社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 6 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1988/03/01
会議録
○委員長(関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査を議題といたします。 これより、厚生、労働両大臣から、所信表明に引き続き、昭和六十三年度予算の説明を聴取いたします。 予算説明につきましては、その概要を聴取することとし、詳細な予算説明は本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(関口恵造君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 厚生大臣から、厚生行政の基本施策についての所信及び厚生省関係予算の説明を聴取いたします。藤本厚生大臣。
○国務大臣(藤本孝雄君) 社会労働委員会の御審議に先立ちまして、所信の一端を申し述べたいと存じます。 我が国は、今や世界で一、二を争う長寿国となっておりますが、今後も、人口の高齢化は諸外国に例のないスピードで進み、二十一世紀の前半には世界で最も高齢化の進んだ国になるものと見込まれております。こうした中で、これからの厚生行政の一大目標は、人類が達成した偉大な財産である長寿を、いかに活用して、だれもが喜べる長寿社会を建設していくかにあります。 特に、長寿社会を財政負担の増大の面のみ強調した暗いイメージでとらえることなく、お年寄りの豊富な人生経験が社会の財産であるとの認識を持って、国民の一人一人が明るく健康で生きがいを持って暮らせるような活力ある社会づくりに努めていかなければならないと考えます。 二十一世紀に至るまでのここ十数年間は、本格的な長寿社会を迎えるための貴重な準備期間であります。国民の英知を結集して、国民の方々すべてが安心して信頼することのできる社会保障制度を構築していく所存であります。 以下、昭和六十三年度における主要な施策について申し述べます。 まず、医療保険制度についてでありますが、国民健康保険の運営の安定化を図るため、今国会に国民健康保険法の改正法案を御提案申し上げているところであります。この改正案では、国保制度が抱える医療費の地域差問題や低所得者問題等の当面着手すべき問題に国と地方が共同して取り組 む仕組みをつくることとしております。何とぞよろしく御審議をお願い申し上げます。 さらに、医療保険制度全体につきましては、制度を通じた給付と負担の公平化が図られるよう引き続き検討を進めてまいる所存であります。また、制度改革とあわせて、高齢社会にふさわしい良質な医療を効率的に提供すべく、医療システムの合理化、効率化に向けて、昨年の国民医療総合対策本部中間報告の着実な具体化を図るとともに、薬価基準や診療報酬の見直しを行うこととしております。 次に、年金制度につきましては、年金額の実質的価値を維持するため、昭和六十三年度においても特例スライド等を実施することとしております。また、老後生活をより豊かなものとするという観点から、厚生年金基金の育成、普及を図ることが急務となっておりますので、成案が得られ次第、このための法律案の御審議をお願いいたす所存であります。 寝たきり老人等要介護老人対策の一層の充実も重要であります。老後も住みなれた地域社会で家族や隣人と暮らしていけるよう、家庭奉仕員派遣事業、デイサービス事業、ショートステイ事業等を大幅に拡充するとともに、訪問看護を初めとする総合的な在宅ケア総合推進モデル事業や寝たきり老人等の家族に介護技術を修得させるホームケア推進事業を創設することとしております。また、老人保健事業におきましても、機能訓練、訪問指導を充実する等在宅サービスを拡充してまいります。一方、引き続き特別養護老人ホーム等の社会福祉施設を着実に整備するとともに、医療ケアと生活サービスをあわせて提供する老人保健施設を本格的に整備してまいります。 また、高齢者の多様化するニーズに対応するため、民間の創意工夫を生かした良質なシルバーサービスの育成に努めることとし、その一環として来年度からシルバーサービスに対する社会福祉・医療事業団の融資制度を創設いたしたいと考えております。 今後の人口高齢化により一層深刻化するものと見込まれる痴呆性老人の問題については、調査研究の推進、介護家族への支援方策の拡充、施設対策の推進など保健、医療、福祉にわたる総合的な施策の推進を図ってまいります。 このような施策が有効に機能するためには、各種施策が一体となって推進されることが不可欠であります。このため、保健、医療、福祉の各分野の高齢者対策を総合的に企画、推進するための組織の再編、整備を図ることとしております。 本格的な長寿社会の到来を間近に控え、高齢者一人一人の健康づくりや社会参加への積極的な取り組みがますます重要となっております。このため、本年より、地方自治体、民間団体等の協力を得て「全国健康福祉祭」を開催するほか、特に、運動習慣の普及を図り、栄養、運動、休養の調和のとれた生活様式を目指した健康づくり対策を推進してまいります。 また、人口の高齢化が進展する中で、次代の我が国をその双肩に担う児童が心身ともに健やかに生まれ育つことはますます重要となっております。このため、児童の健全育成対策に積極的に取り組むとともに、家庭基盤の充実に努めてまいります。また、障害者対策につきましても、その推進強化に努めてまいります。 次に、保健医療の分野についてであります。まず、エイズ対策につきましては、昨年二月のエイズ対策関係閣僚会議で決定しましたエイズ問題総合対策大綱に基づき、対策を推進しているところであり、今後とも、国民に対する正しい知識の普及、治療薬等の開発等の研究の充実を図っていくこととしております。また、感染者のプライバシー等人権を守りながらその蔓延の防止を図るための後天性免疫不全症候群の予防に関する法律案が継続審査となっておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。 次に、精神保健医療対策につきましては、精神障害者の人権に配慮した適正な医療の確保を図るとともに、社会復帰施設に対する助成の強化を図るなど精神障害者の社会復帰促進のための施策に一層の力を入れて取り組んでまいります。国立病院・療養所につきましては、国立医療機関にふさわしい医療を担っていけるよう、その機能の充実強化を図るために、再編成を着実に進めていくこととしております。 生活衛生行政につきましては、引き続き食品等の安全確保、化学物質の安全確保に万全を期してまいるほか、水道・廃棄物処理施設の整備の一層の推進を図り、生活排水対策を含む廃棄物の適正処理に積極的に取り組んでまいります。 薬務行政につきましても、引き続き医薬品等の安全性、有効性の確保に万全を期すとともに、昨年創設した出融資制度の拡充等研究開発の振興を軸とした医薬品産業等に対する総合的な産業政策の推進を図るほか、医薬分業の推進、献血による血液確保対策、覚せい剤等の乱用防止対策等にも、積極的に取り組んでまいります。 また、中国残留孤児対策につきましては、多くの孤児が帰国する時代を迎えて、中国帰国者自立研修センターの整備等定着先における受け入れ体制の整備に全力で取り組んでまいります。 さらに、保健医療の分野を中心に発展途上国の我が国に対する国際協力の要請がますます大きくなっていることにかんがみ、WHOを通じるなどによりこれに積極的にこたえていく所存であります。 なお、地方事務官制度の廃止を内容とした厚生年金保険法等の一部を改正する法律案は、今国会への継続審査となっておりますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。 以上、所信の一端を申し述べましたが、厚生行政の課題は、このほか、いずれもひとときもゆるがせにできないものばかりであります。私は、皆様の御理解、御協力を得ながら諸問題の解決に取り組んでまいる所存であります。何とぞよろしくお願いいたします。 次に、昭和六十三年度厚生省所管一般会計、特別会計及び政府関係機関予算の概要について御説明申し上げます。 昭和六十三年度厚生省所管一般会計予算の総額は十兆三千二百十一億円余でありまして、これを昭和六十二年度当初予算額十兆二百六十五億円余と比較いたしますと二千九百四十五億円余、二・九%の増加となっており、国の一般会計予算総額に対し一八・二%の割合を占めております。 昭和六十三年度一般会計予算におきましては、国全体として経費の徹底した節減合理化に努め、特に経常部門経費につきましては、六十五年度までの間に特例公債依存体質からの脱却という目標を達成するため、厳しく抑制する方針のもとに編成されております。 厚生省予算につきましても、そのような基本方針のもとに、今後の高齢化社会においても、社会保障制度が安定的かつ有効に機能することを基本とし、国民健康保険制度の改革を行うこととしているほか、生涯を通じ健やかな充実した生活を営むことができる明るい豊かな長寿社会を築くため、健康対策や福祉対策にきめ細かな配慮を行うとともに、国際化の進展、科学技術の進歩に対応するための施策についても必要な予算を確保したところであります。 この機会に各位の御支援に対し衷心より感謝申し上げます。 以下、昭和六十三年度一般会計予算における主要施策につき御説明申し上げます。 第一に、長寿社会対策につきましては、寝たきり老人等の要介護老人ができる限り家庭や地域において生活できるよう家庭奉仕員派遣事業、ショートステイ事業、デイサービス事業等の拡充に努めるとともに、訪問看護を初めとする総合的な在宅ケアモデル事業や介護技術向上のためのホームケア促進事業等を新たに実施することといたしております。 また、痴呆性老人対策につきまして、調査研究の推進、専門治療病棟の整備等を図ることといたしております。 さらに、生涯を通じて健康を確保するため、新 たな国民健康づくり対策「アクティブ80(エイティ)ヘルスプラン」を展開することとし、健康増進指導者の養成や健康増進モデルセンターの整備を図ることといたしております。 第二に、疾病対策につきましては、精神障害者の社会復帰対策を推進するほか、エイズ等対策につきまして、研究費を大幅に増額するとともに啓発、相談などの事業を進めることといたしております。 第三に、医療保険制度につきましては、国民健康保険制度につき、その運営の安定を確保するため、保険基盤安定制度の創設等を内容とする制度改革を行うことといたしております。 第四に、年金制度等につきましては、各種年金及び手当額の引き上げを行うほか、年金積立金の自主有利運用の拡大を行い、年金給付財源の強化を図ることといたしております。 第五に、生活環境施設の整備につきましては、NTT株式の売却収入の活用も含め、所要財源を確保いたしております。 以上のほか、引き続き医薬品等の研究開発に対する出融資制度の充実、中国残留孤児対策など諸施策の推進を図ることといたしております。 なお、冒頭に述べた財政の制約下にあって、やむを得ず厚生年金保険及び政府管掌健康保険の国庫負担につきまして、各制度の安定運営と被保険者等の立場に十分配慮しつつ、特例措置を講ずることといたしております。 以下、厚生省所管一般会計、特別会計及び政府関係機関予算の概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。 何とぞ、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
○委員長(関口恵造君) 次に、労働大臣から、労働行政の基本施策についての所信及び労働省関係予算の説明を聴取いたします。中村労働大臣。
○国務大臣(中村太郎君) 社会労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政について所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。 今日の我が国は、目覚ましい発展を遂げる一方、経済構造調整の推進や内需拡大などの重要課題を抱え、また、産業構造の転換や高齢化の進展など種々の構造変化に直面しております。こうした中で、名実ともに豊かな勤労者生活を実現することが求められており、私は、そのための労働行政を積極的に推進してまいる所存であります。 第一は、産業構造等の変化に対応した労働対策であります。 今後構造変化が進展する中で、労働力需給のミスマッチにより各種の雇用問題が発生することが懸念されております。このため、新たに産業・地域・高齢者雇用プロジェクトを実施し、雇用失業情勢の均衡ある改善を図ってまいります。特に、産業雇用対策の拡充強化を図るための法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。 また、雇用を取り巻く環境の大きな変化に適切に対処するため、新経済計画策定の動向を踏まえつつ、新雇用対策基本計画を策定することとしております。 さらに、外国人労働者問題については、労働関係法規違反に厳正に対処するとともに、いわゆる単純労働者は受け入れないというこれまでの基本方針のもとに鋭意検討を進めてまいります。 第二は、労働条件の向上と勤労者福祉の増進のための対策であります。 週休二日制の普及等労働時間短縮は、勤労者生活の充実や内需拡大等の観点から極めて重要な課題であり、週四十時間労働制に向けて労働基準法の改正も行われたところであります。このため、改正労働基準法の円滑な施行に努めるとともに、社会的、国民的合意形成の促進と労使の自主的努力に対する指導、援助に努めてまいります。 また、労働災害防止対策の一層の充実と健康の保持増進対策の推進を図るため、新たな労働災害防止計画を策定するとともに、この計画の効果的な推進が図られるよう、労働安全衛生法の改正法案を今国会に提出することとしております。 さらに、持ち家や貯蓄といった資産の保有を促進するため、勤労者財産形成促進制度の改善を図ることとしており、そのための法律案を今国会に提出することとしておりますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 中小企業労働対策については、中小企業の事業主と勤労者が共同して総合的な福祉事業を行うことを援助する等、その一層の推進を図ってまいります。 第三は、障害者等特別の配慮を必要とする人々に対する職業生活の援助等に関する対策であります。 障害者雇用対策については、重度障害者、精神薄弱者に重点を置きつつ、障害の種類、程度に応じたきめ細かな対策を総合的に推進してまいります。 一方、輸送革新の進展等港湾労働をめぐる状況の変化に対応するため、港湾労働者の雇用の安定及び改善等を図るとともに、労働者派遣を行う体制を整備すること等を内容とする法律案を、また、駐留軍関係離職者及び漁業離職者の再就職の促進等を図るため、関係法律の有効期限を延長することを内容とする法律案を、それぞれ今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。 このような労働行政の展開に加え、職業能力開発対策、高年齢者の雇用就業対策、パートタイム労働対策、男女の雇用機会均等の確保等女子労働者対策等を積極的に推進するとともに、良好な労使関係の維持発展を図るための環境づくりに努めてまいります。 また、今後の経済社会の変化に伴う行政需要に的確に対応するため、労働省組織の再編を行うこととしており、中央労働委員会と国営企業労働委員会についてはこれを統合するための法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。 なお、職業安定関係地方事務官制度の廃止等を内容とする法律案については、前国会から今国会へ継続審査となっており、よろしく御審議をお願い申し上げます。 以上、当面する労働行政の重点事項について私の所信の一端を申し述べました。委員長初め、委員各位の御指導、御鞭撻を賜りまするよう何とぞよろしくお願い申し上げます。 次に、昭和六十三年度一般会計及び特別会計予算のうち労働省所管分につきまして、その概要を御説明申し上げます。 労働省の一般会計の歳出予算額は、四千八百九十億二千九百万円で、これを前年度当初予算額四千八百八十四億三千五百万円と比較いたしますると五億九千四百万円の増額となっております。 次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。 この会計は労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、各勘定ごとに歳入歳出予算額を申し上げます。 労災勘定の歳入予算額は一兆八千三百五十八億四千万円で、これを前年度当初予算額一兆七千九百十九億八千二百万円と比較いたしますると四百三十八億五千八百万円の増額となっております。 また、歳出予算額は一兆二千百二十四億六千百万円で、これを前年度当初予算額一兆千七百七十九億九百万円と比較いたしますると三百四十五億五千二百万円の増額となっています。 雇用勘定につきましては、歳入歳出予算額とも二兆四千二十一億八千八百万円で、これを前年度当初予算額二兆二千三百七十億千八百万円と比較いたしますると千六百五十一億七千万円の増額となっています。 また、徴収勘定につきましては、歳入歳出予算額とも二兆八千五百十三億二千五百万円で、これを前年度当初予算額二兆七千三百五十三億四千六百万円と比較いたしますると千百五十九億七千九百万円の増額となっています。 最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定のうち、当省所管分としましては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として二百十八億二千四百万円で、これを前年度当初予算額百九十五億二千四百万円と比較いたしますと二十三億円の増額となっています。 昭和六十三年度の予算につきましては、特に、産業構造の転換や労働力の高齢化等の進展に適切に対処した雇用対策等に十分な配慮を行うなど限られた財源の中で各種施策について優先順位の厳しい選択と財源の重点配分を行うことにより、きめ細かく、かつ、効率的な労働施策の実現を図ることといたしております。 以下、主要な事項について、その概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。 何とぞ、格別な御協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。 以上です。
○委員長(関口恵造君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十八分散会