島委員 脱法行為であるということについてはこれから順次ただしていきたいと思いますし、パーティーの実態というものについては、今御答弁があったような内容とはほど遠いということも指摘しておきたいと思います。 ところで、十月六日の各紙に載っていたものですけれども、「「経世会・親睦のつどい」開催″延期″のお知らせ」、こういうのが出ております。総理の派閥だと思いますが、総理、なぜこれは延期されたのか。延期して、もしこれをそのままにしますと、パーティー券代はただ取りというようなことになるのじゃないかと思うのですが、その点についてはどういうような状況にありましょうか。
○竹下内閣総理大臣 私、経世会の会員の一人でございますが、今いわゆる会の役職の場は離れております。その話は聞いておりますが、今おっしゃったようなことも含めていろいろ議論されたんではないかというふうに思っております。
○矢島委員 政治家の資金集めのパーティー券の販売というものについては、大変国民からの批判も集中しているという状況にあるわけで、この「経世会・親睦のつどい」につきましては、もう券はお売りになったんだろうと思うわけです。 私、ここにパーティー券のコピーを持っておりますが、一枚三万円という金額になっていて、十月十九日に東京プリンスホテルで行う。総理、御存じならばお答えいただきたいんですが、一体何枚ぐらいのパーティー券をどこへ売られたのかという点については御案内でしょうか。
○竹下内閣総理大臣 参画いたしておりませんので、承知しておりません。
○矢島委員 経世会の会長は金丸委員長でございますので、委員長いらっしゃればお聞きしたいところでございますが、席を外しておられるので総理に重ねて聞くわけですが、企業にまとめて買ってもらったんではないか。といいますのは、企業へも案内状が出ているわけですね。「御住所」「団体・会社名」と、こういう返信を送るような形で案内状が出ているわけです。さらにこの中に代金の振り込み用紙もきちんと入っているわけですね。まさに企業にまとめて買ってもらったんじゃないかと思うのですが、そういう報告も受けておりませんか。
○竹下内閣総理大臣 受けておりません。
○矢島委員 総理、総理の派閥がみずからパーティーを率先してやっているから、次々とパーティーによる政治資金集めが行われているわけですが、このことについて、四月十日の毎日新聞ですけれども、いわゆる花村リストと言われる自民党への政治献金割り当てリストをつくった経団連の花村前副会長のインタビュー記事が載っているんですが、その中で花村氏はこんなことを言っていらっしゃる。「現職、落選中の人、新人が入れ替わり立ち替わり一枚二―三万円で頼みにくる。一枚ぐらいならそうたいしたことはないが、会社によっては百枚、三百枚と買わされる。九百万円ですよ。しかも一人じゃなく次々来る。会社の方はやり切れません。」まさに会社が大変だと言っている状況なんですね。 こういう状況だからこそ、我が党はこういうパーティーを、政治資金規正法の枠がありますが、その枠をくぐり抜けようという発想で考え出されたいわゆる企業献金の脱法行為である、まさに政治資金規正法違反だ、こういうことを言っているわけなんです。そうなると、企業や団体からの政治献金は自由自在になる、野放しになる、青天井になる、こういうようなことが心配されるわけですが、総理の明確な御答弁をいただきたい。
○竹下内閣総理大臣 政治資金規正法そのものについてちょっと基本的な認識が違うようでございますので、感想がございません。
○矢島委員 私は、先ほど花村さんのインタビューに答えた文章をお読みしたのですが、こういうことは次々たくさんあるわけなんですね。 例えば、これは四月十三日の日経ビジネスですが、「政治資金パーティー花盛り」という特集リポートを組んでいるわけです。「パーティー券の流れ方は大きく二つに分かれる。大蔵、商工、農林などいわゆる族議員がパーティーを開く場合は、それぞれの所管官庁を通じて全国銀行協会、日本証券業協会などの業界団体へパーティー券が回され、各業界団体はこれを交通整理して関係企業に振り分ける。こうしたルートによる政治資金額は全銀協で「年間百件前後、金額で三億円程度」という。もう一つが個別議員が企業にパーティー券を持ち込むケースだ。」さらに九月七日の、これは毎日新聞ですが、「毎年、数千万円の政治資金を国民政治協会を通じて献金しているある大企業にはパーティーがあるたびに各派の領しゅうや幹部が「最低三百枚程度は買って欲しい」と頼んでくるのが相場となっているという。」 総理、私が質問しているのは、いわゆるパーティー券を買ってもらうということが、隠れた、いわゆる企業献金というものの変わった別の形になってきている、つまり企業献金そのものなんだ、それぞれの企業に三百枚、四百枚と割り当てる、こういう中で行われているところに重大な問題があるんだ、このことを指摘しているのですが、いかがでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 およそ政治資金規正法に基づく企業献金、企業献金の悪であるというその考えは別といたしまして、これは我が方は悪という考え方は、我が方ではなく、お互い企業というものも社会の構成要員であって、これは悪であるなんということは全く考えたこともございません。まず一つはそれでございます。 それから、パーティーの場合といわゆる寄附金の場合とはおのずから性格が異なるものであるというふうに考えております。
○矢島委員 私は、こういう重大な問題を含んでいるところのパーティー問題、資金集め問題について、これを課税するというようなことで国民の批判にこたえるものにはなっていないと思うわけなんです。 今までいろいろお聞きしてきました。いわゆる政治資金規正法の脱法行為としてやっているのがこの政治家のパーティーであるということ、税を払えばどうぞおやりなさいというのでは、まさにこの脱法行為を公認するものだ。八月三十一日の毎日新聞社説がありますが、政治家のパーティーが課税になったからといって野放しになるようでは問題だと指摘している。 つまり、政治家や政党への献金というのは、やはり営利企業というものが営利を目的として行うものである、見返りを期待している、あるいは見返りを求めている、これが献金だろうと思うだけです。ですから、このパーティーを公認することは、政治資金規正法の枠を超えた企業献金の増大を認めることにつながるわけです。私は、どうしてもこのパーティー名目を含むところの企業、団体からの献金を禁止する以外にない、こういうことを申し上げたいわけです。 現にリクルート疑惑で、企業がもうけの野望を果たすため、なりふり構わず政界に資金をばらまいている事実が大きく浮かび上がっています。この疑惑の徹底解明、そのための証人喚問こそ今やるべきことだと思います。 時間になりますので、最後に、過日、十七日の私の質問の中で、我が党の証人要求人数二十三名と申しましたが、二十六名と訂正させていただいて、私の質問を終わって、関連質問の児玉議員にかわりたいと思います。
○海部委員長代理 この際、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。児玉健次君。
○児玉委員 最初に、総理に御質問をいたします。 「ロッキード問題閣僚連絡協議会の設置について」、これは昭和五十一年二月十九日、閣議の口頭了解でございますが、冒頭、「いわゆるロッキード問題に対処するため、次のとおり、ロッキード問題閣僚連絡協議会を設置することといたしたい」と述べて、協議会には副総理、当時福田赳夫さんでした。法務大臣、外務大臣、宮澤さんでいらっしゃいます。大蔵大臣、通商産業大臣、運輸大臣、総理府総務長官、国家公安委員長、防衛庁長官、内閣官房長官及び内閣法制局長官が参加する、そういう形で五十一年の二月十九日に発足をいたしました。 そして協議を経て、昭和五十一年十一月十二日、ロッキード問題閣僚連絡協議会で「ロッキード事件再発防止のための対策について」というのが取り決められております。「今後における同種事件の再発を防止するため、当面次のような諸方策についてその推進を図ることとする。」その一の(四)にこういう部分がございます。例えばという言葉で始まっています。「例えば、「公務員が、その職務執行につき、密接な利害関係を有する者から、通常の社交の程度をこえる財物その他の財産上の利益を収受したときは、」私は一部を読んでいますが、「職務に関して賄賂を収受したものと推定する」」、こういうふうに閣僚連絡協議会が取り決めておられます。 この取り決めについて、今総理はどのように受けとめていらっしゃるか、まずお伺いいたします。
○竹下内閣総理大臣 五十一年の二月でございますから、私も当時台閣に列しておりましたが、たしかメンバーではなかったと思います。建設大臣でございました。 その件について今定かな記憶を呼び戻すだけの準備はできておりません。
○児玉委員 今その内容についてはお示しをいたしまして、これは総理よく御存じだと思いますが、衆議院ロッキード問題に関する調査特別委員会、この中から抜き取ってきたものです。そしてその「公務員が、その職務執行につき、」云々、現在の段階で総理としてどうお受けとめになっていらっしゃるか、そのことをお聞きしたいのです。事実関係のあれこれではございません。
○竹下内閣総理大臣 事実関係が正確でないままにお答えすることはいささか無責任かとも思います。が、今お読み上げになった限りにおいては、当時の申し合わせと申しますか決定事項でございますか、なるほどなと思って聞かしていただきました。
○児玉委員 宮澤大蔵大臣に御出席を願っているわけですが、昭和五十四年十一月九日、これは第二次大平内閣が出発した日でございます。このとき大蔵大臣をなさっていたのが竹下現総理です。官房長官は伊東正義さんでございます。 内閣から各省庁への通知として、「綱紀粛正と行財政の刷新に関する当面の方針について」、その冒頭の「綱紀粛正」の部分で、「その他公務員等の綱紀にかかわる一連の問題については、引き続き事実を徹底的に究明し、不正の事実に関しては関係者の厳正な処分を行う。」として、そしてその後の方に、(6)でございますが、「公務員の関係業界等からの接待及び贈答品の受領は、国民の疑惑を招くことのないよう厳に慎しむ。」こういうふうに述べられております。大蔵大臣として今これをどのようにお受けとめでしょうか。
○宮澤国務大臣 ただいまお読みになりましたのを承っております限りでは、綱紀の粛正について強調したものと拝聴をいたしました。
○児玉委員 私はそこで、労働省の元事務次官加藤孝氏が、今のロッキード事件の再発防止の閣議取り決めによれば、その職務執行につき、密接な利害関係を有する者から、未公開株の譲渡により二百万円という、通常の社交の程度を超える財物を収受した、そのことが今事実として明らかになっております。この点についてまず質問したいと思います。 労働省は十月十一日午後、加藤氏から直接事情を聴取されたと承っております。その際、旧リクルートの社員から未公開の株の譲渡を持ちかけられて、そのとき加藤さんの手持ちの金額の問題があった。そこで、旧リクルートの社員からファーストファイナンスからの融資をさらに持ちかけられて、そしてそれをお受けになった。国民の常識からすれば、未公開株の譲渡、一般の人は到底その機会にあずかれません。そしてそれだけでなく、融資まであっせんつきである。普通でいえば話がうま過ぎますから、待てよということになるのが一般国民の常識だと思います。事務次官といえば行政のトップでいらっしゃる方です。その方が今の点についてどのように事情聴取で述べられたのか、そこのところを労働省から承りたいと思います。
○清水(傳)政府委員 御指摘のように、株式の引き受けに際しましてファーストファイナンス社より融資を受けた、このように私どもも聴取いたしておりますが、ただ、同社がリクルート系の会社であったかどうかを含めましてその内容について十分承知しないまま融資を受けた、こういうふうに聞いておりまして、その際におきましても、今になってみればうかつであった、こういう感想を述べておったところでございます。
○児玉委員 先ほど申しましたように、普通の国民の常識からいえば、融資先まであっせんされる、自制のブレーキが働くはずですよ。一般公務員のトップの地位にいる、まして事務次官です。そのことについてうかつだったとかなんとかで済ませるものかどうか。この点、労働省は事情聴取の中でどのようにお聞きになりましたでしょうか。
○清水(傳)政府委員 このファーストファイナンスから融資を受けたことについて極めてうかつであった、こういうふうにも申しておりますし、また、こうした株式の購入自体につきましても本人として極めて慎重を欠く行為であった、全体としてそういう反省の言を述べておったところでございまして、今先生おっしゃいましたように、理性を欠く云々と、そうした形で私ども聴取をいたしたわけではございません。
○児玉委員 私は、加藤孝氏の職務権限がどのようなものであったのかということをこの質疑の中で明らかにしていきたいと思います。 加藤氏が職業安定局長であったころ、就職情報誌の内容が実際と違うというトラブルが続発しておりました。社会問題にもなっていた。ある労働組合は「リクルート一一〇番」を設置されて、そこに短期間の間に百五十件の苦情が寄せられました。労働省はこの就職情報誌に関する社会的なトラブルの問題について当時どのような内部的な検討をなさったのか、この点を私はお聞きしたいと思っています。 そこで具体的にお尋ねしますが、労働省は部内の事務担当者レベルで職安法一部改正する法律案大綱と題する内部資料を作成されていた、そうお聞きするのですが、この内部資料を提出していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○岡部政府委員 昭和五十年代後半に情報誌をめぐる各種のトラブルが発生をしたということは御指摘のとおりでございます。 労働省におきましてはこれについての各般の対策を検討したわけでございますが、その中で現在先生大綱という形で言われましたようなものもあったことはあったのでございますが、しかしながらそれは、その性格というものは試案の中の一つでございまして、規制も自主的な規制にまつというものから、あるいはまた法的規制を加える、各般の試案が出されました中の一つでございます。で、その大綱なるものは結局のところ日の目を見ずに終わった性格のものでございます。そのような政策決定途上の一つの試案という形のものでございますので、これは公表をするというふうなものではなかろうと私ども考えています。
○児玉委員 労働省に重ねて伺いますが、ただいまの大綱、それが内部的な資料であるということはよく承知しておりますし、それがどのようなものかということについても多少推測がつくわけですが、これは加藤孝氏の職務権限との関連で非常に重要な内容を持つ文書でもありますから、国政調査権の発揮という形でその提出が求められれば当然労働省はお出しになると思うのですが、いかがでしょうか。
○岡部政府委員 当時担当者が起案したといいますかつくった一つの試案でございます。そのような内部的な検討過程の一つの案でございますので、これは公にすることは適当ではないというふうに考えるわけでございます。その点は御了解をいただきたいと存じます。 ただ、国政調査権ということを先生今言われたわけでございますが、本委員会の場におきましてそれを、資料を提出させる必要があるということを国会でお決めになるのでございましたら、それは労働省としてそれに従うことは当然であると考えております。
○児玉委員 委員長に御要請いたしますが、ただいまの文書、職安法一部改正する法律案大綱、これの提出について後ほどお取り計りいただきたいと思います。 そこで質問を続けます。ただいまの、当時行われていた労働省内部における検討の内容ですが、皆さん方のあれこれの検討の中の有力な一部に、求人情報誌が虚偽の広告を掲載する、そういうことがあった場合に、事業の報告を求め、立入検査ができる、そして公益を害するおそれがあるときは業務停止をすることができる、罰則の検討を含めて皆さんの検討がなされていたと聞いておりますが、いかがでしょうか。
○岡部政府委員 当時、情報誌をめぐるトラブルについての対策ということでございまして、職業安定法の見直しというふうなことも議論に上ったことは事実でございます。この場合、検討に際しまして、募集主に対する規制の見直しとあわせまして、就職情報誌に対してもいろいろなやり方があるであろう、法的規制もあるであろうし、また、鋭意自主的な改善努力にまつというやり方もあるであろうと、いろいろな議論が行われたわけでございます。 そういう検討過程の中で、先生の今御指摘のような、例えば報告請求権あるいは立入調査権限ないしはまた業務停止権限というふうなものをつくってはどうであろうかというふうなことも検討をされたことはございます。しかしながら、このような方式そのものの果たして合理性があるかどうかというふうなこともその当時から疑問がございましたし、それからまた、新聞広告等ほかの媒体との関係、これも慎重に検討すべき事項として挙げられた次第でございます。 それからまた一方、そのような各種権限あるいは請求権というふうなものを、許認可権等を創設するということにつきましては、当時、五十八年三月に臨調答申におきまして、政府において新たな許認可権等を創設するというふうなことは抑制をすべきであるというふうな考え方が出されたということもあるわけであります。 そしてまた一方、新聞業界におきましては、自主的な規制組織ができて、それが実効を上げておったというふうな、そのような実態もあったわけでございます。これは非常に参考となる事例であろうということで、自主的規制というふうな形でその面につきましては決着を図りますとともに、それから職業安定法もやはり改正をいたしまして、広告内容の的確表示を義務づけるというような改正を行った。 これがそのときの一連の経緯の全貌でございます。
○児玉委員 先ほど私が紹介しました「リクルート一一〇番」の労働組合は、就職情報誌による虚偽広告に対して当時労働大臣に、昭和五十九年七月のことですが、就職情報誌側の法的責任について明らかにされたいという申し入れ書を提出をしております。一方、この時期、リクルートを代表とする業界では、昭和五十九年の七月に職業安定法研究会というのを結成されまして、そこで法令による規制反対を社会的に表明されております。 そういった二つの流れが非常に厳しく相克しているその時期に、昭和五十九年四月十七日の衆議院社会労働委員会で、加藤元職安局長はこういうふうに答弁なさっている。「今、こういう情報誌に対しまして広告掲載基準というものをしっかり自主的につくって、そしてそれを自分自身で守っていただくような指導をしておるわけでございます」、同様の答弁を五月の八日にも同じく衆議院社会労働委員会で繰り返されております。この点について間違いありませんね。
○岡部政府委員 この問題につきましての各方面の対応と申しますか、提言あるいは指摘ということを拾ってみましただけでも、昭和五十六年四月の雇用情報研究会の報告、それから先生の今お挙げになりました五十九年の七月の労働組合からの申し入れ、それから社会労働委員会における質疑が四月から五月までにございました。それから、五十九年の五月から七月にかけまして国会の附帯決議の中におきまして、求人情報誌をめぐるトラブルにつきましてのコントロールということについて提言、指摘があったところでございます。
○児玉委員 この問題と前後するのですが、雇用情報センターの設立ということで、労働省は日本リクルートセンターなどと協力していろいろと御努力をなさっておりました。 この点で、私は「新聞協会報」をここに持ってまいったのですが、「新聞協会報」昭和五十八年七月十九日付の報道によりますと、労働省からこの点で新聞協会の広告委員会政策小委員会に赴かれて、内容についての説明をなさった。「就職希望者の職業選択の指針となる情報、企業における採用、配置、退職管理など雇用管理改善のための情報の提供を目的とし、」これについては、基本財産五千万円は日本リクルートセンターを初めその他の業界誌が出すということで御説明をなさった。新聞協会の方からは、「事実上特定企業への優遇措置になっている」「身体障害者など求職困難者に限らず、一般的な求人求職情報に拡大するおそれがある」。何しろ、この構想によれば、月一回程度、東京、神奈川、千葉、埼玉の企業等に約一万部、無料で資料を配布する予定でした。 そして、同じく「新聞協会報」の八月九日号によれば、次の回、労働省から野見山眞之大臣官房審議官が新聞協会との話し合いに出席なさって、リクルートセンターなどと協力して進めていた同センターの設立については構想を棚上げにする。後に、加藤職安局長は新聞協会との確認書に署名をなさっています。この段階でのリクルートと加藤当時の局長とのつながりについては私は注意を喚起しておきたい、こう思います。 そして、リクルートなど就職情報誌業界は、昭和五十九年の七月に求人広告研究会を発足させた。今岡部局長がおっしゃったことです。同年十二月にこれは全国求人情報誌協会になり、六十年の二月に労働省はこれを認可された、山口労働大臣。同協会に対して労働省のOBが派遣されている、そして補助金も出されていると承ります。ここに赴いている労働省OBのお名前、協会でのポスト、そして労働省から支出されている補助金の額をお答えいただきたいと思います。
○岡部政府委員 先生御指摘の雇用情報センター、財団法人でございますが、これは職業選択についての情報の提供、あるいはまた求人、求職動向についての情報の提供、あるいは人事、労務管理の情報提供というふうなことで、極めて公益的な業務を行う目的をもって設立をされたところでございます。 これにつきましては、先生いかにもリクルートがこれをつくっているのではないかというような角度からの御指摘、御質問のように伺ったのでございますが、この情報センターというものの、例えば理事長は、これはリクルートではございません、別な会社が理事長をいたしておるわけでございます。これについての出資の関係につきましても、別にリクルートがトップであるというわけでもございません。その辺の誤解をひとつないようにお願いを申し上げたいと思うのでございます。 なお、この情報誌協会、公益的なことをやっておりまするが、これにつきましての労働省からの出向でございますが、海上氏が現在この常務理事兼事務局長として出向をいたしておるところでございます。それから、この協会に対しまして、労働省からは本年度より八百八万円の委託費を出しておる、そして各般の事業を遂行してもらっておる、こういう内容でございます。
○児玉委員 今のお話なんですが、この財団法人一雇用情報センター、リクルート関連から役員二名が派遣されていて、そして設立時の出資金は、私の承知しておるところでは一億七千万円、そのうちリクルートは四千万円を出しております。これはもう一つの業界と並んでトップです。そのことは明確に言っておきましょう。そして労働省は、この雇用情報センターに対して委託費二億八千万円を支出をしております。 私は次の質問に移ります。この時期のさまざまな労働行政の展開がございますが、大きかったのは、いわゆる労働者派遣法が第百二国会で審議され、昭和六十年の六月に成立したことです。その際、職業安定法の改正が行われました。職業安定法の中の第三十五条と第四十二条がどのようになったのか、簡潔に述べていただきたいと思います、時間の関係がありますから。
○岡部政府委員 三十五条は募集についての規定でございます。これにつきましては、文書募集と直接募集があるわけでございますが、文書募集につきましては、これを通報制を廃止したところでございます。そして、直接募集につきましては、これを許可制を届け出制に変更した、これがあらましでございます。
○児玉委員 第三十五条、それまでの職業安定法にはただし書きがついておりました。「但し、通常通勤することができる地域以外の地域から、労働者を募集しようとする場合においては、募集を行う者は、募集の内容を、公共職業安定所長に通報しなければならない。」義務規定になっておりました。ここが昭和六十年六月の改正によって物の見事に全部削除され、そしてその結果、リクルートなど求人情報誌に広告を掲載する事業主は、これまでよりはるかに気軽に就職に関する広告を掲載することが可能になりました。 それから四十二条です。これも今お話がありましたが、虚偽の広告に対して、法的な規制を含めて労働省内部では検討もなさっていた。ところが、四十二条は結果としてどうなったかといえば、「平易な表現を用いる等その的確な表示に努めなければならない。」努力規定にされてしまった。これがリクルート等の利益にかなうものであることは余りに明白だと思いますが、いかがですか。
○岡部政府委員 先生今お尋ねのただし書き等の問題でございまするが、これは社会経済の情勢の変化に対応いたしまして、労働力の需給調整機能というものを効果的に発揮されるようにという、この検討の一環であったわけでございます。 すなわち、昭和二十二年に法制定されたわけでございますが、その当時と異なりまして、通信あるいは交通の手段が著しく発展をしたわけでございます。通勤圏外といえども、求職者が事業主についての情報を入手することは容易になったわけでございまして、例えば電話一本かければわかるというふうな、そういう世の中の移り変わりがあったわけでございます。それから、通勤圏外からの募集に関する従来の規制と申しますものは、やはり迅速な需要と供給の結合を阻害する要因になっておったということは、識者から指摘をされていたところでございます。したがいまして、五十九年十一月の中央職業安定審議会労働者派遣事業等小委員会における検討及び報告に基づきまして、そのような改正を行った。 つまり、一言で申しまするというと、社会経済情勢の変化に対応した改正であったということでございます。
○児玉委員 ただいまのお答えは、当時労働省が法案の提出に当たってなさった説明の単純な繰り返しです。どのように述べられようと、それが広告就職情報誌の大手であるリクルートを大いに励まし、かつその活動を容易にしたということは、これははっきりしております。 そしてもう一つ。昭和六十年の六月に成立した労働者派遣法、この労働者派遣法によって、リクルートは人材派遣事業を独立させてシーズスタッフという企業をつくり、大手を振って人材あっせん業に乗り出すことになった、この点についてはいかがですか。
○岡部政府委員 この労働者派遣事業法の制定というものは、これこそ時代の趨勢に合致するところの立法であったということが言えると思うのでございます。これは諸外国の法制例にもかんがみまして、そのような派遣という形における労働者の人材の有効活用ということが求められる、そういう時代になったわけでございまして、この点、各般の研究会あるいは調査会、またその根っこに行政管理庁の行政監察結果というものも踏まえまして、これは関係者の合意を得ながら進めた立法でございます。 リクルートにおきまして、それはリクルート人材センターその他幾つかの許可を得て開設をしているところもございますが、これは数百の人材派遣事業のごく一部であるということも御承知おきをいただきたいと思うのでございます。
○児玉委員 昭和五十九年から昭和六十年にかけて、先ほどの質疑の中でも事実が明らかになってきているわけですが、労働省部内においてすら、この求人情報誌に伴うさまざまな社会的なあつれき、困難、障害、それをどのように解決をしていくのか、法的な規制を強化することによってそれを行う、それと自主的な規制を業界に行わせてそれによってなさせる、それの相克関係の中で、先ほど申しました昭和五十九年四月十七日、五月八日の社会労働委員会の質疑、そして加藤さんの答弁、このあたりで非常にドラスチックな労働省の政策の転換が行われる。その衝に当たっていた人たちから承るところによれば、これはトップダウンの方式で持ってこられた。 そこで、私は労働省にお尋ねをしたいのですが、職業安定法の第六条「職業安定主管局長は、労働大臣の指揮監督を受け、この法律の施行に関する事項について、」云々と、ずっと今お尋ねした幾つかの項目について触れながら、「その他この法律の施行に関し必要な事務をつかさどり、所属の職員を指揮監督する。」こういうふうに書かれております。そのとおりですね。
○岡部政府委員 労働省設置法及び関係政省令では、そのように明らかに規定されております。
○児玉委員 労働省もそのようにおっしゃっています。もう事柄は非常に明白です。労働省の事務次官といえば、これは国家行政組織法第十七条の二、そこで明記されているとおり、労働省が所轄する許認可事務はもちろん、行政指導その他の事務一般に対し包括的な指揮監督をする職制を持っております。 私は、おいでいただいている法務省にお尋ねをいたします。このような職務権限を有する事務次官、その前のお仕事は労政局長、そしてその前が先ほどから述べております職業安定局長、そういう方が、その所管事項にかかわる企業で、労働行政に関連して多大の利益を受ける企業から、値上がり確実な非公開の株の譲渡を受け、大きな利得を得る、これは明らかに収賄罪に当たる疑いがあります。請託収賄の疑いさえあります。検察がこれに対してどのように対応されているのか、お答えいただきたいと思います。
○根來政府委員 ただいま具体的な問題についての犯罪の成否について申し上げる立場でございませんが、従来から申し上げておりますように、およそ国会の御議論の中で犯罪の疑いがあると指摘された問題につきましては、検察といたしましても御指摘は御指摘ということで受けとめまして、厳正公平な立場で事実関係を観察しまして、その上で適正に対処しているものと考えております。 本件につきましても、私の記憶に誤りなければ、坂井委員が御指摘になった点でございます。したがいまして、今申し上げたような姿勢で検察は対処しているものと理解しております。
○児玉委員 総理にお尋ねをしたいと思うのです。 十月十一日、この事実が明らかになったとき、報道によれば総理は、それはリクルートコスモスの株だ、そして個人の問題であって報告を求めるつもりはない、今からも求めるつもりはない、こういう趣旨の発言をなさったと私は新聞を通して承知しておりますが、そのとおりでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 私が廊下を歩いておりますときにいろいろな断片的な取材を受けることがございます。正式な記者会見というのは、私には特別の場合を除いてないわけでございます。そのときに質問がございましたので、まあ若干勉強しなさいというような意味でございましたでしょうか、いわゆるコスモス社というものとリクルート社というものとは違うというようなことは勉強された方がよかろうというふうな趣旨で言ったような気がしております。
○児玉委員 リクルートの疑惑が、総理御自身を含めまして現在政界、官界、財界を巻き込んでいよいよ重大な規模に伸びてきております。非常に残念なことです。日本の政治のあり方そのものが厳しく問われているように思います。 総理は、ただいまの時点でこのリクルート疑惑をどのように受けとめられているのか、改めて御所信を伺います。
○竹下内閣総理大臣 いつも申し上げるようなことでございますが、私は本委員会の問答を聞きながら、およそ四つに整理しております。一つは証券取引上の問題であります。一つは税務上の問題であります。いま一つは既に事件になっております刑法上の問題であります。いま一つは私を含むいわゆる道義責任の問題についてであります。この四つについて、なかんずく、みずからの立場からすればこの道義的責任というものに対して、絶えず倫理綱領等を反復しながら対処していかなきゃならぬという自戒の念を込めてお話ししておるところでございます。
○児玉委員 ただいまの総理の御答弁はこれまで随分繰り返し承りまして、一部の文言については私ももう暗唱しているぐらいです。そのことを繰り返していたのでは、国民の政治に対する不信がなくなりません。先ほども申したように、日本の政治のあり方が今問われている、そのとき、このことについて総理として一歩踏み出して、このリクルート疑惑の全面的な解明について必要な措置をとられる、これが今国民のすべての声ですが、その点、総理はどのようにお考えですか。
○竹下内閣総理大臣 私の答えを暗唱していただいておるといたしますならば、感謝を申し上げます。ここで各委員の皆さん方からのそうした御質問に対しましては、やはり私はお答えいたしたとおりを反復すべきものであると考えております。
○児玉委員 この後も、この問題については全面的に事態の真相と責任を明らかにしていくということについて述べまして、私の質問を終わります。
○海部委員長代理 これにて矢島恒夫君、児玉健次君の質疑は終了いたしました。 次回は、明二十七日木曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十六分散会