農林水産委員会 第11号
- 発言数
- 147 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1988/05/10
会議録
○委員長(岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農用地開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○菅野久光君 農用地公団法の質問に入る前にお尋ねいたしたいと思います。 一つは、昨日衆議院の決算委員会で奥野国土庁長官の発言がございましたが、それが、外務大臣も中国へ行ったりしまして、一応の何か中国側に対する了解を求めたやに承っておりましたが、また昨日の発言、これは竹下内閣にとっても大変な問題ではないかと思いますので、国務大臣でもあります大臣としてその問題についてのお考えがあればまず先に承りたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(佐藤隆君) おはようございます。 今の御質問でございますが、別にぼけているわけじゃございませんけれども、きのうの決算委員会における奥野国土庁長官の発言というものを実は承知をしていないんでまことに不勉強で、不勉強だと言われれば不勉強、しかし大変な発言であったと言われれば、国会の席にある立法府の皆さんに大変だと思われるだけでも大変なことだ、こう思っておりますが、真偽のほどは申しわけありませんが私は承知しておりませんので、失礼いたします。
○菅野久光君 特に、アジアの国々にとっては昭和の初めからいろいろ大変な思いがずっとあるわけですね。よく言いますけれども、殴った者は忘れても殴られた者はいつまでも忘れないという言葉があります。そういうことを十分踏まえた、特に立場のある人でありますから、私どもの方としてはそのことを強く望みたいというふうに思っております。牛肉、かんきつの問題でとてもそこまで目がいくような余裕があるいはなかったのかもしれないというふうに思います。 次は、牛肉、かんきつの問題について、大臣がお帰りになられてから初めての公式の場での委員会でございますので、ちょっとお尋ねいたしたいというふうに思います。 大臣は、三月末に訪米され、続いて四月の二十六日に再訪米されました。大臣はヤイター米国通商代表部の代表と四月二十七日から実に八回にわたって会談に臨んで、結局交渉は決裂に終わったというふうに報道されているわけでありますが、けさの新聞等では、自民党政策担当首脳の方が決裂ではない、継続している問題だというふうに述べておられるようであります。今回の交渉の結果と、話がうまくいかなかった、世間で言っている決裂、この意味について政府はどのように考えておられるのか。また、今回の交渉でこの問題が合意に至らなかった原因は何であったのかということをひとつ率直に、余り時間もございませんのでお答えいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 先ほど、奥野国土庁長官の発言問題について、侵略であったのかないかとかということでございますが、後で真偽のほどは私も勉強したいと思いますが、歴史的ないろんな経過のある中で平和に徹するという考え方でいかなければならぬのは共通の認識である、こう思っております。 牛肉、オレンジの対米交渉、この経緯並びに、相変わらずと言っては失礼ではございますが、私も新聞は承知しております。一部の報道、いろんな報道の仕方、見出しのあり方等々によって困惑することはしばしばでありましたが、今なおかつそういう状況にあるということを極めて残念に思っております。しかし、自民党首脳と言われる方の発言をもとにして私が答弁する立場にはございませんので、ひとつ御理解を賜りたい、こう思っております。 そこで、経緯の中で決裂なのか継続なのか、一面的にちょっと言い得ませんので、経緯を率直に申し上げ、御理解を賜りたいと思います。 去る四月の二十六日から五月の五日まで訪米をいたしました。ヤイター通商代表と協議を行ってまいりましたが、残念ながら合意に至りませんでし た。我が方は、国際化の現状を踏まえながらも基本的には自由化困難との立場に立ちつつ、日本農業の将来にとり最善の解決策を見出すとの観点から、国内の政治経済の情勢にかんがみて許容されるぎりぎりの提案を行ったところであります。その内容については、外交交渉の中身をすべてここでぶち明けるというわけにはまいりませんので、これもまた御理解を賜りたいと思います。 しかしながら、米側は我が方の提案を正当に評価しようとはしませんでした。従来どおりのかたい態度に終始いたしましたことはまことに遺憾でございます。 また、今回の協議がこのような結果となったため、五月四日のガット理事会において、米国と豪州の要請に基づき牛肉とかんきつについてガットの場におけるパネルの設置が決定をされたところでございます。御案内のとおりでございます。 今後の対応を一言つけ加えさしていただきたいと思いますが、我が国の牛肉、かんきつ生産の存立を守るという基本的な立場、これは従来の立場から同じでございます。その立場に立って生産、流通、消費の各般にわたり私の責任を果たしてまいりたい、こう考えておるところでございます。 したがって、私はまとめることができるならばと信じながら再度の渡米をいたしたわけでございますので、それがまとまらなかったのでございますから決裂という言葉も当てはまらぬわけではございません。当てはまるものと思っておりますが、そうは言いながら、友好国であるアメリカといろんなチャネルを通じましてやはり模索を続けていく。そして一日も早く決着をしなければならぬというのが私がこの委員会においてもしばしば御答弁申し上げておるところでございます。その線に沿って努力できる点は最大の努力をしていく、当然のことを私自体考えておるところでございます。
○菅野久光君 アメリカはガットに一応提訴をしたわけでありますが、あくまでも日米間の協議でこれを決めていくという方針ですね、これは変わりがないのか。けさの新聞等でもサミット前を目指してというようなことなどが言われておりますが、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) サミットは関係国首脳との会談でございます。日米の牛肉、かんきつ交渉というのは、私が委任を受けて交渉の責任者となってまとめておることでございまして、いろんな立場の方々がいろんな話し合いをなさることに差し支えないように解決をするのは当然だろうと思っております。 というのは、私が一日も早く解決をしたいと申し上げておるのでございますから、何もサミット前であろうと、あるいは話がつかなければサミット後になるかもしれませんし、そういう想像は私はいたしておりません。一日も早くと、こう思っておるところでございます。ですから、二国間の継続、これは二国間は友好的におつき合いはしておるのでございますから、国交断絶しておるわけではございませんから、そういう意味で二国間であろうと何であろうとあらゆるチャネルを通じてひとつ解決の道を模索していく、これは当然のことで、そういうことからすれば二国間協議は継続をされているという広義の見方もできるでしょう。 感想程度にとどめておきます。
○菅野久光君 合意に至らなかった。それを決裂と言えば決裂と言えるだろうということになるわけでありますが、その一番大きな理由、これも報道関係でしか私どもは知る由もないわけでありますが、変動課徴金、これが大きな要因ではなかったかというふうに思われるのでありますけれども、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) 交渉の中身は的確に、許容される範囲内において経済局長から答弁をさせたいと思っておりますが、譲れるものと譲れないものがあるということは再々申し上げてきたところでございますから、そのポイントに触れるところで交渉がなかなか進まなかった、時間も相当かかったという経緯はございます。
○政府委員(塩飽二郎君) 交渉の経過について、基本的な点につきましては今大臣の方から御答弁申し上げたわけでございますが、具体的に御指摘のございました自由化後の我が国がとるであろう国境調整措置、これが今回の交渉におきましても一つの大きな日米の争点になったことは事実でございます。 御承知のように、特に牛肉につきましては、現在事業団によります一元輸入とあわせまして関税二五%の国境調整措置を設けておるわけでございますが、仮に我が国が一定の条件のもとに自由化をした場合におきましても、現在の我が国牛肉産業の内外の競争力格差というものは、合理化なりあるいは生産性の向上を今後行う場合におきましても相当残るわけでございまして、私どもの基本的な考え方といたしましては、現行関税にあわせて、国内の牛肉安定価格との連携のもとに一定の国境における調整措置が必要不可欠である、これが一つのパッケージとして交渉されるべきであるというのが我が国の立場でございましたが、残念ながらこの点についてのアメリカ側の理解を十分に得ることができなかった。私どもは再三にわたりまして、大臣あるいは事務レベルの協議におきまして、国境調整措置がガットの枠内で整合性のとれたものであることは当然であり、かつまた、国内の牛肉産業を保護し維持していくために必要なものであり、かつ不当に抑制的なものではないというその性格につきまして十分御説明をしたわけでございますが、残念ながら米側の理解を十分に得ることができなかった。それが一つの日米間の意見の相違であったということは確かでございます。
○菅野久光君 そこで、課徴金の問題でありますけれども、上限を何か一〇〇%とするような具体的数字を米国側に提示したやに伝えられておりますが、牛肉については欧米各国とも保護措置を行っておって、ECなども輸入課徴金を二〇〇%ですかかけておるわけですね。ようやくそうやって自分の国の畜産業を保護しているのに、内外価格差が日本の場合は四、五倍あるわけですね。そういう我が国でわずか一〇〇%程度の輸入課徴金をかけることで守れるというふうに考えられたのかどうか。まあ一〇〇%ということで提案したかどうかという真偽のほどはわかりませんが、提案したとすれば、一〇〇%程度で守れるのかなというふうに思わざるを得ないんですが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) この課徴金問題が今次の日米協議における大きな問題の一つであったことは、先ほど来大臣及び経済局長からお話し申し上げたとおりでございます。 具体的な論議の内容については外交交渉の性格上御勘弁をいただきたいわけでございますが、私どもの基本的な考え方としまして、国内における牛肉産業の保護のために必要最小限度の国境措置が必要であるという考え方で、国内におきます牛肉価格安定制度の根幹を維持するという前提で、輸入価格の変動に応じまして内外価格差を弾力的に調整するシステムというものがどうしても必要であるということを先方にも申し述べたわけでございます。 具体的には、いろんな論議がまだ私どもは残されておると考えておりますが、その基本概念といたしまして、ガットに整合性がとれておるということは当然保持しなければいけない。また、これの具体的な運用に当たりまして、国内の生産者あるいは消費者双方の立場を考えて適切に運営されるべきものである。あるいはこれからまた国内での論議になろうかと思いますが、やはり法令の決める基準に従って十分透明性のあるシステムとしてこういうものがつくられなければいけない。さらにまた、輸入アクセスに対して非常に否定的な仕組みとして考えられてはいけないものである。そういう認識を持っているといういわば基本概念を先方に対して主張してきたわけでございます。 そういう観点から、どの程度の幅でこのレベルを考えていくかということにつきましても我が方の立場を明らかにしております。これから私ども も国内の牛肉生産の合理化、生産コストの引き下げということを大きな政策目標としておりますので、そういった方向の中で、具体的に調整金といいますか課徴金システムを動かしていく際の我々の考え方というものを相手側にいろいろ説明をし、理解を求める過程でいろいろな論議をしてきた、こういうことが実情でございます。
○菅野久光君 説明するといろいろ長くなるんだろうけれども、ひとつ答弁の方は簡潔に、わかりやすくお願いをしたいというふうに思います。 今回の交渉の中で、米国側は輸入課徴金の水準だとか、それから畜産振興事業団の事業内容だとか、あるいはオレンジジュースの混合義務廃止など、言えば我が国の内政にかかわることにいろいろ言及をしてきたというようなことで、まさに内政干渉ではないかと言ってもいいようなことではないかというふうに思うんですね。 そういうアメリカの姿勢というものは、これまでもどちらかというと日本はアメリカに言われれば唯々諾々とは言わなくても一定の抵抗した中で受け入れざるを得ないということで受け入れてきたということが、今回、日本はたたけばたたくほど譲歩するというような考えをアメリカ側が持つようになったのではないかというふうに思わざるを得ないんです。非常に残念なことでありますが、お互いの主権を守りながらお互いの国益を守る、そういう中でどう調整をしていくかということがやや一方的な形でやられてきていたのが今までの実態ではなかったかというふうに思わざるを得ません。そういう意味で、この問題の解決を焦ってこのまま安易な譲歩をするということになればこれは米の自由化にまでつながっていくのではないかというふうに思いますが、その点についての見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) 交渉の中身に全部触れるわけにはまいらぬ、御理解をいただきたいということは再三申し上げておるわけでございますが、内政干渉ではないか、一方的にきゅっきゅきゅっきゅ言われて何たるこっちゃ、こういうようなお感じをお持ちであるように思いますけれども、我が国の政治、経済、あるいは国際化の動向、こういうことを両面含めて許容されるぎりぎりの判断で折衝を続けたが合意を得るに至らなかったということで、ひとついろんなことを含んでおるということで御承知おきいただきたい。 しかし、今後一日も早く決着がつけられることを私はこの場でも再三申し上げておりますので、そうした場合には今そのことも申し上げましたが、生産、流通、消費、各般にわたっての国内における我が国の食糧政策の進め方についていろんなこともまた改めて考えなきゃならぬことも出るでしょう。いずれにしても牛肉、かんきつの主要食糧としてのこれが存立を危うくするようなことがあってはならぬ、こういうことで申し上げているわけでございますから、ひとつ大体この辺でおわかりいただきたいと思います。
○菅野久光君 外交交渉ですからいろいろ言える部分もあるでしょうし言えない部分もあるということは私もわかるわけでありますが、農民の方々はこの行方をかたずをのんで見守っているといいますか、関係農民は自分たちの死活問題、そういうことで見ているわけであります。日本が新たな提案をすれば再び二国間交渉に応じてもよいとは言っていますが、その場合、日本が前回八回にわたって交渉しても結果的には溝が埋まらなかった、そういう中で政府は新たな決着を目指すための提案というものを出されるつもりなのか。また逆に、アメリカ側からの譲歩を引き出すというようなことの見込みがあるのかどうか、その辺は何とかパネルの討議の前に二国間で決着をするのがベターだということは言えるわけでありますが、その辺はどうでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) ずるずる向こう様の言うことを聞いているというようなことはしておりません。そういうこともこの場で従来とも申し上げてきたとおりでございます。我が方の基本的な方針というものは何ら変わっておりません。 しかし、交渉事でございますし、いろんなこれからの——この間の交渉がこのような結果になったことについての評価、反応、そういうことも見きわめまして、新たな対応が必要であればしなけりゃいかぬでしょう。しかし、まだそこまでにはいっておりません。きょうの段階で、それじゃおっしゃるように新しい対応とは何ぞやともし言われたとしても、それはお答えするわけにはまいりません。向こう様の反応というものも十分に見きわめながら、まさに交渉でありますから。しかし、そうは言いながらも牛肉、かんきつ農家の存立を守る、こう私申し上げておるわけでございます。また一面、消費者の中にもいろいろな言い分がございます。あるいは流通の改善も必要でしょう。そういうことを含めて、私は引き続き責任を果たしてまいらなければならぬ、こう申し上げておるわけでございます。
○菅野久光君 大変難しい交渉で、パネルでクロの裁定が出れば自由化勧告を受けることになる。そうすればどうしても我が国の農業を守るために課徴金を導入することになる。そうなれば、今のアメリカの態度であれば、通商法第三百一条の発動という可能性がある、いわゆる報復措置ですね。こうなればガットそのものをアメリカが否定するような形になるわけですね。ですから、もしもそのようなことがあった場合には、逆に日本がガットに提訴をするというようなことがあってもいいのではないかと。 これは、鯨の場合も全く同じですね、国際捕鯨条約で調査捕鯨が認められていながら報復措置をとるというようなことで、国際条約というのは一体何なんだということにもなろうと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) あなたがおっしゃる意味は、三百一条のアメリカの国内法を期待しておるという意味じゃなくて、心配をして言っておられるわけでありますが、聞く方によっては、ああそれはもうわかっておると言われたのでは困るわけでございまして、三百一条問題については、私はこの場で、向こうがそう出てくるだろうとか、そうなった場合はどうするとかということはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。誤解が誤解を生む結果になることを恐れるわけでございます。
○菅野久光君 大変な長い交渉の中で、日本も外交交渉だから細かいことは言えないということですが、ある一定の譲歩できるぎりぎりのところまでの提案をした、しかし、それが結果的には合意に至らなかったわけですね。そうすると、これから仮に二国間交渉に入るといった場合は、今まで提案したことは全く白紙に戻るのかどうなのか、白紙に戻した上で交渉ということになるのかどうか。その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) そこが言わず語らずにつながっているところはつながっている。しかし、形としては、ここで決裂したという言い方もできるでしょう。しかし、友好国に対する交渉として粘り強くやらなければならぬことも毎々申し上げているとおりでございますから、一面的なお答えはできないのでございます。
○菅野久光君 いずれにしても、本当に日本農業の存立にかかわるような重要な問題でありますし、我が党としても本当に大臣よく頑張ってきたというふうに評価はしておりますが、しかし、先ほど申し上げましたようないろいろな心配があるものですから、きょう実は法案に先立って、当面最も関心の深い問題だということで質問をさせていただきました。まだいろいろありますけれども、法案の審議の方に移らさせていただきます。 前回の法案の審議のときに、石狩川下流左岸地区の工事の問題について、十アール当たりの負担金の予想額についてお尋ねをいたしました。お答えは、十アール当たり約三万円というようなことでございましたが、この十アール当たり三万円の負担ということで農家の人たちを説得することが可能と思われるかどうか、その点をまずお尋ねいたしたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 御理解をいただけるものというふうに考えております。
○菅野久光君 土地改良等を含めた基盤整備で十アール当たりの負担金が最高のところはどのぐらいか、最低のところはどのぐらいかということは構造改善局として押さえておられますか。
○政府委員(松山光治君) 地域によってかなり区々でもございますし、今手元に資料がないわけでございますけれども、私ども、土地改良事業の採択に当たりましては必要性の問題、技術的可能性の問題のほかに費用と効果の関係あるいは農家の負担の関係といったようなことを総合判断いたしまして採択に当たっておる、こういうことでございます。
○菅野久光君 農家の人たちの話を私もいろいろ聞きました。基盤整備の問題を含めて、今農産物の価格が下げられてきておりますね。そういう中で工事費だけは上がっていくんです。前に、決算委員会でも本岡委員から、兵庫の加古川の問題だと思いましたが、当初の計画年度からさらに大幅におくれて、工事費そのものも何倍かになって、とてもこれじゃ負担できないというふうな話があったですね。そのようなこと等を考えていくと、今農業の足腰を強くしなきゃならないということで、農家負債の問題についてもそれぞれの担当局の方でかなりいろいろな手だてをし、経済局の方でそれをまとめて何かやっておられるようでありますけれども、しかし、それも基盤整備にかかわっていえば非常に難しい問題があるというふうに私は思います。 今現在、農家の人たちは基盤整備にかかわってどの程度の負担ならまあぎりぎりやむを得ないというふうに考えているかということを申し上げますと、私は北海道ですから、北海道の農民連盟という組織がありますが、そこで過日論議をしたところでは、水田では一万五千円、米一俵。それから畑の場合は一万円、しかし一万円でもきついと言うんです。しかしそのぐらいは仕方がないだろう、何とか頑張って返していかなきゃならぬというのが今の農家の基盤整備事業にかかわる十アール当たりの負担の限度ではないかというふうに思うんですが、その辺はどのようにお考えですか。
○政府委員(松山光治君) 立場の問題もございまして、農家の立場からいたしますればできるだけ負担の少ない形で事業をやってほしい、こういう御要望のあることは我々も十分承知しておるところでありますし、私どもといたしましても、できるだけ負担をかけない形でこの大事な事業を進めることが肝要である、このように考えておる次第でございます。 今、具体的な負担額の限度をどう考えるか、こういうお話があったわけでございますけれども、農家の負担の可能性の問題につきましては、それぞれの営農の形態によって違うわけでございますし、農家経済の内容によっても違うと思いますので、画一的なことはなかなか申し上げにくいわけでございますので、ひとつその辺は御理解をいただきたいと思いますが、私どもとしては、先ほども申しましたように、土地改良事業の採択に当たって考慮する一つの重要な要件といたしまして、その事業の結果どの程度の所得の増加が見込まれ、それとの関係で負担が適切かどうか、こういう観点で判断しておるということを申し上げておきたいと思います。 なお、ちょっと補足しておきますと、先ほど私、石狩川下流左岸の農家負担額、十アール当たり三万円というふうに申し上げたわけでございますが、これは全体としての負担額でございまして、年の償還としてみますと、ピークの年で大体二千円程度というふうになっておりますので補足して説明さしていただきたいと思います。
○菅野久光君 今の最後の方、ちょっと聞き取れなかったんですが、もう一度言ってください。
○政府委員(松山光治君) 十アール当たりの地元負担額、これは国営の内水排除事業に準じて一定の仮定のもとに試算をしたものでございますが、十アール当たり三万円というふうに申し上げたわけでございますが、それは総負担額でございまして、毎年の返す償還額、年の償還額としましてはピーク時で大体二千円程度というふうになってございますので、補足さしていただきたい、こういうことでございます。
○菅野久光君 それでは、三万円というのは総負担額で、年にすれば二千円程度ということだということですね。その程度の負担であれば非常に農家の人たちも喜んでもらえる負担だというふうに思いますが、今までの基盤整備の関係からいくとこれは莫大な負担になるわけですから、今後そういうことについては十分な配慮をしていただかなければならないというふうに思っております。 そこで、負債問題が出ましたから経済局長の方にもお尋ねをいたしたいというふうに思いますが、北海道の場合に、いわゆる畜産基地ということで多額の負債を抱えてやってきている部分があることは御承知のとおりでありまして、大家畜経営体質強化資金だとか、そういうようないろいろな手だてを講じてやってきていることは私どもも承知をしておりますが、それもやはり年限が短いのではないか。年限が短いから、それだけに償還額が多くなるということは当然でありますね。 それから、この件にかかわって、森林なんかは五十年資金ということを出しておりますし、今住宅は親子二代ということで融資なんかもしているわけです。そういうことからいけば、農業の場合には融資期間というものが少し短いのではないかというふうに思いますし、特に据え置きの問題ですけれども、据え置きが三年あるんだから、あるいは五年あるんだからということが何かうたい文句のようになっておって非常に有利なように受け取られがちですけれども、しかし、三年据え置いても、五年据え置いても利子だけはかかるんです。利子を全くかけない、無利子で据え置くのであればこれは非常にいいんですけれども、本当に寝ている間でも利子はかかっていくということであります。 農家の人たちのお話を聞きますと、あの据え置きというのはいいような悪いようなものだということをよく聞きます。三年たたなければいわゆるそこに投資した効果があらわれないというようなものは、据え置いてもらって効果があらわれた段階で償還をしていくということは非常に有利なのかもしれませんが、一般的な土地改良とかの基盤整備あるいは大家畜の関係のそういう資金なども据え置きが果たして本当にいいのかどうか。据え置きしなくてもいいんだよ、すぐ償還してもいいんだよということにはなっているんですけれども、据え置きがあると言えばどうしてもその据え置きを利用したくなるのが人間なんです。だから、その辺もっと長期のものということを考えられないのかどうか。さっき親子二代の問題も言いました、森林の問題も言いましたが、その辺についての考え方はいかがですか。
○政府委員(塩飽二郎君) 負債対策の重要性については私ども非常に認識をして取り組んでおるところでございまして、各種の金融措置、そして負債と申しましても、先生御案内のように、地域によりまして、また農業の経営種目によりまして非常に多様でございますので、そういった地域別あるいは事業別の相違というものを十分踏まえて、きめ細かく個別の指導なりあるいは制度的な対応をやっていかにゃいかぬということで取り組んでおるわけでございます。 特に最近、負債問題が農家経営の非常に大きな問題としてクローズアップされておりますので、六十三年度の予算措置あるいは金融措置におきまして従来にない思い切った各種の制度的な対策も用意いたしまして取り組んでおるところでございます。今後とも農家の負債問題につきましては、先ほど申し上げましたように、地域の実情なりあるいは経営のタイプに応じてきめの細かい対応をするという基本的な視点で取り組んでまいりたいと思っているわけでございます。 今特に、委員の方からお話のございました据置期間の利子の支払いがあるじゃないかといったような問題、あるいは償還期限も延長したといっても依然としてやっぱり長いじゃないか、そういう御不満のあることを我々も承知いたしておりますが、六十三年度の予算の中で新たに設けた制度的 な対応が十分活用されるように、とりあえず関係機関にも十分指導を徹底しながら有効な負債対策として機能するように努力をいたしたいと思います。 また、先生からお話のありました問題点については、今後さらに念頭に置きつつ検討課題にさしていただきたいと思うわけでございます。
○菅野久光君 負債対策でもう一点言っておきたいのは、農協のかかわる問題なんです。私も随分この問題に取り組んでまいりましたが、制度資金を借りてそれを返済するために、収入が上がらないから結局農協のプロパーを借りる。国の金だけはいや応なしに払わなきゃいかぬわけですから、それで農協のプロパーを借りる。農協のプロパーの利子は高いわけです。それがかさんできて農家の借金がふえてきている。そこで、北海道でも農家再建対策整備資金ということでそれぞれの農協を通じながらやっているんですが、農協ではまた利子の安い資金を入れて、プロパーの資金が貸し出しが減ると農協の経営に影響するということで、余り積極的にそこに取り組まない農協があるということなんですね。 私ども、一生懸命になって農家負債の対策ということでやっているわけですけれども、肝心の農民のための農協が今や農民のための農協でなくなっているところが、一生懸命やっているところもありますけれども、そういうところもあるんです。本当にあるんですよ。だからこの問題、どのように国として指導されるのか。本当に真剣にこれ考えていかなければならない問題だというふうに私は思っておりますから、そこのところは私からそういうような話があったということを受けとめてこれからやってもらいたいと思います。 それから、あと時間がございませんから、公団が公団事業として海外協力事業団、JICAとの関係でいろいろやっておりますね。ことしは二十八名ですか、何かそのぐらいの予算でやっているようでありますが、この人たちの労働条件の問題です。 これから公団がずっと存立していくために、海外での事業というものがかなり重要になってくるのではないか。また、日本が国際協力の場でやるために経済援助というものは非常に大事になってくるのではないかと思います。そうなればなるだけ派遣されている人たちの労働条件というものは十分考えなければならない問題だというふうに思います。 何か聞くところによると、人数が少ない関係もあるでしょうが、そこを離れるとそこの国とのいろんな関係があるから、八カ月とか九カ月出ずっぱりというような人もいるやに聞いております。これはしかし人道的に言って、私は言ってもいいと思うんですが、余りひど過ぎるのではないかというふうに思います。その辺についてもっと配慮をすべきではないかというふうに思いますが、そこのところのお考えをお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 公団の海外業務についてのお尋ねでございますけれども、公団につきましては、五十七年から国際協力事業団から受託いたします業務と、それから農水省の補助事業として行っております海外の農業開発に関します技術情報の収集整備と、この二つの仕事をやっておるわけでございます。 そこで、現地に出かけて調査に当たることもあるわけでございますし、なかなか立派な仕事をしていただいているということで関係国からも評価をいただいておる、このように認識しております。一般的な海外協力業務の重要性も頭に置きながら、これからも公団の海外業務については力を入れていきたい、私どもこのように考えておるわけでございます。 従事いたします職員、特に海外に出て行います職員の労働条件の問題でございますが、実は公団の職員の場合の業務の従事の形態が一年未満という形を今とっておりますので、その関係ですべて出張の扱いになっておるわけでございます。例えば国際協力事業団なんかの場合の長期派遣というような制度があるわけでありますけれども、二年六カ月とか、それから非常に条件の悪い国の場合に二年といったような場合でありますれば途中で一時帰国するというようなこともあるわけでございます。これは国家公務員の場合も含めまして一年未満の場合には出張でやっていただくというのが一般的な扱いでございます。旅費その他についても国家公務員等に準じた措置をとっておるところでございます。 そういう意味では御理解をいただかにゃいかぬ面もあると思いますけれども、なれない土地ということもございますので、公団においてもいろいろと不都合が生じないような配慮ということもやっておるというふうに聞いておりますので、その辺のところも今後また考えていってもらう、こういうふうに考えている次第でございます。
○刈田貞子君 農用地開発公団法の一部改正については、先般私は質疑をさせていただきましたので、きょうは大臣お帰りになって初めての委員会でございますので、引き続き牛肉、かんきつの交渉経過について一部お伺いさせていただきます。 先ほど来、同僚委員のお話を伺っておりまして、非常に大変な交渉であることを私もさらに実感をしたわけでございますが、現状ではパネルも設置されて、そしてこのままで行けば、新聞等では牛肉はガットの十一条に、そしてかんきつは三条に触れるということで、ガットの場でこのまま行けばクロ裁定は間違いないというようなことが書かれております。 それからまた、さらに二国間交渉の余地も並行してあるのだというようなことでありますが、我が国が一歩も譲れないところの、自由化した場合にセットで考える課徴金の問題、つまり国境措置でございますが、これを進めた場合には、先ほど来菅野委員の方からもお話が出ましたように、三百一条の発動というようなことにもなりかねないというのが現状の事態ではないかというふうに私は思っておるわけでございます。 そんな中で、先ほど来大臣は今後も努力を重ねるのだというふうに言っておられました。今後大臣が本気でやっていこうとする努力の中身というのはどういうことなのか、改めてお伺いいたします。
○国務大臣(佐藤隆君) 時間も余りないようでございますので、私さわりのところだけ申し上げたいと思いますが、交渉の経緯につきましては先ほどお答えしたとおりでございます。大変失礼な言い方ではございますが、御理解をいただきたいと思います。 さらに、いろんなアプローチをかけていくというか、友好国としてあらゆるチャネルを通じて努力をしていると申し上げておるわけでございます。 私自身、先ほどもちょっと触れましたけれども、重ねて触れておきたいと思いますが、この交渉の結果いかなる評価、いかなる反応、これがアメリカ側にあるのか。もちろん、国内はじゃどうでもいいのかというと、そうではございません。国内においてもやはりいかなる評価、いかなる反応があるのか、ここ暫時私はじっと冷静に眺めてみたい、その上でひとつまた判断をしなければならない、しかし基本方針は変わらない、しかし対応についてはいろいろ考えなればならぬ場合もあるであろう、こう申し上げておるわけでございまして、極めて抽象的ではございますが、中川・ストラウス会談以来もう十一年、この間にいろいろなことがございました。そして、今このような一つの、一面的に見ればまさにデッドロックになっておる、このことをさらに努力をしていかなければならぬ、一日も早く解決をいたしたい、こう申し上げておるわけでございます。
○刈田貞子君 私どもは、大臣がアメリカで交渉しておられる中身はほとんど新聞を通じてしか状況を知ることができないわけでございますけれども、私どもどんなやりとりがあったのかというようなことは本当は知りたいわけです。その幾つかのことを挙げてみましたけれども、国民がみんな不審に思うことは、先ほどもお話がありましたよ うにECにも可変課徴金があるじゃないか、アメリカもそうした国境措置、ウエーバーあるいは食肉輸入法というようなものを持っているじゃないか、そういうものについて我が国は応酬をしたのか、それに対してアメリカはどのように説明し、その正当性を主張されたか、そのことだけはどうしても知りたいんです。
○政府委員(塩飽二郎君) 今、先生の方からお話がございました、アメリカ等で行っております農産物の輸入調整あるいは輸入規制の手段でございますが、例えば、アメリカでは御案内のようにウエーバーという特別の許可を得まして、十数品目の農産物について既に三十年以上にわたりまして輸入制限措置を適用いたしております。それからまた、今回問題になっております牛肉等食肉については、特別の食肉輸入法という国内法によりまして一定の輸入水準を、あらかじめ決めた輸入水準を超える場合には農務長官が輸入制限を発動できる権限規定をバックに、実際にはアメリカの牛肉輸入の主要供給国でございます豪州、ニュージーランドなどとの間で自主協定によって、一年間にアメリカ市場に入ってきます牛肉の数量を輸出国側の方で自主規制をさせているというような措置をとっているわけでございます。 ウエーバーの措置については当然のことながら、日本はもちろんでございますが、その他のガット加盟国こぞって、このアメリカの措置は、本来ウエーバーの条件である暫定的短期的な措置であるという性格に照らして一日も早く解消されるべき措置であるということを主張しております。また、食肉輸入法の自主規制につきましても、我が国として今回の一連の日米の協議の中におきまして、アメリカでも同様の国内牛肉産業の保護のためにこのような措置をとっているという実態に照らして、我が国の主張の正当性の理由づけとしてそういうことを主張してきているわけでございますが、アメリカはそれに対しましてガットこ照らして、このウエーバーによる輸入制限は一定のガット二十五条に基づくウエーバーであるので合法性がある、それから食肉輸入法に基づく自主協定は自主協定としていわゆる輸入制限ではないんであると、そういう主張をやっているわけでございます。 私どもは、そういう合法非合法の問題は一応別といたしましても、実質的に貿易のあり方として公平性の見地から非常に問題が大きいということで指摘をいたしておりますし、今後もそういう立場をとる必要があるというふうに考えておるわけでございます。
○刈田貞子君 今おっしゃるように、合法非合法ということは別として、実質的にそれがやはりアンフェアであることは私ども国民が一番言いたいところなんです。恐らく大臣もそのあたりのところが一番言いたいところじゃなかったかというふうに私思います。 もう一つお伺いしたいのは、新聞等で今回の交渉のすれ違いに終わったことの、決裂に終わったことの一つの原因に、自由化というものの概念のとらえ方が違っていたのではないかという論調が一つあるわけです。我が国の自由化というのはいわゆる枠を外すということを自由化と規定した。ところが、アメリカが要求していた自由化は丸裸になることであった、こういう考え方で、自由化の概念が違っていたのではないかという論調がありまして、私もその辺の読みのあたりのところはどうなっていたのかということを思うわけですが、この辺大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) 私は、前にもこの場でも申し上げておったように記憶をいたしておりますが、アメリカ側は、私が初回訪米をいたしましたときにも四月一日からの完全自由化を要求しておったわけであります。中川・ストラウス会談の経緯にかんがみていろんなやりとりをやってきた。そして、我が方はその都度決められてきた枠を誠実に守って話し事はちゃんと守ってやってきた。しかし、先様はもうことしの四月一日、新年度からはもう完全自由化と思っている、それは当たり前なんだと、ここに大きなずれがあったわけで、そのずれは今回のずれだけではございません。従来からそのずれはあった、こういうことでございます。
○刈田貞子君 ことしの四月一日から自由化だという認識を相手側に持たせた根拠はどこにあるんでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) それは、去年の大臣就任以来、これも私は発言をしたのではないかと記憶しておりますけれども、向こうさんは向こう様の理解、また発言があるわけであります。こっちはこっちの認識があるわけでございます。ですから話がつかないで交渉事で進んできたわけでございます。そうでなかったら交渉は要らないのであります。認識が同じであれば交渉は要らないんです。認識が違うわけです、もともと。そして、たくさん肉を食べているところとそんなにたくさん食べていないところのまた認識の違う面もあるでしょう。そういう大きな隔たりもある。これはもう生産、流通、消費、各般の方々が同じように思っておられるんじゃないでしょうか。私も実はそう思っておるのでございます。
○刈田貞子君 今回の交渉の中で、日本側から提示した一つの仮説という形の提案の仕方、万が一自由化をした場合に当たっては自由化時期はいつである、その後こうした国境措置もとるということが焦点であり、その国境措置等に関し、あるいは自由化時期に関して話し合いがつかない焦点になったというふうに思っております。 私どもが心配するのは、その仮説が成り立たない場合には自由化はないのだというふうに考えればいいのか、自由化だけはひとり歩きをするようになるのか、あちら側の認識の問題に大変ずれがありますから、その辺のところを誤解されてはならないというふうに思いますので、今後自由化という問題、仮説はさておいて自由化だけがひとり歩きをしてしまうという、つまりその仮説ですよね、仮説の自由化、これが条件は抜きにしてひとり歩きをしてしまう、これがあっては困るのですが、この辺のところはきちっととどめを刺されたでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) 仮説はあくまでも仮説でございまして、話し合いがこのような結果になりましたので今は無協定状態である、こういうことでございます。しかし、その中にあって私はさらに一日も早く解決をしなければならぬという気持ちには変わりございませんので、私は、日本の現状、アメリカの現実的な対応、日本の現実というものを認識されて現実的な対応を期待いたしておる、こういうことを率直に申し上げておるわけでございます。
○刈田貞子君 仮説は仮説ですけれども、このたびの交渉の中身、そして今決裂している状況を客観的に判断してみた場合に、近い将来、我が国はやはり自由化という方向に向かって道を開いていかなければならないのではないかということを恐らく大臣も考えておられるのではないかというふうに思います。 したがいまして、帰ってこられたときの記者会見の趣旨の中にも、お許しをいただけるならば我が国牛肉、かんきつ生産の存立を守るという基本的立場に立って生産、流通、消費に関する諸般の施策を考えていくんだという、つまり国内事後策、このことも言っておられるわけでございますね。これはよろしいですか。
○国務大臣(佐藤隆君) 私、ワシントンで八回目の会談が終わりました直後に記者会見をいたしております。そのときの言葉でもございます、お許しをいただきたい。その後帰ってまいりましたら、おまえ一生懸命やってきたのだからお許しをいただきたいなんという言葉はやめると、こう言って各方面からおしかりを受けた経緯もございます。しかし、私は決着をする前提で何としても一日も早く解決したいという強い願望を持って行ったわけでございますから、それができなかったわけでありますから、私はやっぱり済まなかったという気持ちは率直に申し上げたいと思って申し上げてきたところでございます。じゃあおまえいつまで言っているのかというと、そう長く言っているつ もりはございません。同じ言葉を使っている気持ちはございませんけれども、あの当時率直な感想をそのとおり述べたわけでございます。 そして私は、今あなたがお読みになったとおりそのような発言をしておるわけでございますから、そのまま受けとめておいていただければありがたい、こう思っております。
○刈田貞子君 具体的に伺いますけれども、国内の諸般の施策というのはこれからやはりかなりの努力が要るであろうというふうに思います。これから、もう一度アメリカに向かって交渉をするという努力以上に国内に向けての努力というもの、諸般の施策に関する努力というものは大変なものであろうというふうに私は思うわけでございます。 牛肉に関していえば、これは成長株であるということもあるかもしれないけれども、かんきつなんかに関しては、これは大変な状況に今ありますね。特に果汁等については、調整保管までもしておるという状況にあります。したがいまして、この諸般の施策に関してどんなふうなことを具体的に今考えておられるのか、もしよければその点のところも伺いたい。
○国務大臣(佐藤隆君) 国境措置あるいは国内措置、こういうことは一体のものですね。でありますから、いかなる事態にも対応できるように、そして私が申し上げているのは、牛肉、かんきつも存立できなくなるようなことがあってはならない、こう言っておるのでございますから、そういう意味においていろんな場合を想定しての施策は鋭意努力をしておる、こういうことでございます。これは牛肉、かんきつのみならず、十二品目問題についても私どもはそういう姿勢で勉強を続けておる、プロジェクトでの検討を続けておる、こういうことでございます。
○刈田貞子君 これは、局長に伺いますが、「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」が出ておりますね。その中で、六十一年度対比で今後肉用牛生産でしょうか、に関しては二、三割コストを下げるというようなことが言われております。これは、先般、畜産物価格のときにも私は質問いたしました。そのときの答弁は、規模拡大ということを言われたわけでございます。今後、肉用牛についていえば二、三割程度価格を引き下げるということによって肉の内外価格差を埋めていくというようなことが、ただ単に規模拡大だけで事足りるのかどうか、その辺のところをお伺いします。
○政府委員(京谷昭夫君) 先生御指摘のとおり、ことしの二月に策定、公表いたしました「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」におきまして、生産性の向上等を通じまして生産コストを下げていくということが大変重要な課題である。その目標としまして、当面牛乳及び牛肉について二、三割程度のコスト引き下げを目標とするということをうたっておるわけでございます。 この生産性向上を図る際の最も大きな要素というのは、経営規模拡大によるコストの引き下げという要因を私どもは重視しておりますが、そのほかにも、新しい技術開発でありますとか、それから関連資材の価格の引き下げといいますか、そういった要素も含めて総合的にコスト引き下げ目標というものを実現していく必要があるというふうに考えておりますが、先生御指摘のとおり、経営規模拡大ということが最も大きい要因とは考えておりますが、その他の新しい技術の開発、実用化、あるいはその他私が申し上げましたような資材価格の引き下げ努力とか、そういうふうな要素も織り込んで総合的な努力を通じてこのコスト引き下げが実現されていくべきものであるというふうに理解をしております。
○刈田貞子君 私どもも、今後牛肉が海外から入ってきた場合に、さらに自由に入ってきた場合に、内外価格差をどう埋めていくのか。しかも、先ほど来お話がありますように、農家の存立を考えつつという問題を考えています、一生懸命。いろいろ申し上げたいことがありますけれども、これは後に譲りまして、また次の機会に論議をさせていただきます。 大臣、さっきの、帰ってこられたときの記者会見の最後のところで、生産、流通、消費、各般にわたって、従来からの政府・与党一体の取り組みの中で責任を果たしてまいりたいと考えておりますというふうに、さっきそのとおり読みなさいとおっしゃるから、そのとおり読みます。そういたしますと、野党が入っていない、この中に、野党が。大臣がアメリカで一生懸命交渉していても、私どもにはその状況が伝わってこないんですよ。毎日不安な思いで新聞を開き、各社の新聞を何紙、何枚読むかわからないのですよ。そうやって大臣の交渉がどんな形に進んでいるかを一生懸命我々も心配して見ておった。そして今国内対策をどうするのかという質問をして、今後一体我が国の生産現場ではどうなっていくのかということまで私たちは一生懸命心配しているんです。与野党一致で農産物自由化に関する反対決議もやった両院の農林水産委員会の立場もある。その中で、従来からの政府・与党一体の取り組みの中で責任を果たしてまいります、これは何か一つ欠けてはいませんかというふうに思うのでありますが、この点をお聞きするとともに、しかし大臣、ようやってきてくれたということだけは申し上げたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 心温まる最後のお言葉でほっといたしたわけでございますけれども、私が政府・与党一体と言うのは、国会を無視するあるいは野党を無視するということで言っているんではございません。政府・与党の責任が一番重いという——私は政府の立場にありますけれども自民党所属の衆議院議員でもあります。そういう意味で責任感から申し上げておるところでございまして、そういう言葉はしょっちゅう私は吐いてきているんです、どこへ行っても。共通の認識はあっても一番重い責任はだれか、それは政府である、そして与党である、政府・与党がその責任感がなければどうなるか、こういう責任感ということで申し上げておるので、言葉足らずの点は済まぬと思いますが、ここまで申し上げれば御理解いただけるのではないかと思います。よろしくどうぞ。
○諫山博君 今度の牛肉、オレンジの自由化交渉、これに臨むアメリカの態度は言語道断です。アメリカの牛肉の自給率は九四%、ECの場合は一〇六%、日本の場合はわずかに六九%。この六九%というのも農業基本法以来農水省がかねや太鼓で農民に推奨してきた畜産です。こういう状況の中で理不尽な要求をアメリカが日本に突きつけました。ある集会で私が、アメリカは日本を五十一番目の州と見ているのではないかと話したところが、反論が出ました。五十一番目の州であったらもっと大事にするはずだ、五十一番目の州ではなくて属国とか植民地と考えておるのではないかという指摘を受けましたけれども、まさにそういう感じを受けます。 その背後には、私たち共産党がしばしば指摘するように、安保条約があると思います。安保条約は、今や軍事同盟というにとどまらず、政治的、経済的にも我が国をがんじがらめに、アメリカの従属状態に縛りつけている。ここにアメリカの高飛車な理不尽な要求があると思いますけれども、直接交渉に当たられて、アメリカの対応の仕方は紳士的だと思われますか、それとも、理不尽という言葉が激し過ぎれば、何かやはり納得できないものを感じておられますか。交渉に臨んだアメリカの態度に対して聞きたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 私は、しばしばアメリカは友好国であるという認識を言葉の端々につけ加えております。我が国の立場、国際認識と日本共産党の認識とは違っておることは従来とも私が承知をいたしておるところでございます。そういう流れの中で、今理不尽なというお話がございました。理不尽とは理屈に合わないということをストレートに解釈するならばそのとおりであります。理屈に合ってない点が随分あるんです。激しいやりとりをしてまいりました。しかし、今また別の言葉でおっしゃるには、植民地、こういうお言葉がございましたが、植民地であるならば私はこの ような結果にならずに、こっちの提案もせずに、仮説もなしに、何にもしないで向こうへ行ってお参りをして帰ってくるというようなことになるでしょう。植民地ではございません。
○諫山博君 念のために申し上げますけれども、私は日本がアメリカの植民地だとは考えていないし、そこまでは言っておりません。 アメリカの高姿勢な態度の背後にアメリカの失政があると思うんです。いわゆる貿易摩擦を日本に強硬な態度をとる背景にしているようです。この貿易摩擦というのは、双子の赤字ということでよく言われますけれども、アメリカの財政上の赤字、貿易上の赤字、これはいずれもアメリカがみずからつくり出した問題です。 竹下総理が訪米する直前に、私たちは衆議院と参議院の本会議の決議にするために二つの決議案を提出しました。一つは、農産物の輸入自由化を認めるなということです。もう一つは、アメリカの軍事費を削減するように要求してきなさい、こういうことです。これは別なことのように見えますけれども一体のものです。アメリカが膨大な軍事費を使っている、これがアメリカの双子の赤字の一つの原因をなしている、この問題を解決することがやはり今直面している重要な事態を解決する一つのかぎだという立場から竹下訪米の直前に決議案を出しましたけれども、残念ながらこれは決議になりませんでした。 そこで、いわゆるこの貿易赤字については、アメリカ側に責任があると同時に日本側に責任があります。それは、工業製品をむやみに外国に輸出する輸出至上主義をとっていることです。どうしてそういうことができるかというと、日本の政府が大企業に対して実に手厚い保護を加えてきた。税制上の不公平税制が今問題になっているけれども、それは一つです。そのほか、労働者には低賃金を押しつける、長時間労働が続いている、大企業の下請いじめが続いている、こういうことが日本の輸出ラッシュの背景をなしているし、しかもこれがアメリカとの貿易摩擦の一つの原因になっております。その点では、アメリカ側に責任があると同時に日本側に責任がある。この問題をもっと抜本的に改めるべきだということを主張してきましたけれども、なかなかそうはなっておりません。 そこで、大臣にお聞きしますけれども、大臣がアメリカ側の態度を理不尽と表現されましたが、この理不尽なアメリカ側の態度の背後にいわゆる日米間の貿易摩擦というのはあったんでしょうか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 交渉の中身について言えることと言えないことがございます。差し控えさしていただきたいと思います。 もう一つ、私はストレートに理不尽と言ったわけではございません。あなたが理不尽という言葉の意味を理に合わぬと言われるとするならば、それはそうでしょうと、こう申し上げたんで、言葉というのは、日本語、いろいろに解釈されますから、それで拡大解釈をされて、そして私どもが迷惑する場合もある、あなたが迷惑する場合もあるでしょう、お互いに気をつけなきゃいかぬと、こう思っております。
○諫山博君 理不尽というのは理屈に合わないことでしょう。その点では解釈は一致しています。 そこで、大臣は委員会ではアメリカの高飛車な態度の背後にいわゆる日米貿易摩擦があったかどうかに触れられませんでしたけれども、マスコミでは一斉に報道しているわけですよ。そしてこれはもう国民の常識だと思います。だから、その点ではアメリカの高飛車な態度の背後には非常に複雑な深刻な状況があるということを私たちは認識しております。 ただ、最近ぐらい日本の農業のあり方が国民から注目される時期はないと思います。佐藤農水大臣の顔がしばしばテレビにあらわれる、新聞でもトップで報道される、これは長い農水省の歴史の中で余りなかったことではないかと思います。それだけ今度の自由化交渉をめぐって日本の農業がいかにあるべきかということが国民から注目されるようになったわけです。この問題で、農民団体のさまざまな運動、闘いが展開されていますけれども、私が感じるのは、農民運動が農民だけの運動でなくなりつつあるということです。 例えば、ことしになって、農民運動全国懇が二回にわたって大きな集会を東京で開きました。この集会には、農民、農業団体が参加しただけではなくて、現場の労働者あるいは全農林の労働組合員、全税関の組合員、こういう労働者が参加しております。さらに、生協を初めとした消費者団体の人まで参加しているわけです。つまり農民運動の幅が広がったというのが一つの特徴だし、それだけに食糧問題がまさに農民だけの課題ではなくて日本人の問題だというふうに意識され始めたと思います。そのときのスローガンで非常に感動的だと思ったのは、日本人の食糧は日本の大地から生み出そうではないかということが強調されております。日本でできるものは日本でつくろうではないか、日本の大地が生み出した食糧で日本人の命と健康を支えていこうではないかというのが、農民だけではなくて広範な人たちの共通の要求になり始めているわけです。その点から見ると、今のアメリカの要求というのは全く理不尽だし、これに対して政府としてももっと毅然たる態度をとらなければならないと私は思っております。 そこで、今度の自由化交渉をめぐって私が一番痛感するのは、牛肉、オレンジの自由化を認めるか認めないかという交渉ではなくて、自由化を認めた上でその事後措置をどうするのか、輸入課徴金をどうするのかということに初めから交渉が移ったように思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) 今のお尋ねでございますけれども、私はよく、あわせて一つとかパッケージという話をしておるわけでございまして、しかし、あなたが、日本共産党が想像されている、そうではなかったのではないかと、あなたのその認識は、そのとおり日本共産党の認識として承っておきます。 私の答弁は先ほど来答えているとおりでございます。
○諫山博君 私の質問の趣旨は、牛肉、オレンジの自由化を認めるか認めないかの交渉ではなくて、自由化を認めた上でその事後措置をどうするのかということに初めから焦点が行っているような気がするがどうでしょうか、ということでした。
○国務大臣(佐藤隆君) 私は、そういう気がするどころか、そういう事実もないのでございますから、余りまともに答える気持ちにならぬわけでございます。したがいまして、丁寧に、あなたの御見識として承っておきますと、これだけを申し上げたわけでございます。これ以上答えようがございません。
○諫山博君 自由化と課徴金は一体のものだというふうに言われているようですけれども、交渉の中心は、輸入課徴金を認めるか認めないか、認めるとすればどの限度かということが交渉の焦点になっていたように報道されていますけれども、そう理解していいですか。
○政府委員(塩飽二郎君) かんきつと牛肉によりまして争点は必ずしも一致していないわけでございますが、基本はこれら産品についての日本市場の自由化という大枠の中で、具体的には日本のとっております輸入制限の撤廃、それが中心課題であることは間違いないわけでございますが、先ほども御質問がございましたけれども、自由化という場合にその実質的な市場条件の自由化という広い意味でとらえられておりますので、単なる狭義の輸入制限の撤廃以外に、自由化の、撤廃の期間の輸入枠の拡大の問題でございますとか、あるいはその他の関連する市場アクセスに関連した問題が全体としてそれぞれの産品の実態に応じて議論をされた、その中で、今お話のございましたように、特に牛肉につきまして、仮に自由化した場合に日本がとるであろう国境措置のあり方が一つの議論の対象になったことは事実でございます。
○諫山博君 輸入課徴金を課するかどうか、課するとすればどういう割合で課するのか、これはもともと独立国の主権に属することだと思うんで す。現にECを初めとして多くの国が課徴金制度を採用していると思います。この課徴金制度というのは、ガット加盟国ではどういう状況になっていましょうか。
○政府委員(塩飽二郎君) すべての国の実態を全部把握しておるわけでございませんけれども、特に農産物についてEC十二カ国が対外的な国境調整措置の中心的な制度といたしまして輸入課徴金制度をとっている、これが国別には国境調整措置の主力として一番維持されている措置ではないかと見ておりますけれども、それ以外に例えば北欧の一部の国あるいはスイス等におきましても農産物の種類によりましては輸入課徴金的な措置が適用されておるわけでございます。
○諫山博君 大臣にお聞きします。 輸入課徴金というのはガットでも認められている制度だ、そして、輸入課徴金を課するか課さないか、どういう金額にするのかというようなことはもともと日本国の主権に属することだと私は思いますけれども、この二点については見解を共通にしましょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) 日本国は主権国であるということをお答えしておきます。
○諫山博君 残念ながらそれは答えになっていないですよ。 輸入課徴金というのは、主権国の固有の権利に属するものだという御理解をお持ちですかと聞いたんです。 それからもう一つは、ガットでも認められている制度だという立場で交渉されたかということです。
○国務大臣(佐藤隆君) 先ほど来答えているとおりでございます。
○諫山博君 交渉事ですからここで説明できることとできないことがあるのは私にもわかります。 ただ、今のようなことは当然国民が知りたがっていることだし、公式の場ですから説明すべきだと思いますけれども。
○政府委員(京谷昭夫君) この問題についての私どもの基本的な立場というのは、大臣から申し上げておるとおりでございます。 ただ、関税を含めましていろいろな貿易に関連をする国境措置につきましては、御承知のとおりガットという機構がございます。具体的な規定も規約もあるわけでございまして、その解釈をめぐりましていろいろな議論があることは御承知のとおりでございます。また、二国間交渉あるいはラウンド交渉を通じまして相手国の国境措置についていろんな意見をお互いに言い合うということも、これまたお互いに認められております国際慣習でございます。そういったレベルにおきましてアメリカ側はアメリカ側の見解を述べ、それに対して我々は我々の見解を述べ合って相互理解を深めて交渉を進めていくということが通常の交渉でございまして、私どもの基本的な立場はあくまで大臣から申し上げたとおりでございますが、相手国の意見にも耳を傾けながら相手の理解を求めるというのが交渉であることをひとつ御理解いただきたいと思います。
○諫山博君 残念ながら、肝心の問題についてはお答えをいただけませんでした。 先日の十品目のガット裁定のときに、私たちはこれは受諾すべきではないということを主張しました。仮に受諾の意思表示をしたことがあったにしても撤回すべきだ、今からでも遅くない、こういうことも当委員会で要求しました。そうしなければ牛肉、オレンジの自由化問題が出てきたときに正しい対処をすることが難しくなる。この対処を誤ったら、牛肉、オレンジがずるずると自由化の方向に引きずり込まれていくし、さらにアメリカ側の最終的なねらいだと言われている米に対する自由化要求まで広がってくるに違いないということを主張しました。 今考えますと、あの十品目の段階での毅然たる態度がどれほど必要であったかということを改めて私は痛感しております。あのときにもっと強い態度で対処しておれば、アメリカが今のような理不尽な押しつけはなかなかしにくかったのではなかろうかと思うわけです。同時に、今交渉されている牛肉、オレンジに対してもっとはっきりした、例えば課徴金をどうするかというだけが交渉のテーマになるのではなくて、その前提として自由化はまかりならぬという立場を貫かなければ、いよいよ最後の目標である米にまで累が及んでくるということを心配するわけです。 大臣は、この席で何回も牛肉、オレンジの自由化は困難であるということを言明されました。困難であるという言葉はなかなか幅の広い言葉ですから、客観的に困難だというだけではなくて、それは自由化をしませんという気持ちを含んだ意味の困難という意味ですかと私聞いたこともあるんですけれども、このときもはっきりした答えは得られなかったように思います。 そこで、最後に大臣にお聞きしたいんですけれども、牛肉、オレンジの自由化は困難であるという立場は今もお持ちなのかどうか。 それから、大分すれ違った議論と聞こえたかもしれませんけれども、私が約二十分間にわたって私たちの原則的な立場を主張しながら質問しました。この二つについての大臣の感想なり結論をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 最後の御質問でございましたが、今朝来私がここで答弁を申し上げておるそのことでおわかりをいただきたいという意味で一々お答えをしなかったということがあることを率直に申し上げておきます。 また、自由化は困難という言葉と自由化はしないという言葉の使い分けはこの場でも私申し上げてまいりました。はっきりした意見を伺うことができなかったとおっしゃいますが、私ははっきりお答えを申し上げてきたと承知をいたしております。 以上でございます。
○諫山博君 その困難ということの中には自由化はしないという意味も含めておられたんでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) それはもう従来の議事録に明らかでございます。 以上でございます。
○三治重信君 大臣どうも日米交渉御苦労さんでした。ちょっと休んでもらって……。 日米交渉熱戦でずっと今まで議論されて、これ以上聞く必要はないと思っております。 従来から、一つ農林当局にお尋ねして確かめておきたいと思っておることは、畜産事業団のあり方です。日米交渉の中でも一部の報道では畜産事業団のあり方について議論になったようなことがありますが、それはさておいて、私たちが畜産事業団の現在の動きについて一つ非常に不思議に思うのは、価格の下げ方がフェアでない。例えば価格を下げぬかとこう言えば、いや特定の日に値段を下げて特売をやっているとか、特売で下げたとか言っている。そうかといっているとまた畜産事業団は、私は従来は輸入牛肉と国内牛肉との価格の調整機能をやるところだと思っているんです。それを畜産振興のために補助金を使って何百万円か出している。こういうようなことは非常におかしいじゃないか、こういうことがまず基本的に二つあるわけですが、それについてのお答えを願いたい。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいまのお尋ねの問題でございますが、ひとつ御理解をいただきたいわけでございます。 御承知のとおり、現在の畜産振興事業団は畜産物価格安定法に基づきまして、国内で生産される牛肉の価格安定制度を維持していくために一定の価格レベルを下回って推移した場合に、これを買い上げて保管をするという業務を持っております。また、あわせまして、現在の牛肉輸入の割り当て制度を前提にいたしまして、この割り当てを受けて輸入牛肉の一元的な輸入主体として売買業務を行う。この売買業務の執行に当たりましては、先ほど申し上げました国内産の牛肉価格安定制度とリンクをした売買の仕方をしなければいけないという仕組みになっておるわけでございます。 したがいまして、国内産の牛肉の価格安定のた めに設けられました安定帯レベルと一定のリンケージを持って割り当て制のもとで輸入した牛肉を一定のレベルの価格で国内に放出をする、こういう制約下で輸入牛肉の売買業務をしておるわけでございます。 そのような業務運営の結果、売買業務に伴う差益が生ずることは事実でございます。この差益の活用につきましては、同じく畜産物価格安定法に基づきまして一定の内部保留をして、なお余裕のあるものは畜産振興事業団の業務の一つになっております国内の牛肉生産その他畜産の振興あるいは畜産物の流通、消費の改善のために必要な助成事業の財源として活用することができるという法律の規定に基づきましてそういった差益金をその財源として利用をしておる、こういう状況にありますことを御理解賜りたいと思うわけでございます。
○三治重信君 そうすると、国内牛肉の生産の維持だけの価格を先に決めてしまって、そして外国から輸入した牛肉についてはそれよりか下がらぬような値段で放出して、その差額はみんなポケットへ入れて畜産振興に勝手に使う、こういう制度をやっているから私は問題が出てくると思うのです。だから、国内牛肉の生産の維持ということについて機能するのはいいわけなんですけれども、しかしその値段を維持せんがために、輸入牛肉でもうけるだけもうけて、そのもうけた金を価格の補償に使わずして、ほかのところに使うというのは、私はこういうふうな牛肉の自由化を迫られているときに、畜産事業団の運営の仕方を基本的に変えぬと対応ができぬじゃないかと。 むしろ、差益は、輸入価格の水準に国内牛肉の価格を近づけるため補助してもっと値段を下げる、こういうふうに使う。輸入牛肉の値段を下げるためにその輸入牛肉の値段の価格差を使うということに転換しないことには、輸入牛肉の自由化というものに全然背を向けた事業団の価格差益——現在の法律がそうなっているといえばやむを得ぬかもしれぬけれども、輸入牛肉の自由化に進むに当たって考え方を変えぬと、農家の生産価格を維持するのはいい、牛肉の値段を下げなくちゃいかぬ、下げるための価格の補償に使う、こういうふうに方向転換しないとこれは自由化に対する対応にはならぬと思うのです。 課徴金だってそうでしょう。課徴金をやるようになっても国内の輸入牛肉の値段を全然下げぬで、課徴金を全部畜産振興のために使うんだということでやったならば、これは何のために国境調整措置をやるんだか、いつまでたっても国内の牛肉の生産費を補償するだけの牛肉価格を維持するんだと、こういう価格政策というのは私は間違いだと思うのですが、どうですか。
○政府委員(京谷昭夫君) 先生御指摘のとおり、現在のこの仕組みというのは昭和五十年に畜産物価格安定法の一部改正によって決められた仕組みになっております。 私ども、国会で御決定をいただきましたこの法律の規定に従って現在の事業団運営をやっておるわけでございますが、私どもとしまして、この国内の価格安定制度による保護水準をできるだけ生産性の向上を通じて下げていく努力をしてきているつもりでございます。そのための手段として、この輸入牛肉の差益金も活用させていただいてきておりまして、具体的には生産性向上のための各種の施設整備、あるいは負債対策等々に活用するほか流通改善を通じた末端価格の引き下げのための食肉センター等の整備の財源として活用をしてきておるわけでございます。 そういった各種の努力を通じまして、国内産の牛肉に対する支持価格水準というものも最近の状況で申しますと六十一年、六十二年、六十三年にわたりまして連続をして、六十一年から申しますと二・三%、それから六十二年度におきましては六・四%、六十三年につきましては約四・三%というふうなレベルで順次コストの引き下げを反映した安定価格水準というものの引き下げを行ってきておるわけでございます。今後引き続きこのような国内におきます生産コストの引き下げ努力を通じまして支持価格水準の引き下げを極力実現し、そのことを通じて内外価格差の縮小に努めていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。 さて、また先生から御指摘ございました、まだ交渉中であり、ガットパネルでの論議が残されておるわけでございますが、例えば牛肉についての輸入割り当て制を改変するというふうな事態になった場合に、こういう事業団の機能がどうなっていくかという問題につきましては、私どもとしては、現在輸入割り当て制を前提にして行われております畜産振興事業団による一元的な輸入牛肉の売買業務というものは恐らく維持できなくなる、維持する必然性がなくなるという事態が考えられるわけであります。これは具体的にそういった最終結論というのが出ておるわけではございませんけれども、輸入割り当て制がない状態においてはそういう事態は容易に私どもとしても予想をしております。 そういった中で、また課徴金問題というふうな議論も出てくるわけでございますが、これを財源とした政策の方向としましては、お話しのとおり、内外価格差を縮めて十分競争力を持った国内の牛肉生産を実現するための手段として考えていくべきであるという基本的な考え方については私どもも同様に考えておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 大臣、二回にわたる対米交渉、大変御苦労さんでありました。よく頑張っていただきました。と申します私の気持ちは、大臣は悲壮な決意で臨まれたわけですが、その背景にはもちろん大臣の決意と、そして衆参両院の支えと背景、そして生産農家のさらに広がった国民世論の大きな力を背景として決意をされたと思います。そういうことを踏まえて、私は、大臣よく頑張ってくださったという言葉の意味はそれであります。 なぜ私がそう申し上げるかといいますと、これまでの日米間のいろいろの問題を取り組むにしても、政治、経済、防衛、余りにも対米従属性があり過ぎるのじゃないか。言葉を変えて言いますならば、余りにもアメリカのいわゆるちょうちん持ちをし過ぎるのじゃないか、こういう姿勢から、例えば日米安保の問題、そのとばっちりは沖縄における安保のかなめとしての基地強化がぐんぐん強化されつつある。人類は今デタントの方向に行きつつあるのにもかかわらずこのような方向に強化されつつある、こういうことを知っておるがゆえに私はそういうことをずばり申し上げたわけです。 このことは、喜屋武の声のみならず、このことをお聞きになったでしょうか。——ヘルムート・シュミット氏が、西ドイツの元首相ですが、日本のある高官に、日独とも米国の属国となるのでなく、友人として忠告し、尊敬し合える関係をつくることが重要であると元西独首相のシュミット氏が日本の某高官に話して呼びかけておりますね。外国の人でさえも日本の対米従属性に対する警告を発しておる。この姿勢がいろいろの問題につながって対米交渉の中であらわれておるということを私は非常に残念に思っているんです。そういうことを知っておるがゆえに、佐藤農水大臣の二回にわたる訪米に対する御苦労さんでありましたという私の言葉の背景にはそういうことがあるということを知っていただきたいと思います。 あなたは、願わくはいわゆる日本のペースでもってアメリカをと思っておるでしょう。アメリカはまたそれこそ泥沼に引き寄せていこうと、先ほど理不尽のといろんな表現がありますが、こういう情勢の中でよう頑張ってくださったとこういうことなんです。どうかひとつ対米姿勢に対する、これは一人や二人やちょっとやそっとで取り直せるものではないと思っております。そういうことをこの機会を通してぜひ再認識、再確認をしていただくならばと願っております。 そこで、今後は二国間交渉に移るわけでありますが、今後どういう姿勢で進めていこうと思っておられますか、この問題。
○国務大臣(佐藤隆君) 沖縄の戦中戦後、今日に 至るまでの歴史的な経緯、これを含んでの御見解しばしば先生からは承っているところでございます。きょうただいまもまたその意味の意見を聞かせていただきました。 私自身は、今朝来申し上げておりますようにパネルの場に議論は移されることになった。しかし、アメリカを友好国として、先ほど西ドイツの元首相シュミットさんの言葉を引用されて言われましたが、まさにパートナーとしていかがあるべきかということは、常にその平衡感覚は失わないように、友好国として余りにも無理な点はこれは譲るわけにはまいりませんよ、しかし話し合いはしなければなりませんよ、パネルでのまた議論になりますね。 しかし、このたびの交渉の結果を受けてどういう評価が、どういう反応が出てくるかということをじっくり考えながら、今二国間交渉に移されることになったがと言われましたが、パネルであれ二国間であれいかなる場におきましても私自身は農林水産省のお役人を督励いたしまして、あるいはまた内閣全体の理解も仰ぎ、いろんな場でいろんな方々の議論、これを頭に入れてそして一日も早い決着を図りたいものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 主権在民が政治の主人公でありますから、その声をいつでもどこでもストレートで受け入れてもらいたいということを御要望申し上げまして、今後も苦しい厳しい壁が立ちはだかっておることは予想されます。そこをどう乗り越えていくかという国民のためにぜひ主体性を持って頑張っていただきたい。 それで、公団の問題についてお尋ねいたします。 拝見しますというと、一つには、かいつまんで量的拡大の開発から質的向上を目指した開発ということが一つの柱になっていますね。二点に、対象地域は未墾地に限定されていたものが既耕地の整備に重点が移された。そして三点に「現在実施中及び調査中の地区は当分の間経過的に実施」と付されておる。そして「新たに整備業務として二つの事業を行うことができる」云々としてその条件が掲げられておりますね。これを踏まえて本土における特に畜産農業というのは北の北海道を一応先頭にして日本全体が開発されていった。それをどう今度は育成発展させるかということになるわけであります。 ところが、沖縄の場合にはすべてが立ちおくれてこれからというやさきであるわけなんです。それで細々と今スタートしたのがあるし、そして調査中のものがあるわけなんですね。ですから、この原則に照らされるというと出ばなをくじかれるのがまさに沖縄の農業である、こういうことになるわけでありますので、こういう改正からしましても沖縄がまたまた取り残されるのじゃないか、こういう心配を持つのでありますが、そういう点を踏まえてこの「当分の間」という見通しはどういうことなのか、いつまでなのか、これが第一点。 それから、本土においてはすべてそういった加除整理集約といいますか、こういう形で質的に重点的にということになっておりますが、沖縄の場合には質も重点もない、これからというところでありますからそういうことが非常に心配になるわけであります。どうかその点御配慮の上に立って、私のお尋ねしたことに対して、そして基本的な姿勢について農水大臣の一言もひとつお願いします。
○政府委員(松山光治君) 御指摘のように、今回の公団法の改正におきましては畜産をめぐる事情あるいはこれまで公団がやってまいりましたような大規模な未墾地を開発いたしまして大規模な畜産基地的な開発整備をやっていくということについての適地も少なくなってきている。そういうことで現に事業実施中の地区なり調査中の地区なりを除きますれば一応事業といたしましては廃止いたしまして、当面する農政課題であります既耕地の整備に重点を置いた新しい事業をしくと、こういうふうにしたわけでございます。 その辺の事情は沖縄についても同じでございますけれども、現に沖縄では事業の実施をいたしておりますし、かつまた、調査に着手しておるわけでございます。したがいまして、事業の実施しておりますものはきちんと仕上げる必要がございますし、調査を始めておるものにつきましても地元の意見も聞きながら事業化できるものについてはこれを積極的に取り上げていく、こういうことで「当分の間」といいますのもそういうものが完全に終わるということを頭に置いた「当分の間」であるわけであります。 そういうことと別に、沖縄のやはり農業基盤の整備状況なかなかおくれておりますから、御案内のように補助率の問題でございますとか、採択規模でありますとか、予算でありますとか、これまでの格別の配慮をしながらその促進に努めてまいったつもりでございます。今後とも同じような考え方でこの沖縄におきます農業基盤整備の促進ということについては取り組んでまいらにゃいかぬ、このように考えております。
○山田耕三郎君 佐藤農林水産大臣が訪米中でありましたので、不在の間に開かれました委員会で、私は概要、次のとおりの質問をいたしました。 〔委員長退席、理事高木正明君着席〕 すなわち、国内生産可能な畜産物については、極力その供給体制の整備をしていくことが急務であるとのことで農用地開発公団法が施行されたのでありますが、自来わずかに十年余りでありますのにかかわりませず、今度は逆に農畜産物需給が総じて緩和基調に転ずる等、公団業務をめぐる諸事情に変化が見られましたので、今度は法改正をして畜産からの撤退をするということでありましては余りにも長期的展望に欠けるのではないか。なるほど牛乳は余っております。しかし、先進国の中で極端に乳製品の消費の少ないのは我が日本であります。その上今や牛乳は水よりも安くなってしまっておるのです。スーパーでは安売りの目玉商品にさえなっております牛乳の消費がなぜ伸びないのかの原因究明や、その対策をおろそかにされたままでの畜産からの撤退では、国の指導を信じてこの事業に参加した生産農家に対して国の責任が果たせますのかどうか。ましてや、農産物輸入自由化問題が本日でも論議の焦点となっておりますように緊迫している中で、国内施策や構造政策を強化しなければならない現実に逆行しておるのではないか、こういう立場からお尋ねをしました。 そこで、大臣お帰りになられましたので次のことをお尋ねいたします。 まず第一点は、農業に対する補助金政策と農業の生産性の問題についてどういうふうに考えておいでになりますか。その二点についてであります。 〔理事高木正明君退席、委員長着席〕 なるほど、行革審も「公団事業の約八五%は国及び道県の補助金で賄われているが、莫大な国等の助成を受けている農家が見受けられる結果となっている。」という批判もあります。しかし、食糧の生産は国家の存立にかかわる基本的性格を持っているところから、主要国においてはいずれも農業保護政策をとっており、その手法や規模は千差万別であります。しかし、農業を破壊した国は必ず衰退いたしておりますし、そしてそのことは世界の歴史が物語っております。 例えば、イギリスが世界を制覇したころは農業はおろそかにされました。一時は自給率三〇%台に低下をいたしましたが、その後大変な保護政策を導入して、現在では自給率一〇〇%を超えております。農林水産業にはその国特有の生産条件があります。機械工業のように一概にはいかないものであります。以上のとおりであるにもかかわりませず、農業に対する保護政策で日本ほど生産農民がたたかれている国はないのではないかと思います。きょうは多くを申し上げる時間は持ちませんので、ごく一部の事例を申し上げさせていただきます。 まず、アメリカの場合についてであります。カリフォルニアは最も富めるアメリカの州であります。有権者の最も多い州でもあります。そのカリフォルニアは、北部サクラメントから南部ロサンゼルスの端に至ります距離は約八百キロメートル であります。日本でいいますと東京から下関、そういった長いところでありますが、そのサクラメントバレーから始まりますセントラルバレーの広大な農地をかんがいをしますあの行き届いた水利運河を私は見て大変驚きました。日本のようにかんきつが狭い段々畑で生産をされておるのと違って、見渡す限りのかんきつ畑であります。この運河がつくられましたからこそそのことが可能になっておるのだと思います。で、こういったことは愛知用水などの比ではありませんけれども、莫大な経費がかかっております。高速道路を走りましても、それに面しますサービスエリアにおいてカリフォルニア・ウオーター・マップという地図が掲げられております。 行政は、胸を張って国民の皆さんに、我々はカリフォルニアの農業を生かしていくためにこれだけ莫大な経費を使ってこの運河をつくっておりますと誇示をしておるように見受けました。しかも、そうであればこそその他図には落書きもありませんし、破ってあるというようなのは一カ所も見たことはございません。これも一つは形を変えた農業への補助行政ではないのか、このように私は見ております。 さらに今度は、アメリカで一番貧しい州、南部のアーカンソーに参りました。そこではアメリカ最大の農業団体だと言われておりますファーム・ビューロへ参りました。そこの話ではアーカンソーの農民の九〇%が減反政策に参加をいたしておりますということであり、三〇%を減反をすれば五万ドルの奨励金が支給されます。日本と比べてみていかにも行き届いたものだということを私は感じ取りましたが、これらもすべてやっぱりアメリカの農業に対する保護政策だと私は思っております。 もう一つの問題は、生産性向上の問題であります。私自身生産性向上に努めることは異論もありませんし、努力は重ねなければならないのは当然であります。しかし、農家だけの努力には限界があります。社会全体の仕組みが競争体質をつくり上げるために農業に稗益できるようにしておかなければならないことを申し上げたいと思っております。 簡単なことでございますが、ことしの春先、国宝ローズという非常においしいお米ですが、カリフォルニアの米作農場の国府田農場を私は訪れました。総支配人の鯨岡さんと懇談もいたしました。ほかのことは申し上げません。種もみはどれぐらい残されるんですかと申し上げたら八千俵だとおっしゃる。日本のように六十キロではありませんようです、四十五キロのようですけれども、それでも八千俵生産する日本の農家はありません。農地の拡大政策だけで対抗できるようなものではない。 さらに、もっと驚きますのは、社会資本の整備が日本と比較になりません。主要都市へは全部高速道路が通じております。どの道路でもお金を払った経験がございませんのですけれども、これまた日本との比較では大変な違いだと思います。肥料、農薬、農用資材等の安さは別として、私は生活を取り巻くものがどれだけ違うのかを調べてまいりました。 アメリカのスーパーと、日本のスーパーとで調べてみましても大変な違いがございます。たった一つだけ申し上げておきます。卑近な例ですが、アメリカで有名なビールはバドワイザーというビールだそうです。もう一つはクアーズだそうてす。いずれもこれらは一個三百五十五ミリリットル、日本は三百五十ミリですけれども、一個がバドワイザーの場合には五十円です。さらにはクアーズは六十八円です。多分これはバドワイザーというビールが安売りをされておったのではないか、このように思いますが、三・五倍から四倍の値段の違いがあります。それだけ高いものを飲まされております。 日本のビール会社は、麦芽の八〇%を輸入に依存しておると言われております。円高差益だけでも年間数百億円あるという報道がありましたけれども、こういったところを適正に直していかないと、農民だけに米の値段を下げろ、競争力をつけると言ってもなかなかそうはいかないものなのではないか。 先日のこの委員会で、農機具や農薬や肥料の価格が高過ぎるという質問がありました。政府は、丁寧にお答えをいただきましたけれども、全く及び腰のお答えでありました。形が違うから、輸送の形態がばらであるからストレートに比較することはできませんということでありましたけれども、そんなことでは困ることでありますし、こんなものはきちっと比較できなければなりません。農林水産省がやっていただかなくて、どこがこれをやりますのですか。この比較がわからなくて、どうして生産性向上の目標を生産農家は立てていけるのでしょうか。こういった点、何とか佐藤農林水産大臣の時代に明確にしていただきたいと思いまして、ちょっと時間が過ぎたようですけれども、委員長におわびをして、私の質問を終わります。
○国務大臣(佐藤隆君) 私の考え方と一致する部分の多い御見識を承りまして、本当はじっくり答えたいなという気持ちもございますけれども、時間の制約もございます。 今申されましたように、農業の保護政策、これを日米の比較において、あるいは各国ともいろんな形で、いろんな経緯の中でやっておるそのこと、これはやっぱり頭に入れる必要がある、それから生産性の向上、この二つを言われました。 生産性の向上については、幅広く言えば、両国民の生活環境あるいは生活の態様、こういうようなことの違い、そういうことも頭に置きながら、ただ、農業いじめというようなことになってはならぬのではないかという御指摘であったと、簡単に言えばそういうことではなかったかと思っております。安易なと言っては恐縮でございますが、コスト計算のみではかり知ることはできない食糧政策である、私の認識も大体あなたの認識と同じでございます。 といって、しかしもう少し工夫はないものか、そしてこれからの将来に向けての展望、こういうことになりますと、農政審報告というものを受けて、それを土台にしながらさらに具体的な展望はどうなのかということになりますと、米についても流通問題これあり、そういうようなことで私どもはいろいろ勉強をさせていただきながら、相当これは時間のかかる問題でありますけれども、問題意識はまさにそのように思っておりまして、必ず立ち行くようにしなければならない。 そういう意味では、畜産についても、この公団法の改正が畜産の撤退というふうには決して考えておりません。ただいまの非常に幅広な御見識を承りながら、さらに努力をしてまいりたいと思います。
○委員長(岡部三郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡部三郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○諫山博君 私は、日本共産党を代表して、農用地開発公団法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。 今回の法改正は、農用地開発公団の見直しを提言した昭和六十一年の行革審答申と昭和六十三年の行革大綱に沿うものであります。この提言は、国際化時代に対応した農業構造の転換と称して、市場原理の一層の導入、農畜産物の輸入自由化促進、生産者価格引き下げ、零細農家切り捨て等を打ち出した前川リポートを踏まえたもので、こうした政策を前提とした公団の見直しを容認することはできません。 公団設立時の目的であった九万五千ヘクタールの草地造成を五〇%以上も未達成のまま投げ出し、草地造成、畜産基地建設をやめることは、国土の有効利用等と結びついた酪農、畜産の振興、飼料を含む自給率向上を放棄することにほかなりま せん。それはまた牛肉の輸入自由化をも前提とした措置だと指摘せざるを得ません。このことは、公団法の目的から「農産物の安定供給」という文言が削除されたことにも端的に示されているのであります。現在の公団による草地造成、畜産基地の行き詰まりは、政府の畜産政策、公団の事業の欠陥によるものであり、その是正こそが求められているのであります。 NTT株売却益を利用したいわゆるAタイプ事業の導入は、NTTを公共企業体に戻すという基本的立場から到底容認できません。しかも、予定されている市街化区域等水田転換緊急特別対策プロジェクトは、市街化区域内の水田を宅地化しようとするものであり、財界等の都市近郊農業攻撃の方向に沿ったものであります。 以上が反対の理由であります。
○委員長(岡部三郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡部三郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 農用地開発公団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岡部三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 稲村君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。稲村君。
○稲村稔夫君 私は、ただいま可決されました農用地開発公団法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員山田耕三郎君の共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 農用地開発公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 最近における我が国農業をめぐる厳しい内外情勢に対処してその体質強化を図るため、農業基盤整備事業を促進することは極めて重要な課題となっている。 よって政府は、本法の施行に当たっては次の事項の実現を図り、農業の将来展望を踏まえて公団事業の円滑かつ効率的運営に遺憾なきを期すべきである。 一 事業効果の早期発現を図ることを旨とする公団事業の特性が十分発揮されるよう、必要な予算の確保に努めること。 二 公団事業の実施に当たっては、地域の実情、受益者の意向等に応じた適切な整備水準の選択が可能となる方式を確立するとともに、管理経費の縮減等に努め、受益者負担の軽減を図ること。 また、従来事業の完了地区で償還が困難になっている者に対しては、その実情に応じ円滑な償還ができる適切な措置を講ずるよう努めること。 三 公団事業の推進に当たっては、地元関係者の意向等を踏まえ、長期的視点に立った地域農業の確立、農業構造の改善、農村地域の活性化等に資するよう十分配慮すること。 また、事業完了後における営農等に対しても、国、地方公共団体及び農業団体が一体となって濃密な指導、助成等を行う体制を整備すること。 四 公団事業の円滑な推進に資するよう、必要な技術者等の要員確保とその身分の安定に努めるとともに、新事業の実施に対応しうる業務体制を整備すること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(岡部三郎君) ただいま稲村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岡部三郎君) 全会一致と認めます。よって、稲村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤隆君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(岡部三郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(岡部三郎君) 次に、漁業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤隆君) 漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 漁業災害補償制度は、昭和三十九年の創設以来、中小漁業者の相互救済の精神を基調とした共済事業の実施を通じて、その経営の安定に重要な役割を果たしてまいりました。 しかしながら、近年における我が国水産業を取り巻く厳しい環境の中で、共済事業の運営は、新たな対応を必要とするに至っております。すなわち、国際的な二百海里体制の定着、水産物需要の伸び悩み等の厳しい状況のもとで、我が国周辺水域における漁獲不振等により共済事故が多発してきております。また、共済の加入がいまだ十分ではないという事情もございます。 政府におきましては、このような事情にかんがみ、漁業及び漁業共済に関する学識経験者等の意見をも踏まえて慎重に検討した上で、中小漁業者の共済需要の多様化に対応しつつ、漁業災害補償制度をより漁業実態に即した制度とし、その健全かつ円滑な運営を確保することを旨として漁獲共済の仕組み等について所要の改正を行うこととし、この法律案を提出することとした次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 第一に、漁獲共済についての改正であります。まず、加入の拡大を図るため、漁業協同組合の組合員である中小漁業者の相当部分が漁獲共済に関する規約を定めた場合には、その漁業協同組合が共済契約を締結することができるようにするとともに、長期共済の制度において契約割合の固定制を緩和することとしております。また、特定の漁業について、共済金の支払い方法の特例を設けることとしております。 第二に、漁業共済組合連合会による漁業再共済事業及び政府による漁業共済保険事業についての改正であります。最近における共済事故の態様等にかんがみ、漁業共済組合連合会の再共済金額及び政府の保険金額の算定方法を改めることとしております。 第三に、特定養殖共済の本格実施であります。これは、昭和四十九年以来試験的に実施してまいりました養殖業についての生産金額の減少等をてん補する特定養殖共済を新たな漁業共済事業として実施するために必要な措置を定めるものであります。 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(岡部三郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。田中水産庁長官。
○政府委員(田中宏尚君) 漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足し て御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下、その内容について若干補足させていただきます。 第一に、漁獲共済についての改正であります。 まず、加入の拡大を図るための共済契約の締結方式の改正であります。漁船漁業及び定置漁業等におきましては、これまで、漁業者が個別に加入することとしておりましたが、これに加え、新たに、漁業協同組合の直接の構成員である漁業者の相当部分が漁獲共済に関する規約を定めたときは、その漁業協同組合が被共済者として加入できることとしております。 次に、継続申し込み特約による長期共済の制度におきまして、これまで、契約割合は、特約に係る期間内、原則として変更できなかったものを、一定の要件に該当する場合には引き上げることができることとしております。 また、共済金の支払い方法の特例の新設でありますが、これは、その経営事情及び共済事故の発生の態様に照らして特例を定める必要があるものとして政令で定める特定の種類の漁業につきまして、共済責任期間中の漁獲数量が基準漁獲数量を上回った場合には共済金を減額することとするものであります。 第二に、漁業共済組合連合会による漁業再共済事業及び政府による漁業共済保険事業についての改正であります。 これは、漁業共済組合連合会の再共済金額及び政府の保険金額の算定方法等を改めることにより、漁業共済組合と漁業共済組合連合会との間における漁業共済事業による共済金の支払いについての責任の分担方法及び漁業共済組合連合会と政府との間における漁業再共済事業による再共済金の支払いについての責任の分担方法を改善しようとするものであります。 第三に、特定養殖共済の本格実施であります。 特定養殖共済は、特定の養殖業につき生産金額の減少または養殖施設の損害に関して給付を行う事業として、これまで試験的に実施してまいりましたが、これを、漁業共済事業として本格的に実施することとしております。 なお、特定養殖共済は、当面、これまで試験実施を行ってまいりましたノリ養殖業を対象として行う予定であります。 以上のほか、所要の規定の整備を行っております。 以上をもちまして漁業災害補償法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○委員長(岡部三郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。 ─────────────
○委員長(岡部三郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 漁業災害補償法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として全国漁業協同組合連合会会長宮原九一君、全国漁業共済組合連合会副会長小林大助君及び東京水産大学教授長谷川彰君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十七分休憩 ─────・───── 午後一時三十一分開会
○委員長(岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 漁業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案につきましてお手元の名簿にございます参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多用なところを本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。 本日は、漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の本委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じております。よろしくお願いをいたします。 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方につきまして申し上げます。 御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上、お一人十五分以内とし、その順序は宮原参考人、小林参考人、長谷川参考人の順といたします。 参考人の方々の御意見の開陳が一応済みました後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。 それでは宮原参考人からお願いをいたします。宮原参考人。
○参考人(宮原九一君) 全漁連会長の宮原でございます。 まず最初に、本日参考人として意見を申し述べる機会をいただきましたことに対し感謝申し上げますとともに、諸先生方には平素から水産業の振興のため特段の御理解、御尽力を賜っておりますことに対しまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。 今国会では、既に漁協合併助成法、漁港法、水産加工施設資金法等の改正法案を可決していただきまして、これまた厚く御礼を申し上げます。特に漁協合併につきましては、漁協系統挙げて合併促進への決意を新たにいたしまして、全漁連はもちろん、関係の漁連、信漁連それぞれに既に専任の部署を設置して、諸準備を進めているところでございます。 改正法案についての専門的な意見は、事業実施団体であります漁済運副会長の小林参考人にお願いすることとしておりますので、私は本漁済制度の基盤である、我が国漁業と漁協が今日置かれている現状とこれらの基本対策並びに本漁済制度が漁業経営上の収支を補てんする唯一の制度として我が国漁業の振興に欠くべからざる制度であって、その拡充が今日一層強く望まれている状況について若干の私見を申し述べたいと存じます。 先生方既に御高承のとおり、二度のオイルショック以降、これまで漁業の発展を支えてきた諸条件がことごとく失われ、我が国水産業の状況は著しく変貌しております。すなわち、海外漁場からの撤退、我が国二百海里内の資源悪化、魚価低迷、漁業、漁協経営の悪化、漁村の活力低下等々であります。 このような状況下にあって、我々漁協系統の使命は、我が国水産業の再構築を図り、二十一世紀に向けての将来展望を切り開いていくことでありますが、この基本方向について私は次のように考えております。 まず第一に、漁業を単に第一次産業、すなわち生産という役割にとどまらせることなく、広く消費者のニーズに沿って、生産から流通、消費に至る一貫体制をつくり、消費者に密着した食品産業として確立することであります。さらに、都市住民との交流を深め、自然、景観、文化、海面利用等、漁村の特性を生かした幅広いサービスを提供することにより、漁村に付加価値を集め、その活性化を図ることが必要だと考えております。そして、これらの取り組みに当たっては、漁協をその担い手として位置づけ、水産業と漁村振興のために漁協系統が一丸となって努力していかなければなりません。 このような基本的考えに立って、我が国水産業が現在直面している諸問題に取り組み、難局を打開していきたいと考えております。 時間の関係もありますので、特に次の五点に重点を絞って意見を申し述べさせていただきます。 まず第一に、資源・漁場問題であります。 二百海里体制へ移行して十年間が経過したわけですが、今や、我が国の漁業生産量の八割は我が国二百海里内漁業に頼らざるを得ない状況となっ ております。しかし、我が国周辺漁場における資源は悪化し、漁獲不振は長期化しております。二百海里内の限られた資源・漁場を有効に、しかも永続的に利用していく体制を早急に確立することが最大の課題となっております。このため、漁場の整備開発と栽培漁業の推進に今後一層努力していくことが必要であります。さらに、資源の管理体制を確立するために、資源状況の把握とともに資源に対する我が国の管轄権を確保することも大切なことでありまして、二百海里全面適用の一日も早い実現が求められているところであります。 近年における漁船の大型化、漁労設備の高度化は、生産性の向上をもたらせた反面、限りある資源量に対して過剰投資となり、資源枯渇を招く結果となりました。さらに、魚価低迷が加わり、漁業経営が今日の危機的状況に至ったことを身にしみて痛感している次第であります。このような状況を打破するために現在、漁協系統では計画営漁の実施や資源管理型漁業等の確立に向け、必死の覚悟で取り組んでおります。 これらの自主・共同管理を円滑に進めるために、行政からも種々御指導をいただいておりますが、さらに自主努力と相まって、真の二百海里時代に対応した漁業諸制度のあり方についても見直しが行われるよう願うものであります。 また、これらの資源管理型漁業等の確立にとって、本漁済制度加入の普遍的拡大は重要なよりどころであって、今回の制度改正の骨子である漁協契約方式の導入には漁業関係者の大きな期待がかかっております。 次に、輸入水産物問題であります。 昭和六十二年の輸入水産物は、急激な円高と海外漁場からの締め出し等の原因により、量、額とも史上最高となりました。これらの国内価格への影響は必至でありますが、悲しいかな我々にはこのような輸入増加に対して有効な歯どめ措置を持っておりません。国民食糧として重要な位置を占める水産物がかくも大量に輸入されている現状に対し非常に危惧を抱くものであります。 開放経済下にあって、輸入対策の基本は、品質価格面で、輸入水産物に対抗できる体質に強化していくことでありますが、我が国水産業の場合にはまだまだ幾多の保護を仰がざるを得ない状況であります。このため、IQ枠の堅持等秩序ある輸入制度の一日も早い確立を強く望む次第であります。 第三に、消費、流通への取り組みについてであります。 国民所得の向上と生活様式の多様化は、我が国の消費構造を大きく変化させました。水産物に対する消費者ニーズも、グルメ志向や活魚需要、簡便化志向、健康増進等多様化しております。畜産物や輸入水産物との厳しい競合の中で、消費者ニーズに対応し得る加工・流通体制の整備が急がれており、漁協系統は付加価値の高い加工・流通分野への取り組みを拡大するとともに、消費・価格対策を積極的に講じ、魚価安定と所得向上の実現を図ってまいりたいと存じます。 第四に、漁協の組織と機能強化についてであります。 漁協は、その事業活動を通じて組合員の営漁と生活の向上に寄与するとともに、地域振興の担い手としての役割を大きく期待されております。しかし、漁業経営の不振に伴う財務基盤の悪化やその小規模性等により、この期待に十分こたえることができないのが現状であります。資源・漁場、消費・流通、海面の多目的利用状況等、水産業、漁村をめぐる環境が大きく変貌している中で、漁協系統がこれらの諸問題に的確に対応していくことが、水産業の将来展望を切り開くための大きな試金石であると言えます。 このため、現在、財務体質の改善を図るために不振漁協の再建整備が進められておりますが、信用事業のオンライン化を促進し、金融機能の整備、経営の合理化を図っているところでありますが、今後全体的な組織体制の整備と機能の強化及び経営の安定を図るため、事業統合とあわせ漁協合併を積極的に推進してまいりたいと存じます。これが、先般漁協合併助成法の改正をお願いした理由であります。 最後に、遊漁・レジャー・海洋開発の問題であります。 近年、国民の余暇の増大等により、遊漁を初めとした海洋性レクリエーションが急増し、海面利用をめぐるトラブルが各地で深刻化しております。また、地域振興の観点からリゾート整備計画も各地で進められており、これとの調整が大きな課題になりつつあります。我々漁業関係者は、これらを単に排除するのではなく、情勢変化を的確に受けとめ、漁村の活性化のためにもレクリエーションや海洋開発との調和、共存を図っていきたいと考えております。 このため、漁協系統としても、遊漁者との協議やレクリエーション事業への積極的な取り組みを進めることとしておりますが、政府・国会におかれても漁業振興との調和を第一とし、現行諸制度の見直し及び海洋開発に関しては漁業関係者に対する事前協議はもちろん、実効的な調整方策が確立されることを切にお願いする次第であります。 最後に、本漁災制度が今日の漁業実態に十分対応することによって真にわが国漁業の再構築の柱となるよう、その制度改善を強く望むところであります。この実現に向けて、今回の改正案は、漁協系統の中でも十分検討、協議を重ねてまいったものであり、今後の推進に当たっては漁協系統を挙げて本制度の拡充のため努力してまいる所存でありますので、ぜひとも可決いただきますようお願い申し上げます。 また、本改正は政省令にゆだねる部分が多うございますので、先生方にはさらに御尽力をいただきますようお願い申し上げまして、私の意見陳述といたします。 ありがとうございました。
○委員長(岡部三郎君) どうもありがとうございました。 次に、小林参考人にお願いをいたします。小林参考人。
○参考人(小林大助君) 全国漁業共済組合連合会の副会長をやっております小林大助でございます。 本日は、漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、意見を述べる機会を与えていただきまして感謝申し上げ、お礼を申し上げます。 平素から漁業共済事業につきましては非常な御指導をいただいておりますが、これも重ねてお礼申し上げます。 私は、漁業共済事業実施団体である漁済運の副会長という立場から、漁業共済事業の当面している課題等について簡単に御説明申し上げ、その後改正法案について所信を申し述べたい、こういうふうに思っております。 漁業災害補償制度は、御高承のとおり、昭和三十九年に法律に基づく制度として発足を見たものであり、以来きょうまで二十四年を経過いたしております。この間、昭和四十二年の法律改正で政府の保険事業が開始されたことにより、名実ともに災害補償制度となったわけであります。以来、時代の変遷に応じ、制度の仕組みがより漁業の実態に即応するように、また、普遍的拡大が図られるように、四十九年、五十七年と二度にわたる法律改正をしていただくとともに、政省令、告示等の改正を重ねてまいっており、恒久制度としての充実強化が図られてまいったわけでございます。 申すまでもなく、この制度は、漁業経営にとって宿命的とも言える自然的な制約に対し、その損失を救済し、再生産の確保を目的として創設されたものであります。そうして、中小漁業者の相互救済の精神を基調としており、これに政府が保険事業、また、漁業者の負担する掛金に対する助成等の財政的な裏打ちをすることにより、農災制度に見合う制度として確立されているものでございます。 したがいまして、私どもは、この制度の担い手はまず系統組織であり漁業者であるという認識のもとに事業を進めてまいっております。漁業経営にとってはまことに厳しい近年の環境でございま すが、この中にあって漁災制度が漁業経営の安定と漁業再生産確保のために重要な役割を果たしてきていると確信しているわけでございます。 しかしながら、一方、加入の状況を見ますと、残念なことに依然として普遍化がいまだ不十分であるという問題があります。これが私どもの最大の課題と考えているところでございます。 共済・保険制度におきましては、全国的な普遍的加入がなされ、危険分散が図られることにより事業の健全化が確保されていくということが不可欠でございます。全国の漁業者がこぞって利用していくことが理想であります。私どもも日夜加入推進には最大の努力をいたしているわけでありますが、任意加入の建前の中で思うように普遍化が図られていないという問題が残されているわけでございます。 このような状況を打開すべく、我々といたしましては総加入運動を展開し、あるいは加入普遍化に努めるために最大の努力を払っておりますが、加入が進まない原因を考えてみますと、漁獲共済にあっては水揚げ金額の把握ができないというものもまだ相当ございます。これは漁協の共販体制の整備等にまつしか方法がないわけでございます。このほか、漁業者の理解がなかなか得られない、すなわち、義務加入制度が導入されているわけでございますが、全体がなかなかまとまらないという実態、あるいは条件の面において漁業者の感覚といいますか期待といいますか、希望というものと十分マッチしないというような問題もございます。加えて近年は、掛金調達が非常に苦しいというような問題もありまして、思うように加入してくれないという実態にあるわけでございます。 しかしながら、一方では漁業者の漁業共済事業への期待は極めて大きく、また、事業基盤を安定化させ、長期的に収支の健全化を図っていくためにも、加入促進のための措置がぜひ必要と考えております。このため、国初め地方公共団体も漁災制度に対しては各種援助をいたしてくださっており、この制度を漁業者が広く利用し、自然災害に備えるというようなことは、法の目指す政策目的にかなうものであると考えております。この観点から、私どもは、今回の改正に当たって、加入の普遍化を最大の課題として要望してまいりました。改正法案ではおおむねこの方向に沿って取り入れられているものと思います。 特に、今回の改正の一番大きな柱は、漁業協同組合が直接共済契約に関与する漁協一括契約という方式が導入されるということであり、これは加入を広げていく上で大きな前進になるものと期待いたしております。 現在、我が国漁業の将来展望といいますか進むべき方向につきまして、各方面において真剣に討議されているわけでございますが、資源の維持管理を今後どう図っていくか、漁業者の営漁対策をどう進めていくか等が大きな課題と考えており、このためには漁協自身が海の生産面に関してもより積極的な役割を果たしていくべき時期にあると考えております。これは、個々の漁業者が従来のように単に魚を競争してとるという方向からの転換を意味するものではなかろうかと思うところでございます。このためには、漁協の指導力、統率力がますます必要になるものと考えられますが、この場合の災害、不漁等に対する保全策としての漁済の役割は漁協自身にとってもますます重要な位置を占めることになるわけでございます。 今回改正を予定されております漁協契約方式は、漁業者の個人加入意向いかんが原則であることは申すまでもありませんが、まさに漁協の指導力に期待して事業展開を図ろうとするものであり、漁協みずからが資源管理等を進める上にも必要なものとして、傘下組合員漁業者のために漁済加入に取り組むということが明確にされたものと受けとめております。共済団体といたしましても、この漁協契約方式の導入は今後の本制度の総合的発展のために大きな力となるものと考え、今回の法律改正の一番大きな柱と評価し、また漁協が率先して取り組めるように、魅力ある仕組みとなるように希望いたしている次第でございます。 次に、特定養殖共済の本格実施に関する改正であります。 ノリ養殖業につきましては、制度発足時から物損方式の仕組みとして実施されてまいっているわけですが、その後のノリ養殖実態の変化に対応する仕組みが必要ということから、昭和四十九年以後今日まで、長期にわたって漁協の共販を基礎とする収穫金額方式を試験的に実施してまいっておるわけでございます。この試験実施は既に十四年を経過しており、前回五十七年法改正時における国会審議におきましても、「すみやかに本格実施に移行するよう努めること。」という附帯決議を付せられているという経緯がございます。 今回の改正案におきましては、試験実施の方式が養殖実態及び漁業者の共済需要にも適合していることから、この仕組みを改正し本格実施とするというものであり、私どもの要望が相当程度取り入れられた内容となっております。 仕組みの改正としての大きな点は、個別加入、個別てん補を基本とすることであり、また漁協契約方式をも採用していることであります。さらに、義務加入、長期共済の導入を実施しようというものであります。私どもも本格実施を強く要望してまいったものであり、この実現によってノリ養殖業の加入の普遍化が図られるものと期待している次第でございます。ただ、試験実施が長期にわたっており、また、従来からの物損方式である本則共済で加入してきている漁業者も多いことから、本格実施に伴って、この新制度への移行が円滑にいくための措置も必要と考え、特段の措置を政府にお願いしているところでございます。 さて、今回の法律改正案では五つの項目が盛り込まれているわけでございますが、この中には漁業者及び共済団体の立場から見ますとやや厳しくなるという改正事項もございます。 このことは、近年の共済事故多発という事実の中で、この制度が恒久制度として確立していくためには、共済事業収支を長期的には均衡させていくことが必要であるという視点に立って改正がなされるものと受けとめており、サケ・マス大型定置漁業に対する基準漁獲数量方式の導入という問題であり、また一つには再共済、保険段階における責任分担の見直しの問題でございます。 すなわち、サケ・マス定置漁業の数量方式の導入は、金額的に事故に該当していても、漁獲数量が一定量以上確保されている場合には一定の方式で共済金を逓減するというものでございます。サケ・マス定置は、ふ化放流事業をもとに我が国河川に回帰してくるシロザケを漁獲するという漁業であり、この点に着目しての数量方式の導入と聞き及んでおります。この漁業が五十八年から四年間連続して非常に大きな事故に該当したということで、今回の措置もやむを得ないものと受けとめてはおりますが、漁獲共済の基本は何といいましてもPQ方式でありますので、今回の措置はあくまで特例としてサケ・マス定置に限定されるべきものであるというふうに理解しているところでございます。 また、責任分担の見直しの問題につきましては、通常の事故発生の場合にあっては特に大きな問題はないと考えておりますが、仮に集中的に大きな事故が発生しますと、負担が現在よりも増加するということになります。今回の改正によって、私どもといたしましても従来にも増して自主的な運営努力を強化いたさねばと前向きにとらえておりますが、現在でも相当の赤字を抱えている組合もございますので、共済団体の経営に支障の生じないよう、指導、援助を政府にはお願いしたいものと考えているところでございます。 なお、これからの沿岸漁業に占める養殖業のウエートはますます高くなるものと思われ、新しい養殖種類もふえてきております。このため、共済の追加需要も多くなってまいりますので、新規事業の実施につきましても希望をいたしているところでございます。 以上、多々申し述べましたが、漁業にとっても、また漁済事業にとっても非常に難しい時期での制 度改正でございます。したがいまして、改正案の中身は私どもから見ますと改善される面と厳しくなる面とがあるわけですが、これらは相互に切り離せない一体となっての法律改正案と受けとめ、全体を総合的に見て改正法案を評価し、前向きにとらえていこうと現実的判断をいたし、賛成しておる次第でございます。 大変面倒な陳述を展開いたしましたが、私ども共済団体の立場も十分御理解いただき、この法律改正案の御審議を促進されますようお願いいたして、私の意見陳述とさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(岡部三郎君) どうもありがとうございました。 次に、長谷川参考人にお願いいたします。長谷川参考人。
○参考人(長谷川彰君) 東京水産大学の長谷川でございます。 私の専攻は漁業経済学、特に資源管理の問題を経済学の面から究明する漁業管理論という分野を専攻しておりまして、かなり長くやってまいりました。本日の審議の対象である漁業災害補償法の改正にはこの資源管理にかかわる事項が含まれていますので、その点について、研究者の立場から意見を申し述べさせていただきます。 漁業生産には他産業と異なる大きな特徴がございます。それは、生産の対象が天然の生物資源であるということに由来しております。単なる生物資源というよりは天然の、つまり野生の生物資源でございます。そもそも魚というのは極めて大きな再生産力を持っております。ところが、漁獲能力というのが近代技術の発達につれて非常に巨大になってまいりました。天然の非常に大きな生物生産力にも一定の影響を与えるほどに大きくなってしまったということであります。このため、対象資源の生産力に見合った適度の漁獲をするということをしませんと実は総漁獲量の水準を維持できないという困った状況になってしまいます。事実そういう状況が各地に起こっているということでございます。 一般の産業ですと、生産活動を増強すれば収益性の方はともかくとしまして、生産量の方は生産を増強するに従って間違いなく量としては増大するわけであります。ところが、漁業はそうはならないんであります。資本と労働を幾ら投入しても生産量は増加しないどころか、かえって減少するという特異な現象が起こってくるわけであります。いわゆる乱獲という問題でございます。 この漁業生産の特徴は、漁業政策のあり方にも大きな意味を与えることになります。まず第一に、資源の利用水準が満限状態になりますと生産能力の向上とか増強という一般産業では最も重要かつ有効な政策が逆に裏目に出るということてあります。漁民のために推進した漁船とかエンジンとかそういったものの強化策、あるいは装備の近代化策といったものが逆に経営を苦しめてしまうという矛盾した事態が起こるのであります。 ところで、もう一つの側面がございます。ちょうどそれは今述べたことと対照的な事柄でもあります。それは乱獲から回復させるという局面を考えますと今度は資本や労働の投下量を減少させることによって、つまりより少ない費用でかえって生産量を増大させることができるということ、これは他産業では考えられない独特のそして非常に経済効果の大きい対策が可能であるということを意味しております。 以上述べましたように、漁業の政策としましては単なる漁獲能力の一方的な強化策ではだめなのであって、資源や漁場の適正な管理体制をつくることが漁業生産の場合どうしても必要なのであります。しかし、日本の漁業の場合、最近まで今まで述べたような矛盾を実は漁場の拡大、漁場を外へ外へと拡大するというすり抜けを通じてやってきました。これは皆さん御承知のとおりと思います。沿岸から沖合へ、沖合から遠洋への漁業転換政策がそれであります。 二百海里制度でございますが、私はそれ自体非常に大きな問題を持っておる。果たして人類にとってこの制度というのが本当に正しい選択であったとは考えておりません。日本の場合、しかし、資源問題と真正面から取り組む契機をこの二百海里制度が与えてくれたという意味では非常に意義がある、もしくはこれを意義があるものにしなければならないと考えております。人によって解釈に差がございますけれども、資源管理型漁業という用語は、乱獲体質から脱皮しようとする日本漁業のあり方をあらわすものとして私は有意義であり、非常に重要なんだというぐあいに思っております。 ところで、漁業の管理あるいは資源の管理ということですけれども、管理そのものがこれまで日本になかったかといえば決してそうではないんであります。いやそれどころか漁業法とか漁業調整など世界でも類例のない非常に高度の法制と行政のシステムがあるといってもよいのであります。しかし、今日必要とされている漁業施策、つまり低成長と新しい海洋体制下の極めて厳しい経営困難を解決する手段としての資源管理型漁業のことを考えますと、そうした公共機関による外部からの漁業規制にはどうしても限界がございます。 漁業者の経営改善や収益の向上を直接的に図るということは行政技術的にもまた公益の原則からも不可能である、できないのだというぐあいに私は考えています。それはあくまでも漁業者の合意に基づく自主的な管理として行われなければならないそういうものだと思います。このことは非常に資源管理型漁業の問題を考える場合に重要な点だと思います。そして漁業の場合そうした自主的な漁業管理を実施する組織としては漁業協同組合をおいてないのであります。まさしく歴史的に選ばれた組織として漁業協同組合があるということでございます。 ところで、多年資源管理の研究に取り組んできたということを冒頭に申し上げましたが、その立場から見ますと最近の漁村における資源あるいは漁場管理の動きには目を見張るものがございます。私は昭和三十年の末から昭和四十年代にかけまして十年余り広島にあります水産研究所におりまして、そのころから資源管理の研究をやっておりましたが、漁村に近いということもありまして毎年のように漁村を調査に参りました。十年余りでありますので瀬戸内海周辺の漁村はほとんどくまなく歩いたというぐあいに思っておりますが、当然のこととして資源管理の必要性を当時から私は漁業者の皆さんに説くことがございましたが、残念ながら空振りでございました。先生、そうは言っても魚というのは人よりやはり先にとらなきゃならぬ。親のかたきと魚は見たときにとれ、これは漁民の口上なんだ、これを抜いて漁民はないということを言っておりました。 そういうことを考えますと、現在の状況は非常に変わってきております。最近では各地で非常に立派な管理事例があらわれてきております。百の理論より一つの事実でございます。そういう意味で私、最近やはり資源管理のことで漁村に行くことが多いんでございますけれども、講演が非常にやりやすくなりました。つまり問題がありましたらどこどこの漁村をぜひ見ていただきたいということが言えるのであります。しかし、このように大きな漁村の変化というものがございますけれども、日本漁業のあり方を根本的に変えるという本来の資源管理型漁業の課題を考えますと現状はまだまだ事例が少ない、いわば点の存在でございます。 水産庁も、一九七七年の二百海里以降多面にわたって資源管理型漁業への道を漁業白書等でうたっております。しかし、自主的管理、この中の自主という言葉があたかも免罪符のようになっておりまして、具体的な施策としましては全漁連へ委託しました、皆さんのところでございますけれども、モデル事例調査といったもの、それから日本水産資源保護協会に委託しました漁業管理シミュレーションの研究というもの。この内容はちょっと時間がございませんので説明を省略しますけれども、この二つぐらいがあったということだろうと思います。つまり、私から言いますとかけ声の 大きさに比べまして余りにも施策的には貧弱ではないかと思ってきたところでございます。その意味で今回の災害補償制度の改正を評価したいのであります。 資源の自主的管理は、漁村にとって全く新しい挑戦でございます。また新しい経験でもございます。管理の効果には当然なこととして未知の部分がたくさんございます。それから漁業生産にはどうしても自然変動がつきまといます。組合員を説得しまして資源管理型漁業を推進しようとする漁村のリーダーの立場を考えますと、今回の補償制度の改正は大いに意味があるんだというぐあいに考えます。その意味で改正を支持するものでございます。 ただ、最後に一言だけ申し上げたいことがございます。 今度のこの参考人ということで、水産庁の方で出されました資料を読む機会がございましたが、この資料を読みますと、あたかも加入率を上げるために漁協契約の範囲の拡大が必要であるという説明に終始しているように思います。しかし私から言わせれば本末転倒なんであります。あくまで現下の最重要課題である資源管理体制づくりの一手段として漁災改正があるんだと。強調したいことは、この漁災制度の改正以外にさらに多面的な資源管理型漁業のための誘導施策に真剣に取り組んでほしいということでございます。それがまたこの漁済を本当に活性化させる道でもあるというぐあいに考えます。 以上、私の見解を述べさせていただきました。発言を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(岡部三郎君) どうもありがとうございました。 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。 それでは、これより参考人の方々に対し質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○菅野久光君 本日は、参考人のお三方、大変貴重な御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。きょうは、腹蔵なく思ったことをひとつおっしゃっていただいて、私どもの審議の参考にさせていただきたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。 まず最初に、この種共済の問題については、事故率が低くて加入率が高いということが理想だと思うんですね。それで健全な運営ということになるんだろうというふうに思いますが、私もこの法案の資料などを見まして大変加入率が低い、そこにこの漁業災害補償制度の非常に難しい面があるんだろうというふうに思います。 先ほど、小林参考人の方からもその理由等について若干お話しされておりましたが、今回の改正によって加入の普遍化が図られるというふうにお考えになっておられるのか、その辺もしも困難な事情等があれば、それはやはり別な面でまた、今長谷川先生からもお話がありましたが、そういう漁業全体の総合的な関係が図られなければこの制度自体はうまくいかないんじゃないかなというふうに私も思っておりますので、その辺についての御意見を。 あわせまして宮原会長さんに、先ほどお話がありましたが、系統としての運動がなければ、せっかく法を改正しても本来の意図が達成できないんじゃないかなというふうに思いますので、系統としてこの問題について今後どのように取り組まれるのか、その辺のお考えもまずお伺いいたしたいというふうに思います。
○参考人(小林大助君) 先生おっしゃるとおりでございまして、まさに加入率が高くて事故率が低ければこれはまさに健全といいますか、非常にいい状態でございます。しかし、先ほども現実にはなかなか大変な努力をしながらも普遍化が十分でないと申し上げましたが、今回の改正で端的に申し上げれば、どういうふうに相当期待が持てるのかということだろうと思います。 私ども団体といたしましては、もちろん長谷川参考人が最後におっしゃった点あるいは宮原全漁連会長さんの系統への協力というようなことも含めまして、私ども共済団体に関与する者は、今度の改正が漁協一括契約方式の導入、これはやはり思想的には大変な大転換、大発展と考えております。と申しますのは、担い手は漁業者であり漁協ではありますが、漁業者の皆さん方に率直に腹割って申し上げまして理解を一人一人得るということはこれは非常に大変なことで難解なことでございます。やはり漁協という単位が中心になって、漁協のリーダーの方が中心になって組合員の方々に流していただく。もちろん当事者の我々共済団体の人間は浜回りに次ぐ浜回りをやっておりますが、そういうことで漁業協同組合が今までは組織的にはもちろん協同組合の系統構成をとっておりますが、事業の面では協同組合は単なるお世話をする、委託を受けてお世話をするという関係でございます。しかし事業のその中へもろに契約者というような形で出てまいります。 一つ参考でございますが、我々の方でワカメ、コンブ、貝類をとる漁業ですね、採貝採藻業、一号漁業と申しておりますが、これは漁業協同組合が契約方式をとっている。これの普及率というのは非常に高うございます。そういう例を一部参考にしましても、協同組合の位置づけが直接事業に入ってくるということによって非常な変わり方をするであろうということが一点。 これに関連しまして、政省令、告示等附属する一連の改正作業が今行われております。それには我々団体も非常に強く要望申し上げておりまして、その要望がどの程度まで入れられるかというのは問題ございますが、前向きにとらえて議論をやっておるところでございます。そういうものを含めますとかなりさま変わりがしてくるだろう。そういうことで我々は内部にこれを機会に新制度普及本部というような全会的なプロジェクトをつくりまして、まさにこの法律の成立を機にエポックメーキングして全国的に運動を展開してやろうということでかなり期待とそれから伸びを確信しておるわけでございます。
○参考人(宮原九一君) 私に対する御質問は、系統運動として今後これをどうとらえながらやっていく決意なのかということだったと存じますけれども、まず第一番に系統各段階における漁済推進のための体制整備ということを今進めておるわけでございまして、全漁連は全漁連で、また各県連におきましてはそれぞれ関係する信用漁連あるいは共済組合、さらにまた、基金協会等各種関連する団体との間に共済推進の指導体制を整備した上で浜に問題を持ちかけようという体制をとっておるわけですけれども、やはり基本になるのは地元漁協の体制、経営基盤の整備ということが中心になろうかと思います。 そのためには、また後ほど関連しますけれども、合併、統合を推進することによって漁協の経営体質を改善することが重要なる手段ではございまするけれども、何よりも漁協の指導体制をまず整備をしてまいりたい。そのためには、役職員自体の資質の向上と共済に対する熱意をどうつくり出していくのかという問題、それから若い人の力をこの共済加入の中にどう進めていくのか。例えば青年漁業士とかあるいは指導漁業士といった新しい制度でできた漁村の指導体制をフルに活用しながら、県にあります改良普及員等とタイアップして、この問題を単に漁済の普及という側面だけでとらえることでなしに、先ほど長谷川先生からお話もありましたように、資源管理型漁業、全漁連が提唱しておりますいわゆる営漁計画の充実、推進という課題の中にこの漁済を組み入れて、そして漁協が責任を持って地区の漁業の再生産を含めた生産体制を確保する、その後支えとしての漁済というものの役割を今回は漁協のいわゆる直接契約方式ととらえながら問題の推進を図るといった多面的な運動によって、従来この漁災制度の法律改正が何回もありましたけれども、絶えずそのねらいは加入の普遍化をどうするかということが中心課題でありましたけれども、残念ながら、現在なおこの問題が古くて新しい問題として言われてお る。今度はいよいよ最後であるというとらえ方の中で漁協のいわゆる契約方式というものを私どもはそれなりに高く評価して、系統の総力を挙げて今言ったような体制の中で指導してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○菅野久光君 今、宮原会長さんからもお話がありましたが、本当に系統の運動として、漁協の指導事業体制の強化充実、これがなければ、実際の仕事はそれぞれの漁協で結局やられるわけですね。そこのところの充実強化ということが、結局この制度が改正になったとしても成功するかしないかの決め手になってくるんじゃないかというふうに思うんです。これは口で言うのはやすいんですけれども、実際にやっていくということになるとなかなか難しいのではないかというふうに思いますが、その辺、まあ全漁連なら全漁連という組織の中でそういう体制をきちっとつくっていくということが当然求められるとは思いますが、それについて、例えば行政として、国としてどうやってほしいとか、こうすべきではないかというような何か御意見がございましたらお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。
○参考人(宮原九一君) 系統の運動でございますので、多くを官に頼るということは私どもとしては本当は言っちゃいけないんだと思いますけれども、残念ながら自分の力の限界というものも承知いたしております。しかしながら、あくまでも運動だということで、全漁連では三年に一回ずつ全国漁協大会というのを開催しまして自主的な運動目標というのをいろいろ策定しながら運動を展開し、それから中間年においてはその実施を反省しながら次に問題を進めるということにしております。 しかし、やっぱり出てくるのは、いわゆる行政のバックアップというものを今後いかに導入していくのかということが現地からもたくさん出てまいってきておりますので、今回の改正を契機にいたしましても水産庁当局から県に対して漁協が行う総加入運動に行政が一緒になってやれという強い指示をお願いしておるところでございまするし、また県ごとにいろいろ工夫を凝らして県水産予算の中に普及拡大のためのいろいろな予算費目をお願いして、そういうことで運動の足しにしているというところもございまして、今度が私どもとしては最後の機会でございますだけに、自力の不足するところはどうしても行政にお願いしたい。これはやっぱり県の職員あたりが、かけ声だけではなしにいわゆる漁協の運動員と一緒になって浜回りをしてもらうというところまで今度は掘り下げてほしいものだ、このように考えております。
○菅野久光君 今度の改正を契機にこの制度をより充実したものにしていかなければならないというふうに私自身も考えているものですから、本当に官民一体となってといいますか、そういうことが必要ではないかというふうに思っているわけでございます。 私は実は、北海道出身なものですから、今回の改正でサケ・マス定置の問題が漁業者にとって非常にマイナスの面と言えばこれが大きな問題ではないかというふうに思われます。このサケ・マス定置の共済の支払いが増大したという原因は一体何なのか。また事業団体としてこのことについてどのような対応を行ってきたのか。その辺もひとつお聞かせいただき、今後の展望などもあわせてお聞かせいただければ大変ありがたいというふうに思います。
○参考人(小林大助君) 先生おっしゃるとおり、サケ・マス定置に新しい方式が導入されたということにつきまして、かなり我々も論議したところでございます。 実は、サケ・マス定置の問題というのは、昭和五十八年、五十九年、六十年、六十一年と四年間にわたりまして大変な事故を出しております。正確ではございませんが、記憶するところでは四年間で約七十五億の金額をお支払いしておるというふうに覚えておるわけでございます。 その事故の原因というのは、北海道の先生に釈迦に説法でございますが、北海道の沿岸というのは東北六県に新潟県を足しただけの距離を持っておりまして、大漁だ大漁だといいましても地域間格差が非常にひどいという点がございます。したがいまして、道東地方で非常に大漁したが、襟裳岬を越えると全然いないというようなこともあるというような異常な状況がございまして、各年ごとの原因を調べますと、五十八年は何といいますかいわゆる漁はかなりあったんですが、価格が著しくダウンした、約二七%ダウンしております。そういうようなことで、漁はあったんだけれども、全体のトータルでは水揚げ金額は少ない。五十九年は、いわゆる回遊不順というようなことで、ある地域ではとれたけれども、道東の釧路、根室地方で非常に漁が少なかった。あるいは六十年は、やはり価格も悪い、漁もむらがあるというような状況でございました。 過去四年の状況が著しく悪い状況でございますと、全体に今度は漁獲共済の掛金率の問題にもろに響いてくるというようなことで、私どもも、補償事故の基準になる数字でございますが、これを漁業者の皆さんとひざ突き合わせて話し合いの上で五%ダウンするとかいうようなことを過去の状況を見ながらやってまいっておる。 それから、制度的にはいわゆる基準金額の算定方法を変えてみる、あるいは料率をいじくって若干高くするというようなことをやってまいりましたが、何しろ単年度に膨大な赤字を出すということで、この方式はやむを得ないものであるなというふうに理解したわけでございます。 ただしかし、本来漁獲共済というものの最もユニークな特徴はPQ方式というものでございます。それを一応崩すというようなことになりますので、これはあくまでも特例措置だというようなことで、サケ・マス定置漁業に限定して考えておるというような理解を持っておるわけです。 それから、今後の展望についてでございますが、魚がどっちを回ってくるかいろいろ予報を出されるんですけれども、魚の海況予報というものも必ずしも十分正確ではない面もございます。ただ言えることは、人工ふ化放流事業が非常に成功しております。成功して、三千三百三十万尾、歴史始まって以来帰ってきたといって、尾数で言っておるんですけれども、帰ってくる魚は必ずしも価値ある魚じゃない。もう御承知の、北海道の先生に釈迦に説法でございますけれども、そういうような状況で、人工ふ化放流事業というものも量的拡大から質的向上というようなことを考えていただけば、やはり冷水塊の影響等これはもうまさに天然の災厄でございますが、昨年度は非常に事故が少のうございました。それは一つには掛金料率の問題あるいは基準となるべき金額を下げたということもございますが、一般に魚模様がよくなってきておって、かなり赤字を回復したというのが六十二年度でございます。 したがいまして、今後ふ化放流事業の展開と相まってだんだんと回復基調にあるのではなかろうかというようなことで、この数量方式の導入についても北海道の漁業者の皆さん、団体の皆さん、あるいは岩手県の皆さんといろいろと論議をして、漁業者に対して著しい影響を与えないという程度にとどめるということで割り切ったわけでございます。
○菅野久光君 銀毛とブナじゃこれは大変な値段の違いがありますし、また、円高だとかあるいは水産物の輸入急増、そういうことによって魚価安になるということで、特にサケの関係についてはベニが大量に入ってきて関西から九州の方へ行くわけですし、この入荷の時期ですね、そういったようなことなどもいろいろあってこれが魚価に大きく影響しているのではないかというふうに思いますし、また、現実私はそうだというふうに思うんです。このことが今の基準漁獲量の問題などを含めて漁済に大きな影響を与えているのではないかというふうに思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
○参考人(小林大助君) 先生おっしゃるとおり、輸入してくるのは高級なベニザケだから直接には 関係ないという説もございますが、私は水産屋としての経験から申し上げまして、魚の値段というのは一つ暴落しますと他の魚種も抱いて下がるんです。魚価というのはそういう傾向がございます。したがって、輸入水産物のまさに大変な流れ込み方はやはり影響はかなりあるだろうと思います。 ただ、それがはっきりと具体的に表示できないという問題がございますけれども、かなり影響があって、腹を割って言えとおっしゃいますから正直なことを申し上げますと、魚価の問題にしましても、それから他に関連する、カツオ・マグロ漁業を含めてのほかの漁業の問題にしましても、漁業のしわの部分が漁済とそれから信用基金業務、この二つに象徴的に集約されて出てきておるんじゃなかろうかなという感じはしておるんです。しかし、一つ一つをはっきりと数字で明快に解析することができませんので難渋しておるわけでございますけれども、確かに輸入水産物の影響というのはないとは思っておりません。
○菅野久光君 漁災制度というものをしっかりしたものにするためには、何といっても漁業経営が安定しなければ、これは制度を幾らつくったってどうしようもないというような状況になるのではないかというふうに思います。そういう点では資源管理型の漁業というものを目指していかなければならない。これは私の先輩であります川村清一先生が随分そのことについてこの委員会でも話をされて、意見を述べられてきたわけでありますが、そういった意味で今の輸入の問題、それから何といっても足腰を強くしていかなければならないという意味での漁業の体質の強化、それはまた即漁協の体質の強化にもなっていくでしょうし、いわゆる漁業種類によってその漁協の体質というものもかなり差がある。結局、不振漁協というところはやっぱり漁業種類によって大きく影響されるのではないかというふうに思うんです。そんな意味で、漁業の体質強化。 今は、日本の二百海里体制ということの中で、漁業政策としてどんなことを最もすべきだというふうにお考えなのか、この辺はひとつ長谷川先生にちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(長谷川彰君) 先ほどお話ししましたように、私、特に資源管理の問題をやっているということもございまして、この時点で政策的に最大に努力を注入しなければならぬのは資源管理型漁業の体制づくりだというぐあいに思っております。 考えてみますと、明治以降百年間、漁業はこの課題からいわば目をそらしてやってきたんだと。つまり、外への拡大というような形で問題をそらしてきたと言っていいかと思うんです。 御承知のように、二百海里で日本は追い込められたと言っておりますけれども、日本の二百海里は面積で世界七位でございます。しかも、資源の内容から考えますと明らかに世界第一級の資源を我々持っているのであります。その上に、市場は世界第一、技術は世界第一、人も世界一、行政も世界一、そういう意味でないものはないんであります。一点あるとすれば、この管理の体質であります。生産をする能力が、先ほど私が申し上げましたように、裏目に出るという、そこでございます。この課題をやはり突破することなしにはこれからの漁業のいわばポイントがつかめないといいますか、このポイントを押さえてこそ初めて漁価対策から、先ほど宮原会長から言われました一連の漁業政策も生きるんだと、そういうぐあいに思っております。
○菅野久光君 どうもありがとうございました。 いずれにしろ、栽培漁業にしろあるいはサケのふ化放流の問題にしましても、今のバイオの問題からひっくるめて日本の優秀な技術、そういったようなものが十分水産の面でも生かされていかなければならないというふうに思うんです。 そういう面では、サケのふ化放流なんかでもいろんな研究のやり方、いろんな試験実施といいますか、そういうことの中でやられたその結果が共済事故につながるようなことも物によってはあり得るんじゃないかというふうに思うんです。そんなことが、あるいは先ほどお話がありましたように、五十八年から六十一年までの四年間の中になかったのかどうか。そんなことを考えていきますと、共済の制度というものをしっかりしていくための一つの試行錯誤と言えるのかどうかわかりませんが、そういうことがあっても、それをやっぱりしっかり共済で守って、将来きちっとしたものに、より間違いのないものにしていくということもまた将来的に考えて必要なことではないかというふうに私は思っているわけです。 最後にちょっとお尋ねいたしますが、責任分担の問題なんですけれども、今度見直しをするということになりましたが、これには賛成なのでしょうか、率直にそのことをお尋ねしたいというふうに思うんです。内容を見ますと、連合会の責任分担が大変大きくなるようでありますが、赤字解消に向けてどのように考えておられるのか。財政状況も大変なことになっているというようなこともお聞きしているものですから、その辺をお聞きして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
○参考人(小林大助君) お答えいたします。 責任分担の問題につきましては、もちろん団体の要望を、こういう要望をしたわけじゃございませんが、検討協議会の場で出て論議されて、総体的に判断された問題でございます。責任分担の問題は直接的には漁業者には関係なくて、事業実施団体の問題でございますが、現在連合会が再共済をし、それからさらに国が保険をするという関係で、一定額以上の部分についてはそれぞれ持っております。この中に一部比例部分として責任分担が増加するということでございますが、ただ基本的には、現行の区分を全体の中では崩さないという前提がございます。 ですから、比例部分としての団体なりが持つ部分については煙突がついておるわけです。したがいまして、それだけ今度は団体のところで持つ持ち分というのは、天井に抜ける部分だけは持ち分は上がるわけでございます。したがって、トータルではバランスができるように基本を動かさずにやるということでございますので、これはメリット、デメリットございまして、浅い事故が非常に多うございますれば団体の経営は非常によくなるわけです。ところが、集中豪雨のような局部的な、ある一定のものに対して、一つの区分について大きい事故が出ますと、これは何ともしようがないというような重い分担になります。 そこらを見ておりますと、我々事業実施についても実質的に相当な努力をせにゃなりませんが、そういう集中的な豪雨がある部門について集中したというような場合には、これはやはり何とか措置していただきたいと、それ以外の問題についてはそう大きい影響はトータルではなかろうというふうに解釈して我々も受け入れたわけでございます。 ですから、例えばの話が赤潮が猛烈に出ると、その部分については非常に大きい負担になるというような場合、これはやはり何かの特別の措置を講じる必要があるんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
○菅野久光君 どうもありがとうございました。
○宮島滉君 参考人の御三方には御苦労さまでございます。 私、自由民主党の宮島滉でございます。 ただいま御三方の貴重な意見開陳をいただいたところでございますが、私からまず宮原参考人に三点ほどお尋ねをいたしたいと思います。 共済加入率の低迷につきまして、先ほど同僚議員からも御指摘があっておったようでありますけれども、本制度はいまだ加入が低水準にありまして、制度の安定のためには一層加入の促進を図らなければなりません。今回の制度改正のねらいはそこにあるようであります。漁協系統組織におかれましても、これまでに加入促進のため大変な御努力を重ねてこられたことは私もよく存じておりますし、心から敬意を表しております。しかし、そのような御努力にもかかわらず、今もって加入が低迷しているその理由について、宮原会長さんは どのようにお考えになっていらっしゃいますか、まずお尋ねをいたしたいと思います。 それから、もう一点でありますが、漁協共販事業の促進でございます。今回の制度改正では漁協契約方式を導入することにしておりますが、この方式をてことして、系統組織を挙げてさらに強力な加入促進運動を展開していただければ幸いと思うのであります。それと同時に、お願いいたしたいと思いますのは、ぜひとも漁協共済の加入の前提条件となる共販事業を促進していただきたいことであります。これらの点について御意見をお聞かせいただきたいと、かように存じます。 それから、もう一点でありますが、何を言いましても、漁業の基盤を確立するためには、いわゆる漁協の体質の強化、これが最も大事じゃないかと思います。先ほども同僚議員の方の御指摘の中にも、やはり漁協の体質が大変強弱が著しい、そのような御指摘もありました。今日、漁連とされましてもこの漁協の合併については積極的に進められておるようでありますけれども、仄聞いたしますと、なかなか現状は遅々として実は進んでいない、こういうことであるようでございます。したがいまして、どこらあたりにその理由があるのか、そしてまた、この合併について会長として今後どのようにお取り組みいただけるような御所存であるのかをお伺いしたい、かように存ずるわけでございます。
○参考人(宮原九一君) まず第一番に、加入の率が低いのをどう見ておるかという御質問であったと思います。 共済加入の隘路として私どもが常日ごろ整理をしておりますのは、漁業の特性からいわゆる水揚げ金額の捕捉がなかなか十全にいかないという点があります。共販体制が整備されているところにつきましては自動的に水揚げ量が把握できますので、共済の基準金額を出すことは可能でございますけれども、魚群を追って各漁港を回りながら移動する漁船等になりますと、なかなかにモラルリスクの排除というような問題も含めて水揚げ金額の捕捉は困難である。したがいまして、そういう水揚げの状態を把握しにくいものについては、共済団体としては、漁業者に加入の意思があってもなかなかオーケーを出すわけにはいかないという相矛盾するものがございますので、そういう点で低いということが一つございます。 それから、漁業者の任意の意思に基づいて加入をする。義務加入制度があっても、一人二人異端者がおると、それは結局全体としての加入を認めることができないという問題がございまして、その辺にも大きな隘路がございます。 それから、役職員の熱意が不足しているという点もこれは率直に認めざるを得ないのではないか。 そして次に、実利的な問題からいえば、補償金額が非常に大きくなる関係もありますが、掛金が総体に、国の補助があるとしても、高い。一時に多額のものの支払いを要するということで、漁業者に加入の意思があってもなかなか掛金を払い切れぬという悩みもございます。 もちろん、分割支払いの制度もあるんですけれども、漁があったらもうおれは払わないよなんて途中で逃げられるおそれもある、そう簡単に分割支払いを認めるということも共済団体としては難しい、そんなようなこともございますので、そういったものが総合的に作用して加入率が低いということが言えるのではないか。しかし、漁協が管理しておる根つけ漁業等一号漁業とかというようなものについては非常に高い加入率を示しておるものもありますので、今回漁協の契約方式が導入されるということになれば、もちろん大きな努力を必要としますけれども、相当部分改善されていく見通しであるし、そのためにまた系統全体としても大いに努力を必要とするのではないか、このように考えております。これが第一の御質問に対する簡単な御説明でございます。 それで二番目は、そういうこととの兼ね合いの中で共販体制というものをとにかく体制整備をする必要があるということをおっしゃられたわけでございますが、現在の漁業における水産物の流通の形態を見ますと、大体において各浜に産地市場があって、それがおおむね漁協が経営をし、そこへ漁業者が魚を持ってくることによって市場行為が行われ、そこで仲買人が入札をしてそれで終わりというのが魚の流通の大枠でございます。 したがいまして、漁協自身に価格形成能力というものを全く持っていない、単に市場開設するだけで、さあ買ってください、自分たちの営業努力、コストというものを魚価に反映することができないという宿命の中で漁協の共販というものがあるわけでございますので、今後共販体制を整備するということは、従来型の共販のあり方というものから一歩前進して、漁業者が水揚げするその水揚げ行為の中に付加価値が伴うような売り方というもの、そして消費と直結できるような形まで流通面を持っていくということの共販システムというものをつくっていく必要があるのではないか、そういうことをあわせて、きょう最初の陳述にも申し上げたような次第でございますけれども、そういう意味の共販体制の整備というものは、先生おっしゃていただきましたが、今後の漁協の最大の課題の一つではないのかというように私どもでは自覚をいたしております。 しかしながら、そういう高度の共販システムを確立していくということのためには経営基盤の整備、体質強化というものが伴ってきませんと、とてもそれは絵にかいたもちになるということでございまして、それが私が第四番目に申し上げました漁協合併あるいは事業合同等々の問題でございます。現在先生は農協で大変御苦労いただいておりまして、各県とも大型合併がどんどん進んできておりますけれども、漁協は農協と違って漁業権の管理という一つの地域的に束縛された問題がありますので、基盤を整備をしていこうとしても、どんなに逆立ちしても市町村単位を一つのエリアにした合併というものを考えざるを得ぬのではないかというように私ども考えまして、二千二百ほどある漁協を五年間で千七百にしようという一つの基本計画を全漁連で策定をいたしまして、それで各県がそれに基づいて今真剣な取り組みを始めたということでございます。 ここは、私どものラストチャンスだという理解の中で、それぞれに推進体制のための指導組織を、全漁連はもちろんでございますけれども各県にも置いてもらいまして、これこそまた官民挙げて県の強力なバックアップを願いながら、いよいよ先生方に御無理を言って議員立法をお願いした手前もありまして、私どもとしては大いに実効を上げていきたいなというつもりで合併問題に取り組んでいきたいと考えている次第でございます。 以上でございます。
○宮島滉君 次に、小林参考人に二点ほどお伺いしたいわけでございます。 先ほど、意見開陳の中でも十分述べられておりましたけれども、サケ・マス定置漁業への基準漁獲数量方式の導入についてお尋ねをいたします。 今回の改正では、サケ・マス定置漁業について基準漁獲数量方式を導入し、たとえ共済事故に該当する場合であっても、漁獲数量が一定以上であれば共済金を従来よりも減額するという措置を講じようとしております。サケ・マス定置漁業については、放流技術の進歩などから漁獲量が高水準で推移しているにもかかわらず、魚価の低迷などによって漁獲金額が減少し、このため共済事故が多発して著しい支払い超過が続いている状況から見てやむを得ないとは思いますが、漁業者の立場に立ってみれば厳しい改正であることは言うまでもありません。共済団体としても苦しい選択であるとお察しいたします。 ところで、私はこの方式の導入はサケ・マス定置漁業に限るべきではないかと思います。と申しますのは、釈迦に説法かもしれませんが、この方式を他の漁業にも広げていけば、漁獲共済の基本であり、これまで中小漁業者の経営安定に重要な役割を果たしてきた収穫保険方式、言いかえればPQ方式が崩れ去る心配があるからであります。共済団体としてもこの方式はサケ・マス定置漁業 に限定することを希望しておられるようですが、確認の意味でもう一度お考えを述べていただきたいと存じます。 それから、もう一点でございますが、地方公共団体の援助についてでございます。都道府県や市町村など、漁業共済掛金に対する助成などをする例がかなりあると聞いておりますが、その実態をお教えいただきたいと思います。国がその財政事情などから共済事業に対する助成を厚くすることが困難な現状のもとでは、地方公共団体のこのような助成は加入促進の強力な武器となっているのではないかと考えますが、共済団体としてはどう評価しておられますか。さらに、今後一層地方公共団体の援助を得ていくためにはどうすればよいとお考えになりますか、お伺いをいたしたいと思います。
○参考人(小林大助君) 先生御指摘のサケ・マス定置漁業に対する数量方式の導入、これ全く同感でございます。私どもの団体といたしましても、サケ・マス以外のものにこれを広げていくということは、まさに漁獲共済の根幹であるPQ方式を崩すことになる。したがいまして、サケ・マスには先ほど述べましたような異常な、しかも中期的にわたる事故でやむを得ないということで、現地の皆さん方とも十分話し合いをして割り切ったわけでございますが、これはもうぜひほかに累が及ぶというようなことのないようにしていただきたいということを申し上げ続けておるわけでございます。そうせねば、漁獲共済の、世界に一つしかないというPQ方式のこの制度というものが崩れてしまう。先生御指摘のとおり、全く同じ考えでございます。よろしくお願いします。 それから、地方公共団体の協力の状況でございますが、これにつきましては、地方自治体が自分のところの漁業者のためにお世話をするという意識は非常に高くなってまいりまして、まずやはり加入拡大だというようなことから非常に大きな役割をしてくださって、物心両面にわたる支援をしてくださっております。 具体的に申し上げますと、六十二年度の状況でございますが、地方公共団体が、漁業者の掛金が高いという声にこたえまして、なかなか厳しい地方自治体の財政の中から、掛金補助というような形で漁業者の掛金の負担を軽減してやろうというようなことで、十五都道府県におかれて、金額にして約五億円でございますが掛金助成をしてくださっております。これに合わせて、市町村単位も連動して県の助成に係るものの二分の一を市町村でやるというような例も多々ございます。そういうものを総計しますと、現在では百八市町村が約二億円の助成を加入促進の掛金補助のために使ってくださっておる。市町村を含めましてトータルで五億ばかりの掛金補助が出ておる。それから、共済組合の加入促進に要する事務費助成というような形をとっておる県もございまして、十四都道府県では約二千万円が共済組合の事務費補助という形でなされておるというような状況でございます。 これは経済的な問題でございますが、別に、今度は指導的な立場から我々がやっております漁済総加入運動ということの展開に当たりましては、各県とも都道府県の水産部長あるいは主務課長のそれぞれの名前で各組合に加入促進の要請をするとか、あるいは漁業協同組合の常例検査の場合に漁済加入の問題を指摘するというようなこと、あるいは県によっては制度資金の貸し付けに当たって漁済加入を常日ごろから指導していくというような、非常に物心両面のお世話をいただいておるということは感謝しておるわけでございます。 そういうふうに評価しておりますが、今後さらに、より強力にお願いしたいという希望を持っておりますが、水産庁においても毎年漁政部長名で各県に加入促進に対する積極的な指導を要請してくださる、あるいは県の水産主務課長会議等を通じて漁済の問題について解説し、かつ加入促進の遂行を図るというような努力をしていただいておりまして、この新制度の実施を期にさらに一層の、我々は今までに倍増する物心両面とも援助を期待したい、こういうふうに願っておるわけでございます。
○宮島滉君 次に、長谷川先生にお尋ねをしたいわけでありますが、先ほどまことにうんちくを傾けた陳述をいただいたところでございますけれども、先生に二点ほどお尋ねしたいと思います。 まず一つは、本制度に対します評価をどうお考えになっているかということでございますが、本制度が厳しい漁業情勢の中で中小漁業者の経営の安定に果たしてきた役割と、悪化した事業収支についてどのような評価をしておられますか。また、本制度は今後どのような基本方針のもとで運営されてしかるべきだとお考えになりますか、ひとつお伺いをしたいと、かように存じます。 それからもう一点は、資源管理型漁業の関係についてお尋ねをしたいと思います。 今後の我が国漁業にとって重要な課題は、多くの魚種で悪化の傾向が見られる漁業資源と、過剰になりやすい漁獲努力量とのバランスを重視した資源管理型漁業を実現していくことだと言われています。そのためには、具体的な施策として資源の維持管理や増殖、減船の実施、漁場の合理化利用や造成などを進めるとともに、漁協が中心になって計画的な営漁をすることが必要でありましょう。 そこで、このような中で漁業共済はどのような役割を果たすことが期待されるのか、また果たすべきなのかといった点についてひとつ御意見をお聞かせいただければと存ずるわけでございます。
○参考人(長谷川彰君) お答えいたします。 まず、本制度の評価でございますが、小林参考人が特に強調されておりますように、本制度はPQ方式というのが世界に類例のない今制度であるということでございますが、このことの意味を私なりに考えてみますと、皆さんも御承知だと思いますけれども、漁業におきましては、農業と違いまして価格に対する支持制度が非常に弱うございます。これは施策の上で怠慢があるというよりは漁業の特性、魚それ自体が鮮度といった非常に不安定な品質の問題があるとか、それから漁業生産がまた自然条件を背負っているとか、そういうことがございまして、今まで、戦時中からのいろいろ価格の支持制度の功罪を考えてみますと、下手にやりますとむしろ逆効果が出てくるというようなことがございまして、そういうこともあって水産政策においては非常にこの面での施策が薄いということでございます。 しかし、欧米等の先進漁業国における、特にヨーロッパでございますけれども、水産政策のあり方を考えますと、やはり価格問題に非常に大きくかかわっております。価格問題はつまり漁業という産業にとって問題がないかといえばそうではないということを示しているものでありますが、日本漁業におけるいろいろの仕組みを考えた上での現状における受けとめとしてはまさしく漁業共済の中でその重要な部分を背負っている、逆に背負わざるを得ないというそういうことなんだろうと思います。 二十四年間の歴史の中でいろいろ問題を持っているとは言うけれども、やはりこれをやめてしまおうではないかというようなそこまでいってしまわないといいますか、ある意味でそういう意味では歴史的に試された形での一定の役割を果たしてきているんだということだろうと私は理解しております。 実は、問題はないということはないと思います。私、この制度に関します今までの参議院等の議事録を読ましていただきましたが、その辺の問題を絶えず問題にされるということでございますが、変に理論的に割り切りまして、PQ方式からQ方式の本来の姿にやれというのはやはり本当の対応ではないだろう。なぜかといいますと、それにかわる新しい展望、もしくは施策を持って、その上でなら理解できますけれども、それをなしに、単なる理屈の上でQ方式だけでやれというのはこれは書生の理論であるというぐあいに思うわけでございます。 そういう意味では、この制度が実は単なる諸産 業における共済制度を超えた非常に大きな役割を背負ってきているんだ。先ほど小林参考人も言われましたように、しわの一つは信用基金の方に、それからもう一つは漁済に寄っている。二百海里や新しい経済体制のもとでのいろいろの問題はそこにしわが寄っているという感じがしますとこの制度を受けとめられている、責任者の立場で感じているということは、逆に言いますと漁業が持っているいろいろの問題をここで受けとめているというそういうことのあらわれなんだというぐあいに思います。つまり、問題がないとは言いませんけれども、それを新しくといいますかこれから考えていく上で、ぜひ今言ったような位置づけの上でこの制度を見守っていくべきではないか、そういうぐあいに考えますので、ひとつそういう形での御検討といいますか、一層の工夫を議員の皆様にもやっていただきたいものだというぐあいに思います。つまり、そういう意味での評価をしているということでございます。 それから、資源管理型漁業でございますが、これをどういうぐあいにもっと発展させていくか、実はいろいろの工夫が要るように思っております。 非常に印象的な経験がございます。昨年、私は沿岸漁業等振興審議会の委員もやっておりまして、前に水産庁長官やっておりました内村さんと漁村へ行く機会がありまして、漁業者の皆さんと資源管理型漁業を模範的にやっている漁村へ行きました。審議会の委員サイドから、非常に立派なことをやっていますが、これから何をやったらいいでしょうか、あるいはどういう予算を組んだらいいでしょうかと言ったときに漁業者の皆さんはどう答えたかというその点であります。非常に感激したのでありますけれども、実は今の時点で下手に手をかしてもらわなくても結構ですと言われました。やはり本物なんだなというぐあいに思いました。私も長らく、もう三十年以上研究をやっておりますので、いろいろの形での漁村の場面に出会いますが、役所サイドが行ったときには大体漁業者の皆さんは材料を探して予算をいかに取るかということを本当に痛々しいぐらいやられますが、初めてでございました。何かありませんかと、審議会といいましても大体県の、それから中央からも課長が三人ぐらい行かれたと思いますが、その前で漁業者が予算は要りませんと言われた。本物なんだと。逆に資源管理型漁業の本当の姿はそういうものなんだろう、自主的管理といいましたけれども、まさしくそういうものだと。 ただ、要らないかといったら、これは宮原会長も言われましたように、国の側での助成が要らないかといったらそうじゃないと思います。これからいろいろの経験を積んでいく形の中でいろいろの形のものが出てくる。潜在的にあると思いますのは、私は組合への加入資格の問題なんかが当然あると思っております。非常に立派な経営ができました場合には、資源管理体制ができました場合には当然所得がありますから、そこへはおれも入れてくれというような問題が出てきます。これを入れないというのも問題がありますが、さればといって無前提に入れるというのでしたら、そんな苦労をするばかはいないということです。どういうやり方がいいか、現実に漁村を見ますといろいろの形でのその辺のすり合わせをやっておりますが、そこに我々が学ばなきゃならぬ工夫があるというぐあいに思っております。 そういうことで、最終的に言いたいことは何かといいますと、資源管理型漁業というのは、恐らく世界でも漁業が最初に手がけようとしている新しい仕組みなんだろうと思います。ですから、画一的にこういう制度をやれば漁業者の資源管理型漁業への展開が一挙に進むというその答えは我々はまだ持っていない。先ほど言いました資格問題についてはもう既にそろそろ研究をかなり真剣にやらなきゃならぬと思いますが、個々の施策について何か簡単に手を伸ばすというのはむしろ本当の解決ではないんだろう。そういう点でいえば、その中での漁業共済におけるいわゆる漁業の新しい資源管理型漁業的な取り組みをやろうというときにあるリスクを吸収するということでございますので、さっき言った自主性と、そういう意味では非常に対応した制度である、そういうような評価をしているところでございます。 繰り返して言えば、これから出てくる問題につきまして、議員の皆様にぜひお願いしたいのは、そういう漁村の新しい動き、そこでどういう手を入れたらいいかということについて、私もちろん研究者の立場でありますから、専門的にそういうことを考えておりますけれども、制度の立場でどうしたらいいかということはまた皆様自身のお仕事でもありますので、ぜひ今言った前向きの姿勢の中で見守っていただくといいますか、考えていただきたいというぐあいに思います。共済制度については、さしあたりは今のこの制度の中で試みてみるということであらうと思います。
○宮島滉君 まことにありがとうございました。 以上をもって終わります。
○及川順郎君 三人の参考人ありがとうございました。 長谷川先生、今大変貴重な御意見を述べられましたので、引き続いて私も関連する問題でございますので、三点に要約して若干お伺いをしたいと思うんでございます。 一つは、資源管理型漁業の確立ということに対しては、私たちも現地何カ所か回っていく中でその必要性を非常に重大に受けとめておりますので、全く先生の御指摘等感銘するところが多いわけでございますが、現在の漁業活動を続ける中で漁村、漁民の生活安定を図りながら栽培漁業、資源管理型漁業へ移行していくという水産政策、これをこれから充実していかなければならないわけですが、学者の立場でこの一つの政策のサイクルをどの程度に見きわめておられるのかということが一つです。 それから第二点目は、統計的に見まして、日本列島の沿岸ずっと見てみましても、何カ所かマリノベーション構想を初めとして、私たちも現地を見ましたけれども、要するに資源管理をする、あるいは栽培漁業をしていく、この適している漁港あるいは魚をこれから育てていけるようなそういう場所、その適した魚礁等を含めまして日本列島を取り巻く状況の中で、大体統計的に何カ所ぐらいそういうところを想定できるかということを、学問的にでも結構ですけれども、これを分析なさった経緯がございましたら御開陳いただきたいということが第二点でございます。 それから第三点目は、日本人の食生活というのは肉へかなり傾斜しているという状況がありますけれども、まだまだやっぱり魚介類に頼るというこの食生活というものは非常に定着しているというぐあいに私たち思っているわけでございまして、日本人の需要供給のバランスの上から日本人の食生活を十分に支えられる栽培漁業、あるいはまた資源管理型漁業に移行していきながら日本人の水産物に対する食生活に耐えられるだけの資源がある。これを統計的に、これまたもし検討した経緯がございましたら、御開陳いただきたいと思うわけでございますが、この三点をお願いしたいと思います。
○参考人(長谷川彰君) それぞれ非常に難しい問題でございまして、精いっぱい考えているところをお話ししたいと思いますけれども、まず資源管理型漁業における政策のサイクルということでございますが、サイクルのとらえ方あるいは間違っているかもしれませんけれども、一つ重要な点があると思っております。 それは、資源管理型漁業ということの必要性は、当然なこととして日本の漁業全体にかかわる問題でございます。しかし、実際の政策を進めるに当たっての手順といいますか、そのことを見きわめておく必要があろうかと私は思います。遠洋漁業、沖合漁業、沿岸漁業、それぞれに資源管理の問題を抱えておりますけれども、現実の政策を始める、もしくはやっていく上でやはり必要なのは沿岸からだというぐあいに思っております。しかも、この手順は非常に大事ではないかと。 といいますのは、私自身まあいろいろなことで 漁村へ行きますが、やはり沖合水域での管理というのは非常に難しゅうございます。問題がないんではありませんけれども、資源管理の最大の問題点は何かといいますと漁業者の組織でございまして、当然なこととしまして沖合域の場合の必要な組織の範囲というのは非常に広範囲にわたります。広範囲にわたった漁業者が一体になって合意をして管理体制をつくるというのは非常に難しいということです。それこそ総論賛成各論反対ではないかと言えば、やはりおれだけは生き残れるぞという論理が脈々と生きていると。この点はやはり政策を実際に進めていく上で十分考えておかなきゃならぬ点。私はやはり沖合域、まして遠洋漁業ということになりますと沿岸域で確固とした体制ができ、そこでだれしもやはり目をみはるような成果があらわれまして、もしくは漁協をベースにした、その上での漁協間、県連間の体制というようなことを組み立てなきゃなりませんので、ベースなしにやってしまったら恐らく失敗するだろうというぐあいに思います。 そういう意味では、言われました政策の取り組みといいますか、そのあり方というのはこの問題を考える上で非常に重要だと。特に、今焦点になっている分野がどうかといいますと、実は単協の中での漁業権漁業については実は体制が基本的にありますので、かなりアプローチを既にやられているといいますか、つまり今まで特に政策的なことを講じなくてもそれなりでできているものがあります。先ほど言いましたように、私から言わせればほとんど政府サイドは具体的に何もやらなくても漁業者が自然発生的にやっている部分というのはそういう部分でございます。 それから、一つ伸びるところはどこかといいますと、実は制度で言いますと知事許可漁業の部分といいますか、漁業権漁業からもう一つ前へ出た、業態で言いますと小型底びきとか刺し網漁業のあの辺を組み込むのが当面の政策のサイクルといいますか焦点になる。それを踏まえて沖合漁業に至るというような戦略がこの資源管理型漁業を考えていく上で大事なんだろうと。逆に、非常に無関心な形であれこれ沖合漁業者の話を聞きまして、こんなんじゃとてもできないというような、そういう形で問題を考えてはまずいんだろうと。今言ったことの整理の上でこれからの漁業展開のあり方を考えていくというような考え方が必要なんだというぐあいに思っております。これが御質問の第一点に対する私の考えでございます。 それから二番目の適地の問題、これは重要だと思います。漁業は基本的にはやはり自然の生産力に依拠している産業でございます。逆に言うと、自然の生産力が非常に大きい産業だとも言えると思います。漁業というのは立地を考えなくては失敗します。 御質問は、まさしくそういうことをもう既にたくさんごらんになっているから言われているんだと思いますが、適地論は本当に実際の施策を進めていく上の根幹に触れる重要な問題だというぐあいに思いますが、ただここで統計的に整理したものがあるかといいますと、実は持っておりません。私の知る限りでは魚礁の問題でかなり前にブルーベルトというのがありますが、例の公害問題なんか非常に大きく全国に蔓延していたときに、漁業サイドとしてそれにどう対応するかというようなときにかなり真剣に議論されたことがございました。その後余り蓄積がないといいますか、そういう状況だと思います。 もちろん、こういうことについてはそれを専門的にやっております研究者、学者が最大の責任を負わなきゃならぬと思いますが、対象が大きゅうございますので個人レベルではとてもやれない仕事でございます。そういう意味では、御質問のあった、どういう立地政策のもとで諸政策をやっていくかということについての本格的なプロジェクトがナショナルプロジェクトのレベルでやられる必要があるだろう。かなりの研究費、調査費をかけてやるべき課題なんではないかというぐあいに思います。 よく言われますように、個々の対応の時期をもう過ぎておりまして、二十一世紀をにらんで展望しなきゃならぬ、そういう時期でございますので、やはりそういうブルーベルトをつくらなきゃならぬ。それについては、それこそナショナルプロジェクト的な事業としてやってほしい、この機会に私むしろそういう要望を出したいというぐあいに思う次第でございます。これが第二の、答えにはなりませんでしたけれども、お答えということにさしていただきたいと思います。 それから、魚の重要性でございますが、御指摘のとおりでございまして、よく魚離れと言われますけれども、実は魚の消費量は数量的にちっとも減っていないのであります。経済的な価値量としても減っていないと思います。よく家計調査を見ますと減ったような数字が出ますけれども、外食を入れますとほぼその水準を維持しているということでございます。ただ、問題があるとすればそのうちのかなりの部分を輸入に依存しているということです。 したがって、御質問の趣旨をさらに受けとめますと、その部分を日本の国内生産の中でやっていくことができるのかどうかという問題にも当然展開していくんだと思いますが、私は現在の円高も含めました状況の中での現在の輸入の状況が本来の姿だとは思っておりません。先ほども言いましたように、世界でも最大の資源大国は日本なんでございます。逆で、日本でやっていけないようなことであったら世界で漁業を、水産物の自給をやれるような国はない。それを完全に対応させてやっていくには日本がお手本を示さなければほかはやりようがないんだというぐあいに思っております。 そういう意味では、先ほど既に、特に宮原会長から言われました中にありました諸施策の中でまだまだやれることがあると。特に、輸入の問題ということになりますと、実は生産の側が新しい消費の変化に対応し切っていないという面があるように思っています。特に流通関係の変化も含めて考えますと、いわゆるスーパーとか水産加工の面での新しい展開、今の諸状況の中ではやはり魚を単にとって、後どうぞ食べてくださいというんでは消費者にまで届かないということがございます。扱う業者からいえば、一定の定量なり定質なり定価格といったそういう供給物でなきゃ困る。品質が日本の漁業が負けているから輸入があるんではなくて、実はそういう体制、そういう供給、そういう魚を生産し切っていないといいますか、これもやはり資源管理型漁業にかかってくると思いますけれども、今までのように、ただとればいい、とった後は買わないのがおかしいというんではもうだめだということです。最終の消費まで考え、流通過程まで考えて生産者の側が主体的にそこへ送り込んでいくというその仕組みを生産者の責任と主体性においてつくり上げるということなんだろうと思います。その課題について言えば、まだまだやることは残っていると思います。 もちろん、だからといってすべての生産物を輸入なしでやれるとは思いません。例えば、エビのたぐいはやはりある部分外国へ依存せざるを得ない部分があるんではないか。そういう意味ではすべてを日本の周辺域で生産できるとは思いませんけれども、今の状況は余りにもそれから見ると水準が低いというような考えでございます。統計的に言えば、基本的な生産量は千二百万トンぐらいでございますか。日本の食用としての消費量は八百万トンか九百万トンではございませんでしょうか。今言った魚種組成の問題があります。嗜好の変化があります。それをどう突破するかというそういう課題として受けとめれば、基本的にはあるんだというぐあいに考えているものでございます。
○及川順郎君 ありがとうございました。 ただいまの問題にも関連いたしますけれども、宮原会長と小林参考人に、ダブっている点もございますが、漁協の契約方式について具体的に今後どう進めていくかというお考えと、それからもう一つは全漁連としましてただいまの資源管理型漁業に対して具体的な青写真を今、途上でも結構で すけれども、取り組みをなさっているのかどうなのか。あるいはまた、そういう青写真をお持ちであるかどうか、御発言できる範囲で結構でございますので、お述べいただければと思うわけでございます。 それから、小林参考人にお願いしたいわけですが、先ほど、今回の改正で改善される面と厳しくなる面という両面をお述べになりましたけれども、この改善される面と厳しくなる面というのを具体的にどういうことを御想定になっておられるか、これをまず一点伺いたいと思っております。 それから、累積赤字は五十一年で見ますと百二億三千七百万円、累積赤字がずっと続いているわけですが、六十二年度の見通しがどうなのか、今回の改正によってどの程度のところまで加入促進目標を立ててこれを設定すれば健全運営ができるのか、その点のところをかいつまんでお教えいただければと思います。
○参考人(宮原九一君) 漁協の契約方式について私どもがどう考えるかということにつきましては、これは質問の二番目の資源管理型とも関連するわけでございますけれども、全漁連が資源管理型漁業としては余りにも大き過ぎますので、それからもう一つ下がって地域の営漁計画ということで各漁協ごとに今作成をしております。それが私は、おかから海を見るというんじゃなしに、海からおかを見て、一つの海、湾、そういうものからおかを見たところで漁協の関連する地域はどうなのかということを見きわめて、そこが当然漁協合併の一つの範囲として想定されるであろうと。そういう中での営漁計画というもの、漁業種類を時期的に、あるいは漁業者の人数によってどう組み立てて、そして全体の資源を管理する方策をとるのかという漠とした資源管理型ということから既に一歩前進して地域営漁計画というもので問題を打ち出しております。 これは、今濃密地域あるいは普通地域というのを各県ごとに行政の御指導をいただきながら指定をいたしまして、そして個々にそういうものの作成に入っておるというのが現状でございまして、そういうものを踏まえていわゆる漁協が契約の当事者になってその共済の加入促進、将来の経営の後支えというものを組み合わしていこう、こんなことで今度の漁協合併方式というものをとらえて推進をしていきたい、このように考えております。
○参考人(小林大助君) 先生の二つの御質問に対してお答えいたします。 一点、厳しくなる面とそれから非常に高く評価する面と具体的に説明しろということでございますが、全体の陳述の中でも触れましたが、我々が一番評価する面というのは漁協契約一括方式の導入、これはもう先ほどからるる御説明しましたとおり、漁協が事業の当事者の中へ入ってくる、これをもう最大に生かそうということで、全漁連会長さんの発言にもありますように、系統そのものという中で、水産庁を初めとして地方自治体の御協力等を得ながら進めていけば相当な成果が得られるのじゃないかというふうに思っております。 それから、厳しくなる面といいますのは、私どもも漁業検討協議会という場を持ちまして、学識経験者、それから当該団体あるいは全漁連というようなことで水産庁長官の諮問機関ということで答申を出したわけです。その場でも非常に議論があって、我々団体としては全くこれは団体の要望の外の問題でございます。しかし、全体の収支改善とか、そういうような見地から見ますと、登場したのが一つはサケ・マスの定置漁に関する問題でございます。これも先ほど御説明しましたが、漁業者に著しい加入意欲の減退だとか、それから大幅な期待外れということのないような歯どめ措置にとどめてほしいということでなお細かい部分の検討に入っておりますけれども、これが厳しくなる面の一つでございます。 それからもう一つは、先ほど申し上げました団体責任の比例部分が五%程度加わる。これが厳しくなる面の二点でございます。 それから、漁協契約の一括導入というのは柱でございますが、これに関連しまして政省令事項に移る問題といたしまして、団体が非常に要望しておりました事項でかなりの点が取り入れられつつあるという点でございます。 これは、例を挙げますと第二号漁業の対象範囲の拡大というような問題、これは具体的にはどういうことかといいますと、いわゆる今の一号漁業、二号漁業、三号漁業というふうに漁獲共済を分けておりますけれども、その範疇に入らない、例えばアワビをとっておる人が漁閑期には無動力でエビの刺し網をやるというようなものはどうしようもないわけです。その部分区分けしてそれは入れない。 そういうものを取り入れられるようになるという問題だとか、それから春に底びきをやって秋にはイカ釣りをやるというような人が、これ一括して包括契約と言っておるんですけれどもやれる。あるいは魚類施設の共済種目に追加をするとか、それから掛金率の割引、割り増し体系の導入というようなことで、これは検討協議会等でも議論されて答申を出したわけですけれども、かなりの部分が取り入れられております。したがって、そういう総合評価では非常に評価できるのではなかろうか、こういうふうに思っております。これが第一点でございます。 それから、第二点の累積赤字の問題でございます。これは六十二年度の見通しというものは、来るべき総会に備えて鋭意作業をやっておりまして、ほとんど終了しておりますが、現時点では事業会計においては約十六億近い黒字になるという見通しでございます。これはかつて、長期棚上げをしていただいたものの七億ずつを毎年支払っておりますけれども、その部分を差し引いて考えれば、本当はそれから七を引かねばならぬのですが、決算上は長期借入金が減っていくというような形で出てまいります。三月末の予測数字では大体事業会計で十六億ぐらいの黒字になるであろう。 それから、数字のことで正確に申し上げねば失礼なんでございますが、昨年も約五、六億の黒字になっております。それから、その前も一億ちょっとの黒字に事業会計でなっております。そういうような状況でここ三年ばかりはだんだんと底離れをしたといいますか、徐々に回復してきておりますが、これはいろんな理由がありまして、いわゆる基準となるべき限度が下がったということも影響しておるのも事実でございます。 ちょいと考えますと、何か縮小均衡というような形になりつつあるのかなと、事業量は余りふえておりませんから、むしろことしは若干引き受けられないという条件、サケ・マス等国際漁業の問題等がございまして事業量は若干減っておるんですが、縮小均衡であるということはいいことじゃないんで、やはり拡大均衡でないと本来の目的は達せられません。したがいまして、我々もこれを契機に、先ほども申し上げましたように新制度の普及というもので大いに飛躍していこうということで、私どもは大体今まで三千億——ことし三千億初めて割ったわけなんです。共済金額にして三千億というようなことで中期計画を立てながらやっておるんです。数字はちょっと予測できませんが、少なくとも単年度で三千億をオーバーするところに目標を設定しまして、三千二百億なり三千三百億なりということで前進をしてまいりたいというふうに考えております。
○三治重信君 参考人さん御苦労さまです。 私、民社党なんですが、宮原漁連会長にまずお尋ねしますが、きょうのお話の中の、漁連の中で五つの大きな目標として事業を考えていると、その中で、災害とは直接関係ないんだけれども、非常に関心を持ったのは、遊漁や海洋レクリエーションに積極的に参入をしていくんだ、こういう発言があって、私はこの委員会で再三働く者を代表して、働く者に海岸でもっと遊ぶ場所を提供してほしい。漁業関係でみんな海水面を占領しちゃっているから遊ぶ場所が非常に制限されて、労働時間短縮をしても遊ぶ場所がなくて困っている。殊に先進国では日本みたいに漁業がないということもあるけれども、海洋の開放が非常に進んでいるということを言ってきたわけなんです。 それで、海洋水面を水泳場なりあるいはヨットハーバーなり、砂浜をきれいにしてレクリエーションにずっと使える新しいリゾートをつくるという事業を漁業組合として積極的にぜひひとつ参加をしてやっていただきたい。漁業組合でやれば海水面のいろいろの今までのトラブルが省けるんじゃないか、こういうことでございますので、そういうものを年次計画として地域的にやられる御計画があるのかどうか、それをひとつお願いをします。 それから、共済の小林さんの方なんですが、今お聞きするとここ両三年黒字だと、こういうことで、私はむしろ二百海里ショックとか、累積赤字になっているから、これは共済といっても、国にたれ流ししてちょっと無責任じゃないか、ひとつ掛金と支払いとを、短期的には基金制度があって、またこういう天然資源の産業だから均衡は短期的には難しいにしても、長期的には均衡を保つように掛金と共済補償の程度を均衡させていくようないわゆる算数をきちんと研究してやるべきじゃないか。 いずれにしても、お聞きすれば、掛金についての補助金も都道府県からもある。それから国の再保険もある。さらにその上初めから掛金に対する国の補助がある。そうすると補助に補助に補助を費やしてやっているわけです。その上にさらにたれ流しというこの制度というのは締まりがないじゃないか、こういうふうに思って一応聞こうと思ったけれども、両三年黒字だというから、長期的には今後加入を拡大すれば黒字になるのかなと思うけれども、しかし、どうも聞いている限りにおいては余りそこの間に合理的な計数がないような気がするんですが、そういうことについての研究なり、制度的にチェックの機能があるのかどうかということです。 それから、長谷川先生には、日本の漁業の漁業管理、漁業の方を資源管理として経営しなくちゃならぬというのは非常にいいんですが、最近養殖産業を沿岸漁業として見ていくようなことになっていると思うんですが、養殖産業と沿岸漁業における資源管理との結び合わせをどう考えているか、その点ひとつ一括してお話をしていただきたいと思います。
○参考人(宮原九一君) 遊漁、レクリエーションと漁業の調整の問題でございますけれども、私が申し上げたのは、我々漁業サイドが無制限、無原則に遊漁、レジャーを認めてということではございませんで、生業としての漁業とそれからレクリエーションの区別というものを相互に認識し合いながら海面の総合利用ということに一つのルールをつくっていく必要がある。そういう原則的な取り決め、協議というものを今後積極的に漁業の部門としては働きかけていくことはやぶさかではないということでございます。 ただしかし、海洋開発だ、あるいはレジャーだ、リゾートだというようなものが、いわゆる民活利用で企業がどんどん入ってきて、漁業が全然知らないうちに全く大変な形に変化していくということになったんでは私どもとしても非常に困るので、そういう面での事前協議の体制であるとか、あるいはまた大枠における制度的な見直しといったようなことも必要ではないのかという問題提起をいたしておりますけれども、従来のように問答無用で遊漁を排除するとか、レクリエーションについてとかくの問題を起こすとかということでない前向きな姿勢で、それぞれの立場を尊重し合いながら相互の共存を図っていくことに今後積極的に努力をしていきたい、こういうつもりでございます。
○参考人(小林大助君) 先生御指摘の問題でございますが、これは本来漁済というのは過去の実績をもとにしまして計数的に制度の設計を行っておるということで、基本的には収支相等の原則ということで計算しておるわけです。それで仕組んでいくんですが、ただ一つこれは経験上から私思うんですが、制度の設計をしまして、いろんな過去の実績をもとにしますから、事故が非常に多ければ掛金率が高くなるというような状況が出てまいります。それに手を入れる、あるいは新しい要望で漁価を修正していくというような手当てがこれやはり時間的にずれがございます。そのタイムラグによって生じる赤字部分というのはかなりあるということは事実です。 しかし、我々も今度のサケ・マス定置等に見られますように、それ相応に赤字が大きくなってくると対応するということはやってまいっておりますが、タイムラグの部分が一つあるということと、それから本来五十二年まではちゃんと大体ほぼ収支相等しておるわけです。五十三年以後の日本の漁業の状況というのはもう御承知のとおり異常赤潮だとか冷水塊だとか、最近では漁価の問題もございますが、まさに突発的な大事故が二百海里以後ずっと継続して何らかの異常事象が出ておるというような問題で、赤字がわずか十年足らずで急速に膨れ上がったというようなのが事実でございます。 したがいまして、そういうデータをもとにしながら掛金を設計し、あるいは限度をいじくるというようなことをして、漁業者の方々にとっては非常にきつい制度になってきておるのも事実です。それが加入意欲を減退させるというようなことにもつながっておるのではないかと思いますが、ここいらで底離れ現象も出ておると私ども思いまして、それと同時に、こういう制度の変革を機会にやはりいいものにも入ってもらわなければいかぬ。危険なものばかりによっていると、これはいつまでたってもまさにたれ流しというようなことになりますので、その点は自助努力で十分注意して、非常に厳しい対応をやっておりますので、その点は御理解いただきたいと思います。
○参考人(長谷川彰君) お答えします。 御指摘のように、沿岸漁業では養殖業は非常に大きな比重を持ってきております。将来を考えましたらますますこの比重が大きくなるであろうというぐあいに私も考えております。話が余り複雑にならないように実は最初に申し上げましたときに養殖の話を全部外して申し上げましたが、そういう意味では沿岸漁業の管理の問題が大事だということは今言いました養殖の比重の大きさから考えて、これを本来なら入れて問題にしなきゃならぬということだと思っております。 ところで、養殖の経済的な性格でございますが、その性格から言いましてよく農業に近い、土地の所有と同じように漁場が個別的に所有、管理されるというようなことが言われておりますし、事実その側面は強うございます。御質問されておりますのでその辺のことを十分御承知の上で言われているんだと思いますが、まさしく農業に近い性格を持っております。 ただ、これまた恐らくお気づきのように、じゃ漁業は農地と同じように完全に個別の経営によってその生産条件が管理され尽くされているかというとそうでございません。ノリ一つとってみましても基盤になっておる水面、水というのは非常に流動性があります。したがって、農業とはやはり同じでございませんで、基本になります水自体はまた共有的な性格を持っている。その意味では、その側面について言えばちょうど資源の管理が問題になっているように、水の管理、漁場の管理という点では共通のものを持っているというぐあいに思っております。 御承知のように、密殖という問題がございます。余りたくさんいかだを入れますと生産が上がるどころかむしろ生産が落ちるという問題がございますが、ちょうど資源問題における乱獲と対応するような問題が養殖では密殖という問題である。逆に漁場の合理的な利用ということをやらなければ本当の意味でのやはり養殖生産の発展はないというぐあいに認識しております。そういう意味では原理としては同じものを持っている。また事実、漁村におきます資源管理型漁業、漁業者の皆さんは今言った養殖か漁業かということを峻別しておりません。全部抱え込んで養殖も漁業もまさしく兼業でやっている場合も多うございますし、全部一緒にしてやっておりますが、私はそれでよろしいんだと。 ただ、学者の立場ですと、今言いました性格の違いはちゃんと見きわめた上で対応しなければならぬということはございますが、現実の漁業者の運動といいますか、その中では両者は現実もかみ合っているし、性質も同じものを持っているし、一緒にやっていった方がいいんだというぐあいに思っております。
○喜屋武眞榮君 私も持ち時間を効率的にという観点から、最初に御三名の参考人の皆さんにお尋ねしたい点を申し上げたいと思います。 大変ありがとうございます。 宮原参考人に対しては、先ほどの栽培漁業という観点から、パヤオの漁業の現状とその見通しはどのように持っておられるか、第一点。 それから二点は、避難港の整備充実についてはどう認識しておられますか。 三点は、漁船の大型から小型化へというお話もございましたが、小型化という点からプラスチック漁船が今七〇%ぐらいいっておるということを聞いたことがありますが、そのプラスチック漁船の廃棄の時期に来ておる。その廃棄処理についてどのように考えていらっしゃるか。この三点を。 それから小林参考人に対しては、実は組合加入率が低いというお話がさっきございました。これはもう繰り返す必要はないと思っておりますが、先ほどのお答えでもし大事な点が漏れておりましたらそれを聞かしていただければありがたいと思います。加入率が低い理由は何か、それから加入促進措置の具体策ですね、この観点から。ございませんでしたらよろしゅうございます。 それから長谷川参考人に対して、海洋資源の管理という観点から私こういうことをお尋ねしたい。二十世紀の人類は主として地上の資源を食糧として生きてきた。二十一世紀の人類はそういう地上の資源を食糧とした生き方から海洋資源を主として食糧にしていくという、こういう見通しから海洋資源の調査が進められておると、こうお聞きしておりますが、そのことに対する先生の御見解。 今度は、海洋の面と深さの点から、今この地球上の海洋の面の未開拓の漁場あるいは未知の漁場といいますか、どの程度海洋が漁場として切り開かれておるのか、この点をお伺いしたい。それから深さ、潜水技術が科学技術の発達につれてだんだん深まってきておるわけですが、現時点では海底のどの深さまで深海潜水技術が発達しておるのであるか、以上の点でお尋ねいたしたい。
○参考人(宮原九一君) まず、パヤオの現状でございますけれども、御案内のように、浮き魚礁各地で相当の成果が上がるということでそれぞれに設置が進められてきておりまするが、場所によってはそのことが漁業操業上のトラブルの原因になっているところもございます。 従来から、その漁場を利用しておった者のいわゆる権利と言えばおかしいんですが、優先権というものと、それからパヤオを設置した者のいわゆる権利というか優先権といいますか、そういうものとをどう調整するかということに力点を置きながら、現状では相互に十分の理解が得られるような話し合いの中で有効な利用計画というものを想定してもらいたいといったようなことで整理をしておりますけれども、そういう問題が今後将来どんどんできてきますだけに、行政的にもそういったものでの何か大きな制度的な大枠を必要とするのではないのかといったようなことも含めて、ただいまのところ全漁連内部におきましても漁業制度の基本問題の検討委員会で研究を進めておるというような状況でございます。 それから、第二の避難港に関しては、これは一般論としては水産庁の漁港部でいわゆる第四種漁港というのが各県の要請によって出てきておりまして、沖縄にも最近一つ出てきておりますが、漁港審議会の議を経ながら第八次の漁港整備計画の中にやはり漁船の非常退避のための避難港をどうつくっていくかということでの審議が現在行われておる。個々の漁港のことについては、ちょっと私詳しく覚えておりませんので、お許しをいただきたいと思います。沖縄もあったはずでございます。 それから、プラスチック漁船の廃棄処理の点については、数年前から全漁連が国の予算をいただいて廃棄処理についての調査を進めてきております。何とか今年度中早い時期にその基本方針を確定をいたしたい。それで方針を決めましたならば、役所とも御相談をして六十四年の予算に廃棄処理に対する要求を出していきたいと、こんなつもりで鋭意廃棄処理の対策を立てておるというのが現状でございます。 以上でございます。
○参考人(小林大助君) 今の一口で申し上げます、重複しますので。 一番力を入れにゃならない問題というのは、やはり協同組合の事業そのものだという認識をもっともっと深くしてもらうということがやっぱり加入を広げる一番の要諦だろうと。それに対する促進措置としては自主的に我々当事者が自助努力をすることは、これは当然の前提でございますのが、その努力の中でやはり関連団体、系統関係団体ですね、この提携とそれから地方自治体の連係動作というのをもっともっと積極的にやるということが一番大きい決め手になるだろう、こういうふうに思っております。
○参考人(長谷川彰君) お答えいたします。 御質問の趣旨でございますけれども、どうも学者というのはそれぞれの専攻があるといいますか、本来ならこれは海洋学の方の専門にかかわることでございまして、一つ断りみたいなことでございますが、経済をやっておりますので、どちらかといいますとというか、専ら経済的に成立するかどうかという、そういう観点で海洋なり資源の問題を考えておりますので、御質問の趣旨からいいますとやや寸足らずの話になるというぐあいに思っておりますが、せっかくでございますし、わかる範囲もしくは私の今言ったような立場を入れたことでのお話をさせていただきたいと思います。 ところで、海洋資源の調査のことでございますが、私の知っている限りでは、御承知のように、二百海里体制が問題になりますときに、国連の下部機関でありますFAOが、当然と言えば当然でございますが、世界的な海洋資源の利用の関係が二百海里制度でどう変わるかというような、そういう意識のもとで世界的な資源調査といいますか、各国から情報を集めまして、非常に精力的な整備をやりました。大体あれが一つ大きな情報としてある。 質問されたので先ほど考えました。その後は、それぞれの国が沿岸国は漁場を持ってしまいましたので、逆にその辺の情報が非常に分断されているというようなことかなあというぐあいに思います。反面、沿岸国になりました例えばアメリカを考えますと、かつてよりは物すごく自分らの資源に関心を持っておりますので、個々の国の立場で言うとかつてないほどの資源関心を持ちまして、それなりの情報の蓄積をやっているという側面もあるんです。 ただ、今聞かれたように、世界的な意味で、じゃあどういう今言った海洋のポテンシャルがあるかといいますか、資源の潜在力があるかというようなことになりますと、確かにそういう情報は、むしろ二百海里体制で海洋が分断されましたので、かえってないなというぐあいに思っております。 そういう意味では、御質問の趣旨のグローバルなといいますか、地球規模での海洋把握が大変阻害されているなという感じがいたしますね。確かに問題としてあるだろうと。今言ったような状況を経たら、当然また各国もそういうことが必要だということで、相互に情報交換し合ってやるということが進んでくるかもしれませんが、さしあたりの局面で言いますと、例えば日本とソ連との関係一つを考えましても、情報はむしろ流通で言うと阻害する傾向を持っているかなあというような感じでおりますが、確かに問題点の一つであろうかと思います。見解といえばそういうことになろうかと思います。 それから、二番目の現実における面と深さにお ける開発の程度についての評価でございますが、私は海洋学者と議論し合ったことがありませんので、そういう意味ではおまえは経済屋でそんな素人談議は何だというぐあいに言われることを内心思っておりますけれども、どちらかといいますと、海洋の資源というのは非常に大きいというぐあいに思っております。 確かに、今利用している資源を考えますから、大抵話としてはもう限界がある、限界があると言っているんですが、現実に世界の漁獲量は二百海里体制以降は伸びておりますね。日本の公海漁業の漁獲量もやはり伸びているところがあります。ないないと言っていた例えばイカなんかではアラビアの沖でとれたり、たしか南米のチリ沖でアジですね、あんな深い海洋にアジがいるとは思いませんでしたと資源生物学者が言っていたように思うんですけれども、我々がとらえている認識というのはまだまだ縛られているところがありまして、海洋の本当の生産力を本当にとらえ切っているとはどう思っても言えないんじゃないか。 現に、とらえている分野でも、例えばハダカイワシとか、それからよく問題になります南極のオキアミ一つをとりましても、その利用率はまだまだ低うございます。もちろん、現在の経済的な条件を合わせますと、ハダカイワシで言えば、深いところで分散していますので、とてもまだ今の生産力ではとれませんけれども、またオキアミも、御承知のように遠うございますので、今の諸条件を入れてもなかなか利用は困難だということがありますが、その資源量の規模たるやたしか千万トン単位だと思います。そんな意味では、経済屋というような限界を再度お断りした上での見解ということになりますけれども、ポテンシャルは潜在的にはあると。沿岸域における過度の利用と、沖合におけるポテンシャルといいますか、それは同居しているんだというぐあいに思っております。 それから水深の問題ですが、これもかなりの水深、例えば千メートルとかそんなぐらいのところは底びき漁業で引き回っているというような話も聞くんですが、反面、やはり経済をやっている関係か、産業という位置で見ますと、水深というのは非常に大きなバリアといいますか、負担でございます。瀬戸内海のようなあんな箱庭のような海でも、深いあの伊予灘等になりますと、資源利用がなかなか進まない面がある。水深というのは非常にお金がかかりまして、利用できるのは、逆に言いますと限られた資源という面があります。ですから、資源というのをどういうレベルでとらえるかということにかかわりますけれども、今言った観点から言いますと、つまり人類史の長いスパンで考えますと、結構高いんじゃないかというのが私の考えでございます。
○山田耕三郎君 お三方にそれぞれお尋ねをさせていただきます。私のお尋ねが終わりました後で、御意見をいただければ大変ありがたいと思います。 第一点は、宮原参考人さんにお尋ねをいたします。 先ほど来、漁協の体質強化という言葉がたびたび出ております。その都度御意見を御開陳いただいておりますけれども、私が最後でございますので、項目だけでも結構ですから、まとめてどういうことをすればよろしいのか、お答えをいただきたいと思います。 二点目は、漁船の遭難が後を絶ちません。痛ましいことでございます。これは無謀な出漁がそういう原因になっているのか、さらには気象の通報に欠陥がありますのか、救難対策に欠陥がございますのか、その辺のところをお願いをいたします。 小林参考人さんにお願いをいたします。 今回のこの法改正は、サケ・マスの分野では、私は当事者からすればデメリットだと思っております。さらに共済の責任分担においては、漁済連がちょっと荷が重くなっていくように思います。そうしますと、あとは何がメリットになりますのか。先ほどからの御意見の中では、漁協契約が導入されることを取り上げておいでになるように思います。これが組織を拡大していくためのメリットこなるという御意見のようでございますけれども、個々の漁業者にとってそう魅力的なところがふえたとは余り思えませんのですけれども、なぜこの漁協契約が組織拡大の手段として有効になるのか、その辺をお教えいただきたいと思います。 最後に長谷川参考人さんにお尋ねをいたします。 私は、全然の素人でございますのでよくわかりませんが、きょう御意見を出していただきました管理型漁業につきましては大変大きく啓発されました。現在の管理漁業のあり方を、資源浪費型とでも呼ばせていただくといたしましたら、その現在のやり方から、先生のおっしゃる管理型漁業へ移行をしていくのには、非常に難しいのか、何か漁業者自体が痛みを経過せなければならないのか、簡単にいけるようには思いませんけれども、そのよい学説が、寡聞にして私が知らないのかもしれませんけれども、どんどんと広がっていっておるというようにも思いませんので、失礼ですが、その辺のところをお教えをいただきたいと思います。 以上です。
○参考人(宮原九一君) 漁協の体質強化ということは、結局漁協の地理的条件からして非常に規模が小さい、経済基盤が脆弱であるということ、したがいまして、それぞれ抱えておる財務体質も弱くて不振漁協が非常に多いということでございますので、そういった面での基盤整備ということを私どもは中心に申し上げておるような次第でございます。 それから、遭難の問題につきましては、今三つ先生が原因を挙げられましたが、それがえてして遭難をしたときの原因を究明してみますと、その三つがそれぞれに微妙に絡み合っておるというのが実情でございますけれども、やはり漁業者の出漁時の不注意というものが少しウエートが高いというように私どもは理解をいたしております。 以上でございます。
○参考人(小林大助君) お答えいたします。 先ほどのデメリットの部分につきましては、これもお話し申し上げましたとおり確かにデメリット部分でございます。しかし、このデメリットを最低に抑える、実際には漁業者にとって著しい影響がないように抑えるというような細かい取り決めをやっておりますので、それでもデメリットを受ける漁業者の方は若干は出られるのかもわかりませんが、最小限にとどめるという努力をやっております。 それから、メリットの部分について、漁協の契約というものが拡大に有効に作用するという問題につきましてこれは大きなメリットだと思うんです。と申しますのは、漁協の指導力、統率力によりますけれども、やはり今まで全体がまとまると、どこにもへそ曲がりの人がおりまして、なかなか全数で義務加入をするというのが非常に苦労なことでございます。ところが、全体で入るということになりますと、掛金負担は補助の関係等で非常に減ってくるというような関係で、漁協の指導力ということ、それで漁協が事業そのものに入ってくるということになりますと、組合員たる漁業者の方の参加意識もわいてくるであろうし、それから皆さんがそろって入るということによって掛金が非常に安くなるというようなことが考えられます。そういうことで広がり得れば、掛金率というのは、大体基本的に三年おきに見直しをやっておりますから、だんだんとダウンしてくると。 あるいは、一番やっぱり大きいのは、今まで正直なことを言いまして、熱心なところもありますが、一般的には漁協のサイドで見ると、ちょっと横においてお手伝いという形だったわけですね。これがこの中へ入ってくるものですから、これは漁協の事業の一つだというような認識で普遍化には非常に役立っている。普遍化に役立つということは全体の事故率を下げ、ひいては掛金率も下がってくるだろう、こういうふうに解釈しておるわけでございます。
○参考人(長谷川彰君) お答えいたします。 御指摘の点は、やはり重要な点だろうと思います。資源管理の問題が問題にされます場合に、全体の仕組みといいますか、全体の収支を計算するというような立場に立ちますと、資源管理型をやらない漁業者はなぜだろう、それこそ余りにも無知ではないかということなんでございますが、それを裏返しまして個々の漁業者の立場に立つと論理は別でございます。全体としてあるいは減るかもしれない。個々の漁業者は減った中でおれはこれだけとるんだという論理が漁業の場合は生きるんでございます。無主物先占、先取り競争ですね。ですから必ず漁業者の中にはよく研究し、人より立派な船、立派なエンジン、立派な技術を持っているそういう漁業者がおりますが、それは非常に立派なことなんであります。はっきりいいまして、沿岸から沖合い、遠くなればなるほどそういう個別経営の競争が効果を増すし、また意味を持っているということでございます。 ただ、事例を見ますと、では、沿岸域で資源管理型漁業をしっかりやっている漁業者、いろいろのケースがございますけれども、中に一番漁獲をし、一番工夫をし、たくさんとっている漁業者がリーダーになっている事例がございます。私はなぜあの方がリーダーになるんだろうと。今私が納得している論理はこうでございます。先見性があればあるほど先取り競争の無意味さといいますか、激しさも知っているということなんではないか。 御承知のように、漁業はすぐ技術が伝播します。エンジンが大きくなりますと瞬く間に全部大きくなる。最初の大きくなっているときは限られた資源の中のかなりの部分をとって大きく黒字が出ますけれども、大体メーカーから何からがすぐこれを使えばこれだけとれますということで売り込んできます。全員が同じエンジンになりますと分けどりはそれぞれの力でイーブンでございます。たちまち赤字になってしまうということなんです。ですから、本当の意味での先見性のある漁業者、それこそ二十一世紀をにらみ、自分の息子たちを思うような漁業者はまさしく資源管理型漁業のリーダーにもなるだろう。 しかし、現実の状況でいえば、みんなが倒れてもおれは生き残る、それだけの工夫も努力もしている、そういうことが同居しているということです。それで、同居している今言った部分ですね、非常に働き者の漁業者がいるという現実はやはり多うございますから、言われたような簡単に資源管理型漁業へ、例えば学者の私が説明したからといって簡単にいくものだとは私全然思っておりません。先ほども言いましたように、沿岸から沖合いへ一つずつ事例を積み上げていく上で、その中で展開していくものだというぐあいに思っております。 そんな意味で、やや今までの中で紹介しなかった一つのことがございます。それはそういう全体としての計算を実はだれもやらないんであります。個々の漁業者が自分の船、自分のエンジンでどれだけとれるかという計算はしますが、じゃあ具体的にみんなが一緒にやったらどれだけのプラスが起こるのか、それからみんなでやった場合にどういう営漁方式をやったらいいかという計算をじゃあだれがやるか、今やるばかはいません。なぜなら、そんな努力をやってもだれも御苦労と言ってくれる者がいないわけです。また実は、この計算非常に難しゅうございます。相手は資源の問題、それから漁獲仮定があります。経営の問題があります。専門でありましても一人ではやれません。私は資源の経済サイドの専門家ですので手計算でやりましたが、とても個々の漁業者がどういう管理の結果になるかということは計算できませんでした。 実は、先ほど最初にお話をした中で、水産庁の委託調査でシミュレーションの研究をやったということを言いましたが、実はあれにかかわっており、資源の要素を、生物の特性、漁獲の特性、経営の特性を全部入れまして、この計算は大変なものですからコンピューターにかけてやるということです。パソコンで計算するようなソフトをつくりました。ですからこういう管理をやればこういう結果になりますと。しかも階層別にどういう結果になりますということを比較的短時間でやるような仕組みをつくりましたが、これなんかは今言われたような資源管理型漁業がもう一つ前に出ないものを突破させてくれる有効な手段になってくれるんじゃないかというぐあいに思っておるところであります。
○委員長(岡部三郎君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑は終わりました。 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、長時間にわたり有意義な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。 本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十七分散会