運輸委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1988/03/01
会議録
○委員長(中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。 運輸事情等に関する調査を議題といたします。 運輸行政の基本施策に関し、運輸大臣から所信を聴取いたします。石原運輸大臣。
○国務大臣(石原慎太郎君) 第百十二回国会に臨み、当面の運輸行政の諸問題に関し所信を述べ、各位の御理解を賜りたいと思います。 今日、我が国の社会・経済は、国際化や技術革新、情報化の進展等さまざまな面で変革が進みつつあります。こうした状況の中で我が国は、世界との調和ある発展やその経済力にふさわしいゆとりある社会の実現を求められてきております。 このような状況に的確に対応し、二十一世紀に向けて豊かで活力ある社会を築き上げてこれを後世に引き継いていくことは我々の責務でありますが、その担い手としての運輸の果たす役割はまことに大きいものがあります。 私は、このような運輸の使命の重要性を踏まえ、新しい時代に対応した運輸行政を積極的に展開すべく、全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。こうした基本的な考え方にのっとり、当面する諸問題について、次のとおり所要の施策を推進してまいる所存であります。 まず第一には、国鉄改革を初めとする行政改革の推進・定着化であります。 行政改革の最大の懸案であった国鉄改革も昨年四月に無事分割・民営化が実施され、新しい事業体制が発足いたしました。新会社の事業展開には、利用者重視、地域の実態に即したサービスの提供という姿勢がうかがえ、その経営も全体として比較的順調に推移しておりますが、今後とも改革の成果を現実に生かしていくため、新会社の健全な経営の維持を図るとともに、長期債務等の処理、清算事業団職員の再就職対策等の残された課題について、その着実な解決を図ってまいります。 また、民間活力の発揮、推進による運輸産業の活性化等を図る観点から、運輸における事業規制等の内容、運用につき、引き続き必要な見直しを行ってまいります。 特に航空につきましては、六十一年六月の運輸政策審議会の答申を踏まえ、国際線の複数社化、国内線のダブル・トリプルトラッキング化を推進するとともに、昨年末には、企業間の競争条件の均等化及び自主的かつ責任ある経営体制の確立のため日本航空の完全民営化を実施したところでありますが、今後とも、引き続き、航空企業間の競争促進を通じた利用者利便の向上に努めてまいります。 第二は、国際社会の一員として我が国が果たすべき役割に運輸の面から寄与することであります。 我が国の国際社会における地位は今や飛躍的に向上しましたが、それだけに、国際社会の一員として、その地位にふさわしい貢献と諸外国との調和のとれた発展が求められてきております。その一環として、我が国は、その経済構造を内需主導型に変革することにより調和ある対外均衡を達成することを重要な政策目標としておりますが、運輸の面からもこのような経済構造調整に資するため、運輸関係の公共事業及び民活プロジェクトを推進することにより内需の振興を図ってまいります。 一方、経済構造調整の過程において生ずる雇用問題等の摩擦を解消し、構造転換を円滑に進めるため、その環境整備の一環として海運・造船不況対策を進める必要があります。 まず、海運につきましては、世界的な船腹過剰、六十年秋以降の急激かつ大幅な円高等に起因する深刻な外航海運不況に対処するため、従来より講じてきた我が国商船隊の近代化を中心とした施策に加え、老朽・不経済船の解撤を強力に促進するとともに、所要の利子補給金の支給及び昨年創設した日本開発銀行による利子猶予制度の活用や外航客船の整備等により経営の安定化のための環境整備を図ってまいります。 また、深刻な海運不況や国際的な漁業規制等に伴い厳しい状況にある船員の雇用情勢に対処するため、離職船員に係る給付金の支給措置の期限の延長を図るほか、特に外航船員については、緊急雇用対策として、外国船への配乗等海上職域の確保、陸上職域への転換等を積極的に推進してまいります。さらに、船舶の技術革新に対応した新しい船内職務体制を確立する等船員制度の近代化を一層推進するとともに、労働時間の短縮等に資するため、船員の労働時間、休日等に関する法的規制を見直し、その改善を図ってまいります。 このほか、国内旅客船、内航貨物船の近代化を推進するとともに、船舶整備公団の業務範囲を拡大し、改造、係留による既存船の多目的な利用を図ってまいります。 造船業につきましても、海運と同様、世界的な建造需要の伸び悩み、急激かつ大幅な円高等により厳しい不況に直面しておりますが、このような状況に対処するため、昨年三月に成立した特定船舶製造業経営安定臨時措置法に基づき過剰設備の 処理、事業提携の促進等を推進し、造船業の経営の安定化を図るとともに、船舶解撤事業の促進、造船業の技術を活用した海上浮体施設整備の推進等により造船需要の創出に努めてまいります。 一方、我が国をめぐる国際化の進展に伴い、我が国と国際社会とのかかわりはますます深まっていくものと思われますが、こうした中で我が国がその地位にふさわしい貢献を行っていくためには、その前提として国際交流を推進し、国際相互理解の増進を図る必要があります。 このため、おおむね五年間で日本人海外旅行者数を倍増する海外旅行倍増計画の推進を初め、国際観光モデル地区及び同地区内での新たな拠点としての国際交流村の整備、国際市民交流基盤施設の整備、国際コンベンションの振興等の国際観光振興施策を進めるとともに、国際航空路線の充実、複数社化等による国際航空の充実を図ってまいります。 また、本年四月よりオーストラリアのブリスベン市において開催が予定されている国際レジャー博覧会に関係省庁等と協力しつつ参加することとしております。 さらに、運輸の分野における対外経済関係につきましては、我が国の国際社会への貢献という見地から発展途上国の鉄道、港湾、空港等の整備、観光開発等に関する経済・技術協力を積極的に推進するとともに、自動車の基準・認証制度の国際化等を促進してまいります。 第三は、ゆとりある社会の実現であります。 経済構造調整の過程は、経済成長の成果を活用して国民生活の質の向上を実現していく過程でもあります。このため、ゆとりある国民生活の実現に向けて豊かで活力ある社会をつくり上げていく必要があります。 このような社会の実現に当たっては、四全総にも示された定住と交流による多極分散型国土形成を基軸とし、そのような国土形成の基盤となる交通体系の整備を積極的に進めていかなければなりません。 そこで、まず、地域相互の交流の促進を図るため、幹線交通ネットワークの整備を推進する必要があり、このため、その基盤となる港湾、空港、鉄道等の運輸関係社会資本の整備を着実に進めてまいります。その際、特にNTT株式売却益の活用による無利子貸付制度の活用を図るほか、民活法の対象施設の拡充を図ること等により、民間活力の活用により一層配慮してまいります。 港湾につきましては、高度化する物流への対応、臨海部の活性化、潤いのある港湾環境の創造等を図るため、第七次港湾整備五カ年計画に基づき、外貿コンテナターミナル、幹線臨港道路、マリーナ等の整備、港湾の再開発等を推進してまいります。また、民間活力の導入を図りつつ総合的な港湾空間の形成を推進するため、港湾文化交流施設、臨海部活性化施設等を民活法の対象施設に追加するとともに、水際線を活用しつつ臨海部における土地利用転換を進め地域の活性化を図る臨海部活性化事業等を進めてまいります。 空港につきましては、将来の航空輸送需要の増大に適切に対処し、均衡のとれた航空輸送網を形成するため、第五次空港整備五カ年計画に基づき関西国際空港の整備、新東京国際空港の整備及び東京国際空港の沖合展開のいわゆる三大プロジェクトを推進するとともに、一般空港の整備、環境対策及び航空保安施設の整備を推進するほか、ヘリポート、コミューター空港の整備も進めてまいります。 鉄道につきましては、まず、整備新幹線につきまして、昨年末の政府・与党申し合わせ等に基づき適切に対処してまいります。また、新幹線の高速輸送サービスの効果を在来線区間にも拡大し大都市と地方をより緊密に結ぶため、在来線と新幹線の直通運転を行うための施設改良等の事業を進めるとともに、磁気浮上方式鉄道の実用化に向けた技術開発を推進してまいります。 次に、活力に満ちた快適な地域づくりを推進するため、地域交通対策を推進していく必要があり、このため、地域における交通のあり方についての長期的な展望を踏まえた計画に基づいて、地方公共団体と連携しながら効率的で質の高い交通体系の形成を図ってまいります。 都市交通につきましては、都市高速鉄道、都市バス等の整備改善を進める必要があり、このため、従来の助成制度に加え、特定都市鉄道整備促進特別措置法に基づく積立金制度の活用やNTT株式売却益を活用した無利子貸し付け等により新線建設、複々線化等の鉄道整備を進めるとともに、バス交通活性化のための施策、深夜輸送力確保のための施策等の展開を図ってまいります。 地方交通につきましては、地方バス、中小民鉄及び離島航路に対する助成、特定地方交通線の代替輸送対策の推進等を行い、住民の生活基盤として不可欠な公共輸送の確保に努めてまいります。また、本年四月に予定されている本州四国連絡橋児島—坂出ルートの供用に伴う旅客船対策等についても適切に進めてまいります。さらに、最近各地域において関心が高まっているコミューター航空等の地域航空輸送については、ヘリポート、コミューター空港の整備を図りつつ、安全対策等についても十分検討してまいりたいと考えております。 一方、このようなゆとりある社会の実現のためには、その基盤となる国土づくりとあわせ、産業構造の変化や国民のニーズの高度化、多様化に対応したサービスの改善等を図っていく必要があります。 こうした観点から、貨物流通対策につきましては、物流高度化基盤施設の整備等物流拠点の整備、フレイトビラ構想の推進、消費者物流の健全な発達の促進、国際複合一貫輸送の推進等により、効率的な物流体系の形成と物流サービスの高度化を図るとともに、業界の実情に応じ、構造改善対策の推進、輸送に関する秩序の確立に努めてまいります。 また、国民の自由時間の増大、価値観の多様化等に対応して、心の豊かさを満たす生活の実現に資するため、引き続き観光レクリエーション地区の整備を進めるとともに、昨年五月に成立した総合保養地域整備法に基づきリゾート地域の整備を推進するほか、プレジャーボートの安全対策等のソフト面を含めた海洋性レクリエーションの振興に努めるなど、運輸関係余暇対策を推進してまいります。 さらに、現下の重要課題である土地対策につきましては、昨年十月に閣議決定した緊急土地対策要綱等を踏まえ、臨海部の埋め立て、再開発、宅地・業務適地の拡大に資する都市鉄道の整備等による土地の供給促進、業務核都市の育成に資する交通体系の整備等による都市・産業機能の分散促進等を図ることにより運輸の面からこれに寄与してまいる所存であります。 なお、国鉄清算事業団用地の売却につきましては、国鉄改革の推進のための施策との整合性に留意しつつ、当面、地価が異常に高騰しつつある地域ではこれを見合わせる等緊急土地対策要綱に沿って適切に対処してまいります。 このほか、豊かな未来に向けて多目的な機能を有する衛星システムの開発等運輸関係の技術開発を推進するとともに、運輸における情報化を進めてまいります。 第四に、安全対策、防災対策及び環境対策の推進であります。 まず、安全対策でありますが、安全の確保は運輸行政の要諦であります。このため、輸送機器の安全性の向上、各種交通施設の整備、交通従事者の技術とモラルの高揚、運航管理体制の充実等を着実に推進することにより事故防止に万全を期し、国民の信頼にこたえるべく努めてまいります。 また、ペルシャ湾における日本人乗組員及び日本関係船舶の安全確保を図るため、最大限の努力をしてまいる所存であります。 さらに、六十年六月に発効した千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約に対応するため、今後とも、広域哨戒体制の整備、船位通報制度の活用、海上捜索救助における関係 諸国との協力関係の緊密化等を促進していく考えであります。 このほか、交通事故被害者救済対策の充実や交通弱者対策の推進にも努めてまいります。 次に、防災対策につきましては、津波、高潮等による災害の防止、海岸浸食への対処、海岸環境の保全と創出等を図るため、第四次海岸事業五カ年計画に基づき海岸事業を計画的に推進してまいります。また、異常な自然現象の早期、的確な把握と迅速、的確な予警報を実施するため、気象業務体制の一層の充実強化を図るとともに、大規模地震対策、火山噴火対策及び海上防災対策の充実について遺漏なきを期してまいります。 環境対策につきましては、発生源対策、周辺対策等所要の交通公害防止対策及び国際的な動きに対応した海洋汚染の防止対策を一層推進するとともに、公害の未然防止の観点から環境影響評価制度を活用してまいります。 以上のほかにも運輸行政をめぐる課題は数多くありますが、活力ある社会形成の担い手としての運輸の使命の重要性にかんがみ、これらの課題に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。 以上、運輸行政の当面する諸問題につき述べましたが、これらは申すまでもなく委員各位の深い御理解を必要とする問題ばかりでございます。終わりに当たりまして、重ねて皆様の御支援をお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
○委員長(中野鉄造君) 次に、昭和六十三年度運輸省関係予算に関し、説明を聴取いたします。久間運輸政務次官。
○政府委員(久間章生君) 昭和六十三年度の運輸省関係の予算につきまして、概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計につきまして申し上げますと、歳入予算総額は二十四億六千二百万円、歳出予算総額は他省所管計上分一千百四十七億一千六百万円を含め九千二百八十五億三千万円をそれぞれ計上いたしております。 次に、特別会計につきまして申し上げます。 自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入予算額二兆三千四百二十七億四千九百万円、歳出予算額六千五十八億八千八百万円、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額四千億二千四百万円、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入予算額三百九十三億四千万円、歳出予算額三百三十三億四千万円、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千百二十八億四千六百万円をそれぞれ計上いたしております。 なお、港湾整備特別会計及び空港整備特別会計の歳出予算には、NTT株売り払い収入を活用した無利子貸付金の所要額を計上しております。 また、産業投資特別会計の歳出予算には、運輸省関係海岸事業に係るNTT株売り払い収入を活用した無利子貸付金の所要額が計上されております。 また、昭和六十三年度財政投融資計画中には、当省関係の公団等分として二兆一千八百六十億円が予定されております。 このほか、民間事業者が実施する民間事業者の能力の活用による施設整備事業の一部貸し付けに要する資金のNTT株売り払い収入を活用した日本開発銀行等からの無利子貸し付けによる運輸関係社会資本の整備を図ることといたしております。 運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、国鉄改革の推進・定着化対策、空港、港湾、海岸、鉄道等運輸関係社会資本の整備、交通ネットワークの整備、造船・海運対策及び船員雇用対策、国際交流の推進、観光の振興、貨物流通対策、運輸関係の技術開発の推進、海上保安体制及び気象観測体制の充実強化、地震・火山対策、交通安全対策等各般にわたる施策を推進してまいる所存であります。 運輸省関係予算の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。 以上をもちまして、昭和六十三年度の運輸省関係の予算につきましての説明を終わります。
○委員長(中野鉄造君) 以上で、運輸行政の基本施策に関する運輸大臣の所信並びに昭和六十三年度運輸省関係予算に関する説明の聴取は終わりました。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十一分散会