大蔵委員会 第11号
- 発言数
- 301 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1988/05/10
会議録
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○本岡昭次君 本法案の質問に入る前に一言、大蔵大臣は副総理でもございますので、政府の立場に立ってのひとつ答弁を求めたいと思います。 それは、きょうの各新聞の一面あるいは二面にいろんな形で報道をされておりました昨日の衆議院決算委員会における奥野長官の答弁であります。 この問題については、四月二十七日の参議院本会議におきましても奥野長官の発言問題についての質疑が行われまして、奥野長官なり、あるいはまた竹下総理からも、日中関係のあり方について日本の基本的な立場の釈明がありました。 私ども参議院の立場としましても、日中友好の特別決議を上げて、そして日中友好を進めていく義務を政府に決議の中で課しているという立場にもあります。そういう意味で、政府が奥野長官の発言のような形でもって日中間の友好関係というものを阻害していく、これをつぶしていくというふうな行為をとることはまことに不愉快であり、そしてまた政府の一員として許されないことであるというふうに考えております。 奥野長官が衆議院の決算委員会でどのような発言をしたかということを私はここで申し上げる必要もないと思います。恐らく副総理の立場から、政府の首悩という立場から、この奥野国土庁長官の発言問題を新聞を通してごらんになっていろんなお考えをお持ちではないかと私は思うんですが、先ほど言いましたような観点に立って、奥野長官が侵略の意図はなかったということを中心とするこの発言、そしてまた中国の新華社が直ちにこれを取り上げて奥野長官が侵略戦争を擁護したというふうに報道している、こういう状況に現在あることについて副総理としてどうお考えなのか、また、こういう問題をどのように処理をしていったらいいとお考えなのか、本法案の質問に入る前にお聞かせを願いたい。それほど私は重要な問題であるというふうに考えております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 既に竹下総理大臣が帰国をしておられますので、ただいま私が政府を代表してお答えをいたす立場にはございません。また、奥野長官が正確にどのように言われましたか定かではございませんが、聞くところによりますと、いわゆる侵略戦争といったようなことについては自分としては余りその言葉を使いたくない。定義そのものもいろいろであろうと思うということ。次に日中に関して、日本が侵略的な意図を持っておったかどうかということは、したがって自分はそういう言葉を使いたいと思わないが、当時の日本政府は不拡大方針を政府としては持っておったというふうに自分は考えておると。なお、もとより自分は日中間の友好を祈念すること人後に落ちるものではなく、そのためにはお互いに友好を大切にしながら率直に意見を述べるということは、決して友好の精神に反するものではないと思う。このような趣旨のことを言われたと伝え聞いております。 要するに、奥野大臣は、日中間の友好を祈念すること決して人後に落ちるものではない、それを傷つけるような意図は自分は全く持っていないということを考えておられるものと信じております。
○本岡昭次君 まあ、余りこのことに時間を費やすことを私は考えておりません。しかし、やはり政府という立場から考えていただきたいと思います。 私の見るところ、この奥野長官、確信犯だと思うんですね。ここに書いてあること、弁明、釈明、いろいろされておりますけれども、文字どおり、日本の侵略戦争というものを認めてもおられないし、日中関係の中で中国の鄧小平氏の発言に日本が振り回されているのはおかしいではないかというふうなことを、やはり私は本気で考えておられると思うんであります。だから、参議院の本会議でも一応釈明をされたけれども、また違う機会に出ると、それが出てくる。こういうことは繰り返し巻き返し、これから奥野長官が政府の一員としておられる限り私は起こってくるんではないかと思うんですね。 奥野長官が個人的にそうした思想を持っておられることは、それは思想、信条の自由でありますから、それはそれとして私が特別にそのことを追及する立場じゃありませんが、しかし政府の一員であり、閣僚の一員であるということを考えますと、奥野国土庁長官が大臣として、閣僚の一員として竹下内閣の中にいること自身がこれから非常に大きな問題を及ぼすのではないか。そのことについては非常に不適任であるというふうに思うんであります。 そういう意味で、やはり副総理という立場からこの問題は日中関係の将来を考えて厳格な対応を私はしてもらわなければならぬ。また、竹下首相にもそうした立場での、副総理としての進言も必要ではないか、こう私は考えるんでありますが、一点、その点を再度お伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 奥野大臣が日中平和友好を願われることは決して人後に落ちるものではないと言っておられることは私は間違いないことだと存じますが、ただいまの本岡委員のお話は十分私としても慎重に承りました。
○本岡昭次君 それでは次に、税制改革の進め方の問題について最初にお伺いしておきます。 大蔵大臣は、政府税調が素案を出したとき、私の質問に対しまして、税制改革法案を今国会に提出できるかどうかの判断をする時期は五月連休後が考えられるという意味合いの答弁をされたのであります。ちょうど連休の直前の四月二十八日に政府税調が今まで余り例がないと言われているような中間答申を出して、宮澤大蔵大臣が連休後にそうした税制改革法案を出すことについての見きわめをする上に非常に重要な一つの節目をつくった、こう思っております。 そういう意味で、連休がいよいよ明けて大臣が決断する時期に来ておるわけでありますが、新聞によりますと、中間答申を受けて竹下総理と協議もされたようでございますが、この税制改革法案、今国会中に提出するという問題について、それではどのような御判断を現時点でされているのか、お聞かせいただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 連休前にそのように本岡委員に申し上げましたので、お尋ねはごもっともでございます。 実際には、二十八日に中間答申が出まして、次は私どもの党内の税制調査会がございますので、そこでさらに議論を深めるということでございます。また、今日もそれが行われるわけでございますが、多少連休に入ります前にちょっとおくれぎみになっておりまして、これからどのような経緯をたどりますか、私どものこれは党内の事情でございますけれども、そういう問題がございまして、まことに申しわけありませんが今定かにこの国会に提出できるかできないかを申し上げることができないようなまだ段階でございます。連休前に申し上げましたことと違いまして申しわけございませんが、現実にはそのようなことになっております。 なお、政府といたしましては、それにいたしましても既に中間答申に盛られた事項で、私どもの党内の税制調査会でも考え方としては異存がないという幾つかの、これは主として定性的なものでございますけれども新しい問題がございまして、それにつきましては、連休に入ります前に事務当局に成案をそういう部分については固めていくようにという指示をいたしてございまして、その作業は進んでおります。 それは、例えば有価証券の譲渡益についての原則課税の問題、あるいは法人が、これは国会でもしばしば御指摘がありましたが、当面入り用のない土地をいわば買って寝かしておく。しかし、そのための金利は経費になるということはいかにも甘過ぎないか。あるいは相続財産の価額が土地等の関係で非常に大きくなっていきますと、いわば養子を擬制して数をふやして相続税の回避を図るというようなことも放置すべきではないではないかというようなことにつきましては、もう既に考え方の合意がございますので、それらについての成案の準備はいたしておりまして、いわば大蔵省といたしましては政府税調あるいは党の方の議論がまとまりましたら、時を移さず、それを案文にいたしまして作業を進めるようにということは既に準備をいたして、いわばできるだけスタンドバイの姿勢をとろうといたしておるわけでございますけれども、なお先ほど申しましたようなことから、今国会に提出し御審議を願えるかどうかということについて、ただいま定かに申し上げることができませんことを御理解いただきたいと思います。
○本岡昭次君 諸般の事情はわかりました。 新聞にはいろいろなことが報道されておりまして、竹下総理は税制改革法案を今国会に提出する見込みはなくなったというふうな趣旨の発言をヨーロッパの方に行かれてされたというようなことが日本の新聞に載る。きょうの新聞を見ますと、大蔵省首脳と。大蔵省首脳というのはどなたか知りませんが、大蔵省首脳というふうな肩書きで、税制改革法案を今国会に提出する可能性というものはまだあり得るというふうな発言が報道されております。今国会の中の最大の課題が五月二十五日の会期末を控えてどう扱われるかということは、当然一番注目していかなければいけない問題であります。 そこで、大蔵大臣、連休後と言っていい、きょうは十日でありますから。会期末まであと十五日という段階を迎えて、まだ税制改革法案提出の可能性があるというふうなことを言える状況なのか。はっきりともう無理だとか、いやできるとか、大蔵大臣が決断は連休後とおっしゃった、文字どおり、それはもう日程的にもそういう時期であろうと思うんですね。だから、先ほどの大臣の答弁は、やはり五月二十五日の会期内にこの税制改革法案を提出するのはいろんな諸般の状況から見て無理だ、困難だということをもう私に答弁をされたんだというふうに理解していいんでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げたとおりのことでございまして、まことに申しわけないことでございますが、今いずれとも申し上げかねておる。総理大臣の外遊中における記者会見の御発言も、これは問題が非常に難しい問題でございますので、大変に微妙な発言をしておられる。それをああいうふうな報道になっておるわけでございますけれども、発言そのものはもう少しニュアンスのある発言であったようでございますので、実際に問題は難しいものでございますから、ただいまのところ何とも申し上げかねておるということでひとつ御理解をお願いいたしたいと思います。
○本岡昭次君 それではもう一点。 きのうの決算委員会に大蔵大臣も出席をされたようでございます、新聞によりますと。その中で今、減税に絡む問題を今国会中に法案として提出してそれを処理するということについて、最大限の努力をするということを自民党が野党側に回答しているという側面がございます。決算委員会でそのことに触れて、そうした減税だけを切り離して法案を出して、この国会内で処理するということはできないという意味の答弁をされたということも聞いているんですが、このことは、今国会の最終段階を迎えて最も与野党が厳しく対決していく状況になる内容であります。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 そこで、私はこの大蔵委員会の場をかりて再度お尋ねするのでありますが、今与野党で協議している六十三年度の減税を先行実施していく、そのための法案処理をやるというふうな問題についての大蔵大臣のお考えを大蔵委員会としてひとつ聞いておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 本来、政府が一貫して申し上げてまいりましたことは、何十年に一遍の税制の根本改革をいたすただいまの段階でございますので、減税等につきましてはその税制改革との関連において政府としては考えさせていただきたい、こういうことを一貫して申し上げておるわけでございます。 しかるところ、共産党を除く各党の間におきまして国対委員長会談が三月の初め以来しばしば重ねられまして、そしてただいまの段階は、ただいま本岡委員の言われましたことについて政策担当者間で協議をするということになっておりまして、その協議は来る十二日及び十八日に行われると伺っております。したがいまして、これは公党間のお話し合いでございますので、その結果がいかになりますか、お話が決着をいたしますれば、政府としても政府・与党という立場から当然それは誠実にそれを実行しなければならないという立場にあることはもとよりでございますから、したがいまして、ただいま政府が伝統的に考えておりますことは、先ほど申し上げましたとおり、それはそれといたしまして、政策担当者協議の結果を政府としては注視しておる、慎重にそれを見守っておる、こういう立場にあるわけでございます。
○本岡昭次君 いや、それであれば結構なのであります。何か新聞を見ると、もう大蔵大臣が先行して、それはだめだ、こう言ってしまったというふうな受け取り方ができるものですから、与野党が今いろんな段階で協議して非常に困難な問題の解決に努力しているさなかに、肝心の大蔵大臣が「減税法案切り離し否定」なんというようなことでこうやられると、これは大変なことになるなという心配をしたものでありますから、今のような大蔵大臣の立場で対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 それでは、具体的な問題に入らせていただきたいと思います。 この法律案の提案理由説明の中の歳出面にわたる部分について、次のような言葉があります。歳出面においては、限られた財源を重点的、効率的に配分するように努めたと、こうあるわけでありますが、これは財政運営上当然のことであろうと思います。 そこで、一般会計予算総額の中で、それでは文教関係予算はどのような比率を占めてきたのか。過去十年間の推移を明らかにしていただきたいんです。
○政府委員(野崎弘君) 過去十年間ということで、昭和五十四年から見てみますと、国の一般会計の中に占めます文部省予算、昭和五十四年一〇・六%であったわけでございますが、昭和六十三年度で八・一%ということで文部省予算の割合は低下してきているわけでございますけれども、これは国債の利払い費の増等によりまして国の予算全体の規模が増大してきているということでございます。この国債費とか地方交付税交付金、こういうものを除きましたいわゆる一般歳出の中で見ますと、このところずっと一四%前後で推移をしてきているという状況にございます。 なお、六十三年度予算につきましては対前年度比二十九億円の増を図りまして、教育改革の推進等所要の経費の確保に努めてきたところでございます。
○本岡昭次君 今二つの観点からの答弁があったわけであります。一般会計全体から見たら昭和五十四年に一〇・六%であったものが六十三年に八・一%というふうに、全体、総予算の枠の中で大変に低下をしていっているということははっきりしております。また、地方交付税というふうなものを引いた分では一四%で、やはりこっちも一四%だということでそれは現状維持、こういうことなんであります。 限られた財源を重点的に効率的に配分するということの中で、私は文教予算は大変冷遇されてきたというふうにこの数字から見なければならぬのでありますが、大蔵大臣、全体の予算の中で文教予算というものを見る場合に、一〇・六%から八・一%というふうに減額、減額じゃないんですが全体の比率が下がってきている、こういう点についてどうお考えですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 先ほど会計課長から御答弁がありましたように、私ども文教予算については一生懸命にいろんな効率化を図っていることはもちろんでございますが、非常に重点的な配分もしておる所存でございます。一般歳出がいわば国の政策費の塊でございます。その中におけるウエートは、先ほど御答弁がありましたように一四%前後ということで、その構成比は変わっておりません。一般歳出の中に占めるウエート、五十四年度一三・八でありますものが六十三年度は一三・九ということでございますので、いわば政策費の塊である一般歳出の中における文教予算のウエートは変わっていないということで、私どもとしては重点的な配分に努めておる所存でございます。
○本岡昭次君 それでは参考までに、文教予算でない他の類似の予算を今のように一般歳出の中で比率を見れば、例えばこの予算はこういうふうになっていますという二、三例を挙げていただけませんか。
○政府委員(斎藤次郎君) 例えば申し上げますと、一般会計の中のウエートという資料しか手元に今持ち合わせておりませんけれども、国債費のウエートは例えば五十九年と六十三年と比べますと、一八%が二〇%というぐあいにウエートが上がっているということで、国債費のウエートなどは上がっておるわけでございます。それから公共事業関係費で申しますと、公共事業関係費は一般会計に占めるウエートが一二・九%ございましたものが、六十三年度には一〇・七%というぐあいにウエートが下がっておるというようなこと、あるいは経済協力費について申し上げますと、五十九年が一・一%であったものが一・二%とやや微増しているということで、それぞれの経費に応じて凹凸があるわけでございます。
○本岡昭次君 一般歳出の論議は今言われたようなことの解釈もできると思うんですが、一般会計全体総枠の中での低下現象ということは、先ほどあったように一〇・六と八・一、こういうことで下がってきているということを私は問題にしたわけですけれども、それでは他の予算の中で、文教関係のように一般会計予算総額の中で低下している費目というのはどういうものがあるんですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 手元に具体的な数字を持ち合わせておりませんので、必要とあれば後刻お答えをしたいと思いますが、例えば食糧管理費のような農業関係の予算は一般歳出の中におけるウエートもかなりの低下を見ておるわけでございます。それから公共事業関係費につきましても、国の歳出状況の厳しい中で低下を見ておりまして、六十三年度は大幅にふやしましたけれども一般的には低下傾向にあるというふうなことが申せまして、いわば中立的な構成比が変わってないというのは文教予算のようなものでございますが、あとウエートがふえておるものと申しますと、社会保障関係費は毎年予算額がふえておりますので、一般歳出の中における構成比は上がっているというぐあいに考えております。
○本岡昭次君 お互いに見方が違うわけで、私どもは予算全体の比率の中の低下ということを問題にするし、大蔵省の方は一般歳出の中で現状を維持しているから、それは重点的に配分しているんだという見解の相違があるように思います。これはまた私も十分資料を整えて、次の機会に論議をさしていただくことにいたします。 そこで、現在の日本の驚異的な経済成長、この経済成長の秘密は教育に対する社会的投資にあるというふうによく言われるんです。日本にはエネルギーも、地下資源を初めとするさまざまな資源もない。にもかかわらず、これだけの経済成長を遂げてきたというその秘密はやはり教育という問題にあるんではないかと。それは政府を中心として教育に対する社会的投資、ここに非常に重点を置いたからだとこういうふうに言われておるわけで、私もそれは肯定的に受けとめているんでありますが、大臣は、こういう国際的な日本の今日の経済成長に対するさまざまな話の中で出てくるこの種の評価、これをどういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には、ただいま本岡委員の言われましたようなふうに私も認識をいたしております。
○本岡昭次君 大臣もそのように基本的に認識されると。私もそう思う。国際的にもそう見ている。しかし、驚異的な成長を遂げていったその土台になった、基礎になった教育に対する社会投資というのが、それではそれほど財政面において顕著になされたかというと、先ほどちょっと論点の食い違いがありましたけれども議論したような形で、さほど際立った政府の、国の財政支出が教育に対して行われたということはない。全体が下がっている中で現状維持をしたから、それはそうだと言われればそうかもしれませんが、私は政府がそれでは実際の予算面においてそれほど努力したかというと、イエスと言うことがちょっとできないのであります。 そこで、私どもが見ているのは、国の文教予算が全体の総予算の中で比率がずっと低下するに従って、今度は父母の教育費負担というふうなもの、あるいは民間の教育に対する投資、こうしたものが年々増大をしてきたということが一つの大きな問題点として浮かび上がってくると思います。 そこで、文部省にも来ていただいておりますが、最近の十年間、それでは父母がどれだけの教育費負担というものをやってきたか。恐らくそれは傾向的には増大をしてきたというふうに見ています。新聞も毎年そのことを問題にしておりますが、そこをちょっと数字的に明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(渡部蓊君) 文部省の方では、小中高等学校については保護者が支出した教育費の調査をしております。これは一人当たりの児童生徒に対して保護者が幾ら支出したかということでございます。六十一年度が最新の調査でございますが、これで公立小学校が十七万八千円でございます。対前年度の伸び率で申し上げますと一・七%、それから公立中学校が二十一万九千円、対前年度の伸び率が二・一%でございます。それから高等学校、公立高等学校全日制でございますが二十八万四千円、対前年度の伸び率が二・三%でございます。 こういう形の調査、今のようなスタイルになりましたのは昭和五十三年度からでございまして、五十三年度からの実質的な伸び率を申し上げますと、公立高等学校が一・三倍、公立中学校が一・二倍、公立小学校はほぼ同水準で推移しております。 それから大学生、短大生でありますが、文部省の行っております六十一年度の学生生活調査、これも一人当たりでございますが国立大学昼間部が百十一万円でございます。隔年の調査になっておりまして、五十九年度との平均伸び率で申し上げますと三・八%。私立大学でございますが百五十三万五千円、五十九年度との伸び率三・八%、そして五十三年度との実質的な伸び率はともに一・二倍でございます。 数字の上ではこのような状況になっております。
○本岡昭次君 これは計数のとり方によっていろいろな数字が出てくるわけです。民間の調査、特に銀行等が調査をした場合はまたかなり高い数字が挙がってくるんですが、いずれにしても父母負担が非常に多くなっているという事実はだれもが否定できないと思います。したがって、国の文教予算というものを重点的に配分をしてこなかった分だけ父母が肩がわりをしてきたのではないかというふうに私は見ているんです。 そこで、最近やっぱりこの種の問題が取り上げられております。特に家計費の中で子供の教育費の占める割合がふえていって、そして今家計を圧迫しているものは何かというようなことを尋ねていくと、それはやっぱり教育費であるということが一番比重として強く出てくるようになりました。そこで自民党の税制調査会の中でも、いわゆる子供の教育費というものが家計を圧迫しているという状態を少しでも軽減をさせていくために、教育控除というふうなものを考えてはどうかというふうな論議もあるやに聞いているのであります。 しかし、私は税制の上に、それぞれ特殊な形で存在している家計の圧迫要因、また生活を非常に困難にしていく要因をそれぞれ控除というふうな形で持ち込んでいったのでは、これはもう税制そのものが混乱すると思いますし、そのことは、ある意味では不公平なものになっていくのではないかというふうに私個人は思うのであります。 だから、最初に大蔵大臣も肯定されましたように、今日、日本の経済が脅威的な成長を遂げていった秘密は教育に対する社会的投資にあるというふうな立場からした場合、父母の教育費が増大するということにかかわって、これを軽減するという方法は、その個々人の税制にさわることによってやるんじゃなくて、やはり父母負担が増大をしないような教育のあり方、あるいはまた、国あるいは地方公共団体の責任において社会的な教育投資あるいは教育に対する財政支出といったものを重点的に行って、そして教育費の父母負担の増大というふうな問題点を除去していく。そういう対応をしなければならないのではないかと、税制改革の論議の中で出てきた教育控除というふうな発想に対して私は思ったわけでありますが、大蔵大臣のひとつ御見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる教育減税でございますけれども、まさに本岡委員の言われましたように、これはいたしますとかなり幅の広いものにならざるを得ない。その場合には、むしろそのような減税をどうしても考えるというのであれば、そのようないわば子女が年齢に達する親御さんの属する所得階層というものはおのずからございますから、四十何歳とかその辺、そういうところあたりの累進をなだらかにする方がいわば公平に税制が執行されるのではないかというふうな考え方は、これは当然あってしかるべきでございます。 あるいはまたしかし、そうはいっても扶養控除の中で一定の年齢の扶養家族、それは学齢、学校年齢というふうなことになるのでございましょうか、そういうことを少し主に考えたらどうだというような意見もあり得ることだと思います。他方でしかし、そういういわば年齢の青年の中で、義務教育だけを終えて、もう既に社会で働いている、自分で税金を払っておるという人との権衡は一体どうなるのかといったような問題がまた別にあったりいたしますから、なかなか教育減税ということは、議論はございましてもなかなか簡単なことではありませんで、やはりそうなりますと、先ほど仰せになりましたように、そういうことは歳出面で考えるべきことは考えていくべきであろう。 余り教育減税というふうに大きなウエートを置いてしまうと、それはそれなりにやっぱりいろいろな問題が起こってくる。むしろ歳出面の充実ということで考えるべきではないかと言われますことは、考え方としては私もやっぱりそういうふうに傾いて考えております。
○本岡昭次君 考え方として大臣も同意見だとおっしゃっていただいたので大変心強いのでありますが、やはり教育はそれぞれ自分の子供を親が育てるということで、基本的には親に責任があるわけで、それは親が食べる物も食べないで、子供の教育のために金を使うということはこれはしてはならないとかいう筋合いのものではないと思いますが、やはり憲法、教育基本法、その他もろもろの教育関連法規の中にあるように、国の教育に対する責任というものを財政支出の中でどのように果たしていくのか。そしてそのことが一方では父母負担の軽減につながっていくというふうなことを、やはり具体的にこれから考えていただきたい、こう思うんであります。きょうは総論的に申し上げまして、また、いろんな機会に個別の問題にわたってこの種の議論を展開さしていただきたい、このように思います。 そこで、直接的には大蔵の問題と離れますが、参議院に送付されてきました教員の初任者研修制度に関する財源問題についてちょっと伺っておきたいのであります。 文部省が昭和六十六年度に完成させるということでスタートさせようとしている教員の初任者研修制度でありますが、昭和六十四年、六十五年、六十六年とどれほどの財源を必要と今予定されておりますか、お尋ねいたします。
○説明員(佐々木正峰君) 初任者研修制度の実施のための経費につきましては、その実施方法をどういう形で行うかによりまして具体的には異なってくるわけでございますけれども、昭和六十二年度から初任者研修を試行しておりますが、仮に、それと同様な方法ですべての校種につきまして初任者研修というものを、新採教員が約三万人おりますけれども、その三万人を対象に実施することとした場合には、所要額は人件費ベースで総経費約八百億円、そのうち国の負担金ないし補助金が約二百八十億円というふうに推定されるところでございます。
○本岡昭次君 ちょっとお伺いしますが、初任者研修制度をどのように実施するかによって変わってくると思いますがという前提に立って、今試行が行われておりますから、試行でなくてそれを本実施に移したら八百億円、国の負担は二百八十億円というふうなことを申されたんですが、どのような形で初任者研修を実施するという、その方法はまだ決まってないんですか。
○説明員(佐々木正峰君) 初任者研修制度を実施するためには、やり方といたしまして、学校内においては指導教員を特定いたしまして、指導教員による指導を行う、また校外におきましては教育センター等において講義、演習等を受けるというような形で初任者研修制度を実施することといたしておるわけでございます。ただ、こういった研修を実施いたすためには、やはり初任者が安んじて研修を受けられるような条件整備をする必要があるというふうに考えておるわけでございます。 その条件整備といたしまして、初任者が配置された学校に対しては教員定数を措置するとか、あるいは非常勤講師を措置するといった措置を考えておるわけでございますが、そういった教員定数の配置なりあるいは非常勤講師の措置といったものを六十四年度以降どういった形で実施するのかということが一つ財政的な問題との関係であるわけでございます。そのやり方は今後の予算折衝の中で具体的には定まってくるわけでございます。したがいまして、本格実施にかかる経費としてどの程度の財源を要するかということを現段階で確定的に申し上げることはできないということを申し上げさしていただいたわけでございまして、現在試行段階でやっております条件整備と同様な方法でやるとすればということでお答えさせていただいた次第でございます。
○本岡昭次君 大蔵省にお尋ねしますけれども、新しい法律を制定して、そして新しい制度を実施するという場合に、具体的な計画も今の話を聞きますとないようでありまして、今試行をやっていることを引き延ばして、それを本実施にすればこのぐらいのお金がかかるでありましょうというふうな問題についても、大蔵省として財源を担当していく、それを認めていかれるということについて私はちょっと疑問を感じるんです。 しかし、それはそれとして、そういう考え方であれば、六十四年度、来年の予算のときにどれだけの予算がつけられるかということは、法律ができてもそれは別の問題だ。法律が通れば、それを実施していくための予算というものが同時にある程度確定的にあって、それがついていくということでなくて、予算は予算として別に来年また論議をされて、そして予算がどれだけついたかということによって初任者研修制度のありようが変わってくる。こういうことになるというふうに考えていいんですか、大蔵省。
○政府委員(斎藤次郎君) 今、初任者研修のための法律が国会で審議中であるわけでございます。それが具体的に成立をお認めいただいた暁には、当然のことながら六十四年度の文教予算の編成過程での最も重要な課題の一つになるだろうと思います。 ただ、法律を具体的に実施する場合に、先ほど文部省の方からも御答弁がありましたようにいろいろなやり方が考えられるかと思います。したがいまして、私どもとしましては今のような財政事情、依然として今後とも厳しいわけでございますから、いろいろな財源の重点的配分ということをさらに一層努力をして、文部省ともよく相談をして、財源の効率的配分という中で何とか対処していきたいというぐあいに今のところ考えておるわけでございます。
○本岡昭次君 それに関連しまして、小中高あるいは養護学校等含めて公立学校に実施をするというんですが、なぜ六十四年度から一斉に実施しないで、六十四年度は小学校、六十五年度は中学校、六十六年度は高校と順次やっていくんですか。小学校の教員に研修を一番早くさせにゃいかぬからというので、小学校からするんですか。これ高等学校からしてはいかぬのですか。研修がそれほど重大なら一斉にやらすというのが筋じゃないんですか。
○説明員(佐々木正峰君) 御指摘のように、初任者研修制度というものは、初任者の時期の重要性にかんがみて研修を組織的、計画的に実施することといたしておるわけでございまして、その必要性というものはいずれの校種においても変わらないものというふうに考えておるわけでございます。ただ、初任者研修というものを効果的に実施するためには、例えば教員定数あるいは非常勤講師等の条件整備が必要でございます。したがいまして、それには経費もかかるわけでございます。そういったことから、教員の具体的な採用者数の推移であるとか国や地方の財政負担、こういったものを勘案いたしまして校種ごとに段階的ほ実施をするということといたしたわけでございます。
○本岡昭次君 そうすると、それは財源上の問題で、お金さえあれば一遍にやるのが好ましいと思っておるんですか。
○説明員(佐々木正峰君) 財源的な問題もございます。また、各県におきまして六十二年度以降、初任者研修の試行をしてもらっておるわけでございます。そういった各県における対応の問題といたしまして、全校種一斉に実施するのがいいのかということもあろうかと思います。そういった点を勘案いたしまして段階実施というものを考えておるわけでございます。
○本岡昭次君 そこらのところはまた文教委員会でやってもらうとしまして、問題は、一人の教員に対して一人の指導教員ですか、こういうものをマン・ツー・マンにつけて研修させるということに基本的になっているんですか。
○説明員(佐々木正峰君) 初任者研修制度におきましては、やはり新任教員の実践的指導力と使命感を身につけていただくということを目的といたしておるわけでございます。そのためには新任教員を各学校に配置いたしまして、いわば新任教員が実務を担当しながら研修を受けるということを考えておるわけでございます。その場合、学校内においてはやはり指導教員という者を特定して、その者が新任教員の立場に立って、新任教員の成長といのものを見ながら系統的にその時期に応じた指導をしていくというのが適切ではないかという考え方に立っておるわけでございます。こういったことを通して、いわば個に即した研修というものを実現したいという考え方に立っておるわけでございます。
○本岡昭次君 いやいや、指導員の性格を言うておるんじゃないんですよ。マン・ツー・マンで、新任教員一人に対して指導員が一人つくという形でやるようになっているんですかと聞いている。
○説明員(佐々木正峰君) 指導教員が配置された学校につきましては指導教員を一人選びまして、その人が新任教員に対して指導を行うという形にいたしております。
○本岡昭次君 いや、指導教員が配置された学校にあってはじゃなくて、新任教員がいるから初任者研修が要るんでしょう。だから、新採用教員が一人おれば指導教員が一人つくという形で行われるんですかと聞いている。
○説明員(佐々木正峰君) おっしゃるとおりでございます。
○本岡昭次君 そうすると、三万人の新任採用者があると三万人の指導教員をつけるんですか。
○説明員(佐々木正峰君) 現在試行段階で考えておりますものは、新任教員が配置された学校において指導教員を特定するという考え方をとっております。したがいまして、新任教員が一人配置されております学校については指導教員が一人。二人以上配置されております学校についても指導教員が一人ということでございますので、したがいまして指導教員一に対して新任教員一という関係もございますし、指導教員一に対して新任教員が二ないし三というような関係もございます。
○本岡昭次君 そうすると、完全なマン・ツー・マンじゃないわけですよね。学校に対して一人を配置する、こういうことですか。
○説明員(佐々木正峰君) はい、さようでございます。
○本岡昭次君 私は、文部省もいろいろと御苦労いただいていることはわかるんですが、本当に学校という現場をわかっておられるのかなというふうに思うんですよね。 私の住んいる兵庫県ですが、そこには家島という僻地、離島があります。その学校に新任教員がいつも三人も四人もずらっと配置されるんですよね、人事配置上。あなた方が考えているようなきれいごとで新任教員が配置されへんのですよ。非常にひずんだ形で配置されるんですね。そういうところで今度、離島や僻地のところで指導教員を得るといったってこれまた大変、小規模校ですからね。だから、人事配置上の問題を見ても極めてこれは問題が多いというふうに思うんです。特に中学校へ行った場合は教科担任ですから、教科担任の指導員をつけるというようなことを実際どうしてやるのかなと思います。 しかし、それはまた大蔵委員会じゃなくて文教委員会でやってもらうことにして、私はお金の使い方の問題を論議しているのであります。もうちょっとほかのこともやりたいので一応ここで打ち切って、大蔵大臣なり大蔵省に申し上げておきたいんですが、やっぱり今誤解があるのは、学校の教員には研修が行われていないんではないかという誤解があるんです。そうじゃなくて今、かなり多様な研修というものを教員は課せられております。文部省もやれと言う、県の教育委員会もやれと言う、地方の教育委員会もやれと言う、学校もそれぞれ考える。それから教員自身もみずから研修をやるというふうなことで。 研修というのは、教員に新採用されてから退職するまで生涯にわたる、これはやらされるんじゃなくて、みずからやらなければならぬ課題ですよ。だから研修をやろうとしない教員なんて教員の資格がないと私は思っておるんです。それほど研修というのは教師にとって命ですよ。それだけに、私は逆に研修のあり方というものを大事にしなければならぬ、こう思うんであります。 そこで、私も学校の教員の出身だから言うんでありますが、みんな初任者のときがある。そのときはどうしたかということを皆常々思うんであります。学校には皆先輩がいて、最初その学校へ赴任すれば先輩が温かく迎えてくれる。新任教員としての心得を教えてくれる、そして子供とどう接したらいいかというようなことを、授業の交換もしながら一年間、あの学校へ新任教員が行ってうまく育ったか育たなかったかというのは、ある意味ではその学校全体の責任を問われるというふうな意識を持ってみんな懸命になって、その新任教員が一人前になるように、それは親鳥がひなをかえすような調子で皆がやるんですよ。やっているんですよ。しかし、それはだれも報酬をもらっておりません。 だけれども、そういう中で先ほど言ったように日本の教育がよかったから、それはまあ日教組がどうのこうのという論議もありますけれども、やっぱり教育というものが今日の日本を支えたという一般的な評価を受けるまでに至っておるんですよ。そういうものが現場の中に、学校の中の教育力として存在しておるんですよ。先輩が後輩を育てていくという義務感みたいなものを皆持っておるわけなんです。そういうふうにして皆育ってきた。しかも、今言いましたように文部省も現に初任者に対する研修制度を行っております。県教育委員会も地方の教育委員会も学校も、独自の研究プランを持ってやっている。その上にまた指導教員なんというような者をマン・ツー・マンにつけて、そして一年間かかってやろうというようなことをかぶせてくるという、一体何をやろうとしているんかな、こう私は思うんです。 それで、研修というのは一年間やったから立派になるわけじゃない。やっぱり一生涯かかって研修研修を繰り返して、やっと一人前の教員になれるかどうかという代物だと私は思っておるんですよ。一年間やったらそれですべてじゃない。そういう立場から、先ほど言ったように八百億円ものお金をこのことに投じていくという意味が私にはわからぬです。まあ、表現は極端かもしれませんが、大切なお金をまるでどぶにどっと毎年、何の意味もない、無意味に金を捨てるようなことになりはせぬかと思う。ただ指導教員、非常勤講師なんと~うようなものをつくることにそれぞれがあくせくしてしまって、この仕組み、制度の中でみんなが右往左往してしまって、実際それでは今現に初任者を、新卒者を育ててきている学校の、親鳥がひなを育てていくようなそういう仕組みそのものもこれでは破壊をしてしまいやせぬかという、私は非常に心配をするのであります。 大蔵省にとってはちょっと皮肉に聞こえるかもしれませんが、一方では義務教育費国庫負担法の中にある旅費だとか、それから教材費は削除されました。事務職員や栄養職員も義務教育費国庫負担法の中から外せとあなた方は今文部省に詰め寄っておられる。しかし、最近はそこはいつも、いやいやそれは最後には義務教育費国庫負担法の中でということでやっていただいて、非常に私は喜んでいるんでありますが、とにかくそういうふうに教育全体の費用の中でも切り詰め切り詰めというものが盛んにある。四十人学級も十二年間かかって、まるでつめの上に火をともすような形でやってきている。そういう中にあって突如として八百億円ものお金をかけて、一体本当にこんなもの効果が上がるのかわからぬようなことに限られた財源をどっと使うというようなことは、私は国のやるべきことでないと思うんです。 本当に財源が大切だとするなら、教育公務員特例法にも、教職員は研修に努めなければならぬと書いてあるんですから、努めるというのは自分からやることなんですよ。自分のお金を使ってでも皆さん立派な教師になるためにやりなさいというのが私は筋だと思うんです。だから、全く肝心なところにお金が使われずに、こういうむだなところに使われていく今の財政支出の方法については私は納得がいかない。研修は今言いましたように大事です。肯定します。しかし、このやり方について決定的な誤りがある。これから毎年毎年このために大切なお金を便わにゃいかぬというのならば、もっとほかに大事な教育予算の使い道があるのではないかということを私は思うんです。 ちょっと大演説をぶち過ぎましたけれども、お金を、財布を持っておられる大蔵大臣として、財政支出の問題については慎重にひとつ考え直していただきたいということを言いたいためにちょっと大演説をぶったようなことでございます。大臣のひとつ御見解をいただければ私はありがたいと思うのであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 教育の問題につきまして私から申し上げる立場にはございませんけれども、長年の御体験に基づいて貴重なお話をただいま非常に注意深く大切にお伺いをいたしました。
○本岡昭次君 聞いていただいて、これからこの問題が大論議になりますので、大蔵大臣としてうんとこの問題は渋くなってほしいんですよ。大ぶろしきでどうぞどうぞじゃなくて、本当にこれが効果あるのかどうか。 今も言いましたように、六十四年、六十五年、六十六年と三年間にこれをやるというんですよね。これから財政支出をしていくというんです。そして現在試行をやっておるんですよ。試行をしているんなら試行をした結果、本当に効果があるのかどうか、それだけの財政を支出して、それに見返りの教育効果がどれほどあるのかということを総括して法案を出すならまだしも、現在も試行をやりながら、成果の行方も見きわめないまま、ばんと法案を出してくるというこの乱暴なやり方は私は財政支出上ちょっとおかしいんではないかという気もいたしますので、これは文教委員会でやってくださいとおっしゃるだろうから、やっぱり最後は大臣が財政問題についてお考えになるんであろうから、そこのところは篤と文部省との間でやりとりしてほしいです。教育効果の問題ですよ、本当に子供たちにとっていいことなのかどうか。よい先生が本当にこのことで実体の問題として育つのかどうか、本来の研修とは何かというような問題をやっぱり考えていただいて、そして財政支出をやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。 それでは、残された時間、「税制改革についての中間答申」をいただきまして、これについて若干質問をいたしておきます。 私もこれを読ましていただいたんでありますが、大変な中間答申でいろいろ勉強になりました。そこで、この中の一つの部分だけについて、残された時間質問をさせていただきたいのであります。それは十四ページのところにも出ておるんですが、「納税者番号制度」という項目についてお伺いをしたいのであります。 私は納税者番号について次のような考え方を持っております。 税制の不公平是正、これがいろいろ論議をされております。私どもも、税制改革のまず第一歩は現在ある税制の不公平を是正することからスタートしなければならぬということを主張いたしております。その不公平是正の最も有効な手段として納税者番号の導入というものを考えなければならないんではないかと個人的に思っております。そういう意味で、この納税者番号等検討小委員会が設けられたということは非常に私は関心を持ちます。しかし、この結論は残念ながら、これを結果として見送るということになったのであります。 そこで、先ほど大蔵大臣もおっしゃったように、有価証券譲渡益を原則課税にするということについて定性的な意味において合意というものが云々というお話もありました。この中間答申でも株や債券の売却益、譲渡益を原則課税にするということがここには書いてございます。しかし納税者番号を導入しないということから、ここにも書いてあるように結局源泉分離選択課税方式というものをとらざるを得なくなったと私こう見ているんですね。納税者番号を導入できなかったことによって、結局源泉分離選択課税方式をとらざるを得なくなってしまったというんです。 そして、ここに書いてあるのは、源泉分離課税とそれから総合課税または申告分離課税の選択という方法をとってもらったらいいじゃないかということなのでありますが、しかし私のような素人が考えてみても、これはほとんどの人は源泉分離課税を選ぶことになってしまうのではないか。総合課税と申告分離課税を選ぶという人はほとんどいないのではないか。選択と言いながら、もうほとんどの方が源泉分離課税というところに流れてしまう。ということになれば結局、原則課税としてみても基本的な不公平というものは全く解消しないのではないかと私はこの答申の中から見るんでありますが、大臣の御見解を承っておきたいのであります。
○政府委員(水野勝君) 金融資産全般につきまして言えることではございますが、特に有価証券、その中でも株式の譲渡益課税、これは極めて流動的な取引の中でのまた大量の口数にわたる課税でございますので、これが制度的にその所得の把握体制を十分に整備したものでございませんと、かえって不公平な面も生ずるわけでございます。そうした意味におきましては、委員御指摘のような納税者番号制度というものは極めて望ましい制度で、望ましいと申しますか、それに適合した制度でございます。 ただ、委員御承知のとおり、かつて昭和五十五年に大蔵省としてはグリーンカード制度といったものを御提案を申し上げました。これはある意味では金融資産につきましての納税者番号制度とも言える制度でございますが、この点につきましては、なおいろんな問題点が多いということから昭和六十年度改正におきまして撤回さしていただいたところでございます。こういった背景がございますので、直ちにこうした納税者番号制度といったものが納税者の間に広く御理解、御支持を得られるかどうかということは極めて慎重に検討する必要がある問題でございます。 税制調査会としても納税者番号等検討小委員会を設けられたわけですが、これはまだ、ことしになりまして設けられたところでございます。したがいまして、その検討範囲が非常に広範でございますので、現時点におきましてはその最終的な結論は得られておらない。そういう意味におきましてなお引き続き検討ということですから、決してこれを消極的な結論としてまとめられたということではございません。この十五ページにもございますように「引き続き、納税者番号等検討小委員会において検討を行うこととする。」というふうにされておるところでございまして、今月、来月、さらには年内いろいろ幅広く検討が行われるところでございますので、当面はその小委員会の検討の状況を注視してまいりたいと思っているところでございます。
○本岡昭次君 納税者番号の推移の問題はわかりました。 私が尋ねたのは、有価証券譲渡益ですね、これを原則課税とすることに基本的方向で意見の一致を見た、このことはいいとこう言うておるんですよね。我々も要求し、国民の願うところでありますから結構なんです。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 しかし、原則課税にしたけれども、その方法として源泉分離選択課税方式というものをとらざるを得ぬのではないか、こう書いてあるわけなんです。そして何を選択するのかというと、源泉分離課税を選択する人と、もう一方、総合課税または申告分離課税というどちらかを選択する、こう書いてある。 それは総合課税または申告分離課税の方をみんな選択すれば、私は文字どおり不公平是正というところへ大きく近づくと思うんですけれども、恐らくそちらの方を選択される方はほとんどないんじゃないか。これだったら源泉分離課税の方をほとんどの方は選択されるんではないか、こう思うんです。そうなったら、選択ということはあるけれども、ここの源泉分離課税という項目の中にそれにおける弊害が記述されてあるんですが、結局その弊害ばかりが出てきて、原則課税をしたことの効果というものはほとんど上がらないんではないかということを私は申し上げて、それについての御見解はいかがですかと、こうお伺いしておるんです。
○政府委員(水野勝君) その点はまさに、完全な総合課税でございますという場合には番号制的なもの、総合課税を担保できるシステムが必要なわけでございますので、そうしたものがなお検討に時間を要するとすれば、原則課税といたしつつ源泉分離課税も選択できるのがこの時点におきましてはやはり最も適切な方向ではないかという中間答申の結論でございます。 そこで具体的な源泉分離選択課税の場合に、源泉課税をした場合、これはある意味ではみなし課税になる。それは譲渡益をどの程度のものと見込み、その分離税率をどの程度のものとするか、これは具体的な定量的なものは今後の課題でございます、方向はそういうことでございますが。その譲渡益のみなし方、分離税率のとり方によりましては、それは自分は総合の方が有利であるという方々はこれは十分あり得るわけでございます。例えば具体的なものでは、恐縮でございますけれどもNTT株は一株なり五株なりという方が多いと思いますが、そういうことで何十万かの利得を得られたと、しかし自分としては源泉分離の譲渡益割合や税率からすると、それはやっぱり総合として申告した方が有利だという方々は出てまいるわけでございますので、そこは今後の税率、譲渡益、みなし譲渡益率、そういったものとの兼ね合いでございますが、決して全部の皆さんが分離ということではないだろうと思っております。 いずれにしても、理想的な姿は全部担保措置を備えた総合課税でございますけれども、現時点におきましてはとにかく一歩でも前へ進むという意味におきましてはこの選択課税が適切ではないかと中間答申のように私どもも思うわけでございます。
○本岡昭次君 私は、原則非課税よりも原則課税の方がそれは一歩進んだ形で、今まで税金を払わなかった人からも税金が取れるようになるということは、利子に対してマル優をなくして二〇%の分離課税をとっているという現状から見れば、それは不公平を一定の是正をすることになる。しかし、あくまでそれは一定であって、基本的には今あなたがおっしゃったように、総合課税を申告するという方が株の譲渡、有価証券の譲渡で上げる利益は非常に低い方であり、一方、通常の別の所得も非常に低い税率のところにおられる方は当然そこの方がいいだろうと、こうなるわけなんで、ひがみ根性かしれませんけれども、やっぱり高額所得者、あるいはまたたくさんの株を所有してそこから莫大な収益を上げておられる方が総合課税というところに行かれることはほとんどないんではないかというふうに想定されるんです。 だから、不公平というものの中身に、本来課税すべきものに対して課税をしていないという不公平と、課税をすることになったけれども、その課税をする対象になった内容ですね、垂直のそこの面において一体どうなのかという問題の論議が解決されなければ、私は不公平は改善しないというふうに思うんであります。そういう意味での私は質問をしたのでありますが、それはそれとして私の見解だけを今の段階では強調をしておきたいと思います。 それから、株のインサイダー取引を防止する法案がやがてこの大蔵委員会でも論議されることになります。しかし、株の取引の中でインサイダー取引であったのかなかったのかというふうなことを税務当局が具体的につかんでいく問題で、やはり私は問題はインサイダー取引によってぼろもうけをしたという状態が問題であろうと、こう思うんですね。特別な関係にあって一般の人では得られない情報を得て、そして株の売買をやって大変なもうけをやった、そのことが社会的に問題になるんだろうと思うんです。 そのときに、インサイダー取引をしたかどうかという情報をキャッチしていく方法として、株の取引状況を税務当局が何らかの形、例えば取引番号のようなもので全部名寄せできるという状態になって初めて、ある特定の人が非常に大きなもうけをやっている、一体なぜこういうもうけができたのかというふうなことになって、初めてこのインサイダー取引というふうなものも摘発できるし、またそういうことがあるということによってインサイダー取引も防止できる。私は株をやったことがないし、全く無知の世界なんでありますが、素人的に常識的に考えてそのようなことも思うんであります。 だから、インサイダー取引の防止というものも実効あるものにしていくためには、やはりどうしても有価証券の取引番号というふうな、取引全体を名寄せをして、そして一つのところで全体をつかめるシステムというものがなければ、これとても結局名前だけに終わるんではないかというふうなことを思うのでありますが、私は今言いましたように経験もないもので、素人でという前提でやっておりますので、この点ひとつ、僕の言っていることに大きな間違いがあるのか、またそういうこともあり得るのか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 所得税の考え方からいたしますと、その所得を得られた取引の性格、それがインサイダー取引であるか、そうでない普通の取引であるかによっては、それは所得税の御負担をお願いをする際は同じような水準の御負担をお願いをするということではないかと思いますので、今の委員のお話のインサイダー取引によって巨大な利益を得られた、その巨大な利益が普通の利益と一緒で源泉分離課税を選択された場合に同じ税率になってしまう。そこが問題であるということでございますれば、それは源泉選択課税か総合課税かの問題であろうかと思います。 一人の取引を全部名寄せして、それによって、幅広い範囲で巨大な利益を得られた、それがインサイダー取引である、それに対して大きな所得であるから累進総合課税を行うべしということは、それは課税方式の問題として今後の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、現時点で直ちに総合累進課税へ行くだけの、それを担保する制度は今の段階では無理であるということからしますと、源泉分離の選択制度しか現時点ではあり得ないわけでございます。 所得の性格によって重課する、軽課するという点につきましては、税制としてはいかがかなという感じがいたします。
○本岡昭次君 ちょっとすれ違っているんですよ、私の質問の仕方が悪いからかもしれませんが。私もわからぬまま質問をしておるから、余計あなたも聞きづらいと思うんです。私が言っているのは、インサイダー取引そのものを問題にしているのじゃないんです。納税者番号というものを絶えず基調に置きながら今議論をやっているんですけれどもね。 例えば、インサイダー取引を取り締まるという法案をこれから審議するということになるんでしょう。だから、そのときになって有効な取り締まりをやっていくためには、そういうものを根こそぎになくしていく。インサイダー取引というふうな不当な取引をできないようにしていくというために、やっぱりそういう納税者番号のようなものがあって、株の全部の取引というものが一手につかまれるような状態になっていないと、本当に根こそぎにインサイダー取引そのものを取り締まるということができないではありませんか。そういうものがあれば、より有効にその取り締まりができるのではありませんかという質問を私はやっておるんですよ。 だから、納税者番号ができたからといって、情報を得たか得なかったかというふうなことはこれはわかりませんけれども、情報を得たことの結果というものは、結局それによって大きな収益を上げるということに結びついていくことになるんでありますから、そういう意味でやっぱり納税者番号というのは、このインサイダー取引の面についても非常に有効な手段になるのではありませんかということを私は御質問をしたようなわけなんです。
○政府委員(水野勝君) 番号制度があって完全に名寄せができる、そういたしますと、インサイダー取引を幅広く行われた方につきましてそれが全部一人に名寄せ、所得が名寄せできる、そういう効果は十分考えられるところでございます。 ただ、その納税者番号制度につきましての検討の課題の一つでございますけれども、これはやはり専ら一番狭くは株式の譲渡益課税の適正化のために使うという、その次には金融資産につきましての所得課税に全部使うという考え方。それは次にはそういう資産所得課税だけでなくて事業所得課税、さらには給与所得課税につきましても使わしていただく、それは一体そこまで適当なのかどうか。さらにはそれが、そうした株式取引の適正化というところにまで効果を発揮するということも期待をするという番号制度をイメージとして描くのか。 そこらはまさに番号検討小委員会の一つの検討課題になっているわけでございまして、果たしてそこまで税の世界以外の世界での効果まで期待する番号制度といったものが、世の中一般にすんなり受け入れられるものであるかどうか。それは広くはだんだん国民背番号制的なものにもなっていくかもしれない。そこは課税の適正化という観点、そうした観点からすれば極めて望ましいものでございますけれども、そうした税の世界からそういったものに入っていくということは、これはこれでまたいろいろな世の中の受け取られ方があろうかと思います。その点も番号検討小委員会の検討課題になっているところでございます。 御趣旨はわかりますが、インサイダー取引の適正化の方にまでそこを期待をするというのは、この小委員会の検討からしますと少し幅広に過ぎないかなという感触でございます。
○本岡昭次君 政府税調の小倉会長が中間報告を竹下総理に渡すとき、三点ばかりの注文をつけておられます。その中の一項目に、税負担の公平を図るという観点から政治家も襟を正すべきだというふうな項目があったことを記憶しております。この税負担の公平を図るという観点から政治家も襟を正すべきだというのは、会長は政治家に何を、襟を正せといって何を求められたんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が想像をいたしますのに、これは直接伺ったわけではございませんけれども、いわば政治家の政治資金というものが適法に政治目的に使われておれば、それは何も残りませんければ雑所得にもならないということでございますが、その間の出入りの経理は間違いがないんだろうかと。相当大きな金額が関係をいたしますから、そういうことについての国民のいわば疑問があるということ。また企業の寄附金あるいは支出とされているもののうちで使途不明として経理されるものが御承知のようにございます。これは否認を受けるわけでございますが、否認を受けるのですが、その行く先はどこであるかということについて、あるいはそれが政治目的ではなかったかというようなことを疑う国民もおりますと思います。 そういったようなことについて、一般に政治に金がかかるということはわかるとしても、それが法に基づいてきちんと行われているかどうかについて疑問を持つ国民が少なくないということを言われようとしたのではないかと想像をいたしておるのであります。
○本岡昭次君 そのような事柄であると想像されると、こうおっしゃいました。しかし、会長が竹下総理に注文をつけたことですから、これは政府として何らかの対応をこれに対してなさるのですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 法的には欠陥がないと思いますけれども、実際には政治家の持っているモラルの問題に帰するところが多い、そういうことを小倉さんは言おうとされたのではないかと思います。
○本岡昭次君 今、有価証券の取引の問題で議論をしているんですが、ごく最近もある代議士が譲渡益の申告を忘れておったとかどうとかいうことで追徴税を受けたということが、元大蔵次官ですか、新聞紙上をにぎわしたのでありますが、一般国民の疑念ということをおっしゃいました。私なんかもよく言われるんですが、私は株なんか何も持ってないんですけれども、政治家は株の何か有利な情報を得て、株によって利益を得ているんだろうというようなことを言われて、僕は何も持っていないよと冗談に笑っているんですが、株の取引の問題で、政治家がそのような有価証券の取引で疑念を持たれるというのは甚だ私も不本意ですし、またそういうことが現にあるならば、これは絶対許すことはできないと、こう思うんですね。 だから、株全体、有価証券の取引そのものがやはりある程度、税務当局によって掌握されて、そして皆公平公正な税負担をやっているんだという状況をつくらなければ、その疑念はやはり晴れないのではないかと思うんです。特に金融資産というものに対して、政治家がどれだけ持っているのか。それは資産公表なんというようなことをやっても効果が上がりませんし、結局のところ、こうした問題も納税者番号というふうな形態のところでもって国民の疑念を晴らしていくというのも一つの方法ではないかなというふうに私は思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこらがまさに、納税者番号検討小委員会が先般公表されましたとおり、この委員会で検討をしようとしておられる事柄に関連をするわけでございます。 この委員会は今のところ、専ら税務執行上の制度として考えるのか、あるいはそうでないのかということも問題にしておられるわけですけれども、少なくとも最小限考えて有価証券あるいは税務執行上の問題にこの納税番号を限るといたしましても、これについていろいろ国民の間の反応はあろうと思います。グリーンカードの経験もございますし、これはもう、ちょっと古い話になりますけれども、納税者番号の問題は、あるいは国民背番号の問題として譲渡所得の関連あるいはその他の関連で十五年、二十年前には何度か国会で御議論がありまして、そのときにはこれは徴兵制につながるというような真剣な御議論が現実に何度もなされておりたわけでございます。 そういう背景もございますが、このごろはそういう議論はさすがにございませんけれども、そういったようないろいろ過去における我々が体験したことからの心配、懸念といったようなものもいろいろございますしいたしますから、この制度が実際国民生活全般に広がっていくことがいいか悪いかということは、税を離れまして大きな見地からいろいろ検討されなければならないことであろうというふうに考えられます。 税から見ますと、これはメリットがあることはもう明らかでございますし、先ほどおっしゃいましたように、インサイダートレーディングなんかも、納税者番号ということは要するに取引が全部番号がついて行われるということでございますから、インサイダーインフォメーションがあって、それがどのような資産の動きになったかということは、番号があればそれはもうおっしゃいますようにまことに手にとるようにわかるということであろうと。 そういう意味ではインサイダーインフォメーションの規制にも役に立つと言われることは、私はその限りでそのとおりだと思うのでございますが、さて、そういうふうに本当に番号がすべての国民生活に入る、あるいはもっと縮めて申しましても、すべての経済取引は番号を伴わなければ無効であるとまでいたしますと、それ自身でそれはなかなか大きな問題、それだけでも大きな問題になってまいりますから、いろいろそのような問題がありまして、この小委員会においてなお検討していただきたいということであろうと思うんでございます。
○本岡昭次君 時間も参りましたので、最後に私の要望を申し上げて終わりたいと思うんですが、私もプライバシーの問題はこれは非常に重大に考えております。納税をする人の権利というこの問題の視点を抜きにして納税者番号は考えられないと思います。 しかし、それにも増して今の税の改革という問題とこの納税者番号というのは、さらに私は重要な問題であるという認識をしているのであります。個人のプライバシーあるいは基本的な人権、社会生活全般にわたってこの番号がどういう形で規制なするのかという、そういう問題も多く、危惧はありますが、やはりそれは経験を順次積み重ねていくことによって国民全体の了解を得られていくものじゃないかと思うんです。 だから、まず最初に、この中間答申でも言っているように、有価証券取引の譲渡益を番号でもって押さえて、そしてそのことから生じる人権上の問題、プライバシーの問題を防止する措置というものはどういうものがあるのかというものを一本きちっと法制度で押さえて、それでやってみて、皆がなるほどこれならプライバシーの面についても守れる。しかし、ここへまで広げるとこれは大変なことになる、だからこの辺までではないかとか、いろんな経験を積みながら順次番号の適用の範囲というものを広げていくという経験を、プライバシーを保護するという経験を積み上げながら広げていく。そういうことが私は大事じゃないか。 ぜひとも、この税制改革の中でこれはどんなことがあっても取り入れなければならぬし、これを抜いた形の税制改革なんというようなものは私は考えられないというぐらいの気持ちを今持っているのであります。そういうことでもって、先ほど大臣のおっしゃいました基本的なものをぜひとも政府としても考えていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○丸谷金保君 この財確法、何か何年もやっているうちに、このこと自体が大変異常な事態なんだという感覚が麻痺してきているというような気がしてならないんです。 それで先日に引き続いて財政再建の問題。大臣は、それから事務当局の方でも、これは臨調が言った言葉で、大蔵省としては財政再建というもののめどがどこだというふうなことを全然言ったことない、こういう御答弁があったと思うんですが、そうでございましたね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政再建ということはしょっちゅう申しておりますけれども、実は正確にそれはどの時期に何をすることを意味するかということを定義をして申し上げたことはない、またそういう定義を持ったこともない、こういうことを実は申し上げたわけでございます。
○丸谷金保君 それで大蔵大臣は、八七年十二月二十二日の記者会見でこういうことを言っているんです。「財政再建と内需拡大という一見、二律背反する命題にともに答えた内容になった」と。ここでやっぱり財政再建にこたえた内容だと言っているんですよね。そうすると、これは財政再建が何かというめどがなくては財政再建にこたえた内容の予算、大蔵原案ができたということにならないんじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはせんだっても一部申し上げたかと思いますけれども、財政再建とは究極的にどこにいくことであるかということは十分にいつまでに何をという定義は持っておりませんが、実は一里塚はございまして、それは昭和六十五年度には赤字公債、特例公債依存の体質から脱却をしたいということである。 とりあえずはそれが私どもの当面の目標でございますので、その十二月二十二日でございますか、多分予算編成をいたしましたときのことと思いますが、そういう意味で、厳しくおっしゃるならば財政再建という言葉を幾らかルースに使っております。ルースに使っておりますが、申しておる意味は恐らく申した方も聞いておられる方もわかっていただいておったと思いますことは、六十五年度に赤字公債依存の体質から脱却いたしたい、それに一歩近づいたということをそのときに申したかった、それをそういう表現でいたしたかと思います。
○丸谷金保君 まあ、そうだと思うんですよ。そうだと思いますがね。 そこで、私がもう何年もこの特別措置法案が出てきていることによって、これは非常に本来は悪い法律でこういうものはもうできるだけ出すべきでないんだ。財政法の建前からいえばこれはいけないことなんだけれどもやむを得ない、こういう当初の一つの何といいますか提案者側の気分が、何か赤字債の発行さえしなくなればもういいんだというふうな関係に、要するに六十年の償還期限を延長して四条国債と同じような償還の措置をとることになったときから変わってきてしまったんじゃないか。私はこれは大変いけないことだと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政法の特例になるわけでございますので、その都度国会のお許しを得ていたしてまいりましたし、また今回もそのようでございますが、私どももこれは決していいことだと思っておりませんのは、六十五年度には少なくともこの特例債というものはやめたいという努力を今一生懸命いたしておる。それはやはりこのことが本来決して褒めたことではない、早くやめたいことだというために、そのような努力をいたしておるわけでございます。
○丸谷金保君 大臣ね、六十五年に赤字新発債をなくするということの一里塚だと、これが一つ財政再建の命題にこたえた内容になってきつつある予算案の大蔵原案だと、こうおっしゃって、いかにも何かそういうムードになってしまうことを私は恐れるんです。 問題は、建設国債だろうが赤字国債だろうが、国債残高がどんどんふえていくという形、これは私は財政再建に対しては逆行するもので、特に赤字債の場合、繰り延べしてまだ残っているんですよね。新発債は六十五年には出さなくなるとしても、赤字債として発行して償還してないものはそのまま残っていくわけです。そうですよね。これは大体どのくらいの金額になりますか。
○政府委員(斎藤次郎君) 六十三年度末で申しますと、六十九兆円残ることになります。
○丸谷金保君 大臣、本来は十年で返していくという建前のものを、万やむを得ないということで延ばしたやつが六十九兆円にもなっているんですよね、赤字債が。これを全部整理したときに、例えば地方自治体の場合、やっぱり赤字団体になりまして、再建債というので借りることがあるんです。私たちもその経験があるんですが、これはいわゆる一般の公共事業の場合の起債と別に、借金を何とかしていかなければならないための経常経費に対する借金です。ですから、これは赤字債、いわゆる再建債と言うんですがね。この場合には国の利子補給なんかもありましたけれども、それらを完済したときをもって財政再建完了と言うんですよ。はっきりしているんです、スタートも完了も。 ところが、国の場合にはそこいら辺がはっきりしてないんで、きょうは大臣、ここら辺を決めましょうや。いつをもって財政再建というのか。私は率直に言って、今出ている赤字債の六十九兆円、これを完済したときをもって一応財政再建は達成したと。四条債の問題は別にありますよ。しかし、当面のめどとしてはそこらじゃないんですか。これがないと、この財確法というものの論議というのは、新発債さえなくなればもういいんだというふうなことにすりかえられて、安泰ムードに流れることを私は非常に恐れるんです。いかがでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 特例債の現在高をゼロにするということは、いかなる意味におきましても大事なことでありますから、ぜひ達成を急がなきゃなりませんが、これが財政再建の終わりである、それで財政再建は済んだというふうに申し上げられるものかどうか。御指摘のように、まだいろいろ問題がございますから、なかなか何をもって財政再建の完了とするかは一義的に決めにくいことではないかと今思っております。とりあえず、はっきりしておりますことは、一里塚というところまでは行かなきゃならぬということがはっきりしておりますので、そこへ行きまして、また今の問題は考えていかなければならないと思っております。
○丸谷金保君 だから、大臣、記者会見でこういうふうに表現しますと、これは何かもう、六十五年新発債なくなったら財政再建のめどは立ったんだというふうな印象を与えてしまいます。だからここで、しかしまだ実際には、本当は十年で払わなきゃならないはずであった赤字債が六十九兆円も残っているんだから大変なんだということがどうしてここに一言出ないか。それを財政のツケ回しでいろいろやっていくところに、私はやはり今日的な一つの大きな国の財政としての問題点があると思うんです。いかがでしょうか。 本来、十年で払う予定だった赤字債、これを払っていかないんですから、新発債を少なくしていってもどんどんふえていくわけですよ。財政投資、いわゆる建設国債と違う形の、使ってしまったものに対するツケが。この際、ここいら辺をやっぱり一つのめどにしませんか。六十五年に新発債の方はできた、それは一里塚ですよ。二里塚を決めましょう、二里塚をきょうは。 どうですか、二里塚。一里塚があるんですから、二里塚そろそろ決めてもいいでしょう。一里塚のめどが立ってきたんだから。いかがでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) その記者会見で財政再建云々と申しましたのは、確かに言葉の使い方としてはルースでございます。そのとおりでございますが、記者会見で言う方も聞く方も、いわば我が国の特例債がなおそれでも六十九兆円あるということは、これ自身は実は残念ながらニュースバリューがございませんで、ニュースバリューがある方は、ともかくあと二年かそこらで特例債の新規発行がなくなるかもしれない、その方がまだニュースバリューがあるぐらい我が国の財政の体質はおっしゃるように実はよくないわけでございます。ですから、まずその新規発行をやめたいというふうに思います。
○丸谷金保君 だから一里塚はわかりましたから二里塚。二里塚をどうですか、ここら辺で置いてみたら。宮澤財政の中で二里塚の設定もしていきましょうや。我々もこの法案を毎年毎年審議してきて、六十五年度で終わったからいいというものではないんだということぐらい、この委員会ではっきりしておく必要があると思うんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる財政再建は何をもって完了したとすべきかということは、いろいろなことを考えませんと、ただいま申し上げにくいことであろうと思いますので、いずれにいたしましても六十五年度でその当面の目的を達しましたときに、次の問題としてこれはいずれ考えなければならないことでございますから、多少時間がございますので、それまでの間に検討いたしてまいりたいと思います。
○丸谷金保君 六十五年というと、もうあと二年しかないんですよね。そろそろ一里塚が見えたから二里塚を考えようというんじゃなくて、大体、財政再建元年ということでスタートしたんですよね。それで一里塚が見えてきた。一里塚を越えてから二里塚なんて言ったら困りますよ、それ。そうでしょう、どっちの方向に行くんだかわからなくなっちゃう。一里塚がもうそばまで来たときには、今度はやっぱり二里塚が見えていなきゃならぬ。しつこいようですが、どうですか。 赤字債という本来出しちゃいけない国債を出して、これがもう、一遍償還期限を切れると建設国債と同じように、別に色がついているわけでないですから同じように回っているんです。しかし、少なくとも国の財布を預かる大蔵大臣としては、そのうちの六十九兆円は、いわゆる建設国債のような公共投資、そういうふうなもので使っていったんじゃないんだ。こういうことをはっきりさせて、これは次の目標としてどうしても赤字債だけはまず二里塚やらなきゃならぬ。それは財政再建ということを定義づけるのは大変困難でしょう。地方自治体のように小さければ再建完了とかというふうなことでもってお祝いもしますよ。なかなか国の財政はそうはいかないにしても、じゃ、それだけで済むかといえば、まだそのほかにもたくさんございますわね。国鉄の問題もありますし、いろいろその他ツケ送りしているような問題もたくさんあると思いますけれども、それはまた三里塚というふうなことでどうですか。 大変しつこいようですが、私この論議をずっとやっていて、ここいら辺を今のうちにはっきりすることが我々大蔵委員としての一つの国民に対する責任だ、こういうふうに考えるんですが、いかがですか。とても六十九兆円の赤字債のツケ回しなんというものは、今全然考えている余裕がないということじゃ、ちょっとこの委員会の権威にもかかわると僕は思うんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) もう丸谷委員御自身がおっしゃっていらっしゃいますように、ほかにもいろんな問題がございます。いろんな問題がございますので、しかも仮に借りかえ分をなくしたときが財政再建が済んだと、それを二里塚とおっしゃいましたかしら。それをそのまま受け取りますと、随分時間がかかることになります。そういうことであるのであろうか。いろんな問題がございますので、しばらくこれは考えさせていただきたいというふうに思います。
○丸谷金保君 ひとつよく考えてください。 それで先日、大体この法案というのは予算関連で、予算と同時に審議していかなきゃならない問題だ、もっと早く審議すべきだということを申し上げたんですが、今度はもう一つ逆な立場になりますと、また別な問題もこれは出てくるんです。例えば、一応限度額の御提案がございますわね。しかし、六十二年度の決算のめどがまだ立っていないんですね。本来は、六十二年度の剰余金のめどが立たないと、実際に財政運営に必要な財源がどれだけかということが出てこないわけです。こんなに要らないかもしらない。それで、六十二年度の決算の見込みというのは五月の末にならないと出てきませんから、毎年のこの法案でも六月末まで運用のできるような措置を講じておる。こういうことだと思いますけれども、六十二年度の決算の剰余金の見通しは大体どの程度になってきていますか。
○政府委員(斎藤次郎君) 現在、税収が非常に好調でございますので、あるいは何がしかの剰余金が出るかもしれませんけれども、今委員がおっしゃいましたように、まだその計数がどうなるかというのを、確とした計数としては何も持ち合わせていない状況でございます。
○丸谷金保君 五月の十日になりましてまだ何も持ち合わせていないなんて、そんなばかなこと、それはございませんよ。そんなばかなことは私ないと思うんです。一応、税収の確定したものは確定していますし、法人税にしても酒税にしてもある程度の見通しなり計算はしておりますでしょう、四月末で。
○政府委員(水野勝君) 歳出歳入の今後の決算を左右いたしますのは、御指摘のように専ら税収でございますが、税収で現時点で判明しておりますのは三月末までの数字でございます。三月末まででは、補正後予算に対しては八一・九%で、まだ八割でございます。全体の税収四十三兆のうち二割が残っておる。八兆円が残っておるところでございますが、その最大の要素は三月決算法人の納付分でございますが、これが五月三十一日、一日で五兆円なり六兆円というものが入るわけでございますので、それは全くこの納付状況を見ませんことには、これだけ大きなものが、二割という大きなものが残っております段階では、ここでこういう数字までは確定しておりますというものを申し上げるだけの資料は持ち合わせていないところでございます。
○丸谷金保君 そうすると三月末の徴定数字は出ておりますか。
○政府委員(水野勝君) 三月末でございますと、補正後予算額四十三兆八百七十億円でございますが、三月末での累計でございますと税収としては三十五兆二千六百九十二億四千四百万円が収納済みになっておるという数字でございます。
○丸谷金保君 収納済みを聞いているんじゃなくて、徴定額を聞いているんです。要するにそれまでに確定している税額ですね。納付済み額じゃなくて納付予定額をお聞きしたいんです、三月末で。
○政府委員(水野勝君) 大多数の税目は、徴収決定額は現在の税制のもとではその申告をもって確定をする、それがほとんどそのとおり徴収決定がされるわけでございますので、ただいま申し上げました収入金額がおおむね徴収決定額として同じものとしてごらんいただいてよろしいかと思うわけでございます。
○丸谷金保君 そういうふうになりますかね。例えば所得税、三月に申告して、これの納入期限はいつですか。
○政府委員(水野勝君) その点は、委員御指摘のような点の問題はあるわけでございまして、確定申告は三月十五日でございますから、そこで申告がされれば徴収決定はされるわけでございますが、御承知のように現在は振替納税制度が非常に普及してまいりまして、その振りかえにつきましては納付された後、歳入代理店に振りかえられるまでの期間、ある程度の余裕が持たされておるところでございます。そうした関係から、先ほど申し上げました三月末での収入金額につきましては三月十五日までの確定申告額の大半はまだ納入にはなっていない。そういった意味におきましては、委員御指摘のような徴収決定額と収入金額との開差はございます。その点は御指摘のとおりでございますが、この三十五兆円という金額からいたしますと、まずおおむねこれは徴収決定額としてごらんいただいてよろしいかと申し上げたわけでございます。 なお、三月の確定申告額は四月に入りまして振りかえされ、国庫納付されておりますが、これは先般国税庁が発表しておりますところによりますと、おおむね順調な推移を示しているということのようでございます。
○丸谷金保君 おおむね順調じゃ全然わかりませんので、今出ている法案は、財政運営にこれだけはどうしても年間必要だと思うので、本来赤字債なんというのは出したくないけれども出しているんだから、毎年毎年これは議会の承認を得なきゃならないんだということですわね。そうしますと、今私が質問したのは、長々と御答弁されたけれども、三月申告した所得税の納期限はいつですかと聞いたんです。
○政府委員(水野勝君) 税法上の納期限は、三月十五日申告し納付するとなってございます。別途、振替分につきましては、それが国庫振りかえになって国の歳入代理店に入る時期はそれよりもずれておりますので、私どもの見ております収納状況には国庫の歳入としては入ってこない。しかし、納税者サイドにおきますところの納期、これは三月十五日でございます。
○丸谷金保君 三月十五日から納税する権利はありますよね、税金を払う。受け取らないというわけにいきませんわね。しかし、三月十五日に払わなくてもいいでしょう。例えば延滞金等がかかる期限はたしか五月末ですね。一応それは納期限というふうに理解できるんじゃないんですか。ですから、国庫振りかえなりその他の方法で四月に入ってから収納しても、それは納期内納税ということになるわけなんでしょう。私の聞いているのはそういうことを聞いているんです。 例えば所得税の場合、三月十五日に徴定を済ました。しかし、即入ってくるわけじゃないんです。ですから、三月末で三十五兆円という収納があって、しかしまだ二割残っていますといっても、これは現況ではその後相当に入ってくるのもありますし、法人税でも三月末決算、これらについては当然五月末くらいまでには、出納閉鎖期には入ってくるはずなんです。それを二割程度がどうとか。そこら辺のある程度の数字の予測が、私は財政当局ができないなんてばかな話はないと思うんです、五月の十日にもなって。二割残っているからその程度入りますでしょうなんて、そんなとぼけたことはないですよ。 皆さんのようなベテランになれば、もう十二月くらいでことしの税収は最終的に五月にどれくらいになるというふうな予測はある程度立てますでしょう。そうして、次の年の予算案の提案をしてきているはずなんです。ですから、そういうものが五月の十日現在で、ないはずがない。 わからぬはずがあるのだと。それは一銭一厘違わぬものをと言っているんじゃないですよ。おおよそどれくらいの、例えば現計予算に対して、もう歳出の方はないですわね。三月末で歳出の方はもう確定しているのだからはっきりしていますよね。そうしますと、歳入がどれくらい伸びれば差し引き剰余金はどれくらい出るかという計算ぐらい、この時点で全くわからないんですか。そんなことないでしょう。
○委員長(村上正邦君) 明確に答えてください。
○政府委員(水野勝君) 現時点におきます数字は、先ほど申し上げたとおりでございます。また年末の段階では、六十三年度歳入予算を組むに当たりましては、六十二年度分につきましても見直しを行い、それが補正後予算額としてなっているわけでございます。現時点は、現実の収納額は八一%でございます。 この段階になりますと、まさにあと五月三十一日というのは二十日間でございまして、その二十日間先のことにつきまして予測をするとすれば、それは相当明確な自信を持ってここで申し上げなけりゃいかぬわけでございますが、近い数字でございますだけに、そこは私どもとしては、今度この二十日間残すだけでまたいろいろそごを来しましたら、かえってまた御迷惑をおかけしますから、ここはやはり先ほど申し上げましたように、何がしかの自然増収が出るということは確かである、そこまでの御答弁で御勘弁を願いたいと思うわけでございます。
○丸谷金保君 大臣、何がしかの剰余金は出るんですよ。 それじゃ、歳出の方で大体不用額の予定はどれくらいになりそうですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 現在出納整理期間中でございまして、確かに三月三十一日で歳出は終わりでございますけれども、出納期間中の整理というのがございまして、まだ計数が確定しておりません。しかしいずれにせよ、歳出の不用は例年のベースで申しますと二、三千億台のベースでございます。
○丸谷金保君 大体、歳出の方はあらあら出てくるんですよね。毎年不用額なんというのはそう各省庁無理にはたくさん出しませんからね、特別なことがない限り。 そうすると、やっぱり歳入なんです。その剰余金がどれだけのめどが立つかによって、この法案の審議の仕方が変わってくるんですよ。変わらなきゃならないんです。一体どれだけ出るか。剰余金がたくさん出たら、これはちょっと多いじゃないかというチェックをしなきゃならぬでしょう。剰余金がこんなに出る見通しがあるんだったら、こんなに要らないじゃないか。あるいはまた、それでどうしても必要になったら九月にでも、さらに補正予算のときに一緒に出せばいいじゃないか。今から一年分、全く歳入、剰余金等のめどがつかない中で、この法案の審議をすることのむなしさ。これは一体どこから計算してみたらこういう数字になるんですか。剰余金はわからない、出るかもしらぬ。これもこの間の一月にやったときと同じ、めっそですか、これ。大体こんなところだろうと、こういうことになるんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから申し上げておりますように、結局、税収のかなり大きな部分が法人の三月期決算にかかっておって、その納期が年度を過ぎた五月の三十一日である。そういうところがこの問題の一番難しい、丸谷委員のおっしゃることは私わからないんじゃないんでございますけれども、現実にそういう制度になっておるわけでございます。 そこで、昨年の場合で申し上げますと、これを申し上げればおわかりやすいんだと思いますが、五月三十一日に入りました法人税はたしか四兆八千億でございました。一日でそれだけ金が入った。その日までそれはわからないわけでございます。ふたをあけてみないとわからない、現実に。この四兆八千億というのは法人税の全部の収入の三割何分でございますから、そういったようなことが現実に昨年も起こっておるわけで、ことしもそういうことが五月三十一日になりますと、いずれにしろ、かなり大きなものが入ってくるのであろう。しかし、それがどのぐらいな大きさかを言えとおっしゃいましても、それは申し上げられないのが、これはうそをついておるわけでございませんので、申し上げられないのはおわかりいただけることだと思うんでございます。 ですから、先ほどから申し上げておりますように、三月までの累計で申しますと、前年度に対比して八・九%のアップでございますから、まあそのトレンドが落ちるといたしましても、前年度が非常にようございましたから前年度対比では落ちるといたしましても、プラスにはなるであろうということを政府委員が申し上げておるわけです。しかし、どかっと五兆近いもの、あるいは全部で申しますと五兆を昨年は超えたわけですが、それがこの三十一日に入ってくる。その大きさを今推定して申し上げるということが、何分にもそんな大きさなものでございますから申し上げられない。これが歳出の方の節約でございますと二、三千億でございますから、これは申し上げたってほぼ見当がつきますが、五兆とか何兆とかいうのがどのぐらいなのかということを今申し上げることが、これはおわかりいただけると思うんですが実際にできないのでございます。 そういうことをこれから先に控えていながら、六十三年度の財確についての法案を審議せいというのは無理じゃないかと。六十二年度の歳入が大変に大きかった、そうすれば六十三年度にはもうこういうことは要らないかもしれない、特例債要らないかもしれないだろうと、そういうお立場ならば、まことにそれは御審議のお立場はそうでもあろうかと思いますけれども、私どもの感じでは、仮にどのような六十二年度の自然増がございましても、六十三年度で特例公債を発行しなくてもいいような、そのような歳入見積もりを六十三年度のためにするわけにはまいらないと思っておりますものですから、それで特例債の発行をお許しをいただきたいと、こういうふうにお願いをいたしておるわけでございます。
○丸谷金保君 例えば、大臣、自然増で三兆円以上の黒字が見込めたら、これは特例債を出さないでも、何とかやっていかなきゃならぬという気になればできるんですよね、特例債を出さないでも。そういうことになりますでしょう。三兆円以上の税の増収が予定よりもふえたとなったときには、まず特例債を出さないことというこういう姿勢、私最初から申し上げているのはそういうことなんです。まず特例債出さないことだ、そして六十九兆円の特例債の繰り延べも消していくことだという姿勢がないと、財政というのはこのままではずるずるもう、どんどんどんどん国債もふえていくと行き着く先が非常に心配なんです。どうするつもりなんですか、これ。 ですから、やはりそういう点ではこの法案、例えば予算案と同時審議するか、それでなければ決算見通しというふうなものを踏まえた上で論議しませんと、どっちつかずになるんです。この数字がどうしてこんなことになるのかというのは、今から言っても予算はもう決まっちゃっているんですからね。予算案からいえば三兆円の特例債要るんだと。決算の方はまだわからないと。その真ん中で大蔵委員会がこのことの審議をするむなしさ、冒頭申し上げたように、これはやっぱり何とかしていかなきゃならないと思うんですよ。いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私どもが一年間の歳出歳入、殊に歳入でございますが、を予測し得る能力に極めて限度があるということにほかならないのでございますけれども、六十二年度におきましても、この法律でお認めいただいた特例債、これはかなり実は減額ができるだろう。また、おっしゃいますように、増収がございますれば減額をしなければならない性格のものでございますから、そういう意味では、六十二年度にこんなに高い限度の特例債の発行をお許しいただく必要はなかったじゃないかと今になっておっしゃいましたら、それはまことにそうでございましたと申し上げるしかないのでございますが、これは限度をお認めいただくわけでございますから、私どもとしては金利を生むようなものは必要がなければ決して発行をいたしません。 また、できればそれを減額したいと考えておりまして、現に六十二年度において発行を既に減額をいたしましたが、六十二年度末の歳入いかんによりましてはさらに減額をすることもできるかもしれないと考えておるわけでございますが、いわば一年間の歳入見積もりを一年余り前にすることがなかなか困難でございますために、ある程度の限度内で特例債の発行を六十三年度においてもお認め願っておきたい。もとより、発行する必要のないものは一切発行いたしませんし、それは減額する努力を六十二年度と同様にいたすことはもとよりのことでございます。
○丸谷金保君 それでは六十三年度予算案の中で、決算黒字が出た場合は予算の中に盛っていますか。整理科目くらいしかないですね、六十三年度予算案の中で。どうなんですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 今のお話は、剰余金が出た場合のお話。剰余金が出た場合には、財政法の規定がございまして、二分の一を下らざる額を翌々年度までに国債整理基金特会に繰り入れるべしという規定があるわけでございます。したがいまして財政法上の規定から申しますと、六十二年度の剰余金が出ますと、これを六十三年度ないしは六十四年度までに国債整理基金に二分の一を繰り入れるということが義務づけられている。残りの二分の一につきましては一般財源として処理をする。当然、特例公債の減額その他のことも考えなきゃいかぬ。そういうのが財政法の規定でございます。
○丸谷金保君 私の聞きたいのは、剰余金が六十三年度当初予算案にはどれだけのっていますかということです。当初予算案の歳入の中にのっていませんでしょう。
○政府委員(斎藤次郎君) 六十一年度の剰余金につきましては、六十二年度の補正で措置したということでございまして、六十二年度の剰余金については、当初予算を作成のときには当然のことながら出ないということで組みますものですから、当初予算には六十二年度剰余金の項目は一切ございません。
○丸谷金保君 結局六十三年度予算案の中には、剰余金という新たに発生するであろう歳入見積もりはないということですね、六十三年度。
○政府委員(斎藤次郎君) 当初予算では剰余金の発生は見込んでおりません。
○丸谷金保君 そうしますと六十三年度予算案というのは、現計予算はそうした剰余金を見込まないで歳入歳出をバランスをとっているわけですよね。だから、当然それが出ればその分だけ余るわけです、当たり前の話ですけれども。それを大臣が先ほど言いましたように、少なくとも二兆円、三兆円と大きく、これは六十三年度の予算案に見てないんですから、そういう剰余金が来た場合には、現在の特例債の限度額はこれだけだけれども、これはできるだけ出さない方に回すというふうなお考えは、六十二年度もやったし、六十三年度も同じような考えたというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお話は、六十三年度において歳入見積もり以上のいわゆる自然増収が出た場合に、それは何がしかが、三二%は地方に行くとかいろいろなことはございますけれども、自然増収が出た場合には予定されておる特例債の発行をある程度減額することができるか、減額するつもりであるか、こういう御質問でございますから、さようでございます。
○丸谷金保君 次に、自治体の補助金カットの問題なんですが、どうもだんだんと大蔵省の方が強気で、自治省の方が弱気の答弁をしているような気がするんです。 それで、そういうふうに国の財政の中である程度の剰余金が出てきたならば、もちろん六十三年度で終わりになる自治体の補助金カットはもとへ戻して、六十四年、六十五年というのは補助金カットはしないという方向で財政運営をやっていくことはできますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 補助金の削減につきましては、昭和六十年に関係省庁が集まりまして検討会を設けまして、かなり長い時間検討をいたしました。その結論は、昭和六十年の年末に関係閣僚会議においてもそのとおり決定をいたしましたのでありますが、それによりますと、この問題は中央、地方の間の行財政の再配分といったような難しい問題に関係があるので、当面三年間の暫定措置とする、こういう決定でございました。 その三年間が切れるわけでございますから、関係省庁相寄りましてこれからの処置をどうすべきかということを早急に実は検討し、決定をいたさなければならないというふうに考えておるところでございます。
○丸谷金保君 もう何度も申し上げておりますけれども、地方財政はそんなに楽なわけではありません、中央で見ているほど。というのは、トータルとして地方財政は楽じゃないかという議論はあると思いますけれども、個々に入りますと楽なのは東京だとかの大都市周辺であって、九州とか北海道とか、殊に過疎市町村などというのはもう非常に財政は苦しいです。ですから、地方自治体が楽だというふうな観念でもって、緊急に行った補助金カットをさらに続けるというふうなことを私は絶対にすべきでないと思うんですが、いかがですか大臣。 なかなかこう最初は、それはなるたけしない方がいいというふうな御答弁を国会でやっておりますけれども、だんだんと関係閣僚が相談してとかいろいろニュアンスが変わってきているんですよ。しかし、元来はこれは特例措置ですから、期限が切れたらもとへ戻すというのは当たり前の話ですね、これは時限立法ですから。本来はそういうものだという御認識はお持ちですね。ただ地方の方は、これはこれで終わりだと思っている。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申しました検討会並びに閣僚会議の決定は、行財政再配分等々いろいろな問題があるので、三年間の措置とする、こういうことでありまして、問題を将来に残しておるわけでございます。したがいまして、三年間が過ぎますと再び関係各省庁が協議をしなければならない、検討をしなきゃならないということだと考えておるわけでございますが、その場合、ただ私は決して地方財政が楽であるというふうに考えたことはございません、不交付団体は別でございますけれども。地方財政も大変だということは私なりに認識しておりまして、ただこの三年間というものは、それもそうだが、国はもっと大変だということから、地方にもあるいは関係各省庁にも御理解と御協力を得たということでございまして、全体の精神は、あなたの方は金があるからひとつしょってくれてもいいでしょうと、そういったようないわばのんびりした考え方でやっておるわけでは決してございません。地方の方で国の状況も知っていただいて協力をしていただいてきておる、こういうふうに私は考えております。
○丸谷金保君 大蔵大臣の記者会見等によれば、とにかく六十五年度までの財政再建についても、まあ一里塚と今は言いましたけれども、そういう表現ではなかったと思うんです。大体財政再建に答えられるような内容の予算ができてきたということで、めどがついてきたということであれば、図も大変だから我慢せいといって補助金カットしたようなことは後年度においては行う必要はなくなるんじゃないんですか、この大臣の表現から言いますと。いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私がうっかり財政再建という言葉を使いまして御叱正をいただいたごとく、国の台所はなかなか楽でない、これはもう丸谷委員の言われるとおりでございます。
○丸谷金保君 いや、国は楽でないんじゃなくて、大臣は財政再建にこたえられる内容になってきたとおっしゃっているんですよね。ですから、そうであればもう地方の補助金カットなどは要求しなくてもいいんでないかというふうに聞いているのであって、上手にはぐらかさないで、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、私は財政再建と使ったのは不用意であると御叱正をいただいたので、まことにそのとおりでございますと申し上げておるんでございまして、仮に六十五年度に特例債を脱却できましたら、もう国の財政は大変よくなりましたと、そんなことではないぞと先ほどからおっしゃいますし、まさにそのとおりだと申し上げておるんです。
○丸谷金保君 ただ、それでも、地方の補助金カットというふうな緊急措置までやらなくてもよくなったということでしょうね。いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、国の財政状況はもう丸谷委員が御承知のとおりでございますし、地方も決して楽をしておられる、不交付団体はともかくとして、とは私思っておりませんので、その点は残念ながらお互いに決して豊かではない、そういう状況はそんなに基本的に変わってないと思っておりますが、それはそれといたしまして、この問題は関係各省庁で至急に検討をいたしたいと思っております。
○丸谷金保君 つまり外面はいいけれども内面は悪い、大蔵省は。そういうことになりますかね。まあそれはそういうことで、ひとつ余り地方をいじめないようにお願いしたいと思うんです。 次に、これは昨年の私のこの法案の代表質問に対して当時の中曽根総理は、債務の円建て化、要するに対外援助に対しては積極的に円建て化に取り組んでいくというふうに答弁しているんです。それから大蔵大臣は、民間銀行の中南米等についての貸付残高もかなり円建てのシェアがふえてきたと。どうもしかし、いろいろ調べてみますと、ちっとも積極的に取り組んでもいないし、それから円建てのシェアがそんなにふえてきているというふうにも思えないんです。だから昨年のこの法案の審議のときの御答弁は、一年たって振り返ってみますとどうも余り答弁しているとおりにはなっていっていないような気もするんですが、いかがなものでしょうか。
○政府委員(内海孚君) 資本取引における円建て化の問題でございますが、例えば国際的な起債の割合を調べてみますと、一九八六年には全世界で行われます国際的な起債のうち円建てのものは一〇%程度でございました。これが八七年には一五%というふうに着実にふえております。 ただ、御指摘のような例えば銀行の貸し付けにつきましてその円建て化を進めると申しましても、これはやはり関係者が、単に貸し手だけでなくて借り手も為替のリスクとか金利とかいろいろなことを考えて希望があるわけでございまして、その間でのいわばそういった利害の判断に基づいて行われるわけでございますので、私どものできることは円建て化の障害をいかになくすかということでございまして、円建てにしろということで積極的に介入をするということまではなかなかできにくい面があるということでございましょう。
○丸谷金保君 実は、円建てで借りたインドネシアなどがドルで借りておけばよかったと随分こぼしているという話も聞きます。為替リスクというのはそれはそのときによってプラスにもマイナスにも作用しますから、逆に今度は日本の金融機関なんかが南米とかメキシコとかで出しているものについては為替リスクで大きくマイナスになっておりますわね。そういうことになるので、私は前から言っている、やっぱり基軸通貨に円がなるような努力、これをもっとすべきでないか。 特にきょうは問題として一つ提示しておきたいと思うんですが、日本が基軸通貨になっていく努力の中で、もう我々はこういうことは当然検討していかなきゃならないということとして、貨幣の数字が大きいのは日本とイタリーですわね、先進国の中で。こういうところから考えていく必要があるんでないか。基軸通貨になっていくためには少なくともポンドとかドルとかマルクと同じような単位の貨幣の方向に持っていく。それは幸いにして円高で、インフレの危険性というのは、財政に一部ありますけれども、大蔵大臣がしばしば言うように当面はその心配はまずないと、こういうような時期に真剣にやはり考えていく必要があるんじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 円か基軸通貨に云々という、おっしゃっている意味は私はもとよりよく理解をいたしておりますつもりでございますが、なかなかやはり円をつまり決済通貨なりあるいは資産なりとして保有をしてもらうということは、それなりにいろいろ障害を取り除いてまいらなければならないことでございますし、まあまあだんだん円が少しずつ役割を大きくしていくということは私は悪いことではないと思っておるのでございますが、なかなか基軸通貨といったようなこととはまたほど遠いのであろうと思っております。 その、いわゆるデノミの問題でございますけれども、いろいろ問題が多いこの世の中でございますので、そういう問題を今持ち込むということは余り賢明なことではないと自分は考えておりますものですから、一切そういうことを事務当局にも指示したこともございませんし、私も今考えておりません。
○丸谷金保君 竹下総理も今回の外遊を通じて、日本がやはり経済大国として世界と人類に責任を持たなきゃならぬということを格調高くイギリスなどでも演説しておりますが、そうしますと経済大国として世界に責任を持つというためには、やっぱり円がそれなりの責任を持っていかなきゃならない。今のように何でもとにかくドルに直結して、ドル建てで計算し直さなきゃならないというふうなことから、やはりドルと並んで責任の持てるような通貨にしていかなきゃならぬ。そのためには平価切り下げというふうな問題も、もうこの段階では一つのスケジュールとして、一里塚くらいに考えていかないと、本気で世界の経済に対して日本が貢献していく、そのためにはやっぱり通貨として責任が持てる通貨になっていく、いつまでもアメリカがくしゃみすれば風邪を引くというふうなことでない、そういう道を考えていかないと、総理がせっかく外国へ行って勇ましくぶち上げても実が後についていかないんじゃないかという心配があるので、問題の提起として申し上げた次第です。 以上で終わります。
○委員長(村上正邦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十二分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田教美君 まず、私は財確法関連の質問から始めます。 財政改革の当面の目標として、政府は六十五年度特例公債依存体質からの脱却ということを掲げておりますけれども、これは私が前に本会議だとかあるいは予算委員会の総括質問などで強調しましたとおり、後年度へのいろいろな負担をツケ回しあるいはまた繰り延べというふうな形でしわ寄せをしているということに基づく財政再建目標であって、いわば見せかけの財政再建ではないかということを指摘をしたわけですけれども、その問題はきょうは繰り返しませんけれども、国債の発行という問題に限っても、単に一般会計の赤字国債の新規発行をゼロにするということにすぎないわけですね。午前中も議論がありましたけれども、六十三年度末の赤字国債の残高は六十九兆円ということで、これにかかわる借換債の発行は引き続き国債整理基金特別会計で行われるわけですから、厳しく言えば、依然として赤字国債依存体質は存続するということじゃないかとさえ言えるんじゃないかと思うんです。 ただ、先ほどの議論を聞いておりますと、この赤字国債に基づく借換債の発行が完全になくなるのは、六十年ルールをそのまま守っていけば昭和百二十四年までかかるということになる。それではいかにも遅過ぎるじゃないかということを大蔵大臣はにおわされたと思うんですけれども、その辺のところ、やっぱり六十年償還ルールというのはなるべく短縮するというお考えなのかどうか、その点をまずお聞きしたいわけです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、その辺のこともどういうふうに考えたものか、いろいろ問題があるものでございますので、先ほど丸谷委員に随分何度もお尋ねがありましたのにきちんとお答えを申し上げられませんでしたのは、そのようないろんな問題があるものでございますから、しばらくこれは検討させていただかないときちんとしたお返事を申し上げられない、こういうふうに思っておるんでございます。
○和田教美君 何かまた答弁が後退したような感じがいたします。 とにかく早急に検討して、財政再建とは何かということの定義もできない、それから今の問題についてもぼやっとしたような話では、やっぱり僕は、丸谷さんも強調したように財政再建というそのものが、議論が常に食い違うというふうなことになるんじゃないかと思うので、非常に重要な問題ですから真剣に御検討願いたいと思います。 そこで、その問題に関連して、国債整理基金資金繰りの仮定計算という大蔵省の資料がございますね。これによりますと、NTT株式の売却収入によって、国債費の定率繰り入れを停止しておっても償還財源に支障がないという時期は六十六年ないし六十七年度までであって、六十八年度からはやっぱり国債費の定率繰り入れを再開しなければならないということになっております。そうすると、そのための新たな財源調達というのを大蔵大臣としてはどういうふうに考えておるのか。あるいは一たん赤字国債ゼロ目標は達成したけれども、その財源がなくて、また赤字公債を発行せざるを得ないというふうなことも、全くあり得ないと言えるのかどうか。絶対にそういうことはないと、そういうふうに言えるのかどうか。その辺のところを今度は明確にひとつお答え願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の気持ちでは、六十五年度に赤字国債依存の体質から脱却するということは、普通の状況でございましたら再度赤字公債を発行するようなそういう財政経済状態に持っていかないということでございます。
○和田教美君 いわゆる財政再建のための地方への負担だとか後年度負担、いわゆる私が言っているツケ回し、先送りという問題ですね。これはこの間の予算委員会での答弁では、一般会計予算におけるツケ回しの総額は五十七年度から六十三年度まで十二兆五千億円ぐらいだという答弁が主計局からございました。ところがその後、一兆一千五百五十五億円は既に繰り戻しを終わっておるから、将来処理しなければならない累積残は約十一兆三千五百億円というふうに答弁をし直された、ここでもそういう答弁をされました。これがいわばツケ回しの総額ということになっているわけなんですけれども、しかしいずれにしても、こういう巨額な後年度への負担先送りというものについて、大蔵大臣は財政再建目標が一応達成されてからどうするかということを考えるというふうなお話であったと記憶しているんですけれども、そんなのんびりしたことではいけないんじゃないか。やっぱり地方なども、先ほどからも出ておりましたように地方財政だって決して豊かではないわけだし、そこまで、とにかく決定そのものまで先送りされるというようなことではいけないんではないか。やっぱり大まかにどうするかと、そういうことはなるべく早く詰める必要があるんではないかと思うんですけれども、その点についてはどうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに合計では一応十二兆五千億円と申し上げまして、その後、自賠責であるとか道路特会等で返しておりますものがございます。住宅金融公庫も一部ございます。それが一兆一千億ばかりありますのでということを申し上げておるわけでございますから、おのおのの借入先なり繰入先の事情によりまして途中で処理をし得るものはしなきゃならぬというものもあるのかもしれません。私細かいことをはっきり存じませんけれども、そういうものもあるのかもしれません。しかし全体といたしましては、やはり六十五年度と申しますともうじきでございますから、多くのものはそれからの処理になるのであろうと思っておりますけれども、相手方の事情によりまして中途で処理をしなきゃならぬようなものも、あるいはあるのかもしれないと思います。
○和田教美君 もうちょっと具体的に。
○政府委員(斎藤次郎君) 実は、和田先生御指摘のいわゆる繰り延べと称するものにつきましても、いろいろ中身がございます。例えば、はっきりと決まっておるものとしましては国民年金の平準化措置、これは償還の額等すべて決まっておりまして、これはそれぞれの償還額を例えば中期展望でも所要の年度に計上しておるということで、きちんと処理が決まっているものもございます。 例えば、一つずつ事細かに申しますと、厚生年金の繰り入れ特例でございますが、これは運用収入を含めて特例期間の経過後に、国の財政状況を勘案しつつ積立金の運用収入を含む減額分を返済をするということは決まっておるわけですが、これについての返済計画は実は具体的にはまだできていない。これは先ほど大臣が御答弁なさいましたように、六十五年脱却ということが現実にめどがつきました段階で、厚生省ともよく相談をして、どういう返済計画を立てるかというのを今後検討しなきゃならぬということだろうと思います。 国民年金の平準化措置につきましては、そういうことで政令できちんと元本は七十二年までに償還するというようなことが決まっておりまして、これは繰り戻し額がすべて決まっております。 それから住宅公庫の補給金につきましても、三年据え置き五年交付とか、六年据え置き五年交付というようなことで、これも償還計画が決まっております。したがって、これもきちんとそういう規定に従ってお返しをするということでございます。 あと御指摘の中で、地方財政につきましては、例えば地方財政対策による特会の借入金を一般会計で負担しましたものにつきましても、これは償還がちゃんと決まっておりますから、利子は毎年払っておりますけれども、元本も返していくということでございます。 それから、地方財政に伴うものにつきましては、きちんと償還計画が決まっているものと、いわば今後暫定的に加算していくという系統のものと、二つ種類がございます。そういう場合に、中に区々分かれておりますけれども、いずれも私どもとしましては関係省庁とよく相談をいたしまして、それぞれの制度の運営に支障がないようにしていかなきゃならないというぐあいに考えておるわけでございます。
○和田教美君 財政再建とは何かという定義の問題については随分押し問答があったわけですけれども、大蔵大臣一向にはっきりしないということで押し通されているわけですが、そこでちょっと問題を少し変わった角度から取り上げますと、財政再建というのは財政の対応力を回復することだというふうな趣旨のことをたしか述べられたことがあると思うんですね。そうすると、その財政の対応力の回復という指標は一体どういうものを考えておられるのか、こういう点について御見解を聞きたいと思うんです。 例えば財政の対応力を示す指標として、一つは国債依存度という問題がございますね。これは六十三年度は一五・六%だけれども、赤字国債の発行ゼロということになれば一〇%以下になりますね、今の模様でいけば。それでとにかく一けた台ということになれば、これで一応対応力ができたというふうに判断をするのか。 それからもう一つは国債残高の関係ですね、発行残高の関係。これは一つはGNP比、これは現在は四三%以上ですね。それから一般会計歳出との比較、これは二八〇・四%です。 それから国債費の一般会計歳出に占める割合が約二〇%。この点については大蔵大臣は、これはいかにも多過ぎるというようなことをおっしゃった。どういう指標を重視して、例えば二〇%の国債費の一般会計歳出に占める割合が、大体一〇%ぐらいになればまあまあいいというふうなことなのか。どの指標を中心にこれから考えていくと言われるのか。その辺についてはある程度言及はできませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは私どもも省内で、先ほど申しましたような理由もございましてまだ議論をいたしておらないところでございます。また、こういうことにつきましては一人一人がみんな財政なり経済なりのいわばフィロソフィーを持っておりますから、考え方でいろいろ違うだろうと思います。 そういう意味で、まだ統一的に省内で議論していないということを前提に私の、宮澤個人とでも申し上げておくべきでしょうか、気持ちを申し上げますと、やはり一番こたえますのは国債費が一般会計の中で占める割合が大きいということでございます。これを何とかしていきたい。ただ、したがいましてこれは片一方で国債依存度を下げてまいると申しますか、片一方で新規の発行を抑えてまいりませんと、なかなか国債費は小さくならないということでございます。金利が低下してまいりましたので、そういう意味ではいろいろ有利な点はございますが、しかしやっぱり一番、国債費の割合というふうに私は考えるのでございます。 したがいまして、国債依存度も大事で、それは関係のないことじゃございません、国債依存度を下げていかなきゃならぬこともそうでございますが、何とか国債費を、やっぱり二割というのはいかにも一般会計がきつい、こういうふうに思っております。一番その点を考えております。
○和田教美君 これまた、先ほどちょっと議論が出た問題ですけれども、六十一年度から三年間の期限つきで実施している社会保障だとか公共事業分野でのいわゆる高率補助金のカットの問題です。 先ほどの答弁を聞いておりますと、まだこれから各省と検討するのだ。全くニュートラルのようなお答えなんですけれども、今までの国会の大蔵大臣の答弁なんかの報道によると、少なくとも六十四年度はカットを継続せざるを得ないんじゃないかというふうなニュアンスのことを述べられたという報道もありますし、また別の報道では、大蔵省は六十四年度以降も高率補助金のカットを継続する方針を固めたというふうな書き方をしておるところもあるわけですね。正真正銘、全くニュートラルなのかどうか、その辺が一つ。 とにかく、先ほども議論がありましたけれども、例えば公共事業費についても、四全総における多極分散型の国土開発を進めることの必要性から見て、地方への負担を軽減することが求められておるという事情もある。高率補助金カットはもうことし限りでやめるべきだという考え方は地方団体にももちろん多いし、それからこの問題で大蔵大臣と自治大臣のさや当てみたいなものも報道されているというような状況なので、その辺の本当のところは大蔵省はどう考えているのか、もう少し腹を割ってお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは終始私は同じことをお答え申し上げておるつもりなんでございますけれども、何となくその場の雰囲気やなんかでいろいろお受け取りになるなり方が違っておるのかもしれませんが、終始同じことを申し上げておりますのは、昭和六十年の検討会で随分長いこと検討をいたしました。とにかく三年間の暫定措置、行財政の再配分というようなこともその間にいろいろ検討しなきゃならないしということで、三年間やらせていただいておるわけでございますので、その三年が切れますと当然、さあどうするかということは、これはもう一度各省庁で検討をしなければならないことでございます。それはできるだけ早くやらせていただきたいと思っておるわけでございます。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 ただ、地方財政が楽だからだというふうに私は決して考えたことはございません。相対的には国の方が苦しいということはあるいは言えるかもしれませんけれども、地方に楽だからそのぐらいしょってもらってもいいでしょうというような、そういう気持ちで私はこの問題を考えたことはございませんで、この三年間も地方なり各省庁の協力によって、ともかく国の財政の窮状を知っていただいてお願いをしてきたことでございますから、今度この検討に臨む立場につきましても、決してあなたの方が楽ですからお願いします、そういったような気持ちで臨むことはございません。もう一度問題をひとつ各省庁で御検討をお願いしたい、こう思っておるわけでございます。
○和田教美君 これまた私が参議院の本会議で、この法案に関する質問で述べたことですけれども、五十八年度から続いておりますマイナスシーリング、これが特に福祉、社会保障、文教、雇用、中小企業などに厳しくしわ寄せをされておるというふうなことから、いわゆる予算の二極分化、財政の二極分化という傾向が非常に厳しくなってきておりまして、そういう意味では一律圧縮型というものはもはや限界に来ているということを指摘をしたわけでございます。 ところが大蔵省は、これまた報道ですけれども、六十四年度も六十三年度と同じシーリング方式、つまり投資的経費についてはゼロシーリングですね、それから経常経費についてはマイナス一〇%の概算要求基準をまた堅持するというふうな方針を決められたというふうに報道されておるんでございます。 私も歳入歳出の徹底的な見直しを行ってむだを省くこと自体に反対をしているわけではないので、だからまた、国債残高をなるべく早く減らしていくということも必要だし、そのための財政再建を進めるということも必要だと思うし、そういう意味での政府のスリム化というものには反対はしないわけです。 しかし同時に、こういう形の財政再建というものを、つまり負担を一方的に弱い者の方にしわ寄せするというふうなやり方、庶民、大衆にしわ寄せするというふうなやり方でやっていくことについては非常に疑問があるということをこの前も本会議で申し上げたんですけれども、むしろ必要な公共投資はある程度積極的にやって、そしてさら大事なのは所得、消費、これをこれから増加させるという政策をとって、それによって税収もふやす。そうすることが結局財政再建の道である、正道であるというふうに私は考えるわけです。 そこで、そういうシーリング方式というふうな形での一律圧縮型というものは、今の報道のようにこれからも続けていかれるのかどうか。同時に、行財政改革についての大蔵大臣としてのお考えは、現在どういう考え方を持っておられるのか。その辺についてひとつお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) この二年ほどを振り返りまして、国民経済全体が縮小再生産に入る、あるいは財政自身もそういうことにいわば一緒の動きをするようになるということについて、国内からも国外からもいろいろ問題提起がありまして、私としては、公共事業等についてはやはりもうマイナスシーリングということには問題がある、投資的なものについては考え直した方がいいんじゃないかということで、六十三年度、あるいは六十二年度の補正予算等々から御承知のような考え方をとってまいったわけであります。それはただいままでのところ、それなりの効果を上げてまいっておると思っておりますんですが、したがいまして、ただ締めていけばそれでいいんだというふうには考えてまいりませんでした。 そこで、この時点での問題でございますが、やはりここまで来ますと六十五年度には特例公債をやめてしまいたいという、これが今、私どもが現実の目標として設定し得る大切な目標であると思っておりますものですから、そういうことになりますと、一般的にこの財政改革の手を緩める、あるいは概算要求基準を甘くする、一般的にそういうことはやはり特例公債をやめてしまうということになりますと、それはやっぱりなかなか問題であろうということを私としては考えておるわけでございますが、これはしかし、もう少し本格的に六十四年度にかけましての展望をいたしてみませんと、国内の歳入等との関連もございまして正確には申し上げられない。 一般的な物の考え方としては、やはり六十五年度に特例公債をやめたいという、これは何といっても相当なやはり歳入側の厳しい要素でございますから、どうも概算要求基準も余り緩めるというような方向で行けないんではないかということを私自身はただいまの段階では思っております。ただ、これはもうしばらく、現実の予算編成に入りませんと、もう少し作業を始めてみませんと申し上げかねることでございます。
○和田教美君 アメリカではとにかくタックスペイヤー’としての意識が相当高いというふうに言われておりますね。 ところが、我が国の場合は反対に、とにかく税金取られることについては非常にブーブー言うけれども、取られた税金についての使い道、政府の財政のかじ取りというふうな問題については、どうも余り国民の関心が高いとは言えないんではないか、そういうことがよく言われるわけです。だから五十年度以降、財政運営の基本法である財政法を横に置いておいて特例公債法を出し続けている。もう十四回目ですかね、今度が。そして定率繰り入れの停止をやってからもう七回目でございますね。それで財政状況はどんどんどんどん悪くなっているというふうな状況の中で、依然として国民の関心が薄い。その結果、その最後のツケが大増税になってくるということになって、初めて国民はびっくりして怒り狂うというふうなことにならぬとも限らないと私は思うんです。 そこで、政府では国民に税金の使われ方、財政の運営のあり方、財政の運営のあり方というふうなものについて、もうちょっと親切にPRする。そういう問題について国民の納税者意識を、つまり税の使われ方という問題についての意識を高めるような、そういう手段をとる必要があるんではないかと思うんですけれども、その点はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私はまことに同感でございます。そういうことについてもともと国は、PRというのがなかなか上手でない国でありますが、なかんずく政府は余りPRというようなことをする習慣がございませんでしたので、今のようなことは大変大事なことだと思います。
○和田教美君 また、これまでの行財政改革というのは、私はどちらかと言えば財界主導型というふうな面が強かったんではないかというふうに思います。しかし、今後はやっぱり行財政改革は引き続き必要だ、今の財政状況から見てそう思うんですが、それには要するにもっと国民主導型の行財政改革でなければならないと考えるんですね。 それで、国民主導型というのはどういうことか、それを進めるためにどういうことをしなければならないかということについていろいろ考えるわけですけれども、何か新しい制度みたいなものを考える必要があるんじゃないか。例えば行革に対するオンブズマン制度に倣ったような、そういうつまりタックスペイヤーとしての納税者意識を、単に税負担だけに限らずに、税金の使途、さっきも言いました税金の使途に関する国民的な監視体制というふうなものを何か組織としてつくっていくことを考えていいんではないかと思うんです。 もちろん、国会だとかあるいは会計検査院というふうなものがその監視機能を持っておることは言うまでもございませんけれども、国民サイドのそういう組織というふうなものについて何かひとつ検討してみたらどうかと私は思うんですけれども、この点について御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今急に具体的にこうということは浮かびませんですが、確かに会計検査院等はございますけれども、それはいわば非違があるとか、つまり不適切な支出であるとかいうことが多うございまして、もっとこういうふうにしたら有効に使えるんじゃないかというようなことまではなかなか会計検査院でも検査が及ばないということもございますから、やはりおっしゃいますようなことは私は大変大事なことだろうと思います。
○和田教美君 もう一つ、歳入の問題についてお聞きしたいんですけれども、六十五年度において一般会計の赤字国債発行ゼロの達成が仮に可能になったといたしましても、その背景としては、もちろん自然増収が非常に好調だというふうなこともありますけれども、何といってもNTTの株の売却ですね。この収入があったからということが非常に大きな理由だと思うんです。 そこで、今言った膨大な実質的な政府の借金償還、そういうものを消すために、政府関係機関、特殊法人の中で、もっと民営への移行が可能なもの、こういうものをひとつ再検討してみて、民営化をしてその株式収入を国債償還に回すというふうなことも一つの方法としては考えられるんではないか。ある研究機関などは、全部の政府関係機関を民営化すれば一挙に赤字はなくなっちゃうというような、これはちょっと極論だと思うんですけれども、そういうことさえ唱えているような状況なんですけれども、その点はもうNTTだとか国鉄だとかというようなところで終わりというふうにお考えなのかどうか、この辺はどうですか。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕
○国務大臣(宮澤喜一君) それはなかなか私限り、あるいは大蔵省限りで考えにくい問題だと思いますのは、例えばNTTでありますとかJRというものは民営化ができた、また民営でやっていけるということが明白にあったと思いますが、いろいろ政府関係機関一つ一つについて、やはり政府関係機関でなければならない、民営ではいけないんだというようなものもございますでしょうし、いや民営でもやれないわけはないというものもございますでしょうし、その辺の仕分けということになりますと、これはやはりその方の立場から考えてもらいませんと、ただ財産があるからこれは民営にしちまったらということでは、その持っている機能が果たせないということになってはこれは元も子もないわけでございますから、その辺は内閣全体で考えていかないといけない問題ではないかと思います。 基本的には、おっしゃいますように民営でもやれるというようなものでございますと、それは政府機関として置いておく必要はないということになっていくんではないかと思います。
○和田教美君 次に、税制改革の問題についてお尋ねします。 私はきょうは政府税調の中間答申の問題に主として絞って質問したいと思うんですけれども、それに先立って一つお聞きしたいことは、竹下総理が西欧を訪問されましたときに、イギリスのサッチャー首相との会談で、酒税の問題について触れられましたね。そして、「酒税制度の改革は、税制改革の一環として取り組んでいる。ガットを尊重して、注意と関心を払い対処する。」というふうな発言をされたわけです。 それについては、その受け取り方について日本側とイギリス側とでどうも解釈が食い違っているというふうな報道もあったわけですけれども、いずれにしても、酒税改革というのは竹下内閣が最重点課題で取り組んでいる税制改革と切っても切れない不可分の問題だというふうなことを少なくとも国際的なそういうトップレベルの会談ではっきりと、しかもそれに取り組んでおって、やるというふうなことを意思表示をするということは、実質的にはこれは大型間接税、新型間接税の導入をやるんだということと同義語ではないかというふうに受け取れるんではないかと思うんですね。その点はどういうふうにとっておられるのか。 酒税の改革をやっても、必ずしも新型間接税は、関係はあるけれどもそれと切り離してやることも可能だというふうに考えているのか。やっぱりこれは不可分の関係で、新型間接税を導入すればそれに伴って不可分の関係として酒税が出てくると、こういうふうに考えておられるのか。その点を明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる税制改革一般につきましては、昨年の十一月に政府税調に諮問をいたしたわけでございまして、その答申を待ってというのが政府の基本的態度でございますが、その中で酒税につきましては、ことしの正月に今年度の税制改革大綱との関連で、対外関係もございましたのであらかじめ政府の方針を明らかにいたしました。それによりまして今日まで従価税を廃止するということ、それからウイスキーの級別をやめるというようなことは既に明確にいたしております。 したがいまして、これは論理的には新しい間接税をどのように起こすかどうするかということと無関係に施行し得る性格のものと考えております。
○和田教美君 無関係。
○国務大臣(宮澤喜一君) 論理の上で切り離し得るかというお尋ねでございますから、実際にどうするかとは別に、そういうお尋ねでございますから、論理的には両方は切り離し得るものだと思います。
○和田教美君 そうすると、竹下総理の考え方と違うわけですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、お尋ねに大変忠実にお答えをしたのでございまして、現実にやることはともかく、論理の上で二つは切り離せるかとこういうお尋ねでございますから、論理的には切り離し得る。私どもはむろん一環としてと考えておりますけれども、両方がシャム双子みたいに切れないものかとおっしゃいますと、いや、それは理屈の上では切れないことはございません。
○和田教美君 そうおっしゃいますけれども、中間答申を読んでも、酒、たばこについては新消費税ですね、いわゆる新型間接税、これの対象にする、中に含めるということが書いてあります。そして、その上積み部分は別に酒税として取るというふうなニュアンスのことが書いてありますが、この仕組みが一体どうなるのかということも主税局長に聞きたいんですけれども、そういう意味では、竹下総理の言うように全く不可分であるというふうな論理構成になっているんではないですか、この中間答申も。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が余り論理的なお答えに、少しそれにこだわったかもしれないんでございますけれども、ああいう酒税についての今イギリス等との関連からお話がございましたものですから、従価税はやめる、あるいはウイスキーの級別はやめるといったような種類のことは、政府が既に決定もしている、また対外的にも説明をしていることでございますから、これはある時期には実行しなければならない。国会に法案をお認め願って実行しなければならないことでございます。 他方で、政府も税制抜本改革はぜひともお願いしたいと思っておるわけでございますが、酒の問題というのはそれとまた別な意味で、今のようなことは実行しなければならないような状況にある、こういうふうに申し上げようとしたのであります。
○和田教美君 その関係ですね。新消費税のその中に含めるということと、それから酒税はまた別に上積み、その分を引いて税収として考えるということについての中間答申の表現ですね、これはどういうふうに理解すればいいのかということを聞いておるわけです。
○政府委員(水野勝君) 酒とかたばこという特殊な嗜好品につきましては、一般的な消費税が実施される場合におきましても個別の消費税として残るというのは各国の例でございます。 その際におきまして、そうした特殊な個別消費税がかかっているものは一般的な消費税の課税対象外にするのか、あるいは酒税なりたばこ税についてはそれは酒やたばこの一つのコストとして考えて、それを含んだものに一般的な消費税をお願いする方式、両方あり得るということでございますが、諸外国の立法例を見ますと、特殊な嗜好品課税につきましては、特別の課税をお願いしつつ、それを含めたところでのそうした消費物資につきましては一般的な間接税をお願いをしている例が多い。今後の我が国の方向としてもそういう方向が考えられるのではないかという考え方の整理でございます。 これは先般の売上税におきましてもそのような考え方でございまして、酒税なら酒税の全体としての負担はこの際特に引き上げるという趣旨ではございませんで、その中の新しい税相当分については現在の酒税を軽減し、その部分が新しい消費税に振りかわる、これが前回の売上税の例でございました。そうした前回の例を今回の中間答申も踏襲されておられる、このように理解いたしております。
○和田教美君 次に、政府税調の中間答申そのものについてお尋ねしたいんですけれども、マスコミの一部では、今度の中間答申の最大の欠点は数字抜きだということですね、数字が書いてない。つまり目玉が入ってないということだ。したがって、国民の立場から見ると改革の具体的なイメージ、全体像というものがさっぱり浮かんでこないという批判が一般に多かったというふうに思うんですね。 しかしそうは言っても、例えば所得、消費、資産等の間でバランスのとれた税体系の構築という観点から、所得税の累進緩和だとか、あるいは減税というふうな問題については税率構造だとか、あるいは最低税率の適用範囲の問題だとか、累進度の問題だとかというふうなことについて、ある程度数字を推察しようと思えばできるような、そういう具体的な表現が見られると思うんですけれども、ところが、それの反対の極にある、それに見合って導入するという新消費税については、広く薄く消費に課税するなどということが盛んに書いてあるけれども、税率は幾らにするのかという一番問題のところについては全く触れていませんね。もう新消費税については数字は一切抜きだという形になっているわけです。まことに不透明だと思うんです。 これでは、サラリーマンの重税感ということを盛んに中間答申はおっしゃるんだけれども、その重税感が果たして今度のワンセットの答申を実行した場合に、所得税は多少減税になるかもしれぬけれども、一体おれの懐はという、つまり消費税がどの程度かかってくるかというような具体的なイメージが全然出てこない。一体、自分自身が減税になるのか増税になるのかもよくわからない、全くわからないというふうな、そういう内容になっていると思うんですね。これでは国民に対する説得力が全くないと思うんですけれども、その点はこれは政府ですけれども、政府としてはどういうふうな見解を持っておられるのか。これは主税局長でしょうかね、お答えを願いたい。
○政府委員(水野勝君) 税制調査会におきましては、三月の二十五日に素案をおまとめになりました。それをもとに、その前の地方公聴会に加えまして、さらに五回にわたって公聴会も開催され、また参考人意見聴取等も二回にわたって行われたところでございます。そうした作業を踏まえまして、審議が詰まったところで中間答申としておまとめになったということであろうかと思うわけでございます。 したがいまして、その方向、その考え方はかなり煮詰まったものでございますけれども、ある部分の点につきましては定性的なおまとめでとどまっている部分もあるわけでございます。そうした部分につきましては、私どもはそれを受けまして、それをさらに関係方面と御相談をし、御審議を願い、具体化をしていく。そうして具体化されたところで、さらに税制調査会にもお諮りして最終的な成案を得るようにいたしたい、このように考えているところでございます。現在その途中の階段と申しますか、そうした税制調査会の中間答申を踏まえましての最後の詰めの段階と申しますか、そういう段階にあるわけでございます。
○和田教美君 いわゆる中間答申というのは一体何かという問題なんですけれども、今もお話ございましたように、二月に「税制改革の基本課題」という文書を発表した。三月には「税制改革についての素案」が出た。今度またこの中間答申が出る。全く矢繰ぎ早にPR効果をねらった文書がどんどんどんどん出てくるわけですね。 どうもこれは今までの税調のやり方から見ても異例ではないか、余りこういう例はないんじゃないかというふうに僕は思うんです。しかも、それはなおかつ最終答申ではない、数字抜きだというふうなことで、そこに一つ異常な政治的な意図を感じるわけで問題だと思うのと、今主税局長がおっしゃったように、今後さらに事務当局も協力をして政府税調で最終答申をまとめるということをおっしゃるけれども、これからのつまり税率の問題だとか非常に難しい問題についての討議というものは、果たして政府税調が本当にイニシアチブをとってやれるのかどうか。 自民党の税制調査会長などは、これからはもう自民党の番だと、こう言っておられますね。ですから、実質的にはそのイニシアチブ、権力は自民党の税調に移るということになってしまって、結果的には政府税調というものはいわば事前のPR効果のための舞台に使われたにすぎないというふうな不徹底な形になるのではないか。仮に主税局長のおっしゃるように政府税調が独自でやるというなら、政府税調の結果と自民党の税調が出す結果とが違う場合が大いにあり得るというふうに考えるのか。その点はいかがですか。
○政府委員(水野勝君) 基本的な改革を御審議いただいているところでございますので、これはかなりな期間を要するところでございます。その期間を要する御審議につきましては、最終的にまとまった段階で一本でお出しになるのか、その段階段階に応じて審議の内容を固めて、取りまとめて世の中にお諮りするという方式をとるか、そこはいろいろな方式があろうかと思います。 前回、おととしの抜本改革答申におきましても、前半の段階におきまして所得税、法人税の負担の軽減、合理化の方向を、これは部会報告としてまとめられて、それから約半年後は全体の構想をまとめられたというようなやり方も前回はとられた。今回は長期のものでございますので、今お話しのような一月ないし二月ぐらいの審議を区切って、それぞれの段階で基本課題であり、素案であり、中間答申としておまとめになってきた。そういう手法を今度はおとりになったということではないかと思います。 そうした審議の段階を踏まえまして税制調査会としては、とにかく定性的はこの方向が望ましいという方向を固められたわけでございますから、それはまさに税制調査会としてのイニシアチブによりましてそうした基本的な方向が世の中にお出しされたわけでございます。 今後、それを踏まえまして私どもがいろいろ関係方面とさらにまとめの作業に入る。そうした大きな方向の中で私どもとしてはさらに作業を進めるわけでございますから、最終的な結果は、その定性的な方向の中に私どもはおさまるような今後の作業をするということが自然な成り行きかと思いますが、それは私どもとして今後もろもろの部分につきまして折衝なり審議を固めた段階でまたいろんな点が、新しい点が出てくれば、税制調査会にもお諮りして御判断を願い、おまとめをいただくということになろうかと思います。そういう意味におきまして中間答申ということでおまとめをいただいたところであるというふうに考えておるところでございます。
○和田教美君 それから次に、中間答申の非常にわからない点なんですけれども、例えばこういう表現がありますね。「今回の税制改革は、全体としての租税負担率の上昇を目指して行われるべきものではないことを明らかにしたい。」、これは租税負担率を上昇させないということが書いてあるわけですね。ところが、そのすぐ後に「高齢化社会の進展等に伴い、今後、中長期的には租税負担率と社会保障負担率を合わせた国民負担率がある程度上昇していくことは予想される。」というふうに書いてあるんですね。確かに前者については「今回の税制改革」と書いてあるし、後者については「今後」と、将来にわたっての表現になっているんですが、それは一体どういうふうな関係なのか。 つまり、「今回の税制改革」と言っても、これは相当数年にわたる税制改革というふうなことを意味するのか、もう六十三年度に行う税制改革一年限り、そういう限定をつけての租税負担率は上げないということなのか。 それから将来の問題については、一体いつごろ先のこと、来年以後のことなのか、それとももうちょっと先のことなのか。その辺のところは表現の使い分けでごまかせる問題ではないと思うんで、その点はもうちょっと明確にしていただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 今回の税制改革それ自体が、租税負担率の上昇を目指し、それによりまして例えば特例公債の解消に資するということを直接的な目的としたものではないということは、今御指摘になったその表現であらわされておるかと思うわけでございます。ただ、今後の我が国の経済なり財政を展望いたします際には、一方において財政需要の増大はあろうかと思いますし、一方において経済の成長とともに税収は経済成長率以上の伸びを示していくことはこれまた明らかでございますので、そうした両面から考えましたときに、我が国の租税負担率と申しますのは、まさに中長期的には負担率としては上昇していくことが予想されるということは、従来の臨調なり行革審の答申以来示されているところでございます。 ただ、そのような推移をたどる負担率につきましても、現実にどのような負担率として税制改正なり予算編成を行うかということは、その年その年の歳出なり公共サービスの提供をする水準なりと国民の皆さんの御負担との兼ね合いで、個々具体的はその年その年としては決まってまいる。極力この負担率の上昇は抑制していくべきであるというのが臨調、行革審、それからまた今回の税制調査会の考え方でございます。今後上昇していくであろうということはただいま申し上げたような意味であろうかと思います。 一方、もう一つの点、委員御指摘の中長期的にと申しますのは、まさに今お話しのございました来年、再来年ということではなかろうと思います。今回の税制改革が二十一世紀を目指したというようなことからも言われておりますように、昭和七十五年あるいは八十五年といった数字がおおむね税制調査会の委員の皆さん方の頭の中にもおありだったかと思いますけれども、具体的にこの年ということはございませんが、大ざっぱに見てそのあたりのレンジの年代をお考えになってのおまとめではないかと思うわけでございます。
○和田教美君 その点について大蔵大臣に確かめておきたいんですけれども、政府としてもその租税負担率の上昇を目指して行われるべきものでない、今回の税制改革というのは。まさか六十三年度限りのことを言っているというふうには受け取れないわけですね。今回というのは相当な幅があると思うんですが、その点はそういうお考えなのか。 それから将来の問題、「今後、中長期的には」というのは、今主税局長の答弁したような、もうちょっと先の問題であるというふうに受け取るべきなのか。それと関連して竹下総理は、どうも場合によっては所得税の減税先行をやって、大型間接税の導入はやるんであっても、今度の国会で決めるけれども、しかし実施時期を少しずらすというふうなことをにおわせるような発言さえされておるわけですが、そういう意味での減税先行というふうな考え方もあるのか。その辺のところをもうちょっと明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段の点は主税局長がお答えを申し上げたことで、そのとおりでございます。私も同様に考えております。 それで、後段の問題でございますけれども、これは何とかして政府はできるだけ早く抜本改革案を成案を得まして、そして国会の御審議をお願いしたいと考えておるわけでございますが、そしてこの実施について多少の後先ということはあり得ることだろうというふうには、現実問題としてはあり得ることだとは考えております。その問題が一つ、それはあくまで全体の問題でございますけれども。それと別に御承知のような各党間の、共産党を除く各党間の、近藤委員がいらっしゃいますので申し上げますが、各党間の長い間の御協議があって、年度内減税ということについての政策担当者間の御協議がこの十二日にもまたある。こういうことがあるものでございますから、それはまたそれで、政府としてはその推移を見守ってまいらなければならない立場にあるものでございますから、それにつきましてはそれに先んじて何か申し上げることは差し控えていなければいかぬかなという気持ちをまた他方で持っております。
○和田教美君 中間答申は税負担の公平という問題を盛んに繰り返し述べております。それで垂直的公平と水平的公平という概念を出しておるわけですね。 そこで、垂直的公平というのは大体わかるんですけれども、ここに言う水平的公平というのは一体どういうことなのか。一般にとにかく所得税の中における垂直的公平と水平的公平の両方を考えなきゃいかぬというふうな議論をする場合には、同じ所得の人は大体同じ税金を払う、そういう概念があると思うんです。それが所得税の今の累進構造ではかえって阻害されている、いろんなつまりクロヨンのような状況があるためにそれが実現されないから新たな不公平が生まれているというふうなことを中間答申は書いておりますね。そういう形で水平的公平というのを理解していいんですか。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように垂直的公平と言う場合におきましては、所得の大きさが違う場合にはその負担率もまた率自体を変えてしかるべきだというような公平感のあらわれであろうかと思いますが、水平的公平と言う場合には同じ所得水準、同じ担税力であれば、同じような税負担をお願いをするのが筋ではないか、そういうことであろうかと思うわけでございます。したがいまして、本来は所得税はすべて同じ所得金額に対しては同じ率が適用になっているはずでございますが、納税方法、申告方法等に差があるところから、所得の種類によってどうも同じ所得水準ではないかと思われる人が負担が違っている。 一方、所得の結果としてあらわれる消費水準等を見ると、同じような消費水準の生活を示しておられるのに、一方におきまして根っこの所得の段階での把握の問題と申しますか、納税方法の違いからくるところの所得税の方の税負担がどうも違うんではないかという御指摘がある。その点につきましての公平、不公平感につきましてどう対処するか、これが恐らく今回の中間答申の指摘しておられる垂直的公平と水平的公平の問題ではないかと思うわけでございます。
○和田教美君 今の主税局長の説明と中間答申に書いてある水平的公平の定義は違いますね。違うと僕は思うんです。 中間答申には、消費課税は給与所得者であれ事業所得者であれ、所得把握の状況いかんにかかわらず消費の大きさに応じて比例的な負担を求めることができ、水平的公平に資する、こういうふうに書いてあります。そうすると、消費の大きさによって負担は変わってくるということであって、同じ所得の者なら大体同じ税負担ということとは違うわけですね。その点はどうですか。
○政府委員(水野勝君) それは、同じ消費水準である方については消費税でお願いをすれば同じ消費税の負担率になるわけでございますが、その背後には、同じような消費水準、同じ水準の消費生活をしておられても、その所得の稼得の段階での負担のアンバランスが生じているのではないか。それは所得課税におきまして十種類の所得に分けてそれぞれ納税方法、税額計算方法が違う、そういうところからくるところの所得税負担がどうも差が生じている、そこに水平的公平が阻害されている面があるのではないか。それがその所得を支出して消費生活に向ける場合に、同じ消費水準を示しておられる場合には消費税でございますれば負担は同じになる。 そういう背後の所得の稼得の段階でのアンバランスというものから比べると、消費税の場合におきましては水平的公平は資するということを述べておられるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、同じ所得水準であればおおむね同じ消費水準が発揮される。その場合に、所得水準は同じであっても税負担に、とかく所得税におきましては差が生じ得る。消費税の方はその点が割合生じにくい。そこに垂直的、水平的公平の議論が出てまいっておるというふうに理解できるのではないかと思うわけでございます。
○和田教美君 その説明にはちょっと疑問がありますね。大体同じ所得なら大体同じ消費水準だというその決めつけ方ですね、そこが一つ問題じゃないか。例えば働き盛りの家庭で育ち盛りの子供がたくさんある、そうすると消費量は非常に多いですね。ところが、例えば土光元臨調会長などは目刺しばかり食っていると言っているんです。そういう人は消費量、消費水準も決して高いとは言えません。そうなると、そういうところ、この中間答申はなかなか考えて書いてあると思うんですね。つまり、消費の大きさに応じて比例的な負担を求めていくというんですから。 そういう比例的な負担を求めていくということが、いわゆる税制上の公平という概念に当たるのかどうか。非常な不公平ではないか。つまり、所得が十倍もある人でも目刺しばかり食っていると、これは税金は少ないわけですよね。特に今度の場合には例外を設けない、付加価値税については。食料品だとか生活必需品についてもなるべく税金をかけたいという考え方で今進んでおるわけですね。そうすると、一層その問題が際立ってくると思うんですが、その点はどうお考えですか。
○政府委員(水野勝君) それは一つには、先ほどお示しのように、同じ所得水準でも扶養親族の数が違う、したがって同じ消費水準を維持できるかどうかという問題があるのではないかというお話でございますが、その点につきましては、それはまさに同じ所得であっても家族数が違うことに対しまして、所得税の計算過程におきまして御承知のように扶養控除の適用により、そこは税負担として対処されているということではないかと思うわけでございます。 一方、消費税の考え方としては、税体系全体として所得税というのは基幹的な税目ではございますけれども、所得税だけで対処するということは、それだけ所得税の持つメリットも発揮されますが、デメリットも大きくなる。そこは所得税と消費課税とでバランスをとって組み合わせて税体系を構築するという考え方ではないかと思うわけでございます。 所得の稼得の段階で税負担をお願いをする、一方また、所得を支出する消費の段階でも応分の御負担を、税負担をお願いをする、それによってバランスのとれた税体系が構築される。所得、消費それぞれにおきまして課税の考え方と申しますか基礎があるわけでございますので、片っ方だけでということでなくて、それを組み合わせる。それぞれの課税の考え方が違うわけでございますので、家族数の違い、これは所得税の中で対処される。一方、消費に着目する課税では、それは消費支出の多寡によって御負担をお願いをする。そうした二つの税の考え方というものがあってよろしいのではないかというのがこの中間答申の考え方ではないかと思うわけでございます。
○和田教美君 私も、税負担の公平という観点から垂直的公平と水平的公平、両面からのアプローチが必要だということは全然否定するわけではないんですよね。全面的に否定するわけではない。しかし、どうも中間答申の考え方というのは垂直的公平がどうやら悪者のような感じの表現があって、余りにも水平的公平に偏った議論の展開、それの美点、利点みたいなものばかりを強調しているという感じがするわけです。 例えば所得税については、税率の累進構造の緩和によって所得の再配分機能というものを非常に形骸化するような傾向が非常に露骨に出ていると思うし、一方、水平的公平という問題については、新しい消費税を導入することがいかにも水平的公平に寄与するというふうなことを盛んに言っているわけですけれども、しかし果たしてそうかどうか、公平に寄与するのかどうかという問題については、さっき一、二の例示でも非常に疑問があるということを申しましたわけで、要するに、両方の公平という概念をやっぱり考えていかなきゃいかぬけれども、その中心になるべきはあくまで垂直的公平である。それによって所得の再配分機能を果たすことを確保するということがあくまで大眼目にならなきゃいかぬ、こういうふうに私は思うんですね。 ところが、それをなるべく薄めよう薄めようというふうなことが答申全体を通ずる思想になっているんではないか。そういうことが一番問題点ではないかというふうに思うんですけれども、その点はどうお考えですか。
○政府委員(水野勝君) その点は、今回の中間答申におきましても、やはり税体系におきましては所得課税が引き続き基幹的役割を果たすべきものであると考えると、そこは方針を明示しているわけでございます。 この所得再分配機能を重視し所得課税を中心に据えるということはシャウプ勧告以来の考え方でございますが、実際の話、シャウプ勧告当時の昭和二十五年当時、三十年代の前半もそうでございますけれども、むしろ所得課税、間接税はおおむね半々のウエートを占めておった。それが高度成長期を通じ、また五十年代以降に所得税減税が余り行われなかったということが相まって、シャウプ税制当時に比べると直接税のウエートがむしろ大きくなり、当時半分近くを占めておった間接税が二割台になっておるということから、現在の税体系がシャウプ税制時代以上に直接税、所得課税に大きくウエートが固まってきている。 そこはもう少し消費課税に応分の御負担をお願いして、引き続き所得課税は税体系の中心ではございますが、そこそこの消費課税もやはりお願いをするのが今後の方向ではないかということでございまして、決して委員の申されるようにもう再分配機能、垂直的公平を悪者扱いにして専ら水平的とか消費課税を言っているというわけではないと思っております。
○和田教美君 そうおっしゃるだろうと思って、聞いたわけですけれども、そうするとそのバランスは大蔵省としては大体どのくらいと考えているんですか。垂直的公平と水平的公平のバランスです。こっちが中心だということを認められたわけですけれども、どういうふうにお考えになるんですか。
○政府委員(水野勝君) 基幹的役割は所得課税と中間答申も言っておられるところでございますので、基幹的と言うのであれば、これは半分ぐらいを示しておられるのかなとは思いますけれども、この中間答申自体が先ほど御指摘のように定量的なものは入ってございませんので、こうした方向で改革を進めていく、そのときに結果としてどのようなウエートになるのか。それは具体的な計数等をこの答申もイメージに置いてまとめておられるのでもなかろうと思います。方向を示しておられる。したがいまして私ども、これを受けて何%ぐらいにしなければならないかという点につきましてはちょっとお答えの難しいところでございます。
○和田教美君 次に、大型間接税、新消費税の持つ重大な欠陥である逆進性の問題です。これは竹下総理も六つの懸念の中で認められたわけですが、その際の竹下総理の答弁で、そういう逆進性を中和するための手段として、例えば低所得者の生活保護を受けているような人たちには生活保護の基準を引き上げたらどうだというふうな趣旨のことを言われたことがあると思うんです。しかし問題は、生活保護世帯ではないけれども課税最低限以下の人々というのがかなりあるわけですね。こういう人たちは一体どうなるんですか。どういう救済手段があるんですか。新消費税を導入すればその層は完全に負担増になるんじゃないかというふうに思うんですが、その点はどうお考えですか。
○政府委員(水野勝君) これは、所得税の場合でございますと現在は二百六十一万円でございますから、生活保護水準よりはかなり高いところにあるとは言えると思いますけれども、所得課税といたしましては住民税もあるわけでございまして、所得税の課税最低限の下の水準として住民税の課税最低限がある。それからまた均等割だけを納めていただいている世帯の階層もある。そしてその下は生活保護水準の御家庭。 大ざっぱに申し上げればそのような分布になろうかと思うわけでございますが、住民税の課税最低限というのは、住民税の思想から幅広く負担分任をお願いをするというところでございますので、比較的生活保護水準に近いところにある。むしろ、その点が従来からかなり問題になったことはございますが、今は逆転することはないわけではございますが、比較的近いところにある。そういったところの住民税の水準まで考えて、全体としての再分配の機能を考えていいのではないかと思うわけでございます。
○和田教美君 何かよく理解できないんですけれども、まあいいでしょう。次に進みます。 次に、所得の平準化が非常に進んだということが中間答申に書いてあります。しかし本当に所得の平準化が進んだのですかね。最近は特に大都市周辺における土地の急激な騰貴というふうな問題、あるいは株式を中心とするいわゆる財テクというふうなもの、個人財テクということから、所得の新しい不均衡というもの、いわゆる俗に言うニューリッチ、ニュープアというそういう問題が出ているわけですね。所得の平準化がどんどん進んでいるというふうな、そういう単純な表現で果たしていいのかどうか、税金を考える場合に。その点はどうお考えですか。
○政府委員(水野勝君) この点につきましては、当委員会におきましてもいろいろ御議論はいただいているところでございますが、基本的には戦後におきますところの約四十年間におきまして、当時シャウプ税制が背景といたしておりました社会情勢に比べまして格段に所得の平準化が進んできている。高度成長経済を間に挟みましてその現象は明らかでございます。ただ昭和五十年代以降、石油ショック以来でございますけれども、この間におきましては所得が上昇し平準化した中で、世帯におきますところの就業状態と申しますか、稼得形態がいろいろ多様化してまいりまして、特に高額収入世帯におきましては、その中におきまして就業者数がふえている、就業者数の多いところが高額所得者になっている。これは恐らく家庭の主婦なりが就業し社会に進出しておられる。こうした背景、世帯での就業形態を原因として分布が、平準化が進むというよりはむしろ横ばいあるいは開いてきているという現象、これが石油ショック以来の現象として指摘されているところでございます。これは生活白書等におきましてもその点は分析がなされて、指摘されております。 ただ、これは従来から言われるところの所得格差と申しますか、所得の分布の不平等と申しますか、それが世帯主の方の職業や学歴などの相違から来る所得格差とは同列にとらえることは適当ではない。それは要するに働き手が家庭の中で多い家庭は所得が高くなるとか、そういった現象がそこにあらわれているのではないかと思うわけでございます。この十年間程度の推移を見ますとそういう現象はございますけれども、戦後の時代、昭和三十年代、こうした時代に比べれば格段に縮小をしてきているということは、これははっきりしているところでございますし、生活白書等におきましても明確に指摘されているところでございます。
○和田教美君 中間答申では、所得課税は所得水準に応じ累進的負担を求めることができ、垂直的公平に資するが、把握の状況いかんによっては実質的に公平が確保できない場合も生じる。いわゆるクロヨンの問題などを言っているんだろうと思うですが、そういうことが書いてあるわけですね。 しかし、この問題もこれは主として税務行政の問題であって、税務行政がとにかく非常に不徹底だからそういうことになるという面が非常に多いというふうに思うんです。だから、先ほどから議論が出ておりますようにいわゆる納税者番号制などの導入、これもプライバシーの保護ということに十分配慮していけばこの問題、つまり所得把握に差異ができるということについての問題点は相当解消できるんではないかというふうに思うんですね。 それから、大蔵大臣は先ほどこの納税者番号制の問題については昔は野党も非常に反対したと。何か軍国主義ですか何ですか、徴兵制か、徴兵制につながるというふうなことから反対したというふうなこともおっしゃったけれども、今は随分変わっているんですね。野党はむしろやれと言っているわけで、反対しているのは自民党の中じゃないかというふうに思うんです。そういう状況で、昔の証文を引っ張り出されるのはちょっと問題だと思うんですけれども、そういうことをやれば随分解消できるのではないかと思うんですが、その点はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(水野勝君) これは従来からいろいろ御議論をいただいているところでございまして、そのような制度が税務行政の中に導入できればかなりな申告水準の上昇にはつながると思いますが、前にも申し上げておりますが大蔵省としては五十五年にグリーンカード制度をお願いし、成立を得たところでございますが、実施を前にして撤回をせざるを得なかった。それ以後、時代が変わって、委員御指摘のようにもう世の中が変わっているということはそれはそれとしてあるだろうと思われますので、私どももう一回それではその点を取り上げて検討いただこうということで、納税者番号等検討小委員会というものを設置していただいて、本格的にもう一回検討に取り組み始めたというところでございます。
○和田教美君 有価証券譲渡益課税、いわゆるキャピタルゲイン課税、これにともかく原則課税という方針、方向を打ち出したというのは中間答申の一歩前進ではあると思うんです。しかし、さっきも話にありましたように、この中間答申には検討結果が長々と書いてありますけれども、結局は今はやらないということですね。総合課税はやらないということで、つまり相当この問題の検討については時間がかかるという意味のことも書いてありますね。 それは結局はやらない、ほとぼりの冷めるのを待つということじゃないかというふうに憶測されるわけですけれども、大蔵省の今の答弁だと、総合課税、申告分離課税、源泉分離課税及び源泉分離選択課税の四方式があるけれども、大部分は源泉分離選択課税を選択するだろうという質問に対して、必ずしもそうでもない、それを不利とする人は別の方式を選択すると言うけれども、これはどうもパーセントから見れば問題にならぬ少ない量ではないかというふうに思うんです。やっぱり大部分は源泉分離選択課税方式を選択するだろうと思う。自分の財産なりそういうものに余り手を突っ込まれちゃ困るというふうな配慮があって、そういうことじゃないかというふうに思うんです。 そうなると、この方式が大部分だということになると、有価証券譲渡所得の一定割合を譲渡益として低い税率で課税するということであって、実質的には現行の有価証券取引税とさほど変わらないんじゃないかと思われるわけです。そしてそのまま定着すれば、結局有取税を多少ふくらますということにすぎないのではないか。いわゆる本当の意味のキャピタルゲインの課税というものとは相当縁遠いものになるのではないかというふうに思うんですけれども、そういうことではなくて、やっぱりあくまで完全なキャピタルゲイン課税方式というものを追求するというお考えなのかどうか、その点をお聞かせ願いたい。
○政府委員(水野勝君) 考え方といたしましては、株式の譲渡益につきましては完全な総合課税というのが理想でございますので、この目標は税制調査会としても捨ててはおられないところでございます。ただ、現実の問題といたしまして、その把握体制を担保するためのシステムがございません場合にはかえって不公平な結果を生ずることもあるわけでございますので、税制調査会としてもいろいろ検討をされた結果、少なくとも当面の措置としては源泉分離選択課税方式が妥当で現実的であるという意見が大勢であったというふうに述べられているところでございまして、実態としてはまさにそういうところであろうかと思うわけでございます。 ただ、先ほど申し上げました納税者番号につきましては、今後も引き続き鋭意検討されるということでございますので、それによりましてはこの問題もさらに新しく展開することも考えられるところでございます。したがいまして、これは完全な所得税の総合課税ではございませんので、ある意味におきましては委員御指摘のような、有価証券取引税と違わないんじゃないかという御指摘はあり得ないことではないわけでございますが、あくまでもこれは所得課税でございまして、それの源泉分離選択課税でございます。 今後、その譲渡益の水準あるいは税率の水準いかんにもよりますけれども、その水準では不利であるという方は、総合申告の道もございますし、マイナスであるということでございましたらば、それは課税負担が生じない、そういう道と分離課税の道とが開かれておる。あくまでもこれは所得課税である。そういう意味におきましては、有価証券取引税とは全く異質のものであると申し上げることができようかと思うわけでございます。
○和田教美君 次に、土地保有課税の問題ですけれども、これももう何回か取り上げた問題なんですが、我々は大法人を中心に所有している遊休地を中心とする土地に対しては資産再評価税をかけるべきだという考え方を述べておるわけなんです。 最近、労働組合の連合が一定規模以上の住宅用地所有者に年率一%程度の土地保有税をかけるという提言を出しておられますね。これは再評価税ということになると、数年間ぐらいの分割納税という形でいわば一回限りの土地保有税ということになる。それに対して連合のような考え方だと毎年毎年保有税をかけていくということになると思うんです。 そういうふうにいろんなところからの意見、新聞の投書だとか、あるいはこれは朝日新聞ですけれども、「税調なぜか敬遠 隠れ利益税」ということで、やっぱり土地の保有課税をなぜ避けているんだというような特集も出しておりますね。ですから、そういう議論がだんだん私は強くなってきている。これだけ土地の暴騰というものが起こって、いわゆる新しいニューリッチ、ニュープアの状態があらわれるということになると、そういう議論が出てくるのは当然だと思うんですね。 そこで、これまた朝日新聞で恐縮なんだけれども、大蔵大臣はかねがね、そういう含み資産が多いのは重厚長大型の企業だが、そういうところは余り景気がよくないので、そういう土地保有税をかけると非常に経営にも影響が甚大だから今はやるべきでないという答弁をずっとされてきたわけですね。そこで、これは投書ですけれども、そういう含み資産を膨大に持っている重厚長大型企業が、そういう含み資産を持っているためにかえって今、日本の要請であるいわゆる産業構造の転換という要請、それをやらずにサボって、旧来型の体質を保存することにそういう含み資産が使われるという傾向があるんではないか。だからもっと本当に産業の近代化、構造転換をやるためには、それにメスを入れるべきではないかというような投書があるんですが、そういう点も確かに一つの議論ではないかと思うんです。 その点については後で大蔵大臣から直接ひとつ御意見をお聞きしたいというふうに思います。まず、局長から。
○政府委員(水野勝君) やっぱり年々の土地保有税でございますと、非常に一般的な幅広い土地保有税としての固定資産税があるわけでございますので、そうした問題として取り組むのであれば、これはやはり固定資産税の世界の中で対処するべき問題ではないかと思うわけでございます。 土地の保有コストを高めることによって有効利用を促進するという考え方は、まさに一つのお考えであろうかと思いますが、現行税制、税体系の中におきますと、これは地方税として、もしそこに課税標準なり税率水準に問題があるとすれば、せっかくのそういうかなり基本的な税制があるわけでございますから、その中で対処をしていくのが自然な方向ではないかと思うわけでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる保有税としての固定資産課税でございましたら、まさに固定資産税等々現行のものがあるわけでございますから、私はその線上で考えられるべきだと思うのでございますが、いわゆる再評価税のことにつきまして、いろいろ御造詣の深い和田委員からしばしば再評価税についてのお話がございます。私は一度、もう少し詳しく承ってみたいと。こういう席でありませんでも。どのようにしてそういう再評価税が可能であるのか。 今ひょっと伺いますと、シャウプ勧告の中にございました再評価税は、これは終戦前の帳簿価格と、あの激しいインフレを経験いたしました昭和二十五年ごろの価格との余りの大きな差を、たしか再評価を一遍やって六%でございましたか、六%の課税をしたのでございましたと思います。そのようなことを今回お考えで、それを何年かに分納をするというふうにお考えなのか。その場合しかし、あのときとは違いますから、それだけの担税力があるものだろうか。どうもその辺のところが私も十分御説を承らないままで、こういう席でございますので私の方も公式的なお返事をしている嫌いはあるのかもしれません。しかし、実際に私はどのようにしたらそういうことが可能であるかということをちょっとまだ十分納得できないで本当のところはおります。 それで、確かに重厚長大型の企業が土地を自然たくさん持っておりますが、それらの企業が産業構造を転換をしていくのは、経済審議会の建議にもありますようにやはり市場メカニズムで転換をしていくべきものであって、その土地に課税をすることによって、それに一種の経済介入というようなものはない方がいいというふうに私はもともと思いますし、そもそもそれらの産業がかなりのものがいわば基礎産業、素材産業でございますから、これは日本になくなってしまってもいいというわけにもまいらない。そういうことも考えていきますと、そういうところにいわば特殊な負担をかけるということが産業構造調整のためにも果たしていいのであろうかどうであろうかというようなことも疑いを持っておるわけでございます。 いずれにしても、どういう形でならそのような再評価税が有効に可能であるかということにつきましては、一度また私どもも承ってみたいと思っておるところでございます。
○和田教美君 税制改革の問題については、まだこれから議論をする場がたくさんあると思いますので、きょうはそれぐらいにとどめまして、もう時間も余りありませんけれども、次に財政投融資の問題を少しお聞きしたいと思います。 というのは私、予算委員会で予算審議をしておりましても、一般会計の問題についてはいろいろ議論が出るわけだけれども、財政投融資、実際には第二の予算というふうに言われるぐらいのものなんだけれども、それについての議論というのはほとんど行われなかったように思うんですね。それと、国債の発行引き受けという問題でも財投というものはかなりの役割を果たしておるわけで、ですから今の議題とも決して無関係ではないというふうに思うので、そういう見地から財投の問題をちょっとお聞きをしたいわけです。 まず最初に大蔵大臣に総括的にお聞きしたいんですけれども、六十五年度に赤字国債の発行をゼロにするという財政再建目標があることから、一般会計についてはシーリングで厳しく歳出を抑制しているけれども、第二の予算と言われる財政役融資計画については監視の目が余り届かない。そのために運用がどうもルーズで、必要な改革がなされていないのではないか、おくれているのではないかという感じがするわけですね。 そこでまず、財投について曲がり角に来ているというふうな議論が今あちこちで出ているわけで、何か財投の運用ということについてこの辺で抜本的にひとつ見直してみる時期に来ているのではないかという議論がありますが、その点についてどうお考えなのかということが第一です。 それから財投計画の原資ですね。これは非課税貯蓄制度の廃止に伴って国民の郵貯離れが予想されております。一方、高齢化社会の進行で今後年金積立金の増加のペースが鈍るということも考えられます。また運用の面では六十二年から始まった郵貯の自主運用枠、これが六十六年ぐらいまで続くわけです。毎年五千億円ずつふえていくということになりますね。それから年金についても、厚生省などが郵貯並みに枠を拡大することを求めております。そこで、財政計画全体に占める自主運用枠の割合はどうしても今後ふえていくというふうに見られるわけですね。こういうふうに原資と運用の両面において変化があらわれてきております。 また、基本的には経済そのものが資金余剰の時代、もう資金が余っている、だぶだぶしているというふうな状況を迎えておって、民間の金融機関でさえかつてない超低金利の資金を供給するというような状態の中で、一体財投の役割というものは相対的に低下しているのではないかという見方も根強くあるわけですね。そうしたことから大蔵省は六十四年度以降、より重点的効率的な資金配分が迫られるというふうな見方をしているという記事を読んだことがあるんですけれども、そういうものを含めて大蔵大臣はこのいわゆる曲がり角に来た財投という問題についてどうお考えなのか、その見解をお聞きしたいわけでございます。
○政府委員(足立和基君) 先生からいろいろ基本的な御質問をちょうだいいたしましたが、まず一般会計との関係で、一般会計の方はシーリング等を設けて大変厳しく査定されておるのに対し、何か財投の方はルーズでないかという点につきましては、財政投融資計画というのは一つの公的金融でございまして、公的な資金を融資するということでございますので、おのずと税金等を財源とする一般会計とは様相を異にする点が基本的にあろうと考えておりますが、しかしその財投計画自体につきましても当然のことながら重点的効率的な計画編成というものが必要であることは申すまでもないわけでございます。 今先生御指摘のように、財投というのは曲がり角に来ているのでないか、それは原資の面で見れば郵貯あるいは年金それぞれに問題を抱えておるとでも申しますか、あるいは自主運用というような問題もある。それはおっしゃるとおりの問題があろうかと思っておりますし、それぞれの原資面につきましての自主運用の要請にこたえまして、原資事情を見ながら今後ともそういう面についての配慮をしていかなければならない。したがいまして、財投の原資といたしましては今後の郵貯の動向等を勘案しながら考えていかなければならないと思っておりますけれども、私どもまず第一に、その見込まれる原資の範囲内で財投の編成というものを重点的にやっていく。さらに原資が非常に少なくなるというような状況がございますれば、今度はその他の例えば政府保証債、こういったようなものの活用等を考えての原資の面での検討も行わなければならないと考えております。 また、運用面につきましても、現在のその資金余剰ということで民間金融機関、こういったものとの競合という問題が指摘されてございます。しかし一方ではやはり政策金融機関としての役割は、例えば住宅金融公庫あるいは中小金融機関、あるいは開発銀行等々、ニーズはまだまだ根強いものがございますし、また一方では道路公団等を中心といたしますいわゆる公共事業実施機関、こういったもののニーズも非常に強うございますので、私どもはそういった運用面につきましてもまだまだこれからもニーズが引き続いてあると考えております。しかし基本的には先生のおっしゃるように、原資面につきましても、あるいは運用面につきましても、一つの大きないわゆる曲がり角と申しますか、そういう問題点を抱えておるという認識は私どもも持っておりますので、十分その辺のところをチェックしながら、今後とも重点的な財投計画編成に努めてまいりたいと考えております。
○和田教美君 今、財投が曲がり角にあるということを認められたわけですけれども、それで具体的に原資の問題、これがやっぱり先細りの可能性が大いにあるという問題について、それじゃそれに対してどう対応していくかという方向としては、二つあると思うんです。 一つは、原資面を充実させる、そして現状維持をしていくというのが一つの方向だと思うんです。もう一つは、原資の減少に合わせて運用を抑える縮小型にしていく、あるいは運用をもっと合理化していくというふうな考え方がございます。 また、一部の報道では、今政府保証債の問題を出されましたけれども、資金運用部債というようなものを発行して原資を調達するというふうなことも考えられるんじゃないかというふうな報道もございます。あるいはまた運用の問題についても、とにかく民間で余り資金需要がないということであれば、今一千億円の枠内で外債も買えるということになっている、それをもっと枠を拡大して、例えば将来米国債、こういうものも買っていくというふうなこともあるいはあるのではないかという見方もあるわけですけれども、そういう運用面の点について、基本的には現状維持の方向で行くのか、原資の縮小に対応するという考え方で行くのか、その点はいかがですか。
○政府委員(足立和基君) 先生御存じのとおり、財投の大宗は資金運用部資金でございますが、資金運用部資金の現在残高は百九十七兆円、約二百兆円というような大きなものでございます。これの大宗を占めるものが郵便貯金でございまして、その約六割弱、郵便貯金が原資を構成しておるわけでございます。したがいまして郵便貯金の動向というものが今後の財投計画の編成に大きなウエートを持つと考えてございます。しかしながら、郵便貯金が今後どうなるのか、どういう推移をたどるのかということにつきましては、これは郵政省の所管でございますし、私どもも余り確たることを申し上げる資格がないわけでございますが、いずれにいたしましても、この動向を十分チェックしていかなければならないと思っております。 原資が縮小するという前提を今申されたわけでございますが、可能性としては私どもそれを全く否定するわけではございませんが、軽々にどういうことになるということは申し上げるわけにはまいらないと考えております。 毎年毎年の財投計画の編成に当たりまして、こういった原資の動向を勘案しながらほかの原資を充実するのかという問題、これは先ほども申しましたが、政府保証債等の発行というようなことも考えられますし、そのほかの方向というのも原資の動向いかんによってはやはり勉強していかなければならない一つの検討課題であろうという認識は持ってございます。 一方、財投の運用について縮小をしてそれで対応を図るのかというお話でございますが、私どもは現在約二百兆に及ぶ全体としての財投の資産、負債を抱えてございますので、運用のニーズがある限り、これを縮小しなければならないというほどの認識は現在持ってございません。当面、財投のニーズがある限り、それにいかに対応していくのかということを原資面で考えていくということになろうかと思っております。
○和田教美君 今、郵貯の問題について触れられましたけれども、とにかく財政投融資計画の八割を占める資金運用部資金について少しお伺いしたいんですけれども、この資金運用部資金の原資の比率が郵便貯金から回収金に変わってきている、重点が。そういう傾向が見られますね。例えば十年前の昭和五十三年度には、郵貯が六兆七千億円に対して回収金が二兆五千億円ちょっとということになっていたんですけれども、六十三年度は郵貯が七兆九千億円に対し回収金は九兆四千八百五十八億円と、回収金の方が多くなって逆転しておりますね。約一兆六千億円程度回収金が郵貯を上回っている。 これは、財政投融資の原資としての郵便貯金が伸び悩んでいるという今のお話ですが、どういう背景、どういう理由でこういう傾向が出てきているのか。それはまた、将来の財投の運用にどういう影響があるのかというふうなことについて、ひとつお答え願いたいと思います。
○政府委員(足立和基君) 今、御指摘の回収金の数字でございますが、おっしゃるとおり、五十年代の初めには回収金というものはわずかでございましたが、今年の財投では九兆四千億円余で大きなウエートを占めておるということはおっしゃるとおりでございます。 これはどうしてかということでございますが、当然のことながら財政投融資というものは期間が各政府関係機関、財投対象機関によりまして異なりますが、十年からあるいは二十年、二十五年というような長期の運用を行ってございますので、全体の運用残高というのは毎年毎年増加の一途をたどってございます。したがいまして、その貸付残高がふえることに伴いましてその満期到来額、いわゆる回収金の額もふえてきておる、こういうようなことでございまして、その点に関しまして申し上げれば、いわば財政投融資というような一つの制度が成熟化しつつあるあらわれでないかと考えてございます。 今後、その回収金の推移がどうなるのかということでございますが、今後の回収金の推移いかんはこれからの財投計画の編成が一体どういうことになっていくのかということに大きくかかわる点がございますけれども、先ほど申しましたように、現在のような財投の規模というものが維持されると考えますならば、今後とも回収金というものはかなりの大きなウエートを財投計画の資金運用部の原資の大きなものの一つとして占めていくであろうと考えております。
○和田教美君 財投が長期国債の引き受け保有をしておりますね。これがふえてきているわけです。例えば保有比率を見ましても、五十七年度末が一五・六%だったのが、六十二年度末では二七・二%というふうになってきておる。要するに財投の運用資金が民間がのどから手が出るほど欲しいというふうな状況でなくなってきたから、その余った分だけ国債運用に回しているということなのか。その辺の実態はどうなんですか。
○政府委員(足立和基君) 最初に申しましたけれども、財政投融資というものは公的金融でございますので、調達されました公的資金というものをいかに運用するかということでございます。 それで毎年毎年の財投計画の編成といたしましては、国、地方、そして財投対象機関、この三者に、それぞれのニーズに応じましてバランスのとれた編成を行っておるということでございますが、御承知のように国債につきましては現在運用部が毎年毎年ある程度の額を引き受けてございまして、この国債につきましては満期が到来いたしますと、その満期到来額の国債につきましては乗りかえを行っておるということでございます。したがいまして、一たん運用部の引き受けました国債というものは現在減少しない、引き受けするたびに残高がふえていくという状況になってございます。 それに対しまして、財投機関に対しましての貸し付けというのは、先ほども申し上げましたが機関によりましていろいろ貸付期間の長さが異なりますけれども、リボルビング、回転してまいります。そのために回収金というのがふえてきておるわけでございますが、そういうことの関係で、財投機関に対する貸し付けというものはもちろん増加はしておるわけでございますが、回収金の部分だけ国債との関係におきましては増加の割合が低い。こういうような点がございまして、全体のストックベースで、残高ベースで見ますと国債の残高のウエートが全体に占める割合としては高くなってきておる、こういうような事情がございます。
○和田教美君 さっき局長は財投の貸付残高がふえているというふうにおっしゃいましたが、そうですか。確かに全体としてあるいはふえているかもしれませんけれども、国民金融公庫とか中小企業金融公庫などのいわゆる融資部門では、貸付残高はむしろ縮減傾向にあるんではないですか。その点はいかがですか。最近の傾向はどうか。私が見ているデータでは六十一年度までしかわかりませんのでね。
○政府委員(足立和基君) 実は、財投機関に対します貸し付けの合計が六十一年度末では百十七兆四千億でございましたが、六十二年度末では百二十七兆円、約九兆六千六百億円ほど増加してございます。これは財投の機関全体でございますので、個々の機関について申し上げますと確かに増減がございまして、先生御指摘の二政府関係金融機関におきましては、若干のものが六十一年度に比べまして減少しているという機関もございます。 財投機関のそれぞれにつきまして、減少している理由というものが幾つかあるわけでございますが、一つは例えば国鉄改革だとかあるいは青函トンネルの完成というような事業が一応終了したというようなことによりまして貸付額が減ってきているもの。あるいは輸銀のように相手国側の事情によりまして不用が出てきて減少してきておるというようなもの。あるいは財投計画といたしましては運用部資金と簡保資金と御承知のようにあるわけでございますが、六十二年度におきまして運用部資金から簡保資金への貸し付けの振りかえを行うということによりまして、資金運用部資金としての貸付残高が減ってきておるというようなものもございますし、それからまた御指摘の金融機関におきましては、比較的貸付期間が短うございますが、最近回収金が非常にふえてきてございますので、このネットの残高というものが減少してきておる、こういう機関もございます。 いろいろな理由によりまして財投対象機関個々に見ますと貸付残高が減少してきているものはございますが、全体として申し上げますと、六十二年度末は前年度に比べまして先ほど申しました九兆六千六百億ほど増加しているのが実情でございます。
○和田教美君 時間が大体来たようですから、最後にもう一つだけ質問をいたしまして終わりたいと思うんですけれども、資金運用部資金と一般会計の資金を組み合わせるというこの財投運用方式ですね。これはいつかも大蔵大臣がおっしゃったように、民間の資金が不足して資金需要や国への事業活動の需要が非常に強かった高度成長時代には確かに相当な効果を発揮したということは認めていいと思うんですね。しかし、今後この方式を引き続き維持拡大していくということについては僕は問題があるんではないかと思うのです。 まず、さっきから言っている原資面からの制約ですね。それから一般会計等の負担をかなり増加させております。一般会計からかなり事実上の補給金を出しているというふうな問題がございますね。そういう点から見てもこれは限界に来ているというふうに思うわけですから、したがって、もちろん住宅政策とか、今局長が言われたような政策金融とかあるいは政策事業というような必要不可欠なものは従来以上に強力に進めなきゃいかぬと思うのですけれども、全部の財投対象機関にとにかくいつまでもばらまきというふうな形では私はいけないんではないか。 だから、この際、財投対象機関というのはかなりありますね、全部で幾らですかな、それも言っていただきたいんですが、それを精査して、いわゆる優劣をつけるといいますか、本当に必要なものに投融資するというふうな体制を考えていくべきじゃないかと思うんですが、その点をお伺いして終わりたいと思います。
○政府委員(足立和基君) 現在、六十三年度財投計画におきまして対象機関数は六十六ございますが、先生おっしゃいますように、あるいはまた私ども、臨調・行革の指摘も受けてございまして、重点的、効率的配分に努めなければならないということはそのとおりでございますので、最初に申しましたように原資面の事情もございます、運用面の事情もございます。双方考えまして、より効率的、重点的配分に努めてまいりたいと考えております。
○委員長(村上正邦君) この際、五分間休憩いたします。 午後三時二十六分休憩 ─────・───── 午後三時三十二分開会
○委員長(村上正邦君) 再開いたします。
○近藤忠孝君 まず税制問題について質問いたします。 政府税調の中間答申が出まして、先ほども質問がありました。これを受けて政府がこの国会に税制改革の法案を提出するのかしないのか。午前中の質問に対して答弁は、するかどうかわからない、いずれとも申しかねている、こういう答弁でしたね。ただ、客観的に見てみますと、政府税調答申は基本的なアウトラインが示されただけで大体中途半端なものですね。その具体化は大体自民党税調にゆだねられたと見るのが正解のようだと思います。その自民党税調の方も、そのうちに基本方針を決めようと思った執行部の思惑が外れまして、その正式決定を延期せざるを得なかった。これは私は国民世論の反映だと思うんです。まあ、いいことをしてくれたと私は思っておりますけれども。 こういう状況ですと、どちらとも決めかねておるなんということではなくて、今国会に常識的には法案は提出できないんではないかと私は思うんですが、御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) けさほども申し上げたことでございますけれども、ある部分につきましては成案をつくるようにということで作業もいたしておりますし、またある部分につきましては、昨年御提案いたしましたものと非常に類似な部分もあるということでございますので、全く新しく作業をするというほどのことではございません。確かに政府税調の中間答申には、いわゆる定数と申しますか、数字にわたる部分をまだ明示せずにおる部分がございますけれども、これはある意味では決まりましたときに案の中へはめ込んでいけばいいことでございますので、作業そのものは、それは大変にきついことでございますけれども、不可能だとは申しません。 したがいまして、いつごろまでに最終的な成案ができる、私どもの党内なりで固まっていくかということにかかっておるわけでございまして、かなり日程的にきついということはそうでございますけれども、まだ何とも申し上げかねるというふうにけさほどもお答えいたしました。ただいまもそのように申し上げたいと思います。
○近藤忠孝君 今国会については何とも申しかねるんですが、今度は逆から見てみますと、となるとこれはどんなことがあっても七月には臨時国会を召集して、そしてしゃにむに大型間接税を導入しようという、何と申しますか、そういう熱意に燃えて臨んでおられるのか、逆にこうお聞きしてよろしいですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 臨時国会云々ということは、これは決めるといたしますと総理大臣初め政府全体の決定になるわけでございますけれども、今そういうことを私どもの中で考えたり言ったりしていることではございません。
○近藤忠孝君 しかし一方、税制改正はどうしてもやろう、こういうお気ちだとしますと、大体今の状況だとどのように日程が進んでいくんだろうか。もとより私たちは進めていくことに反対ですけれども、しかし、そちらの日程がわかっておるとこっちは反対運動を起こしやすいですからね。その辺をひとつ明かしていただければと思うんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろ御心配をいただいておるわけでございますが、できるだけ早く成案を得まして、できればこの国会にというふうに考えてまいっておるわけでございますけれども、その成り行きいかんによりまして、この機会にぜひ税制の抜本改正というものをやらしていただきたいと考えておるものでございますから、いずれ何らかの形で御審議を仰ぎたい、できるだけ早く成案を得たいと思っているところでございます。
○近藤忠孝君 まあ、それ以上の答弁は出てこないような感じがしますのでこの程度にしておきますが、この中間答申の内容ですが、私は前にもこの委員会や予算委員会でも申してきたんですが、公聴会やあるいは世論調査に見られた国民の意思とは全く違うものが出てきているんじゃないか。大体、公聴会の進め方についてもそうですし、また世論調査もそうなんですが、どうも世論の誤導や意図的な報道がずっとなされてまいりましたね。むしろ国民の意思がねじ曲げられてきておるんじゃないか。しかし、それにしても一定の程度あらわれた国民の意思、これは大変大型間接税に対する心配や反対の声が強いんですが、どうもそれは全然出てこなくて、むしろそれを当然視するごときものが出ている。こういう国民の意思との関係で、この中間答申を大臣どうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の経験もございまして、このたびの政府税調におかれましては、非常にたくさんの時間と労力を費やして全国各地の方々の意見を聞いて回られた、何度かにわたってそうされたわけでございますが、それを反映をして審議を続けられましてこのたびの中間答申に至ったと。地方に行かれた税調委員のお話を聞きますと、なるほどこういう考え方もあるかということで、直接反対賛成ということもさることながら、いろんな側面で国民の意見というものを聞くことができて大変に参考になったと言っておられますので、それを背景にこの中間答申をつくられたものと考えております。 何分にも、減税の部分はともかく、新税を設けるということになれば、もうもろ手を挙げて賛成といったような反響が当然に出てくるとは考えにくいものでございますから、その中でどういうことであれば国民がこれを受容されるかといったようなことについて、税調の委員の方々がそういうたくさんの機会を通じて体験をされ、また見聞きをされまして、それをこの答申に盛られたものと考えております。
○近藤忠孝君 私は、国民の意思や世論をねじ曲げたものの一つとして、NHKの報道ですね、賛成四六%の調査は昨年十二月公表。反対四八%、賛成は十何%と低い、要するに反対だというのがこの世論調査の結果だったんですが、ことし三月、これは公表しない。しかも公表した方のやつは調査のやり方と集計のやり方に問題がありまして、どうも正確な国民の意思じゃない。そこでやり直して、そして正しい結果として反対四八%、賛成は大変少ない。これは報道しなかった。全く意図的なことですね。 そこで、郵政省来ておりますね。この事実関係と、そして大体これは公表しなきゃいかぬ。これは放送法で公表義務がありますよね。しかもこういう意図的な問題について、郵政省としてはどういう判断を持ち、またどういう対処をされてこられたのか。
○説明員(團宏明君) お答え申し上げます。 NHにの調査研究関係でございますが、NHにはみずからの番組の向上のためにいろんな調査を行っております。例えば番組の視聴率の調査であるとか意向の調査、それから国民世論の調査というものを行っているわけでございますが、そのうちの一つとして今御指摘のありました「くらしと政治」というものにつきまして、そのときどきの時事問題というものを中心に国民の政治と生活についての意識を把握し、放送の資料・素材とするために調査を行っているということでございます。 御指摘の調査につきましては、ことし三月に行ったものの取り扱いというふうに考えるわけでございますが、この調査の目的が、こういう放送の資料・素材とするためということでございます。したがいまして、それをニュースに流すのか、あるいは特集物として例えば「NHK特集」とかそういうものに流すのかということになるわけでございますが、この三月の調査につきましてはNHKの判断によりまして、この一部につきましてニュースに流しておりますけれども、一部については流さなかったという事実があるわけでございますが、一般に調査の公表につきましては必ずしもニュースで流すということだけではなくて、いろんな刊行物を新聞社あるいは民放等に配付するということによって公表するということもあるわけでございます。 そこで、その公表ないし利活用につきましては、要するに放送の編集権の問題になるわけでございまして、放送法第三条によりまして「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」ということで、放送の編集権というのは放送事業者の責任において行うということになっておるわけでございまして、NHKの判断によりましてニュースにしなかった。あるいは、今後はどう取り上げるかというのはちょっとわかりませんけれども、そういう編集上の問題につきましては、郵政省としてその適否につきまして見解を述べるということは適当でないのではないか。あくまで放送事業者のみずからの責任において、編集権において行うべきではないかというふうに考えておる次第でございます。
○近藤忠孝君 放送法で公表義務がありますね。しかもこれはNHKの担当部長が「公表とは、放送することと理解している」と、本人はそう言っているんですよ。そういう理解でそれを公表、報道しないということは、別の方法でNHKが物に書いて出したって、これ全然役割が違いますよね。出版社なら別ですよ。放送の、しかも公共的な放送機関ですからね。しかも法的に公表義務があり、しかも公表とは報道だと、本人そう言っているのに、あなた方がそんな甘いこと言っておったんじゃ、またもう一回やるかもしれません。そんなことがしょっちゅう起きていいのかどうか、もう一度お答えいただきたい。
○説明員(團宏明君) NHKのどういう方がどう見解を発表されたかわかりませんが、郵政省としましては放送法という構成自体、特に言論立法でございますので、非常に国等の規制は少なくするという法体系になっております。 そういう中で、公表ということが四十四条の二項にございますけれども、これにつきましても必ずしも放送することという放送法全体の構成がそうなっておりませんので、公表ということが必ず放送しなければならないということとは理解していない次第でございます。
○近藤忠孝君 大蔵省がいるからといって遠慮しなくてもよろしいんですがね。 大臣、この問題はやはり正しい国民の意思が反映していない。調査方法も問題、集計方法も問題、そして大蔵省に有利な方はこれは報道。片方は正しい調査方法で、しかも集計方法も正しくて大蔵省に不利、これは報道しない。やっぱりNHKの調査というのは、あれはみんな物を見てああNHKがこういう調査をしたなんてことを思う人はほとんどいないですよ。それはみんなテレビを見たりラジオを聞いてそう思うので、これは一つの事例ですよ、NHKという公共的な報道機関もこのように正しく国民の意思を反映する努力を怠っている。 となりますと、私は大臣のところへいろんな情報やいろんな意見が来ていると思いますけれども、それ自身が正しい国民の意思の反映ととれるかどうか、こういう問題がある。その辺は自戒しなきゃいかぬと思いますが、その点はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、放送法の解釈のことは存じませんので、それについてはお答えはできませんけれども、およそ言論機関、報道機関というものは、基本的な報道、言論の自由を持ち、またその責任に応じた責任と義務を持っておると思います。NHKもその例外ではございません。したがいまして何を放送し、何を放送しないかというふうなことは、NHK自身のそのような責任と義務において決定せられるべきものであると思います。 私の経験で、いやしくも十分に放送する価値がある、しかも責任を持って取材したことについて、第三者の圧力によってNHKが放送しなかった、あるいはしたというようなことは、私の知っている限りございません。また今回の場合、そのような外からの力が働いたと考える理由もございませんから、それはNHKの責任において行われたことだと思います。
○近藤忠孝君 報道の自由があることは、それは当然のことですね。そのことと、世論調査をしてそれを公表する義務がある。公表とは報道だというのは、これはやっぱり常識ですから、そういう問題であるということを私はこの機会に申し上げて、課長、どうぞお帰りになって結構です。 ただ大臣、今の私の後半の質問については、正しく国民の意思が大臣のところまで届かぬ問題については、やはり自戒をする必要があるんじゃなかろうか。こういう問題についてはどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今のNHKとの関連でのお話であれば、それは恐らく調査をした調査の結果が仮に放送に値するほど十分な調査でなかったとか、何かの理由があったことなんだろうと思います。外からの圧力で当然放送すべきものを放送しなかったといったようなことは私には考えにくい。
○近藤忠孝君 これは外からの圧力ではなくて、NHKの、自分で自分を、大蔵省に対してどういう感じを持っているか知りませんが、その辺で判断したものだというくらいに見た方が私は正確だろうということを申し上げて、次の問題にいきます。 減税問題ですが、竹下総理がヨーロッパを回られて、一応日程を終えられた最後の記者会見で、「減税を先行実施し、新型間接税の導入は一定の期間遅らせる方針も明らかにした。」という報道があります。となりますと、減税規模と内容を明らかにしていいんじゃないか。 こう言いますと、先ほど来問題になっている共産党を除いた与野党協議と。しかし、こういう問題はここで、こういう公の場でやるべきです。国会という国民から直接選ばれた機関があるんですから、私はそれ以外の場でやることはこれはやっぱり邪道です。それに対して大変大きな批判が最近は一般紙の社説などにも起きているということを申し上げておきたいんです。 となれば、これは減税の規模、内容など、こういう場で明らかにすることが私は最も正しい方法だと思うんですが、いかがでしょう。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕
○国務大臣(宮澤喜一君) それは総理大臣がどう言われましたか、こういう問題は表現が、殊に竹下さんは気をつけられる方でございますから、今おっしゃったようなふうに言われましたのか、あるいはそういうふうに聞こえたということでございますか、そこを定かでございませんが、いずれにしましても政府は今度抜本改正をお願いしたいと考えておりますにつきまして、その全体像の中で、あるものが多少先行するとかいうようなことはこれはあり得ることだと思っておるんでございますけれども、それと切り離した形で何かの減税が先に行われるといったようなことは私どもとしては実は想定をしていないのでございます。 ただそこで、先ほども申し上げましたが、各党の御協議というものが政策担当者の間でございますから、それももう十二日、間もなくおやりになるということでございますので、それに対しては敬意を表するべきだと思いまして、その結果を見守っておるわけでございます。
○近藤忠孝君 その十二日だか十八日だか、我が党は全くかかわりがありませんので、だからこそ私は申し上げるわけですね。やはりこういう場で明らかにするのがこれは憲政の常道だということを申し上げておきたいと思います。 そこで、今の話でも、要するに減税と財源はつながっている。となりますと、私たちはこれはもう切り離して、そして金持ち減税じゃなくて、課税最低限の大幅引き上げなど本当の減税を実現すべきだと思いますが、今の話を聞いていると、どうしても財源としては新型間接税、こういうことになってしまうんでしょうか。どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府がやがて御提案をいたしたいと考えております抜本改正の内容はまだ未確定でございますけれども、考え方としましては、これによってネットの増収を図るという気持ちはございませんけれども、今の財政の現状から申せばネットの減収になっても困ると考えております。
○近藤忠孝君 私が聞いたのは、切り離せないとなりますと、どうしてもそれはやっぱり新型間接税へ行っちゃうのか、こういう質問なんですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) お答えをしたつもりなんでございますが、ネットの減収になっても困るのでございます。
○近藤忠孝君 腹の底にあることはわかりますけれども、ただ国民はなかなかわからないということを、国民を代表して申し上げておきたいと思います。 質問通告としては中身について若干質問をする予定でしたが、時間の関係できょうは省略します。願わくばことしは中身の議論はしないことが、私は議論したいんだけれども、しないことが国民のために幸せだろうということを申し上げて、次の問題に入ります。 財政赤字の問題です。 ちょっと大きな議論をしたいと思うんですが、主要工業諸国で政府財政が赤字でない国はありましょうか。
○政府委員(斎藤次郎君) ずっと赤字が続いておるわけですが、イギリスは一九八七年の実績見込みで黒字に転換をしたというぐあいに伺っております。
○近藤忠孝君 私が大蔵省からもらった資料によりますと、イギリスも含めて、この題目は主要工業国財政赤字の対歳出比率、対GNP比率で、全部赤字ですから恐らくマイナスが書いてないんですね。イギリスが黒字に転じたとなれば、むしろマイナスか何かそういう印がついてしかるべきじゃないですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 一九八七年の、予算ではございません、実績見込みで黒字に転換したということで、最近の調査でわかったわけでございます。
○近藤忠孝君 しかし、全体的には大小の差、数字の程度の差はあれ、全部主要国は赤字。今、私はちょっとその答弁については措信しがたいけれども、少なくとももらった資料では全部赤字であります。 そこであわせて、この間吉井委員からも質問があったので省略しますけれども、これら主要工業国の財政赤字の対歳出比率、それから対GNP比率ですね、それから長期政府債務残高の対GNP比率、これは大臣のところにも数字行っておりましょうか。全部中身は省略しますけれども、私はこの中で、特にアメリカと日本がやっぱり問題だろうと思うんですね。アメリカの場合にはその規模の大きさもさることながら、大体アメリカの財政赤字がドル不安と株価暴落など世界経済動乱の引き金になっておって、これは世界的にも、今日の財政赤字問題の最大の課題はこのようなアメリカの財政赤字をどのように克服するか、こう言われておることからも明らかです。それから日本の場合には、長期政府債務残高の対GNP比率が先進諸国中最も大きい数字になっておる、こういう問題です。 そういう中で、私は一つの数字として、一般歳出との関係で、軍事費と公債費、それをプラスしたものの比率、これは一つ重要な比率だと言われています。防衛費そのものがまさしく赤字の原因であるという世界共通の問題と、それから国債自身がさらにその債務をどんどんふやしていくという両方の問題で、それを足した指標を見てみると大変興味深いものがあります。例えば、アメリカはその比率が四一・三%、これはもう戦時財政と見ていいんでしょうね。 一つ調べてみますと、戦時財政というのは、例えばアメリカで見てみますと一九四〇年、あの第二次大戦に入る直前の状況でも今言った予算総額に対する軍事費プラス国債費の比率は二七%ですから、翌年に五四%になっておりますけれども、平時で四一%というのは私はこれはもう戦時財政そのものと見ていいと思います。本来のこれは軍事費の急増にあると思います。それから西ドイツはこの比率が三一%、これは準戦時財政と見ていいと思いますね。日本が二六・七%。この二つの国の場合には公債費の急増がその原因ですが、軍事費の比率もふえてきていることが原因になっている。 こうして見てみますと、世界共通して赤字、しかもその規模はもう戦時体制もしくは準戦時体制だろう。こういう数字を見たときに、大臣としてどういう印象をお持ちでしょうか。
○政府委員(斎藤次郎君) 今御指摘になった数字はそのとおりでございますけれども、いずれも石油ショックによる税収の落ち込みとか、その後の景気対策等のために支出がふえた等の要因で国債費は確かに上がっておる、国債の依存度が上がったということが原因でございます。利払い費とあるいは国防予算を足したものの率というのは今おっしゃったとおりでございますけれども、アメリカ、西ドイツ、イギリス、フランスを概観して一九八〇年代の予算の推移を見ますと、例えばその五年前の七五年と比べてそれほど国防費が急増しているという事実はございません。国によって多少でこぼこはございますけれども、それほどの著増を見ているわけではなく、すべて国債残高の累増に伴う利払い費の増加というのが圧迫要因になっているんではないかというぐあいに考えられるわけでございます。
○近藤忠孝君 しかし世界に共通して、戦前の財政と比較しましても、戦前の戦時体制もしくは準戦時体制のときよりもその比率が多いという、大臣、その事態をどう見るのか。これは事務方じゃなくて大臣として、いわば政治家として、ちょっと所見があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、国防費の関連は、やはり米ソといったような関係によるところが多いんだと思いますが、利払い費ということになりますと、これは戦前の各国と違いまして、戦後はかなり社会保障がどこの国でも発達をいたしました。また、失業ということについても戦前とは比べものにならないほど敏感でございます。その点がやはり利払いという形で財政の負担になっておると思いますので、この点は、何もそういう意味でこの国防関係費と利払い費とを合わせて、それが予算歳出にどれだけの比率を持つかということの、そのことの意味、果たしてどういうところにあるかということにも私としては幾らか疑問を持ちます。 利払い費がふえておりますのは、戦前との関連で申しますと、ただいま申し上げたようなことに少なからず私は関係があるだろうと思います。
○近藤忠孝君 現に戦争はやっていないんですから、それは全く同じじゃないですよね。しかし、戦争という全く異常な事態にほぼ近いような状況が出ているというそのこと自身を無視してはならないのではないかと思うんです。 私は、この問題に対する大臣の回答を私の方から申しますと、やはり世界共通の問題として、平和を推進し、世界全体として軍事費を減らしていく。日本もその一環として率先して、それは何しろ平和憲法を持っているんですから減らしていく。そのことが日本だけではなくて、世界のこういう財政赤字体制を脱却して、そして経済にいい影響を与えることだというのが、私は日本国憲法を持つ日本国政府の大蔵大臣の答弁であってしかるべきだ。もし私がそこにおればそういう答弁をするつもりですけれども、そうじゃないでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう状況でございますので、例えばINFに見られますように、ああいう協定ができ上がっていくということは、各国とも防衛関係費の重さというものにいわば相当な重圧を感じているからこそ、ああいう協定に発展をしていったのだ思いますので、それはおのおのの国がやはり自然にこれは何とかしなければならないという、これは恐らく、今ソ連の話が出ておりませんでしたが、ソ連でも同じだというふうに聞くんでございますが、であろうと。その点はやはり一つのいい警鐘になっておるというふうに考えております。それは結構なことだと思います。 我が国の場合には御承知のようなことでございますので、我が国は我が国なりの最小限の防衛関係費を計上しておるということでございますから、我が国なりの考えに基づいて進んでいけばいいというふうに思っております。
○近藤忠孝君 我が国の財政赤字の要因は、一つはやっぱり軍事費と、それからもう一つはこれから申し上げるいわゆる例えば内需拡大なども要するに大企業奉仕で行われている、そのための借金の増大というぐあいに思うわけです。 それはまた後の問題ですが、私がきょう世界的な財政赤字の状況をお示しして大臣の見解を問うたのは、本来日本でも軍事費を削るべきですが、それを言うのはどうも共産党。共産党はいつもそれを言う、それだけだと。それだけじゃないんですけれどもね、政治討論会などでもすぐそういうのが出てくるんですけれども、私は何もこれは一日本共産党だけの主張や発言じゃなくて、まさしく世界全体の問題としてこれは本当に真剣に考えるべきだということを申し上げて、次に入りたいと思います。 次に、臨調行革との関係でありますが、臨調の目的は増税なき財政再建、小さな政府と民間活力論でありまして、そして小さな政府の面で言いますと、社会福祉や教育の経費削減などでこれは実際実現してきましたし、また民活も推進してきましたからね。要するに臨調行革、臨調のとおりにいわば日本の政治は進んできたんです。となりますと、財政再建は実現されてしかるべきだったけれども実現していない。赤字公債脱却問題はもちろんありますけれども、私は財政再建の成否はやっぱり公債依存度と公債残高、累積額で決まるべきだと思いますね。となれば、世界でも最高のGNP比率である。となりますと、大臣、結局やってみたけれども臨調路線は失敗だったんじゃないかということになりませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いえ、それはやはり行政改革も随分行われまして、国鉄であるとか電電であるとかがああいうふうに民営にもなりましたし、また政府としてもゼロシーリングあるいはマイナスシーリング等々の努力を何年も続けてまいりまして、ようやく特例公債もやめられるかもしれないというところまできておるわけでございますから、いずれにしても道半ばでございますけれども、私は成果は決して小さくなかったというふうに思っております。
○近藤忠孝君 その民営、そして全体の民活ですね、それがいわば日本の政治の中心になっていますし、例えば公共投資の面でもそういう要素が大変強まっておると思うんです。これは何も事業だけじゃなくて、国政のあらゆる分野に出ていると思うんです。 その一つとして、これは港湾のいわば民営化という問題、港湾自身の大きな変質、民営化というとちょっとこれは言い過ぎですが中にそういう要素がありますので、その問題について若干触れてみたいと思います。 そこで、これは関税局長になりますが、関税局関税調査室で、関税の抜本的改革なるものを準備しているようですが、これはどんなものでしょうか。
○政府委員(大山綱明君) 私ども税関の行政をあずかります者として、やはり時代の要請に沿った行政を展開していくことが必要と考えております。 その場合に、もしも法律が古くて行政上の何か差しさわりになるということがありましてはいけないわけでございまして、そういうような観点から、私ども関税法あるいはその関係法令の見直しというのは既に怠りなく続けていくべきテーマだと思っております。そういったような個別に一つ一つの法律について時代の要請にかなっているかどうかということを常に見直して勉強していく。そういう趣旨で、これは何も事新しい問題ではございませんで、常々心がけて勉強しているということでございます。
○近藤忠孝君 ただ、その進め方がどうも秘密主義で進んでいるんじゃないかという気がしてならないんです。 これは関税局総務課長の六十二年七月十七日付事務連絡文書「関税法体系の見直しについて」という文書を見てみますと、この作業を進めるに当たって、職員間に無用の不安や混乱を生じさせることがないよう、配付先の限定をしろとか、それから業者からの意見も余り聞くな、業者の意見は現在把握している限りのものを参考にするにとどめるとか、いわばこういうぐあいに、いろんな意見を反映するというよりは、ひそかに進めているんじゃないか。そして一つ背景には、経団連の港湾に対する改正要望とかありますが、その線に沿ってこれはどうも進めているんじゃないか。こういう気がしてならないんですが、どうですか。
○政府委員(大山綱明君) お手元でお目にとまりました資料といいますのは、関税法全体を見直していくに当たりまして、今までいろんなところでいろんな意見が出てきた。経済団体もしかりでございますが、また職員の間からもこういった点が不便だとかいう声が出てきたりいたしておりましたものを、何と申しましょうか、予断なくと申しましょうか、ふるいにかけずに全部網羅的に拾いまして、第一線税関における検討の材料にということで送ったものでございます。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 したがいまして、後に問題の指摘がございますかもしれませんけれども、税関の逮捕権とか何とかそういったような問題、私どもが現実的には全く考えていないような問題も含まれております。そういったものが一般の人たち、職員の間に仮に目に触れますと無用な混乱を生ずるおそれがある、そんなことから課長以上クラスでまずは議論してみようじゃないかと、こういう趣旨で配付先を限定したという事実はございます。 しかし、私ども決して秘密主義を旨とするわけではございませんで、やはりここを改正すべきだというような議論がある程度まとまりました段階では、いろいろな審議会もございますし、職員組合の意見などもございましたらそれは窓口で聞きますというようなことを職員団体との交渉などでも申しておりますので、決してすべて秘密ということで推し進めているつもりはございません。
○近藤忠孝君 ただ、やっぱり中身を見まして心配するのは、例えば改革の理由の一つに「新型間接税の導入等も将来的には予想されており、税関のもつ税的機能の内容も変わりつつある」というような指摘があることと、それから内容的には今局長も言いましたが逮捕権の付与、それから保税地域への搬入義務をなくす問題とか、審査・検査体制、これは簡素化するというよりむしろ例えば検査の民間委託への問題なども出ている等々、やはりこれは税関行政の一番根本にかかわるような問題をむしろ検討をする。だからこそ余り広がっては騒ぎが大きくなるということではないのか。 例えば逮捕権で見てみますと、税関というのは本来行政としての関税法の執行という、そういう基本的性格があるんですが、そこに逮捕権を付与しますと税関の職務範囲が司法警察の分野にまで拡大をしてしまう。となりますと、税関は物を監視することよりも人の取り締まりに拡大されてしまいはしないか。そしてまた職員にとってみますと、そういう司法警察権まで持ちますとこれは労働法の関係からいっても労働基本権に影響を持ちやしないかと、こんなような問題さえ出てくる。この辺の疑問や不安についてはどうですか。
○政府委員(大山綱明君) お手元の書類にはそういった項目が掲げてありますのは事実でございますが、それは先ほど申しましたように、あらゆる方がいろんな角度から問題の提起をされているのをただただ収録したという程度におとりいただいたら結構だと思うのでございまして、例えば今の逮捕権の問題、御指摘のとおり司法警察職員が持つ機能でございます。私どもの行政職員がこれを持つのがいいのかどうかというのは、私どもも必ずしもなじむものと思っておりませんし、また私どもだけの議論では不十分で、やはり法務省当局その他との議論が必要になってまいる問題であることは十分に心得ておるつもりでございます。 それからまた、保税地域への搬入の問題でございますとか、そういった問題の見直し、これはたしか経済団体の方から提起された意見も踏まえてのことだったかと思いますが、そういった問題につきましても、税関本来の機能が損なわれてしまいますようなそういう改革というのはむしろ私どもの方で取り上げるべきでないと、そのぐらいの強い気持ちは持っているところでございまして、今の取り上げられたといいますか、表にございますような項目をただごらんいただきますと、そういった疑問が生ずるのは無理からぬと思いますが、私どもも私どもなりの常識に従って議論といいますか、勉強をしているということでございます。 そういった意味で無用の不安といいますか、そういったものの起こらないように、組合交渉などでも私もできるだけ丁寧に説明をして不安を持たれないようにということを言っているところでございます。
○近藤忠孝君 じゃ、あと二点だけ質問をして次に移りますが、一つは財界などの要求などは、港湾をもっともっと物流が動く、どんどんたくさん大量に動くようにと。それから例えば金融関係が二十四時間都市を目指しているように、港湾の二十四時間体制というような問題などがやっぱりそのねらいだろうと、こう思いますね。となりますと、二十四時間体制になると当然職員などに対する過重な負担の問題が起きてきやしないかというのが第一点。 それからこの進行ですが、そちらの資料によりますと、税関による検討、そして策定、プロジェクトチームによる提言の策定、これは大体この三月ぐらいからずっと始まることになっていますね。これは今まさにそういう状況じゃないのか。しかし、中身は今局長の答弁だと余りはっきりしない。一体進行状況はどうなって、いつごろこれが浮かび上がってくるのか。その辺どうでしょうか。
○政府委員(大山綱明君) 税関の事務が今輸出入貨物の増加とか、そういったことのゆえにふえているのは事実でございます。それを限られた職員で処理していくわけでございますが、私どもその点につきましては、仕事の重点化、効率化などで過重な負担とならないように心がけておるところでございます。 二十四時間体制云々の話が出たところでございますけれども、港湾の方の関係の体制につきまして、必ずしもつまびらかにいたしませんが、私どもとしては税関職員の仕事が過重にならないように定員の配置その他で十分な配慮をしてまいるつもりでございます。 二番目の関税法改正云々のスケジュールということでございますが、私ども内部でいろいろ議論をいたします場合には、一応の目安の日にち、日付をもって第一線から意見を上げてもらうということが必要と考え、今御指摘のありましたようなものを示しているわけでございますけれども、私どもただいま御議論になっておりますような税制革というような、そういった大きな総合的、体系的な検討をし、結論を出して何か改革を進めていくということを今考えているわけではございませんで、ある時期にはいわば棚卸しみたいなことをしてみる必要があるという観点から検討、勉強しているわけでございます。 そういったことでございますので、必ずしもいつまでにと私ども日を区切ってやっているわけでもございませんし、また意見がある程度集約されましても、それを一つのものとして何か改正をお願いするというようなことも考えているわけではございません。一つ一つの事柄について、どうしてもこれは古くなり過ぎまして世の中の動きに耐えられないというものについては、また御審議をお願いするということがあろうと思いますが、今具体的にどうこうということを考えるまでまとまっておりませんし、また今後いつまでというあれも設定しておりません。
○近藤忠孝君 じゃ、次に本年度の予算の特徴との関係で、一つは一般会計の歳出増のうち実際に使える政策的経費の増加分、これはわずかですね。これは三千九百八十七億円で、問題はこの増加分がどこに行ったのか。これは一方、個別にふえた分を見てみますと、軍事費関係が千八百二十九億円、対前年五・二%、これはGNP比一%枠をさらに拡大していますね。それから経済協力費の増加分が三百三十億、対前年五・一%、この二つで政策的経費の増加分の半分以上使っているわけですよね。これが一つの特徴だと思うんです。 それからもう一つの特徴は、国民生活分野についてはどうなのかということです。これについて、これは資料要求をしておきましたが、昭和五十三年と六十三年を比較して、一般会計とそれからもう一つは財投です、その関係を見てみると大変興味深い問題が出てくると思うんですね。分母を一般会計プラス財投、そして分子を一般会計。要するに投資されたいろんな事業について利息のつかない一般会計分がどの程度の比率か。要するに受けた対象が負担のないもの。これが一つ大きな特徴を示すものだと思うんです。 そこで、住宅それから厚生福祉、文教、中小企業、下水道環境衛生設備、それから道路、経済協力、そのそれぞれについてそういう計算をしてほしいということをお願いしておきましたが、どうでしょうか。
○政府委員(斎藤次郎君) 今のいわば一般会計の予算の主要経費別と財政投融資の使途別分類と二つあるわけでございますが、いわばその分野が違うという基本的問題と、それから一般会計と財投では当然のことながらその対象が大きく異なっている。一般会計は、これは釈迦に説法でございますけれども、いわば税金という無償の資金を原資というか、それを財源とした支出である。財政投融資は公共のいろいろお預かりしている有償の資金を用いてそれの運用を図るいわば有償資金であるということでございますから、その対象範囲も違いますし、それを両方合計して比較するということは実は余り私どもとしては意味のあることとは思いません。ただ、御要求でございますからその計算はしてございます。 そういう前提で申し上げますと、例えばこれについても凹凸ございまして、住宅について申し上げますと確かに五十三年一三・八が六十三年九・八に下がっておりますけれども、例えば厚生福祉を申しますと九三が九四に上がっている。文教を申しますと八四・五が八八・四に上がっているというようなことでございまして、その比較自体が余り意味あることとは思いませんけれども、それぞれの施策について凹凸がございます。したがいまして一定の傾向値を見出すことはできないということでございます。
○近藤忠孝君 厚生福祉それから文教について一般会計分が少なかったらこれは大変な話ですよ。これは当然そうあってしかるべきで、その数字が高いのは当たり前の話ですね。問題は投資的な分野が入る住宅、これは次長答弁のとおり一三・八から九・八に減っています。それから中小企業関係は七・九から四・六に減っています。それから下水道環境衛生設備、これは二四・八から一四・五に減っておるんですよ。こういう意味のあるところはやっぱり減っておるんです。それから道路で見ますと六一・一から四一・〇になっていますが、これは高速道路関係とそれから一般の道路とのそういう関係がやっぱりあるんじゃないかな。ということは、やっぱり財投の入る高速道路関係などはどんどん進行して、一般道路の方は余り進まない、そういった数字を反映していると思います。 その反面、ふえている分野、これは先ほども例を出した経済協力です。これは二〇・七から三六・八にふえていますね。 そこで大臣、先ほど政策経費でふえた分はどこへ行ったのかという議論をちょっとしましたが、それとの対比でやっぱり住宅、中小企業、それから下水道、こういったところでは一般会計比率が減っているんですね。次長は意味ないと言うけれども、ちゃんと意味のある数字が出ておるんです。投資的な部分が入るところについては明らかに減っているんです。となりますと、やはりこれもひとつの民活なんでしょうかね。本来一般会計が負担すべき国民生活基盤のところがどうもそうなっていない。これが政府予算の一つの大きな特徴じゃないか、こう思うんですが、御答弁いかがでございますか。
○政府委員(斎藤次郎君) 例えば住宅について申し上げますと、いわゆる一般歳出、政策費の塊の中に占めます一般歳出の比率で申しますと五十三年が二・三が二・四と少し上がっている。それから下水道環境衛生で申しますと、五十三年の一般歳出に占める比率が二・九であったものが三・四にふえているということで、一般会計の中の構成比を見ますと、いわば生活関連の社会資本の油成比はふえておるわけでございます。片や財政投融資は、いわば住宅について申し上げれば、例えば住宅金融公庫に対する貸し付けが非常に需要が旺盛であったということでその融資先がふえているということでございますから、その結果、財政投融資の方の住宅が非常にふえたために一般会計との両方足したところを分母にした構成比が下がっているといっても、それはいわば時代の要請に見合ったものでございますから、それで生活関連の予算について一般会計の面倒見が少し悪いと言うのはやや意味がない議論ではないか、そういうぐあいに申し上げているわけでございます。
○近藤忠孝君 意味があるんですね。住宅で言いますと、住宅を例に出したから申しますと持ち家主義ですよ、その結果なんですね。やっぱり我々の言うとおり、安くて近いところへ公営住宅をもっともっと建てるというようなことが必要だろうというようなことを申し上げて、次に入ります。 問題は内需拡大策。これは政府の目玉でありますし、しかもその内需拡大の最大の目玉がNTT株売却収入一兆三千億円を使った公共事業や民活事業への無利子融資の拡大であります。問題はこれが国民生活に本当に役立っているのかどうか。そうでなくて、やっぱり大企業の利益の方に行ってしまっているのではないか、こういう問題であります。 そこで、これは時間の関係で端的に聞いてまいります。 例えばNTT株関係のCタイプ、これが実際昨年の補正の関係でどう使われたかと見てみますと、資料をもらいましたが、日本開発銀行関係で三十五億円、件数は全部で八件ですね。それから北海道東北開発公庫関係で全部で五件で九億円。四十億円ちょっとです。これは六十二年度補正では五百八億だったでしょう。ところがわずか四十何億。ところがまたことし、たくさんつけておるんですね。いわばある意味じゃもてあました、しかし民活だ民活だ、使いなさい使いなさい、こう言っているこの意味は何なのか。
○政府委員(斎藤次郎君) NTT株の活用法案につきましては、昨年当委員会で御審議をいただいたわけでございます。補正予算との関連で提出をいたしまして成立させていただいたわけでございまして、確かに初年度、補正予算に計上しました額は実績としては五十億弱ということでございます。ただ、このCタイプは地方公共団体の間でも大変に評価が高うございまして、この法案のCタイプを契機としまして民活法事業等の各事業のいわばプロジェクトの発掘が今活発に行われているわけでございます。 それで、このCタイプを実行しますまでには、民活法の場合でございますと、その地域指定とか特定施設の指定とかあるいは第三セクターをつくるとか、いろいろ設立準備に時間もかかります。それから具体的に、私どもも無償資金ではあっても償還をしていただかなきゃなりませんから、償還の可能性についてのチェックを開発銀行等が真剣に行うということもありまして、実績は非常に少のうございますけれども、今発掘されている事業は非常に豊富でございまして、大変に喜ばれている貸付事業だと私どもは考えております。したがいまして、六十三年度以降これは円滑に融資が行われていくんではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 今後大いに使われるだろう、私もそう思います。問題はどこへ使われるかということなんですよ。 そこで私は、具体的な事例として二つの問題、一つは東京駅周辺再開発計画と、あとは東京臨海部再開発、副都心計画ですね、この二つの関係で若干指摘をしてみたいと思います。 三菱地所がことし一月に丸の内再開発計画、マンハッタン計画なるものを発表しました。問題は、その中で容積率の上限を、現在九〇〇から一〇〇〇%ですが、それを二〇〇〇%にするということを主張し、かつ、そういう要求を実際しておるようですね。片や、これは国土庁などでつくっている東京駅周辺地区再開発調査報告などもあります。若干場所の違いはありとはいえ、ほぼ同じ場所に場じような計画。 そこでお聞きしたいのは、どうも中身の違いは容積率、国土庁などの方は大体一〇〇〇%の容積率ですが片方は二〇〇〇%、こういう状況、その辺が違うだけで、あとの中身はかなり似通ったものじゃないかというような感じがしますが、建設省はこういう二〇〇〇%になんという、こんな容積率の改定をよもや認めまいと思うがどうなのか。 それから将来、これが計画化されていった場合、大体Cタイプの対象になるんじゃないか。と同時に、こういう計画を進めるためには、例えば新規の社会資本の投資が大ざっぱな計算で約一兆三千六百億ぐらい必要じゃないか。人が集まり、となればいろいろな道路、上下水道、まあ都市機能ですね、パンクしちゃいますから、それに対する新しい社会資本投資、これは大体さっきのNTTのBタイプの対象になるんじゃないか、こう思うんですが、この辺についてそれぞれ簡潔に御答弁いただきたいと思います。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕
○説明員(近藤茂夫君) 今先生御指摘のございました三菱のマンハッタン計画でございますけれども、これはまだ実は構造の段階でございまして、私ども正式の協議を受けておりません。したがいましてコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども。 容積率の一般論でございますけれども、御案内のとおり、建築基準法上で用途地域の容積率、最高が一〇〇〇%ということになっております。ただ、これを特定街区という都市計画制度によりまして総合的、一体的に再開発する場合にはある程度の割り増しは可能になるというように考えております。
○近藤忠孝君 ある程度が問題でね、私は二〇〇〇%なんて、これはまさしく異常な状況だと思うんだけれども、そんなことはよもや認めまいと思うがどうかということが一つ。 それから、これはむしろ大蔵省になるんでしょうか、もしこういう事業がだんだん、まだ漠然とした計画のようですが、しかし国土庁も片や入って実際の計画などを進めていますから近々具体化してくると思うんです。そういう場合に、一つはCタイプになるのか。その関係で相当の社会資本投下がされますね、何しろ一兆三千億ぐらいの単位になりますから。この辺はやっぱりBタイプになるんだろうか。この辺どうですか。
○説明員(近藤茂夫君) 容積率の問題でございますけれども、この都市計画は東京都が決める都市計画でございますので、今の東京都の都市計画では今まで認められた例とすれば例えば二〇〇%程度の割り増しということになっております。
○政府委員(斎藤次郎君) 今建設省の方から御答弁がありましたけれども、建設省の方も伺っていないということで、まして私どもには全く情報も入っていないということで、何も伺っておりません。したがいまして、今後具体化するにつれて、それが一体Cタイプに該当するのか、公共性の高い事業であるのかというようなことをいろいろ勘案し、かつ、Bタイプは面開発に関連する道路とか下水道とかの公共施設の整備でございますから、それもそういう面開発として一体的緊急に整備を要するものかどうかというふうな判断をして、今後具体的に検討されるべき問題であるというぐあいに考えておりまして、今は全く白紙の状態でございます。
○近藤忠孝君 白紙とおっしゃるけど、実際にこういうものを考えておるし、こういう事業に本来国債償還に行かなきゃならない資金が回っていくことになるし、昨年の補正から見ますと余り使われてなかったけれども、今後こういうものがどんどん続発してくるとむしろ足りないくらいにもなっていくんじゃないかということで、問題はこういったところにこの資金が投じられるということをひとつ申し上げておきたいと思います。 次に、臨海部副都心開発計画であります。最近これが発表されました。相当大きな事業で総額四兆一千四百億ぐらいですね。 ただ、この計画ではその中身がはっきりしないんです。例えば広域交通基盤として一兆五千百億円、地域内都市基盤として四千九百億円、上物施設二兆一千億円。その中身が余りはっきりしないんですが、これははっきりしないものですか。
○説明員(鶴井哲夫君) 今先生がおっしゃいました数字は東京都の方でまとめられた数字じゃないかと思いますが、私ども国土庁の方で、関係省庁と推進協議会の方でまとめました数字では、大体広域根幹的な施設の整備が一兆二千億ぐらいではないか。それから上物も、これも住宅、業務施設等を含めまして大体八百ヘクタールから千ヘクタールぐらいの建物ができるんじゃないかというようなことで試算いたしますと、三兆五千億から四兆ぐらいになるんじゃないかということでございまして、その一兆二千億というのは、個別の施設につきましてはこれから地権者の方々ともいろいろ御相談していかなければならないものでございますので、精査する必要があると思っているところでございます。
○近藤忠孝君 次の問題は、例えばここで高速道路、約四千六百億ぐらいだと思いますが、その事業費の負担問題。それから一般道路についてその補助率、それから共同溝、区画整理、街路などの補助率、これを簡潔に答弁してください。
○説明員(伴襄君) 道路等に対します国費の補助率、投入率でございますけれども、道路によってかなり違いますが、例えば高速自動車国道事業につきましては、これは借入金に対する利子補給という形で行われておりますので、必ずしも当該年度の建設費と直接結びつく形で行われませんのですが、これを仮に国費の建設費に対する割合を試算しますと、六十二年度当初予算では七%となっております。そのほか一般の道路事業につきましては、例えば一般国道でございますと六二%、都道府県道で五五%、市町村道で五五%。お尋ねの共同溝は五〇%、街路は五五%と、大体五〇%を若干上回る数字になっております。
○近藤忠孝君 こういう事業が進んでいくについて、いろんなこれは予算の関係あるいは税制的な優遇措置がありますね。これにつきましては、国土庁の資料で「昭和六十一年四月の自民党民活調査会緊急提言に関する対応方針」、自民党に対する政府側の対応方針という文書がありますが、その中でいろんな予算要求それから税制の優遇措置の要求が出ています。これについてはどういう扱い、また実際どういうふうに実施されましたか。
○説明員(鶴井哲夫君) 対応方針の中に、事業を促進するものといたしまして芝浦港南地区の特定住宅市街地総合整備促進事業ほか八事業載っているわけでございますが、要求の総額が二千四億八百万ほどでございましたけれども、それぞれ所要の経費が計上されておりまして、二千百六十八億八百万計上されてございます。ただ、竹芝・日の出・芝浦埠頭再開発の促進のところに港湾の機能総合整備事業というのがございますが、これは開銀の全体の枠の中で運用が認められております。なお、金利の引き下げについては認められておりませんでした。 それから新交通システムの着手、準備というのがございますが、二億四千五百万の要求をしておりましたが、八千万予算が計上されております。それから開銀の出融資制度の新期要綱でございますが、これはいわゆる民活法の対象施設として認められておりまして、開銀の都市開発枠の中の大都市開発枠の中で運用することとなってございます。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 それから事業を建造するための調査でございますが、六調査ございまして三億六千四百万の要求でございましたけれども、新都市の拠点開発調査だけ計上されておりませんけれども、あと五調査は計上されておりまして、合計二億五千四百万でございました。
○近藤忠孝君 これが実施されて、この場所にもいろんな特定施設が設けられますね。これは大体第三セクターでずっと運営されていく。そしてこれが民活事業に指定されることになるわけですが、民活事業に指定されると、その特定施設の建設等に例えばNTT無利子融資あるいは低利融資、それから特別償却、そのほか固定資産税、不動産取得税、特別土地保有税等々と減免措置がございます。こういう減免分がどれくらいになるか、事前のレクの関係ではなかなかわからぬと申しますが、ある関係者が調査しますと都税の減免分で、この臨海部副都心ですが約三十二億円に上ると。こういう優遇措置がされますね。資金は低利でどんどん提供される、そして補助金は来る、そして減免されるという実態があります。 時間の関係であと問題点だけ指摘して、最後に大臣の答弁を求めますが、しかもそういう計画について、今いろんな委託調査がされております。これをずうっと述べていけばその実態が明らかになりますが、もう省略しますけれども、大体大企業関係のいろんな研究機関等がその委託調査を受けている。その委託費関係も相当な額に上るわけなんですね。 それで問題は、こういう至れり尽くせりの補助、融資、減免措置によってでき上がるものは、結局どんなものができ上がるのか。いろんな施設ができ上がりますけれども、住宅をとってみますと、とても庶民が住めるような住宅ができる気遣いはないんです。大体どう見たって二十何万から三十何万、場合によっては百万近くにもなってしまいます、そういう家賃。これは今までできた大川端その他の例ではっきりしておりますよね。となりますと、庶民が入れないようなものがここにできる。今予想されておるのは二十四時間動く国際金融都市東京というようなことで、全く庶民が寄りつけない。結局いろんな国民の資金、優遇措置の結果、大企業だけということになってしまうんではないか、こういう批判に対して大臣どうお答えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、国際金融都市等々ということを仰せになりまして、計画がどういうことになりますか、まだ定かではございませんけれども、そのようなことも一つの私は発想であろうと思うのでございます。それはやはり我が国全体の国際的な責任と申しますか、国際的な存在から当然そういうものが求められておると思うのでありまして、これは大企業とか中小企業とか庶民とかいうことというふうにお考えにならずに、我が国全体が世界から求められているもの、あるいは我が国全体が世界に対してなすべき貢献、そういうふうに私は考えていくべきであろうと思います。 もしそういうふうな受け入れ態勢をいたしておきませんと、どうしてもそういう機能はやはり我が国が果たすことを求められる、また果たさなければならないということになれば、それはそれこそ国民生活の他の部分へそれが圧迫材料になって出てくるわけでございますから、結局国民経済全体として見てそういう準備をしておくことは、これは国民全体の利益であるというふうに私は考えます。 なお、具体的にそういうふうなことをされるのかどうかということは今の段階ではっきり存じませんけれども、もしそういうことでありましたら、私はそういうふうな理解をいたします。
○近藤忠孝君 そのようにお考えになりませんようにとおっしゃいますけれども、やっぱり考えざるを得ないんですよね。この広大な地域に本当に普通の庶民が、例えば家賃で言うと五、六万で入れるようなそんな住宅ができる可能性があるのかどうか。今のところ極めて乏しいわけですね。 逆に一つの試算として、この地域に公営賃貸し住宅を建てたらどのぐらい建つのか、この臨海部副都心開発計画の用地の中から大臣が言ったテレポートやインテリジェントビル群など、こういうものは別に除いたとしまして。私はそういうものをつくることをここで今特に絶対反対と言っているわけじゃないけれども、そういうものを除いたとしましても、そのほかの土地に、これは練馬区の光が丘団地の例で同じ建て方をしたと仮に計算して、約一万三千戸の建設が可能なんですね。となりますと、今の東京の土地問題、住宅問題、一挙に解決するようなことになるので、これはやっぱり国政を預かる、しかも財政を預かる大臣として、貴重な金をそちらへ回す事業がそういう方向に行くことを指導し、そういう方向をむしろ推進すべきじゃないか。単に国際的要望だけで放置しておくと私が言ったようなことになってしまうんで、その辺について大臣としてのお考えをお聞きをして、時間が来ましたので終わりたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはやはり我が国がそのようなものをどうしても入り用であると、恐らくそうであろうと思われますが、そうでありましたらやっぱりそのための受け入れ態勢を整えておかなければならないのであって、それをしておかなければ東京都の他の部分がやはりそういうことに使われるということになるのでございましょうから、それなりの受け入れ態勢をしておくことは私は大切なことであると思います。
○栗林卓司君 財政再建の問題について二、三お尋ねをいたしたいと思います。 財政の対応力を回復させる必要性は今さら申し上げるまでもございません。そこで特例債の残高をさらに積み増しをすることは回避をしなければなりませんし、また定率繰り入れは早く再開をして国債管理政策の万全を期さなければなりませんし、そうなってまいりますと財政再建の当面の具体的な目標としては特例公債依存体質からどうやって脱却をするかという言葉に尽きると思うんです。 そこで、これはこういったことなんでありましょうかということでお尋ねしてまいるんですが、「中期的な財政事情の仮定計算例」という資料がつくられておりますけれども、そこの中で要約(B)―(イ)のをもとにして申し上げるんですが、一般歳出の伸びを五%にした場合、三%の場合、〇%の場合と三つに分けまして、〇%の場合に昭和六十五年度で要調整額をはじいてみますと、実は四千九百億の三角になっておりまして、要調整額は必要がないくらいの過度達成になっております。 したがって、一般歳出の伸びが〇%でずっといけるのかという不安感が、果たして六十五年度に特例公債依存体質から脱却できるかどうかということに関しての不安であったわけですけれども、おかげさまで昨今の税収が極めて好調なものですから、そうしますと仮に例えば一般歳出の伸びを五%と押さえまして、この仮定計算例の要約でいきますと、要調整額が二兆八千九百億と相なっておるんですが、一般歳出の伸びが五%というのは、実は六十三年度予算が対前年度比五%の伸びでありますから、大体その程度の努力をしていれば、あとは税収が好調なので当初予定した要調整額二兆八千九百億円程度は自然増収で結果として賄えることになるんではないか。そのようにして、六十五年度特例公債依存体質からの脱却という目標は手に届くところまで来た。まず、そのように考えてよろしいのでありましょうか。
○政府委員(斎藤次郎君) 今先生御指摘になりました数字はそのとおりでございます。 ただ、この仮定計算例はケースA、ケースBに分けておりますように、いろいろな場合を想定しまして機械的に税収その他の前提を置くと、確かに一般歳出を〇%で押さえれば結局、要調整額はそう少なくなる。一般歳出を五%で伸ばしていくと二兆八千九百億の要調整が出るということでございまして、実はこの前提はすべて一般歳出をどう置くかということで組み立てられております。 したがいまして、六十三年度で申しますと一般会計の伸びは四・八%でございますが、一般歳出の伸びだけで申しますと一・二%でございます。したがいまして、私どもは今後とも歳出削減の努力を続けていけば六十五年脱却について希望が持てるような、確かに税収増という意味もございまして、持てるようになったということを申し上げておるわけでございます。
○栗林卓司君 今、自然増収が相当な額に上ることが期待され、想像されておりますけれども、これは事前に確定的な議論をすることは不可能でありまして、それがどのぐらいになるかということはわかりませんけれども、この仮定計算例をつくったときに比べると歳入が相当拡大することが期待できる。それは結果として、一般歳出の伸びを五%にしたとしても、六十五年度特例債依存体質からの脱却ができるような、繰り返しますとまさに目標に手が届くような、そういう状態に相なったと考えたわけであります。 そこで私がお尋ねしたいのは何かといいますと、間違っていたら間違いだとおっしゃってください、仮に六十五年度で特例公債依存体質から脱却ができそうだとなった場合に、その先の財政再建の目標というのは一体何なんだろうか。当面のところ特例公債を発行しなくても済むような財政体質をつくろうということは、まさに焦眉の急でありました。それに手が届くということになったら、次の目標は何か。これは言うまでもなく残高をどうやって縮減するかという本来の目標が目の前に出てくるのだろうと思うんです。 そこで、六十五年度特例債依存体質から一応脱却の見通しが立ったということをまず踏んまえまして、ではその次の具体的な財政再建の目標として、公債発行残高の縮減をどのような目標を持って、また手段をもって進めておいでになるのか、実はこれをお尋ねしたかったんです。 もう少し質問をかみ砕いてまいりますと、一般歳出の伸び五%というのは、本年度予算が対前年度比四・八%の伸びですから大体本年度予算並みということになりますけれども、依然としてこの仮定計算例をつくったときの悲壮な気持ちに舞い戻って、やっぱり〇%の伸びで頑張るか、仮にそれができた場合には、それは税収の好調と相まって相当の自然増収が期待できるわけでありまして、これは予算繰り入れあるいは定率繰り入れを十二分に可能にする額でありまして、そういう道をたどって残高の縮減をなさるのでございましょうか。あるいは全く別な角度から残額を思い切って縮減するという方策をおとりになるんでしょうか。この点をぜひ教えていただきたいと思います。
○政府委員(斎藤次郎君) 実は、六十五年脱却という筋道について希望を持つに至ったと申しておりますけれども、この中期展望の税収を前提にします限り、一般歳出の伸びは、実は五%では先ほど御指摘のように要調整額が起きているものですから、六十五年脱却のためには今後一%をかなり下回る伸びで一般歳出を抑えないと脱却できないということになっております。 したがいまして私どもとしましては、まず当面、六十五年度の新規の特例債発行をゼロにするという目標に向けて、来年度も再来年度も歳出削減に懸命に努力をしなければならぬということで考えているわけでございます。その後、六十六年度以降につきましては、確かに今おっしゃいましたようにいわば国債費が一般会計の二割を占めるという状況で、そのためには何よりも残高を落としていくということでございますが、そのためには新規の公債発行をどうするか。公債依存度を行革審の答申では、特例公債依存体質から脱却した後は、中期的にはまず公債依存度を下げていけということを言っております。これは、当然のことながら残高の増加に歯どめをかけていくという趣旨であろうかと思います。したがいまして私どもとしては、中期的には何とか公債依存度を下げ、残高もなるべく減らしていくというための努力をしたいと考えておるわけでございますけれども、何よりもまず六十五年脱却してということでございまして、その後具体的にそれをどう減らしていくかとか、依存度をどうするかということについて、まだ省内でも具体的な議論をしていないという状況であることを御理解いただきたいと思います。
○栗林卓司君 多少これは、なたでぶち割るような精度の粗い議論しかできない分野でありますけれども、やはりきちんと方向を合わせた議論をしておくことは決してむだではないと思うんです。 そこで大臣にお尋ねをするんですが、具体的に残高縮減の目標を、六十三年度末は百五十九兆前後でありますから、それを幾らにするかという数字でお尋ねしてもこれはお答えは無理でありましょうけれども、アプローチの方法について御存念をぜひ教えていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまいろいろ栗林委員が御自分でお考えになりながらおっしゃいましたことは、実は私どもがしょっちゅう反復して考えていることそのものでございますので、まさに問題の焦点をついておられるわけであります。ここのところまでは税収が好調でございますが、かなりやや異常に好調でございますので、これから後の税収がどういうことになるだろうかということもやはり一つ考えておかなければなりませんし、政治でございますから、各党でいろいろ御議論になっておられますと、私どもの立場で申しますと、やっぱり悪い場合と申しますか、きつい場合も考えておかなきゃならないとしますと、ある程度の減税が先行することはもしかしたらあるかもしれないといったようなことも、これは立場としては考えることがございます。 そういったような先々のいろいろな要素を考えてまいりますと、何とか一般歳出が、六十三年度は一・二でございますけれども、ここはやっぱりかなり厳しくしながら、状況をどういう場合でも対応できるようにしておかなきゃならぬというふうな気持ちを持っておりまして、その上で六十五年度には特例公債をゼロにいたしたい、こう思っておるわけでございます。 そこで、それから後も現在高をふやさないようにということでございますが、さて、それならば建設公債をどうするのかという問題がございます。これはそれなりの、特例公債と違いまして意味を持っておるものでございますから、むげに悪いとも申せないが、しかしそれが現在高をふやすことは間違いない。他方で金利が相当ここのところは低落しておりますので、その面から国債費を下げていく可能性はございます。借りかえ等々もございますから、その点はあるといったようなことで六十五年度に仮に脱却いたしました後、財政再建の目標というものをどこに置くべきか。 けさほどから御議論があるとおり、例えば一つは従来からのいわば後年度に残しました負担が先ほども御議論がございましたように十一兆とか十二兆とかございます。あるいは国鉄の清算事業団といったようなものもございます。あれこれ考えますと、どういうことを次の財政再建の目標としておくべきかというのは、よほど省内ばかりでなく政府部内で議論を詰めていかなければならない問題だと思っておりますが、実はまだそれを始めておりません。もう少し具体的に、六十五年度にいよいよ特例公債がゼロにできるというようなめどが立ちました段階で、ひとつそれはぜひ次の目標をどこに置くべきかを考えなければならないと思っておりますが、私どもが今自問自答しておりますようなことを、ただいままさに栗林委員が御指摘になったと思っておるわけでございます。
○栗林卓司君 公債の発行、金利の問題もやや市中金利に比べますと割高な金利で、かつて発行したものがそのままになっておるものですから、あれを何とか安くできないかという議論がよく出るんですが、考えてみると現金償還をしてかえていくしか手がない。そうすることは定率繰り入れと予算繰り入れを一生懸命やるしか道がないんですね。そうすると、自然増収の使い道について我々はきちんとした節度を持って、これを財政法の規定どおり半分は予算繰り入れに回すとか、それは目の前にそれだけの自然増収があるからといって手っ取り早く使う方に気持ちが動いてしまうことは厳に避けるべきだと思うんですけれども、ただ、そうやって一般歳出の対前年度の伸び率を一%もしくは以下に抑えながらということも確かに一つの方法なんですが、全くそれとは別な角度で、というのはNTTの株の売却ということがなかった時代には歳出の対前年度の伸び率をどうやって抑えるかということが議論の中心だったんです。 ところがNTTの場合、味をしめているわけではありませんけれども、なるほどああいった道もあったのかということは一つの学ぶべき経験だったような気がするんです。片一方では、公債の発行残高としてはカウントはしておりますけれども、事実上は同じ性質の債務累積として国鉄の累積債務もあるわけでありますから、そうすると資産の処分というその道筋からの残高の縮減ということは、やはり積極的に考えられていいのではないんだろうかという点についてはいかがお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは言われますように、国鉄のようにあるいは電電のように民有化が可能になりまして、そしてその株式を処分できるということになりますれば、財政としては非常に恩恵を受ける。ただ、どれだけのものが民有化でき、どれだけのものができないかという問題は別途考えなければなりませんけれども、基本的にはやはりそういう方向でできるものはやっていきたいと考えております。
○栗林卓司君 私がこうやってお尋ねをしております気持ちをもう少し申し上げますと、一般歳出の対前年度の伸びを大体このぐらいに抑えたということが議論の前提になっておりますけれども、一般歳出の伸びを抑えるということが果たして現実的な判断の前提なんだろうかという点なんです。アメリカのヘゲモニーの低下はだれの目にも明らかでありますし、そうしますと日本の今日の経済的な地位、役割としますと、日本が不承不承ではなくて、むしろ積極的に負担をしておくべき費用というのはふえることはあっても減ることはないんではないかと考えますと、対前年度伸び率、一%ですか、それをなるべく低い水準に抑えてという前提そのものが今我々は成り立たないような時代でこの日本という国家を運営しているのではないんだろうか。 それは開発協力基金もそうですし、防衛分担金もそうでしょう。よく言われる国際公共財の維持、発展のために日本は一体何がしかのものを負担することになるか、これも考えていかなければならない課題だと思うんです。それで、そういったものを負担してまいりますと、なるほどこの仮定計算例では六十五年、税収の好調もあって脱却となっておりますけれども、さあその先の展望も含めて、この仮定計算例が踏まえていた時代の延長線上で将来図が書けるんだろうかと私は不安をどうしても持つんです。今この議論をきちんとしておくことが、この議論についての国民の合意を固めておくことが我が国の将来にとって非常に大切ではないかとしみじみ思うんですけれどもね。 そうすると、では我々はその費用負担は避けるわけにいかないといたしますと、その財源をどこから持ってくるんだろう。もう一つは、財政の対応力を回復するということの持っている国民的利益から考えましても、後世代に対して大変なツケを残してしまったわけですから、それに対しても後世代の国民から見れば、何たることを先輩はしでかしたかということだろうと思うんですね。そうすると財政再建のために、まさに今の現役にしかるべき負担を求めるというのも決して間違っていない。 そうしてまいりますと、直間比率とかあるいは減税の恒久財源とか、何かちびた話ばっかりやっている。そんなちびた範囲で税制の抜本改革ということが議論されていいんだろうか。そんな議論をどこまで進めていきましても、じゃわかったと、じゃ新税賦課してよろしいという議論にはとてもならない。したがってそういった意味では、今大蔵当局にとって必要なのは私が申し上げたような、別に目新しいことを申し上げたわけではありません、こうしたものについて率直な展望と方策を国民に示すことではないんだろうかと思いますが、御所見いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政の将来についていろいろ御心配をいただいておりますことは、財政当局としてはまことにありがたいことでございます。国民にもそのことは決してわかっていただけないわけではないと思いますけれども、なかなか国の財政の赤字というようなものは、我が国が非常な危機にでも陥りますと別でございますけれども、国民の毎日の関心は必ずしもそういうところにはないとつくづく考えさせられましたのは、前回のアメリカの大統領選挙において、このことをアメリカ国じゅう訴えてまいりましたモンデール大統領候補が全く国民的な関心を呼ばなかったということにあらわれておりますように、なかなかそれを正面に立てて国民に訴えるということが必ずしも簡単なことでないということもございまして、私どももいろいろな形で問題をできるだけ国民にわかっていただいて、そうして抜本改正にいたしましてもひとつ御理解をいただきたいと思っておるところでございますが、なおただいまのお話は大変に示唆に富んだものとして承りました。
○栗林卓司君 結構です。
○野末陳平君 きょうの大臣のお答えの中で、減収になっては困るんだということをはっきりおっしゃいまして、それから減税が仮に先行することがあるとして、この財源と抜本改革を考えてみますと、ことしの減税は自然増収に見合う程度の幅だ、規模だ。こういうことに落ちつくんじゃないかと解釈したんですけれども、そういうことでいいですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 必ずしもさように申したわけでもございませんでした。と申しますのは、自然増収とおっしゃいましても、くどいようでございますけれども、まずそれから予定の特例債の発行額をできれば全部引いてしまいたいわけでございます。私は六十二年度のことを申し上げますが、それでよろしゅうございますね。六十二年度で一兆一千二百億円特例公債がございますんで、まず自然増収分のうち地方に行く分が三二%ございますか、それから残りがありまして特例債をそこから引いていくということがございますので、自然増収の額そのものが利用し得る財源になるとは必ずしも申し上げられない点がございます。 また全然他の面で申しますと、これは各党で今御議論中でございますので私どもはあれこれ申し上げにくいことでございますけれども、そういうふうな帰趨がどうなるかということもございまして、私どもとしてはどういう場合でも全体の抜本改正との関連におきまして考えさせていただきたいということだけはぜひお願いしたいと思っておるところでございます。
○野末陳平君 そうしますと、その抜本改正ですけれども、もちろん具体的なことはわからないところが多いんですが、税調の中間答申などを見て想像するところ、前回六十二年、六十三年、二回に分けて着地点を求めて、結果的には中途半端で終わりましたけれども、あれと同じように一年でやることは到底無理で、やはり二年とか三年とかにわたって抜本改革が着地点に行く、こういうことになるんでしょうね、多分。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、これからの私どもの党内の税調のいろいろ議論、それから政府税調のお考えにもよることでございますけれども、仮に新しい消費税といったようなものをやらせていただくとしますと、準備に多少の時間がかかるということはもう物理的に事実であろうと思います。
○野末陳平君 じゃ、この消費税というか新型間接税というか、それを抜きにしますと、あるだけの財源でとりあえず細切れの減税をやらざるを得ない、こういうケースも考えられるということですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、六十二年度の自然増収がわかりませんし、全体としてどのような抜本改正案が御提案できるかもわかりませんので、今のことについて的確にはお答えすることができませんけれども、全体の改革案そのものの姿がはっきりいたしました上では、その中で多少先行するもの、遅行するもの、いろいろあるだろうということは予想できることだと思います。
○野末陳平君 先行するというのはよく聞くけれども、遅行するというのもおもしろい表現だと思うんですけれども、それは考えようによっては非常に細切れで中途半端で、減税を受ける立場からいうと何か実感に乏しいという、前回の反省があるならば、そこのところ非常に気になるんです。僕はもう前から言うように、抜本改正でもって間接税もきちっとその中に入れてやらなきゃいけないという立場なんですけれども、しかし前回ああいうことになりまして、あのときは売上税ですね、あれがなくなりました結果、減税は確かはあったけれども半分程度のものでしたね。そうすると、あれは小幅で何だこんなものだというんで、逆に失望感をあおって大してプラスがなかったんですね、やるにはやっても。 今回も、大臣の構想の中では、抜本改正という形が見えた中で二段階に分けるとかそういう減税ですか、あるいは間接税がずっと先から実施されるとして、そこでは恒久財源になるでしょうけれども、それまでのつなぎは増収分とかそんなところで間に合わせるわけでしょう。そういう細切れをやっていいかどうか非常に疑問なんですよ。どうせやるなら一挙にぱっとやった方がわかりいいんじゃないか、少々の無理はあっても。はっきり言えば、間接税にこだわる余り、抜本改正の中の減税部分を何段階かに分けてしまうということは効果も薄いし、余りにも財源との兼ね合いを考え過ぎた結果、何か僕としてはどうかなという気がするんですけれども、でもやむを得ないですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと仮定の問題になってまいりますので的確に申し上げることはできないわけでございますけれども、例えば先ほどから御議論になっております、昭和六十五年度には特例公債を私どもはやめてしまいたいと思っておるわけでございますけれども、そのことの意味は、六十四年度には少なくとも一兆五、六千億円のものを落とさなきゃならないということでございますので、そうでありませんと最終年次ゼロになりません。そういったようなことも、先のことをあれこれ考えるのは私どもの務めなものでございますので、考えたりいたしますと、ただいまのようなことにもう一つ明快なお答えができないので残念に存じますけれども、そういういろんな要素があるということも考えております。
○野末陳平君 大蔵省の今までのずっとやってきた考え方、やり方からいえばそうなんでしょうけれども、いつもそういう手がたい考え方だけでどうかなと思っているんですよ。 別な角度から同じことを聞きますと、間接税がどういう形になりますか、今税調答申の一番有力であるような形で実施されるとしまして、あれ税率を一%ぐらいとしたらどのぐらいになるんですか。これはどなたでもいいんですけれども、大ざっぱに言って。
○政府委員(水野勝君) 今回の税制調査会でいろいろ御議論をいただいた段階におきまして、仮にEC型と申しますか、付加価値税タイプということになりました場合の課税対象額は約百八十兆であるというふうな試算が示されてございます。したがいまして、一%ですと一・八兆円ということになりますが、これはまだ全くの一つの大ざっぱな数字でございます。例えば免税点でございますとか非課税の範囲でございますとか、そこらは全く議論されてない段階のいわば丸い数字でございますので、それが今後の御議論の対象になり得るものかどうかわかりませんが、そういう数字がございました。
○野末陳平君 まさにこれからの議論の部分なんですけれども、今の免税点、非課税、それから当然現行物品税をどうするかということも関係してくるでしょうから。 そこでお聞きするんですけれども、どうなんでしょうかね、一%で一兆八千億と単純に今おっしゃいましたけれども、総理がおっしゃるようないわゆる弱者救済という立場で、あるいは税調の会長も言っておりますけれども、例えば食料品とか医療のようなものを非課税品目にしたらという、これも確かに一理ある考え方だと思いますけれども、もし食料品あるいは医療、医療をどの程度まで非課税とするか微妙なところですが、大ざっぱにこの二つだけでも非課税だというふうに判断すると、これはどのぐらい落ちるんですか、一%の計算で。これもアバウトでもちろんいいんですけれどもね。
○政府委員(水野勝君) 今回の中間答申によりますと、基本的には非課税はない方がいいというふうな考え方になってございますので、そうした方向に沿っての検討でございましたので、ただいま御提示のようなことにつきまして個別的な検討は現時点ではまだなされていないところでございます。
○野末陳平君 いや、それはちょっと困るんですけれども。税調の会長などは個人的意見と言いながら、そういう僕が今お聞きしたようなことを言っているわけですから、大蔵省でもある程度の見当はつくんじゃないかと思って。別に正確な数字をというんじゃないんですよ。総理が六つか七つの懸念のことをしきりにおっしゃいましたから、その一つとして当然考えられる食料品の非課税を認めればどうなるんだろう、そんなに変わらないんじゃないかという気がしたものでお聞きしているんですけれどもね。
○政府委員(水野勝君) 総理の申された懸念、その緩和策と申しますか、それにつきましても税制上、その税の中で、あるいは他の税により、あるいは歳出によって緩和する方法、いろいろ示唆されるところでございますので、そうした税の中での試算だけということになりますとそこは一つの割り切りになりますので、なかなか難しいところでございます。 ただ、前回の売上税をとりまして申し上げれば、食料品につきましては約二十兆円近いものが非課税の範囲とされたところでございますし、医療につきまして申し上げればおおむね八兆円程度のものが非課税の対象となったというふうな計算がございますが、これは廃案になった前回の例でございます。
○野末陳平君 そうしますと大臣、これは仮に食料品と医療、今二十兆と八兆とこう出ましたが、これをいわゆる低所得者あるいは老人とか、そういう減税の恩恵を受けないところの人たちへの間接税負担を軽減するために、これを非課税にしたとするでしょう。そんなに効果があるということになりますかね、末端の負担で。 僕が一つ考えているのは、食料品と医療はまさにヨーロッパの国国も非課税のところが圧倒的ですからね、非課税はいいなと思うんですけれども、これを非課税にするのが結果的に弱者にとっては一種の救済措置になるんだということはなかなか考えにくいんですよね。つまり、これは弱者も何も関係なく当然非課税になるんだというならわかるんですけれども、その辺でどうかなというのでお聞きしているわけなんですけれども、大臣、どうなんでしょうね。
○国務大臣(宮澤喜一君) その辺は小倉会長が簡素ということと公平でございますか、公平というのか存じませんが、そういうことは必ずしも一緒にならないんだということをいわば嘆いて言っておられたことがございます。 今回の中間答申が原則としてやっぱり一律、例外は考えない方がいいと言われておるのは私はごもっともなお考えではなかろうかと思っております。
○野末陳平君 それから物品税なんですけれども、現行の物品税も当然間接税の中に吸収されなければいけないんで、品物によって少し時間がかかるのもあるかもしれませんですが、この物品税も残したり残さなかったりとか、物によっていろいろ変えるなんということをやっちゃうと、またここでおかしくなるでしょう。ですから非課税もはっきり言ってなしで、例外なく一律に課税というのが一番いいと思いますし、それから物品税などもやはりもうほとんどがなしと、もし残すものがあればそれはだれが見ても当然だなと思えるものにしないとだめで、この辺もきちっとこの際一挙に整理した方がいいと思うんですけれども、これは当局はどういうふうな考え方を持っていますか。
○政府委員(水野勝君) せっかくの間接税の改革でございますから、委員御指摘のような方向ですっきりするのが理想的な姿ではないかと思います。ただ、この点につきましては中間答申は、「原則として、新消費税に吸収することが適当である」とされつつも、「新消費税の税率水準が低い場合には、現在、ある程度高い負担を求めている一定の物品については、高めの税率を適用するか、あるいは、新消費税のほかに特別な負担を求めることも、暫定的な対応として考慮すべきであるとの意見もあった。」、このような付言をされているところでございます。
○野末陳平君 僕もそこのところで非常に考え込んじゃったんですけれども、低い税率というのはどのくらいを言っているのですかね。これは新聞などで見る範囲ですから、僕は五%が当然だと思うんで、初めから五%で行くべきだと思うんですが、低いということは恐らくこれよりも低いということを想定しているんだと思うんですね、答申では。その低いのは二とか三じゃないかと思うんですが、そういう半端なことをやってまた物品税を残したりとかいうのはいいですかね。それで抜本改正だというと、またまた後に、もう近い将来にまた手直しをしなければならない、間接税そのものを。非常に手間がかかるし、わかりにくいし、結果的には好ましくない形になると思うんですけれども、どうですか。
○政府委員(水野勝君) 委員御指摘のとおりであろうかと思います。新しい間接税をお願いをするとすれば、極力簡素なものにいたしましたとしても何がしかの事務面でのコスト、納税当局側の事務手数等も要するところでございますから、そういうことであればある程度の水準のものをお願いをする、また円滑な転嫁という観点からいたしましてもある程度の高い水準の税率がいいという考え方があるわけでございます。ただ、この点につきましては中間答申も、そういう一方で、「広く薄くという観点からはできるだけ低い水準にとどめることが望ましいという意見も」あったということを付言されておるところでございます。 先ほど申し上げたような新たな仕組みを特に新しくお願いをするという点、転嫁のためには相応のものの方がむしろという観点から、前回は五%ということを御提案申し上げたところでございました。
○野末陳平君 これは難しいですね、ある程度の水準と言ってみたり、低い方が望ましいと言ってみたり。じゃ、三と五はそんなに差があるのか、三%の税率と五%の税率はね。その辺はどういうふうにとりますかね。低い方が受け入れられやすいなんて単純に考えていいかどうか、微妙だと思いますね。 こんな話をしたって切りがないんだけれども、それでちょっと大臣にお伺いしますけれども、僕はもう五%の税率でいい。ただし、どういう形のものになるか、いつからやるか、そういうことについては全く具体的に考えてはいないんですけれども、とにかく新しい消費税、新型間接税、どういう名称でもいいですが、五%の消費にかかる税金、これは仮に生活費が二十万円としたら一万円の新しい負担ですね。これはどうでしょう、かなり今の国民にとってきついと思われるか、このぐらいはいいんではないかと思われるか、その辺どうですか。 仮にこれを三%にしたら、またそこでちょっと違いますね。その辺でもって、何も三%と五%を比較しろという意味ではないんですけれども、消費にかかる五%の新たな負担が今の国民生活にかなりきついんでしょうか、それともこのぐらいは耐えてもらえるんだろうか、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは減税と、それから今いろいろお話のございます物品税などの間接税が吸収されるとか、そういったような吸収されるもの等々を計算してまいる必要がございますので、そういうことで減税まで考えましてネットということになれば、それはネットとしては増税にならないはずであると一般論として申し上げても間違いないと思いますけれども、いやもう減税した上にこれがなきゃもっとよかったろうというお話は別といたしまして、ネットといたしましてはネットの負担にならないというふうに原則的には考えていいんじゃないかと思います。
○野末陳平君 まさにそのとおりだと思いますね、つまりネットでむしろおつりがくるだろうと。ただし、それは生活のやり方によって違いますから一律にそんなことは言えませんけれども、僕は五%の負担が耐えられないということはあり得ないと思うぐらいに、現実のいろいろなレベルを見ていますと痛感するんです。 ただ一つ問題は、やはり老人世帯ですね、あるいは定年後のサラリーマン世帯、そこは今の大臣のお考えあるいは僕自身の考えたとおりには当てはまらないような気がして、そこは一つ不安なんですね。つまり、弱者という言葉をそんなに安易に使いたくはないんですけれども、いわゆる年金を中心として生活設計をしている六十ないしは六十五、あるいは七十歳以上の老人世帯というのは、やはり五%の新しい消費税負担というのはちょっとマイナスになるんじゃないかと思いますね。というのは、大臣がおっしゃるように物品税が下がりました、減税もこちらでありますと言ったって、この世帯は余りそういうものも買いませんからね。ですから、ネットでここらが一番救済すべき対象かなと思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そうかもしれません。
○野末陳平君 ですから、これは当然大蔵省がきちんとした数字を早く出して理解を求めなきゃいけないと思うんですけれども、少なくもここは、そうかもじゃなくて、まさに赤字だと思いますね、五%は。じゃ三%ならいいかというと、今度は広く薄く負担してもらうという新しい時代にふさわしい納税意識といいますか、それにもマッチしてこなくなるから、僕はやはりここら辺は基礎年金を上げる以外に手がないかなという気がするんですね。 基礎年金を上げるということになりますと相当な財源を要しますが、やはりこれがまさに間接税を新規に導入することによって可能なんですね、初めて。だから、いつからとは言いませんけれども、やはり基礎年金を上げるという方針を同時に打ち出していくことも大切だ。 ただしその場合、どのくらい上げるか、いつから上げるかということになりますと、いわゆる十年、二十年後の国民の負担率の推移なども見ながら、どのくらいお金が福祉にかかるかということをきちっとベースにしておかなきゃなりませんから、これは微妙ですが、少なくも考え方としては、今の四十年五万円の基礎年金を五千円なり一万円なりとにかく上げるという、その方針を早く打ち出さないと老人世帯はおびえると思いますがね。これは僕の感じなんですけれども、そういうことはお考えになったことありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 多分、野末委員が御質問になったことの意味は、そういうことをどこかにお考えになりながらおっしゃったんであろうと私初めから伺っておりました。 問題は大変大事な問題でございますので、今何とも申し上げかねますけれども、御発言のことはよく私ども銘記をいたしておきます。
○野末陳平君 財源のつじつま合わせとか、それから従来の税制の手直し手直しということで今度の抜本改正に取り組むと非常に失敗する危険性があると思います。ですから、ちょっと二、三気になる点をお話ししているんですけれども、ただ全然具体的になってこないから、こうやって意見を聞いていただいているという感じで。具体的なものを見せてもらえばもっといろいろ言いたいこともできてくると思うんですが、それが非常に残念で、そういう場ができないうちに恐らく法案ができてくるんでしょうから。 いろんな意見があるんですが、少なくもネットで増税にならないという人が大多数であるかもしれないけれども、しかし今言った老人世帯を中心として、母子家庭なども多分そうでしょう、やはりネットで赤字になると思うんです。これは間違いないところだと思うんですよ。そこを救うのに、さっき言った非課税を食料品と医療にしますよというのは僕はおかしいと思うし、それではとても救えないと思うんです。その点だけは再度検討していただく課題としてお願いしておきましょう。 それからもう一つだけちょっと気になることをお聞きしますけれども、相続税の減税も、僕も前からあれこれ言っておりまして、かなり煮詰まっているような感じを新聞などから受けるんですけれども、これも一つだけ心配は、本来大都市、その周辺の地価高騰による突如たる相続税負担を救うために、一般の庶民レベルのマイホーム所有者、そういうところを救うためという意図から相続税の改正が急がれるという雰囲気になったと思うんです。 それは大臣も、相続税のために庶民が家を売らなければならないという事態はよくないなどとおっしゃいまして、それはレアケースにしても、少なくもこの答申などを見ると、最近の地価高騰による相続税の負担を軽減するためにというので、改正の意図はいいんですけれども、結果的に路線価が去年からことしにかけて十割近く上がったところも当然ありますし、大体平均しても六割から七割上がっています。 そうすると、ことしでも既に、ことしの相続も都市部においてはそれほどの恩恵にならないんですよね。仮に基礎控除を倍にして、 あと税率を幾らか直したり、その他小規模宅地の特例などもいろいろ配慮を加えたとしても、ことしでもそれほどの実質的な減税にならないんですね、都市部では。来年からはもう全然ならないんです、また路線価が上がりますから。ただ来年はことしほど上がらないと思いますけれども。 だから、それを考えますと、一番相続税の打撃を受ける大都市中心の人たちを救うために考えたこの改正案が、結果的にはその人たちに余り恩恵を与えず、むしろ地方の路線価がほとんど上がっていないところの資産家は非常に恩恵を受けますから、何かこの相続税も、僕もわいわい騒いでやった割に、結果的にだれが喜ぶのかといったら実質的恩恵は余りないような気がするんです、特に一番不安になっている人には。そういう事実についてはどういう感触で大蔵省は受けとめていますか。
○政府委員(水野勝君) 具体的には今後、課税最低限、基礎控除その他一人当たりの控除をどの程度にするかということで、今後具体的に姿が出てまいるかと思うんでございますが、ただ、地価が急激に高騰したからその救済をという点からいたしますと、確かにそういう点はあるかもしれませんが、その急騰した後の状態として考えれば、やっぱりそれは地方の土地と都心の土地とではそれだけ経済的な差異がある。 それだけやはり都会の土地はそれぞれの便益性なり何なりからすれば価値があるわけでございますから、そこを地域的に区分して制度を仕組むということは、これはいかがか。そうしますと、都心地の土地を中心とした資産が相続税上優遇されるということになりますから、やはり制度としてはもう当然のことながら一律的に考えるということではないかと思うわけでございます。 昭和五十年以来動かしておりませんので、納税者比率は非常に高くなっているということを申し上げておりますが、その五十年のときに、例えばその当時では納税者比率は全国は二・一でございましたが、東京国税局ですとそれは四・八ぐらいになっている。それが一番低い国税局ですと〇・三%ぐらいですから、そこはもうその時点その時点でも当然そういう結果になっておりますので、地域的に損得ということは、それが経済的価値を基準とする以上はやむを得ない。それはまた従来からそういう傾向になっているということで御理解をいただけるのではないかと思います。 ただ、一つ二百平米という住宅地の軽減措置がございます。この軽減措置、特例措置によりましてただいまの御指摘の問題が対処される面もあろうかと思いますが、これをまた徹底いたしますと、土地を持っている人とそうでない人とが同じ都心部でもアンバランスが起こるということもございますので、現在の三割という控除減額割合がいいのかどうかという点もあわせ、また他の資産の保有者とのバランスも考えて具体的に検討しなければならない問題であるというふうに考えております。
○野末陳平君 相続税の場合は、地域的な制限は加えられないし、全国一律が当然だと思うんですけれども、それにしてもこの鳴り物入りの減税が結果的には、もっとも相続はきょう発生するとかあす発生するわけじゃないから実感としてどこまでわかってもらえるかは別ですけれども、どうも結果的ほは主税局長の言う経済効果のないところの土地とあるところの土地の差だというけれども、そうかなと。じゃ、居住しているだけでもって何の経済効果も発生しないような人たちはどうなんだとこういうふうになるから、やはり今の答弁の中で強いて言うならば、例の二百平米の評価の軽減を重点的に考えれば今僕の言っている懸念はやや和らぐかなと思ったりするんですね。 いずれにしても、これも非常に難しいのでひとつ、かなり骨格は固まっているだろうとは思うんですけれども、相続税に一番不安を感じ、おびえているような層はどこか。そこが喜ばないような減税をやってもしようがないじゃないかなと。そこのところに相当な配慮を加えてまとめてもらいたいなと、こう思うんですけれど、これはお願いというか注文というか、それだけ言って終わりにします。
○委員長(村上正邦君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時四十四分散会