P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
112回国会参議院1988/04/21

外務委員会 第4号

発言数
182
登壇者
16
会派数
5
開催日
1988/04/21

会議録

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  日本国政府と国際熱帯木材機関との間の本部協定の締結について承認を求めるの件、千九百八十七年の国際天然ゴム協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を便宜一括して議題といたします。     ─────────────

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております両件の審査のため、本日、国際協力事業団理事山極榮司君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 両件につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 まず、外務大臣に伺いたいと思いますが、熱帯雨林が乱伐その他によって大変な危機的な状況になっております。二十一世紀を迎えるに当たって四〇%ぐらいが砂漠化してしまうのではないか。アジアの状況はもっと深刻であるというふうにも言われているのですが、これについてどんな御認識をお持ちでしょうか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) いろいろ原因はございましょうが、主としてWHOであるとかUNEPであるとか、そうした国際機関の調査等も私たち参考にいたしておりますが、やはり原住民の人たちの焼き畑農業というものが大変な影響を与えておる、こういうことが挙げられております。しかし、我が国はもう古来木造住宅に住んでいる民族でございますから、したがいまして熱帯雨林に対する日本の需要も高かったのではないかという、そうした声も耳にするようなこともあります。したがいまして、熱帯樹林というものに対しましては日本は他国に先んじて関心を持って、やはり環境を整えて将来にわたって熱帯樹林の保全を完璧ならしめ、なおかつ需要等々に対しましては円滑な需要ができて、現地国のためにもそれが一つの大きな貿易の拡大策につながる、そのかわりに保全は忘れちゃいけない、こういうふうな認識でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 熱帯雨林が危機に瀕しており、その砂漠化が深刻な状況で進んでいる原因についてでありますが、確かに焼き畑農業とか燃料とかということが一面では指摘をされておりますが、これは今に始まったことではありませんで、昔からあったことであります。したがって、今日的にこの熱帯雨林が危機に瀕している大きな問題点は、むしろそちらよりも乱伐あるいは開発のために森林をつぶしていくということに焦点があろうかというふうに私は思っています。  今大臣からも御指摘がありましたが、例えばロンドンの国際環境開発研究所の調査によりますと、アジアにおける砂漠化の原因は七五%が木材の伐採にあるという指摘もあるぐらいでありまして、その点ではそういう認識の上に今後の対応策を進めていただきたいのが一つ。  特に日本がずっとかかわってきているわけです ね。前回でしたかもっと前でしたか、この問題を取り上げたときにも指摘したのでありますが、環境と開発に関する世界委員会というのがあります。大来さんが監修などをして、「地球の未来を守るために」という本を出しておりますが、その指摘によりますと、「いくつかの国の木材企業は実質上全ての生産林地域を数年間賃借し、森林の再生にほとんど関心を払わずに資源を乱開発している」という指摘があるとともに、もう一つは、「熱帯の国々の脆弱な国内森林政策と工業国の木材の高い伐採コストと結びついて、熱帯木材の特定の工業国への輸出を進め、森林伐採に拍車をかけている。」と。日本は南洋材の最大の輸入国でありますから、まさにこれは日本のことを指摘しているのではないかというふうに思われるわけであります。そういう点で、この乱伐の責任は日本にもかなり重いものとしてあるということを御認識いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

内田勝久外務省経済局次長

○政府委員(内田勝久君) 先生御指摘のとおり、英国環境開発研究所によりますると、東南アジアの熱帯雨林の破壊の七五%が木材伐採であるというそういった報告を出している。これは事実でございますが、私どもといたしましては、ただいま大臣からも説明ございましたとおり、現在の熱帯林をめぐる環境問題、すなわち今言ったように毎年一千万ヘクタール、本州の半分ぐらいに当たる大きな熱帯林が消滅しているという、これも事実でございますが、その主要な原因が木材の伐採あるいは乱伐にあるというところにつきましては、これは必ずしも私どもはそうではないと。やはり基本的には現地農民の焼き畑移動耕作、そういったものの拡大、あるいは地域によっては過度の放牧ですとか移住入植の計画、こういったことが一つの大きな原因になっているのではないかというように考えている次第ではございます。  しかしながら、実際問題といたしまして、そういう熱帯林というものが相当の程度で減少しているということは事実でございますので、そういう事態は放置しておくわけにはいかないと。熱帯林につきましては、木材資源という観点もございますけれども、ただいま先生御指摘のように、地球環境の保全という観点からも大変重要でございます。そういう意味で、我が国としましてもいろいろな意味で二国間あるいは多数国間の国際協力を通じて積極的に協力していかなければいけないという気持ちを持っているということでございます。  以上でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 大臣との基本的な認識や問題点の議論をしているんですから、余り横から口を出していただかなくても結構なんですが。  そういう中で先般、日本に国際熱帯木材機関を誘致されたわけですね。したがって、この機関の果たすべき役割はある意味で非常に大きい。少しく後処理的ではありますが、今後のこの裸になった山をどう再生していくのかなども含めてこの機関の役割は非常に大きいと思うのですが、これを誘致した背景、今後の活動についての考え方などなどについて、大臣としての御見解を伺いたいと思います。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 私も三十年ばかり前にフィリピンに行きまして、相当都心部より離れたところへ行きましたら、一人の真っ黒な日本人が頑張っていまして、日本人かと言ったら日本人だと。そうすると、やはり木材でございました。日本の政府や政治よりも早く民間が進出したことは事実で、その当時はまだ日本も再建途上でございましたから非常に感謝したのでございますが、その後、日本もどんどん経済的に大きくなってまいりますと、いろいろ焼き畑農業という大きな原因もございましょうが、やはり我が国の需要も高かったということも私はこれ率直に言った方がいいと思うのです。  そんなことでITTOの誘致に関しましては、やはりそうした意味で、我々が今後の熱帯雨林に関しては、環境もまた保全も開発もバランスをとってそして地球を守っていかなくちゃいかぬ、こういう責任を持たなくちゃいかぬと、こういう責任から、実のところは生産国と消費国、これがお互いに提携し合いまして、そしてこの問題の解決に当たりたい。そんなことで、我が国といたしましても経済大国と、こういうふうに言われておりますし、また事実そうであるかもしれません。国の方は懐は寒いわけでございますが、貿易面におきましては富んでおることは事実でございましょう。そうした意味で、少しでも世界に貢献するという意識を持たなくちゃならぬ時代でございますので、ひとつ応分の出資もしたことであると。そうしたことでみずから来ていただいて、そこを本部として先ほど申し上げましたような使命を果たしていきたい、そうした気持ちでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 きょう議題となっております協定は、そこに参加をするスタッフの人たちの活動の保証、便宜供与などを外交官に準ずるような形で与えようということでありますから、その点について異存はないのでありますが、その活動を支えるための資金の捻出ですね、これは日本が一番多く負担をしているように思われますが、先ほども指摘をしておきましたように、その木材企業が森林の再生にほとんど関心を払わずに資源を乱開発をしてきたという、この環境と開発に関する世界委員会の指摘もあるわけですね。そういう点から言うと、そういうことに関与してきた木材企業といいますか、産業からも相当な拠出金を出させるのも一つの方法ではないかというふうにも考えるんですが、いかがでしょうか。

内田勝久外務省経済局次長

○政府委員(内田勝久君) 先生御指摘のとおり、消費者と申しますか、我が国の熱帯木材関係業者に対しまして、環境保全に一層の配慮を求めるべきではないかということでございますが、基本的に熱帯木材の生産国におきます森林資源の管理、あるいは伐採、輸出といったことをどういうふうに規制していくかということは当該国の政策の判断でございまして、当該国自身が決定すべき問題だと思っている次第でございます。  ただ、先ほども申しましたとおり、熱帯林自身減少しつつありますし、その環境保全への配慮は極めて重要であるということでございますし、我が国の木材業者がそこに入っていきまして実際に直接伐採することもあるかもしれませんが、基本的に伐採された木材を日本に持ってきているという事態を踏まえますれば、私どもといたしましては、日本の業者がそういう環境の問題、熱帯林の保全の問題に直接関心を示して、そういう問題にも配慮しつつ、商売と申しますか、貿易取引を運営していくということを勧奨してまいりたいと思っている次第でございます。  事実今度のこの熱帯木材機関の設立に当たりましては、日本の民間業者の方におきましても、時宜に適した日本への木材機関、熱帯木材協定ができたこと、あるいはその本部を日本に誘致したことについて大変関心を示すと同時に歓迎をしておりまして、日本の木材業界としても、できることがあれば可能な範囲内で自分たちも協力をしたいということを述べているというように理解している次第でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 環境庁に伺いますが、昨年の八月に開発援助と環境配慮とのかかわりについて基本方向を出されましたね。この内容をかいつまんで説明ください。

吉本修二環境庁企画調整局企画調整課長

○説明員(吉本修二君) 御説明いたします。  特に世界経済全体の均衡ある発展のために政府開発援助が非常に重要だということは当然の前提であるわけですが、その際に当該開発途上国の環境配慮を組み入れた方式で援助を実施していくということが非常に大事であるというOECD等の勧告がありまして、そういう国際的な要請もあるし、今やそういうことを行うのは一種の国際的な常識になりつつある時代になっております。  そういうことを踏まえまして、我が国においても、これを一体具体的にどういう方向で開発援助における環境配慮の組み入れを行っていくかということを検討していただくために、援助機関とか環境保全関係者とかあるいは技術援助の関係者等から成る開発援助環境保全検討会というものを一年がかりで検討していただきまして、昨年の八月 に報告書をいただきました。  その要点だけかいつまんで申し上げますと、要するに、まず第一に、開発援助に当たっては環境配慮の組み入れということを日本としてもちゃんとやっていくということを、その姿勢を内外に明らかにしていくということが非常に大事である、これが第一点でございます。それから続きまして、ただ開発援助組み入れといいましても、その国の実情というのは非常にさまざまであります。そういうことで、その相手国にそういう組み入れがいかに大事であるかということを働きかけを行いつつ、その国の実情に即したやり方をしていくということが非常に大事である。  それからまた、そういうことを進めていくための情報とか体制というものが大事であるので、そういうことをこれからつくっていくためにいろいろ検討すべきである。それから、どういう対象のものにどういうやり方で、どういう技術的なやり方で環境配慮というものをやっていくかというものはさらに詰めるべき問題がいろいろあるので、そういうことも検討が必要である。かいつまんで申しますと、大体そういうところでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 今御説明があったような意味で、開発援助環境保全検討会というところがお話しのような報告を出されたわけです。報告を出したそれ自体も意味がありますが、これを具体的に今後の日本の政治や行政の推進に当たってどう生かしていくのかということがまたもう一つ大変な問題だと思うんです。それについては環境庁はどういう推進方法を考えておりましょうか。

吉本修二環境庁企画調整局企画調整課長

○説明員(吉本修二君) 実は、先ほど申し上げました報告書にも指摘されておりますように、まず具体的にどういうやり方をするかというのはさらに詰めるべき検討課題である、技術的な問題等を含めまして。そういうことで環境庁におきましても、さらに引き続き技術的な問題を詰めなければいけないという部分があるので、その検討に今着手しつつあるところであります。  それからもう一つ、こういう基本的考え方ができましたので、この報告書の趣旨を踏まえまして、関係の援助機関がこういう考え方のもとに開発援助を実施していただくようにぜひやってほしいということで、関係省庁に働きかけを今しておるところであります。  こういうことを御理解いただいた上で、各援助機関が具体的な内部的な実施の手段、やり方、手続等に関する検討を経て、こういう開発援助における環境配慮が現実の援助行政の中に組み入れられるように私どもは期待しているところであります。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 という環境庁のお話でありますので、当然外務省にもその種の働きかけがあったかと思うのでありますが、外務省としてはこれをどう受けとめ、具体化しようとしておるのか御説明をいただきたい。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) 環境庁が中心となって大変時宜を得た検討会を持たれ、その事業に私どももオブザーバーとして参画をさせていただきました。また、その報告書も検討いたしております。  私どもは、途上国から環境問題についての援助の要請もございますし、また途上国における援助プロジェクトに伴う環境破壊の問題もございますので、大変大きな関心を持っておりまして、国際協力事業団、援助の実施機関でございますけれども、できれば先ほど環境庁から御指摘のあった実際にそれぞれの国の状況等を勘案しながら、どういうふうに進めていくべきかということを検討するための環境問題についての有識者によるパネルをつくって、今度は援助実施という観点から引き続き検討を行いたいと、かように考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 林野庁に伺いますが、熱帯林の乱伐といいますか荒廃については、日本の木材政策というんでしょうか林業政策というんでしょうか、いうことも大きなかかわり合いを私は持ってきたように思うんです。外国の木材、南洋材が安いからといって日本の木材需要はほとんど相当部分を外材に依存してきた。そういう体質をつくってきてしまったことが乱伐にもつながる、日本の森林経営にも非常に難しい問題をもたらしてしまった。  そこで熱帯林を保護するという観点から、もう一度日本のその種政策を基本的に見直しをしてみる必要がありはしないかと思うのですがいかがでしょうか。

高木賢林野庁林政部木材流通課長

○説明員(高木賢君) お答え申し上げます。  昨年七月に実は閣議決定が行われまして、重要な林産物の需給の長期見通しというものが策定をされました。これによりますと、戦後に営々として植栽されました人工造林が徐々に伐期に達してくる、こういう事情にはありますけれども、なお相当期間我が国の木材需要というものは相当程度を外材に依存せざるを得ないということでございます。これが需給の基本事情でございます。  ただ、そうは申しましても、外材輸入につきまして無秩序な輸入が行われるということはいろいろな支障が生ずるということでございますので、四半期ごとの需給見通しに即しました安定輸入につきまして関係業界に対して指導をいたす、あるいは輸入相手国との間におきます対話と情報交換を進める、さらには外材産地国におきます資源の維持培養のための協力を行うということを通じまして、需要に見合った秩序ある輸入が確保されるように努めることといたしております。  また一方で、国内的には、長期的には我が国の森林資源が充実されるに伴いましていわゆる国産材時代の到来ということが見通されておりますので、国産材の安定的な供給が確保されるようなこういうシステムづくりに取り組んでいるところでございます。このために造林とか林道あるいはそういう林業生産基盤の整備でありますとか、木材需要の拡大でありますとか、間伐の促進あるいは国産材の加工流通対策などの各般の対策を関係者の協力を得ながら進めているところでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 環境問題を中心にきょうはいろいろ議論してみたいと思うんですが、環境庁としては当然のことながら、とりわけ日本の林業政策なりとのかかわりで熱帯林問題も論じられてしかるべきだと思うんで、林野庁も関係官庁として、先ほどの開発における環境配慮という問題は林野庁に伝えたんでしょうね。伝えられたとすれば、林野庁としてそれにどう対応してきているのかお答えをいただきたい。

吉本修二環境庁企画調整局企画調整課長

○説明員(吉本修二君) 先ほどの報告書の趣旨を踏まえてよろしくお取り計らい願いますという趣旨で関係省庁全部にお願いをしております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 よろしくどう取り計らったでしょうか。

高木賢林野庁林政部木材流通課長

○説明員(高木賢君) 担当のところで十分お話を伺いまして対処したいと思います。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 どう対処したのかということを聞いている。

高木賢林野庁林政部木材流通課長

○説明員(高木賢君) 今まだ御趣旨をよく伺っている段階というふうに聞いております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 これは外務大臣ね、どうも環境庁というのは、もともと行政官庁だからもう少し積極的にいろんな行動の展開があってもいいのではないかと私はかねてより歯がゆく思っているんてすが、同時にまた、その受け手である外務省その他の、林野庁も含めてでありますが、お話をいただいて検討していますとか、何やらやっていますという程度の話で、どうも具体的な進捗がない。この熱帯雨林の保全保護の問題はもう随分以前から指摘もされ、国際的にも問題に供されてきたわけです。それがようやっとそれらしき中身が環境庁から出された。しかし、その実施ということになりますと随分先の先のような話にしか聞こえないんであります。外務大臣、これはいかがされますか。  例えばOECDから環境保全の政策について八八年末までに実施状況報告を各国政府に求めているわけです。具体的にOECDにその報告をしなきゃならぬ。ただレポートを書いて各省で検討中ですということでは済まない状況になっているのではないかと思いますが、そこら辺も含めて外務省としてはどうされますか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 我が国は木材需要国でございますから、当然いろんなことを考えなくちゃならないと思いますが、今さっき申されましたように、熱帯樹林ということに絞って考えると、やはりそうした地域の国々に対する要望に対しては、現在もそれぞれの国の自主的な願望のあるプロジェクト、そうしたことに対応をしておるわけでございます。先ほど英経済協力局長からも申しましたようなことでやっておるわけでございますが、やはり今矢田部委員が申されましたとおり外材に頼り過ぎるんじゃないか、国内材どうだという問題も、我々は外務省という地位を離れまして考えなくちゃならない問題だろうと思います。  特に林野に関しましては、川上論、川下論というようなやつがありまして、そしてせっかく山を植林をしたが、その木が製材屋に買ってもらえない。製材屋は外材に頼っておる。今度は製材して合板屋に売ろうとすれば、合板も外国からの依存に今日は頼っておる。そんなことで、三者間におきましても、もう少しく調整がとれておらないということが何年か前にも議論されまして、こういう調整もやはりしなくちゃいけないねと。そうしたことも確かに我が国のいろんな林野行政の中にはあるだろうと思います。したがいまして、水資源一つを見ますると、水の開発だけが強調された時代がありまして、森林の涵養ということが全く法律の字句になかったことがありました。もう三十年前ですが、私もそういうことはその当時よく主張して、今日では法律は水資源の開発と涵養というふうなバランスがとられております。  かくのごとくにいろいろと社会の発達のたびにいろんな問題が発生するわけでございますが、そうしたことで環境庁も誕生いたしまして専念もしていただいておるわけでございますから、やはり国内の問題に関しましても、国際的にも私たちはその省庁が提案されたことは尊重して対応すべきである、かように考えております。長いしきたりもありますので、なかなか難しい面もあるやに私は承っておりますが、外務大臣というよりも一政治家としてのお答えであったかもしれません。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 政治家としての姿勢とあわせて、具体的に七九年末からOECDは開発援助と環境保全のための具体的な政策、手続を各国に求めている。その実施状況について八八年末に報告をしなさいというふうに言ってきているんですが、これは具体的にどんな状況、どんな段階になっているのか伺いたいんですが、いかがですか。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) 先ほど大臣からも触れられましたように、二国間の政府援助で森林保全等の問題についてかなりの協力をやっておるわけでございます。しかし、問題の深刻性にかんがみ、さらに先般の環境庁の作業を受けてただいま私どもとしても作業をしております。そのOECDの報告書というものは、そういうものを踏まえて今後作成せられるというふうに承知しております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 聞かれてもわかるように、中身は何にもないんですよ、林野庁にしても外務省にしても。率直に申し上げます。これではやっぱりまずいのであって、少しくこれは外務大臣にリーダーシップをとっていただきまして、本格的に開発と環境問題というのを具体的な場で実行できるような体制づくりをしていただきたいと思います。  私ども、今、経済協力基本法というのを参議院の外交安保調査会でいろいろ議論中なのでありますが、その中にはどうしたって環境条項を入れて、開発地域の環境問題、それからそこに住む人たちの生活課題、それから文化や社会総体を守るということをもう一つの軸にして問題を進めないと、後で各論でいろんな問題を出しますけれども、ただ開発開発ということで優先論でいきますと、決して国民の税金が有効に使われることにならないというふうに私は思いますので、外務大臣として、外務省はもとよりでありますが、実力者でもありますから、各省庁にも少し働きかけをして、環境問題に対する国際的な取り組みの中心になるような役割をひとつぜひ担っていただきたい。熱帯木材機関というのを日本に誘致したのもそういう意味合いのものとして位置づけをしていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 仰せのとおり、開発と保全、環境整備というものはこれはもうバランスを常にとらなくちゃならない問題であります。したがいまして、一時は開発ブーム、そうしたことに目を奪われた時代があったかもしれませんが、そうした反省の上に立ちましても、やはり環境保全ということに対しましてなお一層の政府としても努力をいたしたい、かように思います。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 そこで各論的な問題に入るわけですが、ODAの援助をもうずうっと進めてきておりまして、大型プロジェクトが世界各国にいろんな資金などで展開をされておるわけでありますが、この大型プロジェクトを推進するに当たって、自然や環境の問題、私が先ほど申し上げた住民の生活課題なども含めて、広い意味での環境課題をどんなふうにこの開発の中で位置づけをされているのか。ODAと環境とのかかわりについて、まず外務省から伺っておきたいと思います。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) これまで政府開発援助を実施する際には、計画策定の段階から大気汚染の問題、騒音の問題、地下水汚染の問題、動植物の生態等、種々の角度から環境問題にも十分配慮するように努力をしてきております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 十分配慮するようにというのはわかるんですが、具体的にどういうふうにするんですか。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) 例えば、先方の政府からある大型プロジェクトについての要請がある。それを受けまして、当然そういうプロジェクトが経済的にも効果のあるものであるか、いわゆるフィージビリティーを調査いたします。そのフィージビリティーを調査する際に、ただいま申し上げましたような問題についてもあわせ検討する、そういうような形で行われております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 余り迫力ある答弁ではないのですが、説得力もないんですが、どうもやっぱりその辺が、位置づけそれから姿勢含めて非常に弱いのではないかというふうに率直に感ぜざるを得ない。特に前回はサラワクの森林伐採問題を取り上げて、伐採と環境問題、先住民の生活とのかかわりなどについていろんな議論をしたのでありますが、きょうは森林の伐採だけではなくていろんな大型のプロジェクトそのものが貴重な森林をやっぱりつぶしている、あるいはそこに住む人たちの生活を大変危機的な状況に追い込んでしまっているというようなことがもう一つのテーマとしてありますので、そういう立場から幾つかの例を問題にしていきたいと考えるのであります。  一つはナムチョン・ダムというのがありますね。これはタイのクワイヤイ河上流の発電計画でありますが、八〇年の六月にJICAはそれにかかわる調査報告書を出したのですが、どんな調査結果だったのでしょうか。

山極榮司国際協力事業団理事

○参考人(山極榮司君) 今御指摘のナムチョン・ダムの関係でございますが、このプロジェクトにつきましては、五十四年の二月にタイ国政府より政府ベースの技術協力としてクワイヤイ河上流水力発電開発計画についてのフィージビリ調査等の要請が出されたわけでございます。我が国といたしましても、このプロジェクトがタイ国における最も重要な案件であって、早急にフィージビリティースタディーを実施するということがタイ発電公社より要望されたことから、JICAといたしましても五十四年の三月より調査団を派遣いたしまして、SWを提携するとともに本格調査を実施いたしまして、五十五年の六月に最終報告書を提出したわけでございます。  このフィージビリ調査の結果を受けまして、さらに先方政府より本件プロジェクトにかかわる我が国からの円借款協力の要請が提出をされまして、これを受けまして五十五年七月にENを締結して五十八年八月に詳細設計を完了したということになっておりまして、このダムの建設認可につきましては、現在タイ政府の部内におきまして検討中であるというふうに聞いております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 JICAだけではありませんで、 政府もかなり前からこの問題にはかかわってきたわけですね。記録によりますれば、一九七二年に日本政府調査団による現地調査、七四年から七六年にかけて日本政府より派遣された専門家による調査、七八年から七九年にかけてこれまた専門家による詳細な地質調査、さらにはこのJICAの今言われたような調査なども含めて随分いろんなかかわり合いをしてきた結果、特に一九八〇年六月のJICAの今述べられた調査報告書を受けて七月には九億七千五百万円というかなりのお金を投入した、調査設計費という名前になっておりますが、政府としてこれを出しているわけですね。これはどんなふうに使われたんでしょう。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) このいわゆるエンジニアリング・サービス・ローンはナムチョン・プロジェクトの建設に関する技術的な問題に結論を出すということで、どういうような仕様のダムをつくるかとか、そういうタイプのいわゆる詳細設計、そのための資金供与と理解しております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 その結果、調査、設計等はできたんですか。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) 本件につきましては、昭和五十四年十二月に先方から要請がございまして、五十五年の七月に政府間の交換公文を結びまして、昭和五十八年八月に詳細設計を完了いたしております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 その設計書なり調査結果の報告書なりは日本政府にも来ているんでしょう、明らかにできますか。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) これはタイ政府からの要請に基づいてタイ政府に提出した報告書でございますので、日本政府としてこれを発表するという立場にはない、先方の要請に基づいて先方のために行ったサービスである、こういうふうに考えております。ただ、タイ側がこれを公表しているかどうかは承知しておりません。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 日本政府には内容は来ているんですか。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) これは国際協力事業団の委嘱といいますか、事業として日本政府が行った調査でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 ですから、当然承知をしているわけですね。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) 当然承知しております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 しかし発表できないというわけですか。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) 先ほど申し上げましたように、繰り返しになりますけれども、先方の政府に提出したものでございますので、いわば先方政府のものでありますので、日本で発表するというのは適当でないというふうに考えます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 じゃこういうふうに具体的に伺いましょう。  随分いろんな調査が行われました。そして最終的には今日本が九億七千五百万のお金を貸し付けて、そしてまた日本が中心になって調査をした、あるいは設計をしたんだろうと思いますが、その際環境問題についてはどんな調査をされましたか。調査結果はどうなりましたか。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) 先方から当初フィージビリティー調査というのが要請を受けまして、昭和五十四年に調査団を出してどういう内容のフィージビリティー調査をやるかということを先方と合意をしたわけでございますが、その際にこのプロジェクトの建設に関する環境生態系の調査ということにつきましては、タイ側は自分の方で実施するということで、我が方としてはその部分はタイ側の作業ということで、技術的な側面からの部分についてのいわゆるスコープ・オブ・ワークと申しておりますけれども、調査の内容を合意いたしまして、それに基づいて調査が行われたということでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 したがって、日本側としては環境問題にはかかわっていないと、こういうことですか。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) 本件についてはそういうことでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 そこがまさに問題なんじゃないてしょうか。環境庁の報告でも、それから国際的な今の趨勢から見ても、やっぱり開発と環境保全は少なくとも車の両輪である。この環境問題を軽視した開発はいかぬというのが国際的な、これはもう単なる自然保護団体だけではなしに、大きな流れになっているわけです。そのことをまさに日本が時間をかけ、何回も調査団を配置し、相当のお金も費用もかけてやってきている問題に一つの車を外してしまう。その結果このダムは一体どうなっていますか。この計画はどうなっていますか。  八四年ですね、世銀は撤退しました。棚上げになっている。また、その後タイ政府が再開の動きをしたけれども、ことしの三月にはタイ政府のナムチョン・ダム諮問委員会は、もうつくるのは適当でない、こういう結論に達したとも伝えられているんですが、いかがですか。

山極榮司国際協力事業団理事

○参考人(山極榮司君) JICAのフィージビリティースタディーの点につきましては、先ほど英局長がお答えしたとおりでございまして、若干補足して申し上げますと、その点につきましては、むしろ環境問題に詳しいということもございましてローカル機関等が実施した方がいいではないかという当時のいきさつがあったようでございます。したがいまして、その部分についてはタイ国側が調査をしたということになっているわけでございます。  それから、今先生の御指摘のこのダムの行方の点でございますが、この点につきましては、タイ国政府部内でこの問題についての委員会を設置いたしまして、これは副首相が座長だというふうに聞いておりますが、このダムに関する委員会が設置をされまして、その中で、さらにサブコミッティーの中で森林野生動物あるいは魚類保護、その他考古学、水資源それから鉱物資源、地質資源、経済関連というような各方面の方々の意見を聞きながら検討してきた、しかし今もってその委員会の結論は出ていないというふうに聞いております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 出ていないんじゃなくて、正確ではありませんが、副首相がキャップとなった委員会はつくるのが適当でないという結論を出した。随分昔からこの問題は日本政府あるいはJICAも含めてかかわってきた、人もお金も投じてきた。そして、その事業が進まない最大の理由は何ですか。どういうふうに外務省なりJICAは受けとめていますか。

英正道外務省経済協力局長

○政府委員(英正道君) 実は私もタイに在勤しておりまして、そのときに既にこのクワイヤイ川の開発というのはタイの関係当局の非常な関心事でございました。タイは平たんな国でございますのでなかなか水力発電の場所がないということで、水力資源の開発に大変関心を持っていたわけですが、その中で本件について日本側に要請が来て、先ほど御説明したとおりの経緯をたどっているわけでございます。  一点ちょっと御指摘申し上げたいのは、我が国政府によるこういう調査はすべて先方の要請に基づくものである。例えば環境アセスメントにつきましては、途上国の方の側で本来行うということが可能である国につきましては当然途上国の側で行う。本件の場合には、タイというような国につきましては大変現地のそういう能力が実はすぐれておりまして、私ども逆に日本側で調査をするときには、現地のそういうコンサルタント等の能力がすぐれているときはそういうコンサルタントの力をかりるようにするというようなことで現在考えているぐらいでございまして、タイの場合にはそういうことでタイ側に能力がありますからタイ側でそれを行います。  そういうことで、先ほど山極理事から御説明のとおりタイ側で調査をやってきた。しかしながら、お説のとおり八〇年に入りまして、この問題については当初予定していたよりもはるかに環境問題についての関心が高くなってきています。その結果、今御指摘のような経緯を経て本件がいまだに動いていないというのは事実でございます。そういうような背景の中で起こっていることだというふうに理解しております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 はっきり言いにくいのかもしれませんが、結局やっぱり環境問題なんですよ。熱帯雨林がつぶされてしまうと、そこに野生する象とかトラとか野牛とかというのは死滅してしまう。経済性からも疑義が唱えられていますが、基本的には住民の反対、これは現地の住民だけではなくて国際的な反対というようなこともあって、世銀もずっと前に出てきておったのを後退する、タイ政府も中断のやむなきに至ったんです。そして最近の報告によりますと、先ほどの諮問委員会はもうつくるのは適当でないという結論に達したとすら言われているわけです。  その点で日本政府はODAをやるに当たって、特にきょう取り上げたいのは、大型プロジェクトをやるに当たっては、さっき英局長が言われたような程度の環境問題に対する認識や対応ではなくて、より積極的にこれにかかわっていかないと自然や環境は守れない。地域の住民の人たちの生活すらもやっぱり大変危機に陥れてしまうということになるのであって、その点、十分にこの問題は反省材料にしていただきたいというふうに思います。  それから、これは幾つもそういうやつがあるんですが、もう一つ問題にしたいのは、ブラジルのカラジャス総合開発計画、それからさらにはインドのナルマダ・ダムなどなどもまさに同じような問題を抱えているわけでありまして、時間の関係から詳細にはできませんが、例えば今ブラジルで進められているカラジャス総合開発計画、これは日本も相当程度かかわってきているわけでありますが、アマゾンの熱帯林がずっと広範囲につぶされている。一九八五年までに、これはカラジャスだけではありませんが、アマゾンの森林は一〇%が既に破壊をされておる。  日本の関与する今度のカラジャス総合開発計画では鉄道が港から敷かれるわけでありますが、百五十万ヘクタールの森林の破壊が予測をされておる。そして多くのインディアン、そこに住んでおった人たちが追われる。さらには健康に対する免疫がないわけですね。そのためいろんな病気が開発とともに持ち込まれて、既に数百人の人たちがその結果死亡しているというような報告、指摘もあるわけでありますが、これもJICAがいいんでしょうか、日本の外務省なりJICAとしてこの種環境問題に対する配慮はカラジャス総合開発計画に伴ってどんなことをしてきたのか、具体的に説明をいただきたい。

山極榮司国際協力事業団理事

○参考人(山極榮司君) カラジャスの地域総合開発計画の調査に関連をいたしまして環境問題にどう配慮してきたかという御指摘の点でございますが、この点につきましては、カラジャスの総合開発計画全体といたしまして、昭和五十五年から六十年にわたりましてこの総合開発計画の調査をいたしたわけでございます。  第一次の調査におきましては、この地域の開発の可能性が高いというふうに考えられております二十八品目の農林畜産品、それから十三品目の鉱工業品につきまして国際的な長期的な見通しを行ったということ。それから第二次の調査におきましては、農林畜産業、鉱物資源、それから精錬業のそれぞれにつきまして大カラジャス地域内での開発拠点の開発の可能性というものを調査してきたという経緯になっておるわけでございます。  そういう調査の中で出てまいりました環境保全につきましては、この調査の中でも環境保全の重要性ということが十分指摘をされておりますし、それから森林開発につきましては、今先生が御指摘のとおり大変重要な課題でございますので、立地区分をいたしましてその中で開発と環境、特に森林開発につきましてはどういうふうに対応するかというようなことを検討してきているわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 どうも具体的でないんですね。先ほど紹介をしましたOECDの理事会勧告があるわけでありますが、その附属書によりますと、特に幾つかの事例を指摘して環境アセスメントが必要だと。しかも早急にやることが大事だというふうに言っているわけです。  その幾つかの例の中で明確に今日の議論に当てはまりますのは、一つは、「熱帯雨林及び熱帯植生」というんですか、熱帯雨林ですね。それからもう一つは、「特定の脆弱な人口集団にとって特別な社会的価値のある地域(例えば、伝統的な生活様式を持つ遊牧民等の人々)」、インディオとか先住民族とかということを指すように私は受け取っておるわけですが。こういう問題につきましては早目にアセスメントをやりなさいというふうにOECDは言っているわけであります。そしてDAC諸国はこれを全面的に受け入れようということで了解をしているわけでありますが、どうですか、このカラジャス開発計画の際にこれらの問題についての環境アセスはやったのでしょうか、やらなかったのでしょうか。

山極榮司国際協力事業団理事

○参考人(山極榮司君) 私も詳細は承知しておりませんが、全体の大カラジャスの開発計画の中で環境保全の必要性、重要性ということは指摘して、先ほど立地区分に応じてということを申し上げたわけでございますが、環境アセスメントということになりますと、もっと具体的な一つ一つの計画についてどうなるかというような検討になってくるのではないかというふうに思っておるわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 私が質問しているのは、環境アセスをやったのですかと。インディオが住み、熱帯雨林が広大に広がっており、それをつぶすということの影響、地元の人たちの生活や社会に与える響きなどについて事前にどういうことになるのかという調査をやりましたか。

山極榮司国際協力事業団理事

○参考人(山極榮司君) 今申し上げましたように、カラジャスの総合開発計画は大変大きいプロジェクトでございますので、例えばその一環として今計画されておりますようなアサイランディアの試験的造林というようなことになってまいりますと、個々についての環境問題というようなことで今調査を進めておりますが、この中では現地の生態学者も入っていただきまして、環境面からの調査ということもしておるわけでございまして、計画が具体化されてくる段階でそういう問題を、先生御指摘の点をどうしていくかということになるのではないかというふうに申し上げたわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 既に鉄鉱石をとった鉱山はできているわけです。それから製鉄所もできている。それから鉄道も敷かれている。そのためだけでも随分広大なアマゾンがやっぱり切り開かれてしまっている。特にこの製鉄所の問題点は、あそこに石炭がありませんので木炭でやるらしい。そのために物すごい木が伐採をされているんです。そして一万数千人のインディオがその地域には生活をしている。この人たちに対して意見を聞いたわけでもなし、本格的なアセスもやっていないということで、今この問題も実は大変国際的にも非難をされ始めつつある。  なるほど、八二年にJICAの企画部が出したブラジルのカラジャス地域総合開発計画調査第二次コンタクトミッション報告書というのがあります。これによりますと、この地域は世界の注目する地域で、開発の社会、文化面に及ぼすインパクトはもとより、自然環境の保全等の点についても慎重な配慮が望ましいと記してある。その認識はいいのでありますが、どうもその後の具体的な展開がない。そして、同じ報告書は次のようにも言っておるわけです。今後の調査は静かに深くできるだけ目立たない形で協力するという姿勢ときめ細かい慎重な配慮が必要と。隠れてこそこそやった方がいいというぐらい、何といいますか妙な指摘も実はあるわけであります。  そんなことのために本格的な環境のアセスもやられていない。そして、開発だけがどんどん進行をし、熱帯雨林がつぶされていく、インディオの生活が大きな脅威にさらされている。こういうプロジェクトの進め方、大変問題だと思うんです。もう一つ実は挙げたいんですが、時間がありませんからインドの問題は後刻に譲りますが、外務大臣どんなふうにお考えですか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 今御指摘のあったよう な件がもしそのまま今後も放置されると、やはりいろいろとODAそのものに対しましても疑念が表せられると思います。しかし今日までは、言うならば当該国のプロジェクト要請、それに従ってやってきたわけでございます。今後は国際機関等々においてやはりそういう問題はどうするかということが議論されると思いますが、我が国は我が国として、特に熱帯雨林に関しましてはITTOもできたわけですから、現在まだ発足したばかりでございますが、十分にそういう問題も今後はそうしたところの一つの課題として、それとODAをどういうふうに今後支援国としてはやっていくかということは考えなければならないようなことになるだろうという感じはします。  しかし、非常に相手国の問題がございますから、こちらから押しつけがましくこうしなさいああしなさいということが果たして言えるかどうか、一つの課題であると考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 最後に一言だけ申し上げますが、竹下外交も、あるいは新しい外務大臣も経済協力、ODAの拡充ということを非常に重視し、今後外交の柱にしていかれようとしているわけでありますが、同時に、ODAは質が問われています。量的拡大とあわせてその質が問われているわけであります。  質の中にはいろんな問題がありますが、少なくとも環境問題が非常に重要な柱だということを御認識いただき、そしてそれは単に国際的な市民団体や自然保護団体が叫んでいるのではなくて、まさに開発優先ということが犯す過ちをもう一回見直して、十分に開発と環境との課題を正確に位置づけながら環境の保全、住民の生活保護、あるいは全体の文化をやっぱり保護しながら開発も進めていくというふうにすることが非常に正しいのではないかと私は思っておるわけなんです。  その点はまだ日本は議論の段階で、実践の段階に立ち至っていないという点で今までの幾つかの失敗なり問題の教訓をひとつ学びながら、外務大臣として強力にこの問題を進めていただきたいという点をお願いして私の質問を終わりたいと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 外交問題一般に関しまして御質問させていただきます。  まず、ペルシャ湾の軍事交戦についてなんでございますけれども、ペルシャ湾での米艦の触雷に端を発しまして米国とイランの軍事衝突がございましたけれども、この触雷についてまず思い浮かびましたのは、日本が敷設を約束いたしましたところの電波航行援助施設についてなんでございます。  私は昨年十月ごろアメリカに行っておりまして、松永大使からこのことについて直接伺い、日本がペルシャ湾対策として湾岸地域に高性能のデッカ、つまり電波航行援助施設を設置するということで、アメリカもそしてヨーロッパ諸国も大変にこの日本の努力を評価している、そのようなことを伺ったものですから、私は当然もうこれは敷設されているものと思い込んでいたわけでございます。それなのに触雷したということなんですが、どういう状況になっているのか、まずお答えいただきたいと思います。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) 御指摘の電波航行システムでございますが、これの設置に関する湾岸諸国、六カ国でございますが、との交渉は今年春終わりまして、先方はこれの受け入れに同意いたしました。もちろんどこの場所とか、いろいろございますので多少時間がかかりました。現在は機械を据えつけるために調達企業が、これは英国の企業でございますが、湾岸の各国と個別に設置の契約交渉を行っている、こういう段階でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 当時のお話では、二カ月ぐらいでできるんじゃないかというようなことなんですけれども、意外と時間がかかっているというような印象を持ちますけれども、いかがでございましょうか。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) 事実上、設置場所と設置する機器が決まりまして設置を開始すれば二カ月ぐらいの工事で終わるということでございまして、私どももできるだけ早く設置をしたいというふうなことを考えたわけでございますが、現地諸国との交渉、場所及び価格、いろいろの問題がございまして、現在のところ企業との契約交渉がまだ行われているという段階でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 ペルシャ湾の情勢がともかく早く解決するということが非常に大切だと思うのでございますけれども、イランに対する配慮というんでしょうか、そういったものはございませんでしょうか。つまりこのようなものを敷設したときに、イランが我が国に対して、または他の国々、湾岸諸国の国々が遠慮をして、そして何かそのために時間がかかっているというような事実はございませんか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 率直に申しますと、やはり維持費はどうなるんだという話もございました。それは、今後も我々としては考慮しなくちゃならないでございましょう。同時に、イランの外務大臣べラヤチさんと私お目にかかりましたが、こういうふうにしてやっているんだよということを申しますと、アラブ寄りじゃないかと、こういうふうな発言がありましたから、さにあらずと、ひとつイランもこういう安全航行システムはイラン国の船にもつけてもらうならば十二分に利用して、これは日本としてはペルシャ湾を航行する艦船に対する私たちの安全措置であって、別にイランがどうのあるいはまたアラブがどうの、湾岸がどうのということではない、そういうような説明をしまして納得しておりました。  だから、今局長が申されましたとおり、多少時間はかかりましたけれども、一応湾岸六カ国としては、ではというときにこういうような再び機雷敷設、それに対する爆撃ということが起こったわけであります。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 米国から、イラン攻撃については我が国に事前通告はございましたんでしょうか。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) 十八日の午後、在京米大使館から外務省に対しまして、攻撃が開始されたところである、攻撃を開始したところであるという連絡を受けました。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 一応これで終わったといったような宣言もされて、何だか非常に私の方としては、見ている方としては何かキツネにつままれたようなところもあるのでございますけれども、米国そしてイランの紛争は一過性のものとして終わるんでしょうか。外務省、特に外務大臣のお考えは、見通しはいかがでございましょうか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 爆撃が始まりましたときには、私たちとしてアメリカの今回の事情は理解するということを申し上げたわけですが、これはアメリカといたしましても国連決議五九八がございますから、速やかにイラン、イラク、これを受け入れてほしい。国連決議というのは御承知の五大国、そうした国々を中心として日本も参加しておるわけでございますが、それで国連の事務総長が和平工作に乗り出された、イラクは受け入れたんですがイランの方がなかなか受諾しようとしません。  したがいまして、なぜ受諾しないんだといいましても、実のところは戦犯論になってしまうんです。それで、イラクが戦犯だと国連が言ってくれればいつでも停戦しましょう、撤兵しましょう、こういうような繰り返しでございますから、どちらが戦犯であるかということは後の問題として、直ちに撤兵、そして停戦、これが大切だということを私たちも両国に申し上げました。  そんなことで、なかなか去年の八月以来もう五カ月たち六カ月たつというふうに、何かイランの方では時間稼ぎしているんじゃなかろうかと。我々といたしましても、イラク、イランに対しまして現在も等距離で両国に外交のある唯一の自由主義国家群の——唯一とは申しませんが、数少ない国家群だと、こう思っておりますが、そうした中において余りイランが時間稼ぎするということはけしからぬじゃないかというような国際的な声も上がりつつあったときに、今度はミサイル攻撃が始まって、そして機雷敷設が始まって、その機 雷にアメリカの艦船がひっかかって、そしてその機雷がイラン製のものであるということが確認された。  こういうことですから、アメリカといたしましては、国連憲章に言うところの自衛権、これに基づいて爆撃しましたと、これを一応友邦国には連絡をしたということでございますので、そういう事情につきましては私たちも十分わかりますから、だから理解を示したと、こういうふうに言っておるわけでございますが、やはり鎮静化するということを我々といたしましても望んでおる段階である、また大体そうなりつつあるんじゃないだろうかと、こういうふうに思っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 つまり官房長官の御声明と外務省も同様の見解でいらっしゃると、そういうことだろうと思います。  この攻撃についてなんでございますけれども、少なくともアメリカ側としてはイラクとの共同作戦ではないかというような見方もされているわけですけれども、その点につきましては外務省はどういうふうに思われますか。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) 確かに十八日、イラン政府は今回のイラクのファオ奪回作戦については米軍が戦闘に参加した形跡があるということを発表しております。他方、米国防総省は、同日でございますが、かかる事実は全くないとして否定しております。これは私どもとしては、これらの双方の発言というものをそれぞれ受けとめている、こういう段階でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 また、今回の攻撃については、ソ連側に暗黙の了解みたいなものはあったのか。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) ソ連政府は、公式なスポークスマンによるコメントというものをしておりません。ただ、私どもが得ている情報で、これはタス通信のバビーロフという評論員の発言でございますが、それによりますと、米海軍によるこの作戦は強盗行為とも言えるものである。ただ他方、同時にペルシャ湾で連日のようにタンカーを攻撃しているイスラム革命防衛隊の行動はいかなる条件をもってしても正当化できるものではない。こういうことで、いずれにしても双方に対して、ペルシャ湾地域における紛争のエスカレーションというものに対する非難を行っていると、こういう段階でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 だから、つまりその背景として、素人考えですと、アフガンの和平からイラン・イラク戦争の和平に向けて、ソ連とアメリカが共同歩調をとる、そういった動きの一端として見ることができるのかなというふうに思ったものですからお伺いいたしました、何か素人のうがった考え方かもしれませんが。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) まだ今回の具体的な行動についてそのような背景があったかどうかということについては、私どもちょっと分析を十分し切っていないということです。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 別の質問をさせていただきます。  北朝鮮のスポーツ選手国の入国ビザに関してのことなんでございますけれども、来月十五日、新潟市で開催されますアジア卓球選手権大会、外務省の御意向、けさ、何かテレビでは一応選手はオーケーと、しかしながら選手と一緒についてくる役員についてはその身分などを十分に検討するというようなことが報道されておりましたんですけれども、いかがでございましょうか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) きのう私が記者懇で申し上げたことがそのまま報道されております。  こういうふうに解釈していただいたらいいんじゃないだろうか。今回の措置は、大韓航空機——北鮮のテロ行為であると日本政府は判定しましたから、したがいまして毅然たる姿勢を示すために我々といたしましては措置をとりました。これはもうこの委員会でも申しましたとおり制裁ではありません、措置をとりましたと。その措置の中に、公務員は日本からも向こうからもこれはちょっとしばらくの間は遠慮していただきましょう、こういうふうに書かれておることがございます。したがいまして、今度ピンポンに関する北朝鮮の選手団、スポーツという点から考えた場合は、一応我々としてはこの措置以前の問題として考えておるけれども、既に日本が措置を出した以上はそれに触れるようなお方は入れない方がいいんじゃございませんかと、もし触れられる方があったならば、やはりこちらといたしましても当然入国をしてもらうのを遠慮してほしいということになるだろうと、そういう趣旨がきょうの報道になっておるわけでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 四月十四日の衆議院の内閣委員会で法務省熊谷入国管理局長が、スポーツとか文化交流などの入国審査は裁定措置以前の考え方に基づいてやる、そういうようなことを言っていらっしゃるわけですけれども、外務省とそして法務省との入国に対する基本的なお考えの相違というものはございますか、ございませんか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 内閣委員会におきましては、私もおりましたし、まず入国管理局長から今申されましたような返答がありました。私はその返答に対しまして裏づけをしております。だから法務省、外務省は何らそこにおいてそごは来していないということでございます。  ただ、その後に、いろいろ法務省ではあったらしいです。だから報道にもちょっと混乱があったかもしれません。そんなことがあったものですから、現に出たという時点において、これからいろいろと個々の方々に関しまして公務員かどうかということになるでしょうけれども、一応法務省は、スポーツ等々に関しましては措置をとる以前は同じことだったと、そういうような趣旨を申されたわけで、その中に例えば公務員がまじっておられたら、たとえそれが選手でありましてもこれは入国を許すわけにはまいらないと思いますよという趣旨を入管局長もしゃべっているわけでございますから、したがいまして私たちの考え方と何ら差はない、こういうふうに思っていただければ結構でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 北朝鮮に関しましては、第十八富士山丸の乗組員の事件が未解決でございますし、そういう中でただでさえ孤立している北朝鮮をこれ以上刺激したくないといったような配慮もございますでしょうし、また北朝鮮の西側で開催されるスポーツイベントへの参加という意味で、ことしの夏のオリンピックへの北朝鮮の参加への道を開くかもしれない、こういう政治的な配慮というものもあるんじゃないかと思いますけれども、そうした政治的配慮を別にいたしましても、ともかく今後とも文化交流、中でも学術交流に関しましては別枠に考えていただく、そういう線を貫いていただきたいということをお願いするためにきょうこの質問をしているわけでございます。  けさも日本経済新聞で見たわけでございますけれども、学問の世界は原則的に国境を越えるものであり、逆に政治的にどのような対立関係の中にありましょうとも交流を行うべきだという信念がずっと国際的に行われている。例えば戦後の非常に米ソの対立が厳しかった間でも、例えばアメリカ人の学者がソ連に行くとかソ連の学者がアメリカに来るというようなこともずっと行われておりましたし、ベトナム戦争のさなかでさえも、北ベトナムのパスポートを持った人がアメリカにやってくるというようなことがあったわけでございます。  ところが日本に関しましては、これは外務省の直接の意図であったかどうかはよくわからないんですけれども、私の身近では、例えば日本で国際会議なんかがありますときに北ベトナムのパスポートを持った方をお呼びするのは遠慮しようと、そういったような雰囲気が日本の学会にあり、それは単独で考えたのかそれとも外務省のそういう示唆があったのか、そういうところはつまびらかではありませんけれども、そうしたアメリカへの政治的な配慮というものがあって、そういったことから逆にアメリカ人の学者のひんしゅくを買ったと、そういったような事件も私は覚えているわけでございます。  何か非常に前置きが長くなりましたけれども、今度の南アの科学者に関してでございますけれども、日本経済新聞によりますと、国際学術連合会 議、ICSUが日本での総会を断念したと、そういうようなことが言われているわけでございますけれども、このことについてどういうふうにお考えになるか、まずお伺いいたします。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) 国連決議による南アとの交流の禁止、禁止というか、するべきでないというリコメンデーションでございますが、その中には科学者も入っております。私どもとしては、原則として南アの科学者が日本に来て科学に関する交流を行うということはその決議からして好ましくないというのが原則論でございます。特にその場合、その科学者が具体的に黒人の抑圧団体に属しているかどうかとかいろいろなものがございますが、原則論としてはそういうことでございます。ただ、個々にいろいろな特殊な事情がございますので、それについては特殊な事情がある場合はそれはそれで考慮しようというのが現在の考え方でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 ただ、この国際学術連合会議、ICSUが日本での総会を断念したということ、そして日本の学会が主催するところの国際会議への協賛を取りやめる事態が続出していると、そういうことなんですけれども、これは外務省とは無関係のことだとお思いになりますでしょうか。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) 先生の今おっしゃった事例は、確かにこの問題が一つの理由であったと。その団体は南アの科学者に対する差別的な扱いというものについては同意できないという立場をとっている団体でございますのでそうでございましたが、ただ、日本における学会が日本政府のとっている政策のためにキャンセルが続出しているという状況ではないんじゃないかというふうに私ども承知しております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 入国の条件として、私は人種差別主義者ではなく、人種差別団体にも属していないという誓いにサインをさせられるということなんでございますけれども、これは戦争中の、または戦前の日本の学者が海外に出るときの条件としてこういったものにサインをしなければならないといったようなことが仮にあったといたしましたらば、科学者というのは非常に難儀をしたんじゃないかというようなことを想像するわけですけれども、こういった条件というのは実際に意味あることなんでございますか。そしてサインしたからといって彼らが人種差別主義者であるとかないとかということははっきりするものなのかどうか。意味がないことでいら立たせても仕方がないような、形式主義的なことのような気がするんでございますけれども、いかがでしょうか。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) 先ほど申し上げましたように、原則的な立場は、やはり科学技術交流のために日本においでいただくというのは好ましくないということでございます。ただ、いろいろな条件があった場合は入国していただく場合もあり得るというのが原則でございますので、日本の立場は人種差別というものに反対するというのが現在の立場でございますから、例えば御本人がいや自分は人種差別の立場に立っていないということを表明していただくというのは特別な例に当たる一つの考慮すべき要点になり得るかということで、そういうことをお願いしたケースもあるというふうに伺っておりますが、これは個々のケースで判断さしていただきたいというふうに考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 原則としては反対というようなこと、ちょっと厳し過ぎはしませんか、よその欧米諸国と比べて。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) これは勧告でございますので、国によって国連の決議どおりにやらない国は多うございます。西欧諸国の一部の国はあえて差別なしということでやっていると思います。ただ、日本の南アの人種差別に対する態度は毅然として強いものでなければならない、こういう立場から、スポーツ及び科学技術協力、文化協力についてはできるだけはっきりした態度を示そうということで、なるべく決議どおりの実行をしたいというふうに考えて今まで運用してきております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 それはそれでそういう態度であるということを一たんお受けいたしますけれども、それだったら本当に必要なのはむしろ南アフリカに対する経済制裁、そういうものに対してもっと毅然たる態度をおとりになる方がいいんじゃないか。科学者が日本に来て国際会議に出席したからといってインパクトというのは全然ないような気がいたします。  それよりも我が国が依然として輸出を続けている、それに対して政府も、外務省は御努力はなさっているんだと思いますけれども、それほど実行されていなくて、けさのテレビなどでもアフリカの南部の地方の国々の人々が、よその国々が輸出を自粛しているそういう間隙を縫って日本の輸出がふえている、そのことに対して非常に実質的な異議があるというようなことを言っていらしたわけですね。だから、むしろそういうことに対してもっと毅然たる態度で臨んでいただけないか、そういうふうにお願いしたいわけでございますけれども。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) 南アに対するいろいろな規制措置、制裁措置をやっております。この目的は何かと申し上げますと、結局アパルトヘイトをやめさすためには南ア政府自体がその廃止というものについて決意していかなきゃいけない。決意をしてもらうためには、アパルトヘイトというのは非常に悪い制度ですよということを我々が考えているということをメッセージとして送らなきゃいかぬ。メッセージを送る方法として何がいいかという選択の問題でございまして、私どもとしては、いきなりそういう南アに住んでいる人々自身が黒人を含めて被害をこうむるような大幅な経済制裁というものよりは、いろいろな周辺的な形になりますけれども、時に応じて南アのアパルトヘイトに対する反対という姿勢を示し得る手段それは何か、その中の一つにこのスポーツ、文化、科学交流があって、それが国連においてもいいことじゃないかということで認められたものです。  なお、経済問題につきましては外務大臣からしばしばお答え申し上げているように、私どもとしてはできるだけこの問題についても厳正な態度で臨むべきだということで民間に訴えているところでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 考え方の相違はあると思いますけれども、一部の学者、文化人そしてスポーツ団が国外に出たとしても、出るか出ないかということはそれほどのインパクトはないと思うのでございますけれども、経済制裁こそその現地の人が身にしみて感じることで、そういったことが政府へのいわゆる反抗というんですか抵抗となってあらわれるんじゃないか、そういうような気がいたしますものですから、ぜひこの点に関しましては続けていただきたいことと、既にもう多くの方が発言されておりますけれども、南ア制裁につきましては、日本では割合世論となって高まってこないという実態がございまして、そういうことも経済制裁が非常に難しいことではなかろうかと思うのでございます。  アメリカなど私が実際に見てきたわけですけれども、学生たちがいわゆる南アの国々と貿易をする企業に対して不買同盟をするとか、リストを発表するとか、かなり民間の一般の人々も協力している、そういうところがあるのでございますけれども、日本の場合には学生運動とか市民運動とか、そういうものは全然起こっていないという認識は正しいんでしょうか。

恩田宗外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(恩田宗君) 最近日本の国内においてもアパルトヘイトに反対する市民団体あるいはグループがいろいろ生じているというふうに私ども承知しております。  ただ、先ほどの経済制裁の問題でございますが、経済制裁で一つ問題がございますのは、これは先進国あるいは主要国が共同して国際協調のもとに行わなければ実効的な力を発揮しないという問題がございます。したがいまして、この場合、日本ももちろん先生の御指摘の趣旨というのはわかるんでございますが、やはり国際的な協調、連絡、そのもとに行うときは行うべきではないかというふうに考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 そういう御意思がありながら、輸出量に関しましては日本がナンバーワンであるということは、何かちょっとやっぱりおかしいような気がいたしますけれども。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) いろいろ局長がお答えいたしましたが、通産省、外務省今十分な連絡をとりまして、そして経団連あるいは同友会、こういう大きな経済団体に具体的にお話を進めております。既に上場株式の非常に著名な企業がこうするああするということを発表しておりまして、私はことしは効果が上がるだろうと、かように思っております。  今広中委員がおっしゃったのは、私も出会いましたが、南アのちょうど北の方に南ア政府からまたいろいろと悪影響を受けておる黒人の国々があります。その中のボツワナの議長さんがお越しになって、SADCCというのでありますが、その方々が単にサハラ以南の黒人国ではなく、私たちも随分と被害を受けておる。だから、思い切って経済制裁してください。日本の配慮はよくわかる。経済制裁すれば肝心の南アの黒人に被害が及ぶ、だから難しいとおっしゃるのはよくわかるが、それぐらいになって初めて政府に対する今おっしゃったような反感が募るんですということをムムシという人ですが、いろいろと説いて帰りました。  私たちといたしましても、今局長が申しましたとおり、実は英国のサッチャーさんは経済制裁には断固として反対だとサミットでも言うわけですね。そういうようなこともありますから、やはりお互いに先進国が連絡し合って貿易縮小ということになれば経済の効果も大いにあろうということもありますから、いろいろ私たちも現在としては自粛を促して、そして各業界も、来年になれば実績がわかるわけですから、実績がわかれば、本当にこれは火事場泥棒的なことをやった企業は社会的制裁受けますよと、私はそこまで言い切って進めておりますので、国民的な世論がいま少しとおっしゃる面もあるかもしれませんが、そうした面も十分考えまして、今後この政策は維持して反対政策は続けていきたい、かように思っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 どうもありがとうございました。  今度はちょっとユネスコについてお伺いいたします。  ユネスコは一九八四年末に米国、八五年末に英国そしてシンガポールが脱退した。そして運営の危機に見舞われましたけれども、昨年十一月にマヨール新事務局長が誕生し、ユネスコも本来の姿に戻りつつある、そういうふうに言われているわけでございます。日本政府といたしましては、外務省としては、現在のユネスコの運営をどういうふうに評価し、そして今後にどのような活動を期待していらっしゃるか、まずお伺いいたします。

遠藤實外務省国際連合局長

○政府委員(遠藤實君) マヨール事務局長になりましてから、従来ムボウ事務局長の時代に特に問題になりましたユネスコの財政の乱脈あるいは恣意的な人事、さらにはユネスコ自体の政治化傾向、こういったものを是正するということで、特にとりあえずの問題といたしまして、財政の立て直しとそれから一連の人事異動等を行っておりまして、このユネスコの効率的な運営ということに現在専念をしておるというふうに考えておりまして、マヨール事務局長の当選につきまして日本として大変支持をしてまいりましたので、その意味で私どもとしてはこのマヨール事務局長の現在の姿勢ぶりについて大変評価しているということでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 我が国はユネスコへの現在最大の分担金拠出国でございますか。今後ともユネスコが本来の使命に立ち戻って教育、文化、科学の面で国際協力を展開できるようユネスコの再建にイニシアチブをとるべきであると、そういうふうに思うわけでございますけれども、脱退した米国その他の国々に対して再び速やかに復帰するような形で働きかけるということはお考えになっていらっしゃいますでしょうか。もう既にしていらっしゃいますでしょうか。

遠藤實外務省国際連合局長

○政府委員(遠藤實君) まず、現在アメリカ、イギリスが抜けまして残っております日本といたしましては、このマヨール事務局長の改革を全面的に支持する、しかもその先頭に立ってやっているわけでございます。しかしながら、当然ユネスコ活動の本格的な再開といいますかそういったものにつきましては、アメリカ、イギリスの復帰というのが不可欠であると考えておりまして、ユネスコにおいても米、英の早期復帰を要請するような決議がなされておりますし、我が国といたしましても折に触れまして米、英、特にアメリカに対してユネスコの復帰を働きかけているわけでございます。例えばまた、国連議員連盟という超党派でつくられました国会議員の先生方が国連に行かれましたときにも、そこでお会いになったアメリカ側に対してユネスコの復帰を働きかけるというふうなこともしていただいているわけでございます。  ただ、現在のところアメリカの方は特に国際機関に対する分担金あるいは拠出金についてなかなか財政上苦しい立場にあるということも若干手伝っているんだろうと思いますけれども、現在のところはとにかく日本にしっかりやってくださいということで、直ちに復帰するというふうには、必ずしもそういった気配は見えておりませんけれども、できるだけここ一年は無理かもしれませんけれども二年ぐらいの間に復帰を実現したいということでいろいろと努力をしております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 国連というのは日本の外交の主軸であるというようなこともたびたび伺うわけでございますけれども、日本は国連への拠出金というのも非常に多額になっております。そして、その拠出金の割合において国連本部または各事務局などに勤めるいわゆる国連職員の枠というものがあるわけでございますけれども、我が国の場合の職員数ですね、実際働いている人たち、そしてその枠について現状をちょっとお知らせいただきたい。

遠藤實外務省国際連合局長

○政府委員(遠藤實君) 実は国連全体となりますと必ずしも正確な数字じゃございませんが、とりあえず国連本部についてお尋ねの点を申し上げますと、我が国の場合は御承知のように分担金は一〇・八四%でございます。そこで職員数は望ましい範囲と言われておりますのが百七十人、これは中間的な数字でございまして、その望ましい範囲と言われておりますのは百四十五人から百九十六人という計算になります。しかし現実には今のところ日本からの職員派遣というか、日本人の職員は九十一人ということでかなり大幅に望ましい範囲を下回っているというのが実情でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 国連の職員、国連公務員ですか、非常に望ましい職種だと思うのでございますけれども、どうしてこれが満たされないのか、問題点はどういうところにあるのでございましょうか。

遠藤實外務省国際連合局長

○政府委員(遠藤實君) これは、まず一つには歴史的な経緯もあると思います。  日本が国連に入りましたときには既に国連というのは成立してから十数年たっていたわけでございまして、したがって、当然ほかの国の職員がいろいろなポストを上から下までずっと占めていたわけでございまして、その後我が国あるいはおくれて入ってきた西ドイツというのがだんだん職員の数をふやしてきたわけでございますけれども、しかし、にもかかわらずこのスタートにおけるハンディキャップといいますか、そういったものはやはり相当現在でも響いているということは言えるんだろうと思います。  その後我が国としてもいろいろ努力もしてふやしてまいりましたけれども、やはり我が国の場合には、一つはそういう国際機関で働くようないろいろな資格、語学の問題でありますとか、語学だけはできても今度は専門分野の知識と両方マッチしていなければいけないという問題であるとか、日本の雇用システム、これは終身雇用でございますからそれに対して三年ぐらいの契約でいく、だんだん延ばすことはもちろんできますけれども。そういった雇用制度の違い、そういったものもなかなか日本人にとっては取っつきにくいというこ ともございますし、さらに最近におきましてはかなりそういった資格のある人がふえてきたとは思うんですけれども、そういたしますと今度は日本の企業水準がむしろ上がって相対的に国際機関の企業水準が下がる。その上にさらに最近におきましては円高傾向というのがございまして、非常に給与の格差が大きくなる、こういったことも現在においてさらに国連職員の送り込みを図ります場合にいろいろ障害としてあると思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 国連に勤めるためには修士課程が必要である。ところが日本では大学院に行く人というのは非常に少ないんで、そういったような教育上の制約というんでしょうか、そういうものもあるんじゃないかと思っていたのでございますけれども、それはいかがでございますか、そういう事実がないのか。あるとしたら国際機関への雇用を促進するような対策は考えられていますか。それについてお伺いしたいと思います。

遠藤實外務省国際連合局長

○政府委員(遠藤實君) 確かに御指摘のように、通常国連職員の採用をいたします場合に、いわゆるPの職といいますかプロフェッショナルの職につきましては、いわゆる大学院といいますかマスターを取っているというふうなことが相当大きな要素になっているというのは事実でございます。  ただ、それにつきましては必ずしもマスターでなくても、学士を出た後の職務経験等でもちろんこれはカバーすることは全く不可能ではございません。もちろん一般的には日本人の職員を送り込むためには外務省の中に人事センターを設けて統一的に送り込みをやるとか、それから現在の空席情報を流すとかいろいろ相談に応じてもおりますけれども、また国連の事務総長に対しましても、総理あるいは外務大臣が行かれるときには最初か最後に日本人の職員を必ずとってくださいと、こういうふうにお願いをしているわけでございまして、先方もそれは努力はしますということを言うわけですけれども、今言ったような基本的な問題、これは当然あるわけでございまして、同時に最近は国連の行財政改革というのがございまして、人事の凍結あるいは削減といった事情がちょっと重なっておりまして、必ずしも最も好ましい環境にはないということは残念ながら言わざるを得ないかと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 どうもありがとうございました。

立木洋日本共産党

○立木洋君 最初に、ゴムの協定について関連してちょっとお尋ねしたいと思います。  大臣も十分御承知かと思いますけれども、UNCTADの会議が開催されましてもう二十数年たつわけですね。貿易の開発、そういうことを通じての経済格差の是正、こういうふうなことを内容としてこれまでUNCTADの会議というのは続けられてきたわけですが、実際の二十年間余りのこの経過を見てみても、なかなか経済格差が縮まらない、依然として貧困、飢餓という状態が世界から一掃されない大変な状態があると思います。  この二十年間の状態を見てみますと、日本は一人当たりのGNP平均増加率が年に四・七%というんですから、二十年間で大体GNP一人当たり倍近くになっているわけですね。だけれども、二十年間で開発途上国の状態を見てみますと、GNP一人当たりの増加率がマイナス増加というところが二十カ国近くあるんですね。これはふえるどころか減っていっている。こういう点からでも経済格差というのは非常にひどい状態になっている。これは何とかしなければならないというのが今国際的にも問われている一つの重要な問題じゃないかと思うんです。  そういう意味で、この一次産品の商品協定というのは、開発途上国の経済問題、社会開発の問題を進めていく上でも非常に大切な問題であるということが繰り返しUNCTADの会議でも強調されてきましたし、第四回の一九七六年のUNCTADの会議ではこの一次産品の商品協定の総合プランが提出され、その次の第五回ではこれの促進が確認され、第六回の一九八三年ではこれの一層の増進、実施ということが強調されてきているんですが、実際に十八品目出されている状況の中で経済条項を伴って商品協定がうまく作用しているというのは極めて少ない、そういう状況にあると思うんです。ですから、こういう経済格差を是正していく問題、その中での一次産品の商品協定に対する取り組みの問題、この重要な位置づけを日本の外務省としてはどういうふうにお考えになっているのか、まず最初に大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 今おっしゃった先進国と途上国との格差の問題、これは当然サミットの課題でございました。東京ラウンドのとき、今後どういうものを課題にしようかというときに、御承知のとおりサービスであり、ハイテクであり、三番目にはやはり南北問題であろう、こういうふうな問題が議論されまして、これは日本から中曽根総理がむしろやかましく言った点でございました。そしてウルグアイ・ラウンドが設定され、そのウルグアイ・ラウンドにおいて現在は、今御指摘の熱帯産物、この問題も、アーリーハーベストと申しまして早く結論を出してあげよう、こういうふうな議論がなされる予定でございます。  それで、かつて通産大臣のころに私も四極の会議に出ましたが、その四極でもやはり常にそうした南の問題が出ております。あのとき、関税等に関していわゆる途上国にどういうことができるか次の会合には持って出よう、こういう約束をして集まりましたが、正直に持って出たのは日本だけでございまして、意外とあとはだめなんですね。したがいまして、やはりそうした面におきましても私たちは東南アジアという広い地域の一員であるという自覚も持たなくちゃなりませんし、資源の供給を仰ぐということから考えますと南米あるいはまた中近東ということの関連も重視しなくちゃなりませんし、全く歴史的に侵害の足跡なしといって日本来てくれと歓迎されるのはアフリカでございますから、そういう意味合いにおきましても、やはりいろいろな面においてこの問題はおっしゃるとおり早く国際的な協調というものが必要ではないかと考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 日本は資源を海外に依存するという度合いは非常に強いわけですが、南アの場合はこれはちょっと別に考えなくちゃいけませんけれども、しかし、そういう意味からしても、この一次産品の商品協定を確立していく上で日本が積極的な役割を果たすということは我が国の対外政策としてもとらなければならない非常に重要な点だろうというふうに考えるわけです。しかし、十八品目の内容を見てみますと、商品協定が今経済条項を伴って行われているというのは四つ。しかし、すずの協定というのは借り入れの問題があって今経済条項というのは停止されていますから、実際には経済条項を伴って実施されているというのは三つ。  そこで、これは大臣じゃなくて結構なんですが、この七年間行われてきたゴムの商品協定ですね、この協定は七年間にどういう問題があったのか、問題がなく比較的順調に進んだのかどうか、そこらあたりの点についてお聞きしたいんですが。

内田勝久外務省経済局次長

○政府委員(内田勝久君) 現在第二次の天然ゴムの協定の御審議をお願い申し上げている次第でございますが、旧天然ゴム協定の評価につきましては、これまでの有効期間はたしか八七年十月までだったかと思いますが、有効期間中におきましては、天然ゴムの市況が低迷いたしましたために大量の緩衝在庫が累積するといった若干の問題点はございました。ただ、天然ゴムの価格はいろいろ変動は繰り返しておりましたけれども、基本的には協定が定めております基準価格を中心としました基準価格帯の範囲内におさまっておりまして、全体的に申しますと、天然ゴム価格の安定のために貢献を果たしたと評価してよろしいのではないかと思う次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 緩衝在庫にかかわる資金ですね、この拠出の支払い状況というのはどれぐらいだったんでしょうか。一〇〇%だったんでしょうか。

内田勝久外務省経済局次長

○政府委員(内田勝久君) 緩衝在庫資金につきましては、緩衝在庫の積み増しに応じましてその都度払ってまいりましたんですが、結局第一次協定終了時には三十六万トンまで積み増しが行われま した。その間に日本が払いました金額は、これはOECFを通じて拠出いたしましたんですが、合計九十億円に上っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 さっきその緩衝在庫の買い支えが比較的多い時期があった、価格の低迷によってと。しかし、この基準で見てみますと、通常が四十万トンですよね。それで、緊急の場合には十五万トンさらに増すと五十五万トン。しかし、最もその買い支えが多かった時期が三十六万トンというわけですから通常の範囲内に入っている。こういう四十万トンあるいは緊急時の十五万トン、こういう基準の決め方というのがどういう基準に基づいて行われているのか、そしてそれが比較的適切だったというふうに判断されているのかどうなのか、その点はいかがでしょうか。

内田勝久外務省経済局次長

○政府委員(内田勝久君) 先生御指摘のとおり、緩衝在庫の規模をどのくらいのものにするかというのは一つの商品協定をどういうふうに有効に機能させていくかという上で大変大事な問題でございます。ただ、今回の新協定の場合につきましては、基本的に旧協定での五十五万トンまでということを踏襲しております。したがいまして、旧協定のときにどういうことであったかということが一つの問題点かと思われますけれども、旧協定の締結時を振り返ってみますると、当初その価格の安定を緩衝在庫の運用のみによって達成するためには少なくとも七十万トンぐらいの規模の緩衝在庫が必要であるという立場をとる国、これは基本的に生産国サイドでございますけれども、それからもう一つ、緩衝在庫の運用に必要とされる資金の負担を余り大きいものにすることはできないという、これは基本的には消費国サイドの主張でございますが、そういう双方の主張の妥協点といたしまして最大四十万トン程度を通常の緩衝在庫規模にしようということで合意をしたというように理解をしている次第でございます。  今回の交渉におきましても、先生御指摘のとおり三十六万トンまでが今までのところ最大の積み増し量であった、今後のことを考えると、世界の経済は大きくなってくるかもしれないけれども、基本的に今までのところを踏襲していって差し支えないのではないかということで、産消双方の妥協が成立いたしまして四十万トン、さらに緊急時には十五万トン、合計五十五万トンということにさせていただいた次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 緩衝在庫が多ければ多いほどそれにこしたことはないでしょうけれども、そうなると、それをまた買い支える上での資金の問題も問題になってくるでしょうし、だから現在の世界の純輸出量というのが去年で三百九十二万トンですか、大体一割が通常の緩衝在庫として維持されるというふうなことになれば、ほぼそれは適切であったというふうなことも経過から見れば言えるかもしれないということは言えると思うんですね。  それからもう一つは、基準価格それから介入価格の上方が一五%、下方が一五%、三〇%の開きですね。これはどういうことを基準にして決められるのか、その決め方が適切だったかどうかという点についてはいかがでしょうか。

内田勝久外務省経済局次長

○政府委員(内田勝久君) 現在上方介入価格と下方介入価格との差をそれぞれ一五とりまして三〇%という帯があるわけでございますが、旧協定のときでございますけれども、その交渉で生産国側はその差をむしろ短くいたしまして一〇%ないし二〇%を主張したと理解しております。これに対しまして、消費国側はできる限り市場のメカニズムを生かしていくという観点から、なるべく広い幅の範囲内で価格帯を、天然ゴムの市場価格を動かすと、それで差し支えないのではないか。したがいましてその中では介入はしないということになるわけでございますけれども、そういう市場のメカニズムを活用しようということで三〇%ということを主張いたしまして、結局そのようになったわけでございます。  これは仮定の議論でございますけれども、もし一〇%ないし二〇%という狭い価格帯を使用いたしまして、その狭い価格帯を外れたときにその都度緩衝在庫を積み増すということをやっておりましたら、恐らく緩衝在庫量はとても三十六万トンでは済まず、もっともっと多かったと思いますし、マーケットに対する歪曲と申しますか、その効果が大きくなっていたであろう。そういう意味では三〇%というものは妥当であったんだろうというように考えている次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 現在市場価格が若干上向いている状況にあるんですね。それで、本協定が発効される時期に基準価格というのは大体どれぐらいになりそうなのか、そういう見通しはどうですか。

内田勝久外務省経済局次長

○政府委員(内田勝久君) 先生御指摘のとおり、現在若干市場価格は上向いておりますけれども、先ほどから話題になっており、先生も御指摘になり、大臣からも御説明ございましたとおり、一次産品の全体的な傾向というものが構造的な傾向が変わったとは私ども思っておりません。むしろこれからも難しい時期が来ると思いますので、必ずしも今の市況がそのままずっと上向いていくというようには私ども考えていない次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 最後にちょっと、今いろいろ具体的な問題で若干お尋ねしたんですけれども、ゴムの協定というのは比較的うまくいっているというか、ある程度問題がありながらも順調にいっている。だから、この中から幾つかの教訓を引き出しておく必要があるだろうと思うんです、今後の商品協定を実現していく上で。  先ほど大臣は、日本の政府としては海外に資源を依存する国としてこういう商品協定のあり方、南北問題を重視していくんだというふうなことをおっしゃいましたので、きょう具体的な面にまで立ち入ってなかなか教訓をすべて明らかにするということは質問上はできませんけれども、よく御検討いただいて、これを今後の中に生かして南北問題解決の上でもぜひ努力をしていただきたいということをこの問題では最後にお願いしておきたいんですが、よろしいでしょうか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 非常によい御指摘だと考えておりますから、十二分に今後国際会議等々を通じましてそうしたことに特に日本は関心を持って臨みたいと、かように思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 次に木材にかかわる問題ですが、幾つかの競争国がありましたけれども、本部を横浜に誘致するということで決まったわけですね。それで、この内容の一つとしては、熱帯雨林の再生、保全の一つの事業の中核になるというふうなことで、今後日本のとるべき責任というものも重要になってくるんじゃないかというふうに考えるわけです。  先ほども同僚議員からいろいろ指摘がありましたけれども、ですから重なるような点は除きますけれども、しかしこういう経過の中でやっぱり最大の輸入のシェアを持っている日本が機関の本部まで抱え込むということについての各国の若干の警戒心が述べられていたり、あるいは日本はエコロジーの加害者ではないかというふうな指摘もあったり、東南アジアでの乱伐の責任は日本にあるんだと、だからそういう点からは日本の考え方、やり方というのは転換すべきだという厳しい指摘を報道したものも目にしたことがあるわけですが、こういう点をやはり、日本にそういう機関の本部を置くという点で責任も重くなるわけですし、こういう国際的な批判を受けるような事態は避けるように努力をするというのが当然のあり方だと思いますけれども、その点について重ねて大臣のお考えをお聞きしておきます。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 今回のITTOの本部等々の設置に関しましては、やはり日本が木材の需要、なかんずく熱帯雨林に対する需要が非常に高い、こういう国民的な歴史的なあるいは風土的な需要というものの高まりがございます。にもかかわらず、やはりそうした需要が高かったがためにということを国際的にはすぐ指摘されるわけでございます。もちろん先ほど来申しますとおり、国連のWHOであるとかあるいはいろんな機関の調査によりますれば、当然我が国だけの罪ではなくして、むしろ焼き畑農業等々の古来の風習、そうしたものが結論としては荒らしたんだというこ とになっておるではございましょうが、だからといって私は日本は全く責任ありませんよと、責任問題としてはどうかと思いますが、やはり需要を今後も続けていく、しかも今後は我が国が経済大国だという立場を踏まえた場合には、やはり当然南北問題の重要な一つの問題として意識をしておかなくちゃなりません。  そんなことで、需要も高まりを見せて、それに伴うところのやはり環境保全も行うことにおいて生産国並びに消費国がよろしくバランスをとる、そうした先頭に立ちましょうという意味がこうした機関に対する我が国の出資が一番大きいということになったり、あるいはまた本部を誘致して責任を持ちましょうと。大変なことでございますが、やはりそれぐらいの責任は今後果たして、国民の皆さん方にも十二分にそういう問題のありかということは今後こうした機関を通じましても御理解をいただくということが必要であろう、こういう考え方であります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この点に関して二つの点だけちょっと要望しておきたいんですけれども、七〇年代に入りましてから日本の木材関連業者の海外の進出というのは急速に伸びているんですね。東洋経済で集計してみましたところ、百六企業が海外に進出しています。大変な進出の状態になっていますね。それで、こういうことから日本が木材の世界の最大の輸入国だというふうに言われている。そういうことからいろいろな非難なんかも出てくる。ですから民間企業ではありますけれども、それからこういう問題を外務委員会で確認する上においては、外務大臣としても民間企業に対していわゆる国際的な非難を受けることかないような指導をひとつ心得ていただきたいということが第一点。  それからもう一つの問題は、これは御承知のように国内の林業というのは今大変な状態になっておりますし、実際には採算の関係上もあるかもしれませんけれども、なかなか手入れが届いていない。そういうことで林野の状況というのは今危機的な状況にあるわけですから、こういう国内的な林業の今後のあり方もきちっと整えていくような、これはもちろん外務大臣のお仕事じゃありませんけれども、閣僚としてそういう点にも目を配っていただくような指導を強めていただきたい。二つのことを特にこの問題との関連で要望しておきたいんすが、いかがでしょうか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) やはり我が国はこうやって木造に住んでおる方が多いわけでございますから、ここは鉄筋でございますが、しかし合板等々、そうした文化も享受しておるわけでございますので、やはり国民の方々にもそうした点はなお一層理解をしていただくと同時に、業界においても、もう乱伐だけで商売さえもうかりゃいいと、そういう人はいないと思いますけれども、やはりその業績等々をフォローアップすると日本じゃないかと、こういうふうなことは甚だ名折れでございますから、やはり業界に対しましても、政府としてそうしたことをお願いするということは大切だろうと、私かように考えております。  なおかつ、国内材のさらに需要を高めるということも必要だろうということで、いろいろと政策的にも苦労しておるわけでございます。先ほども若干述べましたが、川上、川下論、なぜ一体とならぬのだと、山持ちも製材業者も合板業者もなぜ一体とならぬのだ、みんながばらばらで、ひたすら外材に頼っておると。もちろん値段というやつがそこにございますし、需要と供給との関係において外材に対するそれだけの需要が高まったと、これが一つの国内問題として残っております。先年も、そうしたことはいろんな面において一体になってほしいということを申し上げておるという状況でございますので、国内材に対しましても、治山治水という国土の保全という面からも大切な問題でございますので、今後一層政府としてやはりこれを重要視したいと、かように考えます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 実効が上がるように、ひとつよろしくお願いしておきたいと思います。  次に、ペルシャ湾の問題に関連してですが、私たちもイラン・イラクの紛争が一刻も早く終結すること、そして武力ではなくて、やはり話し合いによって紛争を解決すると、それでいかなる他国であろうとも、この武力の紛争を拡大するような施策はとるべきではないし、またこれらの当事国に対する武器の援助だとかあるいは提供だとかいうふうなことも、かたくやはりやめるべきであると、一刻も早くこの問題が根本的に解決されるということが当然努力されなければならない点だというふうに私たちも考えているわけです。  そうしたさなかに、先般、先ほどの同僚議員の質問もありましたけれども、十八日に米軍がイランの領海の産業施設を攻撃するというふうな、武力による攻撃が行われたわけですね。私たちの考えとしては、今述べたような趣旨からいえばこれは極めて遺憾なことだというふうに考えていますし、当然そういうふうな武力紛争を拡大するような措置は避けるべきであると。だから、そういう点では私はどうも、宇野大臣が言われた理解できるということが理解できないんですが、どういう意味で理解できると言われるのか、そこらあたりを少し説明していただきたいんですが。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) イラン・イラク戦争に関しましては、まず日本は常に両国に対して等距離を保ってきたということであります。しかし、ちょっとでも片一方に偏りますと、すぐに大使館に対しましていろいろと両国から抗議を申されておることも事実でありますが、しかしやはり平和的解決が一番大切だということで、国連決議五九八、昨年の七月でございますが、これの尊重を常に両国に対して求めておる、これが第一点でございます。  そのゆえんは、やはり五〇%以上の石油資源をペルシャ湾に私たちは求めておる。そうした意味におきましても、我が国のタンカー等々が動いておるわけでございますから、それに対する安全ということも必要でございましょうし、したがいまして、国民生活の安定的なエネルギーの供給を確保するという点におきましても、このペルシャ湾問題は我が国として看過できない問題であると。  こんなことで、国連安保理事会の議長国のときにも随分と事務総長をお助けしたのでありますが、イラクはオーケーですが、イランはなかなかオーケーしません。それはもう何度もお話ししておりまするが、まず即時停戦撤兵、それは結構だろうけれども、そのためにはイラクが、フセインが元凶であるということを国連が認めればしましょうと、元凶論にすぐ走ってしまいます。それでは遅いということで、国連事務総長が両国を回ったりして努力をしていることは御承知のところでございましょう。  だから、実は一部におきまして、ひとつ第二の決議をしようではないかというような話があったわけであります。第二の決議とは、武器を送らない、こういうふうなことだろうと私たちは考えます。もちろん日本はそうした立場じゃございませんし、武器を出すという国でもありませんから、そうした面におきましては私たちはひたすら平和的な解決を望んでおるわけでありまして、そのような理由から、日本といたしましては非軍事的な問題で寄与しましょうということで安全航行システム、これを設けたわけでございます。このことは先ほど中ア局長から詳しく申し上げましたので、同僚の議員の方への答弁をもってお答えにかえておけばいいと私も思っております。  そういう中においてイランが機雷を敷設したと。その機雷にアメリカの艦船が被弾をし、なおかつ人的な損害を出した。これはやはりアメリカ国内においても容易ならざる国論が出たのではないかと、私はかように思います。したがいまして、そうしたことに対するアメリカとしての平和的な五九八の推進を望み、あるいは制裁と言ったって別に武力を用いる問題でも何でもなかった。しかしながら、ここまで来てしまうと、やはり自衛権という問題で警告を発しなければならない。しかも、その機雷は明らかにイラン製であるということも確認をとって、いつでも写真もお見せしましょうと、まあこういうふうなところで爆撃をし たのだからひとつ理解してほしいというふうな通知が、それぞれの友好国になされたわけでございます。  ここでもう一つ明らかにしておきますが、ペルシャ湾に艦船を派遣している英国とかあるいはイタリーとか、そうした国々には我が国より若干早く連絡を米国はしております。我が国はそうしたものを措置しておりませんから、やはりそこはきちっと仕分けをしたんではないか。これに対しまして私たちがとやかく言う問題はないと思いますけれども、一応通告は受けております。  その後、いろいろと外務省といたしましても、そうした事実関係等々を十分踏まえまして、そうしてその事情は理解すると。その行動を支援するとは一言も言っていないわけで、英国等は支援しますとすぐに言っておりますが、私たちは支援するという言葉を使わずに、事情は理解しますと、しかし、イランがそういう機雷を敷設したということが事実ならばこれは大変遺憾なことでありますと、この二つを柱とした私の談話を発表し、また内閣からもそういう談話が発表された。以上が経緯でございますので御理解のほどを願います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 その理解されたという点なんですがね。今イラン・イラク戦争が戦火を他に拡大するという状況が一つ生じてきているわけですね。これはやっぱり非常に危険な状況ですから、それはどうしても避けなければならない。また化学兵器が使用されているというふうな問題も問題にされてきている。だからこういうことで、これまで数年間行われてきているイラン・イラク戦争というのがますますやっぱり拡大する、危険な方向に行く、そういう状態にペルシャ湾がなってきているというふうに私は考えるんですよ。だから、これをどうしても抑えていかなければならない。その点でこの間の、今大臣も言われました安保理の決議五九八ですね、この中を見てみますと、やっぱり戦火を早急に中止すべきであるということを述べながら、この中ではすべての加盟国がこの国際紛争を平和的手段によりやっぱり解決しなければならない、平和的手段により解決しなければならないということが強調されているわけですね。  それから同時に、すべての国に対して極力自制し、紛争の一層の激化及び拡大につながるいかなる行為をも差し控え、そうすることによってこの決議の履行を容易にするように要請すると。これはアメリカも賛成しているんですよ、安保理の全会一致の決議ですから。  ですから、私はいろいろな問題を言い出せばそれがあるし、もともと自衛権というふうなことを問題にしますと、この決議が採択されて後ペルシャ湾に米軍の軍艦の増派が図られたし、軍隊も増員が図られましたし、その後のやっぱりイランの飛行機に対するミサイルの発射だとかあるいは施設に対する攻撃だとか、徐々にやはり戦火が拡大していっているんですね。だから、結局そもそもペルシャ湾にそういう武力的な行為、威喝をしてやるような行為をとっているという事態がそもそも問題、やっぱり紛争を拡大するのにつながっていくんじゃないか。だから、少なくともそういうふうなことをやり、そしてそれに対して、そういうイラン側の報道によりますと、それは我々は機雷を敷設した事実はないというふうに彼らは報道していますよ、これはどっちが本当かそれは別として。  しかし、ですから、少なくとも五九八で述べられておる決議でやるならば、十四日に機雷に触れて事故が起こったと。で、十八日にはもう攻撃だと。その間に話し合いをする、これどうなのか。この五九八の決議に基づくならば、やっぱりこういう武力による威喝だとか攻撃だとかということで紛争を拡大するような事態は避けるべきであるということは、少なくともこういう決議に賛成されているアメリカに対しても日本政府としてはきちっと言うべきではなかっただろうかというふうに感じるんですが、いかがでしょうかね。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) そういうお考え方もあるでしょう。しかし、日本政府といたしましても、平和的解決という面においては随分ともうこれ以上言えないというほど言っておるわけです。そして、イラクの方はオーケーだったんです、その時点においては。だから、あなたの方さえ言えばこれ本当におさまるんだよと。しかしながら、これ以上時間稼ぎのように見られておることは、あなたはむしろ孤立するよ。お気の毒だが、そういうとき日本政府がかばい切れないような状態になっては大変だからぜひともと、私も随分とずけずけ言うなと思うほど平和のためにはずけずけ申し上げたこともございました。だから、国連事務総長の方も、もう本当に性根尽きるまで頑張っておると思うのであります。  そのときに双方からミサイル攻撃というふうなとんでもない戦争が演じられましたし、私たちいつまでミサイルがあるんかなと、実はそのことを期待する以外にない、あと両方どっちがたくさん持っておるんだと、例えばそのような期待すら持たざるを得ないというほど何か民族的なあるいは宗教的な紛争というものは我々の考えられないものがあるんだなあ、これが紛争当事国以外の国々の考え方ではなかったかと、かように思っております。  だから、私は決してアメリカの行動がよかったと、そういうことは一言も申しておりません。ただ、理解しますと、しかしながら、こうした問題が鎮静化することを我々は希望いたしますと、こういうふうに申し上げておるわけでございまして、そういう点も今後私たちがイラン、イラクに対する問題をまた国連で当然発言をしていかなくちゃなりませんから、アラブの諸国から、湾岸諸国からもアメリカあるいは英国等々に対しましても相当な要請があるんじゃなかろうかと。そういうふうなことがペルシャ湾において、入ってこなかったらいいんだとおっしゃるそういう説も私は一つの説であるかもしれませんが、しかし、それはそれなりのひとつの理由があって入っておるんであると、私たちはそのように認識いたしておりますので、今のところ日本はこれ以上ひとつ干戈を交えなくなるようにお願いしたいと、かように思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 事態きわまれるところまで来たという、忍耐の限度もあるというふうなちょっとニュアンスもあったみたいですが、やはりここでは松の廊下じゃありませんけれども、刀を抜いてしまったらこれはおしまいですから、ですからやはりここで述べられているのは何といっても極力自制しなんですよ。あくまで自制して平和的に解決しないといけないと。もう力で解決するという政策をとるならばこれはまた別の道になりますから、絶対にそうならないことに極力自制するということは極めて重要だということを重ねて強調しておきたいのです。  それで、ところで今横須賀に米海軍のラサールという艦船が寄港していますが、この艦船はどこから来た艦船なのか、それからどういう目的で寄港されているのか、お尋ねしたいのですが。

斉藤邦彦外務省条約局長

○政府委員(斉藤邦彦君) ラサールという艦船はペルシャ湾におきます米艦隊の旗艦として活動しておりましたが、現在は第七艦隊の指揮下に入りまして横須賀湾において通常の修理を行っているというふうに私は承知しております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 斉藤さん、神奈川の新聞ごらんになりましたか。  これはアメリカの中東部隊の旗艦ですよね、ラサールというのが。御承知のように一番最も多くの海軍をペルシャ湾に派遣しているのは米海軍であると。空母も行っておりますし、それから戦艦も行っておりますし、ヘリ空母なんかも行っておりますし、その指揮艦としてこのラサールが役割を果たしてきた。中東から来て横須賀で修理するのが最も適切である、整備するのが適切であるということで、今横須賀に入っているわけですね。  このリトナー艦長が記者会見を行ったときに、四カ月間ここで修理して機能を整え、それから秋から年末にかけてはペルシャ湾に戻る、こういうふうに言っているんですね。つまり、ペルシャ湾で行われている今のそういう武力的な外部に対する圧力を加えるその旗艦、あるいはそういうふう な事態が今後どういうふうに発展するか、極めて重大な緊迫した状況が伴っておる状況のもとで、この旗艦ラサールが日本の港に寄港して、そこで施設、区域を提供して修理が行われているということはこれは一体どういうことになるのか。  またその艦船は中東に帰っていく。これはもう私が言わなくても、あなたは条約の方の専門家ですから、もうこれは十分おわかりですけれども、これは安保条約をここに持ってきていますよ。施設、区域の提供というのはどういう場合に提供されるのかということも、これはここでは明確に書いてありますよ。極東地域における安全と平和。中東というのは極東じゃないんですよね。中東で事実上紛争に加わってきた旗艦なんです。またその旗艦が帰るというんですよ、中東に。そうすると米艦船はどこでどういう行動をとろうとも日本の施設、区域は提供されるということになる。我々はこの日米安保条約を認めていませんよ。私たちはこれはやめた方がいいと言ってるんですからね。だけど、少なくとも政府がお考えになっている立場からいってもおかしいんじゃないか。  この問題に関しては、きょうこの問題を質問すると言わなかったから、あなた資料を持ってきていないかもしれぬけれども、安保条約の審議をやった過程の中で極東の範囲の問題は相当議論されていますよ、岸さんが答えたり、いろいろな方が答えたりしておりますけれども。だけどこれはその当時はフィリピンが極東に入るかどうか、ベトナムが極東に入るかどうかという少なくとも極東の周辺ということまでで限定されていたはずですよ。中東は極東じゃないですよ。これは何といってもやっぱり拡大解釈につながる、アメリカのそういう武力行為に事実上無限定に日本の施設、区域を提供する行為につながる問題ではないか。これは極めて重大な問題なのでそういうことは明確に改める必要がある。  条約上の履行、これは我々は条約を認めていませんけれども、条約上の履行という点からも問題だと考えますが、大臣にお聞きする前に専門家の条約局長いかがですか。

斉藤邦彦外務省条約局長

○政府委員(斉藤邦彦君) 私も極東の範囲あるいは極東の周辺についての議論をただいまの答弁で変更しようというふうな気は全くございません。個々の艦船をどのように配置するかということはこれは米国が自己の戦略的考慮から決めるべきことでございまして、我が国として云々すべき立場にはもちろんございませんけれども、この軍艦に関しましては先ほど私が申し上げましたとおり、ただいま第七艦隊の指揮下に入っているという説明を米側から受けております。第七艦隊は北西太平洋の防備を、防衛を目的としておりますので、第七艦隊に属します軍艦が修理のために日本にございます施設、区域に入港するということはこれは安保条約、地位協定上問題がないところでございます。  それから、先ほど立木委員が、この艦船は修理の後にペルシャ湾に戻るんだということを言われましたけれども……。

立木洋日本共産党

○立木洋君 私が言ったんじゃない、リトナー艦長が記者会見で述べている。

斉藤邦彦外務省条約局長

○政府委員(斉藤邦彦君) ということを引用なさいましたけれども、政府といたしましては、米側、米国政府からそのような説明は受けておりません。修理の後どこに行くかは未定だという説明を受けております。  繰り返しになりますが、私の先ほどの答弁、ただいまの御答弁で極東の範囲とか極東の周辺に関します問題について、従来の政府の立場を変えようというものでは全くございません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 ちょっと最後に一問だけ大臣に御確認願いたいんですが、極東の範囲を今までの答弁を変えることはないということも条約局長言われた。しかし、この四月の九日にリトナー艦長が記者会見で述べているわけです、ペルシャ湾に帰りますということを。これはやっぱり確認しておいてほしいんです。で、そのときはそういうふうにアメリカ側が言われたけれども、実際にはペルシャ湾にこのラサールが帰ったということになると、それならアメリカ側から政府は別の異なる、やっぱり何といいますか、事実上結果的に見ればうその通報を受けていたということにならざるを得ないことになるわけですから、これはちょっと真偽のほどですからちゃんと確かめておいていただきたい。  それから、先ほど大臣が言われましたように、このペルシャ湾問題を力の政策によって解決するというような態度はやっぱり少なくともとるべきではない。この点は確固として守っていただきたいし、そういう意味から言うならば、やっぱり理解するということも私は言うべきではなかったと。第一、グレナダの問題、ニカラグアの問題、いろいろな問題があったときに、安倍大臣も理解する理解すると言ってきたんですよ。これ国際的に厳しい批判を受けている中で、日本がそういう理解するという態度を表明するということは、私は少なくとも日本の憲法の平和的な条項に忠実であろうとするならば、そういうふうな発言はやっぱり適切ではなかったのではないかということを最後に申し述べておきたいんですが、もしか大臣の方で何か御所見があれば。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほど来申し上げたとおりでございますから、改めて所見はございません。     ─────────────

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) この際、委員の異動について御報告いたします。  先ほど、鳩山威一郎君が委員を辞任され、その補欠として二木秀夫君が選任されました。     ─────────────

田英夫新政クラブ

○田英夫君 先ほど広中委員も取り上げられた問題ですけれども、来月五月十五日から新潟で開かれるアジア卓球選手権大会に出場するために入国を申請している北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の選手団のことですが、これに対するビザは出すのですか、出さないのですかということを確認をしておきたいんです。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) その前に、官房長官談話をもう一度私から申し上げておきますと、「北朝鮮からの公務員の入国は原則として認めないこととし、その外の北朝鮮からの入国については、その審査をより厳格に行うこととする。」と、これが一月二十六日の、大韓航空機事件の後の我が国の公式見解でございます。  したがいまして、朝令暮改ということがあり得ましては、当時とりました毅然たる態度がぼやけてしまいます。そんなことで、今日では卓球大会に入国を希望している人たちはどうなるのかということでございますが、これはもう先ほどもお答えいたしましたとおりに、衆議院の内閣委員会におきまして、まだ名簿が出ておらなかったときでございますが、入管局長から、この措置以前の問題として考えた場合には、スポーツ等々、これはこの措置に触れないでしょうと、ただ、メンバーの中にこの措置に触れる方がいたら当然入国は認めることはできませんと、こういう答弁をしておりまして、私もそれと同じような答弁をいたしたわけでございます。  そこで、もう既に名前が出てまいりました。出てまいりましたからどうするかという話でございますが、内閣委員会でお答えし、また先ほど広中委員にもお答えいたしました、そうした考え方でございますので、内閣としては慎重にメンバーのいろんなことを調べているのではないかと思います。しかしながら、早く出しなさいと、やはり選手団の士気にも影響するから、もし入ってくるといった場合には。そういうことにおいて、私としては早く出した方がいいですよと、このように申し上げたところでございます。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 法務省おいでになっていると思いますが、担当は法務省ですから、法務省の見解をこの際聞かしてください。

大久保基法務省入国管理局入国審査課長

○説明員(大久保基君) お答えいたします。  ただいま外務大臣から御説明ございましたけれども、この問題、この北朝鮮の卓球選手国の入国申請は一昨日書類が正式に出たばかりでございます。したがいまして、現在は提出されました書類 に基づきまして申請人各人の地位、身分並びに入国後の日程等につきまして、一月二十六日の官房長官談話の趣旨を踏まえまして、関係省庁と協議をいたしまして、厳格に審査を行っているところでございます。外務大臣がおっしゃいましたとおり、その審査につきましてはできるだけ早く結論を出すように努力したいと考えております。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 外務大臣、このなるべく早くという御配慮はわかるんですが、いつごろになりますか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) これはやはり専門家が十名ばかりの方々の審査を行うわけでございますので、まあ外務大臣という職責から申し上げますと早ければ早いほどいいねと、こういうふうにきのう記者団の方々との懇談会で申し上げたという段階であります。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 この厳重に審査するという、先ほど言われた官房長官談話、つまり、いわゆる措置ですね。実際は制裁措置と言っていいと思いますが、この制裁措置をとられたということは、いわゆる大韓航空事件、行方不明事件、これは北の犯行であるという前提に立っておられると思うんですが、そう考えてよろしいですか。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) そのとおりでございます。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 これは大変自信を持って言われるんですけれども、私もいろいろ調べました結果、どうしてもその断定できるような材料がありません。材料として出てきているのは、いわゆる真由美という女性の証言というか、自白というか、記者会見というか、あれしかないんですね。何かほかにそれだけ自信を持って断定できる材料をお持ちだったらここで出していただきたいと思います。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 私からざっと申し上げますと、蜂谷真一、蜂谷真由美偽造旅券、それを発見したのは日本の在外公館の職員であって、そこで蜂谷真一は自殺し、また真由美は自殺をはからんとした。  その次には、やはり韓国へ移送された後、今、田さんがおっしゃいました真由美自体の自白というものもあったと。あのとき韓国は、今日総選挙をやっておられますが、大統領選挙で与野党とも激烈な戦いをしていた。そして、それぞれが北朝鮮に対するいろんな解釈をしておられた。しかしながら、与野党はぶつかっておった。その結果、与野党の中においてもこの事件に関しましては少しも異論を唱える人がいなかった。これは恐らく北朝鮮に対しては長年の専門的な、我々よりもはるかに専門的な捜査の結果そうしたことを韓国の朝野が認めたのではないだろうか。  その次には、我が国のやはり外務省職員も派遣いたしまして直接真由美に出会っております。その報告をもとにしたことも一つの大きな材料でございますが、当時からハンガリーにおきましては、国境を通過した外国ナンバーの車に二人が乗っていたということが確認されておりまして、このことは後、国連における北朝鮮の大韓航空機事件を安保理で取り上げましたときにハンガリー政府代表が明らかにした。その明らかにする前に私たちは知っておった。ただ、それを発表するのは他国のことでございますから遠慮をいたしておりましたが、知っておった、そういう幾つもの問題がございました。中には、やはり真由美という女性の足の裏は非常に厚い皮をしておった、まあそういう話すらあるとますます特殊部隊として訓練されたのかなと、こういう思いを抱きました。  したがいまして、もちろん捜査当局を初め関係各省相寄りまして十二分な審査の結果、あるいは協議の結果、あるいは捜査の結果、そうした結果北朝鮮の犯行であると、こういうふうに断定した次第でございます。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 今大臣が言われた中でも既におかしな点があるんですね。真由美と真一が持っていたのが日本の偽造旅券だということを日本の大使館員が発見したと、在外公館員が発見したとおっしゃったんですけれども、どうしてこの二人が持っているのが偽造旅券だということを知ったのかというのは非常に疑問ですね。あれだけずっと歩き回ってきた中で、チェックポイントに日本の在外公館の人がいるはずはないんでして、それは恐らくバーレーンで会いに行って調べたんだと思うんですね。  ところが、その前の段階から既にあの二人が偽造旅券を持っているということは報道されています。したがって、初めて発見したのが日本の大使館員だというのはうそであって、きょう私に与えられた時間は二十分しかありませんから、質問の形でやっていると時間をとりますから私の方から結論を言ってしまいますが、これは韓国政府、直接的には大韓航空、大韓航空は唯一そういう二人の動きの中で旅券を見ることのできた立場にあるんですよ。  韓国の在外公館も旅券を見る立場にはない。ウィーンから出てずっと歩いてきたそこの中で、バーレーンへ着く間に日本の在外公館も韓国の在外公館もチェックする立場にはないんですよね。ただ、大韓航空に乗りましたから、その搭乗のときには見ることができた。私に言わせれば、もうその前から韓国政府は知っていたという疑いを持っています。しかし、このことは時間がありませんから、質問という形にしないで私の意見として言っておきます。  次は、警察庁がおいでになっていると思いますが、李恩恵という女性の捜査状況について、どのくらいの情報があって、何人の人をチェックしたか、そして今どうなっているかということを答えていただきたいと思います。

國枝英郎警察庁警備局外事課長

○説明員(國枝英郎君) お答えいたします。  李恩恵を割り出しますため、家出人の手配データでありますとか、国民の皆様から寄せられました情報などを利用いたしまして種々努力いたしておるところでございます。  具体的には、三千数百件の対象について捜査をいたしてきておるところでありますが、今後とも国民の皆様からの積極的な情報提供をお願いしつつ、この身元割り出しに努めていきたいと考えております。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 これ、捜していって見つかると思いますか。材料はたくさんあるんですよね、身長だとか兄弟、両親、子供が二人。子供が二人いるということは夫がいたんでしょうが、別れたかもしらぬ、別れているんでしょう。そういう人たちが日本にいるというたくさんの材料がある。あるいはテニスが好きで、北海道の雪祭りを見に行ったとか、そういう何というんですか、周りのお話としての材料はたくさんあるけれども、肝心の一体東京のどういうところに住んでいたのかとか、第一名前が、全く日本名がわからない。これで警察の能力をもってすればそのくらいのものは見つかるものですか。

國枝英郎警察庁警備局外事課長

○説明員(國枝英郎君) お答えいたします。  まず、いろいろその手がかりがあるではないかという御質問でありますけれども、結論から申し上げまして、金賢姫が実際に見知った恩恵の身体特徴あるいは食べ物の嗜好などに比べまして、恩恵の身元に関する情報が少のうございます。  その理由といたしましては、工作員訓練所において相互の身の上話をすることは禁じられておったということでもあり、これは十分理解できるところであろうというふうに考えております。  今後とも、手がかりになる情報は少のうございますけれども、先ほど申し上げましたとおり鋭意身元割り出しに努めてまいりたい、かように考えております。  なお、補足させていただきますが、金賢姫の供述につきましては我々十分信憑性があるというふうに考えておるところでございまして、彼女の供述につきましては我々係官が直接彼女にも会っておりますし、そのときの金賢姫の態度、さらには彼女の供述の裏づけにつきましても種々裏づけ資料を得ておるところであります。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 この恩恵という女性のことが発表されたのは二月七日なんですけれども、そのときにソウルで、これは日本の非常に大物が協力しているとか、ある新聞はトップで扱って、「大韓機事件 日本に「大物協力者」」という見出しがついてい るんですね。それから、驚くべき証言とか「驚くべき事実も」というような見出しがついて報道をされていたんですけれども、実は自分のことで言いにくいですが、その日に数社の日本の報道機関から電話がありまして、ソウルの特派員からの連絡によると恩恵という娘は田さんの娘さんだそうですが、北に行っておられるんですかという問い合わせがありました。  それで、そのときにちょうど娘は孫を連れて横に、部屋におりましたから、今ここにおりますよという話をして、事ほどさように、大臣はさっき大変自信を持って、こんなにたくさんいろいろあるからあれは北の犯行だと断定したんだとおっしゃったけれども、ソウルの安全企画部、まあKCIAですね、ここから出てくるお話というのは、事ほどさように怪しいものだということをそのときに新聞記者の皆さんとまあ笑って話したんですね。こういう事実は警察は御存じですか。

國枝英郎警察庁警備局外事課長

○説明員(國枝英郎君) お答えいたします。  新聞の記事につきまして私としてはコメントする立場にはございません。ただ、恩恵に関する金賢姫の供述につきまして一言御説明させていただきたいと存じますが、金賢姫に対して警察庁係官が事情聴取した。正確には事情聴取に立ち会ったわけでございます。  その際、どういう事項について事情聴取するか、すなわち聴取事項につきましては事情聴取の場に臨んで初めて韓国の係官に提供したわけでございます。これは信憑性、すなわち金賢姫の供述の信憑性を担保するというために韓国当局の了解を得て対処したものであります。  また、私どもの係官の中には韓国語に堪能な者もおりまして、聴取事項はその場で逐一確認しておるわけでありますし、必要に応じて聴取事項の追加もやったところでございまして、こういう事情から見ましても金賢姫の供述につきまして十分信用できるというふうに考えておるところであります。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 どうも時間がないのがまことに残念ですけれども、今私が申し上げたような、私の娘のことも含めて非常に怪しい情報のようなものがその日一斉にソウルで日本人記者の間に広まったわけですよ。それで、私も私なりに報道関係を調べてみましたら、その火元というのは実は在ソウル日本大使館の加藤孝雄という参事官であるということがわかったんですよ。  加藤孝雄という人は警察庁からソウルへ行っていて、ことしの三月三十一日付で本庁へ戻ってきているという事実があります。実は、私も昨年ソウルへ行ったときにこの加藤さんと一晩一緒に飲んだことがある。そういう人がそういう安企部から出てきたという形で怪しい情報を日本の新聞記者にばらまくというのは一体どういうことですか。  今度の事件というのは、そういうおかしな話がずっとつながってきて、大臣までもが確信を持ってあれが北の犯行だと言って国家として行動しておられる、制裁措置という、政府として。これは大問題ですよ。これはまことに残念ながら時間がありませんから、十二分に時間をいただいて、この問題については政府の中の問題、公務員がそういうことを流したわけですからたださなけりゃいかぬと思っております。  それから、今警察庁がお答えになりましたけれども、真由美という女は自供によれば日本語ができるはずですから、それならばなぜ、日本から行った警察庁の係官は韓国語がおできになるにしても日本語で本人に直接尋問しなかったんですか。尋問に立ち会ったと今おっしゃった。わざわざ出かけていって聞くなら、日本の捜査の立場から、これは日本が捜査できる範囲は偽造旅券の問題に限られるはずですよ。  これも時間がないからこっちから言ってしまいますけれども、もう答弁いいんですよ。この前花束を贈った少女のことについて警察庁が科学警察研究所の鑑定だか捜査という結果を発表された。これはおかしな話でして、日本の政府、捜査当局にとってあの事件というのは、十二月のこの外務委員会でも私はなぜ身柄の引き渡しを要求しないんだということを申し上げたわけですが、それを放棄して、あの時点では第一義的に唯一日本に捜査権があった、身柄を引き取る権利があったはずです。それを放棄しておいて、そしてああいう発表を韓国側がやった後でのこのこ出かけていって間接的に聞くということをやっている。まことにおかしいですね。  そして、花束の少女の問題というのは日本の捜査当局がやるべき対象ではありませんよ、あれは大韓航空機事件についての捜査であります。あの二人は、日本政府にとっては飛行機をおっことした容疑者だというんじゃなくて、真由美はこれは日本の偽造旅券を持っていたという点について調べなければならない容疑者ですよ。それを韓国の捜査当局に協力するような格好で、あごの格好がどうだとかというようなことをわざわざ発表している。調べるのは勝手ですよ、暇なら。科学警察研究所というのはよっぽど暇なのかもしれない。暇ならそれで調べてみるのは勝手だけれども、わざわざマスコミに発表するというのは、これはまさに権限の逸脱ですよ。  もう時間が来ましたから終わります。

國枝英郎警察庁警備局外事課長

○説明員(國枝英郎君) 今先生いろいろ御指摘をされたわけでありますけれども、まず何ゆえに日本語で聞かなかったのかということでございますけれども……

田英夫新政クラブ

○田英夫君 時間が超過するなら、私もこれからもう一問聞きますよ。いいですね、委員長。

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 答弁で終わります。

國枝英郎警察庁警備局外事課長

○説明員(國枝英郎君) 我々の従来のプラクティスといたしましては、外国においてかかる事情聴取を行うときには、あくまで先方の係官に事情聴取を依頼する、それでその場に我々が立ち会うというのが従来からのプラクティスであり、逆に我が国において外国の警察官の方から事情聴取の要望がある場合には、このような態度で臨んでおるわけであります。これが第一点でございます。  第二点。何ゆえにこの引き渡しを求めなかったのかという点についてでありますけれども、バーレーンのときにおきましては、私どもも御答弁いたしましたごとく、あの時点において身柄の引き渡しをするか否か判断できる段階には至っていなかった。  さらに、現時点においてはいかがかという点でございますけれども、既に韓国側におきまして大韓航空機の爆破の犯人という非常に重大な犯罪の被疑者として取り調べ中であるところであります。  最後に……

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 國枝課長、なるべく短くお願いします。

國枝英郎警察庁警備局外事課長

○説明員(國枝英郎君) はい。  科学警察研究所における金賢姫の写真の鑑定についてでありますけれども、北朝鮮あるいは朝鮮総連という団体が全く根拠のない事実を発表しておる。そのことにつきまして、我々は科学的に先方が主張する写真の人物というのは金賢姫、すなわち某党の機関紙に載りました少女の写真、花束の少女でありますけれども、金賢姫に間違いないという鑑定結果を出したところでございます。

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 時間でございます。時間ですのでこれで終わりにしてください。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 もうこういうことで時間を守られないなら、私もちょっと考えなくちゃいけませんよ。

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 時間です。(「時間を過ぎたと言うけれども、時間はちょっと延ばせばいいわけですから。」「意見に対して回答だからいいんじゃないですか。」と呼ぶ者あり)

田英夫新政クラブ

○田英夫君 だから私は、もう一言意見言わしてください。(「いや、言いっ放しはよくないから課長一言言ったんじゃないですか。」と呼ぶ者あり)いや、それはね、いや、いいですよ。だから今の答えは許したんですよ。  だから大臣ね、これは今警察庁のおっしゃったことも私は全く納得ができない。こういうわざわざ人の懐へ手を突っ込んで、余計なことをやって発表するというようなことはまさに余計なことで すよ、この写真の問題なんかは。

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 田委員、時間です。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 もっと冷静にこのいわゆる大韓航空機事件、行方不明事件というのは国として、政府として対応をしていただきたい。  第一、真由美という女はあれだけのことを自供しておきながら、その後韓国の捜査当局がそのままにしているんですね。日本ならもうとっくに、百十五人が死んでいる、つまり殺人容疑者ですから起訴をし、裁判にかけなけりゃならない。これはよその国のことですけれども、少なくとも日本の刑事訴訟法で言ったらおかしなことですわ。そういう疑問がたくさんありますので、私はあえてきょう政府に対して注意を喚起するという意味を込めて私の疑問点をぶつけたんです。  私は、この事件というのは……

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 田英夫君、時間を守ってください。

田英夫新政クラブ

○田英夫君 南北朝鮮の間の緊張緩和ではなくて緊張激化を望む人たちがやった、そう考えています。それだけ申し上げておきます。——もうやめておきなさいよ、そんなのは。

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 時間ですので終わりにいたします。  他に御発言もなければ、両件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両件について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、日本国政府と国際熱帯木材機関との間の本部協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、千九百八十七年の国際天然ゴム協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 次に、オゾン層の保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締結について承認を求めるの件、核物質の防護に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上両件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。宇野外務大臣。

宇野宗佑自由民主党外務大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) ただいま議題となりましたオゾン層の保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、昭和六十年三月二十二日、ウィーンにおいて作成されたものであり、議定書は、昭和六十二年九月十六日、モントリオールにおいて作成されたものであります。  この条約は、オゾン層の保護のための国際協力の枠組みを定めており、議定書は、オゾン層の変化がもたらす悪影響を防止するためクロロフルオロカーボン等の物質を規制することについて規定しております。  オゾン層の保護のような地球的な環境問題については、国際的な取り組みが不可欠であり、我が国がこの条約及び議定書を締結することは環境分野での国際協力を増進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約及び議定書の締結について御承認を求める次第であります。  次に、核物質の防護に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、昭和五十四年十月二十六日に国際原子力機関で開催された政府間会議において採択されたものであります。  この条約は、核物質を不法な取得及び使用から守ることを目的としており、核物質の防護の義務、核物質に係る犯罪行為の処罰、容疑者の引き渡し等について規定しております。  我が国がこの条約を締結することは、核物質を不法な取得及び使用から守るための国際協力の強化に積極的に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。

森山眞弓自由民主党

○委員長(森山眞弓君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗