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112回国会衆議院1988/03/09

予算委員会第三分科会 第1号

発言数
593
登壇者
52
会派数
5
開催日
1988/03/09

会議録

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、文部省及び自治省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  昭和六十三年度一般会計予算、昭和六十三年度特別会計予算及び昭和六十三年度政府関係機関予算中文部省所管について、政府から説明を聴取いたします。中島文部大臣。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 昭和六十三年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和六十三年度の文部省予算につきましては、文教は国政の基本であるとの認識に立ち、教育、学術、文化、スポーツの諸施策について、その着実な推進を図るため、臨時教育審議会の答申を踏まえ、所要の予算の確保に努めたところであります。  文部省所管の一般会計予算額は四兆五千七百六十五億九千四百万円、国立学校特別会計予算額は一兆八千百八十三億四千二百万円となっております。  何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載せられますよう御配慮をお願い申し上げます。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 この際、お諮りいたします。  ただいま文部大臣から申し出がございました文部省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────   〔中島国務大臣の説明を省略した部分〕  以下、昭和六十三年度予算における主要な事項について、御説明申し上げます。  第一は、初等中等教育の充実に関する経費であります。  まず、義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の改善計画につきましては、いわゆる四十人学級の実施について、小学校は児童減少市町村以外の、その他市町村内の学校の第三学年まで、中学校は児童減少市町村内の学校の第三学年まで、それぞれ施設余裕校について実施することとしたほか、教職員配置についても所要の改善を行うことといたしております。  次に、教職員の資質の向上を図るため、新規採用教員等研修、免許外教科担任教員研修、教員の海外派遣、教育研究グループ補助、教育団体への助成など、各種研修を実施することといたしております。また、初任者研修制度につきましては、その円滑な実施を図るため、初任者研修の試行を拡充し、全都道府県・指定都市において実施することといたしております。  道徳教育につきましては、児童生徒の豊かな人間形成を図る上で極めて重要な役割を担っていることにかんがみ、その一層の充実を図るため、家庭・地域社会との連携のもとに、奉仕的体験、生活体験等を通じて道徳的実践力の育成・強化を図る事業などを新たに実施することといたしております。  次に、児童生徒の問題行動について適切に対処するとともに、児童生徒の健全な育成に資するため、自然教室推進事業の拡充を図るほか、引き続き生徒指導推進校の指定、生徒指導担当教員の研修等の各般の施策を充実することといたしております。  義務教育教科書の無償給与につきましては、これを継続することとし、所要の経費を計上いたしております。  幼稚園教育につきましては、保護者の経済的な負担の軽減を図るための幼稚園就園奨励費補助を行うなど、一層の振興を図ることといたしております。  特殊教育につきましては、心身障害児の職業的自立のための進路指導等の実践研究を新たに実施するほか、特殊教育就学奨励費の充実など、その施策の振興に努めることといたしております。  教育内容につきましては、その改善について、昨年末、教育課程審議会からの答申がありましたが、これを受けて学習指導要領等の改訂を行いその趣旨の徹底を図ることといたしております。また、学校におけるコンピューター利用のあり方等についても引き続き研究を行うことといたしております。  教育方法につきましては、その改善・充実を図るため、引き続き総合的な調査研究を推進するほか、教育機器を利用した教育方法開発のための特別設備の助成等を行うことといたしております。  また、海外子女教育・帰国子女教育につきましては、日本人学校の増設、児童生徒数の増加に対応し、派遣教員を増員するとともに、中国等帰国孤児子女教育研究協力校を拡充するなど、帰国子女受け入れ体制の整備を図ることといたしております。  さらに、児童生徒等の健康の保持増進に係る事業の推進に努めるとともに、学校給食につきましても、豊かで魅力ある学校給食を目指して、学校給食施設・設備の整備を図ることといたしております。  次に、公立学校施設の整備につきましては、校舎等建物の新増改築事業について所要の事業量を確保するとともに、児童生徒急増地域における小中学校校舎の新増築に係る特例措置の延長、部室整備に対する補助制度の創設、吹きつけアスベストの改修に対する補助制度の拡充等の制度改善を行うこととし、これらに要する経費として、二千六百七十六億円を計上いたしております。  なお、定時制及び通信教育の振興、理科教育及び産業教育の振興、英語教育の充実、地域改善対策としての教育の振興など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。  第二は、私学助成に関する経費であります。  まず、私立の大学等に対する経常費補助につきましては、昭和六十二年度に対して十億円増の二千四百五十三億五千万円を計上いたしております。このほか、教育研究装置施設整備費補助についても、大学院最先端装置、情報処理教育装置等の整備を図ることとし、昭和六十二年度に対して二十億円増の七十四億円を計上するなど、教育研究の推進に配慮いたしております。  また、私立の高等学校から幼稚園までの経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましても、昭和六十二年度に対して十億円増の七百三十五億円を計上いたしております。  日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金二億五千万円及び財政投融資資金からの借入金二百二十七億円を計上し、自己調達資金と合わせて五百七十億円の貸付額を予定いたしております。  また、専修学校につきましては、職業教育の高度化を推進するための所要経費を新たに計上するとともに、教員研修事業等に対する補助、大型教育装置に対する補助の拡充等を図るなど、専修学校教育の一層の振興を図ることといたしております。  第三は、高等教育の整備充実に関する経費であります。  まず、大学入試の改善につきましては、昭和六十五年度入試から臨時教育審議会答申を踏まえた入試改革を実施することを目途に、大学入試センターの所掌事務の変更等の所要の準備を進めていくことといたしております。  また、国立大学の整備につきましては、総合研究大学院大学を創設するとともに、三重大学に医療技術短期大学部を併設するほか、十八歳人口急増に伴う大学入学志願者の急増に適切に対処する等、教育研究上緊急なものについて、整備充実を図ることといたしております。  このほか、特に、大学院につきましては、最先端設備の拡充を図るとともに、教育研究上必要性の高い研究科、専攻の新設等を行うことといたしております。  附属病院につきましては、教育、研究、診療上特に必要性の高い分野及び社会的要請の強い分野について、診療科、救急都等を新設するなど、その充実を図ることといたしております。  なお、国立大学の授業料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、昭和六十四年度入学者から、これを改定することといたしております。  次に、育英奨学事業につきましては、昭和六十三年度から奨学金貸与人員を増員するなど、その改善を図ったところであり、政府貸付金七百三十九億円、財政投融資資金三百三十億円と返還金とを合わせて、千五百六十三億円の学資貸与事業を行うことといたしております。  また、公立大学につきましては、医科大学、看護大学等の経常費補助及び新たに整備を図ることとした情報処理教育設備を含めた教育設備整備費等補助について、所要の助成を図ることといたしております。  このほか、大学改革を推進するため、我が国の高等教育に関する基本的事項について調査審議する大学審議会の運営、放送大学の受講の機会を拡大するための地区センターの設置等放送大学学園の整備等の各般の施策につきましても、所要の経費を計上いたしております。  第四は、学術の振興に関する経費であります。  まず、科学研究費補助金につきましては、独創的・先端的な研究を推進し、我が国の学術研究を格段に発展させるため引き続き拡充を図ることとし、昭和六十二年度に対して三十八億円増の四百八十八億八千万円を計上いたしております。  次に、重要基礎研究につきましては、加速器科学、宇宙科学、生命科学等の一層の推進を図ることとし、これら重要基礎研究に要する経費として五百六十五億円を計上いたしております。  また、学術研究体制の整備につきましても、国立天文台を創設するとともに、すぐれた若手研究者の育成に資するための特別研究員制度の拡充、大学と民間等との共同研究の充実を図るなど各般の施策を進めることといたしております。  第五は、社会教育の振興に関する経費であります。  まず、地域における社会教育活動の拠点となる公立社会教育施設につきましては、引き続きその整備を図ることとし、このために必要な経費として七十九億円を計上いたしております。  また、生涯学習の観点から、地域全体で生涯学習に取り組む体制の整備及びその推進を図るとともに、青少年、成人、婦人、高齢者など各層に対する学習機会の提供、地域活動の促進、新たなメディアの活用等による多様な学習情報の提供に努めるほか、社会教育主事、社会教育指導員等の養成確保、民間の社会教育活動の推進にも努めることとして、所要の経費を計上いたしております。  さらに、青少年の健全育成に資するため、青少年の野外活動や家庭教育の充実に努めるとともに、青少年に豊かな生活体験の機会を提供する少年自然の家につきましては、福岡県夜須町に第十一番目の国立少年自然の家を機関設置し、また、山口県徳地町に置く第十二番目の少年自然の家の設立準備を行うなど計画的な整備を進めることといたしております。  このほか、国立オリンピック記念青少年総合センターについては、施設の総合的整備のため、構想をまとめるとともに、基本設計を進めるための所要の経費を計上いたしております。  第六は、体育・スポーツの振興に関する経費であります。  まず、国民の体力つくりとスポーツの普及振興につきましては、広く体育・スポーツ施設の整備を進めるため、社会体育施設及び学校体育施設の整備に要する経費として昭和六十二年度に対して二十三億円増の百六十八億円を計上いたしております。  また、学校体育につきましては、体育指導の充実強化に努めるとともに、学校体育大会の補助についても所要の経費を計上いたしております。  さらに、生涯スポーツ推進の観点から、新たに全国スポーツ・レクリエーション祭を開催するとともに、家庭、学校、地域における体力つくり事業の充実に努め、たくましい青少年の育成と明るく活力ある地域社会の形成に資することといたしております。  このほか、日本体育協会の行う選手強化事業や国際交流事業等に対して引き続き補助を行うこととし、特にソウル・オリンピック選手強化特別対策事業につきましては、その拡充を図っております。さらに、国民体育大会の助成など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。  第七は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。  まず、芸術創作活動の奨励につきましては、芸術関係団体の創作活動に対する補助、芸術祭、芸術家研修等を行うための経費のほか、新たに、民間等の協力も得て、国の内外において意欲的な公演を実施する芸術活動の特別推進事業の経費を計上いたしております。  また、文化の普及につきましては、こども芸術劇場、青少年芸術劇場、中学校芸術鑑賞教室・移動芸術祭等を実施し、国民文化祭を開催するための経費を計上するとともに、中国引揚者や外国人のための日本語教育等にかかる所要の経費を計上いたしております。  次に、文化財保護につきましては、国民の貴重な文化遺産の保存、活用を図るため、国宝・重要文化財等の保存整備、埋蔵文化財の発掘調査、史跡の整備・公有化を進め、また、天然記念物の保護及び食害対策を進めるとともに、国立劇場の事業を充実するなど、伝統芸能等の保存伝承を図ることといたしております。  また、文化施設の整備につきましては、地域社会における文化振興の拠点となる文化会館、歴史民俗資料館等の地方文化施設の整備を図るとともに、国立文化施設については、かねてより準備を進めております第二国立劇場について、実施設計に着手することとし、そのための経費を計上いたしております。  第八は、教育、学術、文化の国際交流・協力の推進に関する経費であります。  まず、発展途上国への協力等の観点から、外国人留学生の受け入れの拡充、受け入れ体制の整備、日本語教育の充実等を図るとともに、私費留学生に対する施策を充実し、大学等はもとより民間団体など各方面の協力も得ながら、二十一世紀を目指して、留学生に関する事業を積極的に推進することとし、そのために要する経費として百八十三億円を計上いたしております。  さらに、ユネスコを通じた教育協力、国連大学への協力等についてもその推進を図ることといたしております。  また、学術の国際交流・協力を推進するため、諸外国との研究者交流、特に次代を担う外国人若手研究者の受け入れを拡充するとともに各種の国際共同研究、拠点大学方式による発展途上国との学術交流の促進を図ることといたしております。  第九は、教育改革の総合的推進等に関する経費であります。  ただいま御説明いたしましたように教育改革の着実な推進を図るため所要の経費を計上いたしておりますが、このほかに、教育改革に関する施策を円滑かつ効果的に推進するため、総理府に臨時教育改革推進会議(仮称)を新たに設置することに伴う関連経費を計上するとともに、地方公共団体等への教育改革に関する研究委託、民間の調査研究機関等を活用しての時代の進展や社会の変化に対応した文教政策の立案に関する総合的調査研究、入学時期に関する調査研究などを実施するための経費を計上いたしております。  以上、昭和六十三年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。  何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。     ─────────────

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 以上をもちまして文部省所管についての説明は終わりました。     ─────────────

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。村山喜一君。

村山喜一日本社会党・護憲共同

○村山(喜)分科員 私は、二月二十七日に予算委員会で田中慶秋君が、ソウル・オリンピックを前にいたしまして、全柔連と学柔連の問題を中心にして所信をただした問題がございますが、私も若干の角度を変えた立場から、この問題について大臣の御所見と、そしてまたそれに対する取り組みをお願い申し上げたいというようなことで問題を提起いたしたいと思っているところでございます。  ちょうど数年前といいますか、まだごたごたが余り激しくないころでございましたが、私のところに、柔道五段の資格を与えるからお金を幾ら払い込んでくれ、金額はここで言うのははばかりたいと思いますが、そういう申し入れがございました。私も、私と学生の時代に柔道をやって引き分けをした人がおりますので、その人が七段でございますから、それに比べたらおれも五段ぐらいの資格はあるだろうなと実は思ったのでございます。しかし段位というのは、お金を払ったら段位をくれる、実力がないのに段位をくれる、これはちょっとおかしいじゃないかというようなことで、私はわざわざ手紙を書きまして、送ってきたところに、自分は五段の段位はとても実力上持っていない、昔もらった段位だけで結構だからということで返事を出したわけでございます。そのときに同僚の国会議員の中にも段位をもらわれた方もあるやにも聞いているわけでございますが、私は、そういうような家元流のやり方というのは近代社会の中にあって避けるべきじゃないだろうか、こう考えている一人でございます。  ましてや、今度学校教育課程あるいは学習内容の教科や特別教育活動あるいは授業時数等の改正をやろうとしている、その中で、今まで体育保健の中の格技が武道というように改まる、私も武道振興議員連盟の一員としてそのことに対しては歓迎をいたしているところでございます。そういうふうにして柔道、剣道が世界に通用する種目としてスポーツの中で、そして体育保健の中できちっと位置づけられていく、それに対する授業時数も確保される、私は大変歓迎をいたしているところでございます。  ところが、柔道と剣道と並べてみますと、中学校の生徒あるいは高等学校の生徒が段位をもらうのに当たりまして、どうも柔剣道のバランスがとれていないのじゃないか。金額は、これははっきりしなくてもよろしゅうございますが、剣道に比べて柔道の方が資格を取るためのお金が三倍ぐらい、今では大体それぐらいの比率になっているのではないか。これは柔道、剣道を武道として認めていく、あるいは空手その他も武道の中に入るわけでございますが、そういうような角度から見た場合に、成人をした私たちが、そういうのには経費も伴いますから、ある程度の実費弁償的な、あるいはその会を維持していくために必要な経費は払うのは当然でございましょう。しかしながら学校の生徒、義務教育段階にあります子供たちの払うものは、子供たちがみずから稼ぐわけじゃございませんで、親御さんたちがそういうような資格を取らせる、あるいは学校の先生も、有段者にして励ましを与えるということも教育上必要なことかと思うのでございます。  そういう今の状況の中で、文部省が、この問題は単に全柔連と学柔連の二つの組織が争っているのだから、当事者同士で話し合いをしなさい、それを解決することを期待をしているという程度にとどめておいたらよくならないと私は思うのでございまして、その点ではやはり公の任務を持っている者が公の立場で、そういうような家元流というのはこれは私的な性格を持つ、いろいろな家元があるわけでございますが、近代社会の中にあっていつまでもそれを続けていくというやり方は間違っている。前の塩川文部大臣のときに大変御苦労いただいて、体育局長もいろいろと尽くしていただいたのですが、一方の方は文部省の方でいろいろあっせんをされる内容については、その代表的な立場から、そういたしましょう、ところが片一方は、いやそれは聞こえませんということで今でも進んでいるようでございますが、これに対して学校教育という立場からどのように文部大臣はお考えになるのか、その点を初めにお伺いをいたしたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 柔道、スポーツに対する一つの御識見を拝聴いたしましたが、確かに日本で発祥いたしました武道が広く世界のスポーツとして愛され浸透するということは大変結構なことだと思っております。したがって、その中で武道の心というものはやはり伝承されていくべきでありましょうし、また一方で組織、運営はやはり社会に合わせて近代化していくということも必要であろうと思います。特に、これは学童生徒諸君にも関係のあることでございますから、おっしゃいますように前文部大臣のときに柔道問題に関する懇談会もつくっていただきまして、いろいろな各般の御意見をまとめて、何とか解決をしたい、文部省挙げて努力をいたしてきたところでございます。  お家の事情もございますけれども、私としては、ソウル・オリンピックという世界のスポーツの祭典を目前にいたしまして、そして一人でも多くの選手諸君に、国民を挙げて応援をし、後顧の憂いなく出場していただく、そこで全力を挙げて世界の選手諸君とスポーツとしての試合をする、これが当然でありますのに、どのような理由があれ、それを阻害するような、また心配をかけるようなことがあるということは大変恥ずかしいこと、このように考えておりますので、節目節目もございますから、何とか一本化ができまして、そして国民から見てよかった、これで選手諸君も後顧の憂いなく出られるなという状態に早くいたしたい、このように考えておるところでございます。  今までの経緯並びに対策につきまして、御質問があれば政府委員からお答えさせますが、基本的にはそのように考えております。

村山喜一日本社会党・護憲共同

○村山(喜)分科員 私もいろいろと資料も持っておりますから、内容的には細かいことは必要ございません。  そこで、体育局長にお尋ねをいたしたいのは、長い間関係者の方々が協議をなさいまして、そして二月二十六日に懇談会のまとめとして三項目がまとまっております。ここにございますから読み上げますと、「一、我が国柔道界の将来の発展を期するには、学生及び社会人など柔道関係者が一体となって、後継者を育成する必要がある。このため、現在の柔連関係団体は、発展的に解消し、我が国における柔道競技界を統轄し、代表する唯一の団体として新法人を設立する。二、講道館については、講道館の名誉、伝統を踏まえつつ、社会的要請に応えて自主的改革に努めることを期待するが、この法人とは形式的にも実質的にも切り離したものとする。三、この法人の事務所は、岸記念体育館内に置くこととする。」という三項目がございますが、これは両当事者がいずれも考え方はよろしいということで合意をしたものだと承っておるのでございますが、事実はどうでございましょう。

國分正明文部省体育局長

○國分政府委員 ただいま御指摘のございました三項目のうち、現在対立関係にございます全柔連、学柔連があるわけでございますが、学柔連におきましては三項目すべてこれでやってほしい、こういうふうになっております。一方、全柔連の方でございますが、二項目目と三項目目については基本的にこれで結構である。つまり講道館と法人とを切り離す、形式的にも実質的にも切り離す、あるいは法人の事務所を岸記念体育館内に置くこと、これは結構である。ただ、一番目の問題につきまして、新しい法人をつくるということにつきまして、いろいろ現在の全柔連に改革を加えるということについてはやぶさかでないとしながらも、現在の全柔連の法人化、あるいは新しい法人をつくる場合であれば全柔連が主体性を持って、いわば中心となって新しい法人をつくるべきである、こういう点で異論を唱えておるというのが現在の状況でございます

村山喜一日本社会党・護憲共同

○村山(喜)分科員 この問題は裁判まで出まして、そして一体今の全柔連にどのような規制力が与えられるかという問題で争いがありまして、全柔連がとった学柔連に対する制裁的な措置のようなやり方は与えられた権限を逸脱するものであるということが指摘をされた。ところがそれに対しまして、裁判所の判断はそうですが、これは民事問題だということでもありましょうけれども、いやそういう解釈は間違っているんだ、あくまでも自分たちの主張の方が正しいんだということで争う構えでございますね。  それで、近ごろまた国際柔道大会がチェコである。その問題につきまして、ここにも資料を持ってきておりますが電報をよこしまして、妨害行為というのですか、そういうのに行かせることは間違いだと国際柔道大会への選手派遣について妨害が入っている。大会は三月にあるのでしたね。チェコスロバキアの国際柔道大会に日本選手団が結成されて、選手も発表されて、行くような手配をして、三月の七日から十六日まで行われる。そんなものに出たら今後大変な処罰をしますよという警告の電報を発している。そのような形の中で、学生の諸君が国際試合に行くのに、全柔連の名前で、これは全日本柔道連盟事務局長の名前で大学にあてて打った電報でございますが、こういうやり方を続けている。ということは、文部大臣を初め体育局長も、また今日まで一生懸命取り組んでおいでになった方々の善意をも踏みにじりながら、おれたちがやるんだということで一方的にやっているような気がしてなりません。これでは柔道という日本古来の伝統を傷つけるような行為ではなかろうかと思わざるを得ないのでございます。  大臣、体育協会に対しては予算の中で十三億、昨年よりも一億ぐらいふえた形で、ソウル・オリンピックを目の前にしているからそういう予算上の配置もしていらっしゃるのでしょうが、この前の話でございますが、大臣は大臣として体協の方にも協力要請をして一緒に解決に当たるということでございますけれども、そういうように、自分たちが体協に唯一加盟している団体であるというような形で他を排除していくやり方は、スポーツ精神に、また武士道精神に合わせていかがなものだろうかと思うのでございますが、大臣の決意のほどをお伺いしたいと思うのです。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御指摘の点は前提に二点ございまして、一つは民事的な係争中のことでございますからそれに口を挟む立場にはないとは思いますし、また本来スポーツ内部で解決すべきものという大前提はございますが、先ほど申しましたように、それは前提といたしましても、スポーツ精神の中で、しかも世界のスポーツの祭典を目前にいたしまして、少なくとも選手諸君に迷惑をかけるということは恥ずべきこと、このように考えておりますので、もっと大所高所から、そして全柔運から学柔連が離れたときも一応内部の改革、反省、それを求めるための行動であったという意味にも、心は受けとめるべきところもあろうと思いますので、双方がそういう心の面をもう少し大きく把握していただきまして、少なくとも選手、コーチに要らざる不安を与えるようなことは避けるべきではないか、私個人としてはそう考えております。

村山喜一日本社会党・護憲共同

○村山(喜)分科員 今、日本の柔道界が地盤沈下を起こして、国際的に見ても、とにかくこういうような格好の中ではソウル・オリンピックに行ってもいい成績をとれないのじゃないか、そういうような状況を非常に心配しているのに、大学連盟の形でチェコの方に国際学生柔道大会に参加する人に対しても圧力をかける、あるいはその裁判の途中でも、おりなければ将来は大変だぞという圧力をかけて四名も取り下げるというやり方を見ておりますと、どちらの立場が正しいとか悪いということではなしに、このまま進んでいけば日本の柔道界は真っ二つに、収拾できないような状態になるということも当然だろう思うのです。  そこで、自民党の皆さんが心配されて、国会議員柔道連盟というものをつくられていろいろ御苦労なさっていらっしゃることも、稻葉会長にも私はお会いいたしましてお話もお聞きいたしました。これは単に自民党だけのそういう同憂の士の集まりだけではなしに、日本の柔道を愛する、日本の武道を愛する我々野党の国会議員も同じような気持ちである、そういうことを大臣の耳にも入れて、そしてこの議事録を明らかにする中でこれは全国民的な意向として取り組みをしていかなければ、もう時間は余りないということで、あえて私は大臣に――この前塩川文部大臣に一生懸命やってもらいましたが、その任期の中では解決ができませんでした。しかし、ソウル・オリンピックまではそう余裕はない、二百日足らずになってきたわけでございますから、その選手諸君が後顧の憂いなく、そしてまたこれから社会に開かれた武道として、柔道として、国際的なスポーツの科目の中に入っているわけでございますから、世界じゅうから笑い物にならないようにどうしても精力的に取り組んでもらわなければならない。我々もそれぞれの立場において努力をいたしますが、行政の長として一番責任ある立場にあるのは文部大臣でございますから、大臣にもっと強い姿勢で当たっていただくことができないかどうか、この点再度お尋ねをいたします。どうぞよろしくお願いします。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御提言をいただきまして、ありがたいことと存じます。  おっしゃるように、全国民的な立場でこれを解決しなければならぬことでございますし、またその所管にございます文部省といたしましては、全力でこれに当たってまいるつもりでございます。これはソウル・オリンピックを目前にしておりますので、ある時期大同団結いたしまして新しい組織になりますように、これは双方の御所見ももちろんでございますが、私どもとしては、言葉は悪いのですが、一発勝負でいけるような決意と努力をいたさなければならぬ、こう思っております。  自民党では、たまたま柔道議員連盟がございましたが、安井前会長が御他界になりまして、新しい組織ということにしていただいたと伺っておりますし、また超党派でこれに取り組み、激励をしていただくということは大変ありがたいことでございまして、それを無にいたしませんように努力いたしますので、一層御協力、御鞭撻をいただきますようにお願い申し上げつつ、努力いたすことをお約束申し上げます。

村山喜一日本社会党・護憲共同

○村山(喜)分科員 大変ありがとうございます。  それで、ことしは嘉納治五郎先生がおなくなりになりましてから五十年か何かで記念の集会もあるやに聞いております。ですから、柔道というものを今日のそういう国際的な地位にまで高められた嘉納精神というものは受け継いでいかなければならない問題だろうと思うのです。その際に、今文部大臣から大変心強い決意の表明をいただきましたので、大臣が全力を挙げてこの問題の解決に当たっていただけるよう、そしてまた我々も、嘉納精神から見て今間違っているのではないかと思われる行動に対して、正しいレールの上に乗って発展の方向へ柔道界が向かうことを心から祈念しているわけでございますから、我々も努力をいたしますが、今後さらに頑張っていただきますことをお願いしまして、ちょっと時間が残りましたが、終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。  次に、左近正男君。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 私は、きょう、学校図書館法の問題について御質問したいと思います。  学校図書館法は、昭和二十八年に議員立法で制定されておるのですが、そのときの経過はどういうものであったのですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 先生御指摘のとおり、学校図書館法は昭和二十八年八月八日に法律として施行されておるわけでございますが、学校における図書の利用というのは学校教育に不可欠でございまして、学校における図書の充実、学校における図書の利用についての先生方の指導、その中心的存在としての司書教諭等について総括的に法を定め、学校教育における学校図書館の充実をしよう、こういう趣旨として私どもは理解をしておるわけでございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 この法律の第三条には「学校には、学校図書館を設けなければならない。」となっているわけですが、この第二条の「定義」に基づく図書館は全国でどれだけあるのですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 御指摘のとおり、学校には学校図書館を設けなければならないわけでございまして、設置の数、保有校について昭和六十一年度現在で申し上げますと、小学校につきましては、保有校が二万一千九百八十五校でございます。全学校数は二万四千六百二十八でございますので九〇%でございます。それから中学校につきましては、同じく六十一年度で九千六百六校、全学校数が一万三百六十四校でございますので九二・七%となっているわけでございます。盲、聾、養護につきましては、ちょっと今手元に数字がございませんのでお許しいただきたいと思います。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 今の報告をお聞きすれば、ほとんどの学校が学校図書館を設置しておる。これは結局二十八年に学校図書館法という法律ができたからこれだけ学校図書館が普及したのではないか、この法律の制定された意義は非常に大きい、このように私は思っておりますが、まだできてないところがあるのですが、これはどういうわけですか。これは文部省として指導もなさらないのですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 先ほど先生御指摘のように、学校には学校図書館を設けなければならないということになっておるわけでございますから、数字としては一〇〇%という形であるべきでございまして、各学校に図書が一冊もないということはないわけでございまして、学校図書館と言わないであるいは図書室とかいろいろな形で学校図書は置かれておるわけでございますけれども、やはり法に定められた学校図書館としての姿、名称を含めまして、実体も中身も持たせたもので一〇〇%置くようにという指導は今後もしてまいりたいと思っております。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 私は、さらに学校図書というものを非常に大切にして、文部省として努力をしていただきたいと思います。  そこで、法の第五条に定める司書教諭の配置状況は、小学校、中学校、高等学校、その他学校別にどういう状況ですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 司書教諭につきましては、先生御案内のとおり、教諭の中から司書教諭として命を下して司書教諭とするわけでございますが、その発令としての姿といいますと、数字はかなり少のうございまして、現在の姿では昭和六十二年度、昨年の五月でございますが、小学校では九十人、中学校では百三人、高等学校では四百十七人、合計しますと六百十人という実態になっております。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 法五条では、司書教諭を置かなければならないということを明確に規定されておるわけですが、法ができてから三十年以上たって、この状況については実態が余りにもかけ離れているのじゃないですか、どうですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 この点は先生御案内のとおりでございますが、この法律の附則がございまして、二項で、当分の間置かないことができるということで設置義務を外しておるわけでございます。なぜこのような形で数字として司書教諭が発令されている実態が少ないかということでございますが、これは二、三理由があろうかと思いますが、一つは、司書教諭についての有資格者の問題、この問題が一つございます。  それから第二の問題といたしましては、学校におきましては校務分掌として学校図書の担任という形、あるいは学校図書利用についての校務分掌の主任という形、司書教諭という発令はしないけれども実質的には司書教諭としての仕事をしておられる方々がそれぞれ学校におられるわけでございます。  それからもう一つは、司書教諭として発令されることについて、先生方の中に司書教諭として発令されてしまうと自分の本来の仕事との関係でいろいろ問題があるというお感じを持つ方が学校によってはある。いろいろ学校の事情があるようでございます。  それからもう一つは、学校の規模でございまして、先生方の数の問題とか学校図書館の中身の問題、つまり規模の問題として、司書教諭を発令することについてそれほどの規模であるかという実態を私どももいろいろ調べるわけでございますが、要素がたくさんございまして、私どもはぜひ司書教諭としての発令はするようにという指導はいたしておりますが、実際の発令は先ほど申し上げましたような数字で少ないというふうな実情になっておるわけでございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 だから、この第五条では「学校には、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない。」この附則第二項で「学校には、当分の間、第五条第一項の規定にかかわらず、司書教諭を置かないことができる。」これは法制定時に有資格者も非常におらなかっただろうから、当分の間条項――この当分の間条項というのは、この法律だけでなくて他の法律にもたくさんありますね。それはよくわかるのですよ。しかし、今言われましたこの学校図書館が全国に大体四万近くある。その中で今司書教諭を置いている実態が余りにも少ない。これは何も規模が小さいから大きいからの問題だけではなしに、文部省としては、この附則を本条というように理解をして、具体的な行政指導なりを全くなさっておらないのじゃないかと私は思うのです。この点いかがですか。今までこういうことについては、できるだけ学校には司書教諭を専門的に置かなければならないという法の精神に基づいて具体的な行政指導は各教育委員会等にされていますか、どうですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 この点は私ども従来から大変努力しておるところでございまして、最近の例で申し上げますと、六十二年四月二十二日付で初中局長名義の通知を都道府県教育委員会、知事等に出しておるわけでございまして、この通知の中で「司書教諭の発令が一層促進され、学校図書館の機能が十分発揮できるよう格段の御配慮をお願いします。」という通知も出しておるわけでございます。これは司書教諭の講習会を毎年やっておりますので、資格を持つ人を大いにふやしていくという我々の努力とあわせて、発令についても各都道府県、市町村を通じて学校で努力してもらいたい、こういうふうなことにしておるわけでございまして、私どもその点については努力しておるつもりでございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 この有資格者数が非常に不足しておるやのお話もございましたが、現在司書教諭の有資格者は何万人おるのですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 司書教諭の有資格者につきましては、教員免許状を持っておる者については司書教諭の講習を受けて司書教諭としての資格が与えられることになっておりますので、昭和二十九年以来の有資格者の数は十三万四千五百三十八名となっておるわけでございます。ただし、先ほど申し上げましたように、実際の教諭であって司書教諭の資格を持っている者につきましては、その内数として四万六千四百八十七人という数字でございます。したがいまして、端的に申し上げますれば、先生御指摘の数としては四万六千四百八十七人の方が教諭としての有資格者である、こういうふうに理解していただければ幸いでございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 大臣、最近の学校教育について、受験受験で非常にゆがんだ側面があるわけです。したがって、学校図書の教育上の役割というのは非常に大事ではないかと思うのですね。その点について、大臣として今の質疑、討論を聞いておられて、やはり学校図書館というのをもっと充実させていかなければいかぬのではないかと思うのですが、その点いかがですか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 伺っておりまして、昭和二十八年に学校図書館法をつくっていただいた、それによって学校図書館が九〇%以上とにかく充実をしてきておる、これは大変結構なことだと存じます。  また、法五条も、当然これは法律として重視しなければなりませんが、と同時に、当時の実情から附則の特例措置がとられておるところでございますし、それについて有資格者が多いのか少ないのかということと同時に、また局長が申し上げましたとおり、有資格者の数のほかに、本来教諭としての任務の重視、それとの兼ね合い、あるいは規模の問題というこの三条件がございますが、これは局長名で通知を出させていただきまして、さらにその拡充を指導いたしておるということも申し上げましたとおりでございまして、今後ともその方向で進めてまいりたいと思っておりますが、直ちにこれを義務設置とするというようなことはなかなか困難ではなかろうか。ただ、先生のおっしゃる拡充を旨とすべきである、これはよく理解できるところでございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 附則について三十年からほったらかしでして、文部省としてこの附則を削るような考えを実際持っておらないですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 この点につきましては、先ほど申し上げました有資格者四万七千人の問題、学校数が大体四万余でございますから、その有資格者が一人ずつ各学校に配置されれば有資格者という点では解消できるわけでありますが、ただ、先生も御理解いただけますように、学校の教員配置の状況によって、ある学校に有資格者が固まり、ある学校には有資格者がいないというふうな実情は非常に多いわけでございまして、過去の私どもの調査によりますと、有資格者がいる学校というのが三割余であったというふうなことがあるのでございます。  したがいまして、そういう実態から申しますと、有資格者が四万人いる実態であるといっても、直ちに義務設置にするということはなかなか難しい点がございますので、今後は、教員配置の問題とか有資格者の問題とか、それから学校における職務の遂行上の問題、ただいま大臣からもお答えがあったような問題等も含めて、校長、教員間の学校図書の関係でこれを充実していくという意識の問題、こういう点を総合的に勘案した上で検討すべきであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。  御趣旨はよく理解しておるつもりでございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 だから、これは三十年ほったらかしでしたので一挙にはいきませんけれども、具体的な年次計画をつくってもらって徐々に解消していくというような具体的な施策をできないかどうか。実際、その点どうですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 この点は年次計画という点になかなかなじみにくい点がございまして、やはり有資格者につきましてはボランタリーに資格を得る者を求めるというようなことでございまして、毎年二百数十人というのが教員において資格を得るというふうな実情でございます。  いずれにいたしましても、第一着手は、やはり従来の努力と同様に資格を持つ者をふやすという点が第一着手でございます。それから第二着手としては、やはり配置上の問題も含めまして有資格者が各学校にまんべんなく配置される。それから第三の問題としては、学校長が司書教諭を発令するように努力をしてもらう。こういうふうなことでございますので、私どもは、その点についてそれぞれ年を追って努力をさせていただきたいというふうに思っておる次第でございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 それでは、できるだけ積極的にお願いをしておきたいと思います。  そこで、この司書教諭を補完する意味で学校司書という制度があるのですが、これはどういう制度ですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 学校司書につきましては、学校における事務職員という身分でございます。そして、学校における事務職員としての身分の学校司書が、学校図書館に関するいろいろな出納その他事務的な作業がございますし、購入とか支出という問題もございましょうし、そういう事務的な仕事に学校図書館について司書教諭とともに携わる、こういうふうな性格の職員というふうに私どもは位置づけておる次第でございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 これは法的にはどうなるのですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 法的には学校に置かれる事務職員ということでございまして、学校司書としての法的な位置づけというものは法令上はございません。学校における実態として置かれる職員というふうに考えておる次第でございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 今現在、学校司書というのは何校に何人ぐらい配置されておりますか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 現在、学校図書館の事務職員として私どもが六十二年五月一日現在で把握しております数字は、これは県費負担事務職員、市町村費負担事務職員、私費負担事務職員というふうにいろいろ給与の出どころが違うのでございますが、小学校で千五百七十八人、中学校で九百四十六人、合計いたしますと二千五百二十四人というふうな数字が上がってきております。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 実際、この実態も非常にあいまいですね。学校図書館法の中でしっかり位置づけられるのであれば問題ないですが、PTAの会費等で雇っているというような実態も聞いているのですが、そういうことはあるのですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 この点は御案内のとおり、私どもとしては学校に置かれる職員が私費負担ということであっては原則ならないという考え方でございますが、学校基本調査で上がってきております数字としては私費負担というふうな姿で上がってきておるものがございまして、この点については私どもも実情をつまびらかにしておりませんので、今後少し調べてみたいというふうに考えております。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 この学校司書をもうちょっと制度的に整備をしてもらえないですか、どうですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 学校司書の位置づけの問題でございますが、先ほど私、仕事としてはこのような仕事があるということを申し上げたわけでございます。  ただ、実態として考えますと、小さい学校、大きい学校いろいろございますけれども、それぞれ司書教諭がおられる。司書教諭は学校図書館について教育的な面をつかさどるということではございますが、やはり司書教諭がおられて学校司書がおられる。中規模の十二とか十八の学校でその二人がおられるときに、両者の職務上の関係はどうかというふうな問題が一つございます。それからもう一つは、やはり十二―十八の学校で学校図書館を抱えた場合に、学校司書という事務職員としての姿の職員が必要であるかどうか。学校司書の位置づけにつきましては、これを法制上の問題としてとらえるとするといろいろ難しい問題がございまして、現時点では私どもはその点については慎重な構えでおるわけでございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 実際、現実に学校図書を運営するに当たっては司書教諭もおらない、それを補完するために学校司書というものがある、この学校司書は全く制度的なものになっておらない、これは私は非常にいびつな状況だと思うのですね。この法律が、去年おととしできたのであれば問題ないのですが、二十八年にできてそれ以降こういういびつな運営がされておるところに、私は学校図書に対する文部省としての考え方というのが、何か最近軽視をしておるのではないか、こんな感じがしてならないのです。  学校司書については、学校の事務職員と非常に混同されているわけですね。したがって、学校司書が本当の図書の仕事だけが専任的にできない、一般的な事務も学校によっては御都合的に運用されておる、こういうことでもありますので、これは法律は変えなくても文部省としての通達か何かで明確に学校司書の問題について位置づけをしてもらえないか。その点いかがでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 学校司書のあり方につきましては、先ほど申し上げましたように、司書教諭との関係あるいは学校規模における仕事、職務内容、量の問題、質の問題、いろいろ検討すべき課題があるわけでございまして、その点につきましては先生御指摘のように、私ども従来から意識はしておるわけでございます。  ただ、この点につきましては、やはり学校運営における校長先生、先生方、児童生徒、それから事務職員全体の学校運営の問題として、図書教材、いろいろな面での活用を図るにおいて活性化するにはどうしたらいいかという総合的な検討が必要でございますので、学校司書だけの問題としてとらえることではなくて、御指摘のような学校図書館の充実振興という観点から私どもは今後も取り組んでまいりたい、そのプロセスとしまして学校司書のあり方についても研究は進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 今、議員の中で学校図書議員連盟というようなものがございまして、そこでかなりこの改正問題について突っ込んだ論議がされておるということも聞き及んでおるのですが、その辺、文部省としてはどういう理解をされておりますか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 御指摘のように、超党派で学校図書館の振興に関する議員連盟がございまして、私どももそれぞれの先生方が所属されてその点についていろいろ心を砕いていただいておることは承知しておるわけでございます。  そういう意味でこそ、私どもはやはり昨年も発令についての慫慂について通知を出し、いろいろと努力をし、講習についても毎年七大学に委嘱をいたしまして資格取得についての努力をしておるわけでございます。この点につきましては、超党派の先生方のお気持ちも踏まえながら今後とも私ども努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 文部大臣、私はきょうは特にこの司書教諭の問題と、今非常に運用的にやられておる学校司書の問題について御質問させていただいたのですが、法ができてから非常に期間が長く、非常に問題がある運用をしておるということは御理解いただいたと思いますので、この点について大臣として今後どういうように対応されようとするのか、所信をお伺いしておきたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御指摘を伺いまして、確かに法ができましてから三十数年たっております。先生の御指摘も直ちにということではなくて、その心は学校図書館の充実とその利用の拡大、これを願っての御発言でございますので、心を体しまして勉強させていただきたいと思います。

左近正男日本社会党・護憲共同

○左近分科員 よろしくお願いします。終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて左近正男君の質疑は終了いたしました。  次に、二見伸明君。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 質問する前に、きのう質問の要旨を申し上げていなかった点が一点ありますので、後から質問しますから今のうちに調べておいてください。  これは外国人を日本の小学校、中学校、高校なりで正規の教員として採用する場合にこの免許がどうなるかということ、要するに臨時免許なのか、そのことについて後で質問しますから、それだけ調べておいてください。  それでは最初に文部大臣、これはどういうふうに、野党批判であろうと何であろうと構いません。思ったとおり言ってくれませんか。けさの漫画、朝日と読売かな、とりあえず持ってきたのです。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御参考にいただいたのは新聞紙面にございます漫画でございますが、このような漫画を含めまして、これはある意味では庶民感覚に訴えて、そして庶民の心からにじみ出たものであろうと思いますし、これは批判精神をユーモアに包んで、そして鋭いけれどもユーモアで包まれてすべての人たちが和やかな中にもその世相の反映、それから世相に対する批判精神をユーモアの中に感じ取らせるという一つの方法であり、これは長い間日本人にも世界の国民にも定着しつつある一つの風刺文化と申せるかと思います。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 この手の漫画は日本ばかりじゃなくて各国どこにもあるわけでありまして、これは確かに今おっしゃられたようなことですけれども、この一枚の漫画から後世の歴史家は、一九八八年三月八日、九日というそのときの日本の政治情勢はこういうことであったんだなということを、この漫画から情報を得ることができますね。しかもそのときに、それは公の歴史の文書に書かれたのではなくて、庶民がこのときに何を国会に求めていたのかということも、この一片の漫画からわかるわけですね。ということになると、これは単にユーモアというだけではなくて、将来、そのときどきの世相を知る大きな資料だと私は思いますけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 一つの世相の反映でもあり、そして風刺の精神にあふれた一つの表現だ、このように考えます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 これは漫画ばかりに限りませんで、例えば日本では川柳というものがある。あるいはヨーロッパに行っても小ばなしというのがある。川柳でも、昔は「居候三杯目にはそっと出し」という川柳がある。今は「居候三杯目にはぐっと出し」ですね。居候という言葉が昔はあっても今はありませんね。昔は居候という言葉があった。あって、現実に居候がいた。今は居候がいない。これだけで「居候三杯目にはそっと出し」という川柳からそのときの社会情勢と今の社会情勢の違いを知ることができる。また「そっと出し」というところと、今あえて「ぐっと出し」というところで、食糧事情の違いもわかることができる。  単なるユーモアということではなくて、私は非常に重要な文化財産だと思うし、歴史の資料だと思いますけれども、こうしたものが、今例えばこの漫画は、このオリジナルが新聞社に帰属しているのかあるいはかいた作者が自分のところに保存しているのか、私はそれはわからないけれども、いずれにしてもそれがばらばらであるということだけは事実だと思うのです。  短い時間ですから私は長い議論はいたしませんけれども、例えばこうした一片の社会戯評が散逸にされていていいんだろうか。むしろこれは将来への貴重な資料として保存しておく必要があるんではないだろうか。もちろん作者が、これは自分で手元に置いておきますということであれば別だけれども、そうしたオリジナルを保存しておいてもいいんじゃないか。そうした施設があってもいいんではないかと私は思うのです。  ある漫画家に聞いたところ、ある作者は自分でかいたものを自分で保存している。保存する場所すらもうなくなって、どこかに置く場所がないだろうかと真剣に考えている作者もいるそうであります。もちろん漫画というとこれだけじゃなくて、いろいろな漫画があるから全部というのは無理かもしれないけれども、せめて新聞雑誌に鋭く時代をえぐったこうしたものを保存することは必要なんじゃないか。これだけじゃなくて、夕刊の四こまの漫画からでもそのときどきの世相と国民、庶民の感情というのがはっきりわかるわけですね。  どうなんでしょう、そういうものを散逸させていていいのだろうか。あるいはできれば公の機関にコレクトして保存した方がいいのだろうか、その点についての大臣のお考えはいかがでしょうか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 ただいまの先生の御指摘でございますが、新聞の風刺漫画についての価値でございますけれども、一つは、芸術的な価値というのもあろうかと思います。ヨーロッパの美術館等々では風刺漫画というものも美術作品の一つとして所蔵している例もございますし、そういった意味があると思います。もう一つは、先生御指摘のように、後世それが歴史資料となり得るという意味で学術的な価値もあろうかと思います。  そこで、その保存に関してでございます。現代の風刺漫画についての先生の御指摘は原画だと思いますけれども、原画の保存については恐らく美術館が担当するのが普通だろうと思いますけれども、御指摘のように、確かに現在のところ我が国の風刺漫画の原画の保存についての我が国の美術館の関心というのはやや薄いところがあるというふうに私も思います。これは恐らく我が国の漫画というものが近代的な手法で始まった歴史がまだ浅いというようなこともあろうかと思うのです。ただ、次第にそういう意味合いを増してきているわけでもございますので、御指摘もございますので、散逸の現状あるいはどういうところに保存されているかという現状について十分把握するために実情の調査をするというようなことで、漫画の作家の団体がございますので、そういうところとも相談しながら検討してみたいと思っております。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 ぜひともお願いをしたいと思います。  と同時に、これは、私、今漫画を主体に言いましたけれども、漫画だけじゃなくてほかの分野にもいろいろあるだろうと思います。その点もあわせて御研究をいただきたいと思いますが、今、漫画家の団体もあるのでそれと相談してというお話がありましたが、実情を知るためにもぜひともその作者の団体と話し合いを進めていただきたい。私の聞いているところによりますと、フランスには国立の漫画センターがあるということですし、アメリカでは国立国会図書館の中にそうしたものを保存する機能があるというふうに聞いております。ぜひとも今の御答弁どおり積極的にお取り組みくださることを心からお願いいたします。  それから、大臣、文化というのは金がかかるものだと私思うのです。金がかからないでやれと言えばやれますけれども。伺いますけれども、去年売上税がありまして、歌舞伎には非課税で落語は税金がかかるというので大分大騒ぎになりましたね。私はそのとき思ったことは、例えば演劇とか音楽とか歌舞伎とか落語とか、本質的にそういうものから税金を取るべきものなんだろうか、これは疑問を持っておるのです。大蔵省の方もお見えでございますけれども、両方から御意見を承りたいと思います。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 昨年の売上税問題の際の議論でございますが、歌舞伎等について申しますと文化財保護法の重要無形文化財というのに指定されている文化財に当たっているということ、それから落語等につきましてはそれに当たっていないということでございますね。そういうことがございまして、私ども文化庁としてはその辺について両方とも非課税にしてほしいということを要望したわけでございますけれども、結論いたしましてはそういう区別によって議論の結論が出たというようなことでございます。私どもとしては、両方とも我が国を代表する伝統芸能でございまして、そこに実質的な区別というものがあるというようには考えておりませんけれども、税制の上ではそういうような区別で一応議論がなされた、こういう経過でございます。

薄井信明大蔵省主税局税制第二課長

○薄井説明員 御答弁申し上げます。  確かに現在のように、例えば書籍だとかほかの文化に関係するものについて全く税金がかかってない中で入場行為について税金がかかるということにつきましては、先生御指摘のように、この時代の感覚で考えますとややおかしいのではないかなという御指摘があることは私どもよく理解しております。  他方、税の世界から申し上げますと、所得に課税するやり方がいいのかあるいはその所得の処分としての消費に課税するやり方がいいのかという大議論がありまして、この場合の消費というのは別にぜいたく品に課税するというような意味でない、消費一般に課税するという発想でございまして、そういう意味で、ほかのものと同等に課税していくという意味であるならば、課税していくことは決してその分野をいじめることになるとは思いません。現状のこの種の税金としては入場税というのがあるのですが、そんなことも考えまして、昭和六十年には、ほかに税金がかかっていないということを前提にかなり大幅な減税が行われている。ただ、こういった分野については基本的な議論がこれからなされる、あるいはなされてきているということを御理解いただきたいと思います。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 大臣、お尋ねしますけれども、舞台芸術あるいは音楽会、楽団、そうしたもの、いわゆるそういう文化活動というのでしょうか、そういうことに対する国の助成、補助金、これはどういう推移になっておりますか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 芸術文化に対する振興ということは私ども文化庁にとって極めて大きな重要な課題でございまして、そのための予算の確保については全力を挙げて努力しているところでございます。  それで、昭和五十七、八年ころ、いわゆる財政再建というような時代に大変後退を余儀なくされた時代がございましたけれども、六十年代に入りましてこの辺の予算につきましては増額傾向をたどっておりまして、特に六十三年度予算におきましては、新規事項といたしまして芸術活動の特別推進という項目によりまして、民間芸術団体が行います大型の事業につきまして重点的に助成をするという方向で、予算額としては二億円でございますが計上いたしました。そのほかに、御存じの第二国立劇場(仮称)でございますが、設立準備の推進ということで実施設計というところまで来年度はやる予定にこぎつけておるわけでございますが、そんなようなことで、対前年度比は八億六千万円というような文化庁としてはこれまでにない増額を行っておるところでございまして、今後とももちろんその充実には努めてまいりたいと存じております。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 数字が間違っていたら訂正されても構いませんけれども、五年前に舞台芸術への国の補助金は十二億五千万円あった、しかし六十三年度予算では七億三千万円になる、こういう指摘がありますけれども、こういう数字は大筋において正しいですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 その数字は民間芸術等活動費補助という項目に関する予算額の推移でございます。その数字は正しいと思いますが、私どもとしては、この民間芸術等活動費補助というものが漸減していくというのは、補助金に対する削減方策というのが政府全体にかぶっておりますので、これの影響からやむを得ないところでございます。  しかし、これにかわる事業といたしまして、例えば日米舞台芸術交流事業であるとかあるいは先ほど申し上げました芸術活動の特別推進であるとか、そういうような毎年新規の項目を計上いたしまして、これらが全体として従来の民間芸術等活動費補助の機能を補完するといいますか、これに加わっていくというような形で対処しているところでございます。したがいまして、民間芸術等活動費補助に新しい項目を加えて全体で計算していきますと、先ほどおっしゃられました昭和五十七年度の予算にほとんど匹敵するところまで回復したというふうに私どもは思っております。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 緊縮財政のもとでは補助金をカットしていく、そのあおりを受けて舞台芸術への補助金が半減されてしまうというのはよろしくないと思うのです。  例えばオペラ歌手の池田直樹さんは、どこで歌ったのだか私はよくわからないのだけれども、出演料が三晩でわずか二万五千円だ。これがオペラ歌手の主役の報酬です。三晩で二万五千円ですよ。一晩八千円だ。高校生のアルバイトにも足らぬです。ですから、音楽学校の先生をやったり歌の指導をやったりして、いわゆるゴルフでいえばレッスンプロで食っている。これが日本のオペラ界の実情だ。これで文化国家として日本がこれから羽ばたいていけるのだろうか。ベートーベンだってモーツァルトだって宮廷音楽家でしょう。王様が雇ってやったのでしょう。美術とか芸術とか演劇というのは、ある面では国が丸抱えしてやるぐらいの気持ちがなかったならばいいものは育たないと思うし、できないと思いますよ。一方では補助金を削っていって一方では税金を取るというのでは、育つものも育たないのじゃないかと思うのですけれども、文化庁いかがですか。  と同時に、薄井さん、これは文化というものの基本にかかわるのです。税の理論でいけばあなたの理論は私はわからないわけじゃない。しかし、税の理論では律し切れないものが文化、芸術にはあるのではないか。本来こんなものから税金は取らないというぐらいの基本的な考え方で税は考えていただきたいと思います。両点について御意見を伺います。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 先ほど申しました民間芸術団体に対する各種の助成の基本的な考え方というのは、先生が御指摘になりましたとおり、バレエとかオペラとかそういう大規模な舞台芸術につきましては、これは舞台芸術その他あると思いますけれども、舞台芸術が特に芸術振興上非常に有意義なものであるにもかかわらず、人件費等が非常にかさむということで商業ベースでは実施が困難なものについて助成をする、そういう姿勢で当然行っているわけでございます。  それで、先ほど申し上げましたように、民間芸術等振興費補助金というものが次第に減額されざるを得ないという実情に立ちまして、六十一年度には日米舞台芸術交流事業、六十二年度には優秀舞台芸術公演奨励、そして六十三年度の予算案では芸術活動の特別推進というふうに、毎年度芸術団体に対する助成の別の策を考えて、全体としてその助成が従来にも増して行われるように努力していこう、こういうことでやってきているわけでございます。その辺の御理解をいただきたいと思います。

薄井信明大蔵省主税局税制第二課長

○薄井説明員 御承知のことかと思いますが、現在の入場税は、六十年に改正いたしまして、大体の場合は生ものの場合であれば五千円までは税金がかからないという形にさせていただいておりまして、通常私どもが楽しめる程度のものはかなりの部分が非課税になっているということを御理解いただきたいと思います。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 文化庁としては大変苦しいのだろうと思います。  主計は来ていますか。――来年の話をすると鬼が笑うかもしれませんが、六十三年度予算は決まっちゃったんだからどうしようもないのですけれども、これからもう少し芸術とかそっちの方に思い切って金をつぎ込もうという気は起こりませんか。

伏屋和彦大蔵省主計局主計官

○伏屋説明員 お答え申し上げます。  ただいまの質疑応答にありますように、文化庁の予算の中で、補助金の見直しなどによりまして減っているものもあれば新しい事業として増額になっているものもあるわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもも芸術文化の振興とか文化財の保護などの文化関係の予算は大切だと思っております。  六十四年度の話が出たのですが、その点は文部省、文化庁とよく御相談しながらやってまいりたいと思います。よろしくお願いします。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 大臣、これはひとつ予算獲得で頑張ってください。  それから、あと二点お尋ねしますけれども、日本の国はこれから技術立国だと思うのです。重厚長大の時代が終わって、これから産業ハイテクの時代に入ります。技術あるいは基礎研究ということに当然これからウエートを置いていかなければなりません。また、そうしていかなければアメリカの攻勢に日本は負けてしまいますね。物と物との摩擦から技術と技術の摩擦の時代に入ったと私は思っているのです。そうすると、必要なのは基礎研究ですね。日本は今までは、例えば大学でも、基礎研究というよりも、工学部で、開発してすぐ製品化する段階の技術者養成の嫌いが強かった。基礎的なところでの学者の養成とか研究者の養成ということについては、私は今までは手ぬるかったのではないかと思います。  それで、この間IEAの理科の学力についての中間報告が出ましたね。小学校が一位で中学校が二位、高校になると六位になる。新聞によると、小学校が金で中学校が銀、高校は六位だと。私も理科というのは好きじゃありませんから余り偉そうなことは言えない、学力はマイナスだと思っているのですけれども、しかし基礎的な学問、そういうところに研究者が不足しているというのは現実だと私は思います。その点について文部大臣は今後どういうふうにされますか。小学校、中学校はともかく、高校から大学にかけて、まさにこれから専門の研究者を養成しようというところについて、これからどういうような方向で臨まれますか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御指摘の点は二つございまして、一つは、おっしゃるように今までは生産技術にすぐ移行してしまう、基礎研究がちょっと手薄ではないか。これは研究の成果を早く得たいという、サイクルが短い、せめて五、六年から七、八年まででその研究の成果を生産技術に転化してその収入を早めたい、こういう商業ベースが先に立つと思うのです。これからはそのサイクルを二十年とか三十年という長いサイクルで見なければいけませんので、この点はやはり高財政支出がある程度必要であろうと思います。  同時に、学校教育の面でありますけれども、たまたまこの間、理科部門の国際比較がございまして、小中では割に優秀でございますけれども、高校から先はやや順位が落ちてくる。これは、どちらかというと今まで日本の教育がアメリカ型かヨーロッパ型かといえばアメリカ型でございまして、基礎教育を充実し、そして全体のレベルを上げていく。それに対してイギリス型の方は、高校時代から専門化してその専門分野で習得をしたものを大学でぶつけていく、こういうことでありまして、むしろイギリス型はアメリカ型寄りに、アメリカ型はヨーロッパ型寄りにというように、今双方から歩み寄りの状態だと言ってもいいと思うのです。その中で、日本の場合にはどちらかというと今までの基礎水準を全体に上げてきた中から、小中はともかくとして、高校あたりからもう少し専門化させていくべきではないか、一言で言えば多様化、個性化を取り上げていくべきではないか、その方向で学校教育は進んでいく、こういうことでございます。  それから、強いて挙げれば、その基礎研究を充実する環境整備をする必要がある。利根川博士も、これからは情報化の時代ですから、世界的な規模でどこでだれがどの程度の研究をしておるかというのは手にとるようにわかる、あとは落ちついて研究に没頭できる環境を日本で、しかも世界的な視野で人材を定着をいたしつつ、日本の土壌で新しい研究成果が生まれるように、これは心して環境整備をいたすべきではないか、このように考えております。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 その理科の学力のオリンピックのときの結果のコメントに、これはノーベル化学賞を受賞した福井先生のコメントの中に、日本では「ファクト(事実)を教え込むことが中心になり過ぎて、考えること、観察すること、実験することがおろそかになっているきらいがあるかも知れない」という指摘があります。それからもう一つ、中村桂子さん、三菱化成の人ですけれども、この人も、「日本では科学は極端にいえば暗記ものになっている。以前テレビでケンブリッジ大学の入試をみたが、考えることに主眼が置かれていた。」どうなんでしょう。やはり日本の教育の中で暗記と考えることと、この反省は、この指摘はある程度うなずかれる指摘なんでしょうか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 ある程度肯定できる指摘だと思います。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 わかりました。  いずれにいたしましても、私は前に宇宙産業、宇宙開発についていろいろ勉強したときに、宇宙産業というのは、非常に将来、もちろんアメリカでも真正面から議論、論争する分野ではあるけれども、マーケットも広い。しかし、それに携わる研究者は余りにも少ない、研究者を養成する大学が非常に少ない、こういう現場の声を聞いたことがあります。その点はぜひともお含みおきをいただきたい。  時間が参りましたので、冒頭に申し上げました、外国人を今高校の英語の講師として雇うケースが出ていますね。これは何というのですか、臨時の免許でいいわけですね。しかし、そうではなくて正規の教師として雇う場合には、例えば私が校長をしている高校でアメリカ人を正規の英語教師として雇おうとする場合に、この人がアメリカで教員の免許というかそういうものを持っていればそれでいいのか、改めて日本の教育課程で勉強しなければ正規の教員として雇えないのか。日本の国がこれから開かれた社会になるためには、日本の教育課程を経なければ正規の教諭に採用できないというのでは余りにも狭いのではないか。アメリカならアメリカでの実績、イギリスならイギリスでの実績、教師としての実績、そうしたものがあれば正規の教師として採用してもいいんじゃないかと私は思いますけれども、文部大臣、この点はどういうふうにお考えになりますか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 二つの問題がございます。  一つは、日本の教員となるために教育職員免許法上の免許状を有することが要件とされるわけでございます。そのためには、日本におきます教員養成機関における正規の課程を経て免許状が出される場合、あるいは教職員検定等によりまして、それに相当するかどうかという検定によって免許状を取得する方法とございます。その点に関しましては、今回国会に提案いたしております教職員免許法の改正案の中では、いわゆる特別免許状制度ということで、一定の教職単位を取らなくても大学卒業程度の者につきまして社会人の登用ができるような制度の提案はさせていただいておりますが、それはともかくといたしまして、現行制度上はそのような免許法上の資格要件をかぶっておるわけでございます。  それから、第二点といたしまして、学校の教諭に登用いたします場合に、国公立の場合でございますと、従来から公務員に関します当然の法理というのがございまして、公権力の行使または公の意思形成の参画に携わる公務員につきましては日本国籍を有することということが政府見解として従来から存するわけでございますので、少なくとも国公立学校の教諭として登用いたしますにつきましては日本国籍が要求されているという状況でございます。  したがいまして、今のような問題は、例えば非常勤講師のような形で活用するということは今の当然の法理の適用を受けないわけでございますけれども、一方、免許状の問題があるわけでございまして、その点も、先ほど申し上げました免許法の改正案の中におきましては、特別免許状あるいは非常勤講師として免許状を有しないでも教壇には立てる制度等の提案をさしていただいておりますけれども、それはまだ提案の段階でございますので、現状におきましては、今の例えば外国人の英語の教員を学校で登用する場合の扱いにつきましては、そういった法理あるいは免許に触れない形でのさまざまな工夫がなされておる状況でございまして、決してその今の状況がいいということは申せないのじゃないか、そういう意味におきまして、免許法の改正案におきます今国会での成立を期待申し上げている次第でもございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 そうすると、例えばアメリカ人を英語の正規の教師として雇いたいと思うが、日本国籍を有しないと現行法からこれは雇えない、こういうことになりますか。非常勤では今いろいろありますね。私もその事例は知っています。正規の教師として雇えないということになりますか。また、現行法がそうであれば、それは改革してもいいのじゃないですか。どうなんでしょう。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 私が申し上げました国籍につきましては、少なくとも国公立学校の教諭として公の意思形成の参画をいたします場合には日本国籍が要求されるというのが政府見解でございます。したがいまして、例えば私立学校である場合とか、あるいは国公立につきましても、今のような例えば非常勤講師等につきましてはそういう問題は存しないわけでございます。問題は、今申し上げた外国人の例えば英語の先生を国公立学校の教諭に登用するという道は、現在の政府見解には抵触するものと考えておるわけでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見分科員 わかりました。終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて二見伸明君の質疑は終了いたしました。  次に、中西績介君。

中西績介日本社会党・護憲共同

○中西(績)分科員 私は、昨年地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、短縮いたしますと地対財特法と私たちは呼んでいますけれども、この施行によって、高校生あるいは大学生の奨学金問題とあわせましていろいろ問題が出ておりますだけに、質問をしたいと思います。  その前に一つ大臣にお聞きしたいと思いますが、差別撤廃と人権確立のために国際的な基準づくりが打ち出されまして、その結果、国連だけでも世界人権宣言を具体化するために二十に上る差別撤廃と人権確立に向けての条約が採択をされております。ところが、日本は七条約だけしか批准をしておりません。大変残念です。特に、人種差別撤廃条約については百二十四カ国が締約をしておるわけでありますけれども、これも我が国は入っておりません。  ですから、内外における大きな批判が出ておるということを十分御存じだと思いますけれども、こういう多くの条約について基本的な国際的原則みたいなものがあると私は思うんですね。それは、まず第一に差別を禁止するということ、これを法律で禁止をするというような状況等が出ておりますし、二つ目に、特別施策の実施をして差別がなくなるようにしておるということ、それから、教育啓発活動を展開することによって、特に教育、マスコミ、文化活動の中でこうした差別がなくなるようにということを心がける、最後に、ともに生きる権利をお互いに承認し合う、特に、出身だとか言葉の違いによって随分な問題が出るわけでありますから、互いに立場を尊重し合う、まだほかにあると思いますけれども、以上のような国際的な原則をお互いに認め合って、このような多くの、二十にも上る国際的な条約が制定されておる、私はこう考えるわけですが、この原則を私たちは何としてもいち早く確立をしなくてはなりません。  したがって、大臣に私がお聞きしますのは、国際的な原則というものについて今ここでお互いに認め合うことができるかどうか、これをひとつお聞きしたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御指摘の点は大変大切なことでございまして、国際的な論理、これはまさに日本国憲法にも盛られておりまして、すべての国民は法のもとに平等である、不合理な差別を避けて人権尊重を貫く、これに尽きると思いますので、その精神にのっとって行動し進めてまいるべきもの、このように考えております。

中西績介日本社会党・護憲共同

○中西(績)分科員 一応、憲法に沿いましてこうした原則については国際的にこれを認めざるを得ないという立場に立つだろうと思います。  その上に立って、その問題の一つとして、我が国の問題としてございます同和問題を考えてみなくてはならぬのではないか。世界的にこうした原則がちゃんと確立をしておらないと、この前討論いたしました留学生問題などというものは、これは解決できる道は閉ざされてしまうのじゃないか。あるいは、よく言われるアパルトヘイトの問題にしましてもあるいは障害者の問題にしても、言葉はみんな知っておるけれども、これを理解し、こうした差別をなくすということになかなか理解を示し得ない。ですから、言葉だけがひとり歩きして、内容はそこには確立されておらないという弱さが依然としてある。このことを払拭し、なくしていくためには、同和問題は何としても国内でいち早く解決をしなくてはならない問題だ、こういうように私は考えます。  そこで、大学進学問題を見ますと、進学状況を見てまいりますと、昨年までの討論の過程の中で私は非常に不満に思いますのは、ある大臣はこれは国の恥だと言い、あるいは教育面での特別施策を変更することは絶対あり得ないとか、大臣と私はずっと約束をしてまいりましたけれども、また、あるいは後退、停滞をする場合には検討し直さなければならぬということまで確認をしてきておるにもかかわらず、大学問題は依然として貸与制をさらに考え直そうという機運が出ておらない。  これを見まして特に私が不満に思っておりますのは、昨年の討論の中におきましても、昭和六十一年度の一般全国平均が進学率三〇・三%、片一方部落の方が一九・一%というこの格差ですね。ところが、従前は、貸与制になるころは一六・五%であった、それが一九・一%になったと言うけれども、これは浪人を除く現役の進学者で一九・一%になった、こう言っています。そして、しかも片一方の全国平均が三〇・三%という率もすべて浪人を除いたものでありまして、これが非常に接近をしてきたという言い方をしています。しかし、大学に進学をする場合、浪人で進学をするのは一般の人に多くて、部落の人の場合には非常にそれが少ないわけですよ。ですから、従前から接近をしたとか上昇したとかいうことにはなり得ぬと思うのですね。この点は明確にしておかないと、今までの一般論で、ただ出された数字によってこれを論議しますと大変間違いを起こしやすいのではないか、こう私は思います。したがって、この点は私が考えておるようなことでよろしいかどうか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 ただいまの先生の御質問にもございましたように、この対象地域の関係者の子弟の大学進学率でございますけれども、昭和五十九年までの調査が不正確な面があったという反省もございまして、昭和六十年から調査方法を変えていわゆる現役進学率で比較をしてみるという方式をとったわけでございますので、調査方法そのものがかなり違っているというわけでございますから、先生の御指摘にもございましたように、私ども、五十九年以前の数字と六十年以降の数字とを比較して、縮まったあるいは差が広がったというような言い方を避けるようにいたしておるつもりでございます。  したがいまして、現在のいわばかなり正確だと思われる率でいえば、昭和六十年度以降の数字一九・一%云々から始まって問題を検討し考えていく基礎資料にするべきであろう、こういうふうに思っております。

中西績介日本社会党・護憲共同

○中西(績)分科員 そこで、ちょっと遅くなったのですけれども、私はきのう文部大臣に今まで出てきた資料を全部お渡ししました。ところが、残念なことに行政側でこうした詳しい資料ができておらないから、もうこの五年間私は言い続けてまいりました。ですから、私たちもこういう民間でつくられたものでしか論議をすることができない。ところが、今も言われるように、正確を期するためにということで方法を変えまして、やった結果は接近をしたというようなことで一般論化している、私はこういう誤りがあるのではないかと思います。ですから、大臣はこれを全部お読みになることはできなかったと思いますけれども、これから随分時間がございますからその間に読んでいただいて、こうした問題について少しでも理解を深めていただきたいと思います。  そこでもう一つ、高等学校の場合を見てみたいと思うのですけれども、高等学校の場合を見てみますと、当初この奨学金なりが確定をされる前におきましては三〇%程度しか部落では進学率がなかった。そのころはその倍の六六・八%が一般の場合の進学率ですね。ところが、これがずっと上昇いたしまして、現在、六十二年度は九三・九%、約九四%に一般がなり、部落の場合は八八・三%ということになっています。しかし、依然としてそこには差があるわけですね。  この伸びない理由が何であるかということを追求してみなくてはならぬと思うのですけれども、時間がありませんから一口で言いますと、家庭状況の改善がまだ依然として残っておるということ、さらにまた基礎学力の保証がないということ、あるいは高等学校を卒業しても進路が不安定であるという、こうした就職状況等、いわゆるソフトの面が非常におくれておるというようなことで、どうしてもこれが伸びにくい。  さらにまた、もう一つ私がつけ加えなくてはならぬのに、今指定をされておる部落の数は四千六百三であります。ところが、未指定地区が依然として千に近い数、約千と言われています。ところが、この千の地域の人たちは奨学金の受領ができないわけです、属地、属人主義ですからね。だからこういうところがある程度、先ほど申し上げたソフトの部分とこういう未指定地域を指定をするということがなされて給付制度のこうしたものが行われておれば、さらにこれはまだ縮まっておったのではないか、私はこう考えるのですね。ところが、残念ながらここまでしかいっておりません。先ほども言いましたように、国の恥だとか、あるいはこれは存続をしなくちゃならぬと言っておったけれども、残念ながら昨年とうとうこれは給付から貸与制に変わってしまいました。特に今ソフトの部分、健康、生活、教育、就業、産業、結婚その他いろいろな意識の問題が最重要だと言われ、この部分が解決されておらない、こう言っておるのになぜこれが貸与制になったか。  ところが、これは昨年、初中局長の答弁の中でございますけれども、国民に対する行政施策の公平な適用だとか、あるいは一般対策の中でやらなくちゃならぬとか、財政措置の見直しをするとか、給付の廃止だとか、問題なのは、自立、向上に役立つものに云々という、そして一般対策に移行するというようなことの答弁がありました。私はこれを聞いて本当は愕然としておるわけです。  その結果どういうことが起こっておるかというと、これは宮崎の例です。宮崎ではこういう例があるわけですね。少年が私立高校へ入学決定をして、入学式に参加をいたしまして、わずか二日後に退学をしてしまった。これはなぜ退学をしたかといいますと、奨学金が給付から貸与に変わる、返せるかどうかわからない。ところが、一般の人はこれにどうしても疑念を挟むのですよ。金額からすると百二十九万六千円、そして一年に六万四千八百円返済をするわけです。ところが、この家族構成を見、そしてそのお父さんの収入を見ると、日給が三千四百円なんですよ。ここを見落としておるのですね。いわゆる就労という問題とこの問題がいつも切り離されて低いところに置かれておる。しかも、その地域が山間部であるためにお母さんの働く場所はないということになってくると、生活保護を受けずにまじめにやろうとすればこの金額でも厳しい中身であるということをまず第一に知らなくてはならぬと思うのです。ところが、宮崎は全国に先駆けて私立高校三万六千円の給付を一挙になくしてしまうという方針をこの時期に打ち出してしまったのですね。  それともう一つ大事なことは、娘さんも今度は中学校から高等学校に進学しないと言い始めた。しかし、それは兄弟みんなで働いてやるから我慢して行けということで、そうした奨学金を受領することなしに行くということを決定したわけです。それはなぜか。「二十年間、娘の所に納付通知書が届く。部落出身であることを隠して結婚した場合、それを見た夫からどんな仕打ちを受けるか。理解のある相手ならいいが……。だから、もう奨学金は受けない。」ということを家族で決定をしたわけです。  私はこれを聞いて、本当に今同和対策を考えておる人たちが、生活保護を受けずにまじめにやっている人たちのこうした心情を受けとめておるかどうかということが一番問題ではないか、こう考えています。そのほかたくさん言いたいことがあります。ですから、行政の末端にいる者にはこうした同和地区住民の不安、憤りというのが見えるけれども、中央の人は見えない、こういうことを現地の人たちは言っています。  私はこうしたことを考えますと、今このようにパーセンテージが依然として伸び悩み、そしてそれに対して給付からこれを貸与になぜ変えなければならなかったのか。それは、先ほどの西崎初中局長の答弁のような中身では、こうした問題が全く理解されない中で一般論としてしか論議されておらない、ここに問題があるのではないか。ですから、国会議員の八人委員会の中では給付は継続すべきだということを決定したのです。国会議員の皆さんは、これは自民党の皆さんですよ、私たちじゃないのです。なぜかというと、地域をある程度知っておるから私はそのことを決定したのではないかと思うのです。私はここに問題があると思うのです。ですから、この点についてぜひもう一度、再考するなりあるいは見直しなりするという態勢が文部省にはあるだろうと思うのですけれども、この前初中局長は一般論として政府の考え方としてそうしたことが言われておりましたから、この点について明確にしていただきたいと思います。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 たくさんの論点について御質疑をいただいておるわけでございますが、高等学校への進学の問題につきましては先生御指摘のとおりでございまして、三十八年度三〇%が対象地域は八八・三%に上がって、差も五・六%に縮まっておる、当時は三六・八%でございました。そういう点が高等学校の進学率としてあらわれておるわけでございまして、この間においては今御指摘ございました奨学事業も大変力としてあずかっていたということが言えると思うわけでございます。  端的に最後のお尋ねでございますが、先般私がお答えしたかと思うわけでございますが、このたびの措置は政府全体の同和対策事業の見直しの一環として行われたわけでございます。したがいまして、個人給付的な事業というものを貸与的な、本来は廃止すべきではあるけれども貸与事業として存続をさせ、やはり高等学校への進学に十分役立つようにというふうな趣旨でやっておるわけでございまして、その後の私どもの努力といたしましては、貸与にはなりましても、無利子であって、かつ返還免除の考え方も取り入れる、そして、返還免除につきましては生活保護世帯よりもより条件を緩和して、貸与を受けた方々が返還するについては、免除者の対象としては少し枠が広がるようにというふうな努力もし、県にそのような指導もいたしておるわけでございます。  したがいまして、今回御指摘のような点、多々あるわけでございますけれども、私どもとしては全体の同和教育振興の中で、奨学事業だけではなくて、最初先生御指摘いただきましたようなソフトの面、学力の向上というふうな点、それからそれぞれの地域における学校教育における同和教育の振興というふうな観点を、十分総合的に私どもも努力させていただきたいと考えておる次第でございます。

中西績介日本社会党・護憲共同

○中西(績)分科員 今言うように、総合的にということであればあるほど、こうした教育関係がその中心に、子供たちを育てるということから考えましても座らなくてはならぬということを私は言いたいのです。ですから、大学についても進学率は停滞したままですね、一%ずつずっと上昇したものがそれから以降停滞をしているわけですから。さらにそれが今度は高等学校、ことしどうなるかわかりませんけれども、こういう結果が出てくる可能性がある、去年はまだ出てきませんでしたからね。  ですから、こういったことを考えてまいりますと、私が今言うように、総合的という言葉を言いますけれども、極端な言葉で言いますと、部落の人は進学率が、準義務教育的なものであるにもかかわらず、これが上昇する必要がないとお考えになっておるとしか私は受けとめることができません。実際に私はその中に入っておるから、実態を知っておるからです。免除をするから、だからと言うなら、先に――金額にしてもわずかの金額でしょう。だからそのことを考えると、この前から数年間討論をした結論は、部落の人はそれだけの差があっても当然なんだ、だれがやったって同じです、みんなそういうことしか言い得ないと私は思うのです。それでなければこれについてもう一度再考をすべきだと思います。大臣、どうですか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御指摘を伺っておりまして、中西委員の精神はよくわかりました。例えば進学率、就職率を例にお出しになりましたけれども、その後ろには、家庭状況あるいは基礎学力、就職状況への不安があろうという御指摘でございまして、まさにそういう面を総合的にフォローしなければいかぬ問題、そのように感じております。初中局長からお答えをいたしましたけれども、総合的にと申し上げたのはそういう点だと思いますので、私も、進学率だけをおっしゃっているのではなくて、その後ろの実情をよく知った上でおっしゃっておるということはよく理解できましたので、その線に沿って勉強をいたします。

中西績介日本社会党・護憲共同

○中西(績)分科員 勉強をしていただくことはいいのですけれども、あるいは検討することはいいのですけれども、今申し上げるような内容をもう少しその中に入っていただいてやっていただければと思うのです。  特に私は大臣に、最後になりますけれども、桐生市の例を挙げたいと思うのです。  桐生市というと大臣の隣の市になるわけですね。群馬県は、数からいたしましても七十市町村中三十八市町村が地区指定をしています。ところが、この桐生市はやっておらないのですね。しかも、県下最大の部落が存在をするというのにやっていない。ところがこの市はおもしろいことに、おもしろいというのはおかしいのですが、昭和三十八年あるいは四十二年、これは九地区の指定を確認をいたしまして、特別交付金を三十九年から四十五年まで国から受けておるわけですよ。そして、六九年、昭和四十四年七月十日の同和対策特別措置法が通ってから全部そういうことをやめてしまった。私はここに問題があると思うのです。  ここは調査をしたいろいろな資料が出ておりますけれども、特に学校でいいますと、桐生市の教育委員会は、六十、六十一年度、同和教育実践推進地区の指定を文部省からされまして、小中学校二十七校中八校が関係ある学校だったものですから、これは指定は受けているのです。ところが地区の指定は絶対にしないのですね。その結果はどうなっているかというと、進学率は大体高等学校で二〇%低いと言われています。正確な数字は出ておりません。地区指定しませんからその数値が出てこないのです。それから、中途退学者が大体十二倍だろうと言われています、調査した結果は。こういうような状況にあるわけであります。  前の市長はとうとう地区指定を認めませんでしたけれども、現在の市長は、この地区があるということ、それから差別が存在するということは認めた。しかし依然として事業は全部一般でやると言っておるわけですから、地区指定を受けようということにはならないわけです。ということになりますと、ここの中学から高校に進学する者、高校から大学に進学する者は奨学金を受領することはできてない、最大の部落があるのにそういう結果になっている。  ほかにたくさんの問題があるけれども、私はこの問題だけに集約をします。  ですから、ここでは要保護児童だとか準要保護児童がどうあるかということ等を見ますと、一般の地域と比べまして三倍から五倍くらいあるということ等が全部出ています。そういうような状況にあるところについては、奨学金対象外ですけれども、これはどうするつもりですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 御指摘の点で、奨学事業につきましては、先生も御指摘ありましたように対象地域の居住者というふうに属地、属人でやっております。  この対象地域の問題につきましては、政府全体の方針としましてやはり旧法時代十八年間というふうな押さえ方があるようでございますが、何回か対象地域の追加について全国各市町村に求めて、そして、十八年間で御申請があったものについては大体対象地域に加えてきた、こういう経緯がある。その間、十八年間対象地域となることを選択されない市町村があるわけでございます。そういう意味において、今御指摘の桐生市は、その細かい実情はきのうのきょうでございまして私どももつまびらかにしておりませんが、やはり市町村の御意思として、いろいろな機会があったにもかかわらず対象地域になることを選択なさらなかった、こういうふうな経緯があるわけでございまして、そういう経緯がある以上は、やはり対象地域になっていないし、そうであれば奨学事業についてこれを適用することは難しい、こういうふうなことになるわけでございます。  これは奨学事業だけの問題ではなくて、全体の問題としての御指摘にもなろうかと思うわけでございまして、現状として申し上げれば、以上のような考え方を私どもは持っておるわけでございます。

中西績介日本社会党・護憲共同

○中西(績)分科員 ですから、今言うように未指定地区、これを解消するということにならぬと、一番当初に申し上げました地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、これによってこういう給付が貸与に変えられ、こういう惨めな状態に置かれている状況がまだあるにもかかわらず、指定もしておらないというのが解消されないままこういう中身がだんだん霧散していくという状況が出てきておるわけです。そして、一般化することによって云々ということでいろいろ言われています。このことの間違いがこうしたところに明確に出てきておるとしか言いようがありません、まだ未指定地区が千あるのですから。  ですから、こうしたことを考えてまいりますと、先般の新潟県の神林村の住宅資金の借入金について、指定をされておらないものですから借り入れできない。裁判をして、村は徹底抵抗したけれども、それは属人主義、認められておらなくても本人が本当にそうであればということでもって確認されてきたわけですね。  こういうことを考えますと、私はもう一度最後に申し上げますけれども、大臣、留学生問題も、こういう思想が文部省の中に、行政の中に依然として残っておるということになりますと、これは解決はしません。この前言いました、ふやすものでなくてふえるものという体制にはなかなかなりにくい、この点をぜひ理解していただくことが今緊急な課題であろうと思うのです。今言うような奨学金問題、きょうは奨学金だけしか触れませんでしたけれども、多くのそうした総合的な問題等につきましても解決するということになり得ないと思うのですね。一言だけ決意をお聞かせください。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 国内進学率から留学生を含めまして、その心の御示唆をいただきまして、その心を理解をいたしながら努力をいたします。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて中西績介君の質疑は終了いたしました。  次に、滝沢幸助君。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 委員長、御苦労さまです。大臣初め政府の皆さん、御苦労さま。  私は、いつも文部省に対しましては同じようなことを申し上げているわけでありますが、大臣、教育の問題は大変難しい。今が離しい。しかし、これは音から難しいのでありまして、人類発祥以来いつも難しいのであります。そして、我が国だけでなくて世界じゅうが難しいのであります。しかし、そういうときに文部行政、教育行政をお預かりいただきまして大変御苦労さまでございます。  そういう中で、先生に一つ端的にお伺いをしてみたいと思います。  戦後、我が国の教育は、アメリカの教育使節団の勧告によりまして六・三・三制、学制も改革され、その内容も大きく変わりました。これを是とするか非とするか、これを我が国の歴史の中でいかに評価するかということはいろいろとございますが、しかし、端的に申し上げることができますることは、世界の歴史の中で戦いに敗れたる国が勝った国から裁判をされ、そして教育を初め数々のいわゆる改革を迫られる、これは至るところその例を見ることでありますが、そのときに、敗れたる国は力関係において今日これをのまざるを得ない。非常に残念だけれどもこれは仕方がない。しかし、いずれの日にかこれをはね返して、そして本来の姿に立ち返るときがあろうぞよという誓いに燃えていることは、世界じゅうどの敗戦国もそのとおりであります。しかも、ほとんどの歴史はそれをなし遂げているわけであります。第一次世界大戦に敗れましたるドイツ、ヒトラーの手法のよしあしは別として、それでありました。  そういうときに、我が国はあの教育の改革を中心としました数々の改革を進駐軍より、連合軍より強要されて泣き泣きこれを受諾した。しかし、二十七年に講和条約が締結されましてもこれに対して何らのいわゆる復元、回復の措置がなされなかった。私は非常に残念であり、しかも世界の歴史に類例を見ない状況じゃないか。逆に言うならば、アメリカの占領政策が非常に巧みであったということも言えましょうが、このようなことについて大臣の御所感があれば承りたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 滝沢先生の御指摘は教育全般のお話だと思います。そして、滝沢先生の御熱意もよくわかります。ただ、日本の場合には、歴史の中で常に先進国の文明を積極的に取り入れて今日まで参りました。明治の改革あるいは大正時代の改革あるいは戦後、改革がございますが、その中で幸か不幸か、あの敗戦を迎えました後、教育水準そのものからすれば世界的にも大変高い水準にある、これは自負できるのではないかと思います。  ただ、振り返ってみて、やはり全体の水準を高めるために画一的ではないかという御指摘を受ければ、確かにその面もあるかもしらぬ。したがって、これからの教育方針としては、社会自体が成熟度を増しますと多様化、個性化してまいりますので、その社会の変化にみずから対応できるような青少年を育成しなければならない。そういう意味では教育自体が多様化、個性化してまいり、また、新しい青少年を受け入れる学校の受け入れ方あるいは社会の受け入れ方そのものも、学歴偏重から個性化、多様化、人間性を重視する教育に変えていこう、そういう方向であるというふうに認識をいたしております。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 大変微に入り細にわたった御答弁で恐縮でありますが、大臣、多様化したか画一化したか、それはいろいろとございます。しかし、私に言わしめれば、画一化した方がいいところは画一化しませんで、しない方がいいところをしているみたいにとれますよ。いろいろとこれから国語のようなことも申し上げさせていただきますが、教育レベルが戦後向上したか低下したか、これも教育とは何ぞやというところにいかなければならぬのでございます。  そのようなことを思いまするときに、教育とは何ぞや。これがもしも、人間が人間として人間らしく生きる一つの基礎、言うなれば家にあっては父母に孝に、社会、公共にあっては公共、国家のために貢献しようという熱意と決意、こういうふうに思いまするときに、教育は低下しておるのではないか。  ないしはまた国史。私は、教育の根源は歴史教育と国語にある、こういうふうに思うのでありますが、そのいずれをとりましても低下をしております。近い例によりますれば、ある教え子が久々に昔の先生のところに年賀状をくれた。非常にありがたいことでありますが、「年頭に当たり先生の御冥福をお祈り申し上げます。」事ほどさようなことでございます。  一々申し上げませんが、そういうふうに思いまするときに、例えばいろいろと技術とか、男の子にボタンのつけ方を教えたり、そういうつまらぬことは大変向上したかもしれませんしあるいはまた画一化したかもしれない。しかし、読み書きそろばん、昔、教育の原点をこう言ったのですが、いずれもこれは画一化するところにいいところがあるわけです。国語なんていうのは、ある人が知っている言葉がだれも知らないのでは国語になりませんから、画一化すべきなんですよ。そして、日本の国の建国以来の歴史なんていうのは画一化して多くの人が知っている必要があるのです。画一化すべきことはしませんで、それはお習字なんか弘法大師よりもうまいような中学校の生徒もおりますよ。しかし、このごろお葬式に行きましたら、女の和尚さん、これが娘さんみたいな、まあ娘か奥さんか知りませんけれども、ボールペンで卒塔婆を、またお位牌を書いておりましたが、こういうものをどのように参拝をされるのかと思ってきました。つまり言葉、国語は画一化しなければならぬのです、特別の専門家は別として。そして歴史の認識、こういうのは画一化しなければならぬのです。その画一化すべきことを画一化しないで、画一化しなくたっていい洗濯とか料理とか、これは男も女も平等だよ、三郎さんも五郎さんもやりなさい、こういうことです。  私は、戦後の教育はアメリカが日本をだめにするために編み出した教育の改革、これをあの講和のときに旧に復するという宣言をいたさなかったことは日本の歴史の大きなる過ち、このように思うものでありますから、そのような認識について大臣はいかがでござろうか、こういうふうに申し上げたわけでございましたが、もう一言だけおっしゃっていただきまして、後はいろいろとお仕事ございましょうし、大臣に直接お答えいただくことでもございませんから。戦後教育のあの改革と、独立の機会にこれを復元しなかったこと及び今日におきまするその評価という点についてもう一言だけおっしゃっていただきたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 滝沢先生の御所見というのは常常激励として伺っておりますし、また、画一化すべきところ、また個性化すべきところ、これを間違えるな、こういう御指摘もよくわかります。その点、私どもも間違いのないようにと思っておりますが、世界また社会そのものが変化しつつございます。その中で新しい統一、新しい教育の進み方というのはどういうところにあるか、これも一つの視点としてしっかり腰を定めながら考えてまいりたい、このように考えます。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 大臣も私も地上最もすぐれたる動物ですから、つまり、いまだかつて毛が生えたことがないというカエルとかああいうのが一番下等動物、そして後は猿に至るまでどんどん毛がふえてくるのです。そしてUターンしまして、それがかつ減っていく。これこそが本当の進歩した人類でありますから、どうかひとつ検討していただきまして、もう御答弁結構でありますから、勇を鼓してこの教育の真なる改革に向かって御検討いただきますよう御要望申し上げまして、どうぞお仕事なさって、いや、お仕事なさってというのはお引き取りをいただいてという意味でございます。  ところで、端的に申し上げますが、漢字をいろいろと工夫をしまして、昭和二十二年でございましたか当用漢字、そして五十六年でございましたか常用漢字と、これをこの際すべて全廃して、もうそういう役所的な制限と言うと、制限でございません、よその字を使っても結構でございますなどとおっしゃるのだけれども、こういうものを一切やめたらいかがなものか。そしていわゆる現代仮名遣い、これももうやめたらいかがなものかというのでありますが、端的にいかがですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 ただいまの常用漢字表、それから現代仮名遣いを廃止したらどうかというお考えは、昨年暮れの先生の質問主意書にごさいました。私ども政府の答弁といたしまして、これは廃止する考えはないというふうに申し上げたとおりでございます。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 このようないわゆる国語に、政府といいますか行政権力においていちいろと手をつけられた、これもアメリカからの、そのものがずばりとそうかは知りませんけれども、これはきちんと一つの教育改革の一環としてなさいましたね。  ところで、仮名遣いに歴史的仮名遣いがある。これは厳然たる事実でありまして、今日なおこれは行われております。それに文部省の定められたいわゆる現代仮名遣いがある。文字に歴史的に使われている文字がある。臺灣の臺という字のごときもそのとおりでありますね。しかし、文部省がつくりました新しい文字もある。二様に行われている結果になりました。しかし、最初の文部省の志は何ですか。私が承っているところによりますと、国語が非常に煩瑣で、このために苦労して、よその勉強をする時間がないであろう、そこでこれをひとつ簡便にしたいということではなかったのかなと思いますが、間違っていますか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 これは、常用漢字表について審議をいたしました国語審議会の中で、いろいろ漢字の使用等についての一定の基準を設ける必要性とかあるいはその効果とか、そういうことについては随分時間をかけて委員の中で濃密な議論が交わされたという経過がございました。その中での評価ということにつきましては、平明化という方向であったわけでございますから、それについて負担が軽減されたとか、あるいは自然で容易に文章表現が行われやすくなったとか、あるいは学習がしやすくなったとか、そういう積極的な評価が国語審議会の中では大勢を占めているということで現在の常用漢字表に結びついているわけでございます。したがいまして、先生の御質問の戦後の国語改革というものがどういう理念であったかと申しますと、大体今申し上げた平明化という方向であったということだと思います。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 さきに申し上げたとおり、国語ないしは文字というものは大体あまねく統一しないことには意味がないわけですね。しかし二様の仮名遣い、二様の漢字が行われていることは御存じでしょう。  例えば、お訪ねしていきましたお家に色紙がかけてありました。子規の「うぐひすの口の先なる五万石」、広島でおつくりになった。うぐひすのと読んだのでは、これはだめでしょう。うぐひすと書いてうぐいすと読まなくてはいかぬのですよね。それを私は現代仮名遣いで学びましたものですからということでは通らぬのですよ。二様のものをここにつくりなしたことで平明化され簡素化されましたか。  しかも言葉を平明化し簡素にするということは文化を逆戻りすることなのです。日本の言葉が難しいということは、開会もオープン、開店もオープン、情報公開もオープン。開くものは何でもオープンではないのです。扉を開くとき、道を啓くとき、土地を拓くとき、みんな字も違うでしょう。そこが日本の思想の豊かにしてかつ感情の細やかなるところであります。これを誇らずして日本民族は何を誇りますか。そのときに全部オープン式ですと、そういう開くという字は一つでいいだろう。  例えば人様がお亡くなりになりました。没する。あれは歹に殳と書いてこそ歿するなんです。これがさんずいになっているでしょう。水の中に沈んだのと人様がお亡くなりになったのと同じですよね。こういうのは非文化なんです。日本が連綿として今日まで築きました文化を今文部官僚の手によって後退させていいか。  それだったら、簡便でいいならば、犬なんてワンワンと言えば、ワンワンとお互いに言って全部ワンワンしかないようだけれども、あれで愛情の表現もあれば、一緒に遊びに行きましょう、いや君は何でおれの領分に来たんだ、いろいろあるわけですよ。結局ワンワンにしなさいよ、そうしたら一番いいでしょう。日本はワンワンだけですということでしょう。  二様に行われているのです。文芸雑誌なんかを見ますと、作品欄は旧仮名遣い、記事の方は新仮名遣い。両方知らなければ文書は書けないのですよ。それを、俳句、川柳なんというのをやっているのは特別の連中だからそんなのは日本国民の平均に入らぬ、画一化の以外だというのならば何をか言わんやであります。短歌人口二百万と言われております。俳句人口もこれに相前後するでありましょう。こういう人たちが二様のものを使っているわけですよ。  しかも朝日新聞の「歌壇」をごらんなさい。本当に高校生なんかの作品がどんどん入選していますね。若いああいう人たちが短歌に引かれ俳句に引かれる。これは日本の文化に対する、ないしは歴史に対して求むるものは若い人々にも烈々とみなぎっていると理解して私は大変力強く思うのですが、そのときに二様の仮名遣いが行われていることはいいことですかどうですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 ただいまのは現代仮名遣いの問題でございますが、これは先生もよく御承知のとおり一般の社会生活においてわかりやすく通じやすい書きあらわし方のよりどころということで定めたものでございます。したがいまして、これは一般の社会における仮名遣いのよりどころという性格を持ったものでございまして、戦後とられた仮名遣いに関する改革がいわばやや行き過ぎた面があるということ、あるいは非常に強制というような感じの制約的な色彩が強いという面があった。そういう点を現代仮名遣いの改定のときに改定をいたしまして、それでこの現代仮名遣いについては一般の社会における書きあらわし方、表現の仕方のよりどころ、そしてそのほかに歴史的仮名遣いについては、我が国の歴史や文化に深いかかわりを持つものとして尊重されるべきことというような付記の性格づけを行いまして、取りまとめられたものでございます。  ただいまの御質問につきましては、その全体の平明化といいますか、全体の仮名遣いあるいは常用漢字の効果というものが社会全体として平明化しているかどうかという判断だと思うわけでございますが、そういったことについても国語審議会で十分議論をした上で、先ほど申しましたように評価されて現代仮名遣いの改定に至っているということで御理解いただきたいと思います。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 まあ政府答弁どこもそうですが、経過はわかっているのですよ。国語審議会が何をしてどんなふうな報告をしたかはわかっているのですよ、わかっているから質問しているのでしょう。だからこれからのこと、そして国語審議会がこう言っておるではなくてあなたがどう思っておるかをおっしゃれば一番いいのです。二様のものを奨励しているのですか。二様のものが行われていることがいいことと思っているのですか。いいことと思わないならばどちらか一方にいわば統一をしたいということでしょう。どうなんです。二様の仮名遣いが行なわれていることはいいことなのか、それともこれはまことに残念なことだというならば、どちらか一方にしたいのでしょう。どっちなんですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 一般の社会生活において現代仮名遣いが使われる、そして歴史的な文書については歴史的仮名遣いが用いられる、そういう体制について、現在行われておるわけでございますから、それをもちろん私としては是としているわけでございます。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 是とされる理由は何ですか。一般、一般とおっしゃいますが、一般でない者が短歌をつくり俳句をつくり古文書をまさぐりしているわけですね。それは救済されなくていいのですか。それは一般ではないのですね。一般生活とは何ですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 一般の社会生活において使われる仮名遣いというもののよりどころが現代仮名遣いである、それで社会全体としての平明化が行われて積極的な評価が行われている、こういうことだと思います。そして、歴史的な仮名遣いについてはそういう歴史的なものについての学習をする際にそれを学んでいくものとして取り扱うというふうな方針であろうと思います。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 わからぬ。ただ、私が申し上げたいことは、役所すべてそうですけれども、特に文部省に職を持たれる方々は、職務が言う言葉ではなくて少なくともその御本人の真意をおっしゃった方がいい。もしもそれが国ないしは省の方針に合わぬならば、その職を潔しとしないというだけのものがなければ、教育を語り教育に携わってはいけない。現場の先生はもちろんでございますが、それだけのものがなくて、おれは何とか課長だから何とか課長のうちはこういうふうに答えなくてはならぬというふうなことでおっしゃっているならば、これは職を汚す者と言わざるを得ません。大臣を初め教育の衝に当たられる皆さんが、国語課長だからこういうふうに言わなくてはならぬ、次に体育課長になったらまた話は別だ、ましてや退職をされたならば別というようなことではいけないというふうに申し上げさせていただきます。  それで、その国語教育と歴史教育、私は国史と申し上げておりますが、何か世界史が必修で日本史が選択だなんというような話も一時ありましたけれども、全くこれは筋違いも甚だしい。自分の家を知らなくて隣の家だけは何だかだ知らなくちゃならぬというようなことでは話にならぬのであります。これが充実のために例えばカリキュラムを工夫される、ないしは職員の質の向上のために期されるという措置が望ましいと思うが、いかがでございますか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 歴史教育を重視すべき点につきましては、先生御指摘のとおり私ども考えております。端的に申し上げますと、先般の課程審の答申におきまして高等学校地歴科というのが出ましたが、小中高を通じまして日本史は行われておるわけでありまして、小中は特に必修でございます。  そこで、私ども今後の課題としましては、小学校につきましては、人物や文化遺産を中心にした歴史学習というのが従来でございますが、これを少し徹底してまいりたい。それから中学校につきましては、高等学校との関連の問題、それから世界史との関係、世界との関連などを検討すべきであろう。それから高等学校につきましては、文化史という点が現在中心でございますけれども、高校の日本史もやはり内容を見直しまして、二単位、四単位という、それぞれの科目につきましてのこれからの検討ということに力を注いでまいりたいというふうに考えておりますので、日本史につきましても内容面については十分考えていく所存でございます。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 余り時間がありませんから簡便に申し上げますが、その国史の教育で基本的に間違っている姿勢があるのです。今文化史とおっしゃいましたけれども、例えば近松何がしの浄瑠璃のことは書いてある。与謝野晶子の文学活動は書いてある。しかし日本海海戦についてはほとんど書いていない。仁徳天皇のいわゆる仁政と呼ばれました、徳政と言われましたことについても触れてない。いわんやまして建国の神話等については、先ほどの委員会で承りましたら、いやいや書いてある、ヤマトタケル書いてあるとおっしゃいましたが、ヤマトタケルは神話ではありません。少なくともいわゆる建国の神話、イザナギ、イザナミの神話から始まる日本の歴史、これをきちんとしないことには国史は始まらぬ。学問としての歴史と教育としての歴史は違う、これが私の教育論の原点でありますが、そのような意味で、この国史教育を原点に立ち返って見直される御用意がありませんか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 これからの私どもの指導要領作成のプロセスにおきましては、やはり小中高の日本歴史というものの系統性とそれぞれの発達段階に応じた教育内容の専門性と申しますか、そういう点をまず第一に検討しなければなりません。それから、今、先生御指摘の内容面につきまして、小学校段階、中学校段階、高等学校段階のそれぞれの日本史の内容をどういうふうに考えるかという点が課題としてあるわけでございまして、先生の御意見は一つの貴重な御意見として承らしていただきますが、これから私ども一年かけてやらしていただきますので、しばらく時間をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 時間がありませんから最後に具体的な一つの課題でありますが、大学教育がいろいろと難しい局面を迎えております。そのときに、実は会津短大という福島県立の大学がございまして、これが四年制に昇格の志を持っているわけであります。これについて、あるいはまたこの周辺の事情について、例えばそういう方向は今我が国においてはもう四年制大学はたくさんだ、昇格はほとんど承認しない、ないしは地方にその志があるならば大いにひとつ地方教育の充実を図ろうということであるか、そこら辺のところをひとつお漏らし願いたいと思います。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 御質問にございました会津短期大学でございますけれども、関係者の間でこの短大を四年制に昇格をしてはどうかというようなことで種々議論がなされておる、そしてまた聞くところによりますと、六十三年度の予算でこの会津短大の整備に関する懇談会というものを設けてその具体的な検討に入りたいというような御構想があるということは耳にいたしておりますが、いずれにいたしましても、このこと自体は設置者である福島県がどういう方向をとるかということにかかってくることだろうと思います。今これから検討を始めようということでございますので、私どもの方からあらかじめこれはいいとか悪いとかいうことを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、構想が固まって申請が出てまいったという段階になりましたならば、文部省としてもこの問題について十分検討させていただきたいと思っております。

滝沢幸助民社党・民主連合

○滝沢分科員 これで終わりますが、遷都論なんというのもございまして、私はとにかく東大が出ろと言っているのであります。かかる意味で、教育は豊かなる自然の中で、つまり地方でなされるのが望ましい、そういう意味において伝統ある会津の文化の中で会津短大が四年制になることを期待するものでありますが、県の姿勢が決まりましたならば、文部省においてひとつ積極的な対応をお願いしたいと思います。  あと国語問題や歴史の教育等につきましては十分お聞きをするわけにいきませんが、次の機会に譲らしていただきます。ありがとうございました。  委員長御苦労さまでした。大臣初め政府の皆さん御苦労さま。ありがとうございました。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。  次に、山田英介君。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 私は、さきの衆議院の予算委員会の総括質問で我が党の宮地正介代議士から提起をされました国立ユーモア美術館につきまして、この分科会で改めて文部大臣に御所見を伺いたいと存じております。  私の記憶では、さきの総括質問の宮地質問にお答えになられまして竹下総理は、ユーモアというのは施設とか制度以前の一人一人の心の中の問題である、こういう趣旨の御答弁がございました。また中島文部大臣は、現在大きなプロジェクトに取り組んでおりまして予算はありません、漫画などの表現は国立の施設というより展覧会などの方法をおとりになることが適切であると考えます、かような御答弁であったかと存じます。  そこで、総理のユーモアに対しての御所見はこういう形で伺えたわけでございますが、中島文部大臣はユーモアというのはどういうものであるかということについて一言お聞かせいただければと存じます。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 ユーモアについて御質問でございますが、私はユーモアというのは、いろいろな社会生活の中でいろいろな行動、いろいろな発表、いろいろな受けとめ方がございますが、それをやわらかく包み込むものである、ですからユーモアにはその奥にもう一つありまして、発表したいことあるいは受けとめをやわらかく発表する、やわらかく受けとめる、そしてそのしんにあるものをより鮮明にさせるという効能があるのじゃないかと思っております。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 竹下総理がお答えになられましたユーモアというのは一人一人の心の中にあるものであるというその御答弁をいろいろと考えてみますと、要するに、したがって施設などというものをつくるとかそういうことは必要ないのじゃないか、こんなふうにも受けとれるわけでございます。文部大臣はそこまではっきりおっしゃっているわけでは、はっきりとそのように私どもが思ってしまうようなほどの答弁ではないわけでございますが、例えば日本全国に美術館とか博物館とかたくさんそういう施設がございます。美術にしても例えばそれが絵画あるいは音楽にしても、それはやはり美しいと感じるあるいはまた心安らかに感じる、大変心地よく感じるということも一人一人の心の中のことであり、心がけで醸し出されてくるものだ、こういうことにもなるわけでございます。したがいまして、もし総理がおっしゃる意味がそういう国立ユーモア美術館みたいな施設は要らないのだ、仮にそういうことであるとすると、私は、そういう角度からいえば全国にあるたくさんの美術館とかそういうものも要らなくなってしまうということにつながりかねないのではないかなどと考えるわけでございます。  これは実は有名な漫画家であり政治漫画等でも各地で御活躍をされておられます牧野圭一さんのお話でございますが、実際には日本じゅうに漫画、コミックがあふれている、しかし笑いとかユーモアというものを正面から見据えようとしている人が非常に少ないのではないだろうか。おもしろければそれでいい、理屈じゃないということで片隅に追いやられてしまう。あるいはまた総理がおっしゃるような一人一人の心の問題というようなことで、失礼な言い方ですが逃げてしまうというような嫌いがありはしないか。そういうことになってまいりますとどうなりますか。アメリカとかスイス、フランス、ポーランド、ブルガリア、各国におきましてユーモア美術館あるいはユーモアの研究所というようなものが非常に数多く存在をしている、そうして関心のある世界じゅうの人人がそこを訪れたりして国際的な交流も進んでいるというようなことで、一人一人の心の中のことだというふうに片づけてしまうにしては余りにも、我が国においてもコミック、漫画がはんらんしている姿がありますし世界のそういう国々にもたくさん施設があるということがどうもそれでは説明がつかないのではないか。そういうふうに片隅にといいますか、施設なんか要らないのだよというような方向でこれをとらえていくことは余り適切ではないというふうに私は実は思っているわけでございます。  この牧野先生が一つ興味深いお話を紹介してございますのでちょっと読ませていただきたいのです。   ブルガリアの「ユーモアと風刺の館」の館長が申しました。「首都ソフィアから車で数時間もはなれたこのガブロボの街に、何か自慢出来る施設を作ろうと考えました。しかし私たちの街には、これと言った名物も目立った産業もありません。困りました。外国の度重なる支配により私たちの国自体、いつも痛めつけられて来たのです。国土は疲弊していました。――その時ハッと思いついたのはユーモアです。絶望の底に光をあて、いつも私たちを救ってくれたものこそ宝であることに気がついたのです。それで私たちはこのユーモア美術館を作りました。ひどく痛めつけられただけ、私たちのユーモアは研ぎすまされており強靱であります。もし私たちのジョークを日本語になおしたら必ずベストセラーになること請け負います。」 という館長さんの言葉を引いて、日本にもユーモアという分野に正面から目を据えて取り組んでいく、政治漫画を含めていろいろなユーモアの資料というものを収集する、保管する、それだけに限らず世界各国とのユーモアを通しての交流ということが非常に必要であるということを力説しているわけでございます。私も実は同感でございます。  それで、単に作品の展示とか保管のための施設をつくればいいということだけを私申し上げるわけではございません。その目的は、一つは研究機関である、二つ目はやはり国際交流機関である、三つ目は日本の持つすぐれたユーモア文化を世界に紹介をしていくというそういう機関、そういう機能、役割を持たせた国立ユーモア美術館、こういうようなとらえ方を私はいたしているわけでございます。文部大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 先ほどユーモアとおっしゃいましたので、ユーモアにつきましては竹下総理がおっしゃるように個々の人間の心の中の問題であるというお答えも正しいかと思います。宮地委員のときも、それに付随しまして漫画、川柳等というお話があったものでございますから、漫画、川柳というものは、私は庶民の心からにじみ出た一つの文化であるというふうに認識をしております。特に、その時代時代の世相を反映いたしておりますし、また世相風刺をユーモアにくるんで、そしてだれもが立場を超えてうまいことをよく言ってくれたという快哉を叫ぶ部分がその心にはあるのではないか、こう思いました。そういう面からいきますと、口伝、伝承の民話、伝説なども庶民の心から生まれ出た世相批判、風刺も含めた一つの口伝の文化だと考えておりますので、そういうものを含めますと、私は率直に申しまして、これは庶民の心から心に伝わるべきものであって、これを取り上げて国がどうするというのはそぐうべき範囲かなという感じはいたしました。しかし、世界各国で、そういう一つの研究としてあるいは交流として取り上げておられるという点があるとすれば、これは十分研究するに値するものである、こう思っておりますし、世界がどのようなことをやっておるかはまた専門家の方からお答えさせますけれども、勉強はしたいと思います。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 先日、私もアメリカの政治漫画家協会の会長をされていたジェリー・ロビンソン前会長、ボブ・テイラー現会長、インドネシア漫画家協会のジュラルダス・スダルタ会長、これらの方々と、日本の近代漫画界の創始者として非常に有名な北沢楽天の出身地である埼玉県大宮市でお会いしたわけでございます。この大宮市には現在我が国におけるたった一つのオフィシャルな公立の漫画会館があるのです。したがって、そこヘアメリカとインドネシアの漫画家協会の幹部がやってきたということになるわけなのです。  それで、ぜひ日本でも国立ユーモア美術館というような構想を持って私どもも政府にいろいろと御相談し、働きかけもしてみたいという趣旨のお話をさせていただいたわけでごさいますが、そのときに前会長のロビンソンさんが、それは大変すばらしい計画であり、構想だと思いますと前置きをされて、現在世界的規模で漫画に対するルネッサンス運動といいますか、評価をし直すという機運がございまして、私のポーチェスター漫画美術館にも世界じゅうから漫画家とか漫画ファンのビジターが引きも切らず来ているわけです。スイスのバーゼルにもヨーロッパ一のすばらしいコレクションを誇るこれらの漫画あるいはユーモア美術館がありまして、また、これはイギリスのロンドンにもあります。現在、こうした漫画ルネッサンスの機運はモスクワ、ソ連などにも見られるほどでございますから、そういった意味で日本が国立ユーモア美術館をもし設立するというような方向になれば、大変時宜にかなったことではないのかと思います。アメリカの政治漫画家協会の前会長がこんなふうにおっしゃっておられました。  それからいま一つはフランスの例でございます。  大臣、これは昨年七月二十七日の読売新聞のコラム欄で私は拝見したのですが、フランスの文化政策に関しまして、こんなふうに出ておりました。「ミッテラン・フランス大統領は就任以来、文化は政治の最優先事項だとして数々のユニークな文化政策を実施してきたが、中でもコミックに対しては、一九八三年より本格的な国庫助成金制度を設けている。この秋には、」この秋ですから昨年でございますね。「国立漫画センターがオープンするほか、国立漫画学校、国立漫画美術館の開設準備も進められている」さらに「フランスでは、コミックはヌリエーム・アール(九番目の芸術)ともいわれている。」とも述べられております。九番目の芸術ともフランスでは言われているわけでございます。  現在、フランス大使館にこの質問に間に合うようにということで問い合わせているのですが、大使館の文化部よりは、国庫助成金についてはあり得る、しかし確認をしますということですが、この時点でまだいただいていないものですから、済みません。それから、国立漫画センターは、実際には二年前に設立されておりまして、ことしの秋に本格的に新しい建物で運営されるというような回答をいただいているわけでございます。コミック、ユーモア、漫画、こういうものに対してこれを九番目の芸術だというふうに位置づけして、大変ユニークな文化政策ということで注目を浴びているわけです。  後ほどまた詳しく触れたいと思いますけれども、例えば日本の各新聞に掲載されます政治漫画、これ一枚見ても、そのときどきにおける我が国の政治状況といいますか、庶民、大衆が何をどう感じておるかというようなことを、極言すればあの一枚の政治漫画そして短いキャプションを読むだけでぱっとつかむことができる。あるいは、かなり辛らつな政治漫画がよく載るわけでございますが、それがまた、必ずしもそうあっていいかどうかということは別といたしまして、例えば国民の政治に対するやり場のない憤りとか、むなしさ、不満というようなものを解消させていくはけ口みたいなものを与えるきっかけになるというような効用といいますか、その持つ意味は決して小さくないと私には思えます。  フランスの国立漫画学校とか国立漫画センターなどでは、各国の例えば政治漫画というようなものを素早く収集いたしまして、今この国で何が起きているか、国民が一体何に怒っているのか、また何に関心を持っているのか、政府が何をやろうとしているのか、それを国民がどうとらえているのかというようなことが、一枚のその国の政治漫画を見ることによって、ごくわずかなキャプションを訳すだけの手間によって大づかみにつかめるのだというような、そういう情報戦略というような角度からも研究をされているやに私は伺っているわけでございます。したがいまして、そういうような観点からいたしましても、日本の文部省、文部大臣の大きな意味の文化政策の中における明確な位置づけというものが必要なのではないだろうか。一人一人の心の中で感じるもの、内なるものということだけで済ますことのできない、そういう大きな文部行政の、文化政策の一環として明確に位置づけて、貴重な資料が、今それを収集する機関もなければ当然保管する機関もない優秀な作品が散逸してしまう。例えばその作家なりが亡くなってしまえば、これはほとんど散逸してやがて出てこなくなってしまうおそれなしとしないというような状況を考えてみますと、先ほど中島文部大臣からぜひ勉強をしてみたいという趣旨の御答弁を賜りまして心強く存じておりますが、一つの文部行政あるいは文化政策の中の位置づけを御研究、御勉強の結果御判断なされて明確な位置づけを与えていくべきではないかと私は存じますが、大臣からぜひ一言伺いたいと存じます。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 ただいま御指摘の漫画のことでございますが、我が国の漫画の原画、大体先生御指摘の保存という問題については原画を指しておられるのだと思いますが、その漫画の原画についての保存につきましては、これは本来は、先生もいろいろ外国の例をお引きになられましたように、美術館の資料として保管される対象になり得るものだというふうに思います。しかし、我が国において、我が国の美術館は現在のところ漫画の原画の収集ということについては、比較的というかかなり関心が薄いように実際のところ思うわけでございまして、新聞に掲載されました漫画というものの取り扱いをちょっと調べてみますと、やはり新聞社にとめ置かれるところと、それから個人に返却されるところと、どうもいろいろまちまちのようでございます。したがいまして、非常に優秀な漫画の原画というものが個人に所蔵されているような例もかなりあるということになりますと、先生も御心配のように散逸をするという危険性もあるわけでございます。  そこで私どもといたしましては、こういう漫画の原画について、その美術的な価値あるいはまた学術的な価値というものもあろうかと思いますけれども、そういった価値に着目いたしまして、現在の状況がどうであるかということから、まず現在の保存状況がどんなふうになっているかというようなことから把握するために、御指摘もございますので、漫画作家の団体等と御相談をしてみたいと思っているところでございます。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 大臣、一言。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 基本的にはおっしゃる点はよくわかります。また、これが一つの情報戦略だという観点もなるほどというふうに感じました。基本的には、先ほどお答えを申し上げましたけれども、これは一つの世相反映の風刺文化でもあり、庶民の心からにじみ出た一つの文化であるというふうに私は自分なりに位置づけながら、さらに世界のあり方、日本でどう扱うべきか、これは十分勉強もし、検討もしてみたいと思っております。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 たびたび申し上げて恐縮でございますが、日本の近代漫画界の先駆者と言われる北沢楽天先生が昭和十一年にある雑誌に寄せられた一文でございますが、こう言っております。「どこの国でもユーモア芸術は、文化の爛熟期に一番後れて興隆するものであるから、明治の初期よりは中期以後に漫画が勃興し、大正、昭和と次第に隆盛を極めてきたのは蓋し当然の帰趨なのである」こういう言い方でございます。  先ほど申し上げましたように、すべてがすべてということでは決してございませんが、企業に勤めるサラリーマンの方でも、何か難しい研究書とかあるいはいわばそのテーマテーマの本をいきなり読んでいくというより、むしろコミック経済学入門とか、あるいはコミック円高とか為替レートみたいな、そういう例えばいわゆる劇画風の、劇画漫画というのでしょうか、劇画風のそういうものから入りまして、自分の関心のあるテーマにまず漫画から入る。漫画もかなりいろいろな資料を駆使して書かれておりますので、目で見える。そして表情がわかります。身近な会話が出ている。そういうところから大体のテーマの本質がつかめる。興味を持って、そしてそれからいわゆる活字の単行本なりに入っていくというケースが案外多いようでございます。  それから、日本経済入門といいますか、経企庁だと思いますが、昨年でございましたかいわゆる漫画版経済白書みたいなものも実際に出版をなされまして、そしてかなりな好評を得ておられるというようなことを考えてみますと、まさにコミックの、漫画の、あるいはユーモア文化の勃興期といいますか、本当にはんらんをしている、広く浸透している時代に入ってきたということは言えると思います。  そういうことで、我が国の文部大臣として、あるいは我が国の文部省として、アメリカを初め諸外国でもかなりユーモア、漫画、コミックに対する位置づけと正当な評価と思われる評価がなされている中で、ユーモア文化とかコミックとかということについて余り中途半端な対応をなさるということはいかがなものかな。諸外国との関係においても、日本人は余りユーモアを解さない国民性なのではないかなんということを言う国があるかどうかわかりませんが、いずれにしてもそういう角度からのとらえ方もやはり大事なのではないだろうか、こんなふうに私は存じております。  それから、絵画的な手法を用いた意思の伝達方法であるということもまた言えるかと思います。私、ちょっと今思い出せないのですけれども、ある国の教科書で日本を紹介する箇所で、江戸時代か明治時代のような服装あるいはそういう風景、描写というものが、それはかつて日本がこうだったのですよ、そのときの絵ですよということじゃなくて、今の日本という形で紹介されているというような何か記事を僕は見たことがあるのですけれども、そういうことからいたしましても、この漫画の持つ、コミックの持つ、あるいはユーモアの持つ、これが国際交流の一つの場として位置づけられ、あるいはそういう施設、そういう政策というものがダイナミックに展開されるとするならば、日本を正しく世界に紹介していく、あるいは理解を求めていく上におきまして少なからぬ、いや極めて大きな意味を持つものではないのだろうかというふうに思います。  海外におられる同胞の皆さんは、日本から発せられるラジオ・ジャパンといいますか、国際放送を短波のラジオで本当に一生懸命聞いて、そして外国にいても日本のことがよくわかるような、全然話は違いますけれども、例えば電波を発するだけでそういう大きな効用というものも現実に確保されておる。次元は違うかもしれませんが、こういう一つのユーモアというものを通して日本の国が正当に、そして日本人の一つの物の考え方というものが誤解なく、より諸外国の皆さんに理解されていく、そこに貢献ができる分野ということであれば、ぜひひとつ文部大臣におかれても、私がるる申し上げましたこの国立ユーモア美術館構想に対しまして、ぜひひとつ積極的、前向きにお取り組みをいただければと思います。国際放送のラジオ・ジャパンというのは、要するに低廉な費用で、諸外国に日本の姿をよく知っていただく上において極めて大きな貢献をしているという意味でちょっと引用したかったわけでございますが、時間が参りましたので、そういう意味でぜひ積極的にお取り組みをいただければと思います。最後に一言、中島大臣から御答弁いただきまして、終わりたいと存じます。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 山田委員がおっしゃりたい意味はよくわかります。また、今幾つかお挙げになったのは一つのメディアでございまして、漫画を使ってということもありますし電波を使ってということもありましょう。したがって、私は率直に申しまして、その意味はよく理解をいたして、一つの文化だと思いますが、それはあくまでも庶民のものであってかた苦しいものであってはいかぬということが先に立ちまして、国立でどうということにそぐうかなということを率直に感じたわけでございますけれども、ただ各国で、国あるいは公共でそういうものの保存あるいは交流というものが行われているとすれば、それはよく勉強をいたしたい、こういうことでございます。繰り返しになりますけれども、よく検討はいたします。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 ありがとうございました。終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて山田英介君の質疑は終了いたしました。  次に、工藤晃君。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)分科員 厚生省おいでになっていますか。  きょうは室内のアスベスト対策について質問します。  戦前から、アスベストが健康に危険であるということは石綿症などで知られておりましたが、その後ずっと、肺がんが起きる、非常に危険な悪性の中皮腫症、胸膜にできるがんですが、大問題になってまいりました。しかも、肺がんでも十年、二十年たってから出るという例、中皮腫症の場合は三十年、四十年たってから出る例ということで、この対策が非常に難しい。そしてよく見ると、室内に大量に使ってある。特に天井や壁に吹きつけられている石綿、アスベストというのは、青石綿といって一番危険な毒性の高いもの、その下で子供たちの授業が行われている。それで、この対策というのは国として大事な問題となってきていることは言うまでもないわけです。  そこで最初に、昨年文部省が公立の小学校、中学校、高等学校、特殊教育諸学校に吹きつけ石綿の調査を行い、結果を発表しましたが、その結果はもういただいておりますから答弁いただく必要はないのですが、ただ私が見て非常に気になったことは、そのとき、アスベストがあるかないかの判定方法として、まず設計図書が保存されている場合は吹きつけ石綿の商標で判断せよ、それがない場合は現地調査をやれ。その現地調査は何かというと、一口で言うと見てやれということですね。「石膏ボード等による天井は張っていない。」「見た目がザラザラしており、よくみると繊維が分かる。」「触ってみて弾力があり、針等が刺さる。」という、これで判定せよということなんです。  私は、文部省は最も科学を重んじると考えていたのですが、これを見ていささか心配になったわけです。私も昔、岩石を顕微鏡でのぞいたことがあって、岩石の中のアスベストというのは私でも鑑定できるかと思いますけれども、なかなかこれは難しいわけですね。光学顕微鏡それから電子顕微鏡、エックス線を使って最後はわかる、こういうことなので、こういう判定の結果というのではまだ不十分ではないか。  現実に東京都で練馬区がこの問題に割合熱心に、割合というか、私の知る限り大変熱心に取り組んでいるところだと思いますが、ここではちゃんと検査をしてもらって、その結果、五十一校にもあったということがわかっているわけなので、今後の調査というのはもっときちっとした調査をやるべきではないか。この点についてまず伺います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 昨年の時点でございますが、新聞報道その他、こういったアスベスト問題が関心を呼びましたので、全国的に見ておおよそどの程度のアスベスト使用校があるのかということを、私どもの関係といたしましては、そういった補修に要する経費等の視点におきまして、早速調査を昨年の五月に実施をさせていただいたわけでございます。  その時点におきまして、先生おっしゃいますように、判断の基準が設計図書を中心とし、その他外観的なものでとりあえず一般的な全国的な傾向をつかみたいということで調査をさせていただいたわけでございますから、この調査の該当校であったかなかったかによって補助対象にするとかしないということではなくて、まず全国的な一般的傾向をつかみたい、そういうことで調査をさせていただき、公立学校につきましては千三百三十七校がアスベストを使用しているという結果を得たわけでございます、

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)分科員 およそのところをつかみたいということですが、本当にアスベストがあるのかないのかということはきちっと科学的につかまなければいけないという意見を申し述べて、もう一つ今一番大きな問題というのは、昨年の夏休みも多くの学校で除去対策が行われましたけれども、まず、そこの教育委員会とか自治体自身専門的知識がない。それで実際に、後でもここで触れますけれども、アスベスト対策というのは撤去がただ一つでなしに、場合によれば修理でやる、あるいはまた封じ込めとか囲い込みとかそういう方法をとって、いよいよという場合に除去、撤去ということになるわけですが、そういう選択をどうやっていいのか、これもわからない。業者の人も、専門的な業者、これは高度に専門的な技術、知識を要する分野なんですが、ほとんどないということなので、実際工事をやられた結果、かえって大変な汚染を引き起こしているのではないかと思われるような状況が方々で見られたと思います。実はこれはアメリカで早くからあったわけで、一九八四年から八五年のアメリカでアスベスト騒動と言われて、除去、除去といって除去を急いだためかえって環境を悪くしたということで大問題になったわけです。その状況が日本でも再現されているように思われましたので、私は大臣にちょっと実例で示してみたいと思うのです。  これは矢笠友雄氏、東京都教職員組合連合でアスベスト対策専門にやってこられた方から提供を受けた彼の調査結果なんですが、まずこれは小平の小学校でやられた例なんです。(写真を示す)これでビニールのこういう袋がありますけれども、まず養生といいまして、工事の結果出てくるアスベストを工事をやっているところの外へ出さないため、完全にビニールで包み込まなければいけない。これを養生と言っているのですが、このように養生といいながら大きな穴があいて向こうに黒板が見えて、天井からのアスベストがみんな黒板のチョーク受けたとか黒板ふきの上に落ちているような状態ですね。  これは段階のところですが、これもここに穴があいて天井から落ちてきたアスベストがどんどん漏れているということで、一番初歩的な養生がきちっとやられていない。  それから今度アスベストを袋に入れてまずこういうところの天井に置いてしまって、これも後で詳しく見ていただきたいのですが、中には口をあけて下の方向を向いているような、こういうところもある。  それで、これは作業をしているところなんですが、今まで示されているマニュアルでもちゃんとした作業服とか防じんマスクというのが決められているわけですが、ここではアルバイトのおばさんだと思いますが、働いておられます。それでマスクもしないで、ほうきで床のアスベストを集めている。  ここにあるのは食器洗浄機なんですね。子供たちの食器を洗浄するところ。ここもちょっとよく見ればわかるのですが、割りばしを入れている箱だとかそういう食事に関係するものが置いたままである。  それから、マニュアルによりますと、養生した中で、シャワーをかぶってそれで普通の洋服に着がえて外へ出なければいけないのに、どんどん外へ出て子供たちが洗うところで手を洗って、この水の中にアスベストが入っているのですが、この水の回収がもちろんやられない、こういう状況なんです。  もう少しお見せしたいのは、問題は天井などから落ちたアスベストを集めて、そしてこれを集めてから今度はコンクリートで固めるという処理方法をとらなきゃいけないのですが、夏だったから暑いというので戸外にコンクリートにまぜるところをつくりまして、そこへよいこらしょと裸のまま袋に入れて、口をあけて百個以上の袋を並べて、そしてここでコンクリートにまぜるということをやっております。そして御存じのように、子供が自転車に乗っているように、公道のすぐそばにこの袋が積まれているというのが一つの現状なんです。  これで見ると、全くマニュアルがあっても何も守られていない。ますます危険を大きくする工事だと見ざるを得ない。それもそうならざるを得ないような状況があって、さっき言いましたように、市も教育委員会も専門的な知識を欠いているところへもってきて、この業者は初めてこういう工事をやったという業者ですから、こういうことになってしまうわけです。  私は何も悪い例ばかり申し上げたいのでこういう例を出したわけじゃないのですが、それでもこの前練馬区に行きまして、練馬区は区として大変真剣に取り組んでおられる、こう言われておりますし、私も行ってみてそういう感じを受けました。それで、練馬区で学校の体育館で工事を行っている業者は、よくマスコミでも首都圏随一の専門的な業者であると言われるような会社でありました。ですから、こういう今お見せしたような状況と比べれば比較にならないほどきちっとやっているように見受けられたわけでありますが、それでも素人目から見ても、私がマニュアルと照らしてみると、さっき言ったビニールでの養生というのを、隅のところがきちっとしていない。それから体育館なんですが、体育館の中で当然取り除いておかなければならないはずの子供の靴箱があって、ズックが置いてある。あるいはまた跳び箱とかマットとか、恐らく子供たちが使えばうんとほこりが舞い立つようなものも取り除かないまま工事が行われている。一応その前にはビニールがありますけれども、すぐそばですから、今度はビニールを外すときに当然これは汚染されるということを考えなければいけない。グランドピアノがありましたが、グランドピアノはきちっと養生もされていないので足を外へ出していた、こういう状況だったわけです。  だから、私がここで申し上げたいのはこういうことなんですね。小平市はもちろんこういうことがあって市議会などでも取り上げられましたので、その後随分改善していると聞いておりますが、小平のこれ式の工事というのが一番悪い例だとして、それで練馬で私が見たような工事が一番いい例だとしても、この一番いい例であっても完璧とはとても言えない、かなり問題があるという状況ですから、あと全国で行われるのはほとんどいわばこの中間にあるグレードでやられていると判断せざるを得ない。  だとすると、文部省としてももちろんいろいろ予算をつけるということは大事ですし、つけ方にはいろいろ注文はありますけれども、つけた結果、子供たちの学校でこういうずさんな撤去工事が危険を大きくするような状況もあるということをどこまで認識しているんだろうか。それから、現場の方々、教育委員会とか自治体、そういう人たちが専門的知識がないから、一体どういう対処法を選んだらいいのか、これもはっきりしない。それで工事は完全に業者任せになってしまっている。こういうことについて文部省としてもどれだけ認識をしているのか、その点を伺いたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 先生おっしゃいますように、アスベスト対策の工法といたしまして、例えば除去する以外の方法といたしまして、薬品による封じ込め、あるいは二重天井等による囲い込み等いろいろな方法等ございまして、これらのアスベストの安全対策あるいは工法等につきまして環境庁あるいは厚生省等から各般の方策等をお示しいただき、また、私どもそれを受けとめまして各都道府県あるいは市町村教育委員会に周知徹底を図っている段階でございますが、完壁な十分な知見が得られているとは言えない状況でございますので、そういう途中段階ではあると思いますけれども、今先生いろいろ御指摘のありましたような問題点を踏まえまして、健康、安全の観点、かつ業者の適切な選択、工法等につきましても十全を期するような指導を行わせていただいている次第でございます。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)分科員 厚生省に伺いますけれども、一つは、「当面の建築物内アスベスト対策について(中間報告)」というのが出されました。また「建築物内に使用されているアスベストに係る当面の対策について」という通知が出されております。この内容についてごく簡単にお答え願いたいのです。今のずさんな撤去工事をやるとかえって危険になる、これは何とかしなければいけないという考えでこれが出されているのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。

佐野利昭厚生省生活衛生局企画課長

○佐野説明員 お答えいたします。  今先生おっしゃったとおりでございますけれども、私どもといたしまして、アスベストの健康被害の問題につきましては、従来はこれはどちらかというと労働環境の中での労働災害の問題としてとらえておりまして、一般環境におきますアスベストの被害については余り認識がなかったところでございます。したがいまして、実際のところを申しますと、我々といたしましてもどのような形で対策を講じていいかわからないという状況のままで推移しているわけでございます。ただ、先ほど先生御指摘のあったように、学校等におきましてアスベストの吹きつけ塗装が剥離するというような事態が出てきたものですから、これに対応するために、やはり保護者の方々が大変御心配になって至急それを撤去するようにという御要望もあるように聞いておりました。しかしながら、アスベストがあるからすぐに果たして撤去していいのかどうかというような問題もまた一方にあるのではなかろうかということで、専門家の先生方に御検討をお願いいたしました。残念ながらまだ専門家の先生方におかれましても十分な御回答は得られない状況でございまして、私どもといたしましてもどのような形で今すぐやったらいいかという完壁な答えは得られていないところでございます。  しかしながら、従来の状況から考えますと、今の一般大気中の状況はすぐさま危険な状況だとは言えない、としますと、撤去するということを余り急いでやるとかえって問題が生ずる場合も起こるのではないか、そうであるならば、状況を的確に把握して、そしてなおかつ各技術分野におきます工法等の進歩、発展を待って、優先順位をつけた工事手法をとるべきではなかろうか、こういうことで中間報告をいただいたところでございますので、それを受けまして通知をしたところでございます。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)分科員 そうしますと、中間報告の中に「フローチャート」というのがあって、その状況によっては修理、それからこの辺だったら封じ込めとか囲い込み、いよいよそれでもやっておれない場合に撤去、除去ということになる、こういう趣旨だと受けとめております。  しかし、そこで問題なのは、中間報告の中でも特に欧米のこれまでの研究成果をということを言われておりますが、果たしてそれをどこまで取り入れているのかという点でまだ疑問な点も多くあります。例えば先ほど言ったように、これまでのアスベスト対策というのはほとんどと言っていいぐらい労働衛生に限られていたのですが、一番危険なクロシドライトが頭の上にあって子供たちが勉強しなければいけないという状況になったとき、これは大臣、関係省庁と一緒になって対策を立てなければいけないのじゃないかと思って、例えばさっき言った欧米の研究成果を学んでいるとか言われております。確かにいろいろな資材、機材が輸入されております。それで、そこからも学んで、同時に日本の業者が独自のいろいろな工法も開発しつつあるというふうに聞いているのですが、本来、国としてそれこそ実験工事をやって、その結果こういう工法ならいいとかこういう機材ならここまで保証されるとかいうものをやるべきではないかと思うのですが、そういうところまでやらないと、結局厚生省のこういう趣旨が生かされないのじゃないかと思いますが、その辺、どうでしょうか。

佐野利昭厚生省生活衛生局企画課長

○佐野説明員 御指摘のとおりの面があろうかと思いますので、これも私の所管とは言いかねますけれども、環境庁あるいは建設省とも御協力をいたしまして、目下そのような指導指針、マニュアル的なものをつくっていきたいということで準備を進めているところでございます。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)分科員 今、マニュアル的なものと言われて、私は例えば、日本石綿製品工業会のこういうのを持ってきましたけれども、これも私、専門家でありませんからよくわかるということでありませんが、それでもやはり業界団体がつくったマニュアルだと、何々することが望ましい、例えばこれは「封じ込め処理の衛生対策」で、「清掃は適切な真空掃除機(できればHEPAフィルター付き掃除機)で」、これはアスベストをとらえることができるフィルターなんですけれども、「行うことが望ましい。」となっている。「でなければならぬ」でなしに、「望ましい」とか「できれば」という書き方にどうしてもなってしまうわけですね。これはやはり国が責任を持ってこういう工法あるいはこういう道具でなければだめだと言ったら、「望ましい」でなしに「こうすべきだ」というところまで進まなければいけないと思うわけです。  ついでに、工事作業者の教育体制の問題についてもちょっと触れておきたいと思うのですが、というのは、あの通知の中にそのことが書いてありますから触れたいわけですが、実際の作業者が果たしてどれだけ受けているだろうか。それで、ある業者あるいは会社のその責任者が受けて、それで終わりになっている例が多いのじゃないか。ここに今、建設業労働災害防止協会、建災防というのですか、そこの講習があるわけですが、これは二種類あると聞いておりますが、これは一日だけのですね。この修了証というのがいただけますと、一日出て修了証をもらうと、何かこの会社は免許を取ったかのごとき印象を与えまして、自治体も、これを持っているから安心だということになってしまっているのですが、私はいろいろ伺いまして、アメリカのアスベスト対策と比べると、この辺も大変おくれているのじゃないかと思います。  ここに持っているのが、ナショナル・アスベスト・トレーニング・センターで、これはアメリカの環境保護庁が大学とか研究所に委託してナショナル・アスベスト・トレーニング・センターをつくって、そこでかなりがっちりとした教育や講習をやっております。これはカンザスシティーの例ですが、講習の日取りも書いてありますが、四日間ばっちりとってやられるという点でも相当な違いがあるのではないか。それから第一、こういう民間の団体みたいたところに任せるのでなしに、国の政府機関が責任を持ってそしてこういうのを進めている点が違いがあるのではないか。この辺も著しくおくれている。  ですから、マニュアルもきちっとしたものがない。それから工事のスタンダード、基準もまだはっきりしてない、そしてまたこういう訓練もきちっとやられないということで、しかも自治体や教育委員会の方では一体どういう対処をしたらいいのか、どういう業者を選んだらいいのか。実際現場に行ってどこに問題があるという、相手にいろいろ指導することができるか。何もかにもできずにすべて業者任せ、こういう状態になっております。  そういうことで、今言いましたマニュアル策定に加えて作業員教育の体制、これも特に文部省、厚生省が担当じゃないかもしれませんが、大臣もおられますから、ぜひ閣議でもこういうことを持ち出して関係省庁の間でぜひやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか、大臣。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御指摘の点は重要なことでありまして、特に国民全体の健康、これはもちろんでありますが、私どもとしては学童生徒諸君の健康、これを大事にいたさなければなりませんし、また、私もテレビを通じて除去作業を拝見しましたけれども、防じんマスク等相当大変な操作で大変神経を使って大変な労力を費やしておられるな。拝見しておりましたけれども、実際の作業、今拝見しますといろいろ段階がありましてなかなか難しい面もございましょうから、これはおっしゃいますように、各関係省庁と連絡をとりまして、その対策に万全を期したい、このように考えます。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)分科員 先ほどもアメリカの例を申し上げました。私の手元にあるアメリカの新聞のコピーでも、八四年、八五年の要するにアスベスト騒動というときの記事というのは、集められるだけでもかなりな量がありますし、また、イギリスでも、これは厚生省からいただいたのですが、アスベスト除去前後における室内アスベスト濃度というと、除去した後の方がかえって高くなったり、こういうイギリスの経験などもあって、これは非常に深刻な問題なんです。  そこで、私は特に文部大臣に申し上げたいことは、どうしてもこの工事は夏休みに集中するわけですね。冬休みもやっております。そうすると、夏休みに工事が集中することを予想して、安全優先を対策方針としなければいけないということから、ずさんな撤去工事はかえって危険だということをはっきりさせる。そして、厚生省の報告、通知にもありますように、封じ込め、囲い込み、そしてどうしてもやれない場合に撤去といういろいろな対応の仕方があるので、慎重にこれを考えなければいけないということ、これをぜひ徹底させる必要がある。これが一つ。  もう一つは、地方自治体への国庫補助は、今いわゆる大規模改修ということでアスベストを対象に入れ、また、金額の点でも弾力性を持たせたということは結構なんですが、やはりすべての工事、除去だけではなしに封じ込めになる場合にもこれを適用するとかそういうことをしないと、例えばある例で言いますと、除去の場合で言うと、撤去の場合で言うと、一平米当たり二万円、封じ込めだと一平米当たり一万円だとすると、金額のつじつまを合わせる上からも除去の方がいいというので、除去へ流れてしまう。業者に相談すれば、当然金額が多い方がいいだろうから、そちらをお勧めする結果にならざるを得ないんじゃないかと思うわけですね。だから、アスベストというのはそれほど深刻な問題だから、いかなる工事に対しても補助対象にするぐらいの対応をとっていただきたい。この点で特に夏休み前に至急これらは検討していただきたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 アスベスト対策といたしまして各種の工法がございますが、現在文部省におきましては、先生御指摘の大規模改修事業の補助対象事業の中に含めて対応させていただいているわけでございますけれども、先生がおっしゃいました除去のみならず囲い込みあるいは封じ込め等のいかなる工法につきましても、すべて補助の対象とさせて対応しているわけでございます。  なお、各種の工法のとり方につきましては、私どもとしましても、既に昨年実施されました具体的な除去、封じ込め、囲い込み、あるいは封じ込めプラス囲い込み等の工法の具体的な事例の内容につきまして、手順、方法あるいは工事の内容、そういったものにつきまして事例を各都道府県の主管課長会議にも伝達いたしまして、適切な判断、対応ができるような形で指導をしている段階でございます。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)分科員 もちろん、これは文部省だけでないので、先ほど言いましたように関係各省庁との連絡を緊密にして、特に夏休みに向けて万全の対策をとっていただきたい。  これは一つの例ですが、東京都教育委員会でも「石綿(アスベスト)吹き付け材の撤去方法仕様書」というマニュアル的なものを出して、それからまた練馬区でも特記事項として、それを下敷きにしたようなのがありますが、やはり微妙な違いがある。微妙な違いがあるというのは、どうもこれだけでは不安だと思って真剣に取り組もうとすると、何か加えざるを得ないというので、例えば東京都に入ってない作業員の教育というのを練馬では加えるというふうにして、いろいろ苦労しているのですが、どこまで苦労したらいいのかという、それが具体的なものとなってこない。それからもう一つ、業者の方の教育というのもきちっとやられるようになっていない。しかも、さっき言いましたように、国として実験工事をやって、そしてこういう工法ならいいとかこういう機材なら安全だということをきちっと出される、それからマニュアルを急ぐ、それぞれのことがやられなければいけないと思いますので、どうか大臣、夏休みまでと限るわけじゃないですけれども、そこに集中するということをぜひ念頭に置いて対応していただきたいと思います。その点についてもう一度重ねて伺います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 関係省庁と連絡をとりまして極力対応を急ぎます。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)分科員 終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて工藤晃君の質疑は終了いたしました。  次に、日笠勝之君。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 早速でございますけれども、今ガンダーラ石仏の問題が惹起しておるところでございます。これは、昨年の四月二十九日から五月三十一日まで奈良国立博物館で開催されました特別展「菩薩」のメーンの展示物としてアメリカから輸入をされたものでございます。その「菩薩」展のカタログをひもときますと、石造弥勒菩薩立像というものがどういう希少価値のあるものであるかということが掲載をされております。これは、「クシャーナ王朝時代の弥勒菩薩像を代表する名品として今回新たに紹介することができるのが、(9)のガンダーラの石造立像である。」「最も洗練された表現手法をみせた作品として、特に高い評価が与えられよう。さらに全身を金箔押で仕上げた当初の荘厳がそのままに残っているのは、むしろ衝撃的であるとさえいえよう。」さらに「ガンダーラ彫刻特有の片岩を極めて暢達した作技で彫刻したもので、堂々とした威厳を備えた菩薩の相を見事に表現している。数多くの作品を残すガンダーラの仏教彫刻のうちにあって、最高峰に位する傑作の一つであろう。」このようにカタログというか、パンフレットでは紹介をされておるわけでございます。  これは、もう少し具体的に申し上げますと、アメリカの古美術商が奈良国立博物館の仲介、代行と言った方がいいかもしれませんけれども、それによりまして三十七万五千ドル、そのときの為替レート等で計算いたしますと、購入価格が五千八百万円、そのうち十二万五千ドルはもう送金済みでございますが、このガンダーラ石仏が、真贋論争が起こりまして、残金の二十五万ドルは未払いであるということで、国の内外の大きな問題となっておるわけでございます。真作か贋作かということは、実物もございません、二百五十キロもある重たいものでもございますし、学術的な専門的な知識は残念ながら私もございません。  それはさておきまして、以下数点にわたってお伺いをしたいと思うわけでございます。  そもそもこのガンダーラの弥勒菩薩立像の購入については奈良国立博物館が仲介をした、関与したということでございますが、これを購入しました大阪の医療法人の方に聞きますと、昨年の二月十三日に奈良博、略称で奈良国立博物館のことを奈良博と申しますが、奈良博の普及室長がわざわざ病院に来訪されて、このガンダーラ仏は名品であるから買い取って展示会に出品してほしい、売買交渉、輸入手続の一切は奈良博で行いますから、このように申し述べられたそうでございます。  そこで、まずお聞きしたいのは、公的機関がなぜこのアメリカの古美術商と大阪の医療法人との売買の仲介、代行をされたのか、そういう権限はあるのか、また、一般国民も、ぜひ自分も輸入したいのでお願いすると言ったら、それを代行してくれるのか、こういう疑問が起こるわけでございますが、この点はいかがですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 ただいまの御指摘のガンダーラ仏につきましては、経過につきましては委員御指摘のところだと思います。  そこで、奈良国立博物館の職員の関与の経過につきまして若干御説明を申し上げたいと思いますが、ガンダーラ仏につきましては、一昨年の八月に奈良博の職員がニューヨークの古美術商を訪問いたしまして、奈良博で開催を予定しておりました委員御指摘の特別展の「菩薩」への出品を打診したわけでございます。したがいまして、一昨年の八月からそういう出品交渉が進められていたわけでございます。  その後、その職員に対しまして、今お話に出てまいりました大阪府の枚方市所在の亀広記念医学会から、この仏像を購入したいという話がありましたので、それを古美術商に、ちょうど出品交渉をしていたわけでございますので、伝えたということで、その古美術商と亀広記念会との間で売買の話が始まった、こういうことでございます。  その後、先ほどお話がありましたように、昨年の二月二十六日に亀広記念医学会が前払い金を送金いたしまして、三月十三日に仏像が、これは出品のために亀広さんから借りた形になるわけでございますが、奈良博に到着した、こういうことでございます。  したがいまして、奈良博の職員が、今おっしゃいましたように売買の仲介に立つというような事実は私どもは認めておりませんで、これは当然奈良博という公的な機関が私人間の取引の仲介を行うということはあり得ないというふうに考えております。したがいまして、職員が亀広記念会の購入についてお話をしたということであるとすれば、それは個人的な、ちょうど出品交渉をしていたという、そういう事情の中にあったものでございますから、好意的に個人的な立場でなされたというふうに私どもは考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 今、委員長のお許しを得まして資料をお渡ししていますが、これを見ますと、奈良国立博物館の館長名、署名押捺をしまして、大阪税関伊丹支署長殿あての税関手続の書類がございますが、これは奈良の国立博物館の館長が署名押捺をしたのじゃないのですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 これは、その所有者といいますか、前の所有者ということになりましょうか、売買が成立しているかどうかがわかりませんので、アメリカ側の所有者であります古美術商が奈良国立博物館気付で亀広さんあてにガンダーラ仏を発送したということでございます。そこで、亀広さんの依頼を受けまして奈良博館長名で通関手続を行った、こういうような事情でございます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 そうすると、一般の人でもこういうふうにやってくれるのですか。一般の、例えば私が買いたい、ひとつ奈良国立博物館さん、通関手続をやってください、書類を書いてください、やってくれるのですか。一般論ですよ。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 これは一般論としては、先ほど申し上げましたように公的な機関がこういう私人間の売買に絡むということは、まあないことでございます。この場合は、たまたま出品交渉がございまして、そしてそのガンダーラ仏が奈良博の特別展に陳列される、そういう事情があったものでございますから、そういうことも含まれているのだというふうに思いますが、ただ、相手方のアメリカの古美術商は奈良博に出品することを知っていたわけでございますから、それで奈良博気付の亀広氏あての文書で来たのだというふうに思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 ここに、去年の一月五日の、そのアメリカの古美術商の奈良国立博物館普及室長あての手紙の写しがございます。これを見ますと、亀広さんというふうに今おっしゃいましたけれども、全然出てきませんね。名前は伏せましょう、奈良国立博物館普及室長様へ「十二月二十九日の電報ありがとうございます。」「貴殿の御注文大変感謝しています。確かに次の品お売りいたします。」云々という手紙の写しがございます。  ですから、次長さんがおっしゃるような、これはあくまでも民間の売買の仲立ちをしたのではない、個人的にやったとおっしゃるけれども、こういういろいろな、普及室長という立場にある方、また税関手続も、関税の問題、課税とか非課税の問題もあります、これは全都一連の、奈良博がやったものと見ざるを得ないですね。ですから、私が言うのは、それが素直に、個人がやったとしても、館長の名前の通関手続書類もあるわけでございますから、やはりこれは関与したのだというふうに持っていかなければ、これは国際的にも国内的にも問題がますます大きくなるのではないかと思うのですね。  お聞きいたしますが、普及室長、この方がこういう立派なものがあるから買ってくれないか、そして展示してくれないかというふうに呼びかけたということ。先ほどおっしゃったのは、先に医療法人の方が買いたいと言った。鶏が先か卵が先かではございませんが、どちらが先なんですか。呼びかけて買う気になったのですか。買う気になって奈良博へ呼びかけたのですか。どちらですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 これは、亀広さんの方が買いたいと言ったのが先だというふうに考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 鶏が先か卵が先かで、私どもが聞いているのは、昨年の二月十三日に普及室長がわざわざ病院に来てそういうお話をされたと聞いております。  それから、そもそもこの普及室長さんは何が御専門の方ですか。ガンダーラ仏に造詣の深い方なんですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 この室長の真の専門については、私もちょっとつまびらかにしておりません。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 平安朝の絵画が専門じゃないのですか。そういう方がインド美術がわかるかどうか、それはわかるのでしょうけれども、専門外だと識者の間では言われております。その方が、現物を見ずに、アメリカで三カ所で展覧会があったそのカタログを見て、これはすばらしい、こう感じたのだと言われておりますが、この室長さんは現物をその目で見たのですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 実際に出品交渉に当たったのは、おっしゃいますようにこのガンダーラ仏の本当の専門家ではないわけでございますが、これは奈良博の館員として、出品交渉に当たる一員として考えていただきたいわけでございます。  それで、このガンダーラ仏をどうして陳列の候補に挙げたかという経過でございますが、これはアメリカのクリーブランド美術館等で開催されたときに既に出品されているということで、アメリカの高名な代表的な東洋美術家の多くによって高い評価を得たということでございます。それから、「菩薩」展の開催に先立ちまして、一昨年の八月に渡米中の職員がその存在を確認しているということでございますし、また昨年の一月には別の職員が渡米いたしまして実査確認をしているということでございまして、この種の展覧会に外国からの陳列をする場合の通常の必要な注意は十分に払われていたと私どもは思っております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 先ほどこのパンフレットを抜粋しましたけれども、それほど衝撃的な作品であり最高峰に位置するものが、大臣、大変文化的に造詣が深いと聞いておりますが、大体、五千八百万で買えると思いますか。そんなにすばらしい、類を見ないものが、五千八百万ですよ。ゴッホの絵が一枚幾らですか、五十数億ですよ。そんなすばらしいものが五千八百万円で買えるなんていうことは、私も素人で割と古美術は好きですが、私でも買いたいですね。そもそも五千八百万でそれほどすばらしい最高峰に属する衝撃的なものであれば、パキスタン政府はほっておくのですかね。今、盗掘であるとか盗品であればその国に戻しなさいということも言われておるわけです。それほどすばらしいものが五千八百万で買えるかどうか、大臣、常識的に考えてどうですか。個人的見解ですよ、別に言質をとるわけじゃありません。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 私も好きですけれども、余り造詣が深い方ではございません。一般の美術品がどのくらいか定かではありませんけれども、そうとび抜けて高いものではないのかな、こう思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 古美術の世界でも趣味がいろいろございますからね。一般に言われているのは、非常に安いものである。大体、安いものはにせものと思えというのが常識論になっておるわけです。  それはさておきまして、では次長さん、真贋論争はさておくと言いましたが、これはあくまでも真作である、このようにお思いなんですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 この真贋の問題につきましては、御存じだと思いますが、昨年の奈良博の特別展が終わりました後で、専門的な研究家、研究者によりまして調査会を開いたわけでございます。田辺さんという現在贋作だということを主張されている研究家の方も入れまして、研究会を開催したわけでございます。そこでは、八名のうち田辺さんを除く全出席者から、贋作とは認められないという結論を得たわけでございます。その後田辺さんの側でいろいろな調査がなされていると聞いておりますけれども、その後の新聞に発表されております事実等々につきまして、それを適用してみましても、贋作であると決定づけるものは今のところ出ていないのじゃないかと私どもは考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 贋作でないから本物とは限らない。灰色ということもあるわけですね。もしそういうことであれば本物、真作ということになるわけでございますが、これは昨年の六月三日にアメリカの売り主が奈良博の館長にあてた手紙でございますけれども、「あの作品は私が一九七九年に購入し、一九七九年十二月に米国に持ち込みました。ペシャワールで美術商から購入したものです。その美術商は北パキスタン、ミンゴーラ近くの作品を発掘している秘密の発掘人からあの作品を買ったということです。」そういうことになりますと、本物であればパキスタン国の意思を確認し、返還をしてあげなければいけないのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 今御指摘のありましたようなお話は、奈良博の方から報告を受けておりますけれども、今のその時点と申しますのは昨年の六月三日付であったということ、それから先ほど申し上げておりますように、一昨年八月以来出品の交渉をしておりました過程の中でも、このような古美術商から、前の入手経路というものについては説明を受けていなかったということでございます。  そこで、もし仮にこれが本当だといたしましても、現在はこれは亀広さんの方に仏像が移っているわけでございまして、奈良博の手は全く離れているわけでございますから、これについてパキスタンに返却すべきかどうかということにつきましては、これは当事者間の問題だろうと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 今のを整理しますと、結局奈良国立博物館は一切関与もしなかったし、仲介もしなかったのだというふうに断定できるのでしょうか、次長さん。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 先ほど申しましたように、出品交渉中に亀広さんが買いたいということをその奈良博の館員が知って、そしてそれについて情報を与えていた。そういう意味でこれは全くということは、それは事実の問題として言えないと思いますけれども、ただ法律的にはそれは仲介ということにはならない、これは一つの情報の提供というような程度になるのではないかと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 税関手続はどうされたのですか。普通、美術品が輸入されましたら、全然あけないわけにはいかない、中に鉄砲が入っているか麻薬が入っているかわからぬわけですね、民間同士の取引ということであれば。全然あけずに、着いたら即そのまま奈良博に行ったのじゃないですか。だから、これは税関手続の違反じゃないですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 その点は、結局その前に両当事者が手付金を払ったということがございました。そのときに所有権がどちらに移ったかという問題が一つあるわけでございますが、どちらにあるかということが問題になると思います。その辺は完全に法律的に詰めていけば、あるいは亀広さん側にあるということになれば、それはかなり、その点でああいう手続をすべきだったかどうかに問題があるかもしれない。ただ、そのときはあくまでも奈良博の出品のために送ってこられたという意味もあるわけでございますので、そこのところはそういう便宜でやったのだと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 亀広さん云々とおっしゃいますが、その送り先はストレートに奈良博だったわけですね。税関手続書類もちゃんと奈良博の館長の署名押捺済みである。そして、初めこういうものがあるからぜひ買って出品してくださいと言ったのも、奈良博の方であると私は思うのですね。亀広さんという方があんな広いアメリカ大陸でそんなものがあるなんて、全然情報なんかないと思います。だれかが言った。それは奈良博の方が、言ったのじゃないですか。  そういうことを総合しますと、これはこのアメリカの売り主の方も国務省に申し出をする、また買い取ったと言われておる亀広さんという方も国家賠償を求めるとか、今後これは恐らく内外の大きな問題になると思うのです。火種は小さいうちに早く消しておかなければいけませんからね。その点は文化庁さんの方も、一館員がそこまでやったらやり過ぎである。我々国民がアメリカのこういうものを輸入したいからぜひ便宜を図ってくれと言っても、それはできないはずですよ、公的機関が。やり過ぎたのだということをまず素直に認めるところから話し合いをしていかなければ、糸はますますこじれると思うのです。どうでしょうか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 この問題は、結局、真贋どちらであるかという問題と、今お話のありました奈良博の関与の問題、その二つが大きな要素であろうかと思いますが、私どもとしては、いずれも相手方といいますか、亀広さん側の動きというものについて理解ができないというように思っております。したがいまして、売買代金の問題が当事者の間に残っているわけでございますが、その問題は売買の当事者間で解決すべき問題だと私どもとしては認識しております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 これと同じ作風のものが静岡市内に二点あるそうですね。これは本人も、贋作かもしれない、学術的研究のためといって入手されているそうでございます。そういうようなこともございます。  時間もありませんから最後に締めくくりますけれども、大臣、これは日本の文化的レベル向上のためにも、ガンダーラ仏研究協議会、これは非公開で行われているわけでございますが、これはマスコミの前で公開して、もう少し煮詰めて、真作とも贋作ともわからないということじゃなくて、真作か贋作かはっきりさせないと、日本にはそれだけの専門家もいないのか、学者もいないのか、また分析できる人もいないのか、かようになるわけでございます。あいまいにするのではなくて、この際真贋を明確にするということで御努力いただけるかどうか、御答弁をお願いします。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 これは真贋論争から始まりまして国民の間にも話題になっておることでありますから、これは立場を超えて明白にするようにということで内部でも申しております。ただ、もちろん、そういう立場を超えてやっております今の経過では、これは本物である。  それから、経過は今申し上げたとおりでございますが、これは文化庁としてこういう国会の場で正式に申し上げていることでございますから間違いないことでありますけれども、国民の目から見てもう少しはっきりした方がいいという御指摘は理解できますので、方法をどのようにしたらいいか、私も専門家ではございませんけれども、だれが見ても、だれが聞いてももう少しわかりやすくという御希望はよくわかりますので、検討したいと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 卵が先か鶏が先かになりますから、この問題はこれで終わりたいと思います。  続いて、放送大学の件でございます。  生涯学習の時代に即応するため放送大学がスタートいたしまして、来年度が完成年度、明年春、初の卒業生が巣立つわけでございます。大臣もこのことについては非常によく御存じなので、説明する必要もないと思いますが、臨教審の第二次答申、それを受けた「教育改革の推進―現状と課題―」こういうものを見ましても、全国化を求めるふうになっているわけでございます。今、東京、関東一円一千万世帯が対象でございます。だんだんと入学希望者も減りつつございますね。これはもう少し全国化していかなければ、生涯教育の一つの目玉として、また教育の機会均等ということからも、これは積極的に進めていかなければならないわけでございますが、現在における全国化の状況はいかようになっておるでしょうか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 先生の御質問にもございましたように、放送大学は現在南関東を中心に行われておりますけれども、これのエリアを拡大する、将来は全国化ということも、かねてからの大きな宿題であったと私どもも認識しておりますし、また臨時教育審議会からも、昭和六十一年四月の答申でございましたけれども、エリアの拡大について検討すべきだという御指摘もいただきました。  現在、私どもといたしましては、六十三年度で完成年度に達するという時期でもございますし、将来計画をこれから考えるのにちょうど適切な時期だということもございますので、専門家の方々等にお願いいたしまして、将来計画についての検討に着手したというところでございまして、具体にどういう方向で考えていくかということを十分検討いたしたいと思っておる次第でございます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 その全国化への六十三年度の予算は幾ら計上されておりますか、それからまたいつごろまでをめどに全国化していくという御決意があるのでしょうか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 ただいま手元に金目の資料をあれしておりますが、一つは六十二年度から地域的な拡大を図りたいということでCATVを使う方式を諏訪地区について始めたわけでございますが、さらにこれを甲府地区について行いたいということを考えております。  なお、将来のめどにつきましては、当初、放送大学をつくりますときに七〇年代の放送衛星というようなこともいろいろ考えながら検討したいというお答えを申し上げておったと思いますけれども、できるだけ早く結論を得てその対応を検討させていただきたいと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 五十六年六月に国会で放送大学学園法が可決されましたときに、附帯条項に、できるだけ早く全国化ということがございますね。あれから六年でございますし、ビデオを使うとかCATVもございました。それから、いわゆる放送衛星というものもございます。要は、最新の情報通信機器を活用していくということを大いに考えていかなければいけない。  それからもう一つは、学習センターに非常に費用がかかるのだ。ところが、私ども岡山におりますと、私立高等学校はどんどんこれから学生が減って、今後私立高等学校の経営をどうするかという大きな問題を抱えております。もし許されるならば、その私立高等学校の校舎の半分とか三分の一を借り上げてそれを学習センターにするとか、公民館もこれだけ全国にたくさんできましたので、それを一部地方公共団体からお借りするとか、いろいろ方法があると思うのですね。そういうことで、最新の情報通信機器を使っていかにやるか、それからまた学習センター等はどのようにお考えかということを最後にお聞きして終わりたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 これはおっしゃるように生涯学習の非常に有効なメディアでございますので、今放送大学を受けておられる方もその有効性を非常に高く評価しておられます。したがって、これを全国ネットに早くしたいということは私どもの共通の願いでございまして、その幾つかの方法も、有線放送でやるか、あるいは放送衛星でやるか、あるいは他の放送衛星のチャンネルをお借りするか、あるいは今おっしゃったようなお勤めとか働いていらっしゃる方は、放送があってもそれをビデオにしてまた自分の都合のいいときにごらんになるわけですから、ビデオの普及ということも考えられるであろう。これは十分一つの方法として検討項目に入れるべきだと思います。  それから、学習センターを全国規模で急につくるというのをかた苦しく考えますと相当な金目のものになると思いますので、有効活用は当然考えていくべきことだと思っておりますが、あわせて検討を強力に進めたいと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠分科員 終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて日笠勝之君の質疑は終了いたしました。     ─────────────

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 次に、自治省所管について、政府から説明を聴取いたします。梶山自治大臣。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 昭和六十三年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は三千二百万円、歳出は十兆九千七百七十一億四千五百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額十兆二千五百八十八億六千四百万円と比較し、七千百八十二億八千百万円の増額となっております。  また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省十兆九千六百十七億五千四百万円、消防庁百五十三億九千百万円となっております。  以下、主要な事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 この際、お諮りいたします。  ただいま自治大臣から申し出がありました自治省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────   〔梶山国務大臣の説明を省略した部分〕  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、十兆九千五十六億二千万円を計上いたしております。  これは、昭和六十三年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額十兆七千十一億二千万円に昭和六十三年度特別措置に係る額二千二百七十五億円を加算した額から昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律附則第二項の規定による減額二百三十億円を控除した額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するためのものであります。  次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十二億円を計上いたしております。  これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するためのものであります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費として、七十六億六千六百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するためのものであります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、三十八億二千百万円を計上いたしております。  これは、昭和四十七年度から昭和五十一年度までの間において発行された公営地下高速鉄道事業債の支払い利子に相当するものとして発行を認めた特例債の利子の一部について、地方公共団体に助成金を交付するためのものであります。  次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、百三十六億四百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫の上水道事業、下水道事業、工業用水道事業、交通事業、市場事業、電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するためのものであります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費十億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、広域市町村圏等の整備の推進に必要な経費でありますが、六億六千五百万円を計上いたしております。  これは、広域市町村圏等において、田園都市構想の推進を図るための地方公共団体に対する田園都市構想推進事業助成交付金の交付に必要な経費であります。  次に、明るい選挙の推進に必要な経費でありますが、七億九千六百万円を計上いたしております。  これは、選挙人の政治常識の向上を図り、明るい選挙を推進するために要する経費について、都道府県に対し補助する等のために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について、御説明申し上げます。  まず、大震火災対策施設等整備に必要な経費として、三十億五千三百万円を計上いたしております。  これは、震災等大規模災害に備えるため、消防防災無線通信施設の整備及び耐震性貯水槽など震災対策のための諸施設の充実を図るために必要な経費であります。  次に、消防施設等整備費補助に必要な経費として、百三億九千八百万円を計上いたしております。  これは、市町村の消防力の充実強化を図るため、消防車、防火水槽などの消防施設を地域の実情に応じて重点的に整備するとともに、林野火災等に対する防災対策の推進を図るために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計があり、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定があります。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定の歳入予定額は十七兆四千四百四十七億一千六百万円、歳出予定額は十七兆三千二百十六億一千六百万円となっております。  歳入は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づく一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定の歳入予定額は一千百三十三億七千五百万円、歳出予定額は一千五十一億四千五百万円となっております。  歳入は、交通反則者納金の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。  以上、昭和六十三年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     ─────────────

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 以上をもちまして自治省所管についての説明は終わりました。     ─────────────

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。     〔主査退席、川崎(二)主査代理着席〕

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場分科員 大臣、三和石油という石油の会社があるのですが、この本社は、大臣の県の茨城県の東茨城郡桂村というところにこの三和石油という会社があるのですが、これが熊本市に三和石油熊本支店をつくったのです。これは設立が昭和六十年十月二十五日で、解散が六十一年一月二十五日、つくって三カ月で解散をしております。もう一つ、有限会社合志石油というのがございまして、これは熊本県菊池郡合志町にあるのですが、これは昭和六十一年十一月一日に設立して、六十二年二月二十八日に四カ月で実は解散をしております。この三和石油熊本支店、有限会社合志石油が軽油引取税について過少申告をやったということで、現在加算金の更正処分を受けております。三和石油熊本支店が二百二十七万円、合志石油が五百万円の更正処分を今受けておるのですが、熊本県がだんだん調査いたしましたところ、実はこの三和石油は三カ月の間に二万九千キロリットル、トリクロロエチレンをまぜて皮革の洗浄剤として売ったのじゃないかという疑惑が今出ております。合志石油も四カ月の間に一万九千キロリットルをそのようにブレンドして売ったのじゃないかという疑惑が持たれておりますが、実際洗浄剤として売っていないというようなことが明らかになりつつあります。そうしてみますと、この三和石油熊本支店というのは、大体三カ月の間で熊本県民税、いわゆる軽油引取税を七億円脱税したことになるわけですし、合志石油はこの四カ月間に軽油引取税を四億六千万円脱税したことになるわけでございます。  ところが、調べてみますと、この三和石油熊本支店というのは、熊本市の東本町にアパートの一室に電話だけ引いているのです。それから、合志石油というのは、民家の離れに電話を一本引いているわけです。給油施設もなければもちろんガソリンスタンドもなく、看板もない、こういうことが実は明らかになっておるわけでございます。  そこで、二つとも同じことをやっているのですから、合志石油の方で言いますと、合志石油は昭和六十年十二月二十三日に県に申請して軽油取引の特約店になっておりまして、直ちに軽油引取税の徴収義務者になっております。ここからこの問題が始まったわけでございますが、まず最初にお伺いしたいのは、軽油取引の特約店になるためにはどういう手続で認可するのかということをまず事務当局に聞いておきたいと思います。

渡辺功自治省税務局長

○渡辺(功)政府委員 ただいま御質問のうち、税金の関係でございますので……。  一体どういうことでもって特別徴収義務者になったのか、特別徴収義務者になっておったものですから、ただいま委員御指摘のようなことが起きた、こういうことだと思います。  地方税法によりますと、元売業者、それと元売業者と継続的な契約関係に立つ特約業者、これは端的に言いますと卸売なんでございますが、そういう実態にある者につきまして課税庁がこれを特別徴収義務者に指定するという手続になっているわけでございます。そうした手続によりまして、そういう元売業者とかあるいは特約業者から引き取りを行う者が納税義務者ですが、特別徴収という方法で軽油引取税を徴収する、こういう仕組みになっているわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場分科員 元売と継続的に取引を決めれば、特約業者に指定されて徴収義務者になるというようなことを今おっしゃったのですが、実はさっき言ったように、アパートの一室に電話だけ持っておる、あるいは民家の離れに電話だけ持っておって看板もない、もちろんそこには給油施設もないし、タンクローリー車が来て駐車する場所もないわけです。これは、調べればペーパーカンパニーとすぐわかる。ところが、熊本県に特約業者として申請したときに、そういう実態を熊本県は調べたのか調べないのか。そして、きちんと特約業者にしてそれを徴収義務者にしてしまった。そういうところで常識的に考えておかしいと思うのですが、その辺は、一応事務局がお答えになってから大臣の感想を聞きたいと思うのですが、どうですか、電話一本であっても申請してくればすぐ認めるのですか。

渡辺功自治省税務局長

○渡辺(功)政府委員 ただいま委員御指摘のように、この指定につきまして、本来特別徴収義務者として適切かどうかということにつきましては、課税庁におきましてその把握をして指定していくということなんでございますが、継続的な取引関係にあるということがございますというと、これは包括的な指定ということで現在指定が行われております。したがいまして、御指摘のようなことが生ずるということもあるわけでございます。もちろん、熊本県の事例を出されましたが、熊本県の課税当局におきましても、全国的ないろいろな情報というようなものをもっと知っておったならばもう少し別な対処の仕方があったのではないかとか、いろいろな問題点はあるというふうに考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場分科員 大臣、今の答弁でも、元売と継続的な取引の契約があれば通常的に認めるということですが、今言ったように電話一本しかないというようなこと、こういうのをいわゆる税金を取る義務者に指定するのはおかしいと思うので、やはりきちんとした店を持っておるか、きちんと取引をしておるか、そういうことをきちんと調べてから特約業者にすべきではないかと思うのですが、大臣、それはどうでしょう。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 今馬場委員のお話を聞いておりまして、三和石油なるものは、桂村というのですから私のさほど遠くない、そう二十キロもありましょうか、そんなところですが、山の中という表現を使っていいのかどうかわかりませんが、これはもう本当に片田舎でございまして、まさに山村でございます。そこに、熊本県に支店を出すほど大きな会社があろうとは私も思っておりませんでした。しかし、現実にそうやって熊本に支店を出しているという現実を聞いて実は唖然としているわけであります。  こういうものを見てみますと、一つには大きい意味で、商法でそういうペーパーカンパニー的なものが厳密に抑えることができないといたしましても、抜け穴があること自身がいいのかどうなのかという問題が一つあろうかと思います。それから、税法上徴収義務者にするわけでございますから、そういうものに対する見きわめがうまくいかないのかどうなのか。これもどこか少し欠けているところがあるのではないかという気がいたしますし、それから、これは自治省所管ではございませんが、通産省の資源エネルギー庁が石油販売業法に基づいて業界の指導を行っておるところでございますから、そういう実態について、会社の設立なり元売から軽油が流れる経緯というのを考えてみますと、もともと元売が系列化を進め、自由化とはいうものの一つの系列のもとにいろいろな制約を行っているわけでございますから、その辺のところを詰めて、三者三様で締めていけばこのようなことは起きなくて済むはずではないのかという常識的な気持ちが私はまずいたします。  しかし、現実に馬場委員から御指摘がなされたような問題について、私も二、三、急にけさになってから見てみますと、かつて愛知県と滋賀県の間にペーパーカンパニーで、実は税率の違いがあること、これは公が介在をした問題でございますけれども、そういうことで申告地が違うというような問題があったということは承知をしておりますが、その後各地でこういうのが、全国的にいわば計画的な脱税、こういうことでいたしますと、恐らく脱税分の半分だけも安売りをすれば物が売れるということにもなるわけでございますから、これは大変な商秩序を乱すことであります。自由競争の社会ではありますけれども、税は完全に公平平等に捕捉をされなければ競争の原理が働かないわけでございますから、この計画的な脱税はどこかが狂っているということでもございますので、各道府県がもうちょっと確実な、脱税に対する毅然とした態度、それから、私の方からも通産省資源エネルギー庁に申し入れをいたしまして、そういう実態の把握にもっと努めていただいて、良好な商慣行が形成されるように、これから厳重に連携をとってまいりたいと思います。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場分科員 時間がございませんのでひとつ簡単にお願いしたいし、要点を絞って質問いたしたいと思うのですけれども、まず第一に問題なのは、やはり特約業者として県に届け出て、県がそれを認めれば徴収義務者になるわけですから、そのときのチェックをきちんとしておけばこういうことは起こらないわけです。そういう問題を一つ私は感じました。  それからもう一つは、実は熊本県の場合、この軽油取引をやっている業者は百八十店くらい特約業者がありますけれども、月の平均が大体三十キロリットルから五十キロリットルです。ところがこの二つの会社は、三カ月とか四カ月の間にその五百倍も何倍も、一万幾らという取引をやっているでしょう。これはおかしいということで日常の監督をやれば、それもまた実態を把握することができるわけでございます。  それからもう一つ、徴税の方法。これは、この月売ったのを来月に申請して納税するというのだから、二カ月くらいの間があるわけです。それからここは、後でまた申し上げますけれども、徴収猶予制度があって、ぜひ猶予してくれと申請をする。そうすると、何億という金だものだから、県はその税金が欲しいから、では猶予しましょうといって二カ月くらい猶予する。そうすると、行為をしてから大体四カ月くらいかかる。その間に倒産させてしまうわけです。そういうようなことですから、徴税方法というのにもやはり問題があるのではないか。  それから、ブレンドをして売れば税金がかからないわけですけれども、それでは、これだけ買った石油をどれだけブレンドして売ります、そういう届けはどうなっているのか。あるいは、ブレンドをするときに例えばだれか県の徴税職員が行ってそれを監督してチェックするとか、そういうことをすればまたこういう問題は起こらない。  いろいろあるわけでございますけれども、結局私は問題としては、特約業者となるときのチェックと途中の監督、これは税金を取るわけですから、こういうものをやっておけば起こらないのではないか、こういうことを考えますが、こういう点について大臣はいかがでございますか。

渡辺功自治省税務局長

○渡辺(功)政府委員 ちょっと技術的な点を委員御指摘でございますので、私から説明をさせていただきたいのでございますが……(馬場分科員「技術的なことはもう要らないのですよ、時間がないから」と呼ぶ)それでは御指摘の中の、例えば非常に重要な点は、設備もない、電話を引いただけなのに、どうしてそういうことがわからなかったか、これは非常に重要な点だと思います。この点につきましては自治省から依命通達、通達で指導しておりますけれども、登録を申請する場合に取り扱い石油製品の種類及び貯蔵設備の概要というのをはっきり書かせるとか、そういうことをきちっと決めておりますので、そうしたことにつきまして課税当局がある程度これを監視する、あるいは届け出を受け取った後からでも比較的早い時期にこれを確認するというようなことが行われれば、大分問題が違っているのじゃないか、こういうようなことを考えておりますので、指導を強化したい、こう考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場分科員 大臣には後でまたちょっと御質問申し上げますが、今言われたようにきちんとやっておけばいいというのですが、やはりこういう問題は、うわさですけれども、特約業者として県に申請する、そういうときに、これはおれのあれだから認めてやれ、こういうような大きい政治力というか政治家というか、この介入というのがやはり非常にあるということを私は聞いている。だから、県の当局は行って調べてもみないで業者に指定して徴収義務者にする。こういう圧力などもあってそういうことをやれない。この問題にもそういううわさはどんどん出ております。そういうことですから、そこはきちんとやらなければいかぬということをまず申し上げておきます。  通産省の方に聞きますけれども、この二社は石油業法によって軽油取引を業とするという届け出が行われておるのですか、この会社は。

鴇田勝彦資源エネルギー庁石油部流通課長

○鴇田説明員 お答えいたします。  石油製品の販売の事業を行おうとする場合には、先生おっしゃいました石油業法十三条に基づきまして通産大臣に対しまして届け出をしていただく必要がございます。  本件に登場しております三和石油熊本支店及び合志石油の二社につきましては、当方で調べたところでは同法に基づく届け出は行われていないようでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場分科員 大臣、そういう届け出も行われていないのを特約業者として税金を徴収する義務者にしてしまっているのですから、非常に問題があると思います。  そういう意味で、通産省の方にもまた後で聞きますが、その届け出があった場合、これはないからしょうがない話ですけれども、届け出などを厳格にするような措置というのはやはりある程度考えなければならぬ、こういうぐあいに思います。  そこで、これは大臣に少し詳しくお聞きしますが、実は裏を調べてみますと、三和石油熊本支店と合志石油というのは全国をまたにこういうことをやっている人が裏におる、大体こういうことがわかってまいりました。というのは、この合志石油の代表取締役は渡辺という人がなっているのですけれども、この渡辺という人に聞いたら、大石という人が来て、あなたに迷惑かけぬから、合志石油をつくるのに名前を貸してくれと言って、私は名前を貸しました、こういうことを言っておるのです。  それから三和石油の、おたくの方の桂村の和田社長というのは、多田良明孝というのが来た、そして熊本に支店を出したいからあなたのところの会社の名前を貸してくれと言ったから貸した、こういうことを言っている。ところが、大石というのと多田良というのは同一人物だということが、また最近の調べで実ははっきりわかってきております。  それから、ブレンドした、いわゆる免税になった洗浄剤を、軽油をどこに売ったかといったら、兵庫県の川西市の勇光という会社にそれは売ったのだ、こう大石が、その多田良と同一人物が言っているわけです。ところが、その勇光というのを調べてみると、これはアパートの一室に電話だけしかない。そうしてそこの代表者という人も、いや、この多田良というのに名前を貸しただけだ、兵庫県川西市の人ですよ、そういうことをこの人は言っている。  それから多田良というのは北海道でも同じ手口でやっている。室蘭市に産鋼石油というのがある。この産鋼石油というところに話をして、支店を出したいから、どこに出すか、愛知県の碧南市に支店を出したい。愛知県の碧南市に支店を出している。そうしてこれまた三カ月間兵庫県明石市の石油元売会社から石油を買っているのです。その買った石油を全くもとと同じように大阪の石油販売業者に売ったと言っているのです。その大阪の石油販売会社の社長は、この本人の多田良なんです。  こういうことで実はやっているということでございますが、北海道の産鋼石油というのはいろいろあって、税金の差し押さえをされて今倒産しておるそうですけれども、こういう手口が、報道によりますと長崎にもある、あるいは静岡にもある、千葉にもあるということが実は報道されておるわけでございます。そして報道された中で、この裏には政治家がおるんだとか、大きい元売会社がこれに絡んでいるんだとか、実はこういううわさもあるわけでございます。その長崎とか静岡とか千葉でも脱税額は数億円だ、こういうぐあいに報道されておるわけでございます。そして、こういう業界に詳しい人の話によりますと、全国をまたにしたこういうペーパーカンパニーを使った軽油引取税を脱税しておるグループがあるんだ、このペーパーカンパニーを通称バッタ屋と言っておるんだ、こういうことを言っておる人も業界にはおるわけでございます。  そこで、これは事は非常に重大だということで、熊本県もこの二月に国税犯則取締法に基づいてこの二社の事務所と、何遍でも言われていますけれどもその桂村の本社を実は強制調査を行っております。そして、それで脱税の事実がきちっとはっきりすれば納付通告をやって、それに応じないときには告発するということを熊本県も言っているそうでございますけれども、私は正義の味方梶山大臣に言うのですけれども、こういうのは早くきちっと告発して、悪の根を断たなければ大変なことになると私は思うのです。  そういう意味で、せっかく熊本県がやったって、全国をまたにやっているので調査なんか非常に難しいのですよ。熊本県の税務が行ったって本当のことは言わないとかなんとかあるわけですよ。そういう意味で、まず熊本県のこの強制調査に自治省も全力を挙げて協力してもらう。そしてなるべく早く実態を明らかにして告発して、そして悪の根を断つ、こういうことをぜひ梶山大臣、先頭に立って指導していただきたい。いかがでございますか。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 話を聞いて、事実は小説よりも奇なりと言いますけれども、大変ショッキングな出来事でございまして、脱税がそのように軽々に行われていいはずがございませんし、善良な業者がこれによって大変な競争上のハンディを背負うわけでございますから、また、税収を確保するという意味でも大切な財源でございますから、このためにはありとあらゆる対策を講じてそういうものが行われないようにこれから万全の対策を講じていきたいと思いますし、とりあえず熊本がそういうことで告発までもひっくるめてお考えになっている状態であれば、さらに精査をされ、自治省としても特別の指導や応援をしながらこの問題の解明をして、そういうことが起こらないような事後対策を講じてまいりたいと思います。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場分科員 今図らずも大臣が善良な業者に迷惑をかけると言うが、私に対しても善良な業者の方から、我々は本当に困るんだ、一生懸命やってくれ、そして常日ごろ県とか通産省を含めて脱税とかのチェック体制もきちんとやってくれ、こういう要望も、きょうここで質問する前にも実は私の部屋に要請の電話がかかってきたものですから、それもお伝えして、ひとつよろしくお願いしておきたいと思うのです。  そこで、具体的に今こういう悪の根を断つ、告発を含めて指導していただくことをお答えになったのですが、今度は徴税制度、これをやはり精査して再検討する必要があろうと実は私は思います。先ほどから何回も言っておりますように、あんなずさんな格好で特約店を指定しなければこういうことが起こらないのだから、特約店として県が指定する場合には本当によく実態を調べてそして指定をする。具体的にこういう書類、こういう書類、こういう書類、そして実態をこうして調べてその上で認可するんだ、こういうようなシステム。実は特約業者になりますと自動的に県税の徴収義務者になるわけですから、これはもう大変な義務を負うわけですから、それがペーパーカンパニーみたいになったら困るわけですから、そういうことが一つ。  それから、今言いましたように、日常の監督というのを月に一回か何か、脱税調査なんかを県がやっているそうでございますが、これも十分行っていない、だからそれを強化していただくというようなこと。  それから、ブレンドしたら免税になるのですよ。今ごろはブレンドして皮革の洗浄剤には軽油は余り使わないそうですね。そういうこともありまして、ブレンドするときに、ブレンドをしていいかどうか、きょうブレンドいたしますから立ち会ってください、ブレンドしたものには色をつけるとか、こういうブレンドの問題、それにかかわる免税の問題、これも検討し直さなければいかぬ。  それから納税の仕組み。三カ月ぐらいでペーパーカンパニーをつくって倒産させますと、逃げていったら他県にわたるものだから調べられない、そういう納税の仕組みというものもやはりここで検討しなければならぬ。  そして最後は、今度脱税の総仕上げとして倒産させるわけでございますけれども、結局この軽油は売るときには、元売から買って利潤をつけてそれに軽油引取税をつけて売るわけでしょう。ところが、このペーパーカンパニーは売り値を一リットル十円ぐらい安く売っている。だからぽっと買われるわけです。しかし、この人は税金を丸もうけしているわけですから、こういう実態が今あるわけでございますから、自治省でいいますと軽油引取税の徴税についてこういう欠陥があるわけですから、この徴税制度というのを抜本的に検討して、こういうことが起こらないようにしていかなければいけないのではないかと実は思うのですが、大臣、どうでしょうか。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 確かにこういう脱税が公然と、まあ公然とではないのでしょうけれども、手口が広く全国的に行われているという状態を見ますと、徴税制度自身に弱点があるのかなという感じもいたします。  さりとて、それではその監督を強化するためにどれだけの人員が要なのか、あるいは監督をされるために業界や県はまたどれだけ負担をしなければならないのか、あるいはこの徴税制度をどんなふうに改めれば実効あるものになるかというのは、今の欠陥はわかるわけでありますが、どうすればよくなるかということは、それによって受ける利益、不利益がございますから、県なりあるいは徴収をしなければならない業者なり、これがどういう負担とどういうことを行わなければならないのか、その辺の見きわめもいたさなければなりません。さりとて、簡素にするために脱税があっていいということにはなりませんので、相当な勇気を持って、多少煩雑になってもこういうことが起こらないような制度と仕組みをこれから考えていかなければならないと思います。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場分科員 通産の方も来ておられますけれども、石油を取引する業者は届け出なければならないとなっているのですが、この人は届けていないわけですね。届ける場合もどうして受理するのか。例えば、ガソリンスタンドもないとかあるいはタンクローリー車も入らないようなところは届けてもそれを認めるのかとか、届け出を認める問題、それから石油市場の秩序の問題、これはやはり大変な問題だと思うのです。そういう秩序の問題がまた税金ともかかわってくるわけですから、そういう市場秩序を正常化する、正しくする、こういうところ。それから今度は監督業者だからこういう市場秩序に対する監督というものも強化しなければならない。こういう点について通産省も検討しておるようですけれども、さらに今後こういう市場秩序の問題について今までの欠陥を改めるように十分検討してもらいたいと思いますが、どうですか。

鴇田勝彦資源エネルギー庁石油部流通課長

○鴇田説明員 ただいま先生御指摘になりましたように、軽油流通市場というのは非常に混乱のきわみになっております。  一言で申し上げますと、採算割れ廉売がなされるとか、地域によって価格が大幅に違うとか、また需要家別にも実質価格、税抜きで考えますと、倍くらい値段が変わっているという混乱状況にございますので、私どもエネルギー庁といたしましても、昨年の十二月初めに石油審議会の中に設けました軽油流通問題小委員会から中間報告をいただきまして、こういった諸問題の解決策について現在実施中のところでございます。  時間もございませんので簡単に申し上げますと、税金の関係では、一つには業界サイドもある程度の負担をしながら、県税当局が徴税をされる場合に、チェックをされる場合に、より容易化を図るために、欧州で使われております識別剤等を業界の負担で対応して混入するというようなことも一つの検討課題として今やっておるところでございます。  したがいまして、この中間報告を受けまして、今後とも所管官庁でございます自治省とも緊密な連携をとって対応を図っていきたいと思っております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場分科員 終わります。

川崎二郎自由民主党

○川崎(二)主査代理 これにて馬場昇君の質疑は終了いたしました。  次に、小川新一郎君。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 私は極めて簡単な問題でございますので、大臣初め関係の皆様には懇切にひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。軽油引取税、今の軽油の問題も大事なことでございますが、私のは簡単でございます。娯楽施設利用税と固定資産税、この二点についてでございます。  国民のニーズ、価値観というものは、そのとき、その時代によって大分変化をしてまいりますことは今さら私が言うまでもございません。そこで、娯楽施設利用税は一体どのようなものに課税するのかという問題が今大きくクローズアップしてまいりました。その課税する種類は、娯楽性に富んでいるもの、奢侈性に富んでいるもの、そして射幸性のあるもの、こんなことが定められております。パチンコ店とかゴルフ場とかボウリング場だとかそういうものに大体当てはめられているのですが、果たしてこれが妥当にそういった問題の要求を満たした課税になっているかどうかという問題が今非常に大きな問題になってまいりました。ボウリングやゴルフは一体娯楽なのか、それから体育、スポーツなのか、これは議論の分かれるところですが、大臣、まず御感想いかがですか。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 感想と言われても、なかなか正確には判断基準がございませんので……。過日、総理か何かの答弁の中に、これがスポーツであるかどうかではなくて、むしろそれは娯楽性や奢侈性等を勘案してこの税金はかかっているのだということを説明されているのを聞いて、なるほどなという感じを受けたわけでありますが、それ以上の知識を持っておりませんので申しわけございません。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 国会便覧を拝見いたしますと、私もそうですが、大臣もゴルフが大変お好きなようでございます。非常に結構なことだと思うのです。ハンディキャップも二十二と書かれております。私はこの席上で二十二が正しいとか正しくないとか、そんな不粋なことを聞こうと思っているのではございません。ハンディが二十二でも一でも二でも楽しくやられるのですが、大臣もまさかパチンコをおやりになるような気持ちでゴルフをおやりになっているとは私は思えないのであります。青空のもとで伸び伸びといい空気を吸い、ラウンドして大体七千メーター、私のような下手な者だとあっちこっちへ入りますから約九千メーター、ラウンド半やりますと一万四、五千メーター、一日歩くわけですね。そしておいしく食事をしながら疲れをとり、日ごろの運動不足を解消しようとするスポーツとして認識をして行っているのでございます。そういう中で、ゴルフ場またはそういったスポーツ施設に対して非常に税金がかかり値段がかかるということでございますので、そういう認識をしながら、まずボウリングの方からお話を進めていきたいと思います。  ボウリングは今や国体、アジア競技大会、オリンピック等に参加が認められているのでありますが、スポーツであることはもう明白であります。団体で、国体では昭和六十二年の沖縄国体から公開競技、二巡目の昭和六十三年九月の京都国体からは正式種目。アジア競技大会では十数年前から、オリンピックではことし昭和六十三年のソウル・オリンピックから公開競技。まさかオリンピックでパチンコの競技をやるのと同じような発想ではないと思います。これはもう明らかにボウリングは庶民のスポーツ。国民のニーズ、青少年のニーズ、しかも高等学校や大学においては、課外やクラブ、体育等の場において正式科目やクラブ活動に採用されておりますが、大臣、これに税金をかけることは非常に酷じゃないですか。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 全般論でございますけれども、なるたけ税金はかからない方が心楽しい思いがいたします。しかし、全般のバランスからいって、ゴルフは相当なスポーツ性もあるし、またある意味で気持ちのリフレッシュをし、ある意味で娯楽性も、私の場合ですよ、心の中にあります。ただ単に走って体を鍛えるということよりも、健康とスポーツ、それから娯楽性、双方持っているので、下手の横好きでありますけれども、いたしているわけであります。パチンコも昔は好きな時代がありましたけれども、今は残念ながらやる時間と場所がございませんので、そういたしませんが、そういうことを考えますと、これによって幾ばくかの税金が取れ、それがさらにいろいろなものに利用できるということになれば、ある程度やむを得ないのかしら、こう私自身はとらえております。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 その発想が開発途上国の発想になるのじゃないかと私は思う。国民のニーズとか、そういう問題に敏感に対応していくのが政治ではないのでしょうか。私はこれを聞いたら、娯楽、レジャーには確かに娯楽施設利用税というのをかける、しかしスポーツにはかけない。クレー射撃、馬術、こういうものは非常に高いので我々素人はちょっとできないですね。そういうものには娯楽施設利用税がかかっていないのです、スポーツとして見ると。オリンピックにも参加している。ところが、今私が述べてきたように、ボウリングは国体だ、県体だ、オリンピックだ、アジア大会だ、みんな正式に採用されていく。どんなものだって楽しくなくてやる人なんかいませんよ。国会答弁だってある程度楽しいからみんなお互いにやらなければならないのじゃないですか。勉強もするのですよ。これがまことにセンブリを飲むようなつらい思いをしたり、ヒマシ油を飲むような思いだったら、だれもやる人なんかいないのです。楽しいから体のためになり、おいしいから血肉になるのと同じなのであって、大臣、ゴルフだってそうでしょう。このいい天気に黙って一万二千メートルも若い者に歩けと言ったって歩きませんよ。やはり球を追いながら自然にやっていくわけです。そういうことを考えたときに、まずボウリング場に限って言えば、これはもう明らかにスポーツだという認識を持っていますが、関係者いかがですか。

渡辺功自治省税務局長

○渡辺(功)政府委員 ただいま委員からお話がございましたように、娯楽施設利用税の課税の可否でございますけれども、本来これはその施設におきます利用行為がスポーツであるかどうかということで判断することではない、私どもはそう考えているわけでございます。スポーツであるから課税ではないとか、スポーツでないから課税だということではない。大臣も御答弁申し上げましたように、やはりそこに娯楽性であるとか奢侈性、あるいは場合によっては射幸性であるとかいろいろな要素があると思いますけれども、相当の娯楽性があり、またその利用行為というものがある程度の利用料金水準等から見て担税力の表章ということが言われるような場合におきましてそれに税負担をお願いをする、こういう趣旨のものだろうと思います。したがいまして、私どもといたしましては、そういう御趣旨のようなスポーツ性ということを否定するものではございませんけれども、それを理由に課税対象から除外することはいかがなものかというふうに考えているところでございます。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 ではあなたはボウリング場、そういった各種の国際的スポーツに参加し、国際的スポーツに競技の覇を競う場所にあるものが娯楽性の方がウェートがあってスポーツ性が少ないんだ、ただ金を取るためにやむを得ないんだ、こんな発想なんですか。これこそ私は先進国の頭を切りかえなければならぬと思う。だからさっき言ったでしょう。戦時中はパーマネントはぜいたくだ、敵だと言ったのですよ、軍国主義の時代は。ゴルフなんかをやったら国賊ですよ。ところが、平和になって国民のニーズも価値観も変わってきているのです。だから平和にしなければいけないと言っているのでしょう。私は、所得税減税だ大型間接税だという小やかましいことの前に、もっともっと国民を大事にしていくという施設のあるものに何で――取れるところから取ろうなんてぶったくり主義、今聞いていてまことに寒けがしますよ。大臣、これはいかがですか。私は間違っていますか。

渡辺功自治省税務局長

○渡辺(功)政府委員 ちょっと私どもの言葉足らずで十分御理解をいただけてないと思うのでございますが、やはり現在の税制を考えますと、所得、資産、消費に均衡のとれた税制をつくらなければいかぬという時代になってきております。その中でも国民の支出というものの姿を見ますと、サービスというものは非常に大きな部分を占めている。それは決してその支出自体がぜいたくだとか悪であるとか適切でないものだということではないのでございます。そういう支出の大きさというものに着目して、そこにある程度の負担をお願いしたい、こういう趣旨でございまして、その延長としてただいまのように申し上げたので、決してスポーツ性を否定して申し上げているわけではございません。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 テニスだってしかりです。野球もまたしかりです。これはスポーツです。娯楽施設利用税はかかりません。先ほど私聞いておって、大臣、いみじくもいいことを言っていました。納税というものは公平でなくてはならない、しかもその徴収に当たってはきっちり実態を把握しなければならない、しかもその把握に当たってはいろいろとトラブルを起こしてはならないということをお述べになっておりました。さすがだと思っております。であるならば、そういうことだけが目的で片方には税金を取る、片方には税金を取らないと言ったら、これはだれだって不公平と言いますよ。それが一つ。それは後でまとめて結論をいただきます。  それから、アメリカにおいては、ボウリング場はカリフォルニアを最後に娯楽施設利用税を撤廃しました。ゴルフも、アメリカやヨーロッパでこのような種類の税金を取っておるところはございません。日本だけです。また、これから老齢化社会。大臣、今御健康で非常に体格もよろしくて剣道、柔道の達人のようにお見受けできますが、大臣だっていつまでもスーパーマンのような体力を維持できないでしょう。そうなればやはりゴルフをやる。竹下さんと中曽根さんと安倍さん、そして宮澤さんがゴルフ場を使って政治会談をやる。ああいうものは余録でございますけれども、それだって聞くと健康のためにおやりになっているんですよ。私はそれがだめだなんて言っているのではないのです。庶民も今、延べ人口で大臣、何と驚くべきことにボウリングは約一億に近くなっています。ゴルフは八千万を超えていますよ。しかも女性がどんどんふえています。東京十二チャンネルをひねってごらんなさい。皆さん方のお仲間の山東昭子さんは、国会活動を何とかしてまでもゴルフのために一生懸命宣伝してくださっているじゃありませんか。ゴルフだよ人生は、まさにそのとおりじゃないでしょうか。しかも、まだありますよ。岡本綾子さんはアメリカに行ったら竹下さんよりも人気があるのですよ。今や世界の岡本、世界の中島、世界の青木、こういうようにゴルフというものを通して国民親善とスポーツと体育、しかも我々のように初老期を迎えた者たちにとっては、ゴルフは今最高のスポーツだと認識しております。そういうところから少しでも安くしてあげよう、税金をほかから取っても、節税してもしてあげようというのが政治であり思いやりであり気配りではないでしょうか。それを取れるところから取っちゃうんだ、施設が多いからいただいちゃうんだ、何でももらってこれを財源にしちゃうんだ、これはいかがなものか、僕はそう思っております。  ましてこのようなことで、今二つ問題を提起いたしました。ボウリングは果たしてスポーツなのかスポーツでないのか、ゴルフはスポーツ性がないのかあるのか、これは永久にこういう施設税を取るのか取らないのか。例えば、ある一つの競技体系とか国際的に認められている諸外国の例をとるまでもなく、そういうふうになったときにはこれを廃止するのか。まあ税源としても、財源としても一千億になろうとしているのですから私も大変だと思っておりますが……。  それから、ゴルフの練習場、あれこそ施設税を取るというのはおかしいと私は思うのです。あれはゴルフに行きたくてもお金がなくて行けなくて、あそこへ行って一生懸命運動をやっている人もいるのです。また、中にはそうじゃない、あそこで技術を磨いてハンディキャップを上げるために一生懸命勉強して、スポーツを兼ねながら次の本番のゴルフ場に行くときにいいスコアになろうとして頑張られる人と二通りあるのです。そこからも税金をいただくというのです。ぶったくりやったくりみんないただいちゃう。縦横十文字、もうそれこそ網羅的に、何とかの税金よりも取っちゃおうという発想はスポーツマンシップに欠けていますよ、大臣。どうですか。私がこれだけ汗水垂らして言っているのです。大臣、私はゴルフをやったからいけないなんて怒っているんじゃないんですよ。大いにおやりください。ただし税金をまけてください、安く国民に提供してあげてください、そういうために言っているのですよ。どうですか。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 大変御熱心な御提案で、個人的には理解ができるわけでありますが、その税々にはそれぞれの経緯がございまして現在に至っているわけでございますから、私は未来永劫にこういうものがあるというふうに理解はいたしておりません。これから変化があろうということは現実でございます。  今小川委員から大変若さを褒められましたけれども、私は小川委員と恐らく同じ年の生まれじゃないかと思いますけれども、私はもっと古い人間で「ハナ ハト マメ マス ミノ カサ カラカサ」という教科書で習った大正十五年の三月、早生まれでございます。多分先生は八月で「サイタ サイタ サクラガサイタ」という色刷りで勉強されたのですから、考え方が私よりはずっと新しいのです。私はやはりゴルフができるということは、やれるようなすばらしい世の中になったな。ゴルフをやるのが当たり前だとは思わなかった人間がようやくゴルフがやれるような時代になった。ですからそこの中で幾ばくか世の中のためになる税を出すことも、これまた私はゴルフをやるだいご味の中に一つくらい入っている、こういう古い人間でございますので、その人間は今や時間とともに消え去っていきます。  ですから私は、税には税それぞれの経緯があった、そして現在がある。現在があることは変化があることだ。次の時代、必ず別個なものに変わることは当然だと思います。しかし、必ずしも正しいもの、いいものから税金を取って悪いということではなくて、ささやかでもそういうものが世の中の一助になるということであれば、私はもっともっと緊急必要なものからすら税金を取っている分野があろうかと思います。ただ単にゴルフとかあるいはボウリングだけを見ていいか悪いかということよりも、社会全般を見てみてそういう判断基準をもう一回見直しをする勉強をしてみたいと思います。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 それも一つの道理です。私は「ハト マメ」じゃなくて「サイタ サイタ」ですから、大臣とそんなに年代が違うとか違わないとかでなくて、政治を志す者の一番の目的は、大衆のためにいかような行政サービスができるかということで、大正であろうと明治であろうと昭和であろうと変わりがない。太平洋戦争のときには国民総生産の八五%が軍事費に使われて日本は負けたのです。だから先ほど私が言ったように、国民のニーズと価値観というのは変わっていくんだ。今ここでそういう幸せな時代が来たときに、老後問題という問題もテーマに上がってくる中で、ゴルファーもボウラーも娯楽だけにかかっている、遊びだけと認定されたんじゃみんなが非常につらいと言っているんです。言っていることは、税金を納めてもよろしい、国家のためにどうしてもおれたちの中から出したい、それはいいことでしょうけれども、娯楽施設利用税、名前がよくない税金をとっている。おれたちは遊びのために行っているんだ、母ちゃんよ勘弁してくれと言ってクロネコヤマトに乗っかっていそいそと行けないような体制に、大臣したいんですか。そうじゃないんだ。父さん元気のために行っといで、スポーツだよとどうしてあなた言えないんですか。スポーツじゃないですか、これは。どうですか。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 スポーツの半面を私は否定するものではなくて、大変立派なスポーツだというふうに理解をいたしております。ただ、確かに御指摘になったように娯楽施設利用税という税金の名前は、いかにも時代にマッチをしていないなという感じがいたします。私は税金をやめること自身よりも、この税の名前――しかしさりとて、もっと別な名前を簡単に出した方がいいかどうかという問題があろうかと思いますが、その意味で、娯楽施設利用税というのをそのまま日本語で読めば、大変不適当な名前だと私は理解をしております。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 ここで三十分しかない時間の中でちょうちょうはっしとやり合ってもどうにもなりませんから引き揚げますが、ボウリングは非常にスポーツ性が高くなっております。ゴルフも近づいております。そしてゴルフの練習場においては、もう全くスポーツ化しております。そういう問題を踏まえた上で大臣、御配慮をお願いしたいと思うのでございます。  今御答弁をあなたに求めても精神論だけで終わると思いますけれども、精神論また結構です。物の行動というものは精神から出発し、肉体に及ぶと言われております。私は大臣のその哲学を大事にして、ゴルフもボウリングもすべてスポーツなんだ。ただいろいろそのときそのとき国の財政状況もこれあり、いましばらくは耐えてくれよ、必ずやいつの日かスポーツとしての晴れの舞台に上げてあげたいというようなことを大臣、言えないなんてことはないでしょうな。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 大変小川委員の心のこもった御意見、しかと胸に秘めてこれからも頑張ってまいりたいと思います。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 そこで、固定資産税についてでございますが、固定資産税は今非常な大きな問題になっております。それは土地が高騰して、国民の生活の住居の本拠地にまで課税の対象の枠が広がってくる、そういうことで、この固定資産税の評価という問題が今非常に大きなさじかげんになってまいります。  そこで、全国の市町村で現在三年ごとに行われています固定資産税の評価がえの作業が進められておりますが、固定資産税は固定資産評価員が評価し、首長は評価員の作成した評価調書に基づき価格を決定、固定資産課税台帳に登録した後、納税義務者の縦覧に供して確定することになっておりますが、これに相違ございませんか。一言で結構です。

前川尚美自治省大臣官房審議官

○前川政府委員 仕組みの大筋においてお説のとおりだと思います。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 そこで大臣、いただく人が自分で勝手に評価をする、これは大変なことでございますので、市町村長が重大な任務の重い評価員になって、評価調書に基づかない価格の決定は無効になるのではないでしょうか。どうでしょうか。

前川尚美自治省大臣官房審議官

○前川政府委員 固定資産税の対象になる固定資産の評価額の決定の手続、先ほど委員御指摘のように大筋においてはそういうことでございまして、地方税法を見ましても、評価員が評価調書を作成してその提出があった場合、市町村長がそれを受理した場合に、それに基づいて評価額を決定する、こういう手続になっているわけでございます。  一方、市町村によりましては、その御判断で、評価員を置かずに評価員の職務を市町村長が行うことができるようにもなっております。したがいまして、何というんですか、肩書きだけからいって評価員が評価をしたとかしてないとかいうことではなくて、むしろそういうふうな二通りの選択の道があるわけでありますから、そういう手順に乗っているかどうか、そういうことになるのではないかと思います。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 それは、そういう特例が行われているのは、村とか極端に山の中とか非常に価格の低いようなところはそういった特別な待遇があるけれども、東京都のようなところとか大きな町だとかそういうところの首長さんが、いただく固定資産税を自分が評価員になって――大臣、今わかりやすく言っていますから。はっきり言いますと、私が評価をして私が取るというやり方ですね。だから、そこの町とか市の首長さんが評価員になってそこの町とか市の固定資産税を評価して金をいただくことは、地方税法違反にはならないかということを今質問しているのですよ。  それは議会が承認すれば許されるということなのですが、人口が十万も二十万もあるような市、しかも商業地域とか市街化区域の一等地はどんどんはね上がっております。その評価の仕方によってその価格が変わってくるということになりますと、その固定資産税は当然その市に入ってくる固有財産ですから、その評価をする長のさじかげんということも考えられるわけでございますね。その市長さんが評価員になっているということはいかがなものかということを今私が質問しているのであります。  ただ議会で承認したからいいのだということで、埼玉県の場合には、新座、和光、飯能、鴻巣、桶川、北本、朝霞、志木、去年幸手、この九市が、自治省の言われている今のこの問題に我々としては抵触しているというので、これは地方税法違反にならないかという質問が地方から出て、それで問題になったわけでございます。  でありますから、私どもは市長さんがおやりになることは好ましくない、地方税法に抵触するのではないか、こういう認識に立っていたのですが、今御答弁がありましたようなのですが、大臣ようやく御理解なさったようですから、まず大臣の御所見を承りたいと思います。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 私は税理論は詳しくいたしておりませんが、今お話を聞いて理解ができることは、固定資産税の評価自身をどういう形でやるかという意味で、大きく分けて二つあろうかと私は思うのです。  一つは、自主申告制があればこれはまた別な問題であります。  現在、自主申告制をとっていないわけでありますから、固定資産の評価員を議会の同意ないしは方法を考えて決めるわけでありますから、そうすれば、自分が取る税金だからうんと取るのではないかと言うけれども、私は行政は善だと思います。自分たちの住民をいかに快適に住まわせようかと思うのが首長であり、議会であり、そういう制度のもとに動いている制度でありますから、議会の同意があり、あるいはその評価員が税務の課長であったりいろいろなことがあっても、それは悪ではない、むしろ行政というのは善なものだという理解を私はいたしますれば、自主申告制度と公が決める制度の二つ、どちらを選択するかという問題は別個な問題として、私はそういうことがあってしかるべきだと思います。

前川尚美自治省大臣官房審議官

○前川政府委員 主として論点は固定資産評価員の任務ということにかかわってくるのではないかとも理解をされるのでありますが、固定資産評価員は、確かにお説のとおり、固定資産の評価を適正に行い、かつ市町村長が行う価格の決定を補助する、こういうことで、いわば評価、価格決定という一連の手続の中で市町村長を補助する役割を果たすということが地方税法の建前になっていることは、もう御承知のとおりでございます。  したがいまして、団体によりまして、先ほど冒頭に申し上げましたように、市町村長がその補助を必要とするところは当然評価員を置く、こういうことになると思いますけれども、そこまで至らないとその団体において判断されている場合には必ずしも評価員を置かなくてもよいという仕組みになってもいるわけでございまして、お尋ねの団体がどういう考え方で置いてないかということは、これは一つあると思いますけれども、建前を申し上げさせていただきますとそういう形になっておるということでございます。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 私が聞いているのは、それも一つですが、市長が評価員になっている場合はどうかということなんですよ。それを言っているんですよ、さっきから。市長さんが評価員になって、自分のいただくものを、それは大臣がおっしゃったように安く取るのも結構、高く取り過ぎてもいけない、適正ということなのですが、自分が取るものを自分が評価する、大将が評価員になっているということがいかがなものかと言っているんですよ。そうでしょう。評価員を置くとか置かないとかというのは二次的な問題なんですよ。今は、市長が評価員になっているからこれは地方税法違反じゃないか、こう言っているわけなんです。

前川尚美自治省大臣官房審議官

○前川政府委員 私も若干前段ばかり申し上げ過ぎたような嫌いもありますけれども、結論的に申し上げますと、地方税法では市長が固定資産評価員の職務を行うことができる道も講ぜられておりますし、団体によってはそういうことで評価をなすっているところもございます。したがいまして、固定資産評価員というものを任命しておらないからその団体の行った手続は一切違法、無効であるというふうには理解しておりません。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 そこまで結論がでちゃうと話ができなくなるのですが、そうすると、人口が三十万も四十万もあるところの市長さんが評価員を兼ねていてもいいのですか。そういうことは好ましくないのですか。これはやっていてもいいのですか。その点、はっきりしておいていただければいいのです。

前川尚美自治省大臣官房審議官

○前川政府委員 固定資産評価員を置かずに市町村長が固定資産評価員の職務を行う場合、法律の要件を見ましても、「固定資産税を課される固定資産が少い場合においては、」という要件があることは御承知のとおりだと思いますが、これは多いか少ないかという話でございまして、市町村長が固定資産評価員を置かずに評価した場合に、評価が適正であるのかあるいはそうでないのか、したがって、固定資産評価員を置くべきかという議論とはちょっと話が違う議論で、要するに、固定資産の評価に当たって市町村長が掌握できるかできないかということも一つの要素になると思うのでございます。そこが掌握できるかできないかということは、これは団体によっていろいろ御事情がございますし、必ずしも人口規模ばかりでもございません。現に固定資産評価員を置かずに市町村長さんがその職務を行っている団体があるわけでございます。  ですから、そういうことを考えますと、申し上げましたような意味で置かないからといって一律にそれは不適正であるとは言えない、そこのところはその団体において御判断をいただいている問題だ、そういうふうに理解しております。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)分科員 時間が来ましたからやめますが、大臣、市長が評価員になっていることが好ましいのか好ましくないのか。評価員を別に置けばいいじゃないですか、市長がやらなくても。もらう大将が、掌握するとかしないとかの問題ではなくて、その町の固有財産である財源を扱う人が大将で、おれが評価するのだということは、だれが見てもちょっといかがなものかということで今問題になってきたのです。それは、市長が命令した人、だれでもいいです、税務課長でも固定資産税課長でも局長でも部長でもいい、そういう方を議会の承認をいただいて評価員にすることについてはいいでしょう。ただ、市長さんがなっているということはどうかということをさっきから言っているのです。  これで私は終わりますが、一言言ってもらって終わりにしましょう。

前川尚美自治省大臣官房審議官

○前川政府委員 どうも私も言葉が下手なものですからなかなか御理解賜れないようでございますけれども、そういうことで、制度といたしましては、現行の制度を前提にして考えますと市町村長が評価員の職務を行う道が講ぜられております。そのことは、やはり市町村長が行う場合があっても地方税法はそれによって固定資産の評価が不適切なものになるということは考えておらない、そういう建前に立っているということをひとつ御理解賜りたいと存じます。

川崎二郎自由民主党

○川崎(二)主査代理 これにて小川新一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、辻一彦君。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 一般質問に続いて、ちょっと防災のことをもう二、三点伺いたいのですが、その前に、非常にローカルな問題になりますが、分科会ですので、二、三点お伺いしたいと思います、  まず第一は整備新幹線の問題ですが、四全総は、国土の均衡ある発展、それから東京一極主義を排して地方分散、多極主義をうたっている。このために高速交通網の整備がどうしても必要だとしております。こういう点から、既に策定された整備新幹線の建設は不可欠と考えられるが、地方の発展、自治体の発展に一番関係の深い自治大臣の見解をまずお伺いしたい。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 四全総は、多極分散型国土の形成を図るために交流ネットワーク構想を打ち出しておられることは御案内のとおりであります。この中で、整備新幹線については「国鉄改革の趣旨をも考慮して、逐次建設に着手する。」とされており、現在行われている整備新幹線建設促進検討委員会等における議論を踏まえて対処してまいりたいと思っております。ですから、地方振興のためには新幹線があることはより望ましいことだという理解をいたしております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 基本的には、自治大臣ですからそういうお考えはわかります。  そこで、整備新幹線で今問題になっているのは三線あります。それぞれ重要でありますが、時間の点から北陸新幹線の意義について若干申し上げて、お尋ねしたいと思います。  北陸新幹線は北回り日本海沿岸新幹線というふうに私は考えておるのですが、それは日本海沿岸を通って日本の政治都市東京と経済都市大阪を直結する、これは若狭回りで直結するというところに大きな意義があると思っております。これは名前は北陸新幹線ですが、そういう意味では東海道新幹線のバイパスにもなり、日本海を通る動脈として非常に大事な意義を持つのではないか、このように理解をしております。既に西JRは十二月に運輸省の意見聴取に答えて、これにも高崎―上越―大阪間の全線開通を明確に打ち出しております。またこの中で、北陸地方を高速交通網で東京に直結すると同時に関西の経済圏に直結することが必要不可欠であるとしております。  この北回りの日本海沿岸新幹線、近畿経済圏、大阪との直結は私も絶対必要と考えておりますが、北陸地方の発展という観点から自治大臣としてどういう認識をされておるのか、この点をお尋ねしたい。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 必ずしも新幹線に詳しいわけではございませんけれども、今委員御指摘のとおり、東海道のパイバス的な役割の機能も十分あろうかと思います。それから、過日私も受益者の知事からもお聞きしたわけでありますが、北陸新幹線は経営面でもそう悪くない指標が出ているというふうに聞いております。ですから、その地域に与えるインパクトは大変大きなものがあるわけでありますから、私はいずれの地域も、三線ともあるいは五線ともできることは地域振興のために大きな効果がある。  ただ、その建設資金をどうするか、そういう問題をめぐってどういう方法があるか。それから、JRを発足させて、果たしてこれからそれの収支、経営についてはどこで責任を負うのか。こういう基幹になるべき問題を検討いたしませんと、ただ単に、確かに一人乗っても新幹線が通ればすばらしい地域の発展になるという理解はできますけれども、それによるもろもろの影響をどう評価をするか、そして我々はこの足らざる財源の中からこれをどうやって建設するか、そういうことを現実に考えていかなければならないという二面の相反する問題を今内蔵しながら検討いたしておる最中でございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 一点もう一度尋ねたいのですが、これは北回りの新幹線として東京と大阪を日本海沿岸を通って直結するというところに非常に大きな意義があると認識しますが、この点の認識は、大臣いかがでしょうか。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 私は、北陸新幹線自身だけの問題ではなくて、それはいずれにしても、例えば東北にいたしましても、東京と青森を、あるいはさらに延伸をして函館を直結するという一つの意義がございます。それから、九州に至りましても、東京との間あるいは大阪やその他の地域と結びつけるという経済効果あるいは地域効果があるわけでありますから、その意味では、私は北陸だけがその価値があってほかがないという理解はいたしませんので、三線それぞれ、多少ニュアンスは違っても、その新幹線が通ることによっておのおのの地域における利益というものは大きなものがあろうというふうに理解をしております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 私は、ほかの新幹線の重要さを何も否定するわけではない、それはそれなりにみんな大事だと思うのですが、北陸新幹線は日本海沿岸を通るというところに非常に大事な点がある、このように思いますので、その点の認識は、大臣もうなずいていらっしゃるから変わりはないように思いますが、いいですか。  それから、今お話がありました採算性の問題なんですが、これは運輸省に出席いただいておりますからお伺いします。  さきに発表した政府の採算性とその後に出たJR各社の採算、北陸新幹線でいえば西JRとなりますが、その見通しがいずれも北陸新幹線の採算性は一番高いというように発表されておりますが、採算性についてのかなり大きな差があるのですが、それはどういうように考えていらっしゃるのか。

澤田諄運輸大臣官房国有鉄道部施設課長

○澤田説明員 お答えいたします。  まず、私ども、一昨年来整備新幹線財源問題等検討委員会におきまして検討対象となった一つの試算ということで、新幹線、在来線の総合収支等等で、北陸新幹線につきましては借入金のない場合には五百億円余りの黒字が見込まれるという数字になっておりまして、また、助成金に係る部分について減価償却費を計上するとすれば百億円余りの黒字という一つの試算結果が得られているわけでございます。  それに対しまして、会社意見聴取の際に会社から会社独自の試算による収支試算というのが出てきておりますが、収支試算と申しますのは、一つはその前提となります需要予測の見方の問題がございます。それからもう一つには収支試算上の計算の前提条件の問題がございます。  私どもの、特に北陸新幹線についての収支試算の大きな違いの物の見方といいますのは、需要予測の見方といいますか、非常に会社の試算は新しい道路計画等を加味しておりますし、あるいは将来の人口の考え方というものが政府試算として取り上げた値と違っております。そういうものからの差というものを主体として政府試算と会社試算との違いが出ているというふうに考えております。  以上でございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 そういう事情で差が出ているということは伺いましたが、近く見直しというか、新しい状況、条件に応じてもう一度試算をするということを聞いておりますが、そのめどはいかがですか。

澤田諄運輸大臣官房国有鉄道部施設課長

○澤田説明員 現在、昨年暮れの政府・与党間の申し合わせに基づきまして、整備新幹線建設促進検討委員会、そのもとにおける二つの専門検討委員会の中での検討というものを始めておりますが、その検討の中で、新しい四全総等を踏まえた道路計画等、人口計画、そういうものを踏まえました需要動向、それから現時点での建設費の問題、あるいは建設工期等の前提条件というものについて現時点の見直しという作業を現在行っておりまして、その上で、この検討に資するべく収支試算の見直しというものも検討していくということにしております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 限られた時間でそう踏み込んで論議するわけにはまいりませんが、北陸新幹線は、自治大臣も御存じのように問題が提起されてから、これは各地とも同じと思うのですが、二十二年間たっております。それから、整備新幹線に策定されてから十五年、昭和四十八年から十五年たっている。その間、期待が非常に大きかったのですが、去年の十二月に御存じのように八月に先送りになっているという点で、やはり期待を持っているがゆえに一つの不安と憤りというか、あるいは焦りが自治体としてはあると思うのですね。  そこで、現在検討委員会で協議をされているということでありますが、早急にそれを詰めることが必要ではないか。そういう際に北陸新幹線沿線住民の声もひとつ十分に聞いていただいて、理解してもらって、十分この検討委員会に反映するようにしていただきたい。自治大臣はこの検討委員会の有力なメンバーでありますので、この機会に強くその点を要請して、大臣の所信をちょっと伺って、この問題は終わりたいと思います。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 自治大臣として検討委員会に参加をいたしておることは御案内のとおりであります。地方振興という意味からも、それぞれの地域の切実な願いがあるわけでございますから、そういうものにこたえてまいりたいと思うのは自治大臣として当然な責務でもございます。  ただ、前段申し上げましたように、財源その他の問題、これを全く無視して進め進めというわけにもまいらないという現実もひとつ御理解をいただきまして、あとう限り、とにかく八月に何とかこの結論を出そうということで、精力的にこれから検討を進めてまいりたいと思いますので、御理解を願いたいと思います。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 公務員の公務上の災害認定問題について若干お尋ねしたい。  非常に具体的な例になりますが、武生市の教育委員会の保健体育課の課長補佐をやっておりました清水一郎さんという方が、昭和六十年十一月九日、日直中に職場で倒れて、同年十二月五日、クモ膜下出血で急逝をされておる、こういう事例があります。同人の妻から公務災害認定請求書が地方公務員災害補償基金福井県支部長あてに提出されておりますが、その後の経過と現状について、簡単で結構ですがちょっと御報告いただきたい。

芦尾長司自治省行政局公務員部長

○芦尾政府委員 ただいま御質問ございましたように、十一月の九日に清水さん、クモ膜下出血が発症されまして入院をされております。そうして十二月五日に御不幸にしてお亡くなりになられております。六十一年四月二十五日に奥さんの方から公務災害認定請求が福井県の支部に上がってまいっておりまして受理されておりまして、同支部では十一月十四日に公務外ということの認定がなされました。  それに基づきまして、六十二年一月十二日でございますが、審査請求が福井県の支部に出てまいりまして受理をされまして、現在、支部の審査会において審理中というふうに承知しております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 このクモ膜下の出血による事例は、今報告のように地方で審査が行われようとしている、こういうものでありますので、具体的に今言及するということは非常に難しいと思うのですが、一般論として、昭和三十六年三月十三日の中枢神経及び循環器系疾忠の業務上外認定基準が六十二年十月二十六日に二十六年ぶりに改定されている、改められておりますね。これはもちろん労働省所管の基準ではありますが、地方公務員を所管する自治省としてこれをどう受けとめておるか、この点ちょっとお伺いしたい。

芦尾長司自治省行政局公務員部長

○芦尾政府委員 申し上げましたように、脳疾患が業務によって引き起こされたかどうかという判断、なかなか難しいということになっておるわけでございます。今回の事例等もそうでございますけれども、過労等が原因でこのような病気による死亡が労災なら労災に該当するか否か、こういう基準につきまして、御指摘の通知によりまして昨年労働省において見直しが行われております。  この労災における認定基準改正の趣旨でございますが、お話ございましたように、昭和三十六年に認定基準を定めましてから二十六年が経過いたしております。その間に、脳それから心臓疾患も難しい病気でございますが、心臓疾患に係る医学的な知見の進展があった。そのために、最新の医学的な知見に基づきまして認定基準を見直したものであるというふうに聞いておるわけでございますが、具体的には、過重な業務と脳、心臓疾患との間に相当因果関係が認められて労災が認定されるためには、従来の基準でございますと発病直前または少なくともその発病当日に業務上の強度の身体的努力もしくは精神的緊張、そういう過重負担が存在しなければならないとされておったわけでございます。新しい基準によりますと、発病前一週間以内に過重な業務が継続しておる場合には、業務と脳、心臓疾患との間に相当因果関係が認められまして労災認定がなされ得るというふうに、認定基準が緩和されたというふうになっておるわけでございます。  国家公務員の公務災害補償に関しても同じような認定基準の改正が行われております。地方公務員の公務災害の認定につきましては、御承知のとおりに地方公務員災害補償基金が行っておるところでございますけれども、その認定基準につきましては、従来より労災、国公災と同じ基準によってやっておるところでございます。昨年の労災、国公災における認定基準の改正につきまして、私どもも自治省の方から基金に対しまして通知を行っておりまして、それを受けて基金は適正に対処しておるものと存じております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 今の受けとめ方、それから推測しまして、端的に言うと過労死に対する労災の認定基準が社会情勢の大きい変化を背景にして二十六年ぶりに緩和されたということになると思います。  今問題になっておる本件は、こういう新しい改正点の対象となるべきものと思えるのです。すなわち、この清水さんは、今日の社会情勢の変化によって余暇の活用という住民、市民の要望というのが非常に高くなっている保健体育課に勤務しておる。日曜祝祭日、休みがない。それから、社会体育の性格上、夜も休めないという状況は随分あります。私も青年運動を前に長くやっていた関係で地域や地方の社会体育活動にいろいろ参加をしておりましたが、とにかく休みの日がない。そして平日ならば夜もと、なかなか大変でありましたが、まして世話をしたり指導的な地位にある人は相当な過労が集積すると思うのです。  そういう点で、実は担当のお医者さんがクモ膜下出血と勤務との関連を認めている意見書を出しておりますし、それから任命権者であります武生の市長さんが意見書でこう述べております。「精神的疲労のみならず、肉体的疲労をも蓄積させ、今回の不幸な事実の惹起に至ったものと思われます。」「今回の出来事が、公務によるものとして認定されるようここに本職の意見を申し述べる」ものである、こう意見書を出しておるのですね。  私は担当医と任命権者の市長さんの意見は当然であると思いますが、既にこの問題は地方で審査手続に入っておるわけでありますから、これ以上ここで触れるわけにはいかないと思いますが、慎重かつ理解のある審査が行われるように心から要望したい期待をいたしたいと思っております。その点でちょっと所感を伺いたい。

芦尾長司自治省行政局公務員部長

○芦尾政府委員 ただいまお話ございましたが、支部審査会において審理中でございますが、審査会におきましては客観的、専門的で公正な判断がなされるものと私どもも期待いたしております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 一般質問に続いて、時間がもう何ほどもありませんから、一、二だけお尋ねしたいのですが、この間は一般質問でかなり論議しまして、自治大臣のかなり前向きの御答弁も、伺って、これはひとつぜひ頑張ってほしいと思っております。  そこで、この間も、お話ししましたが、ソ連、アメリカのあの実態を見て、やはり日本も安全性には非常に力を入れている、と同時に、これと同じように防災対策の面でもひとつよその国におくれないように、負けないようにやらなくてはいけないのではないか、私はこういうことを特に強調したいわけです。  消防庁長官または科学技術庁長官の一般質問における答弁を見ますと、一般災害でいろいろと訓練をしているからかなり行き届いておるので、原子力災害の場合には、指導者や幹部、消防関係者等々の訓練をやって、いざというときに住民にいろいろな指導ができるような体制をつくっておけばいいのだ、こういうような認識をされておるように私は思うのです。しかし、放射能の災害は目に見えない、それからにおいも音もしないという意味で一般災害とまた非常に違った点があり、大規模な災害が原子力で出た場合にはパニック状況になる懸念も非常に強いのじゃないかと私は思うのですよ。そういう点で住民参加の訓練が必要でないか。いろいろやってはおられますが、その点が日本の場合にはまだまだおくれているのではないか、こういう実感がいたします。  チェルノブイリの例では、こういうのがあってはなりませんが、防災、火災消火に当たった中で三十名が死亡しておりますが、二十八名か、その大部分が消防士である、こういう点で安全対策の方は、消防庁は火災の場合には予防と消火、両方やるわけですが、原子力災害の場合には、予防は安全性第一、これは通産やそれから科技庁が第一義的な責任官庁になるのですね。これはやってもらわなければいかぬ。と同時に、災害の方の対策はやはり消防関係機関が中心になってもらわなければいかぬ、そういう点でより踏み込んだ積極的な対策が必要ではないか、基本的に私はこう考えるのですが、この点についての御見解をお伺いしておきたいと思います。

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○梶山国務大臣 消防庁長官からお答えをさせますが、私は前回の一般質問のときに多分辻委員に、うろ覚えでございますけれども原予力委員会と言って答弁をしたという記憶をしておるのです。正確に言えば原子力安全委員会だったので、訂正させていただいて御理解をちょうだいしたいと思います。  なお、モニタリングを中心に今の訓練が行われているけれども、確かに私は一義的には専門家による専門的な訓練が集中的に行われることが一番大切だなという感じを持っておりますし、また、何よりも安全第一、前回も申し上げましたけれども、水際で、どんなことがあっても事故を起こしてはいけないというこの姿勢が何よりも肝要だという気持ちでございます。

矢野浩一郎消防庁長官

○矢野政府委員 先般の委員会でお答え申し上げました、またただいま大臣からもいろいろ申し上げたところでございますが、原子力災害という確かに非常に特殊なケース、しかも非常に専門的な知識等ももちろん必要になるわけでございます。したがいまして、そういう点では私ども、所管官庁であります科学技術庁等の専門的な知識を地域に対しても十分浸透させてやりたいと思っておるわけでございます。そういう意味で、先般もお答え申し上げたところでございますが、現在の地域防災計画における対策は、その指導基準として、マニュアルとして示しております私どもの方で作成いたしたものも、やはり原子力安全委員会の決定等を踏まえてそれと同様の表現で実はやってきておるわけでございます。そういう意味では、第一義的には防災業務機関が避難誘導に際して十分習熟をして招くということがやはり大事だと考えております。  ただ、何と申しましても、安全の確保をすることは最も大事なことではございますけれども、万一に備えてやはり住民の安全ということを守らなければならないと思いますので、そういう点につきましては、現在、世界各地の事故等の状況を踏まえて原子力安全委員会の方でも防災対策等についていろいろ御検討が進められておるというぐあいに承知いたしておりますので、そういった点も踏まえ、関係省庁と十分協議をして防災対策についてのより一層の充実を図ってまいりたいというのが私どもの方の考え方でございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 火災にしても、火を出さないのが一番大事だということはわかっておる、けれども出さないといってもやはり火災が起こるときに、それに備えての消火といいますか消防業務があるわけですね。そういう点で、安全が第一ということはこれはもう当然ですが、しかし米ソの二つにあれだけのことが起こっているのを見れば、確率論からいっても日本に起き得ないというようには言えない状況ですから、これはぜひ強化をしてほしいと思うのです。  そこで、三月三日に、福井県の議会で私の方の社会党の酒井という県会議員の質問に対して、栗田知事が原子力防災対策についてこう答弁しているのです。「原子力防災は県民の安全を守る重要な柱と考える。関係者の訓練を踏まえ住民参加の訓練も地元市町と協議しながら(実施できるよう)検討する。」こういうふうにして初めて住民参加の訓練に前向きの姿勢を示したと新聞は報じておるのですね。私はこの間詳しくやりましたから詳しいことは割愛しますが、やはり原発立地の市町村の声が随分前と変わってきた、こういう原発立地市町村の声あるいは住民の声にこたえようという姿勢のあらわれではないかと思うのですね。したがって、政府においてもそういう方向を積極的かつ具体的に指導し推進をしていく、こういことが必要と思うのですが、自治大臣いかがでしょうか。

矢野浩一郎消防庁長官

○矢野政府委員 私どもの方にも、先般の委員会でも御指摘ございましたけれども、地方公共団体の方からいわゆる特別立法をしてほしいというような要望が出てきていることは承知いたしております。従来、例えば全国原子力発電所所在市町村協議会、これは敦賀の市長さんが会長でございますが、そういった特別措置法の制定の要望が出てきております。地方団体としては、原子力の問題、やはりこれは国家的な見地から今日まで政策が進められてきたという観点でございますが、しかし一方で、防災は地域住民にとって大変大事なことだという観点から、国が一元的に責任を持ってほしい、こういうような気持ちのあらわれであろうと考えております。  具体的に住民参加を伴う避難誘導訓練というようなものを盛り込んでほしいということは現在までまだこういった要望の中には見られておりませんが、ただいま御指摘のような福井県議会における知事の答弁等も拝聴いたしまして、今後この防災対策の面につきましては、そういった点を含めて、地方公共団体、府県なり市町村の意見をよく聞いてまいりたい、その上でこの防災対策についての検討を進めてまいりたい、また関係省庁ともその際に十分協議をしてまいりたい、このように考えます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、後は要望だけしておきます。また別の機会に論議をしたいと思います。  自治大臣はこの間の一般質問でも私の任期中にひとつ検討してという非常に前向きの姿勢も示されたので、今の長官との論議等も踏まえて、既に市町村から県段階にまでそういう動きが、住民参加の訓練の必要が認められつつある、こういう状況でありますから、そこらを踏まえて前回の発言をぜひひとつ具体化をするために頑張っていただくということを期待して、終わりたいと思います。

川崎二郎自由民主党

○川崎(二)主査代理 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして自治省所管についての質疑は終了いたしました。     ─────────────     〔川崎(二)主査代理退席、主査着席〕

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 次に、先刻行いました文部省所管について質疑を続行いたします。北橋健治君。

北橋健治民社党・民主連合

○北橋分科員 民社党・民主連合の北橋でございます。  大臣並びに政府委員各位におかれましては、長時間の委員会質疑で大変お疲れだと思いますが、きょうは一点に絞りまして質問を行いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  東京・中野区ではいわゆる教育委員の準公選制が施行されております。きょうはこの点につきまして政府の見解をただしてまいりたいと思います。  御案内のとおり、中野区では昭和五十五年のこの制度発足以来、これまで二回にわたって教育委員の選任に関する住民投票が行われておりますが、実態を見ますと、政党などによる特定候補者に対する組織的な支援運動が行われておりまして、協定違反のビラが大量に配布されるなど、実質的な政治選挙に堕しているのではないかという指摘がございます。私どもは、現在の準公選制度というのはその違法性を含めて極めて問題の多いものだと考えております。  また、去る一月十三日に提出されました中野区の教育委員選任問題専門委員の改革案というのがございますが、この中でも投票制度を残すなど、現行条例の根幹を変える内容とはなっておりません。したがって、これは準公選の弊害を是正するものとは言いがたいのではないかと私は考えるものであります。  文部省は既にことしの一月二十七日に、中野区の改革案による区民投票も依然として地教行法の趣旨に照らして違法であり、改革案による区民投票が行われないよう特段の指導を要請する通知を東京都教育委員会に出されております。これを受けまして都の教育委員会の方も、同日、中野区に対しまして同趣旨の通知を行っておりますが、中野区の方は、区長談話の形で、準公選というのは適法である、そして改革案に沿って第三回の区民投票を実施すべくそのための実施予算を中野区議会に提出するとの意向を明らかにしております。  たびたびの指導通知にもかかわらず違法の疑いのある準公選が再び施行されようとしている実態について、文部省はどのように受けとめておられますか、見解を求めます。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 ただいま先生御指摘ございましたような中野区のいわゆる教育委員の準公選条例に関しましては、昭和五十四年に公布されました条例が五十五年に改正されまして、当初の「区民投票の結果を尊重して」という用語が「区民投票の結果を参考にして」というふうに修正され、それから投票所方式が郵便投票方式に改められた、この二点の改正をした上で五十六年と六十年におきます二回の投票が実施されたわけでございます。  現在実施されております準公選条例と申しますものの内容は、教育委員を選任するに当たり、区長が区民投票を実施し、その結果を参考としなければならないという規定が骨格となっておる条例でございまして、この条例の内容につきましては、制定前の段階、制定後の段階あるいは投票段階、予算計上の段階等あらゆる機会を通じまして、文部省としては、その基礎となっております条例が違法であり、また政治的中立の観点から問題があるという形で再三再四是正の指導を行っているわけでございます。  その考え方の基礎となっておりますのは、御承知のように、教育委員の任命につきましては地方教育行政の組織及び運営に関する法律、略称して地教行法と呼んでおりますが、その第四条で、「教育委員は、人格が高潔で、教育に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。」と規定されております。いわゆる議会の同意を条件といたしまして、区長に教育委員の選任権、任命権が存するわけでございまして、これは言うなれば地方公共団体の長の専権的な事項であると解されるわけでございます。  しかも、この地教行法が制定されます以前の旧教育委員会法におきましては教育委員の公選制が実施されておりまして、それが特定の団体等によります組織的な運動の結果として委員が選ばれるという、いわゆる教育の政治的中立の観点から考えましても極めてゆゆしい問題がある、そういった視点から教育の政治的中立を確保するために任命制に切りかえられたという過去の経緯、いわゆる地教行法の立法の趣旨並びに地方公共団体の長に対しまして委員の専権的な任命権を設けたこの規定の内容にも違反すると考えているわけでございます。  ちなみに、地方自治法の十四条におきましては、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、条例を制定することができる。」と規定いたしておりますし、さらには、憲法の第九十四条では「地方公共団体は、法律の範囲内で条例を制定することができる。」かような憲法あるいは自治法の規定を有しているわけでございまして、こういった法体系の流れの中、あるいは地教行法の制定の趣旨等にかんがみまして、この中野区の準公選条例につきましては、先ほど申し上げましたように違法なものであり、かつ、政治的中立の確保の観点からは問題があるという考え方をとってきたわけでございます。  先生先ほどおっしゃいましたように、今回の六十四年に控えました第三回目の投票、その前年度におきまして現在専門委員報告によって内容の改正が提案されているようでございますけれども、こういったものにつきましても、既に投票すること自体は存置するわけでございますし、また、その投票の結果を参考としなければならない点におきましても、内容的には準公選条例の骨格を変革するものではございません。そういった考え方で、現在中野区がとられております行動につきまして、先生おっしやいましたように、文部省といたしましても一月二十七日付をもちまして、今回の改正されたあるいは修正された内容であるといたしましても、区長の専属的な権限であります委員候補者の選定権の行使について条例で違法な制約を加えているという点におきましては、依然として違法な内容を持つものであるということで、東京都教育委員会を通じて中野区に対しても指導いたしている段階でございます。

北橋健治民社党・民主連合

○北橋分科員 再三再四にわたる指導通知にもかかわらず、中野区の方ではまた違法性の疑い濃厚、違法性があると今言い切られましたけれども、その準公選が施行されていこうという段階でございます。  そこで、私どもも何とか教育の中立性を確保する見地から、それにかわる改善策がないものかいろいろと検討してきたところでございますが、その前に再度確認をいたしますけれども、この中野区の現条例並びに改正案の違法性のポイントというのは、第一に住民投票を実施することを義務づけているということと、第二にその結果を尊重することを区長に義務づけているということ、この二重の意味で区長の専属的な権限を制限する、その点にあると考えますが、間違いはございませんね。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 先ほども申し上げましたように、現在の中野区の準公選条例が区民投票を実施することを長に義務づけると同時に、投票の結果を参考としなければならないという、いわゆる長の専属的な権限を制約する規定を設けているわけでございまして、現在、先ほどの専門委員報告に基づいて内容の実質的修正を加えようとしておりますが、運用の問題でございまして、条例そのものは存置した上で改革案を実施しようとすることでございますから条例自体は変更されていない、さらにまた、改革案によりましても内容的に依然として投票の行為があり、かつ、それを参考としなければならない制約がある、そういった点をかんがみれば、今申し上げましたように条例上の義務として参考とすることを義務づけている、あるいは区民投票を実施することを義務づけている、この二点におきまして地教行法の規定に抵触するものであると考えておるわけでございます。  そういう意味では、準公選条例の現在の形での存置ということは、私どもとしては早急に是正を求めていきたいと思っております。

北橋健治民社党・民主連合

○北橋分科員 早急に是正を図りたいという局長の御意向はよく承りました。  私どもの具体的な改革案を申し上げる前に、大臣としての御決意を承っておきたいと思うのでありますが、この中野区の教育委員準公選の過去を振り返ってみますと、国と地方との関係もありまして、なかなか具体的に改善を図るというのはいろいろな壁、ハードルがあるそうであります。  そもそもは五十三年の九月の準公選条例の制定を求める直接請求が出発点になります。その当時の区長は、これは違法であるという意見を付して条例案を区議会に提出しましたが、残念なことに賛成多数で可決されました。そこで区長は再議に付しましたけれども、再び可決されたために都知事の裁定を申し立てたわけであります。当時の都知事は任期切れ直前の美濃部さんでございました。当時の美濃部都知事は、準公選条例は適法であると区長の申し立てを却下して、そしてこの条例が公布、施行された経緯がございます。  しかし、先ほど私も指摘いたしましたように、第二回目の区民投票を見ましても、これは明らかに政治的に利用されている、協定違反のビラもたくさんまかれている、教育改革、教育の御意見番としての人材を誕生させるにはいかがなものかという区民の強い要望もありまして、ある会派はこの準公選制のボイコットを呼びかけるような、そこまで発展したわけでございまして、実際、第二回目の区民投票のときには二七・三七%、投票率がそこまで落ち込んでいるわけであります。  国がこれは違法であるから改めよとしかるべき措置を既にとられておることは承知しております。そしてまた局長も早急に改善を図りたいという意欲を示されたことに対して、私どもは率直に評価をしたいと思います。過去においてなかなか難しい経緯があるわけでございますが、大臣としてはこの問題に対して断固たる決意で改革を図るお気持ちがあるかどうか、端的で結構でございます、お答えいただければ幸いです。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 東京・中野区のこの準公選条例、これがいまだに是正されずに続いておるということは、大変遺憾なことと思っております。局長も申し上げましたように、準公選条例は違法でありますし、また、教育行政の政治的中立性から見ても問題がある。この是正を再三指導してまいりましたけれども、いまだに排除されないということは大変遺憾に存じますし、今後ともこの教育委員の選任が適法に行われますようにさらに強力に指導してまいりたい、こう思っております。

北橋健治民社党・民主連合

○北橋分科員 強力に指導してまいりたいという大臣の御決意、評価をしたいと思います。  具体的な改革案といたしまして私ども民社党が考えておりますことに沿って、法律的な見解について文部省の御意見を聞かせていただきたいと思うのでございます。  先ほど現在の条例の違法性についてるる御説明がございましたが、それでは、区長自身が候補者を選定するに当たって自分の判断である特定の人に意見を求める、あるいは特定の団体から推薦を依頼する、こういう方法については違法とは言いがたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 区長の有します教育委員の選任権と申しますものは、みずからの判断において選ぶということでございます。しかしながら、その判断をいたします際に、いろいろな人から意見を聞いたり、あるいは特定の団体、グループ等から推薦をしてもらって自分の判断の材料をいろいろな形で得るということは、通常そういったルールによらなくても一般的に行われている、あるいは実態としてあり得ることでございまして、そのことはあくまでも判断の材料をどこから得るかという問題でございまして、長がみずから任命する際の最終判断をするという権限、つまり、自分が最終的に判断を下すということでございますれば、今のような意見を聞いたり推薦を求めたりするということに拘束されるものでない限りこの選任権を制約するものではない、また、したがいまして違法ではないと考えるところでございます。

北橋健治民社党・民主連合

○北橋分科員 それでは、もう少し具体的に申し上げますが、例えば、長が候補者を選定するに際して参考にするために候補者を推薦する諮問機関を設ける場合はどうでしょうか。その諮問が長の任意であり、なおかつ推薦された候補者を選定するに際して長の任意に任されることが明らかにされれば、かかる諮問機関を設けること自体は違法とはいえないと私ども思いますが、いかがでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 その諮問機関を設けるケースでございますが、条例によって設けることとするかあるいは区長みずからが置くことができる形にするかあるいは条例において区長の任意で諮問ができるようにするか、いろいろな方法等が一般的にあり得ると思いますけれども、少なくともそういった推薦会議等のような機関を設け、あるいはそれに対して諮問するかしないかの自由を持ち、また、その結果にいわゆる法令上制約されるものでないという形のものでございますれば、地教行法第四条の規定に違反する、あるいは違法なものであると評価することはできないと思います。

北橋健治民社党・民主連合

○北橋分科員 文部省の見解はよく理解できました。私どももしかるべき手順を踏んで、現行の制度にかわるあり方について近く地元でも具体的に提案を申し上げようと思っておりますが、その際、今局長の方から法令上の解釈に当たりまして有益な御指導をいただきましたので、十分参酌させていただきまして、我々も地元の区議会はもとより、国会においても、あらゆる場においてこの問題の早急な是正を求めてまいりたいと思います。  時間がもう少しあるのでございますが、先ほど文部大臣は、違法であり、今後その改革のために強力に指導されるとおっしゃいました。まことにごもっともでございます。ただ、私どもが憂慮いたしますのは、一回、二回目の条例が施行されたときにも、文部省はただ座して見ておられたわけではないわけです。明確なる文書をもってその違法性を指摘して、その是正を強く迫った経緯がございます。昭和五十五年のときにも、具体的に文部省はその指導を行っております。  それが、その後も中野区においては違法性のある条例が具体的に施行されてしまったわけでありまして、今大臣の御決意を承りましたけれども、具体的にどのようにやっていくのかについては、いろいるあるでしょうからこの場において明快なる答弁はあえて求めませんけれども、過去において文部省も強力に指導されておると思うのです。五十五年当時も、まあ言ってみようという気持ちでは決してなかったはずであります。やはり文部省の法令解釈の問題で、ございますから、総力を挙げて違法性であることを結論づけ、それに基づいてあらゆる機会を通じて行政指導をされたに違いない、にもかかわらず現在までその準公選が行われているわけであります。そしてまた、今回出されてきた中野区の専門委員のレポートを見ましても、違法性は依然として残っておる、全く改革の兆しが見えないと言っても過言ではありません。  そういった意味において、これから中野区議会において我が党の同志の会派も強力にそのことを運動していくところでございますが、過去の経緯にかんがみまして、さらに一歩踏み込んでこの問題を解決するために、大臣の御決意をお伺いして、終わりたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 北橋委員から、違法性あるものを合法性に少なくとも変えていこうということで、いろいろな御配慮、御提言は理解できますし、多といたすところでございます。また、委員からも強力にそのバックアップをしようという御提言でございまして、私どもは大変ありがたいと同時に、私どもとしては、あくまでも地教行法第四条に基づきまして、区長に任命権があるという適法に戻すことを目標といたしまして、今後一層努力をいたしてまいります。

北橋健治民社党・民主連合

○北橋分科員 それでは、この問題の解決をぜひともお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて北橋健治君の質疑は終了いたしました。  次に、田中美智子君。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)分科員 中島文部大臣に質問いたしたいと思うのですけれども、映画の振興についてお聞きしたいと思います。  映画は十九世紀末の資本主義的生産と科学技術の発展の中から生まれた文化、芸術でありその動く視聴覚的映像の力は、文学、音楽、演劇、美術など、それまでの文化、芸術の全ジャンルを総合し、しかも他のジャンルと異なる独自の巨大な可能性を持つ極めて大衆的なメディアになっているということは、大臣はプロでいらっしゃるので、私よりも理解が深いのではないかというふうに思っています。  それにもかかわらず、日本の映画が大変に衰退しているというふうに言われています。これは数を見ましても、ことしは映画の全盛期から三十年目、映画人口が十分の一を割るというような戦後最低の記録がことし出ているわけです。一九八七年の映画年鑑というのを見ますと、映画人口のピークが昭和三十三年、このときには十一億二千七百万人、六十二年が一億四千三百九十三万人と大体十分の一に減っているわけです。映画館も三十五年には七千四百五十七、それが六十二年には二千五十三というふうに減っているわけです。それから映画の作品も三十五年には五百四十五本、それに独立プロ二本、合わせまして五百四十七本、ところが六十一年には、百三十五本を大手がつくっていますが、この半分はポルノです。その他いろいろなものが百七十六ということで、合計三百十一本というふうに、つくられているものも、数も減り、質も落ちてきているというふうな、数字を見ただけですけれども、そういうことが言えるのではないかと思います。  映画館が閑古鳥が鳴いている。たまにこの映画を見たいと思って行きますと、もう中はがらがらですね。そうすると恐ろしくなるのですね、暗くなりますので。ですから、せめて半分なり七〇%入っていれば非常にいいのですけれども、ちょっと恐ろしいという感じになる。それだけでなくて、看板がちょっと見るにたえないというものですと、そこで切符を買うときに、それを見に来たのではないのだけれども、何か人が見ているのじゃないかというような感じで入りにくいというふうな形になっているのですね。こういう状態を文部大臣はどうお考えになりますか。時間が少ないので、なるたけ簡潔にお願いします。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 田中委員から御指摘のように、映画そのものは総合芸術でございますし、また複製芸術とも言えますか、プリントで一斉に多くの方に見ていただけるという面では大変に大きなメディアだと思います。それが衰退しておるという事象は大変遺憾なことだと存じております。  ただ最近は、文部省で大方の方々がこれは選定に値する、あるいは特選に値するというような映画の観客動員が割に多くなっておるということだけはいい傾向だと思っておりますけれども、今後、質的にも内容も、せっかくこれだけ偉大な力を持つメディアでございますから、国際的にも交流できる、そして心の交流ができるような心温まる芸術作品として振興されることを望んでおります。それについては文部省としても、奨励金一千万十本、アニメで六百万五本というようなことをしておりますし、あるいは奨励賞その他で庶民的な映画も含めまして賞に値するものを選定しておるわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)分科員 今、文部大臣は映画の動員の数が多少ふえつつあるというふうなお話でしたけれども、映画に対する要求が一体どれだけあるのかということで、総理府広報室編の昭和六十二年十一月号「月刊世論調査」、これの「文化」という調査の中を見てみますと、今後最も鑑賞したいもの、見たいものという形でアンケートをとっているのですね。それは、映画、音楽、演劇・演芸、美術、舞踊、文芸というふうに分けている。私は初めは音楽がトップではないかというふうに思ったところが、映画がトップなんですね。こんなに衰退しているのだけれども映画に対する要求というのは強いのだ。三九%でトップ。音楽が三七・三%というので私の思惑とはちょっと違ったのですが、やはり潜在的にあるのだ。個々に映画を見てみますと、「南極物語」のような映画は約六百万人の人を動員していますし、寅さん映画などというのはこれは正月やお盆に出てきて、ギネスブックに載るのではないかというほど次々と出てきております。そのときにはいつも立ち見席が出るというのです。私は青春時代はいつも立ち見席だったのですけれども、最近の映画ではこういうのに遭遇したことがない。だから、こういういいものができればニーズは非常に多いのだと私は思うのです。それが衰退しているということは、やはりいい映画ができていないからではないか。だから、どうやったらいい映画ができるのかということで私は一番文部大臣に頑張っていただきたいというふうに思うのですね。  これは新聞の情報なのですけれども、アメリカが今非常に映画が好況になっているというのを御存じかと思いますけれども、観客がどんどんふえているというのですね。それはどうしてかというと、日本の映画が一時確かにテレビにとられたということはあります。しかし最近はビデオで見るということになってきて、いい映画であれば、ビデオを見ることによって映画の魅力を再び呼び起こされて、大きなスクリーンですぐれた音響設備のある映画館の暗やみの中で映画を見たいという気持ちが出てきて、ビデオから逆に今度は映画館に出てくるということで非常に収益を上げているのですね。  その中の一つとして、作品の平均的レベルが非常に向上しているということも、ビデオから形としては入ってきたけれども中身はいいというのが出てきている。かつてはいろいろ少年向けの、日本はまだ非常にアイドル的なものが多いわけです、あるいはポルノとか。それが、少年向けから大人向けの作品がアメリカでは主流になってきたということで、映画人口が非常にふえている。それから、ニューヨークでは老人割引制などというのがやられて、昼間みんなが働いているときには年金生活者の人たちで映画館がいっぱいになる、こういう形でどんどん映画人口がふえている。  これも新聞くの情報ですけれども、主観も入っているかもわかりませんが、最近は中国が非常に映画をつくり始めて、それから東南アジアもつくり始めて、すぐれた作品ができて日本を追い越しているというようなことも報道されているわけですね。そういうふうに考えますと、ニーズもある、なのになぜいい映画ができないのかということを私は不思議に思うのですけれども、大臣は、金だって出して奨励しているし、これからふえていくと言うのかもしれませんけれども、どうしていい映画ができないのだと思いますか。一言で結構です。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御理解ある御指摘と受けとめさせていただきますが、確かにその危惧は今曲がり角に来ておるのではないかと私は希望しておりまして、先ほども申し上げましたように、質のいいものをというか、それに観客が徐々に集まりつつある、全体では低減しておりましても。したがって、それがまた制作者の意欲を刺激をして、鑑賞にたえるもの、心に訴えるものをつくれば、それだけ観客動員ができるということが相乗作用になってくると思うのです。  ただ、その間に映画づくりの技法というものが絶えませんように、やはり映画は映画のつくり方がございますし、それからまた、ああいう映画館の中で鑑賞にたえ、そしてその行き帰りにもそれが話題にまた反復できるような環境でございますから、それを主にいたしまして映画制作者にもさらに意欲を持っていただく、それを訴えていくことが映画復興の第一条件ではないかというふうに考えます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)分科員 確かにおっしゃるように、映画をつくる人たちが意欲を持ってできるようにするということ、これは言葉で言うのはやすいことなんですけれども、どうしたらその意欲を持てるかということです。  これも、昨年の二月十四日に日本映画監督新人協会というところで監督のアンケートをしているのです。これで年収がどれぐらいかというと最低百四十万。もう私はびっくりしたのです。月かと思ったら年間です。平均が四百十一万、映画監督がですよ。年間収入三百万以下の方が三分の一という結果が出ているのです。これではやめていく人がいるのです。意欲が盛り上がるとかなんとかというより、生活できないわけですから。ですから、本当に特殊な人でないともう監督たんかできない。若い人たちが将来映画監督になりたいなんというふうに思わないのです。私などは、青春時代はもう本当に映画、映画、映画。女子大のときに一週間に八回映画に行った、授業はサボっても映画、映画という時代があったのですね。そうしますとそのときに、そのころは女が職業につくなんというようなそういう教育をしていなかった時代ですけれども、変な映画にぶつかったときに、自然に、何でこんなおかしな映画つくるんだというふうな気になって、私が映画監督になったらこれよりよっぽどいい映画をつくれるなんて、そういうふうに若いときに思った経験があるのですよ。ですから、映画を見ていれば若者はやはりいい映画をつくりたいという意欲というのはわいてくる。しかし金を考えたら、三分の一が年収三百万以下だということでは、これはやめておこうかということになると思います。  それから、監督だけではありません、スタッフですけれども、これも、映画演劇関連産業労組共闘会議というのに、大映とか松竹とか東宝とかそういうところの社員が入って四千人がここに組織されているのです。ここが要求を掲げているのを見てまたびっくりしたのです。せめて月収十二万円を要求すると言っているのです。これは撮影、録音、美術、照明、編集、記録、結髪、衣装というような人たちです。月収十二万円にしてほしいということは、十二万円以下だ。ということなんですね。これでは、やはり今大臣が口で意欲を持たせたいと言っても意欲は出てこない。また、それ以外にフリーのスタッフが大勢います。こういう人たちは健康保険も年金もない。国民年金に入れば別ですけれども、そういうことですね。それでは今のような意欲を持たせると言ったってできないというふうに思うのです。  ですから、人材の育成をしておきませんと、急にいい映画をつくろうといっても、これも週刊誌で読んだ話でうそか本当かわかりませんけれども、どこかの国がよその映画監督を盗んで連れていって自分の国でいい映画をつくろうとしたとかというような話を聞きましたけれども、そういう状況に日本がなってしまってからではもう取り返しがつかないと私は思うのです。  そういう点で、単なる意欲を持たせるということだけではだめなんだ、こういう現状になったということは、映画を国民の貴重な文化財として尊重し、それにふさわしい保護育成策をとってこなかった自民党政府の文化政策の誤りの結果こうなったのではないかと思うのですね。だから私は、大臣の意欲をつくりたいという気持ちは同じですけれども、口はただですからね。実際に意欲が持てるような文化政策をするためには、まず今までの誤りを反省して、そして新たな出発をしなければならないと思うのですけれども、その御決意を一言お願いします。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 これは国民大衆の芸術でございますから一党がどうということでもないと思いますけれども、おっしゃる御要求の意味も、月十二万とかそういうことを拝見しますと、私としても、私見にさせていただきますが、大手の会社と同時にプロダクションもございますから、そこに取り切りの奨励金だけでいいのだろうか、例えば後で興収を上げるにしても、その意欲を賄うための融資制度も考えるべきではないかなと私自身は考えております。  しかし、一千万十本。この間たまたま先生と御一緒に議連でお会いした方に伺いましたら、やはり一千万でも大変助かるんだ、非常に厳しい財政事情の中で映画をつくっておられる、これはわかりまして、一千万を喜んでいただいているということに、ありがたさ半分と、それから、もう少し具体的な要望にこたえられないかという気持ちが半分と思ったことは事実でございます。ですから当面は奨励金を喜んでいただけておるわけでございますが、あともう一つは、はっきり申して映画はやはり大衆のものでごさいますから、文化遺産として保存するというものではございませんから、できるだけ大衆にアピールして、そして観客動員をして、そしてその作品自体が結果的に興収を上げていくという好循環を持たせませんと、これは補助金で博物館に入れるような芸術ではないと思いますから、それを振興させるのが一番だと思うのでございます。ですから、補助金と同時に、これはまだ文化庁でも検討してもらっておりませんが、融資制度なとも一案であれば前向きに検討してみたいとは思っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)分科員 私は融資をぜひやっていただきたいと思うのです。一千万でも大変ありがたい、確かにないよりありがたいですよ。しかし、それは恩着せるどころか、非常に少なくて恥ずかしいのですよ、大臣。  それで、ここに「ヨーロッパのニューメディア」という本があります。これを読んでみますと、私もびっくりしたのですけれども、フランスでは長編映画の製作には自動的な援助があるのですね。それから有利な条件の貸し付けがありまして、この貸し付けは返さぬでいいのです、ちょっとおかしいのですけれども。どうしてかというと、うんと収入が上がったときは返すのですが、余り上がらなかった場合にはそれも補助金になってしまうのですね。こういう返済しなくてもいいような形で、製作費の二二・八%というのがそういう補助金でできているのですね。ですからフランスの予算が、これは映画だけですが、約五十三億ですよ。日本は一千万と大きいように言っていますけれども、一千万十本で一億じゃないですか、映画に。それにアニメや何かちょっとくっつけても二億にもならないわけですね。ですから、フランスの五十分の一なんです。ここに私は一番問題があるというふうに思うのですね。  それから、いろいろな免税措置などもあるようですけれども、それは国の制度が違いますから一言に言いませんが、西ドイツなどでは平均的な映画製作資金というのは、州の映画奨励基金が三〇%、連邦政府自治省の助成が一二・五%、それから政府管轄の公的機関の映画基金の貸し付けが一五%ということで、大体平均的な映画製作は五割がここで賄われるのですね。それからイタリアなんかでは、こう言っていると時間がありませんけれども、公的な援助がもう非常に出ているわけです。だから、もう全く日本とは比べ物にならない。  日本は、今おっしゃった今度の予算一億四千万ですと、これは東京銀座二丁目で一坪が一億五百六十万ですから、銀座あたりの畳二枚分をちょっと映画にくれてやっているということです。まあこれで竹下さんがよく文化経済国家と、経済というのはどこを言っているかわかりませんけれども、文化をつけるというのは余りにも恥ずかしいのではないかというふうに思います。ですから、貸し付けをするということを前向きに検討したいとおっしゃる、これは大変いいことだと思いますので、それはぜひやっていただきたい。今すぐフランスのようにやれとは言いません。  これは文部省の学術国際局審議官植木浩さんが文化庁の月報に書かれているものなんです。ちょっと古いのですけれども、五十八年のミッテラン政権ができたときのモロワ首相のもとで、文化大臣のラングさんという四十一歳の若手の方が出られた。このときに文化省の予算を倍増したのですね。御存じだと思いますけれども、芸術創造援助を九倍にしたのです。これを読んでみましてびっくりしました。地方文化振興の予算を五倍にしているのです。そのときラングという若い大臣が英断でもってやったわけですけれども、モロワ首相も協力しているのですね。文化こそは社会の基礎であり、国家社会発展計画の中核である、文化創造こそは社会の活力のしるしであり、かつ原動力となるからだ、こういう立場からやっているのですね。その当時、文化省はフランス政府の中におけるシンデレラであるとこのラング文化大臣、日本で言えば文部大臣ですが、言っているのです。  ですから、私は、政府の方が書かれたこういうのを読みまして、これはやはり大臣がもっと強力に頑張らなければいかぬ、それは久々かどうだかわかりませんが、差しさわりがありますから言いませんけれども、少なくとも大臣はそういうものについては非常に造詣の深い人であるということだけは間違いないと思うのですね、ほかのことは存じ上げませんけれども。  そういう点では、ラング文化相までいかなくても、私よりも若いわけですし、思い切ってここで、日本映画が東南アジアや中国に追い越されてしまっているんだということを世界で言われるようでは、日本は金もうけだけはめちゃくちゃやるけれども文化のことには全く金を使わない、こういうふうに国際的にも言われてきているときですから、そういうときにたまたま中島大臣が出たわけですので、ただお飾りで座るのではなくて、勇断を持ってこれをやっていただきたいというふうに思います。  時間がありませんので一々聞きませんが、もう一つお願いしたいわけですけれども、映画議連ができまして、衆参合わせまして百二十八名入っていますね。音楽議連では、重なっている人もありますから足した数とは言いませんけれども、映画議連だけで百二十八名いるわけです。この人たちがみんなそろって入場税の撤廃には賛成しているわけです。超党派で入場税の撤廃に賛成しているわけです。これは一九三八年、昭和十三年の支那事変特別税法として、それまではなかったわけです。だから、この入場税というのはまさに戦争の落とし子ですね。これはぜひ撤廃していただきたい。上げるということも、それは今まで上げたのが悪いとは言いません。上げないよりは上げる方がいいですけれども、やはりこういう戦争の落とし子は、これは幾らの金であろうとも撤廃すべきだ、映画議連で超党派で言っているわけですから、ぜひこれは撤廃するために大臣が頑張っていただきたいと思うのですね。  私、これはどれくらい入場税が入っているのかなと思ったのですけれども、六十一年度、聞きましたら五十四億二百万入っているのですよ。五十四億の入場税が入っている、これは映画だけじゃありません。それで文化庁は、この民間芸術等活動費補助というので、御存じのように七億六千万しか出してないのですね。そうすると、五十四億も取っておいて七億円しか出してないのですね。これは六十二年度のやつです。それから六十三年度もまだ減っています。六十二年度が七億六千二百万、六十三年度が七億二千九百万で減っているのですよ、ことしは。中島文部大臣のもとで減っているのですよね。  それで、これは五十七年度のときには十二億だった。ずっと減ってきているのですね。映画が衰退しているから何とかしなければいけないというときに、どんどん減っているのですね、文化庁の予算は。私は当然入場税を撤廃して、こういうものをふやしていかなければならないというふうに思います。  時間がありませんので、映画議連で言っておりますことを一括して申しますので、それぞれのところで。  まず入場税の撤廃。これは大蔵省だと思いますけれども、考え方としてはやはり大臣が大蔵省を説得していくという努力をしていただきたいし、大蔵省もそれに応じていただきたいというふうに思います。  それから、公的教育の小中校ですね。こういうところで映画とか音楽とか美術展とか、こういうものを鑑賞するというのが大変に減っているのです。五十一年度は全部九〇%以上です。九四%、中学九二%というふうに動員していたのですけれども、今は三〇%とか三六%とかいうことで、子供のときからそれを見るというようなことが学校教育の中でなくなってきている、これを何とかしてほしいということ。  それからもう一つは、アメリカでは老人割引をやっているのですけれども、日本は今六十歳以上の人というのは、私と同じように映画というものを見る目も持っておりますし、非常にたくさん見てきたわけです。それに郷愁があります。ですから、こういう人たちに無料パスを、私は福祉政策で考えているのじゃないのですが無料パスなりを出して、こういう人たちがあの閑古鳥の鳴いている映画館に、何にも減るわけじゃないのですから、こういうところに行って見ていただく。これがいい映画で、こんな映画をつくったらいかぬとか、この映画はとてもいいからこういう映画をもっとつくれというような六十歳以上のお年寄りの声を、映画で育った人たちの声を反映させるためにも無料パスを出していただきたいというふうに思います。  もう一つは、映画分野の国立劇場的なものの映画センターをつくるという考え方を議連でも主張していますので、その調査費ぐらいはことし組んではどうかということ。  それからもう一つは、著作権法の問題ですが、四十五年のあの衆議院の文教委員会のときに、附帯決議としてやはりこういう創造スタッフの著作権も認めるべきだということを言っているのですが、これだけ長いことたってもそれがなされていないということが、結局、先ほど言ったように監督の年収が非常に少ない、映画スタッフの収入が非常に少ないということにもなってきているんだと思うのですね。  このことについて各省でお答えしていただきたいと思います。急ぎましたけれども……。

薄井信明大蔵省主税局税制第二課長

○薄井説明員 入場税についてお答えいたします。  確かに皆様の御要望がございまして、昭和六十年に免税点の引き上げをいたしました。映画につきましては、二千円以下ですと免税ということでございまして、その結果どういうことが起きているかといいますと、映画入場者数一億六千万とか五千万人という中で、税金を払って入場されている方はほんの三十万人台ということで極めて少数でございます。  また、各国の例もございましたが、むしろフランスとかイギリスとか文化の発展しているところにおいて付加価値税を皆さんかけておりまして、むしろ実態としては日本の方が映画に対する税金というのは安いというか、ほとんどないという実情であることを御理解いただきたいと思います。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 公立小中学校におきましては、映画、演劇等の鑑賞につきまして、特別活動の学芸的行事ということで、これは指導要領にも明記し、そして指導書では映画とか演劇の鑑賞の機会を設けるというふうになっておりまして、先生御指摘の、五十一年度は九割ぐらいの参加があったがその後三割に減ったという御指摘ですが、私ども必ずしもそういう数字は持っておりません。しかし、指導要領、指導書でも私どもは指導しておるところでございますので、こういう情操を豊かにする機会が十分とれるようにということにつきましては十分留意してまいりたい、こういうふうに考えております。

北畑隆生通商産業省産業政策局サービス産業官

○北畑説明員 お年寄りの映画人口の件でございますけれども、統計によりますと、十代の映画人口が千三百万、二十代の映画人口が九百万に対して、先生御指摘のとおり六十歳以上の方で映画をごらんになった方は二百万人弱でございます。この方たちに映画を見ていただくということは、確かにウイークデーの昼間の需要開拓ということで映画産業にとってもメリットのあることであろうかと存じます。  それからもう一つは、作品で、お年寄りの方に見ていただくような映画をつくらなきゃいけないということだろうと思います。一部ではございますが、既に六十歳以上の方について料金を割り引く、こういう制度を導入している映画館もございます。映画の配給、制作、あるいは映画の技術、資金、こういうものを含めまして、昨年の十一月から次世代映画産業懇談会という研究会を開催いたしまして、文化庁の御協力をいただきながら映画の活性化のための研究を現在やっておるところでございまして、御指摘の点も含めまして研究していきたいというふうに思っております。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 残りました問題につきまして申し上げます。  まず、俳優等の実演家が収録された映画につきましては、当初の出演料は当然受けるわけでございますが、その後の映画の利用について実演家の権利が働かない、こういう問題点についてでございますが、この映画の取り扱いは、多数の権利者が関与した映画の著作物の円滑な利用、流通ということが必要であるという観点から、これは世界各国におきまして著作権者というものは映画制作者に帰属させているというのが実情でございます。それで、最近映画のビデオディスク化というふうな発達によりまして、録音、録画された実演の利用が多様化しているというような実態を反映いたしまして、実演家の団体が著作権法の見直しを要望していることについては重々承知をしておりますけれども、これは何分にもそういう著作権法全体の問題でもございますので、今後なお検討を要する課題であるということで、関係者の間での議論を積み重ねていくことが必要であるというふうに考えております。  最後に、国立映画センターの設立構想でございますが、国立の文化施設の設置につきましては、現在のところ国の厳しい財政状況の中で具体的に検討するという状況にはなっていないわけでございます。ただ、映画フィルムの収集、保管、公開というようなことについての役割を持っております東京国立近代美術館のフィルムセンター、この改築を六十六年度を目途にやっておりまして、これが改築されました暁には、現在のフィルムセンターの機能が格段に拡充するというふうに考えておりまして、これを急いでおるところでございます。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 総合芸術としての映画振興について、御激励を含めて多々傾聴すべき点、御指摘をいただきましたので、鋭意努力をいたしてまいります。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)分科員 質問を終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて田中美智子君の質疑は終了いたしました。  次に、五十嵐広三君。

五十嵐広三日本社会党・護憲共同

○五十嵐分科員 今フランスの文化大臣になったジャック・ラングの話が出ておりまして、本当にミッテラン政権になって、ジャック・ラングがなって大変に文化予算が倍増した。もう改めて言うまでもなく、国の予算に占める文化予算というものを比較しますと、ちょうど一けた違うという感じで、中島大臣に期待したいと思います。何かジャック・ラングというのは、ナンシー大学の教授であると同時に、演劇のすばらしい専門家であるわけで、そういう意味からいうと非常に共通しておられるようで、まさに本格的な文化人の大臣を迎えたことでありますので、我々も大いに期待したい、このように思っている次第であります。  私ども欧米に行きまして、それぞれの都市で大変感銘を深くしますのは、やはりそれぞれの町で歴史的な建造物を非常に大事に保存している。しかもそれは、ただ保存だけでなくて、ちゃんと生きた都市の生活の中で活用しているというようなことを非常に感心する機会が多いのであります。去年も、以前のオルセー駅をパリで美術館にして、これも非常に好評なようであります。そんなところを見ますと、どうも我が国の場合、こういう点にもっと留意しなければならないなと思うわけです。もちろん木の文化と石の文化といいますか、そういう本質的な差がありますから一概には言えないと思いますが、しかし考えてみると、それだけに我が国の歴史的な建造物の残されているものが非常に少ないということは、また逆な意味でその残っているものが大変貴重だということが言えるわけでありますから、そういう意味では、ぜひ文部大臣、これに熱心に取り組んでもらいたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、お聞きしたいと思っているのは、赤れんがの東京駅なんであります。赤れんがの東京駅がかつて戦災にも遭ってかなり損傷を受けた状態であることは言うまでもないのでありますが、それにもかかわりませず、やはり壮大な近代西洋建築物の偉観を今日まで残して、文字どおり東京における玄関口として都市の個性ある風格というものをそれによってつくり上げているということは、これはもう東京のみならず、我が国国民全体の一つの誇りとしていいものではないかというふうに思うのですね。  ところが、このごろ、いわゆる国際情報都市をつくっていこうという呼び声も高くて、また一方で、内需拡大であるとか地価が暴騰している対策なども絡み合わせて、東京全体でいろんな巨大プロジェクトが出てきている中で、特に東京駅周辺の再開発も問題化してきている。殊に大手企業なんかが、この前も構想が出てきておりましたけれども、丸の内マンハッタン計画とでもいうようなものが提案されている。役所の方も、各関係の省庁で連絡会議であるとかあるいは調査委員会であるとか、こういうものを設けてそれなりに調査や協議をしているというふうには承っておるところであります。  そこで、どうもこのままではあのすばらしい魅力ある赤れんがの東京駅がどうなることかというふうに都民は、あるいは国民全体も心配をして、この間、高峰三枝子さんであるとかあるいは前文化庁長官でもある三浦朱門さんであるとか村松英子さんらが「赤レンガの東京駅を愛する市民の会」、こういうものをつくって、それらの皆さんと一緒に立ち上がって運動なされておるわけであります。私もかつて、おととしの四月にこの問題で一遍質問させていただいたりしたのでありますけれども、全面的にこの運動を支持したいというふうに思っているところなのであります。  文部大臣にお尋ねをいたしますが、大臣はこの赤れんがの東京駅の価値というものをどういうぐあいにお認めになっておられるか。それからまた、これを保存すべきというふうにお考えになっているか。そしてもう一つ、私自身は、この際むしろ災害に遭う以前の原形に修復をして、あのかつての威容をよみがえらせながら、同時に内部的には現代的な機能を十分に発揮できるようにして、かつ、できれば、今もいろいろな音楽のホールにしたりあるいはギャラリーに使ったりしているようでありますが、この際そういう多面的な都市機能も兼ねさせた活用をぜひ考えていくべきだ、そういうぐあいに思っているのでありますが、これらについての大臣の御所見をお伺いしたいと思う。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 いい御指摘をいただいたと思います。大正三年にできましたあの建物、一番私が自分の私的な感情として申し上げたいと思ったのは今先生の第三点目でございまして、かつてのあの東京駅という私どものイメージ、そして心にもっとぴったりきた東京駅がございました。戦災を受けまして三階以上が焼け落ちたということで、今は東京駅としては不本意な姿をさらしておるのだろうと思います。ですから、保存するならばぜひ戦前の建築当時の姿に戻して保存をしてやりたい、そうでなければかわいそうだという感じが一番いたします。  それからまた、再開発その他でともすればインテリジェント化する世の中でございますけれども、これは他でもどんどんできていくことでございますから、そういう中で、むしろ親しまれておる東京駅をもとに戻して、そこを自然に愛される、いろいろな催し事に使っていく。あるいは、内部構造次第では今の時代に即するような機能も発揮できるのであろう。ぜひもとの姿で再現をして、そしてもとの姿を知らない若者がそのまま東京駅は今の姿が本当の東京駅だと思って過ごしてしまうのは大変残念だし、もったいない、それを一番強く感じました。

五十嵐広三日本社会党・護憲共同

○五十嵐分科員 赤れんがを同じように非常に愛する立場からの積極的な御意見をいただきまして、心強く思う次第であります。  そこで、この際、そういうお考えであれば、ぜひひとつ保存推進の立場から、あるいは今特に第三点のそういう考え方についての共感が得られるとすれば、そういう立場から関係機関にやはり積極的に保存推進の御主張をなされて働きかけていただけないか。殊に、関係機関の協議なんかされているようでありますけれども、保存という立場からいうと、やはり大臣がその立場での主張をする原点であろうというふうに思いますので、そういう御尽力をお願い申し上げたいと思いますが、いかがでございますか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 今どのような推移で、どのような形で進んでおるのか、ちょっとつまびらかに存じておりませんのは残念でありますが、もし関係省庁で進め、あるいは隘路がありましても、その隘路を取り払って進められるように努力はいたしたいと思います。そして、保存というか再建と申しますか、ぜひ再現してみたいと切実に感じます。  具体的にもしあれば答えさせます。

五十嵐広三日本社会党・護憲共同

○五十嵐分科員 連絡会議や委員会というのはいわゆる東京駅周辺の一つのゾーンをどう再開発をするかという議論をしているものですから、必ずしもその保存を目的として協議、調査をしているわけじゃないわけですね。我々やはり心配なのは、そういう協議というものが今お話しのあの大事な建物が保存やあるいは復元というもの抜きで進められていくというふうなことになると大変だ。したがって、そこのところに一つの働きかけをするとすればこれはやはり文部大臣でないかというふうに思うので、その点をお願いしましたので、ちょっと補足御答弁をいただきたい。  それから、実はきのう東京都議会でこの質問があって、鈴木知事の答弁が非常に保存に意欲的なそういう強い姿勢を示した答弁が出たんですね。私はそれを実は非常にうれしくお聞きをしたのであります。したがいまして、この際鈴木知事ともお話し合いをいただいて、大臣も御協力を願って、ともにぜひその実現を期してほしいというふうに思うのですが、その点も含めて大臣のお気持ちをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 文化庁の立場から申し上げますが、この東京駅の管理をしておる、持っておられますJR東日本を初め関係の当局との事務的な折衝ということはことしになってから始めておりまして、それで、今もおっしゃられました全体の計画というようなものの進行とも見合わせながら、必要な保存、私どもの保存についてのお願いといいますか要望を浸透させていくようにしていきたいというふうに思っております。それから、東京都にもそのような事務的な働きかけをしているところでございます。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 なるほどいろいろな進め方があるわけでございますので、再開発も促進しつつ、その中で、再開発の中で東京駅を再建しようという意欲でひとつお願いをしてみたいと思っております。

五十嵐広三日本社会党・護憲共同

○五十嵐分科員 この折ですから、東京駅周辺の再開発はもとより、今東京全体がそういう一つの大変なプロジェクトがさまざまに出ておるという状況でありますので、赤れんがを初めとするさまざまな貴重な歴史的建造物について、もちろん文化庁等で掌握なさっていると思いますが、東京都も新しい観点からいろいろ御調査を進めているようでありますから、御連絡をおとりいただいて、この際、全体の歴史的な建造物の保存についてもひとつ力を入れていただきたい、こういうぐあいに思っておりますので、これは御要望を申し上げておきたい、このように思う次第であります。  そこで、きょうはJR東日本の松田常務さんにお忙しい中をおいでいただいているのでありますが、今のような文部大臣を初めとする多くの国民の東京駅に対する保存の要望が強い、愛する会、市民の会もおたくの方にも要望をお出しになっておるのは御承知のとおりだと思うわけであります。いわばあの東京駅丸の内駅舎というのは我が国鉄道のシンボルのようなものであって、東京というより日本の中央停車場というような意味合いのものであろうと思うのです。東京という都市の個性をつくり上げている大きな要素でもありますし、ぜひJR東日本といたしましても、すなわちこの駅舎の所有者として、これが保存あるいは今も大臣からお話のあった復元等について意欲的なお取り組みを願いたいと思いますが、いかがですか。

松田昌士JR東日本旅客鉄道株式会社常務取締役

○松田参考人 ただいま先生の御指摘がございましたように、この赤れんがについての保存をすべきである、あるいは今大臣のお話にありましたような復元をできることならすべきであるという非常に多くの意見を私どもも各界から賜っております。当社といたしましても、この赤れんがは単に私どもの東京駅というだけではなくて、非常に長い歴史と文化的な価値を持った日本を代表する一つの駅であり、かつ建造物であるというふうにも思っております。  ただ、実際に見ますと、かなり傷んでまいりました。それともう一つは、東京駅周辺をどういうふうに町づくりをしていくかということの中で、大ターミナルとしての東京駅の機能というものをどういう形で充実させていくかということも一方で考えたければいけないということもございまして、東京駅を愛していただく方のお気持ちというのは重々私どももわかっておりますし、軽々に単なる機能論でこの問題を扱おうとは私ども思っておりません。しかし、そういう非常に複合的な要素を持っておりますので、今当社といたしましても東京駅再開発の検討委員会を設けさせていただきまして、それも含めて秋口ぐらいまでにひとつ御結論を賜りたい、その上で国民の皆様方あるいは都民の皆様方の意見というものを十分踏まえて当社としての判断をつくってまいりたい、こう思っております。

五十嵐広三日本社会党・護憲共同

○五十嵐分科員 非常に保存に留意をなされて御検討になっておられるような発言のように承ったわけです。  確かに駅舎という機能からいいますと、駅舎の中だとかあるいはレールの上だとか、こういう面についてはJRさん、レール側の、鉄道側の論理というものがもちろんあっていいのじゃないかと思うのです。しかし一方、お話しのようにあの赤れんがの駅舎そのものの景観という意味からいうと、これは単に鉄道側の論理だけではなくて、いわば都市の論理の中で対応していかなければならぬことでもありますし、今の常務さんの御発言というのは、いわばその両者を十分に調整をして、機能的には当然鉄道側としても十分利用可能な機能を持たせつつ、しかも都市の景観の上からいうと、そういう保存、あるいは保存だけではない復元というものも含めての考え方などについて十分に検討したいというふうに実は私は私なりにお聞き取りしたのでありますが、概要、そういう方向で検討をなさっておられるというふうに考えてよろしゅうございますか。

松田昌士JR東日本旅客鉄道株式会社常務取締役

○松田参考人 そのとおりでございます。

五十嵐広三日本社会党・護憲共同

○五十嵐分科員 ありがとうございます。ぜひひとつ心から期待をいたしたいと思います。  この折でありますから、JR関係で全国的に見るとやはり同じように古いいい駅舎がいろいろある。もちろんそれぞれの再開発の形態でなかなか困難な地域もあろうと思いますが、京都二条であるとか門司港駅、そのほかにもあると思いますが、これらにつきましてもそれぞれ御配慮をお願いしたいと思います。殊に民営化になってどうしても経済優先になりがちでありますが、駅舎は、歴史的に大事な建造物であり公共的な意味合いのある、その地域においては一つの目印であり顔でありますから、そういう配慮を失わないようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。

松田昌士JR東日本旅客鉄道株式会社常務取締役

○松田参考人 今御指摘のように、各地に情緒ある駅として残っておりますのは、先生御案内のように明治、大正、昭和の戦前までに建てられた駅が大部分でございます。戦後建てられた駅については非常に機能論を中心にした駅が多うございまして、実はJRになりましてから私どもも各駅をきれいにし建てかえていくという計画を次々実施しておりますが、やはりその地域の特徴を生かして、その地域を代表する、あるいはその駅の形を見ればどこの町であるかわかるという形の駅がつくられてこそ本当に鉄道を愛していただくことになるのだろうと思っておりますので、そういう意味で内部でも今非常に反省が起こっております。ですから、これからつくります駅もそうでございますし、既に数少ない駅として残っておりますところは、できるだけその地域の一つの名物として活用し保存していくという方向で進みたいと思っております。

五十嵐広三日本社会党・護憲共同

○五十嵐分科員 どちらかといいますと、最近の新幹線の駅などはどこもみんな同じで、少なくとも駅舎を見てどこの町だなという感じはなかなかなくなってきている。今の御反省のお話は私は非常にうれしく思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。  そこで、建設省からもおいでいただいているのでありますが、このような歴史的な建造物の保存あるいは復元について一般的に所有者に一方的に負担がかかるという場合、救済する方法はありますか。

近藤茂夫建設省都市局都市計画課長

○近藤説明員 私どもといたしましても、再開発する場合に、その中に東京駅のような歴史的な価値のある建築物がある場合には、その保存を図りながら全体として高度利用を進めていくということは非常に望ましいと考えております。したがいまして、一部保存をしなければいけない場合には、当然上空の利用ができなくなるわけでございますので、利用できなくなった上空の容積分を再開発地区の他の地区に移転するということが可能な考え方を持っております。また、それだけではなくて、保存すること自体に価値を認めまして、通常の容積より割り増しをするという特定街区の制度もつくっております。したがいまして、そういった方向で対応できるのではないかと考えております。

五十嵐広三日本社会党・護憲共同

○五十嵐分科員 いわゆる空中権の移転など、今お話しのさまざまのことがあろうと思いますが、かなりの財源が要る。JRさんだけがそれを一方的に負担するというのも大変なことで、これは関係者みんなが力を合わせて実現への具体的な前進を見ることのできるように、また、文部大臣もよろしくお願い申し上げたいと思います。  それからもう一点、東京駅から皇居に至る空間というのは本当にすばらしい、大変重要な空間だと思うわけなんです。これもどこの都市でもそれぞれ大事な象徴的な空間があるわけですが、東京ではまさにあそこの空間がそれに当たると思うわけであります。国も美観地区としての指定はされておる。しかし、具体的には都が条例等でいろいろな規制なんかをすることで、それをしっかり保全をしていかなければだめだということにもなろうと思うのでありますが、あの空間に面する建造物等のことも考え合わせながら、この空間の望ましい姿での保全、維持についてどのようにお考えになっておられるか。

近藤茂夫建設省都市局都市計画課長

○近藤説明員 先ほど先生がちょっとお触れになりました関係省庁あるいは東京都、JR等で構成されている連絡調整会議におきましても、そういったことが検討されているわけでございます。そしてまた、検討の一環として、主として学識経験者から構成される調査委員会を設立して今検討していただいているわけでございますが、その調査委員会の中間的な取りまとめの基本方針の中でも、あの空間は都市景観として、空間構成として非常に重要だということで、十分配慮するよう方向が明らかにされておりますので、それを踏まえて、最終的には対応が決まるものと考えております。

五十嵐広三日本社会党・護憲共同

○五十嵐分科員 最後に大臣、今文化庁の予算、言うまでもない額でありますが、その予算で平均的に高速道路が大体何キロくらいつくれるとお思いですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 ただいまの六十三年度の予算案におきます文化庁の所管予算は三百七十八億でございますので、それで高速道路がどのくらいというのは、ちょっと私にはそれ以上のことはわかりません。

五十嵐広三日本社会党・護憲共同

○五十嵐分科員 ちょっと問い合わせてみたのですが、高速道路の建設費は、用地費なんかも含めて、平均的なもので一キロ四十億ぐらいなんです。そうすると、文化庁の予算総額で十キロまでつくれぬのです。これで我が国の芸術、文化の振興のための予算だとかあるいはさまざまな施設の予算であるとか、例えば文化会館なんというのはもう十何年じゃないですか、八千何百万、ずっと補助単価が決まりっきりでちっとも上がっていないでしょう。しかも、金額も絶対額は年々下がって、恐らく十年前の三分の一ぐらいになっているんじゃないですか。それなどを初めとして、全体を見ますと本当に情けない思いがするのですね。国全体に対する文化庁の予算のシェア、これを一九八一年からこの八八年の予算までずっと言いますと、〇・〇八五、〇・〇八〇、〇・〇七九、〇・〇七四、〇・〇七一、〇・〇六九、〇・〇六七、〇・〇六七。ここ十年くらい毎年下がっているのです。これはいけないですよ、ちょうどフランスの一けた落ちですね。大臣、これはぜひ、本格的文化大臣誕生の折に、この問題について何とか画期的に改善を図っていかれますように心からお願い申し上げて、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて五十嵐広三君の質疑は終了いたしました。  次に、沼川洋一君。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 お疲れのところ大変恐縮でございますが、しばらくおつき合いいただきたいと思います。  色覚異常の問題について何点かにわたってお尋ねいたしたいと思います。  まず最初に、現在我が国において、男子が二十人に一人、全体で四・五%、女子が四百人に一人、全体で〇・二%の色覚異常の方がいらっしゃると聞いております。その数が何と三百万人もいると聞き及んでいるわけでございます。特に、小中高の生徒さんで全国で四十五万人の色覚異常の人たちがいらっしゃる、このようにも聞き及んでおりますけれども、文部省としてこの実態についてどう把握していらっしゃるのか、まず教えていただきたいと思います。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 御指摘の色覚異常にかかわる児童生徒の実体でございますが、御指摘の数字でほぼ正しいと思っておりますが、具体に申し上げますと、小中高等学校全体で、私どもの数字として把握しておりますのは、四十五万七千百九十四人という数字でございます。小学校が二十二万三千人余、中学校が十三万一千人余、高等学校が十万二千人余という内訳になっておりまして、小中高につきましては約四十万人余というのが実態であるというのが私どもの数字でございます。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 そこで、ちょっとお尋ねいたしたいのでございますが、現在、学校保健法に基づきまして小中高で色覚異常の検査をなさっておるわけでございまして、この学校保健法の問題と、もう一つは、学校には学校担当の眼科医の先生方がいらっしゃるわけですが、日本眼科医会からいろいろな指針が学校現場に出てまいります。ですから、私がお尋ねしたいのは、学校保健法とそういう眼科医会の指針とに非常に食い違いがあって、恐らくこれは学校現場でどのように判断して処置なさっているのか、その辺の事情について伺いたいと思うわけです。  例えば昭和六十一年五月、日本眼科医会が全国の眼科学校医を対象にして職務に関する指針を出されておりますが、これを見ますと、小学校での検査結果は原則として保護者に通知をしないということが通達されております。さらに、今度は六十二年九月九日に出された指針によりますと、今度はがらっと変わって、結果は保護者に知らせた方が望ましいとなっておるわけでございます。  私が承知いたしております学校保健法の精神といいますか、この内容を見ますと、学校保健法の第七条で、健康診断の結果に基づき、治療を指示し、適切な措置をとらなければならない。また、施行令なんかを見ますと、やはり保護者に知らせるべきだ、こういう考え方が学校保健法の立場でないかと思います。ですから、一方では学校保健法があるのに眼科医会の指示でくるくる変わる。そういう問題に対して、学校としてそういう問題をどう受けとめて、学校内でいろいろと指導されていらっしゃるのか、この辺についてお伺いしたいと思います。

國分正明文部省体育局長

○國分政府委員 ただいま眼科医会と学校現場における眼科の診断の問題あるいは保護者への通知の問題でございますが、学校におきます医師、歯科医師、薬剤師、大体これが学校に置かれているわけでございますけれども、これらの人たちで構成しております日本学校保健会という財団法人がございます。それぞれの分野の方々で構成しているわけでございますけれども、小児科、眼科、内科、外科、それぞれの学会で出ましたものについては一応そこで受けとめまして、そこで具体の学校への指導を決める、こういう作業をやっているわけでございまして、例えば眼科医会でこういうふうになったから直ちに学校現場がそれになるということでなくて、ただいま申しました日本学校保健会等で検討して、そして実情に合った指導をする、こんな運びを通常やっておるわけでございます。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 それではお伺いしますけれども、例えば、知らせない方がいいという通達に対して学校でもよく納得してそのような指導をされたわけですか。

國分正明文部省体育局長

○國分政府委員 知らせることにつきましては、現在の学校保健法あるいはこれに基づきます政令等で保護者に通知するという法令上の仕組みでございますので、現在その法令の手続に従って学校は対応している、こういうことでございます。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 確かに現在はそうなっていますけれども、一時的には日本眼科医会の指導が知らせない方がいいということで、学校現場で個々の色覚異常の方々を扱う場合どう指導していいのか非常に真剣に悩んでいる先生ほど、本当にこういう問題をどう考えたらいいか非常に悩んでいらっしゃる方が多いわけです。ですから、知らせない方がいいということについて学校が恐らくそのままのまれたと思います。さっきおっしゃった保健会等があって、そこでもいろいろと論議があって、そういうようにした方がいいと判断されたのは最終的には学校だと思うのですが、端的に伺います。知らせた方がいいと文部省ではお考えになっておりますか、知らせない方がいいとお考えになっておりますか。

國分正明文部省体育局長

○國分政府委員 あるいはいろいろなお考えがあるかと思いますが、現行の仕組みでは知らせた方がよいという前提に基づきまして関係の法律ができている、仕組みができている、こういうことであろうと思っております。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 お伺いしたい真意がちょっと誤解されているようですが、知らせ方がいいとか知らせない方がいいとか、現場にそういう指導が流れてきますと混乱するのは現場なんです。  もうちょっと中身を突っ込んでお伺いしますと、結局知らせない方がいいという背景には、はっきり言って、色覚異常、色盲、色弱というのは先天性の遺伝だから、学説から見たって理論上から見たって、教科書にも治らないと断定されておるわけです。ですから、治らないというその角度から考えますと、どうせ治らぬのだから本人に余り早く知らせたり保護者に知らせていろいろなショックを与えるよりか、そっとしておいた方がいい、しかも日常生活に大して不便はない、人生にはそう心配することではないというものがあって、知らせない方がいいとなっておると思うのです。  ところが実際問題は、学校の中で、特にお母さん方から猛烈な反発があります。というのは、具体的な事例がたくさんあります。全く本人も知らなかった。家族も知らなかった。ところが、入試という段階になって初めて知らされて、それなりに進路を決めて勉強してきておりますので、がらっと進路を変えなければならぬという問題がいろいろ出てきて、どうしてこんな問題を早く知らせてくれなかったのか、そういうのがあったので、今度は眼科医の方がくるっと方針を変えてしまった。ですから、確かに学説あるいは理論面、そういう研究の分野の治る治らぬの論議は学会論争として大事な問題でしょうけれども、そういう子供さんを直接扱っていらっしゃるのは学校現場の教師の方々ですから、どういうふうに指導していいかということは、これはまた医学の問題と別にしっかり扱っていかなければならぬ問題じゃないかと思うわけですね。そういう面でどうも見解がぐるぐる変わるごとに学校現場では混乱する。そういう問題、事実あったわけでしょう。

國分正明文部省体育局長

○國分政府委員 具体の事例については承知いたしておりませんけれども、確かに眼科医会等で一つの指針等が出ると、学校現場でいろいろ戸惑うということはあり得ることであろうと思っております。しかしそういうことを避けるためにも、私ども学校医の先生方、それから学校歯科医の先生方、学校薬剤師の先生方で構成しております日本学校保健会、そこで医学上の観点と教育上の観点、それらを十分総合判断しまして、学校における健康診断を含めました学校保健のあり方というものを検討していただいて、それを私ども参考にして学校現場を指導する、こういう仕組みを今行っているところでございます。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 これはむしろ大臣の御意見をお伺いしたいと思っておる問題でございますが、六十一年の四月二十三日に国会議員が三十七名集まりまして、超党派の色覚異常に関する議員懇談会というのが発足したことは御承知かと思います。私もそのメンバーの一人でございます。  それで正直なところ、これは私自身も、先ほど申し上げましたように、学説的に色盲、色弱はもう絶対に治らぬ、遺伝だから治らない、そうかたくなに私も先入観がございまして、したがってこの色覚異常にどういうふうに対応していったらいいかという面につきましては私なりに、これは国会でも相当取り上げられております。例えば学校内のいじめとか差別を何とかなくさなければならぬ、これを一体どうしたらいいのかとか、あるいは高校入試あるいは大学入試の場合にやはり入学制限がございます。これを何とかして撤廃しなければならぬ、こういう問題。また就職の際、御承知かと思いますが、現在日本の大手企業九〇%以上はほとんどこの色覚異常は採らないという現実を聞いております。あるいは交通信号機が見えない。それならばいっそのこと、マル、バツ、三角方式にして見やすいようにしたらどうかとか、また今度は運転免許が取れない、これを何とか改善できないか。いってみれば社会の環境や制度を何とか変えることによって対応すべきじゃないか、こういう問題ばかり考えておったわけです。  ところが、実は私、先月熊本で色覚異常の子供さんを持つ父母の会にたまたま出まして、二時間ほど懇談いたしました。いろいろな実情をお聞きしまして、はっきり申し上げて、私自身大分思い違いというか勘違いというか、私自身全く理解していなかったということを痛感したわけです。  そういうお話の中で出てきましたのは、いきなり言われたんですね。信号機とか、そういう環境を変えることも大事です、それは大いにまた国会の場でやってください、しかし一番大事なことは何か御存じですか、根本的な解決は治すことですと言われたんです。今まで頭の中に出てこない言葉なんです、治すことというのは。確かにそう言われれば、治せばいいわけです、社会のどんな差別があったってね。しかも治すということをもう一歩突っ込んでみますと、これは眼科医会のいろいろな教授の方々がおっしゃっているわけですが、確かに色盲、色弱、ここでこの中身を論議するわけじゃないですが、遺伝ですからこれは治らないと思います。私もそう思います。ところが何が産別の要因になっているかというと、識別のハンディがあって、識別ができない、このことがやはりいろいろな差しさわりになるわけですから、遺伝は治らなくたって、例えば識別が正常の人と同じようになったり、あるいはそれに近くなる、あるいはそれに非常に効果が上がるという治療法がもしかあるとするならば、学校現場で、学説だけ振りかざして、治らぬ、おまえ進路を考えろ、就職も考えろ。狭い人生の中に閉じ込めて、自分の特技といいますか、特性も生かせないような、何か好きでもないようなところに行く、そういう進路指導をするだけじゃなくて、ほかの、堂々と治しなさい、治すことに挑戦しろ、そういう指導も出てくるわけですが、この辺が非常に問題のあるところでございまして、実はそのお母さん方一人一人に聞いてみましたら、子供さんが治療されておる方が全部なのです、はっきり言って。  ちょっとここに持ってまいりましたけれども、大臣、こういう本を読まれたことございますか。「やっぱり治る色盲色弱」これは相当大きな反響を呼んだ本で、裁判ざたまでにもなっているような本でございます。それからここに「七万人の証言」これはビデオテープです。この実態がいろいろとおさめられております。私もこの本をよく読んでみまして、またこれだけでは物足りませんので、治療をやっておる現場に行ってまいりました。この目で治療の現場も見てまいりました。まず驚いたのが、今まで気がつかなかったのですけれども、色覚異常の方がこんなにもいらっしゃるのか。しかも、全国から治るということで治療に見えております。ここにはまたいろいろな細かいデータ、いろいろなそういうのがたくさんございます。これをここで言えばとても時間がございませんので、とてもこれは細かいところまで申し上げられませんけれども、ただ、そのときに感じたのは、やはり治る、治らないという論争の中では、どちちかというとそういう治療をすること自体が医学の世界では異端者だ、おかしい、まやかしだ、そんなわけはない、そういう目で見られていることも、私事実だと思うのです。ところが、実際に成果が上がっておる、正常になっている、あるいは正常近くなっている、こういう実績が上げられている。しかも、聞くところによりますと、八万人以上の人が現に治療していらっしゃる、そういう事実がある。治療を受けて喜んでいらっしゃる子供さん、本当に喜んでいらっしゃるお母さん方のそういう生のお話を聞きまして、私なりに感じたのですけれども、では、反対していらっしゃる方々がこういうところを一回でも見られたことがあるかということを私なりに感じてみたわけでございます。  これはもう率直にお聞きしますけれども、大臣、こういう本とかこういうテープとかそういう治療の実態をごらんになったことございますか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 残念ながら、まだございません。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 これはぜひ私もごらんになっていただきたいと思います。  私も、大体本業は薬剤師でございまして、どちらかというと科学畑の人間でございます。やはりどんなに治ったと言われたって、理論上普遍妥当性があり、科学的裏づけがないものに対しては非常に警戒心を持つ方の男でございます。しかし、過去の科学とか医学の歴史を振り返ってきますと、言ってみれば常に発展の陰には弾圧との闘いで科学の進歩がございます。今さら言うまでもありませんが、コペルニクスの地動説なんか、徹底して学者から迫害されました。そういうことを考えてみますと、一方では絶対治らぬと言うのです。一方では治ると言う。そういう道があるならば、やはりそういう現場を徹底して調査する、その実態をよくこの目で確かめてみる、こういうことは、むしろ医学の論争とは別に、そういう子供さんを扱う、その将来をやはり預かっていらっしゃる学校現場の先生方として非常に大事なことじゃないかと思いました。  こういうお話があります。色覚が非常に正常になって喜んだ子供さんが、学校の自分の担任の先生に、先生もう治りましたと報告をしたら、学校の先生が非常に喜んでいただいた。よかった。ところが、最後の一言こうおっしゃったそうです。でも私は、それは人には言いませんよということがついているわけですね。  ですから、今の学校現場を見ますと、こういう治るという実態を養護の先生とか学校の担任の先生が現場を見に行かれて、相当の先生がいらっしゃいます。ところがなおかつ、いやこれは医学では絶対治らぬのだから、見に行くこと自体が非常識だ、そういう考え方に閉じこもって見ようとされない先生もいらっしゃるわけです。したがって、学校現場において子供さんに対する指導も、徹底してあきらめろ、生活には困らない、日常生活何にも心配ない、大丈夫だと言って、優しく言っているようだけれども、今度は治ったという人からすれば、そういう方法を後で教えてくれなかったということになると、これはまた問題だと思うのですね。そういうふうに指導の仕方が学校によって違いますし、また、先生によって違います。  そこで、あえてお尋ねしたいのですが、文部省でこういう問題に対して、例えば検討委員会とかそういうのをつくって、色覚異常の子供さん方をどのように扱っていいか、こういう検討をなさっているかどうか、お尋ねしたいと思うのです。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 御指摘の色覚異常に関する諸問題につきましては、確かに大変大事な問題でございまして、二つございますが、一つは学校教育上の問題、一つは治療、医療上の問題、御指摘のとおりでございます。  そこで、私どもといたしましては、六十二年の五月に予算措置を講じまして、色覚問題に関する調査研究という懇談会を設けました。これは、眼科医の方々も入っていただきましたし、教育学に関する方、それから現場の学校長や指導にかかわる先生方も入っていただいている。そして、私どもはその懇談会で二つのことをやろうと思っております。一つは、入学に関しまして、色覚問題で子供たちが制限を受けないようにこの点がまず先決である。これが一つの課題でございまして、この懇談会のいろいろな御議論を経まして、昨年の九月に都道府県を指導いたしました。高等学校につきましては、十八県が若干色覚異常の子供についての制限があったのでございますが、指導した結果、ことしはもう十二県がそれを撤廃しております。あとの六県も今検討中、こういうふうになっておるわけでございまして、この懇談会についての成果に基づく指導がことしの高校の入試にあらわれておる、こういうふうに考えております。  それから、第二点は学校教育の問題で、先生御指摘のとおり、先生方はやはり教育指導の問題として色覚異常の子供たちにケアをしてもらわなければならない。見て見ないふりでは困るわけでありまして、やはり地図帳の問題とか美術とか、いろいろ色覚にかかわる学校教育の問題がございますので、私どもはその問題をさらに懇談会で詰めてもらいまして、手引書をつくろうと思っております。これは若干時間をいただきたいわけでございますが、今先生御指摘のように、学校教育に関しまして、全く日常生活に困らないのだからということで先生がこの問題に触れないということでは困るという立場で、それぞれきめ細かい指導ができないか、どういう点に留意すべきかというふうな点についての手引書をつくる方向で検討させていただいておるわけでございます。  ただ、大きな問題としての治療、医療の問題につきましては、私ども学校教育サイドでこの問題に踏み込むには限界がございますので、この点は私どももおのずからの限度ということで対処せざるを得ないと思っておりますが、先生の御意見は十分この際承りまして、また、私どもの今後の検討の参考にさせていただきたいというふうに思っております。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 今お話を承りまして、例えば高校入試の制限の撤廃とかいろいろなことに努力なさっている、そういういわば環境あるいは制度を改革する、非常に大事なことですから、それはそれとして、しっかり取り組んでいただきたい、こう思います。  ただ、今おっしゃった色覚問題に関する調査研究についての研究協力者会議のメンバーを見てちょっと率直に思います。ここに眼科医の先生がたくさん並んでいらっしゃいます。お名前を見ると、一〇〇%治らないとかたくなに信じて、治るという方法は異端者扱いの大キャンペーンの先頭に立たれる先生ばかりが集まっていらっしゃいますね。まず、そのことが一つ。ですから、どうしたってこれは指導要綱をつくるにしたって、治らぬということが前提になっての指導しか答えは出てこないと私は思います。  それから、ここに趣旨には「色覚に問題を有する児童生徒に適切に対応するための指導の在り方等について調査研究を行い、」とあります。この調査ですね、この方々は、先ほど私が言いました治るということで現実治療を行っているその民間の医療機関の実態調査をなさったことがございますか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 先ほど申し上げました第一着手が入試の問題でございましたので、まだ実際の学習指導のあり方に関しての具体の調査研究は緒についたところでございまして、これから時間を少しいただきながら研究を進めていただこうと思っておる次第でございます。したがいまして、今先生御指摘の治る治らないの問題にどの程度まで踏み込めるか、踏み込むか、この点については、現時点ではまだはっきり姿勢を決めているというわけではない、このような現状でございます。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 端的にお聞きしているのです。治るとか治らぬ、これは学術論争に任せて結構だと思うのです。治らないと言われている中で、治るということはすごいことですよ。すごいことです、これは。治れば一遍に解決するわけですから。これだけ問題になって、治るというところをどうして見ないのですか。そういうのが色覚問題を本当に検討する委員会と言えますか、そんな狭い了見で。どんな偉い先生方のお集まりか知らぬけれども、理論よりか治るという実績、医学でも科学でも一番大事なことです。理論は後の問題です。それをこの方々はどうして調査に行かれないか、私は非常に疑問を持ちます。いろいろな入試制度を変える、環境を変える、結構です。まず治るという、ここまではっきり言い切っているところをこういう方々はぜひ一遍見ていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。ぜひひとつ、まず見てください。見て、どうとらえてどう批判されようが私はいいと思うのです。見ないで批判するというところに真実を見失うという問題が過去の歴史にもたくさんございます。大臣、どうですか。ひとつ見に行かれるように勧めていただけませんか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 その前にちょっと一言申し上げたいわけでございますが、色覚異常につきまして治るか治らないかという問題、医学的に大変難しい問題のようでございまして、私の承知しております限りでは、担当の厚生省の政府委員も過去に国会でいろいろ御答弁申し上げたことがあるようでございます。行政機関としてこの問題を医学的に責任を持って扱うといたしますならば、それは文部省としては若干限界を超えるところがございまして、この調査の懇談会におきましては、その問題を当面の直接の目的といたしますよりは、やはり学校教育指導の問題を中心にし、その余の問題について先生御指摘のような問題にどこまで入れるかというところはまた別の問題になろうか、こういうふうに思うわけでございまして、その点は御理解いただきたいと思う次第でございます。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 余り難しく考えぬ方がいいんじゃないですか。私の受ける感じは、医学的な根拠に文部省がひっかかってしまって、どうもそっちの方からしか物を見れないところがちょっとおかしいんじゃないかと思います。行くだけでいいんじゃないですか。しかも教育を預かる立場ですから、医学の分野とまた違った観点から、百聞は一見にしかずです、足を運んでどこが悪いのですか。なぜ行けないのですか。大臣、このことで一言ひとつ大臣の御感想を聞かせてください。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 お話を伺っておりました。私も最初この問題を伺い始めて、その対策の方に頭が行っておりました。例えば信号をどうしたらいいんだろうか、あるいは地図の彩りをどうしたらいいんだろうか、あるいはカラーマーカーが見えるんだろうかということをいろいろ考えるのがまず対策であろうというふうに、私の頭の中にもそれでほとんど占められておりましたけれども、おっしゃった後段の方は、私にとりましてもちょっと目のうろこを落とされたような感じがありまして、これは医学を離れても、教育者としてはぜひ研究する価値があるんじゃないだろうか。  例えば、治る治らないは別といたしまして、今の児童生徒の中には、わからなくても正常であるような行動をしなければならない部分が大分あると思うのです。それが本当に正常に近づくことができれば、あるいはそういうふりをしなくともある程度それが識別できる方法を習得するだけでも、それは大変なことではないだろうかと思いますし、また、その可能性を教育者として探りつつ、もしだめならだめでまた教育方法を編み出せるかもしれない、そういうような感じは率直にいたしました。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 私から再度お願いしておきます。大臣、ぜひひとつ見てください。やはり教育行政を預かるトップの方にぜひ見ていただきたい。どういうふうに御判断なさろうが、まず見ることです。ぜひお願いします。  最後に、時間がなくて恐縮ですが、急いでお尋ねします。  これは三月六日新聞等でも報道されておりまして御承知かと思いますが、北九州の戸畑区で、福岡県立戸畑高校を受験しようとした同市内の手足の不自由な母子家庭の中学生が高校内での母親の全面介護を盛り込んだ契約書の提出を求められて、試験がたしか十一日だそうでございます、その十一日に提出しないとその高校に入られぬということで非常に悩んでおる問題が今現実にございます。この子供さんは今村龍士君と言いまして、十五歳の方ですが、小学校の五年のときから進行性筋ジストロフィー症にかかっておりまして、車いすの生活を送っているわけですが、本人は至って元気でございまして、試験も一人で行けるということで非常に張り切っておっただけに、こういう問題が出てきて今寝込んでいるという話も聞いております。  問題は、入学をする条件として戸畑高校あるいは県の教育委員会がつけたのが、一つには、身体障害者のための施設が校内にないということを認めてほしい。二つには、学校生活全般にわたり保護者が介護できない場合は代理の者がする。三番目に、校内で事故があった場合は学校の責任は追及しないという趣旨の誓約書を提出するように求めておるところに問題があるわけです。言ってみれば、学校側とか教育委員会は最低条件としてせめてこれを提出しないと願書の受付はできない、こういうことになっているわけです。したがって、あと三日です。このお母さんのお話を聞きますと、学校というのは社会に開かれたものじゃないか、どうして身障者に冷たく門を閉ざすのだ、しかも、入るのだったら介護誓約書みたいのを書けと、何か担保にとられて、いつかそれを理由に首になるような、そういうことはどうも納得いかない、こういうことで非常に今悩んでいらっしゃるわけですが、こういう介護誓約書といいますか、こういう問題について文部省としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。また、どういうふうな指導をなさっているのか。  さらに、時間がないので続けて聞きます。  最近は、障害者は健常者の方とむしろ一緒に生活した方がいい、こういう考え方がいろいろと言われております。したがって、こうしてせっかく意欲を持って学校に行こうという人が閉ざされてしまいます。熊本でも一つ例がございました。全国的にこういうケースが非常にふえております。したがって、こういう問題をどう扱うという検討委員会みたいなものをつくって、そろそろこういう問題を真剣に検討する段階が来ているかと思いますが、最後にこの問題に御答弁いただいて終わりたいと思います。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 御指摘の点につきましては、私ども早速福岡県の実情を調べておりますが、御指摘の、イニシアルで申し上げますればI君については、入試についての大変な配慮はしておるようでございます。ただ、合格した後の誓約書はぜひ母親側の方でお願いしたいと、こういう実情は先生御指摘のとおりでございます。  この点、私どもは従来から、高校入試については障害者についてできるだけ門戸を開く、入試についても配慮する必要があるという指導をしておりますが、ただ、それぞれの学校の実情によって、最終的に当該学校に入学して修学に耐えられるかどうか、その点は施設の状況なりあるいは介護の状況、指導の状況等、学校の実情がございますので、学校長の判断によると、県教委もいろいろ指導しておるようでございます。そういう点がございますので、やはりこれは地元の問題として、学校の実情に応じた学校長の判断、県教委の指導によるべきものであろうかというふうに考えております。  それから第二点の、今特殊教育の問題として養護学校がございますが、養護学校と通常の学校との交流の教育、これは進めるべきものだと思います。ただ、義務教育などでどちらの学校に入ることが適切であるか、これはそれぞれ地域のお医者さんなども入った就学指導委員会で本人の実情も十分加味して判定をしていただく、これがやはり必要であろう。入学した後のそれぞれの交流は大いに振興すべきものであろう、こういうふうな立場で考えておる次第でございます。

沼川洋一公明党・国民会議

○沼川分科員 以上で終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて沼川洋一君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 大分おくれていますから、私は前の委員会はこの時間とダブってとうとう没なんであります。だから今度は時間を守って終わりたいと思います。大臣、大変御苦労さんであります。  幾つか問題はありますけれども、著作権の問題が大変大きくなっておりますが、今、仲介業務団体というのは大体幾つくらいあるのですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 仲介業務団体は現在は三つでございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 それで仲介業務として徴収している金額は幾らですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 日本音楽著作権協会の場合に、昨年度の数字で三百二十億、あとの団体はそれよりも一けた以上下回ると思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 著作権を尊重することもいいことでありますけれども、日本の欠点というのは、ある意味において能力主義が多かったせいもありますが、美術なり音楽なりという点については、日本はやはり相当おくれているというふうに考えます。ですから余りこれが厳しくなればなるほど、そういうものから遠ざかっていくという危険性もあるので、時間がありませんから、これはこれでまた別な機会にやらなくちゃならぬだろうと思いますが、締めろ締めろという意見ばかり横行する可能性の方が強い。私らは、庶民的な物の見方で言えば、ある意味においては、悪意がない限り広げていってやる、利用率を高めるという方にウエートを置きたいというふうに思います。  そういうような意味で、文部大臣としてこれらの問題に対応するのにやはり全体的なレベルアップ、全体的な能力の向上、文化的な才能をどう伸ばしていくか、そういう分野において配慮してもらいたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 現在の著作権法は、その第一条の目的のところにもございますように、著作者等の権利の保護を図るとともに、著作物等の公正な利用にも留意し、もって文化の発展に寄与するというふうに書いてございまして、著作権者の権利の保護と同時に、著作物の利用という面についても配慮をして、その調和をとって制度ができている、そういうふうな理解をしております。  ただいまの委員の御意見につきましては、十分に運用に当たりまして考慮していきたいというふうに考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 私もこれは一応全部読みまして物を言っているつもりですから、その点はひとつ御配慮いただきたいと思います。  続いて、オリンピックの選手等の問題でありますが、これは大変御苦労いただいてきたわけであります。昔は、軍隊へ行くと年功加算というのがついたわけなんでありますが、いわゆるオリンピックなどに行って大変体力を消耗し、訓練し、鍛錬する者に年金加算ぐらいはつけていいんじゃないのか、そういう配慮があっていいんじゃないか。非常に過度の運動をやっている人があるいはすぐに亡くなってしまう場合も起こり得るわけであります。お相撲さんだとかプロ野球の選手であるとか競輪の選手であるとか、そういうふうに短命な職業についている者については、特別に配慮する必要があるんじゃないかというふうに思います。特にオリンピックの参加者の選手等について、文部省としてやはり年功加算というようなものを、どうせ寿命が短いわけですから、ある程度考慮してやる。どうせと言っちゃ悪いのですが、長生きする人もいますけれども、そういうことで配慮してやる必要性があるんじゃなかろうか。その点ひとつ考慮してもらいたいと思いますが、とりあえずいろいろなものを調査してもらいたいのです。従来の選手のものを調査をしてもらって、そういうものを考慮する必要があれば考慮してもらいたい、こういうふうに思いますが、これは大臣なり担当の方でお答えください。

國分正明文部省体育局長

○國分政府委員 今のお話は、一般の年金に何か加給的に加算できないか、こういう御趣旨と承ったわけでございます。これは年金制度全般の問題でございまして、私どもだけですぐ結論が出るという性格のものではございませんし、また、スポーツ全体にかかわる問題でございますので、研究させていただきたいと思います。現在、一部の競技団体ではございますけれども、先生の御趣旨とはちょっと違うかもしれませんが、例えばメダリスト等につきまして褒賞金を用意する、ただ、支給は現役を引退後年金の形で支給するというようなことを一部実施し、あるいは検討中というようなところもございますので、それらの動向も見きわめてまいりたいというふうに考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 一時金というのは余り効果がないのですよ。文化功労賞もそうなんですが、やっぱりある程度生活もプラスになって、生きている間みすぼらしくならないように、それぞれ国民としてその功績をたたえる、そういう立場で物を考えてやる、文部省はそういう心構えが必要だ、こういうことなんですから、そのつもりで対応して、それは企業年金であってもいいし、あるいは文部省の積立金の制度をつくった中で支給するという方法もあり得ると思うのですよ。  要すれば、そういう人たちがやはり国民の範として、生存するのに余りみすぼらしくならないという方法をとってやることだというふうに、これはいいですね、そういうことで考えてもらうということで。文部省としては考えていくということでいいですね。

國分正明文部省体育局長

○國分政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、年金制度全体とのかかわり合いもあるようでございますし、また、御指摘のように文部省の立場からの研究ということは当然続けていかなければならぬだろう、こういうふうに考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 僕はだからわざと、文部省だけでやれる方法もあり得るという道を考えても、そこまで言って、そういうものを考えた方がこれからの日本のためになるだろうということで水を向けているわけだから、何も厚生年金の加算だけがすべてでないのだから、その辺は要領よく答えた方がこれからいいんじゃないかと思うのだね。  もう一回、ちょっとでいいから、わかりましたならわかりましたでいいから、ひとつ。

國分正明文部省体育局長

○國分政府委員 御指摘の点は十分検討してまいりたいと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 三十分の間にというのが、私の場合は二十分の間にということでありますから……。  学校内における事故ですね。これは特に私が申し上げたいことは、今保険に皆加入しちゃっているのです。それで結論的に言うと、保険で皆示談にしちゃって本当の責任の所在というものが不明確になっていっている。これは市町村団体も同じですね。水死であっても何でも皆保険で片をつけてしまって、本当の責任の所在というものを不明確にしている、こういう嫌いがあると思うのでありますが、まずその辺の見解をちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。

國分正明文部省体育局長

○國分政府委員 学校に関係します事故の場合に、一つは、かた苦しい言葉でございますが、学校の管理下における事故と管理下外の事故とあろうと思います。  学校の管理下におきます事故につきましては、従来、学校安全会、こう称しておりましたが、現在、健康センターと言っておりますけれども、そこでの給付制度というのがあるわけでございます。ただ、学校外の事故につきましてはその適用がございませんので、事故の原因いかんによって、だれが賠償するかどうするかという問題になってこようかと思っております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 この間日射病で死んだというので保険金が払われて解決されたようでありますが、市町村の水死とかあるいは学校の転落とかそういうような事故の場合においても、割合そういう保険業務の中で解決してしまう例が多いのですね。それはまあまあ主義といえばまあまあ主義なんでありますが、余り演説はしません。ともかくこういうものについてけじめをつけていくということが必要じゃないかというふうに考えます。だから余り談合みたいになってしまうことは、本来の解決にはならない。やはりそのきちんとしたけじめをつけていく、そういう姿勢が必要だ、こういうふうに思いますので、その点はその方向で御考慮いただきたいとお願いいたします。その点簡単にお答えください。

國分正明文部省体育局長

○國分政府委員 もちろん物事にはけじめが大事かと思うわけでございますが、学校事故等の関係者が話し合いによって円満に解決するということも、やはり一つの方法ではないだろうかというふうに思うわけでございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 もう一つは、これは学校長の責任の問題なんでありますが、学校長というのは先生であることはわかるのですが、これは文部大臣の方で政治的に判断してもらいたいのですが、非常に優秀な先生が校長になっても、労働法も知らない、労調法も知らない、基準法も知らないという先生が校長になって、果たして管理できるかということなんであります。でありますから、やはり校長であっても、優秀な先生であっても、必ずしも優秀な経営者ではないということだと思うのです。ですから、そこで物が言えなくなる。特に私も教育に携わる者として、教育の場合で一番問題になるのは、その場で結果が出ないということなんです。二一天作の五というわけにいかないわけなんです。それがよかったか悪かったかは、十年、十五年後でなければ結果が出ないということが、管理者としては非常に難しい。ですから、やはり校長になるためには、ある一定の労働法とかそういうものの研修機関をつくって、そこである程度勉強させる。校長は大体みんな立派な人が多いですけれども、その部分の欠落がかえって学校内の紛争を起こす場合が起こり得る。ですから、私は若干の時間でいいだろうと思うのですけれども、やはりそういうものをひとつつくって、今後の学校教育に寄与していただきたい、こういうふうに思います。これを回答してもらって、七分間のおくれというのを、トイレにも行けないでしょうから、大臣にトイレに行く時間も与えて終わりますから、それをお答えください。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 当然校長としましていろいろな素質が求められるわけでございますけれども、今特に難しい労働関係等の問題についても、当然それなりの対応能力を持つ必要があるわけでございます。  文部省としましても、例えば校長、教頭等の管理職に対します中央研修、八百人、二十二日間というような講習もございます。またあるいは都道府県単位でもそれぞれの管理職研修を行っているわけでございますが、中でも学校管理運営の諸問題については力を入れているわけでございます。先生がおっしゃいますような事柄、特に一般的には地方公務員法の関係が多うございますけれども、現業関係では当然労基法あるいは労働関係調整法の問題もございますし、そういった点にもなお力を入れてまいりたいと考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 まだ次の方が来ていないようですから。  首都圏を初めとして学校の生徒が非常に急増しているものが、この後五、六年たったら物すごく減ってきて、二分の一以下に減ってしまうわけですね。そういうふうに、まあ急落とは言わないが、非常に過疎になってしまう。お医者さんでもそうなんですが、婦人科とか小児科なんというのはもうお客が来ない。十クラスあったものが、今はもう四クラスぐらいに減ってしまっている。そういうふうに、この港区あたりから千代田区あたりも物すごく減っている。実情は拾ってありますけれども、三分の一、四分の一ですね。この対策を、これは今答えを求めようとは思いません。とにかくある程度の五、六年先の長期展望に立った対策を立ててほしい、そして私に渡してほしい、こういうふうに思います。ですから、これに各府県別はあるでしょうけれども、一応その対策を明確にしてほしいと思いますが、いかがですか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 先生御指摘のように、児童生徒の減少傾向はこれからも続いてまいるわけでございます。そのいろいろな学校経営上に及びます問題あるいはその他諸般の教育に関係いたします事柄について、当然文部省としても将来を展望したいろいろな考え方を検討してまいりたいと思いますが、先生の御質問非常に抽象的でございまして、その範囲がどの程度のものなのか、具体的なテーマ等も御指示いただければ、その線に沿った考え方を詰めてみたいと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 テーマとしてはっきりしているのは、各都道府県、各市町村別ですよね。この辺の非常に急増するところ、特に首都圏あるいは中部圏、近畿圏、決まっておるわけですから、それがもうとにかく半分ぐらい、我が埼玉県では十七万が七万に減るんですからね。ですから、その減ってきたときにおける状況というものにどう対応していくのかというのは、もう具体的にわかるわけだ。高校の生徒もしかり、中学校もしかり、小学校もしかり、先生の問題もしかり、労働問題もしかりですね。ですから、それはそれぞれに対策をつくれないなんというんじゃしようがない。つくって出してもらいたい。そうしたかったら、不安感が増大しちゃって混乱しますよ。だから、それはやはりきちんと出してもらわなければ困る、こういうふうに思います。これでテーマはわかるでしょう。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 具体的には学校施設の問題あるいは教職員定数の問題あるいは教育内容の問題等広範多岐にわたります。そういった意味で、将来の状況を予測して、それに対応するにはこういう策であるべきだということを、具体的な形でまとめるのは非常に難しいと思いますが、抽象的な意味で、一般的なそういう対策というものの一つの考え方なりを私どもで十分詰めさせていただきたいと思っております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 じゃ、大臣、少し休ませてあげますから。  以上で終わります。御苦労さまでした。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 文部大臣並びに関係の皆様方に若干の質問をさせていただきます。  最初に、学校や集合住宅の室内に使われておるアスベスト、石綿ですね、これの汚染が大きな問題となっておりますが、いずれも断熱あるいは防音材として昭和三十年ごろから四十年ぐらいの間に吹きつけられたものですね。ちょうど改修、解体時期を現在迎えておる。いろいろな報道にもございましたけれども、六十年の十月二十五日までで、各都道府県から文部省へアスベストで吹きつけ工事をした公立小中高、特殊教育学校等の実態調査の報告がなされた、こう伺っておりますが、まずその状況、概略を御説明いただきたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 吹きつけアスベストの問題が大きく取り上げられました時点で、文部省といたしましても、昨年の五月、全国の公立小中高等学校全校の悉皆調査を実施いたしまして、アスベストを使用しておる学校の状況を把握したわけでございます。十月末の時点で報告を受けましたが、公立学校千三百三十七校、全体の学校の約三・三%でございますが、千三百三十七校が何らかの形で教室あるいはその他の施設におきましてアスベストを使用しているという実態を掌握いたしております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 その中で京都の状況、これをもうちょっと詳しく御説明いただければありがたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 京都府内におきましては、高等学校が一校、小学校が一校で、他府県に比べますと極めて使用例の少ない府でございまして、京都市の市内には伏見工業高等学校が一校あっただけでございますが、これは既に昨年末に市単独の事業としまして、このアスベストの撤去が完了いたしております。それ以外に、京都市外でございますが、宇治市に小学校が一校ございます。これにつきましては、六十三年度の大規模改造事業として除去を行う予定であると承知いたしております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 文部省としまして今全国の千三百三十七校、三・三%に当たるとお伺いいたしましたが、これらの実態を踏まえて、今後このアスベストの撤去をどういうように、具体的にはどんなやり方でやっていくのか。もう既に行われたものも幾つかございますし、そういった面の状況というものを御説明いただきたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 現在文部省の補助対象事業といたしましては、大規模改修事業、これは六十三年度におきましては大規模改造と名称を改める予定でございますが、六十二年度の事業におきましては既に三十六校がこの補助対象事業といたしましてアスベスト対策を講じておるわけでございます。  なお、六十三年度につきましては、いわゆる現在までの大規模改修事業が工事額の最下限額を二千万円と切っておりますために、単独にアスベストのみの対策を講ずるということがそれだけではできない状況でございますので、財政当局の理解を得まして、現在の予算案におきましては工事の下限額を四百万円に下げまして、アスベスト対策単独でも行い得るような形での予算案を今上程させていただいているわけでございます。この予算の成立を待ちまして、申請がございます地域、特に緊急度の高い市町村から優先的に採択をしてまいりたいと考えておるわけでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 この千三百三十七のうち要望が出ているのはどれくらいなんでしょうか。そして昭和六十二年度が三十六校、それから六十三年度、今御説明がございましたけれども、それをどういうように今後実施していくのか、そういった面をもう一度御説明してください。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 まだ予算が成立しておりませんし、私ども申請は予算成立後に受け付ける予定でございますが、昨年末の段階で数百校がこういった計画といいますか考え方を持っているという状況は概括的に承知いたしておりますけれども、具体的には予算成立後申請を待って対応したいと考えているわけです。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 最終的にはどうなんですか。これはいずれは全部これを撤去していくというような形になるのでしょうか。というのは、後でも申し上げようと思っていましたが、このアスベストは御承知のとおり体内に入っていく、肺の中に入ってくると、それが突き刺さる形になりまして、これが発がん物質の疑いが強いわけでございますけれども、大変なことになってくるということから考えても、これは今後もうきちっとフォローしてしまわないと、いずれは学校でございますから、生徒がそういったものを吸い込んでいくというような形になると、これまたまずいわけでございますので、その辺はどういうふうに考えていますか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 これは各自治体におきましてその学校の状況等を把握し、露出度その他の問題もございますが、現時点で除去するか、あるいは封じ込めるか、囲い込み方式をとるか、その辺はそれぞれの実情に即して御判断いただく事柄だろうと思っております。  ただ、現時点で除去方式につきましてもいろいろと影響の問題その他もございまして、どのような方式がいいのかというのは、それぞれの自治体も判断しかねている面もあろうかと思いますが、私どもとしましては、この申請がございますものについて優先的に採択するということで、自治体の判断を待っている状況でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そうすると、最終的にこれを除去していくめどというのは、どういうように考えているのですか。どの辺できちっと、この千三百三十七校がちゃんとクリアできたというようなものにするにはどういうように考えておるのですか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 特に緊急度の高いものにつきましては、当然早急に対策が講ぜられるものと思いますし、また現時点におきましてそういった大規模改造等の計画がない場合に、今のままでも特段の支障がないケースもございますし、その辺の度合いの判断というのは自治体で行われるものと思っておるわけでございます。  しかしながら、いずれにいたしましてもこのアスベストの問題というのにつきまして放置するわけにまいりませんから、それぞれの段階的な市町村の取り組みということがあろうかと思っております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 大臣ちょっと御答弁いただきたいのですが、これはほっておくとますます大変なことになる、私はこう思います。ですから、今の御答弁でちょっと不満なんですが、文部省としてやはり大事な子供たちを育成していく、そのところにこのような発がん物質というような大変なものがあるということは、これはもう本当に父母としては心配で、大変ですよね。そういうことから考えてみましても、ぜひ早急にその対策をしなければならぬ。ですから、いずれ地方自治体がやるだろうなんという御答弁ではちょっと私納得しかねるので、ぜひ大臣、これはどういうようにめどを考えていますか。これをきちっとどの辺でちゃんとクリアするということを、まず大臣のお考えを聞いておきたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 アスベストの問題は国民全体のことでありますけれども、特に文部省としては児童生徒の健康上対策を急がなければならぬ、こう思っております。千三百三十七校に対しまして、一応六十三年度予算でも計上いたしております。  このアスベスト対策につきましては、撤去その他いろいろな方法がございますけれども、実態をよく見まして、しかし先生おっしゃいますように可及的速やかにアスベスト対策を実施し終わりますように努力をいたします。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 速やかにと言うても、もうちょっとはっきりしなければ……。  もう一度お伺いしておきますが、六十三年度の予算が成立して、そして撤去作業が行われると、これは何%でき上がって、そしてまた六十四年度以降こういうような段取りでやる、そしてめどはこの辺だということをちょっと御答弁いただきたいのです。そんな答弁じゃ、ここで審議している意味がないんだ。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 数字的に申し上げますれば、千三百三十七校が六十三年に全部対応したいということであっても金額的には可能なわけでございますが、私どもは市町村の方で申請がございましたものを優先的に採択をしていきたい。この事業自体が先ほど申し上げましたように大規模改造事業の一環として行われるものでございますから、その場合に、各般の大規模改造ございますけれども、アスベスト対策ということで申請が出ましたものは最優先で採択をしていく、そういう方針でございまして、市町村からの申請を待っている状況でございます。ただ、こちらの方から、あなたのところは六十三年、あなたのところは六十四年という指定をするまでもなく、申請があるものについてすべて対応したいという考え方でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そうすると、六十三年度でも、もしも全部要望があれば六十三年度で千三百三十七校は一切終わる、そう理解していいのですか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 これはいわゆるアスベスト対策のみを全部実施して、その他のいわゆる大規模改造、アスベスト以外のものは繰り延べるというような対応をするとすれば可能という意味でございまして、現実の実態としては、千三百三十七校が全部六十三年度に出てくるというような実態にはならないであろう。その辺は、私ども先ほど申し上げましたように、昨年末の現況でも、まずアスベスト対策を講じたいというのは数百校程度という希望なり考え方があるわけでございまして、そういう意味では、そのうちの何校かの目減りはまたするだろうと思いますけれども、この市町村のそれぞれの対応というのが、先ほど申し上げましたように、いわゆる学校としての大規模改造に絡めて実施する場合と単独で実施する場合、それは緊急度によって違うだろうということでございます。  いずれにしても、私どもアスベストが有害であり、かつそういった事業を実施される場合には優先的に採択をしたいという考え方をお示ししている段階でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 ぜひその点早急に、もちろんすべてが絡んでくるというのはよくわかっておりますので、そうでございますが、私が訴えておるのは、とにかく健康に影響のある大事な問題でございますので、もう最優先で、文部省としても方針をきちっと持って、むしろそういった面をリードしていくという考え方でいっていただきたいために申しておるわけでございますので、ひとつ大臣、もう一度御答弁ください。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御趣旨に沿って努力をいたします。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 それからくどいようですが、六十三年度予算は全国的にこのアスベスト撤去工事費補助の条件を緩和し予算をふやしていくということで今お伺いしましたわけでございますが、全国の公立学校、これの計算でいきますと、およそ三十校に一校ぐらいの割合でこの吹きつけ石綿、いわゆるアスベストが防音あるいは防火、そういうためのものに使われておる、こう理解していいのでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 そのとおりでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 私の考え方で、文部省もここでは六十三年度にそういう数百校という考えで、もちろん地方自治体等の要望がどう出てくるか、そういった面が今後の問題でございますけれども、少なくともここ二、三年で解決していく。もちろんいろんな計画がございますので、そういった要望が出てこないというものはこれは除くわけでございますが、ここ二、三年で一切が解決していくんだというように理解してよろしいでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 先ほど申し上げましたように、この改修事業を行いますのは市町村でございますので、市町村が意欲的、積極的にお取り組みいただければそのような結果になると予想いたしております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そこで、あるところで、ちょっと報道で見たのですが、作業しておる人がマスクをして一生懸命撤去作業をやっておる、その近くで子供がにっこりと見ておる、こういう写真が載っておった。これは知っていますか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 私自身はそのような写真をまだ拝見いたしておりません。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そういうことを耳にしたようなことはございますか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 寡聞にしてまだ耳にいたしておりません。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 大臣、どうですか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 まだ見ておりません。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 では、これはある新聞の記事ですが、「最近、新聞に載った一枚の写真が、アスベスト(石綿)汚染の怖さを説く人びとを仰天させた。夏休みにいくつかの学校で、教室の天井などに吹きつけてある石綿をはぎとった。宇宙服のような作業衣に身を固めた作業員と、「それを見上げる子どもたち」の無邪気な笑顔が写っている。」ここれは新聞の社説ですよ。これを聞いて、大臣、どう思いますか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 私も、作業してるいところはあるテレビを通じまして、防じんマスクその他相当な用意をして作業員がやっておられますので、これは相当な神経を使わなければいかぬ作業だなという感じはいたしました。そのそばで児童が見ておるということは考えられないことでございますが、そういう写真をじかに見ておりませんので何とも申せませんが、あるとすれば神経が行き届いておらぬ、その距離にもよりますけれども。その写真を見ておりませんので、はっきりは申せませんが、作業自体は相当神経を使って作業に従事すべきものと認識しております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 写真のことはもうさっき聞いたのです。あなた、見てないと言う。そうじゃない。今私が読み上げたある新聞の社説ですよ。大臣は、私が今読み上げたこの社説を聞いてどう思いますか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 重ねて申しますが、その作業自体は相当神経を使って防じん対策をしつつ作業すべきものでありますので、もしそのそばで子供が見ているとすれば、神経が行き届いていない光景であるなと感じます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そういう指導を今後どういうようにやっていこうとしますか。これは文部省として今年度数百校、今後やっていこうとしておりますし、早い時点で早急に解決していこうというときに、そんな無神経なやり方であったのでは、かえって大変なことになってしまいますよ。そういう意味でぜひ慎重な、細かな配慮が必要ではないか、こう思いますので、もう一度御答弁ください。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 事は児童生徒の健康に関する事柄でもございます。当然のこととはいえ、アスベスト対策事業に関しまして万全の注意が払われるべき事柄でもございますし、そういった事態が起こらないように私ども指導を徹底してまいりたいと思います。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 次の問題に移らせていただきます。  臨時教育審議会が昨年八月に解散しました。後、再び首相直属でつくられる教育改革のための審議機関、ポスト臨教審の設置法案、いわゆる臨時教育改革推進会議設置法案を今国会に提出する予定と伺っておりますが、どのようになっておりますか。

川村恒明文部省大臣官房総務審議官

○川村政府委員 ただいまお尋ねの臨時教育改革推進会議の設置法案でございますけれども、ただいまお話がございましたように、昨年の臨教審の最終答申を受けまして、この答申にかかわる施策の一層の推進を図るという観点から、新しくそういう会議というものを設置をしたいということでございまして、現在政府部内でその作業を進めております。間もなく国会へ提出をさせていただくということで、現在準備を進めているという状況でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 どんな名前になるのでしょうか。

川村恒明文部省大臣官房総務審議官

○川村政府委員 私どもで現在作業を進めております案といたしましては、臨時教育改革推進会議でございます。法案の名前としては、この臨時教育改革推進会議設置法案ということになろうかと思っております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 このいわゆるポスト臨教審は、前身の臨教審が教育関連分野の諸施策に関し広く総合的に検討を加え、基本的事項について調査審議する、こういうように伺っておりますけれども、今度はこの法案を成立させていって、このポスト臨教審というものは一体何をやろうとしておるのですか、もうちょっと具体的にこの点を御説明いただきたいと思います。

川村恒明文部省大臣官房総務審議官

○川村政府委員 現在私どもで作業を進めておるわけでございますけれども、この会議にお願いすることといたしましては、私どもとしては、ただいま御指摘がございました臨教審が五十九年から昨年の夏まで三年間いろいろ御審議をいただいた。その答申というものは非常に広範多岐にわたっているわけでございますけれども、この答申にかかわる施策をいかに実現していくか、こういうことでございます。  それで、この新しくお願いをする会議におきましては、この答申を受けて講ぜられる施策の実施状況について確認しながら、それらの施策の円滑かつ効果的な推進に関する重要事項について調査審議をしていただくというような、そういう仕事をお願いしたいというふうに考えているところでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 もう一度ただしておきますが、間もなく提出したいという考えですが、今通常国会と見ていいのでしょうか。

川村恒明文部省大臣官房総務審議官

○川村政府委員 この通常国会に御審議をお願いしたいということでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 委員の中身だと、どんなふうになっていますか。

川村恒明文部省大臣官房総務審議官

○川村政府委員 この会議は、先ほど申し上げましたような、一言で言えば臨教審答申に関する施策のフォローアップということでございますので、そういうことも考えまして委員の数は七人というふうに考えております。臨教審は二十五人ということでございましたけれども、今回は、そういうこともございまして七人をもって組織をするということでお願いをしたいと思っております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 この設置期間はどれくらいに考えておるのですか。

川村恒明文部省大臣官房総務審議官

○川村政府委員 教育改革の推進自体は大変に中長期的な取り組みを要することもあるわけでございますけれども、この会議自体としては、そういう中長期的な取り組みのことも含めておおよその推進のめどをつけるという観点から、三年間に限ってこれを設置したいというふうに考えております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 時間の関係でもう一点質問させていただきます。  かつて同僚議員が、そろばんのカリキュラム化について文教委員会で論議をしてまいりました。教育全体の問題の中で、伝統的な計算手段でもあるそろばんのことに関して、努力の結果それなりの成果が上がるという非常に素朴な教育の実習の場がそろばんである、このように考えるわけです。昭和五十九年当時の高石初等中等局長も、今後小学校等におけるそろばんの取り扱いについてどう考えたらいいかというのも、現在教育課程審議会で教育内容についての審議を進めておりますので、各方面からの意見を十分にお聞きした上で最善の方途を考えてまいりたい、こういうふうに答弁しておりますけれども、その後どうなっておりますか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 そろばんの教育課程上の扱いでございますが、先生御案内のとおり、現在小学校では第三学年それから第四学年、中学、高校でもいろいろ扱いがございますが、しかしこの問題につきましては、先ほど御指摘の教育課程審議会でもいろいろ御審議をいただきまして、昨年末の答申におきましては、「算数、数学」のところでございますけれども、「基本的な概念及び原理・法則の理解」それに続きまして「基礎的な技能の習熟を図るとともに、」というふうな文言をいただいておるわけでございます。その趣旨は、小学校の例えば四年生とかそのあたりはもう少しそろばんについて充実を図るということも必要ではないかというふうに私ども受けとめておるわけでございますので、この点については、今後の指導要領の作成のプロセスで私ども十分考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 昭和五十九年にそういうような答弁をしておって、今もう六十三年ですよね。また今後検討というようなそんな答弁じゃおかしいですね。基本の重視というか、臨教審の答申にも出ておりますけれども、一番大事なのが基本だ。その基本の計算力であるそろばん、今日子供たちの教育の場で、このような計算力とか漢字の能力とか書くことだとか――今ワープロだとかいろいろな便利なものがどんどんでき上がりましたよね。そういう意味でぜひ、そろばんだとか習字であるとか、こういったものが小学校の段階でもう少し具体的に学べるような、そういうものにしたらどうかというのは、これは非常に重要なことだと思いますよ、教育の場において。このそろばんに関し大臣のお考えはどうなっておりますか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 おっしゃるように、小学校程度でも有効な手段だと思いますので、既に当時高石局長が言われておった線に沿って充実をしていくことは必要であろう。ただ、今局長が申しましたのは、学習指導要領改訂期でございますので、その中で具体的に検討してまいろう、こういう意味でございますので、私も、その線で進めるべきであろう、こう思います。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 もう一度聞いておきます。じゃ、カリキュラムに入れていこう、こういうようなお考えでよろしいのでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 御指摘の点、現在もカリキュラムに入っておりまして、小学校の第三学年の指導要領におきましては「数と計算」というところで「そろばんによる数の表し方を知り、そろばんを用いて簡単な加法及び減法の計算ができるようにする。」ということが明記してあるわけでございます。これは三年生でございます。四年生につきましても、「そろばんによる加法や減法については、指導の機会を適宜設けることが望ましい。」というふうにあるわけでございまして、カリキュラムという点では現在もありますが、それをさらに、次の指導要領の機会には、例えば四年生で「適宜」というところなどはもう少しちゃんとやるというふうなことで指導要領にしてはどうかというふうな考え方を申し上げておるわけでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そうすると、ちゃんとやるというのは、もうちゃんと、何というんですか時間帯がございますね、そういう中に入れていくんだ、こういうことなんですか。カリキュラムにはあるが今までほとんどやってないところもありますよね。その点がちゃんと実施できるようにという、今局長も答弁しておるわけですが、もうちょっと具体的にきちっと御答弁いただければありがたいと思いますが。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 教育課程の構造を簡単に申し上げますと、学習指導要領で基礎、基本が明記されておりまして、それによりまして教科書ができて、そして教科書によって指導する、これが簡単な構造でございますが、そろばんにつきましては、指導要領に現在も書いてございますので、教科書にもこういうふうに――ちょっとごらんいただくわけでございますが、そろばんについては載っておるわけでございます。それから、例えば三年生では現在、私ども全部の悉皆調査をしたわけじゃございませんが、五時間ないし六時間というふうな時間をとりまして、実際にそろばんの習熟に関して指導しております。したがいまして、現在もそろばんについてはカリキュラム、実際の指導において行われている点について、さらに次の指導要領の時期には四年生などについてもう少し充実をしよう、こんな考え方でございますので、御趣旨に沿った取り扱いで今後努力をしたい、こういうふうに思う次第でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 時間ですからこれで終わります。もう一度整理しておきますが、三年のところではもう実施しておる、カリキュラムにはある、四年以降のをもっときちっとしたものにしていくということで伺いました。だから、三年のものはこれでいいんだ、四年以降のをそのようにきちっとしていく、こういうことですか、もう一度御答弁いただいて終わりたいと思います。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 端的に申し上げますと、四年生のところが適宜指導するというのが現在の姿でございますので、適宜ということでありますと、場合によってはやってもいい、やらなくてもいいというふうに読まれるおそれがある。そこで、四年生のところについては、適宜というところでなくて、できれば三年生のような書き方で、やはり必要なものとしてちゃんとしっかりやるというふうな表現で考えていってはどうか、こういう意味でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 ありがとうございました。終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部行雄君。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 まず大胆にお伺いいたしますが、今日本の留学生受け入れについていろいろ問題が出ておることは御承知のとおりだろうと思います。そこで、日本がなぜ留学生を多数受け入れなければならないのか、その受け入れる一つの思想ですね。これから十万人受け入れるという計画もあるようでございますが、それについて、一体ただ日本の国内に入れればそれでいいのか、それともどういう受け入れ方をして、留学生に対する期待というものが十分生かされていくのか、こういう点についての基本的なお考えをお聞かせ願いたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 留学生に対します基本的な考え方は、国際交流の一環でございまして、あるいは国際理解の一環と申しますか、かつて我が国からも諸外国に留学生として学び、そして諸先進国の教育を受け入れてきた経緯がございます。日本が経済大国と言われる位置に参りました今日、日本というのは文化的にも教育的にもできれば貢献をする時代に入ってきた、こう思いますので、そういう意味で、幸い日本に留学をしたいという希望者が多いものでございますから、その方々を受け入れると同時に、これは数だけでなく、その方々が日本に学ぶことによりまして、より一層の理解を深め、やがて相互理解のかけ橋になっていただく優秀な人材として育っていただくということを最大の目的といたしておると理解しております。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 そこで、かけ橋となるようにというお話ですが、少なくとも日本とその留学生の祖国との間のかけ橋になるには、日本に対して非常な尊敬と親日感とを持って祖国に帰らなければ、かけ橋にはなり得ないと思うのです。むしろ反日感情を持って帰るようにでもなれば大変なことになると思うのです。そういう点で、現在の留学生制度というものはどういうふうにお考えでしょうか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 現在二万二千人程度の留学生が日本においででいらっしゃいますが、これは先生おっしゃいますように親しみを持っていただくということが主でありまして、環境の推移、例えば円高によりまして生活が非常に苦しいという面に対しましては、やはり時を置かずに対策を立てる必要がありましょうし、また留学生の方々からの御希望、例えば宿舎の問題でございますれば、それに対する対策を進める必要がある、そういう総合的な対策をおくれないように進めることが肝要であろうと考えております。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 そこで、今日本が受け入れている留学生は主としてどことどこの国からどういう形で受け入れられておるのか、この点についてお伺いします。

植木浩文部省学術国際局長

○植木(浩)政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、今二万二千人の外国人留学生が日本の高等教育機関で勉学いたしております。その内訳は、私費留学生が一万七千七百人ほど、国費留学生が三千五百人ほど、それから外国政府が派遣してくる留学生が約千人程度、こういう内容になっております。  今先生が申されました、どういう地域からの留学生が多いかという点では、やはり地域でいいますとアジアからの留学生が八八・四%ということで、日本の地理的、歴史的、文化的な状況等から圧倒的にアジアからの留学生が多いわけでございます。国で申し上げますと、一番数が多いのが中国からで五千七百人ほど、それから、これは地域でございますが台湾から五千三百人ほど、韓国から四千八百人ほど、続きましてマレーシアが千百人、アメリカ合衆国が約九百人、タイが七百人、大体そんなような状況になっております。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 この留学生の動向を見ておりますと、やはり文化の程度の高いところに多く留学する傾向があるのではないか、こんなふうに思われるのです。そういう点で、文化の高いと思っている国から低い国には余り留学生はない。したがって、アメリカやドイツやフランスあたりからの留学は非常に少ないのじゃないか。そういう点で、日本はやはり留学のあり方というものを再検討する必要があるのではないか。  特に、文部大臣はアメリカ留学の経験者だと思いますが、そうではないですか。何か、アメリカで大分生活をされたような話を聞いておりますが、アメリカに留学した人の話を聞くと、褒める人はいるけれども悪く言う人はいないですねところが、この日本に留学した方々の話を聞くと、まあ親日とまでいく人は少なくて知日程度がいいくらいじゃないかという、私は大変肌寒い思いをするのですが、その辺はどういうふうに認識しておられますか。

植木浩文部省学術国際局長

○植木(浩)政府委員 私ども実際に留学生関係の仕事を担当しておりまして、帰国後それぞれの母国の政界、財界、官界あるいは学界等で御活躍している人も非常にふえております。  例えばASEAN諸国に例をとりますと、日本から帰国いたしました留学生がそれぞれの国で同窓会を結成をしておりますし、また、それらの同窓会の連合体でございます元日本留学生アセアン評議会、ASCOJAという団体もできまして、現在マニラにその本部がございまして、非常にたくさんの会員がおられるわけでございます。  また、インドネシアでは、こういった元日本留学生のインドネシア協会、プルサダという会がございますが、ここの人々が資金を出し合って、私立大学でございますがダルマ・プルサダという大学をつくったというようなことも伝えられておりまして、日本から帰られた方もいろいろと活躍を始めておるという状況でございます。  今先生おっしゃいましたように、それから先ほど大臣もお答え申し上げましたように、やはり留学生交流というのは諸外国との相互理解、友好関係の促進に果たす役割は大きいわけでございますので、せっかく日本へ留学した方ができるだけよい印象を持ってお帰りいただきたいということで、大学におきます教育、研究指導の充実や、やはり言葉というものが相互理解には大事でございますので、日本語教育の充実とか、あるいは日本人家庭や地域社会との交流の促進、さらには留学生に対するアフターケアの充実、そういうことを総合的に進めていかなければいけないということで、今いろいろとやっているわけでございます。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 そこで、今留学生は私費留学生と公費の留学生と二つに分かれておるようですが、この公費の留学生は主として国立大学に留学している人が多いのですか、それとも、比率にすれば、私立と国立に分けた場合どういうふうになっておりますか。

植木浩文部省学術国際局長

○植木(浩)政府委員 国費留学生は、国立大学でその適当な専攻の学科等がある場合には国立で受け入れるということでございますが、専攻分野等によりましては、やはり私立大学にお願いをしなければいけないという場合には私立大学に国費留学生の受け入れをお願いしておるわけで、圧倒的に国立大学で勉強しております国費留学生の数が多いわけでございます。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 そこで、国費留学生に対する国の援助といいますか、そういう施策についてはどうなっているか、あるいは私費の留学生と比較した場合どうなっているか、その辺を明らかにしていただきたい。

植木浩文部省学術国際局長

○植木(浩)政府委員 まず国費留学生について申し上げますが、国費留学生というのは日本政府がいわば招致をする留学生でございますので、奨学金を支給するということは当然でございます。現在日本では学部レベルで十三万三千五百円、大学院レベルで十七万六千五百円という月額になっております。なお、当然のことながら往復の渡航経費は日本政府が負担するということでございます。このほか、授業料は国立大学で勉強する場合にはもちろん徴収をいたしませんし、先ほど申し上げましたような私立大学あるいは公立大学にお願いをするような場合には、文部省の方でその経費を負担をいたしておるわけでございます。このほか、病気やけがをした場合、留学生は一番お困りになるわけでございますので、医療費の八〇%を補助するという制度がございます。その他細かい点がございますが、主な点は国費留学生につきましては以上でございます。  私費留学生につきましてもいろいろな施策を講じておりますが、私費留学生は、元来は御自分の経済的な負担で日本に勉学に来るということでございますが、国費留学生の場合と全く同様に医療費補助の対象にいたしております。これはやはり病気になられたりけがをしたときに一番困るということで、医療費補助の八割補助の対象に私費留学生もいたしております。このほか国あるいは国が補助金を出しての施策という意味では、私費留学生の中から国費留学生への切りかえ採用という制度で、これは人数はまだ百十五人ということでございますが、そういった切りかえ採用の制度も開いておりますし、さらには、私費留学生の中で成績優秀であるけれども経済的な理由で勉学の援助をしてほしいという場合には、学習奨励費の制度がございまして、学部学生で月額四万円、大学院生で月額六万円支給をしておりまして、これは人数は二百五十人でございますが、六十三年度はこれを五百人に倍増したいというものでございます。  さらに、これは大学等におきまして留学生のための奨学基金を設けるものも現在七十基金ほどございまして、約八百人近い人がこの大学の基金からの奨学金の支給を受けております。  さらに、急激な円高に伴う措置といたしまして、授業料の減免対象者の拡充ということで、六十二年度には、国立や私立などを合わせて七千人余りの私費留学生が授業料の減免措置の対象になっております。六十二年の秋から国の方で、授業料減免措置を講じた私立大学に対して、授業料の三割相当分の援助ということも始めておるわけでございます。  このほか、最近は民間の企業等で留学生の奨学団体をつくるものが年々ふえてまいりまして、現在六十四団体がございますが、こういったところから私費留学生に対して約千八百人にスカラシップ、奨学金を支給している、こういう状況になっております。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 そこで、これから十万人を受け入れるというには、宿舎の問題やあるいは食事の問題、その他学習に必要な参考書を買うための学費の問題、こういうものについてはどういうふうにお考えでしょうか。

植木浩文部省学術国際局長

○植木(浩)政府委員 先生御指摘のとおり、留学生の受け入れに当たりまして宿舎の問題というのは大変大きな問題でございます。文部省といたしましては、年々国立大学の留学生宿舎の増設を図ってきております。ここにはもちろん国費であると私費であるとを問わず留学生の方を入れているわけでございます。また民間の下宿、アパート、こういったところに入るのを希望する留学生の方も多うございますし、いわゆる留学生用の宿舎だけで収容できるというものでもございませんので、各大学の留学生の世話を担当する職員等が、一生懸命そういった宿舎を開拓もいたしておるわけでございます。また、最近の傾向といたしまして、大学の一般の学生寮がございますが、こういうところにも留学生が入るという希望もふえてまいりまして、私どもといたしましても、そういう一般の学生寮にも留学生の方にできるだけ入っていただくというふうにお勧めをいたしております。  最後に先生がおっしゃいました、いろいろな勉学のための図書を購入する経費であるとかそういうものにつきましては、先ほど申し上げました私費留学生の施策ということを、多角的に奨学金を支給したり授業料を減免をしたりという施策を講じておるわけでございますが、そういった面におきまして勉学生活が少しでも充実するようにという努力を続けているわけでございます。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 そこで、今留学生というものが実際にどういう生活をしておるか、その実態は把握しておるでしょうか。  そして、最近また中国の留学生が自殺したというようなことも聞いておりますが、今までに留学生で自殺したのは何人くらいに上りますか。

植木浩文部省学術国際局長

○植木(浩)政府委員 まず生活面でございますが、これは、いろいろな大学やいろいろな民間の団体、留学生の世話団体等々がいろいろな角度からの留学生の生活調査等を行っております。それらからいたしますと、これは大都市と地方といろいろと差はございますが、これらのデータからしますと、月額八万円から十万円ぐらいという幅がございます。なお、急激な円高ということで、仕送りは余り金額は変わらない、むしろ目減りをする、アルバイトなどによる収入等がふえつつあるという傾向であるようでございます。  自殺者の件につきましては、ほとんど私どもは聞いたことはございません。ちょっと正確なデータはございませんけれども、留学生の数は大変多うございますが、そういった中でできるだけ心理的な面でも日本の学生の方や地域の家庭の方と交流して、温かく日本の中で生活ができるように、そういった点は、例えば国立大学でございますと、留学生が大学に入った場合に、国費留学生であろうと私費留学生であろうと、一対一で、おおむね大学院生が多うございますが、チューターというものをつけまして、来た早々にいろいろとお困りであろうということで、勉学の面あるいは生活の面、いろいろな面で困らないようにということで、学部で二年、それから大学院レベルで一年間そういった制度も行いまして、今申し上げました寂しい孤立した感じにならないようにという点の配慮もしておるわけでございます。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 自殺者のことは聞いたことがないというのは、少し不勉強じゃないでしょうかね。これはパキスタンから来た留学生も自殺したということで新聞紙上にも明らかになっておりますし、何人かそういう例があるのですよ、実際。これはやはりもっと実態を把握してもらわないと困りますね。そして今の留学生の宿舎を見ると、ほとんど三畳くらいのところにぎっしり荷物があって寝るにも寝れないような、ろくな勉強もできないような場所にいるというのが普通だそうでございます。こういうところを現実に見て歩いて、本当に日本に来てよかったのかどうなのか、今の留学生制度に対して不満を持っているのか持っていないのか、そういう本音を聞くことが私は大事だと思うのです。建前で、ただ今度十万人にするからといったところで、来てみたらそういう始末で、皆反日感情を持って帰ったならば、これはただ金を捨てるよりももっと悪いですよ。金をかけて反日的な人間をつくって育てていくということは金を捨てるより悪いですよ。だから、もっとそういう実効について検討する必要があるのではないか、こういうふうに私は思うわけです。  時間がないから少しはしょりますけれども、今、お金で補助をしたり助成したりしてやっていると言われましたが、中には日本の金を祖国に送っている人もいるという話ですよ。それはやはり円のその国における価値の相違によって違うようでございますけれども、そういうことではせっかくの助成したお金というものが有効に生きていないわけです。それに対してまた一方の、苦労しておる留学生は非常にひがみを持って反感を持っておる、こういう事実もあるわけです。  だから私は、お金で問題を解決するという思想をなくして、本当に日本の学校に留学すれば勉強に集中できるし生活も安心して安定した生活ができる、こういう環境をつくってやることが一番大事じゃないか。したがって、金でやるかわりに立派なアメリカ並みの宿舎でも与えてやって、そしてだれでも来れば本当に日本人と日常交流もできるし、そういう生活の中で日本語教育が本物になっていく。何も学校でだけこれから日本語教育を行いますよというような形で教育するよりは、むしろ日本のこの社会に溶け込ませる、そういう一つのシステムを考える必要があるのじゃなかろうか、この辺については大臣どういうふうにお考えでしょうか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 確かに両方大事でございまして、特にできるだけの補助体制はつくりつつ、もう一方で心の通い合うような形をぜひつくっていきたい。私も、留学生諸君にお会いしてみましたけれども、留学生諸君がおられる環境もさることながら、そこに日本人の青年と一緒に暮らしたい、一緒であることによって心の交流はもちろん、その習慣の習得その他、自分たちだけで、つまり海外から来られた留学生だけの宿舎でありたくないという御希望は非常に強いように受け取りました。そういうような配慮を含めまして、人間性の交流が図れるように、これは大いに考えていくべきことだと考えております。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 本当に私は大臣に真剣にこの問題は考えていただきたいと思うのです。特にこれからは貿易摩擦とか日本の国際化の進展に伴って、国際感覚というものを日本人全体にどういうふうに植えつけていくか、そして物の考え方、そういうものについても相当根本的に見直す必要があるのではないか。今度のガットの問題でもココムの問題でもそうだけれども、向こうの言いなりにやられっ放しで、そして日本はいろいろ言いわけしながら、非常にずるいんですよ、時間稼ぎばかりやっているようなことをやっておる。そういう感覚で、とにかく建前だけをつくればあとはどうでもいいんだという感覚が日本人の本性みたいになっているんじゃないかと私は思う。私も日本人だから実際は言いたくないけれども、しかし今ここで日本人がそういう問題を本当にさらけ出して反省しなければどうにもならぬと思うのです。そういう点で、留学生の問題で本当に親身になって介添え役みたいなことをする制度をつくったり、あるいは金で問題を解決するということでなしに、一つの条件をきちっと整備して、そして留学生が喜んで親日家として向こうの国で、祖国で働ける、そういう条件をつくることが大事じゃなかろうかこういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御指摘のとおりだと思います。ただ、留学生として日本におられる期間はもちろんのこと、来られる前に当然こちらの情報を事前にお伝えをする、それからまたもう一つは、留学を終えられてから母国に帰られまして、その間のアフターケアというものも必要であろうと思います。またその中には、強いて言えば日本の資格、またその資格の利用範囲の問題、あるいは就労された場合の日本との交流の立場、そういうものをきめ細かくアフターフォローをしていく必要があろう。そのすべてを総合いたしませんと本当の親日感情は生まれてこない、こういう感じは持っております。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 外務省にお伺いしますが、留学生を在外公館で対処できていない状況にあるということを聞いているのです。例えば、ほかの国の大使館に行くと、その国の問題は大体よくやってくれるのだけれども、日本大使館に行くと、留学生の問題なんかほとんどわかっていない、それほど頼りにならないという話を聞いているのですが、その辺はどうでしょうか。

遠藤乙彦外務大臣官房文化交流部文化第二課長

○遠藤説明員 留学生の受け入れは、我が国と留学生の出身国との交流、相互理解の促進のために大変重要でございまして、外交政策の観点からも非常に重要であるという認識で外務省としても取り組んでおるところでございます。  こういった観点に立ちまして、外務省といたしましては留学生が来る前の段階の留学情報の提供、啓発あるいは日本語の普及等を強化しておりますし、また、帰国後のアフターケアとしましては、例えば昭和四十七年以降、毎年約五十人の東南アジアからの元留学生を日本に呼びまして、東南アジア元日本留学生の集いといった行事を開催いたしております。  さらには、現地の在外公館を通じまして同窓会の結成や名簿の作成あるいはASEAN各国元日本留学生会の活動援助のための助成、あるいはさらには元日本留学者アセアン評議会、ASCOJAという連合体でございますが、その総会への助成等、特にアジアを中心といたしまして事業を積極的に実施しておるところでございまして、今後ともアフターケアを初めとする諸施策につきましては、より一幅の充実を図ってまいる所存でございます。  また、国内の受け入れ態勢の整備の方は、第一義的には文部省の所管でございますが、外務省としましても強い関心を有しておりまして、文部省を初め関係省庁と十分な協議、協調を進めてまいる所存でございます。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)分科員 外務省は最近海外援助、こういうところには大変力を入れておりますが、留学生というのはやがて祖国に帰るとその国の指導者になる人たちなんですよね。その人たちと本当に親しく話せる状況とそうでない状況とでは全く違うと思うのです。そして、今のこの海外援助資金でもどのように使われているか、内部にも立ち入ることができないような状態で出しているわけですね。それはもうこの前のフィリピンのマルコス疑惑で明らかになっているとおりで、説明する必要ないと思うけれども、そういうふうに金の使い方に非常にむだが多いと私は思う。もっと効果的に金を使うべきじゃないか。これから日本が生きていくのに必要な国々の指導者を本気になってつくっていけば――何も難しいことを言う必要はないですよ。それを、日本を理解させないからこそ外交が非常な壁に突き当たったり大変な事態になるわけです。そういうふうに考えると、外務省はもっと本腰を入れてこの留学生問題には取り組んでいただきたいと思います。  ちょうど時間が来ましたので、一応、以上申し上げて、私の質問を終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、安倍基雄君。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 私は、今非常に新聞あたりをにぎわしております共通テストということについてちょっと取り上げてみたいと思うのですけれども、共通テストの中身というのはいろいろ説明されております。私もそれなりにレクチャーも受けましたけれども、現在、文部省が私学に対してこれに参加するようにといろいろ勧誘しているということを聞いておりますけれども、それは事実でございますか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 今回、臨時教育審議会の言葉で申しますと共通テストでございますが、新しいテストというようなことを言っておりますけれども、これにつきましては、臨時教育審議会の答申で、偏差値偏重の受験競争の是正等の見地から、各大学が自由にして個性的な入試を実施する必要がある、そのためのいわば一つの手段として新しいテストという形のものを考え、それについて各私学が、各私学の自主的判断において自由に、いろいろな形で利活用できるという仕組みをとってはどうかという提言があったわけでございます。  そういったことに基づきまして、今、新しいテストの具体的な内容を考え、その内容につきましては各私学にも十分御理解をいただく必要があるという観点から、いろいろな機会に御説明をしておるということは事実でございます。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 ということは、私学に、できたらこれを使ってごらんよと言って回っているわけでございますね。事実でございますか。そうですね。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 これは臨教審の考え方としても、それから私どもの考え方としても、これを利用することによってかなりいい入試に改善が図られる可能性があると考えておるわけでございますので、そういった意味では、各私学が十分御理解をいただいて、自主的御判断ではございますけれども、これにできるだけ多く参加をしていただくことが望ましい、そういう気持ちで御説明をしているということでございます。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 では、一体どういう点がよくなるのですか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 臨時教育審議会の審議の過程におきましても、私学の入試の現状についていろいろ御議論がございました。各私学ともいろいろな工夫、改善を凝らしておられるということについての一定の評価はしつつも、なお多くの私学の場合には、非常にたくさんの受験生を短期間に対応し処理をするということをせざるを得ないことから、どうしてもその試験の中身が一発勝負的な、しかも学力検査に専ら偏った形での入試になるという傾向がございますし、また、高等学校教育の範囲を超えたようないわゆる難問奇問等も現在もなお散見されるというような状況等もあるわけでございます。  こういった問題に対処いたしまして、各私学の入試のあり方を考えていく場合には、新しいテストというような形のものを使うことによって、まず、基礎的な学力につきましては高校以下の教育課程に適したいわば難問奇問でない適切な出題ができるということと、それから、この共通テストを基礎資料として利用しつつ各私学が独自の試験をすることによりまして、各私学の独自性を出していくということがやりやすくなるであろう、こういう判断をいたしておるわけでございます。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 難問奇問がけしからぬとかなんとかいうのは一つの考え方であって、大体、受験生というものはそれぞれの私学なりなんなりを目指して相当以前から一生懸命準備しているわけですね。子供のころから何々塾とかなんかに行って、ようやくどこかの中学に入り、高校に入り、もっとも小学校のころからどの大学というのを決めていないかもしれませんけれども、それなりに相当の期間準備をしているわけですね。それが急に試験の中身をきゅっと変えて、私学が、あるものを要するに採用する。難問奇問が悪いというけれども、逆に、だあっと大勢の中の偏差値で全国試験的なもので順位をつけて足切りをする、まあ足切りをするかしないかは今度の共通テストのあれでございますけれども、従来の一次というのがいろいろな問題点があったことはわかりますけれども、いずれにせよ、くるくる制度が変わられちゃかなわないわけです。  私は昭和二十八年に大学を卒業したのですけれども、二十八年というのは御承知のように新制と旧制とが一緒に卒業した。というのは、高校のときに、私は旧制でしたけれども、二十五年入学のときには論文と語学だけやっておけばよかったわけですよ。ところが、もしその最後の試験に落ちますと、今度は新制高校の難しい数学なんかやらなければいけないことになる。しかもそのころの数学は、昔旧制中学で習ったのとはもう少し違った数学までやっていたわけですよ。だから、私の同期生あたりで旧制に落ちた連中は、新制には到底受からぬということで泣く泣く進路を変えた者もいる。ということは、受験生というのは本当にそうくるくる変えられちゃ困るわけです。難問奇問が悪いというのは一つの見方であって、それなりに準備してきた者にとっては、やはりそれなりの一つの意味があるわけです。  私は今度のいわばいろいろな制度の改変に非常に義憤を感ずるのですね。一体、それぞれ受験生の子供を持っている連中が本当にやっているのかどうか。私はこの点、せっかくつくったのだから私学にも入ってくれというのはわかりますけれども、これは強制すべきではない。私学はそれなりの自分の選考の仕方に任すべきだと私は思います。もし私学が今の国立のやっているテストを何か参考にしたいと思えば、勝手にそれを聞いてきて参考にすればいいのであって、この制度がいいからおまえ使いなさい、使ってくれなんということはもってのほかだと思うのですが、文部大臣いかがでございますか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 安倍先生のお気持ちもわかります。ただ、新テストがまず先にありきでその新テストについてどう考えるかということも一つのお考えでしょうけれども、その新テストを必要とする前段がございまして、日本の教育は、水準は高うございますけれども、やはり画一性から個性重視へ向かおう、そういう前提がありまして、そのために学校教育も個性化、多様化していこう、そして個性化、多様化を伸ばすために入試のあり方も考えていこうということで、いろいろ今まで、国公立は多少の、十年間の経験がございますけれども、新たに私学あるいは高校の方々、その他入っていただきまして、個性化、多様化のためにはどうしたらいいかという御議論をいただいたわけであります。  その結果、個性化、多様化を進めるためにはこのような新テストは非常に有効だという結論をまとめていただいたものでありますから、それであれば個性化、多様化を国公私立にお願いをしていく、これは全国にこの精神を御理解いただくという意味で広く御理解を賜るようにお願いをしていく。たまたまその多様化、個性化のために有効だと言われる新テストも、自主的な判断ではございますが、当然御理解いただくことに進めてまいれれば幸いだという考えでございますので、前提がございますから、新テストはそこから生まれたものというふうに御理解いただきたいと思います。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 個性化、多様化というのであれば、私学に本当に自由にさせたらいいのですよ。ある私学は内申で全部やるとか、ある私学は要するにいろいろな混合体でやる、期間も、何も試験日を限らなくていいわけです。半年前からやってもいいのですよ。先ほど留学生の話が出ましたけれども、私はフルブライトでアメリカのペンシルバニアの大学に行ってきました。ああいうところはいろいろなデータから、フルブライトの場合は別でございますけれども、ハーバードあたりにしてもいろいろな高校の内申、面接、長時間かけて選ぶのですよ。そういうことをしたい者はそうされていいじゃないですか。そうされているのだと思いますがね。  こういう共通テストを使うことは、逆に言えば画一化に近づけるのですよ。本当に、日本のこの考え方というのはおかしいな。私学はそれで自分の好きなように採りなさい、何も期間を一遍にすることもございません、ある私学は半年ぐらい前から人を呼んできて選考する、それでいいじゃないか、私はそう思いますよ。そこが、画一化を防止するという意味が逆に画一化に追い込むような話になりかねない。  今回の共通テストというものが果たしていい方向にいくのか。特に受験生なんかはどこでどうしたらいいかわからないのですよ。しかも、AとかBとかいろいろ何かわけのわからない順番、今度のテストじゃないですけれども、本当に毎年毎年くるくる変わる。まさに受験生いじめであり、親いじめなのですよ。これは、ある者はこのテストがいい、ある者はあのテストがいい、それぞれ思いますよ。それはそう思ったところで全部がそのとおりいくわけじゃないので、私はこれとの関連で、制度の改正というのはもっと時間をかけて、しかも余裕期間は少なくとも三年以上にすべきだ。というのは、三年あれば高校の一年生に入ってから三年まである程度準備ができる。もっと長ければ一番いいのですけれども、そのくらいにしませんと、一生懸命そっちの方向に走ってきた連中が、制度が変わることによって自分の進路をくるくる変えなければいかぬ。  これは日本の、私も役人でしたけれども、物事を変えることが改善と思うのですよ。簡単に言えび改悪もいろいろあるわけです。もっと慎重に考え、しかも猶予期間をもっと置かなければいかぬ、少なくとも三年以上置かなければいかぬと思うのです。この点、大臣いかがでございますか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 今、前段のお話で、自由にさせるというのに統一というのは相反するのではないか。  これは、言葉の上で受験生あるいは受験生の御両親もその点誤解があるといけませんので、専門用語でなくわかりやすく申し上げますと、例えば今までの受験生、高校になりますとやや専門化していってしかるべきだと思いますが、それぞれ得手不得手がございますが、得手不得手ともどもに暗記をしていかなければならない。ただ、大体の高校の水準を修得すればその後は自分の得意の分野で勝負できるというシステムでありますから、むしろこれは自由に任せると言いながらなぜ統一かというのではなくて、自由にできるためのシステムである、このように御理解をいただければ御納得がいくのではないかと思います。  ですから、そういう意味で、まだテストの命名をいたしておりませんが、これはそういう意味での新しいテスト、決して今の受験生にとりまして受験方法の中でより難易度が増すというものではなくて、より自分の得意な分野で勝負できるという方向のテスト形態であると御理解をいただければと思っております。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 ある者はそちらの方向でずっと勉強しているわけですよ。それが、ある大学がじゃこのテストを使いましょうと言い出した途端にがらっと変わってしまうわけですよ。そうでしょう。難易度とかなんとかいう話は外から考えるだけであって、受験生は違うのですよ。ある受験生はずっとこちらの方向で勉強していた。総合点を取るためには逆に難しい方がいいのだ、そういう方向で勉強しているわけですよ。それが、ひょっとあるテストを持ってきて平均点を取るとなると、これは落ちるかもしれない。そういった方向で勉強しているのがいいか悪いかはありますよ。あるけれども、我々が一般的にこっちがいいだろう、あっちが悪いだろうと言うのは、片方の立場であって受ける方の立場でないのですよ、簡単に言えば。そういうことだったら、何年間か余裕期間を置いて、それで準備させてやらせるというのが親切な方法なのですよ。  大臣、テストの中身については私もちゃんと勉強しておりますけれども、期間をもっと置くべきだという意見についてどうお考えですか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 この入試の仕組みを変えるということに関しましては、従来から高等学校、特に高校長協会等とも話し合いをしながらやってまいりました。大体、高校長、関係者等の御要望というのは、変わるのであれば高等学校二年生の夏までにはそのことが告知されるようにしてほしいという御要望があるわけでございます。  今回の改革につきましても、高校関係者等も含めまして六十五年度入試からの実施という方向を決めたわけでございますけれども、各大学のアナウンスをする時期も、その高校長協会の要望に基づくこの二年ほど前に当たりますことしの夏ぐらい、二年生の夏ぐらいには間に合うように予告を守る、利用するところは各大学から予告をしていただくという方式をとろうということで現在進めている次第でございます。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 校長会とか言うけれども、校長は受験生じゃないのですよ。しかも、選ばれた少数の校長に何がわかりますか、受験生の気持ちが。受験生を選んだら、余裕期間を置いてくれと全部言いいますよ。校長は、そのくらいでもどうにかやっていけるかもしらぬと自分で考えているだけですよ。  私は自分の経験からして、科目が変わるというのは本当に人ごとなんですよ。これは必ず三年以上の猶予期間が要ると思います。いかがですか、大臣。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 これはあくまでも新しいテストであります。ただし、共通一次という前提からすれば十年間の国公立の経過がございますから、これは参考にすることができると思います。その参考にいたしました結果はいい方向に出ておりますので、それを参考にいたしつつさらに新たなテストを施行する、こういうことでございますので、これは一年猶予を延ばしました。そして十分考えまして、この方法でよかろうということで、これは進めつつ御理解をさらに深めたい、こう思っておるところでございます。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 これは受験生や父兄はいいとは思っていませんよ。この方法がいいと思っても、少なくとも三年くらいの余裕は置いてほしい、私はそれが常識だと思いますね。大臣、その点はもう一遍よく検討してください。これは何もそんなに急いで、慌てて施行する必要はないのですよ。本当にいいのかどうかという異論もまだあろうし、これは校長がどう言った、あれがどう言ったじゃなくて、少なくとも三年間くらいの余裕は置くべきですよ。本当にぐるぐる物を変え過ぎるのです。いかがでございますか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 せっかくの御指摘でございますが、くるくる変えるのではなくて、個性化、多様化のために方向を合わせていっている、こういうふうに御理解をいただきたいわけでありまして、既に国公立の方では、私も見ていましたけれども、少なくとも小論文の採用、これは各学部で相当採用部分がふえております。あるいは面接もふえております。そういう点で、一般の水準は一応の参考にしてもらう分野でありまして、あとはその一人の人間の能力というものを、マークシート方式だけでなく、論文あるいは面接を含めまして十分その人間性、創造性を見ていけるという結果ははっきり出ておりますので、その十年間の共通一次を参考に、そして新しいテストを実施するということにつきましては、決してこれ以上その時間を持つ必要はなかろう、このように考えておりますので、進めさせていただきたいと思っております。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 どうしても進めるというのを私はとめるわけにはいきませんけれども、私は本当に私学はそれぞれ自由な方法で、今の例えば国公立の試験あたりも参考にしたっていいはずですよ。そうやって本当に私学に独自の試験をさせるべきだ。もちろん国家試験とかいろいろな試験は一定のレベルが要りますから、それはいたし方がない。私学がそういう方向で人間を選別して、その結果、卒業生が伸びていけば、長い間にはいい評価が出るでしょうし、あるいはくずばかり拾えば評価は落ちていくでしょう。それは長い間の私学の競争でいいのですよ。だから、どういう人間をどう採るかというのは全く私学の自由に任せるべきです。私はそう思います。その方が本当に多様化の人材が生まれる。だから、共通一次一つやらせて、それを使ってくださいということは逆行だと思います。  今は私学は自分の好きなように採れないのですか。採ろうと思えば採れるのですね。物理的に今集中していると言うけれども、私学によっては、本当に一年くらい前から、青田刈りじゃないけれどもいろいろ勧誘して選んだっていいはずですよ。いいんですね、それは。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 その点は後でお答えさせますが、私学にはそれぞれ建学の精神がございますし、自分の建学の精神に従って、特徴ある学風の中でそれぞれ優秀な生徒を受け入れたい。その中で、特に自分のところでこの部分を見たいという点につきましては、それぞれの私学が独自のテストをできるわけでございます。今後ともますますできるわけでございます。それをやるために、その他の分野では参考にこのテスト結果を自由に裁量していただける、そのように自由にお使いいただくためのシステムでございますから、先生がおっしゃる方向の、私学はますます御自分の自由なテストをやりやすくするためのシステムと考えております。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 いずれにいたしましても、受験生というのは非常にショックなんですよ、そう変えたにしても、変えるにしても。そういった意味で本当に私は時間が必要だと思います。よかれと思っても、一つもよくないと思う者は幾らでもいるわけですよ、我々が勝手にそう思うだけであって。私学によっては、例えば国立の関係のあれをおまえ持ってこいと言ったっていいはずですよ、今でも。あるいは全然見なくてもいいわけですよ。要するに、こういうことをやった、使うものは使え、使いたくないものは使うな、まさにそれは本当の自由にすべきです。  そこで問題は、私学が何か補助金をもらっているから聞かなくちゃいけないのじゃないかという気がすぐするのです。これは事実――いや、首を振られてもそういう要素があるわけです。  私が海外へ行ったときに、アメリカのプライベートスクールというか、あれは寄附でもっているのですね。要するに、人の名前を冠したヒューストンホールとかローガンホールとかぞろぞろあって、寄附者のいわば名前を冠した建物が方々にあるわけですよ。そこではみんな勉強している。日本の場合、補助金で私学をあれするというのじゃなくて、寄附を税務上もっともっと優遇して自由にさせてやる。そうすると、人によっては、寄附した人間が自分の子供を入れようと思って裏口入学させるだろうということを言うかもしれないけれども、そんなことは微々たるもので、それでもって裏口入学が多い学校はそれなりに評価を落とすのであって、あるいは裏口入学で入った――たしかチャーチルあたりも、裏口ではないけれどもどこかの士官学校に裏口に近い格好で入っているのです、僕の記憶によれば。そういうことで、日本は余りそういうことを縛り過ぎる。これは大蔵省との関係もあるかもしれませんけれども、その面で、もう少し私学に対する財的基盤を補助金からむしろ寄附の方に持っていくべきだ。そういう方がむしろ正しいのじゃないか。  特に、二十一世紀に多様化を目指すときに、かつて私は臨教審でいろいろ議論したけれども、そこで一番この理念がよかろうなんと言ったて、価値は多様なんで、あれがいいなんてだれも言えないわけです。要するに自由競争させる。特に、アメリカの大学院というのは、しょっちゅう教授がかわって、その教授について回るとかそういう自由競争があるのですね。学者なんかも、論文を書いて、それがだめだとどんどん自然淘汰されてしまうのですよ。日本の場合には、どの大学でも教授になると一生食いっぱぐれがない。まさにこういう自由競争を通じて私学の独自性を発揮していく。  今度の共通テストは、おっしゃるように、これを使えばもっと時間に余裕があると言うかもしれないけれども、私学によっては、時間的余裕は一年でも半年でもあるのだから、早い時期から好きなように面接をさせて選ばせたっていいのですよ。それでもって私学が名声を落としていけばそれはそれだけの話であって、余り縛り過ぎておると思う。  この寄附について、もう少し補助金行政から寄附行政というかそういう方に転換することについての御意見はいかがでございますか。

坂元弘直文部省高等教育局私学部長

○坂元政府委員 先生に御説明するまでもなく、学校教育における私学の占める役割は非常に大きいわけでありまして、そういう観点から、国として、法律に基づきまして一方で私学助成を行い、同時に税制上も優遇措置を講じて、両面で私学振興策を講じているところでございます。  先生御指摘のとおり、寄附金の受け入れの促進等によって自主的な財源を確保するというやり方ももとより重視しなければいけない方法ではございますけれども、現実に昭和六十年度の実情で申し上げますと、私立大学等、これは高等教育機関、私立の短大、高等専門学校のトータルの傾向でございますが、一般収入の約一兆九千億の中に占める補助金、いわゆる一般的な補助金の割合が約二千七百億で一四・四%、それから寄附金収入が約五百二十億で二・八%という状況でございます。  これについては、もちろん先生が今御指摘になりましたような観点から、寄附金の受け入れの要件その他についてやや硬直的で入りにくいのではないか、その結果がこういう数字に出ているのではないかという御指摘もあろうかと思いますけれども、私どもとしましては、助成策と寄附金の受け入れやすい方策を今後とも探っていくという両方の手だてが必要ではないかと考えているところでございます。  寄附金全体の取り扱いをどうするか、免税措置の要件その他をどうするかということは、日本の税制全体の免税措置との整合性を確保しながら私学についても考えていかなければならないわけでございますが、それでも、六十二年度におきまして、私ども、私学に係る寄附金の要件、手続等の簡素化等行ってきているところであります。  今後とも、先生の指摘された点も十分踏まえ、かつまた我が国の税制上全体の整合性を確保するという観点をも十分踏まえつつ、私学に寄附金が入りやすいような方策について手だてを講じて探ってまいりたいというふうに考えております。

安倍基雄民社党・民主連合

○安倍(基)分科員 もう時間があれですから、いろいろ聞きたいことがあったわけですけれども、この問題は臨教審でがたがたああしようこうしようと言う前に、要するに実際のところ本当に独自の個性を持った学校教育をさせるという一点でいいと私は思うのです。あとは、これだとかあれだとかと言うのは、言うたら悪いけれどもおこがましいのです。  そういったところで、本当に税制問題、各国の比較も一覧表にして出してもらいましたけれども、まだまだ補助金でやっていこうという気持ちが強い。むしろ寄附、それから月謝、やはり子供のことですから相当無理しても親は出しますよ。月謝が高ければ頑張って安いところの公立へ行けばいいのであって、私はせっかくの二本立てのあれが、私学の特色が生かされてないと思います。共通テストが逆に、皆さんお互いいいと思うけれども、そうじゃない。しかももっともっと時間をかけるべきだ。この点だけはもう一遍よく考えていただけませんか。  では質問を終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて安倍基雄君の質疑は終了いたしました。  次に、沢藤礼次郎君。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 まず最初に、二つほど具体的な事項について御質問申し上げたいと思います。  最初は、ことしじゅうに着工が予定されております日本現代詩歌文学館についてであります。  これは、概略申し上げますと、今までの文学に関する資料館というのは、全国各地にあるわけですが、そのほとんどが散文中心であった。そういった背景の中で、文学の源泉ともいうべき詩歌資料はわずかしか保管されていない。そこで全国で唯一の詩歌専門の文学館を建設したい。これが一つの動機となって、岩手県の北上市に、今年夏となると思いますが、着工の運びになったわけであります。  詩集、歌集、句集、関連の伝記、研究書あるいは詩人等の生原稿、声のテープ、ビデオ等を全国規模で収集して保存し、展示するという内容になっておるわけであります。そしてそのほかに、機能といたしましては、全国から収集された現代詩歌の真髄を求めて来館する人々のためには、公開する施設として閲覧室、学習室、視聴覚コーナー、目録コーナー、そういったものを設ける。また、県域、その地域の住民が詩歌を学習したり全国規模の詩歌愛好者が交流する場所としての講堂、会議室、展示コーナー等を設ける、こういう内容になっているわけであります。  これには有名な井上靖先生等が参加なさっておるわけでありますが、まず最初にお聞きしたいのは、今動き出している日本現代詩歌文学館についてどの程度理解を示しておられるか、評価もあわせてその辺をまず先にお聞きします。

齋藤諦淳文部省社会教育局長

○齋藤(諦)政府委員 こういう文学館は文部省の社会教育局では博物館としてとらえているわけでございます。ほかにも文学の関係が博物館としては九つほどあるわけでございます。先生おっしゃるように、詩歌については文部省としても余りその例を聞いていなかった、こういう現状でございます。  その計画につきましては、昨年六月に公立のいろいろな施設の各県の計画の調査を行ったわけでありますけれども、その際、この詩歌文学館を建築する計画があることが県を通じて報告がございました。なお、これについては、補助金については特に希望しない、こういうような考え方でありました。その後、具体的な計画は補助金の関係がないものですから私どもとしてはとらえておりませんが、ただ、博物館としてはこういう活動はぜひ推進していただきたい、このように考えている次第でございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 これは読売新聞のコラム欄「編集手帳」にこれを取り上げられた記事もあるわけでありますが、全部読むわけにいきませんのでちょっとピックアップしますけれども、大きな反響を全国的に呼んでいる、既に全国から六万点を超える本、生原稿、写真類が寄せられているということを書いた後に、詩歌専門というユニークな発想がやはりポイントになるのではないだろうかということ、そしてそのほかにこの詩歌文学館が行っている事業として、既に三回行っているのですが、詩歌文学館賞というものを制定して運動に弾みをつけた、ことしで三回目になるということで、東京で選考会をして現地で贈賞式が行われるという催し物もやっているわけであります。  そういったことも含めまして、行事に対する協賛であるとか財政的援助は、今具体的にこうしろああしろということは出てきていないようですからここではおいておきますけれども、いろいろな角度から文化行政としてこれをフォローして行政的な手だてを厚くしていただきたいと思うのですが、この点について御所見を賜りたいと思います。

齋藤諦淳文部省社会教育局長

○齋藤(諦)政府委員 こういう歴史とか文学とか、あるいは自然関係も含んでおりますが、日本博物館協会というのがございまして、これは財団法人でありますが、全国大会であるとか資料の作成であるとか海外の調査、こういうものに対して文部省としても補助金を出しているところでございます。建設の暁にはぜひこういう協会に御加盟いただきまして、相互に協議会なりいろいろな研修に御参加いただきたい、こういうように思うわけでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 若干質問が枝道にそれることをひとつお許しいただきたいと思うのですが、同じ読売新聞の「編集手帳」の文章の中に、詩歌の同人誌は二千以上と言われる、そのすそ野の広さからしてこの図書館は早晩満杯になるんじゃないかということを言っています。満杯になるという現象は別といたしまして、詩歌というのは、同人誌の数からいっても参加している人数からいっても大変すそ野が広いということはここに指摘されているとおりだと思うのです。  そこで、文化という言葉があるわけですけれども、地方文化という言葉はあります。しかし、これに対して中央文化とか大都市文化という表現はまずないわけですね。そうしますと、単に文化といえば、いわゆる中央と言われるところでつくられあるいは流されるものというふうに受けとめられがちである。私はその辺は非常に残念だと思っているので、文化というものについての文化庁の把握というか御見識をお願いしたい、特に地方文化というものについてどうとらえたらいいかということですね。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 一般に文化と申しますときの文化の中央か地方かという区別は、私は特に意識して使われていないというふうに思います。ただ、最近地方の時代あるいは文化の時代とちょうど言われておりますように、それぞれの地域における特色のある文化というものが非常に求められている、そういうことを強調するときに地方文化とか地域文化とか、そういう言葉を使っていると私は理解しております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 私見になりますけれども、今普通文化というふうに言われております現象の主な部分を占めるのはマスプロですね、そしてマスコミを通して流れるマスメディア。それを受け取る場合は、受け取る人間というのはテレビ等で示されるように割に受動的なわけです。私は、幾ら放映されている内容がすばらしいものであったとしても、テレビの前に座って見ていること自体が文化だというふうには理解したくないわけでありまして、文化というのは、参加するあるいは自分でつくり上げていくというもののトータルでなければならないと考えるわけです。  もう一つあります。これは私が敬愛しております東北大学の教授で退職なさった歴史学者の高橋富雄先生という方がおられるのですが、文化というものの語源であるカルチャーというものをとらえて、むしろこの文化というのは、自然と人間とのかかわり合いにおいて自然の持っている能力を最大に発揮させる、そしてまた人間も高まっていく、これが文化じゃないかということをおっしゃっているわけで、私も人と人との触れ合い、人と自然とのかかわり合い、その中から相互に持っているエネルギー、持っている能力というものを高めていくというのが文化だろうと思っているわけですが、所感をひとつお願いいたしたいと思います。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 文化というものを普通私どもが領域的に分けますと、芸術と生活文化と国民娯楽というふうな分け方をしております。それから、それを先生今おっしゃいましたように能動的か受動的かという場合に、参加する文化、あるいは鑑賞、受動的な文化ということになろうと思います。  最近大変その辺について関心が持たれておりますのは、御指摘のように、参加する文化というものに対して、住民や国民が参加するということについての機会をふやせ、ふやすべきだ、そういう点に重点が置かれて強く要求がなされている、それに対応して文化行政がなされなければならない、そういうふうな理解をしております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 かなり共通理解に達したと思っておるわけですが、今後とも今申し上げたような文化のありようについて、中央地方という言葉は余り使いたくないのですが、全体的な文化のためにひとつ御努力をお願いしたいということを申し上げて、お願いをしておきたいと思います。  そこでもう一つ、最近話題になったもので一つだけお聞きしたいのですが、ある有名な経済人が、経済界のトップリーダーの人が公開の場で、「仙台遷都などアホなことを考えている人がいるそうだけど、北の方になんぼ住んでいるか知らないが、だいたい熊襲の産地、文化程度も極めて低い」、こういう発言をなさっている。今、社会的な問題になっているわけですけれども、文化庁では、東北は文化が極めて低い、熊襲の産地だと思っておられますか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 先ほど申しましたように、地域ごとの特色のある文化ということが全国的に叫ばれているわけでございまして、それぞれの地域においてそれぞれ特色を持ったものが育っていくということは大変結構なことだと思っております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 この問題はもうこの辺でやめておきます。私も東北の人間として、若干興奮したくなるものですから。  ただ、一つつけ加えておきたいのは、例えばすばらしい文化だと言われている平泉文化ですね。あれは中央文化の移し植えじゃないのですよ。住みついた豪族といいますか、あの地域でつくり上げた文化なんですね。そのほかにもたくさん例があります。決して東北が今言ったようなことではない、やはりプライドを傷つけられたという感じはするわけです。不買運動が起こるかどうかは、ちょっとこれは別問題でありますけれども、今後はひとつそういうことがない状態を、特にトップリーダーとも言われる人たちには少し文化庁の方から文化についての講義でもしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  次に、史跡に関して、古墳について一つだけお聞きをしておきたいと思います。  岩手県の江釣子村というところに、五条丸、八幡、そういったところに百基以上の古墳群が存在しております。古くから蝦夷塚として保存されてまいったわけで、これは文部省でしょうか、どちらでしょうか、昭和二十六年と三十七年に学術調査がなされている。また、この江釣子古墳群の地域は、昭和五十四年九月十日付文部省告示第百四十八号をもって、史跡江釣子古墳群として国の史跡に指定されておるわけであります。  そこで、地域の要望等をしんしゃくして申しげますと、この貴重な文化財を保存して、あわせて土地を公有化する。公有化を図るために今まで年に千万円程度の補助をいただいておるようでありますけれども、これを充実していただきたいということが一つであります。  それからもう一つは、この地域はインターチェンジ等の隣接地でございまして、この古墳群周辺はかなり激しい変貌をしているという状況のもとにおいて、当江釣子村では古墳群の保存管理計画に基づいて五十七年度から国の補助を得て公有化を進めてきた、こういう事情があるようですけれども、この古墳群の分散しているところあるいは虫食い状態のところを、寄せ集めるというのは変ですが、整理いたしまして環境整備事業をやりたい、こういったことについて国庫補助の助成を賜りたいということが要望として出ているのです。  古墳群そのものの公有地化、それから環境整備に対する助成、この二つについてお伺いしたいと思います。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 江釣子古墳群は、先生今おっしゃったような経過で史跡に指定されております。これは七世紀の後半から八世紀にかけて築造された東北地方最大規模の古墳群ということでございます。  この史跡地につきましては、公有化する必要のある部分というのは大体一・八ヘクタールほどございまして、先生お話しのとおり、昭和五十七年度から国庫補助事業として公有化を始めまして、昭和六十二年度までに、およそ半分弱でございますが〇・八六ヘクタールぐらいの部分を買収したわけでございます。この買収につきましては、地元の地方公共団体から要望をいろいろ聞きまして、ほぼその要望に応じた対応をしてきたと私どもは思っております。今後とも地元の意向を十分に聞きまして、財政状況もございますけれども、適切に対処していきたいと考えております。  それから、この古墳群の整備事業につきましても、そういう御希望があるのでございましたら、地元から十分具体的に聞きまして、これも適切に対応していきたいと考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 ぜひこの古墳群につきましては御努力をお願いしたいということで、この質問は終わらせていただきます。  次に、文部省関係になると思いますが、特に私は試行中の初任者研修制度について幾つか質問を申し上げたいわけです。  その前提として、私はある文章を引用させていただきながら大臣の所感を賜りたいと思うわけで、失礼ですが若干読ませていただきます。これは吉田という退職した学校長が書かれた本なんですけれども、その中で、名物先生が欲しいというような意味の文章があるわけです。  「どんなに規格化された学校でも名物先生の一人や二人はいるものだ。泥まみれになって、子供と遊んでいる保育園の先生。大声でしかってはいるが、無性に子供に好かれている小学校の先生。時々、教室を間違えて、隣の学級で一時間たっぷり授業した中学校の先生。」そういった名物先生というのが懐かしく思われるのだが、どうしたわけか最近の学校は名物先生というのは住みにくくなったようだ。「しかし、名物先生には、不思議に子供たちが寄って来る。来るなと言ってもついて来る。」こういったことを文章に書いているのです。  大臣、学校時代、小さいころを思い出していただきまして、学校に名物先生おられましたか。それについての御感想があったらお聞かせ願いたい。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 そう言われますと、おられましたね。本名よりも、はっきり言ってあだ名とその風貌がすぐ浮かぶような先生がおられましたし、思い浮かべるごとにほほ笑ましいというか、怖かったけれども親しみがある、そういう先生がおられました。あるいはどなたにもそういう先生はお一人かお二人おられるのかもしれませんが。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 済みません、もう一カ所引用させていただきますが、「生きている千手観音」という文章なんですけれども、「教師って、千手観音にならなければ勤まりませんね」と、ある先生が言ったわけです。それは、小学校一年生のある女の子の詩でございますけれども、   先生の手、三ぼんあればいいなあ   そうすればさ   みっちゃんとさ   ちゅういちくんとさ   わたしと三人   手をつなげるもん という詩なんです。先生と手をつなぎたい。それから、学校から帰るときも、ただ十把一からげのさようならではなくて、一人一人声をかけ合って帰るという先生が欲しい。したがって千手観音でなければこれはなかなか勤まらないぞ、こういうふうな文章があるわけです。  私は、特に教育の場では人と人としての接触、具体的な接触というのが非常に大切だと思うのです。  ところが、初任者研修の今までの経過を見ていますと、該当者の新採用の人に研修研修ということでかなりの負担がかかっている。大臣御存じだろうと思うのですが、長いので、実地研修、これは学校内を使って他の先生が来て授業をすることも含めて七十日間、教育センターに出かけていってやるのが三十五日間、宿泊してやる研修が五日間、それから豪華客船に乗ってやる洋上研修が十四日間というふうに、校内の七十日を除いても合計五十四日間学校を離れるわけですね。  こういった実態の中で初任者研修の真髄というものが育つだろうか。そこには確かに知識の吹き込みがあるかもしれないし、管理的ないろいろな指導はあるかもしれないけれども、重要な部分が欠落したまま、生徒から引き離しながらこれが行われているということに対して、私は非常に不安と不満を感ずるのですが、いかがでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 ちょっと事実関係について申し上げさせていただきたいと思います。  現在、三十六都道府県、指定都市におきまして初任者研修の試行を実施いたしております。  文部省が示しておりますモデル、参考案が、先生おっしゃいましたように校内研修として七十日間、これは主として先輩教員による指導という体制をとっていただくわけでございます。そのほかに、教育センター等におきます校外研修を三十五日間予定いたしております。先生おっしゃいました宿泊研修四泊五日あるいは洋上研修十四日間といいますものは、この三十五日間の枠の中で措置していただくという考え方でございます。しかしてまた、三十五日間の校外研修につきましても、一般的にはウイークデー等で行われる場合もございますけれども、例えば夏季休業期間中の実施等もその中に入れることが可能でございます。  それぞれ各都道府県で御苦労いただいておりますけれども、子供たちとの関係で申し上げれば、今申し上げました校内研修は、子供たちに直接授業をしながら先輩教員が付き添って指導する形態でございます。そういう意味で、子供たちとの接触の機会を断たれる期間がなるべく少ないような工夫というものを各学校等でも努力していただきながら、今の試行を進めている段階でございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 今の問題、もう一回申し上げたいのですが、臨教審の第一次答申の中に、「教育の世界にいきいきとした活力と創造性、豊かな人間性を回復し、」回復という言葉を使っていますね、「学校に本来の学校らしさを取り戻す」というくだりがあります。そして、これはある新聞の社説でありますけれども、であるならば、これを実行に移すためには、「まず教師の自由・自律や個性が尊重されるのが先決でなければならない。退職教員や教頭によるマンツーマン指導では、逆に新人教員の個性や自立性を失わせないか」という指摘であります。私はこの指摘に共感を覚えるわけであります。  若干敷衍させていただきますと、例えばこれは岩手県における教職員組合、高等学校教職員組合合同での調査結果。これはたしかお手元に差し上げていると思うのですが、これの中で、実際に初任者研修をやっている先生方の声として、子供と接する時間がないという嘆きを持っているのが、小中学校の場合四〇%、高校で三〇%という数字が出ておる。やはりこれは実感として感じているのじゃないだろうか。その反面、やはり自習時間が多くなっているという実態もございます。それから、授業がおくれるとか、先生がかわるので子供は戸惑う、この部分は若干私現場におった体験から説明を加える必要があるのですが、例えば校内研修でも、ほかの先生が来て授業をするとか、まして校外から非常勤の人が来てあるいは指導員が来て授業をする場合、これはもう今までの流れと断絶する格好で授業を進めざるを得ないわけです。  私はやはり子供に接する場合は、あの子供の家庭環境はこうだとか、この子供は反応は鈍いけれどもこうだとか、この子供は褒めてやれば伸びる子だとかいうことを頭に入れながら、そして前の時間はこうだった、あのとき不足だったものをここからスタートしようというふうな格好で、連続してやっていって初めて授業は成り立つ。そこに細切れのように指導教員と称する人たちが入ってくるという実態について、非常に不安、不満を感じているという、これが声だろうと思うのです。この点についていかがですか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 先ほどの個性の問題、先生御指摘いただきましたけれども、私ども、初任者研修の試行に当たりましても、それぞれの新任教員の個に即した指導を行っていただきたいということをお願い申し上げているわけでございまして、それぞれの先生方が持たれる独自のお悩み、あるいはそれぞれのテーマ等に即しましてアドバイスを与えていただく、そのことによってその新任教員の持ち味を伸ばしていただくことを期待しているわけでございます。  それから、いろいろな問題点の指摘等もございましたけれども、私ども、この初任者研修の実施に当たりまして、いわゆる教育力の向上のみならず、新任教員の研修意欲あるいは他の教員の研修意欲の向上も図っていただき、学校の活性化を期待しているわけでございますが、実施に当たりましては条件整備等に努めまして、学校現場でも教育活動が支障なく展開できるように一層の期待をしておるわけでございます。  もちろん一般の、初任者研修を受けない今までの教員に比べますれば、それなりの負担があることは当然でございます。しかしながら、御苦労いただき、そしてその方々が一年間の初任者研修を終えられて、残りの三十数年現場に還元していただく、そんな期待を込めて今試行をお願いしている段階でございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 時間が余りありませんので、また別な機会をと思うのですが、やはり指摘されている内容として、子供たちの側からすれば本当はいつもいてほしいわけですね。何かあったときに相談をしたいとか、あるいはすがるとか。ところが他の先生と違って、研修中の初任者の先生というのはいない場合が多い。子供たちが寂しがるということと、それから、父母からこういう指摘が出ているのです。自分の子供の先生はいつまでも先生の卵ですかという疑問、先生と話をしたいと思っても会えないという不満、こういったものが子供の側から、あるいは親の側から出てきておるわけですよ。  ですから、私はここでどっちが正しいと決着をつける論争をしようとは思いませんけれども、一つの事実としてこれは受けとめていただかなければならない。そして、試行期間というのはやはり試みですから、その中から出てくる問題点なり、軌道修正するべきものはこれはしなければならないのですよ。そのことについては、いかがですか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 現在お願いしております初任者研修の試行は、各地域、学校等の実情に即しまして各般の問題点を探ることも一つのねらいでございます。と同時に、いわゆる本格実施への円滑な移行を期待するという両方の面を持っているわけでございますが、先生御指摘ございましたように、現在試行の中で浮き彫りにされております各般の問題については、これを改善、工夫し、より適切な形で初任者研修が実施されるような方向での参考材料とさせていただきたいと考えているわけでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 本当はまだ指摘したいこともあるのですが、後で資料をじっくりごらんいただきたいと思うのです。  例えば、定数の問題にしても、中学校あたりになりますと、学科単位でしょう。ですから、マン・ツー・マンの場合でも、やってくる指導員というのが、私なら私が理科であれば、理科の先生が来る場合がある。一人ふやしたからといって他の教科にはプラスになっていないわけです。ですから非常勤をやったからいいんじゃないかとか、あるいは指導員一人多く定員をつけたからいいじゃないかということには必ずしも一〇〇%ならない。それから非常勤の場合は、文字どおり非常勤ですから、授業だけが主体になりまして子供たちとクラブ活動するとか学校行事に参加するというのがほとんどないわけです。  こういった点のマイナス面もありますので、まあ結びになるかどうかわかりませんが、ひとつ試行期間の点検というのでしょうか、あるいは後追い調査というのでしょうか、これをきちんとなさって、より考えるべき点があればこれは考え直すということを、その点検をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 御承知のように昨年四月にスタートした試行制度でございまして、間もなく一年間の結果が出るわけでございます。私どもは都道府県教育委員会の方から詳細な報告を聴取いたしまして、六十三年度の試行並びに六十四年からの本格実施に十分な参考材料として活用させていただき、また改善を加えるべき、工夫すべき点は工夫してまいる、そういった姿勢で臨みたいと考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 時間が来つつありますので、もう一つにとどめたいと思います。  これは全く特殊な例ということじゃないと思うのですが、アンケートによりますと、三〇%に当たる初任者が、服装についてネクタイを締めてきなさいとか、これは障害児学校とか低学年と遊ぶときはネクタイ締めてかかったんじゃどうにもならない、格闘するくらいな気持ちでなければできないわけです。そういったことがあったり、つまりこれは非常に形だけということになるのかな。  それからもう一つ、三〇%の初任者が組合に加入するなと圧迫、圧力をかけられ、同僚の組合役員と話をしただけで校長室に呼ばれた人もいる。これが事実とすれば、これは明らかに不当労働行為ですよ。こういったことがあったらどうしますか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 組合に加入するしないは個人の自由でございまして、それは例えば管理職等がそのようなことを申し上げたとすれば、不当労働行為に該当すると思います。このアンケートを拝見いたしますと、その中で、だれに言われたかというのが出ておりますけれども、先輩とか友人とか親とか大学の先生とかいろいろな形の方もございますから、言われたというのがいわゆる行政的な意味での不当労働行為にすべて該当するわけではなかろうかと思いますけれども、先生のおっしゃったことはまことにそのとおりでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤分科員 いろいろ御質問、御要望申し上げましたが、ひとつ十分御検討の上前進されることをお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて沢藤礼次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 短い時間ですが、二つお聞きをしたいと思います。一つは見込み学級の問題、もう一つは京都大学の演習林の問題。  まず第一に、見込み学級ですが、四十人学級というのは法律的にも標準法として六十六年度までに全部やってしまおうということになっていますが、ヨーロッパではもう二、三十人学級というのがざらになっている。できるだけ早くそういう水準に繰り上げるように努力すべきだ。否、むしろ三十五人学級への移行も真剣に検討すべき時期に来ている、私はそういうふうに思うのですが、まず大臣にその点についてお聞きをしたいと思うのです。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 四十人学級をまず今目標にいたしております。六十六年に完成できますように、今着実にそれを進めておるところでありまして、まず私どもに与えられた目標は、四十人学級を着実に実行をいたす。それができました後、また次の計画を進めてまいりたいと思っておりますが、現在は、とにかく与えられました使命として四十人学級完成を目指してまいります。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 ところが、その四十人学級というても、生きた社会のことでございますので、そうなかなかうまいこといかぬですね。  私の京都の奈良県境に浄瑠璃寺とか岩船寺とか石仏のある加茂町という地域があります。そこに大阪の労住協の大きな団地がずっとできてきているのです。南加茂台の小学校の例を挙げてみますと、この学校は五十七年度に開校しましたが、開校一年目には一年生から六年生全学年で途中で学級編制がえをしなければならぬ。どんどんどんどん人口がふえて子供がふえていくものですから、ばあっと乗り越えてしまうわけですね。六十年度には五年生が九月に編制がえ、六十二年度には五、六年生が九月に編制がえというふうに、毎年途中でクラスがえをしていくという実態が生まれているのです。小さい子供のことですから途中で学級がえをやると、一学期は知り合いになる、二学期になって本格的な集団学習の道に入っていく、こういう関係になっていって、親の関係も先生との関係も安定してくる、こういうふうになるものだと思うのです。ところが、途中で学級編制がえをやられるとたまったものじゃない。それを毎年毎年やられていく、どんどん団地がふえていく。  今までもこういう地域があったんだろうと思うのですが、こういうやり方でいいんだろうか。四月の段階に一年生に入る、二年生になった、そのときに、団地は計画的にやられているんだから、もう概数もちゃんと出ている。それを予測して見込み学級というやり方でもって運営したらどうなんだろうか。そういうふうにやらしていないのか、やらしているのか。また、そんなことは心配ないよ、ほっておけとおっしゃるのか。どういうお考えたのか、聞かしてほしいと思うのです。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 学級編制の問題につきましては、当然それに必要な教職員の手当てが関連するわけでございます。現在、文部省といたしまして国庫負担金の関係では、五月一日現在の児童生徒数、在籍数をベースにいたしまして教職員定数を都道府県単位にはじき出すわけでございます。したがいまして、当該都道府県内でどの数字の教員が必要であるかということにつきましては、五月一日現在の児童生徒数によって左右されるわけでございます、ただし、このような形でございますと、今申し上げましたように学級編制は大体四月、学年当初につくられるケースがかなり多うございますけれども、途中に児童生徒数が増加いたしますために教職員の定数増が必要になってくる、そういうふうな状況が当然伴うわけでございます。  しかしながら、あらかじめ存在しない児童生徒数を想定いたしまして、それに対して学級編制をつくっておいて将来の増加に備えるというような仕組みになっておりませんのは、いわゆる児童生徒数の増を的確に見込むということが技術的には極めて至難なことでございますし、また、そういった制度を認めることになりますと、かえって安易に児童生徒数のサバを読むという言葉は恐縮でございますけれども、増加児童生徒数の見込みを立てるというような地域も出てくると学校間で不公平を生ずるというようなこともございます。そういった点で、今先生おっしゃいました特殊な事情でございますけれども、それを将来の予測として計数的に的確に事前に把握するということは大変難しいことではないかと文部省としては考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 そうすると、途中で学級がえをやることが常時化する学校の子供は不幸やと思いませんか。大臣、どう思いますか。何かの手を打ってやってもいいんじゃないだろうか。一定の予測がつく場合には見込みということが考えられてもいいんじゃないか。私は、計画的に団地がふえる場合には、一定の予測がつくと思いますよ。数人の問題で大きな変化が生まれる話だと思います。それはどうですか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 具体的に現在の児童生徒数見込みといいますのは、例えば当該市町村内で就学を予定する、あるいは言うなれば住民登録等の方法によって推計をし、そして学級編制を行うわけでございます。  今も先生がおっしゃいましたような予測の問題でございますけれども、当該団地にどのような方が入られ、子供が何人いるというそういった見込みというのは極めて立てにくいことではないか。そういう意味ですべて制度として設けます場合には、そういうことを制度化することの技術的な困難さは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、特別な対応というのを、当然毎年生ずるそういうケースに当たりまして、例えば当該県が教員数をプールしておいて、それに学級編制を当然そういう形で対応するというレアケースもあり得ますけれども、一般論として制度的にそれを設けるということは技術的にも困難だと考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 一定の予測が立つ場合はいいということになりますね。そこは弾力的に考えてもらわないと、あなたの方は規則だ規則だ、こういくかもしらぬけれども、子供さんの方は現実的に犠牲を受けているのです。教育の側も、これはぐあいの悪いことになってくる。だから、そこは僕は予測が立つ場合には取り扱いを弾力的にやってもいいということを検討してもいい話じゃないかと思うのですが、大臣どうですか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 先ほど申し上げましたように、教職員定数は都道府県単位で総数を決めるわけでございます。したがって、その総数の中で県がどのような教職員定数を各学校に配分するかというのは県の判断の問題ではございますが、今先生おっしゃいますように増加を予定するということは、どこかが減ることの予測を立てるわけでございますから、その当該団地に人数がふえる分はどこかの学校で減ることを想定して、逆に減る分も、そちらの方は学級編制を大きくしておくというようなバランス関係もあるいは必要となってくるんじゃないかという感じもいたします。しかしながら、今申し上げましたように、その特殊例外的なケースが常に起こり得る蓋然性の極めて高いということを都道府県で認識し、そういったために教職員定数総数の中でやりくりをなさるというケースはあり得ないことではないと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 それじゃよく具体的に指導してほしいと思うのです。やはり子供の立場に立たぬと、制度論から物を見ないように、もちろん一定の制度がなかったら、おっしゃるように無軌道にやられた日にはたまったものではないという面はありますよ。だけれども、やはり起こり得る事情の特殊なところについては特殊な対応を指導するということで大臣よろしゅうございますか、そういうことで確認をさせてもらいたいのです。大臣の御意見を伺いたい。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 南加茂台のことは現状を知りませんが、一般論といたしまして、そのように定期的に急増あるいは急減が予測される場合には、その予測をあらかじめ含めて対応できるような体制を具体的に検討すべきであろう、具体論は実地にお任せをしますけれども、そう思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 ちょっとついでに聞くのですが、過大規模校というのは三十一学級以上を言うのですかね、全国に千二百三十一校ある。私の京都を見ましても、小学校で十五、中学校で十六、計三十一ある。私の住んでいるところでも、福西という学校ですが、ここも千八百から千九百近くまでおるのです。それはもうそれだけおったら、先生同士の間もコミュニケーションできなくなるし、子供はもちろんそうなってきます。これが教育上どういう役割をするかというのは言うまでもない話だと思うので、この過大規模校を解消するという問題は非常に大事だと思うのですが、その解消のために、現行用地費の補助が七分の二ということになっておるのですけれども、こういう地域はこのごろ地代自身が高いという問題があって、だから大変だという面もありますよ。だけれども、解消するという場合には積極的に補助を、七分の二程度じゃなくして、もっと思い切ったことをおやりになるということを私は提唱したいと思うのですが、いかがですか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 先生おっしゃいましたように、現在急増地域関係の用地取得費につきましては七分の二の負担をしているわけでございますが、残りの分につきまして、その地方負担はございますけれども、その地方負担分の五%につきましては交付税の事業費補正が行われ、残りの九五%のうちの六〇%につきましては、元利償還費の六〇%につきましてはこれまた将来の後年度の措置としての交付税の措置があるわけでございます。そういう意味では、実質的にはいわゆる地方負担となりますものが全経費の二七・一%でございまして、その意味では国庫負担並びに交付税措置合わせまして七二・九%が財源的な補てんがされている、そういう状況でございまして、今の国庫負担率七分の二で対応することにつきまして私どもは十分な措置ではないかと考えておるわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 またしかるべきときに論議することにして、次へ移らしてもらいます。本当に解消しようというのだったら、解消にふさわしい積極策を打って出ないとあかぬと思いますよ。  次に、京大の芦生の演習林の問題、私は十三年前に一回やったことがあるのです。表日本と裏日本に分布する種が混生しているために、植生が多種多様で、木本植物が二百三十八種、草本植物が四百十四種、シダ植物が八十五種、これは確認されているだけ、そういうものがいっぱいあるのです。動物も、天然記念物のニホンカモシカを初め、ヤマネ、クロホオヒゲコウモリだと生物地理学上、分類学上貴重なものがたくさんおって、鳥類はこれまで三十三科百一種が確認されている。特別天然記念物のオオサンショウウオも生息している。戦前、植物学者の中井猛之進という人が、植物学を学ぶ者は一度は京大の芦生演習林を見るべしという論文まで書いているぐらい、芦生の演習林というのはそういう地域なんです。京都市内から何十キロになるのでしょうか、随分山越え山越えした先の美山町というところに、福井県境ですが、あるわけです。昭和五十八年にある新聞社がやった二十一世紀に残したい日本の自然百選の中に選定されている地域でもあるわけです。そういう意味では、自然の宝庫とも言うべき芦生演習林を研究や教育のためにだけでなく、広く国民に開放して、自然との触れ合いの場としても非常に有効なところだろうと私は思っているのです。今、雪が一メートル五十から二メートルその芦生の村に行きますとありますから、随分山奥の深いところですけれども、結構アユやその他の釣りのときになりますとたくさんの人がそこを訪ねてくるところなんです。  僕は、ここにせっかくある演習林ですから、ぜひその地域の人あるいは京都全体の人に広く、森林資料館とか森林観測塔とか、北大の苫小牧の演習林で何かそういうのをやっておられるそうだけれども、そういう積極的なものに大学のこういう施設を提供するということを私は地域の人たちからも頼まれているし、私もそう思うのですが、こういうものに対する考え方をまず聞きたいと思うのです。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 京大の芦生演習林でございますけれども、先生の方がお詳しいかと思いますが、場所は、京都大学から北へ七十五キロメートルのところだそうでございます。  御指摘のように、演習林というのは、本来学生の実地演習とそれから学術研究という面で利用するために設けられているものでございますけれども、実際の運用に当たりまして、できる限り地域社会に有益なものとなるように配慮すべきであるということは考えていかなければならないことであろうと思っております。京大のこの芦生演習林の場合にも、近所の小中学生その他の見学者に対してこれを開放して、おいでになったときには職員がその演習林内を御案内をし、説明をするというようなことも相当やっているようでございますが、こういったことが行われることは結構なことだと思っております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 ところで、林政審が六十一年十一月に「林政の基本方向」というのをまとめていますが、その中には、「自然保護をより重視した森林施業の推進」と、これまで「自然保護への配慮が必ずしも十分ではなかった」として「学術上、文化上価値の高い自然の保全、」をこの中で書いています。そういう意味では、この京大の演習林もまた例外でなくこれは考える必要があると思うのです。  ところが、十三年前に、昭和五十年ですか、私はここで、貴重な原生林を守れ、皆伐方式はやめよということを質問でやりました。その後、伐採は年間十ヘクタールに抑えられて、択伐が中心に、皆伐方式をやめるという態度をとられてきたことは、私は非常にいいことだと思うのです。しかし、四千二百ヘクタールの面積中既に原生林は二千ヘクタールに今日もう半減してしまっているのですよ。ですから、もうこれ以上はやめてもらいたいと私は思うのですね。研究上どうしてもやむを得ない場合を除いては、これ以上の原生林の伐採はやめるという方針を大学でも検討していると聞いていますけれども、この際、文部省としてもそういう立場を貫かれるようにあってほしいと願うわけですが、いかがですか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 演習林でございますから、本来教育研究のための施設でございますので、そこで伐採を一切行わないというのでは仕事にならないわけでございますけれども、しかしながら先生御指摘のように自然保護という大切な面もあるわけでございますので、私どもといたしましては、この伐採につきましては教育研究上どうしても必要という部分に最小限に限ってやるようにという指導を従来から行ってきておりますし、大学当局におきましても、さらに今後も伐採面積を極力減少するという方向で検討すると言っているところでございますので、その状況をお見守り願いたいと存じます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 私がこの問題をここで質問したときに、実は二千ヘクタールで抑えるという話があった。これは答弁であるのです。もうそこへ来てしまっておる。だから私はあえてもう一度言っておるのです。  随分皆伐方式から択伐方式に変えられて、非常に慎重にしてくださったことを私は非常に感謝しますし、それから現地へ行きますと、ここに農林省の人がお見えにならぬからあえて言うわけですけれども、林道をつくるのでもなかなか配慮してつくってくれていますよ。僕は、ずっと林野庁の関係の山も歩きましたけれども、なかなか配慮してよくやってくれていると思います。だけれども、もう二千ヘクタールになったんだから、切り方というのは最小限に抑えてもらうということをこの際に、かつてそうおっしゃったんだから、後世にきちんと残すためには、また、貸し手である地元の議会でも意見書がそういうふうに採択されているのですから、本当にここははっきり抑えていただきたいということが一つと、もう一つは、地元の議会の意見書にこう書いてあります。「ケヤキ峠東西十一キロメートルの林道は片切り工法でヘスター災害を受けた知井地区及び下流において災害が心配である。」林道開設を中止し、荒廃地の修復、崩壊危険箇所の改良を直ちに実施してほしい。これはこの間町長に会ったときも町長が、ダムが一つなんで、本当にちょっとした林道であってもこれは大変なことになりますよと言っていた。二十八年災害、これはヘスター台風かな、二十八年だったと思いますが、そのときにここは孤立した村になって大変だった、だから山を大切にしてほしい、十分に崩壊地は直してもらい、そして、林道をつくっていったら山を破壊することになるから、もうここらあたりでそれも考え直してくれという意見書が出ているのですよ。いかがですか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 先ほども先生からここの林道の開設はかなり配慮しているというお褒めをいただいたわけでございますけれども、この林道の開設につきましては大学当局といたしましても、自然環境の保全とか災害の防止の問題ということについては十分配慮して行うという方針を持っておりまして、具体的には開設工事につきまして、私も専門的なことはよくわかりませんけれども、林道設計要領というようなものも作成いたしまして、それに基づきまして上下流に影響がないように留意をする、同時に、崩壊の可能性や土砂が流出しやすいところには擁壁や排水孔等を設置するというような形での対応をしておるというふうに聞いておるわけでございます。また、演習林の林道につきまして定期的に点検も行っておりまして、必要に応じ補修等も行っているわけでございますが、なお今後とも、林道の開設あるいはその補修等につきまして、災害防止等の観点から十分留意をするようにという指導は、文部省としても引き続きやってまいりたいと存じます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 私この間見に行ったときは、崩壊地があるのです。褒めるばかりを言うのじゃないのです。実際には迷惑を受けている面もあるのです。だから、ああいうのは大学機関の演習林であるだけに地域の人は注目していますから、そういう意味では模範となるように、崩壊しているところは直すとかきちんとそういうのはぜひ速やかにやってほしい。一度大臣にも御見学をいただいたらまことにありがたいのでございますけれども、ぜひ演習林について大事に育てていただきますように、山を守ってもらえるように、そして大学の研究機関としてもいい役割をするように積極的な開放にも努力してもらうようにお願いをしたいのですが、大臣の御所見を伺って終わりたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 伺うと四千二百ヘクタールの土地だそうでございますので、これはもう教育研究を進めていく立場、同時に自然保護の立場、その接点におきまして、伺いますとこれは私有地の借り受け地でもあるようでございますので、地域、地元への貢献、これも同時に考えて大学当局におきましても十分検討し、進めていただくべきであろうと考えます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前分科員 それでは終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次に、関山信之君。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 大分ロングランで大臣もお疲れだと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。  日本も今やアメリカに比肩する経済大国、国民の生活水準も上がって、人々は物質的な豊かさから心の豊かさを求めている、我々は文化立国を求めていかなければいかぬというようなことは、我我日常茶飯に語るのですが、しかし、私も改めて文化行政、まあ文化というジャンルは非常に広いものですから、ここでは文化庁の予算というものに絞って少し議論をさせていただこうと思ってまかり出ましたけれども、これを拝見して大変びっくりいたしました。  実は、昨年売上税で世の中大分大騒ぎしたわけですけれども、当時、私どものところに地元の親子劇場というのがございますが、そこの父兄の皆さんから入場税撤廃の陳情のはがきがたくさん参りました。普通、陳情のはがきといいますと当節はめんどくさがってみんな印刷したやつでどんどん送りつけてくるという場合もあるのですが、この場合は、それぞれみんな自筆で、しかも、例文は見ているのでしょうけれども、なかなかそれぞれが文化の問題について切なる願いを込めたはがきが大分数ありまして、私も感銘をしたわけでございます。また、署名も、先ほどちょっと調べましたら一万一千二十一名です。私の地元の新潟市周辺を主とした地域でです。ちなみに全国ではこれが百七十六万三千九百十三という数字に上ったのだそうですけれども、このはがきの陳情のもう一つの要求が、文化予算の増額ということだったわけです。  私、今回この問題について、ともかく文化予算が少な過ぎるじゃないかということしか申し上げることはないのですけれども、実は、大臣の御経歴を拝見しまして、これは大変すばらしい大臣と話ができるなと思ったのです。大臣御自身かつて大映で映画プロデューサーをやっていらっしゃって、「黒の試走車」とか「夜の配当」などという映画のプロデューサーをやっていらっしゃるという御経歴の持ち主ですから、文化、芸術の問題については殊のほか御理解が深いのだろうと思っているわけです。  御存じだと思いますけれども、ちなみに文化予算というものについて私も調べさせていただきました。昭和四十三年からの経年的な数字を見ましても、五十五年の四百億をピークにいたしまして年々、ちょっと上がったり下がったりしますが、減ってきている。あるいは国家予算に占める比率にいたしましても、これまた一九七九年の〇・一%をピークにいたしまして八六年が〇・〇六七と下がり続けている。予算額は、ちょっと決算ベースと当初予算との数字の違いがあるようで、文化庁がお出しになった数字と少し合わないのですけれども、しかしこれはそれなりの数字だろうと思って申し上げているわけです。  それから国際比較ですけれども、実はこれまた御経歴を拝見しておりましたら、大臣は英国へ英国政府の招待で研修旅行などなさっていらっしゃるのですが、イギリスでも文化関係の予算は三百三十八億、日本が三百七十三億という六十年の数字。日本の方がちょっと多いのですけれども、英国の場合、いわゆる舞台芸術に対する奨励補助というのが二百四億、これに対して日本の場合は二十億でしかないですね。あるいは国家予算に占める比率も、日本が先ほど申し上げましたような〇・一%近いところから〇・〇六七へ下がったと申し上げたわけですが、ドイツでは〇・五%、あるいはスウェーデンでは一%、フランスでは一%を目標に鋭意努力している。こういう数字がある。イギリスの数字を申し上げましたけれども、日本の場合は三百七十三億ですけれども、そのうちの二百七十四億、七〇%は文化財保護の予算ですね。これはむだだとかなんとか申し上げているのじゃないので、いわゆる文化振興にはその残余の額が使われている。これは余りにも貧弱な予算。言われておる割に、改めて数字を見てびっくりしたのですけれども、まずこの数字について、大臣どんな御感想をお持ちでございますか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 まさに経済大国と言われる中で、これからは文化国家としての貢献度を高めなければならぬ。そういう時期という認識に立ちますと、残念ながらもっと精力的にこれを伸ばしていく努力をいたさなければいかぬな、実感としてそう思います。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 これは相手のある話ですから、後ほどそちらの方との関係も申し上げておきたいと思うのですけれども、それにしても文化庁予算の七〇%を文化財保護に使っている。これはこれで結構。その残った金額、お金の使い道なんです。  大臣は先ほど申し上げたような御経歴をお持ちでいらっしゃいますが、一体我々の文化という問題を考える上で、さまざまな仕事があるわけでございますけれども、申し上げたような枠組みの中で言えば、どういうところに中核的な仕事と申しましょうか事業を考えていくべきだとお考えでしょうか。また文化庁当局はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 民間芸術振興のための予算ということでございますが、これはその振興を目的といたしまして、創作活動助成とかあるいは芸術祭の開催でありますとか芸術家の研修でありますとか、芸術家の顕彰でありますとか、全体の創作の意欲をわかせるための活動費の助成、それからその活動の場の提供、それから人材の養成、それから顕彰をする、そういうような行政的な手段を講じて民間芸術振興をしていくというのが文化庁の仕事であろうというふうに考えております。したがいまして、そういった面、それぞれの団体の要望というようなものにも心を配りながら、毎年の編成をしているというわけでございます。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 それで、心を配っていただいているのだろうとは思うのですけれども、私もそのお話のございましたような分野について言えば、芸術文化の振興という面でいけば、やはり伝統的な日本の文化というものを大事にする、こういう側面が一つあると同時に、新しい文化立国を目指していくとすれば、さまざまな文化、芸術あるいはまあ科学の分野も、広く広げていけば切りがないのでしょうけれども、さまざまな分野において新しい創造というものを促していくことが文化行政だと思うのです。  今申し上げたようなジャンルで言えばまさに、一昨年ですか、国民文化祭のテーマは「広げよう、育てよう、日本の文化」、こういうことですね。一つ、やはり創造活動をやっていらっしゃる芸術家の専門家の方たちの仕事を助ける。もう一つは、文化というものについて言えば、やはり何といっても一般の国民の皆さんが広く文化、芸術というものに接する機会、鑑賞の機会、創作の機会、アマチュアはアマチュアなりの創作の機会を持つための施策の展開というものが大事だろう、こう思うのですが、芸術文化の振興について民間芸術活動費補助という費目がございますね、これはどんな数字になっていますか。十年ぐらいでもいいです。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 この民間芸術活動費補助金につきましては、五十七年度が十二億五千万円というピークを記録いたしまして、それ以降毎年度減少をしておりまして、昭和六十三年度の予算案では七億二千九百万円、そういう推移をたどっているわけでございます。これは、五十七年度以降に始まりました補助金の見直しという全体の施策の中でこの芸術団体補助金についてもそれが適用された結果、そういった傾向をたどっているわけでございます。  私どもといたしましては、そういう補助金の見直しということについてはある程度やむを得ない面もございますので、それにかわるといいますか、それ以上の効果を上げる重点的な施策というものを昭和六十一年度から始めておりまして、昭和六十一年度には日米舞台芸術交流事業、そういう新規事業を始めまして、それから昭和六十二年度からは優秀舞台芸術公演奨励、そして六十三年度予算案では芸術活動の特別推進という事業を新規に計上いたしまして、この芸術団体補助の減少というものに対して対策をとっているわけでございます。  したがいまして、昭和六十三年度の予算案では、かつて五十七年度にこの団体の予算、先ほど申しました十二億五千万円、これにかなり近い線まで、全体として足せばそれに合う、そしてこれらはいずれも民間芸術団体補助を受けていた団体に重点的に投資されるというものでございます。そういうふうな理解をしております。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 おたくの方の予算の費目の立て方が我々にはわかりにくくなっているものですから、そうおっしゃられれば全体としてのいわゆる文化振興費の全体枠というものはそう変わっていないということがあるのかもしれません。しかし、それにしても十二億から七億二千九百万ばかりに落ち込んでいるわけですね、この芸術活動費補助というやつは。あるいは先ほど冒頭に申し上げましたこども劇場なんかも、やはり同じく五十六、七年のピークで二億だった数字が今や一億四千万ばかりに落ち込んじゃっている。見直しはやむを得ない、こうおっしゃいましたけれども、何か特別あったのですか。今底辺を支えている親子劇場だとか巡回公演、親子劇場と民間芸術等活動費補助にも含まれている巡回公演に対する補助もあるわけですから、私が今取り上げております一般の国民の皆さんの芸術文化に対する鑑賞の機会の拡大というものについての施策というのは、ともかく急速に落ち込んでいるのですね。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 これは、先ほど申しましたように補助金の見直しという措置によっているわけでございます。したがいまして、文部省で見ますと、例えば社会教育の団体に対する補助とか体育団体に対する補助とかいうものとほぼ横並びで削られているという状況にあるわけでございまして、それは政府全体としてそういう方針をとって予算編成をしているということから、私が先ほどやむを得ないと申し上げたわけでございます。したがって、それにかわるといいますか、それ以上の効果を上げる事業というものについて、特に民間の芸術団体の非常にお金がかかる事業の分野について重点的に補助ができる制度、助成ができる制度にかわるものといたしまして先ほど申し上げたような新しい経費を計上している、そういうことで御理解いただきたいと思います。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 そうじゃないのですよ。もし財政当局からの見直し、臨調だ、銭がないというのなら、それはそれで横並びというのもわかりますけれども、要するに文化振興費そのものの予算の数字は横へ、大体ふえもしないけれども減りもしないという状態で動いている。しかもこの中で、私が今申し上げているのは、聞き方が悪いのかもしれませんが、いわゆる親子劇場だとか地方の巡回公演だとか一般の国民の鑑賞の機会に対する、特に子供たちの鑑賞の機会に対する補助だけが見直されて急激に減っているということはどういうことかと言っているのです。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 ただいま申し上げた単一な費目で減少しておりますのは民間芸術活動費補助が中心でございまして、あと御指摘のあります鑑賞という分野、これは先ほどちょっと申しおくれましたけれども、芸術文化を振興する上で大きく種類を分けるとすれば、芸術家の活動に対する、芸術家そのものに対する助成と、それからその芸術家が一般の国民に芸術活動を見せる、国民の立場からいえば鑑賞する、その鑑賞の場を提供するという行政と、この二つがあるわけでありますが、鑑賞の部分に関しましては、今親子劇場というのを例に挙げられましたけれども、これは中学校の鑑賞教室というのがございまして、その点が非常に需要が多かったということで、最近中学校の鑑賞教室というものに重点を置いているために多少減額になっているという分野があるということでございます。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 聞いていることだけに答えてください、時間が短いものですからね。  いずれにしろ青少年芸術劇場にしても移動芸術祭にしても、そういう分野のものが非常に減っているのは私は大いに不満です。これはぜひお考えをいただきたいと思うのですが、特に全体枠が動かないところで今度は第二国立劇場の仕事が入ってくるのですね。これはどのくらいの予算規模で推移するのか。全体枠の動かないところでそういう数字が入ってきますと、結局内側での見直しが進むものですからそういうところへしわ寄せがいくんじゃないかと思うのですが、この点については心配がないのかどうか。今申し上げた活動費補助が七億二千万の数字に落ちていること自体私としては認めがたい数字だと思うのですけれども、少なくともきちっと枠を守るぐらいのことは、この辺で歯どめをかけておかないと際限もなく減っていってしまうのじゃないか。これは全体枠をふやすことと裏腹なんですけれども、大臣、この辺の問題についてのお考えはいかがですか。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 お話を承っておりまして、一つの御見識ある指摘だと思います。  文化というのは、特に先生おっしゃったことをちょっと繰り返しますけれども、やはりその国の地域の風土と歴史とそこに生きてきた人間の哀歓の遺産が文化だと思いますから、それは過去の伝承と、それから新しい創作もまたその歴史の中から生まれてくる創作でありますから、こういう民間の創作活動、それから伝承活動を文化の面から支える、そして振興させるということがまず大事でありますし、それから幅広い活動をやりやすくするのと同時に環境を整備しまして、そういうよき芸術に接する場を設営する、これは三位一体でございますので、そういう意味で第二国立劇場というものも、国民に対する芸術提供、鑑賞の場を設置するという意味で一つの文化活動というふうに考えておりますので、それを含めますと、芸術振興につきましては六十三年度で昨年度よりも九億ばかり枠をふやしまして計上させていただいておるということでございまして、私の感覚からいきますとその三つは同一の文化活動、このように考えております。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 抽象的に言えばそうおっしゃるのはわからぬわけじゃないのですけれども、問題は、絶対枠が低いところでますます片一方の予算がふえれば減っていくじゃないか、こう言っているわけでして、きょうは大蔵省にもおいでいただいているのですが、これは絶対枠が少な過ぎるわけですから財政当局に考えてもらうよりしようがないわけですね。こんな状態では、もう文化大国なんて政治家は口に出せないでしょう。  全然話は違いますが、僕は海の方のことをやっているんだけれども、年金客船というのを今みんな各党寄って集まって一生懸命やっている。大蔵省はかつてロマンにつける銭はないというようなことを言ったというのですけれども、大蔵省は大体文化なんというものに余り銭を使う気はないのですか、ちょっとお聞かせいただけませんか。文化なんかに銭つける気はないと言うのなら、またそれは別の次元での話になりますが。

伏屋和彦大蔵省主計局主計官

○伏屋説明員 お答え申し上げます。  文化というのは、私なりに考えてみまして、やはり自由でかつ多様なものでございますので、それに対する予算額が多いか少ないかというのは極めて難しい問題なのだろうと思います。特に過去の沿革とか現在の制度、考え方で、例えば文化の伝承とか振興をだれが担うか、公的な部門が担うのか民間部門が担うのか、その公的な部門の中においても国がどこまでやって地方がどこまでやるかというような話もございます。また、その文化に関する施策とかその予算につきましても、国みずからがやるのか地方なり民間に補助するのがいいか、いろいろなやり方があるものでございますので、したがってどこの水準が適切かということは難しいと思います。  ただ、御理解いただきたいのは、六十三年度予算案におきまして、全体の一般歳出が一・二%増の中で、そういう財政状況の中で四%増の三百七十八億円を計上しているという点を御理解いただきたいと思いますし、今後とも文化の重要性と、一方での財政状況を勘案しながら適切に対応してまいりたいと考えておるわけでございます。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 端的に、多いと思っていますか少ないと思っていますか。先ほどから国際比較だとか全体の経費の動きだとか申し上げているのですが、今の三百億という全体枠、しかもその芸術振興のわずか二、三十億という数字を、高いと思っていますか安いと思っていますか。

伏屋和彦大蔵省主計局主計官

○伏屋説明員 国際比較もなかなか難しいわけでございますが、私どもといたしましては文化の重要性と現在の財政状況を考えますと、適切なものだと思っております。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 これはまるっきり問題になりませんから、今この予算でどうせいという話にもならないのですが、その認識を変えることに、文部大臣ひとつ本気になってほしいと思うのですね。  これは私は社会党の立場から申し上げているのじゃないのです。きょう議論するに当たっては、私も自民党の皆さんの文化政策について勉強させてもらいました。青木私案というのが出ておりますし、あるいはかつての文部大臣であります砂田さんが委員長になって「文化振興に関する今後の施策私案」というのをお出しになっている。この青木私案で明らかになっていることは、ともかく文化的要求が高まっている、しかし質量ともに我が国における芸術振興費というのは大変立ちおくれている、こう言っていらっしゃるわけですね。我が国の芸術水準というのは国際的にも低いものじゃない、したがって思い切った助成を行えばその効果は大きく、日本の文化は大きく前進をしていく、こうおっしゃっている。そこから先が問題なんですけれども、それだけのことをおっしゃっている、そういう認識があるなら、よほど思い切って文化予算というものに対する働きかけを大臣の御在任中にしっかり進めていってほしい、こう思うのですね。  こういうことを議論するには時間が三十分ではとても無理だと思うのですが、最後が近くなっていますのでお伺いしたいのは、さっき「芸術活動の特別推進」という紙を私も一枚いただきました。これだけ読んでも何かわからないのですけれども、要するに民間が銭を出すものには政府も一緒になって銭を出そう、芸術文化の分野では今までだって民間もそれなりに協力もしているし、あるいはそれなりに国もいろいろと応援もしているのだろうと思いますが、今、事改めて特別推進ということの意味は一体何ですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 これは芸術活動のための支援ということについて、国等によります公的な支援に加えまして民間の協力を得るということが非常に効果的であると考えておりまして、そういう中での新しい助成経費であるというふうに考えていただきたいと思うのでございます。  この事業は民間の芸術団体が海外フェスティバルとかあるいは国内の大型の公演であるとか、その団体にとって極めて大きな事業を組む場合に、それに対して国及び民間企業が協力をして全体としてその民間芸術団体に対して助成をしよう、こういうことでございます。そういった意味で、大型の事業に特に重点的に助成をするというような意味合いで特別助成という項目名にしてあるわけでございます。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 何も特別だとか何か言うほどのものじゃないように私は思えて仕方がないのです。もう少し細かく聞いておきたいのですけれども時間がございません。  そこで芸術助成のあり方という問題とかかわるのですが、これもいろいろ最近は御議論があるようですね。私も必ずしも一切民間の援助を仰ぐことが悪いと言っているわけじゃありませんけれども、芸術の分野においては、創造性を守っていくためにも芸術の中立性や自主性というものを大事にしなければならぬという立場からすれば、このいわゆる芸術文化の分野への民活の導入というのはかなり慎重でなければならぬというふうに私は考えるわけですね。先ほどの青木私案なり文化庁でお出しになった「芸術活動振興のための新たな方途」などは、現状認識も問題意識もさっき申し上げたように非常に立派なんですけれども、一挙に銭がないから民活、こう言っているわけです。その中身について議論をするいとまはありませんが、あくまでも公的助成というものを、専門家に対してもあるいは地域の国民の皆さんの鑑賞の機会を確保するという面でも、やはり最低のものはきちっと、最低といいましょうか今最低以下だと思っていますから、何が妥当かというのは、この青木私案によれば、今その面で三百億くらいは使わなければと青木さん自身が当時書いていらっしゃるわけですから、それが今二十七、八億なんですから、少なくとも十倍くらいにレベルアップさせておいて、そこを基本にしながら将来どう発展させていくかという予算の考え方に立っていかなければならないと思うのです。  それにしても民活、民間の援助を仰ぐ場合に、少なくとも芸術創作活動の自主性、創造性を守るという意味からいえば、また私は、少なくともその運営に当たっては、そういう関係者の皆さんが十分意見が反映できるような運営、機構を持った基金とか財団とかそういうものの整備こそその前段に議論をされて、きちっとした方針が立てられるべきじゃないか、こう思うのですけれども、あくまで公的助成を基本としながらという私のお願いといいましょうか主張も踏まえて、もう時間がございませんので、最後に大臣にこの問題についての総括的なお答えをいただければありがたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 この問題は時間をいただければいろいろとまた御議論申し上げたいと思うのです。  私は二つありまして、確かに公財政支出というものが必要だと思います。その面では御鞭撻と受け取らせていただいて、関係省庁とよくこの予算拡大のために努力をいたしますから御鞭撻をいただきたいと思うのですが、さはさりながら芸術そのものというのはやはり民間から育ち、そして民間の力ではぐくまれるという部分も見落とせないと私は思うのです。  ただその一方で、今手を打たないとなくなってしまう、破壊されてしまうというものについては、これは至急に公財政支出をふやさなければならぬ面がございます。それを含めて、その面を含めてとおっしゃられればこれはもっと数倍にも数十倍にも拡大をいたしたい、これは私の実感でございます。ぜひそういう面で先生のおっしゃることは素直によくわかりますし、だからといって後段ちょっとおっしゃった、これは公的支出だけで民間の資金活力援助はそう早計に受け入れるべきではないという点についてはまだ時間をいただいて、私は民間があってもいいのではないかという立場でございます。だからこの予算で大丈夫とは申しておりません。この予算はできればここにおられる関係省庁と折衝いたしましてそして概算要求では大幅に要求をいたし貫徹をさせていただければありがたい、こう思っております。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 ちょっと誤解のないように。私も民間の協力を拒否しているものじゃありません、受け入れる舞台をきちっとつくってほしい。  それから大蔵省にも最後にちょっと一つ二つだけ事務的にお答えいただければ結構なんですが、一つは入場税の問題です。これは抜本改革、抜本改正でと、こう言っているのです。それから今の民間の企業体からの寄附金の扱い。これは長期検討という扱いになっているようですけれども、ごく簡単に御説明をいただければありがたいと思います。

薄井信明大蔵省主税局税制第二課長

○薄井説明員 入場税につきましては、先般の税調答申等では入場行為に課税するというのはちょっとバランスが悪いのじゃないかということで、これをなくしてもっと消費一般に課税した方がいいのではないかという方向の答申をいただいております。また新たな税調を今やっていただいておりますので、そこでの御議論を待ちたいと思っております。

杉崎重光大蔵省主税局税制第一課長

○杉崎説明員 芸術団体に対する寄附金につきましては、試験研究法人等に対する寄附金の特例という制度が適用されることになっておりまして、すなわち芸術の普及向上に関する業務を行うことを主たる目的とする法人に対する寄附は、個人がそうした寄附をやった場合には総所得の二五%を限度として所得控除されます。また法人がそうした団体に寄附した場合には一般の寄附金と同額まで別枠で損金算入が認められるという制度が現在ございます。今後ともこのような制度が十分活用されますよう私どもも努めてまいりたいと思います。

関山信之日本社会党・護憲共同

○関山分科員 どうもありがとうございました。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて関山信之君の質疑は終了いたしました。  次に、野口幸一君。

野口幸一日本社会党・護憲共同

○野口分科員 限られた時間でございますので言葉足らずのところがあるかもわかりませんが、端的にお尋ねをいたしてまいりたいと存じます。  御存じのように私は滋賀県選出でございまして、彦根城のあります彦根市の生まれであります。そういった環境にありますために申し上げるわけではございませんが、今日全国的にそうなんでありますが、特別史跡等の保存のためにいわゆる補助金というものが支出されているわけでございますが、この支出状況は、ここ数年というか五、六年の間どのような経緯を示しているか、まずその点をお尋ねいたしたい。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 特別史跡と申しますのは、史跡という大臣が指定をする対象がございまして、その中の特にすぐれたものを特別史跡と呼んでおります。したがいまして、一般的には史跡というふうに考えさせていただきまして、史跡の保存ということにつきましては、地方公共団体が行います史跡の公有化とそれに対して保存、整備をするという二つの事業が直接には国庫補助対象になっておりまして、それを種類別に申し上げますと、公有化の買い上げの国庫補助予算につきましては昭和五十九年が七十一億、六十年に七十億、六十一年も七十億、六十二年にちょっと下がりまして六十七億、六十三年度が現在予算案としては六十九億四千三十八万円というような金額になっています。それから整備予算につきましては、五十九年度が十二億五千万、六十年度から六十二年度までは同額でございまして十二億八千六百万、そして六十三年度に十三億九千万というような推移をたどっております。

野口幸一日本社会党・護憲共同

○野口分科員 端的に言いまして、先ほどの委員のお話にも出てまいりましたが、予算面における部分だけを見ましてもほぼ横ばいというような状況だと思います。なお、私が申し上げるまでもなく、史跡というのは私どもから言わせますと、特に彦根城の場合を仮に申し上げますならば、特別史跡に指定されておりますが、年々新しくはならないわけで、年々古くなっていくわけでありますから、予算というものは年々ふえていくという形が原状保持のためには当然必要だと思うのです。予算状況から見てまいりますと大体同額というような状況がまず見られます。彦根の場合も、先年彦根城博物館を前のお城のいわゆる御殿跡に、発掘調査等をなさいまして、また原状回復という立場も含めた建物にして、政府の援助もいただきながら完成した経緯もあるわけでございますが、私きょう申し上げたいのは、実は石積み、つまり石垣の問題であります。これは単に彦根だけの問題ではございませんで、城郭、つまりやぐら等が現存していない、石積みだけが残っているという部分をどのようにして保存していくのかということになりますと、実は非常に腐心をしているわけなんであります。  一概に申し上げますと、史跡の場合はいわゆる文化庁の許可を必要とするわけでございますし、そして原状保持といいますか、原状のままのようにしなければならぬという制約がございます。このことは予算上もまた技術上も非常に大きな制約を受けておりまして、大変なことだということになるわけでございます。先ほども申し上げましたように、言葉を重ねますが、年々古くなりまして、年々大変なことになっていくわけなんであります。これを今後どのように保存していこうとする、いわばこれから先行きの保存のための行政プランというものをお持ちなのか。あるいはまた、例えば特別史跡に限って申し上げますならば、こういったものを積算して一体どのくらいの金が必要なのか。それをどういう年次でもって消化しようとしているかというようなものをお持ちなのかどうかというようなことをまずお聞きしたい。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 先ほど予算の推移についてのお求めがございましたので、それは総額で申し上げたわけでございますが、ただいまの御質問は、特に特別史跡である城郭の石垣に対する補修といいますか、そういうものに対する予算というお尋ねでございます。これは六十三年度の予算案に計上しているわけでございますが、新規に特別史跡に指定されている中世、近世の城郭、これは全体では十八あるわけでございますが、その中で特に修理、整備が必要であると思われます八つの城郭を選びまして、これについて重点的に修理をしていこうということで、名前としては中世近世城郭緊急保存修理事業というのを、これは一億四百万、補助率は五〇%でございますが、計上しているわけでございます。これによって今後八つの特別史跡の特に石垣修理につきまして重点的に整備を進めようというような考えでこれをなしたわけでございます。  ただ、これを何年間でやるかということになりますと、これはなかなかこれからまだ実際にどの程度の分量があるのかとかいうことがございまして、今軽々に年数を申し上げることはできないわけでございますが、こういう石垣修理事業についての特別な枠を設けて、できれば計画的に進めていくというような方針をとっていることにつきまして御理解いただきたいと思います。

野口幸一日本社会党・護憲共同

○野口分科員 金額のことを申し上げて差し支えがあるかどうかわかりませんが、毎年十二億ではどうしようもないという数字じゃないでしょうか。と申しますのは、私、実は彦根城の場合を積算させてみました。全部で城郭平米は大体八万平米ございます。これは概算でございます。一平米どのくらいの修理費がかかるかということになりまして、いわゆる今日まで文化庁の御指導によりまして原状復帰という形の中で、積まれております昔式の石を取り崩しまして、そして土を積みましてもとの石のあったように同じ形で原状復帰をしていく積み方をいたしますと、一平米約二十万円という数字が今のところ出ております。一平米二十万円でございます。これは非常に簡単な数字のようでありますが、何しろたくさんの場所がございます。そういったことから考えますと、これは総額にいたしますと彦根城だけで百二十億になります。築城三百五十年を経ておりますから、どこが悪いと言えばもう全部悪いと言っても差し支えないわけで、いわゆる膨らみが出てきているわけです。石垣全体にもう押し込まれておりまして、欠けている、落ちている、いろいろございますけれども、どこが傷んでいると言えば全部傷んでいると言った方が確かだ、間違いない。こう考えますと、これは何とか年次計画をもう少しきちっとしてもらってやらないと、九万や十万の地方都市で国の補助をもらいましてもとても維持できるような状況じゃない。これは、市長どうするんだと僕はいつも言うのですけれども、市長も、御存じでありましょうが井伊直弼の曾孫が今現市長でございますけれども、本当にお城市長だと悪口を言われながらも城を守ってきているわけなんであります。  しかし、この石垣の近年の破損の状況は年々ひどくなるばかりでありますし、たまたま台風なんかありました場合は、いわゆる樹木の揺れ等によるところの石垣の崩れ、浸水等による石垣の崩れというのが激しゅうございます。というのは、もう釈迦に説法でありますから申し上げてもなんでございますけれども、やぐらのあるところに石垣がある場合は割合保存がよろしゅうございます。上が屋根ですから雨水だけでございます。ところが、ありませんからじかに雨水がやぐらのない城郭の上に降ります。その水量はすべて石垣を通して流れます。下へ押し出すような形になります。そのためにどうすればいいかというので、観光上の関係もありまして樹木を植えております。ところが樹木の伐採も実は、今文化庁さんの方から申し上げられた、簡単に切ることもできないという状況でございますね。もう御存じでしょう。そうすると、切りたいと思っても切れない部分もある。そうして石垣だけはどんどん、根膨れと申しまして、根が張るものですから膨れてくるという部分もある。一体これはどうしてくれるんだというような部分も実はあるんですね。  きょうはそんなにたくさんの時間をいただいているわけじゃありませんから申し上げられませんけれども、実はこの石垣対策というものは抜本的にお考え直しをいただく一つの時期が来ているのではないだろうか。と申しますのは、例えば彦根城の場合の例を申し上げて恐縮なんですが、外堀の場合は堀がございます。その横はもちろん道でございます。道路は築城当時は恐らく人が通るだけでございまして、道路にかかる重量、重圧というものは非常に低いものだと思うのであります。ところが現在、何十トンというトラックが走るわけでありますから、当然道路にかかる重圧というものは飛躍的に高いものがございます。そうしますと、そのために堀の中へ石垣が順番に崩れていきます。たとえ文化庁さんから別に御援助をいただいて補助をしていただいて直しましても、そういう道路の状況があるならば、数年を経ずしてまたまた石垣が崩れてしまうというような状況にあるということになりますと、この石積み方法は絶対に昔の方法のままでやらなければならないのかどうなのか。もう少し近代工法を挟んで、外から見れば原状復帰のようになっているけれども、中身は科学的な工法によって違うんだということができないものかどうなのか。これが一つですね。  それからもう一つは、琵琶湖が琵琶湖総合開発によりまして水位低下いたします。二メートルまで落とすという計画がございます。そうなりますと当然堀は空っぽになります。そのために市は特別の水道をそこに注ぎ込みまして堀を満水にいたしております。それはもちろん景観上の問題もごさいますけれども、実は石垣の下の松が腐ります。根になっています松が丸太のままで入っておりまして、そこに石垣が積んであるわけですが、その松が腐ってしまう。御存じのように水に全部つかっておりますると腐りが少ないのでありまするけれども、乾いたり水がふえたりすると腐りが早いわけですね。そういった意味で、近年特に琵琶湖の水位の低下、そういう関係もございまして、根太になっておりますところの松丸太そのものも非常に早く腐っていく。この部分を実は近代工法に変えてはいかがなものか。これは水の下なんでありまするけれども、そういった工法を許されないものか。やはり昔どおり松丸太にしなければ文化庁は許してくれない、修理を許してくれないのかどうなのか。こういう点をちょっと考え直してもらわないと、何遍修理をいたしましてもまたまた修理費また修理費ということがかかわってくるわけで、特別な建物の場合は別といたしましても、そういう道路に面した部分だとか重圧のかかる部分だとかそういう点は、箇所によってはそういった近代工法をお許しいただくような方法をお考えいただけないものだろうか、こういう点を私も実はかねがね考えておるわけでございます。  彦根城の場合を考えましても、石垣の修理工費が約百二十億という数字が出てまいります。たとえ五〇%の国費の補助をしていただきましても六十億になるわけでありますし、もちろん県の方からの補助をいただくといたしましても、十万都市ぐらいのところではとてもじゃないがやっていける数字ではないということを考えますときに、もう少しプランと申しますか計画性というものを持たしていただいて、何年間かの間にどんどんやっていただきたい。  もう一つは、今申し上げました近代工法の導入、それから樹木等の伐採等については管理しております市にある程度お任せをいただけないだろうか。一遍一遍文化庁にお伺いを立てなければ木が切れない。台風のためにここの木がとても揺れるために石垣が崩れるという場合は前もって切らしていただきたい。観光上はいろいろな問題があるかもしれないけれども、石垣を保存するためには切らしていただきたい。そんなことを言って失礼なんですが、役所というところは、判こを押して持っていきましてもなかなか許可がおりません。そのうちに台風の時期が来るというようなことも多いわけでありまして、そういった意味からも、管理をしております市の判断で樹木の伐採等はお許しをいただけないものだろうかということなどを含めまして、時間がありませんので概括的に全部申し上げましたが、ちょっと御返事をいただきたいと思います。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 石垣の修理予算につきましては、これはなおなお努力をしなければならないものだというふうに思っております。  その修理の方法の問題でございますけれども、この史跡というものについての復旧ということになりますと、本来の材料や工法によって修復後の形態も本来の姿に戻すということが基本的な原則だ、これは史跡である以上そういう原則をとらざるを得ないわけであります。ただ、今お話しのように、本来的に自然的な条件が変わってしまっているというような場合に、今おっしゃったように何度やっても同じことになってしまうというようなことは、当然それは考えなければいけないことでございまして、それは個々の具体的な修理事業の実施に際しましてどういう材料でどういうふうな工法を行うかということにつきましては、私どももそれほどかたくななといいますか、そういう態度をとっておるわけではございませんで、もちろんこれは個々に専門家の判断を聞くという必要はございますけれども、そういう個々個々の具体的な状況に応じた適切な方法をとるというふうに私ども考えておるわけでございまして、彦根城の場合にも具体的にご相談があればぜひ応じていきたいと思います。  それから、現状変更の樹木の伐採について、これも石垣に根膨れが起こりますと、それが一番崩壊を早める原因でございますので、これは当然に早急な処置が必要なわけでございまして、緊急な場合には特に許可は要らないという規定もございますけれども、一般的にはそういう手続をとっていただきたいわけでございますが、そういった場合の簡便な方法については、私ども具体的に検討してみたいというふうに思っております。

野口幸一日本社会党・護憲共同

○野口分科員 重ねて申し上げますが、実は本来やぐらがあったところに観光のために既にそこに樹木を植えている。本来はやぐらがあった。例えば表門やぐらというのがございますが、そこには今やぐらがございませんで、かわりに桜の木が一本植わっている。桜の時期には景観上は非常によろしゅうございます。しかし、石垣の保存という立場で考えますと、そこに木が植わっているということは必ずしも良好な状況ではございません。  これは私の全くの私見でございますが、そういった場所、いわゆるやぐら跡という場合の平面の部分におけるところの保存のあり方、これはどういったものが一番よいとお考えでございますか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 これは先生今お話しのように排水がうまくできればいいわけでございますので、私どもも専門家でございませんので具体的にはよくわかりませんけれども、水が浸透しないような工法をとることは可能だそうでございますので、そういった方法をとる。具体的にはそれぞれの場所で検討するしかありませんけれども、そういった工法があるということでございます。

野口幸一日本社会党・護憲共同

○野口分科員 例を申し上げますが、それでは例えば二十センチばかり掘り下げまして、そこに一たんアスファルトを打たせていただいて、そこまで入ってきた水は別のところへ流れる工法をいたしまして上へ土を盛ります、そしてその上に芝生を植えます、といった工法は許されるわけでございますか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 そういうような方法だと思います。

野口幸一日本社会党・護憲共同

○野口分科員 話をよくわかっていただけるので、余りややこしく言わなくてもいいのですけれども、最後にもう一点だけお伺いいたしておきます。  現在、石の関係の、いわゆる石工ですね、石積みをする人間ですな。これが絶対数おりません。恐らく文化庁さんが何年かの計画で石垣を保存する計画をお立てになりましても、予算の方もそうなんですけれども、技術者そのものがおりません。それで実は困るわけでございます。そういった場合におけるところの原状復帰というのは、たとえ許可がおりましてもなかなか時間的なものがかかるわけでございます。年度をまたがる場合も出てきます。それから、それを探す場合、その石工の仕事の順番を待っている、準備を待っているということもございます。もちろん現在城郭地はほとんど観光地でございますからそういう時期を避けなければ、あるいは冬を避けなければいかぬ。冬を避けなければいかぬというよりも、屋外作業になるからもう冬はできない。それをあえてやろうとすれば、雨天の場合でも仕事ができるような設備を先にしてからでないとやれないという部分もございます。  そういたしますと、いわば予算というのは毎年毎年の計上でございますが、いわゆる継続事業的な性格がございます。しかも私は思いますのは、先ほども申し上げたわけでありますが、こういった城郭保存、特に石垣なんかの保存のために特別な、本年から十二億というお金をお積みいただいたということは非常に結構なんでありますが、何か基金的な構想でその金を一定額国で置いていただいて、それを全国的な規模の中で順序をつけてその金が順次そういったところに配分されていくというようなシステムはとれないものだろうか。これは基金的な部分、先ほどの文化的な行事あるいはまたそういう劇団等に対する補助ではございませんけれども、これも非常に大事な部分でございます。民活というのは、先ほどのお話、劇団とかいうようなものとはちょっと違いまして、民活そのものはなかなか難しいものだけに、これは地方それぞれの都市なら都市、町村なら町村の財政の中であと足りない部分をやっていかなければならぬということになりますと、長期計画的なものを立てなければならぬと思うのです。その場合に国の予算を毎年毎年要求をしていかなければならぬということは非常に煩瑣でありますし、一定の枠内で、あるいはまた順序というものも当然ございましょうが、もちろん傷みぐあいによってもまた緊急的にお願いをしなければならぬ場合も出てくるかもわかりませんけれども、概念的には順序あるいは古さ、破損の状況等を勘案したプランによって一定額をずっと続けて出していく、あるいはそういう補助金というものの支出が基金的な意味において出していただけるような方法というのはおとりいただくことはできないのでしょうか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 これは国の予算の制度でございますので、基金的なという、恐らくそういう方法についてはなかなか困難ではないかというふうに思います。ただ、今おっしゃった中で、毎年大体同じような事業の進捗をずっと継続的に続けていくというやり方というのは、ほとんどの補助事業の場合には実は大きなものについてはとっております。ですから、石積み工の配置の状況というようなものは、年度の当初といいますか、その地方それぞれの場所場所でわかるわけでございますから、その能力に応じた工事量を何年間か続けるというようなやり方を計画的にとることによって、今の問題についても解決を図るということではないかというふうに思います。

野口幸一日本社会党・護憲共同

○野口分科員 最後に一つだけお願いを申し上げておきます。  今、石積みといいますか、石垣のことだけを申し上げましたが、実は天守も解体修理をしていただきましてからもう二十年近くなります。三十年にはなってないと思うのですが、二十年はたっておると思うのです。屋根が相当傷んでおりまして、屋根のふきかえをお願いしておると思います。  いずれにしても、先ほどから何度も繰り返して申しておりますように、史跡の保存というのは年年よくならなくて年々だんだん古くなって年々金がかかるものでございます。それだけに今の予算の配算の状況を見ますと、横ばい状況というのは実は不思議に思うのでありまして、本来ならばもう少し予算的にも御配慮を、ぜひ大臣の方からも大蔵省なりに御要求の段階において強く強く御要求をいただいて、本当の意味において因が指定した史跡が国の思っておられるような状況の中で原状保持が可能なような状況をぜひ出してやっていただきたいし、また、関係市町村が財政の苦しみを余り得なくて事業が円滑に動いていくような、いわゆる継続的事業のプランを立てました場合において、それを経年的な中にありまして御援助といいまするか補助金の出し方そのものをぷつんぷつんじゃなくてずっと出していただけるような形の、先ほどから何度も申し上げております経年的なプランというものをぜひお立ていただいて実施をさせていただきたいということをお願い申し上げまして私の質問を終わります。その点についての御答弁をちょうだいいたしたいと思います。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 修理予算の拡充の問題、それからその執行の問題につきましていろいろ御指導をいただきまして、そういう方向でぜひ頑張っていきたいというふうに思います。

野口幸一日本社会党・護憲共同

○野口分科員 終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて野口幸一君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 大臣を初め皆さん、朝からの長時間の審議でお疲れだと思いますが、私が最後から二人目だそうでございます。もうしばらく御辛抱いただいてよろしくお願いをしたいと思います。  私は教育条件の整備に関して質問をしたいと思います。  今日、おくれの問題、非行の問題あるいは受験地獄の問題だと教育の現状を非常に心配をしておられるすべての父母や国民が、おくれや非行、いじめをなくし、しっかりした基礎学力や体力、また豊かな情操や市民道徳を身につけてほしいと願っておると思います。このような願いにこたえて一人一人の子供に行き届いた教育を進めるためには、教育条件の整備が緊急かつ重要な課題であることは言うまでもありません。  私は、最近奈良で中学校の四十五人学級の状況を見せていただきました。大変ですね。すし詰めというか、机と生徒がいっぱいだという状況であります。しかもこのごろの中学生は非常に大きくなっておりますので一層大変な感じを受けました。入り口のすぐに机がありますね。それから、もう教壇と目の前であります。それから、視聴覚用のテレビがあるのですが、上につってあるのでその後ろに机があるというような状況もあるのですね。ですから端っこの方は黒板が非常に見にくいですし、机間指導というのですか、先生が机の間を通って御指導されるというようなこともやりにくいという大変な状態を見てきたわけでございます。  また一方、既に四十人学級が実施をされた小学校の婦人の先生から次のような話を聞きました。非常に感動をしたわけであります。   私は四十人学級実施以前に四十三人のクラスで一、二年生を担任しました。そして現在は四十人学級実施後二十八人のクラスで同じく一年生を担任し、今その子たちとともに二年生をもうすぐ終えようとしています。   四十三人クラスでは一時限の間にすべての生徒に声をかけてやることなどとてもできず、日記なども感想を家で書いてきて翌日ノートを返すという状況でした。   ところが、二十八人のクラスになってみると、繰り返し漢字テストを行い全員が百点をとれるようになりました。また、ノートを見てやるときもノートを返すときもその子にふさわしく一人一人に声をかけることができ、子供の目を見て励ましができると、一人一人が本当によく見えてきます。算数の九九でも、ただ九九を唱暗させるだけでなしに、実際の掛け算を幾つか教えながら繰り返し九九も覚えさせることができます。子供たちの九九の暗唱を聞いてやることもでき、子供に力がついてくるのを実感しています。同じ校区の同じ環境でクラスの人数の違う一、二年生を担任し、一クラスの人数が少なくなれば落ちこぼれを出さない教育ができるし、子供たちはどの子も伸びると実感しています。一日も早く四十人学級が小中学校すべてで実現し子供たちによい教育条件が保障されるよう願っています。 こういう胸打たれるお話でございました。  私どもは、こういう国民の皆さん方の願いや要求にこたえて、四十人学級の早期実現やマンモス校の解消など教育条件の整備について一貫して主張してまいったところであります。一昨年の五月には、義務教育諸学校の学級及び学校規模等を適正化するための緊急措置法案の法案大綱を発表いたしました。  御存じいただいているかと思いますが、主要な内容は、小中学校の四十人学級を六十二年度から六十四年度の三カ年で実施をする。さらに、六十五年度から五カ年で三十五人学級を実現する。二つ目は、小中学校段階でのつまずきや学力の落ちこぼれをなくすために教員加配。三番目は、複式学級や障害児学級の改善、養護教員、栄養職員、事務職員の配置率改善についても現行計画を短縮して、四十人学級同様六十四年に達成をする。四番目がマンモス校の解消であります。学校の用地取得費や校舎建設費の国庫負担の増額、そして用地取得難の解決のために用地提供者に対する譲渡所得課税を一億円まで特別控除する。現行三千万であります。そういう我が党の政策を明らかにしてきたところであります。  ところで、文部省の「教育指標の国際比較」、こういうのがございます。この中に、学級編制基準で、やや省略して話してみますと、日本は小学校が四十人、中学校が四十人、昭和五十五年度から学年進行で実施、六十六年度で達成予定。アメリカは、初等・中等学校、これはインディアナ州の例でありますが、第一から三学年まで三十人、第四から八学年まで三十四人、第九から十二学年が二十八人。イギリスはこの基準がないそうでありますが、大まかに言いますと、初等学校四十人以下、中学校は三十人以下。フランスは、小学校の第一学年が二十五人、第二学年から第五学年が三十人。西ドイツも、初等教育の一年から四年は二十三人が基準で、最高基準三十人、後期の中等教育は、第十一から十三学年は基準が二十二人、最高が二十五人。ソビエト連邦では、第一から第八学年が四十人、第九から十学年が三十五人。こういうふうになっているわけでありますが、この点は間違いありませんね。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 外国の状況につきましては、ただいま資料を持ち合わせておりませんが、多分おおむねそのような数字であったように理解いたしております。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 私は今この本を見て申しましたので、間違いないはずであります。非常に少ないですね。  次に、児童生徒数でありますけれども、現在の中学二年生、それから小学校六年生、小学校三年生、小学校一年生の児童生徒数を教えていただきたいと思います。――時間がありませんので、私が申し上げます。  現在、中二の方は二百五万一千人、小学校六年の方が百八十六万三千人、小学校三年の方が百六十八万二千人、小学校一年の方が百五十四万七千人ということであります。ちなみに、去年、六十二年度の出生数は百三十五万五千人であります。  ですから、中二と小一の間、七年間に五十万人減っているのですね。それからさらに、小一から去年まで六年間に二十万人減っている。十三年間に七十万人減っている。大変な減少であります。この傾向はお認めになりますか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 先生の今おっしゃいました数字をちょっと確認するすべはございませんが、私どもの持ち合わせている数字でございますと、小中学校合計いたしまして五十七年度がピーク時でございまして、総数千七百二十二万五千人、それが現在昭和六十二年度の時点でございますと千五百九十七万三千人ということで、約百三十万人ほどこの四年間で減少しているという状況でございます。いずれにいたしましても、五十七年度を小中学校のピークといたしまして、七十三年度まで児童生徒数が減少を続けるという傾向を把握いたしております。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 大変な減りようですね。  それから、四十人学級の問題に入るわけでありますが、五十五年から始まって六十六年度まで、十二年間で完結予定の四十人学級は、先生の増員数は六十三年度何人なのか、四十人学級の増員数ですね。それから、六十三年度で全体計画の達成率は何%なのか、お尋ねいたします。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 昭和六十三年度予算案におきましては、四十人学級の実現のための学級編制の改善に伴います教職員の増が四千二百一名でございます。その結果といたしまして、昭和六十三年度におきます四十人学級に伴います教職員数の増という視点でとらえました場合には、予定増数の四〇・五%が達成される、そういう状況でございます。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 六十三年度は。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 六十三年度におきまして四〇・五%ということでございます。ちなみに、六十二年度末でございますれば三〇・二%の達成率でございます。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 国民の切実な願い、それからおくれや非行、いじめの問題、そういう実態から見てまいりますと、計画の達成率が非常に低いと言わざるを得ないですね。私ども、非常に残念な思いでいっぱいなわけであります。  同時に、こういうふうな児童生徒数がだんだん減ってきているという状況の中で、教職員のいわゆる自然増減というのですか、そういう言い方ですれば、文部省の資料で見てみますと、自然減が一万五千九百人、こういうふうに認識をいたしております。そういう状況の中で、配置率の改善という問題がございますね。これは養護教員の先生では、進捗率といいましょうか、達成率といいましょうか三四・八%、事務職員の方では二二・三%、栄養職員の方では三一・七%、こういうふうに私ども理解をしているわけでありますが、大体間違っておりませんか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 六十三年度予算で計上いたしております養護、学校栄養職員、それから事務職員等に関します六十三年度までの達成率は、先生がおっしゃいましたような数字でございます。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 そうなりますと、学校の先生方の達成率も非常に低うございますし、殊にこの事務職員の方の二二・三%というのは非常に低いですね。栄養職員の三一・七%、養護教員の三四・八%、大変低うございます。早期に実現をせよというのが私どもの考えてあります。  それはそれといたしまして、当初の目標は昭和六十六年達成ですか。そのとおり達成することができるのかどうか非常に心配をするわけであります。お尋ねをいたします。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 教職員の定数改善計画は、先生おっしゃいましたように五十五年にスタートいたしまして、十二カ年計画の予定で進められておるわけでございますが、ちょうど昭和五十七年から五十九年にかけまして、臨調答申に基づきますいわゆる教職員定数改善にきましての凍結または抑制の措置が講ぜられまして足踏み状態があったわけでございます。そういう意味におきまして達成率が極めて低かったわけでございますが、教職員の自然減が増大してまいります時期に、六十二年度あるいは六十三年度という形で大幅な定数増を行ってまいっておるわけでございまして、そういう意味で六十六年度の計画達成に向けての努力を着実に進めたいと考えている次第でございます。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 私どもは早期にやってほしいということでありますが、きちっと計画を達成していただきたい。重ねて要望しておきます。  それから大臣にお尋ねをいたします。今申し上げましたように、西欧の先進国ではもう学級基準というのは非常に少のうございますね。私どもは早く四十人学級を実現していただきたい、四十人学級が実現をすればさらに三十五人学級を目指してやっていただきたい、こういうふうに考えているわけであります。大臣は非常に文化問題に造詣の深い大臣だと聞いておるわけでありますが、三十五人学級を実現する、この問題についての御所見を伺いたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 今その前段で、六十六年大丈夫かというような不安と御期待をいただいたわけでありまして、私どもとしてはまず六十六年、四十人学級を完成させる、これがまず当面の努力目標でございます。努力目標というのは失礼なんですが、それをぜひ着実に進めたい。それが終わりましてまた改めて計画を立ててまいりたい、このように考えておる。当面、頭の中は六十六年、四十人学級を目指しております。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 ぜひ三十五人学級にも頭を回していただくというか十分御研究をいただき、御対応をいただきたい。要望をして、時間がありませんので次へ参りたいと思います。  次に、いわゆるマンモス校、大規模校の問題についてお尋ねをいたします。  私は、ちょうど六年前の昭和五十七年三月八日、この分科会でマンモス校問題でお尋ねをいたしました。何としても早く解消していただきたい、また超過負担も解消していただきたいということで強く要望いたしました。幸い、超過負担の問題は今日大変改善をされているということで喜んでおるわけであります。しかし、マンモス校の問題、私どもの地元奈良ではまだまだ大変な問題であります。現在三十一学級以上が小学校で十一校です。中学校で八校あります。マンモス校の大変なことは、その中身は申し上げませんけれども実に大変なことですね。  端的にお伺いをいたしますが、地価が非常に高騰いたしておりますね。こういう人口急増地域、マンモス校のあるようなところというのは大体地価が非常に高騰しているわけであります。土地の取得という問題がマンモス校を解消する上での非常に重要な、しかも難関といいましょうか難しい問題ですね。私は先ほど我が党の法案の要綱でも申し上げましたけれども、いろいろ条件があるのですが、私どもは三十一学級以上では三分の二国庫補助、このように言っているわけであります。現行の土地取得の国庫補助金を大幅に引き上げてもらいたいというのが一点であります。  それからもう一つは、土地提供者に対する譲渡所得課税の特別控除は現行三千万ということですね。これを一億まで引き上げていただきたい。  この二点で御答弁をいただきたい。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 いわゆる三十一学級以上の学校を私どもは過大規模校と呼んでいるわけでございますが、これらの解消のために各般の施策、特に用地取得費の補助に力を入れてマンモス校の解消に努めているわけでございます。ピーク時ですと、ちょうど昭和五十四年でございますが、二千四百八十一校ございましたマンモス校が、昭和六十二年度現在では千二百三十一校と約半減をしてまいっておるわけでございまして、それらの将来計画についても、そのうちの八六%は解消できる見通しではあるわけでございます。  しかしその場合、当然用地取得の問題等が大きく出てくるわけでございますが、先生おっしゃいました用地取得費の補助率の問題、現在七分の二、約二八・六%が補助対象になっているわけでございまして、残りが地方負担となっているわけでございます。しかしながら、その地方負担分のうちの五%については初年度に交付税として事業費補正が行われ、残りの九五%のうちの六割については元利償還費が次年度以降の交付税で計上されていくわけでございますので、そういう意味では実質的な後年度におきます市町村の負担はわずか、総体的な意味では二七・一%、残りの七二・九%については補助金または交付税等による財源措置があるわけで、現在の補助の仕組みは適正なものであろと私ども考えている次第でございます。  それから、学校用地の提供者についての譲渡所得課税を緩和するという問題がございます。現在は租税特別措置法の規定によって三千万の特別控除が認められているわけでございますが、学校用地というのはまとまった用地が必要でございますので、そういったことを勘案しますと、現在の三千万は低額であると文部省は考えているわけでございます。したがいまして現行の基準を、特に公共性の極めて高い学校用地という見地に立ちまして、昭和五十六年度からはこの特別控除額を引き上げるように関係省庁に要望し続けてまいったわけでございますけれども、他の例えば道路や公団との横並びがございまして、その実現を見るに至っていないわけでございます。今先生がおっしゃいましたような過大規模校解消のためには用地取得ということが極めて重要な要件であることにかんがみまして、この控除額の引き上げについて今後とも要望し続けてまいりたいと考えております。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 ぜひ一層の御努力をいただきたい、実現をしていただきたいと要望をいたします。  最後に、年度途中のクラス編制がえという問題でお尋ねをいたします。  大臣、年度途中のクラス編制がえという問題を御存じでしたでしょうか。教育の現場では、先生にとっても生徒にとってもまた父母にとっても深刻な問題であります。奈良県は全国有数の人口増加地域で、五十年と六十年の間に生駒市などでは一七八%も人口がふえているのです。こういうところでは新しい住宅地ができる、マンションができる、そして新しい居住者がふえる。そうなりますと、学年途中の転入生があるわけですね、もちろん転出の人もあるわけですが。そうなりますと、年度途中に四十六人学級ができることがあるのですね。もともとすれすれのクラスですとそういうことがあるのですね。そうなると、さあ学級編制がえをやろうか、あるいは四十六人でそのままいくのか、大変選択が難しくなるのですね。四十六人ということになりますと、先ほど申しましたように、それはもう大変なすし詰め教室で、まともな教育ができる状況じゃありませんね。また、編制がえということになりますと、これまたクラスの班づくり、仲間づくりというような問題が生まれてくるのですね。学級の運営の支障、生徒が動揺し混乱するといいましょうか、そういう事態が起こります。また、学期初めから運動会や文化祭などの行事の準備は生徒中心に進めている、この取り組みも乱れてまいりますね。殊に中学校では、時間割りや教科担当などの変更は学習の効果あるいは先生と生徒のつながりにも困難が出てまいります。先生方は一層忙しい状況になると思うのですね。右にいたしましても左にいたしましても大変な問題であります。胸の痛むことであります。もう四十五人学級が間もなく数年で終わるということでありますが、この問題は、私は、一刻もゆるがせにできない問題だということできょうは質問をさせていただいているわけであります。  例えば奈良のある中学校では、六十三年度新二年生になる子は現在四百三人で九クラスだそうであります。ところが、三人ふえまして四百六人になりますと、一クラスふえて十クラスにすることができるのですね。そして、このあたりはマンションがどんどん建つ、交通も非常に便利なところでありますので、三名以上は増加することが十分見込まれる、こういうことになるわけですね。時間がありませんので詳しく申し上げられませんけれども、ある中学校では、六十三年度新二年生になる子は三百九人で七クラス。あと七人ふえて三百十六人になりますと八クラスになるのですね。昭和六十一年度は二年生が七人ふえている、六十二年度には二年生が十人ふえている、こういう実績もあるのですね。もうどんどん家が建ってくる、新しい入居者ができる、転入者がふえるということが当然予測される。こういうところは弾力的に、十分ふえることが見込まれるときは、この三月末の時点でまだ一クラスふやすことができない状態でも、そういう状態が十分見越せる、住宅が建つとかマンションが建って転入者が予想されるところでは柔軟に対応していただいて、四十六人学級にならないように、あるいは学年途中のクラス編制をやらなくてもいいように、そういうことをぜひやっていただきたいなというのが私の強い要望でありますが、いかがですか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 先生のおっしゃるお気持ちはよく理解できるわけでございますが、現在の教職員定数あるいはそれに基づきます国庫負担の考え方としましては、一定の尺度、客観的な尺度というのは必要でございまして、それを現在、毎年五月一日現在の児童生徒数をベースに教職員定数をはじき出しておるわけでございます。その意味におきまして、この予測の問題というのは大変難しゅうございまして、先生は増加の方のことを言われましたけれども、一方、増加があるということはどこかで減少がある予定でございますから、減少する見込みを立ててここを減らすというようなことは当然住民感情には反発が出るわけでございまして、増加予定のところだけを見込むということが果たしてそれで客観、公正な尺度としてあり得るのかどうか、そこが難しいわけでございます。もちろん年度途中の学級編制がえということは、教育計画上その他の諸般の問題があることも事実でございますが、と同時に、そういう人口増が予定されているからという場合には一体何を客観的な尺度としてはかるのかというのは非常に難しいわけでございます。  例えばでございますが、ここ数年非常に問題になっておりますのが、児童生徒が減少するために、学級編制でクラスを二つを一つにしなくちゃいけない事態を避けるために水増しの報告等がございまして、そういった国庫補助金の返還の問題等も出てまいったというのは、そういう現場のお気持ちのあらわれではあろうと思いますけれども、一種の予測が予測どおりいかなかったケースの悪い例として出てまいっているわけでございます。先生おっしゃったケースは、確かにそういう弾力的な対応というのが考えられてしかるべき事柄ではあろうと思いますけれども、それを客観的に担保する、何名ふえるから何であるという客観性を事前に予測し、技術的に把握するということが非常に難しい、そういった苦しさがあろうかと思います。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 私は、本当にきめの細かい行き届いた教育を何としても実現をしてほしい。四十六人学級ということは大変でありますし、途中での学級編制ということも、先ほど来申しましたように十分意を尽くしてないのじゃないかというふうにも思うのですが、大変なことなんですね。  私もこの間聞いてきたのですが、もう学期の初めぐらいになりますと、すれすれのところの学校は、それこそ校長さんも教頭さんも先生方もマンションの建つところへ行ったりして、子供さんがおいでになりますかとか、いられたらいつごろこちらへかわってこられますかとか、そういうことまで大変な御努力をされているのですね。ですから、私はこういうことは解決できる問題だ。それは減るところの問題もあるじゃないか、あるいは十分客観的にそのことを証明するという問題が難しいじゃないかというふうな話がありますけれども、この程度の問題は私は十分やれる問題だ、それは十分実態を調べて県あたりが保証するとか、いろいろ方法があると思うのです。安易にするわけにはいきませんけれども、十分ふえる見込みがあるというところはそういう対応をしていただきたい。重ねて強く要望するわけでありますが、大臣いかがでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 これは文部省の立場で申しますと、教職員に必要な給与費の二分の一国庫負担を行うわけでございますから、その尺度といたしまして客観的には計数というのは必要になるわけでございます。それが都道府県ごとの予測、見込みということになりますと、県ごとで過大に見積もるところもあれば見積もらないところも出てくる。県間のアンバランスも生ずるでございましょうし、それを一体どういう形で何名の場合がどうであるという尺度といいますか、客観的に万人が納得し得るようなものをつくることは技術的に非常に難しい事柄ではないかと思います。もちろん教職員定数と申しますのは都道府県単位で一括して計数を計上いたしますから、県内でどのような操作をされるかということは県の判断の問題ではございましょうけれども、それをまた県の中では、例えば市町村ごとに、あの市町村は予測を過大にしてたくさん教職員をとってしまった、こっちは正直にやって見積もりが低かったというようなアンバランスが地域間にも出る、学校間にも出る、そういった問題をどう考えたらいいのかということで、客観的な尺度は、児童生徒がふえたから学級をふやし教員をふやすというのが一番正義感といいますか、公平妥当な措置ではないかという感じがいたします。

辻第一日本共産党・革新共同

○辻(第)分科員 時間が参りましたので、終わります。ご苦労さんでした。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 末席を汚して大変失礼をいたします。もう既にほかの分科会は全部済んだようで、委員長初め各委員の先生方、また文部大臣を初め政府委員の皆さん、本当に遅くまでご苦労さんでございます。  そこで、いろいろ予算委員会での文教問題あるいは文化問題のやりとりを聞いておって、中島文部大臣、大変文化問題に熱意を示されておる、また、非常に造詣の深い大臣でないかという感を深くいたしました。御承知のようにごく限られた時間ですから、文化問題についてまずお尋ねをさせていただきたいと思います。  申し上げるまでもありませんが、竹下内閣のキャッチフレーズとして「ふるさと創生」ということがよく強調されております。私は非常によいことだと思います。各地方がそれぞれの文化、伝統を持って、それぞれの歴史を有して今日に至っていることは申し上げるまでもありません。また、「ふるさと創生」とは、各地域の伝統や文化、歴史などを住民が誇りに思い、それを将来に向けて受け継いでいくことにより、豊かな心をはぐくみ、心の糧としていくことではないかと私は思います。  沖縄は、中国及び東南アジアとの交流が盛んであった地域であり、その文化は独特のものがあることは御承知のとおりであります。その沖縄の伝統芸能の代表として組踊があることも御案内のことだと思います。  組踊は、音楽と舞踊、せりふを組み合わせ、能、狂言、歌舞伎などや中国演劇の構成をも取り入れた総合芸術の集大成とも言われておるようであります。  その組踊は、御承知のように復帰後直ちに国の重要無形文化財に指定されたのでありますが、重要無形文化財に指定をしたその理由をまずお聞かせをいただきたいと存じます。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 組踊につきましては、琉球芸能の中でもその芸術性それから芸能史的な価値から見まして特に重要であるということ、それから、我が国の芸能全般を考える上でも一つの特別の地位を占めるものであるということ、そうしたことから、その保護保存を図るために、先生今おっしゃいましたように沖縄本土復帰の昭和四十七年五月十五日に国の重要無形文化財として指定したわけでございます。同時に、保持団体としては伝統組踊保存会を指定しております。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 今理由についてお述べになりましたが、私もそのように理解をいたしております。  そこで、国の重要無形文化財には、これまた申し上げるまでもありませんが、組踊を初め七つの伝統芸能が指定されておりますね。ところで、これからがお尋ねのポイントにもなろうかと思うのですが、要望も含めてですが、現在、他の六つの重要無形文化財は、国立劇場を初め能楽堂あるいは文楽劇場など、その専用劇場を使い、公演や研究、伝承活動がなされております。沖縄の組踊だけが専用劇場を持っていない、恒常的な伝承者の養成に支障を来している、伝統芸能の記録とか衣装や小道具などの保存、各種資料の整備が十分に行えない状況だと関係者は指摘をしております。組踊も国の指定を受けているのですから、他の重要無形文化財と同様にその伝承活動ができるよう国立の専用劇場をぜひつくってもらいたい、つくるべきであるということで、復帰この方長年にわたって非常に強い要望がなされておることも恐らく御理解をいただいているのじゃないかと思います。それが先ほど触れた沖縄の「ふるさと創生論」につながると思います。  こういう意味で、今私が指摘をしたようなことについて文部省としてはどういう御見解をお持ちなのか、この点については大臣の方からも御所見を聞かせていただきたいと存じます。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 ただいまの、沖縄に国立の組踊劇場というべきものを設置してほしいという御要望につきましては、これは沖縄県当局その他いろいろな関係団体から承っておりまして、その事情につきましては十分理解ができるわけでございますけれども、ただ、こうした国立の文化施設についての設置の要望というものは、いろいろな面から、また各地からも出されているわけでございます。そして、現下の厳しい財政状況の中で、文化庁といたしましては第二国立劇場の設置という大きな課題を現実に抱えているわけでもございまして、その第二国立劇場以外の国立の文化施設を新しく設置するということにつきましては、現在のところ具体的に検討できるという状況に至ってないというのが実際のところでございます。  なお、文化庁におきましては、国立の文化施設の配置のあり方について全国的な視野から調査研究を行っているところでもございますので、沖縄の御要望につきましてはその中で検討の対象にさせていただきたいというふうに思っております。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 大臣は恐らく組踊やそういった琉球舞踊、伝統芸能というのをごらんになられたことがあると思うのですが、これは非常に強い要望だし、国際センターなどもできて南の玄関として沖縄を位置づけていく、国際交流を強化していくということからしますと、今私が指摘をしたようなことが、これからの沖縄の人材育成あるいは文化活動、本当のふるさとの心の維持、継承、発展という面では大事だと私は思うのですよ。そういう意味で、何とかこの国立の組踊劇場というか、そういった国立の沖縄の伝統芸能を保存また継承さしていく場が欲しい、これは県民の本当に切実な要望なんですね。ぜひその方向で実現をしていくように御努力を賜りたいと思うのですが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 お話の最初に文化に対する御見解がありました。全く同感でございまして、文化というのは、一つの風土と歴史と、それからそこに住んだ人間の心の哀歓の織りなした遺産であると思いますので、特に沖縄の芸術文化、これを伝承し振興するということは切実な願いであるということはよくわかります。  今、文化庁の方から予算上の問題で直ちにはという御答弁を申し上げました。実態はそのとおりでございまして、まことに残念でございますが、しかし長い目で、先生のおっしゃいます、また、沖縄を南の一つの文化振興の中心地としてそういうものを置くという御熱望を胸に置きまして、今後努力をさせていただきたいと思います。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 文化庁にしても大臣の今の御答弁にしても、必要性というか、それについてはどなたも否定はしていらっしゃらないと思うのです。きょう開発庁も来ておるかと思ったのですが、私はこの件については沖縄北方対策委員会でも何度か取り上げて、沖縄開発庁も、御承知のように二次振計ももう後半期に差しかかっておるわけですね、そういうことも踏まえて何とかこの二次振計期間中に方向づけをしたい、こういう計画というか考えを持っておるようですから、文部省の方も御協議の上、善処方を要望しておきたいと思うのです。  そこで、若干前後しますが、たしか昨年の四月に沖縄県知事名あるいは沖縄県の方から文化庁初め関係省庁に国立の組踊劇場の建設要請が出されておると思うのですが、そのとおりですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 そのとおりでございます。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 その御要請についてどういう御検討をこれまでなさっていらっしゃるのですか。

横瀬庄次文化庁次長

○横瀬政府委員 それは、先ほど申しましたように組踊劇場を沖縄が非常に強く望んでいるということについての事情、そういうことについては御理解できるわけでございますけれども、現実に文化庁の現在の財政状況というものと、それから第二国立劇場がこれから大きなプロジェクトとして建設、建築にかかっていくという状況にある中では、これはほかのいろいろな国立の文化施設の御要望についても同様でございますけれども、具体的に検討するという状況の中にはとてもないと言わざるを得ない状況にございます。その辺、そういう財政的な状況が一番大きな問題でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 もう少しお尋ねしてから、最後にまとめて大臣の方からお答えいただきたい。  事務当局というか、財政問題となると、これは各地方からそういった要望が強いと思いますね、なかなか沖縄だけ優先ということにもいかぬといういろんなハンディはあるかもしれませんが、しかし、冒頭経過なりいろんな背景を申し上げたことからすれば、必要性はお認めになっている、そうすると、これは財政の問題というのはそれだけ考えると何もできはしませんわな。それを、困難性を克服をして実現をするのがやはり政治であり、文化を大事にする行政であり、また文部行政、文教行政だと思うのですね。  そういう意味で、我々が承っていることでは、文化庁が、あるいは沖縄開発庁も、要するに文部省は、復帰二十周年記念事業として位置づけて、県の方もより積極的に計画を立案をして二次振計後期プロジェクトという面で取り組んではどうかという、示唆というか、そういったお話もあったというふうにも聞いておるわけです。  確かに第二国立劇場を先に完成させなければいかぬということ等で、文部省次元、文化庁次元ではいろいろ困難な面もあろうかと思うのですが、先ほど来私が要望し、また指摘をしてきましたいろいろの事情、また必要性については大臣も文化庁もお認めになっている、そういう点からすると、二次振計後期のプロジェクトとして開発庁とも十分協議の上でこの問題の検討にいま一歩踏み出す、そういうことは私は十分お考えになっていい事業だと思うのですが、改めて大臣の決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 御趣旨はよく理解できますので、関係省庁と打ち合わせをしまして、最大限の努力はいたしたいと思います。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 ぜひ最大限の努力をしてもらって、国会用語に、終わらさないようにひとつ実現をしていただきたいと思います。  これは、要望している組織など、先ほど文化庁次長さんの方からありましたが、伝統組踊保存会とか沖縄伝統舞踊、沖縄伝統音楽野村流、同安富祖流あるいは同湛水流、同箏曲、そういった沖縄の伝統の粋を集めた関係団体からも強く要望されている点をぜひ酌んでいただきたいと思います。そういうことで、くどいようで申しわけありませんが、重ねて。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 おっしやる趣旨に沿って努力を続けます。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 ぜひひとつ、県民がこれからソフトの面に向けていろいろやっていこうという重要な転換期ですから、一層の御配慮とお力添えを重ねて強く要望しておきたいと思います。  次に、若干今の件と性格が違う問題ですが、教科書問題でぜひ文部省の御見解を聞いておきたいと思うのです。  限られた時間でありますし、また、こういう分科会ですから掘り下げた議論はできませんが、まず、大臣に率直に御感想を聞いてみたいと思うのです。  沖縄戦で集団自決とか、あるいは今学校の卒業式などで高校あたりに出ている日の丸、君が代問題、特に沖縄では本土とは比較にならないほど強いそれに対する反応なり感情があることは御承知だと思うのですが、そういうことについて文部大臣としてどういう感じをお持ちなのか。二つありますね、集団自決ということについてはどういうお考えなのか、あるいは日の丸、君が代をなぜ沖縄の県民なり児童生徒が本土以上に強い感情で受けとめておるのか、その点からまず聞かしていただきたいと思うのです。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 基本的にまず申し上げたいのは、過去の大戦におきまして沖縄の県民の方々が大変な犠牲を払われた、この事実については心痛む思いがいたします。また、数年前、衆議院の試写室で沖縄戦の記録フィルムを超党派で拝見をいたしまして、その心を新たにいたしたところでございます。したがって、今後かつての大戦の犠牲そのものを客観的に公正に伝え、再び過ちないように、また国際交流の中で平和な国際関係が保たれるよう、その一端を担っていくべきであるという心を新たにいたしております。  また、国旗、国歌につきましては、それぞれの国の国旗、国歌が栄光の喜びと同時に消しがたい悲しみも持っておるわけでございますから、それでこそ重みがあるわけでございまして、その中の喜びはとわに伝え、悲しみは再び繰り返さないように、これを国旗、国歌の一つの意味として受けとめるということが必要であろう、このように考えます。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 私は一般論としては、今大臣がお答えになった点、おっしゃたことは理解できるのです、一般常識として。  ただ、そうではあるわけですが、御承知のように、去る二月九日、十日、第三次家永教科書訴訟が沖縄に出張して、沖縄で尋問があったわけですね。これは私などが多くを指摘するまでもないわけですが、今集団自決については大臣はお述べになりませんでしたが、集団自決というのは敗戦後のかなり時間がたってからそういう表現が出てきたわけです。集団的死なのですよ。本当にそういう極限状況に渡嘉敷なりあるいは沖縄本島のあちこちでも追い込まれた。私なんかまだ国民学校六年生でしたから、いろいろな体験はいたしましたが、だれしもがああいう状況、鬼畜米英と教え込まれているから、鼻をそがれたり腕を切られたり爪を抜かれたりするよりも、玉砕する、自決をした方がいい、学校教育現場では徹底的にそれしか仕込まれなかったのですからね。そういう中で起きたああいう不幸な悲劇、事件なのです。  ですから、「集団自決」を「非業の死」に含め、「そのなかには日本軍のために殺された人も少なくなかった。」そういう家永教授の記述がどうして問題になるのか。今の大臣の沖縄戦に対する感想から、常識論からすると、これなんかはごく普通の歴史的記述だと私たちは見るわけですが、これがそうでもないということでもう何十年裁判を引きずっているというこの現実です。ここらがどうしても理解できないわけです。  それだけではない。文部省は、数えればたくさんあるわけですが、これまでも沖縄戦等に対する記述に随分クレームをつけて、注文をつけてこられた。例えば一九八二年に判明した住民虐殺、あるいは「侵略」を「進出」に直せとか。正しい史実を記述をし、本当に沖縄戦のあの悲惨さ、むごたらしさ、また、残念なことではあったけれども旧日本軍が本当に県民を殺害をした、住民虐殺があったことは私なんかも事実としてわかるわけです。これを歴史教育からなるべくそうでなかったというふうに薄めていくという姿勢というのは、冒頭大臣がおっしゃったその沖縄戦観と全然相入れないものがあると私は言わざるを得ません。そのことを私たちは大変心配するわけです。再び皇民化教育のもとに――本当に教育の民主化というか教育基本法というものを大事にした、民主教育というものを基本にしたことをやらないといかないのじゃないか。今私が指摘をしたことについてどういうふうにお考えなのか、ひとつ。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 御指摘の点につきまして、現在訴訟として係争中の案件でもございます。先般証人等の沖縄での経緯があったわけでございますが、私が現時点で御説明いたしますとするならば、やはり訴訟におきまして準備書面等で国側の立場で明らかにしている点を申し上げるわけでございます。  そこで、第一点でございますが、先生御指摘の集団自決に関連いたしまして、思い起こしていただきますと、当初の原稿には「一六万もの多数の県民老若男女が戦火のなかで非業の死をとげたが、そのなかには日本軍のために殺された人も少なくなかった。」こういう記述でございました。この原案には集団自決はなかったわけでございます。そこで私ども、国の立場で検定上の意見として、やはり県民が犠牲になったことの全貌が客観的に理解できるように記述してほしい、最も犠牲者の多い「集団自決」を加える必要があるという意見を申し上げたわけでございます。すなわち、この「日本軍のために殺された人も少なくなかった。」その事実を否定するということではなくて、その事実だけで全貌が明らかであろうか、やはり全貌が客観的に理解できるよう記述し、最も犠牲者の多い「集団自決」を加える必要があるというふうな意見を申し上げたという経緯でございます。  したがいまして、私どもの立場といたしましては、先生御指摘のいろいろな県民が犠牲になったケースがあるわけでございますが、集団自決のみが事実であったということを教科書検定の立場で申し上げているわけではない、そういう点はぜひ御理解をいただきたいわけでございます。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 これは議論をすれば、いろいろな経過なり、またそういった事実関係を具体的に提示をしてやりとりしなければいかない課題ですから、きょうは時間もありませんしこんな遅い時間ですから、いずれどこかでお尋ねすることになるかと思うのですが、しかし一貫して私たちが受ける感じは、そういった住民虐殺であるとかあるいは集団的死であるとか日本軍による残虐行為であるとか、戦争の残酷さ、むごたらしさというものを本当の事実として歴史教育に記述をし、それを生徒に教えていくということに対して、文部省としてはできるだけそうはしたくないという立場をとっている、これは間違いないと思うのです。我々から見るとそういうことである。ですから、日の丸問題にしましてもあるいは君が代問題にしても、それは国民それぞれのお立場、考え方があるでしょう、私は一般論まで否定しようと思いませんけれども、事戦前のような皇民化教育をし、国家権力で教育を統制をしていくというあり方あるいは教科書に対する著しい権力介入というのは絶対あってはならぬ、このことは私は強く申し上げておきたいと思います。  きょうのところは、今局長がおっしゃったことに対する具体的な問題提示をして議論をしなければいけませんが、その時間的ゆとりはありませんからこれだけでとめますが、最後に、文部大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

中島源太郎自由民主党文部大臣

○中島国務大臣 基本的な考えは先ほど申し上げました。その気持ちをもとにいたしまして、ただ、教科書検定につきましては、あくまでも客観的で公正で、そして教育的配慮が払われるべきもの、この基本線で、かつ、沖縄の県民の方々が受けられました感情をよく胸に置きまして今後対処してまいりたいと思います。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原分科員 こういう時間ですから、終わります。

西岡武夫自由民主党

○西岡主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして文部省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。また、文部大臣初め文部省各位大蔵省さらに委員部、調査室、国会職員の皆様方、長時間にわたりまして大変御苦労さまでございました。記者クラブの皆様方にも御礼を申し上げます。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後九時三十分散会

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