外交・総合安全保障に関する調査会外交・軍縮小委員会 第2号
- 発言数
- 9 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1988/04/22
会議録
○小委員長(堀江正夫君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査会外交・軍縮小委員会を開会いたします。 外交・軍縮問題に関する件を議題とし、本日は、委員の皆様に御発言いただくことになっております。 それでは、御意見のある方は順次御発言を願います。
○最上進君 私は、外交・軍縮問題に関し、自由民主党に所属する議員の一人といたしまして、私見を交えつつ意見を述べさせていただきたいと思います。 私は、三つの点に分類をしてまず申し上げたいと思っております。 第一は、外交・軍縮全般についてであります。第二は、東アジアの緊張緩和と軍備管理、軍縮についてであります。第三点は、アジア・太平洋時代における我が国と米、ソ、中との間の二国間関係についてであります。 まず、我が国の外交・軍縮全般について申し上げたいと思います。 私は、我が国の外交及び軍縮を考えますときに、四つの基本的なスタンスに立つべきであると思います。 第一のスタンスは、我が国が自由主義陣営の一員であるということであります。第二は、我が国が世界第二位のGNPを誇る経済大国であるという点であります。第三は、経済大国であるにもかかわらず軍事大国にはならない、非軍事的、平和的外交を進めるということであります。そして最後、第四は、我が国が地政学的にアジアに位置をしているという点であります。 世界は刻一刻と相互依存関係を深めているわけでございまして、この相互依存関係の深化ということは、国々の政治的、経済的、文化的な交流によりまして、二国間あるいは国際間の一体化を促進をするという大変明るい側面を持っております。その反面で、利害対立とかあつれきとかという暗い側面をもやはり生み出しております。つまり私たちは、明暗両側面が濃くなりつつあるという、極めて矛盾に満ちた時代に生きていると言えると思うわけであります。 相互依存に伴うこの明暗を現代世界の縦軸として設定いたしますなら、横軸には状況をめぐる安定要因と不安定要因、こういうものを設定することが可能であろうというふうに思われます。 それでは、まず不安定要因を考えてまいりますと、その最たるものが東西の対立でありまして、恐るべき核戦力を頂点とする軍事的対立の構図というのは、今日も厳然として存在しているわけでありますし、軍縮、特に通常戦力については遅々として進まないというのが現状であるというふうに認識をいたしております。むしろ、第三世界をも巻き込んだ形での軍拡が進行しておりまして、その中で共産勢力の膨張主義というものが、さまざまな地域に紛争を起こしていることはまた事実であります。 次の不安定要因として南北問題が挙げられるわけでありますけれども、NICSの出現などで部分的な解消というものは見せておりますけれども、根本的な解決には至っておらないのが現状であります。第三世界の抱える諸問題というのは、共産主義勢力につけ入るすきを与えるところともなり、地域紛争を引き起こしたり、または西側を巻き込む場合も少なくないわけであります。一方で、西側の先進諸国の間にも不安定要因があり、主として経済を中心とする紛糾も絶えません。 反面で、安定要因も見ることができるわけであります。INF全廃条約への署名と戦略核半減交渉の進展というのは、その代表的な例であるというふうに思います。これによりまして一挙に緊張が緩和されたとは考えられないにいたしましても、緊張のレベルを下げて、多方面で対話、交流が増進をされるということは大変好ましいことであるというふうに考えているわけであります。そうした動きを生み出す一つの背景となっておりますソ連のペレストロイカ路線も、軽々な予断というものは許されないと思いますけれども、今のところやはりこの安定要因の一つであると考えてよいのではないかというふうに理解をいたしております。また、楽観はできないわけでありますけれども、御承知のようにアフガニスタンからソ連軍が撤退をする、これによりまして民族自決に基づく政権というものが樹立をされるならば、これもやはり安定要因の一つと考えていいのではないかと思います。中国近代化路線も今のところ安定要因と見てよいのではないかと思いますし、NICSの成長もまたしかりであると思います。 こうしたやはり現代世界の縦軸と横軸の上に展開される混沌とした状況に、我が国は一体これからどういうふうに対応していくかということを考えなければならないと思います。 我が国といたしましては、自由主義陣営の結束を図りつつ東西の対話を促進をする必要があるわけでありまして、そのためには、まずやはり西側先進国の経済を中心とするもろもろの摩擦を緩和する努力をしていかなければならないと思います。したがって、我が国としても対外的に主張すべきところは主張し、国内的には産業構造の転換などもやはり実現をしなければならないと思います。これはやはりNICSなどに対応するためにも必要なことでありまして、また相応の防衛力の整備に努力をいたしますとともに、日米安保体制の円滑な運用を促進をしていかなければならないと考えております。こうして西側の体制を整えて初めて東側諸国との対話もスムーズにいくのではないかと考えます。 第三世界が抱えておりますもろもろの問題とか紛争というものが、多くはその貧困に起因するという認識に立つならば、経済協力とかあるいはまた技術協力というものを惜しんではなりませんし、彼らが経済的にやはり自立ができるような手助けをしなくてはならないと思います。協力に関する基本理念というものを確立をいたしまして、ODAの増額、それに伴う質の改善というものが緊急の課題であると考えております。 国連の強化と軍縮活動の推進が求められているわけでございますが、そのための支援体制として人材の育成あるいはまた国連の平和維持活動への貢献を具体的な政策レベルで実現をすべきであるというふうに考えます。 ただいまほんの一例を挙げたにすぎないわけでありますけれども、このようなことがトータルとしての平和外交を確立することになると考えております。 第二番目に、東アジアの緊張緩和と軍縮、軍備管理について申し上げてみたいと思います。 グローバルな視点から見てまいりますと、核軍縮をめぐる対話というものも進み、ソ連のアフガン撤兵も実現しそうにあるという、こういう現実面を直視いたしまして、東西緊張緩和の機運にあると言えないこともありません。ヨーロッパにありましては、今回の核問題にとどまらない全欧安保協力会議、あるいはまた中欧相互兵力軍備削減交渉など、従前から軍縮、軍備管理をめぐる対話というものも進められているわけであります。ところが、東アジアにおきましては、地政学的に見ましても、政治、経済、軍事のいずれの側面から見ましても、ヨーロッパとは大変大きく異なる条件のもとに置かれていると判断をするわけであります。ヨーロッパの場合は、例えばNATO対ワルシャワ条約機構といった枠組みがあって初めて右のような対話が可能になっているわけでありまして、東アジアにはこうした枠組みが存在していないためにヨーロッパの手法をそのまま当てはめることはできません。東アジアの特殊性というものを踏まえた分析と対応というものが必要になろうかと思います。 それでは、東アジアにはどのような緊張要因とそれを緩和する要因が存在しているかと申しますと、緊張要因といたしましてはまずソ連の強大な軍事力を挙げるべきだと思います。極東ソ連軍はいずれの部隊も年々増強されているのみならず新鋭装備が配備されておりまして、かつ行動も活発化しております。このような軍事力は東アジア諸国に大きな影を落とすものでございまして、加えてベトナムのカムラン湾基地も東アジアの安全にとりましては重大な意味を持つものとなっているわけであります。また、北方領土に配備されております師団規模の兵力は、我が国としてやはり認めがたいものがございます。 朝鮮半島情勢も緊張要因となっておりますが、イデオロギー的、軍事的対立に加えまして、オリンピック開催をめぐって対立が今なお続いておりまして、朝鮮半島の問題は、両当事者の直接的対話によって平和的に解決されることが基本であるというふうに考えておりますけれども、残念ながら対話は今中断状況にあるわけでございまして、ただ韓国の経済的発展と民主的政権の樹立というものは、半島情勢の大きな安定要因となるものと考えられるわけであります。 東南アジアに目を転じてまいりますと、カンボジア情勢が最大の緊張要因となっているわけでございますが、カンボジアから足を抜けないべトナムは、経済不振にあえいでおります。ソ連もASEAN、中国との関係改善のために事態打開を模索をしているわけでありまして、成り行きが注目をされております。昨年十二月には、ヘン・サムリン政権のフン・セン首相とシアヌーク殿下と会談をいたしまして共同声明を発表したほかに、中越の秘密交渉説が流れるなど、情勢は流動性を帯びてきていますけれども、なおベトナム軍撤退問題の先行きが定かでございませんで、問題解決には時間を要しそうな気配であります。 また、フィリピンに関しましては、アキノ政権が一定の安定性を維持していることは大変明るい材料であります。しかしながら、三百億ドルに上る対外債務を抱えておりまして、経済再建も緒につきかねているというのが現状であります。アキノ政権による土地改革も遅々として進んでおりませんし、国軍の掌握にも一抹の不安が見られるわけであります。国民の不満が解消されない中で、新人民軍などの反政府勢力が根強い抵抗を続けているのも事実であります。米軍基地の存否をめぐる議論も懸念されております。カムラン湾にソ連軍基地が控えております今日、その存否は我が国を含む東アジアの安全にとりまして極めて重要な問題であると理解をいたしております。 ところで、中ソ関係は徐々に改善をされつつあるわけでございます。中国が両国関係正常化の三大障害として挙げておりますソ連の中ソ国境への兵力配備、ベトナム、カンボジア支援、アフガニスタン侵攻のうち、第三点につきましては解決の兆しが見えているものの、他につきましては基本的な解決は見ていないのが現実であります。 しかしながら、ソ連のペレストロイカ路線、中国の近代化路線という両国の現実主義指向の中で、国境問題など幾つかのレベルでの交渉というものが続けられて関係改善へと向かっているわけであります。中ソが急速に基本的和解に至るというふうには考えられないわけでありますけれども、それとは別に、関係改善は東アジアの安定に大きく寄与するものと思われます。 ASEAN諸国の経済的発展と政治的安定も東アジアに好ましい状況をつくり出しております。 それでは、日本が東アジアの緊張緩和と軍縮、軍備管理を実現するために一体どのような役割を果たしたらよいのか、これを考えてみたいと思います。 まず第一に、政治的な貢献でありますけれども、何よりも大切なことは、我が国がアジア諸国と友好関係を築くことであります。特に、中国との良好な関係というものを樹立をしなければなりません。中国は、二十一世紀初頭は強大な国家に成長する可能性を秘めておるわけでありまして、この中国を無視しては東アジアの安定は成り立ちませんし、また隣国たる韓国を積極的に支援をしていかなければならないと考えております。これに関しましては、中曽根前総理大臣が在任中から努力をいたしている点でありますけれども、我が国として中韓交流の橋渡しにつきましては、今後とも労を惜しむべきではないと考えております。さらに、ASEAN諸国につきましても、去る十二月に竹下首相がマニラのASEAN首脳会議に出席をいたしまして、新時代の連帯を強調したことはけだし当然であり、かつ重要なことであると思います。 今回、アフガニスタンからソ連軍が撤退するという見通し、先ほども述べたわけでありますが、我が外務省としても文官の監視要員派遣を考慮中と伝えられております。これがやはり実現をいたしますと、今後の国連の平和維持活動への貢献に新しい可能性をも開くことになります。 なお、政治的役割の間接的なものとして、我が国が専守防衛原則にふさわしい必要最小限の防衛力を整備することが挙げられます。このことはあくまでも間接的にではありますけれども、極東の平和と安全、ひいては東アジアの安定的発展に寄与するものとなるでありましょう。 東アジア地域の軍縮、軍備管理問題の難しさというものはさきに触れたとおりでありますけれども、通常戦力の削減について米国等との連携のもとに検討を進める必要があります。また、地域紛争の防止、解決のための危機管理システム研究も重要ではないかというふうに思われます。例えば、東アジア監視衛星機構といったものの研究もやはり一考に値するのではないかと考えております。 第二に、経済的な貢献があります。我が国は二国間ODAの約七割をアジアに向けているわけでありまして、最もアジアを重視しているところでありますけれども、この傾向は今後とも持続されるべきであると思います。なお、我が国といたしまして、竹下総理がASEAN首脳会議出席の際に、二十億ドルのASEAN・日本開発ファンドの創設を約束したわけでありますけれども、大変私は有意義なことであると考えております。また、経済的には、直接投資をさらに増大させまして、貿易収支の改善、雇用の創設、技術移転等を進めるべきであります。東アジア諸国はその経済発展にとって輸出増大を不可欠といたしているわけでありますけれども、最近我が国の製品輸入が増大をしているということは好ましいことであります。 三番目に、アジア・太平洋時代における我が国と米、ソ、中との二国間関係について申し上げたいと思います。 近年、アジア・太平洋地域の経済発展と相互依存関係のダイナミズムには目を見張らせるものがあるわけでございまして、ちなみに世界全体のGNPに占めるアジア・太平洋諸国のウエートというものは今や大体五割となっています。これに伴いまして、主要国との二国間関係を進める際に、常にこの地域のことを念頭に置く必要が高まってきており、特に我が国がアジアの一員であるということからいたしましても、この点は重大、重要であるというふうに理解いたしております。私はこのことを踏まえた上で、米国、ソ連及び中国との二国間関係のあり方について言及をしてまいりたいと思います。 まず、米国との関係でありますけれども、日米関係は我が国外交の基軸でありますし、米国が世界に占める相対的な力はやや落ちたとはいいながらも、なお自由世界の盟主的地位を誇っていることは厳然たる事実であると理解をいたしております。したがいまして、我が国外交が米国との協調を中心に据えることはけだし当然のことと言えると思います。 我が国は日米安全保障条約によって米国とかたく結ばれているわけでありますが、それは我が国が西側の一員であることの一つのあかしともなっているわけであります。近年、ガイドラインに基づきまして、日米共同作戦研究などが日米間で進められまして、さらに有事来援研究に着手しようとしておりますことは、日米安保体制を活性化をして、そして実効あらしめるという意味で歓迎すべきことであると思います。いわゆる思いやり負担もアメリカ側が高く評価している点であります。一方、我が国独自に防衛計画大綱の達成に向けて防衛力整備に努めているところでありますけれども、こうした節度ある努力というものは西側の、そしてアジアの一員として当然の義務ではないかというふうに考えているわけであります。 経済的には、戦後の我が国が対米輸出をてこにいたしまして発展をしてきたことの重さと、今日におきましても米国は我が国輸出の約四割、輸入の約二割を占める最大の貿易パートナーであるという事実を考えた場合に、最も重視すべき国であると考えているわけであります。また、両国のGNP合計が世界のそれの四割近くを占めておりますし、両国が世界経済に及ぼす影響というものは極めて大きいものがあります。そうした意味から言いましても、昨今の日米貿易摩擦に対しましては、日米経済関係の視点のみならず、世界経済の視野からも慎重に対処していかなければならないと思います。米国の圧力にその場しのぎで譲歩するという従来のパターンから脱却をいたしまして、確たる思想と中長期的展望に立ったフェアなやはりルールづくりが私は肝要であるというふうに考えております。例えば農産物問題にいたしましても、我が国のみが制限品目を抱えているわけではございませんで、アメリカ自身ウエーバー十四品目を擁しているわけでありまして、相互に国内事情を有している事実を踏まえまして、やはり目先にとらわれない交渉の中から妥協点を見出すものでなくてはならないと考えております。 日米貿易摩擦の根底には、両国間のカルチャーギャップ問題が横たわっていると言われておりますけれども、人的交流を含む対米文化交流をもっと重視をしていかなければならないと考えております。 なお、日米両国がアジア経済の死活を制するほどの影響力を有しておりますし、かつまた日米経済間に出ておりますのと同様の摩擦が、いずれ日米とアジアNICSとの間にも発生するということが必定でありますので、アジア・太平洋自由貿易圏といった構想をもっと研究をすべきかというふうに思います。 次に、ソ連との二国間関係についてでありますが、ソ連は米国と拮抗する異体制の軍事大国といたしまして、我が国及びアジア諸国に有形無形の影を落としている、影響を与えていることは事実であります。たとえSS20などのINFが撤去されたといたしましても強大な通常軍備や戦術核が存在し続けることになります。ソ連は軍事ドクトリンを攻勢戦略から防勢戦略に変更したというふうにも伝えられておりますけれども、八九年度米国防報告が、ソ連の軍事生産は一九九〇年代を通じて大きく減少することはないと見通しておりますように、ソ連の軍事的圧力というのは増大こそすれ減少することはないと考えます。我が国といたしましては、INF全廃合意が米国INFの西欧配備をNATOが断固として実施をしたことによってもたらされたというそういう教訓から学ぶべきだと思います。 我が国とソ連との間にはいまだ平和条約すら結ばれていないわけでありまして、その最大の障害は、やはりソ連が我が国の北方領土を不法に占領しているということにあります。国民の世論を一つにして粘り強く一括返還を求めていかなければならないと思います。ソ連のペレストロイカ路線が対外政策全般、特に我が国との外交関係、とりわけ北方領土問題にどのような影響を及ぼすかにつきましては、今日の段階で正確な予測をすることは困難であろうと思います。少なくとも現状を見る限りでは東芝のココム違反事件もあり、両国関係というのは決して好ましいものではないと思っております。この一月に二年ぶりに日ソ経済合同委員会が開催されたとはいいながらも経済関係もいまだ低調でありますし、八七年貿易額は約五十億ドルで、これは我が国貿易量の二%足らずにとどまっておるわけでありまして、ソ連は合弁企業に熱意を見せてはおりますけれども、ソ連側の受け入れ体制が未整備のために急速な進展は無理な状況にありまして、今後のソ連の努力が望まれるところであります。 ゴルバチョフ書記長は、八六年七月のウラジオストク演説で、ソ連がアジア・太平洋国家であるとの立場を鮮明にいたしました。我が国を含むアジア重視をうたい上げておりますけれども、そこに盛られた太平洋会議構想などは従来の提案の焼き直しでありまして、新しいものは何もないといって過言でないと思います。ソ連のねらいが一体どこにあるのかを見きわめる必要があります。 最後に日中関係について申し上げたいと思います。 中国は、今近代化への歩を進めつつありますが、若干のぶれは見られるもののそれが逆戻りしていくというふうには考えられないわけでありまして、先ごろの全国人民代表大会にも見られますように、一応安定した方向をたどっているんではないかと言えると思います。我が国が中国の近代化に協力することは当然でありますけれども、その際中国があくまで社会主義国であるとの認識と不幸な時代を含む長い歴史的な経過を踏まえつつ、言うべきことは言い、聞くべきところは聞くという姿勢を貫くことが大切でございまして、それがあって初めて真の友人関係が成立をするのではないかと思います。光華寮問題などで大変ぎくしゃくいたしました面もございますけれども、日中関係は四十七年の国交回復以来大筋では順調に発展をいたしているわけでありまして、ことし十月で締結十年を迎える日中友好条約につきましても趙総書記は継続の意向を表明していると伝えられております。 中国は十一億の人口を抱えまして、一人当たりGNPは三百ドルにまだすぎないわけでありますけれども、今世紀末までにはGNPを四倍にするということを目標に近代化路線を推し進めております。こうした中で、中国が九一年から第三次円借款といたしまして一兆円を希望しているわけでございますが、可能な限り我が国は協力すべきではないかと思います。ちなみに現在進行中の第二次が四千七百四十億円でございますが、このような協力とあわせまして両国友好の基礎を築くというのは何といっても人と人とのつき合いでございまして、多くの留学生が日本で学んでいるとはいいながらもそれに対する支援というのはまだまだ十分ではございません。我が国といたしましてはこの点につきましても大いにまだ努力をする必要があろうというふうに考えております。 中国はASEANを重視をいたしておりまして、例えば十五年間外交関係を凍結をしてまいりましたインドネシアとの復交にも合意をいたしております。こうしたことが東アジアの平和に役立つとするならば、我が国としてもこれまたやはり支援すべきものであるというふうに考えるわけであります。 以上をもって私見を交えた意見の開陳を終わるわけでありますけれども、国際化が急速に進展しつつある中で、時代を冷静に見詰めて、長期的展望に立ったそういう対処が求められております今日、当委員会を初めとする議会の責任というものがまことに重大ではないかというふうに考えておりまして、改めてこの点を強調いたしまして意見開陳を終わらせていただきたいと思います。
○小委員長(堀江正夫君) ありがとうございました。 では次に、福間知之君。
○福間知之君 私は、今日の国際軍事情勢について新しい時代の幕あけだという認識に立ちまして、国際軍縮への枠組みについて私の見解を申し述べます。 一つは、新時代の開幕とも言える象徴的な出来事に関してであります。 アジア・太平洋には新しい時代が到来しようとしています。この認識に立って、私は、国際軍縮への枠組みづくりにおける日本の役割について、若干の提言を行うものです。 このアジア・太平洋に新時代の開幕を告げるのは、二つの歴史的な出来事であります。その第一は、昨年十二月八日にレーガン大統領とゴルバチョフ書記長との間に調印されたINF全廃条約であります。その第二は、ことし四月十四日に米ソ並びにパキスタン、アフガニスタンの四カ国がジュネーブで調印したアフガニスタン和平合意文書であります。 この二つの協定は、一九八〇年代の初めから先鋭化の一途をたどってきた米ソの東西関係に新しい転機をもたらすものではないかとの期待を呼び起こしています。INF全廃条約は、アジア・極東地域に配備されたソ連の地上発射中距離弾道弾SS20、百六十二基及び同短距離弾道弾SS12、三十七基の廃棄に道を開くものです。これを転機に、米ソ両国が現在交渉のテーブルについている戦略核半減の画期的軍縮措置を達成できれば、これはアジア・太平洋地域における国際軍縮を一段と促進することになります。 周知のように、アジア・太平洋地域は、不幸かつ悲惨な地域紛争の温床となっているのであります。カンボジアにおけるベトナム軍と民主カンボジア三派軍の果てしなき闘い、アフガニスタンにおけるソ連・政府軍と反政府軍との死闘、終わりなきイラン・イラク戦争などがそれです。しかし、アフガニスタン和平合意文書調印によって、これらの地域紛争終結への期待が高まっています。だが、アジア・太平洋における国際的枠組みの複雑性を看過することはできません。ヨーロッパにおける米ソ間並びにNATOとワルシャワ条約機構の間に見られる明快な東西対決の構図とは全く異なり、このアジア・太平洋地域には、米ソの東西対立のほかに南北間の対立、宗教、宗派、地域、イデオロギーなど複雑、多様な紛争要因が交差しているのであります。したがって、これらの複雑な対立要因を一つ一つ解消する粘り強い努力と、多彩かつ創造的な軍縮外交の展開が必要であると言わなければなりません。 次に、多彩かつ創造的な軍縮外交の必要性についてであります。 今日のような時代において日本に期待されているのは、多彩かつ創造的な軍縮外交の展開であります。INF全廃条約やアフガニスタン和平合意文書調印のチャンスを生かして、米ソ両国にその戦略核半減を強く迫らなければなりません。日本周辺の空海域は文字どおりに米ソの戦略核や戦域核の火薬庫と化した観があるのであります。日本からアリューシャン列島を経て北米大陸に臨む広大な海洋には、米国のオハイオ級原子力潜水艦がトライデントミサイルを抱いて遊よくしています。他方、オホーツク海は、ソ連太平洋艦隊の海洋要塞であると言われ、デルタⅢ級原子力潜水艦やヤンキー級原子力潜水艦がそれぞれ多数の海洋発射弾道弾を抱えて潜航しているのであります。このほかにも、しばしば横須賀海軍基地に寄港する米国のロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦や横須賀を母港とするイージス艦など各種水上艦艇は、トマホーク核ミサイルを多数搭載しております。また、ソ連太平洋艦隊に増強配備されているバックファイア爆撃機やキーロフ級超大型原子力巡洋艦なども、類似の核巡航ミサイルを搭載しているのです。 INF全廃条約は、日本周辺に集積された米ソの核戦力の全廃に道を開かなければなりません。来るべきモスクワでの米ソ首脳会談に対して、日本は声を大にしてその戦略核半減から戦略核廃絶への決断を迫るべきです。しかし、単なる戦略核半減は、米ソが互いの本土を標的とする核ミサイルの近代化に手をかす結果になることは考えられます。これまで一つの目標を破壊するのに三発の戦略核弾頭が必要であったとしても、米国のMXミサイルやソ連のSS24などの新鋭ミサイルは、一ないし二発の核弾頭で同一の目標を破壊できると言われています。米ソの戦略核ミサイルの近代化は、それぞれの核攻撃力を同一水準に維持したままで、その戦略核弾頭数を上限六千発にまで削減することを可能としているのです。日本国民が要求する戦略核半減は、このようなまやかしのものであってはなりません。 三つ目は、アジア・太平洋の地域紛争解決への展望についてであります。 次に、日本外交に期待されるのは、複雑、多様な紛争要因が交差するこのアジア・太平洋地域において、それぞれの地域紛争の終結と公正な政治解決への道を模索することにあります。まず、隣接する朝鮮半島においては、ソウル・オリンピックの開幕を目前にして、南北間の自制と和解が強く求められています。そもそも、南北間には一九七二年七月四日に取り交わされた南北共同声明があります。これは、自主・平和・民族的大団結による統一原則をうたい上げ、南北が相互の国家的存在を暗に認め合った歴史的文書です。日本が果たすべき役割は、南北のいずれかに一面的にコミットメントするのではなく、この南北共同声明の精神に立脚する南北間の対話、和解努力を粘り強く支援、促進することにあると言わなければなりません。韓国における民主化努力は、多くの曲折を伴いながらも、次第に実りある成果をもたらすものと期待されます。北の共和国においても、対外経済開放への歩みは不可避であると見られているのであります。民主化と対外開放への道を歩む両国の間にこれ以上の不和と対決を醸し出してはならないのです。 昨日、盧泰愚大統領は、任期中に南北の融和を期待することができるだろう、そのために頂上会談を開くよう提案するという意思表明がなされました。 非同盟中立政策を標傍するASEAN諸国のカンボジア紛争解決への努力を実りあるものにするために、日本には格別の役割が期待されているのであります。カンボジアからの外国軍の早期撤退を促進し、非同盟・中立のカンボジアの実現に向けて国際的な努力を傾けるところに日本外交の新しい役割があると言えます。 アフガニスタン和平合意文書調印は、アフガニスタンにおける内戦終結への第一歩にすぎないこともまた厳粛な現実であります。アフガニスタンにおける真に民族和解の政府樹立に向けて、軍事紛争の当事者であったソ連政府の国際的責任が問われているのであります。また、米国やパキスタンなど周辺諸国政府にもアフガニスタン内政への不干渉の責務が問われているのです。 ところで、最も焦眉の課題は、イラン・イラク戦争を早期終結させ、この地域に和解と恒久的な平和の秩序を回復することです。既に、即時停戦のための国連安保理決議が採択され、国連事務総長による仲介努力も行われていますが、アジア・太平洋の域内における平和国家としての日本の役割が、もっと鮮明に発揮されなければならないのではないでしょうか。幸いなことに、我が国はイラン・イラクの双方に国家関係を維持しております。西側の一員であったとしても、ペルシャ湾岸地域に海軍力を展開している米国や西欧諸国とは異なり、我が国はより公平な仲介者として積極的役割を果す余地があるはずです。そもそもイラン・イラク戦争の発端は、この地域における民族、宗教、宗派などこの地域固有の複雑、多様な紛争要因の上に、米ソの東西対決が波及してきたところに求められるのです。したがって、これらの多重構造を備えた紛争要因の解消には、なお長期にわたる周辺諸国の和平努力と当事国の自制が必要です。しかし、現在燃え盛るイラン・イラク戦争の即時停戦なしには、これらの構造的要因の解決に着手することはできません。 次に、アジア・太平洋非核武装地帯構想についてであります。 ここで私は、ポストINF時代の緊急課題であるアジア・太平洋非核武装地帯構想について言及しなければなりません。ニュージーランドのロンギ政権は、その国内に非核法を制定し、核搭載艦船の寄港、通過を拒否する姿勢を見せています。最近では、デンマーク議会が同趣旨の非核決議を採択しました。これらから明らかなように、米ソの大量の核兵器が蓄積されたこのアジア・太平洋地域において、非核武装地帯設置へのうねりはこれを阻むことができない時代の趨勢となっております。しかしながら、この時代の要請である非核武装地帯構想がいかなるコンセプトに立脚しているかとなると、必ずしも明確ではないのであります。 非核武装地帯構想は、もはやあいまいな言葉の遊戯に終始する段階ではありません。私はここで、このコンセプトの明確化に努め、その具体化に努力を払う所存です。 さて、非核武装地帯構想が実現化するためには三つの条件が不可欠です。第一に、域内における非核保有国と核保有国との緊密な相互協調が要求されます。第二に、域内の非核保有国の安全保障要求が完全に満たされなければなりません。第三に、この地域に米ソ核保有国の緩衝地帯を形成、拡大し、それから米ソの核戦力を等しく引き離すことが不可欠です。この三条件の一つでも欠落すると、非核武装地帯構想の実現は著しく困難なものにならざるを得ません。 まず、第一の条件である非核保有国と核保有国の相互協調の必要性を改めて強調しなければなりません。我が国のような非核保有国が自国の領域をこの非核武装地帯の一部とするためには、具体的に次の四つの条件が必要です。 それは、自国領域内において核兵器の研究、開発、実験、生産を明確に禁止することであります。さらに、自国領内に核兵器並びに核兵器の管理権限の取得など、およそあらゆる種類の核兵器への関与が厳禁されなければなりません。次いで、核兵器の受領、貯蔵、配備や形態のいかんを問わない所有、領海領空通過、一時寄港の厳禁などの非核政策が確立されなければなりません。最後に、この非核武装地帯の境界の確定、国際的検証・管理規定を含む条約の締結、国連総会での承認並びに国内法の制定などがあります。 さらに、核保有国の責務はより厳粛かつ重大であると言わなければなりません。核保有国は、域内の非核保有国に対して、核兵器取得を援助、奨励、勧誘することはおろか、核兵器またはその管理権を移譲することが厳禁されます。もっと重大なことは、我が国などのような非核保有国に対して、核の使用及び使用の威嚇が完全に禁止されなければならないことです。その上に、核保有国はアジア・太平洋非核武装地帯に隣接する自国領内の核兵器でこの地域に照準を合わせることのできるすべての核兵器を撤去しなければなりません。これは、アジア・太平洋地域に隣接する核保有国領土にこの非核武装地帯協定が無条件に適用されることを意味します。こうした二つの要件は非核保有国と核保有国の相互信頼、相互協調があってのみ達成し得るものであります。 第二の条件は、非核保有国の安全保障の問題です。これには、核保有国による消極的保証と積極的保証の二つがあります。 消極的保証は、核保有国が非核武装地帯協定を厳格に尊重し、また非核地帯の諸国に対して、核兵器の使用または使用の威嚇を厳粛に慎むことにあります。しかし、核保有国によっては、この消極的保証を与える代償として、非核保有国の国家的存立にかかわり、その安全保障に死活的な脅威をもたらしかねない政策変更を要求することがあります。これは明らかに核による威嚇の一変種であり、非核保有国の安全保障の消極的保証にそぐわないものであります。非核地帯の隣接地域から、核保有国が自国の核兵器を撤去することと、この無条件かつ絶対的な安全保障の確約こそがアジア・太平洋非核武装地帯成立の成否を握るかぎであると言わなければなりません。 これと並んで、積極的保証があります。これは、万が一にも核保有国の一国が特定の非保有国に対して核使用の威嚇や核使用に訴えたときには、他の核保有国が一致してこれを抑制する責務を負うことです。かつて、一九六八年六月十七日に、核拡散防止条約が署名のために開放されるに当たり、米英ソ三国は、政府宣言を発表し、核兵器の使用を伴う侵略を抑制することを約束すると言っておりますが、これもまた、非核武装地帯設置の前提条件なのであります。 第三の条件は、以上の趣旨に沿って米ソの核保有大国は、その核戦力をアジア・太平洋地域から引き離し、この地域を核のない安全なものにする責務を負うものです。このような厳格な条件を非核保有国並びに核保有国が守ることが、アジア・太平洋地域を核のない安全な地域にすることであります。ポストINFの緊急の課題を今こそ達成するために日本は今こそ積極的かつ創造的役割を果たすべきです。 最後に、軍事技術の日米間の秘密特許合意は問題があるということについてであります。この点については最近の本院商工委員会でも幾たびか取り上げたところであります。 日本の特許はすべて公開されなければなりません。それによってのみ科学技術の進歩を促進するというのが、我が国の大原則なのであります。ところが、四月十二日、日米両国政府は、一、機密指定の軍事技術関連特許の日本側利用に関する交換公文、二、日本国内の秘密保護についての口上書のそれぞれを取り交わし、公開が大前提の日本の特許制度にあえて非公開の例外措置を設けるに至りました。この秘密特許制度には少くとも次の三つの問題があるのでございます。第一に、米国が軍事用に開発したすぐれた技術を日本が独自に民生用に開発するケースがふえているが、この秘密特許制度のもとでは、日本企業の研究開発意欲が大きくそがれる危険性があります。しかも、我が国における特許を秘密にするか否かの判断を米国にゆだねるのは、我が国の主権放棄につながるものです。第二に、米国の軍事秘密特許資料を活用する兵器産業肥大化に道を開くことになります。第三に、しかも米国が提供した軍事特許秘密資料は非公開にとどまり、公開を原則とする我が国特許制度を崩壊させることになるのです。私はこのような危険な秘密特許制度の導入に強く反対するものであり、公開の大原則の堅持を改めて求めるものであります。 以上であります。
○小委員長(堀江正夫君) ありがとうございました。 次に、田英夫君。
○田英夫君 まず、国際情勢の基本的な変化について申し上げます。 かつて第二次世界大戦が終了した以後の世界は、いわゆる東西対立、イデオロギーの対立の構造だったと思います。しかし、今はその時代から多極化の時代、緊張緩和、軍縮の時代へと変わりつつあると言えると思います。その最も根本的な原因は、資本主義も社会主義もそれぞれが完璧なものではないということに世界の人々が気がつき始めたからではないでしょうか。 そうした中で、今最も象徴的な動きとして、さきのアメリカとソ連のINF、中距離核ミサイル、ゼロという合意、そしてさらにこれが進んで戦略核の五〇%削減へと進もうとしているということであります。そしてもう一つ象徴的なものは、ソ連軍のアフガニスタンからの撤退ということが実現しつつあるということであります。 そして、そうした緊張緩和から軍縮へという動きの前ぶれとして、東西対立の時代から変わりつつある世界がまず示したのは、アメリカと中国の対話、そして日本と中国の平和友好条約の締結、さらに中国とソ連の対立の緩和、その背景にはもちろんソ連のペレストロイカ路線、中国の開放政策というものがあるわけでありますが、 〔小委員長退席、最上進君着席〕 こうした一連の基礎の上に立って今世界は大きく転換をしようとしていると思います。 しかし、もちろん一方で、世界がすべてこうした好ましい方向に向かっているということではなくて、我々日本に最も近い朝鮮半島においては南北朝鮮の対立がむしろ激化しつつある、こう見なければなりません。そして、その激化している原因は、この朝鮮半島の緊張を緩和するのではなくて緊張を激化させ二つの朝鮮という状態を固定化させようという勢力があるということであります。そして、この勢力がさきの大韓航空機行方不明事件を引き起こしたと言っていいと思います。 そうした時代の流れに逆行する動きとして、もう一つこのアジアの中にあるのはいわゆるベトナムのカンボジア侵攻であります。この問題については、シアヌーク大統領を中心として解決の方向に向かってさまざまな努力が行われており、前途に光明はあるとはいいながら、今なおカンボジアの国内では病気と飢えに苦しんでいる多数の人たちがあるということを私どもは見逃すわけにはいきません。 〔小委員長代理最上進君退席、小委員長着席〕 そこで、世界が大きく東西対立の時代から緊張緩和の時代に進んでいるということの中でさまざまな事態が起こってきています。 例えばその一つはニュージーランドの反核政策であります。ロンギ政権はさきにアメリカの核搭載艦船の寄港を拒否するということを表明いたしました。これもいわゆる東西対立の時代から新しい時代へ変わりつつあることの象徴と言えるでしょう。そして、いわゆる東側陣営の中の東欧諸国の中からも、ポーランドやユーゴやルーマニアなどでソ連に対して独自の行動をとる動きが目立ちつつあります。 もう一つ、東西対立の時代から新しい時代に変わってきている中のもう一つの動きは、いわゆる民主という言葉で言われている動きだと思います。これはいずれもアジアで起こっています。さきに来日したマングラプス・フィリピン外相の言葉でニューデモクラシーという言葉がありました。まさにフィリピンは二年前のピープルパワーによる民主化によって新しい時代を迎えました。また、隣国韓国でも民主化を求める国民の動きが遂に昨年一九八七年六月二十九日の盧泰愚宣言となって、初めての民主的な大統領選挙が昨年末に実現をいたしました。 こうした動き、つまり民主、ニューデモクラシーという動きは、これからさらにアジアを中心にして発展途上国の中で強まっていくものと思われます。 そして緊張緩和の時代になってきた中で何よりも大きな目立つ動きは、軍縮へのうねりであります。もちろんアメリカもソ連も軍事力拡大が経済的に負担となってきて、それにたえられなくなったという要因も見逃すわけにはいきませんが、もう一つ軍縮へのうねりを強めたのはいわゆる草の根の核軍縮運動であったと思います。 かつてヨーロッパでソ連のSS20が配備をされたのに対して、これに対抗をしてアメリカのパーシングII巡航ミサイルの配備がむしろ草の根核軍縮の火つけ役になったといういわばある意味では皮肉な動きがありました。そしてこの草の根の核軍縮運動が燎原の火のように世界に広がりました。こうした動きがむしろ根底にあって軍縮へのうねりを高めたと思います。先ほど触れましたニュージーランドの反核政策もこうした中で生まれてきたものだと思います。 さらに、南太平洋非核地帯、いわゆるラロトンガ条約が締結されたということもこれまたそうしたうねりの中の一つのあらわれであります。一九六〇年代に結ばれた中南米非核地帯、トラテロルコ条約に続いて結ばれたこのラロトンガ条約によって南太平洋は、南極条約による南極の非基地ということを含めて南半球は広範な非核地帯を持つに至っています。 もう一つ注目すべきことは、フィリピンにおいて反核法案が議会に、上院に提出をされているということです。この際、その一端を御紹介したいと思います。 フィリピンは、アキノ政権が誕生して、昨年新しい憲法を制定いたしました。その新憲法第二章第八条は、フィリピンは国民の利益に沿い、フィリピン領内における非核兵器政策を追求する、こう定めています。この憲法の条文をもとにしてフィリピン領内における非核政策の採用を宣言したフィリピン憲法第二章第八条に違反する行為に対して罰則を科す法律、こういう法律を上院議員のボビー・タニヤーダ氏が上院に提出をし、これにはサロンガ上院議長を初め合計十人の上院議員が署名をしております。フィリピンの上院は定員が二十四人ですが、マングラプス氏が外相に就任したために、規定によって上院議員を辞任いたしましたので現在は二十三人。その中で十人が署名をしているということは、常識的には、与党絶対多数の状況の中でもあり、これは成立するという可能性が極めて高いと言わなければなりません。この罰則を科す法律は、フィリピン国内に核兵器を持ち込んだり貯蔵したり保管したりすることを許した者に対して、十年ないし十五年の禁錮刑に処すというのが根幹になっています。 さらに、これに伴ってもう一つ別の法律が提出をされています。それは、核兵器監視法という法律であります。同じくタニヤーダ上院議員が提出をしたものでありますけれども、それによりますと、核兵器監視委員会を設置し、委員は大統領が任命する、委員長一名、委員二名から成る委員会で、委員長には核軍縮問題の専門家、そして委員の一人は科学技術の専門家、もう一人はフィリピンにおける核兵器反対運動を行ってきた人が望ましいという内容になっておりまして、この核監視委員会は、核兵器を積んでいるかどうかを軍艦あるいは航空機の艦長ないし操縦士、司令などにただすことができる、そしてそれを証明することを拒否したり抵抗した者に対してはフィリピン領内への立ち入りを禁止し、またフィリピン領内から直ちに離れるよう要求することができる、こうした内容になっているわけでありまして、これはフィリピンにもニュージーランドに続いて新しい非核地帯ができるということにつながるわけでありまして、極めて注目すべき動きと言わなければならないと思います。 そこで、こうした緊張緩和の状態の中で日本はいかにあるべきかということを考えてみたいと思います。そして日本の外交の基本は平和外交でなければならないし、緊張緩和のためにすべて努力を集中しなければならないと思います。したがって、これ以上防衛力を増強しない、GNP一%を厳守するということが絶対に必要になると思います。また、アメリカの世界戦略の一翼を担うということであってはならないと思います。 具体的に言えば、まず最も近い朝鮮半島においては南北朝鮮の緊張緩和ということのために努力しなければならないと思います。その一方とだけ友好を強化するということであってはならないし、むしろ北朝鮮とは人的、文化的交流を深めるということによって緊張緩和を実現する努力をする必要があると思います。 また、いわゆる中韓橋渡し、中国と韓国との間の橋渡しをするということについては、さきに東京で行われました中国と日本側の国際問題の専門家によるシンポジウムで、中国側の国際交流協会の張香山会長は明快にこれを否定しております。したがって、こうしたことに日本が役割を担うということは、むしろ北朝鮮を孤立化させ、朝鮮半島の緊張激化につながるということを配慮すべきだと思います。 そして、核軍縮について、日本は唯一の被爆国として最も積極的な政策をとるべきだと思います。その意味で、私は三年前に、非核国家宣言を行うべきだということを提言いたしました。 それは、日本が唯一の被爆国として、絶対に核を持たない、つくらない、持ち込ませないといういわゆる非核三原則を厳守するということを内容として世界に宣言をするということです。そして、この非核三原則にもう一つ、核攻撃を許さないという条項を加えた非核四原則を打ち立てて、これに基づいて核保有国との間に条約を締結することが必要だと思います。つまり、非核三原則のうち、つくらず、持たずはみずからの決意によってできますけれども、持ち込ませずということ、そして新たに加える核攻撃をさせずということは、核保有国との関係の中で成り立つことでありますから、この持ち込ませず、核攻撃をさせないということを内容として核保有五カ国との間に条約を締結する。非核国家宣言とこの非核条約ということによって日本が完全な非核国家を守り切れるということであります。 以上です。
○小委員長(堀江正夫君) ありがとうございました。 次に、当小委員外の委員でございますが、関嘉彦君の意見開陳を願います。
○小委員外委員(関嘉彦君) この小委員会は外交・安全保障に関する特別調査会の中の一分科会として、特に外交と軍縮に関することを主として論議するものであります。したがって、これから述べますことは、昨年、昭和六十二年三月十三日の親委員会で私が述べましたこと、すなわち、安全保障とは何か、特に日本にとってのその意味、社会体制と平和との関係、第二次大戦後の国際情勢、軍事情勢の認識、国際経済情勢、近隣諸国の情勢分析などを前提にいたしまして、それから展開したところの議論であります。重複する点は省略いたしますので、前回の議論を参照しつつお聞き取り願いたいと思います。 まず最初に、前回触れなかった外交のあるべき姿、特に日本のそれについて述べておきたいと思います。 外交という言葉は、ある場合には対外政策、別な場合においては対外的交渉、そういった意味に使われておりますけれども、ここでは通説に従いまして、外交とは交渉による、すなわち戦争によらざる国際関係の処理であると定義いたします。その意味で外交は戦争の反対概念でありますけれども、しかしそれは対外関係処理の方法における違いであって、目的については両者は密接に関連しております。すなわち、かつてはマキャベリの「君主論」に代表されるごとく、主権国家はその威信、権力、利益の拡大を目的とし、それをある場合には暴力により、また別な場合、それが自国に不利な場合は交渉によって達成する、その後者の場合を外交と言っておりました。したがって、交渉の方法も、うそをつくこと、恫喝、すなわち強者に対してはキツネのごとくずるく立ち回り、弱者に対してはライオンのごとく威圧するのが外交でありました。しかしその後、徐々に国際的共同意識が、国際法や通商関係の密接化と因となり果となって発達してまいりました。道義的要素が強まってきたという意味においては進歩と言えるでしょう。そして現在においては、漸次、国家間で可能な限り武力に訴えることを回避し、相互利益の調整に努めるようになり、その交渉も、率直な討議、公正な妥協を図るように、少なくとも先進民主主義国においてはそうなりつつあります。もっとも、このことは外交において力の要素がなくなったということではなしに、特に民主主義でない国との外交においては力の要素も欠かせませんけれども、工業民主主義国においては、より理性的になりつつあると言えると思います。 第一次大戦後に誕生しました国際連盟は、この種の協調外交を集団的に行い、戦争の防止を図る機関でありましたが、十分に機能せず、その反省の上に立ってつくられた第二次大戦後の国際連合も、戦争防止の面でこそ十分に機能しているとは言えませんけれども、その他の人道的活動、文化交流、経済開発などの面ではある程度の成果を上げてきております。これも多面的外交の進歩と言うことができると思います。 第二次大戦後再生しました日本の外交も、この世界の潮流に沿ったものでなければなりません。特に前大戦の誤りを反省した日本は、一九二八年のパリの不戦条約の精神にのっとり、国際紛争解決の手段としての戦争を放棄しました。したがって、日本の国家目的の実現は平和的な外交による以外にはないし、世界平和の実現を目的とすべきものであります。ただし、そのことは国家の主権を放棄し、他国の侵略に屈従することではございません。侵略に備えての自衛力は必要であります。しかも第二次大戦後の世界的規模での戦争の危険が、共産主義を国是とするソ連共産世界と、自由民主主義を国是とする米国を中心とする自由世界の対決から生じている以上、日本としては、その憲法体制を擁護する限り思想的には自由世界に所属しなければなりません。しかも日本の地理的位置を考える限り、米ソ間の戦争の際、中立を維持することは不可能であります。重武装を放棄した日本の自衛力の足らざるところを補完するためには、日米安保条約は、少なくとも現在のところ必要であります。 なお、この問題については安全保障小委員会での意見陳述の際に詳しく述べることにしまして、ここではそれ以上触れません。 次に、対ソ外交と軍縮交渉の問題について述べます。 以上述べたように、日本の外交の基軸は自由世界との協力、中でも日米安保条約の堅持であります。その意味で、日本とアメリカ、EC諸国との間においては、後に述べますような紛争の種となる経済摩擦を軽減することが緊急の課題であります。しかし、日本の外交の重要課題はそれに尽きるものではありません。世界の緊張の緩和、特にソ連との間の関係改善であります。日ソ間には北方領土問題があるのみでなしに、社会体制の差から生ずるところの相互不信があります。しかし、このことは、ソ連圏に対して敵対的態度をとり続けることを意味しません。いかに共産主義を国是としている社会でも、万物は流転するとのことわざのごとく、人間性に逆らう制度をいつまでも続けることはできません。ソ連においても、国民の経済的生活水準向上の欲求を長く抑えることができない限り、現在のごとき中央集権的経済組織は内部から改革され、経済的により自由な社会に変わらざるを得ないし、それは政治体制にも何らかの反作用をもたらすと考えられます。ゴルバチョフが政治権力を掌握して以来実行しているところのペレストロイカ及びグラスノスチはその変化のあらわれであります。 自由世界と共産世界の対立の根本原因は、その双方のイデオロギー及び体制の対立が生むところの相互不信にあります。ソ連の国内改革が現体制の効率化を出発点とするものであったにしても、その論理的帰結は、ソ連社会をより開放的社会、それは必ずしも自由民主主義社会とは言えないにしましても、開放的社会に向かわせずにはおかないでしょうし、その方向に向かうことは、両世界の間の信頼性の回復に役立つものと考えられます。 この観点から歓迎すべきことは、米ソ間の軍縮交渉の進展であります。各国が軍備を持つのは紛争の種が存在することから生ずる相互不信の結果でありますけれども、同時に軍備が相手国に対し恐怖と猜疑心を生む。それゆえに、特に米ソ間の核兵器を含む軍縮交渉が成功することはそれだけ相互間の不信を軽減するに役立つでしょう。昨年、米ソ間で調印され、近く両国で批准を終えると思われるところのINF廃止協定は、廃止される核弾頭の数でこそ全体の数%にすぎないとはいえ明るい展望を与えるものであります。しかし、これが直ちに核兵器の全廃、全面的軍縮に至ると考えるのは楽天的に過ぎます。長らく続いた、そして現在においても決して解消したとは言えない相互不信を減少していくためには、軍縮は何よりも相互的に、段階的、しかも検証つきで行われねばなりません。 さらに、今度のINF交渉の経過を見てみますと、現実世界における軍縮は単なる平和のデモや抗議のみでは実現し得ないことが明らかであります。すなわち、一九七〇年代の終わりごろから、ブレジネフ時代のソ連がまず中距離核を東欧諸国に配備し、それに脅威を感じた自由諸国が二重決定、すなわち一方において中距離核の全廃を迫りつつも、他方においてそれにソ連が応じないときは、西ドイツその他のNATO諸国にパーシングII、巡航ミサイル等を配備することを決定し、一九八三年西欧諸国内における平和主義者の抗議を押し切って配備を始めました。そのことが一たびジュネーブの軍縮交渉のテーブルをけったソ連をして一九八五年再び交渉のテーブルに戻らせ、紆余曲折の後に協定成立にまで持ち込んだわけであります。軍縮を望まないものはいませんけれども、その実現の方法は、平和主義者の非難にも負けずに自由世界が団結し、レーガン大統領や西ドイツのシュミット元首相らの現実主義的姿勢を支持したことであります。冷厳な国際政治の現実を銘記すべきであると思います。 重装備を持たない日本は、核兵器削減交渉の主役にはなり得ません。しかしこのことは、日本として世界の軍縮に何ら寄与し得ないことを意味しない。第一は、自由世界の団結を維持しつつも、国連の軍縮委員会その他の機会において、軍縮を望む日本の世論を諸外国に訴えることであります。第二は、日本の持つ優秀なハイテク技術を活用して、もし検証などの手段提供に役立つものであるならば、それを進んで行うべきであります。第三は、日ソ間において文化交流を相互的に促進し、ソ連のグラスノスチを間接的に助けるとともに、軍事力の増強につながらない限り、民需物資の貿易拡大並びに経済開発に協力し、ペレストロイカを助けることであります。 次に、経済外交と文化交流の問題について述べます。 日本は戦後いわゆるパクスアメリカーナ、すなわちアメリカの強大な軍事力に守られた平和及び自由貿易体制のもとで、驚異的な経済成長を達成して経済大国になりました。今後も日本が発展し得るためには、平和に支えられたところの自由貿易体制、単に財貨のみでなくサービスをも含めた意味ですけれども、それを維持していかなければなりません。しかし、一九七〇年代以降、日本の経済力の上昇とアメリカの経済力の相対的低下の結果、自由世界内部において、特に日米間において貿易摩擦が顕在化してまいりました。これを放置しておくことは、アメリカの保護貿易主義化を招きかねないし、さらにそれは自由世界の団結にもひびを入れかねないわけであります。 この意味で、種々の形をとって継起してくる経済摩擦に対しては、合理的に解決する原則を樹立しておくべきであると思います。今まで日本は、主として重要な貿易相手であるアメリカの要求に応じて摩擦を解消してきた。それはやむを得ないことであったと思いますけれども、日本がアメリカに次ぐ経済大国になった今日では、明白な原則を樹立しておくべきであると思います。その場合の原則とは、IMFと関連しているガットの自由貿易の規定であります。ガットの規定というのは次々にそのときの状況に応じて補足されてきましたために、必ずしも体系的でなしに、また十分でもございませんけれども、その点は関係国と協議して強化していくとともに、日本はみずからその精神に従って門戸を開放するとともに、アメリカ、EC諸国に対してもその規定の精神に従って行動するよう訴えていくべきであります。もちろん国内では、今まで保護を受けていた産業で打撃を受けるものも生ずる。その犠牲に対しては国内措置によって援助することはもちろんでありますけれども、日本が自由貿易の先頭に立つ姿勢が必要であると思います。今までの農産物についての政府の交渉態度を見ていると、未決断のまま懸案解決を先延ばしにし、結果として不利な条件で譲歩を強いられていることが多いわけであります。政府は、国内関係団体の圧力に屈することなく、自由化に向けてリーダーシップをとるべきであります。それとともに、財貨の輸出先及び資源の輸入先が特定国に集中することは、交渉力を弱めるのみでなく安全保障上も問題があります。それを防ぐため、政府は資源開発、市場開拓などについて政策的誘導を行うべきであります。 なお、経済外交としていま一つ重要な柱は、発展途上国に対する開発援助があります。これは人道的要請であるのみでなしに、日本の安全保障上の問題でもありますけれども、この問題は国際経済・社会小委員会において取り上げましたのでここでは割愛いたします。 このほか、すべての国との友好関係を維持する上で必要なことは、学問文化の交流であります。最近日本人は、アメリカに目を奪われる余りヨーロッパ諸国の文化を軽視しがちでありますけれども、アメリカ文化の源泉となっているヨーロッパからは、なおその制度や文化から学ぶべき点が多いと思います。発展途上国を含めて多くの国との間にも文化の相互的交流につき積極的に活動するとともに、政府は自治体レベル、民間レベルでのそれらの活動をも支援すべきであります。 さらに国際化の重要な核をなしております人間の相互交流にも政府は積極的に取り組み、技術者、研究者などの入国資格の緩和、長期滞在資格の緩和などに努めるべきであります。特に最近急激に増えつつあるアジア諸国からの留学生に対しては、彼らが安心して勉強できるよう官民協力した一層の努力が必要であります。ただし、いわゆる単純労働者の入国は、低賃金労働あるいは日本人の労働条件の悪化、人種差別の偏見など国際化に対して逆効果を生む危険が非常に多いわけであります。外国人労働者の無制限な移入のために、現在社会経済上の困難に直面している西ドイツの経験から学ぶべきであると思います。 次に、近隣諸国との外交について述べます。 さらに日本としては、その近隣諸国、特に中国との外交関係に特別の配慮をすべきであります。近隣諸国は、前大戦中あるいはそれ以前から、大なり小なり日本からの損害を受け、あるいは民族的自尊心を傷つけられた国であります。加害者は忘れやすいけれども、被害者はいつまでも忘れがたいし、特に新興国の場合にはその民族的自尊心が非常に強い。日本は、これら近隣諸国が少しでも自由な開放された国として自立し得るように、経済的に援助するのみでなしに、心と心との交流を進めるべきであります。その場合、日本人はその過去にかんがみて、彼らの自尊心を傷つけるような言動や援助の方法についても慎重な注意を払うとともに、日本の自衛力につき不必要な誤解を与えるごとき言動を慎しむ必要があります。このことは、日本人が卑屈になることではない。主張すべきことは主張すべきでありますけれども、その主張の方法について格段の注意を払うことが必要であります。 さらに、南北に分断されている朝鮮半島の情勢は、他の地域以上に注意を払う必要があります。もし朝鮮半島に戦火が起これば、日本に飛火しないという保証もないし、仮に釜山がラングーン事件や大韓航空機撃破事件のごとく国際情勢を無視した行動の多い朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の支配下に置かれることになりますと、日本の安全にも重大な脅威となります。日本は韓国と共同防衛は行い得ませんけれども、南北の緊張緩和に可能な限り努力するとともに、それに役立つごとき措置を韓国の意見を参照しつつ行うべきであると思います。 次に、国連外交について述べます。 いま一つ日本が力を入れる必要のあるのは国際連合の活性化であります。国連は、残念ながら安全保障の面では、創立当時期待されたほどの業績を上げておりませんけれども、その他の面ではかなりの活動を行っていることは先ほど述べたとおりであります。日本としても、その活動のむだを省くための改革を提言して、その活性化を図りつつも国力に相応した負担を分担しなければなりません。また、その分担金に応じた日本人の国際公務員を増加し、その発言力を増加していくべきであると思います。また、国連の行っている平和維持活動についても、憲法の精神に反しない限り自衛隊を派遣して協力すべきであると思います。金さえ払えばそれでいいんだという態度は諸外国からの軽べつを招くでありましょう。 最後に、これらの外交を進める上で必要なスタッフと資金を増加すべきであります。行政改革の間にも外交関係のスタッフやODAの予算は増加してまいりましたけれども、外務省の人員はなお他の先進諸国に比べますと劣っております。その充実を図るとともに、特に必要な情報収集については経済活動に従事している民間企業とも連絡してその活動の強化を図るべきであります。 また、現在国家公務員に外国人を採用することは、大学教授や研究員を除き認められていないために一年契約の嘱託として以外外国人採用の方法はありませんけれども、文化広報活動の部門などにおいては人材を確保するために外国の知識人を積極的に採用する方法を検討すべきではないかと思います。 最後に強調しておきたいことは、平和外交においても、否平和外交であればこそ国家の品位を大切にすることであります。金もうけのためには手段を選ばずといった風潮が戦後の日本人の間には強いけれども、最近の東芝機械のココム協定違反の輸出事件であるとかアパルトヘイトを行っている南アとの貿易額が他国に比して減少しない、そういった現象は、日本が貿易のためには手段を選ばずとの印象を与えます。政府がしかるべき対策をとることはもちろんでありますけれども、日本人一人一人が外国人から尊敬されないまでも少なくとも軽べつされないような振る舞いを国の内外において行うことであります。これが日本の国の品位を高める第一歩であると考えます。 以上で終わります。
○小委員長(堀江正夫君) ありがとうございました。 以上で委員の皆様の御発言は終了いたしました。それぞれ率直かつ具体的な御意見をありがとうございました。 なお、公明党・国民会議黒柳明君及び日本共産党吉岡吉典君よりそれぞれ本日のテーマについて意見を開陳した文書が小委員長の手元に提出されておりますので、これを本日の小委員会会議録末尾に掲載することといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十三分散会