本会議 第3号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1988/01/27
会議録
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。 ────◇───── 議員請暇の件
○議長(原健三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。 柿澤弘治君、中曽根康弘君、山口敏夫君及び与謝野馨君から、一月二十八日から二月五日まで九日間、愛知和男君から、二月二日から十一日まで十日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。 ────◇───── 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(原健三郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。土井たか子君。 〔土井たか子君登壇〕
○土井たか子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、一昨日の竹下内閣総理大臣の施政方針演説に対して質問いたします。 私がきょうお尋ねしたいことは、すべて日本国民のための政策についてであることは申すまでもございません。しかし、それと同時に、日本は世界の人類のためにどのような政策を選び取らねばならないのだろうかという観点に立ったものであります。御答弁もぜひそのような立場からお願いしたいと存じます。 私たちは、今日、世界の趨勢というものを今までになく強く意識しております。政治家としてみればそこに気を配るのは当然であります。しかし、これまでややもすると日本の政府は、時代の表面的、皮相的な流れに逆らわぬようかじをとることばかりに心を砕いてきたのではないかと私には思われます。日本人自身の行動が世界の運命によくも悪くも大きな影響を与えるようになっている今日、日本が流れに身を任せるだけにとどまっていることは到底許されるはずがありません。私たちは、世界の趨勢の底流を見きわめて、また、今日までの日本がどのような役割をしてきたのかを見直して、みずから選び取った政策で世界の趨勢を動かすこぎ手とならなければならないのであります。その意味で、総理が施政方針に掲げられた「世界に貢献する日本」という言葉自体は、まさにそのとおりであります。しかし、総理、あなたのなさろうとしていることは、言葉とは裏腹に、そのような主体的な日本政府の選択の結果とはとても思うことができないのであります。(拍手) 第一に、竹下内閣は世界の平和のために具体的に何をしようというのでしょうか。昨年十二月八日、レーガン、ゴルバチョフ米ソ両国首脳は、INF、中距離核ミサイル全廃条約に署名しました。たとえ数%というわずかなものにせよ、際限なくふえ続けてきた核兵器が減らされることの人類にとっての意義の大きさは、幾ら強調しても強調し過ぎることにはならないでありましょう。(拍手)私たち社会党・護憲共同は、両超大国がことしさらに戦略核の五〇%削減に展望を開こうとしていることとともに、この成果を新しい緊張緩和時代の扉を開いたものと高く評価しております。 もし時代がそのような大きな曲がり角を曲がったのだと認識するならば、その中で私たちが主体的に選び取る政策は、日本が世界の軍縮に貢献する道は何かということであるはずであります。それはそんなに難しい話ではありません。最近、軍備の増強ぶりが注目されている日本が、ここで戦闘機一機でも潜水艦一隻でも減らす方向を示すことができれば、影響は決して小さくないでありましょう。(拍手) もちろん、私は、今回のINF全廃条約によって大国が軍備管理から全般的な軍縮へ向かうだろうと見るのは時期尚早で、非核の通常兵器による戦争の危険はむしろ増大するかもしれないという議論のあることを承知しております。大国間の緊張緩和が本物になるかどうか、期待とともに注意深く見守る必要を否定するつもりはありません。しかし、米ソの今後の話し合いをただ息を詰めて見守るだけで、みずからは何もしないという態度は、平和憲法を持つ私たちのとる態度でありましょうか。それこそが旧来の「世界に貢献しない日本」なのではないでしょうか。軍縮への道がまだ頼りないものであればあるほど、日本のような国が主体的な行動でその方向を確実なものとすることに貢献しなければならないのではないでしょうか。 さきにスウェーデン、ギリシャなど核兵器を持たない六カ国がイニシアチブをとって平和サミットを開き、ストックホルム宣言で軍縮検証の国際システムを提唱したことは、軍縮を国連の場で進める努力として評価され、注目されているではありませんか。ところが、竹下さん、あなたの政府は、何もしないどころか、むしろ軍備拡大の方向を選び取ったのであります。(拍手)総理、今国会に提出される政府の防衛予算案は三兆七千億円という巨額なものであり、今回もGNP、国民総生産に対する一%の枠を昨年に引き続き大幅に超えています。GNP比一%以下に防衛予算を抑えることは、政府の国民に対する公約であって、国会で約束してきたものであることは言うまでもありません。これをほごにしたいならば国民に信を問わなければなりませんよ。政府の防衛力整備計画とはおのずと異なります。総理、いかがでございますか。一%枠を遵守することを強く要求いたします。(拍手) 政府は、このGNP比一%枠を踏み破って、しかも、政府が新たな軍備の歯どめと称している中期防衛計画の総額明示方式を、今また踏み越えようとしているではありませんか。一隻一千二百億円もするイージス艦購入費、ソ連、中国大陸を射程に置くOTH、超水平線レーダー、P3C、F15など、すべてツケ買いであり、八八年度の場合、後年度負担という名のツケ払いは二兆五千九百億円にも上り、その結果、中期防衛計画の十八兆四千億円という限度額を超えようとしています。イージス艦やOTHなどは、中期防衛力整備計画にも当初はなかったものです。国民の多くは、今なぜイージス艦やOTHが必要なんですかという素朴な疑問を持っています。これに対して、総理、お答えをいただきたいと思います。 政府の約束である専守防衛などはどこかに吹っ飛んで、軍備は量も質も強化される方向がはっきりしてきました。もしこれが政府の主体的に選び取った政策だとするならば、どういうことになるでしょう。既に達成している軍備の大きさから見て、日本が既定方針にこだわって世界の趨勢を無視したというだけでは済みますまい。今日の世界では、せっかく芽生えた人類の希望を破壊するおのを振り上げたことになるのです。(拍手) そこで、総理にお伺いいたします。総理は軍事大国への道はとらないと強調されていますが、世界の大勢に逆行する軍拡の政策方向は、米国の要請なのか、それとも竹下内閣の主体的な判断なのか、いずれの場合にせよ、理由と根拠をはっきり示していただきたいと存じます。(拍手) 日本政府は、これまでソ連が極東に配備するSS20をみずからの軍備増強の有力な根拠の一つとし、その全廃を唱えてきました。一方、竹下さんは折あるごとに世界の軍縮に積極的に貢献していきたいと言ってこられました。SS20の全廃は決まり、あなたの言動を証明する絶好の機会が訪れたのでございます。まず手初めに、三沢に配備されているF16戦闘機の撤去をアメリカに申し入れたらいかがでございましょう。世界の趨勢に対する読みも、それに基づく政策も、アメリカのそれに頼っているだけで、日本の主体的な判断がどの程度加わっているのか疑わしい限り。竹下さんの「世界に貢献する」の「世界」は、アメリカ、それもごく一部のアメリカと読みかえねばならないのでしょうか。(拍手) 私たちの憲法は、その前文で「われらは、平和を維持しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とうたっています。この憲法の精神が今や現実性を深めようとしているときに、竹下内閣はこれを裏切ろうとしているのです。我が国が軍事力で物を申さない国であればあるほど、外交こそ世界の平和に貢献する国の重要な柱ではありませんか。しかるに、予算案を見れば、外務省の職員の人件費や外国での活動費はわずか一千百十九億円しかありません。これは何と驚くなかれ、今年度予算案に計上している米軍駐留経費のうちのいわゆる思いやり予算一千二百三億円以下であります。(拍手)竹下さん、こんなことで平和外交ができるのでしょうか。余りにお粗末と言えましょう。米軍駐留費のうちのいわゆる思いやり予算の飛び切りの増額は、安保条約、地位協定に違反するものをまず予算に計上して、その後、地位協定の改定を急ぐなど、言語道断であります。まして三宅島NLP基地、逗子の米軍住宅建設は協定上の義務でなく、無用の思いやりである以上、当然に中止すべきであります。総理、いかがでございますか。 レーガン大統領は、昨年の米ソ首脳会談の際、国家は互いに武装しているから相互不信になるのではない、不信が武装させるのだと述べています。この言葉は至言だと思います。この際、国際政治の潮流に即して日本が貢献するためには、特にアジア諸国との信頼関係を促進することであると信じます。この点で、特に最近の日中関係の心理的緊張を打開するためにどのような対応をして総理は訪中を考えておられるのか、また、ソ連脅威論を振りかざすのではなく、その脅威を取り除くために、日ソ間の不信打開に向けてどのような具体的努力をなさるおつもりか、御存念をお聞かせいただきたいと思います。(拍手) 日本が世界に貢献するいま一つの柱は人権問題であることは言うまでもありません。ことしは国連人権宣言四十周年、いわゆる人権年でございます。驚くことに施政方針演説の中には人権のジの字もございませんが、一体人権問題を竹下内閣はどう考えておられるのでありましょうか。私たちはかねてより人種差別撤廃条約の締結を要請してまいりました。既にこの条約は発効後二十年、百二十四カ国の国々が加盟しております。「世界に貢献する日本」として一体どうなさろうとされているのか、総理の明快な御答弁をお聞かせいただきたいと思います。(拍手) 次に、私は経済政策の根本の考え方について伺いますが、実はこれも今申し上げ、お尋ねしたことと切り離せない関係にある問題でございます。 INF全廃条約をもたらした力の中には諸国民の平和への願いと並んで人々の生活の豊かさへの願望がありました。ソ連のゴルバチョフ書記長は、アメリカの議会関係者と話したとき、さきの戦争で我々がたたきつぶした日本、西独、イタリアは軍事目的に多くの資源を使わず、今や経済力で先に進んだ、ソ連最高会議も米議会も政治の急務に気づくべきだというのが私の考えだと述べたそうであります。このことはまさに我が国のことを言っているのではありませんか。反対に、米ソ両超大国の経済の行き詰まりは軍備に力を入れ過ぎた結果だと言えるのではないですか。竹下総理はどうお考えになりますか。申し上げるまでもございませんが、一国の経済の繁栄、国民生活の向上は、他国民の犠牲の上に築かれるものであってはなりません。さらに今日では、ただ単に他国の人々に犠牲を強いないだけでなく、積極的に他国の利益になる経済繁栄のあり方が問われていることは常識と言っていいでありましょう。 日本の経済力を他国の利益に役立てるのに最も直接的な方法は政府開発援助、ODAの拡大であります。政府は、ODAの伸び率を八八年度は六・五%予算化してODAは伸びた、伸びたと言っています。しかし、これは防衛費の五分の一でしかありません。この程度で胸を張ることはいかがなものでございましょうか。国際的な評価はどうでしょう。ODAの国際的な評価の目安である対GNP比率では〇・三%程度であって、フランス、西ドイツ、イギリス、カナダなどを大きく下回っているのが現状であります。今政府はODAの倍増を目指していますが、もっとドラスチックに、例えばGNP比一%を目指すくらいの大胆な発想をしてはどうかと考えます。(拍手) それと同時に、肝心なことがございます。ODAの実施に当たっては、内外の特定企業や業者の利益が重視されるようでは、その目的と効果に疑問が持たれます。その国の生活文化、伝統産業、教育、衛生など生活関連や技術移転、留学生の枠の拡大といった点にもっと工夫を凝らすべきではありませんか。それなのに、政府は国会に対してさえ援助の内容をすべて明らかにしようといたしません。これではいけません。私は、ODAについては、国会の承認、評価を義務づける対外経済協力基本法を急いで制定する必要があると思っています。これらODAについて、「世界に貢献する日本」の提唱者竹下さんはどうお考えになっているのか、お尋ねしておきます。(拍手) 内需の拡大は、中曽根前内閣以来の政府の最も重要な国際的公約となっていますが、なかなか実効が上がりません。それは、私たちの見るところ、政府が国民生活の真の豊かさに対してまじめに取り組もうとしないからであります。もし国民生活の本当の豊かさとゆとりを求めていくならば、その中から内需は当然拡大し、製品輸入はふえ、日本国民の利益が同時に他国民の利益につながる幸福な関係が成り立つはずであります。念のために申しておきたいのですが、国民生活の向上は決して内需拡大の手段ではありません。国民生活の向上それ自体が政治の最高の目的であります。内需の拡大は、結果として予期されるものにすぎないにもかかわらず、実はその本末がわきまえられていないことが内需の低迷をも招いていると言えるのであります。(拍手) 内需拡大のために見落とすことができないのは、今日、円高経済のもとで非常な苦境に追い込まれている地域経済の振興であり、そのための自治体行財政の確立、強化を図ることであります。とりわけ農村地帯では、打ち続く減反政策や農産物の価格抑制政策に加え、今回の日米交渉による十二品目自由化の圧力で農業崩壊の危機にさらされようとしています。総理は、昨年十二月の農林水産委員会決議をどのように受けとめられたのですか。何の保障もないまま農民を見捨てることは断じて許されません。農業経営の改善、体質強化の努力を助け、生産者と消費者の合意のもとで、先進国中最低と言われる食糧自給率の向上、安全な食糧の確保という目標を追求すべきではありませんか。そのために国会においても超党派で努力するべきではないかと私は思っています。総理の御決意を伺いたいと思います。(拍手) 日本人は豊かになったと思っているけれど、実は国民一人一人の暮らしは決して豊かではないということは、今日多くの人々の実感であります。例えば私の友人である暉峻淑子さんは、西ドイツの人々の暮らしぶりについて最近の書物に次のように書いております。「美しい町並み。美しい街路樹と、整った歩道、自転車道、車道があり、老人も子どもも、ハラハラせずに安心して歩くことができる。市民の手の届くところに、いたるところ公園と森と湖があり、水際まで樹々は迫って、セメントにぬりこめられた山の斜面もみあたらない。片道百円のキップで、地下鉄、バス、電車と、どこまでも乗りついでいくことができる格安料金なのに、まず座席に坐れないことはない。土、日は休日で、小さな商店の人も店を閉め、長い夏休みの休息には保養地にいく。勤労者は一カ月から三カ月までの夏休みをとるのがふつうである。学校の先生たちは、無給でよければ一〇年まで休暇をとることもできる。その間、外国に出かけたり、他の職業を経験したり、勉強をしなおしたりする」この文章には、このほか、家と土地は言わずもがな、老人の置かれた状態、文化に対する政治の保護など、同じ先進国といっても天と地ほどの差のあるさまざまな事実を述べております。 日本の状態をこのレベルまで引き上げるには、経済のあり方を思い切って国民生活本位に切りかえなければならないことがだれの目にも明らかだろうと思います。生活を引き上げることで内需拡大がいや応なく実現することも、別に難しい経済論議なしにどんな人にもわかります。 さて、総理、国民の生活水準を引き上げる具体的なプログラムがございますか。防衛計画は中長期のプログラムを詳細に組んで、泣く子も黙れとばかり推し進めるのに、この大切な国民の生活を引き上げる中期計画とか長期計画のプログラムは一向に聞こえてまいりません。一九九〇年には失業率が三%を超えると言われ、高齢者の人口の増加も予測できます。国民あっての国であります。ぜひ中長期の具体的プランをお示しいただきたいと存じます。(拍手) 昨年五月の参議院国民生活に関する調査会の報告書によれば、日本の家庭が一カ月に買う食料をアメリカで買うとすれば日本の四八%、西ドイツでは六五%の金額で済むそうであります。当時より円高・ドル安となった今は、アメリカとの比較数字はもっと低くなっているに違いありません。別の西ドイツ報告によると、西独には日本のような貿易摩擦はほとんどないそうであります。それは、西独製品は外国でよく売れるけれど、外国製品も西独国内でよく買われるからであります。どうしてかというと、マルクがわずかでも高くなると、それに連動して輸入品が確実に同じ幅で安くなるためだということです。日本の場合、円が高くなっても輸入品や輸入品を原料とするものの価格も一向に下がりません。ロンドンで八万円で買えるコートが日本のデパートでは十八万円もするとも言われております。輸入品が下がらないのは日本の複雑な流通機構にも一つの原因があります。しかし、需要を呼び起こすのを妨げている一因は政府の価格管理政策なのであります。別の言い方をすれば、政府の政策が国民生活の充実を目指すという大切なことをないがしろにしているからにほかなりません。西ドイツでできて、なぜ日本でできないのでしょうか。総理、円高差益を国民に還元させる方途をぜひお示し願いたいと思います。(拍手) 経済の話は当然大都市の地価高騰の問題に及んでいきます。これについて具体的な議論は同僚議員の方々のより詳しい質問に譲りたいと思いますが、一言私も触れるなら、大学卒のサラリーマンの生涯賃金をすべてつぎ込んでも東京都区内に百平方メートルの土地も買えないという異常さが、どれほど若い人の働く意欲を失わせるかということであります。そしてまた、自民党政府の土地無策は、結局、自民党が地価暴騰でもうかる人々の味方であって、家や土地に苦しむ人々の味方では決してないことを鮮やかに証明したということであります。多くを言わなくとも、まじめに働いている人が相続税を納めるために、ささやかな、今自分の住んでいるその土地や家屋を売らなければならない事情にあることを総理は御存じですか。総理のおっしゃるような税体系全般の問題ではなく、それから切り離して緊急課題として取り扱おうとすればできることであります。いかがですか。私たち四野党が共同で提唱している土地基本法が制定されるなら、土地問題は大きく改善されると思いますが、総理の御見解を承りたいと存じます。(拍手) 国民生活との関連では、税制改革の問題が極めて重要であることは論ずるまでもありません。総理が御就任以来この問題に極めて熱心であることはよく承知いたしております。施政方針演説も財政演説も、税制改革を八九年度に行うことを前提とした話のようでありました。総理は、税制改革の論議について、「直接にせよ間接にせよ出来る限り多くの国民が自ら参加した、開かれた議論を通じて国民的合意が形成されることが望ましい。」と著書で述べておられます。しかし、政府が行おうとする改革について一般の国民が論議するには、改革の中身がある程度わかっていなければなりません。 ところが今、改革の内容については、自民党税調を初め関係者の断片的な話は伝わってきますが、それが単なる思いつきなのか、ちょっと出してみた観測気球なのかわからないままに、どうやら大型間接税の導入を計画しているのは確からしいというのが、国民の知り得たことの全部と言っていいでしょう。このままでは、八八年度予算案の審議中は、税制改革について実のある論議はするなと言うに等しいではありませんか。これでは予算審議はできません。総理、いかがでございますか。 一昨年の衆参同日選挙で、自民党は、大型間接税は導入しませんと公約して、衆議院では三百余議席を確保しました。これはお一人お一人の自民党議員が大型間接税に反対する立場で有権者の支持を得て当選してきた結果であります。総理、あなたがそこに座っていられるのは、大型間接税は導入しないという公約によって得られた三百余議席によってであります。その公約をほごになさるのなら、自民党の選挙公約とは一体何でしょうか。その結果、議会制民主主義に対する信頼はどうなるのでしょう。総理の御見解をしかと承りたいと存じます。(拍手) さて、大型間接税とは、既に国会審議の場において、六十年二月に政府統一見解が出されております。よく知られているように、多段階、包括的、網羅的、普遍的で、縦横十文字に投網を打つようなことはしないというのがそれであります。あなたは当時大蔵大臣でありました。これも国民に約束されたことであります。この公約を内閣がかわったからといって、一片のほごにすると言われるのなら、あなたの政治責任はどうなるのでしょうか。総理がこの統一見解をほごにし、竹下内閣がどうしても大型間接税の導入に固執するならば、国会解散、総選挙によって国民に信を問うことが、議会制民主主義の手続のイロハのイであると思いますが、総理、いかがでございますか。私は野党だから申しているのではありません。例えば、自民党の恐らくは支持団体であり、昨年末、税制改革にも協力する用意があるとした日本チェーンストア協会の清水信次会長は、つい先ごろ、新型間接税を導入するなら、案をまとめた段階で国民投票か国政選挙を行い、信を問うべきだと述べたと伝えられます。まことに正論と申さねばなりません。信を問う決意がおありかどうか、重ねてお尋ねをいたします。(拍手) このことと関連して、自民党の一部有力議員の間で近ごろ時に話題となるいわゆるダブル選挙説、八九年の衆参同日選挙が避けられないとする見方が流されていることについてもお尋ねしておきたいと思います。 憲法をその体系全体でとらえるならば、もともと衆議院の解散はみだりに行われてはならないものであります。それは、憲法六十九条による場合のほかは、予算案の否決といった事実上の内閣不信任の事態や、今申した公約を変えてしまうような、国民の信を問わねばならない重要で急を要する事柄が起きたときに限って発動されるべきものであります。時の与党にとって都合のいいときにいつでも解散できるというような考えは、国権の最高機関性を軽んずること甚だしいと言わねばなりません。参議院の選挙にあわせて党利党略のために解散するなどは実にアンフェアであります。これで国民の信託にこたえ得ると思うのは大間違いであります。幸い竹下総理は、ダブル選挙は二院制の建前からいって疑問があるとの趣旨を再三にわたって発言しておられます。ここで、憲法の精神を尊重し、ダブル選挙は避けると言明なさるべきであると思います。明快な御答弁を求めます。(拍手) 最後に私は、政治倫理についても総理の見解をたださねばなりません。 先ごろ野党議員にかかわる不祥事が摘発されました。まことに残念であります。もし検察当局の疑いどおりであるならば、それは政治倫理の上でも弁護の余地のないものでありましょう。しかしながら、あえて申しますが、この事件では一点やや救われる思いがしたことがあったのも事実であります。それは、その議員が、任意取り調べの段階であり、容疑を否認しながらも、議員を辞職したことであります。当然といえば当然であります。しかし、一方で元自民党議員で収賄の有罪が確定しながらも議員を続けた人がおり、また、一、二審とも収賄で実刑判決を受けながら、そして病気で八六年に当選後国会に出席しないにもかかわらず、議員をやめようとしない元首相があります。そうした事実を総理はどうお考えでしょうか。また、これら不祥事が明るみに出るたびに話題となる政治に金のかかる事実に関連して、改善の方途について具体的な御所見を総理から聞かせていただきたいと思います。(拍手) さて、今日の世界や日本を取り巻く情勢は、際限のない軍拡競争の時代から、東も西も南も北も平和へ向かって人類がともに生きる時代へと転換しようとしております。これは、古い枠組み、古いシナリオが役立たなくなることを意味しております。このような転換の時代に臨んで竹下内閣がこの時代の流れに逆らい、背を向けていることを私は現実のさまざまな根拠を挙げて気持ちを込めてお尋ねしてまいりました。総理、今真っ先に必要なことは政治の転換であります。一九八八年を希望を込めて二十一世紀に向かうための転換元年とする決意と勇断を総理に求め、私の代表質問を、残余の時間を残して、ひとまず終えたいと思います。あと、総理からの御答弁を承って再び質問をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず、私に対する御質問の冒頭におきまして、世界の趨勢というものは、表面的流れに逆らわないということだけでかじをとるのではなく、底流を見きわめるべきである、私もそのとおりだと思っております。 続いて、世界平和への貢献についてINF条約等に言及されての御質疑でございます。 確かに新しい緊張緩和の扉を開いた、しかし、手放しであってはならない、また、現実的態度を主張されたという点については私と大きな開きがあるとは必ずしも思いません。そこで、今日の国際環境は、昨年末、米ソ間でINF条約が署名されるなど歓迎すべき動きも見られるが、戦略核兵器や通常兵器の削減、さらには地域紛争の解決など依然多くの課題を抱えて平和への道程はなお遠い状態にあります。施政方針演説で述べましたとおり、我が国は、東西関係が一体として一層安定的なものとなるよう米ソ間の建設的な対話がさらに進展することを期待いたしますとともに、このための米国の外交努力、これはウィリアムズバーグ・サミットで確認しておりますように、強く支援していく考え方でございます。また、我が国自身、国連や軍縮会議等の場において、実効的な軍縮の促進を図るため引き続き努力してまいります。さらに、イラン・イラク紛争、カンボジア問題等の早期平和的解決に向けた努力を続けていく考え方でございます。 さて、次に言及されました人種差別問題でございます。 政府としては、本条約の趣旨にかんがみて、できるだけ早期に締結すべく作業中でございますが、本条約に規定します処罰義務、表現の自由など、すなわち、条約四条と憲法十九条、二十一条等の基本的人権との関係、これをいかに調整していくかなどの問題がございますので、これは鋭意検討中とお答えすべきものであろうと思います。 次の課題は、GNP一%枠の問題でございます。 政府は、従来から大綱水準の早期達成を図ることを基本方針として、防衛力整備の具体的実施に当たりましては、昭和五十一年十一月の閣議決定を尊重してこれを守るよう努めてきたところでございます。政府は、昭和五十一年十一月の閣議決定にかわるものとして、御指摘のありました昨年一月、今後の防衛力整備について新たな閣議決定を行いまして、中期防に定める所要経費の枠内において各年度の防衛関係経費を決定するものとして、また、節度ある防衛力の整備を行うという精神はこれは引き続き尊重することとしたところであります。政府としては、かかる方針には変わりがございません。 例示されましたイージス艦、OTH等の問題であります。 六十三年度予算でイージス艦一隻を計上しておりますのは、中期防で「護衛艦の対空ミサイル・システムの性能向上について検討の上、必要な措置を講ずる。」このようにされていることに基づきまして、政府としては所要の検討を行いました結果、我が国の海上交通の安全確保にとっての近年のミサイル等経空脅威の質的変化に対する上で最適である、このように判断したからでございます。また、OTHレーダーにつきましては、中期防で「その有用性等に関し検討の上、必要な措置を講ずる。」このようにされております。専守防衛を旨とする我が国にとって、情報収集能力を強化するものとして有用ではないかとの観点に着目をして、現在検討を行っているものであります。したがって、これを導入するか否かは今後の検討を踏まえて判断すべき問題であります。 それから、防衛力整備に対する基本的な考え方でございますが、我が国の防衛力整備は、あくまでも我が国の自主的判断に基づいて憲法及び基本的防衛政策を踏まえ、我が国が平時から保有すべき防衛力を定めた「防衛計画の大綱」に従って進めるものでございますので、米国の要請によるものとの指摘は当を得ていない、このように考えます。 次の問題は、F16等の問題でございます。 非核三原則を堅持し、安保条約による核を含む米国の抑止力に国の安全保障を依存することは、我が国の基本政策であります。日米安保体制の効果的な運用を図るため、米軍が我が国において必要な装備、設備機材等を維持することは、抑止力の維持向上にとって必要なことは言うまでもありません。なお、米軍による核持ち込みはすべて事前協議の対象であります。事前協議が行われない以上、核持ち込みがないことについては全く疑いを有していないことは、累次答弁を申し上げておるところであります。 いわゆる思いやり予算についての御質疑であります。 昭和五十三年度から実施しております在日米軍労務費一部負担と昭和五十四年度から実施しております在日米軍の施設整備は、要するに、地位協定上日米のいずれにおいても負担し得る経費を、日本側が安保体制の効果的運用を確保する観点から地位協定の枠内で自主的に負担してきているものでありまして、また昭和六十二年度から実施した諸手当の一部負担は、労務費特別協定を締結の上実施しておるものでありまして、地位協定違反であるというふうには考えておりません。また、在日米軍経費負担増についての政府の方針は、一月八日の政府・与党首脳会議におきまして明らかにしたとおりでありまして、今般明らかにされた措置以外の措置をとることは検討しておりません。 次は、三宅島NLP、逗子米軍住宅建設問題等にも御言及がございました。 日米安保体制は我が国の防衛、安全保障の基調をなす緊要なものでありまして、その根幹となる米軍の駐留は、我が国の安全並びに極東の平和と安全に寄与いたしております。艦載機着陸訓練場建設及び米軍家族住宅の建設、これは日米安保体制の堅持を防衛の基本方針とする我が国の考え方とは一致する必要なものであります。 次が訪中問題、中国外交についてのお尋ねでございました。 日中関係は国交正常化以降順調に発展し、関係の緊密化に伴いさまざまな問題が起こっておりますこともありましょうが、対中関係重視は我が国外交の主要な柱の一つでありまして、これらの問題が日中関係の発展に影響を及ぼさないよう双方で最大限の努力を払ってまいります。今後とも、絶えず、御指摘なさっておりますように、日中共同声明、日中平和友好条約及び日中関係四原則、これに従いまして中国との関係の発展に努めてまいる所存であります。なかんずく、本年は日中平和友好条約締結十周年に当たりますので、双方の都合のよい時期に、私自身といたしましても訪中を希望しておるところでございます。 対ソ外交は、ソ連は我が国の重要な隣国でありまして、我が国としては日ソ双方の努力により日ソ関係を改善していくことを希望しております。我が国としては、北方領土問題を解決して平和条約を締結することによって真の相互理解に基づく安定した日ソ関係を確立することが、対ソ外交のこれは変わらざる基本方針である、このように考えております。なお、ゴルバチョフ書記長訪日の問題は、ソ連側から来日時期の提案を言ってくるのを今待っておる状態に変わりありません。 それから、我が国の経済の発展、そしてゴルバチョフさんのお話も交えた見解でございますが、米ソ経済の行き詰まりという問題については、おっしゃいましたような認識もございますが、私は、アメリカ及びソ連の経済はおのおのさまざまな問題を抱えつつも成長を続けてはおる。アメリカ及びソ連の経済は世界経済の中で相対的に比重を低める傾向にございますが、これは戦後目覚ましい復興を示した日本、西欧諸国及びアジアNICS等の著しい発展ということによりまして結果としてその比重が下がっておる、こういう見方もあります。と同時に、今御指摘のありましたように、戦後の我が国経済というのは安保条約のもとで平和的な国際環境が整っておった。そしてそれがゆえにこそ低廉な資源の安定的な供給が受けられた。それ以上に、私は、勤勉で高い教育水準を持つ国民の皆様の努力、そして旺盛な企業の投資意欲また技術開発、これらに支えられて、世界にまれに見る発展を遂げてきたものではないか。したがって、我が国の防衛力整備は、国力、国情に応じて自衛のため必要な限度において効率的な防衛力を漸進的に整備するという基本方針のもとで、そのときどきの経済事情等を勘案して、他の諸施策とのぎりぎりの調和を図りながら今日までやってきたものだというふうに私は考えております。 次がODA予算の問題でございます。 私どもと考えの似ておるところもたくさんございます。六十二年度の五・八を上回ります六・五を予算で確保しました。これは積極的な姿勢を内外に示したということになりますが、効果的、効率的にこれを実施するという意味におきまして、量的、質的な改善ということにこれからも努めていかなければならないと考えております。そこで、基本法の問題が出てまいりますが、今日途上国から評価を受けておるという考え方の上に立ってみますと、現行体制の運用面の改善ということで私はこれに対応するべきではないかというふうに考えております。したがって、援助基本法ということにつきましては、随分古くからこれはお話を承っておることでございますが、今それを制定する必要は、私は必ずしもこれを認めておりません。 それから、次が農産物の市場開放等についての御意見であります。 農林水産委員会におきます決議のありますことは、十分私も承知しております。我が国は世界最大の農産物の純輸入国でありますが、国内における農業の役割は、食糧の安定供給、活力ある地域社会の維持、国土、自然環境の保全など極めて重要であります。農産物市場開放問題への対応は、国際的な経済関係、多様な消費者ニーズへの対応といった観点を踏まえまして、我が国農業の健全な発展との調和を図りながら、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける交渉との関連を十分考慮して適切な対処をしなければならない、このように考えております。 それから、国民生活向上プログラムについての御意見を交えた御質問でございました。 経済大国としての我が国の経済力に見合った豊かで質の高い国民生活を実現することは、これは基本的な目標であります。したがって、お説にもありましたように、実感として暮らしの豊かさをどれだけ感じておるかということは、私も感じを等しくするところがございます。そこで、今日までいろいろな国民生活の充実向上を図るための施策をやってまいりましたが、なかんずく高齢化、国際化等の経済社会環境の変化をも踏まえまして、これから社会保障制度の確立を図りますとともに、また、本当に余暇時間の拡大でありますとか、御説にもありました円高差益の還元でありますとか、そういうことによって国民生活の向上をもたらしていきたい。中長期的計画というものは、御案内のように、従来からもそれぞれの社会資本等に計画があるわけでございますので、それらを個々に総合して進めてまいりたいと思います。 円高差益の還元の問題でございますが、西ドイツを例に例えてのことでありました。私も西ドイツの事情はいつも承知いたしておるところであります。そこで、我が国におきましては、累次にわたる対策といたしまして、電気、ガス料金の引き下げ、輸入牛肉の売り渡し予定価格の引き下げ、国内航空運賃の割引制度の拡充などを実施してきておりまして、円高差益の還元は、私がG5に参りましたのが昭和六十年の九月の二十二日でございますので、それ以来二年四カ月を経過して逐次浸透してきておると思います。今後とも、為替レートの動向等を踏まえながら、これは一層の還元に努めてまいる所存であります。 それから、土地基本法についてのお話がございました。 これは、合理的な土地利用の実現を図ることが重要である。そこでいろいろな国会で御答弁申し上げておるような施策を行っておりますが、そして私も野党四党からお出しになりました緊急提言あるいは基本法の問題、読ませていただいておりますが、国民の財産権に深くかかわる問題でありますので、各方面での論議を踏まえて国民的コンセンサスを得るような慎重な努力が必要ではなかろうかというふうに考えております。今後とも、国会における特別委員会等の議論でこれは取り上げられる課題であろうというふうに私は考えております。 相続税についての御見解もございました。この問題は抜本的税制改革の一環としての位置づけとして、これを今日私どもは考えておるところでございます。 また、地価対策についてでありますが、東京都心商業地に端を発しましたこの問題は、都区部内におきまして若干鎮静化の傾向がありますけれども、周辺の各県、地方主要都市ではなお不十分でございますので監視が必要であるというふうに考えておるところであります。国会の決議もございます。それから行革審の御提言もございます。これらをもとにして、今後とも努力してまいるつもりでございます。 それから、開かれた税制改革論議の問題でございます。 これは、まさに現在、税制調査会において精力的な御審議をお願いしておるというところでございます。そうしてまた、昭和五十三年以来、本議会におきましても、これは大変濃密な議論がなされ続けてきておる問題であるというふうに私は思っております。そこで、このような場を通じまして、国民各界各層の御意見を十分に伺いながら、税制改革の全体像について国民の納得が得られるような成果を取りまとめようということで、目下税制調査会にお願いをしておるというのが現状でございます。売上税にかかわる教訓というのは、これは私ども痛いほど感じております。これはまさに今お話がございましたような経過を経まして、そして、結果において売上税法案は審議未了、廃案となったわけであります。そうした経過を踏まえながら、なお広く国民各層の意見を伺いながら、鋭意これをまとめていかなければならぬ。国民の意見を一番代弁される方は皆さん方である、私は絶えずそう思っております。 そこで、この問題での解散についてのお尋ねでございますが、衆議院議員につきましては、これは四年、すなわち国政全般について責任を負う者としては、この四年という与えられた任期を大事な大事なものとして認識すべきものであると思っております。したがって、今、解散というようなことは考えておりません。(拍手) それからもう一つは、いわゆる同日選挙の問題についてもお触れになりました。一般論として申しますならば、三年ごとの同時選挙が普遍的なものとして定着してしまうことは、私は好ましくないと考えております。しかし、解散・総選挙というものは、あくまでそのときの政治状況等を勘案して内閣総理大臣が行う最高の政治判断でありますから、どなたがその地位にあられましても、その判断はあらかじめ縛られるべき性格のものではない、このように考えております。 以上でお答えを終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) 土井君から再質疑の申し出がありますが、残りの時間がわずかでありますから、簡単に願います。土井たか子君。 〔土井たか子君登壇〕
○土井たか子君 ただいま竹下内閣総理大臣から私の質問に対する御答弁をいただいたのですが、答弁漏れの部分もあり、また意味不明の部分もあり、そうしてまた具体的にお答えをいただけていないという部分があるわけでございます。答弁漏れは、質問の最後で申しました政治倫理の問題。これについての御所信をひとつぜひ承らせていただきたいと思いますが、他の御答弁をいただいた部分で、私の質問に対する御答弁になっていないことを一点ここで聞かせていただきたいと思うのです。 それは、私が質問をしたことは、多段階、包括的、網羅的、普遍的で、縦横十文字に投網をかけるような大型間接税は導入しないとした六十年二月六日の予算委員会における政府統一見解を守られるのか守られないのか。そうしてまた、大型間接税は導入いたしませんということを公約として総選挙で自民党が三百余議席を得られたわけでありますから、この選挙での公約を守られるのか守られないのかという問題であります。これは、議会制民主主義を守るのか守らないのかということにもかかわる重大な問題でございますから、ひとつ明確に竹下総理大臣から御答弁をいただきたいと思います。(拍手) 〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず最初におわびをいたします。 最後の選挙のところで大きな声をいたしましたので、したがって最後の質問に対してお答えしておりませんでした。間違いなく明瞭にこれは答弁漏れでございます。したがって、このことをまず申し上げます。 このたび議員のお方が辞職されるようなことに至りましたのは、まことに残念であります。私は常々、清潔な政治は政治に対する国民の信頼の原点であるというふうに考えております。要は、政治家一人一人が、従来にも増して個人の良心、そして責任を果たすべきものであろうというふうに思います。進退の問題ということになりますと、お互い選挙というものを受けて出ております。個人個人の判断にゆだねるべき課題であるというふうに私は考えます。 それから、政治に金がかかることに対する改善というものについてでございますが、もとより、これにつきましては選挙制度の改善等私どもが国会として考えなければならないこともございます。しかし、最終的にはやはり個人個人の自覚に帰することではなかろうかというふうに考えております。 それから、今のいわゆる再質問の問題についてでございますが、確かに、当時の中曽根総理大臣が国会におきまして予算委員会で答弁の形をもちまして、これは統一見解であろうと政府答弁であろうと同じ重みを持つものでございます、それを基礎にして成案を得て、そうして国会に提案したわけです。それが結果として審議未了になった。これを総括的に判断して、さあ、されば、国民に理解と合意を得るにはどのようなことにすべきかというのを鋭意検討しておるというのが今日の段階であるわけであります。 そこで、次は選挙公約の問題でございます。選挙公約は、国民も反対し自民党も反対するような大型間接税はやらない。私は、国民のお方も自由民主党も反対することをやろうなどということは全く考えておりません。(拍手)
○議長(原健三郎君) 土井君からさらに再質疑の申し出がありますが、残りの時間がわずかでありますから、ごく簡単に願います。土井たか子君。 〔土井たか子君登壇〕
○土井たか子君 ただいまの竹下内閣総理大臣の御答弁は、一向にお答えをいただいていないに等しいのでございます。私がお尋ねをしていることははっきりいたしております。それは、総選挙のときの公約であった大型間接税は導入しないという公約で自民党は三百余議席を得られたのでありますから、その公約を総理は守られるのか守られないかという問題であります。また、政府統一見解を出されたときに大蔵大臣であった内閣総理大臣はこの統一見解を守られるのか守られないかという問題であります。もしも政府の統一見解をほごにし、しかも選挙のときの公約をほごになさるのならば、解散をして国民に信を問う選挙でこの問題の決着をつけるのが当然ではありませんか。(拍手)これは、総理の御決意をしかと承りたいのです。まだ相変わらず同じような御答弁ならば、まともな審議ができない。まともな審議をすることができない、このことを私どもは非常に残念に思いながら、しかし、しっかりした総理の御答弁を承ることを待ちたいと思います。(拍手) ─────────────
○議長(原健三郎君) 渡辺美智雄君。 〔渡辺美智雄君登壇〕
○渡辺美智雄君 私は、自由民主党を代表して、竹下総理の施政方針演説に対し、質問を行います。(拍手) まず最初に、政治姿勢について伺います。 「十年たったら竹下さん」の歌を私が聞かせてもらったのは岸内閣のときでした。それから三十年の歳月が過ぎ、その風雪に耐えて竹下さんはついに目的を果たされました。総理になろうとしていたときに比べ、その責任の重大さに、今さら身の引き締まる思いがしておると思います。それはそのはずです。あなたの一言半句にマスコミはついて回るし、また、国民の運命がかかっておるわけです。ダントツ第一党である我が党の総裁が、国会において内閣総理大臣に指名されます。中曽根総理は、党内投票で総裁となり、総理となりました。中曽根総理就任当時の国内世論は、必ずしも芳しくはありませんでした。しかし、仕事師内閣として、確信を持って行政改革に取り組み、鈴木内閣以来継続された電電公社の民営化を実現し、国鉄の改革に当たっては、国鉄内部はもちろんのこと、我が党内にすら危ぶむ声の多かった分割を断行し、民営化をいたしました。独裁者のやり方だという批判さえありました。 しかるに、どうです、その後一年、国鉄はJR民営鉄道となり、その成果はいかがであったでしょうか。トップの人がかわり、仕組みが変われば、赤字垂れ流しの国鉄も、たった一年でこんなに変わるものかというのが世間の評価であります。(拍手)命がけでやればできることがあるのです。 中曽根さんは、国際舞台において日本の評価を高めました。その中曽根総理が、五〇%という支持率の中で引退をし、しかも自分の後継者に、熟慮の結果竹下さんを指名したと裁定文には書いてあります。そして、裁定文によれば、この重大な時局に日本に求められていることは、強力な内政改革の実現と国際国家日本として前進する周到な外交政策の展開である。内政の改革とは、税制であり、教育であり、土地政策であり、貿易の不均衡の是正である、こう言っています。 竹下内閣は、恵まれた高い支持率でスタートした内閣でありますが、低い支持率を上げるのは易しいかもしれませんが、高い支持率を維持し、さらに上げることは実は非常に難しいのであります。竹下さんは余り支持率などを気にしない方がよい、私はそう思うのであります。初めから長期政権を考えない方が私はよいと思う。長期になるかならぬかは、それは結果論であります。 一内閣で多くの仕事を片づけるということは、言うべくしてこれは非常に難しい。中曽根内閣は、たくさんの改革案を打ち上げ、着々と実行してきましたが、まだまだ難問が山積しております。竹下内閣が大きな改革を一つでも二つでも実現できれば、一時的に支持率が下がるということがあるかもしれませんが、あったとしても、それは歴史に残る評価の高い内閣となることは間違いないのであります。(拍手)要は、在任期間の長短ではありません。業績を上げたかどうかということにかかわります。中曽根さんが行革の鬼として行革を断行できたのは、行政管理庁長官の豊かな経験から出た揺るぎなき知識と信念のためである、私はそう思う。 竹下さんには、財政経済の分野で、それにまさるとも劣らない知識と経験を有しております。その気になれば私は必ずできると思う。現にASEANやアメリカの訪問にいたしましても、この竹下さんの訪問が非常に、予想以上に評価が高かったではありませんか。いいですか、これは竹下さんの人柄、誠実、おしんのような苦労、それが竹下さんの気配り、思いやりとなって人の心を打ったからであります。(拍手)中曽根総理が竹下さんを後継に指名したゆえんも一つは私はここにある、そう思っております。 人は何によって動くか。日本人も外国人も同じなのだ、こんなものは、実際は。それは利害によって動くこともあろう、打算もあろう、権力で動かすこともできよう。しかし、本当に人が命をかけて動くというのは、これは誠なのです。しかったからといって心から従うものではない。まさに「愛語は回天の力ある」を学ぶべきである、これが結論なのです。今、党内挙げて竹下内閣に全面協力している。竹下総理の人柄によるところが多い。人は石垣、人は城とは全くこのことだ、私はそう思っているのです、実際の話が。今、竹下さんのためならやってやろうという人が与党にも野党にもいますよ。それはいます。何も虚勢を張る必要はありません。茶坊主を集めてはそれはだめです。地でいった方がよいのです。真心の政治であり、本音の政治であり、実行の政治でやってください。同じ日本人なら多くの人がわかります。総理、総理の所見はいかがでございましょうか。(拍手) 総理は、施政方針演説において述べられたとおり、政治、経済の両面で中心的な役割を果たしてきたアメリカが、近年、財政、貿易の両面で巨額な、いわゆる双子の赤字を抱えるに至りました。最近は家計の赤字、これが一つ出てまいりました。世界最大の債権国が今や世界最大の債務国に転落し、世界の基軸通貨であるドルの信認が下落し、日米間には貿易摩擦が激化し、アメリカ国内には保護貿易の機運が高まっている。その一方、これまで我が国の貿易は、ここ数年来巨額な黒字を積み重ねて、アメリカばかりでなく、世界各国から貿易の不均衡を非難されております。 顧みれば、資源の乏しい我が国が繁栄してきた最大の基盤の一つは、それは自由主義経済と自由主義貿易であります。自由主義貿易下にあって、世界経済は連帯して相互依存の関係にあります。一国のみの長期にわたるひとりよがりの繁栄というものは許されません。アメリカに次いで国民総生産世界第二の我が国が、当然、応分の国際的責任を持つのは当たり前のことであります。しかも、そのことこそが世界経済の安定と繁栄に役立つものであります。したがって、竹下内閣が、今後数年間にわたって一層の内需拡大を中心とした経済成長を進め、積極的に国内市場を開放し、発展途上国に対する政府開発援助も年々増額をしていく必要があります。 このことは、国内における産業構造の必然的な転換を伴い、つまり業種や職業の組みかえが避けられず、そのためにはまた多額の手当て資金も必要となりましょう。なかなか苦難の道でもあります。これらの産業の体質組みかえと国際間の政策協調についての総理の基本的な認識と決意のほどをお伺いいたします。 次に、防衛であります。 また、国際関係において軍事力の持つ意味が依然大きいことは、現実問題として否定できません。今まで我が国は、日米安全保障条約によって、米軍の力をかり、GNPの一%程度の防衛費によって国の安全を守ってまいりました。しかし、世界の目から見れば、世界最大の貿易黒字国である債権国日本が、みずからの国をみずからの力で守るために、もっと応分の負担をすべきじゃないかという強い意見があちこちから出されております。また、石油の輸入に際してのペルシャ湾の安全航海で一番恩恵を受けているのはだれだ、日本じゃないかという非難も受けています。 このたびの新年度予算におきましても、駐留米軍に雇われている日本人労務者の本給を除く諸手当の半分を日本が肩がわりすることにいたしました。残りの半分についても六十四年度以降肩がわりをするそうでございますが、その場合、中期防衛計画達成に必要な十八兆四千億円というこの枠内で防衛費をおさめることができるのかどうか。これらも含めまして、必要にして十分な我が国防衛についての総理の基本的な考え方を承りたいと存じます。 この間、ソ連の軍用機が白昼堂々と沖縄の上空を、しかも二度にわたって侵犯をいたしました。事もあろうに嘉手納基地上空を断りもなく悠々と飛んだのであります。自衛隊機の退去命令にも応じません。このソ連軍用機はその後、聞くところによると、北朝鮮の軍事基地に着陸をした、そう聞いておる。後日、ソ連政府は故障だと陳謝をしたそうでありますが、故障なら何で那覇飛行場に着陸しなかったのか聞きたいのであります。その日はちょうどゴルバチョフ・レーガン会談の日でありました。北朝鮮の兵士がソ連の軍用機で、撃墜されないことを承知の上で領空侵犯したのじゃないか、こういう疑問が出ても不思議ではありません。領空侵犯した兵士の処罰は要求し、実行されたのですか。 このソ連機領空侵犯事件の際の政府の対応が、一つはこれが問題、約二十時間の後にソ連に抗議するなど、一体何をしておったのか、それを聞きたいのであります。一部識者にそういうことが指摘をされておるのであります。この事件は従来のケースとは全く違う、本格的な領空侵犯事件なんです。しかも、二度にわたって同じ偵察機が白昼堂々と侵犯を繰り返す。もし、本来我が国の領土である北方領土の上空を自衛隊機が二度侵犯したら一体どういうことになったのか、これはもう想像してみただけでわかることであります。ドイツの少年が軽飛行機をクレムリンに運んだといってソ連では司令官が首になってしまった。 そこで、ここで私が指摘したいのは、我が国の危機管理体制というのはどうなっているのだということであります。せっかく首相直属の危機管理の組織として内閣に安全保障室というものができました。今回の事件発生に際して、全く機能した形跡がない。防衛庁からの官邸への報告を受けて直ちに対処方針を検討し、首相及び官房長官の判断を仰ぐべきではなかったのでしょうか。いずれにしてものんびりした話であって、こんなことが今後ともたびたび繰り返されるということになれば、防衛力の増強は何のためにやるんだという国民の納得のできる明確な説明を求めたいのであります。(拍手) 国力に見合った必要最小限度の防衛力は、独立国家として、いずれの国も欠かすことはできません。しかしながら、行き過ぎは強く戒めなければなりません。核兵器は無辜の民を大量に巻き添えにする殺りく兵器でありますから、我が国のとらざるところであります。 昨年十二月、ソ連のゴルバチョフ書記長が訪米をして、レーガン大統領と首脳会談を行い、INF、つまり中距離核戦力の全廃条約に署名しました。このことは、かねて我が国が地球的規模で中距離核戦力を全廃せよと主張してきたものでありますから、それが実現するというのですから、これは大賛成であります。したがって、その条約の早期発効を期待します。この条約によれば、INFの全廃が本当かうそか、これを含めて詳細な現地査察によって確かめようというのですから、これが実行されることは核軍縮の第一歩であって、高く私は評価したい。しかしながら、その条約の署名にソ連を同意させた、その裏に何があるか。それは、自由陣営が一致団結をしてアメリカの対ソ交渉を応援をしてきたからだ。この陰の力を見逃してはいけません。 この中距離核戦力全廃の実現をきっかけとして、米ソ超軍事大国の一層の軍事力削減が行われていくことを望みます。米ソ間の大規模な軍縮は、両国民の負担の軽減につながるのみならず、世界の平和に寄与し、世界経済の活力につながるものと期待されます。米ソにおける軍縮の歩み寄りと、今後我が国のとるべき姿勢についての竹下総理の所見を伺います。 日米関係。 今、日米両国は、経済的規模から見て、両国間の協力関係の前進は、単なる二国間の関係を超えて、政治的にも世界の平和と繁栄に直結するほど重要な問題であります。このような観点から、私は、今回総理が訪米してレーガン大統領と会談し、誠意のある総理だ、実行してくれそうな総理だということで、いわゆる個人的な信頼関係を非常に深めた、日本にとっても大変ありがたいことであります。また、日米が世界的視野に立って、経済、防衛、経済協力、アジア政策、かなり広範囲な問題について意見の一致を見た、今後の日米協力関係の基盤をつくる上で大変私は高く評価をするものであります。特に、今次会談の終了後日米首脳が、経済問題、とりわけ為替安定に関して共同発表しました。これ以上の円高・ドル安にはいたすまい、簡単に言えばそういうことだ。幸いにこの会談後国際通貨市場は安定化の方向に向かっている、非常にうれしいことであります。 我が国は、「世界に貢献する日本」として、内需拡大、構造調整、市場参入の改善、これらを積極的に今後やっていかなければならない。我々は、今後米側に対しても、世界の経済に悪影響を及ぼしている財政赤字、貿易赤字、これを直してもらうために、歳入の確保、歳出のカット、消費の節約、貯蓄の奨励、生産性の向上等一層の政策努力を求めていくべきである、私はそう思うのであります。「善を責むるは朋友の道なり」、こういう漢語があります。我々は、日米友好協力の維持発展を願い、日米協力の世界的重要性を思うがゆえに、みずからの痛みも甘受しながら、あえて朋友に対して苦言を呈すときには勇気を持って苦言を呈すべきである。総理の御意見を伺います。 日韓問題。 我が国の重要な隣国である韓国は、近年驚異的な発展を遂げ、本年二月には新政権が誕生し、九月にはソウル・オリンピックが控えておる。国際社会における躍進は大変目覚ましい。 私は、去る一月十二日から訪韓の機会を得て、全斗煥大統領、それから次期大統領の盧泰愚さん、それから金泳三、金大中、金鍾泌等の各野党党首全部会ってきました。また、産業界の代表とも懇談をしてまいりました。十六年ぶりに民主憲法下で大統領の直接選挙が行われて、国民は政治経済の安定的な発展を求めて、民主化は着実に進展している、私は実感としてそう思いました。新大統領のもとでソウル・オリンピックの成功を期したい、これは韓国民ほとんど大半の人がそう思って準備を着々やっておる。史上最高の参加国だ、すばらしいことだ、これは。大変私はうれしい。 ここで一つ問題がある。それは北朝鮮の問題、これは参加しない。それから国際テロ、この問題。金賢姫というあの女性の自白によれば、彼女は北朝鮮の特殊工作員として、ソウル・オリンピックを妨害するために大韓航空機を爆破した。人道上許しがたい。北朝鮮が国際的な非難を受けるのは当然のことであります。盧泰愚氏はこう言った、今後国際テロを防止するために、ソウル・オリンピックに向けて日本と韓国との間で特別協議機関をつくりましょう。私はいいことだと思って賛成した。総理、どうですか、これは。我が国としても、ソウル・オリンピックの成功に向けてはできる限りの協力はしていかなければならぬ、これについても総理のお考えを伺いたいのであります。 日中関係。 昨年の秋、中国では第十三回党大会が開かれ、指導部の若返り、これができた。改革と開放、こういう大方針が明確に打ち出されて、近代化がどんどん進むということになっています。これに対して我々もできるだけの応援をしていきたいと思いますが、総理の所見はいかがでございましょう。 特に、本年は日中平和友好条約締結十周年、記念すべきときであります。総理の訪中、日中首脳間の対話を実現し、日中友好協力関係の一層の発展を図っていかなければならぬ、そう考えております。特に、日中間の長期にわたる友好関係を確固なものにするためには、若い人、留学生を含む日中青少年交流、これは大幅に増進させる、これは大変重要だ、私はこう考えておりますが、総理の御所見を伺います。 次にASEAN問題でございますが、昨年の十二月に一番最初に総理がASEANを訪問した。大変みんな感激した。一番先に来てくれたんだからね。総理は、竹下さんは東南アジア外交重視の姿勢だ。みんな喜んでいる。会う人会う人、全部そうですよ。特に、ASEAN首脳との会談において、総理から、二十億ドルを下回らないASEAN日本開発ファンド、これを供与しましょう。それからASEANの輸出をどんどん促進しなさい、交流計画をやりましょう、こういうことをいろいろ明らかにしたので、大変喜んでおられる。 また特に、フィリピンに対する援助、これは今後どうしても多くならざるを得ない。しかし、あそこの国は少し問題がある。アキノ政権がクリーンであったとしても、下まで一掃されたかどうかはちょっと私にもわからない。フィリピン援助に当たりましては、多くの監視指導員をアメリカは持っておる。二十数名。アメリカは全部チェックする。したがって、今度はアメリカとのジョイントで日本はフィリピン援助をやったらいいんじゃないか。そのことが非常に有効に金が使われるんじゃないか、そう思っておりますが、総理の所見を伺いたいのであります。 それから財政改革。 竹下内閣は発足早々予算編成に入ったわけですが、財政改革というものを強力に推進する、こういう考え方で特例公債を一兆八千億減らす。減額をちゃんといたしました。政治目標である昭和六十五年までに特例公債依存体質脱却だ、それまでには特例公債、赤字国債、発行しません、こういうことを確認した。大変私は高く評価します。 しかしながら、財政再建の道程というものはまだ非常に遠い。すなわち、六十三年度末の公債発行残高は、百五十九兆残高が出てくる。国民一人当たりにすればざっと百三十万円ぐらいかな。うち赤字国債が六十九兆ですから、国民一人当たりにすると五十七万円ぐらいになる。そして、この借金の利払いが予算の二割というのですから、十一兆五千億円で、国民一人当たり約九万五千円。社会保障費の十兆円よりも借金の利払いの方が多いというわけですから、こんなことはもうどこの国と比べてもないんです。さらに六十三年度においては、特例公債の発行を極力圧縮しているものの、期限が来ても支払いができないものが実に十四兆五千億円ある。これの借りかえをしなければならぬ、このことを忘れちゃいけない。 この中に、本来十年で返済すべき赤字国債の借りかえが二兆八千億円含まれています。したがって、六十三年度は新規の赤字国債の発行が三兆千五百億円ありますから、支払いのできないもの、そして借りかえるもの、新しく発行するもの、合計六兆円現実にはあるということであります。このような中にあって、しかも人口の高齢化に対応していかなければならぬ、内需の拡大もしなければならぬ、経済協力もやらなければならぬ、したがって、財政の対応力というものはどうしたって回復するということが必要なことはだれだってわかる。 ケインズ政策が人気取りに使われると財政インフレになると昔から言われている。資源大国ブラジルなんかいい例ですね。インフレこそ実際は最大の増税なんです、インフレというのは。国家財政が破綻をしてその国の経済が栄えたためしはない、世界の歴史にない。私は、政府が今後とも勇断を持って財政改革を断行する、ぜひやってもらいたい。 それから、赤字国債の脱却はわかったけれども、建設国債は六兆円ずつ、ずっと未来永劫に出していくのかどうか。これについては年次目標を設ける意思があるかないか、それを伺いたいのであります。 その次は税制。 世の中が変わってきたんですから、今のままでの税制でいいんだなんという人は、いるのはいるかもしらぬが、数少ないと私は思う。(拍手)したがって、それは変えろというのは当然なんだ。今後の急速な高齢化社会を展望すれば、先ほど言ったように社会保障費はふえる。幾ら歳出カット、合理化やったって、物には限界がある。そうでしょう。したがって、これはどうしたってふえるんですよ。老齢者がふえれば、年金もふえる、医療費もふえる、しかも若い人はだんだん減るんです、産む数が少ないんだから。六人兄弟の人が子供らを足してみたら十人しかいなかったとか、そういうふうなことで減っていく。したがって、若い人の負担がふえる。どうしてこれを世代間のバランスをとるか、これに安定的に対処するような税金をやはり考えざるを得ない。 また、二十一世紀に向かっては、科学技術国家を目指す我が国は、研究開発費をばかばかつけなきゃならぬ。さあお金はどうなんだ、地方の開発をやれ、農産物自由化にもある程度応じざるを得ない、全部反対というわけにはいかない、財源も必要だ、発展途上国への援助もしなければならぬ、さっきもいっぱいやれと言っておった、これもやらなきゃならぬ。 一方、国際競争力を保つためには、産業の空洞化、これをしてはいかぬ。だから法人税の減税もやらなきゃならぬ。一般の所得税の減税ももっとやれと全部言っているんだ。そうすると、財源とのかかわりですな、全部。幾ら美辞麗句を並べ立ててみても、あれもやれ、これもやれ、先立つものは何にもない、まさに無責任、空理空論だ、これは。(拍手)やれクロヨンだ、キャピタルゲインだ、不公正税制論議は大賛成、私は大賛成だ。今国会を通して、国民の前に現実的な税金の実態をさらけ出して、政府委員は大臣を初め勇気を持って、率直にありのままの財政事情、今後の状況、国民の前に話をしなさい。国会がとまるとかとまらぬとか、そんな心配は全く要らない。言語明瞭、意味明瞭、わかりやすく説明をお願いします。 それから、今も自民党の公約云々という話があったが、党の公約は、減税をやります、それから直間比率の見直しを行います、そのやり方については専門家の意見を聞いてやります、それが公約ですよ。いろいろ考えてみれば、結局は所得と消費と資産の間でバランスのとれた安定的な税、これ以外はないんじゃないか。人間の知恵というのはそんなにないんですよ、これはだれが考えたって。 いずれにせよ、ことし中に抜本的な税制改正を成立させることが大事であります。竹下総理は大蔵大臣を戦後最長期、五年近くやられた方でございますから、税制改正は竹下総理に課せられた歴史的な使命だ、私はそう思うのでありますが、総理の御意見をお聞かせを願いたいのであります。(拍手) 次に、教育改革であります。 次の世代に生きる人間の未来を創造する最も基本的なのは教育なんです。だから教育改革はいつの時代でもこれは国政の重要問題。昭和五十九年の八月に臨時教育審議会がつくられて、内閣総理大臣に最終答申を出して、一応任務は終わった形になっている。しかし、これは答申だけじゃだめですからね、実行しなければならない。 しかし、私はさらにこの答申に注文をつけたいことがあるのです。教育の根本というのは、やはり人間と動物は違うのだということを教えることが先なんですね。これは教育の初めだと思うのです。人間が動物と異なるところは何だ。それは知能指数だけじゃないのです。人と動物の違いというのは、人間は恩を知るということなんです。それに報いるかどうかということなんです。そのことを家庭でも学校でも社会でも徳育の中心として教え込むことなんです。恩の最高最大のものは、これは親の恩なんです。何もこんなことを言って頭が古いとかどうとか言う方がどうかしている、実際から言えば。(拍手)そこからすべてはスタートすべきものである、私はそう思っておる。家庭も学校も社会も温かく、平和の道にもつながる、私はそう思う。教育の改革は政治が勇気を持ってなし遂げるべき最大使命。これに対してどのように総理は今後取り組んでいくのか、見解を伺いたい。 次に、長寿社会。 我が国の平均寿命は男七十五、女八十、世界最高。随分伸びたものだ、実際。他方、こうした長寿社会の到来とともに、総人口に占める六十五歳以上の割合は六十年に初めて一〇%、さらに我が国は今後世界に例のないスピードで高齢化が進む。二十一世紀当初には四人に一人が六十五歳。前人未到の高齢化社会になる。長寿は古来より人類の夢、そう言われてきた。まさに我が自由民主党が戦後一貫して四十数年政権をとってきたのです。そして、国民の協力を得て、よい政治とよい経済繁栄をやったから、その証拠が長生き社会、我々は誇りを持っておるのであります。(拍手) しかし、人口の高齢化に伴って、老人医療や年金の受給者はますます増加し、社会保障経費の増大は避けられない。そうなってきます。したがって、これらも給付と負担のバランスをとることが必要だ。経済の繁栄を持続させ、所得を高め、社会保障制度を守っていくというためにも、安定的な財源の裏打ちがなければできないのですよ、これは。だから、勇気を持って取り組まなければならない。総理が「ふるさと創生論」の中で、勤労の中に豊かな老後が約束される日本型福祉社会の構築ということを言っておる。総理のお考えをお伺いしたいのであります。 次に、農業問題。 これは、アメリカを初め世界じゅうからやんやと市場開放要求をされています。しかし、我が国は百七十億ドルという世界最大の輸入国、そこであります。自給率も五三%と低い。また、農業というものは、いろいろな点で、自然環境あるいは食糧安定、社会の維持、いろいろ役割が大きい。だから、やり方を間違うととんでもないことになる。だけれども、現実は全くやらないというわけにもいかない。したがって、守るものは守る、譲るものは譲る、そういうことで我々はきちっと政府が一体になってやってもらいたい、そう思うのであります。 次には、土地価格の抑制でございますが、これも、東京へばかりどんどん人が集まってきてどうしようもない。これはやはり地方へ分散する必要がある。地価が暴騰する。そこで、我が党も、去年の十月に緊急土地対策をやって、閣議決定をして、それから土地転がしに対して罰則的な課税をするとか、金融機関にむちゃくちゃ金貸すんじゃないとか、そういうことをよく指導した。それから、監視区域制度を活用した。そういうことで値段も下がってきた。これはいいことだ。大変いいことだ。しかし、まだそれでは足らない。だから、そういう点で今後も引き続き、それはもう調整区域を利用するとか高層化を図るとか再開発をやるとか、そういうこともやらねばならない。そしてまた、役所の地方移転、これもやろう。結構なことだ。この間発表した。しかし、あれでは足らぬね。あれは第一弾、私はそう考えるのであります。したがって、そういうことをまとめてやってもらいたい。 最後に、もうこれで終わりますが、総理、総理は「ふるさと創生論」の中で、政治家の心構えとして「大胆な発想と緻密な実行の政治」、それを言っておられます。二十一世紀に向かって我々が果たさねばならない課題が山積みしておる。これらのすべてに満足な答えを与えるということ、これは不可能に近い。なぜならば、予算は有限、欲望は無限だからであります。したがって、政策の実行に当たっては、緩急をわきまえ、常に優先順位を決めてやるほかない。したがって、国民にも、自立自助、自制、忍耐、時としてこれを求めていかなければならない場合もあります。我々は、今できることとできないことをはっきり見きわめて、きょうなすべきことをあすに延ばしちゃいかぬ、そう心がけなければならぬ。 総理の得意とする竹下式政治手法というのは、コンセンサスの政治、合意の政治、根回しの政治と言われている。四方に気を配って合意を積み重ね、調整に十分時間をかけて結論を導く方法は佐藤元総理の待ちの政治に似たやり方と同じじゃないかというように世間で言われている。しかしだ、変転きわまりなく激動する世界情勢の中で鋭い洞察力をもって的確に物の本質を見抜き、適切にてきぱきと対処していかなければ、さらに事態を悪化させるおそれのある時代でもあります。対応するにタイミングを外しちゃいかぬ。政治はタイミングですから。こちらを立てればあちらがたたず、困難なるがゆえに一寸先送り、これはだめ。じんぜん日を送ってはなりません。一内閣で全部片づけろ、そんなことはできない。何が今我が国にとって最も緊急重大か、まさに政策の選択の問題なんです。 総理が所信表明の中で言われた、合意を積み上げると申しましても一〇〇%の合意は得られない。まずみずからがこれとこれと。そうしたら信じ込むことだ。その上で他人を説得する。政策が異なるから政党が違うのであって、全部の政党が賛成するわけがない。政党同士でも政策の遠いのと近いのとあるわけでしょう。したがって歩み寄りは許される。最大多数の最大幸福が得られるならば、決断と実行、いささかの遅疑逡巡があってはならぬ。最重要案件についてはあるいは一内閣一仕事でも場合によってはそれはいいのだ。事に臨んで首鼠両端をなすなかれ。首鼠両端というのはネズミが穴から出て両方見ているということだ。総理の勇猛精進、大胆な発想と実行の政治、それに向かって邁進する、これは我々は全面支援、私はここで国民に約束するから、命をかけて竹下内閣を応援する、頑張ってください。 総理の所見を伺います。(拍手) 〔議長退席、副議長着席〕 〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まずお許しを得まして、渡辺政調会長の答弁の前に、土井さんに対する私の補足した答弁を行います。 まず、昭和六十年の二月六日に国会において中曽根前総理が申し上げました基本方針に基づいて、法律案を提出し、結果においてこれが廃案になり、そういう一連の事実をもとに、今日国民の合意が那辺にあるかを求めておるというのが現段階のまず一つであります。 それから二番目は、公約は守るべきものだ、こうおっしゃいます。六十一年の六月十四日に、国民も反対し自民党も反対するような大型間接税はこれをとらないというのが、各県連へ通知が出されておりますものを公約であるというふうに考えました場合、これは当然国民の反対するもの、自民党の反対するものは守らるべきものである、こう思います。 それから三番目は、選挙の問題でございますが、これは重ねて申し上げますように、四年間という憲法によって与えられたこの任期というのは大切に大切にすべきものであるというのが私どもの一貫した考え方でございます。 さて、それでは次に、渡辺政調会長の御質疑にお答えをいたします。 まず、私の政治姿勢に関する率直な御指摘に対しましては、心から感謝を申し上げます。いずれも的を射たものでありまして、深い共鳴を感じます。 今日の繁栄は、先人のひたむきな努力と、そして国民の皆さんの勤勉と英知のたまものであると思っております。単に謙虚に国民の声に耳を傾け、衆知を集めて合意を求めるだけであっては、いつまでも話を聞いておるだけではいけませんから、決断すべきは決断すべきである、私はこのように考えております。 それから、産業構造転換の促進についての問題でございます。 世界経済は相互依存関係を強める中にありまして、主要国の対外不均衡、開発途上国の累積債務など、数多くの問題を抱えているところであります。このため世界的レベルでの経済構造の調整を進めることが重要である、このように考えますが、このため国内においては内需主導型成長への転換、定着を目指していく、そして産業構造の転換が円滑に進むような環境整備を図ってまいる。すなわち、ソフトランディングとでも申しましょうか、そのようなことを基本に置いております。 また、自由貿易体制から多大の恩恵を受けつつ世界経済の一割を超えるに至った我が国、そのことを考えてみますと、本当に自由貿易主義の中で一番大きな恩恵を受けたのは我が国経済である、この認識に立ちますならば、「世界に貢献する日本」ということは、これは主要国間の政策協調というものを強化しながら国際経済運営の責任を担っていかなければならぬという、基本的考え方で全く一致しております。 在日米軍経費の日本側負担増の問題でありますが、我が国の防衛につきましては、みずから適切な規模の防衛力を保有しますとともに、日米安保体制を堅持することによって、我が国に対する侵略を未然に防止することが基本であります。かかる観点から、我が国の防衛力整備については、大綱に定める防衛力の水準の達成を図りますことを目標としますところの中期防を着実に実施していくということが必要であります。昭和六十年九月策定されました中期防と、今年一月新たに決定されました在日米軍経費の日本側負担の増大との関係につきまして、御議論があり得ることは承知をしております。いずれにしても、この日本側の負担増については、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図り、もって在日米軍の効果的な活動を確保するとの観点から極めて重要であります。その所要額は、防衛費の効率的使用といった観点から、年度年度の予算で精査しながら、中期防を着実に実施していきます過程において、十八兆四千億円の枠内で賄い得るものであるとの考えに立っております。 ソ連機の侵犯事件でありますが、事件そのものに対するよりも、政府としての姿勢についての御指摘がございました。 昨年十二月九日に発生しましたソ連軍用機による沖縄領空侵犯に関しましては、政府としても極めて遺憾な事件と考えております。ソ連に対し厳重に抗議しますとともに、責任者の処罰及び再発防止措置をとるよう要求した次第であります。これに対し、ソ連側よりは、事件の発生につき遺憾の意を表明するとともに、パイロットの降格処分及び一連の再発防止措置をとるとの回答がございました。政府としては、かかる事件は二度と起きてはならないと考えておりまして、ソ連側が約束しました再発防止措置等が実際の行動に裏づけられることが重要と考えております。今後のソ連の行動を注視していく考えであります。ソ連への対応につきましては、事件発生直後から、外務省、防衛庁間で緊密な連絡をとり合って、事実関係を確認した上で抗議を行ったものであります。しかし、御指摘のありましたことについては私ども今後の教訓として生かさなければならぬ、このように考えております。 これと安保室との関係の問題についてであります。内閣安全保障室は、主として国の安全に係る事項について、関係省庁の間の調整が困難な事態に至ったときなどに総合調整を行うものであります。したがって、今回の問題は防衛、外務両省庁間の密接な協力によって対処したわけでありますが、御指摘なすった点は、私ども十分に今後の対応策に反映させなければならないと思っております。 次は、軍縮問題でありますが、我が国は、軍縮はできるだけ低いレベルで軍備を均衡させることによって関係国の安全保障を高めるものでなければならないと考えております。またその合意が今おっしゃいました検証可能なものでなければならない、これは全く考え方は一致しております。かかる目標に向かいまして、我が国としては西側の一員として今後とも努力を継続していく方針であります。このような基本的立場からいたしまして、我が国としては、米ソ交渉に関しては、INF交渉妥結を好機として、両国に対し、次の重要課題であります戦略核、これの大幅削減、これに一層の努力を傾注するよう訴えていきますとともに、米国の努力を支援してまいりたい、そして我が国自身としましても、国連、ジュネーブ軍縮会議等を通じまして、国際的努力に一層貢献していかなければならないと考えます。 それから、先般の訪米の際、私から、内需拡大、構造調整、市場アクセス改善、国際社会への貢献等について我が国の努力を具体的に説明しますとともに、対外不均衡是正のためには日米双方を含む主要国間の経済政策協調が重要である旨を強調をいたしました。そこで、すべての問題は、これからまさにGNPの三分の一以上を生産する二国間が共同作業で問題を解決しなければならぬ、このようにも思います。レーガン大統領の方からは、財政赤字削減の努力を継続するという決意が述べられ、それがお互いが再確認するということになり、と同時に国内の競争力強化のためこれに努力するとともに、保護主義圧力の防圧について努力するというのがアメリカからのお約束でございました。我が方としては、こうした米側努力の重要性を今後とも米側に対して、お互い協調しつつも強く訴えていくという姿勢を貫きたいと思います。 テロ防止、これは、国際テロは民主社会に対する挑戦でありまして、これこそ断じて許すべきものではありません。政府としては、今般の大韓航空機事件に対する毅然たる姿勢を示すとの観点から、昨日、対北朝鮮措置をとることといたしました。また、ソウル・オリンピックの安全対策のため、韓国と協力して万全の措置をとる旨、これも御意見のように発表をいたしたところであります。かかる協力を具体化するための具体的協議体制につきましては、早急に両国間で合意を得たいと思っております。 それから、日韓の幅広い協力関係についてであります。 一九六五年の日韓国交正常化以来、日韓関係は着実な発展を見せて、近年、政治、経済等あらゆる分野でますます良好かつ緊密なものとなっております。自分の訪韓の体験をもとにしての御発言でございましたが、本当に二月の平和的政権移譲が行われるというものを契機として、より安定的、国民的基盤に立って、現在の良好な日韓関係がさらに発展することを私も心から期待をしております。御指摘のとおり、オリンピック成功のための協力に加えまして、善隣友好関係、青少年を含むあらゆるレベルでの幅広い交流、これを今後も一層拡大してまいります。 中国近代化への支援と日中関係問題でありました。 対中関係重視は我が国外交の主要な柱の一つであります。我が国は、中国との間の貿易、投資等の活発な経済交流、経済協力などを通じて、中国の近代化建設の努力を支援してきております。特に、経済協力につきましては、現在、我が国政府開発援助の最大部分が中国に対して供与されております。我が国としては、今後とも、中国の近代化努力に対して、可能な限りの協力を行っていく所存であります。また、政府としては、日中共同声明、日中平和友好条約及び日中関係四原則に従って、中国との関係の発展に努めてまいる所存であります。特に、本年は日中平和友好条約締結十周年に当たりますので、双方の都合のよい時期に、私としても、両国首脳間の相互理解を増進するために訪中をしたい、このように考えておるところであります。 フィリピン問題であります。 フィリピン援助を含めまして、我が国援助を実施するに当たりましては、御説にもありましたが、米国等の主要援助国、国際機関との協議、調整、被援助国との政策対話の強化のほか、事前調査の拡充でありますとか評価の充実、アフターケア援助の実施などを通じまして、その適正かつ効果的、効率的実施に努力をしてまいります。 対ASEAN政策につきましては、先般のASEAN首脳との会談におきまして、新たなる、御指摘のありました資金協力を初め、経済、政治、文化等多方面にわたる施策を表明したところであります。我が国といたしましては、かかる諸施策を着実に実施して、今後ともASEAN諸国による一層の経済発展への努力に貢献をいたします。それのみならず、文化、人物面の交流、そういうことを促進し、相互信頼関係に基づく幅広い協力関係を打ち立てたいと思っております。 それから財政問題でございます。 財政運営に当たっては、まずもって経常支出は経常収入によって賄えることが必要であって、特例公債から一日も早く脱却する必要がある。このため、現在、六十五年度までに特例公債から脱却することを目標に全力を挙げているところであります。しかしながら、財政改革の目的は、利払い費を含む国債費の重圧によって政策経費が圧迫されておる現在の財政構造を改善して、財政の対応力をつけていくということ、これは御説のとおりであります。したがって、建設公債といえども利払いを伴うものであることは事実でありますので、全体として公債依存度の引き下げを図っていくべきだ。まずは六十五年努力目標であります赤字公債体質からの脱却、そして全体としての今度は公債依存度の引き下げというものを図っていくということであろうかと私も思っております。 税制の問題でございますが、おっしゃいましたように、高齢化社会の到来、そうしてまた、一層の国際化、これは抜本的な税制改革の実現はだれも最重要課題の一つだということの認識はあると思っております。しかし、ここにやはり不公平感がある。御指摘なさったとおりです。それをまず払拭しなければならぬ。そうして、とにかく税が着目するのは、所得と消費と資産とこの三つしかないわけでございますから、これらの間で均衡のとれた安定的な税体系を早期に構築するということが必要であると思います。今、税制調査会等で精力的な審議をしていただいております。そして、国会におきましても、本当は、昭和五十三年以来の速記録等を見てみますと、税に関する議論が一番多い部分を割いております。したがって、それらの議論を通じながら、まさに国民の合意の形成というものを精いっぱい努力していく。だから私が大蔵大臣を長らくやったというだけでなく、ここのところ十年足らず、渡辺さんと私と宮澤さんと三人で大蔵大臣をやったわけでございますが、本当に与えられた使命であるということを痛感して対応しなければならぬ、このように考えております。 教育改革。時代の進展に対応して、二十一世紀を担うにふさわしい青少年の育成を目指して教育改革を推進することは、これは全力を傾けなければならないと思います。このため、臨時教育審議会の諸提言を受けて、道徳教育の充実を初め、教員の資質向上、また、大学入試制度の改革、これらの課題を着実に実行していく、このため、法案の提出を含め、諸般の施策を順次進めてまいる、こういう考え方でございます。 長寿社会の問題でございますが、これは公平で安定した社会保障制度の確立を図ることが重要な課題であると思います。このため、給付と負担の適正なバランスに留意しながら、社会保障財源の安定的確保に努めてまいる所存であります。また、お年寄りが住みなれた地域や家庭において、健康でかつその能力と意欲を十分に発揮しつつ、安心して生き生きと暮らすことのできるような社会システムの確立を図ってまいりたい、このように考えます。 農産物の市場開放問題でございますが、おっしゃるとおり世界最大の純輸入国でありますが、国内における農業の役割は、食糧の安定供給、活力ある地域社会の維持、そして国土、自然環境の保全、こういう極めて重要な役割を担っております。農産物市場開放問題への対応は、国際的な経済関係、多様な消費者ニーズへの対応といった観点を踏まえ、このような我が国農業の健全な発展との調和を図りながら、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける交渉との関連を十分考慮して、適切な対応をしようということであります。 農村は、農業生産の場でありますと同時に、農業者を含めた多数の国民の居住の場であります。活力ある地域社会として維持されていくことが国土の均衡ある発展の上で不可欠であります。農村地域活性化のためには、農業の生産性向上を図る構造政策を進めますとともに、農村地域の居住環境の整備、工業導入、地場産業振興等による就業機会の確保、さらには自然を生かしたリゾート地域、こういう多面的な整備を進めていかなければならないと思います。 地価対策につきましては、これは土地供給の促進を図ることが重要であります。したがって、大都市地域における優良宅地開発の促進でありますとか、再開発事業でありますとか、供給対策を実施しております。土地需要の地方分散という観点からは、多極分散型国土の形成を目指します四全総及びさきの緊急土地対策要綱において政府機関等の移転、再配置の推進を図ることとしておりまして、これを受けて今般、移転方針が決まったわけでございます。したがって、もとより今年度の概算要求当時にこれらの方針があったわけではございませんので、まさに今これからでございます。この方針に基づきまして、さらに第二弾、第三弾とこれに対しての施策を進めていくべきものである、このように考えております。 最後に、各党各会派の理解と協力を得て、国民的合意を求めながら、「調和と活力」の政治を目指す、これは私がかねて考えておるところであります。そしてまた、政治とはタイミングである、こういう御指摘もありました。私は、あくまでも国民的合意を求める努力をしながら、最終的には政府・与党、その責任者たる私自身が決断しなければならないことが十分にあり得るという認識のもとにこれからも対応してまいりたい、このように考えます。 以上でお答えを終わります。(拍手) ─────────────
○副議長(多賀谷真稔君) 矢野絢也君。 〔矢野絢也君登壇〕
○矢野絢也君 まず最初に、私は、我が党所属の参議院議員でありました田代富士男君が収賄容疑で事情聴取されましたことは、国会の権威を損ない、政治への信頼を傷つけることとなりました。ここに国民及び支持者の皆さん、衆参両院並びに同僚議員各位に謹んでおわびを申し上げたいと存じます。政治的、道義的責任を痛感し、同君が辞任を決断した心情は、議員辞職願に述べられております。私は、断腸の思いがいたしますとともに、その弁明を信じたい気持ちでありますが、今後の事実関係及び法律判断を厳粛に受けとめなければならないと思います。これを戒めとし、再びかかることのなきよう、そして国民の信頼回復を図るべく決意をいたしております。 以下、私は、公明党・国民会議を代表して、外交、内政の基本問題に焦点を絞り、総理に御質問をいたします。 まず、総理、訪米について伺います。 日米首脳会談において、為替安定のために両国が協調介入のための資金的措置を講じるなど、新たな日米協力関係を合意したことは、これは評価できることでありました。しかし反面、アメリカの財政、貿易の双子の赤字という不均衡、日本の内需不足、貿易黒字体質あるいは繁栄の中の貧困という不均衡、この日米それぞれの不均衡がもつれ合っておる現状を切り開く確かな展望は、残念ながら見出し得なかったのであります。この問題は、口で言うほど簡単ではないと承知しておりますが、せめて異常な円高・ドル安という為替市場の混乱を克服するため、アメリカが巨額な双子の赤字をいかに減らしていくか、その展望が少しでも具体化すればという国民の願いが強かったと思います。訪米に先立ちまして、総理に対し、私どもの考えを申し上げたわけであります。レーガン大統領の御認識はいかがなものであったのでありましょうか。お伺いいたしたいと存じます。もちろん、日米の経済問題は、日米がお互いに相手方の責任を声高に主張するだけで解決するものではないことも事実であります。我が国は我が国としての責任と役割を十分に認識し、それを実行していかなければなりません。総理より具体的展望と方策をお示しいただきたいと存じます。 さきの米ソ首脳会談でのINF条約調印は、核軍縮とデタントへの期待を大きくするものであり、これを核兵器の全廃第一歩としていかなければなりません。今日まで米ソが、お互いに猜疑心に取りつかれ、核兵器こそ戦争を抑止するとして核軍拡競争に明け暮れる悪循環に落ち込んでいた不幸な歴史に新しい方向性が見え始めた、その入り口のところと今は言えましょう。この冷戦的発想の呪縛からの脱却をお互いに段階的に実行していくことが米ソ両国に必要なことであり、我が国はそれを推進しなければならない立場だと思います。竹下総理は、INF条約締結の意義、今後の軍縮への取り組みをどう考えておられるか、そのためにどのような国際的役割を果たそうとしておられるのか、お伺いをいたします。また、日ソ外交ですが、米ソ関係の改善は日ソ関係の改善によき影響を与えるはずのものであり、今こそ日ソ関係の改善を進めなければなりません。軍縮に積極的な姿勢と見られるゴルバチョフ書記長の対外政策、対日政策をどう分析しておられるか、また、懸案となっておる書記長の訪日問題の見通し、今後の日ソ関係の進め方について明らかにしていただきたいのであります。 総理、五月末に開かれる第三回国連軍縮特別総会は、世界的な軍縮を推進するための絶好の機会であると思います。総理の対応をお示しいただきたいのであります。 また、このような米ソの対話ムードの中においてこそ我が国の国際的役割、とりわけアジアでの平和環境をつくり出す努力と貢献が我が国に求められ、また、それが我が国に可能であると思います。しかしながら、海外援助には一定の評価はなし得るものの、一方では、残念ながら防衛費の対GNP比一%枠の撤廃など、我が国の際立った防衛力の増強についてアジア諸国の不信、不安が高まるなど、かえって逆行するものが目立つと言わざるを得ません。それらの諸国から見て日本外交、竹下外交はちぐはぐなものと映り、明確なビジョンが見えてこないわけであります。 私は、アジア外交の推進には、物、金を超えて、アジアの一員として相手国の文化、慣習、伝統、歴史などに理解を深め、文化的交流を拡大させる必要があると思います。アジア諸国は、日本との現状の関係に必ずしも満足しておりません。アジアとの関係をもう一度洗い直し、きめの細かいアジア政策を展開すべきだと思います。御見解を承りたいのであります。また、光華寮問題など大きな課題を残したままの日中関係にどう取り組まれるのか。ことしの二月には新しい大統領が就任される韓国、民主化を進め、オリンピックを控えておる韓国との関係、朝鮮半島問題、インドシナ問題もあわせてお伺いしたいのであります。 さらに、留学生問題についてでありますが、円高、物価高、高い授業料や家賃のため、日本に対する外国からの留学生たちの悲鳴の声が聞こえております。このままでは、冷たかった日本というイメージが彼らの心の中に残されてしまいます。私は、年末の党首会談において、強く総理に申し入れをいたしたところでありますが、その後一定の前進は見ましたけれども、なお一層の努力を強く望むものであります。総理の具体的な御所信を伺います。 二月二日、三日からのガット理事会における十二品目に対するパネル裁定、三月末に期限切れとなる牛肉・オレンジ交渉、さらにウルグアイ・ラウンドにおいては米の市場開放問題が浮上しかねない情勢にあり、我が国農業を根底から揺るがしております。我が国社会経済における我が国農業が果たす極めて重要な役割と位置づけを明確にし、毅然たる姿勢を貫き、決して安易に妥協すべきではありません。その前に、競争力強化のため、低コストで高品質、高生産性の日本農業の計画的育成を急ぐべきであります。 さらにまた、公共事業でありますけれども、外国企業が参入しやすくするよう特定の大型工事に限って特別扱いすることとなった公共事業参入問題への対応は、今後どうなさるのでありましょうか。これはアメリカだけなのか、ヨーロッパ、アジア諸国にもオープンにされるのか、あわせて総理の御見解を承りたいのであります。 さて、総理、我が党は、日米友好を大切にし、日米安保条約を一定の前提のもとで是認する立場でありますが、反面、安保条約の運用は厳格になされるべきであるとの立場から、昨年来、在日米軍基地の実態調査を行ってきております。その中間まとめの結果に基づいて政府の見解をただしたいと思うのであります。 その第一番は、いわゆる思いやり予算についてであります。 昭和五十三年度から始められた思いやり予算は、当初六十二億円、十年後の本年度には十九倍の一千二百三億円にも達し、労務費を除く提供施設の整備費だけでも、この十年間で五・六倍、本年度は七百九十三億円になっており、労務費をはるかに提供施設整備費が上回っておるのであります。しかも、当初は、隊舎、住宅、オイルタンク、消音装置のわずか四項目でありましたのが、何と六十七項目にも拡大され、それは、劇場、クラブ、ゴルフ場のネット、遊技場、プレーガイド、手工芸室、郵便局、銀行、育児所、教会、格納庫、ヘリポート、ガソリンスタンドまで、生活から娯楽まで、さらには軍事につながりかねないものまで、日本政府が思いやりと称して米軍に支出しているのであります。これはもはや思いやりではなく、余りにも度を過ぎたものではないでしょうか。 しかも、総理は、さきの訪米において一層の負担増を約束されました。カールッチ米国防長官は、既に日本は在日米軍一人当たり四万五千ドルの負担をしており、世界で最高であると述べているのであります。こういう無原則な思いやりの仕方ではかえって安保条約への疑問を国民は抱いてしまいます。思いやりの基準は何か、具体的に明らかにしていただきたいのであります。これは、本来、駐留経費は米側負担とする日米地位協定の違反と言わざるを得ません。この点、総理の御見解はどうか、お答えいただきたいのであります。 昨年、防衛関係費は、GNPの一・○〇四%、金額にして百三十四億円を突破しました。この思いやり予算の施設関係費の一八%を削減するだけでGNP比一%枠は守れたのであります。ことしも状況は全く同じであります。思いやりとして不適当なものは削除すべきであると思いますが、総理、いかがでございましょうか。 第二に、政府は日米防衛首脳会談において、新たに日本有事の際に米軍部隊の来援を円滑にするための研究や装備の互換性、つまり交換可能性、共通性の強化を行うこととして、日米間の軍事一体化が進み、日本防衛の名のもとにアメリカ極東戦略の補完としての能力の充実に重点が置かれていくのではないか、憲法が禁止した集団自衛権解釈のますますの拡大となるのではないかと懸念されているところであります。しかも、我が党が入手した資料によりますと、在日米軍基地には、有事においては第三国への支給物資、例えば韓国への対戦車用の一万トンの障害物資を備蓄していることが明らかになっております。これは運用いかんでは憲法が禁止した集団自衛権に抵触するものと言わざるを得ませんが、政府はどう考えておられるのか、明確にお答えをいただきたいのであります。 ソ連は本年度の国防費を据え置きにし、アメリカも本年の国防費は三年連続の実質減を行いました。また、多くの西欧主要国が今国防費の伸びをゼロにしようとしていることは、軍備費がもはや聖域でなくなった証明であります。新任のカールッチアメリカ国防長官も、緊縮予算下、兵器調達計画の中止は避けがたい、現在より小さく効果的な軍をつくると述べておられます。今や世界は軍拡から軍縮の時代へ歴史的大きな第一歩を踏み始めました。しかるに我が国は、本年度防衛関係予算を引き続き異常な突出をさせております。昨今の大幅な円高差益によって防衛費の削減、縮小のまたとないチャンスでありながら、正面装備の一段の拡充や在日米軍駐留経費の増額等、その伸び率は他の一般予算に比べて突出し、軍縮という国民共通の願いとは裏腹の方向ではありませんか。私は、今こそ、国民大多数が支持しておる防衛費のGNP比一%枠を本年度予算で断固厳守し、軍拡潮流の阻止へ我が国が積極的にその役割を果たすべきときと思います。御所見を伺いたいのであります。(拍手) 総理は、包括的、網羅的、投網をかけるやり方での大型間接税導入を否定する政府統一見解、総理が大蔵大臣のときでございました、この政府統一見解の白紙撤回をもくろみ、薄く、広くの名のもとに、消費にも教育にも福祉、医療にも中小零細企業にも小売店にも商店にも、縦横十文字に一網打尽式の大衆課税となる大型間接税を是が非でも導入しようとされておるように見えます。公明党は、この政府統一見解を白紙撤回することを断じて認めることはできません。もしそういうことが許されるのであれば、国会における論議、あの審議というものは一体何であったのでありましょうか。議会を軽視すること甚だしいものと言わざるを得ません。(拍手) そこで明確に伺いたいのですが、この政府統一見解を政府は果たして厳守されるのか、白紙撤回されるのか、明確に、これは二つに一つです、お答えをいただきたい。 大型間接税の導入は、安易な増税を容認すると行政改革がストップしてしまいます、不公平税制が温存されてしまいます、大衆課税であり、所得の少ない人ほど負担度が高い逆累進税です、などの理由から断じて反対であることをまずもって申し上げておきたいと思います。静かに、静かに申し上げておりますが、本気で反対をするつもりでおります。(拍手) さて、政府・自民党は、今通常国会へ大型間接税を導入する法案を提出する方針を固めたと言われておりますけれども、この通常国会に提出をなさるのか、事実なのかどうか、明確にお答えをいただきたいのであります。 このような大型間接税を政府は取りやめられた方がいいと思います。そしてまず、不公平税制の是正、総合課税の再構築、資産課税の適正化を図るべきであります。これに手をつけず、逆累進性のある間接税導入を前提とするのは、一層の不公平、格差拡大を招くだけです。例えば、土地を持つことが税制上有利であるとよく言われております。土地が値上がりして、それ自体資産がふえる、そしてその土地を担保にして資金を借りることができる、そしてマネーゲームをすることができる、ますます資産をふやすという構造により、持たない者との格差が広がり、それが消費支出の格差になるなど、所得、資産、消費、それぞれにおいて格差が広がっております。土地関連税制については、生活のために必要な一定規模の土地は優遇するなど配慮する、それ以上の土地の所有については厳しくするというように、現行土地税制度を適正化すべきであります。どう考えておられるか、伺いたいのであります。 また、土地所有については、個人は相続などによりおおよそ二十年から三十年ぐらいでいや応なしに相続税を納めることになります。しかし、法人はその所有する土地、株式などについては相続などはありません。再評価益は含み益として温存され、それが担保能力となって資金調達を可能としています。そして、それらの法人が持つ土地は、信用創造力を増大させて、土地への投機的先行投資を継続的に行う資金を与える担保になっております。あまつさえ、その借入金の利子負担で本業での利益を相殺し、本業で利益を上げながらも法人税を納税していない企業がたくさんあるのであります。ちなみに、昭和六十年度において、資本金十億円以上の企業で法人税を納税していない企業は二三・四%、約四社に一社の割合であります。これらがすべてそうだとは申しませんけれども、法人の持つ土地、株式の再評価を段階的に行い、評価益に課税すべきであります。また、本業で利益を上げながら、先ほど申し上げた土地への投資、その借入金の利息で利益を相殺する、そういう形で法人税を納めていない企業への対策こそ緊要であると思いますが、どう考えておられますか、御答弁を願いたいのであります。(拍手) もし総理が、内閣がかわったから大型間接税の導入はもう選挙公約の違反ではないとお考えでしたら、そのお考えは間違いです。政府は、かつて一昨年の衆参同日選挙では、大型間接税は導入しないと公約いたしました。ただいまの本院議員は、そのときの選挙で選ばれた議員であります。その本院において、竹下総理は首班指名を受けられたのであります。政府は、当然その選挙での国民の審判を政権の基盤、オーソドクシーにしておられるのであります。したがいまして、選挙での公約に当然拘束されるべきものであります。でありますがゆえに、政府・自民党があえて選挙公約と相違する大型間接税の導入を無理やりでもなさろうとするのであれば、本院を解散して、改めて国民の審判を受けるべきであると思いますが、総理の率直な御所見を伺いたいと存じます。(拍手) 今日までの我が国は、欧米へのキャッチアップを一貫して追い続け、その裏づけとして産業政策は、補助金、助成金という誘導政策、他方では政府の規制という二つを柱として推進されてきました。生産第一主義、輸出至上主義に偏りがちでありました。これは、高度成長期も石油ショック以降も今日の円高段階においても踏襲され、その考え方と仕組みは厳然として一向に変わっておりません。その結果、円高になれば企業はコストダウン、合理化、また競争力がつく、国際競争力がまた強くなって、結果はまた貿易黒字が累積する、そして一層の円高を招くという悪循環に我が国産業界は陥っております。言葉をかえて申し上げれば、生産と消費のギャップは常に輸出でカバーするという組み立て方は、今日においても一向に変わっておりませんし、今のような政府の政策では変わりようがないのであります。 このギャップをなくするために生産を下げることは、深刻な不況と失業を招き、国際経済にも大変な悪影響を与えます。ですから、日本のこの総生産のレベルに内需を積み上げることが必要となります。内需を持続的に拡大させるためには、民間企業、地域経済、地方自治体の持つ企画性、独創性が生かされるべきであり、さらに消費・生活者の視点が絶対に必要です。一にも二にも市場経済の論理を活性化させなければなりません。そのため、事業参入の規制、価格の規制、数量規制という競争に対する規制は今こそ見直され、適切で公平な自由な競争を促進しなければならないと思います。 しかし、現在ですら政府規制は一万件。政府規制がなされている分野は全産業の約四〇%。事業参入と価格規制があわせて行われておる分野は全産業の約二〇%に達しております。我が国産業の四割に何らかの形で政府規制の網がかけられたままで、産業構造、経済構造の転換、すなわち業種転換がスムーズに進むとは考えられません。そして、とどのつまり、日本経済の資源再配分を誤らせ、民間経済の独創力や豊かな知恵を阻害させ、適切な国際分業への道を阻む結果となってしまいます。もちろん、人権擁護、環境衛生、公害防除、自然保護、消費者保護、悪徳商法規制、弱者擁護などミニマムの規制は、社会正義の立場から厳しくあるべきは当然のことであります。しかし、競争の自由、こういった立場からの規制緩和、権限移譲について、総理の明確な御所信を伺いたいのであります。 さらに、土地問題でありますけれども、土地が高いために公共事業のほとんどが用地費と補償費に費やされ、事業の円滑な推進が著しく妨げられています。政府の強力なリーダーシップのもとに、効果的な地価対策と土地供給対策を進めなければなりません。土地供給を進めるために、予算の重点配分による都市再開発の推進とあわせ、特に容積率相当分を上積みできるエアライト、空中権制度の創設、大都市の中高層化を促進するため、地区を指定して低層制限、つまり低さ制限制度の拡充、市街化区域内農地の有効利用を初め、現状にそぐわなくなった諸規制の抜本的見直しと緩和が不可欠であると思います。総理の御決意のほどをお伺いしたいのであります。 一省庁一機能の分散も、それ自体はよいことでありますけれども、及び腰のやり方では、かえってその対象となるスタッフが島流し的、都落ち的な被害者意識を持つだけに終わります。行く部署も迎える地方も夢と希望が持てるよう、予算と権限を持つ大きな機能を大胆に分散する決意が必要と思いますが、所信を伺いたいのであります。 また、一層の消費拡大のため、一兆円の所得税減税などを行うことを要望いたします。各種の経済指標は、個人消費の盛り上がりがトーンダウンしておる。中堅所得層の消費の伸びは減退しておる。一億総中流意識はもはや過去のものとなったとさえ言われております。昨年の一兆五千四百億同程度の減税ではまだまだ不十分であり、もう一押しの消費拡大策が必要です。本年度は、キャピタルゲインの適正化など、不公平税制の是正などによりまして、一兆円の所得税減税などの実施を強く要求いたします。総理の御所見を承りたいのであります。 総理、円高がこんなに進んでいるにもかかわらず、円高差益の還元は不十分です。特に、政府の行政規制にかかわる円高差益の還元は、全くその不徹底ぶりは目に余るものがあります。差益が消費に反映され、初めて輸入の拡大に結びつきます。今後いかように取り組むのか、お示しをいただきたいのであります。ヨーロッパ、アメリカよりも著しく長い我が国の労働時間は、対外経済摩擦の要因となっております。休日、休暇の増加による生活向上、ワークシェアリングによる雇用の増大は緊急の課題です。年次有給休暇の完全取得と週休二日制の完全早期実現、さらに中小零細企業に時間短縮促進助成金の創設、そしてサマータイムの導入について総理の御決意を伺いたいのであります。 次に、米の問題でありますが、再び三たび過剰時代を迎えるのではないかと心配をいたしておりますが、規制緩和は米離れを食いとめ、米の消費拡大を促す契機になるのではないかと考え、私見を加え提案をいたします。 今日ではライフスタイルが変わりました、加えて海外との往来者が多くなる、というわけで、需要やニーズも多様化しました。高度化する傾向が強まってきております。例えば、カレーライス専用、ピラフ専用、お握りとかおすし専用のお米、さらには粉末にして活用する場合の米等々、消費者の多様な要求に合わせた開発がなされて当然であり、そのための援助は惜しむべきではありません。また、付加価値の高い稲作経営を目指し、ニーズに合わした新品種の米が農家の御努力によって生産されたといたしましても、それを求めておる流通・加工業者や消費者にスムーズにそれが流れるようにするためには、現行の食糧管理法による流通規制を大胆に緩和する必要もあります。米の消費拡大を促進し、我が国農業を守り活性化させるため、主要農作物種子法や食糧管理法については、ミニマムを保障しながら、運用面等において必要な規制緩和を図るべく、重層的に大胆かつ積極的な検討を進め、当然そのような改革に伴う痛み、苦しみ、きしみには十分な下支え政策を実施する。この私の提案に対し、総理の御所見を承りたいのであります。 現在、三大不安として、家族の健康、子供の教育、老後の不安、この三つが言われております。これらへの国民の欲求、ニーズというものは極めて高い、強いものでありますが、供給システムに硬直性が見られる、それらのニーズにこたえられないという状況があると思います。例えば、医療技術とその施設は国際的に見ても遜色ないほど充実整備され、お医者さんの数もふえ、ハードの面では十分でありますけれども、ソフトの面、現在の医療制度、医療供給システムに問題があるのではないでしょうか。現行の医療保険では、本来、均一的な規格化されたサービスしか供給できない仕組みとなっているため、個々のニーズの多様化に対応することは難しいと言えます。したがって、この辺で社会保障の守備範囲と積極的に民間活力を活用すべき分野との線引きが必要であり、また、公的分野の中でも国と地方との役割分担の見直しなどがあってよいのではないかと思います。医療保険に民営の論理、医療保険と医師、病院の自由契約という競争の論理を導入すれば、乱診乱療のチェック機能が働くかもしれません。そして、医療サービスの向上につながると思います。医療の本質部分、すなわち、ミニマムとしての疾病治療、疾病予防等については当然公的保険の守備範囲として対応すべきでありますが、医療の周辺の関連的分野、さらに、国民それぞれがみずから必要と考える医療については、選択的に契約できるような民間保険で公的保険を補完するというシステムをお考えになってはいかがかと存ずるわけであります。単なる財政上の見地からだけの改革では必ず行き詰まります。もっと国民のニーズに合わせた改革が必要ではないかと思います。総理の御所見を伺いたいのであります。 教育の分野においても同様です。 義務教育段階でも、社会人としての学力保障と成長保障を踏まえながら、その上に個別的な能力、長所が発揮できる制度の導入を検討する必要があります。高等学校以上についてはむしろ自由化を積極的に推進すべきであります。学校の設立と運営も、学校教育の公共性、継続性、安定性等に配慮しつつ、規制を緩和して個性ある学校設立と運営を可能にして、各人がそれぞれ自分の適性と将来の希望によって選択できる道を考えていくべきで、単位制学校制度についても具体化を急ぐべきであります。こうした努力の積み重ねが受験戦争の緩和、ひいては学歴社会改革の橋頭堡になると思います。総理の御所見を承りたいのであります。 衆議院の定数是正を速やかに実施すべく総理の決断を促したいと思います。選挙権の平等の確保は議会制民主政治の基本であり、国会決議に基づく抜本改正の早期実現を私は強く要求いたします。竹下総理はよもや現行のままでお茶を濁し、決着を先送りするなどという御認識ではないと思いますが、いかがでしょうか。総理の強い指導力の発揮いかんで抜本改正の成否も決定づけられます。総理、その時期、内容、手順について明確な御答弁を願います。 朝鮮民主主義人民共和国に抑留されておる第十八富士山丸のお二人の安否について、国民の憂慮が深まっております。御家族の皆様方の心労は大きく、重大な人道問題であり、解決に全力を注がれることを強く強く要請をいたします。これまでの経緯、政府の対応、今後の見通しを伺います。 さて、先ほどいろいろと伺いましたが、六十年二月、予算委員会政府統一見解がございますが、それが白紙撤回されるか、厳守されるか、これは私の質問にかかわる問題であります。政府が勝手に、質問者の意見も聞かないで、白紙撤回などということは僣越千万であります。私はその白紙撤回を認めることはできません。 というわけでございますので、その点についての御答弁、あるいは税制に関する私の質問について、御答弁がもし納得のできないものであるとするならば、大変恐縮でございますが、あらかじめ再質問をさせていただく権利を留保させていただきまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず私に対する最初の質問が、訪米の際のレーガン大統領との間の経済問題についてであります。これは、訪米の直前にも委員長から私の方へ要請のありました一つであります。 したがって、私といたしましても、やはり為替相場の安定ということで、今回もSDRの売却等いろいろな措置を行いましたものの、経済政策の調整というのがやはりポイントであるという考え方の上に立ちまして、我が国からは内需拡大、構造調整、市場アクセス等の問題を話し、そしてレーガン大統領の方は財政赤字削減への努力と、それからアメリカ自身も競争力を強化しなければならぬということと、保護主義圧力の防圧についての話があって、合意を見たわけであります。で、何としても、二国間だけで為替調整ができるものではございませんが、とにかく世界のGNPの三分の一以上を二国間で生産するわけでございますから、政策協調ということを基本に置いて、お互い絶えざる関心を持ってこれに当たるということで合意をいたしたわけであります。 それから、二番目の問題のINF条約締結後の問題についても、これも訪米に先立っての私どもに対するお話のあった問題でございます。 矢野さんは、いわゆる入り口である、こういう御表現をなすっておりますが、本件条約は、核軍縮の第一歩である。いずれにしましても、お互い評価は高くしておるわけでございます。したがって、これを今後はいわば現実的な面におきまして、一層これが推進していくことに対する米国の外交努力に対して西側の一員として最大の協力をするということでございます。 それから、我が国自身の問題としましては、国連、ジュネーブ軍縮会議等を通じまして、軍縮に向けての国際的な努力というものをしていかなければならぬというのは当然のことでございます。 それから、ゴルバチョフ政権の対外政策というものは、やはり今後は実際の行動がどうあるかということを分析することが最も大事なことであると思っております。ゴルバチョフ政権の対日政策につきましては、北方領土問題など基本問題に今のところ変化が見られないというのが現実の問題であります。我が国としては、日ソ双方の努力によって日ソ関係の改善を図っていくことを希望いたしますとともに、ゴルバチョフ書記長訪日につきましてソ連から提案があるのを待っておるという状況でございます。 それから、本年開催が予定されております第三回国連軍縮特別総会、これは、現下の国際政治の重要課題であります軍縮問題について討議を行う重要な会議でございます。特に、本件特別総会の副議長に選出されておりますので、本件会議の準備段階から積極的にこれに参画していく立場にあるということでございます。 アジア政策についてでございますが、地理的、歴史的、文化的に緊密な関係にあるアジア諸国との友好協力関係の促進、これは我が国外交の基本でございます。多様性と自主性を尊重しながら、文化等の分野における幅広い交流というようなものも含めて、ちょうど御指摘なすっておりました物と金ということではなく、幅広い交流と一層の対話を進めて相互信頼関係を築き上げたいということであります。 平和友好条約十周年と日中関係の問題につきましては、これは順調に正常化以来来ておりますが、関係の緊密化が伴えば伴うほどまたいろいろな問題が起きてくることもあります。対中関係重視ということは主要な外交の柱でございますので、双方でそれらの問題については最大限の努力を行って、日中関係の発展に影響を及ぼさないように対応すべきであると考えます。日中共同声明、日中平和友好条約及び日中関係四原則に従って発展さしていくのは当然のことであります。日中平和友好条約締結十周年に今年は当たりますので、双方の都合のよい時期に訪中をしたいと私も思っておるところでございます。 それから日韓関係、これにつきましては、これは二月二十五日に、十六年ぶりの直接選挙で選ばれた盧泰愚民正党総裁が大統領に就任されることになっております。この就任式ということは、したがって、国会のお許しが得られますならば、私も出席をしたいと思っております。今後の友好関係を築き上げるはもとより、ソウル・オリンピックの成功のために最大限の努力をしなければならないというふうに思っておるところであります。 インドシナ問題、これはカンボジア問題が障害になっておるわけでございますが、ASEAN諸国の和平努力を支持いたしますとともに、ベトナムとも政治対話を継続するなど我が国としての努力を傾注してまいります。最近、シアヌーク殿下のイニシアチブによりまして、紛争発生後初めてのカンボジア人同士の会談が実現しましたことは、政治解決に向けての第一歩というふうに歓迎しておるところでございます。 それから、留学生受け入れ態勢の問題でございます。 これは、予算編成に当たりましての党首会談でも主張されたものでございます。諸外国との教育交流、相互理解の促進のために大事なことでございます。二十一世紀初頭には十万人を受け入れよう、こういうことでございますから、このため、六十三年度予算は、対前年度比二六%増、百八十三億円の留学生関係予算を計上しておりますが、特に最近の円高傾向につきましては、授業料の減免措置の拡充、それから宿舎の整備等を図りますとともに、今後とも留学生受け入れ態勢の整備には、各方面の協力を得て対応していこうというふうに考えております。 農産物自由化問題でございますが、世界最大の農産物純輸入国でございます。再三申し上げますように、国内における農業の役割は、食糧の安定供給のみならず、活力ある地域社会の維持、また国土、自然環境の保全等極めて重要であります。農産物市場開放問題への対応は、国際的な経済関係、多様な消費者ニーズへの対応といった観点を踏まえ、このような我が国農業の健全な発展との調和を図りながら、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける交渉との関連を十分考慮して適切に対処してまいる所存であります。その中にありまして、いわゆる十二品目問題につきましては、我が国としては二月の理事会において、ガットの精神を守り、国内農業への影響等を大変配慮いたしまして、国際的な経済関係にも配慮しながらこれに対応しなければならぬというふうに考えておるところでございます。 米の問題につきましては、これはこの決議等の趣旨を体して対応してまいります。 農業の対外競争力の強化の問題でございます。これは、農政審議会の報告を踏まえて、食糧の安定供給、地域社会の維持など農業の持つ重要な役割を十分認識しながら、国民の納得の得られるところの価格での食糧の安定供給、こういうことに努めてまいります。いわば私見と称しての御提言は私もかねてお聞かせいただいておるところでございますが、私どもの関心のある提言であるというふうにお答えをするにとどめておきます。 それから外国企業の参入問題でありますが、そもそも我が国の建設市場は、公共事業も含めまして内外無差別ということになっております。しかし、公共事業の調達制度については、本来は多国間協議の場で共通のルールづくりを進めていくべきものと考えております。しかし、内外無差別になっておりますものの、いわゆる十分な実績を上げておりませんから、そこで参入が困難になっておる。したがって、諸外国で我が国の公共事業へのアクセス改善を求める強い声が存在しておることも事実でございますので、先般、米国政府に対して、特定の大型公共事業について参入が容易になるような新たなる提案を行った。これは相互互恵的なものであります。したがって、これからは事務当局において詰めていくという段階であります。 次は思いやり予算でございますが、我が国の安全保障にとって不可欠な日米安保体制の効果的な運用を確保していくことは極めて重要との観点から、我が国として、在日米軍駐留経費の負担についてできる限りの努力をしてきたところでございます。提供施設の整備につきましては、安保条約の目的達成との関係を考慮し、その緊要度等諸般の事情を総合的に勘案をして、まさに我が国の自主的な判断によって個々に決定しております。地位協定との関連は、昭和六十二年度から実施しました諸手当の一部負担は、これは特別協定に基づくものでございますが、いわゆるそれまでの思いやり予算は地位協定の枠内で実施されているものであります。これらの経費は、当然のことながら、毎年度予算の形で国会の審議というもので御承認をお願いするわけでございますから、私は、無原則になり得るものではないというふうに考えておるところでございます。 そこで、その中の施設関係費、これをカットする努力ということも御提言がございました。米軍の希望を聴取しながら、安保条約の目的達成との関係を考慮して、その緊要度など諸般の事情を総合的に勘案した上で自主的に決めておる、こういうことでございます。そうして、やはり在日米軍の効果的な活動を確保するために必要かつ有効なものというふうに判断しておりますので、これをいわゆる一%問題でカットの対象にするということは考えておりません。 それから、米軍来援円滑化のための研究の問題でございます。 装備の共同開発を推進していくことと、それから我が国に対する武力攻撃に対し有効に対処するための米軍の来援部隊の円滑かつ迅速な展開等を可能にするための措置について共同で研究を行うことを含めて日米間の防衛協力を推進することは、これは、我が国防衛の基調をなす日米安保体制の信頼性の維持向上ということから重要であると思っております。御指摘の在日米軍による韓国等への物資保管云々につきましては具体的に承知しておりませんが、いずれにせよ、在日米軍による施設、区域の使用は、安保条約及びその関連取り決めに基づいて行われておるものであり、そうして、我が国として、憲法上禁じられております集団的自衛権を行使するということはあり得ないというふうに考えております。 それから、NBCの問題でございます。沖縄に駐留します米軍の中に、NBC兵器による攻撃に効果的に対処するための防護措置を担当し、その教育及び訓練を実施する要員が存在しておりますが、これらの要員の任務は、核や生物・化学兵器を取り扱うものではないというふうに承知をしております。いずれにせよ、政府としては、核兵器の持ち込みについての事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことについて何らの疑いも有していないということは一貫したお答えでございます。 それから、GNP一%枠の厳守でございます。 現下の国際社会の平和と安全が依然として力の均衡により維持されていることは、これは冷厳な事実であります。したがって、米国を初め西側主要国も、困難な経済状況のもとにもかかわらず、それぞれの事情に応じて国防力の強化に努めております。我が国は、大綱に定める平時から保有すべき防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防の着実な実施に努めておるということでございます。 今度は、政府統一見解等の問題でございました。 これは御指摘のとおりでございまして、これは矢野さんから昭和六十年二月六日、衆議院の予算委員会においての発言がありましたのがもとになって今日まで議論が継続しておる、こういう事実はそのとおりであります。当時の大蔵大臣はまた竹下登であったこともそのとおりでございます。 そこで、税制論議の中に行われました答弁、そうして、これが統一見解であるとか政府答弁であるとか、いずれにせよ、これは私は本当に重いものであるということは十分に感じております。それから、この発言の考え方に沿って一生懸命で成案を得たわけです。この成案を得て国会へ提出したわけです。ところが、これは結果において廃案になったわけです。したがって、私どもは白紙に返したというのではなく、そういう答弁があり、それに基づいて提出した法律案があり、その上でそれが廃案になったという、実に墨黒々と書かれておるその紙をじっと見ながら、それこそ国民の合意は那辺にあるかということをまじめにみんなと議論しよう、こういうことが前提でございます。(拍手) それから、抜本的税制改革は、消費、資産、所得の間で均衡がとれた安定的な税体系の構築を目指す、これは当然のことでありまして、税制調査会において今まさに御審議いただいておるということであります。 御指摘のありました土地関連税制の適正化の問題、それから土地、株式に対する再評価税の問題、節税企業対策の問題、これがございました。 土地税制については、土地政策の一環として、税負担の公平にも配意してこれまで種々の措置を講じてきた。そこで、総合的な土地対策は、今、国会にも特別委員会をつくっていただいて、新行革審等で検討が行われておる。それと対応して税の問題はさらに検討していかなければならぬ。 それから、御指摘の小規模保有土地に対する課税のあり方、節税企業対策等の問題は、これはたびたび出ておる問題でございますので、税制調査会での検討状況を踏まえて適切に対処してまいる所存であります。 それから、古くからいろいろ議論されております御提案の法人の土地、株式に対する再評価税、これは昭和四十年代から議論のある問題でございますけれども、今これが改めて非常にクローズアップしてきているというのは、私はやはり地価問題とかいろいろな環境がそうあらしめたのかなと思っておりますが、まず、今日まで古い議論も含めまして申してみますと、所得課税として考えますと、いつも言うように、未実現のキャピタルゲインに対する課税となっていく、この議論が一つあります。 それから、保有税として考えますと、現行の固定資産税等の評価の適正化を図ることが先決じやないか、こういう議論が出てくる。 そこで三番目には、企業の生産活動に供されている土地への課税は土地の供給増大につながらず、かえって資本集約的な装置産業を中心として企業活動に打撃を与えることになりかねないか、こういう議論もまた一つ出てくるわけでございます。しかし、そういう議論というものが今後の検討に際してもやはり中心になって議論されていくであろうというふうに私は思いますので、これは絶えず私も聞かされておることでございますが、現実の今までの議論の過程で問題になっておることだけは正確に申し上げておきます。 それから、大型間接税の導入は解散して国民の審判を問えという問題でございます。 解散という問題につきましては、やはり私は、憲法で四年という与えられた任期というのは大変大事なものである、やはりこれだけはお互いどの立場にあっても大事に大事にしなければならぬ課題だ、このように考えております。 それから、規制緩和の御質問でございますが、これは、基本的な考えは全く等しくしております。今新行革審に対して検討を要請しておりますので、今のような考え方も早速伝えるべきであるというふうに思っております。 それから、効果的な地価対策と土地供給策の問題が出ました。いわば、若干の鎮静化傾向はございましても、周辺の各県主要地方都市ではなお十分な監視が必要でございますので、これからも衆知を絞ってこれには対応していかなければならぬ。 そこで、空中権の問題が出ました。私どもが国会をも含め議論する課題であるというふうな問題意識のところまでは私もいっております。 それから、一省庁一機関の移転につきましては、これは御激励をいただいておりますが、まず基準が決まったという段階でございますので、応援をいただいて今後さらに積極的に対応してまいる所存でございます。 それから、減税しろ、こういうことでございます。 今、歳入というものはちゃんと予算書で提出しております。今ここで私が仮に減税しますと申し上げたといたしますならば予算書の書きかえにもつながるわけでございますが、その問題は別といたしまして、今、補正でいいというお話がございましたが、今、当初予算を御審議いただいておる際に補正という言葉を使うのは禁句になっておりますので、それも私、心得ておるつもりでございます。 そこで、不公平税制、この問題につきましては、昨年、私も立場を異にしておりましたが、一緒に相談をしまして所得減税を合意をいたしました。そこで、これを六十三年度で見ますと、住民税を含めると二兆円を超える規模の減税、こういうことになるわけでございます。したがって、その他円高差益の還元、これも、物価対策というのもまた可処分所得を上げる上においては減税と同じ効果をもたらすものでございますから、こういうもので総合的に対応していくということであって、今これ以上の減税を考えてはおりません。 それから、労働時間の短縮問題でございます。 これもおっしゃったとおりの問題でございまして、私どもといたしまして国民的コンセンサスの形成にこれからも努めていかなければならぬ、中小零細企業の問題がありますだけに。しかし、総じて言えますことは、これは御指摘の方向に進んでいくということであります。ただ、サマータイム制の導入につきましては、これはかつて経験したことがございますけれども、国民生活や経済活動などの各方面に影響を及ぼす可能性のある問題でありますので、仮に導入するとしても慎重な検討が必要であると考えますので、一つの提言として承らせていただいて、やりますとか、やらない、結構でしょうとか言うにはちょっと問題が多過ぎるな、こんな感じでございます。 それから、米の消費拡大提案、これは私見だが、こういう前提で、私も承知しておりますもろもろの御意見の開陳がございました。これらに対しましては、例えば食糧管理制度については、その基本は堅持しつつ、多様な消費者ニーズに対応できる米の流通の実現に向けて適切な運営の改善を図っていく。それから特殊用途用の品種の奨励というようなことも考えていくということでありました。御提案は興味深く拝聴させていただいたところであります。 それから、今後の社会保障のあり方について、これもかねての持論でございますが、医の分野への民活とでも申しましょうか、医療について、公的保険制度、これが必要にして適切な医療を保障することを今後とも堅持していくという方針、そして多様なニーズに対応していくため、これを補完するものとしての民間保険、この適切な育成を図ってまいるという考え方は私どもも同じように今考えておるところでございます。 それから、教育の問題でございました。御説の問題でございますが、これは具体的な問題につきましては速やかに所要の規定の整備を図っていくということと、そしてポスト臨教審の問題につきましては、答申を受けての教育改革を円滑かつ効果的に推進するための審議機関として総理府に臨時教育改革推進会議、これは仮称でございますが、法律を含め所要の手続をお願いしよう、こういうことに相なっておるわけでございます。 それから、衆議院議員の定数是正問題でございました。これは百四回国会においての定数是正が行われました場合の本会議の決議でございます。これは、問題は選挙制度の基本にかかわる問題でございますので、私もいろいろな考えを持ってみましたが、やはりお互いの土俵づくりでございますので、各党間で十分論議するというのがまずは一番初めには大事なことじゃないか、その論議を見ながら政府として努力することは当然のことではないかというふうに私は考えておるところであります。 それから最後に、いわゆる第十八富士山丸問題に対しての御言及がございました。お二人の無実は疑いのないところであると私も信じております。これまで日赤ルート、赤十字ルート、考え得るあらゆる方途を尽くしまして、北朝鮮側に対して、これら船長、機関長の早期釈放の働きかけを行ってきたところでございますが、残念ながら現在までのところ釈放、本邦帰国は実現しておりません。だから御家族及び関係者の心労はいかばかりのものか、矢野委員長御質疑のとおりでございます。政府としては、この問題はまさに日朝間に横たわる最大の懸案である、このように考えております。したがって、人道的な問題でございますので、日朝間にまたがる最重要な課題だという問題意識のもとにこれからも努力を続けてまいります。 以上でお答えを終わります。(拍手)
○副議長(多賀谷真稔君) 矢野君から再質疑の申し出がありますが、残りの時間がわずかでありますから、ごく簡単にお願いいたします。矢野絢也君。 〔矢野絢也君登壇〕
○矢野絢也君 御答弁を伺っておりまして納得いたしかねる点がございます。 その前に、答弁漏れが二点ございます。 公共事業への外国企業の参入について、ヨーロッパ、アジアはどうなのかとお尋ねいたしましたが、お答えがございません。それから、土地を購入するその借入金の利息で本業の利益を相殺して法人税を納めておらない、これについての対策をどうするかとお尋ねしましたが、御答弁がございません。お願いいたします。 さて、私は政府統一見解を政府が今後とも厳守されるのか、白紙撤回されるのかをお伺いしたのでありますが、余り明確ではございませんでした。臨時国会におきましても、私が伺ったときに、税調に予見を与えてはいかぬからという言い方をされていましたが、政府の公式見解は当然税調の御審議の前提としてあるべきものだと私は思います。あの衆参同日選挙における大型間接税をやりませんという公約、政府統一見解の多段階、包括的、網羅的に投網をかけるようなやり方でやりませんというこの統一見解は、当然税制調査会において前提とされるべき大切な政府方針であります。政府と税調とどちらが偉いんかいなと逆に聞きたくなるわけでございます。 ましてや、昨年の売上税の審議におきまして、政府はこの法律案をおつくりになるときにそれなりにこの統一見解を念頭に置かれて、事業の売上高あるいは品目あるいは業種などは非課税にするなどというやり方で、包括的、網羅的にならないような工夫をそれなりに政府はなさったわけであります。 そこで、売上税が廃案になったのは、大型間接税をやらないとする選挙公約の違反というこの事実に国民が大反発をしたのでありまして、この政府統一見解が間違っていると言って国民が反発したのではありません。(拍手)それを、売上税が廃案になったから統一見解もあわせてほごにするみたいな言い方は、これは失礼ながら牽強付会の論理です。売上税廃案の経過を教訓にするというのであれば、選挙公約の違反はやはりやってはいかぬということを教訓になさるべきでありまして、政府統一見解をほごにすることは許されません。(拍手) それから、もう一つ納得できないことがあるのですが、この通常国会に税制の抜本的改正にかかわる税制関連の法案を提出されるのかされないのかをお尋ねしたのでありますが、御答弁がございません。これから予算審議に入るわけでございますが、それがはっきりしなければ十分な予算審議ができないじゃありませんか。つまり、提出されるかもしれない税制関連法案は、六十三年度よりの、六十三年度予算にかかわりのある税制関連法案なのか、六十三年度予算にかかわりのない税制関連法案なのかをまず明確にしていただきたい。その上で、通常国会にお出しになるかならないかをお答えをいただきたいと思います。 以上でございます。(拍手) 〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず、答弁漏れがございました点を最初申し上げます。 外国企業の参入問題については、相互主義でやりますということでございますから、米国だけとかという意味ではございません。相互主義という原則でございます。 それから、節税企業対策等はお答えしたつもりでございましたが、いわゆる税制調査会での検討状況、それがきょうのような御意見があったということを踏まえてそれぞれ適切に対応していこう、こういうことになるわけでございます。 それから、六十三年度税制改正案を出すか出さないか。六十三年度税制改正案というのは、これは予算書に関係がありますから、お出しするのは当然でございます。抜本改正という問題につきましては、予見を挟まない、期限を付さない。したがって、今期限を付さないでおるものを、答申前に法案を出すわけにはいきませんから、だから検討中のものと、明確に印刷して皆さん方にお配りしておる、こういうことでございます。 それから、基本的な問題でございますが、確かに当時の矢野書記長の質問に基づいて多段階、網羅的、普遍的、これは多段階、網羅的、普遍的というのは、字引を引いてみれば、ことごとく、例外なく、こう書いてあるわけでございます。そういうお話をしまして、それに基づいて案をつくってそれを提出して、それが結果として廃案になった。だから、全部の事実を大事に大事に反省の材料としなければならぬというふうに基本的に考えておることをまず申し上げておきます。 それから、公約の問題というのにつきましては、これは私が申しましたように、国民の反対し党員も反対する大型間接税をやらないとおっしゃったことはそのとおりでございます。(拍手) ────◇─────
○自見庄三郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十八日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
○副議長(多賀谷真稔君) 自見庄三郎君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(多賀谷真稔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十六分散会