決算委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 268 件
- 登壇者
- 40 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1988/05/27
会議録
○委員長(穐山篤君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二十六日、田渕勲二君及び橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として久保田真苗君及び吉川春子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(穐山篤君) 昭和六十年度決算外二件を議題といたします。 本日は、前回に引き続き総括的質疑第二回を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○丸谷金保君 まず、外務大臣にお伺いいたします。 去る四月の十二日に、防衛目的のための特許に対する手続の細目と交換公文がアメリカ大使との間に取り交わされておりますね。それに基づきまして規程が出されて、いわゆる特許協定出願の手続、準協定出願の手続等が発表されましたので、拝見いたしたんです。前三回の委員会質疑で、協定については外務省が所管だということなんですが、この手続の中では外務省が全然手続の書類を受け取るという形の中で出てきていないんです。だから、この交換公文を終えた後は、もう手続関係については外務省は全然関係していないというふうにどうも受け取れるんですが、そうなんですか。
○説明員(有馬龍夫君) いわゆる協定出願の手続を決めまして、これが公にされているわけでございますけれども、その過程、手続そのものには外務省は関与いたしておりませんけれども、全体が国際約束を構成しているわけでございますから、それの解釈といったようなものにつきましては参画することになります。
○丸谷金保君 そうすると、手続の中身については外務省に聞いてもわからないですね。
○説明員(有馬龍夫君) 今外務省は関与するところがないと申し上げましたけれども、最終段階で、米国で秘密にこれが保持されているわけでございますけれども、これが解除されました場合にはその解除の通報は在京米隊を通じて外務省に来ることになっております。しかし、特許の申請の内容そのものにかかわる部分については外務省が承知するところはございません。
○丸谷金保君 つまり、外務省がかかわるのは、協定出願の解除通知が国防総省から防衛庁と外務省に来て、特許庁には外務省から解除通知を出す、ここのところでかかわるということですね。
○説明員(有馬龍夫君) さようでございます。
○丸谷金保君 そうしますと、その手続の解除前、出願のときの問題について、これは外務省に本来お聞きしなきゃならないと思うんですけれども、別紙一、外務省がこれは出している。防衛目的のためにする云々の議定書の関係規定を実施するための手続細目、これの別紙一、わかりますね。別紙一の(1)に、出願人は、アメリカ合衆国の関係法令に従って、日本国に協定出願すると、こうなっていますね。この場合の「関係法令に従って、」というのは、関係法令に従っているかどうかというのは、協定出願を行った場合に特許庁の方式審査の対象になるんですか、そういう意味で、「従って、」ですか、これは。
○説明員(有馬龍夫君) これは米側の手続について書いてあるところでございまして、「出願人は、アメリカ合衆国の関係法令に従って、」、「同国政府特許商標庁の許可を得なければならない。」とございまして、ここにある「関係法令」というのは基本的に米国の特許商標法であると思います。ほかにもあり得ると思いますが、特許商標法が基本的な国内法でございます。
○丸谷金保君 これは関係法令に従って協定出願を出してくるということになりますと、特許庁が受理した場合に関係法令に従っているかどうかということは方式審査しなきゃならぬでしょう、「従って、」とあるんですから。これはしなくてもいいということですか。
○説明員(有馬龍夫君) これはこの協定出願が、対日出願許可書という米国商務省特許商標庁から発給されているものを添付して出されますから、それをもって米国の国内法上の要件は充足されたというふうに我が方としては判断するものと思います。
○丸谷金保君 関係書類が添付されても、それが法令に従ったものかどうかということは審査しなきゃわからぬでしょう。何でも紙が張ってついてくればそれでいいということになるんですか。法令に従っているかどうかということは審査しなきゃわからぬでしょう。
○説明員(有馬龍夫君) これは繰り返しになりますが、対日出願許可書という書類が添付されております。これは米国商務省特許商標庁が発行したものでございまして、一連のことが書いてございますけれども、これを読みますると、米側の特許商標法上、秘密に取り扱われているものであるけれども、日本において先願権を確保するために出願してもいいということが書いてあって、これをもって米国の国内法上の要件が充足されている、この解釈は米国政府が行うことでございますから、これをもって受け付けるということでございます。
○丸谷金保君 その問題をやっていてもちょっと……。特許庁長官、補足して説明してやってください。方式審査の対象になるのかならないのかということです。
○説明員(小川邦夫君) 北米局長が御答弁申し上げましたとおり、方式審査におきましては、この米国特許商標庁が発行する対日出願許可書が添付されておることを特許庁としては確認をいたします。したがって、それ以上の細部についての検討ということではございません。
○丸谷金保君 つまり、法令に従っているか従っていないかというところまでは見ないということですね。 それで、実は本論に入る前に、きょうは防衛目的は何かということをやりたいんですが、どうもそういう点が、この手続を見ると非常によくわからない点がたくさんあるんです。例えば別紙の二枚目の三項に、「代理を行う弁理士を通じ日本国政府に提出する。」とあるんです。これは日本国政府のどこに提出するのか、これじゃわからないんです。恐らく防衛庁だと思うんですけれども、防衛庁という言葉がこの協定の細目に全然出てこないんです。この協定細目を見ている限りにおいては、防衛庁は全くかんでいないような感じしか出ていないんです。
○説明員(有馬龍夫君) これは事柄の性格といたしまして、提出の細目については公にいたしますことを御容赦いただきたいんですが、最終的には協定出願人が、自分が指定する弁理士を通じまして特許庁に申請する、出願するということになっております。
○丸谷金保君 最終的なことを聞いているんではないんです。いつでもそういうふうにはぐらかしますけれども、(3)は「アメリカ合衆国政府は、同国政府が発行する協定出願たることを証明する書面を出願の代理を行う弁理士を通じ日本国政府に提出する。」と。「証明する書面を」ですよ、協定出願をじゃないんです、これ。協定出願を特許庁に出すことはわかります。しかし、その前段が全然この協定細目からは見えてこないんです。 それで、これが書面を出す日本国政府の相手方というのは防衛庁、ここにしか考えられないんですが、どうなんですか。
○説明員(有馬龍夫君) これは「アメリカ合衆国政府は、同国政府が発行する協定出願たることを証明する書面を出願の代理を行う弁理士を通じ日本国政府に提出する。」、この「日本国政府」は特許庁でございます。
○丸谷金保君 そうしますと、出願を受けた代理人が、国防総省から出願申請のいろいろ書類をもらいますね。そしてその代理人は、防衛庁関係なしに協定出願に必要な関係書類を特許庁にいきなり出すんですね。違うでしょう。
○説明員(有馬龍夫君) 細目上そのとおりでございます。
○丸谷金保君 そうしますと、前回私が聞いたときに、例えば出願通知の番号とかいろいろな細かいことは特許庁はわからないから、防衛庁が出願番号を秘密指定をして、協定出願届を防衛庁が受けて、代理人を介してそれをつけて協定出願をするというふうなことは全く外れるということね。防衛庁は協定出願までの間に全く関係ないということですね。出願人が代理人を通して特許庁に出す、この間には防衛庁は全く関与しないと。
○説明員(有馬龍夫君) これは協定出願として日本政府に、特許庁に出願することのできる知識と申しますのは、他方においてMDAの細目取り決めであります米国において秘密に保持されている、防衛上の目的をもって非公開の扱いをされております特許の対象を示す知識が、防衛の目的をもって我が国に提供されていなければならない。その対象を含むものが米側からその特許権を有している人、あるいは代理人によって我が国に協定出願としてなされた場合に、我が方としては類似の取り扱いをするということでございまして、二つの話があるわけでございます。したがいまして、前者については米国において秘密に軍事的な目的で取り扱われている特許出願につきましては、それが米政府から我が国政府に防衛の目的で提供されている場合、その話につきましては防衛庁が当然一義的な責任を持たれるということでございます。
○丸谷金保君 この間の答弁と違うんですよ。この間私は通産省公報によって、「本出願により公になる協定出願」の、事件の表示、発明の名称、出願人の氏名等は、これは準協定出願ですが、準協定出願の場合でも特許庁はわかるのかと、それから協定出願の場合の許可書の整理番号、これは防衛庁から聞くんでしょう。ですから、代理人はこれを協定出願する場合には、まず協定出願の態様であるかないかということを防衛庁に聞かなきゃわかりませんね。特許庁わかりますか、それ。
○説明員(小川邦夫君) 先日お尋ねにお答えしたとおり、あのお答えの場では準協定出願とのかかわりで協定出願の内容がわかっておるのかというお問いただしについて、それはわからない、出願代理人が事前に準協定出願として出すからには、そのもとの協定出願がその準協定出願で明らかになるかどうかを防衛庁にチェックを受けることでないとわからない、特許庁としてあらかじめそこの関係はわからないと、こういうことを申し上げたわけでございますが、今お尋ねの部分の協定出願そのものの問題につきましては、五六年協定の手続細目においては出願人は代理人を通じてストレートに特許庁に持ってまいるという意味では、北米局長がお答えしたとおりでございますが、その裏に技術提供の交換公文に基づく国防省の提供という部分について防衛庁がかむと、こういう意味合いと理解しております。
○丸谷金保君 それで、結局、出願番号が決まると、これは特許庁から代理人を通して防衛庁の方に連絡いたしますね。しかし、協定出願に値するかどうかということ、これは特許庁、今お話もありましたように、要するに、アメリカから紙を張ってくれば、方式審査もしないでそれはそのまま認めるということですね。そうすると、それが防衛目的に関するものかどうか、協定出願に値するものかどうか。実際に技術提供があって、防衛庁がそれを使っているのかどうか、こういうことは今の流れの中からだけじゃ全然わかりませんでしょう、特許庁としては。どうなんですか。
○説明員(小川邦夫君) 協定出願を受理するに当たっては、私どもが確認いたしますのは、アメリカ側の外国出願許可書がついておることの確認をもって処理しますもんですから、御指摘のように防衛目的に合致しているかとか、現実に日米間で提供されている技術であるかどうかということについては、特許庁としては一切その受理の段階で見ることはございません。むしろ提供そのものは交換公文に基づいて防衛庁が管掌なさっておられるところでございます。
○丸谷金保君 結局、特許庁の方としては、通産省としては中身は全くわからないまま預かるということですね、上がついてくれば。そうすると、これがやっぱり防衛目的のためのものか、あるいはMDA協定に該当しているものかどうか、そういう判断というのは防衛庁がせざるを得ないんじゃないですか。どうなんです。
○説明員(有馬龍夫君) さようでございます。
○丸谷金保君 それで、防衛庁長官にお伺いしたいんですが、この防衛目的というのは一体、今までいろいろ御質疑申し上げてきたけれども、全然どこも明確に答えられないんです。防衛目的というのは何なのか。交換公文にもあるし、いろいろなところで防衛目的という言葉が使われています。この四月十二日も、これは防衛目的のためにする特許権なんだと。ところが、その防衛目的というのは何だということが何度聞いてもわからないんです。これは日本国政府がやるんだという答弁しか返ってきていないんですが、防衛庁長官、どうなんですか、それでいいんですか。
○説明員(山本雅司君) 委員長……
○丸谷金保君 いやちょっと、あなたはこの間わからないと言っているんだからもういいんだ。
○説明員(山本雅司君) 一言長官の御答弁の前にちょっと――委員長よろしゅうございますか。
○委員長(穐山篤君) 答弁してください。
○説明員(山本雅司君) 防衛目的のためにその技術情報の供与を受けるという場合には、基本的には我が国の防衛力の改善向上のための装備品の開発が主体になるわけでございまして、将来の、あるいは現在も含まれますけれども、そういう装備品の向上あるいは改善に資するようなもの、これが主たる技術情報になるかというように考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 秘密保護法の対象になる装備品、これはわかるんですよ。しかし、ここではもう防衛目的というのはその装備品に限らないんです。非常に幅広く、例えば三月三十一日に岡本さんが、「我が国全体の防衛能力の発展といったことも防衛目的に含まれる」と。いいですか。これは装備品ですか。だから私の聞いているのは、そういう幅広いということになると、それは防衛庁の装備局長の段階では答えられないとこの前あなた申しましたね。だからあなたに聞いてもしようがないと言うのです。だから大臣はどうなんだと聞いているんです。
○国務大臣(瓦力君) ただいま装備局長が答弁をいたしましたが、防衛目的、このことにつきまして、この判断は第一義的には防衛庁が行うわけでございます。最終的には政府全体で考えなければならない問題ではございますが、今申し上げましたように、我が国の防衛目的に資するか否か、また考えてまいりますと、装備品の研究開発、その研究開発への利用に役立ち得るか否か、こういうような観点で行われるわけでございます。今委員が御指摘のように、幅広い防衛目的ということになりますと政治的な配慮も含まれるではないか、こういうようなことでございますが、今委員のお尋ねになる幅広い防衛目的ということになりますと、我が国の存立を図るために国が外交上なすことも私はあろうと思うわけでございますが、今限って装備品の問題と申し上げておりますのは、このたびの装備品にかかわる技術の問題ということでございますので、装備局長が先ほど答弁をいたしておる、そのようにお答えして御理解いただけると思うわけでございます。
○丸谷金保君 四月十二日の取り決め、これはいわゆる秘密保護法の対象にしている装備品、例示規定がありますが、これだけではないんですよ。例えば、この前段にあるのは五六年協定でしょう。五六年協定の中には防衛目的というのは防衛目的のための秘密情報も入るんです。秘密情報というのは装備品でないですね。防衛目的のため一方の政府が他の政府に対して提供されたものは内密に知らされたものとして取り扱うという条項が二条にあるんです。今まで三条だけ皆問題にしているんですが、私は二条の方が問題だ。ここでは装備品だけでなくて、要するに提供されて防衛庁がその技術を使って装備その他に使うというものだけでなくて、単に情報として知らされたものも防衛目的である場合には秘密にしなきゃならぬ。だから防衛庁長官、第一義的にということを盛んに装備局長もこの間から言っているんです。第一義的にそうだけれどもあとは政府だ、じゃ政府にそういう機関があるのかということになりますと、国防会議というのがありますね。ここで防衛目的は何だということを一体討議したことはあるんですか、防衛目的とは何ぞやと。防衛目的なんですから、これは定義がはっきりしなかったら際限もなく広がっていきますよ。
○説明員(山本雅司君) 今委員御指摘のように、防衛秘密保護法の方は、これは防衛装備に関連するものでございます。それからこちらの技術交流のための協定の二条、これは装備品に直接関係するものだけではございません。それはまさにおっしゃるとおりでございます。ただ、二条で言っておりますのは、「情報として技術上の知識を提供し、」ということでございますから、あくまでもこれは技術上の知識に限定されるわけでございます。 したがいまして、具体的にそれじゃ装備品でない技術上の知識とはどういうものがあるのか、こういう具体的なお尋ねだろうと思いますが、これは装備品というのは割合具体的な物になるわけでございますが、その物になる前に、基礎的な技術であるとかあるいは基盤的なものであるとか、装備品に必ずしもまだなっていないような一般的な技術情報、しかしそれは、我が国の防衛目的、防衛の維持向上に役立つような技術情報、こういうものがここに含まれるというように我々は解釈しておるわけでございます。
○丸谷金保君 ここに、米国国防総省技術調査団報告というのがあります。この中で、国防会議というのは防衛庁と通産省と外務省で省庁間の協議をしていく、そしてその事務分掌もずっとできておりますが、これによりますと、アメリカが志向している防衛目的という中に、光電子工学とかミリ波、マイクロ波の技術、こういう克明なレポートが出ているんです。電子工学、光ファイバー、これは全部防衛目的に入っちゃうんですよ。そういうことでいいんですね。私は定義はどこまでだというのはそういうことなんです。日本で平和産業に使われているものがことごとくアメリカ側からいうと防衛目的に入るんです。ということですね。
○説明員(山本雅司君) 今お示しのレポートは、多分アメリカ側が日本の先端技術、これは主として民間が開発している技術でどういうものがあるかというものを調査したレポートであろうと考えられます。したがいまして、これが防衛目的かどうかという点につきましては、これはアメリカ側の方の判断になるわけでございますが、具体的に我々が考えるのは、技術そのものは実は民間が持っているものでございます。これがアメリカ側でどう使われるかということは、実はこのレポートのずっと後の段階に来るわけでございまして、今の調査は一般的に日本がどういう技術を持っているかという調査であったと私は記憶しておるわけでございます。
○丸谷金保君 そういう調査をして、こういうものが防衛目的に使われるというレポートを出せば、一九八三年の日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器技術の供与に関する交換公文がありますね、これによってアメリカ側からこれを防衛目的として提供せいと言われた場合に、日本国政府はそれについては努力するという約束をしておりますね、いわゆるしばしば問題になるエンカレッジという言葉で。日本国政府はエンカレッジという言葉には義務、いわゆるオブリゲーションがない、こういうふうに言っていますけれども、この秘密協定が五月号の文春に出ておりましたが、それを見ましても、努力すると。こういうことになりますと、エンカレッジという言葉で、日本はそれは義務はないんだ、努力すればいいんだと言うけれども、半導体のときもそうでしょう。努力したけれどもちっとも買ってくれなかったじゃないかということになれば、努力したということにはならないというのがアメリカ側の意向です。だからこの場合も、アメリカ国防総省が調査して、こういうものが欲しいと日本政府に言ってきた場合に、日本国政府は、それは民間だから直接やってくださいと言ってほっておくわけにいかない義務をしょっているんです、一九八三年の武器技術援助協定の交換公文で。そうしますと、政府として努力をして、努力をしたけれどもだめだったということは、アメリカ側は努力しないというふうに理解しますよ。どうなんです、これは外務省、そう思いませんか。
○説明員(有馬龍夫君) そのような義務は負っておりません。
○丸谷金保君 義務は負っていないけれども、アメリカ側は結果を強く見て、民間の技術でこういうのは防衛目的のためだから交換公文によって日本政府が努力をしてアメリカ側に出せ、欲しいと。民間が全部だめだというと、しかしその場合には、日本には得意の行政指導というのがあります。そういう点で結局日本政府が企業に対して圧力をかけることにならざるを得ないのじゃないか、こういう心配が四月十四日の社説で新聞社の記事にもありました。こういう心配はやっぱり世論もしているんです。あなたはそんな義務はない、だから企業が嫌だと言って断われば断わったでそれは企業の自主的な意思だ、あるいはアメリカと共同開発して研究して製品を売り込みたいと思うところは出せばいいんだし、嫌だというところは出さぬでもいいと、そんな簡単に割り切れますか。これは大臣、そういうときになったら外務大臣ですか。それでもって簡単に今局長の言うように、政府は簡単に割り切れますか、努力しようとしたで。
○説明員(有馬龍夫君) 先生が先ほど引用されました対米武器技術供与に関します部分は、これは当時官房長官談話でも明らかにいたしましたように、米国に対しましては、武器技術について道を開くということを決めて、そしてその結果として、防衛面における技術の交流が盛んになるであろうという見通しを述べたものでございます。権利義務といったものを定めたものではございません。
○丸谷金保君 外務大臣、今局長が答弁したようなことで、国と国との間でエンカレッジ、いわゆる努力する、オブリゲーションではない、義務じゃないといっても、だからゼロで、日本政府はそれで済みますか。済むのなら、半導体摩擦だって起きなかったでしょう。あるいは今日本建設市場への外国企業の参入問題だって起きないんですよ。日本政府はやはりそれだけの、例えば参入を歓迎すると建設業の場合でも言ったら、具体的にその実が上がらなければアメリカは了解しないのじゃないですか。どうですか、そんなことはないと言い切れますか、外務大臣。
○国務大臣(宇野宗佑君) これは貿易の問題ではなく、あくまでも特許出願、高度の技術という問題でございますから、今おっしゃった半導体の商品取引ではないということだけは事実でございましょうし、また公共事業のトレードフリクションでもない、こういうふうに分けて考えていただけばどうであろうかと思います。 日米間は、今日は安保体制でがっちりと国民の生命、財産を守る、お互いにそういう体制を組んでおるわけでございますから、したがいまして、やはり守るためには高度の装備というものも必要であろう。その高度の装備についての情報がアメリカで秘密を保たれる場合には日本においても類似のそうした取り扱いをしてほしい、これは私は当然のことであろうと思います。 今いろいろ御懸念がありました半導体の問題とか、あるいは公共事業の問題とはまた別の分野の問題として、私たちはお互いに、五六年に既に国会において承認を賜っております協定の内容を、さらに今回はそうした取り扱いをすることをしたのだ、こういうふうにお考えを賜りましたならば、今いろいろと述べられました御懸念に関しましては、さらさらそうした御懸念には及ばない、北米局長が答えたとおりである、私たちはかように思っておりますので、そのように御理解を賜りたいと思います。
○丸谷金保君 そういうふうに思っておっても、そういうふうにならないんです、アメリカ側の要求が。これは「世界週報」の技術調査チームの最終報告というのが日本でも出ておるんですが、それを見ましても、米国の軍事技術開発への応用の可能性が非常に日本の技術分野で高いということをるると述べております、細かい具体的な数字を挙げて。それで、そのほとんどが民間技術なんです。そうしますと、私はもう一度懸念だけ表明しておきますが、通産大臣も、防衛庁長官もこれは聞いてください。アメリカの軍事機密を日本に使わせてくれるための協定なんだという、日本がこれが一方的に非常にいいような御答弁ばかりなんです、今まで。しかし私は、そんなことはないと思うんです。時間がもうありませんので、また次の機会にこれは譲ります。通産大臣、外務大臣、防衛庁長官、結構でございます。これで終わったのじゃないので、入り口からちっとも入れないんです。 今度は、農家負債の中で特に農用地開発公団に関する問題に絞ってあと御質問申し上げようと思うんです。 それで大臣、四月十八日の私の質問に対して大臣はこう答えているんですね。「どうも聞いておりまして、私の常識からはちょっとかけ離れている御質疑でございまして、実は驚いております。そんなのが本当に何ぼあるんかいなと実は思っております」と。それからさらに、「話を承りました。要すれば、問題は倒産状態にあり離農しなければならないそういう人たちに対する配慮がいかがなものか、こういうことでございます。市町村においては瞬間タッチ的な経緯にある、」、それから云々とありまして、「個別的に元本優先等々の弾力的な現実に合ったやり方をやはりすべきであると思いますし、さらに検討をさしていただきたい」と。もうそれから一カ月以上たっておるんですが、そういう点でさらに検討していただきましたか。
○国務大臣(佐藤隆君) ちょっとあれから慌ただしいいろいろな問題を抱えておりまして、恐縮でございますが、そう詰めた論議はしておりません。ただし、公団に対して検討せよ、こう言っているんです。 私が、いやそんなこともあるんかいなと、こう申し上げたのは、実際驚いたから驚いた表現をしておるわけでありますけれども、換気扇だとか火災報知機だとかそういうことでうるさい話があって、そんなことが大体必要なのかというような話等もございましたので、実はその部分については私全く驚いたわけでございます。なお実態等を踏まえながら公団に検討はさしております。
○丸谷金保君 それで、その後恐らくレクチャーをいろいろわずかな時間でも受けられて、いや丸谷議員はああ言っているけれども、あれはこうであれはこうでといろんな反論を承ったかと思うんです。
○国務大臣(佐藤隆君) いや、そんなことはない。
○丸谷金保君 それで、さらにきょうは写真を持ってきたんです。 〔写真配付〕
○丸谷金保君 いいですか、一番目からひとつ大臣見ていただきたい。(写真を示す)一番目、いいですか、これは本郷牧場というのですが、離農しているんです、一番立派なサイロを建てて。離農しているというより離農できないでいるんです。牛はもう一頭もいないんです。それで、離農しても借金が払えないから離農できないで、だんなさんはほかへ出稼ぎに行って、それで食うだけ食っているけれども、全くどうにもならない。それで、こちらの方には同じ年に同じ農水省の補助事業で肉用牛施設整備事業というんですか、こういうのをやっているんですが、この方はちゃんとやっているんです。 それで、この三番目を見ていただきたい。これは換気扇があります。これは私がもう現地へ行ってちゃんと一緒に写真を撮っているんですから。この部屋の中に、これは本郷牧場ですが、換気扇が四個ついているんです。それは一度も回したことはない。それで、同じ寒い地帯だからあれでしょうが、一番目のこの第3肉牛生産組合の建物、これも同じように密封式で、これには換気扇はついていないんです。農用地開発公団の方には換気扇がついていて、直接の補助事業で自治体がやったところには換気扇をつけない。これはどういうわけなんですか。片方にどうしてもつけなきゃならぬものなら片方にもつけなきゃならぬでしょう、同じ町の中で。どうして片方つけて片方つけなくていいのかわからないんです、どなたでも頭のいい方は教えてください。
○説明員(松山光治君) まず、今、本郷牧場という具体的な牧場の名が出たわけでございますが、ここはたしか二十六戸の経営体が入っておりまして……
○丸谷金保君 そういう話はわかっているから質問だけ答えてください、質問だけ。
○説明員(松山光治君) いろいろと御要望を踏まえながらやってきた事業でございますが、本郷牧場についてはやはり持ち込み――入植の際の負債の大きさがかなり大きく響いたということと、それから技術的な問題もございまして、去年の暮れに経営を中止しておるというふうに承知しておるわけでございます。 今お尋ねの換気扇の問題でございますが、公団設計事務所から聞き取りましたところによりますれば、ここの牛舎は繁殖牛舎でございまして、受益農家からひとつ閉鎖式の牛舎にしてもらいたいという要望がございました。公団の方といたしましては子牛の事故率を心配する、あるいは作業性の向上といったようなことも頭に置きまして、特に冬季におきます結露の防止、あるいはアンモニアガス等の排除ということで……
○委員長(穐山篤君) 簡略に答弁してください。
○説明員(松山光治君) やはり換気扇が要るんじゃないかという問題意識のもとにいろいろな文献等も調べまして検討を行いまして、それでやはり要るんじゃなかろうかということで受益者なりあるいは地元とも相談の上でそういう設計にしたというふうに承知しておるわけでございます。
○丸谷金保君 一番目のこっちも子牛の繁殖施設なんですよ。だからあなた、そういうきのうあたり池田へだれか入って一生懸命調べていたようですが、きのう聞いてきたような話をそこで答弁長々とされたんでは時間がないから困っちゃうんだ、いいですか。 これは片方の方もやっぱり子牛の繁殖農家なんですよ、いいですか。あなたの言っていることは何も理由が立たないでしょう、片方がなくて片方が子牛を繁殖するためにはいろいろとか言ったって。 私がなぜそれを問題にするかというのは、そういうことのために単価がもうべらぼうに違うんです。いいですか。片方は平米当たり七万五千円で、片方は三万四千五百円で平米当たりできているんです。そして、その本郷牧場の方は腰ブロックだから高くなるんだと前に言っておりました、説明に来た人が。ところが、もう一軒の方はやっぱり腰ブロックなんです。こういうふうにむちゃくちゃに値段が違ってくるんです。 この換気扇だって地元と相談したと言うけれども、私が現場へ行って聞いたら、そんな相談は何も受けなかったと。図面を見せてもらって、これでいいかと言われたから、はいと言っただけで、それにこんなものが入っていたんですねと、それだけの話ですよ、聞いてみたら。だから、見せたんだから了解したんだと言ったって、それはそんなものじゃないです。農家の人に青図面を見せて、見たじゃないかと言ったって、それは要らない換気扇をつけた理由なんかにはならないんです。 それから井戸、これもこの三番目でお母ちゃんと一緒に撮っているんですが、これは立派な井戸、本郷牧場の換気扇の横にありますね。これは川に水を投げているんです。自噴なんです。ところが、これが一基千十三万四千円かかっているんです。それから今度は四番目の方の井戸、水量もはかってみました。毎秒四十リッターぐらい出るんです、どっちも。これは一本百八十万でできているんです、いいですか。五倍以上違うんです。それは違う理由はどうしてかということで調べたらこれは違う理由があるんです。四番目の横の方にあるように、ポンプをつけて膨大な施設をこの本郷牧場の方はやっているんです。膨大な施設で、ポンプなんか何も使わないんですよ、これも。水はじゃんじゃん自噴して出ているんです、投げているくらい。しかもこの川は凍らないんです。一千万も出してポンプつきの井戸を堀らなきゃならない理由はないんです。それで説明に来た人は私に、水が出なかったら大変だし、ポンプにしなけりゃ近所に迷惑かけるからやったんだろうと言うんだよ。ところが公団のものは近所に迷惑のかかるところ、かからぬところ全部同じ費用なんです。 ここだけじゃないんです。もう一件別なところも調べてみましたがそこもやはり同じなんです。この片方で川合というところなんですが、千代田とすぐそばで片方も自噴している。それから本郷牧場のところだって周りにずっとはるかにうちがないんですから、そんな影響を与えるとかそういうことはあり得ないんですよ、自噴していても影響ないんですから。それを影響を与えるかもしらぬというようなことでやっている。それでべらぼうに高くなっているんです。こんなのは前回のときのように、農家と相談したからあたかも農家の責任で借金が払えないのは悪いんだということだけにはならぬ、大臣、そのことをよく理解していただきたいと思うんですが、いかがですか、これは。
○国務大臣(佐藤隆君) 前段の先ほどの質問に、おれの言っていることなんかどうせいいかげんだとこう言われましたが、私は先生をそんなことに思っておりませんで、四月十八日にも私はちゃんと議事録にありますが、見識あるあなたのことについて、「見識ある委員のいろいろな御発言をちょうだいいたしましたが、またその都度お教えもいただきたいと思います。」と、こう申し上げておるんでございまして、決して粗末にしておりませんから、議事録に残って失礼なことになると悪いですからはっきり申し上げておきます。なお、後段について私は当時、「画一的であっていいのかどうか、こういうことも私感じ入りました。」、ぴんときました。だから個別的に弾力的な現実に合ったやり方をやはりすべきであると思いますし、さらに検討させていただきたいと思う。こういうことで局長にも公団の理事長にもその趣旨はちゃんと含んでおるはずでありますから、あと答えさせます。
○丸谷金保君 もう時間も二、三分ですから、今の大臣の言葉を了として、本日の質問はこれで終わります。
○井上裕君 通常国会を終わりましての決算委員会、大蔵大臣初め各大臣大変御苦労さまでございます。きのう、きょう総括でございますが、私は当面の問題二、三につきまして御質問をいたしたいと思います。 初めに厚生大臣にお伺いいたしたいと思いますが、まず医師、歯科医師の養成と国家試験の問題についてお伺いいたします。 昭和二十二年にこの国家試験制度が行われたわけでありますが、ことしの医師国家試験の合格率は八一・二%であります。約九千七百人の受験者のうち千八百人が不合格となっております。また、歯科医師国家試験について見るとことしの合格率は八四・四%であります。約三千五百人の受験者のうち五百五十人が不合格となっております。これらの不合格者の救済策としてこれまでは年二回国家試験がそれぞれ行われたわけであります。春の国家試験の不合格者は秋の国家試験で救済されておりました。しかし、種々の事情また厚生省あるいは医師会、歯科医師会いろいろな協議のもとに医師国家試験は昭和六十年から、歯科医師国家試験は昭和六十一年から秋の試験が廃止されたために、国家試験の不合格者は他の分野に転身しない限りさらに一年間来年の国家試験に向けて浪人生活を余儀なくされるわけであります。年かけても合格しないときは何年間も浪人して、ことしは六十数歳の方が受験しているわけですが、国家試験に挑戦している者もいるわけです。 そこで厚生省にお伺いいたしますが、厚生省はこのような国家試験の不合格者について受験回数別の合格率を把握しておられますか。この間の新聞によりますと四回受験すれば合格率は医師で約三〇%、歯科医師では〇%、受験回数三回までの者と比較して合格率が非常に悪くなるわけであります。このような方々は医師としての適性に欠けているだけでなく、国家試験が年一回になった今日、本人に何年もの浪人生活を強いており非常に酷な制度であると思います。私どもはやはり年二回にしろということではありませんが、年一回でも結構ですが、これにつきまして厚生省の御所見をお伺いいたしたい。
○説明員(仲村英一君) 医師、歯科医師の国家試験の受験回数別の合格率でございますけれども、御指摘のように一回目の方たちの合格率がやはり一番高いわけでございまして、医師で申し上げますと第一回目の国家試験の合格率が八六%、以下二回が六七%、三回が四四%、四回が二八%、五回が三二%となっております。それから歯科医師でございますが、第一回の新卒の合格率は先ほどおっしゃいましたように八六・五%、二回目は七〇%、三回目は六三%、それから四回目はゼロというのはお二人しかおられませんものでしたですから数としてはゼロになっております。それから五回が一一・八%ということで、受験回数が多くなるに従って合格率が低くなっていることは御指摘のとおりでございます。
○井上裕君 今、回数別の話があったわけですが、医師、歯科医師の国家試験の不合格者が何回落ちても国家試験に挑戦する理由は他に転身する道がないというのが原因であると思います。 そこで提案でありますが、現在医学部を卒業した者には自動的に診療放射線技師、レントゲン技師あるいは臨床検査技師の免許を与える、あるいは歯学部を卒業した者には現在は歯科技工士の資格を与える試験があるそうでありますが、これなどは医学部六年、歯学部六年、当然それぞれの臨床検査技師であるとかレントゲン技師、あるいは歯科技工士という形はすぐできるわけでありますので、特例措置を設けてこの医師、歯科医師国家試験不合格者の場合これらの医療関係者になる道をつくってはどうか。そうすれば大勢の国家試験の浪人が救済されるわけであります。この点ひとつお伺いいたします。
○国務大臣(藤本孝雄君) 大学の医学部を卒業した者には自動的に診療放射線技師や臨床検査技師の免許を与える、歯学部を卒業した者には自動的に歯科技工士の資格を与えるなどの法律上の特例措置を設けてはどうかとという御提案でございます。 よくお考えはわかるわけでございますけれども、やはりこれらの医療関係職種も人の生命、体を扱うわけでございまして、これらの資格を無試験で与えるということはやはり適当ではないというふうに考えております。しかし、これらの対応といたしまして、卒業した方々について国家試験の受験資格を与えるという形での対応が一つはあろうかと思うわけでございまして、現状におきましては、御承知のように医学部の卒業生につきましては臨床検査技師の受験資格を認めておりますし、また歯学部を卒業すれば歯科技工士の受験資格を認めておるわけでございまして、これらの受験資格をさらに広げてまいる。例えて申し上げますと、理学療法士であるとかそれから臨床工学技士であるとか、こういう受験資格を医学部卒業生に認めるとか、また歯学部の卒業生にはさらに歯科衛生士の国家試験の受験資格を認めるということで対応を考えたらどうかなというふうに考えておりまして、大学関係者の皆さん方の御意見も聞きながら、今後の非常に重要な研究課題というふうに考えておりますので、検討してまいりたいと考えております。
○井上裕君 厚生大臣の今のお話はわかりました。私はいわゆる医師、歯科医師の国家試験を易しくしろということを言っているんじゃありませんから、これはあくまでも現状あるいはそれ以上にしていただく。後で文部省に関連いたしますが、そこで今現実に落ちている方々が相当いるわけですね。これは世界各国を見ても、医師、歯科医師の国家試験に通らない人がロンドンではタクシーの運転手をやっているのもいる、こういう人たち、今高齢化社会のときに六年の教育を受けている、国家試験を通らない、そういう方々はやはり老人福祉施設へ、大変失礼ですけれども、素人の方々が今介補士とかいろいろな名前で行っておりますね、精神科あたりに。そういうようなところでもやはり何らかの、厚生省が医師会、歯科医師会と図って、今いる人たちを救ってもらいたい。現実に、今言うように四回以上の人は三〇%とか〇%。何回受けても通りません。そういう方々はそういうような医者、歯医者の学校へ行ってそれで医者になれない、歯医者になれない。これはやはり当人のこともありますので、何か救護策を講じてもらいたい。これは要望いたします。 そこで、文部大臣または文部省にお聞きするわけでありますが、先ほどことしの医師国家試験の合格率八一・二、八四・四と言いました。これらの国家試験を受験するためにはその前提として大学を卒業していなければならない。しかし実際には、大学で六年間かけて勉強してもストレートに卒業できない者が大勢いる。そこで文部省に伺いますが、大学の医学部、歯学部で六年間勉強してもストレートに卒業できない者は大体どのくらいいるんでしょうか。実情を把握しておりましたら、概略で結構ですから数をお知らせ願えればありがたいです。
○説明員(阿部充夫君) 御質問にございましたように、医学部、歯学部、これは修業年限六年ということになっておるわけでございますが、六年間を経ましても、なおストレートには卒業できないという者があるわけでございます。この数字を申し上げますと、六十二年の五月、昨年の五月現在の数字でございますが、医学部関係が約三千人、それから歯学部で約千人ということでございました。これは在学生の数との比率で見ますと、医学部で五・七%、それから歯学部の方で五・〇%というような数字になっております。
○井上裕君 この数字を見ると、例えば一年、二年でもっといるような感じがするんですけれども、ちょっとそれは後で調べてください。 大学の医学部、歯学部で六年間勉強して国家試験を何回受けても合格できない、今言ったとおりでございます。これは大学に入学させるというところにそもそも問題があるのではないか、このように思います。今、医師、歯科医師過剰問題のさなか、将来よい医師あるいはまた歯科医師となるために、そのために必要な資質を有していることが必要だと私は思います。 そこで、大学医学部、歯学部の入試におきまして、医師、歯科医師として必要な能力あるいは適性を判定するような学力検査以外に多様な選抜方法を積極的に導入すべきだと思いますが、文部省の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(中島源太郎君) おっしゃるとおりでございまして、私どもも医学部、歯学部の入学者選抜につきましては、その学生の方々の能力、適性、それから医学、歯学を学ぶという目的意識、これは皆さん持っておられると思うんですけれども、その目的意識が明確かどうかといった観点から選抜を行うことが重要だという立場に立っておりまして、学力検査以外に、例えば面接ですとか、小論文を出していただくとか、それから高等学校の調査書の活用をいたしますとか、あるいは適性検査、推薦入学等を各大学の選抜のねらいに合わせまして適切に組み合わせて実施することが望ましいということで、この線に沿いまして機会あるごとに要請を申し上げておるところでございます。 また一方で、先生も御存じと思いますが、いわゆる問題解決能力を判定するものといたしまして、アメリカの医科大学協会が行っております全国的統一試験の一部導入につきまして、医学部関係者の研究グループによりまして検討をされておると伺っております。また文部省としても六十二年度から科研費補助金を三年間で約千五百万円でございますが、交付をいたしまして支援を申し上げておるところでございます。今後とも先生おっしゃるような方法で多様な選抜方法ができますように、入学者選抜の一層の改善に取り組むよう期待を申し上げているところでございます。
○井上裕君 この問題はもう十年以上も私自身、文教委員会あるいは決算委員会、社労委員会でやっているわけですが、医師、歯科医師の過剰問題は本当に進まない。昭和七十年を目途として新規参入を医学部について一〇%、歯科医師二〇%削減すべきということを、厚生省の検討委員会報告及び文部省の改善会議の提案が出ておるわけでありますが、文部省としても入学定員の制限に努力することはわかっておりますが、なかなか入学定員を削減しても実際の入学者は定員を上回っておる。特に、私立大学の模範であるべき国公立が定員を守れない。那辺にあるか。水増し入学が行われている。ひとつ文部省はそういう面もよく実態をぜひ把握してもらいたい。各大学に入学の定員を厳しく守る、これを徹底していただきたい。 これは何度もお願いしているわけでありますが、私は私学振興の立場も、やはり定員を守っていない大学には徹底して、それこそこの決算委員会で取り上げるべきではなかろうか。もう定員を上回ってそれをやって、そして文部省がやはりこれを見過ごすということだけれども、もっと徹底した態度で臨んで、今やっても六年間かかるわけです。もう既に医師、歯科医師が多いという現況ですから、これをひとつ強くお願いいたします。これは大臣から御回答いただければありがたいと思います。
○説明員(阿部充夫君) 数字の問題もございますのでちょっと私からお答えをさせていただきますが、医学部、歯学部の水増し問題ということにつきましては、先生の御指摘もございまして、私どもも年々鋭意指導に努力をしてまいったわけでございます。定員との比較で申しますと、昭和六十三年度の入学者は医学部の場合に昨年度は入学定員に対しまして二・一%上回って入学さしておったわけでございますけれども、今年度昭和六十三年度は〇・九%上回るという程度にとどまってきておるわけでございます。また、歯学部の場合には、これは入学定員に対しましては募集人員をより制限をして募集をするということが現在行われておりますので、その関係から入学定員と比較いたしますと、昨年度は二・六%下回っていた、ことしはさらに三・九%下回って入学させているというような状況にあるわけでございます。 しかしながら、先生の御指摘にもございましたようにこれは全体の平均値でございまして、一部の大学においてなお時折入学定員を相当上回る入学を認めているというようなケース等もあるわけでございまして、文部省といたしましては全国国立大学医学部長・附属病院長会議といったような会合を利用いたしましてこの入学定員の厳守について指導いたしますとともに、特にオーバーをしている大学につきましては、個別に厳重にこれを守るようにという指導をしておるわけでございまして、今後ともそういう方向に即しまして鋭意御趣旨に沿うように厳しい指導を重ねてまいりたいと、かように存じております。
○国務大臣(中島源太郎君) 具体には政府委員からお答えを申し上げましたけれども、私どもとしても今後とも国公私立を通じまして入学定員の削減や定員の厳守につきましてさらに指導をいたしてまいりたいと思っております。
○井上裕君 厚生大臣、文部大臣、結構でございます。 与えられた時間が三十分ということで、スピード質問いたします。 次に、石原運輸大臣にお聞きいたします。 成田空港への鉄道アクセスの問題でございますが、先般石原運輸大臣が衆議院決算委員会、そしてまた成田の空港の十周年記念におきまして、旧成田新幹線の施設と既成線をつなげて東京へ乗り入れを進めたいということが地元紙を含めて新聞報道されました。成田空港アクセスについて空港からニュータウンを経て京成線、都営地下鉄につなぐいわゆるB案。A案、B案、C案がありましたが、かつて運輸省から提案され、五十九年には、たしか細田運輸大臣のときだと思いますが、これを推進することが決定され、地元千葉県を含め関係者の協力のもとにその具体化のための検討や努力がなされていた、こういうことでありました。 先般の新聞報道はこの流れとやや異なるようにもとられることとなっている。私どもがB案を推進し、また各地元市町村、県議会、また選出国会議員がすべて一致してB案、この流れとやや異なるように新聞が報道された。千葉県沿線市町村の不安、懸念を招いている今現況であります。この点につきましてこれらの問題に昔から関与してきた私は、運輸省として成田新高速鉄道のB案による推進の方針を変更するものでないと、これはもう私自身思いますが、この点につきまして、成田空港の二期工事の完成に向けて航空旅客の利便確保のために緊急の対応等を実施させようとするものとこの間の発言を理解していいものかどうか、この点石原運輸大臣にお尋ねいたします。
○国務大臣(石原慎太郎君) おっしゃるとおりでございまして、私もB案に関する従来の運輸省と千葉県の話し合いの経過をよく存じておりますし、それを決して頭から否定したつもりじゃございません。ただ、空港は六十五年度内に完成の予定でございますし、日本の世界的な地位が上がることで非常にお客さんがふえましてまさに満杯状態でございますが、これからもさらにお客がふえることが見込まれまして、内外のお客さんたちが非常に不便をかこっていらっしゃるわけであります。あそこに鉄道をつなげるということのために最初は新幹線ということで地下に千億近いお金をかけて駅がもう既にできておりますし、そのための路盤もあるわけでございます。 一方、B案につきましては、運輸政策審議会の答申で七十五年までに完成を目途とする鉄道の中の一つとして答申されております。こういう答申が推進される度合いというのはなかなか難しくて、場合によったら五〇%程度ということもございますし、仮に七十五年にこれが完成されるとしても、今からさらに十数年国民あるいは外国からのお客様が鉄道なしの成田というものを使わざるを得ないということはこれはいかにも申しわけないと思います。ですからとりあえず、ともかくわずかのお金でできます在来線のJR総武線をつなげて便利を供する。さらに運輸省もお手伝いをしましてB案を推進して、A、B、C三つの案があるわけでございますけれども、理想的にはミニ新幹線などの構想もありまして、一つの路盤に狭軌、広軌が併存するということは可能でございますから、最終的にはB案、C案が成田につないで完成されることもあり得ると思います。 ともかく、その前にできるだけ早くできる一つの方便として、次善の策として私は総武線を今の路盤を利用して、あと二百五十メートルとにかくつなげれば一応つながるわけでございますから、それで東京までいささか時間もかかりますけれども、ともかく東京から乗りかえなしで成田まで行っていただけるわけなんで、そのことを申し上げました。ただ、その点だけを強調されましたのでB案を否定したような印象に受け取られたことは大変遺憾でございまして不本意でございますが、決してそういうつもりではございません。B案もやはり予定どおり推進しながら多角的にとにかく鉄道をつなげるということが私は理想の姿だと思っております。
○井上裕君 今ちょうど田村通産大臣がおいでになりましたが、これは田村構想といいまして、田村運輸大臣のときに、これはもう十年前に、空港の犠牲になりあるいはまた空港に千葉県は協力しろ、そのかわりおれがやってやるというのがこのB案、田村構想というものが実ったわけです。これはきのうの国会議員の千葉県の会議でも大臣よくおわかりだと思いますが、また一昨日の県の町村議会議長会、またきのうの県の町村会も大きくこの問題を緊急提案しました。大臣の発言が公の席で言ったものですから、やはり私もそういう点でこれは議事録に載るわけですから、決算委員会でぜひ今大臣がおっしゃったB案というものは必ずやるんだと、これはそういうことを強く言っていただかないと、もう千葉県はこの問題で、知事初め国会議員も県会議員も、また市町村長もこういう議長会、また町村会で緊急上程して決議するということはないわけです。我々がやれと言ったわけじゃないです。 しかし、やったということがきょうの新聞の千葉版に出ておりますので、幸い田村構想の運輸大臣が来ておるときですから、ひとつ運輸大臣、重ねてこれはB案をやるのだということをお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(石原慎太郎君) 千葉県の各市町村の御意向はよく存じております。ただ、これを完成するために答申にもありますようにあと十数年かからざるを得ない。膨大なお金と時間がかかるわけでありまして、その間つまりこれだけを唯一の方法に構えて、多くの国民あるいは外国のお客様に今のままの不便というものを強いるわけには私はこれは絶対にいかないと思います。これは千葉県も御理解いただきたい。ですからあわせてB案を推進しながら、ともかくいささか時間もかかりますけれども、東京から成田までとりあえず鉄道の便利をお客様たちに供するために、この案もあわせてひとつ御協力を願いたいというのが本音でございます。
○井上裕君 もう運輸大臣の真意はよくわかりました。私ども重ねて松虫―成田の事業主体をどこに置くか、こういうことをひとつぜひ早く決めていただきたい。これを石原運輸大臣、また運輸省に要望して、私の質問を終わります。
○刈田貞子君 私は企画庁長官と通産大臣に、消費者保護行政について質問をさしていただきます。 昭和四十三年五月三十日、消費者保護基本法が制定されて、ことしはちょうど二十年目に当たります。この五月を消費者月間と決めて、消費者の啓発に努めるということが昨年の十二月の消費者保護会議で決まったようでございますが、その方針に従ってこの五月は消費者問題に関してイベントがあちこちで催されているようでございます。私は、二十年たった我が国の消費者行政がこれでいいのか、今後どういう方向になっていけばいいのか、そういうことも含めて、わずか二十七分という時間でございますが、少ない時間の中で質疑をさせていただきたいと思います。 一番最初に申し上げたいのは、先般六十二年中に起きましたところの生活経済事犯というようなものを警察庁の保安部生活経済課がまとめられました。これについてまず警察の方から御説明をいただき、その後企画庁の方から所見を述べていただきたいわけですけれども、私は消費者問題を長くやっておりまして、消費者問題が犯罪という形で扱われるようになったのは大変顕著な一つの現象であろうというふうに思っております。 かつて私も、そうした問題を受けて処理をしていた時代がございますけれども、その当時においては苦情処理ということで終わっていた時代があったわけです。ところが今日では、それが組織化し犯罪化してきているということに大変危惧の念を持っておる者の一人でございますけれども、まず警察の方から御説明をいただきます。
○説明員(漆間英治君) いわゆる悪質商法等によります生活経済事犯につきましては、組織的に消費者の善意などにつけ込みまして、多大の被害を与えているという現状にかんがみまして、消費者保護、弱者保護といった立場から、警察の最重点課題の一つとして積極的に取り組んでおります。 この種事案の発生実態を、昨年検挙しました主要事件について見てみますと、先物取引でありますとか証券取引などのいわゆる利殖をめぐる事犯、これで五十三事件、被害者約一万七千人、被害総額約四百五十一億円でございます。それから、身分を偽って消火器等の商品を売りつけるなどのいわゆる無店舗販売をめぐる事犯で八十六事件、被害者が約十一万五千人、被害総額約百三十五億円でございます。それから、健康食品をめぐる事犯で二十二事件、被害者約七万七千人、被害総額約百八十億円というようになっております。
○説明員(海野恒男君) 先生御指摘のように、かつて二十年前に消費者保護基本法ができました当時は、主として商品の欠陥といったような問題が大きな消費者問題の中心であったと思いますが、その後時代を経るに従いまして消費者問題の中身も変わってまいりまして、御指摘のような悪質な、いわば詐欺的行為あるいは相手を脅迫するような行為によって利得を得ようとする人たちが出てきた。それがいわば大きな消費者問題の中心になってきたということで、昔の商品の安全性の問題といったことから、いわば犯罪化するような傾向が出てきたということは御指摘のとおりでありまして、今警察庁の方から御紹介があったとおりでありますが、昨年の十二月に行われました消費者保護会議におきまして、警察と地方の消費生活センターとの間に連絡を緊密にするということが決められております。それに基づきまして要綱をつくりまして、各地方の警察とそれから消費生活センターとの間の緊密な連絡を強化していくということにいたしております。 以上でございます。
○刈田貞子君 要するに問題の質が違ってきているわけですね。私どもはかつて相談を受けていた時期は、おなべの柄がとれて熱いおつゆを浴びてしまったというような感じのものだったわけです。それでこのなべは欠陥商品ではなかろうかというようなことだったわけですけれども、今日ではそのなべの売り方の問題が出てきておる。そして七点セットで五十万ぐらいのなべをパーティー方式によって家庭主婦に売りつけていく、玄関先で店開きをして売りつけていくというようなそんな事例がたくさんあり、無店舗販売による事故ないしは犯罪というようなものが非常に進んできているというのが今おっしゃられた実態だというふうに私も認識しております。 この警察の資料を見まして私が感じたことを率直に申し上げてみますと、まず犯罪の種類が非常に多様化してきていることです。それからもう一つは、地域が日本国じゅうに散らばっているということです。これはない県がないくらい全部各県にまたがっているということ。それから一カ所における事件の被害者の数が多く広がっているということは、これは組織化を意味していると思うんですけれども、多く広がっているということ。それから被害者の層が依然として老人や主婦層にあるということ。一件の被害額が大きくなっているということ等々、この警察の生活経済事犯は証明しているというふうに思うんでございます。これからやはりこうしたものへの対策を講じていかなければならないということが私の申し上げたい一点であります。 それからもう一つは、これも警察庁の調査でございますが、悪徳商法関係者動向調査をなさいましたね。これによりますと、そうした繰り返し繰り返し行われる商法が豊田なら豊田の残党と申しますか、そういう事件にかかわった人たちによってもう一度繰り返されているということ。この問題はかなり重要な意味を持って認識していただかなければならないというふうに思うんです。 これは警察庁のお調べになったところによると、こうした事犯にかかわる従事者は九割までが過去に別の悪質商法にかかわってきた経験を持つ者によって行われているということ。これをやはりかなり細かく分析をしていって、手だてをしていってもらわなければならないというふうに私は思います。 これはまた別なデータですけれども、豊田商事事件の破産管財人による調査によりますと、六十一年一月から六十三年二月までの間に、豊田商事関連会社にいた人あるいは豊田商事の事件を起こした関連者、そういう者によって起こされた犯罪額が百十六億一千八百九十万円、被害者六千四百九十五人ということを管財人の方が発表しておられます。豊田商事関係だけですよ、これは。非常に私はこういう事態を憂慮する者の一人です。これについての御所見を伺います。
○説明員(漆間英治君) ただいま御指摘ございましたように、私どもの方でも悪質商法の関係者について調査をいたしてみましたところ、委員御指摘のように八七%がかつて同種の悪質商法を犯した経験がある者であるというようなことが判明をいたしました。もともとこの種の事犯の源流というのは、先物取引でありますとか、あるいはマルチ商法等でこの種の商法の味をしめた者が再び形を変えてさまざまな形態で行うというのがこの事案の本質でございまして、私どもはそういう形態を踏まえまして、一見合法を装っている会社の形態をとっておりましても、その会社の関係者の中にそういう者が含まれていないかという着眼を持ちながら平素の情報収集に当たっておりまして、いわば常習者対策といいますか、そういうものもこれからはこういう悪質商法対策の一つとして大事になってきているんではないかというように考えております。
○国務大臣(中尾栄一君) 基本的な悪徳商法についての問題でございますから、私なりの答えをさせていただきたいと思いますが、悪質な消費者取引によります消費者被害の防止は、消費者保護の観点から申しましても極めて重要なことであると、先生と同様な認識を持っておる次第でございます。当庁といたしましては、悪質な消費者取引に関しましては、従来から関係省庁との連携を保ちつつ被害の未然防止に努めてきたところでございます。 今般、無限連鎖講の防止に関する法律、また訪問販売等に関する法律の改正が行われましたことは、既に消費者被害防止のために多大の効果がこれによってもたらされたと高く評価をさせていただいておるところでございますが、今後とも関係法令の厳格な運用を初めといたしまして、まず取り締まり体制の強化、それからまた消費者啓発などを通じまして対応に遺漏なきように私どもは万全を期していかなければならない、このように決意しているところでございます。
○刈田貞子君 先般豊田の事件が起きましたときに、特定商品等の運用受託取引に関する法律等を整備しましたね。それから、あのときにやはり割販法の改正もいたしました。ですけれども、やはり先ほどから申し上げておるように事件は続発しているわけで、それも質が悪くなってきているという状況にあります。 今国会におきましても、今おっしゃいましたように、無限連鎖講等に関する法律の一部改正をし、そして訪販法の改正もやりました。だけれども、法律を改正したからといって事足りるということではないんじゃないかと私は思うんです。そういう環境をどうして変えていくようにしたらいいのか、どうやってこういう犯罪の芽を摘んでいけばいいのかということがこれからの非常に大切な課題になっていくんじゃないかと思うんです。 今いみじくも長官が、したがって啓発事業にもさらに力を入れていくんだというふうに言われましたけれども、ことし六十三年度の企画庁における消費者啓発事業については減額でございますよ、予算は。総体でも二億の減額です。二%の減額ですけれども、特に消費者啓発費に関しては減額です。そういう中で、消費者啓発をこれから推進し、未然防止をしていくんだということに相なるのかならないのかという問題が私には一つ非常に考えられます。 今、東京と大阪で例の豊田商事関係について国の責任を問うという裁判も続いておりますね。そして、あのとき豊田商事のあの問題にかかわった人、消費者、国民と申しましょうか、二万七千六百数人です。そしてその被害額二千二十億、こういう被害を受けているわけでございます。だけれども、それが返ってくるかというと返ってこない。今は二〇%ほどみんなに返せるか返せないかという話もちょっと出ていますけれども、返ってこないんです。だから、なけなしのとらの子を取られてしまった老人たちが、訴えるところがなくて国にどうしてくれるのかというふうに思いを寄せてくるのは私は当然だと思う。その中で企画庁の予算、全体で百億割ったんですよ。豊田の事件だけとったって二千億の国民は被害を受けている。九十五億幾らでしょう、今度。九十五億八千四百四十六万円しかない。これで消費者保護行政を進めていくということになるのかならないのかということ。 私は、その消費者啓発をするに当たってということでいつも申し上げるんですけれども、確かに消費者にも愚かしいところがあると思う。だけれども、それをやはりフォローしていく情報提供とか、それにふさわしい保護行政をしていかなければならないことがたくさんあるんじゃないかというふうに思っています。この問題に長年かかわってきて本当にいら立たしい思いでございます。 例えば、豊田関係にしてみれば、償い商法というのが出てきています。これは警察のこれにも書いてあります。あなたは豊田商事で大変な被害をお受けになったそうでございますね、その損金を取り戻すためにもこれは格好のもうけ口でございますというふうに言って、もとの豊田商事関係者が豊田商事の事件で被害を受けた人のところへまたあらわれる、償い商法と申しますが、こういう形で懲りず繰り返している。これはどちらが愚かしいのかと私は言いたいんですけれども、現にこういう商法がまかり通っている。むしろ豊田商事商法を逆手にとって新たな事件を起こしているのが現状なんです。そうですね、警察では。本当に私、この辺のところをどう防いでくれるかというのが、だんだん声が大きくなるんだけれども、何ともいら立たしい思いがするんです。長官いかがですか。
○国務大臣(中尾栄一君) 刈田先生から大変に温かい予算の面におけるまでのバックアップを賜りまして、たまさか大蔵大臣もおられることでございますので、ありがたいことと感じておる次第でございます。 消費者行政の関係予算についての冒頭の御意見でございますが、消費者保護政策をどうしても具体的に裏づけるものでございまして、経企庁といたしましても、その水準の維持並びに内容の充実に努めてきてはおったのでございます。今後ともなお一層の拡充強化をするべく関係各省庁と緊密に、先生御案内のとおりに連携をとらなければなるまいと、こう感じておりますし、現にまたそのように努力をしておる次第でございます。また、詳細につきましては政府委員からも答弁させますけれども、そのような気持ちで頑張っていくつもりでございますから、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○説明員(海野恒男君) 御指摘のとおり、消費者問題をめぐる犯罪行為というのが次第に悪質化してきているということでございますが、政府は、この人々の経済的な行為をあらかじめ犯罪を起こすであろうということで取り締まることができないということで、どうしても発生後取り締まるという形になりまして、後追いにならざるを得ないところもあるわけでございますけれども、こういった事情の中で未然にそういったものを防ぐということは、やはり何と申しましても消費者自身がもっと賢明になっていただかないといけないのじゃないかと思います。そういう意味で、私どもは今後、ことしで二十年たちました消費者保護基本法、これまでは保護される消費者であったと思いますけれども、これからはもう少し自主性を持ったと申しますか、主体性を持った消費者に成長していただくためのいろいろな情報の提供、あるいは特に学校教育の時代からこの消費者教育をやっていただくということで、昨年十二月の教育課程審議会でも大幅に学校教育の中に消費者教育を取り入れていただくということが決まっておりますので、それをこれから充実させていただきたいと思っておるわけでございます。主体性を持った消費者を育成するということが最近のような悪質化した犯罪的な消費者問題というものを解決する基本的な施策ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○刈田貞子君 私が言いたいことを先取りなさっているようでございますけれども、要するに、消費者啓発をしていくということから、消費者の教育ということが当面問われていくわけですね。その消費者教育に関しては私も随分何回か文部省及び企画庁に質問を重ねてきたところでありますけれども、ことしの消費者月間の主なるテーマも「消費者の主体性の確立をめざして」ですね。だから消費者自身が確かに足腰強くなっていかなければならないということはそのとおりだと思います。けれども、それにつけてもやはり消費者に必要なそういう情報提供、そしてそういうものに強くなる環境づくりということをやっていくのは私はやっぱり国の仕事だというふうに思います。今お話がありましたように、生活審議会から文部省の課程審について要請し、そして課程審からもいい話が出てきておりましてこれが具体化しつつありますね。私は非常に喜ばしい状況に来ているというふうに思います。 問題は、現場の教師ともお話をいたしますと、やはり文部省も戸惑っているところのものは、消費者教育というものを学校教育の課程の中に入れるに当たって、単品では入れられるけれども、系統的なものとして入れ込んでいくのには大変苦労するということがあるようでございます。そうしたものも含めてやはりネットワークをつくった情報提供というのは必要であろうというふうに思いますので、これを積極的に進めていっていただきたいと思うんです。 例の消費者教育を考える研究会、加藤先生が座長をしていらっしゃるあの研究会から中間報告が出ておりますね。あの中で非常に貴重なことが言われておるわけでございますけれども、私が大変関心を抱き、そしてそれが今後育っていかなければならないというふうに思うのが例のコンシューマーリソースセンター構想です。あのリソースセンター構想については、先般ちょっとお伺いをいたしましたら、まだこれは懸案のところである、あるいは作業の過程にあるというようなことを言っておられましたけれども、このリソースセンター構想が出てきてからもうかなりたつんです。いつまでも考えておられたのでは困るんでありまして、具体的にはどこから手をつけていかれるのか。リソースセンター構想について今どうなっていますか。
○説明員(海野恒男君) 御指摘のように、昨年の十月以降数回の研究会を持っていただきまして、元東大学長でありました加藤一郎先生を主査にいたしました研究会を持っていただきまして、その報告書をいただいたわけでございますが、その中に消費者教育の推進の重要性とともに、それを補完する専門機関として、アメリカにおけるリソースセンターのようなものを設立するという方向の検討が必要であるというような御指摘をいただいたわけでございます。そこで、その中には日本消費者教育学会の代表理事であり、また金城学院大学の前学長であります今井先生等も入っていただきまして、その報告書をつくっていただいたわけでございますが、それを今これから具体化しなければいけない。 このリソースセンターの仕事の主な内容は、アメリカの例を見ますと、結局消費者教育というものがまだ体系化されていないということもございまして、先生方がどのような教え方をしたらいいのか、教育内容そのものもどういうものであるかということについてまだ定かでないという状況でありますので、このアメリカの例などを参照しながらこれから教育課程審議会で、実際に大きく消費者教育が導入されますのが昭和六十七年からということになっておるわけですが、若干遅いのが残念でございますけれども、それに向けて具体化したい。私どもはリソースセンターの構想を何らかの形で具体化したいと思っておるわけでございます。 そのために、今度は具体的にそのリソースセンターはどういうことをすべきか、例えば教材あるいは副読本のつくり方、あるいは先生方に対してどういう講習内容のものをつくっていったらいいか、その予算はどのぐらいであるべきかということを、今ある程度の予算をいただきまして構想を具体的につくり始めている段階でございまして、私自身多少関係方面と既に話を進め始めております。具体的には財政問題と申しますか財源問題、これは主としてアメリカの場合には民間から入っておるものですから、民間の協力も得たいと思っておりますので、そういう具体的な働きかけは今し始めているところであります。
○刈田貞子君 基本的にはやっぱり費用の問題が出てくると思うんです。それは当初民活でも何でも仕方がないんじゃないかと思うけれども、早く形をつくってほしいというふうに私は思います。 あと、通産省も消費者行政というのは活発にしていただいているんですね。それから大臣も内閣総理大臣が座長を務めるところの消費者保護会議の構成メンバーに入っていらっしゃいますから、消費者問題には重大な関心を持ってくださっているというふうに認識をいたしておりますものですから最後にお伺いいたしますわけです。 経企庁長官と通産大臣にお伺いしますが、これは全く私の私見でございまして、そして我が党の言うところと少し反するのではないかというふうに思うんですが、私の長年の持論なので申し上げたいんです。それは、例の豊田商事事件を考えますとき、あのときには六省庁が連絡会議をつくって問題の解決に当たったわけです。さらに厚生省が入れば七省庁というような形で、問題が広範に広がっていったものでございました。各省庁がそれぞれの立場でその解決に当たるということをやってきたわけですけれども、これからの消費者問題というのは、やっぱり経済企画庁あるいは通産省、一つのところで問題が解決できるとか、それだけにかかわって起きてくる課題ではなかろうというふうに私は思うんです。産業構造、社会のシステムが複雑化すればするほどそういう一つの省庁だけで対応できるものではないというふうに思います。 かつてから私は、消費者省というものをつくればいいのだがという提案を持っていたわけですけれども、先般、テレビでどこかの大学の先生が消費者保護庁というのをつくるべきであるという御提言をなさっていたそうでございます。かつて高度成長期に我が国の産業が非常な公害を社会にまき散らすときに当たって環境庁という一つのお役所が登場したわけでございます。したがいまして、消費者被害がこれだけ口範になりそしてたくさんの課題を持つ、そしてそれが社会の根深くある課題であればあるほど、私はやっぱりこういう問題を一カ所に集めて対応していただく機関があってもいいのじゃないかというふうに昔から持論を持っているんですけれども、これについてどういう見解をお持ちかどうか。我が党はただし行革賛成の党でございますのでいかがなものかというふうには思いつつ、しかし、こういうものも必要だからあってもいいんじゃないかというふうに思っております。 あわせて大蔵大臣には、消費者保護予算というのは大変少ないんです。ですから、何かこういうお話がありますときにはぜひこちらの方を向いていただいて、消費者を守るための保護予算というものも大量に投入していただきたいことをお願いします。 以上でございます。
○国務大臣(田村元君) 確かに私どもも消費者対策については深いかかわり合いがございますし、重大な関心を抱いております。先般の訪問販売法のときにも経験したことでございますが、やはりこういう問題は各省庁がお互いに十分横の連絡をし合って、各省庁自体、あるいは極端に言えば各局、各部課、すべてが責任を持ってやっていくというのがいいんじゃなかろうか。訪問販売法のとき私しみじみ思ったのでありますが、一つのところにまとめてしまうと、今度はあそこがやるんだからというんで、妙なもので無責任なる面があるんですね。環境庁の場合とは全然違いまして、環境庁は自然を保護するということでありますから、むしろある意味においては、民間もさることながら官庁等の開発その他に対して自然を守るというような性格も多分にございます。あるいはまた公害その他もございます。ところが消費者対策というのは、むしろ消費者に対してこういうふうなことにひっかかっちゃいけませんよ、こういう知識はお持ちくださいよというようなPRというものが非常に大きな要素にもなるかと思いますし、また消費者がひっかからないようにもろもろの措置をとっていくということで、やはり関係各省庁にそれなりの責任をそれぞれに持たせた方がいいんじゃなかろうか。これは実は訪問販売法のときに私はしみじみそう思ったんです。 もっとも、今おっしゃいました消費者保護省あるいは保護庁でも結構ですが、保護省というのをつくって大臣も置いてと、それは自民党の代議士は喜ぶでしょうけれども、行政改革という点からいいましてちょっとそれはなかなか難しいものがある。私は、刈田さんがおっしゃったことに対して反対というのではありません、大筋からいえば私は結構なことだと思うんです。ただ、行政改革というものがやかましく言われておるときに、これが実行できるかどうか。野党の方々にお許しいただけるということがまず前提条件になるだろうと思いますけれども、御意見としてはよくわかりますし、やはりすぐれた一つの識見だというふうに思います。
○国務大臣(中尾栄一君) 私も、今、田村通産大臣から御答弁ございましたようなことと見解を全く一にするものでございます。時には今のような消費者保護省みたいな、時には、例えば中小企業でこれだけ大きな問題が起こっておりますので、中小企業庁を省にしてそれで大臣を置いてというような意見を開陳なさる方もございますけれども、かといって、こうした行革時代でございますし、なかなかそういうわけにはならないと思います。先ほど通産大臣も御答弁なさっておりましたように、各省それぞれ広い視野で持ち寄っていったものを統括してそれぞれ審議し合って、コミュニケーションをとり合いながら、非常にコミュニケーションが順調にさらに実り多きものになるようにして、そして一つの形態をつくり、なおかつセオリーをつくったならば、それがまた全体の省庁に活性化を与えていってそして取り締まりも厳重を期していく、こういう形でさらに現在の段階より一歩前進をさせていくような形が望ましいものかな、このように考えておる次第でございまして、その方向に一生懸命で努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、経済企画庁に前後五年厄介になっておりましたし、消費者保護基本法ができますときにも長官をしておりましたので、経済企画庁のこれについての仕事は私なりに理解をしておるつもりでございます。もっと消費者保護行政に予算がお要り用なんだろうということはそうだろうと思うのでございますが、こういう財政のときで御辛抱願っております。御発言の趣旨は十分今後考えさせていただきます。
○吉川春子君 総理府広報汚職についてお伺いいたします。 まず最初に、海老原総理府次長に伺います。 総理府の高級幹部が大阪へ公務出張の際に、今回の汚職事件で逮捕された前管理室長橋本と落ち合い、同じく逮捕された贈賄業者の広研・遠山社長から高級料亭で接待を受け、ホテル代まで払わせていたといいます。この件についてあなたは、相手が逮捕されたからといって責任は問えない、会食費、ホテル代も広研の遠山が支払ったとは限らない、この幹部は進退伺いを出したが慰留した、こういうふうにおっしゃったそうですが、事実ですか。
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま海老原次長から答弁せよということでございますが、大変申しわけありませんが、日程が予定されておりまして、こちらに参れませんので、上司たる私から答弁をさせていただきたい、こういうふうに考えております。 それで、今、次長の新聞報道に関する件でございますが、次長からは、総理府の現職員が他省庁に在職していた当時、公務に出張し、先輩の誘いを受け、今回問題となった業者と同席し会食などしたが、これらの点については誤解も招くような、軽率であり、深く反省している旨の釈明を受けたということを新聞記者にお話をされた。それが記事になった。こういうことでありまして、そのように海老原次長から私は報告を受けておりますので、御了承いただきたいと思います。
○吉川春子君 海老原次長が出てこないというのは全くけしからぬことで、私はきのう午後の三時に質問通告をしているんです。けさの九時過ぎになって突然、予定があるから出られないなどということは、私は逃げたとしか思えないんですね。 重ねて伺いますけれども、それでは官房長官、この幹部は進退伺いを出したが慰留した、そしてその責任は問えない、相手が逮捕されたからといって、こういうことは事実なんですか。
○国務大臣(小渕恵三君) 進退伺い云々ということでございますが、この件につきましては、本人から、誤解を招くような軽率な行為であり、今後業者との接触については厳に慎しむと深く反省している旨の釈明はございました。しかし、進退伺いを出したという事実はなかったと聞いております。
○吉川春子君 マスコミの報道が事実に反するのならば、マスコミに抗議されたらどうですか。
○国務大臣(小渕恵三君) それは次長が判断することでございますが、いろいろマスコミの報道につきましては逐一その正誤についてどう処置いたすべきかどうかは御本人の判断にお任せいたしておるところでございます。
○吉川春子君 そのことを本人に聞こうと思ったら出てこないじゃないですか。ほかの幹部は、業者と飯を食べながら話すのはいわば潤滑油ですよなどということも語っているわけです。政府の高級官僚がこういう認識である限り、汚職の土壌というものは日常的にあると言わなくてはなりません。私は海老原次長が出てこなかったということは全くけしからぬことだということを抗議して、本人がいらっしゃらないので、次の質問に移ります。 日本広報センターの問題についてお伺いいたしますけれども、今回収賄容疑で逮捕された日本ビデオ・ネットワーク社長の河本という人物は、日本広報センターの専務理事でもあります。同センターは、政府の予算を使って政府の行いにくい広報活動をしておりますけれども、その設立自体に批判のあった公益法人です。総理府広報予算のテレビ、ラジオ放送関係費のうち二割が委託費として支払われています。同センターの定時番組「あすの世界と日本」の提供者はだれですか。
○説明員(宮脇磊介君) 年によって若干異なりますけれども、六十二年度では「あすの世界と日本」の提供者はNEC、三井生命、文化シャッター、日本レンタカー、この四社になっております。
○吉川春子君 政府の公報番組でありながら政府の名前は一切出ないんですね。今答弁のあったとおりです。国民はそれと知らないうちにあたかも客観的な報道であるかのように受けとめることになります。これは放送法の公告放送の告知義務に抵触するのではありませんか。そして、日本広報センターが政府の広報としては行うべきではないと言われている世論誘導の意見広告を国民の批判を浴びることなく行えるための機関だと、こういう性格を持っているんじゃないかと思うんです。 広報センターについてもっとお伺いしたいと思うんですけれども、これは内閣総理大臣官房管理室長時代の橋本哲曙がジュリストの八百七十号、一九八六年十月十五日に書いた論文なんですけれども、公益法人の指導監督に関する行政監察結果に基づく勧告に即応して公益法人監督事務連絡協議会を設けたと。そしてこの論文は公益法人の運営に関する指導監督基準について解説して公益法人関係者の参考に供するものだと、こういうふうにされているわけです。 その中で、八六年七月に公益法人指導監督連絡会議において定められました公益法人の運営に関する指導監督基準、これによりますと、公益法人が別人格の営利企業を設立し、または公益法人の役員が当該企業の役員の相当程度を占めて営利企業を経営するなどということは、公益法人が間接的に営利事業を行うことになり好ましくないというふうに書いているんですね。その理由は何ですか。
○説明員(宮脇磊介君) 公益法人の所掌は私どもではございませんので私がお答えすることが適当かどうかわかりませんけれども、そもそも公益法人というものを認める趣旨からいたしまして適当ではないということであろうと思います。
○吉川春子君 担当者に本当はお答えいただきたいんですがね。 日本ビデオ・ネットワークは、河本社長のほか取締役に盛田ソニー会長、中川テレビ東京社長、設立者には衛藤隆吉氏などが名を連ねています。この四人は日本広報センターにおいては河本専務理事、理事長が衛藤氏、理事は盛田氏、評議員は中川氏とこういう役職にいるわけなんです。政府の広報を扱う公益法人である日本広報センターの重立った役員たちが今度の贈賄で逮捕された業者である日本ビデオ・ネットワークのような営利法人をつくること自体、政府みずからの公益法人の運営に関する指導基準にも反しているんじゃないでしょうか。加えて、その営利法人たる日本ビデオ・ネットワークが総理府から独占的に広告の仕事を受注するなどということは許されないことだと思うんです。本来ならばこの官房管理室長であった橋本自身が、日本広報センターのいわば子会社のような日本ビデオ・ネットワークの会社設立には慎重な態度で正しく指導すべきじゃなかったんですか。
○説明員(宮脇磊介君) ただいまお話しの基準につきましては、「特に、当該営利企業に対して、その二分の一以上の出資又は過半数を超える役員の兼務により実質的な支配を行う等、営利企業と一体となって営利を追求することは許されないものである。」というふうに記されてございます。ところで、広報センターと日本ビデオ・ネットワークとの関係は、役員におきましては、日本ビデオ・ネットワークの常勤役員七人中三人が広報センターの役員でございます。また、その出資金におきましては、二千方円のうち五百万円が広報センターの出資でございます。したがいまして、当該基準の考え方に即しているところではございます。しかしながら、今般その兼務している役員の一人が逮捕されたことはまことに遺憾なことでございまして、今後広報センターを十分指導いたしてまいりたいと、かように考えております。
○吉川春子君 この日本広報センターが、公益法人が営利企業を事実上設立していた、七人の役員のうち三人がそうだということは、実際その会社の実権を握っていたということになるんじゃないですか。その指導基準も、全体的に考えてそういうことのないようにという基準じゃないですか。
○説明員(文田久雄君) 公益法人を所管している立場から、先生のお尋ねのところをお答え申し上げたいと存じます。 先生御案内のとおり、営利企業の実質的経営についてというお尋ねと存じますが、これにつきましては、「当該公益法人と当該営利企業の経理が混同して処理され」ないこと、また「当該営利企業の事業の大部分が当該公益法人の職員により執行されている等事業執行形態が混同して処理されて」いないこと、「当該営利企業の事業運営について、当該公益法人から不合理な資金の融通が行われて」いないこと、「当該営利企業に対し、当該公益法人の事務所その他施設について、無償貸与その他の過度の便宜供与が行われて」いないこと、さらに「当該公益法人から当該営利企業を実質的に支配し得る程度の役員の兼務及び出資が行われて」いないこと等、これらの厳しい条件を満足する場合に限り許されるとしているところでございまして、いずれにいたしましても、当該法人は高い公益性によりまして設立されているということを基本として、実態に即して個々に判断されるべきものであろう、かように考えておる次第であります。
○吉川春子君 政府の覆面広報番組を担当する日本広報センターの専務理事が、一方で営利法人をつくる、そのこと自体問題だということを指摘したんですけれども、今回のような贈賄事件まで起こすなどということは、まさに絶対に許されないことなんですね。そういう人物は日本広報センターの専務理事として不適当じゃないんですか。少なくとも疑惑が持たれているんですから、広報センターへの政府の広報の委託は中止すべきじゃないですか。官房長官いかがですか。
○説明員(宮脇磊介君) このような事件で逮捕に至るような者がおったということはまことに遺憾なことでございまして、仰せのとおり不適当な人物であると言わざるを得ないと思います。 それから、今後の対応につきましては、現在委員会を設けて検討をいたしておるところでございます。
○吉川春子君 こういうところへ政府広報の委託はやめるべきだと私は強く要望しておきます。 法務大臣にお伺いいたします。今回の事件の性格というのは極めて重大であると思います。事件が政府の広報をめぐる汚職であり、また内閣の中枢で起きた汚職事件ということでもあります。この事件の捜査の行方に対して国民は大変重大な関心を寄せて注目をしております。検察当局としては、厳正な捜査を進めて、仮に政治家に疑惑が及ぼうとも追及の手を緩めるようなことがあってはならないと思います。その立場で厳正な捜査を行うべきだと私は思いますが、大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(林田悠紀夫君) 本件につきましては、現在検察当局におきまして事案の真相究明に努めておりまして、今後も所要の捜査を遂げた上、法に照らして事案に応じた厳正な処理を行うものと存じております。
○吉川春子君 今回の事件は既に逮捕された元総理府幹部職員がたまたま引き起こしたというものではなくて、今質問しましたように日本広報センターと日本ビデオ・ネットワーク及び総理府の関係、あるいはサンコーの社長、交通安全対策室長がともに警察OBであることなど、組織的に事件が発生し得る土壌があったというふうに言えるわけです。 総務庁お見えですか。――交通安全対策室の企画事例について独占的にサンコーが、警察庁OBであった業者が受注していた、その理由はどういうところにあるんでしょう。
○説明員(原田達夫君) 全国交通安全運動のポスターにつきまして、交通安全対策室が総理府に置かれておりました当時から、昭和四十七年の秋からサンコーがこれを作製してきたということであります。最近の例で申し上げますと、昭和五十九年に秋の安全ポスターで九十万余り、それから春のポスターで同じく九十万余り、そのほかに交通安全シンポジウムのプログラム等の作製で十万七千、合わせて百九十五万五千の事業、これはサンコーがやっております。六十年、六十一年も大体同じような規模でサンコーが担当しておりまして、六十二年にはこのほかに単年度事業でありますが、二輪車事故の防止モデル事業が五百八十万余り加わりまして七百六十万余りということになっております。 これが四十七年以来特にポスターを中心にしてずっとサンコーが担当してきた理由でありますが、同社が漫画のキャラクター等を持っておりまして、これを使うことが親しみを持たれるといいますか、広報上効果がある、安全キャンペーン上効果があるというふうに考えたというのがその主たる理由でございます。
○吉川春子君 もう時間がなくなりましたので、そういう体質というものが汚職の土壌だということを指摘いたします。 そして、海老原総理府次長が出席されなかったことについて、私は大変遺憾だと思います。法務大臣も御都合があるということでしたけれども、私は出席していただくようにお願いしたら、出てきておられまして、大臣は都合をつけて出てくるのに、もちろん省庁は違いますけれども、次長が出てこない、これはとんでもないことだと思うんです。 それで、官房長官、最後にお伺いいたしますけれども、私がさっきお伺いしましたようなことですね、発言した内容、そしてマスコミの報道との違い、そういうものに対してどう対処するのか、そういうことをきちんと本人にただして改めて回答するように官房長官の方から御指導願いたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(小渕恵三君) ただいまの御質問中に御意見のありました点につきましては、海老原次長によくお伝えを申し上げます。
○吉川春子君 終わります。
○関嘉彦君 経済大国になりました日本が、しかし軍事大国にはならない、その日本が世界の平和と繁栄に寄与する道は、やはり発展途上国に対する開発援助の方法による以外はないと私は思っております。したがって、国際的にも日本がもっとODAの予算をふやすように要求が高まってくるだろうと思っておりますけれども、同時に、日本の国内においては必ずしもそれに賛成する人たちばかりではない。日本がいろんな問題を抱えているときにそこまでやる必要があるのかどうか、あるいは外国、途上国を援助したためにかえって日本の輸出なんかが閉ざされてくるんではないかというふうなことで怪異の念を持っている人もあると思うのであります。しかし私は、日本は単に人道的な気持ちからだけじゃなしに、日本の繁栄及び日本の安全という点からもODA予算は伸ばしていくべきだと思うんですけれども、国民の支持を得るためにはその事業が国民にわかりやすいものでなきゃならない。ところが、どうもODAの予算というのは、予算面を見ましても各省庁にばらばらになっておりまして、極めて理解しにくいわけです。 それで、我が党はかねがねODAに関する事業をすべて一元化して行うべきであるということを主張しているわけですけれども、その観点から、大蔵省でODA予算のうちで食糧援助費、それから食糧増産援助費の二つの問題を大蔵省の所管として計上しているわけですね。国際機関に対する拠出金とかなんとかというのは、これはもし分かれてやるとすると大蔵省がやるのはもっともかと思うんですけれども、食糧援助及び食糧増産援助が大蔵省の所管になっている理由はどこにありますでしょうか、それをまずお伺いしたいと思います。
○説明員(岩崎文哉君) お答え申し上げます。 先生御指摘の食糧援助及び食糧増産援助というのは、いわゆるケネディ・ラウンドと申しまして、余剰の食糧を食糧の不足する発展途上国、特に貧困途上国へ援助するという国際的な約束に従いまして日本も応分の協力をしておるものでございます。 御指摘のとおり、本件の援助は米等の穀物や、あるいはそれにかわりまして肥料、農機具等の農業物資を供与するものでございますけれども、それを供与いたしました相手国におきまして、その援助に相当いたしますいわゆる見返り資金、それを国内で売却して得た資金の積み立てを義務づけまして、その積み立てた国内通貨を被援助国の経済開発のために使用するということを約束させておるものでございます。 なるほど資金を、食糧増産あるいは食糧購入、主として小麦あるいはタイ米とか、そういう途上国が生産しております米、小麦等の購入でございますけれども、そういう資金協力の面におきまして農業物資を購入するという意味では大蔵省所管ということが奇異に感じるかもしれませんけれども、その見返り資金の積み立てを義務づけ、それの使用を確認する、そういう点で投資金な性格を有するものというふうにとらまえまして、この投資的な性格を有する資金の協力、これは大蔵省設置法四条に基づく海外投融資に関する事務ということで大蔵省所管の予算に計上しておるものでございます。
○関嘉彦君 食糧増産援助の方ですね、これはその見返り資金を積み立てて、その資金は農業以外、食糧増産以外何でも使ってよろしいわけですか。
○説明員(岩崎文哉君) およそその国の開発目的に資するというプロジェクトでございますと、それは食糧増産以外の目的にも使用できることになっております。
○関嘉彦君 こういう資金を投資的な目的のために使う、例えば技術援助なんかやったときの国内調達資金に使うこともできるわけですね。としますと、技術援助のプロジェクト、これは外務省が所管していますですね、無償のものを。そうすると、それと一緒に組み合わしてやった方が合理的にできるんではないかと思うんですけれども、一方は外務省の所管になって、片一方は大蔵省の所管になっている、その理由がどうも私には理解できないんですが。
○説明員(岩崎文哉君) 経済協力にかかわります予算というのは各省にまたがって配分されておりまして、私の承知しております限りでもおよそ十五省庁ぐらいにわたってございます。それぞれ特別の使途を持ちまして配分されており、また、各省の所管する事務という中でそれぞれが取り扱っておるということでございます。 先生おっしゃいましたように、確かにそれぞれの資金において関連性がございますけれども、その辺のところは経済協力官庁の中での調整において整合性のとれた使い方を求めていくということになっております。
○関嘉彦君 無償協力の方は、今申しましたように技術援助と私は一緒にやった方がいいと思いますし、それから借款の場合も、これはやっぱり投資的な性格を持っておりますね。これなんかも、もし食糧援助のものが大蔵省所管になっているんであるならば、こちらの方も大蔵省所管にしなければ数字がそろわないんじゃないかと思うんですが、あるものは外務省所管、あるものは大蔵省所管、どうも非常にわかりにくい。こういうことでは国民の本当の理解を得ることができないんではないかと思うんですけれども、大蔵大臣、いかがでしょうか、こういう現状のような予算の立て方で差し支えないというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろ沿革がやはり関係をしておると思います。 このKR援助は、たまたま私、政府代表でケネディ・ラウンドの最後の段階で合意をしたものでございますが、沿革から申しますと、小麦協定との関連で余剰小麦をどういうふうにするかということにちょっと関連をいたした沿革がございまして、私は、我が国の場合には小麦を、実は生産国でございませんので、買って援助するということは大変におかしいという主張をした記憶がございます。そういういろいろないきさつを私は踏んまえておるんだと思います。 本体のお尋ねでございますが、一般的にODAは経済企画庁、通産省、外務省、大蔵省の四省庁が中心の役所でございます。私は、たまたまそのどの役所にも勤務をしたことがございまして、おのおのの観点からこの問題を考える機会があったんでございますが、今各省がやっております協調体制というのが過去十何年の経験の上に築かれておりまして、まあまあなのではないか。これを一つの役所なりにまとめるということは、関委員もこの官僚制度といいますか、そういうものをよく御存じでございますので、なかなかまとまるのに、落ちつくのに時間がかかりますし、また、なかなか落ちつきにくいものでございます。やはり今の協調体制をうまくやっていくということを心がけるべきではないか。そのためにはただいまおっしゃいましたようなことの整理もまた必要であろうかと存じますが、体制としては私は現体制をできるだけ整備し、円滑に動くように心がけていく、それが一番いいのではないかというふうに自分の経験からは感じておるところでございます。
○関嘉彦君 官僚制度をよく御承知だというふうにおっしゃいましたけれども、私も政治家になっていろいろ官僚の方とつき合いまして、確かに霞が関に籍を置いて考えるとなるほど合理的だなと思いますけれども、霞が関の合理性というのは一般社会の合理性とはかなり違ったものであるということを非常に痛感しているわけです。この問題はまた午後総理大臣のときにも取り上げます。 あと時間がなくなりましたけれども、もう一つの問題は、春になりますと省庁の人事異動があるので、各新聞が予測を交えていろんなことを書いている。ことしも私は読売新聞を読んでおりましたら、それぞれの各省庁の予測が出ておりました。大体当たっているように思うんです。それを見ておりますと、大蔵省ないし通産省が他省庁に局長あるいは次官を送り込む例がかなり書いてあります。何か新聞社なんかに聞きますと、総務庁では二回に一回次官は大蔵省が送り出す慣例になっている。経済企画庁の官房長は、これはもうほとんど毎回らしいんですけれども、大蔵省から出向いている。新設で非常に新しい官庁は別ですけれども、総務庁にしても経済企画庁にしてもかなり古い。 なぜそこの子飼いの人ではなしに外部の省庁が人を送り込まなくちゃならないのか。それは私は若い人たちがお互いに相互交流するのは、これは経験を豊かにする意味において大いに奨励すべきことだと思うんですけれども、局長であるとか官房長であるとか、いわばそういう重要ポスト、別に新しく勉強するとか何とかというんじゃないと思うんですけれども、重要ポストを交流じゃなしに直流です、一方的ですね。こういうことがずっと今まで少しも径しまれずに行われてきたということは、私はやはりそれは霞が関の論理としては正当かもしれませんけれども、普通のしゃばの人たちの論理から見るとどうも解せない。 どういう理由でそういうふうになっているのか。そしてまた、宮澤大蔵大臣は各省庁をずっと回っておられるんで、その点から考えましてこういうことは不合理であると思われませんか。いわば一種の植民地みたいに思っているわけです。やはり土着の人たちはいろんな不満があるんではないかと思うんですけれども、どういう理由によってこの制度が続いているのか。それに対して大蔵大臣はいかにお考えであるか、所感をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 若い人たちの間でたくさん交流があることはこれは結構なことだと言われます。その点は私もそういうふうにお認めいただいていいことだと思いますが、さて次の問題でございます。見ておりますと、やはり一つはその役所が比較的新しい役所で、誕生のときに固有の人材を持っていない、したがって各省庁から手助けに出るというケースはございます。経済企画庁も総務庁もどちらかといえば比較的新しい役所で、そういうふうにして発足をしたという経緯はあるんでございますが、実はそればっかりでございませんで、総合調整をする役所の場合に、例えば総務庁でございますと行政機関の機構とか定員とかいうものは各省庁にまたがることで、本来やや大蔵省的機能に似ているところがございますし、経済企画庁は経済政策の総合調整ということでございます。 そういう総合調整をする役所の場合に、非常に理想的にうまくいけば、各省庁から人が出ていって、その中で総合調整の機能を果たすという考え方は私は一つの考え方だと思っております。全く他人の立場から総合調整をするということも一つでございましょうけれども、各省庁から出ていって、それで話し合いをして総合調整の方針を決めるというのも一つの考え方であろうと思っておりまして、経済企画庁の場合あるいはずっと官房長はほぼ従来大蔵省出身の者が出ておりますが、総務庁では必ずしもそうではございません。次官などは必ずしもそうでございませんが、しかし総合調整との関連が多い。ここのところは今、関委員が土着民というおもしろい言葉を使われまして、その役所から育った人がずっと育ってまいりますと、もう自分たちでできる、いわば総合調整官庁としての、あるいはそういう役人としての機能を自分はもう二十何年体験をしてきた、したがって、自分たちでできるというふうに主張される場合もあります。 そのことにも私は決して真理がないとは申しませんので、一概にどちらでなければならないというふうに考えておりません。総合調整的見地からは無意味なことではない、それなりの意味を果たしておるというふうに考えておるのでございますが、一番慎まなければならないのは、いわば一種のそれが、言葉はおかしゅうございますが、既得権といったようなことになりますと、これはおっしゃいます霞が関の論理に陥りやすうございますので、その点は気をつけてまいらなければならないと存じます。現実の問題として、例えば大蔵省でございますと、経済企画庁との関連では、私は経済企画庁の総合調整の立場からは決してマイナスになっていないのではないかというふうに両方から考えまして思っておりますが、なお御指摘のような弊に陥りませんようには十分注意をいたします。
○関嘉彦君 この問題はたしか、日時ははっきりしませんけれども、去年、共産党の人たちが衆議院で取り上げられた。やはり企画庁に対して、企画庁が何か白書か何かを発表する場合に、大蔵省の方からそういうことを発表されると大蔵省は非常に困るので、大臣が勝手なことを発表しないようにコントロールしろとかなんとかいう、そういう秘密メモが回ってきたということを、たしか衆議院で共産党の人たちが暴露されたことを記憶しておりますけれども、こういうことなんかまことにもってのほかのことでありまして、受け取る方でも、大蔵省から人を入れておけば予算の獲得のときに都合がいいんじゃないかというふうな、もしそういった根性で入れているとすれば、これもまたとんでもない話なんであります。時間がありませんからこれ以上は申しませんけれども、単に大蔵大臣としての立場ではなしに、国務大臣として副総理として、こういうことが少しでも早くなくなるように努力していただきたい、それを十分お願いしまして質問を終わります。
○委員長(穐山篤君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 ─────・───── 午後二時開会
○委員長(穐山篤君) ただいまから決算委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、吉川春子君及び鈴木省吾君が委員を辞任され、その補欠として橋本敦君及び福田宏一君が選任されました。 ─────────────
○委員長(穐山篤君) 休憩前に引き続き、昭和六十年度決算外二件を議題とし、これより総括的質疑のうち、内閣総理大臣及び各省大臣に対する質疑を行います。 質疑時間等につきましては、理事会において協議し、各質疑者に御通知申し上げましたとおりでございます。 それでは、これより質疑に入りますが、まず私が、各会派のお許しを得て、決算委員長として若干の質疑をいたします。 まず第一に、会計検査院法の改正について総理の見解を伺います。 会計検査院の権限と機能を充実強化するための会計検査院法の改正につきましては、これまでしばしば委員会において取り上げられ、院法改正を行うように政府に対して数回にわたり決議も行い、また要請も行ってきたところです。政府はその都度、自由主義経済体制下における公権力の過剰介入あるいは政策金融の円滑な遂行に支障を来すおそれのあることなどを理由に、慎重に対応すべきものとして、いわゆる翁通達及び藤森通達をもって事足れりとしてきました。 しかし、政府の心配する公権力の過剰介入等につきましては、会計検査院の良識に期待すれば十分であります。また、通達は、各大臣などがその所掌事務について所管の諸機関などに示達するものであり、その行政機関の内部にしか効力がなく、限度があります。そして、この通達がいかに無力であるかは、土地高騰を招いた金融機関の融資に対する通達を見ても明らかであります。通達を遵守する、しないと論じても手おくれであります。一たん不測の事態が生じた場合には適切な対応ができません。もはや手おくれなのであります。 このように種々の観点から見ましても、院法改正の必要性は依然としてあると考えますが、この際、総理の御見解を伺います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる院法改正の問題でございますが、きょうたまたま委員長として総括して政府の姿勢をただしていらっしゃいますが、私も委員長の口から今まで聞かせていただいたこともございます。御指摘なさったとおり、長い間、国会の議決でございますとか、あるいは決算委員会そのもので御議論をいただいたことでございます。 しかし、今指摘のありましたとおり、自由な企業活動に対する公権力の過剰介入のおそれがあるということ、それから融資先に対しての恐怖心を与え、政策金融が有効に機能しなくなるおそれがあるなどの問題から法改正は困難であるという結論に達して、政府といたしましては、この国会決議等の調和を考えながら、会計検査院の充実強化を図ることは当然でございますので、会計検査院、それから内閣、大蔵省の三者協議を十分行いまして、いわゆる肩越し検査の充実を内容としました内閣官房副長官通達、御指摘なさった藤森通達というもの、これは私が大蔵大臣在任中でございましたが、出させていただいて今日に至っておるということでございます。したがって、まずはこの通達の趣旨に沿って、会計検査院に対して一層の協力を行うよう政府関係金融機関を指導してきておるということで御了解をいただきたいのであります。 この結果、従来いわゆる御議論ございました肩越し検査の実施されていなかった政府関係金融機関におきましても肩越し検査が実施されるなど、会計検査院の検査機能が一層充実してきたものであるというふうに認識をいたしておるところでございます。
○委員長(穐山篤君) 次に、参議院における決算審査の充実の問題について伺います。 総理も御承知のように、参議院におきましては、議長の諮問機関であります参議院改革協議会におきまして、総括的質疑の充実と決算審査の改善について検討の議題とされているところであります。本委員会におきましても、決算審査の重要性からその審査の充実に努めてまいったところであります。この点について、昨年の決算総括質疑の際、中曽根前総理は、「政府としても真剣に参議院の御期待にこたえるように努力してまいりたいと思う次第でございます。」と述べられております。総理も恐らく同様の御所見をお持ちのことと思いますが、この参議院の取り組みについてどのようにお考えであるのか、また、審査に対する政府の協力について具体的に御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 決算審査は、予算の中に組み込まれました政府の施策がどのような成果をおさめておるか、また予算の執行が適正に行われておるか、これらを審査していただくための極めて重要なものでございます。 御指摘がございましたとおり、本院におかれましては改革協議会において決算審査の充実について検討なさいますなど、決算重視の姿勢をおとりいただき、また委員会としても精力的に御審議を重ねておられるところでございまして、その姿勢に対しましては敬意を払っておるところでございます。政府としてもこれらに最大限の協力をしなければならないということは当然のことであり、今後とも努力を続けてまいりたいと、このように考えております。
○委員長(穐山篤君) ただいま総理の決算審査に対する決意を伺ったわけでありますが、決算審査充実のためには政府の積極的な協力が必要であります。しかし、これまでの政府委員の出席や答弁及び資料の提出に誠実を欠いたことがあり、警告をしたこともございます。ただいま審査をしております昭和六十年度決算審査の際にも、各委員から強くその趣旨の発言がありました。政府は、関係者の出席、質疑における答弁、審査のための資料要求については誠意をもってこれにこたえ、およそ審査に支障を生じないよう万全の態勢をとるべきものと考えますが、この点についてさらに総理の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 決算審査は御指摘のように極めて重要なものでございまして、その意味で決算審査にできるだけ万障繰り合わせて出席をいたしまして、また資料の提出等においても、可能な限りのものを提出するべく対応していくということが必要であると思っておるところであります。したがって、指摘あるたびに心を引き締めまして、それにこたえていかなければならないというつもりで今後ともさらに一層の努力をすることを申し上げたいと思います。
○委員長(穐山篤君) 次に、会計検査院の検査報告の指摘に対する問題について伺います。 当委員会は、会計検査報告を重要な参考資料として、各委員は党派を超えて熱心に決算審査を続けてまいりました。そこで、まず、会計検査院の検査報告について御所見を伺います。 検査院の指摘によりますと、いわゆる不当事項につきましては、昭和五十九年度は百四十八件、四十八億三千七百九十三万円、昭和六十年度は百十七件、三十六億六千四百二十万円、昭和六十一年度は百二十九件、三十九億一千九十三万円となっております。また、この不当事項として指摘されました事項の中には、中小企業設備近代化資金の貸し付けの不適切、郵政職員の不正行為など毎年指摘されているものが多くあります。このような実態について総理はどのように考えられておりますのか、また巨額のむだ遣いや毎年続けて指摘される同じ不当事項の根絶について改めて総理の所感と決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 政府としてはもとより、従来から厳正かつ効率的な予算の執行を図って、不正、不当事例の指摘を受けることのないよう特に留意すべきであると信じ、そのようにしてまいりました。 にもかかわらず、今御指摘のありましたように、毎年会計検査院から不適切な予算執行があるとしての指摘を受けてきておることはまことに残念であり、そして遺憾なことであると思います。したがって、今後ともこのような指摘を受けることのないよう一生懸命努力をしなければならないというふうに考えておるところでございます。 その指摘事項につきましては、不適正使用の事例が生じておることは事実でございますので、この不当事項等については、その周知徹底をまず図ることによりまして再発防止、これらに努めますとともに、やはり予算執行に当たる者のモラルの問題の一層の確立に努力してまいりたいと考えます。現下の厳しい財政事情にかんがみまして、一層効率的な執行に努めますとともに、たびたび申し上げるようですが、会計検査院の指摘を受けることのないよう厳正に対応してまいらなければならないものであるというふうに考えております。 さらに、具体的な御指摘がございました中小企業設備近代化資金の貸し付けの問題であります。毎年会計検査院から不当貸し付けに係る指摘を受けておりますことは大変に遺憾なことでございます。今後は従来にも増して一層の指導監督の強化、そして運用の適正化を図ることによりまして不当貸し付けの根絶に向かって最大限の努力をしなければならないと思っております。 そして郵政職員の不正行為、これが防止につきましては、今後とも総体的には綱紀の粛正の一層の徹底を図って、その防止に努めてまいらなければならないものであると、このように考えております。 それから、脱税者に対する対処の問題も御指摘がありましたが、悪質な脱税事案等に対しましては、従来から税務当局において厳正な税務調査を実施しておるところでございますが、今後も適正、公平な課税の実現に努力して、一層国民の理解にこたえなければならないと思っております。 総じて、御指摘がありますように、本当に毎年同じような指摘を受けてくるというのは私どもとして大変遺憾に存じておりますが、さらに厳正な注意を払うべきものであると、このように考えております。
○委員長(穐山篤君) 次に、脱税や使途不明金などについて伺います。 国税庁のまとめによりますと、昭和六十一年一年間に申告に疑問が持たれ税務調査を受けた二百三十四グループのすべてから悪質な所得隠しを含む申告漏れが摘発され、その総額は約七百四十五億円に上っています。調査未実施箇所を含むならば相当の額に上ると推計がされます。グループ内の赤字法人を使って利益を分散さしたり、下請や取引先に架空の外注費を支払ったとして所得をごまかすなど、その手口も巧妙化しております。中でも赤字法人に利益をかぶせて法人税を逃れる脱税は、地価高騰のもとで不動産業者が最も多用した手口であることがわかりました。 また、先日、神奈川県の山林と成田空港周辺の原野をめぐりまして、宗教法人や赤字法人を使った大がかりな土地転がし事件が発覚し、総計十億四千万円の暴利を上げていることがわかったとされています。そして、この巨額の転売益の大半は、納税義務のない赤字法人と税制優遇の宗教法人等の中に入り課税されずに消えていると報道もされております。 また、昭和六十一年七月から六十二年六月までの一年間に、いわゆる使途不明金が四百二十九億円になっていることが国税庁の調査でも公表されております。この昭和六十一事務年度の額は前年度を二十一億円、五・一%上回り、五十九年度に次ぐ記録とされています。 このような脱税や使途不明金の実態をまじめな国民はどのように見ているでありましょうか。正直に申告し納税していることがばからしくなるのではないでしょうか。国民の納税意欲を欠くこと甚しいと思います。このような事態があって、どこに税の公平ということが言えるのか、ますます不公平感を募らせるだけであります。税制改革の検討に先駆けて、ぜひこのような事態の徹底した調査検討を行い、この絶滅の対策を講じ、国民のだれもが納得して納税できる体制をつくるべきであると思いますけれども、総理の御所見と決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 悪質な脱税事案等に対し、これは今後とも適正、公平な課税の実現に向かわなければならないことは当然のことでございます。 今例示なさいました法人の悪質な脱税とか、使途不明金がふえておる状態であるとか、これらも御指摘どおり、国民の納税意欲を欠く結果となることは最も避けなければならないことでございます。 したがって、税制改革の検討に先駆けて、こういう事態の徹底した調査検討を行え、こういうことでありました。この絶滅の対策を講じまして、国民が納得して納税できる体制をつくらなきゃならぬというふうに私どもも考えておるところでございますので、今御指摘の中にも、いわゆる実調率を上げるというような問題も御指摘ございましたが、それらすべてを勘案いたしまして、御趣旨に沿うべく努力をしてまいりたいと考えております。
○委員長(穐山篤君) 最後に、円高差益の還元について伺います。 円高による差益還元で小売価格が下落したものもありまして、物の価格は安定してきていると言うことができます。しかし、一般的には海外旅行をして初めて円高メリットが経験できる程度で、庶民には物価が下がったという生活実感はまだ乏しいと言えます。消費部門への円高差益の還元はまだ不十分で余り進んでいるとは言えず、メーカーや流通部門に巨額の差益が吸収されてしまっているようであります。 国民が円高差益還元のメリットを感じられない理由はどこにあると考えられますか。その原因を厳格に究明し、円高差益還元にさらに努力する決意のほどを伺いたいと思います。 特に、各省庁が諸外国から購入をした医療機器などはドル安にもかかわらず、また、関税の改正措置などの変更に十分対応しないままに不当に高い価格で購入しており、国費のむだ遣いが生じております。円高メリットの還元を政府が率先して行うべきにもかかわらず、このような事態が発生したことは全く遺憾であります。総理の御見解と是正の措置を伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 円高差益につきましては一昨年来の累次にわたります対策等によりまして還元策を講じて、それなりに浸透してきておるというふうに思っておるところでございます。円高差益の還元が実感されないという点につきましては、円高の効果は物価面に対しある程度のタイムラグを待って、そしてかつ非常に薄く広くあらわれてくるものでございますので、円高差益の還元がこたえるような実感としてとらえにくいという性格のものであるというふうに考えております。いずれにしましても、為替レートの動向等を踏まえまして円高メリットの一層の進展に努めていきますと同時に、やはりそれだけでなく経済構造の調整を進めていきます中で製品輸入の促進でございますとか、あるいはデレギュレーションでございますとか、生産性向上の促進でございますとか、これらを通じて内外格差を縮小し、国民の納得を得られる価格水準を実現さしていくことが重要であるというふうに考えております。 そして、さらに具体的御指摘がございました医療機器等の購入に当たっての問題でございます。 これらの輸入機器を取り扱います代理店などからインボイス等の書類の提出を求めまして輸入原価の把握に努めておるところでございます。昭和六十一年度決算検査報告におきまして、外為相場の変動及び関税率の改定があった場合、これを予定価格に反映させる方策の検討が十分ではなかったことなどによって購入額が割高になった、こういう具体的な指摘をいただいておりますことはまことに遺憾にたえないところでございます。本件につきましては所要の措置を講じたところでございますが、今後とも政府としてはこのようなことがないように適正な購入価格というものにきめ細かく努めてまいらなければならない、このように考えております。
○委員長(穐山篤君) ありがとうございました。 それでは、質疑を続けてまいります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○丸谷金保君 総理に一点だけお伺いいたします。 私は、米国との防衛機密特許協定、いわゆる五六年協定の活性化については特許の手続、特許庁内の事務分掌、特許制度の違い等を問題としてまいりました。ところが質疑を進めるに従って、これは単に特許制度にかかわる問題ではなく、アメリカが先端技術分野で最大のライバルである日本のハイテク研究、ハイテク産業を統制しようとする意図が込められたパックスアメリカーナの大きな戦略の一こまであると感ずるようになりました。五六年協定の第二条によって、防衛目的のため単に情報として技術上の知識を提供した場合も、次の第三条の規定によって日本を拘束する協定出願と同じように秘密保護の対象にしなければならないということがわかってきたからであります。 そうしますと、八三年の対米武器技術供与に関する交換公文で、企業が平和産業用に開発した技術や情報でも防衛目的のためにはアメリカに提供しなければならないということになっておりますので、それらの技術がアメリカの基礎研究と組み合わされて、日本に防衛目的と称して単に情報のみ提供し、協定出願をされた場合には、日本の先端技術を日本が勝手に使うことができないということにもなりかねません。なぜなら、防衛目的という言葉は際限なく広がるおそれがあるからであります。現にアメリカは今度の新しい科学技術協力協定の締結交渉の中で、あらゆる日米の科学技術協力に対し軍事化の理論的可能性を考慮している態度をはっきり打ち出しているではありませんか。だからこそ新聞は社説で各社それぞれ深い危惧の念を表明しております。 総理は、今回の一連の外遊に当たり、防衛目的という名のもとに安易な約束を行い、日本の産業界が先端技術の分野で二十一世紀にことごとくアメリカの後塵を拝することにならないよう十分御留意をお願いいたしたい。総理の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(竹下登君) 今般実施されることになりました一九五六年協定に基づきます取り扱いとは、米国において秘密特許出願とされたものが一定の手続のもとに日本において出願された場合に限り、その出願を米国での秘密保持が終わるまで公開しないとの極めて限定的な措置を既に国会の承認を得た条約に基づいて実施するという性格になるわけでございます。この条約についていろいろ御議論がありましたことは私も承知をいたしております。また、一九五六年協定の実施は、米政府より日本政府に対する高度な技術の防衛目的のための提供の環境をさらに整えるという意義を有するものであります。いずれにいたしましても、日米間の防衛分野での技術交流が図られることによって日本の先端技術が米国の統制下に行われるという指摘は当たらないというふうに考えております。 私が世界に貢献する日本ということを目指しましていろいろなことを申しております。いわゆる国際文化交流の強化等々の一環でもあるわけでございますが、我が国が国際社会においてその地位にふさわしい貢献を行うべしとの考え方が基本にございますので、あくまでも我が国自身が自主的に行うべきものであるというふうに考えておるところでございます。
○菅野久光君 竹下総理においでをいただいて六十年度決算の総括の本当の締めくくりをやることになったわけでありますが、二年前は、総理は大蔵大臣としてその席で私も何度か質問を申し上げたことがあるわけであります。六十年度の決算、これは予算をつくったときは大蔵大臣という立場でおつくりになったその予算、そして今回は決算ということで今度は総理という立場でお立ちになるわけで、若干のことについて御質問申し上げたいと思います。 質問の本論に入る前に、竹下総理になってから、特に本年三月十三日には青函トンネルを使っての函館―青森間の海峡線の開業式、そして四月十日には瀬戸大橋が完成して北海道から本州、四国、九州と鉄路がつながるという歴史的な事柄がありました。私は北海道でありますので青函トンネルの関係で言えば、実に四半世紀、二十四年という長い年月をかけ、六千九百億円という巨額なお金を使って完成させたもので、世界各国からもまさに世紀の偉業だというような評価もあるわけでありますが、総理はこの二つの事業についてどのような認識を持っておられるか、まずお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今年いわゆる青函トンネル、それから本州四国連絡橋の瀬戸大橋部分の開通という二つの偉業がなされたということにつきましては、今日までこれを推進していただいた諸先輩の功績に対して大変私は感謝を申し上げるべき課題であるというふうに思っておるところであります。 ちょうど私が本四架橋の鳴門大橋の起工式に参りましたときは、昭和五十一年の建設大臣当時でございましたが、そのときから見ても十二年、そしてまさに青函トンネルに至ってはその倍、こういう年月がかかっておりまして、そこに計画立案から工事の実施に至るまでたくさんの方が努力をされて今日の成果を見るに至った。私もこの問題につきましては、まさに自分の五十一年の起工式に行ったなどというのはしょせんこういう大事業が始まった歴史の一こまの行事であって、長い間蓄積された先輩の御努力、そして私なりにもう一つ別の角度から感じましたのは、これは犠牲者の方には申しわけないことでございますけれども、総体的に大変犠牲者の方の数が少なく竣工を見たということなども報告を聞きながら自分なりに感じたところでございます。
○菅野久光君 長い年月、そして巨費をかけたということでは世紀の大事業ではないかというふうに私は思うんですが、その点はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは我が国だけでなく国際的にも世紀の大事業だという思いは等しくいたしております。
○菅野久光君 私もまさに世紀の大事業だ、そういうこともありまして当日函館の祝賀会場に行ったわけですが、残念ながら総理はお見えにならなかった。そのことは新聞等でもいろいろ報じられておりました。代理として石原官房副長官が来られたわけでありますが、このことについて総理はどのような感想といいますか、それを持っておられるかお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 世紀の大事業でありますだけに、私自身もお許しを得て参加すべき行事の一つであるという問題意識は十分持っておりました。いろいろ論評もされておることも事実でございますが、私自身から申しますならば、日程調整というものができなかったということをお答えせざるを得ないと思います。
○菅野久光君 この件については相当前から三月十三日という日にちは決まっておった。六十二年の九月七日に新ダイヤを発表したときに、三月十三日を開業日だということでこれはもう発表されていたわけであります。そこで、総理は日程調整の関係で出られなかったということでありますが、代理で石原官房副長官を出したからそれでいいではないかということにはならないのではないか。内閣としてこういったような国家的なあるいは世界的な大事業に対する姿勢というものをやはりはっきりすべきではなかったのか。例えば総理が出られなければ副総理、副総理が出られなければ内閣の番頭役といいますか、官房長官だとか、そういう形での対応というものがなぜできなかったのか。その辺を私は非常に残念に思っているわけですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 世紀の大事業であったという意味において、今御指摘の御批判に対しては私どもはこれは甘んじて御批判を受けなければならないというふうに考えておるところでございます。 当初、私どもも承知しておったことでございますが、いわゆる運輸省、建設省等々どのように会場にこれを配置するかとかいろいろな事情がございまして、そういうことでそれぞれの会場の事業が円滑、有意義に行われるような処方が考えられて実施に移されたというふうに理解をいたしておりますが、しかし御指摘なさったことは私にも十分理解できることでございます。 例えば瀬戸大橋の問題にいたしましても、テープカットそのものは私にはその役目はございませんでした。ただそこを通っただけのことに終わりましたものの、世紀の事業であるならば私自身の行事の行為そのものはなくても、おっしゃる批判に対しては私どもも甘んじて受けなければならない批判であろうというふうに感じております。
○菅野久光君 甘んじて受けなければならないと総理がおっしゃるので、これ以上は申し上げたくないのでありますが、総理が都合が悪いときに総理の次の人ということで副総理が置かれているわけでありますし、また先ほど申し上げましたように、官房長官というような方がいらっしゃるわけでございますから、今後このようなことは、まだ本四架橋の関係ではいろいろあるのではないかと思いますが、極めて残念だったという思いだけは申し上げておきたいと思います。 本論に入りたいと思いますが、まず税制の問題であります。 去る二十四日に発表されました自民党税制調査会が導入を予定しております新型間接税のタイプとして、一般消費税型を確定したというふうに伝えられておりますが、まずこれに対する総理の見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 名前がどうなりますか、私も詳しく聞いておりませんが、いわゆる新消費税は帳簿上の記録に基づいて税額控除を行う多段階課税を中心に議論が行われておるというふうに私も承知をしておるところでございます。
○菅野久光君 帳簿式ということで、一般消費税型ということで言われておるわけであります。これは昭和五十四年十二月の国会決議があるわけで、総理は行政府の長としてこの国会決議を遵守する責任があるわけであります。今回自民党税調が決定した方向といいますか、これについては明らかに国会決議に反しているのではないかというふうに思うんですが、この点についての総理の見解はいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 昭和五十四年十二月のいわゆる財政再建に関する決議、これに、いわゆる一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造等について国民の理解を得るに至らなかった、よって財政再建にはいわゆる一般消費税(仮称)の手法によらず云々と、行政改革から、節減合理化から、税制の改革からをやれ、こういう趣旨であったと記憶いたしております。したがいまして、いわゆる国会決議というのは、有権解釈はあくまでも院に存在するわけでございますので、私が、行政府が勝手に解釈をする性格のものではないというふうに私も思っておるところであります。ただ、たまたまこの決議の際も私、大蔵大臣でございまして、両院の議院運営委員会の先生方と案文等についていろいろな議論をいたしましたりして少し深入りし過ぎておりますので、時に勝手な解釈をしがちなおそれなしとしないというのでみずからを絶えず戒めておる、こういうことでございます。あくまでも決議の趣旨そのものは、これは有権解釈は国会でなさるべきものであるという考え方の上に立っておるわけであります。 いずれにいたしましても、今、税制調査会等で議論をされております新消費税の形態というものが、そもそもが税制改革というのは、財政再建ということももとよりございましたが、一方、国民の間に不公平感というものが存在するところから議論が高揚してきたものでございますので、諮問しましたとおり、所得、消費、資産、これにバランスのとれた税体系の構築というものが先般中間報告いただきました政府税調、それからまた党税調、これはまだ中間報告に至っておりませんが、さらに国会で、いろいろな場所で議論していただいたこと、これらを勘案いたしまして、それにこたえた成案を得るべく努力をしなければならないというのが今日の私どもに与えられた立場ではなかろうかというふうに考えております。もう一つ、与野党間の申し合わせというようなものをも含めてという意味でございます。
○菅野久光君 成案を得て国会で審議をしてもらうということで、いろいろ言われていることは、今までは国会開会中だったから通常国会を開会しているときに臨時国会の話をすべきではないというようなお話もありましたが、来月中旬以降あるいは若干おくれるのかもしれませんが、成案が何か得られるように聞いております。そうなりますと、これを論議する臨時国会の召集時期というものを今どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは、御指摘のとおり、臨時会の召集権は政府にあることは事実でございます。これが一つございます。それからいま一方、ついさきおとといまでは提出予定法案(検討中のもの)と、こうなっておったわけでありますが、それが検討中のまま提出に至らなかったという事実でございますので、国会そのものは今なくなっておりますが、検討中の事実は今日継続中であるというふうに思っておりますので、可能な限り早く結論を得て御議論をいただかなければならないというふうには私も問題意識を整理いたしております。ただし、やはり召集権が一義的に政府にあることは申すまでもございませんけれども、この種の問題、そして国会というものが終始話し合い協調ムードの中で運営されてきた、このかえがたい貴重な事実というものを考えますときに、それこそ与野党、両院、当の国会関係者の方々の意見をいろいろ聞いて召集期日等も決めるというのが私は正しい姿勢ではないか、したがって、今日およそいつごろというようなことを申す段階に至っておりません。
○菅野久光君 今の段階でおよそいつごろということは申されない、いろんな状況等を踏まえて、しかしなるべく早く決めたいというお考えのようでありますが、その決められるおよそのめど、どの辺ぐらいまでには決めなければならないということはいかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 一つは政府税調、我々が諮問しておるわけでございますから、それで中間的なお答えをいただいておる。ただ、さらに具体的には詰めていくと、こうおっしゃっておりますので、その推移を見なきゃならぬ課題だというふうに思っております。それから、これはよく私把握しておりませんが、税制協議会とかいう名前は別といたしまして、専門家の皆さん方の、与野党の間で六十三年度減税の問題の大筋の約束ができたということになりますと、それについての詰めも行われるんじゃないか、それらのことをおよそ私も見きわめながら、召集日を各方面の意見を聞いて決めなきゃいかぬ。したがって、私の心境の中には相手さんというものがあるわけでございますので、どうも相手さんの意見を聞く前に、大体相手さんもこのころならいいだろうと言うほど厚かましくあってはならぬなと自粛自戒をいたしておるところでございます。
○菅野久光君 気配りの総理というような話もあるわけですけれども、しかし、何といっても最高権力者の総理でありますから、もうこの辺でずばり言って、むしろ総理が言ったことに周りが合わせるというようなこともやっぱりあっていいのではないかと思うんです。その点は、今言っても、今おっしゃられたばっかりですから、前言を変えるということもできないでしょうから、私はそのことについてはこれ以上申し上げませんが、そういう意味でちょっと国民の間で、もう少し総理は本当のことを言ったらいいじゃないか、自分の気持ちをもっと言ったらいいじゃないかという声が出ているのではないか。余りにも気配りのし過ぎではないかというような私は気がいたしますが、その点についてはこれ以上申し上げません。 新聞報道では、自民党税制調査会の山中会長が、一般消費税型の導入が国会決議違反との批判をかわすには新税の名称が決め手だというような見解を示したというふうに伝えられておりますが、もしこれが事実だとするならば、看板をもって国会、国民を偽るも同然だ、とんでもないことだというふうに私は思います。 また、今月十六日に発表されました総理府の社会意識に関する世論調査、昭和六十二年の十二月に実施されたものでありますが、これによれば、税制度について不公平感を持っている人は八〇%と、前回五十五年三月の調査の六六・五%を大幅に上回っている。この結果は、六十一年二月の税金に関する世論調査の結果、これは八一・四%でありましたが、これとほぼ同様なわけであります。特に六十一年の調査では、管理職それから専門職、事務職、すなわちサラリーマンの実に九二・八%までが税金に不公平感を持っております。また、政府税制調査会の地方公聴会においても、新型間接税導入の前に不公平税制の是正を行うことが先決だという意見が非常に強かったと聞いております。 現在の税制に対しては、不公平感ではなくまさに不公平であります。国民の間にみなぎっている税の不満、地価高騰に伴う資産格差等は、日本の繁栄を支える勤労者の勤労意欲に影響するほどの状況になっております。総理はこの現状をどのように認識されておるか。先ほど委員長質問にもありましたが、不公平税制の是正に真剣に取り組んで国民の不満を解消させる決意がおありだと思いますが、その点についての総理のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 税というのは、要するにタックスペイアーの方の信頼を基礎としておかなきゃならぬというふうに私はいつでも考えております。だから中間答申を見ましても、公平の原則を、今回の税制改革に当たっての最も基本的な理想の第一であるというふうに書かれてあるわけでございます。私は、いつもちょっと疑問を持ちますのは、今菅野さんは不公平税制とおっしゃいましたが、私もそれは十分わかります。しかし、そもそも租税法定主義で国会で議決をしてもらったものに不公平があるという言い方はどうかなと思って、遠慮しながら不公平感でとどめながら今日来ましたが、実感としては今ずばりおっしゃったと同じような私にも感じがあることはこれは事実でございます。 したがって、この不公平感というのはどこから出たものかなと、人によっていろいろな評価はございましょうが、一つはいわば所得というものの中の水平的公平と垂直的公平というようなものからの不公平感が出たんじゃないか。なかんずく今おっしゃいましたサラリーマン、源泉徴収を受けられている方々と、所得の中でいう事業所得でございますとか譲渡所得でございますとか、そういうものに対する所得というものの中における不公平感というものが存在し、さらに土地の問題もお話しになりましたが、今度は資産と所得というものに対する不公平感というものがまた新たに出てきておるんではないか。さらには今度は、いわゆる消費そのものに対する個別消費税等の持ちますところの不公平感、こういうようなものがふくそうしまして不公平感というものが一方存在しておる。 それからもう一つ、難しく言えば、やはり租税特別措置というのは、その時点時点においてそれなりの合理性は持っておっても、特別措置という名前が示すごとくノーマルなものではないという形においては不公平税制と言われる範疇の中に入るものかということで、これは毎年毎年これらについての改正等が行われてきておる。少し長くなりましたが、そのようなものを集約して、感覚的にお互いの持つ不公平感というものと、やや所得、資産、消費等における不公平感というものを整理整とんしながらさらに詰めていくべきものではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
○菅野久光君 不公平と言い切るか不公平感と言うかということについてはそれはそれぞれなんですが、とにかく今までの調査の結果では不公平だというふうに思っている国民が多いことはこれは否定しようのないことだと思います。 いずれにしましても、ことし秋までにはこの税制改革を実現しようとされていることはいろんな報道の中で私どもはうかがい知るわけでありますが、諸外国でも特に税の改革、大きな改革をやろうとするときには三年とか五年とかという月日をかけて、そして国民の合意を得ながらやっているというのが実情ですし、この税制を変えるということは、これは大蔵省が決めるあるいは内閣が決めるという、もちろん最終的には国会でありますが、やはり国民が決めるものだ、まさにどの税制を選ぶかということは国民にこそ権利があるんだということではないかと思うんです。そういうことがあって初めて納税の義務も存してくるのではないかというふうに思うわけです。 特に今いろいろ国民の間であることは、今の国会では衆参ともに与党である自民党が絶対多数を持っている、このときにやらなければ税制改正はできないというような声が非常にあるわけです。そうだとすれば私はまた再び間違いを犯すのではないかというふうに思うんです。それはさきの選挙で確かに議席は取りましたけれども、それでは一体有権者のどの程度の得票率というものがあったのかということになれば、まあやや半数ということですね。国会の議席と国民の自民党に投票したそれとは違うし、またあの選挙のときに、当時の中曽根首相が導入しないということを約束したその選挙の結果が今日の状況なわけですから、もしも税制を変えるということであれば堂々とそれを国民に訴えて、解散、総選挙によって国民に信を問うということが私は民主主義の常道だというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) そもそも今御指摘ありましたように、英国においていわゆる議会制度ができましたことそのものが、税に対する監視と国民参加ということから、ちょっと忘れました、十七世紀でございましたか、国会ができたという歴史がそれを立証しておるわけであります。したがって、この租税法定主義というものもございますように、税と国会、国民を代表する国会、あるいは国会を構成する投票権者たる国民という関係というものは私も理解をいたすところでございます。 したがいまして、この税の問題につきまして大変重要な問題であるという意識はございますが、ただ、単純にされば解散して民意に問うべきだという御議論に対しましては、一方議会制民主主義というものの根幹ともなるべき我が国の憲法等からいたしまして、四年の任期が与えられ、そして参議院の先生方には六年の任期が与えられておるという事実からいたしますと、その任期というものは、大変言葉をいつも重複して申すようでございますが、大事に大事にしなきゃならぬものだというふうに思っておるところであります。国民にもいろいろなニーズの変化もございましょう。それらを敏感に受けとめながら、この任期を大事にしながら、可能な限り、国民の税制改正に対する意欲というものにこたえていくべきものではなかろうかというふうに思いますので、解散して民意を問うべきだという御提言に対しては、私は賛成をいたしかねるというお答えをせざるを得ない立場であります。
○菅野久光君 先ほども言いましたが、当時の中曽根総理が国民に導入しないと言った大型間接税を、売上税という名で導入したその結果が昨年ああいう結果になったわけです。また、そう公約をして選挙を行った結果が今日の状況であるということを考えれば、これを大きく変えようとするときにはやはり民意を問うというのが私は民主主義の常道だということを強く申し上げておきたいと思います。 これは、論議をしてもすれ違いになると思いますから、これ以上このことについては申し上げません。税制の関係については、いずれ召集されればまた臨時国会の中でいろいろ論議されることになるんだろうと思いますから、税制問題については以上で終わります。 次に、ブラジル移民の問題についてお伺いをいたします。 我が国から国策としてブラジルに移住した老人たちに対する政府の今後の施策についてぜひお尋ねをしたいと思います。 我が国の最初の移民船笠戸丸がブラジルのサントス港に入港したのは一九〇八年六月十八日、そのように記録されております。本年はそれから八十周年を迎えることになりまして、現地ではそれを記念して盛大な記念祭の行事が予定されているようでありますが、この記念行事に参加するために日本からも二千人がブラジルに行くというふうに見込まれております。実は北海道も三千二百二十四人、戦後だけでブラジルに移民しているんですね。日本全国では五万三千五百人という新聞報道であります。これには北海道でも横路知事が出席することになっております。 そこでまず、我が国の政府は、この八十周年記念祭の行事に対してだれかが政府を代表して出席することになるのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) この六月十八日を中心にブラジル各地で記念式典等の慶祝行事が盛大に行われる、これについて日本側も多数の国会議員さんを初め出席されることになっておりますが、いわゆる政府代表あるいは特派大使という形においてはまだ私のもとで議論をいたしておりませんので正確にお答えするわけにはまいりません。
○菅野久光君 ブラジルには約八十万人と言われておりまして、移民の全体の中の約八〇%がブラジルにいるという状況であります。まだ総理のもとで検討されていないということでありますが、ぜひこれは日本の国策として行って、しかも大変な苦労をされている方たちの集まりでありますから、政府としても対応してもらいたいと思いますが、そんな状況であります。この八十周年に対して何か政府として施策をお考えになっておられますか。もしもお考えになっておりましたらその施策の内容と必要な経費等についてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(宇野宗佑君) 八十周年の記念でございますから我が国からもいろいろと派遣される方々がおられますが、政府代表というのではなくして、日本側から今決定いたしておりますのは文仁親王殿下が御臨席になるということになっております。また、国会議員の方では日伯国会議員の連盟会長、福田元総理がその会長でございますから、会長を初め多数の国会議員が出席されるという予定でございまして、政府の方はまだ今後いろいろお考えになるだろう、かように思っております。 特にやはり、ブラジル政府及び現地日系人の多大の期待もございますから、こうしたときに記念行事をしなくてはなりません。その一つといたしまして日伯友好病院建設事業というのがございます。総工費は約十億七千万円でございますから、それに対しまして二億一千四百万円の助成を行いたい、かように考えておる次第でございます。そのほか各種文化事業等々ございますが、もちろん別なグループ、文化団体のグループの派遣等も考え、またその支援そして協力を政府としてはいたしたいと思っておるような次第でございます。なおかつ、移住者の中で非常に日伯友好のために尽くしていただいた方々もおられますし、また現地において非常に努力をされた方々もいらっしゃいます。そうした日本人の移住者に対しましては外務大臣表彰といった仕組みも考えなければならない、かように思っておる次第であります。
○菅野久光君 現在ブラジルにいらっしゃる日本国籍を持っている六十歳以上の老人の数、できれば男女別にわかっていたらお知らせをいただきたいと思います。
○説明員(黒河内久美君) 現在ブラジルで日本国籍を持っておられる移住者の方は約十一万一千人でございますが、そのうち六十歳以上の方は五ないし六万人程度であると推定いたしております。残念ながらちょっと手持ちの資料に男女別がございません。
○菅野久光君 移民八十周年ということでかなり老齢化している。それは我が国もそうでありますが、移民された方々もそんな状況にあるということがよくわかるわけであります。 私は過日、四月八日でありますが、民間の老人福祉施設の招きでブラジルから里帰りをしました老人六人の方といろいろお話をする機会がありまして、移住された老人の人たちが抱えている諸問題について話し合いをいたしました。これらの老人のうち三人は昭和十一年に移住したということから、祖国の土を踏んだのは半世紀ぶりということでありました。そして彼らは異口同音に祖国のすばらしい発展に驚いておりました。また当日は、季節としては記録的な大雪が降りまして、片方は春の雪景色、そして桜が咲いて、そしてまた雪というものを同時に見せてもらったので、帰国しても故国のことで思い残すことはないと言っておったのが今も私は印象に残っております。 今も私申し上げましたが、本当に里帰りをした老人たちから、日本がすばらしい、そして日本という国が今ブラジルにいる人たちにとって、あるいはブラジル人の人たちもあこがれの的になっていると。日本の驚異的な発展ということを皆さんがよく知っていてそういうような思いを抱いているようでありますが、とりわけこの移住された人たちの一番の希望は里帰りの実現ということであったわけです。これはもう希望というよりも熱情といった方がいいのではないかと思います。この実情は、東京老人ホームが昨年の七月にサンパウロ日伯援護協会の協力を得て行ったアンケート調査があるわけでありますが、このアンケート調査の中にはっきりそのことが出ているわけです。そんなことを踏まえまして、日本政府に対する要望として、日本への里帰りのための経済的援助というものが六人のどの方からも強く出されてまいりました。 特に今ブラジルはインフレで、そしてかなりいい階級というんですか、いい生活をしていた人たちも、日本へ帰るということになれば、家を売ったり車を売ったりしなければ日本に帰れないという状況で、日本へ帰りたいという望郷の念、それはもう切実な要望で、これは無理もないことだというふうに思うわけであります。しかし、今申し上げましたように里帰りをしたくてもそれができないというような状況でありますから、何とか日本への里帰りが実現できるような方策をとってあげるべきではないかというふうに思うんです。だんだん高齢化いたしまして余命幾ばくもない老いの身である方たちにとって、この里帰りの制度化というものを早急にしてあげることが私は大事なことではないかというふうに思うんです。本当にあすでは遅過ぎるという感じを強く持って私もいろんなお話を聞いたわけです。 そこで総理、来年度の予算では何とか国策として移住した老人たちへの償いの見地に立って善処してもらいたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) おっしゃる意味はよく私も理解できます。私もブラジルへ参りましたときに、私のような小さい県の県人会もできておりました。大体島根県が七十九万六千人、世田谷が今五十一万、それでブラジルと。大体ブラジル、世田谷、島根県が一緒だな、私もそういう計算をしてみたことがございます。したがって、私は今世田谷に住んでおりますから、世田谷一つがブラジルにあるんだな、あるいは島根県一つがブラジルにあるんだな、こんな印象を受けたことも事実でございます。 したがって、往復も大変頻繁になってきておりますが、この里帰り問題につきましては、外務省の許可の社団法人日本海外移住家族会連合会六十三年度補助金額が四千七百九十五万円というようなことで、今菅野先生のおっしゃった趣旨の行事が行われておることは事実でございます。その人数ということになりますと、それこそ先ほど半世紀という言葉が出ておりましたが、五十年以上まだ帰ったことのないとかいうような人たちが対象にされておるやに承っておりますので、外務当局と財政当局とよく御趣旨の御発言があったことを体して、来年度予算編成においてどのように取り組むべきか検討をいたすことであろうと聞いておったわけでございますから、そのように考えておるところでございます。
○菅野久光君 在外邦人の保護謝金か何かの関係で里帰りを実現しているような今お話であったのですが、現在国として里帰りの関係について制度化しているといいますか、何かそういうような実態があるのかどうか、それをまずお聞きしたいと思います。
○説明員(黒河内久美君) ただいま総理の御答弁にございましたように、政府といたしましては、外務省所管の社団法人の日本海外移住家族会連合会に対する補助金事業ということで、昭和四十九年以来、小規模ではございますが里帰りの事業を実施しております。今総理からもお話ございましたように、中南米に在住しておられる高齢移住者につきまして、移住後五十年を経過した方で、かつその間訪日経験のない方を対象といたしまして、現在年間二十名の枠での訪日受け入れ事業を実施しているわけでございます。
○菅野久光君 最近三年間で何人実施されたのかお聞かせください。
○説明員(黒河内久美君) 昭和六十年から御説明いたします。ブラジルからの方だけを申し上げますが、六十年が十五名、六十一年が十六名、六十二年が二十名となっております。
○菅野久光君 これは五十年以上ということでやれば、パーセンテージにすればどのくらいのパーセントになりますか。――時間がございませんから、突然ですから結構ですが、私はパーセントにしたら大したことはないんじゃないかなと思うんです。 これは保護謝金というのとは全然別なんですか。保護謝金の中から今言った団体に出しているということですか、その辺はいかがですか。
○説明員(黒河内久美君) 保護謝金の制度とは全く別でございまして、在外邦人保護謝金といいますのは、現在は移住者に限らず一般の在外における困窮邦人を対象としたものでございます。 若干説明させていただきますと、在外におきまして老齢、傷病、事故、家長死亡その他の理由により困窮状態に陥った邦人が生活を立て直すに至る間、各種の邦人関係の団体等が援護活動を行った場合に、これらの困窮者を援助した団体等に対して、その援護措置に要した経費を勘案して謝金として支出するという制度でございまして、里帰りとは全く別枠の事業でございます。
○菅野久光君 何かそのことがお話の中ではさっぱり見えてこないんですね。先ほど十五人だとか十六人だとか二十人だとかというお話がありましたが、そのことが一つも見えてこない。お話の中に出てこないわけです。ですから、人数がごくごく少ないから、余り広げるととても決めるのに大変だからということなのかどうなのか私はちょっとわかりませんが、せっかくやっておられるものがわかるようにもっとやはり広げていただくということが大事ではないかなというふうに思います。 また、非常に生活が苦しいということで、日本の国でいえば無拠出制の老齢福祉年金というのがあるんですが、年金制度からいえば、これは外国にいる者には何か出されないような仕組みになっているようです。年金とまではいかなくても、本当に月に六千クルザードとか、お金の呼び方がそういうことになっているそうで、それが収入としては三千ぐらいしかない、半分ぐらいしかないということで、大変日本でいえば生活保護的な状況、それを経済大国と言われているこの日本が、日本の国籍を持っている人に対してそんな状況を放置していいのかどうかというようなことを私はこの方たちの話から思ったわけです。西ドイツなどは年金支給をやっているというふうに私は聞いております。西ドイツでやっていて日本がやれないということはないのじゃないか。別に年金とは言わなくても、そういう生活に本当に困っている方々をどうするかというようなことで何とか考えてもらいたい。 時間がありませんからはしょって申し上げますが、五十一年に、当時の三木総理が当時の目黒今朝次郎参議院議員の質問に対して、前向きに検討するというようなことが答弁で出されたことを私も会議録で承知をしておるわけですが、これらのことについてどのような検討がなされたのか、お伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(宇野宗佑君) 三木元総理が答えられましたその後、具体的にどういうことをしたかというお尋ねでございますが、海外の邦人に対する保護、援護、これは可能な範囲で今日までやってまいった次第でございます。 特に困窮者、老齢者等に対しましては、これだけ祖国が繁栄したのでございますから、やはりそれを味わってもらうということも当然のことでありますので、在外の邦人援護団体というものがございますが、これを通じまして社会保障なりあるいは医療補助なり、そうしたことに対しましても十二分にいろいろと努力をしておるようなことであります。特に生活困窮老齢者の施策につきましては、受け入れ国の主権の問題だということになりますが、しかしやはり受け入れ国にも福祉政策もございましょうし、その福祉政策に力をつける意味において本国からも極力そういう環境を整備したいということで、現在といたしましては、先ほども申し上げました邦人の援護団体、こうしたものを通じましていろいろと、国によって違うわけでございますけれども、それぞれ努力を払っておるということが現在政府が行っておる事業でございます。
○菅野久光君 現地の人たちは、その当時の三木総理の国会答弁で、老齢福祉年金の支給について前向きに検討するというようなことを受けて大きな期待を抱いておったわけですが、それから十年一昔、一つもこのことについて進展をしない。非常に期待が大きかっただけにまた失望も大きいのではないかと思いますが、三木総理だけではなくて、その前にも四十八年には自民党の大物代議士、名前は言いませんが、この方がブラジルの国会招待でブラジルへ行かれた際に、老齢福祉年金を本国並みに支給するよう早急に実現するというふうに現地の日本人会で演説したということも伝えられておるわけです。ですからその後、当時の三木総理の発言ですから、これは期待をするのが当然ですね。そうだと思うんです。ですからやはり、だれか言ったということは別にしましても、とにかく当時の総理であった方がそういう発言をしたということを踏まえて、何とか来年いい方向でこれらの方々に対する施策というものを予算化してもらいたいものだというふうに思いますが、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 今外務大臣からもお答え申し上げましたように、その国自身のいわば社会保障政策というものも存在しておるわけでございますので、その点、具体化するときにそのような議論がありましたのも私も聞かされたことがございます。しかし、今おっしゃいました御趣旨が、従来やっております法人援護団体を通じる生活費援助とか医療費援助とか、そういう問題にどのように組み込みができるものか十分検討させていただくべき課題であるというふうに思います。
○菅野久光君 五十年当時のブラジル政権の状況というのは、当時は軍事政権だったんですね、それでいろいろな問題がありましたが、現在は状況が違っておりますので、当時のようなことはないと思いますので、ひとつぜひ八十周年に何とかいいお土産をブラジルにいらっしゃる邦人の方々に政府としてやはり送ってあげる、そういうことをやっていただきたいなと思って質問いたしましたので、このことについてぜひひとつ心にとめてやっていただきたいと思います。 最後に、ブラジルにいる移住者の方々の話の中で、何といってもやっぱり娯楽といえばテレビ、ラジオだ、こういうことなんですね。何といっても日本語のそういう放送というものが一番の楽しみ、そういうことで南米向けの放送の問題について、当初は聞こえたようでありますが、何か最近は電波障害によってなかなか聞こえにくくなったということで、何とか今科学技術も発達している今日でありますから、このことについて一日も早く解決をして、故国の放送を聞けるようにしてほしいという要望がありますが、現状と、これからこれらの課題に向けてどのような状況になっているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○説明員(成川富彦君) 南米向けの国際放送につきましては、国内にあります八俣の送信所からの放送に加えまして、六十二年四月からアフリカのガボンから一日当たり四時間の海外中継放送を行うなど、従来から改善に努めてきたところでございます。かなり改善は海外中継等によりましてしてきたんですが、場所とか時間帯によりましては聴視者等から聞こえにくいんじゃないかというような苦情が出ているということも私ども承知しているところでございます。 この原因としては、電離層の問題とか外国の放送局との混信とか原因が考えられるわけですが、幸い六十二年度におきまして海外中継局確保のための調査経費が認められまして調査を実施したところでございます。それによりまして現在、中南米地域向けの受信改善のための海外中継局確保の検討を進めているところでございます。かなり実現に近い方向に進んでおりますので、鋭意検討を進めたいと思っております。
○菅野久光君 時間がなくなりまして、防衛予算の関係についてお尋ねをしたいということで長官にもおいでいただきましたが、まことに申しわけございません、また別な機会にこれはぜひお尋ねをしたいと思っております。 先ほど決算委員長の総理質問の中でも、円高差益のメリットが国民に還元されていないということが言われましたけれども、防衛予算についてもこの円高差益のメリットなんというものが全くないどころか、円高があってそれで差益が出たらそれはまた防衛予算の中に組み込んで使っていくというような形になっているのではないか。ほかの省庁が予算編成のときに切られて大変苦しい思いをしているときに、何か防衛庁の担当者のほおは緩んでいるなんというようなことが新聞に書かれたりしておりまして、非常にこの点についての予算の執行等について私は疑問を感じておりますので、これはまた別な機会に質問させていただきたいと思います。ブラジルの関係についてはくれぐれもひとつよろしくということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○大島友治君 総理、国会の終了に引き続いて大変御苦労でございますが、若干総括的な問題について御質問を申し上げますので率直に、聞く方も程度が悪いから、よくわかりやすく御説明をいただきたいと思うのでございます。 まず、総理のかねてよりの政治理念というか、いわゆるふるさと創生論ということを私ども前々からお聞きしております。ところが一体どういうことをやるんだろうなというふうに一般の者にはちょっとこう、私も十分具体的なものはわからなかったんですが、一般の者もわからなかったということはあり得たのじゃなかろうかと思うのでございます。 そこで、総理が御就任になって以来、まさに中身については御承知のように四全総というものを作成いたしまして発表されておりますが、これとのかみ合いを見るというと、ふるさと創生論の考え方は、やはり四全総と大いに関連性があるんじゃないかということは、総理の所信表明の中で、よく読んでみましたが、豊かな自然や住みよい都市の環境、そういう地域における人と人との心の通い合い、住民の自発性に基づく町づくりのための活動、そして家族の団らんといったものであると承っておるのであります。 そのためには、やはり地域の創意と工夫を基軸とした地域づくりを基本として、そのための基盤となる交通、情報・通信体系の整備といわゆる交流促進のためのソフト面の施策の拡充を内容とする交流ネットワーク構想を推進して、そして多極分散型の国土の形成を図らなければならない、こういうことが言われておりますので、まさにこの辺がふるさと創生論に通ずる具体的な内容じゃなかろうか。そういうことになりますと、私はそこで、具体的にじゃ一体何をするのかなというようなことで取り上げて考えて私なりに見てみますと、なすべきことはまず新幹線の問題じゃないか。 そこで、いわゆる整備新幹線の問題を取り上げて御質問するわけでございますが、現在東北、北陸、九州の整備新幹線の着工をいかにするかということで政府等におきましても、この整備新幹線建設促進検討委員会というところで、財源の問題なりあるいはまた着工の時期なり着工の人員なり、いろいろと具体的な検討が行われておりまして、そのうちに、いわゆる八月ごろには検討委員会でも具体的に方法論が発表になるんじゃなかろうか、こんなふうに考えられておるわけでございます。 そこで、これを取り扱っていく上におきまして、総理は、やはり政治的には大胆な発想と実行が求められておるのであって、もとより政策の継続性が大事なことは言うまでもないが、同時に、新しい時代に即応していくために大胆で斬新な発想を取り入れていくことが必要であると強調されておるのであります。そういうような政治的信念のもとにこの整備新幹線を取り上げていただくことは、私の考えとしては、今申し上げました検討委員会に対しまして、やはりできるだけ早くこれを実施するようにとか、あるいはまた今の財政事情からして当分先に見送ってほしいというような、総理としての御意見がそこに入っておるのかどうかというようなことを絡めまして、この整備新幹線の発想は既に行われておるところでございますが、あとは実行であります。 残された地域の人たちに対していつこれを実行していただくかということが私の期待するところであり、またそのことが、せっかく八、九分通りできたが、あとできないところはまるっきり受益者になっていないじゃないかという国民の感情がございますので、やはりふるさと創生論の国民全体の立場からすれば、せめて一刻も早く整備新幹線を完成して、国民ひとしく受益を感ずるというような面に私は持っていくべきじゃなかろうか、こういう点で総理のお考えを率直にひとつ述べていただきたいと思うのでございます。よろしくお願いします。
○国務大臣(竹下登君) いろいろ御指摘いただきましたが、私が申しておりますふるさと創生、「創生」という言葉はこれはちょっと造語ではないかと自分でも思っておりますけれども、だんだん使われるようになってまいりました。それはたまたま第四次全国総合開発計画というものが閣議決定されて、その後御指名をいただいて内閣を組織したわけでございます。したがって、四全総の一極集中から多極分散へという考え方とたまたま等しくいたしておりますし、またそれがための基本法とも言うべき法律をこれまた一昨日本院を議了していただいた、こういう環境にあるわけであります。 そこで、具体的な道路交通網等につきましては、道路網につきましてはある種の長期計画というものが一応みんなにわかるように明示されてきた。ところが、新幹線、なかんずく長年懸案となっております整備新幹線問題については、今御指摘のありましたとおり、まさに検討委員会が設けられまして、八月までに結論を得るべく努力を行っておられる現状である。私はその結論が出ることを今期特いたしておるという立場にあるわけでございます。私自身がこれまでの間、整備新幹線問題が大きくクローズアップしてきましてから、いろいろな経過の中にあるいは大蔵大臣として党役員として存在しておったわけでありますが、今まさに、最終的な着工問題でありますとか財源問題でありますとか、具体的な問題について検討委員会の審議が進められておるという段階でございますので、この結論を期待しておるというのが偽らざる私の心境であります。
○大島友治君 ただいま検討委員会の結果を期待しておるということですが、私の方は一刻も早く実行に移せるような期待を持っておるわけでございます。その辺が先ほどの質問と兼ね合いで、それを期待しておるのかどうかということはお任せしますけれども、私の期待にもひとつ沿うような期待を総理は持っていただきたい、重ねてお願いをいたします。 次に、税制の問題についてちょっとお伺いいたしたいと思うんでございますが、先ほども税制論で菅野委員との話し合いもあったわけでございます。私は私なりに、いわゆる二十一世紀とかいうようなことは今日常々だれしも口にすることでございまして、そういうときに至って、日本の人口問題ということからひとつ考えてみますというと、平均年齢も二十一世紀に入りますというと四十歳を超えてくる。そして二〇一三年には総人口がピークを迎えてくる。さらにまた老年人口の一人当たりの生産年齢人口というものは二・八人となるということであります。つまり、一人のお年寄りを三人弱の人々で支えていかねばならないということになるわけでございます。現在は大体六人か六人半ぐらいじゃなかろうかと考えておるわけであります。そこで、二〇二五年にはこれがさらに厳しい情勢になって二・五八という計算になるから、二人半で一人を支えるということになると、今の人数からすると半分以下にもなる。そのかわり負担する者の額は倍以上になってくるんじゃないかという単純計算も考えられるわけであります。 いや応なしに日本の国は、もう世界で一、二を争う長寿国ということに既になってきておって、八十歳という年を迎えるようになってきておるわけでございます。人生まさに八十年と言われる。戦争終了直後というものはまさに我々の唱えてきた人生五十年。四十年ちょっとでもって八十年人生が唱えられるようになった。大変な日本の生命の延長ということになっておるわけでございます。これまでに残された時間も決して多くありませんが、早急に手を打たなければならないのはだれも異論のないところでございます。こういう時代をどういうふうにやっていくか。 そこで問題は、公平で安定した社会保障制度を確立することが絶対必要じゃなかろうか。そのための財源をどう確保するかということになるんじゃなかろうかと私は思うんです。このことについては国民も、現在の税制の状態でいいのかどうか、少なくとも手直しはすべきじゃなかろうかということはだれしも考えておるんじゃなかろうかと私は理解しておるものでございます。 そういう人口構成の面からも、一つは税制問題を大きく将来を考えて取り上げるべきだ。それからもう一つは、もう既に十二分に御承知の財政の再建という面から見ましても、若干内需拡大ということから税収のあるいは増大というようなことで余裕が見えるかのごとく考えられますけれども、決して私は今日安心した財政であるとは言えないと思うんです。そういう財政再建の面からもぜひひとつ税制の根本的な改革を絶対にやるべき必要があるんじゃなかろうかということで、そのためには、常に国民もこれまた考えております不公平の是正ということは、これはやっぱり前提に立つと思うんでございます。と同時に、抜本的な税の改正ということをぜひこの際実施に移すべきではなかろうかと考えております。 これをやりますというと、先ほども、五十四年の国会決議の問題もあるじゃないか、あるいは中曽根時代における売上税のまだ生々しい問題が残っておるじゃないか、いろんな面から総理に対する風当たりも強いだろうと思いますが、私は、今の日本が将来の二十年、三十年後に向かって、今日、この重大なる税制の抜本的改革をすることは非常に大事なことであるし、ときに総理は国民から憎しみの目で見られるかもしれぬが、これをやらないで二十年、三十年後いざやるとなったら、これは国民の負担というものは到底想像のできない過重なものになってくるということからすれば、やはり二十年たって、ああ、あのときの竹下総理というのは大したものだったな、おかげをもって日本の国も国民も安心して利益を受ける者、負担する者のバランスのとれたことをやったなと、こういう私は総理に対する期待感を持ってこの税制に対するお考え方をお伺いいたしたいというものでございます。どうぞよろしくお願いします。
○国務大臣(竹下登君) 今まさに大島先生が御決意を含めてお述べになりました心境と私も全く同じくいたしておるものであります。 確かに昭和五十四年の決議、これは財政再建に関する決議でございますが、冒頭に書かれております文句は、国民福祉充実のためには安定した財源が必要である、こういう文句から始まっております。そうしてまた、先般の税制調査会への諮問の前文の中も、今お話のありました高齢化社会の到来、その内容にわたる数字等も御指摘なさったとおりの数字等が基礎に置かれて、安定した税源というものが必要であるということが書かれておるわけであります。と同時に、だんだん議論をいただきましていま一方それに付随して、これも御指摘ありましたが、出てきたのが国民の持つ税に対する不公平感からする改革への環境というものがさらに加わって今日に至っておるわけであります。したがって、税体系全体としての実質的な負担の公平を保つという観点から、所得課税の負担を軽減し、消費にも応分の負担を求め、資産に対する負担を適正化すること等により、国民が公平感を持って納税し得るような税体系を構築することが必要だ、大要してそのような結論になっておるわけでございます。 したがって、税制調査会、また国会等において、実際この二、三年じゃございません、昭和五十三年からずっと決算委員会等を読んでみますと、何よりも税制改革の議論が数多くなっておることは事実であります。その間のいろいろな変化はございますが、それらを見定めながら、やはりこの際シャウプ税制以来のゆがみ、ひずみのできた税制に対して国民に理解と協力を進んで求めることができるような税体系の構築というものに私自身一生懸命取りかかって、皆様方の御審議をいただくところまでたどりつかなければならないというふうに考えておるところであります。
○大島友治君 そういうことで、ひとつ決意を新たにしてお願いをいたします。 そこで、時間も迫ってまいりましたが、時に農業の自由化の問題でございますが、端的に申し上げますと、昨年の十二月のガット総会以来、ことしの二月の理事会、そして十二品目のうちの十品目に対するクロの判定、今それに対して二品目は絶対自由化できないということでアメリカとも交渉段階、かてて加えて牛肉、オレンジの問題で、今日、日本の農民挙げて関心を持っておる問題が連日連夜展開しておるわけでございまして、これにつきましては私どもでも強く、殊に私も半世紀以上にわたって農業問題いちずにやってきた今日、昭和の不況の時代から今それにまさるとも劣らない日本の農業の危機に面しておるのじゃなかろうかとこれを感じまして、何とか一線を画した、自由化から逃れる方法はないものだろうかということでございますが、たまたま先般の農水大臣交渉の結果は、課徴金をもって話し合いをつけようということで別れ別れになってきておって、これを詰めることになっております。 実は、総理も最近の新聞では、来る六月三日ないしは十九日の時期までには結論を二国間で出してほしいというような意図があった、しかしそれは決してそんなことは考えていないということがきのうの新聞にも出てまいったわけでございます。けさのラジオ報道によりますというと、関税率をもって農水省の審議官を近々のうちにアメリカに派遣をして早急に解決する、あるいはさせるんじゃなかろうかというような感触を私どもは受けておるわけでございますが、果たしてそういうことはあるのかどうか。 それと同時に、いやしくも牛肉なりオレンジでもって自由化されることは、やがて日本の国の主食である米についてまで自由化というところに波が及んでくるんじゃなかろうか。そのときに日本の農業が一体どうなるかということは火を見るより明らかでございまして、二年や三年で自由化になるまでに処置は到底できない。いやしくも日本農業は、技術なり装備においては諸外国と変わりはございませんが、経営規模ということについては簡単に諸外国に匹敵するような措置はとれないということからすれば、十年や二十年では国際価格に匹敵するような米の政策などは到底とれないということを頭に置いて、この問題は私は何とか総理の御協力もいただいて、日本農業を守り、ふるさとを守っていきたい、こういうことなんですが、ひとつ御所見を明確にお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる日米間の牛肉、かんきつ交渉は、国境措置問題を含めて我が国の牛肉、かんきつ生産の存立を守るとの基本的立場に立って、政府としては佐藤農林水産大臣、そして与党の専門家の皆様方が訪米をいたしまして折衝をし、今日、御指摘のとおり理解を得るに至らずしてパネル設置が決定されたということになるわけであります。 しかしながら、基本的には私が訪米をいたしましてレーガン大統領との間におきましては、とにかく日米間でこれだけ関係が深くなれば当然いろいろな摩擦が出るだろう、その例示として言えるものが公共事業参入問題であり、科学技術協定であり、そして牛肉、かんきつ問題である、そのことについては相互の共同作業によってこれを解決しようということを話し合ったわけであります。したがって、二つの問題は一応の解決を見ましたが、この牛肉、かんきつ問題につきましては共同作業の精神にのっとって話し合いをしていくという立場は今後とも貫いていきたい、このよう考えておるところであります。 それについていろいろな御意見がございました。六月三日という、私がたまたま米ソ首脳会談の模様をロンドンでレーガン大統領から直接承りたいという趣旨の希望を申しておりましたのでその時期が確定したわけでありますが、それはいわば牛肉、かんきつ問題のタイムリミットであるというような考えは持っておりません。 そしてまた、いま一つお米の問題ということにお触れになりました。我が国は地勢的に見ましてもアメリカの二十六分の一の面積でございますが、農用地面積は八十分の一ぐらいでございますか、人口が半分として四十分の一の農用地面積しかないということはだれしも理解をし、そうして何しろ衆参両院においてこの主食たる米の問題については決議が存在しておるということを絶えず念頭に置いて対応すべき問題であるというふうに考えておりますので、そういう国際的な関係というものをもちろん国際国家として理解の中に持っておりますものの、野放図でそういうましてや主食たる米の問題等に対して応じていこうなどという考えはございません。
○大島友治君 残念ながらこれで終わります。
○峯山昭範君 私は総理にお伺いいたします。 竹下総理は中曽根総理とは極めて対照的である、総理として何を目指しているのか、何をやろうとしているのか、具体的なイメージがつかめないというのがマスコミの皆さん方の一般的な論評であります。きょうは総理に、総理自身の明確な考えをお伺いしたいと思っております。きょうは幾つか申し上げますので、端的にお述べいただきたいと思っております。 まず、政治姿勢の問題といたしまして、先般の奥野大臣の辞任の問題であります。この問題は、あの奥野大臣の発言は内外ともに大きな反響を呼びましたし、また、竹下内閣のその発言に対する責任というのは大変重要である、私はこういうふうに考えております。 そこで、端的に三点お伺いします。 まず一つは、奥野大臣は大臣をやめられた後も、自分の発言は間違っていなかった、撤回しない、こうおっしゃっています。これは総理、竹下内閣の閣僚として発言したあの発言は、総理は撤回されていると思っていらっしゃるんですか、撤回していないと思っていらっしゃるんですか、これが第一点。 それから第二点は、あの発言の問題となりました日本に侵略の意図はなかった、それからもう一点、盧溝橋事件は偶発的、こういうふうにおっしゃいました。この二つの発言に対して総理自身はどうお考えなのか。これは総理、共同声明とかああいう文言を引いて総理はおっしゃっていますが、総理自身はどうお考えなのか、これが第二点。 それから第三点は、奥野大臣がこういうことを発言するということは前々からわかっているわけです、わかっていながら総理は閣僚として起用したわけであります。その総理の責任は任命権者としてどうおとりになるつもりなのか、この三点、明確にしていただきたい。
○国務大臣(竹下登君) まず、第一番目の問題について申し上げます。あるいは三番目の問題にも関係のある発言になろうかと思います。 奥野前長官は、行政官としてあるいは政治家としての長い経験、そういうことを私が信頼して組閣の際お願いをしたということにまずなるわけでございます。そして、就任以来所管問題について鋭意取り組んできたというふうに私は考えております。そして、奥野大臣の一番最後の国会における答弁といえば、本院の本会議における答弁であろうかと思います。すなわち、物の考え方は総理とひとしくいたしております、そして、不適切なことがあれば適切なる対応をいたしますという答弁というものが公の場において行われた最終的な国務大臣としてのお答えであったと思います。それを公の場で議論する機会は結果としてはございませんでした。すなわち、私が信頼してお願いした国務大臣が、みずからその職を辞することが当面みずからに課せられた道だという判断をされたことに対して、信頼をいたしたということにほかならないわけであります。 それから、次の問題は侵略と偶発という問題でございます。 まず、侵略という問題について申し上げます。 「過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」、この認識から日中関係は出発しておるわけでございます。したがって、あえて私が日中共同声明等に盛られた言葉を申し上げておりますのは、先輩が踏み切って日中国交正常化を行われたその原点というのは、あくまでも日中共同声明そのものにあるということでございますので、これを何回も反復しますことが先輩の熱意にもこたえることであると考えておるからであります。 それから、次の偶発的問題というようなことにつきましては、これも御存じのとおりでございますが、元駐日大使でありましたライシャワー博士の論文の中に、ライシャワー博士のお兄さんが当時上海で伝道師としていらっしゃいまして、そして誤爆によって亡くなられました。したがって、あの書物を見ますと、亡き兄にささぐるというところから書かれた書物でございます。前後の脈絡そのものは別といたしまして、その中に、なるほど盧溝橋事件というものは偶発的なものであったというような表現が使われておるところを私は奥野さんが読み上げられたものというふうに理解をいたしておるところであります。あの全体の脈絡は偶発とかいう問題ではございませんが、あの部分に限ってライシャワー博士の書物はそのように書かれておるということを申されたのであろうというふうに理解をいたしております。
○峯山昭範君 総理のおっしゃっていることは、そういう答弁というのは、私は本当に総理自身の真情というものをもう少し打ってもらいたい、私はこの点についてはこう思いますと。奥野大臣の本会議の発言は我々も聞いているわけです。しかしながら、大臣をやめてからあっちこっちでおっしゃっているわけです。だから、私はそんなややこしいことは聞いていないわけです。竹下内閣の閣僚として発言したあれは生きているのか死んでいるのか、こう聞いておるわけです。これはもう答弁は要りません。だから、そういう点では総理、きょうは短い時間ですから端的に答えていただきたいと考えているわけです。 税制改革についてお伺いします。 最近の新聞報道等を見ておりますと、とにかく一般消費税、大型間接税を導入する、もうそこに問題が集中しておるわけです。何でそれじゃこういう新型間接税を導入しなくちゃいけないのか、その中身はどういうものなんだということが国民の中には全く知らされていないわけです。私どもも全くわからないわけです。これは何でそんなに急がなくちゃいけないのかということもある。 そんな中で総理は、少なくともこの一般消費税を初め過去二回導入に失敗した教訓というものがあると私は思うんです。その教訓をわきまえていらっしゃるのかどうか、過去二回の失敗の例は何が原因だったとお考えなんですか。
○国務大臣(竹下登君) まず、シャウプ税制以来の改革を行いたいということはある種のコンセンサスが存在しておったと思います。そして第一回の失敗とおっしゃいましたのが、答申をいただきましたいわゆる一般消費税(仮称)の問題であります。なぜこれを取り上げるに至らなかったかということは、国会決議の文言にも明らかなるごとく、「その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。」、まずこの言葉そのものが端的に表現しておると思うわけであります。 第二番目の売上税等に対する失敗であります。この問題も端的に言うならば、国民の理解と協力を得るに至らなかったということに尽きると思うわけでありますが、その手法が拙速であったとかいろいろな批判は甘んじて受け、みずからもみずからの体験としてその反省の上に立って、五十三年以来御議論いただいたいろいろな国会等の議論を中心にした税制というものの構築のために、鋭意今作業を進めておる段階であるというふうに理解をいただきたいと思います。
○峯山昭範君 これは臨調とかいろんな答申の中にもあるわけでありますが、税制改革が失敗した大きな原因の中に、国民の協調が得られなかった。国民の協調という中身の中に、国民の間にある税の使われ方に対する不信、失望というものがあるわけです。そのために御存じのとおりに中曽根内閣が行政改革というものを徹底して進めてきたわけです。ところが、その行政改革の中身が、総理も御存じのとおり教育とか医療とか、国民生活の基本的分野というのがある面では切り捨てられてきたわけです。そういう点では弱いところにしわ寄せがされているわけです。したがって、本当の行革というのはこれからというときに、その声がだんだん小さくなっている。そういう意味では、私どもはどうしても国民の信頼を得るためには、やはり不公平なり不公正税制というのを改革するというのが非常に大事じゃないか、それをちゃんとやらないと国民の不信というのは回復できない、そう私は考えているわけであります。今回の税制改革というのは財源の確保のためにやるのか、あるいは不公平の是正のためにやるのか、ここら辺のところの考えは、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 今御指摘なさったような、いわゆる使われ方に対する反省というようなことから、大平内閣の後、鈴木内閣になりまして、いわゆる行革路線というものが出てきたわけであります。そして国民次元においては行革はまさに天の声である、こういう環境に包まれておったと思っております。 そこで、この問題につきましていろいろな手法がとられてまいりました。私どもも当初はいかがかという、これだけ早くとは思っておりませんでした国鉄の分割・民営でありますとか、電電あるいは専売等の民営等非常に目に見えるものができたというようなことで、一段落終わったというような印象を与えることは最も避けなければならないというふうに思っております。行財政改革の本体にこれからこそ取り組まなければならぬ課題だというふうに自分の心にも絶えず言い聞かせておるところであります。 したがって、財政改革のためか不公平是正のためか、こういう御指摘がございましたが、確かに五十四年の場合は財政再建決議に見られるように、やはり私は財政再建ということから出た税制改革であったと思うわけであります。そして、いわゆる不公平感の払拭ということが国民の大きな意見となって環境が整備され、今日はやはり将来を展望した場合におきますところの不公平がどこにあるかという視点からいろいろ議論がなされ、所得、消費、資産、それらに合理性のある、国民の理解と協力を得られる税体系を構築することであるということが基礎的に存在する税制改革の意義ではなかろうか、このように考えております。
○峯山昭範君 いろいろとありますが、税制改革のタイムスケジュールは総理、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) このタイムスケジュルレも、具体的には今後まだ国会の議論等を聞かなければならない課題であるというふうに考えておりますが、中間答申をいただきましたので、さらにこれの具体的な詰めをいただきまして、国会の議論あるいは各党間の話し合い等々も存在いたしますので、それらを体し、可能な限り早く成案を得て、そして臨時国会において御審議を賜って実現を期するというのが当面のいわゆる考えられるスケジュールではなかろうかと思います。
○峯山昭範君 それでは次に、総理は今度国連の軍縮総会に出席をされるわけであります。総理の演説草稿等につきましても新聞等で報道をされております。 そこで、そのスピーチの中身につきましてはもう既に報道されているところでございますが、特に紛争解決のための要員の派遣というのがあります。これは総理はどういうことをお考えになってこういう演説をされるのか私はわかりませんが、少なくとも現在のアフガニスタンやイラン・イラク戦争あるいはカンボジア紛争、こういう紛争がそれぞれあるわけでございますが、そういう問題を念頭にお考えであろうと思います。そこで、そういうことになりますと、少なくとも国内法の整備あるいは立法措置というものがいろんな面で必要だと私は思います。したがいまして、こういう演説をされる意図と、それから立法措置等に対する御見解をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず、国連軍縮総会に出席をいたしまして、日本の立場から平和に対する基本的な考え方を述べたいと思っております。かねて私が申し、あるいは具体的にどの程度触れるかにつきましてはまだ成文を得ておるわけではございませんが、いわゆる国連の平和維持機能を強化していくということは重要であるという観点から、従来より平和維持活動の円滑な実施の基礎となる財政の分野で積極的な貢献を行ってきておる。二千万ドルを出しまして、そのうちの五百万ドルにつきましては、国連事務総長の調停努力等に対する積極的支援にしよう、こういう考え方でございますが、なかんずくアフガン問題についてのジュネーブ合意文書の履行監視のための国連の活動に対して、要員一名を派遣するというようなことを考えておるわけでございます。ある人は、たった人を一人出すのか、こう言う人もございましたが、我が国といたしましては、いわゆる国連活動に対して協力する文民の派遣ということでございますので、一つ踏み込んだ物の考え方であるというふうに考えておるところでございます。 これに対しまして、これそのものにつきましての法律改正の問題等について、私もにわかに今正確にお答えする内容を熟知いたしておりませんことはおわびを申し上げますが、具体的にそうした文民一名の派遣を行うということを考えておることは事実であります。
○峯山昭範君 これは総理、初めは一名でございましょう。しかしながら、総理が国連の場で公式に要員の派遣を表明されるわけであります。そこに一名派遣するとかそういうことはないわけでございまして、したがいまして、これから要員を派遣するということは、国際的にも総理が約束したということになりますから、国際的な影響というのは非常に大きいと私は思います。 そういたしますと、そう簡単なことではない。初めは一人だが、将来は――問題が起きているところを考えてみますと一カ所じゃないわけですね。二カ所、三カ所、四カ所とあるわけです。そうしますと、これは非常に重大な問題を含んでおりまして、これは万一ですが、派遣した要員の中で犠牲者が出るというようなことも考えられるわけです、実際問題としては。そういう場合に、これは我が国の国民が他国の平和のために犠牲になるということが考えられるわけです。そういうことを実際やるわけでありますから、これは非常に大事なことでもありますし、国民のコンセンサスというのがそれなりに私は必要であると思います。そういう点についての総理のお考えをこの際お伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 世界の平和を希求する国連への協力ということが私は日本の行動の範囲内ではないかというふうにかねて考えております。しかし、峯山さんはいろいろな事態を予測なさっていると思うわけであります。私どもも机上においていろいろな勉強をいたします。それは具体的な問題からいいますと、例えば選挙が行われる、選挙協力、選挙監視というような問題も出るんじゃないか、こんな議論もいたしてみました。しかし、選挙を監視するというのもなかなか難しいな、こういうこともございます。あるいは難民等がお帰りになるときにどのような受け入れ態勢をした方がいいか、こういうような机上プランの要員派遣の問題もあるでございましょう。あるいは、さらには疾病、病気とかそういう問題についての医療機関、人も含めて、そんなようなこともこの段階によって出てくることもあり得るだろう。そういうことを総合的に将来検討することを念頭に置きながら、今考えておりますのは、このアフガンの監視員に対する文民の派遣ということであります。しかし、底意にお考えになっておりますように、いわゆるミリタリーの分野というようなことで考えるなどということは毛頭ございません。
○峯山昭範君 ぜひそうあっていただきたいと思いますが、実際問題としては、総理がおっしゃいますように、武官じゃなくて文官の派遣ということになっておりますが、実際問題としてこういう事故は起きる可能性は十分あるわけです。したがいまして、例えば初めは一人ですが、二人、三人、だんだんふえていくこともこれは考えられるわけです、実際問題として。選挙の管理にいたしましても同じです。そういうふうにいたしますと、今度はその日本人が現地でやられた、被害に遭った、あるいは死亡したなんということになってまいりますと、その日本人はだれも守らないでほっておくのか、こういうことになってくる可能性もあるわけです。 そうなってくると、今総理がおっしゃったミリタリーという問題が出てくる。実際問題として自衛隊の海外派遣という問題も、これは憲法上の問題になってまいりますね。しかしながら、ここら辺の問題は非常に重要な問題であります。したがいまして、この問題を総理が演説される前に、自衛隊の海外派遣の問題、あるいは憲法を改正しなくちゃならないという問題、そういう問題が絡んでくるわけであります。心配をするわけであります。したがいまして、総理の御所見をこの際明確にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今御指摘のような問題がございますがゆえにこそ、あえて文民という言葉を使っておるところでございます。そして、それから発生しますもろもろの問題につきましては、いわゆる国連という名の中における存在というものを基調といたしまして、諸般の対応策については万全を期しておきたい、このように思っております。
○峯山昭範君 それでは次に、ことしの夏に総理は中国に行かれるそうでございます。そこで、防衛予算の問題についてこれはお伺いしておきたいのでありますが、先般、伊東正義さんを代表とする日中民間人会議に参加された方がいらっしゃるわけでございますが、そのときに中国の李鵬首相が、きょうは特にこの問題については言わないつもりであったがという前置きをいたしまして、日本の防衛費がGNP比一%を突破したことは軍事大国になろうとしているのではないか、過去の戦争のこともあり、近隣諸国に不安を与えている、こういう御発言があったやに聞いております。 そういう意味では、これは現在の日本の防衛予算が世界の軍縮の傾向とは反比例いたしましてふえているということは非常に難しい問題だと私は思います。そういう意味でこのGNP一%、総理はいつも初めにGNP一%枠ありきではないんだとおっしゃっておりますが、それだけでは説明し切れないものがあります。そういう意味でこの問題に対して総理はどうお答えになるのか。これから総理も行かれる国に対して、現地でこういう話が出てくるかどうかわかりません。わかりませんが、総理のお考えをこの際明確にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 我が党の伊東総務会長が行かれたときのお話は私も聞いております。それから昨年の一月、私が自由民主党の幹事長でありましたときに参りました際に鄧小平さんから、いわゆる突破、突破、突破という言葉、与える印象、こういう言葉もじかに聞いてまいりました。その都度私どもが申し述べておりますのは、あくまでも我が国は平和憲法、そして国是とする非核三原則、専守防衛、他国、近隣諸国に脅威を与えないという基本的考え方を申し述べることによって、また中身等についてもいろいろ御議論をすることによって、私どもの姿勢は貫くのも当然でございますし、また理解をしていただき得るものであると、このように私は考えております。
○峯山昭範君 総理、今総理がおっしゃった他国に脅威を与えないと言いながら、日本の装備は刻々として他国に脅威を与えるような状態になっているわけです。私はそこら辺のところはやっぱり十分反省をし、ちゃんとしなければいけないんじゃないかなと思っているわけであります。 そこでもう一点お伺いしたいと思います。これは次期中期防の問題であります。この問題は非常に私は、これからの防衛の大枠を決めるわけでありますから大変大事な問題であると思います。ことしじゅうには安全保障会議等でこの問題が議論をされまして決定されるんじゃないかと思うわけでありますが、総理はこれからの日本の防衛に対しまして、この中期防に対してどういう防衛構想をお持ちなのか、これをお伺いしたいと思うのであります。 といいますのは、少なくとも前々総理の鈴木総理はハリネズミ防衛論というものを展開されました。また、前の中曽根総理は海、空に全力を挙げて防衛力を整備するとおっしゃいました。それに基づいて歴代の防衛庁長官がそれぞれの中期防なりそれぞれを決定してこられたわけであります。総理が総理に就任されて防衛力をどういう点に力を入れるのか、どういう防衛をやっていくのかという総理のお考えをお伺いしたことはないわけでございますが、この点に対する総理のお考えを明確にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 昭和六十年の九月十八日の未明でございました。十八兆四千億というもののいわゆる中期防というものを策定いたしたわけであります。そうして今度は次期防をどうするか、こういうことでございますが、私はかねてからシビリアンコントロールというものが本当に機能するためには、いわゆる中期業務見積もりとかそういうものでなくして、きちんとした計画があって初めて国会等においても皆さん方にこれは多過ぎるとか少ないとかいろいろな議論がいただけるものであるから、したがって次期防というものを作成すべきものであるという考え方の上に立っております。 そこで、その性格はどういうものであるかと申しますならば、あくまでも我が国の場合は専守防衛ということが基本にあるべきものであって、改めて国際情勢、そして財政事情等を勘案して作業に取りかかるべきものであるというふうに今考えておるところであります。いわゆる安全保障会議等を開きまして、そこでおおむねの作業を開始するための方針等をまだ議論してないという段階でございます。
○峯山昭範君 私は、総理がこの問題についてのきちっとしたリーダーシップを発揮してもらいたいなという思いを込めて申し上げているわけであります。総理が明確なリーダーシップを示し、あるいはこういうふうに考えている、こうだとおっしゃっていただかないとお隣にいらっしゃる防衛庁長官も非常にやりにくいんじゃないか、そういうふうに私は思って申し上げているわけであります。 そこで、総理にこの点ももう一点お伺いしたいのでありますが、いよいよこの中期防についての議論が始まるわけであります。総理も御存じのとおり、少なくとも現在の国際軍事情勢というのは変わってきていると私は見るわけです。総理も御存じのとおり、INFの全廃条約の批准、締結、そして戦略核兵器の半減交渉、これもことしじゅうに決着がつきそうにありませんけれども、イギリスの戦略研究所の、きょうの新聞報道によりますと、ことしはだめでも少なくとも来年は何とかいけるんじゃないかという方向を打ち出しております。そしてNATOもそういうような意味で、いわゆる方針を見直した方がいいんじゃないかという考え方が報道されております。また、ソ連のアフガンからの撤退であります。 こういう国際的ないろんな流れというのは大きく変わりつつある。そんな中にあって、日本が、総理が先ほどもおっしゃいましたように、いわゆる他国に脅威を与えないとか、平和憲法があるとか、そんなことを幾ら言っても、実際の中身はぐんぐんふえているというのでは、これは非常に言うていることとやっていることが矛盾している、口ではいいことを言っているけれども実際やっていることは違うじゃないかと、こうなるわけです。したがいまして、そういう点を明確にしなければいけない、また我々にもわかりやすくそういう点を説明していただかなくてはいけないと思うわけでございますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今、まさに整然と御指摘なさいましたように、INF条約が締結され、そしてアメリカ大統領の任期中であるか否かは別として、継続的に戦略核の問題も議論され、進むであろうことを私も期待しております。そして、アフガンに象徴される地域問題がございます。またあるいはイラン・イラク紛争、中東問題もあるでございましょう。そうした一連の流れというものを私も大変評価する一人であります。しかしながら、ここでいわゆるアフガンの撤兵後における情勢はどうなるかというようなまだいわば未知の問題がございます。 そうしたことと、またNATOの問題にもお触れになりましたが、化学兵器の戦力の差、あるいは通常兵力の戦力の差というようなものも現実問題として存在をいたすわけでございますので、まさに先ほど申しましたように、その後の国際情勢というものを現実的に把握して、そして、しかしながらあくまでも専守防衛に徹する防衛の範囲内ということを守りながら対応すべき問題であろうというふうに考えております。
○峯山昭範君 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
○橋本敦君 総理に私は質問をいたします。 総理、ここに昨日公刊されたばかりの「続 重光葵手記」、こういう大部な本があるわけであります。この重光手記は、芦田均日記と並びまして、戦前戦後の我が国政治史に関する資料としては学界でも高く評価され、また貴重な資料として、この重光手記の原本は憲政記念館に保存をされているという重要な資料であります。 この重光手記の中に重要な記述があるわけでありますが、その問題について総理にお伺いする道筋として、まず最初に私が総理にお伺いしたいと思いますのは、我が憲法第四条は明確に、天皇の行為はこの憲法が定める国事行為のみに限る、その他の国政の権能は有しないとはっきり書かれているわけでありますから、天皇は憲法で定める国事行為以外の国政の重要課題等について発言をしたり、また他の政治行為をすることは、これは憲法から見て許されないということは明白である。この点については、憲法の問題でありますが、総理も御異存がないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる憲法第四条第一項という問題についてお触れになりました。国政に関与する権能を全く持たない旨を定めたものであると、私もそのように整理しております。
○橋本敦君 この手記の七百三十二ページ、昭和三十年八月二十日の項の記述が重大なのであります。 重光外相は、「午前九時、上野発、那須に向ふ。駅より宮内省自動車に迎へられ、御用邸に行く。」、「一時過参入、拝謁す。渡米の使命に付て縷々内奏、陛下より日米協力反共の必要、駐屯軍の撤退は不可なり。」、こういったお言葉を賜ったという重要な記述があるわけであります。昨日も政府委員にこのコピーもお渡しして、総理も御一覧いただくようにとお願いしておきましたが、この公刊された手記に今私が指摘したとおりの記述があること自体はお読みいただきましたですか。
○国務大臣(竹下登君) きょう読ませていただきました。
○橋本敦君 この記述に見られる天皇の発言は、実に重要な政治的発言であります。 まず第一に、鳩山内閣が日ソ国交回復を目指して、日ソ交渉を重視してこれに取り組んだ事実は今日でも公知の事実であります。そして、現にこの昭和三十年の六月には日ソ交渉が開始されるわけであります。そして重光外相がアメリカに協議に赴くその議題の一つにも、この交渉経過を含めた日米協議があったわけでありますが、そういうことに直面をしているときに、この天皇の言葉が、日米協力が大事、反共の必要があると、こういうことは、我が国の外交方針について基本的な問題についての政治的発言をした、これはもう明白であります。 第二番目に、「駐屯軍の撤退は不可なり、」という発言についてであります。 この昭和三十年の二月には第二十七回総選挙が行われました。その結果、鳩山総裁がリーダーであります日本民主党が第一党に大きく躍進をして、鳩山内閣が自由党とともに連携する中で組閣されたことは、これは歴史的に顕著な事実であります。 その選挙に臨んでその鳩山民主党はどういう公約をしていたか。総理はもちろん古い話で御記憶がないと思いますが、ここに図書館から取り寄せました昭和三十年一月二十五日の新聞記事で、二十七回総選挙に当たって「各党はこう公約する」という一覧表がつくられて、新聞で公開されておりますが、これを見ますと、民主党の公約で自衛隊のところで、「国力とつりあいのとれた少数精鋭の自主防衛体制を整備し、なるべく速かに駐留軍隊の撤退を可能ならしめる。」と、こう書いてあります。つまり、我々共産党の見解とは違いますが、最小限にしろ自衛力を整備して駐留軍の撤退をできるだけ早く実現するというのが選挙公約であり、この選挙公約を公約の一つとして掲げて総選挙で大きく躍進をしたわけであります。 したがって、選挙後、米軍の撤退を含む論議が起こされ、そして日米交渉でも駐留軍の分担経費の軽減、それをみずからの防衛整備に回して、そして早く駐留軍に帰ってもらうという方向での論議が、現にこのころの新聞を見ますといっぱいあります。総理も御記憶あるかもしれません。このときに、天皇が、そういった問題を踏まえて、渡米をする外相に対して駐留軍の撤退は不可である、こういうことを発言するということは、まさに我が国の外交政策の基本問題について天皇みずからが積極的に政治的発言をしたということは、これはこの記述からするならば疑いの余地のない明日なところであります。こういう天皇の発言は、これはまさにそのときの政府の基本政治方向と全くかみ合った具体的な政治的発言でありますから、憲法で絶対に許されるところではない、明白だと思いますが、総理の御見解、この記述をどう考えられますか。
○国務大臣(竹下登君) まずこの御発言についてでございますが、今御指摘なさいましたのは、読んでおけともおっしゃいましたし私もそのところは読ましていただきましたが、この点について私自身が承知しておるところではございませんので、その所見は差し控えさしていただきます。 私自身が考えておりますのは、私も内奏に時々参りますが、天皇陛下はお立場をよく理解なさっておりますので、国政に影響を及ぼすような御発言はなさらないものというふうに私は考えております。
○橋本敦君 総理がなさらないと考えても、現にその発言を受けた重光外相自身が手記の中にはっきりとこう書いてあるわけですから、書かれた事実も存在すれば書いた事実も当然あったはずであります。なぜならば総理、重光外相が事天皇に関して殊さらに誤ったことを書く、そんなことはありません。また事実でないことを書く、そういうこともありません。こういう手記はあるいは日記は当面他見しないものでありますから、亡くなった後で他見されることもこれは日記としての性質上当然ですから、政治家としても正確を期して書くことは当然これは当たり前だと言わねばなりません。 現にこの問題を編集いたしました憲政記念館企画調査室主幹の渡邊行男さんは次のように言っておられます。この手記で重光氏は「奏上の際の天皇の言葉を”そうかね”とか”実はね”などと、発言のままに書き残している。天皇と会っても紋切り型の表現しか残していない他の人の資料と比較しても、興味深い。本人は、天皇の信任が厚いと思っていたのだろうし、天皇も素直に何でも言うような間柄でもあったのだろう。それだけに三十年八月二十日の天皇の表明についての記述も正確な内容を記録していると思われる」と、こう語っている事実もあります。 まさに私はそのとおりだと思うのであります。駐留軍撤退不可、こういった発言は、これはまさにアメリカの軍事基地をなくし、日米安保条約もなくし、平和中立の日本を目指す主権者が将来日本の進路として選ぶ進路にかかわる問題ですから、まさにこういった発言を天皇がするということは主権在民の憲法に対する許されない不当なじゅうりんだということもはっきりしていると思うのです。 こういう重要な記述を総理は、天皇はそういう発言をなさらないだろうというこういう総理の見解で否定されました。しかし、この具体的事実を具体的に否定するいかなる材料も資料も総理自身お持ちであるわけではございませんね。
○国務大臣(竹下登君) 重ねて申し上げますが、憲法の規定そのものは、一般に天皇の行為によって国政の動向に影響を及ぼすようなことがあってはならないという趣旨でございますので、天皇は絶えずそのことは十分理解していらっしゃるというふうに私は信じております。
○橋本敦君 そうすると総理、ここにこうはっきりと書かれている国民すべてに公開されたこの公刊の重光葵手記のこの記述自体は、これは総理はどう認識されておるんですか。重光さんは全く事実無根のことを書いたということをおっしゃるわけですか。そんなことをおっしゃる根拠はなかろうと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 私自身がその事実を知っておるわけではもちろんございません。したがいまして、私は、この問題についての論評につきましては、天皇陛下がお立場を理解していらっしゃるから、そのような国政に影響を及ぼすような御発言はなさらないという考え方を何回御質問がありましてもお答え申し上げようと思ってここへ参っております。
○橋本敦君 何回聞いても言わないという決意でお越しになっているということでありますから、これは質問は大変なことであります。しかし総理、ことに記述されている事実はないだろうという総理の推測はあっても、否定する根拠はないことは今も総理も認められたとおりなんです。 そこで、こう書いてあるこの事実のような発言があったとすれば、これは憲法に反して許されない政治的発言だということがだれが見ても客観的に明らかだと私は指摘しているわけです。 そこで、総理は憲法を守る責務をまさに内閣の首班として当然先頭に立ってお持ちでありますから、憲法を守る責務のある総理の立場において、この記述されたとおりの状況の発言であるならば、これは憲法に照らして許されない発言だということ、これは明白ではありませんか。憲法を守る立場から答弁をしてもらいたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 私はそのような発言はあろうはずがない、こう考え、信じております。
○橋本敦君 根拠かないことは先ほどもみずからおっしゃいました。信ずるだけではここにある具体的な客観的事実を否定すべきでありません。 総理、実際に昭和四十八年に増田防衛庁長官の同じような天皇の内奏に際しての発言問題が問題になりまして、みずから責任をとって辞職するということで決着を見た事件がありました。あの場合も内奏に対しての天皇の発言が政治的発言ではないかということで重大な問題になりました。今総理は、天皇は政治的発言をするはずがない、信ずると、こうおっしゃいましたが、現に信じられない事件が四十八年に起こっているじゃありませんか。だから、防衛庁長官も辞任したんではありませんか。そしてまた現に、天下に公刊されたこの立派な書物の中で、第一級の戦前戦後資料と言われる重光葵手記として具体的に記載された事実が明白にあるじゃありませんか。 総理がいかにないと信ずるとおっしゃっても、時によって内奏の機会に、あるいは所管事項説明の機会に天皇が憲法に反して政治的発言をされるおそれは現にあったし、またこれからもあり得るわけです。この際、総理に私は厳しく要求いたしますが、こういった憲法に反する事態を一切起こさないためにも、内奏というのは閣僚に課せられた法的義務でありませんから、全く任意の行為ですから、こういった憲法違反の状況を今後惹起しないためにも、今後は閣僚の内奏といった問題はやめられるのが私は憲法を守る道だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 昭和四十八年の事情でございますが、これはもちろん書いたものがあるわけでは乙ざいませんが、私の記憶によりますならば増田さんではなく増原先生でございます。増原先生が、そういうような誤解を与えておったとすれば自分は閣僚として反省すべきだということで辞表を提出されたというふうに私は記憶いたしております。 増原先生は二回辞表をお出しになりました。一回は私が内閣官房長官でございましたが、そのときは自衛隊機の衝突事件であったかとも思いますが、どっちだったかちょっと記憶をいたしておりません。 一般的に私どもが内奏と申しておりますのは、例えば認証官等の認証に立ち会います際に、認証される方の履歴等について私が内奏をいたします。そしていま一つは、各省大臣によります所管事項の御説明ということは、象徴であられる天皇が一般的な知識、教養を高められるために行われるものでございます。したがって、国政に関する権能を有しないとする憲法上の天皇の地位に矛盾するものではないと考えております。
○橋本敦君 この問題についてはまだまだ議論はありますが、時間ですので、最後に一問だけ伺って終わります。別の問題であります。 北朝鮮の卓球選手団に対する政府の処置についてであります。これはもう国会でも議論されたことですが、我が党が北朝鮮工作員によるテロについては断固としてこれを容認しない厳しい立場をとっていることは総理も御存じいただいていると思うのですが、この卓球選手団の日本への入国を許可するということは、それ自体これはあってよいことでありますが、一たん入国を許可した選手団がたまたま歓迎会の席に食事に出た、そういうことでそれが具体的な政治集会でもないのに厳しく処置をして、食事の途中で退席しなきゃならぬというような事態を引き起こすというのは、これは私は常識に反することではないか、国際的な対応として非常識と言われても仕方がないのではないかというように思うわけでありますが、この点について総理の御見解はいかがでしょうか。これを伺って終わります。
○国務大臣(竹下登君) 北朝鮮卓球団の在日保証人というものが、これは日本卓球協会でございます。これから問題のレセプションへの出席を含む日程変更の承認方願い出がございましたが、政府部内で慎重に検討した結果、これを認めないこととしてその旨を卓球協会に伝えた、こういう内容でございます。だが、その決定を無視されて卓球団がレセプションに出席いたしましたので、協会にこれが入国許可条件に違反する旨を指摘いたしましたところ、大会途中で帰国された、現実的にそういうことに相なったわけでございます。このことは、政府の方針に照らしまして、入国も、いわゆるアジア卓球選手権大会に出場するという入国目的を尊重して入国させることとした政府の方針に照らしては大変残念なことであったというふうに思っております。
○橋本敦君 異論がありますが、終わります。
○佐藤昭夫君 総理にお尋ねをします。 企業ぐるみ選挙、すなわち会社の幹部がその立場を利用し、雇用している労働者や下請企業関係者に思想、信条の自由を侵して特定候補への支持を要求することは、公正な選挙という原則に照らして行ってはならないことだ、当然のことだと思います。 そこで、五月二十三日告示の埼玉県知事選を前に、五月二十日、総理は埼玉県内に支店や工場を持つ企業二百十社の幹部を都内のホテルに集め、安倍幹事長以下何人かの党幹部も出席し、自民党推薦の予定候補者にもあいさつをさせて同候補への支持を要請しております。いわば企業ぐるみ選挙をあふったとも言うべき行為でありまして、この点についての見解を尋ねます。
○国務大臣(竹下登君) これは今自由民主党ということでございましたが、自由民主党に限らず、各政党が党の組織活動の一環として各界の代表と適宜懇談の機会を持つということはあり得ることであろうというふうに考えております。 今御指摘なさいました二十日の朝、経済代表者との懇談会に私も出席をいたしました。総理就任以来百九十日目ぐらいでございましたでしょうか、当面する内外の問題について十分間私がスピーチをしたことは事実でございます。
○佐藤昭夫君 問題は、さっきも触れましたようにその席上で自由民主党推薦の予定候補者その人があいさつを行っておるし、党の幹部数人の人がこもごも選挙に対しての支援の発言を行っておるということであります。これはどう見たって企業ぐるみ選挙をあふったものというふうに判断せざるを得ない。そうではないと言うんであれば、自民党としては企業ぐるみ選挙というものはやらせない、これが自民党の方針なんだということをお約束願いたい。 それからもう一つは、当初、大型間接税について本日自民党税調の総会を開いて改正大綱を決めるというふうに専ら言われていました。それが埼玉県知事選投票日の六月十二日以降に延ばすという動きになっているというふうに伝えられるわけでありますけれども、これは大型間接税について関係業界との摩擦を避けて、知事選を有利にし、ひいては大型間接税導入の布石にしようという党利党略だというふうに思わざるを得ないんでありますけれども、どうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 党利党略という表現でございますが、これは客観的に党利党略というものに対する判断は人によって違うと思います。あるいは国会で御発言、御質問なさることが、ひいては党利党略の発言だという批判をする人も時にはございます。 それから、企業ぐるみ選挙という問題につきましては、昭和四十九年選挙でございましたか、そのときから出た言葉でございます。これは選挙学会の資料にも書かれてありますが、定義はございません。
○関嘉彦君 きょうは総理に三点御質問申し上げます。 最近、日本では土地の投機でありますとか悪徳商法であるとか、金もうけのためには手段を選ばないといった利己主義的なあるいは物質主義的な風潮が広がっているように思います。この傾向が進んでまいりますと、民主主義社会そのものが崩壊していくんではないか。民主主義社会が存続するためには、公に奉仕するという精神が必要であると思うわけですけれども、その精神が最近の日本では薄れつつあるように見えるわけであります。 そのような中にありまして、生命の危険を冒して自分の職務を忠実に果たし、結果として殉職する人があるわけですけれども、こういった人は私はまさに民主主義社会のかがみとでも言うべきではないかというふうに考えております。このような人たちの遺族に対する生活の保障などで物質的な保障をすることはこれはもちろん必要でありますが、きょうはその問題は取り上げません。 きょう私が取り上げたいと思いますのは、国民がそういった殉職した人たちに対して感謝の意を表し、あるいは名誉を表彰することが重要ではないか、その観点から質問するわけでございます。 勲章は生存者の長期にわたる功労に対する表彰が主であります。しかしそれ以外に、生命の危険を伴う公共の業務に従事し殉職した人もその中に含まれているというふうに理解しておりますけれども、最近、この二、三年間において、警察官であるとか消防士であるとか、そういった人たちの殉職者で勲章を受けた人たちが何人おられますか。それからまた、殉職者ではあるけれども勲章を受けられない、もらえなかった人もいるのかどうか。例えば、先般消防士の人が燃えている家屋の中に飛び込んで助けようとしたけれども、自分が巻き込まれて死んだという例もあったように思いますが、そういった人たちで叙勲の栄を受けない人たちもいるのかどうか、その点をまずお伺いいたします。
○説明員(小谷宏三君) 最近における殉職叙勲の例を申し上げます。 まず、警察庁関係で申しますと、昭和六十三年二月二十八日、白バイで暴走車を追跡中、対抗車に接触し、助骨骨折により殉職された方を叙勲しております。また昭和六十三年一月二十九日、交通事故の当事者について事情聴取中、飲酒運転の暴走車にはねられ、殉職された方を叙勲しております。また昭和六十二年六月十七日、白バイで違反車を追跡中、対抗車に接触し、外傷性ショックにより殉職された方を叙勲しております。また昭和五十八年六月二十六日、パトカーで不審者を追跡中、急カーブ地点で納屋に激突し殉職した方を叙勲しております。 また、防衛庁関係を申しますと、昭和六十一年三月二十二日、これは三名の方でございますが、対潜ヘリコプターで夜間訓練中、ヘリコプターの油漏れ故障により海面に不時着し殉職された方三名を叙勲しております。次に昭和六十年十月二十三日、B65小型航空機で基本訓練、計器飛行訓練を実施中、宮崎県で送電線に接触、海面に墜落、炎上し、殉職された方々三名を叙勲しております。 また、消防庁関係では、昭和六十三年二月一日……
○委員長(穐山篤君) 答弁者、人数だけにしてください。
○説明員(小谷宏三君) それでは、消防庁関係では、昭和五十九年五月五日から六十三年二月一日までの間に五件でございます。 また、運輸省関係では、昭和五十九年十一月十日から昭和六十二年二月十七日までの間に七件叙勲しております。
○関嘉彦君 受けられなかった人。
○説明員(小谷宏三君) 私どもは殉職叙勲の要件に該当するにもかかわらず叙勲されなかったという事例は承知しておりません。
○関嘉彦君 私が今いただいた資料によりますと、例えば警察官の例にいたしましても、年齢が低い人はこれは旭日章の七等というんですか、旭日章七等。それから瑞宝章の七等。概して勲章のランクから言いますと低いように私は思うんです。こういった殉職された人というのは、たしか生命は地球より重しと元福田首相も言われたと思うんですけれども、大変なそのとうとい人命を犠牲にしたんです。大変な行為だと思うんであります。 総理大臣を何年かやると恐らく勲一等を受章されると思うんですけれども、私は考え方によりましては、生きていて長年公職について、あるいは国会議員を何年かやる、総理大臣を何年かやる、そういった人たちと比較しましても、たとえ若年であって殉職した人の方がむしろ公に尽くしたという点から言えば、決してその下ではないんではないかと考えるんです。こういった殉職者に対して叙勲の点でも考慮していただきたいと思うんですが、同時にまた、そういった殉職者に対して、一年に一回かあるいは二年に一回そういった人たちの霊を慰めるために、あるいはまたその遺族を激励するために、総理が主催して何らかの行事を行うことが必要ではないかと思うんですが、その点につきまして総理大臣の所見をお伺いいたします。
○国務大臣(竹下登君) もし多少記憶に違ったことがありましたら後から訂正をさせていただきますが、先生御案内のとおり我が国には栄典法がございません。太政官布告を復活いたしましたのが昭和三十九年、私が内閣官房副長官であった当時でございます。したがって、栄典法問題につきましていろいろ議論が行われたことがございます。今先生のおっしゃったような議論、あるいは一、二、三とかいうことがある姿が本当ではないかとか、いろいろな議論があったことはございますが、それを私なりにきちんと整理整とんをいたしておるわけではございません。ただ、殉職関係につきましては、その都度各省からの要請、申し出がございまして、これに対応してきておることは事実でございます。 それから、慰霊祭関係につきましては、これは各省庁ごとに、いわばこれも法律ではございませんが、伝統がございまして、慰霊祭開催等の措置がとられておるということでございます。 それから、御遺族様の問題なんかにつきましては、これも私の経験上でございますけれども、同期生が中心になりますとかいうことでいろいろな対応がなされておるという事実は私の知識の中にも経験上ございます。
○関嘉彦君 現状は私も承知しておりますけれども、その現状のままでいいかどうかということを聞いているわけでございまして、こういった殉職した人はそうたくさんあるわけでもないんです。やはり国民的な感謝の念をあらわすために、勲章にこういろいろ等級がついていること自体は私は問題だと思うんですけれども、現在の制度を前提にする場合には最高級のものであっていいんではないか。それからまた、そういった遺族の人たちを励ますために、やはり国民の代表として総理大臣としてそういった人たちに集まっていただいて、何らかの祭典をやるということが必要ではないかと、そのことを聞いているわけでございまして、今すぐお答えできない問題であるかもしれませんので、十分お考えおき願いたいと考えております。 時間がございませんので、次の問題に移ります。 総理は、政府開発援助、ODAの拡充を今後の日本の国際政策の一つの重要な柱としているということを方々で演説しておられるように思います。私も賛成でございます。しかし国民の間には、こんなにいろんな国内において難問が山積しているときに、そこまで外国を助ける必要があるのかどうかという声があることも事実でございます。私は、今後もODAの量的、質的改善を図っていかなければならないと思いますけれども、そのためにはやはり国民の理解を得ることが何よりも必要であります。 参議院の外交・安全保障特別調査会ではこの問題についていろいろ議論しておりまして、野党間で大体意見の一致している点は、一つはODA予算に対する国会のコントロールがいわば有名無実化している、これは予算の組み方が非常に各省庁にまたがっていて大ざっぱな一括したものしか提出されないから、したがってこれに対してもっと国会でそれを論議することができるように、例えば参考資料としてでもその各プロジェクトのあれを予算のときに出すようにということがまず第一点。 第二点としましては、けさも大蔵大臣に対して、大蔵省の所管であります食糧援助、食糧増産援助、これは大蔵省の所管になっているのはおかしいじゃないかということを聞きましたけれども、ばらばらになっている。これはやはり一元化していく。どういう方法で一元化した方がいいかということは今後いろいろ議論があると思いますけれども、これを一元化していくことが、ODA予算の責任体制もはっきりさせるという意味において必要ではないか。これが第二点。 それから、現在事業規模で一兆三千億を超えるような膨大な支出になっておりますけれども、これが何らの根拠法もなしに支出されている。この状態をこのままにしておいていいかどうか。私はやはり開発協力基本法とでも言うべき法律をつくって、援助の理念は一体何なのか、援助の目的は何なのか、こういう方法で援助をするんだ、それをどういう方法で評価するのか、そういったことをその基本法の中に盛り込むべきである、これが大体において野党間において一致している考え方でございますけれども、どうも政府の方で抵抗があるか、あるいは自民党の人たちの反対のためになかなか話が進みません。国民の理解を深めるためには今提言しましたようなことがどうしても私は必要だというふうに考えるんですけれども、この問題も検討されるお考えはございませんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) まず国民の理解と協力がなければ、おれはこんなに困っているのに外国へ出すことはないじゃないかという素朴な議論はいつの世でも私はあろうかと思うんであります。したがって、今日の国際的な地位に立ちました我が国として、私は古いことを少しずつ若い人にお話をしております。この中にもいらっしゃいますが、かつて我が国の頭脳というのは六千人に上るフルブライトの留学生というものが大きに貢献しているんじゃないか。それからガリオア、エロア、ひいてはユニセフ、こういうことになるわけでありますが、あれを全部カウントしてみますと、非常に大ざっぱで申しわけありませんが二十億ドルぐらいで、うち五億ドルぐらい返しておりますから十五億ドルというのが、あの時代でございます、無償であったということを考えると、やはりそういう時代を想起すべきじゃないか。本当に今若い人が七十キロ、八十キロの立派な体をしておりますが、あの人たちガリオア、エロアに救われたんだな、こういう感じを私時々お話をしておるところでございます。 それから二番目の問題でございますが、コントロールすることに対して、要するに開発援助、ODAの問題は二つの面がございます。一つはルーズであってはならぬということと、もう一つは機動性の問題がございます。特に単年度の中で起きてきます商品借款でございますとか、そういう場合に機動性の問題、そういう二つの面が存在しておるということをたびたび議論をしてきたところでございます。 御案内のように、予算ベースでは今おっしゃったとおりおおむね百億ドルぐらいになるわけでございますが、これのディスバースベースというのが毎年相違があるというような点もございます。したがって、国会コントロールに対しましては、結局一生懸命で先生方に随時説明したり、それから審議の参考になる資料提供ということで対応してきておる。我が国の場合、四省庁調整というのは比較的私はうまく機能しているんじゃないかという感じがしないわけでもございません、時には内閣自身が出かけなきゃいかぬ場合もございますれけども。 そこで、今度は基本法の問題になるわけでございます。この問題についてもいろいろな勉強を今までいたしてみました。理念について書くだけでも一つの意義があるのじゃないか。ただ、国際機関に対する出資というのはそれぞれの理念がまた違うような問題もありまして、やはり現行法の枠内で行わせていただくのが最も現実的かなという感じがいたしておるところでありますが、いささか私見も交えてお答えをいたしましたので、それほど今おっしゃったような、出資のときに心の中で反復しながら勉強はさしていただいておるということを御理解いただきたいと思います。
○関嘉彦君 今言われたことに対して、私は反論したいことがたくさんあるんです。例えば緊急に援助しなきゃならない、そういうのはもちろんそうでございますけれども、災害であるとかあるいはその国の国際収支が急に悪化したとか、そういう場合に商品借款する、それはもちろん必要ですけれども、プロジェクトみたいなもので相当長期を見通せるものもあるわけであります。すべてその計画どおりに私はやれなんということは決して言っていない。それと大きな金額のもの、これはやはりあらかじめ立案をして、それを国会に提出すべきじゃないかということが第一点でございます。 それから四省庁体制も、つまり官庁側の考え方では、それは今までどおりで差し支えないという考え方がありますけれども、先ほど申しましたマルコス疑惑のときなんかを見ましても責任体制が一向にはっきりしない。そういう点から考えますと、私はやはりこれは政治家の立場からいって改革すべきじゃないか。そのほかいろいろございますが、もう時間があと二分しかございませんので、その問題はいずれまた改めて議論することにいたしまして、最後の問題に入りたいと思います。 それは閣僚の発言の問題でございます。先ほど峯山質問にも取り上げられましたけれども、奥野発言問題は同氏の辞職によって片づいた問題であります。また、本人のいないところでその人のことをとやかく言うのは私も潔しとしないんでございますけれども、ただし今後のこともございますので私の意見を申し上げて、もし御意見があればそれをお伺いいたしたいというふうに考えております。 私は、国会議員が国会議員の資格でどのような意見を持ち、どのような意見を表明しようと、あるいは特に少数意見を発表することなんかむしろ歓迎すべきことであるというふうに考えているんでございますけれども、閣僚になった以上はその発言には制約があってしかるべきである。つまり、内閣の一員としての意見というのは内閣全体の意見として受け取られるわけでございます。したがって、内閣の意見と違う私の意見を公の場で発言するのは許されないこと、奥野氏の発言は私はそれの基準に外れていると思いますので辞職は当然であると思っております。 ただ、そんたくしますと、奥野氏は日本が過去において侵略をしたということを認めることは、日本人の自信をなくし、あるいは日本人の国を愛する気持ちを害するんではないかという心配をしておられるんではないかと思うんでありますけれども、もしそういうふうな考え方でありますならば、私はそれは間違っていると思います。どこの国の歴史にも光の部分と陰の部分があるわけであります、日本だけではございません。その陰の部分を隠して光の部分だけを強調するというのは、これは間違った愛国心だ……
○委員長(穐山篤君) 関君、集約してください。
○関嘉彦君 間違った愛国心だと思います。本当の愛国心というのはやはり陰の部分を反省し、そして光の部分をますます磨いていく、これが本当の愛国心ではないかと思うんです。何か過去の日本の侵略の事実を否定するような発言をすることは真の愛国心の育成にかえって害がある。私自身も国を愛することを説き、国を守ることの必要性を説いているんですけれども、私の議論なんかを奥野氏の発言と同じに混同されるということは、私にとって甚だ迷惑千万だ。今後閣僚の任命に当たりましても、どういう人を持っていっても構いませんけれども、しかし閣僚として発言する場合には十分注意されるように、総理大臣として配慮されることを希望いたしておきます。何か御意見があれば承ります。
○国務大臣(竹下登君) 今国会議員として思想、信条の自由ということをおっしゃいました。閣僚も政治家としていわゆる思想、信条の自由というものはこれはあろうかと思っております。しかし、内閣は国会に対して連帯して責任を負うという大前提というものを踏まえて閣僚たる者はみずからを律すべきものである、このように考えます。
○委員長(穐山篤君) 他に御発言もなければ、昭和六十年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(穐山篤君) 御異議ないと認めます。 竹下内閣総理大臣は、御退席いただいて結構でございます。 ─────────────
○委員長(穐山篤君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、柳川覺治君、福田幸弘君、守住有信君及び河本嘉久蔵君が委員を辞任され、その補欠として林健太郎君、鈴木貞敏君、久世公堯君及び野沢太三君が選任されました。 ─────────────
○委員長(穐山篤君) これより昭和六十年度決算外二件について討論に入ります。 昭和六十年度決算の議決案はお手元に配付のとおりでございます。 なお、内閣に対する警告案文につきましては、理事会において協議の結果、意見が一致したものでございます。 案文を朗読いたします。 内閣に対し、次のとおり警告する。 (1) 総理府の元職員が、在職中、政府広報の発注に関連して、長年にわたり、発注業者から、多額の賄賂を収受したとして逮捕され、また、日本道路公団の理事及び畜産振興事業団の部長、あるいは地方公共団体の長をはじめとした幹部職員が、汚職事件で相次いで逮捕されたことは、行政に対する国民の信頼を揺るがせるものであり、厳しく指弾・追及されなければならない。 政府は、国民に直接施策等を伝える政府広報の使命にかんがみ、綱紀粛正を厳格に行い、また、特殊法人、地方公共団体に対しても、その再発防止に万全を期するよう指導に努めるべきである。 (2) 近年、情報化・国際化時代を背景とする事務所需要の著しい増大などを起因として、主に首都圏において地価の急激、かつ、異常な高騰が見られ、このためサラリーマンが住宅を求めることがますます困難になり、あるいは中小企業経営の存続に支障をきたすなど、国民生活に重大な脅威を与えていることは、極めて遺憾である。 政府は、土地税制の見直し、国土利用計画法に基づく監視区域指定への迅速な対応、金融機関に対する土地関連融資の適正化の指導、現に地価が異常に高騰しつつある地域内の国公有地の公用、公共用等以外への売却の一定期間停止、不動産業者への適切な指導等を強力に推進し、さらに、宅地の大幅な供給に努めるとともに、市街化区域内農地に対する課税及び土地に関する権利のあり方、首都機能移転などについて検討を加え、全力をあげて地価の引き下げに実効ある対策を講ずべきである。 (3) 決算審査に対する政府の協力は、これまで必ずしも十分でなかったため、その都度本院で警告をしてきたにもかかわらず、依然として改善がみられないのは、遺憾である。 政府は、決算審査の重要性を一層認識し、質疑、資料の要求等については誠意ある対応をし、審査に支障を生じないよう万全を期すべきである。 以上であります。 それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○菅野久光君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、昭和六十年度決算外二件に対し是認することができないことを表明するとともに、委員長提案の内閣に対する警告案に賛成するものであります。 反対理由の第一は、六十年度の財政運営についてであります。 六十年度予算は、原則マイナスシーリングと言いながら、その実はかなり巧妙な見せかけのものであり、例えば揮発油税の道路整備特別会計への直接繰り入れは、シーリングの形骸化のあらわれであり、さらに厚生保険特別会計の繰り入れを後年度へ繰り延べたことなどは、一般会計の規模を見た目だけ圧縮したものとなっているのであります。 これらの歳出の繰り延べや他会計へのツケ回しは、最終的には後年度負担となり、いわば隠された赤字国債とも言うべきものであります。政府みずから認めている土地対策の失敗、手おくれによって国民に多大なしわ寄せを強いながら、地価の暴騰による税収の予想外の伸びと、NTTの株の売却益という、政府の知恵も汗も流さない、まさに棚ぼた的な増収によって、内心すっかりあきらめていた六十五年度財政再建、赤字国債脱却の目標が実現できるかもしれないと言い出し始めたのであります。 しかしながら、ツケ回した規模は、政府が明らかにした分だけでも総額二十四兆円にも上るということでありますから、目標としている六十五年度財政再建も見せかけだけであり赤字国債そのものの発行はなくなっても、姿を変えた別の赤字国債が累積していることが露呈しているのであります。 第二は、防衛費の突出であります。 六十年度には、防衛費が五年連続して予算上異常突出が続いたのであります。これにより我が国の軍事大国化の歯どめとしていたGNP比一%枠が風前のともしびとなり、その後においてこれがなし崩し的に破られてしまったのであります。我が党は、この点に予算修正の力点を置いて国民の期待にこたえようとしたのであります。今日の歯どめなき軍拡への道は、軍縮を求める国際世論に逆行するもので、断じて許すわけにはまいりません。 第三は、社会保障関係費が極めて低い伸びにとどまり、文教及び科学技術振興費や中小企業対策費のように理不尽にも削減された経費もあるのであります。これら最も必要とすべき弱者に対する費用に歳出削減のしわ寄せがなされていることも承服できないところであります。 最後に、土地問題に対する政府の対応についてであります。 内閣の一員である建設大臣が政府の無策ぶりを公言してはばからないのは、閣内不一致なのか、何も対策の打てないみずからの無能さに自嘲的なのか、やけっぱちなのか、無責任のそしりを免れません。また中曽根総理の誤った民活路線による国有地の売却が、地価高騰に対して火に油を注ぐこととなったことは、国民に対する犯罪行為とも言うべきもので、厳しくその責任を問わなければなりません。 以上の理由をもって本件決算には反対、委員長提案の警告案には賛成いたします。政府は今後本委員会における論議を十分尊重し、警告の趣旨を体して財政執行の適正化、行政の効率化に万全を期するよう強く要求をして、私の反対討論を終わります。
○大島友治君 私は、自由民主党を代表して、昭和六十年度決算外二件に対して、これを是認するとともに、委員長提案の警告案に賛成の意思を表明するものであります。 昭和六十年度の緊急の政策課題は、前年度に引き続き行財政の改革を強力に推進し、その対応力の回復を図り、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定のための基盤を整備することにありました。そのため、六十年度の当初予算においては、経費の徹底した見直しにより、一般歳出は前年度以下とする一方で、歳入においても税外収入の確保を図り、公債発行額を一兆円減額することとしたのであります。 また、我が国経済に求められていた当面の重要課題である対外不均衡の是正については、政府は六十年四月に対外経済対策でアクションプログラムの策定を決定し、七月には市場アクセスの改善のためにこのプログラムの骨格を決定しております。 九月以降、五カ国蔵相・中央銀行総裁会議の合意を受けて、円の対ドルレートが急速に上昇したため、輸出の鈍化、設備投資の停滞から、五十八年以降拡大してきた景気の反転が危惧されましたが、政府は素早く十月十五日に内需拡大に関する対策を決定し、公共事業費の拡大と、民間住宅投資や都市開発、民間設備投資を促進し、個人消費を喚起するなど内需拡大の対策を進め、機動的に、かつ、きめの細かい経済運営を行ったのであります。 また、物価の安定は、経済の発展と国民生活の安定の大前提でありますが、六十年度の消費者物価は対前年度比わずかに一・九%の上昇で、卸売物価は二・九%のマイナスであり、この数年物価は極めて安定しております。 これらはすべて六十年度の政府の財政経済運営の結果によるものであり、こうした政府の施策はまことに時宜にかなったものであると言えるのであります。 それまで長く世界経済にゆがみをもたらしていたのはドル高、原油高、高金利という三要因でありますが、こうしたゆがみは我が国経済にも深刻な影響を及ぼしましたが、六十年度はこれらの是正が画期的に進んだ年であります。急速な円高による悪条件を克服し、今日、六十年当時に比べ百円近い円高にもかかわらず、内需中心に景気の持続的拡大が続き、これまで輸出依存型であった日本経済を、内需主導型へと構造転換を図ることができましたのは、政府の政策努力の結果であり、評価されるべきものであります。 財政執行の個々の問題については、本委員会の審査の過程で明らかになった点、あるいは会計検査院に指摘された点に見るように、反省すべき点、留意すべき点がありましたが、政府は、この際、警告の趣旨を十分に体して、今後一層財政の効率化、行政の適正化に心がけ、国民の負託にこたえるよう要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。
○片上公人君 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和六十年度決算外二件に対しては、これを是認できないことを表明し、委員長提案の警告案に対しては、賛成の意を表明するものであります。 以下、決算外二件について反対の理由を申し述べます。 第一は、経済・財政運営の失敗であります。 昭和六十年度は、それまで緩やかながらも拡大傾向を示していた我が国の景気は不況に陥り、国民生活に重大な危機を及ぼした年でありました。 すなわち、一ドル二百五十円台で推移してきた為替レートは、六十年度末には一ドル百八十円台と、円は六十年九月のG5以降急激に上がり、特に輸出関連の中小企業の円高倒産が、六十年十月から六十一年十二月のわずか十五カ月の間に六百三十八件にも達したほか、完全失業者は百五十六万人にも達するなど、我が国経済は不況に陥ったのであります。 このことは、我が国の大幅な経常収支の黒字に対し、アメリカを中心とした国際経済摩擦が発生し、外需主導型の経済から内需主導型の経済への転換が強く要求されていたにもかかわらず、政府が国際協調に効果ある対策をとらなかったことにその原因があり、政府は、責任を痛感すべきであります。 次は、安易な国債発行により、財政の対応力を一段と弱めたことであります。 戦後初めて赤字国債を発行した五十年度における国債残高は、十五兆八千九十五億円でありましたが、六十年度には百三十六兆六千百十四億円と、十年間に八・七倍にも膨らみ、この国債残高の重圧が、六十年度における国債費を十兆千八百五億円にまで押し上げ、歳出項目における構成比は一九・二%と、社会保障関係費の一八・七%を抜いてトップになるなど、一般歳出を大きく圧迫させたのであります。 にもかかわらず、政府は、六十年度においては税収不足が発生するやその穴埋めを四千五十億円の赤字国債を追加発行して取り繕うという、相も変わらない対応をしたため赤字国債を一兆円減額する目標が、七千二百五十億円にとどまり、六十五年度赤字国債依存体質脱却を一層困難にしたのであります。このように、六十年度の経済・財政運営は評価できる内容ではありません。 第二の反対理由は、当時中曽根総理みずからが、中曽根内閣は行革内閣であると豪語していたにもかかわらず、その言葉とは裏腹に、むしろ反行革の政治を行ったことであります。 六十年度において、政府は補助金を一律に削減し、削減した五千八百億円のしわ寄せを地方自治体に負担させたばかりか、大蔵、自治、厚生各大臣の合意では一年限りの措置となっていたものを、その後今日まで続け、地方転嫁額も年々増加させていることは断じて許されることではありません。 一律カットした補助金は、公立学校施設費、生活保護費、老人福祉施設整備費など、本来、国が責任を持たなければならない分野のものであります。補助金に対して国が行うべきことは一律カットではなくて、国と地方における権限や財源配分を見直し、不必要な補助金を整理合理化するということにあったのであります。 昭和六十年度決算検査報告によると、国費のむだ遣いは百四十六件、金額にして百九十一億八千八百万円に上っております。このうち補助金に関するものが五十九件、百二十五億七千二百万円を占め、補助金が効果的に使われていない実態が証明されております。政府は、行政改革の基本に立ち戻り、本来行うべき行政改革の断行を強く主張いたします。 第三の反対理由は、公明党・国民会議各委員が本委員会において、予算が効率的に使用されたかどうかの観点から指摘し、改善を要求した郵政事業の予算と決算の乖離、防衛費GNP一%突破、国保財政、中海干拓事業など、国費の使用のあり方に関する多くの諸問題について、政府の対策は満足できるものではなく、国民の血税が生かされていない実態が継続していることであります。これらについて速やかな対策を実施することを要求いたします。 以上、決算外二件の反対理由を申し上げました。 委員長提案の警告案に対しては、賛成であります。政府は、警告の趣旨を体して、速やかにその実現を図るよう要望し、私の反対討論を終わります。
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、昭和六十年度決算外二件について、是認できない旨の反対討論を行います。 六十年度予算とその執行の結果は、軍備拡大と財界奉仕という二つの聖域を維持しながら、その犠牲を国民に転嫁し、戦後の福祉、教育制度など国民の願いによって築き上げてきた貴重な成果を真っ向から踏みにじるものとなりました。 第一に、軍事費は五年連続の異常突出をし、ついに三兆円の大台を突破しました。さらに、二兆三千億円もの後年度負担のからくりによって、アメリカの核戦略に直結する正面整備が、四年間で五七%も急増する大軍拡を強行し、政府は、一千海里シーレーン防衛や日本列島不沈空母に沿ったアメリカ有事の際の参戦体制強化を押し進めたのであります。 第二に、臨調行革の名のもとに、地方自治体へのいわゆる高率補助金を一律カットし、生活保護や保育所の維持運営費、失対事業、福祉手当ての切り捨てなどによって、五千八百億円にも上る新たな負担を国民に押しつけました。さらに、補正予算では、国民健康保険に創設された退職者医療制度で、政府の大幅な見積もり違いによって、国保財政に二千八十億円もの欠損を招いたにもかかわらず、政府は六割強しか補てんしなかったために、国保料は平均一七%もの大幅値上げとなったのであります。 第三に、国債費はついに十兆円を超え、社会保障費をも追い抜いて歳出の最大項目となり、増税なき財政再建は事実上破綻したのであります。そして政府は、福祉のためとか所得減税とセットでとか、さまざまな理由を持ち出して大型間接税の導入を図ろうとしていることは許せません。一方、大企業優遇税制やいわゆる同和減免、またパライバシー侵害の税務調査など、依然として是正されていないのであります。 第四に、財政執行上においても、会計検査院から依然として不正不当な予算執行が指摘され、政府は三十四名もの懲戒免職を含む千二百八十九名にも上る処分を実施したのであります。 また、この際強調したい点は、我が党幹部宅への警察による電話盗聴が発覚したことであります。これは、個人の人権侵害であるばかりか、公党の自由な政治活動に対する重大な権力犯罪であり、全容解明と犯行を行った警察官の処分を強く求めるものであります。 以上の理由で、六十年度決算は、これを是認することはできません。 また、昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書等につきましては、我が党が反対した予算の執行の結果を国有財産の移動という面で示したものにすぎませんので、反対であります。 最後に、委員長提案の警告決議案につきましては賛成を表明して、私の討論を終わります。
○関嘉彦君 私は、民社党・国民連合を代表し、昭和六十年度決算外二件に対して、是認できないとの立場から、また委員長提案の内閣への警告決議案については賛成の立場から、討論を行うものであります。 決算外二件に反対する第一の理由は、昭和六十年における政府の経済・財政政策についてであります。民社党は、行政改革によって不要な支出を極力抑えるとともに、一方では経済発展と国民生活の安定のために不可欠な内需拡大に積極的に取り組むべきだとの観点から、増税なき財政再建を目指す拡大均衡型の経済運営を主張いたしました。ところが政府は、縮小均衡型の経済運営の破綻が当時既に明らかであったにもかかわらず、依然としてそれに固執したのであります。このため、国内経済の潜在力に見合う十分な成長を喚起することができず、政府目標の実質経済成長率を達成できなかったばかりか、内需の伸びは政府目標のそれを大きく下回りました。同時に輸出に過度に依存する経済成長は、巨額の貿易黒字を生み、国際的な批判の的となったばかりか、所得税減税の有送りは、内需を停滞させ、給与所得者の税の不公平感を一層助長したにすぎませんでした。 第二は、行政改革の不徹底についてであります。 この行政改革の断行は、政府が掲げた増税なき財政再建のかなめであり、不必要な行政は大いに削り、必要な部門は充実させる、そのために政府が絶えず行政の見直しを行うことは、政府に課せられた当然の責務であります。ところが省庁間の既得権益擁護の障壁の前に、不要な行政の削減がほとんど行われなかったために、六十年度における行政機構の統廃合は見るべき成果を上げることができず、公務員の定数削減も必ずしも十分とは言えません。また補助金の整理、統合についても、補助金の数を整理削減するのではなく、国からの補助率のみを引き下げたにすぎませんでした。それは行政改革の趣旨から大きくかけ離れたものであるばかりか、地方への十分な財源的手当ても行わずにその負担のみを地方に転嫁したため、地方に多大な財政負担を強いることになったわけであります。 第三が、土地行政の失敗であります。 民間活力の導入、規制緩和は、財政緊迫下での内需拡大の面からも、また行政の簡素化、効率化の面からも重要な制度でありますが、無制限によいというわけではございません。特に土地に関しては別であります。土地は公共的性格が強いため、ある程度の公的制限が課せられるべきでありますけれども、それが他の一般の商品と同じように扱われたために、投機の対象となり、その後東京を中心とした大都市圏での異常な地価高騰へと波及し、その是正は今日なお重要な課題となっております。昭和六十年当時東京の商業地の高騰が既に始まっており、無原則な民活、規制緩和と、地価対策のおくれはまさに政府の怠慢、失敗であります。 以上の理由で昭和六十年度決算外二件を是認することはできません。 最後に、委員長提案の内閣に対する警告案につきましては、政府にその速やかな是正を求めるとともに、効率的な予算の執行と不正の防止、国会での決算審議への政府の十分な協力を要望し、私の討論を終わります。
○委員長(穐山篤君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(穐山篤君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 まず、昭和六十年度一般会計歳入歳出決算、昭和六十年度特別会計歳入歳出決算、昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和六十年度政府関係機関決算書の採決を行います。 第一に、本件決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(穐山篤君) 多数と認めます。 第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(穐山篤君) 全会一致と認めます。よって、昭和六十年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決いたしました。 次に、昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。 本件につきまして、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(穐山篤君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決いたしました。 次に、昭和六十年度国有財産無償貸付状況総計算書の採決を行います。 本件につきまして、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(穐山篤君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決いたしました。 なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、内閣に対する警告について関係国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。小渕内閣官房長官。
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま御決議のありました公務員等の綱紀粛正につきましては、従来から取り組んできたところではありますが、総理府の元職員にかかわるものを初めとして不祥事が生じ、行政に対する国民の信頼を損なったことはまことに遺憾であります。御指摘の趣旨を体して改めて姿勢を正し再発防止に万全を期し、国民の信頼を回復すべく政府として努力してまいる所存であります。 また、決算審査に対する政府の対応につきましては、決算審査の重要性にかんがみ、今後とも最大限の努力をしてまいりたいと存じます。
○委員長(穐山篤君) 次に、内海国土庁長官。
○国務大臣(内海英男君) ただいま御決議のありました地価対策につきましては、従来から所要の措置を講じているところでありますが、御決議の趣旨に沿い、政府一体となって今後とも一層努力してまいる所存であります。
○委員長(穐山篤君) 以上をもちまして、関係国務大臣の発言は終了いたしました。 決算委員会の終了に際しまして、一言ごあいさつ申し上げます。 昭和六十年度決算審査は昨年五月に着手し、ほぼ一年間を経過いたしました。この間、各党、各委員の熱心なる調査、審査によりここに終了する運びとなりました。 また、会計検査院、政府関係機関の格段の御協力のもとに審査を進めることができ、本日をもって審査を完了することができました。ここに改めて深く感謝申し上げる次第であります。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十七分散会