大蔵委員会 第7号
- 発言数
- 271 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1988/03/28
会議録
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 去る三月二十五日、予算委員会から、三月二十八日及び三十一日の二日間、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行予算について審査の委嘱がありました。 この際、本件を議題といたします。 ─────────────
○委員長(村上正邦君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 本件審査に関し、本日参考人として、国民金融公庫総裁吉本宏君、日本開発銀行総裁高橋元君、日本輸出入銀行総裁田中敬君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(村上正邦君) それでは、本件について大蔵大臣から説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和六十三年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。 まず、一般会計歳入予算額は、五十六兆六千九百九十七億千四百万円となっております。 このうち主な事項について申し上げますと、租税及び印紙収入は、四十五兆九百億円、雑収入は、二兆六千五百三十八億千九百万円、公債金は、八兆八千四百十億円となっております。 次に、当省所管一般会計歳出予算額は、十四兆千六百五十二億二千二百万円となっております。 このうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計へ繰り入れは、一兆三千億円、国債費は、十一兆五千百十九億八千七百万円、政府出資は、二千三百十億円、予備費は、三千五百億円となっております。 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。 造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも二百六億三千二百万円となっております。 このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。 国民金融公庫におきましては、収入三千六百四十億千七百万円、支出三千七百四億六千八百万円、差し引き六十四億五千百万円の支出超過となっております。 このほか、日本開発銀行等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。 以上、大蔵省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。 なお、時間の関係もございまして、既に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いを申し上げます。 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○委員長(村上正邦君) 以上で説明の聴取は終わりました。 なお、ただいま大蔵大臣から要望がありましたように、別途提出されております詳細な説明書は、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。 御参考人の方につきましては、きょうは質疑の通告がございませんので御退出いただいても結構でございます。
○本岡昭次君 まず初めに、政府税調が二十五日に発表した税制改革の素案について二、三伺っておきたいと思います。 二十五日に配られましたこの税制調査会の「税制改革についての素案」、これを私も読ませていただきました。ある意味では精読いたしました。どうしても大蔵大臣に二、三質問したいことがございます。税制調査会の素案でありますから、これは税制調査会に質問しなければならぬのではないかと思うのでありますが、若干の見解を伺っておきたいと思うのであります。 この素案は、国民の強い反対によってつぶれた売上税と本質的に同様の大型間接税導入を大前提にしておるようであります。国会決議や政府統一見解などで規定された一般消費税、売上税などの大型間接税の導入を図ることは、私からすれば国会無視であり、また国民への背信行為を税制調査会がやったとしか思えないわけでありまして、絶対にこの素案については容認できないのであります。しかも、最優先課題であるべき不公平の是正についても熱意が感じられません。資産課税の適正化などについても極めて不十分な内容であります。大幅な所得減税といっても金持ち優遇の感があり、竹下総理の示した大型間接税への六つの懸念についても具体的に答えていません。小倉会長は国民各層にたたいてもらうと言っておりますが、このような素案はたたきつぶす以外ないんじゃないかと私は思っております。大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 税制調査会の素案についての御批判でございますので、これは税制調査会においてお答えをされるべきものであろう、御指摘のように本来そういうことではないかと存じますが、私にどう思うかというお尋ねでございますので、税制調査会長がどのように、あるいは調査会がどのようにお考えかということはそれといたしまして、財政再建に関する決議との関連で申しますれば、昭和五十四年十二月の御決議は、「まず行財政改革による経費の節減、歳出の節減合理化、税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に推進」せよという趣旨でございますので、ただいま税制調査会が考えておられます方向がこの昭和五十四年十二月二十一日の国会の御決議に反するものとは見られないように存じます。 それから、竹下総理が言われましたいわゆる六つの懸念でございますか、これにつきましては、この素案におきましても所得税の負担軽減あるいは間接税の仕組み等の内容にそのような配慮が見えるように存じますし、また「今回の税制改革が低所得者に対しいわゆる逆進的な影響をもつものではないかとの」懸念についてはとわざわざ述べまして、「これに対しては税制上のみならず財政全体を通じ適切に対処するよう求めておきたい。」と指摘がございます。これは恐らくは税制全体の中で逆進性というものは判断すべきものであるという主張と同時に、そのようにして得られた歳入がどのように歳出にあらわれるかという、そういう財政全体を通じて政府もこの逆進性云々という問題についてはこたえるべきである、こういう指摘と存じます。と考えますと、この調査会のこのたびの素案が従来国会のお考えになってこられました御決議あるいは総理大臣が先般来述べられました懸念といったようなものに対して配慮をしていない、それを無視しているといったふうには私は読んでおらないわけでございますが、これは便宜素案を読みました私の感想でございます。
○本岡昭次君 今も大臣もお触れになりました。私もこの素案の中で述べられております次の部分を非常に印象深く読みました。「今回の税制改革が低所得者に対しいわゆる逆進的な影響をもつものではないかとの国民の懸念があるので、これに対しては税制上のみならず財政全体を通じ適切に対処するよう求めておきたい。」という部分でございます。大臣も今おっしゃいました。しかしこれ、具体的に税制上やあるいは財政全体を通じて逆進的な大型の間接税、それをトップにして竹下総理も六つの懸念を述べられているわけでありますが、果たして税制上全般について、あるいはまた財政の中でそうした懸念を完全に克服し払拭できるというふうに大蔵大臣はお考えでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私はそう考えております。政府の立場は、これは税制調査会と必ずしも一緒ということではございませんけれども、在来、高齢化社会の到来を控えまして、将来若い人がお年寄りをたくさん背負っていかなければならないような我が国の経済社会において、そのような社会の共通のコストはなるべく広く薄くみんなが背負っていくべきではないかということを何度も申し上げておりますが、それはまさしく高齢化社会におけるいわゆる社会保障等々の政策を十分に展開いたすためにこのたびの税制改革が一つの大切な役割を担うことになる、そう考えておるからでございまして、ここに述べております「財政全体を通じ適切に対処するよう求めておきたい。」という税制調査会のこの素案に述べられております要望には、まさに政府としてはそのようにこたえたいと考えておるわけでございます。
○本岡昭次君 それでは、税制上や財政全体を通してこの大型間接税の持つ懸念、竹下総理は六つの懸念として国会の中で明らかにされたのでありますが、税制調査会の素案にある二類型そして三方式ですか、このうち、どれをとるかという問題の論議がこれから始まるわけですが、その大前提として大型間接税が持っている逆進性、そして低所得者層を非常に厳しい状態に置くようになる、そうした問題について税制全体、財政全体でもって完全にカバーできるという問題を先に打ち出して、だから国民の皆さん安心してください、国民の皆さんの持っている懸念はこれでなくなるのではありませんかということになって、そしてその後ろにある大型間接税を提示していくというふうにならなければいけないんじゃないかと思う。先に大型間接税を出しておいて、国民の皆さん心配しなくてもよろしい、必ず税制上、財政全般でもって皆さん方の懸念は払拭しますよということであっては国民は納得できないと思うんです。 そういう考え方に立てば、財政上あるいは税制上大型間接税が持つさまざまな懸念を完全に払拭する図式というんですか、国民が納得できる素材を出して、しかる後にこの大型間接税の姿が出てくるということでなければいけないんじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般に間接税が逆進性と申しますか累進的でないということは、それは所得税が累進税であるという意味におきましてはそのとおりでございますし、それはいわば教科書にもそういうことは書いてございます。が、さて、それはそのときそのときの、その国、その社会の状況に私は随分左右されると思いますので、我が国のようにこれだけ所得水準が高くなり、かつ所得格差が少なく、いわば大衆という言葉すらいかがかと思いますけれども、みんなが相当な消費をしているそういう社会において、軽度の間接税が行われた場合に、果たしてそれが社会正義に反するような逆進的な性格と解せられるべきかどうかには私は問題があると存じます。恐らく高額所得者は多少たくさんの消費をするのでございましょうから、そういう意味ではたくさんの消費税を納める、そうでない所得者は消費が多少少ないかもしれませんから、それは消費税を納められるのは少ないかもしれない。それは全部お一人お一人の選択によることであって、そのような消費税を納められないような今日の我が国の国民の所得水準ではないと考えるべきではないか。 それもまたしかし、片方で所得税が非常に累進がきつくなって社会の中堅であるサラリーマンに重税感を与えている、あるいは法人税が非常に高くなって国際的に競争力等々に影響を及ぼすといったようなこと、そして直間の比率が非常に直接税に偏ってきた。それは、シャウプ税制以来三十何年、基本的な手直しをしなければ当然そうなるわけでございますが、そういったようなことの中で高齢化社会の到来に向けて社会の共通の費用をなるべく広く薄く皆さんに負担をしてもらって、そのときに老人を担わなければならない若い人々の源泉所得税を軽くしておこうという、そういう全体の考え方は私は社会正義に沿ったものだと思っておりますので、単に間接税であるから逆進的だといったようなことは、それは私は現実に我が国のような今日の社会において果たしてそうなのであろうか、いかがなものであろうかという考えを持っております。
○本岡昭次君 この問題で余り長く議論をしたくありません。しかし、今の大臣の答弁を聞いておりますと、少し税制調査会なりあるいは竹下総理の考え方と違うのではないかというふうに思います。税制調査会もはっきりと「いわゆる逆進的な影響をもつものではないかとの国民の懸念があるので、」というふうに言っております。逆進的な意味ということに対する国民の懸念がある。あるということは、それは感じとか感覚ではなくて、やはり逆進的ということをそこで言っているんだと。竹下総理も六つの懸念のうちのトップに逆進的という言葉を用いておられて、これをどう中和するかとか払拭するかということがこれからの課題だと。しかし大蔵大臣は今、間接税であるから逆進的であるという言い方については何か賛成できないとか、私はそうは思わないとか、それぞれのときどきによって情勢が、事情が違うからというふうなことをおっしゃったわけで、間接税が社会正義に反するものでないと。 それは間接税の定義がイコール社会的正義に反するとは私も思いません。具体的な中身でそれは判断すべきものだと私は思うのであります。しかし、この大型間接税あるいは新型間接税、薄く広くすべての消費、サービス、生活全般にわたって課税されるというふうな広い課税ベースのものが逆進的である、逆進性を持っておるということは、私はこれを大蔵大臣が認めないということはちょっと納得できないのであります。ということは、結局、総理大臣なりあるいは税制調査会とここのところは見解を異にされるというふうに受け取っていいんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そうではございませんで、世の中には間接税というのは累進的でないという意味では逆進的だという、そういうふうな考え方は古典的にずっとあるわけでございます。そのことは何も私は否定はいたしません。 ただ、申し上げますように、その社会のあり方あるいは税制全体のあり方、そして歳入がどのように歳出に用いられているかといったようなこと全体で判断いたしませんと、いわば古典的に間接税というものには累進度がない、そのことは決して私は否定いたしませんが、それがそんなに社会正義に反することであるのかということを私は申し上げようとしているのでありまして、古典的にそういう考え方がございますから、それについてこの素案も答えようとし、また総理大臣も懸念の一つにそれを挙げられたということと思っております。
○本岡昭次君 またこれは改めて議論をする機会があると思いますので、きょうはこの程度にしておきます。 それで大臣、税制改革法案(仮称)が今国会に提出予定になっております。私も議運におるものですから、全体の法案をにらんでおります。これはいつごろ提出される予定を大蔵大臣として持っておられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御質問がありましたように、税制調査会が素案を出されたところでございまして、調査会としてはこれからこの素案をもって全国、限られた場所でございますけれども、公聴会をやられ、あるいはいろいろ国民の意見を聞きたいと考えておられるところであります。したがいまして、調査会の答申が果たしていつになるのかということについて、ただいま目安は立っておりません。 政府といたしましては、調査会から御答申があれば、さらに私どもの党内にも税制調査会がございますので、そこらでもいろいろ議論をしてもらわなければならない。いろいろこれから段階がございますもので、ただいまのところでいつ提案をして御審議を仰げるかということを申し上げる日程が立っておりません。したがいまして、議院運営委員会に対しましては税制関連法案は検討中の件として御報告をしてあるわけでございますが、その点、ただいまのところ、まだそれ以上に明白に日程を申し上げることができない状況でございます。
○本岡昭次君 それで、検討中のものが今国会に提出できるかできないかというぎりぎりの判断は、五月二十五日の会期末ということを見たときに、どのあたりまでにその判断ができるとお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはちょっと明確に申し上げにくいのでございますけれども、今のいろいろな作業あるいは御審議——御審議と申しますのは調査会等々でございますが、拝見しておりますと、やはり五月の連休の後ぐらいにはいずれかのめどが立っていくのではないかと思いますけれども、それも何もスケジュールのないところで申し上げておりますので定かではございません。
○本岡昭次君 それでは次に、政府開発援助の問題に絞って質問をいたします。 我が国の経済協力は、その開始後、既に三十年余を経過しています。今日のような厳しい財政事情のもとでも、その予算はことしも六・五%と高い伸び率を確保し、国際経済社会における世界の一割国家としての役割を果たすべく努力をされております。 我が国の経済協力の理念あるいはまた目的というようなものをどのように考えておられるか、大臣の御認識を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 本来、所管大臣のお答えになられるべきものであろうと存じますけれども、やはり国際社会が相互に依存をしておるという、そういう認識と、それから当然のことながら人道的な考慮ということと存じます。 我が国の場合は、これだけの経済力を持つに至りましたが、軍事力をもって国際の平和あるいは平和の増進に寄与することは事実上できませんので、この経済力をどのようにして世界の人々がより幸せに、また世界の平和がより確実に維持増進されるかという点で、我が国が貢献し得る道はそのような経済協力の方法しかないというふうに考えますので、我が国がいわゆる大きな軍備をみずから否定しているというだけに、経済協力についての責任は重いというふうに認識をしております。
○本岡昭次君 通常、経済協力という場合、政府開発援助と民間ベース資金があります。民間ベース資金もさることながら、問題は政府開発援助であります。先進工業国の発展途上国への援助の努力を示す指標として、その規模や対GNP比率が使用されております。 そこで、我が国のODAの国際的水準というものがどのような水準にあるのか。直近年次の規模、GNP比率、さらには贈与比率等について明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(川上隆朗君) 御説明申し上げます。 ただいま御指摘のODA、政府開発援助の量、それからGNP比、贈与比率といった数字でございますが、これはOECDの開発援助委員会、DACがまとめた数字によりますと、これは直近の数字がまさに一九八六年、暦年の数字でございますが、我が国は量でまいりますと、これはドルベースで、かつ八六年の実績のベースでございますが、米国に次ぎまして世界で第二位、ドルの数字で申し上げますと五十六億三千四百万ドルという数字になっております。それから同じく八六年の対GNP比で見てまいりますと〇・二九%、DAC十八カ国中の十五位ということになっております。それから御質問のございました贈与比率でございますが、これは六〇・七%という数字になっておりまして、残念ながらDAC諸国の中では最下位ということでございます。 以上でございます。
○本岡昭次君 今伺いましたように、一九八六年度の国際的水準では非常に低い結果の報告がありました。DACの平均をいずれも下回っているわけで、十八カ国中、対GNP比が〇・二九%で十五位だと、また贈与比率においては最下位であるというふうな結果でありまして、私の聞いておりますのには、国際的な目標は対GNP比率〇・七%というふうに聞き及んでおりますが、その半分にも達していないということであります。それゆえに、国際的には我が国の経済力に見合った負担、援助がなされていないのではないかという批判があります。大蔵大臣は経済援助は極めて大事だという御認識を示されましたけれども、結果としては今のような数字であります。 そこで、我が国としても一九七八年から三度にわたって目標を設定して努力を期しておるわけであります。一九八六年から始まったこの第三次目標の進捗状況及びその見通しはどのようになっておりますか。
○説明員(川上隆朗君) 現在の中期目標の進捗状況いかんという御質問でございますが、御指摘のように第三次中期目標は八六年から始まりまして現在三年目ということでございます。数字的には八六年の数字が出ているだけでございますが、ただいま御説明申し上げましたように、八六年の量でまいりますと五十六億ドルという数字になっております。中期目標自体は大きく分けまして二つ数的な目標がございまして、八五年のODAの実績、すなわち三十八億ドル程度でございますが、これを九二年で倍にするという一つの目標がございます。これにつきましては政府は二年前倒しをするということを昨年表明いたしております。したがって一九九〇年で倍にするということでございます。 それからもう一つの目標としましては、これはグラフ上の面積で申しまして一九八六年から九二年の七年間の総量、援助の総量を四百億ドル以上にするという目標がもう一つございます。これに向けて第一年の五十六億ドルを達成したと、こういう状況になっております。八七年の数字についてはまだ今の段階では出ておりません。
○本岡昭次君 それで、第三次目標が完全に目標どおりの金額、実績を出せたとして対GNP比は幾らになるんですか。
○説明員(川上隆朗君) ODAのGNP比につきましては、中期目標の設定のときにこれは数量比されておりませんで、GNP比を改善する、引き続き努力を行うという立て方になっております。御案内のごとく、このGNP比につきましては、我が国の場合、特にGNP自体の数字が非常に大きい、しかもフラクチュエーションがあるというようなことで、これについて目標を設定するのはかなり困難であるという当時の認識に基づきまして、そういう形の努力目標にしたという経緯があるわけでございます。したがって、中期目標が終わった段階でのGNP比というものは目標値としては示されておりません。
○本岡昭次君 それでは、国際目標になっていると言われている〇・七%というこの対GNP比率についてはどういう認識を持っているんですか。
○説明員(川上隆朗君) 〇・七%につきましては日本としましては、いつ達成するかというタイムフレームといいますか、目標年次をコミットせずに、これに向かって、これを達成するという努力目標ということでやっておりまして、現在できるだけこれに近づけるよう努力している過程にあるということでございます。
○本岡昭次君 第三次目標が完成した段階で、想定ですが〇・三五という数字、〇・七の半分の〇・三五ぐらいにはなるんですか。
○説明員(川上隆朗君) 先ほど申しましたようにGNP、分母の方の数字が、伸びの見通しでございますが明確ではございませんし、それから援助量自体も若干そのときどきの、例えば国際機関に対する払い込みの状況だとかといった要素によりまして変動がございますものですから、一九九二年の時点でのGNP比は何かとこう言われますと、なかなかお答えを申し上げにくい状況でございます。したがって、今先生〇・三五%という数字を言われたんだと思いますけれども、これはDACの平均値でございますが、それを達成し得るかどうか、ちょっと今の時点では不透明であるという状況でございます。
○本岡昭次君 大蔵大臣には直接この問題ではお答えを求めませんが、世界の経済大国と言われているこの日本のODAの国際水準が非常に低いということですね。今の議論の中でもはっきりしております。そして、国際目標でありますこのGNP比〇・七%にどう近づけていくかということについても、まだ具体的な計画さえ立て得ない、努力目標でしかあり得ないという現状は、やはりこれは毎年毎年予算の中でこの問題が論議されるものだけに、格別のやはり配慮というんですか、強い認識を大蔵大臣には持っておっていただきたいということをここで強くとりあえず申し上げ、お願いをしておきたいのであります。 そこで問題は、目標到達へ努力するというそのことと同時に、いま一つの問題は、大蔵省からも予算の資料をいただきましたが、ODAの予算の中には贈与と借款という部分がございます。それで今、国際的な批判の中に、国際水準より非常にこのGNP比が低いということと、もう一つはODAの中身として贈与と借款という割合を見たときに、日本の場合は非常に贈与の部分が諸外国に比べて低いということが問題として挙げられております。 それで、私も参考までに五十八年から六十三年までに一体、政府のODA予算に対して贈与がどのような比率になっているかということを六年間計算をしてみました。五十八年にはこの予算全体に対して贈与が六五・五三%を占めておるのであります。五十九年は六四・六、六十年には六四・七八、六十一年には六四・九、六十二年には六四・四六、六十三年には六四・四〇というふうに当初予算の中ではそういう比率でずっと推移をしているんですね。 ということは、贈与の比率を高めなければならぬ、借款はひもつき援助になりやすいので、やはり贈与というものが援助の質としては非常に高く評価されるという国際的な状況にあって、ここ六年間の予算をずっと見てみる場合に、一向にこの贈与の比率が伸びていない。むしろ、昭和五十八年に六五・五三%だったものが六十三年は六四・四と、ある意味では伸びないでというよりも低下現象になっているという事実を見るのであります。これは私は大変遺憾だと思います。私は、予算の中に占める贈与の割合がたとえわずかであってもふえていっているのではないかと思っていたんです。ところが事実はそうでなかった。一体これ、どういう贈与に対する認識を持っておられるのかということを、これは外務省と、また予算を編成される大蔵大臣とにお伺いをしておきたいのであります。
○政府委員(内海孚君) ただいま委員御指摘の点につきましては幾つかの理由があると思います。 第一に、諸外国に比べまして贈与の割合が低いということの理由は、贈与を真に必要としておりますのはGNPの非常に低いアフリカの国々でございます。我が国はヨーロッパ諸国と異なりまして、ODAの対象となる中心地域は東アジアでございますので、その結果諸外国に比べましてそういう傾向が不可避的にもたらされるということでございます。 それから第二に、贈与の数字がどのくらいになるかということは、贈与の約半分を占めます国際機関への拠出が非常に関係してくるわけでございますが、最近、例えば米国が国際機関へのそういった協力につきまして、米国の財政的な理由等から消極的になり、なかなか国際機関でそういうような合意が進まない面があって、こちらの面から贈与の伸びが制約されているという点もあるわけでございます。 それから第三に、我が国といたしましては、最初に述べました東アジア等がかなり大きな割合を示していることもございます。また、国際収支の面からいいますと、我が国は貿易収支等で大きな黒字を持っておりまして、そういったものを還流していくということ、これをある程度グラントエレメントを触媒として使いながらそういうところに力を入れているというところもございます。 こういったような理由がその背後にあるというふうに御理解いただきたいと思います。
○本岡昭次君 理由はわかりましたが、その理由の評価は別ですよ。理由はわかりました。しかし贈与を、私が言っているのは伸ばす、大きくしていく、贈与のウエートを。そのことについてはどうなんですか。そういうふうにこれからしていこうとなさっているのか、やっぱり同じような比率でいこうとしているのか、その辺どうですか。
○政府委員(内海孚君) 贈与の方が借款よりもすぐれているというふうに、当然にそういう態度でいくというふうには私ども考えておりません。
○本岡昭次君 そうすると、先ほどおっしゃいましたように、東アジアを中心とする我が国のODAは、東アジアの各国は贈与よりも借款の方を望んでいる、こういうことになるわけですか。
○政府委員(内海孚君) どちらがより効果的な役割を果たすかということについては、これはケース・バイ・ケースで余り一概に一般化はできないと思いますけれども、その方が先方も効果的と思い、当方もそう思うということが東アジアの場合には多いわけでございます。
○本岡昭次君 大変参考になる御意見をいただきまして、また後日、そのことに絞って議論をさせていただきます。そのことだけやっておりますと後の質問ができませんので。 それで、参考までにグラントエレメントによる援助の国際水準はまた後ほど資料でいただけたらありがたいと思います。 それで、援助の担い手は、今出しましたように政府あるいは国連などの機関と見られておりますが、市民による援助活動、海外協力、こうしたものがあることも忘れてはならぬと思います。また、政府や国際機関の援助にしましても、これはもう大蔵大臣がよく御承知のとおりでありまして、もともと国民の支払った税金によって運営をされておるわけでありますから、やはり海外援助はこれは政府がやっているんじゃなくてすべて国民がやっているのだという認識を我々は持つべきである。また、政府もそういう意味での広報活動はしっかりやっていかなければならぬのじゃないかと思うのであります。 ところで、市民による援助、すなわちNGOの援助の実態が一体どのようなものになっているのか、また、それが国際比較ではどのような水準で日本のNGOへの経済援助がやられているのかということを御報告いただいて、NGOの、民間の市民の援助活動について大蔵大臣のひとつ御認識を伺っておきたいと思うんです。
○説明員(川上隆朗君) NGOの援助に関しまして若干御説明申し上げたいと思いますが、欧米諸国につきましては、NGO活動というものが宗教的な伝統などもございまして、かなり途上国との歴史的な関係も長くて、こういうものを反映しまして極めて盛んであるということが言えるのに対しまして、我が国の場合は歴史も浅くて、比較的いまだ小規模の状況にあるということだろうと思います。 ただ、NGOによる援助活動は、先生も御指摘のとおり、政府レベルの協力では十分に手の届かないところにきめの細かい対応をし得るという利点がございますので、政府といたしましてもNGOの自主性を十分尊重しながら協力関係を推進して、支援してやってまいりたい、こういう基本的な姿勢を持っております。 日本の非営利のNGOによる援助実績でございますが、これは八五年の数字でございますけれども、数的に申しまして一億百万ドル、約一億ドルということで、対GNPの比に占める割合は〇・〇〇七五%、国民一人当たり〇・八四米ドルということになっております。この援助実績をほかのDAC諸国と比べますと、DAC諸国中第五位、絶対額では第五位。ただ、国民一人当たりの順位で申しますと、冒頭のような事情もございまして、加盟国中十六位という状況になっております。
○本岡昭次君 大臣にも、ちょっと。
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国として対外援助をどのように考えるべきかということについて冒頭にお尋ねがありまして、お答えを申し上げたのでございましたけれども、私どもは我が国が対外援助をすることの意義を先ほど申し上げたように考えておりますものですから、どうしてもこれは国民の、国民的な自覚と支援がありませんと、おっしゃいますように税金を使ってやらせていただくことでございますので、十分なことはできない。したがって、このようなお尋ね、お励ましが国会で政府に対してなされているということは私ども大変にありがたいことでありますし、また敬意を表すべきことであると思うのであります。 何分にも三十何年前までは我が国は援助を受けておった国でございましたから、それがともかく事業量としては世界第一の援助国になった、中身にはいろいろなことがございますけれども、ということは、やはり国民の御努力の結果であるというふうに思います。ただ言われますように、グラントエレメントが多ければ多いだけいいということも、援助先によるものでございますから一概には申せないことではありますが、やはり経過的に見まして我が国の援助と称するものの中には、戦後の立ち直りのところからいいますと輸出促進といったようなこととかなり密接であった時代もございますし、また援助を日本の輸出から切り離すいわゆるアンタイというような動きも比較的最近の動きでございますが、これから二十一世紀を展望いたしますと、我が国は言ってみれば世界第一位ぐらいの援助国になりませんと、こうやって軍事的には国際平和に貢献できないと言っておる、そのかわり援助はこれだけのことをしておりますと言えなければ、なかなかやはり国際的に我が国としては批判を受けることも多かろうと思うにつきましては、やはり国民的な理解と支援がないとなかなかそこまでは行きがたい。今、NGOのお話がございまして、これなどもまさにそういうことでございます。もともと我が国は宗教的にもやや別の、西欧とは違った文明を持ってまいりましたし、植民地というようなものも持っておりませんでしたから、これは持ってなかったことが決して残念だと思っているんじゃございませんが、自然のそういう、当時の言葉で言えば宗主国と植民地というようなことでございますが、そのような紐帯もありませんでしたし、またそういうふうに物を考える考え方もございませんでした。その日本が、しかしこれから世界第一の援助国になっていかなければならないということにつきましては、国民的な理解と支援がなければならない。おっしゃいますように国民の税金を使ってやらしていただくことでございますから、それはもうおっしゃるとおりだと思います。 国会がそのようなことについて政府に御督励がありますことは、まことに私はありがたいことだというふうに考えます。
○本岡昭次君 それからまた、こういう言われ方も世界各国から日本はされております。日本は貧しい国々を援助するのに熱心でないと言われるんです。大変残念なことであります。援助とは何かというと、いろいろあるでしょうが、やはり国で言えば表現は適切かどうか別にしまして貧しい国、また個人の人々にすれば飢えや貧困に悩んでいる人々に対して行う、こういうことになると思うんです。そういう事柄に関して、貧しい国々を援助するのに熱心でないと言われたのではまことに残念なわけであります。 統計的に見ても、世界百三十四カ国に援助をしておるようでありますが、その中でベストテンをずっと挙げてもらったんですが、最貧国と言われている国が何か世界で三十六カ国あると聞きましたが、その中でベストテンの中に入っているのはバングラデシュとビルマのみであるということ。これは先ほど日本の援助が東アジアというところに、これは戦略的か、あるいはまた日本の位置するアジアというところ、あるいはもっといろんな意味でのアジア重視というものがあるんですが、それはまた別のところで論議したいと思います。しかし、そういうことを全部抜きにして、とにかくバングラデシュとビルマだけであって、そのほかの八カ国は低所得国あるいは中所得国というふうなことになっているところからも、本当にその貧しい国々に援助しているのかどうかということを言われるのであります。 また、いま一つのそういう批判の対象になっておるのが、一九八四年のこの資料を見ますと、援助の分野別の統計を見たときに公共事業が五三・五%、鉱工業・建設一三・四%、農林・漁業一一・七%、教育七%、保健四・二%、その他一〇・二%ということであって、公共事業とか鉱工業・建設、ある意味では大型プロジェクトというこの部分も、それは貧しい人々の援助にかかわりがないというふうには言えないと思います。しかしながら、直接的かという問題になるとなかなかそうはなり得ないという面もあるわけでありまして、そういう意味で六六・九%がこの大型プロジェクトというものに集中しているところから、貧しい人々への直接的な援助というものが非常に弱いという批判もこういうところから出てきているのであります。 竹下総理も総理大臣になって初めての施政方針演説の中で、私はあの中で一番好きな文句が一つあるんですが、飢えと紛争に苦しむ人々への思いやり、その悩みをともにするような心の優しさを私たちは求められている、こういうふうに竹下総理大臣は言われたわけで、私はたくさんの中でそれだけ覚えているのであります。飢えと紛争に苦しむ人たちへの思いやり、そしてその悩みをともにする心の優しさを我々は求められている、こうおっしゃったわけでありますが、求められておって、そのことを抽象的に幾ら言ってもいけないわけでありまして、飢えと紛争に苦しんでいるところに対して、思いやりとか優しさというのは文字どおり具体的な事柄でもって対応しなければならぬと思うんです。 東南アジアそれぞれのところにあるスラム、あの都市のスラムは大変なものであります。それは一方でNICSとかあるいはASE ANが非常に経済成長しているといっても、しかし、そのスラムを一目見たときに、もう隔世の感がするわけです。だから、都市のスラムをどう解決してあげるのか。あるいは難民問題にどう対応するのか。あるいは女性、障害者、子供。特にフィリピンなんかへ行ったときに、十五歳までに子供の五〇%が病気や飢えやいろんなことで死ぬというんですね、五〇%が。そういう子供たち、弱い立場にある子供たちやお年寄り、あるいは少数民族、そうした事柄に対してどういう援助がなされているのかという問題。大きな金を使って大きな仕事をして、相手に本当に喜んでもらえるのか。わずかな金でも、竹下総理の言葉じゃありませんが、やはり思いやりとか優しさというものがじかに浸透し伝わるものであれば、小さな金でも大きな喜びと共感と日本に対する尊敬というものをかち取ることも私は可能だと思うのであります。そういう意味で、この援助のありようをやはり根本的に改めていっていただかなければならぬのじゃないかということを私は思っております。そういう意味で本当に日本の援助というものが貧しい国々、貧しい人たちの援助になっているのかどうかという点に、残念ながら私も具体的な意味において疑問を持つものの一人なのであります。 そういう点で、これからの問題として外務省、大蔵省それから通産省、経企庁が四省協議ということで現在やっておられるようでありますけれども、どういうふうにしてこの海外経済援助の問題を、一方では国際批判というものに正しくこたえていく、一方我々のような考え方というものを是認していただいて、そういう方向にどう進めていくかという、そういう問題についてのひとつ御見解を承っておきたいと思います。これは外務省とそれから大臣にぜひお願いしたいと思うんです。
○説明員(川上隆朗君) 委員御指摘の点につきましては、まず貧しい国、それから貧しい人が恩恵を受けるような援助をすべきである、基本的にはそのとおりだと思います。 ただ、統計的に見た場合には、先ほど委員御自身も御指摘になりましたように、LLDC、つまり最貧国というのは世界で三十幾つあるわけでございますが、その中で人口の非常に大きい、ある意味では援助量が必要とされるような国というのはアジアにございまして、バングラデシュ、ビルマというのがその大宗でございます。したがってベストテンで見ますとどうしてもそのような国が出てきて、ほかのあと大部分の国はアフリカでございますが、アフリカの国は比較的国の経済規模が小さい国が多うございますので、そういうところに対する我が国の援助も、先ほど百三十数カ国という話がございましたが、きめ細かくやっているつもりでございますけれども、統計的には必ずしも多くないということだろうと思います。 それから、分野別のお話がございましたが、我が国のODAの分野別配分で申しますと、円借款の主要対象分野というものが経済インフラということでございますので、数的に見ますとどうしても公共事業、先ほど御指摘の公共事業のシェアというものが大きく出てきてしまう傾向がございますが、同時に被援助国国民、特に貧困階層がより直接的に裨益されるような、いわゆる我々これをべーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)、基礎生活分野と呼んでおりますが、例えば農村・農業開発、それから教育、保健、医療といった分野でございます。これは主として贈与によって行う、あるいは技術協力によって行う分野かと存じますが、こういう基礎生活分野に対するシェアというものも極力これを増大させるように努力しているつもりでございます。 特に、国のGNPパーキャピタが低い、いわゆる貧しい国に対しては、とりわけそういう形での援助を中心に行っていくべきであるというのが我々の基本的な考えでございまして、そういう意味で、先ほどODA予算の贈与か借款かといった議論もございました。これは恐らく援助供与先によりまして使い分けていくというような必要が出てこようかと思いますけれども、日本の援助も、そういう贈与によりまして基礎生活分野に対する援助というものを拡大するという方針にもあるということはここで述べさせていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども政府委員から申し上げましたように、我が国の援助の対象が主としてアジアの国々であって、アフリカの国々に比べますと一般論としてかなりアジアの国々は進んだ段階に現在もございますし、したがって、それらの国がどちらかといえばすぐに飢餓、貧困と申しますよりはインフラストラクチャーの整備をしてほしいというニーズが高かった、現在もさようであろうと思いますが、そういうことは事実であると思います。それが我が国の二国間の援助の中で公共事業的なものが大きいではないかと言われますことに反映しておると存じます。 それはそういうことでございますが、一つつけ加えて申し上げるとすれば、三十年間の援助のことを振り返ってみまして、アジアの国においてでもそうでございますけれども、援助というのは相手方の政権を飛び越えて真っすぐに向こうの国民と結ぶわけにはいかないということでございます。したがいまして、政権がこういうことをしたいと考える、それについて日本側としても御援助をしましょうということになっていくわけでございまして、これは特定の国のことを申し上げておるのではございませんので決して誤解をしていただきたくないのでございますけれども、過去三十年ぐらいの経験で申しますと、そのときどきの政権がやはり政権維持のためにいろいろ、このプロジェクトあのプロジェクトというふうに考えてきたような事実が幾つかございます。それよりも、先ほどの本岡委員のお言葉をかりれば、ここに飢餓と貧困がある、このスラム化はどうだというようなことは考えましても、政権としてこういうことを優先したいというようなときに、やはりそれは政権を飛び越えるわけにはいかないといったような問題も過去になかったわけではございません。 しかし、それは幸いなことに、殊にアジアの国々ではその段階からはもうはるかに進んできておりますので、決して最近の国、どこのことということを申し上げておるんじゃないんでございますが、そういうことも過去にはございました。基本的にはしかし、アフリカに比べますとインフラストラクチャーの整備の方がよりアジアの国々にはふさわしかった、大切であったということが大きな理由であったろうと存じます。
○本岡昭次君 それでは最後に一問だけお伺いしておきます。 海外援助はこれからやはり増額の方向に向いていくでありましょうし、また、それが国民の税金が使われる、国民の血税を使って海外援助をやるということになるわけです。それだけに一体何に、何のために、どのように使われるのかということが極めて大事になってまいります。仮にGNP比〇・七%といいますと、これは目標値ですが、大変なお金になるのであります。したがって、私は援助に対する評価をきちっとどうできるのかという問題が一つあると思います。 今まではほとんど評価というようなものはできていないんじゃないかという気がいたしますが、会計検査院あるいはまた海外援助そのものに対して独立した評価機関というふうなものを置くとか、あるいはまた海外援助をどういうふうにしてやっていくかという海外援助のあり方そのものに対する基準あるいは判断を正確に行う法体系、そうしたよりきめ細かなものが必要になるんじゃないかと思います。今までのように四省協議体制というふうなことではもはや対応し切れない、国民の納得も得られないという状況になると思うのでありますが、そうした評価なりあるいはまた監視の体制、あるいは援助の中身の基準、そうしたものをこれから考えていくについて何か新しい仕組み、新しい法体系、そういうようなものを必要とすると思うのでありますが、大臣にその点の御見解をお伺いして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず援助についての四省庁体制についてでございますが、私はたまたま個人のことを申して恐縮ですが、その四省庁のすべての所管大臣であった経験がございます。それから考えますと、これを一つにまとめるということは容易なことではありませんし、また事実上効率の上がることでもないというふうに結論としては思っておりまして、現在の四省庁体制というのは考えられる上では一番ベストの協力関係になっておるというふうに思っておる一人でございます。 そこで、おっしゃいますような問題がございます。大きな意味で日本の援助というものは非常に適正に行われているのかどうかといったような基本的な判断、これは確かに会計検査院の問題はございますが、恐らく会計検査院のお立場からいえば、不正なことはないか、不当なことはないかということは、それは当然会計検査院のお仕事でありますし、場合によっては相手の国に行ってまでおやりになられる部分もあるかもしれませんが、それは政策としての優先度等々の御判断ではないわけでございますから、どうも会計検査院にそれをお願いするというそれが今の援助の評価ということにはつながらない場合が多いだろうといたしますと、おっしゃいますようなことをどういうところで考えるべきか。国会が当然御批判をしていただくということは、これは一番大所高所から有効なことだと存じますが、政府の部内でそれを少し大きな目から見て過去何年かの、将来援助がかくあるべきだということをどういう仕組みで考えてまいりますか、大変に大事なことであることは私は間違いないと思いますので、よく検討させていただきたいと思います。
○本岡昭次君 終わります。
○鈴木和美君 先ほど本岡委員も御質問申し上げましたが、関連で一問だけ素案についての大臣の見解を、通告していませんで恐縮ですが御答弁いただきたいと思います。 先般、参考人で小倉会長からいろんなお話を承りました。先般素案ができまして、それでその後、新聞情報では政府と党と、自民党ですが、七者会談などが行われたようでございますが、いずれにしても今政府は党主導型というような言葉が使われておるんですが、法案を提出するのは政府でございますから、まず第一にお聞きしたいのは、二類型三方式と言われていますね、二類型三方式。その中のどれが一番好ましい体系だと今思っていらっしゃいますか、これが一つ。 もう一つは、税調会長がこれからの審議の経過で、いずれの型にするのか、非課税の範囲をどうするのか、税率をどういうふうにするのか、実質利益の算出認定をどうするのか、徴税方法をどうするか、キャピタルゲインの問題はどうするのかなどなどたくさんあって非常に慎重に協議をしなきゃならぬ。だから、私は質問で大分おくれるんじゃないですかというお話をしたら、政府の方からいろんな話もあるからなるべく早く急がにゃならぬと思っているという話なんです。 そこで、私がお尋ねしたいのは、こういう問題があるんだが、先ほど本岡先生がおっしゃったように、いつごろこれを法案化しようとしているのか、もう一回、二つ目にお尋ねしたい。 三つ目が最後ですが、読売新聞だったと思うんですが、七者会談のときに、これから出す体系はわかりやすい方の型にするのか、理論性をとうとぶのか、つまり理解性と理論性という二つの問題が議論されたようでございますね。どっちをとろうとするんですか。わかりやすいということは何を意味するんですか、理論性というのは何を意味するんですか、ここのところを間違って判断をすると私は大変なことになると思うんです。だから私は、どういう体系が一番いいと思っていらっしゃいますか、いつごろまででございますか、わかりやすいということと理論性とはどういうことなんですか、これを御答弁いただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず最初のお尋ねでございますが、お尋ねになられたお立場はよく存じておりますけれども、実は政府税調の出されたものでありますし、それも素案ということで、これから国民の御意見を広く聞こう、その上で考えていこうといういわば文字どおりのたたき台として出されておりますので、それを今政府の立場で、この三方式の中でどれがいいと思うかというお尋ねはどうもお答えを差し控えさせていただくべきものであろうと思います。御質問の意味はよくわかっておりますが、その点はぜひお許しをいただきたいと思うのでございます。 それから時期につきまして、これは何分にも大変な大きな仕事をお願いしておるわけでございますし、私ども昨年あのような失敗をいたしておりますので、その反省もございます。したがって、いつまでにということを余り、いわば拙速といったような批判を受けるような時間の区切り方を税制調査会に対して申し上げるべきではないと思っておりますし、また私どもの党内でも、あるいは政府が最終的に態度を決めます上でも、よほどよく国民のお考えを聞いて、やはり熟したというところで決心をいたさなければという気持ちがございますものですから、これは過去のことにもかんがみまして特にそう考えておりますので、時期について、先ほども申し上げましたように、どうもただいまのところ申し上げにくいということでございます。これもひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。 それから最後の点は、せんだって先週の土曜日でございましたか、総理官邸に党の税調の方々と私ども何人か集まりまして議論をした中で、そのわかりやすい云々というのはどういうことであったかというお話がございました。これはこの素案に直接関係のないことでございますので申し上げていいことだと思うんでございますが、例えば間接税を考えますときに、現在ECで多くの国がやっておりますような付加価値という考え方でございますと、付加された価値についてのみ課税が行われていくというわけでございますから、多段階の場合、したがって、その間に累積はないということになるはずでございます。 それを確保するために、例えばインボイスというようなものを使うといったようなことが理論的には恐らくダブりませんからすっきりしているということになるのであろうということは、学者なり税にお詳しい実務家は多くそのように考えておられるように存じますが、他方で、大企業はともかくといたしまして中小企業の立場なんかからいいますと、第一この付加価値という考え方が言葉としても日本語ではやや未熟でございますし、それからインボイスというようなことになりますと適当な日本語もないというようなことが象徴いたしますように、なかなかそこらのところがわかりにくいと一般に国民が思われるのではないだろうかということからいえば、累積があってもまあそれはそれでやむを得ないから、一番わかりやすい、これだけ売り上げがあったらそのどれだけをというふうにいけば、まあまあこれはわかりいいことはわかりいいわけでございます、売り上げはどなたでもおわかりになりますから。それはしかしどうなんだろうか、ずっと累積をしていきますから、税を知っていらっしゃる方からいうと、さあどうかなというふうにお考えになるであろう。 それから、ついでに申しますならば、昨年、いろいろ例外とかあるいは非課税とかいうことを考えたわけでございますが、御記憶のように、例外とか非課税とか、いわば何が非課税で何が課税かというようなことは、結局ボーダーラインになりますと説明の難しいことでございますし、受けられる納税者の側、国民の側からいえばこれは真剣な問題でございますから、大変にこれがまたある意味でわかりにくい問題になったということも昨年の経験でございますので、先週わかりやすいわかりにくいというのはどんな話をしておったのかとおっしゃいましたので、そういったようなことを一般的に議論しておったわけでございます。これはしかし、この素案に関連いたしましてどういう案を中心に考えておるというようなことで申し上げたのではございませんで、昨年の経験などにかんがみながらいろいろ意見交換をしておったということでございます。
○鈴木和美君 通告をしておりませんので余り深く入りませんが、もう一つだけ、せっかくのお話ですから。 機が熟すというお話がございましたが、素案を受けて第二次の公聴会みたいな日程というのは、何かもう既に予見とか予想というか、計画が組まれているんですか。
○政府委員(瀧島義光君) 第二次の地方公聴会につきましては、四月の十一日から十四日にかけて五カ所で開かれるという予定が現在のところでき上っております。
○鈴木和美君 いずれにしても、私どもの立場からはそういう難しい問題を拙速に諮って大混乱を起こさないようにしてもらいたい、もっと財源はあるんじゃないかというような立場を私はとっています。 そこで、自然増収の問題についてちょっとここでお尋ねしたいんですが、大臣、自然増収というのは一体どうやって算出するんですか。自然増収という言葉を使うときの算出の基準みたいなものは何かあるんですか。
○政府委員(瀧島義光君) 自然増収という言葉の意味は、使われる場合によりまして意味の異なることがございます。 第一に、予算の編成の時期に、現在の税法をそのままにしておきまして……
○鈴木和美君 簡単にお願いします。
○政府委員(瀧島義光君) はい、翌年度どの程度税収が上がるか、それを見積もります。それが前年度の当初予算に比べての差額、その差額が出てまいりますが、これを年度間自然増収というような言葉で言っております。 それから、一たん予算ができました後、経済その他が見通しとちょっと違ってくると税収にも反映してくる、この決算額と当初予算額との差額、あるいは補正後予算額との差額、これをもって自然増収と言うことがあります。これは年度内自然増収ということでございます。
○鈴木和美君 あんまり頭がよくありませんので、ごちゃごちゃ言われてもわからぬのですが、私流に言うたら間違いありますか。税の理論は別にして、当初予算と実績ないし実績見通しの差額というものが一般的には自然増収である、こういうふうに理解していいですか。
○政府委員(瀧島義光君) はい、そのように使われることもございます。つまり予算と実績との差額。そうすると、議論されておりますときに補正予算ができておりません場合には当初予算との差額が自然増収になりますし、補正予算ができている場合には通常、補正予算と実績見込みとの差、これを自然増収と言うことが多いようでございます。
○鈴木和美君 そうしますと、前回行われた所得税減税の一兆五千四百億円というのがありますね。これも自然増収であったと見ていいですか。
○政府委員(瀧島義光君) 補正予算におきまして自然増収と申しますか、税収を一兆八千九百億増額したわけでございますが、その裏に、委員御指摘の所得税の一兆五千四百億を含めます減税、全体で一兆八千三百億でございますが、それをのみ込んでおります。したがいまして、形式的には当初予算に対する自然増収というものは一兆八千九百億でございますけれども、実質的にはその減税を足した四兆弱のものが実質的な自然増収ということになろうかと思います。
○鈴木和美君 今お答えの中にありましたように、そうしますと減税が行われた一兆五千四百億円と、今お話のありました法人税増収額、この表で見させていただきましたが一兆八千九百億何がしですね。それとその他の税目の税収が一兆三千九百二十億円。そして所得税の減収分が二千九百四十億円ありますから、差し引き勘定大体四兆五千億円が自然増収であった、こういうふうに言って間違いございませんね。
○政府委員(瀧島義光君) 今お尋ねの意味を正確にとらえかねましたが、一兆八千三百億という減税の規模、それと補正増の一兆八千九百億、これを足しますと三兆七千二百三十億という数字が出てまいりますが、これがいわば現在のところ私どもが計算しております実質的な意味での自然増収ということになろうかと思います。
○鈴木和美君 この表にあります、その他の税目の増収一兆三千九百二十億円というものはどういうふうに見たらいいんですか。
○政府委員(瀧島義光君) どの資料をごらんいただいているのか、ちょっとあれでございますけれども……
○鈴木和美君 第二の一般会計の。
○政府委員(瀧島義光君) 今申し上げましたように、数字としてございますのはあくまでも補正予算における増額一兆八千九百三十億、それとその裏にあります一兆八千三百億という減税、これだけでございます。したがいまして足すと三兆七千二百三十億ということになるわけでございます。
○鈴木和美君 それでも約三兆円ですね、今のお話だけで三兆円ちょっとですね。 それからもう一つお尋ねしたいのは、六十二年度第二次補正予算に比べてこれからの自然増収はどれぐらい見れるんだろうかということを尋ねたいんです。 資料の「昭和六十二年度一月末租税及び印紙収入、収入額調」というのがございますね。この表を見させていただいきますと、その進捗率のところなんですが、総額において六十一年度六四・七%が六十二年度、今までの中では六八・六%に伸びていますね。これはパーセントにすると三・九%でしょう。法人税は四八・一%から五五・一%、七%増。所得税は七二・二%から七四・七%、二・五%増。有取税は六七・四%から七六・二%、八・八%増、こういうのがこの表から算出できる。 そこで、この進捗状況から見ると、これからどのぐらいの自然増収が上がってくると見られますか。
○政府委員(瀧島義光君) 委員御指摘のように、今までのところ税収の伸びはおおむね好調でございます。一月末累計で前年比九・一%伸びておりますが、補正後の予算の伸び率は前年の実績に対し二・九%ということでございますから、かなり好調ということが言えると思います。 ただ、御留意いただきたいことが二、三ございます。それは昨年の税収の入り方でございまして、後半に入りましてから急に伸び率が高くなっております。したがいまして、低い伸び率であった前半と比べた今年度の前半、これは非常に伸び率が高くなる。後半になりますとこの伸び率は高い伸び率との比較になりますから、相対的に小さくなってくるであろうということが第一点です。 それからもう一つは、昨年九月の税制改正で減税が行われました。この減税の影響というものが所得税の年末調整という形で一月の税収にもはね返ったわけでございますけれども、さらに確定申告というような形で今後大きく影響が出てくる要素がございます。それが第二点です。 それから第三点は、これは常々申し上げておりますが法人の税収、三月決算、これが大変大きなウエートを、法人税の半分ぐらいを占めております。 こうした未確定要素といいましょうか、法人の税収というのは非常に振れるものでございます。しかも大きなウエートを持っている、そういうものがあること、それからただいま申し上げましたけれども、確定申告というものの実績がどうなってくるのか、これがこれから出てくるわけでございますが、そういった要素があれこれございますので、現段階において今後の税収の見通しについて確たることが申し上げられないということを御理解いただきたいと存じます。
○鈴木和美君 申し上げられないというのと、申し上げたくないというのがありますよね。私は、大臣、いろんな資料も省からいただいたり、算出してみたり、前年の経過、前の経過などを見ても、約一兆円ぐらいは上がってくるであろうというように実は見ているんですわ。ところがそれを言うと、それは今、あしたの回答かきょうの昼の回答か、いろいろ関係するものだから言いたくないのかもしれませんけれども、私は大体四兆円、五兆円といういわゆる自然増収というものが上がるんじゃないのかなと実は見ています。 そこで、仮に四兆円、五兆円。五兆円に計算したとしても、これも弾性値を掛け合わせてみても、今まで中期展望では五・五%、中期展望ですが、これは非常に低く見積もられた数字じゃないかと思うんですね。御案内のとおり過去十年の平均、したがってオイルショックのときのああいう低いのも入れ込んであるわけでしょう。そして一・二か一・一か掛け合わせて五・五というのを出したんじゃないでしょうか、そういうふうに理解して間違いございませんか。
○政府委員(瀧島義光君) 間違いございません。 経済成長率に過去の平均的な弾性値、それを掛け合わせたもの、それをもとにいたしまして、さらに税制改正の平年度化の影響を調整して五・五という数字が出ております。
○鈴木和美君 六十一年度の弾性値は幾らだったですか。
○政府委員(瀧島義光君) 二・一でございます。
○鈴木和美君 したがって、二・一であるということだけをとっても今までの一・一とか一・二と比べればその弾性値は上がりますね、というように私は見ているんですが。 今の自然増収の状態というものでただ一つ心配があることは、どうでしょう、円高という問題が一つありますね。それに雇用調整、産業の空洞化という言葉で言われておりますが、雇用調整という、そういう不安材料はなしとはしないと思うんです。なしとはしないという私は理解なんです。けれども、全体の経済の推移というものをいろんな文献、民間調査を見ても、大体横ばいもしくは上向きにいくであろうというのが大方の経済的な見方に私はなっていると思うんですが、大臣、ここはどういう御見解をお持ちになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的に今の我が国の経済の歩みが順調であると。確かに鈴木委員の言われますように一つ二つはございますが、基本的には比較的順調に経済が推移しておるということは、そのとおり考えてよろしいのだと思います。それはただいままでの税収に比較的素直にあらわれておるということもそうだと思うのでございますが、問題は先ほど政府委員が申し上げましたように、いかにも昨年あたりの土台になります実績がいわば一過性のものが多い。二・一というような弾性値は過去に私は例はなかったのじゃないか、ずっと何十年間の間には一遍ぐらいあったかもしれませんが。そのような弾性値でございますし、今年度の補正後も一・八三というこれも異常な高い率でございます。やはり一・一とか一・二とかいうのが普通の常識的な率でございますから、どうもその土台に使いました過去の実績というものがやや正常でないという気持ちが私どもみんなあるわけでございます。 それで、これはぜひ御理解をいただきたいと思いますのは、私も存じませんでしたのですが、昨年度で申しますと、締め切りは五月の末でございますが、五月の末にほとんど一日といいますけれども、入りました法人税がたしか四兆八千億でございます。それは金利がございますものですから皆さん最後の日までお払いになりませんので、一日に法人税が四兆八千億入ってきた。法人税収はたしか十四兆でございますので、四〇%近いものが最後になって入ってまいりました。昨年、大変いろいろ見当が違いましたのは、本当に年度のおしまいになって税収がよくなったということなんでございますが、そのなりっぷりが今申しましたようにまことに極端なことになります。ことしも恐らく、したがいまして五月の末になりませんと法人税がどういうことになってくるかわからない。 それはおっしゃいますように、いろいろ各党間で今御議論になっておられますこととも関係が非常にございますから御関心がありますが、別の意味で私の立場から申しますと、そのようなことになれば発行すべき特例公債は実は発行してはならぬわけでございます、金利をむだにするだけのことでございますから。したがいまして、どれだけの公債をいわば抑えておきまして、いざ足りないときには出さなければなりませんし、もし税収があれば出してはならぬという、そういう実は問題も持っておりますものですから、わからないんではない、言いたくないんではないかということではありませんで、現実にそういうことがありますので大変に用心をして申し上げておるわけでございます。
○鈴木和美君 大臣、私は時間がないものですから一こまはしょっているんですが、実は財政の力というか、対応力というか、これは一体何を指すのか。どういう時期に財政の対応力が回復したと見るのか、これはみんな国債との関係ですから。だから、そこの議論が一つあるんですけれども、時間がありませんからそこの議論はまた別の機会にさせていただくことにいたしまして、ただ大蔵省というところは、計算違いをして金が集まらなかったということで怒られるより、余っていた方で怒られる方が怒られやすいんですよ。だから、どうしても全体の見方が確実に堅実に健全にという方に走りやすいと私は思うんですね。それが今のお話の中にももう明らかに如実に出ているんですよ。 我々は今政権持っていませんから、そういう意味では粗っぽいと言われれば粗っぽいかもしれません。しかし全体の経済の推移は、弾性値二・一、六十一年度出ているように、全体の景気の状況はそんなに首をかしげるような状況ではないんじゃないか。つまり、そういう意味では多少の額の差はあるけれども自然増収というのはここのところ二、三年はまだまだ見込めるというように私は見ているんです。 さて、その次ですが、そういう状況の中でNTTですね。NTTの問題は六十三年度でございますか、百九十五万株掛ける二百四十七万掛ける〇・八という安全率で掛け合わせていますね。この〇・八という安全率はどういうふうに理解すればいいんですか。
○政府委員(足立和基君) 六十三年度予算におきましては、先生おっしゃるように、NTTの株式売却収入につきましては予算編成時の時価を基準といたしまして、安全率を〇・八掛けてございますが、これは御承知のようにNTT株式売却収入というものは、その性格上、市場の動向等によりましてかなり変動するものでございまして、確定的な財源とは申せない、こういうものでございますので、従来の慣例に従いまして〇・八の安全率を掛けたものでございます。
○鈴木和美君 百九十五万株掛ける二百四十七万円掛ける〇・八ですな。
○政府委員(足立和基君) さようでございます。
○鈴木和美君 そうすると、この〇・八というのは、百九十五万株売れない、売れないかもしれないという意味で〇・八なんですか。それとも二百四十七万円という金額が、二百四十七万にはならぬ、二百万だというようなことを想定しての〇・八なんですか。どっちですか。
○政府委員(足立和基君) 通常、確定しておりません財源につきまして、一般的に安全率〇・八を掛けるわけでございますが、今先生言われましたように、このNTTの売却収入につきましては、まず価格がどうなるか、これは株式市場の実績に基づきまして決められることになりますので、これがまず確定しない。この点が一つございます。 それから株数が百九十五万株でございますが、これも御案内のように、特別会計の予算総則第八条でお願いをいたしておりますように最高限度額、処分の最高限度額でございます。現実にどれだけの株式を処分するのかというのは、その処分時点におきます証券市場、金融全体の動き等々を勘案しながら決定されなければならないと思いまして、この株数自体についても実は不確定要素があるわけでございます。したがいまして、この歳入と申しますのはその両方を掛け合わせたものでございますので、どちらの点についても確定していない、こういうことかと思います。
○鈴木和美君 六十四年までに大体百九十五万株を出していこうという計画でしょう。残りが二百六十万株ですね。だから今の状況の中で百九十五万株というのが六十四年まで計画に入っているから、この〇・八の掛け方によって大分違うんですけれども、六十二年度の実績というのは二百五十五万円でしたね。〇・八掛けても四兆九千七百二十五億でしょう。六十三年度の予算の方は二百四十七万ですから、三兆八千五百三十二億ですね。差し引き勘定ここで一兆円違いますね。そうでしょう。国民のNTTの株に対する関心度というのは非常に高いですね。だから、そんなに上下のこんな乱高下みたいになるようには私は見てないのです。 ですから、ここでお尋ねしたいことは、一つはそういう状態だから、これは主計なのかもしれませんけれども、水揚げですな、上がりがどのくらい上がるか。毎年一兆円ぐらいずつぼんぼんぼんぼん上がってくるんじゃないかと見ているんですが、こっちでは二百六十万株をこれからそろそろ出す計画を発表しなければ、先々の買い方の問題もありますから、残った二百六十万株はどういう放出の計画があるのか。この二つを聞かしてください。
○政府委員(斎藤次郎君) 国会に提出しております国債整理基金の計算の仮定計算というのがございまして、それではただいま御指摘がございましたように、六十二年度末で六百五十万株になっておる。六十三年度では百九十五万株を売ると。したがいまして、六十四年度以降につきましても百九十五万株をそのまま売っていくということで、保有可能なものにつきまして六十六年度までそのまま、そのペースで売っていくと。そうしますと、六十六年度は六十五万株残るので、それを六十六年度に売らしていただく。すべてにつきまして今申しましたような安全率を掛けて一応国債整理基金の収入の見通しを立てている、そういう前提で機械的な計算を行っているわけでございます。
○鈴木和美君 きょうはこのぐらいにしますが、つまり大臣、今の私の討論の中で御賢察のように、景気は、大蔵省が見ている弾性値の五・五%は低過ぎやせぬか。自然増収は、少なくともここ二、三年は景気の動向から見れば順調に推移するんじゃないか。加えてNTTの株がそこに入るんじゃないか。もちろん、NTTの株と国債整理基金との関係というのはありますよ。私が言いたいことは、財源的にはそういう状況にあるんじゃないのか。 さて、一番最初の質問に戻して、わかりやすいか、理論整理するか、いろんな討論はあると思うんです。二十一世紀の高齢化社会も見にゃいかぬとおっしゃっていますが、私はしかし、当面は財源確保の中で議論していくわけでしょう。だから、そういう意味からすると、余りこの新型税の問題は拙速に走らないで、全体を全部一回俯瞰した上で取り扱うべきじゃないのかという見解を私は持っています。そのことだけをきょうは申し上げて、答弁は要りませんから、十分踏まえて対処していただきたいと思います。 さて、こんな話から次元ががらっと変わって恐縮でございますが、私は委嘱審査だからあえて質問しますが、これだけの国際化や高齢化社会を展望したり、金融の自由化とかいろんなものの中で、大蔵省という役所はどういう仕事の状態にあるのか。つまり、理論だけじゃなくて、実際に働いている人たちの協力をもらわなければ仕事はできません。私は、一生懸命やっていると思うんですわ。 それで、まず、せっかくですから佐藤政務次官にお尋ねします。 大蔵省で、本省だけで結構ですから、あなたがいつも出勤なさるところで、あそこの中をあなたごらんになって、まあ短い期間かもしれませんけれども、私のクイズで恐縮ですが、大蔵省の職員は非常に忙しいと思われますか、比較的忙しいと思われますか、まあまあだと思われますか、忙しくないと思われますか、どうお答えになりますか。
○政府委員(佐藤栄佐久君) 先生も御承知のように、予算編成時における殺人的忙しさ、あるいは国金局、国際金融局における為替担当官のように、世界の情勢を集めるために早朝から出勤して情報集めをしているというふうな、特別のこれは非常に忙しい、異常に、度を超した忙しさでございますけれども、一般的に私、短い期間の経験から申しますと、感想としては非常に忙しいということでございます。 と申しますのは、大体私いろいろ報告あるいは打ち合わせのために担当官に電話をしますと、国会に行っておるとか、あるいは議員会館を回っておるとか、あるいは会議であるとか、ほとんど、十回電話したうち九回はデスクにいないという状況でございますので、私の推測ではデスクワークは多分日が暮れてから始まっておるんではないかというふうに想像するわけでございまして、そういう意味では非常に忙しいというふうに考えるわけでございます。 以上でございます。
○鈴木和美君 大臣、いかがですか、今の政務次官のお話を聞かれて。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今政務次官が言われたとおりだと私も思っております。
○鈴木和美君 実は、これは大蔵の本省に働いている人たちの労働組合が先般街頭で配ったものなんですが、見さしていただきましたら、超勤の実態調査、結果判明、行(一)男子職員、月に百二十時間の超勤、こう書いてある。平均しても一カ月百時間の超勤である。これが実は大蔵省の本省の行(一)男性の職員の勤務状態なんです。これは今まで各省庁とも、もちろんシーリングがあって総定員法があって、いろんなことがありましょうけれども、私はこの百時間以上の月の超勤の実態というのは、肉体的にももう大変なことだと思うんですわ。こういう実態にあることをまず頭に置いておいてほしいと思うんですよ。会計課長もおいでですから、この実態についてどうお考えになりますか。
○政府委員(佐藤孝志君) お答え申し上げます。 ただいま先生がお示しになりました資料は、私も昨年見たことがございますけれども、一カ月で百二十時間という超勤時間でございますけれども、私ども、別途この種のものを集計いたしまして比較できればいいんでございますけれども、必ずしもこれに対応するような数字がございません。したがいまして、この百二十時間という数字がそのとおりであるかどうか、ちょっと今のところは確認のしようがございません。
○鈴木和美君 大臣、政務次官にもぜひ承知しておいてほしいことは、会計課長は超勤の予算を持っている担当ですから無料超勤させるわけにいかぬのですわ。だから払った金額の時間しか公表できないんですよ、そうでないと労働基準法違反だってやられますから。しかし実態は大変誤差があるんですね。足切りという言葉がよく使われるじゃないですか。 私は今、五年前から比較すると、おい、用がなかったら早く帰れよと、上から下まで言葉ではそう言われていることを知っています。しかしそうは実態はなっていませんね。だから、金欲しさに超勤をやっている実態とは全く違うんですよ。私みたいな年ごろは、また四十代、三十代の人は超勤も欲しいというのがあるかもしらぬ。若い人は超勤欲しいなんて余り思っていないですよ。いや、思っていないと言っちゃおかしいかもしれませんけれども、それよりはデートの方がいいかもしれないんです。そういうような面から見ると非常に過酷な実態にあることを、幾ら査定官庁とはいいながら、みずからの職場の人たちに心を配ってやらないと宮澤大臣の足元がすくわれるんじゃないですか。私はそういう意味で本省の問題をぜひ考えていただきたい。 次は、先般大変お世話になりまして、財務局です。財務局は今まで定員がずっと低くなってきて、おかげさんで十七名の増員になりました。それでその後も、財務局の皆さんが地域で署名活動をやって二十万集まっているんですよ、二十万。財務局の問題に対して二十万も署名が集まるということは、大変財務局に対する地域の関心度が高いということじゃないですか。二十団体もこれに協力署名している。だから私は、財務の問題はこの前皆さんにもお話ししたことでありますから、ぜひこれからも要員の問題について御賢察いただきたいと存じます。 それから今度は税務署です。国税の問題についてちょっとお尋ねしますが、法人税だけで結構ですから、昭和六十二年度二月末の法人税の申告件数、調査件数それから実地調査の割合、更正決定の件数、更正決定の割合、申告の漏れの所得金額、そして職員何人で幾ら稼いでいるか、稼いでいるという言葉は適当じゃありませんけれども、どのぐらい水揚げがあったか、ちょっと答えてください。
○政府委員(日向隆君) ただいま委員が御指摘の調査件数でございますけれども、法人税で十九万二千件でございます。申告件数に対する実地調査割合は九・三%、それから更正決定件数は十六万件でございまして、更正決定割合は八三・三%でございます。かような調査によりまして把握しました申告漏れ所得金額は一兆二千二百五十六億円でございまして、これによります追徴税額は加算税を含め四千五百十九億円でございます。 これに対しまして、どの程度の人間が調査に従事したかということでございますが、概算で申し上げまして、今法人税に従事しております職員の数は一万一千数百人というところでございまして、この職員が行います事務の、いわゆる調査等の外部事務と内部事務の割合は大体半々でございますので、約六千人弱の人員がこの調査事務に従事した、かように考えます。
○鈴木和美君 法人担当で七千人で、追徴を含めますと増差税額は一人当たりどのぐらいになりますか。
○政府委員(日向隆君) 今委員が御指摘になりました七千人というのをベースに計算いたしますと、四千五百十九億円が加算税を含めた追徴税額でございますから、単純な割り算で一人当たり増差税額は六千四百五十五万円ということに相なろうかと思いますけれども、今私が申し上げましたように、この七千人という数は、私どもの計算によりますと外部事務に専従する人間といたしましてはやや多いのではないか。したがって逆に言いますと、従事員一人当たりの追徴税額は六千四百五十五万円を若干上回っているのではないか、かように考えます。
○鈴木和美君 つまり、もう何回も議論しておりますから、大臣、この片方の方の、間接税もいいですけれども、税の不公平是正の執行上の問題は、これはもう本当にコスト計算したってやっぱりふやすべきだと私は思うんですよ。そういうことをぜひ考えていただきたいと思うんです。 ところで、最近外国に行って税を逃れるというケースが非常に多いんですね。だから外国まで出かけていって実調をしなければならぬような状態になっているんです。これは日向次長、どういう予算の実態になっていますか。
○政府委員(日向隆君) 確かに、委員御指摘になりましたように、六十二年七月一日現在で見ましても、海外に支店、事業所、それから現地法人等を有する法人の数が、資本金一億円以上の法人で見まして二千七十二社に達しておりますし、また、その海外取引に係る大口不正取得金額は六十一事務年度におきまして百十六億円に達している、こういう状況でございますので、私どもとしましては海外取引に重点を置いた調査を実施することにしております。このため、租税条約の活用により、情報交換を初め海外取引を有する法人の国際関係部門を徹底して調査をするということとともに、今御指摘がございましたが、年間六十人程度の調査官を海外に派遣いたしまして、その取引の実態をつかみ、調査の充実に努めているというところでございます。 したがいまして、このための海外調査旅費は、関係方面の御理解を得ましてできるだけ充実することに努力しておりまして、現在御審議をいただいております六十三年度予算案で八千九百万円を計上しておるところでございますが、この点につきましては、今後ともさらに努力してまいりたいと考えております。
○鈴木和美君 今お話しのように、海外の税務調査の旅費の推移を見ますと六十一年度で五千九百万ですね。六十二年度で七千四百万、今お話しのように六十三年度で八千九百万、徐々には伸びてはきているんですけれども、件数、案件から見ると、本件についてはやっぱり全体として、税の徴収の公平という観点からも、ぜひこれは御賢察をいただきたいと思うんです。 税務署の関係でもう一つお尋ねしますが、最近非常に税務署の職員も民主化されました。昔は警察より怖かったんですよ、税務署の役人というのは。目つきが余りよくなかったんです。最近非常に民主化されまして、税務署に相談に来るお客さんというのは非常に多くなっていますね。野末先生も大変御苦労いただいているんですけれども、そういうお客さんが多いという割には税務署の建物が非常に狭いということと、おんぼろがいっぱいあるんですよ。こういうおんぼろとか狭いということを考えて、税は取るんじゃないんですから、納めてもらうんですから、そういう納税者の問題に対しても十分な神経を私は使ってやらなきゃいかぬことだと思うんですよ。そういう意味で庁舎についても、ほかのところと違うんです、ただ仕事をするというところと違うんですから、納めてもらうお客様相手なんだから、そういうことをぜひ頭に入れて本件についても御努力をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(日向隆君) 税務署の庁舎の老朽の場合の建てかえ、狭隘の場合の増築等、税務署庁舎の整備につきましては、今委員が御指摘になりました納税者サービスの向上ということから何よりも大事なことでございますし、それに加えまして、税務行政の効率化やそこで働く職員の職場環境の維持向上という観点からも私は非常に大事だと考えておりまして、御指摘を踏まえてできるだけの努力をしてまいりたい、かように考えております。
○鈴木和美君 国税で最後ですが、もう一つは、先ほど私が要員確保の問題を、大蔵委員の皆さんにも大変御協力いただきながら、御理解いただきながら徐々にはふえているんですけれども、総定員法の枠などもあってなかなか一遍にふやすことができませんね。そういう意味ではやっぱり事務用機器というか、OA化というか、ここにはしっかり予算を入れて無理のないようにしなきゃいかぬことだと私は思うんですね。この点についても当然努力するというお答えがいただけるはずですから、お答えは要りません。どうぞしっかりやっていただきたいと思うんです。 次に、同僚丸谷委員から税関の問題については後ほどまた触れられる機会があると思いますが、私は税関の問題も先ほど言ったように宿舎、庁舎、そういうものについてしっかりしていただきたいと思います。 そこで、一番最後ですが、これは大臣御存じかどうか知りませんが、今公務員が出張に出かけるときに宿泊費が五千九百円なんです。大蔵省の例えば宿舎がありますね、方々に宿泊所が。そういうところに泊まってもいっぱいいっぱいなんですな。二人で調査に行くと、上司は一万円もらうから、片方は五千九百円だから、二つで割ってそして宿泊費を払う、これが今出張旅費の現状なんですね。これは私は大変なことだと思うんですが、これは何も大蔵省の職員に限ったことではないと思うんですよ。しかし、これは余りにちびり過ぎて、実態に即さないような旅費の状態はよくないことだと思うんですね。 もう一つ、大蔵省の中の独身寮というのがあるんです。これも最近の設計が、独身寮はこれだけ婦人の地位が高まってきてもおふろは一つしかないんですよ。女性と男性が一緒に住んでおっても男のふろと女のふろと分かれてないんですよ。一つなんです。時間で交代、こういうのが独身寮の実態としてあるわけなんです。これもやっぱり、もう少し建てるときに先を見越した建て方というものを検討しなきゃならぬことだと思うんです。こういうことがたくさんあるんですよ。 それから、今度宿舎に入っている人は宿舎使用料というのが上がりましたですね。二四・五%上がったんです。二四・五%宿舎料が上がっているんだが、宿舎の修繕費とか環境整備などに使っている金というのは非常に少ないんですね。上げたもので新しくつくるということはあったとしても、修繕費、環境整備などについては非常に少ない現状にあるんです。これも私は一回総洗いしなきゃならぬと思っているんです。 そういう意味で、今私が幾つか申し上げたことについて、これはどなたか、実績というか、私の言っていることに間違いがあるかどうか、答弁をしてもらいたいと思うんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 職員の勤務環境につきましていろいろ御関心をお持ちくださいましてありがたいことに存じます。 ぜいたくはできませんが、余り度が過ぎますと、勤務の能率あるいは公務員としての心構えにも影響することがあってはなりません。最小限度のことは一生懸命やらしていただきたいと思います。
○鈴木和美君 六十三年の三月二十四日、これは、全大蔵労連と宮澤大臣がお話をされた要求書を私持っています。そのお話は、大臣でございますから、やりましょうとも言えない、やらないとも言えない、一生懸命考えますとしか言えないですわね。けれども、私はやっぱり大蔵省、査定官庁とはいうけれども、隗より始めよという言葉がすぐ出るんですよね、あれはいいようで悪いですよ、隗より始めよは。全体が横並びか逆になっていることをやっぱり考えなきゃいかぬと思うんですね。いいものはいいんですから、だれが考えたっていいものはいいんですから、私はしっかり努力をしていただきたいと思うんです。特に、公務員というのはストライキ権があるわけじゃないんですから、話し合いの中の話というものをやっぱり尊重して、その実現のために全力を注いでいただきたいことを最後に申し上げまして、くどいようですが大臣にもう一回答弁をいただいて、私の質問を終わります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先週、組合の代表者諸君と短時間でございましたが会いまして話を聞きましたが、私は同情を持って組合の代表者諸君の言われたことを聞きました。できるだけのことはしなければいけないと思っております。
○委員長(村上正邦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時一分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○福田幸弘君 予算は毎年もちろん組まれるわけでありますが、財政には長期的なやはり視点が要ると思うわけで、特に財政の大きな柱であります社会保障につきましては将来の展望が欠かせない、こう思います。 先般、三月十日に厚生省と大蔵省で発表されました今後の高齢化状況及び社会保障給付と負担の展望、これは非常に参考になりましたが、ポイントについて簡単に御紹介ください。
○説明員(清水康之君) お答えをいたします。 先般お示ししました「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」につきましては、衆議院段階におきまして予算委員会での御要求に基づきまして提出をしたものでございますけれども、昭和七十五年、西暦二〇〇〇年と、昭和八十五年、西暦二〇一〇年における社会保障の給付と負担等のおおよその姿を機械的な手法によって示したものでございます。国民所得の伸び率に一定の前提を置きまして、また基本的には現行の社会保障制度を前提として、過去のいわば実績をもとに機械的に将来に投影させて、将来の姿を展望してみたというものでございます。 まず、社会保障給付費でございますけれども、昭和六十三年度においてはその国民所得に対する割合が一五・四%ということになっているわけでございますが、これが昭和七十五年には二一・五ないし二三%程度に、さらに八十五年には二六ないし二九%程度に達するという試算になっております。 社会保障負担でございますが、六十三年度におきましては一一・一%でございますが、これが七十五年には一四ないし一四・五%程度、さらには八十五年度には一六・五ないし一八・五%程度になるという試算でございます。社会保障関係にかかわる国庫負担でございますが、六十三年度においては現在四・一%程度でございますが、これが七十五年度には五・五%程度、さらに八十五年度には六ないし七%程度になるというものを推計したものでございます。
○福田幸弘君 今後ともこの種の資料を関係各省と大蔵省の協力で積極的に国民に発表してもらいたい、こう思います。 そこで大臣にお伺いしますが、このような高齢化社会への財政的な対応と税制改革との関連につきまして、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま説明員から御説明いたしましたのは、実は衆議院の予算委員会の御審議の段階でお求めのあった資料を厚生、大蔵両省で作業をいたしたものでございますが、福田委員もよく御承知のとおり、二十一世紀に及びましての社会保障のあり方、あるいはそのときの国民負担がいかにあるべきか等々については政府部内で正式に政策決定をいたしたことはないわけでございます。それは申すまでもなく、長期の経済計画が立たないためにフレームができないというところからくるわけでございますが、それにもかかわらず、今度は一応機械的な計算をいたしてみたということでございます。 これを背景にいたしまして私どもが考えておりますことは、やはり老齢化が進行するということはこれは間違いのないところである。この資料にもございますが、生産年齢人口が六十五歳以上の老人をただいま六・六人で一人背負っておりますが、二〇〇〇年にはそれが四人に一人になり、二〇一〇年には三人に一人になる。これを現行の税制をそのままにいたしておきますと、源泉の所得税、勤労所得が負担すべき税額というのは、これは所得税、住民税合わせまして現在GNPの四・八であったと思いますが、それが二〇〇〇年には二倍をちょっと超える、二〇一〇年には三倍に近くなるということでありますと、そのような負担は実際上は不可能でございますから、それは支える方も大変でございますが、支えられる方もそれでは支えられないということになってまいります。 しかも、先ほど説明員が申し上げましたように、社会保険料と租税の負担の合計は、やはり二〇〇〇年までに今から五ポイント、二〇一〇年までにはひょっとすると一〇ポイントの伸びが不可避であるといたしますと、それを賄いますための税制というものは到底今のままではやっていけない。やはりこのような負担は幅広く薄く社会全体に負担をしていただきませんと、現実に生産年齢人口に所得税の形で負担しろといってもそれはできないことであるという認識から、我が国のように所得水準が高く所得格差の少ない国ではそういうことが可能であろうと考えまして、この際、税制の抜本改革をいたしますに際しまして、将来をも展望してそういう税制をひとつ所得、消費、資産のバランスの中から打ち出したいと政府としては願望いたしておるわけでございます。
○福田幸弘君 本格的な高齢化社会の到来はまだ先のことで、税制改革を急ぐ必要はないという考え方もありますが、世界で最も高い水準の高齢化社会が世界で最も速いスピードでやってくるわけでありまして、これはもう確実に予想されるわけであります。 そこで、年金、医療を中心とする老人保障システムの確立を早くやっておく。これは国民、特に勤労者の現在の不安を取り除くために肝要なことである、こう考えるわけであります。また、生活環境の整備を今のうちに計画的に進めておくということも必要であろう、こう思います。また、膨大な国債費の負担、これを考えましても、財政の弾力的な対応力を今のうちに回復しておかなければならない、こう思うわけであります。 したがって、このような基本的な視点から恒久的な財源問題を考えることは、国民に対する政治の責任である、こう思うわけであります。むしろ正面から、高齢化社会への移行に伴う国民の負担増は避けられないということを率直に訴えて、それが社会保険料や所得税の増大によって給与所得者への偏った負担にならないようにするにはどうしたらよいか、また社会保障財源を確保するための税、財政の仕組みをどうしたらよいのか、そして新しい財源を社会福祉に優先的に充てることにすれば逆進性の懸念も解消することになるのではないかといったような問題を大蔵省と厚生省等、関係各省の間で積極的に検討していただきたい、こう思います。 以上は高齢化という長期的な観点からの問題指摘ですが、次に国際的な観点が税制改革にとって極めて重要である、こう考えるわけであります。 そこで所得税の税率問題であります。イギリスやアメリカ、カナダなどでは、経済、さらに経済にとどまらず精神の活性化という観点から所得税の累進緩和が積極的に行われてきています。日本でもこのような国際的な観点から思い切った累進緩和を図るべきではないか、こう考えるわけであります。その際、最高税率の適用される課税所得の水準を引き上げる、右の方にずらしてフラットにするというフラット一本化の方向ということを基本的に考えるべきである、こう思うわけであります。 イギリスの場合、かつて最高八三%、最低三三で十一段階であったのが、八三が六〇になり、今四〇%が政府案として出されておるわけであります。現在四〇%と二五%の二本であります。アメリカはかつて七〇%と一四%の間、十五段階であったのが、現在二八%と一五%の二段階、こうなっております。地方税を入れますとアメリカの場合も約四〇%と約二五%、ほぼイギリスと同じ姿になろう、こう思うわけでありまして、今後の国際的基準はここに倣っていく、こう思うんです。カナダもそれに倣って今改正を考えておるようでありますが、日本の現在最高六〇、これは国税ですが、それに地方税を入れると七六という最高税率、これはいかにも国際的な観点からおかしいと思いますが、この辺について今後の大きな目での観点をお示しください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 第二次大戦終了後に幾つかのヨーロッパの国々におきましていわゆる社会主義政策がかなり広く行われまして、見方によりましては、今になりますとそれはやや行き過ぎて国民のいわば活力をそぐ結果になったのではないかという批判がありますことは御承知のとおりでございますが、今福田委員の言われました今後のイギリスにおける新しい所得税の提案、あるいはアメリカにおいてレーガン政権下に行われました税制改正は、ともにやはり、そういういわば幾つかの国における社会主義政策の行き過ぎと申しますか、どういうふうに表現いたしますか、そのような動きに対する反省の結果出てきたものではないかと思っておりまして、その点は我が国におきましても、基本的に市場経済を中心に考えている国として、物の考え方としてはやはり今おっしゃいましたような考え方に立って今後も進んでいくべきではないか。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 殊に我が国の場合には、所得税につきまして相当強い累進度が実現いたしました結果、中堅サラリーマン等々に非常な重税感が出てきたということもございます。勤労意欲をそぐというふうに至った。法人税にも同じことはあらうと思いますが、そういうこともございまして、やはりライフステージにおいてなるべくブラケットが少ないように、そういうような税制を考えていくべきではないかと思っております。
○福田幸弘君 かつて累進を誇った英国が衰退して、そして一本化に近いフラット化の方向で活性化に成功しておるということ、さらに、それが経済のみならず文化面まで反映していまして、最近映画でも非常にいいのが出ておるということでありまして、これはもう、ただ経済だけの話ではありません。文化の問題にまで影響する、国民の活性化の問題であります。 その次に、主要国と比べまして我が国の課税最低限、税金がかかり出すところ、これが非常に高いわけであります。しかも、かかり出す最初の最低税率は低いわけであります。これは非常に言いにくい点ではありますが、実際そうでございまして、こういう現状に照らしますと、累進税率を緩和することは金持ち優遇であるという批判は、これは当たらないと思うんですね。この辺の私の意見を申し上げたいと思うんです。 我が国の現状が国際的に非常におかしいということを前提にこれからの税負担の改正を考える、これが実際言いたいことでありますが、しかしこれはそのままにはいきません。しかし、実際はそうであるということであります。また金持ちといっても、働いておる人の勤労の対価の問題でありまして、能力のある人ほど収入が多いというのが自由社会であります。その辺を、累進税率の古い考えを今なお墨守しておるということは私は納得できないわけであります。 能力のある管理者層、それから技術者、これを大事にしないと社会は滅びるということであります。課税最低限を申し上げますと、日本は二百六十二万円、これは円高でもっと開いたと思うんですが、アメリカは百七十五万、イギリスは九十一万であります。下の方からいただいている。社会保障に充てるからであります。最低税率は日本が一〇・五、アメリカは一五で、イギリスは先ほどのように二五、西独は二二です。そういうふうに下の方から、しかも、かけ出す税率は比較的高いということを私は考えます。これは御答弁をいただきたいと思いますが。
○政府委員(瀧島義光君) 委員ただいま御指摘の点につきましては、六十一年十月に出されました税制調査会の抜本答申で取り上げられております。そこには所得税の最高税率が高過ぎる、また、それを前提にして累進が急であり過ぎる場合には勤労意欲あるいは事業意欲に悪い影響が出てくる。それからどうしても租税回避といいましょうか、脱税とか節税とかいろいろ言われている現象が出てくる。さらには海外へ経営資源あるいは人材が逃避するといった問題が出てくるというようなことから、社会の活力を維持するためにもう少し最高税率を下げ、累進度も緩やかにすることが必要であるということが書かれているわけでございます。 去る二十五日に税制調査会が世に問われました税制改革に関する素案、あそこにおきましては、昨年二月に国会に御提案し、結局廃案になりましたあの案に盛られていた税率構造をもとにいたしまして、若干手直ししたものが示されているわけでございます。それによれば、一〇%から始まり、最高五〇に至るということになっているわけでございますが、この案につきましても税制調査会の中では、その五〇%の適用される所得限度というものが千五百万円になっているのは低過ぎる、もう少しこれを高くすべきであるという意見が大勢の方から出されたということが素案自体に、注記と申しましょうか、文章の中に書かれているわけでございます。 これから素案につきまして、世の中でいろいろな御議論が行われるわけでございます。今、先生のような御指摘も含めまして今後各方面の御意見をちょうだいして、税制調査会で具体的な改正案というものを練っていかれることになると思います。
○福田幸弘君 しかし、このような累進緩和は、一方において資産性所得、これは資産から生ずる毎年の所得と、資産の譲渡によって生じます含み益の実現であるキャピタルゲインとがあるわけでありまして、これの課税をやはりやらないといけないわけです。株の譲渡益については原則課税とすべきであるということは既に議論されておりますが、その際、ロスの問題、これは基本的な考え方ですが、これをやはり配慮しなきゃいかぬということと、株の保有期間を考えなきゃいけない。長く持っている株と転々回転させておるものとは違うということ。これは簡便法にはなじまないでしょうが、基本的にそういう問題があるということを指摘します。 それから土地の場合、株と土地が問題ですが、土地の譲渡についてもやはり課税の税の理論を考える必要がある。土地政策だけで考えないで課税理論としてどういうふうに考えるか。 そこで、土地税制についてですが、土地供給の政策、そういう観点から従来議論が多いんですが、保有課税を強化して譲渡課税を軽減する、そうすれば土地が出てくるという議論が今までよくされますが、また租税理論だけで考えますと、その譲渡の方で資産の譲渡所得には短期の重課、長期には軽課という考え方があるわけです。というのは、一挙に何年間の含み益が実現しますから、税率をそこで掛けますので、毎年発生している所得とは違うという意味で長期所得はやはり軽課するというのが基本だと思うんです。その辺の譲渡所得についても、短期、長期の考え方は短期重課、長期軽課であると思いますが、一方、土地譲渡所得課税の強化、特に長期譲渡所得課税の適正化という意見があります。 そこで、土地税制についての基本的な考えを簡単にお願いします。
○政府委員(瀧島義光君) 土地をめぐる政策にはいろんなものがございまして、今御指摘の土地政策という観点からする御議論、これによりますと、土地の供給をふやす、仮需要を抑えるという観点から保有課税を強化する、あるいは譲渡所得税を軽課するというようなことが有効であろうという主張がなされるわけでございます。 一方、租税政策の観点、これは適正、公平な課税の実現という理念を求めるわけでございますが、この立場からいたしますと、保有課税、これは地方税で自治省の所管の問題でございますので深入りは避けさせていただきたいと思いますが、譲渡所得についての税金はやはり社会の開発利益の還元というようなことも含めて、そうやたらに軽くするわけにはいかない。ただ、課税の態様といたしまして短期と長期と分ける。で、長期の場合には長い間かかって潜在的に蓄積されてきた利益が一挙に実現するわけでございますから、御指摘のように、そこに何らかの調整措置が必要であるということになろうかと思います。現実には土地税制を考える場合に、税制上の配慮だけでなくて、そのときどきの土地政策の観点からする御要請にこたえるという意味でいろんな措置が講じられておりますが、基本的にはただ安くすればいいということではないと思っております。
○福田幸弘君 土地対策としての土地税制にはやはり限界があるということであろうと思うのです。やっぱり租税理論を基本にしてもらいたいということを申し上げます。 土地はやはり供給をふやすしかないということであります。容積率それから埋め立て、新島の建設、その辺、経済原則によってやはり集中するものは集中してきますから、それに土地の供給をやるということが基本であろうと思います。 それから、今の保有課税の問題ですが、固定資産税の強化というのは、土地税制というよりも地方自治体の本来の財源は固定資産税である。そこに住んでいる人が資産を持っている、それが負担をするというこの原則に返るべきだと思うので、土地税制ということを超えて地方財源の本来の固定資産税の位置づけをやる。そうしておいて地方でかける所得課税、これは軽減するという方向をとるべきだと思いますが、これは意見だけにとどめます。 次に相続税であります。所得税の補完税であります相続税は、生まれるときに裸で生まれるか資産を持って生まれるか、これは本当に一生を左右する問題でありますから、これは累進的に高くてやむを得ないと、当然であると私は思います。しかし、物価上昇等に伴う問題、それから生活にかかわる基礎的な部分があるというようなこと、これを考えますと、相続税の今後の見直しに当たりましては小規模宅地等の特例措置、現在二百平米につきまして減額割合が居住用三割、事業用四割になっていますが、これを一層拡大すべきではないか。できたらもう基礎的部分は課税から外すぐらいの問題意識があっていいと思いますが、簡単に御答弁ください。
○政府委員(瀧島義光君) 去る二十五日に出されました税制調査会の素案によりますと、ただいま御指摘の点につきましては、「現行の小規模宅地の課税の特例の減額割合の見直しを行う。」と書いてございます。どの程度の見直しを行うのかということにつきまして定量的な記述がないわけでございます。税制調査会の内部でいろんな御議論がございまして、今御指摘のような二百平米なら二百平米という物理的な課税最低限を設けたらどうかという御議論もございました。これに対しまして、仮に二百平米ということにいたしますと、一平米一千万円の土地を持っておられる方も一万円の土地を持っておられる方もある。としますと、物理的課税最低限というのはいかにもその間に大きな格差が生じ過ぎるということで、反対の御議論もあるわけでございます。 一般的な課税最低限の引き上げということが基本にあるわけでございますけれども、それによって対処し切れない異常な地価高騰、これにどう対処していくのか、今二百平米以下の土地についての課税の特例につきます両方のお考えがどのような形で今後収れんしていくのか。この素案をめぐる世の中の御議論、それを踏まえて行われる税制調査会の御審議に今後注目していきたいと思っております。
○福田幸弘君 次は法人税でありますが、これも国際的観点から法人税率の思い切った引き下げを行って経済の成長を促進させる、これをやりませんと構造転換ができません。それの安定的な成長の維持、それと雇用の長期的な確保、これが法人税の引き下げの効果でありますが、これをぜひやる必要がある。思い切ってやらなければ意味がないわけであります。アメリカは三四%、イギリスは三五になっています。近隣のNICSを見ますと、香港が一八%、台湾が二五%、シンガポールが三三であります。これに比較して考えるという考え方がないと法人税の改正は意味がなくなってきますので、周辺の国際的な環境を考慮することであります。 この水準でありますが、今のは基本税率で、地方税を入れますとアメリカは約四〇、イギリスが三五、そのままの三五であります。日本は五〇%を超えております。そういうアメリカ四〇、イギリス三五という、これを常に頭に置いてそれに向かうという国際的な整合性を要します。日本の重いのは地方税の重さがここにも影響しているということを指摘します。 時間がないのが非常に残念ですが、この法人税の税率だけでは比較はできません。実効税率というよりも、実質的な負担水準が国際的に見て高いか低いかの検討を、かつて経団連と主税局でしておられたようですが、あの種の作業を進められること。日本が向こうで仕事をやったらどうなるか、同じ仕事が日本に来たらどうなるか、この具体的な比較をやること。そうしないと外国に行くような問題が出てくる。また、その場合に関連しますのは、法人税の課税ベースが広いか狭いかが実質負担に影響するわけでありますから、減価償却方法、棚卸し方法、引当金の種類その他について国際的な比較をやはり具体的にやっていく、専門的にやるということが必要であります。 時間がありませんので、最後にもう一つだけ。 法人税の負担を考えます際に、法人段階でのその法人所得の課税と、それが配当されます株主の個人段階での所得税の課税。法人の場合の所得に、法人段階と受け取った個人の場合の株主の配当に対する課税、この二つがあるわけですから、この二重課税を調整しようと。もう法人段階で先取りしておるというふうにして、個人段階ではかけないという考え方がヨーロッパでは主流であります。アメリカはこの考えをとらないために独立説をとっています。そういうところを考えませんと本当の法人の負担はわからないわけで、世界的にはヨーロッパの二重課税調整の方向にあるということを考えて実質負担を見なきゃいけない。ドイツも税率は高いといってもそういう制度があるわけであります。 そこで最後でございますが、配当に関する法人税、所得税の調整に対する今のような考え方についての御意見、現行の支払い配当軽課制度及び法人間の受取配当益金不算入制度は不公正であるという論議がありますけれども、これは二重課税調整という基本的構造の問題、基本的仕組みの問題でありますから、不公正だというふうにこれは扱うべきでないということを指摘して、簡単に御答弁をお願いします。
○政府委員(瀧島義光君) 我が国では、今委員が御指摘になりました点につきましては、法人段階と個人段階と両方で少しずつ調整を行うという形で二重課税の排除を図るという基本的考え方をとっているわけでございます。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 つまり、配当を支払う法人の段階では配当軽課、これを受け取る株主の段階では、個人につきましては配当控除、法人の株主の場合には受取配当益金不算入、これらがその制度でございます。これにつきましては、税制調査会のお考えは、二つの段階で調整が行われるために制度が複雑になっているということで、どちらかに一本化すべきであるということでございます。 まず、配当軽課という法人段階、配当を支払う段階の措置につきましては、三十六年にこれがとられまして以来、この制度が意図いたしました自己資本比率の向上ということが効果をあらわしていない等々ということで、受取段階の措置に純化すべきであるということで、今回の素案におきましても配当軽課は廃止する。それから受取配当益金不算入制度につきましては、基本的に維持することとしつつも、親子関係にある会社以外の一般投資家として会社が株を買うという場合につきましては、全額益金不算入ではなくて二割程度は課税の対象にしていいだろうということで案ができております。ただし、これも諸外国の法人税が変わってくるにつれて日本の対応もおのずから将来変わっていくべきものであろうと思います。
○福田幸弘君 最後に納税環境の整備を申し上げますが、いろいろ考えまして、結局、現実で大きな脱税等が生じておるのはコンピューターの問題であります。 帳簿書類が適正に記帳、保存されていることがこれは基本になりますが、最近のコンピューター会計の発達で決算手続、会計帳簿等の実態が大きく変わっておるわけであります。したがって、税法、証取法等における決算手続、会計帳簿等の基本となる商法上の決算手続、会計帳簿の範囲、保存方法等に関して、明瞭性、真実性という本来の帳簿の趣旨が担保されるように、法務省が中心となって大蔵、通産等の関係各省間で関係法規の検討を積極的に行うべきであると考えます。 もう一つつけ加えますが、法人の数がいかにも多いわけで、二百万に近い。普通法人が百九十五万。外国では、西欧では三十万前後であります。アメリカが二百万を出るぐらいでありまして、日本は二百万に近い、普通法人で百九十五万、そして休業法人を除くと百七十万、欠損法人がその半分以上の九十二万で、これはいかにも常識を離れる数字であります。これが不公正の端的なあらわれですが、法人成りの結果であると思うんです。個人の税率が高いものですから、法人になって所得の分割をやり、経費を落とすわけですから。この辺の法人成りの結果ではありますが、商法上にもやはり基本的な問題があるのではないか。こんなに多くの法人を今まで認めてこられたことは、やはり今後再検討を要すると思いますが、法務省の意見をお願いします。
○説明員(大谷禎男君) お答え申し上げます。 まず、先生前段で御指摘のコンピューター会計の関係でございますが、商法上は会計帳簿の形式につきまして特段の制限を設けておりませんので、会計帳簿をコンピューターで作成し、処理することにつきましては商法上、特に問題は生じないのではないかと考えております。 先生御指摘になりましたように、最近のコンピューター会計の普及に伴いまして、会計帳簿の範囲、保存方法等につき商法の規定を整備することの必要性につきましては、関係省庁とも協議しながら今後とも検討を続けたいと考えております。 それから、後段の先生の御指摘でございますが、我が国に法人が極めて数多く存在するということは御指摘のとおりでございます。これは商法上、株式会社をつくる場合に最低資本金の定めがなかったというようないろんな法規制等の絡みがございますけれども、現在、法制審議会におきましては商法の全面改正ということで、大小会社の区分立法というものが進んでおります。この中で、会社という看板を掲げる以上は会社らしい実質を備えてもらわなければならないという観点から、適正な利害関係の調整ができるように会社制度の見直しもするということで検討を進めているところでございます。
○福田幸弘君 じゃ最後に、以上のように長期的な高齢化の観点、それからそれに絡む社会保障の……
○委員長(村上正邦君) ちょうど時間になっておりますので。
○福田幸弘君 じゃ、時間が非常に短いことは残念であるということを一言申し上げまして、質問を終わります。
○和田教美君 私はきょうは財政再建関連の質問をしようと思うんですけれども、その前に一つだけ、政府税調のたたき台、素案についての質問で大蔵大臣に伺います。 この素案については、どうもマスコミの批評は、全体像がわからない、目玉に欠けておるというふうな批判がかなり多いようですが、それはどういうことかというと、結局、減税額が全体としてどれくらいになるのか、あるいはまた新型間接税の導入による増税ですね、これがどのくらいになるのか、差し引きどういうバランスになるのだということがさっぱりつかめないということだと思うんです。ですから、地方のこれから公聴会をやっても、そういう問題について、出てくる人も戸惑いを感じるんではないかというふうに思うんです。 かといって、今大蔵大臣に一体減税額は幾らなんだ、増税額は幾らなんだと聞いても、これは答えないと思うし、そういうやぼなことは言いませんが、それを観点を変えて、今度の抜本改正というものは、大体出発点は増減税同額ということで出発をするのか、それとも減税の方が少し多くてもいいという考え方なのか。逆に将来に備えて増税、取れるときに取っておこうという考え方なのか。この間、小倉会長は参考人で出てこられたときに、大体増減税同額、つまり減税分をとりあえず大型間接税で埋める、こういう考え方だということを申しておられましたけれども、その点、大蔵大臣の大体の腹構えはどういうことでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のような財政状態で、特例公債すら発行いたしておりますから、やはり考え方としては大変に短期間にではなくても、やはり増減税がプラスマイナス合いますようなことでありませんと、財政の将来との関連もございまして問題があろう。すぐにあす、あさって両方がきちっと合わなければと申し上げておるわけではございませんけれども、基本的な考え方は、やはり増減税、いわば結果としてはニュートラルになるということでなければならないのではないかと思います。
○和田教美君 それでは財政再建問題の関連の質問をいたしますけれども、第一は歳出の先送り、ツケ回しという問題です。 十二日の予算委員会で私、総括質問に立ちましたときに、財政再建のための歳出削減措置として後年度への負担の繰り延べ、つまり地方財政や特別会計へのツケ回しですね、あるいは支出を先送りしている問題などを取り上げまして、主計局長はそのとき、五十七年度から六十三年度までの集計でその総額が十一兆三千五百億円だということを答弁されました。さらに、同じく歳出繰り延べの性格を持っています国債費の定率繰り入れの停止、これも累計で十二兆九千六百億円という話でございました。 そのときはそれだけの議論に終わっちゃって、一体これをどういうふうに返していくんだということについて明確な答弁をいただけなかったわけでございますけれども、そこで、まずお尋ねいたしますけれども、この国債費の定率繰り入れの停止、これをもとに戻すというか、国債整理基金にこれから借金分を返すというお考えなのか、いや、基金の方がまだ余裕があるからこれはもう棚上げだということなのか、それをまずお聞きしたいわけです。
○政府委員(斎藤次郎君) いわゆる定率繰り入れの停止というものにつきましては、実は毎年度財確法というものの審議で毎年度御承認をいただいて、定率繰り入れを停止しているわけでございます。 停止いたしますのは、定率繰り入れを行わなくても現行の六十年償還ルールによる償還にまず支障を生じないという、そういう整理基金の状況、それから定率繰り入れを行おうとしますと、その分の見合いの財源として特例公債に依存せざるを得ない、特例公債を別途発行せざるを得ないという財政状況、その両方を踏まえまして五十七年度以降、実は停止されて今日に至ったわけでございます。 したがいまして六十四年度以降につきましては、以上申し上げた二点を踏まえまして、毎年度予算編成の過程で決定をし、もし定率繰り入れをストップせざるを得ないという状況が続きますれば、また法律で毎年度国会の御審議をお願いするということで、毎年度そのときどきの状況を考えて決定していくというのが私どもの考え方でございます。
○和田教美君 それは、毎年度財確法で定率繰り入れの停止をやるというのはわかりますけれども、今までのつまり借金ですね、これはどうするんだということを聞いておるわけです。
○政府委員(斎藤次郎君) これまでの定率繰り入れの停止というのは、今申し上げたような事情で行っているわけでございますけれども、公債の償還には支障がなく今までやってまいっておりますので、将来繰り入れ停止部分を改めて国債整理基金にまた戻すという性格のものではないと私どもは考えているわけでございます。
○和田教美君 定率繰り入れの問題はそれでわかりました。要するに、もう入れる意思はないということですね。 それから、それ以外の十一兆三千五百億円の分、定率繰り入れ以外の繰り延べ、先送りというふうなものについては、具体的にどういうものをどうするというふうな計画がおありだと思いますが、それをひとつお答え願いたいと思うんです。
○政府委員(斎藤次郎君) これは和田委員にお示ししました総額十一兆余のものにつきましては、実はいろいろなものが中にございます。それぞれによって法律上いずれもお返しをしなければならないものでございますけれども、それについての年割り額等が明定されているもの、あるいは財政再建が成った以降、そのときどきの状況に応じて繰り戻していくという形になっているもの、さまざまなものがございます。 それについて個々に申し上げてまいりますと、まず厚生年金からの繰り入れ特例の場合でございますけれども、この分につきましては元本、それからそれに伴う利子、和田先生へのあれでは二兆七百三十億になっておりますけれども、これにつきましては、積立金の、それがありせば、あった運用収入を含めまして、その減額した分を将来返済するということにこれは法律上なっておりますけれども、その具体的な償還をどうするかというのは財政再建ができた後の問題ということで、具体的にはまだ決まっていないわけでございます。 それから、その次の住宅公庫の補給金の一部繰り延べでございますけれども、これは五十七年から五十九年分に繰り延べました分につきましては、元本は三年据え置き五年交付で返すとか、六十年から六十五年分は六年据え置き五年交付で返すとかいうことで、元本償還について法律上明定されております。それから利子は各年度ごとにこれは借り入れによって泳いでおりますので、その分は利子は毎年度予算で措置をいたしておるわけでございます。したがいまして住宅公庫の利子補給の繰り延べにつきましては、すべて法律上償還計画が明定されているわけでございます。 それから、国民年金の平準化措置でございます。これも総額で一兆二千七百二十七億という相当な額になっておりますけれども、これは元本は六十五年から七十二年で償還するということで、これもすべて繰入額がいわば明定されております。この国民年金の平準化は、当面財政支出がそのままほうっておきますとふえますけれども、将来は減っていくというようなことを考えまして、いわば平準化という観点から定めたものでございますので、これにつきましては償還が法律上明定されていると。 それから、その次にあります自賠責からの繰り入れでございますが、これは先般の六十二年度補正予算ですべて償還が終わることになっております。 それから、政管健保の繰り入れ特例でございますが、これは総額四千二百三十九億となっておりますが、これは政管健保の性格が先生御承知のようにいわば短期保険の性格でございまして、毎年度のいわば必要な医療費支払いを毎年度の保険料で賄うという性格になっておりますので、現在こういう繰り入れを御猶予願っておりますのは、毎年度の医療費の償還が政管健保については支障なく行われるということでなっておりますので、この分につきましては後日、政管健保の毎年の収支状況を勘案しまして繰り戻しその他適切な措置で対処をするということでございます。 それから、その次に載っております道路特会の借入金でございますが、これにつきましても先般の補正予算等の措置によってこの借入金につきましては完済をするということになっております。 以上でございます。
○和田教美君 その道路特会の問題ですけれども、運用部から借り入れた合計七千六百九十七億円ですか、六十三年度に全額返済したということにこの資料はなっているわけですけれども、実態はこの借金を一般会計に移しかえたというだけではないんですか。そうすると実質的にはいずれ一般会計から運用部に返さなきゃいかぬ、やっぱりこれは借金じゃないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(斎藤次郎君) この道路特会の借入金につきましては、御指摘のように実は一般会計の債務に振りかえをいたしまして、これをいわば国債整理基金特会の国債費の方に移しかえたわけでございますが、これにつきましては今般の補正で国債整理基金特会に剰余金繰り入れをいたしましたので、その財源の一部を充てて返済をする計画になっておるわけでございます。
○和田教美君 この間、志苫委員からもこの問題、質問が出ておりまして、実際には大蔵省の言っている十一兆円何がしというよりもさらに多いんじゃないかという、志苫さんの話では大体二十兆ぐらいあるというようなことでございましたけれども、その点はどうなんですか。これ以外に、発表したもの以外にツケ回し、先送りはあるんですか。
○政府委員(斎藤次郎君) これは志苫委員の申されましたのは、実は地方財政対策でいろいろな特例措置を講じておりまして、それにつきまして実は将来にわたって毎年度返済債務が生ずることになっておりまして、志苫先生に申し上げた数字は、お示しした六十三年度までではなくて、六十四年度以降に今後発生していく可能性のあるいわば債務というものを集計しましたわけでございますが、和田先生にお示ししましたのは実は六十三年度までの累計でございまして、将来発生する見込みのものを加えますと約二兆五千億ぐらいのものが地方財政としてあり得るということを申し上げたわけでございます。
○和田教美君 要するに、私がこの問題やかましく言うのは、財政再建で六十五年度赤字国債ゼロという目標が仮に達成できても、やっぱりそれで財政は再建されたというふうには余り胸を張れるような状態ではないんじゃないかということですね。それを強調したかったわけです。つまり、見せかけの財政再建であると。それで、そうなると結局、いやもっと締めなきゃいかぬという発想になりがちですけれども、それでは困るんだと。むしろ財政再建目標が場合によっては二、三年おくれてもこれはやむを得ない、やっぱりやるべきことはやっていく、こういうことでなきゃいかぬということを強調したかったからでございます。 そこで、財政再建問題についてお尋ねをいたしますけれども、大蔵大臣はこの間、大蔵委員会だったかな、予算委員会だったか、ちょっと忘れましたけれども、六十二年度の、さっきも出ました自然増収ですね、これが今言われている三兆七千億ですか、それよりもさらに上回るのではないか、四兆円を上回るのではないかというふうな質問が出ましたときに、もし仮にそういうふうに自然増収がさらに多くなれば、これは国債の減額にまず充てるんだ、こういうことを言われました。それは具体的には、もう少し細かく言うとどういうことなのか。つまり、今何か国債の発行の一部を保留しておりますね、そして整理期間のぎりぎりのところまで持っていって、もし自然増収が出るということになるとその分だけ国債の発行をやめちゃう、そして自然増収を減らせる、こういうことを考えておられるのかどうかということと、それでも自然増収が出た場合には、さらにその剰余金を二分の一は国債償還財源に入れなきゃいかぬですね。それを厳格にやると。つまり、税金をまけるというか減税財源なんかには全然使わないというお考えなのかどうか、その点を明確にしていただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) けさほどもこの委員会で申し上げたところでございますが、昨年度を見ておりますと、本当に五月の末になりまして法人税を合わせまして五兆何千億という収入がほとんど一日であったというようなことでございますから、本当にその年度内にどういう収入があるか最後まで見ておりませんとわからないというのが実際のところでございます。 そこで、そういう状況でございますので、特例公債を仮に予定どおり出してしまいまして、後で自然増収がたっぷりあったということになれば、支払うべきでない利子を支払うということになるわけでございますから、私としてはそういう過ちを犯してはならないということを申し上げておったわけでございます。すなわち、自然増収が仮に十分ございまして、そして収支償うのであれば、発行を予定しております特例公債の発行を取りやめる、それは五月の末まで税収を見ておりまして決定をしなきゃならぬことだということを申し上げました。 さて、その第二段のお尋ねは、それでもなお、それを超えて、つまり、もう発行予定の特例公債を全く今後発行しなくてもなお自然増収がプラスになったときはといえば、これはもう法律に従いまして将来自然増収分の処理を決めなければならないと思います。
○和田教美君 僕は、自然増収というのは、ある面で税の取り過ぎだという面があるんじゃないかと思うんです、所得税の累進構造などから見て。そうすると、これはやっぱり国民に返すということをまず第一に考えるべきではないか。国債償還も国債の減額もいいですけれども、そういう点を全く配慮せずにいいのかどうかという点ですがね、これは哲学の違いかもしれませんけれども、大蔵大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変大きな見地からはそういうお話が出るかもしれませんが、取り過ぎであったらどなたに返すのかということは、実は大変に累進等々いろんなことで面倒なことじゃないかと思います。
○和田教美君 次に、中期展望について一、二お尋ねいたします。 中期展望には、六十四年度、六十五年度と定率繰り入れをやるという建前になっておりますね。ところが今の話ですと、定率繰り入れを復活するなんということはそれだけ赤字国債を多く出さなきゃいかぬからとても無理だというふうにとれるような答弁が主計局からございましたけれども、そうすると中期目標に書いてある、定率繰り入れをやるという建前で組んでいる中期目標というのは全くのペーパープランではないかというふうに言えるわけですね。もう二年か三年で財政再建、要するに赤字国債ゼロの目標が達成できるという時期が近づいているというのであれば、もう少し現実性のある計画をおつくりになるべきではないか、こういうふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 「財政の中期展望」の性格は、いわば国の現行の制度、施策を前提にしまして、それをそのまま後年度に投影すると財政の負担がどうなるかという性格を持ったものでございます。したがいまして、定率繰り入れは毎年度財確法の審議をお願いして、毎年度その分を停止させていただいておりますので、六十四年度以降は現行の制度はあくまでも定率繰り入れを行うということででき上がっておりますので、現行制度をそのまま後年度に投影するという性格から、中期展望では定率繰り入れを復活するといいますか、法律どおりに行うという推計を行っているわけでございます。 そのために、実は財政の中期の展望の手がかりを示すということで仮定計算例というのをお出ししておりますが、その中ではA、Bケースを分けまして、Aケースでは定率繰り入れを復活するというか、現行法制どおりやる。ケースBでは定率繰り入れをストップするというのを実は今後の財政の中期的運営の手がかりとしてお示しをしているということになっているわけでございます。
○和田教美君 いや、私が聞いているのは、仮定計算例A、Bというのがあるのを知っておりますけれども、そういうふうに中期展望があり、仮定計算例A、Bというのがあって、いろんなケース、こうなればこうなりますというふうなことの説明だけでは、私は非常に大蔵省としてはこれは不十分ではないか。もっと、この方向に行くんだと。その計画はある程度もちろん狂うこともあるでしょうけれども、大蔵省の責任においてこっちの方に持っていくんだというふうな計画をそろそろもうつくらなきゃいかぬのじゃないか。財政再建目標達成があと二年後だというんですからね。その点はどうなんだということを聞いておるわけです。今のようなやり方でいいのかどうか、大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは現実に特例公債はもう六十五年度には脱却していこうということを考えておりますので、そこらのところからどういうふうに先を展望していくか、建設国債のこともございますし、それはひとつ考えなければならない時期が迫っておると思います。 ただ、御承知のように、この中期展望等々に関する一連の試算というものは長年予算委員会に御提出するということがもういわばしきたりになっておりまして、このような一種の仮定計算、機械的な計算でことしも御提出をいたしたわけでございます。こんなものは意味がないともちろん私ども考えてはおらないのでございますけれども、先ほども申しましたように、例えば定率繰り入れなどは、今の制度でございますれば、これは法律を出さなければやるということが前提になるものでございますから、そういったような一種の機械的な計算になっておりまして、今後、現実にと申しますか、これからの何年間かのもう少し機械的でない財政展望というものはやはり私ども内部で検討を始めなきゃならない問題だろうと思います。
○和田教美君 中期展望は、仮に六十四年、六十五年と赤字国債の発行を一兆五千数百億円減額しても、これで六十五年度赤字国債ゼロという目標は達成できるんだけれども、しかし六十五年度、六十六年度と要調整額が、つまり歳出歳入の差額ですが、それぞれ五兆円以上出るという計算になっておりますね。それで仮定計算例によると、つまり定率繰り入れを停止して、そして一般歳出の伸びをゼロにしてようやく六十四、五年度若干黒字が出る、こういうことになっております。 六十五年度赤字国債ゼロを達成するには、六十四、五年度の一般歳出の伸びを六十三年度予算案の一・二%増よりもぐっと低い平均の〇・七%以下、まあほとんどゼロに近い水準で抑えてやっとゼロになる、こういう話だというふうに大蔵省から聞いたわけでございますが、しかし一般歳出の中には防衛費だとかODAだとかそういう特別扱いのもので毎年五、六%大幅な伸びをせざるを得ない、するものがあるわけですね。そうすると、それを引くとその他の経費はゼロ以下に抑えられる、こういうことにならざるを得ないわけでございますね。そうすると、そういうふうな厳しい歳出カットをこれから二年、三年と続けるということになると、結局そのしわ寄せは、福祉とか社会保障とか文教とか雇用だとか中小企業だとか、そういうところにしわ寄せをされるということは火を見るよりも明らかだと私は思うので、財政のいわゆる二極分化というものは一層進むんではないか、こういうふうに思うんです。 私は、赤字国債依存体質からの脱却という目標の達成は早ければ早い方がいいと思っております。しかし、余りそればかりに偏って、六十三年度予算案のもう一つの柱である内需拡大による経済の成長というところがだめになってしまうということでは困ると思うわけでして、ましてそういう今言ったような費目にしわが寄る、こういうことでは困るというふうに思うわけです。 ですから、例えば公共事業一つをとっても、NTTの株の売却益があるからまあいいやというんだけれども、一般会計の公共事業費は全然ふえていませんね。そういうふうなことで、もっとこれから生活関連の社会資本の投資だとか、あるいは居住環境の充実というふうなものにうんと金をかけなければいけないことだと私は思うので、そういう面に財源を回すために六十五年度財政再建目標というのが仮に数年おくれてもやむを得ないと私は考えるわけですが、その点について大蔵省は基本的にどういうお考えでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ここまで来ましたら六十五年度に特例公債依存の体質を脱却したいと真剣に考えているわけでございますが、しかし和田委員の言われますように、何が何でも、それはもう世界の大勢にも日本経済にも関係なくそれをやらなきゃならぬという、まあ、政策というものは元来そういうものではないと思います。おのずからそこにはやはり軽重、優先度というものがございますから、そうまでは申し上げておるわけではございません。 ただ、申し上げられますことは、経常経費につきましてはやはりかなり厳しい制約をかけていかなければならないという事情には変わりがないということ。それから経済の運営よろしきを得ますれば多少税収に伸びが出るかもしれない。弾性値一・一を見ておるわけでございますから、そういうことがあるかもしれない、これは経済運営いかんだと思いますが。もう一つは、NTTを今年は一兆三千億社会資本整備勘定に入れておりますが、これは多少余裕のある実は金額でございますから、何かのことでこちらの方をふやす必要が総合的に考えてあれば、ここは多少の余裕はある。そういう幾つかのクッションは考えておるつもりでございます。
○和田教美君 最後の質問ですけれども、そういうことでやはり財政再建計画というものは、今政府が出してこられておるものを見ると非常に不確かな要素が非常に多いというふうに思うんですけれども、そういうものも全部含めて、大蔵大臣、この財政再建目標の達成ということについては、この間は現実的な課題になっているというふうなお答えがございましたけれども、かなりできると。さっきの自然増収の話もございましたけれども、自然増収はこれからまだ二年ぐらいは大丈夫だと。もう二年かなり高い自然増収になっているわけですが、四年続いて自然増収が二兆円、三兆円というふうなものになっていくというふうなことに自信を持てるというふうにお考えなのかどうか、それを最後に伺って私の質問を終わります。
○国務大臣(宮澤喜一君) そう申し上げたつもりではなかったんでございますが、この中期展望の税収は名目成長率を四・八としまして弾性値を一・一でございますから、あるいは経済の運営よろしきを得れば名目成長率はもう少しいくことはあるかもしれない、実質でございません、名目でございますから。一・一もあるいは〇・一ポイントぐらいは上へいったり下へいったりいたしますから、そういうことなきにはあらずという程度にしか考えておりません。
○和田教美君 終わります。
○多田省吾君 私は当面する財政問題等に、なるべく重複を避けながら質問をしたいと思います。 まず初めに、大蔵大臣にお尋ねしたいんですが、公共事業の六十三年度発注の見通しをお伺いしたいわけでございます。昭和五十年代後半からずっと発注の前倒しが行われてまいりました。本年度はどうなさるのか。日銀等では景気過熱を懸念する声がありますけれども、逆に構造不況地域では公共事業の発注を、またその実施を繰り上げるべきだと、こういう強い声もございます。大蔵大臣はどのようなお考えでなさろうとしておりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、本院で予算の成立をさせていただいた後でございませんと、政府がその執行についてあれこれ申し上げるのは不謹慎と考えておりますものですから、予算成立後に各省庁と相談をいたしてみたいと考えております。したがいまして、ただいまこれということを申し上げる段階にございません。
○多田省吾君 今はっきりしたことは申し上げられないとおっしゃいますけれども、こういう日銀のいわゆる景気過熱の懸念の声、あるいは地方における不況地域のいわゆる実施繰り上げの要求の点、この二つが相交錯してあるということは御認識なさっておりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 幾つかのことを仰せられたわけですが、公共事業をいわば各地方の好況不況によりまして傾斜配分、傾斜施行をするということは、これはもともと政府の政策にございますので、そういたしたいと思いますし、また、いずれの場合にも積雪寒冷地につきましては早期の執行をいたしたいと考えております。
○多田省吾君 次にお伺いしたいのは、現在政府で進めておられる省庁移転についてでございます。 私は、大蔵大臣に二点お伺いしたいと思います。 その一点は、さきに閣議に報告されましたけれども、大蔵省とされましても移転第一弾というものが決まったわけでございますが、またこの七月末までに第二次分の移転先を決めようという計画がございます。政府全体で新たな対象を検討、決定するということでございますが、大蔵省はどうお考えになっておられるのか。 それから第二点は、移転をいたしますと、当然東京のその跡地をどう利用するかという問題が生じます。私も東京の各自治体の様子を聞きますと、どうしても自治体に機械的に移していただきたい、利用さしていただきたい、このように強い希望がございます。ところが、この跡地は国有地でありますから大蔵省の一応所管となると思います。これは政府全体で決める問題ではありましょうけれども、大蔵大臣とされまして、やはり跡地を引き継ぐ省といたしまして、私は国が使うとなりますと移転そのものの実効力が薄くなると思います。また、一般に開放するわけにもなかなかいかないと思いますので、基本的に私は自治体が公共の目的を持ったものに利用すべきではないか、それが最も望ましいものではないかと考えておりますが、御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は、推進のために閣僚会議ができておりまして、ただいままでのところ、ただいま多田委員の言われましたように、明年度の予算の概算要求の前に、実はかねて移転の該当ケースであるという四つの範疇を設けてございますのですが、それに当たるものはひとつ各省庁が率先して移転を考えるべきである、こういう閣僚会議の決定がございます。したがいまして、大蔵省といたしましてもその点はこの閣僚会議の決定の趣旨に沿いまして、できるものはなるべく移転の候補者として選考いたしたいと考えておるところでございます。 次のお尋ねでございますが、ただし、その移転をいたしますについて幾つかの問題があるわけでございまして、その一つは移転のための財源でございます。その二は跡地の利用でございます。その三は移転先だと思います。その四は移転の条件の整備、つまり、たくさんの人がこれに関係をされるわけでございますから、通勤であるとか住宅であるとか教育であるとか、いろんな問題がございますので、そういうことの整備をいたさなければなりません。今四つを申し上げましたが、それらの条件をこれから考えながら移転の候補地を探していく、ただいまそういう段階でございます。
○多田省吾君 今大臣のお考えをお聞きいたしました。確かに四つの重要な問題があろうかと思います。その一つに移転後の跡地利用問題はどうするか、こういう問題もその四つのうちの一つだと思います。 私は、先ほど申し上げましたように、その跡地利用につきましては自治体が公共の目的のために使うようにするのが一番妥当ではないか、このように考えておりますが、その点についてひとつ大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これだけのことをいたしますのですから、跡地が国民経済的に有効に利用されなければならないことはもとよりだと思います。まだ具体的にどうということを決めておりませんが、それはおっしゃるとおりだと思います。 なお、この移転そのものにかなりの実は財源を必要とするわけでございますから、財政再建の見地から申しまして、跡地がやはり一部は移転費用を賄うことに利用されてしかるべきであろうと私どもは考えております。それも必要であるというふうに考えております。
○多田省吾君 その場合に、港区における林野庁の跡地売買のような姿にならないように、東京の土地暴騰にまた輪をかけることのないように、しかもまた、財源もある程度必要かとは存じますけれども、やはり自治体の公共目的のために使われるような、そういう方向でいかれるよう特にこの際要望しておきたい、このように思います。 次に、今月の十日に総務庁から六十二年度家計調査報告が出されたわけです。大臣も既にその内容は十分御承知だと思いますが、特徴的なものといたしまして、勤労者世帯と一般世帯の消費支出の伸びに大きな開きが見られたことであります。特に高所得層で活発な消費が見られたことが述べられております。勤労者世帯と一般世帯の消費支出の伸びの開きは何と四倍を超えるものでございます。また所得階層間の格差は、第五階級あるいは第一階級、この格差率というものを比べますと、昭和六十一年度よりさらに六十二年度の方が拡大したことでもその格差の拡大傾向がはっきりしていると思うのでございます。ですから私は、その上に逆進性の強い大型間接税を導入すれば、その結果はさらに所得の低い層により以上の影響を与える、このように考えます。 ある政府税調の委員の方が、逆進性とは言うけれども、食料一つ考えても、所得の低い方はラーメンを食い、所得の高い方が豪華な料理を食べれば逆進性はなくなるんだというような意味のことをテレビでおっしゃっておりましたけれども、私はこういう考えはもってのほかだと、このように思うのでございます。 それはそれといたしまして、大臣はこの家計調査報告からどのように財政、税制における政策の方向を考えられますのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 石油危機がございまして我が国の企業も雇用も非常に影響を受けたわけでございますが、その後にまたプラザ合意以降の円高が進行しましたために余計そのようになりまして、私はこの何年間かはやはり勤労者にとってはなかなか難儀の年であったのではないかと考えております。それは雇用状況から見まして言えることでございますし、労働側も賃上げよりは雇用の確保ということに本当に一生懸命にならざるを得なかった状況であったと思っておりますものですから、今多田委員の言われましたように、勤労世帯とその他の世帯との家計の開きが出てきたということは、恐らくそうでもあろうなという感じがいたしておるわけでございますが、ただ、それはここへ来まして経済の運営がかなり順調になってまいりましたので、そういう状況はまたぼつぼつ変わってくるんではないだろうかなと思っております。
○多田省吾君 せっかくの大臣の御答弁でございますけれども、やはり勤労者の、また勤労者世帯の可処分所得というものが今ぐんぐんと低下しておりまして、ある場合においてはマイナスになっているわけでございます。そして、どんな調査を最近いたしましても高所得層の消費はぐんぐん伸びているけれども、勤労者世帯の消費というものはどうしても沈滞しがちであるという傾向があらわれております。大臣はこれからの景気回復、あるいはこれからの春闘における賃金の引き上げですか、こういったものをおっしゃっているんじゃないかと思いますけれども、それはまだまだ努力が必要でございまして、なかなか簡単にはいかないようでございます。 そういう意味で、私は、このせっかくの総務庁の家計調査報告が出されていることでございますから、それを参考にされて、やはりこの際は勤労者世帯の可処分所得をふやしていく傾向、そしてまた、その消費が立派に伸びていくような姿にならなければならないと思いますし、また、逆進性の強い大型間接税というものはこの際、白紙撤回すべきである、このように強く要望するものでございます。 それから、もう一つお尋ねしたいのは、今度は経企庁の調査でございますが、我が国の労働分配率が七〇%を切りまして、先進五カ国、英、米、仏、西独、日本ですか、その中で日本は最低であるという姿が出ておりますし、これは長期にわたって最低の姿を取り続けているわけでございます。国民一人当たりのGNPが為替の問題で世界一になったとか、あるいはスイスを追い越したのではないかとか言われておりますけれども、やはりそういう姿を見ますと、労働分配率の七〇%を切る姿というものを見ますと、国民一人一人の豊かさからはほど遠いものと言わざるを得ません。私は、政府が予算編成に当たりましても、この労働分配率を高める努力をしなければならない、このように思いますけれども、どういう努力を払われたのか、また、国民一人一人の方々を豊かにする政策の方向をどのようにとろうとしておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、ただいまの問題は、その問題を担当しております省庁の政府委員がだれもおりませんので、政府として有権的にお答えがいたしにくいのでございますけれども、労働の分配率と申しましても、我が国とよその国とを単純に比較するわけにまいりませんので、我が国の場合が低く、よその国の場合が高いとは必ずしも言えないのではないかと存じておりますが、なお恐縮でございますが、ちょうど政府委員がおりませんので御答弁を他の日に譲らしていただきたいと思います。
○委員長(村上正邦君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(村上正邦君) 速記を起こして。
○多田省吾君 財政再建の問題でございますが、先ほど和田委員からも質問がございました。これは大事な問題でございますので、私も若干質問さしていただきたいと思います。 先般、「財政の中期展望」と仮定計算、それから国債整理基金の資金繰りについての仮定計算を示されたわけでございます。 まず、定率繰り入れを六十五年度まで停止して、かつ一般歳出の伸びをゼロとした場合、すなわち仮定計算で示された六つの例のうち、最も厳しい条件で赤字国債依存体質から脱却して、一般会計にしかも若干の黒字も出るというものでございます。他の五つの計算例では、そのために多額の要調整額を計上されております。先ほど和田委員も尋ねられましたけれども、この一般歳出の伸びを六十四年度、六十五年度の二年間ゼロにとめることが可能と考えておられるかどうかをまずお尋ねしたい。
○政府委員(斎藤次郎君) これは仮定計算例のいわばケースの一つとしてお示ししたわけでございまして、私どもは今後も経常経費を中心にしまして歳出削減の努力を精いっぱいしなきゃいけないというぐあいに考えておりますけれども、まだ概算要求も出ておらない段階でございますので、六十四年度以降につきましてゼロにできるというような確信をもとより持っていないわけでございます。
○多田省吾君 私は、五十七年度以降厳しい概算要求基準を決めてこられましたけれども、これ以上の凍結は恐らくもう不可能ではないか、このように思うわけでございますが、どうですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 実は一般歳出につきましては、御承知のように、多年にわたり概算要求段階から私ども懸命に努力をいたしまして、ずっとゼロ%、マイナスということできたわけでございます。六十三年度におきましては一般歳出一・二%という伸びになっておりますけれども、今後とも今までのような努力は継続していかなきゃならぬというぐあいに考えておるわけでございます。
○多田省吾君 それから、大蔵大臣も先ほどおっしゃっておられましたけれども、中期展望では租税の弾性値を、地方交付税については一・二、税収について一・一と置きまして、名目成長率を四・八%で計算しております。総体といたしまして税収の伸びを五・五%とされておりますが、御存じのように、この弾性値というものは過去十年間の平均をとった係数でございまして、昭和六十一年度以降大幅な税の自然増収が見込まれるもとにございましては低過ぎる、このように思うのでございます。とりわけ六十一年度の一般会計分の税収の弾性値は二・一になっております。今後も当分の間、内需主導型の景気上昇基調が見込まれるという姿から見ますと、私は税収の伸びは八%から一〇%程度を期待しても可能ではないか、こう思います。それを低く抑え過ぎているのはどうも意図的なものがあるんではないかとも考えられますけれども、これはどのように思っていらっしゃるんですか。
○政府委員(瀧島義光君) 税収の弾性値は過去の係数を見る限り、大変振れるものでございます。ただ、長期的に見ますと税収は経済のいわば子供でございますから、経済の伸び率と余りかけ離れた数値を長期間にわたって示すことはあり得ないと思います。最近、今委員御指摘のような二・一というような高い数字が出ておりますが、これはまさにその数値が示しますように経済の実態的な生産活動等とは関係のない原因による税収増、土地とか株とかそういったものの値上がり、これが税収に反映しているというようなことで、かなり特異な一時的な現象を反映したものと考えております。 したがいまして、将来の税収を見積もる作業は大変難しゅうございますが、従来も中期的な見通しを立てるときには、他に手段がないということもありまして、長期的に見た税の弾性値、これをもとにいたして計算をしているわけでございます。決して税収を低く抑えるという意図からそのような方法をとっているわけではございません。
○多田省吾君 これは私は考え方の問題であると思うのでございますが、先ほど大臣も、このような一・二あるいは一・一という弾性値を上回るかもしれない、その場合には、というような仮定ではございますがお話をなさっているわけでございます。これは水かけ論になりますから余り時間をとりたくありませんけれども、私はどうも意図的なものがあるんではないか、このように思われてならないわけでございます。 ところで、国債整理基金の資金繰り状況の仮定計算では、NTTの株式売却益が予定できるために最長で六十七年度までは定率繰り入れを停止できる、このようになっておりますけれども、六十八年度からは再度定率繰り入れを行わなければならない姿になると思います。その規模は二兆九千八百億円にもなります。たとえ六十五年度赤字国債発行ゼロとなりましても、六十八年度には再びこの赤字国債の発行を行わなければならないという姿になると思いますが、これはいかがですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 御指摘のように、仮定計算では六十七年度までNTT株の売却収入等の活用で定率繰り入れをあるいは停止できるかもしれない。しかし、六十八年度からは復活せざるを得ないという姿が描かれております。 いずれにせよ、私どもとしましては、六十五年度までにまず特例公債発行ゼロという姿に何とかこぎつけて、それ以降はその年々の歳出歳入動向ということで、少なくとも六十五年度までに毎年特例公債を一兆数千億ずつ減らしていくという圧力はなくなるわけでございますから、そこら辺はそういう事情も勘案いたしまして、六十八年度以降あるいは定率繰り入れを復活するというような事態が参りましても遺漏なきように財政運営に努めていかなきゃならぬ、そういうぐあいに考えているわけでございます。
○多田省吾君 最後に、私は税制の問題でお尋ねしたいと思います。 一つは、来年度の税制関連法案には相続税それから酒税についての改正が含まれていないわけでございます。私は、これこそ緊急事項であると思います。酒税の改正は、国内はもとより国際間の経済摩擦の上からも必要でありますし、また、相続税の見直しは緊急土地対策の上からも必要でございます。当然これを今日、この予算関連に含まれなかったということは、国内からも国外からもこの見直しの声は大きくなると思うのでございます。所得税も含めて、私は早急にこの相続税や酒税の改正案を出すべきである、このように思います。 これは与野党の今の検討事項ではありますけれども、また今度の政府税調の素案を見ましても、どうもキャピタルゲイン課税等のようなそういう不公平税制を是正するような内容につきましては審議が遅いんじゃないか、キャピタルゲイン課税、これは今までの原則非課税から原則課税とする、これは一歩前進だとは思います。また有取税もあわせて考えて、少しは少なくしようというような、そういうことまでは言っておられますけれども、しかし、キャピタルゲイン課税を総合課税にするのか、あるいは分離課税にするのか、あるいは選択課税にするのか、そういった内容もまだ大変不明確でありますし、また審議がどんどん進んでいるとは思いません。そういう意味で、私はこういった問題は早急に決定して、そしてこういう問題こそ早急に国会に改正案を提出すべきである、このように思うのでございます。 で、私は懸念するのでございますけれども、昨年のようにマル優廃止と減税を抱き込んで一つの法案にするというようなやり方は絶対にやってはならない、このように思うのでございます。私は、このように相続税や酒税あるいは所得税、あるいはキャピタルゲイン課税、こういった問題をおくらせて、そして大型間接税というようなものを一緒に抱き込んでまた一つの法案にしてくる、こういう魂胆があるように見えてなりませんけれども、そういうことを絶対しないとお約束をしていただきたいし、また相続税、酒税等の緊急事項についてはどのようにお考えなのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 酒税も相続税も、いわば一つの大きな、税としてはメジャーのアイテムでございますので、このたびのように抜本改正をいたすとなりますと、これはやはり抜本改正の一環として所得、消費、資産のバランスの中で考えさせていただきたいというのが政府がただいま検討中の項目に置いておるゆえんでございます。 ただ、御指摘のように酒税については、以前から国際的に我が国の酒税のあり方についての批判があり、ガットでも一つの意見を出されたわけでございますから、そうは申しましても我が国がその状況でどういうふうに対処するかは、あらかじめ公にしておく必要があると考えまして、先般閣議において要綱を決定いたしまして、対外的な批判に正式にこたえる決定をいたしておるわけでございます。ただいまのところ、それをもって一応関係国も納得をしておられるように存じます。 それから相続税につきましては、主として土地価格の上昇をめぐりましていろいろ問題が起きておるということでございますが、先々相続税の抜本改正の御審議を願います際には、そのような状況を踏まえまして何かの形で適用を遡及させていただくようなことをお願いできないものだろうか、そういうようなことは検討いたしております。
○塩出啓典君 それでは最初に、先般の政府税調の素案につきまして二、三お尋ねをしたいと思います。 一つは、今回の素案には間接税につきましては全部多段階の案が出ております。取引高税、それと一般消費税の類似のやつが二つ、そういうことで、いわゆる庫出税あるいは小売税、そういうようなものが全然ないわけでありますが、私はやはり公平、公正、簡素、選択、活力、こういうような点からいっても、これはまさに簡素でないやり方じゃないか。また、今日まで前総理の予算委員会の統一見解、そういう点からも全部違反をしているものを出している。そういう意味で、すべてが多段階であるという、こういう点について大蔵大臣としてはどのようにお考えか、御意見を承っておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 税制調査会がこれから国民の世論を聞くために、いわばたたき台というようなことでこの素案を出しておられる段階でございますので、私からそれにつきまして所見を申し上げることは避けるべきであると思っておりますが、ただ、今の塩出委員の御指摘につきましては、素案の中にこのような指摘がございます。「財貨のみならずサービスをも含め消費支出に広く薄い負担を求めるという基本的な視点を踏まえ、更に、納税のための事務負担が小売段階などの特定の分野に偏ることのないよう配慮すると、」、そうしますと「個別間接税及び単段階課税についてはいずれも素案として採り上げることは問題があるとの意見が大勢を占めた。」、こう書いてございまして、調査会の中でもいろいろ御議論があって、その末にこのような結論に達せられたというふうにこの素案には述べられております。
○塩出啓典君 前回、昨年の売上税のときの政府税調に対しては、時の総理大臣から総選挙のときの公約とかあるいは予算委員会における統一見解、そういうものを踏まえてそれに違反しない案を出してくれ、こういうことをいつもいろんな答弁で言っておったわけでありますが、今回はこの政府税調に諮問するに当たっては、大蔵大臣としてそういう注文はつけてあるのかつけてないのか、この点はどうでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今回の諮問は、昨年の十一月のこの中では、「税制の抜本的見直しについての答申」、これは前回の答申でございますが、「に示された考え方及びその後現在に至るまでの諸情勢の進展を踏まえ、」というふうに述べておりまして、これは、実は前回諮問を受けて政府提案をいたしましたが、それが廃案になりました、あのようないろいろな経緯、それを踏まえて望ましい税制のあり方について審議をお願いする、こう言っておりまして、そういう状況を踏まえまして諮問をいたしたのでございます。
○塩出啓典君 それから今回キャピタルゲイン課税を原則課税と、そのようにしたことは一歩前進と評価をするわけでありますが、しかしこの具体的な方法は全然明示をされていないわけですが、これは今後どこで詰めていくのか、この点をお伺いします。
○政府委員(瀧島義光君) 去る二十五日の素案におきましては、ただいま委員御指摘のとおり、有価証券譲渡益に対する課税につきましては具体的な案が示されておりません。ただ、決意といたしまして、「現行の原則非課税制度を改め、経済・社会に与える影響、適正な執行の確保等に配意しつつ、適正な税負担を求める」ということが書かれておりまして、検討の際に考慮すべき要因がここに書かれているわけでございます。 それからもう一つ、それに関連しまして、「具体的な課税方式については、納税者番号制度の検討と関連するところが大であるが、同制度の検討には時間を要するので、それとは切り離した形で検討を行い、早急に結論を得ることとする。」と、こういうことになっております。このような原則課税の方向、それから具体的な案を考える際の留意事項、これが素案に示されているところでございまして、この素案について各方面から寄せられる御意見、これを参考にして税制調査会でさらに審議をしていかれる。政府といたしましては、そうした税制調査会の審議が一つの成案としてまとまった段階で対応策を考慮するということになろうかと思いますが、いずれにせよ、ここに書かれておりますように早急に結論を得るという覚悟は税制調査会としてもお持ちのようでございます。
○塩出啓典君 それから先般、大蔵省からの強い要望で総理府が行った有識者に対する調査、これが非常に問題になったわけでありますが、国民の声を聞く、全体的にそういう声を聞く調査は、やるお考えはあるのかないのか、その点どうでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 過日行われました総理府の有識者調査は、国民全体の世論を調べるという性格のものではございません。あくまでも有識者を対象とするもので、そうした調査をする意味は、有識者の各グループごとに回答にどんな傾向が出てくるか、あるいはグループごとにどんな差異があるかということを見るのに主眼があるということが言えると思います。 で、これとは違った、今委員御指摘のような国民全体、もっと大勢の方を相手とした世論調査を行うということの適否につきましては、今後、予算の問題その他、それを政府がやるのがいいのか、その他民間の各種世論調査にお任せするのがいいのか、そうしたことを含め、今後慎重に検討されることになろうかと思います。
○塩出啓典君 きょうも日経新聞では世論調査の結果が出ておりますが、かなり有識者とは違った結果が出ております。もちろん社会をリードしていく有識者の意見もこれは無視はできないわけですが、しかし社会を支えているものは有識者だけではない。たくさんの庶民というか、そういう人たちが社会を支えておるわけですから、やっぱりそういう人の意見も率直に聞いて、そして誤りなきを期していかなければならない。最後はやはり私は、そういう世論の動向というものを無視しては税法は成立しないわけですから、これはもう昨年の売上税の一つの大きな証拠じゃないかと思うんですね。そういう意味で何か最初に間接税ありきというような、そういうような態度は私は絶対許せないと思いますし、そういう意味で世論調査も含めて、公聴会もこれまた行われるわけですが、そういう全体の意見をやっぱり常に聞いていく、そういうことを強く要望したいわけですが、大蔵大臣の見解を承っておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように広く国民の声を聞くこと、これからも努めたいと思います。
○塩出啓典君 それから、六十三年度の予算案についてでございますが、六十二年度の税収につきましては、先ほど同僚委員の質問に対して、まだ最終的な結果はわかりませんけれども、今の補正予算のままの税収が出れば六十二年度当初予算に比べて約三兆七千億の増収であるという、こういうお話があったわけですが、現在のところ六十二年度の税収は一月現在では、六十二年度の補正のペースから見るとかなり、それ以上をいっているような、特に法人税などが予定を超えておるわけでありますが、政府としては六十二年度の税収についてどのような見通しを立てておるのか、これをお伺いしておきます。
○政府委員(瀧島義光君) 委員御指摘のように、一月末までの累計がわかっておりますが、それを見る限りでは税収の調子はおおむね好調と言ってよろしいかと思います。前年比で九・一%入っておりますし、補正後予算は前年の実績に対し二・九と見込んでおりますから、おおむね好調と言っていいと思います。 ただし、本年度の税収と比べます六十一年度の税収の入り方が、年度の前半は低調、後半にしり上がりによくなったということもありまして、前年対比で見た税収の伸び率というものは、今後必然的に下がってくる要素があるということが一つございます。 それと、昨年九月の減税の影響が確定申告の際にどの程度あらわれてくるかといったような要素もございますし、それから大臣から再々お答え申し上げておりますように、法人の三月期決算の税収、この大きな山が五月にならないとどんな姿になるかわからない。あるいは確定申告の計数もそうでございます、まだ確定した結果が出ていないわけでございます。等々というようなことを全部総合して考えますと、政府としては補正予算額を明晰に変えるだけのデータは持ち合わせていないということにならざるを得ないわけでございます。
○塩出啓典君 今年の税収は予断を許さない、たってみないとわからないというお話でございますが、そこで、もし補正どおりの税収があった場合は、六十二年度の租税のいわゆるGNPに対する弾性値は非常に高いように聞いておるわけですが、幾らであるのか。それから、六十三年度のいわゆるきょう提案になりました税収の見通しは、これはどの程度の弾性値を見ておるのでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 六十二年度の補正後の予算のGNP弾性値は一・八三と見込まれております。それから六十三年度の税収、これは一・〇八という結果になっております。
○塩出啓典君 先般、三月十七日に経済企画庁の国民所得統計が発表されたわけでありますが、これは暦年でございましたけれども、たしか名目四・一%ということで大体政府の見通しをほぼ予定どおりいっておるわけでありますが、そういう中で非常に高い税収を示したということは、これは今まで当委員会等におきましては、いわゆるこれは臨時である、財テクブームとか円高とかいろんなものがあって、非常に臨時的なものであるというお話であったと思うんであります。確かに六十一年、六十二年というのは円高で、経企庁の先般の発表では三十兆円ぐらいのいわゆる円高差益があって、これがいろんな意味で税収にもはね返ってきておるんではないかと思うんですが、大蔵省としてはそういう税収が非常に多いという、予想以上に多いということと、それから円高差益との関係というか、そういうのは数量的にはどのように見ているんでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 確かに円高になりますと、輸入原材料に頼っている企業におきましてはコストが安くなるというふうなことで収益がふえるわけでございます。逆に輸出企業におきましては輸出数量が減るというようなことで収益減少の要因になる。いろいろな要素が全体として定量的にどのような形で税収に反映しているかということにつきましては、これは興味深いテーマではございますが、私どもそれは把握できておりません。
○塩出啓典君 大蔵大臣、こういう先のことはよくわかりませんけれども、去年、ことし、非常に税収がいいからといって、そういうようなことが将来続くと考えてもこれはいけないんじゃないかと。過去においても税収が急に落ち込んだこともあるわけですし、そういう意味で、特に日本の経済も今年はいいけれども来年は落ち込むんじゃないかという、そういうような意見もございますし、そういう将来の税収の落ち込みの懸念はないのか。さらに、やはり税収が少々よくても日本の国はたくさんの国債を抱えておるわけですから、財政としてはやっぱり引き締めてやっていかなければいけないんじゃないのか、こういう点、大臣の御決意を承っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに二・一とか一・八三とかいう弾性値はこれは異常でございます。 政府委員が申し上げますように、あるいは塩出委員もおっしゃいましたが、一過性のいわば租税収入がいろんな点からあったのではないか、そういうふうに考えなければどうしても大変に異常だと思いますので、そのような異常な高い弾性値が続きました後、えてして今度は税収に非常に大きな狂いが来るということはよくあることでございますので、十分注意をしなければならないと思っております。 それで、弾性値といたしましては、やはり一・一とか一・二とか、その辺が経験的には私はいいところだと思いますのですが、むしろ今後努力すべきは、弾性値を上げる努力というのは困難でございますから、やっぱり名目GNPを何とか少しでも大きくしていくという、そういう努力によって国全体の経済を比較的順調に推移させていく。それによって税収もそこそこにふえていくと、こういうやり方の方がオーソドックスなやり方だというふうに思っております。しかし、それにいたしましても、昭和六十五年度には特例公債から脱却もいたしたいという点もございまして、それから先ほども本委員会で御質問がありましたように、いわゆる過去における債務で将来に負担を残しておるもの等々もございますものですから、財政としては大変に慎重に運営をいたさなければならない。塩出委員のおっしゃるとおりと私思っております。
○塩出啓典君 それから、資産再評価の問題についてお尋ねをいたします。 今日まで当委員会においても、我が党の和田委員もこの資産の再評価について質問したわけですが、今回の政府税調の答申の中にも、消費、所得、資産と、このアンバランスを是正をするという項目があったわけで、私たちも、この内容はともかくとしても、そういうアンバランスを是正するということは非常に必要じゃないかと思うんですけれども、そういう意味で企業がいわゆる含み資産を持っているか持っていないかということに大きな格差が出てきておる。 これは、日本証券経済研究所の試算によりますと、昭和六十年度で東証一部上場企業の土地含み資産は約二百兆である。それから株式の含み資産が企業で六十三兆、金融機関で六十五兆、約百二十八兆というんですね。こういうことが発表されておりますが、これは六十年ですから、また一段とふえているんじゃないかと思うんですが、これは政府としてはこういう数字を掌握しておるのかどうか。もし新しいデータがあれば教えていただきたい。
○政府委員(瀧島義光君) 企業の資産構成に関連する統計としては、法人企業統計とか、あるいは統計とは言えませんが有価証券報告書とかいった書類があるわけでございますが、いずれも基本的には取得価額をもって計上されておりますので、そこから含み益というものを読み取るすべがないわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、そのような計数をつかめればいいがなと思いつつも、何といいましょうか、これが決定版だというようなものはつかめないでいるわけでございます。
○塩出啓典君 いろいろ、これは個人の場合との不公平もあると思うんですね。個人の場合は相続をするときにちゃんと資産再評価されて相続税を取られる。ところが法人の場合は取られない。あるいは法人でも先発法人と後発法人、そういう含み資産を持つ人と持たない人の差が非常に大きいですね。今後やはり海外から日本へいろいろな企業が進出する場合にも、それは一つの問題になるんじゃないか。そういう意味で、大蔵大臣は未実現の利益だから課税するわけにはいかない。それは未実現の利益というのは所得課税すべきであって、未実現であってもやはり資産を持てる者にはある程度負担をしていただくということで私はバランスするんじゃないかと思うんですけれども、そういう不公平があるという点については大蔵大臣どうお考えですか。お認めになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのような御主張がありますことを十分に承知をいたしておるわけでございますが、仮に土地について考えてみまして、企業が、殊に古い企業、装置産業は大きな土地を持っております。これに課税をするということ、まあ御指摘の意味は、個人ならば相続が必ず何十年かに一遍はある、そのときに課税ができる。しかし、法人はそういうことがないではないかということを言っておられるわけでございますが、仮にある程度の課税をするとしまして、法人がこれ一遍限りでないといたしますと、たえ得るとすればやはり保有税、しかし、その保有税にもおのずから限度がある。それが甘い、もう少し保有税を高く取ったらいいではないかという御議論は、私はあるいはあるのではないかと思いますが、それにもしかし、これは利益から出さなければならないわけでございますから限度があろう。実現したポテンシャルな利益に課税をするということになれば、これはどうも利益が実現していないのに、いかにこれを担税力をどこに見つけるかということは、ちょっと答えが出にくい問題ではないかと思っておるわけでございます。 それから、現実の問題といたしまして、今日、企業で大きな土地を持っているところということになりますと、やはり装置産業が多うございますが、これらは必ずしも好況な企業ではございません。好景気の企業ではございませんで、主として基礎資材をつくっておりますから、それにそんな大きな負担を負わせるということは経済全体としてもいいことかどうか、負担をし得るかどうかの問題もございますが、そういうこともございまして、どうも私は今のお話はなかなか現実にはいろいろ問題があるのではないかというふうに思うわけでございます。
○塩出啓典君 いろいろ非常に難しいということを並べられましたけれども、例えば政府がやろうとしております間接税にしても、じゃ本当に未実現の、所得税と違って未実現の利益に課税をする、そういうことじゃないかと思うんですね。そういう意味で政府としてこういう問題については調査を、研究をしておるのかどうか。その点どうですか。
○政府委員(瀧島義光君) 政府というよりか税制調査会での御審議の状況を御報告させていただきますと、土地の値上がり益につきましては、今委員が御指摘になりましたような、既に前から持っている土地が値上がりをしている、その問題と、それから企業の利益を借金をして土地を買うという形で相殺をするという行為、これに関連する土地の値上がりの問題、二つ分けて議論が行われております。 前者につきましては、やはり今大臣からお答え申し上げましたような問題が指摘されているわけでございます。 後者の節税策あるいは土地に対する思惑という観点から行われます借金による土地取得、この問題につきましては、一方でその土地の値上がり、これが実現されるまで課税されない、借金の利子は支払いの都度、損金に算入されるということで、費用と収益との計上の時期のずれがある。そのずれを何とかして調整できないかということで、二つのことが議論されたわけでございます。 一つは、今後新しく買う土地についての未実現キャピタルゲインの課税でございますが、これはやはりなかなか難しいだろうということで、現実には後者の、つまり借金の利子についてその損金算入を制限する。しかも、まじめな意図で事業を拡張するために土地を買われるという企業に余り強く当たらないようなうまい仕組みを工夫することによって、そういった思惑的な行為、あるいは節税的な行為を防止するということができないかという問題意識が強くなってきております。 これが過日の素案の中にも盛り込まれているところでございます。
○塩出啓典君 一部そういう点が今度の案にはあるわけですけれども、政府は、法人税が国際的に見ても高い、だから下げると言う。だが国際的なことを言うのであれば、やはり法人税を下げることだけではなしに、こういう含み益を放置しておる、そういう日本の国際社会における特異性、そういうものにもやはりメスを入れていかなければ私は片手落ちになるんじゃないか。法人税をもし下げるのであれば、やっぱりそういう点にメスを入れてバランスをとるべきじゃないか、こういう点を主張いたしまして、大臣の御決意を承って、時間ですから終わります。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま税制調査会においてこの点についての御審議があって、今のように借入金の利子についてといったような点まで御議論がありましたことは存じておりまして、これは確かに従来から、殊に公明党が提起していらっしゃる問題についての一つのやはり税制調査会における検討の結果であろうかと思っております。 なお、調査会がどのようにそれを答申に盛り込まれますか、私どもも注意しながら、今後この問題の扱いにつきましては十分注意をしてやってまいりたいと思っております。
○吉井英勝君 税制改革についてまずお伺いしたいと思います。 去る二十五日、政府税制調査会は税制改革についての素案を発表いたしましたが、それに関連いたしまして私、幾つか新聞の切り抜きなども持ってきております。今回の素案など政府税調の検討結果を前提に議論することには自民党内の反発が強いという報道もございますし、また自民党の山中税調会長は再三、「政府税調が何をいって来ても無視し、自民党が与党の責任で最終案を決める」と強調しているようでありますし、それからまた、これは昨日の切り抜きを見ておりましても、「また、首相は会談で「とりまとめは山中会長にお任せしたい」と述べ、政府・自民党の最終案づくりにあたっては、党側の意向を尊重する姿勢を強調した。」という、そういうことなど、かなりいろいろな報道がございます。 こういうことだとすると、この素案を出すことも結局世論づくりあるいは民主的ルールを踏んだという形づくりの意味しか持たないのではないかなと考えざるを得ないわけですが、政府税調とはそもそもそういう性格のものなのかなと、こういうことにもなってこようかと思いますが、この点大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの税制調査会の御検討は、昨年の十一月十二日の諮問に基づいてなされているところでございますから、もとよりこの答申がなされますと、政府はその答申についてこれを全面的に尊重いたしますことは当然のことでございます。 ただ、議院内閣制で私どもも政党政治をいたしておりますから、政府と党とはそういう意味で一体でございますので、この税調の御答申あるいはこの素案等々は、私ども党の税制調査会においても十分にこれを読み、また十分にこれを検討しつつ、党として政府と一体になって最終的な態度を決める。これは政党政治でございますから当然のことでございまして、世の中、何か政府の税制調査会の考え方と党の税制調査会とが対立をしておる、あるいは党は政府の調査会の答申を全く無視するというような、そういうような報道がときどきございますけれども、無論そんなことはございません。それぞれの専門の立場で同じ問題を考えておるわけでございますから、全く違う、百八十度違うような答えが出たりすることはございませんので、両方よくお互いに検討し合いながら、最終的に政府・与党の立場において案を決めまして御審議を仰ぎたい、こう思っておるわけでございます。
○吉井英勝君 いろいろお聞かせいただきましたが、どうも弁解じみた感じでございまして、過去から今日までの自民党税調主導の姿が政府税調の運営その他にあらわれているように思うわけです。これも新聞の切り抜き等でございますが、小倉会長が二月十三日に岩手県宮澤守村の公聴会終了後の記者会見で、税調の結論はみんなわかっている、あとは時間稼ぎをしているだけだと発言したことなど新聞等で伺っておりますが、まさにその反映ではないか、こういうふうに思うわけです。 ところで、この素案発表後、政府税調は四月五日の参考人ヒアリングや、再度公聴会を開き、さらにモニターも活用されるようですが、この前の地方の公聴会については、公述人の選出、公聴会の運営について民主的でないという意見が続出いたしております。こういう意見をどのように反省して取り入れられて、例えば財務局の人選ではなく公募にするべきではないかという声などもございますが、どういうふうに進めていかれるか、この点を次に伺いたいと思います。
○政府委員(瀧島義光君) 公述人の選任につきましては、確かに財務局とか国税局とか、そういったところに我々としてお願いをしたわけでありますが、これは財務局が一方的に選任したわけではございませんで、やはり地元のいろいろな各機関と御相談の上、御本人の内諾を得てお願いをしたということでございます。その場合、公述人の数が一カ所において限られておりますので、すべての分野の方が一カ所においてまんべんなく公述されるということは無理でございますので、全国的にうまくバランスがとれるようにという、そういった意味での調整というものは中央でいたしました。今後ともこれは、どなたの目から見ても完全に公平だというような人選は難しいと思いますけれども、少しでも多くの方に公平だと思われるような人選を目指して努力をしていくつもりでございます。 なお、公述人を公募するという点につきましては、私どもは必ずしも公募というものが適正な、限られた時間でいろいろなお考えの方から意見を聞くという目的に照らし、適当だと思っておりません。私ども小学校のときに、先生が質問したときに威勢よく手を挙げる人だけではなく、先生がそっとしている生徒にも指名をしたということを思い出すわけでございます。
○吉井英勝君 小学校の話までは持ち出してもらわなくて結構なんですがね。公述について民主的でない、偏っているという意見が前回随分多くの方から出されているということはよく御存じだと思うんです。ですからこの点については、私今申し上げましたように、今後の人選ということについては十分考えなきゃならぬということを申し上げておきたいと思います。 去る二十五日の参考人質疑で、小倉会長は私の質問に対して、売上税との違いについては、例えば課税ベースで見ると売上税や一般消費税は特別措置が多くて必ずしも広くなかったが、今度のはできるだけ広くする、こういうふうに述べられて、基本的には売上税という立場を認めておられるわけですが、今回の素案というのは、まさにこの売上税以上に課税ベースの広い、まさに大型間接税そのものではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 今回の素案におきましては、直接税関係と間接税関係、ちょっと記述の態様が変わっております。 直接税関係については、かなり具体的なことが記載されておりますが、間接税関係におきましては考え方が示され、その上で課税方式につきまして、今まで八方式といわれておりましたものの中から三方式を選んで、これについて御意見を伺うという過程で、国民の皆さんが真に納得して、何といいましようか、信頼感と安定感を持って納税を続けられるような制度をつくるという目的で、そのような格好になっているわけでございます。 これが大型かどうかという問題につきましては、総理から大型という言葉にまつわる六つの懸念が示されたわけでございますが、この素案の形成過程におきましても、その懸念に対する配慮というものはいろんな面で行われているわけでございます。
○吉井英勝君 竹下首相の言う六つの懸念については、今おっしゃったような二類型三方式ではクリアできないと思いますが、そのことは今後のまた議論に置いておくとして、このたたき台として二類型三方式が提示されておりますが、まず五ページのロですね。累積方式ですね。これは取引高税だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 税の累積が排除されていないという点におきましては、取引高税というものもこの類型の中に含まれると思われます。
○吉井英勝君 この類型の中に取引高税が含まれる、まさにそのとおりだと思うんですが、次にお聞きしたいんですが、今日先進国の中でこういう方式を採用している国、取引高税というものを採用している国があるのかどうか、この点どうでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) ございません。
○吉井英勝君 今なぜ一国もそういうところがないかということですね。かつては、たしか西ドイツ、オーストリア、フランス、オランダ、スペイン、イタリア、スウェーデンなど、多くの国々において実施されてきたのに、この方式をやめたわけですね。その理由はどこにあるでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 委員御指摘のように、現在付加価値税を採用しておりますヨーロッパ諸国では、付加価値税を導入する前は取引高税を実施していたケースが多いわけでございます。これは、私も詳しいことは存じませんけれども、ECという国々が国としては分かれていても、経済体としては一つのまとまったものにしていく。こういう努力の過程で問題になりましたのは、商品がある国で生産され、隣の国に輸出され、そこで消費されるという場合に、消費税をどちらの国で課税すべきかという問題でございます。生産地国で課税するか、消費地国で課税するか、結局、議論の結果、消費地国で課税するということになりました。そういたしますと、国内で生産され、流通する過程で背負っております消費税というものを輸出の段階で一度きれいに取り去り、相手国に着いたときにそこでまた税がかかるという仕組みにしないといけない。その場合、輸出する段階で負っていた税を排除するわけでありますが、累積的な方式ですと正確にその負担していた税金を計算することができない、付加価値税という形にすればそこが明瞭に計算できるというような配慮から、そういった配慮も一つの大きな要因となって付加価値税に移行したと聞いております。
○吉井英勝君 今おっしゃった国境調整が不明確であるという問題とか、それはあったと思うんですが、ほかにも幾つか理由があるわけですね。 ヨーロッパにおいてもそういう理由によってこの方式やめたわけですが、我が国ではかつて採用されて、取引高税ですね、そして一年ほどでやめておりますが、これはどういう理由でやめたんでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 委員御指摘のとおり、昭和二十三年に導入され、翌年の暮れには廃止されたことは事実でございます。これは終戦直後の非常な混乱していた時期という時代的背景というものもあると思いますけれども、やはり、そうした混乱した時期において新しい税を入れるということが混乱に混乱を加えた。しかも印紙納付であったとか、あるいは統制経済が非常に行われておりまして、その統制違反という事実がこの取引高税の調査の過程でわかってしまうというようなことに対する反発等々、いろいろな事情がそこに介在していたと思います。
○吉井英勝君 取引高税につきまして私も物の本、資料等繰ってみたんですが、昭和二十三年九月一日から当時の芦田内閣は戦後財政の穴埋めの絶好の財源として取引高税を導入して、一々売上領収書百円につき一円の取引高税証紙を張らなくてはならないということで、実施されてから一週間目の九月八日に大蔵省の役人の方が東京のアメ横と銀座の実施状況を見に行ったら、その場で百二十件の違反を見つけた。その調査は、例えば商店の前で張り込んで、商品を買って出てきたお客さんをつかまえて、領収書を見せてくださいとやる。その領収書に取引高税に見合う証紙が張っていないとすぐ店に乗り込んで脱税したろうとガサガサやる。結局この取引高税が導入された九月、十月、十一月、十二月の四カ月間だけで全国で実に四万七千人、脱税犯で逮捕された。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 職員一人当たり十二件というひどさで、当然税務署への抗議が強まり、当時、中曽根代議士も、抗議に行くのが共産党ばかりではこれはどうもぐあいが悪い、自由党も税務署に抗議をしなければならないと言い、自由党の選挙スローガンにも取引高税撤廃を掲げていたほどであったということなどが物の本その他に載っております。たしか当時、宮澤大蔵大臣は若き大蔵官僚だったと思うんですが、それだけによく御存じのことだと思いますが、そのときあなたはこの取引高税をどのように思っておられたか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 終戦の直後でございますので、何とか財源が欲しいということで取引高税をいたしましたが、今、吉井委員のおっしゃいますようなアメ横とかなんとか、そういうことは確かにございました。これは施行の最初の段階でございますから、何とかこれをいわば行政の数字に乗っけようということであったのでございますが、そのときの税務署と納税者の関係というのはとても今日のようなものでございませんで、間に占領軍のジープが入っておりまして、占領軍の兵隊さんが納税督励をするというような、もうまことに今から考えれば非正常に決まっておりますが、それにしても納税者と税務署との信頼感を極端に欠いた状況でございました。 また、税務署側の公務員もそういう意味では思想的に一体どちらに立っておるのかというようなことにもいろいろございまして、このような新しい税制を到底執行し得る状況になかったということのほかに、やはり非常に国民に、事業をやっていらっしゃる方、商売人にこたえましたのは、当時の最大の犯罪はやみでございますので、取引高税をやりますと、やみをやっているということがすぐにわかるわけでございます。すぐにとっつかまる。この恐怖というものがやっぱり取引高税というのをほとんど致命的に執行不可能なものにしてしまったという記憶がございます。したがって、その年の暮れに衆議院議員の選挙がございましたときに自由党は取引高税廃止を公約に掲げて選挙をいたしたような状況であったと記憶しております。
○吉井英勝君 今、取引高税というのは、ですから前世紀の遺物みたいな税制じゃないかと思うんですが、大臣どうですか、そういう税制を導入するということについては抵抗を感じられませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 余り時代が違いますものですからちょっと連想としては適当なことでないなという感じがいたしますけれども、しかしそういうことがございましたのですから、よほど注意をしなければならないとは思っております。
○吉井英勝君 そもそもこの取引高税などというものは、もう検討にも値しないものなんですよね。税調がそんなものを出してきたことが問題だと思うのですが、この累積方式の取引高税は中曽根前総理が導入しないと明言したものでもありますし、宮澤蔵相はこれをまさか生き返らせてもよいとお考えじゃないと思うのですが、まず、この点はいかがなものでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 中曽根前首相が言われましたことは、もっともっと非常にその辺が、前後がついておりまして、いわゆる取引高税をやらないというふうに言われたわけでもないんでございますね。 なお、EC型付加価値税は多段階なものでありますが、EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられますので多段階というだけで消費税を否定する趣旨のものではないとか、取引高税といったような前に、多段階、包括的、網羅的、普遍的といろいろ言っておられまして、端的に何を言われたということではないと思うのでございますけれども、ともかくもそのような経緯がございまして、前国会にいろいろ考えた末に御提案をいたしました売上税が廃案になったという、そのような経緯に私どもは非常に反省をしておりまして、そういったような経緯を踏まえまして、今税制調査会にどういうことであれば国民に納得していただけるかを考えていただいておるという段階でございます。
○吉井英勝君 これはまず、既に前世紀の遺物でもありますし、もともと検討に値しないものなんですよね。これを生き返らせるかのような御発言というのは、これは困ったものだと思うのですが、政府税調の素案では「当分の間、」ということで、この売上税や一般消費税などのような累積排除方式には国民がなじみが薄いから、とりあえず仕組みが簡単な累積方式の取引高税を導入しておいて、いずれは売上税のようなタイプに、小倉会長の言葉をかりればEC型付加価値税を導入してという、そういうねらいじゃないか。そういう点では、この取引高税というのはいわば当て馬として出してきておられるのではないか。こういうふうないわば国民を欺くような、だますようなといいますか、そういう感じのやり方というのは、これはぐあいが悪いと思うのですが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 今、委員御指摘になりましたように、この素案にはこう書いてあります。「多段階課税になじみの薄い我が国の現状に配意し、当分の間、仕組みの簡素性を特に重視して、課税の累積を排除せずに低税率で取引課税を行う方式」とこう書いてありまして、この素案自体に「当分の間、」ということが書かれているわけでございます。これを書かずに、結果として当分の間の措置にすれば、それは欺くものかもしれませんけれども、はっきりとこういうことが書かれているわけでございますから、こういう素案をもとに国民の間での幅広い御議論が行われる。その過程で税制調査会の審議も行われ、考えが集約されていくということでありまして、私は必ずしもこれは非民主的な方法ではないと考えます。
○吉井英勝君 これは売上税タイプへ移行するまでの当分の間のいわば当て馬、そういうものとして考えておられるようにうかがえるんです。 次に、累積排除方式についてお聞きしたいと思いますが、まず、この素案では、「これらの書類によらず帳簿上の記録に基づいて控除を行う方式とが考えられる。」、こういうふうにありますが、これはアカウント方式で、かつて大平内閣のときに導入しようとしていた一般消費税と基本的構造の上では同じではないか、こう思うわけですが、もし違うとおっしゃるなら、どこがどう違うのか具体的にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(瀧島義光君) 累積を排除する方式といたしまして、帳簿上の記録に基づいて控除を行うという点におきましては、まさに委員御指摘のとおり、一般消費税(仮称)と同じでございます。 ただ、今回の素案はあくまでも素案で、骨組みが書かれているだけでございまして、具体的な細部の仕組みまでは述べられていないわけでございます。したがいまして、この素案と他の方式とのどこがどう違うのか正確に対比するにはまだ細部が煮詰まっていないと言わざるを得ない、そう申し上げたいと思います。
○吉井英勝君 今おっしゃったように、「書類によらず帳簿上の記録に基づいて控除を行う方式」というのは、これはまさに一般消費税そのものだと思います。 ところで、この一般消費税方式をEC諸国で採用している国はありますか。
○政府委員(瀧島義光君) フィンランドで採用していると聞いております。
○吉井英勝君 フィンランド以外にありますか。
○政府委員(瀧島義光君) 私がただいま知る限りにおいては、ほかにはございません。
○吉井英勝君 私が言いましたのはEC諸国です。どうもおかしいなと思いました。 それで、これはなぜないんですか。
○政府委員(瀧島義光君) なぜないのかちょっと私はつまびらかにいたしませんが、事EC諸国に関する限りは、先ほど申し上げましたように、国内の間接税制を統一するということから、EC委員会の統一基準といいましょうか、統一指令というものが設けられておりまして、それにインボイス方式をとるということが決められておりますので、EC諸国はこのような自己記録方式というようなものはとっていないということであります。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕
○吉井英勝君 このEC諸国で一般消費税方式を採用していないというのは、これは一つは直接税化するわけですね。事業者間取引において税の転嫁関係が全く不明確であるため、間接税の特徴が失われて弱小企業は税をみずから負担するおそれ、つまり直接税化するという問題ですね。それから全段階税額控除を記帳に基づいて行うため、記帳義務の完全法制化が必要なばかりか、零細事業者を含めたすべての企業に完璧な記帳を求めることになるという点、それから免税業者からの購入及び非課税取引が一つの勘定科目に混入し正確な全段階税額控除ができず、輸出戻し税額の計算も厳格に行われないため国境調整に難点があるという点、それから逆進性を緩和するためにとられる複数税率制が採用できないという、大体以上のような欠陥がある制度、これが一般消費税ではないかと思いますが、この点大蔵大臣、どうでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 多段階課税で累積を排除するという方式につきましては、いろいろな方式が考えられるわけであります。非常に理論的に精緻をきわめた方式から実務上の簡便さというものを尊重した方式まで、いろいろな態様が考えられると思います。 政府の税制調査会におきましては、間接税改革について検討するに際しての検討基準というものを明らかにしておりまして、その中には、「消費に薄く広く公平に負担を求める」ということのほかに、「簡素でわかりやすく、取引慣行にも配意したものであること。」、それから「納税者、税務関係者の事務負担に配慮したものであること。」、「産業経済に対して中立的であり、また、国際的な摩擦を招かないものであること。」といったものを挙げているわけでございます。これらの基準相互の間で、これはトレードオフの関係のあるものもございますけれども、やはり我が国においてどの基準をより重く見るのか、その辺の組み合わせにつきましては、この三つほどの方式を世に出しまして、国民の皆様の間の御議論を広く伺うというのが税制調査会の姿勢でございます。
○吉井英勝君 今、基準なり検討課題についてはおっしゃったわけですが、先ほど私が申し上げました四点について、そういう点から照らして一般消費税の欠陥というものは克服できないんじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) ただいま、この四つの基準についてそれぞれトレードオフの関係のある場合が出てくると申し上げました。確かに、今委員御指摘の点について百点の答えを出そうとすれば、ここで言う「取引慣行にも配意した」とか「簡単でわかりやすく」とか、「事務負担に配慮した」とかいった問題について、今度マイナスの点がついてくると。一体どこにその辺の折り合いを求めたらいいのか。これを税制調査会の独断ではなくて、世の中に広くこの素案をもとに御議論をいただこうという姿勢、これは正しいのではないかと存じます。
○吉井英勝君 結局、折り合いが求め得ない問題なんですよね。そこに一般消費税の克服できない欠陥というものがあるんだということです。 この一般消費税については、しかも昭和五十四年十二月の国会決議で、「その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。」として、導入しないこととしたものですね。こういうものをまた生き返らせようというのは私は国会軽視も甚だしいと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その十二月二十一日でございますか、五十四年の決議は、なおその後に、「従って財政再建は、」「まず行政改革による経費の節減、歳出の節減合理化、税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に推進」せよとなっておりまして、その後、政府はいわゆる減量経営、マイナスシーリング、ゼロシーリングというようなことで行財政改革をやってまいりましたし、また歳出の合理化、削減もやってまいっておりまして、そういう意味で、その後の今の段階におきまして税制調査会が考えておられるようなことを素案として考えていくということは、この国会決議、財政再建に関する国会決議の趣旨に反しているというふうには私ども考えておりません。 国会決議の御解釈は本来国会のなさるべきことでございますから、私どもが有権的に申すべきことではございませんけれども、政府としてはそのようなふうに考えておるところでございます。
○吉井英勝君 その後段の話は別といたしまして、これは国会決議からしてこういうものを生き返らせるというのはいけないことだと、こういうことを申し上げておきたいと思うんです。 次に、大金持ち、資産家優遇の問題についてなんですが、実はこのたたき台の「個人所得課税の負担軽減」のところですね、このところに関連して伺いたいと思います。まず、「サラリーマンの重税感・不公平感がつのってきた。」と述べているわけですが、大蔵大臣もそう言っておられるわけですが、このたたき台のように税率を改正していくと、このサラリーマンの重税感や不公平感が解消されるというふうにお考えになられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 仮に控除をそのままにいたしまして、この税率ですと、まず一〇%が五百四十二万円まで、ここには恐らくサラリーマンの七割ぐらいが入ると言われておりますけれども、次の一五%は八百八十九万円まででございますから、これでほとんど全部でございましょう。すなわち、学校を出て会社に入って定年退職されるまでの間の税率が一つである、あるいは多くて二つであるということは、今のように昇給をするとすぐ高いブラケットへ行くという、そこから来る圧迫感は確かに私は非常に緩和されるだろう。また、現実の問題として、中堅のところで子供さんの学資であるとか、あるいはローンの返済であるとかというところに、一番つらい目に遭っておられる人々のところがちょうどこれで、そういう圧迫感もかなり緩和されるものと思います。
○吉井英勝君 これは新聞等にも、高所得者ほど大きい減税額、不公正是正なお不十分とか、そういうのがずっと出ておりますが、このたたき台の税率構造で、それでは最も減税の恩恵を受けるのはどの層になるわけですか。
○政府委員(瀧島義光君) この素案におきましては、税率につきましては改正案の一例といたしまして具体的な税率構造が示されておりますけれども、控除につきましては二つの考え方が紹介されておるだけで、具体的な金額の上げ幅というものが書かれていないわけでございます。こうした全体像が明らかになりませんと、各階層別の負担の状況というものははっきり出てこないわけでございます。 それともう一つ、これは金額、減税の絶対額ということで見ますと、これは同じ例えば基礎控除の引き上げでありましても、高い限界税率の適用される高額所得者の方が大きくなるわけでございますが、これをもってそれは不公平だとか金持ち減税と言うのはいかがと思うわけでございます。その前提として、限界的な、一万円とか二万円につきまして非常に高い税負担を負っていた、そこを出発点として幾ら安くするのかという、その両方を考えなければいけないからだということであります。
○吉井英勝君 今ちょうどおっしゃったように、高額の方ほど恩恵を受けるということを今認めていらっしゃるわけですが、私は大蔵省の方にこのたたき台に基づく所得階層別の減税額の試算ですね、一定の仮定を入れなければなりませんが、試算を出してもらうように事前に要求しておきましたけれども、これは出してもらえますか。
○政府委員(瀧島義光君) 確かに吉井委員からそのような御要請を受けたわけでございますが、ただいま申し上げましたように、この所得税の税制改正の全体の姿というのは税率だけで決まるものではない。控除その他の組み合わせで決まるものでございまして、全体が決まらないまま一部に基づきまして試算を行うということは非常にミスリーディングでありますので、御勘弁をお願いしたいとお願いをしたわけでございます。
○吉井英勝君 私は、政府税調からの素案が発表されると、すぐ次のような資料をお願いしたわけですね。 勤労者の夫婦と子供二人の標準世帯で、年間収入階級別に現行所得税を適用して計算した所得税額と、素案による改正案の一例による六段階税率を適用した場合の所得税額を示して、どのように減税になるのか明らかにしてほしいと。ところが、主税局の方では勘弁してほしいということを事前にも言っておられましたけれども、その理由は、人的控除がどうなるかまだ固まっていないとか、税率構造も二ページの最後になお書きがあるように固まったものじゃないということとか、全体として素案は今後議論していただくものだという、こういうことだと聞いておりますが、しかし、これは理由にならないと思うんですよね。人的控除や給与所得控除等は改正されない、人的控除のみが素案のように変わる、そういう仮定を置いて計算を頼んだわけです。 素案には、「税制改革問題について国民の皆さんが考える際の参考に供したい。」と書かれていますね。参考にしようと思ったら私のお願いしたようなことをやっぱり引き受けていただいて、示していただかないと、この素案を見ただけで所得税がどうなるのか、重税感がどうなるのか、具体的に庶民はわからないわけですね。この点で、このままじゃサラリーマンにとって重税感云々というのは実のところさっぱりわからないと思うんですが、いかがですか。わかりますか。
○政府委員(瀧島義光君) 四月十一日から第二次の地方公聴会が開かれるわけでございますが、それまでにはもう少しこの素案の持つ意味につきまして、税制調査会の先生方に各地で出てくるであろういろいろな御質問に答えられるような資料は整えたいとは思っております。 ただし、その場合におきましても、税率構造だけで各所得階層別に幾ら減税になるのかというような資料は、これは再々繰り返して申しわけありませんが、誤解を生むということで、それはつくらないという気持ちでいるわけでございます。ただ、そのほかいろいろ工夫をいたしましてこの素案の持つ意味というものをもう少し具体化したい、こう思っております。
○吉井英勝君 大蔵省の方で資料をなかなか作成していただけないようなので、私がある専門家に計算してもらった例でございますが、どういう仮定で計算してもらったかということを、仮定の条件も大事ですから申しておきますと、勤労者の夫婦と子供二人の標準世帯で、六十二年度税制で所得税と住民税を計算して、六十三年度税制と素案による所得税六段階税率、個人住民税四段階税率を計算する。人的控除は仮に改正されないものとして、さらに大型間接税を三%の場合と五%の場合と計算してと、幾つか条件を置いて、それで、ただし食料については二分の一非課税にするとか、保健医療や教育費を非課税にするとか、酒、たばこを非課税扱いにするとか、幾つかの仮定を置いての話になります。 全く私的な考えでの仮定を置いたものということになりますが、これによりますと、はっきり言えることは、年収七百万円ぐらいのところが分岐点で、七百万円以上ですと、大型間接税が三%ですと所得税、住民税の大幅減税が働いて余り増税にならない。ところが年収八百万円以上の第九分位とか年収一千百万以上の第十分位等は、所得税、住民税の大幅減税が働いて大型間接税を導入しても減税になるんですね。所得の低いところは全部これは差し引き増減税ゼロじゃなくて増税ですね。大体八百万以上、それから減税、こういうことが出てくるわけです。ですから、結局高額所得者には現在よりも減税と。その分は低所得者からちょうだいする。これがこの素案の方向である、また政府のねらいである、こういうふうに考えざるを得ないんですが、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういうお話になりますから、仮定の資料を差し上げない方がいいというふうに申し上げておるんでありまして、今のお話は要するに所得税の最高税率を下げてまいりますと、それはもう高額所得者が絶対額としては減税額は多くなるのは当然のことでございます。片方で、間接税というのはそんなに人によって消費が違わないという前提をとれば、それは高額所得者が両方の間の絶対額だけならば利益が大きいだろうというだけのお話で、少しも不思議ではないことでございますけれども、今のような全く仮定に基づく、間接税の税率は三%とか五%とか、どうもそういうお話ですとお答えのしようがないと思うんです。
○吉井英勝君 仮定の話ということであれば、お示し願えれば結構なんです。具体的に計算をして出すときは前提条件というのをつけますから、前提条件抜きで計算できませんから、それで出したわけてありまして、その仮定がおかしいとおっしゃるなら、また別な条件をつけて、初期条件、境界条件いろいろおつけいただいて示していただければ結構なわけです。 政府は今、盛んに水平的公平と言い、垂直的公平については現状で十分というふうに言っておられるわけですが、国民の実態は違うわけです。先日の予算委員会で我が党の近藤忠孝委員が指摘したように、所得格差というのは近年むしろ広がっています。そして、年間収入五分位階級別で見ると、この二十五年間、実収入の伸びは各分位ともほぼ同じなのに、税負担は第一分位が四十・八倍、第五分位が十一・四倍となっています。社会保障負担を含めても低所得者の負担率の伸びが高額所得者の伸びに比べて倍近くなっている、こういうことが明らかです。さらに、昨年のマル優廃止によって四月から庶民の零細な貯蓄には一律二〇%の課税がされる。一方、高額預金者は三五%から二〇%に課税が引き下げられる。この上、金持ち減税、これは垂直的公平をさらに崩して逆に不公平を拡大することになるんじゃないか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 例えば、今マル優のお話をなさったのでございますけれども、実際には旧制度では一人九百万円までの利用ができたわけでございますから、四人家族でしたら三千六百万円までの元本についての実は減免措置があったわけでございます。それがしたがって、いわば大所得者にとってはそこまでは税は払わなかったということが事実だろうと私は思いますので、実際お示しになりました三五が二〇になっちゃったというようなそういう簡単なことでは私はないように思います。
○吉井英勝君 一億貯金しているか三百万か、これは全然違うわけでして、それはもう一番よく御存じのところですから、私はここでそれ以上のお話はいたしません。 政府は広く薄い間接税については逆進性を認めておられるわけですが、このたたき台のような税率を導入すると、結局、長者番付に出てくるような高額所得者を大幅に減税することになる。この点をねらったものが抜本改革のねらいじゃないか、こういうふうに思うわけです。 次に、相続税についてもお聞きしておきたいと思いますが、政府は相続税の役割についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○政府委員(瀧島義光君) 通常、相続税の役割として言われておりますのは、富の過度の集中を防止するということが一つ、それからもう一つは、被相続人が生前に税制上の恩典をいろいろ活用なすったりあるいは各種の租税回避行為によって蓄積した財産につきまして、最後に精算をしていただくという意味での所得税の補完税としての役割、こういったところが主なところだろうと思います。
○吉井英勝君 相続税は、今も補完的機能とおっしゃいましたが、所得税で押さえられなかった部分を死亡時に遺産の段階で押さえてこれに課税する趣旨のものであり、これにより所得再配分機能を果たすことが期待できるのではないかと思いますし、特に資産税に甘くて、その上所得税の累進度を緩和した我が国税制のもとでは、この機能というのは非常に大事なものじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 基本的に相続税が大事な機能を営んでいるという点につきましては委員と同じ意見でございます。
○吉井英勝君 ところで、この素案によると、最高税率を七五%から七〇%に引き下げる。これは大資産家優遇の減税ではないか。庶民の減税要求を逆手に取っておりますが、税率区分の変更や土地評価の改善で十分解決がつく問題なんですが、まさにそういうところへこそ着手すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) ただいま相続税が重要な機能を持っているという点につきまして委員と全く見解を同一にすると申し上げましたけれども、どの程度この機能を強く打ち出すかという点につきましてはさまざまな考えがあろうかと思います。 現在の最高税率七五%というのは、前回相続税について大きな改正が行われました昭和五十年に七〇%から引き上げられたものでございます。これは当時の所得税の最高税率が七五%であったということ、それから主要諸外国の相続税の最高税率を見ますと、アメリカが当時七七、イギリスが七五であったというようなことを踏まえたものでございます。ところがその後、我が国における所得税の最高税率は六〇に下がっております。また素案におきましては五〇というような数字が出ているわけでございます。また諸外国の相続税の最高税率はその後引き下げられまして、七七と申し上げましたアメリカにおきましては現在五五になっておりますし、七五と申し上げましたイギリスは六〇に下がっている、こういうような事情を考えますれば、七五%という最高税率はいかにも高いというふうに考えられ、それが素案にも反映しているのだと思います。
○吉井英勝君 庶民の方の減税要求については、これは税率区分の変更、土地評価の改善で十分解決がつくわけです。そちらの方は着手されないで最高税率の方だけ引き下げて、結局これはどう考えても大資産家優遇ということにならざるを得ないと思うわけです。 さらに、素案によりますと「遺産額のうち配偶者の法定相続分まで非課税とする」とありますが、これは私は問題だと思うんです。これは極端な例を言うと、都心に住む大資産家で相続人が配偶者だけであった場合、これはかなりの遺産相続について全く課税されないということになるわけですね。これは資産に対する課税が甘いという批判があるのに、これを全く省みない素案ということになるんじゃないかと思います。大臣、これはまだ素案ですが、こういうふうな不公平課税というのはすべきじゃないと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはどうもこの素案について政府がいろいろ意見を申すべきものではないと私は思っているのでございますけれども、いわば大抵の場合は妻でございましょうが、そこはやっぱりある程度優遇して考えていいのではないかという物の考え方を言っておられるのではないかと私は思います。それはゆえないことではないなという感じはいたします。
○吉井英勝君 ここまで私はずっと、先日税調から提出されました素案に基づいて、いろいろ意見を申し述べながら質問させていただきましたが、素案ということで結局、例えば先ほどの試算の例に見られるように、最もわかりやすく出してもらわなければいけないところが不分明になる、そういうことになっております。しかし私は、こういう素案というのは全体として国民の声に耳を傾けていないものだと思いますし、国民の批判にたえられないものだと思うわけです。大臣もこのようなたたき台は撤回されるよう進言されたらいかがかと思います。 実は昨日、お昼に議員会館に戻りますと、私の出身の大阪府の方から府議会議長西野陽さんの名前で意見書をいただいておりました。新大型間接税反対の意見書でした。新型間接税は国民に大きな負担を押しつけるものであり、国民の間にある不公平感、重税感を一層拡大するばかりでなく、国民生活や中小企業の経営に重大な悪影響を及ぼすと。また、公約に違反するものであるから、新型間接税を導入されないよう強く要望すると。これは大阪府民の意思、大阪府議会の決議としてまとめられて持ってこられたものでございます。やはりどうしても大型間接税、これはもともと公約違反なんですが、どうしても導入ということであれば、その前に解散、総選挙をして国民に信を問うべきものであると思います。このことを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。 私はここに「総理府による「新型間接税導入」キャンペーン反対の要請書」というのを持ってまいりました。日本マスコミ文化情報労組会議からのものです。これは三月十七日付で日本マスコミ文化情報労組会議が首相それから総理府広報室長あてに申し入れを行ったものですが、時間の関係で要旨だけ紹介しておきますと、政府が導入しようとしている新型間接税について、国論が大きく分かれている問題について、国民の税金を使って一方的に政府の政策宣伝を放送や新聞で行うことは問題であり、政府広報の本来の趣旨からしても逸脱していると言わざるを得ないし、放送法では政治的公正を期するとともに多角的に論点を明らかにするよう第一条二号、四十四条三項二号、四号で定めている点からしても問題があるので、今後予定されている新型間接税の政府広報をとりやめてほしいというものです。実際に報道関係の仕事に従事している方たちから資料もいただきました。テレビの「あまから問答」その他、政府PRの資料をいただいております。 ところで、総理府が行った政府広報のうち、テレビ、ラジオ分の昨年一月から本年二月までの実績を見ますと、総数五百九十回のうち、売上税を含めて税制改正に関するものが三十三回。これを月別に見ますと昨年一月が三十九回のうち三回、三月が四十三回のうち二回、ところが四月は四十一回のうち十四回、三四%が売上税関係。さらに五月は四十六回のうち七回。以後、売上税が廃案となった六月以降は七月、八月がそれぞれ二回、十二月が一回という状況で、ことしに入ってからは二月に二回放映されておりますが、この状況を見てみますと、さきに紹介いたしましたマスコミ文化情報労組会議の申し入れ書の言うとおりの状況になっております。 そこで伺いたいと思いますが、去る二月十三日から三月四日に税制改革に関する有識者調査をやっておられます。これはなぜ一般の世論調査という方法をとらなかったのかという点については、去る三月二十三日の参議院本会議での官房長官の答弁でも、税制改革については賛否両論があるので無作為抽出方法にしなかったという趣旨の答弁をされておったと思うんですが、この点、まず政府の見解として間違いないかどうか、確認しておきたいと思います。
○政府委員(瀧島義光君) 有識者調査の意図でございますが、これは先ほどお答えいたしましたが、あくまでも世論調査とは全然性格が別のものだと我々は認識しておりまして、有識者のいろいろなグループ、そのグループごとにどのような意見の傾向があるのか、あるいはグループごとにどんな差があるのか、それを見るということでございまして、あくまでも一般のアンケート調査とは違うものとしてこれを企画したものでございます。
○吉井英勝君 国民の間に賛否両論がある問題について、政府はテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの媒体を使って大々的にその一方の主張を宣伝される、政府は一方の側の主張を国費すなわち税金を使って宣伝する、これは明らかに行き過ぎではないかと思いますし、また調査をするにしても、それは有識者ということで範囲を限ってのものじゃなくて、公平な立場で行う、これが一番大事な点だと思うんですが、この調査の点、そしてPRの、点で余りにも公平さを欠いているんじゃないかと思いますが、どうですか。
○政府委員(瀧島義光君) 税制改革問題につきましては、委員御承知のように国民の皆さんの間で非常に関心が高まっているわけでございますが、案外と申しては失礼なのでありますが、政府がどのような考え方でこの税制改革問題に取り組んでいるのか、それが事実として必ずしも十分に御理解をいただいていないケースがあるわけでございます。やはり事実は事実として御報告し、それに基づいて建設的な御議論をいただくということが必要かと思います。そういう意味で、大蔵省の出先機関その他に対しましても納税者の方々から問い合わせ、一体何を考えているのかというような問い合わせが随分来る。そのような実態を踏まえてPRといいましょうか、我々の考え方の御説明をしていくということでありまして、これはやはり必要なことではないかと考えております。
○吉井英勝君 国民の間に賛否両論がある場合、ましてや新型間接税、新大型間接税というのは政府が導入したいと言っているだけで、導入すること自体何も決まっていないというもの。宮澤蔵相、財政が大変だということを越えて、ではどうするかということについては、国民の声を広く聞くということではないかと思うんですよね。それとも、初めに新大型間接税ありきで、世論の声をそれに強引に合わせていこうという、そういう立場なのかなと思うわけですが、私はこれは国民の声は広く聞くと。賛否両論があってまだ何も決まってないものについては、特定の立場で政府が広報をするということじゃなくて、これは公正な立場を貫くということが必要だと思うんですが、大臣どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もともと、この税制改正は財政、財源調達という見地でやっておるものでないことは何度も御説明いたしましたので、四十年近くたちましたから、やっぱりこの辺で変えなければならない、将来を展望すれば十何年でもう大変な高齢化社会になるということからこういうことをお願いをしようとしておるわけでございます。先般の有識者に対する御意見を伺いましたのは、これは世論をいわゆる調査をしようとしたわけでは全くございません。むしろ政府に対してかなり厳しいいろいろ、九つでございましたか、各グループからのこれは本当にいろいろのものを、こういうことをしょっちゅうお考えになっていらっしゃる方ですからかなり厳しいお話があるだろうと、また現にありました。それを伺っておこうと、グループによってそれは多少ニュアンスがあるだろうがと、こういうことでお願いをいたしたものでございます。
○栗林卓司君 いろいろ税のことをお尋ねするのが本来この委嘱審査の目的ではないんですけれども、この話に触れませんと、どうも質問にならないような奇妙な状況下にいるものですから、やはり私からもお尋ねしたいと思うんです。 六十二年十一月十二日に政府は税制調査会に諮問をいたしました。中で従来と違っているのは、「望ましい税制のあり方」を御審議願いたいと。従来でしたらここで諮問文が結んであるんですが、今回は「実現に向けての具体的な方策につき審議を求める。」という文章がついてあります。この意味は私恐らくは、あの売上税廃案の歴史はやはり繰り返したくはない。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 あの売上税がなぜ国民の御支持を得られなかったのか、この点を含めて、実現に向けての具体的な方策を御審議を願いたい、こういった気持ちが、この諮問にこういう文章がつけ加わった真意だと思うんですが、先日発表されました税制調査会の素案の中では、この部分に対応している部分がございませんでした。これについて、諮問をされた本来のお気持ちと、税制調査会からこれに対応した素案が出てこなかった点をどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点、私はこう考えておりますんですが、今、栗林委員がお読みになりましたこの諮問の第二パラグラフのところで、つまり前回の答申の後「その後現在に至るまでの諸情勢の進展を踏まえ、」途中を飛ばしますが、「実現に向けての具体的な方策につき」お願いしますということ、こういう心構えで政府はおりますので、どうぞそれをお考えの上で素案なり答申をお願いいたしますと、こう言っておりますのですから、この素案を出される、あるいは諮問を検討される税制調査会の御審議そのものが過去の経緯を踏んまえてなさっておると、そのようにお願いしますと政府がお願い申し上げておるわけでございますから、そういうふうに思っておりまして、なるほどこの素案の中には特にそういうことを繰り返してはおられませんけれども、それは前提の上で御審議を願っておるというふうに存じております。
○栗林卓司君 私がお尋ねした一つのポイントは、昨年売上税が廃案に相なりましたけれども、その責任というのは税制調査会にあったんだろうか、政府そのものにあったんだろうか、あるいはよく言われます自民党税調にあったんだろうか、あるいは我々野党にあったんだろうか、一体どこに廃案の原因があったとお考えになっているか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは国会に対します行政府の立場としては、私どもの御提案にいろいろ問題があったと、こういうふうに反省しております。
○栗林卓司君 したがって、一体どこが足りなかったのか、これからどこに目配りと重点を置きながら努力をしたらいいのか、税制調査会の方々に御意見を賜りたいということが本来諮問文の一番最後に「実現に向けての具体的な方策」ということをつけ加えられた私は真意だと思うんですね。ただ、それが入っていなかった。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 そこで、なぜなんだろうかと考えますと、私はこんな気がしてしようがないんです。政府税調の責任とはだれも言っていないんだけれども、政府税制調査会そのものが何かもう責任過多になっちゃって、自分たちが世論の根回しまでやらなければいけないような気持ちに今やなっているのではないんだろうか。そうなりますと、世論工作の一端を政府税制調査会が相担っていくことになるわけですから、果たしてこれが政府が考えられている、賛否は別にしてですよ、抜本的税制改革と言われる作業の成功のために果たしてプラスなんだろうか、どうなんだろうか。実はこの点をひとつお尋ねしたかったんです。 お尋ねする前に御所見を承りたいんですが、日本人の納税意識というのは一体どういうものだと御判断になっているのでございましょうか。漠たる質問ですから、意見を添えて、伺っている意味を申し上げます。 ある、まさに学識経験者に言わせますと、納税意識には二つあるんだそうですね、原始的納税意識と市民的納税意識と。言われてみて、なるほどなと思ったんですが、原始的納税意識というのは、税というのは財産の収奪である、何としてでもこれをいかに防ぐかということにまず頭がめぐるのでありますが、市民的納税意識ということになりますと、公の立場から必要なものはみんながやはり分担すべきであって、それを分担するのが国民たる義務である、その義務の遂行が納税であると。これが原始的納税意識と市民的納税意識の違いなんだと言うんですが、一体日本人の場合にはどちらだとお考えになりますか。 よく言われますのは、やはり長いものには巻かれるで、国家権力で抑えられてまいりますとどうしてもやむを得ないなと、こうなってくるのが日本人の納税意識、税に対する意識なんだとお考えなのかどうか。これはこのままの御質問でお答えがいただけるとは毛頭思っておりません。ただ私は、日本人の納税意識というのはどんな感じなのかということは、それぞれ議員であり選挙活動をやった者であれば自分の肌で知っている部分でありまして、そこで自分の肌で知っている日本人というのは、世の中の流れとかそういったものにどう反応するかということはやはり鋭敏だと思っているんです。したがって、それがある世の中の流れを意図的につくられますと、やはり我々はこれは危険な兆候だなと思うし、世論操作は絶対この手のものにあってはいけない、こう思ったりするんです。 そこで、政府税制調査会が三月に二十回以上に分けて公聴会をいたしまして、今回は素案について、また公聴会をされるのだそうです。しかし、これ自身が結果として見ると世論操作の一環になっているような、あるいはそういった誤解を与えかねないような事例だとお考えになりませんか。 以上が質問であります。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのようには私ども思っておりません。前回、政府が考えました案が国会で成立をいたさなかったということについては、やはり政府がその意図しているところを十分に国民に説明をする、それだけの苦労をしなかった、そういう民意を国会も恐らく反映をされたものであろうと思っておりますから、このたびはこの素案にも書いてございます、「今日まで、地方公聴会を開催して」云々と最初に書いてございますのは、やはり一遍国民にもっと、今度こそはよく政府の意図も聞いていただき、国民のお声も聞いて、その上でしないと前回と同じ過ちを繰り返すというのが、私どもが去年起ったことについての基本的な反省でございますので、今度税制調査会が二十回にわたりまして地方で公聴会をやられましたが、これはその世論指導あるいは、世論指導という言葉もどうも妙な言葉でございますが、誘導でございますか、そういう機能を果たしたとは思えませんので、文字どおり随分激しい批判もあり、御議論もあったわけですが、そのような形で国民に対して政府の意図も聞いていただき、また国民の思っておられることも聞かしていただくということを税制調査会が公聴会というのを通じてやられたんだと思っておりまして、栗林委員の言われるようなふうには私どもは考えておりません。
○栗林卓司君 なぜそういった言い方を私があえてするかといいますと、税制の抜本改革という言葉は、実は呉越同舟の玉虫色の代表みたいな言葉でして、立場立場によって、税制の抜本的改革というと自分に一番有利なように受け取ってしまうおそれのある言葉なんですね。したがって税制の抜本改革をやるというと、大体アンケートをやると賛成の比率が高いと、こう新聞に見出しが立つ。そうかな。ところが、政府がやろうとしているのは、これは中身は直間比率の是正なんだ、こうなりますが、直間比率の是正そのものはほとんど議論が尽きている問題ではなくて、何となく、税制の抜本改革ということで調査が行き渡ってまいりますと直間比率の是正について相当高い支持率があるかのような錯覚が生まれてくる。 そんなことで、なるほど公聴会というと意見を幅広くお伺いするというのですから反対する人は一人もいませんけれども、それ自体が政府がやろうとしていること、当然主催は政府税制調査会なんですから、それをやろうとしていることが、非常に多くの参加者を得て、いわば世の中の大勢になろうかとしているような、そういう客観的な事実をつくっていくのではあるまいか。これは、それがそのまま世論工作だと言っても、そんなにひどくひがみ切った言い方だということに私は当たらないと思うんですね。 一つ例を挙げますと、これは税制調査会の素案です。そこで二ページを見ますと、こう書いてあるんです。「今回の税制改革は、行政改革の一層の強力な推進を前提とし、全体としての税負担率の上昇を目指すことなく行われるものであることを明らかにしておきたい。」ということなんですが、これで公聴会をやった場合に、では一体具体的に行政改革はどうやってやるんですかという質問があった場合には、政府税制調査会は答えることができるんでしょうか。これはできません。できるとしたら、これは政府そのものしかありません。その次で、その三行下に「低所得者に対しいわゆる逆進的な影響をもつものではないかとの国民の懸念があるので、これに対しては税制上のみならず」、問題はこの次なんですが、「財政全体を通じ適切に対処するよう求めておきたい。」。書く方は気が楽ですよ、こんなの。しかし、こう書いてあるけれども一体どうだと言われて、税制調査会が答えられるか。これも答えられません。 答えられない人が公聴会を主催をして、しかも何かをやったような印象だけを残す。これを世論操作と言わなくて何と言うんですか。私はこういったことは、何かやることがやったかのような錯覚を生み出し、しかもそこで提示されている案件は、先ほどおっしゃいましたように、中身が玉虫色と言ったんだけれども、賛否はまことにばらばら。ところが世論工作のような印象だけが強くなるというのは、私は決していいことじゃない。最近の新聞を見ると、「余りに拙速な」という見出しが目立つようになりました。あれも意図的につけている見出しだとは私は思いません。ただ、何か周りからあおり立てられるようにして世の中の流れをつくられ始めた、そんな感じを一人一人が持ち始めてきている。これは私は、仮に税制の抜本改革を進める立場に立ったとしても、反対する立場に立ったとしても、どっちにしても歓迎すべきことではない。 私は、日本人の納税意識が原始的納税意識の段階にいるなどとは毛頭思っておりません。しかし、これを市民的納税意識、別な言い方をすれば民主的な納税意識に高めていかなければいけない、そういった課題に今、私は直面していると思うんですね。その仕事を進めていくのに、結果として意図的な世論操作に思われるようなこうした仕事が重ねられることは決してプラスにならないし、私は去年の売上税廃案というのは、立場は反対でありましたけれども、あれだけのエネルギーを費やして、しかも得たものは一体何であったのかを考えますと、まことにむなしかったし、二度とあの惨めな姿を繰り返してはならないと思うものですから、そういった意味で世論操作と思われるようなことについては最も鋭敏に考えて排除をすべきではないか。かねてそう思うものですから、意見を含めて申し上げました。御所見を伺います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 必ずしも私、御説を正しく理解したかどうか、幾らか疑いますけれども、これだけの大きな仕事をいたしますのに政府が国民に対して説明をするということを、私は世論操作という言葉ではあらわし得ないと思います。何もしないで、突然この国会に御提案をするというようなことは、それこそ民意に対して全くこれを無視するものといいますか、それをよく酌み取っていないものだという批判を受けるのだと思いますので、いろんな形でこれは税制調査会がやっていただいておるわけですけれども、そういうところを通じて公聴会を二十回も開き、またその結果を素案として一応まとめまして、もう一度国民の御意見を聞こうということ自身、栗林委員が言われましたように、公聴会そのものはさんざん反対があったではないかとおっしゃる。確かに反対も強かったんでございまして、賛成ばかりじゃございませんでした。ですから、世論操作というような意図も持っておりませんし、そういう結果にも私はなっていないと思います。
○栗林卓司君 大臣、私の意見をやはり誤解されておりまして、私が申し上げましたのは公聴会は政府がやればよろしい、それを税制調査会にやらせると誤解の種になりますよと。従来、税制調査会は隠れみの的に使われ、しかも実態は税制調査会といいながら、中身は財政当局が事務方を引き受けてやっているんでありますから、差はないようでありますけれども、やはり公聴会は最終的に法案の提案者である政府が、法案立案過程でおやりになるべきであって、税制調査会が政府をさておいて、自分たちが公聴会を主催するようになっては、これは誤解の種を生むだけであって、そこまでのことを期待して、先ほど申し上げました諮問の最後に「実現に向けての具体的な方策につき審議を求める。」とおっしゃったわけではないんでしょうねという意味でお尋ねしたんであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは公聴会をやられましたのは税制調査会でございますが、それは政府が公聴会をお願いしますと申し上げたのではございません。税制調査会が御自分で答申を書かれる上において、そういう形で世論に聞くことが大事だと思われましたから公聴会を開かれたのでございます。それは政府がかわって税制調査会にやっていただいたという筋のものじゃございません。
○栗林卓司君 結構です。
○委員長(村上正邦君) いいですか、質疑。
○栗林卓司君 ええ。途中で議論がすれ違いになっておりますから。
○委員長(村上正邦君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時二十分散会