P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
112回国会衆議院1988/03/01

農林水産委員会 第1号

発言数
293
登壇者
27
会派数
5
開催日
1988/03/01

会議録

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  農林水産業の実情を調査し、その振興を図るため  農林水産業の振興に関する事項  農林水産物に関する事項  農林水産業団体に関する事項  農林水産金融に関する事項  農林漁業災害補償制度に関する事項 について、本会期中調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  この際、佐藤農林水産大臣から農林水産業の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 農林水産委員会におきまして、私の所信の一端を申し上げます。  現下の我が国農林水産業を取り巻く内外の経済情勢について見ますと、我が国経済は内需を中心として安定成長を持続するとともに、経済構造調整が着実に進展しつつあります。しかしながら、主要国間にはなお大きな対外不均衡が存在することなどから、引き続き、国際協調型経済構造への変革の推進が求められております。  こうした中で、我が国農林水産業は、経営規模拡大の停滞、生産性向上の立ちおくれ、農産物需給の不均衡などの諸問題に直面し、また、内外価格差の縮小、農業保護のあり方等につき、内外から強い関心が寄せられるとともに、諸外国からの市場開放要求が高まるなど厳しい状況にあります。  申すまでもなく、我が国農林水産業は、国民のニーズに即した食料の安定供給、活力ある地域社会の維持、国土・自然環境の保全とその調和ある活用など我が国経済社会の発展や国民生活の安定のため、重要な役割を果たしております。  今後の農林水産行政を推進するに当たっては、このような農林水産業の持つ基本的かつ多面的な役割を踏まえつつ、国際化、高齢化、大都市の過密と一部農山漁村における過疎化の進行、技術の高度化等今後の社会経済情勢の変化に的確に対応していく必要があります。  このため、農林水産省といたしましては、農政審議会報告「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」を踏まえ、すぐれた担い手、優良農地、水資源等の確保や農業技術の向上等により食料供給力の確保を図りつつ、国民の納得し得る価格での食料の安定供給に努めることを基本として、与えられた国土条件等の制約の下で最大限の生産性向上を図る必要があり、これに焦点を合わせて諸施策を展開することといたしております。  昨年は、この報告の指し示す方向へ向け現実の歩みを始めた年であり、構造政策をより重視した水田農業確立対策を新たに実施するとともに、米を初めとする各種農産物の行政価格の引き下げ等価格制度の適切な運用を図るなど諸般にわたる施策の展開を図ったところであります。本年も、この報告の指し示す方向に向けての取り組みをさらに前進させるとともに、国民のニーズの変化等新しい時代の流れを積極的にくみ取りつつ、各方面の声にも十分耳を傾けながら、国民の合意形成の上に立って各般にわたる施策を推進してまいりたいと考えております。  以下、昭和六十三年度における主要な農林水産施策について申し上げます。  まず、農業の振興についてであります。  第一は、土地利用型農業の体質強化を目指した構造政策の積極的推進であります。  土地利用型農業の経営規模の拡大と生産性の向上を図りその体質を強化することが、我が国農業の健全な発展にとって緊要な課題となっております。このような課題に対処するためには、農業構造の改善を積極的に進め、また、その基礎的条件である農業生産基盤の整備を図ることが重要であります。  このため、生産性の高い今後育成すべき担い手への農地の集積や作業委託の促進等を通じて経営規模の拡大を地域の実情に即して進めるほか、新規就農者を含め、次代の農業を担う技術・経営能力にすぐれた意欲的な農業者の育成確保にも努めてまいります。  また、農業生産基盤の整備を第三次土地改良長期計画に即して着実に実施してまいります。  第二は、需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開であります。  需要の動向に適切に対応しつつ、産業として自立し得る農業の確立に資するため、水田農業確立対策を引き続き実施することとし、水田を活用して生産される作物の生産性の向上、地域輪作農法の確立及び需要の動向に応じた米の計画的生産を一層推進してまいります。また、その推進とも呼応した合理的な土地利用方式を実現するとともに、水稲、麦、大豆、特産農作物等について生産性の高い主産地を育成することを目指して総合的な農業生産対策を推進してまいります。また、肉用牛生産の低コスト化と肉用牛資源の拡大の重要性にかんがみ、肉用牛対策に重点を置いて畜産総合対策の充実を図ってまいります。  さらに、生産コストの一層の引き下げを図るため、生産資材費等の節減のための取り組みを強化することといたしております。  第三は、農山漁村地域の活性化対策の推進であります。  農山漁村社会の高齢化、混住化等に対処しつつ、経済社会の変化にも即応して、農林水産業に携わる人々が意欲と生きがいを持てる新しい地域社会を目指し、農林水産業の振興とあわせ、生活環境の整備、安定した就業機会の確保、リゾート地域の整備、都市と農山漁村の交流の促進等により、農山漁村地域の活性化を推進してまいります。  第四に、バイオテクノロジー等先端技術の開発・普及とニューメディアを活用した情報システムの整備であります。  これらの先端技術は、今後、農林水産業、食品産業等の生産性の飛躍的向上、新しい食品素材の開発、農山漁村の活性化を図る上で、極めて重要な役割を果たすものと期待されております。  このため、産・学・官の連携強化により総合的にバイオテクノロジーなどの先端技術の開発を図ることとし、二十一世紀を見通したバイテク育種や生物機能の解明に関する基礎的研究等を推進してまいります。また、あわせて、技術開発の成果の早急な現場への普及を図るため、所要の措置を講じてまいります。  このほか、農山漁村地域における情報システム化を推進するとともに、各分野におけるソフトウェア開発等情報システム化の促進、農業に係る情報の的確かつ効果的な提供を実施してまいります。  第五に、健康的で豊かな食生活の保障と農産物の価格・需給の安定であります。  健康的で豊かな食生活の保障の観点から、日本型食生活の定着促進を図ることを基本として、消費者ニーズの多様化・高度化等に対応した消費者対策や、農水産物の消費拡大対策を展開してまいります。  価格政策の運用においても、構造政策を助長し、農業の生産性向上の促進に資するとともに、対象とする農産物の需給均衡の確保に資するといった観点も踏まえ、国民の理解と納得が得られるよう適正な運用を期してまいります。  食糧管理制度については、国民生活の安定を図る上での重要性を認識し、制度の基本は今後とも維持しつつ、昨年十一月の米流通研究会報告の趣旨を体して消費者ニーズに対応した流通及び生産が迅速かつ柔軟に行われるような、しなやかな流通システムの実現を図るなど各般にわたる改善を着実に積み重ね、国民の理解が得られるよう努めてまいります。  また、最近における米需給の動向と今後の見通しは三度の過剰処理が懸念される事態となっていることにかんがみ、生産、流通、消費の各般にわたる緊急の取り組みにより需給均衡の回復に努めてまいります。  さらに、国民に対する安定的な食料の供給を図る上で重要な役割を果たしている食品産業につきましても、中長期的展望に立って、その体質と経営基盤の強化を図るため、原料対策・技術対策を初めとする各般の施策を総合的に推進してまいります。  以上、申し上げました各般の施策のほか、各種制度資金について、その内容の充実整備を図るほか、農業災害補償制度の円滑な運営を図ってまいります。  また、開発途上地域の農林水産業生産力の向上等を通じ、これら諸国の経済社会の発展に寄与するため、国際協力に努めてまいります。  次に、林業の振興についてであります。林業につきましては、近年、外材の価格競争力の高まり、山村の過疎化・高齢化等により生産活動が停滞し、森林の管理水準も低下するなど困難な状況にありますが、最近では、木材需要の回復等明るい兆しも見え始めております。このような状況のもとで、林業・木材産業の活性化を図るとともに、国民の森林に対する多様な要請にこたえていくことが喫緊の課題となっております。  このため、木材需要の拡大、木材産業の体質強化、造林・林道などの林業生産基盤の整備等各般の施策の推進に努める考えであります。特に、本年におきましては、国産材時代の到来に備えた地域材の産地化の推進等に積極的に取り組んでまいります。  また、国民経済及び国民生活に重要な役割を果たしている国有林野事業につきましては、改訂された改善計画に基づき、経営改善に鋭意努力してまいる考えであります。  次に、水産業の振興についてであります。  水産業は、国民の必要とする動物性たんぱく質の約半分を供給し、健康的で豊かな日本型食生活の一翼を担う重要な産業でありますが、二百海里体制の本格的定着、水産物需要の伸び悩み等厳しい環境のもとで、長期的視点に立って新しい時代に即応した水産業を確立することが急務となっております。  このため、昭和六十三年度を初年度とする第八次漁港整備長期計画及び第三次沿岸漁場整備開発計画を策定し、漁業生産基盤の整備を計画的に進めるとともに、「つくり育てる漁業」の推進、先進的技術の開発など我が国周辺水域の漁業振興に努めてまいります。  また、厳しい環境にある漁業経営の体質強化を図るため、漁業生産構造の再編、漁協信用事業の整備強化等経営対策の一層の推進を図ってまいります。  さらに、消費者ニーズを十分に踏まえつつ、水産物の流通加工、価格安定及び消費拡大対策を推進してまいります。  また、海外漁場の確保を図るため、相手国の実情を踏まえつつ粘り強い漁業交渉を展開するとともに、新資源・新漁場の開発、海外漁業協力を実施するほか、漁業災害補償制度の改善等を図ってまいります。  以上のような農林水産施策を推進するため、引き続き、厳しい財政事情のもとではありますが、各種施策について優先順位の厳しい選択を行いつつ、我が国農林水産業に新たな展望を切り開いていけるよう、必要な予算の確保を図ったところであります。  また、施策の展開に伴い必要となる法制の整備につきましては、今後とも、当委員会の場におきまして、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  なお、農林水産物貿易問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドにおける農産物貿易ルール策定への対応等の難しい問題がありますが、我が国農林水産業の健全な発展との調和を図ることを基本に、関係国との友好関係にも留意しながら、適切に対処していく考えであります。  特に、いわゆる農産物十二品目問題に関しましては、乳製品及びでん粉について、パネル報告の結論に基づく措置を実施することは極めて難しいとの立場等を明確にした上で、その一括採択に応じたところでありますが、国内対策等今後の対応については、我が国農業の将来に禍根を残すことがないよう最大の努力を傾注していく考えであります。  以上、所信の一端を申し上げましたが、近年、急速な国際化が進展し、また、国内外の各界各層から深い関心が寄せられている中で、農林水産行政を推進するに当たりましては、手順を尽くし、国民各界各層の信頼を築き上げ、農林水産業の確かな展望を示すよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。  委員各位におかれましては、農林水産行政推進のため、一層の御支援、御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。(拍手)

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 次に、昭和六十三年度農林水産関係予算について説明を聴取いたします。北口農林水産政務次官。

北口博自由民主党農林水産政務次官

○北口政府委員 おはようございます。  お許しをいただきまして、昭和六十三年度農林水産予算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和六十三年度一般会計における農林水産予算の総額は、総理府など他省庁所管分を含めまして、三兆千七百十九億円となっております。  予算の編成に当たりましては、厳しい財政事情のもとで、財政及び行政の改革の推進方向に即し、各種施策について、予算の重点的かつ効率的な配分により質的充実を図るとともに、NTT資金の活用による公共事業の拡充を図り、農林水産行政を着実かつ的確に展開するよう努めたところであります。  以下、予算の重点事項について御説明いたします。  第一は、土地利用型農業の体質強化を目指し構造政策等を積極的に推進することであります。  このため、農業の体質強化の基礎となる農業生産基盤整備につきまして、NTT資金の活用により大区画圃場の整備等を推進するとともに、生産性の向上、農業生産の再編成等に資する事業に重点を置いて推進することとし、一兆二十二億円を計上しております。  また、経営規模の拡大を図るため、構造政策の推進体制の整備、中核農家及び営農集団の育成を進めるほか、新農業構造改善事業等による生産条件の重点的整備等を推進してまいります。  さらに、新規就農者を含めた担い手対策につきましても、農地等取得資金等の貸付限度額の引き上げ、新規就農者や大規模担い手農家に対する農地等の一時貸付制度の創設等により施策の充実を図ることとしております。  第二は、需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開を図ることであります。  需要の動向に応じた農業生産の再編成を行いつつ、生産性の高い農業生産体制を整備するため、引き続き水田農業確立対策を推進するとともに、農業生産体質強化総合推進対策において、生産性の高い水田農業を実証するモデル地区を育成する等低コスト生産を志向した施策等の充実を図ることとしております。また、農業生産資材対策についても、生産コストの低減に資するため、農業機械の高度利用等を推進することとしております。  さらに、畜産総合対策について、肉用牛生産の低コスト化と肉用牛資源の拡大の重要性にかんがみ、肉用牛対策の充実等を図ることとしております。  第三は、農山漁村地域の活性化を図るため、NTT資金を活用しつつ、リゾート地域の整備、農村の集落整備等を推進するとともに、定住条件の整備、農村工業導入事業の拡充による就業機会の確保等を図ることとしております。  第四に、技術開発の推進等により、農林水産業、食品産業等の生産性の飛躍的向上等を図ることであります。  このため、二十一世紀を目指したバイオテクノロジー等の基礎的・先導的研究を重点的に推進するほか、産・学・官の連携強化による研究の拡充を図るため、官民交流共同研究を実施するとともに、研究交流の拠点整備を図ることとしております。  また、最近の情報処理技術の目覚ましい発達に対応して、農林水産業に係る情報システムの開発・整備を推進することとしております。第五に、国民に健康的で豊かな食生活を保障する観点から、食生活をめぐる消費者意識の変化等に的確に対応するため、各般の消費者対策を総合的に推進するとともに、農林水産物の需給と価格の安定に努めてまいります。  また、食品産業のニーズに合致した国産原料農産物の供給体制の整備、食品産業の技術水準の向上等食品産業対策を充実するとともに、食品流通の効率化を進めてまいります。以上申し上げましたほか、国際協力、備蓄対策を推進するとともに、農林漁業金融の充実、農業者年金制度、農業災害補償制度等の適切な運営等に努めてまいるところであります。  第六に、森林・林業施策に関する予算について申し上げます。  国土の保全と林業生産基盤の整備を図る観点から、NTT資金を活用しつつ、治山、造林及び林道の各事業を計画的に推進することとし、三千二百五十五億円を計上しております。  また、国産材の供給体制を整備するため、川上と川下の連携のもとに地域材の産地化を推進するとともに、森林・林業、木材産業活力回復緊急対策を引き続き実施することとしております。  さらに、モデル木造施設の建設、間伐材の商品化等により木材需要の拡大を図るとともに、林業担い手の育成確保、森林機能の維持増進等を図るほか、国有林野事業の経営改善を強力に推進することとしております。  第七に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。  二百海里時代の定着等に即応した水産業の振興を図るため、第八次漁港整備長期計画及び第三次沿岸漁場整備開発計画を策定し、NTT資金を活用しつつ、漁業生産基盤たる漁港、沿岸漁場整備の各事業を計画的に推進することとし、二千百億円を計上しております。  また、我が国二百海里内の漁業開発を進めるため、新沿岸漁業構造改善事業(後期対策)を発足させるとともに、沖合養殖システムの開発等新技術開発、養殖業対策、資源管理型漁業の推進等を図ります。  さらに、水産物の流通・加工の合理化を一層促進するため、中核的な流通加工施設の整備、水産加工施設資金の期限の延長等を行うほか、水産業経営対策の充実等を推進することとしております。次に、特別会計予算について御説明申し上げます。  まず、食糧管理特別会計につきましては、消費者米麦価の引き下げ、良質米奨励金の見直し等を実施するほか、管理経費の節減等食糧管理制度の運営の改善合理化に努め、一般会計から調整勘定への繰入額を二千六百二十億円とすることとしております。  農業共済再保険、国有林野事業特別会計等の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画につきましては、農林漁業金融公庫による資金運用部資金等の借り入れ、生物系特定産業技術研究推進機構への産業投資特別会計からの出融資等総額九千二百五十四億円を予定しております。  これをもちまして、昭和六十三年度農林水産予算の概要の説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 以上で説明は終わりました。     ─────────────

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 農林水産業の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保利耕輔君。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 大臣、御就任以来、内外に大きな問題を抱えております農政の問題解決に文字どおり泥をかぶって御奮闘されておりますことにまずもって心から敬意を表する次第であります。同時に、今後健全な農林水産業の発展育成のために一層の御尽力を賜りますように心からお願いを申し上げます。  さて、ただいま大臣の所信を拝聴し、また政務次官から予算の説明をちょうだいいたしたところでありますが、このことについて二、三御質問を申し上げたいと存じます。  その前に、目下の農政上の大問題であります自由化をめぐる問題、貿易摩擦をめぐる問題について一つだけ大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。  昨年の十二月二日のガット総会、日本のいわゆる十二品目問題が議題に上ったわけでありますが、二月二日まで延期をされまして、二月二日の理事会で十二品目についてガットの勧告を一括受諾をせざるを得なかった。まことにやむを得ないものがあったかと存ずる次第であります。しかしながら、この二カ月を延ばした間に、いわゆる各国のコメントを引き出し得たということは非常に大きな成果ではなかったかと思いますし、このコメントをいろいろ分析検討していただきまして、今後のガット、ウルグアイ・ラウンドでの交渉に役立たせていただきたい、このように存ずる次第でございまして、ぜひこのような観点から分析、研究をお願いいたしたいと思います。  勧告を受け入れ、自由化できないということを内外に示したいわゆる乳製品、でん粉の二品目につきましては、今後これを守っていただきたいということをぜひお願い申し上げたいと存じますし、ガットの勧告にあるような措置をとらざるを得なかった八品目につきまして、これは妥当な期間を置いてそのような措置に移行していただきたいということと、国内の対策あるいは国境措置について十分な御配慮を賜りたいと存ずる次第であります。このことをまずもって御要望申し上げたいと思います。  そして、きょうは三月一日でございますが、今月末で協定の期限が切れる牛肉、かんきつの問題、いろいろな報道が入りまじっておるわけでございますが、中には二年後に自由化というような報道が飛び交い、あるいはアメリカ側からそういう要求が来ておるというような話も新聞等で報じられておるわけであります。このことは大変日本の生産農家に不安を与えておりまして、ある意味では農家に脱力感を感ぜしめるような報道になっておるわけでございます。この辺について、この牛肉、かんきつの厳しい交渉がこれからあるわけでございますが、どのようなお気持ちでお取り組みになるか、まずその点をひとつ大臣からお伺いをいたしたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 お答えをいたします。  牛肉、かんきつについて三月末という大きな節目を迎えております。過去の経過は御案内のとおりでございますけれども、また過去の経過の中で一番新しいものとしては、日米二国間の首脳が話し合って、早くテーブルに着いてそして話し合おう、こういうことになっておるわけでございますけれども、自由化の時期を明示しなければテーブルは着くことはできない、こう言って厳しい対応を迫ってきているわけでございます。我が方といたしましては、ひとつ何としてもテーブルに着いてほしい。あらゆる角度から粘り強くまず交渉につかせる努力を今続けておるところでございます。テーブルに着きましたならば我が方の実情、現実的な対応というものを十二分にわかってもらいたいものだ、こう思っておるところでございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 大臣の力強い御決意のほどを伺ったわけでございますが、生産農家が大変心配をいたしておることでございますので、どうぞ御奮闘いただきまして、現実的かつ実質的な方向でひとつ解決をしていただきますように御努力をお願い申し上げたいと思います。  さて、ただいま伺いました農林水産大臣の所信表明について二、三質問をさせていただきたいと思います。  大変立派な文章でございますし、極めてバランンのとれた、いい所信の御表明ではないかと存ずる次第でございます。農政の基本的な方向の一つとして各所に言葉が出ておるわけでございますが、いわゆる国民のニーズでありますとか、あるいは消費者のニーズでありますとか、あるいは需要の動向に応じた生産でありますとか、そういうような形でいわゆる需要というものを非常に強くこの所信の中で出されておるわけでございます。しかしながら、拝見をしてみますと、二ページにもその文章が載っておりますが、農産物等の需給の不均衡が今問題になっておるというふうに出ておるわけでございまして、この需給の不均衡というものが一体どういう経過、プロセスを経て発生をしてきたのか、そのことについてお考えがございましたらお聞かせをいただきたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 需給不均衡が生じたその原因について、一体どうしてそうなったかという認識はどうかというお尋ねでございますが、需給が不均衡ないし潜在的不均衡となっている農産物がありますけれども、生活面については農業の技術進歩、農家の営農努力等により、我が国の生産力水準が向上してきたということがまず挙げられようかと思います。  他方、消費面については、一日一人当たりの供給カロリーは昭和四十年代後半からほぼ横ばいになっていることに見られるなど、食糧需要が飽和水準に近づいてきたこと、あわせて経済的変化及び生活様式の変化に伴って畜産物、油脂等の消費が増加する一方、米等の消費が減退傾向になっているということなど、食生活が多様化してきていること等から需給のアンバランスが生じているものと考えます。  今後の対策といたしましては、このような現状認識の中で、農産物の需給の不均衡については、食生活の変化、生産の対応等さまざまな要因がございますけれども、可能な限り需要に見合った生産を誘導しなければならない。同時に、将来の需給を的確に見通すことも重要と考えております。このため、最近の需給動向の変化等も踏まえ、現行六十五年見通しの見直し、これにも着手したいと考えておるところでございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 ただいま大臣から御答弁がございましたが、実は大変難しい問題だろうと思います。と申しますのは、大臣のお言葉の中にもただいまあったのでありますが、飽和ということが認識をされつつある。すなわち、食べ物はもうたくさんあってこれ以上食べられないというところへ来ておる中で、ある品目の生産が伸び、需要が伸びますとほかの品目の需要が落ちざるを得ない、そういう関係が顕著にあらわれるような形に最近なってきているのではないかと思うわけであります。それを今後、これはある意味では勇敢さが必要かと思いますが、十分に頭の中に入れた上で将来の需要見通しというものをつくっていかないと、需給のアンバランスの解消ということはなかなか進まないのじゃないか、こう思うわけであります。  簡単に言いますと、例えば牛肉の需要が伸びることによって米の需要が減るというようなことがあった場合には、一体米の消費拡大との関連性はどうなんだというようなことをこれからの農政においては真剣に考えていかなければならないときに来ておるように思いますので、そういった点を踏まえた上で、今大臣がお話しになりました六十五年長期見通しのつくりかえと申しますか、新たな七十年度見通しの作成に当たっていただきたい、そのように思う次第であります。大変難しい問題だと思いますが、各省庁及び農林水産省の中の各部局におきまして十分に相互の連関を持った検討をしていただきますように心から願う次第であります。  次に、構造政策についてお触れでございますが、法案の準備もされるやに伺っております。構造政策を展開をしていく上で、基本的にどのようなスタンスでおやりになるか、大臣からまずこのことについて御説明をお願いいたします。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 構造政策の推進に当たりましては、我が国農業の生産性の向上を図っていく、そのためにすぐれた担い手をまず確保しなければならない、そして育成しなければならない、経営規模の拡大が不可欠な問題である、このように考えます。このため、地域の実態に応じて農地の売買や貸し借り、農作業の受委託などを進めることにより、中核農家の規模拡大や生産組織の育成を図っていくことが重要だと思っております。今後地域ごとの農業の将来展望を踏まえ、関係機関、団体が連携を強化しながら、農地の流動化とその前提となる土地基盤、近代化施設の整備を推進していくことが必要であると考えております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 この大臣の所信表明の中にもその担い手像という言葉が出ております。新しい生産性の高い農業を担っていく担い手というものについてどういうことをお考えになっておられるか、これは事務当局からでも結構でございますが、お答えをいただきたいと思います。

松山光治農林水産省構造改善局長

○松山政府委員 育成すべき担い手としてどういうものをイメージするか、これは人により地域によりなかなか幅の広いものがあろうかというふうに思っておりますけれども、押しなべて一般的、抽象的に申し上げますれば、与えられました技術的な条件のもとでそれをフルに活用いたしまして効率的な生産を行い、国民の皆さんに納得していただけるような価格での食糧の安定供給を期待し得るような生産単位、もちろん社会的に妥当と認められる所得の確保といった要素も入るとは思いますけれども、そういった概念でとらえることができるのではなかろうか。そういう概念に立って幾つかの試算も出されておるわけでございますが、御案内のように日本の農業の地域的な非常に大きな違いといったようなものを考えますと、画一的に考えてまいるといったようなことはいかがであろうか。やはり各地におきまして、徐々にではございますけれども能率的な個別経営の、あるいは生産組織の形成が進んでおるといったようなことも踏まえながら、各地域におきましてこれを具体的に明らかにしていくべきものであろうし、またそういうことが現段階の課題になっておるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 構造政策、なかなか難しい問題でございますが、生産性の高い農業を進めていくためには、担い手に農地を集積して合理的な生産体系をとっていくということはだれしもが考えられることだと思います。しかしながら、それによって派生するところのいろいろな問題が考えられるわけでございまして、よく考えられておりますことは、農業から離れていかなければならない人々が出てくる可能性がある、それについては十分な対策を講じていかなければならないということが言えるんじゃないかと思います。  同時にまた、農村というのは水田ないし畑に囲まれた一つの集落でございますが、この集落の機能に、例えば私どもの方では川さらえというような言葉で言われております共同作業みたいなものがございますが、そういう共同作業のようなものは、日本のこの風土でいいますとやはり人手を要することでございまして、そういう意味で担い手だけに農業が担われているという状態になってまいりますと、そういう集落共同管理の機能というものが低下をしてくるおそれがあるというようなこともあるわけであります。そういった点も御配慮の上構造政策についてやっていただきたいと思いますし、研究をしていただきたいと思います。また、中山間部では不耕作地がふえてきている。これは貸そうにも借り手がいないというような状態があちこちで見受けられるわけであります。極めて複雑多様な状況でございますから、そういったいろいろな多方面の状況を分析しつつ構造政策を進めていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  さて、時間が足りませんので進めさせていただきますが、大臣の所信の中にもいわゆる食管制度のことについて触れておられます。食管制度は米を正規に流通させるというととが大前提になっておるわけでございますが、昨今の実情を見てみますと、無認可の店舗に自由米が売られておるというようなことを散見するわけでございます。また、それがふえていくというようなこともあるようでございます。こうした不正規流通ということに対して、あるいは自由米というものに対してどのような御見解を持って対処されるか、このことについて御所見をお伺いしたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 保利先生もう承知しておられるように、米は政府が責任を持って管理をする、そして生産者に対しては再生産を確保する、また消費者に対しては安定的にその供給責任を果たすということからしまして、適切な運営改善を図ってまいりたい。食管の根幹は堅持をしていくという方針の中で不正規流通米について申し上げますと、消費者ニーズに弾力的に対応するような流通改善を積極的にやらなければいかぬではないか。その一方で、集荷、販売両面にわたって業者活動の適正な確保、指導監督、こういうものを行わなければならないし、取り締まらなければならない点は厳正な姿勢をもって取り締まっていくという対処方針はなお一層堅持をしてまいりたい、こう思っております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 大臣から力強い御所信の表明がございました。厳正なる態度をもってこれには当たっていただきたい、私どももお願いを申し上げるところであります。  あと時間がございませんから一括してお伺いをいたしたいと思います。  国営農地開発事業、その他基盤整備事業におきまして、農家の負担が非常に問題になってきておる。工事が長期化したこともございます。また農業情勢が変化をして収益性が下がってきているということもあろうかと思います。そういう中で、地元負担金に対する救済措置あるいは対策、こういったものをお伺いいたしたいと思います。どういうお気持ちでこれにお取り組みになるか、この点について御意見を拝聴いたしたいと思います。  さらにはまた、これは牛肉、かんきつの交渉とも絡みますけれども、ミカンの価格が大変下がっております。ことし大変な暴落でございまして、泣く泣くミカン農家は、ミカンをちぎらずに木をそのまま倒してしまうというような状況が各地で見られております。このミカンの対策についてどのようにお考えになって対処していかれるか、以上二点について、まとめてお答えをちょうだいいたしたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 土地改良事業等、特に国営農地開発事業等にかかわる地元負担が大変過重なものになってきている、この対策をどうするかということでございますけれども、農業基盤整備事業の事業費が、労務費、資材費の上昇、それから工期のおくれ、地形条件が厳しい地域での施行等によって増大して、地元負担金の軽減が大きな問題となっております。そうしたことから、六十一年度と六十二年度に、特に償還に困難が生じている国営土地改良事業地区を対象として、地元負担の軽減を図るための制度を導入いたしました。昭和六十一年度からステップ償還制度、六十二年度からは計画償還制度というようなことは御案内のとおりでございます。さらに昭和六十三年度からは、負担金の円滑な償還が困難となっている土地改良区が償還金に充てる資金を農協等から借り入れる場合に、国及び都道府県が利子補給する措置を新設する予定であります。  今後実施する事業につきましては、事業費の抑制のため、整備の程度に応じた経費及び地元負担金をあらかじめ明示し、土地改良区等が適切な整備水準を選択する方式の徹底を図るような、その他いろいろございますが、事業の早期完了を図るための重点配分の問題もありますし、経済的工法の工夫などの措置をとるようなことがございますが、関係者を積極的に指導してまいりましたし、さらに一段とその指導を強化しなければならぬと思います。今後ともこうした措置を通じて負担金の軽減を図ってまいりたい、こう思っております。  かんきつについては、園芸局長から答えさせます。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 ミカンの価格は、先生お話しのように非常に下がっておるわけでございます。基本的には需要に応じた生産をどうしていくか、また消費者のニーズに応じた優良品種等への転換をどう進めていくかといった各種の体質強化策を進めていく必要があると思いますし、当面、ジュース向けの仕向けをふやすということによりまして、価格安定の努力が行われているというふうに御理解をいただきたいと思います。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 大変厳しい、そしてまた難しい農政かと存じます。大臣、大変農政のベテランでございますし、それから政務次官も、今後この難しい農政に本当に力の限りを尽くして取り組んでいただきますように心からお願いを申し上げ、私どもも一生懸命応援をさせていただきますことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。  なお、同僚議員が関連質問をさせていただきます。

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 鈴木宗男君。

鈴木宗男自由民主党

○鈴木(宗)委員 時間がありませんから簡潔に言いますので、簡潔な答弁をお願いします。  大臣所信の中でも、いわゆるガット理事会での一括採択、乳製品とでん粉はとにかく輸入制限をするということでありますけれども、今農家が心配しておりますのは、果たしてこれは何年守られるのかな、五年かな、何年なのかなという心配がありますので、これは未来永劫、あるいは将来とも堅持するんだという基本的な姿勢を大臣の口から明確に言ってもらいたい、こう思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 今の事柄につきましては、いろんな場所で質問も受け、お答えをしておるわけでございますけれども、この乳製品等あるいはでん粉、この二品目につきましては自由化は困難であるということをはっきり申し上げておるわけでございまして、アメリカ側も相当理解はしつつあるものと心得ておりますが、なお真剣な対応をしてまいりたい、こう思っております。

鈴木宗男自由民主党

○鈴木(宗)委員 大臣、もう将来ともこれは自由化できないというふうに解釈、理解してよろしいのですね。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 将来というのが何年間かということになりますけれども、少なくとも今日農政審で言われておる国内の主要食糧の自給体制というものが完全になるということでなければ、主要食糧の確保はただ単に外国に頼ることはできないわけでありますから、また、国内における生産体制、流通も含め、もちろん消費者のニーズも含めてちゃんとした対応をしなければならぬのでありますから、それはちょっとやそっとの時間では解決のできる問題ではない、かように思っております。

鈴木宗男自由民主党

○鈴木(宗)委員 今後ともその姿勢でょろしくお願いしたいと思います。  なお、乳糖だとか乳成分主体の調製食料品、これも乳製品の中に入るというふうに理解してよろしいのでしょうか、この自由化問題の品目の中では。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○京谷政府委員 御指摘のとおりでございます。

鈴木宗男自由民主党

○鈴木(宗)委員 あとブドウ糖も今回自由化になるわけですけれども、これでいきますと、でん粉だとかあるいはてん菜糖も相当な打撃を受けるわけですね。これに対する国境措置はどのように考えていますでしょうか。

谷野陽農林水産省食品流通局長

○谷野(陽)政府委員 ただいま御指摘のように、でん粉の大変重要な需要先としてブドウ糖があるわけでございます。  この問題に関しましては、ブドウ糖あるいは異性化糖に関します諸措置いかんによりましては御指摘のような問題もございますので、その辺を十分踏まえまして現在プロジェクトチーム等におきまして検討を進めておるところでございます。

鈴木宗男自由民主党

○鈴木(宗)委員 その点の対策もくれぐれもよろしくお願いしたいと思います。  なおまた、今回自由化された中には牛肉及び豚肉の調製品が入っているわけですけれども、この調製品というものは非常に範囲が広くて、どこかできちっとした区切り、基準を設けてもらわぬと困ると思うのですね。例えば、僕らが聞くには、しょうゆ漬けで来てそのしょうゆを取っ払ったら生肉であったとか、あるいはコショウ漬けにして来てそのコショウを取ったらやはり生肉同様であったというような例も聞くものですから、その基準づくりといいますか区切り、そこら辺も明確にしてほしいと思うのです。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○京谷政府委員 今回ガット裁定を受け入れました牛肉調製品につきましては、お話しのとおり広範多岐の商品を含んでおります。御指摘のような問題もございますので、商品定義をさらに明確にすると同時に、国内の牛肉生産と競合するようなものにつきましては所要の措置を具体化すべく検討をしてまいりたいというふうに考えております。

鈴木宗男自由民主党

○鈴木(宗)委員 その点の厳密な仕切りといいますか、そういったこともまたあえてお願いをしておきます。  今月末に乳価の決定があるわけです。これはもう今新聞なんかでは何円か下がるんだというような数字のひとり歩きもしておりますけれども、この自由化問題なんかで農家は大変不安といいますか、動揺しているのですね。ですから私は政治家として、乳価は生産費所得補償方式で決めるわけでありますけれども、やはり政治があったという厳粛な事実をつくらなくてはいけない。そのためには、私は乳価はことしは下げるべきでない、何としてでも据え置きぐらいで政治決着をすべきでないかと思うのでありますけれども、大臣のその姿勢を伺いたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 乳価のことについて触れられましたが、三月末までには決めなければならぬ問題でございます。下げるがいいか、上げればいいか、据え置きがいいか、そういうことを含めて、今お説によれば少なくとも据え置き、それはちゃんと守れ、こういうことでございますが、二月五日の畜産審においての御意見、それを受けて二月十六日に省内といたしましても方針を定め、そういうものを基盤として、そして三月末に向かって今お説のことも頭の中に置きながら適切な対応を進めていく、ちょっと歯切れは悪いですけれども、今ここでそれじゃ据え置きだなんというようなことも具体的なことに触れるわけにもまいりません。審議会の意見も聞いて適切に対応をするということで御理解を賜りたいと思います。

鈴木宗男自由民主党

○鈴木(宗)委員 今の大臣の大変幅のあるといいますか、心ある答弁に尽きておりますけれども、とにかく農家の皆さん方が再生産できるんだ、営農意欲を待って取り組むんだといういろいろな施策は僕は講じてもらいたいし、そういった価格決定もしていただきたいと再度お願いをして質問を終えます。

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 串原義直君。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 先ほど大臣の所信表明を伺いました。率直に言って、私はいま少し胸に響く大臣の所信表明を伺えると思っていたのですけれども、まことに残念に思うのであります。外圧、農産物の自由化攻勢、オーバーな表現であるかもしれないけれども、まさに日本農村が崩壊するかもしれない重大な危機にあるにもかかわらず、その危機感に欠けている。生産性向上、生産性を上げるという言葉だけは幾つも幾つも並んでいる。数えてみたら十幾つあるんじゃありませんか。生産性向上ということは欠くことのできない重大な農政の一つであろうことはわかるけれども、それだけで日本農業を救えるような簡単な時代ではない。これは大臣が一番御承知のところであろうと思う。この厳しいときだけれども、農林大臣である佐藤はこれだけはやりますよ、農民各位頑張ろう、こういう決意に欠けている。どうも佐藤農林大臣の所信表明らしくない。  とりわけ二十四ページに、時間をかけて朗読する時間がありませんけれども、「なお、農林水産物貿易問題につきましては、ウルグアイラウンドにおける」云々以下の言葉などはどうも迫力に欠ける。いま少し、厳しいときだけれども、農民各位、国民の皆さん、一緒に頑張っていこうじゃないか、一体になって前進しよう、こういう決意のあふれるような佐藤農林水産大臣としての所信表明、言葉はありませんか、いかがです。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 今先生おっしゃるように、少し迫力がなかったということでございますが、いつも大きい声を出して笑われておるので、ちょっと声を控え目にしたことも事実でございます。中身については生産性の向上という言葉が確かに多うございます。多く使いました。使いましたが、事ほどさように、採算性の追求ということを真剣に考えていかなければならぬな、その点はやはり欠けておるぞということを考えました。  さらにウルグアイ・ラウンドに向けての交渉、これはあと二年半ぐらいの間に決めようとするわけでございますが、我が国は我が国の提案を昨年末にいたしたところでございまして、既に御案内のとおりでございます。我が国が輸入国であるということやらいろいろなことを並べて我が国の提案をしたところでございまして、事交渉ごとでございますから、なかなかこれが簡単に表現できるものではございません。 そしてまた、私自身の願望、あるいは胸の奥には確かにいら立ちもございます。ございますけれども、そこは抑えて抑えて、冷静な対応をしながら実効を上げていくということは私はきちんと持っておるつもりでございますので、今申し上げましたようなことを、それじゃそのように書けばいいじゃないかと言われても、なかなかこれは文章にするのは難しゅうございまして、私の決意として補足をいたしておきたいと思います。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 その点につきましては、これから続く本委員会の中でも、それから同僚委員の中からそれぞれ厳しい指摘があろうかと思っておりますから、以下に譲ることにいたします。  それと関連いたしまして、いわゆる農産物十二品目問題でございますが、それぞれの経過がありました。その末にガット裁定を、農民の強い反対にもかかわらず、政府・自民党は結局のところ受け入れを決断した。日本政府の敗北というふうにマスコミなどは伝えておりますけれども、私はそのとおりだろうと思う。一連の経過を見て、日本の側に甘さがあったのではないか。私は、あの経過を見て残念至極、率直に言って、腹立たしくて仕方がないという気持ちでいっぱいであります。我が国の農業政策の責任者である佐藤農林大臣、あなたは今あの経過を踏まえてどのように受けとめていらっしゃいますか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 二月二日のガット理事会、ここで一つのけじめをつけるために二月一日、今厳しい御批判をいただきましたが、苦渋に満ちた選択、結論を出したわけでございます。しかし、昨年来申し上げておりますように、ぎりぎり譲らなければならぬものは譲るけれども譲れないものは譲れないということで、最終的にはあのようになった。それじゃ、それはやはり負けではなかったか、こういうことでございますが、アメリカとの友好関係、そういう友好国同士の話し合いの中で、あるいはいろいろな国との話し合いの中で敵だ味方だという言葉を私は使いたくない、勝った負けたという言葉も使いたくない、そして報復だというような言葉も使いたくない、円満裏に話し合ってお互いが実効を上げていく、こういう平和的な手順というもので真剣に対応をしていく、こういう考えをもともと持っておるわけでございまして、あるいは物足りなさもあるかもしれませんけれども、ひとつ御理解を賜りたい。  特に牛肉、かんきつ類についても、いまだにテーブルになかなか着いてもらえない。着こう着こうと言っても着いてもらえない。着いた場合はまた我が方は、やはりアメリカはテーブルに着いたじゃないか、着かない着かないと言ったけれども着いたじゃないか、おまえは負けた、日本は勝ったというようなことも決して言ってはいけないことだと私は想像をいたしておるところでございます。しかし、厳しい御批判は御批判として率直に受けとめ、今後の私の進むべき道に過ちなきように、さらに真剣にやってまいりたい、かように思っております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 政府は、さきのガット理事会の席上で、この乳製品とでん粉の自由化は極めて困難であるというふうに強く表明されたと伝えられているわけでありますが、その場合の乳製品の範囲を示してもらいたいのでございます。つまり、粉乳・練乳、それに乳糖、アイスクリーム、乳児用調製粉乳、粉ミルクと言っていいのでしょうか、これは全部含まれるというふうに理解してよろしゅうございますか。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○京谷政府委員 先般のガット裁定におきまして対象とされました十二品目の中に含まれます乳製品は、CCCNの分類に従いました品目で申しますと四品目でございます。〇四・〇二に含まれます粉乳・練乳のたぐい、それから〇四・〇四に属しますプロセスチーズ、それから一七・〇二に含まれます乳糖、これは含有率九〇%未満のものでございます。それから二一・〇七に含まれますミルクを主成分とする調製食料品、この四つでございますが、このうちプロセスチーズを除きます品目については自由化困難ということで、輸入数量制限の撤廃を行わない方針を明らかにしているところでございます。したがいまして、御指摘の商品については自由化を行わない方針として現在整理をしておるものでございますが、なお細部については今後の二国間交渉等を通じましてさらに詰めていくことになろうかと考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 局長から今具体的に御答弁願ったのでありますが、言うならばこの乳製品というのはほとんど含まれているという理解で間違いないと私は思うのであります。ごく一部のものは除くということになるかもしれないけれども、ほとんどが含まれている。であるとするならば、大臣、乳製品、でん粉については厳しい表明をガットの場でもされてきたわけですけれども、改めて自由化はできない、しない、こういうことを政府の公約としてこの際明確にしておくべきではないかと私は考えるのであります。大臣から御答弁願います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 乳製品とでん粉については、昨年来自由化は困難であるということに徹してまいりました。アメリカ側も少しずつはわかってきてくれているのではないかな。先ほど畜産局長からも御答弁申し上げましたように、これをさらに二国間で具体的に詰めてまいりたい、こういうことでございます。そういうわけで慎重にひとつ取り運んでまいりたい。  ただ、政府公約という、決して逆らっているわけではございませんので失礼になったらお許しをいただきたいと思いますが、政府公約という言葉は私の不勉強のせいか実は初めてお聞きいたしますので、自民党の公約はどうだとかああだとか、予算委員会でもいろいろな方々の御意見を拝聴しておって、その時期について的確な説明をするのは面倒な話だな、こういう感想を私はここ一、二週間持ってまいりました。したがいまして、政府公約とする、しないにかかわらず、私がここで申し上げたことに責任を持つ、こういうことで御判断をいただきたいと思います。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 大事なところですから再度伺いますが、つまり乳製品、でん粉は自由化はいたしません、これが日本政府の公約であります、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 重ねて申し上げますが、我が方は十品目のうち今言われました二品目の数量制限の撤廃は行わない、こういうことを重ねて申し上げておきます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 牛肉調製品には生肉に近いものも含まれておりまして、外食産業などを中心に国産の牛肉と競合するおそれのあるものが幾つもありますね。つまり牛肉調製品と生肉そのものの区別は非常に難しいというふうに言われている部分もございます。したがって、今農林省、政府はこの区分について検討していると聞くわけでございますが、これはいつまでも検討していては困る。この検討はいつまでに結論を出しますか。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○京谷政府委員 今回の十二品目の中に含まれておりますいわゆる牛肉調製品でございますが、一応定義上は加熱、調理、味つけ等の処理を施した牛肉、くず肉も含むわけでございますが、そういうことでございます。  ただ、ここに含まれます商品の種類は大変多岐にわたりまして、物によりましては我々の食生活の嗜好面から見て需要面でも一定の制約があると考えておりますが、御指摘のとおりシーズンドビーフ、ローストビーフそれからハンバーグパテと言われるような比較的生の牛肉と競合をしやすい商品が含まれております。また、生肉とのいわば境界線について概念をさらに厳密に定義づける面が残されております。この問題につきましては、牛肉調製品の自由化実施時期もまだ決めておりませんが、実施時期に合わせまして定義を明確化すると同時に、国内牛肉との競合をできるだけ緩和するための何らかの措置を考えていく必要があるというふうに検討を進めておるところでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 今御答弁願ったのですが、検討されている、定義について答えを出したいと考えているという話がありました。それはいつまでに答えを出しますか、こう聞いているのでございます。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○京谷政府委員 答弁が不明瞭で恐縮ですが、この牛肉調製品につきましてはまだ自由化実施の時期を決めておりません。いずれ決めることになると思います。したがいまして、自由化実施の時期までにただいま申し上げました私どもの検討結果というものを明確にしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 そういたしますと、乳製品、でん粉以外の品目はつまり自由化やむなしということでありますが、国内農家が対応できるように一定の移行期間が必要なはずでございますね。どの品目についてどの程度の移行期間を設けるのか、これが一つですね。なお、新たな国境措置としての暫定税率、協定税率などはどのようにしようと考えていらっしゃるのか、これが二つ目。三点として、さらに課徴金については外圧も強いかもしれませんけれども、御承知のようにECなどは実施しておりますね。したがって、輸入課徴金を導入することが効果ある品目については取り入れていくという決断をすべきではないかと思うが、いかがでございますか。以上の点について伺います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 補足をするならば後で経済局長からお答えをさせますが、基本的には、二月一日にプロジェクトチームを発足させました。これは内外の関係者にただ格好をつけただけではなくて、そこで真剣にひとつ検討をする。そしてアメリカと一品目ごとに、国内の農業に影響、禍根を残さないようにということで検討していく、こういうことでこれからそれが進められていくわけでございますから、そういう意味ではここで課徴金がどうだ、国境措置がどうだ、譲るべき時期は一つ一つの品目についてどうだと言われても、お答えをする状況にはないということだけはひとつ御理解を賜りたいと思います。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 そういたしますと、日本の側としてはそれらの諸作業というものはおよそどの時点をめどにして結論を出していこうと考えているか、この点について御説明を願います。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 乳製品とでん粉以外の品目の自由化、数量制限を撤廃する時期につきましては、今委員御指摘のように妥当な移行期間ということを頭に置きまして、国内的にとる措置との関連ということを考えながら、今大臣から御答弁申し上げましたようにプロジェクトチームによって検討を始めておるところでございます。  その場合、具体的な期間の問題でございますけれども、ガットの一員といたしまして、パネル勧告、報告の実行に必要以上の期間を費やすということはやはり適当ではないという一つの視点がございます。しかし、その中でも妥当な移行期間というものを確保していかなければならないということで、今後プロジェクトチームにおきます検討の中で対内的な問題、対策というものも頭に入れながら考えていく。また、これも大臣からお答え申し上げましたように、これはやはりきちっと、提訴の当事国でありますアメリカを初めといたしまして関係国の理解も得なければいけない、そういう問題もございます。  そういうことで、具体的にいつまでにということではございませんけれども、やはり必要以上におくらせるということもできません。やはりこれはきちっとしかるべき時期に、国内での検討の状況を見ながら対外的にもいろいろ調整して最終的に決めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 ガットの場、対アメリカについては話し合いが必要でございましょうが、国内対策、具体的な品目ごとの国内対策を、いつごろまでに一定の方向を出そうと考えていますか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 その国内対策と、それからアメリカを初めとする関係国の理解を求める話と一緒に進んでいかなければならないわけでございます。でありますから、ここがなかなか言いにくいというか、言えるのに言わないでいるとかということではなしに、まだそれを今検討しておる。しかし、いやしくも国内農業、特に地域農業に禍根を残すようなことがあってはならない、それに八品目の一品目ごとにやってきたそれぞれの方々が生きていけるようにしなければならぬということで対応をしていく方針、これはそのとおりに思っておるわけでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 厳しい作業であることは理解をいたしますが、国内の小さな地域の特産、地域農業、山村地域を守る、こういう立場で国内対策については積極的な思い切った対策をこの際立てませんと、農民の皆さん、農山村の地域の各位は非常に心配をしている。積極的な検討を強く要請をしておきたい、こう思います。  次に移ります。  実は、岡山市の場外馬券売り場設置についてでございますが、かねてから関係者より、この場外馬券売り場設置には絶対反対である、こういう強い要請を受けているわけでございますが、伝えられるところによりますと、申請中でありました建築物が許可になった、岡山市長から許可書が、建築確認書が交付された、こういうふうに聞いておるのであります。聞くところによりますと、関係する町民の大部分は反対である、さらに岡山市議会は圧倒的多数で反対決議を議決されたと聞いておるのであります。内容は私は詳細に承知しているとは言えないわけでございますけれども、この傾向を農林省はよく御承知の上でございましょうが、建築確認書が交付されたとしても、馬券売り場の設置というのは許可権者は農林水産省であるはずであります。したがいまして、ここで伺っておきたいわけでございますが、申請があったといたしましても、関係地域町民、岡山市議会など関係する市民の同意なき限りこの場外馬券売り場の許可をすべきはない、こう考えるのでございますが、いかがでございますか。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○京谷政府委員 ただいま先生から御指摘を賜りました事実関係、私どもも承知をしております。御承知のとおり中央競馬会の場外馬券売り場の設置につきましては、中央競馬会が一定の要件を備えた段階でその設置に関する承認申請を私どもの方へ出してきまして、我が方で審査をして判断をしていく、こういう手続が必要になっております。現在、先生から御指摘のありました状況下におきまして、中央競馬会から設置承認の申請が出てくる状況にはないと私ども判断をいたしております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 今、局長から答弁願ったのでありますが、今の御答弁は、つまり関係市民の賛同を得られない限り農林省は設置認可を出す気はない、こういう姿勢であるということで理解してよろしゅうございますね。大臣、いかがですか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 競馬のこと、最近いろいろ議論がございまして、この間予算委員会でも議論があって、健全娯楽としてどう成長させるかという話もございました。しかし、この岡山の場外馬券売り場につきましても他の場外馬券売り場と同じように、地元の理解が得られないものを強行するわけにはまいらぬ、それは当然のことだと思っております。そういう方針に沿って中央競馬会も対応していくように従来も指導してまいりましたし、これからも指導してまいるということではないかと思います。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 それでは次の問題に移らせていただきますが、今大きな政治課題になっておりますけれども、牛肉、かんきつ類の協定が日米間で三月末に期限切れになります。実はこのことにつきまして、私は昨年の秋に訪米する機会を得まして、政府要人、議会、ともにまことに強い姿勢であるということを、ちょっとオーバーかもしれませんけれども痛いほど知ったわけであります。その感想を踏まえて、関係方面には私は忠実に伝えてきたつもりでございます。  そこで、自由化が前提でないとテーブルには着きませんよ、こういうことをアメリカ側は言っておるようでありますね。そして、二国間で決着がつかない場合には直ちにガットに提訴するということも表明されている、これがアメリカの態度である、こう言われているのでございますが、これは事実であるのかどうか。このガット提訴について、公式にアメリカ政府から我が方にといいますか、日本政府に伝えてきたものであるかどうか、伺っておきます。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 お答え申し上げます。  先般、二月十一日にアメリカ側USTRの代表と私が話し合いまして、これは十二品目の問題もあったわけでございますけれども、その際、この牛肉、かんきつ問題につきまして早急に話し合いのテーブルに着くように求めたわけでございますけれども、アメリカ側は、自由化が前提と申しますか、自由化時期の明示を条件としたものでなければ協議に入れない、三月末の期限切れをこういう協議に入らないまま過ぎた場合には、米国としては速やかにガット提訴をするというようなことを言ったわけでございます。したがって、我々としては、これはやはり米国政府の公式のものというふうに受け取らざるを得ないと考えておるわけでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 大臣に伺いますが、今お話しのように、アメリカ政府の公式姿勢というものは強いものである。アメリカ側がテーブルに着かなかった場合我が方はどうするのか、日本政府はどうするのか。今の御答弁にあったアメリカ側の表明に対して農林水産大臣としてどう対応していくのか。このところこの問題に対する、政府首脳といいましょうか関係省庁首脳といいましょうか、何かと言葉が多過ぎる。  これは二月二十六日の中央紙でございますが、経済企画庁の首脳は「牛肉・オレンジで見通し二年以内に自由化」ということで「「牛肉は二年以内に一〇〇%自由化されるだろう。オレンジの自由化はそれより早いのではないか」との見通しを明らかにした。」と伝えられているのであります。あなたじゃないですよ。責任者であるあなたじゃない。ほかのところで省庁首脳と言われる方が言っておられる。まことに遺憾な話だと私は考えているのであります。つまり、いささか腹を据えませんと、外交関係がありますから表現には気をつけなければいかぬと思うけれども、腹を据えませんと十二品目のときのように結局は押し切られていくということになりはしないか、これが関係者のとても強い危惧を抱いているところなのであります。この際、大臣の決意を伺っておきます。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 先生先ほど申されました、アメリカへ行って、アメリカは甘くないぞ、なかなか厳しい態度で迫ってくるぞというお言葉がございましたけれども、アメリカから帰ってこられてから小冊子をつくられた先生のあれを、私に読めと言われていただきましたので読みました。いよいよ厳しい環境に置かれておるということを認識しました。そこには米のことにも触れられてあれば畜産物のことについても触れられている、多岐にわたって触れられてございました。ありがたくというわけじゃございません、中身についてはありがたいわけじゃございませんが、せっかくああいうものをまとめられたのは、貴重な素材として読ませていただいたということをまずつけ加えておきたいと思います。  さて、この二月二十六日の経済企画庁首脳発言ということでございますが、とにかくもういろいろな人がいろいろなところでいろいろなことを言われるので、結果が我が国の国益、私どもの考えておる農政推進に役立つものであればいいけれども、それにブレーキをかける、あるいは逆にアメリカに日本は交渉しないうち、詰まらないうちから一部ではもう二年でいいと言っているではないか、こういうことで受けとめられたのでは大変だということで、私はそういうことを気にする発言は余りしたくないのでございますけれども、今またこの場での初めての御指摘でございますので、どのように書かれようとも、結果が国益にそぐわないふうに受け取られるような、あるいは観測されるようなことはいかがなものか、私から言わせれば遺憾である、こういうことを率直に申し上げておきたいと思います。ただ、企画庁首脳に確めましたら、アメリカがそういう態度でいるんだよということを言ったんだというふうなことでございますから、アメリカが言ったということを説明したなら、ああそれはわかった、こういうことで言ったわけでございますけれども、発言は慎むべきものである、かように考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 大臣の決意を聞いて、それでやってもらいたいと思いますが、今答弁をいただいたことは関連をしていま一つ申し上げておきますが、私は国内ではその辺で若干の雑音があってもえらい苦にすることはないと思うけれども、対外交問題、国益に関するものでありますから、少なくとも政府の高官が発言をするということは、適当という表現は決してするつもりはありませんが、発言をするということは、これは放置しておいてはいけないと思う。したがって、あなたは責任者として閣議でこのことをきちっと発言して、一貫した政府の方針でいこうということとともに、関係省庁とも連絡をとりつつ、この問題については国益に関することだから政府の一貫した方針で行ってもらわないと困りますよということで、一つのきちっとしたレールを敷きながら、日本政府としての一定の方向というものを改めて内外に公表できるような、確認できるような対処をこの際望んでおきたいと思う。これからいよいよ具体的に話を進めるわけでありますから、望んでおきたいと思う。いかがでしょうかね。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 とにかくいろいろな方が、いろいろなところでいろいろな発言をされる、それに困惑する場面がしばしばでございます。国益に沿うように、まあ外交交渉であるからという今のお話でございます。国内においてと言われても、まさに国内における発言が、きょう今ここで言った発言がすぐにワシントンに通ずる、ワシントンでだれかが観測気球を上げたものがすぐまた日本の報道に乗せられるということで、困惑をする場面がしばしばでございます。私は、閣議においてそういうことを発言せいということでございますが、竹下内閣閣僚の常識としては言わずもがなのことであると承知しておりますので、次の閣議で発言をしようというようには思っておりません。しかしこれはもう当然のことでございます、おっしゃる意味は。当然のことでございますから、きょうこのような場で先生の御発言があったということは、言わず語らずにひとつ個々に申し上げておかねばならぬなと思っております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 閣議で発言するかどうかということについては、これは閣僚の皆さんのことですからこれ以上言いません。しかし、公の機関である報道については一貫した方針を持ってもらわなければ困る、これはぴちっとしてもらわなければ困る、このことはお願いしておきます。いかがですか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 私がまた余り強い調子でこれを言うと、報道管制をするのか、報道規制をするのか、言論の自由はどうなんだということでまた怒られるわけでございます。そんな大それた気持ちは毛頭持っておりませんけれども、私は役所のマスコミ関係者に対しましても、しかるべく冷静に私も対応しておるが、皆さんにも御理解、御協力を賜りたいとひたすらお願いを申し上げておるところでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 さて、その牛肉の自由化で被害をこうむるのは、まず第一に肉用牛の飼育農家ですね。とりわけ乳雄を飼う農家であります。乳雄の生産が困難になれば酪農にも大きな影響が出てくる。完全自由化を想定した場合、絶対に自由化しないという方針ではあるけれども想定した場合に、和牛を飼う農家、乳雄飼育農家、そして酪農経営にどのような影響が出ると考えておられますか。検討している材料に関してお示しを願いたいのであります。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○京谷政府委員 牛肉が自由化された場合に国内への影響でございますが、ただいま先生から御指摘がございましたように、国内の大変高品質の牛肉生産はともかくとしまして、和牛あるいは酪農部門からの乳牛いずれにいたしましても、かなり大きな影響があろうかと考えております。数量的にどうこうということはなかなか一概に申し上げかねるのでございますけれども、全国で大家畜生産農家、酪農、肉用牛生産を含めまして三十五万戸、それからこれらの大家畜生産農家が利用しております農用地面積が約百十万ヘクタールでございますが、いわば我が国の農業の基幹的な部門を占めている部門に大きな影響が懸念をされるということが言えようかと思います。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 個々の国内畜産経営に対する影響度についての議論をしているといささか時間がとられますから、これは他日に譲ります。  大臣、これは自由化なんということになったら想像以上に大変な影響をもたらすことになり、したがって自由化はできない、こういうことであなたも努力をされているし、我々もともに頑張っていこうと考えるわけであります。お話しのように、いよいよ外交交渉の山場を迎えることになりました。今度こそあなたは訪米して、責任者として日本の畜産経営の立場、日本農業の現状をきちっとアメリカ側に伝えるとともに、まさに国益を守る立場に立って頑張らなければいかぬと思う。訪米することによって日本の国の食糧だけではなくて農業を守る、今回こそは頑張らなければいかぬ時期だと思う。いかがですか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 時がだんだん迫ってきた、一つの大きなけじめである三月末という節目を迎えておることは事実でございます。去年もガット総会の前にも、臨時国会等におきましても、あるいはいろいろな陳情、要請、抗議を受けておる中で、なぜおまえはじっとしておるのかという指摘もいただいてきたところでございますけれども、私はひたすら太平洋をじっと眺めておる、冷静に対応してきたわけでございます。国際化の中にあっても、最終的には日本の主要食糧というものをちゃんと守るという決着の仕方を私自身が責任を負わなければならぬ、こう思っております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 私はあなたに訪米問題についてもうこれ以上再質問はしませんけれども、重要なところだから、今答弁されたことにきちっと責任を持つ、最後はおれがやるのだ、おれが答えを出すのだ、こういうことで対処してもらいたい、強く要請しておきます。  そこで、質問が最後になりましょうか。  今、ニューラウンドで農産物貿易ルールについての各国の提案について審議が始まっております。農業交渉グループにおける日本提案概要を私は一読させていただきましたが、これは評価できると思う。特に輸入制限措置について、食糧自給率の低い国が基礎的食糧の国内生産の安定を図る必要性の観点に立ち、適切な規定改善を図るとした点は全く同感であります。このことを私は昨年本委員会で強く指摘し、農林省並びに外務省とも論議をしたところでございます。また、輸出制限措置について、食糧不足時における輸出国による食糧輸出制限措置につきましても、輸入制限に対するものとバランスのとれた規律を課するとした点も、食糧安全保障上の根本問題を指摘したものでございまして、私は評価したいと思うのであります。したがって、日本政府としては、特に農林水産大臣としてはこの提案についてしっかりした土性骨を据えて対処してもらいたい、最後にこのことを大臣に伺いまして、質問を終わります。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 時間の関係もございましょうから簡潔に申し上げたいと思いますが、ウルグアイ・ラウンドに向けての日本側の提案、昨年末に示したとおりでございます。ここに盛られておること、これは我々の基本方針であります。また、日本の現状をすっきりさせた形で主張しておるわけでございまして、あと二年半後、一九九〇年の秋には一応結論を出す予定になっておる。ウルグアイ・ラウンドのその詰めに際してはこの日本側の提案、これにもいろいろ異論があることは承知しております。しかし、これを何としても貫いてまいりたいものだ、かように考えておるところでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 終わります。

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 安井吉典君。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 短い時間なものですから、農産物貿易自由化の問題に絞って大臣に伺いたいと思います。  先ほどの串原委員とのやりとりを伺っておりましたが、乳製品及びでん粉についてはこれを自由化しないというのは政府の公約とするかという質問に対して、何だかわけのわかったようなわからぬような御説明があったわけであります。  二月一日に自民党四役と農林関係役員、それに政府との申し合わせがあります。この中の第一項には「一括採択を受諾するに当たっては、乳製品及びでん粉については、数量制限の撤廃は行わないとの方針を堅持すること。」というのがあります。これは政府と自民党との間の申し合わせだが、対国民的には別に公約というものではないというふうに私は先ほどのやりとりで受けとめられるわけです。しかし、それはおかしいですよ。日本を代表する政府と与党との申し合わせですからこれは政府の公約と同じものだ、私はそう思うのです。重ねて伺います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 先ほどの御質問で政府公約ということで明言せよ、こういう意味のことを言われましたので、政府公約という形でここで言うか言わぬかは、過去における、先般来の予算委員会の審議の中でも公約という字義がどうだとかこうだとかいろいろ議論がありましたので、公約であるとかないとかにかかわらず私どもは、もちろん今おっしゃるように公表しておることでございますから、これは極めて重要な政府・与党の決定であるということには間違いないわけでありますから、この申し合わせを体しながら事を進めていくとここで明言をしておる、こういうことなのでございます。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 わかりました。ですから、このことは国民に対して政府も自民党も力を合わせて実行するということを確認している——公約という言葉がお嫌なら確認でもいいです。そういうことですね。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 公約という言葉が嫌だというふうに、私がしゃべっていればそう聞こえるかもしれません。それは御自由でございますけれども、私は国民を代表する農林水産委員の皆様がいる前で、国会審議の場で明言をしておる、その事実は厳粛なものである、こう思っていただかなければならない。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 そういうことだと思うのですが、私どもは、それはこの委員会で約束されたことですから当然国民に対する約束だ、そういうふうに受けとめているわけであります。  この二品目の拒否ということについて、アメリカからあらかじめ了承を取りつけていたとかいうふうな報道があったりいたしましたけれども、いずれにしてもとにかくこの主張でずっといけばアメリカを納得させることができるという感触だけは得ておられる、そう思っていいですね。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 この問題につきまして先般訪米をいたしましてアメリカのUSTRの方と話し合った際に、この二品目について自由化が困難である、できないということを十分に説明をしたところでございます。この問題についてアメリカ側が、自由化をしなくてもいい、そういう言い方をしているわけではございませんけれども、自由化をしろというような形でのものでもないということで、先ほど大臣が申されましたように、一定の理解が得られつつあるというふうに御理解願って結構だと思います。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 その場合にアメリカが代償措置を求めてくるということになるのではないかと思われるわけでありますが、それはいかなるものになるのか、予想が行われておりますか。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 先ほど申し上げました会合の際にも、我が方としてはこの二品目の日米間の貿易の実態等を考えれば代償は必要ないと考えておるということを表明したわけでございますが、先方は代償が必要であるというようなやりとりがございました。しかし、これにつきましては、今後さらに実務家レベル等も入れましてきちっと詰めていくということで現実的な対応をしてまいりたい、ちゃんとよく相手方の理解を得ながら解決を図るように努めてまいりたいと考えております。したがって、今この段階で特に日本の方からそういう問題を口にするということはいかがかというような考え方を持っておりますので、その点御理解をいただきたいと考えております。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 それはわかります。ただ、向こうが代償を要求してくる、そしてその話し合いが始まるという時期については一応の想定があるのではないかと思うのですが、どうですか。かなりずっと後なのか、それともごく近くなのか、その辺はどうでしょうか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 代償がどうだとかこうだとかという議論を、質問される意味はよくわかるのでありますけれども、これがまたどのようにアメリカに報ぜられるか、そういうことになると、率直に申し上げましてそういう点私は非常に神経質になっておるのであります。  そういうことで、今局長から申し上げましたように、過去においてそういう話があった中で、代償という言葉があった中で、こちら側からこうだああだ、いつごろになるのじゃないかなという言い方はできない、こう申し上げておるわけでございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 ただ、マスコミでは、その内容はどうだとか、それは農産物以外のほかの省庁の産物にまで及ぶのじゃないかとか、そうなればそことの間の摩擦が起きやしないかとかいろいろ書かれているわけですよね。だから私たちもそれで心配しているわけです。ですから、きょうここでお見通しをはっきりおっしゃらなくてもいいけれども、しかし代償というふうな問題は、二品目を抑えることはできても、その代償ということで多大の損害を農業の他分野において、あるいは日本の経済全体において受けるということでは困るわけですから、そういうような問題との取り組みについてはぜひ慎重にやってもらいたい、そのことだけ一つ申し上げておきます。どうですか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 慎重に進めてまいります。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 自由化をいたしますと、こういった二品目以外の品目の問題でありますが、その時期については先ほどもここでやりとりがあったわけであります。この問題についてはこの「申し合わせ」も、「我が国農業への不測の悪影響を回避するため、移行に妥当な期間の確保を図るとともに、所要かつ適切な国内措置、国境措置を確保すること。」というふうになっていますね。ですからこの問題について農民の側からは、自分のつくっているこの作物は自由化ということを政府はとうとう約束してしまった、おれは反対だけれどもとうとう約束されてしまった、しかしあすから自由化だ、こう言われたって困りますよ、何とかできるだけ延ばして、そのあげくやらないでくれれば一番いいのだし、そういう気持ちを持っているのじゃないかと思うわけですよ。ですから、対外的にそう長くは置けないというさっきの御答弁もありました。それもわからないではありませんけれども、しかし農民の側からすれば、やみくもにぽっとこの品目は、例えばトマトピューレなどは余り影響がないから、もう六十三年度からぱあっとやるんだなんというような新聞記事が出たりするものですから、これはすわというような気持ちになるわけですね。ですから、ここに「妥当な期間」という言葉がありますね。ですから私は必要な期間、それに対する準備が農民の段階で行われるための、あるいはまた政府が国境措置あるいはまた国内諸対策、そういうものが準備できるにはかなりの時間がかかるのだと思います。それを「妥当な期間」だというふうに言っているのだと思いますが、これはどれぐらいだというふうに考えておられますか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 これは先ほども申し上げておりますように、プロジェクトチームで個別品目について検討いたしております。今それを一つ一つ、これの妥当な期間はこの程度でこうやるよというようなことを言える現状にはない、こういうことでございますので、その点ひとつ御理解を賜りたい、こう思っております。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 これは言わずもがなでありますけれども、農業というのは大体一年間というようなローテーションの中で作付が始まり収穫が行われる、こういう仕組みになっています。ですから、来年からこれはこうなるんだよと言うのならまたわかりますけれども、今どんどん作付が行われているときにばあんとやられてしまうということでは、これは困るのじゃないかと思いますね。ですから、私は少なくも一年以上、できれば二、三年あればなお結構なのでありますけれども、そういう時期を明示するには一定の時期を十分置いた形でされる必要がある、そのことだけは約束されますね。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 それが「妥当な期間」ということでございますので、慎重に対応を進めておるところでございます。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 これは品目によっても違うと思います。それから、それぞれの置かれている経済的な状況もいろいろあると思いますので、ここで一つ一つについて取り上げていく時間はないと思いますけれども、繰り返しますが、条件の整備が十分行われるまではその時期を十分に置くんだということだけを今の御答弁で約束してくれたものだと私は思うのですけれども、そのことを特にお願いしておきたいと思います。やみくもに出されるようなことはないと私は思います。そうなりますと、今これから作付が始まるのですから、六十三年度中に行われるようなことはなかろうなという印象を、これはこららの勝手な印象ですが、受けた次第です。  一つ一つの作物を挙げるゆとりはございませんけれども、ブドウ糖の問題について申し上げてみたいと思います。  これは自由化するという品目の中に入っているわけでありますが、先ほどもお話がありましたように、これはでん粉と非常に深いかかわりを持っているわけであります。バレイショでん粉、年産十五万トン、これは二百億円くらいの水揚げになっているわけでありますが、その六割以上は異性化糖やブドウ糖の原料になっているわけですね。ですから、でん粉そのものは自由化しないと言っても、ブドウ糖や砂糖その他調製品というような格好でどんどん自由に入ってくるということになりますと、いや、でん粉は自由化しないよ、幾らこう言ってみてもしり抜けになってしまうということになるおそれがあります。そのことを農民や農業団体は非常に心配をしております。ですから、国境措置やあるいは国内的な諸対策が十分に行われ、そういう条件が整うまではブドウ糖についても自由化すべきでないという思いでありますが、どうですか。

谷野陽農林水産省食品流通局長

○谷野(陽)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、ブドウ糖、異性化糖はでん粉の極めて重要な需要先でございます。したがいまして、ブドウ糖、異性化糖を自由化することになりますと、ただいま御指摘のような事情があるわけでございますから、このような事情を踏まえまして対策についても検討すべきものと考えておるわけでございます。現在、省内に設置をいたしました自由化関連対策のプロジェクトチームにおきましても、このような考え方で検討を進めておるところでございます。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 ブドウ糖輸入を、砂糖の価格安定等に関する法律、いわゆる糖安法の中に組み込むというようなことも必要になってくるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。

谷野陽農林水産省食品流通局長

○谷野(陽)政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、糖安法は糖安法の考え方があるわけでございまして、輸入の比率の非常に高い、つまり国産の自給率は制定当時は十数%、現在では三〇%ということでございますから、輸入が多い品目についての制度ということに現在の糖安法の制度はなっておるわけでございます。このような糖安法の仕組み等から考えまして、ただいま御指摘のようなブドウ糖、異性化糖につきまして自給の事情もかなり違うわけでございますからなかなか難しい問題等もあろうかと思いますけれども、私どもいろいろな方式等を現在勉強いたしておりますので、さらに研究いたしたいと考えております。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 糖安法そのものの組み込みということも検討事項だと言われるわけでありますが、しかし、いずれにしても輸入課徴金のような仕組みで、国内産ブドウ糖の価格保障というような措置はやはり必要になってくるのじゃないかと思います。どうですか。

谷野陽農林水産省食品流通局長

○谷野(陽)政府委員 ただいま御指摘がございましたが、現在の砂糖の制度は、輸入する砂糖から調整金を徴収いたしまして、これを国内の砂糖の価格支持の極めて重要な財源として使っておるわけでございます。ブドウ糖につきましては現在輸入がほとんどございません。異性化糖も同様でございますので、このような需給事情の違いがございますので、ただいま御指摘のような方法、つまり砂糖になぞらえたようなことが、なかなか需給事情が異なるという実態があるわけでございます。そういうような問題でございますので、御指摘のような方向で直ちにやるということは非常に難しいと思いますけれども、いろいろな方法につきまして今後プロジェクトチームの中で検討してまいりたいと考えておるわけでございます。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 私もこうすれば一番最適だという提案を今持っているわけじゃありませんけれども、いずれにしても、でん粉の自由化だけは抑えたから安心してくださいよという言い方を皆さんされておるわけでありますけれども、それがしり抜けになるというふうな事態を避けるための万全の措置だけはぜひ講じていただきたい。大臣、どうですか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 今も食品流通局長からお答えいたしましたように、率直に言って、おっしゃるようにしり抜けにならないように全体を見ながらプロジェクトチームで検討していかなければならぬと思っております。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 ほかの品目にもそれぞれ問題があるのですが、きょうは時間が足りないし、ほかの皆さんからも御提案があると思いますからそれに譲ります。  今後の国境措置だとか国内生産対策というような問題が出てくるわけです。今までは我々は自由化そのものに対する反対を唱えているわけでありますから、国内対策の方を言うと、何か国内対策が整ったら自由化してもいいという条件闘争になるというようなことで今までは国内諸対策についての発言を控えてきたというようなことでありますし、きょうも国内対策をこうしろこうしろということで、この準備が早くできたら自由化が早まるというふうな構図では困るわけであります。そういう前提でこちらも申し上げているということだけをまず御理解願いたいわけでありますが、いずれにしても、関税の問題だとか輸入課徴金だとか国際価格との差額の補償だとか、そういうようなことでかなり法律の改正が必要になってくるのではないかと思います。関税定率法の改正はもちろん最初から出てくるわけでありましょうし、国内法だって、今度の二品目以外は法律的な補償の基礎が、法を持っているものが割合に少ないようには見られますけれども、いずれにしても国内法の改正措置なしには、自由化するしないといったってできるわけじゃないと思うのです。その点については、国内法に対する改正の取り組みについては今の段階でどういうふうになっていますか。

浜口義曠農林水産省大臣官房長

○浜口政府委員 国内措置につきましては、先ほど来大臣が申し上げているところでございますが、基本といたしまして、我が国の農業の将来に禍根を残すことのないよう関係各方面からの意見の聴取等十分手順を踏みつつ最大の努力を傾倒するということで、これも大臣から申し上げているとおりでございますが、農林水産省に現在プロジェクトチームを置いて検討しているところでございます。  ただいま先生からこの具体的な、法的な措置についてお話がございましたけれども、この点につきましては、品目ごとの特性あるいは地域農業における地位等々、農業の生産対策あるいは加工というものにつきまして幅広く現在検討をしているところでございまして、それに必要なる所要の問題につきまして現在鋭意検討をしているところでございます。そういう意味で現段階におきましては、先ほど来申し上げておりますように、現在こういう移行措置に関連をいたしましてあらゆる視点からの幅広い検討をしているということを申し上げたいと思っております。  以上でございます。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 乳製品やでん粉等に手がつくというようなことになると、それは不足払いだとかあるいは農安法そのものの改正とか大変な問題になるのですが、それは一応今の段階では免れているわけでありますけれども、対策が具体化すれば立法措置という問題も出てくる可能性があるわけです。伝えられるところによると、農業構造転換円滑化臨時措置法案、これを夏の臨時国会に提出する予定という報道もありました。そういうような格好で集約するおつもりですか。

浜口義曠農林水産省大臣官房長

○浜口政府委員 ただいま先生やや具体的なお名前を挙げてお話がございましたが、現段階におきます私どもの検討の状況につきましては、先ほど申し上げましたようにあらゆる視点から幅広く具体的に検討しているということでございまして、今お話しのような具体的な点というものは、率直に言いまして省内において検討しているというような状況ではございません。ただ繰り返すようでございますけれども、この点に関連いたしましては、先ほど来、農業の生産対策あるいは加工対策等々をめぐりまして幅広くあらゆる視点からプロジェクトチームにおきまして、それぞれの各局からの意見等々を持ち寄りまして検討しているという段階でございます。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 いや、それはちゃんと二月四日付の新聞にきちっと名前まで出て報道されているものだから、それで私は申し上げたわけです。何か御答弁。

浜口義曠農林水産省大臣官房長

○浜口政府委員 今先生御指摘の二月四日の時点で、率直に申し上げまして私どもまだ十分知っておりませんが、政府部内はおきましてそういう具体的な問題を具体的な項目として挙げているという点につきましてもし報道がされているということでありますれば、それについてそういう事実は今のところございません。ただ、事実はないということではございますけれども、今申し上げましたことの繰り返しでございますけれども、それぞれ各局からあらゆる視点からの検討がございまして、先ほど来大臣から申し上げておりますように二月一日にプロジェクトチームといったようなものを設けたわけでございまして、その中でそれをいろいろ議論をし検討しているということでございます。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 もう夏の臨時国会の提案の予定法案に入れているような書き方になっているものですからね。農水省の方も検討しているけれども、新聞社の方も随分検討しているようですから、ひとつきちっとした結果を出してもらわなければいけませんよ。  生産性を上げてコストダウンをするとかいろいろな問題があって、きょうはもうとてもそんな余裕はございません。ただ、コスト低減のための一つの問題として、肥料だとか飼料あるいは農薬とか農機具、こういったようなもののコストダウン、これをやはりこの際もっと積極的に政府はおやりになる必要があるのじゃないかということであります。財界は、あるいは産業界というのか、貿易の自由化をしろしろと、日本農業は過保護でけしからぬから外国の風にさらしてコストダウンをさせろと、もう大変な主張であります。アメリカと組んで財界の主張がそこにあるわけであります。しかし、肥料をつくっているのもえさをつくっているのも、農薬や農機具をつくっているのも財界の方がいる会社であるだけに、こういうところがコストダウンの協力をしてくれればその分だけ農業のコストも下がることになるわけであります。ですから、財界の方でもそれだけいろいろ言ってくれているわけでありますから、ちょうどいい時期ですよ、ひとつ農林水産省として、今肥料価格安定臨時措置法だとかそういうようなことで価格維持を守っていて、そのために外国に輸出するものよりも国内のものが高い。さらにまた、えさにしても農薬はしても、これは円高で大分もうかっているはずですよ。ですからそういうようなものを国内の農業に還元してもらう、そういう仕組みをこの際こそ積極的に取り組むべきではないか。農業のサイドで農民も努力しなければいけないし、農協も頑張らなければいけませんよ、そういう問題はきょうは触れませんけれども、それはそれとして、今申し上げたような問題についての取り組みを農林水産大臣、ひとつ積極的にやっていただきたいと思うのですね、どうですか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 おっしゃるように、農業生産資機材というものが価格の面においても量的においても安定した形で供給されることが望ましいわけでございまして、そういう意味では関係業界それから関係団体をさらに指導してまいらなければならぬ、かように思っております。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 それから、今度の自由化するというふうな項目に入っているものが、そこの地域経済に対して非常に大きな影響を及ぼすというものがあるわけですね。沖縄のパインだとか何かがその典型的なものだと思いますけれども、それ以外にも随分あるのじゃないかと思うのですよ。だから私は、国内対策としてこれから取り組んでいただく中には、農業をストレートに強くしていくための対策も必要ですけれども、地域経済全体がそのことで落ち込んでいくということになったら大変なんですから、農林水産省の分野だけではないかもしれません、ほかの省庁にも協力をしてもらって、その地域社会そのものが次にどういうふうにして生き返っていくのか、そういう対策、そういう資金を準備するとか、そういうことも同時にプロジェクトチームの検討の中に入れてもらって出してもらいたい、どうですか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 さっき官房長がいろいろ御答弁申し上げましたように多岐にわたって検討をいたしておる、その一語に尽きるわけでございますが、そういうことでなお慎重に、丁寧に運んでまいりたい、こう思っております。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 農水省の範囲を超えるものかもしれませんけれども、それぐらいの対応が必要だということを私は申し上げているわけです。それを了承していただいたというふうに受けとめます。  きょう外務省からもおいでいただいているわけでありますけれども、これも新聞の記事を種にしての質問になって恐縮ですけれども、「外務省は日米自由貿易圏構想の研究を進める。」という記事が、二月二十四日の日本経済新聞ですが、出ています。これはアメリカと日本との間の自由貿易圏というものを進めていくということで、外務省全体の大きなプロジェクトとして取り組んでいくというふうな内容になっております。これは今の貿易自由化、農業についてはこうだ、あるいは貿易摩擦の問題とかなんとかというものを超えた大きな動きで、全体的な自由貿易圏となると、どうも私は、農業が一番割を食ってしまうのではないかというふうな思いをするわけであります。農業団体も、それからアメリカの労働組合も反対するだろうからそれを説得するのだというふうな書き方にこれはなっているわけでありますが、農林水産省はこれについてはどうお考えなのか。まず外務省からお話しを願って、続いて農水省の考え方を伺います。

登誠一郎外務大臣官房外務参事官

○登説明員 新聞に報道されました日米自由貿易圏構想と申しますのは、先般、総理が訪米いたしましてアメリカの上院のバードさんという院内総務の方と会談したときに、先方から、ちょうどアメリカとカナダの自由貿易地域というのが協定ができたものですから、それを御説明された際に、これは両国の貿易促進にとって非常にいいものだから、これだけ経済関係が密接な日本とアメリカの間でも同じようなことができるかどうかということを共同研究してみたらどうかというお話がバード院内総務からございまして、それに対して総理の方から、その問題については、まず日本側で何が可能でどういう点が問題点かということを検討してみたいということを言われたわけでございます。  したがいまして、外務省といたしましても、現在全く中立的な立場でございまして、こういう構想を進めるべきであるとか、あるいはこれは現在の日本の貿易政策には全然合わないとか、そういうことを断定せずに全く中立的な立場から検討を始めてみたいというふうに思っているわけでございまして、これはあくまでも中長期的な視点から検討を始めるということでございます。その検討を行うに際しましては、ガットが現在国際貿易の中心でございますので、そのガットを中心とする国際貿易体制との観点ではどういうふうな問題点があるのか。それから、我が国の貿易政策は基本的には自由、無差別、多国間ということになっております。この基本的な方針と特定の国と何らかのこういう構想を結ぶことの是非、相関関係等、それからさらには、第三国との間でこれがどういうような問題点があるのか、そういうような点を地道にまず検討を始めてみたいということでございまして、現在外務省内において検討の体制をつくっているという点でございまして、まだ具体的な作業が進んでいるわけではございません。  とりあえず、以上のとおり御説明申し上げます。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 この問題につきましては、私も先般総理に随行して訪米をいたしましたのでその経緯を承知しているわけでございますけれども、全体的に、今外務省側から指摘があったような問題に加えまして、農業あるいは農林水産業という分野をとらえた場合にやはりいろいろの問題が多いと考えております。  アメリカとカナダの自由貿易地域の問題、かなりの程度まで合意に達したということでございますが、やはり農林水産業の問題、その中でいろいろ大きな問題があったということも聞いておるわけでございます。したがって、農林水産省といたしましても、これの検討を始めるようにしたところでございまして、慎重に対応してまいりたい、このように考えております。

安井吉典日本社会党・護憲共同

○安井委員 今、外務並びに農水両省からのお話で現状だけはわかりましたけれども、アメリカのバード院内総務の提案だったということでありますが、ただ、その目標は何なのか、それはよってそれぞれメリットがどんなふうな形であらわれるのか。それは、鉱工業のサイドの方がメリットが多くて農業だけが犠牲にされるということではこれは困るわけですよね。日本の国の経済全体的な発展のために大きなプラスになるということなら話はわかるわけでありますけれども——現在起きているのはその事態なんですよ、ガット十二品目の問題も。工業製品の六百億もの黒字、本来はそれが貿易摩擦なんです。十二品目全部やったって八千万ドルか七千万ドルぐらいしかないのですから、摩擦の数字そのものを減らすことには余り役に立たないのですけれども、それが今現実に起きているわけです。それを恒久的な構図の中にはめ込んでやるというようなことになると、もう農業なんかなくなってしまうのではないか、そういう心配もあるわけですね。ですから、いずれにしても今慎重にというお話でありますから、外務省だけが先行しないで、各省庁それぞれの意見もあると思いますので、それらを十分に考慮の中に入れた検討でなければならぬということだけきょうは申し上げておきたいと思います。  かんきつ、牛肉交渉のことについていろいろまだ申し上げたいことがあるのですけれども、あとわずかになりましたので、最後にニューラウンドのことについてちょっと注文をつけておきたいと思います。  日本の提案が今、おもちゃにされているといいますか、各国からいろいろな批判を浴びたりなんかしているような段階のようでありますけれども、私はかなりグローバルな見地から、いささか夢みたいな提案を一つしたいわけです。  というのは、今世界の全体の状況からいえば飽食の時代であって、しかし一方では、アフリカを初め飢餓に苦しむ三億ないし五億人の人たちがいるわけですね。非常におかしいわけですよ。日本は米の生産が余ってしまって、それで農民に減反を強いて、北海道なんかは水田面積の半分を減反させているわけです。そういうふうな状況の中ヘアメリカから米を自由化して買えというふうな要求が来る。一方に飢え死にしている人には食糧が行かないで、飽食でもう腹が膨れて困っている人にもっと食べろ、こういう構図が今地球の上で行われているわけですよ。ですから本来は、余っている食糧があるなら、それはその五億人の人たちに上げたらどうですか。それが本当だと思うのです。宇宙船地球号に住んでいる全体の立場からすれば、私どもはそうだと思うのですよ。しかし、その飢えている人たちの方は支払いの能力がないわけです。飽食しておる人たちの方は支払い能力があるものだから、余ったのは金を払ってくれる人の方にやる、それが経済の原則で今の状況があるわけですね。  ですから私は、むしろ食糧が余っているので輸出するという国は、その何%かを飢えている国に必ず上げなさい、パーセンテージは幾らだということを私は言いませんけれども、一定の部分だけは飢えている国に必ず上げなさい、それからあとは輸出すればいいので、輸出国に対する義務というのをそういう形で課すということも、これは道義的な意味も含めた一つの考え方ではなかろうか、そういうふうな一つの考え方を持つわけであります。これがそう簡単にいくとは私も思いませんよ。しかし、日本も今余計なものを押しつけられている立場ですから、何かそういうような言い方、少しレベルの高い言い方で反論してみるという必要もあるのではないかと思うのですが、最後に大臣のお考えを伺って、終わります。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 食糧の輸出国に、食糧が足りないでおる、飢餓であえいでいる国に援助をすることを義務づけよ、こういうことでございます。  我が方といたしましては、アフリカなどの一部を見ましても、余裕のある食糧をもらうよりも金や技術が欲しい、そして自分の国でどうしてもつくりたいものはつくれるようになりたい、そういう援助が必要なんだという主張をするところもあるわけでございます。日本の場合はそういう趣旨に従って適切な資金的、技術的援助というものを進め、それぞれの飢餓に苦しむ国においても自主的に自助協力をもって主要食糧の生産体制が行われていく、足らざるところは安定的な輸入体制をとっていくという意味の方式が必要なのではないか、そういう部分については我が国がいささか貢献もしてきたが、なお積極的に貢献をしていかなければならぬな。しかし、ここでアメリカに対して、あなたのところは輸出国であるから、そういう足りないところに援助するのを義務づけるよと我が方から今提案をする、それは確かにいいことだ、さあ私もそう提案しましょうということにはなかなか御返事しにくい。しかし、いろんな知恵を出し合って、地球レベルで食糧の安定供給体制が進んでいく、そして平和であるということが望ましいと考えております。外務省からも、そのお役目の課かどうかわかりませんけれども、来ておられますので、そのような議論があったということはひとつ外務大臣にもあなたからお伝えをいただきたいと思います。いろんな知恵を、新しい提案をしながら、そして進めていかなければならぬ、かように思います。

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ────◇─────     午後三時二十九分開議

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。前島秀行君。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 午前中に引き続きまして、最初に、三月末で切れる牛肉、かんきつ類の交渉について大臣に、基本的なこと、それから串原委員とのやりとりを踏まえまして、ちょっとお聞きをしてみたいと思います。  今度の交渉に当たって一番心がけなくてはいかぬのは、いわゆる生産農家に不安を与えないこと、混乱を生じさせないこと、そのことによって生産意欲等々を減退させないように配慮するということを大事にすべきだ、こういうふうに思っているわけであります。そういう面からしますと、この交渉に当たって、交渉の相手があるわけでありますから、相手の出方をしっかり見きわめると同時に、それに基づいて政府の統一した見解、確固たる信念、方針というものを持って臨むことが大事だろう、私はこういうふうに思うわけです。そういう観点から見て、午前中串原委員とのやりとりのありました政府云々の発言の問題と、それに対する大臣の対応の問題についてであります。  私はあの報道を見たときに、またよくやる手をやるなという非常に不愉快な思いをしました。同時に、きょうの大臣の答弁を聞いて、実は非常に不満なんであります。よくやるな、よくやる手をまたやり出したなという意味は、恐らく大臣も御存じかもしれませんけれども、方針を大きく転換しようとするときに、しかもその方向に国内で大きな反対の声、反対が強いときには、ある意味だったならば混乱させるような国内の発言と、相手国との連携というようなものがよくなされる例が私はあると思うのです。  四年前、御承知のように書簡の問題が議論になりましたね。あるいは私は、防衛議論の中にその種のことがなきにしもあらずということを聞かなくはないわけであります。そういう面で、今回の一連のことについて、私は農水省にまさかそんなような考え方がある、そんな手法をとろう、とっているというふうには断じて思いません。だけれども、あの発言、二年以内に云々という発言、翌日アメリカの方から眞木経済局長にはそのことは非公式だけれども伝えてあるというのがすぐ返ってくる、こういうような状況を見るときに、何かすっきりしないものを私は感ぜざるを得ないわけであります。こういう点について、まず大臣ひとつその辺のところの見解を承りたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 まず国内において、国民に対して主要食糧をできるだけ供給していく体制、そして足らざるところは輸入によってあわせて安定的な供給体制をつくっていく、この方針からいたしまして、今おっしゃるように、外交交渉に絡んでおる農産物資につきましても、当然のことながら国内の生産体制というものを十分に考えまして、しかし同時に、国際化されておる中で孤立をしてはならない、これも当然のことながら頭に置きながら進めておるところでございます。  今御懸念されるような何か、今までの手法に対する先生の評価、それと私のとるべき言動というものが同じであっては困るというお話でございますが、今までのことはともかくといたしまして、というのは私から論評を差し控えますが、私自身はそういうような考え方、御指摘のような考え方をとろうと思っておりません。  政府の発言云々というのをちょっとはっきりおっしゃいませんでしたが、これは経済企画庁首脳の発言のことではないか、こう思います。はっきり申し上げておきますが、実は今もこの分館に入りまして、経済企画庁首脳、はっきり申し上げて長官、中尾長官に廊下で会いました。そしてまた、きょうのニュースのことについてもいろいろ私の耳に入っております。私はニュースを見るいとまはございませんでしたが、どういうことになっておるんだということで聞きただしましたら、そのことを報道した社におきましては、今晩、行き過ぎた報道をしたので訂正の報道をするということで釈明を求めてきた、謝ってきたということを承りまして、そうだろうな。私はこの一事をもって全部の報道関係を云々しようとは思いませんけれども、午前中串原委員にお答えいたしましたように、いろいろな方が、いろいろなところでいろいろなことを言われておることについては困惑することがしばしばありと、こう申し上げておるわけでございまして、またきょうもそうであったかと極めて残念に思っておる、このことを率直に申し上げておきます。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 その事態はいいことだと私は思うのです。ただ大臣、その二十五日の前に十日の記事もございましたですね。私は大臣、ちょっとマスコミ、確かに私自身を含めて行き過ぎの経験とか、いや、それは事実と違うよという経験、私もなくはありません。だけれども僕は、一連のこの動きの中で報道だけに責任転嫁をしてはならぬ部分もなきにしもあらずだろう。それは十日の記事、これも私たちが党の部会の中で農林省の人に聞いたら、いや、そんな事実はないという形でいろいろ弁明されていましたけれども、六十八年度をめどに自由化というこの十日の報道、私はこれを見て、火のないところに煙は立たぬなという率直な感じもしなくはなかったわけです。  そして二十六日のあの記事を読みますと、報道はですよ、政府だけではなくして、自民党の農政に大きな影響を持つ人もどうのこうの、こういう形で経済企画庁首脳が言っておる。これは報道ですから真意のほどはともかくとして、そういう一連のことを見ると、農林省を含めて私はこの一連の報道と、重要な交渉事項でありますから、やはり政府内の統一、余分なことを言わしてはならぬという努力がもっともっとあってしかるべきだと私は思うわけです。そういう面で、午前中の串原委員とのやりとりの中で、閣議で言うか言わないか云々じゃなくして、政府部内のぴしっとした統一、農民に与える影響、交渉事、相手がありますから、そういう政府部内の統一というものをすべきだろう、私はこういうふうに思うわけですけれども、その辺の大臣の見解をぜひお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 重ねての御質問でございますが、先ほど申し上げておるように、また予算委員会での質疑を通じて、国民の代表である質問者を通じまして私の考え方を率直に申し上げているわけでございます。また、政府は一体となってこれに取り組む姿勢を明確にしておるわけでございます。そして、責任を負わなければならない担当は農林水産省であり、私であります。したがって、私自身が信頼をなくするような手順も運びませんし、そのようなことも申しません。だけれども、いや、そうではないだろう、ないだろうと言われればそれ以上どう論評されようと御自由でございますが、私はそういうことではございません。それをひとつわかっていただきたいものだな、こう思います。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 大臣をどうのこうのと責めているわけではないのです。政府部内でこういう発言が起これば、交渉事でもあるし、また国内の生産農家に与える影響も大きいから、政府部内の統一という努力を責任大臣としてしてほしいということを言っているのです。大臣の発言がどうのこうのを言っているつもりは毛頭ないわけなので、その点は十分誤解のないようにぜひお願いを申し上げたいと思うのです。  そういう面で大臣、経済企画庁の首脳に大臣がそれだけ言うなら、責任を持つんだ、こう言うなら、あの報道が与えた影響というのは私はばかにならないと思うので、政府の内部の対応として、あの発言を訂正するなりあれするなりという方法を国民に向かって、とりわけ関係の生産農民に向かってすべき責任があるのではないだろうか。大臣として、担当責任者としてそういう努力をぜひしてほしいということを私はお願い申し上げたいと思います。  次に、林業関係の問題を御質問したいと思います。  このきょうの所信表明の中にも、二十一世紀にいわゆる国産材時代が来るんだ、こういうふうに言っているし、白書でも言っているし、また全国森林計画の中でも国産材のウエートはどんどんふえていく、こういうふうに指摘してあるわけでありますけれども、その国産材時代が来るんだという根拠といいましょうか、そこに導かれた見通しみたいなものは一体何なのか、ひとつ大臣、基本的な方向としてお示し願いたい。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 我が国の国土の約七割を占める森林の資源は、人工林を中心に毎年約八千万立方メートルが増加をいたしております。これら人工林の大部分は若齢林であり、今後間伐、保育等の適正な管理を行うことによって、将来木材供給の主要な部分を国産材で賄うことが期待できると考えておるのでございます。  一方、森林に対する国民の多様な要請が高まっていることから、昨年、森林資源基本計画を改定し、多様な森林の造成に努めることといたしておるわけでございます。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 この国産材時代が来るという見通しのあれは、要するに国内の供給がふえていくよ、今の幼齢林が何年かたっていくと二十一世紀に、こういうところが国産材時代が来るという根拠であろう、こういうふうに私は思うわけです。そういう出発点から国産材時代が来るとするならば、本当の意味の国産材の時代が来るためには、何かの努力というものがないと実際問題としての国産材時代は来ないだろう、私はこういうふうに思うわけです。それは現在の森林・林業、木材産業の現状からそういうふうに言わざるを得ない、こういうふうに思っているわけであります。  現状というのは今さら言うこともないと思いますが、大臣も言われるように幼齢林がふえて、今本当に国産材時代を二十一世紀初頭に迎えるためには間伐等々の保育というものをやらなければそういう時代も私は実質的には来ないだろうと思うし、あるいは林産業、木材産業の活性化をこれからさらに努力をしなければそういう時代も来ないだろうし、あるいはそういう努力の結果として国際価格と太刀打ちできるような状況をつくらなければ国産材時代が来ない、私はこういうふうに思うわけであります。そういう意味からすると、この国産材時代が来るというのは、単なる供給が来るだけであって、外圧という条件にどう対応するのか。今ある幼齢林をどう内容的に質的に高めていくかという努力と相まって初めて国産材時代が来る、こういうふうに言えると思うわけであります。  そういうことを前提とするならば、国会で六十一年五月に活性化の決議をした、あるいはその前には当委員会で決議をした、その結果を受けて活力回復五カ年計画というものが実施をされてきているわけです。これは六十四年度をもって終わるわけでありますけれども、まず第一に、心要なその活性化を図るための五カ年計画というのは一体どの程度進んできているのか、どういう評価を与え得るのか、まずその点についてひとつ長官の方からお聞きをしたい。

松田堯林野庁長官

○松田(堯)政府委員 先生御指摘がございましたように、国産材時代が来るということに関しましての条件といたしまして、木材需要の拡大も図らなければいけない、また木材産業の体質の強化も図っていかなければいけない、あるいは林業生産の活性化も図らなければいけない、こういうことで、六十年度から今先生おっしゃいました活力五カ年計画を実施しているところでございます。  六十三年度に盛り込まれております予算を含めまして考えますと、ちょうど四年目に当たるわけでございますが、国費につきましては七八・三%の進捗率、また融資の関係につきましては九六・四%、トータルでは九〇・三%の進捗率でございまして、順調に推移をしている、このように考えているところでございます。  この評価についてでございますが、五カ年計画だけの効果ということで評価することはなかなか難しいわけでございます。林業関係者の自助努力ということもございますし、そのほかの政策効果ということもあるわけでございますが、木材需要につきましては、例えば木造公営住宅につきまして例をとりますと、公営住宅の着工戸数は減っておるわけでございますが、逆にその中の木材戸数は増大をしておる、こういったような効果も出ております。  また、学校施設の木造化につきましても、事業が実行される前の木造化につきましては十三校であったわけでありますが、六十二年度は六十一校を数える、こういったような効果が出てきておるところでございます。また、昨年建築基準法等もこのような動きの中で木材をより多く使うという方向で改正されたところでもございます。  木材産業について見ますと、一工場当たりの原木消費量も高くなっておりますし、倒産件数も少なくなってきておる、またその倒産の負債額等も減少しておる、こういったような状況でございまして、五カ年計画の実行の結果、一歩一歩ではありますもののその効果は出ている、このように考えているところでございます。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 五カ年計画の効果というのはそれなりにある、それは事実だろうと思いますけれども、ではこれをもって先ほど言うような国産材に対応する政策として十分かといった場合は、森林・林業あるいは木材産業の現状からいってそれは満足するものではないし、今後の対応を要するということだというふうに思うわけでありますが、六十四年にこの活力の五カ年計画というのは一応終わるわけであります。大臣も長官も言われますように、こういう森林政策というのは五年や十年で簡単にできるものではないし、達成できるものでもないということになると、この計画そのものも五年でもってはい終わりというわけにはいかぬものだろう。効果があるならばまたさらに、この五カ年計画は六十四年で終わるのだけれども、その五カ年計画にかわるような、こういうカンフル剤といいましょうか、活性化を与えるための緊急対策というようなものを検討しているかどうか、この辺のところをお聞きしたいと思います。

松田堯林野庁長官

○松田(堯)政府委員 内需振興の効果も出ておりまして、御承知のように六十二年度の住宅着工戸数百六十七万四千戸に達しているところでございます。公共事業につきましても、おおむね対前年比一八%増の予算が盛り込まれているところでございます。五カ年計画につきましては、現在進行中のことでございますので、四年目でございますが、しっかりその評価というものを分析してみたい、このように考えておるところでございます。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 効果はそれなりにあるという評価であり、またそのことも現実の問題として、木材価格の上向きだとかあるいは住宅建設等がふえているという現状から見ると、効果があったというふうに言えると思うのですね。先ほど言いましたように五年やそこらで簡単に対応できるような問題ではありませんから、六十四年度に切れるわけでありますが、これにかわるべき五カ年計画等々、それに類するような効果あらしめる計画を引き続き実行してほしい、検討してほしいということをぜひ要望しておきたい、こういうふうに思います。  次に、先ほど言いました国産材時代を迎えるためには、やはりいろいろな施業の改革とか実施とかという面の努力が非常に必要だろう、私はこういうふうに思います。そういう面でよく言われるのが林道の問題、こういうふうに思います。全国森林計画が昨年出されまして、その中で今後の施業の方向として、育成天然林施業とか、あるいは複層林施業ということを大きな柱として出していると思うわけであります。そういう全国森林計画を確実に消化するとか、あるいは良質の材木を提供してこれからの国際競争に勝っていくためにも、あるいは間伐の実施をより密度を濃くしていくとか等々があると思いますが、間伐にせよ、やはり林道の建設という問題が大きな柱になりてくるわけであります。この全国森林計画は十五年間で六万七千九百キロ実施しようとする、こういう計画になっているわけでありますけれども、この森林計画の完全な達成の見通しといいましょうか保証といいましょうか、あるのかないのか、持っているのか、その辺のところをぜひ長官、お聞きしたいと思います。

松田堯林野庁長官

○松田(堯)政府委員 昨年森林資源に関する基本計画を改定をいたしまして、それに即しまして六十三年度から十五カ年間の全国森林計画を策定いたしたところでございます。その中で林道の計画もあるわけでございますが、現在我が国におきます林道の密度は公道も合わせまして、道路密度ということになるわけでございますが、十一・五メートル程度の道路密度になってございます。資源基本計画におきましては、理想的な道路密度といしたましては、ヘクタール当たりでございますが、二十メートルを考えているわけでございまして、まだまだ基盤整備は不十分でございます。新しい全国森林計画におきましては、今先生お話がございましたように、六万七千九百キロメートルの計画をいたしているわけでございますが、この達成率を高めますように、NTT財源の活用も図りつつ、その計画的な整備に努めてまいりたい、このように考えております。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 六万七千九百キロという目標は、よく言われますように最近の五十八年から六十年の実績と比較すると一四五%、四五%増である。また、林野庁等は、いや、六十一年当時のデータを基礎にとるとそれよりもっと低くなる、こういうふうに言って、また同時に、NTTの資金等々もあるからというふうに言うわけでありますけれども、NTTの資金というのは十五年間ずっと続くわけではないと私は思うわけであります。今度の予算の中でも、NTT関係を除けばそんなに違わない、多少はふえていることは認めますけれども。そういうことから見ると、私はこの六万七千九百キロの林道の達成というのは不可能だというふうに思うわけであります。何か別の手だてがない限りできない。そうすると、先ほど言いましたように間伐とか、国産材に使える良質な山を育てる、あるいは林産業の活性化を図る、需要の拡大を図るというこのすべての基礎である林道というものが達成できなければ、そもそも国産材時代も来ないだろうし、この森林計画そのものも達成することは不可能だ、こういうふうに見ざるを得ないわけであります。ほかに別の手だてというか政策的なものをしなければこの達成は不可能だ、過去の実績と予算の裏づけから見ても私はそう言わざるを得ないわけですけれども、本当に達成するために別な政策的なものを考えているかどうか、お聞きをしたいと思います。

松田堯林野庁長官

○松田(堯)政府委員 昨年改正をいたしました森林資源基本計画におきましては、林道の開設とあわせまして作業道等の整備につきましても新しく基幹作業道をつくっていくということで計画をいたしておるところでございます。作業道につきましては、林道に比べまして簡易な施設でございますし、森林所有着筆からの要望も非常に強い性格のものでございます。林道の整備とあわせまして作業道の開設等につきましても一生懸命努力してまいりたい、このように考えております。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 言われるように、作業道というのが現場の声として非常に大きい、そういうことはわかるし、その努力もぜひしてほしいと思いますけれども、そういうものを進めるに当たっても、例えば利子の軽減の問題とか助成というものがついて回らぬと、どうしてもこの森林計画の達成ということは不可能だ、今のベースでいきますと、そういうふうに言わざるを得ないと私は思うわけであります。そういう面で、これを完全に達成することがこれからの政策の上で大きな重要な柱だ、こういうふうに思いますので、その点での検討もぜひお願いをしておきたいと思います。  その次に、相続問題についてお尋ねをしたいと思います。  今いろいろな面で税制改革の一環の中で相続問題が議論をされています。また、林業という側面から見ても、この相続という問題が大きなウエートを占めているし、今後の活性化のためにも大きな課題であるということは従来から言われているわけであります。そういう面で、相続税を柱とする根本的な改革が必要だということは前から言われているし、私も昨年の森林組合法の改正の中でその点を訴えてきたつもりであります。同時に、昨年の税制改革の中でいろいろな点で部分的に前進をしていることは承知をしているわけでありますけれども、やはりもう少し根本的なところを見直さないと間に合わないではないかというふうに思うし、それが切実な林家の、経営者の要求だろうと私は思います。現にいわゆる青田刈りのような状況も起こっているし、あるいは相続をするために部分的に手離さざるを得ないだとか、あるいは場合によっては相続のために林業そのものを放棄せざるを得ないというふうな現状がよく訴えられるわけです。私たちの地域なんかでもそういうふうに訴えられることが多いわけであります。そういう面で、林業における相続税のあり方というものを基本的にどうとらえているのか、その点をまず最初にお聞きをしたいと思います。

松田堯林野庁長官

○松田(堯)政府委員 林業の相続税については、その特殊性にかんがみて、先生御案内のとおりいろいろの優遇措置等が講じられているところでございます。立木の評価を時価の八五%にする、あるいは施業計画に基づき、計画的に施業を行っていただいている方には二十年以内で不均等分納が認められる、あるいは保安林については、伐採制限の程度に応じて二割から七割の軽減措置が講じられる等々のことがあるわけでございます。昨年全般的な見直しをいたしまして、標準伐期の十年の延長等によりまして評価を二割程度軽減する、あるいは延納の場合の利子税を引き下げるといったような措置を講じてその軽減を図ったところでございます。これまでも相続税のあり方あるいはその軽減について検討をしてまいったところでございますが、今後とも林業を取り巻く厳しい諸情勢の中で、緑資源の確保の観点からさらに検討を進めてまいりたいと考えております。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 昨年の改正についてはかなりの部分があった。ただ、従来の相続税に関するいろいろな問題点あるいは要望から見ると、私は十分とは言い切れない、根本的な制度の導入をやらなければどうしようもないところに来ているような気がするわけです。ですから、今長官が言われましたような昨年の評価の延長の問題だとか、あるいは利子の軽減の問題とか利率の問題等々はもちろん成果であり、前進だろうとは思うけれども、現実の問題からするとこれだけではどうしようもない。根本的な制度の新設というものをこの際、税制改革でいろいろな議論をしているわけでありますから、とりわけ世間が認めているように山の重要性、特に国民の山に対する要求、期待はどんどん大きくなっているわけなんで、そういう部分的な改正ではなくて根本的な問題、ヨーロッパ等々でやっているような制度、一代課税だとか伐期以外は課税しないだとかという根本的な制度の導入、その点はどうですか。

松田堯林野庁長官

○松田(堯)政府委員 森林に対する公的側面に対する国民の要望等が非常に高まってきているさなかでございます。一方、林業の経営は非常に厳しい状況下にあるわけでございます。今後、林業の相続税を検討するに当たりましては、その林業経営の継続性、安定性といったようなところに焦点を当てながら検討を進めてまいりたいと考えております。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 やはり部分的なものだけでは済まないということがありますから、特に税制が議論になっておる折でありますから、その根本的なところに手をつける、それをしなければ十年先、二十年先、すなわち国産材時代が来るということに耐えられないのが現実でありますから、その点の基本的な方向、基本的な検討、財政事情云々の状況の中でそう簡単なものではないということはわかりつつも、これは農林省として、林野庁として声を大にして大蔵当局に訴えてほしいということをぜひ要望したい。特にせめて農地並みという部分が非常に強いですね。農地並みに二十年猶予等々そういう点が強いので、その点を含めてぜひお願いしておきたいと思います。  もう一点、同じ税制という面で、私は農業、とりわけ酪農の皆さんからよく聞く問題を聞いてみたいと思うわけです。  実は私の近くに、戦後長野から、昭和二十二年ころですけれども、約二百人ほどの青年が開拓に入って酪農をやったわけです。ちょうどその青年が四十年たって六十過ぎて、今第二世代に交代しようとしている時期であります。そういう酪農家の皆さんの話をいろいろ聞くと、この相続の問題にぶつかるわけです。同時に、農家の負債の問題とも絡んでくるという実態なんです。そこで、よく農家の皆さんから訴えられる問題は、何とか相続で工夫がないかということなんです。例えば彼らが言う一つの工夫として、借金も抱えておるわけでありますから、借金を抱えたおやじが子供に財産を売る、子供はそれを買う、そして借金を処理し、子供が新たに融資を受けた形の中で引き継いでいくということが何とかできないのか、諸外国ではやっているではないか、こういうふうに言われるわけであります。そういう意味で、林業だけではなくして農業、酪農の方においても現実の問題として相続の問題に大きなウエートがかかってきている。しかも、負債とそれの借りかえとの関係等とも絡んでよく指摘をされ、何としてもこの方向に向かって努力をしてほしいということを訴えられるわけですけれども、この点の相続税、税制の検討という面についてはどうでしょうか。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○京谷政府委員 酪農に関連しての相続税問題のお尋ねでございますが、御承知のとおり酪農は概して他の経営部門に比べまして経営耕地が大きいということがございます。しかしながら、相続財産の一定部門を占めます経営耕地、農地あるいは採草放牧地でございますが、これにつきましては、先生のお話にもありますように、相続税の納税猶予制度があるわけでございまして、相続財産の多くの部分についてはこの制度の援用が行われると考えております。また、相続税の課税上、相続対象になります負債については資産と差し引き計算が行われることになっておりますので、相続税の算定上それなりの調整がつけられるものと考えております。したがいまして、酪農固有の相続税問題というふうな考え方ではなかなか私ども問題の整理ができるものではない、やはり農業全体の問題としまして相続税問題に鋭意取り組んでいく必要があるのではないかというふうに考えております。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 酪農の場合、いわゆる規模というのはEC、ヨーロッパ並みにかなり進んできている。私の地域なんかは畜産地としてかなり整備された地域でありますから、そういう地域であってもやはり負債という問題の占める位置というのは大きいわけです。そのことが規模は進んでいるけれども生産コストにはね返らない、コストダウンにはね返らないというふうになるわけであります。先般の十二品目の自由化の問題等々で影響等等をいろいろ聞いてみると、相続の問題、負債の問題にぶつかってくる。その方向さえあると私の地域の人たちは何とか耐えられるよと言う自信もあるわけでありますから、そういう面でこれからの自由化の大きな風圧の中で日本の農業、酪農、また同時に林業を育てていく上でこの税制の問題、とりわけ相続税の問題というのは大きなウエートを占めるということですので、ひとつ全体的な問題を含めて検討をぜひお願いしたい、この点を私は強く要望をしておくところであります。  それから、最後になりましたけれども、水源税等々の問題が終わった後、例の森林基金の創設の問題がいろいろ議論をされ進められていると思うわけでありますけれども、これにはいろいろな問題が正直内蔵はされているけれども、一つの方向として努力をする問題でもある、こういうふうに思っているわけであります。この基金の創設の現状、これからの見通し、どういうふうになっているのかちょっとお聞きをしておきたい、こういうふうに思います。

松田堯林野庁長官

○松田(堯)政府委員 森林に対する国民の要請が大変高まってきておりますし、それが国土保全、水資源の涵養あるいはレクリエーションの場の提供といった公的な面に非常に大きくなってきているわけであります。国民の参画をいただく形の中で森林の管理の適正化を期していかなければいけない、こういう時代になっているかと存じます。きょう諸先生に緑の羽根をつけていただいているところでございますが、これも国民の皆様に森林の管理に参画をしていただくという一つの方式でございます。  森林基金につきましては、水源税の関連で国民運動として森林基金の造成を図るという方向が示されているわけでございまして、これまで関係省庁とこの実現の中身につきましていろいろ検討を進めてきたところでございます。建設サイドの水の基金、それから私どもの方の森林の基金、それぞれ別個に基金を造成すべく関係省庁と現在詰めておるところでございまして、なるべく早い時期に運動を起こしたい、このように考えておるところでございます。

前島秀行日本社会党・護憲共同

○前島委員 最後にもう一つ。その基金と同時に我々が要求をしております熱帯雨林造成基金の問題、この点もひとついろいろ検討されますことを要望いたしまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 沢藤礼次郎君。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 第百十二国会から農林水産委員会の方に回ってまいりました新参者でございます。経験が浅うございますので、よろしくひとつ御指導のほどをお願いいたしたいと思います。  まず最初ですから大臣にごあいさつかたがた一つだけ質問させてください。  先ほど来、いろいろな内憂外患こもごも至るというのでしょうか、大変な課題を抱えておられる時期の大臣就任まことに御苦労さまでございます。御健闘をお祈りしたいと思います。この御健闘をお祈りしたいという気持ちの中には、国民、特に農民が大変な時期に差しかかっているそのときに、今度農林水産大臣になられた方は一体どういう人なんだろうか、本当におれたちの味方に最後までなってくれる人だろうかどうかということが、農民にとっては大変な関心事だろうと思うわけであります。  ここでテストをするわけにまいりませんから一つだけ御質問申し上げますが、先ほど来話が出ておりますように貿易摩擦の問題、自由化の問題、内にありましては食管の問題、財界筋からは食管崩しとも言われるような発言もある、外国からは、アメリカを初めいろいろな圧力が来る、こういった中で、政府の方針とそういったいろいろな問題とが相対立する場合に、大臣は日本の農民の側に立たれるか、外圧内憂の方に立たれることはないと思うのですけれども、その辺の非常に困難な時期に大臣になられたお立場から、一言御決意のほどをまずお聞きしたいと思うわけであります。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 お答えをいたします。  おまえは農民の味方かと、一口に言うとそういうことでございますが、私はもともと、こうした場で言っていいのかどうか言葉を使うのをちょっとちゅうちょいたしますけれども、世に言う百姓議員と言われてきたのでございます。立場は変わりましても、その立場を、ハンドルをさっと切りかえるほど器用な男ではございません。また今の生産者は、米をつくっている人は米だけが生産者であって他は全部消費者である、肉牛を飼っている人は肉牛だけが生産者であって他は全部消費者である、こういう時代に、昔と違って変わってまいりました。したがいまして、流通関係も含め、消費者のニーズは那辺にあるかということも考えながら食糧の安定供給体制を完全なものにしていくために全力を尽くしていく、こういうことでお答えをいたしておきたいと思います。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 御期待を申し上げたいと存じます。本日は、第一番目に、先ほど大臣の所信表明の中にもありましたように、畜産総合対策の充実を図っていきたいというふうなお言葉がございました。その畜産を中心とする、今日本の農村の中で起こっております大型の固定化負債の問題、これについてまず最初に取り上げたいと思うわけであります。  農家の固定化負債というのは、農業環境が非常に悪化しているということが複合的にあらわれてきていると思うのですが、特に畜産地帯と言われる北海道、東北あるいは九州、こういった地域に多くあらわれているように思うわけであります。もちろん畜産以外の耕種を主体とする農家にも当然それは出ているわけでありますが、この負債の状態の一つの論議をする材料といたしまして、私の出身であります岩手県の農協がまとめた数字を若干冒頭に申し上げさせていただきたいと思います。  三百万円以上の固定化負債を抱えている農家の数でありますけれども、これは昭和五十九年から六十一年までの調査でありますが、千二百二十九件というふうに言われております。負債の総額が百六十五億とも二百億とも言われております。一戸当たりの負債の額の大きいのは一億数千万円という農家もございます。そしてこれをさらに経営形態別に眺めてみますと、件数において耕種の農家と畜産農家の比率は、前者が六に対して畜産農家が四という六対四の比率になっておりますが、もともと耕種農家と畜産農家の比率そのものが大体十二対一でございますから、圧倒的に耕種農家が多いわけであります。そういった中で固定化負債を抱えている件数が六対四である。金額にすればほぼ五対五である。こういうことを見ますと、いかに畜産農家にこの問題が多くあらわれているかということは数字的に明白だと思うわけであります。さらに畜産農家の内容を見ますと、一番困っているのが酪農の農家であり、次が肥育牛の農家であり、養豚であり、繁殖牛であるという順序になっておるわけであります。  こういった岩手の実態を今申し上げたわけでありますけれども、これは恐らく岩手だけの問題ではない。冒頭申し上げましたように畜産を主体としている地域、四全総では、大臣御存じのとおりでありますが、大家畜畜産というものを四全総で強調しているのは北海道、東北、九州であります。そういった背景のもとにこういった事態が起こっているということについて、農水省当局はどの程度実態を把握なさっているか、それをまず一言お聞かせ願いたいと思います。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 固定化負債の御質問でございますけれども、一般的な農家負債の実態といった点につきましては、本委員会においてもここ数年来、十分これを把握するようにというお言葉をいただいておるわけでございます。  これにつきましては、農家経済調査によりまして統一的、継続的に調査を行っておるところでございます。これの一番新しい数字が六十一年度末でございますけれども、こういう数字でございます。全国一戸当たりの平均の借入金というのが二百一万円でございまして、これに対して貯蓄が千六百七十六万円と大きく上回る状況にあります。地域別あるいは経営部門別に見てもおおむね同様な傾向にあるわけでございます。ただ、地域別に見た場合に北海道が非常に多い。それから今御指摘のありました九州、東北といったところが比較的多くなっているという傾向がうかがわれるわけでございます。また経営部門別に見ましても、多額の資本装備といったものを要する畜産経営において、例えば肥育牛の部門については一千四十四万円、酪農は九百七十八万円と多くなっております。  さらに、今御質問がございました固定化負債といったものに焦点を当てて実態を把握するという点につきましては、この農家経済調査の数字を補完いたしますために、必要に応じまして地方農政局を通じ都道府県等から情報の収集を行っているわけでございますが、現在までの情報収集の結果では、近年になって農家負債といったものが著しく増加したというような情報は特に受けていないわけでございます。ただ、御指摘のあったような点につきまして、特定の地域の特定の部門等を中心に問題があるといったことは十分承知をいたしております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 平均的にとらえれば今のお答えのようになると思うのです。ただ例えば岩手の場合は、大型負債を抱えているために自殺をしたというのが連発しているんですよ。そういうケース、ケースといいますかあるいは地域によりまして、そういった本当のぎりぎりの農家があるという事実を厳しく受けとめていただきたいということを申し上げたいと思うのです。  岩手の場合は、負債を抱えている農家をA、B、C、Dの四つのランクに分けております。詳しくは申し上げません。ただ、CとDについて若干申し上げますと、A、Bは経営改善することによって何とか持ち直しそうだ、あるいは低利の金融を受けることによって、借りかえによって切り抜けられそうだというのがA、Bランクでありますが、CとDになりますと資産を売却しなければならない、どうにもならぬ。特にDランクというものは、いろいろな施策を講じても経営改善計画の達成が困難だ、一切の資産を処分しなければならない、保証債務の徴求によって整理を必要とするのだ、こういういわゆるDランクというのが現実に存在するわけであります。このC、Dランク、つまり資産処分しなければどうにもならないという農家についての把握あるいはその対策ということについて、あれば一言お願いしたいと思います。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 農家の負債をどうするかという点につきまして、それはやはり個別の経営の状況、実情といったものがあろうかと思います。そういう点を踏まえて、既に貸し付けをした制度資金等につきましては償還猶予等貸し付け条件を緩和するといったようなこと、あるいは自作農維持資金の融通、これについては年々必要に応じ改善を加えてきておるところでありますけれども、こういう措置によって対応してきておるところでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 今のお答えは、実はこれからお聞きしようと思っていることに関するお答えでございまして、私がお聞きしたのは、いわゆる資産を処分しなければどうにもならないという、岩手で言うDランクあるいはC、Dランク、こういった実態をつかんでおられるかどうかということをお聞きしたわけです。これからの質問の中で、もしよろしかったらそれを含めてお答え願いたいわけですが、次の項目に進ませていただきます。  なぜこういった固定化負債を抱えている農家がふえてきたか、しかも割合にして畜産農家が多いかということについての私どもの調査、これは全国に数カ所社会党としては調査団を派遣しておるわけでありますが、そういった調査の中から共通して浮かび上がってきたことを申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思うわけであります。  確かに農民自身に原因を帰すべきこともゼロ、皆無とは申し上げません。高度成長期の惰性があるのじゃないかとか、あるいは経営が必ずしも健全じゃないという反省点もあるでしょう。しかし、客観的に言えば、例えば岩手県の北上山系の開発を例にとりますと、農用地開発公団事業の場合、資金の貸し付け条件あるいは上物、施設をつくる場合の建設の基準、これが非常に金がかかるようにできている、重圧がかかっている、あるいは実際の建設コストは計画を大きく上回っている、そういう出だしの部分からのマイナス要素もあるわけであります。  笑い話のようでございますが、人間の住む家よりも立派な牛舎、鉄骨、土台の丈夫さ、消火装置、警報器ですか、それから非常口、牛が非常口という字を読めるかどうか私ちょっと疑問なんですけれども、いずれにしても一つの融資基準というものがあって、それに沿って施設を建設する。早い話が、さっきも話が出ました間伐材でもできないわけじゃないのです。そういった中で施設の基準による重圧もある。それから、先ほど申し上げました計画よりも何十%も、四六%も実際にやってみたら上回ったという例もあります。それから、農機具をセットにしてそろえないと基準に合わない云々という問題もあります。いわゆる過剰投資であります。それから金利の問題もあるわけでありますけれども、償還金の圧迫が償還期に入って非常に大きくのし上がってきている。粗収入六百万円の農家の利子だけの借金返済が年間四、五百万になるというふうな、借りた額にもよるのでしょうけれども、私の調査した農家の中には、一年間の返済利子だけで五百万円、ですから一カ月にもう二、三十万円どころじゃないですね。そういった非常に大きな圧力といいますか重圧がかぶさってきている。しかも、スタートした当初は、何年後には何頭を飼って何キロの牛乳を生産する、キロ当たり百五円ですよという計画を立てるわけでしょう。ところがその後百円を割る、九十円だ八十円だということになれば当然これは間尺に合わなくなる。それから乳量制限というのがありますね。いわゆる牛の減反です。それもある。そういったことからきて金利、金融関係の圧力が非常に大きい、こういう声があるのです。  ではどうすればいいかということに最後にはなるわけですけれども、ひとつここで、この段階でお伺いしておきたいのは、こういった金融面あるいは事業に着手するときのいろいろな制約基準、こういったものの圧力というものについて、重圧というものについて農民は重いと感じているわけですが、農水省当局はこの辺についてはどのような御理解を持っておられるでしょうか。

松山光治農林水産省構造改善局長

○松山政府委員 農用地開発公団の事業にかかわる御質問でございます。  御案内のように、できるだけ農家の負担を少なくするということで、最近の暫定的な措置で補助率カットをやっておりますので今は六〇%になっておりますが、補助率としては七五%というような高率の補助を行いながら、今から考えれば当時の財投資金の金利は決して安くはないわけでありますが、一般的な金利からすればかなり安い財投資金を使い、かつ、農家の負担金の償還期間については二十年というようなかなり長期のものも設定しながら、これを進めてきておるわけでございます。今、事業費の増高の問題あるいは整備水準の問題についてのお話もあったわけでございますが、確かに先生御指摘のように、計画策定時に比べますれば——大体公団の場合にはかなり集中的な投資を行いますので比較的短期に事業が完了するということがございますから、その間の物価上昇というのが比較的小さいわけでございます。  整備水準の点について言いますれば、できるだけ効率的な事業実施ができるような指導を行っておるところでございますけれども、まあモデル的なといいますか、お互いついつい欲目が出てというようなことも恐らく率直に申し上げてあったろうと思います。そこで、昨年の四月に構造改善局長、畜産局長の連名の通達を発しまして、例えば建設単価につきましても一定の上限を設定するといったような指導を強めながら、できるだけ地元負担の軽減に努めておるところでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 この問題については一つ質問して次に移らせていただきたいと思うのですが、今申し上げた制度金融の問題とか過剰投資の問題、それによる重圧というふうな問題のほかに、やはり農民が訴えております要素の中に、農業政策、価格政策を含むわけでありますけれども、これの変動があるということを言っておるわけであります。乳肉価が引き下げられている、これは計画から違ってきているわけでしょう。それから、部分的であるかもしれませんけれども、乳量制限だ、七%乳量制限される、これも計画から違ってくるわけでしょう。それから、借りた金の金利を眺めてみると、私たちが借りたときは七・何%だったが、今の金利は五・五から六%だぞ、何となく損した金を借りているみたいな心情も当然出てくる。こういったことを含めて、長い間の計画ですから計画の途中の見直しということはできないですか。

松山光治農林水産省構造改善局長

○松山政府委員 当然のことながら、その後の状況の変化に応じながら、地元とも相談をいたしながら必要な見直しをやることができるという建前になっておりますし、現に地元ともよく相談しながら必要な見直しをやっておるわけでございますけれども、近年の環境の厳しさということとの対比におきますれば、対応がいささか甘かったのかなというふうな反省もございまして、特に最近では、地元との意思疎通を図りながら事業計画の見直しということは一層機動的にやるようにという指導を今強めておるところでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 これは地元の新聞記事でありますけれども、「迫る自由化」ということで取材に行ったところが、自由化よりも大変なことがある、それは今言った問題だというのですね、大型負債の問題だ。乳価が上がると吹き込んで、返済計画までつくって農家に借金させたのはだれだという声があったという。これは私が言っているのではなく記事がそう言っている、記事に書いてある。こういう心情が農家にあるということをひとつおわかりいただきながら、見直しがあり得るというお考えといいますかお示しの中には、資金の返済計画の見直しもあり得るということも当然あるべきだろう。でなかったら見直しにならないわけですから、そのことを私は一方的に確認をしたいと思います。  次の質問とダブらせていただきますが、こういった中で、先ほど来問題になっておりますいわゆるガットの問題がこれからかぶさってくるわけであります。  こういう固定化負債の問題が深刻になっている中でガット裁定を受けて品目の自由化がなされようとしている。そしてまた、牛肉、オレンジについてもさっきいろいろあったように動きがある。仮にこういう方向で農政が進められるとするならば、とてもじゃないが、これはもう借金の上に今度は死ねと言われるに等しい。どうも社会党の人は大げさに言う癖があるという評判、あるかどうかわかりませんが、これも地元の新聞の論説を引用させていただきます。「ガット勧告によって牛肉調整品が自由化されるのに続いて、牛肉そのものまで輸入自由化されるのでは肉畜農家の前途はない。それだけでなく、国産牛肉の三分の二が乳牛雄で占めている現状では酪農をももろに巻き込んで、日本の畜産が壊滅的打撃」になるのではないか、こういう指摘をしているわけです。ですから私は、今後のガット問題に向けて、この際、負債の多い農家は農業だけではない、生活まで破綻されているわけですけれども、こういう農政とのかかわり合いでなお一層不安に陥っている農家の不安を除くように、繰り返し繰り返しで恐縮ですが、きょうは何回目かになると思うのですけれども、やはり牛肉、オレンジの自由化についての大臣の所信をここで一言お願いいたしたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 牛肉、かんきつについての、特にその中で牛肉についてのお尋ねでございます。  繰り返し繰り返し述べておるようでございますが、私といたしましても、繰り返し繰り返しアメリカに対して、とにかくテーブルに着いてくれということをあらゆる手だてを講じて今求めておるわけでございます。そして、テーブルに着きましたならば、我が方の言わんとするところをひとつわかってほしい、理解してもらいたいものだ、こういうことで我が国の基幹食糧の一つとしての畜産物についても、あるいは酪農関係につきましても、歴史の浅い日本がいろいろな手だてでそれをつくり育てようとしておる、そういうこともわかってもらいながら、数量制限の撤廃を行うわけにはまいらぬ、自由化は困難である、しかしその事情というものを、アメリカはアメリカの事情だけで言うのではなくて我が国の事情もわかってほしい、こういうことを繰り返し言わねばならぬと思っておるところでございますが、残念ながら、きょうただいま現在テーブルに着くとはまだ言ってくれない。自由化の時期を明示しなければテーブルに着かぬ、こういうようなことでいろいろ言うわけでございまして、苦慮いたしております。しかし、苦慮いたしておりますが、この国際化の中で、しかも我が国の農畜産業の行く末を考えれば、何としても早くテーブルに着かせてもらって理解を求めなければならぬ、こう申し上げておるのでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 時間がどんどんたちますので、この問題の締めくくりとして、今後こういう対策をしていただけないか、こういう対策について検討してもらえないかということを大きく二つに分けて申し上げたいと思います。若干箇条書き的に申し上げますので、ひとつ簡明に御答弁をお願い申し上げたいと思います。  一つは金融対策であります。そのうちのイ、ロとあるわけですが、イとして、長期低利資金制度の創設というのができないか。今までもかなり長期だぞ、かなり低利だぞという声もあるのですが、先ほど申し上げました金利自由化の状況もありますので、でき得れば末端金利三%以下、国なり県なり自治体なりの利子補給ということを中間に考えるにしても三%以下、三十年以上の償還期間の長期資金制度というものの創設はできないか、これが一つであります。  イ、ロのロは、貸し付け条件の緩和措置であります。これはイとダブるわけでありますけれども、償還期限の延長、据置期間の延長、今既に借りているものについてですね。それから金利の引き下げ。それから、固定化負債については元金を優先に償還する、利子の棚上げということになるわけでありますが、元金優先の償還という措置はできないか。それから、以上申し上げた条件緩和を、例えば利子補給をするという市町村なりあるいは団体なりが出てきた場合に、そういった融資団体への助成対策というのはないだろうか。  もう一つだけ。制度としてございます自作農維持資金、経営再建整備資金というのですか、貸付限度額が今まではたしか千五百万円だったわけでありますけれども、これを二千二百五十万円に引き上げてくれないかという要望がございます。今度の予算を含めましてこれらがどうなるかということも、以上箇条書き的に申し上げましたが、ひとつ御所信を賜りたいと思います。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 負債対策に関連いたしまして、より具体的な形でいろいろな御指摘なり御意見があったわけでございます。これは、自作農維持資金の融通というのがやはり農家の再建整備のために働いておるわけでございます。ただいま委員御指摘がありましたけれども、償還期限が二十年、金利が現在四・〇五%ということで、これはやはりかなり長期低利のものになっておると考えておるわけでございます。そしてまた、貸付限度額につきましても、六十二年度に大幅の引き上げを行いまして、五百万円から七百五十万円に引き上げたところでございます。また、六十三年度にはいわゆる特認という、経営転換に係るそういう計画を満たすものにつきまして、中の特定のものについて、現在千五百万円の枠を二千二百五十万円に改める、そういうものを設けるということで現在その詳細について詰めを行っておる段階でございます。  こういうことでございまして、やはりいろいろな状況の変化に応じまして我々といたしましてもこういう自作農維持資金の改善について今後とも努力していきたい、今いろいろと具体的に御指摘になった点も十分頭に入れながら今後のあり方といったものを考えてまいりたいと考えておるわけでございます。また、このほかに既に貸付制度資金の償還猶予等の制度もございます。こういうものもやはり活用していただきたいと考えております。  こういう対策にあわせまして、系統組織のいろいろな事業のあり方につきましても、個別経営の経営指導なり貸付審査体制をきちんとするといったような点も重要であろうと考えまして、この点につきましても今後十分指導してまいりたい、このように考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 一挙にというわけにはなかなかいかないと思いますが、ひとつ今申し上げましたことをお酌み取り願いまして、牛の胃袋のように反すうをしていただきながら消化をしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。経営再建整備資金千五百万から二千二百五十万、これは今度の措置ということでよろしいですね。  それでは、最後になりますが、金融対策の次に、いわゆるDランク、資産処分しなければならないという農家に対する特別対策として次の二つを要請したいのですが、お答えをお願いしたいと思います。  一つは、市町村、自治体あるいは公社、公団が、資産処分しなければならないC、Dランクの農家から農地を買い上げる、買い戻し条項をつけて一時買い上げをする、それによってある程度清算をして、そして長い年月かかって生産を続けながら償還をしていく、そしてそれを実施する団体に対しては特例債、起債を認めていただけないか、その利息については国と県で補給できないかという要望があります。実はこれは、年間予算規模たった二十億円のある町から、これをやりたいんだ、一億円出す、あとどこからか一億円欲しい、その基金でもって今申し上げたようにC、Dランクの農家から農用地を買い戻し条項をつけて買い上げる、こういうことをしたいんだという希望がありますし、同時に、農地を手放す場合の農家の譲渡所得税については減免をしてほしい、この二つについてひとつお考えをお聞きしたいと思います。

松山光治農林水産省構造改善局長

○松山政府委員 農地等を処分せざるを得ないような農家の負債対策の基本としましては、先ほど経済局長からお答えいたしました自作農維持資金の活用という手がございまして、私どももできるだけこの充実に努めたいと思っておるわけでございます。  せっかくの御提案でございますが、まず農地等を売却いたしました場合の譲渡所得税の扱いの話でございますが、ほかの業種におきましても、負債整理のために税制上の特例措置を設けておるという例はちょっとないわけでございまして、極めてどうも困難なことなのではないだろうかというふうに考えております。ただ、御案内のように、農地保有の合理化といったような観点で譲渡いたしました場合には、現行五百万円の特別控除がなされる形になってございますので、それを活用していく手はあるのじゃないだろうかというふうに考えております。  なお、市町村の農地の買い上げをめぐる措置、私からお答えするのが適当かどうかよくわからないわけでありますけれども、やはり実質的な市町村の負債の肩がわりというふうなことになることも考えますれば、なかなか難しい問題を持っておるのじゃなかろうかというのが私のとりあえずのお答えでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 それではこの問題を締めくくらせていただきますが、今最後に触れましたいわゆる負債農地処分の減免の問題ですけれども、これは幸いにと申しますか、自民党の農林部会、その下に設けられている金融税制プロジェクトチームの検討の中で各議員から最も強く主張されたのは負債農家対策である、負債農家が負債を返すために農地を処分したときに課税されないようにできないかということであった、こういう事実があるわけでありますから、これは当然税制の改正ということにもなると思うのですけれども、あきらめないでやってください。  この問題の最後ですが、大臣、たくさん申し上げたのですが、大変難しい問題があるということも私も承知しております。しかし、農民がみずから命を断つということが続いているという事実も消せないのですよ。しかも、一方では四全総で北海道、東北、九州は大家畜畜産をやりなさいということも打ち出してきている、こういった状況を踏まえて、行政のプロパーであられるわけですから、税制を直さなければならないときは直したらいいでしょう。そういうことを踏まえまして、ぜひこの大型負債、固定化負債を抱えている農家対策について、例えば対策室を設けるとか、あるいは連絡協議会を設けるとかして、ひとつ機能を挙げて取り組んでいただきたいと思うのですが、大臣の御決意のほどをお聞きしたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 固定負債を抱えておる農家の農地を市町村に買い上げさせる等のことを例示されまして、いわば一つの転廃業的な考え方でのお話もございました。それを今我が省の中に対策室をつくれ、つくってはどうか、こういうことでございますが、先生の一つの御見識として承っておきたいと思います。  なお、金融関係一連の、まだそれで生きていこうとする者に対する、農業をやっていこうという者に対する金融措置等について、やはり負債整理と関連してのお話がございましたが、条件緩和措置等々によって救えるべきものは救う、制度資金においてもそのような考え方でいかなければならぬでしょうし、系統金融両々相まって実効を上げるべき課題である、かように考えた次第でございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 時間でございますから、この固定化負債の問題については以上で打ち切らせていただきます。また次の機会を得たいと思っております。  次に、駆け足で申し上げますが、豪雪地帯における農業振興、大臣の故郷も豪雪地帯であられると思うのですが、豪雪地帯における冬場の農業の展開という新しい課題が出てきていると思うのです。  今までは、三全総の中におきましては克雪、雪を克服する克雪という言葉がありました。しかし、この概念は専ら除雪をするとか、雪国向きの住宅を建てるとか、都市システムを変えるとか、いわば消極的な克雪の取り組みだったわけですが、四全総の中に二カ所か三カ所にわたって出てきていますけれども、いわゆる利雪、雪を利用する、現地では活雪と呼んでいます。活雪対策、利雪対策ということが四全総で出ています。私は、この問題についてはひとつ農水省で大きくてこ入れしていただきたい、力を入れていただきたいということに尽きるわけであります。  例えば、私の近くにあります奥羽山脈の沢内村というところは、十一月の上中旬から四月まで雪に閉ざされます。二メートル以上ということで、隣のうちへ行くとき、電線をまたいで行くという状況もあるのです。くぐるのではなくてまたぐ。そういう中で、専ら昔は閉じこもってどぶろくを飲むとか、あるいは出稼ぎに行くとかということだったのですけれども、雪を逆手にとって農業を興そう。雪の下にイチゴを栽培する中で、日本列島から全部イチゴが姿を消した時期に、遅出しのイチゴで勝負をするということとか、あるいはニンジンを雪の中から掘り出して、非常に甘くなっているニンジンを三月に売るとか、あるいはその他、いずれその雪を消さないで農業に利用しよう、こういうことが非常に盛んになってきました。  お聞きしますと、それに関する研究所みたいなのが長岡ですか、どこか裏日本にあるそうですけれども、表日本といいますか、東北は東北なりの、私どもなりの雪質の違いもあります。栽培する品目の違いもあります。そして、この沢内村では、今度雪国文化研究所を建てる。自力で建てる。そういった中で、文化的な問題のほかに産業をどう展開するかということをやろうとしている。こういう動きに対して、二メートル、三メートルの雪の中で今まで窒息してきた農民に力をつける、勇気を与える、そういういわゆる利雪、活雪農業の展開ということをぜひお願いしたい、このことについての御所見を賜りたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 いろいろ先生御研究しておられるようでございますが、確かに今のお話、承りました。  私が雪国の育ちでございますので、あるいは手前みそになるという批判もあろうかもしれませんけれども、積寒地帯これあり、さらに積寒地帯を狭めていけば豪雪地帯あり、さらに豪雪地帯を綿密に調べていけば特別豪雪地帯という常襲豪雪地帯、いわばそういうことを言ってもいいような地帯があり、いろいろな区分もまたできます。  そういう中にあって、それぞれの地域において雪を克服する、雪を利用する、こういうような多目的にわたる考え方から雪国の生活の知恵というべきものもどんどん出していって、それがまた行政のルートに乗るものであれば取り上げるべきだと思いますし、お互いにそういう知恵を懲りずに甘んぜずに、自然条件だからと言わずに知恵は出すべきもの、私もせっかく勉強したいものだと思っております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 さっきイチゴの話を申し上げましたが、六月下旬から七月の遅出しとなりますと、一パック二千幾らするそうですよ。したがってその地域では、イチゴに関して言えば一反歩、十アールから百万円近い粗収益を上げる、こういう実例が既にあるわけです。試験の域をもう超えているわけです。実践に入っているわけです。そういった意味で、農水省のそれぞれの機関もおありであろうと思いますし、東北地方にもたくさんの機関がありますから、雪の中で奮闘している豪雪地帯の農民に対して、今後ともどうぞひとつ大臣、激励をし、そして支援の手を差し伸べていただきたいということを申し上げます。  最後に、あと二、三分しかないわけでありますが、三つ目に準備しておりました質問は、きょうはイントロダクションにとどめたいと存じます。できるだけ機会をいただきまして、大臣初め皆さんと論議をしたいと思います。  それは一口に申し上げるならば、水田の全面活用ということであります。減反ということが始まりまして、休耕田であるとか転作であるとか、そしてかなりの部分の田んぼにほとんど利用されない飼料作物あるいは青刈りの稲、そういったことがまだありますね。そういったことではなくて、水田というのは、ゲートボールのコートをつくるように四角に平らにすればいいという問題じゃないわけです。当然、水利、用水路、排水路があって、しかも土壌の条件があってという、本当に一朝一夕にしてはできない農業基盤なわけです。だから、これをフル活用するというのは、私は理想だろうと思うのです。  ただ、では米が余るんじゃないか。そのときに米が余るから休むんだ、米が余るからつぶすんだという方に脳みそを使わないで、余るならばどうすれば余らないかということに頭と金を使うというのが基本ではないだろうか。そのうちの一つは、農水省が最近お認めになったえさ米の問題、ホールクロップサイレージですね。多収穫米を細かいサイレージに刻んでこれを与える。増体量よし、食い込みよし、肉質よし、これはもう秋田の畜産試験場でちゃんと実験済みなわけであります。  そしてもう一つ。今動き出しているのは、多収穫米からアルコールをつくろうじゃないかということであります。これは経費からいうと、それはペイしないよと軽く片づけられるのですけれども、アルコール発酵した後の搾りかすが優良な飼料になるわけです。  それから酒の発酵のときに発生する炭酸ガスは、これは他の方法によるよりも最も純粋な炭酸ガスであります。これをドライアイスに利用できるというふうな多目的のものに目を向けながらやることによって、水田から人間の食べる食糧と、家畜の食べる飼料と機械の使う燃料を生産できる。化石燃料がいつかはなくなる。太陽のエネルギーは無限に近いということを考えたときに、最も農業らしいエネルギー政策ではなかろうか。私は、農業というのは、降り注ぐ太陽のエネルギーをいかにして人間の利用できる食品にエネルギーとして転化するかというなりわいだと思うのですよ。そういった意味で、この問題について提起をしますから、農水省でも既に一部の方が何か研究なさっているようでございますけれども、私ども大いに応援を申し上げますから、この問題について今後積極的に研究を進めていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 一言だけ申し上げます。  土に始まって土に帰るという一つの哲学がにじみ出た御質問、御意見であったかと思います。そしてまた、そこに太陽あり、こういうことで、お互いが勉強すべき課題である。ありがとうございました。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 終わります。

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 藤原房雄君。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原(房)委員 午前中に引き続きまして、同僚委員からもそれぞれの問題で提起がございました。私も、限られた時間でございますので、そう深い問題もお話しできないのでありますが、基本的な問題、そして本日は大臣から所信表明がございましたので、所信表明になぞらえまして、二、三の問題についてお聞きをしておきたいと思う次第であります。  最初に、農林予算のことについてちょっとお伺いしておきたいのでありますが、ことしの大臣の所信表明、一生懸命今日までも御努力をいただきまして、またこれからも新しい農林行政をということで一生懸命御努力なさっていることについてはよくわかるわけでありますが、国内的問題だけではなくして、国際的な問題が非常に絡んでおりますから、国内対策だけでは対処し切れない諸問題がありまして、また国際的な協議の中でどうしてもそれに対して対処しなければならない諸問題が出てまいりますから、非常にかじ取りが難しい、こういう昨今であります。しかし、こういう難しいときであるだけに申し上げるわけでありますが、どうしても所信表明はわずかの文章の中ですから、思っていることの幾らもお述べになれないのだろうと思いますけれども、基本的には農林予算、年々一般会計に占める比率が下がり、そしてまた農林予算全体が内容的にも補助金が非常に多い、こういうことに対しまして、いろいろそれに対する施策を講ずる、さらにまた農産物の価格問題につきましても、国際的な比較の中で適応できる価格にしなければならないといういろいろな条件があるわけでありますから、非常に難しいことだと思うのであります。そういう難しい中でことしの予算を見ますと、農業基盤整備、こういうことには生産性向上ということの意味からも相当大幅な増額をしたようであります。これは農業の生産性向上には欠かすことのできない条件だろうと思います。  ところで、こういう基盤整備を初めといたしまして何点かについては、このたびの予算を見まして確かに重点的に取り組んでいるな、こういう感じもするのであります。しかし、やはり農政の転換というのは、言葉とか何かではなくて、予算づけということが、一つの新しい方向性を示す大きな予算のあり方、今年度はどういう柱に基づいて予算づけをしたかということが、非常に大事なことだろうと私は思うのです。そういうことから言いまして、何点かにつきましては私もそれなりに理解しているのですけれども、本年のこの予算を組むに当たりまして、いよいよ国際化そしてまた高齢化、また技術も今大きく変わろうとするこういう大事な時点で、言葉ではなくて、そういうことを念頭に置いて、ことしの予算としてはこういうこととこういうことには十分に配慮したぞ、こういうものがこの所信表明の中には余り出ていない。総花的なお話が多いものですから、予算ということを中心にしまして、特に配慮をした、そういう問題について大臣のお考えといいますか、そうしたわけですから、そういう大臣のお心、お考え、今度の予算編成に当たっての基本的な考え方、農政についての一つの大きな転換点を迎えての現時点で配慮したこと、そういうこと等についてお伺いしておきたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 今おっしゃいますように、確かに言葉だけで言いわけをする、言葉だけで希望をつながせるといってもそれは無理でございます。そして、そのことと同時に、予算の裏打ち、数字も整わなければ信頼をしていただけないわけでございます。そういう意味で、基盤整備等公共事業予算も一兆円以上を上回る数字を確保した等々、一応相整えたつもりでおります。  詳細については官房長から答えさせます。

浜口義曠農林水産省大臣官房長

○浜口政府委員 ただいま農林水産大臣から、六十三年度予算の基本的な姿、重点項目、方向といったものを申し上げたわけでございますが、まず予算等につきましては、政務次官から、昭和六十三年度農林水産予算の説明におきまして申し上げましたとおり、本年度の農林水産省の予算三兆一千七百十九億ということでございまして、これはもちろんNTT分のものを含むところでございますけれども、前年対比一〇四・七%ということでございます。ここのところマイナスシーリングあるいは財政再建等々から、前年に対し減少の傾向にありましたところでございますが、いわば六年ぶりに一〇〇%を上回ったということでございます。  以下、重点項目等々につきましては、既に予算の説明についてお話し申し上げたところでございますが、私、ただいま大臣が御指摘のところに沿いまして、二、三ことしの特徴といったものをかいつまんで申し上げてみたいと思います。  その第一は、土地利用型の農業の体質強化ということに重点を志向したという点でございます。この点につきましては、先ほど大臣が具体的な数字といたしまして、農業生産基盤整備の推進、公共の中に約一兆円を上回る金額がございますが、この農業生産基盤につきましては、一兆を超える金額を計上したということでございます。この中には大規模高生産性農地整備プロジェクトといったものをNTTのものを原資といたしまして計上しております。その他、項目だけ挙げさせていただきますと、同じく農業生産基盤でございますが、大規模高生産性畑作地域緊急整備プロジェクトの問題、あるいは土地改良事業等の償還の円滑化対策、さらに農道等の整備の問題でございます。  続きまして、二つ目の柱といたしましては、経営規模拡大の推進等にかかわるものでございまして、金額は公共等に比べますとやや小そうございますけれども、中核農家及び営農集団の育成等々で組織化の関係に約一億五千万円の予算を計上しておるところでございます。また、これにおきましては、特に新規就農者を含む担い手対策の拡充といたしまして、資金枠でございますが、約四十六億の金額を計上しているところでございます。さらに所信表明の中で、大臣が各箇所で申し上げました、現下の稲作等の低コストの対策に関連いたしましては、この点につきましてはカントリーエレベーター等の整備を重点的にする構造改善のモデル地区ということでございまして二十七億、あるいは農業生産対策、農業機械の高度利用ということで約六億弱でございます。この点については御案内のとおり、予算の最終段階の大臣折衝ということで、この稲作等の低コストの対策を計上することができたという状況でございます。  さらに大きな柱といたしまして、農山漁村地域の活性化対策の推進ということでございまして、これにつきましては先ほどと重複するところがございますけれども、農村集落地域緊急整備プロジェクト、NTTのものといったものにつきまして五百三十三億を計上しております。その他、リゾート地域における推進等におきましても、公共事業で、前年は計上ゼロでございましたけれども、六十三年度予算案におきまして七十四億を計上しているという状況でございます。  また、従来から実施してまいりましたバイオテクノロジーの先進技術等の開発、普及、研究交流の推進等という項目に従いまして事業の推進を行っているところでございますが、約二十四億の予算を計上しているところでございます。  また、第四番目の予算上の柱といたしましては、食品産業消費者対策というのがございます。これに関連いたしまして、一つの目玉といたしまして、加工原料農産物の供給体制の整備、情報システム化の整備というものを副題にしておりますが、ここにおきましても所要の予算を計上しているところでございます。  以上が、農業関係あるいは消費者対策でございます。  森林・林業等におきましても、農業に倣いました林業生産基盤整備の推進ということでございまして、三千二百五十五億の公共事業の計上をしております。  さらに水産業におきましても、漁港等を中心にいたしまして二千二百四十億の予算を計上しているところでございます。  かいつまんで重立った柱、公共事業を中心に申し上げましたわけでございますが、以上のとおりでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原(房)委員 個々の問題はついてはそれぞれの目的を持ってなさっているわけでありますが、押しなべて言いますと、大規模化ということや、また新しい技術を育てる、それから消費者の理解を得られるような方向性は対しての情報提供とかいろいろなことで、消費者サイドに立ってこれをもっと、農産物というものがより理解をされるといいますか、広範にこれが食に供されるような、こういうことの上に立っていろいろなさっているようであります。これらの個々の問題はついてはまた後ほど申し上げたいと思いますが、こういう新しい時代の転換点に立って、大胆にこのたびの予算執行、特にNTTの株の売益がございまして、それによります公共事業、これはいつまでも、十年も二十年も続くわけじゃございませんが、こういう難しいときであるだけに、基盤の拡充、確立といいますか、こういうことについてはひとつ早急な対策をとっていただきたいし、またそういう方向性である、このように言っても過言ではないだろうと思います。  この問題についてはまた今後の課題としていろいろ議論させていただくこととしまして、漁業問題につきましても、さらに農産物につきましても、対外交渉が今その最中であります。私ども、新聞報道とかそういうことでしか実際承る機会がございませんので、昨日から始まりました第四回日ソ漁業合同委員会、日ソ・サケ・マス交渉のことにつきまして、この席でありますから、きちんとひとつまたお伺いしておきたいと思います。  いろいろ伝えられるところによりますと、この交渉も非常に厳しい状況の中で交渉が行われるのではないか、昨日のソ連側のあいさつ等についても報道されておりますが、まず、この交渉の感触といいますか、こういうことについてお伺いをしておきたいと思います。

田中宏尚水産庁長官

○田中(宏尚)政府委員 ただいまお話がありましたように、きのうから始まりまして、きょうからいよいよその本格的な討議は入りましたために、まだ具体的な向こうの姿勢といいますか、基本的スタンスというものは明らかになっておりませんけれども、きのうの開会冒頭のスピーチ等から考えまして、基本的には我が国のサケ・マス沖取り漁業、これがそもそも不合理であるという立場から非常に厳しい態度で臨んでくるということがどうやら残念ながら確実視されているわけでございます。これから日がたつにつれましていろいろと具体的な事項についての積み重ねが出てこようかと思いますけれども、何といいましても我が国の北洋サケ・マス漁船の操業継続ということが我々にとりまして基本でございますので、そういう基本を守るべく、これから厳しい交渉に臨んでまいりたいと思っている次第でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原(房)委員 このシーズンになりますと日米、日ソそれぞれ漁業交渉というのが非常に日の漁業ほ携わる方々にとりましては気の許せない大事な時期になるわけでありまして、特に太平におきます、この時期におきましてはサケ・マスの問題、特に日本海マス流し網、それから中型部の鮭鱒、それから母船式、これらのそれぞれの漁種によりまして割り当て交渉のいかんというものが経営上、そしてまた日本の国を支える動物たんぱく資源の確保という上からいいまして非常に重要なことになるわけでありますが、そのもの一つ一つお伺いする時間もございませんけれども、それとアメリカとの、最近報ぜられるところによりますと、ベーリング海、公海の中でのことでありますが、環境保護団体が訴えたところによって、これは勝訴、勝ったということで、海産哺乳動物の問題についてアメリカが今後この交渉でどういう態度を示すかということは、ベーリング公海における漁業問題については非常に大きく憂慮されている現状にありますが、このソ連との交渉は、アメリカの出方を待ちながら、待ちながらといいますか、それを横目ににらみながらまたソ連との交渉という非常に難しい岐路に立たされておる、そんな感じがするわけであります。  また、三月十日から日本海のマス流し網漁業が始まるわけであります。こういう期日が目の前に来ておる、こういうことでございますが、今日までも漁業外交という、そのときに来てからではなくて、常日ごろからの外務省との密接な連係プレーが大事だということはもちろんでありますけれども、こういう二百海里設定以後今日までの十年間というのは、どんどん押されぎみといいますか、海域が狭くなり、また漁獲量が狭められるということで今日まで来ておるわけでありますが、過去の経緯は経緯といたしまして、本年の交渉に当たりまして、ひとつ毅然たる態度でまたこの交渉に臨んでいただきたい、こう思うわけでありますが、大臣のこれらの日米また日ソ、これらのことについてのお考え、そしてまた今後の取り組みについてお考えをお聞きしたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 今御意見がございましたように、日米交渉を横で見ながらという御表現ございましたがまさにそういうようなことでございまして、そうしておるうちに日ソの漁業交渉が始まった、こういうことでございます。  さきには鯨の問題あり、そしてまた今日米の間でオットセイの許可証の問題これあり、そういうものを見ながらこの日ソの漁業交渉がどのような結末になっていくか。我が方といたしましてはまずアメリカ側に対して、先週も駐日アメリカ大使館の公使を事務次官の部屋にお呼びをいたしまして日本側の考えを、率直に意見を申し上げたところでございまして、日米、日ソ漁業交渉ともども一連の水産関係外交案件につきましては、それぞれに関係する人たちが非常に心配をしてこの成り行きを見守っておるわけでございます。毎年のことなんだとは言いながら、もう本当に心配をしておられるのでございまして、それを忘れずに、ひとつ我が国の方針というものを毅然たる態度で進めてまいりたい、かように思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原(房)委員 サケ・マス交渉の基盤になっておりますこの日ソ漁業協力協定、これは漁業の分野における両国の団体及び企業間の協力問題について協議するというふうになっていますが、合弁のふ化事業とかこういう問題が、これはこちらからある程度技術協力、こういうことでやれることであるわけであります。今日までもいろいろそのときそのときの交渉の経過の中で進めてはきておりますが、これは今後にとっても、資源問題が出ますときには当然日本としましても力を入れてしなければならないことだと思いますが、それらのことについて今後の日ソの間の漁業協定等について、この推進にはどういうお考えを持っていらっしゃるのかということ。  それから今日本の国はアメリカから相当水産物を輸入をしておるわけであります。日本もアメリカにも輸出はしておりますけれども、相当な金額になるわけでございますが、調査捕鯨なんかでも調査捕鯨の報復としてこれがいろいろ取りざたされておるわけでありますけれども、もしアメリカのベーリング海等における日本の操業問題についていろいろな規制を受けるときに、ペリー法等で出たときにそれに対抗する法律ですか、こういうことも考えあわせて、これは何も法的におどすということではないのですけれども、野党で提起をいたしております本邦漁業者の漁業生産活動の確保に関する法律、こういう法律も国内的にはきちっとすることはしなければならないのではないか。  過日、小説家といいますかルポライター、新聞記者ですか、いろいろな農業や漁業の問題、特に漁業の問題で日本のあちこちを視察なさった方のお話を聞きますと、アメリカの漁業問題、捕鯨問題については理論的な筋道の通った話じゃなくて、もう感情論である、それに対して日本の国は非常に理路整然と一生懸命物を申しておるけれども、なかなか感情に対して理論では通らぬ、日本もやはりテーブルをたたいてなさってはどうか。私がそうしろと言うのじゃないのです、その方がそう言っているのですけれども、我々もこういう機会に皆さん方の交渉の場のいろいろなお話を聞きますと、どんなに隠忍自重されて話の筋道を通すために御努力をなさっているのかもしれませんが、アメリカの今日までの交渉の経緯を見ますと本当に恫喝的な一面もあって、交渉事ですからいろいろなことがあるのでしょうけれども、やはり国内的な法律は法律としてきちっとした体系づけというものは必要じゃないかと私は痛感をしておるのです。こういう事態になってますます必要性を痛感いたしているのですが、これは大臣、どうお考えでしょう。合弁ふ化事業とそれから対抗法、この二つの問題です。

田中宏尚水産庁長官

○田中(宏尚)政府委員 合弁の話につきましては、現在民間ベースでソビエトと若干交渉が進んでおるわけでございますけれども、ただいま先生からも御指摘がありましたように、その資源をふやす、あるいは友好を推進するという観点から非常に有意義な仕事と思いますので、政府といたしましてもいろいろな形で助言なり指導なりあっせんということを従来から行ってきておりますし、今後もこういうものをてことして、日ソ間の漁業関係が好転すればという前提に立ちましてこれに対処してまいりたいと思っております。  それから、アメリカとの関係でございますけれども、御承知のとおり、先般鯨をとったということに絡みましてパックウッド・マグナソン法とペリー修正法、この両方の署名がされたわけでございますけれども、現在は輸入規制処置のできるペリー修正法の方は大統領段階で発動にはなってないわけでございます。従来から国会の議論あるいは各政党間の議論として対抗法という議論があったことは十分承知しておりますけれども、制裁には制裁あるいは報復には報復ということでエスカレートするということにつきましてもいろいろ問題があろうかと思いますし、もうしばらく地道な努力と、せっかく現段階ではまだペリー修正法の発動という時点には至ってまいりませんで、我々といたしましてはアメリカの持っているペリー修正法がガット違反であるぞよといって向こうにおどかしている最中でもございますので、いましばらくはこういうスタンスで進ませていただければと思っておる次第でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原(房)委員 今日までも海域が狭められる、また漁獲量が減らされる、こういうことで減船というようなことが起こる。それはとる絶対量が少ないのですからそうせざるを得ないということで参りましたが、これは先々どういうふうになるかという予測は非常に難しいことでありますけれども、漸減の中でそのときそのとき対応する、こういうことで糊塗するということでこれはいいのかどうか、やはり長期的な日本の漁業の本来のあり方というものについてそれなりに考えておく必要があるのではないか。これは相手のあることですからどうなるかということで先走ったことはできないのかもしれませんけれども、何かここに参りますともうそんなに今まで狭められたものがぐっとふえるなんという可能性はありませんし、漁獲制限のありましたものが急にふえるなんということも考えられないことでありますし、少なくとも日本の漁業のあり方等については長期的な見通しといいますか、こういうものも考えなければならないときに来たなという感じがするわけであります。そういう近海での漁業、近海といいますか、他国の二百海里内、まあ日本の二百海里内でありましてもいろいろな規制を受ける今日のこういう状況の中で、やはり地先の海は大事にしなければならぬということが一つは言えるだろうと思いますし、今日までも、予算の中でも十分に増養殖に対しての対策、こういうものについて、新しい技術の導入等についてもいろいろ御配慮があるわけでありますが、これもあすあさってにということで一遍にいくわけじゃありませんし、地道な努力が必要だろうと思いますし、今日まで努力を積み重ねた分、最近は日本海、この地先の沖合いを初めとしまして沿岸、こういう増養殖が盛んになってきた感じがするわけであります。  それとあわせまして、密漁も大変ひどい時代がありまして、罰則とかいろいろなことで何年か前に法改正したことがございました。私の選挙区の島牧というところは大体海岸線が五十キロあるのですけれども、そういう広いところで、村ですから大変なんですが、そこにウニとかアワビ、こういうことで、対処の仕方がないものですから、結局村で三百万出して警備会社に委託して警備してもらっているという現実があるのですね。これはそこだけではなくて、聞きますと全国あちこち、漁民というよりも、地域産業にとっては漁業が最大の産業ですから、町としてもそれは漁業者のことだというわけにはいかないということで大変に苦慮しているところがございまして、年間の水揚げ高に応じてこのぐらいならできるんじゃないかという範囲内で恐る恐るやっておる。それも十分な成果が上がっていないところがあるのですが、これは一漁民の問題とか地域の問題ということじゃなくて、こういう実態等について適切な対策、漁業振興をつかさどる農林水産省としても実態の把握とそれに対する施策はもう少し考えるべきたと私は思うのですが、どうでしょうか。

田中宏尚水産庁長官

○田中(宏尚)政府委員 密漁問題につきまして先生から今お話しありましたように、アワビ、サザエ、ウニ等、こういう高級魚なりにつきまして最近非常に多うございまして、例えば六十一年度でとってみますと、都道府県、海上保安部、警察等により検挙されました件数等で見てみますと九百四十七件ということで、約千件近いものが検挙等を受けておるわけでございます。最近高速艇あるいは無線機等を使う者まで出てきているわけでございまして、それぞれの地域社会にとりましては大きな問題になってきているわけでございます。  それで、当方といたしましても、五十八年にまずその罰則を強化するということでその罰金額を十倍に引き上げますとともに、海上保安部、警察、都道府県、系統団体、こういうところと連携を密にいたしまして取り締まり、自衛的手段に出ているわけでございますけれども、さらにいろいろとその取り締まりの機械器具を整備する必要がございますので、六十三年度に発足する予定となっております新沿岸漁業構造改善事業、いわゆる後期対策、ここにおきましては密漁の監視レーダーあるいは密漁監視船というものにつきましても、これは国の補助率は二分の一でございますけれども、国がこういうものにつきましても助成し、それぞれの地域での自衛活動を活発化させていくという方向も打ち出しているわけでございますけれども、今後とも関係方面と十分連携をとりながら対策を講じてまいりたいと思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原(房)委員 それから、さっきのアメリカの動物愛護の方々、いろいろな方々がいらっしゃるようでありますが、イシイルカ、オットセイ、こういう動物を愛護するということと、いかに漁業を守るか、資源を守るかということ、また漁業を業としている方々の立場でそれをどうするかということ、この調和というのはなかなか難しいことだろうと思うのですが、御存じのとおり北海道の日本海沿岸は、宗谷岬から余市の浜から古平ぐらいまでトドが来るのです。太平洋の方は釧路から日高の方、襟裳の方までトドが来るのです。これは網にかかったりなんかで漁民も相当苦慮いたしているわけでありますが、担当の方々にお聞きしますと、自然保護ということで国際的に非常に問題になっているのでなかなか声を大きくはできないということでありますが、漁具被害、一月、二月、ちょうど今の季節になりますと深い海の網にかかったタラをねらってトドがやってくる。これに対しては農林省も駆除のためにいささかなりとも、余り大きなことをやるとまた保護団体からいろいろあるかもしれませんので、いろいろ配慮してやっているようであります。ここらあたりはなかなか難しいところではありますけれども、密漁の場合は社会の秩序を守るという上からきちっとしなければならぬ一面がありますが、こういうトドのようなものについては漁業者を守るということも大事なことではないかと思います。これらのことについて農林省もそれなりの予算づけをしながら見守っているということですが、何とはなしにおっかなびっくりというのじゃなくて、もう少しきちっとすることはするようにしたらどうかという感じもするのです。ただこれは、日本の場合はまだ反対する方がいらっしゃらないのですけれども、国際的になかなか難しい要素もあるということで、沿岸で細々何とかやっているところへこういう被害を受けるということは、その立場の人たちとしては非常に苦慮いたしておるのですけれども、こういうことについても実態の把握は何かなさっていると思うのですが、現在こういう問題についてどのようなお取り組みをしていらっしゃるのか、今後に対してのお考えもお聞きしておきたいのです。

田中宏尚水産庁長官

○田中(宏尚)政府委員 私も水産行政にタッチしてみまして、鯨とかオットセイとかに本当に悩まされているわけでございますけれども、こういう自然保護と産業との両立ということは非常に離しい問題でございまして、今回のオットセイあるいは鯨の問題を契機といたしまして、何といいましても根強く先様と会話を重ねていくということがまず第一かと思っております。そのためには、単に政府間の話だけじゃなくして、理屈であるとかそういうものを超えた文化の違いあるいは生活感覚の違いというものも色濃くございますので、いろいろな方々を動員いたしまして、そういう漁業と海産哺乳額の生存との共立というものも十分にあり得るのであるということについて地道な説得を重ねてまいりたいと思っております。  それから、ここのところ漁業者団体自体がいろいろこういうことについて問題があるということで、先般もアメリカで主要漁業国の最高幹部が団体ベースで集まりまして、そういう漁業と海産哺乳類の保護との関係、それから今後どういうふうに持っていくかということについて真剣な討議がなされまして、近々そういうものを母体といたしまして団体間で世界的な団体をつくるというような動きにもなってきておりますので、そういう動きにつきましても側面から見守りながら、今後とも少しでも調整が進むように努めてまいりたいと思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原(房)委員 これは農業についても同じことが言えるのですが、漁業についてもやはりコストをいかに引き下げるかということが大事なことだと思います。  過日、水産加工団体の方々とお会いいたしましてお話を聞きました中で、最近円高、原油安ということで差益還元、電力料金がこの一月から値下げということで家庭用、産業用とも引き下げられたわけでありますが、水産加工の関係の方々のお話を聞きますと、これは実際的に電力量の五百キロワット以上の方々はそうでもないのですが、低い人たち、五百キロワット未満の方々につきましては、この差益還元がなくて、かえって割高になっているというお話があったのであります。最近の漁業者の大変厳しい中で、少しでも差益還元ができればと、こういうことはだれしもが考えていることでありますが、しかしこれは通産省にいろいろお聞きしますと、それなりにいろいろなことがあるようでありますが、これは通産省にぜひ、現在、高圧の乙という五百キロワット以上二千キロワット未満の大口電力についてはいろいろ施策をしているようでありますが、五百キロワット以下のものについても時間帯別電力料金制度の適用とか、こういうようなことについて配慮をしてもらいたい、こういう要請があったのですが、通産省これはどうですか、今後の対策について。要望を十分にお受けになっていらっしゃると思うのですけれども、現在までとってきたことやまたこの問題についての御認識とそれから今後の検討、そういうことや電力会社等に対しての指導とか、こういうことを含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。

清川佑二資源エネルギー庁公益事業部業務課長

○清川説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘の問題、実は電気料金という関係からいたしますと二つ問題がございます。  一つは、まず料金の問題でございますが、これは円高差益の還元あるいは原油価格の低下ということで、六十一年の六月、六十二年の一月、それからことしの一月、三回にわたりまして料金の引き下げを行ってきております。その中で一律に料金の引き下げというのは、それぞれの電圧、契約種別に従いまして適用されているわけでございます。  問題は、一つは契約電力が五百キロワット未満の需要家におきまして、制度が少し変わるという点が第一の問題でございます。  これは実は従来五百キロワット未満の需要家につきましては、受電の設備とか負荷設備の容量に基づきまして、一定の計算の方式で料金を決定するということを行っていたわけでございますが、最近のように計量、つまりメーターその他につきましても小型化とか低廉化とかが進んできましたので、やはり一番公平に料金を決定するのには、計算方式で料金を決定するのではなくて実際にはかって、メーターではかって料金が決まるのが最も公平かつ公正なものであろうということで、実測値によって契約電力を決定するというふうに切りかわったわけでございます。ただ、そうはいいましても、実際上従来の仕組みによっていろいろな誤差その他がございますから、正確にはかると若干契約電力がふえてしまう、かえって値上がりになってしまうということが起こり得るわけでございます。そのようなこともやはり公正の原則、公平の考え方からすると一つの問題ではありますが、何といっても従来からの電力の使用という問題もございますので、三年間にわたりまして経過期間を設けまして、当面この三年間の最初の一年間は過去の支払いの実績よりも料金の支払いがふえないというようなこと、それから次の年にはそれよりも一割以上は上がらないようにするというような措置を講じまして、その間に電力の使用の方法その他につきまして合理化していただくというようなことをお願いして、経過措置の期間の間に余り問題なく実量制に移るようにという措置を講じているわけでございます。  それから第二の問題でございますが、料金の引き下げという問題で、割合に少量の加工業者、水産加工業者、こういった方々がお使いになる電気代がまからないのだろうかという問題がございます。  先ほど申し上げましたように、電気料金につきましては、原価主義の原則、また差別をしない、公平の原則というようなことでやっておりますけれども、制度的に安くなる仕組みがやはりございます。夜間の電気のコストが安いということに基づくものでございますけれども、水産加工業などにおきます冷凍、冷蔵倉庫、このようなものにつきましては産業用蓄熱調整契約制度というものがございます。これは、夜の間に非常に冷却をいたしまして、そうすることによって昼間使っておられた電気を夜に移していただく、そういうことに着目しまして電気料金を割り引く、こういう制度が利用できるようになっているわけでございます。今回の改定におきましても、この蓄熱調整契約制度の割引も夜間電力引き下げの一環として相当に大幅に引き下げられております。この制度につきましては、先ほどお話のありました五百キロワット未満の、割合に小口の電力の方々もお使いいただけるようになっているわけでございます。このような仕組みがございまして、最近、過去一年間で約十件ぐらい加入なさる方々もできております。御指摘もございますので、電力会社にも需要家にこういった制度の相談、PRなどに努めるように指導していきたいと思います。  以上でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原(房)委員 時間もございませんので、いろいろお聞きしたいことがございますがまた後日にいたしたいと思います。林業のことについてもお伺いする予定でございましたが、時間もございませんので、最後に農産物交渉について。  牛肉、オレンジ交渉については先ほど同僚委員からもいろいろなお話がございましたが、ガットのときもそうですが、決まったことかどうか、とかくいろいろな情報がどんどん流れてくるので我我も非常に戸惑いを感じたところであります。このたびも、経済企画庁の首脳という方が二年とか三年とかいろいろなことをおっしゃっておったようであります。先ほど大臣からもいろいろお話がございましたが、そういう問題のときにはやはりきちっと記者会見なり何なりではっきりさせていただきませんと、実際、僕ら北海道なんかにおりますと新聞に出た一つ一つを大臣から直接お聞きするなんというわけにいきませんから一喜一憂しているというのが現状でございます。あのガットのとき、ちょうど私どもは公明党で中標津や別海の方に行っておりまして、どういうふうに決まるのかということに非常に関心を持っておりました。こういうことは早急にひとつ、いろいろな問題についてただけしからぬとかなんとかということでなくて、どう対処するかということ等についても御検討いただきたいものだと思います。  それから、私も時間があればいろいろお話ししたいところですが、現状をどう認識して、これからどう対処するか、こういうことに帰するのだろうと思いますが、最近、牛肉の需要がまだ非常にあるのだということで増産体制、また輸入増、こういうことがいろいろ計画をされております。しかし、一方では日本人のカロリーはとり過ぎではないかということも言われて、アメリカ等においては白身の魚とかかまぼことかいうものに非常に関心がある、余り牛肉はとらぬ。ところが日本人はアメリカ人とは逆にハンバーガーで牛肉を食べておる。また、ある一時期になりますと牛肉生産というものも非常に過剰ということで、かつて生乳、牛乳が生産制限を受けたと同じような轍を踏まないような長期計画といいますか、計画的な対策といいますか、こういうものを考えておきませんと、技術の発達によりましていろいろな要素がありますから単純には言えないと思うのですけれども、かつて三十年代は米の増産ということで国を挙げてやりました。技術がどんどん進みまして、反収がずっと上がったということももちろんあるのでしょう、減反政策が行われました。草地を中心にして有畜農業ということで畜産を一生懸命振興しました。これもまた過剰ということで頭打ちです。今日本の需要の中で牛肉というのはまだ需要があるぞということでいろいろ計画を立てられているようでありますが、これも現在までの日本人はアメリカ人とは違いまして動物性たんぱく質は魚からとる分が半分以上あるわけでありますから、そういうことからいいますと需要がそう増大するわけじゃございませんし、また最近はいろいろな技術が、一腹で二頭産むとか、こういうような技術も進んでおるようであります。そういうことからいたしまして、農業というのは急にカーブを切れない産業であるだけに、そのときそのときの技術の発達によって急激に体制が変わるという一面はありますが、慎重な施策というのは要求されるのじゃないかと私は思うのです。  そういうことからいいまして、今別海等で大きな施設の負債で困惑をしておる方々、それは四十年代、大変に希望を持って入植したはずでありますけれども、施設費、これは億を超える施設費の中で現在償還に入るということで何百万——七百万、八百万、こういう負債を抱えて当初の計画とは大幅に計画が変わっておるという現実を見ますと、事業団もつくるところまでは面倒を見るのかもしれませんけれども、その後のアフターケアはないわけで、経営とかその後のことについてもきちっと見るべきだろうと思います。あのスチールサイロの大きなのが二本も三本も立っております。二千万、三千万。最近はほとんど使わない現状にありますが、それだって借金の中で返さなければならぬ。技術の進歩や時代の変遷の中で大きな負債の下敷きになっているその原因を見ますと、いろいろな要素がある。最近、日本でつくった電気製品、これはアメリカで非常に安くダンピングされているのではないか、大分割安に売られているということが通産省も調査をされているようでありますが、農機具を初めとしましてコストダウンのために農業資材、こういうものも厳しく見ていかなければならないのじゃないかと思います。経営上の問題、それから資材、物材費等についてもそういうものが総体的に総合されてコスト低下というものに結びついていくのだろうと思います。こういうことから考えまして、現在負債対策、いろいろ言われておりますが、けたの違う負債の中で苦しんでいる方々、意欲は十分にあるのです。そしてまた、そこは酪農しかできないところであるわけでありますが、ほかには転換できないという中で悪戦苦闘している方々に何としてもこの対策を、金融面のことについて、それから今後のことについては指導ということもあわせて、一たびつくったらつくりっ放しで後の面倒を見ないというやり方ではなくて、ちゃんと健全経営のできるような状況等についても指導性をもう少し発揮すべきじゃないかという気がしてならないわけでありますが、個々については後日質問しますけれども、今申し上げた概括的なことについての大臣のお考えを一言お聞きしておきたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 まず最初に、先ほど私御答弁を申し上げましたサケ・マス・オットセイ混獲問題について、事務次官の部屋にアメリカの公使を呼んでいろいろ注文をつけたというお話をしました。先週と申し上げましたが、二月十九日でございましたので、訂正をさせていただきたいと思っております。  マスコミへの対応についても今お話がございました。先ほどの答弁の中につけ加えておきますけれども、経済企画庁首脳の発言を間違って報道したことについて、その報道機関は本日午後四時からのニュースにおいて訂正をしたという報告を今ここで聞いたところでございますので、あわせて御報告を申し上げておきたいと思います。  なおまた、肉牛の生産体制等についても、カロリー問題にも触れられ、日本型食生活そのものに触れられるような御発言もございました。生乳の例にならぬようにということで御意見もございました。いずれにしても、過剰にならないような計画的な生産体制を整える必要がありますし、固定負債を抱えるようなことにならないように慎重に配慮もしなければならぬと思っております。特に需給関係ということになりますと、その中での生産体制ということになりますと、バイオテクノロジーのこれからの発展過程も想像するに、また全体の需給計画について心しなければならない問題である、かような感想を率直に申し上げまして私の答弁といたします。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原(房)委員 どうもありがとうございました。

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 玉城栄一君。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 私は自由化に伴うパインの問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。  今回の政府のガット自由化裁定受諾に伴いまして、我が国唯一の沖縄のパイン、そして沖縄のパイン産業というのは特殊な経過を持っているわけでありますが、この政府のガット自由化裁定受諾によりまして、大臣も御存じのとおりそのままならば壊滅的な打撃を受ける。したがいまして、これは地域経済、ひいては沖縄の今後の農業にも深刻な問題を投げかける。そういう立場から断じてこれは容認することはできませんし、受け入れることもできない、こういう立場からまず最初に大臣にお伺いしたいわけであります。  先々週も大臣御自身も沖縄のパイン産地の実情視察をしておられますのでよく御認識だと思うのですが、改めて、これまで沖縄のパインを栽培してきた経過をどのようにお考えになっていらっしゃるか、まず最初にお考えをお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、月原委員長代理着席〕

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 私、再々ほかの場でも申し上げてきたのでございますけれども、沖縄が戦中戦後たどってきた経緯を考えますと、一々申し上げませんけれども、心痛むものがございます。そういう中にあって、地域産業、地域農業としてのパイン、それから加工、パイナップル缶詰、このことにつきましてこのたび数量制限を撤廃をする八品目の一つに加えることになった、苦渋に満ちたぎりぎりの選択の中でそういうことになりましたが、しかしそれで生きてきた人が生きていけないということであったのではならぬのでございまして、切々たる訴えを現地でもお聞きをいたしまして、私どもといたしましては、その事後策についてプロジェクトチームで十二分な検討をし、慎重な対応をしてまいりたい、こう思っております。特に現地に参りましたら、あすがあすでもすぐもう数量制限撤廃になるんだというようなふうに思っておられる方もおるやに拝聴もいたしました。スケジュールを立てるのになるべく早くスケジュールを立ててそして安心はしてもらいたいと思うけれども、先行きこれが一カ月、三カ月、半年ぐらいで数量制限撤廃の時期になるのか、相当な時間はやはり慎重にかけていかなければ数量制限撤廃の時期には至らぬ。あすがあすでもすぐなるようには思わないでいただきたい、このようなことも申し上げてきたところでございまして、いずれにしても、国際的に孤立をしてはならぬとは思いながらも、地域農業に、我が国農政上に禍根を残すことのないように十分な措置をとってまいりたい、こう思っておるところでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 後ほどお伺いしたかったわけでありますけれども、ちょっと私お伺いしたかったのは、沖縄のパインの経過というものが特殊な経過があるということは、やはり基地問題、大臣も御存じのとおりだと思うのですが、そういう特殊なことがあって、これが自由化されますと、もし国が手を放すとなりますと太刀打ちできないことは、後で詳しくいろいろ私もお伺いしてまいりたいと思うのですが、そういうことから考えまして、沖縄のこれまでの過去の歴史というものがいわゆる国策による犠牲の繰り返し、ある意味ではそういう歴史であった。今度のパイン問題についてもやはりまたそういう国策の犠牲の繰り返しではないか、そういう声が最近高まってきておるわけですね。  といいますのは、第二次大戦の問題にしましても、あるいは二十七年間の異民族支配の問題にしましても、なおかつ巨大な基地を抱えているという現実にしましても、さらにこのパインについても、これが自由化されるとそのまま打撃を受けることは明らかだ。それを知りながら政府は容認した。受け入れた。なぜ、いわゆる八品目の二品目、乳製品それからでん粉と同様に、ほかの品目にしてもしかりですれども、沖縄の立場から、沖縄のパインについてもでん粉、乳製品の中に入れて最後まで突っ張る、いわゆる量的な輸入を撤廃しない、そういうふうに突っ張らなかったかという意見がやはり強いんですね。そのことはどうなんでしょうかね。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 現地においてはそのような考えを持っておられる方が確かにおられる。言われる意味はよくわかります。しかし先ほど来申し上げておりますように、さらに言及するとするならば、昨年のガット総会において八品目を意思表示をした、そのときから今日に至るまで、そして最終的に二月二日のガット理事会において苦渋に満ちた選択を、ぎりぎりの選択をせざるを得なかったということについては、ひとつ何としても御理解を賜りたい。しかし、その後の対策については十分なる対策をひとつ考えていかなければならぬと思っておるということを説明申し上げておるわけでございまして、私の答弁もまさに苦渋に満ちているわけでございます。そういう選択をしなくても済めば一番よかったと思います。しかしそうせざるを得なかった。それはひとつ何としてもわかっていただきたい、御理解を賜りたい、こう重ね重ね申し上げておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 大臣のお気持ち、苦渋に満ちた選択、これは心情論としてはよくわかるわけですが、我が国が国際的な孤立化を避けるために、そういう名のもとに沖縄のパイン産業、特殊な経過があるパインも、いわゆる孤立化を避けるという名のもとに犠牲を受けたという受けとめ方がまた一方こちら側にはあるわけですね。ですから、この議論をしてもこれはどうにもなりませんが、とりあえず防衛庁の方に伺っておきたいのです。  過日の予算委員会で、うちの水谷議員のこのパイン問題の影響についての質疑で、おたくの長官は、沖縄には米軍基地の問題で大変世話になっているし、これは非常に重要な産業でもあるからどういうことが協力できるか検討したい、こういうことを二十四日におっしゃったのですが、防衛庁当局としてはどういうことを具体的に検討していらっしゃるのか、お伺いいたします。

宮島辰一防衛施設庁施設部施設対策第一課長

○宮島説明員 お答えいたします。  過日、二月二十四日、衆議院予算委員会で防衛庁長官は、施設関係の問題に取り組んでいく者として、これは防衛庁でございますが、いかなることが協力できるか、限られた範囲内であると思うが、検討してまいりたいと発言しておられます。この真意といいますか趣旨でございますが、防衛庁といたしましてはパインの自由化問題について直接関与する立場ではございません。しかしながら、施設、区域の提供によりその周辺区域においてパインの農業を営む者が何らかの影響を受ける場合、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づいて、農業の安定に寄与する施設の整備について検討してまいりたい、かような趣旨で述べたものと承知しております。  次に、具体的協力内容ということでございますが、当庁といたしましては従来から施設、区域周辺の農業者で演習場の提供あるいは訓練等により農業経営が阻害されている場合、農業の安定に寄与する施設としてパイン等の集出荷施設それから農民研修施設等の整備について助成してきているところでございます。したがいまして、今後とも農業者が施設、区域の提供により影響を受ける場合には同様な措置をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  以上でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 それは今まで皆さん方が基地周辺整備のことでやっていらっしゃることですから、私がお伺いしているのは、このときの水谷議員の質問は、自由化に伴って沖縄のパイン産業は非常に重大な影響を受ける、それで大分世話になっている防衛庁としてはどうするのかということに対して、おたくの長官は今後どういうことが協力できるか検討していきたいとおっしゃるから、防衛庁としては当局としてどういうことを具体的に協力したいという考えを持っているのかということ、今までの話でなくて、いわゆるパインの自由化に伴う問題についてお伺いしているわけです。

宮島辰一防衛施設庁施設部施設対策第一課長

○宮島説明員 先ほども申し上げましたが、自由化問題について直接関与するという立場にございません。ただ、私どもが実施している中に、具体的な例を一つ申し上げますと、辺野古という地域がございますが、ここに今用水のダムをつくっております。この用水を使用する、いわゆる受益者でございますけれども、その受益者の方々の中には、面積といたしまして約八ヘクタールほどパインを耕作している方々がございます。この方々の用水を安定して供給するために現在ダムを実施しておりまして、六十三年度にはこれが完成する予定でございますが、かようなことを実施してまいっております。したがいまして、防衛施設、いわゆる提供施設に因果関係が認められる場合に農業従事者、これはパイン従事者とは限りませんけれども、農業の皆さん方に先ほど申し上げましたような集出荷施設とか研修施設とかそういうものを助成してまいりたいと考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 だからそれはパインの自由化とは関係ない話です。いいですか。そのことは当然やるべきで、法律に基づいてあなた方がやっていることですから。その協力ということじゃないのですよ、受け取る側としては。パインの自由化に伴って深刻な、あるいは壊滅的な打撃を受ける、それについて防衛庁はどういうことが協力できるか検討したいとそうおっしゃっているから、では例えば——実際には何もないでしょう、自由化に伴って防衛庁として協力できるものは何もないのでしょう。どうですか。

宮島辰一防衛施設庁施設部施設対策第一課長

○宮島説明員 ございません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 ない。ということは、少なくとも予算委員会で長官がおっしゃったことはいわゆるその場の思いつき発言だったということですか。あなた、そんなこと言える。

宮島辰一防衛施設庁施設部施設対策第一課長

○宮島説明員 お答えいたします。  先ほど長官の言の中で、限られた範囲内であると思うがというその限られた範囲ということが防衛施設との、難しい言葉になりますが、因果関係というふうに承知しているわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 沖縄のパイン産業がこの自由化に伴って大変な打撃を受ける、防衛庁長官として協力したい、限られるその範囲、いろいろな問題があると思うのですが、例えば全国の自衛隊の方々に、食後のフルーツに沖縄のパイン缶詰を優先的に原価格で買い取る、そういうことはできますか、具体的に。どうですか、あなた。

笠原恒雄防衛施設庁施設部施設企画課長

○笠原説明員 お答えいたします。  私ども防衛施設庁の立場といたしましては、自由化の問題につきまして直接その問題を所掌するという立場にはございません。私どもの仕事は、施設、区域を米軍の用に提供するというのが仕事でございまして、その提供によって何らかの影響を受けられた農民の方々にいかに農業の安定に寄与する形でもっておこたえするかということであります。  今先生の御質問につきましては、私ども施設庁の所掌ではありませんので、いずれ防衛庁とも相談の上、防衛庁にその旨をお伝えしておきたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 防衛施設庁は防衛庁の中にはないのですか。おたくの長官は、確かは施設庁長官はいますけれども、その責任者は防衛庁長官なんでしょう。瓦さんはおたくの大臣じゃないのですか。しかもあなた方は、予算委員会での長官の発言を、検討しようというのに、何もありませんなんてそんな勝手なことを言っていてあなたいいのですか、それ。とにかく、あのときのいわゆる瓦長官の予算委員会での発言はただその場逃れの思いつき発言であったというような言い方をあなた方はしていますから、これ以上聞いても、そして、言いたいことたくさんありますけれども……。  パインの産地の東村においては、例のロランC基地、通信所ですね、具体的に農水省、政府が納得のできる対策を打ち出さない限り土地の再契約はしない、こう言っているでしょう。その上にまたハリァー基地もその東村に持っていこうとかそういうようなことを言い出しているけれども、そんなことでは——大臣にもお願いしたいのですけれども、国内対策をきちっと出さないと、これはもう夏場の植えるのが始まるわけですよ。植えていいのかどうか。生きられるようなことはしたいしたいとおっしゃるけれども、ではどういうふうに生きられる道をという具体的なものは何もない。防衛庁だってしかり、そうです。それでは納得できないわけですよ。言葉の使い方は悪いでしょうけれども、自由化になればもう切り捨てられるのだ、太刀打ちできない。これは後で数字で申し上げますけれども、具体的ないわゆる保護対策というものが出てこない、これではどうにも納得できない、こういうことですね。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 我が方は、先ほど来申し上げておりますように、プロジェクトチームで具体的な検討を今進めておりますので、なるべく早く結論が出るように、こういうことを申し上げておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 次に、外務省にお尋ねします。  外務省も、外務大臣が調子が——調子と言ったら失礼なのですけれども、だから具体的にどういうことを考えていらっしゃるか、これもお伺いしますが、きちっと言ってください。  これは宇野国務大臣、水谷委員の質疑に対する答弁ですが、   沖縄の基地の問題と今のパインの問題でございますが、沖縄が本当に我が国の日米安保体制のために尽くしていただいておる、そのことに関しましては常に外務省は感謝をいたしております。そのために、基地の統合、整備という問題 云々  そういうような関係の中におきまして、やはり我々といたしましてはガットの精神も生かさなくちゃならぬ。しかしながら、基地という観点から見た場合の確かにパインというものの産業、これがだんだんと圧縮されておるという姿は見るに忍びないということは、私自身も実はガットの総会に出席をされました相手国の責任者にはっきりと申し上げた次第でございます。しかしながら、いかんせんそのときには既に十二品目がパネル報告となって参加九十五カ国に通達された後でございますから、しかし最後の努力をして、よく農林省とも連絡をし合いながら二月の理事会まで延期をしてもらった。その間にいろいろな方策を講じましたが、二月の理事会においては御承知のとおり我々といたしましても一つの結論に達せざるを得なかった、さようなことでございますから、今後重要な産業として受けとめまして、不測の被害が出ないように、悪影響が出ないように、こういうことを十二分に考えながら、外務省といたしましても農水省と十分連絡をとって国内措置に全力を挙げていきたい、かように考えております。 こう大臣がお答えになっているのです。  外務省当局は具体的にどういうふうに国内措置に全力を挙げたいと考えていらっしゃるのですか。

登誠一郎外務大臣官房外務参事官

○登説明員 お答えいたします。  今先生の引用されましたとおり予算委員会において外務大臣が御答弁いたしましたのは、外務省といたしましても沖縄におけるパイナップル産業の重要性あるいはその歴史的な点等を十分認識するものでございますので、この自由化ということに立ち至りました状況において、沖縄で従来からパイナップルを栽培してこられた方の困難を少なくするために何が可能か、それから、いかにしてそういう措置を当面関心国でありますところのアメリカに理解させるかということで、最大限を尽くしていきたいというふうに御説明をされたわけでございます。  半年以上にわたりますガットのパネルにおきましても、私どもは農水省と密接に協力を行って、今の沖縄におけるパイナップルの特殊性を十分説明いたしました。ガットにおいては、単にその法理論だけではなくて、やはりそういう歴史的、社会的な問題、あるいはその特殊性についても十分考慮に入れるべきであるという主張を行って、さらに、アメリカに対しても公式あるいは非公式に沖縄におけるパイナップルの歴史的な点にもさかのぼって十分説明をして理解を得るように努めたわけでございますが、その結果、結論といたしましては、ガットのパネルにおいてこれがガットとの整合性があるというふうな結論が出なかったということは非常に残念なことだと思っております。  したがいまして、今後しかるべき国内措置あるいは国境措置をとっていくに当たりましては、これは基本的には農水省と十分御相談しなければいけませんし、農水省と御相談の上適切な措置を立案いたしますれば、その措置につきまして国際的に十分納得が得られるよう、外務省といたしましてもその持てる力を最大限に活用して国際的な理解を得るように努力していきたい、そういうふうに考える次第でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 十二品目から八品目になって、その経過は時間もございませんのでなんですが、さっきも大臣にお伺いしましたが、でん粉と乳製品は最後まで突っぱねました。パインについても、何であなたがおっしゃる特殊性を話して最後まで突っ張り切れなかったのですか、外務省は。私が申し上げるのはほかの品目も含めてですよ。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 パネル審議の過程を通じまして、農林水産省としては外務省の御協力もいただきながら、沖縄のパイナップルをめぐる事情等についてるる状況を話してまいったわけでございます。また、ガットの理事会におきましても、沖縄のパインをめぐる困難な事情等十分説明をいたしたわけでございますが、先生御承知のように、また、先ほど大臣から申し上げましたような結果としてパネルの報告書が出されまして、これの裁定を受諾せざるを得なかった、このような経過になっておるということを御了承いただきたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 私はあなたにお伺いしているのではなくて、外務省にお伺いしているのは意味があるのですよ。  さっきも冒頭に申し上げましたとおり、我が国の安全保障体制に大変な、沖縄地域はいろいろな意味で、犠牲という言葉は使いたくないのですが、在日米軍基地の半分近くは沖縄にありますし、専用基地は七五%が沖縄ですよ。そういう安保体制の基本的なところにかかわってくるという立場から、外務省としては沖縄のパインは、しかも基地問題と関連がある、なぜそれを強硬に、少なくともでん粉同様にそれを突っ張り切らなかったかということを外務省にお伺いしているんですが。答えてくださいよ。

登誠一郎外務大臣官房外務参事官

○登説明員 外務省といたしましても、このパネルの報告を受けまして最終的に日本政府としてはどういう態度をとるべきかということを決めるに当たって、いろいろなことをもちろん考えました。その中においては先ほどから御説明しているような沖縄の特殊性、基地の問題等も十分考慮に入れたんでございますけれども、結果といたしましては、最終的はガットのパネルの報告を受けるかどうかというのは、やはりガットは基本的にはガットの規則、ガットの条文にどれだけ整合性のある措置を各国がとっているかということによるわけでございまして、パイナップルについても私どもはもちろん整合性があるというふうに考えて主張はしたのでございますが、パネルの結論、パネリストの方の判断というのはそれとは違うものでございまして、そこの法的な判断について日本側と見解は分かれているわけでございますけれども、私はこれはほかの品目と比べて議論を展開するのは必ずしも適切ではないと思いますが、パイナップルについては社会的な面、それからそういう歴史的な面についてはパネリストの納得は得たと思いますけれども、法的な面では残念ながらほとんど理解は得られなかったということから、私どもとしましては、今後はパネルの報告は受けて、国内対策の面において十分沖縄のパイン栽培者の皆さんの御苦労がないように努力をすべきだというふうに判断して採択したというふうに理解していただきたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 理解できないんですよね。国内対策はあなた方外務省がやるんですか。それこそさっきの防衛庁と同じように、何も具体的なものはできないわけでしょう、外務省の職員がそんなに。これは別な話ですけれども、今そのことによりまして、いいですか登さん、この前も在沖総領事館にパイン農家の方々がたくさん行ってデモをしていますね。抗議をしていますね。いわゆる反基地感情、ひいては反米感情、こういうのが高まってくるということは、あなた方の大事な安保体制の根幹を揺るがすことになりかねないわけでしょう。 だからどうしてパインも自由化させないように必死で努力をすべきでなかったかということを私申し上げているんです。  それでは、これからパインの実施時期について交渉するわけでしょうけれども、無期延期できませんか、実施時期は。あるいは日米間の協議事項から外せ、こういう要望がありますが、どうですか。

登誠一郎外務大臣官房外務参事官

○登説明員 先生よく御存じのとおり、十二品目の自由化問題を政府で検討いたしましたときにも、ガットの整合性を回復する品目につきましても妥当な期間の確保を図るということを政府及び党の方で申し合わせをした次第でございます。したがいまして、私どももその妥当な期間を確保するように努める次第でございまして、その点につきまして先ほども御説明しましたように、アメリカを含めた関係国の理解を得るべく最大限を尽くすというように考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 これ以上言ってもおたくでは答えにならないでしょうが、いずれにしてもそういう優良土地を全部とは言わないが基地にとられているという経過もあるわけですね。ですから、もう土地を返してくれ、基地なんかどうでもいいから返してくれ、そういうことにつながっていくということで、私なりにあなた方の立場確なって心配しているわけです。  それで大臣、時間があれでしょうから、一点、このパイン農業というものの大臣の農政の位置づけを基本的な点としてお伺いしたいと思います。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 沖縄におきましては先生御承知のとおりパイナップルは専業農家もかなり多うございますし、また特定の地帯では農業生産に占めるウエートがかなり高い非常に大切な作物であるというふうに私ども認識をいたしております。また、酸性土壌で栽培をされ、風も強い台風常襲地帯でもございますので、そういった自然環境下におきましても非常に重要性を持っている作物であるというふうに認識をいたしているところでございます。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 パインも含めて、今パインのことを専門的に質問されておるわけでございますが、亜熱帯農業地帯において一体どう進めていくか。そして、この間も私現地に参りましたとき、那覇で陳情を受けた際、ある団体の一部からは花卉園芸、こうしたものについてはやがては一千億産業にしたい、そういうような極めて活力のあるベースで私に対する陳情がございました。非常に私としてはそれだけの活力ある御意見をいただいたということはありがたいことだ、やはりそれにある程度どうこたえていくかということを真剣に考えていかなければならない、こう思っておるところでございます。また、現地に参りました際に、ウリミバエ、この事業所にも立ち寄りました。そして六十七年、あと四年たてば完全にこれが駆除できる、そういうことをその団体も知っていて、これからの将来性ということをベースにした私に対する陳情かな、こう受けとめた次第でございましてパイン等も含め地域農業として立ち行くことができるように真剣な努力を重ねていきたい、こう思っております。  なお、重ねて申し上げますが、八品目の中のパインにつきましてもプロジェクトチームの中で今慎重に検討を続けておるところでございます。そしてなるべく早い方がいい——早い方がいいというのは、自由化するのが早い方がいいと言っているのではございません。心配して、先行きどうなるかということ、だからそのスケジュール等についてはなるべく早く示すことができるように今お役所で、お役人に対しても督励をいたしておるところでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 大変結構な話ですが、きょう本当にお伺いしたいのは、その対策の中身をお伺いしたいわけです。ところが、午前中から大臣のお答えを伺っておりましても、もうその辺だけでとまっているものですから、事務当局で結構ですけれども、私はぜひ何とか——生きられるようにしてあげたいと言いながら、じゃ、どういうふうに生きられるようにしてくれるのですか、我々は飢えていいのですか、飢えなくていいのですか、こうこられた場合に、いや、ちゃんと政府が責任持つと言っています。どういうふうに責任持ってくれるのですかと言うと、いや、何とも言ってません。それじゃ実際にやる方としては信用できないわけでしょう。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 いや、でありますから、今若干の時間をかしてほしい、表現を変えればそういうことなんです。今詰めている最中でございますから。そして、その処方についてはアメリカの理解を得なければならない問題もある。そういうことでプロジェクトチームで専門的に検討を始めております。これを、じゃこうしますという案をつくるのは我が農林水産省の責任でございます。そういう意味で、検討を重ねているときでございますから、そこはひとつわかっていただきたいと思うわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 大臣どうぞ。何か時間が必要なようですから。  さっき大臣も、果樹とかがこれから非常に有望である。今非常に伸びております。それはそのとおりですが、私はパインについて伺っておるのです。  沖縄県が本土復帰したのは昭和四十七年ですよ。今から十五年前。これは四十七年は統計がないので、四十八年のパインの農家数は四千百五十七戸です。現在は千四百二十戸です。この十五年間で二千七百三十七戸、パイン農家は去っていった。現在、いわゆる島復帰の時点から四割しか残っていないのです。  それから、栽培面積が、当時復帰のとき四千四百五十ヘクタール。現在は二千百六十ヘクタール。マイナス二千二百九十ヘクタール。パイン栽培面積は約半分ですね。生産量も現在は当時の六〇%、そういうふうに数字的なこの推移、傾向を見ましても、だんだんパイン産業というのは低下してきております。さらに、もう既に他の作目へ転換できるところは転換しており、これ以上パイン以外には何もできないという、ぎりぎりのところまでもう来ているわけです。現存するパイン栽培地は傾斜地とか立地条件の悪い圃場等で、他の作物への転換は無理な期待である。  さらに、今後コスト低減をするにしましても、劣悪な条件等から見て、私はそう大した期待は持てないのではないかという考えです。  例えば自由化になりまして、労働費が、パイン輸出国であるフィリピン等は我が国の十分の一。そういうところと果たして太刀打ちできるかどうか、今後自由化になった場合。そういうような問題があるわけですよ。そういう国際的な競争力が、皆さんこれからやるとおっしゃいますけれども、それは何年かかるか。なぜこれまでやってこなかったのか。自由化の実施時期も本当は無期限延期してもらわなければ成り立ちませんけれども、いずれにしても、相当厳しい課題を抱えているわけですよ。  したがいまして、私はこう思うのです。パインに限らずですけれども、いわゆる自由化されたときの国内保護すべきカテゴリーというか形態としまして、一つは恒久的に国が保護すべき品目、もう一つは当分の間保護して他に転換を図る品目、もう一つは当分の間保護すれば、後は自立できるという、カテゴリーとしてこの三つになると思うのです。私は、この沖縄のパインについては、一番の恒久的に国が保護すべき品目だと思うのですが、どうでしょうか。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 沖縄のパインの国際競争力等の面でなかなかに厳しい条件があるという点については先生御指摘のとおりであるというふうに思います。  そこで、自由化ということを迎えます場合にどのような対策が必要かということについては、先ほど来大臣もお話を申し上げましたように、今せっかく詰めておるところでございます。また、現地の方々の御意向、これも十分に承りながら、我我の考え得る最善の方策というものを見つけていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。  先生が最後にお触れになりました三つの分類はついては、ちょっと、そういうふうに分類してかかるということが妥当かどうかということもあろうと思いますので、私どもとしては沖縄のパイナップル産業の実態に即しまして最善の措置が講ぜられるということをあくまで目標にして努力をしてまいりたいというふうに考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 最善の措置、そういうようなことは言葉としてはあれですけれども、具体的にはどういう最善の措置をとってくださるのかということが聞きたいわけです。  例えば、沖縄産のパイン缶詰一個の値段が、いわゆるパッカーから卸値で一個百三十円とします。大体その前後だと思う。その百三十円で原料部分がキロ当たり、生産者が工場に渡すのはキロ四十九円ですね。あれは一つの缶詰に一・二キロの原料を使うというから、一キロ四十九円、一・二キロであれば約六十円。百三十円の原料代の部分が六十円。百三十円から六十円引くと七十円。七十円がパッカーの諸経費。これは沖縄産のですね。  では、輸入物はどうなるか。輸入というのは、フィリピンも台湾もマレーシアもいろいろ値段がありますから、ここは大体トータルして、平均して三号缶一個当たり八十五円。沖縄物が百三十円、輸入物が八十五円。そうすると、その八十五円からいわゆる工場側のもの七十円を引きますと、原料部分はその輸入物は十五円です。六十円から十五円引きますと四十五円差があるのですよ、原料段階で、一個の缶詰の中で。これは違いますか。そういう考え方は違っていますか。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 パイナップル缶詰の内外価格差についてお触れになったわけでございます。時期により、国によりまして、先生今おっしゃいましたように振れがございますけれども、最近時点で東南アジア諸国から入ってきておりますのが百円をちょっと上回るような見当でございますが、本質的に先生おっしゃいましたように内外価格差があるというところがやはり問題の中心であろうかというふうに考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 ですからその内外価格差の、今私が例示した一缶当たり例えば四十五円。沖縄は六十一年度で六十二万ケースですね。一ケースで三十六個入っているといいますから、だから一缶当たり輸入物と沖縄物と四十五円の差があるから、一ケース三十六個ですから四十五掛ける三十六掛ける六十二万ですね。そういう差は、私の計算ではトータルして大体十億前後ですね。この価格は、大体このくらいの額はどうしても政府が補てんしてあげないと成り立たないということが実態なんです。  どうでしょうか、現在パインの価格安定についての制度はありますか。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 パイナップルの価格安定をきちんと図っていくという制度は、現在ございません。先生がおっしゃいました内外価格差があるという状況のもとで、沖縄のパイナップル産業を守っていくという見地からどのような対策を講じていくかということについては、いろいろと幅広く可能な方途について検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 幅広くはよくわかりますけれども、原料用パイン価格安定対策という制度がありますね。現存していますね。これは現在自由化になっていませんから現存している制度ですね。この制度は法律に基づく制度なのか、基金の額は幾らなのか、その基金の出資比率はどうなのか。それからその上限ですね、これは補完制度ですから上限下限は幾らか、それをちょっとおっしゃってください。あなたができなければ、答弁は知っている人でいいのですよ。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 大変失礼しました。パイナップルそのものの価格をきちんと安定させるという制度ではございませんが、ただいま先生お触れになりました加工原料用果実の価格安定対策事業、中央果実基金が運営をするものでございますが、この制度には加工用のパイナップルも対象にできるような道はあけてございます。まだ現実にこれが発動されたケースは今までのところございませんけれども、ただいまおっしゃいました出資の金額等についてはちょっと数字を持ち合わせておりませんので、必要があればまた後ほど御報告をさせていただきたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 例えばさっき申し上げました内外価格差を補てんする。補てんしないとこれは成り立たないわけです、自由化された場合はですよ。そうでしょう。あなた方生きられるようにしたいと、その万全の措置を講じていると言うのだから、その価格差がそのように何らかの形で補てんされなければやっていけないことは事実でしょう。そうじゃないのですか。そういう考えはないのですか。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 内外価格差のある状況のもとでどのように農業の経営が成り立つようにしていくか、また需要の動向に応じましてどういった加工形態というものを考えていくか、そういう点を含めまして幅広く検討をしていく必要があると考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 ですから、価格差の問題も含めて、これをどういう形でやるかということも含めて検討はしていらっしゃるわけですね。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 幅広に検討をいたしておるところでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 それで、これも大臣いらっしゃった方がいいのですが、今私ちょっと申し上げましたね、現存している補完制度としては、まだ発動されてないということですが、これは私もちょっと調べましたけれども、基金が二億円ぐらいです。国が半分出資して、あとの半分は県とか農協団体、農民側も負担しているわけですね。これは何年に制度化しているかというと六十二年からですよ。沖縄のパインは、さっき申し上げたようにキロ当たり四十九円ですから、これは上限が四十五円になっているから調整する必要がない。ところが下限が三十七円ですからね。さっき申し上げましたように、輸入物は原料部分で十五円。十五円という計算は一・二キロですからね、一缶の原料のなにが。これを、十五円を一・二で割ると約十二・五ですね、十二円五十銭。だから下限が三十七円と十二円五十銭で、原料部分のある輸入物は同じような値段で売る場合はこの制度では救えないわけですね。しかも、この制度は法律に基づくものではなくして予算措置ですから、こういうものではとても沖縄の価格差補てんということはできませんよ。それはそう思いませんか。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 自由化をしたという条件のもとで、価格関係を踏まえてどのような価格面の措置を講ずべきかということについては、よく検討してみる必要があるというふうに考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 基本的にこの問題は、さっきから私申し上げておりますように、沖縄のパイン産業というのはあるいはローカル的という受けとめ方ができるかもしれませんが、そうではなくて、この問題は沖縄のいろいろなこれまでの経過があるわけです。しかも、これを国が本当に自由化ということをすれば壊滅的打撃を受けるということがわかるから、必死になって皆さん方もガットの場でパネルの段階でもいろいろやってきたけれどもそれはできなかったと弁解しておられるわけですけれども、ですからこれはあくまでも国家的政策によって行われたために打撃を受けるわけです。ですから皆さん方、自由化されるときには必死になって生きられるように検討していると言うのですから、あくまでもこれを救済する国内保護対策としては法律に基づくべきですよ、さっき申し上げたようなそういう予算措置とか通達みたいなものでの救済でなくて。予算措置なんていつどうなるかわかりませんからね。というのは、例があるわけですよ。例えば昭和三十六年に大豆、菜種ですね、自由化されたときに、ちゃんと暫定措置、立法化して、いわゆる不足払い制度でもゃんと保護対策してきたわけですね。私はこのパインの問題についても当然そうすべきだ、このように思います。いかがですか。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 先ほどの答弁の繰り返しでございますが、沖縄のパイナップル缶詰の内外価格差を踏まえた対策のあり方につきましては、実情に即した最善の対策を検討していく必要があると考えおりますが、価格制度は、先生よく御承知のように、物の特性等によりまして、なかなか同じ仕組みが違うものに適用できないという面もございますので、そこら辺も頭に置きながらよく研究をしてみる必要があるというふうに考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 では、ちょっとさっきの話に戻りますけれども、さっき申し上げましたように、今回の政府のガット自由化裁定受諾したそのことによって、沖縄のパイン産業というものは、自由化されたときには大変な打撃を受ける。その場合の国内対策としては、当然国が責任を持って法律事項的な制度でこれを救済すべきではないかと私は主張したわけですが、その点はいかがですか。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 対策の内容につきましては、よく検討いたしまして、しかる後、どのような形式でそれを実行していくかということになろうかと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 もう一つ、粗糖が自由化されたときに糖安法でちゃんと課徴金制度で国内対策をやってきていますね。価格を保証してきていますね。パインも同じような形でやるべきだと思いますが、いかがですか。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 繰り返しで恐縮でございますが、沖縄のパイナップルの実情に即した最善の措置を検討したいというふうに考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 いや、あなたね、本当に誠意も何もない、同じことを何回も繰り返すみたいで。私は、繰り返し繰り返しいろいろ例示して聞いているのを、最善を尽くす、最善を尽くす。もう少し真剣になっていただきたいと思いますよ。これは、あなたはそこでそれで済むかもしらぬけれども、沖縄のパイン関係業者にとって、あるいは沖縄にとっても、これは極めて重要な問題です。だから、外務省、防衛庁も呼んで聞いている。政府・与党の幹事長も来て、現地でこれはもうどんなことがあっても責任を持ってやります、こう言われる。おたくの大臣だって、さっき申し上げたように、やっているわけでしょう。そんな答弁じゃ私は納得できないね。もう一回ちょっと、わかるように説明してくださいよ。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 現段階は、先ほども大臣もお話し申し上げましたように、省内にもプロジェクトチームをつくりまして鋭意検討を行っている段階でございます。私どもとしては、沖縄パイナップルの実情、また、歴史的経過もございますし、先生のお話しになりました関係の農業者の方々のお気持ちというものもあると思いますので、そこいら辺も十分に承りながら検討を進めてまいりたいということで現段階では御容赦をいただきたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 じゃ、最後にひとつ抗議も要望も申し上げて、繰り返しますよ、私も。これはあくまでも国の責任で国内保護はちゃんとやらぬといかぬです。これも繰り返しますが、特殊なそういう経過もあるわけですからね。しかも、いろいろな基地問題との絡みもあるわけでしょう。ですから、そういうことも含めて考えたときに、あくまでもこれは国家の意思によって国家の政策でこうされて、農民が反対しているのに、あなた方が強行したわけだ。しかもパインだけというわけにはいきませんけれども、私はパインの立場から申し上げているわけですけれども、やはり最後まで突っぱねた品目もあるわけですからね。そういうことはしないでおいて、幾らあとおたくが説明しても、これはもう弁解にしか過ぎないし、納得できないわけですから、あくまでも法律に基づく制度によって、ちゃんとそれは過去の例があるわけですから、自由化によって国内対策した例があるわけですから、それは当然農林省が責任を持ってやっていくべきである、このことを強く申し上げまして質問を終わります。

月原茂皓自由民主党

○月原委員長 代理 木下敬之助君。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 農林水産大臣所信表明並びに昭和六十三年度農林水産予算の説明に沿って御質問いたしたいと思います。  まず、六十三年度農林水産予算の説明を見まして、とにかく一番目につきましたのはNTT資金の活用という言葉でございます。これは五回出てきます。こうして見ますと、NTT資金の活用というのに随分大きなウエートがかかっているようですが、特に何か具体的に目玉となるようなNTT資金の性質を生かした事業等の計画があれば、お伺いいたしたいと思います。

浜口義曠農林水産省大臣官房長

○浜口政府委員 先生御指摘のとおり、六十三年度予算案の中におきますNTTの資金につきましては、特に公共事業の金額をごらんいただきますと、全体の一兆五千九百八十五億円の中に占める割合におきましても、その金額二千五百四十二億という形でございまして、大きい位置を占めているわけでございます。もちろん六十二年度予算額に比べまして通常分、NTT部分を除きました金額におきましても金額はふえておりますけれども、全体で公共事業、農林水産省の部分におきまして約一九%伸びを示しております部分の大きい部分はこのNTT部分でございます。  ただいま先生の御指摘のところでは、具体的にどういうような事業があるのかというようなことでございます。特に目玉ということをまず先に挙げさせていただきますと、具体的には公共事業関係におきまして先生御案内のとおり、このNTTの使用、運用等につきましては、三つのタイプに分かれておりますけれども、まず補助金タイプ、Bタイプにおきまして大区画圃場整備を含む農地の総合整備、リゾート地域の整備等のプロジェクト、これが挙げられようかと思います。さらに、第二のタイプといいますかAタイプ、収益吸収型につきましては、市街化区域等の水田の畑地転換あるいは漁港施設整備等、あわせて行う用地造成のプロジェクト、それぞれその点につきまして大きな点に挙げられようかと思います。  金額等につきましては各省共通でございまして、農林省の具体的な金額は挙げられておりませんけれども、今後の活用の問題といたしまして、三番目のCタイプ、民活型と言われるものにつきましては、リゾート法案対象の事業であるとかあるいは農林水産省が六十一年から出しておりますグリーントピァ構想によります情報機器の整備等に活用されるものと見込まれております。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 御説明いただきまして、大体読めばわかるのですけれども、このNTTの資金、それだけ大きな数字が入ってきてこれを本当に活用するという意味で、新規のものでこれの性質に合ったものというのもあれですが、継続のものに使ったり、とにかく農林水産省としての予算がこれだけふえるわけですから一番大事なことに使えるように、継続のものみたいなものに使ったらその分はほかのものでも浮いてくるわけですから、幅広い目から眺めて、この資金を活用するということは今の農業、水産業、林業にとって本当に一番大事なものに重点的に使うということだろうと思いますので、タイプとして使えるとか使えないとかいうだけじゃなくて、その資金をほかのことで使えばほかの部分が浮く、それはこういうのに制限されずに使えるという目でやっていただきたいと思います。     〔月原委員長代理退席、委員長着席〕  次に、大臣の所信表明に沿って中身をお伺いいたします。  大臣は、第二のところで「需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開」について触れられて、「生産コストの一層の引き下げを図るため、生産資材費等の節減のための取組みを強化することとしております。」このように述べておられますが、これは具体的にはどういったことを考えておられるのか、お伺いいたします。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 先生お話しのように、生産コストの低減の面から、生産資材費の節減が非常に重要な課題になっているというふうに私ども考えておりまして、常日ごろ各種の対策を講じてきているところでございます。  六十三年度におきましても、農業機械につきましては、機械のリース事業あるいは集中管理事業というようなものをスタートさせたいということで予算を要求いたしておりますし、また肥料につきましては、粒状配合肥料、BB肥料というふうに呼んでおりますが、これのばら流通方式の導入の可能性を検討するような事業も要求をいたしているところでございます。それから農薬につきましても、精度の高い診断システムを活用いたしまして効率的な防除を行うといったような事業を実施してまいりたいというふうに考えておりまして、また関係業界等への指導を含めまして、資材の価格の節減に向けて努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 この問題で一つ申し上げておきたいと思います。  今も農機具について触れられましたけれども、農機具等の機械でどこか一カ所故障すると、もうほんの一部で、自分ではできないけれども専門家ならそこを直せば簡単に直るだろうと思われるようなものの修理等を依頼すると、その悪い箇所のある部分、一部分をそっくり取りかえる、こういうことになるのだそうです。そうすると、全体は悪くないのに一部だけ悪いとそこだけの修理をなかなかしてくれずにその部分を全部取りかえなければならない、こういったことが結局は農機具類のコスト高につくもとになっている、こういうふうな話を聞きました。どうぞこういった点も調査されまして、よく御指導していただけたらと思います。この点、一言御感想を。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 そのようなことがないように関係方面によくお話を申し上げたいと思います。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 第四のところで情報システムの整備について触れておられますが、その中に、農山漁村地域における情報システム化の推進と農業にかかわる情報の的確かつ効果的な提供を実施していくと述べておられますが、これは具体的にどういったことをして、どういう情報の提供をされるのか、お伺いいたします。

浜口義曠農林水産省大臣官房長

○浜口政府委員 先生御指摘のとおり、所信表明におきましての新しい分野といたしまして情報システム化の点が大臣からお話を申し上げたところでございます。  この点につきましては、先ほども触れさせていただきましたけれども、農林水産省におきまして、六十一年度にグリーントピア構想というようなものを実施しておりまして、六十一年から六十三年まで、六十一年二十地区、六十二年度十五地区、計三十五地区でございますが、六十三年度予算案におきまして十八地区を予定しておりますが、その中におきましていわゆる情報センターというものを設ける構想がございます。そこにおきまして、パソコン通信あるいはCATV等によりまして、気象情報あるいは栽培技術情報、さらには農産物市況情報等を農家、農業集団に提供するモデル的な情報システム構想をつくろうというものでございます。  それぞれの地域等におきましても、具体的な意欲的な案がそれぞれでき上がろうとしております。先生の御関心のところにおきましても、竹田・直入地区というところにおきましてもこの実施が行われようとしております。  これを繰り返すようでございますが、この構想策定後は、農協、市町村等を中心にいたします第三セクターというものを設立いたしまして、NTT株式の売却益による無利子融資を活用いたしまして、中核施設あるいは伝送路の整備等の構想の具体化を推進することを予定しているところでございます。その一つの理想的な形といたしましては、農産物の作付計画であるとかあるいは生産計画の策定にも活用されるものが考えられます。なお、これとは全然別でございますが、最近大分宣伝といいますかよく触れられておりますのにふるさと情報の提供というのがございます。私どもといたしましては、これも一つの農家へのあるいは農家以外へのサービスの提供の成果ではないかというふうに考えております。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 今作付の情報というのも言われましたので、申し上げておきたいと思います。  大変重要なことで、これがコンピューターに完全に整理されてしまって、じゃそれを見た人がどうするかということまで判断するとこれは非常に難しいことで、やはりかなりな指導が要るとは思いますけれども、しかし現在のところ、みんなまじめにその指導に従ってやったらかえってそれができ過ぎて困ったというような例がかなり多いと思います。とにかく同じものをつくり過ぎると過剰になって、値崩れして大変困っておりますので、ちょっとこの機会に大分のミカンのことを申し上げてみたいと思います。  今シーズンの大分県産の温州ミカンは、全国的な生産過剰のために暴落、販売価格がキロ五、六十円の状態がずっと続きました。これは販売価格で、それでお客さんが買えるのですから、実際の農家にはもう手取りはあったと言えないようなことだろうと思います。これは本当に困っておるのです。こういった状態は需給、消費の動向から判断してみて、一過性のものではなくて構造的に発生した、このように厳しく分析しておりまして、大分県の方でも、在来品種の普通温州を完全に淘汰する、二つ目に極わせ、高糖系品種に切りかえる、三つ目は落葉果樹や他の作物に転換し温州ミカンの面積を削減する、こういったことを決めて、基本に忠実に抜本的な果樹振興対策を実施することにしておるようでございます。今後のミカンの需要の動向の見通しと、また価格暴落によるミカン生産農家への救済措置をどのように考えているか、この二点、この機会にお伺いいたしたいと思います。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 需要の動向に応じましてミカンの適正な生産をしていくということが非常に大切であると思っておりますし、また消費者の選好の動向に応じまして良質なものへの転換を進めていくということも非常に大切であると私ども認識いたしております。  ことしの価格の問題につきましては、ことしの開花等の状況から、かなりの程度の摘果に農家の御協力もいただきまして進めてまいったわけでございますが、その後の天候等もございまして、かなり生産が目標を上回ったという状況から価格の低落を招いている面があると思います。そういったことで、当面ジュース向けの仕向けをふやしまして、価格の安定に努めてまいっておるところでございますが、今先生が最後にお尋ねの救済対策云々につきましては、そういうことで経営が困難になる農家に対しましては、御承知のとおり、自作農資金等の制度もあるわけでございます。さらに、個々の農家の実情によりましての償還条件等の問題が出てまいろうかというふうに考えておるところでございます。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 では、次に移りまして、第五として触れておられます中から、三点ほどお伺いいたします。  まず、「健康的で豊かな食生活の保障の観点から、日本型食生活の定着促進を図る」、このようは述べておられますが、私も全くそのとおり重要なことであると思います。そこで、まずお伺いしておきたいのですが、よく輸入食料の安全性という点が問題となりますが、これには防腐剤とか添加物とか国によって基準が違うとか、また日本では規制の対象になっていないもの、新しい物質とか、いろいろな問題があるわけでございまして、この点、農林水産大臣はどのようにお考えになっておられるのか、お伺いをいたします。

谷野陽農林水産省食品流通局長

○谷野(陽)政府委員 ただいま御指摘のように、食料品の安全性につきましての御関心は最近高まっておるわけでございます。また、輸入食料品の問題につきましては、御指摘のように、遠くの方から運搬をしてまいる、こういうことで保存の問題もございますし、また御指摘のとおり、各国によりまして食料品の規格、基準に関する違いというものもあるわけでございます。我が国におきましては、食料品の安全性につきましては、国産のものもあるいは輸入のものも通じまして食品衛生法の規定によりまして、厚生省におきましてこれに対応をしていただいておるところでございますけれども、私どもといたしましても、国民食糧の供給を担当する立場から、随時厚生省と連絡をとりつつ、対応につきまして関心を有してやってきておるわけでございます。今後も輸入食料品の増加ということは十分予想されるわけでございますので、いろいろな状況に応じまして、このような方向で対応を続けてまいりたいと考えておるわけでございます。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 厚生省もするし農林水産省も考えるでしょうけれども、最後の方で言われました、これから輸入食品がふえるという見通しで、それは見通しですから、そういう見通しはいいのですが、本当に国民の健康的で豊かな食生活を保障するという意味でいえば、当然国産の食糧をきちっと保障してもらうのが一番ですから、どうぞふえる見通しで考えるより、ちゃんと日本でつくるものを日本で食べられるようなことを保障していただきたいと思います。  次に、価格政策の運用において「国民の理解と納得が得られるよう適正な運用を期してまいります。」と述べておられますが、現在の価格制度は国民の理解と納得が得られていると思われますか。また、不満があると思われるならば、どういう点に不満があると認識されており、今後どのように改めていくつもりか、お伺いいたします。

浜口義曠農林水産省大臣官房長

○浜口政府委員 農林物資におきましては、各種のそれぞれの農林水産物の特性に応じまして価格政策がとられているわけでございます。この価格政策はいろいろの目的がございますけれども、国内生産の豊凶あるいは国際的な市場変動によります農作物の国内市場の混乱を回避するということにあるわけでございます。あるいは農作物の生産と消費、農業所得と消費者家計をともに安定させていこうという目的があるわけでございます。  これまで実施をしてまいっております農林水産省の農作物需給対策あるいは価格対策につきましては、最近におきます農作物の需給の緩和といった状況を踏まえ、あるいは円高傾向といったようなものを反映いたしまして、内外価格差の縮小をすべきであるとか、あるいは財政再建下におきます財政負担の軽減を図るべきであるとか、需給実勢の的確な反映の面で十分に機能していないという批判があるわけでございます。こういった諸批判等に対応いたしまして、農政審議会におきましてもいろいろの御議論を賜りたわけでございます。そういうものの中で、もう既に二年前になりますけれども、六十一年十一月は「構造政策を助長し、生産性向上の促進に資すること 各種農産物の需給実勢を反映し、需給均衡の確保に資することを課題として検討する」べしという御報告を賜っております。  こういうことに関連いたしまして、農林水産省といたしまして、今後育成すべき担い手に焦点を合わした重点的な運用あるいは品質の面を反映させるというようなこと、さらにまた消費者の割高感を少しでも解消するといったような点に重点を置きまして、国民の方々の、この場合におきましては消費者の方々はもちろんでございますが、生産者の方々も含めまして理解と納得を得られる価格政策の確立と展開が必要だというふうに考えておる所存でございます。そういった観点に立ちまして、これまでも価格政策の全般的な見直しといったようなことを含めまして、麦あるいは大豆の生産者価格の算定方式に関連いたしまして法律の改正もしていただいたということでございます。  以上、申し上げました農政審議会のその後の小委員会の御検討もございますが、今後とも価格政策の運用の改善に努めてまいる考えでございます。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 今国民の理解、その国民の中には消費者だけではなくて当然つくる方もと言われましたので安心はしましたのですが、このつくる方が納得しているかどうかというのは、そこの話し合いの中で納得したとかしないとかいう問題じゃなくて、結果としてつくり続けてくれるかどうかじゃないですか。要は、その話し合いの中でわかったよと言っても、これは話してもむだだということがわかってわかったよと言って、話し合った方は、国民は納得した、つくる方も納得したと思っていても、本人は、これはもう話してもしようがないからわかったよと言ったんで、自分は農業から離れる、農業をやめる、これは納得したことになりません。私は、その納得ということをそんなふうにつくる人の納得とわかっておられるのなら、どうぞひとつつくる人がっくり続けられるようなことを考えていただきたいと思います。  三点目として、食糧管理制度についてお伺いいたします。ちょっと自分の考えをずっと述べてみたいと思います。  米の需給バランスは、このところ消費は減少の傾向であり、生産性の方は向上してきておるということで、不均衡になっており、昭和六十二年から始まった水田確立対策事業では、七十七万へクタールの水田転作を余儀なくされています。なおかつ、六十二年産米は作況指数一〇二と豊作のため、昭和六十三年十月末では二百三十万トンの在庫が見込まれ、政府が言う在庫量百五十万トンよりも八十万トンも超過することになり、生産者団体はさきに決定した自主調整保管二十万トンにさらに三十五万トンを上乗せした五十五万トンを自主調整保管することになっています。一方、米の需給均衡緊急対策事業として三十万トンを消費拡大することになり、現在生産者団体を中心に積極的に取り組んでいるところであります。このような取り組みは、生産者みずからが食管制度を堅持しようとするあらわれたと思いますし、行政指導も食管制度を守るために協力してほしいと生産者に訴えてきているのが現状であると思います。  このような情勢の中で農林水産省は、米流通改善大綱、これは案だと思いますが、これで自主流通米の流通を現行四〇%から三から五年の間に六〇%に拡大し、さらに集荷、卸、小売の各段階への新規業者の参入及び需要開発米等各種規制緩和、競争原理を導入させる対策を打ち出しておられますが、これはどう解釈すればよいのでしょうか。  こういう中で、今生産者や生産者団体では、守らなければならない食管制度とは一体何なのか、大幅な減反をやって犠牲を払ってまで守らなければならない食管制度の根幹とは何か、こういった疑問が起こっております。そこで、農林水産省として食管制度の根幹とか基本とか、何を最も重視しておられるのか、制度の考え方をお伺いしたいと思います。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 食管制度の基本、根幹というのは、国民の主食である米を政府が責任を持って管理することによって、生産者に対してはその再生産を確保する、また消費者に対しては安定的にその供給責任を果たしていく、これが根幹でございます。  残余は食糧庁長官から説明させます。

甕滋食糧庁長官

○甕政府委員 大臣からただいまお答え申し上げましたように、食管制度につきましては、その基本を維持しながら、これを何といっても国民各界各層の理解と協力が得られるように適切な運営改善を図っていかなければならないわけでございまして、その一環といたしまして、これはさきの農政審答申にも示されておりますが、自主流通米の拡大等による米流通の活性化あるいは集荷、販売の両面にわたる流通体制への競争条件の導入といった改善を図りつつ、米の需給調整あるいは政府の過剰在庫発生防止のために生産者、集荷団体の主体的な取り組みといった運営改善を現在目指しておるわけでございまして、食糧管理制度に関係をいたします政府のみならず、生産、流通、消費等にわたります関係者が一様に現在の需給を初めとする厳しい状況に対しまして、その責任を分かち合いながらこの制度を守り、国民生活の安定と農業生産の安定に寄与してまいりたい、こういう趣旨であると考えております。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 次に、水産業の振興についてお伺いいたします。  つくり育てる漁業の推進について触れておられますが、これはいわゆる栽培漁業のことだと思いますが、現状とその成果をどう評価しておられるのか、お伺いいたします。

田中宏尚水産庁長官

○田中(宏尚)政府委員 栽培漁業につきましては、昭和三十七年に国営の栽培漁業センターというのがスタートしたわけでございますけれども、それ以降全国で、現時点で申し上げますと国営が十四事業所、それから都道府県営が三十七カ所というところまで来ているわけでございます。こういうところそれぞれの地域の特性に応じまして種苗の生産なり放流を行っているわけでございますけれども、最近時点で見てみますと、六十二年におきまして、例えばクルマェビでは五億尾を超える大量放流をしておりますし、それから例えばガザミでは四千三百八十万尾というような数量になっているわけでございます。  こういう今まで積み上げてきました仕事の成果でございますけれども、今お話ししましたクルマエビ、ガザミ、こういうものでは全国の漁獲量というものが若干低減してまいりましたのが、ここのところ上向いてきたということから申しましても、相当効果が出てきていると思っておりますし、それからヒラメ、カレイあるいはウニ、こういうものにつきましてもそれぞれの地域地域では上向いてきているという形がございますので、当方といたしましては、これからも国、県の栽培漁業センターの施設設備の充実でございますとか、あるいは技術者の育成あるいは漁業者等へのいろいろな普及啓蒙ということに全力を注ぎまして、なお一層の栽培漁業の振興に邁進したいと思っております。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 我が国のこれからの水産業の行く方向だと思いますので、ぜひとも力を入れていただきたいと思います。地域によっていろいろ特性がございます。それから地形によって海流がすごく激しいとか、だからそういったエネルギーが、普通でもし施設をつくってつくるのでは考えられないほどの自然の力を生かしながらの栽培漁業ができると思いますので、そういった特性に合った地域には特に重点的にやっていただきたいと思います。  最後に、農林水産物貿易問題についてお伺いいたしますが、現在の最大の関心事であります牛肉、オレンジ交渉への取り組みについて、これは農家のことを考えてみましても、いざというときの国民生活、食糧の安全保障の観点からしても決して自由化するべきではないと考えますが、大臣のこの問題に取り組む決意をお伺いいたします。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 先刻来申し上げておりますように、牛肉、かんきつの問題は、日米首脳会談においても、早くテーブルに着いて話し合おうではないか、こういうことが言われておる経過は御存じのとおりでございます。そこで、一生懸命テーブルに着こう着こうと呼びかけておりますけれども、まだテーブルに着いておりません。何としてもいろいろな手だてをして、とにかくテーブルに着いてもらう、テーブルに着いていただいたならば、我が国の現状をひとつ理解をしていただいて、現実的な解決方法に向けて全力を尽くしていこう、こういうことでございます。自由化は極めて困難であるという基本的なスタンスに立っていることはもとよりでございます。

木下敬之助民社党・民主連合

○木下委員 どうぞよろしくお願いいたします。終わります。

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 大変おそくなりましたが、幾つか質問をいたしたいと思います。  最初に、農産物自由化問題でございますが、幾つかただしておきたいのですけれども、新聞によりますと、米通商代表部のスミス次席代表は二月中旬に訪米した眞木経済局長に対して、牛肉、かんきつ問題で今後二年以内の自由化案を非公式に提案してきたと報道されておりますが、こういう事実はございましたでしょうか。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 そういう事実はございません。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 事実がないということでございますので、報道の何らかの誤りかもしれません。牛肉、かんきつについて現段階で米側が公式に日本政府に伝えてきている内容はどういうものでしょうか。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 先般私が訪米をいたしまして、この件につきまして一日も早く、早急に話し合いのテーブルに着くよう強く申し入れを行いました。しかしながら米側は自由化時期の明示を条件としたものでなければ協議には入れないという立場を明らかにいたしまして、また、このまま三月末の期限切れを迎えるような場合には米国政府にとって大きな問題となり、四月早々にも本件をガットに提訴するという意向を公式に表明したところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 米側のそういう態度に対しては当然日本政府としても大きな憤りを持っておられると思います。  大臣、ただいまも答弁されましたが、牛肉、かんきつの自由化は困難であるということですね。これはもう何遍もお聞きしておりますし、事実そうだと思いますが、困難であるということは、自由化には応じないというふうに理解をしてよろしいでしょうか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 答弁に先立ちまして、委員のお身内に御不幸があって、これが終わり次第直ちにお帰りになるということをお聞きいたしまして、心からお悔やみを申し上げたいと思います。  牛肉、かんきつの自由化、このことについて随分いろいろ議論してまいりましたけれども、一貫して申し上げておることは、とにかくテーブルに着いていただきたい、テーブルに着くに当たっては自由化を明示せよ、いや、自由化は明示はできない、とにかくテーブルに着こう、こういうやりとりに終始をいたしておりますが、あきらめずに、懲りずに、粘り強く、まずどうしても交渉のテーブルに着いてもらいたいという努力につきまして、最善の力を込めての対応をしておるところでございます。テーブルに着いていただけるものとすれば、我が国の現状を十分理解をしていただいて現実的な対応を御理解願わなければならぬ、こう思っております。自由化は困難であると当初から申し上げておるとおりでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 困難であるということは、確かに現在の状況から申しましてそのとおりですね。ただ、困難だけれども仕方がないという結論になることを皆恐れているわけですね。先日も予算委員会でお尋ねしますと、大臣も総理も、米は自由化しない、自国でつくるんだということを明確におっしゃるのですが、その御答弁とこの牛肉、かんきつの御答弁と何となくニュアンスが違うような気がして心配をしておるわけですけれども、そうではないというふうに理解してよろしいでしょうか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 一口に言えば、米は言わずもがな、こういうことでございます。そして牛肉、かんきつにつきましては我々の事情をもっと理解してほしい、今まで枠を設定して輸入をしてきたもの、いわゆる数量制限をしてきたものと日本そもそも始まって以来のものとの区別は明らかであるわけでございまして、言わずもがなと米については言っておるわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 言わずもがなという言葉でございまして、そこまでは了解ができます。数量の問題が今お話に出ましたけれども、自由化したときの数量にほぼ匹敵するぐらいのものが出てくるということもまた農民の間には心配があることも、大臣はよく御承知のことと思います。  そしてもう一つは、米側の要求がやはり何といっても言葉で言えば非常に理不尽であるということは間違いないと思います。牛肉、かんきつの自由化時期を明示せよ、さもなければ交渉に応じないし、ガットに提訴するという公式の通告であるというふうに伺ったわけです。ところが、米国自身は昨年の九月、食肉輸入法等を発動して牛肉の輸入制限を実施に移したばかりでございます。単純な数量制限ではガット違反になるので、オーストラリアとニュージーランドに輸出自主規制を求めるというやり方をとっていることも御承知のとおりです。そのアメリカが日本に対し牛肉の輸入自由化を迫るなど、これは全く身勝手千万なやり方だと思います。この点は意見は同様だと思いますが、いかがでしょうか。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○京谷政府委員 先生御指摘のとおり、アメリカは食肉輸入法を持っております。これは一定の要件に該当する場合には輸入数量の割り当てを行うということを決めておりますが、現実に発動されたのは、過去、一九七六年の四半期に一度あるのみと承知をしております。  ただ、この制度を背景といたしまして、ただいまお話ございましたように主要な輸出国に自主規制を行わせておるという実情にあることを私どもも承知をしております。この点につきましては今までもアメリカ側に指摘をしておるわけでございますが、アメリカ側は、御承知のとおり、現在開始されておりますウルグアイ・ラウンドに臨むに当たりまして、農産物の国際貿易に影響を与えるウェーバーその他すべての措置について見直しを行うという姿勢を表明しておりまして、この中には多分この食肉輸入法の問題も含まれているのではないかというふうに理解をいたしております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 牛肉輸入の自由化の問題点を農水省としてはどういうふうに把握されているでしょうか。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○京谷政府委員 牛肉につきまして現在私どもがとっております輸入数量割り当て制度を無条件かつ短時日のうちに撤廃をするということについて、私ども大変懸念を持っているわけであります。  大別しまして、第一点は、我が国の酪農を含みます大家畜生産への影響であります。御承知のとおり、農家戸数で、酪農、肉用牛生産全体にわたる大家畜生産、三十五万戸の農家で行われておるわけでございますが、この生産活動を通じまして、一部林地を含めまして約百二十万ヘクタールの土地利用も行われておるわけでございます。したがいまして、広範な機能を持っておりますこの大家畜畜産に重大な影響が出ることを懸念するわけであります。  それから第二点といたしまして、中長期的な牛肉需給の安定についての懸念でございます。御承知のとおり、牛肉の世界貿易量というのは全体の生産量の約八%程度でございまして、穀物等のようないわば国際商品としての性格がまだはっきりしておりません。かつまた我が国が輸入可能である地域につきましては、大家畜の大変恐ろしい病気でございます口蹄疫の非汚染国からの輸出に頼らざるを得ないということでございますから、マーケットはそれだけまた狭くなる。現時点での取引量としては、百三十万トン程度の規模であるわけでございます。したがいまして、そういった国際市場の状況下で我が国の牛肉需給の上で国際的な変動がもろに影響を与えるという事態になりますれば、国内におきます牛肉の需給安定、あるいは価格の安定という点で大変大きな懸念があるというふうな認識を持っております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 今懸念を表明されましたが、全くそのとおりだと思います。米についても、自由化すれば安くなるという宣伝が一時なされたわけでありますが、これはギャバート氏の発言を見ましても国際価格は二倍にはね上がるとはっきり言っておりますし、そういう意味で時がたつにつれていろいろ問題が明らかになりつつあると思います。  ところで、米国はさきの東京ラウンドに臨むに当たりまして、農産物交渉目標及び戦略に関し報告書をまとめております。御承知のフラニガン報告と呼ばれているものでございますが、その中でこう書いております。「もし日本を納得させて牛肉を自由化させられれば、供給が急増したとき、日本が安全弁の役割を果たすことになる」というふうに述べております。要するに生産過剰になった場合に日本が安全弁だ、日本が調整機関だ、ひとたび自由化すればそういう役割を果たすんだという言い方ですね。これは裏を返せば、世界的に需給が逼迫したときは日本から引き揚げる、すなわち日本には生産物を回さないということになってくると思います。これは極めて重大な問題でございまして、農水省の方も逼迫ぎみで推移するであろうというふうに述べておりますが、牛肉の自由化をしましたならば、日本がいわゆる安全弁にさせられ思うように振り回されることになると思うのでございまして、この自由化要求をのんだら事態は重大だと思います。その意味で重ねて自由化拒否の決意を固めていただきたいということを強く要請したいと思いますが、この点は御理解いただけるでしょうか。

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○佐藤国務大臣 今のアメリカ側の言っておるそのお話は、輸出国としての立場のみを強調しているように拝聴をいたしました。そういうことで、自国の利益のみを言われたのではかなわないのでありまして、そういう意味では私どもにも言うべきことはございます。歴史の浅い畜産関係につきましてやはり適当な供給体制、生産体制はつくっていかなければならない、そしてできるだけコストを安くして、しかしそうはいいながらも経済合理主義だけではいかない主要農畜産物、こういうことも考えますと、ただ一方的に言われるのはいかがなものかな、この感想を率直に申し上げておきます。ですから、自由化は困難であると明言をいたしておるわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 かんきつの自由化のことについて一言触れたいと思いますが、先ほども御質問がありましたように、ミカン農家の困難な実情というものは価格暴落によって起こっている事態をよく御承知のことと思います。この上自由化などとんでもないというのが本当の気持ちでございまして、このミカン生産者の声を我々は十分把握しておかなければならぬと思います。  先般、アメリカでかんきつ潰瘍が発見をされました。米国はこのかんきつ潰瘍病等を理由に日本からのミカン輸入を規制しております。最近輸入受け入れ州は拡大されはしましたけれども、日本から輸入するミカンは厳格に隔離された果樹園で生産されたもの以外受け付けておりません。にもかかわらず、日本に対しては自由化要求とともに検疫の緩和措置まで言ってきていることは御承知のとおりでございますが、牛肉問題と同様、米国の要求はこの点でも非常に不当だと思いますが、この検疫問題についてどうお考えでしょうか。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 米国産農産物を含めまして海外からの農産物につきましては、病害虫の侵入を防止するという見地から植物検疫を行っているわけでございまして、私どもこういった問題に対する対処といたしましては、検査技術、消毒技術の開発等の技術的裏づけのあるものにつきまして、十分なデータの評価等を含めて万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 次の問題をお伺いいたします。  二月一日に、ガット裁定一括受諾に当たりまして、政府と自民党の申し合わせがなされております。これは我が国農業への不測の悪影響を回避するため、所要かつ適切な国内措置、国境措置を確保するという中身のものでございます。  ところで、十二品目関連予算の推移を見てみますと、ここに農水省作成資料をいただいております。これは予算委員会に提出された資料とお聞しておりますが、この中で、「乳製品及び牛肉調製品関係」あるいは「フルーツピューレ、ペースト、パルプ、パインアップル調製品、非かんきつ果汁関係」あるいは「トマトジュース、トマトケチャップ、トマトソース関係」「でん粉、雑豆、落花生関係」とずっと出ております。これを見ますと、いわゆる軒並みに予算が削減されているわけです。これは六十三年度予算、今審議されておるさなかの予算でございますが、この基礎にやはり臨調路線がございまして、農業予算の削減政策がいわゆる臨調路線としてここにあらわれているのではなかろうか。特に価格維持予算が削減をされておると思います。本当に国内措置をとるというならば、この臨調路線を今度の自由化問題と関連をして撤回しなければどうにもならないのではないかと思うのでございますが、その点はどうお考えでしょうか。

浜口義曠農林水産省大臣官房長

○浜口政府委員 いわゆる十二品目関連におきまして、粉乳等乳製品及びでん粉とを除く品目のものにつきまして、ガットに適応する措置に移行することとなるわけでございます。ただいま先生からお読みになられました三項目のところにもございますが、この移行に当たりまして我が国農業の将来に禍根を残すことのないよう農林水産省といたしまして全力を挙げておりまして、関係各方面からの意見の聴取等十分手順を踏みつつ、国内措置につき最大の努力の傾注を行っているところでございます。  このために、大臣の指示によりまして省内に農産物自由化関連対策検討プロジェクトチームを設置したところでございまして、現在具体的措置を検討しているところでございます。この具体的措置におきまして、品目ごとの特性あるいは地域農業における位置づけ等の配慮を行いまして、具体的方向といたしましては農業生産対策あるいは農産物加工対策等幅広い対策を検討しているところでございます。  ただいま先生は農林予算の私どもが提出させていただきました関連の十二品目の資料等から、内容的に削減の傾向が見られるという御指摘がございました。具体的な問題におきましてその資料等の「注」にも書かせていただいておりますが、この十二品目あるいはいわゆる八品目等に関連する部分につきまして、予算上の計上の問題からいきまして、その他ある部分については広く、ある部分については直接的なものという経緯がございます。それから、具体的な予算の推移におきまして、そのときの要請に応じまして具体的数字が変動することは、いろいろな状況から見て間々あることでございます。  ただ、私どもの考え方としまして、ただいま行政改革路線ということの御指摘がございましたが、確かに農林水産予算というものは、全体の予算というものについてマイナスシーリングという形でここ数年間減ってきているということは事実でございますが、その中におきまして、ウエートの置き方、農業政策の置き方あるいは構造政策への重点の配分等々からいきまして、価格政策といったようなものについてのできる限りの重点の置き方の変更といったようなことも行ったわけでございますけれども、そういう実態に応じつつ、私どもといたしましては、足腰の強い農業といったようなもの、特に構造政策の方に重点を置くといったようなことから、価格政策の検討、全般的な見直し等々を行いながら予算の編成を行ったわけでございます。  ただいま先生の御指摘のところは、私どもの考えといたしまして、先ほどの三項目といったようなものにつきましては、既に政府・与党と申しますか、政府の中でのいろいろな御議論の上に立てられた方向づけでございまして、政府一体としてこの今回のガットの方向に沿いまして対策というものは立てられるということでございまして、私どもとしては、繰り返すようでございますが、我が国農業への不測の悪影響を回避するため、所要かつ適切な国内措置、予算措置も確保することとすべく現在鋭意検討を行っているところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 「国境措置を確保する」というふうに申し合わせに出ておりますが、例えばECが実施しているような輸入課徴金制度など実効ある措置をとられるのかどうか、この点どうでしょうか。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 国境措置につきましても、やはり国内対策との関連を十分考慮して、それとあわせてどういう効果なりそういうものが出てくるかということを考えなければならないと考えております。そういう意味で、プロジェクトチームの中で今後具体的措置を国内措置とあわせて検討していくわけでございますが、いずれにいたしましても、やはりガットとの整合性といったような見地、そういうものも考え、まず国際的な理解も得られるということも必要であろうと思います。そういう点も考慮に入れながら具体的な措置を検討してまいりたい、このように考えているわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 関税措置の場合も、幾つかの品目は協定で税率が決められております。それから、いわゆる前川リポートや、さらに昭和六十年の市場開放のためのアクションプログラムに示されるように、関税障壁、非関税障壁を極力取り払っていくというのが今まで政府のとってこられた基本路線であると思います。そういう中で、輸入数量制限を取り払って後の国境措置に多くの期待をかけることができるであろうかという問題が提起されておりますが、この点についてはどうお答えになりますか。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○眞木政府委員 ただいま委員御指摘のように、これまで国内農業との調和を図る中で全体としてやはり市場アクセスの改善にも努力をしてきたところでございます。そのもとで、関税につきましてもその水準をできるものから下げていくという政策もとってまいりました。しかし今回のこの十品目、その中でのいわゆる八品目につきましては、これを自由化をするということで一つの大きな政策の転換をするわけでございます。したがって、そういう特別な事情といったものも考慮し、なおかつ先ほど御答弁申し上げたような状況も頭に入れながら適切な措置を講じてまいりたい、このように考えておるところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 農水省幹部の発言が新聞に出ておりますが、国境措置といってもIQにかわる妙案があるわけじゃないし、もしあったら十二品目でこれだけもめる必要がなかったという言葉がいみじくも語られておりますように、今後の日米二国間交渉を見ました場合に、八品目も含めて自由化要求を拒否する強い姿勢で臨む必要があると思うのです。確かにガット一括受諾という事実は、これは消せないものでありますけれども、今まで私は撤回を要求してきたのですが、しかしまだ二国間交渉も残っているわけですね。その中でこれらの強い態度を毅然として持ち続けていただきたいということを要請しまして、この問題は終わりたいと思います。  次に、個別の問題になりますが、減反とペナルティーのことなんですが、これは理屈は申し上げませんが、こういう一例がございます。  これはもう既に農水省の方、御承知と思いますので詳しく説明することはしませんが、千葉県の佐原市の場合ですね、ここは努力はしておられるけれども減反目標に達しなかったわけでございまして、そのために一億六千万円の農業関係補助金及び六千万円の融資の全面カットの通告が佐原市に対してなされております。この佐原市は、お聞きしますと超湿田地域で転作も容易でない地域でございますが、そのペナルティーの中身には、例えばふるさと果樹づくり推進事業あるいは養蚕経営近代化促進対策事業、それから地域野菜生産流通整備事業あるいは畜産環境対策事業等が入っております。このペナルティーによって、稲作水田農業とは別なものであるばかりか、転作を進めるために必要な補助金までカットされるという事態が起こっているわけでございますが、この点について農水省の方では県の補助金の復活を求めたようでございますが、その後、千葉県は佐原市長に対して、来年度は減反を一〇〇%やるという確約証を出しなさい、確約証を出さなければ補助金は支給しないと言ってきたと言われております。ペナルティーのことは今までもいろいろ予測上の問題として各地で起こってきたわけですけれども、これは具体的に起こってまいりまして困惑をきわめているわけでございますが、この点はどういう御指導をなさっているのでしょうか。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 水田農業確立対策は、御承知のとおり農林水産省を挙げて取り組んでおります非常に重要な事業でございまして、この事業を有効に推進していくという見地から、関係の事業予算につきましても最大限効率的な活用を図るという見地から運営をしてまいっておるわけでございます。ただいまお触れになりました具体地区の具体的な問題について今つまびらかな資料を持ち合わせておりませんが、そういった考え方から御指摘のようなことが出てまいったのかなというふうに考えられるわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 これは、資料が今ないようですからこれ以上申し上げませんが、佐原市長が確約証を出しているんですね、来年度は一〇〇%やりますと。ところが県の方では、市長の市議会の答弁だろうと思いますが、その答弁が気に入らないということで、三月の議会において市長の答弁を見てから補助金の支給をするということでおくらせているということでございます。しかし、市長の市議会に対する答弁というのは、これは議会の自治権の問題でございまして、それで気に入らぬ答弁をしたといううわさを聞いたというようなことでこれをとめるということは、これは私はもってのほかだと思っておりますが、そのためにナシ栽培農家の問題が出ておりまして、転換水田県単整備事業の補助金がおりないために土壌改良工事ができなくて苗が枯れてしまうというところまで追い込まれているという訴えが出てまいりました。ペナルティーというのはそこまでやるのかなということでございまして、率直に言いましてこの減反政策にはどこの県もどこの町村も、農協を含めて四苦八苦しているわけです。ここの場合は超湿田地帯でございますから、この苦労はより大きかったと思うのですね。しかし、サボってやらないのではなくて懸命に努力をしてできなかった場合に、これほど厳しい罰則を科すということが果たして農政上正しいことであろうかという問題です。ナシの苗が枯れるというところまで追い込むことは、私はやり過ぎじゃないかというふうに思うのでございまして、この点について、今の御答弁では十分資料を持ち合わせていないとおっしゃいますので、どうかひとつ実情を調査していただいて、やはり農民の立場に立って、将来においてこれを解決していくという見通しを立てていくとか、やり方は幾つもあると私は思うのですね。その点をぜひお願いをしたいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。

吉國隆農林水産省農蚕園芸局長

○吉國政府委員 ちょっと事実関係を、今おっしゃいましたいろいろの点につきまして把握をいたしませんと的確なお答えができないというふうに思いますが、先ほど申し上げましたように、この対策の実効を期していく上で、各種の事業の採択に当たりましてこの事業に熱心に取り組んでいただいている地区を優先的に扱っていくという原則の問題がございますので、実情を調べましてその趣旨からはみ出るものがあるのかどうかということについては、私ども調べてみたいと思っております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 ぜひ調査をお願いしたいと思います。同時に、いかなることでもやはり情状の酌量ということもございますので、そういう意味で、事は農民の将来にわたる生活権の問題もかかっておりますので、よろしく要請いたしたいと思います。  最後に、日米漁業問題について簡単に触れたいと思います。  昨年末、日米漁業協定が締結されました。その目的には、アメリカ二百海里水域内で日本の漁船による漁獲を継続させるための原則と手続についての了解を確立することがうたわれております。要するに、日本の漁船の漁獲を継続させることが目的、こういう前提になっております。ところが、その後米側ではアメリカ二百海里水域内での外国向け漁獲割り当てをゼロといたしました。もちろん日本への割り当てもゼロでございます。洋上買い上げ枠は若干残されておりますが、こういう結果を生んでいるわけです。これでは協定を締結した意味がなくなると思います。  これは、この条約の提案がなされましたときに宇野外務大臣が説明をされておりますが、「この協定の締結によりまして、明年一月一日以降においても我が国の漁船が米国の地先沖合で引き続き操業することが可能となります。」というのが、昨年十二月四日の外務委員会における宇野外務大臣の答弁でございますが、事実は全く違ってきたわけですね。これでは協定を結んだ意味がなくなっているのではないかと思いますが、この点はどうお考えでしょうか。

田中宏尚水産庁長官

○田中(宏尚)政府委員 アメリカ二百海里内での継続的、安定的な漁業ということを目途として条約を結ばれてき、今までもそういう路線で話し合いが進められてきたわけでございますけれども、残念ながらここのところのアメリカの、自国漁業資源を自国によって完全に消化したい、利用したいという機運が非常に高まってまいりまして、今年度は御指摘のようにゼロになったわけでございます。  我々といたしましても、今までの経緯、いろいろな漁業協力なりいろいろな積み重ねの経緯からいいまして非常に問題でございますが、ことしの一月の際のこういう当初枠の最終決定の際に、今後、年度途中におきます対日漁獲割り当ての可能性というものも残されているわけでございます。といいますのは、自国の漁民に割り当てた量が十分に消化できないというときには優先的に外国に割り当てましょうというようなことがアナウンスされておりますので、一つはできるだけそれを早く放出させるということなり、あるいはただいま先生からお話がありました洋上買魚事業、こういうものを円滑に進めまして、できるだけ影響のないような形に持ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 意味はわかりますが、こういうことになりますと、協定の精神にも反するこの措置は納得いかないのは当然でございまして、日本向け漁獲割り当てを措置するよう米側に対して強く働きかけるべきだと思いますし、また今回北太平洋漁業委員会の勧告を見ましても、その可能数ですが、これは外に向かってはゼロでアメリカの漁獲は二倍にしておりますね。そうしますとアメリカの漁獲が伸びなければ枠が残るわけで、今おっしゃったようにこれを回せということもできると思います。実際には漁獲割り当てがゼロのために出漁できない、特に北洋はえ縄漁業を中心にいたしまして重大な打撃が起こっているわけでございまして、この点についても当然毅然として要求すべきものは要求していただきたいと思いますが、もう一度伺いますけれどもそれでよろしいですか。

田中宏尚水産庁長官

○田中(宏尚)政府委員 先ほど申し上げましたように年度途中での放出の余地もございますので、全力を挙げてそれに当たってまいりたいと思っておりますし、それから漁場転換等につきましても、ソビエト等との交渉を民間が行っておりますのでこれを側面からバックアップしてまいりたいというふうに考えております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 時間はまだ少し残っておりますが、遅くなっておりますのでこれで終わりたいと思います。  最後に、佐藤農水大臣から最初に私の身内の不幸につきまして御丁寧な言葉をいただきまして、まことに恐縮でございます。ありがとうございました。  終わります。

菊池福治郎自由民主党

○菊池委員長 次回は、明二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとしまして、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十九分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗