外交・総合安全保障に関する調査会安全保障小委員会 第1号
- 発言数
- 38 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1988/04/22
会議録
○小委員長(坂元親男君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査会安全保障小委員会を開会いたします。 安全保障問題に関する件を議題とし、最近の防衛問題について、防衛庁から説明を聴取いたします。 まず、西廣防衛局長。
○政府委員(西廣整輝君) 防衛局長の西廣でございますが、本日は今国会におきましていろいろと御論議のありました有事来援研究の問題につきまして御説明をいたしたいと思います。 御承知のように本年一月、瓦防衛庁長官がアメリカを訪問いたしまして、カールッチ長官と会談を行ったわけでありますが、その際防衛庁側の方から、瓦長官の方から日本有事における米軍の来援の問題について、今後、より研究を深めていきたい、研究を始めていきたいという提案をいたしまして、カールッチ長官の方からそれに対して同意があったわけであります。 そこで、今国会予算委員会等におきましても何度か御質問があったわけでございますが、なぜこの時期にこの種問題を取り上げなくちゃいけないかという点について簡単に御説明申し上げたいと思います。 御承知のように、そもそも東西、東側と西側との戦略というのは戦後長い間非対称的な戦略をとられていたというように言われております。戦後すぐの状況をお考えいただければ明らかでありますけれども、西側はどちらかというとアメリカの持っております戦略核抑止力、これに依存をする防衛戦略をとっておった。一方東側の方は、当時まだ、戦後すぐは核を保持しておりませんでしたから、そういった核の脅威等に対して国境線近くに膨大な通常兵力というものを常時維持をして、いざというときは例えばヨーロッパ、西欧を取り込んでしまって、西欧の国民を人質にして対抗するというように、極めて非対称的な戦略をとっておったわけであります。それが、逐次ソ連の核戦力というものが向上してくるにつれて、現在はいわゆる非対称的な戦略というものが対称的な戦略に変わりつつある状況にあるというように御理解いただければいいと思います。 このはしりはSALTIIでありまして、その段階でいわゆる戦略核戦力というものについては、東西が、米ソの間がパリティになった。つまり、戦略核戦力については両方の力というものが中和されてしまった。残るのは中距離核なりあるいは戦域核あるいは通常戦力がどういうバランスにあるかという問題になってきたわけであります。そして御承知のように、一九七五年、ヘルシンキ会議というものが行われました。これは、アルバニアを除くヨーロッパのすべての国とアメリカ、カナダの計三十五カ国が参加した会議でありますが、その会議でいわゆる中央ヨーロッパ、中央部における相互兵力削減というものについてヘルシンキ合意というものがなされたわけでありますが、それから間もなく、一九七七年ごろになってソ連が従来から配備をしておったSS4あるいはSS5、そういった中距離核に加えてSS20の配備を始めた。さらにはバックファイアが運用されるようになったということで、中距離核というものが非常に注目されるようになったわけであります。 これが東西の戦略にどう影響したかといいますと、御承知のようにSS4とかSS5といった中距離核というのは命中精度が余りよくなかった。数千メートルの、CEPでいいますと命中精度の誤差があった。それがSS20になると二百メートルとか、そういった一けた違うオーダーの精度を持ってくる。ということになりますと、西側がかねがね考えておった、通常兵力の劣勢というものを戦術核あるいは戦域核、そういったショートレンジの核兵力によって対抗しようというものが、SS20、中距離核の先制攻撃によってねらい撃ちにされてしまう。ということになると、戦略核はもうパリティである、さらには通常兵力の劣勢を補おうと思っておった戦術核についてもそれが無力化してしまうということで、西側は非常に脅威といいますか、を感じたわけであります。 そこで、一九七七年に、シュミット前西独首相がイギリスの戦略研究所で行った西側が長年持ってきた戦争抑止のためのシステムというものの根幹が揺らいできたという有名な演説がありまして、非常な危機感を覚えたわけであります。それがその後の一九七九年だったと思いますけれども、NATOの二重決定というものにつながっていった。つまり、東西間で兵力というものの削減をしていかなくちゃいけない。しかし、そのためにはまず東西間の兵力バランスというものを回復して、しかる後にソ連を軍縮のテーブルに着かして削減していこうという有名な二重決定というものがなされたわけであります。 そういう経過を踏んで、昨年INFというものの全廃ということが決まったわけでありますが、そこで先ほど申した東西の戦略を戦略核、中距離核、それから戦術核、通常兵力というレベルに輪切りをして眺めてみますと、かつて極めて非対称的な戦略をとっておったものが、既に戦略核についてはパリティ、お互いに中和状況にある。そしてINFにつきましては、仮に昨年の合意が実施に移されれば双方ゼロということでありますからここもまさに相似的になる、対称的になってしまう。 そうすると、残るところは戦術核と通常兵力でありますが、戦術核につきましてはSS20に続いて、最近といいますか、ここ数年来、ソ連は非常に力を入れておりまして、ほとんど東西間の差異はないというように私ども考えておりますが、としますと、残るところは通常兵力のアンバランス、西側の劣勢というものだけが際立ってくるという状況に立ち至っているというのが実情だろうと思います。 もちろん、今後さらに戦略核のより低いレベルでの均衡あるいは通常兵力の軍縮という方向に進まなくちゃいかぬわけでありますが、現状におきましては東西間では明確な形で出ているのは通常兵力の不均衡、西側の劣勢というものがやはり目立っていると言わざるを得ないんではないかということであります。 とすれば、この時期、日本の防衛政策としましても、やはり通常兵器レベルでの抑止というものの確実性、日米安保のクレジビリティーの向上というものが極めて喫緊の問題であるというように私どもは考えておる次第であります。 さらに、防衛庁におきますもろもろの作業の現状から申しましても、御承知のようにガイドラインというものができて、日米共同対処についての各種の研究がスタートして以来、作戦計画研究というものを行ってまいりました。その中で、やはり作戦計画を具体的に立案するあるいはそれの信頼性というものと申しますか、そういったもののクレジビリティーを確保するゆえんは、やはり有事の際に米側の支援がそれぞれの陸海空という軍種でどの時期どれだけの規模が来るかということがやはり作戦計画そのものの核心をなす部分であるということは否めないわけでありまして、その分野についての詰めというものがまだ十分なされていないということは現在行われておる研究というものがまだまだ砂上の楼閣にすぎないということでありまして、この辺をやはり何とかしなくちゃいかぬという、内部的な作業の順番からいってもこの問題を取り上げる時期になったということで今回取り上げられたわけであります。そこで、有事来援研究というのはあくまでやはり作戦計画の研究、これの延長線上、その一環のものであるというようにお考えをいただくことになろうかと思います。 さらに、今国会で、いろいろ問題になりました点を二、三申し上げますと、この来援計画研究、つまり先ほど申したように、米側の陸海空それぞれの軍種の来援というものがどの時期にどのぐらいの規模で来てくれるかという研究をするわけでありますけれども、それに関連をして、いわゆるHNS、日本側の受け入れ国としての支援、そういったものが必要になるではないかという御質問が多々出ました。これは平時における受け入れ国の援助あるいは有事におきます受け入れ国の援助、双方あろうと思いますが、そういった問題が必ずこれに関連してあるんではないかという御質問がありました。 それに対しましては私どもの方から、それはそのとおりだと思いますと。例えば、来援を容易にするための一つの手段としてポンカス、いわゆる装備の事前集積というようなことを考えますれば、その集積を平時から行うための何らかの新たなる施設の提供であるとか、場合によってはそういった集積されておる装備の管理といったようなことについて新たな受け入れ国としての支援というものが必要になるかもしれぬということは国会でも申し述べているとおりであります。 さらに、有事になりますれば、その来援した部隊が行動するために、あるいは来援をすることがないにしても現に駐留しております在日米軍というものが日本防衛のために行動する際に、もろもろの受け入れ国としての支援というものが必要であろうということはまあ当然考えられるわけであります。 しかし、この種支援の問題につきましてはやはりそういうものが必要であるということは実はガイドラインの中でも認めておりますし、この種の研究が必要であるということもガイドライン作成当時から決めておりまして、これらの問題は、例えば作戦計画の研究、インターオペラビリティーの研究、そういったもろもろの研究をやっていく段階でそれぞれのオペレーションなり、そういった研究の中で日米相互が支援しなくてはならない事項というものがたくさん出てくるだろう。そういった事項というものが出そろったとき、洗い出しが終わったときに改めて支援のための研究をやるということがガイドラインに定めてありますので、それらの研究と、私ども有事来援の研究とは関係がないとは申さない、極めて関係が深いと思いますけれども、有事来援研究そのものでそれは扱わない、これはいずれ日米間の相互支援の問題として一つの研究のテーマ、独立したテーマとしてやるというようにお答えをしておるし、そのつもりでおる次第であります。 時間の関係がありますので取り急いで申し上げますが、もう一点、有事法制の関係について申し上げたいと思います。 有事来援に伴って日本国内で彼らが行動するために有事法制が必要ではないかという趣旨の御質問等いろいろ受けました。私どもの有事法制、いわゆる米軍の行動にかかわる有事法制の問題についての考え方の整理はこれから申すようなことであります。 それは、有事来援、新たな来援があるなしということにかかわらず、有事、米軍は自衛隊と共同して対処し行動するわけであります。したがって、有事来援のあるなしにかかわらず、在日米軍そのものが日本と共同して日本有事の際に戦ってくれることは当然でありまして、その際に何らかの有事法制的な手当てが必要であろうということは当然予側されるところであります。しかしながら、この有事におきます米軍の行動にかかわる法制というものは、私どもの見るところこれは自衛隊の行動と共同対処でありますので、米軍が日本国内で自衛隊と極めて異なった行動をとるということはまず考えられない。そういったことは考えられない。多分、自衛隊がとるであろう行動の内枠の中で重なり合っているであろうというように私どもは考えております。 したがって、米軍の行動に伴う法制というものは、その問題点というものは、自衛隊の行動にかかわる法制の研究を今いたしておりますが、その問題の研究が終われば、問題点としてはそこですべて洗い出されるんではないか。あとは立法技術上の問題だけであるというように考えておりますので、現在自衛隊の行動にかかわる有事法制の研究を鋭意やっておる最中でございますので、それと並行して米軍の行動にかかわる有事法制の研究をやる必要はないであろう、二本立てでやる必要はないであろうというように思っておりますし、また、いずれにしましてもその種国内法制上の問題を米側と研究をするといったような必要性もないというように考えておるわけであります。 若干蛇足になりますが、有事法制について申し上げますと、有事における必要な法制というのは、私は大きく分けて三つあろうかと思っております。 一つは、有事におきます国民全般にかかわる必要な法制であります。これは何も自衛隊の行動であるとか米軍の行動とかかわりなしに国民が生存していくために必要な、あるいは国家の制度として必要なもろもろの法制であろうと考えております。しかし、これは現在全く研究いたしておりません。 と申しますのは、現在の有事法制研究というのは自衛隊の行動に伴って必要になる法制の研究をさせていただきたいということを防衛庁から申し出て、総理のお許しを得て始めているものでありますので、自衛隊の行動とかかわりのないもろもろの法制という研究は全くなされていないわけであります。 それはどういうものがあるかといいますと、例えて申しますと、これはもう研究するまでもなく現在の自衛隊法で既にできております法制の中に、自衛隊の行動のために、例えば輸送機関であるとかあるいは医療機関であるとかいうものを利用する、使用する、そういう事業に従事させる、あるいは自衛隊の行動のために土地を使用する、物資を徴用するといったような規定が既に自衛隊法でできておりますが、それは自衛隊の行動のためであって、例えば国民が生存していくために食糧を輸入しなくちゃいかぬ。その国民のために輸送機関を使用する、輸送に従事をさせるといったような法制はできていないというようなことでありまして、その種国民一般にかかわる問題は全くまだ手つかずでおるし、現行法制の中にも全くそういったものは見当たらないというのが実情であります。 繰り返すようでありますが、現在やっておる法制研究というのは自衛隊の行動にかかわるものである。そのうち終わったのは、自衛隊、防衛庁自身の法律については問題点の洗い出し、研究は終わりましたし、現在現行法として各省庁が持っておられる法律、それについての問題点の洗い出しも終わっておる。あとは自衛隊の行動にかかわる、現在存在しない法律について何か必要があるかないかという研究をいたしておるという状況であります。 三番目が米軍の行動にかかわる法制でありますが、これは先ほど申し上げたように、問題点の洗い出し、研究等については、自衛隊の行動に伴うものが終わればおのずからその枠組みの中で米側のものも考えればいいんであって、あとはその法律の対象であるものが自衛隊でなく米軍であるということで、立法上の技術的な問題というものはあろうと思いますが、それらは事務的な問題でありますので、法制研究という形ではさほど大した問題ではないんではないかというのが私どもの考え方です。 以上、かなり時間を超過したようでありますが、私の御説明を終わらせていただきます。
○小委員長(坂元親男君) ありがとうございました。 次に、日吉経理局長。
○政府委員(日吉章君) 経理局長の日吉でございます。 私の方からは昭和六十三年度予算の重点施策について御説明を申し上げたいと思います。 なお、お手元に資料としまして「六十三年度予算の重点施策について」と書きましたものをお配りしているかと思いますが、御参照いただければと思います。 まず、六十三年度の予算編成の基本方針でございますが、ここにございますように、一つには、中期防衛力整備計画の第三年度として、その着実な実施を図る。二つには、諸外国の技術的水準の動向に対応し得る質の高い防衛力の整備を図る。その場合特に、指揮通信・情報機能の充実、練度の向上及び隊員施策を重視し、正面・後方の均衡及び統合運用態勢の充実に配慮するとともに、基地対策の推進を図る、こういうことでございます。 二ページ目をおめくりいただきたいと思いますが、次に重点施策の内容でございますが、正面装備の充実・近代化につきましては、陸上防衛力としましては、師団の近代化とか対戦車火力、特科火力及び対海上火力、機動力等の向上を重視いたしまして、ここに書いてございますように七四式戦車、百五十五ミリりゅう弾砲FH70、対戦車ヘリコプターAH1Sの調達、それから改良ホークの改善等を引き続き行うとともに、新たに地対艦誘導弾SSM1の整備に着手することにいたしております。 海上防衛力といたしましては、対潜能力、対空能力、対機雷戦能力等の向上を重視いたしまして、新たにイージスシステム搭載護衛艦の建造に着手しますとともに、引き続き潜水艦、対潜哨戒機P3C、対潜ヘリコプター等の整備を進めることとしております。 なお、対潜ヘリコプターSH60J、今回調達を予定いたしておりますものは、従来のHSS2Bにかわるものでございます。 次に、航空防衛力といたしましては、防空能力、空中輸送能力等の向上を重視いたしまして、引き続き戦闘機、要撃戦闘機F15、それから救難ヘリコプター、地対空誘導弾ペトリオット等の整備を行うこととしております。 なお、救難ヘリコプターUH60Jでございますが、この今回調達を予定しておりますものは従来のバートル107Aにかわるものでございます。 継戦能力・即応態勢・抗堪性の向上についてでございますが、継戦能力の向上としましては、弾薬備蓄の推進、それから即応態勢の向上としましては、魚雷、機雷の管理運用態勢の改善、それから抗堪性の向上としましては、基地防空用火器、航空機用掩体の整備等引き続き着実に実施することといたしております。 指揮通信・情報機能の充実といたしましては、引き続き防衛統合ディジタル通信網、IDDN、それから超長波、VLF送信所並びに艦艇用衛星通信機等の整備を図ることとしておりますほか、新たに対潜戦、ASWセンターの整備に着手することといたしております。 練度の向上につきましては、訓練内容と教育訓練用装備等の充実を図ることとしております。 隊員施策につきましては、隊舎、宿舎、食厨、浴場等の生活関連施設の充実を図るとともに、隊員の処遇改善に努めることといたしております。 研究開発の充実につきましては、次期支援戦闘機、FSXの開発に着手するほか、技術研究本部予算の拡充を図っております。 それから、要員の確保及び組織改編についてでございますが、これにつきましては自衛官の増員、航空自衛隊骨幹組織の整備等を図ることとしております。これらに要します防衛庁設置法及び自衛隊法の改正につきましてはよろしくお願いを申し上げたいと思います。 それから、基地対策の推進でございますが、これにつきましては住宅防音工事の助成に重点を置きまして、基地周辺地域の生活環境の整備を図ることにしておりますとともに、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、引き続き基地従業員労務費の一部負担、提供施設の整備の充実を図ることといたしております。 次のページをおめくりいただきたいと思いますが、六十三年度の防衛予算でございますが、以上のような方針に基づきまして作成をいたしておりまして、その結果、予算の規模は対前年度五・二%増の三兆七千三億円となっております。これは対GNP比一・〇一三%となります。 また、後年度負担でございますが、これにつきましては中期防に基づく防衛力整備に配意しながらも、これが将来の財政負担の要因となることにも留意いたしまして極力その規模の抑制に努めることとしまして、ここにもございますように、対前年度〇・四%減、前年度の売上税相当分を控除いたしましても四・一%増の二兆五千九百十六億円にとどめております。 次のページを、最後のページでございますが、ごらんいただきたいと思いますが、以上の結果、主要装備につきましては中期防を平準的に実施するために必要な数量を確保したものとなっていると思います。また、経費面における中期防の進捗率、また正面契約額の進捗率はいずれも中期防のおおむね二〇%程度になるものと考えております。 簡単でございますが、以上で説明を終わらせていただきたいと思います。
○小委員長(坂元親男君) ありがとうございました。 以上で説明聴取は終了いたしました。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○永野茂門君 戦域核の削減でありますとか、あるいは戦略核の削減でありますとか、そういう軍縮、軍備管理が進行しつつある中で、通常戦力による抑止ないしは軍事力の作用を拡大することが重大になってきておるということ、そしてまた、しかるがゆえに、従来もそうでありましたけれども、また別な意味において日米安保体制の信頼度を高めるということが極めて重要であるということを特に強調されましたけれども、まことにそのとおりであると思います。 防衛庁におかれましては、ぜひそういうことを十分考慮の上、計画に従って着実に防衛力を整備されていくし、また次の防衛力整備計画についてもいろいろと御考察を深められることをお願いしたいものでありますけれども、そういう中にあって、残念ながら我が同盟の相手であるところのアメリカの力は、日本あるいはヨーロッパあるいはまたもっと小さい国、小さい国というのは大変失礼になりますが、最近発展してきた国である韓国などの比較的上昇しつつある国と比較すると、力はだんだんと弱まりつつある、経済力は下降線を現在のところまだたどっておる、こういうことでありますが、そういうことが影響しておるかと思うんでありますけれども、例えば昨年からアメリカからサーベイチームが何回か御承知のように来ております。このサーベイチームがいろいろ発言する内容というのは、我々がその裏を見るところ、どうも前方展開しておるところの米陸海空軍をもし後方に移動したらどういう影響があるだろうか、そういうことを特定の地域を挙げる場合もありますし、そうでない一般的に言う場合もありますけれども、そういうことを非常に真剣に検討しておる。それが配置してある国の防衛にどういうふうに影響するかだけではなくて、もちろんその地域の防衛、自由陣営の地域の防衛にどういうふうな影響があるか、あるいは今度は逆に相手に対してどういうような影響があるかというようなことを非常に真剣に取り上げておるように私どもは接しております。 さらにまた、ごく最近参りました米国の国防大学の学生なんかとのやりとりにおいても真っ先に出たのが、これは極めて単純、まあ学生ですから単純明快で、韓国から陸軍は全力、そのほかのものも若干引き揚げるというようなことをもし仮に決定したとしたらどういうような影響があるかというようなことを学生研究の一つとして私どもに投げかけております。もちろんこれは単なるサーベイであり、研究であり、学生の研究でありますから、それが米国の政策そのものであるとは私は思いません。しかしながら、全般の傾向としてそういうことを検討しつつあることは間違いないんじゃないか。あるいはまたフィリピンの基地につきましても、もちろん米軍はフィリピンにおける九一年以降の継続使用ということを非常に強く主張はしておりますけれども、時々それが継続使用できなくなった場合にどうしようかというようなことがいろいろ米国側からも出てくる。 こういうことを考えますと、何か前方防衛体制、前方展開部隊による前方防衛をやるという基本的な戦略には変わりはないと思いますけれども、そのやり方について何か検討しつつあるんじゃないか、変化が出る兆しがあるんじゃないか、こういうふうに受け取られるんですけれども、それについて防衛庁はどういうふうに観察されておりますか。
○政府委員(小野寺龍二君) 現在のところ、例えばことしのアメリカ国防長官の議会に対する報告書を見てまいりますと、前方展開戦力についてはこれはアメリカを守る上でも非常に重要であって、これについて何らか減らすというような考え方はないということ、これがまた同盟国とのコミットメントを維持する上でも非常に重要であるということを非常に強調しております。 委員御指摘のとおり、アメリカの国防予算というのはもう伸び悩みというか、むしろ実質減になっておるわけでございますけれども、その中でも節約をしている部分というのは、前方展開に関連している部分ではなくて、米本土にある部隊の削減、これは航空、陸上もそのとおりでございます。それから海軍につきましても、できるだけ関係のない部分について削減が行われているというのが事実だと思います。そういう観点からいたしまして、現在のところ、アメリカの政策に変更があるというふうには見られません。 韓国につきましても、先般アミテージ国防次官補が米国防大学で行いました演説の中で、現在韓国からの兵力を引き揚げて地域を不安定化させるつもりはないということを非常にはっきり言っております。しかし、委員御指摘のとおり、これからアメリカはもしも国防予算の頭打ちというか伸び悩み傾向というものが継続する場合、その経費を節約するというそういう必要がだんだん出てくることはこれはもう間違いないところでございます。そのときにどういうところから減らしていけるものであるかということ、これはもう我々としても十分注意していかなければならないことだと思います。韓国につきましては、政府の政策としては現在米国の兵力を引き揚げるということは考えてないということがございますけれども、非常に有力な研究所において、在韓米軍の引き揚げというそういう勧告が出るということも事実でございます。 またヨーロッパにつきましても、そういうことがアメリカの一部の中で議論されていることは事実でございますし、アメリカ議会を中心といたしました同盟国の防衛分担の議論の中で、やはり米国のコミットメントとの関連において、コミットメントを減らしてむしろ同盟国の負担をふやしていくべきではないかという議論も盛んに行われていることも事実でございます。そういうことで、今のところどうということではございませんですけれども、その可能性としてはやはり考えておかなければいけないことではないかというふうに見ております。
○永野茂門君 おっしゃるとおり、現在米政府がそういうような世界じゅうの前方展開におけるコミットメントを縮小しつつあるというようなことはもちろん現実化はしてないわけでありますけれども、今も御指摘にありましたような米議会における同盟国に対する防衛分担の拡大についてのいろんな参考人の証言の中には大変に、何といいますか、過激な発言まで新聞によりますと出ておるとおりでありまして、例えば韓半島から先ほど申し上げましたような米国の陸軍の師団の引き揚げでありますとか、あるいは防空部隊の引き揚げというようなものが直ちに起こるとは私も思いませんけれども、しかしそういうようなことがあるかもしれないということが従来よりもかなり色が濃くなってきつつある。色が濃くなったと断定はできませんけれども、色がだんだん濃くなってきておるということを考えますと、一体次の防衛力整備計画を考える場合に、きょうはそれを論議するような場所ではございませんけれども、そういうことについてやはりある程度の見通しを立てて対応しなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに私は考えておるといいますか、感じておるといいますか、とにかくその付近でありますけれども、これについてもし、まあ仮定の質問部分もかなり含みますので、仮定についてはお答えできないならそれで結構でありますが、今のような状態でどういうふうな対応を考えたらいいかということについてまとまったお考えがございましたら、防衛局長ひとつお願いいたします。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど先生言われたように、あるいは国際参事官からお答え申したように、アメリカの相対的力が落ちてきているということは間違いないところであります。 そして、私先ほど軍事力というものを四つの段階に分けてお話ししましたが、アメリカとしてはどうしても自分のところに直接被害が及ぶ戦略核分野のパリティなりあるいは優位というものが彼らにとって最大の関心事にともすればなりがちであるということは事実であります。そして、残された分野の戦術核あるいは通常兵力ということになりますと、同じNATOの中でも英仏というものは、やはりその種戦術核の近代化というものによって通常兵力の劣勢を補いたいというような面にともすれば力なり気持ちが行きがちである。一方、西独のように、戦術核ということになるとまさにその戦場になりかねない国はそういう方策はとりにくい。それよりもまず通常兵力の均衡ということに力を注ぐべきであるというふうに考えるでありましょうし、日本もまた同様、非核三原則を有しておるわけでありますから、通常兵力についての均衡なり低いレベルでのバランスということに非常に関心が強いということがありまして、同じ西側の中でもそれぞれの関心の度合いというものがある程度違う、色合いが違ってくるということは私は確かだと思うんです。 そしてまた、軍事力あるいは軍事費を考える場合に、核戦力というのは開発に非常に時間がかかり金がかかりますけれども、できてしまうと比較的メンテナンスは安い。一方、通常兵力というのは維持していくこと、メンテナンスに非常に金がかかるということがありますので、そういうことも含めて、同じ西側の中でもそれぞれの足並みが乱れがちであるということは事実でありますけれども、やはりそこのところは、アメリカ、NATO諸国、そして日本は十分調整をして、どこか一つをつまみ食いすると——INFはたまたまソ連にとって非常に有利な取引といいますか、である分野だったので早く片づきましたけれども、今後、例えば通常兵力の均衡なり削減ということになると、これは一方的に東側が兵力を下げていくことで、その合意というのは非常に難しい。しかし、そこだけを切り離しては難しいんで、やはり今申し上げた三つの分野、各国それぞれ自分の志向したいところは違うにしても、そこを十分調整していくということが必要だろうと思うわけです。 したがって、日本だけが防衛力整備を通常兵力で何とかするということはとても不可能でございますので、例えば先ほどお話の出た在韓米軍をどうするかという問題につきましても、やはり今の朝鮮半島の情勢をアメリカはどう認識をし、日本はどう認識をする、あるいは韓国はどう認識をするかということのすり合わせを含めて十分な調整の上でアメリカに対応してもらいたい、またそうさせなくちゃいかぬという、極めて抽象的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、これは一日本の防衛力整備だけでカバーし得る問題ではありませんので、西側全体としてどこまで足並みをそろえ意見調整をしてやっていけるか、またやっていかなくちゃいかぬかという問題であろうというふうに考えております。
○永野茂門君 日本の防衛力整備を考える場合、あるいはまた、さらにもっと広く日本の安全保障というものを考える場合に、世界的な戦略調整が必要である、そしてまた、単に一レベルの問題ではなくて、各レベル、全レベルにわたって、あるいはラダーの全部の段階にわたってその検討がされなきゃいけないというお話でありますが、まことにそのとおりであると思います。具体的にはいろいろと難しい面がありますけれども、原則的には全くそのとおりであると思いますし、日本とアメリカは同盟関係にありますので十分戦略を調整しなきゃいけませんし、またアメリカを通じて日米欧の間の調整も十分になされなきゃいけないと思います。 そこで、世界戦略として戦略的な物の考え方が一致しておるということ、あるいは統合されたといいますか、そういう戦略目標というのが確立されることが一番大事なんですけれども、しかし、とりあえず我々の自衛力というのは我が国の防衛にしか使えませんので、それを考える場合の日本防衛に関する日米間の戦略思想の調整というのも極めて重要であって、これは日々防衛庁において努力されておるところであると思いますけれども、どうも私、現職のときからもそうでありましたけれども、その後最近に至っても、いろいろと米国の国務省でありますとか国防省の連中でありますとか、あるいはヨーロッパ、NATOの連中なんかと話しておって、日本防衛に対する物の考え方とか感じ方がかなり違っているんじゃないかということの印象を受けるわけです。 その中の一つとして、日本に対する米軍の来援、これは日米安保体制に基づく我々としては期待すべき非常に重要な要素になるわけでありますけれども、具体的にどういう兵力がどういうタイミングで来れるか、あるいは来てもらいたいかという感じ方といいますか、もしそういう研究ができておって既に計画化されておればいいわけでありますけれども、必ずしも十分には計画化されておるはずはないと思うのでありますが、何か有事来援について日米間に大きなギャップがあるんじゃないかという感じを受けるわけです。 というのは、余り具体的なことはまたここで申し上げるわけにはいかないかと思いますけれども、いろんな研究所の連中と話をしても、そんなものは日本に持っていくはずがないじゃないかというものがいろいろ出てくるわけですね。そんな力が日本に行くものか、もっと世界の全体のことを考えてごらんなさいよと。ただ、日米安保条約というものが存在し、アメリカとの同盟による何らかの何とも言えない力が作用している、それが大事なんであって、それ以上のものを期待するのは無理じゃないかというようなことまで言うのが出てきておるわけでありますが、一体その付近はどういうことなんだろうかということが一つ。 時間がございませんので同じ系列の質問をまとめて申し上げますが、日本防衛において、日本は現在軍事的には非常に北方を重視した態勢をとっておる。もちろんシーレーン防衛というまた別な要素があるわけですけれども、本土防衛においては北方を非常に重視した態勢をとっているわけですが、一体日米間において十分そういうことは了解され、そして理解されているんだろうかと。 と申しますのは、先ほどから韓半島に大変に私は焦点を絞ったような話を申し上げておりますけれども、西の方も大変に手薄になる可能性もあるんじゃないかということをアメリカ側はかなり意識しているんじゃないかという発言にぶつかることが多いわけでありますが、その付近ですね、一体日米間でかなり戦略調整は行われておるか、もちろん細かいことで御答弁できないことは答弁していただかなくて結構ですけれども、承りたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 今、先生の御質問の中にあった数々の御懸念ですけれども、私はそれが全く杞憂のものだというふうには申し上げたくないんです。それはいろんな要素があると思います。 例えば、アジアの問題、日本の防衛の問題ということについてアメリカで最も深く理解をし、真剣に考えているのは私は太平洋軍であろうと思うわけです。また、その太平洋軍というものが日本のためにいろんな面で、議会等に対しても日本の代弁的な弁護士としての役割も果たしてくれて、我々としては十分感謝しているところであるわけですが、一方太平洋軍というのは、日本を含む太平洋、インド洋、東南アジア全部をカバーしておるわけですね。その点、例えばヨーロッパにおけるように、NATO軍があり大西洋軍があるというところですと、NATO軍はヨーロッパという陸上を中心にした彼我の戦力バランスはどうなっているかということに対して非常に真剣に考える、そして大西洋軍が洋上なりを考えているということになるわけですが、今申し上げたように、太平洋軍というのは非常に広い範囲を持っている。そうしますと、ともするとそういう彼らのカバーしておる地域の大部分である洋上なり、あるいは広い地域というものに関心が行き、その外縁にある日本そのもの、日本だけに限った防衛の彼我の軍事バランスがどうなっておるかということについては、正直言って若干たらいの縁みたいな感じになっておって、十分な理解がない部分もなきとはしない。また、そういったことがいろいろな面で議会筋の人なりあるいは学者さんなりにも影響をして、割合実態と離れた論議が出かねない。例えばリチャード・ソロモンさんみたいな話が出かねない、そういったこともあろうかと思います。そういう点は今後我々としてはいろんな面で論議を重ね、十分理解をさせることも必要であるし、アメリカ側の言い分も聞き、それを正してもらうことは正さなければいかぬというふうに思っている次第でございます。 再び韓国の話に戻りましたけれども、おっしゃるとおり、カーター政権のころ在韓米軍が撤退をするという時代がありまして、日本としていろいろ物も申したわけですが、同様に仮に在韓米軍等について、先ほど国際参事官、具体的なあれはないと申しました。私もそう思いますが、何らかの変更が起こってくるということになった場合は、それはカーター時代とは違った、朝鮮半島における別の一つの安定した体制等ができたんだということが十分に客観的に認識される、合意される状況でないとそういうことはすべきでないしさせるべきじゃないというふうに思っているわけです。仮にカーター政権時代の在韓米軍撤退当時のような状況でやみくもに引いてしまうというようなことになりますと、これは確かに日本の防衛体制そのものについて相当大幅な変更を必要とするということであろうかと思うわけです。その点、現状があの当時と同じであるか、どれだけ改善されておるのかということも含めて考えなくちゃいけませんが、現在の在韓米軍の配備を含めた東アジアの情勢を前提にすれば、日本の北方重視といいますか、国土防衛についての考え方については米側も十分理解しておるというふうにお考えいただいた方がいいと思います。
○永野茂門君 どうもありがとうございました。
○久保田真苗君 初めに防衛局長にお伺いしたいんですけれども、今の例えば戦争の可能性、戦争が起こるという可能性、これについてはこういう論がありますね。例えば先進国間の戦争というものはほとんど起こることができないだろう、そして第三世界においていろいろな紛争を長期間継続しているという、こういう形で推移してきた。したがって、先進国間の軍備は抑止のためである。しかし、その抑止のための軍備というものが非常に世界経済の負担になってしまって第三世界にいろいろな被害を出すような状況になってきた。しかしここへ来て、局長は米国の経済力も低下したと言われましたけれども、ソ連の方も非常に民生を重視せざるを得ないという状況になって、ここでINF、それに続く戦略核の削減ということがテーブルの上へ出てきている。そういう一連の中で、今の現状に照らして、戦争の可能性というものを防衛局長はどういうふうにごらんになっていらっしゃいますか。
○政府委員(西廣整輝君) 確かに先生がおっしゃいましたように、先進諸国間の戦争、私はなかんずく米ソの戦争、米ソの直接対決というものはほとんど可能性がないといいますか、蓋然性がないというように考えております。ということは、米ソいずれも相手を一方的に打倒する力がない。しかし、共倒れになるといいますか、刺し違える力を持っておるということで、この両者間で戦争が起きた場合にはまさに共倒れ、相互破滅であるということでありますので、この可能性は極めて少ない。ある意味では、非常に接触が多い国同士の中で戦争の最も可能性の少ないのは米ソ間ではないかというように思っております。 問題は、先生それを先進諸国全般にお広げになったわけですが、そういうふうな考え方をとれたというのは、いい意味でも悪い意味でも戦後の世界の軍事構造というものが東西の対峙、要するに米ソをリーダーとする東西対峙という基本的な枠組みというものがあってこれが対立していると同時に、ある意味ではマクロ的な平和というものを維持できた要素でもあったということは否めないと思うわけです。 ところが、先ほど来永野先生の御質問にも出ておりますし、私自身も認識同じでありますが、また先生が今おっしゃられたように、アメリカの力が相対的に落ちている、さらにソ連の力も相対的に落ちていくということは、戦後長い間続いた東西のコンフロンテーション、対峙という枠組みというものがある意味では揺らぎつつあるということもまた事実だと思います。その段階で、いろいろな問題はあろうけれども、少なくとも先進諸国間の戦争をかくも長い間抑止し得た体制というものが変わってきつつあるということは確かなんですが、それがどう変わるのか。その中で、従来と同じ程度のマクロ的な平和維持能力というものが維持し得るのかどうかということがこれからの最大の問題点だろうと思うんです。 確かに米ソともに力が揺らいできた。そして、そういった戦後の世界を支えてきた基本的な枠組みそのものが変わりつつあるということについては私も十分認めておりますが、それにかわるべきものがどういう形で出現していくのか、その辺を我々も考えなくちゃいかぬし、見きわめないとなかなか安心できないというのが事実でありまして、お答えになっているかどうかわかりませんが、先生の見ておられるところは私と全く同じなんだろうと思うんですけれども、先がどうも見通せない難しい時期だなというのが私の実感であります。
○久保田真苗君 もう一つ、それに続きまして、例えばヨーロッパにおける軍縮の動きはかなり鮮明ですね。そして戦略核の問題が次にテーブルにのって合意されるだろうという期待があるわけです。ところが、このアジアの海域の太平洋あるいはベーリング海、オホーツク海等のこの日本の周辺におきましては、それと連動してどのような軍縮が行われるのか、その点が極めて不鮮明というよりは、むしろこちらに核が押し寄せてくるんじゃないかというそういう懸念さえ持たれているわけです。 それで、防衛庁は軍縮とかデタントとかをおやりになる役所ではあるいはないのかもしれないけれども、もちろんそのことを背景として物を考えることはできないし、そういう思想的あるいは世界観的な背景もぜひ持ってやっていただかなきゃ困ると思っているんですね。それで、この際防衛局長にお伺いしておきたいのは、このアジア地域の軍縮、デタントに関してのお考えなんです。
○政府委員(西廣整輝君) アジア地域でどういう形で軍備管理なり軍縮というものが進行していくかということについて、私どもまだ全く読めないところであります。それは先生もおっしゃられたように、世界的なグローバルな意味での軍備管理、軍縮というもの、あるいは平和の構造と言ってもいいかもしれませんが、そういったものをどういうふうに進めていくかということと決して無縁ではないし、切っても切れないものであると思うわけです。先生たまたま今、次は戦略核のさらなる低いレベルでの均衡ということじゃないかというふうにおっしゃられましたけれども、それは一つの米ソ間ではそういうスケジュールというものはあろうかと思いますけれども、私はそれだけではやはり困るので、先ほど来申し上げたように、通常兵力によるアンバランスというものを放置したままどこかが先走ってしまうことについてはかなり懸念を持っております。 INFの全廃条約そのものは私ども評価しておりますけれども、これはある意味では米ソの地域的な非対称性といいますか、要するに戦略核はそれぞれ本国同士届く核ですからこれは五分にしよう。一方、INFというものは、ソ連というか東側のINFは米側には届かない。ところがNATOにおいてはINFというものはソ連には届くというものでありますから、INF同士がパリティであるという意味だけではなくて、それが戦略核のサイドまで届くという意味で、単に中距離核という分野だけでなくて戦略核戦力のバランスの分野にも影響を与えていたわけですね。そういう点で、ソ連としては、この分野のゼロオプションということは決して損な取引どころか大変有利な取引だったということで、比較的早く私は片がついたと思います。 今回さらに進めようとしている戦略核の分野になりますと、それだけでいいかということになると、やはり先ほど来申しておるように、NATOなりあるいは西独、日本のように、そういった核の脅威もさることながら、通常兵力の脅威というものをより身近に感じているものにとって、そこをどうするかということと、難しい話ではありますけれどもリンケージしながら考えてもらわなくちゃいかぬということであります。恐らくNATO諸国、なかんずく西独のように東欧と境を接している国ではこの通常兵力の削減、レベルダウンということが最大の関心事に私はなっていくと思います。その際に、ヨーロッパでそういうことが進行していくということは私ども非常に強い期待を持っておるわけですけれども、その場合もINFで最初出たように、ヨーロッパで削減するけれども、それを東へ持ってきてしまうとか、そういうことにもなりかねないわけでありますから、その辺も十分我々としては関心を持っていなくちゃいけない。 と申しますのは、やはり通常兵力というのは、先ほどもちょっと申したように非常に人を食っている、人が要るわけです。現にそこにそういうものがあるからこそ将軍以下いろんな人がいるわけでありまして、これは官庁の合理化じゃありませんけれども、やはり軍としても縮めるというのはなかなか難しい話なんですね。恐らくゴルバチョフにしても、軍部の支持を得ながら軍縮をやっていくという際に一番やはりてこずるのは、通常兵力の分野だろうと思うわけです。ゴルバチョフがそういった軍の支持を得ながらやっていくのが一番困難な分野であろう。しかも彼らにとっては一番優越している分野で、できれば優位のまま残しておきたいと思っている分野でありますから、通常兵力の削減というのが幾つかの分野の中で一番私は難しいところである。したがって、余り過度の期待を持ち過ぎてはいけないというのが現在の私の考えであります。
○久保田真苗君 お話がちょっと有事法制の方になりますんですけれども、三つの分野のうちで1と3は今のところまだで、2についておやりになっている。そして、これは防衛庁それから関係省庁、こういったところはすり合わせはできたけれども、まだない立法については今やっていらっしゃるところなんですね。まだない立法、まだないけれども必要とお考えになっていらっしゃる立法というのは何なんですか。
○政府委員(西廣整輝君) 実は私、専門ではありませんので、きょう来ておりませんが、今ないからこそ、ちょっとこれからということで手がつかない分野もあるわけですが、思いつくのを一つ二つ申し上げますと、例えばもろもろの戦時条約に基づく捕虜の取り扱いであるとか、そういった分野のものは全く手つかずであるというのは一つあります。 それから、より重要な問題として残されておるのは、自衛隊の行動にかかわって国民の方々にいろいろかかわりのある問題。例えばいろいろな警報システムと申しますか、この地域あるいはこの海域については航行が非常に危険であるからという警報をする、あるいは制限をする。そういった問題であるとか、今はそういうことが必要があるかどうか私は現代科学の中で軍事技術についてはそう詳しくないので申し上げられませんが、かつては例えば灯火管制みたいなものがございましたですね。そういう軍の行動を全うするために国民にある程度協力していただかなきゃいかぬもろもろの問題があると思うんです。そういった、その種のものが手つかずでいるということではなかろうかというように思っております。
○久保田真苗君 自衛隊法の中に、警察力で間に合わないときには軍隊が治安出動するということがございますね。これに関連しては、例えば自衛隊の行動にかかわるものとしてどういうものが新たに必要になりますでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) ちょっと御質問の意味がもう少し……
○久保田真苗君 治安出動の中身ですね、中身に関して新たにどういうものがつけ加えられるんでしょうか、有事法制としては。
○政府委員(西廣整輝君) 治安出動に関連して有事法制的な問題、私はないというふうに思っているんですが。治安出動は、御承知のように警察活動でありまして、現行法制、国内のもろもろの法制の中でのそれに基づいた措置、そしてその際に通常の国内的な擾乱であれあるいは間接侵略であれ、警察力で本来対処すべきものが、量的にあるいは地域的に非常に広がって対処し切れないものについて、自衛隊が警察官と同じ権限といいますか同じ警察官職務執行法の中で行動するということでありますので、そのための有事立法というものはないというふうに考えております。
○久保田真苗君 予算に関連してちょっとお伺いしたいと思いますけれども、ここでいろいろな御説明を伺いました。例えば、仮にこういう方針でおやりになるとしても、その後円高ドル安、こういう状態が非常に定着しておりますね、そして一方には世界情勢も変わってきている。こういう中で、やっぱりGNPの一%枠におさめようという御努力は十分なされるわけでしょうね。
○政府委員(日吉章君) 現時点におきます予算の編成方針につきましては、御案内のように、六十一年から六十五年までの中期防衛力整備計画を着実に実施するということで毎年毎年の予算を組んでいるわけでございます。その中期防衛力整備計画の前提に立っておりますものは、五十一年度の防衛計画の大綱でございまして、これは限定小規模の侵略に原則として独力で対処し得るような必要最小限度の自衛力を装備する、こういう考え方になっておりますので、国家としての存立の基本的な部分を、必要最小限度基本的なものを五年間でおおむね整備しよう、こういう考え方にまずなっているということを御理解いただきたいんです。それをどういう形で進めていくかということにつきましての金額的なめどは、まさにそういう物の考え方がございますので、名目の価格ではありませんで、六十年度の実質の価格に換算いたしまして十八兆四千億、こういう形にしているわけでございます。 したがいまして、毎年毎年の名目価格が、先生ただいま御指摘のように、確かに最近年次におきましては、円高あるいはそれに伴います物価の極めて安定した状態というようなことで、それほど名目と実質との開きはない。あるいは六十二年度予算、六十三年度予算でいいますと、防衛庁の場合には輸入物資が多いものですから逆に名目の方が低くなっている、こういうような状態になっているわけでございますが、これはあくまでも今私が申し上げました防衛計画の大綱及び中期防が目標としております整備目標を実施していく過程で幾らの金額になるかというのが出てくるわけでございまして、あくまでもそういう整備水準とは無関係のGNPの一%の中におさめる、あるいは外に出てはいけないというような判断とは別の形で整備されていく話なんではないだろうかと、こんなふうに考えているんです。したがいまして、結果的には数字の問題でございますから、GNPの一%の上に出るとか下におさまるとかいうようなことになると思いますが、政策目的として中に入れるとかあるいは外に出してはならないとかぜひ外に出すとか、そういう話ではないんじゃないかと、かように考えております。
○久保田真苗君 いや、そんなことはないですよね、それは内閣として努力するということなんですから。まあよろしいですわ。 アフガン監視団に文官派遣をされるということですが、実際に具体的に何をされるのか、簡単にお答えいただけますか。
○政府委員(小野寺龍二君) 本日、外務省の人が来ておりませんので、私、詳しく承知いたしませんですけれども、伝え聞くところによりますと、課長クラスの文官を監視団のメンバーの中に入れるというふうに聞いている程度でございます。
○和田教美君 まず西廣局長に、先ほどの有事来援研究の問題について、なぜ有事来援研究が必要かという理由について二つ挙げられたんですが、それに関連して質問したいと思います。 第一に挙げられた、つまりINF全廃というふうな状況の中で通常兵力の抑止の信頼性というものを高めなきゃいかぬ、そういう意味から有事来援というものが非常に重要になってきたというふうな御説明がございましたけれども、我々は、INFの全廃というものは本格的な軍縮の第一歩であって、これがさらに戦略核の半減と削減、さらに通常兵力の削減という方向につながっていく、そういうことを強く望むわけですけれども、防衛庁としてはやはりそれに至るまでの何といいます か、今の非対称性、通常兵力のアンバランスといいますか、それを非常に心配するというふうな立場なのかもしれませんけれども、そうすると、今の論理を聞いておりますと、INFの全廃が行われるという状況の中で通常兵力の削減交渉というふうなものがなかなか進まないというふうな状況になった場合に、相対的には我が国に対するソ連の侵略の可能性といいますか、通常兵器における、あるいは潜在的脅威と言ってもいいでしょうが、そういうものはむしろ高まった、高まるであろうというふうな認識を持っておられるのか、その点が第一点でございます。
○政府委員(西廣整輝君) おっしゃるとおり、かつて一九七〇年代にNATOが二重決定したように、ある軍縮より低いレベルでのバランスということを達成するためには、劣勢のままでは相手もテーブルに着かない、そのままでは軍縮そのものが達成されないということで二重決定されたという話を先ほど申し上げたんですが、まさに私はそれはそのとおりであったし、あのNATOの二重決定というものはそれなりに効果を発揮した、だからこそINFの全廃条約も達成できたんではないかというふうに考えざるを得ないわけであります。同様にしまして、現在残されておる各分野の軍縮交渉というものにつきましても、少なくとも今先生が言われたように直ちに侵略の蓋然性が上がるか上がらないかということを除いても、それなりのバランス、あるいはこのままでは相互に非常に危険な火薬庫の上に座っているようなものだという認識がないと軍縮というものはなかなか達成されない。片方が一方的に優位である状況で軍縮が達成されるというふうには思わないわけでありまして、やはり西側の結束なりそれぞれの分野での均衡状態というものは必要である。少なくとも実際の軍縮交渉というものが成立しそれが実施されるまでの間はそういう考え方は必要だと。 それから、日本に対する危険性、そういったものの蓋然性がどうなったかということは、それはなかなか数値的には言いにくい話でありますが、正直申し上げて戦後アメリカが核を独占をし、さらに六〇年代、七〇年代の前半にかけて大変戦略核戦力で優位であった、いわゆる核の傘の持つ抑止力といいますか、そういったものがSALTIIあるいはINF全廃交渉というものを通じてその信頼性というものが相対的には落ちてきているということは否めない事実ではないかというように思っております。
○和田教美君 それで、次に第二点として挙げられた理由ですけれども、今までのいわゆる作戦研究、作戦計画研究、共同作戦計画研究というふうなものを進めてきたと。そこで、まあ非常に間接的な言い回しであったと思いますけれども、私の理解では、日本側はアメリカの来援は例えば空母群については二個空母群を期待していると。ところが向こうはなかなかそうはいかぬと、さっきも話が出ておりましたように一個空母機動部隊ぐらいだろうとか。あるいはまた陸上についても、こっちは二個師団を想定していたけれども、どうも研究をしてみると一個師団ぐらいだというふうなことが出てきたと。これはやっぱりどうもこのままでは、当然に米軍の来援があるということを想定しての防衛計画の大綱の考え方をもっと詰めなきゃいかぬぞというふうなことがやっぱり有事来援研究を日本側から積極的に持ち出す非常に大きな理由になったと、こういうことですか。
○政府委員(西廣整輝君) 現在までの研究の中で、米側がもう今までどおりはいかないよ、今度は少し来援量を減らしたいよというような具体的な申し込みがあったとかそういうことではございませんで、従来の研究はどちらかというと所望の時期に所望の米軍が来るという前提、ある意味では絵にかいたもちみたいになるわけでございますが、そういうことで当初から十分な時間的余裕があって共同対処をするというような非常に我に有利な格好になっているわけです。ところが、それでは実際問題としては本当の意味の作戦計画になり得ない。やはり立ち上がりとしては現に持っておる防衛力、そして現に存在する在日米軍、そういったものを前提として戦闘する、その際に最も日本にとって被害の少ない防衛行動をするとすれば一つの戦い方があるわけでありますが、そうすると緒戦において一週間なり十日間のうちに相当の被害が出るということになりますと、我が防衛力について、そういったものがいち早く来援部隊によって補てんをされる、そしてそれらが持ちこたえているうちに日本側としてもう一度態勢を立て直す、装備なら装備を購入する、あるいは供与を受けてさらに態勢を立て直すというような形で連続して十分な防衛力が発揮できるわけでありますが、そういう詰めた計画、我が方としてはその際最も日本にとって被害を国民なり国内に及ぼさない形での戦闘というものを期待をしますが、それも実を言いますと、そのためには相当ハードな防衛作戦をとらざるを得ない。しかし、来援というものがそれを十分補充できるといいますか、それを可能にするような来援というものが期待できないとすれば、やはりかなり息の長い、少々我が方にとってはつらい作戦であっても、防衛力としての被害というものをできるだけ局限できるような形での守り方というものを考えざるを得ない、それは国民なりにとってはかなりつらい戦闘になるけれどもそういうもので我慢せざるを得ない、そういった選択をせざるを得ないかどうか、そういったことについての細かい詰め、細かい作戦計画を立てるためにはどうしてもこの来援研究というものが必要であるということでございます。
○和田教美君 そうすると、この有事来援研究というものを進めていく結果、これは次期防との問題とも関係があるんですけれども、今は防衛計画の大綱の見直しをやらない、別表の多少の改定はあるいは行われるかもしれないけれども防衛計画の大綱の見直しそのものはやらないということを一貫して政府は答えておられるわけですけれども、今おっしゃったような来援の規模とか時期とかというような問題について、その防衛計画の大綱あるいは中期防などの計画の前提として日本側が想定していた来援の規模が期待できない、あるいはそれはなかなか今言ったような困難な情勢もあり得るというふうな状況になってきた場合に、そういうことから防衛計画の大綱の見直しもやらざるを得ない、あるいはそういう観点から次の次期防ももう一度考え方を変えなきゃいかぬというふうな情勢ですね、そういうものも可能性としてはあり得ると、こういうことですか。
○政府委員(西廣整輝君) ただいまの御質問に付加しまして、最初の御質問にちょっと私言い足りない点がありましたが、私が申し上げたようなことは日本側からの関心事でありますけれども、一方、米側としてはそういう日本側の都合といってはおかしいですがいかに防衛作戦をやるかということのほかに、彼ら自身が出し得るかどうかという問題は確かにあると思います、先生のおっしゃるとおりですね。これはそのときの状況にもよって出し得る限度というものが変わってくると思いますけれども、そういったものももちろん加味しなくちゃいかぬということも当然あると思います。 そこで、今の御質問でございますが、この有事来援の問題、特に米側来援の程度なりスピードなり規模なりというものが防衛力整備にどう結びつくかという話なんですが、実は私これが無関係のものであるというように申し上げるつもりは全くございません。ただ、この来援の問題あるいは日米安保というものはその種実際に起きた場合にどう対応するかという作成計画、そういったものの裏づけというものは必要でありますけれども、同時に真のねらいというものは抑止である、未然防止であるということはよく御理解いただきたいんです。そういうことで米側も、例えば来援部隊が一個師団減るから日本は一個師団つくればいい、あるいはアメリカ側の航空部隊が何個飛行隊か減ればその分は日本がつくるというようなイコールでトレードオフするような関係ではない、そういうことではないんだということは十分御理解をいただきたいと思うんです。あくまでやはりそういう仕組みというものが相当詰めたものとして存在する、あるいは前もっての手当てがしてあるということがまさに日米安保の信頼性を上げるものである、あるいは抑止効果を上げるものであるということに最大の関心事があるということを申し上げておきたいと思います。
○和田教美君 もう時間も大分たったですから、ほかの問題を少し聞きたいんですけれども、ポスト中期防ですね、次期防の問題ですけれども、国会でも大分論議が出ておりましたが、次期防というものは必ずやるのか、計画としてやるのか、六十六年度予算要求までに間に合わせればいいわけですけれども。それから、やるとすれば大体どういうタイムテーブルでやっていくのか、あるいはローリング方式をとるとかとらないとか、三年計画にするか五カ年計画にするか、いろいろな問題があると思うし、その内容についても、洋上防空を引き続き重視していくということはあると思いますけれども、一部の報道によれば陸上重視というふうな考え方もあるというふうな報道もあるわけですね。ですからそういう問題について、今大体防衛庁として考えておられる次期防についての基本的な構想というふうなものは大体どういうところなのか、簡単で結構でございますから御説明願いたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 次期防をつくるかつくらないか、まずそこを安全保障会議でやはり御論議いただかざるを得ないと思います。当然のことながらつくるということでは私どもはないと思っております。 まず、現在やっております五カ年計画、これがだんだん見通しがついてくるわけでありますが、それがこれから五、六年後に実際に就役をしてきて完成をする、その時点でどれだけの防衛力というものが確保できるかということが一応見通せるわけであります。一方、それらの防衛力が実際にその五年先、あるいは次期防の対象時期になりますとさらに十年、五年ぐらい先になりますから、今後十数年先の軍事技術とかそういったものも我々できる限りの見通しを立てて、その時点において有効に働き得るかどうかということを一応検証いたしまして、その結果を安全保障会議に御報告を申し上げて、これでなおかつ十年先、十数年先の状況下で現在整備しておる防衛力のまま、仮に更新はするにしても、量的、質的にそのままの格好で転がっていったときに十分な大綱で言う水準たり得るかどうかということを見ていただいて、これは単なる更新だけではなくてより質的な、あるいは量的なものも若干はあるかもしれませんが、そういった点についてのさらなる計画というものが必要かどうかということをまずお決めいただくということが最初だろうと思います。 それからタイムテーブルでございますが、従来申し上げているように、六十六年度予算までにはぜひ欲しい、成立するまてにはなくてはいかぬということになれば六十五年の年末ごろになるわけでありますが、でき得れば概算要求時までに欲しいというのが実態であろうと思います。そうしますと、仮に概算要求としますと、あと二年ぐらいしかない、二年強しかないということになりますので、やはりまずたたき台になる草案をつくるのに一年ぐらいはかかるだろう。それを事務方といいますか、各省庁と調整をする、安全保障会議事務局の場でいろいろ調整をしていく、こういうものに半年かかり、さらにいわゆる安全保障会議等政治的ないろんな御判断をいただくということを考えますと二年という期間は決して長くはない、通常二年ぐらいかかっているのが普通であるということでございますので、ゴーのスタートはできるだけ早くいただきたいなという気持ちはしておりますが、先ほど申したように、要る要らないというところからまず論議をしますので、そうあすから始まるというものではないと思います。 そこで、内容の問題になりますと、ましてや今言ったようなことでございますので、具体的に申し上げる段階に全くないわけでありますが、今先生のおっしゃられた洋上防空等については現在の中期計画である程度検討対象になっておる、そして一つの答えが出たものもあるし、答えを今後出すものもございますが、そういったものの延長としての事業というものは当然出てくる可能性が非常に高いというようにお考えいただきたいと思います。 一方、陸上防衛力の問題につきましては、過去相当期間について、昭和三十年代前半の一次防の大体枠組みというものの中で今まで来ておりますので、そういう意味では非常に陸上防衛力整備というのは古い考え方である、あるいは各国に比べておくれをとっておるということは事実でありますので、その辺変革の余地が海、空以上に高いということも事実だろうと思っております。
○和田教美君 もう時間がなくなりましたので経理局長に一つだけお聞きしたいんですけれども、六十三年度の業務計画を拝見しましたけれども、このお配りいただいた表にも進捗状況が出ておりますね。この三年間の進捗状況を防衛関係費で見ると、一八%、一九%、二〇%と大体非常に順調な進捗状況だと僕らは思うんですけれども、昔のことを言っちゃなにですけれども、昔は防衛計画といっても一年や二年積みおくれというようなことがしょっちゅうあったわけですけれども、その点については、この進捗状況でいけば中期防はもう完全達成は確実だというふうに見ておられるのか。あるいはまた、なぜそういうふうに非常に順調な進捗になっているのか。つまり、防衛費だけが非常に潤沢に予算をもらって伸びているからなのか、円高の影響というふうなこともあるのか、その辺のところをどういうふうに判断をしておられるか。
○政府委員(日吉章君) 表でお示しいたしておりますように、おおむね一八、一九、二〇ということでございまして、全体で五七%になるわけでございますが、等分に五分の一ずつということじゃなくて、少しずつ定率的に上げていくというのがスムーズな進捗だろうということに考えますと、まず円滑に幸いなことに進んでいるのではないか、かように考えております。 あと二年間で完全に達成できるのかどうかというお尋ねでございますが、先のことでございますけれども、防衛庁といたしましては、ぜひ、せっかくの中期防衛力整備計画でございますので、円滑に達成できるようになることを期待し、かつまた努力をしたい、かように考えております。 それから、これまでのところこういうふうに順調に計画どおり進捗している理由はどういうことかというお尋ねでございますが、若干私見にわたるかと思いますけれども、私は、先ほども久保田委員の御質問にお答え申しましたように、この中期防衛力整備計画というのは、まさに十数年前に防衛計画の大綱として、独立国として必要最小限必要な防衛水準というものを設けまして、それをこの五年間でとにかくおおむねその水準に達しようというような計画になっているという、計画の内容そのものがやはり着実に実施しないといけないということになっているのではないかと思います。 それともう一つは、安定成長で高度成長ではございませんけれども、日本の経済運営は極めてスムーズにいっておりまして、経済、社会全体が安定しているということもやはり寄与しているといいますか、フォローの風が吹いていることになっているんではないかと思います。この点は、私見でございますが、そういうような状況のもとに円滑に実施されているんだと思いますけれども、やはり実施しないといけないという政府全体の意思というものが一番その中でも大きいんではないか、かように考えております。
○和田教美君 結構でございます。
○小委員長(坂元親男君) 以上で質疑は終了いたしました。 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。 午後三時三十三分散会