P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
112回国会参議院1988/03/02

科学技術特別委員会 第2号

発言数
6
登壇者
3
会派数
2
開催日
1988/03/02

会議録

飯田忠雄公明党・国民会議

○委員長(飯田忠雄君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、伊藤科学技術庁長官から、科学技術振興のための基本施策についてその所信を聴取いたします。伊藤科学技術庁長官。

伊藤宗一郎自由民主党科学技術庁長官・原子力委員長・宇宙開発委員長

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 第百十二回国会に当たりまして、科学技術庁長官として所信を申し述べさせていただきます。  改めて私から申し上げるまでもなく、科学技術は我が国経済社会の発展の基盤であり、人類全体の進歩向上に大きな役割を果たすものであります。このため、科学技術政策大綱に従って産学官の連携協力を図りながらより一層積極的な科学技術の振興を図ってまいる所存であります。  昨年、利根川博士がノーベル医学・生理学賞を受賞されましたことは我が国にとりまして大変喜ばしいことでございました。今後とも創造性豊かな科学技術の推進を政策の機軸とし、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を図ってまいる所存であります。  また、世界に貢献する日本という観点から科学技術の面においても国際性を重視した展開に配慮し、諸外国との研究者の交流の拡大等国際協力の推進のための諸施策を一層強力に推進してまいります。  さらに、我々が安心して科学技術の成果を享受し、より豊かな未来を築いていけるよう、安全性の確保に万全の配慮を払うなど、常に人間及び社会のための科学技術という原点に立って、国民の理解と協力を得ながら科学技術の振興に努めてまいる所存であります。  次に、昭和六十三年度における科学技術庁の主要な施策につきまして申し上げます。  第一は、科学技術行政の総合的展開であります。  科学技術政策研究の強化充実を図るため資源調査所を改組して科学技術政策研究所を設置いたします。また、科学技術会議の方針に沿って運用される科学技術振興調整費の拡充を図り、新たに外国人研究者の積極的な受け入れを含む国際流動基礎研究の推進を図ってまいります。  第二に、創造的、基礎的研究の充実強化であります。  まず、国際社会への貢献という観点をも踏まえ、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムに関する調査、検討の推進に努めてまいります。  また、二十一世紀の技術革新を目指した先端的基礎研究を国際的に開かれた体制のもとで長期的に行う国際フロンティア研究システムにつきましては、新たに一分野の研究に着手する等その拡充を図るとともに、創造科学技術推進制度につきましても新たに三課題の研究に着手するなど、その拡充に努めてまいります。  第三は、科学技術国際協力の推進であります。  国際化の進展に伴い国際交流の重要性が一段と高まりつつある情勢にあって、国際協力プロジェクトに積極的に参加していくとともに、米国、西ドイツ、フランス等との二国間の科学技術協力を初めとする幅広い分野における欧米先進国との協力、ASEAN諸国等開発途上国との協力など、特に外国人研究者の受け入れ及びそのための宿泊施設の整備等人材、情報の交流及び共同研究に重点を置いて国際協力の推進を図ってまいります。  第四は、研究開発のための基盤の整備であります。  まず、地域における研究開発の高度化を進める等により地域科学技術の振興を図ってまいります。  また、広範な分野の基礎研究に飛躍的な成果をもたらすことが期待される高性能の大型放射光施設について所要の研究等を推進してまいります。  さらに、研究交流促進法を円滑に運用すること等により産学官等の研究交流を一層促進するとともに、科学技術情報の効率的な流通を図るため各種データベースの拡充、新オンライン提供システムの開発、国際科学技術情報ネットワークの運用等を進めてまいります。  また、研究開発の推進に不可欠な遺伝子資源の収集、保存、提供体制を強化するためジーンバンク事業等を推進してまいります。  第五は、原子力研究開発利用及び安全対策の推進であります。  原子力の研究開発利用につきましては、安全確保を大前提として引き続き積極的に取り組んでまいります。  まず、原子力安全対策につきましては、ソ連チェルノブイル原子力発電所の事故をも踏まえ、原子力安全規制行政及び環境放射能調査体制の充実 を図るとともに、安全研究等の推進を図り、安全確保に万全を期す方針であります。  次に、原子力発電の円滑な推進を図るためには自主的な核燃料サイクルの確立が不可欠であり、ウラン濃縮、使用済み燃料の再処理、放射性廃棄物の処理処分等について所要の技術開発等を強力に進めるとともに、民間における核燃料サイクル施設建設計画の推進に必要な措置を講じ、円滑な事業化を促進することとしております。  また、核燃料の有効利用を図るため高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設の促進、新型転換炉実証炉計画の推進等新型動力炉の開発を積極的に進めてまいります。  人類の究極のエネルギー源と言われる核融合につきましては、臨界プラズマ試験装置JT60の高性能化のための改造に着手するとともに、国際熱核融合実験炉共同設計活動への参加を進めてまいります。また、高温工学試験研究炉の実施設計等を開始するとともに、原子力船の研究開発、放射線の高度利用研究などの先導的プロジェクト及び基盤技術開発等を進めてまいります。  さらに、電源三法の活用による原子力施設立地地域住民の福祉の向上及び地域振興のための施策等を講ずるなどにより、国民の理解と協力を得ながら原子力の研究開発利用の推進を図ってまいります。  また、核物質の防護に関する条約への加入に当たり、核物質の防護について所要の整備を図るため、今国会におきまして核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の改正案を提出することとしておりますので、何とぞ、よろしく御審議のほどお願いを申し上げます。  第六は、宇宙開発利用の推進であります。  宇宙開発利用につきましては、宇宙開発政策大綱に示された方針に沿って自主技術開発を基調としながら、国際的活動との調和を図りながら積極的に推進していく所存であります。  まず、通信、放送、観測及び共通技術の各分野の人工衛星の開発等を引き続き行うほか、新たに静止気象衛星五号及び海洋観測衛星一号bの開発に着手するとともに、地球観測プラットフォーム技術衛星の開発研究に着手します。  また、一九九〇年代における大型人工衛星の打ち上げ需要等に対処するため二トン級の静止衛星打ち上げ能力を有するHIIロケットの開発等宇宙輸送システムの研究開発を推進いたします。  さらに、日本、米国、欧州、カナダで共同して進めている宇宙ステーション計画への参加協力のため我が国の実験モジュールの開発を引き続き進めてまいります。  第七は、海洋開発の推進であります。  海洋国家日本としては海洋科学技術に関する研究開発を積極的に推進していく必要があります。  このため、海底鉱物資源や地震予知の研究等に不可欠な六千メートル級潜水調査船システムの開発、海中作業実験船「かいよう」を用いた潜水作業技術の研究開発等を引き続き推進するとともに、新たに地域共同研究開発の推進を図るなど総合的な海洋科学技術プロジェクトを積極的に推進いたします。  第八は、物質・材料系科学技術の研究開発の推進であります。  大きな可能性を秘めた超電導について、新たに超電導材料研究マルチコア・プロジェクトの推進を図るなど、さまざまな科学技術の基盤技術として重要な物質・材料系科学技術について先端的な研究開発を総合的に推進してまいります。  第九は、ライフサイエンスの振興であります。  広範な分野において人類福祉に貢献するライフサイエンスの関連施策について、人間系科学技術を中心にがん関連研究などを強力に推進いたします。  第十は、地球科学技術の推進であります。  地球観測技術の研究開発等を進めるとともに、さまざまな自然災害の防止、軽減を目的として、地震予知、震災対策、火山防災、雪害対策等の研究を中心に防災科学技術の推進を図ってまいります。  最後は、各般の重要な総合研究等の推進であります。  航空技術の研究開発につきましては、ファンジェットSTOL実験機「飛鳥」の飛行実験、革新航空宇宙輸送要素技術の研究開発を推進してまいります。  さらに、レーザー科学技術研究等の基礎的研究の推進を図るほか資源の総合的利用のための方策等を進めてまいります。  以上、昭和六十三年度における科学技術庁の施策に関しその概要を申し述べましたが、これらの諸施策を実施するために昭和六十三年度予算といたしまして、一般会計三千四百四億円、産業投資特別会計四十七億円、電源開発促進対策特別会計九百五十一億円を計上いたしました。  私は、二十一世紀に向かって平和で豊かな社会を築いていくためには英知を結集して科学技術の振興を図っていくことが不可欠であると痛感をしており、我が国の科学技術のより一層の発展のために誠心誠意努力してまいる所存でございますので、委員各位の一層の御指導と御鞭撻を心からお願いを申し上げる次第であります。

飯田忠雄公明党・国民会議

○委員長(飯田忠雄君) 以上で所信の表明は終了いたしました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────

飯田忠雄公明党・国民会議

○委員長(飯田忠雄君) 次に、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして派遣委員の報告を聴取いたします。後藤正夫君。

後藤正夫自由民主党

○後藤正夫君 委員派遣についてその概要を御報告申し上げます。  派遣地は熊本県及び福岡県で、派遣期間は一月十三日及び十四日の二日であります。  派遣委員は飯田委員長、伏見理事、木宮委員、長谷川委員、松前委員、佐藤委員及び私の七名であります。  派遣先は東海大学宇宙情報センター、財団法人化学及血清療法研究所、九州電力株式会社新小倉発電所、新日本製鉄株式会社と黒崎窯業株式会社の両者が共同で進めているセラミックス開発センター及び九州大学応用力学研究所であります。  以下、調査の概要を申し上げます。  東海大学宇宙情報センターでは、同センターの概況説明を聴取した後、海洋観測衛星MOS1を初めとした各種人工衛星からの情報の受信、その処理と解析及び伝送に関する諸設備を視察いたしました。  東海大学は、広範な部門研究所の有機的結合及び研究活動を強化する目的で総合研究機構を発足させており、宇宙情報センターは、この機構が実施している東海大学の高度複合情報ネットワークシステムの中心をなすもので、熊本県上益城郡益城町にあります。  施設としては、熊本空港に隣接した七千五百平方メートルの敷地内に直径十一メートルの海洋観測衛星MOS1用アンテナ、直径六メートルの通信衛星用アンテナ、直径四メートルの気象衛星ひまわり用アンテナ、直径二・四メートルの気象衛星ノア用アンテナ及びこれらによって得られる情報の解析装置などのほか、地域ごとの現在の気象情報を合成音声に変換して応答する全自動気象観測所などがあります。  これらの衛星データから地域環境データ、気象観測データなどが得られ、地図、資源、産業、気象の情報のほか災害状況の把握などにも役立っております。  今後は、神奈川県伊勢原市及び東京都等に設置予定の衛星通信用地球局をベースに、衛星が持つ機能のほか、地上回線も加えることにより高速、高密度の情報の一元化システムとしての高度複合情報ネットワークシステムが完成される予定であります。  次に、財団法人化学及血清療法研究所では、菊池研究所において同財団の沿革及び概況説明を聴取した後、研究棟及び組みかえB型肝炎ワクチン製造棟における各施設を視察いたしました。  同財団は、予防医学、特に微生物学と免疫学の 領域を基盤に研究開発を進めており、その範囲は、人体用ワクチン、トキソイド及び抗毒素の研究、血漿たんぱく質画分に関する研究、臨床検査試薬の開発研究、家畜伝染病の診断及び予防液の開発研究など多岐にわたっております。特に最近では、変貌する疾病構造と技術の開発に対応するため遺伝子工学、細胞工学の先端技術を駆使した新分野への展開を図っているところであります。  菊池研究所は、同財団の創立四十周年に当たる昭和六十年に熊本県菊池郡旭志村に竣工したもので、同財団の十の部門の機構のうち研究管理部、技術開発部及び臨床病理部の研究開発関連三部門が当研究所に集中しており、遺伝子組みかえや細胞融合などバイオテクノロジーの研究のためP3の研究室を含む最新鋭の研究設備を擁しております。  同研究所では、新技術開発事業団から新技術の委託開発制度に基づく委託を受け、組み換えDNAによるB型肝炎ワクチンの製造技術の開発を行っており、既に製造承認申請を厚生省に提出し、製造承認を待つ段階に至っております。  次に、北九州市にある九州電力株式会社新小倉発電所では、同発電所の沿革及び概況説明を聴取した後、一号機から五号機の各本館タービンフロア及び五号機の中央制御室などを視察いたしました。  同発電所は、昭和三十六年に一号機、翌三十七年に二号機が運転を開始し、当初は両機とも石炭を燃料とし、その後エネルギーの多様化のため重油さらにLNGへと変換を図りました。三号機から五号機までは初めからLNG専焼とし、昭和五十三年、五十四年、五十八年にそれぞれ運転を開始した九州電力で最初のLNG専焼の火力発電所であります。発電能力は一号機から五号機までの合計で二百十一万二千キロワットとなり、使用されるLNGは年間約百六十万トンで、主としてインドネシアから輸入されております。LNGは、液体ではガス状のときの容積の六百分の一となり、運搬に便利で、発電所において再びガス状で燃焼させます。また、成分に硫黄を含まないためエネルギーとしては比較的クリーンであります。  また、三号機及び五号機は毎日起動停止を行うDSS方式となっており、電力の消費の変化に合わせた極めて安定した電力の供給源となっております。  次に、同じく北九州市にある新日本製鉄株式会社及び黒崎窯業株式会社が共同で推し進めているセラミックス開発センターにおいては、同センターの概要説明及び基盤技術研究促進センターとセラミックス関係会社四社の共同で設立された株式会社コロイドリサーチの事業の概況説明を聴取した後、同開発センターの構造用ファインセラミックス製品の量産化など製造の開発設備について視察いたしました。  同センターは、鉄鋼プロセス用セラミックスの製造、使用の経験を生かし、ジルコニア、アルミナ、炭化珪素、サイアロン及び多孔性セラミックスを中心としたファインセラミックスの製造を行っております。  ジルコニアセラミックスは、破壊靭性が従来のセラミックスより三ないし四倍と大きく、セラミックスはもろいという概念を変え、アルミナセラミックスは、セラミックスのファイン化により広範囲の材料として使える可能性を有し、炭化珪素セラミックスは、常圧で製造されるため種々の形状に対応することが可能であります。またサイアロンは、珪素、アルミニウム、酸素、窒素の元素から成るもので、高温条件下でのすぐれた構造用材料であり、さらに多孔性セラミックスは、均一で連続空孔を持つ新素材であります。  製造工程としては、原料の調整、成形しやすくするための粉体処理、形状に応じて行われる成形、素材に応じて各種雰囲気で行われる焼成、最終形状に仕上げるための機械加工があり、出荷前の製品について形状、物性、特性等評価のための測定がなされます。  ファインセラミックスは、これからの技術革新を支える重要な素材の一つであり、利用範囲は極めて広く、今後さらに物性、特性の高度化及びより経済的な製造法の確立が望まれるところであります。  次に、福岡市にある九州大学応用力学研究所では、同研究所の沿革及び概要について説明を聴取した後、それぞれの関連研究施設を視察いたしました。  同研究所は、力学の基礎と応用に関する研究を目的とし、大エネルギー力学過程の研究、高エネルギー力学過程の研究及び共通力学過程の基盤研究とに大きく分けられ、これらと並行して海洋に関する特別事業及び核融合に関する基礎研究の二つのプロジェクトが進められており、大きな成果をおさめております。  中でも、超伝導マグネットを用いた強トロイダル磁場実験装置が昭和五十七年度から建設され、昭和六十一年十月より本格的な実験が開始されております。本装置は世界で初めてニオブ三すず超伝導線材をトロイダル磁場コイルに用いた超伝導トカマク装置であります。これまでに、十一万ガウスの磁場において超高温、高密度のプラズマの発生、また、定常運転を目指した高周波電源による五十秒以上の電流駆動に成功しております。  今後は、電源、計測器等の整備により現在のプラズマ電流百キロアンペアを五百キロアンペアに上げ、核融合炉の小型化と省エネルギー化を目指した実証実験を行うとともに、高密度における連続運転と不純物制御法の開発を目指す予定であります。  以上、調査の概要を申し述べましたが、今回の調査に当たりまして御協力を賜りました関係諸機関及び関係者の方々に衷心より感謝の意を表して、報告を終わります。

飯田忠雄公明党・国民会議

○委員長(飯田忠雄君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗