予算委員会 第7号
- 発言数
- 426 件
- 登壇者
- 48 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1988/03/15
会議録
○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十三年度一般会計予算、昭和六十三年度特別会計予算、昭和六十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(原文兵衛君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十三年度総予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君及び東京都防災会議地震部会専門委員中野尊正君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(原文兵衛君) それでは、これより総括質疑を行います。馬場富君。
○馬場富君 最初に一、二、外交、防衛につきまして質問いたします。 今年は日中平和友好条約締結満十年を迎えることになりますが、この十年間の日中関係について総理はどのように評価されているか、まずお伺いいたします。あわせまして、訪中を計画されているかどうかも御説明願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) この十年間を振り返ってみますと、双方の友好促進ということは私は着々として進んでおるというふうに評価いたしております。これだけ交流範囲が広がれば広がるほど、個別的ないろいろな問題は出てくるというふうに私は思います。それは友好促進の過程で双方の責任によってそれぞれ解決していくならば、さらに促進されていくものであるというふうに私は確信いたしております。 そこで、私の訪中問題についてのお尋ねもあわせてございましたが、たまたま十周年、こういうことでございますので、双方の都合のいいときに私もぜひ訪問して、両国の関係のみならず、アジア、世界全体についての忌憚のない意見交換をしたい、このように思っておるところでございます。 およそいつかということになりますと、やはり双方の外交チャネルで、これは普通の場合一週間前に発表するとかいうようなことがいろいろございますので、今大体いつからいつまでということまでは必ずしも煮詰まっておりませんけれども、ぜひ今年度の可能な限り早い時期、前半とでも申しましょうか、そういうことを考えておるわけでございます。
○馬場富君 次に、日中平和友好条約は一応の効力は十年間で、その後はいわば自動継続ということになっているわけであります。総理は当然継続されると思いますが、訪中による日中首脳間で継続を確認するということがあってもいいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 基本的な考え方といたしまして、私もおっしゃる趣旨に賛成でございます。ただ、確認する、しないという問題につきましては、どのような形でそれらのものを会談での議題にのせるかということは、あるいはのせる必要もないことじゃないかという議論もあるかもしれませんので、いま少し御趣旨を吟味しながら、この会談の中身自体でどう言うかということは検討さしていただきたいと思っております。
○馬場富君 韓国の廬泰愚大統領は選挙の公約の中におきまして中韓関係の改善を掲げておりますが、双方とも外交関係を持つ我が国としてやはりできる限りの協力を行うべきであると思います。総理は中韓関係の改善の可能性、見通しをどのように考えてみえるのか、また、協力を要請されれば積極的な役割を果たす用意があるかどうか、この点についてお願いいたします。
○国務大臣(竹下登君) 私どもでできることは現実的な問題としていろいろ模索して積極的な役割を果たすべきであるという基本的考え方に立って、現実的な問題についてはいろいろ話し合いをしてみようと思っております。お許しをいただいてこの連休中に宇野外務大臣が定期外相会議ということで出張することもきょうの閣議で決定いたしましたので、それも、この両国外相間の話し合いでどういうふうな話し合いが出てくるか、にわかに予測するわけにもまいりませんけれども、基本的にはおっしゃる考え方に私どもも賛成でございます。 ただ、いつも申しておりますのは、現実問題として朝鮮半島そのものの今日の置かれた立場と、そうして中国といわゆる北朝鮮との国交というものが現存するという現実の中で、言ってみればムードだけ先行してもいけないなということを自戒しながら、おっしゃいますとおりの積極的な物の考え方を基礎に置いてこれから対応すべき問題だというふうに考えております。
○馬場富君 総理は就任に際して日ソ関係の改善を約束されましたが、現在の関係を見るとその後何ら進展がされておりません。米ソ首脳会談でのINF調印あるいはアフガンからのソ連軍の撤退などデタントムードが進む中で、日ソ関係は米ソ首脳会談が終わるのを待っているというのが現実の状態ではないかと私は思うわけですが、ここで日ソ改善にどう取り組むかという問題、あるいはシェワルナゼ外相の訪日の見通しはどうなっているかを明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 私からお答えした後外務大臣からお答えがあった方が適切かと思います。 重要な隣国でありますソ連との間に、戦後最大の懸案であります北方領土問題、やっぱり現実の問題としてこれが残っておるということは事実であります。したがって、この問題を解決して平和条約を締結することによって真の相互理解に基づく安定した関係を確立すること、これがやはり不動の基本方針であるということをまず申し上げるべきであると思います。 我が国としては、今後ともバランスのとれました日ソ関係の進展を目指す考え方でありまして、双方の努力によって関係改善を図っていくことを心から希望しておるということでございます。
○国務大臣(宇野宗佑君) 総理のお答えに多少補足させていただきますが、常に両国は関係改善に最善の努力をいたしております。その一つの流れといたしまして、先般のINFのグローバル・ゼロに関しましても、米国からもこの経緯を説明する特使が日本に送られてまいりましたが、ソ連からもこの経緯を説明する外務次官が日本を訪れた。そういうふうなことを見ていただきましても、我々もまたソ連も関係改善に努力しておるのが今日でございます。もちろんその間には今総理が申されました一番大切な北方領土問題がございますが、常にこれは我が方から主張を続けております。 なおかつ、シェワルナゼ外相の訪日はしばしば次官等を通じましても私に伝えられておりますが、まず米ソ間のSTARTという重要な問題を中心とした第二回目の会談がございますから、今これにもう全力を挙げておる、これが終われば今度はシェワルナゼ外相が東京を訪問するということは十二分に承知いたしております、そのことをお伝え申し上げておきます、こういうことがしばしば伝えられておるというのが現状でございます。
○馬場富君 ここで、日ソが合同で行った世論調査の結果によりますと、日ソ関係の改善は双方とも望んでおりますが、相手に対する感じについては、日本側がソ連によい感じを持っているのは一七・六%、ソ連側が日本によい感じを持っているのは八八・〇%。悪い感じは日本側が四七・四%、ソ連側が二・四%というものであります。これによると日本の対ソ感情はかなり悪いということになりますが、この世論調査の結果について総理はどう考えているのか。原因は何にあると思われますか、お尋ねいたします。
○国務大臣(竹下登君) 世論調査はそれぞれの国の国内にありますところの世論調査の機関でやるわけでございますので、あるいは設問の仕方というものが、受けとめ方によって多少のニュアンスの相違はあるではなかろうかな、こういう感じは持って私も拝見させていただいておった次第でございます。 そのものに対する、どうしてかというコメントをすることが適切であるかどうかにつきましても、私も考えてみたわけでございますが、やはりいわゆる領土問題が解決されてそして平和条約が締結されておるという状態にないということが、我が国のこの世論調査の中にも浮き彫りになっておるものではなかろうかというふうに考えております。
○馬場富君 日ソ関係についてはこうした国民感情もこれありまして、改善されることが私は必要だと思います。このことが非常に重要視されるべきだと思いますが、私はやはり政府としての対ソ政策にも原因があるのではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 馬場さんのこの評価そのものを否定する考えはございません。ただ、仮にもし、いわば不動の基本方針とでも申しましょうか、領土問題というものを横に置いていろいろな交渉というようなものを期待するということは、私はやっぱり基本的な問題としてそれはとり得ない問題であろうというふうに考えております。
○馬場富君 先ほど外務大臣からもお話がありました日ソ関係の首脳の交流でございますが、やはりいつまで待っても日ソ関係は前進しない。だから、ゴルバチョフ書記長の訪日を要請することも当然でございましょうけれども、アジアのデタントや日ソ関係の改善という立場から、竹下総理が訪ソすることもよし、やはり積極的な日ソ首脳の対話を行うべきだ、そういうふうに考えますが、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 日ソ首脳の対話を積極的に行えと、これについては私も同感でございます。
○馬場富君 次に、防衛問題に移ります。 日本有事における米軍来援の研究に関して有事立法との関係がこれまでの論議で行われているわけでありますが、政府の見解が必ずしも明確ではありません。改めて整理して政府の見解をお願いいたします。
○国務大臣(瓦力君) お答えいたします。 今回の有事来援の研究は、たびたび申し上げておるところでございますが、在日米軍の行動にかかわる有事法制を研究するものではございませんで、日本に対する侵略が生起した際の米軍の時宜を得た来援を得ることができるかどうか、このことを目的といたしまして研究してまいりたい。在日米軍の行動にかかわる有事法制の研究に直接つながるというものではない、かようなことを申し上げてまいっておるところでございます。 なお、我が国に対して武力攻撃がなされた場合、自衛隊と米軍の共同対処行動をとることになるわけでございますが、米軍の行動は自衛隊の行動と重なり合う面が多い。したがって、仮に有事における米軍の行動にかかわる法制上の研究を行うといたしましても、現在行われている有事における自衛隊の行動にかかわる法制上の研究、これらを待って慎重に検討すべきものである、かように申し上げてまいっておるところでございます。
○馬場富君 それでは、これまで防衛庁が行ってきた有事法制の研究はどうなっているのか説明していただきたいと思いますし、今後どうするのかもあわせてお伺いいたします。
○政府委員(依田智治君) お答えいたします。 これまで防衛庁が行ってきております有事法制研究といいますのは、たびたび当委員会等でもお答えいたしましたように、昭和五十二年八月、総理大臣の御了承を得て、時の防衛庁長官の指示によりまして始めているものでございます。自衛隊法七十六条の防衛出動が下令されるという事態において自衛隊が円滑かつ効果的に活動するにはどういう法制上の問題点があるかということで研究してきておるものでございまして、昭和五十六年の四月に第一分類という、自衛隊法とか自衛隊の給与関係の法律、防衛庁所管の法律があるわけでございますが、それに関する問題点等は既に中間的にまとめて報告した次第でございます。 続きまして、防衛庁主体になりまして、第二分類という他の省庁の所管に属する問題、これは道路法とか建築基準法とか病院の設置の場合の医療法とか、そういう法律でございますが、それを研究しまして、さらに各省と調整し、これは五十九年の十月に国会等にも報告しておるわけでございます。 最後に残りました自衛隊にかかる部分としまして、第三分類というのは実は所管省庁が不明確、どこかわからない、例えば有事において空の交通とか運輸等はどうなるかとか、国民の避難とかその他いろんな問題が絡んでくるわけでございますが、そういう問題につきましては、一昨年の七月に内閣の方にできました安全保障室の方で今研究していただいているわけでございますが、これまで防衛庁がやってきたものですから、防衛庁の事務当局から安全保障室の方に、今までどういう点が行われてきてどういう問題点があるかというのをおおむね説明を終わったところでございますので、安保室の方でこれを各省の方にどう振り分けていただくかということを研究していただくということになるかと思います。 なお、有事法制研究につきましては、このほかに全く政府全体で取り組むべき、それこそ各省庁の所管全体にわたる、国民生活全体にわたるような問題点がございますし、さらに今御質問となっております米軍の行動にかかる法制という問題がございますが、これはまた別途検討すべき課題であり、現在やっているのは自衛隊にかかる部分についての第三分類をやっておるという状況でございます。 以上、経過でございます。
○馬場富君 今回の米軍来援研究とこれとの関係はどうなっておるのか、お答え願います。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほどの防衛庁長官のお答えで尽きていると思いますが、もう少しかみ砕いて申し上げますと、米軍の行動にかかわる有事法制の問題といいますのは、もう少し詳しく言えば、私どもは、在日米軍が日本有事において自衛隊と共同対処行動をとる場合の国内法制上とのかかわりが米軍の行動にかかわる有事法制ということだと思います。 一方、有事来援研究というのは、有事において米軍、これは米本国にいる米軍であるとかあるいはハワイにおる米軍、これは在日米軍じゃございませんが、これが日本を支援するために来てくれる、それをいかにタイミングよく、あるいはこちらの希望する規模のものに来てもらうかということでございまして、日本に着くまではこれは御存じのように在日米軍じゃないわけでございます。日本に着いたところで初めて在日米軍になるわけでございますが、日本に着くまでの研究をやろうというのが有事来援研究になるわけでございます。 ところが、そういうように米本土なりハワイから来る場合に、船で来れば港に着岸する、あるいは飛行機で来れば飛行場に着くと思いますが、そういう着岸するあるいは着陸するための法制上の問題というのはございませんので、私どもは来援に関して特段の国内法制上の問題はないと思っておりますし、要は在日米軍になってくれるまでの研究が有事来援研究であろうということでございますから、在日米軍になった後の、在日米軍が自衛隊と共同で対処する際の法制上の問題とは直接かかわりのない問題であるというように今まで申し上げておるわけでございます。
○馬場富君 次に土地問題に移りますが、近年の東京を中心とした土地の狂乱的高騰は昨年の土地対策特別委員会でも論議いたしましたが、その後の状況はどうなっておるか、御説明願いたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 昨年、首都圏を中心にして地価が急上昇を続けておったわけでございますけれども、暮れごろから一転して鎮静化に向かっております。具体的に申し上げますと、先日もここで申し上げたわけでございますけれども、三カ月ごとの動向調査を見ておりますと、東京都は一%内外の下落になったわけでございますし、神奈川県は一%程度の上昇にとどまるようになったということでございます。しかしなお、地方におきましては上昇しているところもありますので、今までとってまいりました監視区域の設定でありますとか、あるいは金融の引き締めでありますとか、注視は怠ってはならない、これからも今までの努力をそのとおり続けていかなければならない、こう考えているところでございます。
○馬場富君 この土地の高騰の今後のことについては大変実は心配する向きもあるわけです。 その一つの問題点として、今大臣がおっしゃったように投機的な問題はなくなってきたけれども、やはり潜在しておる状況もある。それから、金余りや国際化や情報化というような状況からいって高まる要素は多分にある。こういうわけですが、この意味で、経企庁の方で国際化についての伸びについて考えてみえる資料をちょっと御説明願いたいと思います。
○政府委員(内海孚君) 便宜上大蔵省からお答え申し上げます。 我が国の経済の国際化というのを我が国への直接投資の推移から見ますと、例えば昭和五十六年度には海外の企業の我が国への直接投資は九百十九件、四億三千二百万ドル程度ございました。これが六十一年には三千七十九件、九億四千万ドルでございます。また、この数字に出ないものとして例えば、よく金融の国際化ということが言われますが、五十六年当時は外国の証券会社の在日支店というのはわずか六つでございましたが、現在は四十七ございます。
○馬場富君 情報化についての東京集中のデータを郵政省の方でひとつ御説明願いたいと思います。
○国務大臣(中山正暉君) お答え申し上げます。 情報の東京集中というのは大変著しゅうございまして、ワード数でとるわけで、いわゆるパーソナルメディアと申しますか、電話、データ通信、ファクシミリ、それから郵便、そういうものの言葉の数で基準を出すわけでございますが、五十年には二四%であったものが六十年には三一%、七ポイント東京に集中度が高まっているというようなことでございまして、何とかこれ東京集中を排除いたしますためにも、情報通信機能を充実させるためにISDNと申しますが、これは高度情報総合通信機能とでも申しますか、そういうものを充実さしてまいりたいと思っております。 南北二千八百キロ、三十七万平方キロというこの日本は、時差もどこへ行きましてもございませんし、この情報通信機能を充実させますためにテレトピア構想、全国に六十三カ所、またこれ十カ所ぐらい追加をいたしたいと思っておりますが、そういうものに税制の優遇措置とかそういうものをいたしまして、情報機能を充実させて全国の時間と距離のゼロ化というのを図ってまいりたいと思っております。 先生の御出身の愛知が伸びが非常に鈍化をしているというような感じでございますし、私個人的には大阪出身でございますが、大阪も落ち込んでいるという感じでございますので、私は、東京都が首都だという法律はないから、もう関西も神戸も大阪も京都も一つになってひとつ都政をしくぐらいの構想を持ったらどうかなんということを、この間京都で知事さんそのほかの方々とのテレビの対談がございましたのでその際に申し上げておきましたが、そんな意味でかつての名古屋、大阪、そして福岡というような機能が日本の情報の集中化を排除するためにも、私ども郵政省これから頑張ってまいりたいと思っております。
○馬場富君 国土庁長官は、かなり安定した、大丈夫だという話ですが、やはり再び高騰するかどうかといういろんな資料の中に、今説明がありましたように一つは金余りがあるんです。これは今非常に利息が安いというので余っておるという証拠です。それから国際化の問題は今お示しのように非常に伸びていますから、東京はそれが集中しています。それから情報化も今おっしゃったとおりです。 それで、そこに加えまして内需拡大という公共事業、民活等の仕事もありますが、土地のない公共事業というのはないんです。だから、やはり公共事業が引き金となって東京並びに地方の都市の地価を上げるという要素は多分にあると識者の中でも大変心配されておりますし、我々も東京都を調査して肌身でこれは来るなという感じがするんですが、国土庁長官どうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 今の地価問題は、努力をしなければやはり高騰に転ずるおそれが多分にあるわけでございます。そういう意味におきまして東京における需要を地方に分散させる政策を強力に推し進めているところでございまして、民間における需要を地方に分散させるだけではなしに、政府みずから行うという意味で政府機関の移転も推し進めていることは御承知いただいているとおりでございます。 同時に、土地の供給をふやしていくという政策もあわせて行っていかなければならないわけでございますので、都市計画の用途地域の見直しでありますとか、あるいは市街化調整区域の開発要件を緩和するとか、いろんな政策を建設省でとっていただいているばかりじゃなしに、宅地開発促進法を制定する、あるいは都市再開発法や建築基準法の改正を行うというようなことも用意をしていただいているわけでございます。同時にまた、大規模開発の点につきましては東京湾の臨海部の問題でありますとか、その他各地域の問題につきましても努力を進めておりますし、交通機関の整備につきましても強力に努力をしている最中でございます。
○馬場富君 東京圏では五十九年度の地価水準からして二、三倍のはね上がりですし、いわば高値安定というところでとまっておるわけです。だから、この高い地価では、下げなければやはり人々が住める東京にならないわけです、幾ら対策を立てても。 そういうことで、ひとつこの点につきまして順次質問をいたしていきますが、私は東京問題を調査しながらしみじみ肌で感ずるものは、地価の高騰によって大きい犠牲になっておるのは、住めない東京になって、そして本当に犠牲になっておるのはサラリーマンの人たちだと感じますし、もう一つは、国際化を迎えた中で、外国との関係で都市化というものを考えたときに、やはりこれは国際化にふさわしい東京の町ではないということを感じます。それから地震対策等についても、災害に大変弱い状況になってきておる。こういう立場から、これからこの三点を中心に質問をしていきたいと思うわけであります。 最初に、土地供給対策について先ほど大臣おっしゃいましたけれども、それについて順次進めていきます。国土庁長官はかなり土地供給の増加が進んでおるようにおっしゃいましたけれども、いろんな情報からして現在一向に進んでない、私はこういうふうに見ます。 そこで第一点は、一月二十日に越智建設大臣が中心となって首都県知事、政令都市市長が集まって開いた首都圏サミットで、建設大臣は土地供給策についてどのような提言をなさいましたか。
○国務大臣(越智伊平君) 一月、首都圏の一都四県の知事、政令市長をお招きいたしまして、いわゆる首都圏サミットを開催いたしました。これは、広域的な首都圏におきます土地の供給問題、また住宅の供給問題、この点についてお願いをいたしました。そして、その後いろいろ連絡をとっておりますが、例えば神奈川県にいたしますと、今まで五ヘクタールの調整区域の開発、これは認めていなかったわけでありますけれども、ことしの四月から認めていただくことになりました。また、公団住宅等につきましては、各県で八割はその県の方ということでございましたけれども、これも弾力的に見直そうということになっております。 その間に、東京都を除く各知事さん、市長さんからの要望といたしましては、居住だけでなしに、でき得れば事務所も一緒に来てもらいたいという要望はございました。これは、確かに道路であるとかあるいは水道、下水道、あるいはまた学校等々の問題もございます。いわゆる公共施設、こういうこともございましてそういう強い要望がございまして、その点はできるだけそういうことにも努力をしよう、こういうことでございますが、このサミットは非常に効果があった、また御協力がいただけると非常に喜んでいる次第であります。
○馬場富君 大臣は大変楽観的に見てみえますが、この問題については私は現実、現場では進んでいないというふうに見ております。 例えば、法律では市街化調整区域内で不動産業者が保有する五ヘクタール以上の土地を住宅に開発するというのは五十八年に法改正になっておるんです。これについてやはり問題なのは、地方都市がこれについては進まないということであなたが関与なさったわけですね。だから、こういう提案をなさった以上は、それじゃ建設省としては、こういう提案をした市街化調整区域内の宅地候補者というのは、一つはどのようなケースのものか、説明していただきたいと思います。
○政府委員(望月薫雄君) 建設省におきましては、宅地開発関係業界団体を通じまして、いわゆる調整地域におきます土地の保有状況というものを調査させていただいておりますが、今先生お話のありましたような五ヘクタール以上の土地というものを一都四県について私ども承知している限りでは、一〇〇%正確かどうかちょっと問題は残っておりますけれども、大体五十二地区、面積にしまして四千五百ヘクタール存在している、こういうふうに承知いたしています。このうち、十二地区の六百ヘクタール、これにつきましては開発許可に向けての準備がおいおい進められているという状況になっておりまして、そのほかの地区につきまして、私ども、今現在では即地的な検討はまだできておりませんけれども、図上などなどでいろいろと調査した結果では、大体三十一地区、二千六百ヘクタールくらいは宅地供給の適地として見れるんじゃないか、こんなふうな認識を持っております。
○馬場富君 大臣が提案をなさったことは事実ですし、今政府委員が説明されたことも、面積も大体あるでしょう、今この地図の東京都内の外にあるわけです、大半は。 そこで、これに対してやはり都道府県側、知事側の方については全部受けてこれ実施に動いたんですか、どうですか、説明していただきたい。
○国務大臣(越智伊平君) 先ほどお答えいたしましたように、東京都以外の各県あるいは市にいたしましてもなかなか大変な問題、先ほど申し上げましたように公共施設の投資とか、そういう問題が確かにあります。しかし、先ほど申し上げましたように、例えば神奈川県で二十ヘクタール以下の開発を認めていなかった、これを四月から認めてやろう、こういうことでありますし、公団住宅の八割を地元、二割が東京都内ということでありますけれども、これを弾力的に見直そうということでありますから確かに効果があった、即効薬のようにすぐに効くということでもなかろうと思いますけれども、徐々に進んでいく、こういうふうに受けとめております。
○馬場富君 建設大臣の一つの希望だけでありまして、その苦境を私も知っておりますけれども、都道府県や地元の自治体にはかなり強い意見があった。だから、今あなたが二十ヘクタールはどうだとおっしゃいましたけれども、問題は、大臣が提案なさったのは五ヘクタール以上じゃないですか。それをそのまますぽっと受け入れて、すぐそれじゃやりましょうといって今計画に移しておる都市は私はないと思うんです、できていないんです。だから、将来の希望なら理解しますけれども、今差し迫った東京の土地の高騰の問題については、これはとてもじゃないが結局またこれから強力に推進しなきゃ進まない、こういうふうに理解しますが、どうですか。
○国務大臣(越智伊平君) 今申し上げましたように、この調整区域内の五ヘクタール以上を開発する、これを今までは二十ヘクタール以下を認めていなかった、五ヘクタールも認めていただけなかったのでありますけれども、この四月一日から五ヘクタールを認めようということでありますから、各開発業者あるいはその他がそういうことで今から準備を進めてまいりたい、こういうことでおいおい進んでいく、こういうふうに理解をしております。 それから、確かに公団住宅にいたしましても八〇%地元、その他が二〇%ということになりますと、競争率がうんともう違いますので、この競争率を緩和する、平均化する、こういう点もございましてお願いした。これを弾力的に実際に行ってくださる、こういう返事をいただいておりますのでこれが進んでいく、希望的観測でなしに実質的に進んでいく、こういうふうに受けとめております。
○馬場富君 建設大臣の強い御信念ですから、その成り行きを見ます。 次に、その地域よりも、この東京都二十三区がございますけれども、今の話はこの地域の外側のものじゃないんです。中心から五十キロ以内の問題なんです。だからここで、次にJRの山手線の沿線でございますが、これが山手線です。この沿線で七環の内側にある中に第一種住専というのが茶色で示しております。こういう地域、結局二千四百ヘクタールほどの住宅地があると言われておりますが、建設省はこの点についてどのようにとらえてみえますか。
○政府委員(木内啓介君) 先生御指摘のように二千四百ヘクタールほどございます。この地域につきましては、従前から東京都とよく相談しまして、できるだけ第二種住専の方へ移行するというふうな指導をしてまいっております。
○馬場富君 この問題は、実は今の建設省が提案したよりもうんと中で、都心から十キロから二十キロの地内にあるわけです。この地域には総理も宮澤大蔵大臣も奥野長官もいらっしゃる地域じゃないかと思う。偉い方が住んでいるところなんです。また、越智建設大臣は宿舎ですからこれは提案をなさったと思いますが、大変ここには大きい問題が、ネックがあるようです。だから、ここは私は第一種住専地域があったのを第二種に新規に指導がえするということは、建設省は大分努力されたようだが、この経緯をひとつ教えてもらいたい。
○国務大臣(越智伊平君) 第一種住専地域から第二種への移行でございますが、これは東京都にお願いをいたしまして、東京都が今区と協議をいたしております。近々こちらに申請があると思いますので、徐々に進んでおりますから、これも大変時間がかかっておりますけれども、もう間もなくこちらに申請が来る、こういうふうに受けとめております。
○馬場富君 この点については一昨年江藤建設大臣が鈴木知事に直詰め談判をされたと、こういうふうな話も聞いておりますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(木内啓介君) 先生御指摘のように再々東京都と話し合っているものでございますけれども、現在までのところ部分的には約四十ヘクタールぐらいは第一種から第二種に、地名は一々申しませんけれども、八カ所ぐらいは部分的には移動しております。ただ、現在東京都が用途地域の全体の見直しをやっておりますので、大臣の答弁にありましたように、六十三年度中には全体ということで全面的な見直しという方向の中で、この御指摘の地域の第二種への見直しを進めているのが現状でございます。
○馬場富君 これは総務庁の行政監察局も勧告されておりますが、その点説明ください。
○政府委員(山本貞雄君) 先生御指摘の宅地行政監察でございますが、これは昨年の一月に調査を始めまして九月に関係省庁に勧告いたしますとともに、行革審の土地小委員会にも御報告いたしまして当面答申に反映したわけでございます。 内容といたしましては、この宅地開発事業を円滑化いたしますために、いわゆる宅地開発指導要綱、これの行き過ぎ是正、これが現在建設省の指導から見ましていまだ六七%の市町村において是正が行われていない。それからまた、開発許可審査手続の迅速化、こういったことがまず一つでございます。 それからもう一つは、宅地の高度利用を促進いたしますために用途地域の見直し。先ほど先生が御指摘なさいましたいわゆる環七の中に約二千四百ヘクタールの第一種住専等の地域がある、あるいはその外周部に約六千七百ヘクタールのいわゆる旧生産緑地がある、こういった点。それからまた、さらに総合設計制度の運用の見直し、これが第二の点でございます。 それから第三の点といたしまして、宅地供給を促進いたしますために市街化区域内農地の宅地化の促進、それから市街化調整区域内における先ほど先生の御指摘の五ヘクタール以上の開発適地についてこれを許可する、これについていまだ措置が未実施のものについて促進していただく。 以上のような点を御指摘いたしまして、現在関係省庁におきまして具体的な措置がとられつつあるということで、私どもこれを見守っておる、こういった次第でございます。
○馬場富君 今二つの問題を提起しましたが、これよりもなお問題なのは、しばしばマスコミやここでも議論されましたいわゆる市街化調整区域内の農地の存在であります。これは今山手線の外側に赤で点在しておるこの土地です。これはいわゆる結局農地でありまして、東京二十三区内には千八百ヘクタールほどあると言われておりまして、その八割が実は農地認定を受けた土地、宅地並み課税を免れておるという状況に実はあるわけです。このことは非常に私は問題である。これは一種住専とこの今の建設省が提案された五十キロ内の農地のちょうど中間地帯の二、三十キロにある最も住宅に適した土地でありますが、この点についていかに努力されておりますか。
○国務大臣(梶山静六君) 宅地化の誘導策としては確かに固定資産税の運用が一番適切かと思います。市街化区域農地に対する固定資産税の課税につきましては、長期営農継続の意思があり、これが適正に実行されて営農実績がある場合に限り宅地並み課税の対象外とするとの考え方を基本といたしております。長期営農継続農地制度の運用については、昨年十月に閣議決定された緊急土地対策要綱をも踏まえて地方団体を指導したところであり、この方針によりこの制度の厳正な運用が図られるものと考えておりますので、その効果が期待できると思っております。
○馬場富君 ここで建設大臣にお伺いしますが、宅地並み農地が一千八百ヘクタールここにあるわけです。これは大臣が首都圏サミットで提案された五十キロよりも中にあるわけです。それで二十キロから十キロの間にある最も重要なこれは宅地の候補地であります。これを建設省が努力されておらぬということはおかしいわけですが、どうなんですか、宅地化のために。
○国務大臣(越智伊平君) もちろん市街化区域内の農地につきましてはできるだけ宅地化を進めていただく。そして、税制の問題もございますけれども、でき得れば、先般も申し上げましたが、市街化区域内の農地につきまして長く営農をしようということになれば、逆線引きでもしていただいて進めていく方がいいのではないか、こういうふうな気持ちを持っております。市街化区域はもう宅地に提供してもらうという考え方でありますし、調整区域内を開発していこう、こういうことでありますから、そこらのことを十分強力に推し進めてまいりたい、こういうふうに思う次第であります。
○馬場富君 じゃ、ここで今の東京の近郊ですね、最も重要な土地、宅地供給のネックとなっておりますこの第一種住専から第二種の相違とあわせまして、簡単にこの八種類の規制を説明してもらいたいと思います。
○政府委員(片山正夫君) 用途地域としましては八種類ございまして、大別いたしますと、住居系のものとして第一種住居専用地域、第二種住居専用地域及び住居地域でございまして、次に商業等の業務の利便を増進するところとしまして近隣商業地域及び商業地域、次に工業の利便の増進を目的とするものとしまして準工業地域、工業地域及び工業専用地域、こういうことでございます。 これの具体の建築規制の中身でありますけれども、主要なところだけ申し上げますと、まず第一種住居専用地域につきましては、目的が低層住宅に係る良好な住居の環境、こういうことでございますので、住宅それから小規模な併用住宅——併用部分は五十平方メートル以下でありますけれども、それから医療施設、そういうもの以外は全面禁止に用途制限がなっておりまして、加えて容積率の制限としましては最高限度が二〇〇%、こういうふうになっております。 それから第二種の住居専用地域につきましては、これは中高層住宅の住居地域、こういうことでございますので、一般的な用途地域の制限としましては工場、ホテル、旅館などが禁止されているほか、ここには立体用途制限を採用しておりまして、建物の三階以上の部分は第一種住居専用地域と同じ厳しい制限になっている、こういうことでございます。 それから商業地域につきましては、商業の利便ということでございますので、百五十平方メートルを超える工場は禁止されている。したがいまして、容積率の最高限度は一般的には一〇〇〇%、こういうふうになっております。 それから工業地域につきましては、用途制限としましてはホテル、旅館、料理店、劇場、学校、病院などがこれは禁止されている、こういうところでございます。
○馬場富君 今説明していただきましたが、大臣、お手元に私はこの資料を差し上げました。今説明されたような実は八種類のそういう色の分けられたような用途指定があります。だが、日本の場合は土地の法律の中で抜け穴になっておる点が一つあるわけです。それは、今八種類説明された規制というのは都市計画法で分けられておりますけれども、実際は建築基準法によって分けられておるわけです。建物の規制だけなんです。ここに抜け穴があるんです。それで土地としての規制が全然ないわけです。 だから、調整区域と市街化区域、これ以外のいわゆる宅地、農地の差はあっても、あとその建物については高さや面積だけの規制でどういうふうにもできるという、実はここに一つの法律の盲点があるわけです。これがやはり今回の土地高騰の、いわゆるオフィスの必要性が住宅地に侵入した一つの大きい理由なんです。建築基準法の規制だけなんです。土地に対する規制がないからもうどこに建ててもいい、高さと容積率の制限だけだということになってくるわけです。あえて言えば、この黒の地帯の工業専用地域と農地だけがこれは厳しい土地規制を持っておりますけれども、あとの点はないということになるわけです。 だから、やはりこの東京問題を論じ、またこれから今後の土地問題を論ずるときに、私はやはり土地の問題と住宅という問題をきちっとしなければ解決はしない、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(越智伊平君) お説のように八つの区分ができております。確かに建築基準法でも高さの制限とか容積あるいは建ぺい率、いろいろやっておりますが、これを十分その趣旨に沿ったような形で、あるいはまた新しく開発される再開発地等につきましても十分考慮して運用をしていきたい。要は住宅が十分供給できるように進めてまいりたいと思います。
○馬場富君 次に、土地問題の中で大変大きい心配の種は、東京の問題の中で地震であると思うわけであります。 ちょうどきょうは参考人として東京都防災会議の中野先生に来ていただいておりますので、中野先生から地震に対する御意見を伺いたいと思います。先生、よろしくお願いいたします。 東京都におきましては条例に基づいて五年ごとに地震に対する危険度について科学的な測定をなさっておると聞いておりますが、全世界で発生する地震の約一〇%が日本列島付近である、年に十数回も起こると言われておりますが、関東大震災後六十五年を経過いたしまして東京では大変この問題が心配になっておりますが、調査中の「地域危険度」の二で、「地震は繰り返す」と言われておりますが、この点について御説明いただきたいと思います。
○参考人(中野尊正君) 御説明いたします。 地震は同じ場所である年数たった後にもう一度発生する、そういうことを繰り返しながら今日に至っているわけです。ですから、東京という場所をとりますと、東京に被害を与えた地震というのはわかっているだけで七十回以上あります。もっとも、回数は多いんですが、その中で特に大きな被害を与える地震というものは割合限られているわけです。私どもが現在非常に大きな関心を持って調査をし、いろんな整理をしてまいりましたのは海洋型の地震、いわゆるプレートの境目で発生する地震、それからもう一つはプレートの中で発生する内陸型の都市直下型の地震をいうふうになろうかと思います。 代表的なものを挙げますと、一七〇三年の元禄地震、これは海洋型の代表的なもので、房総半島の南東沖といいますか、南部沖が震源地域でございました。次いで安政二年の一八五五年、安政江戸地震、これは内陸ですが、大変強い被害を下町中心に与えました。三つ目の代表が広く知られております関東大地震、一九二三年の地震でございます。 地震は繰り返しますが、この際関心を持っていただきたいことは、地震災害は繰り返す、同時に、同じ規模の地震であれば災害のたびごとに被害は巨大化の方向に向かうということでございます。
○馬場富君 先生への第二問は、地震に対して東京の地盤は軟弱な地盤が多い、こういうふうに四で説明されておりますが、そのお話を聞かせていただきたいと思います。
○参考人(中野尊正君) 御説明いたします。 東京の地盤というのは、大ざっぱに言いますと、西の方の山岳地帯とか、その山ろくについております丘陵地帯、それから八王子、立川、この国会議事堂のあるところまでそうですが、関東ローム層に覆われた高台の地域の地盤と、それからさらに下町の地盤というふうに分かれます。二十三区に限定して考えますと、国会議事堂のある場所のようなかたい、東京の中では一番いい地盤と言われているところの面積は、二十三区内で限定して考えますと約五〇%あります。今御指摘の、悪い地盤というのはこれは下町の方の約五〇%の広さを占める地域においてでございます。 この国会議事堂のあるところというのは東京の中では一番いいんです。建物が壊れない限り、皆さんがこの国会議事堂の中でけがをしたり圧死したりということはあり得ません、建物が壊れなければ。ただし東京の下町、国会のところから坂をおりまして大蔵省、その先の農水省、それから国土庁のあるあたり、それから日比谷公会堂のあるところ、公会堂もそうです、プレスセンタービルもそうですが、大変地盤の悪いところにあります。特に悪いのは、荒川を挟んで両脇約二十キロぐらいの範囲、ずっと上流に向かって存在します。これはヘドロのようなやわらかい地盤が深さ六十メートル以上もあります。中間に二十メートルくらいの比較的やわらかい層の薄い地域がございます。 ただし、最近問題になっておりますのは、そういう地盤の中で多摩丘陵の開発に伴って、これは公的な開発、私的な開発、両方ありますが、これによって丘陵を崩したわけです。谷を埋めて広い土地にしました。ですが、多摩丘陵の地質というのは、崩して谷を埋めてまいりますと実は非常に弱くなるんです。その物理的な性状についてはなお検討の余地がございますが、一般的には弱くなっていく傾向にあるわけです。そういうところでは、これから過去には経験しなかったような悪い地盤ということを体感するような事例が出てくるはずなんです。
○馬場富君 地震被害の想定を実は東京都はなさっております。想定地震としては関東大震災の例を引かれておりますが、五十三年の時点の被害想定がなされておりますけれども、この状況で被害の状況の概要を簡単に御説明願いたいと思います。
○参考人(中野尊正君) 区部につきましては昭和五十年に公表いたしました。それから多摩につきましては最近公表しております。二回に分けております。現在区部と多摩地域とを統一して調査をやっております。一部結果は公表されております。 多摩地区に入る前にまず区部の被害の特徴を申し上げますと、木造家屋の倒壊というものを四%台で考えました。四%台というのは建築の方々からいうと非常に高過ぎるということでございますが、地盤の性状、つまり下町のやわらかい地盤とか、この間の千葉県東方沖の地震でございましたような液状化のような問題を考慮して考えますと、関東大震災クラスの地震、つまりマグニチュード七・九ぐらいの地震、しかもプレートの境界で発生する地震に対しては、四%あるいはもう少し高目の被害を想定せざるを得ないかもしれません。 もう一つの特徴的な被害想定は、初めての試みとして人的な被害を想定いたしました。死者がこれは〇・四%という数字を出したわけです。これは三万五千人ぐらいのものでございますけれども、この数字に対して小さ過ぎるということが言われました。負傷者はもう少し多いんです。六万五千人ぐらいでございます。 ただ、ここで注意しておきたいことは、先ほど言いましたように、災害は同じ規模の地震が同じ場所で発生しても被害の点では巨大化の方向に向かうという事実です。にもかかわらず、世界的に知られている傾向は、死者は減ってけが人がべらぼうにふえるという傾向がどこでも出ております。これは科学技術が進歩し、都市が発展し地域が開発されていけば当然伴う問題でございます。 そういう意味で、比較のために多摩地域の例を申し上げますと、区部のときには想定しておりませんでした鉄筋コンクリートの建物それから鉄骨の建物、こういうものの被害想定を初めて公表いたしました。その結果、事は大変深刻でございますけれども、中破以上つまり震災の後に住めないような建物が鉄筋コンクリート、鉄骨等の建物で九%ないし一〇%なんです。同じ時期に計算した木造建物は〇・四%、何と二十五倍なんです。一生懸命鉄筋コンクリートの建物をつくって、耐震耐火と言ってきたわけですが、この計算では何と鉄筋コンクリートの方がよく壊れる。木造の建物の方が壊れにくいという結果が出ております。 さらに、落下物を持っている建物があるわけです、国会議事堂にはありませんが。これはちょっと問題になるかもしれませんが、歌舞伎町その他へ行きますと看板がたくさんあります。ああいうものが落下する危険性というのは十分あるわけですが、そういう危険性のある建物、落下物危険のある建物というのは何と二〇%もあるんです。そういう結果が出てまいりました。 さらに、人的被害は多摩地域ではずっと少ないんですね。これは地域の空間の開発の程度が二十三区と比べてずっとまだ楽なんです。ですから、開発を進めれば、区部並みに東の方から、つまり吉祥寺、三鷹の方からだんだんとそういう状況が出てくるはずなんです。 国際的にそういうふうに我々研究者仲間で被害の特徴を整理しておりますので、まず間違いのない結果だと思います。そういう意味では、災害は成長する、人類が成長し発展する限り災害も成長する、発展する、被害は大きくなるというふうに御理解いただきたい。
○馬場富君 先ほどのデータは五十三年ですから、やはり集中化しておる現在では、なお被害が出ると考えます。 そこで先生、もう一つ、東京の土地問題で心配されておるのは、東京周辺には地震と最も関係のある活断層というのがあります。いわゆる荒川を中心とした荒川活断層、それから立川付近には立川活断層というのがありますが、これと地震との関係はいかがでしょうか。
○参考人(中野尊正君) 現在、先ほど改定をしておるということを申しまして、その中の一例をちょっと紹介しますと、火災については一番その心配が大きいわけですが、火災については区部では五百八十件の出火予測になっております。 〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕 そのうち五五%は非木造建物からの出火なんです。そういう状況ですから、そういう非木造建物の多い都心三区あるいは下町というものを念頭に置いて考えますと、一つは今御指摘の内陸型の荒川活断層ですね、荒川断層。これはプレート内の地震と考えてよろしいかと思いますが、これはマグニチュードはせいぜい七前後なんです。これが巨大被害をもたらします。恐らくこの次やるとすればこういうタイプで、壊滅的に被害を受けるという可能性を心配しなきゃいけない。 もう一つは御指摘の立川断層でございますが、これは元慶二年九月の二十九日に、ちょうど今から千百十年前です、大きな地震を発生しております。この地震は京都や奈良でも体に感ずるほど大きかった地震です。間違いなく震度六という地震なんでございますけれども、最近立川断層が歴史的に活動したという調査結果が出まして、その結果、約千二百年前後のところであるというふうになったんですが、それに該当する地震というのは歴史的な資料に基づきますと元慶二年の地震ということでございます。仮にこういうものが、千百十年たっておりますから、近いうちにあるといたしますと、立川周辺を中心にしてやはり大変な問題を抱え込んでいるということになろうかと思います。これは北西から南東に延びております。南の端は稲城市の方に延びておりますし、その延長は川崎市をさらに越えて横浜市の緑区の方向に延びてまいります。 御注意いただきたいのは、東京でこの次東海地震と比べてどちらが先に起こるかというようなことになりますと、直下型にもっと関心を持っていただきたい。私どもも概観的な調査はいたしましたけれども、さらに予知から含めて詳しい対策のための調査というものを実施していただきたいというふうに考えております。
○馬場富君 最後に、先生には日本のやはり都市防災の権威者として、最近の東京の異常集中についての地震の問題、防災の問題についてお答えをお願いしたいと思います。
○参考人(中野尊正君) 地方御出身の方は地方へ逃げるという手もあるかもしれませんが、東京にねじろを置いている私どもといたしましては逃げるわけにはいかないんです。したがって、より安全なそういう町をつくっていきたいというふうに、まあ悲願でございます。私個人にとっても悲願でございます。 〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕 では、なぜこんなに科学技術が進み、建築物が改善されてきているのになおかつマスコミ初め皆さんが大きな被害を心配するのかということに問題は尽きると思うんです。 一つは、先ほど言いましたように、災害は成長するんですね。しかも、同じタイプの同じ規模の地震が起こっても結果として巨大な被害が出る傾向にある。要するに、別な言い方をしますと、死者は減るかもしれないけれども、けが人がべらぼうにたくさん出るような空間を東京に限らずつくってきたという感じがしてなりません。 こういうことを解決するためには、やはりきちんとした土地の利用の仕方というものをやっていただきたいんです。これは私たちはランド・ユーズ・マネジメントという言葉で区別しておりますが、土地利用管理計画というふうに呼んで、国際的にはそういう言葉でやっておりますけれども、そういう点に十分配慮しながら進めていただきたいんです。 それで、巨大な被害を想定する、皆さんが体感的にお感じになるのはやっぱり過密だということなんです。過密とはだれがつくったんだ。人間がつくったんですね。ですから、人間をみんなのけてしまって何にもいないところにしてしまえば何も起こらない。しかしながら、過密であろうと、そこに人々が住み、人々が活動し、いろいろと生業を営んでいる以上は、人々がいるということを前提にして問題を考えていただき、解決を考えていただきたいわけです。 具体的に過密であることの象徴は道路なんですね。道路幅が狭い。にもかかわらず、東京では十六メートルの都市計画道路を拡幅できないでいるわけですね。十六メートルでは火災で全部突破されます。延焼拡大の火災になりますと、全部突破されていきます。一面焼け野原になってしまいます。二十五メートルせめてほしいというのが私たちがそういう計算上から出してきた答えです。今二十五メートルの道路を確保するなんということは、これはとてもじゃないですができません。 さらに、公園緑地、空間が少ないんです。農地はどんどんつぶされて、今宅地に変わりました。公園緑地にすべきところが工場になってしまったというのが実情です。こういう過密な、空間的に公園緑地、道路が狭いというふうな、そういう状況がやはり皆さんが巨大被害を心配される大きな理由であろうかというふうに考えているわけです。ぜひこういう点に着目されて、問題解決のためにいろいろと知恵を集めていただきたいというふうに希望しております。
○馬場富君 中野先生、どうもありがとうございました。 今の御説明のように、大変地震の問題が心配されるわけでありますが、東京都の調査をしたときに、地震を正しく恐れるためにということが言われております。大変だから言わずにおくということよりも、これはお互いに真剣に考えて被害対策を考えていかなきゃいかぬ、こういうふうに思いますし、そういう点では非常に私は東京都のこの調査に敬意を表するわけでございます。 そこで政府側にお尋ねいたしますが、この一極集中型の国土の東京が大地震のような大きな災害に見舞われたときには被害がやはり余計大きくなってくるという点と、今もお話しのように日本の中枢機能が麻痺してしまう、こういうような実は大きな問題を抱えておるのが東京の集中の問題なんです。この点について総理の御見解をお尋ねいたします。
○国務大臣(竹下登君) 東京圏での地震防災対策として中央防災会議で決定された方針というようなものを私も読ましていただいておりましたが、今のお話を聞きながら、もっと基本的な問題というものがあるという問題意識を私も持たしていただきました。
○馬場富君 こういう地震問題について、実は担当の国土庁ではどのような対策を考えてみえます か。
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃいましたように、安全ということを絶えず考えていかなきゃならない大事な問題だと思います。そういうことから考えますと、今の東京都、過密の結果無秩序な都市になっているんじゃないかなという心配をいたしております。そういう意味において東京の都市としての機能を回復していく、そのためにいろんな手を打っていかなければならない、そういう意味合いにおいて東京中心部に集中しておりましたのを二十三区の周辺に七つの副都心をつくるということになってきたわけでございますし、さらにその外郭には業務核都市をつくっていく。それぞれの地域において職住近接の地域社会をつくり上げていきたいという努力でございます。 同時に、今度多極分散型の国土形成促進法というのをつくらせていただこうと思っているんですけれども、その際におきましても、今の大都市の姿から見ますと、今おっしゃいましたように、道路を広げる、緑地を確保していく、そして災害に際して混乱を防げるようにしなければならないというような規定も設けさせていただいているところでございます。 先ほど来お話がございますように、海洋型の地震の場合にはプレートの移動からある程度予知できるわけでございますけれども、直下型の地震になりますと予知が非常に困難でございます。それだけに事前の対応というものを積極的に努力していかなきゃならない、こう思っているところでございます。
○馬場富君 地震対策については、災害対策基本法をもとにした中央防災会議があって、会長は総理であります。そういうようなことによって地方計画がつくられるわけですから、やはり中心である中央防災会議や担当の政府がこの点についてはもっと具体的に想定や調査について乗り出すべきじゃないか、こう思いますがどうでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 御指摘いただきましたように、中央防災会議におきまして地震に対する対策を一応決定しているわけでございます。都市の防災体制化を推進していく。地震に強い町にしていかなきゃなりませんし、もっと安全度の強い都市に体制を改善していかなきゃならない、これが根本だと思うわけでございます。 二番目には、防災体制の強化、防災意識の高揚。これはやはりふだんからどうやって情報を伝達していくか、どうやって避難の訓練をするか、いろんな問題があろうと思うのでございますけれども、根本的に防災意識をしっかり持ってもらわなきゃならない。応急の場合にどうするかということについては、毎年訓練の期日も統一して設けておるわけでございます。 三番目には、やはり地震予知を推進していくということだと思うのでございまして、この三つを基本にして細かなことを決めておるわけでございます。これを各府県それぞれ守って努力をしていただいているわけでございます。 同時に、どのような被害が起こるかということも各県それぞれに調べてくれておるわけでございますけれども、国土庁におきましてもいずれ南関東地震の場合にはどういう姿になるかということを明らかにして、その上に立って地震に対する対応にみんなが努力する姿勢を強めていかなければならない、こういうふうにも考えているところでございます。
○馬場富君 これから考えるというようなことですけれども、東海地震は起これば大変です。そのために大規模地震対策特別措置法というのが設けられました。だが、この密集した東京に今地震が起こり得るとしたら、東海沖と同じような被害、それ以上の被害をもたらすことが東京都では想定されておりますし、当然このことについて中央においてももう考えをいたさなきゃいかぬときです。 特別措置法があるために、東海沖地震についてははっきりとした被害想定というのがあるわけです。ところが南関東地震、東京を中心とするこの地震については、同じプレート系の地震でありながらこの被害想定が国はしっかりとしていない。この点は大変遺憾であると私は思うんです。 そういう点で、中央防災会議の会長の総理からと、また国土庁長官から、こういう問題について、そろそろ東京都のこともやはり大規模地震と同じような考え方でもって取り組む方向を出してもいいんじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 東海地震の問題につきましては関係地域の方々も大変心配しておられまして、その対応に対しまして苦慮されておるわけでございます。南関東に地震が起こらないとも限らない、やはりこれも大切なことでございまして、だんだんと東京都におきましてもその他の地域におきましても、どう対応すべきかということについて深い関心を持ってきてくれるようになったわけでございます。 そういうこともございますので、やはり被害予測というようなものも明らかにした上で対応の訓練もするようにしていけるのじゃないだろうかなと、こう思っておるわけでございますので、今おっしゃいましたような方向に向かえる機が熟した、と言うとちょっと言葉が悪いかもしれませんけれども、南関東についても安全を強調していける時期を迎えてきているのじゃないかな、この機会に一歩前進させていきたいということでいろいろと準備をしているところでございます。
○国務大臣(竹下登君) 今国土庁長官がお答え申し上げたとおりでございますが、私自身考えてみても、関東大震災の翌年に生まれておりますので、そういうことをよく話を聞きながらも、みずからをもう少し戒めなきゃいかぬなという感を深くいたしました。
○馬場富君 次に、過密問題の関係で、特に東京のこれからの土地問題の中で大事なことの一つとして、都市基盤の整備の不足が非常に目立ってきておる。その中で道路等が非常に問題になってきておるわけです。 道路は災害に対しての大事な空間でもあります。そういう点で、最近首都高の渋滞状態が非常に目立っておりますが、この閉鎖状況をひとつ説明してもらいたいと思います。
○政府委員(三谷浩君) 首都高速道路の入路は現在百二十三カ所ございます。その閉鎖状況でございますが、昭和六十二年四月から十一月までの八カ月間でございますが、一万九千二百五十一回閉鎖しております。それから延べ時間は一万四千五百八十五時間、平日一日当たり九十六回、一回当たり平均時間は四十五分でございます。
○馬場富君 今のような状況で、大変都民は困っております。だから高速道路よりも低速道路じゃないかというような批判すら出ておりますし、またそこへもってきて、三十年償還となっていたのでそのうちに通行料も安くなるのじゃないかと言っておったところが、この間うちもまた値上がりをしたという、そういう不満の声も強いが、この点はどうですか。
○国務大臣(越智伊平君) 首都高速の問題はただいま道路局長からお答えをいたしました。これの解決策としては、やはり中央環状線あるいは外環状線、これを早く整備して分散をさすということが第一番だ、こういうふうに思います。今一日に乗っております車が約九十五万台、こういうふうに言われております。また、その三分の一の三十万台は通過の車でありますから、環状線をつくれば非常に分散をする、こういうふうに思う次第であります。これを鋭意努力していきたいと思います。 それから料金の問題でありますけれども、料金の方は、やはり一度に開通をさせたわけではございませんので、次々に開通をいたしますと、それを含めた投資額で換算をするような制度になっておるのであります。まことに料金を上げまして皆さんに御不満をいただいておりますしいたしますけれども、これは次々に供用開始しておりますのでやむを得ないと御了解をちょうだいいたしたい、かように思う次第であります。
○委員長(原文兵衛君) 馬場君、しばらくお待ちください。 ─────────────
○委員長(原文兵衛君) この際、御紹介いたします。 今般、本院議長のお招きにより来日されましたブルガリア人民共和国人民議会のスタンコ・トドロフ議長の御一行が、本委員会傍聴のため、ただいまお見えになりました。 御起立の上、拍手をもって歓迎の意を表したいと存じます。 〔総員起立、拍手〕 ─────────────
○委員長(原文兵衛君) 馬場君、質疑をお続けください。
○馬場富君 首都高速がこういうふうに料金も上げられた、それじゃ大変厳しい財政にあるのじゃないか、こう言われておりますが、その首都高速が六十一年、六十二年度におきまして埼玉県越谷に職員宿舎を取得した。この宿舎の取得は建築交換という極めて不可解な手法で行われておりますが、この経緯について説明いただきたい。
○政府委員(木内啓介君) 先生御指摘の点につきましては、首都公団から概略をお聞きしております。 要点は、首都高速道路公団の越谷宿舎が駅から二十五分ぐらい、遠くて狭隘でかつ老朽化していたために、当該宿舎を含む公団所有の他の土地と建物等を含めまして、せんげん台の駅から徒歩五分のところに所在する新しい土地と建物を取得したものでございます。 この取得に当たりましては、先生申されますように、公団が持っている土地と、あと借地権がついた土地とかいうふうなことで、幾つか複雑な交換となっております。
○馬場富君 この建設は、A業者が以前からこの土地、建物を所有していたのではなくて、公団がA社に交換のために用地を購入さして、しかもその上で続いて同社に宿舎を建設させている。これは競争入札を原則とする官庁契約の規定を破る脱法行為ではないか。また、歳入歳出を予算に明記する財政民主主義の原則からいっても大変逸脱しております。 また、この会社は公団の指名業者であり、Cランクでもある会社でありますが、どうしてこのような会社に工事の発注をしたのか、これも一つは疑問が持たれております。 あわせてまた、この宿舎は、A社が六十一年三月十三日に二億八千七百五十万円で東武電鉄から買い、公団にはわずか十二日後に三億一千万円で売り払われております。二千何百万かの利益が実は出ておるわけでありますが、こういう土地転がしのような関係が一つは想像されるわけであります。会計検査院においてはこの点についていかにお考えですか。
○説明員(大沼嘉章君) 先生御指摘の点につきましては、十分これを念頭に置きまして今後調査を実施したい、かように考えております。
○馬場富君 公団は以前からこの越谷の宮本に、今回取得した同千間台の宿舎よりも広い宿舎を持っていたわけです。にもかかわらず、交換によって土地が狭くなっただけでなく都心よりも離れて、加えて公団の持っていた他の優良物件八件を手放して交換したという点に不当な納得のできないものがありますし、また、等価土地交換といっても、個別に見ますと価格においては甚だ疑問なケースが多い。例えば世田谷の代沢等につきましては、土地九十二平米が三千二百八十万という到底その当時の価格からしても考えられない価格で見積もられておるわけでありますが、こういう面もあわせまして、私は大きい疑問があり調査がなされねばならぬと思うんですが、建設省と会計検査院の御見解をお尋ねいたします。
○政府委員(木内啓介君) お答え申し上げます。 先生から御質問ということがありましたので建設省としても調べてみたわけでございますけれども、公団の宿舎として見た場合、従前のところより確かに駅で言えば三つばかり、準急の駅で一つばかり東京より遠くなりますけれども、駅からの距離が従前の公団が持っていたところは二十五分、新しいところは五分ということで、宿舎としての条件は大変よくなるという問題がございます。 それから、交換は確かに幾つかの、先生の御指摘のように複雑でございますけれども、交換に当たりましてはそれぞれ二名の鑑定士が鑑定いたしまして、その鑑定結果に基づきまして交換をしておりますので、価格等においては余り問題はないのじゃないかと思っておるわけでございます。その他もろもろ詳しい点につきましては、御指摘がございますので、さらに調査をさしていただきたいと思います。
○説明員(大沼嘉章君) 先生お示しのいろいろな問題点、ただいま拝聴したわけでございますけれども、これらの点につきましては入念に検査を実施したい、このように考えております。
○馬場富君 これは建設省もあいまいな答弁ですけれども、交換した業者がCランクの指名業者でもあり、宿舎の建築をやった、そういうようなことから推してみましても、また交換条件についても、当然官庁であれば基本原則を守って、建てるものはきちっと入札して建てさせる、売るものは売るものできちっと競売して予算を考える、こういうことが当然じゃないかと思うが、建設省、どうですか。
○政府委員(木内啓介君) 確かに複雑な交換でございましたが、先生のおっしゃるように、売って買えば一番単純でございますけれども、交換そのものは公団の規定によって違法ではございませんし、できることになっております。これからについてはいろいろ考えることはあろうかと思いますけれども、交換そのものは違法とか不当ということではなかったと思います。
○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。広中和歌子君。
○広中和歌子君 昨夜のサンケイ新聞夕刊に、首都圏の通勤鉄道建設計画が地価高騰のあおりを受け軒並み建設がおくれていると報道されておりますが、運輸大臣にお伺いいたします。 運輸政策審議会の答申を受け、現在二十八の新線計画があると思いますが、現状について御報告いただきたいと思います。
○国務大臣(石原慎太郎君) 現況を御報告いたします。 運輸政策審議会の七号答申では約五百三十キロに及ぶ新線建設や複々線化が計画されておりましたが、現時点で約五十六キロが開業し、百七十五キロが工事中でございます。余り順調に進んでいるとは申せないと思います。 東京圏の鉄道網の整備につきましては、所要の助成策を講ずるとともに、複々線化に対しまして新しい特定都市鉄道整備積立金制度等を適用することによって、できるだけこれを促進していきたいと思っております。
○広中和歌子君 当初の計画より大幅なおくれがあるというふうに見るわけでございますけれども、私が今非常に画期的だと思いますのは、地下五十メートル以下におきましては私権が及ばないという考え方があり、そういうところに地下鉄を通して新線建設をといったような動きがありますけれども、それについてコメントしていただけますか。
○国務大臣(石原慎太郎君) その点、法制的にいろいろ問題があるかもしれませんが、いずれにしましても、それほどの深度の地下を利用する可能性というのはまずないと思われますので、事業者がそういう深度の地下を通勤線のための直通の線路を工事するというようなときには、経済的な負担を負わずにそれが実現できるような、そういう措置を講じてまいりたいと思っております。
○広中和歌子君 法制化はいつごろになるのでございましょうか。具体的なタイムテーブルみたいなものはあるんでしょうか。
○国務大臣(石原慎太郎君) つい最近でございますけれども、法務省の見解も受けまして、運輸省が新しい法律について検討を開始したところでございます。できるだけ早期に何らかの成案を得て、それにのっとってこういう種類の工事が円滑に進むことが望ましいと思っております。
○広中和歌子君 総理にお伺いいたします。 総理は私権の制限ということを御発言になっていらっしゃいますけれども、私権の制限というのは言われるばかりで具体的なことになりますとなかなか実行できない中で、この地下五十メートル以下に私権が及ばないということは非常に画期的なことだと思うのでございますけれども、積極的にサポートしていただけるんでしょうか、お考えをお伺いいたします。
○国務大臣(竹下登君) 結論から申しますと、私にどれほどの力があるかは別として、サポートしなきゃならぬと思っております。私自身今までいろいろ言ってまいりましたが、財産権は憲法において保障されておるといたしましても、いわば所有権というものに対していま一つ利用権というものがありはしないか、こんなような考え方を漠然と持っておったわけでございます。 しかし、今日までも公共の福祉の視点からいろんな制約がありまして、国土利用計画法等も確かに法律である種の私権制限をしておるというふうに読み取れると思うわけでございますが、さあこれ以上踏み込んでいくかどうかというところに至って、私としても思い余って、行革審でひとつ議論していただけないかと。そうしたら、たまたまかつての法制局長官だった林修三先生が小委員長で、これを議論してみようということで、ありがたいことだと思っておりました。 今の御提言そのものにつきましては、私も新聞記事等を見て、あるいは聞かしていただいたときに、快哉を叫んだ一人ではないかなと。下はブラジルまで、上は無限大の宇宙までという論理について私なりにも矛盾を感じておりましただけに、すばらしいことだと。私の立場で可能性のあることならばサポートしたいと思っております。
○広中和歌子君 どうぞよろしくお願いいたします。 今、同僚議員から民間の土地供給についてさまざまな質問がなされたわけでございますけれども、まず国の方からも何かやっていただきたいということで、東京都心二十三区の中での国有地でございますね、それを宅地として供給する、そういったような考え方がなされないか。大体どのくらいの土地があるのか、大蔵省にお伺いいたします。
○政府委員(藤田弘志君) お答えいたします。 東京都内でございますが、大蔵省所管一般会計所属の普通財産の未利用地が四十五ヘクタールございますが、この大部分、七割強は、国の庁舎用地、地方公共団体の公園用地等としての利用計画が既に定められているものとか、あるいは将来の公用、公共用への需要に備え処分を留保されているもので現在地方公共団体等において利用計画を検討中のもの等、何らかの利用計画が決められ、また検討中のものでございます。残りの三割弱、約十二ヘクタールでございますが、これは現在具体的利用計画は定められておりませんが、地方公共団体等から買い受け要望がありまして現在調整中のものが含まれておりまして、直ちに住宅用地へ転用できるものはかなり少ない、かように考えております。
○広中和歌子君 これはたまたまいただいた資料でございますけれども、東京二十三区内の公務員宿舎、それだけでも二百万平方メートルあるわけでございまして、先ほど地震のことがございましたけれども、むしろこれは優良な地盤のところに建っております。これが三階とか四階とか、たまたま十階ぐらいのところもありますけれども、ほとんどが低利用である。これを高層化することによって優良な住宅が供給されるのじゃないかと思いますけれども、さまざまな省庁にまたがるそういう土地でございますので、関係省庁連絡協議会みたいなもの、何か住宅建設供給のためのそうした協議会みたいなものができないか、お伺いいたします。
○政府委員(藤田弘志君) 国有地の管理、処分に関しましては、おのおの所管する省庁で国有財産台帳等をつくりましてやっております。 ただ、大蔵大臣は国有財産の総括大臣といたしまして必要に応じまして連絡調整等を行っております。具体的にはその行政財産の効率使用の状況とかあるいは監査等もやっておりまして、非効率等がございましたらその点を指摘して、その処分等を進めておるところでございます。そういうことをやっておりますから、特段そのための会議というのは必要ないのじゃないか、かように考えております。
○広中和歌子君 文部大臣にお伺いいたしますが、東京大学その他国公立大学の都心にあるものでございますけれども、地方に移転するお考えはございますか。
○国務大臣(中島源太郎君) 確かに国立大学が都心で大体二百七十万平方メートルございます。その中で、もちろん大学その他の移転は、キャンパスの教育研究のあり方、これを中心に大学が自主的に決めるものである、これは当然であります。ただ、地方分散、多極分散、これは国政の重要な課題だと思っておりますので、文部省の中にも検討委員会をつくりました。そして既に各機関に地方移転の検討を依頼しておるわけでございます。現在、三機関四施設の移転を決定いたして進めておるわけでありますけれども、それ以外の施設、機関に対しましてもさらに引き続き移転の可能性の検討を進めるように依頼をしておるところでございます。
○広中和歌子君 今、地価高騰のあおりを受けまして、学生、若手研究者、そして外国人留学生、外国人研究者が住宅難で非常に困っております。もし移転をしなかった場合には、東京大学の中の敷地の高度利用ということも可能ではないか。寮、アパート、そういったものの建設というのは御計画がおありでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(古村澄一君) 東京大学の建物の高層化につきましては、大体六十一年度ぐらいに建てました建物はほとんどが八階なり十二階というふうなことでやっておりまして、そういったことで土地を生み出して寄宿舎というものがその中で生めるかどうか、今後の検討の課題だというふうに考えております。
○広中和歌子君 今、駒場などの寮は何階建てでございますか。
○政府委員(古村澄一君) 駒場の寮は、随分古い寮でございますが、たしか三階か四階だというふうに思っておりますが。
○広中和歌子君 あそこは優良地盤でございますので、二十階、三十階建ての寮も可能だろうと思うのでございますけれども、ぜひ御検討いただきたいと思います。 もうちょっと時間がございますので、ちょっと前後いたしますけれども、住宅の容積率の中に地下室が入っておりますか、入っておりませんか、建設大臣にお伺いいたします。
○政府委員(片山正夫君) 容積率の算定に当たりましては、地下室部分は当然対象といたします。
○広中和歌子君 私は容積率から除外するべきだと思うのでございますけれども、その意図はございませんでしょうか。
○政府委員(片山正夫君) 建築物を建てます場合の容積率制限の趣旨は、建築物全体の総容量と道路あるいはその他の公共施設との整合をとるために決めていることでございまして、その場合、建築物が地下階にあるかあるいは地上階にあるかということに差はございませんので、容積率を算定しますときに地下部分を不算入にするということはできないと考えております。
○広中和歌子君 変更を希望いたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
○馬場富君 日銀総裁に来ていただいておりますので、質問を続けます。 今晩にもアメリカの経常収支が発表されることになっておるようですが、この点についてどのように見てみえますか。またドル安との関係についてはどうか、御説明をいただきたいと思います。
○参考人(澄田智君) お答えを申し上げます。 アメリカの昨年の第四・四半期の経常収支、これはアメリカで本日発表になると聞いておりますが、その内容等については全く承知をいたしておりません。 それからその為替相場に及ぼす影響等につきましても、これは私の立場で申し上げますことは市場にやはりそれなりの影響のあることでございますし、また現時点において全く推測のできないことでございますので、そのことに対して何か触れることはお許しいただきたいと存じます。
○馬場富君 ではそこで総裁に。アメリカ経済の先行きをどのようにとらえておみえですか。
○参考人(澄田智君) 昨年十月の株価の急落の影響等が一時はかなりアメリカ経済の先行きに対して深刻ではないかというような見方がアメリカ内外において強かったわけでございますが、今日に至るまでの状況においてはさほどそれが深刻な影響を及ぼすものでもない。そうしてアメリカの経済は現状においては、強弱いろいろの数字があるわけではございますが、おおむね、若干昨年よりは経済の成長としてはスローダウンすることがあっても、しかし大幅な景気の低落というようなことはなくて、輸出が伸びておりますし、それから設備投資もぼつぼつ兆しておるというような状況でございますので、輸出そして設備投資中心で比較的しっかりした経済の歩みが展望できるのではないか。このことは最近のアメリカの失業率の改善状況あるいは生産指数の強さ等もこれを示していると、こういうふうに承知をいたしております。
○馬場富君 ここで日銀総裁に国内問題として、通貨の供給が大変ふえてきておりますが、景気がやや過熱的な状況に今なってきておるわけですが、これについて物価の上昇の心配はないかどうか、こういう問題ですが、お伺いします。
○参考人(澄田智君) 物価の状況でございますが、昨年の夏場以降一時、建設資材あるいは化学製品等を中心にかなりな品目におきまして商品市況及び卸売物価が上昇を見たわけでございます。懸念も抱いたわけでございますが、その後十一月以降円高の進行もございますし、そうしてまた原油価格が軟化状況である。さらには生産の増加あるいは輸入の増加というようなことで、卸売物価がやや軟化をする、こういう状況でございます。そして消費者物価でございますが、地価の上昇あるいはサービス価格の上昇などから前年に比べまして一%内外の上昇という状況ではございますが、ここに来てその上昇がさらに高まるというような懸念も目下のところは薄いのではないかと、こういうふうに思っております。 このように、物価の現在の足取りといたしましては比較的落ちついている、こういう状況で、直ちに心配であるというような状況ではないわけでございますが、今御指摘もありましたように、マネーサプライ、これは金融緩和の影響のほかあるいは金融自由化等の影響もあるわけではございますが、やはり金融緩和がこの点に大きく作用をいたしまして、そして昨年の十—十二月においては、前年に比べて平残の伸び率といたしまして一一・八%伸びている。これは実体経済の上昇に比べてかなりな高い伸びであるという状況でございますし、また企業の金融緩和感というのも非常に強まっている。他方、経済は現在内需中心の腰のしっかりした自律的な回復状態でございます。 こういう状態に伴いまして、製品需給あるいは労働需給という物価に重要な関係を持つ需給関係はタイトな状態になりつつある、こういう状況でございますので、繰り返して申しますように、現在足元において特に心配をするという状況ではございませんが、物価の先行きについては十分注意をしてまいる必要がある。この点の目配りということを怠ってはならないと、かように考えている次第でございます。
○馬場富君 次に、公共事業に対しては今非常に対応が、適応がうまくいってきておるわけですが、今後やはり景気の上昇と相まってこの公共事業の投資が物価を押し上げる可能性が強いという意見もございますが、この点はどうでしょうか。
○参考人(澄田智君) 現在までの日本経済の顕著な回復、内需中心の回復には、政府のおとりになられた緊急経済対策が非常に大きな効果があったわけでございます。そうしまして、その結果として、先ほど申しましたように、経済の内需の強さというようなものから需給関係というようなものがどちらかというとタイトになりつつある。先ほど卸売物価も軟化をしたと申しましたが、建設資材等においては最近においてはやや底が入って、そして上昇と言うまでもなくても、従来のような軟化状態というようなものから若干地合いが変わってきている、こういうふうな状態でございます。こういうふうな状態と、現在御審議になっておられる予算が成立してそして執行されるというような段階において、十分そのときの市況その他状況を勘案されて、そして適切な新しい年度の公共事業の執行が行われるということが望ましいというふうに考えている次第でございます。
○馬場富君 日銀のドル安に対する介入によりまして、特別会計でも先般質問されておりましたが、やはり日銀勘定分についても大きい差損が出てきていると言われておりますけれども、こういう点で、日銀の介入が非常に効果はあったわけですけれども、これが長期間続いた場合にそういう評価損、あるいは所得税の問題等についての欠損もありますし、あるいは国庫納付金についてもこれは減額になってくるわけでありますから、こういう点で両方兼ね合わせてみたときに、これから長期この問題が続いた場合には、円の平衡問題とあわせましてこれは非常に難しいかじ取りになってくるんじゃないか。この問題については米国やあるいはEC諸国の国会ではかなり大きい批判の声も出ておりますが、この点についてどのような方向性を考えてみえますか。
○参考人(澄田智君) 為替市場への介入につきましては、日本銀行は政府の委託を受けまして、そして政府の外国為替資金特別会計の代理人としてこれを行っているわけでございます。したがいまして、介入に伴う外貨資産の為替差損ないし差益は、これは外為会計で発生するということになっておるわけでございまして、したがって、形式的なことを申し上げますと、日本銀行の損益には直接関係がないわけでございます。しかしながら、介入によって生じた外貨資産は、為替が円高になった場合には為替差損が生ずることはそのとおりでございますし、また日銀自体も外貨資産を保有しているわけでございまして、そういう資産に為替相場によって影響がある、これは当然のことでございます。 しかしながら、為替相場の安定ということは、これは安定しそして為替相場が各国の経済のファンダメンタルズを適切に反映したような水準であるということは、これは世界経済の持続的な発展のために必要な重大な条件である、かように考えているわけであります。したがいまして、我が国を含めまして主要国が行いました為替介入ということは、現在までのところにおいては為替相場の安定を図る上で有益なものであった、こういうふうに認識をいたしているわけでございます。 そしてまた、これは我が国だけでなくて主要国に共通の認識である、こういうふうに思うわけでございます。昨年二月のルーブル合意やあるいは十二月のG7の共同声明において、政策面における協調と並んで為替市場の介入についても主要国が緊密な協調を行うべきであるというふうにうたわれている点は御承知のとおりでございます。 今後の介入のあり方、方針というようなことにつきまして具体的に申し上げますことは、為替市場に直接タッチをいたしております中央銀行の立場から申すことは、常に為替市場に何らかの憶測なり思惑なりを生じ、為替相場に影響を与えることになりがちでございますので、具体的に触れることは差し控えさしていただきたいと思いますが、今後とも為替相場の動向を注視しながら、必要に応じてやはり機動的に為替市場へ介入を行っていくという、そういう私どもの基本的な考え方については今後とも変わりはない、かように申し上げる次第でございます。
○馬場富君 総裁ありがとうございました、結構ですから。 今の点につきまして大蔵大臣に。今の介入については大蔵大臣の指示にも影響がありますし、それから国の問題でもありますが、先ほど申しましたEC諸国や米国においては、お互いにG5の問題はありますけれども、かなり国会でこの問題について先行きが暗いという面から批判の声が強いというのですね。この点について大蔵大臣はどのように考えてみえますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 暗いと言われますのは……
○馬場富君 ドル安の問題については先行きが暗いと。
○国務大臣(宮澤喜一君) さあそういうふうに一般に考えられておりますかどうか。そういう意見の方もおありであろうと思いますけれども、プラザ合意以来もう二年半でございますし、アメリカの輸出産業がやっぱり非常に強くなって、また経済活動が活発になってもおりますので、いわゆるアメリカ経済の競争力というものは両面からかなり出てきておるのではないかというふうに見ておりますものですから、私自身は、多少のジグザグはありましても、アメリカの貿易収支というのはやはり好転の方向にいっておるのではないか。財政収支の方は思うようにも、こちらが見ておるほどにも参りませんけれども、そういう努力もなされておることは事実でございますので、あれこれ考えまして、私はドルの将来というのは比較的これから落ちついていくというか、どちらかといえばむしろ強くなっていく公算が大きいのではないか、私自身はそう思っております。
○馬場富君 私らの知る限りでは、G5等で約束した。だけどドルに対して、ドル安の介入のためにECにしてもアメリカにしても全部手控えではないか、各国は。日本だけが一生懸命頑張っておるんじゃないか。こういうことで、その点が私は、今後の方向として長く続いた場合に、この方向はこのままでいいのかということですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは各国によってやはり、プラザ合意以来の自国通貨高から受ける影響が時間的にかなり相違があったように私は見ております。 我が国が一番つろうございましたのは一昨年から昨年の春、夏、この辺が一番つらかったと思いますので、その間我が国の介入額は確かにヨーロッパあるいはアメリカの額よりも恐らくかなり大きかったのではないか。しかしその後に今度は、例えば西ドイツなどがマルク高というものを相当強く感じるようになりまして、どう申しますか、その国経済に与えた影響というのは時間的にいろいろな違いがあるように思うのでございますが、そのころになりますと今度、むしろヨーロッパの国々の方が介入をし始める。最後に暮れになりますと——昨年の暮れでございますが、アメリカ自身がこれ以上のドル安はもう自分にとって困るという、これは昨年の十月十九日の経験にもよることでありますが、そうなりましたものですから、アメリカ自身の介入がまたかなり多くなってきている。多少時系列的に少しずつの違いはございますのですが、今となりますと昨年の暮れの、これ以上のドル安は各国にとってみんな非生産的であるという認識が統一されましたので、いわばほとんど同じような形での協調介入がそれ以後は行われているように観察をいたしております。
○馬場富君 総理はことしの一月にレーガン大統領と会談されましたが、その際、ドル安の異常で長期のために新しい協調介入の方法をともに考えることを約束されたと報じられておりますが、これについてはどのようにするということですか。
○国務大臣(竹下登君) 今時系列的に宮澤大蔵大臣の方からお話がありましたが、やっぱりルーブル合意、G7の基本はずっと継続しておるという時点で首脳会談があったわけでございます。したがって、その姿勢を内外に印象づけることといたしましては、先日貴党の和田さんからも御意見があり、それから私が訪米前にも実は貴党の関係者から私に対する提言もございましたが、私の方から言い出したとかアメリカから言い出したとかということでなく、通貨当局者間におきましてSDRの売却等による問題が、特に共同声明に書かれたということが一つの具体的な例としての姿勢を示したことではなかろうかというふうに考えております。
○馬場富君 そのSDRの一つは手法の関係でございますが、これはSDRの借用権を日本に譲るということなのか、売るということなんでしょうか。
○政府委員(内海孚君) お答え申し上げます。 アメリカが例えば円を売ってドルを買うという介入をする場合に、今まだアメリカには相当な円の外貨準備がありますけれども、それがいざというときに不足したような場合には、アメリカの持っておりますSDRを日本に売りまして日本から円貨を調達し介入のための弾を用意する、こういうことでございます。
○馬場富君 総理に。アメリカは大統領選を十一月に控えております。そういう点で、今は平穏だけれどもやはりその以降には現状ではならぬ、大きい政策転換があるという見通しが識者の中には多いわけですが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに現レーガン大統領の任期が来ることは事実でございますが、当面私どもとしてはすべての問題について現体制といろいろ対応等を協議し、共同責任において問題の処理に当たろうという姿勢を持っておりますが、いわゆる識者の間にあるところの一つの意見ということの前提の上で今馬場さんお話しでございますが、私自身、大政策転換が行われるであろうというようなことは予測をいたしておりません。
○馬場富君 最後に税制問題で一言総理にお尋ねいたしますが、総理は新型間接税においての六項目の懸念を表明されましたが、この七種類のいわゆる税調のいう新型間接税の中で六項目の懸念を持たない税制というのはあるのか、これを御説明願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 六項目の六つの懸念ということを申し上げまして、それは間接税という問題の中だけで解決するべき問題でも必ずしもない。間接税の中でもその懸念を少しでも中和させなきゃいかぬことは事実でございましょう。それで税体系全体の中で解決すべきものということもございます。さらには、いわゆる歳出の中で中和すべきもの。こういうことに区分されると思うわけでございますが、今まだ正確に私どもに示されたという段階でございませんけれども、いわゆる間接税の各分類の中で、どれがどうということを今申し上げるには少し時期が早いんじゃないかなというふうに思っております。
○馬場富君 間接税から六項目の疑念を引きますと——その六項目の疑念というのはやはり間接税の大事なデメリットなんです。それを解消するということになれば間接税を否定するということになりますが、総理、そうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 基本的には間接税というものの持ついわゆる逆進性ということが基本のお尋ねであると思うのでございます。今日でも個別間接税というのは我が国にもございますし、また諸外国にも間接税が存在しておるわけでございますけれども、その本来持つ逆進性というのを税体系全体の中で、あるいは所得税でございますとか法人税でございますとか、そういう中で中和していくというのは私は可能であるという前提に基づいて私なりに苦吟し、平素大型間接税に対していろいろ御意見をちょうだいしております懸念というものを区分して、六つの懸念としてお出しいたしたものでございますので、国会の議論等を通じながらこれは中和されていって、国民の理解を得るものであるという考え方に立っております。
○馬場富君 最後に一問だけお願いしますが、税制改革ではそれじゃ間接税を出さない場合もある、そう考えてもよろしゅうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねの意味が、ただいま政府が考えております税制の抜本的改革に関連をして間接税の新しい——新しいと申しますか、間接税関連の提案をしないことがあるかというお尋ねでございますと、かねて申し上げておりますように、所得、資産、消費につきましてバランスのとれた新しい税制を設けたい。しかも所得税、法人税等々は当然に大きな減税が見込まれるといったようなこともございますので、政府といたしましては何とか国民の御理解を得て新しい形の消費課税というものを考えさしていただきたいとただいま税制調査会に検討をお願いしているところでございます。
○委員長(原文兵衛君) 以上で馬場富君の質疑は終了いたしました。 午後一時まで休憩いたします。 午後零時十八分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十三年度総予算三案を一括して議題といたします。 これより安恒良一君の質疑を行います。安恒良一君。
○安恒良一君 私は、質問を通告した順序を少し変えて御質問したいと思います。 まず最初に、最近外国人の不法就労が急増しています。今後の政府の対策について尋ねたいと思いますが、まず法務省が三月五日、六十二年度出入国管理法違反事件の概要を発表いたしました。本論に入る前に法務省、労働省から説明をしてもらいたいと思います。
○政府委員(熊谷直博君) 三月五日に法務省の入国管理局が発表いたしました入国管理法違反事件の概要についてまず御説明申し上げます。 入管法の違反事件、これが著しく増加しておりまして、昭和六十二年の摘発人員、これは一万四千百二十九人の多きに上っております。五年前の昭和五十七年の三千八百十四人に比べますと約三・七倍となっております。この増加の最大の要因は何かと分析をいたしておりますが、フィリピン、タイ等の周辺アジア諸国から入国いたします不法就労者の急増によるものでございます。 さらにその実態を見ますと、男性の場合は大都市周辺における土木建設現場とか町工場等でございまして、また女性の場合には全国的に風俗営業関係店舗で不法に就労しておるというのが実情でございます。昭和六十二年のこの不法就労の摘発人員は一万一千三百七人でございまして、五年前の昭和五十七年の千八百八十九人と比べまして約六倍となっております。 概要を申し上げたわけでございますけれども、私ども今回の摘発の際の特徴点というのを分析いたしておりますが、三つばかりございまして、まず第一に、男性の不法就労者による違反事件が殊のほか急増しているという点でございます。昭和六十二年の摘発人員中の男性の比率は全体の四〇%に上っておりまして、前年の六十一年の約二五%であったのに比較しますと急増ということでございます。 第二の特徴点といたしまして、偽造とか変造とかそういう旅券その他査証の証印等の、そういう偽変造の旅券とか公印等を行使するという巧妙な事犯の増加が第二の特徴点。 第三の特徴といたしまして、内外のブローカー等が暗躍をしてこういう不法就労者をおびき入れるという悪質な事犯が増加しているという三点でございます。
○安恒良一君 以上のような状況で、法務大臣にお伺いしたいんですが、厳重な警戒が必要であるという方針を打ち出されているようですが、今後どのように法務大臣としては対応されていくつもりですか。
○国務大臣(林田悠紀夫君) ただいま入管局長から申し上げましたように、外国人労働者の入国につきましては単純労働者を認めないのが現在の政府の方針でありまして、当面この方針を変更する考えはございません。しかしながら、外国人単純労働者の入国問題につきましては各界で論議されているところでもありまするので、外国人の出入国管理行政を担当する法務省といたしましては、これら論議を踏まえながら関係省庁、関連団体等との情報交換、意見調整を行いまするとともに、諸外国の経験をも参考にしながら多様な角度から慎重に検討してまいりたいと存じております。
○安恒良一君 我が国において不法就労している外国人の労働者は、今も御指摘のとおり単純労働が多いんです。単純肉体労働を受け入れることは、我が国の市場に大きな影響を与えますので、原則的には私は反対なのであります。 そこで、政府の基本姿勢を尋ねますが、外国人単純労働者の受け入れについて外務省、法務省、労働省の三大臣、それから警察庁、それぞれこの点についてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(宇野宗佑君) ただいま法務大臣が申されましたとおり、外務省といたしましても、単純労働者、この受け入れは原則として反対である。これはもう政府の決定事項でございますから、したがいましてその線は守りたいと思っております。 なおかつ、そのためにはこの間も在外公館に特別命令をいたしまして、十二分にビザ発給等々のときには本人にも面接をし、その資格をきちっと確かめてから発行するようにと。過般も実は衆議院で問題になりましたが、見習いという名前だけのビザで入ってどうも実就しているという事件が指摘されましたが、幸い調査の結果、そういうことはなかったのでほっといたしたということもございますが、特にブローカー等が暗躍するということも、ただいま法務大臣のお話にもあったとおりでございますから、厳重にその点はやっていきたい、かように思っております。
○国務大臣(中村太郎君) 労働省としましては、政府方針にのっとりまして従来から、我が国の雇用労働市場への影響を配慮いたしまして、単純労働者は受け入れない、これを貫いてまいったわけでございます。今後ともこの基本方針は維持されてしかるべきものと考えております。
○国務大臣(梶山静六君) 警察といたしましては、この問題を経験した諸外国における実情にかんがみまして、単純労働の分野に外国人労働者を受け入れることにつきましては慎重であるべきだというふうに考えております。
○安恒良一君 外務大臣に重ねてお聞きしますが、大臣今非常に明快だったんですが、外務省の中に、我が国の国際化の観点から単純労働、肉体労働にも門戸を開放するようにという主張があるやに聞いておりますが、それは間違いでしょうか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 個々の意見はいざ知らず、外務省といたしましては今私が申し上げたのが外務省の考え方でございます。
○安恒良一君 そこで、今度は総理にお聞きしたいんですが、昨年の十二月、ASEANの会議に行かれてフィリピンでアキノ大統領と会談をされたときにアキノ大統領から、我が国において不法就労している、取り締まりの対象になっている出稼ぎに対する規制の緩和と待遇の改善をするように要請を受けたと伝えられています。この要請に対して総理は検討を約束されたというふうに私たちは聞いていますが、これが事実かどうか。もしも約束をされたとすれば、関係省庁にどのようなことの検討を指示されたのか、具体的に明らかにしてください。
○国務大臣(竹下登君) 昨年、このASEAN首脳会議の折、フィリピンを訪問いたしました際、アキノ大統領からは、日本で働くフィリピン人の問題について、その保護及び福祉のため日比両国間で協議が進められていることをうれしく思うと。既に協議が進められておったわけでございます。それで、この日本の入国管理基準の緩和等につき、よろしくお願いいたしますと。私は同要請に対して、今日本は単純労働者を外国より受け入れないとの基本方針がありますので、この点を踏まえつつ、今後各方面から検討を加えていきたいという旨をお答えをいたしました。 私自身、率直に感じましたのは、その言い回しについて、保護及び福祉のため両国で協議が進められておると。すなわち単純労務者とそれからいわゆる俗に言うじゃぱゆきさんでございますか、そうした両面をちょっと合わせて苦心した表現をされたなというふうに率直に私は思いました。その前段階においていろんな方ともお会いしておりましたときにも二つの意見がありまして、いわゆる他の目的によって日本へ来ておって、女性の方々の保護、福祉という観点からの議論と、それからもう一つは男性の単純労務者とでも申しますか、そういうものへの幾ばくかの期待を込めたような発言と両方あっておりまして、したがって、首脳会談の際もその辺を配慮して大統領は発言されたなというふうに私は感じたわけでございます。 したがって、今、日比両国間で協議を進めておる、主として先ほど来法務省からもお話があっておりましたような問題をさらに両国で詰めていくということではないかと思って、そのようなことを引き続き指示をしておるということでございます。
○安恒良一君 観光ビザや語学研修学生などの資格で入国し、不法就労する者が多いことは法務省の調べでも明らかになっていますが、この不法就労の陰にはブローカーが多く介在をしておる、このことも法務省の調査で明らかになっている。さらに、最近では暴力団が介在して、暴力団の新しい資金源にもなっているというふうに私は思います。 そこで、この介在するブローカーの実態について少し説明をしてもらうと同時に、これを厳重に規制を図るための出入国管理法や労働基準法、その他関係諸法規の改正を行ってブローカーの排除をすることが必要だと私は思いますが、この点について労働大臣、法務大臣の考えをお聞かせください。
○国務大臣(中村太郎君) 不法就労に当たりまする外国人の労働者の就職をあっせんするいわゆる仲介の業につきましては、現在でも職業安定法あるいは労働基準法で対応いたしておるわけでございますけれども、御指摘のようにこれからこのことに対する実効的な対応を図るためにはお説のようなことも大変大事なことであるというふうに承知をいたしておりまして、今後の検討の中で十分参考にしてまいりたいと考えます。
○国務大臣(林田悠紀夫君) 現在、入管に当たりましては入管法及び難民認定法によりまして対処しておりまして、先ほど外務大臣あるいは労働大臣がおっしゃいましたように、まずビザの段階におきまして取り締まり、さらに入国してまいりますると、今おっしゃいました観光ビザで入ってまいりまして滞留をしておる。そこでまず、入港とかあるいは空港へ入ってまいりました場合に十分審査いたしまして、どうも単純労働に従事しそうだという場合はこれを追い返しておるわけであります。 それから、それでもなお滞留しておる者につきましては、捜査をいたしまして、そしてこれを追放していくというやり方でやっておるわけでありまして、法律的に申しまするとそういう入管関係の法律あるいは労働法規によりまして十分対処し得るのであります。したがって、それを厳重に施行していく、これが最も必要なことと存じております。
○安恒良一君 法務大臣に重ねて聞きますが、いとも簡単に空港で追い返していると言われていますが、語学研修、学習などで入ってくることは空港ではチェックできないんじゃないですか。問題は、入ってきた後、本当にその人が語学の研修をしているのかどうかということは、これは大変なことだと思いますが、どうも今法務大臣の答弁はちょっと納得しかねるんですが、例えば語学研修、学習で入ってきた、それは空港では通過するわけですよね。その後に不法就労している、これについてどうする考えなのかということを聞いている。数が多いですからね、これ。
○国務大臣(林田悠紀夫君) 空港あるいは港において追い返しておる者が年間に四千人を超えるぐらいあるわけであります。そうしてさらに、入ってきた者を追い返すのが一万四千人ぐらいあるというような状況でありまして、相当厳重に取り締まっておるわけであります。 したがって、さらに今おっしゃいましたいわゆる修学者でありますが、日本語を学ぶということによって入ってまいりまして、そしてそれが就労をする。大体週二十時間ぐらいのアルバイトは認めておるわけであります。そこで、それがアルバイトを超えて長く就労をしておるという場合は、これは厳重に取り締まるというやり方でやっておるわけでありまして、私ただいま申しましたように、法規的には大体整っておる、しかしそれをいかに施行していくかということが非常に重要な問題だと、かように考えておるわけであります。
○安恒良一君 法務大臣、私はそれと同時に、ブローカーが介在しているそのブローカーの排除について法的にどう考えられるかということで、労働大臣は前向きの答弁をされたんですが、法務大臣どうしますか。
○国務大臣(林田悠紀夫君) ブローカーにつきましても、現在の労働法規とか、入管法においてもしかりでありまするが、法規的に対処することはできるようになっておるわけであります。
○安恒良一君 総理、労働大臣と法務大臣の意見が少し食い違っていますが、私はやっぱり労働大臣の御意見の方が正しいと思う。今の現行法規だけではブローカーの排除はできないんです。ですから、ブローカーの排除をひとつ前向きに検討していただきたいと思いますが、総理どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 現行法規でどこまでやれるかとか、私自身、法律知識を必ずしも持っておりませんが、御提言の御趣旨を体して検討をいたします。
○安恒良一君 次には、外国人の不法就労者と知りながら雇用している雇用主にも私は問題があると思うんです。雇用主としては、単純労働でしかも低賃金で雇える、こういうことなんです。しかし、こんなことをしますと、これは国際的にも批判の種になります。例えば、アキノさんが総理にいろいろ言われたことも一つの問題があるだろうと思います。それからさらに、日本における単純労働者の雇用の機会を大きく阻害することになります。 ですから、私はこうした不法就労の外人を不法と知りながら雇用する事業主に対しても何らかのペナルティーを科さなきゃならぬと思うのでありますが、この点について、これまた労働大臣、法務大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(中村太郎君) 不法就労者を雇用する事業主、このことにつきましては、御案内のとおり西ドイツ、フランス、アメリカでは罰則を科しておるわけでございます。今までの経過を眺めましても、やっぱり事業主へのある程度の規制ということは大事ではないかなというふうに率直に感じておるわけでございまして、これからもいろいろな検討をするわけでございますけれども、御指摘の点につきましても十分配慮してまいりたいというふうに考えています。
○国務大臣(林田悠紀夫君) ただいまの問題をちょっと法律的に申し上げますると、現行入管法によりまする雇用者等の処罰は、資格外活動罪とかあるいは不法残留罪の共犯、教唆、幇助でありまするが、そういうことで罰せられるわけでありまして、正犯の法定刑といたしましては、三年以下の懲役、禁錮または三十万円以下の罰金になっておるわけであります。また、雇用することが不法入国の教唆、幇助に当たる場合は、不法入国罪の共犯といたしまして、正犯の法定刑と同じ刑があるわけであります。 また、労働省所管の職業安定法とかあるいは労働者派遣法違反による雇用者等の処罰の罪が一年以下の懲役とかあるいは二十万円以下の罰金とかあるわけでありまして、しかし先生のおっしゃいますこともよくわかりまするので、現在、法務省としましては労働省とよく打ち合わせながら、どういうふうにしていくかということを検討しておるところでございます。
○安恒良一君 法務大臣がおっしゃったようなことで罰せられた事例が最近ありますか。あったらひとつ何件ぐらいあるということを、事務当局からで結構ですから。
○国務大臣(林田悠紀夫君) 背後関係者の刑事処分例でありまするが、昭和六十一年の一月から六十二年八月まで入管法違反が三人、それから入管法違反幇助が一人、入管法違反幇助、風俗営業適正化法違反が二人、入管法違反幇助、売春防止法違反が一人、公然わいせつ、風俗営業適正化法違反が二人、それから売春防止法違反が十六人、職業安定法違反が十六人、労働者派遣法違反が六人、合計して四十七人、こういう状況であります。
○安恒良一君 総理、この点も私要望しておきますが、今法でやられたというのですが、これほとんどが罰しない。大体不法労働者が見つかりますとそれは強制送還される。しかし、雇った雇用主はおれは知らなかったということで全部ほとんどが不問に付されていますから、この点についてもひとつ前向きの御検討をぜひ総理にお願いしたいと思いますが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 御趣旨のことをよく理解できますので、そのように検討をいたします。
○安恒良一君 それから今度は、後から議論する中間技術者問題とも関係してきますが、我が国において就労を許可した人については、諸外国で行っているような労働許可証というものを私は発給した方が事態がすっきりすると思いますが、この労働許可証発行についてのこれまた労働省それから法務省の御見解を聞かしてください、それぞれ大臣の。
○国務大臣(中村太郎君) ヨーロッパあたりにおきましては労働許可制度を採用いたしまして、労働市場の環境に応じまして入国を決めておるというようなことをしておるわけでございます。我が国におきましても、目下労働省内に外国人労働者問題研究会を発足させまして鋭意検討をいたしておるわけでございまして、その中で、これからこの制度を採用するかどうか、あるいはまた的確に労働市場の状況に応じてこれがコントロールできるかどうかというようなことを十分に研究しながら、お説のことにつきましても慎重に検討してまいりたいと考えています。
○国務大臣(林田悠紀夫君) 現在の我が国の入管制度は大体英米法によっておるわけでありまして、特に戦後アメリカの制度を倣ってやっております。そこで、出入国管理及び難民認定法に定めておりまする在留資格を付与するという形式をもって許可を決定しておるということでございます。そういうことでありまするが、いろいろ問題になっておりまするので、十分研究をしてまいりたいと存じます。
○安恒良一君 外務大臣この点どうでしょうか、労働許可証の発行について。
○国務大臣(宇野宗佑君) 受け入れ国の場合にはそういうようなこともありましょうし、我が国は原則として現在は単純労働者以外の方は来ておられますが、諸外国との関連もありますし、特に法務省、労働省、そうしたところが第一義的に検討していただくことでございますから、外務省といたしましてもそういう作業を進める上におきましては関係各省と協力をいたしたいという考えであります。
○安恒良一君 やはり不法就労を排除するためにも、合法的に就業目的で入国した外国の方に対して、総理、私はやはり労働許可証の発行、ヨーロッパ各国では全部とっていることですから、そのことについても十分に関係省を督促して御検討願いたいと思いますが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 単純労務の原則は原則といたしまして、いわゆる私どもの方でフィリピンへ参ります際にもいろいろな意見があったことでございますが、中堅技能者とかあるいは上級技能者とかいうような問題も議論されたことがございますので、それらを含めて今三大臣がお話しになりましたようなことでこれから協議を進めさせたいと思います。
○安恒良一君 最後に労働大臣にお尋ねしたいのですが、中間熟練労働者という問題が大分いろいろ議論されているんですが、その範囲というのはどういう範囲をお考えで、また職種というものはどういう職種をお考えになっているのか、ちょっとその点を聞かしていただきたいのです。
○国務大臣(中村太郎君) 我が国経済社会の国際化に伴いまして、外国人の人材を登用したいという企業の要望も強いわけでございます。ただしかし、その御要望と外国人の単純労働者を受け入れない、この間の接点をどこに求めるかというような問題もあるわけでございまして、労働省としましては、いずれにいたしましても、我が国の雇用労働市場へ悪影響を及ぼさない、こういう前提に立ちましてこの問題を処置しなければいけないということで目下検討中でございまして、その範囲まで具体的に論及されておらないわけでございます。
○安恒良一君 私は中間技術者という概念は非常に抽象的で理解がしにくいんです。つまり熟練労働者と単純労働者のボーダーラインをどこに引くかということは非常にこれは難しい問題だと思いますから、目下検討中だと言われただけではちょっと困るんですが、具体的な職種等はどうお考えになっているかということを聞かしていただきたい。 それからいま一つは、私はその際でも各企業ごとに雇用できる一定の割合というものを決めなきゃいかぬ。例えば一つ例を挙げると、今スチュワーデスが問題になっていますね。スチュワーデスを日本人と外国のスチュワーデスをどの程度入れるかということは非常にこれは重要な問題ですから、私はやはり、その一つの企業がもしも中間労働者を認めるという場合には、最高ここまでは入れられるという基準を求める必要があるというふうに考えます。これらの点について、例えば一つは総量規制という意見もありますが、私は各企業ごとに一定の割合というもの、そういう点について労働大臣に重ねてお聞きします。
○国務大臣(中村太郎君) 御提言は十分わかるわけでございますけれども、現実、労働省の研究の中におきましてはそこまでまだ結論が出ていないということでありますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
○安恒良一君 総理、まだ検討してないそうですが、これ非常に重要なこと。既にもう日本航空において問題が起こっていますから、これらの検討について総理の方からひとつ労働省を督促して、どこで線を引くのか、それから企業としてはどこに最高を置くのか。これをひとつ総理のお考えを聞かしてください。
○国務大臣(竹下登君) スチュワーデスさんの話は実は私今まで考えたことはございませんが、各企業の技術者、今おっしゃった、私は中堅と申しましたが、確かに中間的な技能者の方の問題等については、私自身も本当にどこで線引きすべきものかということについての疑念を抱いたことがございますので、労働省でもこれから議論を詰めていかれることであろうと思いますので、私の方からも督励をいたします。
○安恒良一君 次に、四月一日から医科の診療報酬は上がると聞いていますが、歯科の診療報酬は上がらないと新聞に報道されています。この一連の事実について厚生大臣から御説明ください。
○国務大臣(藤本孝雄君) 歯科の診療報酬の改定でございますが、先生御承知のように、技工士問題が一昨年より宿題になっておりまして、その解決がこの歯科の診療報酬の改定の前提になっているような経緯、経過がございます。残念ながら、昨年の暮れ、そういう事情で改定ができなかった。表現が悪いかもわかりませんけれども、医科と同じに診療報酬の改定が行われずに今積み残されておる、こういう状況でございます。
○安恒良一君 それだけではちょっとわかりかねますから、これ局長からでもいいです。 歯科技工士問題等は実態調査等もされていると思いますし、国会においてもしばしば私自身も発言したことがあります。それから中医協の経過等も含めて、ちょっと現状について問題点はどこにあるのか。
○政府委員(下村健君) 一昨年の改定の際に歯科の点数の中に含まれています補綴関係でございますが、その中で歯科技工料金を別建てとして明定すべきではないかというふうな議論がございまして、その実態調査等も行いまして実態調査結果に基づいて決めてはどうかというふうな経緯も何回かあったわけでございますが、なかなか当事者同士の話がまとまらないということで、昨年の暮れに、この問題の解決が図られた上で歯科診療報酬改定に取り組むべきであるというふうな答申が出まして、その答申に従いまして今回の措置をとった、こういうことでございます。 したがって今後の問題としては、補綴の中に含まれております歯科技工料金をどういう割合で歯科の医師の取り分との関係で決めていくかという辺が問題としてまだ残っている、こういう状況でございます。
○安恒良一君 昭和六十二年二月の技工料金の実態調査の結果はどうなっていますか。数字を明らかにしてください。
○政府委員(下村健君) 実態調査結果によりますと、地域によりまして物によりましていろいろ差がございますが、平均的に申しますと、技工料金が七、歯科医師の取り分が大体三、七対三というふうな平均的な数値が出ております。
○安恒良一君 そこで厚生大臣にお聞きしたいんですが、私はやはり医療費というのは同じ比で上がる方が望ましい、これは国民の立場から。なぜかというと、そんなことあってはいけませんが、長く放置されますと差額徴収に走ったり、もしくは手抜きというのが起こりかねないのであります。そういう意味から言うと、四月一日付で上げた方がいいと思いますが、今お聞きをしたとおりに経過もあります。また実態調査の結果ももう明らかになっているわけです。 そこで私は、やはり歯科技工士会と歯科医師会との間に大臣が仲介の労をとられて、この問題を今までの経過を尊重し実態調査等を尊重して解決する、そして四月一日から歯科医療も上げるようにしてもらいたいと思いますが、この点について厚生大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(藤本孝雄君) この問題につきましては、先生が中医協の委員当時から技工料問題をはっきりすべきだという御主張をされてこられたことを私も承知をいたしまして、非常にその見識に敬意を持っておる次第でございますが、医科と同時決着ができなかったということはまことに私も残念に思っております。 御指摘のように今までの経緯、経過があるわけでございますが、私といたしましてはこの問題を早期に解決することが望ましいと考えておりますので、この歯科医師会、また技工士会の調整につきましても全力を挙げて一日も早く歯科の診療報酬の改定が実現するように最大限の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
○安恒良一君 総理も医療問題に非常に詳しいわけですから、やはり私はできるだけ同時に上げる努力が一番必要だと思いますが、こういう点について厚生大臣の御努力について総理もさらにあれしていただきたいと思いますが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 去年の暮れの予算編成の際に中間報告が一回あって、それから結果報告として同時決着できませんでした、継続審議になりましたと、こういう趣旨が私の方へ予算編成の都度若干懸案になっておる問題報告がございますので、報告を受けたことを今でも覚えております。 それできのうも御質問いただきまして、その後どうなったかなあという関心を持っておったわけでありますが、これは安恒さんが中医協にいらっしゃるころから、私は医療問題の専門家ではなく、あのころ教わりに行ったわけでございますけれども、問題は自分なりにそういう質問をしたということも関心を持っている一つのゆえんのものではなかろうかと。厚生大臣督励はもとよりのこと、関係方面の協力も仰ぎたいと思っております。
○安恒良一君 次に、今度は税制問題に移ります。 まず最初に大蔵大臣にお聞きしたいのですが、私は二月十九日、補正予算の審議の際に六十二年度の租税見積もりが少ないじゃないか、最低五千億以上の余分が入ってくるというふうに指摘しましたが、その後検討されたでしょうか。さらに、その後三月一日の新聞記事等でも大蔵省の二月二十九日、一月の税収実績発表に基づいて一兆円以上の増収があるなどと報道されていますが、そういう点について蔵相のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和六十二年度の税収でございますが、比較的好調に推移をしてまいりましたが、ここへ来まして多少伸びが落ちておるというそういう感じでございます。 と申しますのは、やはり一つは、所得税の減税が年末調整という形で一月の税収に響いてまいりましたし、それから申告納税のときにまたこれが出てくるということかと存じます。有価証券取引税のようなものもいっときのような伸びの大きさはないということで、総じて申しますと、非常に税収が悪いというようなことではもとよりございません。ございませんが、当初年度初めに伸びておりましたような状況は減税等のこともあるからではありますけれども伸びが鈍りつつございまして、結局は、これはもう安恒委員よく御承知のことでございますが、三月の法人の決算がどのようになるかということにもうほとんどの部分がかかってまいるかと思います。 昨年よりは法人の営業収益はかなりよろしいんだと思いますけれども、昨年の場合には営業外で法人がかなりいい決算をしておりますので、その上にさらにどのぐらいのものがあるのであるかどうかという見当がただいまつきかねておりますものですから、ちょっとまだ全体を見渡して申し上げるのに時間が早過ぎるということでございます。
○安恒良一君 とにかく補正を上回ることはこれはもう間違いないわけですから、衆議院で今与野党の減税協議がやられているからそのバックアップか何か知りませんけれども、知らぬは蔵相ばかりなりということに結果がなりはしないかと私は思うんですが、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そうでありましたらよろしいと思うのでございますけれども、こればかりはどうもやはりあと二月余り見ておりませんとなかなか申し上げられません。
○安恒良一君 それじゃ六十二年はその程度にしまして、きのう同僚委員が六十二年度に自然増収が出たらどうするかと聞いたら、宮澤さんはきのうの答弁では赤字公債の削減に充てると言われたんですが、六十一年度に巨額な自然増収が出たときにはこれは赤字公債の削減じゃなくて剰余金に入れられているわけです。そしてこれを国債整理基金に入れられている。ですからどうも六十一年度、六十二年度でどうしてこんな違った財政政策をとられるのか聞かせてもらいたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日申し上げましたことは、自然増収が見込まれるようでございましたら特例公債のうち発行予定しておりますものを発行しないようにいたしたい、こう申し上げたのでございます。 本来そうでなければいけないわけでございますが、昨年度の場合実は、大変率直に申し上げますと、あれだけの自然増収があるということがなかなか遅くまでわかりませんで、正直申しますと三月の今ごろの時点でもまだ定かでなかったような感じでございまして、したがって発行予定の特例債を次々と発行いたしてまいりました。その結果といたしまして、発行するものは発行した、自然増収はあったと、ややそういう格好になってまいりましたので、本来わかっておりましたら発行を控えるべきであったということなんでございますけれども、増収が非常に大きいことがわかりましたのがもう年度を越えまして後であったようなことがございましたのでああいう結果になりました。 今年の場合は、そういう経験もございますものですから、ただいまぐらいのところから少しずつ発行を多少スローダウンして様子を見ておりまして、もし本当に自然増収でできるようでございましたらこれはもう発行予定分を取りやめなければならない。これはもう本来から申せばそうすべきものなんでございますけれども、昨年度の場合、事が非常に急でございましたので、思うとおり十分なりませんでした。
○安恒良一君 私はこのことだけで余り時間をとりたくないんですが、大蔵大臣の答弁は、衆議院で与野党合意の減税に対するどうもあなたのやり方は横やりじゃないかなという感じがします。 なぜかというと、もう今度は六十二年度の取り過ぎた税金についてはこれは減税財源には充てないのかと言うと、充てないと言うんですね。ところが六十二年度の所得税減税には、これは私が前の国会でやりとりした議事録を思い起こしていただきますと、やはり六十一年度の余剰金を充てられているわけですね。ですから、六十二年度の余剰金だけは減税に充ててはいけないなどというのはちょっと蔵相としては、私は大蔵省の勝手な振る舞いではないだろうかと。なぜならば、見通しをあなたたちが誤られたわけですから、その見通しを誤った結果これだけの増収があった場合には少なくとも議会の御意向を十分承って処理させていただきますと、こういう謙虚さもあってもいいんじゃないですかね。どうでしょうか、大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、お言葉ではございますけれども、安恒委員はこういう問題については極めて明快でかつ厳しい論理をかねて持っておられる方でございますから、もし自然増収をもちまして歳入が満たされるのであれば、それ以外の特例債というものはこれは発行してはならないものであろう。それだけの金利負担をあるいは元利負担を国民が将来に向かって負うわけでございますから、わかっておればそれは発行すべきものでないとこれはやはり考えるべきであろう。それ以外の政治的な意図で申し上げておるのでないことはひとつ御理解を願いたいと思います。
○安恒良一君 いや、私はむしろ、前回時間があったら赤字公債削減の剰余金に入れられたことについて私自身があなたにそれを言いたかったんですよ。実は言いたかったんです。時間がなかった。それで今度になるとすぐそれを……、もう既に今三月なんですから。そこらはこれ以上これに時間を費やすわけにいきませんから。 そこで私は、まず六十三年度の税収見積もりについて議論するために私が要求しましたGNP弾性値の資料、予算段階、決算段階、説明をしてください。
○政府委員(水野勝君) 税収弾性値は委員御承知のとおり結果として算出せられるもので、税収見積もり自体は個々の税目の積み上げによって計算いたしておるものでございます。ただ、結果として出てまいりまして、それが全体として適正かどうかを検証するという意味におきましてはこれもまた意味のあることであると考えておるわけでございます。その意味におきましての税収弾性値、六十年代をとってみますと、六十年度は当初におきましては一・一五、それが実績では〇・九三になりました。六十一年度、これは当初予算一・〇八でございましたが、実績は二・一〇となってございます。また六十二年度は、当初見積もりは一・〇四でございますが、補正予算におきますところのものをもって計算いたしますと一・八三になっております。ただ、これは御指摘の実績ベースということではございませんが、補正後予算ベースでございます。六十三年度におきましては、御提案申し上げております予算におきましては一・〇八でございます。
○安恒良一君 五十八年度から資料を要求しておきましたがね。
○政府委員(水野勝君) 失礼いたしました。 五十八年度当初予算一・〇五、それに対しまして実績は一・三七となってございます。五十九年度は、当初予算一・三一、これに対しまして実績は一・一〇でございました。
○安恒良一君 そこで大蔵大臣にお聞きしたいんですが、私は、六十二年度補正の税収見積もりの誤りが土台となってまた六十三年度の税収見積もりを大きく違えてはいけないと思ってこのことを今聞いたわけです。 そこで、六十一年、六十二年度の予算段階の弾性値と実績ないし六十三年度の補正弾性値は大きく開いています。今も数字が挙げられましたように、六十三年度の弾性値が予算段階で六十一年度と同じ、実績は二・一〇、一・八、これを大きく下回っています。これを大きく下回りますと、マクロ的に見ますと六十三年度の税収見積もりが過小になってくる、そして税収は政府の見積もりよりも多く入ってくるということになるんですが、この点大蔵大臣どう考えられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 普通租税弾性値というのは、御承知のように、私ども長いこと一・一とかせいぜい一・二とかいうことでいわば考えてまいったわけでございますけれども、この二・一というようなこと、あるいは補正後の六十二年度の一・八三、これなどもまことにちょっと異常な数値であると申し上げるしかないと思いますので、やはりこれはかなり一過性のものが入っておったということも御承知のとおりのことでございますが、そうであろうと。これを平年に延ばしていくわけにはいかないというふうに考えまして、六十二年度の見積もりのときあるいは六十三年度もそれは十分に注意をいたしておるつもりでございます。 おっしゃいますように、六十二年度がどういう集計になりますかにもよりますが、かなり税収そのものは一過性でない、いわば法人税にしても営業収益から出てくるものというふうに経済は正常化しておるように思いますので、こんなに高い弾性値が何度も続くということは恐らくないことであろうというふうに私は思っております。
○安恒良一君 六十二年度一・八三を六十三年度一・〇八に下げられた理由は大蔵大臣なぜですか、これは。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはやはり六十一、六十二という、これは非常に大きなやや異常と思われるようなベースでございますから、その上でさらにそれを普通に延ばすのにはやっぱり問題があるだろうというふうに考えた結果でございます。
○安恒良一君 まだ私六十三年度税収についてはいろいろ議論したいんですが、竹下総理と税の問題を議論したいのであと一問ぐらいにとどめておきたいと思いますが、私が要求しました法人税の収入歩合の推移を大蔵省から説明してください。
○政府委員(水野勝君) 五十八年度からの予算と実績につきまして申し上げますと、五十八年度、予算九九・五、実績九九・一、五十九年度、予算九九・五、実績九九・〇、六十年度、予算九九・五、実績九八・九、六十一年度、予算九九・〇、実績九八・三、六十二年度、九九・〇、六十三年度、九八・〇でございます。
○安恒良一君 そこで、今読んだ予算と実績の収入歩合の数字を聞くと、六十三年度予算で収入歩合を九八%に落とした理由は何でしょうか。
○政府委員(水野勝君) ただいま読み上げさせていただきましたところでございますが、実績を見ますと、五十八年度が九九・一、五十九年度が九九・〇、六十年度が九八・九、六十一年度が九八・三と漸次これが低下傾向にあるのではないかというところが心配されたところでございまして、そういう意味からいたしまして九八・〇というふうにその傾向を織り込んで見たところでございます。
○安恒良一君 六十一年度の法人税収入歩合の実績が九八・三%、これは五十八年以来の最悪の数字です。したがって、六十三年度の収入歩合も九八%に落として妥当だとは考えません。私はここに国会と国民の目をごまかす落とし穴があると思う。というのは、率直に、法人税の一%、これを落としますと大きな違いがある。ここのところを指摘しておきまして、後日さらにこの問題については私の考え方を述べてみたいと思いますが、大蔵大臣どうお考えですか、この点。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今政府委員が申し上げましたが、収入歩合が漸減しているものでございますから、ここで先ほどのように六十三年度を推計しておるということと思います。ベストを尽くしておるつもりでございますが、また御批判のことは十分心得ておきます。
○安恒良一君 それでは税改正について。 総理がしばしばこの国会において所得、消費、資産の間で均衡のとれた、そして二十一世紀を頭に描いた安定的な税構築をしたいと、こう言われていますが、この三つの税制の均衡のとれたということについて、またどういう好ましい税制をお考えになっておりますか、総理の考え方を詳細に説明してください。
○国務大臣(竹下登君) 今御指摘ありました所得、消費、資産等に対する課税の比率について望ましい税の組み合わせというようなことは、これは安恒さんにもかつてお世話になっておりました政府税制調査会への諮問もそのような文言を使わせていただいておる次第でございます。その望ましい結果として出てくる数値というものをあらかじめ予測するということはこれは困難であると思っております。だから社会経済の実態が一層複雑化、多様化しておる現在、単一の税目によって負担の公平等の税制に要請される理念を十分に満たすということは難しかろうと思っております。 それから特定の税目に依存し過ぎる場合には、その税目の抱える問題点が増幅されてまいりまして、税負担の公平な配分を妨げて国民経済に悪影響を及ぼしかねない。一方、本格的な税制改正をほとんどやってこなかった最近十年間の推移を見ますと、所得税、特にガラス張りの勤労者の源泉所得税のウエートの増大が著しくて、他面、その裏腹として個別消費税制度をとります間接税のウエートの低下が顕著にあらわれておる。また、家計調査におきます勤労者世帯の直接的な負担の上昇もかなり急激なものとなっておる。こうした結果、サラリーマンを初め納税者の不公平感、負担感が高まっておる。こういう前提の上に立つわけでございます。 さらに、高齢化の急速な進展によっての総人口に占める高齢者の人口比率の高まり、いつも申し上げておるとおりでございますが、若い働き手世代の比率が減っていく状況の中で、現行の税制のままではさらに国民の負担が働き手世代の稼得する勤労所得に対する負担に偏って、その結果、不公平感、重税感が一層高まっていくではないか、そのことはひいては勤労意欲や納税意欲が阻害されるということになってはいけない。そういうことから今度均衡のとれた安定的な体系を構築していくことが喫緊の課題であるというような、これは非常に抽象的な考え方を申し述べましたが、そのような形で、諮問をしておる考え方の底意はそこにあるわけでございます。 ちょっと長くなりましたが、一例で直間比率について、直間比率ということも望ましい税の組み合わせ、選択された結果として出てくる数値でございますが、例えば六十三年度予算ベースの直間比率が七二・二%対二七・八%とかなり極端な割合になっておる。だから、いきなりこれを何ぼにしようというようなことではなく、はて極端な形になってきたのは一体中身がどうなんだろう。そういうことを考えてみますと、勤労所得の源泉所得税の大きさなどはやっぱり直していかなきゃならぬというようなことに帰結していくのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
○安恒良一君 どうも抽象的でわかりかねますが、少し具体的にお聞きしたい。 総理が所得、消費、資産の均衡のとれたと言われる。ですから、均衡とは具体的にどのような状態でしょうか。どのような税構造になるんでしょうか。三つを均等な負担割合にしようということですか。
○国務大臣(竹下登君) もとより三つを三・三、三・三、三・三にしようというような考えがあるわけではもちろんございません。先ほども申し上げましたように、結果として出てくる数値であるわけでございますので、今度税制改革の議論が出てまいりましたのは、私は、その底辺には不公平感というものからやっぱりこれだけかまびすしい議論になったんじゃないかなというふうに思うわけでございます。その不公平感というのが最も中和される姿というものが、しょせん所得と消費と資産しか着目すべきものがないわけでございますから、その三つの中でこの議論がされて、要するに原点となった不公平感が可能な限り中和された姿が結果としてあらわれるものが私は均衡がとれたということではなかろうかというふうに思っております。
○安恒良一君 どうも総理の答弁は定性的でわかりかねる。税のことですから、税というのはやっぱり定量で答えてもらわないかぬですね。 ですから、今私が聞いているのは、いわゆる不公平感とか最も公平なと言われますから、定量的にどうしようとするのかというのを、一つの例を挙げましょう。例えば、今おっしゃったように所得税が大変だと、じゃあ所得税を均衡化するために何%構成比の中でこれを下げるのか。所得課税、消費課税の割合は総理がおっしゃったとおりですから、それを何%下げれば均衡がとれるというふうに総理はお考えか、そのことを聞いているわけです。
○国務大臣(竹下登君) 国税収入に占める給与に対する源泉所得税と間接税というものを見てみますと、昭和三十五年から、大ざっぱに言ってそれ以前、全体的には直間比率が五分五分という状態、ほぼそういう状態でありますが、給与に対する源泉所得税と間接税とを見ますと、昭和三十五年が一一・九%、所得税の方でございます。間接税が四五・七。それから四十年が、一五・七と四〇・八。それから五十年が一七・六と三〇・七。それで六十一年が二一・八と二六・九。そういうふうな形で推移してきておる。先ほども申し述べましたが、家計調査における勤労者世帯の税と社会保険料負担、これを合わせてみますと、この構成比が三十五年が七・六、四十年が八・四、五十年が八・六、六十一年が一六・一、こういう傾向がますます続いていくということが言えると思いますので、あらかじめ一義的に何対何ぼということを念頭に置いておるわけではございません。
○安恒良一君 どうも総理は私の聞いていることに答えていない。 総理が税の構造を改革したいと言われる。現在の税の構造に不均衡があるからだという御認識ですね。そうしますと、所得と消費と資産の間にどのような不均衡があるのか。不均衡と言われる限り定性的なものでは困るわけで、定量的にどのように不均衡があるというふうにあなたは認識をされているんですか。私は直間比率のことを聞いているわけじゃないんです。総理が提示した所得、消費、資産の課税でどんな不均衡があるのか、その不均衡をあなたはどのように直そうとされているのか、このことを的確に答えてください。
○国務大臣(竹下登君) 不公平感が存在しておるというのはやはりそこに不均衡があるではないか、その不公平感というものは、直接税の中において、なかんずく給与所得と資産所得の中の不公平感というものもあるだろうと思います。それから消費に関するものに対する不公平感も、個別消費税などにおけるいわばその課税物品の間に不均衡がある、こういうことは現実問題として言えると思うのでございます。したがって不公平感から生じたものが不均衡というものである。不均衡が何対何ぼになったときに均衡がとれたということは、従来からの租税弾性値一つ見ましても、どっちかといえば消費にかかるものよりも所得にかかるものの弾性値が高いわけでございますから、年々ほっておけば変わる性格のものでもございますだけに、あらかじめ定量的に示すというのは、過去のデータを定量的に、データを数字として我々の反省なり今後の改革の資料にするということはあり得ますけれども、あらかじめそれを一義的に固定化しておくという性格のものではなかろうというふうに考えております。
○安恒良一君 不公平と不均衡という言葉は正確に使い分けてもらいたいと思いますね。私は今、不均衡論、あなたのおっしゃる不均衡論をやっているわけだ。それから、過去のデータは私も承知してます。総理もお持ちですから、過去のデータをここで御説明願おうと思っていません。 私はもう一遍聞きますが、所得、消費、資産にかかわる税の何が不均衡なのか。だから、その何が不均衡かということについて、不均衡の物差しは何でしょうか、こういう点について、ぜひ総理、税構造を変えたい、不均衡を変えたいと、これがあなたのこの税における大命題ですから、もう少し定量的にお答えください。
○国務大臣(竹下登君) これはかつての経験からしても、鋭い御質問をいただいてきたわけでございますが、定量的にというのは、これは率直に言って非常に難しい問題であると私自身思っております。いわば例示として申し上げるならば、給与所得に対する源泉所得と間接税の比率がこのように変わってきたということも、これは不均衡の例示の一つにはなりましょうけれども、不均衡というものは、やっぱり不公平感があるということは、結果としてそれは不均衡というものにつながるものであって、これを定量的に示せと言われても、率直に言ってこれはなかなか難しい問題だなというふうに私はお答えせざるを得ません。
○安恒良一君 総理、あなたは定量を難しいと言いながら、直間比率についてはある程度数字を挙げられてそれの是正を言われたわけですね。ですから、私が、そこであなたがおっしゃっている所得、消費、資産課税に分けたらあなたは不均衡だと言われているんですから、この直間比率の不均衡にはかなり熱心に数字を挙げられたんですが、これには今度は数字が答えられない。それでは私は税制の議論は進まないと思います。この点についてどうでしょうか。 それからいま一つ、ここで角度を変えて聞いておきましょう。 総理が考えた、じゃあ今度は均衡の基準は何ですか。均衡と言う限りあなたには一つの基準があるはずです。その基準について説明をしてください。
○国務大臣(竹下登君) 均衡の基準というのは、それはやっぱり国民のより多くの人が、この不公平感というものが可能な限り中和された姿で結果として出てくるものが均衡ではないかなというふうに思っております。したがって、初めからいわゆる定量的な均衡というものを提示するというのは、これは税制そのものから見ても難しいんじゃないかなと。要するに、きょうもこうして議論しておるわけでございますが、多くの皆さん方がなるほどなという感じをお持ちいただける、そういう議論の上に積み重なった結果というものが均衡というものになるのではないかなというふうに私は考えておるわけであります。 間接税といわゆる給与に対する源泉所得税の比率をたまたま申し述べたわけでございますが、これはやはり不公平感が存在すると。そして数字を、いろいろ過去の経緯を見てくると、やはりこれはかなりの開きが生じてきたものだなといえば、それに対してメスを入れた問答が行われ、そこでおよその妥当なものというある種のコンセンサスが出ていくというのが一番望ましい姿じゃなかろうかなというふうに考えておるところでございます。
○安恒良一君 私は全く納得ができません。なぜかというと、総理は高らかに、私が聞いたときに、所得、消費、資産の間で均衡のとれた、そして二十一世紀を頭に描いた安定的な税体系を構築したいと言われながら、均衡の中身について、また均衡の基準について何一つお答えになりません。それで国会で税制論議を進めろと言っても無理です。私はやはり今残念ながら、細かく聞いてみましたが、総理の意味不明な答弁、これではこれより以上の税制論議ができません。この事態について理事間で取り扱いを協議してもらいたい、もう少し明確にしてもらいたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) それより前に、一つ補足をさせていただきたいと思います。 まず、この均衡がとれた状態とはどういう状態かということ、これは一義的に定義をすることは私は難しいと思いますが、仮に過去のある基準年次というものをとって、そのときからどれだけ乖離しているかということならこれは言えるわけであります。しかし、それも実は、それからきょうまでの間に日本という国は変わっておりますから、仮に昭和三十五年の状態が理想的な状態だったと申すわけにはいかないでございましょう。それは簡単にそういう議論はできないと思います。 仮に三十五年という時点をとってみますと、先ほどお話しになりました数字を言えということであれば、そのときの所得税の国税の構成比は二一でございます。現在は三九でございます。法人税はほとんど変わっておりませんで、そのとき三一、現在も三〇ぐらいでございます。消費課税は四二であった、現在二〇でございます。それから資産課税は四・二であった、これは現在ちょっとここで高くなっているんですが、一〇・二になっております。 ですから、三十五年が私は正しかったということを申し上げることもできないし、申し上げようとも思いませんが、トレンドというものはわかります。ある時点からだんだんだんだん所得税のウエートが大きくなっていく、消費課税のウエートが小さくなっていく、資産の方はどうもそんなに顕著な動きは見えませんが、やや高くなっている、こういったようなことだけはこれは御参考に申し上げることはできます。
○安恒良一君 全くわかりません。 私は、そんな傾向値を聞いているのではないんです。これはもう資料でもらっているんですから。そういう状況にあるものを総理は、所得、消費、資産の間の均衡のとれた税構造をつくりたいとおっしゃっていますから、そういう現状でどのように均衡がとれたものにするか、定量的に言っていない。でなけりゃ税制議論というのは進まないんですよ。過去の数字がこれだけだということだけではわからないんです。その数字をどう変えるのか、例えば所得をどのくらいにしたい、資産をどのくらいにしたい、消費をどのくらいにしたい、そこで初めて税の議論が出てくるんですよ。そのことを全然言わなくて私はこれより以上審議を進められません。議論してください。
○委員長(原文兵衛君) 速記をとめて。 〔午後二時十五分速記中止〕 〔午後二時三十八分速記開始〕
○委員長(原文兵衛君) 速記を始めて。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどの安恒委員のお尋ねで、大変に難しいお尋ねでございますし、実は政府税調に所得、消費、資産のバランスのとれたというような意味での諮問をいたしておる現在でございますので定量的なことを申し上げることができませんが、先ほど申しましたように、少なくとも過去のある時点、例えば先ほどは昭和三十五年を申し上げたのでございましたが、当時と比較いたします限り所得、消費、資産に対する課税は、その相互の均衡の上では現在かなり変化をしてきているということは申し上げられると思います。
○安恒良一君 わかりません。 それでは総理にお聞きします。 現在の構成比は総理が言われたとおりですが、そうすると、今大蔵大臣が言われた三十五年の数字を見ますと、いわゆる所得税の国税の中における構成比は五三・六です。それから消費は四二・二%です。それから資産等は四・二%ですね。そういうふうに変えたいとこういうお気持ちですか、総理。構成比を変えたい。総理に聞いているんです、総理、総理。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどもただいまも申し上げたのですが、この三十五年が理想的なバランスがとれておったということを別に実証的に申し上げることはできませんし、また今日の我が国と昭和三十五年の我が国とは大変に違っておりますから、ここに返ればいいということを先ほど申し上げようとしたのではございませんで、これから趨勢的にこの二十何年間、ずうっとこのバランスがある一定の方向へ向かって外れてきているということは恐らくはやはり一つのゆがみであろうと、この程度のことなら申し上げられる、こういうような意味合いでございます。
○安恒良一君 総理、私はそれでは国民は議論ができないと思うんです。総理がおっしゃっている所得、消費、資産のいわゆるバランスのとれた税改革と言う以上、現状の数字を少なくとも大項目的に見て、所得と消費と資産についてはこの程度に変えたい、こうおっしゃって初めて、私どもは賛成しておりませんが、あなたがおっしゃる間接税議論にも議論が発展をしていくんです。そこのところをぼかして、国会でこれより以上税の議論をせいと言うのは無理です。できません。
○委員長(原文兵衛君) 速記をとめて。 〔午後二時四十一分速記中止〕 〔午後三時六分速記開始〕
○委員長(原文兵衛君) 速記を始めて。 ただいまの安恒君の質問については、理事会において協議して、後日政府の見解を求めたいと存じます。 なお、安恒君の質問は後日に譲ります。 ─────────────
○委員長(原文兵衛君) 次に、佐藤昭夫君の質疑を行います。佐藤昭夫君。
○佐藤昭夫君 君が代、日の丸問題で質問をしたいと思いますが、それに先立って天皇の戦争責任の問題でお尋ねをします。 まず、総理は日本国民三百十万人に上る犠牲者を出し、重大な惨禍を招いた十五年戦争における天皇の戦争の責任についてどのようにお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 正確に整理してきましたから読み上げます。 旧憲法はいわゆる立憲君主制をとり、同憲法下においては天皇は統治権を総攬する地位にあられたが、憲法上の慣行として国務大臣その他の機関の輔弼、補佐によって政治がなされ、天皇は輔弼、補佐機関の決定を拒否されることはなかったと言われているところであります。 天皇陛下がひたすら世界の平和を祈念してこられ、さきの大戦に際しても回避するため全面的に努力され、また戦争終結の御英断を下されたことはよく知られているところであります。
○佐藤昭夫君 帝国憲法の第四条による天皇の統治権総攬の問題は少し触れられたかと思いますけれども、第十一条「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」と、間違いありませんね。
○政府委員(味村治君) 大日本帝国憲法第十一条に、「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」と規定されております。
○佐藤昭夫君 したがって、いわゆる軍の行動、戦争の開始、終結の決定権は天皇にあったはずだと思いますが、総理どうですか。——総理に聞いているんです。
○政府委員(味村治君) 御指名がございましたので私から申し上げます。 旧憲法第十三条に「天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス」ということになっておりまして、宣戦の布告ということはこの十三条の規定によりまして天皇の権能とされておりました。 ただ、先ほど総理がおっしゃいましたように、旧憲法下における天皇は、内閣を初めその他の輔弼機関の輔弼によりまして、あるいは補佐によりましてその権能を行使されたのでございまして、その輔弼機関なり補佐機関の決定を拒否されたことはないと言われているところでございます。
○佐藤昭夫君 そうすれば、天皇は輔弼機関のいわばロボットのようなものですか。
○政府委員(味村治君) 先ほど申し上げましたように、天皇は旧憲法の第四条によりまして統治権の総攬者となっておりますが、しかし旧憲法の慣行上、先ほど申し上げましたように輔弼機関、補佐機関の決定を拒否されたことはなかったと言われているところでございます。
○佐藤昭夫君 総理、問題の十五年戦争の責任者であった東条首相、この任命権は天皇にだけあったんじゃないですか。
○政府委員(味村治君) 国務大臣の任命権は天皇にありました。
○佐藤昭夫君 そうすれば、開戦の責任が天皇にあることは明白じゃありませんか。 さらに終戦についてでありますが、資料をお配りください。 〔資料配付〕
○佐藤昭夫君 今配付いたしました資料の一ページ、終戦は私の判断で行ったんだというふうにアメリカのニューズウイーク記者との会見において天皇が発言していますね。ll総理、法制局と何が関係ある。
○政府委員(味村治君) 憲法の運用の問題でございますので私が申し上げます。 この新聞どおりに陛下が御発言になったかどうかということは私はつまびらかにいたしませんが、この新聞によりますと、「戦争終結時に私は私自身の決定をした。というのは、首相が閣内で意見をまとめあげることができず、私に意見を求めてきたからで、私は自分の意見を述べ、自分の意見に従って決定した。戦争開始の際は閣議決定があり、私はその決定を覆すことができなかった。」、こういうふうにおっしゃっておられるという記事になっているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、輔弼機関、内閣その他の輔弼機関の決定を天皇は拒否されたことはなかったということ。それから、この終戦の場合には内閣で決定することができませんでしたので陛下がお決めになったということでございまして、先ほど申し上げたところと一致するわけでございます。
○佐藤昭夫君 総理に答弁を求めているんです。
○国務大臣(竹下登君) 憲法論議等を避ける考えはございませんから法制局長官からお答えをしておるところでございますが、現在の憲法下において、天皇は国政に関する権能を有していないと定められておって、天皇は政治におよそ関与されないという立場に立っておられるところであります。したがって、天皇を政治的な問題に巻き込むおそれのあるようなことの問答は私は差し控えるべきものである、このように考えております。
○佐藤昭夫君 現憲法のことは何も聞いておりません。
○国務大臣(竹下登君) 私の考えを申し述べたことであります。天皇を政治的な問題に巻き込むおそれがある問題について差し控えるのが適当である、このように考えております。
○佐藤昭夫君 納得できません。終戦の決定について質問しているんです。私は、資料一ページの関係で旧憲法下における終戦の問題をめぐって聞いているんです。総理答えてください。
○国務大臣(竹下登君) あなたの資料に基づいての見解は法制局長官が述べたとおりであります。
○佐藤昭夫君 資料の二ページにいわゆる十五年戦争開始に当たっての「関東軍に賜わりたる勅語」、あるいは南京大虐殺と言われたあの事態についての「中支那方面の陸軍部隊に賜わりたる御言葉」、こういったものを資料としてつけておりますけれども、その詳細は省略をいたします。読んでいただいたらわかるとおり、天皇が軍の行動を鼓舞激励をしておるということは明白でありますけれども。 そこで、天皇の終戦決断がおくれて、沖縄戦、そして広島、長崎の原爆の投下、終戦の決断が早かったらああいうことは避け得たのにというのが今日周知の論となっておると思うんですけれども、総理、この点についての見解はどうですか。
○国務大臣(竹下登君) 重ねて申し上げます。 天皇を政治的な問題に巻き込むおそれがありますので、お答えを差し控えるが相当だと思います。
○佐藤昭夫君 事実上の答弁拒否です。納得できません。
○委員長(原文兵衛君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(原文兵衛君) 速記を始めて。
○佐藤昭夫君 旧帝国憲法の解釈について法制局長官がいろいろ述べることは、それはそれで理解はするんです。しかし、事実関係がどうであったかと、天皇の戦争責任にかかわって。この問題について、総理大臣が現天皇に影響を与えるようなことについては一切発言を控えたいというこの態度がけしからぬということで、私は繰り返し言っているわけでありますけれども、まあそういうことを総理が言って、いわゆる戦前の時期の旧憲法下における天皇の戦争責任については一切しゃべらぬというのが竹下内閣の態度だということであれば、それはそれとして確認をしてこれに厳重に抗議をしておきます。 そこで、次の問題に移ります。 いわゆる君が代、日の丸教育の問題でありますが、この君が代は、我が天皇陛下のお治めになるこの御代は千年も万年も続きますようにというこの天皇制を賛美する歌じゃありませんか、文部大臣。
○国務大臣(中島源太郎君) 我が国の国歌として定着をしております君が代は、我が日本が永遠に栄えるようにという願いを込めたものであることは間違いありません。
○佐藤昭夫君 文部大臣、そのように言われようとも、この君が代はかつて新憲法制定議会において、昭和二十三年六月の二十日の当院本会議においてでありますが、当時の森戸文部大臣、これが答弁しているように、国民学校令施行規則にある式日の行事から教育勅語奉読とともにこの君が代も削除するということになったこの事実、確認されますね。
○国務大臣(中島源太郎君) 昭和二十三年当時のこととして確認はいたします。
○佐藤昭夫君 昨年十二月の十八日、東京都の東久留米市の小学校教頭会研修会、ここで使われました文書の中に君が代は皇室国家として我が国にふさわしい歌だ、また、ふだんより子供に皇室国家に生まれた日本人としての喜びと誇りを持たせるというふうに書いてある。この文書は、同市の教育委員長もさすが二月の二十九日、ずばり言えば大日本帝国憲法につながる遺憾なものだという事実を認めているわけでありますが、このような君が代教育は現憲法のもとでは許されないと総理もお考えになるでしょうね。
○国務大臣(中島源太郎君) 先ほどの森戸文部大臣の御指摘がありましたから、その続きとして私からお答えいたしますが、昭和二十三年当時のこととして確認いたしますと申し上げたので、当時は国旗におきましても昭和二十年、GHQ指令で掲揚につきまして制限があったわけであります。そういう時点での文部大臣が国民学校令施行規則の中の式日の行事において君が代を斉唱するという点をほかの部分と一緒に削除を行ったという昭和二十三年時点でありまして、その後昭和二十四年には国旗掲揚も制限が撤廃されております。二十五年には天野文部大臣が国旗掲揚並びに君が代斉唱につきましても進めておられるわけでありまして、その後昭和三十三年から文部省の学習指導要領の中にもその点は盛り込みまして、我が国の国民の心に定着をしております日の丸、君が代を尊重するという点は広く進められるべきもの、進めることが望ましいという点で今日に至っておるわけでございます。
○佐藤昭夫君 委員長、答弁漏れです。東久留米の問題について聞いているんですが答弁漏れです。——いやいや、総理が答えますから。
○政府委員(加戸守行君) 赤旗で報道されました、東久留米市におきます小学校の教員研修会におきましてそのような資料が配られたというような状況は承知いたしておりますが、事実関係につきまして現在東京都教育委員会に照会中でございまして、東京都教育委員会もどのような趣旨でそのような言葉が使われたかというような事実関係の確認を急いでいる段階でございます。
○佐藤昭夫君 昨日厳重に質問通告をして、至急に調べようと思ったらファックスの発達しておる今日、すぐそんなものは入手できる。なぜ答えないんですか。
○政府委員(加戸守行君) この問題につきましては東京都教育委員会に対して照会中でございまして、東京都教育委員会の方から事実確認を調査中であるという返事をちょうだいしている段階でございます。取り上げられました事柄はいろいろございますが、先生おっしゃいましたような皇室国家に生まれた日本人である喜びと誇りを持たせる指導という言葉が使われております。どういう意味で使われたのであるか、そういったものは資料をつくられた方の気持ち等も確認する必要があるわけでございまして、そういった全般の調査を急いでいるという段階でございます。
○佐藤昭夫君 東京都の教育長も三月七日の都議会本会議で皇室国家という言葉は不適切だと発言をしている事実を知っていますか。
○政府委員(加戸守行君) 東京都の教育長が都議会におきまして答弁された状況等は聞いております。ただし、その前段階に、誤解を招く点があったとすればというような前書きがついていると思います。
○佐藤昭夫君 東京都教育長の答弁を知っていながらなぜ文部省の見解が言えないんですか。こういう文部省の態度であればこそ、実はまた悪循環として東久留米市のような事態が起こってくるということだと思うんです。 そこで、これは竹下自民党総裁にお尋ねをします。総理でもあり自民党総裁でもある竹下さんにお尋ねします。この二月二十九日、学校における日の丸掲揚、君が代斉唱に関して、各都道府県の自民党の都道府県運会長並びに幹事長に対して通達を出していますね。自民党の問題ですから、これはやっぱり竹下さんがお答えください。
○国務大臣(竹下登君) 何月何日ということを正確に覚えておるわけじゃございませんが、通達は、自由民主党本部から都道府県連に通達というものを出しておるということはあろうと思います。
○佐藤昭夫君 たまたま私はこういうものを入手いたしました。相当分厚い、資料編がついておりますので分厚いんですけれども、「卒業式・入学式における国旗掲揚及び国歌斉唱について」ということで二ページにわたる通達、今私申し上げた各都道府県連に対する通達ですね。その中での重大な問題は、「引き続き都道府県・市区町村教育委員会を御指導いただくとともに、」というこのやつです。自民党という政党が教育委員会を指導せよというわけです。教育基本法が厳重に戒めている、いわんや政権政党でしょう、自由民主党。これが各地方の教育委員会を指導せよと言っているのはこれは一体何事ですか。教育基本法違反じゃないですか。見解はどうです。——局長が出るような問題じゃないよ。
○政府委員(西崎清久君) 教育基本法の問題でございますので、その点に関連しまして私からお答えいたしますが、先生御指摘の自由民主党の県連に対する通知というのは、私ども行政の立場でも承知しております。その内容につきましては、やはり国旗、国歌の学校教育における重要性ということについて自由民主党としての立場で県連を御指導になっておる。その文言の中に、教育委員会なりあるいは市町村教育委員会への指導という言葉はございますが、やはり教育行政は先生御指摘のように基本法に基づきまして自主的に私ども行政の立場が責任を持って行う、これが基本でございます。しかし、必要に応じてそれぞれのいろいろな団体、それぞれのお立場でいろんな御意見なり要請があることは事実でございます。したがいまして、私どもの理解としては、先生御指摘のこういう文書はやはり強い要請というふうな形で恐らく県連を御指導になったのではないか、こういうふうに理解するわけでありまして、その意味では基本法違反という問題は起きない、こういうふうに考える次第でございます。
○佐藤昭夫君 どうして自民党のことがあなたに理解できるのか。自民党の気持ちをどうしてそんたくできるのか。 総理、御答弁を。
○国務大臣(竹下登君) 自民党通達であります。各政党がそれぞれの立場にあって通達を出されることはあるべきことであると思っております。今の文言自体から来る問題は、強い要請であるというふうに理解できると思っております。 私自身本当は、何でこんな質問があるか、どう答えていいか迷うぐらいでございまして、率直にそのことを答弁の中の一こまとして言わせていただきます。
○佐藤昭夫君 竹下さんが答弁を迷うと言われるのは、私は、これは大変なことになってきたということがちょっと心の中であるんじゃないかと。いや、単に強い要請だ云々ということで逃げられる問題じゃないんですよ。「都道府県・市区町村教育委員会を御指導いただく」、ここは「指導」なんですよ。で、「友好団体・PTA・同窓会に対し、関係当局への要望活動を御依頼」と、明らかに言葉を使い分けているんですよ。単に強い要請、要望だ、表現だというようなことでは済まされない。これは教育基本法違反です。こういうものは断じて撤回をしてもらいたい。総理、自民党責任者、どうぞ。
○国務大臣(竹下登君) 党の通達でございますから、私も言葉を選んで申し上げております。答えができないから言葉を選ぶのにちゅうちょしたというのではなく、あなたの見解の中へみずから溶け込んで答弁の言葉を探すのに大変ちゅうちょしたと、こういう意味であります。
○佐藤昭夫君 答弁漏れです。私は撤回をせよと、撤回してもらいたいという質問をしておるんだから、それに答えてください。(「佐藤さん、立ってやりなさいよ」と呼ぶ者あり)いや、答弁漏れだから……。
○国務大臣(竹下登君) 自席でありましても声は聞こえましたから申し上げますが、そういうのを自由民主党総裁として撤回せよと言う考えは全くありません。
○佐藤昭夫君 政党が、中央組織が下部地方組織に対して通達を出す、その一般論を否定しているんじゃないんですよ。この通達の中身が重大だということで——これは法制局に聞きましょう、それなら。これこそ教育基本法違反じゃありませんか。政権政党が各地方の教育委員会を指導せよという通達、どうですか。
○政府委員(味村治君) ただいま伺ったばかりでございまして、法律論としては、まず事実が確定いたしましてそれに法律を当てはめるという作業が必要なわけでございますが、その事実につきまして十分承知いたしておりませんので、法律論の適用ということは現段階では私は答えることができません。
○佐藤昭夫君 それならちょっと見せます。
○委員長(原文兵衛君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(原文兵衛君) 速記を始めて。
○佐藤昭夫君 理事会で御協議いただいたことには感謝をいたしますが、私は何回も問題の部分を発言しておる。それを法制局長官が事実がよくわからぬのでというようなことで言っているというのは、やっぱり教育基本法違反のおそれありということで答弁がしにくいんだというふうに私は考えて、時間の関係で次へ問題を進めます。 そこで総理、現在国歌を君が代とし、国旗を日の丸とする法律上の定めはございませんね。
○政府委員(味村治君) この問題はかねてから問題になっているわけでございます。 それで、まず国旗について申し上げますと、明治三年の太政官布告、商船規則というのがございまして、そこに日本の船舶に掲げるべき国旗として日の丸の様式を定めたものがあるわけでございます。これは現在も現行法として生きているというふうに考えております。ただ、その商船規則の規定は、これは日本船舶に掲げる国旗だけについての規定でございまして、国旗一般についての規定というのはないわけでございます。それで国旗が日の丸だということについての一般的な規定はございません。商船についての規定は先ほど申し上げましたようにあるわけでございます。しかしながら法律上は、法律におきまして、例えば商標法におきましては国旗を商標とすることはできないというような規定もございます。あるいは自衛隊法、あるいは海上保安庁法にも国旗という文言が使ってございます。これらの法律で国旗という文言を使っております場合に、じゃ何が国旗かと申しますと、それは日の丸が国旗だという国民の確信、国民的確信を前提とした上で法律にそのように国旗という文言が使われているものだ、このように私どもは考えておる次第でございます。したがいまして、日の丸は我が国の国旗であるということは、言ってみれば慣習法となっているというように考えている次第でございます。 次に国歌でございますが、君が代は明治十三年の当時の天長節に初めて演奏されたということでございまして、それ以来ずっと国歌として国民の間に定着をいたしてきたと存じます。この国歌につきましては、先ほど国旗について申し上げましたような法律の規定は現行法ではございません。戦前には海軍礼式令に国歌という文言がございまして、その際には国歌として君が代が奏されたということがあるそうでございますが、現行法には国歌について規定をした法律はございません。しかしながら、先ほど申し上げましたように、明治十三年以来これは国歌として我が国の国民の間に定着をしてきたところでありまして、言ってみれば君が代が国歌であるということは国民的確信になっているというように考えております。
○佐藤昭夫君 誤解を呼ぶ話がいろいろあったわけでありますけれども、結論的に、この間衆議院の予算委員会、二月の二十六日、我が党の山原議員が質問をして、去年の予算委員会からいろいろ誤解の紛糾があったというので、昭和五十四年四月十日の衆議院内閣委員会における真田法制局長官、これが申し上げた趣旨と変わるものではありませんというふうにあなたはこの間言ったんですが、変わりませんな、きょうも。
○政府委員(味村治君) 私がただいま申し上げましたことは、昭和五十四年四月十日、衆議院の内閣委員会におきまして当時の真田法制局長官が答弁したことと趣旨は変わっておりません。
○佐藤昭夫君 その趣旨というのは、国歌を君が代とし、国旗を日の丸とする法律上の明文規定はないというところが問題の核心なんです。 そこで、こういう法的な定めのない君が代、日の丸を国民には強制できないはずですね、法的に。
○国務大臣(中島源太郎君) 今法制局長官からも申し上げたように、一般的な法令上の規定はありません。ただ、これは世界じゅうの国旗、国歌につきましても、それぞれ憲法で決めている国もあれば、法令あるいは勅令、あるいは全く法律上の規定のないものもございます。何が重要かというと、いかに国民の間にそれが定着しておるかということが大事でありまして、我が国の国民にとりましてやはり日の丸は国旗、そして君が代は国歌、こういう定着をしておりますし、この点につきまして、君が代は国歌であり、日の丸は国旗であるということは元内閣総理大臣もお述べになっております。また、元文部大臣も述べられております。私もそのように思っておりますし、その我が国の国旗、国歌として定着しておるものが広く国民の間に尊重されるということは当然好ましいことである、このように考えます。
○佐藤昭夫君 文部大臣、あなたの言った趣旨は、法律上の定めはないけれども、国民の中に定着しておるから法律的に強制できるというんですか、そんなことじゃないでしょう。
○国務大臣(中島源太郎君) 法律的に決まっておる国もあれば、決まってない国もあります。
○佐藤昭夫君 いや、我が国を聞いておるんです。
○国務大臣(中島源太郎君) 我が国の場合には何よりも、法律で決まる決まらないでなくて、我が国の国民の中にいかに定着しておるかということが大事だと、こう申し上げたわけでありまして、その大事なものが国民の心に広く浸透し尊重されることは、これは当然好ましいことであり、それは進めるべきことであると私も考えておると、こう申したわけであります。
○佐藤昭夫君 法律上の定めのないものを国民に法律的に強制できるのかという、これに対して、定着しておるから何じゃらかんじゃらですよ。法制局長官。
○政府委員(味村治君) 強制できるかということにつきましては、それぞれ強制をいたします法律上の根拠があることが必要になっているわけでございます。私が先ほど申し上げましたように、我が国の慣習法上、日の丸は我が国の国旗であるという慣習法が存在する、また君が代が国歌であるという事実たる慣習が存在するということを先ほど申し上げましたが、それを前提といたしまして、先ほど申し上げましたように国旗は商標登録を受けられないというのは、これは何といいますか、日の丸が国旗だという慣習法を前提といたしまして商標登録はできないんだぞという法的効果を与えているわけでございます。ですから、そういう法律によりましてそういう法的効果を日の丸なり君が代に与えるということは可能であるわけでございます。
○佐藤昭夫君 今長官は前段で、強制できるということは強制できる法的根拠が要るんだとこう言いながら、後段でまたしようもないことを、慣習法の何じゃらかんじゃら言うんですよ。だから、とにかく法律上の定めはないんですから、法律的に強制をすることができないというのは明白なんですよ。 ところが、国民に対してはそういう関係にあるのに、なぜ子供と学校に対して強制をするんですか、文部大臣。
○政府委員(西崎清久君) 先生のお尋ねにつきましては二点あるわけでございますが、一点の国民全員——全般でございますね、に対して君が代、国歌、それから日の丸、国旗を強制するかしないか、これは私どもの答弁の立場にないわけでございますが、学校教育において国旗、国歌の教育をどうするか、これは私どもの所管でございます。 そこで、先ほど文部大臣も述べましたように、国旗、国歌が長い国民的な合意のもとにそういう形で認められてきておる。それを踏まえて政府も君が代、日の丸が国歌、国旗である、こういうふうに認めておるわけでございまして、国旗、国歌を学校教育においてどういうふうに教育するかということは大変大事だ、文部省としてはそういう立場で学校教育における国旗、国歌の扱いを適正に行うということを学校教育法並びにそれに基づく学習指導要領等で定め、実施をしておるわけでございまして、この点につきましては、学校教育の問題として子供たちに国旗、国歌に関する教育を行っておる、こういうふうな立場でお答えをさしていただきたいと思います。
○佐藤昭夫君 総理、この日の丸、君が代をめぐって国民の中に意見が分かれているということは認められますね。
○国務大臣(竹下登君) 佐藤さんが反対していらっしゃるということは私も認めます。
○佐藤昭夫君 そういう私一人の問題ですか。
○国務大臣(竹下登君) 佐藤さんらと答えましょう。
○佐藤昭夫君 国民の中にそういう意見の相違のある問題、考え方の違いのある問題、にもかかわらず、なぜ文部省が学習指導要領で定めたらそういう思想信条の自由にかかわるようなことを強制ができるんですか、文部大臣。
○国務大臣(中島源太郎君) ちょっと意味がわからないんですけれども、学校教育に関しましては文部省が担当いたしております。教育基本法というものがありまして、日本国憲法のもとに基本法がございます。日本国憲法で定めました平和的な国家をつくるためには我が国並びに世界に目を向けるように、こういうことが前文に書かれておるわけでございます。それぞれの国にはその象徴としまた定着しておる国旗、国歌があるわけでありまして、まず……
○佐藤昭夫君 意見の相違はあるんですよ、認め……
○国務大臣(中島源太郎君) 意見の相違は、それぞれの国で定着しておるものもありますし法律のものもあると申し上げておるように、法律で定めていないけれども国民の大多数に定着しておるからその国の国旗であり国歌であるとなっておる国があるわけであります。我が国もまたそうでありまして、それなるがゆえに我が国の国旗並びにすべての国の国旗の意味を理解し尊重する、これがお互いに国と国との心の交流を深め、平和につながる、これは当然のことだと思うわけでございますね。それを進めておるわけでありまして、これは日本国憲法にのっとった最もすばらしい指導方法だと私は思っております。
○佐藤昭夫君 とんでもないことを言いなさんな。今の学習指導要領でも儀式などにおいて日の丸、君が代を扱うことが望ましいと、この範囲でしょう。
○国務大臣(中島源太郎君) その前段に、その指導要領の中に、我が国とすべての国の国旗の意味を理解し尊重する、こういうことがあるわけでございますのでお見落としないようにお願いをしたい、こういうことで念のために申し上げたわけでございます。
○佐藤昭夫君 「望ましい」ということに答えていない。「望ましい」ということになっているでしょうということに答えていない。
○国務大臣(中島源太郎君) 当然、現在「望ましい」ということにしております。
○佐藤昭夫君 ということは、まさしく言葉のとおり望ましいのであって、法律的に義務づける、こういうことにはなっていないわけです。ところが、沖縄とか福岡とか京都とか、こういうところでは日の丸に反対をしたからという理由で処分さえ行われておる。まさに教職員の良心、思想、信条の自由をじゅうりん、否認するそのものじゃないかと思うんです。こういうことは絶対に教育委員会がやらないように、これこそ文部省は指導をしてもらいたい、処分を撤回するように。
○政府委員(加戸守行君) 地方公務員法の上におきましては、地方公共団体の職員は法令及び上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないという職務上の義務を負っておるわけでございます。しかして、この義務に違反した場合には当然懲戒処分の対象となる事柄でございます。 先生おっしゃいました各県の状況でございますが、六十年から六十一年あるいは六十二年にかけまして沖縄県、福岡県、東京都等におきまして、例えば卒業式、入学式等におきまして国旗の掲揚を阻止する等の行動がとられましたものにつきまして、これを職務上の義務違反として懲戒処分にしたケースが幾つかございます。しかしながら、これは学校行事の中でどのような取り扱いをするかという校長先生の判断によってその行事が行われ、しかもその指示に反して特別な阻止行動をとられたという職務上の義務違反に対する措置でございます。
○佐藤昭夫君 職務命令違反だと言うんですけれども、本来、法的に義務づけもされていないことを職務命令するということが間違っているんですよ。そのことを、初等的なそういうことを知らぬで国会をだますようなそういう発言をしてもらったら困る。 そこで文部大臣、昨年の十二月二十四日、教育課程審議会が君が代、日の丸の扱いについて答申をしたと思うんですけれども、どこが現行の状態と変わるんですか。
○政府委員(西崎清久君) お答えの前に、先ほど先生御指摘の点で大臣の答弁を補足いたしますが、「望ましい」の問題は学校行事、特別活動の問題でございまして、現在の指導要領におきましても、小学校の社会科、音楽等ではやはり教科として教えるということがこれは指導要領の義務的な措置として入っておるということをつけ加えさせていただきたいと思います。 それからただいまお尋ねの、現状と先般の答申とでどこが異なるかということでございますが、まず最初先生御指摘のございました「望ましい」という点、学校行事、入学式それから卒業式において「国旗を掲揚し、国歌を齊唱させることが望ましい。」、この指導要領の表現につきまして、指導要領の趣旨は、そう行うことが適切であるという前提で、しかし学校行事にはやはり入学式や卒業式以外にいろいろな行事があるわけでございます。したがいまして、全体をひっくるめて「望ましい」、こう書いておるわけでありますが、受け取り方によりましては、やってもいいやらなくてもいいというふうな誤解もある、こういう点が教育課程審議会の答申におきまして、もう少しそこのところをはっきりと明確化すべしというふうな内容になっておる、これが第一点でございます。 それから第二点といたしまして、例えば小学校では「我が国や諸外国の国旗に対する関心やこれを尊重する態度を育てるように配慮する」、これが現状でございますが、やはり尊重する態度を育てるためには国旗、国歌の意義というものを理解させる必要があるのじゃないかというところが課程審の答申の第二点でございまして、この点につきましては、小学校の社会科、中学校の社会科でこれから扱いを私どもは指導要領作成のプロセスで検討してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。 大きく申し上げれば以上二点というふうに申し上げられようかと思います。
○佐藤昭夫君 前段の部分が少し不明確ですけれども、結局今度変わるのは、学校儀式の扱いについて義務づけるということですか。
○政府委員(西崎清久君) 指導要領につきましては、それぞれの校長あるいは所属職員がこの指導要領を遵守して学校教育を行っていただきたいという一つの規範でございます。したがいまして、その指導要領の規範としての内容の中にどういうふうな内容としてこれを盛り込んでいくかというところがこれから私どもの作業でございまして、年末までに指導要領作成のプロセスでいろいろ表現を考えてもらうわけでございますが、やはり国旗、国歌に対するそのような意味での指導を学校なり教職員がやっていただきたいというふうな方向で検討をしてまいりたいというふうに思っております。 〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕
○佐藤昭夫君 年末までに検討するという形であいまいにしていますけれども、臨教審の答申は義務づけという方向が出ているんだから、もう文部省の方向は事実上決まっていると思うんですよ。 問題は、「望ましい」という表現になっておる現在の事態でも処分が起こる、これがいよいよ義務づけということになったら重大なことになる。いわんや君が代の意味をどう教えるのか、「君が代は千代に八千代に」を。ということで大問題になるこれを義務づけるというようなことは、これこそ本当に思想、信条の自由の根本じゅうりん、絶対に許されない問題として、私はこの学習指導要領の改悪には断じて反対だということを強く申し上げておきます。答弁は求めません。 話を変えます。同和行政の問題です。 総務庁長官、昭和六十一年十二月十一日、地域改善対策協議会から意見具申が出ましたが、その主な内容を御説明ください。
○政府委員(紀嘉一郎君) 昭和六十一年十二月十一日に地域改善対策協議会の意見具申が出ましたが、この主な内容は「地域改善対策の現状に対する基本的認識」、それから「地域改善対策の今日的課題」、「地域改善対策事業のこれまでの実績と今後の課題」、「今後の地域改善対策の在り方」等について意見を取りまとめたものでございます。
○佐藤昭夫君 もうちょっと迫力を持って答えていただきたいですね。 総理もこの意見具申の立場に立ってこれからの同和行政の改善を進めていく、確かめるまでもないと思いますけれども、そうですね、総理大臣。
○国務大臣(竹下登君) 今後とも十分尊重してまいる所存であります。
○佐藤昭夫君 そこで総務庁長官、この意見具申において税の適正化の問題にかかわって四つの問題を大きく提起しておると思うのでありますが、御説明ください。
○政府委員(紀嘉一郎君) 税のところでございますけれども、読み上げてみます。 税の問題や公営住宅等の一部にみられる著しい低家賃の実態は、現在の国民感情を考慮すれば国民の間に不公平感を招来し、新たな差別意識を生む要因のひとつともなっている。国税において、一部にみられるような特別な納税行動については、その是正につき行政機関の適切な指導が望まれる。同和地区の納税者について、一般の納税者と異なった配意をすることは、決して、同和問題の解決という精神に沿ったものとは言えない。また、地方税においては、かなりの地方公共団体で、同和関係者等に対する減免措置が講じられているが、このような措置についてもその内容の見直し、適正化を図ることが望まれる。 以上でございます。
○佐藤昭夫君 国税庁長官、「特別な納税行動」、この意見具申で触れている、これは一体何でしょうか。その是正のためにどういう指導をしてきて、どんな成果の実が上がっていますか。
○政府委員(日向隆君) 今委員が御指摘になりましたように、地域改善対策協議会が六十一年十二月十一日、内閣総理大臣及び関係各大臣に提出した「今後における地域改善対策について」、いわゆる意見具申とおっしゃられておりましたが、国税については二つの指摘がございます。「一部にみられるような特別な納税行動については、その是正につき行政機関の適切な指導が望まれる。」、第二点は「同和地区の納税者について、一般の納税者と異なった配意をすることは、決して、同和問題の解決という精神に沿ったものとは言えない。」ということでございます。 〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕 私どもとしては、ここで言われていることは、具体的には、同和団体に属する納税者がその確定申告書を国税局に一括して提出し、またこれまで国税局がその一括提出に係る確定申告書を受け取ってきたということを指摘しているというふうに理解しております。これについては、委員も御案内のとおり、確定申告書は国税通則法第二十一条等により住所地等を所轄する税務署に提出することになっておりますので、国税局に提出された場合には、例えば誤った意図をいたしまして例外的に提出された場合には、現に提出されている申告書を突き返したりまたは無効扱いにしたりすることはこれは不親切でございますから、所轄税務署に移送し、または当該税務署においてこれを収受するということにいたしますけれども、一般的には現在住所地を所轄する税務署に提出するよう指導し、特に六十一年分及び現在行われております六十二年分の確定申告に際しましては、各国税局に対しましてこのことを徹底いたしまして、先ほど申し上げました地対協の意見具申で述べられていることが実現するよう努力しているところでございます。現にこれまで私どもが各国税局から聞いているところでは、そのような状況になってきているということでございます。
○佐藤昭夫君 国税庁、同時にこの意見具申が言っています同和地区の納税者について、一般の納税者と異なったどんな配慮が今までやられてきたんでしょうか。
○政府委員(日向隆君) 今私が申し上げましたように、意見具申で言われております特別な配慮といいますのは、各国税局に対して一括して確定申告書が提出されました場合に、これを受け取ってまいってきたという事実だということでございます。
○佐藤昭夫君 ちょっと違いますね。 昭和四十五年二月十日付での国税庁長官通達、「同和問題について」という表題のがありますね。その内容を述べてください。
○政府委員(日向隆君) 今委員御指摘の長官通達は、昭和四十年の同対審答申及び昭和四十四年の同和対策事業特別措置法の施行の際、昭和四十五年二月十日付で、その大要を申し上げますと、第一に、「同和問題に関する認識を深め」「法の精神に反するような言動のないよう周知徹底をはかる」ため「職員に対する研修等を実施すること」、第二に、「同和地区納税者に対して、今後とも実情に則した課税を行うよう配意すること」について、私どもの国税庁長官が国税局長に当時通達したものでございます。
○佐藤昭夫君 そこで、今も言われました第二項、「同和地区納税者に対して、今後とも実情に則した課税を行うよう配意すること」という、これは具体的にはどういう内容でしょうか。
○政府委員(日向隆君) 今委員がおっしゃいました「実情に則した課税」と私どもこの通達で言っておりますその内容は、当時の同対審答申でも指摘されていますように、同和地区には社会的経済的に特別な事情が多いので、これを念頭に置いて同和地区納税者の実態をよく見て、その実情に即した適正な課税を行う、こういう趣旨であると、こう思います。
○佐藤昭夫君 もう少し具体的に言っていただけませんか。 昭和五十年の二月十三日、衆議院予算委員会での我が党の三谷議員に対する国税庁答弁、あるいは私自身が六十一年の八月二十二日、参議院の決算委員会で質問をしているのに対して、もっと具体的な答えがありますから、それを述べてください。
○政府委員(日向隆君) ただいま委員が仰せられました議事録等を私今手元に持っておりませんので、それを言うことについては、できないことを御理解いただきたいと思いますけれども、この通達で言っております、同和地区納税者の実態をよく見てその実情に即した適正な課税を行うということは、例えば同和地区におきましては幾つかの、例示でございますけれども、他の一般の納税者とは異なった不利な借り入れの条件があるとか、通常の場合よりも高い例えばあっせん手数料がいろんな事柄をあっせんする場合にかかりますとか、例えば土地の譲渡の場合に例をとりますと、通常の必要経費のほかに、立地条件が悪いために土盛りや石垣積みなどの費用、売却条件を少しでもよくするための仲介手数料が普通の場合よりもかかるといったような、こういう社会的経済的な特別の事情がありまして、それを私どもが委員御案内のように収入からいろんな諸経費を引きまして所得を計算する際に、正確な所得を計算する必要がありますから、その同和地区納税者の実態をよく見てその実情に即した課税をするようにと、こういう意味でございます。
○佐藤昭夫君 具体的には、経費として認めるという答弁がありますね。
○政府委員(日向隆君) 所得計算の過程はいろいろございますけれども、私が今説明しましたところに従いますと、大部分が今委員が仰せのように経費の問題であろうかと思います。
○佐藤昭夫君 国税庁、同和地区関係者かどうかの判定はどうやってやるのですか。
○政府委員(日向隆君) これも委員重々御存じと思いますが、私ども税務行政を展開するに当たりまして適正公平にそれを実施しているわけでございまして、したがいまして特定の団体に所属しているかどうかという点については把握しておりません。
○佐藤昭夫君 申告に基づいて判定をするわけですね。私は同和地域に住んでいるという、そういう申告に基づいて。
○政府委員(日向隆君) もとより私ども、申告その他申告を判断するに至りますいろんな資料を見ておりますので、その中にありまして当該納税者が同和地区の居住者であるかどうかということがわかりますればそれはもとよりわかるわけでございますけれども、それについて執行上特段の扱いをしておりませんので、私どもとしては、つまり国税庁としては知り得ないと、こういうことでございます。
○佐藤昭夫君 だから、わからぬから申告に基づいてやっていると。 この特別の配慮によって、年平均どれぐらいの配慮件数、配慮金額になっていますか。
○政府委員(日向隆君) 先ほどから同様な答弁を繰り返して恐縮でございますけれども、先ほどの通達は決して税の減免をしろと言っていることではございませんで、今申し上げましたように、同和地区納税者の実態をよく見てその実情に即した適正な課税をするようにという趣旨でございますから、それによる減免ということはあり得ないことでございます。
○佐藤昭夫君 余り人を食った答弁をしてはいかぬでね。さっき二つほど実例を挙げて、事実上それを経費として認めるというのだから、経費として認めるというのは税金が安うなるということに決まっているじゃないですか。
○政府委員(日向隆君) そういう意味でございましたら、そのとおりでございます。ただ、減免とおっしゃいましたから、その減免はありませんと、こう言ったわけでございまして……
○佐藤昭夫君 それはアプリオリにないということで……
○政府委員(日向隆君) そのとおりでございます。 また、つけ加えて申し上げますと、それについて統計上の数字はございません。
○佐藤昭夫君 意見具申はまた、地方税における同和関係者に対する減免措置もその見直し、適正化が望まれるということで、国は自治体に助言、指導せよというふうに自治大臣、書いていると思いますけれども、自治大臣としてどのように指導し、どのように適正化が現在進んできていますか。
○政府委員(渡辺功君) 御指摘のように、地域改善対策協議会の意見具申におきまして、同和関係者に対する地方税の減免措置についてその見直し、適正化について指摘されているところでございます。この意見具申を踏まえて立法されました地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の施行に際しまして、昭和六十二年四月でございますが、各省次官名で「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の施行について」を地方団体に通知いたしているところでございます。 この通知の中におきまして、「地方公共団体独自に実施している関係施策についても、意見具申で示された地域改善対策事業の見直しの考え方を踏まえ、その見直しを行うとともに、事業運営の適正化に努めること。」と指示をしているところでございます。 お尋ねの減免措置等につきまして行われている場合におきましても、地方団体の自主的判断ということに基づくわけでございますが、それによって行われておるわけでございますが、それぞれの事情に照らしまして通知の趣旨を踏まえて適切に対応されているものと、こう考えておるところでございます。
○佐藤昭夫君 今の趣旨、自治省の指導のもとでここがこういうふうに改善をされたという事例、一つでもあったら挙げてください。
○政府委員(渡辺功君) この問題につきましては、まず地方税法におきますところの減免というものの法的な位置づけといいますか、そういったものについて申し上げなければなりませんが、これは担税力のいかん等に着目して行われるという場合だけじゃありませんで、公益上その他の理由により必要があると認める場合には条例の定めるところにより行うことができる、こういうふうになっているわけでございます。公益上その他の理由があるかどうかということでございますので、これは専らそれぞれの地方団体において自主的に判断されるべき問題でございまして、そういう理由からいたしまして私どもといたしましては、地方団体においてどういう状況に見直しが行われているかということを把握しているところではございません。
○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。沓脱タケ子君。
○沓脱タケ子君 それでは、地方税関係の話が出ましたので、自治省、ちょっとお伺いをいたしますが、災害等特別の事情がないのに七十平米以下の固定資産税を一律に免除するということができますか。
○政府委員(渡辺功君) 地方税法の減免の規定は、委員御高承のとおりでございまして、それぞれ、例えば固定資産税でありますと固定資産税の章に減免の規定がございます。ただいま御指摘の、災害等による減免というようなことがまず書かれております。その後に、その他特別の理由がある者に限りということが書いてありまして、これにつきましてはその地方団体の公益上の判断その他特別の事情ということで減免ができることとなっておりますので、その地方団体におきますところのそうした判断がございますというと減免が可能であるというふうになっているところでございます。
○沓脱タケ子君 佐藤さんの資料の四ページに私の資料がとじられておりますが、この資料は昭和六十二年度の大阪府市長会の文書でございます。 ごらんになっていただいたらわかりますように、部落解放同盟系の財団法人大阪府同和事業促進協議会、それから社団法人大阪市同和事業促進協議会、略称、府同促、市同促と言うんですが、これを通じて申請した同和地区住民の固定資産税は減免率三分の二ということで、自動的に三分の一にまけます、それから七十平米以下の土地、家屋には一円も固定資産税はかけませんという内容になっておるわけでございます。 意見具申が出たのは六十一年十二月十一日でございますが、この六十二年度もこういうことがやられているということを、自治大臣、御存じですか。御見解はどうですか。
○政府委員(渡辺功君) 減免の状況につきましては、先ほど申し上げましたように、地方団体それぞれ独自の、地方税法に認められた枠の中での自治の権限でございます。したがいまして、それについて一般的な把握をしておりませんのでそうした把握をしていないところでございます。
○沓脱タケ子君 自治大臣、どうですか。——いや、局長、よろしいわ、わかりましたから。
○政府委員(渡辺功君) 私どもは承知をいたして把握しておりません。大臣もしたがいまして、私ども補佐しておりますが、把握をいたしておりません。
○沓脱タケ子君 いつから大臣の指導に当たっているのか。ばかなことを言いなさんな。
○政府委員(渡辺功君) なお、先ほどちょっと落としましたけれども、こうした事柄についてどう考えるかというお話でございますが、私どもとしましては今回の、先ほども申し上げましたが、意見具申に従いまして、適正化について指摘されている、こういうことをきっちり踏まえて、しかし、それぞれの地方団体でそれをよく検討して、そしてどういう適正化を図るかということを真剣に検討してもらいたい、こういう立場でございまして、そういう意味で指導をしているところでございます。
○沓脱タケ子君 大体、自治省というのはえらいところになっているんですな。大臣の指導をするのが局長ですか。 私、限られた時間ですから次に行きますけれども、その次の資料、五ページの資料ですね、それをごらんいただきますと、この二枚目の資料は大阪府市長会のこの減免規定に基づいての不当な減免が実際に実行されている具体例です。ある部落解放同盟支部の文書でございます。やっぱりこれは市長会の方針どおり、三分の一に減免、七十平米以下は全額免除と明記してあります。固定資産税は免除または三分の一。そのかわり解同は会費として、昨年度の減免額の一割を会費として持ってきなさいというふうにちゃんと書いてある。全くあきれた。いわばピンはね同様なんですね。 私、時間がないようでございますから最後に申し上げますが、地方団体だから地方団体の自主性に任せるというふうに局長はさっきおっしゃったけれども、しかし意見具申によればちゃんと言われているんですね。自治体として大変苦慮しているんだから政府としては強力な指導や援助を行え、そして改善せよというふうに言われているわけです。 そこで総理、こういうことが、固定資産税一つを取り上げてみましても同和減免という形でやられている。国民一般からいいますと、地価高騰で固定資産税が上がって本当に頭が痛い、そういう国民が聞けば、こんな事態があるということになれば、これは税金を納める気がなくなりますよ。そういう点では、公平の立場あるいは差別をなくしていかなければならないという立場に逆に差別をつくるというふうな、不公正そのものだと思うんですが、これは少なくとも早急に厳正に是正をするべきだと私は思いますが、総理、御見解を伺いたい。
○政府委員(渡辺功君) 冒頭申し上げましたように、この見直し、適正化について触れた意見具申、これは私どもとしましてその趣旨に沿ってこれを進めていかなければならない、こういうことでございます。
○沓脱タケ子君 おかしいやない、総理の意見を聞いている。
○政府委員(渡辺功君) しかしながら、その場合におきまして……
○沓脱タケ子君 その具体問題はいいんだ。
○政府委員(渡辺功君) その意見具申の精神に沿って、それぞれの地方団体の状況に応じて適正化を図っていく、こういうことでございます。 そこで、どういうふうに申し上げたら御理解がいただけるかということを考えてみるんですが……
○沓脱タケ子君 現状についての判断を総理に聞いているんだ。
○政府委員(渡辺功君) 現状につきまして、地方団体が独自に実施している地方税の減免措置につきましても、この際地方団体においてその内容について十分検討を行いまして、広く住民一般のコンセンサスが得られるものとなるように適正化を図っていく、これが地方団体のあるべき姿勢といいますか、そういう努力が必要ではないかというふうに考えているところでございます。
○沓脱タケ子君 総理、最後に一言聞かしてください。
○国務大臣(高鳥修君) 同和問題を担当いたしておりますので、私の方からお答えを申し上げます。 まず、同和問題につきましていわゆる意見具申というものが地域改善対策協議会から行われているところでございますが、その中で指摘していることは、やはり十八年間に及ぶ地域改善対策の推進により、同和地区の実態が相当改善されたという認識をまず持っておるわけであります。 そしてまた、この十八年間やはり積み重ねてきておりますので、非常に難しい問題がたくさん山積していると思います。地方自治団体も大変御苦労なさっておると思いますけれども、私どもは今回いただきました意見具申や、あるいは「今後の地域改善対策に関する大綱」というものを私ども定めております。さらに、地対財特法の施行の通知などを踏まえまして、適正化を進めていただくように関係各省庁にお願いしているところでございまして、自治省からも当然そのような要請を地方公共団体にしていただき、そしてなお今後努力をしていただかなければならない、このように考えております。
○沓脱タケ子君 総理、一言。
○国務大臣(竹下登君) 地域改善対策協議会の意見具申を受けて、それから次官通達というものがあって、それに沿って自主的な判断をされるものであるというふうに思っております。
○佐藤昭夫君 大阪の例が出ましたけれども、問題は京都でも同様であります。 まず国税庁、国税の関係ですが、昭和六十一年の事件でありますが、亀岡市の部落解放同盟役員が、わしに任せてくれたら相続税を安うしてやると持ちかけて、かわりに部落解放京都府企業連合会へのカンパ二百二十万円、会費五十万円を受け取っているのであります。京企連の印もある申告済みの証票あるいはカンパ及び会費の領収証まで明るみに出ているわけですが、国税庁、事実ですね。
○政府委員(日向隆君) 個別の問題について私から言うことは差し控えさせていただきます。
○佐藤昭夫君 ちゃんときのうレクに来たときに確認をしたのを、何でそんなに国会の席上でそういう態度をとるの。 地方税、固定資産税問題、同じように。船井郡八木町の固定資産税三分の二減額、同和地域、これを初めとして京都市以外でも府下三五%の自治体で同和を理由とする減免が行われているわけでありますが、この適正化のためにどういう具体的な指導を自治省は行っていますか。一遍自治大臣が答えたらどうですか。
○政府委員(渡辺功君) 京都府下の具体的な例を挙げられての御質問でございます。 私どもは、先ほども申し上げましたように、この問題につきましては、減免というものが条例によって行われなければならないとか、そういう画一的に指導できるところは指導をそういう形でしております。しかしながら、具体的にその町が持っているあるいは市が持っている課題にどういうふうにこたえるかということでの公益上の理由、それになりますというと、どれだけのことをどういう形でどういう手順でやるか、これはその地方団体の判断によらなければいけない、そういうことでございます。したがいまして、それぞれの団体に介入するといいますか、そういう形での指導は行っていないところでございます。
○佐藤昭夫君 意見具申に総論としては賛成だけれども、各論になるとむしろ逆のことがあってみたり、遅々として進んでいないというのが国税についても地方税についてもますますはっきりしてきているわけです。 そこで、国税についての問題の根源は、国税庁も認めました昭和四十五年二月十日の国税庁長官通達ですね。これはいわゆる同対審答申、これを受けてこの通達をつくったという、さっきも朗読をされたというものでありまして、今や内閣総理大臣初め各関係大臣に対しての意見具申ということで答申が出たこの地対協意見具申ですね。これがいよいよ出たというこの局面で、一体国税庁の基本方針をどうするのかということが問われてきている時期だと思うんです。私は、同和地域についてこういう特別な配慮をするといったようなこういう通達は廃止をするべきだと思いますが、どうですか、見解は。
○政府委員(日向隆君) 昭和四十五年の長官通達は、私がさきに申し上げましたとおりの趣旨で出されたものでございます。私どもといたしましては、この通達の言わんとしているところは納税者の実態、実情を十分把握してそれに即して適正な課税をしろと、こういうことでございますから、これは別に同和地区納税者のみならず一般の納税者にも当てはまることでございまして、私どもは委員がおっしゃっていることについて十分ここで承っておりますけれども、この長官通達の趣旨につきましては、その本来の趣旨に照らして十分その徹底を図るようになお一層の努力はいたしますけれども、これを現在廃止しまたは撤回する考えはございません。
○佐藤昭夫君 経費として認めるということを確認したということは、税金をまけろということですよ。そんなものは当たり前じゃないですか。 そこで、重要な文献を発見いたしました。前の総務庁の同対室室長ですね、同和対策室長熊代昭彦さんという方の著書「同和問題解決への展望」という本であります。ここで、長年の経験を通して、今回の意見具申に至ったその中でのいろんな苦労やらその意義やらを強調しているわけでありますけれども、これに、私はさすがと思いましたけれども、堀内環境庁長官が自民党の地域改善対策特別委員会委員長という肩書で推薦の言葉を載せておられるというのはさすがというふうに思いました。 問題はこの人、この熊代さんが百六十一ページ、そこの真ん中あたりに、いわゆるそういう特別な配慮をするというこのことをめぐって意見具申が触れているそこにかかわって、昭和四十五年二月十日の問題の国税庁長官通達、この廃止が検討される必要があるというふうに、専門的立場からそのことをはっきり書いているのであります。総務庁長官もこの点については同様の御意見でしょうね。——いやいや、ちょっと。国税庁は後から聞く。
○国務大臣(高鳥修君) 国税に関する適正化につきましては、六十一年地対協意見具申を踏まえ各省庁の合意を得て総務庁が定めた「今後の地域改善対策に関する大綱」に沿って、国税庁において適正化の努力がされているものと理解しております。
○佐藤昭夫君 それなら、適正化の努力がされておるものと期待している、思っていますと言うんです。 国税庁どうですか、廃止を検討する意思がありますか。
○政府委員(日向隆君) 意見具申で言われております特別な配慮を是正しろという点は、既に私再三申し上げましたように、国税局に提出される一括申告についてこれを是正するということでございまして、六十一年分、六十二年分の確定申告によって既にこの是正の措置をとっております。それは先ほど申し上げたとおりであります。 それから、経費のことについておっしゃっておりますが、私が長官通達に関連して申し上げました経費といいますのは、収入マイナス経費イコール所得でありますけれども、その経費が同和地区納税者については、同和対策審議会の答申で指摘されておりますように、社会的経済的な事情からして特別にいろんな経費がかかっているだろう、その実際にかかっている経費の実態をよく見て、その実際にかかっている経費について控除をして所得を適正に計算しなさいと、こういう意味でございます。
○佐藤昭夫君 大蔵大臣、ここまで議論をしておるんですけれどもね、国税庁監督の任にある大蔵大臣として、問題の国税庁長官通達、これを見直しの検討の俎上に上せるということは最低やるべきだというふうに思われませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから政府委員が申し上げていることに尽きていると思うんですが、納税申告書を一括して国税局に出すというようなことはこれはよろしくないことであって、そういうことは、指摘がありましたように改めつつございます。そういうものを受け取らないということにいたしております。 それから、もう一つの問題は別の問題であって、事業なりをいたしますときに、何が経費であるか経費でないかということは業により地域により違うことでございますから、経費を経費と考えるということは、これは何も特典でも減税でも何でもないごく普通のことだというふうに思います。
○佐藤昭夫君 事実上、意見具申で提起をしている、この特別な配慮を是正せよというここの部分については、そんなものには応じられない、その改善をね。応じられないという態度じゃありませんか。もうこうなったら、総理大臣、あなたが決断をしてください。
○国務大臣(竹下登君) 直接国税庁を監督しておられる大蔵大臣の意見と全く一緒であります。
○佐藤昭夫君 意見具申は内閣総理大臣を筆頭に関係各大臣殿ということで出ているのでありますから、ここでは総理大臣がイニシアチブを発揮してもらう必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、重ねてどうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 意見具申に基づいて国税庁長官通達というようなものがあっておるわけですから、それは意見具申に沿ったものであろうというふうに私は考えております。
○佐藤昭夫君 私の問題にしておる国税庁長官通達は意見具申に基づく通達じゃないんですよ、繰り返し言っている。同対審答申に基づく通達ですよ。だから、全然環境が変わっておるんですよ、いわば。それでも考え、もう一遍検討の俎上に上せてみようという気持ちさえないですか。
○国務大臣(竹下登君) 率直に言って、事の実態が問答をお聞きしておって必ずしも私自身正確に把握できておりません。
○佐藤昭夫君 大蔵大臣をやって何でわからぬ。納得できぬな。
○国務大臣(高鳥修君) 担当でございますので私の方から申し上げますが、ただいま御指摘のございましたように、要するに地域改善行政の現状は、同対審答申、これは四十年八月に行われておりますが、この当時と大きく変わっておる、事態は既に随分改善されてきておるという基本的な認識をまずこの意見具申において申しておるわけであります。それを踏まえまして、なお内容といたしまして、「同和地区の納税者について、一般の納税者と異なった配意をすることは、決して、同和問題の解決という精神に沿ったものとは言えない。」という指摘をいたしているところでございます。 したがいまして、そうした指摘を踏まえまして今後さらに、この意見具申の中では行政の主体性の確立ということも強調されておりますので、そうしたことを踏まえまして、今後この意見具申が実現されていくように努力すべきものであると、このように考えております。
○佐藤昭夫君 総務庁長官は、ひとつそういう精神の上に立って、今後国税庁あるいは大蔵省とよく相談してみるということの御努力を願いたいと思います。
○国務大臣(高鳥修君) 総務庁の基本的な態度につきましては大綱で明らかにしているところでございまして、それを踏まえて努力してまいりたいと存じます。
○佐藤昭夫君 自治大臣、先ほどから具体例を出していますように、地対協意見具申に基づいて地方税の減免の適正化を図ることが遅々として進んでいません。で、片一方、自治体職員の給与などについて高水準のところは起債のペナルティーまで科する。しかし片一方、こうやって同和の関係、減免をしますと、その減った分はこれは地方交付税で補てんしましょうということをやっておる。まことに矛盾したことになっておるわけであります。ですから、この際ひとつ、本当に力を込めて自治省としても自治体を指導するということでやってもらいたいと思うんですが、大臣の決意、お尋ねします。
○国務大臣(梶山静六君) 同和減免の問題につきましては、意見具申の趣旨に沿って今後とも適正化に努力をしていくべきものと考えております。
○佐藤昭夫君 渾身の努力ね。 検査院長、この意見具申では、検査院には直接には提出されておりませんけれども、検査院の機能強化について今度触れておるわけでありますけれども、ぜひとも検査院としても同和行政が公正に進んでいくようにひとつ必要な検査に力を入れるということでやってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
○会計検査院長(辻敬一君) 会計検査院は、同和関係の国の収入支出につきましては従来から検査を進めているところでございまして、検査報告におきましても相当数の指摘を行っております。今後とも各方面の御議論、御意見を参考にいたしまして、引き続き適正な検査の実施に努めてまいりたいと、かように考えております。
○佐藤昭夫君 科学技術が国民及び人類の平和と福祉にこそ役立てられるべきであって、軍事増強の推進役となってはならぬ。そういう点で我が国は大変重要な積極的原則、例えば原子力基本法、宇宙開発事業団法、あるいは宇宙開発の国会決議、こういうものがあるんですけれども、どういうことを述べていますか。科学技術庁長官。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 六十一年の三月に閣議決定をいたしました科学技術政策大綱には三つの柱を立てておりまして、第一番目が、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心として、創造性豊かな科学技術の振興を図ること。二番目が、国際社会における我が国の果たすべき役割の増大に対応した科学技術面での国際的貢献が重要であるとの認識のもと、国際性を重視しつつ科学技術の展開を図ること。三番目が、人間及び社会のための科学技術という原点に立ち、人間及び社会と調和した科学技術の発展を図ること。この三つの柱を立てまして、これを基本として総合的機動的な科学技術の展開を図ってまいるというふうに決めております。
○佐藤昭夫君 念を押しますが、我が国の科学技術行政の基本は、平和目的であること、そして公開の原則が重視されること。どうでしょう。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 科学技術の推進、研究に当たりましては、平和国家の理念のもとに、進んで世界の科学技術の発展と国際平和に資するよう推進する所存であります。
○佐藤昭夫君 総理にお尋ねします。 一月十三日、レーガン大統領との首脳会談後に発表しましたプレス・リマークスの中で、科学技術の分野で協力を高めることの重要性につき一致を見たと述べているわけでありますが、どういう一致を見たのか。我が国の科学技術、先端技術をアメリカの国防総省に軍事利用してもらおうということはまさかないでしょうね。
○国務大臣(竹下登君) まさにその重要さにおいて意見の一致を見たと、こういうことでございます。科学技術先進国たる日米両国が、同分野で協力することが従前にも増して重要になってきているという認識が一致したということでございます。
○佐藤昭夫君 そこで、日米科学技術協定について聞きます。 現在、この協定に基づいて四十八のプロジェクトが実施されておるわけでありますけれども、それの主なものは何か。その中に軍事利用の可能性のある技術が含まれているのかどうか。科学技術庁。
○政府委員(吉村晴光君) ただいま御指摘のございました日米科学技術協定でやっております具体的な分野は、エネルギー協定で合意されましたものを除きます宇宙、基礎物理、ライフサイエンスといったものでございまして、少し技術的になりますが、具体的なテーマを例示いたしますと、例えば地殻プレート運動の研究とか、人工衛星、レーザー測距による測地及び地球力学の研究とか、中性子散乱とか核物理、そういった非常に基礎的な研究が非常に多うございまして、そういった問題につきましては共同研究をやっておりまして、それ以外の分野につきまして全般的に申し上げますと、情報交換をやっておるものが非常に多いということでございます。 本日米の科学技術の研究開発協定におきましては、平和目的の協力を行うということが協定でも明記されているところでございます。
○佐藤昭夫君 外務大臣、この協定に安保条約を新設しようという動きがあるわけですけれども、そうしますと、アメリカがこの技術は軍事利用の可能性があると言えば、それは機密扱いにされるということですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 安保を絡めるというような話は全く聞いておりません。
○佐藤昭夫君 防衛庁に聞きます。 「国防」という雑誌の八七年十月号、ここに防衛庁の当時技術研究本部長が、超電導について、「今後、装備品」——というのはこれは軍事ですね。「装備品等への応用に関する研究は進めていく」と述べているが、どういう研究を今やっていますか。
○政府委員(鈴木輝雄君) お答えいたします。 防衛庁で研究開発を担当しております技術研究本部におきまして、常に新しい技術に対しまして装備品への適用の可能性を検討しておりますが、このような見地から、超電導の技術につきましても、現在、内外の資料収集、それから基礎的な研究を実施しておりますが、超電導の技術は非常に進歩の発達の過程にありますので、防衛庁といたしまして、装備品へ具体的に応用するというめどが得られるようなところにはまだ至っておりません。
○佐藤昭夫君 「防衛技術」という雑誌が出ています。この八六年十月から八七年二月、これに防衛庁技術研究本部の研究員による集団研究、「超電導技術の軍事利用」という論文が掲載されています。その論文では、超電導が軍事的にどういうふうに利用できると書いているんでしょうか。
○政府委員(鈴木輝雄君) 御指摘の「防衛技術」に「超電導技術の軍事利用」という解説記事がございますが、これは、防衛庁におきまして技術系の職員が研修をいたしましたときに、自分でテーマを選びまして、調査検討し、報告書をつくるという演習を行っている。それを整理いたしまして雑誌に書かれたものでございまして、防衛庁の職員が個人的に書きましたことでございますので防衛庁としてコメントする立場にございませんが、本記事では超電導技術の歴史、各国の研究の状況等を考察いたしまして、防衛技術の適用の可能性を一般的に検討したというふうに承知しております。
○佐藤昭夫君 一般論の研究じゃないでしょう。具体的に幾つか、潜水艦だとか電磁砲だとかいろいろ挙げているじゃないですか。正直に報告してください。
○政府委員(鈴木輝雄君) やっておりますのは超電導の技術者ではございませんで、研修で、論文をまとめる技術というものの演習で、テーマとして最近話題になっております超電導を取り上げまして検討したものでございまして、その中で潜水艦とかいろんな個々のものの可能性を海外文献等からまとめておるだけでございます。
○佐藤昭夫君 そんなきれいごとで済まない具体的な幾つかの課題を挙げて研究をやっているんです。これを私が言いましたのは、超電導と言えばいかにも平和目的の汎用技術と先端技術と、こうなっているんだけれども、まさにメダルの裏表で、いつこれが軍事利用の道に転ずるかもわからないという危険を含んでおる、この研究が既に始まっておるという状況のもとでの日米科学技術協力協定だと。ここへ安保条項が持ち込まれたら、それこそ学問、研究の命である公開の原則が踏みにじられて大変なことになるというので、この安保条項には断じて反対、外務大臣はそんなことはありませんと言われましたから確認しておきますけれども、そのことを申し上げておきます。 日本も参加するということになっております宇宙基地計画ですね、これについて米軍からのこれにも参加しよう、レーガンも平和目的で始めるということを言っておったんですが、これが米軍参加、いつからこういう動きが出だしたのですか、それに対して日本はどういう態度をとっているか。
○政府委員(遠藤哲也君) 私からお答え申し上げます。 アメリカの国防総省が宇宙基地計画に関しまして具体的な利用計画があるとは承知いたしておりません。 なお、アメリカ政府の宇宙基地交渉に対します態度は、特に当初から現在まで変わっておりません。
○佐藤昭夫君 一九八七年の二月、アメリカの国防総省が参加の意向を発表しておるという事実はないんですか。
○政府委員(川崎雅弘君) かわってお答え申し上げますが、昨年の二月に開かれましたのは、参加を希望しているヨーロッパ、カナダ、日本、それにアメリカの多国間の会合が初めて持たれたわけでございまして、その席で交渉当事者である米国の方から我々に説明がありましたものは、国防総省が将来宇宙ステーションを使うユーザーの一人になり得るかもしれないけれども、現在その可能性はないということ、具体的な計画はないというふうな説明が行われております。
○委員長(原文兵衛君) 以上で佐藤昭夫君の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時五分散会