外務委員会 第11号
- 発言数
- 355 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1988/05/11
会議録
○糸山委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の審査のため、本日、参考人として日本原子力研究所副理事長森茂君の出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○糸山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ────◇─────
○糸山委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中直紀君。
○田中(直)委員 宇野外務大臣におかれましては、アジア歴訪、大変お疲れさまでございました。歴訪の御報告を承る前に、昨日の報道で出ておりますが、よど号事件の一人であります柴田泰弘が旅券法違反容疑で逮捕された事件に関しまして、柴田は数年前に北朝鮮を出国しておる、そしてまた、それ以外の犯人グループも既に日本に潜入しておるのではなかろうかという見方も出ておるわけでございます。 ソウル・オリンピックへ向けてテロを画策しておるおそれがある、あるいは組織的なところもあるのではなかろうか、こういう報道もあるわけでありますが、重大な関心を払わなければならない状態ではなかろうか、こういうふうに思います。国際テロ防止のため、政府としてこの事件に対する見解と今後の対応についてお伺いをいたしたいと思います。 〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
○宇野国務大臣 六日に旅券法違反で逮捕された人物がよど号事件犯人の柴田泰弘と判明いたしております。 外務省としては、今まで日本赤軍とともによど号事件のグループがどうもタイアップしていろいろ画策しているのではなかろうかという情報がしきりでございましたから、四月末に外務省内に赤軍関係連絡対策会議というものを設置しまして、在外公館に対しまして十二分に警戒するよう、また情報交換もするよう訓令を出して措置をしてまいった次第でございます。 もちろん、これは警察当局とも十二分に連絡を取り合った次第でございますが、不幸私たちの予感が的中して、そして犯人が一人でも挙がったということはこれはテロ対策上大変な効果である、こういうふうに考えております。今後オリンピックを成功さすためにも十二分にこの方面の警戒は怠ってはならない、かように存じておる次第でございます。
○田中(直)委員 オリンピックの成功のために十二分に対策をお願い申し上げたいと思います。 それから、外務大臣御帰国後の奥野国土庁長官の再発言があったわけでありますが、昨日、衆議院の内閣委員会において小渕官房長官が政府としての基本的な立場を明らかにいたしておるところでございます。そういう意味で御苦労が多いと思いますが、その線で御努力をお願いを申し上げたいと思います。 それでは、まずアジア歴訪を踏まえまして日中関係につきましてお伺いをいたしたいと思います。 ことしは日中平和友好条約締結十周年でございますし、大臣がみずから訪中されたということは大変有意義なことではなかろうかというふうに思っております。 また、新政府閣僚であります銭其シン外交部長とは三時間以上も外相会談を行われたということでありますし、李鵬総理、趙紫陽総書記との会見も行われたということであります。日中友好協力関係を一層強化発展させていくという方針を明らかにされましたし、大変雰囲気がよろしかったというふうに伝えられておるわけであります。 今回の訪中の成果を踏まえまして、光華寮問題、ココム規制緩和等いろいろございますが、これからの対中国外交をどのように進めていかれるか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
○宇野国務大臣 過般中国に参りまして、まず日中平和友好条約十周年、これを心から祝意を表さなければならない年である、そのために竹下総理が訪中をなさる。そのための言うならば下ごしらえとでも申しましょうか、中国の新しい政府の要人とお目にかかることができましたことは私といたしましても大きな喜びでございました。 そして、そこで日中友好が再確認をされ、私は日中友好の拡大こそ日本外交の大きな柱であるというふうに申し上げまして、いろいろな問題に関して意見の交換をいたしたものでございます。光華寮ももちろん問題になりましたし、一閣僚の発言も問題になりましたし、ココムに関しましても意見を交換したような次第でございます。 非常に短い時間でございますから、もし再質問があらば私もまたそれらの個々の問題についてもお答え申し上げたいと思いますが、大きくとらまえました場合に、現在、中国は趙紫陽総書記のもとにおいて、また李鵬総理のもとにおいて開放と改革という大きな政策を掲げて前進しておられます。言うならばソ連式コルホーズとかソホーズとか、ああいうふうな社会主義では改革もできないし、開放もあり得ないし、発展もないというふうなところに私は思想の根底があるのではないだろうか。 だから、社会主義の枠内においても当然改革や開放はすべきである、なさるべきである、こういうような異常な決意のもとにやっておられまして、そして特に総理が私に申されましたことは、深センから大連に至る間には約二億の中国人が住んでおります、ここにおいて経済の拡大発展が日本の協力等も得てなさるならばアジアの繁栄に大いに貢献すると思います、ぜひともよろしく今後御協力のほどをというふうな言葉が述べられまして、そうした面におきましても私たちは今後なお一層日中友好は経済協力も必要、同時に文化交流も必要、人的交流も必要、そういうような意見をお互いに実りある意見として、今回はそうした成果を上げ得たのではないだろうか、私はかように考えております。
○田中(直)委員 今外務大臣がお話しのように、中国は開放と改革ということで経済政策を進めてきておるわけでございます。大臣も、今お話しがありましたように、蛇口、深セン、広州、大連と直接実情を視察されたわけでございます。国を挙げて近代化建設の努力を進めているところでありますし、我が国としましても、このような中国の近代化建設の努力をできる限り支援していくべきである、こういうふうに思っております。 外務省としましても、外相の訪問を踏まえて対中国投資を拡大するあり方を検討する諮問委員会を設置をしよう、こういう話もあるようでございますが、その辺、具体的に決意のほどと、そして今の日中関係の成熟した環境の中で具体的に一つ一つ進めていただければありがたいと思っておるところでございます。その辺の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
○宇野国務大臣 今田中委員が申されましたことは非常に大切な点でございまして、私たちも中国の近代化のためには協力を惜しんではいけない、むしろ積極的に手を結んで日中平和友好条約の精神を永久に生かすべきだ、こういうふうに私は申し上げておる次第でございます。 そこで、まず現在、貿易と投資というふうに分けました場合には、貿易の方においては収支の改善が大きくなされております。これも我々国民が内需の拡大をいたしまして輸入を盛んにしておる、そうした効果が対中貿易においてもあらわれておりますので、この点は先方も非常に高く評価されておりました。しかし、投資の方がそういう意味では若干おくれておるというふうな感なきにしもあらずでございます。 むしろアメリカの方が非常に中国に対する投資の意欲を持っておる、こういうことを私自身も統計等々によりまして知っておりましたので、そこでお互いに近代化に協力するためには、政府直接の協力もあるが、民間によるところの投資ということにおいて、そしてやはりそうした開放政策、改革政策を推進するための御協力も申し上げる、これは必要だということでございますので、投資保護協定という一つの協定、今日まで中断されたような形でありますが、私の方からもぜひともこれを再開してはどうだろうかと申し上げましたところ、李鵬総理の方から積極的に、日本の竹下総理が八月にお越しになる、それをめどに双方でやってはどうでしょうかというふうな話もございまして、それは非常に望むところだということでございますので、早速六月の初旬からその作業に入りたいということをこちらも申し入れまして、北京でやるのか東京でやるのか、場所はどちらでも御都合のいいところでいいから、どちらでなくちゃならぬと言っておると遅くなりますから、どんどんと意見の交換をしましょう、こういうふうに申し上げてまいりましたので、今田中委員が御指摘のように、こちらからも積極的にそうした問題にも取り組んでいきたい、かように思っておる次第であります。
○田中(直)委員 具体的に強力にお願いを申し上げたいと思います。 引き続きまして、宇野大臣におかれましてはインドネシア、シンガポールを歴訪されたわけでございます。両国の指導者と二国間の関係あるいは東南アジア情勢を含む国際問題につき幅広い意見交換を行ってこられたと聞いております。 我が国の位置づけはアジア・太平洋地域の一員である、こういう中にありまして、対ASEAN外交の重要な問題がございます。そしてまた最近経済力を大変つけておりますNICSの諸国の方々の立場もあるわけでございますし、これからそういう意味ではOECDの閣僚理事会がございます。そしてまたサミットあるいはアジアのASEANの拡大外相会議、こういうスケジュールが出てきておりますし、政策のサーベイランスといいますか、相互の意見交換、交流というものがこれから非常に頻繁に行われてくるという状況ではなかろうかと思います。 そういう意味で、アジア・太平洋地域におきまして、今般、訪中後、外務大臣は交流拡大の三原則ということで、これから積極的に経済協力を中心にリーダーシップを発揮していかれる、こういう意欲を示されたわけであります。なかなか各国の事情、立場というものがありますから、リーダーシップ、あるいは調整方ということにもなりましょうか、また橋渡しをする立場にもなろうかと思いますが、その辺の日本の立場というものは逆に大変注目をされておるのではなかろうかというふうに思っております。 そういう意味で、この交流拡大の三原則に基づきましてこれからどういうふうに進めていかれるのか、その辺、御所見をお伺いいたしたいと思います。
○宇野国務大臣 ちょうどASEANを回っておりましたその視察、また訪問旅行の最終段階に私は三原則というものを発表させていただいたわけでございます。 それは、今回の私のアジア訪問は中国を含めまして、来週から国会のお許しを得てOECDに出るわけでございますが、日本は先進国であると同時にアジアの一員である、太平洋の一員である、こういう足場がございますから、したがいましてOECDに臨むからにはNICSの問題も話題となろう、だからどういう御意見でございましょうか、そういう意味でシンガポール、香港を訪問いたしました。またトロント・サミットも近く行われるが、日本はアジアの唯一の代表国である、かように思うとASEANの有力なインドネシアの御意見も承っておきたい、こういうことで私は参ったような次第でございます。 その結果、三原則をつくりまして、もう既に御承知のとおり、アジア・太平洋のダイナミックな経済は世界的な構造調整に対し一層重要な役割を果たすであろう、これが第一番目でございますから、我々といたしましても、それぞれの地域の開発途上国のイニシアチブを尊重しながらお互いに輪を広げていこうではないか、これが第一番目でございます。現に日本が構造調整に成功しております。そして輸出型産業から国内依存型産業というふうに苦労を重ねましたが、成功しております。このことはアジア諸国におきましても非常に評価をいたしております。それが第一点でございますから、ひとつそうしたことでお互いに手を取り合っていきましょうということであります。 第二番目には、この地域の発展は自由かつ開放的な貿易体制の強化につながるであろうということでありまして、当然、中国におきましても開放、改革、その他の諸国におきましてもそうした思想に基づきまして頑張っていらっしゃいます。だから保護貿易体制ではだめだよというのが私が訪問いたしました各首脳のそれぞれの御意見でございました。 三番目には、そのために多角的情報交換と対話によって地域の相互理解を促進する。 これが三原則でございまして、お互いに情報交換ということがやはり大切で、また余り小難しい会議、会議というよりも、電話をかけ合ってしゃべるぐらいになろうや、あるいは定期外相会議も必要だけれども、時と場合にはふらりとやってきたよというぐらいの話し合いというものも必要ではなかろうか、ひとつそういうふうに今後ダイナミックに考えてまいりましょう、これがアジアに対する今後の日本の三本柱として動くのならば効果があるのではなかろうか、親善が余計深まるのではなかろうか、かように存じまして、僭越でございますが、一応三原則とうたった次第であります。 〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
○田中(直)委員 外務大臣の御活躍に期待をいたしたいと思います。 余り時間がございませんので、日ソ関係につきまして若干触れたいと思います。 社会党の土井委員長あるいは共産党の不破副議長が訪ソされました。我が委員会の糸山外務委員長も訪ソされましてシェワルナゼ外相と会談をされたわけであります。我が国にとって、日ソ双方の努力によりまして関係改善をする時期ではなかろうかというふうに判断をされるわけでございますし、日ソ外相間定期協議の早期開催というものを求めておるわけでございます。 そういう意味で両国間の対話が重要な時期でございますし、外相にも御努力をお願い申し上げたい、こういうふうに思っております。日ソ関係につきまして御所見をお伺いいたしたいと思います。
○宇野国務大臣 幸い、糸山委員長も連休を利用してアメリカ訪問、ソ連訪問、そして首脳との会談を果たしていただきまして、いろいろな意見を申し述べていただいたことに対し、この場をおかりしてお礼を申し上げる次第でございます。 今申されましたとおり、当然我が国は諸外国と友好親善を図らなくてはなりませんし、ましてや隣国であります。その関係改善に私たちも努力をいたしておるところでございます。ぜひとも早くシェワルナゼ外相に来ていただきまして、山積する問題を忌憚なく話し合っていきたい、かように考えておる次第でございます。 もちろん、六月にソ連内の重要な大会がある、これも注目されるというふうな話もございますから、そうしたことを見守りながら、やはり関係改善は大切なことだということで懸命の努力をしていきたい、かように存じております。
○田中(直)委員 最後に一件だけ御要請を申し上げておきます。 日ソサケ・マス交渉が妥結をいたしまして、漁獲量が一五%減ということで決まったわけでありますが、母船式のサケ・マス独航船が操業をいたしておりましたアメリカの二百海里内の問題につきまして今訴訟中でありますが、日本にとっては大変厳しい状況に立ち至っておる。特に日米加漁業国際条約に加盟をいたしまして、漁業につきましては、そういう意味では国際的にも大変協力をしてきておるわけでありますが、こういう事態に立ち至っておるわけであります。 漁期が近くなっておりますし、この地域で操業ができないということになりますと、ますます減船をしなければいけない事態に立ち至る状況でございますので、政府の対応を強力にお願いを申し上げまして、これは要請でございますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 以上でございます。終わります。
○糸山委員長 河上民雄君。
○河上委員 ただいま田中委員から、いろいろ現時点についての御質問がありましたが、最近、竹下総理が西欧諸国を歴訪されまして、その際に、いろいろ竹下ドクトリンなども発表されております。また、宇野外務大臣御自身も、中国初めASEAN諸国を歴訪してお帰りになったところでございますので、この点について御質問させていただきたいと思います。
○宇野国務大臣 今、日本は、河上委員も御承知のとおり、世界じゅうの国々とやはりよい関係をつくり上げていかなければなりません。 そのためには、従来は総理大臣がお行きになると外務大臣が随行するという機会が多かったのでございますが、これではいろいろな要望におこたえすることがなかなかできませんから、重要な国際会議はお供することにして、そのほかはひとつ手分けでもして日本の親善を各地において尽くすべきである、こういう基本理念が総理にもございますから、総理はトロント・サミットに向けて欧州の首脳とより一層親交を図っていく、そのためにヨーロッパに行ってくる、また、私はトロント・サミット等々国際会議に臨むに際して、やはりアジアの一員である、太平洋諸国の一員であるという立場から中国を初めASEANの有力国をまずお回りする、そういうふうに、言うならば手分けをして参りましょうということで、この連休を利用させていただいたものでございます。 総理の方は、御承知のとおり、ほとんどの首脳とこれで親交を結ばれました。フランスは選挙の最中でございましたが、ミッテラン大総領とは旧知の間柄でございますので、そうした足場固めをなさいました。特に、日米間と日欧間を考えると、日欧間は米欧間よりも薄く、また、日米間よりも薄い、これであってはいけないので、ひとつ正三角形をつくりたい、こういう意欲で欧州訪問をされたわけでございます。 私も、先ほど申し上げましたようなことで、トロント・サミットに際して、アジアの方々はどういうことを主張なさるか、私もひとつお聞きしたいものである、あるいはOECDに出席するに際して、しゃしゃり出るわけではないが、やはりアジアの一員としてNICSはどういうお考えを持っていらっしゃるか、これも聞いておきたいものであるということで、そうした意味ではそれぞれが一つの収穫を得て、また新しい国際会議に臨めるのではないだろうか。同時に、日本はそれぞれの国々との国交をさらに深めることができたのではないだろうか、かように思っておる次第であります。
○河上委員 それでは、外務大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、竹下総理が言われますいわゆる正三角形論ですが、いま一つ内容がはっきりいたしません。 一体これは従来の我が国が対米偏重であったということに対する一つの反省からなのか、あるいは西欧諸国に対する一種のリップサービスだったのか。例えば、我が国の貿易ですね、対米貿易は四〇%を占めておりまして、ヨーロッパ諸国に比較いたしましても、対米偏重は非常に目立っておるわけですね。こういうことを今後是正していくというようなお考えであるのかどうか、その点はいかがでございますか。
○宇野国務大臣 貿易から申しますと、やはり太平洋を挟んだ日本とアメリカの方が交易は昔から多かった。これは、では、それ並みに欧州もできるかというと、貿易の内容にもよりますので、いろいろと問題はあろうかと私は思います。しかし、欧州みずからも、今まで理解をしておらなかった日本だということをはっきり言っていらっしゃるわけであります。それが、サミット等々を通じまして歴代の我が国の首脳の御努力で、日本という存在は無視できませんというふうに向こうの指導者の中には言っていただく方もあります。 また、我々といたしましても、やはりアメリカにはアメリカの文化、欧州には欧州の文化あり、こういうふうに考えてまいりますと、世界というものを考えた場合に、欧州と中東の関係、アフリカとの関係等々は歴史的にも非常に古い関係にありますから、やはりそうした面で、我々といたしましても、広く欧州をなお一層深く理解するということは世界じゅうを理解することにつながる、こういう意味で私も従来からそうしたことを申し上げてまいったわけでございますが、貿易額がアメリカと同じようになるということはなかなか難しい問題ではございましょうが、極力欧州からのものも積極的に輸入いたしまして、いわゆるインバランスを解消する、その努力を続けておるのだということに対しましては、現在、各国大使とも私はしばしば懇談もいたし、また、大臣とも懇談いたしますが、将来大いに伸びるようにいたしましょう、お互いが努力を今誓い合っているところである、したがいまして、そういうものをさらに拡大していかなければならぬ、こういう気持ちでございます。
○河上委員 一言だけお伺いしたいのですが、対米貿易が四〇%というのは少し偏りがある。ゆがみがある。それは難しいけれども是正していきたいというお考えをお持ちなのか、そこだけもう一度はっきり伺いたい。
○宇野国務大臣 これははっきり日米首脳会談でも申し上げたのですが、お互いに、今農産物だとかあるいはまたエレクトロニクスだとか、いろいろな分野で摩擦があるが、その摩擦だけにお互いに拘泥し合っておって、けんかばかり続けておっては貿易はかえって縮小してしまう、均衡はとれても縮小してしまう、これじゃいかぬから、均衡縮小じゃなくて均衡拡大しよう、こういうわけですから、アメリカに対しましても、やはり貿易額というものは拡大すればいい、また欧州との間におきましても、そういう意味で貿易はシュリンクではなくして拡大均衡ということを目指して日本はやるべきである。アメリカが四〇だから多過ぎるから、そっちをやめてこっちに持っていくというようなことは私は毛頭考えておりません。 そういう意味で、お互いの貿易の拡大によって、努力によって、そして世界貿易が自由貿易主義において拡大されて、楽しき生産ができて楽しき消費ができる、これが私たち人類の言うならば夢ではなかろうか。その夢を追求しよう、また実現さそう、これが政治努力でなければならないと考えておる次第であります。
○河上委員 それでは、今度は別な角度からちょっと伺いたいのでありますが、一九九二年に欧州共同体十二カ国が欧州統一市場を形成する、これはもう決まっているわけでございます。そうしますと、先般、大和証券の会長さんも指摘されておりますように、総人口は三億二千万人、国民総生産は八兆ドル、これは予想でありますが、そういうことであります。アメリカが二億四千万人、そして四兆五千億ドル、日本の場合は一億二千万人、二兆八千億ドル、こういうふうになっておりまして、それを超えて欧州共同体の統一市場というのは世界一の経済圏になるわけですね。 大和証券の会長さんが言っておられるのでありますが、「外交辞令で正三角形といっている場合ではない。欧米の二等辺三角形にもなりかねない。」こういうふうに警告をいたしておるのでありますが、一九九二年といいますと四年後です。これに対して外務大臣は、また竹下内閣としては、正三角形論を展開した以上、これについて当然一つのお考えがあると思うのでありますが、外務大臣の御意見をお願いいたします。
○宇野国務大臣 欧州共同体がまだEECのころは人口一億でありまして、そしてEECがECにかわって、非常に拡大されて十二カ国、今おっしゃるように人口も多くなりました。今から二、三十年前に私たちはマーケットは一億、それを一つ頭に描きながらやっていかなくちゃならぬね、幸い日本は、日本そのものが一億のマーケットであるということが非常に大きな幸せだから、それを尊重しながら、やはり海外に対しても大いに我々は進取しなくてはならぬ。それが余り大きくなり過ぎまして、最近では一千億ドルの黒字の大だんななんというようなことを言われるような時代になりました。 しかしながら、今おっしゃったように欧州統合が実現をいたしますと、これは一つの大きなマーケットとして、いわゆる海外に対してよりも国内需要におけるところのわれわれと同じような形になるということも一つでございましょう。そのかわりに注意をしなければならないのは、排他的になる、この点は私たちは今から警告をしなければならないと思うのであります。アメリカとカナダの間におきましても自由貿易体制というものが組まれまして、既に条約も調印されたわけであります。 そういうふうに考えてまいりますると、世界は自由貿易を目指しながら、一方においてはどこかブロック化も進んでおる、そのブロック化がよい方向に進めばよいが、閉鎖的になっては困る、これが日本の立場で、やはり私たちもそういうふうに考えてまいりました場合には、お隣の中国も韓国もあるいはアジアも、同じような地域に住む者は住む者としてのお考えがございましょうが、私は、この間もインドネシアのアラタス外務大臣がECとの会議において、排他的になってもらっては困りますよとあなた言ったらしいねと言いました。やはりそうした気持ちが全部にあります。 だから、欧州統合というものは、それぞれの地域の方々のイニシアチブによるところの一つの傾向でございましょうけれども、日本といたしましては、そうしたものを歓迎しながらもやはり排他的になってはいけない。だから、私のASEANの三原則の中におきましても、排他的ということは一番いけない、自由貿易ということを中心としてやっていこう、こういうふうに思っておりますので、今どこかの方の言葉を引用なさいましたが、だんだんとブロック化が進みまして、日本ひとりが置き去りというようなことになっては大変でございますから、そういう意味で、私たちも今からその布陣をすべきである、こういうふうに考えておると御理解賜ります。
○河上委員 いわゆる正三角形論というのは、そういう一九九二年に向けての日本の一つの対応であるというふうに理解してもいいわけでございますか。
○宇野国務大臣 そういうふうに御理解願った方がいいんじゃないかと思います。 なお、直接行きました長谷川欧亜局長がおりますから、もしなんでしたら、もう少しく詳しく説明をしてもらった方がいいかもわかりません。
○長谷川(和)政府委員 ただいま外務大臣が御答弁されたとおりでございますが、総理の問題意識、政府の問題意識は、先生御指摘のように一九九二年にはあれだけ大きな統合市場ができる、それを今から見越して我々としても十分な対応をしなくちゃいかぬ、その一点は、ただいま大臣がおっしゃったように、排他的な市場になってはいかぬ、むしろ開放的なものでなくちゃいかぬ、そういうことでございます。 そういった点を別にしましても、片やアメリカ、片やヨーロッパと大変大きな市場になる。その場合、ヨーロッパは、一九九二年になりますと、今から約三百ぐらいの障害があると言われていますが、その障害というのは、例えば基準認証だとか出入国とか、あらゆる障害を含めまして三百ぐらい、これを取り除いて大きな市場をつくる。そうなりますと、現時点ではやはり日米貿易が日本の貿易の大宗をなしておりますが、そこに生じてくる多大な有効需要も見越して我々としては対応していかなくちゃいかぬ。もちろん日本の国としての存立の基礎は日米関係でございますが、より幅の広いバランスのとれた日米欧の関係をつくっていく、総理の御意図もそういうところにございます。 どちらかというと従来は人的交流、通商面でも日米、米欧に中心があったわけでございますけれども、もう一つの辺の日欧も、これから通商のみならず政治対話あるいは人的交流といった面で拡大強化していきまして、正三角形という総理の御意図は、正三角形というよりはむしろバランスのとれた関係ということじゃないかと私は思っていますが、そういった関係に持っていって、より安定した先進国間の関係を築きたいというようなことであると、私は総理の供をしていまして感じた次第でございます。
○河上委員 政府のお考えが大体おぼろげながらわかるような気がするんでありますが、私、考えますのに、今回、総理も竹下ドクトリンと言って三カ条を挙げておられるのでございますけれども、ドクトリンと言う場合にはやはりその裏づけがないと、かえって不信感を招くということがあろうかと思うのです。その点、今後十分留意していただきたいと思います。 外務大臣は中曽根総理と非常にお親しいので、例を挙げて恐縮ですけれども、中曽根総理が十万人留学生の計画をぶち上げまして各国で大変な反響を呼んだのでありますが、じゃ十万人を受け入れる態勢があるのか。最近何か関係閣僚会議を至急つくるというようなお話もありますけれども、そういう点、大変心配でございます。 私、ここに日本国際政治学会の会報を持ってきておるのでありますけれども、そこに「中国人の海外留学」という論文がありまして、それを読みますと、中国の場合、外国に留学生を派遣することを決定したのは一九七八年なんです。それを受け入れるのに、アメリカではもうその翌年七九年の末には米中教育クリアリングハウス、USチャイナ・エデュケーション・クリアリングハウスというのをつくりまして、この機関が中国の教育の事情、米中両国間の学術教育交流の情報をまとめて、そしてそれはアメリカのあらゆる大学、研究機関に絶えず提供する、こういうことをやって今日に至っているそうです。 その結果、初めゼロであったアメリカに対する中国人の留学生というのは八六年には各国の中では第七位になって、九〇年代にはアメリカへ留学する外国人留学生の中では中国留学生が最高の数になるのではないかというふうに予想されておるのです。 今回の竹下ドクトリンを拝見しますと、二つ目に国際文化交流の強化なんということが書いてありますけれども、こういう構想を打ち出す場合には、少なくとも一年以内にそれに対応する組織なり具体的な予算なりをやるべきだと私は思うのですが、外務大臣、いかがですか。
○宇野国務大臣 文化交流の方の具体的な問題に関しましては政府委員が現状並びにその見通しをお話ししたいと思いますが、確かに、おっしゃるとおりに、やはりドクトリンというからにはその裏打ちを用意してかかれ、この河上委員の御発言は私たちは当然重要視して今後も臨んでいかなければならないと考えております。 十万人の計画も、この間関係閣僚十人でございますが、総理の御発言で集まりまして、私は外務大臣だから税金の問題はしゃべれないとか、私は大蔵大臣だから外交のことはしゃべれないとかいうことではなくして、十人がいろいろな知識といろいろな体験に基づいて、しゃべることはうんとしゃべって、そしてそれを実らそうというふうなことも話し合っております。私は、二十一世紀にかけての十万人体制を、これは中曽根総理の一つの御発言でございますから、一番大切なことでございますから、政府といたしましては実現するように頑張っていきたい、かように思っております。 そのほか欧州と日本との文化交流におきましてもある程度進める面もございますので、政府委員に説明させます。
○田島説明員 まず留学生の問題でございますが、ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、先般総理のもとに関係閣僚懇談会が設けられまして第一回の会議が開かれました。外務省といたしましても、この懇談会における議論を踏まえまして、来日前の留学情報の提供、留学相談、来日前の日本語教育あるいは留学後、帰国後のアフターケア等の施策を一層充実させてまいりたいと存じております。 それから、滞日中の留学生受け入れ態勢につきましても、留学生受け入れ問題全般の観点から大変重要な点でございますので、関係省庁及び民間の各団体とも協議をいたしながら一層の拡充に努力してまいりたいと考えております。そのための関係省庁間の協議も別途進めておる状況でございます。 それから、国際文化交流全般についてでございますが、それにつきましても、ただいま外務大臣が御答弁申し上げましたように、いかに拡充していくかということにつきましては鋭意準備の検討を重ねておりまして、総理が、ロンドンにおけるスピーチにおきましても具体的に相互理解の増進及び世界における文化面の充実、豊かさを求める、あるいは発展のための日本の積極的な貢献という観点からの構想を発表してくださいましたが、それに加えて日本とヨーロッパとの間での文化交流につきましても、人的交流あるいは相互の文化の紹介等々の事業について拡充を具体的に図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○河上委員 きょうはこの問題はこれ以上申しませんけれども、ただ、アメリカの中国人留学生受け入れの機関というのは、政府機関ではなく大学等のあらゆる機関が協力してそういう中国の留学生を受け入れる機関を設置したわけでして、単に役所ばかりが集まるというのではなしに、むしろそれを権威ある民間機関にやらせる、そしてそれを政府がバックアップするということが必要だと思うので、そのこともちょっと希望いたしまして次の問題に入りたいと思います。 今回の西欧歴訪の焦点は、総理大臣の場合、サッチャー首相との会談だったと思うのです。日本の酒税制度の見直しが話題になり、実施時期を含めて具体策の提示が求められたというふうに報道されておりますが、日本の酒税というのはもう既にガットで違反、クロという判定が出ておりますし、勧告が出ているわけでございますが、どうも日本では時間稼ぎをしているのではないかという不満が非常にECには強いようであります。 一体、英国では竹下氏はサッチャー首相に約束をしたのかどうか、それとも、日本側では首相は自分も関心を払うと発言したにすぎないというようなことでございますが、一体どういうことなのか。こうした微妙なずれはまた不信感を増幅するだけだと思います。宇野外務大臣は今度はトロント・サミットまでにこの問題についてコメントを出すというのですが、もう時間もだんだん迫っております。外務大臣、いかがお考えですか。
○宇野国務大臣 サッチャー首相との間におきましては相当話も弾みまして、日本側の事情に対しましてもサッチャー首相はよく御理解になったと承っております。例えばウイスキーとしょうちゅう、これをどうしても英国は比べます。比べますと、税率においては一対四十一ぐらいになります。これをもっと縮めろ、しかしながら、日本におきましては一応しょうちゅうというものは主として鹿児島で生産され、それもまた暖かいところであるから清酒製造に適しなかったという歴史的な風土もある、こういう風土もよく考えてほしいということを総理は率直に申し述べられております。 そうやってお互いの政治的な理由なり地方産業なりに対しましてはサッチャーさんも理解を示されたということです。しかし、それをそのままほっておこうという気持ちは全くありませんから、現在自民党の税調と随分突っ込んだ話が進んでおる、私はこういうふうに承っておりまして、この問題も大体両者の話し合い、そうしたものの接近によりまして近く解決するのではなかろうか、かように私は存じております。
○河上委員 近くというのは、トロント・サミット前にということでございますか、それとも一部言われておりますように税調の全体の税制改革の枠内でということでございますか。
○宇野国務大臣 御承知のとおり酒税は非常に大きなウエートを占めておりまして、その額もやはり我が国の国税中、所得税、法人税、間接税と言われる中の大きな部分でございますから、したがいまして、税調といたしましてもこれを単独で切り離してというわけにはまいらないと私は考えます。そうした事情も十分話してあると思いました。そして、大体今申し上げましたような問題点で結論を得るのならば、それが一つの回答になるであろう、かように考えております。
○河上委員 私がお伺いいたしましたのは、時期ですね、外務大臣としてのお考え。トロント・サミットまでには一つの答えを持って、そこでサッチャーさんとまた再びお会いになるわけですから、そのときまでにという意味でいらっしゃるかどうかを伺っておるわけです。
○宇野国務大臣 私は、できたならばそういう大切な時期には、ロンドンで会ったときの話はこのように実を結びましたと言えるような態勢に持っていきたいと思っている次第であります。
○河上委員 宇野外務大臣は、本来、歴訪の中の非常に重要なポイントとして、当然のことながら中国訪問を位置づけておられると思うのでありますが、日中外相会談では、銭外相より奥野発言につきまして中国側の不快感が表明されまして、外務大臣を中心として内閣として問題の鎮静化に努力をされてきたというふうに私どもは見ておるわけでございます。 ところが、せっかくのその御努力にもかかわらず、外務大臣が帰ってこられたら奥野さんの二度目の発言というのがございまして、恐らく外務大臣御自身、率直なことを言って大変困惑しておられるんじゃないか、こう思うのですが、先般外務大臣は、友人として奥野氏に伝えると外務委員会でも言明されておるわけでございます。昨日、奥野氏にお会いになったそうでございますけれども、いかがでございましたか。
○宇野国務大臣 銭其シン外相から、こうしたことは言いたくありませんが、一閣僚の発言は礼を欠いたものだと存じますという発言があったわけであります。 その前には、伊東総務会長が鄧小平さんとお目にかかられたときの話からずっと話が流れとしてありまして、鄧小平さんは、日本には日中友好を快しとしない人がいますね、こう言ったことに対して随行議員のだれかが具体的に申してください、こういうふうなことで、具体的なことだと申しますと周恩来首相の詩碑にペンキをかけたとか、あるいは福岡の領事館に銃弾をぶち込んだとか、ああいうことは困ったことですとおっしゃった、それだけだったのですが、その後にたまたま奥野さんの発言があった。そういうつながりの中において、言いたくはありませんが、困ったことですと。 もう一つは、私はこれは大切だと思いますが、李鵬総理は決して名指しをされておりませんが、戦争の苦い悲しい思い出を持っておる人は中国にもたくさんおります。日本にもやはり原爆等々の悲しい思い出を持っておる人がたくさんいるでしょう。戦争はいけません。そういう悲しい思い出をお互いに忘れたい。それを忘れて新しい時代を迎えたいと努力しているのですから、思い出すようなことがない方が私はいいと思います。だから日中がそうした悲しみを乗り越えて平和に取り組みましょう、こう言っていらっしゃいます。 ですから、そういうお話も含めまして、率直にきのう奥野さんに、私が中国で聞いてまいりましたお話をお伝えいたします、今後いろいろと批判されることのないようにお願いします、私はそういうふうに申し上げた次第であります。 それに対しまして奥野さんも、わかりましたと非常に真摯な態度でお答えになられたというのが、きのう閣議終了後の実態でございます。 その後、奥野さんからも電話がありまして、私もきのうは参議院である程度申し上げたのでございますが、月曜日の発言がいろいろと議題になり話題になり、新聞で報道されておりますが、報道されておらない部分においては、戦争はいけない、私たちも反省すべきだ、中国が侵略だと言っている、私もそうだと思う、こういうふうにしゃべっても、そうやってしゃべっておるところが何か埋没してしまっておるところがあるし、また全体のトーンからするとやはり奥野トーンというものがあったから処理されたかなという話も、実は率直にきのうは参議院の外務委員会でお話ししておきました。 余りしゃべり過ぎますと、こちらもまた奥野発言を守っておるのか、こういうふうな話になりましたから、守っておるわけじゃない、率直に議事録においてこういうことをしゃべっておるから、私もそれをお伝えしておるだけで、決して守る立場でもないし、注意をするけれども、奥野発言がよろしいというふうなことを私は一切言おうとは思っておりません、こういうふうに申し上げておったわけで、私自身といたしましては、こうして中国の新聞や韓国の新聞で奥野さんのことがいろいろと批判されることは遺憾なことである、こういうふうに今も思っておるような次第でございます。
○河上委員 新聞に伝えられるところでは、外務大臣が奥野発言は中国に対して非礼というふうに言われたけれども、その後外務省は非礼という言葉を削除したというような、これは新聞報道でございますけれども、そういうふうに伝えられております。 こういうことがあると、中国側の信頼感をますます損なって、不信感を深めるばかりと思うのでありますが、この点について、もしそういうことがないならばそういうことがないと、はっきりここで言っていただきたい。
○宇野国務大臣 あれは懇談会のときの話でありまして、中国の話をずっと御紹介申し上げておるときに、私も非礼だと言ったというふうな感じの受け取り方があったもので、すぐ質問がありました。 そうじゃないんだ、私は、今そういうふうに聞こえたかしらぬけれども、中国の方は非礼の段ということで言われて、私は、いろいろ皆さん方のお話を承りました、このことに対しまして中国の新聞でいろいろと言われたことは、私は本当に残念に思います。そうしたことで、特に日中共同声明の中に、私はそのことを銭其シンさんに申し上げまして、日中間においてはっきりと、今回の戦争を通じ中国の方々に迷惑をかけたことに対し、日本は反省すると書いてあるんだから、この精神を今日私たちは重んじてきておりますから、今の内閣もその精神でおりますからということを申し上げたわけであります。 だから、外務省が取り消した、そういうことじゃありません。私の話しぶりにおいてそういうことがあったので、私自身がこういうふうに申し上げたということをさらに申し上げたということが一部新聞において書かれたということでございます。
○河上委員 こういう問題は非常にある意味で微妙な問題であるだけに、そういうあいまいな印象を与えるような発言は、やはり外務大臣としては慎んでいただく必要があろうと思うのです。そのあいまいな発言をすることが一つの政治的効果だというようなお考えは、この際、この問題の解決のためにはすべて捨て切って、明確にこの処理をするということに進んでいただきたいと私は要望いたします。 もう時間も余りありませんが、ここで条約局長に伺いたいんですけれども、今大臣も、共同声明あるいは日中平和友好条約等においても、日本が今回侵略戦争であったというかそういうことによって御迷惑をかけたということも明記しておる、こうおっしゃったのですが、条約局長として、条約解釈のいわば最高権者として、日中戦争並びに朝鮮支配というものは侵略であったというふうに認定をされますかどうか、お伺いしたい。
○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省)私が日本の過去の行為は侵略であったと認定する資格はないように思いますけれども、侵略という概念は、国際法上あるいは国際社会におきまして非常に定義の難しい概念でございまして、非常に長期間にわたりまして国際社会におきまして侵略を定義しようという努力が行われておりますが、これがすべてのケースに該当する侵略の概念だということにつきましては、必ずしも意見の一致がございません。 国連におきまして侵略の定義という決議が採択されておりますけれども、これは安保理事会が具体的なケースにつきまして措置をとるときに参考とすべきガイドラインという性格のものでございまして、必ずしも国際法上侵略の概念を全諸国の意見の一致のもとにおいて作成したという性質のものではございません。 侵略という概念はそういう状況にございますので、私が日本の過去の行為が侵略であったかなかったかということをこのような場で申し上げるのは不適当と存じますので、その点は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、日本が過去において中国、それから朝鮮半島において行いました行為に対して日本政府がどのような考えを持っているかという点につきましては、繰り返し外務大臣がこの場で御表明されておるとおりでございまして、仮に私の個人的見解はどうかというお尋ねであったとすれば、私の個人的見解も全く外務大臣のお考えと同様でございます。
○河上委員 そういたしますと、先ほど外務大臣は、奥野さんはいろいろなことを言っておるのでというお話ではございましたけれども、明確に、我々大東亜戦争に当たっては、日本は侵略の意図はなかったというような言い方をされておりますのは、中曽根内閣、竹下内閣の統一見解に違反しているというふうに思うのでありますけれども、その点は間違いないですね、外務大臣。
○宇野国務大臣 侵略云々は非常に難しい問題でございますが、私ははっきり、朝鮮統治に関しましては異民族が異民族を支配することはいけないことである、こういうふうに申し上げておりますし、また共同声明におきましても反省すべきであると書かれております。三十六年間の日本の朝鮮半島の支配というものは、歴史上私たちも反省すべき事柄である。したがいまして、朝鮮半島とされましては、特に韓国は侵略だ、こういう解釈を持っていらっしゃることも、私たちは尊重して聞いておかなければなりません。特に中国には、現実の問題として戦場となったわけでございますから、したがいまして、中曽根内閣のときには、侵略という事実もあった、こういうふうにはっきり言っておられます。 私は、さらに、日本の軍国主義の侵略であった、こういうふうにきのうですか参議院でお答えし、また、この間も衆議院でお答えいたしておるような次第でございまして、やはり深い反省の上に立って事に当たるべきだ。 その点、奥野さんも十分心得ておられまして、きのう、おとといの議事録、これは非常に心配事でございますから、私もずっと目を通させていただきました。そこに、中国が侵略と言っておる事実、それはそのとおりだと思う、こういうふうに書いてございまして、だからやはり、いろいろあの人も発言が多かったからあっちとられ、こっちとられたのかなということで、実は私は友人ですから、ちょっと慎重にしてくださいよ、お互いに内閣として共同声明等々のことは私は、我々は十分守って今日まで来た所存だからということも実は昨日は申し上げておる次第でございます。 したがいまして、奥野発言の中にもそういう反省の意味を込めた部分がたくさんあるということはこれをお読みいただければわかるのではないか、私はさように解釈いたしております。
○河上委員 中曽根内閣の場合にもこれに似た閣僚の発言というのが国際的に大変問題になりまして、それに対して中曽根総理は藤尾さんの罷免という形で一つの措置をとられまして、そのことが国際的に評価されていわば一件落着になったわけでございます。 竹下内閣のこの問題に対する措置というのは、中国は静かに見守っておると思うのです。こうしてほしいということは言われないと思いますけれども、静かに、慎重に、注意深く見守っておられると思うのでありますが、今度は竹下総理がこの八月に行かれるわけでございまして、その竹下訪中には、この問題をあいまいのうちにほっておけばいいということではなく、きちっと一つのけじめをつけなければ大きな障害になるのではないか、こんなふうに私は思うのでありますが、外務大臣はその点どのようにお考えですか。
○宇野国務大臣 同じ内閣の閣僚同士でございます。したがいまして、同僚の閣僚に対し、今申し上げましたような真実をお伝えして、そして今後慎重にしていただくようにお願いした、これが私のできる最大のことでありまして、他のことはどうなるか、今後の推移もございましょうが、外務大臣といたしましては、内外におきましても極力波が荒くならないように考えていきたい、私はさように考えております。
○河上委員 波は自然におさまるわけではないのでありまして、特に中国側が我慢してくれればいいというような性質のものではないと思うのでして、その点は幾ら竹下流の根回しといっても、これは通用しないのではないかと思います。 私は、八五年に社会党の訪中団で北京に参りましたときに鄧小平さんにお会いいたしましたが、そのときに鄧小平さんが、人は歴史を忘れることはできる、しかし歴史は歴史としてある、こういうふうに言われた言葉を今も忘れることができないのです。 そういう歴史的な観点から、実はあのときこうも言っている、ああも言っているということではなしに、きちんと処理することが非常に大事だと思うので、もちろん外務大臣としてできる範囲というのはあろうかと思いますけれども、これは国際間の問題でありますだけに、もう少し踏み込んで、御自分の問題として解決していただくように私は努力を切に望みたいのですが、いかがでございますか。
○宇野国務大臣 銭其シン外交部長には、銭其シン閣下のただいまの一連のお話は一閣僚に申し述べます、そして日中友好が傷つかないように私といたしましては最善を尽くします、そういうふうに申し上げておりますから、私は今のところ、奥野さんに対しまして申し上げたことは私の最善の一つである、こう思っております。 そのほかにもいろいろ、どういうふうにするべきかということもございましょうが、これは先ほど申し上げましたとおり、内外ともに十二分に気を配りながら、我々としてはこの問題がさらに大きくならないように考えつつ処理していきたいものである、かように思っておる次第であります。
○河上委員 外務大臣にもう一つ。 外務大臣既に御承知のことと思いますが、光華寮問題というのが日中間のいわばとげとして存在しているわけです。これはまさに歴史の問題でございまして、一民事訴訟だというふうに見ることはできないのではないかと思います。これを議論いたしますにはちょっと今時間がないのが残念でございますが、一つだけ伺いたいのであります。 政府としては、いわゆる三権分立という原則を一方で踏まえながらこれを処理したいということでありますけれども、今回の場合、Aという国からBという国に第三国の承認が変更になった場合、その第三国における承認が取り消された国の訴訟を起こす当事者能力というものは一体残っているのかどうか、これが一番重要な問題だと思うのです。 例えば、取り消された国から、新たに承認された国が裁判訴訟権を含めて受け継ぐのか、それとも承認を取り消された国はもう訴訟当事者能力を失って裁判そのものがなくなってしまうのか、それとも取り消された国も訴訟当事者能力は残っているというふうに見るのか、一応三つくらい考えられると思うのですが、これは国内法はまさに最高裁が決定すべきことかもしれませんけれども、条約はまさに外務省条約局長が判定の権威者だと思うので、その点は外務省としてはどういうふうにお考えでしょう。
○宇野国務大臣 先にその経緯を申し上げて、私がどう答えたか、その上に立って条約局長からの解釈を説明させたいと思います。 この問題は、外相会談でも、また李鵬総理との会談でも出ましたが、特に李鵬総理は非常にえんきょくに申されました。えんきょくに申されたからもういいのだ、決してそうではありません。私は重要な問題であるとして、今日なお日中間に横たわる重大な問題だ、こういうふうに理解いたしております。 李鵬総理の方は、米国と中国の関係を申されまして、非常によい関係です。ただ、ちょいちょい米国においては台湾問題に関して二つの中国論を展開されるような方々もおられますから、これは私として遺憾ですというお話の中から光華寮の問題が出てまいりました。 だから、当然その根底には一つの中国、こうした問題で私たちは考えておる。そこで日本の三権分立ということがあることも十分に知っております。また、それによって解決ということになれば時間がかかることも知っております。ひとつ大局を見失わないようにお互いに努力をしていきたいものである、こういうことでございまして、私は本当に重大な問題であると理解いたしております。また、我々の三権分立ということにつきましても御理解賜っておる。そのさきに私がたしかその話をしたと思いますが、それに対するお答え方でございました。 そんなことで、この問題は依然として重大な問題でございますから、私たちも日中双方で努力をしたい、この気持ちには全く変わりはありません。そうしたことを前提といたしまして、法律解釈上どうなるかということについて条約局長から説明いたします。
○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省)具体的な今度の事件を離れまして、一般論としてお答えさせていただきたいと思いますが、承認されていない立場にあります当局の出訴権の有無という問題に関しましては、国際法上の原則として確立された基準は全くないのが現状でございます。 したがいまして、このようなケースというのは、各国の国内裁判所における個々の事案の取り扱いにゆだねられているという状況にございます。実際の取り扱いを見ましても、各国全くばらばらでございまして、一部の国におきましては、ケースごとに取り扱いも違うというような状況にございます。
○河上委員 今、日本政府、外務省としては、そのいろいろな説のうちどれをとるというお考えですか。
○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省)これも具体的なケースにつきまして行政府がコメントするのは適当でないと存じますので、一般論としてお聞き取りを願いたいと思いますが、外務省のこの問題につきましての立場というのは、ただいま御説明いたしましたとおり、国際法上の具体的な基準は存在していないので、これは個々のケースを日本の国内裁判所がどう扱うか、もっぱらこれにかかっているというのが外務省の考え方でございます。
○河上委員 きょうは余り時間がありませんので、そこをもう少し詰めるのはまた後日やらせていただきたいと思います。 もう時間がなくなってしまいましたが、最後に一問だけちょっとお伺いいたします。 さきの日米安保事務レベル協議で、経済協力も戦略的観点からすべきだということがアメリカから要求されたということでございますが、一体それは本当なのか。それを日本政府としては受け入れてその線で検討していくおつもりなのか、いや、それは我が国政府とは方針が違うということになっておられるのか、そこだけお伺いしたいと思います。
○英政府委員 お答え申し上げます。 今次の日米安保事務レベル協議におきましては、国際情勢、日米防衛協力、我が国の防衛努力の現状など、日米双方が関心を有する安全保障問題につき率直な意見交換が行われたものと承知しております。 米国におきましては、議会を中心に、いわゆるバードンシェアリング、負担の分かち合いといいますか、我が国を含む同盟国に対し防衛分野を中心に幅広い貢献を求めていく声が存在し、今回の日米安保事務レベル協議の場でもこのような米側の事情が説明され、その関連で、一般的な形で経済協力について話が及んだようでございますけれども、具体的な問題が話し合われたとは承知しておりません。
○河上委員 では質問を終わります。どうもありがとうございました。
○糸山委員長 神崎武法君。
○神崎委員 まず、総理の訪欧につきましてお尋ねをいたします。 総理は、日欧新時代の幕あけと位置づけて欧州を訪問されたわけでございますが、そのときに三項目から成る新国際協力構想を発表いたしております。これは竹下外交の基本方針となるものと言われておりますけれども、まず、今回の訪欧は全般的に見てどのような成果があったのか、また新国際協力構想に対する反応はいかなるものであったのか、全般的にお尋ねをいたします。
○宇野国務大臣 詳細は、随行いたしました欧亜局長がおりますので答弁をしてもらいたいと思いますが、私から申し上げますと、トロント・サミットという重要な、総理としても最初の国際会議がございます。そのためには、レーガンさんとは、またカナダの総理とはじっこんの関係になっておられますが、欧州におきましては、大蔵大臣当時知っておるというわけでございますから、やはり一国の首脳は首脳としての交際を深めていただく必要がある、こうしたことで総理も訪欧をなさったわけで、その点では大変な効果を上げられて、したがいまして、トロント・サミットにおきましてもいろいろな問題で日本といたしましてもイニシアチブをとってお話しできる立場に至ったのではないだろうか、私はかように考えております。 もう一つは、日米の関係と同じように日欧の関係も重大であるということを総理みずから申されて、これは中曽根内閣もさようでございましたが、その関係をより一層深く強めていきたい、そうしたお気持ちで行かれまして、私は非常に成果が上がったと思います。なかんずく、竹下外交三原則と申しましょうか、三つの問題に関しましても、トロントにおいてもいろいろとお話があるだろうと思いますが、まずロンドン市長の午さん会においてスピーチをなさいまして、そこである程度かみ砕いたお話をなさった、このことは高く評価されておると私は考えております。
○長谷川(和)政府委員 ただいまも大臣が御答弁なさいましたが、総理はロンドンにおきます演説におきまして、国際協力構想、三本の柱から成る構想を御披露なさったわけでございますが、これに先立ちまして、イタリーにおけるデミータ首相との会談においてもこの考えを御披露なさいました。また、サッチャーさんとの会談、その後のドイツにおけるコールさんとの会談においても、この三本の柱から成る国際協力構想を御披露なさいまして、会談した先方の各首相から大変高い評価を受けたわけでございます。 例えばサッチャー首相は、この総理のスピーチ、この中の国際協力構想につきまして大変結構である、このような評価がございまして、私が拝見する限りにおいては、先方からまことに時宜を得たいい構想であるという評価を受けておりました。 各国のプレスも同様の反応をしておりまして、例えば西独のディー・ウエルト、これは大変大きな影響力のある新聞でございますけれども、この新聞も、日本は今や国際社会における責任を担う用意がある、そういったような評でございまして大変高い評価を与えていた、こう御報告することができるかと思います。
○神崎委員 国際協力構想は三本柱から成っているわけでございますが、今回はそのうち国際文化交流の強化について特に人的交流の拡大、日本研究、日本語教育への助成、文化の紹介、交流組織の拡充等が挙げられておるわけでございますけれども、この国際文化交流の強化で挙げられた内容についてはいつから具体的な実施に入ることをお考えになっていらっしゃるのですか。
○田島説明員 お答えいたします。 文化交流につきましては、最近諸外国、なかんずくヨーロッパにおきましても日本に対する関心が非常に高まっております。そのような関心も踏まえまして、総理が国際文化交流構想を三本柱の一つとしてロンドン・スピーチで申し上げたわけでございますが、我が国といたしましては、そういった対日関心にこたえ、それから諸外国との国際相互理解推進を図り、それからまた、さらに広くは世界の文化を高めるためにできる限りの貢献をしていく、世界に貢献する日本という立場から文化面でもそのような協力をしていこうという姿勢をそこで述べられたわけでございます。 そして、さらにヨーロッパとの関係につきましては、ヨーロッパにおける日本語、日本研究、そういった動きが大変高まっております。それに対する協力も行う。それから、人的交流の拡大も図る。その中で総理が述べられましたように、例えばJETプログラムにつきましても、今までは英語を中心としてまいりましたけれども、ドイツ語やフランス語も考えていくということ、それからお互いの文化を相互に紹介し合う、そういった点につきましてもさらに充実を図っていくということを中心に述べられたわけでございます。そのような総理のスピーチを踏まえまして、私どもも具体的な実施計画につきまして鋭意検討、さらに実施を図ってまいりたいと考えております。
○神崎委員 また特に「心で結ぶ日欧文化交流計画」を実施するために継続的な努力を払っていくということもうたわれているわけでございますけれども、これは大変大事なことだろうと思うのですが、具体的にはどういうことをお考えになっておられるのか。
○田島説明員 お答えいたします。 総理がロンドン・スピーチで提唱されました「心で結ぶ日欧文化交流計画」でございますが、当面、次のような方策を考えております。 まず第一番目に、相互理解を促進するために科学者、研究者の一年程度のフェローシップ制度を設立するということ、それから先ほども御答弁で申し上げましたが、英語指導等を行う外国人青年を招聘するJETプログラム、この招聘人数を拡充してまいりますとともに、今後はフランス語、ドイツ語等他の欧州語教育にも広げていくということ、それらにより人的交流の拡大を図るという点が第一点でございます。 それから第二点といたしましては、日本語学習や日本研究熱の高まりに積極的にこたえるため、このような分野での協力あるいは助成事業を増大させていくという点でございます。 それから三番目には、文化的催し等、例えば来年はユーロパリアが予定されておりますが、そういった点も踏まえ、その他にもいろいろな計画が諸外国から上がってまいりますので、そういった文化紹介事業を促進する、参加するということ。それらとともに、また日仏文化会館の建設、あるいはベルリン日独センターの活用、あるいは日英二〇〇〇年委員会の活用等を通じまして日欧交流あるいは日欧対話の組織の拡充を図っていくという点でございます。
○神崎委員 残りの二本であります平和のための協力強化につきましては、五月末の国連軍縮総会で、また六月のトロント・サミットでは政府開発援助の拡充強化を具体的に発表するということが言われているわけでございますけれども、この二本の構想の大まかな内容について、国連軍縮特総あるいはトロント・サミットも近づいてまいっている段階でございますが、どのようなものを構想されておられるのか、その点いかがでしょうか。
○宇野国務大臣 今度の総理の演説内容、その骨子をなしましたいわゆる竹下外交の方針、これは私が総理にひとつ考えてほしいと委嘱をされたということで、鋭意外務省で練り上げたものでございます。このことは既に各報道を通じまして御承知賜っておると思います。 今平和に貢献する日本という姿勢でございますが、現在の地球上には地域紛争が幾つもございますから、こうしたものに関しましても、日本は積極的に介入する、もちろん武力をもって介入することは許されておりませんが、平和的手段ならば国連を通じあるいは単独にでもいろいろな方法によって積極的に参加してまいります。 そのことはかねて申しておりますが、イラン・イラク戦争に関しましても文民を派遣しようかということもその一つの方途でございましょうし、さらに国連への拠出金を世界一、ナンバー一で出しますよということもそうした意味が含まれており、さらには七、八月にシアヌーク殿下をお招きいたしましてカンボジア問題の平和的解決に我々も尽くしたい、これも私たちの考えているところでございます。あるいはまた、遠いところではございましても、西岸、ガザという問題もあるだろうと思います。 そういうふうなことに日本は今後積極的に進んでまいりましょう、そうして荒れ果てた、そうした荒廃の後の問題に関しましても国連が当然力を尽くすでございましょうが、御下命あらば日本も積極的に参加しますというのが平和に貢献する日本だ、腕組みして世界の平和を持っていますというのじゃありませんという強い決意を示していただいたというのがその内容でございます。 また、ODA等々の拡大に関しましては、これこそまさに国会におきましても超党派の議論として今日もっと努力をせよ、量においても質においても努力をせよ、こういうふうな御意見がございますから、外務省もそうしたことを踏まえまして総理に対する御進言をつくりました。そうした進言を中心として総理が草案をみずから練られてスピーチをなさった、こういう経緯でございます。
○神崎委員 それじゃ、奥野発言についてまとめてお尋ねいたしますので、よろしくお願いいたします。 外務大臣、中国を訪問されて、日中の基本関係、光華寮問題、中韓橋渡し、ソウル五輪などについて話し合われたわけでございますけれども、特に中国政府として公式の場で初めて、日本の内閣の閣僚の一人が礼儀を欠いた発言をした、両国の友好関係を守るためにも両国外交当局は今後とも注意を払う必要がある、こういう中国外相の発言があったわけでございますが、中国政府の態度はどのようなものであったか。これが第一点。 それから第二点は、その際、宇野外務大臣が遺憾の意を表明したことにより鎮静したかと思われたやさきに、さらに九日の衆議院決算委員会等における奥野長官の再度の発言でいろいろ現在問題が生じているわけでございますが、外務大臣のせっかくの努力が水泡に帰することになりかねない、そういう状況でございますが、今回のこの奥野発言に対する中国、韓国の反応はどうか。今後、両国の関係、両国にどのような影響が出ると考えておられるのか。これが二点目。 三点目は、外務大臣として再度の奥野発言についてどのように思われるのか、今後政府としてどのように対処されるのか、あわせてお尋ねをいたします。
○宇野国務大臣 その前に、先ほどの答弁の中でイラン・イラクの中で文民派遣、こう申しましたのは、これは明らかに誤りで、アフガンへの文民派遣でございますから、訂正をさせていただいておきます。 なおかつ奥野発言は、銭其シン外相から、言いたくはないが、日中平和友好が拡大されているときに自分の国の鄧小平さんに対する名指しの、これは括弧でございますが、口には出しておられませんが、発言があったということはいかにも礼を欠いた話であります、こういう発言でございました。 私といたしましては、奥野さんの発言というものがそうした意味で中国の新聞紙上において非常に批判をされたことは遺憾のきわみですということははっきり申し上げておきましたし、また総理大臣も本会議において申されました。同時にまた、御本人もその本会議において申されておるわけですから、そのようなことも率直にお伝えしておった次第でございます。 したがいまして、甚だ新聞紙上を騒がせて大変なことでありましたが、特に私は、李鵬総理が非常にそのところの表現をうまく私に伝えていただいたのではないか。決してこれは一閣僚とも奥野とも言われずに申されたのですが、戦争というものはそれぞれ悲しい思い出があります。中国にもあります。また日本にも原爆等の思い出があります。それを思い出させないようにしましょう。そして平和に向かってお互いに頑張りましょう、こういうお言葉、非常に立派な言葉であり、我々もそのように考えておると言わなければならない言葉だろうと私は思います。したがいまして、そのことを率直に奥野さんにもお伝えしました。 それで、今さっき参議院の本会議が開かれておりますが、私も非常に、そこでどういう御発言をなさるかということで、今まだ一回目の発言だけでございますが、総理は当然今申し上げましたような趣旨に沿っての発言をなさっておられます。同時に、文部大臣も、かつて教科書問題がありましたから同じような発言をなさっておりますし、奥野国土庁長官からも、総理と全く同じ認識でございます。そして従来からの政府の考え方に即して私も答弁を申し上げてきたし、過去の過ちを反省して対処すべきものであると思います、こういうふうに発言をしておられます。 そんなことでございますから、外務大臣といたしましては、先ほども河上委員にお答えいたしましたとおり、こうした問題、いろいろと御批判はあろうけれども、奥野さんもそう申されておるのであるならば、ぜひとも内外ともに波が静まることを私としても期待を申し上げている、これが現在の私の心境でございます。
○神崎委員 次に、海外不動産投資の問題についてお尋ねをいたします。 我が国の企業、投資家による海外不動産投資が過熱して新たな対外摩擦になる直前の状況に至っているように思うわけであります。特にハワイでは高級住宅地を中心にマンションからゴルフ場に広がり、地価、固定資産税の高騰、あるいはゴルフ場利用をめぐって住民とのあつれきを招いていると言われております。現在来日中のホノルル市長も、日本人の不動産投機はこのぐらいでやめてもらいたい、こういう発言を記者会見で述べておりますし、先日、私のハワイの友人が来日いたしまして一緒に食事をしながらいろいろ話をした際も、ハワイで今一番話題になっているのは日本人の地上げ屋によるハワイの土地、建物の買い占め問題だ、こういうことも言っておられました。 このような我が国のいろいろな企業、投資家による海外不動産投資につきまして、特にハワイについて外務当局としてどのように実態を把握されておられるのか、その点はいかがでしょうか。
○佐藤(嘉)政府委員 ハワイにおける不動産投資についてのお尋ねでございます。 不動産の海外投資ということにつきましては、統計上必ずしも把握できる状況になっておりませんことは先生御承知のとおりでございます。公開されているいろいろな情報あるいは時々伝えられている日本の投資家の活動といったようなものから、特にハワイにおきまして、先生御指摘のとおりゴルフ場、ホテルあるいはその他のコンドミニアムと申しますか休養の施設とか、そういう関連におきまして日本の投資家がかなり積極的に動かれているということは私どもも把握しておるわけでございます。統計的にどのくらいになるかというのは、正直に申し上げて必ずしもよくわからない面がございます。 ただ、私ども外務省といたしましては、こういった企業家の動向なりあるいは不動産の買い占めなりということが余り急激になったり、あるいは過度のものが出てきたり、こういうことは土地の対日感情という観点からも決して好ましいことではない、そういう観点から、状況に応じまして適切な対応をしていただけるように民間関係者にもお願いをしているというのが実情でございます。
○神崎委員 ハワイでは我が国の対米投資の約二五%が集中しているということが言われております。また、国税庁の集中捜査の結果が先日発表になりましたけれども、それによりますと、いわゆる地上げ三社が海外投資して海外所得隠しをしていることが明らかになったということも指摘されておるわけでございます。 地上げ屋まで我が国は輸出しているのかということになりますと、対外摩擦というのはいろいろ複雑な展開を見せてくる、さらに拍車をかけてくるように思うわけでございますけれども、外務、建設、大蔵各省は、これを放置すれば狂乱地価の海外輸出になりかねない、こういう認識のもとに対応策を検討しておられると伺っておりますけれども、どういう内容で検討されておられるのか。
○佐藤(嘉)政府委員 外務省あるいは建設省、大蔵省等におきまして、まずその事実関係を随時把握していくことが大事ではないかということを基本の原則にいたしておる次第でございます。大蔵省あるいは建設省その他の関係各省におきましても、過度の不動産投資と申しますか、目につくような状況にならないように業界との接触を取り進められているというふうに承知をいたしております。外務省としては、出先におきまして、日本人会あるいは商工会等との接触を通じて、不動産投資というものが地元との関係で複雑な問題を提起しないように、随時出先の総領事館あるいは大使館等の場におきまして接触をしている次第でございます。 なお、海外投資につきましては、一般原則から申しますと、貿易と同じように自由に行われるべきものということは認識されなければなりませんので、私どもの要請と申しますか民間関係者との話し合いも、そういう大前提に沿って話し合いを深めているというふうに御理解をいただければと思います。
○神崎委員 今の御答弁があったわけでございますけれども、これは他面、諸外国が我が国企業、投資家による海外不動産投資というものをどういうふうに見ているのか、諸外国の目にどのように映っているのかという視点というものも大事だろうと思うわけであります。 ハワイでは外国人不動産投資規制法が議会に提出されたとか、あるいはオーストラリアでは昨年九月に外国人の不動産取得を許可制にした、こういうようないきさつもあり、厳しい措置をとりつつあるように思うわけでございますが、諸外国の我が国の不動産投資に対する認識、どう映っているか、この点はいかがでしょうか。
○佐藤(嘉)政府委員 外国における日本の不動産投資についての受けとめ方についての御質問と了解いたしますが、特にアメリカにおける状況が典型的なものだというふうに私どもも思っております。 マスコミの反響、あるいは産業界の反響、あるいは地元の反響といったような点でそれぞれニュアンスの違いがあるように思います。 マスコミの反響は、最近の状況を見ますと、やはり日本の不動産投資が非常に急速に伸びてきているということに着目をしております。着目をすると同時に、過激になり過ぎているのではないかということを一種懸念を持って論評しておるというのが実情ではないか、こう思います。 それから、ビジネス界におきましては、比較的冷静に受けとめているというのが平均的な見方であろうかと思います。御承知のとおり、それぞれのビジネスの場においてなされている業務でございますから、一方において過度になっているということが一般の目には非常に映るわけですが、業界そのものにおきましては、日米間の投資の交流とかあるいはノーハウの交流といった面がございますので、それなりに冷静な受けとめ方をしているのではないか、こういうふうに観察をいたしているわけでございます。 それから、地方地方、地元によりましてこれを歓迎している面もございます。それは、例えばホテルの建設でございますとか、あるいはその他の休養施設の建設でございますとか、そういった面で地元に潤いをもたらしている面もあるわけでございます。 そういうことで、各界それぞれ異なった反響を見せていることは事実でございますけれども、私どもといたしましては、なかなかセンセーショナルな状況になりがちなものですから、その点については十分注意をしていく必要があるのであろうという感じでございます。
○神崎委員 世界的に見まして、対外直接投資は自由化の方向に進んでいる中でこういう抑制策をとるというのは逆行することになるという見方もあるわけでございますけれども、新たな摩擦回避という観点からいたしますと、この問題についても何らかのやはり我が国政府としての対応が必要であろうかと思うわけでございますが、その点について大臣どうお考えになっていますか。
○宇野国務大臣 各国から我が国の投資というものは非常に期待もされ、また時には優遇もされるのでございますが、やはり貿易と同じでございまして、余り集中豪雨的なことをやりますとやはり問題を起こすということに対しては、もう少しく考えなければならないのではないだろうか。特に日本の商業道徳と申しましょうか、貿易にも道徳がある、社会にも道徳がある、そうしたものが時と場合には、諸外国の制度、人情、風習等から見た場合に、私、関西でございますから関西弁で言いますと、なかなか通訳しにくいのですが、えげつないというふうに見られる面が多々あるのではなかろうか。 これは経済界等々におきましても、投資を抑制するというようなことはできませんし、いろいろ難しい問題はございましょうが、そうした面から、やはりもう一回り大きな国際人に日本人がならなければいけないのだということが、私は究極の政府としての判断ではなかろうか、そのためのいろいろなことも政府はしなければならない、かように考えております。
○神崎委員 それでは次に、大使館敷地の売却の問題と大使館ビルの建設の問題についてお尋ねをいたします。 東京の狂乱地価は、外国公館まで巻き込んで、今や世界各国も注目するところになっているわけでございます。この狂乱地価は、財政事情の悪い国だけでなく、余分の敷地を持っている国に売却を検討する気を起こさせている。既に中国、それからオーストラリア大使館が、敷地の一部を売却するに当たって、当初は公示価格の二、三倍に近い取引価格で決まっていたのを、東京都の指導を受けて適正価格で売買するようになったわけでございます。これら大使館敷地売却計画がある、また興味のある国が三十数カ国にも上っているというわけでございますけれども、この実態を外務当局としてどのように把握しておられるのか。 また、本来外国公館は、ウィーン条約で大使館などの取得に便宜を図るように受け入れ国の責任が明記されているわけでございまして、特別に優遇されていることから、こういう現在の状況は思わしくないというふうに考えるわけでありますが、あわせて外務当局のお考えを伺いたい。
○藤井(宏)政府委員 まず第一に実態の方でございますけれども、外務省といたしましては、まさに先生御指摘のように、大使館土地売却ということが我が国の国内法令にのっとっているか、あるいはそれが地価の高騰等社会的な悪影響を及ぼさないかという見地から、できるだけ情報を収集するように、ウオッチしているわけでございます。 他方、これはあくまで大使館としての独自の行為でございますので、一体どこの大使館がどのような計画を有しているかということについて外務省として公式にお答えするという立場にないわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、既にオーストラリア、中国、スウェーデン等々の国が実際に売却の実行を行っておりますし、さらに若干の国はそういうことを検討しておるというふうに承知しておるわけでございます。 いずれにしましても、我が外務省といたしましては、特に我が国内法の遵守という観点から、例えばオーストラリアのケースにおきましては、昨年九月にオーストラリア政府が大使館を売却するという計画があることを正式に承知した段階で、国内法を遵守するようにということをオーストラリア大使館にも奨励しておりますし、そういう観点から適宜関係大使館等と接触しておるわけでございます。 それから第二の点につきましては、既にお答えしたところでございますが、あくまで大使館の行為ではございますけれども、できるだけその行為が、我が国の法令はもちろんのこと、地価の高騰というような社会的な悪影響につながらないようにということは、当然のことでございますけれども、日常の接触の中で各大使館等に常々言っておるところでございます。
○神崎委員 賃貸で事務所を構えております大使館は、東京の狂乱地価のあおりを受けて、家賃値上げのために在京大使館の維持存続が難しくなっているのが現状でございます。 日本から離れて経費の安い近隣諸国に大使館を移すという事態に直面しているわけでございまして、大使館ビルの建設を初め用地の確保について、政府としてやはり真剣に、前向きに対応を考えるべきであると思いますけれども、この大使館ビルの建設について政府としてどのようにお考えになっておられるのか。
○藤井(宏)政府委員 この点につきましては、昨年秋以降、問題の重要性につきまして各方面に認識が深まりまして、公明党は十月に、公明党を代表いたしまして神崎先生等から外務大臣あてに、十月というかなり早期の段階で書簡をいただきまして、外務省といたしましても真剣に取り組んできておるところでございます。省内に研究グループをつくりまして、各方面の各角度からの研究をしてきております。 いろいろな可能性が考えられるわけでございますけれども、一つはやはり問題の即効性ということも必要でございますし、それからその経済性、資金が一体どこから出てくるかというような話、法的側面等々がございます。これらにつきまして、関係方面とある程度の接触を行いながら今鋭意検討しているところでございまして、できるだけ早く何らかの結果が出ることを期待しておりますけれども、何分にもいろいろな側面がございますし、と同時に、特定の利益とかそういうものとの絡み合いができるだけ適正に行われていかなければいけないという見地もございますので、具体的にお述べすることは困難かと存じますけれども、外務省といたしましても、各方面の御理解を得ながら各方面と連絡をとりつつ鋭意検討しておるところでございます。
○神崎委員 終わります。
○糸山委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十一分休憩 ────◇───── 午後一時開議
○糸山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。安倍基雄君。
○安倍(基)委員 どうも私の持ち時間がピンチヒッターであるせいか十八分とかいう話でございましてすぐ終わってしまいますので、専ら大臣に御答弁をいただきたいと思います。いつも同じような話になるのですけれども、どうも十分終わりまで聞き切れないものですから。 まず第一に、宇野大臣、訪中御苦労さまでした。ただ、私が一番最初に登板したときに言ったのは、ココム問題は後へ尾を引くよ、当時は向こうは人民大会か何かだったから大したことはないけれどもと。果たせるかな、それを言ってきた。私はつい最近聞いたのですけれども、また人民日報がココムについて取り上げて、一体どうしているんだと言っているらしいのですね。二、三日前の新聞で、アメリカがココムを緩和しようと言い出したという話もございます。 今回の訪中では、ココムのことについてきちっと姿勢を示して、むしろアメリカを説得してでも緩和するんだと言っておいて、その後に援助の話を出せばまだまだいわば援助もありがたみがある、今度は何か援助を出すと言ったら、喜んでもらう、ココムは別よという話で、しかもそのココムのいわば緩和についてはアメリカさんがイニシアチブをとっていかにも日本の出番がない。これは順番が逆だったんじゃないかな。持っていったお土産、お土産ではないとおっしゃったけれども、お土産が大して感謝されないで何か弁解的なものにとられて、ココムの問題は要するにアメリカさんのイニシアチブによる、これはおかしな話だなと私は思いますね。 しかも、このココムの話はアメリカの国防総省のサゼスチョンでやったわけですから、それを告発した後アメリカの方が緩和するなんて言ってきたのじゃ全く踏んだりけったりですね。だから今回、本来は訪中のときにはココム問題についてある程度筋を通したことを考える、援助はその後でよかったと私は思うのですね。 こういったことを外務省内でどの程度議論をされたのか、ちょっとお聞きしたいのですけれども、宇野外務大臣は、今度また人民日報がココムどうしてくれるんだということを言われた後、どうお考えになるのか、この点をお聞きしたいと思います。
○宇野国務大臣 人民日報におけるココムに関する記事をまだ読んでおりませんので、十分それを読ませていただきますが、今安倍委員の御質問にありました二つの関連性、これは今回新内閣に対する日本の新内閣としての提案でございますから、そうたびたび出会えるわけのものでもなし、幾つかの項目の中で両国間が事務レベルで合意をしたものを出してそれについての意見交換、こうなっております。だから、還流資金一千億円の供与も非常に感謝をされておりますし、また第二次借款の余りが多少出たのですが、これは今回総書記になられました趙紫陽さんの総理大臣のときの内容を全部盛り込むことができた、こうしたことでこれも非常に感謝をされたわけであります。 ココムに関しましては、先般の対中国向けの二社の摘発に関しましては我が国の北京在住の大使館から十分に説明してありますが、私からもさらに緩和するということを申し上げてあります。決してこれはアメリカのイニシアチブではなくして、ココムは御承知のとおり十六カ国が合意をしなければいけない、昨年我々は日本の発議によって中国の扱いを日本としては米国同様の地位に置いてあるから、ここはひとつ東欧並びにソ連と大きな差があるということを御認識賜りたい、十分御認識賜っているだろうけれども、さらに申し加える。そして、ミサイル等の問題もはっきり言うたのです、いろいろございますから。 これに対しまして中国からの回答も得ましたし、さらに私たちは近きココムの総会において、中国に対してはさらに緩和する準備をしておるということを十二分に伝えてありますので、安倍委員いろいろと日中親善のために御懸念になっていただいてありがたくは思いますが、私たちといたしましてはそういうことでやってまいったということを御理解賜りたいと思います。
○安倍(基)委員 だから、言われてすぐ直すくらいだったら、本当は告発のときにもっともっと十分考えるべきだったのですね。この点、国防総省に言われて半年たって告発した、半年でしたか、した後、抗議を受けたらそこで緩和する、いかにもこれは失態なんですね。だから告発の前にもう少し内部で検討すべきじゃなかったかなと私は思いますし、一応大臣はココムの緩和の方向にイニシアチブをとるというお考えですね。そういう理解でよろしゅうございますか。 ココムのことばかりやっていますと十何分すぐたってしまいますから、次でございますが、今度何か米国が、フィリピンに百億ドルの援助をひとつ日本と西独とアメリカでやる、その中で一番日本にたくさんかぶってくれという話を言い出しておるという話を新聞報道されていますが、西独なんかはフィリピンに余り関係ないのですよ。これは一種の当て馬で基本的には日本しっかりやってくれよ、アメリカはおまえよりも少ししか出さないよという話になるのでございますけれども、この辺はそんなに勝手にどんどん話を進められてもかなわないのだし、大体アメリカがそんなことを押しつけてくるのはまことにけしからぬ話ですよ。 この点について、大臣はけしからぬとお思いですか、それとも仕方がないとお思いですか、どちらなのですか。
○宇野国務大臣 先ほども政府委員からお答えいたしましたとおり、まだそういう正式な話は来ておらぬわけであります。それに似たような話といえば、シグールさんが特使として来てフィリピン援助の問題を話し合ったことはございますが、そのとき私も日本の財布も限度があるから、ひとつアメリカなり豪州なりECなり、こういうふうな表現で世界銀行的な性格で御援助申し上げるということなら我々も賛成しましょうと言っておるわけでありまして、おまえのところは何%、おまえのところは何%というようなことはまさに聞いたこともありません。もしそういうことがあるならば、これは話も抜きとしての話ならば僭越な話である、かように思います。 西ドイツは、私もなぜ名前が出たかなと思っておりますと、実は東南アジアを回っておりまして、日本はよくやっていてくださいますが、西ドイツも金持ちなのだから日本のようにやってほしいねという願望が非常に強いというふうなことを、そこはかとなく西ドイツということを日本同様に考えられたのではなかろうか。また同時に、第二次世界大戦における敗戦国であった、それは他国の援助によって復興した、いろいろな思惑がそこにあったのではないだろうかと思いますが、我々のコメントする立場ではありません。
○安倍(基)委員 西ドイツは各国別にどのくらい出しているかといいますと、フィリピンなんかは下の下なのですよ。上位には全然入っていないのですね。だから出しっこないのですよ。あれは当て馬なのですよ。 結局は日本にしょってくれというだけの話です。フィリピンにおいては、しかも我々はアジア開銀を持っておりますし、アジア開銀から要するに言う資格もあります。変な話があったらどんどんけってください。お願いしますよ。いかがでございますか。
○宇野国務大臣 日本には日本のやり方がありますし、外交の方針もございますし、対アジア方針も確立をいたしておりますから、そういう線内のお話ならば私たちは協議に応ずることがあるでしょう。しかし外れた場合には我々としては一言なかるべからざる、これは当然のことであります。
○安倍(基)委員 私は援助の話をしょっちゅう持ち出すので――本当は大蔵委員会の場合に一時間半くらい時間あるのですよ。その調子でやれば私の意図は完全にわかるのですけれども、十八分では全然わからない。ですから、私はただただ反対しているかのごとく聞こえるのですな。反対すると、おまえだめよ、野党はもちろん賛成、与党も賛成だと言うのです。 そうではないのですよ。今まで余りにも日本人というのはムードに流されてしまう。ODAはいいことだ、軍事援助は悪いことだ、軍事援助の方を抑えるから片一方をふやすのだという話をいつも皆さんする。今度竹下さんがどこかへ行って援助するとか言っていますけれども、それを受けてえらい新聞社が、これからまた外国並みの〇・三五か〇・四くらいの平均の値まで上げるんだ、そういうことをサミットで公言するなんて言っていますね。これはゆゆしき問題ですよ。 私どもは、これから税制国会で秋からやるのです。この前、ある地元の問題を話したときに、税を脱税すると縛られる、怒られる、片っ方でどんどん使っているのに対しては何も罰にならない、おかしいじゃないかというお話があったわけですよ。脱税というのは、それは西欧諸国みんなきついんだよ、じゃ何でどんどん使うことについてもっと目を光らせてくれないのですか、タックスペイヤーの目ですべてを見てくれないかという話があるわけです。 もちろん国際協力はいいことですよ。最近、たまたま全く私の意見と似たような話が出てきたのですが、竹村健一さんがちょっと本を出しましたけれども、日本はもうけ過ぎだからということで、しょっちゅう出せ出せと言われている、もらう方は当たり前になってしまう。ところが、一遍援助したらそれを途中から切るわけにはいかないのですよということですね。途中から減らすわけにはいかないのですよ。補助金以上に対外的な公約になるのです。よほど慎重にやらなければいけない。ただただ量をふやして、じゃ、今度だめになったからやりませんということにならないのですね。 私は、これをいろいろ調べてみますと、GNP比、例えば日本はまだ〇・三くらいだとか言っていますが、これはアメリカはもっと低いのですが、アメリカの中でも軍事援助的なものが四〇%あるのです。イスラエルとか、それからエジプトですね。それでいくと、アメリカのいわばGNP比というのは、簡単に言えば○・一くらいなんですよ。 しかも、現在日本はドルが下がって円が上がった。この間、公明党の大久保書記長が自衛隊の費用について円高メリットが全然考えられていないと予算委員会で質問しましたね。あれは双方に言い分があると思いますけれども、軍事費になると、そうみんな言うけれども、対外援助が実態的に、この前お話ししたようにドルベースで二、三年前より五〇%上がっている、しかも、ことし、去年に比べて二、三〇%上がっている。これは受ける方はドルで物を買うわけですから、要するに今まで一つの病院だったら二つつくれるぐらいの量になるのですよ。消化不良を起こしてしまう。それを一遍どんどん上げてしまいますと、これはまたもとへ戻せない。 今や日本は世界における一番のODAの援助国になっているわけですね。ですから、個人的に一人当たりからいったら比率がアメリカの倍くらいになってしまうわけです。これは一遍始めたらもとへ戻れないということ、しかも税制国会というのが目の前にあるということ、今までの中曽根さんの場合にも、従来、外に行ってはどんどん手形を切ってくるのですよ。タックスペイヤーの目で見ていないのですね。 ドイツが非常にいいと言っています。ところが、一人当たりのドイツの国債残高、パーキャピタでやりますと、一人二千ドルくらいです。日本は五千ドルの国債をあれしているわけですよ。でございますから、対外的に――あと五分ということだから、これはもっと時間をかけてあれしますけれども、今までODAはよかった、これはだれも反対がないという時代ははっきり言って去りつつあるのです。 私はいつも、私の発言というのは、大抵一年ぐらい前に言うのですけれども、これは必ず実現します。それはいささか自信がありますが、ODAについて今まで与党も野党も反対がない、いいことだ、いいことだと言っていますけれども、実態をみんな知らないわけです。ドルベースで五割増しになっている、二割増し、だれも知りませんよ。 それから、これで見ますと、フランス、イギリスなんか見ますと、旧植民地に対するものがべらぼうな率になっているわけですよ。イギリスでも旧植民地に三割くらい行っているのです。フランスの場合には現在の植民地、海外県だけでも三割、旧領土でやりますと五割近くになるのです。そういうやり方で計算しているのです。 本当にこういった実態を見たときに、ちょっとこれも時間がないが、ただただODAがいいと言っていることはできないのです。私は、税制国会の前に余り妙な将来に対する手形を切ることはやめてほしい。それは海外協力も大事です。しかし、例えば今や日米の交渉でこれだけやっているから、じゃサッチャーさんが黙るか、ヤイターが黙るか、これはこれ、これはこれで別の問題になっているのです。 私はアメリカに長くいました。アメリカ人というのは、これはおまえの言うことは当たり前だ、こっちはおれの要求は別だ、そういうごり押しをすることもやる人間なんです。だからODA、ODAと言うことについて、あと三分だが、ちょっと大臣、それは日本は国際協力をしている、こういうことを言われて、それは胸を張るということはあり得ますよ。これは国民の税金なんですよ。日本が黒字がたまっているといっても、国債残高のパーキャピタからいったらドイツの倍以上あるのです。 もしこれを簡単にサミットで竹下さんが約束したら、私は冒頭において、民社党は非常にいろいろ微妙な立場なんですが、絶対に税に反対しますよ。最初から審議ストップさせますよ。いかがですか。
○宇野国務大臣 安倍委員独特のODAに対する御見解、先般来より傾聴しております。全部とは言いませんが、私もその御意見の中にはやはり考えなければならないこともあるなとぐらいのことは認識いたしております。 しかし、今日の日本、確かにタックスペイヤーのお金を使わせていただくわけですから、極めて慎重に、また極めて効果的にやっておるつもりでございますので、やはりODAは唯一のこれは援助であると世界の認識が今日そうなっておりまする以上、世界一だと言われている日本の経済力がODAにおいて後ろ向きの姿をとるというようなことは、むしろかえって摩擦を大きくしてしまうというふうに考えます。 したがいまして、国民の税金である以上は、当然そこには一定の限度もございましょうが、できる限りの援助を申し上げたい。またその効果は、確かに植民地対宗主国という間の関係とまた日本は全く違う、さらの関係においてODAを使っておるわけでございますが、それは、それに対しましてやはり途上国は日本に対しまして期待もし、いざというときにはいろいろとお手伝いも願っております。 WHOの事務局長に日本が初めて立候補しました。このときも、立候補した以上は当選せしめなければならないと非常に努力しましたが、決選投票で多くの途上国の投票を得られた。やはり日本のためにはこうしたときには御恩返しをしよう、そうやってお互いに持ちつ持たれつ、まさにODAは南北間に横たわる根底にあるところのお互いの相互支援ということも大切なことで、それが生かされておる部面もありますから、安倍さんの御意見は御意見として、私、拝聴はいたしておきまするが、そうめちゃくちゃに国民の財政破綻までしてやろうというのじゃなくして、きちっとしたある程度の節度のもとに、しかもぎりぎりの線でやはり尽くすべきは尽くしていくというのが我が国の世界に貢献する日本である、こういう信念でございますので、この点は、ひとつ意見が一致しないかもしれませんが、御理解賜りたいと思います。
○安倍(基)委員 時間もないのですが、結論的に言いまして、それは私は頭からODAに反対するわけじゃない。ただ、実態を分析していきますと、日本は世界一になって、パーキャピタからいったらすごいあれになるわけです。黒字があるのは貿易でありまして、財政はめちゃくちゃな赤字なんですよ。税の問題も、先に減税するとか言っておりますが、最終的には財政のことを考えておるわけですね。 私も何も財政だけで事を判断するわけではありません。しかし、援助をする以上は、これからいろいろな自由化を求められてくれば、国内に対する補助も必要になるかもしれない、それからアメリカの安全保障についての分担金をいろいろ求められてくるかもしれない、そういう経費が幾らでも出てくるわけです。それとのバランスにおいてODAが、一般的には胸を張れるかもしれないけれども、一度約束したものをだんだんと逆に減らしていくということは、かえって評判を落とすのです。 しかも伸び率からいって、円が倍になっていますから、すごい伸び率になっている。それをまた円ベースで伸ばしていって、それでもって手形を切ってきますと、これは大変な話になるのですよ。 だから、この点は竹下総理が今度のサミットに行く前によほどよほど注意した上で行かないと秋の税制国会はめちゃくちゃですよということを警告いたしまして、私の質問を終わります。
○糸山委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 外務大臣、まず奥野国土庁長官の発言をめぐって、午前中も過去の戦争をどう見るかということが議論になりました。参議院本会議でも竹下総理、奥野大臣が御答弁になりました。これを踏まえてお聞きをしますので、ここで改めて御紹介をいただかなくても結構でございます。 それを踏まえた上でお聞きするのでありますが、外務大臣は、昨日の参議院外務委員会でも、きょうの午前中の答弁でも、軍国主義による侵略だ、これは極めて明快な御答弁だというふうに私は思いますが、これは確認でありますが、これは中国、朝鮮などを含んでいるということでございますね。
○宇野国務大臣 広い意味でそうとっていただいてもいいと思います。
○松本(善)委員 それで、この奥野大臣に関する問題はまた後でいろいろ議論がされるかと思いますが、私は基本認識を聞いておきたいわけです。 これはもちろん外交問題になっておりますけれども、単に外国がいろいろ言っているからというだけの問題にとどまらない。やはり戦後政治の原点が、国連憲章にいたしましても、それからポツダム宣言に始まる今の憲法のもとでの政治にいたしましても、過去の侵略戦争の反省の上に立ったものではないかというふうに思うのですね。 そういう点で考えますと、戦後政治を進めていくという上では政治家のいわば原点でなければならぬ。そういうことで言うならば、この問題に関する認識というのは閣僚の資格にかかわる問題だという御認識を持っておられるかどうか。 これは奥野大臣がどうなるかという問題ではなくて、一般的にこれは閣僚の資格にかかわる問題だという認識を持っておられるかどうかということを伺いたいと思います。
○宇野国務大臣 資格ということになりますと、いろいろまた議論もしなくちゃならない問題があると思いますが、もうこれはやはり戦後の日本の新しく生まれ変わった姿、憲法から眺めましても、あるいはいろんな問題を起こしました国々と条約を持ったこと、それについての共同声明等、そうしたことは十二分に閣僚は知っておらなければならない、こういうふうに思います。
○松本(善)委員 私は、やはりこれは閣僚の資格にかかわる問題であると思うし、我が党は奥野大臣の罷免を要求しているわけですが、奥野大臣は竹下総理の答弁と同じというようなことを参議院本会議では答えたようでありますけれども、しかし過去に述べたことは、これは先ほど外務大臣が言われた、中国が侵略戦争と言っていることを否定するつもりはないというようなことは言われてはいるけれども、そのほかの部分でやはり過去の戦争を肯定をするというような部分が多々あると思います。 私は、やはりこれはこれだけでは済まないんじゃないか、はっきりと間違っているという点は間違っているというふうに言わなければならぬのではないか。きょうはさらにこの問題について突っ込むつもりはありませんけれども、私はそのような性質のものであるということだけ申し上げて、別の質問をしたいと思います。 それは、東京港に第七艦隊の旗艦のブルーリッジが入港するという問題であります。これは市民団体も反対が方々で起こっていますし、きょうも反対集会が夕方開かれますし、海上のデモも行われるということであります。 この問題について私は、それ自身の問題もありますし、地方自治体との関係の問題もあるかというふうに思うのですが、まず最初に伺っておこうと思うのは、これはこの国会、前からの国会でたびたび議論になっておりますが、大臣御存じと思いますが、自民党の国民運動本部のつくりました核パンフですね、「「非核都市宣言」は日本の平和に有害です」というパンフレット、これは中曽根総理大臣のときからたびたび私たち問題にしております。こういう認識でいくということになると、地方自治体のやっていることにみんな干渉していくということになるのですけれども、この考え方には反対ですか、賛成ですか、まず最初にちょっと基本的に聞いておこうと思うのです。
○宇野国務大臣 私も随分物を読む方ですが、本当にそれは今初めて見せていただいたような感じでございます。
○松本(善)委員 「「非核都市宣言」は日本の平和に有害です」と書いてある。表題にある。こういう考え方、詳しく紹介するまでもないのです。要するに、そういうことをやるのは日本の平和に有害だ、この考えに賛成か反対か、それだけで結構です。
○宇野国務大臣 地方自治体のことでございますから、これは自治体の問題である。しかし事外交ということになりますと、外交はやはり日本政府がやっておるわけでございますから、地方自治体と外交との間においてはそれはきちっとした区別がなされなければならない、こういうことで私たちは臨んでおります。 だから、その表題が「有害です」と書いてあるということになりますと、編さん者がどういうことで書いたかということを聞かなくちゃならないと思いますが、いささかオーバーな表現かもしれないなと思います。私は、そうした地方自治体と国と、外交ときちっと区別して物を考えるという上に立ってのお話であります。
○松本(善)委員 実は御存じと思いますけれども、一九八四年の三月十七日の参議院予算委員会で中曽根総理大臣が、この地方自治体との関係で、神戸市の非核決議との関係でこういう答弁をしておられます。 その答弁のとおりでありますが、地方自治の本旨に基づく一つのやり方であって、よく理解できる、我々もできるだけ協力するのが筋、こういう答弁をされました。この中曽根総理の考え方は基本的に竹下内閣としても踏襲をしていくということでよろしいのでございますか。
○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省)ちょっと事実関係を私の方から申し上げさせていただきたいと思いますが、中曽根総理がそのような答弁をされたのは我々も承知しております。その後、その問題につきましては何度か国会でも取り上げられておりまして、中曽根総理御自身も、ただいま御指摘のございました答弁の後に、本来国と地方自治体は異なる立場からそれぞれの所掌事務を処理すべきものであって、例えば外交とか防衛とか、ちょっと議事録が手元にございませんが、通貨とか、このような問題は国が一元的に処理すべきものであるという答弁をされたと承知しております。
○松本(善)委員 もちろん、国がやっているということについてはそのときの答弁でもありましたから、別に変わったというふうには私ども認識していないのですが、大臣、今の中曽根総理の答えられた方針というのは今も踏襲されているものかどうかということをお聞きしたいと思います。
○宇野国務大臣 自治体は自治体としての考え方でいろいろな問題に関する意思表示をなさっておられます。したがいまして、当然政府としては尊重しなければならぬ問題が多いだろう、こういうふうに考えます。 しかし、今申した外交とか防衛という問題に関しまして、政府の方針がそうしたことに拘束されるかどうかということになりますと、やはり政府は政府として自分の所掌事務は遂行していかなければならない立場にあるということであります。
○松本(善)委員 もちろん、自治体が決めましても、それは政府を拘束するというようなことはないでしょうね、それは自治体の範囲のことですから。 ところで、ブルーリッジの寄港ですが、この寄港目的は何だというふうに外務省は考えていますか。
○有馬政府委員 親善友好を目的としていると申しております。
○松本(善)委員 私、ここに「核戦争の最前線・日本」という本を持ってまいりました。外務大臣はお読みになったかどうかわかりませんが、これはアメリカのノーチラス研究所というところの研究員が、アメリカの情報公開法、情報自由化法と言ってもいいのですが、それに基づいて大量の政府の文書をもらって、それを駆使して書いたものであります。 それによりますと、寄港というのはどういうものかということについて、これは「「親善」や乗組員たちの休養ばかりではない。」「米外交の戦略的目的の実現をはかっている。」「艦船の寄港そのものが、外交活動であり、特定の同盟国、ときには同盟国内の特定のグループに対する米国の友好と軍事的支援の合図を送っているのだ。」それから、「艦船の寄港や航空機の派遣は両刃の剣だ。一方では、米国の目に見える力の象徴として、同盟国の親米勢力を力づけ、及び腰の連中を脅しつけることができる。だが一方、寄港などは、さまざまな勢力による反米運動を煽っている。」というような評価をしておるわけです。 単なる親善というようなものではない。これはここにもありますが、すべて太平洋軍総司令官の承認を受けて寄港がなされているということが言われております。やはり政治的なものであります。 東京港に入ってくるというのは、一体どういう意味があるのか。単なる親善ということである、これは一体何だろうと思えば、やはり三宅島が東京都の問題である。それから、東京ではありませんが、すぐ近くの池子弾薬庫の問題、そういう問題があります。それから、艦上ではレセプションをやるという。これはどういう人を呼ぶかわかりませんけれども、私はノーチラス研究所の研究員たちが書いていることに全く符合するように思う。 同時に、これは裏の面として、反対運動も起こってきておりますけれども、この寄港目的について、私が紹介いたしました今のような事実を念頭に置いて、外務大臣はいかがお考えでございましょう、どういう意図でこの東京入港がなされるのだろうか。
○宇野国務大臣 今北米局長が申し上げたことが主目的でございまして、そのとおりだと申し上げる以外には何もありません。 やはり我が国とアメリカの関係は、安保体制という貴重な枠組みによって今日までその平和と安全が守られてまいりました。だから、三宅島がどうとか、あるいはまた池子がどうとかということではなくして、やはりお互いに親善を今後も図っていくということは大切である、そういう趣旨で我が国の首都を訪問するということだろう、私はそのように信じております。
○松本(善)委員 これは寄港のいろいろな運動の中での不安が出てきておりますのは、寄港ということが恒常化するのじゃないか、一回入ってきてまた入ってくるということになるのじゃないか。 それから、こういうことがどんどんやられていくということになると民間港の事実上の無制限入港を許すということになっていくのじゃないか、それは安保条約の本来の趣旨ではないのじゃないかという不安がいろいろ出てきております。 将来の寄港の恒常化とか、あるいは民間港の事実上の無制限入港に道を開くのじゃないかというような不安に対して、何とお答えになりますか。
○有馬政府委員 恒常化とおっしゃられたことの意味が一つよくわかりませんけれども、折に触れていろいろな理由がありますでしょうけれども、今回は親善友好ということで米国の軍艦が地位協定に基づいて入ってまいるわけです。それ自体、大臣が今言われたとおり結構なことでございますし、今後もそのようなことがあればそれは認められていくということだろうと思います。
○松本(善)委員 別に東京港へこういうのが入る必要は全然ないと思うのですが、安保条約と地位協定が問題になりましたころ、六〇年の議論になりました当時には、林法制局長官が、要するに施設、区域を提供するんだ、「それ以外に米軍の使用するというものはない」、「港の出入りは、全く技術的な問題で」「そこを通って施設・区域に行くとか、そういうところから、港に出入りを認めているわけでございます。」それから、後の方は藤山外務大臣ですけれども、「一般的に外国の軍艦が入ってくるというようなことは、これは通常開港でもあるわけでありますけれども、今のような安全保障条約の目的として、そういうことは考えられないわけでございます。」要するに、施設、区域を提供しているだけだ、その間にそこへ行くのに入港ということもあるのだ、それ以上のことはないんだという趣旨の答弁なんですよ。 それが、今北米局長の言うように、また来た場合には認めます。一般的に言えばそういうふうに言うのかもしれませんけれども、そういう寄港を何回も何回もやるということになれば、これは寄港の恒常化とか、民間港が施設、区域の提供と事実上同じようになっていくのではないかという心配が出てくるのは当然じゃないかと思うのです。 私が外務大臣に申し上げたいのは、やはりこういうことはやめるようにアメリカに言うべきではないか。それから、この問題について外務省は東京都に、通知といいますか、認めてくれるようにという趣旨のことを言ったようですけれども、私は地方自治体に干渉になるような性質のことはやはりやるべきではないと思うのです。 外務大臣にお聞きしたいのは、一つは、やはりこういうことはやめるようにアメリカに言うべきではないか。第二は、地方自治体に対する干渉がましいことはすべきではないのではないか。二点について伺いたいと思います。
○宇野国務大臣 やはり友好親善ということでございますから、そう毎々来て友好親善ということはあり得ないのではないか。何らかの機会に友好親善、そのことにつきましては我々といたしましても今の体制下においては歓迎すべきである、かように考えております。 また、東京都に対しましては、照会はあったかもしれませんが、我が方からいわゆる圧力を加えたとか、そういうような事実は全くございません。
○松本(善)委員 外務大臣とは残念ながら意見が異なりまして、先ほど申しましたように、池子の弾薬庫や三宅島などに対するいわば示威行動というような性質を持っているものであると思いますので、私は、これを認めるという方向に行っていることについて強く抗議の意思を表明いたしまして、終わりにしたいと思います。 ────◇─────
○糸山委員長 次に、原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
○河上委員 私は、日米原子力協定につきまして先般質問をいたしましたが、その際、明確な御答弁がいただけなかったので質問を留保いたしましたのが三点ほどございます。きょうは同僚の辻委員の質問に先立ちまして、その三点の御答弁をいただきたいと思っております。 一つは、我が国電力会社の南ア産ウランの引き取り状況でございまして、二つ目は原子力発電のPRのための基金をつくるという報道につきまして、政府の各省間の御答弁が混乱、食い違いがございましたので、統一的な見解をいただきたいということ、三番目は米中原子力協定につきまして一点御説明をいただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
○遠藤(哲)政府委員 まず私から、先生の御質問の二点目と三点目を先にお答え申し上げたいと思います。 まず第二点目のIAEAへの基金拠出の件でございますけれども、この問題につきましては、科学技術庁、通産省、外務省で協議いたしました結果、次のような見解につきまして確認が得られましたので、これを御説明申し上げたいと思います。 四月二十七日の朝刊の各紙におきまして、政府が原子力機関、IAEAに対しまして約一億円ばかりの資金拠出を行いまして原子力発電の安全性のPRのための基金設置云々、こういうことが報じられたわけでございますけれども、これにつきましては、政府の一部でこのような可能性につきまして極めて予備的な議論が行われたことはあったわけでございますけれども、政府といたしましてはこのような考え方を採用したことはございませんし、本件は全くの白紙でございます。 他方、原子力の利用に当たりましては、これは言わずもがなでございますけれども、安全の確保ということは何よりも大切なことでありますので、このための国内的な努力とともに国際的な努力、これはIAEAが中心になろうかと思いますけれども、国際的な努力も引き続き積極的に取り組んでまいりたい、こう思っております。これが第二点目でございます。 第三点目の米中の協定でございますが、確かに日米の原子力協定におきましてはIAEAの保障措置が要求されておるのに対しまして、米中におきましてはこのような措置に関します規定はございません。この点に関しましては、米中の場合どうなっているかと申しますと、アメリカ、中国双方のこれは双務的でございますけれども、相互に施設を訪問したり情報の交換をする、こういうふうなことになっております。 なぜこういうふうなことになったかと申しますと、二つ事情がございまして、一つは、アメリカの国内法の関係上、中国は核兵器国でございますから、核兵器国との協定に対してはIAEAの保障措置を要求していない、こういうこと、つまり核兵器国である中国の立場、こういうことが第一点。 それから、米中協定が交渉されました当時は、まだ中国はIAEAの保障措置を受け入れるということを発表していなかったわけでございます。したがいましてそういうことになったわけでございますけれども、その後、ちょうど三年前でございますけれども、中国はIAEAの保障措置を受け入れるということを発表いたしまして、現在IAEAと中国との間でどのような保障措置協定を結ぶかを交渉中でございまして、本件は、米中のみならず日中協定におきましてもIAEAと中国の保障措置協定というのは必要なわけでございますから、私ども日本といたしましても一刻も早く中国とIAEAの保障措置協定ができることを期待いたしております。 以上、二点目と三点目でございます。
○松井政府委員 ただいま先生御指摘の第一点につきましてお答え申し上げます。 四月二十七日の本委員会におきまして河上委員から、我が国の南アフリカ産ウランの引き取りの状況についての御質問があり、私から調査させていただきたい旨答弁いたしましたが、本件につきましてその後の調査結果についてお答え申し上げます。 我が国の電力会社は、南アフリカ共和国から八三酸化ウラン量にいたしまして合計約二万二千ショートトンの天然ウランを購入する長期契約等を有しております。これは一九八六年十一月に通商産業省が電力業界に対して行った対南アフリカ措置に関する要請以前に締結された契約であり、それ以降新規契約は結ばれていないと承知しております。 通商産業省によりますと、我が国電力会社は南アフリカ共和国から天然ウランを引き取った後、米国、フランス、英国等でウランを転換、濃縮した後に我が国に輸入している、そのために南アフリカ産ウランの通関状況は正確に把握できないとのことであります。 ただし、我が国の電力会社の引き取り量につきましては、昭和六十二年三月末現在で契約総量の約八割であると聞いております。また、残りにつきましても、現時点ではここ数年のうちに全量が引き取られる見込みであります。 以上でございます。
○河上委員 今御答弁いただきましたので、おおむね承知できるかと思いますが、先般来私の質問に対しまして、時として各省によって答弁が食い違ったりすることが多いようですので、今後そういうことがないように、殊にこの原子力問題というのは非常に重大な時期を迎えておりますので、そのことを特に要望したいと思います。 なお、せっかくの機会でございますので、今の三点に関連しまして一言だけ大臣のお考えを伺いたいと思っておるのですが、原子力発電の安全性のPRのための基金を設置するのに一億円の資金拠出を行うという新聞の報道については、そういう考えは採用したことはないということでございますが、本件は全く白紙でありますと今御答弁でございましたけれども、政府が白紙であると言うのは、その時点では白紙であってその後はまた違うというケースがよくありますので、そういうことのないように特に希望したいと思うのであります。 最近、原子力発電とは直接関係ないのですけれども、アメリカでロケット燃料の工場が大爆発を起こしまして、そのために施設の中だけではなく何キロにもわたって大変な被害を生じておるのでございますが、ああいうケースを見ましても、今までの原子力発電の安全性についての政府並びに電力会社の説明というのは、施設内の安全ということだけを非常に強調しておられますけれども、もし万が一の事故が起きた場合にはその施設内にとどまらないものでございます。 先般、消防庁の意見を聞きますと、そういう場合の対応は消防庁では今のところ全くないようでございますので、この安全性のPRのために金を使うよりも、まずそうした万が一にも備えた安全性確保の対策あるいはそれの応急処置のために政府並びにそういう関係機関が、こういう体制があるのだということを一般国民並びに市民にもはっきり説明できるような状態を一日も早く確立することが大事だと思うのでございまして、その点、外務大臣、あるいは直接の担当でないかもしれませんが、原子力発電の安全性PRのために金を出すというのではなくて、安全性そのものを確立するために対応措置を十分に考えるということにもっと努力してほしいと私は思っておりますので、そのことを大臣に要望とともに御質問をしたいと思います。
○宇野国務大臣 我が国の原子力平和利用というもの、これは世界においても冠たるものだと私は思っております。したがいまして、原子力は平和に用うべしという一つのサンプルでなくちゃならぬ。そのためには、今おっしゃるとおりに、今後我々は核燃料サイクルというものの確立を目指したいと思っておりまするが、やはり安全が大切でございます。 その安全は発電施設そのものの安全、また同時にいろいろな面におけるところの安全、今御指摘のとおりだと思いますから、第一義的には科技庁、原子力委員会、また原子力安全委員会の所管ではございましょうが、外務省といたしましても、そうしたことに関しましては関心を持ちまして今後十分最善を尽くしていきたいと思っております。
○河上委員 私のいただいておる時間はもう限られておりますので、きょうは補足質問でございますので、これで終わりたいと思います。
○糸山委員長 辻一彦君。
○辻(一)委員 私はきょうは日米原子力協定に関係して、核融合、それからプルトニウムの問題、また協定発足、核防条約等によって原子力利用三原則の自主、民主、公開の原則が形骸化するおそれがある、そういう点で、具体的な例を挙げて質問いたしたいと思います。 原研から森先生お願いしておりますね。参考人にお願いしましたので、その都合もありますから、ちょっと核融合の問題を先に触れたいと思います。 原子力エネルギー開発の道は核分裂による軽水炉、そしてそれを再処理してプルトニウムを使って高速増殖炉、こういう道筋があります。もう一つは、核融合を生かして行うところの核融合への開発の方向があると思います。 前者の道、いわゆる核分裂による軽水炉から高速増殖炉への道は相当量あるいは大量のプルトニウムを生み出すという点で、プルトニウム管理社会と言われておりますが、それにつながっていく、そういうものを生み出していく、こういうふうにつながっていくと思います。それは後で論議をするとして、もし核融合によって展望がこれからここ三、四十年で開かれるということになれば、原子力エネルギー開発の道もまた新しく考えられるのじゃないか、こういうような感じがいたします。 そこで、核融合の将来について、日本の核融合の実験、開発の状況、それからアメリカ、EC、ソ連の開発の状況等々を比べ合わせて、どういう段階に今あるのか、どういうレベルにあるのか、こういうことを少しお尋ねいたしたいと思います。 これは森日本原子力研究所の副理事長さんが核融合の専門家でありますので、きょうは御無理をいただいて参考人にお願いしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○森参考人 お答えいたします。 森でございます。 〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕 核融合の開発状況というのは現在ちょうど科学的な実証を終えようとしておるところでございまして、次の段階としては工学的な実証に進まなければいけないというのが世界的な認識でございます。 それで、科学的な実証といいますのは、核融合炉の炉心になる超高温の気体をつくる、超高温の気体はプラズマと言っておりますが、そういう超高温のプラズマをつくるというのがいわば科学的な実証ということでございます。 そういうことにつきましては、日本原子力研究所の臨界プラズマ試験装置JT60、それから米国のTFTR、それから欧州連合のJET装置という三つの装置が超高温の気体、プラズマをつくる仕事をしておるわけでございますが、現在それらはほぼ同じレベルにございまして、核融合のそういうトップの研究につきましては、日本は世界の三つの国の一つとしていわば最高のレベルにあるということは申し上げられるかと思います。 そういうふうになりましたのは、そういう世界のトップに日本が立ちましたのは実はそう昔のことじゃございませんで、昭和五十年代の最初のころからだんだんに詰めてまいりまして、昭和五十年代の中ごろで研究のレベルとしてはほぼトップに並んだという認識を持っております。 それからもう一つは、核融合はそういう炉心のプラズマ、超高温の気体をつくるということだけではなくて、核融合炉をつくるための工学技術も必要なわけでございますが、これにつきましては、超電導のコイルとかプラズマ加熱装置、超真空の技術あるいは制御技術などにつきましては、日本は控え目に見ても世界の第一線にあるというふうに言ってよろしいかと思います。このような研究は原子力委員会の核融合の研究開発計画に従って計画的に進められておりまして、日本の研究はそういう点では非常にバランスのとれたいい研究になっておりまして、世界のトップにあるというふうに申し上げられるのじゃないかと思っております。 そういうことで説明を終わらせていただきます。
○辻(一)委員 続いてまたお尋ねしますが、その前に、科技庁、原子力局長のかわりにだれか見えていますね。 かつて、高速増殖炉の実用化がかなり早い時期に行われるであろう、なされるであろう、実現するだろう、こう言われておったのですが、今の開発状況等々を見ると、これは相当先になるというように思われますが、この高速増殖炉の将来の開発の展望というものをどういうように考えているか、これをちょっと科技庁から伺いたい。
○井田説明員 今の原子力委員会が昨年六月策定いたしました原子力開発利用長期計画におきましては、二〇二〇年から三〇年、それが実用化の時期、そのように記載されているところでございます。
○辻(一)委員 大体、二、三十年先になりそうだということですね。従来FBRを考えておった時期はかなりおくれている。のみならず、ソ連の方もとまっておるし、アメリカもとめておるし、フランスがFBRをフェニックスとして動かしておる、これも次の世代はいろいろ問題があって、ナトリウムが漏れる等々でとめているし、第二の設計は検討し直しておる、こういう状況にありますが、こういう点から見ると、いずれにしてもFBRの実用化はかなり先と見なくてはならない。 そこで核融合が、これもかなり時間が、五十年から六十年かかると言われておったのですが、今の実験、開発の状況からして、百万キロワットぐらいの営業炉を本当に動かせるようになる可能性というもの、そういうものがおよそめどがつくのかどうか、それについて森先生にちょっとお尋ねしたい。
○森参考人 お答えします。 核融合というのは、これからいろいろなことを研究いたしまして、未踏の技術を開発して炉をつくり上げなければいけませんので、このような非常に長期にわたる予測というのは難しいわけでございますが、これから臨界プラズマ試験装置の試験の結果をもとにして、次いで実験炉、それから原型炉、実証炉というふうに炉をつくってだんだんにパワーを上げ、能率も上げ、安全性も確認して仕事をしていくということになろうかと考えております。 そういうことから考えますと、最初の実証炉ができるのが来世紀の二十年から三十年のころであろうと私たちはもとから考えておりまして、これはどうしても工学的な技術でございますので、一挙に百万キロの炉をつくるというわけにはいきませんで、そういう実験炉、原型炉というふうなステップを踏まざるを得ない。そうしますと、ワンステップがどうしても十年から十五年はかかるということから、そういうふうな期間が予想されるわけでございます。 これにつきましては、たまたまアメリカの方でも似たような評価をしておりまして、アメリカに技術評価局というのでしょうか、OTAというのがございますが、それがやはり同じように核融合を評価しておりまして、そこの評価によりますと、核融合で有意の電力をアメリカにおいてつくるようになるのは来世紀の半ばごろであろうと言っているわけでございます。 有意ということになりますと、やはり一%、二%の発電を核融合炉でつくったのでは有意とは言えないと思いますので、例えば一〇%ぐらいのものをつくらなければいけないと考えますと、実証炉ができてから十年、二十年かかるということを考えますと、私たちの予想と余り違っていないのではないかと思っております。現在ではそういうふうな予想をしているのが一般的であろうというふうには考えております。
○辻(一)委員 これも目盛りを見るとかなり先ということになりますが、核融合の道をずっと積み上げていくということも大変大事であると思います。 そういう点で、日本の核融合の開発のネックになっておるのは率直に言ってどういうことか、これは現場の第一線で指導していらっしゃる森さんに率直な意見をちょっと聞かせていただきたい。
○森参考人 ネックというのは非常に難しいわけでございますが、実はこういう非常に長期的な研究をやりますときに一番大事なのは人でございまして、非常に優秀な人が集まってくるということが一番大事なことでございます。幸いにして、現在の日本の核融合の研究というのは、昭和五十年から政府も計画を立てられまして重点的に仕事をさせていただきましたので、現在は非常にいい人が集まっております。 昭和五十年当時は原研のチームなどは若くてだめだという非難を外国から浴びたものでございますが、ちょうど十年たっておりまして、今まさに油が乗り切っておるわけでございまして、現在の原研の核融合のチームというのは世界で最強になっているのだと思っております。これでJT60の仕事が済みまして次の実験装置というふうに進めますれば、さらに優秀な人材、工学的な人材が集まってくると思っておりまして、人という意味では今のような仕事のペースを続けさせていただければいい人も集まってくれていい仕事ができるのであろうと思っております。 ただ、大変申しわけないのですが、核融合の研究というのは非常に小さな装置で仕事をするという時代は終わってまいりまして、JT60もほぼ二千億円の国費をいただいて仕事をさせていただいているわけでございますが、この次の装置になるとそれよりもまた大きなお金が要るわけでございまして、そういう非常に大きなお金をいただくということが研究を進めるためには必要だと思っております。 ただ、そういうものを日本の国内だけではなくて国際協力でもやったらどうかというお話も御承知のようにいろいろ進んでおりまして、おかげさまで日本も先ほど申しましたようにトップのレベルに立っているものですから、そういう国際協力の中でも重要な一つのパートナーとして対等に仕事ができておるわけでございまして、国際協力も含めてそういう研究のペースを保つことができればいいのじゃないかと思っております。 そういう意味では、人が中心でございますが、いい人を集めるためのインセンティブとしての研究の計画というのでしょうか、あるいは予算というようなものも必要だろうと考えております。
○辻(一)委員 今国際協力のお話が出ましたが、去年、私もチェルノブイリの原発をここにいらっしゃる村山先生と一緒に見に行きまして、ソ連のウォローニン原子力省次官あるいはソ連の原子力利用委員会の幹部等々とかなり論議をしたことがありますが、そういう中で米ソ首脳会談で提案された核融合の共同研究をぜひ具体化をして進めるべきだ、こういう提案が非常に熱意を持って語られたわけなんです。 現に四極による共同の設計等々を目指して動きがあるわけでありますが、日本、アメリカ、EC、ソ連、この四つによる核融合の開発についての共同研究の可能性、そういう展望についてはどうお考えになりますか。
○遠藤(哲)政府委員 今先生御指摘のとおり、たしか一九八五年の十一月だと思いますけれども、ジュネーブでの米ソ首脳会談でこの問題が取り上げられまして、これは実は米ソのどちらから取り上げられたのかよくわからないのでございますけれども、話によりますとどうもソ連の方がこれを取り上げてきてアメリカがこれに乗っかっていったということで、国際協力を進めていこうじゃないかというコミュニケも出まして、それを受けましてIAEAが中心となりまして検討を進めてまいりました結果、ようやくにしまして、ことしのたしか四月にそれじゃ四極、つまりソ連、アメリカ、EC、日本の四極でもって本件をとりあえず概念設計をやっていこうということで概念設計に取りかかったところでございます。幸いなことに、前の日本原研那珂所長の苫米地先生が研究グループの長になられまして、目下、ドイツのガルヒンクという研究所で概念設計の研究が三年計画でちょうどスタートしたところでございます。
○井田説明員 ただいま外務省の方から御説明がありましたように、日本、米国、EC、ソ連の四者によりますITER計画、先般、四月二十一日、二十二日でございますが、第一回の評議会が開かれまして、私も評議会の一員で森さんと一緒に出席したわけでございまして、いよいよ本格的に始まったわけでございます。 このITER計画でございますが、これは従来のこういった国際的な核融合に関する研究開発計画と違いまして、四者が平等に研究開発を自国でやる、つまりある程度の研究開発の裏づけで概念設計を行う、こういうことでございまして、そういった協力の形態とか規模の点からいいましてこれまでの核融合の国際協力におきましては大変画期的なプロジェクトであると考えているわけでございます。 我が国におきましても、先ほど御説明もあったことでございますが、那珂研で特別のチームをつくりまして、しかもその研究開発作業の全体の取りまとめをいたします運営委員会の議長は我が国から苫米地さんが就任しているわけでございますので、こういうことで積極的に取り組んでまいってこれをぜひ成功させたいと考えているわけでございます。
○辻(一)委員 国際協力にはいろいろな形がありますが、原子力における核融合の協力というのは非常に重要じゃないかと思いますが、これは外務大臣にやはり関係が非常に深いと思うので、早急な話じゃないけれども、原子力の安全性は、もっと肝心なところを忘れてPRが足りぬ、広告が足りぬ、それを国内的にも国際的にもそのほかにも分担しよう、それはちょっと考え方が問題があると思うので、むしろ安全性の強化あるいはこういう共同研究開発等に日本も対外的に大いに力を入れて協力していくということが大変大事だと思うのですが、ちょっと外相からもこの点についての見解をお尋ねしたい。
○宇野国務大臣 辻委員は一番原子力の近くにお住まいでございましていろいろと御理解が深いわけでございますので、ただいまの御発言は非常に大切な発言でありまして、我々といたしましても、安全性のPRも大切でしょうが、それ以上に開発研究、そうした面におけるところの予算獲得もこれはおろそかにしてはいけないと思います。 同時にまた、私たちは、先ほど申し上げましたが、核燃料サイクルの確立ということを目指してやっておりますが、これはやはりプルトニウムを利用するということでございまして、核分裂であります。したがいまして、より安全なのは核融合であるということを考えますと、四面海の日本はまさに最も条件に満たされておるということでございますから、ぜひともそうした核融合の研究開発が進んで本当に人類に夢のエネルギーというものを与えてくれるということは大切なことである。 ただいまいろいろ関係者のお話を承りまして私も心強いものを感じておる次第でございますが、なお一層政府全体としてこの問題に取り組まなければならぬ、かように考えております。
○辻(一)委員 最後に、森先生に一つお尋ねしますが、少し前にある新聞に大変核融合批判の記事が載っておりまして、余り見込みもないのに大きなお金を使うなという御意見もやはりまたあるわけでありますが、そういうことについてどういうようにお考えになっておるか、現場の責任者でもありますから率直に聞きたいと思います。
○森参考人 お答えします。 核融合の研究を始めましたのが昭和三十五年ごろで、それから随分時間がたっておりますので、あるいは見通しがないというふうに誤解されたんじゃないかと思いますが、私たち研究現場にいる者としましては、先ほどちょっと申し上げましたように、核融合の炉心になるような超高温のプラズマ、超高温の気体をつくることができるようになってきておりまして、最近の進歩というのは非常に大きゅうございます。最近四年間でそういう炉心のプラズマのパラメーターというものについては十倍以上の進歩をしているわけでございます。そういう点で研究の進捗という意味では私たちはむしろ予想よりいい結果を得ているというふうに考えているわけでございます。 それから炉としての可能性あるいはむだではないかという批判の中には幾つかの問題が混在しているわけでございます。一つは、安全性の問題があろうかと思います。核融合炉がよろしいのは一つは暴走がないということでございまして、核融合炉というのは何か火種のようなものがあってそれに少しずつ燃料を入れて燃していくわけでございますので、燃料をたくさん入れれば温度が下がって消えますし、燃料を入れ忘れればといいましょうか入れる量が少なければ今度は燃料が足りなくて消えてしまう。どんどん燃え盛って暴走するということはございません。そういう意味では本質的に安全な炉であるというふうに考えております。 それから放射能の問題につきましては、放射能はゼロではございませんが、中性子ができますので、それによる放射能というのがございますが、その量も評価してみますと安全性を脅かすというようなものではないということがわかっています。それからもう一つの放射能としてトリチウムという放射能を持った燃料、三重水素というのを使うわけでございますが、これを外へ漏らすようなことがあってはいけないわけですが、それについても最近のいろいろな実験でも十分それが安全であるということが実証されておりますので、安全性という意味では問題がないというふうに思っております。 その次はエネルギー収支の問題でございまして、炉が非常に大きくなって、炉をつくるためにやはりまたエネルギーが要るわけでございます。鉄を使うにしてもコンクリートを使うにしてもエネルギーがなければそういうものはできませんので、エネルギーが要るわけでございます。ですから、核融合炉というのも最初にエネルギーをつぎ込んで炉をつくるわけでございます。それを二十年、三十年運転してまたエネルギーを出していくわけでございまして、そのつぎ込んだエネルギーとそれから後生産するエネルギーとの比をエネルギー収支とかいうふうに私たちは言っているわけでございますが、それを計算してみますと、つぎ込んだエネルギーの三十倍ないし四十倍のエネルギーを生産することができるというふうに試算ができておりまして、そういう意味でもよろしいかと思っております。 最後の問題はコストでございます。コストは、実際に物をつくって運転するまでに言うというのは非常に誤差の多い評価でございますけれども、現在の段階で炉の建設コスト、運転コストと評価してやりますと、現在ある発電炉と同じあるいはそれより安い程度のコストでできるであろうということが評価としてはわかっておりますので、いわば核融合の研究はむだな研究であるというふうには思っておりません。 ただ、今すぐ実用になるというものではございませんで、それだけこれから長い間の研究投資も、それから頭としての投資も必要なわけでございまして、それはそういうものがあった上でできるものであるということはお答え申し上げなければいけないとは思いますが、開発に値しないというふうなものでは決してないと私たちは考えております。 終わります。
○辻(一)委員 この点は以上で終わりますが、せっかく世界のトップレベルにあるわけですから、ぜひひとつ頑張って取り組んでいただきたいと思います。 第二に、日米原子力協定に関係して。 まず現在と十年後、二十年後、三十年後の海外からの、使用済み燃料を委託加工しておりますが、返還プルトニウムの量、それから国内でいろいろ計画があるわけでありますが、この生産を計画している、どれくらいと見ているのか、それからそれを今度は日本においてどういうように使おうとしているのか。この概要をちょっと数字でお伺いしたい。
○結城説明員 お答え申し上げます。 現在の我が国におきますプルトニウムの保有量でございますが、これは十九トンということになっております。この大部分のものは使用済み燃料の中に含まれた形で存在しております。それから外国に日本から再処理を頼んでおるわけでありまして、これがこれから返ってまいるわけでございます。私どもといたしましては一九九〇年代のなるべく早い時期にこの返還の輸送を始めたいと思っておりまして、この返還は大体二〇一〇年くらいまでかかるだろうと思っております。その合計量は大体二十五トンという数字になるかと思っております。 それから国内で再処理も進んでおるわけでありまして、これまで東海村の動力炉・核燃料開発事業団の再処理工場が十年ちょっと動いておりまして、この間にプルトニウムが大体二トン回収されてございます。 さらに、今後の問題でございますけれども、一九九〇年代半ばにおきまして青森県の六ケ所村におきまして大型の商業用の再処理工場が運開する予定でございます。この青森県の再処理工場が動き始めますと、本格操業時には毎年大体四トンないし五トンのプルトニウムが回収されると見ております。 それから、プルトニウムの利用でございますが、現在プルトニウムを燃やしております新型動力炉といたしましては高速増殖炉の「常陽」、新型転換炉の「ふげん」というのがございます。これはそれぞれ毎年大体百キログラムくらいのプルトニウムを消費いたしております。これからさらには高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」といった計画もございますし、高速増殖炉の実証炉、新型転換の実証炉、さらには軽水炉におけるプルトニウムの利用ということも考えられてございます。これから大体二〇〇〇年くらいまで我が国におきますプルトニウムの必要量は大体四十トンくらいになるのではないかと見ております。 以上でございます。
○辻(一)委員 このプルトニウムのコストは試算がいろいろ難しいと思いますが、コストはどれくらいを見ておりますか。
○結城説明員 このプルトニウムにつきましては通常の商品と違いましていわゆる市場価格というものがございません。そういうことで一概に申し上げることは非常に難しいわけでございますけれども、現在動燃事業団の東海再処理工場におきましてプルトニウムを回収いたしております。これは電力会社のプルトニウムということになります。これを動燃事業団が買い取っておるわけでございますが、その買い取りの値段を申し上げますと、一キログラム当たり大体百三十万円程度というふうに聞いております。
○辻(一)委員 この買い取り価格は、この金額はかなり低いわけですが、再処理をしてそこからプルトニウムを取り出すとすると、実際的にはどれぐらいかかるのか。買い取り価格というのはいろいろな難しさがあると思うのですが、実際の経費というのはどれぐらいかかるか、その点、いかがですか。
○結城説明員 プルトニウムを生産するためには使用済み燃料を再処理するわけでございます。軽水炉の使用済み燃料一トンを再処理いたしますと、一般的に申し上げましてプルトニウムが大体五キログラムから六キログラムぐらい回収されます。もちろんそのほかにウランも回収されるわけでございまして、これが約一トン近い分量になります。また、核分裂性生成物、放射性廃棄物でございますが、これが分離されるというようなことが再処理ということになるわけでございます。 この再処理にどの程度のコストがかかっておるかということでございますけれども、これも日本の例で申し上げますと、現在、東海村の動燃事業団の再処理工場の場合には、使用済み燃料一トンを処理する費用が一億八千万円ということになっております。
○辻(一)委員 だから、今の一キロ百三十万円というように、そういうふうに換算したらどうなるのですか。
○結城説明員 非常に単純な計算をさせていただきますと、一トンの使用済み燃料の再処理のコストが一億八千万円でございます。プルトニウムが五キロから六キロとれるわけでございますから、割り算をいたしますと、プルトニウム一キログラム当たり三千万円から三千六百万円という数字が出てまいります。 ただ、この再処理コストというのは単にプルトニウムを回収するだけではなくてほかにウランも回収されておりますし、これも貴重な燃料でございます。また高レベル放射性廃棄物が分離されてさらに安全な形態にされていくというメリットもあるわけでございまして、プルトニウム一キログラムが三千万円の価値を持っていなければいけないということにはならないと思っております。 〔甘利委員長代理退席、中山(利)委員長代理着席〕
○辻(一)委員 それは計算が非常に難しいでしょうが、一キロ百三十万という買い上げ価格と一キロ三千万というのは、これはまた大変な違いなのです。だから、三千万の中にいろいろな経費が含まれているということは当然でしょうが、それにしても実際やるコストというものは決して安くはない、相当高いものであるということ、これは指摘できると思うのです。 そこで、さっきの論議でありますが、プルトニウムを本当に一番効率的に使うのは高速増殖炉であろう、理論的にそうであろうと思いますが、その高速増殖炉の開発の見通しは、さっきは三十年か四十年先になる、こういう状況です。そうすればATR、いわゆる新型転換炉、これは敦賀にあってほかの方には大型をつくるという計画がありますが、いずれにしてもそれらはそう多くのプルトニウムを必要としない、実際としては使えないという状況です。 そうなると、結局この相当量のプルトニウムを保管、蓄積するということになる。特に日米原子力協定によってこの協定が結ばれる。三十年間ある意味では向こうの制約を離れていろいろやるのでありますから自主性があるとは言えますが、また外国に預けておったプルトニウムは全部受け取らなければいけないし、国内で相当量生産するとなれば、それはどんどん生成されていく。そして必ずしも一番有効な道は何十年か先でなければ開発されない。そうなりますと、相当量のプルトニウムが保管をされ蓄積をされてくるという可能性が出てくる。 特にプルトニウムは十四年とか置いておけばある意味ではまた新しい核種が生まれて、それを分離をしなければいかないという新たなコストが加わってくる。だから、これはこの間科学の委員会の参考人の意見でありますが、マイナス六%、一年に六%ずつ減価をして損失がいくというのがプルトニウム保管の状況であるということが参考人の方から述べられておるのです、これは専門的な方ですが、だから、長い間置いておけばコストがかかって経費が高くつく。異種の核種が生まれればこれを除いて燃料に使うにはまた新しい難しさがある。まして核ジャックというようないろいろな点等々を考えると、安全上からも大量のプルトニウム保管ということは非常に問題が出てくるのです。 その中で、結局使う道をどうするかということになると、MOX、混合燃料によって本来ならば軽水炉、ウランを燃やすべき原子炉にプルトニウムをまぜてやっていく、こういう方向に進まざるを得ないような感じがしますが、ここらの関係をどういうように考えているか、お伺いいたします。
○井田説明員 プルトニウムの利用形態でございますが、ウラン資源の利用効率で圧倒的にすぐれております高速増殖炉において利用することを我が国は基本としているわけでございます。 それで、この高速増殖炉時代に必要なプルトニウム利用にかかわります広範な技術体系を確立しなければいかぬ、あるいは長期的な核燃料サイクルの総合的な経済性の向上を図らなければいかぬ、こういうことから、私どもといたしましてはできるだけ早期に軽水炉、新型転換炉におきまして一定規模のプルトニウム利用を実現するということが大変重要であると考えているわけでございます。 今お話がありました軽水炉におきますプルトニウム利用につきましては、西ドイツ、フランス、スイス等の諸外国におきましても既に多くの実績が積み重ねられているわけでございます。基本的には技術的見通しは得られていると考えているわけでございます。したがいまして、我が国といたしましても少数体規模の試験、さらにはそれを踏まえまして実用規模の実証計画を経まして本格的利用に移行していきたいと考えているわけでございます。 それからプルトニウムでございますが、こういった利用を進めるというふうに必要に見合ったものを持って帰って使うということを考えておりまして、そういうことでこういう利用計画を進めまして、必要なものも国内で生産するものと海外再処理のプルトニウムを持って帰る、こういうふうに考えているわけでございます。
○辻(一)委員 いろいろ見通しについての理由は当然あろうとは思いますが、結局この原子力協定によってこれが出発する、動き出すと、欧州に預けたプルトニウムが日本へだんだんと返ってくる。それから、国内で相当量のプルトニウムが生産されて蓄積、保管ということになる。コストの圧力等々があってこれは何かの方法で使わなければならぬ、これが軽水炉へという形で出てくるのではないか、こういう懸念を持つということを指摘しておきます。 きょうはこの問題が本論ではないので、ここでとめたいと思います。 そこで、電力需要の将来を考えてみるときに、需要が確実にふえていくということは事実でしょうが、電力の需要がふえるということと電力会社がどんどん需要がふえてくることはちょっと違う感じがする。なぜならば、最近大手の企業等は原油価格が下がってくると自家発電をやる、あるいは公共団体もそう、ホテル等も自家発電をやる。この数がだんだんとふえていくと、かなりな量になる。だから、全体の電力需要がふえても必ずしも電力会社が売る電力の需要がどんどん伸びていくという状況ではないという感じがいたします。 また、ある大手の企業で中途採用に今非常に努力をして優秀な技術家を集めておる。これはなぜかというと、将来超電導によって海外の安いところで電気を起こして船にその電気を積み込むといいますか充電をして持ってくる、電力の輸入も不可能ではないということが、二十ないし二十五年で、あるめどがつきそうだという論議もされている。それに備えて大手は優秀な技術家を中途採用という形で各所から引き抜いている。 これらの例もありますが、こういうことを考えていくと、日本のように外国に比べて非常に電力が割高である、こういうところはこんな方法が行われれば電力の輸入というようなことも出てくるであろうし、さらに企業自体は、電力コストが高ければどうしても企業の競争上海外に出て電力の安いところに企業立地をやる、こういう動きも出てくると思う。新しい電力のこれからの産業界の状況と需要を見たときに、原子力発電に非常に大きなウエートをかける日本の電力の見直しの必要なときが来るんではないかという感じもします。 そういうことをいろいろ考えてみると、プルトニウムを大量に生成するいわゆる原子力エネルギーの過程というもの、余り強力にプルトニウムを確保するということを急がぬでもいいじゃないかという感じもする。というのは、アメリカやソ連は再処理をやらずに使用済み燃料をプールにつけて保存している。これはいろいろな理由がありますが、原油価格が安い時代に原油を輸入して使って、将来の資源としてプールにつけてこのプルトニウムを確保しておこう。プールにつけて使用済み燃料の形であれば、これはそれ自体から強烈な放射能が出ますから、だれも近寄ることができない。自己防御の作用があるから、これは核ジャックされる心配もない。そしてそのままの形で将来のエネルギーに備えてもいいんじゃないかということで余り急いでないという感じもするのです。 私は国際的な動き等を見たときに、フランスとイギリスが一部やっていますが、日本ぐらいがプルトニウムを燃料化しようとしてかなり目指している数少ない国になっているのじゃないか。世界の今動こうとする方向とちょっと逆のような感じがしますが、これについての見解はどうか、伺いたい。
○井田説明員 今世界で原子力発電を利用している国は二十六カ国あるわけでございます。使用済み燃料をどうしているかというのはその国によって異なっているわけでございまして、再処理せず処分するいわゆるワンススルーを基本方針としている国もございますし、あるいは使用済み燃料を中間貯蔵、長期貯蔵する、こういう国もあるわけでございまして、国がいろいろございますが、数でざっと申し上げますと、ワンススルーを基本としている国は三カ国ぐらい、米国、スウェーデン、スペインでございますし、長期貯蔵、中間貯蔵している国も七カ国ぐらいあるわけでございますし、あるいは再処理を基本方針としている国も十カ国ぐらいある、こういった状況でさまざまでございます。 我が国について考えますと、エネルギー資源に乏しいということがあるわけでございます。したがいまして、こういった使用済み燃料を再処理する、プルトニウムやウランを積極的に利用するということがウラン資源の有効利用を図るため有意義である、原子力発電に関する対外依存を低減するという点もございます。こういった点からヨーロッパの経済的にかなり大きな国はそういった方針をとっておりますし、我が国もこういった方針で対応していくのが我が国のエネルギー政策のために最も有効な手段ではないか、このように私ども考えているわけでございます。
○辻(一)委員 その論議は、また別の機会に少し資料をそろえて論議をしたいと思います。 そこで、私はプルトニウム輸送の安全性について二、三お尋ねしたいのですが、アメリカの議会が非常に反対をしておった。マコウスキー法案なるものが可決されて、米本土の上空は飛ばさない、こういうような上院の可決もある。こんな中でアメリカの政府あるいは日本の政府も米議会をかなり説得したと思うのですが、そういう中で米本土上空を飛ばない、公海上空を飛ぶ、こういうことを合意しているのかどうか、あるいは何かそういう協定があるのか、そこらについてはどうなっているのか、ちょっとお伺いしたい。
○遠藤(哲)政府委員 お答え申し上げます。 この本件協定の実施取極の附属書五というところにございますのは、イギリスなりフランスなりから日本に返ってくるプルトニウムというのは北極経由であればいい、そういう場合には、ほかの要件がございますけれども、包括同意の対象になる、こういうふうなことでございまして、したがいまして、北極圏であればいい。 他方、北極経由といいましても実は非常にたくさんのルートがございます。もちろんノンストップもあれば、ノンストップも幾つかのルートがあると思いますし、何か今まだノンストップは開発されてないのでございますけれども、途中ストップの場合のルートでもたしか民間航空機が二十程度使っているというふうに聞いておるわけでございますけれども、いずれにしましても協定上はノンストップであってもあるいはストップであってもこれはこの協定の実施の過程で許される、包括同意の対象となるということで、協定上はノンストップ、ストップは全く関係ございません。
○辻(一)委員 それは米本土の上空を飛ばずに北極経由で公海の上を飛ぶということを中身として申し合わせているのですか。
○遠藤(哲)政府委員 ちょっと私もお答え不足だったと思いますけれども、先生御指摘の、確かにアメリカの議会でこの協定が審議というか付託されておりましたときに、アメリカの議員の一部の中から、アメリカ上空は飛ばないでほしい云々という反対論があったのはそのとおりでございまして、そういうことを踏まえまして、アメリカの方から、できればアメリカ本土を飛ばずにノンストップでイギリスなりフランスなりから日本にプルトニウムを持って帰ってくる方法を考えてくれないか。それで、他方そういったようなノンストップの飛行機というもの、まだ現実には存在していないそうでございますけれども、それも開発中なんである、したがってそういうことをいわゆる第一優先順位といいますか、トッププライオリティーとして考えてくれないか、こういうふうな議論がアメリカでも起こりまして、日本もその議論を受けて、目下そういったようなことがまず技術的に可能なのかどうか、そういうことを踏まえ、もし可能であればそういう方向で対処することも一つの方法として考えられるということで、今まず第一番はいわゆるその技術的可能性でございますから、それを関係省及び動燃において検討中だと承知しております。
○辻(一)委員 その場合に、国際的に飛ぶ飛行機ですが、だれがチェックをし、どこがチェックをするのか。日本へ送ってくるわけですね、それまでの間をだれが、どこがチェックするのか。その点はいかがですか。
○遠藤(哲)政府委員 協定に即してお答え申し上げたいと思いますけれども、協定では、当面の場合動燃がその輸送事業者になるのじゃないかなというふうに私は聞いておりますけれども、例えば動燃がこういう飛行機を使うというまず一つの案自身は輸送事業者がつくる。しかしながら、本件は輸送事業者だけではとてもできない話であって、輸送事業者が直接に、あるいは日本政府を経由して関係の国と協議をし一つの輸送計画を練り上げていく、こういうふうな順番になろうかと思います。 したがいまして、主体といいますのは輸送事業者ということでございますけれども、輸送事業者が関係国政府の協力を得て輸送計画をつくり上げていく、こういうふうな筋道になろうかと思います。
○辻(一)委員 五十九年だったか、フランスからプルトニウムを艦船をもって日本に輸送したのですが、そのときに我が国の原子力安全委員会はこれをチェックしたのか、タッチしたかどうか、いかがですか。
○大森説明員 お答え申し上げます。 結論から申し上げますと、昭和五十九年に行われましたフランスから我が国へのプルトニウム船舶輸送に際しての原子力安全委員会の対応でございますけれども、原子力安全委員会として特段の審議検討を行っておりません。 その事情を補足して申し上げますと、まずプルトニウム等の核燃料を含めた放射性物質の輸送につきましては国際原子力機関が放射性物質安全輸送規則を定めております。それで、各国ともこの規則に基づいて陸上、海上、航空の輸送の安全規制を行っておるわけでございます。我が国もこの規則をもとにいたしまして、これはまだ原子力安全委員会ができる前でございますが、原子力委員会及び放射線審議会の審議を経まして、昭和五十三年でございますけれども、輸送の安全基準を法制化いたしております。これに基づきまして科学技術庁のほか関係省庁が分担して安全規制を実施しているわけでございます。 それで、昭和五十九年に行われたフランスから我が国へのプルトニウムの船舶輸送、これに関しましてはこの安全規制の仕組みができておるわけでございますので、個別に安全確認がなされておるということでございます。原子力安全委員会として特段の審議検討は行わなかったということでございます。
○辻(一)委員 国際基準があって、それに合っておれば原子力安全委員会はノータッチというふうにも聞こえるのですが、この間は一回だったのですが、私は賛成していませんが、もしこの計画が批准をされて進むとすると、これは長期大量に回数を多く空輸が行われる可能性が出てくるのですが、そのときにも我が国の原子力安全委員会はタッチしないのかどうか、今後の問題としていかがですか。
○大森説明員 お答えいたします。 プルトニウム航空輸送でございますが、これに関します原子力安全委員会での検討の状況についてお答えするわけでございます。 原子力安全委員会でございますが、先ほどお答えしました昭和五十九年の船舶による輸送の際の状況等から見まして、その後は航空機もプルトニウムの有力な輸送手段の一つとして関心が高まるであろうという判断に立ちまして、原子力安全委員会の責務であります原子力安全の確保という観点から、プルトニウムの航空輸送容器の安全基準の策定等を含めましてこうしたプルトニウム航空輸送ということについての調査検討を進めてまいっております。 具体的には昭和五十九年に安全委員会のもとにあります放射性物質安全輸送専門部会、ここで航空機の専門家を含みました各方面専門家から成ります新型輸送分科会を設けまして審議が進められてきております。 調査審議の内容でございますが、まず米国などのプルトニウム航空輸送ということに関連します安全基準等の調査を進めておりまして、また世界の航空機事故の経験の調査、さらに進みまして航空機事故が発生したような場合において運んでおります輸送物に与えられる衝撃でありますとか発生する応力等、輸送物の挙動の研究、こういったことを踏まえまして現在の時点では万が一の航空機事故の際にも輸送物が高度の収納健全性を維持するようどういう輸送容器にどのような技術基準を要求したらよろしいかということについての検討を進めているところでございます。
○辻(一)委員 その詳しい説明は別として、一言で言えば、今後原子力安全委員会はチェックをしていくということですね。
○大森説明員 原子力安全委員会といたしまして、ただいま御説明申し上げました調査審議の結論を得ましたらそれを報告いたすことになりますが、プルトニウムの航空輸送に関連します規制の権限を有しております運輸省等に対しまして、原子力安全委員会としましてはこうした考え方に基づいた基準に基づいて規制するべきであるという形でいわば勧告するという形になっていくかと思われます。
○辻(一)委員 勧告という程度では、一つ間違ったら大変危険なものだから、これはチェックを原子力安全委員会がきちっとできる、こういう体制に本当はならなくてはならない。検討の課題として検討しておいてもらいたいと思います。 そこで、今輸送のキャスクの問題が出たのですが、時間の点から詳しくは申し上げませんが、去年の九月にスリーマイルの原発事故現場を見てきたのです。 スリーマイルは二号炉がまだ閉鎖をされておりますが、原子炉の三五%が溶融をしてその溶融物、デブリが原子炉の底にたまっている。それを水の中を通して遠隔操作でかきとって容器、キャスクに入れて、そしてそれをアイダホの砂漠の原子力研究所へ運んでいる。 入れるキャスクはそんなに大きくないのだけれども、それを囲うというか外側の容器は大変大きなもので、余り大きくない容器をちょうど貨車一台分の外殻の容器をもって囲っている。そして衝撃緩和のために車の大車輪のようなものを両側につけて、ぶつかっても緩衝できるようにやっていますが、大変な、あれだけのものを運ぶのに貨車一台の容積と重さを必要とする、こう思って見ました。 今度これを空輸でやるとなると、しかも中身ははるかに猛毒、毒性を持っている危険なプルトニウム、これを心配のないように密封をして、そして飛行機で長期輸送するというのは大変なものだと思いますが、今動燃を通してアメリカでやっている開発の状況は、そういうものの心配は大体要らない、そういう危険を緩和できるようなものであるかどうか。詳しいことは資料をもらったからいいですから、要点だけちょっとお伺いしたいのです。
○結城説明員 このプルトニウムでございますけれども、強いガンマ線を出すわけではございませんで、主に問題になりますのは透過力の弱いアルファ線ということになります。したがいまして、大きな鉛の遮へいといったものは必要ございません。したがいまして、輸送容器を開発する場合には航空機事故の際の収納健全性を維持するということが一番ポイントになるかと思っております。 そこで、現在の開発状況でございますが、動力炉・核燃料開発事業団におきましては、アメリカが今持っておりますアメリカのプルトニウム航空機輸送の基準、これはアメリカの原子力規制委員会が定めたものでございますが、NUREG〇三六〇というものを満足するということを目標に昭和五十九年から輸送容器の開発を進めてまいりました。現在、これまでに大体二回ほどアメリカのサンディア国立研究所というところで実寸大の模擬容器を用いました各種の試験を実施してまいっております。 これまでの成果を踏まえますと、現在の見通しといたしましては、万一の航空機事故等におきましてもプルトニウムの収納健全性が維持され、環境安全を確保し得るような輸送容器の開発の見通しが得られたというふうに考えております。
○辻(一)委員 アメリカでは、上院で論議をされた中に、実物大を上空から、飛行機を撃墜して落として、その衝撃を実際に試してみろ、そうでなければアメリカは通れない、こう言っておりますが、アメリカの上を通るならそういう法律があればやらなければいかぬ。通らないにしても、それくらいのことを、空輸をする場合にはやはり実験をやってみる必要があると思いますが、それをやる用意がありますか、どうですか。
○結城説明員 今先生御指摘のとおり、アメリカにおきましてはプルトニウム航空輸送容器の落下試験といったものを求める、いわゆるマコウスキー修正条項と呼ばれておるものでございますが、これが昨年の十二月二十二日に成立したと聞いております。 この修正条項でございますが、プルトニウムの航空輸送容器の安全性確保のために現在の、先ほど私申し上げましたNUREG〇三六〇という基準に加えまして、最高巡航高度からの実スケール輸送物の落下試験あるいは飛行機の実際の墜落試験といったことを求めておるというふうに聞いております。 ただ、現時点におきましてこの輸送ルートは未定でございまして、この米国の法令が適用になるかどうかということについても定まっておりません。もちろん、この米国の法令が適用になるということになりましたら、このマコウスキー修正条項も含めましてアメリカの法令に従った輸送を実施したいと考えております。
○辻(一)委員 いや、だから私の聞いておるのは、アメリカの上を通るとなれば当然やらなければいけないが、アメリカの上空を通らないにしても、日本は他国から言われてやりますじゃなしに、自分の国の判断でそれぐらいの実験をやって安全を確認する用意があるかどうか、こう聞いておるのですが、もう説明は要らないから、そういう用意があるかどうか、いかがですか。
○大森説明員 お答え申し上げます。 原子力安全委員会は、先ほどお答えしましたように、必要な技術基準の検討を行っておるわけでございまして、その中で当然飛行機事故に遭ったときに耐えるような、どういう試験条件にしたらいいかというふうなことも検討しておるわけでございます。 そういうことから、米国でマコウスキー修正条項というものが成立したということも重大な関心を持って検討の対象としておるわけでございますが、技術的に見ましてそういったものは意義があるかどうかといったことも含めまして、原子力安全委員会としましては現在検討をしているところでございます。
○辻(一)委員 そういう用意があるかどうかを聞いてもそれは無理でしょうから、また別の機会に確認をしたいと思いますが、とにかくアメリカが言うからやるというのじゃなしに、自分の国の判断でアメリカに負けないだけの安全対策、こういうものをこの面についても十分取り組んでもらいたいと望んでおきます。 そこで、これは外相にひとつお伺いしたいのですが、公開の原則が形骸化しないかどうかという問題ですね。日本の原子力については平和利用に限っている、これはもう当然ですね。そのために原子力基本法には平和利用の三原則、自主、民主、公開の原則がうたわれている、言うまでもないことですが。時間の点から自主、民主の方は一応きょうは別として、公開の原則について二、三お尋ねをしたい。 この公開の原則は、原子力の実験、利用、その成果を公開することによって軍事転用をさせないということが一つあると思うのですね。それからもう一つは、公開によって広く国民の論議の中で安全性が高められる、安全性を確保するために公開の必要という、これは大きく言えば二つがあると私は思うのです。 公開の原則にこの二つが一番大事だと私は思いますが、この見解について間違いがないかどうか、外相、これはいかがでしょうか。
○石田説明員 公開の原則につきまして私どもの方からお答え申し上げます。 いわゆる公開の原則につきましては、原子力の平和利用を確保するとともに、原子力の安全性につきまして国民の理解を深め、原子力開発利用の促進に寄与するものでございますけれども、公開の原則の適用に当たりましては、財産権の保護の観点、あるいはそのノーハウの商業機密等につきまして、またさらには核不拡散等の観点から、あるいは核物質防護上の機微な情報等について従来から慎重に対処してきているところでございます。 しかしながら、企業機密あるいは核物質防護等に名をかりましていたずらに情報を管理するということは厳に避けるべきことでございまして、原子力の安全性に関しまして国民の一層の御理解と御協力をいただくという観点から極力成果の公開に努めてまいりたい、かように考えてございます。
○辻(一)委員 そう聞かないことまで答えぬでよろしい。 一応、公開の原則は軍事転用を防止し、安全性を高めるというところにまず大事な点がある、これは確認できると思いますね。 原子力基本法は平和三原則で、情報、資料公開によって軍事転用を防ぐということを第一にし、もう一つ、ところが核防護条約の批准あるいは今論議されている日米原子力協定が仮に批准をされるとすると、核燃料物質、主としてプルトニウムになりますが、これの軍事転用を防ぐためにはあるいは核ジャックを防ぐためには機密の保持、言いかえると情報の非公開ということが強化される可能性が非常に強い。 いわゆる非公開の方向の情報を公開しない、機密を守るという網をかぶせていく可能性がだんだんと強くなると思うのですが、いずれも軍事転用を防止するという点では変わりがないが、情報の公開という点からいうと相反する働きになってくる。ここから日本の原子力基本法に言うところの平和利用三原則との間に相対立し矛盾した関係が具体的に生じてくる。私はこれについて大きい懸念を持っております。これについてどうお考えになるのか、外相にひとつお尋ねしたい。
○宇野国務大臣 民主、自主、公開という三原則は守っていかなくてはなりませんが、やはり輸送等々のことを考えますと、むしろ大きな世界のための安全、我が国は平和利用だけだ、その肝心かなめの核燃料が輸送のときに何時何分どこを通りますというようなことまでは申し上げない方がむしろ核防護のために必要ではなかろうか。そうした場合には、そうしたごく限定された守秘義務、そうしたものも当然あってしかるべきではなかろうか、例えばの例でございますが、そういうふうに考えます。
○辻(一)委員 私がなぜこの点について重大な懸念を持つかというと、既に核ジャック防止、核物質盗難防止という理由で早くも原発の安全性にかかわるところの資料の公開等が阻まれているという事実が現に起こっている、そういう点で、以下この点の問題について資料公開の要求を含めて二、三お伺いしたいと思います。 さきの二月二十二日の予算委員会総括質問、二月二十七日の一般質問において、私は原子力の安全性と防災問題を約二時間論議をしたのですが、その中で敦賀の一号機の資料の公開を要求した。二十三ページの資料のうち十二ページに墨を塗って初めは出されましたが、予算委員会等における論議の結果、九ページはようやく公開をされた。しかし三ページは依然として墨が塗られたままになっている。 まず私は、三ページを非公開とする理由を簡潔に伺いたい。
○向政府委員 お答え申し上げます。 三つの資料でございますが、まずIRMレンジ切替図というのがございます。それからアラームタイパーの一部につきまして、この二つの資料につきましては技術提携先の守秘義務というのを課せられておりまして、非公開ということでございます。 それからもう一つの資料でございます復水脱気装置の圧力調整弁の配置、これにつきましては核物質防護の観点から問題があるということで非公開ということでございます。
○辻(一)委員 この三点は、日本原子力発電敦賀発電所から福井県に提出をされておりますが、この三つは福井県に出したときはちゃんとした資料であったのか、公開されておったのか、あるいは初めからこの三点は墨が塗ってあったのか、その点はいかがでしょうか。
○向政府委員 県等に出された資料につきましては地元の公開条例に従いまして出しておりまして、全体を出しておるわけでございます。
○辻(一)委員 三点は公開してあるのですか。県に対しては提出してあるのか、墨が塗ってあったのか、もう簡単に。
○向政府委員 資料の中に入っております。
○辻(一)委員 公開してあるのですね。県に対しては出してあるのですね。(向政府委員「はい」と呼ぶ) じゃ、若干細かい技術的面にわたって恐縮ですが、論議の必要上二、三伺いたいと思います。 まず、さっき言った三つ目の脱気装置の圧力弁についてですが、この圧力弁を一、二明らかにすると核ジャックのおそれがある、そういう懸念がある、こういうことで資料を公開しておりませんが、聞きたいことは、当時の実験は全部現場で行われたのか、中央制御室等を経由したのか、その点、もう簡単で結構です。
○三角説明員 お答え申し上げます。 ただいまの御質問でございますが、復水脱気装置に係ります弁のことでございますけれども、この弁につきましては、これは実はタービン建屋というところにございます。 それで、今の御質問、簡単にということでございますので、私の承知しているところでは、中央制御室から遠隔で操作するといったようなものではございません。そういうことで、現場の調整装置、つまみと申しましょうか、これは駆動装置がございますけれども、それを回転するといったようなことがなされるわけでございまして、中央制御室からの遠隔ということではないというふうに理解してございます。
○辻(一)委員 そうすると、あのときは、原子炉は出力が一七%からずっと下がって一〇%、七%まで落ちて、それがまた余り下がり過ぎたので、弁を閉めた、急に上がった、こういうことですが、その作業は全部現場において確認したわけですか。
○三角説明員 お答えいたします。 先生御指摘のように、昭和六十二年でございますが、十月一日に、今のような、おおむねそのような現象ということで、もちろん安全上支障なく、安全保護系と称するものが働きまして、無事、文句なしにとまったわけでございます。 今の御質問でございますけれども、原子力発電所の起動もしくは停止といったようなことにつきましては、手順と申しましょうか、手順書がございまして、それに基づきまして、先ほど来答弁してございますところの、当該脱気装置を動かすためのつまみというのが現場にございますが、中央で操作するものもございますれば、また現場でやるものもございます。おおむね原子力発電所は、先生も御案内のように、基本的には中央制御室で集中管理ができるということになってございまして、そういう観点でそれぞれの、先ほど申しましたところの、具体的に例えば圧力が五〇から五三に上がりました、これは原子炉の圧力でございますが、そういうことだとか、中間領域モニター、これはIRMでございますけれども、そういう記録類につきましては、中央制御室でもって記録されたり、もしくは確認されている、こういうことになろうかと思います。 以上でございます。
○辻(一)委員 当然、現場と中央と両方関係はあるわけです。 それで、圧力弁の性能とか性格は安全審査書の中には記載をされていない。だから、この機能を知っている人というのはそう多くないと思うのですが、この圧力弁をちょっと回しただけで原子炉が緊急停止をするという事態が起こっているわけだけれども、これは運転員がこの弁を閉めれば敏感に反応するということを知っておったのか否か、その点はどうですか。
○三角説明員 御説明申し上げます。 圧力調整弁を具体的に扱うというようなことにつきましては、具体的にどのくらい回せばどのくらい原子炉の圧力に響くのかということについての認識は、私の理解では、運転員にあったというふうに理解してございます。 と申しますのは、圧力調整弁の機能そのものは、原子炉の上流側と申しましょうか、その圧力というものに対して脱気装置の方に蒸気を流すわけでございますが、その圧力を調整する、具体的には五キログラム・パー・スクエアセンチメートルといったようなことで調整されているというふうに理解してございますけれども、つまみと申しましょうか、それをぐるっと一回転回すことによりまして、それが原子炉側のいわゆる蒸気の出口、そのときは蒸気の出口になっていたわけでございまして、その蒸気の出口がふさがれるといったようなことで、原子炉の中の蒸気のとめ口になるわけでございますので、それで圧力が上昇するということについての認識というものはあったと思います。 ただ、そういう操作を個々具体的に明確にどういうタイミングでどうしなさいといったようなことについての明確な指示というのが不十分なところがあったんじゃないかということで、そこが対策と申しましょうか、対応になろうか、こういうふうに考えてございます。
○辻(一)委員 結局、手順書というものがなかったのですね。手順書がないのにそのような非常に影響する操作を行うということは、これは問題になるんじゃないですか。手順書のない操作をその運転員の判断でやるということは認められておるんですか。
○向政府委員 お答え申し上げます。 今の手順書の件でございますが、起動、停止操作につきましては標準的な操作要領というのが定められておりまして、昨年十月のそのトラブルに先立つ操作につきましては、こうした標準的な要領で行われているわけでございます。 先ほども申し上げましたように、復水脱気装置の停止させる操作が要領書の記載不明確、不十分であったということで、圧力調整弁の閉操作が若干早過ぎたということで、的確さを欠くことになったわけでございます。そういうことで、必ずしも手順書違反という性格のものではございませんが、再発防止の対策といたしまして、標準的な操作要領を改定いたしまして、復水脱気装置の停止操作につきましても明確に規定したところでございます。
○辻(一)委員 その事後の対策として手順書を明確にしたということは当然だと思うのですね。しかし、高圧のときにはそれを動かしても、低圧のときにはそもそも余り動かすべき性格のものではない、そういう弁を手順書なしに操作をするということは、やはり決められた規則に対して違反をしている、こういうようにならないか。 性格は違いますが、チェルノブイリ等においても手順書にないことをいろいろやっているんですね。それは幾つかの要因が重なってああいう暴走をしたけれども、手順書にないことをやるということはまず誤りの出発点、引き金になると思うのですね。だから手順書をつくったのでしょうが、そういうことをやるのはベテランか、知らなければやらないと思うのですが、内容をよく知っているという上に手順書にないことをやるという、こういうものの危険さが今度の場合に非常に明確に出たのじゃないかと私は思うのですが、その点をどう考えておるのか。
○向政府委員 お答え申し上げます。 この当該操作をしますときには、先ほども御説明申し上げておりますように当該調整弁の設定値を徐々に行うというような指示ということでございましたが、手順書できちっと明確にしたということでございますので、我々は本トラブル再発防止のために有効な手続であったと考えております。
○辻(一)委員 有効な手続といっても、あなた、手順書なしにやって原子炉が数秒で緊急停止したのでしょう。それが必ずしも有効とも言えない。新しい手順書、マニュアルができたとしても、同じような、似たような事故あるいは故障等々が出たときに、まただれかがそれをやらないとは限らない。手順書に書いてあるからそれはそのとおり守っていると言えばそれまでだが、しかし、手順書に書いてあっても飛ばすこともないとは言えない。 これは低圧のときには、もうそういうものは回しても動かないようにロックをするということが本当は大事じゃないか。ロックをせずにおって、そしてここの場所を見せると核ジャックの心配があるといって資料の公開を渋るというか拒否する、そういうことは私は許されないと思うが、いかがですか。
○向政府委員 手順書で明確にいたしましたポイントにつきましては、「原子炉モードスイッチが「RUN」モードであること」と、それから「タービンバイパス弁が一五%~二〇%開いていること」ということで、圧力のレギュレーターの範囲に入っていることという二つの手順を明確にしたわけでございますので、今後こういうトラブルというのは発生しないと考えております。
○辻(一)委員 本当の安全を言えば、個人の意思では動かせないようにロックをするということを考えてもいいのじゃないか。いずれにしても、これはわずかにつまみをちょっと一回転しただけで原子炉がとまってしまったわけですね。とまったという事実がある。 そうすれば、こういうときにおける原子炉の行方等々を安全性の論議のために知るためには、やはりこの添付資料2の公開はぜひ必要だ、そう思いますが、公開する考えはないのかどうか。
○向政府委員 今の配置図につきましては、本トラブルを安全性を評価するという観点から見ますと、あくまで補足的な資料というふうに我々は考えておりまして、どこにその調整弁があるかということがわかる資料ということでございますので、本トラブルの安全確保ということでの必要な資料というのは既に公開してきておりますので、この点につきましては先生の御理解をいただきたいと考えております。
○辻(一)委員 それは了承できないですね。私は、もう二、三点あわせてやって、その上でこの問題を論議したいと思います。 第二の問題として、添付資料の9「アラームタイパー」。事故が起きたときにコンピューターが打った記録がこういうようにほとんど黒字で塗りつぶされて、数行だけは数字が出ているのですね。 これを見てちょっと伺いたいのですが、既にそちらで出された添付資料4を見ると、この原子炉はAとBのいわゆるスクラム信号を送るようになっている。チャンネルがAとBに四つずつありますね、これに出ているのは。このAチャンネルから信号が送られ、Bチャンネルからも信号が送られると、原子炉は緊急停止、スクラムでとまる、こういうようになっておるのですね。 ところがこれを見ると、チャンネルの十四、十三、十二、十一、十六と、五つ出してあるのですね。Aチャンネルの十四が中性子束のハイ・ハイで高いといって信号を送ったのは当日の十時三十六分十三秒、十三が十四秒、十二が十四秒ですね。これは同じくらい。チャンネル十一は十五秒。ところがBチャンネルになって三十六分二十二秒。だから、初めから、異常が起きてからBチャンネルの信号が送られるまでに九秒間という差があるし、それから十一のチャンネルを見ても七秒の差がある。 我が国の原子炉は、異常が起こって大体二、三秒でスクラムというか制御棒が入って緊急停止になる、こう言われておるのに、九秒間も七秒間も信号が送られずにとまっておったというこの数字の違いは一体何か。
○三角説明員 御説明申し上げます。 先生御指摘の添付資料9「中性子束高々で原子炉自動停止の記録」、これは通常アラームタイパー、御指摘のものでございます。 ここでございますように、Aチャンネルが四つの検出要素、Bチャンネルもやはり四つの検出要素でございますが、それが要するにワン・アウト・オブ・ツー、二つのうちの一つと我々言っておりますけれども、そのうちの要素が四チャンネルのうちからそれぞれ引っ張られてきますと、それでもって保護系が働いて原子炉がスクラムする、こういうロジックになってございます。 そこで、それぞれAチャンネルのうちのチャンネル十四というものが中性子束が高になりまして、中性子束高々でございますが、それがここで言うと三十六分十三秒というような御指摘は先生のおっしゃるとおりでございます。 それで、ここで言うところの時間がどういうふうにしてずれましたかということでございますが、これ自身は原子炉の中に検出要素、検出器が入っております。これはIRMでございますので、中間領域をはかるものでございますが、これを入れて、その原子炉の中の場所によりまして、これはレンジの一二〇%でもって中性子束高々でそういう信号が出るようになってございますが、原子炉の中の出力分布というのは必ずしもそういう意味ではきっちり全く波を打ったように平たんではございません。 そういう意味で、ここで具体的にこのチャンネルの中性子束高々というところにひっかかると申しましょうか、について、若干の時間的な差があるのは、これは当然のことでございます。 以上でございます。
○辻(一)委員 若干のおくれと言うけれども、あなた、百分の一秒単位で事態は進行するという状況の中で、七秒や九秒というのは大きな数字ですよ。我々にとっては七秒や九秒は大したことではないけれども、原子炉に異常が起きたときには百分の一秒単位でペリオド計が上がっていくでしょう。そういうときに、七秒や九秒が若干のおくれとは言えない。七秒や九秒、なぜこれだけの差があったのかということはもっと明確にしておかなくちゃならない。いかがですか。
○三角説明員 御説明申し上げます。 その件につきましての原子炉の中の中間領域の出力モニターの指示値と申しますのは、既に先生のお手元もしくは開示してございますが、中間領域の出力モニターというところで既にお示しをしてございまして、これはそれぞれ添付資料の7というのに書いてございますが、IRMがAチャンネルそれぞれ四つ、Bチャンネルそれぞれ四つということでございまして、その初期値、つまり調整弁をひねりまして、いわゆる若干の圧力の上昇というのに敏感に反応しまして原子炉がスクラムしたわけでございますが、その点で、添付資料の7に書いてございますようにそれぞれの初期値が違います。 先ほどの繰り返しでまことに恐縮でございますけれども、これは原子炉の中のモニターの場所によっても違いますし、それから原子炉が圧力が五〇から五三に上がったことによってボイドがつぶれます。つぶれた結果、それぞれ炉内でほぼ均一でございますけれども出力の若干の上昇がある、それを拾うわけでございますが、その拾うところというのは、炉内のいわゆる制御棒が入っている場所、それから、具体的にモニターの、どういう制御棒の挿入位置に対してあるかといったような事柄、そういうことで、そういう意味では差が出てくるわけでございまして、それとの関係で、私先ほど来申し上げておりますのは、十分余裕を持って、これは資料等でも明らかでございますけれども、中性子束の高々でもって安全保護系が働いて余裕を持ってとまりました、こういうことを申し上げておるわけでございます。 以上でございます。
○辻(一)委員 この添付資料7にチャンネル十一から十八までの場所を直ちに明示してもらいたい。八つのチャンネルがどこに位置しておるのか赤丸をつけてもらいたい。
○三角説明員 ちょっと私の手元にありますものが薄うございまして、基本的にこれへ丸をつけるというのもあれなのでございますが、恐縮でございますけれども、それぞれ下の方にIRMのチャンネルと……(辻(一)委員「赤丸をつければいい、八つの場所を番号を打てばすぐわかる」と呼ぶ) では、番号をつけたものをお手元に、今と申しますか、後でやらせてもらいます。
○辻(一)委員 それはすぐ番号をつけてください。 この初期値が違うから云々というお話がありますが、今渡した添付資料の7の下を見れば数字がみんな出ていますが、初期値の相違によって設定値が変わるというようなことは、この図を見れば、例えば初期値が六〇でチャンネル十三はオーバーしているのですね。ところが十七は六三で一〇八になっている。六七でスクラムをオーバーしておるし、初期値によってその差が明確につくということは、ここに出されておる数字からいっても言いがたい。それはどういうことですか。
○三角説明員 お答え申し上げます。 初期値そのものは、具体的にスクラムをする前に、指示値の上昇直前の読みでございまして、これ自身は、チャンネル十一、六四、それからチャンネル十二、七〇といったことでそれぞれパーセンテージがございます。繰り返しになりますけれども、この初期値につきましては、先ほどの炉の中の場所等によりましてそういう差が本来あるものでございまして、それ自身が、今回のいわゆるスクラムの前提としてのばらつきに、要するに問題が本質的にあるというものではございません。
○辻(一)委員 いや、あなたは一番最初に初期値を挙げたでしょう、ばらつきの原因として。それは撤回するのですか。
○三角説明員 お答え申します。 初期値におきましては、それぞれ上昇する前のいわゆる読みでございますが、それにつきましては、それぞれのIRMの中性子束の検出のモニターの場所によりまして差があるということを申し上げているわけでございます。
○辻(一)委員 いや、だから、あなたは先ほどの答弁でばらつきは初期値にあると言ったのだけれども、それは撤回するのですか、初期値によるばらつきはないと言うのですか。
○三角説明員 この件につきましては、初期値そのものは六四から、それぞれ七〇、七三といったようなことで幅があるということは、このデータの示すとおりでございます。
○辻(一)委員 どうもそこがわからない。 もうちょっと聞きましょう。この出された資料、チャート・ナンバー1ですね。これはAPRMとIRMの中間領域等領域の一覧表でありますけれども、本当は八本のチャンネルが動いたはずなんですが、ここには十三チャンネルと十四チャンネルの二本しか出ていないのですね。あとの六本はどうなっているのですか。
○三角説明員 お答えいたします。 お手元にある添付資料のAPRM、IRMのチャートにつきまして、八本のうちの二本、つまりIRMのチャンネル十三、チャンネル十四というものを典型的な例としてお示ししたということでございまして、あとのチャンネル十一から含めまして、チャンネルで言えば八個のデータというものはございます。そういう意味でございますが、この中で、我々として確認をして資料として取りまとめられたものの中の代表的なものとして十三、十四のチャンネルがございました。こういうことでございます。
○辻(一)委員 十三、十四、代表はいいのですけれども、端的に言って、八本のチャンネルがあったのに二本しか出ていないということは、六本は何も記録はないということですか。
○三角説明員 お答えいたします。 記録は当然ございます。十三、十四も含めましてございます。
○辻(一)委員 あるのなら、なぜ出さないのですか。二本しか出していない。しかもこの原子炉がとまったのは、十三、十四チャンネルで――十六チャンネルというBチャンネルが信号を送ったから原子炉が緊急停止しておるのに、その緊急停止したチャンネルを示さないというのは一体どういうことだ。こんなものは公開した中には入らないじゃないか。
○三角説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のようにAチャンネルの十一、十二、十三、十四、それからBチャンネルの十五、十六、十七、十八、その中でBチャンネルのチャンネル十六というのがスクラムオーバーをしました、設定値オーバーしたということでスクラムをしたということでございますが、この資料で特に十三、十四を持ち出したことについては特段他意はございませんで、代表的かつ典型的な一つの例としてここで言うところのAチャンネルの十三、Aチャンネルの十四をお示ししたということになろうかと思います。
○辻(一)委員 六本はさっきあると言ったけれども、記録はないのですか。
○三角説明員 先ほどの繰り返しになりますが、ほかの六本についてもIRMの記録についてはございます。我々としては同じように……(辻(一)委員「あるか」と呼ぶ)ございます。先ほども……(辻(一)委員「あるなら、なぜ出さない」と呼ぶ) それにつきましては、ちょっと繰り返しになって恐縮でございますけれども、ここで言うところのIRMのレンジについて、実際原子炉の中の中性子束モニターがどんなふうに挙動したかということにつきまして安全上の確認をするということにつきましては、このチャンネル十三、チャンネル十四ということで確認をする、改めてチェックしてみるということで我々としては十分であるという理解でございまして、そのことをもって、我々としてはここで他のものにつきましても出すということについてはぜひ先生の御理解をいただきたいというふうに思ってございます。
○辻(一)委員 これはだめだ。あなたはさっき私に言ったけれども、原子炉が緊急にとまるには、Aチャンネルにある四本の一本がオーバーして送られてくる、Bチャンネルの一本が送られてきて、二つが合わさって原子炉の緊急停止が行われる。あなたの示した十三、十四はAチャンネルだけですよ。Bチャンネルの十六が送られてきて緊急停止をしているわけです。一番重大な資料を出してないのです。あなた、こんなもので資料公開と言えるかね。しかも、我々の目の前にこれを公開しましたと言って持ってきておる。この中にも極めて疑義がある。それだけじゃない。その記録がなかったら、初期値の各数字、それから最高値のオーバーしてないチャンネル十五の一一〇、チャンネル十七の一○八、チャンネル十八の一〇三、こういう数字が記録がない中で何で具体的に出てくるのかね。
○三角説明員 今のお尋ねでございますが、このスクラム設定値がそれぞれオーバーをしておるもの、それからオーバーに至らずに一一〇、一〇八、一〇三といったものがあることは、要するにそういう意味ではこのデータのベースになるところの言ってみればチャートでございますね、それはございます。それに基づきまして、今ここには、この中に入ってございませんけれども、一一〇、一○八、一〇三というのがわかるというわけでございます。
○辻(一)委員 あると言って、その記録はないと言って。記録がないのになぜ数字が出てくるのか。こんなものはみんな欺瞞じゃないか。こういうものは複合資料と言わざるを得ない。これは理事に諮ってもらって、こういういいかげんな資料をもっては国政論議はできない。資料をきちっと全部提出するまで質問できません。
○向政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの件につきましては、大変専門的でございますので、できれば後ほど御説明させていただきたいというふうに考えております。
○辻(一)委員 だめだ、そんなのは。二月二十二日に、三カ月前に論議をして、一般質問は二月二十七日、この資料は三月十八日に私に渡されて、二十二日に説明を通産省から詳しく聞いている。そのときにGEとこの日本原電の協議書等々全部資料を出しなさいと申し入れをして、あれから二カ月たっている。それまで準備もせずにおって、今専門家でないから云々というようなことは許されない。これはもう質問できない。
○中山(利)委員長代理 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○中山(利)委員長代理 では、速記を起こしてください。 辻君。
○辻(一)委員 では、委員長、もう一度確認しますが、私の要求したこのチャート1は二本しか出されていない。だから、六本のこの記録を正確に提出するということ。 それから、同時に、これに関連したわけでありますから、この添付資料9。これは数字が、緊急、あれがかかったのが九秒、七秒ということは何ら解明されていない。これが明らかになることによってこれが解明される。だからこれも出してもらいたい。墨が塗ってある。 それから、添付資料8。レンジ、同じように8。
○中山(利)委員長代理 具体的に答弁してください。
○向政府委員 お答え申し上げます。 中間領域の出力モニターのチャートにつきましては、残りにつきまして十三日までに先生のところにお届けしたいと思います。 それからアラームタイパーのタイプアウト全体、それからレンジの切りかえにつきましては、技術提供をしております企業が公開を制限しておりますので、それは御容赦いただきたいと思います。
○辻(一)委員 それではGEと日本原電が締結した文書を提出してもらいたい。いかがですか、出せますか。
○向政府委員 お答え申し上げます。 文書そのものというのは私人間の文書でございますので、我々がお届けするということでございませんが、どういうことであるかという御説明はさせていただきたいと思います。
○辻(一)委員 それはだめだ。参議院で私がやったときも、とにかく一年かかって資料は提出を求めて出たのだから、それはGEと日本原電がどういう合意文書を交わしているのか、見なければ信用できないのです。そういうものに隠れてやれば、全部これからは網がかぶさって公開はどんどん狭まる一方になる。 ここで明確にしておかなくては原子力基本法、三原則の公開が形骸化するおそれがある。そういう点で、この点はどうしても出していただきたい。
○向政府委員 先ほど申し上げました私人間の契約でございますので、難しい点はあるかと思いますが、先生の御趣旨を原電に伝えまして、何かかわる方向で御説明できるようにしたいと思います。
○辻(一)委員 私は、レンジとか、二、三点もっと時間があればまだまだ追及したいが、既に時間が来ておりますからきょうはこれで打ち上げますが、後日、その資料の提出を待って、さらに残された問題を追及したい。 何としてもこの日米原子力協定等に伴い、核防条約等に伴って平和利用三原則、原子力基本法の公開の原則が形だけになる、これだけは何としても食いとめなければならない。これは広い日本国民の合意のあるところだと思う。 そういう意味で、きょうの論議を聞いていただいて、外相の方から平和利用三原則の自主、民主、公開の公開がいかに重要であるか、それがまさに今縮められようとしておる、そういう傾向があるということを認識されて、ひとつこれからの平和利用三原則を守っていくという決意を示していただきたい。
○宇野国務大臣 当然、原子力の平和利用のためには三原則が基本でございます。それを十分政府として心得、守っていかなければならないと思います。
○辻(一)委員 それじゃ、若干時間を残しておりますが、予定の時間ですから、これで打ち上げます。
○中山(利)委員長代理 次に、村山喜一君。 〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
○村山(喜)委員 私は、宇野外務大臣に初めにお尋ねいたしますが、たしかあなたが科学技術庁長官の時代にこの日米原子力協定の問題について交渉を重ねられたわけですが、その当時は核拡散の危惧を唱える人たちが多くて、包括委任というような形の条項についてはクレームがついてうまくいかなかった。それが今日、日米原子力協定が外務大臣のときにまさに成立をするという状況の前に立たされておるわけでございますが、この問題についての外務大臣の所見を所感としてまずお聞かせをいただきたい。
○宇野国務大臣 今村山委員から申されましたとおり、私が科学技術庁長官のときに日米原子力交渉がございました。そのときはカーター政権でありまして、その前政権がフォード政権でありまして、やはり諸所において核拡散のおそれあり、したがいまして、日本もその分類の中に入るというふうなことで、日本にプルトニウムの抽出をせしめることは核拡散につながる、こういうような疑念があったわけでございます。 しかし、相手方の大使がジェラルド・スミスさんというソ連とSALT交渉をやったという達人が来られたわけでございます。お互いに人間と人間の触れ合いと申しましょうか、我が国には非核三原則あり、また原子力基本法にも三原則あり、そのほかもろもろの拘束条件を申し上げまして、平和利用のためには核燃料サイクルの確立以外にない、そのためにプルトニウムの単体抽出、これが大切であるということを申し上げたのであります。 途中、話がごちゃまぜになって混合抽出なら許そうというようなことでありましたが、私は、その当時はっきりと、私たちは例えばビールをつくる工場を貴重な国民の税金によって二十年かかってつくってきた、それをビールともサイダーともわからぬものが抽出できるかというのが最後の交渉の場面であったと思います。 そういう結果、その当時使用済み核燃料九十九トン、これを再処理してもよろしいというふうな合意を得まして、しかしながら、その後包括的じゃなくして、個々の問題に関しまして一々合意を得なければならぬ煩瑣なことを繰り返した次第でございますが、歴代内閣の努力によりまして、今日包括的な合意ということで非常にその点は円滑に今後我が国の原子力の平和利用は進む、こういうことで感懐を申し述べますならば、私といたしましては、非常に感動の法案であると申し上げてもよいのではないかと思っております。
○村山(喜)委員 今国会には核防条約、それから原子炉規制法、さらに日米原子力協定、この三点がセットとしてかかっている。私たちはこれを一体的なものとして受けとめなければならない部面があるのじゃないか。プルトニウム管理社会になるような状態に対しては、これは原子力の平和利用の中で決められております安全確保、そして自主、民主、公開という三原則が崩れることにならないかどうかということについて慎重な対応を示すべきであろうと考えているわけでございますが、その意味からこの問題については逐次お尋ねをしてまいりたいと思っております。 これとの関係の中で、今科学技術協力協定の改定が行われているというふうに聞くのでございますが、この所管は外務省の条約局になるんだろうと思いますが、一体、所管はどういうことになるんだろうか。というのは、この協定は行政協定だ。見てみますと、米国との科学技術研究開発協力協定というのが一九八〇年五月一日にワシントンで署名をされている。同日効力が発生しているわけですが、外務省の告示の第二百十二号で六月六日に告示された内容でございますから、これはやはり外務省が所掌されているのであろう。これを見てみますと、日本側の代表署名者は大平総理でございます。米国の代表はカーター大統領。行政協定に最高責任者同士が署名をしているという極めて珍しい協定でございます。 この問題について今は交渉が非常に行き悩んでいるというふうに聞くのでございますが、日延べ、六カ月更新で延ばしながら六回も交渉をやっているけれども、ようやく一定の了解点に達しつつあるやに新聞が報道しておりますが、現状は一体どういうふうになっているか承りたい。
○遠藤(哲)政府委員 御説明申し上げます。 実はこの日米科学技術協力協定の日本側の担当者といいますか責任者としまして、去年の十月中旬だったと思いますが、中旬から交渉を続けてまいりまして、去る三月三十一日に大まかな合意を得たという実情にございます。もっともまだ文章の詰めであるとか細かい文言等々残っておりますので、まだ全部妥結したというわけにいきませんけれども、大筋の合意は達成した、これが一つでございます。 他方、今先生御指摘の、まだ現行のが続いておりますが、現行協定は延長延長が続いておりまして、これは五年間だったのでございますが、五年間の後は延長手続がとられまして、ことしの六月末まで現行協定がある、こういうふうな状況にございます。
○村山(喜)委員 アメリカの要求事項は、アメリカでなされた一切の発明、発見はアメリカに帰属させる。それからアメリカと同じように科学技術の持つ軍事機密の点を重視して、できればそのための立法措置をとってもらいたい。この二つは日本側としては絶対にのめない内容になるんだろうと思うのでございますが、交渉に当たられたあなたの所見はどういうことでございましょうか。
○遠藤(哲)政府委員 先生の今の御指摘の二点、一つは、いわゆる日本とアメリカが研究協力をやって、その結果出てきたもの、知的所有権、これをどういうふうに扱うか、こういう問題が一つ。もう一つは、これも研究成果から出てきました情報につきましての取り扱い、この二点であろうかと思いますので、私から二点につきまして分けて御説明申し上げたいと思います。 まず最初の知的所有権の配分の問題でございますが、この協定の交渉で問題になりましたのは、知的所有権そのものというよりかは、出てきた知的所有権を日米でどうやって分けるかということでございます。 現在の協定、つまり大平・カーター協定によりますと、この知的所有権の配分というのは公平等々の原則を考慮しながら、ケース・バイ・ケースでやるべし、こういうふうなことで一般的な規定しかないのでございますが、今度の新しい協定の合意の概要と申しますのはもう少し知的所有権の分配の方法を、これも基本的にはやはりケース・バイ・ケースということになるのでございますけれども、もうちょっとガイドラインというか原則みたいなものを記しておいてはどうか。こういうことで交渉を進めてまいりまして、その一つのガイドラインというか指針といたしまして、例えばこれは協力活動だけでございますが、協力活動をアメリカでやる場合に、もしアメリカの方が人とかお金とか施設等々の面で非常に大きな寄与をしたような場合には、アメリカの方がアメリカ国内においても、あるいは第三国、つまりフランス、イギリス等々におきましても、あるいは日本においても、つまりその受け入れ国が協力成果である発明についての権利を持つことができる。 しかし、これはアメリカの場合でございますが、日本で協力活動が行われたときには日本がそういうことになる、こういうことで、これは全く相互主義でございます。そういったようにもし大きな寄与がない場合には従来どおりやろうや、これが大体の指針でございまして、これは言いかえますれば実態に合っておるいわゆる一つのガイドラインかなという気がいたします。 しかしながら、現実に例えば超電導であるとかバイオ等々で協力が行われます場合には実施取極というのを結びますので、どうやって知的所有権の配分をするかというのは現実にはその実施取極に任されることになろうかと思います。 第二番目の情報の取り扱いでございますけれども、この協力活動の結果出てきます情報につきましては、できる限り公開すべきと、公開の原則というのが非常に高くというか原則として打ち出されることになろうかと思います。 よく新聞等々で書かれておりますいわゆる安全保障等々ということでございますけれども、これは確かに安全保障という言葉がこの協力協定に入ろうかと思いますが、アメリカ側の事情といたしまして、アメリカにはいろいろな情報なりなんなりにつきましての安全保障を理由とする一般的な規制法があるので、ぜひともこれを書かしてくれということでございますが、御承知のとおり、日本にはそういう規制、一般的な安全保障でもって規制するような法律がございません。これは国内法の内部での取り決めを交渉したわけでございますから、日本につきましてはこれは何ら日本がそういうことをつくれとかそういうことを義務を負うものではなくて、日本は日本の現在のやり方でやっていくということでございます。 これは主としてアメリカの事情からこういうことになったわけでございますけれども、日本としては現状どおりということで、総括いたしますと、その情報につきましては公開が原則でこれが強く打ち出されるということになるわけでございまして、問題はむしろこの協力協定ができました暁にはどうやって協力関係を拡大していくか、人の往来をどうやって拡大していくか、どうやってその協力活動のプロジェクトを見つけていくか、そういうことに最大の努力を払わなくてはいけないのではないか、こういうふうに感じております。
○村山(喜)委員 従来は、日本から研究者がアメリカに行く割合が多いわけでございますが、アメリカの研究所でアメリカの資材を使い設備を使ってアメリカと共同開発をしたものについては、アメリカが第三の国々に対するその知的所有権については主張することができる。なお、アメリカ国内においてはもちろんアメリカがそれについての優先権を持つ。ただし日本の場合には、共同で開発をしたのだから日本における知的所有権の優先権については保障をする、こういう取り決めであったと記憶をいたしております。 今度、今の説明を聞いていると、その実態がどうか、寄与度がどうかというようなことで、どうもアメリカの言い分に押し切られておるような――それは寄与度が高ければもう全部アメリカの方に渡しますよ、日本の方でやったときに寄与度が高ければ日本のものだ、こう言いますが、アメリカから研究者が日本に来て日本の施設でやる割合というのは非常に少ないわけでございますから、実態的な力関係から言えば、アメリカにこのことを優先することを認めているのじゃないだろうかという気がいたします。その点について再度お答えをいただきたいのでございます。 それと、軍事機密を重視をしていくのだ、これについては日本の政府は、科学技術についての発明発見というものについては研究者の業績であるものを国家の側に属するものだというとらえ方をして、知的所有権の問題をそういうふうに取り上げてくるとするならば非常におかしな格好になると思うのでございますが、この点についてはそのアメリカ側の要請をはねつける自信がありますか。
○遠藤(哲)政府委員 二点につきまして私からお答え申し上げたいと思います。 まず第一点の知的所有権の配分の方でございますが、これをまず二つに分けてお答えしたいと思うのです。 一つは、これは一種の原則であって、現実の、例えば仮にさっき申し上げたようなバイオの共同事業をやるようなときにはケース・バイ・ケースで決めていくということでございます。それが第一点。 第二点につきましては、寄与度が非常に大きく関係してくるわけで、これは考えてみれば実態に合うわけです。むしろ私としましては今後日本での共同研究、日本がいわゆる国際協力により大きく寄与していく、こういう方向をぜひ打ち出すべきである、こういうふうに考えておりますので、これは相互主義でございますから、日本が寄与するのが多い場合には日本がそういうことだ、こういうことでぜひ日本の寄与度を高めてまいりたい、こういうふうに私は希望しておるわけでございます。 それから先生御指摘の第二番目でございますけれども、この協力協定というのは実は政府間の協力協定、つまり政府間の協力事業を対象にしておるものでございまして、いわゆる純民間につきましてはこの協定外でございます。したがいまして、今の発生しました知的所有権につきましても、これは国と国との、政府間の協力事業でございますから、そのような問題というのはないのではないかと思っております。
○村山(喜)委員 昭和四十九年に大平三原則というのがありまして、いわゆる法律事項、民間を制約する権利義務のような内容にわたるものがあり、そして予算を伴うものがあり、そして政治的に重要な問題については政府間の協定だけに、行政上の協定にとどめないで、この条約並びにこの立法府の協定を承認する権利としてそれを保障をするという区分け、分類のやり方があったと思うのです。 私は今話を聞いておりますると、これは政府間の協定だからというお話でございますが、たしか文部省の予算を伴う、アメリカを初め外国から学者や研究者を招待をする、これが百人分ですね。それから科学技術庁も百人分ですか。そのほかにアメリカの研究機関に対する寄与をしているものもある。こういうふうに聞くのでありますが、そうなりますと、今行政協定として結ばれた、その過去の経緯は経緯として承りますが、今のような状況がさらに進行していけば、やはりそういうような原則による分類の仕方をきちっとしておかなければならない段階に入ってくるのじゃなかろうかと思うのですが、この点はどのように考えますか。
○福田政府委員 先生お尋ねの、いわゆる国会承認条約と行政取り決めというものはどういうふうに分類するのかということにつきましては、先ほどおっしゃいましたように昭和四十九年二月二十日の大平外務大臣の答弁がございます。 略々先生が先ほどおっしゃったとおりでございますが、要するに、第一には法律事項を含む国際約束、第二に財政事項を含む国際約束、それから第三に、そういう事項を含まなくても相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束であって、そのゆえに発効のために批准が要件とされているもの、この三つについては、そういう国際約束は条約と呼ばれようと協定と呼ばれようとあるいは議定書と呼ばれようと、これは憲法第七十三条三号に基づいて国会の承認を求めるべきものであるということでございます。 他方、行政取り決めにつきましては、既に国会の承認を得た条約、いわゆる国際約束でございますが、あるいは国内法あるいは国会の議決を経た予算の範囲内で実施し得る国際約束については、これを行政取り決めとして憲法第七十三条二号に基づく、そこにあります外交関係の処理というその一環として行政府限りで締結し得るものというふうに考えております。これは従来から、新憲法が発足して以来、その後打ち立てられてきた慣行、あるいは憲法学者の学説等も踏まえてそのように処理されてきておるわけでございます。 したがいまして、今先生の御質問の日米の科学技術協力協定、これは新しいものでまだ交渉中でございますが、仮に先ほど先生が御質問になった百名の人員を送るあるいは受け入れるということについて、それが国会の議決を経た予算の範囲内で行われているという書き方であればそれは行政取り決めでよろしいわけで、仮にそれが国会の予算の議決のあるなしにかかわらず毎年百名はこうしなければいけない、そういうような書き方になっていれば、それは財政事項を含む協定となるわけでございます。 他方、現在我が国がアメリカ側と話をしておりますのは、既にあります国内法ないし予算の範囲内でできる政府間の約束としてどういうものができるかということで協定交渉を行っておるわけでございますので、これは従来どおりの考え方によって行政取り決めとして締結し得るものと考えております。
○村山(喜)委員 次の問題は、MDA協定に基づく問題でございますが、一九五六年に締結をされました相互防衛援助協定に基づく防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日米協定、この実施細目の取り決めということで日米交渉が行われているようでございます。 新聞で伝えるところですが、四月十二日に宇野外務大臣とマンスフィールド大使が合意をされたというのが出ましたが、米国が秘密指定をした軍事技術関連の特許を日本でも秘密扱いとする日米合意が成立をした、公開を原則とする日本の特許制度に初めて例外措置が設けられることになった、秘密特許制度の準用で日米が合意したということが伝えられておりますが、このことについては日米科学技術協定の改定交渉の中で安保条項の創設が決まるということと相まちまして、秘密特許制度の準用はワンセットの問題だというとらえ方が生まれるのではないかと思うのですが、この点についてはいかがですか。
○福田政府委員 先生お尋ねの、四月十二日に成立しました日米間の合意というものといたしましては、一つは細目取り決めでございますが、もう一つは、アメリカが保有している防衛分野における関連技術を我が国としても最大限に活用を図るという観点から、アメリカの秘密特許出願に係る技術上の知識を防衛目的のために利用するというための取り決めが日米間で交換公文で行われました。二つ行われました。いずれも四月十二日に成立しております。 四月十二日に成立しましたこの手続細目と申しますのは、一九五六年の三月二十二日に東京で署名された防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定というのがありまして、これは国会の御承認も経て締結された協定でございますが、その第三条、それからその附属となっております議定書の3に、米国政府から防衛目的のために提供された技術上の知識がアメリカの秘密特許出願の対象となっている場合には、我が国における相当する出願も公開しないとの趣旨の規定がございます。それのための実施の手続細目ができたわけでございます。 これは長い間締結されていなかったのに、どうして最近になってできたのかという御疑問が出てくると思いますが、これは要するに、そういう対象となっている出願を日本でも手続をしたいというアメリカ人がおりませんと実はその手続細目をつくる意味がないわけですが、最近までそういうことがなかった。しかし、最近はそういうことを出願したいという人たちが出てきたということを受けてできた手続細目でございます。いずれにしても、これは一九五六年に締結されましたこの協定の実施のための細目でございまして、ある意味では既に国会の承認を得た条約の実施の問題でございます。 現在行われております科学技術協定交渉は、科学技術分野における協力の拡充、それから強化を図るための新たな法的な枠組みの作成、つまり政府間の枠組みの作成でございますが、その協定において安全保障という字句が用いられるということになるのではないかと考えられますが、これは先ほど申し上げました一九五六年協定の実施の問題とは全く別の話でございまして、両者の間には全く関連がないということでございます。
○村山(喜)委員 今まで特許の公開を原則に科学技術の発展を図ってきた日本の制度が変わることになる。米国が秘密扱いと指定をした特許情報、これはどこの機関が管理をするのかということになってまいりますが、これは特許庁でございましょうか。
○福田政府委員 これは特許法を変えるとかそういうことではなくて、一九五六年にできておる協定に既に書いてありますことについて実施細目ができたのでいよいよ実施されるということでございます。もちろん実施官庁は特許庁になると思います。
○村山(喜)委員 特許庁の場合は、何か予算的には五名の専属の担当者を置いて、これは防衛秘密保護法の適用を受けるということになりますか、この職種の人は。
○福田政府委員 特許庁の人間ではございませんので、細かく具体的にこういうふうにして扱うのだということを申し上げるのはちょっといかがかと思いますが、防衛目的のために供与される技術というものにつきましては、これは日米相互防衛援助協定というもの、略称してMDA協定というのが既に一九五四年にできておるわけでございます。それに基づいて供与されてくるものが今度できました手続細目に従って手続が行われれば、一九五六年協定の規定に従って日本でも類似の取り扱いがなされるということでございます。
○村山(喜)委員 この問題については、防衛庁の山本装備局長とコステロ米国国防次官がその署名をした技術提供の具体的な方式や秘密の保護について定めた細目取り決めがあるが、その内容は非公開としている、こういうような状況でございますが、これは事実ですか。
○福田政府委員 これも私が答えるのはいささかいかがかとも思いますが、私が承知しておる限り、米国の秘密特許出願に係る技術上の知識を防衛目的のために利用すべく、それをMDA協定に基づいて供与を受けるための取り決めというのが四月十二日にできたわけですが、それの細目につきましては防衛庁と先方との間で細目の取り決めと申しますか、お互いの合意が行われるわけでございます。 ただし、これにつきましては、従来からこの種のライセンス取り決め的なものにつきましては概要はちゃんと御説明はいたしますが、そのライセンス取り決めそのものについては極めて技術的であるというようなことから公表しないことになっておりますので、これについても公表がされないという手続になっていると思います。
○村山(喜)委員 戦略防衛構想のSDIに日本が参加をする、それから航空自衛隊の次期支援戦闘機のFSXの共同開発、こういう問題との絡みからこういう協定が生まれてきたのではないかという見方がありますが、その事実はどうですか。
○福田政府委員 今回、四月十二日に締結されました交換公文は、あくまでもアメリカが秘密特許出願に係る技術上の知識を防衛目的のために利用するために日本側に対して協定に基づいて供与することを認める、そういう交換公文でございまして、一般的に行われておりますいわゆるライセンス生産取り決めあるいはSDIというようなものとは別のものでございます。
○村山(喜)委員 宇野外務大臣は、科学技術協定の問題につきまして日本学術会議が協定改定に当たりまして第百四回の総会で「国際間の科学技術協力と研究の自由について(声明)」というものを出しておりますが、それはごらんになりましたか。
○宇野国務大臣 直接まだ見ておりません。
○村山(喜)委員 日本の科学技術の理念というものは当然世界との調和の中で取り組む姿勢は明らかでございますが、最近「科学技術大国の困難」というのを見てみましたら、京都大学の矢野暢先生が次のようなことを指摘しているわけでございますが、このことは日本が科学技術の先進国になってきたという意味からいいまして、今後日本の国が、今までは経済外交が主体であった、しかし、これからは科学技術の外交の時代に入っていくのではないか。そういうような状況の中で、日本という国の科学技術の政策の方針というものは、平和に徹するという考え方で私たちはおるわけでございますが、原子力関係の問題も自主、民主、公開、しかもそれは手段であって、目的は平和のために、そして安全のために、国民の福祉の増進のために使われなければならないという一つの基本的な哲学といいますか、考え方を持って臨まなければならないものでございます。 今後外務大臣として、宇野外相が世界をずっと歩いておいでになるわけでございますが、日本外交のあり方、その中における科学技術というものに対する進め方、これについての考え方を、所信といいましょうか、哲学といいましょうか、そういうものをお持ちであろうと思うのでございますが、この際、明らかにしていただきたいと思います。
○宇野国務大臣 私は、次のようにいつも考えております。これから戦争のある時代はもうない、そういう時代をつくらなければならない、これが私たちの信念でなければならない、こう思っております。 そうなってまいりますと、今まで戦争があればややもすれば破壊があり、破壊があればややもすれば生産が衰えたというふうなところから一つの経済学が生まれ、あるいはまた生産学が生まれておったかもしれませんが、私は、そうした戦争なければ破壊なし、破壊なければ物余る、物が余れば値が下がる。そこで今農業のごとく世界じゅうがけんかをしておるという一面もあるいはそこにあるのかもしれません。したがいまして、両方大切でございますが、これからは各産業において私たちは質というものを考えていかなければならぬ、そうしたことが一部においては軽薄短小の時代を迎えたと言われておるのもむべなるかなと思います。 よく若い人に申し上げますが、一トンの鉄は今日十万円ぐらいであろう、二十万円であろう、また一トンの超LSIは二百億円に当たるであろう、こうやって考えてきた場合に、確かにそれだけの差がこれからの時代を生み出すのではなかろうか、私はかように思いますと、そうした先端において科学技術というものが尊重される時代が参ったと思うのであります。 したがいまして、私たちは文化交流あるいは人的交流と申し上げておりまするが、そうした面における交流も決しておろそかにしてはなりません。したがいまして、お隣の韓国ともさらには中国とも科学技術交流等々が盛んになっているゆえんはそこにあるのではなかろうか、私はかように考えます。 特に、先ほどいろいろと御質問のございました日米間の科学技術協力に関しましても、将来のライフサイエンスはどうなるのであろうか、また、先ほど原子力発電の平和利用の話もございましたが、送電というものを考えた場合と超電導の間はどうなるであろうか、これは大切な問題でありまして、私たちは、科学技術は人類の福祉に貢献するものでなくちゃならぬ、その先端に日本もいる、これぐらいの決意でやっていかなければならない問題である。 したがいまして、自分だけが持つのではなくて、広く人類の福祉のためにこれはお互いに使い得るものであるということから、交流ということは極めて必要なことであろう、かように考えております。
○村山(喜)委員 日米科学技術協定をめぐる問題では、アメリカのやり方が余りにもちょっと高飛車で、日本は科学技術の後進国扱いのような取り扱いをしているように、私の印象でございますが、見えるのでございます。あるいは最近、安保絡みの問題で、共産圏に対するココム違反の問題等が出たり、そういうような感じからそういうことをするんじゃないかという警戒感が先走っているのかもしれません。 しかし、科学技術が軍事用に転用されていく、そのために存在をすることになれば大変でございますから、アメリカの日本バッシングの不当なやり方に対してはやはり毅然たる態度でやっていただきたいと同時に、何といっても、日本からアメリカに研究者が出かけて、アメリカで研究、学問の成果あるいはいろいろなものを開発、発明をするというやり方は直さなきゃならないだろうというふうに思いますので、その点については、今後大臣が中心になって御努力を願いたい。 そこで、その問題はさておきまして、日米原子力協定が改定をされることになってまいりまして、新協定のアメリカ側からの最大のねらいというのは、核拡散防止対策の強化だ、アメリカはそう申しておりますね。 日本の場合は包括的な同意権を得られる、自主性を与えられることになったのだから、それはメリットがあるのだ、そういう取り決めでございますが、そうなってきますと、アメリカの同意を必要としていたものがもう同意権は不要になるというのは、一体何と何と何がその対象になるのですか。
○遠藤(哲)政府委員 先生今御指摘のとおり、この日米原子力協定は、二つの要請というか、日米双方の要請からのバランシングというか均衡の上に立った協定でございまして、一つは、おっしゃいますように、この新協定によりまして規制権が現行協定よりふえている部分がございます。他方、これを包括同意化することによって、そういった規制権はふえているんだけれども、日本の原子力活動の流れにつきましては包括同意が得られる、こういうふうなことになっているわけでございます。 そこで、先生お尋ねの、じゃ、どういうところが包括同意になっているかということでございますけれども、まず一つは再処理でございます。これは現行の協定でございますと、再処理には現行協定の八条のCの共同決定、要するにアメリカの事前同意が要る、こういうことでございますが、今回の場合、国内での再処理につきましては、一つのプログラムの中ではこれが包括同意化されておる、こういうことが言えようかと思います。 それからもう一つは、今まで使用済み燃料を主として英仏に移転しておりました場合に、先生御承知のとおりに、MB10等々を出しまして事前同意を得ていたわけでございますけれども、これにつきましても、使用済み燃料の英仏への移転というのは包括同意の対象になる。 それからもう一つは、そういったように英仏に送りまして、それが英仏から日本に返ってくるときのことでございますけれども、この返還につきましても、これは空輸の場合、附属書五の指針に沿うことが条件でございますが、これにつきましても包括同意が得られる。 あと包括同意が得られるのは、例えば研究施設であるとかそういったような少量の核物質を扱うものがございますけれども、それはさておきまして、大きな点では今申し上げましたような国内での再処理等、それから使用済み燃料の英仏への移転、返還、こういうことが大きな包括同意の対象になっておる活動でございます。
○村山(喜)委員 日米両国は、アンカレジ経由の空輸ルートはもうあきらめて、北極回りの直行ルート、それを第一のルート候補とするということでほぼ交換公文の中で取り交わしたんじゃないかというようなうわさがありますが、航路については、アメリカの領土はアラスカを含めて飛ばない、すべて海の上を飛ぶことで交換公文の、日米両国の取り決めをする。ということは、これは今までいろいろ説明があるわけでございますが、これも実際そういうことに合意ができればそのようなことになるわけですか、取り決めをするのですか。
○遠藤(哲)政府委員 お答え申し上げます。 返還プルトニウム、回収プルトニウムの返還につきましては、包括同意の対象になりますのは、北極圏を飛んでくればいい、こういうことだけでございまして、北極圏も確かにたくさんのルートがございまして、具体的にどういうふうなルートで、ノンストップあるいはストップで来るのか等々につきましては、その実施の段階にゆだねられているわけでございます。 そこで、そういうことを片一方に置きまして、他方、アメリカ側の方で、先生御指摘のようにいろいろとアメリカの議会で問題がありまして、アメリカとしましては、日本に対しまして何とかノンストップでアメリカの領土を飛ばないような形の輸送ルートというのを考えてくれないか、こういうことでございます。 これに対しまして日本といたしましては、そういう飛行機が現在まだないわけで、その飛行機の開発状況等々を踏まえまして、それを目下検討中である、こういうことでございます。したがいまして、交換公文等々は全くまだ今のところはございませんし、目下そういったことの前提といたしまして技術的な詰めあるいは物理的な可能性等々を踏まえて検討しているところでございます。 したがいまして、交換公文等々というのは、将来絶対ないというわけではないのでございますけれども、これはこの協定とは、附属書とは直接関係のない、一つのそれに向けての実施の段階の問題であろうかと思います。
○村山(喜)委員 そこで、英国並びにフランスに委託をいたしましたプルトニウムの処理を済ましたものが、ノルウェー海を通りましてグリーンランドの沿岸の東外側を渡って、北極経由でベーリング海峡からソ連沿岸の東外側を通って日本に入つてくるというのが一番いい案だなという話が言われているようでございますが、それはボーイング747―400の貨物専用の飛行機を開発をしていて、これは七千マイルの飛行能力があるんだと言われておりますが、ここで飛行能力とそれからルートの距離計算をしてみると余り余裕はないようでございます。 運輸省航空局の運航課の方でそういうようなものに対する航空上の安全という問題については一体どのような見解をお持ちでございますか。
○金子説明員 お答えいたします。 今お話しのございましたプルトニウム空輸につきましては、機材その他、飛行ルート、それから我が国の側におきますところの着陸飛行場など、現時点では確定していないという状況にございますので、総飛行所要時間ですとかあるいは飛行距離が必ずしも明確でないわけでございますが、一般論として申しますと、先ほどおっしゃられました運航上の余裕といいますか安全余裕の問題につきましては、乗員とそれから航続距離の問題があろうかと思います。 〔委員長退席、浜野委員長代理着席〕 まず乗員の方でございますが、これにつきましては、乗員の乗務時間の基準というものが、これは航空会社により、また国際線、国内線などの飛行ルートなどによりましても若干の差はあるのでございますけれども、乗員の過労防止という観点から、それぞれのエアラインに当方の認可を受けました各社の運航規程というものがございまして、この中で乗員の乗務時間の規律が行われております。 お話しの中にございました、仮にボーイング747―400型機がヨーロッパから我が国までノンストップで飛行することができると仮定しました場合、先ほど申し上げましたとおり必ずしも確定しておるわけではないわけでございますけれども、一般的に申しますと、かなりの長時間飛行になるものと思われるわけです。結果、乗員の方に関しましては恐らくや交代要員の乗務が必要になるものと思われます。 それから、第二点の航続距離につきまして申し上げますと、これは目的空港が悪天候等の理由で使用できない場合も可能性としてはあり得るわけでございます。こういった場合を含めまして、当然所定の余裕を航続距離に持たせた上でフライト、飛行するということが求められることになるわけでございます。 いずれにいたしましても、乗員の乗務時間、あるいは使用機材、使用しようと思っておる機材の航続距離の両面におきまして、一般の航空機の航行の場合と同様、十分に安全性に余裕を持った運航を行うべきことは言うまでもないことと考えております。
○村山(喜)委員 そのままにしておってください。続いて質問しますから。 今、適正な余裕度というのがありましたが、どれだけの余裕度を持っておればいいのですか。それが一点。 それからもう一つは、確認をしておきたいのですが、北極経由の航空路というのは今開設をされていないと思うのでありますが、それはどうなっておりますか。二点です。
○金子説明員 まず第一点の御質問の距離につきましての余裕度の話でございますが、これは現行の我が航空法の規定によりますと、主目的空港へ行くまでの燃料の量にプラスすることの、オルタネート、代替空港と称しておりますが、ここまで行く分の燃料をさらに積み、さらに四十五分間の巡航速度での飛行を可能とする燃料を積まなければならない、このようになっております。 それから第二点の御質問で、ノンストップフライトルートとして取りざたされているルートが現実に開設されておるかというお話でございますが、外国のエアラインにつきましては、飛行しておる実態があるかないかについては必ずしもつまびらかではございませんが、我が国のエアライン、これにつきましては、ヨーロッパとの間ではすべてアンカレジ、またはフェアバンクス、アラスカ州に一たん給油のために着陸しておりまして、ノンストップフライトはございません。 今後、民間のエアラインではボーイング747―400型機のパッセンジャー、旅客機の導入に伴いまして、新たに今回プルトニウム空輸で論議されておるルートとくしくもかなり似たようなルートになろうかと思いますが、ルートを新たに開設するというようなことが検討の俎上に上がっておるということは聞いております。
○村山(喜)委員 プルトニウム空輸の問題ですが、現在サンディア国立研究所で開発中のPAT3ですか、この実験の内容が、アメリカの上空を通らない、途中で寄港をしない、こういうことになってくるとその内容がレベルダウンするのではないかということも言われておりますが、これのプルトニウム空輸に当たりましては、科学技術庁はNRCのNUREG〇三六〇、この基準というのはどういうふうにしていくつもりなのか。 そして、先ほどの説明を聞いておりましたら、大森室長でございますか、マコウスキー修正条項については日本の国としてもその基準というものは守りたいという説明があったやに思うのでありますが、マコウスキー、プロクシマイアの法律の基準というのは、日本の場合でもそれを的確に守ることが必要ではなかろうかと思いますが、これについての見解をお聞かせを願いたい。
○結城説明員 ただいま動力炉・核燃料開発事業団におきましてプルトニウム航空輸送用の輸送容器の開発を進めております。その場合の開発の目標といたしましては、世界で今ございます各種基準のうち一番厳しいアメリカのNUREG〇三六〇、これを目標に開発を進めておるところでございます。 今御指摘のマコウスキー修正条項でございますが、これの適用があるかどうかということにつきましては、今後のルートの検討にもよるわけでございまして、今はっきりいたしておりません。もしこの適用があるということであれば、当然このマコウスキー修正条項を満足する必要はございます。 なお、日本の国内の基準でございますが、これはただいま原子力安全委員会の方で検討が行われておるわけでございまして、そこででき上がります基準は当然に満足していく必要があると考えております。
○村山(喜)委員 受け入れ空港の選定に当たりましては、環境影響調査とか関係自治体や住民との協議、あるいは同意を取りつけるために努力をされるであろうと思うのですが、その準備がございますか。
○結城説明員 プルトニウムの航空輸送の実施に当たりましては、我が国はもとより、その発地国、これはイギリスまたはフランスになります、またはその経由国の法令に従いまして、輸送容器の安全性について承認を受けるという手続が必要でございます。いずれにいたしましても、この輸送容器は、万一の航空機事故にありましても安全性が確保され、環境の保全が図られるということで承認が得られるわけでございまして、安全性の審査の段階において環境の安全も含めましてチェックを受けるということになると考えてございます。 それから、国内着陸空港でございますが、これは現在全く決まってございません。これから検討していく課題でございますが、その際には、実態上、その着陸空港の管理者、これは国の場合あるいは都道府県の場合、その他いろいろございますけれども、管理者とはあらかじめ十分協議を行う必要があると考えております。また、地元の自治体との関係につきましては、今後関係省庁とも十分相談してまいりたいと考えております。
○村山(喜)委員 ここにデーリー東北、それから東奥日報という新聞がございますが、これは青森のローカル紙でございます。これによりますと、五月七日の土曜日の日刊でございますが、返還プルトニウムは東海村の動燃施設に持っていくんだ、青森で東電の原子燃料部長が六ケ所貯蔵を否定をした、三沢に空輸するのも白紙状態だ、このことについて自分がそう言うのは、電力業界や国の意向として、受け入れの先は東海村のMOX燃料加工施設しか考えていないというふうに語ったというのが新聞に出ております。 大臣も御承知のように、青森の六ケ所村を中心にいたしまして、ここは核燃料の工場とか再処理施設あるいは低レベルの廃棄物のドラム缶を収容をする、そういうような三点セットの施設がある。しかも近くの三沢は米軍の使用する軍用機が配置をされているというような状況でございますし、その再処理場の真上あたりが演習の区域に指定をされている、あるいは近くに射爆場もあるというような地域で、原子力施設と防衛施設が共存ができないような状態にあるのに、そのような非常に危険地域であるだけに、現地の人たちは三十万人の署名を集めて、プルトニウムを空から我々のところに持ってこないようにしてくれという陳情がありまして、私もきのうは議長のところに青森の陳情団の人たちのお供をして行ってきたのであります。 やはり返還プルトニウムは、アメリカでさえも、おれのところの空の上を飛ぶな、途中でおれのところを飛行することは困るよということで大変心配をしている。ましてや日本にフランスかイギリスから持ってくるわけですから、それは最終着陸地域になるが、三沢では軍用機の事故等も多発をしておって、そういうような状況のところにプルトニウムまで持ってこられたんじゃどうにもかなわぬというのが偽りのない気持ちでございます。 そこで、現在はまだ、さっき話がありましたように白紙状態であろうと思うのでありますが、一体プルトニウムは何のために使うのかということになりますと、これは当然燃料として使いましょう、核燃料サイクルの中の一つでございますよということになれば、一体今運んでくるのは何のために、どこで加工をして核燃料として使っていくのかということになりますと、この前、船でフランスから運んできたものは大井の埠頭に着けて、それから東海村までトレーラートラックに積みまして持っていったということが出ているわけですが、一体プルトニウムはどこへ持ってくるのかということについては、今の時点はそうだ、やがてはどうだということがはっきりしなければ対応ができないじゃないかという声が強いのでございますが、これについて外務省は、その所管ではないでしょうが、国務大臣としてはどういうようにお考えになりますか。
○宇野国務大臣 今も既に再処理はフランス等にお願いいたしまして、そしてプルトニウムとして返ってきておるわけであります。そのプルトニウムを燃料といたしまして高速増殖炉にかけまして、半永久的なエネルギーとなるであろうというのが私たちの概念でございます。 その高速増殖炉もただいまは敦賀におきまして今いろいろと実験をされておる。したがいまして、そこにも現在はプルトニウムは使用されているわけでありますが、やがて民間の再処理工場が稼働する、さらにはまた三十年先というお話も先ほどありましたとおりに、そうしたプルトニウムを燃料としてそれを平和利用に用いるという増殖炉が開発されました場合に、それがどこに置かれるかということも一つの大きな観点になるのではないか、かように思っております。 したがいまして、現在のところは三沢がその飛行機の着陸する地点だなんということはどこにもないわけでありまして、その飛行機も、先ほど来政府委員がお答えいたしますとおりに、一九九〇年代の極めて若い年代においてぜひともそういうふうな輸送をしたいものである、これが考え方でございますから、先ほど来お答えいたしておりますように、いろいろな観点において、もちろん安全を期してやっていかなければならない、かように考えておる次第であります。
○村山(喜)委員 総合エネルギー調査会の原子力ビジョンの中で、二〇三〇年には日本の原子力発電のシェアは五八%、六〇%になるであろうという想定がされまして、そして三点セットの問題もその一環としてやっているわけでありましょうが、年間八百トンの再処理量、五百トンのウラン濃縮、三百万本の低レベル廃棄物のドラム缶を収容する六十万立米の施設、これに一兆一千二百億円という見積もりを立てているわけでございますが、プルトニウムを利用するに当たりましては、それだけじゃ済まぬだろう、約二兆円の金を投入しなくてはならないだろう。 ところが、アメリカの場合には、再処理工場はやめた、FBRの開発も停止だというふうになっておりますし、フランスが唯一の実用規模のFBRを一基つくったわけですが、コストが非常に高くて二号機の建設についてはしばらく延ばすよりほかにないだろうという状況に立ち至っている。 そういう中で、日本の国だけがこのプルトニウムを利用して推進していかなければならぬ、自主性を持ってやっていくのだから、このエネルギーのセキュリティーの問題を考えたときに、核のサイクルは完成を目指してやっていくのだという構えでございますが、一体そういう状態が故障もなく行われることになるのかどうかということについて私たちは非常に疑念を持っているわけでございます。 というのは、今原油が予定したよりも非常に安く手に入る。そして、チェルノブイリの事故の後遺症が残りましてということになりましょうか、それ以降原子力発電所の新しい建設がストップがかかったような状態になっている。したがいまして、ウラン燃料もポンド当たり四十ドルぐらいしておったものが十五ドルになり、十二ドルに下がっていくといううわさがございます。 そうなってきますと、ウラン燃料というのは、二億五千万ドルですか、機材まで入れて三億ドルぐらいアメリカから購入しておるわけでございますが、核燃料サイクルというのがそういう状況の中で本当に経済的に成り立つのであろうか。日本の電力会社がイギリスとフランスに再処理の委託をしましたが、そのコストは発電単価の一〇%程度で終わりそうだということでございますが、そうなると、日本の核燃料サイクルの中で下北半島においてそのような行動をとった場合に、かえって高くつくのじゃないかということが経済的には言われているのですが、その点についてはどうですか。
○宇野国務大臣 資源論になりますが、アメリカは豊富な資源を持っておりまして油もたくさんあるわけですが、自分の油には井戸にふたをして他国から輸入して頑張っておるというふうなことが主となっております。 そんなことで、お互いに資源は手持ちのものは大切にしている時代でありまして、いろいろ学説もございますが、私がかつて科技庁長官のころに、世界の石油の埋蔵量は、いろいろ言われておるけれども、琵琶湖の十一年分ぐらいしかないだろうという話をしたこともございます。この間アラブの方々も来ておられますが、うちの隣の石油はもうじき枯渇しますよ、うちだけは残りますからどうぞよろしくというような話もあったりしまして、資源小国日本といたしましては、石油も有限である。私たち、石炭があったのでございますが、残念ながら国際価格の点からも石炭行政というものは今日余り振るっておりません。 そう思いますと、望むらくは核融合が一番結構でしょうが、これもまた一つの夢であるとするのならば、今日いろいろと、最もその利用が近いのはプルトニウムであるというふうな考え方で、核燃料サイクルの確立ということが我が国の一つの政策となっておる次第でございます。 現に関西、関東、さらには東北、北海道、中国、四国、九州等々、いろいろ電源は、平和利用によりまして原子力発電が続けられておりますが、事実、今日我々といたしましては一応二七%ぐらいが原発によって賄われておる。だから、家庭用電気はほとんど全部原発だと言ってもいいぐらい私たちはその恩恵を受けておるし、なかんずく関西は四〇%を超えた。そういうふうにして、そこら辺の産業、家庭等々の状況を考えますと、それだけのメリットが出ておるということも言い得ますから、安全ということを十二分に考えながら新技術を開発していくということは民族の将来にとりまして決してむだではない、こういうことで私たちは努力をしておる次第であります。
○村山(喜)委員 私は後ほどプルトニウムの需要の過大見積もり等にも触れたいと思うのですが、大臣、今のお話は一般論としてはそういう意見もあるわけですが、電力の消費のボトムのときとピークのときと非常に大きな開きがありまして、特に関西の場合などは正月の二日のボトムのときには原子力発電所だけでも電力が余るぐらいの状態に立ち至っているわけですね。そういうふうになってくると、伊方の原子力発電所の出力調整で、余り好ましいことではないようなことまでやらなければならない。 私は、大体一つのエネルギー源として六〇%も原子力発電所に依拠するというような状態は異常だと思っておるのですよ。というのは、三十六基が今動いていますね。もしあのチェルノブイリのような事故が起こったとしたら、これは核暴走ですから起こり得ないことじゃありません。今の軽水炉はそういうようなものをチェックする自己規制力は確かにありますけれども、やりようによっては、油断をしているとやられる可能性はだんだんと強くなってきていることは御承知であろうと思うのです。 特に私たちが一番心配をしているのは、原子炉の中の中性子脆化、炉壁の中性子脆化の問題がこれから進行していくであろうということを考えてまいりますと、やはり慎重に対処しませんと、もし一カ所そういうような事故が起こった場合には、すべてとめて点検をしなければならぬということになる。その場合に、一つのエネルギー源、六〇%も依拠しているようなのを全部とめなければならないような事態に立ち至った場合には、これは大変な事態になることをやはり念頭に置いておかなければいかぬということを申し上げておきたいと思うのです。 したがいまして、その問題は、プルトニウムを使うことによっての採算点を計算してみると、今のウラン燃料を使いましてやる場合の恐らく二倍以上になるんじゃないだろうかということが言われます。もっと高いのかもしれません。その場合に、プルトニウムを再処理しないでプールの中につけておけば、その燃料はその間は眠っておるわけですから、必要なときに取り出して再処理をすることによって資源としては確保されておるわけですから、その意味においては、安いウラン燃料が入るのだったら買うてやった方が得であって、プルトニウムを苦労して今の軽水炉にまぜてMOX燃料等をつくりまして、それで炉の安全性も考慮しないでやるというようなやり方が私はよくないんじゃないか、こう思っております。 その点は大臣と意見が違う点でしょうからそれについての答弁は求めませんが、さっき科学技術庁が先ほどの質問に答える中で、一体これは本当だろうかと思った点がございますから、ちょっと確認をしたいと思います。 日本のいろいろなところで持っているプルトニウムの保有量は十九トンだ、英仏に委託をしたのが二十五トンだ、そして東海の再処理場でプルトニウムを二トン生産をした、それから六ケ所村が軌道に乗れば年間に四ないし五トンだという説明をされたかと思うのです。 ところが、アメリカのNCI、核管理研究所の数字発表によりますと、再処理の委託分が四十八トンという数字が出されておりますし、ある資料によりますと、いや、それは四十五トンだ、これはアメリカのレーベンソール氏の議会証言です。返還プルトニウムは二〇〇〇年まで四十五トンであろう、こういうようなのが証言として出ているわけでございますが、さっきの話では国内生産の分等の量については触れてないわけですけれども、日本は年間四十トンもプルトニウムを使用するという見込みの数字は一体どこから、どういうような計算をして出したのですか。その計算の基礎について説明を願いたい。 というのは、日米原子力協定の中でも、日本はプルトニウムの需要を過大に見積もり過ぎているのじゃないかという指摘がされていることは御案内のとおりだと思います。したがいまして、その中では「常陽」と「ふげん」と合わせて一年間に使うのが三百キログラムぐらいじゃないかというのが出ておりますし、「もんじゅ」と大間のATRは追加量は必要であるがということは書いておりますけれども、年に四十トンも使う計画というのはいつの時点で四十トンを使うのか。その時点の説明がない限りは、例えば一九九二年に「もんじゅ」が操業開始をやるあるいは大間の場合には一九九五年に操業開始になる。その時点においては追加をしなくちゃならぬわけですが、いつの時点において皆さんはその数字を発表されたのか。 そしてまた、返還が四十五トンだ、それから国内における生産が八十三・九トンだということが西暦二〇〇〇年の時点では言われているわけでございますが、それから計算をしてまいりますと、年に四十トンも需要があるということになりますと、足らないものは一体どこからどういうふうに持ってくるんだということになってくるわけですから、その数字の内容について説明を願いたい。
○石田説明員 お答え申し上げます。 まず、プルトニウムの量のことでございますが、先ほど私どもの方より答弁させていただきました現在の我が国のプルトニウムの保有量は十九トンでございますが、その十九トンの大部分は使用済み燃料の中に含まれております未回収のプルトニウムでありまして、これはプルトニウムが単離、単体に分かれておるというものではございません。 基本的には、先ほども答弁の中で一部申し上げたかと思いますが、これは燃料がどれほど原子炉の中で燃えておるかということによりまして使用済み燃料の中のプルトニウムの量はおのずと変わってくるわけでございますけれども、ごく標準的に申しまして、使用済み燃料の全体の量、これは大体ウラン量に近い量であるわけでございますが、全体の量の中の〇・五%あるいは〇・六%ぐらいがプルトニウムの量であるのが大体普通でございます。 御承知のごとく、我が国の電気事業者がイギリス及びフランスにこれまで輸送いたしました使用済み燃料及び今後輸送することを計画しております使用済み燃料の合計量は五千トン弱でございます。したがいまして、その計算をいたしましても、先ほど申しましたように、全体五千トン弱のものに〇・五%あるいは〇・六%を掛けるわけでございますから約二十五トン程度、これが全体の英仏に再処理を委託しました使用済み燃料から出てまいりますプルトニウムの量に相なるわけでございます。 それは年間ではございませんで、全体のプルトニウム回収量ということになるわけでございます。その意味では、年々出てまいりますのはさらにそれをずっと、これは今後十何年間にわたって続きますことでございますから、年間にいたしますとそれをさらに十幾つで割った数字ということになりますので、実際我が国が英仏委託の使用済み燃料から回収いたしますプルトニウムは、年間にいたしましてそれほど多くない量ということになるわけでございます。 同様に、下北に現在建設を計画いたしております日本原燃サービス株式会社の使用済み燃料再処理施設から出てまいりますプルトニウムも、全体使用済み燃料量の〇・六%程度ということでございますから、それにバランスのとれる量を我が国では使っていく、そういう計画のもとにプルトニウムの需給バランスを設定しておる次第でございます。
○村山(喜)委員 どうも数字が合わないのですよ。アメリカのNCIが言うのは、フランスとイギリスに頼んだ再処理の中から得られるプルトニウムは四十八トンあるのじゃないか、こういうふうに見ているわけですが、日本の方は二十七トンですか。これはアメリカの見方が過大見積もりでございましょうか。それでアメリカが言うのは、返還は四十五トンになるだろう、四十五トン日本に返ってくる。そして国内の生産が八十三・九トンになるだろう、こういうような数字を、ここに出した資料を持っているのですが、今の説明だけじゃなしに今の時点における――その数量はいつの時点の数量ですか。
○石田説明員 その辺の状況をお答え申し上げます。 御承知のごとく、今私ども申し上げました数字は基本的に核分裂性のプルトニウム――プルトニウム・フィッサイルと称しております量で申し上げておるところでございます。それでプルトニウムの量のとり方に関しましては、プルトニウムだけを勘定いたしまして、非核分裂性のプルトニウムをも計算する仕方、あるいはそれにさらに加えまして、二酸化プルトニウムの格好で酸素の重さも加えて計算する仕方等々がございます。そういうこともあるものでございますから、何トンと言いました場合、どれをとって言っておるのかということは非常に大事なことになるわけでございます。 それから、先ほど申し上げましたように、これからなお我が国から英仏に持ち出す使用済み燃料があるわけでございまして、これは実際これからまだ燃える分があるわけでございますから、その使用済み燃料の中に何トンのプルトニウムが入っておるかということにつきましては、これは先生御承知のようにまさに燃焼度によるわけでございます。その意味ではその燃焼度とプルトニウムのどの部分をどうカウントするかという計算の仕方等によりまして変わってくるかと思います。 なお、先ほど私は英仏に再処理委託しておりますもの五千トン弱と申し上げましたのは、これは軽水炉の使用済み燃料でございまして、そのほかに日本原子力発電株式会社の最初のコールダーホール・ガス炉から出ます使用済み燃料の契約はございます。
○村山(喜)委員 大体いつごろ、どの炉については――例えば「もんじゅ」については一九九二年に事業の再開をする、大間については一九九五年だという中で需要計算が出てくるのだろうと思うのでありますが、さっきお話がありました内容は、年四十トンというのはどういう計算になりますか。
○結城説明員 今後のプルトニウムの需要量でございますが、先ほど四十トンと申し上げましたわけですけれども、これは今後二〇〇〇年くらいまでの約十数年間の累積量でございます。これから二〇〇〇年ころまでの十数年間におきまして、我が国におきましては大体合計四十トン、この単位は核分裂性プルトニウムの元素量でございます。その程度必要になる、使っていくという見通しを立てております。 その内訳でございますけれども、まず動力炉・核燃料開発事業団が開発を進めております「常陽」、「ふげん」、「もんじゅ」といった新型動力炉、これにおきまして大体十トン、同じく核分裂性プルトニウム元素量でございます。十トンくらいを見込んでおります。 次に、青森県の大間町に予定されております電源開発株式会社が設置する予定のATR実証炉、これに五トン核分裂性プルトニウム元素量程度を見込んでおります。 さらに、日本原子力発電株式会社が計画しております高速増殖炉の実証炉、これに約三トン核分裂性プルトニウム元素量を見込んでおります。 最後に、現在電気事業者が持っております軽水炉、ここにおきますプルトニウム量、いわゆるプルサーマル量でございますが、これで大体二十二トン核分裂性プルトニウム元素量と見ておりまして、これで合計四十トンでございます。
○村山(喜)委員 その数字の内訳はわかりました。 そこで、この前、一九八四年から八五年にかけましてフランスから日本に返還輸送されましたプルトニウムは百八十九キログラムであったと聞いております。それに対して、動燃事業団が晴新丸という船を雇った。その船の雇い賃が五億円ですね。そのプルトニウムを動燃が買ったわけですが、その買ったお金がたしか十億円だと我々は聞いておる。それを計算してみますと、プルトニウムの一キログラムの値段は七百九十万円ということになります。 先ほどプルトニウム一キログラムの値段は幾らかという辻委員の質問に対して、いや、動燃買い取り価格は百三十万円だという答えがありました。この前、科学技術では一万ドル程度だから百四十万円くらいでしょうかというような話でございましたが、円の値が上がったからかもしれませんが、百三十万円。 ところが、船で運んできました分は一キログラムが七百九十万円についた。これは輸送費じゃなくて、プルトニウムの現地での値段の差があるのではないかと思うのですが、この正しい単価というのは一体どういうように計算をしているのですか。 ということは、先ほども生産にはそれぞれの時点において違いがありますから、使用済みの燃料の再処理から計算を――東海村の場合は故障が次から次に出たために生産がフルに動いていないわけですから、一キログラムが三千万円くらいについたのだろうと思うのですが、一体、その計算はどのようにしたのが正しいと見ていいのか。その基礎的な数字が変わっておりますので、それを確認をしておきたい。
○結城説明員 プルトニウムの値段でございます。これはいわゆる市場価格がないものですから、非常にケース・バイ・ケースといいますか、交渉によるわけでございまして、昭和五十九年に運びましたときは、当時、関西電力株式会社から動燃事業団が買い取ったわけでございますけれども、当時、一グラムの核分裂性プルトニウム元素量にいたしまして、一グラムあたり大体二十ドルないし三十ドルという値段だったと聞いております。また、そのときのレートが一ドル二百五十円くらいしておったわけでございまして、そういう関係で相当割高であったと聞いております。 私が先ほど申し上げました一キログラム百三十万円と申しますのは、一グラムにして大体十ドル程度ということで計算したものでございまして、単価自体が下がっておることとレートの差ということで最近は非常に安く買えておるという状況でございます。
○村山(喜)委員 晴新丸で運んできた単価は、私がざっと計算すると七百九十万につくのですが、それはそのとおりですか。
○結城説明員 先生の計算で正しいと思います。
○村山(喜)委員 これはアメリカの軍艦なりあるいはフランスの軍艦あるいは日本の海上保安庁、自主的に警備をした分は計算の中には入っていないわけですからそれは別口としても、しかし、いずれにしても七百九十万円というその単価、それでプルトニウムを使いまして原子力発電所、プルサーマルにいたしましてもあるいはATRにしても増殖炉にしても、それを使っていったときにこれでいけば大丈夫ですよという計算ができますか。
○石田説明員 お答え申し上げます。 御承知のごとく原子力発電所の中に占めます核燃料サイクルのコストの割合といいますのは他の発電所と比べまして割合が非常に低いわけでございまして、これもケースによって違いますけれども、ごく一般論的に申しますと、全体の発電コストの三分の一から四分の一程度と言われるのが一般であるわけでございます。 その中で実際プルトニウムを幾らにどう見るかということは非常に大事であるわけではございますけれども、いろいろこれまで核燃料サイクルをやった場合と、それから核燃料サイクルをやらずにアメリカのごとく一回こっきりの使い方をした場合と、コストがどうかという計算はかなりいろいろなことをやっておるわけでございます。これはいろいろケースがございまして、にわかにどちらがどうとも言いにくいところもあるわけでございますけれども、OECD原子力機関等の試算によりますと、一部再処理した方が核燃料コストが若干高くなる、そういうデータも出ております。 他面、先生先ほど御指摘がございましたように、全体世界のウランが非常にグラットになっておる、そういうことの原因といたしましては各国の原子力発電所が予定したほど伸びていない、そういうこともあろうかと思いますが、他面、私どもは技術開発に力を入れましてプルトニウムリサイクルをするということは非常に潜在的なウラン資源をふやすぞということと同等でございます。そういう技術開発を展開していくということになりますと、ウラン資源というのは非常に多いんだ、そういうことにもなりまして、それが世界の全体ウラン需給をグラットなものにしておるということ自身かえって私どもが低廉なウランの値段を享受することができる。それは発電コストにはね返るわけでございます。そういうこともあるわけでございます。 その意味では、資源の乏しい我が国といたしましては、ウランを一回しか使わないワンススルー方式よりも、使用済み燃料を再処理いたしまして非常に潜在的なウラン資源量をふやしていくんだ、そういう方向をとりますこと自身が全体世界の総合的な意味での核燃料サイクルコストの低減化に寄与することができるんではないか、かように考えておるところでございます。
○村山(喜)委員 日本が東海村で何回も何回も苦労しながら稼働率から見ると本当に低い稼働率で、最近はいわゆる新しい機器を導入をしたりして蒸留塔のピンホールの問題なんかが解決をしたというふうに聞いているわけですが、日本が再処理にそういうようなもので成功した。まあしかし、風評損害というのはよく聞くんですが、これからどういうふうになるかわからない。六ケ所村の再処理工場ができるから、そのために世界のウラン価格が下がったというような話はちょっと笑い話くらいにしかならないんじゃないですか、今では。 そういうような意味で、ウラン価格が下がったのはウラン燃料に対する需要と供給のバランスが崩れたから今値段が下がっておるのであって、それは日本とフランスは盛んに原子力開発を主張しているけれども、世界の国々はチェルノブイリ以降非常に慎重になってきたという証拠がそういう具体的な数字になってあらわれているんじゃないですか。その点を間違えないように科学技術庁はしておいてくださいよ。 そこで、時間がだんだん迫ってまいりますので、これはちょっと技術的な問題でございますが、科学技術庁に確認をしておきたいと思います。 この原発でできますプルトニウム、これはプルトニウム239の含有率が低い。したがって、言うならばプルトニウム240など非核分裂性のものが入っているために濃縮しないことには軍事利用はできない。そのための濃縮技術はまだ開発をされてない。したがって、このプルトニウムが盗まれる場合は軍事用の利用ではなしに、毒物として悪用されるおそれはあっても核爆弾にされるおそれはないというふうに我々は見ているわけですが、その点については返還プルトニウムの場合はどのように見ているのか。 真に恐るべき問題は軍用炉、日本にはありませんが、軍用炉からつくられる高純度のプルトニウム239が核ジャックをされることではないか。また核兵器そのものが持ち込まれていないということを盛んに言うておるわけですが、その実証はしていないわけでありますけれども、日本にはそういう軍事用炉は幸いにしてありませんから、そこでプルトニウム239の爆弾をつくることはあり得ない。核ジャックされて軍事用に転用されるというのは、そういう軍事専門用の軍事用炉で生産をされたものだという解釈を私たちはしているわけですが、核燃料に使いましたプルトニウムはどういう性格のものだ、だからこれについてはどのような防護措置を講じなければならぬというふうにお考えになっているのか、その点について御見解を願いたい。
○石田説明員 お答え申し上げます。 先生御承知のとおりに、プルトニウムにはいろいろな同位体、アイソトープがございまして、プルトニウム238、239、240、241、242とございます。このうち238はつくりはその他とちょっと別になりますが、使用済み燃料に含まれておりますプルトニウムは御承知のごとくプルトニウム239以上のものでございます。そのうち、これまた御承知のごとく核分裂をいたす性質を持っておりますのは奇数番号のもの、すなわちプルトニウム239及びプルトニウム241であることは御承知のとおりでございます。 これも先ほど申し上げましたように、プルトニウムの中でどれほど239、特に中心は239でございますが、核分裂性のプルトニウムが含まれておるかということになりますと、これは燃料が原子炉の中にどれだけおったかということで当然変わってくることは先生今ほど御指摘になったとおりであるわけでございます。 一般の、我が国も含めまして軽水型原子力発電所の場合、全体のプルトニウムの中で核分裂性のプルトニウムの量は一般的に申しまして約七〇%と言われておると私ども認識いたしておる次第でございます。 そこで、かようなプルトニウムは一体爆弾になるかならないかということであるわけでございますが、基本的に我が国の原子力開発利用は原子力基本法にのっとりまして、先生御指摘のように厳に平和目的に限って行っておるということであるわけでございまして、爆弾のことについて、もちろん全く私ども存じていないところでございます。ただ一般的に申しまして、核分裂性プルトニウムが七〇%のものということになりますと、恐らくこれは原爆の材料には直ちにはなりにくいものではないかというふうに、私ども御質問がありますればそうお答え申し上げるということであろうかと思います。 ただ先ほど御質問の中で、害は毒物の害だけかということになりますと、一応核分裂性プルトニウムが七〇%もあるわけでございますので、条件次第によりましては何らかの格好で、緩慢なエネルギーの放出と申しますか、ある一定の核爆発装置的なものにはなる可能性があるのではないかと、これまた専門家も言っておるところでございます。ただ、繰り返し申しますように、原爆の爆弾の材料には直ちになるようなものではないというぐあいに認識いたしているところでございます。
○村山(喜)委員 濃縮しないことには軍事利用はできない。したがって、濃縮技術が日本においては開発されていないわけですから、国内においてプルトニウムのハイジャックをされたとしても、それは軍事用に使われるおそれよりも毒物として使われるおそれの方が強いというふうに見ておかなくちゃいかぬのじゃないかということを念のために確認をしておいたわけでございます。 そういう立場から原子力の問題の取り扱いはきちっとしておかないと、これは何でも核爆発、軍事用に転用できるんだということではない、そこら辺を正確にしておきたいということでございます。 時間があと五分ですが、高レベルの廃棄物の処理、ガラス固化体等で処理をするということなんですが、たしかフランスとイギリスとの契約の中では、ガラス固化体にできない場合でも、その廃棄物については日本が返還物として受け取るという協定の内容になっていたやに思うのでございますが、その高レベルの廃棄物の処理費は、そしてまたプルトニウムの輸送の問題はわかりましたが、それと同時に発生をするそういうような高レベルの廃棄物の処理の問題、輸送費の問題はどういうふうになっているのか。 これは値段がつけられないだろうと思うのですが、この高レベルの廃棄物は取り扱い上はかえってマイナスの勘定になっていくのだろうと思うのですが、さっきのプルトニウムの計算の基礎になりましたものとは別個のものとして考えて処理しようとしているのですか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
○結城説明員 我が国の電力会社がイギリスのBNFL、それからフランスのCOGEMAという再処理会社と契約を結んでおるわけでございます。この契約の、特に新しくできました契約におきましては、再処理の結果生じます放射性の廃棄物は、イギリス、フランス側が日本に返すということになりますと日本の電力会社がこれを引き取るということになっております。 この輸送はまだ具体化しておりませんけれども、高レベル廃棄物については、イギリス、フランスの方でガラス固化体にいたしましてガラス固化体の形で返ってくることになろうと思っております。契約上は一九九〇年以降に返すということになっておりまして、まだいつから返るということは確定いたしておりません。 この返還されます廃棄物でございますが、特に高レベル放射性廃棄物ということになりますと、非常に放射線が強い、遮へいが要るということで、非常に重い入れ物に入れなければいけません。したがいまして、飛行機で運ぶということは到底無理でございまして、恐らく船で返ってくることになろうと思っております。 それから、その行き先でございますけれども、これは今、電気事業者といたしましては、青森県六ケ所村にできます民間の再処理工場の敷地の中にまとめて受け取るということに計画されておると聞いております。
○村山(喜)委員 プルトニウム輸送の中でキャスクの強度の問題、これはこれからいろいろ出てくるわけでしょうが、爆発して飛散をした、飛行機が不幸にして北極圏の上のあたりで爆発をする、あるいはキャスクが深い海の底に沈んでいった場合にはどのような処置の方法があるのか。附属書の五を見てみましても、そのことについては書いてありませんね。 もちろんそういうことを想定をしていないことで書いてないのだろうと思うのだけれども、この問題については、これからプルトニウムを管理していく中にありまして非常に重要な問題でありますし、単にそれは日本の問題だけでなしに世界に対して責任を持たなければならない立場に立たされることが出てくるのじゃないだろうかと私は思っておるのでございます。 そうなった場合に、日米間の原子力協定だけの問題ではない事態が発生するのじゃないだろうか。したがって、日米原子力協定の運用の問題については今後も幾多の問題点が残っていることを御忠告申し上げて私の質問を終わりたいと思いますが、最後にこれについて何かコメントがございましたらお答えを願いたい。
○宇野国務大臣 速やかにこの協定が御承認を賜りまして動くことを願うものでありますが、数々の御忠告を賜っております。 そうしたことに対しましてはもちろん政府といたしましても慎重に取り扱わなければならない、かように考えております。
○村山(喜)委員 終わります。
○浜野委員長代理 岡崎万寿秀君。
○岡崎委員 今回の日米原子力協定、これは交渉で随分いろいろ問題があったやに聞いております。五年間ぐらいかかったということですけれども、どういう問題があったのか、簡潔にお答え願います。
○遠藤(哲)政府委員 先生御指摘のとおり五年ぐらいかかったわけでございますけれども、実はその半分ずつに交渉期間が実態的には分かれるかと思います。 この交渉のそもそもの発端と申しますのは、アメリカのNNPAに基づく協定の改正要請と、他方、日本の方としましては、日米の原子力の関係を長期的な安定的なものとしたい、こういう包括同意、この二つをどうやって調整していくかということに最初の二年ぐらいはかかったわけでございます。 その最初の二年間というのは何とか現行の協定の中で処理できないかということであったわけでございますけれども、それがだめだということになりまして、後の二年間、新協定の交渉に移ってきたわけでございます。 何が問題であったかと申しますと、結局はアメリカのNNPA上の規制権要求と申しますか要請を、日本が長期的な包括同意との間でどうやって調整していくか、つまるところそこにかかったわけでございます。
○岡崎委員 今、何か包括同意方式になったので自主性が拡大されたかのように言われているけれども、実際はそうじゃない。 よく読んでみると、アメリカの一九七八年の核不拡散法に基づく厳しい規制ががんじがらめのように加わってきている。このことで相当難航し、調整に苦労されたということだったというふうに思うのです。アメリカは核の軍事利用の拡散防止、NPT体制に入っていますが、それでも不十分だということで七八年の核不拡散法をつくったわけなんです。しかし、これを他国に押しつけるとは何事かということなんです。 これは前国連大使の今井隆吉氏が書いた「核軍縮」という本でございますが、こういう関係者でさえもこの中で次のように指摘をしています。 「カーター政権が一九七七年のパニックのなかで、国内立法によって国際条約を一方的に改定しようとしたことは、NPTの将来の信頼性にとって決してプラスにはならなかった。」こういうふうに言っているわけですが、まさにプラスではないことを日本はやらせられたわけですね。これは国際政治の上でもまことに押しつけそのものであって、こんなことでいいのですか。どうですか。
○遠藤(哲)政府委員 アメリカのNNPA、核不拡散法が出てまいりました背景というのは、インドの核爆発等々の、要するに核拡散のおそれが出てきた。そういうことを踏まえまして、アメリカとしましては原子力、核物質の規制を強化していかなければいけない。要するにこれの目的は核不拡散のためである、核不拡散をどうやって担保していくかというためである。 他方、日本としましては、そのこと自身、核不拡散自身についてはよくわかるわけでございますが、日本の原子力の平和利用というものをどうやって守るか。結局、先ほど申し上げました両者のあれで調整がありまして、核不拡散自身は、私は、日本としてもわかる。何とか日本もそれに対して協力したい。しかし、同時に日本の原子力の平和利用をどうやって守るか。この二つの利益というか関係の調整であろうか、こういうふうに思うわけでございます。
○岡崎委員 日本の平和利用の原則をどう守るかという点で大変苦労されたように今お話がありましたね。これは具体的にはどういう点ですか。
○遠藤(哲)政府委員 お答え申し上げます。 例えば包括同意、いろいろなものに包括同意がかかっておりますけれども、包括同意をどういうふうにして獲得するか。例えばプルトニウムの英仏からの返還につきましてどうやって包括同意をとるか、確保するか。あるいは包括同意をどうやって長期的に安定させていくかという、非常に細かいことになりますけれども、この協定自身のかなりの項目につきましてかなりの調整というか交渉を要したことは事実でございます。
○岡崎委員 この協定の十一条、包括的同意の条項ですが、この中で「別個の取極を、核拡散の防止の目的及びそれぞれの国家安全保障の利益に合致するよう締結し、かつ、誠実に履行する。」こういうふうにありますね。 ここに書いてある「それぞれの国家安全保障の利益」、この問題についてかなり議論があったのではないかと思いますけれども、どうですか。
○遠藤(哲)政府委員 先生御指摘のとおり、この点につきましてかなりの議論があったのは、そのとおりでございます。
○岡崎委員 どういう議論があったのか、中身を教えてください。
○遠藤(哲)政府委員 アメリカの立場と日本の立場というか日本の考え方を申し上げたらそのお答えになろうかと思いますけれども、アメリカの立場としましては、アメリカは先ほど申し上げました一九七八年のNNPA、核不拡散法の要請としまして、国家安全保障というものを新しい非核兵器国との原子力協定には盛り込む必要があるというNNPA上のアメリカの要請がございます。他方、日本の方としましては、核不拡散ということですべて、あるいはほとんどと申し上げた方がいいかと思いますが、国家安全保障上の利益というものはカバーされるのではないか、したがいまして核不拡散だけでいいのではないか、こういうふうな意見のすり合わせが行われたわけでございます。 その結果、アメリカ側としましても、国家安全保障の利益ということと核拡散の防止ということは実態的にはほぼ同じでありまして、核拡散の防止ということを伴わずに国家安全保障の利益ということは考えられない、つまりこれはほとんど実態的には同一である。しかしながら、この協定は三十年の協定でございますし、他方、何よりもアメリカの核不拡散法、NNPA上の要請がある。そういうことでほとんど同一ということであれば、日本としてもそれを受け入れるにやぶさかでない、こういうことで取りまとめられましたのが第十一条でございます。
○岡崎委員 今説明を聞きました。こういう国家安全保障上の利益といったことが盛り込まれたアメリカとの二国間の協定、ほかの国でございますか。
○遠藤(哲)政府委員 アメリカ側の七八年のNNPAが成立しましてからほかの国と結んでおる協定、たしか私の承知します限り三つあるわけでございます。スウェーデン、それからノルウェー、これは両方とも発効しております。それからフィンランド、これはまだ発効に至ってないわけでございますが、このスウェーデン、ノルウェー、フィンランドのいずれの協定を見ましてもこの言葉が入ってございます。
○岡崎委員 今実態的には同じだというふうに言われ、だから、いろいろ思うのだけれども、そういうことで調整をしたという話でございました。 しかし、この十一条を読みますと、文言からいってもこれは違うのです。「核拡散の防止の目的」と一つ書いて「及び」となっていて、「それぞれの国家安全保障の利益」、これは明らかに二つは分けて書いてあるのです。 この十一条を具体化した実施取極の中でも、第三条でございますけれども、「核拡散の危険又は」、はっきり分けているのです。「自国の国家安全保障に対する脅威の著しい増大を防止するため、」これは日本語でもはっきり分かれているのです。 実態的に同一とおっしゃるけれども、これは少なくとも協定の条文を見る限りははっきり分かれているというふうに見ますけれども、どうですか。
○遠藤(哲)政府委員 確かに文章としてはそういうふうな書き分けがなされているわけでございますけれども、交渉の過程等々でこの両者というのはほとんど一緒である、つまり核拡散の危険の増大に関係なくて国家安全保障のために関係するといったような現実的な例は想定されない、こういう理解ではございます。 私は、何よりもここでちょっと申し上げたいのは、日米原子力協定は日米間の信頼関係というものを基礎にしておるのだということでございまして、したがいまして、そういうことから考えますれば、この国家安全保障の条項というような概念が将来核不拡散という概念とは独立して、あるいは無関係に乱用されることは想定されない、こういうふうに思っております。
○岡崎委員 信頼関係があるから将来そういうことはされないというのと実態的に同じだということはちょっと次元が違う話なんです。後の方の答弁はちょっと問題が残りましたね。 そこで、国家安全保障の利益ということ、これは核不拡散と同一だとおっしゃるけれども、この言葉自体から見るならば、核不拡散それ自身が国家安全保障に無関係だとは言いません。関係があるでしょう。しかし、国家安全保障というのは、それだけではなくてもっと広い概念です。「及び」とか「又は」という形で二つの概念をつなぐのは、これは違うからなんです。 今おっしゃいましたけれども、後の方の答弁から見ますならば何かあるのではないか。その国家安全保障の利益、これは核不拡散とは違ってどういうことが具体的にあるのか。これは正直に教えてもらいたいと思います。
○遠藤(哲)政府委員 この交渉の過程を通しましても、私が先ほどから御説明申し上げておりますように、国家安全保障と核拡散の防止の目的ということはダブって、つまり、それぞれ単独に起こるものではないというふうな双方の理解でございます。
○岡崎委員 そうはなっていないのです。単独で起こるものでないというふうにおっしゃっているけれども、実施取極を見ますとこれはそれぞれがやはり単独しているのです。 「例外的事件に起因する核拡散の危険」が一つあって、三条です、「又は自国の国家安全保障に対する脅威の著しい増大」、明らかにこれは違います。これを何か一緒くたにして、だから問題がないのだとは決して言わせません。
○遠藤(哲)政府委員 これは先生、先ほど冒頭にも御説明申し上げましたように、一つは、アメリカのNNPA上のこれを書かなければいけないという要請、これからアメリカはぜひとも書いてくれ、書きたい、こういうことであり、他方、アメリカ側との協議の結果を通じまして、繰り返しでございますけれども、国家安全保障のみで停止となるような事態というのは想定されない、アメリカと日本はこういうような同一の認識を持っておるわけでございます。 したがいまして、国家安全保障だけを取り出して協力関係の包括同意が停止するという事態は想定されませんし、これはまさに、またそうでないとおっしゃられるかもわかりませんけれども、日米関係の信頼を基礎にした日米原子力協定であれば、この同一の認識ということに立って理解すべきではないかと思っております。
○岡崎委員 おかしいです。信頼関係があるからそれは単独で発効されないだろうということとこの二つの概念が同じだということは明らかに違います。なぜ核拡散の危険だけで済まなかったのですか。 アメリカが強く要求したからこれは書いたと言うのですけれども、書いた中身が「又は自国の国家安全保障に対する脅威の著しい増大」と、明らかに違う概念として書いているのです。ですから、同じ概念だったので、実態的には同じだから調整上了解したんだということは通りません。 これはアメリカの要求に屈したとしか言えないと思うのです。これ以上聞いてもあなたは答えぬでしょうから……。 アメリカの方の法律はどうなっているのか。ここに持ってきましたが、一九七八年の核不拡散法です。これをどう盛り込むかということが今度の問題であったということ、今言われたとおりでございます。この中にも同じようなことが書いてあるわけです。 例えば第三〇六条ですが、「「本項が適用される輸出を不承認とすることは、合衆国の核不拡散目的の達成を著しく損ない、または国家の防衛と安全を損なうと決定した」旨を」云々となっているのです。これは明らかに「損ない、または」になっているのです。アメリカのこの不拡散法によると、この二つの概念ははっきり分けているのです。 それでは聞きますけれども、この協定に言う「国家安全保障に対する脅威の著しい増大」ということと、アメリカの核不拡散法に言う「国家の防衛と安全」というのは同義語なんですか。この言葉を、この協定には今言ったような表現にしたのですか、どうですか。
○遠藤(哲)政府委員 お答え申し上げます。 今先生御指摘の米国原子力法の国家安全保障の用例でございますけれども、これにつきましてどういうふうな解釈かということは、ここで言うべきというか、私は言える立場にないわけでございますけれども、この交渉の過程でアメリカが言いましたのは、ここに書いてある言葉はこういうことなんだから、つまりアメリカ側が引用しましたところというのは、原子力法第一二三節のb、すなわちNNPA第四〇一節というのがより適当かと思いますので、ちょっとここだけ読ませていただきますと、「大統領が協力協定を承認し、その実施を認可し、」――「協力協定」でございますから各国との協力協定でございますが、それを「承認し、その実施を認可し、かつ、かかる協力協定の遂行が合衆国の防衛及び安全保障を促進し、それらに対する不合理な危険ではない旨を文書で決定してあること」、こういうことになっております。 そこで、先生の御質問に返りますと、日米原子力協定に関する限りは、アメリカの認識は日本と認識を一つにしたわけでございますけれども、国家安全保障上の利益と核拡散の危険の増大ということは非常に密接に関係しておるものである、こういうふうな両方の認識に立っておるわけでございます。
○岡崎委員 密接に関係している認識、それはいいですよ。しかし、それは違うからこそ密接に関係しているわけでしょう。実態的に同じだということは別問題です。 今聞いているのは、この協定の中の「国家安全保障の利益」というこの表現と、たくさんありますからあなたの引用されたところではなくたっていいわけですが、アメリカの核不拡散法に書いてある「国家の防衛と安全」ということ、これは同義語かということを聞いているのです。
○遠藤(哲)政府委員 交渉の過程におきますアメリカの主張というか説明は、先ほど申しましたように、これは核拡散の増大と実態的に同じである、こういうふうな説明であります。
○岡崎委員 答えていません。 私が言っているのは、アメリカの不拡散法に書いてあるのはこの協定と同じように、「核不拡散目的」と「国家の防衛と安全」、この二つの概念を書いているのです。これをもとにしたというこの協定の「核拡散の防止の目的」、これと「国家安全保障の利益に合致する」、この後段のところが同じ言葉か、同義語かということを聞いているのです。
○遠藤(哲)政府委員 先生、繰り返しでまことに恐縮でございますけれども、この協定を結んだときの交渉過程等々では、先ほど申したように「国家安全保障」と協定に書いてございますのは、これは「核不拡散」と同一である、つまりここの場合は、「国家安全保障の利益」というのは核不拡散を守っていくことである、こういうことでございます。
○岡崎委員 国会の審議の場ですから、正直に言ってもらいたいのですよ。 同義語かということを聞いているのです。アメリカの核不拡散法も二つ並べている。日米原子力協定も二つ並べている。この言葉は同じ意味の言葉なのかということを聞いているのです。そのことです。
○遠藤(哲)政府委員 この「核不拡散」ということと「国家安全保障」というのは、ほぼ同一にとらえております。
○岡崎委員 そのことを聞きたかったのです。 つまり、アメリカの核不拡散法をどう盛り込むかということをアメリカは非常にしつこくやってきて、これでかなり苦労したという話が冒頭にあったわけです。そして、アメリカの核不拡散法にあるこの概念がこのような形で盛り込まれているわけです。そして、私が先ほどから紹介しているように、これはどう読んでも同じ概念ではないのですよ。 同じ概念だったら、一つでいいはずです。日本の主張されたのと同じなんですね。ちゃんと点を打って「または」とか「及び」とかそういうふうになっているわけです。明らかにアメリカの方の解釈では「不拡散目的の達成を著しく損ない、」ということと「または国家の防衛と安全を損なう」、これは二つの違った概念、重なる点もあるでしょうけれども、違った概念として表現されているのですね。 特に、この「国家の防衛と安全」ということはかなり軍事的な色彩を持っていまして、こういうことなどが日本の平和利用の基準とされる日米原子力協定の中に盛り込まれること自身が重大だと私は思うので、そういう質問をしているわけなんですよ。否定されますか。
○遠藤(哲)政府委員 少なくとも交渉の過程からあらわれております日米双方の認識というものは両方が実態的に同じであるという認識で、先生の今の御見解というのは交渉の過程からはあらわれてきていない見解でございます。
○岡崎委員 交渉の過程ですったもんだしたのは認識が違ったからでしょう。もみにもんでやっと認識を同じものだというふうにしたにすぎないんじゃありませんか。しかし、表現は明らかに違いますよ。先ほどから紹介しているように、日本語から見てもこれは明らかに二つの概念を並べているわけです。そうでしょう。並べればこれは実体法としてはそのまま機能しますよね。解釈はそうだということは今初めておっしゃったわけなんで、この協定は実態的には二つの概念、違って作用するし、アメリカもそのことをねらってしつこく不拡散法に書いてある表現を盛り込んだわけでしょう。 ですから、これは明らかにアメリカの意図が入っているのです。単に不拡散ということがアメリカの国家利益を損なうということだけではないのです。アメリカの国家の防衛、安全、こういう独自の概念、これによって規制されるということが入っているんじゃありませんか。首をかしげる問題じゃないのです。これは明らかに文章はそうなっていますよ。
○遠藤(哲)政府委員 若干繰り返しの点もあろうかと思うので、その点御了承いただきたいと思うのですけれども、これは違う断面から切った概念であって、両方の概念がこの協定及び協定の交渉も踏まえましてダブるという意味、二つの概念はダブるということであろうかと思います。
○岡崎委員 苦しい答弁だし、私がしつこく聞くのは非常に重大な問題を含んでいるからなんです。同じことがこちらから見れば不拡散条約の目的とか核不拡散の目的とか、こちらから見れば国家安全保障の利益とか、そうなるんだというふうに言われていますけれども、それは詭弁であって、文章から見るならば、「核拡散の危険」と、それから「国家安全保障の利益」そして「国家の防衛と安全を損なう」場合と、二つにはっきり分けて書いてありますし、こういう原子力の平和利用の中に外国の法律のこういう軍事戦略上の問題が持ち込まれている、これは非常に大問題だということを私は強調しているわけなんです。 〔浜野委員長代理退席、委員長着席〕 前回も我が党の松本委員がこの問題について質問したわけでありますけれども、これは同一概念だというふうに、言うならば本来なくてもよかったはずなんです。また、こういうしつこい表現がなくてよかったはずなんです。 この取極によりますと、「又は自国の国家安全保障に対する脅威の著しい増大を防止する」、こんなひどい表現がなくてもその前の「核拡散の危険」だけでよかったはずなんですよ。これが入るということはそれなりの意味を持たせてアメリカは書いた。日本はそのことについてちょっとまずいと思いながらも、そういう解釈だったら仕方がないということでのんだんじゃありませんか。 どうも今の答弁を聞いていると、そうしか思えない。こうなってきますと、松本議員が質問をしたように、「自国の国家安全保障に対する脅威」だとされて、これが独自に動く危険性はないかということなんです。 例えばの話です。今信頼関係とおっしゃいましたが、自民党政府の続く限りはそうでしょう。しかし、そうじゃない、ニュージーランドのような真の非核政策をとるような政府ができたような場合、これがここに書いてあるような「国家安全保障の利益に合致する」というふうに見ないということになってこの包括同意が停止されるようなことが起きないかどうか。これは条約の審議の場ですから、その危険も十分吟味しておく必要があろうと思うのです。全くないと言い切れますか。 あなたがおっしゃった限りはそういうことはなさそうですけれども、このように執念深く長く議論し、二つに分けて書いているからには、もしそうなった場合は、これはこの協定に沿って包括同意はやめますよというおどしに、圧力に使われる危険性は大いにあるんじゃありませんか。そのことを非常に懸念するのですが、どうですか。
○遠藤(哲)政府委員 私は今先生のおっしゃいましたような点というのは恐らくまずはないであろうというふうに思っておるわけでございます。 実施取極第三条でこの包括同意が停止するための要件が書いてあるわけでございますけれども、これは確かに例示でございますけれども、ここに挙げております停止のための要件というか目的というのは、日本がNPTの重大な違反をするとかNPTから脱退をする、IAEAとの保障措置協定、実施取極、協力協定の重大な違反等々という例示を書いてある。この例示と申しますのは、これは非常に核不拡散そのものにつながってくる可能性のあることだろうと思うわけでございます。 したがいまして、今先生のおっしゃったようなことというのは、私に関します限り想定されないというふうに思っております。
○岡崎委員 私に関する限りまずないだろうと思いますぐらいのあいまいなことでは困るのです。そういう危険があるからこそこういう場で論議しているわけなんですね。 大臣、お聞きになっていまして、協定、それから実施取極、どんなに読んでも二つ分けて書いてあるのです。アメリカの国内法を無理に押しつけたとしか思えないわけですけれども、アメリカの国家の安全と防衛ということは明らかにアメリカの軍事戦略なんですね。この軍事戦略の概念を日本の平和利用にかかわるこの協定にはっきり盛り込むということは、日本のエネルギーそのものがこういう形でアメリカの軍事戦略に従属させられる危険性さえも持っているように思うのです。 大臣、その危険はないとおっしゃいますか。最後にお答え願いたいと思うのです。最後というか、この問題の最後ですがね。
○宇野国務大臣 ただいまこの改定協定を御審議願っておるのですが、私はそのもとになる最初の日米原子力協定、そのときの党の責任者でございまして、それはよくぞ日本はあのときに核燃料サイクル確立のためのプルトニウム抽出に関して合意をとり得たと思うほどのすさまじさでありました。それは一面におきましては核保有国のある程度のエゴがあるんじゃないかということを私は強く申し述べたのであります。同時に、核不拡散という一番大切な面におきまして、今も政府委員から話がありましたが、インドのガンジーさんのお母さんのガンジーさんが、ひとつかんがい用の運河であるというふうな形でどかんとやった。これに対する米国の怒りというものは本当にすさまじいものがあったわけであります。 だから、その当時の米国の考え方からいたしますと、やはり日本もインドの分類の中に入れかねまじきものがあったということも、この際、私申し上げておきます。そしてカーターさんですから、本当に神のみぞ知るという形のお方でございましたので、徹底して、今日のジャパンバッシングとは意味が違うと私は思いますが、宗教上の問題から日本といわずあるいはドイツといわずといったような調子で、核保有国以外には一切持たすべからず、言うならばこのようなすさまじい勢いがあった。そのときに私たちは日本としての平和利用としての一つの主張を確立して、それをアメリカに認めさしたということが言い得るんじゃないかと思います。 したがいまして、こうしたことは世界の安全保障の上からも大切だし、また核拡散をしてはいけない、こうしたこともございますから、そこはいろいろ先生の御解釈があるかもしれませんが、私たちといたしましては、アメリカと日本とのかたい信頼関係というものが今日の包括的同意というところまでこぎつけることができた、こういうふうにひとつ評価をしていただきたいと思う次第であります。
○岡崎委員 すさまじい議論の結果こうなった、かたい信頼関係があるから大丈夫だというふうにおっしゃいますけれども、この文面は明らかにアメリカの軍事戦略を押しつけられたとしか思えない点、厳しく指摘しておきたいと思います。 プルトニウム空輸問題について最後にお尋ねいたします。 今回の協定によって我が国の回収プルトニウムの国際輸送というのは原則空輸になったのでございますね。
○遠藤(哲)政府委員 お答え申し上げます。 原則空輸になったと申すべきかどうか、特定な空輸であれば包括同意の対象になる。つまり附属書五に書いてありますような形態、指針に沿った空輸であれば包括同意の対象になる、こういうことでございます。 したがいまして、裏を返しますれば、空輸が望ましいという意見はもちろんその背景にはあろうかと思います。
○岡崎委員 きょうも盛んに議論されましたこの輸送容器、なかなか技術的にもまだ未完成のようで、今研究開発中というふうに聞きますけれども、我が国の原子力三原則によりますと公開でございますから、当然この実験のデータその他についてはすべて公開がされ、国民も国会も安心してよいというまではこれは実施されないわけでしょう。
○結城説明員 このプルトニウム航空輸送容器につきましては、現在動力炉・核燃料開発事業団で開発を進めておるところでございます。 まだ開発途中でございまして、この容器の開発が完了した段階でその安全性については国民の皆様の御理解を得る必要がございます。そのために、安全性を実証するために行った試験の内容、試験の結果等は取りまとめて公開していきたいと考えております。
○岡崎委員 ぜひ、それはデータを含めて公開してもらいたいと思うのです。 そこで、もし空輸になった場合、一回に輸送されるプルトニウムの量は、私、素人ではございますが、どのくらいですか。
○結城説明員 飛行機で運ぶ場合一回にどのくらいになるかということでございますけれども、現在輸送容器自体がまだ開発中でございます。したがいまして、その容器一個当たりの収納量も今後変わり得るものでございます。 また、使います飛行機もまだ決まっておりません。飛行機によりまして何個積めるかという問題もございまして、現段階で一回の輸送当たりこのくらいという数字はまだございません。
○岡崎委員 先ほどから議論されているように、ノンストップで飛べば随分遠いのでボーイング747―400になりそうだということが書いてあるわけでしょう。こういうのを想定すると大体何個くらい積める、おおよそこのくらいだくらいは出るでしょう。時間が少ないので、端的にお答え願います。
○結城説明員 今後変わり得るわけでございますけれども、大体の目安といたしましては百キログラム・プルトニウム核分裂性元素量というようなところを考えております。
○岡崎委員 百キログラム、大変な量ですね。 それで、これもまた当然国民に対する安全上、そちらの方で調査されなくてはいけないことだと思いますけれども、万一事故があった場合、これは空中爆発の事故とか墜落事故とかいろいろな事故の形態によって違うでしょうけれども、おおよそどのくらいの被害が起こるかという想定はできませんか。
○結城説明員 プルトニウムの航空輸送を行う場合には、万一の航空機事故があったといたしましてもプルトニウムの収納健全性が維持され、環境安全を確保し得るような輸送容器を用いることが大前提でございます。したがいまして、もし飛行機の事故に遭遇したといたしましても、私どもとしては、プルトニウムはその収納健全性が失われて環境に放出されるようなことはないと考えております。
○岡崎委員 それはないにこしたことはないのですよ。しかしチェルノブイリの事故もあるでしょう。ですから、どれくらいの被害が起こるかぐらいは調査しなさいよ。百キログラムまき散らされた場合にどのくらい広範な被害を受けるかぐらいはわかるでしょう。 そこで聞きますけれども、これはノンストップで来ますと三千メートル級の滑走路が要るというわけでしょう。新聞等にもいろいろ書いてありますけれども、その滑走路を持った千歳、三沢、成田、羽田、横田が予想されるわけですね。いずれもこれは国際空港か軍事空港なんですよ。こんなところを使いますか。危険じゃありませんか。どうですか。
○結城説明員 このプルトニウム輸送の国内着陸空港につきましては、今後関係者及び関係省庁が協力して検討していくことになると考えておりまして、現段階では未定でございます。
○岡崎委員 未定なことはいいですよ。しかし何か、有馬さんでしたけれども、三沢も排除しないというふうに答弁されたやに新聞等に載っていましたね。いずれにせよ新設するわけじゃないでしょうから、こういうところを使うわけでしょう。この五つの中からどこか使うわけでしょう。ほかにはありませんね。どうですか。
○結城説明員 国内着陸空港につきましては既存の空港に限定するわけではございませんで、これから整備される飛行場も含めまして幅広く考えていきたいと思っています。
○岡崎委員 新しくつくることもあるのですか。とにかく具体的な固有名詞を挙げたくないからそうおっしゃっているのでしょうけれども、現実的には今挙げたところあたりがかなりねらわれるわけで、こういう国際空港や軍事空港はなおさらのこと危険性を持つから、私たちとしてはこういうところを使うべきじゃないと指摘しておきたいと思うのです。特に環境安全の問題ですね。先ほど、周辺住民については十分自治体とも相談すると言いながらその具体的な対象については挙げないので、議論しようがありません。 そこで空輸の安全基準という問題、まだまだ技術的には大変未完成なんですね。日本の原発、原子力開発問題全体がそうですが、技術的に非常に未開発だというところに最大の問題があるわけなんです。しかも、先ほど言ったように、空輸になりますと着陸する受け入れ空港自身がどうなのか、その周辺の住民はどういうふうに反応するか、これさえもまだ社会的にも解決しなければいけない大問題があるわけなんですよ。 先ほど原則空輸というふうなことではないというふうに言われましたけれども、それが望ましいということなんでしょう。そうなってくると、それを協定に盛り込むというのは、国際的には先に約束して、実際やる場合においてはまだ技術上も社会上も解決しなければいけない問題点が多い。こういう協定を結んでいいのですか。どうです。
○井田説明員 今度プルトニウムの航空輸送をするわけでございますけれども、私どもといたしましては、その際プルトニウムの収納健全性と申しますか、外に飛散しないようにしっかりとできているかということでございますが、そういったものがまずきちっと確保される、そういうことで環境の安全を保障することが一番大事なことではないか。そこを何よりも確保するということで安全な輸送の見通しが得られると考えているわけでございます。 こういうことでございまして、私ども、動力炉・核燃料開発事業団におきましていろいろ検討しているわけでございます。そういった中で、国際的に見ましても最もシビアな条件でございます輸送容器の開発ということで、先ほど申しましたようにアメリカで行われておりますNUREG〇三六〇、これに合致するよう今輸送容器の開発を進めているわけでございますが、これにつきましていろいろ大変厳しい過酷なテストをしております。 一例を申し上げますと、飛行機が落ちたことを想定いたしまして、衝突といいますか、一秒間に百二十九メートル、非常に強い、速いスピードでぶつけるとか、ぶつけたものを圧縮するとか、さらに、火がついた場合どうなるかとか、そういった飛行機事故を想定したようないろいろなテストをしておりまして、これをアメリカのサンディア国立研究所でテストをしておりまして、昨年、一昨年とやったわけでございます。昨年のデータは大変いいデータが出ておりまして、私どもとしてはNUREG○三六〇に合致する輸送容器の開発に見通しを得たわけでございます。こういうことで、まずきちっとできるような技術的な基盤をつくる、こういうふうに見通しを持っているというふうに言うことができると思います。
○岡崎委員 容器についても絶対安全かどうかについてはどうも疑問です。しかし、それはいいでしょうけれども、社会的問題もあるでしょう。あれこれ問題が多いときに先に協定を結ぶのはどうかということを外務省に聞いているのですよ。いかがですか。
○遠藤(哲)政府委員 この協定は、殊に輸送等々の点につきましては一つの枠組みをつくるだけであって、枠組みの中でどうしても国際的に必要な点だけを押さえておる、こういうふうな協定でございまして、実施につきましては、この協定発効の暁になるべく早く輸送計画等々を作成していく、こういうふうなことで、繰り返しになりますけれども、この協定自身枠組みづくり、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
○岡崎委員 最後に大臣にお伺いしますけれども、今プルトニウムの空輸問題をお聞きしましたけれども、多くの不安が残るわけです。恐らくこれは私だけじゃなくて、マスコミ等も書いていましたけれども、国民の疑問であり不安であろうというふうに思うわけです。 これは、先ほどから議論を聞きますと、大臣とはかなり見解が違いますけれども、やはり安全性よりか開発を先行する、こういうところから生まれた問題の一つだろうというふうに思いますが、この協定でプルトニウムの国際空輸をやるようになった場合に果たして責任を持てるものになるかどうか、政府が責任を持ってやれるものになるかどうかについて、これは外相の見解を最後に聞きたいと思います。
○宇野国務大臣 累次お答えいたしましたとおり、資源小国の我が国といたしましては、やはりあらゆるエネルギーの問題に対処しておかなければなりません。そうした中で原子力の平和利用、それに基づく核燃料サイクルの確立ということは、将来に向かっての国民の安全を保障し、また福祉を向上するためにも大切な一つの措置である、そういうふうに考えております。 ただ、我が国には原料少なく、また、その技術等々に関しましても先進国に劣るところがあった。かるがゆえに、アメリカとの間におきましてこうした友情に基づく一つの協定を持たなければならない、こういうことでございます。 したがいまして、この審議に当たりましては各党の委員の方々よりいろいろと御忠告を受けております。私たちもそうしたことには慎重に耳を傾けまして、運営の場合には安全を期し、また、国民の福祉の増進に寄与できるよう対処していきたい、かように思っております。
○岡崎委員 これで終わります。
○糸山委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。 ─────────────
○糸山委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。甘利明君。
○甘利委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定について承認を求めるの件につきまして、賛成の討論を行います。 エネルギー資源に乏しい我が国にとって、原子力は、石油代替エネルギーの中核として極めて重要な位置を占めております。既に、我が国の総発電量の約三割が原子力によって賄われております。このような基軸エネルギーとしての原子力の利用は、今後とも一層推進する必要があります。 原子力発電に必要である濃縮ウランの供給につきましては、我が国は、その大半を米国より得ているところであります。新しい日米原子力協定におきましては、このようにして得られた濃縮ウランなどの利用に関して従来より必要であった米国の同意が、一定の要件のもとで事前に一括して与えられるいわゆる包括同意方式が導入されております。このような包括同意という方式に代表される協力の枠組みによって、我が国の核燃料サイクル計画が、長期的な見通しのもとで安定的に運用できるようになることは、我が国の原子力の平和的利用の推進にとって画期的な成果であります。 また、原子力利用の先進国である日米両国が、核拡散に対する厳しい姿勢をこの協定を通じて明らかにすることは、世界の核不拡散体制の強化にも貢献するものであります。 ちなみに、米国議会は既にこの協定の審議を終了し、その締結を承認をしたところであります。 以上のとおり、この協定は、原子力分野における日米間の長期的、安定的な協力を確保することにより、我が国の原子力の平和的利用を促進し、さらには、世界の核不拡散体制の強化に資する極めて意義深いものでありますので、この協定を早期に承認することについて、積極的な賛意を表するものであります。(拍手)
○糸山委員長 高沢寅男君。
○高沢委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、日米原子力協定に対する反対の討論を行います。 まず第一の反対の理由は、本協定に基づくプルトニウム空輸の危険性であります。プルトニウムはこの協定で予定される一回の空輸量は二百五十キログラムと言われていますが、その量で全世界の人たちにがんを発生させることができるほどの毒性を持つものであり、しかも、その放射能の半減期は二万四千年という恐るべき核物質であります。 協定の相手のアメリカの国会がこの空輸を絶対にアメリカ上空を通過させないとの態度をとりましたが、このこと自体、プルトニウム空輸の危険性を物語っています。その空輸機がいずれかの場所にもし万一墜落した場合、ましてや日本国内に墜落した場合、そのもたらす被害は到底チェルノブイリ事故の比ではありません。こうした事故が絶対にないと一体だれが保証できるでしょうか。 第二に、我が国へ空輸されるプルトニウムの総量が、原子力発電を認める立場に立ったとしても、極めて大量であります。既に述べた最も危険なプルトニウムをこれほど大量に抱えた日本のエネルギー政策を我が党は断じて認めることはできません。 第三に、プルトニウムの空輸及びこれが我が国に到着した後の陸送や管理等に伴ってとられる核ジャック阻止を名目とする諸措置は、我が国の原子力政策の大原則である自主、民主、公開の原則を覆し、日本国民の正当な権利である環境保護を求める運動、情報公開を求める運動等に対する圧迫となり、学問、研究の自由を侵害するおそれが極めて大であります。 以上の理由により、我が党は本協定に反対するものであります。(拍手)
○糸山委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、日米原子力協定に対する反対討論を行います。 反対理由の第一は、この協定が、米国の核兵器保有温存を前提として核兵器保有国の核独占体制を一層強化することを主なねらいとしているからであります。核拡散防止を大義名分として原子力活動の全面にわたり微に入り細に入り規定して、日本の原子力開発を米国の政策に一層深く縛りつけることは重大問題であります。 第二の極めて重大な点は、第十一条と実施取極に「核拡散の防止」と「国家安全保障の利益」の条項を盛り込ませたことであります。これは米国の国家安全保障の利益を盾に我が国の原子力政策を米国に従わせようとするものであり、断じて認められません。 将来の日本の政府が自民党政府にかわって非核政策を具体的に展開したとき、それが米国によって国家安全保障に対する脅威の著しい増大とされ、包括同意の停止などの報復を米国の当然の権利としているようなことは断固認めるわけにいきません。しかも、実施取極は国会に諮らずいつでも変えられるだけにますます重大であります。 第三は、回収プルトニウム空輸には、安全性の面から反対であります。 米議会でも、結局米国の領空を通過しないことで決着したことが示すように空輸は危険きわまりないものであります。もし万々が一空輸中の飛行機が墜落し、プルトニウムが漏出すれば、それこそ人体への甚大な被害と環境悪化に及ぼす影響力ははかり知れません。しかも、安全な輸送容器はこれから開発というに至っては何をかいわんやであります。 第四は、現行協定の米国への従属性をそのまま継承したものであることです。 我が国の原子力開発は、現在、原子力の燃料である濃縮ウランや原子炉を全面的に米国に依存し、その主導のもとに進められています。エネルギー面で外国に全面的に依存する形は独立国家として正常な姿ではありません。政府の二〇三〇年におけるエネルギー見通しでは、原子力発電は全体の六〇%を占め、その時点においても米国依存の基調は何ら変わることなく、エネルギーの重要な部分を握られることは明らかであります。 以上、私は日米原子力協定に対する反対の理由を述べました。 まだ多くの解明すべき問題点が残っているにもかかわらず、審議を打ち切り、採決をすることに抗議の意思を表明して、反対討論を終ります。(拍手)
○糸山委員長 これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○糸山委員長 採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○糸山委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○糸山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ───────────── 〔報告書は附録に掲載〕 ─────────────
○糸山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十二分散会