交通安全対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 160 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1988/10/12
会議録
○近江委員長 これより会議を開きます。 交通安全対策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。粟屋敏信君。
○粟屋委員 去る七月二十三日、横須賀港の沖合海上におきまして潜水艦「なだしお」と遊漁船第一富士丸が衝突をし、三十名の方がお亡くなりになるという痛ましい事故が発生いたしました。当委員会も直後現地を視察いたしまして、浦賀水道の交通の状況を視察をし、また、委員長が花束を投じて亡くなった方々の御冥福をお祈りをいたしたわけでございますが、改めて、こういう事故を再度発生させてはならないという考えを固めた次第でございます。 この事故の原因を究明し、また責任の所在を明らかにすることが、私は今後このような事故の再発防止に非常に大きな力があると思っております。これらのことにつきましては、いろいろな観点、角度から報道がなされ、また論評もなされておるようでございますけれども、予断を排して厳正、公正に原因の究明を図ることが最も必要だと考えておるところでございます。政府におかれましてもいろいろと御努力をちょうだいいたしておるようでございますが、先般「なだしお」の艦長山下氏と第一富士丸の船長近藤万治氏を被疑者として横浜地方検察庁に書類送検をされたということも伺っております。そういうことを含めまして、また事故原因等の内容も含めまして、その後の経過並びに措置について御説明をいただきたいと思います。
○山田(隆)政府委員 本年七月二十三日に横須賀港の沖合で発生いたしました本事件につきましては、横須賀海上保安部におきまして両艦船長からの事情聴取あるいは関係者からの事情聴取、また事故に遭った船艇、艦艇についての実況見分等約二カ月にわたりまして鋭意捜査をいたしまして、その結果といたしまして、ただいま先生も御指摘のございましたように、両艦船長を九月二十九日に業務上過失往来妨害及び業務上過失致死傷で横浜地方検察庁へ書類送致いたしたところでございます。 今回の事故についての容疑事実といたしましては、当時の「なだしお」艦長につきましては、早期に大幅な避航をせず、また十分な見張りをしなかったということ、さらに不適切な情勢判断のもとに安易に進行して避航の時期を失したという過失、それから第一富士丸につきましては、「なだしお」に対しまして疑問信号を発することなく航行を続け、保持船に許容される衝突回避動作をとらなかったということ、さらに、衝突を避けるための最善の協力動作をとらなかった過失というものが認められたわけでございます。さらに、第一富士丸船長及び同船の所有者である富士商事有限会社につきましては、最大搭載人員を超えて乗客及び乗員を乗船させておりました事実も判明いたしましたので、それらにつきまして船舶安全法違反と海事関係法令違反で十月七日にさらに送致をした次第でございます。
○粟屋委員 今御報告をちょうだいいたしましたが、今後検察庁においても捜査が進められましょうし、さらに海難審判も進行しておるようでございますが、先ほど申し上げましたように厳正中立に原因の解明に当たっていただきたいと思っているところでございます。なお、自衛隊に対する信頼がこの事故によって失われたのではないかという危倶がありますけれども、自衛隊におかれましても非は非として再び国民の信頼を回復するように御努力をいただきたいと思っておるところでございます。 このような状況を踏まえまして政府の事故対策本部で事故再発防止対策について御検討のようであります。日曜日でございましたか、私テレビを見ておりますと、潜水艦「なだしお」等を初め自衛隊の艦船についても横須賀の海上交通センターに通報義務を課するとか、先ほど長官もお話しになりましたが、遊漁船等の船舶について過積載の問題を是正したり、さらには今度の事故の場合、遊漁船のサロンが出口が一カ所だったのでこれを改めさせるとか、そういうようなことを検討しているという報道をいたしておりましたけれども、事故対策本部における再発防止策についての検討の状況をお聞かせいただきたいと思います。
○塩田政府委員 お答え申し上げます。 この事件の再発防止の対策につきましては、現在事故対策本部を中心にいたしまして関係各省庁におきまして鋭意検討中でございます。第一富士丸事故対策本部として成案を得次第明らかにさせていただきたいと思いますが、現在検討しております項目を申し上げますと、第一は、海上交通ルールの忠実な遵守に関する指導、教育の徹底、これが一つでございます。二つ目は、東京湾の海上交通センターの機能の充実を初めとします船舶のふくそう水域におきます安全航行支援の強化、三番目が、第三海堡の撤去など船舶航行の環境の整備、第四が、ただいま御指摘がございました旅客脱出のための出入口の改善、船舶間及び船舶と陸上の間の連絡方法の拡充についての検討、この四項目につきまして鋭意検討しておりまして、できるだけ早くまとめさせていただきたいと考えております。
○粟屋委員 今お述べになりました点については、早急におまとめいたたいて徹底をお図りいただきたいと思います。特に第三海堡の撤去の問題、過去にいろいろないきさつがございまして、石原大臣からもそのお考え、御決意のほどを伺ったわけでございますけれども、これについても予算措置を含めて早急に措置をしていただきたいと考えておるところでございます。 私は、いろいろな事故があると思いますけれども、今度の浦賀水道、これは一日に千数百隻が航行いたすわけでございますが、その航路を横断する際、これはいつも危険がつきまとうのではないかと思います。特に横須賀港の場合は自衛隊の基地もございますけれども、旅客船その他が航路を横断して横須賀港に入るのが多いのではないかと思うわけでございます。その航路横断の場合の、特に狭水道、ふくそう航路を横断する場合の法的措置あるいは行政的措置について概要を御説明いただきたいと思います。
○山田(隆)政府委員 海上衝突予防法におきましては、狭い水道等の内側でなければ安全に航行することができない他の船舶、例えば喫水の深い船舶といったようなものの通航を妨げることとなるような場合には、当該狭い水道を横切ってはならないということにされております。また、海上交通安全法では、航路を横断する場合には、当該航路に対しましてできる限り直角に近い角度で、速やかに横断しなければならないということにしておるわけであります。またさらに、浦賀水道航路にありましては、一定区間につきまして航路の横断を禁止しているというような措置をとりまして、安全に努めておるわけでございます。
○粟屋委員 海上衝突予防法、海上交通安全法、それぞれ一応の法定がなされておるわけであると思います。ただ、危険が切迫した場合に最終的に回避措置をとるのはやはり船長であります。法律では書いてあっても、最終的な判断は船長に任されるんだろうと私は思います。今度の事故原因の究明に当たりましても、艦長の判断、船長の判断、それがどうであったかということが最終的には問題になるのだろうと思うわけでありますけれども、これは海上衝突予防法でも海上交通安全法でもその旨の規定があるようであります。といたしますと、やはり船長たる者の資質を高めること、また教育等指導を行うこと、これが必要であろうと思いますが、これらについてどういうような措置を今までおとりになっているのか、お聞かせをいただきたい。
○山田(隆)政府委員 確かに海上における衝突事故等を防止するためには、船長初め乗組員の資質が非常に大きな問題ではなかろうかと思っております。今回の事故を見ましても、最初に申し上げましたように両艦船の艦長及び船長の過失によるものでありまして、それはそれぞれが決められた海上のルールをきちっと守っていれば避け得たであろうというふうに思われるわけでございます。先生の御指摘ございましたように、そういった海上ルールの遵守をさせるということが非常に大事なことではないかということでございまして、海上保安庁といたしましては、安全講習会を開くとか、あるいは関係の団体等を通じて海上交通安全法、海上衝突予防法、その他関連の法規、ルールの遵守徹底の指導を行っているところでございます。
○粟屋委員 今後とも事故再発防止について最大限の御努力をお願いをいたしたいと思います。 次に、海上交通一般についてお尋ねを申し上げたいと思います。 「主要狭水道別通航船舶の隻数の推移」というのがございます。これを拝見をいたしますと、伊良湖水道、これは最近も通航隻数が伸びておるようでございますが、浦賀水道、明石海峡、備讃瀬戸東部、備讃瀬戸西部、来島海峡、いずれも通航隻数が減少ぎみでございます。この原因は、特に外航船舶につきましては、我が国の素材産業が次第に低迷をしていて、産業構造の改革をやっている。石油も省エネが進んでタンカー等の出入りが少なくなったのではないか。また、内航船舶については、高速道路等が整備されまして、国内運送に占める内航運送のシェアが少なくなった、こういうことによるのではないかと私は思っておりますが、そういう考えでよろしいかということ。またしかし、隻数は減ったけれども事故は一体どうなっているのか。隻数は減ったけれども事故はふえたということでは困るわけでございますけれども、その事故の動向、また原因別についてお知らせをいただければありがたいと思います。
○山田(隆)政府委員 まず最初に、主要な狭水道における通航船舶の隻数に関してでございますけれども、今先生おっしゃいましたような浦賀水道を初めとした我が国の六つの主要な狭水道における通航船舶の最近五年間の推移を見てまいりますと、おおむね大きな変化はないのではないか。ただ、明石海峡についてはこの五年間かなりの減少傾向を示しておるというふうに考えられるところでございます。その原因でございますけれども、船舶の大型化であるとかあるいは景気の動向によるようなことが原因ではなかろうか。その結果それほどふえてないということが言えるのではないかと思います。それから明石海峡の場合その内容を見てみますと、漁船の隻数がかなり大幅に減っているということで、この点私どもの方も率直に申し上げて必ずしも十分な分析をしておりませんけれども、漁船の操業状況が明石海峡において減っているのではないかということによるものではなかろうかと思います。 他方、海難事故の件数でございますけれども、最近の我が国周辺海域におきまして救助を必要とした海難に遭遇した船舶、これは私ども要救助船舶と言っておりますけれども、この要救助船舶数は、台風及び異常気象下のものを除きますと、わずかではございますが徐々に減少しているという傾向を示しております。例えば昭和五十八年にはこの異常気象下等の原因によるものを除いた要救助船舶数は千九百八十六隻でございましたが、六十二年には千八百四十八隻に減少しております。これの発生原因について見ますと、人為的要因によるものであるとか不可抗力、材質構造上の欠陥等種々あるわけでございますが、最近五年間について見ますと、運航の過誤等人為的要因によるものが全体の約七割を占めているという状況にございます。
○粟屋委員 海難事故もそう大してふえてはいないというようなお話でありますけれども、やはり何と申しましても運航の過誤が七〇%というのは非常に憂うるべき状態でありますので、その点につきましては操船上の指導等十分おやりをいただきたいと思っております。 海上交通安全法が制定をされましてから十五年を経過したようであります。海難事故もその施行、運用のおかげで、大分減ってきたといいますか、ふえないで済んでいるのではないかと思いますけれども、今後とも運用の的確を期していただきたいと思いますし、また、輸送形態がだんだん世の中の移り変わりに従って変化をしてきていると思います。先ほどおっしゃいましたように大型船がふえてきたという問題、また、海上交通安全の立場から大型船に対する新しい規制も必要ではないかというような問題も出てくるのではないかと思いますので、運用の的確化と同時に法制度についても常に見直し、検討することを怠ってはならないと思います。この点をひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。 それから、最近プレジャーボートが急増をいたしております。特に余暇時間が増大をしている。余暇時間の増大は今後も進んでくると思います。今我が国の年間総労働時間二千百時間と言われておりますが、前川リポートはこれを千八百時間にしたい、こういうふうに言っておるわけでありまして、今後拡大が予想されるわけであります。また、地域開発とも関連をしまして最近リゾート開発、これが方々において進められ、また計画をされているようであります。その中でやはりこれから注目をされるのは海におけるレジャー、リゾートであります。私どもの地元でもマリーナの建設等が進められておるわけでありますが、これはこれ自体として非常に結構なことだと思うわけでありますけれども、プレジャーボートの増大、これが一体海上交通にどういう影響を及ぼすかということが今後の課題ではないかと思うわけであります。特に交通ふくそうした水路、港域内においてプレジャーボートが増大をいたしますと、交通の整流を害するおそれがある、また、それによって事故がふえるおそれがあるのではないか、またプレジャーボート間の事故も多くなるのではないか、こういうことが危惧をされるわけでございますけれども、この点に対してどういう対策をお持ちであるのか、お考えを承りたいと思います。
○塩田政府委員 お答えを申し上げます。 ただいま委員が御指摘のように、自由時間が増大しますとリゾートが発展をしていくと思いますし、海におけるレジャーがますます盛んになるというふうに私ども考えております。この関係で小型船舶の普及が今後進展していくものと予想されます。 このための安全対策としましては、私ども、まず関係者が、小型船舶を実際に運航する者が安全の確保を自分の問題として自覚をしていただいて、ルールの遵守、マナーの徹底等責任ある行動をとっていただくということが基本だと思います。もちろん、国におきましても船舶の検査制度がございますし、また海技資格制度がございますから、これらの適切な運用を図っていくことは当然でございます。それから、これらの法令の遵守のための講習会、船を訪れての訪船指導などを通じまして、これらプレジャーボートを運航する方々に海上交通関係の法令の周知徹底、それから運航マナーの向上に努めていただくように指導していく、かように考えております。
○粟屋委員 プレジャーボートの運航については、これは大臣が営々おっしゃっておりますけれども、やはりシーマンシップということを持ってもらわなくてはなりませんし、その辺のいろいろな団体等を通じての指導もやっていただかなくてはならぬと思っております。また遊漁船、これは先ほども話が出ましたけれども、過積載の問題、また構造の問題、いろいろと課題を抱えておるわけでございます。一方において遊漁船の業としての規制をやろうというような動きもあるようでございますけれども、その構造、安全につきましても今後運輸省において十分指導をお願いをいたしたいと思っておるところであります。 最後でございますけれども、大臣には常々明確な御発言でもって海上交通安全の確保について御発言をちょうだいをいたしております。非常に心強く感じておりますけれども、この「なだしお」と第一富士丸の事故は、私は一つ大きな警鐘を与えたと思っておるわけでございまして、今後の海上交通安全の確保につきましての大臣の御見解をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○石原国務大臣 対策本部といたしましては、先ほど運政局長が御説明しましたように幾つかの事案について安全対策を検討中でございますが、しかし、幾ら機械をふやしたり装置その他を開発しても、要は船を操る人間のまさにシーマンシップ、技術の問題でありまして、特に海上交通安全法あるいは衝突予防法は非常に単純明快な法律、ルールでありまして、万国共通でもあります。ですから、これを遵守すれば事故は起こらないのですけれども、プロになればなるほど、ちょっとずさんになって手を抜いて思わぬ事故を起こすということであります。ですから、必要な手だてはこれから幾らでも講じますが、やはり最低限のルールを一〇〇%守るということを周知徹底する、それを徹底させるということの努力を行政を通じてさらに行っていかなくてはならないと思っております。
○粟屋委員 どうもありがとうございました。
○近江委員長 以上で粟屋敏信君の質疑は終了いたしました。 次に、竹内猛君。
○竹内(猛)委員 私は、十月六日に、異常な冷害の問題を中心として農林水産委員会で質問をしたわけです。——きょうは警察庁は見えてないのかな。 気象庁の課長から話があったわけですが、これについてどうも不十分な点が多いものですから事務局と話をしたけれども、なお問題がはっきりしない。 どういうことかといいますと、私はきのう東北方面から帰ってきました。社会党の冷害の調査団は三班に分かれて岩手、青森、宮城、福島、山形と調査に入り、現地の知事及び市町村長、それから被害者の皆さんからも報告を聞きました。大体、古くから言われているように、三陸地域太平洋岸、それから奥羽山系、阿武隈山系、そういう山間地に被害が多い。特にやませの問題が著しく被害を深めております。そういうような問題に関連をして、五十五年九月の委員会で、今の長官の菊池長官が課長のころ、社会党の田中恒利委員の質問に答えて、五十四年には気候懇談会あるいはその年に企画室等々を設けてこの問題については努力をし調査をし検討する、こういうお答えがあったわけですが、その後八年たっておりますね。その間には五十八年にやはり同じような被害があったわけですが、こういう問題に関連をして、気象庁のその努力、検討、それはどういうふうな形で推移をしてきているのか。予算がないから仕事ができないのか、それともこれは不可抗力な問題であってどうにもこうにも手のつけようがないものなのか、その点についてしっかりした答えをいただかないと、現地では三年ないし五年置きに同じような被害に遭って米が実らない、借金は積もるばかりである、こういう状態では大変困るわけですが、この点については、当時の課長であられた長官が今度は長官という気象庁では最高の地位にあるわけですから、どのようにされたかということをお答えいただきたい。
○菊池政府委員 ことし関東から東北地方にかけて特にひどかったわけでございます。特に七月の気温が異常に低くて、日照時間も低かった、梅雨明けが非常に遅かったということも原因しているわけでございますけれども、この原因は主として、現象的にいいますと、オホーツク海にブロッキング高気圧が停滞していた、そういうことによるものでございます。それで、五十五年のときも同じようにやはりブロッキング高気圧が異常に長く停滞していた、そのために冷夏になったということでございまして、東北地方の冷夏というのは、ブロッキング現象によってオホーツク海高気圧ができるということによってもたらされるものでございます。ここにブロッキング高気圧ができますと、地上の天気図で見ますと、オホーツク海に高気圧ができまして、これから北東気流が東北地方に流れ込んでくる。これは冷たくてしかも湿った気流でございまして、気温を下げて冷害をもたらす、そういうものでございます。これがやませでございます。 それで、やはり冷夏がどうかという予報にはブロッキング高気圧の振る舞いを的確に予測するということが重要なわけでございまして、私どももそのためにいろいろとこの八年間努力してきたわけでございます。組織的な問題で申し上げますと、気候変動対策室、これはその前はちょっと名前が違っておりましたけれども、後々にはそういう気候変動対策室という名前に変えまして、研究の基本計画をつくるとか、あるいはいろいろと気候情報を農業その他一般行政にも利用していただくとか、そういうような活動を続けているわけでございますし、また、研究という面に関しましては、気象研究所に気候研究部というのを新しくつくりまして精力的に研究を進めているところでございます。 では、具体的にどういうようにその辺の結果がなってきているかというのをちょっとお話しいたしますと、ブロッキング現象の解明ということに関しましては、これは理論的あるいは解析的な研究の面におきまして幾つかの知見が得られております。しかしながら、このブロッキング現象の解明という問題は常に古くて新しい問題でございまして、やはりまだまだわからないことが多い。そういう意味では自然は非常に奥深いものであるということを強く感じている次第でございます。 しかしながら、実際予報するという立場では、やはりその点におきましても予報するという観点からも、またこの八年間にそれなりの進歩をしております。具体的に申し上げますと、週間予報という観点から申しますと、これは現在、数値予報がその主流をなしておりますけれども、数値予報の技術の改善という点でこのブロッキングの予報も一週間ほど前からはある程度予測ができるというようになってきております。ことしの冷夏は七月の半ばから月末まで非常に強い低温があったわけでございますけれども、この低温は、長期予報では予測できませんでしたけれども、週間予報ではかなり適切に予測ができておるわけでございまして、これに基づきまして、顕著な低温が出るということをお知らせしておりますし、低温に関する情報あるいは低温注意報などを発表して関係方面に注意を促したところでございます。ただ、このブロッキング現象の予測を一カ月先からやろうといたしますと、これはまだまだ改良しなければならない点がございまして、この点につきましてはなお精力的に努力をしているというところでございます。 以上でございます。
○竹内(猛)委員 それは確かに新庄市にしてもあるいは尾花沢にしても七月ごろからそういう対策を立ててきているけれども、結果的には五十五年と同じ、あるいはより以上の被害というものが現実に生じている。そうなると、これは気象条件だけじゃない。農林水産省の品質管理の技術の問題もあるでしょう。あるが、やはり気象と品質というのは、品種、どういう苗を植えるか、あるいは米ではだめだからそれでは別なものにするか、そういうところまで進まなければ、農家は一年間に一回しか作付ができないし、所得が与えられない、大変困るわけでして、気象庁としても総合的に努力してもらわなければ不安でしようがない。やはり政治というのは安心と安定とそれから安全ということが一つのねらいなんだね。不安ということになると、これはどうしようもないでしょう。だから、そういう点でやはり大胆に取り組んでほしいということも要請をしなければなりませんが、きょうは時間が必ずしも多くあるわけじゃないから次の方へ進んでいって、後でまた別なところで総括をしなければならぬと思います。 二番目の問題は、常磐線の輸送力強化に関する問題なんです。 この問題はもう前から問題にしてきたところですが、東京が過密であり地価が高いということから分散をしなければならない。四全総で業務核都市というものが土浦、筑波方面に指定をされてきた。そういうことで一番の問題は、常磐線の既存の輸送力を強化するために取手まで来た青電を土浦から水戸の方へ延ばす。特に万博で電流基地が土浦にできている。ところが、それを実施しようとすれば、柿岡の気象庁の地磁気観測所が交流と直流の問題でどうにもならない。だから、これを移してもらいたい、県も地元も既に移転の先まで明らかにして、そのことについて強く要請をしている。最近はどう話してもしようがないから、県知事を中心にしてひとつ柿岡の地磁気観測所に新聞記者でも連れていって騒ごうじゃないかと言ったところが、地元へ言ってもこれはどうにもならない。やはり気象庁の、運輸省の皆さんが本気になってあれを地元と話し合って移すということにしなければこれは大変なことなんだ。輸送力が乏しい、大きな工場が入ってこれない、そういう損害というものは莫大なものです。それを考えると、やはり熱心に話し合いをしてもらいたいと思う。その点についてはどうです。
○菊池政府委員 地磁気観測所移転の問題につきましては、昭和五十七年の秋に地磁気観測所問題研究会というのが茨城県を主体にできまして、学識経験の方など関係各方面のいろいろな方に御参加いただいて、地磁気観測所をどういうように移したらいいだろうかということを検討していただきました。この会議には、気象庁からも、地磁気観測所だったと思いますけれども参加しておりまして、我々といたしましても、地域社会の発展と調和を図りながら業務を進めることが大切である、そういう観点に立ちましてこの問題には積極的に対応してきたところでございます。 それで、この研究会の結果によりますと、地磁気観測には短周期観測と長周期観測と二種類あるわけでございますけれども、長周期観測の方は、新しいところに移しますと古いデータとの接続をするための補正法がないので移すことは困難である。しかしながら、直流電車が走ったときのノイズの許容限界が非常に大きいので、長周期の観測については移転はできないけれどもそこに置いても問題はなかろうということで、短周期の方は、ノイズの許容限界が非常に小さいものですから移さなければいけないし、これにつきましては五年ほどの比較観測をいたしますと、新しい地点と古い地点のデータの接続ができるということもございまして、この短周期は移ることができる、そういう結果になっておりまして、私どもはこの研究結果を十分に尊重いたしまして、短周期観測については必要な条件が整えば新しい観測地点へ移ることはやむを得ないというように考えているわけでございます。
○竹内(猛)委員 これは知事や地元の市町村あるいは商工会、そういうものとの間で、時間をつくって長官も出ていってひとつ懇談をしてもらいたい、そういうことを要請します。どうですか。
○菊池政府委員 この移転の問題に関しましては、今お話をいたしました地磁気観測所問題研究会がございましたし、そのほかに地磁気観測所県内適地調査というものもございました。それからさらには、地磁気観測所の移転に伴う経済調査というものもございまして、こういうものに対しましては積極的に我々は協力をして話し合いをしているというところでございますし、また、年に何回か茨城県あるいは関係市町村から陳情にも参っておりまして、そういうところでも十分にお話し合いをしております。私どもといたしましては、今後ともお話し合いを積極的にやっていきたい、この姿勢は従前と変わるものではないというように考えております。
○竹内(猛)委員 もう一点、この際要求しておきたいことがあるのです。 それは、六十三年の予算の要求のときもそうですが、ことしは六十四年の要求の年になっているのですけれども、気象庁ができてから百年を超していますね。海上保安庁ができてから二十五年ぐらいの中で既に資料館を呉の方につくったと言われる。筑波では六つの町村のうち五つが合併をしてつくば市ができた。そういうときに、茨城県も地元のつくば市も挙げて、あそこに三つの研究機関、気象庁の機関がありますが、高層気象台、気象研究所、それから測器工場、この地域の皆さんが挙げて資料館をつくりたい、それから気象サービスセンターをつくってほしいと、これは別に社会党が要求しているわけではない、県、地元が要求している。自民党も賛成している。そういうときに、この間、駒林観測部長の答弁は、予算はたっぷりあるがそういうものをつくる考え方はない、こう言っている。あなた方はさっきから、地域社会と一緒になって何かしようということを言っている。地域社会の皆さんがこれをやってくれと言うのに、予算がないからそれはだめだ。事務局と話をしても、事務局なんというのはシーリングがどうだからこうだからといって全然だめなんだ。気象庁というのは、あしたの天気を観測し、長期の予測を出し、財産と生命を守るという大きな任務を持っているはずなんです。信頼をされるような予測をし、信頼される予報をし、愛される気象庁にならなければならないのに、予算がないからだめだなんという話じゃこれはどうしようもないんだよ。なければ、やはりそれをどうして獲得するのか、そういうことをやって地域住民の要求にこたえていくというのが仕事じゃないですか。そういう点については、また今度は来年度の予算の要求をするときに——せっかくこうして、これは県の要求書ですよ、その中に今の地磁気観測所の問題もあるし、気象のサービスセンターの問題もある、資料館の問題もあるが、そういうことについてまるでようかんを切ったような味もそっけもない答弁だけされたのではこれはどうしようもないです。やはり研究し、検討し、長い時間かかってこういうものはつくっていく。その建物にしても、隣にある工業技術院の地質標本館ぐらいのものをつくりたい、こういうことまで示して話をしているのに、冷たくて何の答えもない。それじゃだめだ。その点について長官にひとつしっかりした答弁をしてもらいたいのだよ。どうです。
○菊池政府委員 私ども、国民の皆様方の御要望、ニーズを聞きながら、それを踏まえて仕事をしているわけでございますけれども、国民の皆様方の御要望の具体的な形をそのままで実現しなくとも、もっと効率よく全体の仕事を進める中で御要望の趣旨に沿えるような形で仕事を進めていくことができる、そういうように考えておるわけでございます。 例えば、サービスセンターの問題につきましては、現在、情報メディアというものが非常に目覚ましい発展をしているわけでございまして、気象情報のサービスのあり方ということにつきましては、新しい情報メディアの発展、進展というものを踏まえながら今後とも検討していかなければならない問題である、そういうように考えております。それから、資料館というお話でございますけれども、現在、気象に関する資料につきましては、各地域の担当官署において整理、保存し、一般からの問い合わせあるいは閲覧に対応しております。また同時に、本庁におきましても実物やコピーの形で明治以来のすべての資料が保管されておりまして、これも部外の方々の閲覧や問い合わせなどに対応しやすいように整備を進めているところでございます。さらに、気象関連の設備、器械等につきましては、気象研究所、気象測器工場などの施設を適時公開しておりまして、気象知識の普及、啓蒙に努めているところでございます。また、御案内のように、近年財政事情が非常に厳しい状況下にありますので、私どもは気象業務に関する国民の皆様方のニーズの把握に努めながら、さらに、業務の緊急性、効率的運営などを勘案しながら施設の整備を図っておるところでございます。 このようなわけでございますので、先生御指摘の資料館につきましては、当面は具体的な計画はないわけでございます。この問題は今後の長期的な課題として、気象庁にはしなければならない重要施策がいろいろございますが、そういうものとの整合を図りながら検討してまいりたい、そういうように考えております。
○竹内(猛)委員 長期的な課題として取り組んでいくというのは非常に結構なことですけれども、何もきょう、あすにつくれと言っているわけじゃない。筑波というところは外国からの人、小中学校、高校、専門家、これは大変よく集まってきてあちこちを研究するところなんですね。そういうところなんです。だから、資料も大手町の本庁にこれがあり、あそこにこれがあるといっても、そういうところを歩くわけにはいかないのです。やはり小学校や中学校やあるいは高校の人たちがそこへ来て、また地質標本館へ来て、気象がどうなっているかということをずっと初めからそれを見ていろいろなことを研究し覚えるということは必要なことなんだ。そういうようなものができないということ自体がおかしいのであって、これはやはり国民の要求ですよ。そういうものに対してなるべく早くこたえていくような努力をする、そのことが必要じゃないですか。 そういう点で、前よりはやや膨らみのある答弁だからこれで我慢するけれども、まだまだほうっておけないから、またいずれ折を見てやります。きょうはもう時間がオーバーしちゃったから大変恐縮で、これ以上のことはできませんし、警察庁の方にも幾つか言いたいことがあったけれども、これは全部時間の関係でだめになりました。気象庁、これからまだ——まだこれでいいわけじゃないですよ。 以上をもって終わります。
○近江委員長 以上で竹内猛君の質疑は終了いたしました。 次に、緒方克陽君。
○緒方委員 当委員会では、交通事故の今日的大変な多発の状態を何とかして打破しなければならぬ、特に交通事故の死亡者を減らすという観点からさまざまな審議をしてきたわけでありますが、残念ながら九千人はおろか一万人を突破するのではないかというこの状況、最悪の事態に進んでいるというわけでありまして、高齢者対策やあるいは若年対策あるいは夜間、深夜対策等いろんなことをされておりますが、しかし、はっきり言ってこの連休中の事態を見ても効果が上がっていないということもありまして、やはり発想を変えて抜本的な対策をしなければならぬのじゃないか、その発想の転換の問題についてはきょうは言いませんけれども、発想を変えて取り組む必要があるのではないかということで、交通事故撲滅対策の一層の強化をまず強く要請をしておきたいと思います。 さて、きょうは、その交通事故の絶滅、交通事故を減らすということでいろんな人々が努力をされているわけでありますが、その中でもボランティアの活動として交通指導員というのがありましていろんな活動をされているわけでありますが、これについて法的にもまだ不十分な点もあるんじゃかないか、あるいは地方自治体にその権限といいますか指導員を置くことが任されているという観点でいろんなばらつきもあるのではないかということで、その点についてお尋ねしたいと思います。時間の関係で幾つかまとめて質問しますから、まとめてお答え願いたいと思うのです。 まず、交通指導員というのができていろんな経過があるわけですが、組織の所属別と人員、それから動きについて要点的に今日の現状まで含めて示していただきたいということが一つ。 それから二つ目に、民間の指導員の災害補償というのをやっているところとやっていないところとあるわけでありますが、どの程度民間の指導員に対して災害補償というのがやられているのかということですね。 それから三つ目に、交通指導員が指導されている実態を私もあちこちで見るわけですが、ある指導員はホイッスルを持ちまして、児童なんかある程度たまった時点では、信号機がないところではホイッスルを吹いて車を制止をするといいますか整理をしながら通すということをやっている人もいれば、あの人はよくやっているなというふうに言いましたら、ある指導員は、いや、あんなことをしてはまずいんだ、ひょっとして事故が起きたらどうするんだ、ある指導員は、そこに立っていて何か緊急な事故が起きたとか車がとまったときに児童を誘導すればいいんだ、あれは間違いだということで、指導員でもその指導の仕方についていろんな意見の違いがあるわけですが、交通指導員の指導の範囲といいますか任務は一体どういうところまでなのかなということをお聞きしたいということでございまして、時間の関係で、答弁の時間を節約する意味で三つ一緒に申し上げましたが、お答えを願いたいと思います。
○加美山政府委員 お答えいたします。 交通指導員につきましては、沿革的には昭和二十三年ころから民間の交通安全活動において自発的に発生し、地域におきましてボランティア活動として活発化してきているところでございまして、昨年末の状況を見ますと、全国で約三十二万八千人の交通指導員の方々が活動しておられる状況でございます。 現在、交通指導員と言われる方はいろんな所属、いろんな形態があるわけでございますが、大まかに分けますと三つに分けられると思います。一つは、市町村など地方公共団体の委嘱を受けて活動しておられる方々で約五万五千人ほどおられます。二つ目は、警察署長あるいは交通安全協会等の委嘱を受けて活動しておられる方々で約五万二千人ほど、三つ目は、その他の老人クラブとかPTA、その他民間団体等の活動の一環として活動しておられる方々で約二十二万二千人くらいおられると言われております。 次に、事故に遭った場合の災害補償の問題についてでございますが、現在、公務災害規定あるいは交通傷害規定等の適用を受けておられる方は全体の約四割でございまして、適用を受けておられない方々が六割ほどおられるわけでございます。私どもとしましては、よく活動の実態を見まして、活動の実態に応じて必要な手当てがなされるよう指導するなど配意してまいりたいと存じております。 それから、交通指導員の指導方法についてお話がございましたが、交通指導員は街頭における交通安全の指導あるいは交通広報活動等に従事しておられるわけでございますが、先ほど申しましたように所属されるところがいろいろでございまして、地方公共団体から委嘱を受けた方や警察から委嘱を受けた方あるいは民間団体に所属される方々、種々の形態がございまして、その指導方法につきましては統一的なものはございませんが、今後よく実態を見まして検討を進めて、交通指導員がより効果的に活動できますよう必要な指導を行ってまいりたい、かように存じております。 以上でございます。
○内田(文)政府委員 交通規制といいますか、そういう面での交通指導員の権限という問題でございますが、こういった規制だとか交通整理というようなものはやはり十分に教養、訓練を受けた者が当たるというものだろうと思っております。そういった意味でいわゆる交通指導員にそういうことを行わせることは適当ではないだろうということで、実際問題といたしましては、信号機によって当然車がとまる、事実、信号でとまるわけですが、そのとき車が動かないように旗なり手でこうして子供さんを渡らせるとか、そういう子供さんの保護といいましょうか合図をしている、そういうのが実態ではないか。いわゆる法律的に規制するとか強制的にとめるとかそういうことじゃなしに、そういう運用が行われておるということでございます。
○緒方委員 今のは規制はやっていないのではないかというような話ですが、私もあちこちを——何でこういう質問をするかといいますと、国会で交通安全の仕事をしているということもありまして、ある地元から、交通指導員をされている人が転勤でいなくなった、そこはとにかく朝何百人かの児童が渡るというところで、いなくなって大変だ、どうしても押しボタン式の交通信号機をつけていただきたいという要望があって、現地視察をしたり、それを契機にあちこちを見たのです。確かに信号機があってとまって行くのじゃなくて、横断歩道はあるのですけれども、その指導員としては、自分がそこにいる以上、子供がある程度滞留したからということで、善意でやっているんだと思うのだけれども、一生懸命ピッピッとやられているという実態も現実にあるわけです。 ですから、これは事故が起きたときに一体どういうことなのかということがいろいろ起きますから、民間の指導員と警察がやられている指導員といろいろあるようですけれども、トラブルが起きないように一生懸命の気持ちはわかるけれども、やはり検討して、総務庁としてもあるいは警察庁としてもあるべき姿というのを出していただいてやっていかないとトラブルが起きる可能性があるのじゃないかということで、今、今後検討して実態に応じた指導員の任務を明らかにしたいということですから、御検討をされるときにはまた結果について後ほどお聞きをしたいというふうに思うところです。 それから、いろんな形で交通指導員、そのほか交通安全協会の役員とか、国民挙げて交通事故防止のためにいろいろな努力をしているわけですが、わけてもこの交通指導員というのは朝、仕事の前に大事な時間を利用してやられている、努力をされているということでありまして、非常に大きな努力をされているというふうに私は思うわけですし、これは非常に価値のあることだと思うのですが、そのことについて政府としてはどういう気持ちでおられるのかということで、当然これはありがたいことだということだと思いますが、そのことについてのお考えと、もう一つは、交通指導員の災害補償が四割であって残り六割。六割の人の中には、たまたま指導員だけれども、しょっちゅう出ないとかいう人もあるのじゃないかという意味で、実態に応じてということのようですが、しかし、それは地方自治体によっていろいろ差があって、しょっちゅう出られている人でもそうでもない、いわゆる災害補償がされていないというところもあるのじゃないか。これは地方自治体その他が考える問題ではあろうと思いますが、指導員でたまたま出てそのときに事故に遭ったというときに一体どうなのかということもありますから、できるだけこれはそれぞれ交通指導員を委嘱をしているところがやはり災害についての補償ができるように、報酬はもうほとんどないわけですから、最低そういうものをやるというような考えで、当然これからもそういう見解で指導なりをされていくというふうにさっき言われましたが、される必要があるのじゃないかということで、交通指導員の災害補償についてもいま少し具体的な対策というものをすべきじゃないかというふうに思いますので、以上二点についてお答えを願いたいと思うのです。
○加美山政府委員 お答えいたします。 交通指導員の方々はさまざまな方々がおられるわけでございまして、非常に交通事情厳しい中で、お忙しい中、それぞれの立場で熱心に活動しておられることに対しましては、大変ありがたく存じております。また、これらの方々の熱心な御活動に対しまして高く評価しているところでございます。各県でも知事表彰等がなされている状況でございますが、総務庁としましても、昭和四十六年から毎年行われております交通対策本部長の表彰におきまして、交通安全功労者表彰と申しておりますが、交通指導員の方々の中からも地域社会における交通の安全に貢献し顕著な功績のあった方々を表彰し、その御労苦に報いているところでございます。今後とも交通指導員の活動を適正に評価していくよう配意してまいりたいと存じます。 また、災害の補償の問題につきまして先ほどお答え申し上げたわけでございますが、六割の方々がまだ補償の制度の適用を受けていないということでございますので、私どもとしてはよくその実態を見まして、必要な手当てがなされ、安全で活動できますように努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○緒方委員 それでは、そういうことで実態を踏まえてということで、いろいろ実態があると思いますが、ボランティアとして頑張っておられる交通指導員の人々についての配慮といいますか、そういうものをぜひ要請をしたいというふうに思います。 次に、高速バス時代における防犯対策についてお尋ねをいたします。 バスジャックとかいうような事件は日本ではまだ長崎県での事件と佐賀で起きました高速バス強盗事件ということで割と少ないようでありますが、高速道路体系もだんだん充実をして日本も高速道路時代にもう入った、これからさらに強まるということじゃないかと思いますが、そういう中でたまたま八月三十日に、九州の小倉発佐賀行きのバスの中でサラ金苦の人が乗客をおどかして、これはお金一万円ですけれども奪って途中でおりて逃げたという強盗事件があったわけです。これはたまたま逮捕されましたからいいようなわけでありますが、高速道路は御承知のように、例えばバス停などでとめて、おりるというようなことになった場合には、普通の町と違いまして区分されたような状態にあるということ、それから、幸い流行はしておりませんが、サラ金強盗なんかついつい流行するというようなこともあって、こういうのが流行したら困るわけでございまして、地元ではこういうことが再び起きないようにということで九州陸運局でもいろいろ検討もされているようでございますが、これはローカルの問題じゃなしにまさに全国的な問題ではないかということで、警察なりあるいはバス、タクシー協会、そして高速の場合は特に道路公団、そういうところと一体となった防犯対策というのが必要ではないかというふうに思うのです。これは次善の策として早目にやることがこういったものを防止することになるんじゃないかということで、そういうことについて検討をすべきではないかということ。 それから、二つ目に関連してでありますが、タクシーなんかでは一時強盗がはやったので東京なんかでは運転手さんの後ろにプラスチックの壁があるわけであります。しかし、それでは不十分ということで防犯灯をつけることが許されているわけでございますが、そういった事件を契機に、業界の中ではバスにも防犯灯をつけるようなことを認めてもらったらどうかというような声も出ているわけですね。この辺は警察の方なのか運輸省なのかちょっとわかりませんが、そういう声が出ていることについて当然検討されてしかるべきじゃないだろうかというふうに思いますが、この二点についてお答えを願います。
○横尾説明員 お答えをいたします。 高速バスを対象とする犯罪の総合的な防犯対策につきましては、今後の同種事件の発生状況を勘案し、その必要性を含めて研究してまいりたいと考えております。 それから、第二点目の高速バスへの防犯灯の設置につきましては、今後この種事犯の発生状況を見てその必要性、有効性につき研究していきたいというふうに考えております。 以上でございます。
○緒方委員 私の意見としては、たまたま事件は一つしか起きてない、流行の兆しはないということのようですが、次々と起きてからでは遅いという意味で、これはあえて早急に検討するということ、対策を立てるということが事件の再発の防止になるというような観点での意見ですから、そういう点は十分警察庁としてもあるいは関係省庁としても考えていただきたいというふうに思うところです。 それから次に、バス利用で、身体障害者からのバス利用についてのいろいろな要望があるわけです。私は議事録も見させていただきましたが、当委員会でも身体障害者、お年寄りの方々がバスに乗る場合に、床を低くしてそして幅を広める低床バスというものをどんどん広げていくべきではないかということで、政府としても補助金なども使って一定の努力をしてきたということであります。都会はいいわけですが、ローカル、田舎の方ではまだまだおくれているということと、最近、バス会社が経営が赤字だということで、独自の下請会社みたいなのをつくって本当にローカル的な会社に下請をするというようなところでは、財政力もないということでそういうのがなかなか進まないというような実態もあるわけでございまして、身体障害者、お年寄りの人々に対する低床バスの導入の現状とこれからの見通し、いつごろまでには終わりたいということが当然目標としてはあるだろうと思いますが、そのことについてお尋ねをいたします。
○阿部政府委員 お答えいたします。 バスが快適で利用者に非常に利便だと認識されるような状況に持っていきたいと思いまして私どもも努力いたしておりますが、特に高齢者の方あるいは身体障害者の方も利用しやすいようにするためにということで、バス交通活性化補助制度の一環といたしまして低床バスの導入を推進するといったようなことも現在行っております。 このようなことを推進しておりました結果、現在の状況を申し上げますと、低床バスの車両数は着実に増加しているということでございまして、数量的に申し上げますと、全国のバス、これは路線バスでございますが六万五千両ほどございます。六万五千台の中で約二万三千台、割合としまして約三分の一程度ということかと思いますが低床バスが導入され、老齢者の方あるいは身障者の方も利用する場合には便利に利用していただいているという方向へ来ておると思います。 しかし、現在のところ御指摘のように都市バス的なものが中心となっているということは事実かと思います。地方バスにつきましてはやはりバス事業の経営がなかなか困難で、車両代替をどんどん行うということもなかなか困難でございますし、また、地域によりましては積雪の状況その他から必ずしもステップを低くできないというような事情もあるようでございます。しかし、私どもとしては、バスの利用しやすいような車両構造にするということにつきましても、技術的にもあるいは事業者に対する助成その他も含めまして今後とも検討してまいりたいというふうに思います。
○緒方委員 今の御答弁では検討してまいりたいということのようですが、ぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。 最後になりますが、第四次交通安全施設整備事業五カ年計画ということで予算を含めて交通安全施策がいろいろやられているわけでございまして、全般的な検討は必要かと思うのですが、私、たまたま先ほど一番最初に質問いたしました交通指導員が転勤でいなくなってどうしても押しボタン式の信号機をつけてもらいたい、そういう要望の中で警察に話をいたしましたら、いや、緒方議員さん、実は信号機、標識などの補助金制度があったのが三年前から政府の方から打ち切られまして、県では百八十カ所も希望があるけれども、予算では二十五とか三十しかできませんよ、特別の事情がない限り五年先みたいですよというような話で、これを何とか戻してもらいたいという声があるわけです。確かに、信号機なんというのは大都市では余りつき過ぎていろいろ問題もあるわけですが、地方では、押しボタン信号機とかあるいは信号機自体が交通事故をなくしあるいは交通体系をよくするという意味で、まだ必要だというのはあると思うわけですね。だから、そういう箇所があるわけですが、そういうのが打ち切られているわけです。 ところで、この第四次交通安全施設整備五カ年計画の方針は、三年たった時点ではその実施状況を見て検討するということが言われているわけでございまして、今年度がもう三年たったわけです。そういう意味で、私はただ単に信号機とか標識等の補助金という問題を言っているわけですが、それをも含めて三年たって見直し、検討ということになっているわけですが、全体の見直し、あるいはこのことについては補助金を戻すということで検討されるべきではないか、特にローカル的にはそういう声が強いという実態なども把握をされてしかるべきではないかと思いますが、その点についてお答えを願いたいと思います。
○内田(文)政府委員 先生御指摘のとおり、第四次五カ年計画をつくるに当たりまして信号機の新設は地方単独事業ということになったわけでありますが、その理由といたしましては、昭和四十一年からまず最初の第一次三カ年計画というのが始まって、逐次三カ年計画を二遍やった後五カ年計画とずっとやってきたわけですが、そういったことから信号機のストックというものも相当数全国的に行き渡った、殊に幹線道路とか交通量の多い道路というのは大体行き渡ったのではないかということでございます。それが第一の理由でございます。 第二は、それだけ信号機の数が多くなりますと、信号機があることによって今度は逆に車の方から見ると交通の流れを阻害するという面もなきにしもあらずだと思うわけであります。そういったことから、これを個々の信号機で運用するのではなしに、相互に関連を持たせて広域的に制御をしていかなければならないという必要性が高まってきたのだということが言えるわけでございまして、むしろ国としてはそういうことに積極的に投資を行うべきだ、こういうあれが高まってきたということだと思います。それと、信号機の性能を高めるといいましょうか、同じ今立っている信号機でも例えば右折信号を付加するとかいろいろ信号の機能を高めるという問題がございます。そういったものにこそ国の補助を出す、そういった必要性が高くなってきたということでございますが、そういったことから信号機の新設というものを地方単独事業に落とした。まさにその地方、地方の、そこで新しく学校ができるとか団地ができるということに対応するというまあローカルな問題であろうということでなったわけでございます。 しかし、これを地方単独事業に落とした場合に、地方によって財政の事情がいろいろあるわけでございまして、信号機の必要なところの整備が行われないというのはいろいろ問題があるわけで、そういったことから、必要な経費につきましては県の財政力で格差が生じないように地方財政計画の基準財政需要額に算入いたしまして地方交付税として措置をすることにいたしたわけでありますし、また、これらの事業を起債事業として認めたということにいたしたわけでございます。一応そういった手を打って第四次五カ年計画のときに地方単独事業に措置したということでございますが、いずれにいたしましても、今後とも必要なところにはやはり整備していかなければならないということでございまして、国と地方が連携をして効果的に対処するよう努力してまいりたい、こう思います。
○緒方委員 終わります。
○近江委員長 以上で緒方克陽君の質疑は終了いたしました。 次に、関山信之君。
○関山委員 海上交通の安全、とりわけ東京湾の交通安全の問題等につきましては、さきの委員会でも若干議論をさせていただいておりますが、なお引き続いてお尋ねをしたいと思うのです。 まず最初に、当面の再発防止策というものにそれぞれお取り組みをいただいておるわけでありますが、来年度の概算要求の措置状況あるいは今後さらに予算的に要求するものなどを含めてこの辺で一遍整理をしておきたいな、こう思うわけです。粟屋委員の御質問にもございましたので少し具体的にお尋ねをしたいと思うのですが、最初に、まず運輸省からお尋ねをしてまいりたいと存じます。海上保安庁も含めてということで御答弁をいただければと思います。 先ほどの塩田局長の御答弁では、再発防止策については四項目にわたって問題点を絞って今作業をしているというようなお話がございました。最後の項目がちょっと十分に聞き取れなかったのですが、いずれにいたしましてもこの中でいささかちょっと残るんじゃないかと思うのは、船舶の安全に関するさまざまな対応はどうなさるのか、それから、関係法令の見直しや再検討はおやりにならないのか、このところに絞ってひとつお伺いをしたいと思いますし、この取りまとめというのは今後どういう形でおまとめになるのか。各省かかわりのある部分もあるでしょうが、それぞれ散らして、それぞれが対応ということになるのか、ある時期きちっとまとめて御報告をなさるのか、そこらの取り扱いについてお尋ねをしておきたいと思います。 それから、予算措置の関係ですけれども、海上交通センターの機能の充実というお話がございました。そこで、私どもも現地も拝見をいたしておるわけでございますし、今まで新聞報道等でいろいろ言われておりますが、もう少し具体的に、どこをどう機能アップをするのか、そのことによってどういう対応が可能になるのか、どうぞひとつわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
○塩田政府委員 お答え申し上げます。 まず、予算関係の項目につきまして御説明をいたします。 先ほど御説明しましたように、第一富士丸事故対策本部としましてこの事故の発生にかんがみまして同種の事故の再発防止対策を今検討しているわけでございます。その関係で要求をいたします予算の項目でございますが、先ほど御説明しました四項目のうちの二つ目の東京湾海上交通センターの機能の充実及びふくそう海域での安全航行の支援の強化ということに関連いたしまして、東京湾海上交通センターの機能強化のための予算、それから、ふくそう海域におきます航路哨戒体制の整備、これは海上保安庁の巡視船が哨戒に当たるということでございます。この関係で予算を要求しております。それから、三番目の項目としまして、第三海堡の撤去等船舶航行の環境の整備、これに関連いたしまして第三海堡の撤去等についての予算措置を講ずべく要求をしているところでございます。 ただいま先生御指摘ございました船舶の安全に対する対応と関係法令の見直しについてはどうかということでございますが、船舶の安全に対する対応としましては、先ほどの項目の四番目の旅客の脱出のための出入口の改善等につきましての検討をするということになっておりまして、そこで対応したいということでございますが、法令の問題になるのかあるいは運用上の問題になるのかということはこれからでございます。 それから、全般的に海上交通法令の見直しが要るかどうかということにつきましては、この事故の再発防止対策という観点からは、今その点に着目してお答えをしておりますが、この事故の性格にかんがみまして、たびたび大臣からも御答弁しておりますように、海上交通ルールを守っていればこの事故は発生しなかったという面が強いわけでございますので、法令の見直しということは当面直接には考えていないということでございます。
○関山委員 前段の二つ、メモを読んでおられるとそういう答弁しか出てこないのだが、もう少し具体的に聞かせてほしいわけです。 センターは一体具体的にどう機能が強化されるのか、機能充実と言っているだけじゃ質問に答えていることにならないわけですから。新聞などでは、今二百隻の容量のレーダーから受けたデータを画面に映し出して解析や指導をやるというようなものが三百隻に拡大されるとかなんとかというのが出ているわけですが、それは単なる新聞情報にしかすぎないものですから、そこらあたりはもう少し詳しく聞かせてほしい。それから、巡視艇の強化の問題を、どの程度のものをどのくらいふやすのか、これは、財政当局がありますからそっちの方のことを聞いているわけじゃないのですが、皆さん方のサイドとしてどうなのかということですね。
○山田(隆)政府委員 まず第一に、海上交通センターの機能の強化の点について具体的に申し上げますが、来年度予算要求といたしましては、現在、浦賀水道周辺はレーダーの運用卓を二つでもって監視をしておりますから、そのレーダー運用卓を一つふやして三つでもってより密度の高い監視をしようということを一つ考えておりまして、この点についての予算要求を行っておるところでございます。 それから、海上交通センターのレーダーの処理能力につきましては、現在二百隻程度ということが言われておりますけれども、正確に申しますと、現在レーダーで生の映像をとらえましたものを電算機によって図形化処理をしてグラフィックディスプレーで表示をしております。この場合の画像処理能力と申しますのは、ある一時点におきまして一レーダー当たり最大二百の物標といいますか、船あるいは灯浮標その他すべてのレーダーでとらえるものを含めまして二百程度まで可能であるということでございまして、そういった灯浮標であるとか海面反射など船舶以外の物標もその中に入りますので、それらを除いて船舶数で考えますとおおむね百五十隻程度であろうというふうに考えております。ただ、このレーダーの画像処理装置につきましては、今年度、老朽化した装置の換装を行うこととしておりまして、これが完了いたしますと一レーダー当たりの処理能力が三割程度アップするのではないか、先ほど申し上げた百五十隻程度の船舶をとらえるのが百九十隻前後になるのではないかというふうに考えておりまして、こういうことを含めまして今後海上交通センターの機能アップを図っていきたいということでございます。 それから、哨戒体制の強化でございますけれども、現在、浦賀水道周辺海域におきましては常時二隻の哨戒艇を配備して交通整理等を行っておるわけでございますが、今回の事故にもかんがみまして、浦賀水道の横須賀港沖合海域に新たにピーク時を対象といたしまして常時一隻の哨戒艇を配備したいということで、来年度予算要求は、その哨戒艇交代の必要もございますので二隻の予算要求を行っているところでございます。
○関山委員 レーダーの関係、私は専門技術的なことはわからないのですけれども、これはたくさんあればあるほどいいというものなのかどうかもわかりませんし、また、あそこのセンターに捕捉可能な隻数がふえればふえるほど、そこさえふえればいいというものでもないだろうと思うのです。 東京湾横断道に関連して川崎と木更津に民間のレーダーができるのですが、これはセンターとの有機的な関係というのはおとりになるのでしょうか。
○山田(隆)政府委員 横断道路建設に伴います民間のレーダーでの監視体制につきましては、私ども海上保安庁と密接な連絡をとっておりまして、横断道路の関係で入ってまいります情報というものはすべて私どもの方に連絡が来ることになっております。
○関山委員 それから、法令の見直しは当面考えていないという御答弁でした。法令という言葉にこだわればそういうことになるのかもしれませんが、法律、政省令も含めて運用の見直しというようなこともあわせて伺ったつもりなんです。例えば八月十日の読売新聞になりますと、遊漁船にも客船並みに新たに船員法を適用するという措置が記事として紹介されているんですが、これはいいでしょう。後で最後にちょっと全体的な遊漁船の問題を伺いますので、そのまま御答弁はペンディングにさしておいてもらいます。 次に、防衛庁の方にお尋ねをいたしたいと思います。 ただいま運輸省にお尋ねをしたようなことと同趣旨のことなんですけれど、まず、八月二十四日に防衛庁の方はかなり具体的に防止対策等についての方針をお決めになっておりまして、私の方もペーパーをいただいておりますので項目については承知しておりますが、全部御説明いただくにはいささか時間が不足だと思いますので、一つは、「東京湾等船舶輻輳水域等における航行安全対策の強化」という中で「海上交通センターと連絡すべき艦艇の範囲の拡大」それから「狭視界時における横須賀港出入港の制限」「海上交通センターや他の船舶との連絡を確実に実施するための潜水艦の通信機器の改善」、このことは二番目の「不測の事態発生時における情報伝達要領の改善」の「潜水艦等への港湾電話及び船舶電話の整備等」という項目もありますが、あわせて、こういう交通安全のいわば情報通報体制といいましょうか連絡体制といいましょうか、そういうものについてこの方針に沿ってどういう措置が今日まで講じられているのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
○柳澤説明員 お答えいたします。 八月二十四日に防衛庁としての、事案の原因究明の方は別途進んでおるわけでございますが、これとは別に今回の事故の重大性というものにかんがみましていろんな対策を取りまとめたわけでございます。 その中で先生今言われました点は、とりあえず今回の事故あるいは救難の関係等非常に密接に関連する分野のお話でございまして、お手元に資料がございますので沿って申し上げますと、「海上交通センターと連絡すべき艦艇の範囲の拡大」につきましては、これは護衛艦、水上艦艇でございますが、護衛艦については従来から連絡をとっておりました。一方、潜水艦あるいはもう少し小さな水上艦艇についてはこの措置を一律にはとっておりませんでしたので、今回のこの事例にもかんがみまして、特に潜水艦その他の艦艇についても海上交通センターに連絡をするということで、潜水艦については既にこの措置をとっておるところでございます。 それから、次の見張り等の増強の問題でございますが、これも水上艦艇の方は従来からブリッジに大変人も多うございまして、臨機にいろいろな要員増強がとりやすいわけでございますが、潜水艦は水上を航行しております際に艦内から上に上がってくるというようなことで必ずしも一律に水上艦と同様の航行体制、見張り等の体制がとれていなかった面があったことも事実でございまして、この辺を潜水艦についても一律に水道通航時等について見張り等の要員を増強するということで、現在潜水艦についても実行をしております。 それから、狭視界時における出入港の制限でございますが、これも従来から指導としては行ってきたわけでございますが、そこら辺が必ずしも特に潜水艦部隊等について実行がはっきりしていなかった面もございますので、この辺はもっときっちりした形で通達をする等の措置を今準備しておるところでございます。 それから海上交通センターや他の船舶との連絡のための潜水艦の通信機器の問題でございますが、潜水艦の場合には国際VHFの無線機を積んでおるわけでございますけれども、これが現在艦橋でそのまま使えない状態になっておりまして、この状態を改善することを今考えておりまして、できれば六十三年度の予算の実行措置でこれを措置するということで今準備を進めておるところでございます。 それから情報伝達要領一般の問題につきましては、これはいろいろな面がございまして、一つは、こういったたぐいの事故がありました際の海上保安庁等に対する速報の問題などにつきましては、これは従来いろいろ御指摘をいただいておりましたわけですが、内部の訓令等の定めの上では一応の定めはしておるわけでございますが、特に潜水艦という非常に特殊な行動任務を持った船について果たしてどうやっていくのかというようなことは必ずしもはっきりしていたとは言いがたい面がございまして、ここら辺は、例えば今回のような事故があれば当然海上保安庁にも速報すべきであるといったような形で徹底をしていきたいということで、今規則改正等の作業を行っております。 それから上級司令部等への連絡につきましても、さらにスムーズにいく手段を見直し、検討しておるところであります。
○関山委員 それから三番目の「救難用装備品の整備」とか、あるいは今の一番の項目にもあります「潜水艦用レーダー反射体」だとか、私どももこういうものが改めてやはり整備されなければならなかったのかな、特殊潜水艦的に言えばなくても済んでいたものなのかなという感じもするのですけれども、これは事故にかかわるということで言えば、今VHFの問題で六十三年度予算でというようなお話がございましたが、この辺の予算措置の状況はどういうことになっておりますか、総括的で結構ですから。
○柳澤説明員 予算措置につきましては、この中の項目で当然実行でできるものというのはおのずと余り金目の張らないものということになるわけでございますが、そういったものについてはできるだけ六十三年度の予算措置の中でやってしまいたいと考えておるわけでございますけれども、一方、現在六十四年度概算要求に盛り込んでおりますものは、先生今言われました潜水艦用レーダー反射体の整備を含めまして全体で約三億六千万程度の概算要求を行っておるところでございます。それから、さらにそのほかにもいろいろ検討、研究という項目が先生お手元の資料にも入っておると思いますが、こういったものについてもできるだけ早く成案を得まして、可能であれば六十五年度以降概算要求をしていきたいと考えておるわけでございます。
○関山委員 それから、特殊潜水艦的と申し上げたのですが、八月に潜水艦隊の特別監査をおやりになっていらっしやるのですけれども、この結果が恐らくこの対策にも生かされているのだろうと思います。できるだけ簡単に概要を御報告いただけるものであれば御報告願いたいと思います。
○柳澤説明員 潜水艦部隊の特別監察につきましては政府の事故対策本部の「当面の措置」の中でもうたわれておりまして、これに従いまして八月の二日から十二日までをかけまして潜水艦隊司令部、それから第一潜群、第二潜群と順次関係部隊の実地監察を行いまして、その後いろいろ補足資料の回収等をやっておりまして、現在実は最終的な取りまとめ作業をしておるわけでございます。 内容的には先ほど来挙がっております再発防止策について、やはりそういった点で改善の余地がある。ということを裏づけるような形になっておると承知しております。
○関山委員 これは我が党の参議院での野田議員の質問にもございまして、しかるべき時期に公表をというお願いもしている経過もございますので、ぜひひとつその時期になりましたら何らかの形でお聞かせをいただきたいと思っています。 それから、自衛隊の場合はいろいろ海上法令の関係で適用除外が船舶法でありますとか船舶安全法、船舶職員法、水先法とあるわけですが、適用除外法規への対応は一般的にどうなっているのか。 それから、全部一々伺っておる時間もないのですが、特に自衛官の海技免状の関係。これは内部的にそういう制度をお持ちなんだろうとは思いますが、今回の事故でいろいろ言われておりますことの中に、潜水艦というのは船員の乗る船ではなくて、まさに先端技術の技術者の乗る船で、実際シーマンシップとかなんとかと言われてみたって、船に乗っている艦長さん以下海の上を走っているという経験や、あるいは実際上の訓練というのは不十分ではないかという指摘があることは御承知のとおりだと思うのですけれども、そこらあたりのところは一体どう対応されているのか。 なお、船舶の安全基準等については何か自衛隊法でも特別な法律をつくっているということがあることを承知をいたしましたので、特にその問題に限って御答弁をいただきたいと思うのです。
○三井説明員 ただいまいろいろな法律の適用除外等についてお尋ねがあったわけでございますが、海技資格に関係いたします船舶職員法の問題に限りまして具体的な御答弁を申し上げたいと思います。 自衛隊法の百十条というのがございまして、ここで「船舶職員法の規定は、海上自衛隊の使用する船舶及びこれに乗り組んで船舶職員の業務に従事する隊員については、適用しない。」という規定がございます。さらに、同法第百十一条には「長官は、」これは防衛庁長官でございますが、「長官は、海上自衛隊の使用する船舶について堪航性及び人命の安全を確保するため必要な技術上の基準及び配員の基準を定めなければならない。」というふうに規定されてございます。 まず、船舶職員法が適用除外になっている理由でございますけれども、委員御案内のとおり、自衛隊の船舶と申しますのは有事に我が国を防衛する任務を負っているわけでございまして、このために、いざというときには三十数ノットというような高速を出す、あるいは、そのため比較的小さな船でありましても五万馬力だとか七万馬力だといったような高出力の機関を動かさなければならない。このために、一般の船舶と比べまして船の構造とか装備といったものが非常に特殊なものでございまして、こういった特殊な船を運航するためには普通の船舶の運航要領といろいろ違う点が出てまいりますために適用除外にしておるわけでございます。 そこで、それでは防衛庁長官はどのようにその基準を定めておるかということでございますけれども、船舶の配員の基準に関する訓令というものを防衛庁内で定めておりまして、ここに海技資格につきましては資格の種類でございますとか、配員の基準でございますとか、あるいはその海技試験のやり方でございますとか海技審査委員会といったようなものについて規定をいたしております。 この中身は、また具体的に必要でございましたら申し上げますけれども、簡単に申し上げますと、基本的な考え方は二つでございまして、第一には、今申しましたような自衛艦の特殊性にマッチしたものに内容を定めておるということが一つでございます。と同時に、第二点といたしまして、海上交通安全の法規でございますとか、航法の法規に関係しましては、一般の船舶と何ら異なるところがないわけでございますので、これらにつきましては、国家試験で行われるところと同じ出題範囲にするとか、その出題内容、程度を合わせるとか、あるいは試験を実施いたしております海技審査委員会の委員に運輸省の専門の試験官の方を委嘱いたしまして実施するといったような種々の方策を講じておりまして、以上によりまして、自衛艦の実情にふさわしく、かつ公正で厳正な海技の資格の制度を維持いたしておるわけでございます。
○関山委員 ちょっと俗な質問になりますが、潜水艦の艦長さんは普通の、つまり、潜水艦以外の海の上を走る通常の艦艇の経験というのは、今回の山下さんの場合なんか何年ぐらいお持ちなんですか。
○柳澤説明員 これは現在、特に艦長としての配置の基準の中で水上航行時間といったものをはっきり定めていないこともありまして、ちょっと私どもデータとしては承知はしておりませんが、江田島の学校等に入校しております際に水上航行の経験も持ってはおるわけでございます。
○三井説明員 山下前艦長の水上艦勤務の経験でございますが、当初、幹部任官いたしますために遠洋航海というものに参加しますが、これは約半年でございます。それをのけまして部隊勤務としての水上艦勤務が一年ほどでございます。それ以外に潜水艦勤務がほぼ八年ぐらいという経歴を有しております。
○関山委員 私は、山下さん個人のことを申し上げるつもりはないのですが、普通、普通の船舶の船長さんというのはどのくらい経験があると船長になれるの。
○田辺(淳)政府委員 通常一年ないし三年でございます。
○関山委員 一年から三年くらいの海上経験で船長さんになれるの、それはちょっと……。
○田辺(淳)政府委員 前提は、海技免状を取得後でございます。
○関山委員 いずれにせよ私ども素人ですから、しかし素人ではありますが、あの船に乗せていただいて、いわゆる海上での距離感覚というのが陸上とはまるっきり違うということを、恐らくあの現場へ行かれた方は押しなべて感じられたのだと思うのです。やはりこの辺はどうしてもこれからも問題が派生をいたしますし、そういういわば実技的な訓練といいましょうか、経験というものを十分取り入れていただくことをこの際申し上げておきたいと存じます。 だんだん時間がなくなってしまいましたが、外務省は米軍との関係で事故発生以来、もしくは事故発生以前からどういうルールでこれに対応しておるのか。事故発生後どのような対応をしているか、これも簡単にお聞かせください。
○重家説明員 先生も御承知のように、米軍は安保条約のもとで活動しているわけでございますが、米軍艦船の本邦港湾への出入港等に際しましては、海上交通関連法令を遵守して安全の確保に万全の措置をとっているというふうに承知しております。また、浦賀航路の問題に関しましても、米軍といたしましては、最近航行したことのない艦船につきましては水先案内を夜間または天候不良時にはちゃんとつけるようにというようなこともやっておるというふうに承知しております。 なお、この事件が起こりまして後、本件につきましては七月二十七日、外務省の北米局長より在京大使館のアンダーソン公使に対しまして申し入れを行いました。事件が起きまして国内でこの問題が非常に大きな懸念を生んでおるということにかんがみまして申し入れを行ったわけでございます。米軍におきましては艦船の本邦港湾への出入港、航行等に際しましては、海上交通関係法令を遵守する等、安全確保のため引き続き万全の措置を講ずるようにという申し入れを行ったわけでございます。それに対しまして先方は、米側としましては従来から海上交通の安全確保のためには必要な措置をとってきているところであるけれども、今般のような事故があったことを踏まえまして、改めて安全確保のために一層の徹底を図りたい、こういうことを米側は申しておった次第でございます。
○関山委員 一応そこのところは聞き置くにとどめて、また別の機会にやらさせてもらいましょう。 二番目に、海上交通法の問題点について、先般来の議論もありますし、先ほど来法令の見直しは当面の課題としないというようなこともあるのですが、今までの御答弁では現行海交法、衝突予防法が遵守されていれば事故は回避された、これはもっともなんです、それはそのとおりなんだが、それだけで済むのかということが問題なのであります。 そこで、現在、これは一応浦賀水道ということを対象にして申し上げますが、これは押しなべて普遍的な問題もあるわけですし、特殊なそれぞれの個別の航路に対応した問題もあるのでしょうが、そんなことも頭に入れながらということなのですけれども、今浦賀水道については、中ノ瀬の先の方は事故が起きてから一定の行政指導があるようですけれども、現在横断についてのルール化された行政指導というのはないのです、どこをどう曲がれとかどの位置で曲がれとか。つまり、今まで申し上げている二つの法律以上のことは、浦賀水道の航路の中では特別なルールはないというふうに承知をいたしておりますが、よろしゅうございますか。改めて伺っておきます。
○山田(隆)政府委員 浦賀航路における横断の方法につきましての指導というのは、特に行っておりません。海上衝突予防法あるいは海上交通安全法で決められたルールに従ってやっていただくということでございます。
○関山委員 つまり、そこから先のものはないということですね。 そこで、一つは横断船の把握が今回の事件まで実施されていなくて、数の把握さえもできていないということがこの前の委員会の御答弁ではっきりしたものですから、どの程度の状況でどうだという議論が残念ながらできないわけです。だとすれば、当面、横断の実態把握というものについてはひとつきちっとやっていただかなければならぬし、航行管理についてはやはり一定のルール、ルールというのは法律という意味ではないのです、法律から先の航行のためのマニュアルといいましょうか、ルールをつくるべきだろうというふうに思うのです。海交法第八条と衝突予防法第七条、第八条あるいは第十五条あたりとは、法律そのものを突き合わせればこれはやはり二律背反的な側面を持つわけです。ある一定の条件の中でしか、それぞれがそれぞれの法律を十分に満足していれば衝突は起きないだろうという原則的な立場が主張できるだけにしかすぎないわけで、現実的には一日七百隻も浦賀水道で艦船が航行をしている、しかも二十万トンクラスのタンカーになればブレーキをかけてから四千五百メートルもとまらないのですから、そういうことを考えますと、やはりここのところはきちっとしたルール(マニュアル化を進めるべきではないか、これが一つです。 それからもう一つは、センターへの通報義務というものを横断船についてはきちっと法定化すべきだ。法定化までいかないにしても、指示または勧告のできるように海交法上そういうものにやはりもっていくべきではないか。そのことを現実に成立させるためにはVHFの装備船以外はこの位置での横断を禁止するぐらいのことをやってもらわなければいかぬのではないか、こう思うのですが……。
○山田(隆)政府委員 まず、横断方法についてのマニュアル化でございますが、先ほど申し上げましたように、浦賀水道航路につきましての横断方法といたしましては、まず一つは、海上交通安全法の第三条第一項の規定で「航路外から航路に入り、航路から航路外に出、若しくは航路を横断しようとし、又は航路をこれに沿わないで航行している船舶は、航路をこれに沿って航行している他の船舶と衝突するおそれがあるときは、当該他の船舶の進路を避けなければならない。」という規定と、それから、同じく同法八条第一項の……(関山委員「それはわかっているんです」と呼ぶ)そうですか。そういう三条と八条の規定で横断の方法が決められているところでございまして、この規定を十分に理解していただいて航行すれば安全が確保できるというふうに私ども考えておるわけでございます。 ただいま先生の御指摘にございましたように、横断を禁止するという考え方もないわけではございませんけれども、現在、第四灯浮標と第五灯浮標の間のところだけが横断禁止になっておるわけでございます。これはこの海域が特に第二海堡と第三海堡との間に挟まれているというようなことがあって操船上もいろいろ困難なことがあるというようなことでこの海域に限って横断禁止をとっておりますが、これをさらに航路全体に広げるというようなことになりますと、小型船等については特に大きな影響も出てくるおそれがあるわけでございます。規制をどの程度するかということはその規制を受ける側のいろいろな便益等も考慮してバランスをとる必要があるのではないかというようなこともございまして、私どもとしては必要な規制はするということで、この海域につきましては横断禁止区域は現状でいいのではないか、それから横断マニュアルにつきましても、現在の法律を守っていただくということで十分達成できるのではないかというふうに考えておるところでございます。 それから、横断船の通報義務につきましては、現在、海上交通センターに一定の船舶につきましては通報を指導でもってやっていただいております。もちろん一部の船舶については法制化されておるものもございますわけで、今回の事故にかんがみましては、再々申し上げておりますように、海上交通関係のルールをきちんと守っていただくということによって避け得るのではないかということでございまして、現在新たに法制化するということは考えておりませんが、ただ今後、東京湾横断道路等ができますとまた東京湾内の交通の流れというものもいろいろ変わってくるわけでございますし、その東京湾横断道路によって障害も出てくるおそれもあるわけでございまして、それについては今後検討させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
○関山委員 今直ちに私の申し上げたことをそれぞれすぐさようでございますというふうにお答えになれないくらいのことはわかっているのですが、申し上げていることくらいは受けとめていただいて、マニュアル化についてはできるかできないかも含めて検討くらいしてくださいよ。第一、今あそこは、どこを曲がればいいかという場所の指定もないのでしょう。横断禁止区域はあるのだよ。横断禁止そのものができないということではないわけで、私は全面的に禁止しろと言っているのではなくて、渡る場所くらいははっきりさせなさいとか、渡るときはセンターへちゃんと通報して不測の事態が起きないようにしなさい、それがあなたが最前から言っている衝突予防法なり海交法を現実的に担保する手だてではないですか。私は法律改正しろとまで言っていないのだから、そのくらいのことはおやりになることをお答えいただきたいと思いますが、またあなたが答弁に立つと時間がかかるからやめますが、後で大臣からでも一緒に御答弁いただければと思います。 最後になってしまいまして時間がございませんので、海交法の問題点の一つとして、幾つかはしょらなければならないのですが、これだけはぜひ伺っておきたいのですけれども、危険物積載船の問題です。 たまたま海交法を見ておりましたところが、これも問題だなということでこの際御指摘をして、これもすぐ直ちにどうするという御返事もなかなかいただきにくい問題なのだろうと思いますが、現在、放射性物質がこの危険物積載船の中に含まれていないわけです。現実に大井埠頭には濃縮ウランが荷揚げされているわけですね。これはひとつ具体的に、年間どこの埠頭にどの程度何が入っているのかというようなことも前段とあわせお聞かせいただきたいと思うのです。時間もなくなっておりますのでこの点はぜひ大臣から、今直ちにそうしますというお答えがいただけるかどうかわかりませんが、放射性物質を危険物積載船から除いておくということは、どうもこの時代に理屈に合わぬ話じゃないかと私思うものですから、前段の現在の状況の御説明をいただいた上で、この問題についての御所見を大臣からいただきたいと思います。現況が余り詳しくおわかりにならなければ、ならないなりでも結構です。現実にそうであることは間違いないと思います。
○石井(和)政府委員 具体的数字は今持っておりませんけれども、原子力発電所に核燃料を輸送するあるいは使用済み燃料を運ぶということで、その関連の港に出入港しておると思います。それから、それ以外に医療用の放射性物質等ありますので、これについてはかなり広範囲に動いておると思っております。
○関山委員 荷揚げのところは港則法の適用があります。上へ上がりますと警察だとかまた所管が変わってくるのですけれども、海のところで荷揚げする接点は運輸省が押さえていらっしゃる。(石原国務大臣「総量はわかりませんよ」と呼ぶ)量は年間五十隻ぐらいとか、いろいろきちっとしたデータをきょう持たずに私質問しているのですが、いずれにせよ、海上の航行上の管理は何もないのです。
○山田(隆)政府委員 放射性物質につきましては、港則法上の危険物荷役につきまして港長の許可を受けることになっておりますので、私も件数は把握できるわけでございますが、ただいま資料を持っておりませんので後ほど御報告をさせていただきたいと思います。
○関山委員 そこで、何かわけのわからぬ質問になったようですけれども、海上交通安全法上の危険物積載船に放射性物質を積載した船も含めるべきだと考えますが、御所見をいただきたい。
○石原国務大臣 おっしゃいますように、陸上では爆発物もそれから劇薬毒物もみんな危険物になっておるわけでありますが、何というのでしょうか、社会のニーズが時代によって変わってきて、核などというものは後に出てきたものですから違うカテゴリーにされたのかもしれません。御存じだと思いますが、海上交通安全法上の危険物は爆発性のあるものという規定になって、核に関しては別個の規制があるようでございますけれども、概念的に言えば、爆発物もあるいは核燃料も、それからまた非常に強い汚染を惹起し得る劇薬毒物等も確かに危険物であり、それを搭載する船は危険性を伴った船舶だと思います。ただ、そういったものを運ぶ船の構造その他の問題がございましてこういうふうに細かに範疇を分けたのではないかと思いますが、これから先やはり検討をすべき問題ではないかと思います。
○関山委員 時間がなくなりましたので最後に申し上げて終わりますが、さっき留保いたしました遊漁船への船員法の拡大適用の問題、今の危険物積載船の問題などを含めて、やはりもう少し丁寧に検討や見直しをしていただきたい。やっていらっしゃるのでしょうけれども、もう少し申し上げていることにしっかり対応していただきたいなという感じがいたします。 時間がございませんのでこれでやめますけれども、大臣には、放射性物質の問題はこれからもいろいろと問題になる課題でもございますし、海上交通安全法の適用についてはぜひ真剣にお取り組みをいただきたいと重ねてお願いして、終わります。
○近江委員長 以上で関山信之君の質疑は終了いたしました。 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時六分休憩 ────◇───── 午後一時一分開議
○近江委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。正木良明君。
○正木委員 質問の機会を与えていただきましたが、何しろ五十九分しかございません。きょうは主として海上交通安全問題についてお尋ねしたいのでございますが、内容が相当多岐にわたっておりますので、それに時間をとられてしまうと陸上交通のことについて質問できませんので、陸上交通の問題を先に御質問を申し上げたいと思います。 まず、警察庁にお伺いしたいわけでございますが、免許取得後の運転者の再教育問題について、特に免許のチェック制度等についてお尋ねをしたいわけであります。 統計の表をいただきましたが、まず、免許取得後一年から五年までの運転者の事故発生状況というものを簡単にお答えいただきたいと思います。
○内田(文)政府委員 六十二年の時点で、事故を起こした者の免許取得後の経過年数の関係の資料でございますが、それによりますと、死亡事故でございますけれども、死亡事故でいきますと、免許をもらって一年未満の者が〇・〇四二%、一年から二年の者が〇・〇三二%、二年から三年の者が〇・〇二二%、三年から四年の者が〇・〇一六%、四年から五年の者が〇・〇一七%、こういうことになっております。 それから、全体の事故発生から見ましても、経過年数がたつごとに事故の発生が落ちてきている。したがって、免許取得後日の浅い者ほど事故を起こす率が高いということがこの数字から言えようかと思います。
○正木委員 確かにおっしゃるとおり、免許取得後の経過の長い方が事故率が減ってきている。逆に言うと、運転の経験年数の短い者に事故率が高いということになっておる。 しかも、これはいただいた資料で拝見いたしますと、昭和六十年のデータと六十二年のデータを比べてみますと、六十二年の方がさらにふえてきているという状況がありますね。例えば、一年未満のドライバーについては、六十年は〇・〇三二であったのが〇・〇四二に六十二年はなってい る。そのほか、一年から二年は〇・〇二八が〇・〇三二になっているとか、総体にふえてきているというのが実情でございます。 そこで、こういう状況にかんがみて事故防止対策ということについて今どんなことが考えられておりますか。
○内田(文)政府委員 お答えいたします。 六十一年の一月から初心運転者講習というのを始めておるわけでございますが、これは免許をもらって一年未満の者で、今いわゆる点数制でやっておりますが、反則の点数制で三点から五点くらいの点数に達した者だったと記憶しておりますが、その者を初心運転者講習ということで講習を行ってきております。その結果を見てみますと、この講習を受けた者と講習を受けなかった者とを比較しますと、講習を受けた者の方がその後の事故の発生、それから違反の状況というものを見ましても大分差があるということで、やはりこの初心運転者講習というのは成果を上げていると思っております。したがって、さらにその充実に現在努めているところでございます。
○正木委員 そのために六十年と六十二年を比較して申し上げたのですが、そういう初心者に対する講習をやりながらふえてきているということが言えるわけなんですね。これは成果が十分に上がっているというのは、ちょっと言い過ぎではないかと考えております。 さらに、交通事故白書というものがありますね。交通事故白書によりますと、一年以内に違反や事故を起こしたドライバーは三年以内に再び違反や事故を繰り返す確率が高いということが指摘されておるわけです。 例えば、免許取得後一年間無違反だった人、これは駐車違反だとか免許証の不携帯を含んでおりませんが、無違反だった人が二年目に〇・二三、三年目に〇・二二。これに比べて、免許取得後一年間に一回か二回の違反を犯した人たちは、二年目には〇・六二、三年目には〇・五〇。最初一年間に三回以上違反を犯した人は、二年目には一・〇七、三年目には〇・八二。これは高くなっております。今申し上げたのは違反です。今度は事故ですが、一年目に無事故だった人が二年目には一・八九、三年目には一・二八に比べて、最初の一年間に事故を起こした人は二年目には四・二三、三年目には二・四一というふうに、一年間無事故だった人よりも高い率で再犯と言っていいのかどうかわかりませんが、再犯がある。この白書のデータを見てまいりますと、免許証を手にしてから一、二年間のドライバーとそれ以後の運転者との間には画然とした差が生じてきているということが言えると私は思うのですね。 そこで、いろいろな免許を受けた場合、これは自動車運転以外の理容師だとか美容師というもの、またお医者さんもそうですが、インターンというのがあるわけですね。一定期間のインターン制度を設けて、そして習熟した経験によってその事業を行わせる、そして事故の発生防止をしているということがあると思います。司法関係だって司法修習生という制度がありますからね。教員だって初任者研修というのをやっておるわけですから。そこで、何らかのチェック制度を一、二年の間にやる必要があるのではないかというふうな気がするわけであります。 外国の例を申し上げますと、西ドイツでは免許を取得してから免許をとりあえず二年間に限定している。この間に事故や違反がなければ終身免許に切りかえられる。ニュージーランドでは仮免許だとか暫定免許だとか本免許だという三段階制になっている。本免許になるまでは二年間かかる。その間は有資格者を同乗させないと運転できないとか夜間の運転を禁止しているというようなことがありますね。そのほかイギリスだとかそういうところでもいろいろのこういう制度を設けているわけなんです。日本もできれば一年か二年後に再チェックというか再試験をやる、その最初の初心者のときに違反や事故を起こした場合には免許は取り上げてしまう、一からやり直してもらう、こういう制度をつくるべきではないのだろうか。そのぐらい厳しいものをやっていかなければ、今のこの交通事故の死亡事故を減らしていくというようなことはとてもできないのではないか。これだけですべて交通事故がなくなってしまう、死亡事故が減ってしまうということにはならないだろうとは思いますけれども、総合的なものをやっていく上の一つとしてこういう二段階制の免許制度というのを導入されてはどうか、また検討されてはどうかというふうに思うのですが、いかがですか。
○内田(文)政府委員 初心運転者の問題というのは、運転未熟という問題と、やはり初心運転者というのは若い人が多いという若者の特性というそういった要素が重なって事故率が大変高いということもあるわけでありまして、最近の若者の事故が多いというようなことも含めまして何らかの対応をしていかなければならぬということで我々もいろいろ研究いたしておるわけであります。 先生今おっしゃいましたように、西ドイツあるいはノルウェー、オーストラリア等でいろいろそういった制度が行われているのを我々も承知しております。そういったことについて、その制度の運用そしてその成果といいましょうか、そういうものをいろいろと今研究をいたしておるわけでございます。免許制度というのは全体的に見た場合、国によってそれぞれ違うと思うわけでございまして、免許の与え方の問題とか、それから、例えば更新制度の問題、更新時の講習の有無だとか、あるいは行政処分のやり方の問題とかいろいろ違う問題があるわけでございまして、日本の交通免許のいろいろな制度の中においてそういった今の暫定免許なりというような制度が日本の実情になじむのか、そしてまた国民の中に受け入れられるかというような問題もあろうかと思います。そういった意味も含めまして、しかし今のままでいいと決して我々も思っておるわけではございませんで、いろいろとそういった面の勉強を今いたしておるところでございます。
○正木委員 これはきょうは提案だけにしておきますから、よく検討してみてください。 それにつけても、やはり運転者のセーフティーマインドというか、要するに安全に対する心構えというものがもう何よりも大事になってくるわけなんです。これは法律でどうこうするとかなんとかいう問題ではない、内面的な問題でありますから大変なんです。実はこの前私が質問させてもらったときにも皆さん方にやかましくお願いしておいたのですけれども、第一次交通戦争と言われる時代、私は大阪の府会議員をしていたのですが、そのときも議会でやかましく要求をしたし、またマスコミ媒体も非常に活躍をしてくれました。交通戦争という名のいわれは、御承知かと思いますけれども、戦争の犠牲者と交通事故の犠牲者、それに匹敵するないしは戦争の犠牲者よりも多いというような状況の中で交通戦争という名前がつけられたわけなんですけれども、そのときにやはり一番運転者の自覚を促したものは何かといえば、自分たちは走る凶器に乗っているんだということ、走る凶器を運転しているんだという意識を徹底的にマスコミを通じて、これでもかこれでもかというほどたたき込んでいったわけですね。そういうことをやはりこの際やるべきではないか、むしろ交通事故対策のための非常事態宣言をやってもいいんじゃないかというぐらいに私は思っているわけなんですが、それぐらい大変な事態になっているということをもっと国民の皆さん方にも自覚してもらいたい。特に運転者に対してその自覚を大いに求めていかなければならぬだろうと思うのです。 そういう意味では、これは総務庁が所管なさっているのだろうと思いますけれども、そういう点でやはりマスコミの協力を仰いで、あの当時新聞でも囲みの連載が、交通事故に関すること、交通安全に関することというのは毎日のように各紙に出ていましたよ。テレビでも盛んにそのことを宣伝してくれた。金がないから、金かけてまでなかなかできないだろうと思いますが、それはやはり協力をしてもらって、マスコミの皆さん方にもそういう意識を持ってもらってやっていただくということを強力に進めていかれてはどうかということをこの前も話をしたのです。最近ちらほらそれが出てきているようでありますけれども、どうもマスコミが自主的にやっているようではなくて、テレビなんかでもこっちが金を出してやらせているみたいなところがありますから、これじゃ金は続かぬだろうと私は思います。そういう点、現状はどうなっていますか。これは総務庁の方から。
○加美山政府委員 お答えいたします。 現下の厳しい交通情勢下におきましてマスコミの協力を得て広報活動を展開するということは、御指摘のとおり大変大事な問題ということで受けとめておりまして、去る八月二十二日の交通事故防止に関する緊急総合対策について交通対策本部決定の後、報道関係の論説委員、解説委員の方たちとの懇談の機会を設けまして実情を御説明申し上げ、御協力方を要請し、そしてその後の高齢者の交通安全旬間あるいは交通安全運動等におきまして、高齢者の問題あるいはその他若者をとらえた問題等々につきましていろいろ報道をしていただいております。とともに、従来からやっておりますが、政府広報を通じまして、テレビ、ラジオはもとよりでございますが、新聞の突き出し広告とかあるいは記事下広告、あるいは週刊雑誌に一ページ大の広告を載せるとかいうこともやってございまして、その他、さきの運動期間中に高齢者交通安全旬間のポスターとかあるいは秋の交通安全運動のポスターとかそういうようなものも約四十万枚ほど張っていろいろ広報を展開している、十分ではございませんが、そのようなことで鋭意努力をしているところでございます。 以上でございます。
○正木委員 何もやってないとは言ってないのですけれども、これでもかこれでもかというぐらいに新聞が自主的にやってもらえるように協力をお願いした方がいいと思うのですよ。広告を出しているというのと新聞が自主的に書いているというのは全然受け取り方が変わってくるわけですから、その点をよろしくお願いいたしておきます。 それで、交通安全月間だとか週間だとか高齢者のための交通安全週間というのをおやりになっているのはむだだと言っているのじゃありませんけれども、これで満足していてはだめだと僕は思うのです。国民に対して交通安全のための意識が涵養されないで、私の知り合いにも若い者がいるけれども、交通安全週間やから巡査ぎょうさん出ておるで、気をつけて運転せなあかんで、こういう感じなのだ。事故を起こさないようにしようというのではなくて、違反に引っかけられる率が多くなるから気をつけよう。これも気をつけてやってくれれば効果は全くないとは言いませんけれども、その程度の意識であって、先ほど申し上げたように、自分が走る凶器を運転しているのだ、まかり間違えば自分の乗っている自動車が人殺しの道具になるのだというぐらいの強い責任感を持たせるような意識を涵養させていくことの方が本来大事なのであって、そこらをきちんと考えて今後運動を進めていただきたいと私は思います。 それでは、海上交通の問題に参ります。これは主として海上保安庁長官になると思いますが、大変な事故が起こったということは強調する必要のないことだと私は思います。 それで、海上交通安全法というのがありますね。これが施行以来十五年たっているわけでありますが、制定された効果は上がっていると思います。しかし、その間には海上交通状況が変化したり船舶の運動性能の向上等がありまして、海上交通安全法の果たしている役割というのはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、ないしは海上交通安全法の運用に当たって何か改善するものがあるというふうにお考えになっていますか、ないしは法の運用上あるいは実行上何か支障になる点が生まれてきているというふうにお考えですか。
○山田(隆)政府委員 今先生お話しございましたように、海上交通安全法は、昭和四十八年七月から施行されまして現在まで既に十五年程度を経ておるわけでございます。船舶がふくそうする海域におきます航法につきまして、特別の規制を行いまして海上の安全を確保しようというのがその目的でございます。 海上交通安全法施行以来の海難について私ども統計を見たわけでございますが、航法上の過失が主原因となることの多い衝突及び乗り上げ事故の東京湾での年間要救助海難船舶隻数を見てまいりますと、同法施行前の昭和四十二年度から四十七年度までの六年間の平均の海難船舶隻数が六十八・五隻であるのに対しまして、この海上交通法が施行されましてから後、四十八年度から五十一年度までの四年間の平均をとりますと、それが四十五・八隻に減っております。さらに、五十二年に海上交通センターという業務を開始したわけでございますが、その業務開始後十一年間、六十二年度までの統計をとってまいりますと、衝突及び乗り上げ事故による年間要救助海難船舶数が平均で三十一・八隻、こういうふうに減少しておるわけでございます。他方、浦賀水道の航行船舶隻数を見てまいりますと、昭和四十年代から大体横ばい状態であると見られますので、それからいいますと海上交通法の施行により海難事故がかなり減っているのではないか、そういう意味での効果があったのではないかと考えられるところでございます。 他方、十五年間に船舶の運航形態も変わってくるというようなことで何らか見直す必要があるのではないかというような御意見も出されておるわけでございますが、私ども、東京湾内の海上交通の安全向上につきましてはいろいろ検討を行っておりますが、海上交通法につきましては現在の法律を遵守していくことによって安全が確保できるのではないかと考えておりますが、東京湾につきましては東京湾横断道路等の建設も予定されておるところでございまして、またそれによって交通の流れ等も変わってくる場合に、新たにどういう対策をとるのがいいかというようなことは今後真剣に検討する必要があるのではないかと考えております。 それから、東京湾の航路の安全を期する上で支障がないかというような点につきましては、例えば航路幅がより広くなればこれは安全に資するわけでございまして、「なだしお」の事故に関連して設置されました政府の事故対策本部等で今後第三海堡の撤去等についての検討も行われることになっておりまして、もしそういうことが実現されるならば非常に望ましいのではないかと考えておる次第でございます。
○正木委員 そこで、重ねてお尋ねしたいのですが、東京湾の浦賀水道航路、中ノ瀬航路内においては海上交通安全法の航法によることになっておりますね。それ以外の海域においては海上衝突予防法の航法によってやることになっておりますね。そうすると、航路の出入り口で相反する措置が要求され航法の不連続が生じる。したがって衝突の危険性が大きくて、例えば昭和五十二年十二月に行政管理庁が海上交通安全に関する行政監察結果に基づく勧告というのを出しておりますけれども、その中で行管庁がこの点を指摘して、改善措置として法制化を検討するようにという勧告がございますけれども、これに対してはどういう対応をなさっておりますか。
○山田(隆)政府委員 東京湾におきます船舶の航行の航法でございますけれども、確かに浦賀水道航路あるいは中ノ瀬航路と、それからその他の海域の間で適用される法律が異なっておるわけでございます。ただいま先生おっしゃいましたように、船舶の避航関係につきましてその航路の出入り口付近では避航の義務関係が変わるわけでございまして、例えば木更津港から出港する船舶と東京方面へ向かう大型船との関係を考えますと、航路内では保持船でありました大型船が航路の出入り口を通過すると同時に避航船となるということによって操船が困難になる場合が考えられるわけでございます。このために、海上保安庁におきましてはその対策といたしまして、航路の出入り口を航行する船舶に対しまして、航路出入り口付近で進路が交差するような関係を生じないよう航路の出入り口から十分離れて航行するような指導をしております。そのために、木更津港沖では灯浮標を設けまして、木更津入出港の船舶が中ノ瀬航路出口を大きく迂回するような指導を行っておりまして、その指導は現在のところ十分守られているというふうに考えております。 五十二年十二月七日に行政管理庁から勧告が出されまして、その中で「海交法上の航路の出入口付近における船舶交通の安全を確保するため、航路の出入口付近の航法に関する指導の徹底を図るとともに、今後、その法制化についても検討すること。」という勧告が出されておることは私どもよく承知しております。そこで、まず「指導の徹底」につきましては、この勧告を受けまして、先ほど申し上げたような迂回する航法についての指導の徹底ということにつきます通達を出したところでございます。「その法制化」につきましては、私どもとしてはいろいろ勉強はしたところでございますが、現在までのところこういった行政指導によって十分安全も確保されているということで、このような方法でよろしいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○正木委員 それに関連してちょっとお聞きしておきますが、今おっしゃったとおり、これだけではなくて、海上交通安全法の運用に当たって法規制以外にたくさんの行政指導ないしは勧告が行われております。これは法律が制定され施行された当初はそうであったとしても、十五年もたって、行政指導や勧告がやたらに多くて、より複雑化しているような気がしてしようがないのです。これは行政指導の成果を踏まえながら逐次法規制に切りかえていく、そうするのが航行安全システムのあるべき姿であって、欧米においても海域によってはこの方式がとられておるようでございますけれども、この点は長官はどうお考えになっていますか。
○山田(隆)政府委員 行政指導が非常に複雑化しているので必要なものについてはそれを法制化していくべきではないかという御意見かと存じますが、私ども、海上交通の安全を確保するためいろいろ関係者の御意見も聞きながら、そのコンセンサスを得ながら海上交通の安全のための指導等を行っておるわけでございまして、その際に、行政指導ですと比較的コンセンサスが得られやすいという利点もございます。 行政指導につきまして複雑だという御指摘はあるかと思いますけれども、関係者につきましては十分周知徹底も、図ることができまして、この行政指導は今まで遵守されている、それによってまた衝突防止等の効果も十分上げているというふうに考えられておりますので、今後長期的に見た場合に法制化についてどうするかというような問題点については、勉強も必要かと存じますけれども、現状におきまして私どもとしては行政指導を十分活用して事故防止、安全の確保に努めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○正木委員 私はよくわかりませんが、この場合法律の規制、要するに、法を遵守するということについては、これは国際的にも認められていることでありますから外国船もこれに従わなければならぬ、それは当然のことであるわけだけれども、行政指導というのは外国船籍の船舶についてはどれぐらいの強制力があるのですか。その法的根拠というのはどういうことなんですか。
○山田(隆)政府委員 現在、海上保安庁におきましては外国船に対しましても種々の安全面についての指導あるいは周知徹底を図っておるところでございまして、外国船に対しまして海上交通安全法、港則法等の法による規制内容はもちろんのこと、これに加えまして、先ほども申し上げましたような各種の行政指導等の事項につきましても、英語のパンフレットを作成いたしまして外国船に配布するとか、あるいは外国船舶安全対策連絡協議会という協議会がございますが、こういうものを通じましてその周知徹底を図りまして、指導事項の遵守に協力を求めているところであります。また、外国船については日本人の水先人が乗っている例が多いわけでございまして、そういう面からも当庁の行っております行政指導につきまして周知徹底を図ることができるわけでございまして、現在までのところ外国船だからといって行政指導が守られないということではなく、外国船につきましても行政指導の遵守が行われているというふうに考えておる次第でございます。
○正木委員 この行政指導を守らなかったために事故が起こって、それで法的な争いが起こった場合どうなるのですか。この行政指導というのはやはり強いのですか。
○山田(隆)政府委員 おっしゃるとおり、確かに行政指導というのは法的な強制力を持ちませんし、したがいまして、その事項に違反しましても直ちにそれが法違反になるというわけではございません。 それから、一たん事故が起きた場合の問題でございますが、これにつきましては、一般的な注意義務というような観点から言えば、私は行政指導を守るということが注意義務を守るということになるのではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
○正木委員 そうなると、私が先ほど申し上げましたようにいろいろ検討すべき課題もあるだろうと私は思うのです。行政指導の成果によってはそれを法律化していくという、法規制に切りかえていくという努力は絶えずやっていく必要があるんじゃないかという気がいたしますけれども、この点はひとつ御検討いただきたいと思います。 それから、これは東京湾じゃありませんが、瀬戸内海の釣島水道、これは松山市の沖合にあって、大小の島に囲まれた航路幅約三キロの狭い水道でございますが、瀬戸内海のメインルートの中でも屈指の難所とされているわけでございます。戦後は海上交通安全法を制定するまで特定水域航行令の適用海域として航行規制が行われてまいりましたが、四十七年の海上交通安全法の制定に当たっては、特定水域航行令の適用が除外された上、海上交通安全法の特定水域からも外されております。昭和五十二年十一月から勧告によって狭水道の右側端航行を励行しているけれども、海交法の特定航路に指定するべき条件が整っているのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○山田(隆)政府委員 先生御指摘のように、釣島水道につきましては特定水域航行令のときには規制を受けておったわけでございますが、海上交通安全法になりましてからその規制が外れておるわけでございます。ただ、釣島水道における通航船舶隻数を見てみますと、昭和六十二年におきまして約三百隻でございます。これを他の海上交通安全法の航路設定海域と比較してまいりますと、例えば浦賀水道では六百隻ないし七百隻ぐらい、それから伊良湖水道が約千三百隻ぐらい、明石海峡が千隻ぐらい。こういうように海上交通安全法で規定されておりますほかの航路設定海域に比べますと、釣島水道における船舶航行隻数というのはかなり少ないのではないかというふうに考えております。 それからまた、釣島水道におきましては、これも先生御指摘のように右側を航行するよう指導を現在行っておりまして、この指導が十分遵守されておりまして、昭和五十三年から六十二年までのここ十年間の衝突海難事故を見てみますとわずか三件であるということもございまして、海上交通安全法に基づく航路を設定して船舶航行等の規制を行うまでの必要はないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○正木委員 日本海難防止協会というのがありますね。ここから昭和五十一年三月に「東京湾海上交通安全システム調査研究報告書」というのが出されております。これは東京湾の海上交通安全システムの調査研究の委託を海上保安庁から受けて出てきた報告書であるわけでございますが、提言をお受けになった海上保安庁はどういうふうな対応をなさっておりますか。要するに、この提言のうちの何を採用し、どういう点がどういう理由で採用できなかったかということ、大体のところをおっしゃってください。
○山田(隆)政府委員 日本海難防止協会から提言を受けました東京湾における海上交通システムの問題でございますが、これはおっしゃるとおり海上保安庁からの委託を受けて検討をしていただきまして、それに基づく提案でございます。この提案で示された事項といたしましては、まず第一に航行管制システムの構成、それから第二にVHF通信体制の整備、第三の事項として船舶交通の整流の実施、こういう三つの事項に分けられるかと思います。 このうち、第一の航行管制システムの問題につきましては、東京湾海上交通センターを五十二年に設置いたしまして、航行船舶に対します情報提供と管制というものを一元的に実施しておりますほか、巡視艇をこの浦賀水道周辺海域に常時二隻配備いたしまして、航法の指導を行う等の交通整理を行っておるところでございます。それから、第二のVHF通信体制の整備の問題でございますが、これにつきましては東京湾海上交通センターにVHF通信体制を整備いたしましたほか、湾内の航行船舶に対するVHFの聴守、それを聞いているようにという指導を行ったわけでございます。それから、第三の船舶交通の整流の問題につきましても、その実施が可能な木更津港沖、中ノ瀬西方海域、川崎港沖等では行政指導により整流を行っておるところでございます。しかしながら、東京湾内全体につきまして整流すべきではないかというのが提言の趣旨でございますけれども、湾内全体に整流を実施いたしますためには浅いところをしゅんせつする必要がある、あるいは漁業関係者との調整など諸条件の整備を図っていく必要があるわけでございます。今後の問題といたしまして、東京湾横断道路建設計画等大規模プロジェクトによる湾内環境の変化も予測されるところでございますので、今後こういうことも含めまして航路体系というものの再検討をいたしまして、望ましい航路体系の実現に向けて現実的な方策を探っていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
○正木委員 次に、船舶の構造上の問題等について質問をしたいと思います。 船舶の多様化に伴いまして、船舶構造物あるいは積み荷に遮られて十分な見張りができない、そういう船があります。また、船橋内部の構造、諸計器の配置がすべて後部の方に集中して安全航行の障害となっている場合が新造船ほど多いと聞いておりますが、その実情と改善すべき点はないのかどうか、お答えをいただきたい。
○石井(和)政府委員 最近の大型船につきましては、貨物倉の効率的な配置の観点などから船橋を後方に置いているものが多くなっておりますけれども、操舵室は船橋の最上層に設ける、そしてまた操舵室の両舷に張り出しを設ける等を行っておりまして、見通しが悪いということはございません。見通しにも十分配慮しているというものでございます。また、船橋の中の計器類につきましても、特に操船上必要になるものにつきましてはすべて操舵室の前部に配置されておりまして、安全上特に問題になるというふうには考えておりません。 なお、先生御指摘の後部につけられております計器類と申しますのは、恐らく航海灯の制御盤だとかあるいは火災探知の表示盤、それから衛星航法装置等のことではないかというように思っております。
○正木委員 近年船舶が大型化する、専用化する、高速化する、これらの技術開発が非常に進められてきているわけでありますが、特に五十年代以降は、海運の国際競争力を維持するために自動化、省力化のための技術革新が一層進展するとともに、これらに対応した船員制度の近代化を図るために少数精鋭主義の省人化が行われてきているわけであります。一方、船舶の安全な運航を確保するためには十分な見張りが必要である。正確な測位、的確な操船が必須条件でありますけれども、船舶の自動化、省力化、省人化の進展する中でこれらの課題をどういうふうに解決していくかということについてお考えを承りたいと思います。
○石井(和)政府委員 船舶の自動化設備につきましても、船舶安全法に基づきまして技術基準を定めまして検査をやっているところでございます。さらに、新しい設備等につきましても十分技術的に検討をいたして対応してまいりたい、そういうように考えております。
○正木委員 それはどういうことですか、素人にわかるようにもうちょっと具体的に話してよ。
○石井(和)政府委員 自動化設備あるいは電子設備というのがたくさんあらわれてくるわけでございますけれども、技術基準を定めましてメーカー段階である程度検査する、それから船に積みまして性能を確認するということをいたしております。さらに、新しいものが出てまいりましたときには基準をつくるべくいろいろ技術的に検討をしてまいり、安全確保に努めてまいりたいということでございます。
○正木委員 こういうことですか、見張りなんというのは全部レーダー任せにしてしまうということですか。そういう方向へ行くことについては構わないということですか。それから船舶の測位、操船まで自動化してしまうということを許すわけですか。
○石井(和)政府委員 船員法に基づきましで見張り、航海当直の義務がございます。複数で当直いたして見張りをするということになっております。また、自動化機器の信頼性につきましても十分検査で検討しておるところでございます。
○正木委員 要するに、省力化、省人化をしても安全な運航ができるという確信があるわけですね。
○石井(和)政府委員 十分な見張りができ、かつ運航できるというように思っております。
○正木委員 中学時代に物理の先生がこんなことを言ったわ。ヨーロッパ人は機械だから大丈夫だと思う、日本人は機械だから信用できぬと言うここらが科学の知識水準の違いだと僕は中学時代に先生に言われたことがあるけれども、その辺の違いが今出ているのかもわかりません。あなたは機械だから大丈夫、私は機械だから信用できぬ、この辺はいつまでたっても平行線になるのかもわかりませんからこの程度にしておきますが、結論からいって、私が申し上げたいことは安全でなけばならぬということであって、その安全が確保できるという確信が指導の立場にあるあなたにあるかどうかということですから、それだけもう一度はっきりとおっしゃってください。
○石井(和)政府委員 もちろん機械だけに頼るわけではございませんで、見張りを義務づけております。それから、我々といたしましては機械の信頼性につきまして向上するための技術開発も進めておりますし、また、基準で定めかつ検査をやることによってその信頼性を確認しております。また、今後とも十分そういう面での安全性確保には努めてまいる所存でございます。
○正木委員 以上です。
○近江委員長 以上で正木良明君の質疑は終了いたしました。 次に、伊藤英成君。
○伊藤(英)委員 去る七月二十三日に発生いたしました潜水艦「なだしお」と遊漁船第一富士丸の衝突事故に関して、海上保安庁は二カ月余りにわたった捜査を終えまして、九月二十九日に山下「なだしお」元艦長と近藤第一富士丸元船長をそれぞれ業務上過失往来妨害と業務上過失致死傷害容疑で横浜地検に書類送検をいたしました。一方、海難審判も十月三日から開始をされております。 私は、まず最初にマスコミの報道の仕方の問題についてお伺いをしたいのであります。 この事故の原因究明は今後裁判あるいは審判の結果を待たなければならないのですが、それにしても、事故が発生した当時、既に原因は自明のこととされているような、あるいは事故現場における救助活動についての不正確な情報が既成の事実とされるような一方的な報道がマスコミによって行われたと思うのです。私は、これは非常に問題ではないか、こういうふうに思っているわけであります。そこで、まず最初に、海上保安庁はこの捜査に関する情報をどのような手続あるいは形式によってマスコミに発表をしてきたかということをお伺いいたします。 これはほかにもあったと思うのですが、今手元の資料だけでも、例えばこれは八月の初めだったのですが、読売新聞に大きく「潜水艦長が重大供述見込み航行認める」横須賀海上保安部の取り調べで云々という話が出ていたりしますし、あるいはその後にも、横須賀海上保安部が「艦長供述、虚偽と断定」とか、こういうのが新聞では報じられていたりしております。そういう意味で、まず、海上保安庁の捜査に関する情報をどのような手続、形式によってマスコミに発表してきたのかということをお伺いいたします。
○山田(隆)政府委員 海上保安庁といたしましては、事故発生以来本件の捜査につきましては厳正かつ公正に実施をしてきたところでございまして、その結論が得られない段階で被疑者の過失の内容等被疑事実にかかわる事項は一切発表しておらないわけでございます。 マスコミに対する関係でございますけれども、事故発生当時は、事故の概要であるとか遭難者の救助状況等につきまして、連日一定の時間に横須賀海上保安部、第三管区海上保安本部で記者へのレクをいたしてきたわけでございますが、その際も明白な事実関係等についてのみ発表してきたわけでございまして、その過失の有無あるいは今後の捜査に予断を与えるようなそういった事項については一切発表しておりません。また、一定の時間が経過した後は第三管区海上保安本部、それから本庁において適宜これも記者クラブ等からの要請に応じまして記者発表いたしてまいりましたけれども、その際も、捜査実施中のものにつきましてはその捜査の結論に予断を与えるようなことは一切発表いたしておらないことはもとよりでございまして、関係者の事情聴取とか検視をした場合にその実施した項目であるとか対象数、あるいは第一富士丸及び「なだしお」船体、艦体の検証をいたしましたその損傷部分の簡単な概要、こういうものを発表したのみでございます。最後の送致をした段階で、捜査結果の概要ということで両船にかかわる過失につきまして海上保安庁の認定した事実のあらましを発表したということでございます。
○伊藤(英)委員 その事故の発生した当時、潜水艦の乗組員が遭難者の救助活動をほとんど行わなかったということで、海上自衛隊は国民の多くから大変な批判をされたわけでありますけれども、海上保安庁の衝突事件の送致書によりますと、山下艦長の船員法十三条違反の事実は認められなかったということであります。これはこのような違反の事実は全くなかったということなのか、あるいは公訴を維持するだけの事実が証拠として集められなかったということですか。
○山田(隆)政府委員 海上保安庁といたしましては、山下元艦長の船員法十三条の違反、船長の救助義務の違反について捜査をしたわけでございますが、その捜査結果によりますと、山下元艦長は衝突直後「溺者救助部署」を発動いたしまして、ゴムボートを降下し、また泳者を派遣するなどいたしまして同艦付近を漂流中の遭難者三名を救助しておりまして、船員法十三条違反は認められなかったということでございます。 それから、この救助に関連いたしましては、マスコミの報道で、潜水艦の乗組員が目前におぼれている人がいるにもかかわらず手をこまねいて何も救助しなかったというような報道がございまして、私ども、これについても事実関係を調査いたしました。それによりますと、第一富士丸の女性乗組員の、「なだしお」と私との距離が十メートルほどであったが、「なだしお」乗組員は腕組みをしたまま何もしてくれなかったとか、何人もの人が助けてくれと言いながら海の中に沈んでいったといったような発言をもとにしてなされたものと推測されるわけですが、その後本人からの事情聴取の結果によりますと、これらの発言は当時本人が興奮していたための誤解によるものであったということが判明したわけでございます。
○伊藤(英)委員 今の第一富士丸の女性の発言のこと、これを私も今実はお伺いしようと思っていたわけでありますが、そういうことであれば事実ではないということですね。実はこの問題が今回の非常に大きな誤解を与える最大のショッキングなニュースだったと思うのです。そういう意味では、今のお答えてこの女性の発言は事実ではないということでありますので、いろいろな機会にちゃんとわからせる努力をやはりしていただきたい、こう思います。 今の話にも関係するのですが、もう一度確認します。 先ほどの海上保安庁が船員法違反の事実は認められなかったということは、事故当時の遭難者の救助に関する報道が不正確な情報に基づいて、誤った認識によってなされたものだと理解していいわけですね。
○山田(隆)政府委員 私どもとしては、先ほど申し上げましたように、山下元艦長の救助義務違反はなかったというふうに判断したわけでございます。 それで、事故直後いろいろな救助に関する報道がなされたわけでございますけれども、それをすべて私ども承知しておりませんし、中には必ずしも今申し上げたような事実に基づかない報道があったこともあるのではないかというふうに考えております。
○伊藤(英)委員 これは防衛庁にお伺いしますけれども、あのときに西廣防衛庁事務次官の発言がありました。それは先ほど話の出ました第一富士丸の女性の発言で、潜水艦乗組員は何もしてくれなかった等々の発言について西廣防衛庁事務次官が発言されたのですが、あれは正確な現状認識を欠いた不用意な発言であったということで、そしてそれが自衛隊員の士気を喪失させるものになったというふうに思いますが、いかがですか。
○守屋説明員 お答えいたします。 私どもの事務次官の発言があった当時でございますが、当時は事故が発生いたしまして二、三日経過したころでございまして、まだなお多くの人が行方不明になっておりまして、防衛庁といたしましてはその捜査活動に全力を尽くしている段階でございました。次官としては、事故当時の救助活動について、その結果は承知いたしておりましたけれども、「なだしお」の隊員がどのような救助活動を行ったかまでにつきましては、詳しく報告を受けるいとまがない状況でございました。今先生御指摘の西廣事務次官の発言は、このような状況下で記者に感想を求められて行ったものでありますけれども、次官の発言に際しまして、もしその助けなかったということが事実なら、個人的見解として断った上で、あの発言、自衛隊というのはいざというときに身命を賭して国民、国家、国土を守るのが任務だから、仮に潜水艦に救命胴衣の三つでも四つでもあったならば、そういったものをつけて飛び込んでくれる、そういうことがあらまほしきものであるというふうに思っていますと述べたものでございます。 以上、詳しく申し上げましたように、次官の発言は自衛官の心構えについての一般論を述べたものと承知いたしております。
○伊藤(英)委員 今のお話で、若干の仮定は置いているものの、私は、次官ともあろう人がもう少しちゃんと現場を十分に調べた上で発言すべき話である、そういう意味では極めて不用意な発言であったし、したがって、それがまた大きな誤解をいろいろ国民に与えていった、それがまた自衛隊に対する認識についても誤った感覚を持たせることになったというふうに思うのですが、いかがですか。
○守屋説明員 先生のお言葉でございますけれども、防衛庁としましては、あの当時、私どもの海上自衛隊が起こしました事故の当事者の一方となりました事件としましては未曾有の大事件でございまして、私どものとった救助活動とか、捜査現場の状況について矢継ぎ早に質問を浴びせられ、その対応を求められているという防衛庁としても非常に混乱した状況であり、なおかつ、防衛庁としましては、起きて、捜査活動、救助活動が終了して、残されました行方不明者の捜索に全力を挙げていたという状態で、突然、記者の方から、こういう話が起きているけれども防衛庁としてどうなのだというところで意見を求められたものでございまして、先ほど申し上げましたように、もしそういう話が事実ならと、個人の見解ということを断った上で申し上げたものと承知いたしております。
○伊藤(英)委員 こうした問題はこれからも時には起こるかもしれませんし、注意深い発言をぜひお願いをしたいと思います。 次に、第一富士丸の構造の問題についてお伺いいたします。 第一富士丸は、昭和四十五年四月に漁船として建造されましたけれども、その後所有者が次々と変わった上に、昭和五十一年一月に総トン数を大幅にふやして遊漁船に改造をされました。今度のこの事故に際して、衝突後一分以内に沈没をして多くの死者を出す要因とされましたけれども、その不自然な沈没状況は漁船から遊漁船に改造されたことが原因だ、そして、この問題について新聞等でもその構造上の問題について非常に議論を呼んできたわけであります。 そこで、運輸省にお伺いするのですが、今後、検査基準の見直しなりあるいは旅客船としての構造、設備に関する基準の見直しが私は必要だと思うのですが、その見直しの必要性についてどのように考えておられるか、お伺いします。
○石井(和)政府委員 第一富士丸の衝突事故につきましては、潜水艦という特殊な形状の船舶に衝突し、それに乗り上げて船尾から没水したということが急速に沈んだということに関連しているのじゃないかというふうに思っておりますけれども、現在、海難審判におきまして事故の原因につきましては審理をされております。その結果に基づきまして、必要であれば対策を講じてまいりたい、そのように考えております。 また、出入り口等につきましては、政府の事故対策本部におきます対策要綱の中で指摘をされることになっておりますので、早急に検討を進めてまいりたい、そのように考えております。
○伊藤(英)委員 次に、自衛艦と民間の船との運航ルールの問題についてお伺いしたいのです。 先般、戦時国際法研究会が、この潜水艦と遊漁船の衝突事故に関係をして意見書と質問状を海上保安庁に送っているようであります。中身は、軍港の内部や周辺では軍艦が通航の優先権を持つのが国際的な一般的なルールであるということを指摘をしながら、この意見書並びに質問状を出しているわけでありますが、この問題について海上保安庁はどのように考えておられますか。
○山田(隆)政府委員 私ども戦時国際法研究会から今申されましたような意見書を受け取っております。これにつきまして検討したわけでございますが、結論的に申しますと、軍艦というものは国際的にも決して優先通航権を認められているものではないということでございます。 この意見書についての私どもの考え方をやや詳しく申しますと、この意見書では、海上自衛隊の艦艇が水上輸送の用に供する船舟類、船には入っていないのではないか、海上衝突予防法の船舶の定義には該当しない、特に潜水艦というのは最もその水上輸送の用に不適当な艦種であるから適用されるとは思わないというふうに述べてあるわけであります。そうして、海上衝突予防法の適用が軍艦にないという前提でありますけれども、海上衝突予防法第一条では、その制定の前提とされている一九七二年の国際海上衝突予防規則におきまして、その第一条a項ですべての船舶に適用されるということが明定されております。さらに、第一条のc項で二隻以上の軍艦に関する規定を設けておることから見ましても、軍艦にその規則が適用されているということは明らかでございます。 なお、水上輸送の用に供する船舟類も同規則の規定を受けたものでございまして、人または物を水上において移動させる船舟類という意味であります。この船舶の定義は旧海上衝突予防法の規定を受けたものでございますけれども、その旧海上衝突予防法では十三条に軍艦、護送されて航行している船舶という表現がございまして、軍艦についても本法の適用があるということは明らかでございます。そして、現行の海上衝突予防法におきましても、その四十一条に基づく同法施行規則第二十三条におきまして、海上自衛隊の使用する船舶のうち自衛艦について灯火に関し特例を定めているということで、旧海上衝突予防法の考え方が継続しているわけでございます。 以上申し上げたように、我が国の法制上、自衛隊艦艇について特別の航法ルールというものは定めておられないわけでございまして、一般船と同じように海上衝突予防法あるいは海上交通安全法等が適用あるということでございます。この点につきましては、国際的にも海上交通のルールについて軍艦を特別扱いしないということでございまして、私どもとしては、地域的な特例として軍艦の優先航行があるかないか、こういう点につきましては、イギリスとアメリカにつきましても調査をいたしましたけれども、その調査結果によりますと、そのような特別ルールがあるという情報は得ておりません。
○伊藤(英)委員 今のお話ですと、国際的にもルール上は特に軍艦と民間船との間に区別がありませんという話のようですが、よく聞く話は、実際にそれぞれの港等に行ったときの状況はやや違うんだという話が出たりいたします。これはルールはそうなっているのだけれども、慣行上というのでしょうか、現実にはちょっと差があるんだということなのか。これは防衛庁の方にお伺いしますが、どういうことでしょうか。
○柳澤説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもも現行の法令等の解釈の問題につきましてはただいま海上保安庁の御答弁と同様に考えております。私ども実際に訓練あるいは遠洋航海等で外国の港湾を訪問することがたびたびあるわけでございますが、その中で特にルールの問題としてでなく話として伺いますところでは、これは各国によってまちまちの点もございますけれども、一般的にはやはりお互いに礼砲とかあるいは答砲を交換するといったような形で、あるいはさらには岸壁の使用料を一種の軍艦であることから免除してくれるとかといったような取り扱いはかなり広く行われているようでございます。
○伊藤(英)委員 今の話は、例えば優先的に岸壁を使わせてくれるとか、ざっとそのくらいの差だという意味でしょうか。
○柳澤説明員 私ども形として、データとして整理できますのは今申し上げたようなところでございます。あとは、一般の海上交通のルール面につきましては、これは国によりましては一種の軍艦だということでそれなりに敬意を払ってくれるというような実態はあるという話は聞くわけでございます。
○伊藤(英)委員 ちょっと時間がありませんので次に移りますけれども、東京湾の海上交通安全対策について伺います。 御承知のとおりに、東京湾は世界でも名立たる船舶過密海域であって、さらに近年の海洋レジャーの発展によってプレジャーボートあるいは遊漁船等の増加が著しくて、湾内の過密状態が一層悪化している。またこれが今回の事故の背景にもなっている、こう思うのですが、先般、全日本海員組合がこの「なだしお」の事故の後に「東京湾における海難防止と航行安全対策の充実強化について」ということで運輸省に、海上保安庁にも行ったのでしょうか、申し入れをしております。 その中で三点だけちょっとお伺いしたいのですが、まず一つは、湾内の船舶交通量の整流化の問題、それから二つ目には、東京湾の海上交通センターの機能の強化ということ、それから三つ目には、プレジャーボート、遊漁船等に対する航行規則等の強化及び船員の安全思想の向上、この三つについて所見を、これは運輸省にお願いをいたします。
○山田(隆)政府委員 ただいま御質問のございました第一点の東京湾内の整流の問題、それから第二点の東京湾海上交通センターの機能の強化の問題、その二点について海上保安庁として御答弁を申し上げたいと存じます。 まず、東京湾内の整流の問題でございますが、東京湾の海上交通安全法適用海域のうち航路以外の海域につきましては、中ノ瀬航路北口付近、それから浦賀水道航路南口及びその南方、それから川崎沖並びに中ノ瀬の西側の海域におきまして一定の方向に向けて航行する船舶に対しまして、航行水域を限定するとか大角度の変針等を行わないなどの指導をいたすことによりまして、関係者の同意を得られる範囲内で極力船舶交通量の整理を行ってきているところでございます。今後の問題といたしまして、東京湾横断道路建設計画による湾内環境の変化も予測されますので、今後、航路体系を再検討し、望ましい航路体系の実現に向けて現実的な方策をとっていかなければいけないのではないかというふうに考えておるところでございます。 それから、第二点の海交センターの機能強化の点でございますけれども、今回の海難発生にかんがみまして、特にふくそうする浦賀水道航路周辺の監視エリアというものを現在の二海域から三海域に細分化いたしまして密度の濃い監視を行うことができるようにするために、交通センターにございますレーダーの運用卓というものを現在の二卓から一卓追加整備することといましまして、六十四年度の予算要求を行っているところでございます。
○塩田政府委員 ただいまの御質問の中のプレジャーボートの航行規制の問題あるいはプレジャーボートを運航いたします船員に対する安全教育について運輸省は何をやっているかという御質問でございますが、この点につきましては、既に船舶職員法によりましてプレジャーボートを運航する者については一定の資格制度がございますので、この制度の的確な運用を通じてまず安全を図ってまいりたいと思います。海洋レジャーの安全確保のためには、そのような法令の遵守は当然でございますが、まずそのレジャーを楽しむ方々が一人一人安全確保を自分の問題として自覚をしていただく、そしてルールを守ってマナーの徹底と責任ある行動をとっていただくことが必要であると思います。運輸省といたしましては、最初に申し上げました規制に加えまして、海上保安庁を含めた関係各部局が、海事関係法令につきまして安全講習会ですとか現場における訪船指導等あらゆる機会を通じてマナーやモラルの向上を、さらには海上交通関係法令の周知徹底を図っているところでございます。
○伊藤(英)委員 最後に、一つだけ運輸大臣にお伺いしたいと思うのです。 これからの海上交通の安全確保のために大臣の所見をお伺いしたいのですけれども、今回のこの「なだしお」の事故は一つの大きな警鐘を与えた、こういうふうに思うのですね。それは、今後の例えば交通安全法等の法律の問題あるいは船の構造、設備等に関する問題についての見直しの問題、さらにはこれから海洋レジャーという問題についてどういうふうにしていったらいいかというような大きな問題を提起をしている、こういうふうに思うのですが、大臣の所見をお伺いをして終わります。
○石原国務大臣 おっしゃるように、今度の事件は非常に異常な事件でもございますが、同時に、非常に示唆に富む問題がたくさん含まれております。今大変大きな質問なので完全に整理し切れませんが、例えばあの航路の中で遊漁船あるいは普通の漁船が大変操業しております。果たしてこういうものがレジャーとして許されていいのか、あるいは漁業権を盾にとって許されていいのか。第三海堡のあの非常識なものが、あそこが格好の漁場であるために放置されていいのか。一方では、私は選挙区が伊豆七島でございますけれども、そこで栽培漁業をしているその水域では一般の船の停泊も許さない、こういうケースが非常に私は相矛盾していると思いますし、こういう機会に、行革審でも話題になっているようでありますけれども漁業権なるもの、これはやはり基本的に見直される時期に来ているのじゃないかという気がいたします。 それから、衝突でたくさんの人命が失われたわけでありますけれども、にわかに国会で議論がかまびすしくなりましていろいろ御提案もありますが、先ほど来長官も説明しておりますように、特に海上衝突予防法というのは非常に単純明快な万国共通の法律でありまして、これを的確に守れば事故は起こり得ない。例えばこれは昼間の事故でありましたけれども、夜間は相手が軍艦であるか何かわからないわけでありまして、距離感もよくわからない、灯火を当てにして両方とも航海して相手をかわす。そのときには恐らく今回事故を起こした艦長や船長、私に言わせると非常に拙劣な技術しか持っていないと思いますが、その人たちでもなお初心に返ってそのときだけは慎重になったと私は思うのです。これは昼間で相手が見えるものですからたかをくくって、どちらがどちらとは申しませんけれどもああいう事故が結果として起こった。ですから、いろいろ施策も講じてまいりますけれども、しかし基本的にはその二つの法律があるわけでありまして、これを、素人でありませんで人を預かっている艦長、船長でありますから、徹底的に遵守してもらう、そういう性根の問題、心がけの問題でありまして、これは技術以前の教育の問題だと思いますけれども、これからいろいろ施策も講じますが、なお基本的にこういったルールを完全に守るという、そういう基本の基本の一番基本の問題を徹底する努力を運輸省としてもしていきたいと思っております。
○伊藤(英)委員 終わります。
○近江委員長 以上で伊藤英成君の質疑は終了いたしました。 次に、辻第一君。
○辻(第)委員 私は、最初に、陸上交通安全の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 皆さん方の御努力の中でも依然として死亡事故がふえておる。このままでは十三年ぶりに死者一万人を超えるのではないかという状況であります。そういう状況の中で、私はトラック、殊に営業用トラックの交通事故の問題についてお尋ねをしたいと思います。 九月十八日の日経に「高速道の死亡事故急増 前年比六割増、目立つトラック 道路公団、業界に異例の要望」こういうような見出しで記事が載っているわけであります。この中で、トラックの死亡事故が非常に多いということであります。 そこで、警察庁にお尋ねをいたします。今年度のトラック、営業車ですね、この死亡事故の最近の状況はどうなのか、これが第一点。もう一点は、その原因はどのような状態になっているのかということをお尋ねいたします。
○内田(文)政府委員 お答えいたします。 事業用のトラックの交通事故の状況、六十年を一〇〇としますと六十一年が一〇二、六十二年が一〇九、これは死亡事故の関係ですがそういう数字になっております。ことしは八月末の発生状況を見てみますと四百五十九件ということで、これは昨年よりも一〇・九%増、こういう数字になっております。 死亡事故の原因として、トラックの法令違反といいましょうか、そういったベースで見てみますと、安全運転義務違反というのが一番多いわけでございます。その次に過労運転というようなのがあるわけでございまして、全体として営業用トラックの事故がここ最近ふえているわけですが、これは一つには営業用トラックそのものの数が年々ふえてきているということもあろうかと思います。それと大型化が進んでいる、大型車が大変多くなってきている、こういうようなことも一つの大きな原因になっているであろう、こう思います。
○辻(第)委員 次に、労働省お越しいただいていますか。 この営業用のトラック事故、これには長時間労働あるいはそれに基づく過労、そういうのが非常に影響が大きいと私は思うのですが、営業用のトラックの労働時間、他産業との比較、それから二七通達というのが一九七九年に出されたわけでありますが、その違背率は今どのような状態なのか、お尋ねをいたします。
○石川説明員 お答えいたします。 トラック運送業におきます一人平均の年間総実労働時間でございますが、労働省で実施しております毎月勤労統計調査によりますと、昭和六十二年で労働者一人平均でございますが二千六百二十時間という数字になっているわけでございます。これは全産業平均を申し上げますと、同じく昭和六十二年の数字でございますが二千百十一時間ということでございますので、トラック運送業はこれと比べまして年間約五百時間ほど長くなっている、こんな状況でございます。 それから、お尋ねの改善基準のお話でございますが、労働省といたしましては、自動車運転者の労働時間が長時間になっている、また、過長な長時間労働ということになりますと過労運転、ひいては交通事故の原因にもなり得るというようなことで、かねてからその労働時間短縮等の指導をしてきたところでございますが、昭和五十四年に「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」という労働省労働基準局長通達を出しておりまして、これは拘束時間であるとか、勤務と勤務との間の休息期間であるとか、運転時間といったような基準を定めまして、これをもとにこれを遵守していただくよう関係の業界、企業を監督指導してきたところでございます。 なお、この改善基準につきましては、昨年の四月以降中央労働基準審議会におきまして、自動車運転者の労働時間等の規制のあり方ということにつきまして御審議いただいていたところでございますが、去る十月七日に審議会より御報告をいただきましたので、今後はこれに基づきまして適切な指導、適切な対策を講じていく所存でございます。
○辻(第)委員 今、二千六百二十時間、他産業の平均に比べて五百時間多いというようなことでございました。また、八六年五月から七月の一カ月の平均を、これは全日本トラック協会でやられたものがあるわけであります。それでは年間三千時間を超えたという数字が出ております。例えば路線の大型運転者ですと、月間で二百六十四時間、年間で三千百七十時間、また路線の普通運転者でも三千四十四時間、こういうような恐ろしいほどの長時間労働になっているわけであります。 次に、警察庁にお尋ねをいたします。過積みの状況はどうなっていますか。
○内田(文)政府委員 過積違反というのは重大事故につながるおそれが強いということから、超過重量の多いものなど悪質なものを重点的に取り締まりを進めているわけでございます。例えば昨年ですと約十万件の過積の違反の検挙をいたしておりますが、その中の約四六%が営業用トラックということでございます。
○辻(第)委員 過積みはふえているのか減っているのか、そういう状況はいかがですか。
○内田(文)政府委員 毎年少しずつの凹凸があるわけですが、大体毎年大きく数字は変わっていないというところでございます。
○辻(第)委員 どうも今の質問は適切ではなかったかもわかりませんけれども、基本的に過積みというのは非常に横行をしているというのが現状だと思うわけであります。 私も以前にも過積みの問題でお尋ねをしたことがあるのですが、昨年でしたがトラック労働者からはがきをいただきまして、ある大手の企業にお勤めになっていらっしゃるのですが、もう恐ろしいほどの過積みが野放しにやられているというような投書がありました。二トン車で三トン、四トン、五トンはざらにやられるというようなことが書いてあったわけでありますが、過積みというのは横行しているという状況だと思うわけでございます。 そこで、運輸省にお尋ねをいたします。 ちょっと古いのですが、昭和五十九年の運輸白書には、「トラック運送事業対策」というところの中に、「トラック輸送は我が国国内貨物輸送の大宗を占めているが、約三万五千に上るトラック運送事業者はそのほとんどが経営基盤の脆弱な中小企業であり、荷主に対し取引上弱い立場に置かれることが多い。このため、運賃ダンピング、過積載、過労運転、違法白トラ等のいわゆる輸送秩序の乱れが生じ、問題となっている。」こういうような記載があるわけであります。恐らくこの状況は基本的に変わっていないと私は思うわけでありますが、現在の過当競争、運賃のダンピング、このような問題についてどのような認識をされているのか、お尋ねをいたします。
○大塚政府委員 最近の物流ニーズの多様化、高度化の中で、トラック事業者のサービス競争も相当厳しくなっている状況でございますが、その中で認可運賃の収受につきましては、従来からトラック業界を指導してきた結果としていまだ徹底が図られていないのも事実でございます。昨今、労働時間の短縮が国家的課題となっている中で、トラック事業の長時間労働の是正を図ることも急務でありますが、このために、やはり認可運賃の収受を徹底することは不可欠であると考えております。 このような状況を踏まえまして、我々としては全日本トラック協会を通じて認可運賃の収受の徹底を図るよう指導しておりますし、また、トラック業者と荷主との懇談会を計画的に設置して、荷主にも認可運賃の収受を要請するように指導しているところでございます。
○辻(第)委員 今トラック業界において過当競争あるいは運賃のダンピング、そういうのはどういう状態ですか。そこのところを簡単に、改善をされているとかあるいはひどくなっているとか、あるいは数年変わらぬとか、そういうことでいいんですが……。
○大塚政府委員 過当競争という言葉はなかなか難しい定義でございますけれども、今申し上げましたように、荷主の物流ニーズの多様化に応じてサービス競争は厳しいものがあると認識しております。認可運賃の収受につきましては従来から私ども指導しているところでございまして、今特にダンピングが大きくなっているとか小さくなっているという実態はなかなか把握できませんが、いまだ認可運賃が適正に収受できていないという状態にあることは事実であると考えております。
○辻(第)委員 そういう過当競争という表現についてはいろいろ今おっしゃったわけでありますが、まあやはり過当競争なんですね。そして、その中で運賃のダンピングというのが行われている、非常に混乱した状況だろうと思うのですね。それはもう白トラの問題もありますし、多重の下請の問題もありますし、それから今流通コストの低減というのですか枠というのですか、そういうもののある状況の中、しかも、このトラック業界というのは大多数が中小あるいは零細業者であり、労働集約という状況の中で運賃ダンピングということがほとんどやられている。運賃ダンピングというのは、言いかえれば採算の合う状況での運賃でないと言っても言い過ぎでないと思うのですね。どこで勝負をするのか。結局、それは長時間労働をやるとかあるいは過積みをやるとか、反社会的なと言ってもいいような土俵の中で勝負がやられているということではないかと思います。六十年に私がお尋ねをしたときに当時の栗林貨物局長から、そういう反社会的なところで勝負がされるというようなことはもってのほかでございます、こういうような意味の御答弁があったのですね。今もそういうことは変わらない、そういう状況だと私は思うわけであります。そういう状況の中で、先ほど来お話がありました非常な長時間労働、そして過積みの問題、こういう問題が起こってきておると思います。 そういう状況の中で、業界に対して新行革審では規制緩和に向けて今作業が進められておる。十二月に答申が出される予定だというふうに聞いておりますし、運輸省も九月二十二日に物流事業規制の見直しの基本方向というのを明らかにされておるということであります。この中で、運輸省の九月二十二日の物流事業規制の見直しの基本方向というものの中心的な問題は、トラック事業規制の見直し、もう一つは、複合一貫輸送促進のための規制の見直し、これが一番大きな柱だと思うのです。 そのトラック事業規制の見直しについて見てまいりますと、一つは参入基準、これまで免許制だったものを許可制にするということ、それから事業区分、路線と区域との区分の統合、あるいは積み合いと貸し切りによる区分の廃止、こういうものもあるのですが、ここでもう一つ大きいのは運賃の規制ですね。これは認可制を事前届け出制に改める、こういうことが柱であります。この参入基準の問題、運賃規制の問題、ここのところだけでもまさにこれまでのいわゆるトラック運送事業の根本的な仕組みを変えていく、そのような内容ではないのかというふうに思うわけであります。 そういう点でトラック事業関連の多くの労働組合、労働者はその規制緩和について反対の立場をとっておられるわけでありますが、全日本運輸一般労働組合の委員長であります石澤賢二さんから石原慎太郎運輸大臣、運政審物流部会の宇野部会長にあてての申入書というのが出ておりました。それを見てまいりましても、その申入書の中に「すでに三万七千余の業者が過当競争でひしめいており、そこへ「事業免許を許可」にすれば、零細業者をいっきょに急増させる。」また、運賃認可を届け出にすることは、「現在ですら事業者の微弱な運賃交渉力は決定的に低下される。」こういうように書かれているわけであります。「その結果、中小・零細事業者の多死多産をくりかえさせ、労働者の賃金低下、過酷な労働を強い、労働基準法や道路交通法を守らない反社会的企業が続出、横行することになる。」また、「複合一貫輸送取扱い制度は、大荷主、大商社、大流通資本、一部の大運輸会社を中心とした物流支配を確立させ、中堅・中小・零細トラック企業への隷属を強いるものである。トラック運輸産業全体の構図を、オール下請化に塗りかえようとするものである。」こういうように書かれているわけであります。もう一つ、「トラック運輸の長時間労働、過積載、スピード競争などの規制を、事業者の「自主的活動にゆだねる」ことは、」こういう項がありますね。そういうことは「運輸省の陸運行政からの撤退であり、国民の安全にたいする責任の放棄である。」こういうことも書いてあるわけです。私もそのとおりだと思うのですね。 今の現状の中でこのような新規参入の免許制を許可制にするとか、あるいは運賃料金を認可制から届け出にするというようなことは大変な事態を招く。この委員会の関連でいえば、交通安全の上で重大な問題を招く、こういうふうに考えるわけであります。そういう立場で、私は今度の運輸省やあるいは新行革審の規制緩和、これは中止をすべきである、こういうふうに考えるわけであります。これが一点。 もう一点は、先ほど来申しました社会的な規制、これは強化すべきである。過積みの問題あるいは労働時間の長い問題、そこから起こってくる過労の問題、スピード違反の問題、こういうような問題ですね。こういう社会的な規制をもっともっと強化をする。そういうような対応を運輸省としてはぜひやっていただきたい、また総務庁としてもぜひやっていただきたい、こう思うわけであります。 この二点について運輸大臣並びに総務庁長官からの御見解を伺いたい、こう思います。
○石原国務大臣 日本だけではなしにアメリカもそうでありますけれど、デレギばやりでありまして、規制緩和は一つの時代の趨勢でもあり、同時に、下手をしますともろ刃の剣になって、好まじき変化だけではなしに好ましからざる変化も招きかねない要因を持っていると私は思います。ただ、運送事業というのは関係業者のためだけではなしに、むしろその以前、基本的に社会全体のための必要な方法でありますから、社会に今どういうニーズがあるかということを考えずに仕事としては成り立たないと思うわけであります。現実、経済のソフト化が進んでおりまして、トラック輸送に関するニーズも非常に小口化し、多頻度化し、そして一貫輸送も含めましてスピード化というものが非常に要求されているわけであります。また同時に、御指摘のように荷主の問題もありまして、こういう活発なサービス競争の中で結局弱い人が過積載あるいは過労な運転ということを強いられる状況も確かにあるわけでありまして、これは御指摘のように防がなくてはならないと思います。 ただ、今回の規制の見直しに関しましても、結果として大きな企業だけが残って小さなものが淘汰されるということがあっては絶対ならないと思いますので、いろいろな配慮をしなければならないと思います。例えば、私の選挙区は田んぼは一つもございませんけれども、二次産品の下請の下請の下請の業者の非常に多いところでありまして、これが最低労働賃金を割ってでも、つまり、請け負う仕事も料金をたたかれて泣きながら仕事をするという状況が間々ございますが、こういったものを監視する、調整する何か機関といいましょうか、そういうオペレーションを国なり組織なりがしなければいけないのじゃないかという気がいたします。 私も実はトラック協会の顧問をしておりますけれども、この間も幹部と話しましたが、農協もいろいろな問題があるようでありますけれども、よき意味合いを持った農協が日本の農家の育成のために果たしたような、あれに本質的に似通うようなそういう作業を協会の各支部が、つまり大きな企業に対抗するためにコンピューターも据えて、とにかく協力して督励する。同時に、好ましからざる荷主の要求があった場合にはそれをどこかに提訴をする、それを受ける機関あるいは調整する機関のようなものを考える。自由主義経済の社会でありますけれども、しかし国家の権威といいましょうか、ある権威が弱い者を守るためにそういうものに関与していくというようなことも考えなければいけないのじゃないかと私は思っております。
○高鳥国務大臣 新行革審におきましては、今年の一月から、ただいま御指摘のような運輸関係だけではなくて、エネルギーの問題でありますとか金融の問題でありますとか、非常に幅広い分野にわたりまして規制緩和、公的規制のあり万全般について鋭意御議論をいただいているところであります。恐らく十二月半ばくらいまでにはまとめて御答申がいただけるのではないかと期待をしておるところであります。 どのような議論が行われているかということにつきましては、ただいま鋭意各省庁並びに関係者からヒアリングをし、かつまた自由討議などの形で御議論をいただいておりまして、その内容を一々今申し上げるわけにはまいらない、そういう段階にございます。ただ、新行革審が前提といたしておりますのは、臨調、旧行革審の答申というのを踏まえて、それの延長線上で御議論をいただいておりますので、その方向からまいりますと、トラック事業については今後とも規制緩和という方向で御議論をいただいているのではないかというふうに思います。 御指摘のような非常に過重労働になっているとか、あるいはまたそれに比して賃金ベースが非常に低いとか、あるいは過積みの問題があるとか、いろいろな問題については私どもも十分承知をいたしております。規制緩和の問題とそれらの問題とにつきましてはおのずから区別をして、やはりいけないところはきちっと直していただくような努力をしていただくべきである、このように考えておりますし、私どもも、交通安全ということを総務庁としても担当いたしておりますので、そうした立場からも要請はそれぞれいたしていきたいというふうに考えておりますが、方向としては規制緩和の方向に進むということにつきましてはこれを否定するわけにはまいらないだろうというふうに思っております。
○辻(第)委員 社会的な規制の強化ということ、このことだけでは解決しないと思うのですね。これはそのもとにあるいわゆる過当競争であるとか運賃のダンピング、そういう状況があれば必ずそれは出てくるわけでありますから、社会的な規制強化だけでは解決しない問題だと思うのですね。そういう観点から私は今度の規制緩和、これはぜひ中止をしていただきたい、重ねて要望するわけであります。 次に、もう時間がなくなったわけでありますが、一、二点お尋ねをしたいと思います。 「なだしお」と第一富士丸の衝突事故の問題でありますが、今、海難審判庁で審理が行われているということであります。防衛庁、お越しいただいていると思うのですが、私はこの原因を徹底的に解明をする、再発を何としても防止する、こういう観点から資料はすべて提出をしていただきたい、こういうふうに要望するわけであります。 それで、その具体的な問題で申しますと、デッド・レコニング・トレーサー、DRTと略称する航跡自画器というのがございます。これが提出を求められているようでありますが、ぜひこれを提出していただきたい、このことを要望するわけであります。簡単にお答えをいただきたい。
○柳澤説明員 ただいま先生御指摘のDRTにつきましては、これは実は「なだしお」につきましては、持っておりますが事故当時運用しておりませんので、これのデータを私ども持っておりません。ほかに提出を求められたものについては全部御協力をしておるつもりでございます。
○辻(第)委員 もう時間がありませんので言いませんが、ぜひ出せるものは出してください。重ねて要望しておきます。 最後に、遺族の補償のことで先般運輸大臣にもお願いをしたことがありました。亡くなられた万三十名のうち、乗組員が二人おられるわけであります。乗客の方は富士商事の側からいわゆる保険ですが、それで一人四千万円の支払いがされたということでありますが、乗組員はもちろんその対象にならないわけであります。そういうことで、この乗組員の方は年金ですか、船員年金か何かで六十数万円の葬祭費が出ただけというのが現状であります。そういうことでありますので、今度の事故対策の責任を負っていらっしゃる運輸大臣として、この乗組員に対しても十分な補償がされるようにひとつ御努力をいただきたい。はしょった表現で申しわけないのですが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。簡単にお答えをいただければと思います。
○石原国務大臣 御要望でございますけれども、遺族補償の問題は、基本的には事故の両当事者において解決すべき問題であると思います。この点から申しますと、防衛庁では既に乗客の方々については優先して処理を進められておると聞いておりますけれども、富士丸の乗員の方々につきましては富士商事自身が——両方とも送検されたわけでありまして、今回の事件の当事者であり、かつまた責任関係が海難審判を待たなければ判然といたしません。ですから、この時点では富士商事において判断すべきことだと思いますし、乗客の方々と同様に扱うのは適当でないという防衛庁の見解であると聞いております。
○辻(第)委員 終わります。ありがとうございました。
○近江委員長 以上で辻第一君の質疑は終了いたしました。 ────◇─────
○近江委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 交通安全対策に関する件、海上交通の安全に関する問題調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近江委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時八分散会