大蔵委員会 第9号
- 発言数
- 288 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1988/03/31
会議録
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行を議題といたします。 この際、御報告いたします。 理事会で協議いたしました結果、年度末の日切れ法案審査のため、二十八日の審査をもって本件の審査を終了することとなりました。 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(村上正邦君) 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案は既に質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。 討論のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。 第一に、本案による関税の引き下げは、我が国が自主的に決定したものではなく、アメリカなど欧米の不当な要求に屈して決定されたものであります。チョコレートは日米貿易摩擦のたびに取り上げられ、前回は昭和五十八年に三一・九%から二〇%へと、東京ラウンドの譲許税率である三〇%を大幅に下回る引き下げを行ったばかりです。それをアメリカの要求により、今回さらに一〇%引き下げ、一〇%とするわけであります。EC関連七十品目の関税引き下げについても、ガット上も全く不必要な一方的な譲歩です。このような自主性を失った関税の相次ぐ引き下げは、今後に大きな問題を残すものであります。 第二に、特恵関税制度のあり方についてであります。特恵関税制度は発展途上国に対する経済協力の一つとして重要なものですが、現状は適用対象が韓国、台湾などに偏っていること、我が国などからの進出企業が専らこれを利用している問題など、多くの問題を抱えています。殊に、韓国など既に相当な経済力のある国に対してまで適用を続けることについては大いに疑問のあるところであり、現にアメリカは来年一月から韓国などいわゆるアジアNICS四カ国に対して特恵関税の供与を停止することを決定しているのです。このような国際環境の中で我が国だけが無条件にこれを拡大することは問題が大きいと言わなければなりません。 第三に、加工再輸入制度の大幅拡大についてであります。本制度は我が国企業が製造工程の一部 を相対的にコストの低い海外に移し、製品を逆輸入するという企業行動に関税上のインセンティブを与えようというものであります。これによって我が国大企業はますます生産拠点を海外に移し、また、逆輸入された製品が日本市場を支配することなどによって、中小企業に多大の影響を与え、日本経済の空洞化を一層深刻にすることが明らかであります。 最後に、関税の減税、還付制度の延長についてであります。本制度は「国際競争力を強化するため」との理由から、石油化学などの大企業に対して原重油関税を還付するというものであり、いわば特権的減免税の関税版であります。他国に抜きん出た我が国の強い国際競争力が深刻な貿易摩擦を引き起こしているとき、本制度が何の見直しもなく温存されることは、極めて問題だと言わざるを得ないのであります。 以上述べた理由によって、本案には断固反対するものであります。
○委員長(村上正邦君) これにて討論は終局したものと認めます。 ─────────────
○委員長(村上正邦君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、坪井一宇君が委員を辞任され、その補欠として木宮和彦君が選任されました。 ─────────────
○委員長(村上正邦君) これより関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(村上正邦君) 多数と認めます。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、志苫裕君から発言を求められておりますので、これを許します。志苫裕君。
○志苫裕君 私は、ただいま可決されました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブ・税金党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読します。 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 世界的な対外不均衡等を背景とした保護主義的動きと世界経済における我が国の立場にかんがみ、国際的協調特にガット・ウルグァイラウンドの積極的推進、開発途上国への協力等を通じ、自由貿易体制の維持・強化、世界経済の安定的成長に引き続き貢献し得るよう努めること。 一 関税率の引下げに当たっては、国内産業への影響に配慮し、特に農林水産業、中小企業の体質の改善を併せ考えるとともに、調和ある対外経済関係の強化及び国民生活の安定に寄与するよう努めること。 一 輸出入貿易量及び出入国者数の伸長に伴う税関業務量の増大に加え、覚せい剤、銃砲等の水際における取締りの一層の強化が社会的要請となっていることにかんがみ、業務処理体制等の見直しを行うことにより税関業務の効率的、重点的運用に努めるとともに、税関職員の特殊な職務を考慮して、中長期的観点を踏まえ、要員の一層の確保はもとより、その処遇の改善等に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
○委員長(村上正邦君) ただいま志苫君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(村上正邦君) 多数と認めます。よって、志苫君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
○委員長(村上正邦君) なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(村上正邦君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木和美君 一番最初に、宮澤大臣にお尋ねいたします。 最近、総理や大蔵大臣が機会あるごとに財政の対応力を一日も早く回復する必要があるということをよく強調されています。御案内のとおり、税制改革、財政改革という言葉がよく使われておりますが、この税制改革と財政改革というものを関連させたときに、古くて新しい言葉かもしれませんけれども、財政の対応力ということは一体どういうことなのかということ、及びこの財政の対応力が回復されたということの場合は何を財政政策としてやろうとしているのか、この点についてまずお尋ねいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもが財政の対応力あるいは財政の弾力性を欠いておるというふうに申し上げますとき、幾つかのことを考えつつ申し上げるわけでございますが、その一つは、一般会計における国債費が二〇%という水準にあるという点についてでございます。すなわち、国の財政の中心であります一般会計の支出のうち二〇%は毎年国債費に取られているというここしばらくの間の状況、これはまたなおしばらく続くかと思われるのでございますが、ということは、その部分だけは政策経費に全く使えないということを意味するものでございますので、いろいろ時代の変遷とともに新しい政策を考えていかなければならないときに、いかにもその部分だけ財政が働かないということを意味するわけでございます。 また、一般会計そのものがその財源調達の道といたしまして大きく公債発行に依存をしているということ、最近まで二〇%、今二〇%をちょっとは割りましたけれども、しかしやはり大きく依存をしているということは、これもまた時代の要請に応じて一般会計を活発に働かせるという見地から申しますと大きな障害になっておる。今後我が国が急速に人口が高齢化する、あるいは国際社会における我が国の責任も大きくなってきておるわけでございますが、その間における一般会計の状況が今のようであるということは、いかにも財政の対応力が十分でないというふうに考えるものでございます。
○鈴木和美君 この対応力回復ということが最近特に強調されているときに、御案内のような新型間接税というような問題が出てきているのでございますが、この財政の対応力回復と新型間接税を展望するということは相互関連がございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 少なくとも短期あるいは中期に考えます限り、一応関係がないものというふうにお考えいただいて結構なのではないかと思います。 と申しますのは、税制の抜本改正そのものが過去四十年近いシャウプ税制以来の改正であるということ、あるいは高齢化社会を控えて将来を展望しての改正であるということでございますので、そのこと自身は新しい財源を、つまり増収を今にわかに図らなければならないということとは必ずしも結びついておらないというふうにお考えいただいてよろしいと思います。
○鈴木和美君 もう一つお尋ねしますが、六十五年度特例公債新規発行ゼロということが展望されておるんですが、国民から見るとこの財政の対応力の回復という言葉そのものはわかったとしても、いつどういう状態のときにこの財政の対応力が回復されたというように考えていいのかということは、政府としてもこの際国民にはっきりしておくべきじゃないかと私は思うんです。例えば特例公債の発行がゼロとなった時点をもって回復したというように見るとか、建設公債新規発行がゼロになったときとか、国債の残高のGNPに対する比率がある一定の低い率までいったとか、公債依存度が一定率になったとき、そういうときに対応力が回復したというように、何かはっきりしたことをさせないと、そのときそのときに言葉の遊戯によっていろんなことが鮮明にならないまま時が流れていくような私は実感を持っているんです。そういう見地から見ると、本件について大臣はどういう所見をお持ちになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはまことにごもっともなお尋ねと存じますが、明快に実はお答えをすることがまた難しい問題でもございます。 まず第一段階として、鈴木委員の今お話しのように、昭和六十五年度に赤字公債依存の体質から脱却をする、赤字公債の新規発行がゼロになるということがどうしても第一着手であることは、御指摘のようにもうそのとおりだと思いますが、さて、今度はその場の問題を考えてみますと、建設国債はなお引き続いて発行される状況にあるであろうと想像されます。また財政再建、いわゆるマイナスシーリング、ゼロシーリング等々を長いこと続けてまいりました過程において生じましたあちこちの会計からの借入金であるとかあるいは繰り入れの延期、停止であるとかという、そういう将来への負担を背負っている部分も相当大きな金額がございまして、これも御承知のようにいずれ処理をしなきゃならない問題である。 あれこれ考えますと、特例公債が終わっただけで財政の対応力が回復したとは申しがたい、建設国債が発行されておりますと、恐らく一般会計の国債費が二割というその部分はなかなか急速には減っていかないであろうというように感ぜられます。 一方で、国債に対する依存率は、これは減っていくと思われます。それからまた、GNPの関係で国債の累計が非常に高い率になって危険であるというふうには、その点は私自身は余り考えておりませんのでございますが、やはり一般会計が二割という部分を国債費に食われておるという状況が改善されませんと、なかなか対応力が回復したとは申しにくいのではないかと考えておるわけでございます。
○鈴木和美君 国債の依存度が何%が一番妥当かということについては、必ずしも私は見識を持っているわけではございません。また同時に、ゼロということは非常にいいことかもしれませんけれども、他方逆説的に見れば、多少の国債を持っておってもまだいいじゃないか、借金も財産だというような面もございます。しかし、やはりこれはそういう議論はあったとしても、国民にこれからいろんなことを協力してもらうのに、あるめどというものをはっきりさせておかないと、これは単に政府の思いつきのままのことが政策実行されていくということで、国民の協力度、つまり内閣に対する支持率も大変私は下がってくるように思うんですよ。ですから、やはりここはよく検討されて、一つの目標というものを国民にはっきり示していただきたいと実は思っています。 同時に、この財政の対応力が回復するということは、直接今回の新型間接税ということには関係がないと考えてよろしいという先ほどのお話ですが、実は私はそうは思わないのです。直接関係がないという言葉はそうかもしれませんけれども、はっきりお述べになったらいいんじゃないですか。例えば、今度の新型間接税がどうかはわかりませんけれども、今政府の考えていることが、増減税ゼロなのか、多少増税をお願いしたいのか。新型間接税が入るということであれば、入った翌年から税率をまた上げやすいという、六つの懸念の中にも表明されているわけですね。ですから、直接関係がないという言葉はそうかもしれませんけれども、やはりしきりに財政の対応力の回復ということを強調されることは、回り回って見れば、今から新型間接税をやろうと、やりたいということをいみじくもおっしゃっているのではないのかというように私は憶測するのでございますが、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろお察しをいただいておるわけでございますけれども、諸外国で見ておりますと、主として付加価値税が多うございますが、いわゆる幅広い間接税を導入をいたしました後の状況を見ておりますと、仮にこの税率を上げるという問題が起こりますと、それはほとんどの場合、所得税を減税することとの見合いにおいて議論をされ、また実行されておるように存じます。そういうことから考えますと、仮にそのような間接税が設けられるといたしましても、その税率を一方的にほかのことを考えずに上げるということは、これは容易なことでありませんし、またそう安易にすべきことでもないのではないかというふうに思われます。 と申しますことは、やはり全体の税収というものは、仮にそのような間接税が設けられましても、大いに将来に向かって上昇していくという期待は難しいのではないか、私どもはそういうふうに考えております。
○鈴木和美君 本件についてはこのぐらいにしますけれども、先ほど申し上げましたように、国民がわかる対応力の回復というものの目標は一体何なんだということをはっきり明示して、政権政党として、また政府として努力されるようにしていただきたいと思います。 次の問題ですが、租税特別措置法が提案されまして、今回抜本的な税制改正があるからということが前提となっておりますが、今回提案されているこの租税特別措置法のいろんな案件について、従来から本委員会でも議論がされておりました。租税特別措置法というものは、本来の姿から言えば好ましい姿ではない、したがって漸次整理、統合をしていきたいということが過去の委員会で述べられてきたことだと思うんです。そういう立場から見て、今回提案されているものは、整理、統合という観点から見ればどういう状況になっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、租税特別措置は、本来税制の姿からいたしますと、税負担の公平その他の基本原則をある程度犠牲にして設けられておるものでございますので、これは常時そのあり方について吟味を行う必要があるとされているところでございます。 特に、ただいまお話しのございました、昭和五十年に特例公債が発行され始めましてからは、昭和五十一年以降毎年、連年にわたりまして厳しい見直しを行ってきているところでございますが、昭和六十三年度改正に当たりましても、三項目を廃止する、十三項目について縮減を行う等、その流れの中の一環としていろいろ整理、縮減して御提案を申し上げているところでございます。
○鈴木和美君 前回も、準備金とか特別償却についてはまあ見直しが行われているわけでございましょうが、引当金のうち貸倒引当金とか賞与引当金とか退職給与引当金、これについても六十一年度の抜本答申では指摘されてきたわけですね。今回は賞与引当金だけが載っておりますが、今回のこの抜本改革について残りの二つというのは、これからどういうことになりましょうか。
○政府委員(水野勝君) 引当金のうち大きなものは、御指摘の三つでございます。 賞与引当金につきましては先般、昨年御提案申し上げた抜本改革法案におきましては、これを四年にわたり段階的に廃止するということで御提案をしたところでございますが、これは廃案となってございます。 退職給与引当金につきましては、これが非常に金額、規模、膨大なものでございますが、この点につきましては、年金制度が今後どのように推移 していくのか、特に外部拠出制度といったものが今後どのように展開していくのか、その点ともあわせてこれは検討していくべきであるという方向を抜本答申ではいただいてございます。 それから、貸倒引当金につきましては、これは昭和四十七年度以降何回かにわたりまして法定繰入率は引き下げを行ってきたところでございます。なお、現時点におきましても、その法定繰入率と実績との間には乖離はなお認められるということでございまして、この点につきましては、常時この実績と法定繰入率との関連につきまして見直し、検討を行っていくべきであるというのが答申の方向でございますので、今後とも、そうした観点に立ちまして検討してまいりたいと思っておるところでございます。
○鈴木和美君 私は依然として、どういう御説明をいただこうとも、租税特別措置法は企業優遇というか、不公平の最たるものだと実は思っております。 そういう意味で、この不公平の解消ということから見ると、もう一度大臣にお尋ね申し上げたいのでございますが、よく本会議でも予算委員会でも、この委員会でも大臣が述べられておりますこの格差ですね、格差について非常に平準化したという言葉がよく使われますね。これは一世帯当たりの統計から見て、格差が平準化しておるということをよく大臣おっしゃられていると思うのです。もう少しこの平準化しているという実態について御説明をいただきたいんです。どういうわけで、どういう統計から見て、何を見て平準化しておるのか、所得の格差ですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、まず最初に申し上げておくべき点は、私どもが格差が平準化してきているということを申しますときに、それは過去三十年とまでは申さずとも、二十年と申しましょうか、終戦後と言えばもっとはっきりするのでございますが、ずっと今日までの大きな傾向としてそうなっておるということと、それから世界の他の国に比べてその度合いが目立っておるということ等を考えて申し上げておりまして、この何年間か、殊に石油危機以後、円高等々がまた続きましたために、我が国に雇用不安が生じました。で、ごく最近までさようであったわけですが、その結果として、どうも格差というものがやや縮まりをとどめた、あるいは多少格差が幾らか開いたかもしれないという御指摘は私は事実であろうと思いますので、そのことは知りつつ、なお長い間の傾向として、あるいは国際的な比較においてそういうことが申せるということを申し上げておるつもりでございます。 よく使いますのは、五分位階層の比較をいたしまして、第一分位と第五分位との差がどのぐらいあるか、つまり社会の一番所得の高い層から低い層までを五つに輪切りにしまして、その最低と最高を比べるわけでございますが、我が国では大体それは今二・九であると言われております。アメリカなんかでは九・幾つだと言われておると思うのでございますが、これは経験的にも大体言えることであろう。二・九というのは、これは統計が正確にはございませんけれども、世界の中で最低と最高の差が一番小さいのでありますが、最近において雇用不安があったこと、あるいは御老人、それと婦人が進出した結果、一つの世帯を持つ。そうしますと、そのような世帯はそうでない世帯に比べますと比較的どうしても所得は低いわけでございますから、そういう新しい層が進出することによって下の方の平均がやや下がるという、そういうことも幾らか、統計をやる人から言いますと、手伝っておると申しますが、最近の傾向はともかくとして、所得格差が五分位階層で見る限りやはり我が国が一番狭い。 それから、ジニ係数なんかでも、これも国際的な統計があります。非常に新しいというわけでもございませんが、やはり我が国はアメリカ並びにヨーロッパの各国に比べて、そこから見える格差が一番小さいということを申し上げられると思います。かつてOECDがこれについて各国の比較をした論文を出したことがございますけれども、これはもう十何年も前のものでございますので、その後新しいものは出ておらないように存じますが、そういったようなことを根拠に申し上げておることでございます。
○鈴木和美君 非常に端的にお尋ねして、大臣がおっしゃっている第一でも第五でも構いませんけれども、二・九でも九%でもいいですけれども、つまりこれは、一世帯当たりの所得ということがベースになって比較したときにはどうだというおっしゃり方ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは統計の専門家の方がおられるといいんですが、そのように理解をしております。
○鈴木和美君 私もそうじゃないかと思っておったんですが、仮にそうだとすると、所得別に見た点では確かに格差が縮まっていることは事実でしょうね、一世帯というか。それはしかし分析をすると、今大臣がいみじくもおっしゃいましたが、一番上の方は一人で働いているんですわね、大体が一人でしょう。それから下の方は共稼ぎが多いですわ、二馬力ですよ、早い意味ではね。だから、一馬力と二馬力を比べっこして所得の格差が縮まったという論理は多少無理があるんじゃないかと私は思うんですね。だから、一馬力と一馬力で比較されればこれは論理的にそうかなと思うこともできると思う。という点から考えると、どうも大臣がおっしゃっているみたいに、所得格差というものが二・九だから、ずっと縮まったから広く薄くかけてもいいんじゃないかという論理にはどうも発展しにくい、私はこう思っているんです。 もう一つは、この委員会でも指摘がありましたように、総務庁ですか、あの調査の問題がございますね。土地とか株とかそういう問題がぼんと上がっちゃったからむしろ格差は開いているんじゃないかという政府の調査の統計発表があるわけですね。ですから、そういうのを考えるとどうも何かの目的意識があるものだから、所得の格差が縮まっているんだということを無理に力説されているんじゃないのかなというようにもとれるんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は国民の間の所得格差がどれだけ縮まっていくかということは、私自身政治に志しましてから非常に長いこと関心を持ってきた問題でございますものですから、何かのときによく話題にするわけでございます。たまたま間接税の問題を今担当しておりますけれども、それはそうなりまして急に考え始めたことではございませんで、前からやはりこれは政治の一番大切な目標である、あるいは経済政策をやっていく上でやはり最も重視すべきことであるというふうに長いこと三十年ほど考えてまいりましたものですから、そういうふうによく申し上げるわけでございますけれども、確かに我が国の場合でも、だからみんなが本当に所得で同じようなグループに一つになっちゃったというようなことにはもちろんなっておらないわけでございます。 それはきっと裕富な家庭は働き手は一人で、そうでないところは二馬力、三馬力であるということもまさにそうであろうかと思いますけれども、それでもそのような我が国の社会、これは都会と農村とをひっくるめて大観いたしまして、世界どこの国よりも、貧富というのを一遍、資産のことを別にいたしまして、所得で見た場合にやはり大した大所得者もいない。そうかといって全く貧困で国の完全な保護を受けておる、あるいはもっとそれより端的な表現すれば、昔で言えばこじきがいるかいないかということでございますけれども、そういうことは大抵我が国ではもうなくなっておるわけでございますが、大観してそれをよその国と考えてみて、やっぱりそのようなことは申せるのではないだろうか。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 それからもう一つ、資産の問題になりますと、これはますます統計がございません。統計がございませんからますますはっきり断定しがたいことでありますけれども、所得でない資産の面においても我が国にはとてつもない財産家というのは外 国に比べますと、端的に言えばいないと言ってもいいだろう。他方で、スラムに住んでいて全く身一つであるというような人も我が国にはそうそうはいないといったようなことで、多分資産についてもそれは言えることだろうと思いますが、これは統計がますますございませんから何とも申し上げることができませんが、そんなようなことで申し上げておるつもりなんでございます。
○鈴木和美君 大きい所得者がいないとか貧乏人がいないとか、諸外国から比べればまあまあじゃないかというお話ですが、私はこれはやっぱり戦後の労働組合の存在というのが非常に大きいと思うんですね。つまり、富の再配分というか、これがフィリピンとか今問題になっているようなところから比べれば、やはり日本的な富の再配分をやってきた実績というものを大変高く評価しなきゃならぬと思うんです。 ところが反面、そういう中で矛盾が出てきたのは、税の申告に当たっての問題点がやっぱり私は問題点だと思うんですね。格差の問題、重税感というものは後ほどちょっと議論させていただきますが、不公平感の方から言うと、これも古くて新しい言葉ですが、大臣はクロヨンとかトーゴーサンピンというものが存在するというようにお考えですか、お考えでございませんか、どちらですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのような所得格差が今日のように縮まってきたことにつきまして、戦後を振り返りまして、例えば財閥の解体であるとかあるいは農地改革であるとか労働組合運動の自由化といったようなことが貢献したことは、私はもう事実そのとおりであるというふうに考えております。 そこで、クロヨンのことでございますけれども、クロヨンという数字そのものがどうであるかは別にいたしまして、やはり勤労所得は非常に把握がしやすい。殊に源泉でございますと、もうまず間違いなくと言ってもいいぐらいでございますのに対して、事業所得あるいは農業所得は把握がしにくい。まあ、事業所得の方が農業所得よりもあるいは把握がしにくいかもしれませんけれども、そういったようなことがありまして、これは税務当局がいわゆる実調、実地調査をすることによってかなり改善されるはずのものでございますけれども、たしか事業所得の実調率というのは三%か四%であると思いますので、そこは帳簿等で青色申告等々をしていただくようにしておるわけでございますけれども、やはり勤労所得者とは開きがあるというのは事実ではなかろうかと思います。
○鈴木和美君 私も大分前の委員会で国税庁からクロヨンの実態などについて出してくれと言ったんですが、なかなかクロヨンというようなことに依拠して出すということは難しいということで、調査の内容などもお聞きしたことがあるんです。今大臣がおっしゃるとおり、実調の実績から見ても、税務担当者の話のとき必ず出るように、必ず更正決定が行われているわけですね。なぜ私がそれを言うかというと、現在の税の状態というのはサラリーマン酷税時代で捕捉が一〇〇%なものですから、不公平感の中には執行上の不公平感というのが大変大きいんですね。それが直ちに国の政策の中で解消できるという展望、またスケジュールが明確になればいいんですが、どうもそこのところはならないんですね。実調の中でもしっかりやりますわと言うだけで、そういうスケジュール化は全然期待できない、私はそう見ているんですが、短期間でという意味ですよ。そうしますと、やはりサラリーマンと自営業者などなどとの間にはどうも不公平感が存在する。したがって、勤労者の減税というものをやるに当たっても、税率構造においてだけで解消できるかというと、私はできないんじゃないかと思うんですよ。 税率構造は後ほどもう一回質問しますけれども、税率構造だけで、ここのところでお話ししておきますが、仮に下が一〇・五を一〇%にする、上を六〇から五〇に下げて六段階で刻みましょうというお話なんですが、それだけで本当に勤労者の生活状態がよくなるかという意味で片っ方から比較すると、片っ方というのは自営業者ですよ、そういうものから見るとやっぱり公平感というものを保つのには税率構造だけじゃなくて給与所得控除であるとか配偶者控除であるとか、基礎控除であるとか、そういうものをやっぱりやらなければ公平感が私は保てないと思うんですよ。これについての見解はいかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) まさに公平感というのは、一つは税務行政の問題であるとは申しながら、鈴木委員の言われるように、それは幾らやってみても限度があって、制度の上で、税制の上でそれをやはり考えないと問題があろうと言われるのはそのように思います。したがいまして、勤労控除の中にもそういう要素がなきにはあらず、こう考えておりますし、あるいは配偶者特別控除などもそういう意味で制度として設け、また、特定支出控除といったような制度を今度設けさせていただきましたが、これなども考え方としてはそういうことを志向しておるつもりでございます。
○鈴木和美君 これから大いに議論をされていくんだと思いますが、やはり私はそういう制度もマッチさせていかないと、税率構造だけではとても救えないぞということを強調しておきたいと思うんです。 さて、その税率構造でございますが、今回、先ほど申し上げましたように六段階というものが提示されているわけですが、事務当局にお尋ねしますが、昭和二十四年度から今日までの税率構造改正の推移とその段階における理由についてまず説明していただけませんか。
○政府委員(水野勝君) 昭和二十五年のシャウプ税制、これは二十四年のシャウプ勧告に基づくものでございますが、そのときにおきますところの税率の考え方といたしましては、余り所得税の税率を高くいたしますと勤労意欲を阻害し、脱税の誘因にもなる。しかし一方、実質的に再分配の観点から考えてその税率を低くするということもいかがか。そこで、所得税の税率とそれから薄い富裕税というものを設けて、その組み合わせによりまして累進を図るということから、それまで所得税は八五%という最高税率でございましたけれども、これを五〇%にする、最低税率は二〇%にして、その間の刻みは五%にし、一方、富裕税を組み合わせて実質的に累進構造の適正化を図ったというのがシャウプ勧告の考え方のようでございます。 昭和二十八年におきまして富裕税が廃止されました。そこで、最高税率は六五%に引き上げまして、一方、最低税率は一五%に引き下げたところでございます。 昭和三十二年には、この年は一千億円減税という当時としてはかなりな大幅な減税が行われましたが、このときにおきましては控除とともに税率の累進も積極的に緩和をしようという考え方でございました。税率は一〇%から七〇%の十三段階といたしましたが、その中間の累進は大幅に緩和が行われてございます。 それから、昭和三十七年に地方税と、地方の住民税の基本的な見直しとあわせまして所得税率につきましてもかなりな改革が行われておりますし、そのときに一部住民税に税源を移譲するという考え方がとられまして、最低税率が一〇%から八%に引き下げられました。一方、最高税率は七五%に引き上げられたところでございます。 昭和四十三年の税制調査会の基本的な答申に基づきましてその後の税率構造が打ち出されておりますが、昭和四十三年におきましては、上の方の累進税率はともかくとして、下の方の累進税率はその刻みがずっと五%刻みでございましたのを最初の段階では二%刻み、次が三%、四%とまいりまして、ある一定の所得水準になりましたら五%刻みにするというような、下の方につきましては割合きめ細かい税率構造といたしました。その結果、刻みは十九段階となってございます。 その後の改正としては四十九年の改正がございまして、二兆円減税と言われた当時でございますが、税率の面につきましてはその適用所得階級部分、ブラケットはいろいろ緩和をいたしたりして おりますが、刻み方は特段の変更を行ってございません。 その後におきましては昭和五十九年度に減税が行われておりますが、余り大きな改正は行われておりませんが、最低税率はむしろ課税最低限がある程度我が国が高いということからすれば、最低税率は少し引き上げをお願いをしたらどうか。一方、最高税率の七五というのは少し累進のあり方からしてきついことはないかということから最低税率を一〇・五にし、最高税率を七〇%にいたしまして、また刻みも若干の数変更をいたして十五段階といたしております。 それから、最後は六十一年の抜本改革の答申になるわけでございますが、この点につきましては既に御承知のように、通常のサラリーマンといたしましては初任給から始まって定年退職するまで、その間だれもがそういうライフステージを通っていくとすれば、その間余り大きな所得再分配的考え方を持ち込むことはどうだろうかと。しかも、収入水準が上がる働き盛りのときに教育費、住宅費等々の支出がかさむ、それが所得税の重税感と申しますか、家計の逼迫感をもたらしている面もある。とすれば、通常のサラリーマンにつきましては限界税率は一つないし二つぐらいでいかがかということから、いわば一五%というものを基本税率にして、もう一つ軽減税率的な意味で一〇%の税率を設ける。で、通常のサラリーマンの水準以上の所得水準の方については、それは一五の基本に対して二〇、三〇、四〇、五〇といった税率を刻む、こういうのが考え方の経緯と申しますか、これまでのいきさつでございます。
○鈴木和美君 大臣、私が今その答弁を求めましたのは、今回六段階にするということの理由というものが余り鮮明でないからなんです、私に言わせると。それで、二十四年からずっと今お話しのように採用してきた刻みですね、刻みというのは十四段階もあるし、十九段階もあるし、六段階というのは初めてでしょう。その刻みというものを変更するときの大きな理由というのは何であったかというと、やっぱり中堅サラリーマンの重税感というものをどうやって解消しようかということが主なる私は目的だったと思うんです。だから、その段階をこう多く刻んで、それでまあ名目所得が上がっても何とかうまくいうというような形をとってきたんじゃないかと思うんです。 さて、今回一〇%にはしたけれども、上が仮に五〇%になると、六段階しか刻みがない。問題は、刻みが問題ではないのであって、今話をしたように、ことしで言えば五百万から八百万ぐらいの所得者がどこの刻みのところにランクされるかということが問題のところだと思うんです。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 その上と下とがこうやって、こうやってとかいうようなそんな技術論じゃなくて、中堅サラリーマンの重税感に対してどうやって解消するのかという意味においてフラット刻みがあるのであって、それが二十四年からずっと議論されてきて刻みがいろいろこう時の情勢において刻まれてきたと。だから私は、今回の税改正の中でその点がどういうふうに生かされるのかということについて大変関心を持っていますし、ぜひそのことについて政府の見解を聞いておきたいと思うんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、鈴木委員の言われましたお考えは、私どももいつもそういう考えで税率構造を考えるべきだと思って、そんなに考え方の差はないように思うのでございます。 そこで、今度の素案を見ておりますと、これはまだ人的控除等々がブランクのままになっておりますので、これはこれからさらに税制調査会が詰めていかれるわけでございますから、それを今のままにしておきますと、最初の最低税率一〇%が夫婦子供二人の四人世帯で五百四十二万円でございますか、それから二の刻みの一五%が八百八十九万円でございますから、結局八百八十九万円といいますと、勤労者としてはそれでほとんど全部の勤労者が入るのではないか。五百四十二万ですと七割ぐらいとかということを聞きますけれども、そういうことでございます。それで、控除が上がりますとそこはもう少し楽になるかと思うのでございますが、控除を仮に今のままとしましてそうでございますから、まずこれで、先ほど局長がライフステージということを申し上げておりましたが、いわば学校を出て実社会に勤めて退職するまでのステージはほぼ一つあるいは二つの税率で済むということは大変に重税感を緩和することになるであろうし、その上限は八百八十九万であれば、これは結構のところまでカバーできる。 ここで私が思いますのは、イギリスもアメリカもかなり今度は税率の刻みを簡単にしてしまおうとしております。アメリカはいたしましたし、イギリスはしようとしておる。そういうやはり世界の――何といいますか、これもある意味で極端な貧困というものが除去されて、中流化して、中堅化していくということに関係があるのだと思いますが、我が国はそこまではまいりませんでした。 それからもう一つは、最低税率が例えばイギリスなんかの場合にはかなり高いのではないかと思うのでございますが、我が国はそれも一〇%でございますからそうではないということで、中堅のところを配慮いたしますが、しかしその下の方も決してきつくはしていないということももう一つの特色ではないかと思います。
○鈴木和美君 まだこれからこの議論はずっと続くと思いますので、きょうはこのぐらいにしておきます。 最後に、法人税の取り扱いとたばこの取り扱いが何といってもどうも納得ができないのでございますが、土地税制の問題については金持ち優遇であるということで、時間がございませんので、自分の意見だけ申し上げておきます。 大臣にお尋ねしたいんですが、昨日の同僚議員の本岡委員への答弁に絡んででございますが、たばこの一本一円値上げというものは、前回は売上税というものを見込んでおったものだから、いいとか悪いとかは別にして、十二月三十一日まで延長したんですよね。今度は一年ですね、再延長は。そうすると、売上税を見込んだから十二月三十一日までの期間を切って延長したのだが、今度は一年延長だからことしはどうも税制改正はないなと、たばこの方から見て、そういうふうに受け取っているんですが、いかがですか。
○政府委員(水野勝君) 六十二年度改正に当たりましては、御指摘のように十二月までまず延長をお願いいたしました。そのときには、あわせて売上税は六十三年の一月一日から実施する、したがいまして、そこで新しい税とたばこ消費税の税率との調整も行われるということから九カ月お願いをいたしたわけでございます。その売上税の方は廃案となりましたので、三カ月また延長をお願いしましたが、今回におきましては、とにかく間接税の問題も含めまして、現在鋭意抜本改革のための作業が行われておるところでございます。 これは、いつまでと期限を切って税制調査会にお願いをしているわけではございませんが、できるだけ早く結論をお願いしたいとは申し上げておりますが、実際にどの時点で成案をいただけるのか、その成案を得まして今度は国会にどの時点でこれから御提案を申し上げるのか、そこらの点につきましてはまだ確たることを申し上げられる段階でございませんので、とにかく一年間、また一方、御承知のように補助金の問題もこの一年間なお続いているところでございますので、そうしたことも勘案いたしまして、今回は一年間の延長を御提案、お願いを申し上げているところでございます。
○鈴木和美君 私、きのう主税局長の本岡委員に対する答弁を聞いておって非常に納得がいかないのですけれども、去年の税調は、たばこの税率というものを一本一円値上げしたときの時点、つまり五九・七%はある程度認知しているんじゃないですか。たばこの税率の適正水準というのは何%だということに対して五九・七%、やむを得ないというのが去年の税調の答申ですよ。だから、売上税を見たときには、その中に取り込むのか外に外すのかという議論があったはずなんですよ。したがって、もう一度適正税率を税調にお願いする というようなことではないんじゃないかと私は思うのです。税調にお願いされても、去年からひっくり返るということがあるかというと、私はないんじゃないのかなと実は見ているんです。 そういう意味からすると、今回の新型間接税があろうとなかろうと、たばこの税率というものは何%が適正だというのであれば、なぜこういう延長の出し方をするのかと言うのですよ、私は。ぶざまですよ、大蔵省は。本当なら本則を改正するぐらいのものを出せばいいんですよ、本当にそれがいいというのであればね。 私は、前回の質問のときに宮澤大臣に、よもや同じものは出すことはないでしょうねということに対して答弁をいただけなかった。大臣が大変苦労をされた点も私はわかっています。それはそれなりにわかっているんです。けれども、今の新型間接税があるものだから、何だかわけのわかったようなわからないようなことの答弁の仕方というのは私はよくないと思うんですよ。これは企業経営の方からも計画は立たぬですよ、こんな状態の中では。いい悪いは別にして、国民にたばこの税はどういうものであるということを示しながら、この外国との競争の中で葉たばこを抱えねばならぬところは考えていかなきゃならぬので、私は経営としては大変だと思うのですね。 だから私はここで宮澤大臣にお尋ねしたいのですが、今大蔵省は、相変わらず財源がないからと言って一本一円の値上げを延長してくれと、つまりたばこにやっぱり期待なさっているわけですよ。ところが片方、厚生省は、たばこを吸ったら死んでしまうぞと言うのですよ、厚生省が。こんな矛盾した話はありますか。片方では吸うなと言っておきながら、どんどん吸って税金を払ってくれと言うんでしょう、大蔵省は。まことに矛盾に満ちている。これに対する見解をはっきり私はいただきたい。 もう一つは、今主税局長のお話をとって言ったとおり、よもや五九・七%という税率以上にたばこの税が膨らむということはありませんなと、いろいろ先々のことも考えながらお尋ねしているんですが、この二つについて御答弁をいただきたいのです。
○政府委員(水野勝君) 税率の問題につきましては、御指摘のように、六十一年の税制調査会の抜本答申では、仕組みとしては新税との絡みを考える、しかし全体としての負担水準は一本一円を含めたところの負担水準が適当ではないかという方向を出されておりました。今回は、間接税全体の中で検討は行われておりますが、その税率水準につきまして、今申し上げたような結論ということは大きくは動かないだろうとは思いますけれども、税制調査会としては結論はまだ出していない。したがいまして、一方また地方に対する補助金問題等もございまして、今回はまた一年お願いをしているということでございます。負担水準、これがこれより高くなるか低くなるか、これは先ほど申し上げた、目下税制調査会の検討中の段階でございますので、確たることは申し上げにくいのでございます。 それから、たばこと健康の問題につきましては、いろいろ御議論はいただいてございますけれども、アルコール飲料とともにこうした嗜好品につきましては、いろいろな意味をも含めまして、また財政的な見地からも、こうした特別の課税をお願いをしているというのは諸外国の例にもございます。健康の問題につきましては、もちろん厚生省でも御検討になる、また会社自体としてもその点につきましては十分いろいろPR等の面では配慮しつつ、やはり財政物資としての性格は持っておるところでございますので、健康問題をも含めつつ、相応の御負担、相応の財政収入につきましての御貢献はやっぱりこれからもお願いを申し上げたい、こう思っているところでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 負担の点は今局長が申し上げたとおりでございますが、厚生省がこれは医学でございますか、疫学でございますか、そういう見地から言われたことはそれといたしまして、厚生省御自身も、だから喫煙というものをやめた方がいいということをあそこから言おうとしておったのではないというふうに言っておられますが、これについてはその他にもいろんな見地がございますので、たばこ会社でもその点は、決してこれは対抗するという意味でなく、もっと広い見地からいろいろな方の意見も聞きたい、またそれを世の中にやがて御紹介したいということを考えておられるようでございまして、それも私は大事なことだと存じます。
○鈴木和美君 政府税調が、たばこの税率の適正水準がどのぐらいでいいかということについてはこれからも議論なさると、するかもしれません、ぜひしていただきたい。けれども、政府としては前回の延長、延長のときから何回も言うているように、これは民営になったときのあの税率ですね、マイルドセブン、つまり五九・七%ですね、これが適正であるということをもって民営のときの、つまり納付金から消費税に変えたわけですね、だからこの数字というのは動かないはずなんですけれども、ああいうことで一本一円になった。だから、それはそれとして、別議論としてやる。しかし、売上税とか新型間接税とかいろいろ議論されている中で、私は何回も言うようですが、五九・七%以上そこに積み上がるということはないんだなということだけは、ぜひこれは頭の中に入れておいてほしいと思います。 そして、ぜひ大臣にも御賢察いただきながら御指導いただきたいんです。一生懸命やっている会社でございますが、やっぱり年金の受給率というのが非常に緊迫しているものですから、これから税率を適正に決めるというような時期をとらえて適切な御指導をお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○志苫裕君 きょうは、三月二十二日の委員会で移転価格税制を取り上げましたが、若干答弁が不十分なところがありますので、まずそこから入ります。 この間も申し上げましたけれども、企業経営のグローバリゼーションに伴いまして、企業の所得がどんどん海外へ出ていけば税金も出ていくわけで、産業の空洞化どころか税金の空洞化にもなる。他方で関係国間では所得や税金を取り合いますから、そういう配分をめぐるトラブルも起きる。企業は企業で国境の壁をうまく利用をして租税回避行動に走る。まあ租税当局との知恵比べというふうな現象も起きてくるだろう。 それで、この間たまたま問題になりました移転価格税制、日米協議のことを聞いたんですが、日産とかトヨタという名前が出ておるものですから、個別具体のことは言わないというガードがありましてなかなかはっきり言わないんですが、特にこれは租税条約によると「権限のある当局」というんだから、大蔵省というよりは国税当局ということなんでしょうね。これはいろいろあるんでしょうが、私はもう一度申し上げておきますけれども、移転価格税制が六十一年にできてから初適用、企業の原価形成に税務が踏み込むという意味では画期的だと。今後、アメリカ以外の国でも、あるいはまた自動車のみならず電機、ハイテクなどの分野に波及するだろう。また、企業が現地でトラブルを起こして現地政府の覚えめでたくなくなっても困るからというので、トラブルを避けるということを考えれば、現地法人の方に所得を余計移すことも考えられる等々のことを考えますと、著しく国益にもかかわってきますので、可能な限り詳しく答えてもらいたい。 まず、IRSは独立企業間価格がこれこれだというようなことで、当初は二千五百億とか三千億とかと言われていますが、それをいわば所得移転として増額更正をしたんですが、このIRSは対価の額を日本の法人の資料に基づいてやったんですか、推定でやったんですか。新聞によると国税当局は、資料の提出を拒否ということを言ったようでありますが、まず、ここから入っていきましょう。
○政府委員(日向隆君) 今、委員がるる御指摘の問題がこの国際課税問題については随伴しているということについては、私どもも十分承知をして おりまして、それだけに、我が国に移転価格税制が導入をされましたのは一昨年以降からでございますけれども、私どもとしても十分な関心を持って見ているところでございます。 ただいま委員が御指摘になりました日産、トヨタ等の自動車会社に対するIRSの四百八十二条を適用しての移転価格課税について、まずその資料についてはどういうふうにしたかというお尋ねでございますけれども、この資料は、これはIRSがどういう形でその資料等を入手したかということにつきましては、これはIRSの問題でございますので私の方から言うことは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、この問題はすぐれて企業の生命線とも言うべき原価形成に関する問題でございますが、一般的に申し上げますと、多方面から企業の価格形成についての実態を把握する必要がある。 そういう意味で、IRSといたしましては、私が推察いたしますのに、IRSの権限の範囲内で資料を収集するのはもとよりのことでございますが、他方、現地の子会社等を通じまして実は本国における親会社がどういう形で価格形成をしているか、価格決定をしているかということをどうしても知る必要がありますので、それに関して現地の子会社を通じましてIRSが非常に強い要請をしたんだろう、これは私は推測するにそう難しい問題ではない、かように考えておりますが、それ以上のことにつきましては私ども現在承知していない、そういう実情でございます。
○志苫裕君 これは細かいので一問一答で簡潔に聞きますから、簡潔に答えてください。 本田はIRSの言い分を認めて和解した、税金は納めた。トヨタと日産は否認して協議申し立てをした。結局半分ないし三分の一程度の額で対応的調整が行われた、こうなるわけです。そうすると、本田とほかの二社との輸出価格には相当の開きがあるということになりますね。
○政府委員(日向隆君) 輸出価格自体が具体的にどういった状態であるかということについては私どもの立場で言うことは差し控えさしていただきますけれども、今委員がおっしゃいますように独立企業間価格との関係において更正決定をするわけでございますから、もし仮にある者が独立企業間価格の観点から更正決定を受け、ある者が独立企業間価格の観点から更正決定を受けないということにいたしますと、その両者の間にはそれなりの開きがあるというふうに考えてよろしいかと思います。
○志苫裕君 ですから、この税制のまさに目玉は独立企業間価格、アームズ・レングス・プライスというのですか、これにあるわけなんです。この独立企業間価格というのは非常に客観的なものですから、まさか本田とトヨタ、日産が課税額割る認定額に三分の一も開きが出るほどの客観的な独立企業間価格が存在するわけはない、こう思いませんか。
○政府委員(日向隆君) 価格自体につきましての差というのは、今委員がおっしゃいましたように、そんなに大きな開きはないというのはこれはある意味では当然のことであろうかと思います。といいますのは、製品とか市場条件によっていろいろと販売の条件は変わってまいりまして、そこにおいて販売価格というものが製品の販売に非常に大きな影響がありますから、それに大きな差が同一市場においてあるということは極めて考えにくいことでございますけれども、ただ、委員がおっしゃいましたように、たとえわずかの差でありましても、例えば自動車のようにその数量が非常に大きくなっている場合に利益あるいは所得の金額に引き直しますときには、その数量にいわば単価といいますか、一台当たりの利益額を掛けるものでございますから、結果として利益額あるいは所得額において、その額においては大きな開きが出るということはあり得ることであろうかと思います。
○志苫裕君 委員長、記録に載せますから。 この法案に我々は反対なんです。反対の法案だから野党側はいつでも欠席をすることができるので、委員会は成立しませんよ。与党はもう少しまじめに出席してください。 トヨタ、日産はアメリカ以外の国にも現地法人があるものと思われますが、同じ特殊関連企業の取引価格が極端に違うとも考えられない。ほかの国ではそのような問題提起はないんですか。
○政府委員(日向隆君) 私どもが移転価格税制上問題があるというふうに把握をいたしますのは、日米租税条約に基づきまして関係者、つまり課税当局並びに納税者の方から相互協議の申し立てがあってからでございますので、その範囲でお答え申し上げますと、おっしゃいますように、アメリカ以外にも自動車メーカーはそれぞれ現地法人を持って販売しておると思いますが、それらの国から、あるいはそれらの国に関連する課税処分に関して、納税者の方から私どもにそれぞれ当該国との租税条約に基づく相互協議の要請があったということは今までにございません。
○志苫裕君 国税庁の第三十五回の事務年報によりますと、相互協議の項で「米国、韓国、インドネシア等における本邦子会社支店等に係る課税問題について相手国税務当局との協議を行い、その解決につとめた」、ちょっとこれ説明してください。
○政府委員(日向隆君) 前回の委員会におきましてもお尋ねがございましたので、相互協議の対象となる具体的な内容について若干の御説明をさしていただきましたが、権限ある当局間における相互協議の対象といたしましては、トランスファープライシングのような今回のような例が一番大きなものであると承知しておりますが、それ以外にも所得の源泉地にかかわるもの――源泉が日本にあるかそれとも当該国にあるかという源泉地にかかわるもの、それによって課税権が変わってまいります。ないしはロイヤリティーの課税に関するもの、これはロイヤリティーを払う方が課税権を持つか、それともロイヤリティーを受ける方で課税権を持つかというそういった問題、あるいは人的役務の提供に対する報酬にかかわるもの、これは例えば外国から芸能人等が参った場合に、その芸能人が日本で稼得した所得に対してどちらの国で課税するかといった問題でございますが、こういった問題についてはやはり相互協議の対象になるものでございますから、ただいま委員が御指摘になりました年報に書いております数件、私の記憶では五件ないし六件だと思いますが、それは今私が申し上げました内容にかかわる相互協議の申し立てでございます。
○志苫裕君 じゃ、そのケースはわかりましたが、今のような移転価格税制の分はないわけですね。
○政府委員(日向隆君) 今、委員御推察のとおりでございます。
○志苫裕君 もともと六十一年法の審議などのいきさつを聞いてみますと、税金が外へ出ていくのをとめる、流出防止というのがねらいだったはずなんだけれども、第一号適用のケースが皮肉にも出ていくケースですね。入ってくるケースにはならなかったわけなんですが、これは逆に考えて、本邦にある外国企業の現地法人の実態をどのように把握して、どのように認定しておるのか、適用のケースのようなものがあるのか、これひとつ簡潔に。
○政府委員(日向隆君) これは委員御承知のように、移転価格税制は租税特別措置法第六十六条の五で我が国に導入されましたのは一昨年の六十一年四月一日以降に対する事業年度からでございます。したがいまして、その最初の事業年度でございます六十二年三月決算にかかわる確定申告書は昨年の六月末に提出されたということでございまして、今まだ次々とこの申告書が提出されているという状況でございます。 私どもといたしましては、これらの申告書に対しまして現在大体三年に一巡の感じで実地調査を行っておりますが、この実地調査の際にまず移転価格の実態調査というものをあわせて実施いたしました。この実態調査は現時点までで約二百五十件程度既に実施しております。その結果、問題が あると認められる事案、つまり移転価格課税の観点から、今委員がおっしゃいましたように、我が国から外国に安い価格で輸出している、つまり外国に所得を移転しているという疑いのある事案につきましては現在約三十件程度把握しておりまして、これについてはこの移転価格課税を適正に実施する見地から厳正に対処するという方針で今臨んでおります。
○志苫裕君 日本でも最近国際摩擦を避けるために直接投資をするというケースがふえるわけですが、アメリカなんかは本家でありまして、世界じゅう出かけていってそこで法人つくって、日本の法人から向こうへ行くのも輸出は輸出だ、貿易摩擦だとぶつぶつ言うわけですが、そういう意味では該当企業はたくさんあると思うんですね。現地法人もある。そのようなものを把握する、これはだれでもほいほいとわかるものでもないと思うんですが、その辺の把握、認定についてはひとつ適正にやるように、また体制も整えるように、この点は注文しておきます。 ところで、対応的調整を行った額が国税八百億、地方税四百億、計千二百億。この間の答弁でもそうでしたが、これは税金を移すんじゃないので、所得を移すというのがこれの建前になっておるわけですが、この二社で所得額は総額幾ら移ったんですか、アメリカへ所得額は幾ら移ったんですか。
○政府委員(日向隆君) 私この前の委員会の席上で、昨年に行われました、十一月の二十七日以降だと思いますけれども、各紙の報道がございましたものですから、個別の問題ではございますけれども、その新聞報道に係る事実につきましてあえて否定しませんというふうに申し上げましたが、今お尋ねの件につきまして、つまり具体的な会社が相互協議の結果によります合意によりまして所得の調整が行われている、これはおっしゃるように所得の調整でございます。幾ら日本の方からアメリカに移ったかという点につきまして、私の立場で具体的に言うことは、大変恐縮でございますが差し控えさせていただきたいと思います。
○志苫裕君 そうすると、こういうふうにじゃ私が勝手に計算しますな、日本の法人税は四〇%と、ちょっと多目に言いますからね、それで四〇%掛けたら八百億円になった。逆算しますと二千億ですかな。地方税が四百億、これは法人事業税が一二%。これがあべこべに逆算すると三千億ですね。大体こんな計算をするとそのぐらいの額が行ったというふうになるんですが、当たらずとも遠からずだと思うんですが、どうですか。
○政府委員(日向隆君) 一つ御説明させていただきたい点は、それぞれの事業年度におきます対応的調整による所得更正といいますのは、まずそれぞれの事業年度ごとに行われるわけでありまして、これは新聞報道にもございましたから委員御承知と思いますのであえて申し上げますが、日産の場合には一九七五年度から一九八一年度にわたって所得の調整が行われているわけであります。 それからもう一つ、トヨタの場合につきましては、一九七七年度から一九八二年度にわたって所得の調整が行われておる。といいますことは二つ問題がございまして、一つは、それぞれの各企業におきます事業年度における所得の調整であるということが第一点でございます。と同時に第二点目は、それぞれの所得の調整はドルで行われておりますので、それぞれの事業年度におきます為替レートによって行われておりますから、為替レートが変わりますと、当然のことながら今私が申し上げました対応期間におきまして日米間の為替レートは変わってきて円高に推移しておりますが、したがいまして、それによって円貨に換算した場合の金額は変わってくるということでございます。 以上の二点を前提にいたしまして、新聞報道に基づきます日産、トヨタについての国税の還付額、これをベースに今委員がおっしゃいましたような税率で概算計算することは決して不可能なことではない、かように考えます。
○志苫裕君 長々と言うたが、大体私の言ったとおりだということでしょう。日本の自動車メーカーが全体で百八十五万台ぐらいでしたか、百九十万台でしたか、一台一万ドルとして、今一〇%高いというふうに仮に言うたとしますと、十八億五千万ドルになって、この所得がアメリカへ行ったことになる。それで、十八億五千万ドルというのは今のレートにしますと二千四百億円ぐらいになるし、この当時、五十三年ごろからぐずぐず言っているわけですから、そのころは二百五十円ぐらいだったかな、もっと高かったかなというふうに計算しますと、これは何と四千六百億も行ったという勘定になる。いずれにしても、相当大きく日本の歳入からしますと抜けていったということになるわけで、それだけに適正にやらなきゃならぬことになる。 ちょっと念のため聞きますが、権限ある当局は納税者が申し立てをした場合にいつでもこれを支援しなければならぬというわけでもない。その協議に相手が乗ってこなければ相互協議にもならないんですから、したがって減額修正に応じないということもあるんですね。これはアメリカにようけ取られたからひとつ日本でもまけてくんなせいやというふうに言うても、それはだめだと言うこともできますね。
○政府委員(日向隆君) 御案内のように、日米租税条約につきまして、これは第一の主眼点は二重課税の防止ということにあるわけでございます。したがいまして、私ども租税条約を締結しました以上はこれを誠実に履行する責任を負っておりますので、この日米租税条約第二十五条に基づきまして、課税当局ないしは納税者から相互協議の申し立てがございましたら、やはり二重課税を排除し、かつ国際間の適正課税を実現する見地から、これに対して誠実に対応する必要はあると思います。しかしながら、できるだけ誠実に対応いたしますけれども、今委員が御指摘になりましたように、どうしてもそれをしなければならないということではございません。
○志苫裕君 ですからこれは、ああそうかそうかというので対応的調整をやって結局企業を助けることになる、アメリカへ所得を移すことになるんですが、まあ割引して考えてもいいんじゃないかと。実は外国関係税にはそういうわけのわからぬところがある。まあアメリカあたりは税法がわかっているからいいけれども、途上国あたりへ行きますと何が税金なのかわからない。王様に対する献金も皆税金というふうなことになってくるぐらいにちょっとぼやっとしたところがありますので、そうきちょうめんに対応するばかりが能でもないんじゃないかという感じをいささか持ったので、今の点は申し上げたところであります。 ところで、ちょっと私が不勉強なんですが、対応的調整、つまり二重課税を回避する措置というのは、現地法人が相手国政府にこの増額更正されて納めた額を日本ではそっくり控除するんですか。その点は控除限度額とか繰越控除とかああいうようなものがやっぱりこの場合にも適用になるんですか。今度のケースにはそういうものがあったんですか。
○政府委員(日向隆君) 一般論でお答えさしていただきますけれども、今委員が御指摘になっておりますのは、私の受けました印象では外国税額控除の話ではないかと思いますが、これは外国税額控除と違いまして、まず所得の調整でございますから、一つの製品をアメリカの市場で販売した場合、それによって得た所得をアメリカがどれだけ取り、日本がどれだけ取るかといった問題でございますので、その所得の調整が行われまして、その独立企業間価格と比較いたしまして問題の価格に安い低いという判断が出て、その差額に基づく所得の分配がアメリカと日本の間に行われましたら、それに基づいてその原処分との関係でアメリカが追徴をしたり日本が追徴をしたり、あるいはアメリカが追徴したものを日本が減額したり、日本が追徴したものをアメリカが減額したりという、そういう二重課税排除の観点から調整が行われるわけであります。 今回のケースに即して、まあ一般論ではござい ますけれども関連させながら申し上げますと、今回のケースの場合には、日本から輸出する価格がいわば独立企業間価格に比較して安いという判断が下されまして、したがってアメリカの方にもっと所得を移すべきだということで、アメリカの方はその所得の調整に基づいて追徴税額が出てくることになりますし、それに対応して私どもが日本においてその企業が過去に納めた税金についてそれに対応する金額を還付する、かようにして国際間における二重課税の排除をいたします、こういう関係であろうかと思います。直接的には御指摘になりました外国税額控除とは関係ありません。
○志苫裕君 所得を移せばその所得に基づいてもとの税金の洗い直し、再計算のようなものがずっと行われてくれば、外国税額控除がまた改めて発生してくるのではないか。 というのは、税額調整は所得後の調整ですから、所得がそれで正確に定まればそれに基づく税額の計算等もやり直しをされて、今言う相互関係が起きるのではないかというのが理屈じゃないかな、違うかな。
○政府委員(日向隆君) ちょっと今私の説明の中で、日本からの輸出があるいは安いということを、表現から安いと言ったかもしれませんが、これは日本からの輸出が高いから、したがって日本に所得が多く留保され、その分アメリカの所得が減るという意味で、そこで問題が出てきたということで、ちょっと訂正させていただきます。 それから、委員が御指摘になりましたように、外国税額控除といいますのは、今回との関連で申し上げますと、直接外国税額控除の問題で二重課税を排除するということはございませんけれども、おっしゃいますように、所得の調整が行われ、それによって税額の調整が行われますと、外国で納付する、つまり外国税額控除の対象になります外国法人税額が変わってまいります。したがいまして、その関係では関係が出てまいります。 ですから、私の先ほどの答弁では、直接的には外国税額控除の問題ではない、しかしながらその調整に伴って納付外国法人税額が変わってまいりますれば、それに従って外国税額控除の関係も変わってくると、かように御理解を賜りたいと思います。
○志苫裕君 そういうことですね。 そこで、この間なぜ国が八百で地方が四百かと言ったら、おれは地方のことは知らぬみたいなことを言っていますがね、だからきょうは自治省からも来てもらっているんだけれども。なるほど現行の法人課税が国と地方で大体二対一ですか、およそそんな見当になっておるから、そうすると、八百億と四百億かなというぐらいの見当はつかないわけじゃないんですが、どうでしょうか。 自治省、法人の府県民税の課税標準は、法人税ではありますけれども税額控除前のものが課税標準になっているんでしょう。だから、外国税額等が控除されたか控除されないかというようなことは関係なく、控除前の所得が課税標準になっておるんだから、とすれば、後から外国税額を取られたか取られないかということで課税標準そのものに変化が出てこないんじゃないですか、私が間違っていますか。簡単でいいですよ。
○説明員(小坂紀一郎君) 御承知のように、法人税割は法人税額そのものが課税標準でございます。それから、事業税は法人の所得計算に準じて計算をするということになっております。 先ほどから御説明がございましたように、今回のこの措置というのは、今申し上げました地方税の対象となる法人の所得の内容そのものの変更修正であるということでございますので、したがってそれに基づいて課税されております地方税をまた減額更正をしなければいけないと、こういうことでございます。
○志苫裕君 いやいや、不勉強をさらしては私もみっともないからこれ以上この問題は聞かない。 それじゃ、法人事業税の所得計算は、法人税と違うところがあって特例があるでしょう、そうじゃないですか。これは外国税額は損金算入ですか、税額控除ですか。
○説明員(小坂紀一郎君) 税額控除でございます。
○志苫裕君 いずれにいたしましても、まず地方税から四百億円が十一年もさかのぼって還付された。日本の税金には時効があって、十一年とはひどいなあという気がしますが、これは何か租税条約でそんなことがあるらしいので、国によっては税金の時効のある国とない国があって、相互で協議したら、時効のない方が勝つという仕掛けになっているのかどうかわからぬけれども、ちょっとその辺のことはいずれ勉強をさせてもらいますが。 地方財政が少し国の財政と違いますのは、交付税法の規定によりまして、毎年の地方財政計画によって財政運営の計画性、安定性が確保される仕組みになっている。これが国の財布と地方の財布の違うところでもあるんですが、その地方財政から法人住民税、法人事業税、附帯金、加算金まで全部返したわけですが、もともと地方税――地方の府県民税、法人住民税なり事業税の課税標準にこれが入っておることが問題なんですけれども、今までのことは今までですが、これはやっぱり国税との遮断を考えるべきではないのか。 特に、地方公共団体三千三百の五十数兆円の財政規模の中の四百億、これは大臣に聞いてほしいんですが、五十数兆円の中の四百億と言えば大したものじゃないんですよ。だけれども、トヨタ、日産のある地方公共団体というものは幾つもないのでして、あるところからそれをがばっと取られるという構造になるんですね。これはとてもじゃないけれどもたまりませんな。という意味では、ある程度この遮断を考えていかなきゃいけないのじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか。
○説明員(小坂紀一郎君) 国税においてとられました独自の政策的な措置、この内容にもよりますけれども、それをできるだけ地方税に及ぼさないようにするという一般的な御主張は理解できるところでございます。しかしながら、この移転価格の目的というのは、特例的な優遇措置でなくて適正な課税の実現をすることにある、こういう次第でございます。また、先ほど申し上げましたように、所得の内容そのものでございます。したがいまして、移転価格税制の適用によりまして法人の所得に増減が生じた場合には、法人住民税それから事業税におきましても国税と同じ立場に立って同様の措置を講ずることが必要であろうと考えている次第でございます。 ただ、お話しのように国税の減額更正による地方税の減額更正というのは日常茶飯事のごとくあるわけでございますけれども、事この件に関しましては、今委員お話しのように、この該当企業の工場から上がる非常に多額な税だけでもって支えられている町もあるということでもございますし、そういう意味では非常に額的に大きな影響を与えるということ、それから今回の措置のように、地方団体にとりましてはある日突然これが知らされるとこういうことで、したがいまして地方財政の運営上非常に困ったことであるというのは御指摘のとおりでございます。 ただ、しからば遮断すればいいのかということでございますけれども、所得そのものの問題であるということ、それから委員先ほど御指摘がございましたように、逆に日本側でもってこの制度を発動するという可能性もあるわけでございます。そうした場合には、これはやはり増額更正になるわけでございますけれども、それはやはり地方税にもはね返すべきであろうということを考えますと、この制度の本質からいって遮断することについてはいかがなものかと考える次第でございます。 しかしながら、地方財政運営に支障が生じないように国税当局から御連絡をいただいて、事前に地方財政の運営上配慮すべきであるという指導をすべきであると思いますし、またもしこういう事態になった場合に、それぞれの地方団体の財政事情に応じてしかるべき措置をとる、こういうことではなかろうかと考えているところでございます。
○志苫裕君 いや、それはあなた、取られることもあるし取ることもある。取ることを考えると、取られることもやむを得ないみたいなことを言っておるがね。ですから私は、この外国税額の影響を遮断する仕組みを考えればいい、ようけ取られようと少なく取られようと、そういうところから遮断すればいいということを先ほど言うたんだ。だから、まあ法人税額にそっくり課税標準を置いておるというところがいま一つ、地方公共団体の税の性格は課税標準を法人税に置いてはいるが、原理的には負担分任の応益原則というものをとっておるんだから、そういう変動に衝撃が来ないような仕組みを考えろという意味でこの問題を出しておるんですが、あとは地方行政委員会でおやりになるでしょうからあれですが。 ちょっと念のために聞きますが、しかし一年間にがばっとあるところで百億とか減っちゃったと、これはそういうものがあることとして、交付団体でない限り、交付税はそれに見合うものしか行ってなかったわけで、こういう財政調整は翌年行うんですか。
○説明員(小坂紀一郎君) それぞれの団体の状況によって、今回の例で申し上げますと、財政調整基金で対応できたというところもございますし、したがって、それぞれの財政状況に応じてしかるべき措置がとられるということでございますが、お話しの交付税の措置につきましては、その年に減税補てん債を発行して埋め合わせるか、あるいは翌年度で精算をするかという技術的な方法がございます。
○志苫裕君 ところで、ちょっと今まで移転価格問題をやってきましたが、今アメリカと日本の話をやっていました。アメリカが余計取ったとか取られたとかという話なんですが、考えてみたら、日本国内にも関連会社間の移転価格があることは容易に想定をできるわけですね。五五%近い赤字法人の存在には、あるいはそんな仕掛けが結構潜んでおるのかなという感じもしないわけじゃない。こういう赤字会社の操作のことを除けば、国税においては親会社が納めようと子会社が納めようと日本の税金総額に変わりがないから、日本の大蔵当局、国税当局がこんなことに面倒な頭を使うメリットはないけれども、地方税の場合にはこれは大変な違いになります。 今日、そうでなくても税の一極集中が進んでおりまして、地方公共団体の黒字の半分は東京さんが持っておる。こういう状況になってくると、もし日本の関連企業間に移転価格操作あるいは取引価格操作というふうなものがあるとしますと、地方公共団体にとってはゆゆしい問題になってくるんですね。 そこで私の提案ですが、タックスヘイブンでも何でもそうですが、今の本店、支店もそうですが、関連企業の所得を合算課税をして本店、支店と同じように合理的な配分基準を設けて、これを地方財源に配分するという形をとれば、この日本国内にあるであろう移転価格、いわば価格操作による財政不均衡を調整できる、これはどんなものでしょう。 というのはね、本社とあれにもあるんですね、本店、支店間にも若干問題がありまして、最近は東京支店というのがどんどんどんどん大きくなっちゃって、本店も東京、支店も東京、みんな東京というようなことになって問題も出てきているんで、東京の支店は外せやというような話もないわけじゃないんですが、そのことは別にしまして、今自治省の方でも分配基準の見直し作業をしているようなんです。私は、今まで頭数でやっているんですが、頭数でもよし、投下資本でもよし、敷地の面積でもいいですが、比較的財政の東京一極集中が起きないような分配基準を設けて、親会社子会社間の合算課税をするという提案なんですが、これひとつ自治省と大臣、これからの検討課題になるので、大蔵にとっては苦労するほどメリットはないと言わぬで、大蔵省にとってはそうされても支障はないというのなら、そう言ってください。
○説明員(小坂紀一郎君) 実は、今のお話、私どもでも非常に問題意識を持っております。法人が大きな法人でも一つの法人として全国的に活動している場合には、その所得をどういうぐあいに各自治体に適切にこれを分割するかという分割基準の問題になるわけでございます。 それを研究しているわけでございますけれども、問題は、今委員お話しのように、企業がいろんなところにある工場なり支店なりを子会社化あるいは現地法人化をするという傾向が最近目立つわけでございます。そういたしますと、それは別法人ということになりまして、全国的に活動している法人に適用される分割という概念の適用の余地がなくなってしまう、要するに違う法人がそれぞれに活動しているということになるわけでございます。その結果、地方団体から聞いておりますところによりますと、例えば工場所在の県、市町村のその工場自体子会社化されてしまった、操業自体は前と何ら変わらないけれども、子会社化された途端に法人関係の税が入ってこなくなってしまった、こういうような問題が寄せられているわけでございます。その結果、その企業の事業活動はやっているんだけれどもそれに応じた課税がされてないんじゃないかという問題提起がなされているところでございます。 それは委員のお話と共通するところがあるかと思いますが、委員の御提案のように、親会社と子会社を何らかの考え方でもって合算課税をするということを考えてみますと、それにつきましては、そもそも少なくとも法律上は人格が異なるものにほかの法人の納税義務をかわりに負わせるということにもなりはしないか。それから、もちろんその合算課税の対象の法人の範囲ということもございますし、それから現在のところは法人税にのっとってやっているわけですが、法人の経理と全く違うやり方でもって税の計算をやらせるということにもなり、事務負担の増加をどうするかというようないろんな検討をしなければいけない基本的な問題があるわけでございます。 そこで、私どもとしては、確かにそういう傾向にあり問題でもあるということは十分承知をいたしておりますが、そのような問題を念頭に置きつつ、中長期的な課題として検討していきたいと考えているところでございます。
○政府委員(水野勝君) 国税につきましては、基本的には法人税は全国に対して適用がございますので、管轄権が異なることはございませんから直接の問題はございませんが、御指摘のような問題点を国税で考えるとすれば、連結決算の問題であろうかと思いますが、この点につきましては、まだ日本の商法でもそこまでの調整は行われていない。証券取引法におきまして有価証券報告書の添付書類として提出を義務づけているというところまできているところですが、それからの問題はまだこれからなかなか大問題でございますので、私どもも連結の問題は赤字法人の問題とも関連はするかとは思いますが、まだ全体の経理、会計問題、そこまでまいっておりません。しかし、問題としては意識はいたしておるところでございます。
○志苫裕君 いや、自治省もう結構ですが、あなたそれは違う人格だとか、中長期と言うが、財政や地方税の一極集中というのは中長期じゃないんだ、今の話なんだ。違う人格というのなら違う人格でも構うことはない、株数の持ち合いでやっちゃえというのでタックスヘイブンをやっておるわけですから、国税では。これは違う法人がタックスヘイブンへ行って、あれは別の法人ですからと言ったらこれは始末におえないわけですね。もう少し前向きにひとつ自治体側も考えるべきだということを申し上げておきます。自治省は結構です。 この問題の最後にしますが、大蔵大臣、いろいろなやりとりしましたが、この日米の租税協議でいみじくも出た自動車会社の税金争いというのは、アメリカさんが、おまえは日本の方に所得を移し過ぎているぞ、これよこせと。そこで皆さんは日ごろ、日本の法人税率は高いのでみんなアメリカへ逃げていく、外へ逃げていって困る、だか ら法人税下げましょうと言うが、法人税の高いところがいいというので自動車会社は日本に所得を移していたということはどういうことですか。逆に考えれば見せかけの税率はアメリカの方が低いが、あれ引いて、これ引いて、そこ引いて取っ払ってというので、とどのつまりは日本の税率が安いということの証明になっていませんか、これ。
○政府委員(水野勝君) 企業が国際的な活動をしております場合に、どこにその所得を発生することにし、どこに留保するか、それはやはり企業全体、国際的な取引の中でその企業の戦略、それからそのときの市場の状態、為替相場等もろもろの環境を取り巻く要因によりまして企業が考えるところであると思いますので、それが直接、税制なり税負担で誘導されているというところまではなかなか考えにくいところでございます。
○志苫裕君 大臣、企業の戦略ですが、企業論理というのはすぐれて単純なんですよ。どこへどうしたらもうけになるかということなんでしょう。大蔵大臣の手前もあるから顔を立ててここにいてやろうなんということは絶対ないんです、これは。そうなればそれは企業の最大の戦略、ここにいた方が、ここに所得を移した方がいろいろ大きい企業の恩典があって税金が安いということになりませんか、大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) 日米間の法人税の実効税率の問題でございますけれども、今まで大体五〇%ぐらい、同じぐらいと言われておりました。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 この間レーガンさんが減税をやられましたからあるいはここでアメリカの方が大分安くなったのかと思いますが、確かにそれは企業としては税負担は一つの問題でございますが、ただ、どこにということになりますと、例えば為替相場の問題があったり、あるいは企業のイメージをつくるという問題があったり、いろいろ市場の関係とかございますからいろんな要因で決まっていくんではないかというふうに思います。もちろん税制も一つの問題であろうとは思います。
○志苫裕君 いずれ税制のことはまた議論するときもあるでしょうから。 ただ、この問題に関連して言っておけば、法人の名目の税率は高いけれども、真実といいますか、実際の税率は高いものじゃない。よく例に出されておりますが、三菱商事の六十年三月期の企業決算と税務申告、これが税務署によって公表されていますから、これを見ただけでも売上高が十六兆円何がしで経常利益が五百十七億、これは決算利益になっていますね。税引き前の当期利益は二百九十億、課税所得五百七十一億ですよ。これの税額は幾らになっておるかというと六十二億でしょう。これ単純に計算しますと、課税所得に対して一〇・九%しかありませんよ。理論的には四〇%ないし四五%あることになるわけだ。そうやって計算しますと、この差額というのは実にかれこれ二百億円ぐらいになるわけで、この二百億どこへ行ったんだろう。それはいろんな仕掛けがあって逃げちゃったんでしょうが、ですから私は、そういういろんな現行の税制のややこしい複雑な仕掛けやらゆがみの中に、ここにいた方が実際は税金が安いんだということを目ざとい企業が日本の親会社に所得を移したというのが今度の日米租税協議の決着の経緯に見ることができるんじゃないかということ、一面ですね。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 アメリカの言い分を私は正しいとばかりは言っていない。もともとダンピングだと言ってけちつけて、そうでないと言ったら今度は高いと言っているんですね。きのう安いと言って、きょう高いと言っているんですね。こんなばかばかしい言い分はないと思う。そんなばかばかしい相手をしておれるかと言えばよかったんでしょうが、ほいほいとまた相談に乗って千二百億取られちゃったんですがね。これがお粗末な一件ということになるんですが、税制改革の論議に当たってはやっぱり実際の税額がどれぐらいになっておるのかということを慎重に吟味した上で税率等の検討をなさるべきだということを申し上げておきます。 外国税額を用意したんですが、これはちょっと後回しにして、余ったらやりまして、所得関連で今度の法案関連に少し参ります。 大蔵省は毎年の租税特別措置による減収試算というものを本委員会にも予算委員会にも出してくれるんですが、実は我々はこれを検証する方法がないんです。何々十億円とか何々五十億円とか、締めて幾らとかいうのを言われても検証する方法がない。皆さんの方も細かいところまでなかなかわからぬで、数十項目一括くくって十億円というようなデータにもなるわけですが、ごく常識的な話から聞きますが、試算があれば決算があっていいはずなんで、所得による増減収の決算数値というふうなものは出せないんでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 毎年予算編成時に税制改正とあわせまして見積額をお出しさしていただいているところでございます。その決算数字につきましては税務統計資料、例えば会社標本調査等によりまして、それからまた源泉所得税関係の調査によりましてもそういったものは出てまいっておりますものは随時公開されておるところでございます。そうしたものからすれば、決算実績ベースのものと言うこともできるものはございますけれども、この試算額自体お出しするときにもかなり大胆にいろいろ割り切ったり、今のお話しのようにまとめたりしているものが多いわけでございます。それの実績値となりますと、これは実績としてお出しするということになりますと、余り推計を用いてお示しするというのもかえってミスリーディングになるところでございますので、試算値、予算値と申しますか、それをお出しする以上に、どうも実績値のものをこうした一表で取りまとめてということは難しい面がございます。
○志苫裕君 だって、試算しているんですからね。もっとも試算といっても、局長に悪いけれども、水田利用の米の減収額のときに丸谷委員とやりとりして、何でそれを五億にしたかと言ったらあんた高等数学を言っておったけれども、結局だれもわからないんだ、あの額は。そんなものだろうと言うから、そんなものかとこう思っているわけでありまして、どうもこれはもっと大きいのかもしらぬし、もっと小さいのかもしらぬ。ただ、こういうことはないんでしょうかね。租特というのは、経費でないのに経費にしたり控除すべきものを控除しなかったり所得であるのに所得と見なかったりということをいろいろとするわけですからね。で、特別措置を講じた結果、ある法人が赤字になる。経費に入れなければ利益が残っていますから赤字にならないんだけれども、経費に見たために赤字になる。赤字になりますと、その会社の税金そのものがなくなっちゃいますね、何も残らないんだから。そうなるとこの試算値には出てこない。試算値のときはまとめた数字でいきますから、個々の企業一つ一つ洗うわけじゃないですからね。そうなると、個別にいきますと、特別措置を講じた結果、企業が赤字決算になって、もとの税金も取れないというふうな状況が理論的にはあり得る。とすると、この減収額はもっと大きくなるということはありませんか。
○政府委員(水野勝君) それは制度の態様にもいろいろよるところでございまして、特別償却とかそういうことになりますと、まさに特別償却を実施することによって課税利益がなくなる、赤字になる、そういうものはございます。 一方、しかし交際費の特例のように、本来はこれを引けば赤字でございますけれども、その損金否認によって利益ベースになるところもございます。両方あり得るのかなと思っております。
○志苫裕君 いやあなた、交際費八千億取ったからとすぐその話を出すんですけれども、まけているばっかりじゃないと言いたいんだろうがね。 しかし、そういうたぐいのもので言えば、それに関連して聞きますが、我々がよく土地増価税を取ったら、と言いますね。評価がえをして土地増価税で取ったらどんなものだろうと言うと、あれは未実現の利益だ、だから未実現の利益に課税するのはいかがなものかと大臣前もお話しでしたね。しかし、そもそも引当金とかそういったもの は未実現の経費じゃないの。未実現の経費は、これは損金です、未実現の益金は利益とせず、こういう仕掛けは理屈に合わないんじゃないですか。そうじゃないですか。
○政府委員(水野勝君) まさに準備金等になりますと、これは将来の見越し費用と申しますか、見越し費用にもならない、とにかく特定のものの留保を課税上認めるということでございますから、そういう面はあろうかと思います。しかし、引当金のようなものになりますと、これは確かに発生はしていないけれども、その将来発生する原因となる事実は当期に発生している、その金額も正確に見込むことができる、こういうものは費用収益対応の原則から企業会計上も当期の費用にするということで、現金としては出ていなくても、それはやはり当期の費用として計上することが企業会計上も適正であると認められているわけでございますから、引当金等についてはそういうことは言えない。しかし、準備金等については、まさに政策的にそういうことで留保を認めているという意味では、確かにそういう面はございます。しかし、あの土地増価税の場合におきましては、それはかなりな規模のものになりますので、そうしたかなりな規模のものを未実現のものとしてキャッシュでお払いいただくということについてはやはり相当な御無理もある。また一般的には、未実現の利益というのは、現在の法人税法上はやっぱり当期の利益として納税をお願いするということは無理だということを従来申し上げてきているところでございます。
○志苫裕君 そういう矛盾がたくさんあるから租特がいつでも問題になるんです。 そこで、今度の租特改正で、企業部門、欠損金の繰越控除の一部停止、欠損金の繰り戻しによる還付の不適用、これはやめますな。この間、係の者に、これでどれぐらい減収になるのかと聞いたら、三千百億ぐらいでしょうかと、かれこれ三千億ぐらいと言うんです。これを停止をするのは財政に余裕が出たからですか。
○政府委員(水野勝君) 端的に申し上げてそういう面もございます。これを御無理をお願いしたときは、増税なき財政再建の中で、実質的に増税とはならないけれども、その年の予算編成に当たりまして収入の充実を図るという面があったものでございますからこうしたことをお願いいたしました。しかし、六十一年十月の税制調査会の答申で、こうしたものはやはり変則的なものでございますから、極力整理していった方がいいという方針が明らかにされたところでございます。それでまた、今御指摘のような財政事情で、そういう変則的なことを無理してお願いをするというような財政事情とは少し変わってきているということで今回御提案を申し上げているところでございます。
○志苫裕君 そこで、時間の関係で私の方からちょっと申し上げますけれども、大蔵省の出す減収試算というものを見ますと、去年廃止した法人税の上乗せ税率一・三の分もたばこの分も、今のこの分も、これみんな金目がでかいですよね。上乗せ税率四千億台、繰り越し等が三千億台、たばこ二千億台、これは租税特別措置法に書いてあるんだが、租税特別措置と言わないときには、これは減収試算に入らない。なぜかと聞いたら、これは本来の政策目的を持った租税特別措置になじまない、これは財政措置であって特別措置ではないと。なるほど、こういうものが陸続と導入されたのは、五十九年から六十一年にかけて大変財政運営あるいは予算編成が厳しいやりくりをしたときですな、これが入ってきたのは。そのことの当否を今言おうと思いません。 いみじくも局長がお答えになったように、本来の政策目的を持った租税特別措置になじまないものは財政に余裕が出てきたらぼつぼつこれは緊急避難を解除していこうということになったわけだ。結構なことだと思う、財政がそうなってきたのは。しかし、解除する順序というものがあるんじゃないでしょうか。去年、売上税のどさくさに紛れて四千億台解除、ことし少し税収がよくなったというので三千億台を解除、いずれも法人関係税でしょう。先ほど鈴木委員との、またこの間、本岡委員もたばこのことでやりとりしました。たばこの税率上乗せも補助金カットに伴う財政運営上の緊急措置だ、これは。財政の余裕が出てきて緊急避難から自宅にお戻りくださいというのであれば、国民一人一人に関係のある大衆課税からなぜ解除をしないんですか。金余りでしゃばじゅうに迷惑かけているような企業から緊急避難を解除するという、こういう政策選択の順位はないでしょう。これは大蔵大臣どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今の繰り越し等々の話は、今度お願いしていることは、今お褒めいただきましたけれども、まあまあ善政というほどのことではなくて、実はこの前やったことが、ちょっと本当は金が欲しかったものですから、少しむごいと申しますかきついことをやらせていただいて、こういうことにもなりましたから常識の方へ戻したい、こういう気持ちなんですが、たばこの方は、この間も申し上げましたが、実は補助金の率を下げたりいたしまして地方税に大変に御迷惑をかけていて、やりくりして一般会計がどうとかいうことでなくて、地方に御迷惑をかけたものですからそれを補てんしなきゃならないという要素が一つございまして、これも心ならずもという感じがいたします、延ばしていただいたのは。そうでございますが、お願いをしておるということでございます。
○志苫裕君 だから、お願いするなら法人関係税の方にもうちょっと待ってくれませんかと言えばいいじゃないの。これはどうも普通に考えてみて、それは税制改正で勤労所得者の負担累増感があるとかいろいろなこと言ってますが、そういうのは上辺であって、できることから解除していったらどうかなという意味では少し政策の選択順位が違う。皆さんはっきりしたこと言わぬけれども、そうじゃないので、これは後ろに控えている化け物につなぐつなぎだから売上税につないで、今度あれがつぶれたので大型間接税につなぐつなぎだということによるんですが、しかしこれは議会でのやりとり、それから専売改革の趣旨からいきますと、売上税を皆さんがよしあしは抜きにして法案を出して、それまで三カ月つなぐ。これがこんなに皆さんに言い分があったかしれないが、その売上税は廃止になったんです。廃案になった。新しいものを考えるのは皆さんの御自由だ。しかし、一たび廃案になったら二千四百億の財源措置は別途講じて、この問題は解除をするというのがまともな政策選択ですよ。理不尽だ、これは。今言っても根性変えるわけでもないからこれ以上の質問はしませんが、これはきつく抗議しておきますよ、私。そう私の言っていることは理不尽じゃない。 時間が参りましたが、税制改革素案が出ましたので、これに一、二点だけ申し上げておきますが、あれは税調がやっておるので皆さんが直接コメントをしないと言って逃げられればそれまでですが、黒子は大蔵省なのでちょっと聞きます。先ほど予算でやってましたが、基本的なところだけでいいです。 一つは、限界税率と所得金額を大きく下げるこが指摘されていますね、出ています。これは累増感の解消とかいろいろお話がありました。だけれども、大蔵省も税調も、所得税制のバックボーンは総合課税と累進性であって、累進性の緩和は総合の度合いによるということを基本スタンスにしておったんじゃなかったんですか。また、四十三年の長期税制答申にもそういうことを高らかにうたっておるし、シャウプ以来日本の国民の中にある税の公平感というふうなものの真髄はやっぱり総合と累進にあるんだと思うんですね。この税理念というようなものは国民の中にしっかりと根づいておって、これを揺さぶろうとするから間接税が吹っ飛ばされたりするんだと私は思うんですが、この累進性の緩和は総合の度合いによるというこのスタンスは変えてないんですか、どっちなんですか。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように総合課税 と累進課税、これは所得税のバックボーンでございますし、また所得税は我が国の税制の柱でございます。だから、基本理念としてはそういったものは、総合と累進は堅持されておるところでございます。 ただ、例えば去年お願いいたしました利子課税のようなものでございますと、口数が何億にも上る利子所得、これにつきまして新しく郵便局にも手続をお願いする、地方団体にもお願いをする、そういうことから、まず課税をこれからお願いをするといたしますと、当面は一律分離課税ということでお願いをするのが実質的な公平が確保されるゆえんではないか。しかし、それは今後ずっとそういうことだということでございませんで、国会で御修正をいただきましたように、今後五年経過したところで総合課税への移行も含めて検討をするという附則をいただいてございます。こうした点はまさに所得税の姿は理念としては貫かれておると思っておるところでございます。
○志苫裕君 いやいや、税調答申は素案は出たけれども、これからいろいろ議論していくんですから、議論というのか、そのスタンスのことを言っているので、ですから事、所得税制に関する限り、総合と累進がやっぱりこの所得税制の骨組みだというふうに確認できるかということを聞いたわけですが、簡単でいいですよ。今の一番末尾の答弁はそういう意味ですね。わかりました。 その次は、素案に関連しまして、従来この辺はなかったわけではないんですが、法人の株式保有割合の増大等の経済実態を踏まえて、益金不算入割合を減らしていくというようなくだりがあります。これは前にもありました。これをもう少し税理論から考えてみますと、伝統的に法人は個人の寄せ集めであって、法人税というのは一番最後に個人が税金を渡す前払いだ、したがって調整措置や経過措置を講ずるという法人擬制説というようなものを、シャウプの勧告にもありましたので、それを貫いてきておる。それに対して普通の国民あるいは我々は、法人は社会的実体だ、株式保有だって今個人なんというものは見る影もなく減っておる、法人の持ち合いじゃないかということで、この法人実在説というようなことで長いこと議論してきました。ここで言う「法人の株式保有割合の増大等の経済実態を踏まえ」というのは、皆さんの方の伝統的な法人擬制説を幾らか現状に合わせて調和をし転換をしていくものというふうに受け取ってよろしいか、この点です。
○政府委員(水野勝君) 従来から擬制説、実在説等あるわけでございますが、必ずしも現在の法人税はそうしたものによって仕分けしているということではございませんで、現時点におきましては法人なり個人なりの企業活動の実態に応じて課税をお願いをしているということであろうかと思います。 それから今の益金不算入は、これは法人と法人の間の問題でございます。法人間を転々と配当が何回も流れていくときに何回も課税をお願いをするということになりますと、そこは問題はある。しかし、丸々それでは益金不算入でいいか。そこはやっぱり御指摘の法人間持ち合いの増大に応じた、経済の実態に応じた見直しで二割まではひとつお願いしたいということで御提案を申し上げている。ここは直接は実在説、擬制説には直結はいたしておらないと思います。
○志苫裕君 まあいいや、変えていきなさい、だんだん。
○委員長(村上正邦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十八分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○塩出啓典君 宮澤大蔵大臣にお伺いいたしますが、いよいよあすから少額貯蓄非課税制度が廃止されまして、郵貯にも二〇%課税になる、こういう状況を迎えるわけでありますが、個人貯蓄五百七十億のうち非課税分が約三百億超と言われておりますが、今後どう流動していくのか。また、このマル優廃止が我が国経済にどのような影響を与えると見ておられるのか、所感をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは今まで経験のないことでございますので、何とも予測のつきかねることでございますが、ただ私どもといたしましては、この制度を手直しをさせていただきましたときに税制の中立性ということはできるだけ考えさせていただいたつもりでございます。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 したがいまして、金融資産の間に大きなシフトが起こって金融市場がごたごたするといったようなことはまずないであろうと思っております。 それから、株式あるいは土地等に対しては、資産としては金融資産とかなり性格が異なっておりますので、その間に大きな資金シフトが起こるということもないであろう、一応そういうふうに全体を考えております。 前の経験がないことでございますので、正確には申しかねますけれども、政策的にもそういう配意はいたしておるつもりでございます。
○塩出啓典君 先般、日銀が個人貯蓄速報をいろいろ発表しております。また、三月二十二日に総務庁がサラリーマン世帯の平均貯蓄額の変化、そういうものを発表しております。またいろいろ民間の証券会社等が、マル優廃止に伴って消費者の心理がどういう方向に向いておるかと、こういうようなことをいろいろ発表しておるわけでございますが、今の日銀あるいは総務庁の、これは予測ではなしに過去のデータでありますが、そういうものを見て大蔵省としてはどのように評価をされておるのか、お伺いします。
○政府委員(角谷正彦君) 今委員御指摘の総務庁が発表いたしました貯蓄動向調査を見てみますと、六十一年末の全世帯の貯蓄残高が九百九万五千円だったのが六十二年末には千四十五万二千円ということで、全体として見ますと一四・九%伸びているということがあらわれております。 その中で、どちらかといいますと預貯金のような確定利付のものについての伸びが低くて、株式につきましては前年比五九・八%という形でかなり大きく伸びている状況が見受けられるわけでございます。 ただ、これにつきまして、総務庁等は要因分析を必ずしもしておりませんので、その要因を私どもなりに推測を交えまして考えてみますと、株式がこれだけ大きく伸びたことにつきましては、大体三つぐらい要因があるのではないか。 といいますのは、一つはやはり金融緩和を背景に金利が趨勢的に低下している状況にありまして、近年、その中で個人金融資産に占める選択基準といたしまして収益性を求めるという動きが一般的に進んでいるという状況がございます。それから二番目には、この貯蓄調査の性格でございますけれども、これは例えば株式について言いますと、その時点の時価で評価しているということで、株価がこの近年上がってきております。そういった時価が上がってきているという事実が反映しているということ。 三番目には、これは余りはっきりと統計的には申し上げられるような実態にはないわけですけれども、NTT株式が御承知のように六十一年、六十二年、それぞれ百九十五万株ということで大量に市中に売却され、その多くが個人株主によって保有されているというふうな実態から、個人株主の保有層の広がりをもたらしている。こういったことが確定利付債券等に比べまして、有価証券なかんずく株式の増加の大きな要因になっているんじゃないだろうかというふうに考えているわけでございます。
○塩出啓典君 今いろいろ御説明がありました。 そこで、特に財政投融資の大きな原資であります郵貯、この動向調査では、全般として貯蓄は伸 びておりますけれども、保険とかあるいは証券、そういうものが伸びておるけれども郵貯は余り伸びていない。こういう点から今後、財政投融資の資金である郵貯の将来についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(足立和基君) 郵便貯金の動向につきましては、これは郵政省の所管でございますので私ども確定的なことを申し上げるわけにはまいりませんが、財投の原資といたしましては六十二年度におきまして七兆九千億予定をいたしておりますが、これがほぼ目標どおり達成されるものと現段階で考えております。 マル優廃止に伴いましての影響でございますけれども、これは全預貯金すべて共通のものでございますので、なかなかにわかには的確に予想することは困難でございますけれども、この改正自体が預貯金それぞれにニュートラルに働くと考えられるのでないかと思っておりまして、今後ともその推移を見守って財政投融資の原資である郵便貯金というものを考えてまいりたいと思っております。
○塩出啓典君 今回のマル優廃止につきましては、日本の貯蓄率がここのところ多少は低下をしておりますけれども、世界的に非常に高い。八六年で貯蓄率が一六・六%、米国は四%、こういう点が日米経済不均衡の問題に絡めて米国から批判をされてきたわけでありますが、そういう背景もありまして前川レポートでもマル優廃止をという提案をしていたわけでございます。今回のマル優廃止で貯蓄率は今後どう変化していくものと考えておるのか、この点はどうでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 課税と貯蓄との関係につきましては従来から税制調査会でもたびたび検討され、議論が行われているところでございます。一応、前回の基本的答申、六十一年十月の答申でございますが、ここにおきましては、「マクロ的な貯蓄水準あるいは投資水準は、多様な要因で決定されるものであり、過去の推移に照らしてみても、利子・配当課税の方式と総体としての貯蓄等の水準の間に、実証的に明確な相関関係を見出すことは困難」であるというのが現在の定説と申しますか、税制調査会としてはこうした見方をまとめておるところでございます。
○塩出啓典君 そこで、これはある証券会社の調査でございますが、主婦の三分の一がマル優廃止をにらんで金融商品の比較検討をしている。また七割以上の主婦がマル優資産のシフトを真剣に考えている。そういう結果が出ておるわけでありますが、その中で、特にマル優資産を移す対象として一時払い養老保険というのが非常に高いというデータが出ております。 御存じのように、一時払い養老保険は、五年未満につきましてはいろいろ同じように二〇%課税が行われるようになったわけでありますが、それが五年未満から長期のものへの移動が非常に多い。そういう点について、大蔵省が生保各社に対して販売自粛を求めておる、こういうような新聞の報道があるわけでありますが、この事実があるのかどうか。また、その理由は何のためにそういう指導をしたのか。また途中解約者については解約違約金を課すように指導をしておる、こういう報道もあるわけですが、これは事実であるのかどうか、お伺いをいたします。
○政府委員(宮本英利君) 一時払い養老保険の販売状況をちょっと御参考までに申し上げますと、六十一年度で新契約ベースで申し上げますと、大手五社で百九十五万八千件というのが六十一年度でございましたが、六十二年度は百三十三万五千件というふうに三割方六十二年度は少なくなってきております。それは、特にこの五年以下のものについてそういう状況が著しいわけでございます。先ほど御指摘のように、一時払い養老保険、特に中でも五年以下のものにつきましては金融商品と競合する面が強いというふうなことで、金融商品とのイコールフッティングを図る観点から本年四月以降、一律分離課税二〇%が行われるということになっておるわけでございます。 生保業界とされましては、こういった課税が行われるという趣旨、それからもう一つ、生命保険商品の基本がやはり長期にわたって人の生死を保障するためのものであるといった、こういう特異性、こういったことにかんがみまして、他の金融商品との比較において課税上の有利性のみに着目した販売姿勢は慎もうではないかというふうなことをみずからお考えになられまして、そのような見地から二〇%の一律分離課税の対象とならない五年超の一時払い養老保険につきまして販売を自粛する、あるいはそういった長い商品について、五年を少し超えた時点での解約を推奨するような販売方法は慎もうではないかということを協会の方でみずから申し合わされたというふうなことでございます。 したがいまして、私ども行政がそのような指導をしたことはないわけでございますし、また最後に御指摘しておられましたように、解約違約金等を課すといったような考え方は、現在のところ業界からも聞いておりませんし、私ども行政当局でも考えておらないということでございます。
○塩出啓典君 そうすると、報道で「販売自粛指導へ」ということは、これは間違いである。あるいは誤解を生むようなそういう何か、例えば呼んでいろいろ各社の契約実績を聞くとか、そういうことが間違って報道されたのか、その点どうなんでしょうか。
○政府委員(宮本英利君) 自粛の内容は、この五年超十年未満の一時払い養老等は当面販売を自粛するというふうなこと、それから保険期間十年以上の一時払い養老等の五年超の解約話法等による販売は自粛するというふうなことを業界で自主的に決められて、お互いに申し合わされたということでございまして、私どもこういうことについて自粛を奨励するというふうなことはいたしていないわけでございます。
○塩出啓典君 私は、先ほどもお話ありましたように非常に金利選好というか、国民のより高い金利を求めていくという、これは一つの時代の流れであります。そうして、しかも今回のようにマル優がなくなるということになれば、さらにより高いところを求めて動くのは、これは当然じゃないかと思うんですね。そういうものにやっぱり行政指導してコントロールするというのは、私は本来大蔵省としてはとるべきことではないと思う。 今までも、例えば昨年の十月十九日、あるいは十月二十日に株が非常に暴落をした。そういうときにやっぱり大蔵省は生保とか各社の担当者を呼んで株価が余り下がらないようにいろいろ行政介入をした。そういうことが報じられているわけですね。けれども、それも実は行政介入ではない、ただ呼んでいろいろ動向を聞いただけだ、いつもそういうような答弁なんですけれども、そういう点はどうなんですかね。こういうように新聞に大蔵省は行政指導した、行政介入した、こういう報道をされるということは、やっぱりそこにそういう誤解を招くような行動があったんじゃないか。こういう点を僕は慎むべきだと思うんですが、その点はどうなんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には私は塩出委員のおっしゃいますことに共感をいたします。 そこで、物の考え方といたしまして、例えば昨年の十月十九日にニューヨークで株式の暴落があったといったような事態は、これはやはり世界的に蔓延をするおそれもある。しかも、我が国は世界では一番大きな証券市場であるというようなことで、世界から注目をされたというような事実がございました。そこで、そういう場合に国際的な、あるいは国内的にもそうでございますが、そのような不安定をさらに激化させないために財政金融当局として一般的な注意を与えるということは、私は許されているのみならず、ある意味では私どもに課された務めであろう。これは権限の乱用というような意味ではなく、国民的な、あるいは世界全体の経済秩序あるいは経済状況の安定というためにすることでございますから、権限に基づいてすると申しますよりは、むしろそのような国民的な利益を頭に置いて、いわば我々の考えを伝える、こういうことは私は許されてしかるべき であろうと思います。 ただ、今度は特定の商品のお話に先ほどはちょっとなりかかっておったわけでございますから、こうなりますと、これはいろいろ気をつけないといけないと思いますね。お客さんが金利選好等々で有利な物を買おうとするのは、これはもう当たり前のことであって、それが市場経済でございますから、それをそのこと自身について何かを申すことはない。ただ一つ、これは時々あることのようでございますけれども、そういう消費者の心理をはやすために業者が大変に何かをはやし立てるというようなところがございまして、これがまた場合によりますと消費者に対する一種の誤解を与える、あるいはミスリードする、あるいはいたずらにそういう射幸心と申しますか、そういうことをそそるような行為になりますと、これは行き過ぎでございますから、そこは注意をすることはあるかと存じますが、ごく自然に特定の商品に需要の動向が向くときに、それをどうこうというようなことは、しかるべきことではないと存じます。
○塩出啓典君 今、大蔵大臣言われましたように、例えば昨年の十月十九日、あるいは日本では二十日のような五十年、六十年に一回のそういうときに、混乱を防ぐために大蔵省としていろいろやることは、私も消費者保護あるいは経済の混乱を招かないためにそれは許されると思うんですが、それならもっとオープンにやるべきじゃないかと思うんですね。 また、昨年の十月二十七日に大蔵省は生保あるいは信託の資金運用担当者を呼んでいろいろ株価の見通しと投資態度について意見を聞いたと。けれども、じゃ大蔵省がどういう指導をしたのかということは全然明らかになっていないわけですね。それで、私も大蔵省の担当官にお聞きしましたけれども、それは要請じゃなく、ただ状況を聞いただけだと。どうも大蔵当局のその意図というものが、何かこう関係者は以心伝心でわかっているんでしょうけれども、我々にはわからない。その点どうなんでしょうか、この十月二十七日の場合、例えば大蔵省はどういう要請をしたんでしょうか。そういうのははっきり通達かなんかになっているんですか。
○政府委員(藤田恒郎君) 証券市場を預かる立場といたしまして、私ども証券局の方から市場関係者に対して相場の見通しとか相場の現状についてどういうふうに考えておるのかということを常日ごろ聞いておりますし、これは特に問題があったときとかいうものに限定されておりません、一般的にそういうことでいろいろ話を聞いておりますけれども、それに基づいて私どもが、先ほど委員もおっしゃいましたように要請をするとかいうようなことは全くないわけでございますし、また、市場を安定させるように私企業に対して要請をするということも、本来私どもができる立場ではないというふうに思っております。したがいまして、特に通達とかそういったものも全くないというような状況でございます。
○塩出啓典君 今大蔵大臣は、ああいうときには大蔵省としていろいろ一般論として指導あるいは要請はあってもいいと。私もそう思いますよ。けれども、今の証券局長のお話ではそういうことは全然やっていないと。そういう点に非常に、大蔵大臣は率直に本音を言っているけれども、証券局長はなかなか建前を言っておる、こういうように聞こえるんですけれども。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、証券局長は大変注意深く申し上げたように思いましたが、個々の業者に対してあれこれというようなことはやはり差し控えるということを申しましたが、例えば業者でありませんで、証券業なら証券業の協会というようなものがございます、銀行は銀行協会。そういう意味で個々の業者にと申すのではないというようなやり方も、これもございますと思います。それは一般に業界全体に対して政府の考え方を伝えるといったようなことは、もしそれが非常に国民経済上大事だと考えられますときには、いたすことはあり得ると存じますが、これは一人一人の業者の経済行為についてどうこうということではないと思います。
○塩出啓典君 証券局長、十月二十七日に生保、信託の担当者を呼んで状況を聞いたことは事実なんでしょう。
○政府委員(藤田恒郎君) それが十月二十七日であったかどうかは私も正確に記憶しておりませんけれども、たしか私が記憶している限りでは定例的な会合がございまして、その会合の席上で、担当課長の方から市場の見通しその他について話を聞いたという報告を受けたことはございます。
○塩出啓典君 実は、私もそういう証券界の内情を詳しく知っているわけではありませんが、週刊東洋経済の昨年の十一月二十一日の「主張」という欄で「不可思議な行政介入」、ここに書いていることは、 大蔵省は10月27日に生保、信託の資金運用担当者を呼び、株価の見通しと投資態度について意見を聞いたが、市場では相場急落を懸念した大蔵省の実質的な買い要請と受け取っている。また大蔵省はこれまでも米国国債の入札についても、機関投資家に対しあからさまに入札要請を行い、11月も入札要請をしている。 しかし、こうした”口先介入”は、市場原理に基づいて行動する投資家の姿勢を歪める行政の過剰介入として看過することができない問題を含んでいる。 それで、いろいろ書いているんですけれども、 行政はあくまでも法的根拠に基づいての制度・ワク組みを整備し、政策面から誘導していくのが本筋であり、直接的に買い要請、あるいは意見聴取をしながら「アウン」の呼吸でそれとなくというのは、明らかにルール違反である。 まあ、これはそういうふうに書いているわけですけれども、ここに書いていることは大蔵大臣、これは正論だと私は思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的な事例について申し上げるのではなくて、行政というものがおのずからその分を守るべきであるという意味で私は同感をいたします。
○塩出啓典君 これは別に行政介入をしたという証拠もあるわけじゃない、そういうように業界は受け取っているということで、こういう記事を書いているわけですから。しかし、この文章には、「このような推測が生まれること自体、行政側の不徳の致すところである。」と。今までは、そういうことはないと言いながら、そういううわさが流れればそれなりの効果を発揮したとする、そういう本音と建前を使い分けたような行政は、私はよくないと思いますし、今後はこのような推測が生まれることのないように、やっぱり行政側としてはその行動には十分配慮をしていく。私は疑惑を持たれること自体、非常によろしくないんじゃないか、そういう点今後大いに反省をしていただきたい。その点、大蔵大臣の御決意をお聞きしておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、一般的にはおっしゃるとおりであると思います。 それで、昨年の十月の二十日過ぎにそういうことがあったのかないのか、私は正直存じませんし、それについて直接に申し上げるわけではないんでございますが、あのときには確かにちょっと、私との行政をお預かりしていて、省内に対して、みんなよく情勢を慎重に見ていて慎重に対処するようにということは一般論としては申しました。あれはやはり何十年に一遍という事態であったと思いますので、そういう場合は塩出委員もこれはまた別のことだなと言っていただいておりますので、またあんなことがしょっちゅうあっては大変でございますから、一般論といたしましては仰せのように思います。
○塩出啓典君 ああいうときにも、私はいろいろ法律を調べればやっぱり大蔵省としてちゃんと法に基づいて手の打てる、そういう箇所はあると思うんですけれども、そういう法律に基づいてひとつやっていただきたいと思います。 それから最近、郵貯の念願であった自主運用というのが二兆円でございますか、昨年ですね、認 められた。これは郵貯非課税廃止の見返りとして自主運用ができたわけでございますが、これが将来十五兆円までふえる。あるいは厚生年金、国民年金の積立金管理運用についても、徐々にではありますが自主運用がふえてきておるわけであります。これは将来の方向として、こういう自主運用ということで、資金運用部に預託する金利よりもより高い利潤を求めていこうという要求があるのは当然じゃないかと思うんでありますが、この自主運用枠の拡大の方向についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(足立和基君) 御案内のように六十二年度からいわゆる自主運用ということで、郵政省あるいは厚生省の預託者側の長年の要求でございました制度というものが、私どもの統合運用の原則という傘のもと、これを維持しつつ、実質的には預託者側の要求を取り入れるという形で、金融自由化対策資金あるいは年金につきましては年金財源事業強化資金というものがそれぞれ発足したことは先生おっしゃるとおりでございまして、郵便貯金につきましては昨年六十二年度は二兆円、六十三年度、今御審議いただいておりますのは二兆五千億円ということで、これから毎年毎年の折衝ということ、いわば一括決めるというような形で昨年、五年間につきまして毎年資金事情が許せば五千億ずつふやしていこうということにいたしたわけでございます。 年金につきましては、そのような長期の見通しというものを現在持っておりません。昨年、六十二年度が一兆円でございまして、六十三年度は一兆二千七百億円ということにいたしてございますが、これは財投の原資である郵便貯金と年金資金、こういったもののバランスを考えて、郵便貯金の方がやはり増加していくわけでございますので、年金についても同様なペースでやはりふやしていかなければならないのではないかと考えております。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 さらにその後の動きにつきましては、そのときのいろいろ財投の需要あるいは原資の事情、あるいはそのときの金融情勢等を総合勘案しながら、また考えてまいりたいと思っております。
○塩出啓典君 それから、これは財投とは直接関係はありませんけれども、いわゆる企業年金の自家運用の問題につきましても大蔵省と厚生省との間に一応の決着がついて、来年度に向けて法案を提出する、こういうように報告を聞いておるわけでありますが、きょうは時間もございませんから、要は私が申し上げたいことは、こういう自家運用の枠の拡大要求があるということは、やっぱりより高い金利を求めるという、そういうところからきているんじゃないかと思うんですね。あるいは企業年金が今までの信託銀行等の年金信託だけではなしにもっと自主運用させろというのも、もっとより高い利息を求めているという、そういう方向は私は当然の方向として、いろいろブレーキはかけなくちゃいけないでしょうけれども、いつまでも抑えるわけにはいかない。 そうなってくると、やはりこの資金運用部資金の預託金利というものも余り低利に抑えていく、民間なんかよりははるかに低利に抑えていくということは、なかなか難しくなってくるんじゃないか。こういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もう、それは本当におっしゃるとおりでございます。その問題にいつも長年悩んできておりまして、殊に最近のように金利が非常に下がってまいりますと、なかなかいろんな問題が出てまいります。ただ、もう御承知のように、資金運用部というものが長年大きな役割を国民経済の上で果たしてきたということは、これは広く認めていただいておりますし、今後もそういうニーズというものはやはり多い。その場合に、殊に資金の中で国家的な信用を背景に集められた資金などについては殊にそうだと思いますが、それをなるべく国民経済に即した方法で一元的に運用したいと、そうすべきものだという主張には私は理由がないことはない、かなりの理由があると思うのであります。 ただしかし、その場合に、おっしゃいますように預託金利だということになりますと、この国民的なニーズにはなるべく安い金利で貸したいということは当然でございますので、その間で資金運用部に逆ざやが生ずるということもまた困る。おっしゃるような問題がまさにあるわけでございます。また、運用する方では安全有利と申しますが、まあ有利ということはこれはなかなか大事なことでございますから、殊にまた年金のように、どのぐらいに運用するということで全体の計算ができ上げっているところもございますので、そこはやはり両方の利害を調整しながら、現実に即した行政をやっていくということにどうもならざるを得ない。 どっちかの言い分が一方的に正しくて、片方の言い分が一方的に悪いというわけにはまいりませんので、やはりそこはお互いに歩み寄って制度を運営し、行政をやっていくということにならざるを得ないのであろうと考えております。
○塩出啓典君 いわゆる政府系金融機関につきましては、ここのところ金融緩和の影響で民間の金融機関との金利差が、余り有利性がなくなってきている。そういう意味で政府系金融機関離れが生じておるわけでありますが、今後このマル優廃止、そしてだんだん、よりハイリスク、ハイリターンを求めるという中で、こういう政府系金融機関のあり方について、これはやはり再検討すべきではないか。 昭和六十年でしたか、かなり融資残が、大幅な残額を残した、そういうこともあったわけでありますが、先般開銀等は法律改正をして融資対象をもっと広げていくように、そういう改正もしたように思いますが、この際もっと本質的に、こういう機関が必要なのかどうか。あるいは、ある意味では民営化も含めてやっぱり常に検討すべきではないか、このように思うわけでありますが、そういう点大蔵省のお考えを承っておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 多くの政府関係金融機関が四十年に近い歴史を持つようになりました。つまり我が国が戦後立ち上がりますために、いろんな意味で、開銀のようなものもございますし、あるいは庶民の金融機関もございますし、いろんなことで民間ができない仕事をずっとやってまいりまして、四十年に近い歴史を持つようになったわけでございますから、その間に日本経済の持っておりますそういう機関に対するいわばニーズというものもいろいろに変わってまいりました。ですから、業務方法書等々、確かにそのときそのときに即した政府金融機関のあり方をその都度考えて調整をしてまいったわけでございますが、ここに来ますと、おっしゃいますように非常に金利が低くなりまして、おまけに資金は余りぎみである。そうしますと、民間の金融機関と勢い競合する部分が非常に多くなってきていることは私はおっしゃるとおりだと思います。 ただ、そこで考えておかなければなりませんのは、こんなに安い金利がそう将来長く続くかどうかということだと思います。そういうことまで考えますと、これは民間がやってくれるからもう要らないよというふうに簡単に考えてしまうわけにはいきません。今民間の方では、どうも政府機関がいわば自分たちの分野を邪魔していると申しますか、食っていると申しますか、そういうふうに言われること私どもも耳にいたします。それは恐らく今の状況ではきっと本当なのであろうと思いますけれども、いつまでも資金が潤沢で金利が低い日本経済であるとばかりは決まりませんので、やはりその辺も見きわめまして政府関係金融機関の将来というものを考えていかなければならないんだと思います。 いずれにいたしましても、四十年前にやっておったことをそのままやっておればいいというわけにはこれはまいりません。それは、常に自分で時代のニーズに合わせていかなければならないということは事実と思います。
○塩出啓典君 それでは、もう時間もなくなりましたが、最後の問題は、今回石油税がいわゆる従 価税から従量税、実質的には値上げでございますが、そこで、この実質値上げがどのように転嫁されるのか。特に今、いわゆるガソリンスタンド業界等は大変な過当競争で、非常に厳しい経営にあるわけでありますが、そういう意味で、この石油税の値上げがどこに吸収されると考えているのか、これが一点であります。 それともう一点は、これは資源エネルギー庁にお尋ねをいたしますが、やはりガソリンスタンドが非常に経営がよくない、過当競争である、全く合理化がなかなか進んでいないという、こういう点につきましては、やはりもっと国の規制を自由にすべきだという意見が前々からあったわけであります。昨年六月十七日の石油産業基本問題検討委員会の報告でも、そういう国の関与を思い切ってなくしていけという提言をしておるわけでありますが、国の関与を少なくするという、こういう点はどのように政策を進めておられるのか、お尋ねをいたします。
○政府委員(内藤正久君) 今、先生お尋ねの石油税増税分をどういうふうにだれが転嫁、吸収していくのかという、まず第一点でございますけれども、御案内のとおり、今回ガソリンで申しますと、約百十九円の現在価格のものが一定の仮定を置きますと一円十銭ぐらいの増税負担になるかと思っておりますが、結論的にはそれは税の性格上、最終的に消費者に転嫁されるべきものだと我々は思っております。 他方、二点目に先生の御指摘のガソリンスタンドが非常な過当競争にある、したがって本当にそれが消費者に転嫁できるような能力があるのかどうかという点につきましては、我々もその転嫁が可能になるような環境条件をぜひ整備していきたいと思っております。 具体的には、現在の転嫁が困護な状況といいますのは、元売段階におきまして事後調整でございますとか、あるいは不当な価格の差別仕切りをやっておるというふうな実態、あるいは販売業者が拡販志向の中で不当廉売をやるというふうな不合理な取引慣行があるということが第一だと思っておりますので、その取引慣行の排除のために公正取引委員会と一体になりまして、そういうルールの徹底及び不当廉売等につきましては独禁法の「不公正な取引方法」の適切な適用ということを共同でやっていこうということで進めております。 それで、今後の方向といたしまして規制を緩和してはいかがかという点につきましては、先生御指摘の方向で我々も考えております。御指摘のございました昨年六月の今後の石油政策の基本を定めました審議会答申では、過去五十年にわたりました石油産業に対する政府の規制を段階的に緩和していくということで、平常時には民間の創意と工夫を最大限に発揮をしていただく。緊急時には当然政府が前面に出て、必要があらば配給に至るまでの対応を政府の責任において果たすというふうな役割分担のもとに、今後五年間、順次規制を撤廃していきたいと考えております。 それから、具体的に先生御指摘のガソリンスタンドに関連いたしましては、六十四年度中に、現在行っておりますスクラップ・アンド・ビルド原則、一つのガソリンスタンドをつくる場合には一つの同じグループ内における一つのものをスクラップしなければならないという総量規制をいたしておりますが、そういう規制及び、転籍ルールと申しておりますけれども、同じ系列の中で、他の系列から引き取りをやった場合には、自分の系列でもう一つつぶさなければならないというふうな、いずれにいたしましても総量規制を具体的にやっておりますけれども、それを撤廃するという方針が固められておりまして、それをぜひ答申のとおり実行をしてまいりたい。 ただ、先生御承知のとおり、いずれも中小企業が中心でございますし、経営状態が非常に悪いということも事実でございますので、その間、近代化促進法等に基づきまして構造改善につきましても十分な、可能な限りのお手伝いをしていきたいということで考えております。
○塩出啓典君 終わります。
○多田省吾君 法案に対する質問をいたしますが、まず住宅税制について、主要な改正点を簡明にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 住宅取得促進税制につきましては、基本的な構造は従来のものを踏襲いたしてございますが、今回の改正点、主なポイントを申し上げますと、一定の増改築のための借入金を適用対象といたしたいということ。それから控除額につきましては二千万円の限度額の中におきまして、公的ローンにつきましてはそれを二分の一にカウントいたしておりましたが、この二分の一カウントということを外したということ。次は、床面積要件に従来二百平米という上限がございましたものを撤廃したということ。次は、適用される所得者の方につきまして、所得要件が一千万円以下でございましたが、これを三千万円以下にいたしたいということ。これらの点につきまして御提案を申し上げてございます。
○多田省吾君 今のお答えのとおり、適用対象となる住宅の床面積の上限が、今までの上限二百平米から一挙に上限そのものが取り外されるという改正になっております。それから所得要件も一千万円から一挙に三倍の三千万円以下にするということでございますけれども、これはどう考えても資産のある方々にとめどもない税制の優遇を行おうという姿以外の何物でもない、このように思うわけでございます。やはり、私は税制について、特に住宅税制に関しましては資産の多い人よりも少ない人の負担を軽くするという方向でなければならない、このように思いますけれども、いかがでございますか。
○政府委員(水野勝君) 従来、住宅取得促進税制も租税特別措置ということで極力政策的な点を考えますとともに、その所得者に対する影響というものも配慮してまいったところでございますが、最近におきましては、特に昨年以来でございますけれども、住宅の取得促進、これは内需拡大に非常に寄与するところが大きいということから、やや内需拡大的な観点からとにかく住宅をお建ていただきたいという方向に重点が置かれてきているところでございます。 先ほど申し上げた改正点は、それぞれ大きな方向としてはそういう流れの中にあるわけでございますが、御指摘の所得要件につきましては、これはもう一つ、現在我が国のサラリーマンの方でございますとおおむね年功序列的な給与水準になってございまして、定年間際に近くなって住宅を取得される、そのときには年功序列でかなりな所得水準になっておられる。せっかくこの制度の適用を受けようと思い立たれたときには所得要件でもって引っかかってしまうということが間々見受けられたところでございますので、今回これの上限を三千万円までにいたしまして、幅広く御活用を願えればということで御提案申し上げているところでございます。
○多田省吾君 もう一点は、住宅取得促進税制の改正で、適用対象となる住宅の範囲に今度は増改築も含まれるということになります。これは結構なことでありますけれども、その借入金等の範囲となりますと納得のいかない点もございます。すなわち支出が二百万円を超えて、なおかつ償還期間が十年以上の借入金とありますけれども、これは国民の実生活から考えてちょっと離れているのではないか、このように思います。 現行でも、床面積で二百平米以下の家屋でありますと、私はよほどのことがない限り、二百万円も増改築にかけない人が多いのではないか。また、住宅ローンなどで十年以上の償還期間となりますと相当長い方でございまして、一般の簡単な増改築の場合なんかは償還の期間が三年とか五年とかというものが多いわけでございます。ですから私は、適用範囲ももう少し広げて、小規模の増改築においてもきちっと対応できるように、例えば支出額百万円以上、償還期間五年以上程度で発足したらどうかと考えますけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(水野勝君) やはり、この制度が住宅 を取得されたという場合に適用を申し上げるということでございますので、今回いわば住宅の新規取得というものに近いような増築、改築、そうしたものをこの際適用対象に含めることといたしてはどうかということで、一定の規模を置いておるわけでございます。 また、住宅の増改築の実情を関係省庁の資料によって見ましても、平均いたしますと四百万円をちょっと超えるぐらいのところが平均的な増改築の経費のようでございますので、そのあたりをにらみまして一応二百万円ということで仕切りを御提案申し上げているところでございます。 また、実質的ないろいろ増改築をモデル的に試算をいたしてみますと、四坪程度の一部屋というか、離れというか、そういったものを増築される、やはり三百万円程度の規模のものになるようでございます。それから改築でも大体四坪程度のものでございますと二百五十万円前後、こうしたモデル試算もあるようでございますので、そういったものを勘案いたしまして二百万円ということで切らしていただいているところでございます。
○多田省吾君 それで、先ほどの支出二百万円以上となっておりますが、これは同じ年度内であれば二回以上支出しても合計で二百万円以上になればよろしいということですか、どうですか。
○政府委員(水野勝君) ただいま申し上げましたように、住宅の取得に類する増改築ということで御提案申し上げてございますので、やはりそれは増改築されるものが一定規模以上のものにお願いをいたしたいということでございますので、その増築なり改築の工事一つ一つにつきましてそういうふうに規模を御提案申し上げているところでございます。
○多田省吾君 今度は住宅の範囲に増改築も含まれたということで喜ぶ方もおられると思うんですが、そのように住宅取得に基本を置いた大幅な、住宅取得時の大増改築だけを対象にしたような姿ですと、またこれは考えが違ってくるわけでございまして、非常に適用範囲が縮小されるんじゃないか、このように心配いたします。 関連してもう一点、住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例に関してお伺いいたしますけれども、その制度の概要を簡単に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) これは昭和五十九年度の改正で御提案申し上げて制度化をいただいているところでございます。やはり住宅をお建てになるというときには一定の金額の頭金をまず用意される、それをもとに借入金等も活用されて取得をされ、後はこれをローンでお払いになっていくというのが一つのパターンではないかと思うわけでございます。 そこで、最初の頭金の調達というときに当たりまして、これを御親族から贈与を受けるときには、一年六十万円の基礎控除をオーバーするときには贈与税がかかるわけでございますが、住宅というようなまとまったものを取得しようというときの贈与でございますので、これは一年一年の基礎控除というものでそれを適用するということでなくて、例えば五年間一遍にその基礎控除までの贈与を受けられたというふうな見方もできるかもしれない。ということであれば、それは五年分の基礎控除を御活用になって頭金を贈与を受けた、五年間の基礎控除を活用されたということであれば、そういうふうな税額計算をして差し上げる。そうすれば、その金額以下であればその場合の贈与税というのは免除される。しかし、それはその後五年間は基礎控除は活用できないという、まあ税負担そのものの絶対的な免税と言えるかどうかわかりませんけれども、そうした頭金の調達につきましての税制上の御配慮を申し上げているという制度でございます。
○多田省吾君 次に、住宅ローンに関しまして一点お伺いしておきたいんですが、現在、年間にどの程度の住宅ローンの焦げつきがございますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 焦げつきの総額の金額は、統計がございませんのでとっておりませんが、個々の金融機関に昨日電話で至急確かめましたところ、個別の銀行の数字として申し上げますと、例えばある都市銀行でございますが、延滞率が六十二年下期で〇・〇六%というふうになっております。それから住宅公庫も、これは数字がございますが、六十一年で〇・〇〇九ということになっております。
○多田省吾君 最近、住宅ローンの焦げつきが大変増加しているようでございます。私どもも調査中でありますけれども、実際に住宅を何らかの理由で手放さなければならなくなった場合、相当多額の返済金を借入先に納めているにもかかわらず、元金はほとんど減っていないというのが現状でございます。 元利均等の返済ということになっているそうでございますけれども、いざそのときになって計算してみますと、ほとんど利払いに充てられている。これは最初から条件がありますから、借りる方もそれを納得して借りたのではないかと言われればそれまででありますけれども、やはり最近起こっている、やっと手に入れたマイホームを何らかの理由で手放す必要があるという場合に、この住宅ローンの内容の改善というものを図って、ある程度支払った場合の元金の減り分をもう少し大きくすべきではないかとこう考えますけれども、こういう改善を大蔵省は考えておりますか。
○政府委員(平澤貞昭君) まさに委員のおっしゃいますような問題がございまして、住宅ローンの返済方法につきましては、金融機関は通例三つの方式を利用者にお示しして、その中から選んでいただいているわけでございます。 一つが、今委員がおっしゃいました元利均等返済方式でございまして、これにつきましては最初のころは利息が多くて元金の返済が少ないわけでございますので、中途でということになりますと元金分がなお残っているという問題があるわけでございます。 それからもう一つは、そういう問題がある今の方式に対しまして元金均等返済方式というのがございます。これは毎回元金を均等に返していくということですから、元金は急速に減っていくわけでございますけれども、当初利息が非常に高いということでございます。 それから三つ目は逆に、今は所得は非常に少ないけれども、将来、年功序列賃金制度ということでございますから上がってくるということを予想いたしまして、むしろ逆に元利逓増償還方式というのをおとりになる方もあるわけでございまして、それにつきましてはやはりこの三つの方式の中から、それぞれの人たちが一番自分に適したものを選ぶということでやっているのが現状でございます。
○多田省吾君 せっかくの御答弁でございますが、私ども調査してみますと、いずれの場合もやはり金融機関がもうけて、そして住宅ローンを支払っている方がどうしても不利になるという姿しか出てきませんので、この点を今後ともお考えいただきたいし、私たちも要望したいと思います。 次に、土地税制でございますけれども、抜本的な土地税制改正ではなくして、今回は非常に限られたものしか入れていないわけです。本会議でも、また本委員会でも同僚議員からたびたび指摘されておりますが、特に今回の買いかえ制度の特例の問題では、どうしてもこれは納得のいかない点があるわけでございます。 今回、買いかえ制度が原則廃止されるわけでございますが、相続による居住用財産で三十年以上居住しているものは認められる一方、自力で得た居住用財産には一切この特例は認められない。これは不公平または矛盾をますます拡大させるものではないか、こういう批判が強いのでございます。いろいろ転勤等で、自分の力で営々と家をせっかく建てたのにどうしても三十年住むことができず、わずかの年住んだだけで引っ越さなければならない、また売らなければならないというサラリーマンの方もいらっしゃるわけでございます。その一方、そのように労せずしてといいますか、墳墓の土地であるというような理由もおっしゃっておりますけれども、父母あるいは祖父母等から 遺贈あるいは相続を受けた方は、本人が三十年住んでいれば、とにかく買いかえ制度の特例が引き続いて認められる。こういうことはどうしても不公平ではないかと言わざるを得ませんが、もう一度その理由を説明してください。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、居住用財産の買いかえ特例につきましては、原則としては廃止を御提案申し上げているところでございます。これは最近の都心地域におきますところの地価高騰、これを周辺地域に伝播させているという御指摘が数多くございまして、臨時行政改革推進協議会の昨年の答申でもこうした点を指摘されているところでございます。そういうところから原則としては廃止をお願いいたしたい。しかし、二世代以上にわたっていわば代々そこに住んでおられた、そういう方が移られるということはよくよく特殊な事情等がある場合ではなかろうか、そういう場合に限っては例外的に存続をいたすということでいかがかということで御提案を申し上げているところでございます。
○多田省吾君 その事情なるものは、何も相続を受けられた方だけではなしに、御自分の力で営々として貯金なさったり、あるいは苦労なさって自宅をつくられたという方も同じようにいろんな事情もあるわけでございまして、どうしてもこれは納得がいきません。 しかし話を進めまして、その相続を受けた方が三十年間住んでいれば特例を認められるというわけでございますが、それにもいろいろな場合があると思うんです。例えば、どの時点で相続を受けたのか、三十年間住んでいるうちの初めでもいいのか、あるいは最後の方でもいいのか。それからもう一つは、途中増改築なんかした場合、あるいは建てかえなんかした場合はどういうことになるのか。これからこれは政令で細かくやるんだというお話もございますけれども、今のお考えもひとつお述べになってください。
○政府委員(水野勝君) 問題は、三十年以上住んでおられたということと、それから十年以上これを所有しておられたという二点あるわけでございますが、この十年以上所有ということは、従来からございます土地住宅税制におきますところの十年というもののカウント、この考え方は従来からのものと同じでございます。したがいまして、この十年というときには、建てかえがございますと、その家屋の所有期間というものはそこで切れるわけでございますので、十年間所有というときとの関連におきましては今回の改正に関係なく、従来からそうでございますが、十年以内に建てかえがございますと、それは所有期間十年というところにひっかかって適用がないわけでございます。 今回新しいのは三十年以上居住ということでございますが、これは御自分が相続をされて所有しておられる期間が十年でございましたら、それ以前ずっと三十年住んでおられるその間に、十年以上前に建てかえが行われても、そこの居住期間としてはそこは通算は結構ではないか、そこは広く考えていかがかと、基本的にはそのようにこの法律、制度の趣旨から考えておるところでございます。
○多田省吾君 そのほか、土地税制では今回、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、今までは特別控除後の譲渡益四千万円を区切りに税率に差をつけておられたが、これはどういう意図からでございますか。
○政府委員(水野勝君) 御承知のように、現在の土地税制は、基本的には一般の譲渡につきましては四千万円までは二〇%、その上は二分の一総合課税という考え方で、ごく少数と申しますか、圧倒的多数の場合はこれは四千万円以下の譲渡に適用が入ってまいります。したがいまして、その税率は二〇%ということで極めてわかりやすい。わかりやすく、また累進しないということが、これが切り売りの防止でございますとか売りやすくするというふうな考え方につながっておるところでございます。しかし、土地という資産の所得につきましての御負担をお願いすることといたしましては一律二〇%ということではいかがかということから、四千万円を超えるものにつきましては二分の一総合課税の原則を適用させていただいておる。 しかし、これが優良住宅地の場合には、これも先ほど申し上げました税額の算定が簡明で、しかもそれがいわば分離課税率的に適用になっておりますと、切り売りが少なく、売りやすくなり、供給の促進になるということから、優良住宅地の供給につきましては二〇%と二五%、四千万までは二〇、それを超える部分につきましては二五という二段階比例税率を採用いたしておったところでございますが、さらに優良住宅地の供給、公共用地の取得の促進、そうした観点から、これは四千万円を境に区別するのでなくて、一律二〇%の税率で課税することが適当ではないかということで御提案を申し上げているところでございます。
○多田省吾君 四千万円超の部分だけを今回二五%を二〇%に改正されたわけでございますが、いわゆる土地税制につきましては、政府税調の「六十三年度の税制改正に関する答申」でも、「税負担の公平の観点に留意」するという言葉がございます。しかし、この部分だけを見ますと、譲渡益の大きい部分だけを軽減するということになりまして不公平が増大したんじゃないか、このようにも考えられますが、何かそれ以上の大きな目的、先ほどいろいろ説明されましたが、あるようには思えませんが、いかがですか。
○政府委員(水野勝君) こうした土地税制に特有の課税の考え方は、先ほども申し上げましたように切り売りを防止して供給の促進に資するというところから、できるだけ簡明な制度にお願いをいたしておる。それを今回、優良住宅地の供給、公共用地の取得の促進、過密商業地域におきますところの土地の高度利用の促進、こうした政策的な目的から一律二〇ということでいかがかということで御提案をいたしたところでございます。
○多田省吾君 先月十八日に国税庁の譲渡所得税調査が明らかにされましたけれども、これによりますと企業や大地主による特恵優遇措置の悪用あるいは利益あさりの実態が書いてあります。この実態をお伺いしたいと思います。
○政府委員(日向隆君) 譲渡所得につきまして、私どもが収集した課税上有効な資料情報をもとに、六十一年分の譲渡所得について申告した者約七十六万人を中心に、申告額が過小と認められる者や、申告義務があると認められるにもかかわらず申告書の提出がない者四万七千六百五十二件について、昭和六十二年中に調査を行った結果について申し上げますと、そのうちで三万四千九百五十九件の申告漏れがございました。これらの申告漏れ所得金額は合計で五千三百十二億円でございまして、これを調査一件当たりで見ますと千百十五万円ということになっております。 このうち、譲渡所得の課税の特例に関する調査実績で申し上げますと、一万六千百三十二件について調査をしました結果、申告漏れがありました者は一万二千五百十二件でございまして、その課税の特例をいわば悪用して申告漏れをしました所得金額は二千四百三十八億円でございまして、調査一件当たり千五百十一万円ということになっております。 その調査の結果、判明いたしました主な不正事例といたしましては、今申し上げました居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の不正利用、事業用資産の買いかえの課税の特例の不正利用などのほか、譲渡価額の圧縮とか、あるいは取得価額の過大な計上といったものが往々にして見られているところでございます。
○多田省吾君 続いてお尋ねしますが、そういう特恵優遇措置の悪用が調査報告をされているわけでございますけれども、今回は居住用資産の買いかえ特例のみが原則廃止ということになったわけでございますが、その程度の改正でこういった悪用が防げますか。
○政府委員(日向隆君) 私ども執行の立場でいろんな脱税の手口等を見ておりますと、やはり譲渡 所得については一度に思わぬ利益なり所得が出るということでございますので、どうもその観点から見ますと、制度の改正がこういう形であったからといって、直ちに譲渡所得に関する脱税といいますか、いろんな特例の不正利用がなくなるという感じは率直に言っていたしません。
○多田省吾君 私は、やはり土地税制に関しましても根本的な改正が必要ではないか、このように思うわけでございますが、これは次の機会に質問することにいたしまして、私はここで納税環境及び国税職員の方々の処遇等の問題で二、三お尋ねをしておきたいと思います。 我が国の納税に対する国民の意識というものは、取られるという表現が常に使用されているように、納税の義務だとかあるいは納めるというような意識は薄いように感じられます。これは我が国の現在の税制がやはり不公平感が非常に強い。諸種の世論調査などにおきましても、今の税制は不公平であるとお答えになった方が八〇%前後もいらっしゃるわけでございまして、それに加えてまた重税感もかなりございます。このように納税環境というものがやはり非常によくない方向に動いているわけでございますが、財政当局、税務当局といたしましては、このような姿をどのように認識され、どういう対応で国民の理解を得ようとなさっておられますか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(日向隆君) 申告納税制度のもとにおきまして、漏れなく正しい申告を確保するということが私どもの責務でございますが、この問題について考えますときに、何といいましても納税道義の高揚という点が第一番に重要ではないかと思います。したがいまして、私どもはこの点について、いわゆる学校教育における租税教育の正しい扱い方ということについてかねてから文部省当局に対して要望しておるところでございまして、つい最近におきましても国税庁長官から文部省事務次官に対して、この点の充実方についてできるだけのお願いをしたところでございます。この点はさらに一層努力してまいりたい、かように考えております。 もう一つの点は、やはり簿記とかあるいはまた税法の周知徹底ということでございまして、申告すべき人が正しく税法に従って申告できるような、いわゆる御指摘のございました納税環境の整備について私ども相努めなきゃならぬ、こう思っております。それには、第一には青色申告者の育成という問題でございますけれども、第二番目には私どもだけでなくて関係地方税当局とか、ないしは関係民間団体とやっぱり協力いたしまして、納税者の方の記帳等納税環境の整備に一層の努力をしてまいりたい、かように考えております。 しかしながら、そうは言いましても車の両輪のように、最後に大事なのは、不適正に申告した人がそのまま放置されるということでは正直に申告した人がばかを見るわけでありまして、この不適正な申告をした人について、その申告を正すために税務調査につきまして質、量ともに一層充実した調査をしていかなきゃいかぬ、かように考えておるところでございます。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のございましたように、所得税と申しますのは、特にその中での申告納税制度、これは最後はそれぞれの納税者の方の良識と申しますか、良心にまつところが大きいわけでございます。したがいまして、そうしたものを最後のよりどころとしつつ、制度的な面におきましても極力そういったものが担保されるように、最近におきましても種々工夫を重ねてきているところでございます。 昭和五十九年度の改正におきましては、白色申告者の場合につきましても記帳義務制度といったものを御提案し、導入させていただきました。 また、昨年の改正では、サラリーマンが事業所得者と比べて自分で税額を計算し、申告し、納税をするというところが開かれていない。それが制度的に不公平だと思われている大きな点であるとも言われているところでございますので、非常に狭い範囲ではございますが特定支出控除といったものを御提案し、一応その道は開いたところでございます。それからまた、事業所得者の場合におきまして他の所得者が世帯の中で所得を分割できるというような制度的な便法が開かれてきている、こうしたものに対処しまして配偶者特別控除制度でございますとか、もろもろの御提案も申し上げてまいっているところでございます。
○多田省吾君 私はやはり根本的には不公平税制を是正する、また税金、予算の使い方を国民の納得できるような立場で行う、そういった根本的なことがなされないと、どうしても重税感というものはぬぐえない、このように思うのでございます。 一方、現在はやはり重税感の裏返しといたしまして節税ということが盛んに行われております。これは結構なことだと思いますが、脱税は大変困るわけでございます。また、おっしゃるとおり昭和三十八年度に申告納税制度が発足してから今日まで、脱税も非常に巧妙になり、また大規模な悪質な脱税が後を絶ちませんけれども、国税庁とされましてはどのような態度で臨んでおりますか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(日向隆君) 今御指摘になりました節税という問題につきましては、これは特に確たる定義ではないかもしれませんが、一般的には制度上認められた範囲内で税負担の軽減を図るということでございますので、これにつきましては、やっぱり私どもそれなりに十分考えていかなきゃいかぬ。つまり、十分考えていかなきゃならぬということは、特定の人が制度を知っているために結果的に税負担の面で得をするということがないように、すべての人が一律に税のいろんな問題、いろんなやっぱり措置について知る必要がある、こう思っておりまして、まず第一にはPRに全力を注ぐということがございます。 第二番目には、具体的に全国に約五百人ぐらい税務相談官を配置しておりますが、この税務相談官が日常行う相談活動の中にあって、懇切丁寧にできるだけその制度及びその措置等について納税者の方々に説明するということにして、特に中途半端なことがないように努力してまいりたいと思っております。 他方、悪質な脱税につきましては、現在二百三十件前後の年間査察を行っておりますが、査察の適切な運用を初め、国税調査の面におきまして有効な資料情報の収集をもとに、できるだけ適切で効果的、効率的な税務調査の運用をしてまいりたい、こう思っております。
○多田省吾君 先ほどからいろいろ伺っておりますと、我が国の税務行政、特に税務の執行環境を考えますと、そこに従事する国税職員の方々の苦労というものが大変大きいということがわかるのでございます。この前も国税会議の労組の方々からいろいろ御意見をお聞きいたしました。昭和三十七年当時五万二千三十二名であった国税職員の定員が、昭和六十三年度予算査定で五万三千五百十九名となったと聞いておりますが、これは相変わらず横ばいでございまして、恒常的な要員不足という姿がございます。 また一方、定員をふやしていただければ実調率なんかも非常に高まっていくのではないかということもありますし、また最近、経済の発展に伴う納税人口が急増しておりますし、取引規模も大型化、広域化している。取引内容も複雑多様化している。また情報の国際化等によって事務量が急増している。いろいろなお話をお聞きいたしますと、私は政府は特段の努力をもって処遇の改善あるいは定員の一層の確保充実に当たるべきではないかと、このように考えますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(日向隆君) 私ども、今委員からるる御指摘をいただきましたような事柄によりまして、定員の増加ないしは職員の処遇の改善には一層の努力をしていかなければならぬ、こう思っておるところでございます。 特に定員の問題につきましては、御指摘にもございましたように、やはり実調率との兼ね合いでございまして、現在営庶業所得者についての実調 率三・八%、法人等についての実調率九・三%は決して望ましい水準とは思っておりません。したがいまして、できるだけ内部事務の合理化には努力をいたしますものの、なお必要とされる経費については関係方面の理解を得ながらその充実に努めてまいりたい、かように考えております。 また、処遇の改善につきましては、やはり処遇の改善の柱は二つありまして、一つは税務職俸給表の行政職俸給表(一)に対する水準差の維持の問題であろうかと思います。現在二万三千五百円という水準になっておりますが、これについてもできるだけの努力をしてまいりたいと思いますとともに、さらに級別定数の維持拡大につきましても、関係方面と折衝いたしましてできるだけの努力をしてまいりたいと考えております。
○多田省吾君 宮澤大蔵大臣は今いらっしゃらないので、ちょっといらっしゃるまでお待ちしましょう。 大蔵大臣にお尋ねしたいんですが、今国税庁からもお答えいただいたんですが、国税職員の方々の待遇改善あるいは定員の増加等につきまして、毎年、本委員会におきましても附帯決議でお願いしているところでございますけれども、現在実調率は個人で三・八%、法人でも九・三%と非常に低い姿にございます。また今、ベテランの方々が大変頑張ってくださっていますから何とかやっておられるものと思いますけれども、今後ますます納税環境は厳しくなると思いますので、この点、私はやはり格段の御検討をお願いしたい、このように思うわけでございますが、大臣いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 失礼いたしました。 税務職員の勤務状況につきましていつも御心配いただいておりまして感謝いたしております。 私が大蔵省をやめましたのがちょうど三十五年前でございますけれども、当時税務職員がやっぱり大体五万人ということでございましたので、今日と同じでございます。 その間、それはいろいろ効率化、機械化等々もいたしましたけれども、何分にもあの当時の日本と今の日本とこれだけ違っておりますので、したがいまして、勢いどうしても手が回らずに、実調率は個人で三、四%、法人で一〇%内外と、こういうことでございますので、なお進んで機械化、合理化、効率化をやってまいりますけれども、どうしてもやむを得ないときにはひとつ増員をお認めをいただくということ、これはやむを得ない。私がちょうど国庫大臣でございますので、どうもそういうことをできるだけ抑制すべき立場にございますけれども、やむを得ないときにはまたお願いをしなきゃならぬと思っております。
○多田省吾君 次に、私は揮発油税の道路整備特会へのバイパス問題で二、三お尋ねしておきたいと思います。 昭和六十年度予算編成におきまして、揮発油税収の十五分の一をバイパスを設けて、一般会計を経ないで道路整備特別会計に直接組み入れる措置というものがとられたわけでございます。政府は、道路整備がおくれているために、地方道路整備臨時交付金を特会から出すために、安定した金額を特会に充当するための方法だと言われてきましたけれども、実際は歳出の一律削減のため、公共事業の一般会計に占める割合を低く見せるためのバイパスであったことは十分に想像できるのでございます。 今回、この十五分の一を四分の一にまで高めようとされております。これはNTT株売却費で充てられている公共事業費が一般会計の中で膨らむのを糊塗するために大幅なバイパスが必要となったものとしか思えません。十五分の一をなぜ四分の一になされたのか、その理由と、その辺の事情を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(斎藤次郎君) お答え申し上げます。 道路特会に直入されます揮発油税を財源とする御質問の事業は、いわゆる交付金事業でございまして、緊急地方道路整備事業というふうに称しております。これは地方の自主性を尊重しつつ、地方の生活圏に密着した道路を優先的に整備するということで、複数の道路整備事業を一体として行って地域の道路整備上の課題に迅速かつ的確に対応しようというものでございます。 第十次の道路整備五カ年計画がスタートをすることになっておりますけれども、この計画におきましても、定住促進のための生活関連道路整備というのを最重要課題の一つとして充実をしようということでございます。この事業の事業規模を道路整備五カ年計画において見積もりましたところ、毎年度の揮発油税収の四分の一に相当する額が必要という推計になっておりますものですから、その分を道路持会に直入するということにいたしまして、安定的財源を確保しようという趣旨でございます。
○多田省吾君 次に、このバイパスを使っての直入割合をふやすことを従来の当局の御説明で解釈いたしますと、地方道路整備臨時交付金の増額が必要となってきたということになります。これは一般財源の目的税化でございまして、従来大蔵省が極力否定なされてきたところであると思うのでございますが、これはいかがでございましょうか。
○政府委員(斎藤次郎君) この直入と申しますのは、揮発油税収の四分の一を直入しようということでございます。実は揮発油税収につきましては、道路整備緊急措置法の規定でその全額がいわゆる道路特定財源ということで特定をされておりますものですから、今回の措置はそのうちで緊急地方道路整備事業のために直入する割合を引き上げようということでございまして、いわば従来道路特定財源とされております揮発油税の中の一部を直入するということでございますので、一般財源をいわゆる特定財源化するものではないというぐあいに私どもは考えているわけでございます。 この緊急道路整備事業というのは、地方の自主性を尊重しつつ、地方の生活に密着した地方道の整備を促進するというために設けられた制度でございますので、この事業の安定的財源を確保するために、一定割合を一般会計を経由せずに特会に直入するというのは意義のある制度だというぐあいに考えておるわけでございます。
○多田省吾君 最後に、国有地処分問題で御質問をいたします。 臨時行政改革推進審議会が六月に提出いたします土地対策答申の試案の内容が報ぜられているわけでございます。その中で、住宅供給促進のための国公有地の転用というものを盛り込むことが挙げられております。まだ答申ではありませんけれども、この審議の方向はこういう方向だと思います。国有地処分については、現在の地価の高値安定状態下でどのような方針で進められようとしているのか。下手をしますと、また土地暴騰の引き金になりかねません。私は、いろいろ問題があると思いますが、地方自治体に貸与をするとか、また売却を当分見合わせるとか、何らかの方法を講ずる必要があると思います。こういった問題で当局はどのようにお考えになっておりますか。
○政府委員(藤田弘志君) 行革審におきまして、国有地の利活用に関しましてどのような議論が行われているかにつきましては、その詳細は承知していないところでございますが、いずれにいたしましても、国において将来とも利用する見込みのない国有地を処分するに当たりましては、公用・公共用優先の原則のもとに事前に地方公共団体等に買い受け勧奨を行っているところでございまして、地方公共団体等あるいは住宅・都市整備公団等からその具体的な利用計画が出されましたならば、その規模とか立地条件等、住宅用地としての適否、他からの要望、地元の意向等を総合勘案しつつ適切に対処してまいりたいと思います。 それから入札処分についてでございますが、これは地価高騰地は見合わせるということで、現在見合わせを続けておるところでございます。 ─────────────
○委員長(村上正邦君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、高杉廸忠君が委員を辞任され、その補欠として丸谷金保君が選任されました。 ─────────────
○近藤忠孝君 まず、税制改革の基本的考え方について質問をいたします。 この点については三月二十八日、福田委員が議論を展開されました。大体こちらを向いてしゃべっておったものだから、私もそちらを向いて、もとより大臣の方を向いて議論をいたしますけれども、議論はかみ合った方がいいと思うのですよね。その点について、たまには委員長の答弁を求めることを申し上げておきます。 まず、高齢化社会の費用は勤労所得者が負担するのは大変だと、第一にこういう発言をされたわけですね。そして、これもメモしておいたんですが、生産年齢人口に所得税で負担しろと言ってもそれはできない。要するに高齢化社会の費用負担ですね。宮澤さん、この発言は正確ではないんじゃないかと思います。これはこの間の予算委員会で議論しまして、ただ、たった三分の関連質問ですから十分議論ができなかったので、もう一度この議論を展開したいと思うのですが、これ、不正確ですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) いや、どうしてでございますか。
○近藤忠孝君 要するに生産年齢人口、十五歳から六十四歳までで六十五歳以上の人を支える。そうするとだんだん、今六人に一人だけれども、そのうち三人もしくは二人に一人、だから大変だというのですが、もし、そうだと言うならそれでいいですよ。また、確かに生産年齢人口と六十五歳以上の年齢をずっと割り算をしていけば、そのとおりなんです。しかし、これは不正確ですよ。 では宮澤さん、今お年は何歳ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は担がれる方になっております。
○近藤忠孝君 担がれる方ですと、宮澤さんはとても総理大臣にはなれませんね。まだ何年もやっぱり稼ぐ方で、税金を納める方だと思うのですね。 と申しますのは、生産年齢人口というのは、その中に、これはこの間も申したけれども生徒、学生、専業主婦など実際働いていない人が含まれている。と同時に、現に宮澤さんもそうですし、また多くの人がそうですけれども、六十五歳以上で働いている人もたくさんいるわけですね。そして、その人々が所得を得、税金を納めるんですから、だから分母は生産年齢人口じゃなくて就業者人口だということを申し上げたんですが、なかなか前回の答弁では私は納得できないんです。もう一度お答えいただきたいと思うんですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) わかりました。生産年齢人口としてあのとき私が申し上げましたのは十五歳から六十四歳でございますので、十五歳ぐらいのところでございますと、それは確かに稼得、所得を得ている人は多分少ないであろうと思います。それは分母の方の問題でございます。それからまた分子の方の問題では、六十五歳以上でも所得を得ている人は、それはたくさんおります。たくさんというか随分おられるので、ですから分子と分母にそれは所得のある者、ない者というふうにきちっと分けるわけにはいかない要素が少しずつございますですね。 ですけれども、それならば近藤委員の言われますように就業者数で分けるとなれば、分子にはもちろん就業者がおりますが、分母にも就業者がおりますですね。 ですから、あの統計で申し上げようとしたことは、そんなに精緻なことではありませんで、だんだん年寄っていかれる人、それを六十五歳で切りまして、そこから上といたしました。それから、これから社会に出ていかれる、あるいはまだ現に社会で働いている人を十五から六十四と便宜分けまして、どちらかといえばこの上の分子に当たる人は稼得能力が小さくなっていくはずですし、どちらかといえば下にいる人はこれから稼得能力が大きくなるわけでこぎいますから、そういう意味で両方を分子と分母に分けて申し上げまして、それで下の方の人、若い人でございますが、それが勤労所得税を中心に年寄りを背負っていくとすれば、なかなか大変なことだと思う。こういう意味のことを、いわば大ざっぱと申しますか、大観的に申し上げましたので、細かく申せばそれは不正確なところが、大ざっぱなところがございます。
○近藤忠孝君 これから新しい、特に大型間接税を導入するかどうかの議論ですから、私はやっぱり精緻な議論をしないといけないと思うんですね。実際、結果が随分違ってきちゃうんです。結果的に申しますと、さっき言ったとおり、今六人に一人が将来は二人で一人ということになりますし、私の方で申しますと、今も将来も二人で一人。全然大きな数字の差が出てきますので、これを受け取る国民の方は、間違った認識を持って間違った方を支持すると、それは大変なことになるんです。 大臣、先ほど分子の話をしました。分母としては、やっぱり実際就業者数が統計的に出ているんですから、これをお使いになるのが正しいと思うんですが、まず、そこをお聞きしておきましょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) いや、それは分母の就業者数は、今のはわかりますけれども二〇〇〇年の就業者数はわからない、二〇一〇年のもわからない。年齢ならわかりますけれども。
○近藤忠孝君 これはこの間、大臣、ちょうどこれはたしか労働省から答弁いただいたんですけれども、じゃ、ちょっとお眠りになったのか……。出ておるんです、ちゃんとこれは労働省の答弁で、二〇〇〇年で申しますと六千三百十万人、二〇一〇年で六千四百八十万人、それ以上は推測ですけれどもね、それより下がることはないと思うんです。ですから、実際、数字はわかります。 今度、分子の話ですと、今までの話では六十五歳以上。しかし、これは衆議院の方の議論でも、老人だけじゃなくて子供も含まれるんだから、やっぱり老人だけでは不正確だろうという話になりまして、さらに養われるのが自分と――働く人ね、自分と自分の家族もこれは含まれるわけですよ。だから、分母を正確にするためには全人口という話は、この間しましたよね。これもなかなか大臣のお答えはよくわからなかったんですが、もしこれを否定されるとしますと、実際、実働人口というのは、自分は食わずに年寄りを養うと、こういうとんでもない議論に発展するんですが、やはり分母は就業者人口で、分子は全人口、これが何人によって何人養うのかという計算としては最も正確な議論なんだろうということを私は申し上げておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 就業者数がわかるとおっしゃいましたが、そしてそれを分母にすべきだとおっしゃったんですが、その就業者の中には六十五歳以上の就業者もおりますね、そうでございましょう。ですから、近藤委員の言われるように就業者数を分母に置いて全人口を分子に置くというのは、私はそれは一つの何か意味のある数字が出てくると思います。 しかし、私が申しますように、若い人が年寄りをと、こういうのも一つの意味があって、ただ若い人ではいかにも乱暴でございますから、それで生産年齢人口と六十五歳以上とを分子と分母に分けた、おのおの意味はありますので、意味合いが違うんじゃないかと思いますが。
○近藤忠孝君 そうしますと、何人で何人を養うかという議論の場合に、私が今提起したようなことも一つの考え方と、これはお認めになりますよね。それを全く無視しちゃって、六人で一人が、二人に一人になっちゃうから大変だと、そこばかり議論がいきますと、これは自民党のパンフにもそう書いてあるようですけれども、それはちょっと国民を誤ったところに持っていくんじゃないか、こう思うんですが、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) つまり、おっしゃいますのは就業者数を分母に置いて全人口を分子に置くと。いわば働いている人が全国民をどういうふうに背負うかと、こういうことでございますな。それは意味のないことではないと思います。それは意味のないことじゃないと思いますが、その中には高齢化社会になっていくという要素は入りませんですわね、そうでございますな。恐らくだん だんだんだん国民の雇用がふえていく、それは大変いいことですが、そういうことはわかりますけれども、人口全体が高齢化になっていくということはその数式の中に入りませんですね。 私の申し上げようとしたのは、高齢化になりますと、まあごくごく常識的な意味で若い人が年寄りをやっぱり背負っていかなきゃなりません。ただ、若い人と申し上げたんでは大変に漠然としておりますから、定義を加えて分子と分母にしようとしたのでございまして、これはそれなりの意味が私はあると思うんですね。
○近藤忠孝君 それなりの意味の程度なら、それは結構だと思うんですね。 それから、高齢化社会を考えていないと申されましたが、同じ予算の配分の場合にも、高齢者の人口がふえていけば、それなりの配分がふえていく、それはやっぱり当然のことだと思いますし、それからこの大蔵省の計算の中には生産性の向上が全然入ってないんですよ。それで六が二になるから大変だという、そういう議論があるので、これは大変不正確だと思う。しかし今までよりは少し譲歩された答弁なので、きょうはこの辺で矛をおさめておきたいと思います。 それからもう一つは、大蔵省の計算、サラリーマンの租税負担率の試算が大き過ぎはしないか。これは二十一世紀の社会保障の計算で、衆議院に資料を出されましたが、その関係で大蔵省も計算をされました。この数字を見ますと、四%成長と五・五%成長の計算で、四%で見てみますと、国税の弾性値が一・一で計算をしております。そして給与所得税の方は一・九で計算をするんですね。これで計算をしますと、給与所得税以外の弾性値は〇・七八という、こういう結果になっちゃうんです。なぜ、そうなるか。 これはそんなに難しい計算じゃありませんが、例えば六十三年、国税が四十六兆円です。それに対して一・一で見てみますと、八十五年には百十九兆円、そのうち、今度給与所得税を弾性値一・九で計算しますと、現在九兆三千億円のものが八十五年に四十六兆五千八百億ですね。それを給与所得税を差し引いた残りの、給与所得税以外で計算すると〇・七八ということになってしまうんです。なぜこんな、給与以外の国税の弾性値が〇・七八なんというのはどうもおかしいと思ってよく調べてみますと、やはりこの一・九という給与所得税の弾性値をちょっと大き目に見過ぎているんじゃないか。そこで一・九ととった根拠は何か、これを伺いたいんです。
○政府委員(水野勝君) 給与所得税の弾性値は過去十年の平均をとりますと一・九ぐらいになるわけでございます。また一方、十年間をとりますと法人税は〇・九七でございますとか、間接税は〇・七でございますとか、そういう数字になりますので、決して不思議な数字ということではないものと思われるわけでございます。 また、私どもおおむね毎年の税収をはじく場合におきましても、給与につきましてはこうした水準の弾性値をも使って検証をいたしたりしておりますし、また我が国の所得税の構造、特に給与所得者の場合は給与所得控除がある。給与所得控除は上の方ほど率が低いという逓減的な要素がある。そうした制度から見ましても、定性的にもそうした仕組みの税制となっておるところでございますので、そうしたものを使っておるところでございます。
○近藤忠孝君 ですから、私は一・九が根拠があればいいと思うんですが、じゃ、その根拠を教えてくれというので何度も要求したんですが、資料としては所得税の弾性値の五十年以降の推移は出ています。ところが給与所得、これを出してくれと言ったら、資料を出さぬのですよ。じゃ、どういう計算でそうなるのかと聞いても、いや、そうなりますと。資料示さずにそうなりますと言われたって、こんなもの私は納得できないんですよね。 ですから、それは局長、なぜ一・九になったのか、資料を私に見せていただいて、私も計算してみて、なるほどとなればこれは私も矛をおさめます。それを示さずに、ただ一・九だといって給与所得の税金を高く見積もって、大変だ大変だ、こういうぐあいに宣伝されても、もしそうなら本当に大変ですよ、これは。やっぱり給与所得にそういう負担がかかり過ぎる、何かそれは考えなきゃいかぬということになるかもしれない。根拠を示さずにそう言われたって、こっちは納得できないんです。大臣、資料をお示しいただけますか。
○政府委員(水野勝君) 税収全体としても、主な各税目につきましても、それぞれ結果として税収を用いまして弾性値ははじけるわけでございますので、特段、特別な事情があるわけではございません。十年の平均をとりますと一・九前後の弾性値になっておるということでございます。
○近藤忠孝君 だから、その資料をお出しいただけますねと聞いているんです。
○政府委員(水野勝君) 十年の平均をとりますと一・九という、まさにそのこと自体に尽きるわけでございます。
○近藤忠孝君 そう言うから、所得税はちゃんと毎年出ているんだから、同じものを出せと私言ったんですよ。ところが事務方は頑として、あなたのところで抑えているのかな、頑として出さぬものだから、だからこういう質問をして時間を食っているわけなんですね。じゃ資料をお出しいただくと、委員長、これはひとつ資料を出すということで御指示いただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 中期展望とかそういったものを計算する際にも、全体の税収は十年平均の弾性値を使いまして一・一ということで計算をさせていただいています。まさにそれに尽きるわけでございまして、十年の平均のものは全体は一・一でございますし、給与分は一・九になっておるというだけのことでございますので、特段それをどういうふうに資料化するとか、そういう話ではないんじゃないかと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 だったら、出してもいいわけですね。 次に、これも先日の議論の中で、累進緩和が国際的な傾向だという議論がありましたね。そういう議論の中での大臣の答弁で、ヨーロッパでは社会主義政策の行き過ぎへの反省があると。ヨーロッパで社会主義政策の行き過ぎがあって、今その反動として累進緩和などが起きているんだろう、こういう趣旨に私は受け取ったんですが、私は日本ではそういう行き過ぎなどがあったなんて思っていないわけですね。大体、もともとそんな政策はなくて、福祉もずっとおくれて出発したわけですから、行き過ぎようにも行き過ぎようがなかったんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大抵、いつかそういうふうにおっしゃるだろうと思っていましたんですがぬ。あれは例えば北欧なんかで幾らかございましたですね、やっぱり一般的に少し社会主義政策が行き過ぎて、北欧の諸国がやや勤労意欲といいますか、企業意欲といいますか、そういうものがどうなんだろうかというような、過去、戦後四十年見ておりますと、そういうことが私はあったと思うんでございますね。我が国はそこまで確かに社会政策は行かなかったのでございますけれども、一番顕著な例は例えばイギリスかもしれませんけれども、今度サッチャー政権のもとにああいう所得税の二段階でございますか、かなり思い切った改革を出しましたのも、やっぱりイギリスはいっときサッチャーの前の時代に、イギリス病と言われたような時代があって、それについての反省ではなかったか。アメリカの場合は、そんなに社会保障政策がひどく進んだとは思いませんけれども、また別の事由でレーガンさんがああいう提案をした。 我が国は、おっしゃいますようにそこまで、社会政策の行き過ぎがあって、みんなが沈滞してしまったというところまで私は確かに行っておりませんと思います。したがってまあ、したがってまあと言うのはちょっとおかしいかもしれませんが、突然二段階の所得税を御提案するというようなわけにはやっぱりならないんでして、今度この 素案では六段階を考えておられるんですが、我が国の場合はそういう意味で決してヨーロッパの北欧の国々のように行き過ぎもいたしませんでしたが、しかしそのかわり、今度非常に二段階というような大変に思い切った改正も必要としなかったと申しますか、それは必ずしも妥当ではないだろうということになっておるのではないかと思います。
○近藤忠孝君 スウェーデンと限定されれば、こちらもスウェーデンを調べてきまして、またそれはそれで議論したんですけれども、それをヨーロッパに及ぼし、そしてその議論を日本にまで持ってこようという、こういう議論が私は今回の税制論議全体にあると思うんです。先ほどの生産年齢人口と就業年齢人口の問題も基本的には同じ問題なので、どうも正確じゃない議論がもとになってどんどんそれが発展して、いかにも国民にそれはやむなしと思わせるような、そういう議論があるということをここで申し上げておきたいと思います。 それと類似する議論として、こういう議論もありましたね。大体六〇%、七〇%の課税じゃ余りにもこれは大変だと。これも、ここの人はそうは思わぬけれども一般の国民が聞きますと、例えば一億あれはもう六千万円持っていかれちゃう、こういう印象になるんです。しかし、それは大蔵委員会であるからそうじゃないんで、実際計算して見れば、要するに例えば五千万円超の部分に六〇%ですからぬ。 そこで、どうですか、主税局長。五千万、六千万、一億の各所得の人の、実際払う税金の所得に対する比率はどれぐらいですか。
○政府委員(水野勝君) 例えばサラリーマンの方でございますと、夫婦子二人でございますと三千五百万円から五千六百万円の年収、こういった方々になりますと所得税、住民税合わせまして実効税率は五四%になるというところでございます。
○近藤忠孝君 計算してみますと五千万円で、これは国税でいきます、そちらはなるたけ大きく見えるように言うから。国税で申しますと、五千万で三九・五、六千万で四一・九、一億で四八・〇、これが国税の実際の税率ですね。しかも、これは高額所得者はほかに資産所得があって低率分離課税ですから、実際には上の方はもっと負担率は少ない、私はこう思います。実際、勤労所得だけで一億なんというのは、やっと日本でも落合選手がどうかという、それだって経費を引いたら相当少なくなるわけだから、そんなにざらにいるものじゃないんですね。これもそういう意味で不正確な議論だということを申し上げておきます。 それから、もう一つ議論しておかなきゃいけないのは、先ほど鈴木委員とのやりとりの中で所得格差の問題がありました。大臣はきょうは正確に、最近で言うと格差は広がっておるということをお認めになりましたけれども、これは前回も、三月二十三日の日に予算委員会で具体的資料に基づいて指摘をいたしたんですね。私は、この問題の議論のとき大事なことは、今の税制を変えるというんですから、そして今の税制を変える場合に所得再配分機能をそれほど重視しなくてもいいほど所得格差がなくなってきた、こうおっしゃる以上は、これはむしろ大蔵省側でこれほど具体的に格差はなくなっていますという証拠を出すべきですよ。それでみんなが納得すればそうだと。 ところが、この間も予算委員会で議論したように、これは総理府の統計資料によっても所得格差はほとんど変わっていないんですよ、政府資料によっても、所得の配分の比率を見ますと。これはお認めになると思いますね。逆に厚生省資料によっても、それはこの五年間で見ればもう明らかに格差が広がってきておる。 問題は将来につながっていくというんですから、私はきょうは繰り返しませんけれども、この間、具体的資料でお示しして、格差は広がっているし、特に税・社会保障負担は低所得の方が負担がずっと多くなっているということを申し上げたんですが、私はこれがもし裁判であれば完全に私の方にもう今ごろ勝訴判決が出ています。というのは一つの主張を、それを実証しようとする方がやっぱり証拠を示して、なるほどと思わせなきゃいかぬです。思わせ切れなければ負けなんです。だからそういう点では、もう既に配分について格差は広がっているという資料がある以上、格差が縮まったという証拠はないんですから、それだけでだめなんです。 加えて、私が具体的に示したように、この二十五年間で見ると第一分位も第五分位も所得の伸びは余り変わらない。けれども、税と社会保障負担では片方は二十五倍ぐらい、片方は十何倍と、倍近くの差がある。これだけ示したら、もう大蔵省の言っている格差がなくなっている、少なくなっている、これは完璧に破綻していると思うんで、私は軽々に公の場所で宮澤さんの口からそういったことを出してもらっちゃ困る、こう思うんですが、いかがですか。
○政府委員(水野勝君) あのときの御議論にもございましたけれども、それからきょうの御議論もございましたが、現在所得格差は例えば一分位、五分位ですと横ばいか若干開きぎみの点もある。しかし国民生活白書にもございますように、この格差と申しますのは一つの世帯の中で働き手が一人でなくてだんだん奥さんが働きに出るようになる、高齢者の方でも働きに出るようになる。したがいまして、そういう世帯の構成によってそういう現象があらわれてきている。したがって予算委員会のときにもお話ございましたように、所得の中で世帯主の所得だけ見ますと、むしろジニ係数は狭まっているという点とか、世帯員の一人当たりで見ますと、むしろ上の方が小さく、下の方が大きいとか、そういう世帯におきますところの勤労形態の変化がかなり最近大きいのではないか。 したがいまして、こういうことによる所得格差の横ばいないしは若干の拡大というのは、職業とか階級によって出てくる格差というものとは全く異質のものじゃないかというような分析が国民生活白書にもあるわけでございまして、そうした最近の就労形態の変化というようなことを入れますと、やはりそれは平準化の方向にあるということが白書での言い方ではないかと思うわけでございます。 それからまた、先般もいろいろお示しいただきましたが、結局最後のところ、第一分位と第五分位分けましても、お示しいただいた数字でも、第五分位というのは上からの五分の一ですが、その方々の税負担が全体の五〇%を占めている。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 これは日本の税制としてやっぱりこの累進度合いと申しますか、再分配度合いというものは世界でも例のない高いものである、こうしたものを前提として所得税制なり再分配をどう考えるかという、先般のお示しした数字を拝見しましてもそういう感じがいたしたところでございます。
○近藤忠孝君 議論が逆だと思うんですね。そちらで税制改革をしようという以上は、むしろそちら側でこのように所得格差が縮まっていますという資料を示すべきなんですよ。私の方で、ない知恵と力をしぼって具体的に資料を出したら、いわばそれに対する反論として出てくるんだから。だからやっぱり順序が逆だということを申し上げて、あと時間の関係で租税特別措置法の中身にも入らなきゃいけませんから、次に進みたいと思います。 マル優の問題をちょっとお聞きをしますけれども、あすから制度が変わりますが、銀行局長、特に老人等ということでマル優が残った人々について、銀行の窓口でうまくスムーズにそれが適用になるような、そういう指導は徹底しておりますか。
○政府委員(日向隆君) 老人等マル優の制度の執行に当たりまして、金融機関等に対してまずは第一義的には私どもがその指導の責任を負っておりますので、まず私からお答えをさせていただきたいと思います。 今、委員御指摘になりました新しいマル優制度の対象となります人は、御案内のように年齢六十 五歳以上の人、寡婦年金受給者及び身体障害者手帳の交付を受けている人など法令の規定に該当する一定の人と、こういうふうにされておりますが、この人たちが金融機関の窓口等におきまして適正にその措置を受けられるよう、私どもは昨年制度が変わりましてから各種の機会に周知徹底を図っておりますと同時に、金融機関等につきましては全国銀行協会や、また証券につきましては日本証券業協会等を通じまして、この制度を周知徹底するように努力しておるところでございます。
○近藤忠孝君 具体的に問題が起きておりますのは公害病患者です。これも老人や障害者等の一つに入るんですが、実際これは具体的に当たってみますと、三菱銀行と富士銀行は、これも適用になって新しいマル優は大丈夫ですよということでしたが、三井銀行では、窓口ではできないと言うわけです。で、しようがない、課長を出したら、課長がやっと、できると。それから大和銀行。大和銀行というのは国会内に支店を持っている銀行ですけれども、これはできないと言うんですよ。本店に照会までしたんですね。そうしましたら第二種の公害病患者、これはイタイイタイ病、水俣病患者、これは重症だからできるけれども、第一種それから大気汚染による公害病患者、これはだめだと言われておると言うんですね。あちこちでまちまちだし、実際、窓口では徹底していないようです。 徹底していない理由を調べてみますと、やはりありますね。銀行のパンフなんかに公害病患者が大体抜けています。抜けている理由は、国税庁からの通達、書類が行っていますね、その書類の中にこの公害病のあれが入っていない。だからしたがって抜けちゃうんです。ですから、これはどうですか、まず公害病、大気汚染の患者も対象になるということは間違いでしょう。だから、それをひとつ窓口に徹底してもらうように、ちょうど銀行局長もおりますが、その点どうでしょうか。
○政府委員(日向隆君) 今委員が御指摘の公害病患者の方の場合には、具体的に申し上げますと公害健康被害の補償等に関する法律に基づく障害補償費の受給者が該当するというふうに先般定められた省令になっておりますので、私どもといたしましてはこれを執行する立場から、そういう受給者の方が窓口においてその措置を受けられないということがあってはならないことだと思っておりまして、もし万一にもそういうことがございましたら、至急にその是正方について努力してまいりたいと思います。 ただ、お話の中で事実関係がなおひとつはっきりしないと私想像いたしますのは、今私が申し上げましたように、新マル優の対象になりますのは公害健康被害の補償等に関する法律に基づく障害補償費の受給者でございまして、同様な事情にあると思われますけれども、大気汚染患者のうち、公害健康被害補償法に基づく障害補償費の受給者ではない人もいるわけでございまして、この辺、事実関係をなおよく私どもで精査して措置をとりたい、かように考えております。
○近藤忠孝君 そこはわきまえて質問しているつもりです。級外と言うんですが、級外の人々ももとよりありますね。しかし今問題にしたのは、ちゃんと補償費が支給されている人々も断られている。確かに省令で級外が外れておるんですが、どうも大蔵省はやっぱり公害患者の実態をお知りにならないから外しちゃったんだと思うんですね。しかし、具体的に補償費をもらっていないだけで、認定患者なんですよ。実態はそんなに差があるわけじゃないんです。そんな一と十ほどの違いはないんですね。せいぜいこの段階の中の二と三の、二・九九と三ぐらいの、この辺で切られているようなものですから、これですと何も法律を変える必要はないんですよね。あとは適用の問題なので、どうですか、この辺、本当に微妙なところですから、省令をほんのちょっといじればいいんです。ちょっといじって、これは全部級外も適用になるようにできませんか。
○政府委員(日向隆君) 今御指摘になりました省令の問題でございますが、私どもその点、今委員の御指摘のように、大変執行面でそういうことが紛らわしいということがございましたら、主税局にもその旨は申し伝えたいと、こう考えております。
○近藤忠孝君 同じ公害病患者だけだから、逆に煩わしいですよね。それからマル優を適用する出先も、同じ患者でありながらどちらなのかと、そんな判断をまた現場でさせなきゃいかぬ。ですから、やっぱり認定されておれば、認定されているという証明を持っていけば、もうすぐに適用という形でこれは処理していただきたいと思います。 それで同じような問題が、これは郵便局の現場にも銀行と同じような状況がやっぱり発生しておるんです。これは郵政省を通じて徹底方、これは連絡ですな、連絡いただけますかね。
○政府委員(日向隆君) 御指摘の措置については十分配慮したいと思います。
○近藤忠孝君 では、次に土地税制問題に入ります。 土地税制問題は、これは基本的には土地対策だと思いますね。土地対策の中で土地需要供給論その他いろいろ問題があると思いますが、ただ、きょうはそこまでとても入っていく時間がありませんので、基本的なことだけお聞きをしておきたいと思います。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 まず、お聞きをしておくべきことは、土地対策の中の税制の位置づけと、そして、あともう一つは土地税制の課題、土地税制はどういったことを課題として制定されておるのか、この点端的にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 端的に申し上げますと、土地税制といたしましては、土地対策の中ではやはり基本的には抜本的と申しますか、基本的な土地対策があって、それに税制としては補完的、誘導的な役割を果たすということが土地税制のスタンスではないかと思うわけでございます。しかし、そうした土地対策に補完的、誘導的な役割を果たすとともに、税制でございますから負担の公平と申しますか、土地の移動等につきましては相応の御負担をいただき、負担の公平を期するということが土地税制の中では一つの側面でございます。
○近藤忠孝君 課題については言われなかったが、ちょっと時間の関係でよろしいです。 銀行局長、土地特別委員会で、私の方で具体的に幾つかの土地について銀行からの貸付状況をずっと表をつくりまして、まさに同じ土地でありながら、地価評価が上がれば貸し出す。また上がって貸し出す。どんどんと上がっていってしまったと。だから、それを引き揚げれば土地自身が下がるんじゃないかという指摘をしましたし、局長も不適正な融資に対しては、これは引き揚げるようなことも含めて指導すると、こう言われましたね。あれから何カ月かたっておりますので、その後の指導の状況、また、そういう金融面を通じて土地の値下がりが実現しているものかどうか。その辺についてどうですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 昨年十二月九日でございますか、委員から土地の特別委員会で具体的事例をお示しいただいたわけでございますが、その場合に、根抵当権がふえていくのに応じて融資をというお話がたしかあったかに記憶しているわけでございます。 ただ、あの問題につきましては、根抵当権の限度額は土地の価格が上がるのに応じて上げていくということではございませんで、通例の場合は、そういう担保の土地がございます場合に融資額が、例えば設備投資とかもろもろのものを含めまして、必要額に応じて限度額を上げていくということが多いわけでございます。したがって、その限度額の上がる率に応じて土地が上がっているということでは必ずしもないという問題があろうかと思います。あのとき、その点につきましてはこちらから答弁する機会もございませんでしたので、それは申し上げておいた方がいいかと存じます。 それから、金融機関の土地関連融資の問題につ きましては、その後、引き続き金融機関に対しまして特別ヒアリングを実施いたしております。その特別ヒアリングの場におきましては、あの際御答弁申し上げましたように、まず土地投機をあおるような融資、これを是正させるということが一つ挙がっておりました。続いて第二の問題といたしまして、今後そういうような融資が行われないような仕組みをつくり上げていくということも重要であるわけでございます。主としてその二つの点につきまして特別ヒアリングの際にきめ細かく金融機関に対して一々指摘いたしまして、そういう方向で指導をしてきております。 したがいまして、その後、新聞等にも出ておりますように、特に地価の騰貴の激しかった東京の都心部その他におきましては、鎮静化の兆しがかなり出てきておるわけでございます。かつまた、金融機関の融資も御存じのように、日本銀行が発表しておりますように、今まで急激に伸びておりましたのが鈍化して、場合によっては漸減になってきておるということでございまして、効果は十分に出てきておるというふうに考えておる次第でございます。
○近藤忠孝君 今回の租税特別措置法の中心問題は、土地税制の中でわけても長期譲渡の、その中でもわけても優良住宅地造成のための特例をさらに広げていくということで、実際上は総合課税がこれは外れていく。もう既に外れておったけれども、それがさらに外れていく。しかも、今までの単なる優良住宅地だけじゃなくて、今度の条項を見ますと、それ以外にも例えば「当該譲渡に係る土地等が当該事業の用に供される」とかとなっている。 「当該事業の用」となりますと、住宅以外何でも広がってしまいますね、例えばホテル、遊園地その他。そこまでも四千万超二分の一総合課税というものを外しちゃって、しかも四千万超二五%も外しちゃって全部二〇%となりますと、本来はこれは優良住宅地だから、しかも、そういう宅地供給という一つの大義名分があって初めて二〇%なり二五%となっておる、それが外れちゃったら、もうこれは野放しじゃないか。そして、まさにそういうところで土地投機が行われているわけですね。そうすると、この税制は基本的にはそういう土地投機を助長することになりはしないかという根本的な疑問を感ずることが第一点です。 そして、かつて基本的には総合課税であったものが昭和四十五年以降、一つの方向として比例税制にして、ひとつ土地供給させようということで五年間やってみましたね。確かに土地供給はふえたけれども、同時にあの時期、供給はふえたけれども土地はめちゃくちゃに上がっちゃったですね。そしてまた総合課税に一応戻りました。しかし、今度また外しちゃう。しかも、土地高騰のこの時期に外しちゃうというのは、そういう土地対策という面から見ましても全く逆行したことを今やろうとしているんじゃないか。 私は、今回のこの租税特別措置法の一番基本の中に、土地対策とは全く逆のこと、しかも一部の土地投機でもうける人間をさらにもうけさせる、しかも基本的に税の基本である総合課税を土地税制の面で外してしまう、こんなことが今行われようとしておりますが、答弁をいただきたい。
○政府委員(水野勝君) お話しのように、昭和四十四年の税制改正で、現在の土地税制の基本的な考え方と申し上げますか、仕組みができておりますが、これは、例えば四千万まで二〇%といいますのは、普通の課税、普通の所得税本則の課税からいたしますと、ある意味では普通よりは重い御負担をお願いしている。そういう中におきまして、優良住宅地の供給に資するものにつきましては一定の特例を設けているということでございますので、土地税制全体としてはむしろ普通以上の御負担をお願いしつつ、その中で特定のものにつきましては若干の軽減を申し上げて売りやすくする、そういうことで配慮をいたすのがいかがかということで御提案をしているのでございますので、土地税制、土地につきましての御負担という意味では、相応の御負担ということの中で議論はお願いをできていると思います。
○近藤忠孝君 一々反論していくと――私は持ち時間もちょうど来ましたので吉井さんに譲りますが、またこの次にでも議論をしたいと思います。一番いいところに来たのに、残念です。
○吉井英勝君 租税特別措置法に関する附帯決議案が予定されておりますが、石油税及びその増税には反対でありますので賛成できませんけれども、しかし、第四項の税務職員の処遇改善、職場環境充実には賛成であり、この点に関連して若干質問をいたしたいと思います。 さて、去る三月一日の衆議院大蔵委員会で我が党の正森委員より、紅屋商事事件についての最高裁第二小法廷の昭和六十一年一月二十四日の判決が紹介されました。 この紅屋商事事件というのは、青森と弘前の二つの店舗を持つ総合衣料、食品大型小売店紅屋商事が、昭和五十年の夏と冬のボーナス支給に際して、会社側が二つの組合の所属の違いによって支給差別を行っておったというものです。これについては、地労委や中労委で組合が勝ち、会社はそれは無効だという訴訟を起こしましたが、地裁も高裁もすべて組合が勝って、そして最高裁で組合の主張が認められたものです。 この最高裁判決のポイントと申しますのは、ボーナスを払うときに人事考課率を、二つの組合があり、一つの組合ともう一つの組合との間で著しく数十%の差をつけた場合に、個々の職員の勤務態度はどうであったかということを判定するまでもなく、大量観察によって一つの組合と他の組合とがかくも差別がある場合、不当労働行為であるという点でありますが、人事院に来ていただいておりますが、これは承知しておられますか。
○説明員(角野敬明君) お答え申し上げます。 私ども、御指摘の最高裁の判決が出されたということについては十分承知いたしております。
○吉井英勝君 公務員の場合は、労組法第七条の不当労働行為の適用は除外となっておりますが、憲法、公務員法等により法のもとの平等とか公正な人事考課は当然のはずであります。しかし、国家公務員の場合にも人事差別があるとうかがえるときは、最高裁の大量観察方式というのは大いに尊重し参考にし、調査や審査に生かされるべきものではないかと思いますが、人事院いかがでしょうか。
○説明員(角野敬明君) 先生御指摘の点は、行政措置要求制度の審査と申しますか、それに関する点かと存じますが、御承知いただいていますように、行政措置要求制度は、職員がその勤務条件に関しまして行政上の措置を求めて人事院に提起をするということでございますが、措置要求の内容は勤務条件全般にわたりいろいろあり得るところでございます。したがいまして、個々の事案の処理に当たりどのような方法をとって対応すべきかというのは、それぞれの事案の内容に応じて判断をしてまいりたいと、こう思っております。 御指摘の最高裁の判決に関連してでございますけれども、私ども行政措置要求の運営に当たる者といたしましては、制度の適切な運用を図っていく上で、常日ごろからいろいろ勉強していくことが必要であるとこう思っておりまして、そのような考えの一環といたしまして、御指摘の最高裁判決につきましては十分勉強をいたしたいと思いますし、幸い、この判決につきましては、専門の学者の先生方がいろいろ解説をしていただいているところでございます。したがいまして、そういう点も含めまして十分関心を持ち勉強をしていきたいと思っております。
○吉井英勝君 ちょっと行政措置要求について言っておられましたが、これは御存じのように、中村博氏の国公法コンメンタールなどで国公法十七条の人事院の調査については書いておりますね。おっしゃったように、勤務条件に関する行政措置の要求における調査、これもありますが、不利益処分の審査請求における調査、それからまた人事行政の事項に関するものとかがあることは御存じですね。ですから、私が申し上げましたのは、余り狭く限られないで、人事院のそういう調査、審 査において最高裁の大量観察方式は大いに尊重し参考にし生かされたいと、こういう趣旨でございます。この点はよろしゅうございますね。
○説明員(角野敬明君) 現在、国公法で規定されておりますいろんな審査といたしましては、御指摘ございましたように不利益処分審査あるいは行政措置要求についての審査、それから災害補償等いろいろございます。それぞれにつきまして制度の趣旨が若干違ってはおるわけですけれども、私ども基本的にそれぞれの手続を所管する者として適切な対応が図れるように、日ごろから十分勉強しておく必要があると思っております。
○吉井英勝君 公務員には争議権はございませんが、その調整の役割というのは人事院が担っているわけですが、国家公務員法第百八条の七にあるように、団体の構成員となっても不利益扱いを受けない、もしこれを受けているとみなされる場合、またはそういう声が上がったときには、今おっしゃったように、十分大量観察方式など最高裁の判断も尊重し念頭に置いてやってもらいたい、こういうふうに思います。 人事院はお忙しいところどうも御苦労さまでした。 それで、続いて次の問題でございますが、私は今、大阪国税局など六つの国税局での組合所属による八級以上のポスト昇任差別の実態という表を持っております。これはちょっと私申し上げますのに、大臣にも見ておいていただいた方がわかりやすいと思いますので……。(資料を渡す)
○委員長(村上正邦君) それはちゃんと委員長の了解をとってください。
○吉井英勝君 どうもすみません。ちょっと大臣にだけ。
○委員長(村上正邦君) 何にしたって委員長の了解をとって。
○吉井英勝君 そうですか。委員長、じゃちょっと御了解いただきたいんですが。
○委員長(村上正邦君) はい。
○吉井英勝君 私、口頭で申し上げますよりは、ちょっと見ていただいた方が……。 これは昨年十月時点の仙台国税局、関信、東京、名古屋、金沢、大阪の各国税局管内のものですが、これによりますと、勤続年数二十一年、標準年齢四十歳、一番下のところですね、見ていただくとわかるんですが、税務大学二十六期以上、それから勤続年数三十七年、標準年齢五十六歳、税務大学十期卒業生までの職員数、下に載っておりますが、合計七千二百五十一人。これで全国税組合員以外の職員は平均七四%の方が八級職に在職、全国税組合員は四百四十八名中わずか十六人の三・五%しか八級職に在職していないんです。しかも、四十歳から五十一歳までの全国税組合員三百六十四名中八級職はゼロですね。そして、全国税を脱退したら十一名中十名がすぐ八級以上の昇格可能ポストに任命されているということになっておりますが、私は全国税労組の人たちから、仕事をまじめに一生懸命やっていながらこういう差別を受けているということを聞いているわけです。これは紅屋商事事件の国税版ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(日向隆君) ただいま委員が御説明になりましたように、一般職の国家公務員には労働組合法第七条の適用がございませんので、したがって、同法第七条に言う不当労働行為はないということになっておりますけれども、他方、国家公務員法第百八条の二に、「職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。」こう明確にうたわれておりますし、また、これも御指摘になりましたが、国家公務員法第百八条の七に「職員は、職員団体の構成員であること、これを結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと、又はその職員団体における正当な行為をしたことのために不利益な取扱いを受けない。」ということになっておりますので、私どもといたしましても、これらに反しまして、職員団体の加入の有無、これが第一点でございますが、第二点は所属の有無及びその職員団体における正当な行為等に対しまして、以上の三点でございますけれども、介入とか規制とか不利益な取り扱い等を行っておりませんし、また、今後ともこれを行う考えはございません。
○吉井英勝君 この八級職問題につきましては、去る三月一日、衆議院の正森議員の質問の際に、国税庁の次長は、職員団体の加入の有無によって不利益な取り扱いは行っておりません、今後行う考えはありませんと同じことをおっしゃいましたね。しかし、それはやっておりますと言ったらこれは明らかに法律違反ですね。だから、法律からすればできないわけなんです。だから、やっておりませんとしか答弁しようないんですね。しかし現実には、この表を見てどうですか、明白じゃないですか。 私は、紅屋商事事件に対する最高裁判決、また先ほどの人事院の答弁を踏まえて現実にこういうことは改善を図っていただきたいと思うんです。そうでないと、厳しい税務行政の職場で一生懸命仕事をしている職員の意欲をそぐことになると思いますし、公正な税務行政の執行にもかかわってまいります。まさに税務職員の処遇改善、職場環境充実ということを実際の人事で示していただきたいと思うわけですが、大臣の決意を伺っておきたいと思います。
○政府委員(日向隆君) ただいま本席においてお示しになりましたこのデータが現実にどういうデータか私ども承知しておりませんのでこれに即して申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますけれども、私ども今申し上げましたように、所属組合の状況等によりまして人事上の差別をするということは考えておりませんし、今おっしゃいましたように、私どもが職員の人事をするに際しましては、やはり何といいましても、職員一人一人が今日に意欲を持ち、あすに希望を持って仕事に取り組むことができますよう人事の上で常に適正な見直しを行っておるところでございますし、今後ともそういう見地から適正な見直しを行っていきたい、こう考えているところでございます。
○吉井英勝君 いつも同じ答弁の繰り返しをされるんですが、大体法律違反できるわけないですね。やっていますということを言えるわけないんですが、しかし先ほど私が口頭で申し上げましたことは、念のために見やすく表でも見ていただきましたけれども、これは明らかに最高裁が判断を示しております大量観察の方式でいきますならば明白なこれは人事上の差別ですね。こういうことについてはいつもながらの同じ答弁の繰り返しじゃなしに、これはやはり誠意を持って解決を図っていただきたいと思いますが、繰り返すようですが、やはりこの機会に大臣の決意を伺っておきたいんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) この紙を拝見いたしましてもこれがどういうものであるかわかりませんので、これにつきましてはお答えができません。しかし、不当な差別はいたしません。
○吉井英勝君 さて、国税庁からいただいた資料によりますと、昭和四十年から六十年ざっと比べてみますと、申告所得税納税者数で二・五二倍、源泉徴収義務者数で三・二七倍、国税収入では一一・九四倍など、納税者数の伸びより国税収入の伸びがはるかに大きいということはいただいた資料などでわかりますが、一方、国税職員はこの間に一・〇四倍ですか、先ほども大臣おっしゃいましたけれども、余り変わっていないわけですね。 この結果、徴税コストは国税では百円当たり一・一六円、地方税は二・六六円、地方税の半分以下のコストで国税の徴税コストはなっておりますが、国税庁は税収を伸ばすために相当の無理を重ねて、やはりそこに税務行政のゆがみやひずみが生じているのではないかと思うわけです。また、国税職員を過酷な労働に追いやっているんではないかと思うわけですが、例えば先日確定申告期限が終わりましたけれども、還付申告をしてもなかなか税金が還付してもらえない、こういう話をよく聞きます。税務署に早く還付してほしいと電話が随分かかってくるということも聞いており ますが、これは確定申告期においても所得税の税額を伸ばし徴収する徴税優先の執行体制になっていて、税務署では還付事務というのは余分な仕事という考え方が実際にはあるんじゃないか、そういう声をよく聞くわけです。納税者の還付申告を的確迅速に処理する税務署の執行体制は不十分になっているんじゃないか、こう思うわけですが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(日向隆君) 私ども確定申告期におきましては、これは二月十六日から三月十五日というふうに納税額のある者につきましてはこれは限られた期間でございますし、またその間にありまして、大量の申告者につきまして適正な申告をしていただくために各般の努力をするわけでございますので、その面に確かに大変な精力をそがれることは間違いのないところでございますけれども、同時に、やはり還付申告者に対しましてもこれが適正な還付を受けられるよう最大限の努力をしているつもりでございます。 ただ、御理解をいただきたい点は、申告所得税の還付申告者として源泉徴収に係る者だけをとりましても六十一年分は六百五十四万四千人というふうなかなり膨大な数になっている、こういう点については御理解を賜りたいと思うわけであります。しかしながら、その点についても適正な還付をするようできるだけの努力はしているつもりでございます。
○吉井英勝君 現実にはやはり税務署で仕事がふえているのに職員がふえていないということで、今おっしゃったように現実には徴税優先の執行体制にやっぱりなっているんですね。確定申告の時期は二月十六日から三月十五日ですが、その還付申告そのものは一月一日からですね。それで、還付申告をしても還付してもらえるのは五月、六月、あるいはそれ以降になるという場合がよくあると聞いておりますし、また還付されないまま時効になっている場合さえかなりあると聞いておりますが、最近五カ年間年別に還付されずに時効になった納税者数と金額を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(日向隆君) 確定申告期におきまして還付申告書が提出され、これについて審理いたしました結果、まず第一に、申告に当たりまして必要とされる書類がないためにその必要な書類の提出を慫慂したが、しかしながら実際提出されないままになったものというのがございます。また、申告をした後、還付申告でございますけれども、転居したような場合に転居先が不明といったような理由で、そういった二つの理由で五年間の消滅時効に係るものがございまして、それをまず申し上げますと、過去五年間で直近の六十一年から件数、金額を申し上げますが、六十一年度は六千件で三億六千八百万円、六十年度は五千件で二億八千九百万円、五十九年度は三千件で一億六千五百万円、五十八年度は二千件で一億三千六百万円、五十七年度は二千件で九千二百万円でございます。 なお、これ以外に還付申告につきまして申告審理をいたしました結果、これは正当であるといって私ども支払い決定の手続をして納税者の方に還付するわけでございますが、そういう支払い決定の手続をいたしましたものの、納税者が受け取りに来ないまま五年間経過して消滅時効にかかったものについて、金額だけ把握しておりますので申し上げますと、六十一年度は三億二千六百万円、六十年度は三億四千八百万円、五十九年度は四億五千四百万円、五十八年度は四億一千六百万円、五十七年度は二億七千七百万円でございます。
○吉井英勝君 随分還付されないまま時効にかかっているのが多いと思うわけですが、税金の還付というのは知らない人も結構いるわけなんですが、納税者の利益や権利にかかわることであって、これはやはり改善する必要があると思うんです。還付申告をしてもなかなか戻ってこないとかいろいろございますが、やはりこの点では税務署に日常的に還付事務を業とする還付担当部門といいますか、還付係といいますか、税務署に行きましても、市町村の税務関係へ行きましても、納税課とか徴税課とかその名前は、あるいはその係という名前はあるんですが、還付係というのは見当たらないですね。これはどうですか、ひとつ国民にわかりやすい税務行政という立場からは、徴税係があるように、あるいは納税係などがあるように、還付係という表示は少なくとも出して、兼務であるにしろ何であるにしろ、還付担当部門というのは明確にするということ、これは大事なことじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(日向隆君) 今おっしゃいますような還付係というものを特段の呼称をして今税務署に配置はしておりません。しかしながら、この還付の事務はやはり大事でございますので、徴収系統の管理部門におきましてこの事務を取り扱っております。今委員御指摘の趣旨は、この管理部門において周知徹底を図ることとしたい、こう思います。
○栗林卓司君 政府税制調査会がことしの二月の五日に「税制改革の基本課題」という文書を発表いたしました。また、先ごろ「税制改革についての素案」を発表いたしましたが、この中身は、もちろん税制調査会の発表でありますけれども、徴税当局として読み過ごしにできない部分があるように思いますので、そこを拾い上げて御所見を承りたいと思うんです。 まず、それは何かといいますと、サラリーマンの重税感、不公平感に触れながらこういった記述がそれぞれあります。読んでまいりますと、資産所得等の面で様々な特別措置が講じられたのに加え、課税所得の捕捉にアンバランスがあり、その結果、給与所得に税負担が偏り、云々とあるんです。この政府税調というのは政府とはなるほど距離がある機関と御説明されますけれども、その持っている権威というのは決して弱いものではありません。この政府税調がまずもって課税所得の捕捉にアンバランスがあると認めたということは、決して影響するところは私は小さいとは思わない。 かたがた加えて、さまざまな特別措置が講じられたことによって云々とあるんですが、そうしますと、徴税当局とすると課税所得の捕捉にどのようなアンバランスが事実上あるのか、そのアンバランス解消のために何をするのか、さらにはさまざまな特別措置を一体これからどのように整理をし適正化していくのか。そのどちらも明らかにして国民にその計画を示す義務があるとさえ言えるんではないかと思うんですが、御所見を伺います。
○政府委員(日向隆君) 御指摘のその申告所得税の世界でございますが、給与所得、事業所得、農業所得等の各所得種類間における所得把握の格差につきまして、私どもクロヨンといったような表現で十把一からげに議論することは適当ではない。これは実際に九、六、四といったような今私が申し上げました給与所得、事業所得、農業所得の間に把握の差があるということは私どもやっぱりわからないところでございますし、また、すべてのそれぞれの所得を納税者が同様な割合でやはり不誠実な申告をしているとは思っておりませんので、そのような二つの理由から十把一からげに論議することは適当ではないと思いますけれども、このような言葉に象徴されるような所得の種類間における所得の把握の差に基づく不公平感や不満感が世の中に存在しておりまして、社会的な大きな関心を呼んでいるということはまさに委員の御指摘のとおりでございますので、これについては私ども十分直視しなければならないと、こう考えております。 なお、これは御案内のことと思いますけれども、実際に年々私どもが対象を変えて十六万前後の営庶業者について実施いたします税務調査の結果を見てみますと、申告漏れ所得割合がほぼ二〇%前後に達しておりますことが事実としてございますので、こういう点から見ますと、このような申告漏れがやはり一部にはあるのは事実ではなかろうかと、かように考えております。 この対策としましてはいろんな機会に申し上げ ておりますけれども、制度面で納税環境の整備を五十九年にやっていただきましたが、さらに一段とお願いするとともに、私ども執行面では納税意識の高揚、記帳の充実等、納税環境の整備とともに、質量ともに充実した税務調査を実施してまいるよう一層の努力をしてまいりたいと、こう考えておるところでございます。
○栗林卓司君 この問題は、かねてお伺いするたびに、ただいまお答えがありましたように大変奥歯に物の挟まったような御答弁しか返ってこないのでありまして、なかなかお伺いするのもお伺いしづらいわけでありますけれども、政府税調の事務局を大蔵当局がやっているのは周知の事実でありまして、政府税調がここまではっきり書いていただきますと、よくぞお書きになったものだと思うのであります。 それで私は、何でこんなの書いたんだという質問をしているつもりじゃないんです。要するに、これはクロヨンかトーゴーサンピンかそういったことは別にして、やはり課税所得のアンバランスがあることはこれはもう否定しがたい。そうなりますと、先ほどは実調率に触れての国税職員の定員についてのお答えもございました。なるほど定員法の制約がかかっておりますから、あちらを見こちらを見ますとなかなか難しいんですということは、役所の中では通る言いわけかもしれませんけれども、これはもう納税者と政府とのかかわりにおいてどのように公正を担保するかということでありまして、したがって税務職員の数も足りない、これも周知の事実ですよ。 加えて、では税務職員の努力を補強するために納税者番号等の制度をどのように導入するのか。昨年この問題で議論をいたしましたときには、主税局長は来年は本腰を入れてこれは検討しなくちゃいけないと当時私はお答えになったのを記憶しておるのでありますが、それこれひっくるめて、だれが見たってこれはトーゴーサン、クロヨンとしか読めないのでありますが、この所得の捕捉にあるアンバランスを解消するためにやはり財政当局ははっきりとした御見解をお示しになる必要がある。見解と対策、あわせてさまざまな特別措置についてもこれをどのように改廃するか、それについても計画をお示しになる必要がある。 これはある意味では、もし本気で税制の抜本改革をおやりになろうとするのであればまず最初のステップであり、いわば税制改革に取り組む政府の気持ちのあかしにもなるんではないか、そんな気がするものですから、重ねてお尋ねをいたします。
○政府委員(水野勝君) 私ども税制調査会の事務局をいたしてございますが、こうした文章等は全く委員の方々のお書きになるものでございまして、事実関係として間違っていたりする場合には御訂正を願ったりすることはございますけれども、基本的には税制調査会の方々の文章でございます。 それから、その点に関連しましての納税者番号のお話がございました。これにつきましても、今回税制調査会が、これは基本的にひとつ踏み込んで検討してみようということで小委員会を設置されまして、現在まで二、三回の審議を行っておられ、なお今審議中でございます。この問題は及ぶところが非常に広い範囲でございますので、すぐ御結論がまとめられるかどうか、これからやや時間をかけての御検討になろうかとは思いますけれども、本格的な御検討をされて進められてまいるものと思われるところでございます。 そうした基本的な番号制度といった問題とは別に、今回の素案でももろもろの指摘を受けております制度につきましては、この素案の中でも多々指摘されてその検討が求められているところでございます。キャピタルゲインの問題、社会保険診療報酬課税の問題、みなし法人課税の問題、これが個人課税としてはその典型でございますし、法人課税につきましては土地の問題、公益法人の問題等が取り上げられ、検討の方向が示唆されているところでございます。
○栗林卓司君 もちろん、この文章一つ一つは税制調査会の構成委員の方々がお書きになったんだろうと思うんです。ただ、私がなぜ申し上げているかといいますと、仮にそうであったとしても、これを納税者、国民が見るわけでありますから、ああ、これは事実に反するなと思ったら反しておりますと言わなければいけないし、これは改革を急がなければいけないなと御判断になったらその対策を発表されなければいけないし、そういう敏速な対応が必要なのではありませんかという意味で申し上げているのであります。重ねてのことになりますからお答えは求めませんが、私が言っている意味はぜひ御理解をいただきたいと思いますし、こういった点をないがしろにしますと、おっしゃっている抜本的税制改革にさわりになりますぞということなんですよ。 そこで、この中を拝見しますと、これは税制調査会とすると随分無理な御議論をなさっているなと感じている点があるものですから、その点について今度は政府の御所見を承りたいと思います。 所得税、例えばこう書いてあるんですね。「昭和五十年代以降、本格的な所得減税がほとんど行われてこなかったこと等により、サラリーマン世帯の税負担率は倍増しており、また、給与所得に対する源泉所得税の国税収入に占めるウエートも大幅に増大してきている。」、事実私はこうだろうと思うんです。ここに問題点をお感じになって、こうお書きになっているんです。 そこで、これを解決する道なんですが、考えてみると、ことに書いてあるように昭和五十年代以降、本格的な所得減税が行われてこなかったから税負担率が倍増してしまった。これを直そうと思ったら、おくればせながら本格的に所得減税をやればいいんです。そのときに、いや、減税というのは恒久財源がなきゃできるものではないなどと言われますと、ちょっとやっぱり国民の方はけげんな気持ちにならざるを得ない。というのは、税負担率が倍増だから相当取ってきたんでしょう。取ってきた税金はどこへ行ってしまったんでしょうか。これは全部使っちゃったんです。あの使った分を取り戻しさえすれば減税はできるではありませんか。これは行政の内幕を知らない国民だから言う勝手な理屈かもしれませんけれども、素朴な納税者の気持ちとすると、そう考えるのが私は普通ではないかと思うんです。 もう一方、個別消費税で負担するのはもう限界であって、いろいろな対外摩擦の原因になっておる、こういう記述もあるんですが、それも振り返ってみると、取りやすいところに税負担を求めた結果としてその税負担率が高まってきてしまった、これを直すためにはどうしたらいいか。今まで取り過ぎてきたんですから、その分はどこかに回っているんですから、返してもらったらいいじゃないですか。したがって、取り過ぎているんですから、まず減税をしたらどうですか。これが素朴な納税者の気持ちだと思うんです。 そこで、政府税調が随分無理な議論をお立てになっているなと思いましたのは、今の給与所得の税負担率が倍増になった、あるいは個別消費税に対する負担がふえてきた、こうしたものに対して、これは一切合財何もかにも新型間接税を導入すれば全部解決できる幸福な道があるんですと言わんばかりに書いてあるんですが、これを政治の舞台に置き直してみますと、こちらでは税負担率が倍増です、したがってこれは減税しなければいけません。減税の財源は新型間接税。それから個別消費税の修正、これも税負担を減らします。しかし、その見合いとして新型間接税。そうすると、新型間接税と今言っていますけれども、これをわかりやすく言い直しますと、新しい増税をするという意味ですよね。 片一方では給与所得者に対しては比較して減税、個別消費税の世界に対してはこれも比較して減税、ところが片一方では増税をする。この減税をされる人と増税をされる人が全く同じであれば、右手でやって左手で取り戻すようなものでありますけれども、全く同じであるわけがない。必ずこれは違うんです。そのときに、あそこで減税になるんだからこっちでは負担しようじゃないか という、そんな世論が出てくると御期待になるとしたら、これはよほどむちゃな話です。所得税の減税財源としてこちら側に幅広の増税、個別消費税は消費税としてこちらも同じように幅広の増税、こんなことが政治的に成り立つわけはないじゃないですか。 成り立つ場合はどういったことかといいますと、実は従来増税をしたことによって賄ってきた行政サービス、それは何としても必要だから新しい増税を納税者の皆さん承知してください、したがってあの行政サービスは維持をいたします、ことにコンセンサスがあれば別ですよ。ところが、そんなコンセンサスがあるわけはない。 そうなりますと、いかにも理屈で考えて、片一方で減税するんだから見合いは恒久財源、したがって皆さんに広く負担していただいたのはいかにも理屈にかなったような議論に見えますけれども、情においても理においても全然これは通らない。通らないとみんなが感じ始めたから、今何を言っているか、とにかく延ばせや、秋までなんて言うなよ。それは、今まで増税によって賄ってきた行政サービスがやはり新しい税をつくってでも維持しなければいけない内容なのかというと、みんな首をひねっている。それを明らかにしていただかないと我々は税制の抜本改革のテーブルには着けません、今多くの人がそう言っているような気がするんです。 したがって、なるほど政府税調が指摘するように、給与所得税は負担率が倍増という始末になりましたし、個別消費税も時に貿易摩擦の対象になるようなほってはおけない状況ではありますけれども、そのほってはおけない状況をその他の国民の大多数がやっぱりほってはおけないと考えていただけるのだろうか。これは日本の場合は到底期待ができない。 そうなりますと、今までは税制の抜本改革という、見る人によって見ようが何ぼでも変わってくる玉虫色の表現で議論が転がっているような錯覚を与え続けてまいりましたけれども、ここにきて議論をもう一遍整理をして、前に進むのかどうするのか、一体時間をどれぐらいかけるのか、この議論をしていかないと、今政府が御計画になっているいわゆる新型間接税の導入問題も結局は売上税の二の舞になるのではないんだろうか。 先ほど御議論がありましたけれども、高齢化社会を迎えてとよくおっしゃいます。しかし、高齢化社会を迎えるその高齢化社会とは一体何なのか、イメージは全然そろっておりません。やがて年をとってそんな社会が来るというのはみんな知っておりますけれども、一体その社会がどんな社会なのか、そのコンセンサスはできておりません。それが増税なのかどうかさえコンセンサスはできていないんです。しかも、今まで取り過ぎた税金の分で使ってしまったじゃないか、それを戻してもらえる、言うなれば行財政改革をもう二段、三段と進めるためにはどうしたらいいのか、これも答えを出していかなきゃいかぬ。これが到底一月、二月、半年でできる仕事だとは思えない。これが余り日限切って焦ったってだめですよという声が日とともに高まってきた理由ではなかろうかと思うんです。 そこで私がお尋ねしたいのは、片方で税制のひずみがあったとして、それを直すためには当然それは恒久財源が必要になる。一見理屈ではわかる理屈に見えますけれども、これは有権者、国民の判断からすると全然わからない極めてそっぽの議論をしている。この政府税調のこの書類を見ながらしみじみそれを感じましたので、この点について大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、政府の立場から申しますと、国会決議がなされたのは昭和五十四年でございますから、そのときから、国会の御決議の御趣旨にもかんがみまして、いわゆる行政改革をやり、財政の縮減をやり、努力をしてまいりました。それはマイナスシーリングとかあるいはゼロシーリングとかいろいろな努力をいたしまして、いわば政府がかなりの減量経営をした、またその行政改革の成果もいろいろなところで出てきておるということは申し上げることができると思います。 その今の段階において、今お話を伺っておりますと、国民はなお行政サービスは要らないものがある、それをまず整理すべきだ、こういう国民の御意見であるというふうにお考えになっていらっしゃるわけですけれども、どうも私どもが見るところでは、今の国民の政府に対するお考えは、行政サービスが足りないという御主張の方が多いのではないか、そういう行政サービスはもう要らないよと言ってくださる声はなかなか実は聞こえないように思います。 それから、これはしょっちゅう申し上げていることでございますが、例えばやがて高齢化社会が来たときに、今程度の年金、医療等々のいわゆる福祉政策、社会保障政策を今より切り下げていいという国民的なコンセンサスがあるようにも私には思えません。どっちかといえば、今の社会保障政策が不十分だと考えておられる国民が多いように思いますが、いずれにしても、しかし高い給付が必要であれば高い負担が要るという問題でございますから、これはやがて国民が選択をせらるべき問題であろうと思うのであります。 そういう状況でございますから、今の段階で、現在政府が余剰な行政サービスをしている、あるいは将来政府の行政サービスを何かのことで低減することができるというふうにはなかなか今の国民のお考えは読み取れませんので、減量努力は今後とも続けてまいりますけれども、この程度のやはり規模の財政による行政サービスは前提として考える必要があるのではないかというのが私どもの考えでございます。
○栗林卓司君 一言意見だけ申し上げます。 議論が詰めたことになってないんですね。仮に例えば新型間接税導入するとしましても、究極の目的は何なんだということになりますと、ここのところが割合にあいまいもことしておりまして、それは増税が主たるねらいであって増税の目的はこれこれしかじかなんだと。こうなりますと、それはそれで議論は先に行くんでありましょうけれども、税負担率は高めない、何となくそれは財政再建とは関係なくて高齢化社会対策なんだと、そのときどきでいろんな言葉だけが飛び交っているものですから、詰めた議論になってきていないんだろうと思うんです。 そこで、詰めた議論をしていただいて、仮に例えば今の財政の状況を考えたら百兆を超えるあの国債残高をほうっておくわけには到底まいりません。あれを減らすためにこそ税制の抜本改革なんであります。これも一つのお立場なんでありまして、あれこれ突っ込んだ議論がいよいよ必要であります。それをしないとまた同じ過ちを繰り返すのではないんだろうか、そう思ったものですから一言意見を申し上げました。
○野末陳平君 住宅税制のことでちょっと最初にお聞きしますけれども、適用になるマイホームですが、その広さですね、その広さが上限の二百平米というのが今回なくなりまして、これはなぜなくしたのかという理由と、下限の四十平米は残っておりますけれども、これはなぜ残っているかと、その辺の改正の意図をちょっと説明してください。
○政府委員(水野勝君) これまではとにかく少ない財源でもって極力効果的に住宅取得の促進にお役に立ちたいということで、集中的にある意味ではお願いを申してきたわけでございますが、今後におきましては、その制度といたしましてはとにかく住宅をおつくりいただきたい、それは内需拡大の面にもかなりお役に立つことができる、そういう観点に少し幅を広げてことし改正を御提案申し上げているところでございます。 従来は百六十五平米なり百八十平米ということで限ってまいりましたが、とにかくこれはもう住宅をお建ていただきたい、そして景気拡大、内需拡大に役立っていただきたいと、端的にそういうことから住宅の規模につきましての上限はこの際は外したらいかがかと。しかし、やっぱり今後の経済社会におきましては、良質な住宅の供給とい う目的もあるわけでございますから、最小限度は一定の水準以上の住宅を対象にさしていただきたい。これは建設省としても、住宅の最底基準を設け、今後住宅対策を推進するに当たっては、これだけのものは最低確保すべき水準である、あるいはこれだけのものは将来半数の世帯にそれを誘導していく必要があると、そうしたもろもろのガイドラインを待っておられるようでございまして、そうした良質な住宅ストックの供給に資する、こういう趣旨から四十平米という下限は維持さしていただいているということでございます。
○野末陳平君 基本的な税制の意図はいいんですけれども、上を取っ払ったのもいいんですが、下の方なんですけれども、現実的に今の御答弁の良質な住宅の供給の促進、それもいいし、それから余り小っぽけな変な家を建ててもらっては困るというのもいいんですけれども、実際には土地つきでなくてマンションで四十平米以下のマイホームというのが物すごく今多くなってきたんですね。これは独身の男女を問わず、自力で取得しようと思うとやはり小さくならざるを得ないんですが、実際問題として三十八とか三十九とかいういわゆる住宅用のワンルームですが、これを取得した人が非常に困るんです。僕らは知っているから買うときに初めからそういうのを対象にしないんだけれども、業者が適当なことを言うらしいかなんか知りませんよ、知らないのが相当数あるんですね。そういう人はいざ住宅ローンでもって減税の対象になると思っていると、たった三十九平米なるがゆえにだめだと。これは実際ありますよ、随分ありますね。となると、これはちょっとかわいそうだ。 そうすると、四十平米以上は良質な住宅で、三十九ぐらいのやつはだめだということが現実にあるとすると、これはむしろがっかりさせるからかわいそうじゃなくて、不公平があって、この辺ちょっとこれから考えなくちゃならないんじゃないかという気がするんですけれども、どうですか。
○政府委員(水野勝君) やっぱり優良な住宅ストックの供給の促進という点は住宅政策としても恐らく考えざるを得ない。そういたしますと、そこはどこかで線を引くということではないかと思いますが、その点につきましては住宅金融公庫融資の適用対象、これはマンションでございますと四十平米以上、戸建てでございますと七十平米とか、このような基準が適用されているところでございますので、税制としてもどこかで線を引くとすれば、そこはそうした所管官庁等の御指導の基準を借用いたしておるところでございます。
○野末陳平君 それだったら、下限をなくせと言っているわけでもないんですけれども、実際にほんのちょっとしたところで減税の恩恵を受けられないという独身の男女というのがもうかなりいるんだから、そこら辺を考えるならば、四十平米以下は住宅取得促進税制の対象にならないということをはっきり打ち出してくれるか、周知徹底をしてくれるか、じゃなければそういうのはつくらせないようにしてくれるか、税制で言っているんじゃないんですよ、何かの手を打ってもらわないと、現実にちょっとこの辺が実態に合わない。 だって、優良な住宅って、三十九平米を優良な住宅と思ってみんな買うんだから、お金ないしね。その辺のことは、どこかで線を引かなきゃならないのはわかります。そうすると、その線を知らずに買う人たちが後でもってがっかりしないような手ぐらいは打ってあげないとだめだと思うんです。 だから、どうでしょう、税制でこれはそのまま下限を残すのは構いませんですから、やはり実態はそういう対象外に漏れて何だということがないように、せっかく頑張って小さいのをやっと手に入れるんですから。このごろ特に女の子が多いんです。三十代でいわゆるキャリアウーマンという方たちが小さい家を割と便利なところに持ちたがるからどうしてもかなり狭くならざるを得ない。そんなところを考えるようなことも必要じゃないかなと思うんですが、大臣どうでしょう、税制でどうしてくれというわけじゃないんだけれども。
○政府委員(水野勝君) この制度は昭和四十七年に始まりまして、当時は新築坪数一坪当たり千円、いわばお祝い金的な性格から始まったのでございますが、昭和五十年代半ばからこれが本格的なローン控除と申しますか、そうした制度になり、六十一年からは取得促進税制ということになったわけでございます。そうしたはっきりした制度となりました五十五年からは四十平米という基準を使わしていただいてきているわけでございまして八年ぐらいになります。そうした点についてなおPR等につきまして不足する面があれば、十分そうした点につきましても配慮してまいりたいと思います。
○野末陳平君 じゃ、ほかのところにもちょっと頼んでみますけれども。 大臣、今の局長の答弁にあるように、住宅税制もかなり中身が時代とともに変わってきて、それは当然だと思うんですが、今後の検討の方向として今は住宅ローンだけが減税対象になっております。しかも、公的融資も民間融資も同じ条件で、そこはいいんですが、自己資金で建てた人は全然今対象になっていないけれども、これもやはり優良な住宅取得の促進という意味ではいいので、なぜローンならば減税かというと、金利の問題とかそういうのがあるんでしょうけれども、しかし本来の意図からいえば自己資金であってもいいんです、初期のころ自己資金も入ったけれども。だから、自己資金で家を取得した人も、それからセカンドハウスを建てようという人もいずれは検討の中へ入ってくるんじゃないかと思うんですね。公庫融資だってセカンドハウスの方は徐々に、まだ余り利用者はないようですけれども、そういう方向を打ち出しているしどちらにしても、これはむしろ持ち家というところに限らず、優良なる住宅がどんどんふえてくるということが大事なんじゃないか。 たまたま増改築も対象になってきましたからやはり今後の検討課題はそこまで広げていく、ローンに限らないという方向じゃないかなと思いますが、これは大臣どうでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 一つのお考えではあると私ども思うわけでございますが、この住宅ローン制度、今回改正を御提案申し上げている分を含めますと、平年度化いたしますと四千五百億円ぐらいの減収の規模に達する現在の租税特別措置の中ではかなりなウエートのものになるわけでございます。 こうした財政資金と申しますか、税制を用いましてそういったものを仕組むという上におきましては、やはりローンの負担にかなりな家計を逼迫されている、そうした方の住宅取得のときのいわば初期の負担を少しでも軽減いただいて、取得の促進にお手伝いをしたいというところでございますので、自己資金でもってお建てになる方につきましてもさらに積極的にというところまではまだちょっとその段階には至らないのではないかという感じがいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは実は一昨年ぐらいからその議論はございまして、今の野末委員の言われるようにいたしますと、結局取得価格ということになるわけです。自己資金でも何でもいい、できたものをどれだけということになればそういうことになるんですが、どうもやはり住宅は確かに建てることが内需振興の目的から非常に望ましいのでありますが、やはりそこは社会政策的なものがあって、まあまあ、どう言いますか困っておられる方と言うんでしょうか、そういう人たちをやはり優先するのがいいだろう。減税額が幾らになってもいいと言うとよろしいんですが、制限がありますとやはりローンの人。ですから、自己資金の人、セカンドハウスのところまでいきかねておるけれども、かなり大きな減税になっておるというのが現在の実情ではないかと思います。
○野末陳平君 いずれにしても、内需の柱は住宅だろうと思いますので、今後とも時代の流れに合わせて検討していただければいいんですけれども。 それから、前回に配偶者特別控除についてもち ょっと触れたんですけれども、逓減していく方式は非常にわかりにくいのでもっと単純なわかりやすい形にしてもらいたいということを言ったんですが、大体主婦でもそれから雇う方でも、やはり幾らまでなら大丈夫とか、幾らからはだめだからとかというめどをつけた方がいいんじゃないか、実態に合っているんじゃないかと思って前回質問しまして、今度は申告を受ける方で、例えば年末調整なんかする場合の実務の立場からもちょっとこの配偶者特別控除のやり方がなかなか実態に合っていないという話をしたいんですけれども、まず年末調整の段階ではパート収入が幾らになるかわからないし、あれは結局一年終わってみないと正確なところ出ないですよね。特に十二月なんか忙しくて頑張っちゃうとかなりの額になったりするわけですね、主婦でも。そうしますと、実態はああいうふうに一万円ずつ小刻みに特別控除の中身を逓限させていく、あれは常に正しい数字に合わないんじゃないかと思うんだけれども、あの辺どうなんだろう。今まではアバウトですから九十万ぐらい、こうなってわかりやすかったけれども、今度は一万円でもう違うわけですからね、パート収入。年末のぎりぎりまで働くわけですが、実際に所得を確認するのをどういうふうにやったらいいんですかね。そこは時間的に非常に難しいと思うんだけれども。
○政府委員(水野勝君) 従来からもそれが控除対象の配偶者であるかどうか、その場合にはやっぱりその配偶者の方の所得金額なり収入金額は把握する必要があったわけでございますので、その点におきましてはそれは従来と変わりはないのではないかと思うわけでございます。今回はしかし、その金額によって控除額に変動が生ずるという点は確かに新しい点でございますけれども、従来の中で所得金額のあるなし、それから金額は一応その把握の対象ではございますので、そこのところはひとつこの新しい制度として何とか円滑に適用を願えないかと思うわけでございます。 前回も申し上げたかと思いますけれども、とにかく簡便にいこうということで、もともとはその所得金額があれば控除額を逓減しておりましたものを少額不追求ということで簡便化のために割り切りましたところが、今度はパートの方がああいう大きな壁ができたと、そこは同じ繰り返しになってはこれはまた問題でございますので、とにかく去年こうした制度を御提案し、一応制度化されたところでございますので、しばらくはこの制度の定着状況を見る必要があるのではないか。また、簡便化のために少額不追求的なものを持ってまいりますと、同じことをまた壁ができるということでそちらの方から毎年責められる。そこはなかなか難しいところでございますので、一応去年の解決で逓減をするということで、なだらかに御負担が変化するというふうに踏み切ったところでございますので、何とかそこは円滑な定着を御期待し、もうしばらく様子を見さしていただくということではないかと思うわけでございます。
○野末陳平君 だから、円滑な定着をお願いするのはいいんだけれども、その実務をやる方がどうやって妻の所得の確認をするのか、それができないんじゃないのということなんですけれども、それができるんだったらいいんじゃないですか。できないんじゃないかと思っているのが一つなんですけれども、年末調整で。どうしましょう。
○政府委員(水野勝君) そこは今申し上げましたように、所得が幾らありますかということは従来からも控除対象かどうかということでは必要だったわけでございますので、そこを従来からの調査の方法と申しますか、把握の方法によりまして、本人の御申告が大半であろうと思いますけれども、とにかく本人からの申し出を待つ。それからまた、従来からも控除対象でないのに控除を受けておるということは、源泉監査におきまして調査の結果、非違があればその都度直していただいてきたという従来からのやり方の中で、今度はその控除対象かどうかということとともに、金額も付加はされますが、そこのところは従来の延長線上でひとつ実務的に対処していただければというのが私どもの気持ちでございます。
○野末陳平君 ああそう、じゃ僕は頭悪いんですね。所得を把握するのは今までの延長線上だと言うんだけれども、一万円違うと控除額が違うから、二万円違うか三万円違うか、幾らになるかというのを確実な数字を出したくても出せないんじゃないかと、申告する方も。だから、幾らだというその正確な数字を出しようがないので、それをどういうふうに考えるかと言って聞いているんですよ。だから、その出す方法はどうしたらいいんですかと、それがわからないとちょっと実務上難しいんじゃないかと思っているんですけれども、これはちょっと見当違いですか。
○政府委員(水野勝君) 従来からもその方が控除対象であるかどうかというときには、その人が三十三万円であるかどうかという……
○野末陳平君 違うよ。金額をだからどうやって出したらいいかと聞いているんだよ、年収に。
○政府委員(水野勝君) その方が三十三万円以上であるか以下であるか、これはやっぱり金額を具体的に本人からお聞きしなければわからない。それが今度は三十三万円以上であるか、未満であるかということとともに、それにじゃ何万円でございますかということですから、そこは基本的に違うことになるのかどうかでございますけれども、従来からもそこは御本人なり御主人のおっしゃることで一応は解決してきていることではないかと思うんでございますが。
○野末陳平君 配偶者特別控除が悪いとか言っているんじゃないんですよ。十二月まで終わらないと幾ら稼いだかというのはわからないでしょうと言うんです。それをもう十一月の末ぐらいに幾らですと言ったって、十二月になってもっと働くかもしれないし、働かないかもしれない。収入でも所得でもいいんですが、確認というのがパート収入の場合は非常に難しいんじゃないかなと思って、それであなたはどうやってそれを一カ月前ぐらいに確認するんですかと聞いているので、その方法があればそれで結構ですから。
○政府委員(水野勝君) そこは、例えば生命保険料控除でも、これを年末調整でやるということは、それは十二月三十一日にならなければ確定はしないということではございましても、年末調整の中で解決してきている。しかし、それがいよいよ困難であるとか、あるいはそれが実績と違っておるということであれば、それは確定申告の道もございまして、そこで最終的には調整されるわけでございますので、従来からの年末調整の流れの中でできる範囲におきましてぜひとも円滑にお願いをできればというのが私どもの気持ちでこざいます。
○野末陳平君 全然わかりませんけれども。いや全くわからない。
○委員長(村上正邦君) どうぞやってください、わかるまで。
○野末陳平君 じゃもう一つだけ、これに所得制限があるでしょう。これも非常によくわからないんですけれども、これはあれですか、所得の高い夫を持てば、その妻には認める必要なしと、こういうことからきたんですか。つまり、この意味が特別控除が内助の功とかいろいろ言えば、所得が高くたって内助の功は相当あるわけだし、だからその辺が、その性格とも関連してくるんだけれども、所得制限がなぜあるんだろうなと、八百万。これはない方がいいんじゃないかな、本来の趣旨からいうと。そこがまたわからないんです。ちょっとそれも教えてください。
○政府委員(水野勝君) 配偶者特別控除は、一つはパートの問題の円滑な解決方策がないかというところからの出発点があるわけでございますから、そういう点から申し上げますと、そのパートに出ておられるような中くらいの所得者の家庭の問題ではないかという点が一つあるわけでございます。 それからもう一つ、配偶者特別控除は、普通の事業所得者の方でございますと、奥さんとの間で所得を給与の形で分割して課税を受けられる。そういう方々とのバランスということもあったわけ でございます。これも普通の事業所得者の家庭で青色申告をされて専従者控除制度を適用になるというような普通の町の事業所得者の方々、そういうパターンを考えますと、それもやはり一定の所得水準ぐらいのところがいかがか。全体としては、要するに世帯としての負担の調整、事業所得者の場合とサラリーマンの場合との負担の調整というところがポイントでございますので、これがある程度所得水準の高い方々でございますとそこは調整を要するような所得水準として考えられるのかどうか。そこまで高い水準の方々については負担の調整という点からしますこの制度は、あえて適用することはないのではないかという考え方であったかと思うわけでございます。
○野末陳平君 福祉関係だったら所得制限があって不思議じゃないと思うんだけれども、この場合も所得制限が八百万という数字はどっから出たか知らないけれども、根拠はわかりませんが、必要かなという問題と、もう一つ、いわゆる夫の所得が八百万だという確定はいつの時点でするのか、その辺のことも含めて、これもちょっとなかなかこの配偶者特別控除にかかわる問題としてわからないんですがね。じゃ、もうきょうは時間なくてやめますけれども、細かく説明しなさい、今度もう一度。それで納得したら、前向きにさらにこれをどういうふうにしていいかをいろいろと検討したいと思います。 ちょっと問題点二つだけきょうは聞いてもらいまして、全くわからないんですけれども、頭が悪いのかもしれませんからよく考えてから、もう一回聞きますから。 じゃ、終わりましょう。
○委員長(村上正邦君) これにて本案に対する質疑は終局したものと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○志苫裕君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 反対理由の第一は、特別措置の点検と整理が極めて不徹底だということであります。 今日、税についての国民の関心が高まるにつれ、勤労所得の重税感や現行税制のゆがみからくる不公平感がますます募り、租税の信頼は根底から揺らいでおります。租税が国家の根幹にかかわるものであることを思うとき、これはゆゆしき事態と言わなければなりません。 租税特別措置は、本来の租税原則や体系を離れた政策上の選択によって税の減免等を図るもので、単にこの措置法の規定のみならずそれぞれの本法の中にも導入されておりますが、これら政策税制の効果が大法人や資産家に集中していることから大企業優遇税制のそしりを受け、不公平税制の根源とされてきたところであります。 したがって、社会政策上の要請によるものを除き、産業政策に基づくものは原則として廃止し、なお国家的見地から保護や景気対策等の政策を講じる必要のあるものについては、国民の目の届く補助金や利子補給などの歳出によってこれを行い、みだりに税の原則や体系を乱すべきではないというのが我々年来の主張であります。 にもかかわらず、政府は政策効果の厳しい点検を行わないばかりか、安易に新設を加え、経済事情の変化にもかかわらず優遇措置を温存し、今なお百八十に近い不公平を存続させているのであって、到底容認することはできません。 反対理由の第二は、土地、住宅税制の改正効果が疑わしく、新たな不公平をもたらすことについてであります。 そもそも税制によって土地問題に対応することには限界があるが、これまでの土地税制は基本的に供給促進の名目を掲げた譲渡益減税路線でありました。しかし、この政策が逆に土地の超過利潤に対する期待を抱かせ、地価をつり上げこそすれ、供給にはさしたる寄与もしなかったことは明瞭であります。 今次改正も基本的には反省の乏しい減税路線の踏襲であり、しかも居住用資産の買いかえでは、不労所得とも言える親譲りの資産だけを優遇し、長期譲渡の特例では譲渡益の大きいほど減税規模が膨らみ、住宅税制の所得要件が事実上の青天井になるなど、総じて資産家優遇のそしりは免れません。 反対理由の第三は、たばこ消費税の再三にわたる延長があからさまな約束違反だからであります。 一本一円の増税は、いわゆる補助金カットの穴埋め財源として緊急避難的に導入され、六十年度限りの措置とされていたものを売上税と連動したつなぎとして延長してきたものであります。したがって、その売上税が廃案になったからには、新たに別途の財源措置を講じ、これを廃止するのが理の当然であるにもかかわらず、三たび延長することは重大な約束違反であり、専売改革の趣旨と附帯決議にもとるものであります。 察するに、政府はこれを新型間接税の導入につなぐ腹づもりと見られるが、断じて容認することはできません。 以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)
○大浜方栄君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意を表明して討論を行うものであります。 我が国税制について見ると、今後の高齢化社会の到来、経済、社会、文化の一層の国際化を展望するとき、抜本的な税制改革の実現は避けて通れない課題であり、税制全般について見直しを行うことにより、直間比率の是正を含め、所得、消費、資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系を構築することが必要であります。 本法律案においては、このような税制の抜本的改革との関連に留意しつつ、最近の社会経済情勢等の変化に即応して当面早急に実施すべき措置を講じようとしております。 その内容について見ますと、現下の土地問題に対処し、土地の需要の適正化と供給及び有効利用の促進を図るため、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の改正を行うなどの土地税制の改正、国民の持ち家取得の一層の促進に資するため、住宅取得促進税制の拡充を行うほか、石油税について、税負担の安定を図りつつ、石油及び石油代替エネルギー対策に必要な財源を安定的に確保するため、課税方式を従量税化するとともに所要の増収措置を講ずるなどの措置がとられております。 これらの措置は、現下の社会経済情勢のもとで緊急に対応を迫られている問題に対処するための施策であり、妥当な措置と考えます。 そのほか、欠損金の繰越控除の一部停止措置及び欠損金の繰り戻しによる還付の不適用措置を適用期限の到来をもって廃止するほか、住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例、たばこ消費税の税率等の特例措置、揮発油税及び地方道路税の税率の特例措置等、適用期限の到来する租税特別措置について延長する等の改正を行うこととしておりますが、これらは実情に応じたものであり、妥当なものと考えます。 また、従来より引き続き見直しが行われてまいりました企業関係の租税特別措置についても、今回さらに三項目を廃止し、十三項目を縮減合理化することとしており、税制の公平化、適正化の観点から高く評価し得るものと考えます。 以上をもちまして、本法律案に対する私の賛成意見といたしますが、最後に、政府が引き続き所得、消費、資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系の構築に向け最大限の努力を払うよう切望いたしまして、私の討論を終ります。(拍手)
○多田省吾君 私は、公明党・国民会議を代表して、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 反対の第一の理由は、六十三年度税制改正案では、政府は大型間接税導入を盛り込んだ抜本改革を本年秋までに成立させることを念頭に置いて、懸案の相続税減税等は見送られ、租税特別措置法の手直しをもって税制改革の本来あるべき姿を糊 塗しようとする点であります。 第百八国会において売上税は廃案となりました。この事実を政府は厳粛に受けとめ、まず大型間接税導入ありきという立場を改めるべきであります。 次に、反対の第二点は、土地税制については常に場当たり的な改革が多く、今回も根本的な土地対策については何ら手を打たずに、税制の小手先の見直しで繕おうとする従来の発想から出ていない点であります。これでは、近年地価の暴騰もありまして、土地を持つ者と持たざる者の間に顕著な格差があらわれ、資産については社会の平準化に何らの対応もなされていないと言わざるを得ません。特に今回の改正案では、買いかえ特例が原則廃止されるものの、相続による居住用財産で三十年以上居住しているものは認められる一方、自力で得た居住用財産には一切この特例は認められていない、このようになっております。これでは不公平、矛盾をますます拡大させ、簡素化の方向にも逆行するものであります。 反対の第三点は、税収が好調であるにもかかわらず、六十三年三月限りのたばこ消費税増税はこれで三度目の期限引き延ばしを図ろうとしており、また石油税についても、円高で税収が減ったことを理由に従価税から従量税に切りかえるなど、財源あさり的なやり方は税に対する不信を増幅させるものと言わざるを得ません。 最後に、行政改革がいまだ中途の段階にあり、既存税制における不公平税制の是正もされないまま、逆進性が強く、物価を押し上げ、中小零細企業を苦しめる大型間接税導入を前提とした税制改革を進めようとされるとともに、安易な財源対策を考えられることは、水膨れ行政、肥大化する行政に陥らしめることは必定であります。 以上、反対理由の幾つかを挙げましたが、国民の求める真の税制改革に逆行して、大型間接税導入を図る政府の姿勢に強い反対を表明し、反対討論を終わります。(拍手)
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、租税特別措置法の一部改正案について反対の討論を行います。 第一に、本案は「税制の抜本的改革との関連に留意しつつ」と提案理由で述べられているように、新型間接税の導入を前提としたものであります。政府は、本法案の内容について「当面早急に実施すべき措置」と言いながら、今国民が最も強く望んでいる不公平税制の是正や所得減税、そして相続税の軽減などはすべて先送りされたのであります。 政府がことしの秋を目指してしゃにむに強行しようとしている新間接税については、ことしに入ってからも大阪における参議院補欠選挙、政府税調公聴会、そして最近の新聞社の各種世論調査によっても国民の圧倒的多数はきっぱりと反対の意思を表示をしているのであります。新間接税導入の計画は直ちに中止すべきであります。 第二に、土地税制についてであります。本案は、優良住宅等の範囲を不当に拡大し、土地譲渡課税に新たな不公平を持ち込んでいます。すなわち、従来一定の優良住宅のために譲渡した場合に限って設けられている譲渡所得の軽減措置を拡大し、民間の都市再開発やビルの建設など、住宅以外の事業用の土地譲渡にまで対象に取り込もうとするものであります。政府は地価対策に資するためと言っておりますが、このような措置は、住宅地の地価対策には何の効果もないばかりか、幾ら巨額の譲渡があっても二〇%の課税で済むというものであり、土地成金を不当に優遇することになるのであります。さらに、本措置は、昨年のマル優廃止に続いて、土地譲渡所得についても総合課税主義を形骸化し、分離、低率課税に移行する道を開くものであり、額に汗して働く勤労者が重税にあえいでいる中で、資産所得が不当に優遇されることになるのであります。 第三に、本案は、不公平税制を正せとの国民の要求に逆らって、エネルギー関連投資減税などを新設するほか、専ら大企業が利用する民活関連特別償却や試験研究費の特別控除制度を拡大するとともに、大企業の海外進出を促進し、日本経済の空洞化を一層深刻にすることになる海外投資損失準備金制度を、期限到来にもかかわらず、何の見直しもなく延長しているのであります。 これらの特権的減免税の拡大の結果、近年租税特別措置による減収は法人税収に対してますます大きな割合を占める傾向を示しており、これに法人税本体にある優遇措置を加えると、大企業への優遇措置は巨額に上るのであります。 このように本案は、国民の多数が望む不公平税制の声に逆らい、逆にこれを拡大しようとするものであり、断固反対であります。(拍手)
○栗林卓司君 私は民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。 反対する理由は、今回提案された改正内容そのものに関してというよりも、租税特別措置法それ自体が持つ基本的な問題点であり、抜本的改革が先送りされ、見るべき改正案が今回は全く提示されていないことであります。 ことしの二月五日、政府税制調査会は「税制改革の基本課題」と題する文章を発表いたしましたが、その中で、現行税制と経済社会の変化との間で不整合が目立ち、税の不公平感、重税感が募ってきたことを指摘し、その原因としてさまざまな特別措置が講じられてきたことを挙げております。振り返えるまでもなく、戦後、公平を旨として構築されたものがシャウプ税制でありましたが、これを相次ぐ変更によって骨抜きにしてきたものが租税特別措置法でありました。 現在、政府は抜本的な税制改革を唱え、負担の公平を目標の一つに掲げておりますが、もしそうであれば、租税特別措置法の抜本的改廃こそがまず取り組むべき課題であり、具体的に事実をもってその努力を示すことが抜本的税制改革を志向する政府のあかしと言えるでありましょう。 しかるに、今回も問題を先送りし、見るべき改正案を提示し得ないということは、許しがたい怠慢であり、強く遺憾の意を表明して反対の討論といたします。(拍手)
○委員長(村上正邦君) これにて討論は終局したものと認めます。 これより租税特別措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(村上正邦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、梶原清君から発言を求められておりますので、これを許します。梶原清君。
○梶原清君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブ・税金党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 準備金、特別償却等各種租税特別措置については、経済・産業構造の変化に即応して、既に政策目的を達成したもの及び政策効果の減少したものは、今後とも整理合理化に努めるとともに、新たな政策税制を設けることは厳に抑制すること。 一 今後の石油税のあり方については、石油及び石油代替エネルギー対策の中長期的展望を踏まえつつ、石油価格の動向、石油に係る税の負担状況、課税方式の安定性等に十分留意して検討すること。 一 今後のたばこに対する課税のあり方については、現行の負担水準に配慮し、過度の税負担を求めることのないよう努めるとともに、日本たばこ産業株式会社の経営については、その自主性を尊重しつつ、事業範囲の拡大に よる経営基盤の強化について適切な配慮を行うこと。 一 複雑、困難であり、かつ、高度の専門的知識を要する職務に従事する国税職員について、変動する納税環境、財政再建の緊急性、業務の一層の複雑化・国際化及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、処遇の改善、職場環境の充実及び定員の一層の確保等につき特段の努力を行うこと。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
○委員長(村上正邦君) ただいま梶原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(村上正邦君) 多数と認めます。よって、梶原君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
○委員長(村上正邦君) なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十分散会