予算委員会 第5号
- 発言数
- 268 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1988/03/12
会議録
○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十三年度一般会計予算、昭和六十三年度特別会計予算、昭和六十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(原文兵衛君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十三年度総予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君及び税制調査会会長小倉武一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(原文兵衛君) それでは、これより総括質疑を行います。和田教美君。
○和田教美君 まず減税、それから税制改革の問題についてお尋ねをいたします。 六十三年度予算案の衆議院通過に先立ちまして、与野党国会対策委員長会談で、社公民の野党三派が要求してきた六十三年度の大型減税、つまり所得税、法人税、相続税等の減税を実施することに合意いたしました。この合意に基づいて、今後与野党の政策担当者の会議で減税の具体案がまとまった場合には、政府はこれを必ず実施すると確約してほしいわけでございますが、総理大臣のお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 与野党国対委員長会談の取り決めというものは、結論が出たら当然それを尊重すべきものであるというふうに考えております。
○和田教美君 六十三年度減税の合意文書には、財源については不公平税制の是正などは挙げておりますけれども、大型間接税の導入といった表現は一言も見当たりません。ということは、合意した減税の実施と政府がやろうとしているいわゆる税制の抜本改革、この中には大型間接税の導入も含むようでございますけれども、これは完全に切り離されたものと我々は考えておるわけですが、宮澤大蔵大臣の見解はいかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 各党の国対委員長間でこの合意ができました経緯は、かなり各党間におかれて御苦心をされ、長い時間を費やしてなされたものでございますだけに、これについて政府があれこれ有権的な解釈を加えることは適当なことではないというふうに存じております。 まず、それを前提にいたしましてこの文書を拝見しておりますと、第一項の次に第二項がございまして、その財源については、「「不公平税制等の是正」及び「その他の項目」を含め各党政策担当者で協議する。」とございますので、恐らく、この協議の間におきまして、ただいま和田委員の言われましたようなことが御議論になっていくのではないかというふうに推測をいたしております。
○和田教美君 大蔵大臣は、政府税調の答申が出れば、できれば今通常国会に抜本改正の法案を提出するというふうなことをおっしゃっておりましたけれども、しかし六十三年度の減税については与野党の合意によって予算案が参議院で成立する前に結論を出すということになっております。そこで、それがまとまれば当然その後の国会で補正予算などによって六十三年度減税の実施をやるということが最優先課題になるんだろうと私は思います。それに先立って、今国会に六十四年度以後を拘束する税制の抜本改正案なるものを提出することは全く筋が通らないと私は思うんですけれども、今国会に抜本改正案を提出するというお考えは撤回されるおつもりですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府の税制調査会に諮問をいたすに際しまして答申の期限をこちらから申し上げておりませんので、鋭意御検討ではございますけれども、それが今国会中に間に合う間に合わないということについては、私どもとしては期限をつけておりませんでございました。できるだけしかし早く答申をお願いいたしまして、できますならば成案を得て、この国会中にも御審議をいただきたいという希望をいまだに持っておるわけでございますけれども、この点はしたがいまして、国会に対しましては税制改正関係は検討中の議案というふうに申し上げておるその立場は今日でも変わっておりません。 ただいま和田委員の御指摘は、この合意事項があって、したがってこれから協議によって具体的な成果が生まれた場合ということでございますが、その点については、総理大臣が先ほど申し上げましたように、御協議の結果は尊重をしなければならないということでございますが、他方で政府が税制調査会に諮問をいたしておりますのは、今後を展望して資産、消費、所得の間にバランスのとれた税制の抜本改正という点でございますので、二つのことは必ずしも矛盾するものではないというふうに考えておりますから、この合意がございましたがゆえに、私が従来御答弁を申し上げていることを変更する必要があるかというお尋ねであれば、そのようには考えておりません。
○和田教美君 竹下総理は、たしか去る二月の二十日だったと思いますけれども、この参議院の予算委員会の答弁で、税制の抜本改正問題について、客観的に見て機が熟しているというふうに答弁をされました。この機が熟しているというのは一体どういう意味なのかということをお尋ねしたいわけでございます。 単にサラリーマンなどの間に不公平感が強まっているから税制を直さなきゃいかぬと、こういう意味なのか。それとも、それを含めてさらに直間比率の見直しとかいわゆる大型間接税の導入とか、そういうことを含めて国民の合意が得られつつあるというふうにお考えの表現なのか。その点、一体どちらかということをお尋ねしたいわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) どちらかということになりますと、明確に区分けするのはなかなか難しいかなと、こんな感じがしておりますが、今機が熟しておると申しましたのは、やはり私は税の論議が本予算委員会等を初めといたしまして一番かまび すしくなったのは昭和五十二年から三年ぐらいかなと、こんな感じを持っております。 したがって、やっぱり十年以上経過した、しかもその中で、私どもの側から見ますならば昭和五十四年に意図しておったものを否定され、そうして昨年の売上税という二つの厳しい体験をしたわけでございます。しかしながら、私どもにとってはそういう大変厳しい体験でございましたが、国民の皆さんの間に税に対する関心はその都度より高まってきておるというふうに私は思っております。その意味において、しかも若干経済も安定し、それから歳入面でもきょうこれほどの増収措置を講じなければ予算が組めない、こういう環境にはちょっとここのところ、昨年、今年鎮静化しておる、そういうと非常に冷静な立場に立ってあるべき税制の姿というのを考える環境が大変整ってきたではないか、こういう感じを持っております。 さらに、前半の場合でもおっしゃっておりましたいわゆるガラス張りのサラリーマン、源泉徴収の対象になっていらっしゃる方の勤労所得とでも申しましょうか、それに対する不公平感というようなものがいわゆる税制の議論の中へ漠然とした感覚だけでなく入ってきておるのが現実ではないか。そういうことをもって見ますと、税制改革の機運は高まっておる、熟したという表現が適切であるかどうかは別にしまして、比較すればかつてに比べては大変熟しておるということも言えるではなかろうかと、このように考えております。
○和田教美君 竹下総理は、十日の衆議院予算委員会で大型間接税についての六つの懸念ということを認められたわけでございますけれども、この大型間接税が逆進的な税体系であるなどの六つの懸念というのは、我々がかねがね主張してきた大型間接税そのものの非常な欠陥だというふうに思うわけで、懸念などというものではなくて、まさに大型間接税そのものの属性であって体質であるというふうに私は考えます。 したがって、多少の細工をしたところでこの本質的な欠陥が是正される、総理の言うように中和されるというふうなものでは到底ないというふうに私は思うわけでございます。 常識的に見たら、ごく普通の人の場合には、これだけ多くの欠陥を持つ税だというのであれば、まあ導入するのをやめておこうかというふうに考えるのが普通だと思うんですけれども、ところが総理はそう考えられない。やっぱり導入を考えておられるということで、どうも普通の人ではないのではないかというふうに思うんですけれども、もし総理が中和できるというふうにお考えならば、抽象的な言葉でなくて、具体的にこの六つの項目についてどういうやり方をやれば是正され中和されるとお考えになるのか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 非常に正確なお答えになるかどうか御批判をいただくところであろうと思っております。が、そもそも税は何を着目するかというと、これは所得、消費、資産、これらを着目して税というものが存在しておる。それから類型別にいろいろ申しますと、直接税と間接税という区分の仕方もある。現在もう間接税そのものはあるわけでございます。お酒にしてもたばこにしてもあるいは個別物品税にしてもすべてが間接税であるわけでございます。また、諸外国においても間接税というのは存在しておるわけでございます。 私自身考えてみますと、勤労所得の方々のいわゆる重税感というものをだんだんお互い心の中で行きつ戻りつ反問してみますと、結局税というものは国民の義務として存在しておる。さようしからば、所得の段階でその義務を果たすのか消費の段階でその義務を果たすのかということになってまいりますと、いわば所得水準というのが今第一分位と第五分位という、二・九とか言っておりますが、可能な限りこれが平準化してきて、今日他の国に比べれば大変好ましい傾向になっておるということになれば、まさに国としてもろもろの行政を執行していくための必要な経費というものを可能な限り広く薄くという点にも着目していくということが、また勤労所得者の方々の重税感をなくすということにもなっていくではないか、議論すればするほどこういう基本的な考え方に大体到達していく。まあ、それは普通の人でないからかもしれませんけれども、そんな感じがしておるわけでございます。 したがって、今具体的にとおっしゃっていただいたわけでございますが、いろいろございますけれども、およそ逆進性の問題、それから税を納めていらっしゃらない方の問題、中堅所得者の重税感の問題というこの三つというのは、私は全体の税制の構築の中で中和できるものではなかろうか。中堅所得者層に対するいわば累進税率が今日きいておりますが、それらがちょうど中和されるような構築の仕方という、税全体の中で一つの間接税というものだけをとらえるのではなく、全体の税制の中で構築していけば、逆進性とかそれから中堅所得者の重税感とか、そういう問題は払拭されていく傾向のものではないか。 それから税を納めていらっしゃらない方々という問題になりますと、私はいわゆる政策的な歳出の中でこれらは中和されていくではなかろうか。例えて申しますならば、税構造の中では課税最低限の問題があったり、あるいは生活保護費等につきましては、これの基準というものが改定されていくというような仕組みというものも考えられるではなかろうか。 それから、あと残っております問題につきましては、一つは手続が面倒じゃないかというようなことは、我が国の商慣習の中で可能な限り簡素化した仕組みというものは、お互いが議論していけばこれは可能になるものではないかという感じがいたしておるわけであります。 さらに、インフレじゃないかという問題ですが、元来は、また流通過程の中においてはもとよりいろんな競争原理は働きますものの、それだけの薄く広いものは価格に転嫁される、一応定義上はそうなると思うのであります。がしかし、その価格転嫁の問題につきましては、それこそ政策上の配慮によってそれぞれ先ほど申し上げました各種基準の引き上げとかいろいろございますが、それらで対応ができる課題ではないかな、大ざっぱなお話になりましたが、こういうふうに考えておるわけでございます。 今、和田さんがおっしゃいましたいわゆる六つの懸念というものは、これは考えてみれば熟慮して苦吟して発表しましたと言うが、これはおれならば今すぐにでも六つ挙げることができると、実際そうではないかなと思うんです。 元来私の答弁はよくぐるぐる回りすると言われるのでございますが、いろいろぐるぐる回りをしながら到達したところは、非常に端的に皆さん方が大型間接税という言葉から来る懸念というものは、結局ぐるぐる回りしてみますとああいうものではないか。それは今言ったように、一つ一つ政策上の配慮とか税制全体の構築の仕方等によって中和できるんじゃないかということは、問答を重ねていくうちに、これも普通の人でないからかもしれぬでございますけれども、普通の人がなるほどなと、こう思っていただけるようになるんじゃないかなと思っております。
○和田教美君 大蔵省は所得税などの大幅減税をするためには間接税の増税が必要だと、ワンセットだということを非常に主張されておるようですけれども、その理由として、一つは短期的な財源の問題を盛んにおっしゃいます。もう一つは、最近二十一世紀に向けての高齢化社会が到来する中でどうしても必要だと、安定的な財源が必要だというふうなことをおっしゃるわけでございます。 財源論については、今も総理の御答弁にございましたように、最近非常に自然増収が多いというふうなことから余りおっしゃらなくなっちゃった。そして、専ら二十一世紀に向けての高齢化社会への対応、それへの備えの安定財源というふうなことに重点を移してこられておるわけでございます。私はこの問題は確かに重要な問題だと思うけれども、しかし、きょうあすの問題ではないというふうに思っておるんです。 要するに、ある学者の説によると、社会保障基 金の財源が枯渇していくのは二〇一五年から二〇二〇年ぐらいだというふうなことをおっしゃっておりますが、そういう意味ではそう急ぐ必要はない問題だと、ゆっくり取り組めばいい問題だとこう思うんです。そして、政府は高齢化社会への準備を言うのなら、まず政府において高齢化社会における社会保障のあるべき姿、あるいは税金と社会保障保険料でそれをどのように負担するかなどの全体的な将来像を提示して、そして国民の論議を待つ。そういうことをろくにやらぬでいきなり財源論が先だというふうな形は、これは順序が全く逆ではないかというふうに思うんですけれども、大蔵大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院の予算委員会の御審議中にも同様の御指摘がございまして、政府としてはその辺のことは内々各省庁間で検討をいたしておったのではございましたが、もう一つ踏み込んだ資料をという御要求がございまして提出をいたしました。したがいまして、お求めがあれば当委員会にももとより御提出を申し上げなきゃならないと思っておりますが、その考え方によりますと、それは終局的にこういう形になると申しますよりは、社会保障でございますから給付と負担とは結局国民の選択によることではございますが、ただいまからいろんなあり得る姿をほぼ想定いたしました資料を一つ作成いたしております。その考え方をただいま申し上げてよろしゅうございますか。
○和田教美君 結構です、どうぞ。
○国務大臣(宮澤喜一君) その想定いたしますところは、大体ただいま租税負担二五・五ぐらい、社会保障負担が一一ぐらいでございますが、三六・五ぐらいでございますが、紀元二〇〇〇年、昭和七十五年におきましてはそれがほぼ五ポイント上昇するであろう。したがいまして四〇ちょっと上に行くわけでございます。それから二〇一〇年におきましてはさらに五ポイント、四七。今からいいますと一〇ポイントでございますが、そのぐらいになっていくのではないか。これは選択の問題ではありますが、どうもそうではないかというふうに見られておりまして、しかもそれが大体三分の二は社会保険の負担の増高でございますが、三分の一ぐらいはやはり税が負担をしていかざるを得ないだろう、国庫負担もございますものですから。大体そういう想定をとっております。 そういたしますと、他方で人口構成から申しまして、ただいまの段階で生産年齢人口が老齢人口を支えておりますのは一対六・六でございますが、昭和七十五年にはそれが大体四対一になり、八十五年には三対一になると。これは一般に言われておることでございますが、そういうことが言われておりますから、生産年齢人口の負担がいわば六・六から三になるということになって倍以上になるということでございます。 そこで、ただいまの税制をそのまま変えませんでそれがどのような結果になるかということを推算いたしてみますと、ただいま勤労所得が源泉の形で負担しております所得税、住民税はほぼ国民所得の四・八%でございますが、それが二〇〇〇年にはほぼその倍になり、二〇一〇年にはほぼ三倍になる。国民所得の中で一三以上のものを勤労所得が源泉所得税及び住民税で負担をしなければならなくなるということで、これはほとんど現実には想像しがたいような形になるということになります。 長くなりまして申しわけございませんでしたが、したがいましてそういうことが現実にわかっておる限りにおいて、ただいまからそのような社会の共通の負担は広く薄く国民全部に負担していただくような制度をつくっておく必要がある、こういうことを申し上げたいと考えておるわけでございます。 大変長くなりまして申しわけございません。
○和田教美君 我々は、キャピタルゲイン、株式売却益の課税強化のほかに法人、特に大企業の持つ土地に対する再評価税を考えている。これを減税財源に充てたらどうかという考え方を持っております。 我が国の会計制度では土地や株式は取得価格、簿価ですね、これで記載されているために、最近の地価の騰貴によって資産の簿価と時価との間に非常に大きな開きができております。そして、大企業の含み資産が膨大なものになっている。そして、その値上がりした土地を担保として銀行から金を借りて財テク、土地転がしなどに使われているというふうな例も多いわけでございます。そういうマネーゲームのようなことによる異常な開きというふうなものにメスを入れるためにもこういう考え方をとったらどうか、こういうふうに思っておるわけでございます。 私の考えでは、当面対象は例えば東証一部上場の大企業ということにして、そして低い税率で数年間この再評価税をかけていくというふうにすれば分割納付の可能性はあるのではないかというふうに考えるわけでございますが、資産再評価税という考え方に対する大蔵大臣のお考えを聞かしていただきたいわけです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 和田委員は御専門でいらっしゃいますのでよく御記憶でございますが、シャウプが参りました直後に資産再評価ということを一遍いたしました。これはいかにも戦前と戦後で貨幣価値が異なってしまったということにかんがみましていたしまして評価税をとったことがございますが、それはああいう一種の敗戦という常態でないときに行われたものであったと存じます。 それで、ただいまの法人の持っております固定資産についての課税の問題でございます。 これはよく御議論になりますが、私どもといたしますと、それが保有税であるのか、あるいは譲渡であれば所得に対する課税になるわけでございますが、実現されない含みの利益に対してどれだけの課税ができるものであろうかということを常に疑問に思っておりまして、その目的に近づいていくとすれば、保有に対する税率を幾らか上げていくということの方が合理的なのではないだろうか。含みというものは、実現しない以上、それについての担税力はいわば現実にはつくり出さなければならないということになるわけでございますから、どれだけのことが果たして現実に可能であろうか。 そして、これもお気づきのことでございますが、そういう課税をいたしますと、大体大きな装置産業が勢い重い租税負担をしょうことになりますが、装置産業そのものが必ずしも高利益を上げている産業とは限らない。しかも、国の産業の基本であるといったような性格を持っておりますので、その辺に与える影響もなかなかはかり知れないものがあるといったようなことから、たびたびそういうお話を伺うのでございますけれども、現実性及びその妥当性につきましては、私どもとしては幾つかの問題意識を持っておるということでございます。
○和田教美君 この問題についてはもっと議論をしたいんですけれども、時間の制約もございますので大蔵委員会でさらに論議したいと思います。 そこで、政府税調の小倉会長に来ていただいておりますから、小倉会長にお尋ねしたいと思います。 まず、政府税調は今月中にも税制抜本改革の試案、つまりたたき台、これをまとめるというふうに報道されておりますけれども、その試案の内容、方向というのは大体固まってきつつあるのではないかというふうに思われます。特に政府税調は、既に「税制改革の基本課題」という文書を決めておられまして、その中に四項目掲げておられますけれども、その四項目について大体どういう方向になりつつあるのか。あるいは小倉会長の個人的な見解も交えていただいても結構でございますけれども、御報告を願いたいと思います。
○参考人(小倉武一君) ただいまのお尋ねでまずお答えしておかなきゃなりませんのは、ただいま税制調査会で取りまとめ始めましたのは、いわば本当のたたき台みたいなものでありまして、まだ答申のための素案といったようなものとは違う性質のものになるのではなかろうかと思っておりま す。しかも、今もお話しのように、三月末までということでありますれば日数の余裕もそうあるわけではございませんので、大きな方向といたしましても定かな方向を出せるかどうかちょっと心もとない状況でございます。 そこで、今お尋ねの税制調査会で取りまとめました基本課題の中にございます四つの点につきまして少しく御説明いたします。 初めの方は、簡単に申しますれば所得税、住民税の減税でございますが、これはある相当程度の減税をしなくてはならないというのが一般の世論でございまするので、さような方向であることは間違いないわけですが、他方、政府・与党と野党の間の話もございまして、それも近く恐らくおまとめになるんだろうと思いますので、そういうこともある程度頭に置かなくちゃなりませんので、政府税調だけで一方的にこれを余り固めるというわけにもいかないので、その点は御了承いただけるのじゃなかろうかと思います。 それから法人税でございますが、法人税についても特に最近やかましいといいますか、法人税軽減の理由として挙げられますのは、国際化の時代ということで、ドイツよりは低いですけれども、その他の先進諸国と比べるというと日本の法人税は高いということが批判されておりますので、これをある程度下げるということで大体合意ができるんじゃないかと思います。これは一昨年、六十一年のときの税制調査会の答申に出ているような方向で取りまとめられるんじゃないかと思いますけれども、財源の点についてはまだいろいろ議論がございまして、特に法人税の中の整理の問題といいますか、法人税の中でのこの財源の捻出の点についてはなお議論がございますので、そこのところはまだ決着はいたしておりません。 それから有価証券の譲渡益の課税でございますが、これは課税強化の方向ということがもう既に税制調査会としては既定の方針になっておると申し上げてよろしいかと思います。具体的にどうするかということが今の課題でございますけれども、これは一つは納税者番号というようなことの検討と裏腹になっている面がございます。ただ、この納税者番号というのは御承知のとおりなかなか難しい問題が含まれておりますので、早急に結論は出しにくいんじゃなかろうかというふうな感じもいたしますので、その間どうするかということについて今後至急検討をするというつもりであります。 もう一つは、昨日でしたか、今国会でも御質問ございましたような有価証券取引税との関係もございまして、これを税金として性質が違うから全く無関係だというふうに割り切るわけにもいかぬのじゃなかろうかという議論もありますので、そこも踏まえてどうするか目下至急検討を進めてまいるつもりであります。 それから相続税の軽減につきましては、土地の価格の上昇というのが非常に地域によって違いますから、地域によっては下がっておるところもあるわけですね、特に農村地帯では。県単位あるいは北海道単位で見ても下がっておるところがあるというようなところもありますので、非常に地域的アンバランスが土地の価格を中心にして生じてきておりますので、そこをどう処理するかということがありますけれども、とにかく相続税の軽減ということについては一種の世論みたいなものも生じておりますので、これにやはり応じてまいる必要があるだろう。 この相続税の軽減についても、税制調査会としましては、六十一年度のやはり抜本改正の答申の中に多少抽象的ですけれども軽減の方向を打ち出しておりますので、それがある程度参考になるのではないかと思いますが、地価の暴騰というのはその後のことでございますから、そこをどうするか。特に小住宅地について免税点を設けるというような議論も出てまいっておりますので、その辺の問題もこれは新しい問題として取り上げなきゃならぬというようなことになっているかと思います。 もう一つは土地に関する税制ですが、これは税制調査会が独自にやるというわけにもまいりませんので、別途土地税制について御検討になっている政府の関係の調査会、審議会がございますので、そこでの御議論なども参照して結論が出せるようにひとつ考えたいと思います。 それからもう一つは、今度は間接税の話でございますが、間接税につきましては、もう現在の物品税あるいはもろもろのサービス関係の税についてはこれはどうも不整合な点があるし、あるいは考え方によっては不公平な税制になっているということは、大体この税制調査会の中では衆目が一致しているのであります。 さてそれではどうするかということにつきましては、現行の物品税その他のサービス課税についての税制を多少手直しをすればいいのではないかという意見から、もっと抜本的に例えばECの付加価値税的なものを導入すべきだという意見まで多々ございまして、税制調査会ではそれらの御議論を踏まえて、タイプをたしか八つに分けまして、八つのタイプについて長短を論じようということになってそれを論じてきておるわけです。さてどのタイプに絞るかということを来週から審議するということになっておりますので、それを一つに絞ることはちょっとなかなか無理かと思いますが、先ほど総理からお話がございましたような新型間接税導入の六つの懸念というようなお話もございます。総理のああいった御懸念のようなものもできるだけ、税制の中だけでは解決ができないと思いますけれども、税制の中でもひとつ考えていくというようなこともありまして、どのタイプにして、そのタイプについての詳細はどうだということはなおさら今後相当日数がかかるんじゃないかと、こう思います。
○和田教美君 今の新型間接税、大型間接税の問題ですけれども、新聞の報道によると、どうもたたき台は複数併記になる、こういうふうな記事が一致してありますね。そして、いずれもEC型付加価値税というものは入っているけれども、それ以外に一つ二つまた別の案もつけ加えた併記という形になるというふうな見方が多いわけですけれども、その点はいかがでございますか。
○参考人(小倉武一君) まだちょっと予断ができないわけですけれども、今までの税制調査会の中あるいは税制調査会の外での御議論などを踏まえて申し上げますと、付加価値税というのが大きく浮かび上がってくるわけですけれども、なかなかこれ、それでは税制調査会でそれが一本に集約されるかということになりますと、これはなかなか今そういうふうになるだろうということは申し上げることができません。まあ複数になるだろうと思います。複数になるだろうと思いますが、どちらがいいかというようなことは、やはりある程度税制調査会の内外の意見も聞きましてさらに検討を進めていくということになりますと思います。恐らく、複数になりましてもその中にEC型の付加価値税というのが入ることはほぼ予想ができると思いますが、その他何が出てくるかはちょっとまだ予想ができません。
○和田教美君 キャピタルゲインの問題ですけれども、今のお話でも課税を強化する、原則課税というふうなことで大体政府税調も一致していると思うんですけれども、小倉会長も指摘された納税者番号についてこれを検討するのに時間がかかるというお話でございます。そうなると、税調の答申にははっきりした形で盛り込むことがなかなか難しいというふうな場合が予想されるわけですが、その場合にとりあえず分離課税というふうな方式で、納税者番号の問題は少し継続審議的なものにして答申をするという可能性はございますか。
○参考人(小倉武一君) まだそこまで議論が煮詰まってはおりませんけれども、単なる予想と申しましては失礼でございますが、あるいはそういうことはあり得ることと思います。
○和田教美君 小倉会長、結構でございます。 次に、国際通貨金融問題と特に円ドル為替レートの問題などについてお尋ねをいたします。 一九八五年九月のニューヨーク・プラザ合意以 来G5、先進五カ国によるこの為替の調整が進められて、今ではプラザ合意のときに比べると円はドルに対して倍近い上昇ということになっております。 そこで、竹下総理は当時のプラザ合意のときの大蔵大臣でございますから、このプラザ合意によるドル安誘導の為替調整政策というものが成功だったと見るのか、それとも、いや行き過ぎだというふうに見るのか、その点の見解をお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) おっしゃいますとおり、一九八五年九月二十二日でございます。 私どもの率直な感じを申し上げますと、余りにも急激だったということは私率直にそう感じております。それから、成功だったか失敗だったか、こういうことになりますと、これはかなり後世の史家の判断にゆだねなければならぬのではないかなと。おっしゃいますとおり、あのときは言ってみれば他の通貨に比してドルの独歩高であった、こういうことでございますから、共通認識としてそのドルの独歩高を是正する必要がある、こういう共通認識をしたわけでございます。それによって、短期的な問題として米国内の保護主義を鎮静化させる役割は果たしたではないか、これによって貿易バランス等の問題についてそれは果たしたと思うのであります。そうしてまた、期待しておったほどであったかどうかは別としまして、対外不均衡の是正にも結果としては貢献を幾ばくかしておると思います。 そうして一方、今度は輸出産業側から考えてみますと、またこれは大きな今度はデメリットと申しますか、打撃があったことも事実でございます。私は通貨関係の国際会議なんかで、円高で困ったと、私の名前は登です、円は上りましたが評判は下がりましたと、こんなことをよく申しておりました。が、ある国の人は、自国の通貨の価値が上がったというのはむしろ英雄ではないか、こんな冗談を言う人もございましたが、したがって、これの総括ということになりますと、最初申し上げましたように後世の史家がこれを評価する、あるいは私どもがこの世にいなくなってからかも知らぬな、こんな感じをいたしております。
○和田教美君 日銀総裁がいらしておりますから日銀総裁にお尋ねしたいんですけれども、今の円とドルの為替レート、このところ百二十七、八円ぐらいですか、そのくらいで大体小康を保っておるという状態でございますけれども、しかし今後さらに円高ドル安に進むという見方、百円ぐらいになるんじゃないかというような見方も根強くあるわけでございますけれども、日銀総裁はこれ以上の円高はない、この辺で安定するというふうに見ておられるのか、その辺の見通しをお述べ願いたいと思います。
○参考人(澄田智君) お答えを申し上げます。 仰せのとおり、円相場は本年の初めには百二十円に非常に近づいた、こういうこともございましたが、ここ二カ月以上百二十円台の後半、百二十七円から八、九円までというようなところで比較的落ちついた動きを続けている、そのとおりでございます。これは昨年の末のG7の共同声明後、各国の協調的な動き、協調介入などを通じまして主要国の為替安定に対する取り組み方が市場に改めて認識をされている、こういうことであろうと思います。 特にアメリカにおいては、昨年十月株価の暴落以降の経験として、ドル安の進展が再び株価の下落とかあるいは金利の上昇とか、そういうことにつながるおそれがあるという認識が非常に一般化いたしまして、アメリカ自体真剣にやはりドルの安定を考えている、そういうことが市場にもわかってきているというようなこともございますし、あるいはさらに、アメリカの貿易収支の数字が、ここ最近発表されておった数字、ことしになって発表された数字、すなわち昨年の十一月、十二月の数字がいずれも改善の方向であるというようなことが評価されてこういう比較的安定した状態にある、こういうふうに考えております。 しかし、お尋ねの今後の為替の見通し、これ以上のドル安があるかないかというようなこういった点につきまして、私ども中央銀行として、為替市場に直接接している立場において今後の見通しを述べますことは、これは市場にいろんな思惑とかあるいはそれによって市場が動く、こういう影響を与えますことでございますので、いかなる場合にも私どもは見通しのようなことに触れることは避けるべきである、こういうことで一貫をしておりますので、この点につきましてはどうぞ事情を御賢察の上御了承いただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 私どもといたしましては、申し上げられますことは、主要国の協調体制が効果を上げまして、各国のいわゆる経済のファンダメンタルズが改善され、対外不均衡が徐々に是正が進むということによりまして為替相場の安定が確保されていくということを強く期待している、こういうことを申し上げるにとどめさしていただきたいと思います。
○和田教美君 大蔵大臣は今の見通しの問題についてはどうお考えでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま日本銀行総裁のお答えになられたとおりと存じます。 見通しについて言えということは、同じような立場から私も御容赦をいただきたいと思いますけれども、政策協調、あるいは必要があれば市場介入もございます。安定を図ってまいりたいと思っておりますし、またそれに自信を持っております。
○和田教美君 去年の二月のG7のルーブル合意、これは為替レートを当面の水準の周辺に安定させるということで、それをうたっておるわけでございますけれども、それ以来、大蔵大臣は盛んに国際協調、この体制ができた、アメリカも本当に本腰を入れているんだというふうなことを強調されておりました。いろんな形の国際協調というのはあるわけですけれども、市場に直接影響を与えるということではやっぱり協調介入、協調してドルを買うという体制をとるということが一番だと思うんですけれども、ところが実際には日本の方は一生懸命ドルを買った、それで我が国の外貨準備高が去年一年間で大体倍になったというふうなことでございますけれども、アメリカの方はどうも口先介入、名目的な介入ということが多かったのではないか。そして非常にそういう意味では日本の一方的な介入になったケースが多いのではないか、こういうふうに思うんですけれども、その点はいかがお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年のルーブル合意のときの円が大体百五十円がらみであったと思いますが、おっしゃいますようにアメリカもかなりの介入はいたしておりますけれども、しばらくの間は我が国の介入の方が大きかった、それは事実そのとおりであったと思います。 と申しますのは、今から考えますと、あの辺の水準ではまだまだアメリカ側に何と申しますか、自国にとっての危機感とでも申しましょうか、そういうものが十分ではなかった。我が国にとりましては、非常に急激に円が上がっていきますので危機感が大きく、国内の経済に与える影響も大きかった。これは御記憶のとおりでございますので、自然我が国の介入の方が大きかったということは事実であったろうと存じます。 ただ、これはその後になりまして、昨年の暮れごろからことしにかけますと、今度は十二月末の合意もございまして、アメリカ自身が自分の問題としての危機感を深めるに至りましたので多少その間の事情は変わってまいりましたが、昨年のルーブル合意のころでございますと和田委員の言われましたようなことが恐らく事実であったろうと存じます。
○和田教美君 私は、政府の市場介入政策がいけないと言っているわけではございません。場合によっては非常に円の急騰を防ぐために市場介入しなければいけない、こう思うんですけれども、アメリカが本腰を入れて協調体制をとってくれなければしり抜けになるということで、今おっしゃったように、去年の暮れぐらいからアメリカもやや本腰を入れているというお話でございますけれど も、それが本当にずっと続くのかどうか、その辺は自信があるのでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) つまり、昨年の暮れの七カ国合意で、これ以上ドルが下がるということはすべての国にとって非生産的であるという、こういう状況判断は初めてあの段階で生まれたわけでございますが、これは申すまでもなく、昨年の十月十九日以降アメリカがドルがこれ以上下がることについて現実に非常な不安を持つに至ったことの結果であったと存じますし、また公表されております限りでのアメリカの介入もこのあたりでかなりな金額になってまいっておりまして、その状況は今日でも、つまりアメリカ自身の問題になってきたという意味では、先ほど日銀総裁が言われましたように、アメリカ自身の問題としてもこれ以上のドルの下落ということは非常に危険なことである、こういう認識は今日も続いておるというふうに考えております。
○和田教美君 今大蔵大臣おっしゃったように、アメリカは介入の金額を公表しているわけですね。最近も、最近の三カ月の介入実績を公表したという記事が出ておりました。 そこでお尋ねするんですけれども、ニューヨークの連邦準備銀行が四半期ごとに外国為替市場への介入の実績、今申しましたように発表しているわけです。そして、それを議会に報告をしているわけでございますけれども、どの辺の基準をとるかは別として、最近一年間ぐらいの実績がどれだけであったかひとつお示しを願いたい。 ここに連銀の公表した書類の写しがございますけれども、それに基づいて当然大蔵省は計算をされておると思います。
○政府委員(内海孚君) お答え申し上げます。 先ほどルーブルのお話がありましたが、八七年二月から四月の三カ月に約四十億ドルのドルの買いでございます。それから五月から七月、約八億ドル。それから八月から十月、約九億ドル。それから昨年の十一月からことしの一月の三カ月に約四十一億ドルでございます。
○和田教美君 それは対円とそれから対マルク二つを含んでいると思うんですけれども、対円だけで見ればどのくらいになりますか。
○政府委員(内海孚君) 便宜上一番最後のところで申し上げますと、十一月からことしの一月までの間、円売りは約十八億ドル相当、マルク売りは約二十四億ドル相当でございます。
○和田教美君 私の計算では、八六年の十一月から去年の十月までの一年間で、大体アメリカがドルを買った額はせいぜい五十数億ドルではないかというふうに思うんですけれども、それに対して日本の介入額は、これは新聞などによると三百数十億ドルと言われている。そうすると大体六分の一程度ではないかというふうに思うんですが、その点はいかがですか。
○政府委員(内海孚君) お答え申し上げます。 我が国の介入についてのコメントは差し控えさせていただきますが、アメリカにつきましては、本来アメリカにおける円ドルの市場の規模と我が国の市場の規模との違いがあります。例えば一九八六年の調査によりますと、円ドルの取引は東京で一日約三百九十億ドルでございます。ニューヨークでは約百四十億ドルでございます。そういう違いも勘案していただく必要があろうかと思います。
○和田教美君 それでは、日本はそれに対してどれだけ介入したのか、ドル買い介入をしたのか、一年間ぐらいの統計で、ひとつ去年の最近の一年間ぐらいでどのぐらいになっているか御報告を願います。
○政府委員(内海孚君) 我が国の介入の額につきましては、これは毎回お答え申し上げておりますように、投機筋にいわば通貨当局の手のうちを読まれるという問題もあり、介入をより効果的にさせていただくために介入の額を申し上げることは勘弁していただいてきておりますし、そのように御理解願いたいと思います。
○和田教美君 それはおかしいじゃないですか。アメリカがちゃんと三カ月ごとに連銀から発表しているわけですね。しかも議会に報告しているんです。そして毎月どれだけ買ったと、売った買ったも全部計算をして報告しているわけですね。 ところが、今問題になっているのは円ドルですね、我々の立場から見れば。その相手方は発表しているのにこっちは言わないというのでは、これは我々がとにかくいろいろ比較検討する材料が全くないではございませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点はしばしば御指摘がありまして、お尋ねをされるお立場から言えばあるいはごもっともな点もあろうかと思いますのですが、見ておりますと、実はアメリカの場合には自分が基軸通貨でございますために、為替というものについては従来御承知のように非常に無関心と申しますか、それに近い。したがいまして、介入ということもここ何年かの時点で申しましたら非常に少のうございまして、連銀の銀行の活動として季節ごとに議会に報告をしておった。そのこと自身は、まあ言ってみれば余り大きな意味を持たないという意味で関心を呼ばない種類の報告を続けてきておりまして、最近になりましてそれはアメリカ自身にとってもやや問題になってきたわけでございますけれども、概して基軸通貨でありますためにこのことについての関心が薄い。 しかし、我が国あるいはヨーロッパの国々は今度は基軸通貨に、つまりいわばそれをベースにしている通貨でございますために、介入ということが自分の国の通貨に非常に敏感に影響する。そういう意味で、我が国なりヨーロッパの国々がこれを公表していないということは、基軸通貨の国であるアメリカがしておるということとかなり実は意味合いが違います。政府が何か別の理由で秘密にしておるという意味ではもとよりございませんで、有効に介入をしていくためには、やはりいつどれだけ介入したということを、仮に過去のことでありましても市場はその時期がどういう時期であったかということは覚えておりますし、調べればすぐわかることでございますので、それをもって今後を推測するということは決して困難でもないということがございまして、これは申し上げないことの方が、実は介入というものを有効ならしめるために、国民経済のためということでございますが、よろしいのではないか、御賢察をいただきたいというのが従来申し上げておることでございます。
○和田教美君 それは私は了承できないです。 例えばこの外国為替資金特別会計の予算書、これは写しですけれども、これに外国為替資金特別会計貸借対照表というのが載っております。その中に外国為替等評価損というのが出ております、借方ですけれども。これが昭和六十一年度末で大体二兆二千億円評価損が出た。それから六十二年度末、つまり現在ですが、一兆円ぐらいの評価損が出ている。正確に言うと一兆三百四十一億円ぐらい出ているという記載がございます。これは結局、ドルをどんどん買って、ある場合にはドルの現金で持っているかもしれないし、アメリカのTBですね、財務省証券を買っている、それが値下がりをするというふうなことでこういう評価損が出てきたのだろうと思うんですね。これは介入の結果と非常に密接な関係があるわけです。 我々は今予算を審議しておるわけですから、そういう内容を全然言わないということであればなかなか審議が難しいということになるわけでございまして、各月ごとにどれだけ介入したというふうなことを言っているわけではございませんで、過去一年ぐらいの統計を出せということを言っているにすぎないわけですから、ぜひ介入の額を示していただきたいと思います。
○政府委員(内海孚君) ただいま和田委員御指摘の六兆円という評価損と介入との関係でございますが、この六兆円というのは、外為特会ができまして一ドル三百六十円というときから繰り越されてきたものが全部入っておるわけでございます。
○和田教美君 六兆円と言っていませんよ。それは僕は聞いていません。一兆円と言っているんですよ。
○政府委員(内海孚君) これにつきましては実は介入と直接関係はございませんで、介入したときは、外為特会の基準相場は現在百四十四円でございますので、これで評価経理されますので、むしろそのときには、例えば百三十円で介入するとその百四十四円との差額は益に立つという関係に立つわけでございます。したがって、評価損益というのは、今までのたまりの部分の評価が円相場が強くなることによって起こるということでございます。ただ、もちろん外貨がふえますればその円相場の上がり下がりが響く金額というのは当然大きくなるという意味において関係はございますけれども、直接介入が損になって出てくるということではないという点を御理解いただきたいと思います。
○和田教美君 介入した結果買ったドルが下がっている、それで評価損が出るのではないんですか、非常にわかりいいことですけれども。それは全く関係ないとおっしゃるんですか。
○政府委員(内海孚君) もし介入がなかったらドルはもっと下がったかもしれません。その場合にはもっと大きな評価損が出るということもありますので、一概に関係づけることは難しいと申し上げているわけでございます。
○和田教美君 そういう問題をいろいろ考えるのにもぜひその数字を出してもらいたいというふうに思うわけです。 もう一つ、予算書を見ますと、予算総則の中で介入資金を得るために外国替為資金証券の最高限度額というのを決めて国会の承認を求めているわけですが、これが毎国会ごとにふえてきているわけですね。今国会の予算書にもそれを幾らにふやしてくれという金額が出ております。今のようなお話ですと、結局、金はたくさんよこせ、しかしその使い道はとにかく一切知らさないということになるというふうに思うので、私はこういうふうな答弁のままでは質疑を続けることはできないと思います。
○委員長(原文兵衛君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(原文兵衛君) 速記を始めて。
○和田教美君 私は今の政府答弁では到底納得できないわけでございますが、理事の方々のお話し合いもあるものですから、重ねて委員長に対してひとつお願い申し上げます。 この問題については、アメリカのような三カ月に一回オープンにする、しかも議会に報告するということは情報公開という立場から非常にいいというふうに私は思うわけでございまして、政府にはいろいろな事情があると思いますけれどもその点はぜひ検討していただいて、そうして私が言っているのは、毎月の、あるいは毎日の介入の実績ないし見通しを発表しろというようなそんなむちゃなことを言っているわけではなくて、統計を出せと言っているわけでございますから、ぜひ大蔵省に出すようにひとつ委員長からお計らいを願いたい、こう思います。
○委員長(原文兵衛君) ただいまの件につきましては、理事会において協議いたします。
○和田教美君 円高ドル安によって評価損、為替差損というのを出しているのは単に政府だけではないわけでございまして、民間も相当な為替差損を出しております。生命保険などを中心とする機関投資家なども相当出してあっぷあっぷ言っているというような報道がしばしばございますけれども、大体民間で、大ざっぱな数字で結構でございますけれども、どのくらいの為替差損が出ておるのか、数字をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(宮本英利君) 民間機関投資家の代表格でございます生命保険と損害保険のドル安による評価損についてお答え申し上げたいと思います。 六十二年度決算はまだ決算日が到来いたしておりませんので正確な予測はできかねるわけでございます。もう少しお待ちいただきたいと思うわけでございますが、仮に現時点で現行水準の為替レートを前提にごくごく大ざっぱに試算いたしてみますと、六十二年度におきましては生保、損保合わせまして一兆数千億円程度の評価損が出るのではないかというふうに見られております。 なお、銀行につきましては、御承知かと思うのでございますが、持ち高規制というものが行われておりますために為替差損というのはほとんど発生しない、あるいは発生いたしましてもごく少ないというふうな額でございますので、こういう民間機関投資家グループ全体として、六十二年度一兆数千億円というのが大ざっぱな推計数値であろうというふうに思っております。
○和田教美君 今のは六十二年度ですか。六十一年はもっと多かったですね。
○政府委員(宮本英利君) 六十一年度は、生命保険の場合、これは統計が債券の価格の上昇であるとか国外債も入った数字でございますけれども、その大部分が為替差損と思われます数字でございますが、生命保険で二兆二千ぐらい、それから損害保険で二千億ぐらいというふうな数字でございます。
○和田教美君 さっきも申しましたように、六十三年度予算総則、我々が今審議しております予算案の予算総則によりますと、政府は外国為替資金証券の発行限度額を現在の二十一兆円から二十八兆円に上げるということについて国会の承認を求めております。これはどういう仕組みになっているかというと、介入資金が必要なときには、政府は日銀に対して外国為替資金証券、為券と言っておりますけれども、これを出して日銀から介入のための円を獲得して、それで市場に介入してドルを買う、こういうことになるわけでございますけれども、毎予算案ごとに介入の限度額というものを引き上げてきておるわけでございます。今度六十三年度もまたこれをふやすということであれば、あらかじめ円高局面があり得るということを想定してこういう態勢をとろうとされるんですか、大蔵大臣の見解をお聞きしたい。
○政府委員(内海孚君) お答え申し上げます。 今回の予算で、委員御指摘のように介入のための為券発行限度を二十一兆円から二十八兆円に引き上げることをお願いしております。これは常々申し上げておりますように、為替市場においてどういう事態が起こるかということはなかなか予測しがたいわけでございまして、特定の前提を置いてというか、特定の予想した事態ということではありませんけれども、何かあったときに、この限度に達しないために通貨当局として為替市場の安定の責を果たすことができないというような不測の事態ということがないような形でお願いしているということでございまして、例えばさきに日米間でSDRを米通貨当局が日本に売りまして円を提供するということで、マーケットはそれを非常に大きく受けとめたということもありましたが、そういう意味でも、日本が介入のための弾をしっかりと持っているということを示すこと自体もマーケットに対して必要だという点を御理解願いたいと思います。
○和田教美君 報道によりますと、去年外為特別会計は大体三百数十億ドルのTB、つまり米財務省証券を買ったというふうなことが言われております。私がここで強調したいのは、資金の流れから見て、外為特別会計がアメリカの財政赤字をファイナンスするある程度の役割を引き受けているのではないかということでございます。 日米経済関係を資金の流れから見ますと、日本は貿易で稼ぐ、そしてその稼いだ黒字を上回る資金を直接・間接投資という形でアメリカに還流しているわけでございます。政府の資料から見てもこの資金還流ということは明らかでございます。これは先ほども話が出ましたように、生保を中心にどんどん民間の機関投資家が米国債を買っているということから生まれてくるわけでございますけれども、しかし最近は、余りにも急激な円高によって、先ほども報告にございました何兆円という単位の為替差損を民間が出しているというふうなことから民間が少しびびってきた、そこでその穴を埋めるために今度は外為特別会計がせっせとアメリカのTBを買い出した、こういう構図になっているのではないかというふうに思うわけでご ざいますが、その点は、大蔵省、どういうように考えておられるんですか。
○政府委員(内海孚君) ただいま我が国の経常収支は、御存じのとおり約八百億ドル以上の黒でございます。もし資本収支というものがなければ当然円は上がっていくはずでございますが、そこで例えば先ほど御指摘のあった民間資本、長期資本の流出というものがあってドルに対する需要を生ぜしめ、それによって為替の安定が保たれているという面があることは、委員御高承のとおりでございます。昨年の秋以来民間からの資金の流れ、外への流れが細ってきている、これはまたある程度為替の不安定に起因しているということ、これは委員御指摘のとおりでございますが、通貨当局といたしましては、その中でやはり急激な円高を招来せしめ国民経済ひいては雇用にまで影響を与えるというような事態を避けるために、必要な介入をしてできるだけ為替の安定を保とうとしているわけでございます。その結果、介入すれば当然ドルがふえるわけですから、これを私どもはまず流動性、安全性、確実性という観点から資金運用しておるわけでございます。 それがアメリカのファイナンスを助けているかどうかというのは、これは客観的な事実の御指摘として、結果として一部そういう面があるということは否定するものではございませんが、政策意図とは全く関係のないことだ、私どもの政策意図はあくまでも為替の安定のためにやっているのだという点を御理解いただきたいと思います。
○和田教美君 ドル買いの市場介入によって日本の外貨準備がふえた、その分だけはアメリカの財務省証券を買う、こういう約束が日銀とニューヨーク連銀の間にできているというふうな報道がございましたけれども、日銀総裁、それは事実でございますか。
○参考人(澄田智君) ただいまお尋ねのような形の取り決めが日米間である、あるいはアメリカの連邦準備制度と日本銀行の間にあるというようなことはございません。
○和田教美君 外務省にお尋ねしたいのでございますけれども、最近の貿易摩擦の問題で、いわゆるジャパンバッシング、日本たたきというのが一方的にやられっ放しだという印象を私は持っているわけでございます。今この外為に関する論議をお聞きになったら、日本はやはりアメリカの財政赤字のファイナンスなどのために相当な役割を果たしているわけですね。これは僕は一つの外交上のバーゲニングパワーになるというふうに思うわけですね。日本もそれを使って、資金の流れも全部含めた日米経済関係ということから見ればそう一方的にやられっ放しでないんだということをもっとアメリカの政府にも強く要求して、さらにアメリカの議会とかあるいは世論に対して訴えていくべきではないか、こういうふうに思うんですが、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほど来いろいろ為替に関する応答がございましたが、レーガノミックスが誕生当時は日米間の極端な利子の差がございましたから、私たちもその当時は本邦資本流出と呼んでおりましたが、年間、最高は二十兆円にも達したということを伺っております。そうしたことが、商業ベースとはいえ米国の経済に与うる影響は大きかったであろう、こういうことは私たちも実は率直に話しております。しかし、最近円ドルの関係が極めて不安定な時期がありましたから、先ほど政府委員も話しておられましたとおりに、昨年の夏以来は流出がややとまったということも事実でございます。だからその辺の事情も私、実はシュルツさんにもお話ししたことがございます。 そんなことで、やはり一番大切なのは円ドル関係がきちっとしておることである、急激な変動がないことであるというふうな立場に立ちまして、竹下・レーガン会談では御承知のとおりSDR、こういう話が日本側から持ち出された。こうしたことも大きな話ではないかと私は考えておりますので、今お話しの面に関しましては、政府のサイドはサイドといたしまして、やはりそれだけの民間資本の流出においてもアメリカ財政、アメリカ経済を助けている面が多々あるのだということは常に申す必要があるだろう、こういうふうに考えます。
○和田教美君 今も外務大臣が認められたように、為替差損という形でいろいろ被害も出ているし協力もしているわけなんですね。ですから私は、今やもうレーガン・ボンドの発行をもっと強く要求すべき時期に来ているのではないか。レーガン・ボンドというのは、今の米国債は全部ドル建てでございますけれども、それを要するに円建ての米国債を発行してもらう、そして日本が引き受けるという形でございます。そうすれば少なくとも為替差損の問題はアメリカがリスクを引き受けるということになるわけでございますから、そういうことは日本の国民の利益を守るという点においても非常に重要なことではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。 そこで、レーガン・ボンドというような形のものはカーター政権のときにも一度やったことがあるわけで、前例がないわけではないわけでございます。また、中曽根前総理も一月のスイスのダボスというところで開かれた会議で、アメリカ政府による他国通貨建て債、つまりレーガン・ボンドですね、これの発行は市場の信認を高める上で有用であるというふうに推奨されておるわけでございますが、その点、大蔵大臣はいかが考えておられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その問題は、学者にも、また中には実務家にもそういう主張をされる人がございまして、これがごくごく普通の経済事象でございますと一つの考え方であると思うのでございますが、市場がどう受け取るかということがやはり一番大事なことであろうと思います。これはいずれにしてもアメリカが決めることでございますけれども、アメリカの関係者の中には、これによって市場が非常に先を安心するのであるか、あるいは、今カーター・ボンドのお話がございまして、過去にそういうことの連想がございますので、そこまでしなきゃならないのかというふうに市場が受け取るか、その辺がどっちであろうかという議論がやはりあるようでございまして、結果としてはそういうことはあえてするに及ぶまいというのがアメリカ政府の考え方のように承知をいたしておりますけれども、いずれにしてもこれはアメリカ側の考えることであろうと存じます。
○和田教美君 私が得た情報によりますと、政府はひそかにアメリカ政府に対してレーガン・ボンドの発行というものを打診した、ところがレーガン大統領が、カーターのやったことはおれはやらぬと言って頑として聞かないので、結局そのかわりにアメリカ側から、今後ドルが急落する際は今お話の出ましたようなSDR、アメリカの政府が持っているSDRを日本に提供してそして介入資金の円を調達する、こういうことでアメリカ側からそれを提案して妥協した。これが一月のワシントンの竹下・レーガン会談の日米共同声明の最大の目玉の一つになったというふうに言われておるわけですけれども、それは事実ですか。総理、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 私自身、反省してみますと、とかく円ドル関係のお話をしますと、私も気をつけておりますが、かつてのカウンターパートであったベーカーさんの方を向いて話をしたりする癖がございますので、首脳会談だからそれじゃいかぬと思ってもう一遍向き直って話をするという姿勢をとっておるわけでございますけれども、レーガン・ボンドにつきましては、今宮澤大蔵大臣からお話がありましたように、下世話な表現になりますけれども、市場の受ける心理というもの、とうとうアメリカも、基軸通貨国も、よその国へ行って債券を発行しなきゃならぬようになったのかという心理というものもやはり大きなことの一つであろうと思います。 したがって、スイスと西ドイツでございましたか、カーター・ボンドの問題についてそういう雰囲気もございましただけに、やっぱりレーガン政 権というものができたときには、強いアメリカ、強いドル、こういう考え方というのが市場に与える影響の中で維持されておるのではないかと思います。 がしかし、何を話し合ったかということでなしに、絶えずそういうふうな議論のやりとりはカウンターパート同士で、例えて申しますならば、役所で言いますならば国際金融関係者と向こうの国際金融関係者との話などもしておるところでございますが、この問題につきましてはあくまでもこちらが打診したとか話をしたとかいうことよりも、平素の意見交換の中に存在しておる議論であるというふうにお考えをいただきたいと思います。 そこで、そのかわりにと、こうおっしゃいましたが、SDRの売却の仕組みというのは、これは日米どちらが言い出したかということではなくして、通貨当局者の話し合いで双方から図らずも一致した、こういうふうに理解していただいた方が一番穏当じゃなかろうかなというふうに私は考えております。
○和田教美君 世界の基軸通貨としてのドルは、その地位はもう非常に大きく動揺していると私は思うんですね。長期的に見れば私は、ドル体制にかわる新しい国際通貨体制、こういうものを考えなければならない時期に入っているのではないかと思うんです。といって、今すぐドルを基軸通貨から追放するというだけの力がまだ円にもあるいはマルクにもないと思うわけでございます。そうすると、結局当面はやはりドルを中心にして円とマルクで支えていく、円を準基軸通貨にしていくというふうなことが私は非常に妥当な考え方ではないかというふうに思うんですけれども、そういう点について大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておるのか。 しかし、長期的に見れば新しい基軸通貨体制、国際通貨体制というものを考えていかなければならないというのはまた別の課題としてあるわけでございまして、公明党の矢野委員長もさきに代表質問でそれを提唱し、早くそういう構想をつくって日本から提起すべきではないか、こういうことを主張したわけでございますが、その点もあわせてひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国の貿易を見ておりますと、輸出につきましては円建ての契約が三割以上あるようでございます。三十何%、毎年大体その辺であろうと思いますけれども、輸入につきましてはどうしても一〇%に達しない、一けたでございますので、これはいろんなことからそうなっておるのでございますけれども、ここのところがどうかなりませんと、なかなか今和田委員の言われますような円の外国への踏み出しというものがもう一つ効きにくい。考え方といたしましては、好むと好まざるとにかかわらず、円なり、マルクもそうでございますけれども、ある種の役割をやっぱり担っていかなければならない。ドルが基軸通貨であることには変わりがございませんけれども補完的な役割はだんだんに大きくなっていくと考えるべきでありますし、そのためにはやはり円なりそれに伴う国際金融の自由化というものを進めておきませんと、いわばよそへ出かけていって動ける通貨にならないわけでございますので、それは政府といたしましても極力その自由化を内外にわたって進めております。 その上で、やはり大勢としては和田委員の言われるような方向へ持っていくことが恐らくもう不可避でございますから、それであればそういうふうな準備を進めていくべきであろうと思っております。
○和田教美君 次に、外交防衛問題についての質問に移ります。 去年の十二月の米ソ首脳会談とINF全廃条約の調印以来、私は、国際政局は確実にデタント、緊張緩和の方向に動いているというふうに思うわけでございます。今行われております戦略核兵器の五〇%削減の交渉が難航して仮に妥結しない場合でも、五月にはレーガン大統領のソ連訪問、そしてゴルバチョフ書記長との会談が行われるというふうなことで今日程が調整中だということでございます。 ところが、国際政局が完全に確実にデタントの方向に動き出したということについて、どうも外務省はそういう見方をとらない。余り行き過ぎた緊張緩和ムードとか平和ムードのみの先行は疑問だというような見解を発表されております。そこで、総理は一体今の国際政局を、緊張緩和、デタントの方向にあるというふうに見るのかどうか、その根本的な認識をひとつお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘ありましたように、INF条約の署名、これは西側の結束のたまものであって、まさに核軍縮の第一歩として高く評価するものである、この認識はまず基本認識として持っております。 しかし、基本的にはどうか、こういえば、米ソを軸とする東西関係は依然として対立関係にあるということをやっぱり現実としてとらえなければいけないのではないか。したがって私どもは、いわゆるムードが先行して、これから今御指摘がありました戦略核の問題、それから通常兵力の問題、アフガン等を含む地域問題、こういうものがムードの陰に隠れないように、これらがやっぱり進められていくように、総じて言えば、ウィリアムズバーグ・サミットにおいて中曽根前総理が西側の一員ということを確認され、西側の一致団結のもとに初めて平和とか軍縮とか軍備管理とかいうものの力強い背景が整うというふうに考えておるところでございます。 特にこのINF交渉を通じての今日の問題意識をおまとめ申し上げてお答えしたわけでございます。
○和田教美君 一般の国民の率直な疑問は、軍拡から軍縮への新時代へと切りかわりつつあるという米ソ関係、そういう状況の中でなぜ日本だけが従来どおりのハイペースで軍事力、防衛力の増強をしているんだという点ですね、これが非常にわからないという疑問が多いわけでございます。 そこで、防衛費はこのところ突出を続けておるわけでございますが、今度の予算についても、二極分化の予算だ、二つの極に分かれている、こういうふうな批判もあるわけでございます。とにかく、ソ連嫌いだったアメリカの大統領が、ソ連を悪の帝国なんて言っていた人が、差し迫ったソ連の脅威はないというふうなことを言い出しているというようなことで、私は相当変わってきているというふうに思うわけでございますけれども、なぜ日本だけがこういう軍拡への方向といいますか、防衛力の増強を進めなければならないのか、根本的な問題として総理の見解をお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) まず、我が国の防衛自体は平和憲法のもとで専守防衛に徹して他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、これが基本理念でございます。我が国が軍事大国化するという懸念は、時あるごとにそのことを表明することによって世界の中でそれを認識していただいておる、こういうことであろうかと思うのであります。 しかし、かといって大綱に定められております防衛努力というものは、そのときどきの経済財政事情を考慮しながらこれを着実に進めていかなきゃならぬ。その着実な道を歩んでおるというのが今の時点ではないかというふうに考えております。
○和田教美君 今総理は、軍事大国にならないというふうな問題についてこれを国是だというふうなことをおっしゃっていることについて言及をされましたけれども、私の考えるのに、軍事大国化云々というふうな問題は、総理大臣がどう考えているかということももちろん重要ですけれども、国内がこの問題についてどう見ておるかということも非常に重要なことだと思うんです。 その点で注目したいのは、ことしの一月のレーガン大統領に提出したアメリカの長期戦略報告書というのがございます。これは今後二十年間の米国国防政策に関する報告書であって、キッシンジ ャー元国務長官ら国防問題の専門家が参加いたしております。ところが、その中で日本に関する記述がございまして、「今後数十年間の戦略バランスのカギとなるのは日本が主要な軍事大国になる道を選ぶかどうかだ。」というふうな記述がございます。前後の文脈から見まして日本がやがて軍事大国化するのではないかというニュアンス、そういう疑問というふうなものを色濃く出しておる報告書であるというふうに思うわけで、しかもキッシンジャーはその後、日本はそのうち軍事大国化するなんていう発言もいたしております。ですから、その点について日本政府としてはどう見ておるのか、こういう点についてひとつ見解をお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(宇野宗佑君) 仰せのとおり、キッシンジャーあるいはブレジンスキーといったような専門家十三名が委員会をつくられまして、報告書を出しておられます。これは内容を私読ましていただいておりますが、一々ここがいい、ここが悪いというようなコメントは差し控えたいと思いますが、要は政府に出された委員会の自主的な報告書でありまして、政府の見解ではないと。しかし、その中には、二十年たてば中国並びに日本は軍事大国になる、こういうような記述があることも事実でございますが、さらに日本に関して読み下しますと、その中には、日本が軍事大国になるかどうか、これは日本の判断だと、こういうふうに書かれております。そうした意味合いにおきまして、必ずしも日本が軍事大国になるから懸念を有するという意味ではなく、我々は当然先ほど総理が申されましたような憲法上の戦争放棄という大きな条項尊重の国家でもありまするし、そのほかいろいろと防衛に関しましては節度ある防衛ということを常に申しております。特に西欧諸国におきましては経済大国イコール軍事大国というふうな観念が多うございますから、だから、経済大国と言われましょうとも我々は軍事大国にはなりません、これを常に総理も宣明しまた我々も宣明いたしておる、こういうふうに御理解願います。
○和田教美君 アミテージ米国防次官補、これは国際安全保障問題の担当でございますけれども、それが二月の二十五日ワシントンの国防大学で講演をいたしまして、そして、ここにその写しがございますけれども、日本の六十三年度防衛予算は英、仏、西独を抜いて世界第三位になる瀬戸際に来ているというふうに言っております。 そこで防衛庁にお聞きしたいんですけれども、我々が日本の防衛費は世界何位だというふうな問題を考える場合に、資料としては防衛ハンドブックなどにあるこのミリタリー・バランスの古い数字に基づく日本は世界の九位とか十位とかという数字ですね。それしか知らされていないわけでございますが、円高によってこれは当然変わっていると思うわけでございます。そこで、現在は日本の軍事費というのは世界の主要各国に比べて大体何位になっているのか。アミテージ発言というものは間違っておるのか、正しいのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) お答えいたします。 米政府は従来から我が国の防衛努力を評価しておるわけでございますが、最近米議会を中心といたしまして我が国に対する極端な防衛力増強要求、日本は防衛費をGNP三%まで増加させるべきだという、こういう意見が見られることからいたしまして、アミテージ次官補は、我が国の防衛努力を十分に理解しまして、さらに具体的に米国内における理解といいますか、日本の努力に対する理解を求める、かような意見も述べておるわけでございます。 なお、防衛費の問題でございますが、国際比較につきましては、それぞれの国の歴史であるとかあるいはまた制度、そうしたことにもかかわるわけでございますし、またその内訳につきましてはわからない場面というのがあるわけでございまして、いろいろ外部にあらわれたケースを単純に比較するということはいかがかと思いますが、具体的なことにつきましては政府委員から答弁させてまいりたいと思います。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、各国の国防費を比較いたしますことは非常に困難でございますが、私ども手近に利用し得るものといたしましては、英国の国際戦略研究所のミリタリー・バランスあるいは米国の軍備管理・軍縮局が発表いたしております報告がございます。これらは統一的な基準によりまして国際比較をしているわけでございまして、一つの国際比較のよりどころになり得る資料ではないかと思います。ところが、いかんせんこれらは一九八五年あるいは八四年の数字しか出ておりませんのである意味では古うございますが、これらによりますれば、日本は八位、九位、十位くらいにランクされることになってございます。 ただ、ただいま委員御指摘のように、その後為替レート等も変わってきておりますので、直近時点ではどういう数字になるのかということでございますが、最近におきます各国の国防予算、それを最近におきます為替レートで比較いたしてみましても、ただいまアミテージ国防次官補の発言を引用されておっしゃられましたような米ソはもちろんのこと、英、仏、西独といった西欧主要国に及ばない水準であることは事実でございます。ただ、私、アミテージ米国防次官補の講演を論評する立場にございませんが、彼の発言も、現時点におきまして日本の国防予算がこれら西欧主要国を凌駕する形になっている、あるいは世界第三位に位置づけられているというふうには言ってはいないと承知いたしております。
○和田教美君 三位になろうとしていると言っているんですね。だから、なったということを言っているわけではございません。 それから、これは防衛庁からいただいた資料なんですけれども、これによると日本は、今のミリタリー・バランスの数字はえらい古い数字を今答弁されておりましたけれども、これには一九八七年までの数字が出ておりまして、日本は六位ということになっておりますね。これはどうですか、おたくでつくった資料じゃないんですか。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 ただいまも申しましたように、国防費の国際比較というものは非常に難しゅうございます。したがいまして、ミリタリー・バランスによりましても、戦略研究所が自己の統一的な基準によりまして国際比較をいたしておりますものの最も新しいのは八五年までなんでございます。ところがミリタリー・バランスの記述の中には随所に、一覧性のある形ではなくして各国の最近時点の予算の数字が掲げられてございます。したがいましてこれをそのまま比較することが果たして妥当かどうかは問題があるわけでございますが、あえてそれをそのまま一覧性のあるものといたしまして並べてみますと、これらにつきましては主要な国しかない関係でございますが、米国それからソ連の数字はちょっとわからないわけでございますが、これは当然大きいと考えますと、その後に英国、西独、フランスというような国が続いてまいりますので、その他の国の数字は必ずしも定かでございませんのでその点を捨象して考えますと、その次に続くのが日本であろうかと、かように考えたわけでございます。
○和田教美君 つまり、六位ということじゃないですか。
○政府委員(日吉章君) 最近におきます為替レートの上昇等を考えますと、円のドルに対します上昇率は他の通貨よりも高うございます。そういう点を考えますと、はっきりしたことは申し上げられませんが、その後各国の国防費を統一的に比較し得る資料が入手されました段階ではあるいは現在私どもが八位、九位あるいは十位程度だと申し上げているのよりは高い順位になることは考えられるところでございます。
○和田教美君 まあとにかくお役人の答弁というのは、要するになかなか素直でないですね。そういう印象を改めて持ちます。 次に、一月の瓦長官の訪米による日米防衛首脳会談、これで日本有事の際の米軍の来援を円滑に するための研究というものが合意されております。この研究内容が有事の際の米軍来援の時期や規模だけでなくて、米軍の兵器、装備を事前に我が国に集積しておく事前集積問題、いわゆるポンカスの問題だとか、あるいはアメリカの増援部隊の受け入れに不可欠とされます戦時受け入れ国支援、WHNS協定の問題、それと密接につながる米軍のための有事立法の問題を含む、こういうふうなことがこの国会の審議で明らかになってきております。 そこで、午前中の時間もございませんので切りもいいためにお尋ねするんですけれども、私の印象では、こういう問題について防衛庁の答弁とそれから外務省の答弁とが食い違ったり混乱をしているというふうな面もしばしばあるわけでございます。ポンカスの問題だとか、そういうものも含めて今度の研究というものはどこまでの範囲のことをどの程度にやるんだというふうな問題について一体政府としては整理しているのか、統一的な見解を出しているのかという疑念を持つわけでございますが、政府として、防衛庁でもあるいは外務省でも結構ですから、ひとつ統一的な見解をお示し願いたいと思います。
○国務大臣(宇野宗佑君) 安保条約に関しましては外務省の所管でございますから、まず私から申し上げたいと思います。 今回の有事来援の勉強というものは第五条、すなわち日本有事に限られたものである、これが第一点であります。したがいまして、極東有事等々が決められております第六条には及ばない、これが第二点であります。第三点は、今回の有事来援の勉強会は、日米間において防衛協力に関する指針がございます。一般的にはガイドライン、このガイドラインに沿って行われるものである、その一環である、こういうふうに御理解賜りたいと思います。 そのガイドラインに従えば、勉強会の結果出た結論、それに日米両国はいずれも予算あるいは立法あるいは行政措置、そうしたものを義務づけられてはおりません。ただ、そうしたものに関してはそれぞれが判断をするところでございます。 義務づけはありません。 それがその次の問題であります。 続きまして、有事立法のお話が出ましたけれども、有事立法というためにする勉強会ではありませんと、こういうふうにお考え賜りたいと思います。 そうした中におきまして、いわゆるポンカス等々のお話が出たりあるいはWHNSのお話が出たりしたわけでございまして、我々といたしましては、現在からそういう問題に飛ぶべき問題ではなく、WHNSのごときは指針の中に示された各項目、その項目に関する研究がすべて終わった、そしてその次の段階としてHNS、このウオータイムにおける研究という場合の話であって、いろいろと議会で議論がされましたが、この勉強会を離れてということで、今のような問題は一般論として政府はお答えいたしておる。それがややもすれば混同されまして、質問とそして答弁の間にすれ違いがあったりいたしましたので、いかにも混乱を来しておるというような印象を与えた点は甚だ反省しなければならぬと思いますが、外務省、防衛庁それぞれ意見の食い違いはなく、また政府は今私が要約して申し上げましたことを終始一貫申し上げてきたと、このように御理解賜ります。
○委員長(原文兵衛君) 和田教美君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十六分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十三年度総予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、和田教実君の質疑を行います。和田教美君。
○和田教美君 防衛庁にお尋ねいたします。 先ほど、午前中宇野外務大臣から有事来援に関する政府の統一的見解を出されましたけれども、それに関連して申し上げますが、有事立法の問題だとかそれからあるいは衆議院の政府の答弁で、有事法制の研究というものはいわゆる自衛隊のための有事法制の研究ではなくて、米軍来援のための有事法制の研究であるというふうな答弁も政府から出ておるわけでございます。そういうことから見ると、従来の自衛隊の行動を中心とした有事法制研究というものが米軍の行動に軸足を移した研究にだんだん変質していくのではないか。 そして我が国の自主性、自立性が損われるおそれがないかどうかという点が一点でございます。 それからもう一つは、研究は現行の法制の範囲内でやれるというふうに言われておりますけれども、それは疑問だという点であります。例えば、新たな秘密保護の法制が研究の過程で出てくるおそれはないか。例えばポンカスの装備についての秘密はMSA協定に伴う秘密保護法で十分カバーできるのかどうか、やはり新しい立法が必要になるという危険性はないかどうか、その点について防衛庁の見解をお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(瓦力君) お答えいたします。 有事来援の研究はガイドラインに沿った研究でございまして、共同作戦研究等を行っておりますが、その延長線上においてこの研究を進めてまいるものでございます。 よって、有事法制研究という問題とは別の問題でございます。 なお、ただいま秘密保護協定とのかかわり等についてお話がございましたが、日米間の協定、我が国の法制上の研究するもの、今委員御質問の問題、新たな秘密協定とかスパイ防止法の必要の問題がございましたが、それらの問題とは別の問題でございます。よって、今度の有事来援研究につきましての研究はガイドラインのうちにおいてなされる研究と、かように御理解をいただきたいと思います。
○和田教美君 午前中の宇野外務大臣の答弁で、今度の研究はあくまで安保条約の五条事態、つまり日本に対する武力攻撃が行われる場合、日本有事と言うんですけれども、この場合に限るというふうなことでございました。しかし、先日の衆議院の外務省当局の答弁によると、ポンカス、事前集積の物資装備は六条事態、つまり極東有事の場合にも使用される可能性があるというふうなことを答弁していたと思います。そうすると全く五条事態に限定するということは言えなくなるのではないかと思うんですけれども、その辺の外務省の見解をお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(宇野宗佑君) 午前中にも第五条に限るということをお話しいたしました。そこで、そうした質疑応答の過程においてポンカスという問題が出てまいりまして、そして日本に集積されたものが、集積されていること自体既に極東有事なのか、あるいは極東有事のときどうなるのかというふうなお話もあったわけでございます。 午前中も申し上げましたが、あくまでも勉強は勉強と、そういうことでそれを離れて一般論としてというお話でございますが、ポンカスに関しましては次のように私は答えております。第六条は有事でございますから、極東有事という文句がどこに出てくるかと申し上げますと、米軍は日本の施設、区域を用いることができる。 その目的は、日本の安全並びに平和に貢献することと極東における国際の平和、安全に寄与することを目的とすると、こう書いてあるからその目的に合致する限り安保条約違反ではございませんよと、しかしこの問題は第五条日本有事という場合を今研究しようというのであるからそれを離れてのお話でございますと、こういうふうに整理整とんいたしておいたつもりでございます。
○和田教美君 ポンカスについてはアメリカは余り積極的でなかったというふうに聞いておるんです。ところが日本側の要求で結局この研究をやるということに決まったと思うんですけれども、そうすると日本側はある程度の腹案を持っているのじゃないかというふうに私は思うわけです。 そこで防衛庁に聞きたいのは、ポンカスについ ては一体場所をどの辺に考えておるのか、あるいは何個師団分ぐらいのポンカスが必要だ、そうすれば有効だというふうに考えておるのか。それからさらにポンカスを仮に一個師団分行う、事前集積を一個師団分行うという場合に、土地はどのくらいの面積が必要でどのような設備が必要とされるのか。また経費の負担というのはどうなるのか。 さらに、これは外務省だと思いますけれども、既存の施設、区域を転用するだけで全部間に合うのか。どうしても新しい米軍基地を提供しなければいけないという事態が予想されるのかどうか、その辺についてひとつ明快にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(宇野宗佑君) まず私からお答えいたしておきますが、これも一般論でございます。一般論としての御質問として私も一般論としてお答えいたしますが、例えばポンカスというものが必要であるといったときに、現在の米軍が用いております施設、区域というものは、既に我が方が言うならば先ほどお話のありました受け入れ国の支援という意味で提供いたしておりまして、それでも間に合わないんじゃないか、もっと広くなるんじゃないか、どうするんだと、こういうお話でございましょうが、やはりこれは仮定の問題でございますから本当はお答えするのは適当でないと思いますが、一般論としてまだそういうような状態もありませんし、そのときはやはり規模によりけりであると、こうお答え申し上げるよりほか仕方がございません。
○国務大臣(瓦力君) 一月訪米の際、カールッチ国防長官との会談におきまして、今日まで日米間で共同作戦研究であるとかあるいはまた共同訓練等を行ってまいりまして、その成果を踏まえながら日米安保体制の信頼性を確保していく、この上で有事来援問題について研究をしたいと、かように提起したわけでありまして、ポンカスとか具体的な問題提起はいたしておらないわけでございます。 よって、今外務大臣から御答弁がございましたが、一般的な問題として今外務大臣のお答えになったような問題もありましょう。 また今、このガイドラインの中におきましての研究の結果というものを踏まえてまいらなければならぬわけですが、この研究はいわゆる立法であるとか予算であるとか行政措置とかそうしたことの前提がございますので、その中で研究なされるものでございますから、まずそこで研究をしてこの研究を進めようと、こういうことで有事来援研究の問題を提起してまいっておるわけでございます。
○和田教美君 どうも私の質問に対する答えになっていないように思うんですけれども、まあいいでしょう。 そこで、この問題についての最後の質問ですけれども、この有事来援研究の国会答弁を聞いておりますと、どうも防衛庁当局の独走ぶりが目立つように私も思うわけでございます。新聞の報道ですけれども、日米首脳会談に総理が出かけられる前、それから日米防衛首脳会談が行われてこの問題が決定される前に、どうも総理にはほとんど報告が行っていなかったということのようでございますね。後で総理は勉強されたということのようでございますが、こういう問題は最初が非常に重要である、シビリアンコントロールという点からいって非常に最初が重要である。国民の権利に非常に重要な関係のある問題でございますから、一体総理はこの研究を全面的に認めておられるのか、それともこれからも行き過ぎはチェックするという毅然たる態度をとっておられるのか、その辺を明確にお示し願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず瓦訪米、その前に私と宇野外務大臣とが首脳会談のために訪米したわけでございますけれども、まず瓦訪米については、国際情勢の認識についての相互の意見交換、それから相互の防衛関係費年度予算案等について、それから安保条約の有効的機能について、こういうようなのが一般としてあるということは私十分承知しておりました。そうなりますと、当然のこととして安保条約が有効的に機能するということになりますと、そもそも従来からいわゆるガイドラインのもとにおいての研究というものが行われるということはその延長線上にある問題であろうというふうに思っておったわけであります。したがって、この問題につきまして特段の、じゃ、こういうふうにやったらどうだとかいうような指図とかをしたことはございませんが、いわゆる瓦訪米の問題点についてのことは、私自身が最高責任者でございますから、私も事前に十分それは承知しておったところでございます。 今までも同様に研究そのものは防衛庁長官の責任において行うということが閣議了解されておるわけでございますので、その段階段階において報告を受けるということで、これは極めて私は平たくこれを認識いたしておりまして、新聞報道等によりますと防衛庁の行き過ぎじゃないかというような議論が出ておりますが、私は、そもそもが日米安保条約が有効に機能するには、有事に来援をどうしてやるかということはまさに日米安保体制の核心として存在するわけでございますから、その延長線上の研究であるというふうに問題を認識しておりました。だが、今後仮に行き過ぎだというようなことが認められる場合、これをチェックするというのは、これはやっぱりシビリアンコントロールの建前からしても当然のことであろうというふうに考えております。
○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。峯山昭範君。
○峯山昭範君 防衛庁長官にお伺いをいたします。 午前中の和田委員よりの質問の中に、アミテージ国防次官補の発言の問題が出てまいりましたが、日本で言えばこの方はどういう立場の方でございましょうか、御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 一九八一年のレーガン政権発足時に米国防総省の東アジア・太平洋問題担当の国防次官補代理に就任いたしておりまして、八三年に国際安全保障問題全般を担当する国防次官補に昇進いたしまして現在に至っておるわけでございますが、日米防衛関係につきましては十分精通をした方だ、さらに日米の相互理解の促進につきましても努力しておられる方だというぐあいに、私もお会いしましてさように感じました。体自体は非常にアメリカンフットボールをされるような体をしておられますが、人柄……
○峯山昭範君 日本で言えばどういう……。
○国務大臣(瓦力君) 役職といいますと、言ってみますれば当庁の西廣防衛局長という感じかと思いますが。
○峯山昭範君 西廣局長に当たる人でございますから、相当のベテランの方であろうと思います。 そこで経理局長、先ほど和田質問の中に出てまいりましたが、米国の国防大学でのアミテージさんの演説でございますが、その中に出てまいります日本の防衛予算に関する説明、彼はどういうふうになさっておられますか。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 私の翻訳が必ずしも適切かどうかわかりませんが、私の理解では、日本の一九八八年防衛予算は英国、フランス、西独を抜くような状態に近いところに来ている、もしこれが抜くとすれば世界第三位の状態になる、こういうふうに訳すべきかと考えております。
○峯山昭範君 相当なところまで来ているということを彼は演説しているわけです。 そこで、日本の防衛予算を支出官レートで計算するとどういうふうになりますか、具体的にお願いいたします。たくさんですと大変ですから、八六、八七、八八年の三年間で結構です。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 果たして予算そのものを対米ドル支出官レートで計算することそのものがどういう意味を持つかということはいろいろ御議論あろうかと思いますが、六十一年度予算、八六年予算でございますが、これは三兆三千四百三十五億でございました。支出官レートは二百九円でございますので、 これをドル換算いたしますと約百六十億ドルになろうかと思います。六十二年につきましては三兆五千百七十四億でございますが、これは約二百十数億ドルになると思います。六十三年度、現在御審議いただいておりますものは三兆七千三億円でございますが、これを支出官レート百三十五円で単純に計算いたしますと二百七十四億ドル程度になろうかと思います。
○峯山昭範君 その伸び率はそれぞれの年度ごとに何%になりますか。
○政府委員(日吉章君) 予算の伸びそのものは、委員御高承のとおり六・五八%、五・二%、五・二%でございますが、非常にドルに対しまして円が高くなってございますので、それぞれ二〇%、三十数%、二七%の伸びになりますが、これそのものがどのような意味を持つかという点はこれはまた別の問題ではないかと思います。
○峯山昭範君 先ほどの伸び率の問題は、要するに日本の防衛予算というのは、これは諸外国から見た場合はミリバラで計算すると同じように、やはりドルに換算して見るわけです。そうしますと、今局長が答弁になったように日本の防衛予算は伸びていると見るわけです。これは総理、大変な問題だと私は思うんですが、円が高くなっているからそんなことはないと、こう前段でありました。それならば、各国の円高の問題や円のいろんな問題をミリバラのいろんな資料から計算してみましても、アメリカの一・二倍、それからフランスの一・五八倍、西ドイツの一・五一倍、イギリスの一・二倍というような防衛予算の伸び率、これは五年間を集計したものであります。それから見ましても日本は明らかに二倍以上の伸びをいたしております。 こういうふうに見てみますと、日本の防衛予算が相当なところまで来ているということは明らかであると思うんですが、この点についての総理のお考えをお伺いしておきたい。
○国務大臣(竹下登君) 確かにミリタリー・バランス、これドル換算してみますと、今峯山さん御指摘のとおりの数字が出てくると私も思います。しかし、この問題は、やっぱり予算編成そのものは自国通貨において行って、いわゆる為替レートそのものがじかに影響しますのは外国からの調達物資等々あるいは燃料もそうでございますが、そういうことを詳しく分析して検討すべき課題だろうと私自身は思っておるところでございます。 と同時に、いま一つは、いわゆる四五%とも言われる人件費部分というようなものが、この為替レートを換算した場合にこれは大変な差を生じてくるということも私もよく理解しながら、このミリタリー・バランス等から来る為替レート換算の場合の議論をどういうふうにしていいのかと常日ごろ自分なりにも勉強しておるわけであります。したがって、やっぱり要は結局平和憲法を守り、専守防衛に徹し、軍事大国には断じてならないということを事あるごとに私どもが述べることによって、国際場裏において日本の立場というのを理解してもらっていくということが私は必要ではなかろうかというふうに思っております。 ただ、午前中に和田さんの質問の中で、国民自体の受けとめ方ということについては私もなるほどなあと思いましたので、それについて我々としてどのような周知徹底の手段があるかということも考えてみなきゃならぬなという感じで承っておったところでございます。
○峯山昭範君 それでは、予算の面ではそういうふうにお考えになったとしても、アミテージさんは、予算だけではなしに、今度は能力の問題をおっしゃっているわけです。 これは西廣局長にお伺いいたしますが、アミテージさんは本当に重要なことは能力であるとおっしゃっていますが、その能力の中身についてどう説明をしておられますか。
○政府委員(小野寺龍二君) アミテージ米国防次官補の、米国防大学における講演のその部分を読み上げさせていただきます。 極東におけるソ連の強大なプレゼンスに対処するために、日本は、海上自衛隊に護衛艦五十隻以上を保有している。この隻数は、西太平洋及びインド洋の全体をカバーしている米国第七艦隊の保有する二倍以上の数である。一九九〇年までには、日本の保有又は発注中の護衛艦の合計数は、イージス防空システム搭載艦二隻を含め六十隻になるだろう。対潜航空機については、米国は第七艦隊にP—3Cをおおよそ二十三機保有しているが、日本はウラジオストクに近接する基地に百機を配備することになろう。日本の航空自衛隊はF—4ファントム百機を保有し、また、一九九〇年までにはF—15イーグル約二百機を保有することになろう。三百機という数は、米国本土を防衛するため保有している戦術航空機の数とほぼ同数である。一九九〇年代には、日本は、自国の先端航空電子技術やその他の改良により能力向上したF—16を百機以上配備することを始めることになろう。 以上でございます。
○峯山昭範君 この説明は合っていますか。
○政府委員(小野寺龍二君) ただいま挙げております比較というのはおおむね合っているというふうに承知いたしております。例えば護衛艦につきましては第七艦隊は十八ないし二十隻、対潜航空機につきましてはアミテージさんは二十三機と挙げておりますけれども、我々は二十七機第七艦隊にあるのではないかというふうに考えております。要撃戦闘機につきましては米本土には三十六スコードロン、ほぼ三百機程度ではないかということで、その比較している数字につきましては合ってございます。
○峯山昭範君 総理、これ能力の面から見ましても、日本の防衛能力というのが相当な点まで来ているということをアメリカの専門家も認めているわけです。そういう点からいきますと、日本の防衛予算を見る場合でも、外国から日本をどう見ているかという視点というのは非常に大事じゃないかと思うんですが、そういうような意味ではやはり防衛予算の一%枠というのは非常に大事な問題に私はなってくると思うんですが、そういう点も含めて御答弁をいただきたい。
○国務大臣(竹下登君) 私どもがなかんずく近隣アジア諸国等に参りました場合に、いわゆる日本のかつての幻想からするところの軍事大国になりはしないかという一つのおそれというものを、そういう空気というものは私も過去の体験からしても感じたことがございます。 したがって、それを言葉の上で、私どもはいつも申し上げておりますように平和憲法に徹し、非核三原則を守り、そして軍事大国になる意思はないという意思の表明をしておる。と同時に、今度は実態としての問題といたしましては、それこそ国会等でシビリアンコントロールの機能を果たしていただいておるわけでございますが、例えば攻撃的な兵器は持たない、あくまでも専守防衛のもののみであるということを主張し、説明することによって理解を求めていくべきであるというふうに考えております。 それと、今度は一%の問題でございますが、昭和五十一年でございますか、一%というものにあの当時はまだかなりすき間があったことは事実でございますけれども、ちょうど私も閣僚の一人でございましたが、高度経済成長期でもあったこともありますけれども、あのことがいわば、その後財政当局の立場に立ちましただけに、ある意味において非常に厳しい防衛予算に対する査定の背景になったということは私も認めております。 ただ、幾らこの議論をしてみましても、初めに一%ありきという性格のものであってはならぬ。やはりちゃんとした計画をお出しして、その計画の中身等々について可能な限りの御議論をいただいてシビリアンコントロールの実を上げていただくというような仕組みそのものがまた諸外国に対する懸念を与えなくて済む、あるいは懸念を払拭することになるのではなかろうかというふうに考えております。
○峯山昭範君 防衛庁は米当局に対しましてポスト中期防についてどういう説明をしておられますか。
○国務大臣(瓦力君) ポスト中期防につきましては、私は中期的な計画が必要だということで着手をいたしたいという、こういうことは申し述べたわけでございますが、まだ我が国のそうしたスタンス、こうしたものも庁内でどういう材料を集めて取り組んでいくかという研究段階でもございますし、やがて安保会議等も総理のもとで開くという機会もあるわけでございますが、まだそうした問題につきまして米側と相談するというような段階ではございません。
○峯山昭範君 それでは大臣、アミテージ発言の中に一九九一年から一九九五年、いわゆる中期防の話が出てまいります。これはどういうことですか。
○政府委員(西廣整輝君) お答えいたします。 アミテージ次官補に確かめたわけではございませんけれども、あそこに書かれておりますのは、たしかOTHレーダーとか給油機であるとか、あるいはAWACSのようなことが、三つが出ていたんじゃないかと思いますが、そのうち空中給油機とOTHレーダーにつきましては、御承知のように中期防衛力整備計画の中でそういったものについて検討する、あるいは検討し必要な措置を講ずると書かれておりますのを彼は知っておりますので、あるいはそれからとったのかなと思いますが、AWACSについてはそういった話もしたこともありませんが、新聞報道等でそういった記事も二、三出ておりますので、あるいはそういったことを参考にしたんじゃないかと思いますが、まだ直接確かめたわけではございません。
○峯山昭範君 この問題、最後に総理にお伺いしますが、アミテージさんは具体的に中期防でという名前は出していませんが、ちゃんとおっしゃっているわけです。そういう点、新しい総理が誕生したときにはいつも、中曽根さんの場合は空軍あるいは海軍に力を入れてという話が出てまいりました。総理は次期中期防に、ポスト中期防に対しまして具体的に防衛庁長官に指示をされたのかどうか、またこれからどういうふうにされるのか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(竹下登君) まず基本的な問題として、私は次期防というものが必要であるという考え方は基本的に持っております。 そこで、十八兆四千億という今の中期防の作業の過程等を振り返っていろいろ私なりに整理をいたしておりますが、何回も申し上げるように、基本的にあくまでもこの平和憲法、非核三原則、専守防衛という基礎の上に立って、今度はいわゆる科学技術の進歩の度合いとかいうようなものも当然考えてみなきゃならぬ課題であろうというようなことを折々私の頭の中で描いておりますものの、まず第一番目には情勢分析を始め安全保障会議を開きまして、そこで議論をして、そこからスタートしていくべき問題であろう。したがって、いまだこのようなものというようなことを防衛庁長官の方へ指示をしたということはございません。
○峯山昭範君 厚生省にお伺いします。 報道によりますと、中国残留孤児の訪日調査の問題につきまして、今後の継続調査について中国当局が難色を示しているというような報道が先日ありましたけれども、この点について厚生省はどういうふうに認識をされていらっしゃるのかという点と、それから今回の訪日調査の皆さんがきょうお帰りになったわけでございますが、その実態等について、また現在までの概要についてお伺いしたい。
○国務大臣(藤本孝雄君) 中国残留日本人孤児の訪日調査の問題でございますが、御承知のように五十六年からスタートいたしまして、七年間で十七回、延べ千五百八十八名、うち五百八十二名判明をいたしておりまして、来年六十三年度は百名の調査を予定いたしております。 一方、中国側におきまして、この孤児の訪日調査が峠を越したというような状況から、今後集団で訪日調査をするということが困難である、できれば少人数でこの調査を行うようにすることについての非公式な情報がございます。 しかし、私どもといたしましては、このような孤児の皆さん方の訪日調査につきましては大勢の皆さん方の御協力というものがぜひ必要でございますので、少人数の調査ではなかなか実効が上がらない、やはり大勢、集団で訪日されまして調査をされるということの方が望ましいわけでございますので、そういう集団で訪日調査をすることについて継続いたしたい、このように我々は考えているわけでございます。 そこで、今月の十四日に担当課長を中国に派遣をいたしまして、中国側の真意をお聞きしたり、また我が方としては集団の調査を今後継続したい、この意向を伝えまして御理解を願うようにいたしたいと考えております。なお、六十三年度の百名の予定の訪日調査につきましては、十分に実効が上がりますように、今回の課長の派遣の際に十分に協議をさせたい、かように考えております。 それから、今回五十名につきましては十三名判明をいたしました。 なお三名が血液鑑定中でございます。なお、これとは別に再訪日調査五名、このうち四名が判明をいたしております。 以上でございます。
○峯山昭範君 この問題は非常に重要な問題であると思いますので、真剣に取り組んでいただきたいと思います。特に帰国子女に対する対応とかまたは言葉の問題、就職の問題等もあると思います。この点についての政府の対応をお伺いしておきたいと思います。 それから、この点に絡みまして総理のこの問題に対する御所見もお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 御指摘のように、この中国残留日本人孤児の問題は調査の方は峠を越しておるわけでございまして、今後の問題の焦点は帰国孤児の自立、定着問題ということに焦点が移っておるわけでございます。 厚生省といたしましても、この問題の解決はまさにさきの大戦における大きな犠牲者であるわけでございまして、全力を挙げて対応する課題であると認識しておるわけでございます。十分に日本語の教育また生活指導が行われますように施設の整備充実については今後全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
○国務大臣(竹下登君) 厚生大臣からお答えを申し上げましたが、この問題自体は厚生省が中心になりますものの、各省が協力して、しかもその上に地方自治体の御協力があって初めて成果を上げ得る課題でございます。したがってそういう考え方の上に立って、今厚生大臣が申しましたように調査は峠を越したとでも申しましょうか、そういうことが言えると思いますが、自立、定着問題等についてはそれこそ若干の経験も得ましたので、いいところ悪いところわかってきておりますから、万遺漏なきを期していきたい、このように考えております。
○峯山昭範君 どうもありがとうございました。
○和田教美君 次に、財政再建問題に移ります。 昭和六十五年度に赤字国債依存体質から脱却する、つまりゼロにする、こういう政府の財政再建目標について、最近大蔵大臣はかなり望みなきにあらずをさらに強めたような発言をされておりますが、本当にこの財政再建目標の達成ができるというふうにお考えなんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私としては現実の事態として真剣に考えております。
○和田教美君 私は、この再建目標というものの達成は絶対不可能だとはもちろん考えませんし、やれればやるにこしたことはないと思っていますけれども、やはり困難ではないかというふうな判断を持っております。なるほど六十二年度補正後の赤字国債発行の減額幅は前年度に比べて約一兆五千億円、六十三年度も約一兆八千億円ぐらいですから、このペースで見れば六十四年度以降も大体一兆五千億円程度の減額は一見不可能ではないように見えます。しかし、こういうふうな問題は景気の波あるいはそれによる税収のいかんによって大きく左右されるものでございますから、 この政府の計画によりますと結局六十二年度以後四年間、毎年度一兆五千億円を超える大幅減額が継続されるという計算になるわけですけれども、そういうことはちょっと甘過ぎるんじゃないかというふうに思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは確かに、おっしゃいますように経済の運営が調子よくいくかどうかということに大きく依存をいたします。殊に昨今のように、国際的な要因が我が国の経済にも非常に大きく影響する、またこちらから向こうへも影響を与えるという状況でございますので、お互いだけが一生懸命やりましても思わぬことがあったりするということは、これはいろいろに考えておかなきゃならぬことでございますから、そういうあたりを見通しまして、いわば比較的順調に国内、国際経済も動いていって、余り意外な出来事が起こらないということを平均的に考えてみますと、一兆五千七百億円ぐらいの二年分ということになりますので、それは何とかやりたいものだと考えましても、まあまあそんなに無理でなくやれるように、またそういうふうにぜひ経済運営も心がけてという、そういう心構えも持たなきゃならぬわけでございますけれども、そういう中で私は現実の課題だというふうに認識しつつございます。
○和田教美君 今大蔵大臣が言われたように、目標達成の可能性があるという見方をされる一番の根拠は、やっぱり最近の税の自然増収が非常に好調だという点があると思うんですね。六十三年度予算で見ますと約四兆五千億円の自然増収を見込んでおりますね。 しかし、こういう巨額の自然増収というものは、財テクだとかあるいは土地投機、株高などによる臨時的な要素がかなり入っているんじゃないかというふうに僕は思うわけで、今年度の下期以降の景気動向次第によってはこの波がどう変わるか保証の限りではないというふうに私は思います。 そこで、「財政の中期展望」では六十四年度、六十五年度ともに税収は約二兆五千億円程度の伸びを見込んでおります。しかし、専門家に言わせますと、この六十五年度赤字国債ゼロ、こういう目標を無理なく達成するためにはそれだけでは少なくて、少なくとも三兆円以上の自然増収を毎年確保しなければならないという見方が多いようでございます。そうなると、三兆円以上の自然増収をコンスタントに確保するということができるというふうにお考えなんでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに六十一年度の自然増収は、和田委員の言われましたように、まさしく株であるとか土地であるとか、いわば一過性とも言うべき要因によってかなり大きくなって、租税弾性値が二を超えるというようなことはこれはもう異常なことでございました。 そういうことが確かにあったわけでございますから、同じような状況を繰り返すと考えるわけにはまいりません。 ただ、私どもが期待をいたしておりますのは、昨年の秋ごろから経済状況がかなり好転しつつありまして、この六十二年度の税収は前のような要素から幾らか離れた部分、つまり法人の決算にいたしましても、本来の営業利益、昨年のように財テクといったようなことでなく、そういったようなものへ少しずつ転換しつつあるのではないかということを期待しておりますし、また企業の設備投資も、非製造業だけでなく製造業の方にも少しずつその動意が見えるというようなことでございますと、それはこの六十三年度の経済運営にもいい影響があるのではないかというふうに考えておりまして、過去における一過性の税収をそのまま引き延ばすことは確かに危険でございます。そういうことはいたしておらないつもりでございますので、そうでなく、やや経済の本格的な立ち直りに伴う税収がどのぐらいになるかということに問題は帰着いたしまして、この二、三年経済運営がまあまあこの調子でいきますれば何とか今の目標が達成できるのではないかというふうに、努力をいたしてみたいと考えておるわけであります。
○和田教美君 大蔵省が国会に提出しました「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」という文書がございますが、その他の資料を総合いたしますと、結局この赤字公債ゼロの目標を達成するためには、要するに六十四年度、六十五年度一般歳出の伸びを非常に厳しく抑制する、ほとんど伸び率がゼロに近い水準まで抑える必要があるという計算になっております。 このような厳しい歳出カットは、結局福祉とか社会保障、文教、あるいは雇用、中小企業というふうなところにしわ寄せされる危険性が非常に大きいというふうに思うわけでございます。 私は、赤字公債の依存体質からの脱却という目標を否定するわけではございません。しかし、余りそればかりに偏って六十三年度予算案のもう一つの柱でありますこの内需拡大の方がぼやけてしまうということでは私は困ると思うわけです。内需拡大のために、例えば生活関連の社会資本、居住環境の充実というふうな問題をもっと積極的にやってもらいたい。そのためにもし財源が要るということであれば、この六十五年度赤字国債脱出という目標年次を数年おくらせてもやむを得ないのではないかというふうに私は考えるわけです。 財政再建の緊縮型とそれから内需拡大というこの積極型、これは本来矛盾するものだと私は思うんですね。それを、二つの旗を今度の予算は掲げているわけですけれども、それが両立しない場合には一体どっちをとるのか、大蔵大臣の見解をお聞きしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、NTT株の売却代金で社会資本整備勘定もつくっていただきまして、これがかなり内需拡大、社会資本整備に役立っております。そして、恐らく今年度も来年度もかなりの規模でこの勘定が使えるというふうに考えておりますことは、過去のそれこそ竹下総理が大蔵大臣時代に非常に御苦労していただきましたことの成果が今あらわれておるということになるわけなんでございますが、これはそういう制度としてこれからも動けるように思っておりますので、その助けもかりながら六十五年度での赤字国債脱却を図りたいと考えておりますが、和田委員、十分その辺の意味合いは御承知の上でお尋ねでございますから、そのために必要欠くべからざる我が国の対内、対外的な努めを怠る結果になる、そういうことであってはまたこれなりませんので、その辺はよくそのあたりも配慮いたしながら目標実現をいたしたいというふうに考えております。
○和田教美君 仮にこの六十五年度赤字国債ゼロという目標が達成できたとしましても、これで本当に我が国の財政が健全になった、再建ができたというふうに言えるのかどうか、私は問題だというふうに思う。 それはなぜかというと、いわゆるツケ回し、先送りというふうな費用——大蔵大臣に言わせれば、これはあっちこっちに借金証文を出しているという問題、これは解消しないわけでございますね。ですから、大蔵省はこのツケ回し、先送りが一体どのくらいあるか数字をお持ちだろうと思いますから、それをひとつ御披露願いたいと思います。
○政府委員(西垣昭君) 数字にわたることでございますので、私から御説明申し上げます。 先ほど言われましたように大変厳しい財政状態でございます。長年にわたりまして大量に公債発行を続けてまいりました結果、六十三年度末には国債の累積残高が百五十九兆円に達しようということでございます。それが利払い費を増高させまして、六十三年度予算では利払い費だけのウエートが一般会計の二〇・三%になる、こういう状況でございます。そういうことでございますので、私どもは特例公債を中心にいたしまして公債の減額ということに全力を挙げているわけでございまして、当面の目標といたしましては六十五年度に特例公債依存体質からの脱却をしたい、こういうことでございます。 しかし同時に、今先生御指摘がありましたように、内需拡大というような要請にもこたえなくちゃならないということで、経常経費を中心にいたしまして一般歳出の削減に努めてまいったわけで ございまして、そのためにはいろんな努力をいたしております。その中に今先生が言われましたようなツケ回し、結果として後年度に負担が残るというような措置を幾つかやっております。これはしかし結果としてそうなるのでありまして、それぞれの経費の状況に応じましてこの程度ならやれるということで、それぞれの経費の性格に応じていろいろ工夫をしているところでございます。 それを申し上げますと、厚生年金等への繰り入れの特例でございますが、これは法律で特別にこういうことをお許しいただきまして、六十三年度には三千六百億円というものをやっております。それから住宅公庫の補給金の繰り延べでございますが、これは、過去にかなり金利が高いときに借り入れた分の利子補給分を将来に平準化という意味で繰り延べることによりまして利子補給のために住宅投資が抑制されないようにと、住宅投資へのバランスも配慮しながら後年度に送っているものがございます。これが六十三年度は千百四十七億円でございます。それから国民年金の平準化措置でございますが、これは、国民年金の中には拠出制の年金とそれから無拠出の年金とがございます。無拠出の年金につきましては、将来受給者が減っていくということで将来の負担が軽くなりますので、全体として国庫負担を平準化させようということで繰り延べているものでございまして、これが六百一億円ございます。それから政管健保の繰り入れ特例、これはたまたま政管健保の財政がいいということも考えまして六十二年度よりは減らしておりますが、六百五十億円特例措置として減額している、こういったものがあるわけでございます。 これがさっき御指摘になりましたように、六十五年度に特例公債から脱却した後にこれをどうするかという問題が残るわけでございまして、六十五年度に特例公債依存体質から脱却した後におきましても財政の体質はなかなか厳しいということは御指摘のとおりでございます。
○和田教美君 今の答弁は六十三年度に限っての答弁ですが、私の要求したのは五十七年度以後累積して一体どれくらいになっているか、歳出削減に伴う後年度への負担の繰り延べ額は。それから今のお話では、交付税特別会計の運用部からの借り入れというのを五十九年にやっておりますけれども、それはやっぱりその部分に入るんじゃないかと思いますし、地方財政対策に伴う繰り延べ分、これもあると思うんですね。そういうものを全部合わせてどのくらいになるかということ、その累積ですね。それをひとつ知らせていただきたい。
○政府委員(西垣昭君) 累積分で御説明申し上げますと、先ほど申し上げました厚生年金等への繰り入れ特例等が五十七年度から六十三年度までの合計で二兆七百三十億円でございます。それから住宅金融公庫の利子補給金、これはかつて繰り延べたものの繰り戻しが既に始まっておりますが、その残高を差し引きして合計いたしますと五千百六十四億円でございます。それから国民年金の平準化措置でございます。これは五十八年度からの措置でございますが、一兆二千七百二十七億円でございます。それから政管健保の国庫補助の減額分でございます。これは六十年度からの措置でございますが、合計いたしますと四千二百三十九億円でございます。 それから交付税特会の運用部借り入れ、これは地方財政対策として五十九年度にそれまでの扱いを抜本的に改めたその残りでございまして単なる繰り延べではございませんが、繰り延べ効果があるという意味で申し上げますと、その分が五兆八千二百七十八億円でございます。それから地方財政対策、補助率のカットとかいろいろやっておりまして、その分を合計いたしますと、これも単なる繰り延べとは思っておりませんが、繰り延べ効果がありますので申し上げますと、一兆二千三百十四億円。 以上でございます。
○和田教美君 トータルで幾らですか。
○政府委員(西垣昭君) 今申し上げましたものを合計いたしますと約十二兆五千億でございます。
○和田教美君 それから国債費の定率繰り入れの停止ですね。これ毎年法律を出してやっているわけですけれども、これも厳密に言えば繰り入れというか繰り延べといいますか、そういうものに入るんじゃないかというように僕は思うんですけれども、その累計はどのくらいになっていますか。
○政府委員(西垣昭君) 国債整理基金への定率繰り入れにつきましては、五十七年度の補正予算から停止いたしております。逐年で申し上げますと、五十七年度が一兆一千九百八十四億円、五十八年度が一兆三千九百七十三億円、五十九年度が一兆六千百二十七億円、六十年度が一兆八千六百二十七億円、六十一年度が二兆七百三十八億円、六十二年度が二兆三千百六十八億円、六十三年度が二兆五千三十六億円でございます。 この分につきましては、国債整理基金特会にまだ基金が残っておりまして、その分で償還ルールに従いまして国債の償還を進めている。また、NTT株式の売却代金がございますので、国債償還の方には支障がないということでとめておるわけでございます。 それから、先ほど申し上げました数字につきまして、約十二兆五千億と申し上げましたが、この中で一兆一千五百五十五億円は既に繰り戻しを終わっておりまして、繰り延べとして将来処理をしなければならないものの累積残は約十一兆三千五百億円でございます。
○和田教美君 今説明を聞きましたら、歳出削減に伴う後年度への負担の繰り延べだけで十一兆三千億円あると。それから国債費の定率繰り入れの停止ですね、これも私計算しましたら約十二兆円ぐらいある計算になりますね。そうすると、それを合わせると二十四兆円ぐらいの借金証文を出しているということになるわけですけれども、大蔵大臣、一体これをどうするんですか。要するに、六十五年度赤字国債ゼロの目標は達成したけれども、後、そういう借金に追いまくられるというようなことだったら、これはまたやっぱり緊縮政策をとらざるを得ないというようなことになっていく可能性があるのと、といって、国がそういうツケ回しをもうおれは払うのやめたなんということにはできないだろうと思うんですね。どういう処理をされていくかお聞きしたいわけです。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま一つ一つ主計局長から御説明を申し上げました。何とかみんなゼロシーリング、マイナスシーリングでお願いしますということでやってまいったわけですが、とにかくお座敷はできるだけきれいにしようというので、いろいろ押し入れの方に汚れ物が入っておるような感じでございますので、いざこの赤字国債がゼロになりますと、今度はこういう過去の、今十一兆何がしでございますけれども、その処理をだんだんにしてまいらなければなりません。過去においてとにかく拝借をしてできたものもだんだんお返しをしなければ貸してくださった方がもたなくなっているところもございますから、急ぐものからやっぱりそれはお返しをしていかなければならないのでありまして、決して新規に特例債を出すことが要らなくなったから大変に身軽になったというわけにはまいりません。 それから定率繰り入れの話でございますが、これは今国債償還そのものには支障なくやっておるのでございますが、本来からいえば、国のいわば自己規制としてああいう重い制度がございまして、毎年それを法律によって免除をしてお許しいただいておるわけでございます。いずれは本則に返らなければならないことでございましょうけれども、なかなかすぐにそういうことになりますかどうか。そこへ至りますまでにはまだ幾らか道があるのではないかというような感じがいたしております。
○和田教美君 そのために国民生活がまた圧迫されるような予算を組まれては困るということが私の趣旨であって、そのためにはやっぱり余り赤字国債ゼロの目標だけに固執するなということを重ねて申し上げておきたいと思います。 最後に、経済審議会が「新経済計画の基本的考え方と検討の方向」というのを一月の末に中間報 告としてまとめておられます。それについてお聞きしたいわけでございますけれども、この中で 「我が国経済の発展の成果は、住生活、労働時間等国民一人一人の生活にまだ充分いかしきられていない。今後、経済力にふさわしい、豊かさを実感できる国民生活の実現を目指す。」というふうに述べておられます。ということは、現在は豊かさを実感できない国民生活に甘んじているということになるわけでございます。 そこで、なぜ豊かさが実感できないか、経済大国と言われながら生活小国の状態に甘んじている原因は何か。この点について経済企画庁長官と、それからこの経済計画の作成を諮問した総理の見解をお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(中尾栄一君) お答えいたします。 経済審議会に御依頼をいたしまして新経済計画をつくっているその特徴は二つあると思います。一つは、従来一年間ぐらいかけて作成したものでございますが、それを今回の場合は何はともあれ半年以内にやってくれと。あと一つは、やはり何といいましてもその大きな眼目になります問題点は、一つは先生御指摘の一人一人の国民の暮らしを豊かにするという点、あと一点は、これだけ東京一点集中主義になっておるのを、言うなれば地方分散主義的に考えていくべき問題である。 あと一点は、国際的にどのような形で日本の国がこれに貢献でき得るか、何か出し得るか、こういう点でございます。 その中にあって低い居住水準あるいはまた高い生計費、長い労働時間と先ほど言われましたが、国民が現在豊かさを実感できないでいるその要因についてということでございますから、私なりの判断もさせていただきたいと思いますが、これまでの経済成長の成果が住生活、労働時間等国民生活の質の面には御指摘のとおり必ずしも十分に反映されているとは思いません。そこで、そういう問題点は確かにございますけれども、政府は経済大国としての我が国の経済力に見合った豊かで質の高い国民生活を実現する、これを眼目にし、今後の基本的な目標の一つとしてこれをとらえて認識していかなければなるまい、このように考えているわけです。 そこで、対応まではまだ御質問ございませんけれども、私どもの考え方を申し述べろと言うならば、今後とも高齢化や国際社会の経済社会環境の変化を踏まえまして、そして豊かさを実感できる国民生活の実現に向けて、まず御指摘の住宅の質的改善、あるいはまた社会資本のこれまた整備、また労働時間の短縮、円高メリットの実現、これは当然PRを含めて申し上げているわけでございますが、これを通じた物価の安定によりまして国民生活の安定向上を図ってまいりたい。当然それは内需というものも含めての意見であることは申すまでもございません。ありがとうございました。
○国務大臣(竹下登君) 大要を中尾企画庁長官からお答えがございましたが、私も新内閣ができましてから、経済企画庁長官の助言もいただきまして、期限をつけるというのは多少非礼に当たる向きもございますが、相談合いで、できるだけ半年ぐらいの間で一つの目標を定めていただけぬだろうか。それからもう一つ私の考え方の中には、よく私ここでかつての大蔵大臣時代にお答えしておりましたが、「七、六、五抜きの四、三、二、一」、六ないし七%の名目成長率、五がなくて、四の実質成長、三の消費者物価、二の失業率、一の卸売物価、「七、六、五抜きの四、三、二、一」というようなことを言っておりましたが、あの数字も実際問題物価の超安定からいたしまして変化してきておりますし、そういう問題もひとつ気をつけていただきたいという気持ちでございます。 要は、今ございましたように、問題は当面は住生活と労働時間、こういうものがやっぱりいわゆる本当の実感としての豊かさを妨げておる要因だと思います。その問題と、それからこの前と若干違ってきておりますのが、国際化の進展ということと、それから高齢化社会の到来という問題がさらに重くのしかかっておる。その中でどのような指針を求めていくかというようなことをかれこれ申し上げて、熱心な御討議をいただいておるというのが現状でございます。
○和田教美君 今御答弁がございましたけれども、この中間報告でも、適正な水準での地価の安定を目指す強力な土地対策とか、あるいは良質な社会資本ストックの充実だとか、あるいは労働時間の短縮というようなことは強調しているわけです。 ただ私、ちょっと見て非常に不思議なのは、なるべく高い賃金を目指すということは一言も書いてないですね。一体、これから内需主導型経済を展開していくためには、やっぱり所得をふやして消費をふやすということが必要だろうと。そのためには賃金もなるべく高い方がいいと思うんですけれども、労働大臣は豊かさを実感するために賃上げは必要ないと、抑えねばならないというふうにお考えかどうか、その点をお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(中村太郎君) 勤労者の生活の質の向上あるいは福祉の向上という面から考えましても、あるいはお説のように、今内外から要請を受けておりまする内需主導型による経済の均衡ある発展という点から考えましても、経済成長の成果というものを労働時間の短縮とかあるいは賃金の上昇という方向で適正に配分することは極めて望ましいことであるというふうに承知をいたしております。ただ、個々の企業、産業間の決定というものは、これは御案内のとおり労使の自主的な決定にゆだねることが原則でありますので、私どもとしましては、労使が本当に真剣に話し合いまして、合理的でしかも円満裏に解決することを強く期待いたしておるというところでございます。
○和田教美君 私は、豊かさの実感が持てない最大の原因の一つは、やっぱり最近の地価の暴騰にあるというふうに考えるわけでございます。そこで、土地問題についてこれから詳しくお聞きしたいんですが、時間がなくなりましたから、国土庁長官にひとつ一点か二点お聞きしたいんですけれども、最近国土庁から地価が鎮静化した、首都圏では少し下がったところもあるというような発表がございました。しかし、その数字を見ると、やっぱり僕は高値安定の傾向が出てきているのではないか、これではだめだというふうに思うんですね。積極的にこれをもっと下げていくという工夫が必要だろうと思うんですが、そのためにどの程度まで下げるかという目標、それを国土庁はどういうふうに考えておられるかお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃっておりますように、高値安定になってはならない、今は地価が転機を見せ始めたときだ、こう思っておるわけでございまして、なお上昇を続けているところもございますので、そのためにも東京の地価を下げなければ比較的に安いということで地方の地価上昇を招いていくじゃないか、こう思っておるわけでございます。したがいまして、金融による措置は緩めないでなお続けてほしいということを大蔵大臣にお願いをしているわけでございます。 具体の例を東京都と神奈川県について申し上げますと、住宅地で地価動向調査というものを三カ月ごとにやっているわけでございます。東京都の住宅地、昨年の十月一日からことしの一月一日までの三カ月間は一%内外の下落でございました。しかし、昨年の一月一日からことしの一月一日までの年間を通じて見ますと七割近い上昇を示すことになるわけでございます。神奈川県について申し上げますと、昨年十月一日からことしの一月一日までの三カ月間の動向調査によりますと一%内外の上昇にとどまるようになりました。しかし、昨年の一月一日からことしの一月一日までの一年間の上昇は八割を超える上昇を示しているわけでございます。 しかし、幸いにして今申し上げましたように転機を見せ始めたわけでございますので、さらに一層引き下げる努力をしていきたい。 そのためには需要を減らして供給をふやす、やはり基本的には地価は需給関係が一番大きく影響いたしますの で、そういうことを内閣を挙げて努力している最中でございます。
○和田教美君 奥野長官はさきに、衆議院の予算委員会での答弁だったと思いますけれども、新行革審の答申を待って土地についての私権制限、これの立法を考慮するというお考えを述べておられますけれども、具体的にどのように利用権の規制をやるのか、また総理は幹事長時代から私権制限の必要性を言っておられた一人でございますけれども、今の考え方はどうか、それをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 土地の私権制限、いろいろな立法がございますけれども、さらに進めていくべきだという意味合いのことを申し上げてまいりました。時には具体的な例も申し上げたわけでございまして、地下五十メーター以下のところに鉄道を走らせるにも所有者の承認と地上権の設定によって相当な費用を負担しなければならないことに疑問を感ずることも申し上げたわけでございました。また、鉄道と宅地開発一体として行うことによって大量の優良な土地をつくり出せることができるんだということも申し上げたわけでございました。それにはやはり宅地開発のメリットを鉄道にある程度与えませんと採算に乗らないわけでございますから鉄道の敷設ができません。前者の問題につきましては運輸省が積極的に立法化を考えていただいているわけでございますし、後者の問題につきましても運輸省と建設省とが一緒になって、遅くとも次の通常国会には提出したいということを言ってくださっているわけでございます。 なお、行革審の方におきましても規制問題を取り上げていただいておりまして、六月には答申をいただけるということでございますので、その答申を待って対処していかなきゃならない、こう思っているところでございます。
○国務大臣(竹下登君) 私がかねて申し上げましたのは、財産権と申しましても所有権と利用権というもの、おのずから利用権の範囲において私権制限があってしかるべきだ、こういうようなことをよく言っておったことは事実でございます。それを整理いたしまして、今行革審でも御議論いただいて、さすがと思いましたのは、これは私の内閣になってからじゃございませんけれども、小委員長にかつての法制局長官の林さんを充てておられるな、そういうような深いところからも御議論がいただけるんじゃないか、それをさらに今推進して、それの答申等を待ち受けておるのが奥野国務大臣である、こういうことになっております。
○和田教美君 建設大臣にお尋ねいたしたいと思います。 確かに、奥野さんのおっしゃるように、宅地の供給促進を図るということは重要だと思いますけれども、しかし東京周辺を見ますと、もう宅地が余りにも高くなっちゃって、これで一戸建て住宅を建てるということはサラリーマンにとってはますます遠い夢になりつつあるような感じがするんです。自民党は伝統的にどうも一戸建て持ち家政策重点のように思うんです。しかし、これからはやっぱりそういうところには良質で家賃の安い公営住宅をうんとたくさんつくる、そのために政府の助成もうんと弾むというふうな政策に切りかえるべきではないかというふうに思うんです。その点についてのお考えをお聞きしたいのと、千里ニュータウンで一億円の公団住宅ができるというんですけれども、それについての感想をお聞きしたい。
○国務大臣(越智伊平君) お説のとおり、東京は大変地価が上がってまいりまして、現実の問題として一戸建て持ち家が非常に難しい時代になりました。国全体的に言いますと、やはり金融をあるいは税制をできるだけ有利にいたしまして持ち家政策を進めておるわけであります。東京都を初め大都市では現実の問題として非常に難しい。でございますから、お説のように賃貸住宅——公営、公団、また民間も土地を持っておる方々には融資をいたしまして、低家賃の貸し家、これを進めてまいりたい、かように思います。 今の、公団で一億円の住宅、これどうかなということでありますけれども、まあ地域の要望等もこれあり、また最近は非常に下がったわけでございますけれども、マンションに入っておる方がマンションを売却して少し足して入るという要望の方もございますのでこういうことになっておりますが、勤労者大衆が入れるような、また購入できるような住宅政策を進めてまいりたい、かように存ずる次第であります。
○和田教美君 時間が参りましたので、最後に一つ総理にお聞きしたいんですけれども、さきに私が挙げました「新経済計画の基本的考え方と検討の方向」、この文書が発表されて、自民党の総務懇談会で、この文書の中に労働時間の短縮だとかそういうことが書いてあるというようなことが話題になって、どうもこれじゃ日本人はこれから二宮金次郎をやめて小原庄助さんになれということかというふうな批判が相次いだという報道がございました。 そこで、総理にお聞きしたいんですけれども、これからの日本人像は一体二宮金次郎なのかあるいは小原庄助さんの方がいいのか、それはどういうふうにお考えか、最後にお聞きして私の質問を終わります。
○国務大臣(竹下登君) この問題は、自民党の総務懇談会等におきまして、前に、最初はたしか前川レポートが出ましたときにそういう議論があったことがございます。私も、幹事長としてでございましたが、たしか出席をいたしておりました。 それからもう一つは、私が自民党で講演をいたしまして、ちょうどIMFの暫定委員会で開発途上国の皆さん方とお話ししておって、その翌日サミットへ行ったことがございます。そのときに、前の日には、日本を見習おう、日本のように働こう、こういう話がありまして、今度翌日には、もっと休みを余計にしろ、余り働くなと、こんな話があって、大変私は矛盾を感じたことがありますというようなことを、本当はこれはジョークを交えてお話ししたことがございます。 したがって、確かに二宮金次郎、私どもや和田さんの時代はそういう教育環境の中にあったと思います。和田さんのように依然として二宮金次郎の精神でおやりになっている方もあると思いますが、やはりこれだけ国際化した今日、それぞれの立場にあって、日本国民が日本国民としてのアイデンティティーというものは、ある意味において二宮金次郎的なものが私どもの背景にはあっていいと私は思うのでありますが、国際人として考えた場合に、そういうひたすら勤倹貯蓄という道から、国際社会に果たさなきゃならぬ役割というものを志向していかなきゃいかぬ。必ずしも小原庄助さんとは思っておりませんが、そのような感じでその場所にもおったことを含めてお答えといたします。
○和田教美君 終わります。
○委員長(原文兵衛君) 以上で和田教美君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(原文兵衛君) 次に、野田哲君の質疑を行います。野田哲君。
○野田哲君 まず瓦防衛庁長官に伺いますが、二月十八日にアメリカの国防報告、それから統合参謀本部の軍事情勢報告が発表されているわけですが、この中で日本の関連部分もかなり重要な内容を含んでいるわけですが、これに対してどのような評価をされているのか、どういう見解をお持ちか、まずそこから伺います。
○国務大臣(瓦力君) 一九八九年米国防報告でございますが、ソ連の脅威認識や抑止を基本とする国防政策には変化はございませんが、基本的には前ワインバーガー長官時代の考え方を踏襲しておる、かように認識をいたしております。 なお、厳しい経済財政事情のもとで前年度比実質減という予算が提案されておるわけでございますので、これ以上の国防費削減は危険を伴うと、かように主張し理解を求めておる点でございます。 また、我が国周辺の地域につきましては、極東 ソ連軍の増強等の基本的情勢認識は変わっておりませんし、また我が国との安全保障関係の重要性や在日米軍に対する支援を含む我が国の防衛努力を評価いたしております。従来の国防報告における評価と同様なものだと、かように考えておりますし、また軍事情勢報告における基本的な考え方も国防報告同様、従来の認識を踏まえておると、かように存じております。
○野田哲君 軍事情勢報告の中で、ガイドラインに基づく研究と、それから日本のウオータイム・ホスト・ネーション・サポート協定の可能性について触れている部分があるわけですが、その内容について御説明いただきたい。これは外務省の政府委員で結構です。
○政府委員(有馬龍夫君) 一九八九年度米軍事情勢報告の当該部分をお読みいたします。仮訳でございます。 日本は、施設、用地、労務及び請求権や税の免除といった分野における広範にわたる平時の支援を行っている。一九七八年の防衛協力のための指針は、将来、戦時接受国支援についての諸合意に至ることのあり得べき研究の実施を定めている。しかしながら、同指針は、そのような研究作業結果によって、いずれの政府に対しても義務を負わせないことを明らかにしている。したがって、日本によって非常時立法が制定されない限り、正式な拘束力のある合意は実現されないであろう。 以上でございます。
○野田哲君 その前段のところで、ウオータイム・ホスト・ネーション・サポートの支援は、交渉による二国間協定と、詳細な合同兵たん計画または合同兵たん支援計画の発展という方法を通じて入手可能になる、こういうくだりがあるんじゃないですか。
○政府委員(有馬龍夫君) これは、日本についてと申しますよりも、一般論といたしましてその趣旨のことが書いてございます。
○野田哲君 これ、有事来援の問題、ポンカスの問題、今までの国会での審議を通じて私どもが非常に懸念をしているのは、今回の場合には外交あるいは政治を無視して軍事が独走しているのではないか、防衛庁が独走しているのではないか、そういう懸念を非常に持つわけであります。 まず、国会審議を非常に軽視している。それは今までの国会審議の経過、何回かこのポンカス問題は議論されている。 昨年の九月に、あなたの前長官の栗原さんの九月の国会でも議論をされているんですが、全く否定的な見解を表明されている。三カ月たつと突然これを持ち出すというのはいかにもこれは唐突である。それから外交を度外視しているんじゃないか。二月十九日の私の質問に対して宇野大臣は、聞いていなかった、こういうふうに言われているわけです。 二国間協定が必要なことや、場合によっては有事法制を制定しなければならないような内容が外務大臣を抜きにしてやられている。総理官邸の方にも十分な協議をしていなかった。一体、こういう状態でこのことが進められることについて総理はどのような御見解をお持ちですか。
○国務大臣(竹下登君) まず申し上げなきゃならぬことは、有事来援研究というものは、あくまでも我が国に対する武力攻撃がなされた場合の我が国防衛のため米軍の時宜を得た来援を得ることを目的とした研究である。したがって、その限りにおいては日米安保条約のまさに核の部分であるというふうな考え方をまず持っております。 さてそこで今回の問題、こういうことになるわけでございますが、私は防衛庁長官の訪米前に格別の指示をしたわけではございませんけれども、私と宇野外務大臣の訪米とほぼ時を同じくしておったこともございましたものの、大体訪米に関する問題点というのはおよそ三つに整理されて報告を受けておりました。一つは、相互の国際情勢の認識の交換でございましょう。それから一つは、相互の防衛関係予算、防衛関係費でございますか、そうした意見交換の問題でございましょう。そして一つは、これはいつの場合でもございますときの日米安保条約が効率的に機能するための問題ということになりますと、そこに継続しております有事来援の研究というものがその延長線上にある問題であるというふうな極めて平たい考え方でこの問題を認識いたしておったところでございます。 したがって、いわば内閣あるいは総理官邸というようなものと何の相談もなしにこの問題が持ち出されたものではない。むしろ、衆議院、また本院におきましても議論されておりますのは、その研究が進んでいけば必然的にポンカスの問題等が出てくるではないか。 こういう議論がいろいろ、それがまさにシビリアンコントロールですが、そういう議論がこの場において行われておるというふうに平たく認識をいたしておるところでございます。
○野田哲君 安全保障室の方へ伺いますが、安全保障室あるいは安全保障閣僚会議ではこの問題は相談を受けておりますか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 防衛庁の有事来援研究についてのスタンスは、防衛庁から再三御説明があったとおり、研究の延長線である、こういうことでございますが、防衛庁がなぜそういう立場をとっておるかということにつきましては、第四十三回、昭和五十三年十一月二十八日の、安保会議の前身であるところの国防会議の席上におきまして「日米防衛協力のための指針について」、すなわちガイドラインとよく言われております、この十一月二十八日の安保会議におきまして、シビリアンコントロールの観点からこの研究を行うということを、立法、行政、予算的な措置を含まない、そういう条件で研究をするよということについての提案がなされました。それに際しまして、正確を期する意味でその後の官房長官記者会見の内容を御報告させていただきますが、本日、閣議前に国防会議が開催された。今回は、昨日開催された日米安全保障協議委員会第十七回会合について、外務大臣及び防衛庁長官から報告を受けた。なお、防衛庁長官から、日米安全保障協議委員会に報告され了承された日米防衛協力のための指針に基づき、自衛隊が米軍との間で実施することが予定されている共同作戦計画の研究その他の作業については防衛庁長官が責任を持って当たることとしたいとの発言があり了承されたというものであります。 これはこの執務提要にも載っておりますが、これに基づきまして、防衛庁長官が自分の権限と責任において研究を行う、こういうことが国防会議で審議され、かつ閣議の了承を得ておる、その後また閣議がございました。 そういう経緯から、本件については防衛庁はこの委任を受けた範囲内の研究であるという立場をとっております。したがいまして、今回の問題につきましては内閣官房の調整を要するということでございませんでしたので安保室には御相談がございませんでしたし、総合安保関係閣僚会議にも安保会議にもまだかけておりません。
○野田哲君 昨年の九月の十七日に参議院の内閣委員会で小野委員からこの問題について防衛庁長官に伺っているわけです。これに対して政府側は次のように答えているんです。アメリカにとって非常に大きな経済負担を及ぼす問題なので、我が方から積極的に置いてください、つまりポンカスを置いてくださいと言う立場にはない、こういうふうに答えているんですが、これがどうして三カ月たつと今度は積極的に我が方からポンカスの受け入れの問題を提起する、こういうことになるんですか。
○国務大臣(瓦力君) 米国防長官との一月の日米防衛首脳会談におきまして、今日までの共同作戦研究あるいは共同訓練を経て、さらに有事における米側の来援、このことにつきまして研究を始めたい、かようなことを申し出たわけでございまして、ポンカスいわゆる装備の事前集積等につきましては具体的に当方から申し出ておるものではございません。 なお、昨年の防衛庁の答弁は、ポンカスの問題を日本側から積極的に持ち出すつもりはない旨述べておると、かようなことは今委員御指摘のとお りでございます。米側にとりましても財政上の問題等が絡むわけでございますし、当方としてその問題以前に、武力攻撃を受け、有事の際にいかに米軍の来援を仰ぐか、このことにつきまして研究を始めたい、ガイドラインに沿って始めたい、かようなことを申し出たわけでございます。
○野田哲君 一番最初二月十九日に私がこの問題を伺ったときには、あなたは、ポンカス、事前集積は含んでいない、こう言われたんです。ところが、それから再三国会で質問していく中では、有事来援には事前集積も含むんだと、こういうふうに答えておられるわけです。 そこで私が聞いているのは、去年の九月十七日にはこちら側から積極的に申し出るべき問題ではないと言っていたものが、三カ月たったらなぜこっちから申し出ることになったのか、その事情を聞いているんです。
○国務大臣(瓦力君) 今ほどお答えいたしましたように、当方から米側に対しまして装備の事前集積等の問題につきまして申し出ていないわけでございますが、この通常国会が始まりまして、衆議院予算委員会等におきまして、さらに有事来援の問題、さらにポンカスの問題、かような質問の中でこの研究の中にそうしたものも含まれて出てくる可能性はある、かようなことで答弁はしておるわけでございます。
○野田哲君 時間がかかってしようがないですがね。一月十九日に日米防衛首脳会談が行われたわけだ。そしてその中で日本側の発言、アメリカ側の発言と、こう私どもも資料としてもらったわけですよ。それを見ると、有事の早期来援ということについて研究しようじゃないかということを日本側から申し出た。だから有事に早期来援ということの中には装備の事前集積も含まれるんですかと、こう聞いたら、初めはノーと言われたが、だんだん聞きただしていくとポンカスも含まれますと、こう答えたわけです。だから、去年の九月には、そんなことはこっちから申し出るものじゃない、こう言っていたことが、どうして三カ月たったら突然、大臣がかわったら申し出ることになったのか、こう聞いているんですよ。
○国務大臣(瓦力君) 先ほどの御質問でこれは委員もよく御案内のとおりでございますが、ガイドラインの予算さらには立法措置、行政措置等の義務を負わない、こういう形で共同作戦研究、もろもろの研究が行われておるわけでございますが、そうした研究の延長線上に有事来援問題というものも研究してまいる。 そういたしますと、その研究の中に、日本が武力による侵害を受けた、侵犯を受けた、あるいはそうしたときに米側がどういう時期に、いかにタイムリーに来援するかという問題でございますから、そうした問題を通じて研究する、その中でいわゆる事前集積問題というものもあるかということでございますから、そうした点に及ぶ研究もなされるであろう、かようなことで答弁をいたしておるわけでございまして、いわゆるこれはガイドラインに沿った研究であるということを重ねて申し上げておきます。
○野田哲君 聞いたことに答えてもらわなくちゃ。
○政府委員(西廣整輝君) 手元に当日の議事録が参りましたので私の方から御説明させていただきますが、当日、野田先生の方から本件について御質問がありまして、防衛庁長官からまず「首脳会談で私から提案したものでございますが、その際具体的にポンカス、いわゆる事前集積、かような具体的な問題は出ておりません。」というふうにお答えしたと思います。それに対して先生からさらに、そういった研究を行うということは、「これはポンカスということではないということなんですか、どうなんですか。」というようなお尋ねがあったと思います。 それに対して防衛庁長官は、正確に読ませていただきますと、 有事に際しまして米軍の来援が得られるかどうかということは、日米安保体制の中におきまして、また我が国がいかなる侵略に対しましてもそれにどう対応するかということにかんがみまして、国益を踏まえて極めて重要なところでございますから、そのための研究にいかに取り組んでまいるか、かようなことを提議し、さらにその研究を進めょう、かようになったわけでございまして、これから有事来援につきましてガイドラインに沿い研究をしてまいる、かようなことでございます。 というようにお答えしたと思います。 さらに先生の方から、どうも自分の聞いていたことに的確に答えていないというような御質問があったと思いまして私が立ちまして、 来援を迅速に行う、あるいは円滑に行うための一つの手段としてポンカスということもあろうかと思います。したがって、先生の御質問にそのままお答えすれば、ポンカスということもこの研究内容には含まれるというようにお考えいただきたいと思います。 というようにお答えしたと思っております。
○野田哲君 九月にはそういうことは日本側から言うべきでないと言ったものが、なぜ三カ月たって瓦長官になったら申し出たのかということを聞いているんです。
○政府委員(西廣整輝君) 繰り返して申し上げますが、我々としては米軍の有事、時宜を得た、どういう規模のものが、時宜を得た来援があるかということを研究したいということを申し込みまして、ポンカスというのはその中の陸軍についてのごく一部の手段だろうと思いますが、これについて具体的にアメリカに対して要望をしたというものではないというふうに考えております。
○野田哲君 そんなのあんた、全然聞いたことに答えないんだな、これは。だめですよ。
○委員長(原文兵衛君) 速記をとめて。 〔午後二時四十四分速記中止〕 〔午後三時四十二分速記開始〕
○委員長(原文兵衛君) 速記を始めて。
○国務大臣(瓦力君) 野田委員にお答えをいたします。 昨年九月の栗原長官の訪米はFSXに関する日米間の調整が主題で、有事来援の問題は議題となっていなかったものであります。 さらに、ポンカスにつきましては、六十年の質問主意書に対する政府答弁にもあるように、日米安保の信頼性を高める手段として有用なものであると考えてきましたが、何分にも米側の相当な負担を伴う問題でありますので、米側の対応が明白になり、日本政府としての方針が決まるまでは日本側から申し入れはしないというのが政府の一貫した考え方であります。 有事来援の問題は、たびたび申し上げているように、日米安保体制の核心をなすものであり、本研究を行うことは我が国にとってぜひとも必要であり、そのことについて今般米側も同意したものであります。 有事来援研究に関連してポンカスの問題が出てくることもあり得ると思いますが、それは日米双方の研究の結果共通の認識として生じたものであって、日本側からポンカスの実施を要請するということとは違う問題であると考えます。
○野田哲君 私の質問に対する答えにはなっていないと思うので重ねて今の見解に対して伺いますが、日本側からは装備の事前集積を申し出るということはあり得ない、こういうふうに理解していいわけですか。
○国務大臣(瓦力君) ただいま読み上げましたが、有事来援研究に関連してポンカスの問題が出てくることもあり得ると思いますが、それは日米双方の研究の結果共通の認識として生じたものであって、日本側からポンカスの実施方を要請するということとは違う問題であると考えております。
○野田哲君 装備の事前集積をこちらから申し出ることはあり得ないということなのかどうか。もう一つは、仮に向こう側からその話があったときもそれは断る、こういうことですか。
○国務大臣(瓦力君) 先ほど以来御答弁してまいりましたが、ガイドラインの枠組みにおいて有事 来援につきましての研究を行う、そしていろいろ双方で話し合うわけでございますが、双方の認識として生じたもの、さらにこれはガイドラインの枠組みにつきましては、委員御案内のとおり行政措置であるとかあるいは予算、立法にかかわりなく研究を進めるわけでございますから、それぞれがそれぞれの国に報告をするということ、そしてその中で共通認識として生ずる、こういう問題でございますから、いわゆる米側の対応であるとか変化、また我が国の政府の方針、そうしたものが合致するということになりますとこれはまたその問題として取り上げられるわけでございますが、ガイドラインの枠組みの中における研究である。当方からはその問題につきまして格別申し出る、さようなことではありませんが、有事来援にとりましての研究を進める過程で共通の認識として生ずることであれば私はそれで共通の認識として受けとめなきゃならぬ、かように思っております。
○野田哲君 研究の結果、共通の認識として日本に米軍の装備の事前集積が必要だという認識に双方がなったときには受け入れる、こういうことですか。
○国務大臣(瓦力君) それはそのときの対応がございまして、あるいは安保会議等の問題もありましょうし、そこに到達する前にいわゆる相互支援の総合的な研究というものもあるわけでございますから、私は一つずつの研究がそのガイドラインの枠組みの中に共通の認識を持って整理されてくるものをいずれ相互支援研究という中でまとめてまいる、そしてまたそれのそれぞれが今申し上げましたシビリアンコントロール、こういったことがもう厳然としてあるわけでございますから、そういう中で我が方としてそのことは日本に対する有事に対して必要なことであり、そうした準備をなすべきであるというような判断に立ちますれば、その段階でまた問題が展開するわけでございますから、今ガイドラインの中での研究ということを重ねて申し上げておるわけでございます。 なお、これらのことにつきましてさらに仕組み等につきまして詳細な説明を必要とするようでありますれば、政府委員をもってお答えをさせたいと思います。
○野田哲君 私が聞いているのは、去年の九月までは否定的であったものが、なぜあなたが長官になってアメリカへ行ったらそれを肯定するようになったんですか、その理由を聞かしてください、こう言っているんですよ。
○国務大臣(瓦力君) 昨年の訪米におきましての経緯等はただいま申し上げたところでございますが、いわゆるアメリカ等の事情といいますか財政事情の問題もこれあり、こちらから申し出る問題ではないということで、ポンカスの問題につきましては栗原長官当時の答弁もあるわけでございます。よって、今回はポンカスという具体的な事例をもって日米防衛首脳会談に提議したのではなくて、日本有事の場合にタイムリーに米側が支援が行われるかどうかについて研究をしたい、こう申し上げてまいっておるわけでございます。 なお、昨年の答弁、経緯等につきましては政府委員より答弁いたさせます。
○政府委員(西廣整輝君) 手元に昨年の議事録を持っておりませんけれども、私の記憶するところでは、当時ポンカスについて日本側から申し出をするのかというような御質問があったと思います。 先ほど防衛庁長官がお答え申し上げたとおり、ポンカスについては米側の負担というものもかなり考えなくちゃいけない。そういう意味で、米側自身がどう考えているかということも十分確かめなくちゃいけない。さらには、仮にポンカスをしてほしいということを米側に申し出るためには、日本政府として相当慎重な検討をして決定があった後の話でございますので、そういうことがない限りこちらから申し出ることはしないということでございまして、その考え方には現在、今も変わりがございません。
○野田哲君 極めて不明確でありますけれども、あなたの言葉の中で私がヒントといいますか、推察できることは、昨年栗原さんは、大変な経済負担を及ぼす結果になるのでこちらから申し出る意思はない、立場にはない、こう言っていたわけです。あなたはさっきの説明で財政事情もこれありということの中で、今度は有事来援の中にポンカスも含まれるということで研究をしていこうということは、つまり今度は日本側がそれに必要な経費を持つということが前提で協議を進めていく、こういうことになるということに受けとめるんですが、そういうことですか。
○国務大臣(瓦力君) たびたびお答えいたしておりますが、ガイドラインの中における研究、共同作戦研究の延長線上における研究でございまして、いわゆるその研究からどういう結論を得るかということもありますし、さらにそれらの研究を踏まえて相互支援の研究というものもございますし、それらの研究を行っていくことは、日本有事の際にどうあるべきかということを考える立場に立ちますと当然の研究でございまして、それは日本側が財政負担をしてポンカスを要するかという問題とは実はまさに次元を異にするわけでございます。今そのカイドラインにおける軍事専門家といいますか、そうした方々に、日本有事の際にどれだけの米軍の支援が得られるかということが極めて重要な問題でありますから、それらのことについて研究を行っていただくということでございます。
○野田哲君 これだけやって時間を使ってしまうわけにもいきませんので、角度を変えます。 先ほど宇野外務大臣、ポンカスの研究は安保条約の五条事態についてやるんです、六条には及びません、こういうふうにおっしゃった。私が最初この問題を二月十九日に政府にただしたときには、政府の答弁は二つあるんです。一つは瓦長官と宇野外務大臣、五条事態についてやるんです、こう言ったわけですね。ところが、最後に外務省の斉藤条約局長がここへ出てこられて、こう言っておられるんですよ。米軍が日本にある施設、区域を使用することは安保条約上問題がない、こういう立場で、六条事態についてもあり得るんだ、こういうふうに答えておられるんです。これは一体どれが本当の政府の見解なんですか。五条事態だけに限定するのか、それとも五条と六条両方の事態に合わせてやっていくのか、どっちですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 過般来からお答えしておりますのは、今回の研究は五条日本有事の場合だけである、したがいまして六条には及びません、こういうふうに言っておるわけです。 そこで、そういう研究を離れて、ポンカスという問題はどうなんだ、こういうふうな質問がその経緯の中においてなされたと思います。したがいまして、ポンカス自体は、事前集積でございますが、我が国が米軍に対しまして、日本有事であろうとあるいはまた極東有事であろうと、それが日本の平和とそして安全、それに寄与するものであり、また極東の平和と安全に寄与するという安保条約の目的にたがわない限り、そのポンカス自体は安保条約の違反にはなりません、こう申し上げておるわけでございますから、したがいまして日本有事の場合もポンカスという問題もございましょう、また六条に関する問題もございましょうが、今回の勉強はあくまでも五条限りのものであって六条に及ぶものではありません。 これは、先ほども時折その勉強とそして一般論とが絡みますから、絡みますと非常に混雑するので、あくまでも私たちはポンカス自体も、ただいま瓦防衛庁長官が申されましたとおりに、そうした勉強の中であるいは日米がいろんな研究をするときに出てくるかもしれません、それも両方の共通の認識のもとに生じる問題でございましょう、こういうふうに言っておるわけでございますから、あくまでも勉強したからポンカスが出てきます、それが六条に及びます、そういう問題ではないと整理してお答えしておるつもりでございます。
○野田哲君 それは整理されてないんですよ。あなた方は勉強とか研究とかいうことで、一番肝心のときになるとそれは研究の問題なんです、こう いうふうに言われますけれども、研究協議が終わったら実施するわけでしょう。その場合に、その研究をやるこの想定自体、これが日本有事のことだけに限定をしてやるということなのか、六条事態のことについては関係ないということなのか、どっちなのか。答弁が二つあるから一つにしてもらわないと私どもは困るじゃないですか、こう言っているんですよ。
○国務大臣(宇野宗佑君) 五条限りの話の勉強、こうお考え賜れば結構でございます。
○野田哲君 実際、もしそれが集積されて、それを使うときになって、六条事態でアメリカが使うということに対して、これをノーと言えるんですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 六条の場合には、御承知のとおり極東有事でございますから、極東有事のときにポンカスなのかポンカスでないのか、とにかく我が国において施設、区域にあるそうした装備をアメリカが使うこと自体は、やはり六条の極東の安全と平和を維持し、貢献するという目的にかなう限りこれはいいわけですね、何もポンカスかどうかわかりませんから。そういうことであります。
○野田哲君 だから、それは午前中の和田さんに対する答弁ともう全く矛盾しているじゃないですか。五条に限定してとおっしゃっているけれども、今の答弁は五条事態も六条事態も両方あわせてと、こういうことじゃないですか。だから、どっちなんだと、こう聞いているんですよ。
○国務大臣(宇野宗佑君) ポンカス自体を、勉強を離れて話しましょうということでずっとやってきておるわけでありますから、したがいましてそれは離してお考え賜りたいと思います。勉強自体は五条であると、こう申しておるわけでございます。
○野田哲君 瓦長官、今の問題についてどう考えておられるのか。
○国務大臣(瓦力君) 外務大臣が御答弁になりましたが、日本有事の際でございまして、私どもは五条だと、かように受けとめておるわけでございます。なお、今委員御質問の問題につきましては、私は軍事専門家ではありませんが、ポンカスの制度そのものは、一つの師団とかそういったことの装備にかかわる問題でありますから、移動は極めて困難なものであろうというぐあいに思っております。 なお、これらの点につきましては政府委員より答弁をいたさせます。
○政府委員(西廣整輝君) 私自身ポンカスを十分勉強したわけではございませんが、いわゆるポンカスと申しますのは陸軍についての事前集積の話だと思いますが、名のとおりユニットセットでございまして、師団なら師団としての装備品のセットとしてそこに置いておく、したがってそこに軽装備の人員が来たら直ちに部隊編成ができて出動できるようになる、そういうものであるというふうに理解をいたしております。したがって、仮に日本の有事のためにある地域に軽装備の部隊が来たら出動できるような態勢でそういう蓄積がなされたという、仮定の問題でございますが、そういったものをどこかに転用しようということになりますと、またそこでその装備をこん包して船積みをして持っていく、そこでまたこん包を解いてさらに展開するというようなことになりますので、そういう形で、直ちに使えるというものではないというように考えております。実態面の話だけ申し上げました。
○野田哲君 今まで、日本にある装備が朝鮮半島で使われた、あるいは日本に集積された戦車が相模原から船積みされてベトナム戦争で使われた。あなたは首を横に振っているけれども、事実そういう事態があるじゃないですか。日本に集積されたものが極東地域で使われたことが何回もある。 それでは、角度を変えて伺いますが、有事という問題で外務大臣、極東地域が波静かである中で日本が突然有事、こういう状態が起こるということがあり得ますか、どうでしょうか。むしろ今の情勢というのは、特にアメリカの戦略から見ると、極東有事の方が先に訪れる、こういう事態の方が可能性は極めて高い、こういうふうに見ていいんじゃないでしょうか。いかがですか、その点は。極東有事と日本有事が別々に起きる、こういうことがあり得ますか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 戦争にはいろんな形があると思いますので、私が断定するわけにはまいりません。
○野田哲君 防衛庁長官、どういうふうに見ていますか。アメリカの戦略からすれば、日本よりもむしろ日本以外の極東の方が有事の可能性が強い、こういうことになるのではないですか。
○国務大臣(瓦力君) 有事の形態は、今いろいろ委員がお尋ねでございますが、いろんな形がありまして、これは想定はなかなか困難でございますが、私どもは、今取り組んでおりますのは、侵略のいわゆる未然防止といいますか、さらに我が国防衛にとりましてその責任を果たしてまいるということにつきまして取り組んでおるわけでございます。今委員御質問のような広範にわたる有事がどうやって起こるかということにつきましての問題は、いろんな形があるわけでございますから、一概に答弁はでき得ないところでございます。
○野田哲君 了解できないですよ。 外務大臣も今木で鼻をくくったような答弁をされておりますけれども、あなた方は今これから有事に対応するのにアメリカの早期来援を求めるためにはどういう措置をとったらいいか、その中にポンカスも含めてアメリカと協議をしていこう、こういう準備に入ろうとしておるんでしょう。五月から入るというんでしょう。そこで私が、じゃ極東波静かな中で突然日本だけが有事になるというようなことはあり得ないじゃないか、日本がどこかを攻めない限りはあり得ないですよ、それは。むしろ、可能性としては日本有事よりも極東有事の可能性の方が強いんじゃないですか、こう聞いたことに対してあなた方は何ら答えていないが、一体どういう有事を想定されているんですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) どういう有事ということ、いろいろとそれは解釈はございましょうけれども、有事とはすなわち緊急不正なる侵略が我が国に対してなされた場合、こういうふうに一応我々としては解釈をいたしております。だから、日本に対してなされる場合もありましょうし、また別のところで起こる場合もございましょう。そうした意味合いで第六条では、日本の安全と平和そして極東の安全と平和、そうした目的を持ってアメリカ軍は日本における施設、区域を利用することができる、こう書いてあるわけですから、この目的が私たちの安保条約の目的でございますから、日本を抜いて極東に起こるだろうとか、いろいろそれは想定はございましょうけれども、野田先生、せっかくでございますが、これ一つだけが日本の有事だというものはあり得ないと思うのであります。我が国に対しては有事でございますが、日本だけが攻められる、戦争はいろいろあると思いますから、そこはひとつ御理解賜りたいと思います。
○野田哲君 防衛庁長官、今の点答えてください。
○国務大臣(瓦力君) あくまで我が国に対する武力攻撃がなされた場合の我が国の防衛のためにその具体的内容については日米間で検討もされるわけでございますが、具体的なシナリオということになりますと申し上げられる段階ではございませんが、私どもは周辺における軍事バランス、そういったことに配慮をしなければなりませんし、我が国がこの国土でこれだけ旺盛な経済を営んでおるわけでございますから、あるいはその生活を営む分野におきましてどういう変化が生ずるかということにつきましても研究しておかなきゃならぬ。いわゆる具体的シナリオということになりますと、またこれ防衛局長より答弁をいたさせたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) お答えいたしますが、ただいま外務大臣及び防衛庁長官から繰り返し御答弁がありましたように、具体的なシナリオとい うのはまさに千差万別であります。ただ、一つ御承知おき願いたいのは、我が国というのは、御承知のように集団的自衛権を行使しない、個別的自衛権しか行使しないということでございますので、いかなるシナリオでどういう状況で日本に対して直接侵略が起こるにせよ、日本に対して直接侵略があったとき初めて自衛隊としては防衛出動をし武力行使をするわけでございますので、我々の研究というのはあくまで日本に対する侵略が始まった段階、それに極めて近いおそれのある場合から防衛出動というものが発動されるということであります。 なお、ガイドラインの方も、先生これまた御承知だと思いますけれども、そういった我が国に対する侵略が起こった際、あるいはそのおそれのある際の研究というものと、いわゆる先生が御指摘になっております六条事態とは別の研究というふうにはっきり仕分けておりますので、そのところは十分御理解を願いたいと思う次第であります。
○野田哲君 別の研究とはっきり仕分けをしていると言ってみたり、五条事態であっても六条事態であってもアメリカが使うということになれば六条事態にも使える、こういうふうにその場その場で答えられて、これは本当に議論がかみ合わないですよ。 それで、アメリカの装備の事前集積を受け入れようと、こういうことになってきた場合には、その使い方を優先するのは、アメリカの戦略がその使い方を決めるわけでしょう。アメリカの戦略、いろいろ言われておるでしょう、同時多発報復戦略とか、ヨーロッパでソ連との間にNATO諸国に有事が起きても戦域はそこだけに限定しないでグローバルな形で反撃していくんだと、これがアメリカの戦略でしょう。そういたしますと、その場合に日本に集積された一個師団分なり二個師団分の装備は、いや、これは五条でございますからアメリカが朝鮮半島とかあるいはソ連領に向かってこれを使うことはかたくお断りをします、ノーというふうになり得るんですか。ならないでしょう、それは。 有事というものは、だからそういう形で日本の意思にかかわらず発生してくる。その場合にポンカスされた装備を使うのは、これはアメリカの意思で使うことになるんじゃないですか。幾ら日本がここで私どもに国民のアレルギーを少なくするために五条だ五条だと言ったって、そんなことにはならないでしょう。五条だけですということで限定して、アメリカがイエスということで日本に一個師団分なり二個師団分の装備を持ってくることにはならないでしょう。それを私は指摘しているんです。どうですか、外務大臣、防衛庁長官。
○国務大臣(宇野宗佑君) あくまでも仮定の問題だと思って、仮定の問題で私も一般論としてお答え申し上げたいと思います。つまり、ポンカスがあったとしよう、我が国は日本有事だけを勉強しようと思っていた、しかしその有事は図らずも極東において有事があった、だからアメリカはそのポンカスを持ってその極東有事にはせつける、その場合どうなんだと、こういう御趣旨でございますね。これは六条に明らかに、もし米軍が直接戦闘行動に我が国の施設並びに区域を使って出んとするときには事前協議の対象になる、こう書いてあるわけであります。だからポンカスがあるからアメリカがそのポンカスを持って、じゃ出かけますよと言うから、では当然イエスじゃないかというような御質問に伺いましたが、あくまでも事前協議でございますから、その場合はイエスもあればノーもある。やはり我が国というものを考えまして、イエスもあればノーもある、これが従来変わらざる政府の解釈でございます。
○野田哲君 それはあなたの公式論ですよ。そんなことが実態として言えるはずはないんです。一遍日本側から申し出て集積された装備を使うのに、日本の国から外へ持っていくのだったらだめですよということは言えるはずがない。 こういうふうに実にあなた方の答弁は白々しい。 これはこのあたりで、今までのやりとりについて総理は一体どういうふうにこの問題について認識をされているのか、総理の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 確かにこの有事来援というのは、これは日米安保体制の核心である。したがって、そのことは、これはだれしもが研究はきちんとしておかなきゃならぬという意思は持っておる。このたび瓦長官がアメリカへ行って話をした国際情勢のお互いの認識の交換とか防衛関係費の問題、そうして日米安保条約の効率的機能はどうしたらいいか。そのときにその延長線上に当然として有事研究の問題が存在しておった。したがって、有事研究を積み重ねていけばポンカスの問題が出てくるであろうということは、衆議院の予算委員会においても、また本院においても、これ野田さんの質問等でその議論があったわけでございますが、初めにポンカスありきという勉強そのものではないということだけはきちんとしておると思うわけであります。 さあそこで、我が国は当然のこととしていわゆる集団安全保障ではないわけでございますから、今研究しようというのはいわゆるその五条の問題であることには間違いありませんが、野田さんはそれをさらに議論を進めて、そこでポンカスというのが合意に達して、そうしてそれが仮に安全保障条約上の問題で六条の問題となったときに、三つの事前協議の私は恐らく対象になる問題ではないか。そうなれば、これは公式論として今までもずっと言い続けてきましたようにイエスもあればノーもある、こういうのが私は実態としてのやはり正確な今日まで来た答弁ではないかというふうに私自身も整理をいたしておるところでございます。
○野田哲君 角度を変えますが、宇野外務大臣、事前協議についてはイエスもあればノーもある、こう言われておりますけれども、日本側が、研究協議して合意に達して日本に集積された装備をアメリカが使うのにノーということを言えるとは、国民はだれもそんなことではこれはもう信用しませんよ、白けてしまうですよ、これは。 そこで、ポンカスに関連する問題としては、先ほど外務省から説明がありましたが、今度のアメリカの軍事情勢報告の中でもわざわざウオータイム・ホスト・ネーション・サポート、こういう項目を挙げて述べている。その中で、先ほども説明があったように、日本についてこういうふうに言っていますね。施設、土地、労務及び賠償金と税金の免除という分野で平時支援を日本は提供している。一九七八年のガイドラインは、将来ウオータイム・ホスト・ネーション・サポート協定を結果としてもたらし得る研究を行うことを定めている。しかしながら、そのガイドラインは、これらの研究の結果はいずれの政府をも義務づけるものではないと規定している。したがって公式に拘束力のある協定はエマージェンシー立法——こういうふうに書いていますね、エマージェンシー立法が日本で実施されるまでは不可能である。 つまり、この文面どおりでいきますと、ポンカスを受け入れる、その場合には、戦時のホスト・ネーション・サポート協定、そして同時に、もう衆議院でもいろいろ議論されておりますが、有事立法、これがあって初めて実施できる問題だ、こういうふうに明確に、一番新しい軍事情勢報告でも述べているわけです。だから、つまりこれが合意に達するということは、戦時ホスト・ネーション・サポート協定を取り決める、同時に戦時法制をつくる、これが不可欠のことになる、こういう点についてはどういう認識をお持ちですか。外務大臣いかがですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) その点に関しましては、これまたそんな事態にまだ及んでおらないし、研究も及んでおらないのですが、しかしもしそういうような事態にかりそめにもなった場合には、当然こちらから受け入れ国としての支援体制、それをひとつぜひとも欲しいということはきちっとしておかなければアメリカとしても支援しませんよということは当然のことではないか、こう思うんです。しかしそれも、もう何回も言いますが、まだまだそこまでの研究も行っておらぬ、 しかしアメリカでそういう報告があるのならば、それに対しましてはそうでございましょうと一般論として申し上げておきます。
○野田哲君 防衛庁長官いかがですか。
○国務大臣(瓦力君) 防衛庁はいわゆる七十六条の自衛隊の行動に関する有事法制の研究は進めておるわけでございますが、今外務大臣に対する御質問は米軍に対する問題でございますから、そのことにつきましては外務大臣の御答弁であれでございますが、私の方は自衛隊の行動に関する有事法制研究というのは、言ってみますれば冷静に平穏なときにそうした研究をすることは大切なことだと実は考えておるところでございます。
○野田哲君 私の質問にはまともに答えてもらえないんですが、装備の事前集積を受け入れれば有事法制と戦時受け入れ国支援協定というものが不可欠になるでしょうと、こういう点を聞いているんですよ。 そこで、私もその点について衆議院での質問と答弁をずっと調べてみました。資料を今お配りいたしましたけれども、どうして同じ国会の同じ予算委員会の中で政府側の答弁がこの二つの問題について毎日毎日変わっているんですか、これ。 例を挙げてみましょう。戦時ホスト・ネーション・サポート協定の問題について、二月二十三日の上原康助議員の質問に対してはこういうふうに答えているんですよ。WHNSは直接かかわりのある問題ではない、それは別のジャンルの問題だ、こういうふうに答えているわけです。楢崎弥之助議員に対しては、WHNSの研究の結果有事法制云々というのは先走った論議ではないか、こういうふうに言っているんです。ところが、これが今度は宮下議員のところになってくると、部隊の来援あるいは事前集積に関連して、日本側の戦時及び平時の受け入れ国支援の問題も当然研究の結果として出てくると考えられる。日米間の相互支援の問題は、各種の研究を通じて明らかにされた項目がある程度出そろった時点で、改めて相互支援に関する研究としてまとめて研究されることになる。共産党の柴田議員に対する答弁では、仮にそれを実施するとすれば、新たな協定なり新たな何らかの法制上の措置なりを必要とするものが出てくる可能性がある。そして、一昨日ですけれども、我が党の上田議員に対する質問では、これは新聞報道によるわけですけれども、WHNSは必要である。斉藤条約局長も、WHNSの協定について日米間で話し合う可能性がある、こういうふうに答えたと新聞で報道されているわけです。 同じ問題について、同じ国会の同じ予算委員会でどうしてこうも質問者によって答弁が変わるんですか。この中でどれが本当の政府の答弁なんですか。表をお渡しいたしましたので、瓦長官、この中で本当の答弁はこれですということで明確に示してください、これ。——西廣さんじゃないよ、長官の問題ですよ、これは。
○政府委員(西廣整輝君) ただいまいただきました資料に私の答弁が大変多うございますのでお答えさせていただきますが、実はこのそれぞれの答弁というのは少しずつ違った御質問に対して答えておるので、答えだけ見ると若干食い違っているように思われるかもしれませんが、ここで書かれておりますのはいずれも今回行います有事来援の研究、その目的の中にはWHNSなり有事法制の研究等は全く入っていないということは一貫して申し上げております。そして、なお上田議員の御質問それから宮下議員の御質問に対して私並びに瓦防衛庁長官がお答えしたときに申し上げたと思いますが、今回の有事来援研究、そういったものを行うに際しまして、その結果としてあるいは過程において、あるいは平時並びに戦時における受け入れ国支援の問題というものが出てくるかもしれません。これはあくまで事実として出てくるかもしれませんということを申し上げております。ただ、その後に引き続いて私も瓦長官も、それら支援の問題というのはガイドライン研究の中の研究項目として各種の研究を行った結果、相互支援の問題、日本側からいえばHNSの問題でございますが、そういった問題が出てくるだろうと。そういったものが出た段階で改めて相互支援のための研究を行うというようにガイドラインに書かれておりますので、これはほかのもろもろの研究が終わった段階で改めてやるもので、今回の研究には入りませんということをつけ加えて申し添えておる次第でございます。
○野田哲君 長官を指名してください。
○国務大臣(瓦力君) ただいま政府委員から答弁がありましたとおりでございます。
○野田哲君 そうすると、表の一番上に書いている上原康助議員や楢崎弥之助議員に対する答弁はあれは違うと、こういうことですか。うそだということですか。
○政府委員(西廣整輝君) 時間がかかって恐縮でございますが、個々に申し上げますが、上原議員の御質問、これに対して私は、WHNSは我々が今研究しようとしている有事来援の問題とかあるいはその中に含まれるかもしれない事前集積の問題とは直接かかわりのある問題ではないというように申し上げております。 それから、次の点につきましてもそうでございますが、HNSの問題については別の研究で行うべき問題だということで、上田哲議員に申し上げたと同じように、研究するとしてもそれはまた別の場で行われるという趣旨のことを申し上げておるわけでございます。同時に楢崎先生の方について申し上げますと、有事法制云々ということになりますと、まず我々として有事法制について、そういったものにつながるかどうかということについてはまだ何とも言えないものでありますが、有事法制はいずれにしろ、最初から申し上げておりますように、ガイドラインの枠組みの中での研究ではございませんで、つまり日本とアメリカの間で研究するというものではございませんで、日本国内の問題でございますから、別の枠組み、手続をもってやっておるということで、この研究と直接関係がないばかりでなく、この研究の枠組みとは全く別のものだということを終始申し上げておるつもりでございます。
○野田哲君 ですから、ここに挙げた各質問者に対する答弁の中でどれが一番正しい答弁なんですか。みんなニュアンスが違うんですよ。だからそれを聞いているんです。
○政府委員(西廣整輝君) 今回の研究の性格づけにつきましては、実は先般本委員会におきまして外務大臣が非常に明確にお答えになりましたので、ほとんどそれを繰り返させていただくことになると思いますが、今回の有事来援研究と申しますのは、ガイドラインにおきます我が国有事及び我が国にそのおそれのある場合における研究、五条に関連した研究でございまして、作戦研究等の一環に位置するものでございます。そしてこれに関連してあるいはそういった問題も生ずるかもしれない支援の問題、日本側からアメリカ側に支援をするという問題、HNSと称しておりますが、そういった問題が出るかもしれませんが、これはガイドラインの別の項目として作戦計画研究であるとか、今回やります来援研究でございますとか、あるいはインターオペラビリティーの研究とか、もろもろのたくさんの研究がございますが、そういった各種の研究を行いますとそれぞれに付随してそういう相互支援の問題というものが生じてくるだろうと。そういった項目が明らかになった時点で改めて行うことになっておるということでこれは今回の研究の目的の中に入っておりませんが、ガイドラインの研究項目の中には入っております。しかし今回の研究の中には入っておりません。 さらに、有事法制についてのお尋ねもたびたびありました。有事法制につきましてはガイドラインの研究の枠組みの中にも入っていないということを従来から申し上げておりますし、本有事来援研究の中でそういったことに触れるということは全く考えておりませんが、有事法制そのものについて一般論としていろいろお答えがございましたので、それについてはそれはそれなりに大事なものではあるけれども、現在政府としては自衛隊の行動にかかわる研究はいたしておりますと。米軍 の行動にかかわる研究等は、そういったものも済んだ後にするかしないかということも含めて慎重に検討いたしたいということでございます。
○野田哲君 別のところの研究だとか、あるいは有事法制等は全然研究の対象には入っていない、しきりにこういうふうに言われているわけですが、そうすると、アメリカ側の意図が一番明確になっている一番新しい軍事情勢報告の中で、私がさっき指摘いたしましたエマージェンシー立法が日本で実施されるまでは不可能である、こう言っているこのことについてはどういうふうに理解をすればいいんですか。どういうふうに理解されておりますか。
○政府委員(西廣整輝君) 先生御指摘の軍事態勢報告の文言を私も承知しておりますが、今まで米側と事務レベル及び防衛首脳の会談、そういった場面でこの有事法制の問題なりWHNSの問題について米側から話を聞いたことは一度もございません。
○野田哲君 あなたは話を聞いたことは一度もございませんと言われるが、こういう文書が出ている、アメリカ側の意思として、軍事情勢報告の中で有事立法がなければだめですよと、こう言っていることについてどういうふうに理解をされているのか、瓦長官いかがですか、これは。
○国務大臣(瓦力君) 今防衛局長からも話がございましたが、私先般伺いましてもさようなお答えは別段ないわけでございまして、米側の同盟国に対するそうした問題につきましての考えは考えとして承っておきたいと思います。
○野田哲君 同盟国の考えは考えとして承っておきますということでは日本の政府としては対処のしようがないでしょう。だから、要するに私が言っているのは、これは本音で言ってもらわなければ困るんですよ。ポンカスというような状態を日本が受け入れるということになると、有事法制とそれから受け入れるためのウオータイム・ホスト・ネーション・サポート協定、これがどうしても必要になってくるでしょう。このことは一体どう考えておられるんですか、こう言っているんですよ。
○政府委員(西廣整輝君) 一般論としてお答えしたいと思いますが、これは自衛隊の行動にかかわる法制の場合も同様でございましたけれども、有事何らかの自衛隊の行動なりそういったものにかかわる法制的な問題があるのではないか、あるいは必要な法制があるのではないかということで、これを研究することは大事なことだということで私ども始めております。 同じように米側の行動についても、そういったものについて問題点があるかないかということを研究する必要があるかないかということは自衛隊の行動等を通じて研究した段階であるいはそういったこともわかるかもしれませんが、いずれにしましても有事におきまして日米双方が密接に相互支援をするということは極めて大事だと思っております。ただ、現在直ちにその協定を結ばなくちゃいけないとかそういうふうに私どもは事態認識をいたしておりませんで、それらの相互支援のための研究というものは、ほかのただいまやっております作戦研究なりあるいは有事来援研究というものをやりまして、その結果それぞれについていろんな支援の必要性とかそういったものが浮かんでくるんじゃないかと思いますが、そういったものが出そろった段階で腰を据えてやればいいのではないかというような段取りで考えておる次第でございます。
○野田哲君 防衛庁の方では、今の有事法制は自衛隊の七十六条事態に対する検討をやっていると、こういうことですね。そこで、有事来援のときの米軍の有事法制についてはどう考えているんだという質問を衆議院でやられていますね。これに対しては、自衛隊の行動にかかわるものを先行させて、それをやっていけば、米軍もそれに乗っかれば大した問題は起こらないんだ、こういう趣旨の答弁をされていると思うんですが、これは私はどうも理解できないんです。それは、行動は仮に同じであっても、日本の自衛隊に対する法律がそのまま米軍の行動にイコールということにはならない、対象が全然違うんだから。この点いかがですか。
○政府委員(西廣整輝君) ただいまの御質問は私の答弁にかかわるものだと思いますので私からお答えさせていただきますが、私が申し上げたかったのは、自衛隊と米軍とは共同対処行動をとる、そして我が国の中で共同対処行動をとるわけでございますから、米側が自衛隊がやる以上のことを、何か変わったことをやるとは思えない、したがって、行動態様としては自衛隊の行動態様の内枠の中だということは御理解いただけると思います。 一方、自衛隊がといいますか、防衛庁が現在研究をいたしております自衛隊の行動にかかわる有事法制研究というものは、立法そのものをやろうということではございませんで、国内法制上どういう問題があるか、つまり、ファクトファインディングといいますか、問題点の洗い出しをやっておるわけでございます。したがいまして、そういったことであれば、仮に将来米軍の行動にかかわる今の法制上とのすり合わせということがあっても、行動の中身は自衛隊がやることの内数、そのうちの一部であろうと思われますし、問題点が浮かんでくるとすれば問題点の性質は同じではなかろうかという意味でお答え申し上げました。
○野田哲君 行動態様は同じであっても相手が別なんだから、自衛隊の七十六条を対象にした法制とは別の法制が必要なんだ、こういうことですね。
○政府委員(西廣整輝君) 自衛隊のための法制と米軍のための法制というのはまた別のものであろうと思います。
○野田哲君 ポンカスの実態を明らかにしていくために、実際にポンカスが実施をされているNATO諸国の受け入れの体制について伺いたいと思います。 まず、ノルウェーの例について、アメリカとノルウェーとのポンカスにかかわるメモランダム、この中の三項、五項、六項、八項について、ノルウェーでどういう具体的な措置がとられているか、説明をいただきたいと思います。
○政府委員(長谷川和年君) ただいま委員御質問の各項に関してでございますが、第三項に関しましては、ノルウェーでは、同盟国の通常兵力増援のための一個米海兵隊水陸両用旅団の迅速なる移動に資する目的で次のような重装備及び資材が事前集積されるということで、具体的には百五十五ミリ迫撃砲二十四門及び牽引車、それから架橋用資材、輸送車両、弾薬、燃料及び食糧等でございます。 第五項でございますが……
○野田哲君 輸送車両の数。
○政府委員(長谷川和年君) 輸送車両は、トラック約二百五十両、トレーラー約百両でございます。 第五項は、ノルウェー政府はこの旅団の人員及び装備をノルウェーの中央部から脅威にさらされている地域に戦術的に積み込み、輸送をするに当たり、適当な手段を提供するという内容でございます。 第六項は、ノルウェー政府は、NATOのインフラストラクチャー計画に従い、適当な事前集積施設、航空基地受け入れ施設及び作戦航空基地を提供するとともに、事前集積された装備及び資材の安全及び全般的保守に関して責任を有する。運用及び維持の費用に関する財政的取り決めは両国間で合意される、こういう内容でございます。 それから最後に第八項でございますが、第八項の内容は、ノルウェー政府は、雪上車約百五十両、二個車両輸送中隊、おのおのトラック九十台、一個救急中隊、救急車三十五台、一個燃料補給分隊、トラック六台、及び両国が必要であると認める工作及び航空基地支援装備を含む接受国支援をこの旅団に提供する、これが内容でございます。
○野田哲君 西ドイツの状態を説明してください。
○政府委員(長谷川和年君) 西ドイツにつきましは、米国と西ドイツの間に協定がございまして、この協定におきまして西ドイツの増援米軍及びその軍属に対する支援について規定されておりまして、その第一項ではドイツ連邦軍を通じた軍事的支援、第二項では民間の支援についてそれぞれ規定されております。 具体的に申し上げますと、第一項の軍事的支援としては米国の空軍、陸軍の施設の安全の確保、共通の活動基地における米空軍の支援、離着陸場の補修、輸送と積みかえ、死傷者の疎開、人員、装備の汚染除去等が含まれる旨規定されておりまして、また第二項の民間支援といたしまして鉄道、道路及び水路による人員、資材、弾薬及び燃料、油脂等の輸送、それから保守、修理及び資材取り扱いを含むその他の業務、次に電話及びテレタイプ設備、次に戦時駐留のための施設、それから消耗品及び食糧の供給、さらに民間労務に対する需要充足に対する協力、それから米軍の民間労働者及び米軍を支援する契約者の兵役免除、最後に資材の動員、補給等が規定されております。
○野田哲君 西ドイツの場合、費用の分担がどういうことになっておりますか。
○政府委員(長谷川和年君) この協定によりますと、費用の分担に関しましては、準備費用を含む支援のための費用は両国政府で分担する旨規定されておりまして、さらにドイツ連邦共和国政府は所要のドイツ連邦軍部隊の人件費及び兵員装備に関する費用並びにドイツ連邦軍の軍事統制、兵たん及び訓練組織に関する資材投資費用等を負担し、また米政府はドイツ連邦軍の軍事統制、兵たん及び訓練組織との関連で生ずるものでない限りにおいて資材投資費用、民間労働力に要する費用等を負担し、危機または戦争時において要請し受領したすべての物品及び役務にかかわる費用を負担する旨規定されております。 〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕
○野田哲君 金額はどのぐらいですか。
○政府委員(長谷川和年君) 金額は当方ではまだ承知しておりません。
○野田哲君 金額は、一番最近の年度の西ドイツの負担は、私の調べたところでは六億七千万ドイツ・マルク、日本円で五百十四億三千五百九十万円、それから運営費が別に七千万ドイツ・マルク、五十三億七千三百九十万円、こういう負担をしているわけであります。 そこで、次の問題に入りますが、防衛長庁官はこれから研究するんだこれから研究するんだ、こういうふうに言われておりますが、防衛庁の内部では既にこのポンカス、それに関連をする戦時ホスト・ネーション・サポート内容、具体的な検討が行われている、陸幕の中で。御承知ですか。
○国務大臣(瓦力君) 今お尋ねのような研究が行われておるということは承知しておりません。
○野田哲君 まず統幕の第四幕僚室磯部二等陸佐、この人が部内のレポートで「弾薬」、こういうレポートを幹部学校の教材として使っております。この内容を見ると、弾薬取得の概要、弾薬の備蓄、弾薬の緊急生産、そして四番目にアメリカからの緊急取得、これについて詳細に述べて、弾薬を中心にしたアメリカのポンカスの状況、そして日本がそれを受け入れる場合の状況、そのために必要な政府間協定の締結、供託資金の事前支払い、請求・受領手続の統一、装備品の標準化、こういう点について詳細なレポートが既に部内にできている、この点について防衛庁長官どのように考えられますか。
○国務大臣(瓦力君) ただいま御指摘のようないわゆる研究といいますか論文といいますか、幹部自衛官がそうした研究をそれぞれ勉強してまいる、研究しておるということは、私はそれなりに結構なことだ、かように思います。 〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕 防衛庁として今研究しておるわけではございませんが、個々の幹部自衛官がいろいろ文献を求めたり研究をしてまいるということは、私はこれまた必要なことでもある、かようにも思います。
○野田哲君 それぞれ個人的に勉強しているのじゃないんですよ。これを教材として出しているんです。 もう一つ、多田一等陸佐、これはもっと上に行っている人だと思うんですが、「連合作戦準備に関する基本的考察」、こういうことで戦時HNSの協定による兵たん支援が不可欠である、こういう点を強調しているわけであります。 これらは、これから研究するのだと言っているんだけれども、部内ではもう既に、戦時のホスト・ネーション・サポートのあり方、それに伴う有事法制、こういう形で陸幕の中では既に検討が数年前から具体的に進められている、こういう状況を私は指摘しておきたいと思うんです。研究はいいじゃないかと言われるけれども、国際的な協定が伴う、あるいは国内的な法的措置が伴うことをそう先行して研究されるということは、これは分を越えているんじゃないですか、どうですか。
○国務大臣(瓦力君) 今申し上げましたのは、幹部自衛官としてそれぞれにどういう研究が行われておるかということを文献を求めたり研究をすることは、私はそれはそれとして大切なことだと思うわけでございますが、教材という話になりますと、担当局長より実態はどうであるか、そのことについてお答えさせたいと思います。
○政府委員(長谷川宏君) お答えいたします。 この論文は五十四年あるいは五十五年に「幹部学校記事」あるいは「陸戦研究」に載ったものでありますが、それぞれ個人が発表した意見でありまして、防衛庁としての研究でありませんし、教材ではございません。
○野田哲君 教材ではないと言ったけれども、幹部学校のレポートとしてあるわけですからね。 時間が参りましたので総理に最後に、今いろいろ議論をいたしましたけれども今度の国会で非常に大きな問題になっているポンカスの問題ですが、私はやはり総理はこれは慎重に対処してもらいたい、こういうふうに思うんです。 まず一つは、ポンカスというのはベルリン危機のときに非常に厳しい東西の対立があった時代に考えられた戦略だ、こういうふうにまず指摘をしておきたいと思うんです。二つ目には、今米ソが緊張緩和に向かおうとしているときなぜこういうことを考えなければいけないのか、これは逆に緊張激化の火種をつくることになるんじゃないか。それから三つ目は、アメリカは今非常な財政赤字の削減に努力をしているわけであります。この双子の赤字の削減は日本も強く主張したわけであります。そういうときにポンカスというのは、これは装備を二重に持つことになるんです。日本に一個師団分を置き、アメリカ本土で一個師団分を持つ、新たな財政負担を日本もアメリカも大きく課せられる、こういうことになるわけであります。受け入れ側でも財政負担とあわせて新たな協定、有事法制、こういう形で国民に対して大きな不安をもたらす、権利を規制する法制が必要になってくる、こういう事態は絶対にやるべきでない。このことについての総理の見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) このたびの瓦訪米に当たってのいわば安保条約の有効な運用に関する問題の一つの大きな問題としていわゆる有事来援研究、こういうものが話し合いされて、そこでこの国会の議論なりあるいは国民的議論とでも申しましょうか、なかんずく国会の議論ではそれは必然的にポンカスの問題にいくであろう。そうなれば、ポンカスの問題が生じたら、もろもろの文献等を読んでみればエマージェンシー立法というようなものにいくであろう。今の研究でどういう結論、どういう経過をたどるか不明な点が非常に多うございますが、そういう一つの路線を引いた議論になっておるんじゃないかな、こういうふうに私は先日から実は感じておるわけであります。それだけに、区切り区切りにおいては防衛庁長官の責任において研究の過程なり経過なりを報告してもらうということに閣議了解等でもなっておるわけでございますから、それらの報告を聞きながら私どもはそれに対して冷静に対応していかなきゃならぬ、このように思っております。 ただ、御指摘がありましたことについては、よ く言われる議論は、INF条約が締結された、そういうときにこの問題が出てくるというのはデタントムードに逆行するんじゃないか、こういう議論が一つ存在しておることは私も十分理解しておりました。しかし、現実、今日の平和と安全というものがやはり力の均衡のもとに行われておるという厳粛な事実というものもやっぱりこれは国民の皆さん方に理解していただかなきゃならぬ問題であるということで、私の心なりを一応整理してみたわけでございます。 それから財政赤字削減の問題、これは私どもがかって双子の赤字を追及した場合に、財政赤字の削減を要求するならば必ずやそれがどこかに負担の転嫁というものが出てきはしないか、それが防衛関係費について出てくるんじゃないかというような議論もたびたび行ってきたわけでございますが、当然我が国の防衛に関連いたしまして、一番古い取り決めから見ても、国力、国債、そのときの財政事情というようなものをこれは踏まえて対応しなければならない問題であるというふうに私なりの整理をしてきたわけでございます。
○委員長(原文兵衛君) 以上で野田哲君の質疑は終了いたしました。 本日予定いたしておりました市川正一君の質疑につきましては、明後十四日に行うことといたします。 明後日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時散会