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112回国会参議院1988/02/19

予算委員会 第2号

発言数
427
登壇者
39
会派数
4
開催日
1988/02/19

会議録

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を開会いたします。  昭和六十二年度一般会計補正予算、昭和六十二年度特別会計補正予算、昭和六十二年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。     ─────────────

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) まず、理事会における協議決定事項について御報告いたします。  審査期間は本日十九日及び明日二十日の二日間とし、審査方式は総括審議方式とすること、質疑割り当て時間は総計百七十五分とし、各会派への割り当ては、日本社会党・護憲共同六十五分、公明党・国民会議三十七分、日本共産党二十八分、民社党・国民連合十八分、新政クラブ・税金党、二院クラブ・革新共闘及びサラリーマン新党・参議院の会それぞれ九分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。     ─────────────

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十二年度補正予算三案審査のため、本日、税制調査会会長小倉武一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) それでは、これより順次質疑を行います。野田哲君。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 まず、総理に伺いたいと思いますが、先日衆議院において、予算委員長と法務委員長が辞任をされて委員長を交代されるという問題が起きました。これは衆議院の問題だからということで参議院で見過ごすことができない重要な問題を含んでいると思うのです。この問題で今問われているのは、衆議院、参議院を含めた国会の権威の問題、国会議員としての倫理観の問題、責任感、品性が問われていると思うんです。今回のこの相沢法務委員長、浜田予算委員長辞任の引き起こした問題について、国民の皆さんの見方というのは非常に厳しいものがあるわけであります。  竹下総理は、ハウスの問題には行政府はコメントしない、こういうことでこの問題についてはずっと口を閉ざしておられたわけでありますけれども、政権与党としての自由民主党の総裁として、これはハウスの問題ということで口を閉ざしている問題というわけにいかないと思うんですが、どのような責任を感じておられますか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) まず、私がいつも申し上げておりますのは、国会で指名を受けて行政府の長になっておる。しかし、政党政治である限りにおいてはその党の党首が行政府の長になる、こういうことになっておりますものの、やはり行政府の立場にあるということに自分を位置づけた場合、国会において起こったもろもろの収拾等に対する措置についてコメントはすべきでないということは、これは長い間言い続けてまいってきております。  しかし、ここで整理してみますと、まず国会の権威、それから政治家としての倫理観、この二つのことにつきましては、いやしくも国民に不信感なりを持たれないような、政治家個々が政治倫理というものに対してはみずから厳粛に対応しなければならない問題だと思っております。 それから、国会議員であることも事実でございますので、国会議員としてもまたお互い政治倫理ということを絶えず念頭に置くべき問題だと思っております。  それから次の、党員のお二人のとられた措置ということにつきましては、みずからが厳正に決断してとられた措置であるというふうに位置づけをいたしておるところでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 もう一つ初めに伺っておきたいのは、きのうの有力なある新聞の朝刊あるいはまた別の夕刊によると、竹下総理あるいは竹下総理周辺では、税制改革のために七月にも臨時国会を召集する腹を固めた、こういう報道がしきりに出ています。しかし、今通常国会が現にこうして開かれているわけでありますし、予算審議がやっと緒についたばかり、こういう時期でもありますし、そしてまた、予算委員会において税制について各党代表が見解を何回もただしている、これに対して総理や大蔵大臣は何一つその構想を明確にされていない、それにもかかわらず税制改革の国会を七月にも開く、これは余りにも国会の審議というものを軽視し過ぎているのじゃないですか。今の通常国会を何と心得ておられるのか。一体、この七月にも臨時国会を開こう、これは本意であるのかどうか、総理の見解を伺いたいと思うんです。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) まず、私なりにいつも整理しておりますのは、国会の召集権は内閣にある、会期を決定するのはあくまでも国会自体の問題である、ここのところはいつも整理して物を言ってきております。しかしながら、今御指摘のとおり、百五十日というものが国会法で決められておるいわゆる常会が進行半ばにして、さて次の臨時国会はいつ開いてやろうなどということを考えるほど私自身思い上がってはいないな、そういうふうに私は自分なりに、あの記事を見ながら、やっぱり私が正しいな、こういうような感じですら拝見さしていただいておったわけでございます。  しかし、ここで明らかにしておかなきゃなりませんのは、さはさりながら、重ねて御質問があるとしたならば、いわゆる税制改革の法案を国会提出案件の中で検討中のものとして入れているのじゃないか、こういうことが一つあろうかと思うのであります。これは、税制調査会に対して諮問を申し上げた。税制調査会については、私は予見をお与えすべきものではないと前々から申しております。ましてや、期限を付していつまでに、こういう性格のものではない、学界、財界、労働界、偉い先生にお集まりいただいておるわけでありますから。  しかしながら、税制改革の必要性というもので答申が出たとすれば、それに対していつでも受けて成案を得る準備はしなきゃならぬ。したがって、姿勢としてはやはり検討中のものと位置づけはしておくべきものであるという段階でございますので、今、七月召集しますとかいうようなことを考えるべきものではないというふうに私自身思っております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 さて、補正予算の問題で大蔵大臣に伺いたいと思うのですが、財政法の二十九条が補正予算の手続を定めている条文でありますが、それによりますと、補正予算は、義務的な経費が不足したとき、もう一つは本予算を編成した後に生じた理由、こういう二つのことが制限的に規定されています。  今回の補正を見ると、義務的経費の追加として約千三百八十億、これはそれぞれ五項目例記をされています。それから予算編成後に生じた理由として、災害復旧費の二百二十九億八千八百万、公務員の給与改善費七百六十七億、これは財政法二十九条に該当するものとして私どもも理解できるわけであります。しかし、それ以外のことについては、財政法二十九条に該当するとは理解できない問題が今回の補正に計上されているんじゃないかと思うんです。  例えば、過剰米処理に伴う食管への繰り入れ千百四十六億、それから借金返しの自賠責の再保険への繰り入れ二千四百三十八億、これが今回の補正に計上されているわけですけれども、既に当初予算に六十二年度の予定分は計上されているわけであります。この補正に追加で計上しなければならない緊急性というものはないのではないか。これらの支出項目を補正でふやすべき予算編成後の事情の変化に該当するのですか、どうなんですか。この点が理解できないんですが、これは予算編成後の事情の変化に該当するということであれば、その理由を御説明いただきたいんです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 法律の解釈の問題もございますので、後ほど主計局長から補足をしてもらうことにいたしますが、このたび、今御指摘になりました過剰米処理のための繰り入れの増額を行っている、あるいは自賠責特別会計からかねて繰り入れをしておりましたものを繰り戻す、それから国民健康保険につきましても、今回財政状況を考えまして補正を計上している部分がございます。例えば、前二者につきましてのお尋ねであろうかと思いますが、私どもはこの二つにつきましても、国民健康保険ももとよりでございますが、それはやはりもともと法律上繰り入れが要請されている経費であって、繰り入れの緊要性そのものは高いということは当初から今日まで変わらないところであると思います。  御承知のように、当初予算において特例公債を非常に大きく発行しなければならないような財政状況でございますから、緊要性が高いということに違いはないのでございますが、結局申しますと、緊要性という問題とそれから財政の歳入の問題との間で緊要性にもいろいろ優先度があって、どうしてもここまでは借入金をふやして特例公債をふやしてでもしなければならない緊要なものと、それから財政事情いかんによってやむを得ないがこの際は差し控えなければならないといったような緊要性の優先度というものがあるというふうに考えておりまして、この補正予算におきまして御承知のように歳入に余裕がややできてまいりましたので、したがって緊要性の優先度に従いましてこれらのものの繰り入れをいたした、こういうことでございまして、それは財政法二十九条の一号に言うところの「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」ということに違背をしていないものと考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 ちょっと今触れられたわけですが、今の国民健康保険制度、この交付金の千八億、これは退職者の医療制度創設に絡む国保の赤字補てん分で、これは私どもとしては従来から国が補てんすべきことを主張してきたわけであります。これに対して、政府は財源がないということで拒否をしてきた。今回急に補正予算に計上することになっているわけですが、これは国保に対する都道府県の一部負担導入、市町村の負担増が六十三年度予算で実施される見返りとして、たまたま税の増収があったので補正予算に特別交付金として計上したと、こういう実態だと思うので、これは私は非常に便宜的だと思う。実態としてはこれは六十三年度予算の前倒しではないか、こういうふうに思えるわけですが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる退職者医療の問題に伴いますこの繰り入れは既に前に二度いたしておりまして、おのおの千億絡み、ちょっと上下ございましたが、これが三回目になるわけでございます。つまり、従来からございました問題の処理が最終的にはついていないという市町村側の主張があり、それは事実そのとおりであって、財政状況等々から十分に話が最終的に詰まらないでおったわけでございますけれども、この年度が始まりまして国民健康保険の財政状況を見ておりますと、やはりこれは最終的にどうしても決着をつけないといかぬという判断に立ち至りまして千八億円を計上したものでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 予算の組み方ですけれども、義務的経費以外の経費は本予算作成時に政策的な判断として必要なものはすべて計上する、これが財政の建前だと思うんです。そして、逆にその時点で計上しなかったものについては、これは緊要ではない、こういう判断を下したことになると思うんです。したがって、義務的経費以外で予算作成時に当然予期された経費は補正予算に計上できないということではないかと思うんです。国保の補てんの問題は今回の補正には計上できない、こういうふうに私は考えられなければならないんじゃないかと思うんです。  結局、今度の補正予算というのは、たまたま多額の税の自然増収が見込まれたから、六十三年度の予算で当初に計上すべきものを前倒しで補正予算で便宜的に処理した、こういう感じがするわけであります。財源があるから直ちにどこにでも補正予算を組むということは、財政法二十九条が戒めていると思うんです。そういう点から、今回の補正は財政法二十九条の精神を逸脱しているんではないか、こういうふうに思えてならない。この点の見解を伺って、この問題を終わりたいと思うんです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 野田委員の言われますその緊要ということでございますけれども、もろもろの支出の中で、やはり緊要といいましても非常に緊要度の高いものから、おのおの、何と申しますか優先度といいますか、おのずから歳入との関連でどこまでを緊要とどうしても考えなきゃならないか、もう少し金があればこれも緊要なんだがというようなことはしばしばあることでございまして、これらの経費は、そういうような意味で財源がございますれば何としても処理をしなきゃならない緊要性があって、しかも財政法二十九条に言うところの法律上の義務に属するわけでございますので、このたび緊要なものとしてさせていただいたわけでございまして、その点どうぞ御理解をお願いいたしたいと存じます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 防衛の問題で伺いたいと思うんです。  瓦長官、まず伺いますが、一月十九日に日米防衛首脳会談が行われた。この首脳会談ではどのような協議が行われたのか。全部というと時間がかかりますので、特に日米防衛協力の問題についてどのような協議が行われたのか、御説明いただきたい。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) 先般の日米防衛首脳会談におきまして、私から、我が国に対する侵略に有効に対処するために時宜を得た米軍の来援が必要であることを申し上げた上で、例えば太平洋を越えて米軍が重装備で来援するにはいろいろ問題が予想されますので、今後日米間で来援部隊の円滑かつ迅速な展開を可能にするための措置について共同研究を行うべきである、かように提案を申し上げ、カールッチ長官は日本側提案に対しまして同意をされたわけでございます。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。久保亘君。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 防衛庁長官にお尋ねいたしますが、鹿児島県の喜界島に建設を計画している高性能円形アンテナ、いわゆる象のおりの建設は防衛庁として決定されているのかどうか、お答えいただきたいと思います。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) 喜界島の施設につきましては、地元関係者の御理解、協力を得ながら進めたい、かように考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この問題については既に一昨年、喜界町議会が満場一致で反対の決議をしていることは御存じですか。

友藤一隆防衛施設庁長官

○政府委員(友藤一隆君) お答えいたします。  地元の議会の方では反対の請願を採択されたというふうに聞いております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 なお、今長官が地元の賛成を得られればということでありましたが、地元住民に非常に強い反対の意見があることはよく御存じだと思いますが、長官は承知されておりますか。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) さようなことを承知しつつ地域の皆さん方に御理解をいただき御協力を賜りたい、かようなことで努力をしておるところでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 現在、関係の地権者で土地の提供について同意をしている人が何名ありますか。

鈴木杲防衛施設庁施設部長

○政府委員(鈴木杲君) お答えいたします。  地権者約百七十名のうち約百十名、六五%が同意されております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 その同意は、あなた方が簡単なプリントにされている不動産売り渡し承諾書をもって百十名と言われますか。

鈴木杲防衛施設庁施設部長

○政府委員(鈴木杲君) そのとおりでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 あなた方がお配りになっている承諾書は、もし都合が悪いときには国はこの買収を行わないという条件つきで出されておりますね。

鈴木杲防衛施設庁施設部長

○政府委員(鈴木杲君) 御指摘のような条件が付されていることは事実でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 総理にお尋ねしますが、地元に非常に強い反対があり、また住民を代表する議会が反対の意思を明確にしているような場合に、そこに自衛隊の基地を建設するということは望ましくない、こういうことについては総理、そのようにお考えになりますか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 私も具体的な事実をつまびらかにしておるわけではございませんが、極力理解を得る努力を、日米安保条約の効率の問題でありますとか、我が国独自の防衛の問題でありますとかという観点から立って適地であると判断したところに対し、極力住民の皆様方の理解を得る努力を続けるということは、行政府としてとる一つの道ではないかと思っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それでは、防衛庁がお考えになっている住民の理解を得る手段ということでおやりになろうとしていることについてお尋ねしたいのでありますが、現在喜界町民に対して福岡防衛施設局の名前でもって、三月上旬、四月末、六月中旬、七月末の四回にわたって米軍の沖縄にあります楚辺通信所を見学する旅行の案内をいたしております。この参加費用は一万円、交通手段は喜界から那覇までの間は自衛隊の航空機を使う。沖縄島内においては自衛隊のバスで移動をする。その計画はほとんど自由行動になっておりまして、楚辺通信所を三十分見学することになっております。そしてホテル、食事つき、経費一万円、こういうことで計画されておりますが、この自衛隊の航空機を利用する米軍楚辺通信所の見学の行動というのは、自衛隊法の何条に基づいて行われるものでありますか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 具体的な事案については、私どもにまだ上がっておりませんので十分承知しておりませんが、一般的に申しまして部外の方を航空機に乗せる、そういった場合、通常根拠としております法律は、防衛庁設置法の六条三号に自衛隊の業務、防衛庁の業務の周知宣伝のためという項目がございますが、要するに、自衛隊の状況をよく見て理解していただいて御協力をいただく、そういう意味で使われておると思います。  そのために、例えばある特定の施設をつくるといった際に類似の施設をごらんいただく。その際に自衛隊の航空機を使うといった例はあると存じております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この米軍の基地の見学については、米軍の同意を得ているんですか。現在あります喜界島の通信所ですら私どもが行きましても絶対に中に入れない。外から写真を撮ることも禁止されているんです。米軍の楚辺通信所については、自衛隊が町民を連れていきました場合には中の見学を許すことになっておりますか。

友藤一隆防衛施設庁長官

○政府委員(友藤一隆君) お答えいたします。  ただいまの見学でございますが、これは私ども防衛施設局の方が企画をしておるということではございませんで、喜界町の自衛隊協力会が現在プランを練っていろいろ企画をしておられるというふうに聞いております。  なお、米軍の施設の立ち入りの問題でございますが、まだそういった地元の協力団体からの要請がございましたばかりでございまして、今後この見学をどういうふうに実施するか局の方で検討いたしておるという状況でございまして、米側と具体的な調整といったものはまだ行っておりません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そんなおかしなことを言っちゃ困るんです。既にあなた方の方から町民に対して「楚辺通信所(象のオリ 沖縄県読谷村)見学案内」という文書を配られて、申込書までついているんですよ。そんなばかなことがありますか。

鈴木杲防衛施設庁施設部長

○政府委員(鈴木杲君) お答え申し上げます。  喜界町自衛隊協力会が「楚辺通信所(象のオリ 沖縄県読谷村)見学案内」というパンフレットを配っておることは承知しております。この協力会から福岡防衛施設局の方に申し出がありまして、今後これについて検討をするという段階でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 冗談じゃないよ、あなた。自衛隊機の使用ということまでちゃんと書いてあるんだ。そんなことをあなた、全然防衛庁が承知していないことを自衛隊協力会と称するものが勝手に自衛隊の航空機を使って、会費は一万円で一泊二日の沖縄旅行をやらせますというような、そんなことを決められるんですか。

友藤一隆防衛施設庁長官

○政府委員(友藤一隆君) これはあくまで自衛隊協力会側の方の御希望ということでございまして、それを受けまして私どもの方で計画等についていろいろ検討させていただいた上で適切なものについて実現について協力をすると、こういう形になろうかと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 航空機の使用についてはぎちっとした防衛庁の決まりがございますね。だから、そういう決まりに基づかないで、勝手に自衛隊の航空機を使って一般の住民を、不特定の希望者を乗せていくというようなことはできないでしょう。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 先ほどお答え申し上げたように、防衛庁設置法六条三号に基づいてもろもろの広報活動を行うわけでございますが、その一環として、航空機使用についても航空機使用の防衛庁長官の訓令というものがございます。その中に部外者搭乗について各種の取り決めがございまして、その中にやはり広報のために乗せるということがございます。これについては幕僚長等に長官から委任をされておりまして、恐らく、例えばただいま先生御質問のような件であれば、こういうことをやりたいという申し出があった段階で、その委任された幕僚長等がそれが適切なものであるかどうかということを判断して、訓令に基づいてできるものであれば承認をするし、そうでなければお断りをするということになろうと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 自衛隊の航空機を使って、しかも現地における行動計画も、自衛隊の基地PXで昼食を行うというようなことまで全部書かれておって、それを自衛隊側に協力会の申し出があっておる段階で、自衛隊としては、防衛庁としてはまだ全然そのことについて何も決めてないんだというような話なら、こんなものはやめなさい。

友藤一隆防衛施設庁長官

○政府委員(友藤一隆君) お答えいたします。  今話題になっております喜界町の私どもの通信所の整備でございますが、これは御案内のとおり島の通信所の施設が非常に老朽化いたしておりますので、これを最新型にかえたいということでぜひ必要な事業ということで、それに必要な土地の取得をいろいろお願いしておるわけでございますが、その際、地権者等、土地の所有者等でございますが、その方々から類似の施設というようなものの実態をよく見てみたい。と申しますのは、やはりこの施設が非常になじみの薄い施設でございまして、いろいろ不安感を持たれたり、どんなものかよくわからないじゃないか、こういう御疑問がいろいろございまして、私どもでもいろいろパンフレットをつくりまして説明等をいたしておるわけでございますけれども、やはり百聞は一見にしかずということの御意見等が地元に出てきたということでございまして、そういうところからぜひこの目で見てどんなものかよく確認した上でいろいろ話を聞いていきたいと、こういう御趣旨というふうに私ども承っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 軍の施設とか基地になじみの深いものがあるわけがない。それで、こういうことをあなた方がもし受け入れられた場合に、本人が負担するのは一万円、それでそれはホテル代、食事代、交通費、雑費全部含むと書いてあるんです。とても一万円でこういう旅行はできないんです。そうすると、その足らざる部分は防衛庁がどのような経費で負担なさるおつもりですか、これを受け入れた場合に。

鈴木杲防衛施設庁施設部長

○政府委員(鈴木杲君) 現在施設の視察に対しますどういう御協力をするかということは検討中でございまして、具体的には決まっておりませんけれども、一般的に見て航空機の輸送等は自衛隊の業務の一環として実施される性格のものでございまして、当然ながらこの経費も防衛庁側で負担することとなります。参加者がどのような負担をされるかということは具体的に承知しておりませんが、通常宿泊費、昼食代等は参加者負担になるものと考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 自衛隊の業務でやるのなら、本人が負担するというのはおかしいじゃないですか。

友藤一隆防衛施設庁長官

○政府委員(友藤一隆君) これは当該施設、類似の施設を見ていただくということを通じて、私どものこれからつくろうとしております通信施設についての御理解を深めていただくという趣旨からの一種の広報的な業務と、こういうことでございますので、従来から広報的な業務につきまして、いろいろ程度はございますけれども、やはり往復の航空機の提供あるいはバスの運行等の部分に大体限らせていただいておる、こういうのが従来からの実績でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 これは、基地や施設の建設の場合に、住民の合意を得られない場合は防衛庁はこのような見学ツアーをどこでもおやりになりますか。そのような前例がどこどこにありますか。説明してください。

鈴木杲防衛施設庁施設部長

○政府委員(鈴木杲君) 防衛施設庁が施設の取得等を行う場合におきまして、地元関係者に理解を深めていただくために類似の施設の調査をしたい、そういう関係者からの要請を受けたときに、自衛隊機による輸送などについて協力した事例はございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 どういうのがありますか。

鈴木杲防衛施設庁施設部長

○政府委員(鈴木杲君) 例えば鹿児島県の新田原基地にF15を配備する……

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 鹿児島県に新田原はないよ。

鈴木杲防衛施設庁施設部長

○政府委員(鈴木杲君) 宮崎県でございます。失礼いたしました。F15を配備する関連で、関係者を千歳基地まで輸送の支援をしたというような事例がございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 もし自衛隊機を使って一般の住民を募集して旅行をさせる場合に、万一の事故の場合の責任はどこでどのように負うようになっておりますか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) ちょっと担当の者がおりませんので私からお答え申し上げますが、仮に万々一事故があったというようなときには、その事案に応じてやはり国が賠償に応ずる必要があると思っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それは国家賠償をやるわけですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) そのように考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この見学ツアーというのは地権者を対象にしていないんです。喜界町民であればどなたでも参加いただけますということで広く募集されておりました。その第一回はもう間もなく、三月上旬に行くことになっているんです。これをあなた方が、我々は自衛隊協力会がやっているということを聞いている段階であってまだ防衛庁としては何も決めていないと、こうおっしゃっているが、それは間違いありませんね。

友藤一隆防衛施設庁長官

○政府委員(友藤一隆君) ただいまからそういった申請等を承りまして、中身をよく吟味いたしまして実施について御協力すべきものであれば御協力する、こういうことでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 町民にそういう宣伝を、自衛隊協力会がやったにせよ何にせよやらせておいて、それでその受け付けをどこでやっておるかあなた方は知っているの。あそこに福岡の防衛施設局から常駐しているでしょう。こういう人たちが中に入ってやっているでしょうが。それを防衛庁はまだ知らぬと、これは外側の協力団体がやっているので我々は今から決めるんだって、そんな話じゃないでしょうが。

友藤一隆防衛施設庁長官

○政府委員(友藤一隆君) これは、地元サイドではいろいろ御要望というものは当然いろんな形で出てまいるわけでございまして、私どもサイドで十分こなせるものあるいはできないもの、いろいろございます。 したがいましてそういった意味から、希望的な形でのプランというものはいろいろ当然出てまいるわけでございまして、通例の基地の視察でございましても、見学でございましても、日程の短縮でございますとかあるいは修正とか、いろんなことは私どもは御要望を承ってからやっておるのが通例でございますので、さように御理解をいただきたいと思うわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 長官、そういういいかげんなものを町民に宣伝して、そしてその同意を得るための懐柔工作のようなことはやめた方がいいですよ。 この計画は防衛庁としては実施しないということをはっきりしてください。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) 自衛隊の業務の一環といたしまして理解をいただく、大変なじみにくい施設でもありますから視察等をしていただきまして一層理解を深めていただくという、こういう努力も相まって整備を進めさしていただきたいと、かように考えておりまして、今ほどの質疑を伺いながらぜひ御理解を賜りたいことは、地域の方々の理解を得るために、こうした作業を通じましてこの施設を新たに更新してまいるわけでございますが、その作業に着手さしていただきたい、かように考えておるところでございます。ぜひ委員にも御理解をいたただきたい、かように考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 おかしいじゃないですか。防衛庁は、これはやっているんじゃないんだ、自衛隊協力会から要望が出ているのでこれから検討すると言われているんだが、一方では防衛庁の業務としてぜひやらしてもらいたいと。そんな話がありますか。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) 自衛隊の協力会を通じましてこうした事業というものはやがて上がってくるわけでございますが、私の申し上げておりますことは、施設建設につきまして御協力をいただく、この努力をひとつお認めいただきたい、かようにお願いをしておるところでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 おかしいんじゃない。 自衛隊協力会を通じていろいろやらしているということになりますよ、今の話を聞いていると。そうすると、事前に防衛庁側と協議をして実務を自衛隊協力会にやらしている、こういうことじゃありませんか。

友藤一隆防衛施設庁長官

○政府委員(友藤一隆君) 私どもの職員が常駐しておるわけでございますが、いろいろ御相談は承っているとは思いますけれども、やはりこういった地元の方々の御希望というものはいろいろな形で私どもとしては承る必要があるわけでございます。したがいまして、事前に航空機の搭乗その他について具体的に私どもで提示を申し上げるというようなことでなくて、やはりぜひこういった行程でやりたいというようなプランが一般的には先方から出されまして、私どもとしてそれを検討してまいるというのがこういった一連の今までの行事等につきましての一般的な慣例と申しますか、そういう形になっておりますので、その辺またひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 時間がありませんので、これ以上お聞きしてもお答えをいただくことが非常に難しそうですが、長官並びに総理、このようなことをまだ全然防衛庁側も、自衛隊機をどういう形で使うかどういう計画のものをやるかということを決めてもいないのに、これを三月上旬に行うということで既に募集しているんだ。そういうことはやめる、それで十分検討するということはできますか。これは総理、あなたは自衛隊の総指揮官だから、ひとつこのことについてこういうやり方がよいかどうかお答えいただきたいと思います。これは政治的な判断を聞いているんだ、長官。

友藤一隆防衛施設庁長官

○政府委員(友藤一隆君) 先ほども御答弁申し上げましたように、例えばどの程度の人数が来られるのか、あるいはどういう御希望があるのか、その辺もやはり十分伺いませんと、私どもとしても御協力のあり方とかそういったものを検討していくということがなかなかできませんので、やはりこれは実際そういったものを見学したいとおっしゃる方々の御希望というものの形で私どもまず承る、こういうのが本筋ではなかろうかと思っておりますので、その辺ひとつ御理解を賜りたいと思うのでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 その三月上旬というのは取り消しなさいよ。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) ただいま施設庁長官が答弁をいたしましたが、さようなことでどの程度の方々が――今協力会でいろいろなじみにくい施設でもあるからというようなことを踏まえてやっておるようでございますが、これらを私どももさらに検討させていただきたい、かように思っておりますが、いずれにいたしましても、これらの理解が得られるように御協力をいただくという手段を講じておるわけでございまして、これらの経緯につきましては御理解を賜りたいと思うわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それじゃ最後に。  理解をしてもらいたいと言われるが、今どんなことをここでやっているか、私は今一つの例を申し上げました。町民に配布されている文書を見ると、防衛庁という役所は何でもできるところだなと思いますよ。その施設をつくっても、施設内で従来耕作していたサトウキビの面積と同じ面積だけ耕作をさせると書いてある。同じ面積だけ基地内で耕作させると書いてある。それから農業経営規模が縮小する場合にはという変な前書きをつけて、縮小する場合には農業近代化を図るための研修施設やその他いろいろな公共施設を、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づいて全面的に協力すると書いてある。そんなことをやっているだけではなくて、今何をやっているかといえば、この町での小作料というのは一反当たり一万円から一万六千円です。もし売らないならば防衛庁が小作で借り上げる。その場合の一反の小作料は年間十四万から十六万払うということを地権者に言っているんです。そんなばかな話はないでしょう。  そして、二十五年ここに通信所の今の古いものがあるが、ここの施設が一遍もやったことのない、ウイークデーに隊員と職員がサトウキビの刈り入れの加勢に従事しているんです。そういうことを自衛隊の組織の中でだれが命令してやらせることができるんですか。そういうような懐柔工作をつなぎ合わせて、そして住民の反対を押し切って施設をつくるというようなことは絶対やるべきでない。このような懐柔の手段というものをやめさせるべきだと思うんだが、総理、お考えを聞きたいと思います。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 防衛庁が日米安保条約の効率的運用について地元の皆様方の理解を得るためにいろいろな努力をする、これは私は当然のことであると思うわけであります。  その理解を得る努力の範囲の中において、今具体例としてお取り上げになりましたが私も実は現地を知っておるわけではございませんので実情を定かに把握しておるわけではございません、今の問答を聞いておった限界しか私にはわかりませんが、その努力をする際にも、なおトラブルが起こらないようなさらなる努力をするべきである、このように感じております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 先ほどの日米防衛首脳会談、協議でありますけれども、瓦長官、結局端的に言えば、アメリカの装備の事前集積、ポンカスと言われている、これを日本側が受け入れるということを申し出て、その共同研究を進める、こういうことの発言をした、こういうことですか。  同時にまた、米側も同意をしたというのですが、同意をしたということは、わかりましたと言ったことだけなのか、あるいは同意の具体的な内容のコメントがあるのか、その点もあわせて伺いたい。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) 我が国有事の際米軍の来援が可能かどうか、このことは従来から大きな関心を払ってまいったところでございます。最近になりまして、日米間での種々の研究の成果、日米間でさような機運が生じてもまいりまして、先般の防衛首脳会談で私から提案したものでございますが、その際具体的にポンカス、いわゆる事前集積、かような具体的な問題は出ておりません。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 そうすると、ここに防衛庁の資料で出ている「我が国に対する侵略に有効に対処するには時宜を得た米側の来援が必要。例えば、太平洋を越えて米軍が重装備で日本に来援するには種々の問題点が予想されるので、今後、日米間で来援部隊の円滑かつ迅速な展開を可能にするための措置について共同研究を行うべき。」だ、こう発言したという、これはポンカスということではないということなんですか、どうなんですか。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) 有事に際しまして米軍の来援が得られるかどうかということは、日米安保体制の中におきまして、また我が国がいかなる侵略に対しましてもそれにどう対応するかということにかんがみまして、国益を踏まえて極めて重要なところでございますから、そのための研究にいかに取り組んでまいるか、かようなことを提議し、さらにその研究を進めよう、かようになったわけでございまして、これから有事来援につきましてガイドラインに沿い研究をしてまいる、かようなことでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 聞いたことに答えていただきたいんです。ここに提起した共同研究というのはポンカスは含まない、こういうことなんですか、それとも含むということなんですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 来援を迅速に行う、あるいは円滑に行うための一つの手段としてポンカスということもあろうかと思います。したがって、先生の御質問にそのままお答えすれば、ポンカスということもこの研究内容には含まれるというようにお考えいただきたいと思います。  ただ、首脳会談に際して米側としては、これは事務的な事前折衝の段階でございますが、ポンカスというようなことに限ってやる、あるいはポンカスというものを表に出してこの際研究するということについてはまだ応じられないということでありますので、もう少し一般論として米側の円滑な来援、そういったものについて研究するということで首脳協議がなされたわけでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 日本側ではポンカスも含む、米側ではまだそこまでいっていない、こういうふうに受けとめたわけですけれども、外務大臣に伺います。  ポンカスという問題を含んでいるということになるとこれは日米安保条約の運用にかかわる非常に重要な事柄であるわけですけれども、外務大臣はその前後にアメリカへ行かれていたわけですが、防衛庁長官が日米首脳会議でポンカスも含めた共同研究を行うということを提起したことについて、外務大臣は相談を受けておられますか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 私も防衛庁長官の訪米の少し前に行っておったわけでありますが、カールッチさんと私との間におきましては今のようなお話は出ておりません。また、ポンカスそのものの具体例につきましては私は聞いておりません。  しかしながら、そうした勉強会をするということに関しましては、外務省と防衛庁は随時いろいろと連絡をしておるという段階であります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 防衛庁長官に伺いますが、昨年の十二月八日、あなたがアメリカへ行かれる直前に米ソ首脳会談においてINFの全廃の合意が行われたわけでありまして、これは軍縮へのワンステップ、そして東西の対立が協調に向かう一つの重要な転機として国際的にも評価されているわけです。長官自身も日米首脳会談で、軍縮が進展することを期待する、こういう発言をされているわけでありますが、そういう時期になぜ、同じ会談で軍縮へ向かうことを期待すると発言されながら、有事の際の事前集積計画、ポンカスという問題をこちら側から提起しなければならなかったのか。  ポンカスというのはまさに戦争前夜の準備態勢なんです。戦争がいつでもできるよ、こういう態勢をつくることなんですけれども、どういう有事を想定してこのような提起をされたのか、その理由や背景を説明いただきたいと思うんです。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) お答えいたします。  INF合意はまさに歴史的、画期的なことであると私どももこれを歓迎するものでございますし、また、それは核兵器分野におきまして数%にすぎない、かように言われながらも、私は米ソ両国首脳が大きな決断を持って取り組まれた仕事、かようにもちろん評価をするわけでございます。今後さらに戦略核であるとか、あるいはまた通常兵器分野における軍備管理、軍縮等についても私どもは注目をし期待してまいるわけでございますが、しかしINF合意後も依然として通常兵力によります抑止の信頼性、かようなものが重要であることはもう専門家であります野田先生もよく御承知のとおりでございます。  我が国の防衛政策は、大綱にのっとりまして節度ある防衛力整備に取り組んでまいる、必要最小限度の防衛力に到達をしたいという、かような努力を今重ねておるところでございまして、委員御指摘のように、INF後の軍事情勢、こうしたものは通常兵力による信頼性の重要性というようなことも踏まえ、そして日本の防衛が我が国のみずからの努力と日米安保体制によって成り立っておるわけでございますし、いかなる侵略に対しましても常日ごろ国民の安心、安全、こうしたものをより確率の高いものにしていくということになりますと、安保条約に基づくある面では核心部分の有事来援ということにつきまして勉強を始める、研究を進める、かようなことで提議をしておるところでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 これは瓦長官、私が聞きたいのは、流れに逆らっているんじゃないか、なぜ今そういうことが必要なのか。ボンカスというのは、ヨーロッパにおいてベルリン危機の当時にアメリカが前方展開戦力として考えて、NATOで陸続きの国境を接しているところにこのポンカスというのを配置する、こういう戦略でヨーロッパにおいて始められたことなんです。  海を隔てた日本とソ連との間にこういう問題はアメリカの戦略でも全く考えられていないんです。これをなぜこっちから今、今の時期に申し出たのか、その理由は何か、これを聞きたいんです。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 軍事専門的なことでございますので、私からお答え申し上げたいと思います。  ヨーロッパの場合と日本の場合の有事来援についての様相というのは私かなり違うと思います。先生のおっしゃるとおり、ヨーロッパにおいては陸続きで非常に大量の部隊が短い期間に侵攻してくるということで、いかに大量の支援部隊を送り込むかということが非常に重要な要素だろうと思います。一方、日本の場合は陸続きでございませんので、侵攻があってもそう一度に大軍が押し寄せてくるということはないと思います。ただ、御承知のように、日本の場合は、同盟国であるアメリカとの間が非常に離れている、太平洋という非常に大きな大洋を隔てておるということで、どうしてもその来援がおくれがちになるということで、量よりもスピードが問題になるということであろうと思います。そこでそれを何とかするというのが我々の研究課題になっておるわけでございます。  さらに、先ほど来お話のありますINF条約全廃後の情勢と合わないではないかということでございますが、確かにINF条約で中距離核が全廃されるということは非常に喜ぶべきことでございますが、一方、在来兵器、通常兵器については引き続きまだ我が国周辺諸国の増勢が続いておるという現実もございますし、さらに言えば、戦略核あるいはINF等逐次核の軍縮が進んでまいりますと、より以上に通常兵器レベルでの抑止といいますか、そういったものの信頼性というものの比重が高まってくるということもまた否めないわけでございまして、そういう点も考え、かつ現在の我が国周辺の通常兵力の動向というものも見ながら、やはり安保条約の最もコアの部分でございます有事来援という問題について研究を進めるということは必要なことだろうというふうに考えておる次第でございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理に最後に見解を聞きたいと思いますので、ひとつこれからのやりとりを聞いておいていただきたいと思うんです。  これはきょう発表されているアメリカの国防報告の先取りだと思うんですよ。そこで、具体的に伺いたいことは、日本側から、我が国に対する侵略に有効に対処するには、こういうことでポンカスの研究を行うことを提起した、アメリカもこれに同意した、こういうことでありますけれども、そういたしますと、これからの研究ですけれども、日本に集積をされた装備の使用、これは安全保障条約の五条事態に限定をしたということなんですか、それとも六条事態も含んでいる、こういうことなんでしょうか。つまりガイドラインで言えば、「Ⅰ 侵略を未然に防止するための態勢」「Ⅱ 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動」「Ⅲ 日本以外の極東における事態」、こういう三つのことが研究項目として定められておりますが、このⅡの項であってⅢの項ではないんだと、こういうふうに限定できますかどうか、これはどちら、防衛庁ですか外務省ですか、明確に答えていただきたいと思います。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 御質問にお答えする前にまず申し上げておきますが、先般の防衛庁長官とカールッチ長官との首脳会議で出ましたのは、ポンカスの研究ではございませんで、何度も申し上げますが、有事来援の研究をするということについて合意があったわけでございます。なお、この研究そのものは、私ども従来からガイドラインに基づきまして防衛庁と米側と研究を進めております五条事態の研究、その一環として行うものでございますので、我が国有事に際しての問題でございます。  なお、六条研究の方は外務省が主体になってお進めになっておるわけでございまして、そちらとは今回の研究はかかわりがないというように御理解いただきたいと思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 そうすると、これから日本に集積することの研究をやろうということなんですけれども、今の答弁だと五条事態、こういうことで研究をやっていくんだと、こういうことですか。  そういたしますと、例えば極東、どこかの地域で、朝鮮半島であるいはそれ以外のアジア地域で紛争が起こった。日本にはポンカスで一個師団分の装備がある。そこで米軍が、日本にまず飛来をして、日本に集積された装備によって武装して、その紛争のある極東地域にさらに出向いていく。そういう事態は絶対に日本に集積されたポンカスについて使うことはあり得えない、こういうことは明確に言えますか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、この有事来援の研究はこれから始まるわけでございまして、ポンカスそのものの研究にまで及ぶかどうかということも含めてこれからの問題である、相手方のある問題であるというふうにまず申し上げたいと思うわけです。  なお、なぜ米側がポンカスというような具体的な問題あるいはそういうテーマに限って論ずることについて余り乗り気でないかと申しますと、米国は多くの国と同盟関係を結んでおるわけでございます。したがって、ある装備なら装備一個師団でも二個師団でも、そういったものについてこれはこの国に固定されてしまうということについて、非常にアメリカが持っておる軍事力の弾力的な使用というものを阻害するので、そういう点について非常に慎重であるわけです。そういう意味で、アメリカの議会等が、ポンカスを新たに決めることについては議会の事前承認が要るとか、いろいろなたがをはめておるわけでございます。  そういうことで、国防総省としても、直ちにそういった問題を論ずる段階にはない、まず日本有事の際にどういう来援形式が適当であるかどうか、そういうことについて研究をしよう、もう少し広いといいますか一般的な段階の研究、これから入っていこうということでございますので、今先生のお尋ねのような、ポンカスが現実に行われた、そのときそれがどう使われるかというような問題まで果たして研究がいくのかいかないのか、その場合どうなるかということをお答えする段階にないということを御理解いただきたいと思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 ポンカスの問題についてもこれから研究するんだ、ポンカスにまで具体的に及ぶかどうかもわからないんだ、こう言われるけれども、一番心配なのは、固まってしまってから国会で議論したのではもう遅いから、今これからやろうか、手をつけようかというときに私は問題にしているわけなんです。  そうして一番心配なのは、日本に一個師団分あるいは二個師団分のものが集積をされる。これは大変な量ですよ。私もいろいろ資料を調べてみました。 大変な量のものが集積をされる。それが、今いみじくも西廣防衛局長の言われたように、アメリカでは一つの国に固定された配備ということはためらいを持っている。そうなんです。そうすると、これにアメリカが応じるということは、これは日本有事のとき、五条事態だけに限定したものではない、六条事態をも含めて極東有事のためにここにポンカスされる、こういうことになってきたときにはもう大変なことなんです。  だから研究していく場合に、日本に集積をするとすればこれは五条事態なら五条事態、六条は絶対に断るんだということが明確にできますかどうか、こういうことを伺っているので、これは政治判断の問題ですから、局長の問題ではなくて外務大臣か防衛庁長官か総理、明確に答えていただきたいと思うんです。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) この間も同様の御質疑が衆議院におきましてなされましたが、例えば今度研究をされてまたポンカスがどうなるかこうなるか、これからの問題でございますし、現に米国におきましても具体的なそうした計画はないと承っておりますし、ましてや政府がそういう研究をまだしておらない段階での話でございます。  そこで、集積そのものはどうかというふうな話になってくると思いますが、集積そのものは、御承知のとおりに第六条におきまして、米駐留軍は日本の安全並びに極東における国際の安全、平和に寄与するためと、こう書いておりますから、そうした目的に合致する限りは私は安保条約の違反でも何でもない、こういうふうに考えております。したがいまして、今防衛庁が答えられましたとおり、今回の第五条に基づいての研究は第六条に及ぶものではない、こういうふうにお考え賜りたいと思います。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) 先ほど御答弁申し上げましたが、ガイドラインに沿いましてこの研究を進めてまいる。このガイドライン、いわゆる憲法等の前提条件ももちろんあるわけでございますし、防衛庁長官の責任においてその研究を進める、かようなことになっておりますので、まず研究をさしていただく、かようなことで御理解いただきたいと思っておるわけでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 まず研究をするというその研究の前提を私ははっきりしておく必要があると思うし、一体どういう前提で研究をするのか、こういう点でこの点は少しくどく聞いているわけですが、やはり外務大臣のお答えは、六条も含むか含まないか、もう一つ心配なんですよね。  五条だと、こう言われた。しかし、六条で極東有事の場合も規定があるんだということに言及をされたわけですね。日本にもしポンカスという問題が具体化したときには、それは五条事態しか絶対に使わない、極東地域にはこれは使わない、これは明確にできますかどうか。防衛庁長官、いかがですか。  あなたは、この問題を発言したときには、我が国に対する侵略に有効に対処するためにと、こう言っているんですよ。そうすると、これは五条で、六条は排除、こういうことになっていると思うんですが、いかがですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 何度も申し上げるようで恐縮でございますが、ポンカスということも私どもとしては研究課題の中に入ると思いますが、そこまで進めるかどうかわからないという段階で余り先走ってこうであろうということを申し上げるわけにまいらないわけでございますが、いずれにしましても、我々としては、日本有事の際にそれが有効に働くものということ、それが最も国益に即した問題であろうというふうに考えておりますので、そういった方向でどういう手段があり得るかということを追求してまいりたいというように考えておる次第であります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 だんだん不明確になってくるわけです。  六条事態は考えてないし、あり得ないことだ、これを一言言えないんですか。

斉藤邦彦外務省条約局長

○政府委員(斉藤邦彦君) 今回日米間で合意されました研究の対象は、我が国に対して武力攻撃が行われた場合、すなわち安保条約第五条の事態の場合でございまして、安保条約第六条の事態を想定したものではないということは、先ほどから累次防衛庁の方から御答弁があるとおりでございます。  他方、ただいまの御質問の中には、一般論と申しますか仮定の問題として、事前集積が行われたと仮定した場合それがどういうふうに使われるか、どういう限定があるかという御質問があったかと存じますが、その点につきましては先ほどの外務大臣の御答弁に尽きているわけでございますけれども、現在その仮定の問題について云々することは適当かどうか、そこは問題がございますけれども、全くの一般論として申し上げれば、米軍は安保条約第六条に基づきまして日本の安全に寄与するため及び極東における国際の平和と安全に寄与するために施設、区域を使用することを許されておりますので、この目的に合致する限りにおきまして米軍が日本におきます施設、区域を使用することは安保条約上問題がないという次第でございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 だからわかりやすく言えば、日本では日本の安全のためにと思って事前集積を受け入れた、それを使うのはアメリカの自由なんだ、こういうことだ。日本で使おうとアジアで使おうとこれはアメリカの自由なんだ、こういうことだと思うので、これはやはり大変な問題があると思うんです。  もう一つ、外務大臣、このポンカス、装備だけの事前集積、これは一九六〇年のあの日米安全保障条約、それに伴う一連の地位協定とか交換公文とかありますね、この中では装備だけが事前集積をされるということについて想定をされておりますか。どうですか、その点は。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 今おっしゃった時点、つまり一九六〇年の安保改定、さらには地位協定、その交換公文、その議論の中におきまして、調べさせたのでありますが、そうした形跡はございません。議論されたという形跡はありません。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 これは総理もぜひ聞いておいてもらいたいんですが、一九六〇年の安全保障条約、それから地位協定、交換公文では、今外務大臣も言われましたけれども、想定をされていない。つまり、これは取り決めの範疇外のことなんですよ、ポンカスというのは。むしろこれは否定をされているんです。議事録があるんです、明確に。  昭和三十五年四月二十八日の衆議院における安全保障特別委員会で赤城宗徳防衛庁長官が、六条実施に関する交換公文のこの問題の解釈で、大量の兵器だけが持ち込まれるという場合交換公文のどこに該当するのかという質問に対して、「大量の兵器が日本に持ち込まれるということは、この装備の中には予想しておりません。」、物だけが持ってこられるというようなことは全く考えておりません、人と武器とは当然結びついていなければならない、こういうふうに答えているんです。物だけがどんと大量に日本に持ち込まれて集積をされるということはあり得ないことだし、全然考えていない、こう答えているんですからね。これは日本が受け入れる、これから研究するといったって、そのもとになる日米安全保障条約の中での想定外のことなんだから、やるべきでない、こういうことではないですか。

有馬龍夫外務省北米局長

○政府委員(有馬龍夫君) 今御引用になられましたのは、多分条約の解釈ではなくて、当時行われていた運用の姿を述べていることではないかと思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 そんなことを言われては困るのでね。これは日米安全保障条約等特別委員会で、日米安全保障条約、地位協定、それから付随した交換公文、これらを一括して審議した安全保障条約の特別委員会の中での赤城防衛庁長官の解釈として出されているのであって、全然関係のないことじゃないんですよ。どうですか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほどお答えいたしましたとおり、事前集積そのものについての日米間における議論があったかないか、こういう御質問でございましたから、私は日米間におきましてはそういう形跡はございませんよと、こう申し上げておるわけです、その点に関しては。だから、今の議事録の話とはまた別問題だろうと、こういうふうに思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 安全保障条約を審議した衆議院の安全保障条約等特別委員会の議事録の中で、装備とは一体どういうものを指すのかということの中で、五条、六条、交換公文、この交換公文の中で、装備の変更とはこうだ、配置の変更とはこうだ、こういう議論の中で、人が伴わないで兵器だけが大量に集積をされるというようなことは全く想定しておりませんし、そういうことはあり得ないことですと、こういうふうに防衛庁長官が答えているんですから、これはもう今の安全保障条約の中ではポンカスというようなことは全く範疇外になっている、こういうことじゃないですかと私は伺っているんです。

斉藤邦彦外務省条約局長

○政府委員(斉藤邦彦君) 御指摘の議事録が手元にございませんので申しわけございませんが、ただいまの御質問を伺っておりますと、その際の質疑は装備に関する質問でございまして、したがいまして事前協議に関する質疑の一部ではないかと思われます。  事前協議につきましては、ただいま御指摘ございましたとおり、六条に関する交換公文がございまして、その中に事前協議の対象の一つとして装備における重要な変更というのがございます。ここで使われております装備というのは、繰り返し御説明しておりますとおり、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設ということでございまして、このような意味合いで使われております装備という場合、これは俗に申します核兵器一般のことであって、それ以外の兵器その他の装備全般を含むものではないという趣旨の答弁ではなかったかと思われます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 配置の重要な変更、装備の重要な変更のときには事前協議をする、こうなっております。  そこで、交換公文のところを岸さんなんかがしきりに、こういうことだから問題はないんですよということで、配置の場合には一個師団以上、装備の場合には核兵器、この場合には事前協議を行うことになるから心配は要りませんと、こういうふうにしきりに交換公文によって説明したわけでしょう。そこで我が党の委員の方から、じゃ一個師団分なら一個師団分の兵器だけがどんと流れ込んできた、こういうときにはこれは配置の重要な変更になるのかどうか、こう聞いたことに対して、兵器だけが人を伴わずに流れ込んでくるというようなことはあり得ないことです、そういうことはこれでは全然想定しておりません、安全保障条約や交換公文では想定しておりませんと、こういうふうに赤城防衛庁長官が答えているわけです。それであの安保国会を乗り切っているんですからね。だから、今さらこのポンカスという形で一個師団分の装備を日本に事前集積する、そういうことを受け入れるなんということは、これは安保の審議の経過を踏み越えたことになるんじゃないですかと、これを私が指摘しているんです。わかりませんか、私の言うことは。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 事前協議、その場合、交換公文によって米軍の行動を拘束するというのが今先生おっしゃった三つのケースになるわけでありますが、そうした場合の議論というものと今日の議論では多少、三十年も経過いたしておりますといろいろまた話が変わった面があるかもしれません。しかしながら、第六条は厳然としてあり、また交換公文の解釈も私たちはこれは変えておりません。したがいまして、装備の先ほどの赤城さんの答弁そのものが今日の防衛庁の判断のもとにどうなるのかということも研究の一つだと、こういうふうに私たちは考えていいんじゃないか、こう思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 ポンカスというのは、確かに一九六〇年当時は、先ほども言ったようにアメリカの運用の中にもなかったわけなんです。一九六一年のベルリン危機の後から、これは大変なことになるよと、アメリカから遠いから、あのヨーロッパのNATOとワルシャワ条約軍が対峙しているところは大変なことになる、だから装備だけでも事前に集積をしておけば身軽に輸送機で飛んでいけばすぐ役に立つじゃないかということで始められたことなんです。だから、確かに一九六〇年のころは、赤城さんがおっしゃったように、全くポンカスというようなことは日米間の当局者でも念頭になかったわけですよ。  そのときに、この一個師団以上配置が変更されるときには事前協議が行われるんだとか、あるいは装備の変更、これは核弾頭を持ち込まれる場合に該当するんだ、こういう交換公文の説明があったときに――この人は先見性があったと思うんです、質問した人は。三十年先のことを予告しているわけですから。じゃ、一個師団分以上の兵器だけを先に送るというときにはどうするんだといったときに、軍隊の運用で兵器が人をつけずに送り込まれるというようなことはあり得ないことです、だからそれは日米安保条約諸取り決めの中では考えられていないことなんですという答弁がされているんです。だから今それを、今の条約、協定のままで知らぬ顔をしてポンカスが受け入れられるなんということは、私は条約や諸取り決め、国会審議を踏み越えたことになるんじゃないか。何回でも私は指摘せざるを得ないと思うんです、国会審議の経過が現にあるわけですから。これに対して政府側としてはどういうことを考えられるのか、これは統一的な見解をきちっと示してもらいたい、こういうふうに思うんです。

有馬龍夫外務省北米局長

○政府委員(有馬龍夫君) まず第一に、たびたび政府側から申し上げておりますように、まずこの研究がそこまでいくかどうかということがまだわかっておりません。  それからもう一つは、確かにそのような御発言が当時赤城大臣からございましたでしょうけれども、これは条約の解釈ではなくて、そして先ほど先生がおっしゃられましたように、当時にはそのような軍の運用の仕方はなかった。それがその後出てきたけれども、それでは現在我々が米国との間に有しておりますところの日米安保条約及びそれに関連する諸取り決めが法律的にそのような新しい事態に対応できないかといえば、それはできるということでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 私はノルウェー、西ドイツ、オランダ等のポンカスを受け入れている国々とアメリカとの諸取り決めの例を出したかったのですが、もう時間がないんですが、それらの国々ではやはりポンカス受け入れのための両国間の取り決め、そしてウオータイム・ホスト・ネーション・サポート協定、戦時の支援協定というものの取り決め、そしてアメリカの国防報告でいみじくも指摘しているように、有事の際の法制が制定されなければ日本との間ではまだ有効に機能しない、こういう指摘をアメリカがやっておる、国防報告の中で。  そういうことについて言及したかったんですけれども、私はこれはやはり今の日本の今までの安保の経過、そういうものを考えてみると、日本にポンカスを受け入れる、こういうことはどう考えても、情勢の上からいってもあるいは日本の法制の上からいってもできるはずはない。こういうことを指摘せざるを得ないと思うんですが、総理、今聞いておられて何か御見解があれば承って、終わりたいと思います。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 条約上の問題でいろいろ問答がございましたが、まさに今おっしゃっていることは、いわゆる有事来援というものを研究しようということをさらに進めていくならば、六一年のあの西ドイツ等の経過から見てもポンカス問題がそこに当然出てくるではないか。そうなると、五条と六条との問題にもさらに突き進んでいくだろう、こういう御見解に基づく御発言であったと思います。  私に感想を述べるとおっしゃいましたので端的な感想を述べさせていただくとすれば、これこそまさにシビリアンコントロールだな、こういう場があってこそしかるべきだ、こういう感じで聞いておりました。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 以上で野田哲君の質疑は終了いたしました。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十六分休憩      ─────・─────    午後一時開会

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を再開いたします。  昭和六十二年度補正予算三案を一括して議題といたします。  これより広中和歌子君の質疑を行います。広中和歌子君。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 公明党・国民会議の広中和歌子でございます。委員長、どうぞよろしくお願いいたします。  午前中の質問に引き続きまして、きょうは最初、防衛問題から取り組んでいきたいと思います。   防衛問題といいますと多くの女性にとっては大変苦手なテーマでございまして、好きでもない、できれば避けて通りたいわけでございますけれども、しかし日本は経済活動の主要な部分を海外に依存している、そしてそういう中で安全保障問題というのは欠かせない問題でございます。しかも、いざ有事というようなことになりますと、戦場に駆り出されるのは我々の夫であり、恋人であり、そして大事な子供たちである、そういうようなことを考えますと、こうした防衛問題は避けて通れない、知らなければならない、そういうようなことで今回挑戦してみたいと思ったわけでございます。質問は素人の非常に基本的なことをお伺いいたしますので、どうぞ煙に巻かない御親切な御答弁をお願いしたいわけでございます。  まず、総理にお伺いしたいわけでございますけれども、米ソINF協定が締結され、近々戦略核弾頭弾の五〇%の削減の見通しが立った、そういうような東西関係の緊張緩和ということがあるわけでございますけれども、それにつきまして総理のお考えをお伺いしたいと思います。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 今お尋ねのございましたさきの米ソ首脳会談におけるいわゆるINF全廃問題、これに対するまず評価から申し上げますと、やはり私は、人類の一人としてとでも申しますか、あるいは国民の一人として当然のことを大きく第一歩を踏み出したものであるというふうな評価はいたしております。  したがって、日米首脳会談におきましてもレーガン大統領からこの問題につきまして苦心のあるところをいろいろ今日までの経過等でお聞かせいただいた。が、基本的にそこでやっぱり考えなきゃいかぬのは、いやこれでデタントだ、デタントだというふうなムードが先行するのは、お互い現実を本当にもう一遍見きわめなきゃいかぬじゃないか、そういうことから今おっしゃいましたいわゆる戦略核、この全廃に向けてのこれがきっかけにならなきゃいかぬし、なかんずく今度は、いろいろ御議論がございますように、通常兵力の問題、こういうこと、さらには地域問題、そういうところへ一つ一つ現実の問題としてたどり着くことがやはり理想であって、したがってウィリアムズバーグ・サミットのときに中曽根前総理が発言されたように、西側が一致結束して、私どもも西側の一員としてこの軍縮交渉というのが現実的な実を結ぶようこれからも不断の努力をすることに対して協力しよう、こういう話し合いをいたしました。その話し合いそのものが私の感想として申し上げるに適当なことではなかろうか、こう思ったからお答えをいたした次第であります。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 けさの新聞にも発表になったわけでございますけれども、確かに総理がおっしゃいましたことと関係があると思いますけれども、二月十八日、米国国防総省が議会に提出した一九八九会計年度国防報告によりますと、INF全廃条約調印後もソ連の脅威は変わらない、このような見方をしているわけでございます。また、日本の立場から見ますと手放しで喜べないところもある、つまり中距離核の全廃に伴い核の抑止の連鎖が切断されたことによって、それをつなぎとめるために通常兵器の近代化が図られなければならない、そういうことがあるわけで、それはけさも政府委員が言われたわけでございますけれども、そのことにつきまして防衛庁長官のコメントをいただきたいと思います。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) ただいま総理から、INF後の軍事情勢といいますか軍事バランス、こうしたことにも言及されまして御答弁がございました。  ただいま先生から御指摘のように、さらに通常兵器レベルでの抑止の信頼性といいますか、こうしたことが重要になることは否定できないわけでございまして、欧州におきましてもかかる観点から種々議論がなされておる、かように承知をいたしております。  いずれにいたしましても、我が国といたしまして従来からの防衛力整備といいますか、大綱に基づく効率的な防衛力の整備、かようなことをこれからも図ってまいらなきゃならぬと思っておるわけでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 それは防衛大綱の見直しということにはつながらないんでございましょうか、お伺いいたします。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) 大綱が設定されました当時の東西の枠組みということに大きな変化が生じた、かような理解をしておらないわけでございますので、大綱の見直し、こうしたものにつきまして目下のところ考えていないわけでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 今後、アメリカが日本に防衛費の応分の負担ということで、ますますそういうことがあると思うのでございます。  キッシンジャー元アメリカ国務長官でございますけれども、昨年暮れの発言で、日本は近い将来軍事大国になるといった意味の発言がございましたわけですが、日本の昭和六十二年度本予算では、防衛費は軍人恩給、海上保安庁にかかわる諸経費を除いても既にドルベースで世界第四位の数字に達している、こういうような現状の中で、キッシンジャー発言について総理はどのようなお考えをお持ちでございましょうか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 軍事大国とは何ぞや、こういう意味もございますでしょうけれども、今先生がおっしゃいましたようにいわゆるNATO方式という計算の方式がございます。それによれば幾らになるという計算もございますが、要は非核三原則というものを堅持し、そして専守防衛に徹するということをかどあるごとに世界の皆さん方に理解していただくという姿勢が最も大事ではなかろうかというふうに私はいつも自分にも言い聞かしておるところでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 そのお考えはたびたびお伺いいたしまして大変に結構なことだと思っているわけですけれども、既にGNP一%を超えました軍事費でございます。こうした新たな状況の中で、そして日本の国防というんでしょうか、安全保障、そういうようなことを考えて一%枠突破、それがどのような状況に進むんだろうか、新たな歯どめというものをお考えになる御予定、おつもりはございますでしょうか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 少し話が長くなるかもしれませんが、まず第一に私が申し上げなきゃいけませんのは、いわゆる防衛計画の大綱ということを達成するための防衛計画、こういうものを今決定いたしていつも議論をいただいたりしておるところでございます。と申しますのは、私は当時大蔵大臣でございました。言ってみれば財政を預かる立場にございました。が、私が昭和四十六年に内閣官房長官をしておりました当時、四十七年度予算審議をめぐりまして、いわゆる第四次防衛計画の先取り云々という議論の渦中に私自身がありました。 したがって、そのことは国会のお知恵で解決していただきましたが、その四次防までは存在しておりましたが、五次防というものからなくなりまして、そうしてよく中業、中業と言われました中期業務見積もりというようなものが存在し、中業とは何ぞやと、こう言いますと、国会でどう答えておったかと申しますと、防衛庁部内の予算要求の一資料でございますと、こういうふうに言っておりました。  本来あるべき姿というのは、やっぱり計画があって、それを部内で、また国会で、これは過ぎるではないか、あるいはこれは不足ではないかというような、今朝行われたようなまさにシビリアンコントロールの場所にそれを出していくというのが本来のあり方であるという考えを私自身かねて持っておりまして、したがって防衛計画ということになったわけでございます。したがって、計画そのもの、金額で申しますと六十年べースで十八兆四千億というものがまさに歯どめそのものではなかろうか、このように私は問題を整理しておるところでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 新たな状況が生まれましたらそれはまたというようなことで非常に不安なわけでございますけれども、日本の経済というものが原料輸入、製品輸出から成り立つ以上、その経済活動の安全保障というものは非常に不可欠なわけでございます。  現在、日本の防衛は、基本的には日米安保による相互依存というふうに考え、そして、ということはつまりアメリカの世界戦略構想の一翼を担う、つまり歯車の一つであるというふうに理解してよろしいんでしょうか。まずその点についてお伺いいたします。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 我が国の防衛政策については、先ほど来総理からお答えになっておるわけでございますが、いずれにしましても、日本の海外依存度が高い、その他もろもろの経済条件あるいは政治的な条件、あるいは軍事技術上の条件から見まして、日本自身が抑止力の高いといいますか攻撃性のある軍事力を持つことは好ましくない、あくまで専守防衛の防衛力によって、足らざるところを日米安保で補うというのが日本の国柄からいっても最も適しておるのではないかというように考えておる次第でありまして、アメリカの戦略の中の一つの歯車というよりも、アメリカ自身の世界戦略があろうかと思いますが、それを日本が逆に利用をするというようにお考えいただいた方が適切ではないかと考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 今回のアメリカの国防報告書によりますと、日本はアジア・太平洋地域における防衛政策の土台というふうに明記されているわけでございます。 この土台という言葉、それをどういうふうに解釈されるんでございましょうか。

小野寺龍二防衛庁参事官

○政府委員(小野寺龍二君) 日本が占めております地理的な地位、それから日本の経済力からいたしまして、当然のことながらこの地域において日本はアメリカにとって非常に重要な相手国であるというそういうことでございます。 その日本国がみずから防衛する努力を行うということが、これはとりもなおさずアメリカの安全にとっても非常に重要な基盤を提供する、そういう意味というふうに私どもは解釈しております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 米ソINF合意の背景には両国の財政事情があり、アメリカでは一九八八年の防衛費予算を含む大幅な財政の削減が行われたわけですけれども、大統領選挙後にはますますこうした傾向が続くのではないかと予想されるわけでございます。  仮にアメリカがアジア・太平洋地域の防衛力を漸次削減する方向をとったといたしますと、そして現実にアメリカはそういう方向に向かおうとしているわけでございますけれども、これまでアメリカとの補完関係にあった、つまり日本がアメリカを利用していたとおっしゃるわけですけれども、その利用して、そういうことの上に成り立っていた日本の軍事力をもって日本は独自で日本を防衛できるのでございましょうか。専守防衛ということですけれども、それはどのように揺らいでいくんでしょうか、お伺いいたします。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) おっしゃるとおり、INFの全廃条約等が結ばれ、逐次軍備管理が進んでいくということは我々も望んでおりますし、好ましいことであるわけですが、一方、それでは直ちにアメリカが前方展開している部隊等を縮小するかというようなことになりますとそうではない。アメリカ自身の戦略というものは、今回の国防報告を見ましてもやはり同盟国との関係その他を重要視しているということで、直ちにそういった変化が起こるというふうには私ども考えておりませんので、今後ともそういった世界の軍事情勢というものについては我々深い関心をもって見詰めてまいるわけでございますけれども、現在のところ我が国としては、日米安保体制というものを基調にしながら専守防衛の防衛力をつくっていくという防衛政策を変更する必要はないというように考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 NATO諸国では、もう既にアメリカだけに頼れないというようなことで非常に危機感を持って、独自の軍事構想を持っているわけでございますけれども、日本といたしまして新たなアジアの国々との相互防衛構想みたいなものはお考えなんでしょうか、防衛庁長官にお伺いいたします。

瓦力自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(瓦力君) 我が国の防衛につきましての独自の努力といいますか、そうしたことは積み上げていかなければならぬことは御案内のとおりでございますし、また一方におきまして、日米安保体制という形でその安全性の確立といいますか信用を高めてまいる、そうしたことも重要なことであろう、こういうぐあいに考えております。  今お話しのように、アメリカの財政の事情、防衛賢いわゆる国防費の削減、そうしたことによって日本は、ヨーロッパで見られるように対処の仕方、これはヨーロッパと日本の地理的な状況、環境も違いますが、それではアジアにおいて日本が周辺諸国と共同して取り組む、かようなことは、集団安全保障ということは憲法の許すところでないわけでございますので、さようなことは考えておりません。日本は日本の努力を進め、さらに日米安保体制の信頼性を確保してまいる、かようなことで日本の防衛に取り組んでまいりたい、かように考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 私は、フィリピン議会が発足いたしました昨年七月とそして十一月でしたか、日比議員友好連盟の一人として二度フィリピンを訪問したわけでございますけれども、その際に新聞記者団の質問というのが大変驚いたことに、例えば仮にアメリカがフィリピンに存在するところの二つの基地、そこから撤退した場合に日本はどのような態度、行動をとるであろうか、そういった問題に質問が集中したわけでございます。一時間の記者会見でそういう質問があったわけでございますが、同じ質問を総理がお受けになった場合にどのようにお答えになるでしょうか。またはもう既にそのような質問をお受けになったかもしれませんけれども。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 我が国の防衛の基本につきましては瓦防衛庁長官がお答えいたしたわけでございますが、フィリピンの米基地をどうするかという問題は、これは私はいつも整理してお答えしております。それはフィリピン、米国それぞれが判断される問題で、日本がとやかく口を出すべき問題ではございません、こうお答えすることを定食のように提供いたしております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 それが自民党の小坂団長のお答えであって、大変にそういう点では総理と一緒のあれだったわけですけれども、ともかく日本が、これからアジアにおける役割ということをさまざまな形で問われる時代になってくるんじゃないかと思います。  ソラーズ・アメリカ外交小委員長、議員でございますけれども、日本は軍備でGNP一%しか――もう既に超えているわけですけれども、支出できないということがどうしてもやむを得ないものであるのだったらば、ODAを合わせてNATO並みにと。つまり、軍備と合わせてNATO並みにといったようなプレッシャーが非常にかかってくる、今後ますますかかってくるんじゃないかと思います。けれども、現在のODAのレベルはGNPの〇・三%前後でございまして、そのようなレベルから見てそういうことが果たして可能なのかということで、総理にもう一度お伺いいたします。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 国際的に果たさなければならない役割というものは、今日の経済大国になった我が国といたしまして当然のことであろうと思っております。その問題意識の中で、やはり日本の場合は専守防衛、非核三原則、そうしたことがあるから、仮定の事実として、今程度以上出ないものであるならばこれは他に肩がわりすべき問題があるではないか、こんな議論が随分行われておることは私も承知いたしております。 それを今先生、ODAという問題に限っておっしゃいましたが、私もODA等については大いに奮発しなきゃならぬ問題だと思っております。ドルベースになりますと相当な、金額としては一位とかあるいは二位とか言われるところまで来ておりますが、問題は、この質の問題が今改めて議論されてきておるんではなかろうか。  私自身の反省を加えて申しますと、かつて、例えば新幹線にいたしましてもあるいは高速道路にいたしましても、製鉄所も発電所もみんなああして世界銀行から金を借りたりしてつくったわけです。それで、それを一生懸命返そうという努力があったからこそ今日の発展もあったのじゃないか。だから私は、円借の方が本当はその励みを増すものではないか、こんな考え方を実は持っておりました。最近それをいろいろなところから、おまえの考えは一つの考え方ではあるが、やっぱりそのグラントエレメントというのを本気に考えるべきだと言われまして、私自身もっともだなと考えてきておりますので、したがってそういうODAの質的な充実というようなことにこれからも努力しなければならぬ。それはただ経済援助にとどまることなく、あるいは文化協力、具体的には留学生問題とかそういうことも含めて大いに努力しなければならないところではないかというふうに考えております。  ただ、それがいわばいきなりNATO並みの対GNP比これぐらいと言われるということは、今の現実からすれば少し遠い議論になっていくんじゃないかなとは思っておりますが、精神的にはグラントを高めていくということで考えていかなきゃならぬと思っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 日本はODAの基本構想というものもないわけでございまして、それは歴代の総理がそのときそのときで構想を考えていらっしゃると、そういった筋合いのものなんでございましょうか。そういう中でアメリカからのプレッシャー、つまりODAの分野において肩がわりをといったような政治的意味合いがだんだんふえてくるんじゃないか。そうした戦略的、政治的な援助に変質させられる可能性が出てくるんじゃないかということを大変心配するわけでございますけれども、その点につきまして総理のお考えを伺いたいと思います。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) これは、日本のODAの問題を今度は地域的に考えてみますと、世界の人口の五七・六%がアジアにおります。そしてアジアの一員であるということもこれは厳然たる事実でございますので、言ってみれば全世界的に見た場合アジアということに偏っておるという批判のあることも事実でございます。しかしながら、さればとて、国際機関に対する協力の度合いにつきましては、最近は世界で歓迎されるとでも申しましょうか、大きな地位を築きつつあるというふうな傾向になっております。したがって、あくまでもやっぱり国際機関の問題が一つありますが、個々に日本自身が考える問題は、日本が国際的に果たす役割としての位置づけの中でODAそのものを位置づけていくべきものであって、いわば米国の戦略の一環の中へ入っていくという考え方を基本に置くべきものではないだろうというふうに考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 総理のお考えは大変結構だと思うのでございますけれども、現実に例えばアメリカなどが最近よく言い出すことは、累積債務を抱えるラテンアメリカなどにも援助をと、そのようなことをよく言われるわけでございますけれども、その膨大な累積債務、それを肩がわりというんでしょうかチャラにするというんでしょうか、そういったような動きが出てくる可能性というのはあるのか、それに対してどのような対応を日本としてはしなければならないとお考えであるか、お伺いいたします。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) いささか専門的になりますので若干ラフな答弁になるかもしれませんけれども、累積債務問題というのは、これは戦略問題としてとらえるべき問題ではなくして、やっぱり世界全体のファイナンスとでも申しますか、金の流れというような形の中でこれをとらえてみますと、我が国がこの累積債務問題に大きな役割と、ある意味においてはイニシアをとらなきゃならぬ問題というふうには私も思っております。  そこで、宮澤大蔵大臣の方でいろんな構想もあったりしながら、この累積債務問題はいわばミリタリーの世界からくる戦略ではなくして、世界全体の金の流れの中の位置づけとしての我が国の果たす役割というものについては、あるときにはイニシアを、あるときにはみずから進んで他の機関に対する協力をするとかということはあってしかるべきである。そして、確かにおっしゃるように、この累積債務問題というのがこれからの大きな課題になっていくということは私も問題意識として持っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 同じことにつきまして大蔵大臣、これは質問通告をしてなくて申しわけないんですけれども、経済問題が非常に政治的な解決を要求される、そういった時代に入っていると思うのでございますけれども、その点に関しましてのお心構えというんでしょうか、どのような心づもりをしていらっしゃるか、お願いいたします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどのお話のありましたINFをめぐる米ソ間の交渉等々に見えるような、いわば軍事的な面での超大国の間の話し合いが進んでおりますことは大変に歓迎すべきことでございますが、そうなりますと、今後もし世界の不和というものが起こってくるとすれば、それは例えば南北間の格差であるとか、先進国と後進国との間のいろいろな問題であるとかいうことから起こるというその心配をしておかなければならないと思います。累積債務問題はやはりその一つである。これを解決することは世界の平和に貢献いたしますし、また世界経済全体の発展にも貢献することは間違いないところでありますから、我が国のように軍事的な意味での貢献ができない国が、まさしく経済力も持つようになりましたので、一つの貢献をしなければならない分野であるということは明らかであると思っております。  ただ問題は、殊に累積債務問題が主としてラテンアメリカを中心に起こっておりますので、我が国の国民から申しますと、いかにもそれは遠いところの出来事であって日本が直接に受益をするという度合いが少ないという問題がございますし、また円というものがいわば世界的な責任を背負っているという現状ではございませんものですから、そういうこともありましてなかなか国民の関心がそこへ向きにくい。私どもとしてはできれば、したがいまして日本が単独でこの問題に当たりますよりは国際機関、IMFでもよろしゅうございますし、その関連の機関でもよろしゅうございますが、何かそういうところがイニシアチブをとってくれまして、我が国がその活動に対して応分の寄与をする、あるいは多少過分の寄与をしても私はよろしいんだと思うのでございますが、そういうことでありますと国民的な支持を得やすい。  何かそういう方向で問題の解決を図れないかと思いまして、昨年も国際機関の総会の席上でそういう提言をいたしたところでございます。いろいろなあれこれの提案が行われつつございますが、まだ本格的に緒についたとは申しにくうございます。我が国としてはそういう方向で努力をすべきものと考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 遠い国のこと、また何か日本と無関係である――例えば経済と政治とか軍事とかさまざまなことが絡み合ってこれから我々に迫ってくるんじゃないかと大変に心配するわけで、そういう中で御質問したわけでございますけれども。  また、引き続きINF協定の締結後のことで、さらに社会主義国との関係についてお伺いいたします。  社会主義圏、ソ連とか中国とか、国際入札に失敗がふえ、また輸出が滞り契約解除がふえているというようなことを新聞などで読んだわけでございますけれども、通産大臣、そういう事実がございますでしょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 御承知のような事件があったものですから一時的に、こういう表現が当たるかどうかわかりませんが、審査をする者があつものに懲りてなますを吹くようなところがあったと思います。 けれども、そういう審査のおくれも昨年末ぐらいで大体取り返したと思っておりますけれども、なお審査の速やかな、また慎重な、しかも相手に十分対応ということでありますから、審査人員を百三名にふやすということで、これはアメリカに次いでそろっておる数になるかと思いますけれども、そういうことで今度の六十三年度予算案の御審議を願っておるその中に入っておるわけでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 審査の対応が速やかになるということ、そのための人員が必要だということは大変理解できるわけでございますけれども、現実に輸出は減っておりますんですか。聞くところによりますと、企業の側で大変に注意深くなり、そしてしかも熱意が冷めたというようなことを聞くのでございますけれども、そうした事実はございますか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) それでは、先ほど冒頭に少し丁寧に詳しくというお話でございましたから、貿易局長から答弁させましょう。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 社会主義諸国との貿易でございますけれども、八七年の実績で中国もソ連も大体八割ぐらい、つまり二割弱減っておるということでございます。ただ、この減りました理由は、今御指摘のココムもあるいは少し絡んでいるかもしれませんが、基本的にはやはり円高というものがございますし、また中国の場合は、八五年の経済が過熱してそれを今修復しつつあるということ、それからソ連は、石油の代金が下がって貿易のお金が減っておるというようなこともまた大きな要因になっておるというふうに理解いたしております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 円高はほかの国への輸出にもかかわるわけでございまして、やはり二割というのは大変大きな数字だろうと思うわけでございますけれども。少なくとも表向き米ソ間の雪解けムードというのでしょうか、緊張緩和の中で何かアメリカが日本を牽制しつつ、自分たちの対共産圏、社会主義圏への輸出というのでしょうか、そういうものをふやしていく。そういうところで日本は、何というのでしょうか、つまはじきになるというのか、置き去りにされていく、そのような危機感というものはお持ちではございませんか。田村大臣にお願いいたします。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) これは特にそういうことは感じておりません。と申しますのは、先ほど来防衛問題でいろいろとお話がありましたように、日本は国際紛争を武力で処理するという立場にはありません。でございますから、これは当然アメリカやソ連が大所高所から話し合うことでございましょう。我が国は、対共産圏貿易という点におきましてはココム加盟国十六カ国の中で平等な立場で対応をしておる、今後も対応していく。 決してアメリカに追随するものではございません。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 追従だけだったらまだあれなんですけれども、何かアメリカが日本を牽制しつつ利益を得る、そして大きな市場であるところの中国との経済関係を密にするといったようなことも予想されるわけで、それで以下の質問をするわけでございます。  ともかく、アメリカの対ソ関係というのはこれからどんどん変わっていくんじゃないか、そういうふうに思われるわけでございますが、そういう中で日本とソ連との関係に変化があるのでしょうか、外務大臣にお伺いいたします。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) ソ連は大切な隣国でございますからやはりいろんな面におきまして仲よくすることが大切だ、かように考えておりますが、そのためには基本的にはやはり我々は一日も早く平和条約を結びたい。しかしながら、その前提として北方領土四島の一括返還、これを求めていく、こういうふうなことはしばしば表明をいたしておる次第でございます。  したがいまして、そういう線で私たちは基本的に日ソ間という問題を今後も考えていかなくちゃならないと思いますが、経済問題に関しましては、最近経済、文化等々いろいろな交流がございますけれども、しばしば言われるように政経分離ということはあってはならない、かように考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 今、政経分離があってはならないというふうにおっしゃるわけですけれども、日本は北方領土返還ということに非常に関心があり、それはすべての国民の望むところであるわけでございますけれども、歴史的に見まして領土の所有権が変更される場合には二つのことがあってのことだろうと思います。 一つは戦争で奪い返すか、あるいは信頼関係の中で円満に譲渡されるか、その二つの条件のどちらかの条件が満たされなければ領土の返還というのはあり得ない、所有権の変更というのはあり得ないわけでございますが、現在のような、平和条約が結ばれず、そして政経分離ではいけない、そういったような状況の中では北方領土というのは返ってこないんではないかというふうに思います。  つまり、文化、経済活動を通じ、そして市民レベルの交流を盛んにしてこそ領土問題も話し合えるようなそういう土壌ができてくるんではないか、そういうふうに思うわけでございますけれども。政経分離をしてはいけないということを理由にソ連と冷えた関係を保つということは、逆に結果として北方領土を放棄している、そういう日本の政策であるというふうにとられても仕方がないような気がするのでございますけれども、いかがでございましょうか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 決してさようではございません。やはり北方四島は我が国固有の領土でございます。しかも直接そこで戦闘が行われたわけでも何でもない。我が国が無条件降伏をしました後においての出来事でございますから、したがいましていわばソ連の不法占拠に基づくところである。どうしてもこれは民族の悲願といたしまして大鉄則でございますから、この返還は一括返還をもう執拗に辛抱強く求めていく、それが我が国の原則でございます。  今いろいろと、経済が先行した方がどうかというような御意見でございましたが、御承知のとおり日ソ貿易も五十億ドル台において続けられておりますし、またそのほかいろんな協定もやっております。昨年も次官が参りまして経済関係の事務次官レベルの協議も行われております。また、文化等に関しましては、ついこの間私もソビエトの大使との間におきまして署名をしたというような新しいいろんな協定もございますから、それはそれとして、今後ともに我々としてはソ連との友好関係、また今日のいろんな問題がございましても、そうした改善問題に関しましても努力をしていきたい、これが私たちの立場でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 宇野外務大臣に重ねてお伺いいたしますけれども、ココム以降、ソ連との経済関係が何か冷えたものになる、そのような傾向は見られませんでしょうか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほど通産大臣が触れられましたが、ココム問題がございました。しかし、現在の世界がINFのグローバル・ゼロというような合意に達したことは核軍縮の第一歩として喜ばしいことである、常にこういうふうに申しておりますが、やはり依然として東西という関係も考えておかなければなりません。だから、日本は西側にいる、アジア・太平洋諸国の一員であるということは私も外交の基本演説で申し上げたところでございますから、おのずからそこにはいろんな問題におきましてやはりココム等々の問題が出てくるのはやむを得ません。これだけはやはり我々といたしましてもきちっとしておかなければならぬ問題だろうと思います。したがいまして、多少そういう面において冷え込んだことがあるかもしれませんが、しかしその後において、昨年事務次官レベルの会議が行われておるということでございますから、両方それぞれが努力をして改善に向かっておる、こういうふうに御了解賜りたいと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 ゴルバチョフ氏を中心としてソ連とそれから西側諸国、特にアメリカ、ヨーロッパとの交流というんでしょうか、関係は非常に密になっているわけでございますけれども、ゴルバチョフ氏の日本訪問というのは近々予定されているのでございましょうか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 我が国からは歴代鳩山、田中、鈴木、中曽根、四総理大臣が行かれた。ソ連からは首脳がお越しになっておらない。だから、ぜひとも今度はソ連から日本へ来ていただく番ですよということは常に申し上げておるわけでございます。  現状といたしましては、この間のINFの合意等々ございまして、続いてSTARTがございますから、これに対して米ソ首脳は今全力を挙げておるんではなかろうか、こういうことでございますから、現在予測することはできません。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 予測できない状況の中でこういう質問は無意味かもしれませんけれども、もしおいでになった場合、首脳会談が行われるわけですけれども、そのときに領土問題を日ソ関係改善の前提条件となさいますか、総理。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 両国首脳が会談なさった場合には、必ずこの問題が出ております。当然そうあるべきだと考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 総理、いかがでございますか。何かこれも新聞でしか私は情報が得られないわけでございますけれども、ちょっと横に置いてでしたらばといったような動きというんですか、考え方もソ連側からは出されたというふうに読んだのでございますけれども、総理御自身のお考えというのはまず領土と、そういうふうにお考えでございますか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 先ほど来の問答の中で申されておりますように、貿易、経済、文化、こういう実務関係の諸分野では現実問題進展しておる。しかし、何としても北方領土問題というまさに基本原則が存在しておる。したがって、基本原則を横に置いてというのは私は外交方針としてとるべきものではない、やはり基本はお互いが踏まえていなければいかぬ。その間双方の努力によってもろもろの問題を解決していく。横に置いてということをよく私どもの議論の中では話し合いいたしますけれども、やはり基本原則というものを横に置いた議論というのは不毛の議論になるであろうというふうに私は問題意識を整理しております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 アメリカの外交政策なんか見ていますと、きのうの敵はきょうの友みたいで、この前の中国との関係改善でもそうでございましたし、今ソ連ではゴルバチョフが民衆の英雄になっている、非常にポピュラーな人だということを伺うわけでございますけれども、そういう中でアメリカの流動的な外交政策を見ていますと、日本ももっと流動的な態度をとっていただいてもいいんじゃないかといったような気持ちを持ちまして御質問したわけです。  次に、ちょっと視点を変えまして、大平内閣のときに締結された日米科学技術協定が本年一月末に切れるために、その改定交渉が現在行われているということでございますけれども、アメリカは科学技術協定の中に安保条項を盛り込むということを指摘しているということが伝えられておりますけれども、その主張の背景になるものは何なんでございましょうか。

遠藤哲也外務大臣官房審議官

○政府委員(遠藤哲也君) お答え申し上げます。  現在ございますカーター大統領と大平総理の間で結ばれました協定がことしの三月末まで続いておるわけでございますけれども、日米間で科学技術協力関係をもうちょっと拡充しようというような観点から、現在鋭意日米間で交渉が続けられているわけでございますが、何分交渉中のことでございまして、中身に入りますことは勘弁さしていただきたいと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 その背景として一九五六年に鳩山内閣のときに結ばれた条約があると思うのでございますけれども、それについて。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 今申されました条約、長い題でございますから一応申し上げますと、一九五六年協定「防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」、こういう協定でございますが、一九五六年に締結いたしまして、国会では既に承認されておる案件でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 その内容は、アメリカで機密保持、つまりクラシファイドされたものは、分類されたものは日本においても機密にしなければならない、そういうことでございますよね。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 米国で秘密が保持されておる特許出願に関しましては、日本においても米国に類似する取り扱いをしてほしい、こういう内容になっております。現在具体的なまだそういうような案件はございません。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 ということは、新聞では誤報であるというようなことなんでございますね。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 今回の科学技術協定改定に当たりまして、三十年ばかり前の協定でございますけれども、今日までは一件もその具体例はありませんが、それをもし具体的にするのならば、ではどのような手続が必要なんだろうかということに関しましては、事務的にただいま話し合っておる最中であるということであります。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 日本とアメリカでは特許の形がいろいろ違うと思うんですけれども、軍事機密という名のもとに、これまで基本的に自由であった特許の利用、技術の応用が制限される、そういった方向に向かうことには非常に熟慮をしなければならないというのは皆様も御同意いただけると思うのですけれども、まず、しかも第一にその判定基準というものがアメリカにある、そういうようなことがあっては非常に困ると思うわけでございます。  最近さまざまな形で防衛、そのほか科学技術の交流というものがあり、そしてアメリカ側としては科学技術の交流において日本に何か与え過ぎたといったような気持ちで、非常に警戒が出ているということを聞くわけでございますけれども、アメリカのことをちょっと申し上げますと、私は専門家ではないんですが、アメリカでは多くの科学研究費が軍事費の中から支出され、そして多くの科学者、優秀な科学者が研究に携わっている。そしてその成果というものの多くがクラシファイドされ、つまり機密扱いにされ、ということで、多くの研究者、そして研究そのものの応用というものが禁じられたために、アメリカの中にいわゆる知識というんでしょうか、ソフトの空洞化みたいなのが起こったんではないか。そういうような中に日本が巻き込まれては大変である。そういうことで私はこういう質問をしようと思ったわけでございます。  アメリカの最近のフラストレーションというんでしょうか、本当に科学技術の点でも大幅に日本を助けてきた。ですから、これからは何らかの形で、そうした技術交流に関して自分たちの国に損にならないようにという一つの形として軍事機密と、そういうものがかけられるんじゃないかと心配するわけでございますけれども、外務大臣のお考えをお聞かせください。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 今申し上げましたのは既にもう国会承認済みの案件でございますが、なお一層詳しく申し上げますと、アメリカの秘密保持が解かれるまでは公開しないと、これがアメリカの取り扱い。だから、そのアメリカの取り扱いに類似する取り扱いということがその中に既に書かれておるわけでございますね、一九五六年の協定の中に。だから、それをめぐりましていろいろと我が国はどのような手続をしてよいのかということを検討中でございます。アメリカから秘密を守るためには日本でこういうような措置をせよというようなことは一切ございません。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 アメリカの場合に、一たん機密扱いにされますとその扱いが解かれるまでに非常に時間がかかると、そういうようなことがあるわけで、アメリカの事情を見ていますと、人材も研究成果も防衛という枠の中で制限、規制されることによって民間産業はソフト面で空洞化を招いたと。そして、経済の衰退と言っては怒られるかもしれませんけれども、私はそういう状況もあるのではないかと思います。このアメリカのたどった道を何か日本がたどらされているのではなかろうかといった危機感を持つのでございますけれども、総理にお考えをお伺いいたします。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 日本が今日まで、どちらかといえば応用技術ということに対しては大変にたけておって、その基礎技術、基礎研究等においては他国の研究に負うところが多かったと、こういう問題意識を持っておりまして、今後基礎研究等に力を注がなければならぬ、こういう基本的な考え方の上に立っておりますが、いわばこの秘密というベールの中で、知的所有権問題の秘密というベールの中でアメリカの産業がいわゆる高度技術が空洞化した、あるいは空洞化と申しますか、日本におくれをとったとでも申しましょうか、そういう考え方には必ずしも私今くみしてはおりません。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 次の問題に移らせていただきます。  第二次補正予算、昨年の所得税減税分一兆五千四百億円を差し引いても一兆八千九百三十億円の増収が見込まれ、そして税の増収が多くなったのは六十二年度以降でございまして、六十一年度一兆三千百六十億円、六十二年度三兆七千二百三十億円、六十三年度四兆四千九十億円、この税収の好調の原因というのは、経済の拡大によるということもございますでしょうけれども、財テク絡みという見方があるわけでございますけれども、政府の御見解をお伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 六十一年度の場合ただいま御指摘のようなことがやはりあったと考えております。この年は不況でございましたので、一度は減収を見込んだわけでございますが、その後の状況を見ておりますと、だんだんそのころから財テクというようなことも起こってまいりましたし、土地の価格の上昇でございますとか、そういうことも少しずつ出てまいりまして、税目で申しますと、例えば相続税、これは土地の価格の高騰であるとか、あるいは所得税の中でも土地による譲渡所得であるとか、それから有価証券取引税といったようなもの、なお法人の決算の中でも、法人の本来の事業による営業所得もさることながら、これはむしろあのときには非常に苦労があったわけでございますから、むしろ会社の金融資産からくるところの所得の計上といったようなことがございました。総じてその段階におきます増収分は、いわばどちらかといえば、一過性と申しますか、本来的な性格のものと多少異にしたものが相当多かったということを私どもも感じております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 しかし、六十四年度以降も二兆五千億円から二兆八千億円の増収を見込んでいらっしゃると。そしてNTTの株売却益なんというものもあるわけでございまして、そういう点では、六十五年度の赤字公債脱却のめどが立ったと、大変明るい見通しなんでございますけれども、事実でございますか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) そこで、六十二年になりまして、夏ごろからかと思われますが、経済が好転を始めまして、その後今日に至りますまでやや経済活動の正常化に伴う所得の上昇が見られるに至りまして、まだ財テク等々のこともございますし、土地の問題もございますけれども、どうやら所得税であるとか法人税であるとか、また雇用も少しずつよくなっておりますので、そういうところからくる税収がふえていくんではないかと見込んでおります。  そういたしますと、かつて昭和六十五年度には赤字公債依存体質から脱却をしたいということを申し上げて、それがいわば絵にかいたもちではないかという御批判を受けておりましたが、ここまで参りますと、かなり現実性を帯びてきた、射程に入ってきたように感じておりますので、努力をいたしましてそれを達成いたしたい。ただ、これは広中委員が言われましたように、まさしく経済が正常にまた好調に推移をするということが前提でございまして、そういうことを反映して税収が順調に伸びますならばその目標を達成できるのではないか、そういう努力をいたしたいと思っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 ただいま税制改革がいろいろ討議されているわけでございますけれども、その理由でございますね、それは税収不足とか財政再建と、少なくとも現在の段階ではそれが目的で税制改革をなさろうとしているのではないと、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それは全く一方的に割り切って申し上げるとちょっと言い過ぎになろうと思いますけれども、今広中委員のおっしゃっていらっしゃる意味は、経済そのものが比較的順調に動き始めたのでかなりの自然増収の期待ができるのではないか、そうであるとすれば、所得税にしろ法人税にしろ減税が必要であるということはおわかりいただけるとして、それは自然増収でかなりのものは賄えるのではないかというそういう要素があることは事実でございます。事実でございますが、しかしそう申しましても、これから将来を見通してまいりますと、所得税あるいは法人税等々あるいは相続税を含めましてかなり思い切った減税をするといたしますと、それが完全に自然増収で賄えるかどうか。片方で特例公債も発行しておりますから、それをやめたいというふうに考えますと、簡単にそうと割り切るわけにもまいりません。  もとより、ただいま私どもが考えております抜本改正の基本的な目的は、以前にも申し上げましたけれども、やがて老齢化社会に入りますので社会に共通な費用は薄く広く国民に負担をしていただきたい、そういう意味での間接税、あるいはまた勤労意欲、事業意欲を損なうまでに高くなっております所得税、法人税の減税、それらによる直間比率の是正といったようなこと、また物品税等々の個別間接税が相当に実はいびつになっておりますから、そういうことも直したい等々あわせまして、所得、消費、資産というものの間のバランスのとれた根本的な税制改正をシャウプ以来初めてやりたいということが主たる目的でございます。主たる目的でございますが、そのことは何にも歳入的な配慮はないかとまで言っていただきますと、特例公債も出しておりますので全くないとは申し上げかねますが、主たる目的は先ほど申しましたようなことでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 小倉税調会長にいらしていただいておりますので……。  会長はどのような目的でどのような意図でこの税制改革に取り組んでいらっしゃるのか、どのような基本課題があるとお思いになっていらっしゃるのでしょうか。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) 税制改正について税制調査会で審議しておりますのは、昨年総理から諮問がございましたその線でやっておるわけでありまして、ほかのことはございません。  それを少く詳しく申し上げますと、一つは、いつからかということもはっきりとは申せませんが、俗に言えばシャウプ以来と言われますけれども、その間今日まで余り抜本的な改正が行われたというわけでもございませんので、いろんな方面、いろんな分野にゆがみといいますかひずみというものが生じておる、したがってこれを是正するというのが第一の目的であります。必ずしも税制が公正になっていないという点がどうもあらわれておる、いろんな不平があるというようなところをひとつ抜本的に改正して是正をしたいというのが第一段です。  第二段は、少し長期的になりまして、二十一世紀を迎えるに当たって高齢化社会というものの到来が必然的でございまするので、そういう際の福祉社会の充実といいますか、のようなことにもやはり考えを及ぼして、今のうちからしっかりした財政基盤が可能なような、それに寄与するような税制のあり方を求めたいというのが第二点かと思います。  以上のような趣旨でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 もう一度お伺いしたいのでございますけれども、お引き受けになりましてからいろいろな問題が起こったわけでございますけれども、お引き受けになった時点とそして今とお考えはお変わりになっていらっしゃるでしょうか。基本的には間接税、直間比率の見直しと、そういうお考えでございますか。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) 私の考え方というよりは、税制調査会あるいは税制調査会を取り巻く財政、経済の事情というものの考察の仕方が相当変わってきたんじゃないかと思います。  その一つは、早い話が、租税というのは、何と申しますか、所得税中心、すなわち直接税中心でそして累進というのがよろしいんだ、総合所得で累進というのがよろしいんだという基本的な思想であったように思います。ところがこの数年来、どうもそれだけではいけないんじゃないか、それを多少是正する必要があるんじゃないかという考え方が生じてまいっております。  例えば、そのあらわれの具体的な一つは、かつての一般消費税の導入でありあるいは売上税の企てであるというようなことにあらわれておりますように、まあそれだけではございませんが、片や所得の総合課税という点についても、しかしそれを今日のままの状況で放置しておくのではなくて、なおそれに漏れているもの、例えばキャピタルゲインというようなものについても総合課税に組み入れる、あるいは的確に納税をしていただくというのにはどうしたらいいかということも見失ってはおりませんけれども、およそ考え方というふうに御質問になりますれば、ただいま申し上げたことのようでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 ただいまキャピタルゲインの問題が出ましたけれども、不公平税制是正ということで国民が非常に関心を持っている問題だろうと思います。政府がこれまで課税に踏み切れなかった理由というものがどういうものであったか、大蔵大臣にお伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 主として株式についてのキャピタルゲインをお考えで御質問と思いますが、昭和二十五、六、七年でございましょうか、シャウプさんが見えました後これをいたしました。どうも、当時のことであったせいもございますかもしれませんが、結果としてはうまくいかなかった。その後有価証券取引税が、かわりと言ってはおかしゅうございますけれども創設されまして、今日もう一兆数千億円の税収を上げるに至っておるわけでございます。  他方で、しかし非常に大きな規模の株式の売買があって、それがはっきりしている場合に、これを課税しないということはおかしいではないかということがございまして、御承知のように、今度新しい制度で申しますと三十回以上あるいは十二万株というようなことで課税をするということになっておるわけでございますが、今そういうふうになっております基本的な理由は、いかなる所得も原則としては総合課税されるというのが所得税の原則であろうと思います。  ところが株式のキャピタルゲインの場合には、キャピタルゲインもありキャピタルロスもあるわけでございますし、現実にいつどういう価格で取得をしてどういう方法で処分をしたかといったようなことを現実にまんべんなく、行き当たりばったりでなく行政で把握するということが非常に難しい。 いろんなことをやってまいったわけですけれども、非常に難しいし、また大変な煩瑣であるといったようなことがありまして、これを一般的に行政でやるとすれば、どういう方法をとればまんべんなく公平な課税ができるだろうかということを今税制調査会でも御検討いただいておるわけでございます。つまり問題は、理屈の問題ではなくて、行政でこれがまんべんなく公平に整合的に行われる有効な方法を何とかして発見をいたしたい、そういう努力をしておるところでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 捕捉の困難ということがあるわけでございますけれども、先回の予算委員会でも御質問申し上げたわけですが、そういうことであれば、背番号制の導入――背番号制という言葉じゃなく納税者番号の導入と、そういうような形で解決できるんじゃないか。  今回の税制改革は、本当に二十一世紀に向けて抜本的な税制改革、形を非常にきれいな形にするというのであれば、戦後あのシャウプ勧告の時期には無理であったことが現在では可能であるんではないか。つまり、煩雑と先ほどおっしゃいましたけれども、コンピューターの時代には決して煩雑ではない、状況が変わってきているということもあるんではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和二十八年でやめました後、実は背番号制等につきましても国会の両院で何度か御議論がありまして、その当時は、この背番号制というものがいわば徴兵制につながるといったような御議論まで真剣に行われたことがございます。ですから、この背番号ということについては、やはりいろいろ国民がその時代時代で思っておられることがございました。がしかし、また時代とともに考え方も変わってくることでございますので、先般、税制調査会におかれて、そのような方法が果たして可能であるか、有効であるか、またそれは国民からどのように受け入れられ、あるいは批判されるであろうかということを御検討いただくことになったように伺っておりまして、これは小倉会長の方からお話があることかもしれませんが、そういうことで税制調査会で小委員会を設けて御検討いただくことになったと承知をいたしております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 キャピタルゲイン導入のトレードオフとして有価証券取引税を廃止するか、または税率を下げるのか、具体的なことはよくわかりませんけれども、ともかくそれと引きかえであれば考えてもいいといったような意見が証券業界に出ているというふうに伺っていますが、小倉会長はどのようなお考えでございましょうか。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) この有価証券取引税と株式の譲渡益との関係につきましてはいろいろ議論があるところであります。我々のところではまだ底深くは議論をしておりません。これはまあ古いことになりますけれども、有価証券取引税というものを導入したときは、株式譲渡益についての総合課税というものをやめるのと引きかえで入れられたというようないきさつがあるらしくて、そういういきさつからいえば、株式の譲渡益を課税するということであれば取引税はやめるんだろうなというような考察をする向きがこれ当然出てくるのでありますが、税制調査会ではその点についてはどうするということは考えておりません。一方は流通税であり、一方は所得税であるということで性質は違うということになっておりますので、税の性質からいえば両方あってもこれはおかしくはないという議論も成り立つわけですから、そこは今後またなお議論をすべきところかと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 どのような形にしろキャピタルゲインを導入ということになりますと、当然ロスもゲインも含めまして捕捉が必要だと思いますけれども、会長御自身は、納税者番号あるいは社会保障番号、どういう形でもよろしいわけですが、国民がそうした番号を持つことについて、さもなければきちんとした捕捉というのはあり得ないんじゃないかと、そんなふうに思うわけでございますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) 納税者番号につきましては、ただいまお尋ねのように、キャピタルゲインの把握ということからそういう必要があるんではないかという意見は当然あるわけでありまして、そこで、税制調査会といたしましては納税者番号というものを導入する、要するに技術的な手段、方法、それがまた国民一般に与える影響といいますか反応といいますか、どういうことなんだろうかということをこれから研究しようということにいたしております。  ちょっとさかのぼりますけれども、マル優の廃止あるいはマル優の廃止というよりはマル優を的確に把握する、悪用されないようにするというために、御承知のようにグリーンカードという制度をつくろうといたしました。これがしかし、国会は一遍通ったんですけれども、それがまた廃止になったというふうな重大ないきさつがあることもこれ念頭に置かなくちゃなりませんので、それからまた納税者番号といいますと、今もちょっとありましたように、国民総背番号制というような甚だ印象の悪いような言葉遣いであらわされまして、なかなかこれ一般に納得を得ることは非常に難しいような気もいたします。  ただ、北欧諸国では納税者番号といいますか、国民総番号制といいますのがあるようでありますし、アメリカやカナダでは御承知のとおりだと思いますが、社会保障の番号と納税者の番号とが両々相まって有効に活用されているというようなこともございまして、ほかの国に例がないわけでもありませんので。 しかし、日本的な風土というのもこれありますので、ほかの国でやっているからといってすぐそのまま適用できるかどうかも難しいんです。  それからもう一つ、キャピタルゲインを把握するのには番号さえつければいいというわけのものでは無論ないことは御承知のとおりで、また御質問にありましたように、株の取引について一々その番号をはっきりし、そしてそれを有価証券取引業者等からちゃんと税務当局が通告を受けるというような仕組みが必要ということになるわけで、その辺をどうするかというような問題もまた難しい問題かと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 それが有価証券取引税とのトレードオフというようなことも証券業界から出てきたんじゃないかななんというふうに、これは勝手な想像でございますけれども、社会保障番号というふうな言葉が出てまいりましたので、改めて二十一世紀に向けて税制改革をするというのであれば、やはり我が国の国民が将来どのような福祉、給付を受けるのか、そうした姿をきちんと示していただきたいし、そしてそれに対応する国民負担というのでしょうか、そういうものもお示しいただきたいわけでございます。現在三五%ぐらいなんですけれども、西暦二〇〇〇年に向かってどのような国民負担率になるのか、お示しいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それでは便宜私から申し上げますが、実はその問題につきましては政府部内で一致して決定なり、相談をしたことはございません。  ただ、例えば行革の答申でありますとか、あるいはことし、今作業が始まりました経済審議会、経済企画庁による中期計画であるとかの背景では、現在おっしゃいますように二五と一一ぐらいでございますか、三五、六でございますが、これが日本の高齢化社会、社会福祉政策、それから国際化等に従って今後ある程度の上昇をすることはどうも避けられないのではないか、ただその場合、今のヨーロッパ諸国のような水準にまでいくことには問題が多かろうというようなことがいろいろな機会に少しずつ言われておりまして、考え方の背景になっておるとでも申し上げることができるんでございましょうか。ですから、五〇とかいうことは行き過ぎであるというようなことは何となくいろんなことの背景には出ておるのでございますけれども、具体的に積み上げて政府としての目標として定めたということは今日までのところございません。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 現在の福祉の状況におきましても十分に満足とは言えないわけでございますけれども、仮に、医療費が現在の状況でふえ続けまして、そして老齢者、高齢者の人口がふえるといたしますと、どのような形で医療費がふえていくのでございましょうか、厚生大臣にお伺いいたします。

藤本孝雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(藤本孝雄君) 本格的な高齢化社会を迎えまして望ましいことは、国民にとりまして生きがいを持って、しかも安心して暮らせる、こういう社会の建設だと思います。そのためには人生八十年型の経済構造、経済社会システムということをつくっていかなきゃなりませんので、その指針として、御承知のように政府では長寿社会対策大綱というものをつくっております。また、厚生省におきましては高齢者対策企画推進本部報告という形で今後の医療と年金について高齢者対策を具体的に明らかにいたしております。  御指摘の点につきましては、現在二十一世紀初頭におきます高齢化状況並びに社会保障の給付並びに負担につきまして、その見通しについておよその姿をお出しするために大蔵省と今作業中でございますので、その点御理解をいただきたいと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 そうした構想の中に社会保障番号をお入れになるといったようなことはございますでしょうか。というのは、高齢化社会に向けて福祉の質というのを今以上によくしていただきたいと同時に、我々が負担しなければならない税金とか社会保障費、それはできるだけ低く抑えたい、それは当然の国民の要求だろうと思いますけれども。  というわけでコンピューター時代に合わせた医療費システムの、何というんでしょうか、合理化、そういうものも必要なんじゃないかと思うんです。例えば医療レコードの一元化、検査の多重化の回避、それから医療事務の簡素化、患者の受診というようなこと、そして必ず領収書を発行すると。今のようなシステムですと、もう非常な膨大なペーパーワークでもって、我々が実際にどのような給付を受けたかなんということはなかなか知らされない。そういうようなことで患者の受診への関心を高めるためにもやはりカード化し、そして番号化する、そうした社会保障番号を持つ。そして各人が自分のポケットに入れて持ち運べるように、例えば健康保険証でも家族単位じゃなくて個人個人が持つと。現在我々は、少なくとも私は大変不便をしているわけでございますけれども、そういうようなことでカード化ということをお考えになっているでしょうか。

藤本孝雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(藤本孝雄君) アメリカで御生活が長かったから社会保障制度の番号のことを言われていると思うのでありますけれども、なかなかこれは、将来の事務の簡素化などの問題については検討すべき大きな課題であると私も思います。しかし、今これを導入するということになりますと検討すべき課題も多いわけでございまして、今の時点ですぐ導入するということにつきましてはなかなか難しいと思います。  ただ、先ほど御指摘の保険証の個人単位のカード化につきましては、これは国民の利便にもつながる問題でございますので各方面の御意見を聞きながら検討を進めてまいりたい、かように考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 それからもう一つ、高齢者の暮らし、高齢社会を配慮した税制というものも必要なんじゃないかと思うのでございますけれども、高齢者が居住用の住居を売った場合、その利益に対して全額免税、そういうようなことをお考えになったことがありますでしょうか、大蔵大臣、お伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 小規模の住宅でございますと、例えば二百平方メートルぐらい、その場合には三割とか四割とか減額をするという制度はございますけれども、それから買いかえの場合の特例といったようなものも今度やりかえましたけれども、一部残っております。多少のことはございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 これからの高齢化社会を迎えまして、住宅というのはライフステージに応じてかえていくというようなことが大いに起こり得ると思うのでございますけれども、そういう点を考えましても、売って税金に取られちゃうんだったら、ちょっと大き過ぎるんだけれども売らないで持っていると。そういうようなことで、今現在の日本を考えますと、住宅供給というのが非常に少ないわけでございます。ぜひ配慮を願いたいと思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、居住用住宅の買いかえの場合の特例を今まで持っておりましたのは、おっしゃいますような意味で都心におられる必要はない、もう少し小さいところへ行かれてもいいというような方に税金を取ることはないということで、それなりの役割を果たしてまいったと思いましたが、昨今の地価上昇について、これはもう都心の地価を周辺に伝染させるという、現実にそのように悪用された例も少なからずあるようでございまして、今度改正をお願いすることになりましたが、しかし、それでももう三十年以上持っておられる方、あるいは相続された方なんかについては少し別な形で残していく方がいいといったようなことをやっております。  相続税制度につきましては、御承知のように妻については相当大きな控除をいたしておりますけれども、広中委員の言われましたようなそういう新しいライフステージでかわっていくといったようなことについての配慮は税制にはまだ余り正直を申しまして取り入れていないんではないかと思いますが、そういうことになりますとまた考えてまいらなければならないかと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 この買いかえ特例が導入され、そしてまた検討され直しているということで私は大変に残念なことだと思うのでございますけれども、企業の非常に雇用の流動性が出ている現状におきましては、買いかえ特例というのは、つまり居住専用の住宅であった場合、同様のものを買った場合にはその部分に対しては税金を払わなくていいと。非常にいい制度だと思ったんですが、たまたま東京の地価高騰、その異常な事件があったためにそのいい制度そのものが廃止になる、または検討をされているというようなことは残念なんでございますけれども、奥野国土庁長官、どういうふうにお思いでございましょうか。

奥野誠亮自由民主党国土庁長官

○国務大臣(奥野誠亮君) 今お話しいただきましたように、買いかえ特例が地価高騰に拍車をかけているものでございますので、そこで今度長所も残しながら改正をしていただいたということでございます。  といいますのも、都心で土地を売りますと莫大な金が得られる。買いかえ特例がありますものですから、税金のかからないようにしようと思いますと全部土地の購入に投ずる。そういたしますと、実需以上の土地を買い込むわけでございます。また、そういう傾向があるものでございますから、不動産業者がどんどん買い込んでいく。そういうことを通じて仮需要が非常に大きなものになってくる。それが土地の高騰に拍車をかけてきたものでございますので、買いかえの場合には特に軽減をして分離課税にする。しかし、長い期間にわたって何代も保有しておられるような方については買いかえ特例は残しておくというようなことで、今おっしゃいましたような長所も残すし、また、軽減を通じて従来から極端に変わったことにもならないように配慮するというような工夫をなされておるところでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 転勤をしなくちゃならない、仕事をかわるためにょそに行かなくちゃならないという場合に、そのかわるたびに住宅を売れば税金が取られるということであれば、本当にそのために単身赴任をしたりということで、いわゆる家が個人の家庭生活を破壊するといったようなことにまでなるわけでございまして、これは後ほど土地問題で質問させていただくときに譲るといたしまして、今は税制のことをやっておりますので、ついでに税のことを伺いたいわけですけれども、また、高齢化社会になりますと、やはり行政ができますことには非常に限りがある。そういう中でボランティアの役割というのは非常に大切だと思います。ボランティアは男の方も女の方も、仕事を持っている人もない方も、だれでもが参加するべきなんですけれども、やはり時間のある方というのは家庭の主婦ではなかろうか。そういった意味におきまして、家庭の主婦を優遇する税制というのは大変に必要だと思いますんですが、いろいろ内助の控除ということをいただいているわけですが、それをさらに進めまして、二分二乗制というんでしょうか、収入を稼得者単位ではなくて一家のものとし、家族のものとし、例えば妻が働いていない場合には夫の収入の半分は妻のものである、そういった考え方の導入に関して大蔵大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) ただいまお示しの、家庭の主婦におかれましても夫の所得の稼得には貢献をされていると、そういった観点から昨年の改正におきまして配偶者特別控除といった制度を導入さしていただいているわけでございます。これをさらに徹底すると申しますか推進いたしまして二分二乗までどうかというお話もあるわけでございますが、二分二乗になりますと、そこまで徹底してまいりますと、税負担配分が比較的現在の累進構造のもとでは割合高い方の人に軽減の度合いが多くなりますとか、そういうことになりますとかえって女性の方々と申しますか、の社会進出をむしろ抑制をするという観点からの御批判もあるんじゃないかとか、いろいろ議論のあるところでございます。そうしたいろいろな観点を踏まえまして、昨年配偶者特別控除ということで御提案をしたところでございます。  こうした問題につきましては、なお今後全体の税体系のあり方の中でさらに検討をされていくべき問題であろうかとは思いますが、今直ちに二分二乗というのはなかなか踏み切れないところでございます。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。矢原秀男君。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 税制調査会長の小倉参考人には、きょうはお出ましをいただきまして非常に感謝を申し上げます。  まず小倉会長に伺いますけれども、政府税調、すなわち新型間接税についての答申は今国会に提出されるんではないか、こういうことが定説になっているように思うわけでございますけれども、まず一つ、提出の時期がいつなのかをあらあら決めていらっしゃるのであれば明確にしていただきたい。第二点は、いろんな情報等によりますと、会長を中心とする政府税調ではEC型を主張されていると、このように思っておりますけれども、この点はどうなのか。第三番目には、きょうも名古屋からお帰りをいただいたわけでございますが、全国の公聴会、本当に御活躍をいただいているわけでございますが、これらの意見開陳に対するあなたの御見解というものがございましたら、この三点、まずお伺いをしたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) 最初のお尋ねの、政府税調で、いいますところの課税ベースの広い新しい間接税というものをいつどうこうするということはまだ何ら私どもとして決めておるところではございません。無論、これは政府が国会に提出されるんでしょうから、政府の御意図もあるんでしょうけれども、私どもの税制調査会としては、税制の抜本的改正の中に当然それも含まれるわけですけれども、税制改正全体についていつ御答申申し上げるかというようなことはまだ考えておりませんのでしかと御返事はできないかと思います。  それから、新型間接税と言われるものについてEC型の付加価値税がいいのではないかというふうに私も思いますが、それは私の専ら個人的過去の経験に基づく観察でありまして、現在の税制調査会がそうだというふうに決めているわけでは毛頭ございませんので、また今後審議した上でどういうタイプの間接税が導入されるのがいいかという、そういうことでありまして、まだEC型付加価値税がいいというふうに税制調査会では決めているわけではありませんのです。  それから公聴会は、私全部行ったわけでもありませんので、また全部報告も聞いておりませんし、全部お答えするわけにも無論まいりませんが、なかなかいろいろな意見がございまして、意見の中には相反する意見も無論あるわけです。したがって、簡単にこうだと申し上げることは何かしらん税制調査会がそう決めているというふうに思われても困るんですけれども、個人的な意見として委員が公聴会で来られている人たちの意見なり質問に対してお答えすることは自由であるということにしております。  そういうわけでございますから、なかなか総合して申し上げることは難しいんですけれども、一つは、今お尋ねの新型間接税のことです。これにつきましては公述人の選び方によりますから、大方と言っちゃ語弊がありますが、大方の方は導入賛成である。ただ、中では反対の方もありまするし、特に公聴会にいわば傍聴といいますか、公述人じゃない参加者、中には不規則発言などで絶対反対だというような方もありますので、なかなかこれはどうこうというふうに判断することは難しいんです。ただ、今後の税制全体を考えます場合に、そして抜本改正を考えていく場合に、どういうタイプのどういう種類のものかは別にしても、いわゆる新型間接税の導入は必要があるんではないかというようなことをお述べになった公述人の方が多いというふうに思います。  それから法人税につきましては、無論法人税の減税、それから所得税については所得税の減税、あるいはまた地方税の住民税についても同様ですが、さらにちょっと難しい点は固定資産税の負担が重いという嘆きといいますか、そういうことについての意見もございました。そういう各種の意見がございました。  それから、もう一つ重要な点は、また政府税調としましてこういうような税制改革の大きな方針があっての上の公聴会でありませんでしたので、どこの公聴会でもと申しましても語弊がありますが、私の参りましたところなどでは、少したたき台でも決まりましたら重ねてひとつ公聴会をやるようにという要望がございました。  以上のようなことであります。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 これは竹下総理と大蔵大臣に伺いたいわけでございますが、新聞報道によりまして小倉さんの希望的な観測か、EC型がいいのではないかというのを私も最近ニュースで伺った記憶がございます。これは総理大臣とか宮澤大蔵大臣と小倉さんとの間でいろいろと根回しをされていらっしゃったんではないかなと憶測もするわけでございますが、この点はいかがでございますか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) そのようなことは一切ございませんし、また根回しのきくようなお方でもいらっしゃらないわけでございまして、私拝見をしておりますと、今度の公聴会の目的ができるだけ国民全体から、昨年のこともあり、こういう状況になって、国民が自由に考えておられることを言っていただき、またそれを聞いて帰りたいというのが公聴会の基本的な目的だと伺っておるものでございますから、小倉会長としては、その公聴会のときの質問応答に応じて、先ほどおっしゃいましたように個人ということになるわけですが、いろんなことをいろんなふうにおっしゃって反応をごらんになったり、またそこからいろんな議論を引き出したりと、そういうことをお考えになって、大変いろいろ深慮遠謀でお考えのように思えますので、私どもと無論そういう打ち合わせがあってのことではございません。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) この点につきましては宮澤大蔵大臣と全く意見を一にしております。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 国民が一番心配いたしておりますのは、大型間接税導入に伴う問題点が余りにも多いからでございます。今、EC型の付加価値税にするのか、製造業の売上税にするのか、小売売上税などまだ明確でございませんけれども、一般に大型間接税の問題点とされますのは七、八点もあろうかと思います。  そこで、総理にこの点もょっとお伺いをしたいのでございますが、一つは、大型間接税は一度導入されてくればその後は税率引き上げにより簡単に増税ができる。歳出削減努力がおろそかになるとともに、徴税のために職員増加も必要となるなど、現在進行中の行政改革にも反し大きな政府になるのではないか、こういうことの問題点が一つ。  二番目には、大型間接税はその税額を価格転嫁することを前提としているために、物価に対して悪影響を与えるのではないか。また、便乗値上げも行われるのではないか。  三点目は、大型間接税が物価上昇につながれば、国民の消費抑制により景気にも悪い影響を与えるのではないか。  七、八点私も問題点を挙げておりますけれども、このまず三点を私非常に懸念をいたしておりますけれども、これらについては総理はいかがお考えでございますか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 今矢原さん指摘されたのは、間接税の持つ一般的原則上における問題点ということを整理なすってのお話であろうと思っております。  まず間接税、よく言われますのは、恐らくヨーロッパの言葉なんかを念頭に置いておっしゃったと思いますが、もう三十年前の話でございますけれども、最初間接税が入るときの当時を思い出してある友人が私に、税金はなれてしまえばそれまでよと、こういう言葉を言ったことがございます。その言葉自身が本当に安易ないわゆる税率引き上げにつながるというようなことを象徴したものじゃなかろうか、やっぱりこれは本当にありがたく反省しなきゃいかぬ言葉だなと、こう思いました。  それから二番目の問題は、これは価格転嫁の問題であろうと思います。  三番目の問題につきましては、価格転嫁されたら物価のすなわち上昇だから、いわゆる消費抑制になるという原則論ということであろうと思っておりますが、しかしいずれにせよ、それらが行われた場合に、今問題になっております、いろんな議論の中で出ております、いわゆる給与所得に関する減税、こういうことと、その物価に転嫁されたものとの兼ね合いというのが、昨年あたりの議論でも一分類はこうなるとか五分類はこうなるとか、いろんな数字で議論したところでございますので、それらの兼ね合いというものになるんではないか。  それから税率の引き上げが簡単にできると私は思いませんのは、日本は国会がしっかりしておりますから、とてもじゃないが簡単にやれるものじゃないということをヨーロッパのその人の話を聞きながら竹下登は感じた、こういうことでございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 小倉さんにもよく国民の声を聞いてやはり慎重にしていただきたいと思います。  小倉さんにもう一点お願いしたいのは、キャピタルゲイン課税についての問題でございます。今広中さんから質疑がございましたので重複を避けてみたいと思いますが、やはり原則課税である問題、この点小倉さんははっきり現在も見失っていないと、こういう話がございましたので、その一点を伺いたいこと。  それからもう一つは、これについては捕捉の環境整備というものが必要になります。例えば、一つは本人確認制度の問題、二番目には譲渡資料の提出制度、三番は課税資料の収集措置の問題、こういうことを講じていくことが不可欠であろうかと思います。こういう辺の環境整備についても、やはりどの程度段階を踏んで整備に進んでいらっしゃいますのか、この点を参考人並びに大蔵大臣に伺ってみたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) キャピタルゲインの課税につきましては、これはもうほぼ税制調査会の内部では課税強化という方針に大体固まっておると言ってよろしいと思います。ただ、いかなる方法で課税強化をするかということになりますと、今お話しのようにいろんなことが必要なわけでありまして、それが実際的にどの程度可能であるか、またどういう制度を必要とするかということを少し詳細に検討してまいる、その上でどういう課税の仕方ができるかという結論を出したい、こういうふうに存じております。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 大口の株式の取引につきましてのキャピタルゲインは昨年法律改正をいたしまして強化をしたところでございますが、なお一般の場合の原則課税といったようなものにつきまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、どうやれば行政が整合的にまんべんなく行われるかということは非常に難しい問題でございますので、私ども内部でも検討いたしておりますが、税制調査会にもお願いをいたしまして、先ほどお話がありましたように、いわゆる納税者番号であるとか、そういったような問題を御検討願うための小委員会を発足させていただいたところでございまして、調査会の方のそういう御検討の結果も待ちたいと考えております。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 時間がございませんので、最後の一点、簡潔にお願い申し上げたいと思いますが、公健法の改正が昨年行われまして、そうして、今問題点がまず簡単に分けましても二点ございます。  それは、公害病患者を救済する点が政府が非常におくれていることが一点。これは命の問題ですから私同っております。二番目には、健康被害調査の問題をいまだに完全にやろうとしておらない。この二点について伺いたいのでございますけれども、環境庁長官、この点はどうなんでございますか。

堀内俊夫自由民主党環境庁長官

○国務大臣(堀内俊夫君) 公健法が新たに改正されまして、今御指摘の状態は厳しい状態だということは十分認識しております。その調査も万全を期しておるつもりでございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 そういう答弁は私、関連でなかったらちょっとこれ問題でございますけれども。  昨年、中曽根前総理も、局地的に問題がございましたらこの点はやはり考えざるを得ない、こういうふうに私にも答弁をしていただいておりますけれども、例えば関東と関西で因果関係を明確にするために二点は調査をすると言っておりながら、日本で一番ひどい芦屋とか西宮、尼崎という四十三号線は一日二十万台の車がある、だから工場の大気汚染並びに多極的な汚染の中で公害病疾病者がふえている、病人が。それでも、昨年から法改正がなされて、健康被害の調査がいまだに関西ではされてない。どうなんですか、それは。

堀内俊夫自由民主党環境庁長官

○国務大臣(堀内俊夫君) 私の認識では、公健法が成立した当時の大気汚染の内容、それは大きく見ると重油から来る環境汚染が非常に強かったわけでございます。言いかえると、硫黄酸化物による環境汚染が公健法成立のもとになったと思います。そういう意味の調査が進められて、現在は硫黄酸化物による環境汚染、いわゆる大気汚染というものはほとんどなくなっているという現状でございます。したがって、現在の空気の汚れの汚染はNOxと言われておるいわゆる窒素酸化物による汚染が原因になっているわけであります。これらの問題について、いわゆる公害との因果関係というものは、今御指摘あるけれども、まだ明解にされていないというのが現状だという認識をしております。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 時間がございませんので後日にまた質疑をしたいと思いますが、データもきちっと持っておりますが、今長官が言われていることは全然間違いです。これはまた後日いろいろと質疑をさせていただきたいと思いますが、今申し上げた点、よく検討していただきたいと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 留学生の問題について伺いたいと思います。  今、私費留学生が円高の中で大変な生活をしていらっしゃるわけですけれども、アルバイト、それは日本の学生さんのような教えるといったような知的労働ではなくて肉体労働をしていらっしゃる。それで、卒業後なんですけれども、せめて卒業後ぐらい自分たちの学業に似合ったところで就職して、そして日本でのきちんとした職業体験をしてもらいたい、そういうふうに思うわけでございますけれども、期限を限ってそういったような体験ができるのでございましょうか、お伺いいたします。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(中島源太郎君) 私費留学生についてのお尋ねでございますが、これは留学生である間もできるだけ日本の青年と交わって社会勉強をしていただくことが好ましいと思っております。また、留学期間が終わりましても「社会事情を勉強していただくというか、体得していただくために一年ないし二年とどまっていただくということは好ましいことだと思うんです。  これは法務大臣からお答えになるのがいいのかもしれませんか、留学生ビザが切れまして今度就労ビザ、これも大体一年でございますけれども、弾力的に扱っていただいておると承知しておりますし、それから留学期間が終わりましてから社会的にとどまる方々が大分ふえてきております。その点は私どももできるだけ弾力的に、御期待に沿える方法で関係省庁と検討して前向きに行いたい、そのようにふえてきておりますので、それをさらに進めてまいりたいと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 法務大臣にお伺いいたしますけれども、同じ点につきまして、全然法律上問題がないのかということをお伺いいたします。許可があれば働けるのに、雇えるのにといった声を特に地方などで聞くわけでございますけれども、明らかにしていただきたいと思います。

林田悠紀夫自由民主党法務大臣

○国務大臣(林田悠紀夫君) 昨年におきましても四百十六人就職を国内で認めております。これは大体申請者の九〇%近くに当たっておりまして、日本で就職をしたいという人たちに対しましてはほとんどこれを認めておるということでございまして、やはり企業が国際化しておりまするし、またその人たちは日本語と母国語と両方話し得ますし、日本の国情にも通じておるというようなことによりまして人材でございまするので、今後におきましてもさらに多く認めていくという傾向にございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 それからこれは小さな、しかし具体的な問題で実際に困っていることなんでございますけれども、外国人留学生が日本語能力試験などを受けなければならない。そういうようなときに、現状ではその試験日が一週間ずつ離れているという問題があるのでございますけれども、その試験について日本国際教育協会が行っているわけですが、それについて御説明いただきたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(中島源太郎君) 日本語能力試験というのは留学生以外の方もお受けになっておるものですから、数は五千人程度、五、六千人になりますか。その中でお尋ねは、私費留学生の方々は、日本語能力試験とそれから私費留学生の統一試験をお受けになっていただく、この二つがあるわけです。できればこれはなるべく近い日に行いたいのでございますけれども、一つは、教室を大体使いますので、どうしても日曜日になるわけでございます。それからまた、おいでになる方もお勤めとかお仕事を持っていらっしゃる方もありますので、日曜日がいいという御希望もあるわけです。そうしますと、どうしても日曜日になりまして、その二つの試験をじゃ同一の日曜日にできないだろうかということも考えましたけれども、しかしこれは相当過酷な試験になりまして、数時間ずつでございますので、昼間から夜にかかるということもありますので、そこで土、日ができれば一番よろしいわけです。ところが、日曜日、日曜日を当てますと、どうしても一週間にわたるわけでございまして、毎年十二月にやっておりますけれども、能力試験が例えば十二月の六日、それから統一試験が十二月の十三日、二つの日曜日にかかります。これを土、日にするには教室の確保がまず必要でございまして、試験の教室の確保、こういうことをもうちょっと精力的に検討はしてみたいと思います。  ただ、今申しましたように、日本語能力試験が一週間にわたるのではなくて、二つの試験を日曜日と日曜日に受けていただくということがネックになっておるということだけお伝えしておきます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 これは私が実際に、アジア諸国から来た留学生の九州で勉強している方と話し合ったときに問題として出てきたわけでございます。これはそういったテクニカルなものよりも、むしろ予算の問題ではございませんか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(中島源太郎君) 予算で片づけられればいいんですけれども、土曜日が試験に当てられる教室の確保ができれば土、日に行いたい、同じ日は無理だということでございますから、まあ土、日かな。これは予算だけでなく、実際に確保できる、つまり一般の学生さんが入っていらっしゃいますので、学校の中で教室を探そうとするとなかなか無理な状態だというのが現実でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 ともかく、例えば九州から北海道から出てくる。非常に少ない予算、生活費の中で旅費というものが大変に問題になっているようでございますので、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  時間でございますので。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 以上で広中和歌子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 次に、安恒良一君の質疑を行います。安恒良一君。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 私は、まず冒頭に、六十二年度補正予算、特にこの税収の過小見積もり問題についてただしたいと思います。  私ども、六十二年度当初予算を審議をしましたときは、与野党の議員とも税収増収分は六千三百四十億、こういうふうに信じておりました。ところが、今回の補正、さらに昨年のいわゆる減税等々で六十二年度の税収増は三兆六千億を超えることになっていますが、当初の約六倍になります。財政当局はどうしてこんな大きな間違いをしたんだろうかと。それはなぜかというと、適正、的確な税の見積もりは各年度の予算及び財政運営には不可欠だと思いますので、大蔵大臣の答弁を求めます。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 六十一年度にまず一度補正で税収を減額いたしましたが、決算におきましては結局それをまた逆に増額をするといったようなことをいたしました。また、その当時の不安定な状況が六十二年度の見積もりのベースになりましたために、六十二年度につきましてもかなりの自然増を補正予算を通じて計上するといったような結果になりました。これはどう申しましても私どもが見積もりを誤ったのでございますから、これはおわびを申し上げなければならないということに尽きると存じます。  ただ、どのような事情であったかということを聞いていただけますので申し上げますならば、結局、六十一年度というのはいわば非常に不況の年であったわけでございまして、したがいまして補正で一兆一千億円の減額をいたしたのでございますが、年度末に入っていきまして、いろんな状況から、それは例えば、財テクでございますとか、土地の上昇がもう始まっておりましたとか、いろんなことから、いわば予測しないような状況の中で法人税、法人税もしたがいまして本来の業務によるよりは財テク等によって相当苦労された決算の結果でございましたが、法人税が相当の予想以上の増収であった。あるいはまた、株式取引が多くなりましたので、有価証券取引税もさようでございました。土地の価格が上がりましたので、相続税あるいはまた土地の譲渡によります個人所得税等々、かなり思わざる状況から年度の最後になりまして税収が急増いたしてまいりまして、結局、決算におきましては、補正のベースから比べますと二兆四千億円余り、当初ベースから比べましても一兆三千億円余りのプラスを計上いたしたわけでございます。  ちょうどこの段階と申しますか、十二月に入ります段階が六十二年度の税収の予想、税収の見積もりをする時期でございましたので、それは十月補正で減額をいたしましたベースで六十二年度を考えておりまして、その後、今申しましたようなことがあり、六十二年度になりまして夏以降経済が本格的に好転をしてきたといったようなことがまた加わりまして、六十二年度におきましては減税をお願いいたしましたけれども、なお補正予算で計上いたしましたような相当な自然増を計上することになったわけでございます。  まあ、説明をお聞きいただきますので申し上げることができるわけでございますが、答えといたしましては、いろいろな見通しを間違ったことにもう相違ございませんので、これはおわびをいたさなければならないと思います。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 私は六十二年度のことを聞いているんですが、今のを大蔵大臣にさらに聞きたいんですが、それではあなたが当初予算の税収見込みを超えるということを判断された時期ですね、超える金額五千億円、一兆円、一兆円を超える、三段階に分けていつの時期に判断をされましたか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それは私からはちょっと技術的なこともございまして申し上げにくいのでございますが、例えば昨年本会議におきまして、昨年内の減税分をいわば前倒しになるときにどうするかというお尋ねでございました際に、私は、これはどうもこの状況では前年度剰余金を充てさせていただくしかないのではないか、ちょうど一兆三、四千億円でございましたんですが、そういうお答えをしておりまして、その段階ではまだ自然増が出るということを予測いたしておりませんためにそういうお答えをいたした記憶がございます。それは昨年の八月ごろの参議院の本会議であったと存じます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 どうも答えになっておりません。  やむを得ません、主税局長。それじゃ、あなたは毎月の税収の実績を翌々月の三日ないし五日に公表していますね。そこで、大蔵大臣と同じことを聞きますから、今申し上げたことについて答えてください。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) 六十一年度につきまして、補正におきまして当初予算を減額したところ、結果としては増収になった。その増収になったということの確定いたしてまいりましたのは、七月末が六十一年度の決算額の確定でございますので、そうした前年度の土台の状況がその時点あたりではある程度はっきりはしてまいったわけでございますが、新しい年度といたしましては経済の動向等につきましてまだ年度が始まったばかりでございますので、はっきりとこの時点では何千億円、この時点で一兆円というふうな厳密な予測を立てることは大変難しいところでございまして、秋に入りまして予算編成時期を迎え、もろもろのヒアリング等をした後に、昨年の暮れに六十二年度補正額、六十三年度税収見込み額合わせまして十二月に全体を決定いたしましたところでございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 これまた答弁になっていません。  そこで、やむを得ません、総理に聞きます。総理は大蔵大臣を何回も務められて、なかなか税収の見積もりには詳しいそうですから。そこであなたは、当時自民党の幹事長だったんですね。ですから、六十二年度当初予算の見積もりを超える時期を、いつごろあなたは自民党の幹事長として認識されましたか。その規模、一兆円もしくは一兆円を超える、二つの段階に分けてお答えください。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 正確に申しますと、六十三年度税収見込みと六十二年度の今御審議いただいている補正を決めた十二月の二十三日でございましたか、というのがやっぱり正確なのかな、一番正確に申し上げますならば。それから、その前の段階においては、宮澤大蔵大臣が参議院で御答弁なすったということをお答えになりましたが、私自身、幹事長・書記長会談に出ましたときに申しましたのが、およそ減税というのはやっぱり財源というものを財政家としては念頭に置かなきゃならぬ、それには一兆三千八百億でございましたか、という六十一年度の剰余金というものがある、その剰余金プラス予備費等、節約等のことで経験上照らして一兆五千億、作業の上で一兆五千四百億と、こうなったわけでございますが、その数字のときにはあくまでも六十一年度の自然増収が頭にありましたので幾ばくかの、二カ月ごとに出ます税収の報告を聞きつつも、その当時はまだ前年度剰余金というのが念頭にあって、結果としてはこれの編成作業をなさいました十二月二十三日と言った方が正確なのかなと思います。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 そんなことで国民は納得しません。国民には納税の義務を厳しく押しつけておきながら、その納税額が当初見込みをオーバーする時期を判断した時期について三人の方に聞いたけれども、ほとんどが十二月の補正のときにやっとわかったと、こう言う。チェックを毎月しているじゃないですか。どうですか。十二月の本予算編成時に突如として三兆円を超える年度内増収になったんですか。そんなばかげたことは税ではあり得ることがないんですよ。  ですから私は、結果論としては六十二年度の税収見積もりが過小であったということよりも、当初からどうもあなた方は意図的に六千三百四十億、こういう過小な見積もりを行ったのではないかと思いますが、その点、大蔵大臣どうですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 税収は御承知のように毎月報告を徴しておりますのですが、六十一年度の場合にはこれは本当に、月々申し上げますとおわかりいただけるのでございますけれども、最後の十二月になりましてから後の月で急に税収が上昇いたしてまいりました。これはしたがって、それまでの段階で正直、予測をし得なかった、専門家も予測をし得ませんで、そうでございませんと十月補正で減額を立てるというようなことはこれはもうわざとやるはずのことでございませんので、予測をし得なかったことでございます。  そして、六十二年になりまして政府として大型の補正をさしていただきましたのは、緊急経済対策を立てましたのは五月で補正は七月でございますが、あの段階では、まだまだよほどの努力をしなければならないというのが一般の認識であったわけでございますから、あの段階でこれは相当大きな税収があるということをなかなか予測し得ませんでしたし、いわんや計数的にとらえるということになりますとこれは無論可能ではなかった。事実可能ではございませんでして、何もそれを巧んで隠ぺいをしておったということはもとよりございませんでした。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 それじゃ角度を変えて少し聞きたい。というのは、あなたたちは毎月毎月チェックをしているわけですからね、対前年度。私の手元に資料が全部あるんですよ。それを一遍に十二月ごろになってわかったというのなら、やっぱり大蔵大臣をやる資格がないですな、率直なことを言わしてもらって。十二月ごろにならぬとわからなかったということじゃ、毎月毎月の私はここに詳細な表を持っています。六十二年度に対してどういう指数がずっとふえてきたかということですね。十月なら十月、十一月、一月とずっとおたくがつくられた指標を私は持って聞いているわけですから、これが気がつかなかったじゃ、とても、大蔵大臣をおやりになるのは私はどうかと思う。  そこで、今度は第百九国会の、私がお聞きもしないことを先に答弁されましたが、ひとつ減税のときのいきさつをお互い考えてみたい。  私どもはいわゆる二兆円の減税を要求した。政府は一兆三千億の原案を示され、与野党折衝で二千億上積みされ、さらに書記長・幹事長会談でわずか四百億の積みがあって、それで妥結をしたわけですね。そこで、今日のいわゆる六十二年度の補正の増収、それと私どもが要求した二兆円、最終的に一兆五千四百億で妥結をしたこの数字を比較して、当時幹事長として竹下総理はいろいろ交渉に当たられましたが、その竹下総理と宮澤蔵相のお考えを聞かしてください。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど私、間違えて申し上げまして、参議院と申し上げましたが、失礼いたしました。衆議院の本会議で八月十八日でございます。  このときに私どもは、減税の規模というものをいろいろ与野党間でお話があっておったわけでございますけれども、まあ一兆三千億あるいはそれがらみのものと考えておりまして、そういたしますと、ちょうど前年度剰余金を補正で四千億使っておりましたものですから、一兆三千五百億か何ぼ残っておりまして、これをお許しを得て全部使わしていただければ何とか減税分に見合うと、こういうことを申し上げて御答弁申し上げております。また、当時幹事長の立場におられました竹下総理も、与野党間の減税問題についての折衝に当たられましては、そういう私ども財政当局の見ておりますところを頭に置かれて折衝に当たられたものというふうに存じます。結果といたしまして、所得税の減税が一兆五千四百億円、法人税が五千億円ほどございまして、なお一、二細かい税で二千億ほどの増収が可能でございましたものですから、減税幅としては一兆八千億円となったような経緯でございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 私は、結論的に言うなら、できる減税をお二人で実際にお値切りになったというのが事実だと思う。  そこで、今盛んに引用されています六十二年八月十八日、衆議院本会議で公明党の宮地さんに答弁をされましたいわゆる答弁について正確に、当時宮澤さんはどういう答弁をされたのか、ひとつ整理をしてお答えを願いたい。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 少し早口でよろしゅうございますか、お許しをいただきたいと思います。   お尋ねの中で、今回の税制改正を財源的にはどういうふうに処理するのかということがございました。いわゆる利子課税制度がその一つの財源でございますけれども、これは御指摘のように、簡単には減税分を賄うほどの大きさになってまいりません。相当の時間のかかることでございます。   そこで、今年度は昨年度の剰余金が相当ございますので、国会のお許しを得まして、これで何とか減税分を賄っていかなければならないと思っておりますが、六十三年度につきましては、実はただいまの段階では、正直を申しまして、はっきりその辺の見通しがついておりません。もとより減税の方はそのまま行われることは間違いないと存じますので、財源の手当てには相当苦労をしなければならない。ただいま細かいことを申し上げることは、歳出歳入両面とも難しゅうございますけれども、何とかしなければならないと考えております。   ただ、先ほど、この一兆三千億の上にさらに上積み云々というお話がございましたが、これはもう財源的には、私どもどうやって処理をしていいのか到底見込みのつかないことでございまして、私の申し上げておりますのは、一兆三千億程度の所得税減税ということでございます。 こう申し上げております。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 そのとおりですね。では、実際どうなったんでしょうか。減税は一兆五千四百億行われましたが、その財源にはあなたがおっしゃった六十一年度の剰余金はびた一文も使われておりません。そして今回の補正で、国債整理基金特別会計に八千八百七億円、これを、全く異例の巨額を繰り入れています。さらに、あなたは六十三年度には見通しがつかないと言われました。しかし、実は三兆八千九百六十億円の税の増収で、この六十二年度の減税分をのみ込んだ上に、赤字公債を大きく今回減らす。すなわち一兆八千三百億削減を打ち出されています。ですから、あなたが国会で答弁されたことと実際は全く違うことにこれ現実はなっているじゃないですか。  私は、大蔵大臣、これでは我々が真剣に財政や税の議論をやっても無意味だと思う。どうも大蔵大臣や大蔵省のやり方は意図的にうその答弁をしたのか、それとも全く不知なのか。そこのところが大変今のあなたの国会答弁と現実にやられた政策との間に大きな食い違いがありますから、その点について答弁をしてください。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 税収予想に当たりまして税収を過大に見積もりますことも許せないところでございますが、過小に見積もることも同じように許せないことでございます。そういう意味では私は同じようにおわびを申し上げなければならない事態だと思います。ただ、それが意図的に行われたものでないことだけはこれははっきりお認めをいただきたい。おわびは申し上げますけれども、決してわざとやったことではないということはひとつ御了解をいただきたいと思います。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 意図的でないと言われますが、私は非常に困ることであって、それはその前年の八月の時点で本年度の税収動向を正確に見通せない、さらに次年度にも税収の大きな間違いをやる、こういうことを一方でやりながら、それでいてあなたたちは大型間接税の問題でいろいろ言っています。 きょうもいろんなことに総理並びに宮澤さんは答弁されました。あしたの税制の見通しもできない人が二十一世紀に向けて税制を云々というのは、ちょっと大蔵省としては能力を超えているんじゃないですか。こういう状態を、私が今やっていることを国民が全部知ったら、国民は大蔵省なんか信用しませんよ。納税者にうその説明をしている、そういう中で大型間接税だけはもっともらしい理屈でやろうと。私は少なくとも税制の改革や税の負担を国民にお願いする、こういうことであるならばやはりこういう大きな間違いを起こさない、でないと恐らく私は納税者は、顔を洗って出直してきなさい、こんな大きな間違いをしておって顔を洗って出直してきなさい、国民はこう言うと思う。その点、総理、大蔵大臣、どうですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 現実に誤りをいたしておりますので弁解がましいことを申し上げたくはございませんけれども、我が国のように大きな経済になりまして、しかも経済に相当なやはりまだ弾力性がある、力のある経済でございますと、これを的確に予測することはなかなか実は容易でないというのが現実でございます。私ども微力でございますから、そうなるとおっしゃればどうも返す言葉もありませんけれども、現在あり得る方法を全部動員いたしましてやっております。事実を隠ぺいしようという気持ちだけはございません。力の足りないところはおわびを申し上げますし、またそれはしかし日本経済の一種のやはり大きな潜在力、また最近は世界経済の影響も受けるといったようなことから、予測能力に限界があるということを御理解いただければ幸いだと思います。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) まず私、問答を聞いておって思い出しましたのは、五十九年の大蔵大臣をしております当時に久保さんの質問に対して私は、税収見積もりが違ったことについて、一%は誤差のうち、こんな言葉を申し上げた記憶がございます。それで、今度は一%じゃございませんので誤差のうちに入らないということ、しかし自分ではあのときに、専門、学問的な基準はございませんと言いながら、一%は誤差のうち、こういうことを言ったわけでございます。事ほどさように一生懸命の見積もりを行っていくわけでございますが、私八月時点のことを思い出して端的に申し上げますと、八月時点というのは六月までの税収が普通報告が上がってくるわけです。安恒さんのところへも持っていくわけですね。それを見て対前年同月比というものを大体比べてみるんです。そうすると、その前の年の下期から上がっていますから、後半になった場合、対前年同月比の伸び率というのはどうしても低くなっていくだろうという予測の上に当時立ったということを今思い出してみたわけでございます。  したがって、この意図的な隠ぺいなどというものは、それは神様に誓って、考えたこともございませんが、事実、仮定計算の場合にはよく、七、六、五抜きの四、三、二、一の、すなわち名目成長六ないし七%の中間値をとって、六・五%掛ける弾性値の一・一というような説明をしたこともございますけれども、そういう説明ではなく、本当に役所の諸君がヒアリングしたりして積み上げておるというのは、何か日本じゅうの知識を全部集約して見積もりを一生懸命やっているものだなというふうな印象だけは私に残っております。しかし、意図的に隠ぺいしたなどというものではございませんが、間違いもあるということを私も率直に申し上げなきゃならぬと思います。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 意図的か意図的でないかというところだけ言われているけれども、こんな大きな間違いをしたら困ると言っているんですよ、こんな大きな間違いを。あなたが今言ったように一%どころじゃないんだからね。例えば経済が大きくなったからどうだと言われるけれども、政府の六十二年度名目成長率は当初から落ちている、名目。それがまた、しかし税収はこうふえているでしょう。そういう状況等もありますから、やはり自分たちが十分できなかったらできなかったというふうに認めるべきであって、あれやこれや言ったら話がややこしゅうなる。  そこで、将来のこと、これだけは聞いておきましょう。非常に大蔵大臣の経験の長い竹下総理です。また、副総理でもあり現大蔵大臣です。  あなたに聞きますが、六十二年度の税収、今回の補正額一兆八千九百三十億はこれは正確ですね。六十三年五月末に六十二年度の全部が、締めたら出てきますね。そのときに、今回はこれは正確でしょうね。それだけを二人お答えください。それから、聞いておきますが、万一狂ったらどうされますか、そのときの責任。これだけ聞いておきます。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) あれこれ弁解がましいことを申し上げたくないのでございますけれども、お尋ねがあるものでございますからどうも御説明申し上げるようなことになっておりますので恐縮をいたしております。  そこで、この一兆八千九百三十億でございますが、ただいま予測し得る限りにおきまして私どもの最善を尽くした見積もりでございます。それ以外に申し上げようがないのでございまして、しかし事の性質上、絶対これで間違いないなということをまた念を押しておっしゃいますと、先ほど申しましたような日本経済の動き、世界経済の動き等々いろんなことがございますので、本質的にこういうことについてはこれ以外に絶対に間違いかないというようなことは事前にそれを申し上げるということはなかなか良心的には申し上げ得ない性格のものだということもひとつ御理解をいただきたいと思います。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 宮澤大蔵大臣のお答えに尽きるわけでございますが、これは税収は見積もりでございますので違うこともそれは当然あるわけでございますけれども、初めからこれは違うでございましょうと言ったら、予算審議をしてやらないと、こうおっしゃると思いますのでそういうことは言えないと思います。したがって、これも窮屈な言い方をすれば、仮にもし恐らく三月締めた場合に決算ベースで出てくるというようなことを予測しておっしゃっているといたしますならば、法律に基づくところによりその半額以上を国債整理基金に入れます、こういう答弁なのかな、こう考えながら答えてみました。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 総理、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。締めたときには今の税収の数字は正しいでしょうか、こう言っている。  そこで、これはお互いにはっきりしておいた方がいい。私は、大蔵省が毎月発表しています税収実績等の数字の推移から見まして、今回の補正はなお過小である、補正以上の税増収があると判断しています。私の計算では少なくともあと五千億はプラス。これはあと二、三カ月したら安恒が正しかったか宮澤さんが正しかったかすぐわかることなんだから、私もいいかげんなことじゃない。私は私なりの計算をいろいろな角度から大蔵省からいただいた資料でしてみましたら五千億はあるということだけはこの際はっきり言っておきましょう。後は後でお互いに、あなたたちは大体正しいと、私はあと五千億は最低あると、こう言ったことだけははっきりしておきたいと思います。  じゃ次に進めますが、次は、今度は六十二年度補正予算の租税及び印紙収入の見積概要についてお聞きをしたいんです。私たちのところにはこれが果ておるんですが、この見積概要というのはこれでいいわけですね。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) 補正予算の見積もりにつきましては、「昭和六十二年度補正予算の租税及び印紙収入見積概要」としてお出しをいたしておるところでございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 私がここで聞きたいのは、見積概要というのはどういうことなんだということです。  それは各年度当初予算の審議で政府が国会に提出する租税印紙収入予算の説明と、特にその冊子の中で主要部分である各税の見積方法と同じ性格のものであるかどうかということをこの際、もしもそうであるならば、見積概要などと中途半端な言い方をするのではなくて、租税印紙収入の補正予算の説明として出すべきではないかと思います。また、冊子もこんな薄っぺら紙につづるんじゃなくて、きちんと製本をして提出すべきではないか。税収を単なる見込みということで扱いが少し粗雑過ぎやしないかと思いますが、どうでしょうか。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) 見積もりの性格といたしましては補正予算の説明にあるものと同じでございます。それからこのお出ししております見積概要でございますが、本予算におきましては御指摘のように「租税及び印紙収入予算の説明」として冊子としてお出しをいたしておるところでございますが、補正予算でございますので、従来からこの見積概要ということでお出しをしてきているところでございます。その内容につきましては、収入予算の説明に比べますと簡略な点も多々あることはあるわけでございますが、本質的には本予算でお出ししているものと同じ筋道で御説明は申し上げているところでございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 補正予算だから簡単でいいなんて言ったら後で今度は答弁に困っちゃうから、それだけ言っておきます。 私は、来年度からは、やはり補正予算であろうと、重要な資料だから、大蔵大臣、やっぱりきちっと冊子にして出してもらいたいと思います。  そこで、今度は当初予算と補正予算の主要税目の誤差率について答弁を大臣お願いします。どういう誤差率がありましたか。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) 補正予算の収入見積もりにつきましては、この十年、二十年来こうした方式で出してきておるところでございますが、御指摘によりまして、なお今後よく検討いたしたいと思っておるところでございます。  それから、当初予算と補正後予算との誤差率は全体としては四・六%ポイントになっております。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 答弁になっていない。主要税目の誤差率と言ったじゃないの。人の質問をよく聞いておってくださいよ、あなた。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) 主なものを申し上げますと、大きいところは法人税一兆八千九百八十億円、一六・一%でございます。一方、源泉所得税につきましては、これは減税を織り込んでおるところでございますので、補正後の予算額といたしましてはマイナス四・五%となっております。そのほか、主なものを申し上げますと、申告所得税七・八%、相続税一八・五%、物品税一四・一%、有価証券取引税四九・八%、こうした主なものとなってございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 私は、主要税項目ということでこのあれに従って言ったんですが、それを全部言われぬ。  そこで、総理大臣、あなたは今さっき言われたように、税の見積もりの一%の差は誤差の範囲で許容できると、こういうことを大蔵大臣時代に言われた。今、主税局長が誤差率をずらっと言ったですね。これは許容の範囲だと思われますか。総理、大蔵大臣、答弁してください。まず総理、答弁してください。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 別に定義があって計ったわけじゃございませんけれども、そういうことを言ったということは正確に記憶しておりますし、余り自信を持ってそういう数字を言うべきでなかったなという重大なる反省もいたしております。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 いや、私が聞いているのは、許容の範囲でしょうかと。五〇%も誤差があるやつがあるんですからね、そのことを聞いているんですよ。反省はいいんですが、どうですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それは許容の範囲だと申し上げるわけにはまいりませんので、いろいろな意味で政策判断、政策決定にこういうことから御迷惑をおかけいたしたと思います。おわびをしなければならないことだと考えております。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 私どもが主税局に対GNP比で税収予測を言いますと、それは不正確だ、各税目を積み上げてやらなきゃだめだ、こう言って僕たちに反論するんですね。その反論する主税局がこんな大きな誤差を出してどういうことなんだろうかというふうに私は申し上げておきます。  そこで、ちょっと今度はその補正の中身について聞きたいんですが、この見積概要を私は一生懸命勉強しました。ところが、これではわからないんです。例えば、一番誤差の大きい有価証券取引税を見ると、こう書いてある。当初の見込みに対して五〇%近くもふえているのに対して見込み違いには、「最近における課税実績及び取引状況等を勘案」したとだけ書いてある。役人の文章はこれで合格かもわかりませんけれども、五〇%も税収がふえた説明にこれでなるんでしょうか。納税者、国民はもちろん、私たちは議会で審議に参加しています。特に国民の代表である私たち、議会でしかも予算委員です。予算委員というものが、当初一兆一千七百九十億の税収見込みが五千八百七十億も増収になるということがわからないばかりか、この補正の見積もりが今度は妥当か否かも判断を下さなきゃならぬのが私たちの使命なんです。ところが、これをいただいて、これで読み取れと言われても全然その中身はわかりません。どういうふうにこれを読み取ったらいいんでしょうか、説明してみてください。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) 有価証券取引税につきましては、御指摘のように一番誤差の大きかった点でございますが、これは税の性格からして非常に変動の大きなものでございますのでこのような大きな誤差率を出してしまったところでございまして、不明をおわびする次第でございます。  六十二年度といたしましては、それに入りますと、四月、五月、六月、各自の実績を見てまいりますと、四月は二四〇%、五月が一九〇%、六月が一五〇%と年度前半におきましてはかなりな伸びを示しておったところでございますが、七月には前年比マイナス一〇%、八月は今度はまたプラスの二・六%というふうに、前年が非常に伸びたことを反映いたしましてやや鈍化してまいりました。後半は前年におきましてもかなりな伸びを示したところでございますので、それに配意いたしまして前年比は五%マイナスというふうな、見積もりの方法としてはそのように計算をいたしておるところでございますが、御指摘のように、この表現におきましては「課税実績及び取引状況等を勘案して」というのがこの文言になっておるわけでございますが、まさに最近におきますところの課税実績、そのような意味として使わしていただいているところでございますし、「取引状況等」と申しますのは、前年の取引の伸び、そうしたものをことしどの程度見るかという、そういう「取引状況等を勘案して」という文言を使わしていただいたところでございますが、その内容につきましてやや不親切であるという御指摘はある意味ではそういう点もあろうかと思いますので、今後の作成に当たりましては配意さしていただきたいと思います。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 私は、これでそれが読み取れるかと聞いているんだよ。読み取れなかったら読み取れない、申しわけなかったら申しわけない、詳しく書きますと言ったらどうだね。ある意味ではとはどういうことなんだ。これで読み取れるか――よし、わかった。それじゃ大臣に聞きましょう、そこまで言うのならしようがない。どの大臣でもいいです、私が当てますから。  まず物品税ですね。これは二千八十億補正。それもこう書いてあります。「最近における課税実績及び消費状況等を勘案して」といって、その中身の説明はありません。そして課税見込みが当初よりも四百億円減っているんです。ところが、税金は当初見積もりよりも二千八十億円ふえていることになっています。これで大臣の皆さん、全部閣議でこれを御承認されているわけですからね。ですから、いわゆる物品税の中身を、これで今言ったことを含めてどういうふうに大臣たちは御認識をされて閣議で賛成をされたんでしょうか。税制に非常に詳しい総理、それから数字ですから経企庁長官、全大臣にこれを言わせるとやっぱり時間がかかりますから、お二人代表して。これで、いいですか、これしかないんですから、これしかないのにどうしてそういうことがわかるんでしょうか。  まず経企庁長官から説明して、それから総理、説明してください。

中尾栄一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(中尾栄一君) 私どもは竹下内閣の一員でございまして、先ほど来竹下総理並びに副総理であり大蔵大臣でございます宮澤先生の方からの御答弁でございますから何ら申し上げるすべはございませんが、先ほどの委員の御質問にございますその誤差値はどうしたものなのかということでございますが、税収見積もりにつきましては、従来から担当官庁である大蔵省そのものが最善の努力を尽くして適正に判断をしたものであろう、こう考えておるわけでございまして、そのようにまた承知しておるわけでございます。したがって、御指摘のことにつきましては、見積もりの方法論その他については概要を示したものと、このように理解をしておるわけでございますが、なかんずく御指摘の物品税の問題、この問題などは当時私どもは売上税を遂行しようというような考え方がございましたので、そこで物品税はそのときに廃止をするという方向づけに私どもは動いたわけでございます。したがってその物品税の分は、売上税がこのような状況になりましたので、そのまま賦課されておった、こういうことになりますので、その点も御理解のほどを願い上げたい。  有価証券の問題は先ほどの大臣の御答弁のとおりでございます。  以上です。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 最近の課税実績と将来の見込みというのが決まった言葉といいますか、率直に言ってそれが決まった言葉であることも事実でございますが、大きく言えばその言葉の中にすべて含まれておると言えるでございましょうが、個々にわたって詳しく説明する必要というものはその都度私もあるなと率直に思っております。ただ、自分自身翻って見ますと、六兆円の歳入欠陥が出て見積もりが違うじゃないかと言われた時代、あるいは私が一%は誤差のうちじゃないかと言った時代、しかしそのときもいわゆるしょうちゅうブームによる酒税の大変な見込み違いをやったわけでございますけれども、やっぱりそういう見積もりであるだけに歳入というのは、可能な限りの努力はしなければならぬもののそういうこともあり得ることだと。そこで、こうした叱正を受けるということがまた緊張すると、こういうことにはね返ってくるんじゃないかなと思います。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 委員長、私が今聞いているのは誤差率のことを聞いているんじゃなくて、我々はこれを審議しなきゃならぬのです。ところがこれだけのことしか書いてないんですよ。私たちはこれだけしかもらってないんですよ。これだけを見て、経企庁長官、あなたはこの中身がわかるんですかと。  というのは、私はまずいわゆる年度当初の各税の見積もり方法というこの詳しいのとこれと突き合わせ、さらに私は私なりに一生懸命作業をしてやっとわかったんですよ。でないとこれだけ見てもわからない。しかし、あなたたちはわかると言うから、じゃこの中身を、一種が幾らふえてどう減って、二種はどうなってどうなった、当初見積もりはどうだったというのを経企庁長官に説明してくださいと、こう言っている。何も誤差率のことをいいとか悪いとか言っているんじゃないんですよ。これだけしか我々には提示されていない。これで物品税の項目が本当に国会議員が審議をするのに十分な資料でしょうか。そうでなけりゃ、あなたたちは少なくとも知らないで決めるわけはない、何か知っているんだろう。それで私は私なりに一生懸命勉強して、ああこういうことでこれはこの計算になるなということを理解しました。  そういう資料を国会議員に与えてないんだよ。これだけしか出さない。これだけしか出さないでわかるんですか。宮澤さんは大蔵大臣だからわかるでしょうが、ほかの大臣、閣議でみんな一蓮托生で異議なしと決めておるんでしょうが、異議なしと決めるときにこの中身がわかってお決めになったんですか、この中身が。いいですか、当初予算と補正とのプラス・マイナス。減額からどこにどういうふうになってどうなったのがあるなら、それは経企庁長官ですからひとつ御説明くださいと、こう聞いている。それだけの話です。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それは、これだけの見積概要だけの資料でこの中身がわかるかとおっしゃれば、それはおっしゃいますようにわかりません。一種、二種と書いてあるだけでございますから、物品ごとに幾らということをこれだけからわかれといっても、それはこの内訳を見なければわからないのはそのとおりでございますから、御審議に当たってもっともっと細かいものを出せとおっしゃれば、それはもう資料はいつでも提出をさしていただきますが、ある程度こういうものはやはり概括をいたしましてまず差し上げるというのが普通のことではないかと思います。 例えば、酒税につきましては清酒、ビール、ウイスキー、その他、合計と、このぐらいの大分類でごらんをいただくということは一つのやはり資料の提出の仕方だと思いますので、それに従ってさらに細目を出せと御要求があれば、それはいつでも政府として持っておりますものをごらんいただくと、こういうことでございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 出せと要求があれば出すというそこの姿勢が気に入らない。これじゃわからないんだよ。これだけでわかりますか。これだけでわかるなら、竹下総理説明してみてくださいと竹下総理にお願いしたいんだ。あなたは大蔵で、竹下総理どうですか、当初見積もりとこれとの動きについて、一種がどのようになり二種がどのようになってどうなったというのがこれだけでおわかりになりますかと聞いているんです。わからないでしょうと私は言っている。わかるならば大蔵大臣以外の方でどうだと。大蔵大臣はそれはあなたは専門でこれをやっているんだからいいんですが、私はほかの大臣に聞いておる、わかりますかと。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 私が申し上げておりますのは、これだけの資料ではこの資料の下にあります一つ一つの品目についての動きはこれはわかりません。私自身もこの資料だけではこれはわからないのが当然でございます。しかしながら、資料というものはもともと、一種がこれだけ、二種がこれだけ、合計がこれだけで、補正前との差はこれだけでございますと一つ一つの税目についてこれは一応まとめて申し上げておるわけでございます、これだけのもので。さらにその詳しいものをとことんまで皆様にお出ししなければならないのか、あるいはこの物品税についてはどうだというお尋ねがあって差し上げればいいのか、それはやはり一つの行政の判断だと私は思っております。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 細かい一種の中身の品目まで聞いているんじゃないんですよ、宮澤さん、いいですか。六十二年度課税見込みから一種は当初の千六百八十億から補正で千七百二十億に四十億ふやす、第二種は当初の一兆六千九十億から補正で一兆五千六百六十億、四百三十億減少して合計で云々と、こういうぐらいの数字はこの中で読み取れないでしょうと言っているんですよ。それを出して初めて審議ができるんじゃないですか。 私は品目を言っているんじゃないんですよ。そういうものが全然これはないじゃないですか。  少なくとも当初予算とこれを各国会議員が自分で一つ一つ突き合わせなきゃわからぬようなことで、それで行政の判断だとあなたは言い切るのかね。総理、それでいいのかね。補正予算の審議のときにそれで言い切るのかね。おまえたちは自分で勉強せい、これとこれと全部突き合わせてそれで判断せいとあなたたちは言うのかぬ。総理、あなたの姿勢を聞かせてください。冗談じゃないよ。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) この資料には、最近における見込み額が第一種一千七百二十億円、第二種一兆五千六百六十億円、合計一兆七千三百八十億円とし、このうち一兆六千九百四十億円は本年度収入見込み額といたしました、そして残りは繰越滞納分の収入見込み額を加え還付見込み税額を引きまして一兆六千八百六十億円といたしましたと、こういうふうに書いてございまして、この限りにおきましてこれは大変はっきりいたしておると思います。もしまた、しかしその一種、二種の中身ということになればこれはまたさらに細目を申し上げなければならないわけでございますが、この限りではこれは極めてお読みいただいて別に難しいことはない。ただ、この細目を示せと、それが御審議に必要だとおっしゃれば、それはもういつでも政府は細目をお目にかけるということだと思います。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 それじゃ三番目、相続税。これも当初見込みで二千八百億増加になる。しかしその内容は全く不親切きわまりありません。「最近における課税実績等を勘案」しただけとありますから、具体的に主税局、その中身を、当初予算との関係でどういうふうになったか、ひとつ全部しゃべってみてください。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) 相続税につきましては、御承知のような地価の動向等を反映いたしまして、年度途中におきまして対前年度伸び率が私どもの当初見込んだよりもかなり高いものとなっておるわけでございます。そうした年度途中までの実績、これを反映いたしまして計算をいたしておるというのがこの最近の「課税実績等を勘案して、」という文言でございます。相続税について申し上げれば大体二割、三割程度の伸びを示しておる、そういうところを反映して年度後半を二七%の伸びで見ておる、これがこの文言の意味しているところでございます。  これが、先ほど御指摘のように、これでもって全体を読み取れるかということでございますと、この範囲におきましては、そういう点はやや不親切な点があるということは御指摘のとおりでございます。御要求によりまして、なおよく御説明を申し上げたいと思います。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 これを正確に読み取るためには、当初予算の課税件数が幾らか、納税人員が幾らか、課税財産価格が幾らなのか、遺産に係る基礎控除がどうなって、差し引き価格はどうなっているのか、一件当たりどうなのか、算出額、一人当たり平均税率、こういうものを全部見ないとわからないんですよ。  それを、これでわかるから、要求があれば出すというから、それじゃ資料を出してください。資料が出て審査をし直します。私は審査できません。おまえさんの方の要求があれば出すというから、私は残念ながらこれでは読めません。また国民に責任が持てません。そこで私は要求します。出し直してください。それから補正予算を審議しましょう。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 速記をとめて。    〔午後三時五十四分速記中止〕    〔午後四時十一分速記開始〕

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 速記を始めて。  宮澤大蔵大臣。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御提出しております。「補正予算の租税及び印紙収入見積概要」をもちましては、御指摘のとおり十分ではないと存じますので、概要をさらに詳しい説明をつけまして提出いたします。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) ただいまの大蔵大臣の発言の件につきましては、理事会において協議いたします。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 それでは理事会における善処を要望して、次に行きたいと思います。  次は、市町村国保問題についてお聞きをしたいのでありますが、主として老人保健法との関係でありますが、退職者医療制度の加入数の見込み違いによる市町村国保財政への影響について、厚生省は二つの点で老人保健法による財政効果を当て込んでいます。一つは、六十二年度以降は老人保健法による按分率九〇の移行などの効果が期待できるので、これまでのような補てんは一切しない。また第二番目には、六十一年度には老人保健法の改正による財政効果二百七十一億を見込み違いによる影響に対する財政措置として計上しておりますが、以上聞違いありませんか。

藤本孝雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(藤本孝雄君) 間違いございません。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 そこで厚生大臣に聞きたいんですが、政府も期待をしている老人保健法による財政効果というのは、要するにサラリーマン保険からの拠出金であります。退職者医療制度の加入数の見込み違いによる市町村国保財政への影響を、サラリーマンの労使の皆さんに穴埋めにつき合ってください、こういう意味の趣旨説明があったでしょうか。六十一年老人保健法の改正の当時を思い起こして、改正の理由というものはどういう理由があったか説明してください。

岸本正裕厚生省保健医療局老人保健部長

○政府委員(岸本正裕君) 老人保健法の改正に当たりましては、専門審議会であります老人保健審議会において、制度全般にわたって御審議をいただいて、昭和六十年の七月に、加入者按分率については多数意見として、老人の医療に要する費用を公平に負担する観点から「一〇〇%をめざして検討すべきである」などを内容とする中間意見をいただいたところでございます。この中間意見を踏まえまして加入者按分率の引き上げ等を内容とする改正案要綱を諮問いたしまして、答申をいただいたところでございます。厚生省といたしましては、老人保健制度の長期的安定を図り、長寿社会にふさわしい公平な負担システムを確立するという趣旨から御審議をお願いしたものでございまして、この趣旨を踏まえ、答申をいただいたものと理解しております。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 それで大臣、そうですね。増大する老人医療費の対応とか負担不均衡の是正、こういうことが言われている。しかし、見込み違いによる後始末、これはその改正の趣旨には全く含まれていなかったと思いますが、その点どうですか。大臣に聞いている。

藤本孝雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(藤本孝雄君) そのとおりでございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 そうしますと、行政当局の見込み違いによる後始末をサラリーマン労使に協力を求めるのはおかしいのではありませんか。少なくとも見込み違いの分は国が一般財源で対応すべきだと思いますが、さらに、どうしても国がし切らぬというならば、せめていわゆる社会保険審議会及び老人保健審議会に諮って同意を求める、これが筋じゃないでしょうか。大臣、二点についてお答えください。

藤本孝雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(藤本孝雄君) 退職者医療制度の見込み違いによりまして、よく御存じのことでございますから恐縮でございますけれども、総額三千六百億余の見込み違いを生じておるわけでございます。六十年度、六十一年度で一般会計から補てんをいたしまして、六十二年度はその残の千八億円につきましてお願いをいたしておるところでございまして、その中に今御指摘の二百七十一億円が入っておる、こういうことでございます。  老人保健制度の導入と改正につきましては、今先生御指摘のように、医療保険制度間における老人医療費の負担の公平を図るという趣旨で法律をつくり改正を行っておった次第でございまして、その結果として、これまたよく御存じのように国保財政全般は非常に安定向上した、こういうことになってきたわけでございます。そこで我々といたしましては、この国保全体の財政の安定の中でほとんどの見込み違いの金額は一般会計から補てんしておるわけでございますけれども、二百七十一億円につきましては、この安定をしてまいりました国保財政の中で対応さしていただいても御理解いただけるのではないか、そういう考え方でお願いしておるわけでございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 それは大臣、全くあなたのひとりよがりだよ。老人保健法を改正するときにはそういうことは一言も言っていないんですよ、一言も言っていない。そして、見込み違いをやったのは行政なんだ。この行政によって見込み違いをした分について、私は埋めるならば、それはやはりこの二百七十一億も国庫の負担で埋めるべきじゃないか。しかし、どうしても国庫負担でし切らぬというならば、いわゆるサラリーマンの健康保険制度を審議している審議会があるわけですから、そこの審議会にかけて、ここからこういうふうに持ち出したいということの同意を得るぐらいのことはやるべきであって、人の金を黙ってただで持っていったらいかんわね、ただで。そのことを聞いている。だから大臣、少なくとも社会保険審議会及び老人保健審議会に、二百七十一億はここから持ち出しますよということの承認をとるべきじゃないですかと、こう聞いているんだよ。

藤本孝雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(藤本孝雄君) 我々が老人保健制度を導入し改正をしてまいりましたのも、国保の財政の安定のために各制度間の老人医療費の負担の公平を図るという観点からお願いしてきたわけでございまして、そういう趣旨で、これまた大変恐縮でございますが、安恒先生よく御存じのとおり、社保審には御報告、審議会には諮問、答申をお願いしたわけでございまして、その諮問をお願い申し上げましたのは、あくまで制度間の負担の公平を図る、国保の長期安定のためにそういうことを御検討いただいたわけでございますので、そういう趣旨で答申をいただいておるというふうに理解をいたしておりますので、せっかくの御指摘でございますけれども、そういうことはしなくてもいいのではないかと考えております。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 理解できません。増大する老人医療費の対応とか負担の不均衡の是正、こういうことはそのとき国会でおっしゃいました。しかし、国保の財政安定のために老人保健法を改正するなど全然言っておりません。  しかし、もうきょうは時間がありませんから、いずれこれはまた本予算の審議のとき、もしくは法律の審議のときに言います。 あなた、いま少しよく勉強しておかなきゃいかぬわね、過去のことをよく勉強しておかないと。 あなたが言ったようなことを当時言ったら大ごとになりますよ。国保の財政安定のために老人保健法を改正するなどということは一言も言ってない。私はちゃんと当時の議事録を読んで、増大する老人医療費への対応とか負担の不均衡の是正、これは言っていますよ。しかし、国保財政安定のために老人保健法を改正するなどという提案説明を当時受けた覚えはありません。このことだけはっきりしておきます。  では次に、時間がありませんからそれで第二ですが、国民健康保険、五十九年の改正で国庫負担率、医療費の四五を三七、給付費の五〇に引き下げましたね。その当時これを引き下げる理由を政府は二つの角度から答弁をしていますから、その中身を答弁してください。

藤本孝雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(藤本孝雄君) 一つは、国保の財政のそのときそのときの状況に応じまして国の負担率の見直しを図ってまいる、それから医療保険制度間の国保の負担のバランスもあわせて考える、それからさらに、社会保険システムを採用している以上は社会保険料中心であるべきという考え方に立ちまして給付費の二分の一の国庫補助率が限度である、こういうふうに考えた次第でございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 正確に整理しますと、一つ、給付費の半分以上を国が負担するようなことは社会保険の基本性格から見ておかしい。二つ目には、退職者医療制度加入者を四百六万人と見込む一方、国保の保険料負担の割合を現状どおりと仮定すれば国庫負担率は給付費の五〇%に引き下げることが可能になる、こういうことも当時きちっとした理由として挙げられていますか。間違いありませんか。

藤本孝雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(藤本孝雄君) 間違いないと思います。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 それでは、今挙げました理由の二つ目に絞って質問をしたいと思いますが、退職者医療制度の加入者は当初四百六万人ではなくて実は二百六十万人になってしまったのです。ですから、この四百六万人が二百六十万人だとすると、同じ仮定のもとで国庫の負担率はどの程度でないとバランスがとれないというふうに試算をしたか、その試算を示してもらいたい。  二つ目には、当初二百六十万人が六十二年十一月現在では既に三百五十万にふえ、見込み違いの幅はだんだん少なくなったと言っています。しかし、比べるときの数字は当初が四百六万人ですから、それがその後どういうふうに増加するか、当時将来の推計をしておったはずです。それも示してください。

下村健厚生省保険局長

○政府委員(下村健君) 二百六十万人ということで影響額が六百七十億というふうに推計いたしておるわけでございます。六百七十億を国庫負担率に換算いたしますと二・九%というふうに試算をいたしております。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 私の聞いたことに答えていないので、いいですか、当初は四百六万人ぐらいこっちに入ると。それだからこういうふうにいわゆる医療費の給付率を下げればいいと言ったんだ。ところが、実際は二百六十万人だったんだからこの四五%を三九に引き下げた、この三九という数字はどうなるのかと。同じことを言わせないでくれ、時間がもったいないから。これが一つ。  さらに第二問としては、当時、将来どういう推計をしておったのか、その推計が現在どうなっているのか、こういうことを聞いているんだ。時間がもったいないから正確に答えてください。正確に、人の質問に。きのう質問通告してありますよ。

下村健厚生省保険局長

○政府委員(下村健君) 当時の加入見込み数でございますが、各年度ごとの見通しではございませんが、当時見込んでおりましたのは、五十九年度が四百六万人、二十年後に七百万人、三十年後に七百六十六万人、四十年後が六百九十四万人というふうに見込んでいたわけでございます。  それから実績の加入者数の増は、およそ毎年三十万人ずつの増加というふうな実績になっております。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 私の質問に答えておりません、第一問には。――委員長、注意してください。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) もっとはっきり御答弁を……。

下村健厚生省保険局長

○政府委員(下村健君) 失礼いたしました。  国庫負担率の点ではないかと思いますが、ただいま申しましたように二・九%をプラスするということになりますと、三八・五%の国庫負担率に対しまして四一・四%というふうに考えられます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 それでは、あとの推計のやつは、そこでべらべら読み上げられましてもわかりませんから、具体的な資料を整備して私のところにお届け願いたい。これはまた、本予算のときに十分審議したいと思います。  以上をもって終わります。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 以上で安恒良一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 次に、下田京子君の質疑を行います。下田京子君。

下田京子日本共産党

○下田京子君 越智建設大臣に伺いますが、今大阪で参議院の補欠選挙が行われております。去る十一日、自民党の候補の応援に行かれましたね。その際、市内のロイヤルホテルで大手土木建設会社の幹部の皆さんを前にいたしまして、大臣は、予算をうんと持ってきますから後は皆さんが仲よく分けてくださいというふうなことを述べまして、その見返りに業界全体で票を組織するように要請されています。それに対しまして、露骨な利益誘導はけしからぬ、公選法違反ではないかというふうな声が上がっています。大臣、どうなんですか。

越智伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(越智伊平君) 去る十一日の建国の日に、午後、大阪に参りました。かねてから業界の知り合いの方からぜひ一度来てくれというお話がございまして、参りました。そして、数十人の方が集まっていらっしゃいました。そこで、その前に、到着いたしまして、五、六人の方から、大阪は非常に地盤沈下、こういうふうに言われておる、公共事業も非常に少ない、どうなんだ、こういう話がございました。もう一点は、花博の博覧会、六十五年に開催するわけでありますけれども、一時に各業種が入るのは非常に混雑をするというようなお話がございました。その雑談のときにそれにつきましていろいろお話をいたしましたら、そのことを皆さんの前で話してくれぬかと、こういうお話がございましたので、私は、今まで大阪は地盤沈下と言われておったけれども、事公共事業につきましては地上げでないが地盤上昇である、こういう話をいたしました。  それといいますのも、御承知のように関西新空港あるいは学研都市、あるいはただいま申し上げました花博、あるいは明石大橋等々の事業がございますし、それに関連する事業がたくさんございますので、そういうもので大阪は近畿地方を含めてうんと公共事業が多い、私が見ましても予算の配分は大阪が非常に多い、こういう話をいたしました。そうして、先ほど申し上げましたように、花博にいたしましても、地下鉄あるいは道路、下水、水道、電気、また建物、いろいろな業種が入ります、造園もありますね、そういう業種が入りますので、ひとつ皆さん仲よくやってくださいよと、こういう趣旨の話をいたした次第であります。  以上であります。

下田京子日本共産党

○下田京子君 うんと多いですよと言っているんじゃないんですよ、大臣。うんと持ってきますと言っているんです。しかも大臣は、予算審議がおくれた場合には暫定予算へ思い切ってたくさん予算を入れるよとまで言われているんですね。予算は国民の税金ですよ。党利党略に利用するというのは問題なんです。ましてや業界との癒着、金権問題でこの選挙が今行われている。そのさなかでの発言だという点でのその責任、これをきちっとやっぱり認識する、自覚する、そのことが必要だということだけ述べておきます。

越智伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(越智伊平君) ちょうど二月十一日は御承知のように衆議院で予算がとまっておりました。そのことにつきましても、皆さんが私らが思うより以上に心配をしておりました。予算がどうなるのであろうか、年度内に成立するのであろうかというようなお尋ねがございましたから、それはそういうことはないでしょうと。予算は皆さんの御協力をいただいてきっと年度内に通過をするであろうと思いますけれども、万々一予算が通らないときには暫定になるかもわかりませんけれども、皆さんに御迷惑をかけないように正常化するようにひとつやりたいと思います、こういう話をしたような次第であります。

下田京子日本共産党

○下田京子君 言ってないことを言った、言っていることを言わないというのはおかしいですよ。しかし問題は、予算を持ってきます、だから票を集めろ、これは利益誘導、これはけしからぬです。  次に、農業問題で質問します。  総理、あなたは日本農業を根底から崩すガット勧告をなぜ受け入れたんでしょう。これ以上の市場開放をするな、沖縄のパイン農家にとってはまさに死の宣告、北海道は三十万の離農者と失業者でふるさとは壊滅のおそれと怒っていますよ。そして日本の経済の根幹、農業を守れと言っています。その声をどうして受けとめられなかったのか、納得のいく御説明をいただきたいです。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) ガットパネル裁定受け入れ問題でございますが、この二月の理事会においては、パネル報告中我が方として同意できない点をきちんと指摘した上で、最終的に一括採択に応じたというのがまず原則でございます。ガット締約国でございますから、当然紛争処理手続を尊重する立場、そうして総合的な観点から我が国の利益を確保していく上でのぎりぎりの選択であったというふうに私はこれを理解しております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 あれこれ言われましたけれども、最大の理由はレーガン大統領との約束を最優先させたということだと思いますよ。なぜか。去る首脳会談でレーガン大統領が農産物の輸入障壁の撤廃、これを明確に言われました。シュルツ国務長官は、十二品目のパネル勧告を重視せよとつけ加えられました。そのとき総理は、二月の理事会できちんと対応すると約束された。そして今言われたように、あれこれ言われたけれども、ぎりぎりの選択だといって、結果としてはガット勧告一括受け入れをしたんです。やはりこれはレーガン大統領との約束、公約最優先。結果が示していると思うんです。私は申し上げたいんです。アメリカへの気配りではなくて、日本国民に対する気配りこそ今必要じゃないだろうか。日本農業を守るという姿勢があれば受け入れ拒否はできたということなんです。  伺いたいのは、ガット理事会の場で、ECと韓国、無条件に支持するという態度だったでしょうか。違うと思うんですが、御説明ください。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) お答え申し上げます。  我が国の農産物十二品目が討議されました二月の理事会におきましては、当事国の日本と米国以外の十カ国ほどが発言を行って、その中には韓国に対しましていろいろ問題点なり疑問を呈した国もあったわけでございますが、その主な発言を御紹介申し上げますと、採択が決まる前にECは、その報告書の判断は本件のみに限定されると理解するという短い発言を行っております。    〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕  また採択が行われました後フィンランドは、北欧を代表いたしまして、報告書は十一条――これが数量制限の原則禁止の例外を認めている条文でございますけれども、この解釈につきまして、農産物の要件でございます保存性がないこと、ペリシャビリティーということで呼んでおりますけれども、こういう判定について必要以上に限定的に解釈をしておるのではないか、そういうような発言がございました。

下田京子日本共産党

○下田京子君 オーストリア、カナダ等も。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) カナダにつきましては、これも採択後の発言でございますけれども、同じく十一条の解釈につきまして、同種の産品という、いわゆる国内で生産制限をしておる品目と輸入制限の対象となっておるものとが同種の産品でなければならないという要件がございますけれども、これを狭義に解釈をしておるということを言っております。  またオーストリアは、報告書にはウェーバーの問題と締約国の権利義務に不均衡が見られるというような、これは日本がいつも主張している立場でございますけれども、そういう発言がございました。

下田京子日本共産党

○下田京子君 他の国々もアメリカの言い分に全面賛成じゃなかったんですよね。条文の解釈にいろいろ疑問を述べているんです。そして、基本的には日米間のことだからどうぞと、うちの国にはそれを及ぼさないようにしてくれ、こういう格好で、自分の国の農業は保護していきますよ、こういうことだったと思うんです。  日本政府も条文の解釈には大変強い疑問を持っていたと思います。どのように発言されていますか。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) 我が方がこのパネル報告の条文解釈について発言をした内容でございますが、先ほど申し上げましたガット十一条二項の(c)というところでその要件が決められてあるわけでございますが、そのうち特に農産品であるという要件でございますその保存性のないこと、ペリシャビリティーの認定について、取引なり貿易の実態から乖離した非常に形式的な判断を行っておるということが第一点でございます。  それから第二点は、パネルの国家貿易に関するガットの関連条項の解釈につきまして、これはガットの制定経緯を無視して、条文の解釈として厳密さを欠いていて、解釈として不適当であるという指摘を行いました。このような指摘をした上で、次のような立場を表明したわけでございます。  まず第一に、乳製品とでん粉についてのパネルの十一条の解釈には同意できない、今後これが使用されることにつき我が方の立場を留保する。  第二点は、国家貿易に関するパネルの関連条項の解釈につきまして同意しない、できない。今後これが使用されることにつき我が方の立場を留保する。報告書が一括採択されても、そのことが国家貿易関連条項についての一般的解釈を樹立するものではないと理解する。  以上のようなことを発言したわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 それだけ疑問があるのに受け入れたというのが問題なんです、総理。  次に、ガットの紛争処理の手続の基本的性格がどういうものなのか。これまた説明されていると思います。改めてどうぞ。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) ガットにおきます紛争処理、この基本的性格でございますけれども、これは我々としてはやはり調停的なものであると解しております。当事国間での紛争解決の努力をできるだけ慫慂し和解を図るという基本的な考えのもとで、最終的にはその当事国を含んだ締約国全体としてその解決を図ろうとするものでございまして、厳密な意味での司法的性格のものではないというふうに解しておるわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 ガットは裁判所でない、調停的だ、多数決で決定する場でもないんだ、当事国がいやならいやだと言えるところなんだということが明らかになったと思うんです。  私が次に申し上げたいのは、農業保護が対日批判の原因だろうか。そうじゃない。日本農業の置かれている厳しさ、こういう点で考えるなら受け入れるべきでなかった。この点について政府自身が二月二日の理事会できちんと発言されていると思います。パネルの審査に関して関連事項としてどう発言されていますか。    〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) このパネルの審査の際に幾つかの点を、関連事項といいますか、関係のある要素として我が方は発言をしておるわけでございます。  第一に、日本は農産物についての輸入アクセスの改善にこれまで努めてきておる。現に世界最大の農産物純輸入国として農業貿易の発展に貢献をしておると。第二に、農産物貿易の分野につきましては、米国自身のウェーバーに基づく輸入制限を含めて多くの国で輸入制限的措置が実施されている。これが現実であるということ。それから第三に、現在、公平でかつ現実に運用可能な新しいルールの策定を目指しましてウルグアイ・ラウンドの農業交渉が進められているということが、このパネルの審査においても勘案されるべきであることを主張したわけでございます。しかし、パネル報告にはこれらの点を全く考慮しておらず、著しく公平を欠いた結論を導き出しておるということを指摘し、発言をいたしました。

下田京子日本共産党

○下田京子君 総理、お聞きになりましたか。とすれば、結論は勧告受け入れ拒否なんですよ。第一にガット勧告の条文の解釈から見ても疑問、そしてガットの性格からいってもいやなものはいやだと言える、日本農業の実態からいっても純農産物輸入国、そういう点からいってガット勧告は拒否すべきものというのが明らかになったと思うんです。この原点に立ち返らない限り、今アメリカは何と言っていますか。今度は牛肉、かんきつ類のガット提訴だと言っていますでしょう。その次には何か。お米もガット提訴だということになりますでしょう。ガット勧告を一括受け入れたということになれば、それをきっちり国際的な場でアメリカにオーケーを与えたことになるんですよ。本当に農業を守るという原点に立ち返らなかったら、これは本当に大変なことになります。総理の御答弁。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 今眞木局長から正確に日本の立場を表明したことが報告がございました。私どものその線でもって表明すべきものであるという訓令に基づいての発言であります。  がしかし、今おっしゃいましたが、いわゆる拒否しろと。拒否した場合どうなるかというような点をもろもろ考えた場合に、国際社会における立場と、そして我が国農業はさればそれに対応してどうすべきかという国内問題等を総合的に勘案したぎりぎりの判断だと、こういうことでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 国際的立場とおっしゃいましたけれども、いいですか、これは農業を守るという姿勢があったらガット勧告を拒否できるんですよ。かつてアメリカは乳製品をオランダから提訴されたんです、ガットに。そして、一たんはアメリカもわかったといって受け入れたんです。しかし最終的にどうかというと、ウエーバーを取得しまして、現在もなおかつアメリカはこの酪農製品の輸入制限を貫き通しているんですよ。そうでしょう。詳しく御説明ください。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) 過去に勧告を守らなかったという例、最近では見当たらないわけでございますけれども、かなり昔、一九五一年にオランダと米国の間で酪農品の問題につきまして提訴の問題がございまして、その経緯は今下田委員からお話があったとおりでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 フランスとアメリカの例もありますよ。とにかくアメリカの農業保護というのは、今言ったように古い話じゃないんです。そして、取得したウェーバーというものが今も続いているんですよ。  このウェーバーというもの、どういうふうな理由でどういう実態で今やられているのか、御説明ください。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) ウェーバーと申しますのは、ガットの二十五条にありますように、ガット上のいろいろな義務の免除を許すという規定でございます。アメリカが一九五五年に、自分の国の農業調整法の二十二条というところに価格支持プログラム、価格支持の計画等を実施する条文があるわけでございますけれども、これに関連する品目について、今申し上げましたガットの二十五条に基づいて包括的に義務免除を取得したということでございます。  このほかに、ウエーバーというのは一般的な義務免除でございますので、ほかにも幾つかの例があると承知をいたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 アメリカが品目を何にするかも決められるし、期限も限定してない。その辺もちゃんと言ってくださいよ。そして、そうしたアメリカが自分の国を保護しておきながら日本に自由化を迫っている。  ウェーバー品目の中の乳製品について、アメリカの価格と国際相場、FOB価格でいいです、チーズ、バター、粉乳について御報告ください。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○政府委員(京谷昭夫君) 御指摘のございました品目について御答弁申し上げます。  まずバターでございますが、アメリカ産の国内価格、卸売価格でございますが、一キログラム当たり三・一九ドル。一九八六年でございます。これに対しまして主要輸出国のFOB価格でございますが、〇・八ドルから一・一〇ドルでございます。  チーズでございますが、アメリカ産の国内価格はキログラム当たり卸売価格で二・八七ドル、それから主要輸出国のFOB価格が一ドルないし一・一〇ドルでございます。  それから脱脂粉乳でございますが、アメリカ国内産のキログラム当たりの国産卸売価格が一・七八ドル、それから主要輸出国のFOB価格が〇・六八ないし〇・七二ドル、こういう状況でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 どうです、総理。日本は高い高いと言っていますが、アメリカはそういう国際相場に比べてもバターだけでも三、四倍も高いんです。つまり、ですから、日本と同じように自由化したら他国との競争に負けちゃうということなんです。そういう点でちゃんと保護しているんですよ。しかも、これらはアメリカにおいて、輸出が目的ではなくて国内消費が中心なんです。そして、その生産の担い手はどうかといいますと、農民的経営なんですよ。だから、アメリカでも、自国の弱い農業はきちんと保護しているんです。  ところが、日本はどうですか。前中曽根総理は日米諮問委員会の報告を指針にすると言われて、今回竹下総理は前川リポートの一層の実施だと。こういうわけで、石炭に次いで農業もつぶそうということになるじゃないですか。競争に勝てないものはつぶすんじゃなくて保護をしていくんだ、守ることが必要なんだ、これが国際的な常識、慣行じゃありませんか。どうです。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 今原則論としてお述べになったこと、私も知らぬわけじゃございません。十分知っておるつもりでございます。知っておりますから私もあなたと同じように国会に当選さしていただいているんじゃないかと、こう思っております。ただ、一方的な感覚でおっしゃいますが、私自身も、ウェーバー条項というもの、これは随分古い時代でありまして、たまたま日本がガットに加盟した年と同じくするわけでございますが、それについての問題点は同じような理解をしておりますので、それらが国際世論となって、ウルグアイ・ラウンド等で農業全体の問題が議論されるということになったのだなというふうに私は理解をいたしております。  なお、農業を見捨てるとかそんな考えは毛頭ございません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 農業を見捨てると言わなくても、結果が示しているんですよ。だづたら、なぜ一括受け入れしたんだと、こういうことなんです。要するに農業というものは工業に比べて大事なんだということ、ここが大事なんですよ。  念のために、西ドイツの農業法第一条でどんなふうに言われていますか。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) 西ドイツの農業法でございますけれども、これは一九五五年の九月に公布施行されたものでございます。農業の生産性の向上、他産業との不均衡是正、それから収支の償う健全な農家の維持育成といったことを目的とした、いわゆる基本法的な性格を持つ法律と承知をいたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 西ドイツもきっちりそういう立場から農業を保護しているんです。  御存じかと思うんですけれども、池田元総理の経済ブレーンでありました下村治さん、この方も「日本は悪くない 悪いのはアメリカだ」、その本の中で、自由貿易は絶対に善か。違うと。自国の経済を確立するのに弱い部分を保護するのは当然だ、こういうふうに言われております。また、元経済局長で、現国際農業交流基金の会長であります吉岡裕さん、この方は「アンポと牛肉摩擦」というコラムでこう言っています。日米間の農産物摩擦の根源は安保にあると。「最終的には、主権国家である日本の政府が決定するのであって、アメリカ政府が決めるのではない。農産物貿易摩擦で農業関係者が向いあう相手は」だれか、「日本政府だということをよく覚えておかなくてはならない。」、こう言っているんです。私そう思いますよ。その点をよく理解すべきだと思うのです。  さらに質問を続けたいんですが、農相、譲るべきは譲ると言って八品目の自由化の受け入れを決めましたね。具体的に聞きたいんですが、加工トマトです。加工トマト、確認したいんですけれども、ガット勧告で今回は農産品でないという裁定でしたね。しかしこれは過去の裁定と食い違っています。その点どう説明されますか。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) 非常に技術的な点もございますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。  今回のパネル判定の中には過去のパネルの判断と異なる部分もあるわけでございまして、パネルはそれぞれのパネルごとの判断を行っておりまして、必ずしも先例主義ではないということでございます。調停的性格を有するということを先ほど申し上げましたけれども、ガットの紛争処理手続にはパネルの判断に異なった見解を有す場合があっても、最終的にはやはり当事国を含めました締約国全体としてその解決を図ろうというものでございまして、紛争処理手続の有効な機能という見地から、あえて我々といたしましてもこのパネル採択を受け入れることとしたわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣に伺っているの。譲るべきは譲ると言って譲った加工トマト、どうしてなのかということ。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(佐藤隆君) 譲るべきは譲る、譲れないものは絶対に譲れないと従来とも申し上げているとおりでございます。農産物全体を考え、そして日本の国民に供給する食糧を安定的に供給していくにはどうするか、主要食糧は国内で自給体制をしいていく、足らざるところは安定的輸入体制をもってあわせて国民に安定的に供給をしていく、こういう立場から結論がそのようにちゃんとなっていくように進めておるわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 今の大臣の答弁だと、主要食糧でないから加工トマトは譲ったというふうにも受け取れますね。しかし、ガットの勧告からいったら自由化を受け入れる必要はないんですよ。  福島県の加工トマトの作付というのは約三割なんです。六十二年度で耕作農家は約千七百戸、そして粗生産額が十三億円、生産量が三万三千トン。地域にとってこれは農業で不可欠な重要作物なんです。お米転作の中心作物ですよ。私の町の石川町です。加工トマト栽培をしているお母さんたちと話し合いをしてきたんです。収穫期は朝四時起き、夕食は夜九時だというんです。本当に体が疲れる、大変だ。でも農業を好きだからやっている。その加工トマトをあなたは主要食糧じゃないからといって譲ってもいいと判断したんです  ね。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(佐藤隆君) トマトだけに限って申し上げたわけではございません。御質問はトマトについてでありますけれども、このたびガットにおける論議はいろんな品目があるわけであります。それを総括いたしまして申し上げておるわけでございます。  トマトについて言うならば、主要食糧でなくても、ガットのパネルの報告書、これを認めるべきか、認めないでいけるのか。それは国際化の中で日本が孤立するようになってはならぬのである。もちろんその前提には日本の食糧政策、我々の農業政策に禍根を残してはならないという苦渋に満ちたぎりぎりの選択がこのたびの採択を承認した。なお、その他に関することの経緯は、発言の経緯等を局長が実務的にちゃんとお答えをいたしております。総理からはまたそれなりの御答弁があったわけでございます、グローバルに申し上げておるわけでございますから。なおまた、トマトについて特に福島と言われましたが、長野にもある、私の出身の新潟にもあります。しかし、そういうことが地域農業にダメージを与えないように我々は考えねばならぬということで、二月の一日、ガット理事会の前日我が増におきましてはプロジェクトチームを発足させ、そして真剣な勉強を今続けておるところでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いろいろ言われましたが、大事なのは大臣、国際的に孤立化してはならぬというんでしたら、なぜ加工トマトは過去は農産品であるということでシロだったのに今回受け入れたかということなんです。それこそ問題なんですよ。しかも転作作物に何をつくれというんですか。たばこはだめ、コンニャクはだめ、そして今回の八品目もだめよとなったら、何をやったら暮らしていけるんですか。私は言いたいんです。  自由化はトマト加工メーカーの利益じゃないですか。既に加工メーカーは自由化を先取りして原料を海外に求めていますよ。そしてそれを武器に国内の農家にはトマト栽倍の減反を押しつけています。価格も現在キロ当たり四十円、一割カットだと、こう言っています。御存じのはずです。どう指導されていますか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(佐藤隆君) 何かこう怒られているような気がしましてね……

下田京子日本共産党

○下田京子君 怒っているのよ、私。怒ってるの、怒ってます。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(佐藤隆君) 本気に怒っているんですか。いや、私もまじめにやっているんですから。ただ怒られるような形で言われても答えるのにちゅちょいたします。  それで私は、このトマトについて、加工業界とトマト生産者がどのような契約でどのように運んでおるかということにつきましては実務者から答えさせます。

谷野陽農林水産省食品流通局長

○政府委員(谷野陽君) 加工用のトマトでございますが、これは申すまでもないことでございますが、全量を加工メーカーが引き取りましてこれをジュース等に加工するわけでございます。そういう点では加工メーカーと原料用のトマトの生産者はいわば一体として行動をしておるわけでございまして、従来から加工メーカーの方でも一生懸命に国内の販売等に努めておるわけでございます。  ただいまお話がございました契約でございますが、これは契約栽培は当事者間の問題でございまして、私どもはこのような新しい情勢の中で相互の理解で契約が進むように見守っているところでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 価格は企業任せでしょう。農民には生産費を割っても、損してもつくれと言わんばかりじゃないですか。  私が言いたいのは、日本最大の、今言いましたがトマト加工メーカーでカゴメなんです。これがどういう形で海外進出を進められているか、御存じでしたら御報告ください。

谷野陽農林水産省食品流通局長

○政府委員(谷野陽君) ただいま御指摘のように、カゴメは日本最大のトマトメーカーでございますが、原料でございますとかあるいは技術的な点で世界の幾つかの国々と提携関係があることは私どもは承知をいたしております。  例えば台湾でございますとかトルコでございますとかというようなところと技術的な提携関係あるいは合弁事業があるということは公表されているところでございますし、また世界の幾つかの国に駐在員の事務所を設置いたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 もうちょっと詳しく御報告ください。

谷野陽農林水産省食品流通局長

○政府委員(谷野陽君) 私ども個別企業の戦略内容について詳細に申し上げる立場にはないわけでございますけれども、公表されております幾つかの資料等から私どもが知り得たところによりますと、台湾に合弁会社がございます。またトルコとは技術的な提携関係からさらに合弁会社を設置する。これは主として技術的な問題の内容のようでございますが、そういうことを設置しておるようでございます。また、チリともそういう技術問題を中心に関係を持つようなことをやっておるというふうに会社の資料には出ておるわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 個別企業のことだから知り得る範囲にないなんというのは、もうそれはおかしいですよね。今述べられたこと、私、有価証券報告総覧等から出したもの、資料にあります。総理、後で、詳しく書いてありますのでごらんください。  ただ、もう一つ申し上げておきたいのは、トルコのトマト生産というのは、何ともうこの十年間で倍になっていまして、四百九十万トンも生産されているんです。カゴメの社長さんは何と言っているかといいますと、食品産業も国境が消えていく、この認識に立てと言って、トマト原料の海外生産と主戦場をアメリカに移しております。まさに利益第一ですね。でもって国際化、多国籍化を進めて、結果として日本の農業あるいは労働者を切り捨てていく、こういうのが今回の自由化の背景になっているんです。結果としてカゴメの後押しじゃないかと言われたって仕方がないんじゃないですか。農林大臣、どう思いますか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(佐藤隆君) そういうことではございません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 そういうことでないといっても、これまた結果が示しているんですよね。  ところで、総理はいろんなところで、消費者の立場を考えるべきだということを言っています。当然だと思うんです、私も。その点、だったら私たちが繰り返し申し上げておりますけれども、農機具、肥料などの独占資材価格を引き下げることがとっても大事なんですね。そういう点で、できるだけ安く供給する。  今回の自由化受け入れ、それをしようとしているかんきつ、果汁の問題で聞きたいんですけれども、一缶百円のブドウ五〇%の伍ジュースです、これを見てみますと、ブドウの原料代はわずか二十円です。それに対して缶代が二十七円なんです。諸外国を比べてみますと、伍代はわずかこれは七円から十二円なんです。本当に缶代、これこそ引き下げるべきじゃないか、こう思うんですけれども、どうです。

谷野陽農林水産省食品流通局長

○政府委員(谷野陽君) 缶代の数字のお話でございますので、私から御答弁させていただきます。  ただいま御指摘になりました数字、詳細には私どもなかなか確認できないわけでございますが、現在の二百ミリリットル程度の飲料缶のコストは二十数円であるというふうに私どもは把握をいたしております。また、外国の計数につきましては、これは缶の大きさでございますとか内容がかなり異なっておりますので、なかなか難しい判断でございますけれども、私どもが各方面から知り得た情報によりますと、円ドルのレートが大体一ドル二百数十円の時代にはおおむね我が国の缶のコストは外国とほぼ同じであったのが、最近の円高の傾向によりましておおむねそのような程度の比率で外国のものが相対的には安くなっておるというふうに聞いておるわけでございます。  私ども、缶代につきましては大変関心を持っておりまして、こういう事態が何とか改善できないかということにつきまして、現在関係方面と相談をしたいということで考えておるわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 消費者の問題でいけば、何よりも大事なのは新鮮で質がよくて安全な食糧ということなんですよ。  輸入食品について、食品衛生法違反事件、最近どうなっているのか、厚生省御報告ください。

古川武温厚生省生活衛生局長

○政府委員(古川武温君) 違反件数につきましては、輸入件数のほぼ一%程度に下がってきております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 正確な数字。

古川武温厚生省生活衛生局長

○政府委員(古川武温君) 昭和六十年度、六十一年度、この両年度について申し上げます。  六十年度の輸入件数は約三十八万件、食品衛生法違反件数は三百十件弱でございます。六十一年度につきましては四十七万七千件、これで五百六十件弱と、こういう状況であります。

下田京子日本共産党

○下田京子君 正確に言えばいいんですよ。五百五十八件でしょう。言いたいのは、ふえる輸入食品、そして国内には二十カ所の検疫所がありますけれども、七十五名の監視官で水際チェックをやっているんですよ。今出てきた違反件数というのは全くこれは氷山の一角です。  東京都衛生局が夏この食品について調査されていると思います。輸入食品の検査の御報告、詳しく言ってください。丁寧に言いなさいよ。

古川武温厚生省生活衛生局長

○政府委員(古川武温君) 細かい数字、東京都の発表の数字で申し上げます。  昭和六十二年度における食品衛生夏季対策の輸入食品の検査件数でございますが、二千五百五十検体でございます。このうち不良とされているものが十七検体でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 中身。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 下田君、ちゃんと立って質問してください。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私詳しく御報告をと言っているんです。最初に言っていますでしょう。

古川武温厚生省生活衛生局長

○政府委員(古川武温君) 「昭和六十二年度食品衛生夏季対策実施結果について」という短い報告がございます。その中の「総まとめ」のところで、全数の食品の検体数は三万八千四百三十五件でございます。これだけの食品を収去いたしました。それで、その結果、不良のものが三千五百八十九検体、この不良率は九・三%でございます。さらに、その輸入食品について結果を報告してございます。輸入食品についてはただいま申し上げた二千五百五十検体でございます。十七検体が不良で、率で申し上げますと〇・七%が不良と、こういうふうなことでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 不良になっている中身を詳しく御報告くださいと申し上げているんですよ。

古川武温厚生省生活衛生局長

○政府委員(古川武温君) 中身で例として挙げてございますので数字として御報告できなかったわけでございますが、例として挙がっておるものが着色料アゾルビンを検出したものがあった。それからその次に放射線の測定を行った結果を報告してございますが、これは暫定基準を超えたものはなかったと、こういうふうな中身で報告書がございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 肝心なところ、言いたくないんですね。オーストラリアから輸入した冷凍果汁、アゾルビン検出、輸入業者伊藤忠、冷凍果汁二十四トン、販売禁止処分していますでしょう。  次に、東京都において年末に一斉監視をやられて中間報告が出ております。その輸入食品に限った主な違反事例、詳しく御報告ください。

古川武温厚生省生活衛生局長

○政府委員(古川武温君) それでは、ただいまございました六十二年度の食品衛生歳末一斉監視のこれは中間報告でございます。中間報告を申し上げます。  これは営業所収去件数が三千四百五十二、そのうち不良とされたものが三百八十二件、不良率は二・六%でございます。このうち輸入にかかわるものはプルーン、これはソルビン酸を基準以上に含んでいたということでございますが、これが一件、それからナツメグ、香辛料でございます、ここからアフラトキシンB1が検出された、この二件でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 今のアフラトキシンですけれども、食品衛生法四条違反だと思います。このアフラトキシンとは何なのか。毒性、そして日本における規制の経過、検査対象、詳しく言ってください。

古川武温厚生省生活衛生局長

○政府委員(古川武温君) アフラトキシンはカビの一種が産生する毒素でございます。この毒素はいろいろな種類がございますが、まとめて申し上げますと強い発がん性があるものでございます。このことがわかったのは、イギリスの七面鳥の集団中毒といいますか集団死、これに端を発しておりますが、我が国では四十六年に、手前どものことを言っては恐縮ですが、厚生省の研究費の中で調査をした結果アフラトキシンが検出されたということで、直ちにこれの基準を設け、そして規制を進めているわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 答えてないでしょう、検査対象。ちゃんと答えてくださいよ。

古川武温厚生省生活衛生局長

○政府委員(古川武温君) 答弁漏れがございましたので追加させていただきます。  アフラトキシンについては主として豆類から検出されましたので、当初、豆、ピーナツ等につきましては全件数の検査をしておりました。その後いろいろなものから検出されましたので、ピスタチオナッツ、あるいはアーモンド、カシューナッツ、クルミ、さらに豆類、これは大豆とかマッペは除いておりますが、豆額、香辛料、あるいはソバ、ハトムギ等からも検出されておりますので、これらを検査の強化品目にしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 今のアフラトキシン、これは本当に発がん性があって、海外でしか発生しないんです。ここが大事なんです。今言われなかったから。東京都内で市販されている輸人食品から、水際チェックを通っちゃった後出てきているものがあるんです。一九八二年から八五年の間に検査された結果、特にトウモロコシ等に出ています。詳しく御報告ください。

古川武温厚生省生活衛生局長

○政府委員(古川武温君) 東京都の衛生研究所が食品衛生学会で発表したものを申し上げればよろしいでしょうか。  一九八二年から一九八五年にかけて東京都内で市販されている食品についてアフラトキシンによる汚染状況を調査したものでございます。これによりますと、ハトムギ、トウモロコシ、生あん原料の豆、大豆、あん、香辛料など百十八種類の食品、二千二百六十二検体の食品についてアフラトキシンによる汚染状況を調査しております。このうち食品衛生法違反となったものは、ハトムギが一検体、生あん原料の豆が三検体、ナツメグが九検体でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 正確にどうしても答えたがらない。ソバが二十三検体、ハトムギ三十四検体、トウモロコシ二検体。あんこからも出ているということで、ちょっと資料を見ていただきたいんですけれども、厚生大臣いいですか、六十二年一月から八月までの間にアフラトキシンの、これはペケになったもの七件あるんですよ。そういう状況で落花生、アメリカから輸入されたもの四件、これがだめになっております。  私は大臣に申し上げたいんです。東京都が独自にやったものでもそのほか昨年だけでも二件出ているんです。絶対検出してならないアフラトキシンなんです。ですから監視官をふやすべきです。それから検査対象をふやすべきです。チーズなんかにも出ていますから、そういう点でも今厚生省の仕事というのはきちっとすべきだと思います。

古川武温厚生省生活衛生局長

○政府委員(古川武温君) ただいま委員がおっしゃられたのは細かな調査の数字でございます。先ほどは食品衛生法違反の数字を申し上げました。東京都の方では細かなところまで調べたわけでございます。それを申し上げますと、ソバについては百二十三検体中二十三検体に検出されたことは検出……。ただ、その率は〇・一から四・二ppbでございます。またハトムギについては百四十四検体中三十四検体、〇・一から一四・九ppb、こうしたことでいろんな食品について細かい数字を調べて発表してございます。ただ、このアフラトキシンにつきましては一〇ppb以上の数字が検出されたときにこれを食品衛生法上の違反として処理することになっております。

藤本孝雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(藤本孝雄君) 輸入食品の安全性確保のために最大限の努力を努めてまいりたいと思っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 最後に。日本で使用禁止されていて海外で使用が認められているものにパラチオンなどがありまして、総理、これはアメリカのお米生産、韓国の米生産にも使われているんです。もう時間がないから総理にずばりお答えいただきたいんです。  これだけ日本の食品衛生に関していろいろ問題があるということを御存じだと思う、御理解いただけたと思うんです。今どうかといいますと、レーガン米大統領は日本にすべての輸入障壁の撤廃を言ってるんです。その中には、添加物だとか農薬の残留基準の見直しまで緩和しろと言っているんです。断じてやるべきじゃない。そういう点での総理のお答えをいただきたい。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 問答を聞いておりまして、私が必ずしもすべての知識を持っておるわけじゃございません。ガットのパネルの問題なら私も知っておりますが、要するに輸入食品の安全確保という問題になろうかと思っておりますが、これはきちんと対応いたします。

下田京子日本共産党

○下田京子君 今おわかりのように、農業と食糧を守るというのは、農民の暮らしを守るだけでなくて、消費者、国民全体の暮らしと健康を守ることと一体だということなんですね。日本農業割高論を振りまきまして生産者と消費者を分断させる、それで日本農業をつぶすなんということはとんでもない。外国依存、それがどんなに危険かということを私は御理解いただきたいんです。  次に、税金問題に移ります。  総理、あなたは中身をひた隠しにしながら、税制の抜本改革の必要性を繰り返し強調されております。まず、最初に明確にお答えいただきたいのは、増税なき財政再建の旗はおろされたのですかどうですか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 安易に増税を考えて財政再建に当たるべきでないという考え方というのは、私は、私の考え方として今日も続いております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 総理、何かわかったようなわからないようなことを言われましたが、きのう衆議院の本会議で、五十四年十二月の国会決議との関係で、税制改正をやれという意見に向かって今後も努力すべきだというふうなことを力説されておりますね。そして、現時点では税制改革はこの国会決議の趣旨に沿うというふうに答弁されたわけです。これはやっぱり重大だと思いますよ。いわゆる一般消費税とは何か。その仕組み、構造はもとより大型間接税そのものだ。ですから国民は反対したんですよ。そして昨年は売上税なる大型間接税を廃案に追い込んだんです。この国民の意思をお認めにならないんでしょうか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 昨日の答弁を正確に記録を見て申し上げるわけじゃございませんけれども、五十四年十二月に財政再建に関する決議を行っておることは――これは衆参同じ文言でございます。当時私は大平内閣の大蔵大臣でありました。したがって、いわゆる一般消費税――国民福祉充実のためには安定した財源が必要である、しかしながら、いわゆる一般消費税(仮称)については、その仕組み、構造等について国民の理解を得るに至らなかったという前提から始まりまして、そこで、まずは行政改革をやりなさい、そして歳出削減に努力しなさい。かくして税制改革に取り組み、そして歳入、歳出両面にわたって努力をしなさいというのが国会決議なんですね。それは私は守るべきことである。だから税制改革というものも順を追ってやっていきなさいという趣旨を素直に申し上げたということでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 後の部分はどうなんですか。一般消費税というのはその構造、仕組みにおいて大型間接税だ、だから問題だというふうに言っているんですよ。はっきりさせてください。増税なき財政再建、この「増税なき」という旗はおろしたんですか。大型間接税という旗にいつの間にかかえられてしまうんじゃないかというふうに心配しています。「増税なき」はおろしたのかどうなのか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) イエスかノーかという聞き方というのはなかなか難しいものでございましてね、答え方といたしましては。易しくお答えをいたしますならば、やはり増税なき財政再建、安易に増税などを考えることによって財政再建ということを考えてはいけませんよと、あのお諭しは、これは土光さんのお諭しと申しておりますが、今でもそのまま私はお諭しとしていただいておる、こういうことでございます。  それから、いわゆる一般消費税(仮称)、なぜいわゆる一般消費税(仮称)と使っておるか。それは消費一般に係る税そのものを否定したら税理論が成り立たなくなる、こういうことで国会で随分相談しました、私自身相談に参りましたから。したがって、そのようなことを正確に私は記憶いたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 易しく答えるのはね、増税をするのかしないのかなんですよ。国民には、今まで増税なき財政再建だということで、臨調行革路線で我慢を押しつけてきましたでしょう。今度は公約違反の大型間接税で国民に痛みを押しつけるようなことになっては困るよと。ちゃんと皆さんは言っているんです。大型間接税はやりませんというのが皆さんの公約だったんです。だからこの公約は守りなさい、さもなくば信を問いなさい、これが国民の怒りの声なんです。  次に私はっきりさせたいのは、一月二十七日の衆議院代表質問で渡辺美智雄自民党政調会長はこう言われております。同時選挙のときの党の公約は、減税をやります、直間比率の見直しを行います、それが公約です、こう述べています。また、一月二十四日放映のNHK国会討論会で自民党の渡部恒三国対委員長も同趣旨の発言をしていますけれども、同時選挙の際に直間比率の見直しを選挙公約に掲げていましたか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) どこまでを選挙公約と言うかと、こういう議論もあらうかと思いますが、まず、選挙公約関連ということで申し上げますと、所得税減税、法人税減税、これは明確にうたってございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 直間比率はないということですね。同時選挙の際に直間比率の見直しという政策を掲げていたかどうかと私聞いたんですよ。いいですか。どこにも見当たらないんですよ。選挙公約にも政策綱領にも税制改正大綱にも書いていないんです。どこに書いてありましたかと聞いています。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 選挙公約の文章というより、直間比率の見直しというのは、いわば公約以前の、これはもうだれもがそのことは考えておることであるというふうに私は思っておりますので、それをポイントにしてあげつらうべきものではなかろうと、こういうふうにいつも考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私はあげつらっているんじゃないんですよ。  六十年度の税制改正大綱を見てください。そこには確かに直間比率の見直しと書いてあったんです。ところが、六十一年度にはわざわざそれが落とされているんです。 なぜかな。 その理由は、同時選挙の際に大型間接税はやらないと公約した、だから直間比率の見直しという言葉も削ったんだなと思いましたよ。違うんですか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 直間比率の議論がありまして、直間比率とはあらかじめアプリオリに決めるべきものではない、結果として出てくるものが直間比率だ、こういう学問上の論理があるわけです。しかし、結果としてあったにしても、直間比率というのがかつて五分五分であったものが今日こういう変化をもたらしておる。そうすると、勤労所得というものといわば資産所得そうして消費、こうしたところに着目して見れば、結果としてはそれは変わった答えが出てくるであろうというのが極めて学問的論理ではないかと思っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 税の学問的論理、仕組みを私は聞いたんじゃないんですよ。直間比率ということについて書いてあるか書いてないか。全く触れていないことを、今になって政調会長という自民党の政策の最高責任者が党を代表して直間比率の見直しは選挙の公約であったなどと言うのは、これはごまかしだ、許せないと私は思いますよ。  ところで総理、いいですか、去る一月二十一日、自民党大会で決定いたしました運動方針には、直間比率の是正、はっきりと打ち出されているんです。しかし、総理は施政方針演説で直間比率の是正という言葉を落としているんです。なぜですか。予算と切り離して新型間接税導入をスムーズにやりたいという作戦でしょうか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 私はたびたびここで、直間比率というものはあらかじめアプリオリに決めるべきものでなく結果として出るものだということをいつも申しておりました。 その議論が盛んに行われておりました。貴党はお入りになっておりませんでしたが、税制改革協議会等で。それが一生懸命で行われておるさなかでございますから、わざわざその行われておるさなか、もう一遍私から直間比率という言葉で話題を提供することもないなと。大体この税制協議会におきましてもおおむねのコンセンサスができておるなと見たものですから、私は特に使う必要はないと思っただけでございまして、今おっしゃったような勘ぐり――勘ぐりは非礼でございますから言葉は選びますが、今おっしゃった御懸念はございません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 総理、答えていませんね。私は、ずばり直間比率の是正となぜ言わないのですかと言っているんですよ。あなたは中曽根前総理がやめられる直前、十月十六日、「税制の抜本的改革に関する方針」、これについて政府と与党の首脳会談で決定していることを忘れていないでしょう。そこには「直間比率の是正」とはっきり書いてあるんです。あなたはそれに現安倍幹事長や宮澤大蔵大臣とともに署名されたんです。そうでしょう。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) そのとおりでございます。  ただ、何回もお話しするようですが、直間比率に対して私が、余りアプリオリに決めるべきものではなく結果として出てくるものだという答弁を大蔵大臣時代余りにもたびたびしておりましたので、そのことが税制協議会の中で議論の話題になっておった。されば、冷静に偉い方が判断していただけるまでそっとしておいた方がいいだろうというので触れなかったということでございますので、先ほどの政府・与党首脳会議におきまして、たしか十月十六日でございましたか、日にちは違うかもしれませんが、私も参加して署名したことは事実でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 はっきりしたことは、大型間接税を意味する直間比率の是正というのは同時選挙のときには書いてないんです。ところが、自民党の皆さんの頭の中には税制の抜本改正とは直間比率の是正、すなわち大型間接税であるというふうな政策構想があるんですね。しかし、だからといってそのときの都合によって出し入れ自由じゃ困るんですよ。書いてないものは書いてないんです。うそにうそを重ねるようなことがあってはいけないと思います。  問題は明らかなんです。何度も申し上げます。大型間接税はやりません、これがあなた方の同時選挙のときの国民に対する公約なんです。 公約は守るべきだ、こう申し上げたいんです。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。吉川春子君。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 直間比率の見直しについて引き続き伺います。  総理は税制改革について所得、消費、資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系の構築に努めるというふうにおっしゃっておられますが、これは結果として直間比率の見直しを行うという意味ですか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 結果として出てくるものが直間比率ということになるであろうというふうに思います。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 六日の衆議院の予算委員会で我が党の正森議員に対する宮澤蔵相の答弁の中で、直間比率を四、六にした場合に五兆円前後になるというふうにおっしゃっておられますが、これを五分五分にするとどれぐらいになるんでしょうか。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) 現在の税収規模は四十六兆円でございます。したがいまして、一%が動くというときは四千六百億円が働く、したがいまして一〇%とすればその十倍の程度になる。現在の直間比率は七二・二%対二七・八%でございます。これを機械的に五〇対五〇にすれば十兆三千億円になる、これは全く機械的な計算でございます。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 機械的にしろ何にしろ、五対五にすれば十兆円を超える大増税になるわけです。  自民党の安倍幹事長が一月十八日、都内のホテルで広く浅い間接税を考えているとおっしゃって、直間比率は五分五分にシフトしていくと講演しておられますが、これはもう十兆円の大増税をやるという意味じゃないんですか。総理いかがですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) あのお話は正森さんのときからちょっとおかしくて、申し上げようかと思ったんです、実は。というのは、間の方を全部消費税だと思っていらっしゃるんですね。酒税もありますしいろいろな消費税がほかにあるものですから、それをお引きにならなきゃいけないのに、ふっとおっしゃっちゃったので、今もおっしゃっていることは同じことです。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 私は、直間比率を五対五にした場合にどれぐらい間接税がふえますかというふうに伺ったわけですから、それが十兆円だということになれば、大変な大増税だということはもうはっきりしているというふうに思うわけです。さらに、自民党の税調会長の山中氏は、鹿児島市内で講演して、売上税にかかわる新型間接税について、個人の意見としながらも、社会福祉税十兆円でいいのではないかと思っているというふうに述べておられます。安倍幹事長の発言とともに、これこそ自民党の本音ではないかと思うんですけれども、総裁としていかがですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それで、今七二・二でございますから、仮に一二ポイント動けば四兆六千億円、そんなことになるわけでございますが、それは直間比率でございますから、片方にいろいろな直接税があり、片方に、現在もございますのですが、酒税とか何々消費税とかいろいろなものがございますね。それを動かすんですから、それだけ全部新しい何か大型間接税になっちゃう、そういうことじゃないのでございますね。それでおまけに、増税とおっしゃいますけれども、四十六兆円の中で割り振りを言っているのでございますから、トータルが変わっているわけじゃございません。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 総理にお伺いいたしますけれども、社会福祉税十兆円でいいのではないかと思っていると山中税調会長もおっしゃっておられるわけです。こういうところに自民党の本音があるんじゃないか。直間比率の見直しという場合には、こういうところが目的なんじゃないかと思うんですけれども、私は総理の答弁をお願いしたいと思います。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 吉川さんは優しくお尋ねになっておりますが、いわゆる福祉目的税的な考え方でそう思っているんじゃないかと、こういうお尋ねでございましょう。  元来、税金というのは、ちょうだいするものはできるだけ色のつかないものをちょうだいしまして、そして政策順位に従ってこれを配分するというのが税制の持つ富の再配分の一つであるというふうにも思うわけでございます。したがって初めから、初めに目的税ありきと、しかし、ないわけじゃございません、ガソリン税にいたしましても因果関係がはっきりしておりますけれども、初めに目的税ありきというような考え方で取り組むべきではないというのは私は前々から思っております。ただ、長い間与野党を含めて税のプロの皆さん方といろいろ話し合いをしているときに、福祉目的税的な構想というものもそこはかとなく議論したことはございますが、初めに目的税ありきという発想には立たないというのが元来の竹下登個人の考え方でございます。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 そうしますと、十兆円以上の大型間接税を導入するとか、あるいは福祉目的税で十兆円の新たな間接税をやるとか、こういうことは自民党あるいは政府としては考えていらっしゃらないということを、じゃはっきり否定していただきたいと思います。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) そもそも税制改革をなぜやろうかと、本当はまずはいろんなところに不公平感が存在するなあというようなところから、ここのところ十何年間国会で議論の一番多いのが税金なんですよ。だから、皆さん方の頭が大変に次元が高くなっておりまして、私もそれについていくことに一生懸命で勉強してきたわけでございますが、今おっしゃったように、今国民のコンセンサスになっておるのは、いわば所得と消費と資産とどのようなバランスの税制が最も適当かということはもう国民のコンセンサスになっておる、国会のコンセンサスになっておるわけですよね。そのもとにおいて税制調査会で、国会でのきょうの議論などを正確にお伝えしてそれで専門家の皆さん方にいい案をつくってもらおう、今度は廃案にならぬ案をつくってもらおう、こういうことで一生懸命やっておりますわけですから、初めから大体福祉目的税で何ぼの財源が要るとか、そんなことを申し上げるというのは、これは私がかねて税制調査会に対して予見は申し上げませんと言っている公約にも反することでございますから、そのように理解していただきたいと思います。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 宮澤大蔵大臣がいろいろ弁明なさいましたけれども、現在の枠の中で直間比率を見直して、大型間接税は導入しないで所得減税をやって直間比率を見直すというんだったらそれはまた問題は別かと思いますけれども、しかし、今もいろいろ御指摘申し上げましたように、自民党の幹部の方があちこちでこういうことを、大型間接税導入ということを述べておられるわけで、しかも十兆円などということになりますと、昨年の売上税でさえ二兆九千億だったわけですから、その三倍以上の大型の間接税になるわけで、政府税調を隠れみのにしてこういうことをやるということはもうとんでもないことだと、私はそのことを指摘して質問を終わりたいと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 今、吉川委員から、間接税の七対三を五対五にすると間接税分だけでも十兆円を超すということでの大増税になるということが明らかになったわけですよ。私は、この間接税の大きな問題点というのは何かというと、税金を納めるという実感がないということです。例えばビールを飲みながら、今五割の税金を飲んでいると言う人はだれもいないんじゃないか。つまり痛税感がない。消費者から見て、税金がわからなくなってくる。そういう税金である、間接税というのは。そうですね。間接税の特徴を聞いているんです。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) いろいろ学問的な議論はございますが、大ざっぱに言いますと、間接税というのには選択の自由があるということが一つ長所として挙げられる、あるいは税の捕捉とかいう点において別の意味における不公平がない、こういうメリットがある。 あるいはまた、反対の場合は、累進構造というのが存在する限りにおいては逆進性がある。こういう議論と、今の痛税感という問題は、私もヨーロッパの事情から見てそんな言葉を使ったこともございますけれども、これは心の持ち方だろうなと思っております。  しかし、ビールが半分が税金であるとかいうことは、近ごろもう税金の議論がこれだけかまびすしくなりましたから皆さん御存じの上でお飲みになっておりますので、決して知らないでお飲みになっている方はいらっしゃらない。特に国会の先生方、これほど税金の議論をしていらっしゃるわけでございますから、その点は私はそう思っております。  まあここまでで、あとは宮澤大蔵大臣からお答えがございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いや結構です、私は大蔵大臣と細かな議論をする気はないですから。はっきり言いたいのは、ビールを飲んでいて、ああ五割税金だ、たばこをのんで六割税金だなんて思いませんよ。大体、ビールのうちの何割が税金かなんて一般の人はわからないんですよ。ですから、つまり国民から見て税が見えなくなるということは否定しなかった、これは事実です。  たびたび引用したいんですけれども、渡辺政調会長、去る一月二十日に何と言ったか。自民党の全国幹事長会議でこう言っているんです、知らず知らずのうちに税金を払う仕組みが最もよいと。中曽根前総理も、羊が鳴かないように毛をむしるのが税の極意だと言っています。ですから、最初は導くということで税率一、二%でスタートさせて、後は必要とする財源に合わせてどんどん税率を上げていく、そういうことでどうしても間接税をやりたい、つまり新大型間接税を導入したいという、ここに政府のねらいがあるんじゃないですか、総理。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 公式論で言いますと、税制調査会に予見を与えないという立場でございますので。ただ一般論として、いわゆる課税ベースというものを広くという概念はかなりのコンセンサスということで、抜本答申等においてもかつて税調からもちょうだいをしたことがあるということをつけ加えておきます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 EC型付加価値税であろうと何であろうと、諸外国の例を見ますと税導入時は低率なんです。しかし、どんどん税率を上げているというのが実態ですからね。直間比率の問題点というのは何かというと、一つは大増税になる。二つ目には、国民から税が見えなくなる。そして逆進性ですよ。逆進性の問題については質問する時間がないですけれども、広く導くということで、間接税というのはまさにこれは揺りかごから墓場まで生活全体にかかる。そして課税されてない方々、低所得者ほどその税負担が高くなる、大きくなる、こういうことで本当に弱い者いじめだということがはっきりしています。  総理は国民の理解を得てと言いますけれども、国民の意思は明らかなんですよ。一般消費税ノー、売上税廃案。ですから、大型間接税はやるな。こういう点できちんとすることこそが税制の民主主義の点から見ても世界に誇るべきことだということを私は申し上げたいんです。さっき福祉目的税ならいいというようなお話もいろいろありましたけれども、これは問題です。ましてや、長生きしたい人は大型間接税に賛成しろ式のような、渡部恒三自民党国対委員長が福岡県で一月二十四日そういうことを言われていることが報道されているんです。これはとんでもないんです。  総理に聞きたいのは、高齢化率、これが一番高いのは島根県なんです。ですから、いずれも農村であり過疎地でありそしてまた豪雪地であり、どんなに皆さん方が困っているかというのはよく御存じだと思います。この御認識と対策等を聞かしてください。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) 高齢化率、島根、沖縄、そうしたことは私も承知しております。がしかし、私に認識をしろとおっしゃいましても、私自身がそこに育ち選挙の洗礼を受けておりますから、十分認識しておるつもりでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 十分認識しているんでしたら対策もお持ちでしょう。福島県も高齢化が進んでいるんです。一月三十日、北塩原村というところで八十一歳のひとり暮らしのおばあちゃんが、雪かき中に屋根の雪の下敷きになって亡くなったんです。せめて除雪、排雪の心配をしないような体制がとれないだろうかと言われているんです。何とかできませんか。

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(竹下登君) そういういろんなお話を受けて、例えば税制上の雑損控除の問題でございますとか、そういうことを政策的には取り上げたことがございます。と同時に、いわゆる地域社会の問題は、それこそお互いが対話と協調の中で、お互いが対立と抗争の中ではなくて、対話と協調の中で、老いも若きも仲よくやっていく中にそういうほのぼのとしたまた相互扶助が生まれてくるというのが私は最も好ましいというふうに常日ごろ考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 対策は具体的でなきゃならないです。金山では世帯数全体でもって千三百三十一戸、老人世帯約二百戸なんです。ですから、どうしても除雪、排雪対策、これはとるべきなんです。自治大臣、調査していただけないですか。

津田正自治省財政局長

○政府委員(津田正君) 地方団体の除雪経費につきましては、御承知のとおり交付税の算定を通じて措置しておるわけでございます。ただこの場合に、算定はあくまで全国的に合理的に算定しなければならない、こういうようなことで、御承知のとおり累年平均積雪積算値というような日本気象協会作成のものを使ってやっておるわけでございまして、そのような除雪経費の算定の結果どのように市町村が除雪作業をするか、これは地域地域によって違うかと思います。しかし、交付税の算定はこのように客観的な基準によって算定しておるというものでございまして、今御指摘のような個別的な除雪事業の調査というものは交付税上必要はないと、かように考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣に。ひとり暮らしのそういうお年寄りに除排雪などの対策が必要ではないか、その実態を調査しなさいと言っているんです。 調査するかしないかです。自治大臣。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(梶山静六君) ただいま財政局長からお答えをいたしましたように、普通交付税、特別交付税で処置をいたしております。個々の問題について今すぐさま調査をするという予定はございませんが、慎重に検討してまいりたいと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 ぜひ調査して検討してください。  最後に、六十二年度補正予算の問題なんですけれども、文部省、私学助成費が減額になっていますが、この理由は何でしょう。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(中島源太郎君) 補正で、私学だけじゃございませんで、旅費とか物件費あるいは補助金が原則七%減という枠が残念ながらあるわけでございます。その中で私学関係は七ではなくて〇・五ですとか三・五ですとか減額率を相当縮めております。ちなみに、その一方で職員の方々の給与その他はふやさしていただいておりますので、そのふえた分は約三百八十億円程度、節約減が約百十五億円、そのうち私立大学は約十二億円、こう承知しております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 節約で十二億数千万減額しているんですね。国会決議では私学助成は二分の一助成と言われています。それはきちっとやるべきだということ。その決意を聞きたいということです。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(中島源太郎君) 今、率でおっしゃいました。残念ながら現在、おととしまで絶対額も減り、かつ横並びでございましたけれども、六十二年度からは増額に転じております。今年度は私学関係は大学で十億、高校で十億、その他設備で二十億。その二十億分は約三五%以上の増額、こういうことで頑張っておりまして、絶対額で頑張って少しずつ近づくように努力をいたしておるところでございます。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 以上で下田京子君の質疑は終了いたしました。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会

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